次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本開示の制御装置により制御されるハイブリッド車両(HEV)1の概略構成図である。同図に示すハイブリッド車両1は、エンジン2と、動力分配機構としてのシングルピニオン式のプラネタリギヤ3と、ギヤ列4と、何れも同期発電電動機(三相交流電動機)であるモータジェネレータMG1およびMG2と、バッテリ(蓄電装置)5と、当該バッテリ5に接続されると共にモータジェネレータMG1およびMG2を駆動する電力制御装置(以下、「PCU」という。)6と、車両全体を制御する第1制御部としてのハイブリッド電子制御ユニット(以下、「HVECU」という。)100とを含む。
ハイブリッド車両1のエンジン2は、エンジンブロックに形成された複数の燃焼室(気筒)20における炭化水素系燃料と空気との混合気の燃焼に伴うピストン21の往復運動をクランクシャフト(出力軸)22の回転運動へと変換する多気筒ガソリンエンジン(例えば、直列4気筒エンジンあるいはV型6気筒エンジン)である。エンジン2は、図2に示すように、複数の燃焼室20、ピストン21およびクランクシャフト22に加えて、エアクリーナ23と、吸気管24と、電子制御式のスロットルバルブ25と、サージタンクおよび複数の吸気ポートを有する吸気マニホールド26と、それぞれ対応する吸気ポートを開閉する複数の吸気弁27iと、それぞれ対応する排気ポートを開閉する排気弁27eと、それぞれ対応する吸気ポート内に燃料を噴射する複数のポート噴射弁28pと、それぞれ対応する燃焼室20内に燃料を直接噴射する複数の筒内噴射弁28dと、複数の点火プラグ29と、排気通路を形成する排気管30とを含む。
また、エンジン2は、排ガス浄化装置として、それぞれ排気管30に組み込まれた上流側浄化装置31および下流側浄化装置32を含む。上流側浄化装置31は、エンジン2の各燃焼室20からの排ガス中のCO(一酸化炭素)やHC、NOxといった有害成分を浄化するNOx吸蔵型の排ガス浄化触媒(三元触媒)を含むものである。下流側浄化装置32は、排ガス中の粒子状物質(微粒子)を捕集するパティキュレートフィルタPF(GPF)を含み、上流側浄化装置31の下流側に配置される。本実施形態において、パティキュレートフィルタPFは、NOx吸蔵型の排ガス浄化触媒(三元触媒)を担持した多孔質フィルタである。すなわち、下流側浄化装置32は、三元触媒の浄化機能と粒子状物質の捕集機能とを有する四元触媒を含む。
更に、エンジン2は、排ガスのエネルギを利用して吸入空気を圧縮する過給機33と、当該過給機33により圧縮された空気を冷却する液冷式のインタークーラ34とを含む。過給機33は、ターボチャージャであり、タービンホイール33tと、コンプレッサホイール33cと、タービンホイール33tおよびコンプレッサホイール33cを一体に連結するタービンシャフト33sと、ウェイストゲートバルブ33wと、ブローオフバルブ33bとを含む。タービンホイール33tは、上流側浄化装置31の上流側に位置するように排気管30に形成されたタービンハウジング内に回転自在に配置される。コンプレッサホイール33cは、エアクリーナ23とスロットルバルブ25との間に位置するように吸気管24に形成されたコンプレッサハウジング内に回転自在に配置される。
上述のように構成されるエンジン2は、図示しないCPU,ROM,RAM、入出力インターフェース等を有するマイクロコンピュータや、各種駆動回路、各種ロジックIC等を含む第2制御部としてのエンジン電子制御装置(以下、「エンジンECU」という。)200により制御される。エンジンECU200は、図3に示すように、クランク角センサ22aやエアフローメータ24a、吸気圧センサ24p、過給圧センサ24c、吸気温センサ24t、スロットル開度センサ25o、サージ圧センサ26p、温度センサ26t、上流側空燃比センサ30f、下流側空燃比センサ30r、排ガス温度センサ30t、水温センサ35t等の検出値を図示しない入力ポートを介して取得する。
クランク角センサ22aは、クランクシャフト22の回転位置(クランクポジション)を検出する。エアフローメータ24aは、吸気管24のコンプレッサホイール33cの上流側で吸入空気量Qaを検出する。吸気圧センサ24pは、吸気管24のコンプレッサホイール33cの上流側における吸気圧Pinを検出する。過給圧センサ24cは、吸気管24のコンプレッサハウジングとインタークーラ34との間でコンプレッサホイール33cにより圧縮された空気の圧力である過給圧Pcを検出する。吸気温センサ24tは、吸気管24のコンプレッサホイール33cの上流側で吸気温度Tinを検出する。
スロットル開度センサ25oは、スロットルバルブ25の開度を検出する。サージ圧センサ26pは、サージタンク内の空気の圧力であるサージ圧Psを検出し、温度センサ26tは、サージタンク内の空気の温度であるサージ温度Tsを検出する。上流側空燃比センサ30fは、上流側浄化装置31の上流側で当該上流側浄化装置31に流入する排ガスの空燃比である上流側空燃比AFfを検出し、下流側空燃比センサ30rは、上流側浄化装置31の下流側で下流側浄化装置32に流入する排ガスの空燃比である下流側空燃比AFrを検出する。排ガス温度センサ30tは、排気管30の上流側浄化装置31と下流側浄化装置32との間の部分を流通する排ガスの温度Tegを検出する。水温センサ35tは、エンジンブロック等を冷却する冷却水の水温Tw(エンジン2の温度)を検出する。
エンジンECU200は、クランク角センサ22aからのクランクポジションに基づいてエンジン2(クランクシャフト22)の回転数Neを算出する。また、エンジンECU200は、エアフローメータ24aからの吸入空気量Qaとエンジン2の回転数Neとに基づいて負荷率KLを算出する。負荷率KLは、エンジン2の1サイクルあたりの行程容積に対する1サイクル中に実際に吸入される空気の容積の割合である。そして、エンジンECU200は、回転数Neや負荷率KL等に基づいて、スロットルバルブ25(吸入空気量)や、複数のポート噴射弁28pおよび複数の筒内噴射弁28d(燃料噴射量)、複数の点火プラグ29(点火時期)等を制御する。更に、エンジンECU200は、過給機33のウェイストゲートバルブ33wおよびブローオフバルブ33b、冷却水を圧送する図示しない電動ポンプ等を制御する。なお、エンジン2は、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)を含むディーゼルエンジンであってもよく、LPGエンジンであってもよい。
プラネタリギヤ3は、サンギヤ3sと、リングギヤ3rと、複数のピニオンギヤ3pを回転自在に支持するプラネタリキャリヤ3cとを含む差動回転機構である。図1に示すように、サンギヤ3sは、モータジェネレータMG1のロータに連結され、プラネタリキャリヤ3cは、ダンパ機構DDを介してエンジン2のクランクシャフト22に連結される。また、リングギヤ3rは、ギヤ列4のカウンタドライブギヤ4a(出力部材)と同軸かつ一体に回転する。ギヤ列4は、カウンタドライブギヤ4aに加えて、カウンタドリブンギヤ4b、ファイナルドライブギヤ(ドライブピニオンギヤ)4cを含む。ファイナルドライブギヤ4cは、デファレンシャルギヤDFのデフリングギヤDrに噛合し、当該デファレンシャルギヤDFおよびドライブシャフトDSを介して左右の車輪(駆動輪)Wに連結される。これにより、プラネタリギヤ3、ギヤ列4、およびデファレンシャルギヤDFは、動力発生源としてのエンジン2の出力トルクの一部を車輪Wに伝達すると共にエンジン2とモータジェネレータMG1とを互いに連結するトランスアクスルを構成する。
モータジェネレータMG1は、主に、負荷運転されるエンジン2からの動力の少なくとも一部を電力に変換する発電機として作動する。また、モータジェネレータMG2は、ドライブギヤ4d、カウンタドリブンギヤ4b、ファイナルドライブギヤ4c、デフリングギヤDrを含むデファレンシャルギヤDFおよびドライブシャフトDSを介して左右の車輪Wに連結される。かかるモータジェネレータMG2は、主に、バッテリ5からの電力およびモータジェネレータMG1からの電力の少なくとも何れか一方により駆動されてドライブシャフトDSに駆動トルクを発生する電動機として作動する。
バッテリ5は、例えばリチウムイオン二次電池またはニッケル水素二次電池である。バッテリ5は、図示しないCPU等を有するマイクロコンピュータ等を含むバッテリ管理電子制御装置(以下、「バッテリECU」という。)500により管理される。バッテリECU500は、電圧センサ5vにより検出されるバッテリ5の端子間電圧VBや、電流センサにより検出されるバッテリ5の充放電電流IB、電池温度センサ5tにより検出されるバッテリ5の電池温度Tb等に基づいて、バッテリ5のSOC(充電率)や、許容充電電力Win(負の値)、許容放電電力Wout(正の値)等を導出する。
PCU6は、モータジェネレータMG1を駆動する第1インバータや、モータジェネレータMG2を駆動する第2インバータ、バッテリ5からの電力を昇圧すると共にモータジェネレータMG1、MG2側からの電力を降圧することができる昇圧コンバータ等(何れも図示省略)を含む。PCU6は、図示しないCPU等を有するマイクロコンピュータ等を含むモータ電子制御装置(以下、「MGECU」という。)600により制御される。
HVECU100は、CPU等を有するマイクロコンピュータや、各種駆動回路、各種ロジックIC等を含む。HVECU100は、図3に示すように、車速センサ90により検出される車速V、アクセルペダルポジションセンサ91により検出される図示しないアクセルペダルの踏み込み量を示すアクセル開度Acc、シフトポジションセンサ92により検出される図示しないシフトレバーのシフトポジションSP等を取得する。更に、HVECU100は、上記ECU200,500,600や、図示しない油圧ブレーキアクチュエータを制御するブレーキ電子制御装置(図示省略)等と相互に情報をやり取りし、車速Vやアクセル開度Acc、各ECU200,500,600等からの信号等に基づいてハイブリッド車両1を統括的に制御する。
ハイブリッド車両1の走行に際し、HVECU100は、図示しない要求トルク設定マップから、アクセル開度Accおよび車速Vに対応したドライブシャフトDSに出力されるべき要求トルクTr*(要求制動トルクを含む)を導出する。更に、HVECU100は、当該要求トルクTr*やドライブシャフトDSの回転数Ndsに基づいてハイブリッド車両1の走行に要求される要求走行パワーPd*(=Tr*×Nds)を設定する。また、HVECU100は、要求トルクTr*や要求走行パワーPd*、別途設定したバッテリ5の目標充放電電力Pb*(放電側が正)、バッテリECU500からのSOC、許容充電電力Win、許容放電電力Wout等に基づいてエンジン2を負荷運転させるか否かを判定する。
エンジン2を負荷運転させる場合、HVECU100は、要求走行パワーPd*や目標充放電電力Pb*等に基づいてエンジン2に出力させるべき目標パワーPe*(=Pd*-Pb*+Loss)を設定する。更に、HVECU100は、エンジン2が効率よく運転され、かつハイブリッド車両1の運転状態等に応じた下限回転数Nelimを下回らないように目標パワーPe*に応じたエンジン2の目標回転数Ne*を設定する。更に、HVECU100は、バッテリ5の許容充電電力Winおよび許容放電電力Woutの範囲内で要求トルクTr*や目標回転数Ne*等に応じたモータジェネレータMG1,MG2に対するトルク指令Tm1*,Tm2*を設定する。一方、エンジン2の運転を停止させる場合、HVECU100は、目標パワーPe*、目標回転数Ne*およびトルク指令Tm1*にゼロを設定する。更に、HVECU100は、要求トルクTr*に応じたトルクがモータジェネレータMG2からドライブシャフトDSに出力されるようにバッテリ5の許容充電電力Winおよび許容放電電力Woutの範囲内でトルク指令Tm2*を設定する。
そして、HVECU100は、目標パワーPe*および目標回転数Ne*をエンジンECU200に送信すると共に、トルク指令Tm1*,Tm2*をMGECU600に送信する。エンジンECU200は、目標回転数Ne*と、目標パワーPe*および目標回転数Ne*に応じた目標トルクTe*(=Pe*/Ne*)に基づいて吸入空気量や燃料噴射量、点火時期等を制御する。本実施形態において、エンジンECU200は、基本的に、エンジン2の各燃焼室20における空燃比が理論空燃比(=14.6-14.7)になるように燃料噴射制御を実行する。更に、エンジンECU200は、エンジン2の負荷(目標パワーPe*)等に応じて、各燃焼室20に対して、ポート噴射弁28pおよび筒内噴射弁28dの何れか一方または双方から燃料を噴射させる。
また、MGECU600は、トルク指令Tm1*,Tm2*に基づいて第1および第2インバータや昇圧コンバータをスイッチング制御する。エンジン2が負荷運転される場合、モータジェネレータMG1およびMG2は、エンジン2から出力されるパワーの一部(バッテリ5の充電時)またはすべて(バッテリ5の放電時)をプラネタリギヤ3と共にトルク変換してドライブシャフトDSに出力するように制御される。これにより、ハイブリッド車両1は、エンジン2からの動力(直達トルク)およびモータジェネレータMG2からの動力により走行(HV走行)する。これに対して、エンジン2の運転が停止される場合、ハイブリッド車両1は、モータジェネレータMG2からの動力(駆動トルク)のみにより走行(EV走行)する。
ここで、本実施形態のハイブリッド車両1は、排ガス浄化装置として、パティキュレートフィルタPFを有する下流側浄化装置32を含む。かかるパティキュレートフィルタPFにおける粒子状物質の堆積量Dpmは、ハイブリッド車両1の走行距離の増加に応じて増加すると共に、環境温度が低いほど増加する。従って、ハイブリッド車両1では、パティキュレートフィルタPFにおける粒子状物質の堆積量Dpmが増加した段階で、十分に昇温させたパティキュレートフィルタPFに多くの空気すなわち酸素を送り込み、粒子状物質を燃焼させてパティキュレートフィルタPFを再生する必要がある。
このため、ハイブリッド車両1では、運転者によるアクセルペダルの踏み込みやバッテリ5の充電要求等に応じてエンジン2が負荷運転されるときに、エンジンECU200により、当該エンジン2の少なくとも何れか1つの燃焼室20への燃料供給を停止させ、かつ残余の燃焼室20に燃料を供給する一部気筒フューエルカット制御(触媒昇温制御)が実行される。また、エンジンECU200は、エンジン2の何れか1つの燃焼室20への燃料供給を停止させるときに、残余の燃焼室20における空燃比をリッチにする。更に、本実施形態において、エンジンECU200は、パティキュレートフィルタPFの温度等に応じて、既に燃料供給が停止されている燃焼室20に対して一部気筒フューエルカット制御の非実行時に燃料噴射(点火)が連続して実行されない燃焼室20を選択し、選択した燃焼室20への燃料供給を停止させる。
これにより、上流側および下流側浄化装置31,32には、燃料供給が停止された燃焼室20(フューエルカット気筒)から比較的多くの空気すなわち酸素が導入されると共に、燃料が供給された燃焼室20(燃焼気筒)から比較的多くの未燃燃料が導入される。この結果、エンジン2の負荷運転中に、比較的多くの未燃燃料を十分な酸素の存在下で反応させて、上流側浄化装置31の排ガス浄化触媒や、排ガス浄化触媒を担持したパティキュレートフィルタPFの温度を反応熱により十分かつ速やかに高めることが可能となる。更に、下流側浄化装置32の排ガス浄化触媒と共に昇温したパティキュレートフィルタPFに複数のフューエルカット気筒からより多くの酸素を導入して当該パティキュレートフィルタPFに堆積した粒子状物質を良好に燃焼させることができる。従って、ハイブリッド車両1では、パティキュレートフィルタPFに多くの粒子状物質が堆積しがちな低温環境下、特に1日の平均気温が-20℃を下回るような極低温環境下においても、パティキュレートフィルタPFに堆積した粒子状物質を良好に燃焼させて当該パティキュレートフィルタPFを再生させることが可能となる。加えて、ハイブリッド車両1では、上流側浄化装置31の排ガス浄化触媒のS被毒やHC被毒を良好に緩和することもできる。
また、エンジンECU200により一部気筒フューエルカット制御が実行されるときに、HVECU100は、同一のアクセル開度Accおよび車速Vに対応した目標パワーPe*をエンジンECU200により一部気筒フューエルカット制御が実行されないときに比べて大きくする。これにより、一部気筒フューエルカット制御が実行されるときのエンジン2の出力トルクの低下を抑制することができる。本実施形態において、HVECU100は、一部気筒フューエルカット制御の実行中、目標パワーPe*を図示しないマップから導出されるエンジン2の動作点(回転数およびトルク)に応じた値(嵩上げ量)だけ増加させる。
更に、一部気筒フューエルカット制御の実行中、HVECU100は、MGECU600との協働により、少なくとも何れか1つの燃焼室20への燃料供給の停止により不足するトルク(駆動力)を補填するように動力発生装置としてのモータジェネレータMG2を制御する。より詳細には、HVECU100(およびMGECU600)は、少なくとも何れか1つの燃焼室20への燃料供給が停止される間(フューエルカット中)に、不足するトルクを補填するようにモータジェネレータMG2(電動機)を制御する。これにより、一部気筒フューエルカット制御の実行中に、一部の燃焼室20への燃料供給の停止により不足するトルクをモータジェネレータMG2から高精度に応答性よく補填し、ハイブリッド車両1のドライバビリティの悪化を良好に抑制することが可能となる。
一方、低温環境下では、ハイブリッド車両1に搭載されたバッテリ5の許容充電電力Winが電池温度Tbの低下に伴い充電電力として小さく(絶対値が小さく)設定される。このため、負荷運転されるエンジン2からの動力の少なくとも一部を用いて発電するモータジェネレータMG1からの電力(充電電力)を許容充電電力Winの範囲内に収めるために、エンジン2から出力されるパワーを比較的小さい目標パワーPe*に精度よく近づけることが求められる。ただし、負荷運転中のエンジン2の制御性が確保されていない場合には、モータジェネレータMG1からの電力(充電電力)が許容充電電力Winの近傍で変動し易くなり、エンジン2の運転状態が負荷運転状態と実質的にトルクを出力しない自立運転状態との間で頻繁に切り換えられてしまう。このような場合、バッテリ5を要求どおりに充電できなくなってSOCを確保し得なくなったり、エンジン2の運転状態の変動により振動や騒音が顕在化したりするおそれがある。
これを踏まえて、第1制御部としてのHVECU100は、ハイブリッド車両1の状態に応じて、エンジン2の出力トルクが目標パワーPe*に応じた目標トルクTe*になるようにスロットルバルブ25の開度をフィードバック制御するスロットルフィードバック制御の実行を第2制御部としてのエンジンECU200に要求する。そして、エンジンECU200は、HVECU100からの要求に応じて当該スロットルフィードバック制御を実行する。
本実施形態において、スロットルフィードバック制御は、HVECU100により導出されるエンジン2の出力トルクと、エンジンECU200により推定されるエンジン2の出力トルクとを一致させるためのフィードバック量を算出し、算出したフィードバック量をスロットルバルブ25の目標開度に反映させるものである。このため、エンジンECU200によりスロットルフィードバック制御が実行されるときに、HVECU100は、プラネタリギヤ3を介してクランクシャフト22に連結されたモータジェネレータMG1の出力トルクに相当するトルク指令Tm1*をプラネタリギヤ3のギヤ比等に基づいてエンジン2の出力トルクに換算し、導出した出力トルクをエンジンECU200に送信する。また、エンジンECU200は、HVECU100からの目標パワーPe*やエンジン2の回転数Ne等に基づいて当該エンジン2の出力トルクを推定する。なお、フィードバック量の算出に用いられるエンジン2の出力トルクは、HVECU100以外の他の電子制御装置(例えば、MGECU600)により導出されてもよい。
図4は、スロットルフィードバック制御の実行の要否を決定するために第1制御部としてのHVECU100により実行されるルーチンの一例を示すフローチャートである。図4のルーチンは、ハイブリッド車両1がシステム起動されており、かつHVECU100がスロットルフィードバック制御の実行を要求していないときに、当該HVECU100により所定時間(微小時間)おきに実行される。図4のルーチンの実行タイミングが到来すると、HVECU100は、別途設定した目標パワーPe*、バッテリECU500から送信されるバッテリ5のSOC、許容充電電力Winおよび電池温度Tb、エンジンECU200から送信されるエンジン2の吸気温度Taといったスロットルフィードバック制御の実行の要否の判定に必要な情報を取得する(ステップS100)。
ステップS100の処理の後、HVECU100は、取得した目標パワーPe*が予め定められた比較的小さい実行要求パワーP1(例えば、数kW)以下であるか否かを判定する(ステップS110)。目標パワーPe*が当該実行要求パワーP1を上回っていると判定した場合(ステップS110:NO)、HVECU100は、エンジン2の負荷がある程度高いとみなして、スロットルフィードバック制御の実行が不要であり、かつ一部気筒フューエルカット制御の実行を許可する旨を示す信号をエンジンECU200に送信し(ステップS105)、図4のルーチンを一旦終了させる。
また、目標パワーPe*が実行要求パワーP1以下であると判定した場合(ステップS110:YES)、HVECU100は、バッテリ5のSOCが予め定められた実行要求値S1(例えば、50%前後の値)以下であるか否かを判定する(ステップS120)。バッテリ5のSOCが実行要求値S1を上回っていると判定した場合(ステップS120:NO)、HVECU100は、バッテリ5のSOCが急減するおそれがないとみなして、スロットルフィードバック制御の実行が不要であり、かつ一部気筒フューエルカット制御の実行を許可する旨を示す信号をエンジンECU200に送信し(ステップS105)、図4のルーチンを一旦終了させる。
更に、バッテリ5のSOCが実行要求値S1以下であると判定した場合(ステップS120:YES)、HVECU100は、エンジン2の吸気温度Taが予め定められた実行要求吸気温度Ta1(例えば、0℃前後の温度)以下であるか否かを判定する(ステップS130)。吸気温度Taが実行要求吸気温度Ta1を上回っていると判定した場合(ステップS130:NO)、HVECU100は、ハイブリッド車両1の周囲が低温環境ではないとみなして、スロットルフィードバック制御の実行が不要であり、かつ一部気筒フューエルカット制御の実行を許可する旨を示す信号をエンジンECU200に送信し(ステップS105)、図4のルーチンを一旦終了させる。
また、吸気温度Taが実行要求吸気温度Ta1以下であると判定した場合(ステップS130:YES)、HVECU100は、バッテリ5の電池温度Tbが予め定められた実行要求電池温度Tb1(例えば、-10℃前後の温度)以下であるか否かを判定する(ステップS140)。電池温度Tbが実行要求電池温度Tb1を上回っていると判定した場合(ステップS140:NO)、HVECU100は、バッテリ5のSOCが急減するおそれがないとみなして、スロットルフィードバック制御の実行が不要であり、かつ一部気筒フューエルカット制御の実行を許可する旨を示す信号をエンジンECU200に送信し(ステップS105)、図4のルーチンを一旦終了させる。
更に、電池温度Tbが実行要求電池温度Tb1以下であると判定した場合(ステップS140:YES)、HVECU100は、バッテリ5の許容充電電力Winが予め定められた実行要求電力W1(例えば、-数kW)以上であるか否かを判定する(ステップS150)。許容充電電力Winが実行要求電力W1未満であると判定した場合(ステップS150:NO)、HVECU100は、許容充電電力Winが大きく制限されていないとみなして、スロットルフィードバック制御の実行が不要であり、かつ一部気筒フューエルカット制御の実行を許可する旨を示す信号をエンジンECU200に送信して(ステップS105)、図4のルーチンを一旦終了させる。
これに対して、許容充電電力Winが実行要求電力W1以上であると判定した場合(ステップS150:YES)、HVECU100は、エンジン2の負荷が低く、かつ当該エンジン2およびバッテリ5が低温環境下にあるとみなして、スロットルフィードバック制御の実行を要求すると共に一部気筒フューエルカット制御の実行を禁止する旨を示す信号をエンジンECU200に送信し(ステップS160)、図4のルーチンを一旦終了させる。すなわち、HVECU100は、エンジン2の目標パワーPe*、当該エンジン2の状態、およびバッテリ5の状態がそれぞれについて予め定められた条件を満たすときに(Pe*≦P1かつSOC≦S1かつTa≦Ta1かつTb≦Tb1かつWin≧W1であるときに)、スロットルフィードバック制御の実行を要求する。
また、HVECU100は、図4のステップS160にてスロットルフィードバック制御の実行をエンジンECU200に要求した後、スロットルフィードバック制御の停止の可否を決定するために、図5に示すルーチンを所定時間(微小時間)おきに実行する。図5のルーチンの実行タイミングが到来すると、HVECU100は、別途設定した目標パワーPe*、バッテリECU500から送信されるバッテリ5のSOC、許容充電電力Winおよび電池温度Tb、エンジンECU200から送信されるエンジン2の吸気温度Taといったスロットルフィードバック制御の停止の可否の判定に必要な情報を取得する(ステップS200)。
ステップS200の処理の後、HVECU100は、取得した目標パワーPe*が上記実行要求パワーP1よりも例えば1-3kW程度大きい予め定められた要求解除パワーP2未満であるか否かを判定する(ステップS210)。目標パワーPe*が当該要求解除パワーP2以上であると判定した場合(ステップS210:NO)、HVECU100は、エンジン2の負荷の高まりによりスロットルフィードバック制御が不要になったとみなして、スロットルフィードバック制御の実行停止を要求すると共に一部気筒フューエルカット制御の実行を許可する旨を示す信号をエンジンECU200に送信し(ステップS205)、図5のルーチンを終了させる。
また、目標パワーPe*が要求解除パワーP2未満であると判定した場合(ステップS210:YES)、HVECU100は、バッテリ5のSOCが上記実行要求値S1よりも例えば5%程度高い予め定められた要求解除値S2未満であるか否かを判定する(ステップS220)。バッテリ5のSOCが要求解除値S2以上であると判定した場合(ステップS220:NO)、HVECU100は、SOCの回復によりスロットルフィードバック制御が不要になったとみなして、スロットルフィードバック制御の実行停止を要求すると共に一部気筒フューエルカット制御の実行を許可する旨を示す信号をエンジンECU200に送信し(ステップS205)、図5のルーチンを終了させる。
更に、バッテリ5のSOCが要求解除値S2未満であると判定した場合(ステップS220:YES)、HVECU100は、エンジン2の吸気温度Taが上記実行要求吸気温度Ta1よりも例えば10℃程度高い予め定められた要求解除吸気温度Ta2未満であるか否かを判定する(ステップS230)。吸気温度Taが要求解除吸気温度Ta2以上であると判定した場合(ステップS230:NO)、HVECU100は、ハイブリッド車両1の周囲が低温環境ではなくなったとみなして、スロットルフィードバック制御の実行停止を要求すると共に一部気筒フューエルカット制御の実行を許可する旨を示す信号をエンジンECU200に送信し(ステップS205)、図5のルーチンを終了させる。
また、吸気温度Taが要求解除吸気温度Ta2未満であると判定した場合(ステップS230:YES)、HVECU100は、バッテリ5の電池温度Tbが上記実行要求電池温度Tb1よりも例えば数℃高い予め定められた要求解除電池温度Tb2未満であるか否かを判定する(ステップS240)。電池温度Tbが要求解除電池温度Tb2を以上であると判定した場合(ステップS240:NO)、HVECU100は、バッテリ5のSOCが急減するおそれがなくなったとみなして、スロットルフィードバック制御の実行停止を要求すると共に一部気筒フューエルカット制御の実行を許可する旨を示す信号をエンジンECU200に送信し(ステップS205)、図5のルーチンを終了させる。
更に、電池温度Tbが要求解除電池温度Tb2未満であると判定した場合(ステップS240:YES)、HVECU100は、バッテリ5の許容充電電力Winが上記実行要求電力W1よりも例えば数kW程度小さい(絶対値が大きい)予め定められた要求解除電力W2を上回っているか否かを判定する(ステップS250)。許容充電電力Winが要求解除電力W2以下であると判定した場合(ステップS250:NO)、HVECU100は、許容充電電力Winが大きく制限されなくなったとみなして、スロットルフィードバック制御の実行停止を要求すると共に一部気筒フューエルカット制御の実行を許可する旨を示す信号をエンジンECU200に送信し(ステップS205)、図5のルーチンを終了させる。
これに対して、許容充電電力Winが要求解除電力W2を上回っていると判定した場合(ステップS250:YES)、HVECU100は、依然としてエンジン2の負荷が低く、かつ当該エンジン2およびバッテリ5が低温環境下にあるとみなして、スロットルフィードバック制御の実行を要求すると共に上記一部気筒フューエルカット制御の実行を禁止する旨を示す信号をエンジンECU200に送信し(ステップS260)、図5のルーチンを一旦終了させる。
上述のように、ハイブリッド車両1では、スロットルフィードバック制御の実行の要否の判定基準にヒステリシスが設定されている。すなわち、それぞれ目標パワーPe*と比較される実行要求パワーP1と要求解除パワーP2との間、それぞれバッテリ5のSOCと比較される実行要求値S1と要求解除値S2との間、それぞれエンジン2の吸気温度Taと比較される実行要求吸気温度Ta1と要求解除吸気温度Ta2との間、それぞれバッテリ5の電池温度Tbと比較される実行要求電池温度Tb1と要求解除電池温度Tb2との間、およびそれぞれバッテリ5の許容充電電力Winと比較される実行要求電力W1と要求解除電力W2との間には、不感帯を形成するための予め適合された差(ヒステリシス差)が設けられている。これにより、スロットルフィードバック制御の要求(図4のステップS160)と当該要求の解除(図5のステップS205)とが頻繁に切り換えられてしまうのを良好に抑制することが可能となる。
続いて、図6を参照しながら、エンジンECU200による一部気筒フューエルカット制御の実行の可否の決定手順について説明する。図6は、運転者によるアクセルペダルの踏み込みやバッテリ5の充電要求等に応じてエンジン2が所定回転数Nref(例えば、2000-3000rpm程度の回転数)以上で負荷運転されるときに、一部気筒フューエルカット制御の実行の可否を決定するためにエンジンECU200により所定時間(微小時間)おきに実行されるルーチンを示すフローチャートである。
図6のルーチンの実行タイミングが到来すると、エンジンECU200は、下流側浄化装置32のパティキュレートフィルタPFの温度Tpf、当該パティキュレートフィルタPFにおける粒子状物質の堆積量Dpm、一部気筒フューエルカット実行フラグといった判定に必要な情報を取得する(ステップS300)。パティキュレートフィルタPFの温度Tpfは、吸入空気量QA、回転数Ne、排ガスの温度Teg、上流側空燃比AFf、下流側空燃比AFr等に基づいてエンジンECU200により別途推定されたものであってもよく、図示しない温度センサにより実測されたものであってもよい。粒子状物質の堆積量Dpmは、例えばエンジン2の運転状態等に応じて周知の運転履歴法および差圧法の何れか一方によりエンジンECU200により所定時間おきに別途算出(推定)されるものである。一部気筒フューエルカット実行フラグは、一部気筒フューエルカット制御を実行すべきときにオンされ、一部気筒フューエルカット制御を実行すべきではないときにオフされるものである。
ステップS300の処理の後、エンジンECU200は、HVECU100によりスロットルフィードバック制御の実行が要求され、かつ一部気筒フューエルカット制御の実行が禁止されているか否かを判定する(ステップS310)。HVECU100によりスロットルフィードバック制御の実行が要求されていないと判定した場合(ステップS310:NO)、エンジンECU200は、一部気筒フューエルカット制御の実行を許可すべく、一部気筒フューエルカット禁止フラグをオフし(ステップS320)、下流側浄化装置32(および上流側浄化装置31)の昇温すなわちパティキュレートフィルタPFの再生が要求されているか否かを判定する(ステップS330)。
ステップS330において、エンジンECU200は、一部気筒フューエルカット実行フラグがオフされて一部気筒フューエルカット制御が実行されていない場合、ステップS300にて取得した堆積量Dpmが予め定められた閾値D1(例えば、5000mg程度の値)以上であるか否かを判定する。また、ステップS330において、エンジンECU200は、堆積量Dpmが閾値D1以上であると判定した場合、ステップS300にて取得したパティキュレートフィルタPFの温度Tpfが予め定められた昇温制御開始温度Tx(例えば、600℃前後の温度)未満であるか否かを判定する。更に、ステップS330において、エンジンECU200は、一部気筒フューエルカット実行フラグがオンされて一部気筒フューエルカット制御が既に実行されている場合、ステップS300にて取得した堆積量Dpmが予め上記閾値D1よりも小さく定められた閾値D0(例えば、3000mg程度の値)以下であるか否かを判定する。
一部気筒フューエルカット制御が実行されておらず、かつ堆積量Dpmが閾値D1未満である場合、エンジンECU200は、下流側浄化装置32(および上流側浄化装置31)の昇温すなわちパティキュレートフィルタPFの再生が要求されていないと判定する(ステップS340:NO)。また、堆積量Dpmが閾値D1以上であっても、パティキュレートフィルタPFの温度Tpfが昇温制御開始温度Tx以下である場合、エンジンECU200は、下流側浄化装置32(および上流側浄化装置31)の更なる昇温が要求されていないと判定する(ステップS340:NO)。更に、一部気筒フューエルカット制御が既に実行されており、かつ堆積量Dpmが閾値D0以下である場合、エンジンECU200は、パティキュレートフィルタPFの再生が完了しており、下流側浄化装置32(および上流側浄化装置31)の更なる昇温が要求されていないと判定する(ステップS340:NO)。エンジンECU200は、下流側浄化装置32の昇温が要求されていないと判定した場合(ステップS340:NO)、一部気筒フューエルカット制御の実行を停止させるべく、一部気筒フューエルカット実行フラグをオフし(ステップS380)、図6のルーチンを一旦終了させる。
また、一部気筒フューエルカット制御が実行されておらず、堆積量Dpmが閾値D1以上であって、かつパティキュレートフィルタPFの温度Tpfが昇温制御開始温度Tx未満である場合、エンジンECU200は、一部気筒フューエルカット制御による下流側浄化装置32の昇温が要求されていると判定する(ステップS340:YES)。更に、一部気筒フューエルカット制御が実行されており、かつ堆積量Dpmが閾値D0を上回っている場合、エンジンECU200は、パティキュレートフィルタPFの再生が完了しておらず、一部気筒フューエルカット制御による下流側浄化装置32の昇温がなお要求されていると判定する(ステップS340:YES)。エンジンECU200は、下流側浄化装置32の昇温が要求されていると判定した場合(ステップS340:YES)、一部気筒フューエルカット制御を実行させるべく、一部気筒フューエルカット実行フラグをオンし(ステップS350)、図6のルーチンを一旦終了させる。ステップS350にて一部気筒フューエルカット実行フラグがオンされると、エンジンECU200は、必要に応じて他の実行許可条件を確認の上、一部気筒フューエルカットを実行する。
一方、HVECU100によりスロットルフィードバック制御の実行が要求され、かつ一部気筒フューエルカット制御の実行が禁止されていると判定した場合(ステップS310:YES)、エンジンECU200は、一部気筒フューエルカット制御の実行を禁止すべく、一部気筒フューエルカット禁止フラグをオンする(ステップS360)。更に、エンジンECU200は、一部気筒フューエルカット実行フラグがオンされているか否かを判定する(ステップS370)。一部気筒フューエルカット実行フラグがオンされていると判定した場合(ステップS370:YES)、エンジンECU200は、一部気筒フューエルカット制御の実行を停止させるべく、一部気筒フューエルカット実行フラグをオフし(ステップS380)、図6のルーチンを一旦終了させる。一部気筒フューエルカット制御の実行中にステップS380にて一部気筒フューエルカット実行フラグがオフされると、エンジンECU200は、当該一部気筒フューエルカット制御の実行を停止する。また、一部気筒フューエルカット実行フラグがオフされていると判定した場合(ステップS370:NO)、エンジンECU200は、ステップS380の処理をスキップして、図6のルーチンを一旦終了させる。
上述のように、ハイブリッド車両1は、互いに協働して当該ハイブリッド車両1を制御するHVECU100(第1制御部)およびエンジンECU200(第2制御部)を含む。HVECU100は、エンジン2の目標パワーPe*を設定すると共に、エンジン2やバッテリ5の状態(車両状態)に応じて、エンジン2の出力トルクが目標パワーPe*に応じた目標トルクTe*になるようにスロットルバルブ25の開度をフィードバック制御するスロットルフィードバック制御の実行を要求する(図5のステップS160)。また、エンジンECU200は、HVECU100からの要求に応じてスロットルフィードバック制御を実行する。更に、エンジンECU200は、エンジン2の負荷運転中に下流側浄化装置32の昇温すなわちパティキュレートフィルタPFの再生が要求された場合(図6のステップS340:YES)、スロットルフィードバック制御を実行していないことを条件に(図6のステップS310:NO)、少なくとも何れか1つの気筒への燃料供給を停止させる一部気筒フューエルカット制御を実行する(図6のステップS350)。
これにより、吸気温度Taが実行要求吸気温度Ta1以下となり、かつ電池温度Tbが実行要求電池温度Tb1以下となる低温環境下でスロットルフィードバック制御が実行されるときには、一部気筒フューエルカット制御が実行されないことになる。従って、ハイブリッド車両1が当該低温環境下にあるときには、スロットルフィードバック制御によりエンジン2の出力トルクを目標パワーPe*に応じた目標トルクTe*に精度よく近づけることができる。この結果、低温環境下において、エンジン2の制御性を良好に確保しつつ、一部気筒フューエルカット制御の実行により下流側浄化装置32を昇温させることが可能となる。
また、エンジンECU200は、HVECU100によりスロットルフィードバック制御の実行が要求されているときに(図6のステップS310:YES)、下流側浄化装置32の昇温の要求の有無に拘わらず、一部気筒フューエルカット制御を実行しない(図6のステップS380)。これにより、HVECU100側でスロットルフィードバック制御の実行の要否の判定基準にヒステリシスを設定しておけば(図4および図5参照)、一部気筒フューエルカット制御の実行と停止とが頻繁に切り換えられてしまうのを良好に抑制することが可能となる。
更に、ハイブリッド車両1において、エンジン2のクランクシャフト22には、プラネタリギヤ3を介してモータジェネレータMG1が連結されており、HVECU100は、モータジェネレータMG1の出力トルクに相当するトルク指令Tm1*に基づいてエンジン2の出力トルクを導出する。また、エンジンECU200は、目標パワーPe*や回転数Ne等に基づいてエンジン2の出力トルクを推定する。更に、エンジンECU200は、スロットルフィードバック制御の実行に際して、推定したエンジン2の出力トルクと、HVECU100により導出されたエンジン2の出力トルクとを一致させるためのフィードバック量を算出する。これにより、HVECU100にエンジン2の出力トルクを精度よく導出させると共に、一部気筒フューエルカット制御の実行の停止によりスロットルフィードバック制御の実行中のエンジンECU200によるエンジン2の出力トルクの推定精度を良好に確保することができる。従って、スロットルフィードバック制御によりエンジン2の出力トルクを目標パワーPe*に応じた目標トルクTe*に精度よく近づけることが可能となる。
また、HVECU100は、ハイブリッド車両1の走行に要求される要求走行パワーPd*と、バッテリ5の目標充放電電力Pb*とに基づいて目標パワーPe*を設定し、エンジンECU200により一部気筒フューエルカット制御が実行されるときに、一部気筒フューエルカット制御が実行されないときに比べて同一のアクセル開度Accおよび車速Vに対応した目標パワーPe*を大きくする。これにより、一部気筒フューエルカット制御が実行されるときのエンジン2の出力トルクの低下を抑制することが可能となる。加えて、かかる一部気筒フューエルカット制御の実行をスロットルフィードバック制御の実行中に停止(禁止)することで、エンジンECU200によるエンジン2の出力トルクの推定精度の悪化や、HVECU100により導出されるエンジン2の出力トルクとエンジンECU200により推定されるエンジン2の出力トルクとの乖離を抑制することができる。この結果、スロットルフィードバック制御によりエンジン2の出力トルクを目標パワーPe*に応じた目標トルクTe*に精度よく近づけることが可能となる。
更に、HVECU100は、目標パワーPe*、エンジン2の状態(吸気温度Ta)、およびバッテリ5の状態(SOC,許容充電電力Winおよび電池温度Tb)がそれぞれについて予め定められた条件を満たすときに(図4のステップS150:YES)、スロットルフィードバック制御の実行を要求する(図4のステップS160)。これにより、スロットルフィードバック制御を適正なタイミングで実行することが可能となる。
また、ハイブリッド車両1の下流側浄化装置32は、エンジン2からの排ガス中の粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタPFを含み、当該下流側浄化装置32の昇温は、パティキュレートフィルタPFを再生する必要があるときに要求される(ステップS330、S340:YES)。これにより、一部気筒フューエルカット制御の実行により燃料供給が停止された一部の燃焼室20から昇温したパティキュレートフィルタPFに多くの酸素(空気)を導入して当該パティキュレートフィルタPFに堆積した粒子状物質を良好に燃焼させることが可能となる。
なお、図4および図5の処理を実行するHVECU100および図6の処理を実行するエンジンECU200が、モータジェネレータMG1,MG2およびプラネタリギヤ3を含む上記ハイブリッド車両1以外のハイブリッド車両に適用され得ることはいうまでもない。すなわち、HVECU100およびエンジンECU200が適用されるハイブリッド車両は、エンジンのクランクシャフトに機械的に連結される電動機を含むものであれば、1モータ式あるいは2モータ式のハイブリッド車両であってもよく、シリーズ式のハイブリッド車両であってもよい。また、HVECU100およびエンジンECU200が適用されるハイブリッド車両は、プラグインハイブリッド車両(PHEV)であってもよい。
以上説明したように、本開示のハイブリッド車両の制御装置は、スロットルバルブ(25)を有する複数気筒エンジン(2)と、前記複数気筒エンジン(2)からの排ガスを浄化する排ガス浄化装置(32)と、前記複数気筒エンジン(2)からの動力の少なくとも一部を用いて発電可能な電動機(MG1)と、前記電動機(MG1)と電力をやり取りする蓄電装置(5)とを含むハイブリッド車両(1)の制御装置において、前記複数気筒エンジン(2)の目標パワー(Pe*)を設定すると共に、車両状態に応じて、前記複数気筒エンジン(2)の出力トルクが前記目標パワー(Pe*)に応じた目標トルク(Te*)になるように前記スロットルバルブ(25)の開度をフィードバック制御するスロットルフィードバック制御の実行を要求する第1制御部(100、S160)と、前記第1制御部(100)からの要求に応じて前記スロットルフィードバック制御を実行すると共に、前記複数気筒エンジン(2)の負荷運転中に前記排ガス浄化装置(32)の昇温が要求された場合(S340:YES)に、前記スロットルフィードバック制御を実行していないことを条件に(S310:NO)、少なくとも何れか1つの気筒(20)への燃料供給を停止させる一部気筒フューエルカット制御を実行する第2制御部(200)とを含むものである、
本開示のハイブリッド車両の制御装置は、第1および第2制御部を含み、第1制御部は、複数気筒エンジンの目標パワーを設定すると共に、車両状態に応じて、複数気筒エンジンの出力トルクが目標パワーに応じた目標トルクになるようにスロットルバルブの開度をフィードバック制御するスロットルフィードバック制御の実行を要求する。また、第2制御部は、第1制御部からの要求に応じてスロットルフィードバック制御を実行する。更に、第2制御部は、複数気筒エンジンの負荷運転中に排ガス浄化装置の昇温が要求された場合、スロットルフィードバック制御を実行していないことを条件に、少なくとも何れか1つの気筒への燃料供給を停止させる一部気筒フューエルカット制御を実行する。これにより、低温環境下でスロットルフィードバック制御が実行されるときには、一部気筒フューエルカット制御が実行されないことになるので、スロットルフィードバック制御により複数気筒エンジンの出力トルクを目標パワーに応じた目標トルクに精度よく近づけることができる。この結果、低温環境下において、複数気筒エンジンの制御性を良好に確保しつつ、一部気筒フューエルカット制御の実行により排ガス浄化装置を昇温させることが可能となる。
また、前記第2制御部(200)は、前記第1制御部(100)により前記スロットルフィードバック制御の実行が要求されているときに(S310:YES)、前記排ガス浄化装置(32)の昇温の要求の有無に拘わらず、前記一部気筒フューエルカット制御を実行しない(S380)ものであってもよい。これにより、第1制御部側でスロットルフィードバック制御の実行の要否の判定基準にヒステリシスを設定しておけば、一部気筒フューエルカット制御の実行と停止とが頻繁に切り換えられてしまうのを良好に抑制することが可能となる。
更に、前記電動機(MG1)は、前記複数気筒エンジン(2)の出力軸(22)に連結されたものであってもよく、前記第1制御部(100)は、前記電動機(MG1)の出力トルクに基づいて前記複数気筒エンジン(2)の出力トルクを導出するものであってもよく、前記第2制御部(200)は、所定のパラメータに基づいて前記複数気筒エンジン(2)の出力トルクを推定し、推定した出力トルクと、前記第1制御部(100)により導出された出力トルクとを一致させるためのフィードバック量を算出するものであってもよい。これにより、第1制御部に複数気筒エンジンの出力トルクを精度よく導出させると共に、一部気筒フューエルカット制御の実行の停止によりスロットルフィードバック制御の実行中の第2制御部による出力トルクの推定精度を良好に確保することができる。従って、スロットルフィードバック制御により複数気筒エンジンの出力トルクを目標パワーに応じた目標トルクに精度よく近づけることが可能となる。
また、前記第1制御部(100)は、前記ハイブリッド車両(1)の走行に要求されるパワー(Pd*)と、前記蓄電装置(5)の目標充放電電力(Pb*)とに基づいて前記目標パワー(Pe*)を設定すると共に、前記第2制御部(200)により前記一部気筒フューエルカット制御が実行されるときに、前記一部気筒フューエルカット制御が実行されないときに比べて前記目標パワー(Pe*)を大きくするものであってもよい。これにより、一部気筒フューエルカット制御が実行されるときの複数気筒エンジンの出力トルクの低下を抑制すると共に、かかる一部気筒フューエルカット制御の実行をスロットルフィードバック制御の実行中に停止(禁止)することで、スロットルフィードバック制御により複数気筒エンジンの出力トルクを目標パワーに応じた目標トルクに精度よく近づけることが可能となる。
更に、前記第1制御部(100)は、前記目標パワー(Pe*)、前記複数気筒エンジン(2)の状態、および前記蓄電装置(5)の状態がそれぞれについて予め定められた条件を満たすときに(S150:YES)、前記スロットルフィードバック制御の実行を要求する(S160)ものであってもよい。これにより、スロットルフィードバック制御を適正なタイミングで実行することが可能となる。
また、前記排ガス浄化装置(32)は、前記複数気筒エンジン(2)からの排ガス中の粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタ(PF)を含むものであってもよく、前記排ガス浄化装置(32)の昇温は、前記パティキュレートフィルタ(PF)を再生する必要があるときに要求されてもよい(S340:YES)。これにより、一部気筒フューエルカット制御の実行により燃料供給が停止された一部の気筒から昇温したパティキュレートフィルタに多くの酸素を導入して当該パティキュレートフィルタに堆積した粒子状物質を良好に燃焼させることが可能となる。
本開示のハイブリッド車両の制御方法は、スロットルバルブ(25)を有する複数気筒エンジン(2)と、前記複数気筒エンジン(2)からの排ガスを浄化する排ガス浄化装置(32)と、前記複数気筒エンジン(2)からの動力の少なくとも一部を用いて発電可能な電動機(MG1)と、前記電動機(MG1)と電力をやり取りする蓄電装置(5)とを含むハイブリッド車両(1)の制御方法において、前記複数気筒エンジン(2)の出力トルクが目標トルク(Te*)になるように前記スロットルバルブ(25)の開度をフィードバック制御するスロットルフィードバック制御が実行されているときに、前記複数気筒エンジン(2)の少なくとも何れか1つの気筒(20)への燃料供給を停止させる一部気筒フューエルカット制御の実行を禁止する(S310:YES,S360-S380)ものである。
かかる方法によれば、低温環境下において、複数気筒エンジンの制御性を良好に確保しつつ、一部気筒フューエルカット制御の実行により排ガス浄化装置を昇温させることが可能となる。
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。