JP2024085451A - 自動車 - Google Patents
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Abstract
Description
本開示は、自動車に関し、詳しくは、筒内噴射弁を有するエンジンと自動変速装置とを備える自動車に関する。
従来、この種の自動車としては、エンジンの気筒内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁から複数回に分けて燃料噴射を行なうものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、エンジンを高負荷運転するときには、エンジンを低負荷運転するときに比して燃料噴射の噴射回数を多くすることにより、エミッションの悪化を抑制している。
一般的に、エンジンを始動した直後には、エンジンの排気系に取り付けられた浄化装置の触媒を活性化させるために触媒暖機運転が行なわれる。このとき、エンジンをある程度の負荷運転を行なうと共に触媒暖機の促進のために筒内噴射弁から複数回に分けて燃料噴射する多段噴射を行なうのが好ましい。エンジンからの動力を変速して駆動輪に伝達する自動変速機を備える自動車では、車速変化に伴ってエンジンの運転領域が減速領域となったり軽負荷領域となったりすると、多段噴射を行なうことができず、触媒暖機中のエミッションが悪化する場合が生じる。
本開示の自動車は、触媒暖機中のエミッションの悪化を抑制することを主目的とする。
本開示の自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本開示の自動車は、
排気を浄化する触媒を内蔵する触媒装置を排気系に有すると共に筒内噴射弁を有するエンジンと、前記エンジンからの動力を変速して駆動輪側に出力する自動変速装置と、前記筒内噴射弁から複数回の燃料噴射を行なう多段噴射と点火時期の遅角とを行なうことによって前記触媒を暖機する触媒暖機制御を行なう制御装置と、を備える自動車であって、
前記制御装置は、前記触媒暖機制御中に前記エンジンへの要求負荷率が前記多段噴射の実現が可能な多段噴射実現負荷率以上となるように負荷率上昇制御を実行する、
ことを特徴とする。
排気を浄化する触媒を内蔵する触媒装置を排気系に有すると共に筒内噴射弁を有するエンジンと、前記エンジンからの動力を変速して駆動輪側に出力する自動変速装置と、前記筒内噴射弁から複数回の燃料噴射を行なう多段噴射と点火時期の遅角とを行なうことによって前記触媒を暖機する触媒暖機制御を行なう制御装置と、を備える自動車であって、
前記制御装置は、前記触媒暖機制御中に前記エンジンへの要求負荷率が前記多段噴射の実現が可能な多段噴射実現負荷率以上となるように負荷率上昇制御を実行する、
ことを特徴とする。
本開示の自動車では、制御装置は筒内噴射弁から複数回の燃料噴射を行なう多段噴射と点火時期の遅角とを行なうことによってエンジンの排気系に取り付けられた触媒装置内の触媒を暖機する触媒暖機制御を行なう。また、制御装置は、触媒暖機制御中にエンジンへの要求負荷率が多段噴射の実現が可能な多段噴射実現負荷率以上となるように負荷率上昇制御を実行する。これにより、エンジンの要求負荷率が多段噴射実現不可率以上となって多段噴射による触媒暖機を継続することができ、多段噴射による触媒暖機を継続することができないときに比して、エミッションの悪化を抑制することができる。
本開示の自動車において、前記負荷率上昇制御は、前記自動変速装置の変速段をアップシフトすることによって前記エンジンの回転数を小さくして前記要求負荷率を大きくする制御であるものとすることができる。これにより、エンジンへの要求負荷率を多段噴射実現負荷率以上としてエミッションが悪化するのを抑制することができる。
本開示の自動車において、自動車は、前記自動変速装置の入力軸または出力軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電動機と電力のやりとりを行なう蓄電装置とを備え、前記負荷率上昇制御は前記電動機を制御することによって前記要求負荷率を大きくする制御であるものとしてもよい。この場合、前記負荷率上昇制御は、前記電動機を力行制御しているときには前記電動機の力行出力を小さくすることによって前記要求負荷率を大きし、前記電動機を力行制御していないときには前記電動機を回生制御することによって前記要求負荷率を大きくする制御であるものとしてもよい。こうすれば、自動変速装置の変速段の変更を行なうことなくエンジンへの要求負荷率を多段噴射実現負荷率以上としてエミッションが悪化するのを抑制することができる。更にこの場合、前記負荷率上昇制御は、前記電動機を力行制御していないときに前記蓄電装置の蓄電割合が所定割合未満のときには前記電動機を回生制御することによって前記要求負荷率を大きくし、前記電動機を力行制御していないときに前記蓄電装置の蓄電割合が前記所定割合以上のときには前記自動変速装置の変速段をアップシフトすることによって前記エンジンの回転数を小さくして前記要求負荷率を大きくする制御であるものとすることができる。こうすれば、蓄電装置の蓄電割合が所定割合以上のときにでも、アップシフトによってエンジンへの要求負荷率を大きくして多段噴射実現負荷率以上とし、エミッションが悪化するのを抑制することができる。
次に、本開示を実施するための形態(実施形態)について説明する。図1は、本開示の一実施形態としてのハイブリッド車20の構成の概略を示す構成図である。図2は、ハイブリッド車20が搭載するエンジン22の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド車20は、図1に示すように、エンジン22と、モータ30と、インバータ32と、クラッチK0と、自動変速装置40と、高電圧バッテリ60と、低電圧バッテリ62と、DC/DCコンバータ64と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70と、を備える。
エンジン22は、例えばガソリンや軽油などの燃料を用いて吸気、圧縮、膨張(爆発燃焼)、排気の4行程により動力を出力する6気筒の内燃機関として構成されている。図2に示すように、エンジン22は、吸気ポートに燃料供給装置150から低圧供給管153を介して供給される燃料を噴射するポート噴射弁126と、筒内に燃料供給装置150から高圧供給管158を介して供給される燃料を噴射する筒内噴射弁127とを有する。筒内噴射弁127は燃焼室129の頂部の略中央に配置されており、燃料をスプレー状に噴射する。点火プラグ130は、筒内噴射弁127からスプレー状に噴霧される燃料に点火できるように筒内噴射弁127の近傍に配置されている。エンジン22は、ポート噴射弁126と筒内噴射弁127とを有することにより、ポート噴射モードと筒内噴射モードと共用噴射モードとのうちの何れかで運転可能となっている。ポート噴射モードでは、エアクリーナ122により清浄された空気を吸気管123に吸入してスロットルバルブ124やサージタンク125を通過させると共に、吸気管123のサージタンク125よりも下流側のポート噴射弁126から燃料を噴射し、空気と燃料とを混合する。そして、この混合気を吸気バルブ128を介して燃焼室129に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、シリンダボア内でそのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト23の回転運動に変換する。筒内噴射モードでは、ポート噴射モードと同様に空気を燃焼室129に吸入し、吸気行程や圧縮行程において筒内噴射弁127から燃料を噴射し、点火プラグ130による電気火花により爆発燃焼させてクランクシャフト23の回転運動を得る。共用噴射モードでは、空気を燃焼室129に吸入する際にポート噴射弁126から燃料を噴射すると共に吸気行程や圧縮行程において筒内噴射弁127から燃料を噴射し、点火プラグ130による電気火花により爆発燃焼させてクランクシャフト23の回転運動を得る。これらの噴射モードは、エンジン22の運転状態に基づいて切り替えられる。燃焼室129から排気バルブ133を介して排気管134に排出される排気は、浄化装置135を介して外気に排出される。浄化装置135は、排気中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化触媒(三元触媒)135aを有する。
燃料供給装置150は、燃料タンク151内の燃料をエンジン22のポート噴射弁126や筒内噴射弁127に供給する装置として構成されている。燃料供給装置150は、燃料タンク151と、フィードポンプ152と、低圧供給管153と、逆止弁154と、リリーフ管155と、リリーフバルブ156と、高圧ポンプ157と、高圧供給管158とを備える。
フィードポンプ152は、燃料タンク151内に配置されており、燃料タンク151内の燃料を低圧供給管153に供給する。低圧供給管153は、ポート噴射弁126に接続されている。逆止弁154は、低圧供給管153に設けられており、フィードポンプ152側からポート噴射弁25側の方向の燃料の流れを許容すると共に逆方向の燃料の流れを規制する。
リリーフ管155は、低圧供給管153と燃料タンク151とに接続されている。リリーフバルブ156は、リリーフ管155に設けられ、低圧供給管153内の燃圧が閾値Pflolim未満のときには閉弁すると共に低圧供給管153内の燃圧が閾値Pflolim以上のときには開弁する。リリーフバルブ156が開弁すると、低圧供給管153内の燃料の一部がリリーフ管155を介して燃料タンク151に戻される。
高圧ポンプ157は、エンジン22からの動力(実施例では、吸気バルブ128を開閉するインテークカムシャフトの回転)により駆動されると共に低圧供給管153の燃料を加圧して高圧供給管158に供給するポンプとして構成されている。高圧ポンプ157は、その吸入口に接続されて燃料を加圧する際に開閉する電磁バルブ157aと、その吐出口に接続されて燃料の逆流を規制すると共に高圧供給管158内の燃圧を保持するチェックバルブ157bと、エンジン22の回転(インテークカムシャフトの回転)により作動する(図1における上下方向に移動する)プランジャ157cとを有する。この高圧ポンプ157は、エンジン22の運転中に、電磁バルブ157aが開弁されたときに、低圧供給管153の燃料を吸入し、電磁バルブ157aが閉弁されたときに、プランジャ157cによって圧縮した燃料をチェックバルブ157bを介して高圧供給管158に断続的に送り込むことにより、高圧供給管158に供給する燃料を加圧する。
エンジン22は、マイクロコンピュータとして構成されたエンジンECU24により運転制御されている。エンジンECU24は、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号を入力ポートを介して入力する。例えば、エンジン22のクランクシャフト23の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランク角θcrや、エンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温Tw、吸気バルブ128を開閉するインテークカムシャフトの回転位置、排気バルブ133を開閉するエキゾーストカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカム角θci,θcoを挙げることができる。スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ124aからのスロットル開度THや、吸気管123のスロットルバルブ124よりも上流側に取り付けられたエアフローメータ123aからの吸入空気量Qa、吸気管123のスロットルバルブ124よりも上流側に取り付けられた温度センサ123tからの吸気温Ta、サージタンク125に取り付けられた圧力センサ125aからのサージ圧Psも挙げることができる。排気管134の浄化装置135よりも上流側に取り付けられたフロント空燃比センサ137からのフロント空燃比AF1や、排気管134の浄化装置135とPMフィルタ136との間に取り付けられたリヤ空燃比センサ138からのリヤ空燃比AF2も挙げることができる。燃料タンク151に取り付けられた燃温センサ151tからの燃温Tftnkや、フィードポンプ152に取り付けられた回転数センサ152aからのフィードポンプ152の回転数Np、燃圧センサ153pからの低圧燃圧PL、燃圧センサ158pからの高圧燃圧PHも挙げることができる。
エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24から出力される信号としては、例えば、スロットルバルブ124への制御信号や、ポート噴射弁126への制御信号、筒内噴射弁127への制御信号、点火プラグ130への制御信号を挙げることができる。燃料供給装置150のフィードポンプ152への制御信号や、高圧ポンプ157の電磁バルブ157aへの制御信号も挙げることができる。
エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。エンジンECU24は、クランクポジションセンサ140からのエンジン22のクランク角θcrに基づいてエンジン22の回転数Neを演算している。また、エンジンECU24は、エアフローメータ123aからの吸入空気量Qaの始動時からの積算値である始動後積算空気量ΣQaを演算したり、吸入空気量Qaとエンジン22の回転数Neとに基づいて負荷率(エンジン22の1サイクルあたりの行程容積に対する1サイクルで実際に吸入される空気の容積の比)KLを演算したりしている。
図1に示すように、エンジン22のクランクシャフト23には、エンジン22をクランキングするためのスタータモータ25や、エンジン22からの動力を用いて発電するオルタネータ26が接続されている。スタータモータ25およびオルタネータ26は、低電圧バッテリ62と共に低電圧側電力ライン63に接続されており、HVECU70により制御される。
モータ30は、同期発電電動機として構成されている。モータ30の回転子が固定された回転軸31は、クラッチK0を介してエンジン22のクランクシャフト23に接続されていると共に自動変速機45の入力軸41に接続されている。インバータ32は、モータ30の駆動に用いられると共に高電圧側電力ライン61に接続されている。モータ30は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)34によってインバータ32の複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。
モータECU34は、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力する。例えば、モータ30の回転子(回転軸31)の回転位置を検出する回転位置センサ30aからの回転位置θmや、モータ30の各相の相電流を検出する電流センサからの相電流Iu,Ivを挙げることができる。モータECU34は、インバータ32への制御信号などが出力ポートを介して出力する。モータECU34は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。モータECU34は、回転位置センサ30aからのモータ30の回転子(回転軸31)の回転位置θmに基づいてモータ30の回転数Nmを演算している。
クラッチK0は、例えば油圧駆動の摩擦クラッチとして構成されており、HVECU70によって制御され、エンジン22のクランクシャフト23とモータ30の回転軸31との接続および接続の解除を行なう。
自動変速装置40は、トルクコンバータ43と、例えば6段変速の自動変速機45とを有する。トルクコンバータ43は、一般的な流体伝動装置として構成されており、モータ30の回転軸31に接続された入力軸41の動力を自動変速機45の入力軸である変速機入力軸44にトルクを増幅して伝達したり、トルクを増幅することなくそのまま伝達したりする。自動変速機45は、変速機入力軸44と、駆動輪49にデファレンシャルギヤ48を介して連結された出力軸42と、複数の遊星歯車と、油圧駆動の複数の摩擦係合要素(クラッチ,ブレーキ)とを有する。自動変速機45は、複数の摩擦係合要素の係脱により、第1速から第6速までの前進段や後進段を形成して、変速機入力軸44と出力軸42との間で動力を伝達する。クラッチK0や自動変速機45には、図示しない油圧制御装置により、機械式オイルポンプや電動オイルポンプからの作動油の油圧が調圧されて供給される。この油圧制御装置は、HVECU70により制御される。
高電圧バッテリ60は、例えば定格電圧が数百V程度のリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、インバータ32と共に高電圧側電力ライン61に接続されている。低電圧バッテリ62は、例えば定格電圧が12Vや14V程度の鉛蓄電池として構成されており、スタータモータ25やオルタネータ26と共に低電圧側電力ライン63に接続されている。DC/DCコンバータ64は、高電圧側電力ライン61と低電圧側電力ライン63とに接続されている。このDC/DCコンバータ64は、高電圧側電力ライン61の電力を低電圧側電力ライン63に電圧の降圧を伴って供給する。
HVECU70は、各種センサからの信号を入力ポートを介して入力する。例えば、自動変速装置40の入力軸41に取り付けられた回転数センサ41aからの回転数Ninや、自動変速装置40の変速機入力軸44に取り付けられた回転数センサ44aからの回転数Nmi、自動変速装置40の出力軸42に取り付けられた回転数センサ42aからの回転数Noutを挙げることができる。高電圧バッテリ60の端子間に取り付けられた電圧センサからの高電圧バッテリ60の電圧Vbhや、高電圧バッテリ60の出力端子に取り付けられた電流センサからの高電圧バッテリ60の電流Ibh、低電圧バッテリ62の電圧Vblも挙げることができる。イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ87からの車速Vも挙げることができる。
HVECU70は、各種制御信号を出力ポートを介して出力する。例えば、スタータモータ25への制御信号や、オルタネータ26への制御信号、クラッチK0や自動変速装置40(油圧制御装置)への制御信号、DC/DCコンバータ64への制御信号を挙げることができる。HVECU70は、エンジンECU24やモータECU34と通信ポートを介して接続されている。HVECU70は、高電圧バッテリ60の電圧Vbhや電流Ibに基づいて高電圧バッテリ60の蓄電割合SOCや高電圧バッテリ60の入出力可能な許容最大電力としての入出力制限Win,Woutを演算している。
こうして構成された実施例のハイブリッド車20では、HVECU70とエンジンECU24とモータECU34との協調制御により、ハイブリッド走行モード(HV走行モード)や電動走行モード(EV走行モード)で走行するように、エンジン22とクラッチK0とモータ30と自動変速装置40とを制御する。
HV走行モードにおけるエンジン22およびモータ30の制御では、HVECU70は、最初に、アクセル開度Accおよび車速Vに基づいて走行に要求される(自動変速装置40の出力軸42に要求される)要求トルクTout*を設定する。続いて、出力軸42の要求トルクTout*を自動変速装置40の回転数比Gtで除した値を入力軸41の要求トルクTin*に設定する。そして、要求トルクTin*が入力軸41に出力されるようにエンジン22の目標トルクTe*やモータ30のトルク指令Tm*を設定し、目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共にトルク指令Tm*をモータECU34に送信する。エンジンECU24は、目標トルクTe*から要求負荷率KL*を計算し、エンジン22が目標トルクTe*で運転されるようにエンジン22の運転制御(吸入空気量制御や燃料噴射制御、点火制御など)を行なう。モータECU34は、モータ30がトルク指令Tm*で駆動されるようにインバータ32の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド車20の動作、特に、浄化装置135内の浄化触媒135aを暖機する触媒暖機制御中の動作について説明する。触媒暖機は、筒内噴射弁127から吸気行程から膨張行程までに複数回に分けて燃料噴射する多段噴射による場合の方が、筒内噴射弁127から吸気行程や圧縮行程で1回だけ燃料噴射する1回噴射による場合に比して、図3に示すように、エミッションが良好であるため、実施形態では、多段噴射によって行なわれる。図3は、1回噴射と多段噴射とによるエンジン負荷率KLとエミッションとの関係の一例を示す説明図である。図中、実線が多段噴射を示し、一点鎖線が1回噴射を示す。なお、多段噴射では、噴射回数にもよるが1回の最小噴射量が定められているため、多段噴射を実現可能な最小限の負荷率(多段噴射実現負荷率KLm)以上の負荷率KLとする必要がある。
図4は、エンジンECU24により実行される触媒暖機中負荷率変更処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、触媒暖機制御が実行されている最中は繰り返し実行される。触媒暖機中負荷率変更処理が実行されると、エンジンECU24は、まず、エンジン22を始動してから現在までの吸入空気量Qaの積算値である始動後積算空気量ΣQaが閾値Qref未満であるか否かを判定する(ステップS100)。閾値Qrefは、触媒暖機がある程度完了するまでに必要な積算空気量として予め定めた値を用いることができる。始動後積算空気量ΣQaが閾値Qref以上であると判定したときには、触媒暖機はある程度完了した状態でありエミッションの悪化は生じないと判断し、本処理を終了する。
ステップS100で始動後積算空気量ΣQaが閾値Qref未満であると判定したときには、エンジン22の要求負荷率KL*が多段噴射実現負荷率KLm未満であるか否かを判定する(ステップS110)。エンジン22の要求負荷率KL*は、そのときの回転数Neで目標トルクTe*を出力するために必要な負荷率KLとして計算される。多段噴射実現負荷率KLmは、筒内噴射弁127から複数回に分けて燃料噴射する多段噴射を実現することが可能な負荷率KLの範囲の下限値として求めることができる。エンジン22の要求負荷率KL*が多段噴射実現負荷率KLm以上であると判定したときには、多段噴射による触媒暖機の継続が可能と判断し、本処理を終了する。
ステップS110でエンジン22の要求負荷率KL*が多段噴射実現負荷率KLm未満であると判定したときには、エンジン22の負荷率KLを上昇させる負荷率上昇制御を行なって(ステップS120)、本処理を終了する。負荷率上昇制御の一例を図5に示す。図5は、エンジンECU24により実行される負荷率上昇制御の一例を示すフローチャートである。
負荷率上昇制御が実行されると、エンジンECU24は、まず、モータ30が力行制御されているか否かを判定する(ステップS200)。モータ30が力行制御されているか否かについてはトルク指令Tm*が正の値(力行)であるか負の値(回生)であるかの判定により行なうことができる。モータ30が力行制御されていると判定したときには、モータ30の力行トルク(トルク指令Tm*)を小さくしてエンジン22に要求される目標トルクTe*を大きくすることによりエンジン22の要求負荷率KL*を大きくし(ステップS210)、本処理を終了する。モータ30の力行トルクの減少量は、要求負荷率KL*が多段噴射実現負荷率KLmとなる量として求めればよい。モータ30の制御は、減少させた力行トルクをトルク指令Tm*としてHVECU70およびモータECU34に送信し、モータECU34が受信したトルク指令Tm*がモータ30から出力されるようにインバータ32のスイッチング素子をスイッチング制御することにより行なうことができる。なお、このときのエンジン22の制御は、エンジンECU24によりモータ30の力行トルクの減少量に見合うようにエンジン22の目標トルクTe*を変更してHVECU70等に送信し、目標トルクTe*がエンジン22から出力されるように、即ちエンジン22の負荷率KLが多段噴射実現負荷率KLm以上となるように設定された要求負荷率KL*となるようにエンジン22を制御する。これらの制御により、モータ30が力行制御されているときでも多段噴射による触媒暖機を継続することができる。
ステップS200でモータ30は力行制御されていない(連れ回されているか回生制御されている)と判定したときには、高電圧バッテリ60の蓄電割合SOCが閾値Sref未満であり且つ高電圧バッテリ60の入力制限Winの絶対値が閾値Wref以上であるか否かを判定する(ステップS220)。高電圧バッテリ60の蓄電割合SOCが閾値Sref未満であり且つ高電圧バッテリ60の入力制限Winの絶対値が閾値Wref以上であると判定したときには、モータ30のトルク指令Tm*を負の値としてモータ30を回生制御し、エンジン22に要求される目標トルクTe*を大きくすることによりエンジン22の要求負荷率KL*を大きくして(ステップS230)、本処理を終了する。モータ30のトルク指令Tm*としては、要求負荷率KL*が多段噴射実現負荷率KLmとなる値として求めればよい。このときのトルク指令Tm*に基づくモータ30の制御および目標トルクTe*に基づくエンジン22の制御についてはモータ30が力行制御されていると判定したときと同様である。これらの制御により、モータ30は力行制御されていないときでも、高電圧バッテリ60の蓄電割合SOCが閾値Sref未満であり且つ高電圧バッテリ60の入力制限Winの絶対値が閾値Wref以上であるときには、多段噴射による触媒暖機を継続することができる。
ステップS220で高電圧バッテリ60の蓄電割合SOCが閾値Sref以上であると判定したり、高電圧バッテリ60の入力制限Winの絶対値が閾値Wref未満であると判定したときには、自動変速装置40の変速段をアップシフトすることにより、エンジン22の回転数Neを小さくしてエンジン22の要求負荷率KL*を大きくし(ステップS240)、本処理を終了する。アップシフトは、エンジン22の要求負荷率KL*が多段噴射実現負荷率KLm以上となる変速段を目標変速段M*として設定し、HVECU70により変速段Mが目標変速段M*となるように自動変速装置40を制御することにより行なうことができる。このときのエンジン22の制御は、エンジンECU24により目標変速段M*としたときのエンジン22の回転数Neで自動変速装置40の出力軸42に要求される要求トルクTout*を出力するのに必要な目標トルクTe*を求め、目標トルクTe*がエンジン22から出力されるように、即ちエンジン22の負荷率KLが多段噴射実現負荷率KLm以上となるように設定された要求負荷率KL*となるようにエンジン22を制御する。これらの制御により、モータ30は力行制御されておらず、高電圧バッテリ60の蓄電割合SOCが閾値Sref以上であったり高電圧バッテリ60の入力制限Winの絶対値が閾値Wref未満であるときでも、多段噴射による触媒暖機を継続することができる。
以上説明した実施形態のハイブリッド車20では、触媒暖機制御を実行している最中に、エンジン22の要求負荷率KL*が多段噴射実現負荷率KLm未満となるときには、エンジン22の負荷率KLを上昇させる負荷率上昇制御を行なって要求負荷率KL*を多段噴射実現負荷率KLm以上とする。これにより、多段噴射による触媒暖機を継続することができ、触媒暖機中のエミッションの悪化を抑制することができる。
実施例のハイブリッド車20では、エンジンECU24とモータECU34とHVECU70とを備えるものとした。しかし、これらのうちの少なくとも2つを一体に構成するものとしてもよい。
実施形態では、エンジン22と自動変速装置40とモータ30とを備えるハイブリッド車の構成に本開示を適用したが、モータを備えずエンジンと自動変速装置を備える自動車の構成に本開示を適用するものとしても構わない。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、自動車の製造産業などに利用可能である。
20 ハイブリッド車、22 エンジン、24 エンジンECU、30 モータ、34 モータECU、40 自動変速装置、70 HVECU。
Claims (5)
- 排気を浄化する触媒を内蔵する触媒装置を排気系に有すると共に筒内噴射弁を有するエンジンと、前記エンジンからの動力を変速して駆動輪側に出力する自動変速装置と、前記筒内噴射弁から複数回の燃料噴射を行なう多段噴射と点火時期の遅角とを行なうことによって前記触媒を暖機する触媒暖機制御を行なう制御装置と、を備える自動車であって、
前記制御装置は、前記触媒暖機制御中に前記エンジンへの要求負荷率が前記多段噴射の実現が可能な多段噴射実現負荷率以上となるように負荷率上昇制御を実行する、
ことを特徴とする自動車。 - 請求項1記載の自動車であって、
前記負荷率上昇制御は、前記自動変速装置の変速段をアップシフトすることによって前記エンジンの回転数を小さくして前記要求負荷率を大きくする制御である、
自動車。 - 請求項1記載の自動車であって、
前記自動車は、前記自動変速装置の入力軸または出力軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電動機と電力のやりとりを行なう蓄電装置とを備え、
前記負荷率上昇制御は、前記電動機を制御することによって前記要求負荷率を大きくする制御である、
自動車。 - 請求項3記載の自動車であって、
前記負荷率上昇制御は、前記電動機を力行制御しているときには前記電動機の力行出力を小さくすることによって前記要求負荷率を大きし、前記電動機を力行制御していないときには前記電動機を回生制御することによって前記要求負荷率を大きくする制御である、
自動車。 - 請求項4記載の自動車であって、
前記負荷率上昇制御は、前記電動機を力行制御していないときに前記蓄電装置の蓄電割合が所定割合未満のときには前記電動機を回生制御することによって前記要求負荷率を大きくし、前記電動機を力行制御していないときに前記蓄電装置の蓄電割合が前記所定割合以上のときには前記自動変速装置の変速段をアップシフトすることによって前記エンジンの回転数を小さくして前記要求負荷率を大きくする制御である、
自動車。
Priority Applications (2)
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