JP2023101152A - ハイブリッド車 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ハイブリッド車に関し、詳しくは、エンジンと、エンジンの出力軸にクラッチを介して接続されたモータと、を備えるハイブリッド車に関する。
従来、この種のハイブリッド車として、エンジンと、エンジンの出力軸にクラッチを介して接続されたモータと、を備え、エンジンとモータとクラッチとを制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このハイブリッド車では、クラッチを半係合してモータによりエンジンをクランキングしてエンジンを始動する。
しかしながら、上述のハイブリッド車では、クラッチを半係合してモータによりエンジンをクランキングしてエンジンを始動する際に、初爆に失敗して、エンジンを迅速に始動できないことがある。そのため、初爆を良好に行なってエンジンを迅速に始動することが求められている。
本発明のハイブリッド車は、エンジンを迅速に始動することを主目的とする。
本発明のハイブリッド車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のハイブリッド車は、
エンジンと、前記エンジンの出力軸にクラッチを介して接続されたモータと、前記エンジンと前記モータと前記クラッチとを制御する制御装置と、を備えるハイブリッド車であって、
前記制御装置は、間欠停止している前記エンジンを始動する際に、間欠停止前にスロットルバルブを一時的に開成した履歴がある条件を含む所定条件が成立しているときには、前記クラッチを半係合して前記モータにより前記エンジンをクランキングすると共に前記エンジンにおいて最初に圧縮上死点を迎える気筒に対して燃料噴射と点火とを行なって前記エンジンを始動するように前記エンジンと前記モータと前記クラッチとを制御する
ことを要旨とする。
エンジンと、前記エンジンの出力軸にクラッチを介して接続されたモータと、前記エンジンと前記モータと前記クラッチとを制御する制御装置と、を備えるハイブリッド車であって、
前記制御装置は、間欠停止している前記エンジンを始動する際に、間欠停止前にスロットルバルブを一時的に開成した履歴がある条件を含む所定条件が成立しているときには、前記クラッチを半係合して前記モータにより前記エンジンをクランキングすると共に前記エンジンにおいて最初に圧縮上死点を迎える気筒に対して燃料噴射と点火とを行なって前記エンジンを始動するように前記エンジンと前記モータと前記クラッチとを制御する
ことを要旨とする。
この本発明のハイブリッド車では、間欠停止しているエンジンを始動する際に、間欠停止前にスロットルバルブを一時的に開成した履歴がある条件を含む所定条件が成立しているときには、クラッチを半係合してモータによりエンジンをクランキングすると共にエンジンにおいて最初に圧縮上死点を迎える気筒に対して燃料噴射と点火とを行なってエンジンを始動するようにエンジンとモータとクラッチとを制御する。最初に圧縮上死点を迎える気筒で燃料噴射および点火(初爆)を良好に行なうためには、最初に圧縮上死点を迎える気筒の燃焼室内に空気が十分に充填されていることが求められる。エンジンの停止前にスロットルバルブを一時的に開成した履歴がある条件を含む所定条件が成立しているときには、燃焼室内に空気が十分に充填されているから、最初に圧縮上死点を迎える気筒で初爆を良好に行なうことができる。この結果、エンジンを迅速に始動できる。
こうした本発明のハイブリッド車において、前記制御装置は、前記エンジンを間欠停止する際に、車速が所定車速以上のときには、前記スロットルバルブを一時的に開成し、車速が前記所定車速未満のときには、前記スロットルバルブを閉成してもよい。エンジンの停止直前にスロットルバルブを一時的に開成すると、エンジンの回転数の変化の様子が変かし、騒音や振動が発生することがある。車速が所定車速未満のときには、ユーザが騒音や振動を認識しやすいから、スロットルバルブを閉成することにより、ユーザに違和感を与えることを抑制できる。
また、本発明のハイブリッド車では、前記所定条件は、前記エンジンを停止したときのクランク角が所定クランク角範囲にある条件を含んでいてもよい。最初に圧縮上死点を迎える気筒で燃料噴射と点火とを行なうためには、エンジンを停止したときのクランク角から圧縮上死点に至るまでの圧縮行程で燃料噴射を行ない、圧縮上死点近傍で点火を行なうことを要する。このため、最初に圧縮上死点を迎える気筒で初爆を行なうためには、エンジンを停止したときのクランク角が所定クランク角範囲にあることが求められる。所定クランク角範囲としては、最初に圧縮上死点を迎える気筒で初爆を行なうことができるクランク角範囲(例えば、BTDC40~80(Before TDC 40~80度、圧縮上死点の40度前~80度前の範囲など))を挙げることができる。したがって、所定条件を、エンジンを停止したときのクランク角が所定クランク角範囲内である条件を含むものとして、所定条件が成立しているときには、クラッチを半係合してモータによりエンジンをクランキングすると共にエンジンにおいて最初に圧縮上死点を迎える気筒に対して燃料噴射と点火とを行なってエンジンを始動するようエンジンとモータとクラッチとを制御することにより、最初に圧縮上死点を迎える気筒で初爆を良好に行なうことができる。こうすれば、迅速にエンジンを始動できる。
さらに、本発明のハイブリッド車において、前記制御装置は、前記所定条件が成立していないときには、前記クラッチを半係合して前記モータにより前記エンジンをクランキングすると共に前記エンジンにおいて2番目に圧縮上死点を迎える気筒に対して燃料噴射と点火とを行なって前記エンジンを始動するよう前記エンジンと前記モータと前記クラッチとを制御してもよい。所定条件が成立していないときには、最初に圧縮上死点を迎える気筒で燃料噴射と点火とを行なっても初爆を行なえない可能性が高い。2番目に圧縮上死点を迎える気筒は、圧縮上死点に至るまでに吸気行程を経ており、燃焼室内に空気が十分に充填されている。このため、所定条件が成立していないときには、2番目に圧縮上死点を迎える気筒に対して燃料噴射と点火とを行なってエンジンを始動するようエンジンとモータとクラッチとを制御することにより、2番目に圧縮上死点を迎える気筒で初爆を良好に行なうことができる。こうすれば、より確実にエンジンを始動できる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド車20の構成の概略を示す構成図である。図2は、エンジン22の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド車20は、図1に示すように、エンジン22と、モータ30と、インバータ32と、クラッチK0と、自動変速装置40と、高電圧バッテリ60と、低電圧バッテリ62と、DC/DCコンバータ64と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70と、を備える。
エンジン22は、例えばガソリンや軽油などの燃料を用いて吸気、圧縮、膨張(爆発燃焼)、排気の4行程により動力を出力する6気筒の内燃機関として構成されている。図2に示すように、エンジン22は、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁126と、筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁127とを有する。エンジン22は、ポート噴射弁126と筒内噴射弁127とを有することにより、ポート噴射モードと筒内噴射モードと共用噴射モードとのうちの何れかで運転可能となっている。ポート噴射モードでは、エアクリーナ122により清浄された空気を吸気管123に吸入してスロットルバルブ124やサージタンク125を通過させると共に、吸気管123のサージタンク125よりも下流側のポート噴射弁126から燃料を噴射し、空気と燃料とを混合する。そして、この混合気を吸気バルブ128を介して燃焼室129に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、シリンダボア内でそのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト23の回転運動に変換する。筒内噴射モードでは、ポート噴射モードと同様に空気を燃焼室129に吸入し、吸気行程や圧縮行程において筒内噴射弁127から燃料を噴射し、点火プラグ130による電気火花により爆発燃焼させてクランクシャフト23の回転運動を得る。共用噴射モードでは、空気を燃焼室129に吸入する際にポート噴射弁126から燃料を噴射すると共に吸気行程や圧縮行程において筒内噴射弁127から燃料を噴射し、点火プラグ130による電気火花により爆発燃焼させてクランクシャフト23の回転運動を得る。これらの噴射モードは、エンジン22の運転状態に基づいて切り替えられる。燃焼室129から排気バルブ133を介して排気管134に排出される排気は、浄化装置135およびPMフィルタ136を介して外気に排出される。浄化装置135は、排気中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化触媒(三元触媒)135aを有する。PMフィルタ136は、セラミックスやステンレスなどにより多孔質フィルタとして形成されており、排気中の煤などの粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集する。なお、PMフィルタ136に代えて、三元触媒の浄化機能と粒子状物質に対する捕集機能とを組み合わせた四元触媒を用いてもよい。
エンジン22は、エンジンECU24により運転制御されている。エンジンECU24は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロコンピュータを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。エンジンECU24に入力される信号としては、例えば、エンジン22のクランクシャフト23の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランク角θcrや、エンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温Twを挙げることができる。吸気バルブ128を開閉するインテークカムシャフトの回転位置や排気バルブ133を開閉するエキゾーストカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカム角θci,θcoも挙げることができる。スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ124aからのスロットル開度THや、吸気管123のスロットルバルブ124よりも上流側に取り付けられたエアフローメータ123aからの吸入空気量Qa、吸気管123のスロットルバルブ124よりも上流側に取り付けられた温度センサ123tからの吸気温Ta、サージタンク125に取り付けられた圧力センサ125aからのサージ圧Psも挙げることができる。排気管134の浄化装置135よりも上流側に取り付けられたフロント空燃比センサ137からのフロント空燃比AF1や、排気管134の浄化装置135とPMフィルタ136との間に取り付けられたリヤ空燃比センサ138からのリヤ空燃比AF2、PMフィルタ136の前後の差圧(上流側と下流側との差圧)を検出する差圧センサ136aからの差圧ΔPも挙げることができる。
エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24から出力される信号としては、例えば、スロットルバルブ124への制御信号や、ポート噴射弁126への制御信号、筒内噴射弁127への制御信号、点火プラグ130への制御信号を挙げることができる。
エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。エンジンECU24は、クランクポジションセンサ140からのエンジン22のクランク角θcrに基づいてエンジン22の回転数Neを演算している。また、エンジンECU24は、エアフローメータ123aからの吸入空気量Qaとエンジン22の回転数Neとに基づいて負荷率(エンジン22の1サイクルあたりの行程容積に対する1サイクルで実際に吸入される空気の容積の比)KLを演算している。さらに、エンジンECU24は、差圧センサ136aからの差圧ΔPに基づいてPMフィルタ136に堆積した粒子状物質の堆積量としてのPM堆積量Qpmを演算したり、エンジン22の回転数Neや負荷率KLに基づいてPMフィルタ136の温度としてのフィルタ温度Tfを演算したりしている。
図1に示すように、エンジン22のクランクシャフト23には、エンジン22をクランキングするためのスタータモータ25や、エンジン22からの動力を用いて発電するオルタネータ26が接続されている。スタータモータ25およびオルタネータ26は、低電圧バッテリ62と共に低電圧側電力ライン63に接続されており、HVECU70により制御される。
モータ30は、同期発電電動機として構成されており、回転子コアに永久磁石が埋め込まれた回転子と、固定子コアに三相コイルが巻回された固定子とを有する。このモータ30の回転子が固定された回転軸31は、クラッチK0を介してエンジン22のクランクシャフト23に接続されていると共に自動変速機45の入力軸41に接続されている。インバータ32は、モータ30の駆動に用いられると共に高電圧側電力ライン61に接続されている。モータ30は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)34によってインバータ32の複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。
モータECU34は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロコンピュータを備える。モータECU34には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。モータECU34に入力される信号としては、例えば、モータ30の回転子(回転軸31)の回転位置を検出する回転位置センサ30aからの回転位置θmや、モータ30の各相の相電流を検出する電流センサからの相電流Iu,Ivを挙げることができる。モータECU34からは、インバータ32への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータECU34は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。モータECU34は、回転位置センサ30aからのモータ30の回転子(回転軸31)の回転位置θmに基づいてモータ30の回転数Nmを演算している。
クラッチK0は、例えば油圧駆動の摩擦クラッチとして構成されており、HVECU70によって制御され、エンジン22のクランクシャフト23とモータ30の回転軸31との接続および接続の解除を行なう。
自動変速装置40は、トルクコンバータ43と、例えば6段変速の自動変速機45とを有する。トルクコンバータ43は、一般的な流体伝動装置として構成されており、モータ30の回転軸31に接続された入力軸41の動力を自動変速機45の入力軸である変速機入力軸44にトルクを増幅して伝達したり、トルクを増幅することなくそのまま伝達したりする。自動変速機45は、変速機入力軸44と、駆動輪49にデファレンシャルギヤ48を介して連結された出力軸42と、複数の遊星歯車と、油圧駆動の複数の摩擦係合要素(クラッチ,ブレーキ)とを有する。複数の摩擦係合要素は、何れも、ピストン、複数の摩擦係合プレート(摩擦プレートおよびセパレータプレート)、作動油が供給される油室などにより構成される油圧サーボを有する。自動変速機45は、複数の摩擦係合要素の係脱により、第1速から第6速までの前進段や後進段を形成して、変速機入力軸44と出力軸42との間で動力を伝達する。クラッチK0や自動変速機45には、図示しない油圧制御装置により、機械式オイルポンプや電動オイルポンプからの作動油の油圧が調圧されて供給される。油圧制御装置は、複数の油路が形成されたバルブボディや、複数のレギュレータバルブ、複数のリニアソレノイドバルブなどを有する。この油圧制御装置は、HVECU70により制御される。
高電圧バッテリ60は、例えば定格電圧が数百V程度のリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、インバータ32と共に高電圧側電力ライン61に接続されている。低電圧バッテリ62は、例えば定格電圧が12Vや14V程度の鉛蓄電池として構成されており、スタータモータ25やオルタネータ26と共に低電圧側電力ライン63に接続されている。DC/DCコンバータ64は、高電圧側電力ライン61と低電圧側電力ライン63とに接続されている。このDC/DCコンバータ64は、高電圧側電力ライン61の電力を低電圧側電力ライン63に電圧の降圧を伴って供給する。
HVECU70は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロコンピュータを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、例えば、自動変速装置40の入力軸41に取り付けられた回転数センサ41aからの回転数Ninや、自動変速装置40の変速機入力軸44に取り付けられた回転数センサ44aからの回転数Nmi、自動変速装置40の出力軸42に取り付けられた回転数センサ42aからの回転数Noutを挙げることができる。高電圧バッテリ60の端子間に取り付けられた電圧センサからの高電圧バッテリ60の電圧Vbhや、高電圧バッテリ60の出力端子に取り付けられた電流センサからの高電圧バッテリ60の電流Ibh、低電圧バッテリ62の端子間に取り付けられた電圧センサからの電圧Vblも挙げることができる。イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ87からの車速Vも挙げることができる。
HVECU70からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。HVECU70から出力される信号としては、例えば、スタータモータ25への制御信号や、オルタネータ26への制御信号を挙げることができる。クラッチK0や自動変速装置40(油圧制御装置)への制御信号、DC/DCコンバータ64への制御信号も挙げることができる。HVECU70は、エンジンECU24やモータECU34と通信ポートを介して接続されている。HVECU70は、回転数センサ41aからの自動変速装置40の入力軸41の回転数Ninを回転数センサ42aからの自動変速装置40の出力軸42の回転数Noutで除して自動変速装置40の回転数比Gtを演算している。
こうして構成された実施例のハイブリッド車20では、HVECU70とエンジンECU24とモータECU34との協調制御により、ハイブリッド走行モード(HV走行モード)や電動走行モード(EV走行モード)で走行するように、エンジン22とクラッチK0とモータ30と自動変速装置40とを制御する。ここで、HV走行モードは、クラッチK0を係合状態としてエンジン22の動力を用いて走行するモードであり、EV走行モードは、クラッチK0を解放状態としてエンジン22の動力を用いずに走行するモードである。
HV走行モードやEV走行モードにおける自動変速装置40の制御では、HVECU70は、最初に、アクセル開度Accおよび車速Vに基づいて自動変速機45の目標変速段M*を設定する。そして、自動変速機45の変速段Mと目標変速段M*とが一致するときには、変速段Mが保持されるように自動変速機45を制御する。一方、変速段Mと目標変速段M*とが異なるときには、変速段Mが目標変速段M*に一致するように自動変速機45を制御する。
HV走行モードにおけるエンジン22およびモータ30の制御では、HVECU70は、最初に、アクセル開度Accおよび車速Vに基づいて走行に要求される(自動変速装置40の出力軸42に要求される)要求トルクTout*を設定する。続いて、出力軸42の要求トルクTout*を自動変速装置40の回転数比Gtで除した値を入力軸41の要求トルクTin*に設定する。こうして入力軸41の要求トルクTin*を設定すると、要求トルクTin*が入力軸41に出力されるようにエンジン22の目標トルクTe*やモータ30のトルク指令Tm*を設定し、エンジン22の目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共にモータ30のトルク指令Tm*をモータECU34に送信する。エンジンECU24は、目標トルクTe*を受信すると、エンジン22が目標トルクTe*で運転されるようにエンジン22の運転制御(吸入空気量制御や燃料噴射制御、点火制御など)を行なう。モータECU34は、トルク指令Tm*を受信すると、モータ30がトルク指令Tm*で駆動されるようにインバータ32の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
EV走行モードにおけるモータ30の制御では、HVECU70は、HV走行モードと同様に入力軸41の要求トルクTin*を設定し、要求トルクTin*が入力軸41に出力されるようにモータ30のトルク指令Tm*を設定してモータECU34に送信する。モータECU34は、トルク指令Tm*を受信すると、モータ30がトルク指令Tm*で駆動されるようにインバータ32の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
なお、実施例では、エンジン装置としては、エンジン22と、クラッチK0と、モータ30と、HVECU70と、エンジンECU24と、モータECU34とが相当する。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド車20の動作、特に、エンジン22を間欠運転している際のエンジン22の始動について説明する。エンジン22を間欠運転している際のエンジン22の始動は、実施例では、クラッチK0を半係合(スリップ係合)させてモータ30からの目標クランキングトルクTcr*を出力してエンジン22をクランキングし、最初に圧縮上死点(TDC:Top Dead Center)を迎える気筒または2番目に圧縮上死点を迎える気筒で最初の燃料噴射と点火(初爆)を行なう。最初に圧縮上死点を迎える気筒で最初の燃料噴射と点火を行なうか2番目に圧縮上死点を迎える気筒で最初の燃料噴射と点火を行なうかの選択については後述する。
こうして燃料噴射と点火とを開始して初爆を行なうと、クラッチK0を解放してエンジン22をモータ30の回転数Nmやその近傍の回転数で自立運転(アイドル運転)するように制御し、クラッチK0を係合する条件(例えば、エンジン22の回転数Neとモータ30の回転数Nmgとの差回転数ΔNが閾値(例えば50rpmや100rpm、150rpmなど)未満であり、且つ、点火回数が所定回数(例えば、5回や6回、8回など)以上である条件など)が成立したときに、クラッチK0を係合させて、エンジン22の始動を終了する。
また、実施例では、車速Vが所定車速Vref(例えば、数km/h程度)以上でエンジン22を間欠停止する際には、最初に圧縮上死点を迎える気筒で始動できるようにするために、エンジン22の間欠停止直前にスロットルバルブ124を一時的に開成すると共に所定クランク角範囲で停止するようにしている。エンジン22の間欠停止直前にスロットルバルブ124を一時的に開成するのは、圧縮行程で停止する気筒内の空気量を多くするためである。エンジン22の間欠停止直前にスロットルバルブ124を一時的に開成すると、エンジン22の回転数の変化の様子が変化し、騒音や振動が発生する場合がある。車速Vが所定車速Vref未満のときには、ユーザが騒音や振動を認識しやすいから、スロットルバルブ124を閉成することにより、ユーザに違和感を与えることを抑制している。
なお、最初に圧縮上死点を迎える気筒や2番目に圧縮上死点を迎える気筒での燃料噴射は、エンジン22を停止したときのクランク角(停止クランク角)θstopとエンジン22を停止してからの経過時間とに基づいて設定される燃料噴射量を圧縮上死点に至るまでに噴射することにより行なわれる。燃料噴射量がエンジン22を停止してからの経過時間に基づくのは、圧縮行程で停止している気筒内の圧力が時間の経過につれて低下し、気筒内の空気量が少なくなることに基づいている。エンジン22のスロットル開度THは、エンジン22の始動要求がなされたときには、停止してから所定時間が経過するまでは予め定めた所定開度THs(例えば、5%や10%など)が用いられる。
最初に圧縮上死点を迎える気筒で最初の燃料噴射と点火を行なうか2番目に圧縮上死点を迎える気筒で最初の燃料噴射と点火を行なうかの選択は、図3に例示する気筒選択処理により行なわれる。この気筒選択処理は、間欠停止しているエンジン22の始動要求がなされたときに実行される。
気筒選択処理が実行されると、まず、エンジン22の間欠停止直前にスロットルバルブ124を一時的に開成した履歴(スロットル開履歴)があるか否かと(ステップS100)、停止クランク角θstopが最初に圧縮上死点を迎える気筒で初爆を行なうことができる所定クランク角範囲(例えば、BTDC40~80(Before TDC 40~80度)など)にあるか否かと(ステップS110)を判定する。スロットル開履歴があるときには、燃焼室内に空気が十分に充填されていると考えられる。したがって、ステップS100は、燃焼室内に空気が十分に充填されているか否かを判定する処理となっている。
ステップS100でスロットル開履歴があり、ステップS110で停止クランク角θstopが所定クランク角範囲であるときには、最初に圧縮上死点を迎える気筒での燃料噴射と点火とを選択して(ステップS120)、本ルーチンを終了する。最初に圧縮上死点を迎える気筒での燃料噴射と点火とを選択したときには、エンジン22の始動で、最初に圧縮上死点を迎える気筒で燃料噴射と点火とを行なう。
図4は、車速Vが所定車速Vref以上で間欠停止したエンジン22を始動する際のエンジン22の回転数Ne、モータ30の回転数Nm、スロットル開度TH、インテークマニホールドの圧力としてのインマニ圧、スロットル開履歴の有無、最初に圧縮上死点を迎える気筒での燃料噴射と点火との選択(1TDC選択)の状態の時間変化の一例を示すタイミングチャートである。実施例では、インマニ圧として、サージタンク125に取り付けられた圧力センサ125aからのサージ圧Psを用いている。車速Vが所定車速Vref以上でエンジン22を間欠停止する際には、エンジン22の間欠停止直前にスロットルバルブ124を一時的に開成する(時刻t0)。これにより、サージ圧Psが上昇し、燃焼室内に空気が充填されると共にスロットル開履歴あとなる。そして、エンジン22の始動要求がなされると(時刻t1)、停止クランク角θstopが所定クランク角範囲のときには、最初に圧縮上死点を迎える気筒での燃料噴射と点火とが選択される。そして、クラッチK0を半係合させるために油圧回路の準備が整うと、クラッチK0を半係合してモータ30によるエンジン22のクランキングを開始し(時刻t2)、最初に圧縮上死点を迎える気筒での燃料噴射と点火とを行なって、エンジン22を始動する。このとき、燃焼室内に空気を充填した状態で、最初に圧縮上死点を迎える気筒での燃料噴射と点火とを行なうから、最初に圧縮上死点を迎える気筒で初爆を良好に行なうことができる。このように、最初に圧縮上死点を迎える気筒で初爆を行なうことにより、エンジン22を迅速に始動できる。
ステップS100でスロットル開履歴がないときや、ステップS100でスロットル開履歴があるがステップS110で停止クランク角θstopが所定クランク角範囲でないときには、最初に圧縮上死点を迎える気筒で初爆を行なえないと判断して、2番目に圧縮上死点を迎える気筒での燃料噴射と点火とを選択して(ステップS130)、本ルーチンを終了する。2番目に圧縮上死点を迎える気筒での燃料噴射と点火とを選択したときには、エンジン22の始動で、2番目に圧縮上死点を迎える気筒に対して燃料噴射と点火とを行なう。2番目に圧縮上死点を迎える気筒では、圧縮上死点に至るまでに吸気行程を経ていることから、燃焼室内に空気が十分に充填されている。したがって、2番目に圧縮上死点を迎える気筒に対して燃料噴射と点火とを行なうことにより、初爆を良好に行なうことができる。このように、最初に圧縮上死点を迎える気筒で初爆を行なわない場合でも、2番目に圧縮上死点を迎える気筒に対して燃料噴射と点火とを行なうことにより、より確実にエンジン22を始動できる。
以上説明した実施例のハイブリッド車20によれば、間欠停止しているエンジン22を始動する際に、間欠停止前にスロットルバルブ124を一時的に開成した履歴があり、且つ、停止クランク角θstopが所定クランク角範囲であるときには、クラッチK0を半係合してモータ30によりエンジン22をクランキングすると共にエンジン22において最初に圧縮上死点を迎える気筒に対して燃料噴射と点火とを行なってエンジン22を始動するようエンジン22とモータ30とクラッチK0とを制御することにより、エンジン22を迅速に始動できる。
また、エンジン22を間欠停止する際に、車速Vが所定車速Vref以上のときには、スロットルバルブ124を一時的に開成し、車速Vが所定車速Vref未満のときには、スロットルバルブ124を閉成することにより、ユーザに違和感を与えることを抑制できる。
さらに、エンジン22の間欠停止前にスロットルバルブ124を一時的に開成した履歴がないときや、エンジン22の関係停止前にスロットルバルブ124を一時的に開成した履歴があっても停止クランク角θstopが所定クランク角範囲でないときには、クラッチK0を半係合してモータ30によりエンジン22をクランキングすると共にエンジン22において2番目に圧縮上死点を迎える気筒に対して燃料噴射と点火とを行なってエンジン22を始動するようエンジン22とモータ30とクラッチK0とを制御することにより、より確実にエンジン22を始動できる。
実施例のハイブリッド車20では、ステップS110で、停止クランク角θstopが所定クランク角範囲であるか否かを判定している。しかしながら、ステップS110で、停止クランク角θstopが所定クランク角範囲であるか否かと共に、冷却水温Twが所定水温以上であるなどエンジン22において最初に圧縮上死点を迎える気筒に対して燃料噴射と点火とを行なってエンジン22を始動することを許可する他の条件が成立するか否かを判定し、これらの全ての条件が成立したときにステップS120を実行してもよい。
実施例のハイブリッド車20では、スロットル開履歴がないと判定されたときや、スロットル開履歴があると判定されても、停止クランク角θstopが所定クランク角範囲ないときには、2番目に圧縮上死点を迎える気筒に対して燃料噴射と点火とを行なってエンジン22を始動するようにエンジン22とモータ30とクラッチK0とを制御している。しかしながら、スロットル開履歴がないと判定されたときや、スロットル開履歴があると判定されたが許可条件が成立していないと判定されたときには、3番目以降に圧縮上死点を迎える気筒に対して燃料噴射と点火とを行なってエンジン22を始動してもよい。
実施例のハイブリッド車20では、6段変速の自動変速機45を備えるものとした。しかしながら、4段変速や5段変速、8段変速などの自動変速機を備えるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド車20では、エンジンECU24とモータECU34とHVECU70とを備えるものとした。しかしながら、これらのうちの少なくとも2つを一体に構成するものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、モータ30が「モータ」に相当し、HVECU70とエンジンECU24とモータECU34とが「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、ハイブリッド車の製造産業などに利用可能である。
20 ハイブリッド車、22 エンジン、23 クランクシャフト、24 エンジンECU、25 スタータモータ、26 オルタネータ、30 モータ、30a 回転位置センサ、31 回転軸、32 インバータ、34 モータECU、40 自動変速装置、41 入力軸、41a 回転数センサ、42 出力軸、42a 回転数センサ、43 トルクコンバータ、44 変速機入力軸、44a 回転数センサ、45 自動変速機、48 デファレンシャルギヤ、49 駆動輪、60 高電圧バッテリ、61 高電圧側電力ライン、62 低電圧バッテリ、63 低電圧側電力ライン、64 DC/DCコンバータ、70 HVECU、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、87 車速センサ、122 エアクリーナ、123 吸気管、123a エアフローメータ、123t 温度センサ、124 スロットルバルブ、124a スロットルバルブポジションセンサ、125 サージタンク、125a 圧力センサ、126 ポート噴射弁、127 筒内噴射弁、128 吸気バルブ、129 燃焼室、130 点火プラグ、132 ピストン、133 排気バルブ、134 排気管、135 浄化装置、135a 浄化触媒、136 PMフィルタ、136a 差圧センサ、137 フロント空燃比センサ、138 リヤ空燃比センサ、140 クランクポジションセンサ、142 水温センサ、144 カムポジションセンサ。
Claims (4)
- エンジンと、前記エンジンの出力軸にクラッチを介して接続されたモータと、前記エンジンと前記モータと前記クラッチとを制御する制御装置と、を備えるハイブリッド車であって、
前記制御装置は、間欠停止している前記エンジンを始動する際に、間欠停止前にスロットルバルブを一時的に開成した履歴がある条件を含む所定条件が成立しているときには、前記クラッチを半係合して前記モータにより前記エンジンをクランキングすると共に前記エンジンにおいて最初に圧縮上死点を迎える気筒に対して燃料噴射と点火とを行なって前記エンジンを始動するように前記エンジンと前記モータと前記クラッチとを制御する
ハイブリッド車。 - 請求項1記載のハイブリッド車であって、
前記制御装置は、前記エンジンを間欠停止する際に、車速が所定車速以上のときには、前記スロットルバルブを一時的に開成し、車速が前記所定車速未満のときには、前記スロットルバルブを閉成する
ハイブリッド車。 - 請求項1または2記載のハイブリッド車であって、
前記所定条件は、前記エンジンを停止したときのクランク角が所定クランク角範囲にある条件を含む
ハイブリッド車。 - 請求項1ないし3のうちいずれか1つの請求項に記載のハイブリッド車であって、
前記制御装置は、前記所定条件が成立していないときには、前記クラッチを半係合して前記モータにより前記エンジンをクランキングすると共に前記エンジンにおいて2番目に圧縮上死点を迎える気筒に対して燃料噴射と点火とを行なって前記エンジンを始動するよう前記エンジンと前記モータと前記クラッチとを制御する
ハイブリッド車。
Priority Applications (1)
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Family Applications (1)
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JP2022001564A Pending JP2023101152A (ja) | 2022-01-07 | 2022-01-07 | ハイブリッド車 |
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JP (1) | JP2023101152A (ja) |
-
2022
- 2022-01-07 JP JP2022001564A patent/JP2023101152A/ja active Pending
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