JP2023105338A - エンジン装置 - Google Patents
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- Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
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Abstract
【課題】開度ディレー制御を実行するか否かをより適切に選択する。
【解決手段】エンジンの始動要求に伴って始動制御を実行する際に、燃料噴射制御として、最初の燃料噴射から、予測筒内空気量に基づく目標噴射量を用いて燃料噴射弁を制御する計算噴射制御を実行する場合、空気量制御として、始動要求の開始から、要求開度にディレーを持たせた目標開度を用いてスロットルバルブを制御する開度ディレー制御を実行する。また、この際に、燃料噴射制御として、予測筒内空気量に基づかない目標噴射量を用いて燃料噴射弁を制御する見込み噴射制御を実行してから計算噴射制御に移行する場合、空気量制御として、始動要求の開始から見込み噴射制御の終了まで、要求開度を目標開度として用いてスロットルバルブを制御する開度ディレーカット制御を実行すると共に、計算噴射制御を開始すると、開度ディレー制御に移行する。
【選択図】図5
【解決手段】エンジンの始動要求に伴って始動制御を実行する際に、燃料噴射制御として、最初の燃料噴射から、予測筒内空気量に基づく目標噴射量を用いて燃料噴射弁を制御する計算噴射制御を実行する場合、空気量制御として、始動要求の開始から、要求開度にディレーを持たせた目標開度を用いてスロットルバルブを制御する開度ディレー制御を実行する。また、この際に、燃料噴射制御として、予測筒内空気量に基づかない目標噴射量を用いて燃料噴射弁を制御する見込み噴射制御を実行してから計算噴射制御に移行する場合、空気量制御として、始動要求の開始から見込み噴射制御の終了まで、要求開度を目標開度として用いてスロットルバルブを制御する開度ディレーカット制御を実行すると共に、計算噴射制御を開始すると、開度ディレー制御に移行する。
【選択図】図5
Description
本発明は、エンジン装置に関し、詳しくは、エンジンとエンジンの出力軸にクラッチを介して接続されたモータとを備えるエンジン装置に関する。
従来、この種のエンジン装置として、エンジンと、エンジンの出力軸にクラッチを介して接続されたモータと、モータの回転軸と車軸とに接続された自動変速装置とを備えるハイブリッド車が搭載するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このエンジン装置では、クラッチを解放した状態でモータにより車両を走行させているときに、クラッチを係合に向けて制御しながらエンジンを始動する。
こうしたエンジン装置では、エンジンについて、実筒内空気量を精度よく予測(先読み)するために、要求開度にディレーを持たせた目標開度を用いてスロットルバルブを制御する開度ディレー制御を実行すると共に、要求開度に基づいて予測筒内空気量を演算することが行なわれている。しかしながら、要求開度をより迅速に実現することが求められる場合もある。このため、開度ディレー制御を実行するか否かをどのように選択するかが課題とされている。
本発明のエンジン装置は、開度ディレー制御を実行するか否かをより適切に選択することを主目的とする。
本発明のエンジン装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のエンジン装置は、
ことを要旨とする。
ことを要旨とする。
本発明のエンジン装置では、
スロットルバルブおよび燃料噴射弁を有するエンジンと、
前記エンジンの出力軸にクラッチを介して接続されたモータと、
前記エンジンと前記モータと前記クラッチとを制御し、前記エンジンについて、要求開度に基づく目標開度を用いて前記スロットルバルブを制御する空気量制御と目標噴射量を用いて燃料噴射弁を制御する燃料噴射制御とを行なうと共に前記要求開度に基づいて予測筒内空気量を演算する制御装置と、
を備えるエンジン装置であって、
前記制御装置は、
前記エンジンの始動要求に伴って始動制御を実行する際に、
前記燃料噴射制御として、最初の燃料噴射から、前記予測筒内空気量に基づく目標噴射量を用いて前記燃料噴射弁を制御する計算噴射制御を実行する場合、前記空気量制御として、前記始動要求の開始から、要求開度にディレーを持たせた目標開度を用いて前記スロットルバルブを制御する開度ディレー制御を実行し、
前記燃料噴射制御として、前記予測筒内空気量に基づかない前記目標噴射量を用いて前記燃料噴射弁を制御する見込み噴射制御を実行してから前記計算噴射制御に移行する場合、前記空気量制御として、前記始動要求の開始から前記見込み噴射制御の終了まで、前記要求開度を前記目標開度として用いて前記スロットルバルブを制御する開度ディレーカット制御を実行すると共に、前記計算噴射制御を開始すると、前記開度ディレー制御に移行する、
ことを要旨とする。
スロットルバルブおよび燃料噴射弁を有するエンジンと、
前記エンジンの出力軸にクラッチを介して接続されたモータと、
前記エンジンと前記モータと前記クラッチとを制御し、前記エンジンについて、要求開度に基づく目標開度を用いて前記スロットルバルブを制御する空気量制御と目標噴射量を用いて燃料噴射弁を制御する燃料噴射制御とを行なうと共に前記要求開度に基づいて予測筒内空気量を演算する制御装置と、
を備えるエンジン装置であって、
前記制御装置は、
前記エンジンの始動要求に伴って始動制御を実行する際に、
前記燃料噴射制御として、最初の燃料噴射から、前記予測筒内空気量に基づく目標噴射量を用いて前記燃料噴射弁を制御する計算噴射制御を実行する場合、前記空気量制御として、前記始動要求の開始から、要求開度にディレーを持たせた目標開度を用いて前記スロットルバルブを制御する開度ディレー制御を実行し、
前記燃料噴射制御として、前記予測筒内空気量に基づかない前記目標噴射量を用いて前記燃料噴射弁を制御する見込み噴射制御を実行してから前記計算噴射制御に移行する場合、前記空気量制御として、前記始動要求の開始から前記見込み噴射制御の終了まで、前記要求開度を前記目標開度として用いて前記スロットルバルブを制御する開度ディレーカット制御を実行すると共に、前記計算噴射制御を開始すると、前記開度ディレー制御に移行する、
ことを要旨とする。
本発明のエンジン装置では、エンジンについて、要求開度に基づく目標開度を用いてスロットルバルブを制御する空気量制御と目標噴射量を用いて燃料噴射弁を制御する燃料噴射制御とを行なうと共に要求開度に基づいて予測筒内空気量を演算する。そして、エンジンの始動要求に伴って始動制御を実行する際に、燃料噴射制御として、最初の燃料噴射から、予測筒内空気量に基づく目標噴射量を用いて燃料噴射弁を制御する計算噴射制御を実行する場合、空気量制御として、始動要求の開始から、要求開度にディレーを持たせた目標開度を用いてスロットルバルブを制御する開度ディレー制御を実行する。開度ディレー制御の実行により、予測筒内空気量によって実筒内空気量を精度よく予測(先読み)することができる。したがって、計算噴射制御において、目標噴射量をより適切に設定することができる。また、エンジンの始動要求に伴って始動制御を実行する際に、燃料噴射制御として、予測筒内空気量に基づかない目標噴射量を用いて燃料噴射弁を制御する見込み噴射制御を実行してから計算噴射制御に移行する場合、空気量制御として、始動要求の開始から見込み噴射制御の終了まで、要求開度を目標開度として用いてスロットルバルブを制御する開度ディレーカット制御を実行すると共に、計算噴射制御を開始すると、開度ディレー制御に移行する。始動要求の開始から見込み噴射制御の終了まで開度ディレーカット制御を実行することにより、要求開度をより迅速に実現し、実筒内空気量を要求開度に対応する空気量により迅速に接近させることができる。なお、見込み噴射制御のときには、予測筒内空気量に基づかない目標噴射量を用いて燃料噴射弁を制御するから、予測筒内空気量の予測精度が低下しても問題になる可能性が低いと考えられる。これらの結果、開度ディレー制御を実行するか開度ディレーカット制御を実行するかをより適切に選択することができる。
本発明のエンジン装置において、前記制御装置は、前記エンジンの停止制御を実行する際に、前記エンジンの回転数が所定回転数未満に至ると、前記スロットルバルブを一時的に開成し、更に、前記制御装置は、前記停止制御を実行する際に、前記スロットルバルブを一時的に開成する前は、前記開度ディレー制御を実行し、前記スロットルバルブを一時的に開成する以降は、前記開度ディレーカット制御を実行するものとしてもよい。こうすれば、スロットルバルブを一時的に開成する前は、予測筒内空気量によって実筒内空気量を精度よく予測(先読み)することができ、スロットルバルブを一時的に開成するときには、要求開度をより迅速に実現し、実筒内空気量を要求開度に対応する空気量により迅速に接近させることができる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのエンジン装置を搭載するハイブリッド車20の構成の概略を示す構成図である。図2は、ハイブリッド車20が搭載するエンジン22の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド車20は、図1に示すように、エンジン22と、モータ30と、インバータ32と、クラッチK0と、自動変速装置40と、高電圧バッテリ60と、低電圧バッテリ62と、DC/DCコンバータ64と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70とを備える。
エンジン22は、例えばガソリンや軽油などの燃料を用いて吸気、圧縮、膨張(爆発燃焼)、排気の4行程により動力を出力する6気筒の内燃機関として構成されている。図2に示すように、エンジン22は、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁126と、筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁127とを有する。エンジン22は、ポート噴射弁126と筒内噴射弁127とを有することにより、ポート噴射モードと筒内噴射モードと共用噴射モードとのうちの何れかで運転可能となっている。ポート噴射モードでは、エアクリーナ122により清浄された空気を吸気管123に吸入してスロットルバルブ124やサージタンク125を通過させると共に、吸気管123のサージタンク125よりも下流側のポート噴射弁126から燃料を噴射し、空気と燃料とを混合する。そして、この混合気を吸気バルブ128を介して燃焼室129に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、シリンダボア内でそのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト23の回転運動に変換する。筒内噴射モードでは、ポート噴射モードと同様に空気を燃焼室129に吸入し、吸気行程や圧縮行程において筒内噴射弁127から燃料を噴射し、点火プラグ130による電気火花により爆発燃焼させてクランクシャフト23の回転運動を得る。共用噴射モードでは、空気を燃焼室129に吸入する際にポート噴射弁126から燃料を噴射すると共に吸気行程や圧縮行程において筒内噴射弁127から燃料を噴射し、点火プラグ130による電気火花により爆発燃焼させてクランクシャフト23の回転運動を得る。これらの噴射モードは、エンジン22の運転状態に基づいて切り替えられる。燃焼室129から排気バルブ133を介して排気管134に排出される排気は、浄化装置135およびPMフィルタ136を介して外気に排出される。浄化装置135は、排気中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化触媒(三元触媒)135aを有する。PMフィルタ136は、セラミックスやステンレスなどにより多孔質フィルタとして形成されており、排気中の煤などの粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集する。なお、PMフィルタ136に代えて、三元触媒の浄化機能と粒子状物質に対する捕集機能とを組み合わせた四元触媒が用いられるものとしてもよい。
エンジン22は、エンジンECU24により運転制御されている。エンジンECU24は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロコンピュータを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。エンジンECU24に入力される信号としては、例えば、エンジン22のクランクシャフト23の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランク角θcrや、エンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温Twを挙げることができる。吸気バルブ128を開閉するインテークカムシャフトの回転位置や排気バルブ133を開閉するエキゾーストカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカム角θci,θcoも挙げることができる。スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ124aからのスロットル開度THや、吸気管123のスロットルバルブ124よりも上流側に取り付けられたエアフローメータ123aからの吸入空気量Qa、吸気管123のスロットルバルブ124よりも上流側に取り付けられた温度センサ123tからの吸気温Ta、サージタンク125に取り付けられた圧力センサ125aからのサージ圧Psも挙げることができる。排気管134の浄化装置135よりも上流側に取り付けられたフロント空燃比センサ137からのフロント空燃比AF1や、排気管134の浄化装置135とPMフィルタ136との間に取り付けられたリヤ空燃比センサ138からのリヤ空燃比AF2、PMフィルタ136の前後の差圧(上流側と下流側との差圧)を検出する差圧センサ136aからの差圧ΔPも挙げることができる。
エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24から出力される信号としては、例えば、スロットルバルブ124への制御信号や、ポート噴射弁126への制御信号、筒内噴射弁127への制御信号、点火プラグ130への制御信号を挙げることができる。
エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。エンジンECU24は、クランクポジションセンサ140からのエンジン22のクランク角θcrに基づいて、エンジン22の回転数Neを演算している。また、エンジンECU24は、エアフローメータ123aからの吸入空気量Qaとエンジン22の回転数Neとに基づいて負荷率(エンジン22の1サイクルあたりの行程容積に対する1サイクルで実際に吸入される空気の容積の比)KLを演算している。さらに、エンジンECU24は、差圧センサ136aからの差圧ΔPに基づいてPMフィルタ136に堆積した粒子状物質の堆積量としてのPM堆積量Qpmを演算したり、エンジン22の回転数Neや負荷率KLに基づいてPMフィルタ136の温度としてのフィルタ温度tfを演算したりしている。
図1に示すように、エンジン22のクランクシャフト23には、エンジン22をクランキングするためのスタータモータ25や、エンジン22からの動力を用いて発電するオルタネータ26が接続されている。スタータモータ25およびオルタネータ26は、低電圧バッテリ62と共に低電圧側電力ライン63に接続されており、HVECU70により制御される。
モータ30は、同期発電電動機として構成されており、回転子コアに永久磁石が埋め込まれた回転子と、固定子コアに三相コイルが巻回された固定子とを有する。このモータ30の回転子が固定された回転軸31は、クラッチK0を介してエンジン22のクランクシャフト23に接続されていると共に自動変速機45の入力軸41に接続されている。インバータ32は、モータ30の駆動に用いられると共に高電圧側電力ライン61に接続されている。モータ30は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)34によってインバータ32の複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。
モータECU34は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロコンピュータを備える。モータECU34には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。モータECU34に入力される信号としては、例えば、モータ30の回転子(回転軸31)の回転位置を検出する回転位置センサ30aからの回転位置θmgや、モータ30の各相の相電流を検出する電流センサからの相電流Iu,Ivを挙げることができる。モータECU34からは、インバータ32への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータECU34は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。モータECU34は、回転位置センサ30aからのモータ30の回転子(回転軸31)の回転位置θmgに基づいてモータ30の回転数Nmgを演算している。
クラッチK0は、例えば油圧駆動の摩擦クラッチとして構成されており、HVECU70によって制御され、エンジン22のクランクシャフト23とモータ30の回転軸31との接続および接続の解除を行なう。
自動変速装置40は、トルクコンバータ43と、例えば6段変速の自動変速機45とを有する。トルクコンバータ43は、一般的な流体伝動装置として構成されており、モータ30の回転軸31に接続された入力軸41の動力を自動変速機45の入力軸である変速機入力軸44にトルクを増幅して伝達したり、トルクを増幅することなくそのまま伝達したりする。自動変速機45は、変速機入力軸44と、駆動輪49にデファレンシャルギヤ48を介して連結された出力軸42と、複数の遊星歯車と、油圧駆動の複数の摩擦係合要素(クラッチ,ブレーキ)とを有する。複数の摩擦係合要素は、何れも、ピストン、複数の摩擦係合プレート(摩擦プレートおよびセパレータプレート)、作動油が供給される油室などにより構成される油圧サーボを有する。自動変速機45は、複数の摩擦係合要素の係脱により、第1速から第6速までの前進段や後進段を形成して、変速機入力軸44と出力軸42との間で動力を伝達する。クラッチK0や自動変速機45には、図示しない油圧制御装置により、機械式オイルポンプや電動オイルポンプからの作動油の油圧が調圧されて供給される。油圧制御装置は、複数の油路が形成されたバルブボディや、複数のレギュレータバルブ、複数のリニアソレノイドバルブなどを有する。この油圧制御装置は、HVECU70により制御される。
高電圧バッテリ60は、例えば定格電圧が数百V程度のリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、インバータ32と共に高電圧側電力ライン61に接続されている。低電圧バッテリ62は、例えば定格電圧が12Vや14V程度の鉛蓄電池として構成されており、スタータモータ25やオルタネータ26と共に低電圧側電力ライン63に接続されている。DC/DCコンバータ64は、高電圧側電力ライン61と低電圧側電力ライン63とに接続されている。このDC/DCコンバータ64は、高電圧側電力ライン61の電力を低電圧側電力ライン63に電圧の降圧を伴って供給する。
HVECU70は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロコンピュータを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、例えば、自動変速装置40の入力軸41に取り付けられた回転数センサ41aからの回転数Ninや、自動変速装置40の変速機入力軸44に取り付けられた回転数センサ44aからの回転数Nmi、自動変速装置40の出力軸42に取り付けられた回転数センサ42aからの回転数Noutを挙げることができる。高電圧バッテリ60の端子間に取り付けられた電圧センサからの高電圧バッテリ60の電圧Vbhや、高電圧バッテリ60の出力端子に取り付けられた電流センサからの高電圧バッテリ60の電流Ibh、低電圧バッテリ62の端子間に取り付けられた電圧センサからの電圧Vblも挙げることができる。イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ87からの車速Vも挙げることができる。
HVECU70からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。HVECU70から出力される信号としては、例えば、スタータモータ25への制御信号や、オルタネータ26への制御信号を挙げることができる。クラッチK0や自動変速装置40(油圧制御装置)への制御信号、DC/DCコンバータ64への制御信号も挙げることができる。HVECU70は、エンジンECU24やモータECU34と通信ポートを介して接続されている。HVECU70は、回転数センサ41aからの自動変速装置40の入力軸41の回転数Ninを回転数センサ42aからの自動変速装置40の出力軸42の回転数Noutで除して自動変速装置40の回転数比Gtを演算している。
なお、実施例では、エンジン装置としては、エンジン22と、クラッチK0と、モータ30と、HVECU70と、エンジンECU24と、モータECU34とが相当する。
こうして構成された実施例のハイブリッド車20では、HVECU70とエンジンECU24とモータECU34との協調制御により、ハイブリッド走行モード(HV走行モード)や電動走行モード(EV走行モード)で走行するように、エンジン22とクラッチK0とモータ30と自動変速装置40とを制御する。ここで、HV走行モードは、クラッチK0を係合状態としてエンジン22の動力を用いて走行するモードであり、EV走行モードは、クラッチK0を解放状態としてエンジン22の動力を用いずに走行するモードである。
HV走行モードやEV走行モードにおける自動変速装置40の制御では、HVECU70は、最初に、アクセル開度Accおよび車速Vに基づいて自動変速機45の目標変速段M*を設定する。そして、自動変速機45の変速段Mと目標変速段M*とが一致するときには、変速段Mが保持されるように自動変速機45を制御する。一方、変速段Mと目標変速段M*とが異なるときには、変速段Mが目標変速段M*に一致するように自動変速機45を制御する。
HV走行モードにおけるエンジン22およびモータ30の制御では、HVECU70は、最初に、アクセル開度Accおよび車速Vに基づいて走行に要求される(自動変速装置40の出力軸42に要求される)要求トルクTout*を設定する。続いて、出力軸42の要求トルクTout*を自動変速装置40の回転数比Gtで除した値を入力軸41の要求トルクTin*に設定する。こうして入力軸41の要求トルクTin*を設定すると、要求トルクTin*が入力軸41に出力されるようにエンジン22の目標トルクTe*やモータ30のトルク指令Tm*を設定し、エンジン22の目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共にモータ30のトルク指令Tm*をモータECU34に送信する。エンジンECU24は、目標トルクTe*を受信すると、エンジン22が目標トルクTe*で運転されるようにエンジン22の運転制御(スロットルバルブ124を制御する空気量制御、ポート噴射弁126や筒内噴射弁127を制御する燃料噴射制御、点火プラグ130を制御する点火制御など)を行なう。モータECU34は、トルク指令Tm*を受信すると、モータ30がトルク指令Tm*で駆動されるようにインバータ32の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
EV走行モードにおけるモータ30の制御では、HVECU70は、HV走行モードと同様に入力軸41の要求トルクTin*を設定し、要求トルクTin*が入力軸41に出力されるようにモータ30のトルク指令Tm*を設定してモータECU34に送信する。モータECU34は、トルク指令Tm*を受信すると、モータ30がトルク指令Tm*で駆動されるようにインバータ32の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
また、実施例のハイブリッド車20では、HVECU70とエンジンECU24とモータECU34との協調制御により、エンジン22を運転しているときにエンジン22の停止要求が行なわれると、エンジン22の停止制御を実行する。停止要求は、例えば、入力軸41の要求トルクTin*が閾値Tinref未満である条件が成立しているときなどに行なわれる。停止制御では、基本的に、燃料噴射および点火を停止すると共にスロットルバルブ124を閉成し、エンジン22の回転数Neが閾値Neref1(例えば、600rpm~800rpm程度)未満に至ると、クラッチK0を解放し、更に、エンジン22の回転数Neが閾値Neref1よりも低い(例えば、数百rpm程度低い)閾値Neref2未満に至ると、スロットルバルブ124を一時的に開成する。スロットルバルブ124を一時的に開成する理由については後述する。
そして、エンジン22の燃料噴射および点火を停止しているときにエンジン22の始動要求が行なわれると、エンジン22の始動制御を実行する。始動要求は、例えば、要求トルクTin*が閾値Tinref以上である条件が成立しているときなどに行なわれる。エンジン22の始動制御としては、例えば、FC(Fuel Cut)復帰始動制御や、自立COM(Change Of Mind)始動制御、COM始動制御、TDC(Top Dead Center)始動制御、PUSH始動制御などを挙げることができる。始動制御の方法の選択は、例えば、始動要求が行なわれた(開始された)ときのエンジン22の回転数Neおよびモータ30の回転数Nmgに基づいて行なわれる。なお、始動制御の際の燃料噴射制御は、筒内噴射モードで行なわれる。
FC復帰始動制御は、基本的に、始動要求が行なわれたときに、エンジン22の回転数Neが閾値Neref1以上であり(クラッチK0を係合しており)、且つ、モータ30の回転数Nmgが閾値Nmgref(例えば、閾値Neref1と同一の値など)以上である場合に行なわれる。FC復帰始動制御では、基本的に、クラッチK0の係合を継続しつつエンジン22の燃料噴射や点火を開始する。
自立COM始動制御は、基本的に、始動要求が行なわれたときに、エンジン22の回転数Neが閾値Neref1未満である(クラッチK0を解放している)と共にそれよりも低い(例えば、数百rpm程度低い)閾値Neref3以上であり、且つ、モータ30の回転数Nmgが閾値Nmgref以上である場合に行なわれる。自立COM始動制御では、基本的に、クラッチK0の解放を継続しつつエンジン22の燃料噴射および点火を開始し、モータ30の回転数Nmgとエンジン22の回転数Neとの差回転数ΔNが小さくなるようにエンジン22を制御し、クラッチK0の係合条件が成立するとクラッチK0を係合する。クラッチK0の係合条件としては、例えば、差回転数ΔNが閾値ΔNref(例えば、50rpm~150rpm程度)未満である条件などを用いることができる。
COM始動制御は、基本的に、始動要求が行なわれたときに、エンジン22の回転数Neが閾値Neref3未満であると共に値0よりも大きく、且つ、モータ30の回転数Nmgが閾値Nmgref以上である場合に行なわれる。COM始動制御では、基本的に、クラッチK0を半係合(スリップ係合)してモータ30からのクランキングトルクを用いてエンジン22をクランキングしつつ燃料噴射および点火を開始し、差回転数ΔNが小さくなるようにエンジン22を制御しつつクラッチK0を解放し、上述のクラッチK0の係合条件が成立するとクラッチK0を係合する。
TDC始動制御は、基本的には、始動要求が行なわれたときに、エンジン22の回転数Neが値0であり(エンジン22が回転停止しており)、且つ、モータ30の回転数Nmgが閾値Nmgref以上である場合に行なわれる。TDC始動制御では、基本的に、クラッチK0を半係合(スリップ係合)してモータ30からのクランキングトルクを用いてエンジン22をクランキングし、最初に圧縮上死点を迎える気筒(1番対象気筒)または2番目に圧縮上死点を迎える気筒(2番対象気筒)で最初の燃料噴射および点火を行ない、差回転数ΔNが小さくなるようにエンジン22を制御しつつクラッチK0を解放し、上述のクラッチK0の係合条件が成立するとクラッチK0を係合する。1番対象気筒および2番対象気筒のうちの何れで最初の燃料噴射および点火を行なうかの選択は、基本的には、エンジン22が間欠停止(回転停止)したときのクランク角(停止クランク角)θcrspが1番対象気筒で初爆を行なうことができる所定クランク角範囲(例えば、BTDC40~80(Before TDC 40~80度)など)内にあるか否かにより行なわれる。したがって、停止クランク角θcrspが所定クランク範囲内にあるときには、1番対象気筒で最初の燃料噴射および点火を行ない、停止クランク角θcrspが所定クランク範囲内にないときには、2番対象気筒で最初の燃料噴射および点火を行なう。なお、実施例では、上述したように、停止制御の際に、エンジン22の回転数Neが閾値Neref2未満に至ると、スロットルバルブ124を一時的に開成する。これは、1番対象気筒で最初の燃料噴射および点火を行なう場合に備えて、1番対象気筒の筒内空気量を多くしておくためである。
PUSH始動制御は、基本的に、始動要求が行なわれたときに、モータ30の回転数Nmgが閾値Nmgref未満である場合に行なわれる。PUSH始動制御では、基本的に、クラッチK0を半係合(スリップ係合)してモータ30からのクランキングトルクを用いてエンジン22をクランキングし、上述のクラッチK0係合条件が成立するとクラッチK0を係合し、その後にエンジン22の燃料噴射および点火を開始する。
実施例では、FC復帰始動制御の際には、目標噴射量Qf*を用いて筒内噴射弁127を制御する燃料噴射制御として、最初の燃料噴射から計算噴射制御を実行する。計算噴射制御では、基本的に、筒内空気量の予測値である予測筒内空気量Qcyprに基づいてフロント空燃比AF1が目標空燃比AF1*(例えば理論空燃比)となるように目標噴射量Qf*を設定し、設定した目標噴射量Qf*を用いて筒内噴射弁127を制御する。予測筒内空気量Qcyprの演算方法について後述する。
また、自立COM始動制御やCOM始動制御、TDC始動制御、PUSH始動制御の際には、燃料噴射制御として、最初の燃料噴射から移行条件が成立するまでは見込み噴射制御を実行し、移行条件が成立すると計算噴射制御に移行する。見込み噴射制御では、基本的に、予測筒内空気量Qcyprやフロント空燃比AF1、目標空燃比AF1*に基づかないで目標噴射量Qf*を設定し、設定した目標噴射量Qf*を用いて筒内噴射弁127を制御する。自立COM始動制御やCOM始動制御での見込み噴射制御における目標噴射量Qf*としては、例えば、一定量を用いたり、エンジン22の回転数Neや対象気筒の吸気バルブ128を閉成したときのインマニ圧Pin(サージ圧Ps)である閉成時インマニ圧Pincなどの少なくとも1つに基づく値を用いたりすることができる。TDC始動制御での見込み噴射制御における目標噴射量Qf*としては、例えば、一定量を用いたり、停止クランク角θcrspやエンジン22が回転停止してからの経過時間などのうちの少なくとも1つに基づく値を用いたりすることできる。PUSH始動制御での見込み噴射制御における目標噴射量Qf*としては、例えば、自立COM始動制御やCOM始動制御での見込み噴射制御における目標噴射量Qf*と同様の値を用いたり、TDC始動制御での見込み噴射制御における目標噴射量Qf*と同様の値を用いたりすることができる。見込み噴射制御から計算噴射制御に移行する移行条件としては、例えば、燃料噴射回数(燃料噴射気筒数)が所定回数(例えば、6~9回程度)以上であり、且つ、エンジン22の回転数Neが所定回転数(例えば、300~500rpm程度)である条件などを用いることができる。
次に、実施例のハイブリッド車20の動作、特に、エンジン22の空気量制御(スロットルバルブ124の制御)や予測筒内空気量Qcyprを演算する処理について説明する。図3は、エンジンECU24により実行される空気量制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、繰り返し実行される。
図3の空気量制御ルーチンでは、エンジンECU24は、最初に、スロットルバルブ124の要求開度THtgを入力する(ステップS100)。ここで、スロットルバルブ124の要求開度THtgは、基本的に、始動制御を終了してから停止制御を開始するまでは、エンジン22の目標トルクTe*に基づく目標筒内空気量Qcy*に基づいて周知の逆エアモデルを用いて設定される。また、停止制御の際には、停止用の値として、スロットルバルブ124を一時的に開成するときにはある程度大きな値が設定され、それ以外のときには略値0が設定される。さらに、始動制御のうちFC復帰始動制御の際には、目標筒内空気量Qcy*に基づいて逆エアモデルを用いて設定され、始動制御のうち自立COM始動制御やCOM始動制御、TDC始動制御、PUSH始動制御の際には、始動用の値が設定される。自立COM始動制御やCOM始動制御での始動用の値としては、例えば、一定値を用いたり、エンジン22の回転数Neや閉成時インマニ圧Pincなどのうちの少なくとも1つに基づく値を用いたりすることができる。TDC始動制御での始動用の値としては、例えば、一定量を用いたり、停止クランク角θcrspやエンジン22が回転停止してからの経過時間などのうちの少なくとも1つに基づく値を用いたりすることできる。PUSH始動制御での始動用の値としては、例えば、自立COM始動制御やCOM始動制御での始動用の値と同様の値を用いたり、TDC始動制御での始動用の値と同様の値を用いたりすることができる。
続いて、開度ディレー制御許否フラグFdを入力し(ステップS102)、入力したディレー処理許否フラグFdの値を調べる(ステップS110)。ここで、開度ディレー制御許否フラグFdは、開度ディレー制御を許可するときには値1が設定され、開度ディレー制御を禁止するときには値0が設定されるフラグであり、後述の開度ディレー制御許否フラグ設定処理により設定される。
ステップS110で開度ディレー制御許否フラグFdが値1のとき、即ち、開度ディレー制御を許可しているときには、開度ディレー制御として、スロットルバルブ124の要求開度THtgにディレーを持たせて目標開度TH*を設定し(ステップS120)、設定した目標開度TH*を用いてスロットルバルブ124を制御する(ステップS140)。ここで、ディレーの時間は、実験や解析、機械学習などにより予め設定される。
ステップS110で開度ディレー制御許否フラグFdが値0のとき、即ち、開度ディレー制御を禁止しているときには、開度ディレーカット制御として、スロットルバルブ124の要求開度THtgを目標開度TH*に設定し(ステップS130)。設定した目標開度TH*を用いてスロットルバルブ124を制御する(ステップS140)。
続いて、スロットルバルブ124の要求開度THtgなどに基づいて周知のエアモデルを用いて予測筒内空気量Qcyprを演算して(ステップS150)、本ルーチンを終了する。図4は、開度ディレー制御を実行するときのスロットルバルブ124の要求開度THtg、目標開度TH*、予測筒内空気量Qcypr、実筒内空気量Qcyacの様子を示すタイムチャートである。図4から分かるように、開度ディレー制御を実行した場合、予測筒内空気量Qcyprは、実筒内空気量Qcyacを先読みした値となる。このようにして、予測筒内空気量Qcyprによって実筒内空気量Qcyacを精度よく予測(先読み)することができる。こうして得られる予測筒内空気量Qcyは、上述したように、計算噴射制御を実行する場合に目標噴射量Qf*の設定に用いられる。したがって、実筒内空気量Qcyacを精度よく予測することにより、計算噴射制御を実行する場合に目標噴射量Qf*をより適切に設定することができる。
次に、図3の空気量制御ルーチンで用いる開度ディレー制御許否フラグFdを設定する処理について、図5の開度ディレー制御許否フラグ設定処理を用いて説明する。本処理は、エンジンECU24により、停止要求が開始してから始動制御の際に開度ディレー制御許否フラグFdに値1を設定するまで、図3のルーチンなどと並行して繰り返し実行される。なお、実施例では、本処理の繰り返し実行を終了してから停止要求が開始するまでは、開度ディレー制御許否フラグFdを値1で保持するものとした。
本処理では、エンジンECU24は、最初に、現在の開度ディレー制御許否フラグFdの値を調べ(ステップS200)、開度ディレー制御許否フラグFdが値1のとき、即ち、開度ディレー制御を許可しているときには、始動要求が行なわれる前であるか行なわれているときであるかを判定する(ステップS210)。
ステップS210で始動要求が行なわれる前であると判定したときには、空気量制御においてスロットルバルブ124を一時的に開成する(要求開度THtgを値0から一時的に増加させる)前であるかそのときであるかを判定する(ステップS220)。そして、スロットルバルブ124の一時的に開成する前であると判定したときには、開度ディレー制御許否フラグFdを値1で保持して、本処理を終了する。一方、スロットルバルブ124の一時的に開成するときであると判定したときには、開度ディレー制御許否フラグFdを値0に切り替えて(ステップS240)、本処理を終了する。
ステップS210で始動要求が行なわれているときであると判定したときには、FC復帰始動制御の際であるか自立COM始動制御やCOM始動制御、TDC始動制御、PUSH始動制御の何れかの際であるかを判定する(ステップS230)。そして、FC復帰始動制御の際であると判定したときには、開度ディレー制御許否フラグFdを値1で保持して、本処理の繰り返しの実行を終了する。この場合、次回の停止要求の開始まで、ディレー制御許否フラグFdを値1で保持する。一方、自立COM始動制御やCOM始動制御、TDC始動制御、PUSH始動制御の何れかの際であると判定したときには、開度ディレー制御許否フラグFdを値0に切り替えて(ステップS240)、本処理を終了する。
ステップS200で現在の開度ディレー制御許否フラグFdが値0のとき、即ち、開度ディレー制御を禁止しているときには、始動要求が行なわれる前であるか行なわれているときであるかを判定する(ステップS250)。そして、始動要求が行なわれる前であると判定したときには、開度ディレー制御許否フラグFdを値0で保持して、本処理を終了する。
ステップS250で始動要求が行なわれているときであると判定したときには、燃料噴射制御を見込み噴射制御から計算噴射制御に移行する前であるかそのときであるか否かを判定する(ステップS260)。そして、燃料噴射制御を見込み噴射制御から計算噴射制御に移行する前であると判定したときには、開度ディレー制御許否フラグFdを値0で保持して、本処理を終了する。一方、燃料噴射制御を見込み噴射制御から計算噴射制御に移行するときであると判定したときには、開度ディレー制御許否フラグFdを値1に切り替えて(ステップS270)、本処理の繰り返しの実行を終了する。この場合、次回の停止要求の開始まで、ディレー制御許否フラグFdを値1で保持する。
図6は、停止制御やFC復帰始動制御を行なう際の様子の一例を示すタイムチャートである。図7は、停止制御やCOM始動制御を行なう際の様子の一例を示すタイムチャートである。図6や図7では、スロットルバルブ124の要求開度THtgのタイプ(逆エアモデルに基づく値、停止用の値、始動用の値の何れか)、燃料噴射制御(見込み噴射制御、計算噴射制御の何れか)、開度ディレー制御許否フラグFd、スロットルバルブ124の要求開度THtgおよび目標開度TH*、モータ30の回転数Nmgおよびエンジン22の回転数Ne、予測筒内空気量Qcyprおよび実筒内空気量Qcyacの様子を示した。
図6の例では、エンジン22の運転中に停止要求が行なわれると(時刻t11)、スロットルバルブ124の要求開度THtgを逆エアモデルに基づく値から停止用の値に移行する。このときには、開度ディレー制御許否フラグFdが値1であるから、開度ディレー制御を実行し、要求開度THtgに対して目標開度TH*をディレーを持って追従させる。そして、始動要求が行なわれてFC復帰始動制御を開始する際に(時刻t12)、要求開度THtgを停止用の値から逆エアモデルに基づく値に移行する。このときも、開度ディレー制御許否フラグFdが値1であるから、開度ディレー制御を実行し、要求開度THtgに対して目標開度TH*をディレーを持って追従させる。これらのようにして、開度ディレー制御を実行しているときには、予測筒内空気量Qcyprによって実筒内空気量Qcyacを精度よく予測(先読み)することができる。したがって、FC復帰始動制御の際の計算噴射制御において、目標噴射量Qf*をより適切に設定することができる。
図7の例では、エンジン22の運転中に停止要求が行なわれると(時刻t11)、スロットルバルブ124の要求開度THtgを逆エアモデルに基づく値から停止用の値に移行する。このときには、開度ディレー制御許否フラグFdが値1であるから、開度ディレー制御を実行し、要求開度THtgに対して目標開度TH*をディレーを持って追従させる。これにより、予測筒内空気量Qcyprによって実筒内空気量Qcyacを精度よく予測(先読み)することができる。その後に、要求開度THtgを一時的に大きくする(スロットルバルブ124を一時的に開成する)ときに(時刻t22)、開度ディレー制御許否フラグFdを値0に切り替える。開度ディレー制御許否フラグFdが値0のときには、開度ディレーカット制御を実行し、要求開度THtgに対して目標開度TH*を同一とする。これにより、要求開度THtgをより迅速に実現し、筒内空気量Qcyを要求開度THtgに対応する空気量により迅速に接近させることができる。なお、停止制御の際には、燃料噴射を行なわないため、予測筒内空気量Qcyprによる実筒内空気量Qcyacの予測精度が低下しても問題になる可能性は低いと考えられる。そして、始動要求が行なわれてCOM始動制御を開始する際に(時刻t23)、要求開度THtgを停止用の値から始動用の値に移行する。このときも、開度ディレー制御許否フラグFdが値0でるから、開度ディレーカット制御を実行し、要求開度THtgに対して目標開度TH*を同一とする。これにより、要求開度THtgをより迅速に実現し、筒内空気量Qcyを要求開度THtgに対応する空気量により迅速に接近させることができる。なお、このときには、見込み噴射制御であり、予測筒内空気量Qcyprに基づかずに目標噴射量Qf*を設定するため、予測筒内空気量Qcyprによる実筒内空気量Qcyacの予測精度が低下しても問題になる可能性は低いと考えられる。その後に、燃料噴射制御を計算噴射制御に移行するときに(時刻t24)、開度ディレー制御許否フラグFdを値1に切り替える。開度ディレー制御許否フラグFdが値1のときには、開度ディレー制御を実行し、要求開度THtgに対して目標開度TH*をディレーを持って追従させる。これにより、予測筒内空気量Qcyprによって実筒内空気量Qcyacを精度よく予測(先読み)することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド車20が備えるエンジン装置では、エンジン22について、要求開度THtgに基づく目標開度TH*を用いてスロットルバルブ124を制御する空気量制御を行なうと共に要求開度THtgに基づいてエアモデルを用いて予測筒内空気量Qcyprを演算する。そして、FC復帰始動制御の場合(最初の燃料噴射から計算噴射制御を実行する場合)には、空気量制御として、始動要求の開始から開度ディレー制御を実行する。開度ディレー制御の実行により、予測筒内空気量Qcyprによって実筒内空気量Qcyacを精度よく予測(先読み)することができる。したがって、計算噴射制御において、目標噴射量Qf*をより適切に設定することができる。また、自立COM始動制御やCOM始動制御、TDC始動制御、PUSH始動制御の場合(見込み噴射制御を実行してから計算噴射制御に移行する場合)には、空気量制御として、始動要求の開始から見込み噴射制御の終了まで開度ディレーカット制御を実行すると共に計算噴射制御に移行すると開度ディレー制御に移行する。始動要求の開始から見込み噴射制御の終了まで開度ディレーカット制御を実行することにより、要求開度THtgをより迅速に実現し、実筒内空気量Qcyacを要求開度THtgに対応する空気量により迅速に接近させることができる。なお、見込み噴射制御のときには、予測筒内空気量Qcyprに基づかない目標噴射量Qf*を用いて筒内噴射弁127を制御するから、予測筒内空気量Qcyprの予測精度が低下しても問題になる可能性が低いと考えられる。これらの結果、開度ディレー制御を実行するか開度ディレーカット制御を実行するかをより適切に選択することができる。
また、実施例のハイブリッド車20が備えるエンジン装置では、停止制御の際には、スロットルバルブ124を一時的に開成する前は開度ディレー制御を実行し、スロットルバルブ124を一時的に開成する以降は開度ディレーカット制御を実行する。これにより、スロットルバルブ124を一時的に開成する前は、空気量Qcyprによって実筒内空気量Qcyacを精度よく予測(先読み)することができる。また、スロットルバルブ124を一時的に開成するときには、要求開度THtgをより迅速に実現し、実筒内空気量Qcyacを要求開度THtgに対応する空気量により迅速に接近させることができる。
実施例のハイブリッド車20が備えるエンジン装置では、停止制御の際には、スロットルバルブ124を一時的に開成する前は開度ディレー制御を実行し、スロットルバルブ124を一時的に開成する以降は開度ディレーカット制御を実行するものとした。しかし、停止制御の際には、スロットルバルブ124を一時的に開成するか否かに拘わらずにディレー制御を実行するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド車20が備えるエンジン装置では、図5の開度ディレー制御許否フラグ設定処理を、停止要求が開始してから始動制御の際に開度ディレー制御許否フラグFdに値1を設定するまで繰り返し実行し、開度ディレー制御許否フラグ設定処理の繰り返しの実行を終了してから停止要求が開始するまでは、開度ディレー制御許否フラグFdを値1で保持するものとした。しかし、開度ディレー制御許否フラグ設定処理の繰り返しの実行を終了してから停止要求が開始するまでの間において、エンジン22の回転数Neが閾値Neref4未満に低下している間に亘って、ディレー制御許否フラグFdに値0を設定するものとしてもよい。閾値Neref4としては、エンジンストールの可能性のある回転数範囲の上限などを用いることができる。こうすれば、エンジン22の回転数Neが低下したときに、要求開度THtgをより迅速に実現し、実筒内空気量Qcyacを要求開度THtgに対応する空気量により迅速に接近させることができる。したがって、エンジン22の回転数Neが閾値Neref4未満に至って要求開度THtgを増加させた場合に、実筒内空気量Qcyacをより迅速に増加させることができる。
実施例のハイブリッド車20では、6段変速の自動変速機45を備えるものとした。しかし、4段変速や5段変速、8段変速などの自動変速機を備えるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド車20では、エンジンECU24とモータECU34とHVECU70とを備えるものとした。しかし、これらのうちの少なくとも2つを一体に構成するものとしてもよい。
実施例のエンジン装置では、ハイブリッド車20に搭載されるものとしたが、車両以外の移動体に搭載されるものとしたり、移動しない設備に組み込まれるものとしてよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、クラッチK0が「クラッチ」に相当し、モータ30が「モータ」に相当し、HVECU70とエンジンECU24とモータECU34とが「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、エンジン装置の製造産業などに利用可能である。
20 ハイブリッド車、22 エンジン、23 クランクシャフト、24 エンジンECU、25 スタータモータ、26 オルタネータ、30 モータ、30a 回転位置センサ、31 回転軸、32 インバータ、34 モータECU、40 自動変速装置、41 入力軸、41a 回転数センサ、42 出力軸、42a 回転数センサ、43 トルクコンバータ、44 変速機入力軸、44a 回転数センサ、45 自動変速機、48 デファレンシャルギヤ、49 駆動輪、60 高電圧バッテリ、61 高電圧側電力ライン、62 低電圧バッテリ、63 低電圧側電力ライン、64 DC/DCコンバータ、70 HVECU、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、87 車速センサ、122 エアクリーナ、123 吸気管、123a エアフローメータ、123t 温度センサ、124 スロットルバルブ、124a スロットルバルブポジションセンサ、125 サージタンク、125a 圧力センサ、126 ポート噴射弁、127 筒内噴射弁、128 吸気バルブ、129 燃焼室、130 点火プラグ、132 ピストン、133 排気バルブ、134 排気管、135 浄化装置、135a 浄化触媒、136 PMフィルタ、136a 差圧センサ、137 フロント空燃比センサ、138 リヤ空燃比センサ、140 クランクポジションセンサ、142 水温センサ、144 カムポジションセンサ、K0 クラッチ。
Claims (1)
- スロットルバルブおよび燃料噴射弁を有するエンジンと、
前記エンジンの出力軸にクラッチを介して接続されたモータと、
前記エンジンと前記モータと前記クラッチとを制御し、前記エンジンについて、要求開度に基づく目標開度を用いて前記スロットルバルブを制御する空気量制御と目標噴射量を用いて燃料噴射弁を制御する燃料噴射制御とを行なうと共に前記要求開度に基づいて予測筒内空気量を演算する制御装置と、
を備えるエンジン装置であって、
前記制御装置は、
前記エンジンの始動要求に伴って始動制御を実行する際に、
前記燃料噴射制御として、最初の燃料噴射から、前記予測筒内空気量に基づく目標噴射量を用いて前記燃料噴射弁を制御する計算噴射制御を実行する場合、前記空気量制御として、前記始動要求の開始から、要求開度にディレーを持たせた目標開度を用いて前記スロットルバルブを制御する開度ディレー制御を実行し、
前記燃料噴射制御として、前記予測筒内空気量に基づかない前記目標噴射量を用いて前記燃料噴射弁を制御する見込み噴射制御を実行してから前記計算噴射制御に移行する場合、前記空気量制御として、前記始動要求の開始から前記見込み噴射制御の終了まで、前記要求開度を前記目標開度として用いて前記スロットルバルブを制御する開度ディレーカット制御を実行すると共に、前記計算噴射制御を開始すると、前記開度ディレー制御に移行する、
エンジン装置。
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JP2022006086A JP2023105338A (ja) | 2022-01-19 | 2022-01-19 | エンジン装置 |
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2022
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