公知の抗HER3抗体は大きく2つのクラスに分類される。第1のクラスの抗体はHER3のドメインIおよび/またはIIIに結合し、それによってHER3へのリガンド結合を競合的に阻害する。セリバンツマブ(MM-121)はこのクラスの代表的なメンバーであり、他のメンバーには、パトリツマブ(U3-1287またはAMG-888)、ルムレツズマブ(RG-7116)、AV-203、GSK2849330およびREGN1400が含まれる。第2のクラスの抗体は、ドメインIIとIVとの間、またはドメインIIとIIIとの間の界面への結合を介して、不活性なコンフォメーションにHER3をロックする。LJM-716は、KTN3379と同様に、このクラスの代表的な例である。
本発明は、公知の抗HER3抗体と比較して、改善された特性を有する、新規のHER3結合性分子に関する。
本発明者らは、HER3の細胞外領域内の特定の目的の領域に結合する抗原結合性分子の標的化された生成を企図した。本発明のHER3結合性分子は、先行技術において開示された抗原結合性分子と比較して、所望の生物物理的および/または機能的特性の組合せを備える。
本発明の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3の細胞外領域のサブドメインII(配列番号16)に結合することができ、結合しているHER3分子の、相互作用パートナーとの会合を阻害する。
特に、本明細書で記載されるHER3結合性抗原結合性分子は、HER3のエピトープに結合し、(i)HER3の、相互作用パートナー(例えば、EGFR、HER2)との会合の強力な阻害、および(ii)NRGリガンドの存在下および非存在下の両方でのHER3への高親和性結合をもたらすことが実証される。この特性の特有の組合せにより、下流のシグナル伝達の強力な阻害、および広範ながんに対する例外的な抗がん活性がもたらされる。
HER3
HER3(例えば、ERBB3 LCCS2、MDA-BF-1としても公知である)は、UniProt P21860により同定されたタンパク質である。ヒトERBB3遺伝子によりコードされるmRNAの選択的スプライシングは、5つの異なるアイソフォーム:アイソフォーム1(UniProt:P21860-1、v1;配列番号1);141位において配列番号1と異なる配列を含み、配列番号1の183~1342位に対応するアミノ酸配列を欠く、アイソフォーム2(UniProt:P21860-2;配列番号2);配列番号1と比べた置換C331Fを含み、配列番号1の332~1342位に対応するアミノ酸配列を欠く、アイソフォーム3(UniProt:P21860-3;配列番号3);配列番号1の1~59位に対応するアミノ酸配列を欠く、アイソフォーム4(UniProt:P21860-4;配列番号4);および配列番号1の1~643位に対応するアミノ酸配列を欠く、アイソフォーム5(UniProt:P21860-5;配列番号5)をもたらす。
配列番号1~3のN末端の19アミノ酸はシグナルペプチドを構成するので、HER3アイソフォーム1、2および3(すなわち、シグナルペプチドを除去するプロセシング後)の成熟形態は、それぞれ、配列番号6、7および8に示されるアミノ酸配列を有する。
HER3の構造および機能は、例えば、ChoおよびLeahy Science(2002)297(5585):1330~1333、Singerら、Journal of Biological Chemistry(2001)276、44266~44274、Roskoskiら、Pharmacol.Res.(2014)79:34~74、BazleyおよびGullick Endocrine-Related Cancer(2005)S17~S27、ならびにMujooら、Oncotarget(2014)5(21):10222~10236に記載されており、それらの各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。HER3は、2つのロイシンリッチサブドメイン(それぞれ、配列番号15および17に示される、ドメインIおよびIII)と、2つのシステインリッチサブドメイン(それぞれ、配列番号16および18に示される、ドメインIIおよびIV)とを含む、N末端細胞外領域(配列番号9)を有する1回膜貫通型ErbB受容体チロシンキナーゼである。ドメインIIは、他のHER受容体分子との分子間相互作用に関与する、βヘアピン二量体化ループ(配列番号19)を含む。細胞外領域は、膜貫通領域(配列番号10)を介して、細胞質領域(配列番号11)へと連結される。細胞質領域は、膜近接セグメント(配列番号12)、タンパク質キナーゼドメイン(配列番号13)、およびC末端セグメント(配列番号14)を含む。
HER3を介するシグナル伝達は、受容体のホモ二量体化(すなわち、他のHER3受容体との)またはヘテロ二量体化(他のHER受容体、例えば、HER2との)と、その帰結としての、細胞質領域のチロシンのタンパク質キナーゼドメインの自己リン酸化とを伴う。リン酸化チロシン残基は、src相同性ドメイン2(SH2)またはホスホチロシン結合性(PTB)ドメインを含有する、アダプター/エフェクタータンパク質(例えば、Grb2およびホスホリパーゼCγ(PLCγ)を動員する。
HER3を介するシグナル伝達は、リガンド依存的に活性化される場合もあり、リガンド非依存的に活性化される場合もある。リガンドの非存在下では、HER3受容体分子は通常、細胞表面において、受容体の二量体化を阻止するコンフォメーションであって、サブドメインIIの二量体化ループが、サブドメインIV上のポケットと分子内接触する、コンフォメーションを伴う、単量体として発現される。ニューレグリン(NRG)、例えば、NRG1(ヘレグリン、HRGとしても公知である)またはNRG2などのHER3リガンドの細胞外領域のサブドメインIおよびIIIへの結合は、コンフォメーション変化を引き起こす結果として、サブドメインIIの二量体化ループの曝露をもたらし、受容体の二量体化およびシグナル伝達を容易とする。一部のHER3内のがん関連突然変異は、不活性の「閉鎖型」コンフォメーションの形成に要求される、サブドメインIIとIVとの相互作用を破壊し得、これにより、二量体化ループの構成的提示、およびリガンド結合の非存在下における、HER3媒介性シグナル伝達の活性化を引き起こし得る(例えば、Jaiswalら、Cancer Cell(2013)23(5):603~617を参照されたい)。
本明細書では、「HER3」とは、任意の種に由来するHER3を指し、任意の種に由来する、HER3のアイソフォーム、断片、バリアント(突然変異体を含む)、または相同体を含む。
本明細書で使用される場合、タンパク質の「断片」、「バリアント」、または「相同体」は、任意選択で、参照タンパク質(例えば、参照アイソフォーム)のアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、好ましくは、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有することとして特徴付けられ得る。一部の実施形態では、参照タンパク質の断片、バリアント、アイソフォーム、および相同体は、参照タンパク質により果たされる機能を果たす能力により特徴付けられ得る。
「断片」とは、一般に、参照タンパク質の部分を指す。「バリアント」とは、一般に、参照タンパク質のアミノ酸配列と比べて、1つまたは複数のアミノ酸の置換、挿入、欠失、または他の修飾を含むが、参照タンパク質のアミノ酸配列に対する、かなりの程度の配列同一性(例えば、少なくとも60%)を保持するアミノ酸配列を有するタンパク質を指す。「アイソフォーム」とは、一般に、参照タンパク質の種と同じ種により発現される、参照タンパク質のバリアントを指す(例えば、HER3アイソフォーム1~5は全て互いのアイソフォームである)。「相同体」とは、一般に、参照タンパク質の種と比較して、異なる種により産生される、参照タンパク質のバリアントを指す。例えば、ヒトHER3アイソフォーム1(P21860-1、v1;配列番号1)と、アカゲザルHER3(UniProt:F7HEH3-1、v2;配列番号20)とは、互いの相同体である。相同体は、オルソログを含む。
参照タンパク質の「断片」は、任意の長さ(アミノ酸の数による)であり得るが、任意選択で、参照タンパク質(すなわち、断片が由来するタンパク質)の長さの少なくとも20%であってもよく、参照タンパク質の長さの50%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のうちの1つの最大の長さを有してもよい。
HER3の断片は、10、20、30、40、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000、1100、1200アミノ酸のうちの1つの最小の長さを有してもよく、20、30、40、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、または1300アミノ酸のうちの1つの最大の長さを有してもよい。
一部の実施形態では、HER3は、哺乳動物に由来するHER3(例えば、霊長動物(アカゲザル、カニクイザル、非ヒト霊長動物、またはヒト)、および/または齧歯動物(例えば、ラットまたはマウス)のHER3)である。HER3のアイソフォーム、断片、バリアント、または相同体は、任意選択で、所与の種、例えば、ヒトに由来する、未成熟または成熟のHER3アイソフォームのアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有することとして特徴付けられ得る。
アイソフォーム、断片、バリアント、または相同体は、任意選択で、例えば、機能的特性/活性に適切なアッセイによる解析により決定する場合、参照HER3(例えば、ヒトHER3アイソフォーム1)の機能的特性/活性を有する、機能的なアイソフォーム、断片、バリアント、または相同体であり得る。例えば、HER3のアイソフォーム、断片、バリアント、または相同体は、HER2、NRG1(I、II、III、IV、V、またはVI型)、またはNRG2(αまたはβ)のうちの1つまたは複数との会合を呈し得る。
一部の実施形態では、HER3は、配列番号1~8のうちの1つに対して、少なくとも70%、好ましくは、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなる。
一部の実施形態では、HER3の断片は、配列番号9~19のうちの1つ、例えば、配列番号9、16、または19のうちの1つに対して、少なくとも70%、好ましくは、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなる。
標的分子上の特定の目的の領域
本発明の抗原結合性分子は、特定の目的のHER3の領域を標的化するように、特異的に設計された。2ステップ法では、予測される抗原性、機能、および安全性についての解析に従い、標的化されるHER3領域が選択された。次いで、標的領域に対応するペプチドを、特異的モノクローナル抗体を惹起するための免疫原として使用して、HER3の標的領域に特異的な抗体を調製し、後続するスクリーニングにより、ナイーブ状態において、HER3に結合することができる抗体を同定した。この手法は、抗体エピトープに対する精緻な制御をもたらす。
本発明の抗原結合性分子は、それらが結合するHER3の領域を参照することにより規定され得る。本発明の抗原結合性分子は、HER3の特定の目的の領域に結合し得る。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、アミノ酸の連続配列(すなわち、アミノ酸の一次配列)からなる、HER3の直鎖状エピトープに結合し得る。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、アミノ酸配列のうちのアミノ酸の不連続配列からなる、HER3のコンフォメーションエピトープに結合し得る。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、HER3に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3の細胞外領域(例えば、配列番号9に示される領域)に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3の細胞外領域のサブドメインII(例えば、配列番号16に示される領域)に結合する。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号229に示される、HER3の領域に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号229に示される、HER3の領域の1つまたは複数のアミノ酸残基に接触する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号230および231に示される、HER3の領域に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号230および231に示される、HER3の領域の1つまたは複数のアミノ酸残基に接触する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号230に示される、HER3の領域に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号230に示される、HER3の領域の1つまたは複数のアミノ酸残基に接触する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号231に示される、HER3の領域に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号231に示される、HER3の領域の1つまたは複数のアミノ酸残基に接触する。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号23に示される、HER3の領域に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号23に示される、HER3の領域の1つまたは複数のアミノ酸残基に接触する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号21に示される、HER3の領域に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号21に示される、HER3の領域の1つまたは複数のアミノ酸残基に接触する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号19に示される、HER3の領域に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号19に示される、HER3の領域の1つまたは複数のアミノ酸残基に接触する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号22に示される、HER3の領域に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号22に示される、HER3の領域の1つまたは複数のアミノ酸残基に接触する。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号1の260~279位に対応する、HER3の領域に結合しない。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号1の260~279位に対応する、HER3の領域のアミノ酸残基に接触しない。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号23に示される、HER3の領域に結合しない。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号23に示される、HER3の領域のアミノ酸残基に接触しない。
抗体が結合する、ペプチド/ポリペプチドの領域は、抗体-抗原複合体についてのX線共結晶構造解析、ペプチド走査、突然変異誘発マッピング、質量分析による水素-重水素交換解析、ファージディスプレイ、競合ELISA、およびタンパク質分解ベースの「保護」法を含む、当技術分野で周知の多様な方法を使用して、当業者により決定され得る。このような方法については、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Gershoniら、BioDrugs、2007、21(3):145~156において記載されている。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、本明細書で記載される抗体クローンである、10D1、10D1_c75、10D1_c76、10D1_c77、10D1_c78v1、10D1_c78v2、10D1_11B、10D1_c85v1、10D1_c85v2、10D1_c85o1、10D1_c85o2、10D1_c87、10D1_c89、10D1_c90、10D1_c91、10D1_c92、10D1_c93、10A6、4-35-B2、または4-35-B4のうちの1つのVH配列およびVL配列を含む抗体が結合するHER3の領域と同じHER3の領域、または重複するHER3の領域に結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、抗体クローンである、10D1_c89、10D1_c90、または10D1_c91のうちの1つのVH配列およびVL配列を含む抗体が結合するHER3の領域と同じHER3の領域、または重複するHER3の領域に結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、抗体クローンである、10D1_c89のVH配列およびVL配列を含む抗体が結合するHER3の領域と同じHER3の領域、または重複するHER3の領域に結合することができる。
本明細書で使用される場合、「ペプチド」とは、ペプチド結合により連結された、2つ以上のアミノ酸単量体による鎖を指す。ペプチドは、典型的に、領域内に、約2~50アミノ酸の長さを有する。「ポリペプチド」とは、2つ以上のペプチドによるポリマー鎖である。ポリペプチドは、典型的に、約50アミノ酸を超える長さを有する。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、配列番号1、3、4、6、または8のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドに結合することができる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号9のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号16のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドに結合することができる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号229のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるペプチド/ポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号230および231のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるペプチド/ポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号230のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるペプチド/ポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号231のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるペプチド/ポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号23のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるペプチド/ポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるペプチド/ポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号19のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるペプチド/ポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号22のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるペプチド/ポリペプチドに結合することができる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号1の260~279位に対応するアミノ酸配列からなるペプチドに結合することができない。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号23のアミノ酸配列からなるペプチドに結合することができない。
抗原結合性分子が、所与のペプチド/ポリペプチドに結合する能力は、ELISA、免疫ブロット(例えば、ウェスタンブロット)、免疫沈降、表面プラズモン共鳴(SPR;例えば、Heartyら、Methods Mol Biol(2012)907:411~442を参照されたい)、またはバイオレイヤー干渉法(例えば、Ladら、(2015)J Biomol Screen 20(4):498~507を参照されたい)による解析を含む、当業者に周知の方法により解析され得る。
抗原結合性分子が、参照アミノ酸配列を含むペプチド/ポリペプチドに結合することができる実施形態では、ペプチド/ポリペプチドは、参照アミノ酸配列の一方または両方の末端において、1つまたは複数のさらなるアミノ酸を含み得る。一部の実施形態では、ペプチド/ポリペプチドは、参照アミノ酸配列の一方または両方の末端において、例えば、1~5、1~10、1~20、1~30、1~40、1~50、5~10、5~20、5~30、5~40、5~50、10~20、10~30、10~40、10~50、20~30、20~40、または20~50のさらなるアミノ酸を含む。
一部の実施形態では、HER3のアミノ酸配列の文脈では、参照配列の一方または両方の末端(すなわち、N末端およびC末端)においてもたらされる、さらなるアミノ酸は、参照配列の末端における位置に対応する。例を目的として述べると、抗原結合性分子が、配列番号23の配列、および配列番号23のC末端における、さらなる2つのアミノ酸を含むペプチドに結合することができる場合、さらなる2つのアミノ酸は、配列番号1の278および279位に対応する、スレオニンおよびリジンであり得る。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、本明細書で記載される抗体クローンである、10D1、10D1_c75、10D1_c76、10D1_c77、10D1_c78v1、10D1_c78v2、10D1_11B、10D1_c85v1、10D1_c85v2、10D1_c85o1、10D1_c85o2、10D1_c87、10D1_c89、10D1_c90、10D1_c91、10D1_c92、10D1_c93、10A6、4-35-B2、または4-35-B4のうちの1つのVHおよびVL配列を含む抗体が結合するペプチド/ポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、抗体クローンである、10D1_c89、10D1_c90、または10D1_c91のうちの1つのVHおよびVL配列を含む抗体が結合するペプチド/ポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、抗体クローンである、10D1_c89のVHおよびVL配列を含む抗体が結合するペプチド/ポリペプチドに結合することができる。
抗原結合性分子
本発明は、HER3に結合することができる抗原結合性分子を提供する。
「抗原結合性分子」とは、標的抗原に結合することができる分子を指し、それらが、関連する標的分子への結合を呈する限りにおいて、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一特異性抗体および多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)、ならびに抗体断片(例えば、Fv、scFv、Fab、scFab、F(ab’)2、Fab2、ダイアボディー、トリアボディー、scFv-Fc、ミニボディー、単一ドメイン抗体(例えば、VhH)など)を包含する。
本発明の抗原結合性分子は、標的抗原に結合することができる部分を含む。一部の実施形態では、標的抗原に結合することができる部分は、標的抗原に特異的に結合することができる抗体の抗体重鎖可変領域(VH)と、抗体軽鎖可変領域(VL)とを含む。一部の実施形態では、標的抗原に結合することができる部分は、標的抗原に結合することできるアプタマー、例えば、核酸アプタマー(例えば、ZhouおよびRossi Nat Rev Drug Discov.2017 16(3):181~202に概説されている)を含むか、またはこれらからなる。一部の実施形態では、標的抗原に結合することができる部分は、抗原結合性ペプチド/ポリペプチド、例えば、ペプチドアプタマー、チオレドキシン、モノボディー、アンチカリン、Kunitzドメイン、アビマー(avimer)、ノッティン(knottin)、フィノマー(fynomer)、アトリマー(atrimer)、DARPin、アフィボディー、ナノボディー(すなわち、単一ドメイン抗体(sdAb))、アフィリン、アルマジロリピートタンパク質(ArmRP)、OBody、またはフィブロネクチン(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Reverdattoら、Curr Top Med Chem.、2015;15(12):1082~1101に概説されている(例えば、Boersmaら、J Biol Chem(2011)286:41273~85およびEmanuelら、Mabs(20113:38~48もまた参照されたい))を含むか、またはこれらからなる。
本発明の抗原結合性分子は、一般に、標的抗原に特異的に結合することができる抗体のVHおよびVLを含む、抗原結合性ドメインを含む。本明細書では、VHおよびVLにより形成される抗原結合性ドメインはまた、Fv領域とも称され得る。
抗原結合性分子は、抗原結合性ポリペプチド、または抗原結合性ポリペプチド複合体であってもよいか、またはこれらを含んでもよい。抗原結合性分子は、併せて、抗原結合性ドメインを形成する、1つを超えるポリペプチドを含んでもよい。ポリペプチドは、共有結合的に会合する場合もあり、非共有結合的に会合する場合もある。一部の実施形態では、ポリペプチドは、ポリペプチドを含む、より大型ポリペプチドの一部を形成する(例えば、VHおよびVLを含むscFvの場合、またはVH-CH1およびVL-CLを含むscFabの場合)。
抗原結合性分子は、1つを超えるポリペプチド(例えば、2つ、3つ、4つ、6つ、または8つのポリペプチド)、例えば、2つの重鎖ポリペプチドと、2つの軽鎖ポリペプチドとを含む、IgG様抗原結合性分子の非共有結合的または共有結合的複合体を指す場合がある。
本発明の抗原結合性分子は、HER3に結合することができるモノクローナル抗体(mAb)の配列を使用して、設計および調製され得る。単鎖可変断片(scFv)、Fab、およびF(ab’)2断片などの抗体の抗原結合性領域もまた、使用され得る/もたらされ得る。「抗原結合性領域」とは、所与の抗体が特異的である標的に結合することができる抗体の任意の断片である。
抗体は、一般に、重鎖可変(VH)領域内の3つ:HC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3、ならびに軽鎖可変(VL)領域内の3つ:LC-CDR1、LC-CDR2、およびLC-CDR3である、6つの相補性決定領域であるCDRを含む。6つのCDRは、併せて、標的抗原に結合する抗体の部分である抗体のパラトープを規定する。
VH領域およびVL領域は、各CDRのいずれの側にも、CDRのための足場をもたらすフレームワーク領域(FR)を含む。N末端からC末端へと、VH領域は以下の構造:N末端-[HC-FR1]-[HC-CDR1]-[HC-FR2]-[HC-CDR2]-[HC-FR3]-[HC-CDR3]-[HC-FR4]-C末端を含み、VL領域は、以下の構造:N末端-[LC-FR1]-[LC-CDR1]-[LC-FR2]-[LC-CDR2]-[LC-FR3]-[LC-CDR3]-[LC-FR4]-C末端を含む。
Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th Ed.Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD(1991)、Chothiaら、J.Mol.Biol.196:901~917(1987)に記載されているもの、ならびにRetterら、Nucl.Acids Res.(2005)33(suppl 1):D671~D674に記載されているVBASE2などの、抗体のCDRおよびFRを規定するためのいくつかの異なる慣例が存在する。本明細書で記載される抗体クローンのVH領域およびVL領域のCDRおよびFRは、Lefrancら、Dev.Comp.Immunol.(2003)27:55~77に記載されているIMGT Vドメイン番号付け規則を使用する、国際的IMGT(ImMunoGeneTics)情報システム(LeFrancら、Nucleic Acids Res.(2015)43(Database issue):D413~22)に従い規定された。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3に結合することができる抗原結合性分子のCDRを含む。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3に結合することができる抗原結合性分子のFRを含む。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3に結合することができる抗原結合性分子のCDRおよびFRを含む。すなわち、一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3に結合することができる抗原結合性分子のVH領域およびVL領域を含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、本明細書で記載されるHER3結合性抗体クローン(すなわち、抗HER3抗体クローンである、10D1_c75、10D1_c76、10D1_c77、10D1_c78v1、10D1_c78v2、10D1_11B、10D1_c85v1、10D1_c85v2、10D1_c85o1、10D1_c85o2、10D1_c87、10D1_c89、10D1_c90、10D1_c91、10D1_c92、10D1_c93、10D1、10A6、4-35-B2、または4-35-B4;例えば、10D1_c89、10D1_c90、または10D1_c91;例えば、10D1_c89)のVH/VL領域であるか、またはこれらに由来する、VH領域およびVL領域を含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、下記の(1)~(10)のうちの1つに従うVH領域を含む。
(1)(10D1由来)以下のCDR:
配列番号43のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号46のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号51のアミノ酸配列を有するHC-CDR3、
またはHC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(2)(10D1、10D1_c75、10D1_c76、10D1_c77、10D1_c78v1、10D1_c78v2、10D1_11B、10D1_c87、10D1_c92、10D1_c93)以下のCDR:
配列番号41のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号44のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号47のアミノ酸配列を有するHC-CDR3、
またはHC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(3)(10D1_c85v1、10D1_c85v2)以下のCDR:
配列番号41のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号45のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号47のアミノ酸配列を有するHC-CDR3、
またはHC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(4)(10D1_c85o1)以下のCDR:
配列番号41のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号45のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号49のアミノ酸配列を有するHC-CDR3、
またはHC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(5)(10D1_c85o2)以下のCDR:
配列番号41のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号45のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号50のアミノ酸配列を有するHC-CDR3、
またはHC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(6)(10D1_c89、10D1_c90)以下のCDR:
配列番号41のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号45のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号48のアミノ酸配列を有するHC-CDR3、
またはHC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(7)(10D1_c91)以下のCDR:
配列番号42のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号45のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号48のアミノ酸配列を有するHC-CDR3、
またはHC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(8)(10A6)以下のCDR:
配列番号158のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号159のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号160のアミノ酸配列を有するHC-CDR3、
またはHC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(9)(4-35-B2)以下のCDR:
配列番号128のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号129のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号130のアミノ酸配列を有するHC-CDR3、
またはHC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(10)(4-35-B4)以下のCDR:
配列番号144のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号145のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号146のアミノ酸配列を有するHC-CDR3、
またはHC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、下記の(11)~(24)のうちの1つに従うVH領域を含む。
(11)(10D1)以下のFR:
配列番号55のアミノ酸配列を有するHC-FR1
配列番号58のアミノ酸配列を有するHC-FR2
配列番号69のアミノ酸配列を有するHC-FR3
配列番号73のアミノ酸配列を有するHC-FR4、
またはHC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、もしくはHC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(12)(10D1_c75、10D1_c92)以下のFR:
配列番号52のアミノ酸配列を有するHC-FR1
配列番号56のアミノ酸配列を有するHC-FR2
配列番号61のアミノ酸配列を有するHC-FR3
配列番号70のアミノ酸配列を有するHC-FR4、
またはHC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、もしくはHC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(13)(10D1_c76、10D1_c77、10D1_c78v1)以下のFR:
配列番号52のアミノ酸配列を有するHC-FR1
配列番号56のアミノ酸配列を有するHC-FR2
配列番号62のアミノ酸配列を有するHC-FR3
配列番号70のアミノ酸配列を有するHC-FR4、
またはHC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、もしくはHC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(14)(10D1_c78v2)以下のFR:
配列番号52のアミノ酸配列を有するHC-FR1
配列番号57のアミノ酸配列を有するHC-FR2
配列番号62のアミノ酸配列を有するHC-FR3
配列番号70のアミノ酸配列を有するHC-FR4、
またはHC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、もしくはHC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(15)(10D1_11B)以下のFR:
配列番号224のアミノ酸配列を有するHC-FR1
配列番号60のアミノ酸配列を有するHC-FR2
配列番号63のアミノ酸配列を有するHC-FR3
配列番号70のアミノ酸配列を有するHC-FR4、
またはHC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、もしくはHC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(16)(10D1_c85v1)以下のFR:
配列番号52のアミノ酸配列を有するHC-FR1
配列番号56のアミノ酸配列を有するHC-FR2
配列番号64のアミノ酸配列を有するHC-FR3
配列番号70のアミノ酸配列を有するHC-FR4、
またはHC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、もしくはHC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(17)(10D1_c85v2、10D1_c85o1、10D1_c85o2)以下のFR:
配列番号52のアミノ酸配列を有するHC-FR1
配列番号57のアミノ酸配列を有するHC-FR2
配列番号64のアミノ酸配列を有するHC-FR3
配列番号70のアミノ酸配列を有するHC-FR4、
またはHC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、もしくはHC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(18)(10D1_c87、10D1_c93)以下のFR:
配列番号52のアミノ酸配列を有するHC-FR1
配列番号56のアミノ酸配列を有するHC-FR2
配列番号65のアミノ酸配列を有するHC-FR3
配列番号70のアミノ酸配列を有するHC-FR4、
またはHC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、もしくはHC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(19)(10D1_c89)以下のFR:
配列番号53のアミノ酸配列を有するHC-FR1
配列番号59のアミノ酸配列を有するHC-FR2
配列番号66のアミノ酸配列を有するHC-FR3
配列番号71のアミノ酸配列を有するHC-FR4、
またはHC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、もしくはHC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(20)(10D1_c90)以下のFR:
配列番号54のアミノ酸配列を有するHC-FR1
配列番号59のアミノ酸配列を有するHC-FR2
配列番号67のアミノ酸配列を有するHC-FR3
配列番号71のアミノ酸配列を有するHC-FR4、
またはHC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、もしくはHC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(21)(10D1_c91)以下のFR:
配列番号53のアミノ酸配列を有するHC-FR1
配列番号59のアミノ酸配列を有するHC-FR2
配列番号68のアミノ酸配列を有するHC-FR3
配列番号72のアミノ酸配列を有するHC-FR4、
またはHC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、もしくはHC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(22)(10A6)以下のFR:
配列番号161のアミノ酸配列を有するHC-FR1
配列番号162のアミノ酸配列を有するHC-FR2
配列番号163のアミノ酸配列を有するHC-FR3
配列番号73のアミノ酸配列を有するHC-FR4、
またはHC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、もしくはHC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(23)(4-35-B2)以下のFR:
配列番号131のアミノ酸配列を有するHC-FR1
配列番号132のアミノ酸配列を有するHC-FR2
配列番号133のアミノ酸配列を有するHC-FR3
配列番号134のアミノ酸配列を有するHC-FR4、
またはHC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、もしくはHC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
(24)(4-35-B4)以下のFR:
配列番号147のアミノ酸配列を有するHC-FR1
配列番号148のアミノ酸配列を有するHC-FR2
配列番号149のアミノ酸配列を有するHC-FR3
配列番号73のアミノ酸配列を有するHC-FR4、
またはHC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、もしくはHC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVH領域。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、上記の(1)~(10)のうちの1つに従うCDRと、上記の(11)~(24)のうちの1つに従うFRとを含む、VH領域を含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、下記の(25)~(41)のうちの1つに従うVH領域を含む。
(25)(1)に従うCDRと、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、または(21)に従うFRとを含む、VH領域。
(26)(2)に従うCDRと、(11)に従うFRとを含む、VH領域。
(27)(2)に従うCDRと、(12)に従うFRとを含む、VH領域。
(28)(2)に従うCDRと、(13)に従うFRとを含む、VH領域。
(29)(2)に従うCDRと、(14)に従うFRとを含む、VH領域。
(30)(2)に従うCDRと、(15)に従うFRとを含む、VH領域。
(31)(2)に従うCDRと、(18)に従うFRとを含む、VH領域。
(32)(3)に従うCDRと、(16)に従うFRとを含む、VH領域。
(33)(3)に従うCDRと、(17)に従うFRとを含む、VH領域。
(34)(4)に従うCDRと、(17)に従うFRとを含む、VH領域。
(35)(5)に従うCDRと、(17)に従うFRとを含む、VH領域。
(36)(6)に従うCDRと、(19)に従うFRとを含む、VH領域。
(37)(6)に従うCDRと、(20)に従うFRとを含む、VH領域。
(38)(7)に従うCDRと、(21)に従うFRとを含む、VH領域。
(39)(8)に従うCDRと、(22)に従うFRとを含む、VH領域。
(40)(9)に従うCDRと、(23)に従うFRとを含む、VH領域。
(41)(10)に従うCDRと、(24)に従うFRとを含む、VH領域。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、下記の(42)~(61)のうちの1つに従うVH領域を含む。
(42)配列番号24のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(43)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(44)配列番号26のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(45)配列番号27のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(46)配列番号28のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(47)配列番号29のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(48)配列番号30のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(49)配列番号31のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(50)配列番号32のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(51)配列番号33のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(52)配列番号34のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(53)配列番号35のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(54)配列番号36のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(55)配列番号37のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(56)配列番号38のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(57)配列番号39のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(58)配列番号40のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(59)配列番号127のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(60)配列番号143のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(61)配列番号157のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVH領域。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、下記の(62)~(71)のうちの1つに従うVL領域を含む。
(62)(10D1由来)以下のCDR:
配列番号91のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号94のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号99のアミノ酸配列を有するLC-CDR3;
またはLC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(63)(10D1、10D1_c75、10D1_c78v1、10D1_c78v2、10D1_11B、10D1_c87、10D1_c89、10D1_c91、10D1_c93)以下のCDR:
配列番号88のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号92のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号95のアミノ酸配列を有するLC-CDR3;
またはLC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(64)(10D1_c76)以下のCDR:
配列番号89のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号92のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号95のアミノ酸配列を有するLC-CDR3;
またはLC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(65)(10D1_c77)以下のCDR:
配列番号90のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号92のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号96のアミノ酸配列を有するLC-CDR3;
またはLC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(66)(10D1_c85v1、10D1_c85v2、10D1_c85o1、10D1_c85o2)以下のCDR:
配列番号88のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号93のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号95のアミノ酸配列を有するLC-CDR3;
またはLC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(67)(10D1_c90)以下のCDR:
配列番号88のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号92のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号97のアミノ酸配列を有するLC-CDR3;
またはLC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(68)(10D1_c92)以下のCDR:
配列番号88のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号92のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号98のアミノ酸配列を有するLC-CDR3;
またはLC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(69)(10A6)以下のCDR:
配列番号165のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号166のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号167のアミノ酸配列を有するLC-CDR3;
またはLC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(70)(4-35-B2)以下のCDR:
配列番号136のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号137のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号138のアミノ酸配列を有するLC-CDR3;
またはLC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(71)(4-35-B4)以下のCDR:
配列番号151のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号152のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号153のアミノ酸配列を有するLC-CDR3;
またはLC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、下記の(72)~(86)のうちの1つに従うVL領域を含む。
(72)(10D1)以下のFR:
配列番号106のアミノ酸配列を有するLC-FR1
配列番号113のアミノ酸配列を有するLC-FR2
配列番号123のアミノ酸配列を有するLC-FR3
配列番号126のアミノ酸配列を有するLC-FR4、
またはLC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、もしくはLC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(73)(10D1_c75)以下のFR:
配列番号100のアミノ酸配列を有するLC-FR1
配列番号107のアミノ酸配列を有するLC-FR2
配列番号114のアミノ酸配列を有するLC-FR3
配列番号124のアミノ酸配列を有するLC-FR4、
またはLC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、もしくはLC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(74)(10D1_c76)以下のFR:
配列番号101のアミノ酸配列を有するLC-FR1
配列番号108のアミノ酸配列を有するLC-FR2
配列番号115のアミノ酸配列を有するLC-FR3
配列番号124のアミノ酸配列を有するLC-FR4、
またはLC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、もしくはLC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(75)(10D1_c77)以下のFR:
配列番号102のアミノ酸配列を有するLC-FR1
配列番号108のアミノ酸配列を有するLC-FR2
配列番号116のアミノ酸配列を有するLC-FR3
配列番号124のアミノ酸配列を有するLC-FR4、
またはLC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、もしくはLC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(76)(10D1_c78v1、10D1_c78v2、10D1_11B)以下のFR:
配列番号103のアミノ酸配列を有するLC-FR1
配列番号108のアミノ酸配列を有するLC-FR2
配列番号117のアミノ酸配列を有するLC-FR3
配列番号124のアミノ酸配列を有するLC-FR4、
またはLC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、もしくはLC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(77)(10D1_c85v1、10D1_c85v2、10D1_c85o1、10D1_c85o2)以下のFR:
配列番号103のアミノ酸配列を有するLC-FR1
配列番号108のアミノ酸配列を有するLC-FR2
配列番号118のアミノ酸配列を有するLC-FR3
配列番号124のアミノ酸配列を有するLC-FR4、
またはLC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、もしくはLC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(78)(10D1_c87)以下のFR:
配列番号103のアミノ酸配列を有するLC-FR1
配列番号109のアミノ酸配列を有するLC-FR2
配列番号119のアミノ酸配列を有するLC-FR3
配列番号124のアミノ酸配列を有するLC-FR4、
またはLC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、もしくはLC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(79)(10D1_c89)以下のFR:
配列番号104のアミノ酸配列を有するLC-FR1
配列番号110のアミノ酸配列を有するLC-FR2
配列番号120のアミノ酸配列を有するLC-FR3
配列番号125のアミノ酸配列を有するLC-FR4、
またはLC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、もしくはLC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(80)(10D1_c90)以下のFR:
配列番号105のアミノ酸配列を有するLC-FR1
配列番号110のアミノ酸配列を有するLC-FR2
配列番号121のアミノ酸配列を有するLC-FR3
配列番号124のアミノ酸配列を有するLC-FR4、
またはLC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、もしくはLC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(81)(10D1_c91)以下のFR:
配列番号104のアミノ酸配列を有するLC-FR1
配列番号111のアミノ酸配列を有するLC-FR2
配列番号122のアミノ酸配列を有するLC-FR3
配列番号125のアミノ酸配列を有するLC-FR4、
またはLC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、もしくはLC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(82)(10D1_c92)以下のFR:
配列番号100のアミノ酸配列を有するLC-FR1
配列番号112のアミノ酸配列を有するLC-FR2
配列番号114のアミノ酸配列を有するLC-FR3
配列番号124のアミノ酸配列を有するLC-FR4、
またはLC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、もしくはLC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(83)(10D1_c93)以下のFR:
配列番号103のアミノ酸配列を有するLC-FR1
配列番号108のアミノ酸配列を有するLC-FR2
配列番号119のアミノ酸配列を有するLC-FR3
配列番号124のアミノ酸配列を有するLC-FR4、
またはLC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、もしくはLC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(84)(10A6)以下のFR:
配列番号168のアミノ酸配列を有するLC-FR1
配列番号169のアミノ酸配列を有するLC-FR2
配列番号170のアミノ酸配列を有するLC-FR3
配列番号142のアミノ酸配列を有するLC-FR4、
またはLC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、もしくはLC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(85)(4-35-B2)以下のFR:
配列番号139のアミノ酸配列を有するLC-FR1
配列番号140のアミノ酸配列を有するLC-FR2
配列番号141のアミノ酸配列を有するLC-FR3
配列番号142のアミノ酸配列を有するLC-FR4、
またはLC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、もしくはLC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
(86)(4-35-B4)以下のFR:
配列番号154のアミノ酸配列を有するLC-FR1
配列番号155のアミノ酸配列を有するLC-FR2
配列番号156のアミノ酸配列を有するLC-FR3
配列番号142のアミノ酸配列を有するLC-FR4、
またはLC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、もしくはLC-FR4のうちの1つもしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている、これらのバリアントを組み込んでいるVL領域。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、上記の(62)~(71)のうちの1つに従うCDRと、上記の(72)~(86)のうちの1つに従うFRとを含む、VL領域を含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、下記の(87)~(102)のうちの1つに従うVL領域を含む。
(87)(62)に従うCDRと、(72)、(73)、(74)、(75)、(76)、(77)、(78)、(79)、(80)、(81)、(82)、または(83)に従うFRとを含む、VL領域。
(88)(63)に従うCDRと、(72)に従うFRとを含む、VL領域。
(89)(63)に従うCDRと、(73)に従うFRとを含む、VL領域。
(90)(63)に従うCDRと、(76)に従うFRとを含む、VL領域。
(91)(63)に従うCDRと、(78)に従うFRとを含む、VL領域。
(92)(63)に従うCDRと、(79)に従うFRとを含む、VL領域。
(93)(63)に従うCDRと、(81)に従うFRとを含む、VL領域。
(94)(63)に従うCDRと、(83)に従うFRとを含む、VL領域。
(95)(64)に従うCDRと、(74)に従うFRとを含む、VL領域。
(96)(65)に従うCDRと、(75)に従うFRとを含む、VL領域。
(97)(66)に従うCDRと、(77)に従うFRとを含む、VL領域。
(98)(67)に従うCDRと、(80)に従うFRとを含む、VL領域。
(99)(68)に従うCDRと、(82)に従うFRとを含む、VL領域。
(100)(69)に従うCDRと、(84)に従うFRとを含む、VL領域。
(101)(70)に従うCDRと、(85)に従うFRとを含む、VL領域。
(102)(71)に従うCDRと、(86)に従うFRとを含む、VL領域。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、下記の(103)~(119)のうちの1つに従うVL領域を含む。
(103)配列番号74のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(104)配列番号75のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(105)配列番号76のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(106)配列番号77のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(107)配列番号78のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(108)配列番号79のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(109)配列番号80のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(110)配列番号81のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(111)配列番号82のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(112)配列番号83のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(113)配列番号84のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(114)配列番号85のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(115)配列番号86のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(116)配列番号87のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(117)配列番号135のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(118)配列番号150のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(119)配列番号164のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むVL領域。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、上記の(1)~(61)のうちのいずれか1つに従うVH領域と、上記の(62)~(119)のうちのいずれか1つに従うVL領域とを含む。
1つまたは複数のアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される本発明に従う実施形態では、置換は、例えば、以下の表に従う、保存的置換であり得る。一部の実施形態では、中欄の同じブロック内のアミノ酸が置換される。一部の実施形態では、最も右の欄の同じ連なりのアミノ酸が置換される。
一部の実施形態では、置換は機能的に保存的であり得る。すなわち、一部の実施形態では、置換は、同等の非置換分子と比較して置換を含む抗原結合性分子の1つまたは複数の機能的特性(例えば、標的への結合)に影響を及ぼさない場合がある(または実質的に影響を及ぼさない場合がある)。
抗体の抗原結合性領域のVHおよびVL領域は、併せて、Fv領域を構成する。一部の実施形態では、本発明に従う抗原結合性分子は、HER3に結合するFv領域を含むか、またはこれからなる。一部の実施形態では、FvのVHおよびVL領域は、リンカー領域により接合された、単一のポリペプチド、すなわち、単鎖Fv(scFv)として提供される。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、免疫グロブリンの重鎖定常配列の1つまたは複数の領域を含む。一部の実施形態では、免疫グロブリンの重鎖定常配列は、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、IgA(例えば、IgA1、IgA2)、IgD、IgE、またはIgMの重鎖定常配列であるか、またはこれらに由来する。
一部の実施形態では、免疫グロブリンの重鎖定常配列は、ヒト免疫グロブリンG1定常(IGHG1;UniProt:P01857-1、v1;配列番号171)である。配列番号171の1~98位は、CH1領域(配列番号172)を形成する。配列番号171の99~110位は、CH1とCH2領域との間のヒンジ領域(配列番号173)を形成する。配列番号171の111~223位は、CH2領域(配列番号174)を形成する。配列番号171の224~330位は、CH3領域(配列番号175)を形成する。
例示される抗原結合性分子は、CH3領域内に置換D356E、L358M(EU番号付けに従い番号付けされた位置)を含む、pFUSE-CHIg-hG1を使用して調製され得る。pFUSE-CHIg-hG1によりコードされるCH3領域のアミノ酸配列を配列番号176に示す。CH3領域は、本明細書で記載される抗原結合性分子のFc領域への修飾に従い、さらなる置換を施され得ることが理解されるであろう。
一部の実施形態では、CH1領域は、配列番号172の配列、または配列番号172のアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、好ましくは、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有する配列を含むか、またはこれらからなる。一部の実施形態では、CH1-CH2間のヒンジ領域は、配列番号173の配列、または配列番号173のアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、好ましくは、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有する配列を含むか、またはこれらからなる。一部の実施形態では、CH2領域は、配列番号174の配列、または配列番号174のアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、好ましくは、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有する配列を含むか、またはこれらからなる。一部の実施形態では、CH3領域は、配列番号175もしくは176の配列、または配列番号175もしくは176のアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、好ましくは、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有する配列を含むか、またはこれらからなる。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、免疫グロブリンの軽鎖定常配列の1つまたは複数の領域を含む。一部の実施形態では、免疫グロブリンの軽鎖定常配列は、ヒト免疫グロブリンカッパ定常(IGKC;Cκ;UniProt:P01834-1、v2;配列番号177)である。一部の実施形態では、免疫グロブリンの軽鎖定常配列は、ヒト免疫グロブリンラムダ定常(IGLC;Cλ)、例えば、IGLC1、IGLC2、IGLC3、IGLC6、またはIGLC7である。一部の実施形態では、CL領域は、配列番号177の配列、または配列番号177のアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、好ましくは、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有する配列を含むか、またはこれらからなる。
抗体の抗原結合性領域のVLおよび軽鎖定常(CL)領域、ならびにVH領域および重鎖定常1(CH1)領域は、併せて、Fab領域を構成する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、VH、CH1、VL、およびCL(例えば、CκまたはCλ)を含むFab領域を含む。一部の実施形態では、Fab領域は、VHとCH1とを含むポリペプチド(例えば、VH-CH1融合ポリペプチド)、およびVLとCLとを含むポリペプチド(例えば、VL-CL融合ポリペプチド)を含む。一部の実施形態では、Fab領域は、VHとCLとを含むポリペプチド(例えば、VH-CL融合ポリペプチド)、およびVLとCHとを含むポリペプチド(例えば、VL-CH1融合ポリペプチド)を含み、すなわち、一部の実施形態では、Fab領域は、CrossFab領域である。一部の実施形態では、FabまたはCrossFabのVH、CH1、VL、およびCL領域は、リンカー領域により接合された、単一のポリペプチド、すなわち、単鎖Fab(scFab)または単鎖CrossFab(scCrossFab)として提供される。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、HER3に結合するFab領域を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、本明細書で記載される抗原結合性分子は、HER3に結合する全抗体を含むか、またはこれからなる。本明細書で使用される場合、「全抗体」とは、免疫グロブリン(Ig)の構造と、実質的に同様の構造を有する抗体を指す。異なる種類の免疫グロブリン、およびそれらの構造は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、SchroederおよびCavacini、J Allergy Clin Immunol.(2010)125(202):S41~S52に記載されている。
G型の免疫グロブリン(すなわち、IgG)は、2つの重鎖と、2つの軽鎖とを含む、約150kDaの糖タンパク質である。N末端からC末端へと、重鎖は、VHに続き、3つの定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)を含む、重鎖定常領域を含み、同様に、軽鎖は、VLに続き、CLを含む。重鎖に応じて、免疫グロブリンは、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、IgA(例えば、IgA1、IgA2)、IgD、IgE、またはIgMと分類され得る。軽鎖は、カッパ(κ)の場合もあり、ラムダ(λ)の場合もある。
一部の実施形態では、本明細書で記載される抗原結合性分子は、HER3に結合するIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、IgA(例えば、IgA1、IgA2)、IgD、IgE、またはIgMを含むか、またはこれらからなる。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、HER3に対して少なくとも一価の結合である。結合価とは、所与の抗原決定基についての抗原結合性分子内の結合性部位の数を指す。したがって、一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3に対する少なくとも1つの結合性部位を含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3に対する、1つを超える結合性部位、例えば、2つ、3つ、または4つの結合性部位を含む。結合性部位は、同じ場合もあり、異なる場合もある。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3に対して、例えば、二価、三価、または四価である。
本発明の態様は、多特異性の抗原結合性分子に関する。「多特異性」とは、抗原結合性分子が、1つを超える標的への特異的結合を呈することを意味する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、二特異性の抗原結合性分子である。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、少なくとも2つの異なる抗原結合性ドメイン(すなわち、例えば、同一でないVHおよびVLを含む、少なくとも2つの抗原結合性ドメイン)を含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3、および別の標的(例えば、HER3以外の抗原)に結合するので、少なくとも二特異性である。「二特異性」という用語は、抗原結合性分子が、少なくとも2つの別個の抗原決定基に特異的に結合することができることを意味する。
本発明に従う抗原結合性分子(例えば、多特異性抗原結合性分子)は、抗原結合性分子が特異的である標的に結合することができる抗原結合性分子を含み得ることが理解されるであろう。例えば、HER3およびHER3以外の抗原に結合することができる抗原結合性分子は、(i)HER3に結合することができる抗原結合性分子、および(ii)HER3以外の抗原に結合することができる抗原結合性分子を含み得る。
また、本発明に従う抗原結合性分子(例えば、多特異性抗原結合性分子)は、抗原結合性分子が特異的である標的に結合することができる、抗原結合性ポリペプチド、または抗原結合性ポリペプチド複合体を含み得ることも理解されるであろう。例えば、本発明に従う抗原結合性分子は、例えば、(i)軽鎖ポリペプチド(構造VL-CLを含む)と、重鎖ポリペプチド(構造VH-CH1-CH2-CH3を含む)とを含む、HER3に結合することができる抗原結合性ポリペプチド複合体、および(ii)軽鎖ポリペプチド(構造VL-CLを含む)と、重鎖ポリペプチド(構造VH-CH1-CH2-CH3を含む)とを含む、HER3以外の抗原に結合することができる抗原結合性ポリペプチド複合体を含み得る。
一部の実施形態では、より大型の抗原結合性分子(例えば、多特異性抗原結合性分子)の構成要素である抗原結合性分子は、より大型の抗原結合性分子の、例えば、「抗原結合性ドメイン」または「抗原結合性領域」と称され得る。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3に結合することができる抗原結合性分子と、HER3以外の抗原に結合することができる抗原結合性分子とを含む。一部の実施形態では、HER3以外の抗原は、免疫細胞の表面分子である。一部の実施形態では、HER3以外の抗原は、がん細胞抗原である。一部の実施形態では、HER3以外の抗原は、受容体分子、例えば、細胞表面受容体である。一部の実施形態では、HER3以外の抗原は、細胞シグナル伝達分子、例えば、サイトカイン、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、またはリンホカインである。一部の実施形態では、HER3以外の抗原は、増殖因子またはホルモンである。
がん細胞抗原は、がん細胞により発現または過剰発現される抗原である。がん細胞抗原は、任意のペプチド/ポリペプチド、糖タンパク質、リポタンパク質、グリカン、糖脂質、脂質、またはこれらの断片であり得る。がん細胞抗原の発現は、がんと関連し得る。がん細胞抗原は、がん細胞により異常に発現される場合もあり(例えば、がん細胞抗原は、異常な局在化を伴って発現され得る)、またはがん細胞による異常な構造を伴って発現される場合もある。がん細胞抗原は、免疫応答を誘発することが可能であり得る。一部の実施形態では、抗原は、がん細胞の細胞表面において発現される(すなわち、がん細胞抗原は、がん細胞表面抗原である)。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗原結合性分子が結合する、抗原の部分は、がん細胞の外部表面上に呈示される(すなわち、細胞外にある)。がん細胞抗原は、がん関連抗原であり得る。一部の実施形態では、がん細胞抗原は、その発現が、がんの発症、進行、または症状の重症度と関連する抗原である。がん関連抗原は、がんの原因または病理と関連する場合もあり、がんの帰結として、異常に発現される場合もある。一部の実施形態では、がん細胞抗原は、その発現が、がんの細胞により、例えば、同等な非がん性細胞(例えば、同じ組織/細胞型に由来する、非がん性細胞)による発現レベルと比較して、上方調節される(例えば、RNAレベルおよび/またはタンパク質レベルで)抗原である。一部の実施形態では、がん関連抗原は、がん性細胞により優先的に発現され、同等な非がん性細胞(例えば、同じ組織/細胞型に由来する、非がん性細胞)により発現されない場合がある。一部の実施形態では、がん関連抗原は、突然変異したがん遺伝子、または突然変異した腫瘍サプレッサー遺伝子の産物であり得る。一部の実施形態では、がん関連抗原は、過剰発現された細胞内タンパク質の産物の場合もあり、発がん性ウイルス、がん胎児抗原、または細胞表面糖脂質もしくは糖タンパク質により産生されたがん抗原の場合もある。
一部の実施形態では、HER3以外の抗原は、HER3関連がんの細胞により発現される抗原である。HER3関連がんは、HER3を発現する(例えば、細胞表面において、HER3タンパク質を発現する)がんであり得、このようながんは、「HER3陽性」がんと称され得る。HER3関連がんは、HER3遺伝子/タンパク質の発現が、危険性因子であり、かつ/あるいはがんの発生、発症、進行、もしくは症状の重症度、および/または転移と正に関連するがんを含む。HER3関連がんは、それらのいずれもが、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、Zhangら、Acta Biochimica et Biophysica Sinica(2016)48(1):39~48、ならびにSithanandamおよびAnderson Cancer Gene Ther(2008)15(7):413~448に記載されているがんを含む。一部の実施形態では、HER3関連がんは、肺がん(例えば、NSCLC)、黒色腫、乳がん、膵がん、前立腺がん、卵巣がん、胃がん、結腸がん、または口腔がんであり得る。
免疫細胞の表面分子は、免疫細胞の細胞表面において、または細胞表面上で発現される、任意のペプチド/ポリペプチド、糖タンパク質、リポタンパク質、グリカン、糖脂質、脂質、またはこれらの断片であり得る。一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子が結合する、免疫細胞の表面分子の部分は、免疫細胞の外部表面上にある(すなわち、細胞外にある)。免疫細胞の表面分子は、任意の免疫細胞の細胞表面において発現され得る。一部の実施形態では、免疫細胞は、造血細胞由来の細胞、例えば、好中球、好酸球、好塩基球、樹状細胞、リンパ球、または単球であり得る。リンパ球は、例えば、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NKT細胞、もしくは自然リンパ球細胞(ILC)、またはこれらの前駆細胞(例えば、胸腺細胞またはプレB細胞)であり得る。一部の実施形態では、免疫細胞の表面分子は、共刺激分子(例えば、CD28、OX40、4-1BB、ICOS、またはCD27)またはこれらのリガンドであり得る。一部の実施形態では、免疫細胞の表面分子は、チェックポイント分子(例えば、PD-1、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、VISTA、TIGIT、またはBTLA)またはこれらのリガンドであり得る。
本発明に従う、多特異性抗原結合性分子は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、BrinkmannおよびKontermann MAbs(2017)9(2):182~212に記載されているフォーマットなどの任意の適切なフォーマットで提供され得る。適切なフォーマットは、BrinkmannおよびKontermann MAbs(2017)9(2):182~212の図2に示されたフォーマット:抗体コンジュゲート、例えば、IgG2、F(ab’)2、またはCovX-Body;IgGまたはIgG様分子、例えば、IgG、キメラIgG、κλ-bodyの共通HC;CH1/CL融合タンパク質、例えば、scFv2-CH1/CL、VHH2-CH1/CL;「可変ドメインだけの」二特異性抗原結合性分子、例えば、タンデムscFv(taFV)、トリプルボディー、ダイアボディー(Db)、dsDb、Db(kih)、DART、scDB、dsFv-dsFv、tandAb、トリプルヘッド、タンデムdAb/VHH、四価dAb.VHH;非Ig融合タンパク質、例えば、scFv2-アルブミン、scDb-アルブミン、taFv-アルブミン、taFv-毒素、ミニ抗体、DNL-Fab2、DNL-Fab2-scFv、DNL-Fab2-IgG-サイトカイン2、ImmTAC(TCR-scFv);修飾FcおよびCH3融合タンパク質、例えば、scFv-Fc(kih)、scFv-Fc(CH3電荷対)、scFv-Fc(EW-RVT)、scFv-fc(HA-TF)、scFv-Fc(SEEDbody)、taFv-Fc(kih)、scFv-Fc(kih)-Fv、Fab-Fc(kih)-scFv、Fab-scFv-Fc(kih)、Fab-scFv-Fc(BEAT)、Fab-scFv-Fc(SEEDbody)、DART-Fc、scFv-CH3(kih)、TriFab;Fc融合体、例えば、ジダイアボディー、scDb-Fc、taFv-Fc、scFv-Fc-scFv、HCAb-VHH、Fab-scFv-Fc、scFv4-Ig、scFv2-Fcab;CH3融合体、例えば、ダイア-ダイアボディー、scDb-CH3;IgE/IgM CH2融合体、例えば、scFv-EHD2-scFv、scFvMHD2-scFv;Fab融合タンパク質、例えば、Fab-scFv(バイボディー)、Fab-scFv2(トリボディー)、Fab-Fv、Fab-dsFv、Fab-VHH、直交型Fab-Fab;非Ig融合タンパク質、例えば、DNL-Fab3、DNL-Fab2-scFv、DNL-Fab2-IgG-サイトカイン2;非対称IgGまたはIgG様分子、例えば、IgG(kih)、IgG(kih)共通LC、ZW1IgG共通LC、Biclonics共通LC、CrossMab、CrossMab(kih)、scFab-IgG(kih)、Fab-scFab-IgG(kih)、直交型Fab IgG(kih)、DuetMab、CH3電荷対+CH1/CL電荷対、ヒンジ/CH3電荷対、SEED-body、デュオボディー(Duobody)、four-in-one-CrossMab(kih)、LUZ-Y共通LC;LUZ-Y scFab-IgG、FcFc*;アペンデッドおよびFc修飾IgG、例えば、IgG(kih)-Fv、IgG HA-TF-Fv、IgG(kih)scFab、scFab-Fc(kih)-scFv2、scFab-Fc(kih)-scFv、halfDVD-Ig、DVI-Ig(four-in-one)、CrossMab-Fab;修飾FcおよびCH3融合タンパク質、例えば、Fab-Fc(kih)-scFv、Fab-scFv-Fc(kih)、Fab-scFv-Fc(BEAT)、Fab-scFv-Fc-SEEDbody、TriFab;アペンデッドIgG-HC融合体、例えば、IgG-HC、scFv、IgG-dAb、IgG-taFV、IgG-CrossFab、IgG-直交型Fab、IgG-(CαCβ)Fab、scFv-HC-IgG、タンデムFab-IgG(直交型Fab)Fab-IgG(CαCβFab)、Fab-IgG(CR3)、Fab-ヒンジ-IgG(CR3);アペンデッドIgG-LC融合体、例えば、IgG-scFv(LC)、scFv(LC)-IgG、dAb-IgG;アペンデッドIgG-HCおよびLC融合体、例えば、DVD-Ig、TVD-Ig、CODV-Ig、scFv4-IgG、Zybody;Fc融合体、例えば、Fab-scFv-Fc、scFv4-Ig;F(ab’)2融合体、例えば、F(ab’)2-scFv2;CH1/CL融合タンパク質、例えば、scFv2-CH1-ヒンジ/CL;修飾IgG、例えば、DAF(two-in-one-IgG)、DutaMab、Mab2;ならびに非Ig融合体、例えば、DNL-Fab4-IgGを含む。
当業者は、二特異性の抗原結合性分子を設計し、調製することができる。二特異性の抗原結合性分子を産生するための方法は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、SegalおよびBast、2001.Production of Bispecific Antigen-binding molecules.Current Protocols in Immunology.14:IV:2.13:2.13.1~2.13.16に記載されている通りに、例えば、還元性ジスルフィド結合または非還元性チオエーテル結合により、抗原結合性分子または抗体断片を化学的に架橋するステップを含む。例えば、N-スクシンイミジル-3-(-2-ピリジルジチオ)-プロピオネート(SPDP)は、例えば、ヒンジ領域のSH-基を介して、Fab断片を化学的に架橋して、ジスルフィドにより連結された二特異性F(ab)2ヘテロ二量体を創出するのに使用され得る。
二特異性の抗原結合性分子を産生するための他の方法は、抗体産生ハイブリドーマを、例えば、ポリエチレングリコールと融合させて、例えば、D.M.およびBast,B.J.2001.Production of Bispecific Antigen-binding molecules.Current Protocols in Immunology.14:IV:2.13:2.13.1~2.13.16に記載されている、二特異性抗体を分泌することができるクァドローマ細胞を産生するステップを含む。
本発明に従う、二特異性抗原結合性分子はまた、例えば、Antibody Engineering:Methods and Protocols、Second Edition(Humana Press、2012)、40章:Production of Bispecific Antigen-binding molecules:Diabodies and Tandem scFv(HornigおよびFarber-Schwarz)、またはFrench、How to make bispecific antigen-binding molecules、Methods Mol.Med.2000;40:333~339に記載されている、抗原結合性分子のためのポリペプチドをコードする核酸構築物からの組換えによる発現によっても産生することができ、これらの両方の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、2つの抗原結合性断片のための軽鎖および重鎖可変ドメイン(すなわち、HER3に結合することができる抗原結合性断片のための軽鎖および重鎖可変ドメイン、ならびに別の標的タンパク質に結合することができる抗原結合性断片のための軽鎖および重鎖可変ドメイン)をコードし、抗原結合性断片の間の適切なリンカーまたは二量体化ドメインをコードする配列を含むDNA構築物は、分子クローニング技法により調製され得る。その後、組換え二特異性抗体は、適切な宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)内の構築物の発現(例えば、in vitroにおける)により産生され、次いで発現された組換え二特異性抗体は任意選択で精製され得る。
Fc領域
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、Fc領域を含む。
IgG、IgA、およびIgDのアイソタイプでは、Fc領域は、1つのポリペプチドに由来するCH2およびCH3領域と、別のポリペプチドに由来するCH2およびCH3領域とから構成される。2つのポリペプチドに由来するCH2およびCH3領域が、併せて、Fc領域を形成する。IgMおよびIgEのアイソタイプでは、Fc領域は、3つの定常ドメイン(CH2、CH3、およびCH4)を含有し、2つのポリペプチドに由来するCH2~CH4が、併せて、Fc領域を形成する。
本開示の多様な態様に従う、好ましい実施形態では、Fc領域は、各ポリペプチドが、CH2領域およびCH3領域を含む、2つのポリペプチドを含む。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、CH2およびCH3領域のうちの1つまたは複数における、Fc領域の会合を促進する修飾を含むFc領域を含む。抗原結合性分子の構成要素であるポリペプチドの組換え共発現、および後続する会合は、いくつかの可能な組合せをもたらす。組換え産生において、抗原結合性分子内の所望の組合せのポリペプチドの収率を改善するために、所望の組合せの、重鎖ポリペプチドの会合を促進する、Fc領域の修飾を導入することが有利である。修飾は、例えば、異なるポリペプチド鎖のCH2および/またはCH3領域の間の疎水性および/または静電相互作用を促進し得る。適切な修飾は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Haら、Front.Immnol(2016)7:394に記載されている。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、Haら、Front.Immnol(2016)7:394の表1において示される、以下のフォーマット:KiH、KiHS-S、HA-TF、ZW1、7.8.60、DD-KK、EW-RVT、EW-RVTS-S、SEED、またはA107のうちの1つに従う、Fc領域のCH3領域内に対をなす置換を含むFc領域を含む。
一部の実施形態では、Fc領域は、例えば、US7,695,936およびCarter、J Immunol Meth 248、7~15(2001)に記載されている、例えば、「ノブ-イントゥ-ホール(knob-into-hole)」または「KiH」修飾を含む。このような実施形態では、Fc領域のうちのCH3領域の1つは、「ノブ」修飾を含み、他のCH3領域は、「ホール」修飾を含む。「ノブ」が、ポリペプチドのヘテロ二量体化を促進し(およびホモ二量体化を阻害し)、および/またはヘテロ二量体を安定化させるために、「ホール」内に配置され得るように、「ノブ」および「ホール」修飾は、それぞれのCH3領域内に配置される。ノブは、小型鎖を有するアミノ酸を、より大型の側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)を有するアミノ酸で置換することにより構築される。ホールは、大型側鎖を有するアミノ酸を、より小型の側鎖(例えば、アラニンまたはスレオニン)を有するアミノ酸で置換することにより創出される。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子のFc領域のうちのCH3領域の1つは、置換(本明細書における、Fc、CH2、およびCH3領域の位置/置換の番号付けは、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th Ed.Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD、1991に記載されているEU番号付けシステムに従う)T366Wを含み、Fc領域のうちの他のCH3領域は、置換Y407Vを含む。一部の実施形態では、抗原結合性分子のFc領域のうちのCH3領域の1つは、置換T366Wを含み、Fc領域のうちの他のCH3領域は、置換T366SおよびL368Aを含む。一部の実施形態では、抗原結合性分子のFc領域のうちのCH3領域の1つは、置換T366Wを含み、Fc領域のうちの他のCH3領域は、置換Y407V、T366S、およびL368Aを含む。
一部の実施形態では、Fc領域は、例えば、WO2014/131694A1に記載されている、「DD-KK」修飾を含む。一部の実施形態では、CH3領域の1つは、置換K392DおよびK409Dを含み、Fc領域のうちの他のCH3領域は、置換E356KおよびD399Kを含む。修飾は、CH3領域の間の静電相互作用を促進する。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、Labrijnら、Proc Natl Acad Sci USA.(2013)110(13):5145~50に記載されている通りに修飾され、「デュオボディー」フォーマットと称されるFc領域を含む。一部の実施形態では、CH3領域の1つは、置換K409Rを含み、Fc領域のうちの他のCH3領域は、置換K405Lを含む。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、Stropら、J Mol Biol.(2012)420(3):204~19に記載されている、「EEE-RRR」修飾を含むFc領域を含む。一部の実施形態では、CH3領域の1つは、置換D221E、P228E、およびL368Eを含み、Fc領域のうちの他のCH3領域は、置換D221R、P228R、およびK409Rを含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、Choiら、Mol Cancer Ther(2013)12(12):2748~59に記載されている、「EW-RVT」修飾を含むFc領域を含む。一部の実施形態では、CH3領域の1つは、置換K360EおよびK409Wを含み、Fc領域のうちの他のCH3領域は、置換Q347R、D399V、およびF405Tを含む。
一部の実施形態では、CH3領域の1つは、置換S354Cを含み、Fc領域のうちの他のCH3領域は、置換Y349Cを含む。これらのシステイン残基の導入は、Fc領域の2つのCH3領域の間のジスルフィド架橋の形成を結果としてもたらし、ヘテロ二量体をさらに安定化させる(Carter(2001)、J Immunol Methods、248、7~15)。
一部の実施形態では、Fc領域は、「KiHS-S」修飾を含む。一部の実施形態では、CH3領域の1つは、置換T366WおよびS354Cを含み、Fc領域のうちの他のCH3領域は、置換T366S、L368A、Y407V、およびY349Cを含む。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、Davisら、Protein Eng Des Sel(2010)23(4):195~202に記載されている、ヒトIgG1 CH3のβ鎖セグメントと、ヒトIgA CH3のβ鎖セグメントとが交換される、「SEED」修飾を含むFc領域を含む。
一部の実施形態では、CH3領域の1つは、置換S364HおよびF405Aを含み、Fc領域のうちの他のCH3領域は、置換Y349TおよびT394F(例えば、Mooreら、MAbs(2011)3(6):546~57を参照されたい)を含む。
一部の実施形態では、CH3領域の1つは、置換T350V、L351Y、F405A、およびY407Vを含み、Fc領域のうちの他のCH3領域は、置換T350V、T366L、K392L、およびT394W(例えば、Von Kreudensteinら、MAbs(2013)5(5):646~54を参照されたい)を含む。
一部の実施形態では、CH3領域の1つは、置換K360D、D399M、およびY407Aを含み、Fc領域のうちの他のCH3領域は、置換E345R、Q347R、T366V、およびK409V(例えば、Leaver-Fayら、Structure(2016)24(4):641~51を参照されたい)を含む。
一部の実施形態では、CH3領域の1つは、置換K370EおよびK409Wを含み、Fc領域のうちの他のCH3領域は、置換E357N、D399V、およびF405T(例えば、Choiら、PLoS One(2015)10(12):e0145349を参照されたい)を含む。
Fc媒介性機能は、Fc受容体への結合、抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)、抗体依存性細胞媒介性食作用(ADCP)、補体依存性細胞傷害作用(CDC)、膜侵襲複合体(MAC)の形成、細胞からの脱顆粒、サイトカインおよび/またはケモカインの産生、ならびに抗原のプロセシングおよび提示を含む。
当技術分野では、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、例えば、Wangら、Protein Cell(2018)9(1):63~73に記載されている修飾などの、Fc媒介性機能に影響を及ぼす抗体のFc領域への修飾が公知である。抗体のエフェクター機能に影響を及ぼすことが公知である、例示的なFc領域の修飾は、Wangら、Protein Cell(2018)9(1):63~73の表1にまとめられている。
置換の組合せである、F243L/R292P/Y300L/V305I/P396Lは、Stavenhagenら、Cancer Res.(2007)において、FcγRIIIaへの結合を増大させ、これにより、ADCCを増強することが記載されている。置換の組合せである、S239D/I332EまたはS239D/I332E/A330Lは、Lazarら、Proc Natl Acad Sci USA.(2006)103:4005~4010において、FcγRIIIaへの結合を増大させ、これにより、ADCCを増大させることが記載されている。置換の組合せである、S239D/I332E/A330Lはまた、FcγRIIbへの結合を減少させ、これにより、ADCCを増大させることも記載されている。置換の組合せである、S298A/E333A/K334Aは、Shieldsら、J Biol Chem.(2001)276:6591~6604において、FcγRIIIaへの結合を増大させ、これにより、ADCCを増大させることが記載されている。1つの重鎖における置換の組合せである、L234Y/L235Q/G236W/S239M/H268D/D270E/S298A、および他の重鎖における置換の組合せである、D270E/K326D/A330M/K334Eは、Mimotoら、MAbs.(2013):5:229~236において、FcγRIIIaへの結合を増大させ、これにより、ADCCを増大させることが記載されている。置換の組合せである、G236A/S239D/I332Eは、Richardsら、Mol Cancer Ther.(2008)7:2517~2527において、FcγRIIaへの結合を増大させ、かつ、FcγRIIIaへの結合を増大させ、これにより、ADCPを増大させることが記載されている。
置換の組合せである、K326W/E333Sは、Idusogieら、J Immunol.(2001)166(4):2571~5において、C1qへの結合を増大させ、これにより、CDCを増大させることが記載されている。置換の組合せである、S267E/H268F/S324Tは、Mooreら、MAbs.(2010)2(2):181~9において、C1qへの結合を増大させ、これにより、CDCを増大させることが記載されている。Natsumeら、Cancer Res.(2008)68(10):3863~72に記載されている置換の組合せは、C1qへの結合を増大させ、これにより、CDCを増大させることが報告されている。置換の組合せである、E345R/E430G/S440Yは、Diebolderら、Science(2014)343(6176):1260~3において、六量体化を増大させ、これにより、CDCを増大させることが記載されている。
置換の組合せである、M252Y/S254T/T256Eは、Dall’Acquaら、J Immunol.(2002)169:5171~5180において、pH6.0における、FcRnへの結合を増大させ、これにより、抗原結合性分子の半減期を延長することが記載されている。置換の組合せである、M428L/N434Sは、Zalevskyら、Nat Biotechnol.(2010)28:157~159において、pH6.0における、FcRnへの結合を増大させ、これにより、抗原結合性分子の半減期を延長することが記載されている。
本明細書で、重鎖定常領域/Fc領域/CH2-CH3領域/CH2領域/CH3領域が、参照の位置/置換「に対応する」位置/置換を含むものとして記載されている場合、相同な重鎖定常領域/Fc領域/CH2-CH3領域/CH2領域/CH3領域内の同等の位置/置換が想定される。
Fc領域が、特定の位置/置換を含むものとして記載される場合、位置/置換は、併せて、Fc領域を形成する、ポリペプチド鎖の一方または両方に存在し得る。
別途に指定されない限りにおいて、本明細書における位置は、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th Ed.Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD、1991に記載されている、EU番号付けシステムに従い番号付けされた、ヒト免疫グロブリン定常領域のアミノ酸配列の位置を指す。例示を目的として述べると、ヒトIgG1における置換L242CおよびK334Cは、配列番号171に従い番号付けされた、ヒトIgG1定常領域の125位におけるL>C置換と、217位におけるK>C置換とに対応する。
相同な重鎖定常領域は、ヒトIgG1(すなわち、配列番号171に示されるアミノ酸配列)の重鎖定常領域に対して、少なくとも60%、好ましくは、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域である。相同なFc領域は、ヒトIgG1(すなわち、配列番号174および175に示されるアミノ酸配列)のCH2-CH3領域に対して、少なくとも60%、好ましくは、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含む、ポリペプチドから構成されるFc領域である。相同なCH2領域は、ヒトIgG1(すなわち、配列番号174に示されるアミノ酸配列)のCH2領域に対して、少なくとも60%、好ましくは、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含む、CH2領域である。相同なCH3領域は、ヒトIgG1(すなわち、配列番号175に示されるアミノ酸配列)のCH3領域に対して、少なくとも60%、好ましくは、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含む、CH3領域である。
ヒトIgG1内で同定される位置に対応する位置は、例えば、ClustalOmega(Soding、J.2005、Bioinformatics 21、951~960)などの配列アラインメントソフトウェアを使用して実施され得る、配列アラインメントにより同定され得る。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、Fc媒介性機能を増大させる修飾を含むFc領域を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、ADCCを増大させる修飾を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、ADCPを増大させる修飾を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、CDCを増大させる修飾を含む。Fc媒介性機能(例えば、ADCC、ADCP、CDC)を増大させる修飾を含むFc領域を含む抗原結合性分子は、対応する非修飾のFc領域を含む抗原結合性分子と比較して、関連するエフェクター機能のレベルの上昇を誘導する。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、1つまたは複数のFc受容体(例えば、FcγRIIa、FcγRIIIa)に対する親和性を増大させる修飾を含むFc領域を含む。Fc受容体に対する親和性を増大させる修飾は、抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)および/または抗体依存性細胞性食作用(ADCP)などのFc媒介性のエフェクター機能を増大させ得る。一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、C1qに対する親和性を低減する修飾を含むFc領域を含み、このような修飾は、補体依存性細胞傷害作用(CDC)を低減し、これは、所望であり得る。一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、六量体の形成を増大させる修飾を含むFc領域を含む。1つまたは複数のFc受容体に対する親和性を増大させ、C1qに対する親和性を低減し、かつ/または六量体の形成を増大させることができるFc領域に対する修飾は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、SaxenaおよびWu Front Immunol.(2016)7:580に記載されている。一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、SaxenaおよびWu Front Immunol.(2016)7:580の表1に示された置換のうちの1つまたは複数を含むCH2/CH3を含むFc領域を含む。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、Fc受容体への結合を増大させる修飾を含むFcを含む。一部の実施形態では、Fc領域は、Fcγ受容体への結合を増大させる修飾を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIc、FcγRIIIa、およびFcγRIIIbのうちの1つまたは複数への結合を増大させる修飾を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、FcγRIIIaへの結合を増大させる修飾を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、FcγRIIaへの結合を増大させる修飾を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、FcγRIIbへの結合を増大させる修飾を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、FcRnへの結合を増大させる修飾を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、補体タンパク質への結合を増大させる修飾を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、C1qへの結合を増大させるか、または低減する修飾を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、抗原結合性分子の六量体化を促進する修飾を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、抗原結合性分子の半減期を延長する修飾を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、コエンゲージメントを増大させる修飾を含む。
本明細書では、「Fcγ受容体」は、任意の種に由来してもよく、任意の種に由来する、アイソフォーム、断片、バリアント(突然変異体を含む)、または相同体を含む。同様に、「FcγRI」、「FcγRIIa」、「FcγRIIb」、「FcγRIIc」、「FcγRIIIa」、および「FcγRIIIb」とは、それぞれ、任意の種に由来する、FcγRI/FcγRIIa/FcγRIIb/FcγRIIc/FcγRIIIa/FcγRIIIbを指し、任意の種に由来する、アイソフォーム、断片、バリアント(突然変異体を含む)、または相同体を含む。ヒトは、Fcγ受容体の6つの異なるクラス(マウスオルソログを括弧内に示す):FcγRI(mFcγRI)、FcγRIIa(mFcγRIII)、FcγRIIb(mFcγRIIb)、FcγRIIc、FcγRIIIa(mFcγRIV)、およびFcγRIIIbを有する。バリアントのFcγ受容体は、例えば、ヒトFcγRIIIaの158Vおよび158Fの多型、ならびにヒトFcγRIIaの167Hおよび167Rの多型を含む。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、以下:242位に対応する位置におけるC;334位に対応する位置におけるC;236位に対応する位置におけるA;239位に対応する位置におけるD;332位に対応する位置におけるE;330位に対応する位置におけるL;345位に対応する位置におけるK;および430位に対応する位置におけるGのうちの1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つ)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、またはCH2-CH3領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、以下の置換(または対応する置換):L242C、K334C、G236A、S239D、I332E、A330L、E345K、およびE430Gのうちの1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つ)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、またはCH2-CH3領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、242位に対応する位置におけるCを含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、334位に対応する位置におけるCを含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)。一部の実施形態では、Fc領域は、242位に対応する位置におけるC、および334位に対応する位置におけるCを含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、236位に対応する位置におけるAを含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、239位に対応する位置におけるDを含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)。一部の実施形態では、Fc領域は、236位に対応する位置におけるA、および239位に対応する位置におけるDを含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、332位に対応する位置におけるEを含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、236位に対応する位置におけるA、239位に対応する位置におけるD、および332位に対応する位置におけるEを含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、330位に対応する位置におけるLを含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、236位に対応する位置におけるA、239位に対応する位置におけるD、332位に対応する位置におけるE、および330位に対応する位置におけるLを含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、345位に対応する位置におけるKを含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH3領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、430位に対応する位置におけるGを含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH3領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)。一部の実施形態では、Fc領域は、345位に対応する位置におけるK、および430位に対応する位置におけるGを含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、242位に対応する位置におけるC、334位に対応する位置におけるC、236位に対応する位置におけるA、および239位に対応する位置におけるDを含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、242位に対応する位置におけるC、334位に対応する位置におけるC、236位に対応する位置におけるA、239位に対応する位置におけるD、および332位に対応する位置におけるEを含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、242位に対応する位置におけるC、334位に対応する位置におけるC、236位に対応する位置におけるA、239位に対応する位置におけるD、332位に対応する位置におけるE、および330位に対応する位置におけるLを含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、242位に対応する位置におけるC、334位に対応する位置におけるC、345位に対応する位置におけるK、および430位に対応する位置におけるGを含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、またはCH2-CH3領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、置換L242C(または同等の置換)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、置換K334C(または同等の置換)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)。一部の実施形態では、Fc領域は、置換L242C(または同等の置換)、および置換K334C(または同等の置換)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、置換G236A(または同等の置換)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、置換S239D(または同等の置換)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)。一部の実施形態では、Fc領域は、置換G236A(または同等の置換)、および置換S239D(または同等の置換)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、置換I332E(または同等の置換)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、置換G236A(または同等の置換)、置換S239D(または同等の置換)、および置換I332E(または同等の置換)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、置換A330L(または同等の置換)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、置換G236A(または同等の置換)、置換S239D(または同等の置換)、置換I332E(または同等の置換)、および置換A330L(または同等の置換)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、置換E345K(または同等の置換)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH3領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、置換E430G(または同等の置換)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH3領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)。一部の実施形態では、Fc領域は、置換E345K(または同等の置換)、および置換E430G(または同等の置換)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、置換L242C(または同等の置換)、置換K334C(または同等の置換)、置換G236A(または同等の置換)、および置換S239D(または同等の置換)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、置換L242C(または同等の置換)、置換K334C(または同等の置換)、置換G236A(または同等の置換)、置換S239D(または同等の置換)、および置換I332E(または同等の置換)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、置換L242C(または同等の置換)、置換K334C(または同等の置換)、置換G236A(または同等の置換)、置換S239D(または同等の置換)、置換I332E(または同等の置換)、および置換A330L(または同等の置換)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、CH2-CH3領域、またはCH2領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、置換L242C(または同等の置換)、置換K334C(または同等の置換)、置換E345K(または同等の置換)、および置換E430G(または同等の置換)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、またはCH2-CH3領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、以下:243位に対応する位置におけるL、292位に対応する位置におけるP、300位に対応する位置におけるL、305位に対応する位置におけるI、および396位に対応する位置におけるL;239位に対応する位置におけるD、および332位に対応する位置におけるE;239位に対応する位置におけるD、332位に対応する位置におけるE、および330位に対応する位置におけるL;298位に対応する位置におけるA、333位に対応する位置におけるA、および334位に対応する位置におけるA;234位に対応する位置におけるY、235位に対応する位置におけるQ、236位に対応する位置におけるW、239位に対応する位置におけるM、268位に対応する位置におけるD、270位に対応する位置におけるE、および298位に対応する位置におけるA;270位に対応する位置におけるE、326位に対応する位置におけるD、330位に対応する位置におけるM、および334位に対応する位置におけるE;236位に対応する位置におけるA、239位に対応する位置におけるD、および332位に対応する位置におけるE;326位に対応する位置におけるW、および333位に対応する位置におけるS;267位に対応する位置におけるE、268位に対応する位置におけるF、および324位に対応する位置におけるT;345位に対応する位置におけるR、430位に対応する位置におけるG、および440位に対応する位置におけるY;252位に対応する位置におけるY、254位に対応する位置におけるT、および256位に対応する位置におけるE;および428位に対応する位置におけるL、および434位に対応する位置におけるSのうちの1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、または12個)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、またはCH2-CH3領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、以下の置換(または対応する置換)の組合せ:F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L;S239D/I332E;S239D/I332E/A330L;S298A/E333A/K334A;L234Y/L235Q/G236W/S239M/H268D/D270E/S298A;D270E/K326D/A330M/K334E;G236A/S239D/I332E;K326W/E333S;S267E/H268F/S324T;E345R/E430G/S440Y;M252Y/S254T/T256E;およびM428L/N434Sのうちの1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、または12個)を含む(例えば、これらを含む、重鎖定常領域、またはCH2-CH3領域を含む、さらに1つのポリペプチドを含む)Fc領域を含む。
ポリペプチド
本発明はまた、抗原結合性分子のポリペプチド構成要素も提供する。ポリペプチドは、単離形態で提供される場合もあり、実質的な精製形態で提供される場合もある。
本発明の抗原結合性分子は、ポリペプチドの複合体であり得るか、またはこれを含み得る。
ポリペプチドが1つを超えるドメインまたは領域を含む本明細書では、複数のドメイン/領域が、同じポリペプチド鎖内に存在することが好ましいことが理解されるであろう。すなわち、1つを超えるドメインまたは領域を含むポリペプチドは、ドメイン/領域を含む融合ポリペプチドである。
一部の実施形態では、本発明に従うポリペプチドは、本明細書で記載されるVHを含むか、またはこれからなる。一部の実施形態では、本発明に従うポリペプチドは、本明細書で記載されるVLを含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、1つまたは複数の抗体の重鎖定常領域(CH)をさらに含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、1つまたは複数の抗体の軽鎖定常領域(CL)をさらに含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、免疫グロブリン(Ig)のCH1、CH2領域、および/またはCH3領域を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、免疫グロブリンの重鎖定常配列の1つまたは複数の領域を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、本明細書で記載されるCH1領域を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、本明細書で記載されるCH1-CH2ヒンジ領域を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、本明細書で記載されるCH2領域を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、本明細書で記載されるCH3領域を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、本明細書で記載されるCH2-CH3領域を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、以下のアミノ酸置換/アミノ酸置換の組合せ(例えば、参照により本明細書の上記に組み込まれている、Haら、Front.Immnol(2016)7:394の表1に示される):T366W;T366S、L368A、およびY407V;T366WおよびS354C;T366S、L368A、Y407V、およびY349C;S364HおよびF405A;Y349TおよびT394F;T350V、L351Y、F405A、およびY407V;T350V、T366L、K392L、およびT394W;K360D、D399M、およびY407A;E345R、Q347R、T366V、およびK409V;K409DおよびK392D;D399KおよびE356K;K360EおよびK409W;Q347R、D399V、およびF405T;K360E、K409W、およびY349C;Q347R、D399V、F405T、およびS354C;K370EおよびK409W;ならびにE357N、D399V、およびF405Tのうちのいずれか1つを含むCH3領域を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドのCH2および/またはCH3領域は、ポリペプチドの、CH2および/またはCH3領域を含む別のポリペプチドとの会合を促進するための1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、免疫グロブリンの軽鎖定常配列の1つまたは複数の領域を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、本明細書で記載されるCL領域を含む。
一部の実施形態では、本発明に従うポリペプチドは、N末端からC末端へと、以下:
(i)VH
(ii)VL
(iii)VH-CH1
(iv)VL-CL
(v)VL-CH1
(vi)VH-CL
(vii)VH-CH1-CH2-CH3
(viii)VL-CL-CH2-CH3
(ix)VL-CH1-CH2-CH3
(x)VH-CL-CH2-CH3
のうちの1つに従う構造を含む。
また、本発明により、本発明のポリペプチドから構成される抗原結合性分子も提供される。一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、以下のポリペプチドの組合せ:
(A)VH+VL
(B)VH-CH1+VL-CL
(C)VL-CH1+VH-CL
(D)VH-CH1-CH2-CH3+VL-CL
(E)VH-CL-CH2-CH3+VL-CH1
(F)VL-CH1-CH2-CH3+VH-CL
(G)VL-CL-CH2-CH3+VH-CH1
(H)VH-CH1-CH2-CH3+VL-CL-CH2-CH3
(I)VH-CL-CH2-CH3+VL-CH1-CH2-CH3
のうちの1つを含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、上記の(A)~(I)に示された組合せのポリペプチドのうちの1つより多くを含む。例を目的として述べると、上記の(D)を参照すると、一部の実施形態では、抗原結合性分子は、構造VH-CH1-CH2-CH3を含む2つのポリペプチドと、構造VL-CLを含む2つのポリペプチドとを含む。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、以下のポリペプチドの組合せ:
(J)VH(抗HER3)+VL(抗HER3)
(K)VH(抗HER3)-CH1+VL(抗HER3)-CL
(L)VL(抗HER3)-CH1+VH(抗HER3)-CL
(M)VH(抗HER3)-CH1-CH2-CH3+VL(抗HER3)-CL
(N)VH(抗HER3)-CL-CH2-CH3+VL(抗HER3)-CH1
(O)VL(抗HER3)-CH1-CH2-CH3+VH(抗HER3)-CL
(P)VL(抗HER3)-CL-CH2-CH3+VH(抗HER3)-CH1
(Q)VH(抗HER3)-CH1-CH2-CH3+VL(抗HER3)-CL-CH2-CH3
(R)VH(抗HER3)-CL-CH2-CH3+VL(抗HER3)-CH1-CH2-CH3
のうちの1つを含み、ここで、「VH(抗HER3)」とは、本明細書で記載される、例えば、上記の(1)~(61)のうちの1つにおいて規定される、HER3に結合することができる抗原結合性分子のVHを指し;「VL(抗HER3)」とは、本明細書で記載される、例えば、上記の(62)~(119)のうちの1つにおいて規定される、HER3に結合することができる抗原結合性分子のVLを指す。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号187~223のうちの1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなる。
リンカーおよびさらなる配列
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子およびポリペプチドは、ヒンジ領域を含む。一部の実施形態では、ヒンジ領域は、CH1領域と、CH2領域との間にもたらされる。一部の実施形態では、ヒンジ領域は、CL領域と、CH2領域との間にもたらされる。一部の実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号173のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなる。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子およびポリペプチドは、アミノ酸配列の間に1つまたは複数のリンカー配列を含む。リンカー配列は、抗原結合性分子/ポリペプチドのVH、VL、CH1-CH2ヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域のうちの1つまたは複数の一方または両方の末端にもたらされ得る。
当業者には、リンカー配列は公知であり、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Chenら、Adv Drug Deliv Rev(2013)65(10):1357~1369に記載されている。一部の実施形態では、リンカー配列は、可動性リンカー配列であり得る。可動性リンカー配列は、リンカー配列により連結されたアミノ酸配列の相対的運動を可能とする。当業者には、可動性リンカーは公知であり、いくつかは、Chenら、Adv Drug Deliv Rev(2013)65(10):1357~1369において同定されている。可動性リンカー配列は、しばしば、高比率のグリシン残基および/またはセリン残基を含む。
一部の実施形態では、リンカー配列は、少なくとも1つのグリシン残基、および/または少なくとも1つのセリン残基を含む。一部の実施形態では、リンカー配列は、グリシンおよびセリン残基からなる。一部の実施形態では、リンカー配列は、1~2、1~3、1~4、1~5、または1~10アミノ酸の長さを有する。
本発明の抗原結合性分子およびポリペプチドは、さらなるアミノ酸またはアミノ酸の配列をさらに含み得る。例えば、抗原結合性分子およびポリペプチドは、抗原結合性分子/ポリペプチドの発現、フォールディング、輸送、プロセシング、精製、または検出を容易にするアミノ酸配列を含み得る。例えば、抗原結合性分子/ポリペプチドは、任意選択で、抗原結合性分子/ポリペプチドのN末端またはC末端において、His(例えば、6×His)、Myc、GST、MBP、FLAG、HA、E、またはビオチンタグをコードする配列を含み得る。一部の実施形態では、抗原結合性分子/ポリペプチドは、検出可能部分、例えば、蛍光、発光、免疫検出可能、放射性、化学、核酸、または酵素標識を含む。
本発明の抗原結合性分子およびポリペプチドは、シグナルペプチド(リーダー配列またはシグナル配列としても公知である)をさらに含み得る。シグナルペプチドは通常、単一のアルファヘリックスを形成する、5~30の疎水性アミノ酸の配列からなる。細胞表面で分泌されるタンパク質および発現されるタンパク質は、しばしば、シグナルペプチドを含む。
シグナルペプチドは、抗原結合性分子/ポリペプチドのN末端に存在することができ、新たに合成される抗原結合性分子/ポリペプチド内に存在し得る。シグナルペプチドは、抗原結合性分子/ポリペプチドの効率的な輸送および分泌をもたらす。シグナルペプチドは、しばしば、切断により除去されるため、抗原結合性分子/ポリペプチドを発現する細胞から分泌される、成熟抗原結合性分子/ポリペプチド内に含まれない。
シグナルペプチドは、多くのタンパク質について公知であり、GenBank、UniProt、Swiss-Prot、TrEMBL、Protein Information Resource、Protein Data Bank、Ensembl、およびInterProなどのデータベースに記録されており、かつ/または例えば、SignalP(Petersenら、2011 Nature Methods 8:785~786)またはSignal-BLAST(FrankおよびSippl、2008 Bioinformatics 24:2172~2176)などのアミノ酸配列解析ツールを使用して同定/予測され得る。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子/ポリペプチドのシグナルペプチドは、配列番号178~186のうちの1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなる。
標識およびコンジュゲート
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、検出可能部分をさらに含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、検出可能部分、例えば、蛍光標識、リン光標識、発光標識、免疫検出可能標識(例えば、エピトープタグ)、放射性標識、化学、核酸、または酵素標識を含む。抗原結合性分子は、検出可能部分で、共有結合的に標識付けされる場合もあり、非共有結合的に標識付けされる場合もある。
蛍光標識は、例えば、フルオレセイン、ローダミン、アロフィコシアニン、エオシン、およびNDB、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、およびサマリウム(Sm)などの希土類のキレート剤、テトラメチルローダミン、Texas Red、4-メチルウンベリフェロン、7-アミノ-4-メチルクマリン、Cy3、およびCy5を含む。放射性標識は、ヨウ素123、ヨウ素125、ヨウ素126、ヨウ素131、ヨウ素133、臭素77、テクネチウム99m、インジウム111、インジウム113m、ガリウム67、ガリウム68、ルテニウム95、ルテニウム97、ルテニウム103、ルテニウム105、水銀207、水銀203、レニウム99m、レニウム101、レニウム105、スカンジウム47、テルリウム121m、テルリウム122m、テルリウム125m、ツリウム165、ツリウム167、ツリウム168、銅67、フッ素18、イットリウム90、パラジウム100、ビスマス217、およびアンチモン211などの放射性同位体を含む。発光標識は、放射性発光標識、化学発光標識(例えば、アクリジニウムエステル、ルミノール、イソルミノール)、および生物発光標識を含む。免疫検出可能標識は、ハプテン、ペプチド/ポリペプチド、抗体、受容体、およびビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、またはジゴキシゲニンなどのリガンドを含む。核酸標識は、アプタマーを含む。酵素標識は、例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、およびルシフェラーゼを含む。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、化学的部分にコンジュゲートされる。化学的部分は、治療効果をもたらすための部分であり得る。抗体-薬物コンジュゲートは、例えば、Parslowら、Biomedicines.2016年9月;4(3):14に概説されている。一部の実施形態では、化学的部分は、薬物部分(例えば、細胞傷害剤)であり得る。一部の実施形態では、薬物部分は、化学療法剤であり得る。一部の実施形態では、薬物部分は、カリケアマイシン、DM1、DM4、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、SN-38、ドキソルビシン、デュオカルマイシン、D6.5、およびPBDから選択される。
抗原結合性分子の特定の例示的な実施形態
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号187のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号188のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号189のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号190のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号191のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号192のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号193のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号195のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号194のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号195のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号196のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号195のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号197のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号199のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号198のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号199のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号200のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号201のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号202のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号203のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号204のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号205のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号206のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号207のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号208のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号209のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号210のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号211のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号212のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号213のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号214のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号215のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号216のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号217のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号218のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号219のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号220のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号221のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号222のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号223のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号225のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号207のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号226のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号207のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号227のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号217のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、
(i)配列番号228のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド、および
(ii)配列番号217のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、2つのポリペプチド
を含むか、またはこれからなる。
抗原結合性分子の機能的特性
本明細書で記載される抗原結合性分子は、ある特定の機能的特性に言及することにより特徴付けられ得る。一部の実施形態では、本明細書で記載される抗原結合性分子は、以下の特性:
HER3(例えば、ヒト、マウス、ラット、またはカニクイザルHER3)に結合すること;
EGFRおよび/またはHER2に結合しないこと;
HER3発現細胞に結合すること;
HER3の細胞外領域のサブドメインIIに結合すること;
HER3が、開放型および閉鎖型コンフォメーションにある場合、HER3に結合すること;
NRG非依存的に、HER3に結合すること;
HER3への結合について、MM-121および/またはLJM-716と競合しないこと;
HER3への結合について、M-05-74および/またはM-08-11と競合しないこと;
HER3と、HER3の相互作用パートナー(例えば、HER3、HER2、EGFR、HER4、HGFR、IGF1R、および/またはcMet)との相互作用を阻害すること;
HER3媒介性シグナル伝達を阻害すること;
HER3発現細胞の増殖(例えば、NRGによる刺激に応答する)を阻害すること;
HER3発現細胞によるPI3K/AKT/mTOR、および/またはMAPKシグナル伝達(例えば、NRGによる刺激に応答する)を阻害すること;
活性化型Fcγ受容体(例えば、FcγRIIIa)に結合すること;
活性化型Fcγ受容体への結合の増大;
配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する、同等の抗原結合性分子と比較した、活性化型Fcγ受容体への結合の増大;
配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する、同等の抗原結合性分子と比較した、阻害型Fcγ受容体への結合の減少;
配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する、同等の抗原結合性分子と比較した、活性化型Fcγ受容体への結合の、阻害型Fcγ受容体への結合を上回る増大;
配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する、同等の抗原結合性分子と比較した、補体タンパク質(例えば、C1q)への結合の増大または減少;
配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する、同等の抗原結合性分子と比較した、六量体化の増大;
配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する、同等の抗原結合性分子と比較した、ADCC活性の増大;
配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する、同等の抗原結合性分子と比較した、ADCP活性の増大;
配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する、同等の抗原結合性分子と比較した、CDC活性の増大または減少;
配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する、同等の抗原結合性分子と比較して、同様であるか、または増大した熱安定性;
HER3発現細胞の殺滅を増大させること;
HER3発現細胞の数/比率を低減すること;
ならびに
in vivoにおけるがんの発症および/または進行を阻害すること
のうちの1つまたは複数を有し得る。
本明細書で記載される抗原結合性分子は、好ましくは、HER3への特異的結合を呈する。本明細書で使用される場合、「特異的結合」とは、抗原に対して選択的であり、非標的抗原への非特異的結合から区別され得る結合を指す。標的分子に特異的に結合する抗原結合性分子は、好ましくは、他の非標的分子に結合するより、大きな親和性および/または長い持続時間で、標的に結合する。
所与のポリペプチドが、所与の分子に特異的に結合する能力は、ELISA、表面プラズモン共鳴(SPR;例えば、Heartyら、Methods Mol Biol(2012)907:411~442を参照されたい)、バイオレイヤー干渉法(例えば、Ladら、(2015)J Biomol Screen 20(4):498~507を参照されたい)、フローサイトメトリー、または放射性標識抗原結合性アッセイ(RIA)、酵素免疫測定アッセイによる方法などの、当技術分野で公知の方法に従う解析により決定され得る。このような解析によって、所与の分子への結合が測定および定量され得る。一部の実施形態では、結合は、所与のアッセイにおいて検出される応答であり得る。
一部の実施形態では、非標的分子への抗原結合性分子の結合の程度は、例えば、ELISA、SPR、バイオレイヤー干渉法により、またはRIAにより測定される標的分子への抗体の結合の約10%未満である。代替的に、結合特異性は、抗原結合性分子が、非標的分子への抗原結合性分子のKDより、少なくとも0.1の桁数(すなわち、0.1×10n、式中、nは、桁数を表す整数である)多い解離定数(KD)で結合する、結合親和性に関して反映され得る。これは、任意選択で、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、または2.0のうちの1つであり得る。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、ヒトHER3、マウスHER3、ラットHER3、および/またはカニクイザル(Macaca fascicularis)HER3への結合を呈する。すなわち、一部の実施形態では、抗原結合性分子は、ヒトHER3、マウスHER3、ラットHER3、および/またはカニクイザルHER3に対して交差反応性である。一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、非ヒト霊長動物のHER3との交差反応性を呈する。モデル種におけるHER3に対する交差反応性は、サロゲート分子に依拠せずに同系モデルにおける有効性のin vivoでの調査を可能にする。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、ヒトHER3、マウスHER3、ラットHER3、および/またはカニクイザルHER3に結合し、HER2および/またはEGFR(例えば、ヒトHER2および/またはヒトEGFR)に結合しない。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、EGFR(例えば、ヒトEGFR)への特異的結合を呈さない。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER2(例えば、ヒトHER2)への特異的結合を呈さない。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3以外のタンパク質のEGFRファミリーのメンバーへの特異的結合を呈さない(すなわち、これらと交差反応しない)。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、EGFR、HER2および/またはHER4への特異的結合を呈さない。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、10μM以下、好ましくは、≦5μM、≦2μM、≦1μM、≦500nM、≦400nM、≦300nM、≦200nM、≦100nM、≦95nM、≦90nM、≦85nM、≦80nM、≦75nM、≦70nM、≦65nM、≦60nM、≦55nM、≦50nM、≦45nM、≦40nM、≦35nM、≦30nM、≦25nM、≦20nM、≦15nM、≦12.5nM、≦10nM、≦9nM、≦8nM、≦7nM、≦6nM、≦5nM、≦4nM、≦3nM、≦2nM、≦1nM、≦900pM、≦800pM、≦700pM、≦600pM、≦500pM、≦400pM、≦300pM、≦200pM、≦100pM、≦90pM、≦80pM、≦70pM、≦60pM、≦50pM、≦40pM、≦30pM、≦20pM、≦10pM、≦9pM、≦8pM、≦7pM、≦6pM、≦5pM、≦4pM、≦3pM、≦2pM、≦1pMのうちの1つのKDで、HER3(例えば、ヒトHER3)に結合する。
本発明の抗原結合性分子は、HER3の特定の目的の領域に結合し得る。本発明に従う抗原結合性分子の抗原結合性領域は、アミノ酸の連続配列(すなわち、アミノ酸の一次配列)からなる、HER3の直鎖状エピトープに結合し得る。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、アミノ酸配列のうちのアミノ酸の不連続配列からなる、HER3のコンフォメーションエピトープに結合し得る。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、HER3に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3の細胞外領域(例えば、配列番号9に示される領域)に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3の細胞外領域のサブドメインII(例えば、配列番号16に示される領域)に結合する。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号229に示される、HER3の領域に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号229に示される、HER3の領域の1つまたは複数のアミノ酸残基に接触する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号230および231に示される、HER3の領域に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号230および231に示される、HER3の領域の1つまたは複数のアミノ酸残基に接触する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号230に示される、HER3の領域に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号230に示される、HER3の領域の1つまたは複数のアミノ酸残基に接触する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号231に示される、HER3の領域に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号231に示される、HER3の領域の1つまたは複数のアミノ酸残基に接触する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号23に示される、HER3の領域に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号23に示される、HER3の領域の1つまたは複数のアミノ酸残基に接触する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号21に示される、HER3の領域に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号21に示される、HER3の領域の1つまたは複数のアミノ酸残基に接触する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号19に示される、HER3の領域に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号19に示される、HER3の領域の1つまたは複数のアミノ酸残基に接触する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号22に示される、HER3の領域に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号22に示される、HER3の領域の1つまたは複数のアミノ酸残基に接触する。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、配列番号1、3、4、6、または8のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号9のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号16のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号229のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるペプチド/ポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号230および231のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるペプチド/ポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号230のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるペプチド/ポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号231のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるペプチド/ポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号23のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるペプチド/ポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるペプチド/ポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号19のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるペプチド/ポリペプチドに結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号22のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるペプチド/ポリペプチドに結合することができる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号1の260~279位に対応する、HER3の領域に結合しない。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号1の260~279位に対応する、HER3の領域のアミノ酸残基に接触しない。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号23に示される、HER3の領域に結合しない。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号23に示される、HER3の領域のアミノ酸残基に接触しない。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号1の260~279位に対応するアミノ酸配列からなるペプチドに結合することができない。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、配列番号23のアミノ酸配列からなるペプチドに結合することができない。
本明細書で使用される場合、「ペプチド」とは、ペプチド結合により連結された、2つ以上のアミノ酸単量体による鎖を指す。ペプチドは、典型的に、領域内に、約2~50アミノ酸の長さを有する。「ポリペプチド」とは、2つ以上のペプチドによるポリマー鎖である。ポリペプチドは、典型的に、約50アミノ酸を超える長さを有する。
抗原結合性分子が、所与のペプチド/ポリペプチドに結合する能力は、ELISA、免疫ブロット(例えば、ウェスタンブロット)、免疫沈降、表面プラズモン共鳴、およびバイオレイヤー干渉法による解析を含む、当業者に周知の方法により解析され得る。
HER3へのリガンドの結合は、HER3が、ホモまたはヘテロ二量体化することを可能とする、コンフォメーション変化を促進する結果として、下流経路の活性化をもたらす。HER3は、「閉鎖型」および「開放型」コンフォメーションを示す。閉鎖型コンフォメーションとは、HER3が、テザリングコンフォメーションにあり、受容体のホモまたはヘテロ二量体化のために利用できないことを意味する。開放型コンフォメーションとは、HER3が、伸長コンフォメーションにあり、受容体のホモまたはヘテロ二量体化のために利用できることを意味する。
一部の実施形態では、HER3が、開放型コンフォメーションにある場合、抗原結合性分子は、HER3に結合することができる。一部の実施形態では、HER3が、閉鎖型コンフォメーションにある場合、抗原結合性分子は、HER3に結合することができる。一部の実施形態では、HER3が、開放型および/または閉鎖型コンフォメーションにある場合、抗原結合性分子は、HER3に結合することができる。一部の実施形態では、HER3が、開放型および/または閉鎖型コンフォメーションにある場合、抗原結合性分子は、HER3の細胞外ドメインに結合することができる。一部の実施形態では、HER3が、開放型および/または閉鎖型コンフォメーションにある場合、抗原結合性分子は、HER3の二量体化アームに結合することができる。二量体化アームへの結合は、抗原結合性分子が、HER3と、例えば、本明細書で記載される、HER3の相互作用パートナーとの相互作用を阻止することを可能とする。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3に対するリガンドの存在下および/または非存在下において、HER3に結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3に対するリガンドに依存せずに、HER3に結合することができる。一部の実施形態では、リガンドは、NRG、NRG-1、および/またはNRG-2である。HER3は、HER3が、ホモまたはヘテロ二量体化することを可能とする、コンフォメーション変化を促進する、リガンドの、その細胞外ドメインへの結合により活性化される。HER3への抗原結合性分子の結合は、リガンド非存在下およびリガンド存在下のコンフォメーション状態のいずれにおいても、リガンドの結合に依存せずに、抗原結合性分子が、HER3の作用を阻害することを可能とする。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3へ結合するリガンドと競合しない。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、リガンド結合性部位において、HER3に結合しない。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3に対するリガンドの存在下または非存在下で十分に同様にHER3に結合する(すなわち、HER3がリガンド結合または非結合形態で提供されているかどうかに関係なく)。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3に対するリガンドの非存在下でのHER3への抗原結合性分子の結合についての親和性と同様の親和性でHER3に対するリガンドの存在下でHER3に結合する。本開示の実施例8.10ならびに図78Aおよび78Bは、10D1Fが、HER3がNRG1結合形態、およびNRG1の非存在下の両方で提供される場合、ピコモル以下の親和性でヒトHER3に結合することを実証する。
本明細書では、参照結合親和性と「同様」の結合親和性とは、同等の条件下で決定して、参照結合親和性の50%以内、例えば、40%、45%、30%、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%のうちの1つ以内の結合親和性を意味する。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、(同等の条件下で決定して)リガンドの非存在下でのHER3への結合についての抗原結合性分子のKDの50%以内、例えば、40%、45%、30%、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%のうちの1つ以内のKDでHER3に対するリガンド(例えば、NRG1またはNRG2)の存在下でHER3に結合する。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、(同等の条件下で決定して)リガンドの非存在下でのHER3への結合についての抗原結合性分子のKonの50%以内、例えば、40%、45%、30%、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%のうちの1つ以内のKonでHER3に対するリガンド(例えば、NRG1またはNRG2)の存在下でHER3に結合する。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、(同等の条件下で決定して)リガンドの非存在下でのHER3への結合についての抗原結合性分子のKoffの50%以内、例えば、40%、45%、30%、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%のうちの1つ以内のKoffでHER3に対するリガンド(例えば、NRG1またはNRG2)の存在下でHER3に結合する。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、クローンである、10D1、10D1_c75、10D1_c76、10D1_c77、10D1_c78v1、10D1_c78v2、10D1_11B、10D1_c85v1、10D1_c85v2、10D1_c85o1、10D1_c85o2、10D1_c87、10D1_c89、10D1_c90、10D1_c91、10D1_c92、10D1_c93、10A6、4-35-B2、または4-35-B4のうちの1つのVHおよびVL配列を含む抗体が結合するHER3の領域と同じHER3の領域、または重複するHER3の領域に結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、クローンである、10D1_c89、10D1_c90、または10D1_c91のうちの1つのVHおよびVL配列を含む抗体が結合するHER3の領域と同じHER3の領域、または重複するHER3の領域に結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、クローンである、10D1_c89のVHおよびVL配列を含む抗体が結合するHER3の領域と同じHER3の領域、または重複するHER3の領域に結合することができる。
抗体が結合する、ペプチド/ポリペプチドの領域は、抗体-抗原複合体についてのX線共結晶構造解析、ペプチド走査、突然変異誘発マッピング、質量分析による水素-重水素交換解析、ファージディスプレイ、競合ELISA、およびタンパク質分解ベースの「保護」法を含む、当技術分野で周知の多様な方法を使用して、当業者により決定され得る。このような方法については、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Gershoniら、BioDrugs、2007、21(3):145~156において記載されている。このような方法はまた、抗原結合性分子が、異なるコンフォメーションにあるタンパク質に結合することができるかどうかを決定するのにも使用され得る。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、抗HER3抗体クローンである、MM-121(例えば、Schoeberlら、Sci.Signal.(2009)2(77):ra31に記載されている)、および/またはLJM-716(例えば、Garnerら、Cancer Res(2013)73:6024~6035に記載されている)のVHおよびVL配列を含む抗体と、同じHER3の領域、または重複するHER3の領域においてHER3に結合しない。一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、例えば、SPR解析により決定される、抗HER3抗体クローンである、MM-121および/またはLJM-716のVHおよびVL配列を含む抗体との、HER3への結合についての競合を呈さない。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、HER3が、細胞表面(すなわち、細胞膜内または細胞膜)において発現される場合、抗原結合性分子(すなわち、細胞外抗原結合性分子)にアクセス可能な領域内のHER3に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3を発現する細胞の細胞表面において発現されるHER3に結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3発現細胞(例えば、HER3+細胞、例えば、HER3+がん細胞)に結合することができる。
抗原結合性分子が、所与の細胞型に結合する能力は、例えば、結合しなかった抗原結合性分子を除去する洗浄ステップの後で、細胞を抗原結合性分子と接触させ、細胞に結合した抗原結合性分子を検出することにより解析され得る。抗原結合性分子が、免疫細胞表面分子発現細胞および/またはがん細胞抗原発現細胞に結合する能力は、フローサイトメトリーおよび免疫蛍光顕微鏡法などの方法により解析され得る。
本発明の抗原結合性分子は、HER3のアンタゴニストであり得る。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3および/またはHER3の結合パートナー(例えば、HER3(すなわち、ホモ二量体化の場合における)、HER2、EGFR、HER4、HGFR、IGF1Rおよび/またはcMet)により媒介される、機能または過程(例えば、相互作用、シグナル伝達、または他の活性)を阻害することができる。本明細書では、「阻害」とは、対照条件と比べた、低減、減少、または低下を指す。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、HER3と、HER3の相互作用パートナーとの相互作用を阻害することができる。HER3の相互作用パートナーは、HER3と同じ細胞により発現され得る。相互作用パートナーまたはHER3は、細胞表面(すなわち、細胞膜内または細胞膜)において発現され得る。一部の実施形態では、HER3の相互作用パートナーは、タンパク質のEGFRファミリーのメンバー、例えば、HER3、HER2、EGFR、HER4、HGFR、IGF1R、および/またはcMetであり得る。一部の実施形態では、HER3の相互作用パートナーは、IGF1Rおよび/またはcMetであり得る。HER3と、HER3の相互作用パートナーとの相互作用は、ポリペプチド複合体の形成を結果としてもたらし得る。ポリペプチド複合体を形成する、HER3と、HER3の相互作用パートナーとの相互作用は、多量体化と称され得る。多量体化が、ポリペプチド単量体の間の多量体化である場合、二量体化と称され得る。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3単量体の間の相互作用を阻害することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3とHER2との相互作用を阻害することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3とEGFRとの相互作用を阻害することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3とHER4との相互作用を阻害することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3とHGFRとの相互作用を阻害することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3とIGF1Rとの相互作用を阻害することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3とcMetとの相互作用を阻害することができる。
相互作用の阻害は、HER3と、HER3の相互作用パートナーとの相互作用に要求されるHER3の領域(例えば、配列番号19に示されるHER3の二量体化ループ)への抗原結合性分子の結合により達成され得る。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3と、HER3の相互作用パートナーとの相互作用に必要なHER3の1つまたは複数の残基に接触し、このようにして、抗原結合性分子は、領域を利用できないようにし、これにより、相互作用を阻害する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3と、HER3の相互作用パートナーとの相互作用を阻害/阻止する様式でHER3に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3と、HER3の相互作用パートナーとの相互作用に要求されるHER3の領域へのHER3の相互作用パートナーのアクセスを阻害/阻止し、これは、抗原結合性分子が、HER3と、HER3の相互作用パートナーとの相互作用に要求されるHER3の領域に接触しない場合でも、例えば、HER3と、相互作用パートナーとの相互作用に要求されるHER3の領域へのHER3の相互作用パートナーのアクセスの立体的阻害によって達成され得る。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3単量体のホモ二量体化を阻害することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3とHER2との二量体化を阻害することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3とEGFRとの二量体化を阻害することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3とHER4との二量体化を阻害することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3とHGFRとの二量体化を阻害することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3とIGF1Rとの二量体化を阻害することができる。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3とcMetとの二量体化を阻害することができる。
抗原結合性分子が、2つの因子の間の相互作用を阻害する能力は、例えば、抗体/断片の存在下で、または抗体/断片との相互作用パートナーの一方もしくは両方のインキュベーションの後で、相互作用を解析することにより決定され得る。所与の抗原結合性分子が、2つの相互作用パートナーの間の相互作用を阻害することができるかどうかを決定するためのアッセイは、競合ELISAアッセイおよびSPRによる解析を含む。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3と、HER3の相互作用パートナーとの相互作用の競合的阻害剤である。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、適切なアッセイにおいて、HER3と、HER3の相互作用パートナー(例えば、HER3、HER2、EGFR、HER4、HGFR、IGF1R、および/またはcMet)との相互作用を、抗原結合性分子の非存在下(または適切な対照抗原結合性分子の存在下)における、HER3と、HER3の相互作用パートナーとの相互作用のレベルの、1倍未満、例えば、≦0.99倍、≦0.95倍、≦0.9倍、≦0.85倍、≦0.8倍、≦0.75倍、≦0.7倍、≦0.65倍、≦0.6倍、≦0.55倍、≦0.5倍、≦0.45倍、≦0.4倍、≦0.35倍、≦0.3倍、≦0.25倍、≦0.2倍、≦0.15倍、≦0.1倍、≦0.05倍、または≦0.01倍に阻害することができる。
抗原結合性分子が、相互作用パートナー間の相互作用を阻害する能力はまた、このような相互作用の下流における機能的帰結を解析することによっても決定され得る。例えば、HER3と、HER3の相互作用パートナーとの相互作用の下流における機能的帰結は、PI3K/AKT/mTOR、および/またはMAPKシグナル伝達を含む。例えば、抗原結合性分子が、HER3と、HER3の相互作用パートナーとの相互作用を阻害する能力は、抗原結合性分子の存在下における、NRGによる処理の後で、PI3K/AKT/mTOR、および/またはMAPKシグナル伝達を解析することにより決定され得る。PI3K/AKT/mTOR、および/またはMAPKシグナル伝達は、例えば、シグナル伝達経路のリン酸化メンバーを検出することができる抗体を使用して、検出および定量され得る。
抗原結合性分子が、HER3と、HER3の相互作用パートナーとの相互作用を阻害する能力はまた、抗原結合性分子の存在下における、NRGによる処理の後で、HER3を発現する細胞の増殖を解析することによっても決定され得る。細胞増殖は、例えば、細胞数の変化を時間経過にわたって検出することにより決定され得るか、または3H-チミジンの取込みについてのin vitro解析により決定され得るか、または例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、FulcherおよびWong、Immunol Cell Biol(1999)77(6):559~564に記載されている、CFSE希釈アッセイにより決定され得る。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、BRAFのV600に対する突然変異を保有する細胞、例えば、BRAFのV600EまたはV600K突然変異を含む細胞(実施例10を参照されたい)の増殖を阻害することができる。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、HER3媒介性シグナル伝達を阻害する。HER3媒介性シグナル伝達は、例えば、HER3媒介性シグナル伝達の相関因子、例えば、細胞増殖、ならびに/またはPI3K/AKT/mTOR、および/もしくはMAPKのシグナル伝達経路の1つもしくは複数のシグナル伝達分子のリン酸化についてのアッセイを使用して解析され得る。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、HER3発現細胞によるPI3K/AKT/mTOR、および/またはMAPKシグナル伝達を阻害することができる。PI3K/AKT/mTOR、および/またはMAPKシグナル伝達のレベルは、例えば、NRGによる刺激の後、PI3K/AKT/mTOR、および/またはMAPK経路の構成要素のうちの1つまたは複数のリン酸化を検出し、このレベルを定量することにより解析され得る(実施例4.3を参照されたい)。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、例えば、NRGによる刺激に応答する、HER3発現細胞の増殖を阻害することができる。一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、適切なアッセイにおいて、HER3発現細胞の増殖を、抗原結合性分子の非存在下(または適切な対照抗原結合性分子の存在下)における、HER3発現細胞の増殖のレベルの、1倍未満、例えば、≦0.99倍、≦0.95倍、≦0.9倍、≦0.85倍、≦0.8倍、≦0.75倍、≦0.7倍、≦0.65倍、≦0.6倍、≦0.55倍、≦0.5倍、≦0.45倍、≦0.4倍、≦0.35倍、≦0.3倍、≦0.25倍、≦0.2倍、≦0.15倍、≦0.1倍、≦0.05倍、または≦0.01倍に阻害することができる。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、適切なアッセイにおいて、HER3発現細胞によるPI3K/AKT/mTOR、および/またはMAPKシグナル伝達を、抗原結合性分子の非存在下(または適切な対照抗原結合性分子の存在下)における、HER3発現細胞によるシグナル伝達のレベルの、1倍未満、例えば、≦0.99倍、≦0.95倍、≦0.9倍、≦0.85倍、≦0.8倍、≦0.75倍、≦0.7倍、≦0.65倍、≦0.6倍、≦0.55倍、≦0.5倍、≦0.45倍、≦0.4倍、≦0.35倍、≦0.3倍、≦0.25倍、≦0.2倍、≦0.15倍、≦0.1倍、≦0.05倍、または≦0.01倍に阻害することができる。
HER3媒介性シグナル伝達は、例えば、実施例8.9に記載される通り、in vitroにおいて調べることができるか、または例えば、実施例11に記載される通り、in vivoにおいて調べることができる。
ADCC活性は、例えば、Yamashitaら、Scientific Reports(2016)6:19772(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている方法に従って解析され得るか、または例えば、Jedemaら、Blood(2004)103:2677~82(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている、51Cr放出アッセイによって解析され得る。ADCC活性はまた、製造業者の指示書に従って(本明細書の実施例5に記載される)、Pierce LDH細胞傷害作用アッセイキットを使用しても解析され得る。
ADCPは、例えば、Kamenら、J Immunol(2017)198(1 Supplement)157.17(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている方法に従って解析され得る。
CDCを誘導する能力は、例えば、Schlothauerら、Protein Engineering,Design and Selection(2016)、29(10):457~466(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている、例えば、C1q結合アッセイを使用して解析され得る。
抗原結合性分子の熱安定性は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Heら、J Pharm Sci.(2010)に記載されている、示差走査蛍光測定および示差走査熱量測定(DSC)を含む、当業者に周知の方法により解析され得る。熱安定性は、溶融温度(Tm)、アンフォールディング温度、または分解温度(例えば、℃またはF°で表される)の観点から反映され得る。
一部の実施形態では、本明細書で記載されるFc領域を含む抗原結合性分子は、活性化型Fcγ受容体(例えば、hFcγRIIa(例えば、hFcγRIIa167H、hFcγRIIa167R)、hFcγRIIIa(例えば、hFcγRIIIa158V、hFcγRIIIa158F)、mFcγRIV、mFcγRIII)に、配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する、同等の抗原結合性分子による、活性化型Fcγ受容体に対する結合親和性の、1倍を超える、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15倍を超える、または20倍を超える、結合親和性で結合する。一部の実施形態では、活性化型Fcγ受容体への結合についての、本明細書で記載されるFc領域を含む抗原結合性分子のKDは、活性化型Fcγ受容体についての、配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する同等の抗原結合性分子のKDの、1倍未満、例えば、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06倍未満、または0.05倍未満である。
一部の実施形態では、本明細書で記載されるFc領域を含む抗原結合性分子は、1000nM以下、好ましくは、≦500nM、≦100nM、≦75nM、≦50nM、≦40nM、≦30nM、≦20nM、≦15nM、≦12.5nM、≦10nM、≦9nM、≦8nM、≦7nM、≦6nM、≦5nM、≦4nM、≦3nM、≦2nM、または≦1nMのうちの1つのKDで、活性化型Fcγ受容体(例えば、hFcγRIIa(例えば、hFcγRIIa167H、hFcγRIIa167R)、hFcγRIIIa(例えば、hFcγRIIIa158V、hFcγRIIIa158F)、mFcγRIV、mFcγRIII)に結合する。
一部の実施形態では、本明細書で記載されるFc領域を含む抗原結合性分子は、FcRn(例えば、hFcRn、mFcRn)に、配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する同等の抗原結合性分子によるFcRnに対する結合親和性の、1倍を超える、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15倍を超える、または20倍を超える、結合親和性で結合する。一部の実施形態では、FcRnへの結合についての、本明細書で記載されるFc領域を含む抗原結合性分子のKDは、FcRnについての、配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する同等の抗原結合性分子のKDの、1倍未満、例えば、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06倍未満、または0.05倍未満である。
一部の実施形態では、本明細書で記載されるFc領域を含む抗原結合性分子は、1000nM以下、好ましくは、≦500nM、≦100nM、≦75nM、≦50nM、≦40nM、≦30nM、≦20nM、≦15nM、≦12.5nM、≦10nM、≦9nM、≦8nM、≦7nM、≦6nM、≦5nM、≦4nM、≦3nM、≦2nM、または≦1nMのうちの1つのKDで、FcRn(例えば、hFcRn、mFcRn)に結合する。
一部の実施形態では、本明細書で記載されるFc領域を含む抗原結合性分子は、阻害型Fcγ受容体(例えば、hFcγRIIb、mFcγRIIb)に、配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する同等の抗原結合性分子による阻害型Fcγ受容体に対する結合親和性の、1倍未満、例えば、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2倍未満、または0.1倍未満の結合親和性で結合する。一部の実施形態では、阻害型Fcγ受容体への結合についての、本明細書で記載されるFc領域を含む抗原結合性分子のKDは、阻害型Fcγ受容体についての、配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する同等の抗原結合性分子のKDの、1倍を超える、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9倍を超える、または10倍を超える。
一部の実施形態では、本明細書で記載されるFc領域を含む抗原結合性分子は、阻害型Fcγ受容体(例えば、hFcγRIIb、mFcγRIIb)に、1nM以上、好ましくは、≧5nM、≧10nM、≧50nM、≧100nM、≧500nM、≧1000nM、≧2000nM、≧3000nM、≧4000nM、または≧5000nMのうちの1つのKDで結合する。
一部の実施形態では、本明細書で記載されるFc領域を含む抗原結合性分子についての、阻害型Fcγ受容体(例えば、hFcγRIIb)と比べた、活性化型Fcγ受容体(例えば、hFcγRIIa)に対する結合の選択性は、配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する同等の抗原結合性分子により呈される結合の選択性の、1倍を超える、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15倍を超える、または20倍を超える。
一部の実施形態では、本明細書で記載されるFc領域を含む抗原結合性分子は、配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する同等の抗原結合性分子により呈されるADCCの、1倍を超える、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15倍を超える、または20倍を超えるADCCを呈する。
一部の実施形態では、ADCC活性のアッセイにおいて、本明細書で記載されるFc領域を含む抗原結合性分子について決定されるEC50(ng/ml)は、配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する同等の抗原結合性分子について決定されるEC50(ng/ml)の、1倍未満、例えば、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2倍未満、または0.1倍未満である。
一部の実施形態では、ADCC活性のアッセイにおいて、本明細書で記載されるFc領域を含む抗原結合性分子についてのEC50(ng/ml)は、500ng/ml以下、好ましくは、≦400ng/ml、≦300ng/ml、≦200ng/ml、≦100ng/ml、≦90ng/ml、≦80ng/ml、≦70ng/ml、≦60ng/ml、≦50ng/ml、≦40ng/ml、≦30ng/ml、≦20ng/ml、または≦10ng/mlのうちの1つである。
一部の実施形態では、本明細書で記載されるFc領域を含む抗原結合性分子は、配列番号174~175のアミノ酸配列を有するCH2-CH3から構成されるFc領域を有する同等の抗原結合性分子の溶融温度、アンフォールディング温度、または分解温度の≧0.75倍、かつ、≦1.25倍、例えば、≧0.8倍、かつ、≦1.2倍、≧0.85倍、かつ、≦1.15倍、≧0.9倍、かつ、≦1.1倍、≧0.91倍、かつ、≦1.09倍、≧0.92倍、かつ、≦1.08倍、≧0.93倍、かつ、≦1.07倍、≧0.94倍、かつ、≦1.06倍、≧0.95倍、かつ、≦1.05倍、≧0.96倍、かつ、≦1.04倍、≧0.97倍、かつ、≦1.03倍、≧0.98倍、かつ、≦1.02倍、または≧0.99倍、かつ、≦1.01倍である、溶融温度、アンフォールディング温度、または分解温度を有し得る。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、HER3発現細胞の殺滅を増大させることができる。HER3発現細胞の殺滅は、抗原結合性分子のエフェクター機能を介して増大させることができる。抗原結合性分子が、Fc領域を含む実施形態では、抗原結合性分子は、補体依存性細胞傷害作用(CDC)、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC)、および抗体依存性細胞性食作用(ADCP)のうちの1つまたは複数を介して、HER3発現細胞の殺滅を増大させることができる。
HER3発現細胞の殺滅を増大させることができる抗原結合性分子は、適切なアッセイにおいて、抗原結合性分子の非存在下(または適切な対照抗原結合性分子の存在下)で検出される細胞殺滅のレベルと比較した、抗原結合性分子の存在下(または抗原結合性分子とのHER3発現細胞のインキュベーションの後)でのHER3発現細胞の殺滅のレベルの上昇の観察により同定され得る。当業者には、CDC、ADCC、およびADCPのアッセイが周知である。HER3発現細胞の殺滅のレベルはまた、異なる処置条件への曝露後のHER3発現細胞の生存および/または非生存の数/比率を測定することによっても決定され得る。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、HER3発現細胞(例えば、HER3発現がん細胞)の殺滅を、抗原結合性分子の非存在下(または適切な対照抗原結合性分子の存在下)において観察される殺滅のレベルの、1倍を超えて、例えば、≧1.01倍、≧1.02倍、≧1.03倍、≧1.04倍、≧1.05倍、≧1.1倍、≧1.2倍、≧1.3倍、≧1.4倍、≧1.5倍、≧1.6倍、≧1.7倍、≧1.8倍、≧1.9倍、≧2倍、≧3倍、≧4倍、≧5倍、≧6倍、≧7倍、≧8倍、≧9倍、または≧10倍に増大させることができる。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、同等のアッセイにおいて、HER3発現細胞(例えば、HER3発現がん細胞)の数を、抗原結合性分子の非存在下におけるインキュベーションの後(または適切な対照の抗原結合性分子の存在下におけるインキュベーションの後)に検出されるHER3発現細胞(例えば、HER3発現がん細胞)の数の、1倍未満、例えば、≦0.99倍、≦0.95倍、≦0.9倍、≦0.85倍、≦0.8倍、≦0.75倍、≦0.7倍、≦0.65倍、≦0.6倍、≦0.55倍、≦0.5倍、≦0.45倍、≦0.4倍、≦0.35倍、≦0.3倍、≦0.25倍、≦0.2倍、≦0.15倍、≦0.1倍、≦0.05倍、または≦0.01倍に低減することができる。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、in vivoにおけるがんの発症および/または進行を阻害する。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、例えば、エフェクター免疫細胞により、がん細胞の殺滅の増大を引き起こす。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、例えば、適切な対照条件と比較して、in vivoにおけるがん細胞の数の低減を引き起こす。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、例えば、時間経過にわたって腫瘍サイズ/体積を測定することにより決定される、腫瘍増殖を阻害する。
本発明の抗原結合性分子は、適切なin vivoモデル、例えば、細胞株由来異種移植モデルにおいて、がんの発症および/または進行を阻害する能力について解析され得る。細胞株由来異種移植モデルは、HER3発現がん細胞に由来し得る。一部の実施形態では、モデルは、N87細胞由来モデル、SNU16細胞由来モデル、FaDu細胞由来モデル、OvCAR8細胞由来モデル、HCC95細胞由来モデル、A549細胞由来モデル、ACHN細胞由来モデル、またはHT29細胞由来モデルである。
がんは、本明細書で記載される、HER3関連がん(すなわち、HER3遺伝子/タンパク質の発現が、危険性因子であり、かつ/あるいはがんの発生、発症、進行、もしくは症状の重症度、および/または転移と正に関連するがん)であり得る。がんは、HER3発現細胞を含み得る。一部の実施形態では、がんは、HER3+腫瘍を含む。
一部の実施形態では、本発明に従う抗原結合性分子の投与は、がんの発症/進行の阻害、がんの発生までの遅延/がんの発生の予防、腫瘍増殖の低減/腫瘍増殖までの遅延/腫瘍増殖の予防、転移の低減/転移までの遅延/転移の予防、がんの症状の重症度の低減、がん細胞数の低減、腫瘍サイズ/体積の低減、および/または、例えば、適切なHER3発現がん細胞株由来異種移植モデルにおいて決定される、生存期間(例えば、無増悪生存期間)の延長のうちの1つまたは複数を引き起こし得る。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、HER3発現がん細胞株由来異種移植モデルにおける腫瘍増殖を、抗原結合性分子による処置の非存在下で(または適切な陰性対照の抗原結合性分子による処置の後に)観察される腫瘍増殖の、1倍未満、例えば、≦0.99倍、≦0.95倍、≦0.9倍、≦0.85倍、≦0.8倍、≦0.75倍、≦0.7倍、≦0.65倍、≦0.6倍、≦0.55倍、≦0.5倍、≦0.45倍、≦0.4倍、≦0.35倍、≦0.3倍、≦0.25倍、≦0.2倍、≦0.15倍、≦0.1倍、≦0.05倍、または≦0.01倍に阻害することができる。
キメラ抗原受容体(CAR)
本発明はまた、本発明の抗原結合性分子またはポリペプチドを含むキメラ抗原受容体(CAR)も提供する。
CARは、抗原結合およびT細胞活性化機能の両方をもたらす、組換え受容体である。CARの構造および操作は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Dottiら、Immunol Rev(2014)257(1)に概説されている。CARは、細胞膜アンカー領域およびシグナル伝達領域に連結された抗原結合性領域を含む。任意選択のヒンジ領域は、抗原結合性領域と、細胞膜アンカー領域との間の分離をもたらすことができ、可動性リンカーとして作用し得る。
本発明のCARは、本発明の抗原結合性分子を含むか、もしくはこれからなるか、または本発明に従うポリペプチドを含むか、もしくはこれからなる、抗原結合性領域を含む。
細胞膜アンカー領域は、CARの抗原結合性領域とシグナル伝達領域との間にもたらされ、細胞外腔に抗原結合性領域を伴い、細胞内部にシグナル伝達領域を伴う、CARを発現する細胞の細胞膜へのCARのアンカリングをもたらす。一部の実施形態では、CARは、CD3-ζ、CD4、CD8、またはCD28のうちの1つについての膜貫通領域のアミノ酸配列を含むか、これからなるか、またはこれに由来するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる細胞膜アンカー領域を含む。本明細書で使用される場合、参照アミノ酸配列「に由来する」領域は、参照配列に対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性のうちの1つを有するアミノ酸配列を含む。
CARのシグナル伝達領域は、T細胞の活性化を可能とする。CARのシグナル伝達領域は、CAR発現T細胞のリン酸化および活性化のための免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)をもたらす、CD3-ζの細胞内ドメインのアミノ酸配列を含み得る。CARでは、FcγRIなどの他のITAM含有タンパク質の配列を含むシグナル伝達領域もまた利用されている(Haynesら、2001 J Immunol 166(1):182~187)。CARのシグナル伝達領域はまた、標的タンパク質への結合時にCAR発現T細胞の活性化を促進するように、共刺激分子のシグナル伝達領域に由来する共刺激配列も含み得る。適切な共刺激分子は、CD28、OX40、4-1BB、ICOS、およびCD27を含む。場合によって、CARは、異なる細胞内シグナル伝達経路の共刺激をもたらすように操作される。例えば、CD28の共刺激と関連するシグナル伝達が、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(P13K)経路を優先的に活性化させるのに対して、4-1BB媒介性シグナル伝達は、TNF受容体関連因子(TRAF)アダプタータンパク質を介する。したがって、CARのシグナル伝達領域は、場合によって、1つを超える共刺激分子のシグナル伝達領域に由来する共刺激配列を含有する。一部の実施形態では、本発明のCARは、CD28、OX40、4-1BB、ICOS、およびCD27のうちの1つまたは複数の細胞内ドメインのアミノ酸配列を含むか、これからなるか、またはこれに由来するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、1つまたは複数の共刺激配列を含む。
任意選択のヒンジ領域は、抗原結合性ドメインと、膜貫通ドメインとの間の分離をもたらすことができ、可動性リンカーとして作用し得る。ヒンジ領域は、IgG1に由来し得る。一部の実施形態では、本発明のCARは、IgG1のヒンジ領域のアミノ酸配列を含むか、これからなるか、またはこれに由来するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるヒンジ領域を含む。
また、本発明に従うCARを含む細胞も提供される。本発明に従うCARは、CAR発現免疫細胞、例えば、CAR-T細胞またはCAR-NK細胞を生成するために使用され得る。免疫細胞へのCARの操作は、in vitroでの培養の間に実施され得る。
本発明のCARの抗原結合性領域は、例えば、scFv、scFabなどの任意の適切なフォーマットでもたらされ得る。
核酸およびベクター
本発明は、本発明に従う抗原結合性分子、ポリペプチド、またはCARをコードする、1つの核酸または複数の核酸を提供する。
一部の実施形態では、核酸は、例えば、他の核酸、または天然に存在する生物物質から精製または単離される。一部の実施形態では、核酸は、DNAおよび/またはRNAを含むか、またはこれらからなる。
本発明はまた、本発明に従う1つの核酸または複数の核酸を含む、1つのベクターまたは複数のベクターも提供する。
ヌクレオチド配列は、ベクター、例えば、発現ベクター内に含有され得る。本明細書で使用される場合、「ベクター」は、外因性核酸を細胞内に移入するためのビヒクルとして使用される核酸分子である。ベクターは、細胞内で核酸を発現させるためのベクターであり得る。このようなベクターは、発現される配列をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーター配列を含み得る。ベクターはまた、終止コドンおよび発現エンハンサーも含み得る。当技術分野で公知である、任意の適切なベクター、プロモーター、エンハンサー、および終止コドンが、本発明に従うベクターからペプチドまたはポリペプチドを発現させるために使用され得る。
「作動可能に連結された」という用語は、調節配列の影響下または制御下に核酸配列の発現を置く(これにより、発現カセットを形成する)ように、選択された核酸配列、および調節核酸配列(例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー)が、共有結合的に連結された状況を含み得る。したがって、調節配列が、核酸配列の転写を実行することができる場合、調節配列は、選択された核酸配列に作動可能に連結されている。次いで、結果として得られる転写産物は、所望のペプチド/ポリペプチドに翻訳され得る。
適切なベクターは、プラスミド、バイナリーベクター、DNAベクター、mRNAベクター、ウイルスベクター(例えば、ガンマレトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス(MLV)由来ベクター)、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、およびヘルペスウイルスベクター)、トランスポゾンベースのベクター、および人工染色体(例えば、酵母人工染色体)を含む。
一部の実施形態では、ベクターは、真核生物ベクター、例えば、真核細胞内のベクターからのタンパク質の発現に必要なエレメントを含むベクターであり得る。一部の実施形態では、ベクターは、例えば、タンパク質の発現を駆動するためのサイトメガロウイルス(CMV)またはSV40プロモーターを含む、哺乳動物ベクターであり得る。
本発明に従う抗原結合性分子の構成要素であるポリペプチドは、複数の核酸のうちの異なる核酸、または複数のベクターのうちの異なるベクターによりコードされ得る。
抗原結合性分子およびポリペプチドを含む/発現する細胞
本発明はまた、本発明に従う抗原結合性分子、ポリペプチド、またはCARを含むか、またはこれらを発現する細胞も提供する。また、本発明に従う1つの核酸、複数の核酸、1つのベクター、または複数のベクターを含むか、またはこれらを発現する細胞も提供される。
細胞は、真核細胞、例えば、哺乳動物細胞であり得る。哺乳動物は、霊長動物(アカゲザル、カニクイザル、非ヒト霊長動物、またはヒト)、または非ヒト哺乳動物(例えば、ウサギ、モルモット、ラット、マウス、または他の齧歯動物(ネズミ目内の任意の動物を含む)、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、畜牛(ウシ、例えば、乳牛、またはウシ目内の任意の動物を含む)、ウマ(ウマ目内の任意の動物を含む)、ロバ、および非ヒト霊長動物)であり得る。
本発明はまた、本発明に従う核酸またはベクターを含む細胞を産生するための方法であって、本発明に従う1つの核酸、複数の核酸、1つのベクター、または複数のベクターを細胞内に導入するステップを含む、方法も提供する。一部の実施形態では、本発明に従う単離された核酸またはベクターを細胞内に導入するステップは、形質転換、トランスフェクション、電気穿孔、または形質導入(例えば、レトロウイルスによる形質導入)を含む。
本発明はまた、本発明に従う抗原結合性分子、ポリペプチド、またはCARを発現する/含む細胞を産生するための方法であって、本発明に従う1つの核酸、複数の核酸、1つのベクター、または複数のベクターを細胞内に導入するステップを含む、方法も提供する。一部の実施形態では、方法は、細胞による核酸またはベクターの発現に適する条件下で細胞を培養するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、in vitroで実施される。
本発明はまた、本発明に従う方法により得られるか、または得られ得る細胞も提供する。
抗原結合性分子およびポリペプチドの産生
本発明に従う抗原結合性分子およびポリペプチドは、当業者に公知のポリペプチドを産生するための方法に従って調製され得る。
ポリペプチドは、化学合成、例えば、液相または固相合成により調製され得る。例えば、ペプチド/ポリペプチドは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Chandruduら、Molecules(2013)、18:4373~4388に記載されている方法を使用して合成され得る。
代替的に、抗原結合性分子およびポリペプチドは、組換え発現によっても産生され得る。当技術分野では、GreenおよびSambrook、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(4版)、Cold Spring Harbor Press、2012、ならびにNat Methods.(2008);5(2):135~146(これらの両方は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)において示されている分子生物学的技法などの、ポリペプチドの組換え産生に適した分子生物学的技法が周知である。抗原結合性分子の組換え産生のための方法はまた、Frenzelら、Front Immunol.(2013);4:217、ならびにKunertおよびReinhart、Appl Microbiol Biotechnol.(2016)100:3451~3461(これらの両方は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)においても記載されている。
場合によって、本発明の抗原結合性分子は、1つを超えるポリペプチド鎖から構成される。このような場合に、抗原結合性分子の産生は、抗原結合性分子を形成するのに、1つを超えるポリペプチドの転写および翻訳と、後続するポリペプチド鎖の会合とを含み得る。
本発明に従う組換え産生のために、ポリペプチドの発現に適した任意の細胞が使用され得る。細胞は、原核細胞であってもよいか、または真核細胞であってもよい。一部の実施形態では、細胞は、古細菌または細菌の細胞などの原核細胞である。一部の実施形態では、細菌は、腸内細菌(Enterobacteraceae)科の細菌、例えば、大腸菌(Escherichia coli)などのグラム陰性菌であり得る。一部の実施形態では、細胞は、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞、例えば、CHO、HEK(例えば、HEK293)、HeLa、またはCOS細胞などの真核細胞である。一部の実施形態では、細胞は、一過性に、または安定的にポリペプチドを発現するCHO細胞である。
場合によって、一部の原核細胞は、真核細胞と同じフォールディング、または翻訳後修飾をできないため、細胞は、原核細胞ではない。加えて、真核細胞内では、極めて高度の発現レベルが可能であり、タンパク質は、適切なタグを使用して真核細胞からの精製を容易にすることができる。培地へのタンパク質の分泌を増強する特定のプラスミドもまた利用され得る。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Zemellaら、Chembiochem(2015)16(17):2420~2431に記載されているシステムを使用することに従って、無細胞タンパク質合成(CFPS)により調製され得る。
産生は、目的のポリペプチドを発現するように修飾された真核細胞の培養または発酵を伴い得る。培養または発酵は、栄養物、空気/酸素、および/または増殖因子の適切な供給がなされたバイオリアクター内で実施され得る。分泌されたタンパク質は、培養培地/発酵培養液を細胞から分別し、タンパク質含有物を抽出し、個別のタンパク質を分離して、分泌されたポリペプチドを単離することにより回収され得る。当業者には、培養、発酵、および分離技法が周知であり、例えば、GreenおよびSambrook、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(4版;参照により本明細書の上記に組み込まれる)に記載されている。
バイオリアクターは、細胞が培養され得る、1つまたは複数の反応槽を含む。バイオリアクター内の培養は、反応物のリアクターへの持続的な流入、および培養された細胞のリアクターからの持続的な流出により持続的に行われ得る。代替的に、培養はバッチ内で行われ得る。バイオリアクターは、培養される細胞に最適の条件がもたらされるように、pH、酸素、反応槽への流入および反応槽からの流出の流量、ならびに反応槽内の撹拌などの環境条件をモニタリングし、制御する。
抗原結合性分子/ポリペプチドを発現する細胞の培養の後、目的のポリペプチドが単離され得る。当技術分野で公知の細胞からタンパク質を分離するための任意の適切な方法が使用され得る。ポリペプチドを単離するために、細胞を栄養培地から分離することが必要であり得る。ポリペプチドが細胞から分泌される場合、細胞は、分泌された目的のポリペプチドを含有する培養培地から遠心分離により分離され得る。目的のポリペプチドが細胞内に集まる場合、タンパク質の単離は、細胞を細胞培養培地から分離するための遠心分離、溶解緩衝液による細胞ペレットの処理、および例えば、超音波処理、急速な凍結-融解、または浸透圧溶解による細胞の破壊を含み得る。
次いで、目的のポリペプチドを、他のタンパク質および非タンパク質成分を含有し得る、上清または培養培地から単離することが所望され得る。タンパク質成分を、上清または培養培地から分離するための一般的な手法は沈殿による。可溶性が異なるタンパク質は、硫酸アンモニウムなどの異なる濃度の沈殿剤で沈殿する。例えば、低濃度の沈殿剤では、水溶性のタンパク質が抽出される。したがって、増大させる異なる濃度の沈殿剤を添加することにより、可溶性の異なるタンパク質が識別され得る。その後、分離されたタンパク質から硫酸アンモニウムを除去するために透析が使用され得る。
当技術分野では、異なるタンパク質を識別するための他の方法、例えば、イオン交換クロマトグラフィーおよびサイズクロマトグラフィーが公知である。これらは、沈殿に対する代替法として使用され得るか、または沈殿に後続して実施され得る。
目的のポリペプチドが培養物から単離されると、ポリペプチドを濃縮することが所望され得るか、または必要であり得る。当技術分野では、限外濾過または凍結乾燥などのタンパク質を濃縮するための多数の方法が公知である。
組成物
本発明はまた、本明細書で記載される、抗原結合性分子、ポリペプチド、CAR、核酸、発現ベクター、および細胞を含む組成物も提供する。
本明細書で記載される、抗原結合性分子、ポリペプチド、CAR、核酸、発現ベクター、および細胞は、臨床使用のための医薬組成物または医薬として製剤化されてもよく、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、またはアジュバントを含み得る。組成物は、注射または注入を含み得る、局所、非経口、全身、腔内、静脈内、動脈内、筋内、髄腔内、眼内、結膜内、腫瘍内、皮下、皮内、髄腔内、経口、または経皮投与経路のために製剤化され得る。
適切な製剤は、滅菌媒体中または等張性媒体中の抗原結合性分子を含み得る。医薬および医薬組成物は、ゲル形態を含む、流体中で製剤化され得る。流体製剤は、ヒトまたは動物体内の選択された領域への注射または注入(例えば、カテーテルを介する)による投与のために製剤化され得る。
一部の実施形態では、組成物は、例えば、血管または腫瘍内への注射または注入のために製剤化される。
また、本明細書で記載される本発明に従って、薬学的に有用な組成物を産生するための方法も提供され、このような産生方法は、本明細書で記載される、抗原結合性分子、ポリペプチド、CAR、核酸(または複数の核酸)、発現ベクター(または複数の発現ベクター)、もしくは細胞を産生するステップ;本明細書で記載される、抗原結合性分子、ポリペプチド、CAR、核酸(または複数の核酸)、発現ベクター(または複数の発現ベクター)、もしくは細胞を単離するステップ;および/または本明細書で記載される、抗原結合性分子、ポリペプチド、CAR、核酸(または複数の核酸)、発現ベクター(または複数の発現ベクター)、もしくは細胞を、薬学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤、もしくは希釈剤と混合するステップから選択される、1つまたは複数のステップを含み得る。
例えば、本明細書で記載される本発明のさらなる態様は、疾患/状態(例えば、がん)の処置における使用のための医薬または医薬組成物を製剤化または産生する方法であって、本明細書で記載される、抗原結合性分子、ポリペプチド、CAR、核酸(または複数の核酸)、発現ベクター(または複数の発現ベクター)、または細胞を、薬学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤、または希釈剤と混合することにより、医薬組成物または医薬を製剤化するステップを含む、方法に関する。
治療適用および予防適用
本明細書で記載される、抗原結合性分子、ポリペプチド、CAR、核酸、発現ベクター、細胞、および組成物は、治療方法および予防方法において使用される。
本発明は、医学的処置または予防の方法における使用のための本明細書で記載される、抗原結合性分子、ポリペプチド、CAR、核酸(または複数の核酸)、発現ベクター(または複数の発現ベクター)、細胞、または組成物を提供する。また、疾患または状態を処置または予防するための医薬の製造における本明細書で記載される、抗原結合性分子、ポリペプチド、CAR、核酸(または複数の核酸)、発現ベクター(または複数の発現ベクター)、細胞、または組成物の使用も提供される。また、疾患または状態を処置または予防する方法であって、治療または予防有効量の、本明細書で記載される、抗原結合性分子、ポリペプチド、CAR、核酸(または複数の核酸)、発現ベクター(または複数の発現ベクター)、細胞、または組成物を対象に投与するステップを含む、方法も提供される。
方法は、疾患/状態の発症もしくは進行の低減、疾患/状態の症状の緩和、または疾患/状態の病態の低減に効果的であり得る。方法は、疾患/状態の進行を予防する、例えば、疾患/状態の増悪を予防するか、または疾患/状態の発症速度を遅くするのに効果的であり得る。一部の実施形態では、方法は、疾患/状態の改善、例えば、疾患/状態の症状の低減、または疾患/状態の重症度/活動性の他の一部の相関因子の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、方法は、疾患/状態の後期(例えば、慢性期または転移)の発症を予防し得る。
本発明の物品が、HER3を発現する細胞の数および/または活性の低減から治療または予防利益を引き出す、任意の疾患/状態の処置/予防のために使用され得ることが理解されるであろう。例えば、疾患/状態は、HER3を発現する細胞が、病理学的に関与する疾患/状態、例えば、HER3を発現する細胞の数/比率の増大が、疾患/状態の発生、発症、もしくは進行、および/または疾患/状態の1つもしくは複数の症状の重症度と正に関連するか、あるいはHER3を発現する細胞の数/比率の増大が、疾患/状態の、発生、発症、または進行の危険性因子である、疾患/状態であり得る。
一部の実施形態では、本発明に従って処置/予防される疾患/状態は、例えば、疾患/状態の非存在下におけるHER3を発現する細胞の数/比率/活性と比較した、HER3を発現する細胞の数/比率/活性の増大により特徴付けられる疾患/状態である。
一部の実施形態では、処置/予防される疾患/状態は、がんである。
がんは、任意の望ましくない細胞増殖(または望ましくない細胞増殖によりそれ自体で現れる任意の疾患)、新生物、または腫瘍であり得る。がんは、良性であってもよいか、または悪性であってもよく、原発性であってもよいか、または続発性(転移性)であってもよい。新生物または腫瘍は、細胞の任意の異常な成長または増殖である場合があり、任意の組織内に位置し得る。がんは、例えば、副腎、副腎髄質、肛門、虫垂、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、盲腸、中枢神経系(脳を含むか、または除外する)、小脳、子宮頸部、結腸、十二指腸、子宮内膜、上皮細胞(例えば、腎臓上皮)、胆嚢、食道、神経膠細胞、心臓、回腸、空腸、腎臓、涙腺、喉頭、肝臓、肺、リンパ、リンパ節、リンパ芽球、顎、縦隔、腸間膜、子宮筋層、鼻咽頭、網、口腔、卵巣、膵臓、耳下腺、末梢神経系、腹膜、胸膜、前立腺、唾液腺、S字結腸、皮膚、小腸、軟部組織、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、舌、扁桃腺、気管、子宮、外陰、および/または白血球に由来する組織/細胞のがんであり得る。
処置される腫瘍は、神経系、または非神経系腫瘍であり得る。神経系腫瘍、例えば、神経膠腫、髄芽腫、髄膜腫、神経線維腫、上衣腫、シュワン細胞腫、神経線維肉腫、星状細胞腫、および希突起神経膠腫は、中枢、または末梢神経系に由来し得る。非神経系がん/腫瘍は、他の任意の非神経組織に由来する場合があり、例は、黒色腫、中皮腫、リンパ腫、骨髄腫、白血病、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、肝がん、類表皮癌、前立腺癌、乳がん、肺がん、結腸がん、卵巣がん、膵がん、胸腺癌、NSCLC、血液がん、および肉腫を含む。
HER3、ならびにがんとのその関連、およびがんにおけるその役割は、例えば、Karachaliouら、BioDrugs.(2017)31(1):63~73、およびZhangら、Acta Biochimica et Biophysica Sinica(2016)48(1):39~48に概説されており、これらの両方は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、がんは、HER3を発現する細胞を含むがん、固形腫瘍、乳がん、乳癌、乳管癌、胃がん、胃癌、胃腺癌、結腸直腸がん、結腸直腸癌、結腸直腸腺癌、頭頸部がん、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)、肺がん、肺腺癌、扁平上皮肺癌、卵巣がん、卵巣癌、漿液性卵巣腺癌、腎がん、腎細胞癌、腎明細胞癌、腎細胞腺癌、乳頭状腎細胞癌、膵がん、膵腺癌、膵管腺癌、子宮頸がん、子宮頸部扁平上皮癌、皮膚がん、黒色腫、食道がん、食道腺癌、肝がん、肝細胞癌、胆管癌、子宮がん、子宮体内膜癌、甲状腺がん、甲状腺癌、褐色細胞腫、傍神経節腫、膀胱がん、膀胱尿路上皮癌、前立腺がん、前立腺腺癌、肉腫、および胸腺腫から選択される。
一部の実施形態では、本発明に従って処置されるがんは、HER3発現がん、胃がん(例えば、胃癌、胃腺癌、消化管腺癌)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、乳がん、卵巣がん(例えば、卵巣癌)、肺がん(例えば、NSCLC、肺腺癌、扁平上皮肺細胞癌)、黒色腫、前立腺がん、口腔がん(例えば、口腔咽頭がん)、腎臓がん(例えば、腎細胞癌)、または結腸直腸がん(例えば、結腸直腸癌)、食道がん、膵がん、固形がん、および/もしくは液性がんから選択される。
処置/予防は、がんの症状の発生/進行を遅延させる/予防すること、がんの症状の重症度を低減すること、がんの細胞の生存期間/成長/浸潤/転移を低減すること、がんの細胞の数を低減すること、および/または対象の生存期間を延長することのうちの1つまたは複数を目標とし得る。
一部の実施形態では、処置/予防されるがんは、EGFRファミリーメンバー(例えば、HER3、EGFR、HER2、またはHER4)を発現する細胞、および/またはEGFRファミリーメンバーに対するリガンドを発現する細胞を含む。一部の実施形態では、処置/予防されるがんは、EGFRファミリーメンバーについて陽性であるがんである。一部の実施形態では、がんは、EGFRファミリーメンバー、および/またはEGFRファミリーメンバーに対するリガンドを過剰発現する。過剰発現は、同等の非がん性細胞/非腫瘍組織による発現のレベルを超える発現のレベルを検出することにより決定され得る。
発現は、任意の適切な手段により決定され得る。発現は、遺伝子発現であり得るか、またはタンパク質発現であり得る。遺伝子発現は、例えば、定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)により、例えば、HER3をコードするmRNAの検出により決定され得る。例えば、タンパク質の発現は、例えば、抗体ベースの方法、例えば、ウェスタンブロット、免疫組織化学、免疫細胞化学、フローサイトメトリー、またはELISAにより決定され得る。
一部の実施形態では、処置/予防されるがんは、HER3を発現する細胞を含む。一部の実施形態では、処置/予防されるがんは、HER3について陽性であるがんである。一部の実施形態では、がんは、HER3を過剰発現する。HER3の過剰発現は、同等の非がん性細胞/非腫瘍組織による発現のレベルを超える、HER3の発現レベルを検出することにより決定され得る。
一部の実施形態では、患者は、例えば、対象から得られた試料中の、HER3を発現するか、またはHER3を過剰発現するがんの検出に基づき、本明細書で記載される処置のために選択され得る。
一部の実施形態では、処置/予防されるがんは、HER3に対するリガンド(例えば、NRG1および/またはNRG2)を発現する細胞を含む。一部の実施形態では、処置/予防されるがんは、同等の非がん性細胞/非腫瘍組織による発現のレベルを超えるNRG1および/またはNRG2の発現レベルを発現する細胞を含む。
本明細書で記載されるHER3結合抗原結合性分子は、HER3がNRGに結合している場合(すなわち、HER3が「開放型」コンフォメーションで提供される場合)、およびまた、HER3がNRGに結合していない場合(すなわち、HER3が「閉鎖型」コンフォメーションで提供される場合)、極度に高い親和性でHER3に結合することが実証される。
したがって、本発明の抗原結合性分子は、HER3リガンド発現/過剰発現によって特徴付けられるがん、例えば、HER3に対するリガンドを発現/過剰発現する細胞を含むがん/腫瘍の処置/予防に特に有用である。
一部の実施形態では、本発明に従って処置されるがんは、遺伝的バリアントを含まない参照対立遺伝子(例えば、非突然変異、または「野生型」対立遺伝子)を保有する同等の細胞と比べて、HERに対するリガンドの増大した(遺伝子および/またはタンパク質)発現を引き起こす遺伝的バリアント(例えば、突然変異)を保有する細胞を含む。遺伝的バリアントは、参照対立遺伝子に対するヌクレオチド配列の挿入、欠失、置換、またはより大規模な転座/再配列であってもよいか、またはこれらを含んでもよい。
HER3に対するリガンドの増大した発現を「生じる」突然変異は、HER3に対するリガンドの増大した遺伝子/タンパク質発現を引き起こすことが知られ得るか、もしくは予測され得るか、またはこれらと関連し得る。HER3に対するリガンドの増大した発現を生じる突然変異は、「活性化」突然変異と称され得る。
HER3に対するリガンドの増大した発現を引き起こす突然変異は、突然変異を保有しない同等の細胞のゲノム核酸によって発現されない、かつ/またはコードされないHER3に対するリガンドの遺伝子またはタンパク質発現を生じ得る。すなわち、HER3に対するリガンドは、突然変異の結果として発生する新抗原であり得るので、「増大した発現」は、発現由来でなくてもよい。例示を目的として述べると、CD47-NRG1遺伝子融合体を含む細胞は、CD47-NRG1遺伝子融合体を欠く細胞と比べて、遺伝子融合体によってコードされるCD47-NRG1融合ポリペプチドの増大した発現を呈する。
HER3に対するリガンドの増大した発現を引き起こす突然変異は、突然変異を含まない同等の細胞のゲノム核酸によって発現される、かつ/またはコードされるHER3に対するリガンドの増大した遺伝子またはタンパク質発現を生じ得る。例示を目的として述べると、細胞は、突然変異を含まない同等の細胞によってNRG1をコードする核酸の転写のレベルと比べて、NRG1をコードする核酸の転写のレベルの増大を生じる突然変異を含み得る。
一部の実施形態では、HER3に対するリガンドの増大した発現を引き起こす突然変異は、突然変異を含まない同等の細胞と比べて、HER3に対するリガンドの遺伝子発現の増大を引き起こし得る。一部の実施形態では、HER3に対するリガンドの増大した発現を引き起こす突然変異は、突然変異を含まない同等の細胞と比べて、HER3に対するリガンドのタンパク質発現の増大を引き起こし得る。
一部の実施形態では、HER3に対するリガンドの増大した発現を引き起こす突然変異は、突然変異を含まない同等の細胞と比べて、突然変異を含む細胞の細胞表面上または細胞表面においてHER3に対するリガンドのレベルの増大を引き起こし得る。一部の実施形態では、HER3に対するリガンドの増大した発現を引き起こす突然変異は、突然変異を含まない同等の細胞と比べて、突然変異を含む細胞からのHER3に対するリガンドの分泌のレベルの増大を引き起こし得る。
参照細胞による(例えば、突然変異の結果として)HER3に対するリガンドの発現のレベルと比べて、HER3に対するリガンドの増大した発現を有する細胞は、HER3に対するリガンドを「過剰発現する」、またはHER3に対するリガンドの「上方調節された発現」を有すると記載され得る。例えば、突然変異を欠く同等の細胞と比べて、HER3に対するリガンドの増大した発現を生じる突然変異を保有する細胞を含むがんは、HER3に対するリガンドの過剰発現/上方調節された発現を呈する細胞を含むがんと記載され得る。一部の実施形態では、突然変異を欠く参照細胞は、(例えば、同等の細胞型の)非がん性細胞、または(例えば、同等のがん型の)がん性細胞であり得る。
本明細書では、「HER3に対するリガンド」は、一般に、HER3のドメインIおよびIIIによって形成されるHER3のリガンド結合性領域を介してHER3に結合することができる分子を指すことを意図する。一部の実施形態では、HER3に対するリガンドは、HER3のドメインIおよび/またはIIIとの相互作用によりHER3に結合する。HER3に対する例示的なリガンドは、NRG1およびNRG2などのニューレグリンを含み、これは、それらのEGF様ドメインと、HER3のリガンド結合性領域との相互作用によりHER3に結合する。
HER3リガンドは、好ましくは、HER3受容体および/またはHER3を含む受容体複合体に結合し、それらを通じてシグナル伝達を誘発することができる。本開示から明らかなように、HER3を含む受容体複合体は、本明細書で記載されるHER3に対する相互作用パートナー、例えば、HER3、HER2、EGFR、HER4、HGFR、IGF1R、および/またはcMet)をさらに含み得る。
一部の実施形態では、HER3に対するリガンドは、HER3リガンドの増大した発現を有する細胞以外の細胞によって発現されるHER3受容体/受容体複合体に結合することができる。例えば、一部の実施形態では、HER3に対するリガンドは、HER3発現がん細胞に結合することができる。
一部の実施形態では、HER3に対するリガンドは、HER3リガンドの増大した発現を有する細胞によって発現されるHER3受容体/受容体複合体に結合することができる。
一部の実施形態では、処置されるがんは、(i)HER3を発現する細胞、および(ii)HER3に対するリガンドを発現する(例えば、HER3に対するリガンドの増大した発現を生じる突然変異の結果として、例えば、HER3に対するリガンドの増大した発現を有する)細胞を含む。
一部の実施形態では、処置されるがんは、(i)HER3を発現する、および(ii)HER3に対するリガンドも発現する(例えば、HER3に対するリガンドの増大した発現を生じる突然変異の結果として、例えば、HER3に対するリガンドの増大した発現を有する)細胞を含む。
一部の実施形態では、HER3に対するリガンドは、HER3に対するリガンドのHER3結合性領域のアミノ酸配列、またはHER3に対するリガンドのHER3結合性領域に由来するアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなる。HER3に対するリガンドのHER3結合性領域に由来するアミノ酸配列は、それが由来するアミノ酸配列に対して、少なくとも60%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)のアミノ酸配列同一性を含み得る。
一部の実施形態では、HER3に対するリガンドは、HER3に結合することができるEGF様ドメイン、またはそのHER3結合断片を含む。一部の実施形態では、HER3結合EGF様ドメイン/断片は、EGFファミリーメンバー(例えば、ヘパリン結合EGF様増殖因子(HB-EGF)、形質転換増殖因子-α(TGF-α)、アンフィレグリン(AR)、エピレグリン(EPR)、エピジェン、ベータセルリン(BTC)、NRG1、NRG2、NRG3、またはNRG4)であるか、またはこれらに由来する。
EGFファミリーメンバーは、配列番号240に示される保存アミノ酸配列のうちの1つまたは複数のリピートを含有し、これは、それらの同族受容体に対する高親和性結合に必要とされる3個の構造的ループをもたらす、3個の分子内ジスルフィド結合を形成する6個のシステイン残基を含有する(Harrisら、Experimental Cell Research(2003)284(1):2~13を参照されたい)。一部の実施形態では、HER3に対するリガンドは、配列番号240に示されるコンセンサス配列に一致するアミノ酸配列のうちの1つまたは複数のコピーを含む。
HER3に対する例示的なリガンドは、ニューレグリン(NRG)を含む。ニューレグリンは、NRG1、NRG2、NRG3、およびNRG4を含む。ヒトNRG1(アルファアイソフォーム)のアミノ酸配列は、配列番号232に示される。アルファアイソフォームおよびヒトNRG1のいくつかの他のアイソフォーム(アルファ1aアイソフォーム(UnitProt:Q02297-2を参照されたい)、アルファ2bアイソフォーム(UnitProt:Q02297-3を参照されたい)、およびアルファ3アイソフォーム(UnitProt:Q02297-4を参照されたい)を含む)は、配列番号233に示されるEGF様ドメインを含み、このEGF様ドメインを介して、これらはHER3に結合する。ヒトNRG2(アイソフォーム1)のアミノ酸配列は、配列番号234に示される。アイソフォーム1およびいくつかの他のヒトNRG2のアイソフォーム(アイソフォーム3(UniProt:O14511-3を参照されたい)、アイソフォーム5(UniProt:O14511-5を参照されたい)、アイソフォーム6(UniProt:O14511-6を参照されたい)、アイソフォームDON-1B(UniProt:O14511-7を参照されたい)、およびアイソフォームDON-1R(UniProt:O14511-8を参照されたい)を含む)は、配列番号235に示されるEGF様ドメインを含み、このEGF様ドメインを介して、これらはHER3に結合する。ヒトNRG3のアミノ酸配列は、配列番号236に示され、ヒトNRG3のEGF様ドメインは、配列番号237に示される。ヒトNRG4のアミノ酸配列は、配列番号238に示され、ヒトNRG3のEGF様ドメインは、配列番号239に示される。一部の実施形態では、NRGは、NRG1、NRG2、NRG3、およびNRG4から選択される。一部の実施形態では、NRGは、NRG1、およびNRG2から選択される。
一部の実施形態では、EGF様ドメイン/断片は、NRG(NRG1、NRG2、NRG3、またはNRG4)のEGF様ドメインに対して、少なくとも60%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる。一部の実施形態では、EGF様ドメイン/断片は、配列番号233、235、237、または239のうちの1つに対して、少なくとも60%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、HER3に対するリガンドは、NRG(例えば、NRG1、NRG2、NRG3、またはNRG4、例えば、NRG1、またはNRG2)であるか、またはNRGのアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を含む(すなわち、NRGのアミノ酸配列に対して、少なくとも60%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む)。
一部の実施形態では、HER3に対するリガンドは、HER3に対するリガンド(例えば、NRG、例えば、NRG1、NRG2、NRG3、またはNRG4、例えば、NRG1、またはNRG2)のHER3結合性領域に対して、少なくとも60%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる。一部の実施形態では、HER3に対するリガンドは、NRG(例えば、NRG1、NRG2、NRG3、またはNRG4、例えば、NRG1、またはNRG2)のEGF様ドメインに対して、少なくとも60%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる。
一部の実施形態では、HER3に対するリガンドは、EGFRファミリータンパク質(例えば、HER3、HER2、EGFR、HER4、HGFR、IGF1R、cMet)ではない。
一部の実施形態では、HER3に対するリガンドの発現の増大を生じる突然変異は、NRG遺伝子融合体である。一部の実施形態では、HER3に対するリガンドは、NRG遺伝子融合体の産物(すなわち、NRG遺伝子融合体によってコードされるポリペプチド)である。一部の実施形態では、がんは、NRG遺伝子融合体を有する細胞を含む。
本明細書で使用される場合、「NRG遺伝子融合体」とは、(i)NRGタンパク質(例えば、NRG1、NRG2、NRG3、またはNRG4、例えば、NRG1、またはNRG2)のアミノ酸配列、および(ii)NRGタンパク質以外のタンパク質のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする遺伝的バリアントを指す。
NRG遺伝子融合体が、好ましくは、本明細書で記載されるHER3リガンドをコードすることは理解されるであろう。一部の実施形態では、NRG遺伝子融合体は、NRGタンパク質のHER3結合性領域を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、NRG遺伝子融合体は、NRGタンパク質のEGF様ドメインを含むポリペプチド、またはHER3に結合し、NRGタンパク質のEGF様ドメインに対して、少なくとも60%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)のアミノ酸配列同一性を有することができるアミノ酸配列をコードする。
一部の実施形態では、NRG遺伝子融合体は、膜貫通ドメインを含む融合ポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、NRG遺伝子融合体は、NRGタンパク質以外のタンパク質の膜貫通ドメインを含む融合ポリペプチドをコードする。
一部の実施形態では、NRG遺伝子融合体は、NRG1遺伝子融合体である。一部の実施形態では、NRG1遺伝子融合体は、NRG1のEGF様ドメインを含むポリペプチド、またはHER3に結合し、NRG1のEGF様ドメインに対して、少なくとも60%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)のアミノ酸配列同一性を有することができるアミノ酸配列をコードする。
NRG1遺伝子融合体は、例えば、WO2018/182422 A1、WO2019/051155 A1、Dhanasekaranら、Nat Commun.(2014)5:5893、Drilonら、Cancer Discov.(2018)8(6):686~695、Nagasakaら、Journal of Thoracic Oncology(2019)14(8):1354~1359、およびJonnaら、Clin Cancer Res.(2019)25(16):4966~4972に記載されており、これらの全てはそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。NRG1遺伝子融合体の多様性は、特に、ゲノム転座イベントを受けやすい、第8染色体に位置するNRG1に起因し得る(Adelaideら、Genes Chromosomes Cancer.(2003)37(4):333~45)。
一部の実施形態では、NRG1遺伝子融合体は、CLU-NRG1、CD74-NRG1、DOC4-NRG1、SLC3A2-NRG1、RBPMS-NRG1、WRN-NRG1、SDC4-NRG1、RAB2IL1-NRG1、VAMP2-NRG1、KIF13B-NRG1、THAP7-NRG1、SMAD4-NRG1、MDK-NRG1、TNC-NRG1、DIP2B-NRG1、MRPL13-NRG1、PARP8-NRG1、ROCK1-NRG1、DPYSL2-NRG1、ATP1B1-NRG1、CDH6-NRG1、APP-NRG1、AKAP13-NRG1、THBS1-NRG1、FOXA1-NRG1、PDE7A-NRG1、RAB3IL1-NRG1、CDK1-NRG1、BMPRIB-NRG1、TNFRSF10B-NRG1、およびMCPH1-NRG1から選択される。一部の実施形態では、NRG1遺伝子融合体は、CLU-NRG1である。CD74-NRG1遺伝子融合体は、例えば、Fernandez-Cuestaら、Cancer Discov.(2014)4:415~22、およびNakaokuら、Clin Cancer Res(2014)20:3087~93に記載されている。DOC4-NRG1遺伝子融合体は、例えば、Liuら、Oncogene.(1999)18(50):7110~4およびWangら、Oncogene.(1999)18(41):5718~21に記載されている。SLC3A2-NRG1遺伝子融合体は、例えば、Nakaokuら、Clin Cancer Res(2014)20:3087~93、Shinら、Oncotarget(2016)7:69450~65、およびShinら、Mol Cancer Ther.(2018)17(9):2024~2033に記載されている。RBPMS-NRG1、WRN-NRG1、RAB2IL1-NRG1、およびSDC4-NRG1遺伝子融合体は、例えば、Dhanasekaranら、Nat Commun.(2014)5:5893に記載されている。VAMP2-NRG1遺伝子融合体は、例えば、Jungら、J Thorac Oncol.(2015)10(7):1107~11、およびShimら、J Thorac Oncol.(2015)10(8):1156~62に記載されている。KIF13B-NRG1遺伝子融合体は、例えば、Xiaら、Int J Surg Pathol.(2017)25(3):238~240に記載されている。SMAD4-NRG1、AKAP13-NRG1、THBS1-NRG1、FOXA1-NRG1、PDE7A-NRG1、RAB3IL1-NRG1、およびTHAP7-NRG1遺伝子融合体は、例えば、Drilonら、Cancer Discov.(2018)8(6):686~695に記載されている。MDK-NRG1、TNC-NRG1、DIP2B-NRG1、MRPL13-NRG1、PARP8-NRG1、ROCK1-NRG1、およびDPYSL2-NRG1遺伝子融合体は、例えば、Jonnaら、Clin Cancer Res.(2019)25(16):4966~4972に記載されている。ATP1B1-NRG1遺伝子融合体は、例えば、Drilonら、Cancer Discov.(2018)8(6):686~695、およびJonesら、Annals of Oncology(2017)28:3092~3097に記載されている。CLU-NRG1遺伝子融合体は、例えば、Drilonら、Cancer Discov.(2018)8(6):686~695、およびNagasakaら、Journal of Thoracic Oncology(2019)14(8):1354~1359に記載されている。
一部の実施形態では、NRG遺伝子融合体は、NRG2遺伝子融合体である。一部の実施形態では、NRG2遺伝子融合体は、NRG2のEGF様ドメインを含むポリペプチド、またはHER3に結合し、NRG2のEGF様ドメインに対して、少なくとも60%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)のアミノ酸配列同一性を有することができるアミノ酸配列をコードする。
NRG2遺伝子融合体は、例えば、WO2015/093557 A1に記載されているSLC12A2-NRG2、およびDupainら、Mol Ther.(2019)27(1):200~218に記載されているZNF208-NRG2を含む。
HER3に対するリガンドの増大した発現を生じる突然変異を有する細胞を含む(例えば、NRG遺伝子融合体、例えば、NRG1遺伝子融合体、またはNRG2遺伝子融合体を有する細胞を含む)がんは、本明細書で記載される任意のがんであり得る。一部の実施形態では、このようながんは、肺、乳房、頭部、頸部、腎臓、卵巣、膵臓、前立腺、子宮、胆嚢、結腸、直腸、膀胱、軟部組織または鼻咽頭に由来する組織/細胞のがんであり得る。
一部の実施形態では、HER3に対するリガンドの増大した発現を生じる突然変異を有する細胞を含む(例えば、NRG遺伝子融合体、例えば、NRG1遺伝子融合体、またはNRG2遺伝子融合体を有する細胞を含む)がんは、肺がん、非小細胞肺がん、肺線癌、浸潤性粘液性肺線癌、肺扁平上皮癌、乳がん、乳癌、浸潤性乳癌、頭頸部がん、頭頸部扁平上皮癌、腎がん、腎明細胞癌、卵巣がん、卵巣漿液性嚢胞腺癌、膵がん、膵腺癌、膵管腺癌、前立腺がん、前立腺腺癌、子宮内膜がん、子宮癌肉腫、胆嚢がん、胆管癌、結腸直腸がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、肉腫、軟部組織肉腫、神経内分泌腫瘍および鼻咽頭神経内分泌腫瘍から選択される。
特定の実施形態では、本発明に従って処置されるがんは、NRG1遺伝子融合体を有する細胞を含む肺がん(例えば、非小細胞肺がん、肺線癌、浸潤性粘液性肺線癌、または肺扁平上皮癌)である。
本明細書の実施形態では、特定の特徴を有する細胞を含むがんは、これらの特徴を有する細胞を含む腫瘍であり得るか、またはこれを含み得ることは理解されるであろう。
当技術分野で一般的であるように、特定の特徴を有する細胞を含むがん/腫瘍は、本明細書では、これらの特徴を有するがん/腫瘍と単に称され得る。例示を目的として述べると、NRG1遺伝子融合体を有する細胞を含むがん/腫瘍は、「NRG1遺伝子融合体を含むがん/腫瘍」、または「NRG1遺伝子融合がん/腫瘍」と単に称され得る。
本発明の物品の投与は、好ましくは、「治療有効」または「予防有効」量であり、これは、対象に対して、治療または予防利益を示すのに十分な量である。投与される実際の量、および速度、ならびに投与の時間経過は、疾患/状態の性質および重症度、ならびに投与される特定の物品に依存するであろう。処置の処方、例えば、投与量についての決定などは、一般的な従事者および他の医師の責任の範囲内にあり、典型的に、処置される疾患/障害、個々の対象の状態、送達部位、投与方法、および従事者に公知の他の因子を考慮に入れる。上記で言及された技法およびプロトコールの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、20版、2000、pub.Lippincott、Williams & Wilkinsに見出され得る。
投与は、処置される状態に応じて、単独でなされてもよいか、または他の処置と同時に、もしくは逐次的に組み合わせてなされてもよい。本明細書で記載される抗原結合性分子または組成物、および治療剤は、同時に、または逐次的に投与されてもよい。
一部の実施形態では、方法は、例えば、がんの処置/予防のための、さらなる治療的または予防的介入を含む。一部の実施形態では、治療的または予防的介入は、化学療法、免疫療法、放射線療法、手術、ワクチン接種、および/またはホルモン療法から選択される。一部の実施形態では、治療的または予防的介入は、白血球除去療法を含む。一部の実施形態では、治療的または予防的介入は、幹細胞移植を含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤と組み合わせて投与される。
したがって、本発明は、本発明に従う物品(例えば、本発明に従う抗原結合性分子)と、EGFRファミリーメンバー(例えば、EGFR、HER2、HER3、またはHER4)により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる別の薬剤とを含む組成物を提供する。また、本明細書で記載される疾患/状態の医学的な処置および予防の方法における、このような組成物の使用も提供される。
また、本明細書で記載される疾患/状態を処置/予防するための方法であって、本発明に従う物品の本発明の物品(例えば、本発明に従う抗原結合性分子)と、EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達を阻害することができる別の薬剤とを投与するステップを含む、方法も提供される。
当技術分野では、EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤が公知であり、例えば、低分子阻害剤(例えば、チロシンキナーゼ阻害剤)、モノクローナル抗体(およびこの抗原結合性断片)、ペプチド/ポリペプチド阻害剤(例えば、デコイリガンド/受容体またはペプチドアプタマー)、および核酸(例えば、アンチセンス核酸、スプライススイッチング核酸、または核酸アプタマー)を含む。EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達の阻害剤は、EGFRファミリーメンバーである、相互作用パートナーに対する直接的な効果を介して、シグナル伝達を阻害し、したがって、かつ/または、EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達に関与する下流の因子も阻害する薬剤を含む。
一部の実施形態では、EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達のアンタゴニストは、EGFR、HER2、HER4、およびHER3のうちの1つまたは複数により媒介されるシグナル伝達を阻害する。EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達の阻害剤については、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Yamaokaら、Int.J.Mol.Sci.(2018)、19、3491に記載されている。一部の実施形態では、アンタゴニストは、pan-ErbB阻害剤である。一部の実施形態では、アンタゴニストは、EGFRにより媒介されるシグナル伝達の阻害剤(例えば、セツキシマブ、パニツムマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、アファチニブ、ブリガチニブ、イコチニブ、オシメルチニブ、ザルツムマブ、バンデタニブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、ダコミチニブ、ドゥリゴツズマブ、またはマツズマブ)である。一部の実施形態では、アンタゴニストは、HER2により媒介されるシグナル伝達の阻害剤(例えば、トラスツズマブ、ペルツズマブ、ラパチニブ、ネラチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ、MM-111、MCLA-128、またはマルゲツキシマブ)である。一部の実施形態では、アンタゴニストは、HER3により媒介されるシグナル伝達の阻害剤(例えば、セリバンツマブ、ルムレツズマブ、エルゲムツマブ、KTN3379、AV-203、GSK2849330、REGN1400、MP-RM-1、EV20、ドゥリゴツズマブ、MM-111、イスチラツマブ、MCLA-128、パトリツマブ、EZN-3920、RB200、またはU3-1402)である。一部の実施形態では、アンタゴニストは、HER4により媒介されるシグナル伝達の阻害剤(例えば、ラパチニブ、イブルチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ、またはネラチニブ)である。
一部の実施形態では、EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達のアンタゴニストは、EGFRファミリーメンバーによるシグナル伝達の下流のエフェクターを阻害する。EGFRファミリーメンバーによるシグナル伝達の下流のエフェクターは、例えば、PI3K、AKT、KRAS、BRAF、MEK/ERK、およびmTORを含む。一部の実施形態では、EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達のアンタゴニストは、MAPK/ERK経路の阻害剤である。一部の実施形態では、EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達のアンタゴニストは、PI3K/ATK/mTOR経路の阻害剤である。一部の実施形態では、アンタゴニストは、PI3K阻害剤(例えば、ピクチリシブ、ブパルリシブ、イデラリシブ、コパンリシブ、またはドゥベリシブ)である。一部の実施形態では、アンタゴニストは、AKT阻害剤(例えば、MK-2206、AZD5363、イパタセルチブ、VQD-002、ペリホシン、またはミルテホシン)である。一部の実施形態では、アンタゴニストは、BRAF阻害剤(例えば、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、SB590885、XL281、RAF265、エンコラフェニブ、GDC-0879、PLX-4720、ソラフェニブ、またはLGX818)である。一部の実施形態では、アンタゴニストは、MEK/ERK阻害剤(例えば、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD-325901、CI-1040、PD035901、またはTAK-733)である。一部の実施形態では、アンタゴニストは、mTOR阻害剤(例えば、ラパマイシン、デフォロリムス、テムシロリムス、エベロリムス、リダホロリムス、またはサパニセルチブ)である。
一部の実施形態では、本発明の態様(単剤療法または併用療法を含む)に従って処置されるがんは、EGFRファミリーメンバー(例えば、EGFR、HER2、HER4、および/またはHER3)により媒介されるシグナル伝達のアンタゴニスト、例えば、前出の3つの段落において記載されたアンタゴニストによる処置に対して耐性であるがんである。一部の実施形態では、処置される対象は、EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達のアンタゴニストによる処置に対して耐性であるがんを有する。一部の実施形態では、処置される対象は、EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達のアンタゴニストによる処置に対して耐性を発生させたがんを有する。一部の実施形態では、処置される対象は、かつては、EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達のアンタゴニストによる処置に応答したが、現在は、アンタゴニストによる処置に対して耐性であるがんを有する。一部の実施形態では、処置される対象は、EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達のアンタゴニストによる処置の後で、再発および/または進行したがんを有する。一部の実施形態では、処置される対象は、初期には、EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達のアンタゴニストによる処置に応答したが、その後、前記処置で進行したがんを有する。
一部の実施形態では、本発明に従って処置される対象は、(例えば、本明細書で記載される)HER3に対するリガンドの増大した発現を引き起こす突然変異を有する細胞を含むがんを有することが決定されている場合がある(すなわち、有すると診断されている場合がある)。一部の実施形態では、本発明の方法は、対象が、HER3に対するリガンドの増大した発現を引き起こす突然変異を有する細胞を含むがんを有するかどうかを決定するステップを含み得る。一部の実施形態では、方法は、がんの細胞由来の核酸を解析するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、HER3に対するリガンドの増大した発現を引き起こす突然変異を検出するステップを含む。
当業者は、本明細書で記載されるがんおよび対象を容易に特定することができる。このようながんおよび対象は、例えば、EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達のアンタゴニストによる処置の経過の間、例えば、がん(および/またはこの相関因子)の発症/進行の経時的なモニタリングによって特定され得る。一部の実施形態では、このような対象/がんの特定は、例えば、in vitroにおける試料(例えば、生検)の解析を含み得る。一部の実施形態では、がんは、アンタゴニストによる処置に対する、感受性の低減および/または耐性と関連する突然変異を有する細胞を含むことが決定され得る。一部の実施形態では、がんは、EGFRファミリーメンバーの発現を上方調節した細胞を含むことが決定され得る。
特定の実施形態では、処置されるがんは、EGFRおよび/またはHER2により媒介されるシグナル伝達のアンタゴニストによる処置に対して耐性であるがんである。一部の実施形態では、処置される対象は、EGFRおよび/またはHER2により媒介されるシグナル伝達のアンタゴニストによる処置に対して耐性であるがんを有する。一部の実施形態では、処置される対象は、EGFRおよび/またはHER2により媒介されるシグナル伝達のアンタゴニストによる処置に対して耐性を発生させたがんを有する。一部の実施形態では、処置される対象は、かつては、EGFRおよび/またはHER2により媒介されるシグナル伝達のアンタゴニストによる処置に応答したが、現在は、アンタゴニストによる処置に対して耐性であるがんを有する。一部の実施形態では、処置される対象は、EGFRおよび/またはHER2により媒介されるシグナル伝達のアンタゴニストによる処置の後で、再発および/または進行したがんを有する。一部の実施形態では、処置される対象は、初期には、EGFRおよび/またはHER2により媒介されるシグナル伝達のアンタゴニストによる処置に応答したが、その後、前記処置で進行したがんを有する。
特定の実施形態では、処置されるがんは、BRAFの阻害剤による処置に対する耐性を付与する突然変異を含む。一部の実施形態では、突然変異は、BRAFのV600における突然変異である。一部の実施形態では、突然変異は、BRAFのV600EまたはV600Kである。
特定の実施形態では、処置されるがんは、BRAFの阻害剤による処置に対する耐性を付与する突然変異(例えば、BRAFのV600における突然変異)を含み、処置は、ベムラフェニブまたはダラフェニブの投与を含む。
一部の実施形態では、抗原結合性分子は、免疫チェックポイント分子により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤と組み合わせて投与される。一部の実施形態では、免疫チェックポイント分子は、例えば、PD-1、CTLA-4、LAG-3、VISTA、TIM-3、TIGIT、またはBTLAである。一部の実施形態では、抗原結合性分子は、共刺激受容体により媒介されるシグナル伝達を促進することができる薬剤と組み合わせて投与される。一部の実施形態では、共刺激受容体は、例えば、CD28、CD80、CD40L、CD86、OX40、4-1BB、CD27、またはICOSである。
したがって、本発明は、本発明に従う物品(例えば、本発明に従う抗原結合性分子)と、免疫チェックポイント分子により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤とを含む組成物を提供する。また、本発明の物品と、共刺激受容体により媒介されるシグナル伝達を促進することができる薬剤とを含む組成物も提供される。また、本明細書で記載される疾患/状態の医学的な処置および予防の方法におけるこのような組成物の使用も提供される。
また、本明細書で記載される疾患/状態を処置/予防するための方法であって、本発明に従う物品の本発明の物品(例えば、本発明に従う抗原結合性分子)と、免疫チェックポイント分子により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤とを投与するステップを含む、方法も提供される。また、本明細書で記載される疾患/状態を処置/予防するための方法であって、本発明に従う物品の本発明の物品(例えば、本発明に従う抗原結合性分子)と、共刺激受容体により媒介されるシグナル伝達を促進することができる薬剤とを投与するステップを含む、方法も提供される。
当技術分野では、免疫チェックポイント分子により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤が公知であり、例えば、免疫チェックポイント分子、またはそれらのリガンドに結合し、免疫チェックポイント分子により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる抗体を含む。免疫チェックポイント分子により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる他の薬剤は、免疫チェックポイント分子、または免疫チェックポイント分子に対するリガンドの遺伝子/タンパク質の発現を低減すること(例えば、免疫チェックポイント分子/リガンドをコードする遺伝子の転写を阻害すること、免疫チェックポイント分子/リガンドをコードするRNAの転写後プロセシングを阻害すること、免疫チェックポイント分子/リガンドをコードするRNAの安定性を低減すること、免疫チェックポイント分子/リガンドをコードするRNAの分解を促進すること、免疫チェックポイント分子/リガンドの翻訳後プロセシングを阻害すること、免疫チェックポイント分子/リガンドの安定性を低減すること、または免疫チェックポイント分子/リガンドの分解を促進することを介して)ができる薬剤、および低分子阻害剤を含む。
当技術分野では、共刺激受容体により媒介されるシグナル伝達を促進することができる薬剤が公知であり、例えば、共刺激受容体に結合し、共刺激受容体により媒介されるシグナル伝達を誘発するか、または増大させることができるアゴニスト抗体を含む。共刺激受容体により媒介されるシグナル伝達を促進することができる他の薬剤は、共刺激受容体、または共刺激受容体に対するリガンドの遺伝子/タンパク質の発現を増大させる(例えば、共刺激受容体/リガンドをコードする遺伝子の転写を促進すること、共刺激受容体/リガンドをコードするRNAの転写後プロセシングを促進すること、共刺激受容体/リガンドをコードするRNAの安定性を増大させること、共刺激受容体/リガンドをコードするRNAの分解を阻害すること、共刺激受容体/リガンドの翻訳後プロセシングを促進すること、共刺激受容体/リガンドの安定性を増大させること、または共刺激受容体/リガンドの分解を阻害することを介して)ことができる薬剤、および低分子アゴニストを含む。
特定の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、PD-1により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤と組み合わせて投与される。PD-1により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤は、PD-1またはPD-L1を標的化した薬剤であり得る。PD-1により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤は、例えば、PD-1またはPD-L1に結合し、PD-1媒介性シグナル伝達を阻害することができる抗体であり得る。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、CTLA-4により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤と組み合わせて投与される。CTLA-4により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤は、CTLA-4を標的化した薬剤、またはCD80もしくはCD86などの、CTLA-4に対するリガンドに対して標的化した薬剤であり得る。一部の実施形態では、CTLA-4により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤は、例えば、CTLA-4、CD80またはCD86に結合し、CTLA-4媒介性シグナル伝達を阻害することができる抗体であり得る。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、LAG-3により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤と組み合わせて投与される。LAG-3により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤は、LAG-3を標的化した薬剤、またはMHCクラスIIなどの、LAG-3に対するリガンドに対して標的化した薬剤であり得る。一部の実施形態では、LAG-3により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤は、例えば、LAG-3またはMHCクラスIIに結合し、LAG-3媒介性シグナル伝達を阻害することができる抗体であり得る。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、VISTAにより媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤と組み合わせて投与される。VISTAにより媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤は、VISTAを標的化した薬剤、またはVSIG-3もしくはVSIG-8などの、VISTAに対するリガンドに対して標的化した薬剤であり得る。一部の実施形態では、VISTAにより媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤は、例えば、VISTA、VSIG-3、またはVSIG-8に結合し、VISTA媒介性シグナル伝達を阻害することができる抗体であり得る。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、TIM-3により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤と組み合わせて投与される。TIM-3により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤は、TIM-3を標的化した薬剤、またはガレクチン9などの、TIM-3に対するリガンドに対して標的化した薬剤であり得る。一部の実施形態では、TIM-3により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤は、例えば、TIM-3またはガレクチン9に結合し、TIM-3媒介性シグナル伝達を阻害することができる抗体であり得る。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、TIGITにより媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤と組み合わせて投与される。TIGITにより媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤は、TIGITを標的化した薬剤、またはCD113、CD112、もしくはCD155などの、TIGITに対するリガンドに対して標的化した薬剤であり得る。一部の実施形態では、TIGITにより媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤は、例えば、TIGIT、CD113、CD112、またはCD155に結合し、TIGIT媒介性シグナル伝達を阻害することができる抗体であり得る。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、BTLAにより媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤と組み合わせて投与される。BTLAにより媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤は、BTLAを標的化した薬剤、またはHVEMなどの、BTLAに対するリガンドに対して標的化した薬剤であり得る。一部の実施形態では、BTLAにより媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤は、例えば、BTLAまたはHVEMに結合し、BTLA媒介性シグナル伝達を阻害することができる抗体であり得る。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子と、免疫チェックポイント分子により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤(例えば、PD-1)との組合せを利用する方法は、いずれかの薬剤が、単剤療法として使用される場合に観察される効果と比較して、処置効果の改善をもたらす。一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子と、免疫チェックポイント分子により媒介されるシグナル伝達を阻害することができる薬剤(例えば、PD-1)との組合せは、相乗的(すなわち、相加効果を超える)処置効果をもたらす。
同時投与とは、抗原結合性分子、ポリペプチド、CAR、核酸(または複数の核酸)、発現ベクター(または複数の発現ベクター)、細胞、または組成物と、治療剤との、併せた投与、例えば、両方の薬剤を含有する医薬組成物(組合せ調製物)としての投与、または互いの直後における、任意選択で、同じ投与経路を介する、例えば、同じ動脈、静脈、または他の血管への投与を指す。逐次投与とは、抗原結合性分子/組成物または治療剤のうちの1つの投与に後続する、所与の時間間隔の後における、他の薬剤の別個の投与を指す。2つの薬剤が同じ経路により投与されることは要求されないが、一部の実施形態では、これが該当する。時間間隔は、任意の時間間隔であり得る。
化学療法および放射線療法は、それぞれ、薬物またはイオン化放射線(例えば、X線またはγ線を使用する放射線療法)によるがんの処置を指す。薬物は、化学的実体、例えば、低分子医薬、抗生物質、DNA挿入剤、タンパク質阻害剤(例えば、キナーゼ阻害剤)、または生物学的薬剤、例えば、抗体、抗体断片、アプタマー、核酸(例えば、DNA、RNA)、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質であり得る。薬物は、医薬組成物または医薬として製剤化され得る。製剤は、1つまたは複数の薬物(例えば、1つまたは複数の活性の薬剤)を、1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、または担体と併せて含み得る。
処置は、1つを超える薬物の投与を伴い得る。薬物は、処置される状態に応じて、単独で、または他の処置と、同時に、もしくは逐次的に組み合わせて投与され得る。例えば、化学療法は、それらのうちの1つまたは複数が、がんを処置することを意図され得る、2つ薬物の投与を伴う併用療法であり得る。
化学療法は、1つまたは複数の投与経路、例えば、非経口、静脈内注射、経口、皮下、皮内、または腫瘍内により投与され得る。
化学療法は、処置レジメに従い投与され得る。処置レジメは、医師または医療従事者により作成され得る、化学療法投与についての所定の時程表、計画、スキーム、またはスケジュールであり得、処置を要求する患者に適するように調整され得る。処置レジメは、患者に投与するための化学療法の種類;各薬物の用量または放射線の線量;投与の間の時間間隔;各処置の長さ;存在する場合、任意の休薬日の数および性質などのうちの1つまたは複数を示し得る。併用療法では、各薬物が、どのようにして投与されるべきであるのかを示す、単一の処置レジメが提示され得る。
化学療法薬は、アベマシクリブ、アビラテロン酢酸塩、アビトレキサート(メトトレキサート)、Abraxane(パクリタキセルのアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、ABVD、ABVE、ABVE-PC、AC、アカラブルチニブ、AC-T、Adcetris(ブレンツキシマブ・ベドチン)、ADE、Ado-トラスツズマブ・エムタンシン、アドリアマイシン(ドキソルビシン塩酸塩)、アファチニブジマレイン酸塩、アフィニトール(エベロリムス)、Akynzeo(ネツピタントおよびパロノセトロン塩酸塩)、Aldara(イミキモド)、アルデスロイキン、Alecensa(アレクチニブ)、アレクチニブ、アレムツズマブ、Alimta(ペメトレキセド二ナトリウム)、Aliqopa(コパンリシブ塩酸塩)、Alkeran注射剤(メルファラン塩酸塩)、Alkeran錠(メルファラン)、Aloxi(パロノセトロン塩酸塩)、Alunbrig(ブリガチニブ)、Ambochlorin(クロランブシル)、Amboclorin(クロランブシル)、アミホスチン、アミノレブリン酸、アナストロゾール、アプレピタント、Aredia(パミドロネート二ナトリウム)、Arimidex(アナストロゾール)、Aromasin(エキセメスタン)、Arranon(ネララビン)、三酸化ヒ素、Arzerra(オファツムマブ)、Erwinia chrysanthemi由来のアスパラギナーゼ、アテゾリズマブ、Avastin(ベバシズマブ)、アベルマブ、アキシカブタゲン・シロロイセル、アキシチニブ、アザシチジン、Bavencio(アベルマブ)、BEACOPP、Becenum(カルムスチン)、Beleodaq(ベリノスタット)、ベリノスタット、ベンダムスチン塩酸塩、BEP、Besponsa(イノツズマブ・オゾガマイシン)、ベバシズマブ、ベキサロテン、Bexxar(トシツモマブおよびヨウ素I-131トシツモマブ)、ビカルタミド、BiCNU(カルムスチン)、ブレオマイシン、ブリナツモマブ、Blincyto(ブリナツモマブ)、ボルテゾミブ、Bosulif(ボスチニブ)、ボスチニブ、ブレンツキシマブ・ベドチン、ブリガチニブ、BuMel、ブスルファン、Busulfex(ブスルファン)、カバジタキセル、Cabometyx(カボザンチニブ-S-リンゴ酸塩)、カボザンチニブ-S-リンゴ酸塩、CAF、Calquence(アカラブルチニブ)、Campath(アレムツズマブ)、Camptosar(イリノテカン塩酸塩)、カペシタビン、CAPOX、Carac(外用フルオロウラシル)、カルボプラチン、カルボプラチン-TAXOL、カルフィルゾミブ、Carmubris(カルムスチン)、カルムスチン、カルムスチンインプラント剤、Casodex(ビカルタミド)、CEM、Ceritinib、Cerubidine(ダウノルビシン塩酸塩)、Cervarix(組換えHPV二価ワクチン)、セツキシマブ、CEV、クロランブシル、クロランブシル-PREDNISONE、CHOP、シスプラチン、クラドリビン、Clafen(シクロホスファミド)、クロファラビン、Clofarex(クロファラビン)、Clolar(クロファラビン)、CMF、コビメチニブ、Cometriq(カボザンチニブ-S-リンゴ酸塩)、コパンリシブ塩酸塩、COPDAC、COPP、COPP-ABV、Cosmegen(ダクチノマイシン)、Cotellic(コビメチニブ)、クリゾチニブ、CVP、シクロホスファミド、Cyfos(イホスファミド)、Cyramza(ラムシルマブ)、シタラビン、シタラビンリポソーム、Cytosar-U(シタラビン)、Cytoxan(シクロホスファミド)、ダラフェニブ、ダカルバジン、Dacogen(デシタビン)、ダクチノマイシン、ダラツムマブ、Darzalex(ダラツムマブ)、ダサチニブ、ダウノルビシン塩酸塩、ダウノルビシン塩酸塩およびシタラビンリポソーム、デシタビン、デフィブロチドナトリウム、Defitelio(デフィブロチドナトリウム)、デガレリクス、デニロイキンディフチトクス、デノスマブ、DepoCyt(シタラビンリポソーム)、デキサメタゾン、デキスラゾキサン塩酸塩、ジヌツキシマブ、ドセタキセル、Doxil(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、ドキソルビシン塩酸塩、ドキソルビシン塩酸塩リポソーム、Dox-SL(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、DTIC-Dome(ダカルバジン)、デュルバルマブ、Efudex(外用フルオロウラシル)、Elitek(ラスブリカーゼ)、Ellence(エピルビシン塩酸塩)、エロツズマブ、Eloxatin(オキサリプラチン)、エルトロンボパグオラミン、Emend(アプレピタント)、Empliciti(エロツズマブ)、エナシデニブメシル酸塩、エンザルタミド、エピルビシン塩酸塩、EPOCH、Erbitux(セツキシマブ)、エリブリンメシル酸塩、Erivedge(ビスモデジブ)、エルロチニブ塩酸塩、Erwinaze(Erwinia chrysanthemi由来のアスパラギナーゼ)、Ethyol(アミホスチン)、Etopophos(エトポシドリン酸塩)、エトポシド、エトポシドリン酸塩、Evacet(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、エベロリムス、Evista(ラロキシフェン塩酸塩)、Evomela(メルファラン塩酸塩)、エキセメスタン、5-FU(フルオロウラシル注射)、5-FU(外用フルオロウラシル)、Fareston(トレミフェン)、Farydak(パノビノスタット)、Faslodex(フルベストラント)、FEC、Femara(レトロゾール)、フィルグラスチム、Fludara(フルダラビンリン酸塩)、フルダラビンリン酸塩、Fluoroplex(外用フルオロウラシル)、フルオロウラシル注射剤、外用フルオロウラシル、フルタミド、Folex(メトトレキサート)、Folex PFS(メトトレキサート)、FOLFIRI、FOLFIRI-ベバシズマブ、FOLFIRI-セツキシマブ、FOLFIRINOX、FOLFOX、Folotyn(プララトレキサート)、FU-LV、フルベストラント、Gardasil(組換えHPV四価ワクチン)、Gardasil9(組換えHPV九価ワクチン)、Gazyva(オビヌツズマブ)、ゲフィチニブ、ゲムシタビン塩酸塩、ゲムシタビン-シスプラチン、ゲムシタビン-オキサリプラチン、ゲムツズマブオゾガマイシン、Gemzar(ゲムシタビン塩酸塩)、Gilotrif(アファチニブジマレイン酸塩)、Gleevec(イマチニブメシル酸塩)、Gliadel(カルムスチンインプラント剤)、Gliadelウェハー剤(カルムスチンインプラント剤)、グルカルピダーゼ、ゴセレリン酢酸塩、Halaven(エリブリンメシル酸塩)、Hemangeol(プロプラノロール塩酸塩)、Herceptin(トラスツズマブ)、HPV二価ワクチン、組換えHPV九価ワクチン、組換えHPV四価ワクチン、組換えHycamtin(トポテカン塩酸塩)、Hydrea(ヒドロキシウレア)、ヒドロキシウレア、Hyper-CVAD、Ibrance(パルボシクリブ)、イブリツモマブチウキセタン、Ibrutinib、ICE、Iclusig(ポナチニブ塩酸塩)、Idamycin(イダルビシン塩酸塩)、イダルビシン塩酸塩、イデラリシブ、Idhifa(エナシデニブメシル酸塩)、Ifex(イホスファミド)、イホスファミド、Ifosfamidum(イホスファミド)、IL-2(アルデスロイキン)、イマチニブメシル酸塩、Imbruvica(イブルチニブ)、Imfinzi(デュルバルマブ)、イミキモド、Imlygic(タリモジェン・ラヘルパレプベク)、Inlyta(アキシチニブ)、イノツズマブ・オゾガマイシン、インターフェロンアルファ-2b、組換え、インターロイキン-2(アルデスロイキン)、Intron A(組換えインターフェロンアルファ-2b)、ヨウ素I-131トシツモマブおよびトシツモマブ、イピリムマブ、Iressa(ゲフィチニブ)、イリノテカン塩酸塩、イリノテカン塩酸塩リポソーム、Istodax(ロミデプシン)、イキサベピロン、イキサゾミブクエン酸塩、Ixempra(イキサベピロン)、Jakafi(ルキソリチニブリン酸塩)、JEB、Jevtana(カバジタキセル)、Kadcyla(Ado-トラスツズマブ・エムタンシン)、Keoxifene(ラロキシフェン塩酸塩)、Kepivance(パリフェルミン)、Keytruda(ペムブロリズマブ)、Kisqali(リボシクリブ)、Kymriah(チサゲンレクロイセル)、Kyprolis(カルフィルゾミブ)、ランレオチド酢酸塩、ラパチニブジトシル酸塩、Lartruvo(オララツマブ)、レナリドミド、レンバチニブメシル酸塩、Lenvima(レンバチニブメシル酸塩)、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、Leukeran(クロランブシル)、ロイプロリド酢酸塩、Leustatin(クラドリビン)、Levulan(アミノレブリン酸)、Linfolizin(クロランブシル)、LipoDox(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、ロムスチン、Lonsurf(トリフルリジンおよびチピラシル塩酸塩)、Lupron(ロイプロリド酢酸塩)、Lupronデポ剤(ロイプロリド酢酸塩)、Lupron小児用デポ剤(ロイプロリド酢酸塩)、Lynparza(オラパリブ)、Marqibo(ビンクリスチン硫酸塩リポソーム)、Matulane(プロカルバジン塩酸塩)、メクロレタミン塩酸塩、メゲストロール酢酸塩、Mekinist(トラメチニブ)、メルファラン、メルファラン塩酸塩、メルカプトプリン、メスナ、Mesnex(メスナ)、Methazolastone(テモゾロミド)、メトトレキサート、メトトレキサートLPF(メトトレキサート)、メチルナルトレキソン臭化物、Mexate(メトトレキサート)、Mexate-AQ(メトトレキサート)、ミドスタウリン、マイトマイシンC、ミトキサントロン塩酸塩、Mitozytrex(マイトマイシンC)、MOPP、Mozobil(プレリキサフォル)、Mustargen(メクロレタミン塩酸塩)、Mutamycin(マイトマイシンC)、Myleran(ブスルファン)、Mylosar(アザシチジン)、Mylotarg(ゲムツズマブオゾガマイシン)、ナノ粒子パクリタキセル(パクリタキセルのアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、ナベルビン(ビノレルビン酒石酸塩)、ネシツムマブ、ネララビン、Neosar(シクロホスファミド)、ネラチニブマレイン酸塩、Nerlynx(ネラチニブマレイン酸塩)、ネツピタントおよびパロノセトロン塩酸塩、Neulasta(ペグフィルグラスチム)、Neupogen(フィルグラスチム)、Nexavar(ソラフェニブトシル酸塩)、Nilandron(ニルタミド)、ニロチニブ、ニルタミド、Ninlaro(イキサゾミブクエン酸塩)、ニラパリブトシル酸塩一水和物、ニボルマブ、Nolvadex(タモキシフェンクエン酸塩)、Nplate(ロミプロスチム)、オビヌツズマブ、Odomzo(ソニデジブ)、OEPA、オファツムマブ、OFF、オラパリブ、オララツマブ、オマセタキシンメペスクシネート、Oncaspar(ペガスパルガーゼ)、オンダンセトロン塩酸塩、Onivyde(イリノテカン塩酸塩リポソーム)、Ontak(デニロイキンディフチトクス)、Opdivo(ニボルマブ)、OPPA、オシメルチニブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルのアルブミン安定化ナノ粒子製剤、PAD、パルボシクリブ、パリフェルミン、パロノセトロン塩酸塩、パロノセトロン塩酸塩およびネツピタント、パミドロネート二ナトリウム、パニツムマブ、パノビノスタット、Paraplat(カルボプラチン)、Paraplatin(カルボプラチン)、パゾパニブ塩酸塩、PCV、PEB、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム。Pegインターフェロンアルファ-2b、PEG-Intron(Pe
gインターフェロンアルファ-2b)、ペムブロリズマブ、ペメトレキセド二ナトリウム、Perjeta(ペルツズマブ)、ペルツズマブ、Platinol(シスプラチン)、Platinol-AQ(シスプラチン)、プレリキサフォル、ポマリドミド、Pomalyst(ポマリドミド)、ポナチニブ塩酸塩、Portrazza(ネシツムマブ)、プララトレキサート、プレドニゾン、プロカルバジン塩酸塩、Proleukin(アルデスロイキン)、Prolia(デノスマブ)、Promacta(エルトロンボパグオラミン)、プロプラノロール塩酸塩、Provenge(シプリューセル-T)、Purinethol(メルカプトプリン)、Purixan(メルカプトプリン)、[未記載]、ラジウム223二塩化物、ラロキシフェン塩酸塩、ラムシルマブ、ラスブリカーゼ、R-CHOP、R-CVP、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)二価ワクチン、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)九価ワクチン、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)四価ワクチン、組換えインターフェロンアルファ-2b、レゴラフェニブ、Relistor(メチルナルトレキソン臭化物)、R-EPOCH、Revlimid(レナリドミド)、Rheumatrex(メトトレキサート)、リボシクリブ、R-ICE、Rituxan(リツキシマブ)、Rituxan Hycela(リツキシマブおよびヒトヒアルロニダーゼ)、リツキシマブ、リツキシマブおよびヒトヒアルロニダーゼ、ロラピタント塩酸塩、ロミデプシン、ロミプロスチム、Rubidomycin(ダウノルビシン塩酸塩)、Rubraca(ルカパリブカムシル酸塩)、ルカパリブカムシル酸塩、ルキソリチニブリン酸塩、Rydapt(ミドスタウリン)、スクレロゾール胸膜内エアゾール(タルク)、シルツキシマブ、シプリューセル-T、ソマツリンデポ剤(ランレオチド酢酸塩)、ソニデジブ、ソラフェニブトシル酸塩、Sprycel(ダサチニブ)、STANFORD V、滅菌タルク粉末(タルク)、Steritalc(タルク)、Stivarga(レゴラフェニブ)、スニチニブリンゴ酸塩、Sutent(スニチニブリンゴ酸塩)、Sylatron(Pegインターフェロンアルファ-2b)、Sylvant(シルツキシマブ)、Synribo(オマセタキシンメペスクシネート)、Tabloid(チオグアニン)、TAC、Tafinlar(ダブラフェニブ)、Tagrisso(オシメルチニブ)、タルク、タリモジェン・ラヘルパレプベク、タモキシフェンクエン酸塩、Tarabine PFS(シタラビン)、Tarceva(エルロチニブ塩酸塩)、Targretin(ベキサロテン)、Tasigna(ニロチニブ)、Taxol(パクリタキセル)、Taxotere(ドセタキセル)、Tecentriq(アテゾリズマブ)、Temodar(テモゾロミド)、テモゾロミド、テムシロリムス、サリドマイド、Thalomid(サリドマイド)、チオグアニン、チオテパ、チサゲンレクロイセル、Tolak(外用フルオロウラシル)、トポテカン塩酸塩、トレミフェン、Torisel(テムシロリムス)、トシツモマブおよびヨウ素I-131トシツモマブ、Totect(デキスラゾキサン塩酸塩)、TPF、トラベクテジン、トラメチニブ、トラスツズマブ、Treanda(ベンダムスチン塩酸塩)、トリフルリジンおよびチピラシル塩酸塩、Trisenox(三酸化ヒ素)、Tykerb(ラパチニブジトシル酸塩)、Unituxin(ジヌツキシマブ)、ウリジン三酢酸塩、VAC、バルルビシン、Valstar(バルルビシン)、バンデタニブ、VAMP、Varubi(ロラピタント塩酸塩)、Vectibix(パニツムマブ)、VeIP、Velban(ビンブラスチン硫酸塩)、Velcade(ボルテゾミブ)、Velsar(ビンブラスチン硫酸塩)、ベムラフェニブ、Venclexta(ベネトクラクス)、ベネトクラクス、Verzenio(アベマシクリブ)、Viadur(ロイプロリド酢酸塩)、Vidaza(アザシチジン)、ビンブラスチン硫酸塩、Vincasar PFS(ビンクリスチン硫酸塩)、ビンクリスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩リポソーム、ビノレルビン酒石酸塩、VIP、ビスモデジブ、Vistogard(ウリジン三酢酸塩)、Voraxaze(グルカルピダーゼ)、ボリノスタット、Votrient(パゾパニブ塩酸塩)、Vyxeos(ダウノルビシン塩酸塩およびシタラビンリポソーム)、Wellcovorin(ロイコボリンカルシウム)、Xalkori(クリゾチニブ)、ゼローダ(カペシタビン)、XELIRI、XELOX、Xgeva(デノスマブ)、Xofigo(ラジウム223二塩化物)、Xtandi(エンザルタミド)、Yervoy(イピリムマブ)、Yescarta(アキシカブタゲン・シロロイセル)、Yondelis(トラベクテジン)、Zaltrap(Ziv-アフリベルセプト)、Zarxio(フィルグラスチム)、Zejula(ニラパリブトシル酸塩一水和物)、Zelboraf(ベムラフェニブ)、Zevalin(イブリツモマブチウキセタン)、Zinecard(デキスラゾキサン塩酸塩)、Ziv-アフリベルセプト、Zofran(オンダンセトロン塩酸塩)、Zoladex(ゴセレリン酢酸塩)、ゾレドロン酸、Zolinza(ボリノスタット)、Zometa(ゾレドロン酸)、Zydelig(イデラリシブ)、Zykadia(セリチニブ)、およびZytiga(アビラテロン酢酸塩)から選択され得る。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、トラスツズマブ、セツキシマブ、シスプラチン、5-FU、またはカペシタビンのうちの1つまたは複数と組み合わせて投与される。一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、トラスツズマブおよびシスプラチン、ならびに5-FUまたはカペシタビンと組み合わせて投与される。
一部の実施形態では、本発明の抗原結合性分子は、セツキシマブと組み合わせて投与される。特に、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)の処置のために、セツキシマブと組み合わせた投与が想定される。
抗原結合性分子、ポリペプチド、CAR、核酸(または複数の核酸)、発現ベクター(または複数の発現ベクター)、細胞、または組成物の複数回投与が提供され得る。1回もしくは複数回、または各回の投与は、別の治療剤の同時または逐次的投与に随伴され得る。
複数回投与は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、もしくは31日間、または1、2、3、4、5、もしくは6カ月間のうちの1つであるように選択され得る、所定の時間間隔により隔てられ得る。例を目的として述べると、投与は、7、14、21、または28日(±3、2、または1日)ごとに与えられ得る。
検出方法
本発明はまた、HER3、またはHER3を発現する細胞を検出、位置特定、またはイメージングする方法における使用のための本発明の物品も提供する。
本明細書で記載される抗原結合性分子は、HER3に対する抗原結合性分子を伴う方法において使用され得る。このような方法は、抗原結合性分子とHER3との結合複合体の検出を伴い得る。
このように、HER3を含有するか、またはこれを含有することが疑われる試料を接触させるステップと、抗原結合性分子とHER3との複合体の形成を検出するステップとを含む、方法が提供される。また、HER3を発現する細胞を含有するか、またはこれを含有することが疑われる試料を接触させるステップと、抗原結合性分子と、HER3を発現する細胞との複合体の形成を検出するステップとを含む、方法も提供される。
当技術分野では、サンドイッチアッセイ、例えば、ELISAなどのイムノアッセイを含む、適する方法フォーマットが周知である。方法は、検出可能部分、例えば、本明細書で記載される、蛍光標識、リン光標識、発光標識、免疫検出可能標識、放射性標識、化学、核酸、または酵素標識により、抗原結合性分子、もしくは標的、またはこれらの両方を標識付けするステップを伴い得る。当業者には、検出技法が周知であり、標識化剤と対応するように選択され得る。
この種の方法は、疾患または状態、例えば、がんについての診断的および/または予後診断的評価のための方法のベースをもたらし得る。このような方法は、in vitroの患者試料に対して実施され得るか、または患者試料の処理後に実施され得る。試料が回収されると、患者は、in vitro法の実施に立ち会うことを要求されないため、方法は、ヒトまたは動物体内に対しては行われない方法であり得る。一部の実施形態では、方法は、in vivoで実施される。
試料中の検出は、疾患/状態(例えば、がん)、疾患/状態に対する素因の診断を目的として使用され得るか、または疾患/状態、例えば、本明細書で記載される疾患/状態について予後診断する(予知する)ために使用され得る。診断または予後診断は、既存の(既に診断された)疾患/状態に関し得る。
このような方法は、例えば、患者試料中でHER3またはHER3を発現する細胞を検出または定量するステップを伴い得る。方法が、関連する因子を定量するステップを含む場合、方法は、診断的または予後診断的評価の一部として、決定された量を、標準値または参照値に対して比較するステップをさらに含み得る。他の診断/予後診断検査は、診断もしくは予後診断の精度を増強するか、または本明細書で記載される検査を使用することにより得られる結果を確認するように、本明細書で記載される診断/予後診断検査と共に使用され得る。
試料は、任意の組織または体液から採取され得る。試料は、多量の血液;フィブリン塊および血液細胞を除去した後で得られる血液の流体部分を含み得る、個体の血液に由来する多量の血清;組織試料または生検;胸水;脳脊髄液(CSF);または前記個体から単離された細胞を含み得るか、またはこれらに由来し得る。一部の実施形態では、試料は、疾患/状態の影響を受ける、1つの組織または複数の組織(例えば、疾患の症状が顕在化するか、または疾患/状態の発症機序に関与する、1つの組織または複数の組織)から得られ得るか、またはこれらに由来し得る。
本発明はまた、HER3を標的化した薬剤による処置のために対象を選択/層別化するための方法も提供する。一部の実施形態では、対象は、本発明に従う処置/予防のために選択されるか、または例えば、個体から得られる試料中のHER3、もしくはHER3を発現する細胞の検出/定量に基づき、このような処置/予防から利益を得る対象として特定される。
対象
本明細書で記載される本発明の態様に従う対象は、任意の動物またはヒトであり得る。対象は、好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、ヒトである。対象は、非ヒト哺乳動物であり得るが、より好ましくは、ヒトである。対象は、雄、または雌であり得る。対象は、患者であり得る。対象は、処置を要求する疾患もしくは状態(例えば、がん)を有すると診断されている場合があり、このような疾患/状態を有することが疑われる場合があり、またはこのような疾患/状態を発症する/このような疾患/状態に罹患する危険性がある場合がある。
本発明に従う実施形態では、対象は、好ましくは、ヒト対象である。一部の実施形態では、本明細書における本発明の治療または予防方法に従って処置される対象は、がんを有するか、またはがんを発症させる危険性がある対象である。本発明に従う実施形態では、対象は、このような疾患/状態のある特定のマーカーについての特徴付けに基づく方法に従う処置のために選択され得る。
キット
本明細書で記載される本発明の一部の態様では、部材キットが提供される。一部の実施形態では、キットは、所定数量の本明細書で記載される抗原結合性分子、ポリペプチド、CAR、核酸(または複数の核酸)、発現ベクター(または複数の発現ベクター)、細胞、または組成物を有する、少なくとも1つの容器を有し得る。
一部の実施形態では、キットは、本明細書で記載される抗原結合性分子、ポリペプチド、CAR、核酸(または複数の核酸)、発現ベクター(または複数の発現ベクター)、細胞、または組成物を産生するための材料を含み得る。
キットは、抗原結合性分子、ポリペプチド、CAR、核酸(または複数の核酸)、発現ベクター(または複数の発現ベクター)、細胞、または組成物を、指定された疾患/状態を処置するための患者への投与のための指示書と併せて提供し得る。
一部の実施形態では、キットは、所定数量の別の治療剤(例えば、抗感染症剤または化学療法剤)を有する、少なくとも1つの容器をさらに含み得る。このような実施形態では、キットはまた、2つの医薬または医薬組成物が、特定の疾患または状態のための併用処置をもたらすように、同時に、または個別に投与され得るように、第2の医薬または医薬組成物も含み得る。治療剤はまた、腫瘍または血液への注射または注入に適するようにも製剤化され得る。
配列同一性
本明細書で使用される場合、「配列同一性」とは、配列の間で、最大の配列同一性パーセントを達成するように、配列をアライメントし、必要な場合は、ギャップを導入した後で、参照配列内のヌクレオチド/アミノ酸残基と同一である対象配列内のヌクレオチド/アミノ酸残基のパーセントを指す。2つ以上のアミノ酸配列または核酸配列の間の配列同一性パーセントを決定することを目的とするための、対での複数の配列アライメントは、例えば、ClustalOmega(Soding、J.2005、Bioinformatics 21、951~960)、T-coffee(Notredameら、2000、J.Mol.Biol.(2000)、302、205~217)、Kalign(LassmannおよびSonnhammer 2005、BMC Bioinformatics、6(298))、およびMAFFT(KatohおよびStandley 2013、Molecular Biology and Evolution、30(4)、772~780)ソフトウェアなどの市販のコンピュータソフトウェアを使用して、当業者に公知の様々な手段で達成され得る。このようなソフトウェアを使用する場合、例えば、ギャップペナルティーおよび伸長ペナルティーについての、デフォルトのパラメータを使用することが好ましい。
番号付けされた項目
以下の番号付けされた項目(para)は、本発明の関連で想定される、特徴および特徴の組合せについての言明をさらに提示する:
1.細胞外領域サブドメインII内のHER3に結合することができる抗原結合性分子、任意選択で、単離された抗原結合性分子。
2.HER3と、HER3の相互作用パートナーとの相互作用を阻害する、項目1に記載の抗原結合性分子。
3.配列番号16のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドに結合することができる、項目1または項目2に記載の抗原結合性分子。
4.配列番号23または配列番号229のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合することができる、項目1から3のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
5.配列番号21または配列番号229のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合することができる、項目1から4のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
6.(i)以下のCDR:
配列番号43のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号46のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号51のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
を組み込んでいる重鎖可変(VH)領域、および
(ii)以下のCDR:
配列番号91のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号94のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号99のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
を組み込んでいる軽鎖可変(VL)領域
を含む、項目1から5のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
7.(i)以下のCDR:
配列番号41のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号44のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号47のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
を組み込んでいる重鎖可変(VH)領域、および
(ii)以下のCDR:
配列番号88のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号92のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号95のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
を組み込んでいる軽鎖可変(VL)領域
を含む、項目1から6のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
8.(i)以下のCDR:
配列番号41のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号44のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号47のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
を組み込んでいる重鎖可変(VH)領域、および
(ii)以下のCDR:
配列番号89のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号92のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号95のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
を組み込んでいる軽鎖可変(VL)領域
を含む、項目1から6のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
9.(i)以下のCDR:
配列番号41のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号44のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号47のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
を組み込んでいる重鎖可変(VH)領域、および
(ii)以下のCDR:
配列番号90のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号92のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号96のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
を組み込んでいる軽鎖可変(VL)領域
を含む、項目1から6のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
10.(i)以下のCDR:
配列番号41のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号44のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号47のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
を組み込んでいる重鎖可変(VH)領域、および
(ii)以下のCDR:
配列番号88のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号92のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号98のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
を組み込んでいる軽鎖可変(VL)領域
を含む、項目1から6のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
11.(i)以下のCDR:
配列番号41のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号45のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号47のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
を組み込んでいる重鎖可変(VH)領域、および
(ii)以下のCDR:
配列番号88のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号93のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号95のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
を組み込んでいる軽鎖可変(VL)領域
を含む、項目1から6のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
12.(i)以下のCDR:
配列番号41のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号45のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号49のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
を組み込んでいる重鎖可変(VH)領域、および
(ii)以下のCDR:
配列番号88のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号93のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号95のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
を組み込んでいる軽鎖可変(VL)領域
を含む、項目1から6のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
13.(i)以下のCDR:
配列番号41のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号45のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号50のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
を組み込んでいる重鎖可変(VH)領域、および
(ii)以下のCDR:
配列番号88のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号93のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号95のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
を組み込んでいる軽鎖可変(VL)領域
を含む、項目1から6のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
14.(i)以下のCDR:
配列番号41のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号45のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号48のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
を組み込んでいる重鎖可変(VH)領域、および
(ii)以下のCDR:
配列番号88のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号92のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号95のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
を組み込んでいる軽鎖可変(VL)領域
を含む、項目1から6のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
15.(i)以下のCDR:
配列番号41のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号45のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号48のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
を組み込んでいる重鎖可変(VH)領域、および
(ii)以下のCDR:
配列番号88のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号92のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号97のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
を組み込んでいる軽鎖可変(VL)領域
を含む、項目1から6のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
16.(i)以下のCDR:
配列番号42のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号45のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号48のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
を組み込んでいる重鎖可変(VH)領域、および
(ii)以下のCDR:
配列番号88のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号92のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号95のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
を組み込んでいる軽鎖可変(VL)領域
を含む、項目1から6のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
17.(i)以下のCDR:
配列番号158のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号159のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号160のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
を組み込んでいる重鎖可変(VH)領域、および
(ii)以下のCDR:
配列番号165のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号166のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号167のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
を組み込んでいる軽鎖可変(VL)領域
を含む、項目1から5のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
18.配列番号22のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合することができる、項目1から4のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
19.(i)以下のCDR:
配列番号128のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号129のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号130のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
を組み込んでいる重鎖可変(VH)領域、および
(ii)以下のCDR:
配列番号136のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号137のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号138のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
を組み込んでいる軽鎖可変(VL)領域
を含む、項目1から4または項目18のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
20.(i)以下のCDR:
配列番号144のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号145のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号146のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
を組み込んでいる重鎖可変(VH)領域、および
(ii)以下のCDR:
配列番号151のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号152のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号153のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
を組み込んでいる軽鎖可変(VL)領域
を含む、項目1から4または項目18のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
21.(i)配列番号24のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号74のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(ii)配列番号25のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号75のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(iii)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号76のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(iv)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号77のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(v)配列番号28のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号78のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(vi)配列番号29のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号78のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(vii)配列番号30のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号78のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(viii)配列番号31のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号79のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(ix)配列番号32のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号79のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(x)配列番号33のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号80のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(xi)配列番号34のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号81のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(xii)配列番号35のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号82のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(xiii)配列番号36のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号83のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(xiv)配列番号37のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号84のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(xv)配列番号38のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号85のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(xvi)配列番号39のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号86のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(xvii)配列番号40のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号87のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(xviii)配列番号127のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号135のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(xix)配列番号143のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号150のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域、
または
(xx)配列番号157のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号164のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域
を含む、項目1から4のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
22.ヒトHER3、ならびにマウスHER3、ラットHER3、およびカニクイザルHER3のうちの1つまたは複数に結合することができる、項目1から21のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
23.(i)項目1から22のいずれか一つに記載の抗原結合性分子、および(ii)HER3以外の抗原に結合することが可能な抗原結合性分子を含む、抗原結合性分子、任意選択で、単離された抗原結合性分子。
24.細胞表面においてHER3を発現する細胞に結合することができる、項目1から23のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
25.HER3媒介性シグナル伝達を阻害することができる、項目1から24のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
26.Fc領域を含み、Fc領域が、(i)242位に対応する位置におけるC、および334位に対応する位置におけるC、ならびに(ii)236位に対応する位置におけるA、239位に対応する位置におけるD、332位に対応する位置におけるE、330位に対応する位置におけるL、345位に対応する位置におけるK、および430位に対応する位置におけるGのうちの1つまたは複数を有するポリペプチドを含む、項目1から25のいずれか一つに記載の抗原結合性分子。
27.Fc領域が、242位に対応する位置におけるC、334位に対応する位置におけるC、236位に対応する位置におけるA、239位に対応する位置におけるD、332位に対応する位置におけるE、および330位に対応する位置におけるLを有するポリペプチドを含む、項目26に記載の抗原結合性分子。
28.項目1から27のいずれか一つに記載の抗原結合性分子を含むキメラ抗原受容体(CAR)。
29.項目1から27のいずれか一つに記載の抗原結合性分子、または項目28に記載のCARをコードする、1つの核酸または複数の核酸、任意選択で、1つの単離された核酸または複数の単離された核酸。
30.項目29に記載の1つの核酸または複数の核酸を含む、1つの発現ベクターまたは複数の発現ベクター。
31.項目1から27のいずれか一つに記載の抗原結合性分子、項目28に記載のCAR、項目29に記載の1つの核酸もしくは複数の核酸、または項目30に記載の1つの発現ベクターもしくは複数の発現ベクターを含む、細胞。
32.項目29に記載の1つの核酸もしくは複数の核酸、または項目30に記載の1つの発現ベクターもしくは複数の発現ベクターを含む細胞を、核酸または発現ベクターからの抗原結合性分子またはCARの発現に適する条件下で培養するステップを含む、方法。
33.項目1から27のいずれか一つに記載の抗原結合性分子、項目28に記載のCAR、項目29に記載の1つの核酸もしくは複数の核酸、項目30に記載の1つの発現ベクターもしくは複数の発現ベクター、または項目31に記載の細胞を含む、組成物。
34.医学的処置または予防の方法における使用のための、項目1から27のいずれか一つに記載の抗原結合性分子、項目28に記載のCAR、項目29に記載の1つの核酸もしくは複数の核酸、項目30に記載の1つの発現ベクターもしくは複数の発現ベクター、項目31に記載の細胞、または項目33に記載の組成物。
35.がんの処置または予防の方法における使用のための、項目1から27のいずれか一つに記載の抗原結合性分子、項目28に記載のCAR、項目29に記載の1つの核酸もしくは複数の核酸、項目30に記載の1つの発現ベクターもしくは複数の発現ベクター、項目31に記載の細胞、または項目33に記載の組成物。
36.がんの処置または予防の方法における使用のための医薬の製造における、項目1から27のいずれか一つに記載の抗原結合性分子、項目28に記載のCAR、項目29に記載の1つの核酸もしくは複数の核酸、項目30に記載の1つの発現ベクターもしくは複数の発現ベクター、項目31に記載の細胞、または項目33に記載の組成物の使用。
37.がんを処置または予防する方法であって、治療または予防有効量の、項目1から27のいずれか一つに記載の抗原結合性分子、項目28に記載のCAR、項目29に記載の1つの核酸もしくは複数の核酸、項目30に記載の1つの発現ベクターもしくは複数の発現ベクター、項目31に記載の細胞、または項目33に記載の組成物を対象に投与するステップを含む、方法。
38.方法が、EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達の阻害剤の投与をさらに含み、任意選択で、EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達の阻害剤が、HER2および/またはEGFRにより媒介されるシグナル伝達の阻害剤である、項目34もしくは項目35に記載の使用、項目36に記載の使用、または項目37に記載の方法のための、抗原結合性分子、CAR、1つの核酸もしくは複数の核酸、1つの発現ベクターもしくは複数の発現ベクター、細胞、または組成物。
39.がんが、EGFRファミリーメンバーを発現する細胞を含むがん、HER3を発現する細胞を含むがん、固形腫瘍、乳がん、乳癌、乳管癌、胃がん、胃癌、胃腺癌、結腸直腸がん、結腸直腸癌、結腸直腸腺癌、頭頸部がん、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)、肺がん、肺腺癌、扁平上皮肺癌、卵巣がん、卵巣癌、漿液性卵巣腺癌、腎がん、腎細胞癌、腎明細胞癌、腎細胞腺癌、乳頭状腎細胞癌、膵がん、膵腺癌、膵管腺癌、子宮頸がん、子宮頸部扁平上皮癌、皮膚がん、黒色腫、食道がん、食道腺癌、肝がん、肝細胞癌、胆管癌、子宮がん、子宮体内膜癌、甲状腺がん、甲状腺癌、褐色細胞腫、傍神経節腫、膀胱がん、膀胱尿路上皮癌、前立腺がん、前立腺腺癌、肉腫、および胸腺腫から選択される、項目34から38のいずれか一つに記載の、使用のための抗原結合性分子、CAR、1つの核酸もしくは複数の核酸、1つの発現ベクターもしくは複数の発現ベクター、細胞、もしくは組成物、使用または方法。
40.HER3媒介性シグナル伝達を阻害する方法であって、HER3発現細胞を、項目1から27のいずれか一つに記載の抗原結合性分子と接触させるステップを含む、方法。
41.HER3発現細胞の数または活性を低減する方法であって、HER3発現細胞を、項目1から27のいずれか一つに記載の抗原結合性分子と接触させるステップを含む、方法。
42.HER3に結合している、項目1から27のいずれか一つに記載の抗原結合性分子を含む、in vitro複合体、任意選択で、単離されたin vitro複合体。
43.HER3を含有するか、またはこれを含有することが疑われる試料を、項目1から27のいずれか一つに記載の抗原結合性分子と接触させるステップと、抗原結合性分子とHER3との複合体の形成を検出するステップとを含む、方法。
44.対象を、HER3を標的化した薬剤による処置のために選択または層別化する方法であって、in vitroにおいて、対象に由来する試料を、項目1から27のいずれか一つに記載の抗原結合性分子と接触させるステップと、抗原結合性分子とHER3との複合体の形成を検出するステップとを含む、方法。
45.項目1から27のいずれか一つに記載の抗原結合性分子の、in vitroまたはin vivoにおける診断または予後診断剤としての使用。
46.任意選択で、がんが、EGFRファミリーメンバーを発現する細胞を含むがん、HER3を発現する細胞を含むがん、固形腫瘍、乳がん、乳癌、乳管癌、胃がん、胃癌、胃腺癌、結腸直腸がん、結腸直腸癌、結腸直腸腺癌、頭頸部がん、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)、肺がん、肺腺癌、扁平上皮肺癌、卵巣がん、卵巣癌、漿液性卵巣腺癌、腎がん、腎細胞癌、腎明細胞癌、腎細胞腺癌、乳頭状腎細胞癌、膵がん、膵腺癌、膵管腺癌、子宮頸がん、子宮頸部扁平上皮癌、皮膚がん、黒色腫、食道がん、食道腺癌、肝がん、肝細胞癌、胆管癌、子宮がん、子宮体内膜癌、甲状腺がん、甲状腺癌、褐色細胞腫、傍神経節腫、膀胱がん、膀胱尿路上皮癌、前立腺がん、前立腺腺癌、肉腫、および胸腺腫から選択される、がんを検出、位置特定、またはイメージングするための方法における、項目1から27のいずれか一つに記載の抗原結合性分子の使用。
47.HER3に結合することができる、抗原結合性分子、任意選択で、単離された抗原結合性分子であって、
(i)以下のCDR:
配列番号43のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号46のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号51のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
を組み込んでいる重鎖可変(VH)領域、および
(ii)以下のCDR:
配列番号91のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号94のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号99のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
を組み込んでいる軽鎖可変(VL)領域
を含む、抗原結合性分子、任意選択で、単離された抗原結合性分子。
48.(i)以下のCDR:
配列番号41のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号45のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号48のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
を組み込んでいる重鎖可変(VH)領域、および
(ii)以下のCDR:
配列番号88のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号92のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号95のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
を組み込んでいる軽鎖可変(VL)領域
を含む、項目47に記載の抗原結合性分子。
49.配列番号36のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、および
配列番号83のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域
を含む、項目47または項目48に記載の抗原結合性分子。
50.(i)項目47から49のいずれか一つに記載の抗原結合性分子と、(ii)HER3以外の抗原に結合することができる抗原結合性分子とを含む、抗原結合性分子、任意選択で、単離された抗原結合性分子。
51.項目47から50のいずれか一つに記載の抗原結合性分子を含むキメラ抗原受容体(CAR)。
52.項目47から50のいずれか一つに記載の抗原結合性分子、または項目51に記載のCARをコードする、1つの核酸または複数の核酸、任意選択で、1つの単離された核酸または複数の単離された核酸。
53.項目52に記載の1つの核酸または複数の核酸を含む、1つの発現ベクターまたは複数の発現ベクター。
54.項目47から50のいずれか一つに記載の抗原結合性分子、項目51に記載のCAR、項目52に記載の1つの核酸もしくは複数の核酸、または項目53に記載の1つの発現ベクターもしくは複数の発現ベクターを含む、細胞。
55.項目52に記載の1つの核酸もしくは複数の核酸、または項目53に記載の1つの発現ベクターもしくは複数の発現ベクターを含む細胞を、核酸または発現ベクターからの抗原結合性分子またはCARの発現に適する条件下で培養するステップを含む、方法。
56.項目47から50のいずれか一つに記載の抗原結合性分子、項目51に記載のCAR、項目52に記載の1つの核酸もしくは複数の核酸、項目53に記載の1つの発現ベクターもしくは複数の発現ベクター、または項目54に記載の細胞を含む、組成物。
57.医学的処置または予防の方法における使用のための、項目47から50のいずれか一つに記載の抗原結合性分子、項目51に記載のCAR、項目52に記載の1つの核酸もしくは複数の核酸、項目53に記載の1つの発現ベクターもしくは複数の発現ベクター、項目54に記載の細胞、または項目56に記載の組成物。
58.がんの処置または予防の方法における使用のための、項目47から50のいずれか一つに記載の抗原結合性分子、項目51に記載のCAR、項目52に記載の1つの核酸もしくは複数の核酸、項目53に記載の1つの発現ベクターもしくは複数の発現ベクター、項目54に記載の細胞、または項目56に記載の組成物。
59.がんの処置または予防の方法における使用のための医薬の製造における、項目47から50のいずれか一つに記載の抗原結合性分子、項目51に記載のCAR、項目52に記載の1つの核酸もしくは複数の核酸、項目53に記載の1つの発現ベクターもしくは複数の発現ベクター、項目54に記載の細胞、または項目56に記載の組成物の使用。
60.がんを処置または予防する方法であって、治療または予防有効量の、項目47から50のいずれか一つに記載の抗原結合性分子、項目51に記載のCAR、項目52に記載の1つの核酸もしくは複数の核酸、項目53に記載の1つの発現ベクターもしくは複数の発現ベクター、項目54に記載の細胞、または項目56に記載の組成物を対象に投与するステップを含む、方法。
61.方法が、EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達の阻害剤の投与をさらに含み、任意選択で、EGFRファミリーメンバーにより媒介されるシグナル伝達の阻害剤が、HER2および/またはEGFRにより媒介されるシグナル伝達の阻害剤である、項目57もしくは項目58に記載の使用、項目59に記載の使用、または項目60に記載の方法のための、抗原結合性分子、CAR、1つの核酸もしくは複数の核酸、1つの発現ベクターもしくは複数の発現ベクター、細胞、または組成物。
62.がんが、EGFRファミリーメンバーを発現する細胞を含むがん、HER3を発現する細胞を含むがん、固形腫瘍、乳がん、乳癌、乳管癌、胃がん、胃癌、胃腺癌、結腸直腸がん、結腸直腸癌、結腸直腸腺癌、頭頸部がん、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)、肺がん、肺腺癌、扁平上皮肺癌、卵巣がん、卵巣癌、漿液性卵巣腺癌、腎がん、腎細胞癌、腎明細胞癌、腎細胞腺癌、乳頭状腎細胞癌、膵がん、膵腺癌、膵管腺癌、子宮頸がん、子宮頸部扁平上皮癌、皮膚がん、黒色腫、食道がん、食道腺癌、肝がん、肝細胞癌、胆管癌、子宮がん、子宮体内膜癌、甲状腺がん、甲状腺癌、褐色細胞腫、傍神経節腫、膀胱がん、膀胱尿路上皮癌、前立腺がん、前立腺腺癌、肉腫、および胸腺腫から選択される、項目57から61のいずれか一つに記載の、使用のための抗原結合性分子、CAR、1つの核酸もしくは複数の核酸、1つの発現ベクターもしくは複数の発現ベクター、細胞、もしくは組成物、使用または方法。
63.HER3媒介性シグナル伝達を阻害する方法であって、HER3発現細胞を、項目47から50のいずれか一つに記載の抗原結合性分子と接触させるステップを含む、方法。
64.HER3発現細胞の数または活性を低減する方法であって、HER3発現細胞を、項目47から50のいずれか一つに記載の抗原結合性分子と接触させるステップを含む、方法。
65.HER3に結合している、項目47から50のいずれか一つに記載の抗原結合性分子を含む、in vitro複合体、任意選択で、単離されたin vitro複合体。
66.HER3を含有するか、またはこれを含有することが疑われる試料を、項目47から50のいずれか一つに記載の抗原結合性分子と接触させるステップと、抗原結合性分子とHER3との複合体の形成を検出するステップとを含む、方法。
67.対象を、HER3を標的化した薬剤による処置のために選択または層別化する方法であって、in vitroにおいて、対象に由来する試料を、項目47から50のいずれか一つに記載の抗原結合性分子と接触させるステップと、抗原結合性分子とHER3との複合体の形成を検出するステップとを含む、方法。
68.項目47から50のいずれか一つに記載の抗原結合性分子の、in vitroまたはin vivoにおける診断または予後診断剤としての使用。
69.任意選択で、がんが、EGFRファミリーメンバーを発現する細胞を含むがん、HER3を発現する細胞を含むがん、固形腫瘍、乳がん、乳癌、乳管癌、胃がん、胃癌、胃腺癌、結腸直腸がん、結腸直腸癌、結腸直腸腺癌、頭頸部がん、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)、肺がん、肺腺癌、扁平上皮肺癌、卵巣がん、卵巣癌、漿液性卵巣腺癌、腎がん、腎細胞癌、腎明細胞癌、腎細胞腺癌、乳頭状腎細胞癌、膵がん、膵腺癌、膵管腺癌、子宮頸がん、子宮頸部扁平上皮癌、皮膚がん、黒色腫、食道がん、食道腺癌、肝がん、肝細胞癌、胆管癌、子宮がん、子宮体内膜癌、甲状腺がん、甲状腺癌、褐色細胞腫、傍神経節腫、膀胱がん、膀胱尿路上皮癌、前立腺がん、前立腺腺癌、肉腫、および胸腺腫から選択される、がんを検出、位置特定、またはイメージングするための方法における、項目47から50のいずれか一つに記載の抗原結合性分子の使用。
本発明は、このような組合せが、明らかに許容されないか、または明示的に回避される場合を除き、記載される態様と好ましい特徴との組合せを含む。
本明細書で使用される節の小見出しは、構成上の目的だけのものであり、記載される対象物を限定するものと見なすべきではない。
ここで、付属の図面を参照しながら、例を目的として、本発明の態様および実施形態が例示される。当業者には、さらなる態様および実施形態が明らかであろう。本文で言及される全ての文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
後続の特許請求の範囲を含む、本明細書を通して、文脈によりそうでないことが要求されない限り、「含む(comprise)」という語、ならびに「含む(comprises)」および「含むこと」などの変化形は、言明された整数またはステップまたは整数もしくはステップの群の包含を含意し、他の任意の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群の除外は含意しないように理解される。
そうでないことが文脈により明確に指示されない限り、本明細書および付属の特許請求の範囲において使用される単数形の「ある(a)」、「ある(an)」、および「その」は、複数の指示対象を含むことに注意されたい。本明細書では、範囲は、「約」1つの特定の値から、かつ/または「約」別の特定の値までの範囲として表され得る。このような範囲が表される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から、かつ/または他の特定の値までの範囲を含む。同様に、値が、先行詞である「約」の使用により、近似値として表される場合、特定の値は、別の実施形態を形成することが理解されるであろう。
本明細書で核酸配列が開示される場合、その逆相補体もまた、明示的に想定される。
本明細書で記載される方法は、好ましくは、in vitroにおいて実施され得る。「in vitro」という用語が、培養物中の細胞に対して実施される手順を包含することが意図されるのに対し、「in vivo」という用語は、無傷の多細胞生物に対する/上の手順を包含することが意図される。
ここで、付属の図を参照しながら、本発明の原理を例示する実施形態および実験が論じられる。
以下の実施例では、本発明者らは、HER3分子内の目的の特異的領域へ標的化される新規の抗HER3抗体クローンの生成、ならびにこれらの抗原結合性分子についての生物物理的および機能的特徴付け、ならびに治療的評価について記載する。
実施例1
HER3標的の設計および抗HER3抗体ハイブリドーマの産生
本発明者らは、HER3結合性モノクローナル抗体を惹起するために、ヒトHER3(配列番号9)の細胞外領域内の2つの領域を選択した。
1.1 ハイブリドーマの産生
約6週齢の雌BALB/cマウスは、InVivos(Singapore)から得た。動物は、特定の無病原体条件下で飼育し、Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)ガイドラインに準拠して処置した。
ハイブリドーマの産生のために、マウスを、抗原性ペプチド、組換え標的タンパク質、または標的タンパク質を発現する細胞の本発明者らに所有権がある混合物で免疫化した。
融合のための脾臓を採取する前に、マウスに、抗原混合物を、連続3日間にわたり、または1日間だけにわたり追加免役した。最終追加免役の24時間後、全脾臓細胞を単離し、製造業者の指示書(Stemcell Technologies、Canada)に従って、ClonaCell-HYハイブリドーマクローニングキットを使用して、PEGにより、骨髄腫細胞株P3X63.Ag8.653(ATCC、USA)と融合させた。
融合細胞を、37℃、5%CO2のインキュベーター内で一晩、ClonaCell-HY培地C(Stemcell Technologies、Canada)中で培養した。翌日、融合細胞を遠心分離し、10mlのClonaCell-HY培地C中に再懸濁し、次いで、HAT成分を含有する、90mlの半固体メチルセルロースベースのClonaCell-HY培地D(Stemcell Technologies、Canada)と静かに混合し、これにより、ハイブリドーマの選択とクローニングとを1つのステップに組み合わせた。
次いで、融合細胞を96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2のインキュベーター内で増殖させた。7~10日後、単一のハイブリドーマクローンを単離し、抗体産生ハイブリドーマを、酵素免疫測定アッセイ(ELISA)および蛍光活性化細胞選別(FACS)によって、上清をスクリーニングすることにより選択した。
1.2 抗体可変領域の増幅およびシーケンシング
製造業者のプロトコールを使用する、TRIzol試薬(Life Technologies,Inc.、USA)を使用して、全RNAをハイブリドーマ細胞から抽出した。製造業者の指示書に従って、SMARTer RACE5’/3’キット(Clontech(商標)、USA)を使用して、二本鎖cDNAを合成した。簡潔に述べると、5’-RACE CDSプライマー(キット内に提供された)、および5’アダプター(SMARTer II Aプライマー)を使用して全長cDNAを生成するのに、1μgの全RNAを使用し、次いで、製造業者の指示書に従って各cDNAに組み込んだ。cDNA合成反応物は、5倍濃度のFirst-Strand緩衝液、DTT(20mM)、dNTPミックス(10mM)、RNアーゼ阻害剤(40U/μl)、およびSMARTScribe逆転写酵素(100U/μl)を含有した。
SeqAmp DNAポリメラーゼ(Clontech(商標)、USA)を使用して、raceの準備ができたcDNAを増幅させた。増幅反応物は、SeqAmp DNAポリメラーゼ、2倍濃度のSeq AMP緩衝液、5’SMARTer Raceキットで提供される、アダプター配列に相補的な5’ユニバーサルプライマー、およびそれぞれの重鎖定常領域または軽鎖定常領域のプライマーにアニーリングする3’プライマーを含有した。5’定常領域は、Krebberら、J.Immunol.Methods 1997;201:35~55、Wangら、Journal of Immunological Methods 2000、233;167~177、またはTillerら、Journal of Immunological Methods 2009;350:183~193により、既に報告されたプライマーミックスに基づき設計した。以下の熱プロトコール:94℃で、1分間にわたる、前変性サイクル;94℃で、30秒間、55℃で、30秒間、および72℃で、45秒間にわたる、35サイクル;72℃で、3分間にわたる、最終伸長を使用した。
CloneJET PCRクローニングキット(Thermo Scientific、USA)を使用して、結果として得られる約550bpのVHおよびVLのPCR産物を、pJET1.2/bluntベクターにクローニングし、高度にコンピテントのE.coli DH5αを形質転換するのに使用した。Miniprepキット(Qiagene、Germany)を使用して、結果として得られる形質転換体から、プラスミドDNAを調製し、シーケンシングした。DNAシーケンシングは、AITbiotechにより行われた。international IMGT(ImMunoGeneTics)information system(LeFrancら、Nucleic Acids Res.(2015)43(Database issue):D413~22)を使用して、これらのシーケンシングデータを解析して、個々のCDRおよびフレームワーク配列を特徴付けた。VHおよびVLの5’末端におけるシグナルペプチドは、SignalP(v4.1;Nielsen、Kihara,D(ed):Protein Function Prediction(Methods in Molecular Biology vol.1611)59~73、Springer 2017)により同定した。
4つのモノクローナル抗HER3抗体クローン:10D1、10A6、4-35-B2、および4-35-B4を、さらなる開発のために選択した。
10D1のヒト化バージョンを、相補性決定領域(CDR)を、ヒト抗体フレームワーク領域を含むVHおよびVLにグラフトすることにより、コンピュータで設計し、酵母ディスプレイ法により、抗原への結合についてさらに最適化した。
酵母ディスプレイのために、ヒト化配列を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により単鎖断片可変(scFv)フォーマットに転換し、ランダム突然変異誘発により突然変異体ライブラリーを生成するための鋳型として使用した。次いで、突然変異体PCRライブラリーを、直鎖化pCTcon2ベクターと併せて、酵母に電気穿孔して、酵母ライブラリーを生成した。ライブラリーをヒトHER3抗原で染色し、上位の結合剤について選別した。4~5ラウンドの選別の後、個々の酵母クローンをシーケンシングして、固有の抗体配列を同定した。
実施例2
抗体の産生および精製
2.1 発現ベクターへのVHおよびVLのクローニング:
ヒト-マウスキメラ抗体を構築するために、抗HER3抗体クローンの重鎖可変領域および軽鎖可変領域をコードするDNA配列を、pmAbDZ_IgG1_CHおよびpmAbDZ_IgG1_CL(InvivoGen、USA)の真核生物発現ベクターにサブクローニングした。
代替的に、ヒト-マウスキメラ抗体を構築するために、抗HER3抗体クローンの重鎖可変領域および軽鎖可変領域をコードするDNA配列を、pFUSE-CHIg-hG1およびpFUSE2ss-CLIg-hk(InvivoGen、USA)の真核生物発現ベクターにサブクローニングした。pFUSE-CHIg-hG1によりコードされるヒトIgG1定常領域は、CH3領域内に、ヒトIgG1定常領域(IGHG1;UniProt:P01857-1、v1;配列番号176)と比べた置換D356E、L358M(EU番号付けに従い番号付けされた位置)を含む。pFUSE2ss-CLIg-hkは、ヒトIgG1軽鎖カッパ定常領域(IGCK;UniProt:P01834-1、v2)をコードする。
製造業者のプロトコールに従って、SeqAmp酵素(Clontech(商標)、USA)を使用して、可変領域をシグナルペプチドと共にクローニングベクターから増幅させた。VHまたはVL内の適切な領域と重複する15~20bpに加えて、制限部位として5’末端に6bpを有するフォワードおよびリバースプライマーを使用した。DNAインサートおよびベクターを、製造業者により推奨される制限酵素で消化して、フレームシフトが導入されていないことを確認し、T4リガーゼ酵素(Thermo Scientific、USA)を使用して、そのそれぞれのプラスミドにライゲーションした。ベクターに対するDNAインサートの3:1のモル比を、ライゲーションのために使用した。
2.2 哺乳動物細胞内の抗体の発現
製造業者の指示書に従って、1)Expi293一過性発現系キット(Life Technologies、USA)、または2)HEK293-6E一過性発現系(CNRC-NRC、Canada)を使用して、抗体を発現させた。
1)Expi293一過性発現系:
細胞株の維持:
HEK293F細胞(Expi293F)は、Life Technologies,Inc(USA)から得た。細胞を、37℃、8%CO2、振とう型プラットフォームを伴う、80%の加湿式インキュベーター内で、50IU/mlのペニシリンおよび50μg/mlのストレプトマイシン(Gibco、USA)を補充した、無血清、無タンパク質の既知組成培地(Expi293発現培地、Thermo Fisher、USA)中で培養した。
トランスフェクション:
Expi293F細胞に、その製造業者のプロトコールに従って、ExpiFectamine 293試薬キット(Gibco、USA)を使用して、発現プラスミドをトランスフェクトした。簡潔に述べると、培養物をスピンダウンすることによって抗生物質を除去するように維持状態の細胞を培地交換にかけ、細胞ペレットを、トランスフェクションの1日前に、抗生物質を含まない新鮮な培地中に再懸濁した。トランスフェクション日に、各トランスフェクションのために、2.5×106/mlの生存細胞を、シェーカーフラスコ内に播種した。細胞に添加する前に、血清低減培地である、Opti-MEM(Gibco、USA)中、室温で、25分間にわたり、DNA-ExpiFectamine複合体を形成した。トランスフェクションの16~18時間後に、転写促進因子を、トランスフェクトされた細胞に添加した。トランスフェクションの4日後に、等量の培地をトランスフェクタントの上にかけ、細胞の凝集を防止した。トランスフェクタントを、4000×gで15分間の遠心分離によって7日目に採取し、0.22μmの滅菌フィルターユニットを通して濾過した。
2)HEK293-6E一過性発現系
細胞株の維持:
HEK293-6E細胞は、National Research Council Canadaから得た。細胞を、37℃、5%CO2、振とう型プラットフォームを伴う、80%の加湿式インキュベーター内で、0.1%のKolliphor-P188および4mMのL-グルタミン(Gibco、USA)および25μg/mlのG-418を補充した、無血清、無タンパク質、既知組成のFreestyle F17培地(Invitrogen、USA)中で培養した。
トランスフェクション:
HEK293-6E細胞に、その製造業者のプロトコールに従って、PEIpro(商標)(Polyplus、USA)を使用して、発現プラスミドをトランスフェクトした。簡潔に述べると、遠心分離によって抗生物質を除去するように維持状態の細胞を培地交換にかけ、細胞ペレットを、トランスフェクションの1日前に、抗生物質を含まない新鮮な培地と共に再懸濁した。トランスフェクション日に、各トランスフェクションのために、1.5~2×106細胞/mlの生存細胞を、シェーカーフラスコ内に播種した。DNAとPEIpro(商標)とを、1:1の比で混合し、細胞に添加する前に、RTで5分間、F17培地中で複合体を形成させた。トランスフェクションの24~48時間後に、0.5%(w/v)のトリプトンN1をトランスフェクタントに与えた。トランスフェクタントを、4000×gで15分間の遠心分離によって6~7日目に採取し、上清を、0.22μmの滅菌フィルターユニットを通して濾過した。
細胞に、以下の組合せのポリペプチドをコードするベクターをトランスフェクトした。
2.3 抗体の精製
親和性精製、緩衝液交換、および保管:
培養物上清にトランスフェクトされた細胞により分泌された抗体は、液体クロマトグラフィーシステムAKTA Start(GE Healthcare、UK)を使用して精製した。具体的には、上清を、5ml/分の結合速度でHiTrapプロテインGカラム(GE Healthcare、UK)にロードし、続いて、10カラム容積の洗浄緩衝液(20mMのリン酸ナトリウム、pH7.0)でカラムを洗浄した。結合したmAbを、溶出緩衝液(0.1Mのグリシン、pH2.7)により溶出させ、溶出液を、適量の中和緩衝液(1Mのトリス、pH9)を含有する回収チューブに分画した。30KのMWCOタンパク質濃縮器(Thermo Fisher、USA)または3.5KのMWCO透析カセット(Thermo Fisher、USA)を使用して、精製されたmAbを含有する中和溶出緩衝液をPBSに交換した。0.22μmのフィルターを通すことにより、モノクローナル抗体を滅菌し、アリコート分割し、保管のために-80℃で凍結させた。
2.4 抗体純度解析
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC):
抗体純度を、AKTA Explorer液体クロマトグラフィーシステム(GE Healthcare、UK)上の、PBSランニング緩衝液中でSuperdex 200 10/30GLカラム(GE Healthcare、UK)を使用する、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により解析した。500μlのPBS pH7.2中に150μgの抗体を、室温、0.75ml/分の流量でカラムに注入した。タンパク質を、それらの分子量に従って溶出させた。
抗HER3抗体クローン10D1(実施例2.2の[1])についての結果を図12に示す。
異なる10D1バリアントクローンについて得られた結果を図34に示す。
ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE):
抗体純度もまた、標準的な方法に従って、還元条件下および非還元条件下のSDS-PAGEにより解析した。簡潔に述べると、Mini-Protean Electrophoresisシステム(Bio-Rad、USA)を使用して、タンパク質を分解するのに4%~20%のTGXタンパク質ゲル(Bio-Rad、USA)を使用した。非還元条件のために、ゲルにロードする前に、2倍濃度のLaemmli試料緩衝液(Bio-Rad、USA)と混合することによりタンパク質試料を変性させ、95℃で、5~10分間煮沸した。還元条件のために、5%のβ-メルカプトエタノール(βME)、または40mMのDTT(ジチオトレイトール)を含有する、2倍濃度の試料緩衝液を使用した。電気泳動は、150Vの一定電圧下、SDSランニング緩衝液(25mMのトリス、192mMのグリシン、1%のSDS、pH8.3)中で1時間行った。
ウェスタンブロット:
タンパク質試料(30μg)を、上記で記載した通りにSDS-PAGEにより分画し、ニトロセルロース膜に転写した。次いで、膜をブロッキングし、4℃で一晩、抗体による免疫ブロットにかけた。次いで、PBS-Tween中で3回洗浄した後、膜を、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート二次抗体と共に室温で1時間インキュベートした。結果を、化学発光によるPierce ECL基質ウェスタンブロット検出システム(Thermo Scientific、USA)によって視覚化し、オートラジオグラフィーフィルム(Kodak XARフィルム)に曝露した。
検出のために使用した一次抗体は、ヤギ抗ヒトIgG-HRP(GenScript型番A00166)、およびヤギ抗ヒトカッパ-HRP(SouterhnBiotech型番2060-05)であった。
抗HER3抗体クローン10D1(実施例2.2の[1])についての結果を図13に示す。10D1は、高濃度で、容易に発現され、精製され、処理された。
実施例3
生物物理学的特徴付け
3.1 フローサイトメトリーによる細胞表面の抗原結合についての解析
野生型HEK293細胞(高レベルのHER3を発現しない)、およびヒトHER3をコードするベクターをトランスフェクトされたHEK293細胞(すなわち、HEK293 HER O/E細胞)を、4℃で1.5時間、20μg/mlの抗HER3抗体またはアイソタイプ対照抗体とインキュベートした。抗HER3抗体クローンLJM716(例えば、Garnerら、Cancer Res(2013)73:6024~6035に記載されている)を、陽性対照として解析に組み入れた。
細胞を、FACS緩衝液(5mMのEDTAと、0.5%のBSAとを伴うPBS)で3回洗浄し、2~8℃で40分間、FITCコンジュゲート抗FC抗体(Invitrogen、USA)中に再懸濁した。細胞を再度洗浄し、MACSQuant 10(Miltenyi Biotec、Germany)を使用して、フローサイトメトリー解析のために、200μLのFACSフロー緩衝液(5mMのEDTAを伴うPBS)中に再懸濁した。収集の後、Flowlogicソフトウェアを使用して、全ての生データを解析した。前方散乱および側方散乱のプロファイルを使用して、細胞にゲートをかけ、陽性細胞の百分率を、天然および過剰発現細胞集団について決定した。
結果を図1~4および30~32に示す。抗HER3抗体は、ヒトHER3に、高度の特異性で結合することが示された。10D1およびLJM716は、ヒトHER3発現細胞に、同程度に結合することが示された。
3.2 抗体の特異性および交差反応性を決定するためのELISA
ELISAを使用して、抗体の結合特異性を決定した。抗体を、ヒトHER3ポリペプチド、ならびにHER3のそれぞれのマウス、ラット、およびサルの相同体(Sino Biological Inc.、China)への結合について解析した。抗体はまた、ヒトEGFRおよびヒトHER2(Sino Biological Inc.、China)に結合する、それらの能力についても解析した。
ELISAを、標準的なプロトコールに従って行った。簡潔に述べると、96ウェルプレート(Nunc、Denmark)を、4℃で16時間、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)中の0.1μg/mlの標的ポリペプチドによりコーティングした。トリス緩衝液生理食塩液(TBS)中の1%のBSAによる室温で1時間のブロッキングの後、抗HER3抗体を、最高濃度を10μg/mlとして系列希釈し、プレートに添加した。室温で1時間のインキュベーション後、プレートを、0.05%のTween 20を含有するTBS(TBS-T)で3回洗浄し、次いで、室温で1時間、HRPコンジュゲート抗His抗体(Life Technologies,Inc.、USA)とインキュベートした。洗浄の後、プレートを、比色検出基質である、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(Turbo-TMB;Pierce、USA)で10分間現像した。2MのH2SO4で反応を停止させ、450nmでODを測定した。
ELISAについての結果を図5~7および図33に示す。
抗HER3抗体クローン10D1は、高抗体濃度であってもなお、ヒトHER2またはヒトEGFRに結合しないことが見出された(図5A)。抗HER3抗体クローン10D1はまた、マウスHER3、ラットHER3、およびカニクイザルHER3との実質的な交差反応性を呈することも見出された(図5B)。
抗HER3抗体クローン4-35-B2は、ヒトHER2およびヒトEGFRに結合することが見出された(図6A)。抗HER3抗体クローン4-35-B2はまた、マウスHER3、ラットHER3、およびカニクイザルHER3との実質的な交差反応性も呈した(図6B)。
抗HER3抗体クローン4-35-B4は、ヒトHER2およびヒトEGFRに結合することが見出された(図7A)。抗HER3抗体クローン4-35-B4はまた、マウスHER3、ラットHER3、およびカニクイザルHER3との実質的な交差反応性も呈した(図7B)。
10D1バリアントの全ては、ヒトHER3に結合することが実証された(図33Aおよび33B)。
3.3 Octet QK384システムを使用したグローバル親和性研究
IgG1フォーマットにおける抗HER3抗体クローンを、ヒトHER3に対する結合親和性について解析した。
Octet QK384システム(ForteBio)を使用して、バイオレイヤー干渉法(BLI)実験を実施した。抗ヒトIgG捕捉(AHC)Octetセンサーチップ(Pall ForteBio、USA)を、抗HER3抗体(25nM)に対して使用した。全ての測定は、25℃、1000rpmで撹拌しながら実施した。抗原の結合についての反応速度の測定は、異なる濃度で120秒間、Hisタグ付けヒトHER3抗原をロードし、続いて、120秒間の解離時間を置き、バイオセンサーを、アッセイ緩衝液を含有するウェルに導入することにより実施した。緩衝液効果について、センサーグラムを参照し、次いで、Octet QK384ユーザーソフトウェア(Pall ForteBio、USA)を使用して当てはめた。反応速度応答は、1部位結合モデルを使用するグローバルフィッティングにかけて、会合速度定数(Kon)、解離速度定数(Koff)、および平衡解離定数(KD)についての値を得た。ソフトウェアにより、確実に当てはめることができる曲線(R2>0.90)だけを、解析に組み入れた。
クローン10D1についての解析のための代表的なセンサーグラムを図8に示す。クローン10D1は、KD=9.58nMの親和性でヒトHER3に結合することが見出された。
ヒト化/最適化された10D1バリアントは、ヒトHER3に、極めて高度の親和性で結合する。代表的なセンサーグラムを図36A~36Mに示す。
10D1クローンバリアントについて決定された親和性を下記に示す。
クローン4-35-B2は、K
D=80.9nMの親和性でヒトHER3に結合することが見出され(図9)、クローン4-35-B4は、K
D=50.3nMの親和性でヒトHER3に結合することが見出された(図10)。
3.4 示差走査蛍光測定法による熱安定性についての解析
簡潔に述べると、0.2mg/mLの3連の抗体反応ミックス、およびSYPRO Orange色素(ThermoFisher)を、25μLのPBS中で調製し、MicroAmp Optical 96ウェル反応プレート(ThermoFisher)のウェルに移し、MicroAmp Optical Adhesive Film(ThermoFisher)でシールした。TAMRAをレポーターとして選択し、ROXを受動参照として選択して、溶融曲線を、7500 fast Real-Time PCRシステム(Applied Biosystems)において実行した。熱プロファイルは、傾斜率を1.2%として、25℃で2分間の初期ステップと、99℃で2分間の最終ステップとを含んだ。生データの一次微分を、温度の関数としてプロットして、微分溶融曲線を得た。抗体の溶融温度(Tm)は、微分曲線のピークから抽出した。
抗体クローン10D1の熱安定性についての示差走査蛍光測定解析のために得られた生データの一次微分を図11に示す。抗体の3つの異なる試料を解析した。Tmを70.3℃であると決定した。
解析はまた、10D1バリアントクローンおよびLJM716についても実施した。生データの一次微分、および決定されたTmを図35A~35Cに示す。
3.5 抗HER3抗体10D1のエピトープについての解析
抗HER3抗体10D1を解析して、それが、HER3への結合について、抗HER3抗体MM-121および/またはLJM-716と競合するのかどうかを決定した。MM-121のエピトープは、HER3のドメインIにマッピングされており、NRGリガンド結合性部位を遮断する。LJM-716のエピトープは、ドメインIIおよびIVにわたり分布するコンフォメーションエピトープにマッピングされており、HER3を不活性コンフォメーションにロックする。
Octet QK384システム(ForteBio)を使用して、バイオレイヤー干渉法(BLI)実験を実施した。抗Penta-HIS(HIS1K)でコーティングされたバイオセンサーチップ(ForteBio、USA)を使用して、Hisタグ付けヒトHER3を捕捉した(75nM;300秒)。飽和抗体による結合(400nM;600秒)を検出し、続いて解離ステップ(120秒)、続いて競合抗体との結合(300nM;300秒)の検出、続いて解離ステップ(120秒)にかけた。MM-121抗体の可変領域を、ヒトIgG2およびIgカッパのFc骨格を有するPDZベクター内にクローニングした。LJM-716抗体の可変領域を、ヒトIgG1およびIgカッパのFc骨格を有するPDZベクター内にクローニングした。
解析の結果を図14Aおよび14Bに示す。抗HER3抗体は、HER3への結合について、MM-121および/またはLJM-716と競合しないことが見出された。
10D1は、MM-121および/またはLJM-716とは別個であり、位相的に離れたHER3のエピトープに結合することが見出された。
重複する15マーのアミノ酸を使用して、全HER3細胞外ドメインをカバーするように10D1のエピトープをマッピングした。各固有の15マーを、C末端およびN末端においてGSリンカーにより伸長させ、384ウェルプレート内の固有のウェルにコンジュゲートさせ、プレートを、4℃で、16時間、0.1、1、10、および100ug/mlの10D1抗体とインキュベートした。プレートを洗浄し、次いで、20℃で1時間、PODコンジュゲートヤギ抗ヒトIgGとインキュベートした。最後に、LI-COR Odysseyイメージングシステムを使用する、425nmにおける化学発光の測定により、結合を査定する前にPOD基質溶液を、ウェルに20分間にわたり添加し、定量および解析は、PepSlide Analyzerソフトウェアパッケージを使用して実施した。実験は、2連で実施した。
10D1のエピトープは、ドメインIIに位置するHER3二量体化アームのβヘアピン構造には直接位置せず、代わりにN末端からβヘアピンの二量体化界面に位置することが見出された。
10D1および10D1由来クローンが結合することが決定されたHER3の部位は、ヒトHER3のアミノ酸配列(例えば、配列番号1に示される)の218~235位に対応し、HER3のこの領域についてのアミノ酸配列を配列番号229に示す。この領域内では、2つのコンセンサスの結合性部位のモチーフが同定され、これを配列番号230および231に示す。
HER3のこの位置への結合は、HERファミリーのヘテロ二量体化と、この帰結としての下流のシグナル伝達経路を妨げるように作用する(実施例4を参照されたい)。結合はリガンド(NRG)非依存的である。10D1結合性部位は、開放型および閉鎖型のいずれのHER3コンフォメーションにおいても溶媒にアクセス可能であり、HER3と他のHERファミリーメンバーとの間で保存されず、ヒト、マウス、ラット、およびサルのHER3オルソログの間で100%保存される。
実施例4
機能的特徴付け
4.1 HER2とHER3との二量体化の阻害
抗HER3抗体を、HER3とHER2とのヘテロ二量体化を阻害する、それの能力について解析した。
簡潔に述べると、96ウェルプレート(Nunc、Denmark)を、4℃で16時間、PBS中の0.1μg/mlのHisタグ付けHER2タンパク質によりコーティングした。室温でPBS中の1%のBSAによる1時間のブロッキングの後、組換えビオチニル化ヒトHER3タンパク質を、異なる濃度の抗HER3抗体クローン10D1の存在下で添加し、プレートを室温で1時間インキュベートした。その後、プレートを3回洗浄し、次いで、室温で1時間、HRPコンジュゲート二次抗体とインキュベートした。洗浄の後、プレートを、比色検出基質である、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(Turbo-TMB;Pierce、USA)で10分間現像した。2MのH2SO4で反応を停止させ、450nmでODを測定した。
結果を図15に示す。抗HER3抗体クローン10D1は、HER2とHER3との相互作用を用量依存的に阻害することが見出された。
さらなる実験では、HER2:HER3二量体化の阻害について解析した。
さらなる実験では、HER2:HER3二量体化の阻害は、製造業者の指示書に従って、PathHunter Pertuzumab Bioassayキット(DiscoverX)を使用して評価した。
簡潔に述べると、1mlのあらかじめ加熱したCP5培地を使用して、HER2およびHER3を過剰発現するU2OS細胞を融解させ、ウェル当たりの5,000個の細胞を播種し、5%CO2の雰囲気中、37℃で4時間培養した。次いで、細胞を、25μg/mlから開始して、10D1F.FcAまたはペルツズマブの8点の系列希釈で処理した。
インキュベーションの4時間後、30ng/mlのヘレグリンβ2を各ウェルに添加し、細胞をさらに16時間インキュベートした。10μLのPathHunterバイオアッセイ検出試薬1をウェルに添加し、暗所内、室温で15分間インキュベートした。これに続き、40μLのPathHunterバイオアッセイ検出試薬2を添加し、暗所内、室温で60分間インキュベートした。次いで、遅延を1秒間とする、Synergy4 Biotekを使用して、プレートを読み取った。
結果を図65に示す。10D1F.FcAは、その低IC50により反映される通り、ペルツズマブより大きな効率で、HER2:HER3二量体化を阻害することが見出された。
4.2 解析のためのがん細胞株の同定
本発明者らは、HER3の阻害について調べるのに適切な細胞を同定するために、がん細胞株によるEGFRタンパク質ファミリーメンバーの発現を特徴付けた。
図16Aは、Cancer Cell Line Encyclopaedia(CCLE;Barretinaら、Nature(2012)483:603~607、およびThe Cancer Cell Line Encyclopedia Consortium & The Genomics of Drug Sensitivity in Cancer Consortium、Nature(2015)528:84~87)に従って、N87、SNU16、HT29、FaDu、A549、HCC95、OvCAR8、およびAHCN細胞によるEGFRファミリーメンバーおよびリガンドのmRNA発現データを示す。図16Aはまた、FlowLogicにより決定される、EGFR、HER2、およびHER3についてのタンパク質発現データも示す。
実験で使用される細胞株は、ATCCから購入し、推奨されるとおりに培養した。簡潔に述べると、細胞株は、10%のFBSおよび1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充した、示した細胞培養培地中で維持した。細胞は、37℃、5%のCO2中のインキュベーター内で培養した。培養した細胞は、96ウェルプレート内に適切な播種密度で播種した:HT29、HCC95、FaDu、およびOvCar8細胞は、2000細胞/ウェルで播種し、NCl-N87細胞は、5000細胞/ウェルで播種し、SNU-16、ACHNおよび細胞は、1500細胞/ウェルで播種し、A549細胞は、1200細胞/ウェルで播種した。
図16Bは、フローサイトメトリーにより決定される、EGFR、HER2、およびHER3の表面発現を示す。簡潔に述べると、500,000細胞を、0.5%のBSAと、2mMのEDTAとを含有する染色緩衝液中で、4℃で1.5時間、一次抗体(20μg/ml)により染色した。使用した二次抗体は、4℃で20分間、10μg/mlの抗ヒトAlexafluor488であった。
4.3 HER3媒介性シグナル伝達の阻害
抗HER3抗体である10D1を、in vitroにおいてHER-3媒介性シグナル伝達を阻害する、その能力について解析した。
簡潔に述べると、N87およびFaDu細胞を、37℃、5%CO2で10%の血清と共に6ウェルプレートのウェル内に播種した。16時間後、細胞を1%のFBS細胞培養培地中で一晩の培養により(血清中の増殖因子により誘発されるシグナル伝達を低減するように)飢餓させた。翌日、細胞を、50μg/mlの抗HER3抗体である10D1で、4時間処理するのに続き、NRG(100ng/ml)による15分間の刺激にかけた。次いで、タンパク質を抽出し、標準的なBradfordタンパク質アッセイを使用して定量し、SDS-PAGEにより分画し、ニトロセルロース膜に転写した。次いで、膜をブロッキングし、4℃で一晩、以下の抗体、抗pHER3、抗pAKT、pan抗HER3、pan抗AKT、および抗ベータ-アクチンによる免疫ブロットにかけた。ブロットは、Bio-Rad Clarity Western ECL基質によって視覚化し、バンドは、光学濃度測定解析を使用して定量し、データは、ベータアクチン対照に対して正規化した。
結果を図17に示す。抗HER3抗体である10D1は、HER3のリン酸化、および下流のシグナル伝達を阻害することが見出された。
さらなる実験では、本発明者らは、HER3の抗HER3抗体媒介性阻害に影響を受ける、細胞内シグナル伝達経路について調べた。
FaDu細胞は、37℃、5%CO2で、10%の血清と共に6ウェルプレートのウェル内に播種した。16時間後、細胞を1%のFBS細胞培養培地中で一晩の培養により飢餓させた。翌日、細胞を、50μg/mlの抗HER3抗体である10D1で4時間処理し、続いて、NRG(100ng/ml)による15分間の刺激にかけた。次いで、タンパク質を抽出し、標準的なBradfordタンパク質アッセイを使用して定量し、あらかじめブロッキングされたPhosphoprotein Antibody Array膜(Ray Biotech)と、4℃で一晩インキュベートした。次いで、膜を洗浄緩衝液で洗浄し、室温で2時間、検出抗体カクテルとインキュベートし、続いて、HRPコンジュゲート抗IgGと洗浄し、インキュベートした。2時間後、膜を洗浄し、キットの検出緩衝液を使用して、プロービングした。Syngene Gboxイメージングシステムにより、画像を捕捉し、各ドット/リンタンパク質の強度を測定し、抗体の非存在下で、同様に処理された細胞について測定された強度との比較により、阻害パーセントを計算した。
結果を図18に示す。抗HER3抗体である10D1は、PI3K/AKT/mTORおよびMAPKシグナル伝達を阻害することが見出された。
さらなる実験では、本発明者らは、HER3発現細胞の増殖に対する、抗HER3抗体である10D1による処理の効果について調べた。
簡潔に述べると、N87およびFaDu細胞を、100μg/mlから開始して、9点の半対数希釈により系列希釈された濃度の抗HER3抗体である10D1で処理した。細胞増殖は、5日の期間後に、製造業者の指示書に従って、CCK-8増殖アッセイ(Dojindo、Japan)を使用して測定した。簡潔に述べると、1倍濃度のCCK-8溶液を各ウェルに添加し、続いて、37℃で2時間インキュベートした。次いで、450nmでODを測定した。
図19Aおよび19Bは、非処理対照細胞と比べた細胞コンフルエンスのパーセントを示す(データ点は3連の平均である)。
抗HER3抗体である10D1は、N87およびFaDu細胞による細胞増殖の用量依存性阻害を呈した。
実施例5
in vivoにおける解析
5.1 薬物動態解析
約6~8週齢の雌NCrヌードマウスを特定の無病原体条件下で飼育し、Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)ガイドラインに準拠して処置した。
500μgの抗HER3抗体を投与し、血液は、ベースライン(-2時間)、投与の0.5時間、6時間、24時間、96時間、168時間、および336時間後に得た。血清中の抗体を、ELISAにより定量した。
結果を図50に示す。抗HER3抗体クローン10D1は、NCrヌードマウスにおいて16.3日の半減期を有することが見出された。
5.2 安全性免疫毒性
抗HER3抗体クローン10D1を、IMGT DomainGapAlign(Ehrenmannら、Nucleic Acids Res.、38、D301~307(2010))およびIEDB脱免疫化(Dhandaら、Immunology.(2018)153(1):118~132)ツールを使用して安全性および免疫原性についてコンピュータにより解析した。
抗HER3抗体クローン10D1は、潜在的な免疫原性ペプチドの数が、安全であると考えるのに十分なほど少なく、潜在的な開発可能性の問題を引き起こし得る他の特性を所有しなかった。
図37の表は、安全性および開発可能性に関する10D1バリアントクローンの特性についての概観を提示する。
実施例5.3に記載される実験において、抗HER3抗体で処置されたマウスを、体重の変化および肉眼剖検についてモニタリングした。これらのマウスでは、ビヒクルだけで処置されたマウスと比較して、差が検出されなかった。
血液毒性を、6~8週齢の雌BALB/cマウス(20~25g)に、1000μgの抗HER3 10D1抗体または等容積のPBSの単回投与用量を腹腔内注射する実験において調べた。血液試料は、注射の96時間後に得、フローサイトメトリーにより異なる種類の白血球の数、ならびにNA+、K+、およびCl-の電解質指標について解析した。
図51Aおよび51Bは、異なる細胞型の数および電解質指標が、Charles Riverの参照範囲内にある(3匹のマウス)ことが見出され、PBS処置群(3匹のマウス)と有意に異ならないことを示す。左バーはビヒクルを表し、右バーは10D1による処置を表し、Charles Riverの参照範囲の端点は点線で示される。異なる群間で、臨床徴候、肉眼剖検、または体重の差違は検出されなかった。
マウスをまた、注射の96時間後に、肝毒性、腎毒性、および膵毒性の相関因子についても解析した。1000μgの抗HER3抗体の単回用量の投与の後で検出される、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、血中尿素窒素(BUN)、クレアチニン(CREA)、アルカリホスファターゼ(ALP)、グルコース(GLU)、カルシウム(CAL)、総ビリルビン(BIL)、総タンパク質(TPR)、およびアルブミン(ALB)のレベルは、Charles Riverの参照範囲内にあることが見出され、PBS処置群におけるこれらのマーカーのレベルと有意に異ならない。これらを図51C~51Fに示す。左バーはビヒクルを表し、右バーは10D1による処置を表し、Charles Riverの参照範囲の端点は点線で示される。10D1による処置は、腎臓指標、肝臓指標、または膵臓指標に影響を及ぼさず、従って、正常な腎臓、肝臓、または膵臓の機能に影響しない。
5.3 in vivoでのがんを処置する有効性についての解析
約6~8週齢の雌NCrヌードマウスを、InVivos(Singapore)から購入した。動物は、特定の無病原体条件下で飼育し、Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)ガイドラインに準拠して処置した。
使用した細胞株は、N87細胞(胃がん)、FaDu細胞(頭頸部がん)、OvCAR8細胞(卵巣がん)、SNU16細胞(胃がん)、HT29細胞(結腸直腸がん)、A549細胞(肺がん)、HCC95細胞(肺がん)、およびAHCN細胞(腎がん)を含んだ。
腫瘍体積は、デジタル式キャリパーを使用して毎週3回測定し、式[L×W2/2]を使用して計算した。対照アームの腫瘍が、1.5cm超の長さと測定されたら、研究の終点に到達したとみなした。
5.3.1 N87モデル
図20は、抗HER3抗体10D1(実施例2.2の[1])の抗がん効果を、N87細胞株に由来するマウス胃癌モデルにおいて調べる実験において得られた結果を示す。モデルは、右脇腹への1×106個のN87細胞の皮下注入により確立した(処置群当たりn=6のマウス)。
10D1を、投与1回当たり500μgで、隔週(合計10回の投与)でIP投与し、対照処置群には、等容積のPBSを与えた。
このモデルでは、抗HER3抗体クローン10D1は、効力が大きく、腫瘍の増殖を約76%阻害することができることが見出された。
図21は、抗HER3抗体クローン4-35-B4を、11mg/kg(合計4回の投与)の用量で毎週IP投与する、同様の実験において得られた結果を示す。このモデルでは、抗HER3抗体クローン4-35-B4は、効力が大きく、腫瘍の増殖を約60%阻害することができることが同様に見出された。
5.3.2 SNU16モデル
図22は、抗HER3抗体10D1(実施例2.2の[1])の抗がん効果を、SNU16細胞株に由来するマウス胃癌モデルにおいて調べる実験において得られた結果を示す。モデルは、右脇腹への1×106個のSNU16細胞の皮下注入により確立した(処置群当たりn=6のマウス)。
10D1を、投与1回当たり500μgで、隔週(合計9回の投与)でIP投与し、対照処置群には、等容積のPBSを与えた。
このモデルでは、抗HER3抗体クローン10D1は、効力が大きく、腫瘍の増殖を約68%阻害することができることが見出された。
5.3.3 FaDuモデル
図23は、抗HER3抗体10D1(実施例2.2の[1])の抗がん効果を、FaDu細胞株に由来する頭頸部扁平上皮癌のマウスモデルにおいて調べる実験において得られた結果を示す。モデルは、雌NPGマウスの右脇腹への1×106個のFaDu細胞の皮下注入により確立した(NOD scidガンマの表現型;処置群当たりn=6のマウス)。
10D1を、投与1回当たり500μgで、毎週(合計4回の投与)でIP投与した。対照処置群には、等容積のPBS、または同じ用量のアイソタイプ対照抗体を与えた。
このモデルでは、抗HER3抗体クローン10D1は、効力が大きく、腫瘍の増殖を約85%阻害することができることが見出された。
図24は、抗HER3抗体10D1(実施例2.2の[1])の抗がん効果を、FaDu細胞株に由来する頭頸部扁平上皮癌のマウスモデルにおいて調べる実験において得られた結果を示す。モデルは、雌NCrヌードマウスの右脇腹への1×106個のFaDu細胞の皮下注入により確立した(処置群当たりn=6のマウス)。
10D1を、投与1回当たり500μgで、隔週(合計8回の投与)でIP投与し、対照処置群には、等容積のPBSを与えた。
このモデルでは、抗HER3抗体クローン10D1は、効力が大きく、腫瘍の増殖を約86%阻害することができることが見出された。
5.3.4 OvCAR8モデル
図25は、抗HER3抗体10D1(実施例2.2の[1])の抗がん効果を、OvCAR8細胞株に由来する卵巣癌のマウスモデルにおいて調べる実験において得られた結果を示す。モデルは、雌NCrヌードマウスの右脇腹への1×106個のOvCAR8細胞の皮下注入により確立した(処置群当たりn=6のマウス)。
10D1を、投与1回当たり500μgで、隔週(合計9回の投与)でIP投与し、対照処置群には、等容積のPBSを与えた。
このモデルでは、抗HER3抗体クローン10D1は、効力が大きく、腫瘍の増殖を約74%阻害することができることが見出された。
5.3.5 HCC-95モデル
図26は、抗HER3抗体10D1(実施例2.2の[1])の抗がん効果を、HCC-95細胞株に由来する扁平上皮肺癌のマウスモデルにおいて調べる実験において得られた結果を示す。モデルは、雌NCrヌードマウスの右脇腹への1×106個のHCC-95細胞の皮下注入により確立した(処置群当たりn=6のマウス)。
10D1を、投与1回当たり500μgで、隔週(合計4回の投与)でIP投与し、対照処置群には、等容積のPBSを与えた。
このモデルでは、抗HER3抗体クローン10D1は、効力が大きく、腫瘍の増殖を約90%阻害することができることが見出された。
5.3.6 A549モデル
図27は、抗HER3抗体10D1(実施例2.2の[1])の抗がん効果を、A549細胞株に由来する肺腺癌のマウスモデルにおいて調べる実験において得られた結果を示す。モデルは、雌NCrヌードマウスの右脇腹への1×106個のA549細胞の皮下注入により確立した(処置群当たりn=6のマウス)。
10D1を、投与1回当たり500μgで、隔週(合計10回の投与)でIP投与し、対照処置群には、等容積のPBSを与えた。
このモデルでは、抗HER3抗体クローン10D1は、効力が大きく、腫瘍の増殖を約91%阻害することができることが見出された。
図28は、抗HER3抗体クローン4-35-B2の抗がん効果を、雌NPGマウス(NOD scidガンマの表現型)の右脇腹への1×106個のA549細胞の注入により確立したA549細胞株に由来するモデルにおいて調べる、同様の実験において得られた結果を示す。抗HER3抗体クローン4-35-B2を、投与1回当たり500μgの用量で、毎週(合計4回の投与)でIP投与した。対照処置群には、等容積のPBSを与えた(処置群当たり6匹のマウス)。
このモデルでは、抗HER3抗体クローン4-35-B2は、効力が大きく、腫瘍の増殖を約63%阻害することができることが同様に見出された。
5.3.6 ACHNモデル
図29は、抗HER3抗体10D1(実施例2.2の[1])の抗がん効果をACHN細胞株に由来する腎細胞癌のマウスモデルにおいて調べる実験において得られた結果を示す。モデルは、雌NCrヌードマウスの右脇腹への1×106個のACHN細胞の皮下注入により確立した(処置群当たりn=6のマウス)。
10D1を、投与1回当たり500μgで、隔週(合計7回の投与)でIP投与し、対照処置群には、等容積のPBSを与えた。
このモデルでは、抗HER3抗体クローン10D1は、効力が大きく、腫瘍の増殖を約61%阻害することができることが見出された。
5.4 胃癌の処置
ヒトにおける第一段階
トラスツズマブが奏効しなかったか、またはこれを与えることができない、HER2+進行型胃がんを有する患者を、安全性補正型「Minimal Anticipated Biological Effect Level」(MABEL)手法に従って計算した用量における、10D1、10D1_c75、10D1_c76、10D1_c77、10D1_c78v1、10D1_c78v2、10D1_11B、10D1_c85v1、10D1_c85v2、10D1_c85o1、10D1_c85o2、10D1_c87、10D1_c89、10D1_c90、10D1_c91、10D1_c92、および10D1_c93から選択される抗HER3抗体の静脈内注射により処置する。投与後28日間にわたり患者をモニタリングする。
次いで、有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events)(CTCAE)に従って患者を評価して、処置の安全性および忍容性を決定し、分子の薬物動態を決定した。
抗HER3抗体による処置は、安全かつ忍容性であることが見出される。
用量漸増-単剤療法
トラスツズマブが奏効しなかったか、またはこれを与えることができない、HER2+進行型胃がんを有する12~48人の患者を、3+3モデルベースの過大用量制御を伴う増量(escalation with overdose control)(EWOC)型用量漸増に従って、10D1、10D1_c75、10D1_c76、10D1_c77、10D1_c78v1、10D1_c78v2、10D1_11B、10D1_c85v1、10D1_c85v2、10D1_c85o1、10D1_c85o2、10D1_c87、10D1_c89、10D1_c90、10D1_c91、10D1_c92、および10D1_c93(例えば、10D1_c89、10D1_c90、または10D1_c91;例えば、10D1_c89)から選択される抗HER3抗体の静脈内注射により処置する。
次いで、有害事象共通用語規準(CTCAE)に従って患者を評価して、処置の安全性および忍容性を決定し、分子の薬物動態および処置の有効性を評価する。最大耐量(MTD)および最大投与量(MAD)も決定する。
用量漸増-併用療法
トラスツズマブが奏効しなかったHER2+進行型胃がんを有する9~18人の患者を、抗PD-L1抗体(3mg/kg)を伴う、3+3モデルベースの漸増に従って、トラスツズマブと組み合わせた、10D1、10D1_c75、10D1_c76、10D1_c77、10D1_c78v1、10D1_c78v2、10D1_11B、10D1_c85v1、10D1_c85v2、10D1_c85o1、10D1_c85o2、10D1_c87、10D1_c89、10D1_c90、10D1_c91、10D1_c92、および10D1_c93(例えば、10D1_c89、10D1_c90、または10D1_c91;例えば、10D1_c89)から選択される抗HER3抗体の静脈内注射により処置する。
次いで、有害事象共通用語規準(CTCAE)に従って患者を評価して、処置の安全性および忍容性を決定し、分子の薬物動態および処置の有効性を評価する。
用量拡大
トラスツズマブが最近奏効せず、患者の腫瘍が遺伝子的に、かつ組織学的に十分に特徴付けられているHER2+進行型胃がんを有する患者を、トラスツズマブ、シスプラチン、および5-FUまたはカペシタビンのいずれかと組み合わせた、10D1、10D1_c75、10D1_c76、10D1_c77、10D1_c78v1、10D1_c78v2、10D1_11B、10D1_c85v1、10D1_c85v2、10D1_c85o1、10D1_c85o2、10D1_c87、10D1_c89、10D1_c90、10D1_c91、10D1_c92、10D1_c93(例えば、10D1_c89、10D1_c90、または10D1_c91;例えば、10D1_c89)から選択される抗HER3抗体により処置する。
抗HER3抗体は、安全かつ忍容性であり、がん細胞の数/比率を低減し、腫瘍細胞マーカーの発現を低減し、無増悪生存期間を延長し、全生存期間を延長することができることが見出される。
実施例6
親和性成熟させ、ヒト化したクローン
親マウス抗体10D1Pの可変領域のヒト化を、CDRグラフティングにより行った。グラフティングのためのヒトフレームワーク配列を、ヒトVドメインデータベースに対して親アミノ酸配列をblast解析する(blasting)ことによって同定し、親配列に対する同一性が最大である遺伝子を選択した。マウスCDRを、選択したヒトフレームワーク内にグラフトすると、フレームワークのカノニカルの位置における残基を、抗原への結合を保存するように親マウス配列に復帰突然変異させた。10D1Pの合計9つのヒト化バリアントを設計した。
酵母ディスプレイを使用する、2ラウンドの親和性成熟により、ヒトHER3に対する親和性を増大させた。第1ラウンドでは、設計した9つのバリアントの混合ライブラリーをランダム突然変異誘発により構築し、ビオチン化抗原を使用するフローサイトメトリーによりスクリーニングした。第2ラウンドでは、第1ラウンドで単離した1つの重鎖および1つの軽鎖クローンを鋳型として使用して、第2のライブラリーを生成し、スクリーニングした。合計10個のヒト化し、親和性成熟させたクローンを単離した。
10D1Pを設計し、単離したヒト化バリアントの可変領域内の潜在的不安定性(免疫原性、グリコシル化部位、露出した反応性残基、凝集可能性)を、コンピュータ予測ツールを使用して査定した。IEDB脱免疫化ツールを使用して、配列を脱免疫化した。10D1Fの最終配列を、その開発可能性特徴、ならびにin vitroでの物理化学的および機能的特性に基づいて最適化バリアントの間で選択した。
クローン10D1Fは、配列番号36のVHと、配列番号83のVLとを含む。10D1Fは、ヒト重鎖との89.9%の相同性、およびヒト軽鎖との85.3%の相同性を呈する。
10D1Fの可変領域と、ヒトIgG1の定常領域とを含み、配列番号206および207のポリペプチドから構成される抗原結合性分子を、10D1F.FcA(本明細書では、場合によってまた、「10D1F.A」または「抗HER3クローン10D1_c89 IgG1」とも称し、例えば、実施例2.2の[16]を参照されたい)と指定する。
実施例7
Fcの操作
抗体の効力を増大させる、例えば、Fcエフェクター機能を最適化し、抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)および/または抗体依存性細胞性食作用(ADCP)を増強し、半減期を改善する突然変異をCH2および/またはCH3領域内に含むように、10D1および10D1バリアントを操作した。
CH2領域内に、修飾「GASDALIE」(G236A、S239D、A330L、I332E)および「LCKC」(L242C、K334C)を含むように、クローン10D1および10D1F.FcAのFc領域を修飾した。GASDALIE置換は、FcγRIIa(GA)およびFcγRIIIa(SDALIE)受容体に対する親和性を増大させ、ADCPおよびNK媒介性ADCC(実施例8.8を参照されたい)を増強する一方で、C1qに対する親和性を低下させ(AL)、CDCを低減することが見出された。LCKC置換は、新たな分子内ジスルフィド架橋を創出することにより、Fc領域の熱安定性を増大させることが見出された。
GASDALIEおよびLCKC突然変異を含む、10D1F.FcA重鎖ポリペプチドの修飾型を配列番号225に示す。配列番号225および207のポリペプチドから構成される抗原結合性分子を、10D1F.FcB(本明細書では、場合によってまた、「10D1F.B」とも称する)と指定する。
CH2領域内に、GASDALIEおよびLCKC置換を含む10D1の修飾型を調製し、Fc受容体FcγRIIIaに結合するその能力を、バイオレイヤー干渉法により解析した。G236A、S239D、A330L、I332Eと、L242C、K334Cとに対応する置換GASDALIEおよびLCKCを含む、10D1 VH-CH1-CH2-CH3の配列を配列番号227に示す。
簡潔に述べると、抗Penta-HIS(HIS1K)でコーティングしたバイオセンサーチップ(Pall ForteBio、USA)を使用して、Hisタグ付けFcγRIIIa(V158)(270nM)を120秒捕捉した。全ての測定は、25℃、1000rpmで撹拌しながら実施した。抗原への結合についての会合反応速度の測定は、抗HER3抗体を異なる濃度(500nM~15.6nM)で60秒間インキュベートし、続いて、120秒の解離時間を置き、バイオセンサーを、アッセイ緩衝液(pH7.2)を含有するウェルに導入することにより実施した。緩衝液効果について、センサーグラムを参照し、次いで、Octet QK384ユーザーソフトウェア(Pall ForteBio、USA)を使用して当てはめた。反応速度応答は、1部位結合モデルを使用するグローバルフィッティングにかけて、会合速度定数(Kon)、解離速度定数(Koff)、および平衡解離定数(KD)についての値を得た。ソフトウェアにより、確実に当てはめることができる曲線(R2>0.90)だけを、解析に組み入れた。
バリアントの熱安定性もまた、実施例3.4で記載した通りに、示差走査蛍光測定解析により解析した。
図38Aおよび38Bは、それぞれ、GASDALIEおよびLCKC Fc置換を含む10D1について、BLI解析および熱安定性解析を示す。Fc操作10D1バリアントは、非Fc操作10D1と比較して、FcγRIIIaに対する顕著に改善された結合(親和性の約9倍の増大)を示し(図39Aを参照されたい)、熱安定性は60℃を上回っても維持された。
CH2領域内にGASD置換を含む10D1についての構築物も調製し、G236AおよびS239Dに対応する置換を含む、10D1 VH-CH1-CH2-CH3の配列を配列番号228に示す。
抗HER3抗体クローン10D1(実施例2.2の[1])、およびこのGASDバリアントの親和性を、FcγRIIIaへの結合親和性についてのバイオレイヤー干渉法により解析した。BLIを、上記で記載した通りに実施した。
図39Aおよび39Bは、代表的なセンサーグラム、Kon、Koff、およびKD値を示す。予測される通り、10D1 GASDバリアント(39B)は、10D1(39A)と比較して、FcγRIIIaに対する親和性の劇的な増大を呈した。
10D1 GASDバリアントの熱安定性もまた、実施例3.4で記載した通りに、示差走査蛍光測定解析により解析した。結果を図40に示す。
さらなる10D1F Fcバリアント
CH2領域内にN297Q置換を含む、別の抗体バリアントを創出した。N297Q置換を含む、10D1F VH-CH1-CH2-CH3のための代表的な配列を配列番号226に示す。この「サイレント形態」は、Fc領域のN結合型グリコシル化、およびFcγ受容体へのFcの結合の両方を阻止し、陰性対照として使用される。
図41Aおよび41Bは、上記で記載した通りに決定された、ヒトおよびマウスFc受容体に対する、10D1F hIgG1 Fcバリアント10D1F.FcAおよび10D1F.FcBの結合親和性を示す。10D1F.FcBは、非修飾の10D1F.FcAまたは市販の抗体と比較して、ヒトおよびマウスのFcγおよびFcRn受容体に対する顕著に改善された結合を示すことが見出された。ND=低結合親和性のために決定されていないKD。
実施例8
ヒト化および修飾クローンの特徴付け
8.1 フローサイトメトリーによる細胞表面の抗原結合についての解析
野生型(WT)HEK293細胞(高レベルのHER3を発現しない)、およびヒトHER3をコードするベクターをトランスフェクトされたHEK293細胞(すなわち、HEK293 HER O/E細胞)を、10μg/mlのヒト化抗HER3抗体10D1F.FcA(10D1F)、抗HER3抗体10D1(10D1P)、またはアイソタイプ対照抗体と、4℃で1.5時間インキュベートした。抗HER3抗体クローンLJM716(例えば、Garnerら、Cancer Res(2013)73:6024~6035、および実施例3.5に記載されている)を、陽性対照として解析に組み入れた。
細胞を、緩衝液(2mMのEDTAおよび0.5%のBSAを含むPBS)で洗浄し、4℃で20分間、10μg/mlのFITCコンジュゲート抗FC抗体(Invitrogen、USA)中に再懸濁した。細胞を再度洗浄し、MACSQuant 10(Miltenyi Biotec、Germany)を使用して、フローサイトメトリー解析のために、200μLのFACSフロー緩衝液(5mMのEDTAを含むPBS)中に再懸濁した。無染色のWTおよびトランスフェクトされたHEK293細胞を、陰性対照として解析に組み入れた。収集の後、Flowlogicソフトウェアを使用して全ての生データを解析した。前方散乱および側方散乱プロファイルを使用して、細胞にゲートをかけ、陽性細胞の百分率を、天然および過剰発現細胞集団について決定した。
結果を図42Aおよび42Bに示す。抗HER3抗体10D1F.FcAは、高度の特異性でヒトHER3に結合することが示された(42A)。10D1F.FcA、10D1P、およびLJM716は、ヒトHER3発現細胞に、同程度に結合することが示された(42B)。
8.2 抗体の特異性および交差反応性を決定するためのELISA
ELISAを使用して、10D1F.FcA抗体の結合特異性を確認した。抗体を、ヒトHER3ポリペプチド、ならびにヒトHER1(EGFR)およびヒトHER2(Sino Biological Inc.、China)に結合する、それらの能力について解析した。ヒトIgGアイソタイプおよび無関係な抗原を、陰性対照として組み入れた。
ELISAを、標準的なプロトコールに従って行った。プレートを、4℃で16時間、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)中の0.1μg/mlの標的ポリペプチドによりコーティングした。室温でトリス緩衝液生理食塩液(TBS)中の1%のBSAによる1時間のブロッキングの後、抗HER3抗体を、最高濃度を10μg/mlとして系列希釈し、プレートに添加した。室温で1時間のインキュベーション後、プレートを、0.05%のTween 20を含有するTBS(TBS-T)で3回洗浄し、次いで、室温で1時間、HRPコンジュゲート抗His抗体(Life Technologies,Inc.、USA)とインキュベートした。洗浄の後、プレートを、比色検出基質である、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(Turbo-TMB;Pierce、USA)で10分間現像した。2MのH2SO4で反応を停止させ、450nmでODを測定した。
結果を図43に示す。抗HER3抗体10D1F.FcAは、高抗体濃度であってもなお、ヒトHER2またはヒトHER1(EGFR)に結合しないことが見出された。
フローサイトメトリーを使用して、10D1F.FcAが、HER4に結合する能力を解析した。野生型(WT)HEK293細胞(高レベルのHER4を発現しない)、およびヒトHER4をコードするベクターをトランスフェクトされたHEK293細胞(すなわち、HEK293 HER O/E細胞)を、4℃で1.5時間、10μg/mlの抗HER3抗体10D1F.FcA(10D1F)、またはアイソタイプ対照抗体(陰性対照)とインキュベートした。抗HER3抗体クローンLJM716(例えば、Garnerら、Cancer Res(2013)73:6024~6035に記載されている)、および実施例3.5に記載されているMM-121(セリバンツマブ)を、陽性対照として解析に組み入れた。また、市販の抗HER4抗体(Novus、型番:FAB11311P)も組み入れた。無染色のHEK293細胞を、陰性対照として解析に組み入れた。
HEK293細胞を、4℃で1時間、10μg/mlの各抗体と共に、インキュベートした。フローサイトメトリーを、上記で記載した通りに実施した。細胞を、4℃で30分間、FITCコンジュゲート抗FC抗体(Invitrogen、USA)と接触させた。
結果を図44に示す。抗HER3抗体10D1F.FcAは、細胞表面に発現されたHER4に結合しないことが見出された。
加えて、抗体10D1F.FcAを、マウス、ラット、およびサル(Sino Biological Inc.、China)に由来するHER3ポリペプチド相同体に結合する、その能力について解析した。ハツカネズミ(M.musculus)、ドブネズミ(R.norvegicus)、およびカニクイザル(M.cynomolgus)のHER3相同体は、それぞれ、ヒトHER3と、91.1、91.0、および98.9%の配列同一性を共有し、HER3シグナル伝達経路は、4つの種の間で保存されている。
ELISAを、上記の通りに実施した。
結果を図45に示す。10D1F.FcA抗体は、HER3のカニクイザル、マウス、ラット、およびヒトオルソログに高親和性で結合し、これにより、種間の実質的な交差反応性を呈することが見出された。
8.3 Octet QK384システムを使用するグローバル親和性研究
抗HER3抗体クローン10D1F.FcAおよび10D1F.FcBを、ヒトHER3に対する結合親和性について解析した。
Octet QK384システム(ForteBio)を使用して、バイオレイヤー干渉法(BLI)実験を実施した。抗ヒトIgG捕捉(AHC)Octetセンサーチップ(Pall ForteBio、USA)を、抗体(25nM)でコーティングした。結合を、ベースライン(60秒)、ローディング(120秒)、ベースライン2(60秒)、会合(120秒)、解離(FcA120秒、FcB600秒)、および再生(15秒)のステップにおいて、HISタグ付けヒトHER3の滴定を使用して検出した。抗原濃度を、図46Aおよび46Bにおける表に示す。センサーグラムを、実施例3.3に記載した通りに解析した。値は、会合速度定数(Kon)、解離速度定数(Koff)、および平衡解離定数(KD)について得た。
クローン10D1F.FcAおよび10D1F.FcBについての解析のための代表的なセンサーグラムを図46Aおよび46Bに示す。10D1F.FcAは、KD=72.6pMの高親和性でヒトHER3に結合する(46A)。10D1F.FcBは、KD=22.2pMの高親和性でヒトHER3に結合する(46B)。
8.4 示差走査蛍光測定法による熱安定性についての解析
示差走査蛍光測定法は、抗体10D1F.FcAおよび10D1F.FcBについて、実施例3.4に記載される通りに実施した。
抗体クローン10D1F.FcAの熱安定性についての示差走査蛍光測定解析のために得られた生データの一次微分を図47Aに示す。抗体の3つの異なる試料を解析し、Tmを70.0℃であると決定した。
抗体クローン10D1F.FcBの熱安定性についての示差走査蛍光測定解析のために得られた生データの一次微分を図47Bに示す。抗体の3つの異なる試料を解析し、Tmを62.7℃であると決定した。
8.5 抗体純度解析
抗体10D1F.FcAおよび10D1F.FcBの純度を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により解析した。500μlのPBS pH7.2中の150μgの10D1F.FcA、または500μlのPBS pH7.45中の150μgの10D1F.FcBを、室温で、それぞれ、0.75分/mlまたは0.5分/mlの流量で、PBSランニング緩衝液中にSuperdex 200 10/30 GLカラム上で注入し、フロースルーのA280を記録した。
結果を、図48A(10D1F.FcA)および48B(10D1F.FcB)に示す。
8.6 抗HER3抗体10D1F.FcAのエピトープについての解析
抗HER3抗体10D1F.FcAを解析して、それが、HER3への結合について、抗HER3抗体M-05-74またはM-08-11(Roche)と競合するのかどうかを決定した。M-05-74およびM-08-11のエピトープは、いずれも、ドメインIIに位置するHER3二量体化アームのβ-ヘアピン構造にマッピングされた。M-08-11が、HER4に結合しないのに対し、M-05-74は、HER4二量体化アームを認識する。HER3へのM-05-74およびM-08-11の結合は、リガンド(NRG)非依存的である。
BLI実験は、1つの変更:400nMの競合抗体を使用したことを伴いながら、実施例3.5に記載した通りに実施した。M-05-74およびM-08-11抗体の可変領域を、ヒトIgG1およびIgカッパのFc骨格を有するPDZベクター内にクローニングした。
解析の結果を、図49Aおよび49Bに示す。抗HER3 10D1F.FcA抗体は、HER3への結合について、M-05-74またはM-08-11と競合しないことが見出された。10D1F.FcAは、M-05-74およびM-08-11とは別個であり、それらと比較して位相的に離れたHER3のエピトープに結合することが見出された。HER3への10D1F.FcAの結合は、リガンド(NRG)非依存的である。
結論:
・ ヒトHER3への10D1F.FcAの結合は、リガンドに依存しない方法で達成され得る。
・ 10D1F.FcAが結合するエピトープは、M-05-74およびM-08-11のエピトープとは別個であり、それらから位相的に離れている。
8.7 HER2-HER3およびEGFR-HER3の二量体化の阻害
抗HER3抗体10D1F.FcAを、HER3とHER2とのヘテロ二量体化を阻害する、その能力について解析した。
プレートベースのELISA二量体化アッセイを、標準的なプロトコールに従って行った。プレートを、1μg/mlのHER2-Fcタンパク質でコーティングした。ブロッキングおよび洗浄の後、プレートを、異なる濃度の候補抗体10D1F.FcA、MM-121、LJM716、ペルツズマブ、Roche M05、Roche M08、またはアイソタイプ対照、ならびに2μg/mlの定常HER3 His、および0.1μg/mlのNRGと、1時間インキュベートした。次いで、プレートを洗浄し、二次抗HIS HRP抗体と、1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、TMBで10分間処理し、2MのH2SO4停止溶液を使用して反応を停止させた。吸光度を450nmで読み取った。
結果を図52に示す。抗HER3抗体クローン10D1F.FcAは、HER2とHER3との相互作用を用量依存的に直接阻害することが見出された。
別のアッセイでは、PathHunter(登録商標)Pertuzumab Bioassay Kit(DiscoverX、San Francisco、USA)を使用して、二量体化の阻害を検出した。1mlのあらかじめ加熱したCP5培地を使用して、HER2およびHER3を過剰発現するU20S細胞を融解させ、5Kの細胞を、37℃、5%CO2で4時間播種した。細胞を、25μg/mlから開始して、8点の系列希釈により系列希釈した濃度の10D1F.FcA、セリバンツマブ、またはペルツズマブで処理した。インキュベーションの4時間後、30ng/mlのヘレグリン-β2を各ウェルに添加し、プレートをさらに16時間インキュベートした。インキュベーション後、10μLのPathHunterバイオアッセイ検出試薬1を添加し、暗所内、室温で15分間インキュベートし、続いて、40μLのPathHunterバイオアッセイ検出試薬2を添加し、次いで、これを、暗所内、室温で60分間インキュベートした。遅延を1秒間とする、Synergy4 Biotekを使用して、プレートを読み取った。
10D1F.FcAは、HER2-HER3ヘテロ二量体化の阻害について、3.715e-11のEC50値を有することが見出された。同じアッセイでは、セリバンツマブ/MM-121についての比較EC50値は、6.788e-10であることが見出され、ペルツズマブについての比較EC50値は、2.481e-10であることが見出された。
抗HER3抗体10D1F.FcAを、EGFRとHER3とのヘテロ二量体化を阻害する、その能力について解析した。
プレートベースのELISA二量体化アッセイは、標準的なプロトコールに従って実施した。プレートを、1μg/mlのヒトEGFR-Hisでコーティングした。ブロッキングおよび洗浄の後、プレートを、4μg/mlの定常HER3-ビオチン、および0.1μg/mlのNRGと共に、異なる濃度の候補抗体10D1F.FcA、MM-121、LJM716、ペルツズマブ、またはアイソタイプ対照と、1時間インキュベートした。次いで、プレートを洗浄し、二次抗アビジンHRP抗体と、1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、TMBで10分間処理し、2MのH2SO4停止溶液を使用して反応を停止させた。吸光度を450nmで読み取った。
結果を図53に示す。抗HER3抗体クローン10D1F.FcAは、EGFRとHER3との相互作用を用量依存的に直接阻害することが見出された。
8.8 ADCCを誘導する能力についての解析
抗HER3抗体クローン10D1F.FcAおよび10D1F.FcBを、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC)を誘導する、それらの能力について解析した。
標的細胞(HER3を過剰発現するHEK293)を、U字底96ウェルプレート内に、20,000細胞/ウェルの密度で播種した。細胞を、10D1F.FcA、10D1F.FcB、10D1F.FcA_N297Q(サイレント形態)、LJM-716、セリバンツマブ(MM-121)のうちの1つによる系列希釈液(50,000ng/ml~0.18ng/ml)で処理するか、または非処理で放置し、37℃および5%CO2で30分間インキュベートした。エフェクター細胞(Human Natural Killer Cell Line No-GFP-CD16.NK-92;176V)を、60,000細胞/ウェルの密度で標的細胞を含有するプレートに添加した。
以下の対照:標的細胞による最大のLDH放出(標的細胞だけ)、自発的放出(抗体を伴わない標的細胞およびエフェクター細胞)、バックグラウンド(培養培地だけ)を組み入れた。プレートをスピンダウンし、37℃および5%CO2で21時間インキュベートした。
LDH放出アッセイ(Pierce LDH細胞傷害作用アッセイキット):アッセイの前に、10μlの溶解緩衝液(10倍)を、標的細胞による最大のLDH放出対照に添加し、37℃および5%CO2で20分間インキュベートした。インキュベーションの後、プレートをスピンダウンし、50μLの上清を、透明な平底96ウェルプレートに移した。基質を含有する、50μlのLDHアッセイミックスを、上清に添加することにより反応を開始し、37℃で30分間インキュベートした。50μlの停止溶液を添加することにより反応を停止させ、BioTek Synergy HTマイクロプレートリーダーにより、490nmおよび680nmにおける吸光度を記録した。
データ解析のために、試験試料からの吸光度を、バックグラウンド、ならびに標的細胞およびエフェクター細胞からの自発的放出に対して補正した。試験試料の細胞傷害作用パーセントを、標的細胞による最大のLDH放出対照と比べて計算し、抗体濃度の関数としてプロットする。
結果を図54に示す。抗HER3抗体10D1F.FcBは、HER3過剰発現細胞に対する強力なADCC活性を、用量依存的に誘導することが見出された。
8.9 HER3媒介性シグナル伝達の阻害
抗HER3抗体10D1F.FcAを、in vitroでがん細胞株内のHER-3媒介性シグナル伝達を阻害する、その能力について解析した。
N87、FaDu、またはOvCAR8細胞を、5%CO2で37℃にて一晩、10%の血清と共に6ウェルプレートのウェル内に播種した。細胞を、0.2%のFBS培養培地で16時間飢餓させ、次いで、細胞株に対応するIC50の異なる抗体で0.5時間処理した。試験抗体は、10D1F.FcA(10D1)、セリバンツマブ(SBT)、エレゲムツマブ(LJM)、ペルツズマブ(PTM)、セツキシマブ(CTX)、およびトラスツズマブ(TZ)であった。
採取の前に、細胞を、100ng/mlのNRG1で刺激した。細胞株から抽出したタンパク質を、標準的なBradfordタンパク質アッセイを使用して定量した。タンパク質試料(50μg)を、SDS-PAGEにより分画し、ニトロセルロース膜に転写した。次いで、膜をブロッキングし、示した抗体による免疫ブロットにかけた。結果を、Bio-Rad Clarity Western ECL基質によって視覚化した。光学濃度測定解析を使用してブロットを定量し、データをベータアクチンに対して正規化した。
結果を図55A~55Cに示す。抗HER3抗体10D1F.FcAは、N87(55A)、FaDu(55B)、OvCar8(55C)、およびA549(55D)細胞株において、HER3のリン酸化、および下流のシグナル伝達を阻害することが見出された。
N87細胞、A549細胞、OvCar8細胞、およびFaDu細胞を使用する実験のために、全RNAを抗体処理の16時間後に抽出し、遺伝子セットエンリッチメント解析により、鍵となる、シグナル伝達経路タンパク質の発現レベルに基づき、経路の活性化を決定するように解析した。
解析の結果を図63A~63Dに示す。10D1F.FcAは、下流のシグナル伝達の最も効果的な阻害剤であった。
A549細胞を使用するさらなる実験では、in vitroリン酸化アッセイを、細胞を異なる抗体で0.5時間または4時間処理したことを除き、上記の通りに実施した。結果を図64に示す。
8.10 「開放型」および「閉鎖型」コンフォメーションで提供されるHER3への結合についての解析
さらなる実験では、ヒトHER3:ヒトNRG1複合体(すなわち、リガンドが結合した、「開放型」コンフォメーションで提供されるHER3)の文脈において、NRG1複合体の非存在下でのヒトHER3(すなわち、非結合の「閉鎖型」コンフォメーションで提供されるHER3)に対する結合親和性と比較した、ヒトHER3に対する結合親和性を決定するために、抗HER3抗体を解析した。
ヒトHER3に対する抗HER3抗体の結合を、BLIによって評価した。簡潔に述べると、抗ヒトIgG捕捉(AHC)センサー(ForteBio)に、抗HER3 IgG抗体(25nM)をロードした。反応速度の測定は、NRG1の非存在下または存在下で実施した。NRG1をHER3と1:1のモル比で使用し、複合体をRTで2時間形成させた。Hisタグ付けヒトHER3またはHER3-NRG1複合体を、異なる濃度で120秒間、抗体によりコーティングしたAHCセンサーにロードし、続いて、120秒間の解離時間を置いた。全ての測定は、25℃、1000rpmで撹拌しながらで実施した。緩衝液効果について、センサーグラムを参照し、次いで、Octet QK384-ソフトウェア(ForteBio)を使用して解析した。反応速度応答は、1部位結合モデルを使用してグローバルにフィッティングして、会合速度定数(Kon)、解離速度定数(Koff)、および平衡解離定数(KD)についての値を得た
以下の抗HER3抗体を実験で解析した:10D1F.A(実施例2.2の[16])、MM-121、およびLJM-716。
結果を図78A~78Fに示す。10D1F.Aは、NRG1の存在下または非存在下でピコモル以下の親和性でヒトHER3に結合することが見出された(図78Aおよび78B)。MM-121は、NRG1の存在下または非存在下においてナノモルでヒトHER3に結合した(図78Cおよび78D)。LJM-716は、NRG1の非存在下でピコモル以下の親和性でヒトHER3に結合した(図78E)。しかしながら、NRG1の存在下で、HER3への結合は劇的に低減した(図78F)。
8.11 結論
まとめると、結果は、(i)10D1Fが、HER3と、EGFRまたはHER2とのヘテロ二量体化を競合的に阻害し(実施例8.7、ならびに図52および53を参照されたい)、(ii)NRG1の存在下または非存在下で同様に十分にHER3に結合するという特性の特有の組合せがあるならば、10D1Fを、HER3のエピトープに結合する抗HER3抗体と同定する。
実施例9
in vitroおよびin vivoでのヒト化され、修飾されたクローンについての解析
9.1 薬物動態解析
マウス
約6~8週齢の雌NCrヌードマウスを、特定の無病原体条件下で飼育し、Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)ガイドラインに準拠して処置した。
500μgの抗HER3抗体10D1F.FcAまたは10D1F.FcBを投与し、血液を、ベースライン(-2時間)、投与の6時間、24時間、96時間、168時間、および336時間後に心臓穿刺により4匹のマウスから得た。血清中の抗体を、ELISAにより定量した。
薬物動態解析のためのパラメータ:最大濃度(Cmax)、AUC(0~336時間)、AUC(0~無限大)、半減期(t1/2)、クリアランス(CL)、定常状態における分布容積(Vss)を、非コンパートメントモデルから導出した。
結果を図56Aおよび56Bに示す。NCrヌードマウスにおいて、抗HER3抗体クローン10D1F.FcAは、253時間の半減期を有することが見出され(56A)、抗HER3抗体クローン10D1F.FcBは、273時間の半減期を有することが見出された(56B)。
ラット
10D1Fバリアントを解析して、平均体重を320gとする雌Sprague Dawleyラットにおける、単回投与による薬物動態プロファイルを決定した。
抗体クローン10D1F.FcAおよび10D1F.FcBを、尾静脈への緩徐なi.v.注射を介して、4mg(約10mg/kg)、10mg(約25mg/kg)、40mg(約100mg/kg)、または100mg(約250mg/kg)の単回投与で投与した。ビヒクルを陰性対照として投与した。処置当たり2匹のラットからの血液を、ベースライン(-24時間)、投与の6時間、24時間、96時間、168時間、および336時間後に得た。血清中の抗体を、ELISAにより定量した。
薬物動態解析のためのパラメータ:最大濃度(Cmax)、AUC(0~336時間)、AUC(0~無限大)、半減期(t1/2)、クリアランス(CL)、定常状態における分布容積(Vd)を、非コンパートメントモデルから導出した。
結果を、図57A(10mg/kg)、57B(25mg/kg)、57C(100mg/kg)、および57D(250mg/kg)に示す。
9.2 安全性免疫毒性
10D1F.FcAおよび10D1F.FcBの毒性作用について解析した。
マウス
6~8週齢の雌BALB/cマウス(20~25g)に、用量:200ug(約10mg/kg)、500ug(約25mg/kg)、2mg(約100mg/kg)、もしくは5mg(約250mg/kg)のうちの1つにおける10D1F.FcAおよび10D1F.FcB、または等容積のPBSの単回用量を腹腔内注射した。3匹のマウスに各処置を注射し、4匹のマウスにPBS対照を注射した。血液試料を注射の96時間後に得、RBC指標(総RBC数、ヘマトクリット、ヘモグロビン、血小板数、平均赤血球容積、平均赤血球ヘモグロビン、平均赤血球ヘモグロビン濃度)、およびWBC指標(総WBC数、リンパ球数、好中球数、単球数)について解析した。解析は、HM5 Hematology Analyserを使用して実施した。
結果を、図58A、58B(RBC指標)、および58C(WBC指標)に示す。抗HER3抗体10D1F.FcAおよび10D1F.FcBは、RBC指標に影響を及ぼさなかったが、高用量(250mg/kgの10D1F.FcA、100mg/kgの10D1F.FcB、250mg/kgの10D1F.FcB)で、WBC指標に影響を及ぼすことが見出された。
肝毒性、腎毒性、および膵毒性もまた、注射の96時間後に解析した。10D1F.FcAおよび10D1F.FcBは、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、アルブミン、総タンパク質(肝臓指標;図58D)、クレアチニン、血中尿素窒素、グルコースまたはアミラーゼ(腎臓および膵臓指標;図58E)のレベルに対して影響を及ぼさなかった。10D1F.FcAおよび10D1F.FcBは、電解質指標である、ナトリウム、カリウム、カルシウム、またはリン酸にも影響を及ぼさなかった(図58F)。
10D1F.FcAまたは10D1F.FcBで処置されたマウスは、96時間後に、体重、挙動、皮膚状態、経口検査、糞便および尿検査、または眼検査で異常を示さなかった。より高用量:250mg/kgの10D1F.FcA、100mg/kgの10D1F.FcB、250mg/kgの10D1F.FcBで処置されたマウスでは、正常サイズの約1.5倍の脾臓の腫大(脾腫)が観察された。
BALB/cマウスにおいてさらなる研究を実施して、500μg(約25mg/kg)の10D1F.FcAまたは10D1F.FcBの反復投与による毒性作用を査定した。抗体を、毎週1回、4週間にわたり投与した。血液を、初回投与の28日後に得た。いずれの抗体についても、RBC、肝臓、腎臓、膵臓、または電解質指標に対する影響は観察されず、臨床的異常の徴候も見られず、肉眼剖検における差違も検出されなかった。総WBC数、リンパ球数、および好中球数は、10D1F.FcAまたは10D1F.FcBで処置されたマウスにおいて減少することが観察されたが、これは、毒性であると考えられなかった。
別の研究では、BALB/cマウスに、10D1F.FcAまたは等容積のPBS(ビヒクル対照)の単回用量を投与し、96時間後(ビヒクル)または336時間後(10D1F.FcA)に解析した。代表的な結果を図69A~69Cに示す。
ラット
6~8週齢の雌Sprague Dawleyラット(400~450g)に、用量:4mg(約10mg/kg)、10mg(約25mg/kg)、40mg(約100mg/kg)、100mg(約250mg/kg)のうちの1つにおける10D1F.FcAまたは10D1F.FcB抗体の単回用量を腹腔内注射した。血液を、-24時間、6時間、24時間、96時間、168時間、および336時間後に得た。注射の366時間後までに、RBC指標に対する影響、WBC指標に対する毒性作用、および肝臓、腎臓、膵臓、または電解質指標に対する影響は見られなかった。臨床的異常の徴候は見られず、肉眼剖検における差違も検出されなかった。
250mg/kgの10D1F.FcAを投与されたラットから得られた代表的な結果を図70A~70Cに示す。
齧歯動物毒性学モデルにおける毒性徴候の非存在は、10D1およびバリアントについて、優れた臨床的安全性を示す。
9.3 in vitroでのがんを処置する有効性についての解析
抗HER3抗体10D1F.FcAを、in vitroの多数の腫瘍モデル:N87細胞(胃がん)、HCC95細胞(肺がん)、FaDu細胞(頭頸部がん)、SNU-16細胞(胃がん)、A549細胞(肺がん)、OvCar8細胞(卵巣がん)、ACHN細胞(腎がん)、およびHT29細胞(結腸直腸がん)において、腫瘍増殖を阻害する、その能力について解析した。10D1F.FcAの有効性を、他の抗HER3抗体セリバンツマブ(MM-121)およびLJM-716、ならびに他のEGFRファミリー療法である、セツキシマブ、トラスツズマブ、およびペルツズマブと比較した。
細胞を、1500ug/mlから開始して、9点の希釈により系列希釈した濃度の治療用抗体で処理した。細胞生存率は、処理の3~5日後にCCK-8細胞増殖アッセイを使用して測定した。示した細胞阻害の百分率を、緩衝液(PBS)だけで処理した細胞と比べる。データ点は3回の反復の平均を示す。
結果を図59A~59Dに示す。抗HER3抗体10D1F.FcAは、複数の腫瘍モデルにおいて、他のHER3抗体(59Aおよび59B)、およびEGFRファミリー療法(59Cおよび59D)と比較して、優れたin vitroでの腫瘍の阻害を実証する。
図77Aおよび77Bは、25mg/kgの関連する抗体をIP投与されたマウスにおいて達成するCmax濃度で、異なる抗ErbB抗体が、in vitroにおいて異なるがん細胞株の増殖を阻害する能力を示す。10D1F.FcAは、多種多様な異なるがん細胞型の増殖を阻害する、際立った能力を呈する。
9.4 in vivoでのがんを処置する有効性についての解析
抗HER3抗体クローン10D1F.FcAおよび10D1F.FcBを、in vivoがんモデルにおける腫瘍増殖に対するそれらの効果について評価した。
9.4.1 A549モデル
腫瘍細胞を、雌NCrヌードマウスの右脇腹に皮下挿入した。抗体(25mg/kgの10D1F.FcA、10D1F.FcB、セツキシマブ、LJM-716、もしくはMM-121;各処置について、n=6)、またはビヒクル(n=8)を、隔週で6週間投与した。
結果を図60に示す。抗HER3抗体クローン10D1F.FcAおよび10D1F.FcBは、いずれも、肺癌のA549モデルにおいて強力な有効性を呈した。10D1F.FcBは、特に強力であり、腫瘍を退縮させることが見出された。
9.4.2 FaDuモデル
腫瘍細胞を、マトリゲルと共に、雌NCrヌードマウスの右脇腹に皮下挿入した。抗体(10および25mg/kgの10D1F.FcAおよび10D1F.FcB、または25mg/kgのセツキシマブ、トラスツズマブ、ペルツズマブ、LJM-716、もしくはMM-121;各処置についてn=6)、またはビヒクル(n=6)を、毎週1回、6週間にわたり投与した。
結果を図61に示す。抗HER3抗体クローン10D1F.FcAおよび10D1F.FcBは、いずれも、頭頸部がんのFaDuモデルにおいて腫瘍増殖を阻止するのに効果的であることが見出された。
9.4.3 OvCar8モデル
腫瘍細胞を、マトリゲルと共に、雌NCrヌードマウスの右脇腹に皮下挿入した。抗体(10および25mg/kgの10D1F.FcA、または25mg/kgのセツキシマブ、LJM-716、もしくはMM-121;n=6)、またはビヒクル(n=6)を、毎週1回、6週間にわたり投与した。
結果を図62に示す。抗HER3抗体クローン10D1F.FcAは、より高用量において、腫瘍体積の低減に効果的であることが見出された。
9.4.4 N87モデル
腫瘍細胞を、マトリゲルと共に、雌NCrヌードマウスの右脇腹に皮下挿入する。抗体(25mg/kgの10D1F.FcA、または50mg/kgのトラスツズマブ、LJM-716、もしくはMM-121;各処置についてn=6)、またはビヒクル(n=6)を、隔週で、6週間にわたり投与した。
結果を図74に示す。抗HER3抗体10D1F.FcAは、胃がんのN87モデルにおいて、腫瘍増殖を阻止するのに効果的であることが見出された。
実施例10
BRAFV600E突然変異体甲状腺がん細胞株の増殖の阻害についての解析
以下の細胞株について調べた:
細胞を、フローサイトメトリーによりEGFRファミリーメンバーの表面発現について調べた。簡潔に述べると、300,000個の細胞を、4℃で、1時間、20μg/mlの10D1F.FcA、セツキシマブ、またはトラスツズマブとインキュベートした。Alexafluor 488コンジュゲート抗ヒト抗体を、10μg/mlで、二次抗体として(4℃で、40分)使用した。
結果を図66A~66Cに示す。SW1736、BHT101、およびBCPAP細胞は、EGFR、HER2、およびHER3を発現することが示された。
本発明者らは、異なるHER3結合性抗体が、V600EのBRAF突然変異を保有する異なる甲状腺がん細胞株のin vitroでの増殖を阻害する能力について調べた。
簡潔に述べると、異なる細胞株の細胞を、1.5×105細胞/ウェルの密度で播種し、翌日、1000μg/mlの10D1F.FcA、セリバンツマブ、LJM-716、ペルツズマブ、またはアイソタイプ対照抗体から開始して、10点の系列希釈液で処理した。3日後、CCK-8細胞増殖アッセイを使用して増殖を測定した。抗体ではなく、等容積のPBSで処理した細胞と比べた、増殖の阻害パーセントを計算した。
結果を図67A~67Cに示す。10D1F.FcAは、解析される抗HER3抗体のうちの他のいずれよりも、BRAFのV600E突然変異を保有する細胞株の増殖の阻害において効果的であることが見出された。
さらなる実験では、10D1F.FcAとベムラフェニブとの組合せが、V600EのBRAF突然変異を保有する異なる甲状腺がん細胞株のin vitroでの増殖を阻害する能力について調べた。
細胞を、1.5×105細胞/ウェルの密度で播種し、翌日、200nMのベムラフェニブの存在下または非存在下で、1000μg/mlの10D1F.FcAまたはアイソタイプ対照抗体から開始して、10点の系列希釈液で処理した。3日後、CCK-8細胞増殖アッセイを使用して増殖を測定した。抗体ではなく、等容積のPBSで処理した細胞と比べた、増殖の阻害パーセントを計算した。
結果を図68A~68Cに示す。10D1F.FcAは、ベムラフェニブが、ベムラフェニブに対して感受性である、SW1736およびBHT101細胞の増殖を阻害する能力を増強することが見出された。10D1F.FcAはまた、ベムラフェニブ耐性BCPAP細胞の増殖に対する強力な阻害剤であることも見出された。
実施例11
in vivoでのHER3媒介性シグナル伝達の阻害についての解析
本発明者らは、10D1F.FcAが、in vivoでのHER3媒介性シグナル伝達を阻害する能力について調べた。
1×106個のFaDuまたはOvCar8細胞を、NCrヌードマウスに皮下導入して、異所性異種移植腫瘍を確立した。
腫瘍が、100mm3を超える体積に達したら、マウスを、隔週で、25mg/kgの用量の10D1F.FcA、または等容積のビヒクル(対照)の腹腔内注射により処置した。4週間後、腫瘍を採取した。タンパク質抽出物を腫瘍から調製し、Bradfordアッセイによって定量し、50μgの試料をSDS-PAGEにより分画し、実施例4.3に記載される通りに、HER3およびAKTのin vivoでのリン酸化を決定するために、抗体を使用してウェスタンブロットにより解析した。
結果を図71に示す。10D1F.FcAは、in vivoの腫瘍細胞内でHER3およびAKTのリン酸化を阻害することが見出された。
実施例12
抗HER3抗体の内在化についての解析
本発明者らは、HER3発現細胞による抗HER3抗体の内在化について調べた。
簡潔に述べると、HER3を発現するように操作されたHEK293、HCC95、N87、またはOvCar8細胞100,000個を、96ウェル組織培養プレートのウェル内に播種し、5%CO2中37℃で一晩培養した。次いで、細胞を、120nMの10D1F.FcA、LJM-716、セリバンツマブ、またはトラスツズマブ、および360nMのpHrodo iFL Green試薬で処理し、5%のCO2中37℃でインキュベートした。培養物中の細胞を、各ウェルの4つの異なる視野内で、30分間ごと、24時間にわたりイメージングした。各視野のFITCチャネル内の最大シグナル強度を24時間後に定量した。
結果を図72に示す。OvCar8細胞内では、LJM-716およびセリバンツマブの低度~中程度の内在化が観察されたのに対し、トラスツズマブの低度の内在化が、N87細胞内で観察された。
10D1F.FcAの非有意の内在化が、HCC95、N87、またはOvCar8細胞内で観察された。
予測される通り、10D1F.FcA、LJM-716、およびセリバンツマブの有意な内在化が、HER3を過剰発現するHEK293細胞内で観察された。
さらなる実験では、抗体の内在化をフローサイトメトリーにより調べた。
N87細胞を、50,000細胞/ウェルの密度で96ウェル組織培養プレートのウェル内に播種し、一晩(37℃、5%CO2)接着させた。10D1F.FcAまたはトラスツズマブを標識化試薬と混合し、標識付けされた複合体を細胞に添加した。試料を、0分、10分、30分、1時間、2時間、および4.5時間の時点で、細胞培養培地の吸引により採取し、PBSで洗浄し、アキュターゼで処理した。アキュターゼ活性を中和させ、細胞をFACs緩衝液中に再懸濁し、フローサイトメトリーにより解析した。
結果を図73Aおよび73Bに示す。細胞は、10D1F.FcAの最小限の内在化を呈した。対照的に、抗HER2抗体トラスツズマブの実質的な内在化が観察された。
実施例13
免疫組織化学におけるHER3結合性抗体の使用
mIgG2aフォーマットにおける抗HER3抗体10D1Fを、ヒトHER3タンパク質を検出するための免疫組織化学で使用される、その能力について評価した。
切片の処理を、Bond試薬(Leica Biosystems)を使用して実施した。市販の凍結組織切片のアレイを得た。スライドを、乾燥機内で10分間乾燥させ、次いで、ステップの間の水による洗浄および/またはTBS-Tによるすすぎを伴う、以下の処理に供した:(i)室温で10分間の100%のアセトンでの処理による固定;(ii)室温で15分間の3%(v/v)のH2O2での処理による内因性ペルオキシダーゼのブロッキング;(iii)室温で30分間の10%のヤギ血清での処理によるブロッキング;(iv)4℃で一晩の6.2mg/ml溶液の1:250の希釈での10D1F-mIgG2aとのインキュベーション;(v)室温で30分間のHRP-ポリマーコンジュゲートヤギ抗マウス抗体とのインキュベーション、および(vi)室温で5分間のBond Mixed DAB Refineによる現像、続いて、反応を停止させるための、脱イオン水および1倍濃度のBond洗浄液でのすすぎ。
次いで、スライドを脱水させ、合成の封入剤中でマウンティングし、高解像度で走査した。
結果を図75Aおよび75Bに示す。10D1Fは、正常組織との低度の交差反応性で、悪性ヒト組織切片を優先的に染色した。
さらなる実験では、A549異種移植腫瘍を低温PBS中に採取し、OCT低温包埋媒体中に包埋し、ドライアイス中で凍結させ、-80℃で保管した。クライオスタットを使用して10μmの切片を得た。
スライドを、乾燥機内で10分間乾燥させ、次いで、ステップの間の水による洗浄および/またはTBS-Tによるすすぎを伴う、以下の処理に供した:(i)室温で10分間の100%のアセトンでの処理による固定;(ii)室温で15分間の3%(v/v)のH2O2での処理による内因性ペルオキシダーゼのブロッキング;(iii)室温で30分間の10%のヤギ血清での処理によるブロッキング;(iv)4℃で一晩の8.8mg/ml溶液の1:50の希釈での10D1F.FcA、または1:200の希釈のSino Biological製のウサギ抗HER3(型番10201-T24)とのインキュベーション、(v)室温で30分間のInvitrogen製のF(ab’)2-ヤギ抗ヒトIgG(H+L)HRP(A24470)(1:500)、またはHRP-ポリマーコンジュゲートヤギ抗ウサギ抗体とのインキュベーション、および(vi)室温で5分間のBond Mixed DAB Refineによる現像、続いて、反応を停止させるための、脱イオン水および1倍濃度のBond洗浄液でのすすぎ。
次いで、スライドをヘマトキシリンで対比染色し、脱水させ、合成の封入剤中でマウンティングし、高解像度で走査した。
結果を図76に示す。10D1F.FcAは、A549腫瘍異種移植凍結切片の特異的な膜および細胞質染色を呈した。
実施例14
CLU-NRG1融合体を含む、患者由来の卵巣がんの異種移植モデルにおけるHER3結合性抗体の治療効果
本発明者らは、CLU-NRG1融合体を含む、患者由来の卵巣がんの異種移植モデルにおける10D1Fの治療効果について調べた。
約5~7週齢の雌BALB/cヌードマウスを特定の無病原体条件下で飼育し、Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)ガイドラインに準拠して処置した。
CLU-NRG1融合体を含む卵巣がんのモデルは、OV6308(Crown Bioscience Inc.)と指定された患者由来の異種移植片の4つのペレットを、マウスの右脇腹の皮下に接種することによって確立した。OV6308は、51歳の女性患者に由来する卵巣の高悪性度の漿液性腺癌であり、CLU-NRG1遺伝子融合体を含む。
腫瘍体積は、デジタル式キャリパーを使用して毎週3回測定し、式[L×W2/2]を使用して計算した。対照アームの腫瘍が、1.5cm超の長さと測定されたら、研究の終点に到達したとみなした。
マウスに、(i)25mg/kgの10D1F.FcA(すなわち、実施例2.2の[16])、または(ii)25mg/kgのhIgG1アイソタイプ対照抗体を腹腔内注射により隔週で投与した(各処置群についてn=10)。
結果を図79に示す。10D1F.FcAによる処置は、非常に有効であり、アイソタイプ対照処置群と比べて、腫瘍増殖を111%阻害することが見出された。