JP7708552B2 - 油中水型乳化化粧料 - Google Patents

Description

本発明は、日焼け止め化粧料として有用な油中水型乳化化粧料に関する。

日焼け止め化粧料には、紫外線吸収剤や、酸化チタン、酸化亜鉛などの紫外線散乱剤が配合されている。このうち、紫外線吸収剤は、近年、肌により優しい化粧料が求められていることからその配合量を少なくする工夫がされている。
一方、酸化チタンなどの紫外線散乱剤を配合した化粧料では、十分な日焼け止め効果が得られる量の紫外線散乱剤を配合すると、肌が白くなるという問題がある。

そこで、酸化チタンなどの紫外線散乱剤を十分量配合しながら、透明性を確保した化粧料が開発されている。例えば、トリメチルシロキシケイ酸で処理された酸化チタン、架橋型メチルポリシロキサン、エステル油、スクワラン及び水を含有する日焼け止め化粧料（特許文献１）；疎水化処理酸化亜鉛及び疎水化処理酸化チタン、親油性非イオン性界面活性剤、Ｎ－ラウロイルＬ－グルタミンジ（フィトステリル、２－オクチルドデシル）などの油分、揮発性シリコーン油及び／又は炭化水素油、並びに水を含有する油中水型乳化日焼け止め化粧料（特許文献２）；ポリエーテル変性シリコーン、酸化チタン及び酸化亜鉛、揮発性油剤、エラストマーオルガノシロキサン及びセチルジメチコンを含有し、紫外線吸収剤を含まない油中水型日焼け止め化粧料（特許文献３）；揮発性油剤、シリコーン界面活性剤、疎水性粉体、シリコーン皮膜形成剤、疎水変性ポリエーテルウレタンを含有する油中水型乳化化粧料（特許文献４）が報告されている。

特開２０１４－９１７３６号公報 特開２０１３－４３８７５号公報 特開２００８－２０８０４４号公報 特開２０１７－１７８８８７号公報

しかしながら、前記の特許文献記載の化粧料では、架橋型メチルポリシロキサン、Ｎ－ラウロイルＬ－グルタミンジ（フィトステリル、２－オクチルドデシル）、エラストマーオルガノシロキサン、疎水変性ポリエーテルウレタンなどの特殊な基剤が使用されており、必ずしも酸化チタンなどの紫外線散乱剤の当該基剤中への分散性が良いものではなく、安定して高い紫外線防御効果が得られるものではなく、また、白さを十分に抑制できるものではなかった。
従って、本発明の課題は、基剤中で紫外線散乱剤が均一に分散しており、優れた紫外線防御効果が安定して得られ、かつ白さも抑制された油中水型乳化化粧料を提供することにある。

そこで、本発明者等は、前記課題を解決すべく種々検討した結果、紫外線散乱剤として特定の疎水化処理酸化チタンを含有させ、これに常温で固体の両親媒性物質、鎖状シリコーン油、及び揮発性炭化水素油を組み合わせて均一に乳化分散させることにより、基剤中に疎水化処理酸化チタンが均一に分散しており、優れた紫外線防御効果が安定して得られ、かつ白さも抑制され、伸び、安定性が良好な油中水型乳化化粧料が得られることを見出した。

すなわち、本発明は、次の成分（ａ）、（ｂ）、（ｃ）及び（ｄ）を含有する油中水型乳化化粧料を提供するものである。
（ａ）脂肪酸及び／又はアルキルアルコキシシランで表面処理された酸化チタン
（ｂ）常温で固体の両親媒性物質
（ｃ）鎖状シリコーン油
（ｄ）揮発性炭化水素油

本発明によれば、基剤中で疎水化処理酸化チタンが均一に分散しており、優れた紫外線防御効果が安定して得られ、かつ白さも抑制され、伸び、安定性が良好な油中水型乳化化粧料が提供できる。

本発明に係る成分（ｂ）を配合した場合における成分（ａ）の分散状態を示す顕微鏡写真である。 本発明に係る成分（ｂ）に替えて、常温で液体の両親媒性物質を配合した場合における成分（ａ）の分散状態を示す顕微鏡写真である。 本発明に係る成分（ｂ）を配合しなかった場合における成分（ａ）の分散状態を示す顕微鏡写真である。

本発明の油中水型乳化化粧料は、次の成分（ａ）、（ｂ）、（ｃ）及び（ｄ）を含有する。
（ａ）脂肪酸及び／又はアルキルアルコキシシランで表面処理された酸化チタン
（ｂ）常温で固体の両親媒性物質
（ｃ）鎖状シリコーン油
（ｄ）揮発性炭化水素油

成分（ａ）は、脂肪酸及び／又はアルキルアルコキシシランで表面処理された酸化チタンである。
酸化チタンは、高い紫外線防御効果を得る観点及び白さを抑制する観点から、平均粒子径５ｎｍ以上１００ｎｍ以下のものが好ましく、平均粒子径５ｎｍ以上５０ｎｍ以下のものがより好ましく、平均粒子径１０ｎｍ以上３０ｎｍ以下のものがさらに好ましい。なお、本発明において、平均粒子径は、透過型電子顕微鏡で一次粒子を観察し、その画像解析による数平均粒子径を算出することにより得られる。

本発明で用いられる酸化チタンは、脂肪酸及び／又はアルキルアルコキシシランで表面処理されたものである。処理に用いられる脂肪酸としては、表面処理酸化チタンの成分（ｂ）への良好な分散性の観点から、炭素数１０～２２の脂肪酸が好ましく、炭素数１２～２２の脂肪酸がより好ましく、炭素数１２～２０の脂肪酸がさらに好ましい。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸を用いるのが好ましく、ステアリン酸及び／又はイソステアリン酸を用いるのがより好ましい。また処理に用いられるアルキルアルコキシシランとしては、表面処理酸化チタンの成分（ｂ）への良好な分散性の観点から、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシ
ラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランを用いるのが好ましく、オクチルトリエトキシシランを用いるのがより好ましい。
また、酸化チタンは、これらの表面処理剤に加えて水酸化アルミニウムで処理されていてもよい。
酸化チタンの表面処理は、例えば脂肪酸及び／又はアルキルアルコキシシラン中で酸化チタンを一定時間混合撹拌することにより行うことができる。

本発明の油中水型乳化化粧料中の成分（ａ）の含有量は、紫外線防御効果の観点から、３質量％以上が好ましく、５質量％以上がより好ましく、また、白さの抑制の観点から２０質量％以下が好ましく、１５質量％以下が好ましい。具体的には、３質量％以上２０質量％以下が好ましく、５質量％以上２０質量％以下がより好ましく、５質量％以上１５質量％以下がさらに好ましい。

また、本発明の油中水型乳化化粧料には、（ａ）脂肪酸及び／又はアルキルアルコキシシランで表面処理された酸化チタン以外に、疎水化処理酸化亜鉛を含有していてもよい。
当該疎水化処理酸化亜鉛における酸化亜鉛の平均粒子径は、高い紫外線防御効果を得る観点及び白さを抑制する観点から、平均粒子径５ｎｍ以上１００ｎｍ以下のものが好ましく、平均粒子径５ｎｍ以上８０ｎｍ以下のものがより好ましく、平均粒子径１０ｎｍ以上５０ｎｍ以下のものがさらに好ましい。
疎水化酸化亜鉛の疎水化処理手段としては、脂肪酸処理、シラン処理、シリコーン処理などが好ましく、シラン処理、シリコーン処理がより好ましく、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシランなどのアルキルアルコキシシラン処理、ジメチコン、メチコンなどのシリコーン処理などがさらに好ましい。

本発明の油中水型乳化化粧料中の疎水化処理酸化亜鉛の含有量は、紫外線防御効果の観点から、５質量％以上が好ましく、８質量％以上がより好ましく、１０質量％以上がさらに好ましく、また、白さの抑制の観点から３０質量％以下が好ましく、２５質量％以下がより好ましく、２３質量％以下がさらに好ましい。具体的には、５質量％以上３０質量％以下が好ましく、８質量％以上２５質量％以下がより好ましく、１０質量％以上２３質量％以下がさらに好ましい。

成分（ｂ）は、常温で固体の両親媒性物質である。ここで、常温とは、５℃～３５℃の範囲を言う。また、固体とは、この温度範囲内で、流動性を示さず、一定の形状を保っている状態であることを言う。
このような両親媒性物質としては、セラミド類、炭素数８～２２のアルコール、炭素数８～２２の脂肪酸グリセリンエステル、炭素数８～２２のアルキルグリセリルエーテル、炭素数８～２２の脂肪酸ソルビタンエステル、炭素数８～２２の脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステルなどが挙げられる。本発明では、これらの両親媒性物質から選ばれる１種又は２種以上を用いることができる。

セラミド類としては、天然セラミド及び擬似セラミドから選ばれる１種又は２種以上を用いることができる。成分（ａ）を安定に分散させ、高い紫外線防御効果を得る観点及び良好な使用感を得る観点から、具体的には、特開２０１３－５３１４６号公報記載のセラミド類が好ましい。

天然型セラミドの具体的な例示として、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン又はスフィンガジエニンがアミド化されたセラミドＴｙｐｅ１～７（例えば、Ｊ. Ｌｉｐｉｄ Ｒｅｓ., ２４：７５９（１９８３）の図２、及びＪ. Ｌｉｐｉｄ. Ｒｅｓ.，３５：２０６９（１９９４）の図４記載のブタ及びヒトのセラミド）が挙げられる。

更にこれらのＮ－アルキル体（例えばＮ－メチル体）も含まれる。
これらのセラミドは天然型（Ｄ（－）体）の光学活性体を用いても、非天然型（Ｌ（＋）体）の光学活性体を用いても、更に天然型と非天然型の混合物を用いてもよい。上記化合物の相対立体配置は、天然型の立体配置のものでも、それ以外の非天然型の立体配置のものでも良く、また、これらの混合物によるものでもよい。特にＣＥＲＡＭＩＤＥ１、ＣＥＲＡＭＩＤＥ２、ＣＥＲＡＭＩＤＥ３、ＣＥＲＡＭＩＤＥ５、ＣＥＲＡＭＩＤＥ６ＩＩの化合物（以上、ＩＮＣＩ、８ｔｈ Ｅｄｉｔｉｏｎ)及び次式で表わされるものが好ましい。

これらは天然からの抽出物及び合成物のいずれでもよく、市販のものを用いることができる。このような天然型セラミドの市販のものとしては、Ｃｅｒａｍｉｄｅ Ｉ、Ｃｅｒａｍｉｄｅ ＩＩＩ、Ｃｅｒａｍｉｄｅ ＩＩＩＡ、Ｃｅｒａｍｉｄｅ ＩＩＩＢ、Ｃｅｒａｍｉｄｅ ＩＩＩＣ、Ｃｅｒａｍｉｄｅ ＶＩ（以上、コスモファーム社）、Ｃｅｒａｍｉｄｅ ＴＩＣ-００１（高砂香料社）、ＣＥＲＡＭＩＤＥ ＩＩ（Ｑｕｅｓｔ Ｉｎｔｅｒｎａｔｉｏｎａｌ社）、ＤＳ-Ｃｅｒａｍｉｄｅ ＶＩ、ＤＳ-ＣＬＡ-Ｐｈｙｔｏｃｅｒａｍｉｄｅ、Ｃ６-Ｐｈｙｔｏｃｅｒａｍｉｄｅ、ＤＳ-ｃｅｒａｍｉｄｅ Ｙ３Ｓ（ＤＯＯＳＡＮ社）、ＣＥＲＡＭＩＤＥ２(セダーマ社)が挙げられる。

擬似型セラミドとしては、成分（ａ）を安定に分散させ、高い紫外線防御効果を得る観点及び良好な使用感を得る観点から、下記一般式（１）で表される擬似セラミドが好ましい。

（式中、Ｒ¹は、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数１０～２２の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し；Ｘ¹は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示し；Ｒ²はヒドロキシル基又はアミノ基が置換していてもよい炭素数５～２２の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であるか、又は該炭化水素基のω末端に、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数８～２２の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合したものを示し；Ｒ³は水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数１～３０のアルキル基を示す。）

これらの中でも、成分（ａ）を安定に分散させ、高い紫外線防御効果を得る観点及び良好な使用感を得る観点から、下記式で表される擬似セラミドがより好ましい。

一般式（１）としては、下記式のＲ¹がヘキサデシル基、Ｘ¹が水素原子、Ｒ²がペンタデシル基、Ｒ³がヒドロキシエチル基のもの；Ｒ¹がヘキサデシル基、Ｘ¹が水素原子、Ｒ²がノニル基、Ｒ3がヒドロキシエチル基のものの擬似型セラミドが好ましく、一般式（１）のＲ¹がヘキサデシル基、Ｘ¹が水素原子、Ｒ²がペンタデシル基、Ｒ³がヒドロキシエチル基のもの（Ｎ－（ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル）－Ｎ－ヒドロキシエチルヘキサデカナミド）が、更に好ましい。

また、炭素数８～２２のアルコールとしては、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。これらのうち、直鎖アルキル基を有するものが好ましく、炭素数１６～１８アルコールがより好ましく、セチルアルコール、ステアリルアルコールから選ばれる１種又は２種以上がさらに好ましく、セチルアルコール及びステアリルアルコールを含むことがよりさらに好ましい。

炭素数８～２２の脂肪酸グリセリンエステルとしては、例えば、グリセリンモノカプリル酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステル、グリセリンモノミリスチン酸エステル、グリセリンモノパルミチン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノベヘン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、グリセリンモノイソステアリン酸エステル、グリセリンジカプリル酸エステル等が挙げられる。これらのうち、グリセリンモノカプリル酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、グリセリンモノベヘン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノパルミチン酸エステルから選ばれる１種又は２種以上が好ましく、グリセリンモノカプリル酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステルがより好ましい。

炭素数８～２２のアルキルグリセリルエーテルとしては、例えば、モノデシルグリセリルエーテル、モノラウリルグリセリルエーテル、モノミリスチルグリセリルエーテル、モノセチルグリセリルエーテル、モノステアリルグリセリルエーテル、モノベヘニルグリセリルエーテル等が挙げられる。

炭素数８～２２の脂肪酸ソルビタンエステルとしては、例えば、モノラウリン酸ソルビタン、モノミリスチン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノベヘン酸ソルビタン、ジオレイン酸ソルビタン等が挙げられ、好適には、モノオレイン酸ソルビタン、ジオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン等が挙げられる。

炭素数８～２２の脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステルとしては、例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノミリスチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノベヘン酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。

これらのなかで、成分（ｂ）としては、成分（ａ）を安定に分散させ、高い紫外線防御効果を得る観点及び良好な使用感を得る観点から、セラミド類、炭素数８～２２の脂肪酸ソルビタンエステル及び炭素数８～２２の脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステルから選ばれる１種又は２種以上が好ましい。また、成分（ｂ）としては、セラミド類、炭素数１４～２２のモノ脂肪酸ソルビタン及び炭素数１４～２２のモノ脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンから選ばれる１種又は２種以上がより好ましい。

本発明の油中水型乳化化粧料中の成分（ｂ）の含有量は、成分（ａ）を安定に分散させ、高い紫外線防御効果を得る観点及び良好な使用感を得る観点から、０．５質量％以上が好ましく、０．８質量％以上がより好ましく、１質量％以上がさらに好ましい。また、同様の観点から、７．５質量％以下が好ましく、５質量％以下がより好ましく、３質量％以下がさらに好ましい。具体的には、成分（ｂ）の含有量は、０．５質量％以上７．５質量％以下が好ましく、０．８質量％以上５質量％以下がより好ましく、１質量％以上３質量％以下がさらに好ましい。

成分（ｃ）は、鎖状シリコーン油である。
鎖状シリコーン油とは、主鎖が鎖状のジメチルポリシロキサンであるシリコーン油であり、側鎖にアルキル基、フェニル基などを含むシリコーン油を含むものである。また、鎖状シリコーン油は、常温で液体の鎖状シリコーン油であればよく、具体的には、ジメチルポリシロキサン、アルキル変性シリコーン油、フェニル変性シリコーン油などが挙げられ、好適には、２５℃における動粘度が１ｍｍ²／ｓ以上２０ｍｍ²／ｓ以下のジメチルポリシロキサンが挙げられ、より好適には、２５℃における動粘度が１ｍｍ²／ｓ以上１０ｍｍ²／ｓ以下のジメチルポリシロキサンが挙げられる。

本発明の油中水型乳化化粧料中の成分（ｃ）の含有量は、成分（ａ）を安定に分散させ、高い紫外線防御効果を得る観点、化粧料の伸びなどの良好な使用感を得る観点から、１０質量％以上が好ましく、１５質量％以上がより好ましく、２０質量％以上がさらに好ましい。また、同様の観点から、５０質量％以下が好ましく、４０質量％以下がより好ましく、３５質量％以下がさらに好ましい。具体的には、成分（ｃ）の含有量は、１０質量％以上５０質量％以下が好ましく、１５質量％以上４０質量％以下がより好ましく、２０質量％以上３５質量％以下がさらに好ましい。

成分（ｄ）は、揮発性炭化水素油である。
本発明に用いられる揮発性炭化水素油としては、引火点３５℃以上１００℃以下の炭化水素油が挙げられる。具体的には、水添ポリイソブテン及びイソドデカンから選ばれる１種以上を用いることができ、通常軽質流動イソパラフィンとして市販されているものを用いることができる。
成分（ｂ）及び成分（ｃ）に加えて、揮発性油剤として（ｄ）揮発性炭化水素油を用いることで、成分（ａ）が、成分（ｂ）を含有する油性成分中により安定に分散させることが可能となり、優れた紫外線防御効果が安定して得られ、かつ白さも抑制され、伸び、安定性が良好な油中水型乳化化粧料が得られる。

本発明の油中水型乳化化粧料中の成分（ｄ）の含有量は、成分（ａ）をより安定に分散させ、高い紫外線防御効果を得る観点、化粧料の伸びなどの良好な使用感を得る観点から、１質量％以上が好ましく、２質量％以上がより好ましく、３質量％以上がさらに好ましい。また、同様の観点から、１０質量％以下が好ましく、８質量％以下がより好ましく、７質量％以下がさらに好ましい。具体的には、成分（ｄ）の含有量は、１質量％以上１０質量％以下が好ましく、２質量％以上８質量％以下がより好ましく、３質量％以上７質量％以下がさらに好ましい。

本発明の油中水型乳化化粧料には、上記成分以外に、前記（ｃ）成分及び（ｄ）成分以外の油剤、前記（ｂ）成分以外の界面活性剤、増粘剤、保湿剤、前記（ａ）成分以外の粉体、アルコール類、キレート剤、ｐＨ調整剤、防腐剤、色素、香料、紫外線吸収剤、水などを組み合わせて含有させることができる。

本発明の油中水型乳化化粧料は、紫外線吸収剤を低含量化した場合や紫外線吸収剤を含有しない場合でも、高い紫外線防御効果を得ることができる。紫外線吸収剤の含有量は、本発明の油中水型乳化化粧料中、０質量％以上２０質量％以下が好ましく、０質量％以上１２質量％以下がより好ましく、更には０質量％以上５質量％以下、０質量％以上２．５質量％以下、０質量％以上１質量％以下、０質量％以上０．５質量％以下とすることもできる。

前記以外の油剤としては、常温で液体の非シリコーン系油剤、例えば、スクワラン、流動イソパラフィン、流動パラフィンなどの不揮発性炭化水素油、２－エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸２－エチルヘキシル、ステアリン酸２－エチルヘキシル、ステアリン酸ステアリル、安息香酸アルキル（Ｃ１２－１５）、トリ（カプリル酸／カプリン酸）グリセリル、トリ（２－エチルヘキサン酸）グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等のエステル油などが挙げられる。

界面活性剤としては、油中水型乳化系を形成できる界面活性剤であればよいが、非イオン界面活性剤が好ましい。更に、ＨＬＢ８以下の親油性非イオン界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。
これらの界面活性剤の含有量は、本発明の油中水型乳化化粧料中に、０質量％以上５質量％以下が好ましく、０．１質量％以上４質量％以下がより好ましく、０．３質量％以上３質量％以下がさらに好ましい。

増粘剤としては、油溶性増粘剤が好ましい。油溶性増粘剤としては、デキストリン脂肪酸エステルが好ましく、例えば、ラウリン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン、ベヘン酸デキストリン、ヤシ油脂肪酸デキストリン等のデキストリンと炭素数１０～２４の脂肪酸とのエステルが挙げられる。これらのうち、安定性の点から、パルミチン酸デキストリンが好ましい。
また、デキストリン脂肪酸エステルとしては、例えば、レオパールＫＬ２、レオパールＴＬ、ユニフィルマＨＶＹ（以上、千葉製粉社製）等の市販品を用いることができる。
増粘剤は、１種又は２種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、本発明の油中水型乳化化粧料中に、０．０１質量％以上２質量％以下が好ましく、０．０５質量％以上１質量％以下がより好ましい。

また、本発明の油中水型乳化化粧料の水相中には、水の他に、グリセリン、１，３－ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール、植物抽出物などを含有させることができる。

本発明の油中水型乳化化粧料中の成分（ｅ）水の含有量は、伸び、安定性の観点から、１質量％以上が好ましく、２質量％以上がより好ましく、３質量％以上がさらに好ましく、また、同様の観点から２０質量％以下が好ましく、１５質量％以下がより好ましく、１０質量％以下がさらに好ましい。具体的には、１質量％以上２０質量％以下が好ましく、２質量％以上１５質量％以下がより好ましく、３質量％以上１０質量％以下がさらに好ましい。

また、成分（ｅ）に対する成分（ａ）の含有質量比〔（ａ）／（ｅ）〕は、成分（ａ）を安定に分散させ、紫外線防御効果が安定して得られ、かつ白さも抑制され、伸び、安定性に優れる観点から、好ましくは０．５以上、より好ましくは１以上、更に好ましくは２以上であり、好ましくは１０以下、より好ましくは６以下、更に好ましくは５以下である。具体的な範囲としては、０．５以上１０以下が好ましく、１以上６以下がより好ましく、２以上５以下が更に好ましい。

また、成分（ｅ）に対する成分（ｂ）の含有質量比〔（ｂ）／（ｅ）〕は、成分（ａ）を安定に分散させ、紫外線防御効果が安定して得られ、かつ白さも抑制され、伸び、安定性に優れる観点から、好ましくは０．０３以上、より好ましくは０．０６以上、更に好ましくは０．１以上であり、好ましくは６以下、より好ましくは２以下、更に好ましくは１以下である。具体的な範囲としては、０．０３以上６以下が好ましく、０．０６以上２以下がより好ましく、０．１以上１以下が更に好ましい。

本発明の化粧料の形態は、油中水型乳化化粧料であり、通常の方法に従って製造することができる。例えば、油相成分に粉体成分を分散させ、これに、予め混合した水相成分を加え、混合・撹拌することにより、製造することができる。より好ましくは、成分（ａ）を安定に分散させ、高い紫外線防御効果を得る観点から、成分（ｂ）を含む不揮発性の油剤を加熱溶解した状態で成分（ａ）を分散させ、さらに成分（ｃ）及び成分（ｄ）を含むその他の油剤と混合し、その後冷却して水相成分を混合して油中水型に乳化するのが好ましい。

従って、本発明は、成分（ａ）と成分（ｂ）を含む油相を加熱溶解した後、成分（ｃ）及び成分（ｄ）を混合し、その後冷却し、水相成分を混合して得られる油中水型乳化化粧料を提供する。
（ａ）脂肪酸及び／又はアルキルアルコキシシランで表面処理された酸化チタン
（ｂ）常温で固体の両親媒性物質
（ｃ）鎖状シリコーン油
（ｄ）揮発性炭化水素油

本発明の油中水型乳化化粧料の剤型としては、乳液状、クリーム状、ジェル状などが挙げられる。

本発明の油中水型乳化化粧料は、基剤中で脂肪酸及び／又はアルキルアルコキシシランで表面処理された酸化チタンが均一に乳化分散しており、優れた紫外線防御効果が安定して得られ、かつ白さも抑制され、伸び、安定性が良好である。従って、本発明の油中水型乳化化粧料は、日焼け止め化粧料として特に有用である。

上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の組成物及び方法を開示する。

＜１＞次の成分（ａ）、（ｂ）、（ｃ）及び（ｄ）を含有する油中水型乳化化粧料。
（ａ）脂肪酸及び／又はアルキルアルコキシシランで表面処理された酸化チタン
（ｂ）常温で固体の両親媒性物質
（ｃ）鎖状シリコーン油
（ｄ）揮発性炭化水素油

＜２＞成分（ａ）の含有量が、３質量％以上２０質量％以下、好ましくは５質量％以上２０質量％以下、より好ましくは５質量％以上１５質量％である＜１＞記載の油中水型乳化化粧料。
＜３＞成分（ａ）中の酸化チタンの平均粒子径が、５ｎｍ以上１００ｎｍ以下、好ましくは５ｎｍ以上５０ｎｍ以下、より好ましくは１０ｎｍ以上３０ｎｍ以下である＜１＞又は＜２＞記載の油中水型乳化化粧料。
＜４＞さらに、疎水化処理酸化亜鉛を含有する＜１＞～＜３＞のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
＜５＞疎水化処理酸化亜鉛の含有量が、５質量％以上３０質量％以下、好ましくは８質量％以上２５質量％以下、より好ましくは１０質量％以上２３質量％以下である＜４＞記載の油中水型乳化化粧料。
＜６＞成分（ｂ）が、セラミド類、炭素数８～２２のアルコール、炭素数８～２２の脂肪酸グリセリンエステル、炭素数８～２２のアルキルグリセリルエーテル、炭素数８～２２の脂肪酸ソルビタンエステル及び炭素数８～２２の脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステルから選ばれる１種以上である＜１＞～＜５＞のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
＜７＞成分（ｂ）の含有量が、０．５質量％以上７．５質量％以下、好ましくは０．８質量％以上５質量％以下、より好ましくは１質量％以上３質量％以下である＜１＞～＜６＞のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
＜８＞成分（ｃ）が、常温で液体の鎖状シリコーン油である＜１＞～＜７＞のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
＜９＞成分（ｃ）の含有量が、１０質量％以上５０質量％以下、好ましくは１５質量％以上４０質量％以下、より好ましくは２０質量％以上３５質量％以下である＜１＞～＜８＞のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
＜１０＞成分（ｄ）が、水添ポリイソブテン及びイソドデカンから選ばれる１種以上である＜１＞～＜９＞のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
＜１１＞成分（ｄ）の含有量が、１質量％以上１０質量％以下、好ましくは２質量％以上８質量％以下、より好ましくは３質量％以上７質量％以下である＜１＞～＜１０＞のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
＜１２＞さらに、紫外線吸収剤を含有する＜１＞～＜１１＞のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
＜１３＞紫外線吸収剤の含有量が、０質量％以上２０質量％以下、好ましくは０質量％以上１２質量％以下、より好ましくは０質量％以上５質量％以下、さらに好ましくは０質量％以上２．５質量％以下、さらに好ましくは０質量％以上１質量％以下、さらに好ましくは０質量％以上０．５質量％以下である＜１２＞記載の油中水型乳化化粧料。
＜１４＞さらに、常温で液体の非シリコーン系油剤、不揮発性炭化水素油及びエステル油から選ばれる１種又は２種以上を含有する＜１＞～＜１３＞のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
＜１５＞さらに、非イオン界面活性剤を含有する＜１＞～＜１４＞のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
＜１６＞さらに、増粘剤を含有する＜１＞～＜１５＞のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
＜１７＞さらに、成分（ｅ）水を含有する＜１＞～＜１６＞のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
＜１８＞成分（ｅ）水の含有量が、１質量％以上２０質量％以下、好ましくは２質量％以上１５質量％以下、より好ましくは３質量％以上１０質量％以下である＜１７＞記載の油中水型乳化化粧料。
＜１９＞成分（ｅ）に対する成分（ａ）の含有質量比〔（ａ）／（ｅ）〕が、０．５以上１０以下、好ましくは１以上６以下、より好ましくは２以上５以下である＜１７＞又は＜１８＞記載の油中水型乳化化粧料。
＜２０＞成分（ｅ）に対する成分（ｂ）の含有質量比〔（ｂ）／（ｅ）〕が、０．０３以上６以下、好ましくは０．０６以上２以下、より好ましくは０．１以上１以下である＜１７＞～＜１９＞のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
＜２１＞油中水型乳化日焼け止め化粧料である＜１＞～＜２０＞のいずれか１項記載の油中水型乳化化粧料。
＜２２＞成分（ａ）と成分（ｂ）を含む油相を加熱溶解した後、成分（ｃ）及び成分（ｄ）を混合し、その後冷却し、水相成分を混合して得られる油中水型乳化化粧料。
（ａ）脂肪酸及び／又はアルキルアルコキシシランで表面処理された酸化チタン
（ｂ）常温で固体の両親媒性物質
（ｃ）鎖状シリコーン油
（ｄ）揮発性炭化水素油
＜２３＞成分（ａ）と成分（ｂ）を含む油相を加熱溶解した後、成分（ｃ）及び成分（ｄ）を混合し、その後冷却し、水相成分を混合する、油中水型乳化化粧料の製造方法。
（ａ）脂肪酸及び／又はアルキルアルコキシシランで表面処理された酸化チタン
（ｂ）常温で固体の両親媒性物質
（ｃ）鎖状シリコーン油
（ｄ）揮発性炭化水素油

次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例で、各種成分の含有量は、組成物全量に対する質量％を示す。

表１及び表２に示す処方で、前記に示した好ましい方法により、油中水型乳化化粧料である乳液を製造し、以下の評価を行った。

（１）紫外線防御能
実施例及び比較例で得られた乳液をＰＡＭＭ板（５ｃｍ×５ｃｍ）上に２８．５ｇ均一塗布し、１５分間乾燥させ、ＳＰＦアナライザー（ＵＶ２０００ｓ、Ｌａｂｓｐｈｅｒｅ社製）にてＰＡＭＭ板上の９点のスペクトルを測定し、平均値を算出し、以下の評価基準により判定した。
◎：ｉｎ ｖｉｔｒｏ ＳＰＦ １００以上
〇：ｉｎ ｖｉｔｒｏ ＳＰＦ ６０以上１００未満
△：ｉｎ ｖｉｔｒｏ ＳＰＦ ４０以上６０未満
×：ｉｎ ｖｉｔｒｏ ＳＰＦ ４０未満

（２）化粧料の伸び
実施例及び比較例で得られた乳液の粘度を、室温下、Ｂ型粘度計（Ｎｏ.３－６ｒｐｍ）を用いて測定し、以下の評価基準により判定した。
◎：粘度 ５０００ｍＰａ・ｓ未満
〇：粘度 ５０００ｍＰａ・ｓ以上６０００ｍＰａ・ｓ未満
△：粘度 ６０００ｍＰａ・ｓ以上８０００ｍＰａ・ｓ未満
×：粘度 ８０００ｍＰａ・ｓ以上

（３）白さ
実施例及び比較例で得られた乳液を、黒革（１２ｃｍ×７ｃｍ）上に０．２ｍＬ垂らし、２５μｍのバーコーターで均一に塗布し、色差計でΔＬを測定し、以下の評価基準により判定した。
◎：ΔＬ ３未満
〇：ΔＬ ３以上５未満
△：ΔＬ ５以上６未満
×：ΔＬ ６以上

＊１ ：Ｎ－（ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル）－Ｎ－ヒドロキシエチルヘキサデカナミド（スフィンゴリピッド Ｅ、花王社製）
＊２ ：レオドール ＴＷ－Ｓ１２０Ｖ（花王社製）
＊３ ：レオドール ＳＰ－Ｓ１０Ｖ（花王社製）
＊４ ：シリコーン ＫＦ－６０１５（信越化学工業社製）
＊５ ：レオパールＫＬ２（千葉製粉社製）
＊６ ：ニッコール スクワラン（日本サーファクタント工業会社）
＊７ ：パールリーム ＥＸ（日油社製）
＊８ ：パールリーム ４（日油社製）
＊９ ：クレアシル ＩＤ ＣＧ（Ｃｏｓｍｅｔｉｃｓ Ｉｎｎｏｖａｔｉｏｎｓ ａｎｄ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｉｅｓ Ｓａｒｌ社製）
＊１０：エステモール Ｎ－０１（日清オイリオグループ社製）
＊１１：シリコーン ＫＦ－９６Ｌ－２ＣＳ （－Ｇ）（信越化学工業社製）
＊１２：ＭＴ－１００ＴＶ（テイカ社製）
＊１３：ＳＴＲ－１００Ｗ－ＯＴＳ（堺化学工業社製）
＊１４：ＭＴ－１５０ＥＸ（テイカ社製）
＊１５：ＭＴＹ－１００ＳＡＳ（テイカ社製）
＊１６：ＭＺＸ－３００Ｍ（テイカ社製）
＊１７：ＭＺＸ－３０４Ｒ３Ｍ（テイカ社製）
＊１８：ＭＺＸ－３０４ＯＴＳ（テイカ社製）
＊１９：８６％グリセリンＶ（花王社製）
＊２０：１，３－ブチレングリコール－Ｐ（ＫＨネオケム社製）

表１及び表２より、本発明の成分（ａ）、（ｂ）、（ｃ）及び（ｄ）を含有する油中水型乳化化粧料は、極めて高い紫外線防御能を示し、塗布した皮膚が白くならず、かつ化粧伸びもよく、使用感が良好であった。
また、本発明の成分（ａ）が基剤中に均一に分散されていることは、顕微鏡観察により確認した。

疑似セラミド（スフィンゴリピッド Ｅ、花王社製）２．５質量％を、流動イソパラフィン（パールリームＥＸ、日油社製）１４質量％及びジカプリン酸ネオペンチルグリコール（エステモール Ｎ－０１、日清オイリオグループ社製）５質量％で加熱溶解し、ステアリン酸処理酸化チタン（ＭＴ－１００Ｚ、テイカ社製）１２質量％を添加した後、ディスパー（２５００ｒｐｍ）で１５分間分散し、ジメチコン（シリコーン ＫＦ－９６Ｌ－２ＣＳ （－Ｇ）、信越化学工業社製）６６．５質量％を添加し、プロペラで１０分間撹拌した。
得られた分散物を顕微鏡によって、観察を行った。結果を図１に示す。
また疑似セラミドに替えて常温で液体の両親媒性物質であるカプリル酸トリグリセライド（ココナードＲＫ、花王社製）を用いて得られた分散物の顕微鏡観察結果を図２に示す。
また、前記の分散物において、疑似セラミド（成分（ｂ））を配合しない以外は、同様にして製造した分散物の顕微鏡観察結果を図３に示す。
図１～図３の結果から、常温で固体の両親媒性物質（成分（ｂ））を配合すれば、成分（ａ）の分散効果が高いことが確認された。

Claims (7)

1. 次の成分（ａ）、（ｂ）、（ｃ）及び（ｄ）を含有する油中水型乳化化粧料。
   （ａ）脂肪酸又はアルキルアルコキシシランのいずれか一方で表面処理された酸化チタン
   （ｂ）セラミド類、炭素数８～２２の脂肪酸グリセリンエステル、炭素数８～２２のアルキルグリセリルエーテル、炭素数８～２２の脂肪酸ソルビタンエステル及び炭素数８～２２の脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステルから選ばれる１種以上の常温で固体の両親媒性物質
   （ｃ）鎖状シリコーン油
   （ｄ）揮発性炭化水素油
2. 成分（ｂ）が、セラミド類、炭素数８～２２の脂肪酸ソルビタンエステル及び炭素数８～２２の脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステルから選ばれる１種以上である請求項１記載の油中水型乳化化粧料。
3. 成分（ｃ）が、常温で液体の鎖状シリコーン油である請求項１又は２記載の油中水型乳化化粧料。
4. 成分（ｄ）が、水添ポリイソブテン及びイソドデカンから選ばれる１種以上である請求項１～３のいずれか１項記載の油中水型乳化化粧料。
5. 成分（ｄ）の含有量が、１質量％以上１０質量％以下である請求項１～４のいずれか１項記載の油中水型乳化化粧料。
6. 油中水型乳化日焼け止め化粧料である請求項１～５のいずれか１項記載の油中水型乳化化粧料。
7. 成分（ａ）と成分（ｂ）を含む油相を加熱溶解した後、成分（ｃ）及び成分（ｄ）を混合し、その後冷却し、水相成分を混合することを特徴とする油中水型乳化化粧料の製造方法。
   （ａ）脂肪酸又はアルキルアルコキシシランのいずれか一方で表面処理された酸化チタン
   （ｂ）セラミド類、炭素数８～２２の脂肪酸グリセリンエステル、炭素数８～２２のアルキルグリセリルエーテル、炭素数８～２２の脂肪酸ソルビタンエステル及び炭素数８～２２の脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステルから選ばれる１種以上の常温で固体の両親媒性物質
   （ｃ）鎖状シリコーン油
   （ｄ）揮発性炭化水素油