本発明の第1の側面は、放射線照射により硬化する粘着剤層を有する光硬化性粘着シートを提供する。前記粘着剤層は、高圧水銀ランプ照射後の180°剥離力が11N/20mm以下である。本発明の第1の側面の光硬化性粘着シートを、「本発明の光硬化性粘着シート」、「放射線照射により硬化する粘着剤層」を「本発明の粘着剤層」と称する場合がある。
また、本発明の第2の側面は、基板と、前記基板上に配置された1以上の光半導体素子と、本発明の第1の側面の光硬化性粘着シートと、を備え、前記光硬化性粘着シートが、前記光半導体素子を封止する、光半導体装置を提供する。本発明の第2の側面の光半導体装置は、自発光型表示装置であることが好ましい。また、本発明の第3の側面は、前記自発光型表示装置を備える画像表示装置を提供する。本発明の第2の側面の光半導体装置、自発光型表示装置を、それぞれ「本発明の光半導体装置」、「本発明の自発光型表示装置」と称する場合がある。また、本発明の第3の側面の画像表示装置を、「本発明の画像表示装置」と称する場合がある。
以下、本発明の実施形態を図に関連して説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例示に過ぎない。
図1、2は本発明の光硬化性粘着シートの一実施形態を示す断面図である。
図1における本発明の一実施形態による光硬化性粘着シート10は、粘着剤層1と、該粘着剤層1の一方の主面に貼り合わされた剥離フィルムS1と、該粘着剤層1の他方の主面に貼り合わされた剥離フィルムS2とから構成される。
図2における本発明の一実施形態による光硬化性粘着シート11は、粘着剤層1と、該粘着剤層1の一方の主面に貼り合わされた基材S3と、該粘着剤層1の他方の主面に貼り合わされた剥離フィルムS4とから構成される。
図1、2において、粘着剤層1は、相対向する2つの主面を有し、単一層であってもよく、2層以上の積層構造であってもよい。
図3は本発明の自発光型表示装置(ミニ/マイクロLED表示装置)の一実施形態を示す模式図(断面図)である。
図3における本発明の一実施形態による自発光型表示装置(ミニ/マイクロLED表示装置)20は、基板2の片面に複数の光半導体素子(LEDチップ)4が配列した表示パネルと、本発明の光硬化性粘着シート11を含む。基板2上の光半導体素子4は、光硬化性粘着シート11の粘着剤層1により封止されている。
以下、各構成について、詳述する。
<光硬化性粘着シート、粘着剤層>
本発明の光硬化性粘着シートは、基板上に複数の光半導体素子が配置されたミニ/マイクロLED表示装置などの自発光型表示装置の光半導体素子の封止に用いられる形態が好ましい。光半導体素子としては、発光機能を有する半導体素子であれば特に限定されず、発光ダイオード(LED)、半導体レーザーなどが含まれる。
本発明の光硬化性粘着シートは、粘着面が本発明の粘着剤層による粘着面(粘着剤層表面)である限り、その形態は特に限定されない。例えば、片面のみが粘着面である片面粘着シートであってもよいし、両面が粘着面である両面粘着シートであってもよい。また、本発明の光硬化性粘着シートが両面粘着シートである場合、本発明の光硬化性粘着シートは、両方の粘着面が本発明の粘着剤層により提供される形態を有していてもよいし、一方の粘着面が本発明の粘着剤層により提供され、他方の粘着面が本発明の粘着剤層以外の粘着剤層(その他の粘着剤層)により提供される形態を有していてもよい。なお、自発光型表示装置の光半導体素子を封止する観点からは、片面粘着シートが好ましい。
本発明の光硬化性粘着シートは、基材(基材層)を有しない、いわゆる「基材レスタイプ」の粘着シートであってもよいし、基材を有するタイプの粘着シートであってもよい。なお、本明細書において、「基材レスタイプ」の粘着シートを「基材レス粘着シート」と称する場合があり、基材を有するタイプの粘着シートを「基材付き粘着シート」と称する場合がある。上記基材レス粘着シートとしては、例えば、本発明の粘着剤層のみからなる両面粘着シートや、本発明の粘着剤層とその他の粘着剤層(本発明の粘着剤層以外の粘着剤層)からなる両面粘着シート等が挙げられる。また、上記基材付き粘着シートとしては、例えば、基材の片面側に本発明の粘着剤層を有する片面粘着シートや、基材の両面側に本発明の粘着剤層を有する両面粘着シートや、基材の一方の面側に本発明の粘着剤層を有し、他方の面側にその他の粘着剤層を有する両面粘着シートなどが挙げられる。
上記の中でも、透明性などの光学物性向上の観点から、基材レス粘着シートが好ましく、より好ましくは、本発明の粘着剤層のみからなる、基材を有しない両面粘着シート(基材レス両面粘着シート)である。また、光硬化性粘着シートが基材を有する粘着シートである場合には、特に限定されないが、加工性の観点から、基材の両面側に本発明の粘着剤層を有する両面粘着シート(基材付き両面粘着シート)であることが好ましい。
なお、上記の「基材(基材層)」とは、本発明の粘着剤層を被着体(光学部材等)に使用(貼付)する際には、粘着剤層とともに被着体に貼付される部分であり、粘着シートの使用(貼付)時に剥離される剥離フィルム(セパレータ)は含まれない。
自発光型表示装置では、光半導体素子の不点灯、色違い、欠落、位置ずれ等が発生して、歩留りが低下するという問題がある。また、表示パネルを封止する際に、皺が寄ったり、異物の混入、気泡が残るなどのミスが生じる場合もある。このような歩留り低下・封止ミスが発生した場合、封止材を表示パネルから剥離・除去して再利用する、いわゆるリワークが行われている。
本発明の粘着剤層は、高圧水銀ランプ照射後の180°剥離力が11N/20mm以下である。この構成は、本発明の光硬化性粘着剤シートを自発光型表示装置の封止材として使用した際に、歩留り低下や封止ミスが生じた場合、高圧水銀ランプ照射後の粘着剤層(封止材)が硬化収縮して表示パネルの基板や光半導体素子とのアンカー効果が低減する結果、容易に剥離でき、且つ、剥離後の表示パネルに封止材が残留しにくくなり、すなわち、優れたリワーク性で封止材を剥離できる点で好適である。また、本発明の自発光型表示装置に光半導体素子の不点灯などの故障が生じた場合、本発明の粘着剤層に高圧水銀ランプを照射することにより、粘着剤層をリワーク性よく剥離・除去して修理できる点でも好ましい。
本発明の光硬化性粘着シートのリワーク性をより向上できる観点から、本発明の粘着剤層の高圧水銀ランプ照射後の180°剥離力は、10.5N/20mm以下が好ましく、10N/20mm以下がより好ましく、9.8N/20mm以下がさらに好ましく、9.5N/20mm以下であってもよい。また、本発明の粘着剤層の高圧水銀ランプ照射後の180°剥離力の下限値は、特に限定されず、低いほど好ましく、すなわち、0N/20mmが好ましいが、0.1N/20mm以上であってもよい。
発明の粘着剤層の高圧水銀ランプ照射後の180°剥離力は、後述の実施例の方法により測定することができ、本発明の粘着剤層を構成する粘着剤組成物のモノマーの組成(例えば、後述のBPポリマー(A)のMw、Tg、BP当量;BPポリマー(A)の重量分率;BPポリマー(A)及びエチレン性不飽和化合物(B)を構成するモノマー成分の組成、官能基の種類及び量;架橋剤の種類及び量)等により調節することができる。
本発明の粘着剤層は、UV-LED照射前後の180°剥離力の変化率(UV-LED照射前の180°剥離力を100%とした場合の変化量の百分率)が10%以内であることが好ましい。この構成は、本発明の光硬化性粘着剤シートを封止材として使用した自発光型表示装置において、使用環境における外光や青色の光半導体素子から発せられる光に含まれる紫外線により前記粘着剤層が硬化収縮して、表示パネルから粘着剤層(封止材)が剥離するのを防止できる点で好適である。使用環境における自発光型表示装置の封止材の剥離を防止できる観点から、前記変化率は、9%以内であることが好ましく、より好ましくは8%以内、より好ましくは7%以内であり、6%以内、又は5%以内であってもよい。前記剥離力の変化率の下限値は、特に限定されず、低いほど好ましく、すなわち0%が好ましいが、0.01%以上であってもよい。
本発明の粘着剤層の放射線照射前の180°剥離力は、特に限定されないが、表示パネルへの接着信頼性の観点から、11N/20mmを超えることが好ましく、11.5N/20mm以上がより好ましく、12N/20mm以上であってもよい。また、本発明の放射線照射前の180°剥離力の上限は、特に限定されず、高いほど好ましいが、例えば、100N/20mm以下であってもよい。
本発明の粘着剤層は、UV-LED照射後の180°剥離力が11N/20mmを超えることが好ましい。この構成は、本発明の光硬化性粘着剤シートを封止材として使用した自発光型表示装置において、使用環境における外光や青色の光半導体素子から発せられる光に含まれる紫外線により前記粘着剤層が硬化収縮して、表示パネルから粘着剤層(封止材)が剥離するのを防止できる点で好適である。使用環境における自発光型表示装置の封止材の剥離を防止できる観点から、UV-LED照射後の180°剥離力は、11.5N/20mm以上がより好ましく、12N/20mm以上であってもよい。また、本発明のUV-LED照射後の180°剥離力の上限は、特に限定されず、高いほど好ましいが、100N/20mm以下であってもよい。
本発明の粘着剤層の放射線照射前、又はUV-LED照射前後の180°剥離力、並びにその変化率は、後述の実施例により測定でき、本発明の粘着剤層を構成する粘着剤組成物のモノマーの組成(例えば、後述のBPポリマー(A)のMw、Tg、BP当量;BPポリマー(A)の重量分率;BPポリマー(A)及びエチレン性不飽和化合物(B)を構成するモノマー成分の組成、官能基の種類及び量;架橋剤の種類及び量)等により調節することができる。
本発明の粘着剤層は、高圧水銀ランプ照射後の25℃における引張り貯蔵弾性率(E’a25)が400kPa以上であることが好ましい。この構成は、本発明の光硬化性粘着剤シートを自発光型表示装置の光半導体素子の封止材として使用した際に、歩留り低下や封止ミスが生じた場合、高圧水銀ランプ照射後の前記粘着剤層(封止材)のリワーク性が向上する点で好適である。本発明の粘着剤層のリワーク性をより向上させる観点から、E’a25は、500kPa以上であることがより好ましく、さらに好ましくは600kPa以上である。また、E’a25の上限は、特に限定されず、高いほど好ましいが、10000kPa以下であってもよい。
本発明の粘着剤層は、高圧水銀ランプ照射後の85℃における引張り貯蔵弾性率(E’a85)が500kPa以上であることが好ましい。この構成は、本発明の光硬化性粘着剤シートを自発光型表示装置の光半導体素子の封止材として使用した際に、歩留り低下や封止ミスが生じた場合、高圧水銀ランプ照射後の前記粘着剤層(封止材)のリワーク性が向上する点で好適である。本発明の粘着剤層のリワーク性をより向上させる観点から、E’a85は、520kPa以上であることがより好ましく、さらに好ましくは550kPa以上であり、570kPa以上であってもよい。また、E’a85の上限は、特に限定されず、高いほど好ましいが、10000kPa以下であってもよい。
本発明の粘着剤層は、UV-LED照射後の25℃におけるせん断貯蔵弾性率(G’a25)が500kPa以下であることが好ましい。この構成は、本発明の光硬化性粘着剤シートを封止材として使用した自発光型表示装置において、使用環境における外光や青色の光半導体素子から発せられる光に含まれる紫外線により前記粘着剤層が硬化収縮して、表示パネルから粘着剤層(封止材)が剥離するのを防止できる点で好適である。使用環境における自発光型表示装置の封止材の剥離を防止できる観点から、G’a25は、300kPa以下であることがより好ましく、さらに好ましくは200kPa以下であり、180kPa以下であってもよい。また、G’a25の下限値は、特に限定されないが、10kPa以上であってもよい。
本発明の粘着剤層は、UV-LED照射後の85℃におけるせん断貯蔵弾性率(G’a85)が95kPa以下であることが好ましい。この構成は、本発明の光硬化性粘着剤シートを封止材として使用した自発光型表示装置において、使用環境における外光や青色の光半導体素子から発せられる光に含まれる紫外線により前記粘着剤層が硬化収縮して、表示パネルから粘着剤層(封止材)が剥離するのを防止できる点で好適である。使用環境における自発光型表示装置の封止材の剥離を防止できる観点から、G’a85は、90kPa以下であることがより好ましく、さらに好ましくは85kPa以下であり、80kPa以下であってもよい。また、G’a85は、特に限定されないが、10kPa以上であってもよい。
本発明の粘着剤層は、放射線照射前の25℃におけるせん断貯蔵弾性率(G’b25)が500kPa以下であることが好ましい。この構成は、本発明の光硬化性粘着剤シートを封止材として使用した自発光型表示装置において、光半導体素子への段差追従性に優れる点で好適である。段差追従性をより向上できる観点から、G’b25は、300kPa以下であることがより好ましく、さらに好ましくは200kPa以下であり、160kPa以下であってもよい。また、G’b25は、特に限定されないが、接着信頼性の観点から、50kPa以上が好ましく、100kPa以上であってもよい。
本発明の粘着剤層は、放射線照射前の85℃におけるせん断貯蔵弾性率(G’b85)が95kPa以下であることが好ましい。この構成は、本発明の光硬化性粘着剤シートを封止材として使用した自発光型表示装置において、光半導体素子への段差追従性に優れる点で好適である。段差追従性をより向上できる観点から、90kPa以下であることがより好ましく、さらに好ましくは85kPa以下であり、80kPa以下であってもよい。また、G’b85は、特に限定されないが、接着信頼性の観点から、50kPa以上であってもよい。
前記粘着剤層は、厚み(μm)に対する高圧水銀ランプ照射後の25℃における引張り貯蔵弾性率(E’a25:kPa)の比(kPa/μm)が1以上であることが好ましい。この構成は、本発明の光硬化性粘着剤シートを自発光型表示装置の光半導体素子の封止材として使用した際に、歩留り低下や封止ミスが生じた場合、高圧水銀ランプ照射後の前記粘着剤層(封止材)のリワーク性が向上する点で好適である。本発明の粘着剤層のリワーク性をより向上させる観点から、E’a25/厚みは、5以上であることが好ましく、10以上であってもよい。また、E’a25/厚みは、特に限定されないが、50以下であってもよい。
前記粘着剤層は、厚み(μm)に対する高圧水銀ランプ照射後の85℃における引張り貯蔵弾性率(E’a85:kPa)の比(kPa/μm)が1以上であることが好ましい。この構成は、本発明の光硬化性粘着剤シートを自発光型表示装置の光半導体素子の封止材として使用した際に、歩留り低下や封止ミスが生じた場合、高圧水銀ランプ照射後の前記粘着剤層(封止材)のリワーク性が向上する点で好適である。本発明の粘着剤層のリワーク性をより向上させる観点から、E’a85/厚みは、5以上であることが好ましく、10以上であってもよい。また、E’a85/厚みは、特に限定されないが、50以下であってもよい。
本発明の粘着剤層における、高圧水銀ランプ照射後の25℃又は85℃における引張り貯蔵弾性率(E’a25;E’a85)、UV-LED照射後の25℃又は85℃におけるせん断貯蔵弾性率(G’a25;G’a85)、並びに、放射線照射前の25℃又は85℃における貯蔵弾性率(G’b25;G’b85)は、後述の実施例により測定でき、本発明の粘着剤層を構成する粘着剤組成物のモノマーの組成(例えば、後述のBPポリマー(A)のMw、Tg、BP当量;BPポリマー(A)の重量分率;BPポリマー(A)及びエチレン性不飽和化合物(B)を構成するモノマー成分の組成、官能基の種類及び量;架橋剤の種類及び量)等により調節することができる。
本発明の光硬化性粘着剤シートにおいて、前記高圧水銀ランプで照射される光は、波長200~280nmの放射線を含むことが好ましく、前記UV-LEDで照射される光は、波長350nm以上の放射線であることが好ましい。これらの構成は、本発明の粘着剤層が、外光や青色の光半導体素子から発せられる光に含まれない波長200~280nmの放射線を含む光源である高圧水銀ランプにより硬化収縮してリワーク性が向上する一方、外光や青色の光半導体素子から発せられる光に含まれる波長350nm以上の放射線によっては硬化収縮が進行しないことにより、自発光型表示装置の使用環境下において、前記粘着剤層(封止材)の剥離を防止できる点で好ましい。
本発明の粘着剤層の波長200~400nmの透過率の最大値が、5%以上であることが好ましい。この構成は、前記高圧水銀ランプ照射により、前記粘着剤層を硬化収縮させて、リワーク性を向上できる点で好ましい。リワーク性を向上できる点で粘着剤層の波長200~400nmの透過率の最大値は、10%以上が好ましく、より好ましくは15%以上であり、20%以上または25%以上であってもよい。
「波長200~400nmの透過率の最大値」とは、波長200~400nmの領域の範囲の中で最も高い透過率を意味する。例えば、波長200~400nmの領域に一つの透過率の極大値がある場合は、当該極大値が透過率の最大値となる。また、波長200~400nmの領域に透過率の極大値がない場合は、波長200nm又は400nmの透過率のうち高い方の透過率が最大値となる。「波長400~700nmの透過率の最大値」についても同様である。
本発明の粘着剤層の波長200~400nmの透過率の最大値は、本発明の粘着剤層を構成する粘着剤組成物のモノマーの組成(例えば、後述のBPポリマー(A)のMw、Tg、BP当量;BPポリマー(A)の重量分率;BPポリマー(A)及びエチレン性不飽和化合物(B)を構成するモノマー成分の組成、官能基の種類及び量;架橋剤の種類及び量)、後述の着色剤の種類や配合量等により調節することができる。
本発明の粘着剤層の厚みは、例えば、10~500μm程度であり、20μm以上、30μm以上、40μm以上または50μm以上であってもよい。本発明の粘着剤層の厚みは、400μm以下、300μm以下、250μm以下または200μm以下であってもよい。上記厚さを10μm以上とすることにより、段差部分に粘着剤層が追従しやすくなり、段差吸収性が向上する。また、上記厚さを500μm以下とすることにより、本発明の粘着剤層のリワーク性が向上する。
本発明の粘着剤層を形成するための粘着剤組成物は、上記の所望の特性を実現できるものである限り、特に限定されないが、好ましくは、ベンゾフェノン構造を側鎖に有するポリマー(A)を含有する形態が好ましい。また、本発明の粘着剤層を形成するための粘着剤組成物は、ベンゾフェノン構造を側鎖に有するポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物又はベンゾフェノン構造を側鎖に有するポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物の部分重合物を含有する形態も好ましい。以下、この実施形態について説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。本実施形態の粘着剤層を「粘着剤層(A)」、粘着剤組成物を「粘着剤組成物(A)」、粘着剤組成物(A)に含まれるベンゾフェノン構造を側鎖に有するポリマー(A)を「BPポリマー(A)」と称する場合がある。
本明細書において「アクリル系ポリマー」とは、アクリル系モノマーを50重量%より多く(好ましくは70重量%より多く、例えば90重量%より多く)含むモノマー成分に由来する重合物をいう。上記アクリル系モノマーとは、1分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーに由来するモノマーのことをいう。また、この明細書において「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよびメタクリロイルを包括的に指す意味である。同様に、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートおよびメタクリレートを、「(メタ)アクリル」とはアクリルおよびメタクリルを、それぞれ包括的に指す意味である。
本明細書において「エチレン性不飽和化合物」とは、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する化合物をいう。エチレン性不飽和基の例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。以下、エチレン性不飽和基を1つ有する化合物を「単官能性モノマー」ということがあり、エチレン性不飽和基を2つ以上有する化合物を「多官能性モノマー」ということがある。また、多官能モノマーのうちエチレン性不飽和基をX個有する化合物を「X官能性モノマー」のように表記することがある。
本明細書において、粘着剤組成物がエチレン性不飽和化合物を含むとは、特記しない場合、上記エチレン性不飽和化合物を部分重合物の形態で含むことを包含する意味である。このような部分重合物は、通常、エチレン性不飽和基が未反応である上記エチレン性不飽和化合物(未反応モノマー)と、エチレン性不飽和基が重合された上記エチレン性不飽和化合物とを含む混合物である。
本明細書において、粘着剤組成物を構成するモノマー成分全体とは、該粘着剤組成物に含まれる重合物を構成するモノマー成分と、該粘着剤組成物に未反応モノマーの形態で含まれるモノマー成分との合計量をいう。粘着剤組成物を構成するモノマー成分の組成は、通常、該粘着剤組成物から形成される粘着剤層のモノマー成分の組成およびその光硬化物を構成するモノマー成分の組成と概ね一致する。
本明細書において「活性エネルギー線」とは、紫外線、可視光線、赤外線のような光や、α線、β線、γ線、電子線、中性子線、X線のような放射線等を含む概念である。
[粘着剤組成物(A)]
粘着剤組成物(A)は、ベンゾフェノン構造を側鎖に有するポリマー(A)を含有する。また、粘着剤組成物(A)は、ベンゾフェノン構造を側鎖に有するポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物又はベンゾフェノン構造を側鎖に有するポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物の部分重合物を含有する形態であってもよい。粘着剤組成物(A)は、さらにエチレン性不飽和化合物(B)を含有していてもよい。粘着剤組成物(A)は、上記以外に、後述の波長300nm~500nmの紫外線を吸収してラジカルを発生する光重合開始剤(C)や、その他の添加剤を含んでいてもよい。
なお、本明細書において、上記の「モノマー成分の混合物」は、単一モノマー成分で構成される場合と2種以上のモノマー成分で構成される場合を含むものとする。また、上記の「モノマー成分の混合物の部分重合物」とは、上記の「モノマー成分の混合物」の構成モノマー成分のうち1又は2以上のモノマー成分が部分的に重合している組成物を意味する。
粘着剤組成物(A)は、いずれの形態を有していてもよく、例えば、溶剤型、エマルジョン型、熱溶融型(ホットメルト型)、無溶剤型(活性エネルギー線硬化型、例えば、モノマー混合物、又はモノマー混合物とその部分重合物など)等が挙げられる。粘着剤組成物(A)は、外観性の優れた粘着剤層を得る点からは、活性エネルギー線硬化型であることが好ましい。本明細書において、粘着剤組成物は、粘着剤層を形成するために用いる組成物を意味し、粘着剤を形成するために用いる組成物の意味を含むものとする。
粘着剤組成物(A)としては、特に限定されないが、例えば、BPポリマー(A)を必須成分とする組成物;BPポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物又はその部分重合物を必須成分とする組成物等が挙げられる。特に限定されないが、前者としては、例えば、いわゆる溶剤型粘着剤組成物、水分散型粘着剤組成物(エマルジョン型粘着剤組成物)等が挙げられ、後者としては、例えば、いわゆる活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物等が挙げられる。
粘着剤組成物(A)は、上記の通り、溶剤型であってもよい。上記溶剤としては、溶媒として用いられる有機化合物である限り特に限定されないが、例えば、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。なお、上記溶剤は、2種以上の溶剤を含む混合溶剤であってもよい。
[ベンゾフェノン構造を側鎖に有するポリマー(A)]
本発明の粘着剤組成物(A)を構成するベースポリマーとして、ベンゾフェノン構造を側鎖に有するポリマー(A)(BPポリマー(A))を含む。つまり、本発明の粘着剤組成物(A)は、BPポリマー(A)をベースポリマーとして含有する粘着剤組成物である。なお、BPポリマー(A)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
BPポリマー(A)を構成し得るモノマー成分としては、分子中にエチレン性不飽和基とベンゾフェノン構造とを有する化合物(以下「エチレン性不飽和BP」と称する場合がある。)が含まれ、さらに、エチレン性不飽和BPに該当しないエチレン性不飽和化合物(以下、「他のエチレン性不飽和化合物」ともいう。)が含まれうる。
BPポリマー(A)の好適例として、ベンゾフェノン構造を側鎖に有するアクリル系ポリマーが挙げられる。上記BPポリマー(A)は、エチレン性不飽和基を実質的に含有しないポリマーであることが好ましい。
本明細書において「ベンゾフェノン構造」とは、一般式:Ar1-(C=O)-Ar2-;または、-Ar3-(C=O)-Ar2-;で表されるジアリルケトン構造をいう。ここで、上記一般式中のAr1は、置換基を有していてもよいフェニル基から選択される。上記一般式中の、Ar2,Ar3は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基から選択される。Ar2とAr3とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。ベンゾフェノン構造は、紫外線の照射により励起することが可能であり、その励起状態において他の分子または当該分子の他の部分から水素ラジカルを引き抜くことができる。
BPポリマー(A)を含む前記粘着剤組成物(A)の硬化物から形成される粘着剤層(A)は、ベンゾフェノン構造を含み得る。該ベンゾフェノン構造は、紫外線照射により励起することで水素ラジカルの引き抜き反応を利用して架橋構造を形成することにより、粘着剤層(A)を硬化させることができる。
上記BPポリマー(A)としては、上記一般式:Ar1-(C=O)-Ar2-;におけるAr1が置換基を有していてもよいフェニル基であり、Ar2が置換基を有していてもよいフェニレン基であるベンゾフェノン構造を側鎖に有するポリマーが好ましい。上記Ar1およびAr2の少なくとも一方が1つ以上の置換基を有する場合、該置換基は、それぞれ独立に、アルコキシ基(例えば、炭素原子数1~3のアルコキシ基。好ましくはメトキシ基)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br等。好ましくはClまたはBr)、水酸基、アミノ基およびカルボキシル基からなる群から選択され得る。
前記BPポリマー(A)は、上述のようなベンゾフェノン構造が、直接主鎖に結合した側鎖を有するものであってもよく、例えばエステル結合、オキシアルキレン構造等の一種または二種以上を介して主鎖に結合した側鎖を有するものであってもよい。BPポリマー(A)の好適例として、エチレン性不飽和BPに由来する繰返し単位を含むポリマーが挙げられる。上記繰返し単位は、対応するエチレン性不飽和BPのエチレン性不飽和基を反応させた重合残基であり得る。
前記エチレン性不飽和BPとしては、例えば、4-アクリロイルオキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-アクリロイルオキシベンゾフェノン等の、置換基を有していてもよいアクリロイルオキシベンゾフェノン;4-[(2-アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾフェノン、4-[(2-アクリロイルオキシ)エトキシ]-4’-ブロモベンゾフェノン等の、置換基を有していてもよいアクリロイルオキシアルコキシベンゾフェノン;4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン等の、置換基を有していてもよいメタクリロイルオキシベンゾフェノン;4-[(2-メタクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾフェノン、4-[(2-メタクリロイルオキシ)エトキシ]-4’-メトキシベンゾフェノン等の、置換基を有していてもよいメタクリロイルオキシアルコキシベンゾフェノン;4-ビニルベンゾフェノン、4’-ブロモ-3-ビニルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ4-メトキシ-4’-ビニルベンゾフェノン等の、置換基を有していてもよいビニルベンゾフェノン等が挙げられるが、これらに限定されない。エチレン性不飽和BPは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて、BPポリマー(A)の調製に用いることができる。エチレン性不飽和BPは、市販されているものを用いることができ、また公知の方法により合成することができる。反応性等の観点から、(メタ)アクリロイル基を有するエチレン性不飽和BP、すなわちアクリル系モノマーであるエチレン性不飽和BPを好ましく採用し得る。
前記BPポリマー(A)は、エチレン性不飽和BPに由来する繰返し単位と、エチレン性不飽和BPに該当しないエチレン性不飽和化合物(他のエチレン性不飽和化合物)に由来する繰返し単位とを有する共重合体であってもよい。このようなBPポリマー(A)は、上記エチレン性不飽和BPと上記他のエチレン性不飽和化合物とを含むモノマー成分の共重合体であり得る。また、前記BPポリマーは、前記他のエチレン性不飽和化合物のみからなるモノマー混合物の部分重合物(プレポリマー)と前記エチレン性不飽和BPとが共重合した共重合体でもあり得る。上記他のエチレン性不飽和化合物として一種または二種以上のアクリル系モノマーを好ましく採用し得る。BPポリマー(A)の好適例として、該BPポリマー(A)を構成するモノマー成分の50重量%超(好ましくは70重量%超、例えば90重量%超)がアクリル系モノマーであるアクリル系BPポリマーが挙げられる。
BPポリマー(A)を構成するモノマー成分は、上記他のエチレン性不飽和化合物として、エステル末端にアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選択される一種または二種以上を含み得る。以下、炭素原子数がX以上Y以下の直鎖または分岐鎖状のアルキル基をエステル末端に有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを「(メタ)アクリル酸CX-Yアルキルエステル」と表記することがある。BPポリマー(A)を構成するモノマー成分は、上記他のモノマーとして、少なくとも(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステルを含むことが好ましく、(メタ)アクリル酸C4-20アルキルエステルを含むことがより好ましく、(メタ)アクリル酸C4-18アルキルエステル(例えば、アクリル酸C4-9アルキルエステル)を含むことがさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステルの非限定的な具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等が挙げられる。特に好ましい(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、アクリル酸n-ブチル(BA)、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)、アクリル酸イソノニル等が挙げられる。好ましく用いられ得る(メタ)アクリル酸アルキルエステルの他の具体例としては、メタクリル酸n-ブチル(BMA)、メタクリル酸2-エチルヘキシル(2EHMA)、アクリル酸イソステアリル(iSTA)等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。BPポリマー(A)を構成するモノマー成分は、上記他のエチレン性不飽和化合物として、後述する共重合性モノマーから選択される一種または二種以上を含んでいてもよい。
前記粘着剤組成物(A)は、構成するモノマー成分全体の50重量%超(好ましくは70重量%超、例えば90重量%超)がアクリル系モノマーである光硬化性アクリル系粘着剤組成物であり得る。光硬化性アクリル系粘着剤組成物は、光硬化によりアクリル系光硬化物を形成する。
BPポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されず、例えば0.5×104~500×104程度であり得る。粘着剤層(A)の凝集性や、本発明の光硬化性粘着シートの取扱い性等の観点から、上記BPポリマー(A)のMwは、通常、1×104以上であることが適当であり、5×104以上であることが好ましく、10×104以上でもよく、15×104以上でもよく、20×104以上でもよい。また、粘着剤層(A)のリワーク性の観点から、BPポリマー(A)のMwは、通常、200×104以下であることが適当であり、150×104以下であることが好ましく、100×104以下であってもよく、70×104以下でもよく、50×104以下でもよい。
なお、ポリマーの重量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により得られた標準ポリスチレン換算の値をいう。GPC装置としては、例えば機種名「HLC-8320GPC」(カラム:TSKgelGMH-H(S)、東ソー社製)を使用することができる。
前記BPポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)は特に限定されない。BPポリマー(A)のTgは、例えば-80℃以上150℃以下であってよく、-80℃以上50℃以下でもよく、-80℃以上10℃以下でもよい。粘着剤層(A)の段差吸収性の観点から、BPポリマー(A)のTgは、0℃未満であることが適当であり、-10℃以下であることが好ましく、-20℃以下でもよく、-30℃以下でもよく、-40℃以下でもよく、-50℃以下でもよい。また粘着剤層(A)の凝集性や、光硬化後におけるリワーク性向上の観点から、BPポリマー(A)のTgは、通常、-75℃以上であることが有利であり、-70℃以上でもよい。いくつかの態様において、BPポリマー(A)のTgは、-55℃以上でもよく、-45℃以上でもよい。BPポリマー(A)のTgは、該BPポリマーを構成するモノマー成分の種類および量により調節することができる。
ここで、ポリマーのガラス転移温度(Tg)とは、該ポリマーを構成するモノマー成分の組成に基づいてFoxの式により求められるガラス転移温度をいう。上記Foxの式とは、以下に示すように、共重合体のTgと、該共重合体を構成するモノマーのそれぞれを単独重合したホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
なお、上記Foxの式において、Tgは共重合体のガラス転移温度(単位:K)、Wiは該共重合体におけるモノマーiの重量分率(重量基準の共重合割合)、Tgiはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(単位:K)を表す。
Tgの算出に使用するホモポリマーのガラス転移温度としては、公知資料に記載の値を用いるものとする。例えば、以下に挙げるモノマーについては、該モノマーのホモポリマーのガラス転移温度として、以下の値を使用する。
2-エチルヘキシルアクリレート:-70℃
n-ブチルアクリレート:-55℃
イソステアリルアクリレート:-18℃
メチルメタクリレート:105℃
メチルアクリレート:8℃
シクロヘキシルアクリレート:15℃
N-ビニル-2-ピロリドン:54℃
2-ヒドロキシエチルアクリレート:-15℃
4-ヒドロキシブチルアクリレート:-40℃
イソボルニルアクリレート:94℃
アクリル酸:106℃
メタクリル酸:228℃
上記で例示した以外のモノマーのホモポリマーのガラス転移温度については、「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley & Sons, Inc., 1989)に記載の数値を用いるものとする。本文献に複数種類の値が記載されている場合は、最も高い値を採用する。上記Polymer Handbookにもホモポリマーのガラス転移温度が記載されていないモノマーについては、特開2007-51271号公報に記載された測定方法により得られる値を用いるものとする。なお、メーカー等によりガラス転移温度の公称値が提供されているポリマーについては、その公称値を採用してもよい。
BPポリマー(A)は、該ポリマー1g当たり、ベンゾフェノン構造を、アクリル酸4-ベンゾイルフェニル換算で、例えば凡そ0.5mg以上含むことが好ましい。以下、BPポリマー1g当たりに含まれるベンゾフェノン構造の数をアクリル酸4-ベンゾイルフェニル換算の量に換算した値を、BPポリマーのBP当量(単位:mg/g)ということがある。例えば、1g当たり40μmolのベンゾフェノン構造を含む場合、該ポリマーのBP当量は10mg/gと計算される。
より高い光硬化効果(例えば、光硬化により加工性を高める効果)を得る観点から、いくつかの態様において、BPポリマー(A)のBP当量は、通常、0.1mg/g以上であることが適当であり、0.5mg/g以上でもよく、1mg/g以上でもよく、5mg/g以上でもよく、8mg/g以上でもよく、10mg/g以上でもよく、15mg/g以上でもよく、20mg/g以上でもよい。また、いくつかの態様において、光硬化物による接合部の耐衝撃性や剥離強度を高める観点から、BPポリマー(A)のBP当量は、通常、100mg/g以下であることが適当であり、80mg/g以下でもよく、60mg/g以下でもよく、40mg/g以下でもよく、25mg/g以下でもよく、15mg/g以下でもよい。BPポリマー(A)のBP当量は、該BPポリマー(A)を構成するモノマー成分の組成により調節することができる。
加えて、光硬化によって剥離力を低下させ、リワーク性やリペアを実施する観点からは、BP当量は50mg/g以上であることが好ましく、100mg/g以上でも良い。
粘着剤組成物(A)全体のうちBPポリマー(A)の占める重量割合、すなわち粘着剤組成物(A)におけるBPポリマーの重量分率は、特に限定されず、粘着剤層(A)の段差吸収性と、その光硬化物のリワーク性とが好適にバランスするように設定することができる。いくつかの態様において、上記BPポリマー(A)の重量分率は、例えば2重量%以上であってよく、通常は4重量%以上であることが適当であり、10重量%以上でもよく、15重量%以上でもよく、25重量%以上でもよく、35重量%以上でもよく、45重量%以上でもよく、55重量%以上でもよい。BPポリマー(A)の重量分率が大きくなると、リワーク性が向上する傾向にある。
粘着剤組成物(A)におけるBPポリマー(A)の重量分率が実質的に100重量%(例えば、99.5重量%以上)である態様でも実施され得る。また、粘着性能の容易性の観点から、いくつかの態様において、粘着剤組成物(A)におけるBPポリマー(A)の重量分率は、例えば99重量%未満であってよく、95重量%未満でもよく、85重量%未満でもよく、70重量%未満でもよく、50重量%未満でもよく、40重量%未満でもよい。
粘着剤組成物(A)1g当たり、ベンゾフェノン構造を、アクリル酸4-ベンゾイルフェニル換算で、例えば凡そ0.1mg以上含むことが好ましい。以下、粘着剤組成物(A)1g当たりに含まれるベンゾフェノン構造のアクリル酸4-ベンゾイルフェニル換算の重量を、粘着剤組成物のBP当量(単位:mg/g)ということがある。より高い光硬化効果(例えば、光硬化によりリワーク性を高める効果)を得る観点から、いくつかの態様において、粘着剤組成物のBP当量は、通常、0.3mg/g以上であることが適当であり、0.5mg/g以上でもよく、1mg/g以上でもよく、5mg/g以上でもよく、10mg/g以上でもよく、20mg/g以上でもよい。また、いくつかの態様において、光硬化物による接合部の耐衝撃性や光硬化物内の歪み抑制の観点から、粘着剤組成物のBP当量は、通常、100mg/g以下であることが適当であり、80mg/g以下でもよく、60mg/g以下でもよく、40mg/g以下でもよく、25mg/g以下でもよく、15mg/g以下でもよい。
[エチレン性不飽和化合物(B)]
粘着剤組成物(A)は、BPポリマー(A)に加えて、さらにエチレン性不飽和化合物(B)を含有していてもよい。粘着剤組成物(A)が無溶剤型(活性エネルギー線硬化型)の粘着剤組成物である場合には、粘着剤組成物(A)は、エチレン性不飽和化合物(B)を含有することが好ましい。一方、粘着剤組成物(A)が溶剤型、エマルジョン型の粘着剤組成物である場合には、エチレン性不飽和化合物(B)を含有しなくてもよい。
また、粘着剤組成物(A)が、BPポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物又はBPポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物の部分重合物を含有する場合は、当該モノマー成分として上記の他のエチレン性不飽和化合物を含み得るため、必ずしもエチレン性不飽和化合物(B)を含まなくてもよい。当該モノマー成分の混合物またはその部分重合物を含む粘着剤組成物(A)がエチレン性不飽和化合物(B)を含有する場合は、エチレン性不飽和化合物(B)は、上記他のエチレン性不飽和化合物と同一でもよく、異なっていてもよい。
エチレン性不飽和化合物(B)として使用し得る化合物の例示には、上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、上述したエチレン性不飽和BPとが含まれる。これらのうち、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル、より好ましくは(メタ)アクリル酸C4-18アルキルエステル、さらに好ましくはアクリル酸C4-9アルキルエステル)を用いることが好ましい。特に好ましい(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、アクリル酸n-ブチル(BA)およびアクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)が挙げられる。好ましく用いられ得る(メタ)アクリル酸アルキルエステルの他の具体例としては、アクリル酸イソノニル、メタクリル酸n-ブチル(BMA)、メタクリル酸2-エチルヘキシル(2EHMA)、アクリル酸イソステアリル(iSTA)等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。いくつかの態様において、エチレン性不飽和化合物(B)は、アクリル酸n-ブチル(BA)およびアクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)のうちいずれか一方をまたは両方を含むことが好ましく、少なくともBAを含むことがより好ましい。
エチレン性不飽和化合物(B)は、アクリル酸C4-9アルキルエステルを40重量%以上の割合で含み得る。モノマー成分に占めるアクリル酸C4-9アルキルエステルの割合は、例えば50重量%以上であってよく、60重量%以上でもよく、65重量%以上でもよい。また、粘着剤層(A)の凝集性を高める観点から、エチレン性不飽和化合物(B)に占めるアクリル酸C4-9アルキルエステルの割合は、通常、99.5重量%以下とすることが適当であり、95重量%以下でもよく、85重量%以下でもよく、70重量%以下でもよく、60重量%以下でもよい。
エチレン性不飽和化合物(B)として使用し得る化合物の他の例として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なエチレン性不飽和化合物(共重合性モノマー)が挙げられる。共重合性モノマーとしては、極性基(例えば、カルボキシ基、水酸基、窒素原子含有環等)を有するモノマーを好適に使用することができる。極性基を有するモノマーは、例えば、該モノマーに由来する繰返し単位を含む重合物に架橋点を導入したり、粘着剤層(A)の凝集力を高めたりするために役立ち得る。共重合性モノマーは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
共重合性モノマーの非限定的な具体例としては、以下のものが挙げられる。
カルボキシ基含有モノマー:例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等。
酸無水物基含有モノマー:例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸。
水酸基含有モノマー:例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、(4-ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等。
スルホン酸基またはリン酸基を含有するモノマー:例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等。
エポキシ基含有モノマー:例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルや(メタ)アクリル酸-2-エチルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有アクリレート、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル等。
シアノ基含有モノマー:例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
イソシアネート基含有モノマー:例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、m-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート等。
アミド基含有モノマー:例えば、(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(t-ブチル)(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド;N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N-ビニルアセトアミド等のN-ビニルカルボン酸アミド類;水酸基とアミド基とを有するモノマー、例えば、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(1-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド等のN-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;アルコキシ基とアミド基とを有するモノマー、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド;その他、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-(メタ)アクリロイルモルホリン等。
アミノ基含有モノマー:例えばアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート。エポキシ基を有するモノマー:例えばグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル。
窒素原子含有環を有するモノマー:例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール、N-(メタ)アクリロイル-2-ピロリドン、N-(メタ)アクリロイルピペリジン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン、N-ビニルモルホリン、N-ビニル-3-モルホリノン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-1,3-オキサジン-2-オン、N-ビニル-3,5-モルホリンジオン、N-ビニルピラゾール、N-ビニルイソオキサゾール、N-ビニルチアゾール、N-ビニルイソチアゾール、N-ビニルピリダジン等(例えば、N-ビニル-2-カプロラクタム等のラクタム類)。
スクシンイミド骨格を有するモノマー:例えば、N-(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-6-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-8-オキシヘキサメチレンスクシンイミド等。
マレイミド類:例えば、N-シクロヘキシルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-フェニルマレイミド等。
イタコンイミド類:例えば、N-メチルイタコンイミド、N-エチルイタコンイミド、N-ブチルイタコンイミド、N-オクチルイタコンイミド、N-2-エチルへキシルイタコンイミド、N-シクロへキシルイタコンイミド、N-ラウリルイタコンイミド等。
(メタ)アクリル酸アミノアルキル類:例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチル。
アルコキシ基含有モノマー:例えば、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル(アルコキシアルキル(メタ)アクリレート)類;(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキレングリコール(例えばアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート)類。
アルコキシシリル基含有モノマー:例えば3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシリル基含有(メタ)アクリレートや、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基含有ビニル化合物等。
ビニルエステル類:例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等。
ビニルエーテル類:例えば、メチルビニルエーテルやエチルビニルエーテル等のビニルアルキルエーテル。
芳香族ビニル化合物:例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等。
オレフィン類:例えば、エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等。
脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル:例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基含有(メタ)アクリレート。
芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル:例えば、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基含有(メタ)アクリレート。
その他、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の複素環含有(メタ)アクリレート、塩化ビニルやフッ素原子含有(メタ)アクリレート等のハロゲン原子含有(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等のケイ素原子含有(メタ)アクリレート、テルペン化合物誘導体アルコールから得られる(メタ)アクリル酸エステル等。
このような共重合性モノマーを使用する場合、その使用量は特に限定されないが、通常は、粘着剤組成物(A)を構成するモノマー成分全体の0.01重量%以上とすることが適当である。共重合性モノマーの使用効果をよりよく発揮する観点から、共重合性モノマーの使用量(すなわち、上記モノマー成分全体における共重合性モノマーの重量分率)は、モノマー成分全体の0.1重量%以上としてもよく、0.5重量%以上としてもよい。また、粘着特性のバランスをとりやすくする観点から、共重合性モノマーの使用量は、通常、モノマー成分全体の50重量%以下とすることが適当であり、40重量%以下とすることが好ましい。
上記共重合性モノマーは、窒素原子を有するモノマーを含み得る。窒素原子を有するモノマーの使用により、粘着剤層(A)の凝集力を高め、光硬化後の剥離強度を好ましく向上させ得る。窒素原子を有するモノマーの一好適例として、窒素原子含有環を有するモノマーが挙げられる。窒素原子含有環を有するモノマーとしては上記で例示したもの等を用いることができ、例えば、一般式(1):
で表わされるN-ビニル環状アミドを用いることができる。ここで、一般式(1)中、R
1は2価の有機基であり、具体的には-(CH
2)
n-である。nは2~7(好ましくは2,3または4)の整数である。なかでも、N-ビニル-2-ピロリドンを好ましく採用し得る。窒素原子を有するモノマーの他の好適例としては、(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
窒素原子を有するモノマー(好ましくは、N-ビニル環状アミド等の、窒素原子含有環を有するモノマー)を使用する場合における使用量は特に制限されず、例えばモノマー成分全体の1重量%以上であってもよく、2重量%以上であってもよく、3重量%以上であってもよく、さらには5重量%以上または7重量%以上であってもよい。一態様では、窒素原子含有モノマーの使用量は、モノマー成分全体の10重量%以上であってもよく、15重量%以上であってもよく、20重量%以上であってもよい。また、窒素原子含有モノマーの使用量は、モノマー成分全体の例えば40重量%以下とすることが適当であり、35重量%以下としてもよく、30重量%以下としてもよく、25重量%以下としてもよい。他の一態様では、窒素原子含有モノマーの使用量は、モノマー成分全体の例えば20重量%以下としてもよく、15重量%以下としてもよい。あるいは、上記共重合性モノマーとして、窒素原子含有モノマーを使用しなくてもよい。
上記共重合性モノマーは、水酸基含有モノマーを含み得る。水酸基含有モノマーの使用により、粘着剤層(A)の凝集力や架橋(例えば、イソシアネート架橋剤による架橋)の程度を好適に調節し得る。水酸基含有モノマーを使用する場合における使用量は特に制限されず、例えばモノマー成分全体の0.01重量%以上であってよく、0.1重量%以上でもよく、0.5重量%以上でもよく、1重量%以上でもよく、5重量%以上または10重量%以上でもよい。また、粘着剤層(A)またはその光硬化物の吸水を抑制する観点から、いくつかの態様において、水酸基含有モノマーの使用量は、モノマー成分全体の例えば40重量%以下とすることが適当であり、30重量%以下としてもよく、25重量%以下としてもよく、20重量%以下としてもよい。他の一態様では、水酸基含有モノマーの使用量は、モノマー成分全体の例えば15重量%以下としてもよく、10重量%以下としてもよく、5重量%以下としてもよい。あるいは、上記共重合性モノマーとして、水酸基含有モノマーを使用しなくてもよい。
モノマー成分全体に占めるカルボキシ基含有モノマーの割合は、例えば2重量%以下であってよく、1重量%以下でもよく、0.5重量%以下(例えば0.1重量%未満)でもよい。粘着剤組成物(A)は、その構成モノマー成分として、カルボキシ基含有モノマーを実質的に含有しなくてもよい。ここで、カルボキシ基含有モノマーを実質的に含有しないとは、少なくとも意図的にはカルボキシ基含有モノマーが用いられていないことをいう。このことは、粘着剤組成物(A)から形成される粘着剤層(A)およびその光硬化物の金属腐食防止性等の観点から有利となり得る。
上記共重合性モノマーは、脂環式炭化水素基含有(メタ)アクリレートを含み得る。これにより、粘着剤層(A)の凝集力を高め、光硬化後の剥離強度を向上させることができる。脂環式炭化水素基含有(メタ)アクリレートとしては上記で例示したもの等を用いることができ、例えばシクロヘキシルアクリレートやイソボルニルアクリレートを好ましく採用し得る。脂環式炭化水素基含有(メタ)アクリレートを使用する場合における使用量は特に制限されず、例えばモノマー成分全体の1重量%以上、3重量%以上または5重量%以上とすることができる。一態様では、脂環式炭化水素基含有(メタ)アクリレートの使用量は、モノマー成分全体の10重量%以上であってもよく、15重量%以上であってもよい。脂環式炭化水素基含有(メタ)アクリレートの使用量の上限は、凡そ40重量%以下とすることが適当であり、例えば30重量%以下であってもよく、25重量%以下(例えば15重量%以下、さらには10重量%以下)であってもよい。あるいは、上記共重合性モノマーとして、脂環式炭化水素基含有(メタ)アクリレートを使用しなくてもよい。
上記共重合性モノマーは、アルコキシシリル基含有モノマーを含み得る。アルコキシシリル基含有モノマーは、典型的には、一分子内に少なくとも1つ(好ましくは2つ以上、例えば2つまたは3つ)のアルコキシシリル基を有するエチレン性不飽和化合物であり、その具体例は上述のとおりである。上記アルコキシシリル基含有モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。アルコキシシリル基含有モノマーの使用により、粘着剤層(A)にシラノール基の縮合反応(シラノール縮合)による架橋構造を導入することができる。
アルコキシシリル基含有モノマーを使用する場合における使用量は、特に限定されない。いくつかの態様において、アルコキシシリル基含有モノマーの使用量は、粘着剤組成物(A)を構成するモノマー成分全体の例えば0.005重量%以上とすることができ、通常は0.01重量%以上とすることが適当であり、0.03重量%以上としてもよく、0.05重量%以上としてもよい。また、粘着剤組成物(A)の段差吸収性の観点から、アルコキシシリル基含有モノマーの使用量は、通常、モノマー成分全体の1.0重量%以下とすることが適当であり、0.5重量%以下であってよく、0.1重量%以下であってもよい。
エチレン性不飽和化合物(B)として使用し得る化合物のさらに他の例として、多官能性モノマーが挙げられる。多官能性モノマーを含む粘着剤組成物(A)によると、該組成物を硬化させて粘着剤層(A)を製造する際に上記多官能性モノマーを反応させることにより、該多官能性モノマーにより架橋された粘着剤層(A)を得ることができる。多官能性モノマーとしては、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等の、2官能性モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の、3官能性以上の多官能性モノマー;その他、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等;が挙げられる。なかでも好ましい例として、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能性モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
多官能性モノマーを使用する場合における使用量は、特に限定されず、粘着剤組成物(A)を構成するモノマー成分全体の5.0重量%未満とすることができる。これにより、粘着剤層(A)の形成時に(すなわち、光硬化前の段階で)過度の架橋構造が形成されることを回避し、粘着剤層(A)の段差吸収性を高めることができる。上記多官能性モノマーの使用量は、例えば、モノマー成分全体の4.0重量%以下であってよく、3.0重量%以下でもよく、2.0重量%以下でもよく、1.0重量%以下でもよく、0.5重量%以下でもよく、0.3重量%以下でもよい。多官能性モノマーを使用しなくてもよい。また、いくつかの態様において、粘着剤層(A)に適度な凝集性を付与する観点から、モノマー成分全体に対する多官能性モノマーの使用量は、例えば0.001重量%以上であってよく、0.005重量%以上でもよく、0.01重量%以上でもよく、0.03重量%以上でもよい。
粘着剤組成物(A)に含まれるBPポリマー(A)とエチレン性不飽和化合物(B)との合計量に占めるBPポリマー(A)の重量割合は、特に限定されず、該粘着剤組成物(A)から形成される粘着剤層(A)の段差吸収性と、その光硬化物の加工性とが好適にバランスするように設定することができる。いくつかの態様において、上記BPポリマー(A)の重量分率は、例えば0.5重量%以上であってよく、通常は1重量%以上、好ましくは1.5重量%以上、より好ましくは5重量%以上であることが適当であり、光硬化の効果を高める観点から10重量%以上でもよく、15重量%以上でもよく、25重量%以上でもよく、35重量%以上でもよく、45重量%以上でもよく、55重量%以上でもよい。また、粘着剤組成物(A)の調製容易性や塗工性などの観点から、いくつかの態様において、上記合計量に占めるBPポリマー(A)の重量割合は、例えば99重量%未満であってよく、95重量%未満でもよく、85重量%未満でもよく、70重量%未満でもよく、50重量%未満でもよく、40重量%未満でもよい。
上記粘着剤組成物(A)全体の重量に占める有機溶剤の重量の割合は、例えば30重量%以下であってよく、20重量%以下であることが有利であり、10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましい。いくつかの態様において、上記有機溶剤の重量割合は、3重量%以下でもよく、1重量%以下でもよく、0.5重量%以下でもよく、0.1重量%以下でもよく、0.05重量%以下でもよく、実質的に有機溶媒を含有しなくてもよい。
前記粘着剤組成物(A)は、上記常温域での塗工性等の観点から、粘度(BH型粘度計、No.5ローター、10rpm、測定温度30℃の条件で測定される。以下同じ。)が1000Pa・s以下であることが適当であり、100Pa・s以下であることが好ましく、50Pa・s以下であることがより好ましい。上記粘着剤組成物(A)の粘度は、例えば30Pa・s以下であってよく、20Pa・s以下でもよく、10Pa・s以下でもよく、5Pa・s以下でもよい。粘着剤組成物(A)の粘度の下限は特に限定されないが、塗工範囲内における粘着剤組成物のハジキや塗工範囲の外縁における粘着剤組成物のはみ出しを抑制する観点から、通常は0.1Pa・s以上であることが適当であり、0.5Pa・s以上でもよく、1Pa・s以上でもよい。
前記粘着剤組成物(A)は、上記エチレン性不飽和化合物(B)として、エチレン性不飽和基を1つ有する化合物(すなわち、単官能性モノマー)(B1)を少なくとも含んでもよい。単官能性モノマー(B1)は、上述したエチレン性不飽和化合物(B)の例示のなかから該当する化合物を選択して用いることができる。単官能性モノマーは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
BPポリマー(A)とエチレン性不飽和化合物(B)との合計量のうち、単官能性モノマー(B1)の重量割合は、例えば1重量%以上であってよく、5重量%以上でもよく、15重量%以上でもよい。いくつかの態様において、粘着剤組成物(A)の調製容易性や塗工性などの観点から、上記単官能性モノマー(B1)の重量割合は、25重量%以上でもよく、35重量%以上でもよく、45重量%以上でもよい。また、上記合計量のうち単官能性モノマー(B1)の重量割合は、例えば99重量%以下であってよく、通常は95重量%以下であることが適当であり、85重量%以下でもよく、75重量%以下でもよく、65重量%以下でもよく、55重量%以下でもよく、45重量%以下でもよい。
粘着剤組成物(A)が単官能性モノマー(B1)を含む態様において、該単官能性モノマー(B1)の組成に基づいてFoxの式により求められるガラス転移温度(Tg)は、特に限定されず、例えば-80℃以上250℃以下であり得る。単官能性モノマー(B1)の組成に基づくTgは、該単官能性モノマー(B1)に由来するポリマーと他の成分との相溶性等の観点から、通常、150℃以下であることが好ましく、100℃以下でもよく、70℃以下でもよく、50℃以下でもよく、30℃以下でもよい。いくつかの態様において、粘着剤層(A)の段差吸収性などの観点から、単官能性モノマー(B1)の組成に基づくTgは、0℃未満であることが好ましく、-10℃以下であることがより好ましく、-20℃以下でもよく、-30℃以下でもよく、-40℃以下でもよい。また粘着剤層(A)の凝集性や、光硬化後における加工性の観点から、単官能性モノマー(B1)の組成に基づくTgは、通常、-60℃以上であることが有利であり、-54℃以上でもよく、-50℃以上でもよく、-45℃以上でもよく、-35℃以上でもよく、-25℃以上でもよい。上記Tgは、単官能性モノマーとして使用する化合物およびそれらの使用量比により調節することができる。
BPポリマー(A)および単官能性モノマー(B1)を含む粘着剤組成物(A)、該粘着剤組成物から形成される粘着剤層(A)およびその光硬化物において、BPポリマー(A)のTg(以下、「TgA」という。)と単官能性モノマー(B1)のモノマー組成に基づくTg(以下、TgB1」ともいう。)は、TgB1[℃]-TgA[℃]により算出されるTg差[℃](以下、ΔTgともいう。)が、例えば-50℃以上70℃以下の範囲となるように設定され得る。上記Tg差の絶対値が大きすぎないことは、粘着剤層(A)およびその光硬化物における相溶性の観点から有利となり得る。いくつかの態様において、ΔTgは、例えば-10℃以上であってよく、0℃以上であることが好ましく、7℃以上でもよく、10℃以上でもよく、20℃以上でもよく、30℃以上でもよい。
粘着剤組成物(A)は、上記エチレン性不飽和化合物(B)として、エチレン性不飽和基を2つ以上有する化合物(すなわち、多官能性モノマー)(B2)を少なくとも含んでいてもよい。多官能性モノマー(B2)は、上述した多官能性モノマーの例示のなかから、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。多官能性モノマー(B2)の使用量は、粘着剤組成物(A)を構成するモノマー成分全体に占める多官能性モノマーの割合と同様に設定することができる。
エチレン性不飽和化合物(B)として単官能性モノマー(B1)と多官能性モノマー(B2)とを併用する態様において、エチレン性不飽和化合物(B)に占める単官能性モノマー(B1)の重量割合は、例えば1重量%以上であってよく、通常は25重量%以上であることが適当であり、50重量%以上でもよく、75重量%以上でもよく、95重量%以上でもよく、99重量%以上でもよい。また、エチレン性不飽和化合物(B)に占める単官能性モノマー(B1)の重量割合は、例えば99.9重量%以下であってよく、99.8重量%以下でもよい。
粘着剤組成物(A)において、エチレン性不飽和化合物(B)は、部分重合物の形態で含まれていてもよく、その全量が未反応モノマーの形態で含まれていてもよい。好ましい一態様に係る粘着剤組成物(A)は、エチレン性不飽和化合物(B)を部分重合物の形態で含む。エチレン性不飽和化合物(B)を部分重合させる際の重合方法は特に制限されず、例えば:紫外線等の光を照射して行う光重合;β線、γ線等の放射線を照射して行う放射線重合;溶液重合、エマルション重合、塊状重合等の熱重合;等の、従来公知の各種重合方法を適宜選択して用いることができる。効率や簡便性の観点から、光重合法を好ましく採用し得る。光重合によると、光の照射量(光量)等の重合条件によって、重合転化率(モノマーコンバーション)を容易に制御することができる。
上記部分重合物におけるエチレン性不飽和化合物(B)の重合転化率は、特に限定されない。粘着剤組成物(A)の調製容易性や塗工性等の観点から、上記重合転化率は、通常、凡そ50重量%以下であることが適当であり、凡そ40重量%以下(例えば凡そ35重量%以下)であることが好ましい。重合転化率の下限は特に制限されないが、典型的には凡そ1重量%以上であり、通常は凡そ5重量%以上とすることが適当である。
エチレン性不飽和化合物(B)の部分重合物を含む粘着剤組成物(A)は、例えば、該粘着剤組成物の調製に用いられるエチレン性不飽和化合物(B)の全量を含むモノマー混合物を適当な重合方法(例えば光重合法)により部分重合させることにより得ることができる。また、エチレン性不飽和化合物(B)の部分重合物を含む粘着剤組成物(A)は、該粘着剤組成物の調製に用いられるエチレン性不飽和化合物(B)のうちの一部を含むモノマー混合物の部分重合物と、残りのエチレン性不飽和化合物(B)またはその部分重合物との混合物であってもよい。なお、本明細書において「完全重合物」とは、重合転化率が95重量%超であることをいう。
上記部分重合物は、例えば、エチレン性不飽和化合物(B)に紫外線を照射することにより調製することができる。上記部分重合物の調製をBPポリマー(A)の存在下で行う場合、エチレン性不飽和基を反応させ、かつベンゾフェノン構造が光励起されないように紫外線の照射条件を設定することにより、エチレン性不飽和化合物(B)の部分重合物とBPポリマー(A)とを含む粘着剤組成物(A)を得ることができる。光源としては、上述したブラックライト、UV-LEDランプ等の、波長300nm未満の成分を含まないか該波長成分が少ない紫外線を照射可能な光源を好ましく採用し得る。
また、あらかじめエチレン性不飽和化合物(B)の部分重合物を調製した後に、該部分重合物とBPポリマー(A)とを混合して粘着剤組成物(A)を調製してもよい。ベンゾフェノン構造含有成分の不存在下でエチレン性不飽和化合物(B)に紫外線を照射することによりその部分重合物を調製する場合、該紫外線源としては、ベンゾフェノン構造を励起しない光源および励起する光源のいずれも使用可能である。
エチレン性不飽和化合物(B)の部分重合物の調製にあたっては、光重合開始剤を用いることによりエチレン性不飽和基の反応を促進し得る。光重合開始剤としては、ケタール系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、アルキルフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等を用いることができる。波長300nm以上の光(例えば波長300nm以上500nm以下の光)を吸収してラジカルを発生する光重合開始剤を好ましく採用し得る。光重合開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
[光重合開始剤]
粘着剤組成物(A)には、光硬化性の向上または付与等を目的として、必要に応じて光重合開始剤を含有させることができる。粘着剤組成物(A)が無溶剤型(活性エネルギー線硬化型)の粘着剤組成物である場合は、粘着剤組成物(A)は、光重合開始剤を含有することが好ましい。一方、粘着剤組成物(A)が溶剤型、エマルジョン型の粘着剤組成物である場合には、光重合開始剤を含有しなくてもよい。
光重合開始剤としては、ケタール系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、アルキルフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等を用いることができる。光重合開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
ケタール系光重合開始剤の具体例には、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等が含まれる。
アセトフェノン系光重合開始剤の具体例には、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニル-ケトン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、メトキシアセトフェノン等が含まれる。
ベンゾインエーテル系光重合開始剤の具体例には、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテルおよびアニソールメチルエーテル等の置換ベンゾインエーテルが含まれる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の具体例には、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジ-n-ブトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド等が含まれる。
α-ケトール系光重合開始剤の具体例には、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン等が含まれる。
芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤の具体例には、2-ナフタレンスルホニルクロライド等が含まれる。
光活性オキシム系光重合開始剤の具体例には、1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)-オキシム等が含まれる。
ベンゾイン系光重合開始剤の具体例にはベンゾイン等が含まれる。
ベンジル系光重合開始剤の具体例にはベンジル等が含まれる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤の具体例には、ベンゾイル安息香酸、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が含まれる。
チオキサントン系光重合開始剤の具体例には、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が含まれる。
粘着剤組成物(A)に含有させる光重合開始剤としては、波長300nm以上の光(例えば波長300nm以上500nm以下の光)を吸収してラジカルを発生する光重合開始剤(「光重合開始剤(C)」と称する場合がある)を好ましく採用し得る。粘着剤組成物(A)が光重合開始剤(C)を含む場合、粘着剤組成物(A)を前記BPポリマー(A)の有するベンゾフェノン構造を残存させた硬化物に硬化させる上で好ましい。
光重合開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。いくつかの態様において、分子内にリン元素を含まない光重合開始剤を好ましく採用し得る。粘着剤組成物(A)は、分子内にリン元素を含む光重合開始剤を実質的に含有しないものであり得る。
粘着剤組成物(A)における光重合開始剤の含有量は、特に限定されず、所望の効果が適切に発揮されるように設定することができる。いくつかの態様において、光重合開始剤の含有量は、粘着剤組成物(A)を構成するモノマー成分100重量部に対して、例えば凡そ0.005重量部以上とすることができ、通常は0.01重量部以上とすることが適当であり、0.05重量部以上とすることが好ましく、0.10重量部以上としてもよく、0.15重量部以上としてもよく、0.20重量部以上としてもよい。光重合開始剤の含有量の増大により、粘着剤組成物(A)の光硬化性が向上する。また、粘着剤組成物(A)を構成するモノマー成分100重量部に対する光重合開始剤の含有量は、通常、5重量部以下とすることが適当であり、2重量部以下とすることが好ましく、1重量部以下としてもよく、0.7重量部以下としてもよく、0.5重量部以下としてもよい。光重合開始剤の含有量が多すぎないことは、粘着剤組成物(A)のゲル化抑制等の観点から有利となり得る。
[架橋剤]
粘着剤組成物(A)には、必要に応じて、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アミン系架橋剤等の、公知の架橋剤を配合し得る。架橋剤として過酸化物を用いてもよい。粘着剤組成物(A)が溶剤型、エマルジョン型の粘着剤組成物である場合には、架橋剤を含有することが好ましい。
上記架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤を含む粘着剤組成物(A)から形成された粘着剤層(A)は、該架橋剤を主に架橋反応後の形態で含むことが好ましい。架橋剤の使用により、粘着剤層(A)の凝集力等を適切に調節することができる。
架橋剤を使用する場合における使用量(2種以上の架橋剤を使用する場合にはそれらの合計量)は、特に限定されない。接着力や凝集力等の粘着特性をバランスよく発揮する粘着剤を実現する観点から、架橋剤の使用量は、粘着剤組成物(A)を構成するモノマー成分100重量部に対して、通常は凡そ5重量部以下であることが適当であり、3重量部以下であってもよく、1重量部以下でもよく、0.50重量部以下でもよく、0.30重量部以下でもよく、0.20重量部以下でもよい。架橋剤の使用量の下限は特に限定されず、粘着剤組成物(A)を構成するモノマー成分100重量部に対して0重量部より多い量であればよい。いくつかの態様において、架橋剤の使用量は、粘着剤組成物(A)を構成するモノマー成分100重量部に対して、例えば0.001重量部以上であってよく、0.01重量部以上でもよく、0.05重量部以上でもよく、0.10重量部以上でもよい。
[連鎖移動剤]
粘着剤組成物(A)は、従来公知の各種の連鎖移動剤を含んでいてもよい。連鎖移動剤としては、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸、α-チオグリセロール等のメルカプタン類を用いることができる。あるいは、硫黄原子を含まない連鎖移動剤(非硫黄系連鎖移動剤)を用いてもよい。非硫黄系連鎖移動剤の具体例としては、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン等のアニリン類;α-ピネン、ターピノーレン等のテルペノイド類;α-メチルスチレン、α-メチルスチレンダイマー等のスチレン類;ジベンジリデンアセトン、シンナミルアルコール、シンナミルアルデヒド等のベンジリデニル基を有する化合物;ヒドロキノン、ナフトヒドロキノン等のヒドロキノン類;ベンゾキノン、ナフトキノン等のキノン類;2,3-ジメチル-2-ブテン、1,5-シクロオクタジエン等のオレフィン類;フェノール、ベンジルアルコール、アリルアルコール等のアルコール類;ジフェニルベンゼン、トリフェニルベンゼン等のベンジル水素類;等が挙げられる。連鎖移動剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は、モノマー成分100重量部に対して、例えば凡そ0.01~1重量部程度とすることができる。連鎖移動剤を使用しない態様でも好ましく実施され得る。
粘着剤組成物(A)に含ませ得る他の成分として、シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤の使用により、被着体(例えば、ガラス板)に対する剥離強度を向上させ得る。また、粘着剤層(A)には、シランカップリング剤を含有させることができる。シランカップリング剤を含む粘着剤層(A)は、シランカップリング剤を含む粘着剤組成物(A)を用いて好適に形成することができる。シランカップリング剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
粘着剤組成物(A)は着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、特に限定されないが、波長200~400nm(好ましくは波長330~400nm)の透過率の最大値が、波長400~700nmの透過率の最大値よりも大きい着色剤(「着色剤(A)」と称する場合がある)であることが好ましい。
粘着剤組成物(A)が着色剤(A)を含有する場合、可視光(波長400~700nm)に対する透過性が低下し、すなわち遮光性が向上する一方、可視光に比べて紫外線領域(波長200~400nm、好ましくは波長330~400nm)の透過率が高くなる。
粘着剤組成物(A)が、着色剤(A)を含む場合、可視光(波長400~700nm)に対する透過性が低く、すなわち遮光性が高くなる。可視光に対する遮光性が高い粘着剤組成物(A)の硬化物から形成される粘着剤層(A)が、自発光型表示装置(ミニ/マイクロLED表示装置)の金属配線層と発光素子(LEDチップ)間の微細な段差を隙間なく封止することにより、金属配線などによる反射が防止され、発光素子(LEDチップ)の混色が防止され、画像のコントラストが向上する。
一方、粘着剤組成物(A)が、着色剤(A)を含む場合、可視光に比べて紫外線領域(波長200~400nm、好ましくは波長330~400nm)の透過率が高くなる。このため、粘着剤組成物(A)から形成される粘着剤層(A)は、高圧水銀ランプを照射することによりベンゾフェノン構造が架橋構造を形成して硬化することができる。高圧水銀ランプ照射により硬化した粘着剤層(A)は、リワーク性が向上し、表示パネルから容易に剥離することができると共に、表示パネルに残留しにくい。
前記着色剤(A)の波長400~700nm(可視光領域)の透過率の最大値は、例えば80%以下であり、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下または5%以下であってもよい。
また、本発明の好ましい一実施形態において、着色剤(A)は、波長200~400nm(好ましくは波長330~400nm)の平均透過率が、波長400~700nmの平均透過率よりも大きい。前記着色剤(A)の波長400~700nm(可視光領域)の平均透過率は、例えば80%以下であり、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下または5%以下であってもよい。
着色剤の透過率は、波長400nmにおける透過率が50~60%程度となるように、テトラヒドロフラン(THF)等の適宜の溶媒または分散媒(波長200~700nmの範囲の吸収が小さい有機溶媒)により希釈した溶液または分散液を用いて測定することができる。
着色剤は、粘着剤組成物(A)に溶解または分散可能なものであれば、染料でも顔料でもよい。少量の添加でも低いヘイズが達成でき、顔料のように沈降性がなく均一に分布させやすいことから、染料が好ましい。また、少量の添加でも色発現性が高いことから、顔料も好ましい。着色剤として顔料を使用する場合は、導電性が低いか、ないものが好ましい。また、染料を使用する場合は、酸化防止剤などと併用することが好ましい。
紫外線透過性の黒色顔料としては、トクシキ製の「9050BLACK」、「9256BLACK」、「9170BLACK」、「UVBK-0001」、三菱マテリアル電子化成(株)製の「UB-1」等が挙げられる。紫外線透過性の黒色染料としては、オリヱント化学工業製の「SOC-L-0123」等が挙げられる。
粘着剤組成物(A)における着色剤の含有量は、例えば、粘着剤組成物(A)100重量部に対して、0.01~20重量部程度、好ましくは0.1~10重量部であり、着色剤の種類や、粘着剤層(A)の色調および光透過率等に応じて適宜設定すればよい。着色剤は、適宜の溶媒に溶解または分散させた溶液または分散液として、添加してもよい。
粘着剤組成物(A)は、必要に応じて、粘着付与樹脂(例えば、ロジン系、石油系、テルペン系、フェノール系、ケトン系等の粘着付与樹脂)、粘度調整剤(例えば増粘剤)、レベリング剤、酸化防止剤、可塑剤、充填剤、安定剤、防腐剤、老化防止剤等の、粘着剤の分野において一般的な各種の添加剤を、その他の任意成分として含み得る。このような各種添加剤については、従来公知のものを常法により使用することができ、特に本発明を特徴づけるものではないので、詳細な説明は省略する。
なお、粘着剤組成物(A)は、上述の粘着付与樹脂を用いることなく、良好な接着力を発揮することができる。このため、いくつかの態様において、上記粘着剤層(A)または粘着剤組成物(A)における上記粘着付与樹脂の含有量は、モノマー成分100重量部に対して、例えば10重量部未満、さらには5重量部未満とすることができる。上記粘着付与樹脂の含有量は、1重量部未満(例えば0.5重量部未満)であってもよく、0.1重量部未満(0重量部以上0.1重量部未満)であってもよい。粘着剤層(A)または粘着剤組成物(A)は、粘着付与樹脂を含まないものであり得る。
粘着剤層(A)は、粘着剤組成物(A)の硬化物であって、ベンゾフェノン構造を残存させた硬化物により形成されるものであることが好ましい。このベンゾフェノン構造は、高圧水銀ランプ照射により架橋構造を形成して、粘着剤層(A)を硬化させることができる。この硬化前の粘着剤層(A)は流動性が高い半硬化の状態にあり、優れた段差吸収性を示す。従って、本発明の光硬化性粘着シートの粘着剤層(A)を光半導体素子(LEDチップ)が高密度に配列された表示パネルと貼り合わせる際に、光半導体素子(LEDチップ)間の微細な段差に十分に追従して気泡が残らずに隙間なく密着する。一方、該硬化後の粘着剤層(A)は優れたリワーク性を示す。従って、硬化後の粘着剤層(A)は、表示パネルの光半導体素子から容易に剥離することができ、また、表示パネルに残留しにくい。このように、前記粘着剤組成物(A)から形成される粘着剤層(A)によると、優れた段差吸収性とリワーク性とを好適に両立することができる。
なお、粘着剤層(A)に照射する高圧水銀ランプの照射量を制御することにより、粘着剤層(A)を封止材として含む積層体を切断加工時に糊欠け、保管時に端部からの粘着剤層のはみ出しやダレの発生を抑制し、加工性を向上させることも可能である。
粘着剤層(A)の作製方法としては、特に限定されないが、例えば、粘着剤組成物(A)に活性エネルギー線の照射、及び/又は加熱乾燥等を行うことにより作製できる。具体的には、粘着剤組成物(A)を基材又は剥離ライナー上に塗布(塗工)し、必要に応じて、乾燥、硬化、又は乾燥及び硬化させることが挙げられる。
なお、粘着剤組成物(A)の塗布(塗工)には、公知のコーティング法が用いられてもよい。例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーター等のコーターが用いられてもよい。
粘着剤組成物(A)を活性エネルギー線の照射により硬化する場合は、該粘着剤組成物(A)に含まれるエチレン性不飽和基を反応させ、かつ粘着剤層(A)に含まれるベンゾフェノン構造を残存させるように行われることが好ましい。粘着剤層(A)を形成するための活性エネルギー線としては、紫外線が好ましく、波長300nm未満、好ましくは波長350nm未満の成分を含まないか該波長成分が少ない紫外線がより好ましい。
粘着剤組成物(A)がBPポリマー(A)とエチレン性不飽和化合物(B)とを含有する場合、粘着剤層(A)は、BPポリマー(A)と、エチレン性不飽和化合物(B)に由来するポリマー(E)とを含み得る。この態様において、粘着剤組成物(A)は、上記エチレン性不飽和化合物(B)がエチレン性不飽和BPを含まない組成であり得る。このような組成の粘着剤組成物(A)によると、BPポリマー(A)と、エチレン性不飽和化合物(B)に由来するポリマー(E)とを含み、上記ポリマー(E)が、ベンゾフェノン構造を有しないポリマー([非BPポリマー]と称する場合がある)である粘着剤層(A)が製造され得る。
一方、粘着剤組成物(A)が、BPポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物又は該モノマー成分の混合物の部分重合物を含む場合、粘着剤層(A)は、モノマー組成の異なる2種以上のポリマーを含み、上記2種以上のポリマーのうち少なくとも1種がベンゾフェノン構造を側鎖に有するポリマー(「BPポリマー(A’)」と称する場合がある)である粘着剤層であり得る。上記粘着剤層は、上記2種以上のポリマーとして、2種以上のBPポリマー(A’)のみを含んでいてもよく、非BPポリマーとBPポリマー(A’)とを組み合わせて含んでいてもよい。非BPポリマーは、ベンゾフェノン構造を有しないエチレン性不飽和化合物を含む粘着剤組成物を用い、該エチレン性不飽和化合物を重合させることにより形成され得る。BPポリマー(A’)は、例えば、上記粘着剤組成物(A)に含まれているBPポリマー(A)であってもよく、またはその変性物であってもよく、上記粘着剤組成物(A)に含まれているエチレン性不飽和BPと他のエチレン性不飽和とが共重合して形成されたものであってもよい。
上記2種以上のポリマーは、化学的に結合していてもよく、結合していなくてもよい。いくつかの態様に係る粘着剤層(A)は、少なくとも1種のBPポリマーを、該BPポリマー以外のポリマーと化学的に結合していない形態で含み得る。
粘着剤組成物(A)を硬化させるための活性エネルギー線の照射は、エチレン性不飽和基を反応させ、かつベンゾフェノン構造を残存させるように行われることが好ましい。上記粘着剤組成物(A)としては、BPポリマー(A)とエチレン性不飽和化合物(B)とを含む粘着剤組成物が好ましく用いられ得る。粘着剤組成物(A)を硬化させて光架橋性粘着剤を形成するための光源としては、上述したブラックライト、UV-LEDランプ等の、波長300nm未満、好ましくは波長350nm未満の成分を含まないか該波長成分が少ない紫外線を照射可能な光源を好ましく採用し得る。
本発明の好ましい一実施形態において、粘着剤層(A)は、波長200~400nm(好ましくは波長330~400nm)の透過率の最大値が、波長400~700nmの透過率の最大値よりも大きい。可視光に対する遮光性に優れる粘着剤層(A)が、自発光型表示装置(ミニ/マイクロLED表示装置)の金属配線層と光半導体素子(LEDチップ)間の微細な段差を隙間なく封止することにより、金属配線などによる反射が防止され、光半導体素子(LEDチップ)の混色が防止され、画像のコントラストが向上する。一方、紫外線領域(波長200~400nm、好ましくは波長330~400nm)の透過率が高い粘着剤層(A)は、高圧水銀ランプを照射することによりベンゾフェノン構造が架橋構造を形成して硬化することにより、リワーク性が向上し、表示パネルの光半導体素子から容易に剥離することができ、また、表示パネルに残留しにくい。
また、本発明の好ましい一実施形態において、本発明の粘着剤層の波長400~700nm(可視光領域)の透過率の最大値は、例えば80%以下であり、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下または5%以下であってもよい。
また、本発明の好ましい一実施形態において、本発明の粘着剤層は、波長200~400nm(好ましくは波長330~400nm)の平均透過率が、波長400~700nmの平均透過率よりも大きい。本発明の粘着剤層の波長400~700nm(可視光領域)の平均透過率は、例えば80%以下であり、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下または5%以下であってもよい。
粘着剤層(A)は、該粘着剤層1g当たり、ベンゾフェノン構造を、アクリル酸4-ベンゾイルフェニル換算で、例えば凡そ0.1mg以上含むことが好ましい。以下、本発明の粘着剤層1g当たりに含まれるベンゾフェノン構造のアクリル酸4-ベンゾイルフェニル換算の重量を、粘着剤層のBP当量(単位:mg/g)ということがある。より高い光硬化効果(例えば、光硬化によりリワーク性を高める効果)を得る観点から、粘着剤層のBP当量は、通常、0.3mg/g以上であることが適当であり、0.5mg/g以上でもよく、1mg/g以上でもよく、5mg/g以上でもよく、10mg/g以上でもよく、20mg/g以上でもよい。また、光硬化物による接合部の耐衝撃性や光硬化物内の歪み抑制の観点から、粘着剤層のBP当量は、通常、100mg/g以下であることが適当であり、80mg/g以下でもよく、60mg/g以下でもよく、40mg/g以下でもよく、25mg/g以下でもよく、15mg/g以下でもよい。
本発明の粘着剤層の高圧水銀ランプ照射条件は、特に限定されるものではないが、好ましくは波長200~280nmの紫外線を含むものである。本発明の粘着剤層のUV-LED照射条件は、特に限定されるものではないが、好ましくは波長350nm以上の紫外線を含み、波長200~280nmの紫外線を含まないか、少ないものであり、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトを用いることもできる。また、硬化用の放射線の照射エネルギーや、照射時間、照射方法については、被着体に不当な影響を及ぼさない限りで、適宜に設定することができる。例えば、照射量(積算光量)は、好ましくは1000mJ/cm2~10000mJ/cm2であり、より好ましくは2000mJ/cm2~4000mJ/cm2であり、さらに好ましくは3000mJ/cm2である。
[VOC放散量]
本発明の粘着剤層のVOC(揮発性有機化合物)放散量は、特に限定されない。上記VOC放散量は、例えば5000μg/g以下であってよく、3000μg/g以下でもよく、1000μg/g以下でもよい。いくつかの態様において、本発明の粘着剤層のVOC放散量は、500μg/g以下であることが好ましく、300μg/g以下であることがより好ましく、100μg/g以下であることがさらに好ましい。VOC放散量が少ない粘着剤層は、低臭気であり、環境衛生の観点から好ましい。本発明の粘着剤層のVOC放散量が少ないことは、該粘着剤層中の揮発性有機物(VOC)に起因する発泡抑制や、低汚染性の観点からも好ましい。本発明の粘着剤層のVOC放散量は、該粘着剤層の適当量(例えば、凡そ1mg~2mg程度)を測定試料として、以下の方法で測定される。なお、測定試料の厚さは1mm以下であることが好ましい。
(ゲル分率)
本発明の粘着剤層のゲル分率は、特に限定されないが、該粘着剤層の凝集性や該粘着剤層を有する粘着シートの取扱い性等の観点から、通常は5%以上であることが適当であり、15%以上であることが好ましく、25%以上でもよく、35%以上でもよい。本発明の粘着剤層のゲル分率は、原理上、100%以下である。また、被着体の表面形状に対する段差吸収性の観点から、本発明の粘着剤層のゲル分率は、85%未満であることが好ましく、70%未満でもよく、55%未満でもよく、40%未満でもよい。
ゲル分率は、以下の方法で測定される。すなわち、約0.5gの測定サンプルを精秤し、その重さをW1とする。この測定サンプルを多孔質PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シートに包んで室温で1週間酢酸エチルに浸漬した後、乾燥させて酢酸エチル不溶解分の重さW2を計測し、W1およびW2を以下の式:
ゲル分率(%)=W2/W1×100;
に代入してゲル分率を算出する。多孔質PTFEシートとしては、日東電工社製の商品名「ニトフロンNTF1122」またはその相当品を使用することができる。
本発明の粘着剤層のいくつかの態様において、該粘着剤層に高圧水銀ランプを用いて照度300mW/cm2、積算光量10000mJ/cm2の条件で紫外線を照射して得られた光硬化物のゲル分率は、例えば70%以上であってよく、90%以上であることが好ましく、95%以上でもよく、98%以上でもよい。光硬化物のゲル分率は、原理上、100%以下である。ゲル分率は、上記の方法で測定される。
本発明の粘着剤層のゲル分率は、粘着剤組成物(A)の組成(例えば、BPポリマー(A)のMw、Tg、BP当量;BPポリマー(A)の重量分率;BPポリマー(A)及びエチレン性不飽和化合物(B)を構成するモノマー成分の組成、官能基の種類及び量;架橋剤の種類及び量)、粘着剤組成物(A)、本発明の粘着剤層の硬化条件(加熱条件、紫外線照射条件)等により調節することができる。
本発明の粘着剤層のガラス転移点(Tg)は、特に限定されないが、-60~20℃であることが好ましく、より好ましくは、-40~10℃であり、さらに好ましくは、-30~0℃である。上記Tgが、20℃より高いと室温で粘着力を発現できない。
上記Tgは、特に限定されないが、例えば、粘着剤層を測定用サンプルとして、示差走査熱量測定(DSC)により、JIS K 7121に準拠して測定することができる。具体的には、例えば、測定装置として、TA instruments社製、装置名「Q-2000」を用い、-80℃から80℃まで昇温速度10℃/分の条件で測定することができる。
本発明の粘着剤層の厚みは特に限定されず、後述の表示パネル上に配列された光半導体素子を十分に封止できるように適宜設定すればよい。例えば、本発明の粘着剤層の厚みは、該光半導体素子の高さの1.0~4.0倍、好ましくは1.1~3.0倍、より好ましくは1.2~2.5倍、さらに好ましくは1.3~2.0倍になるように調整される。上記厚さを1.0倍以上とすることにより、段差に粘着剤層が追従しやすくなり、段差吸収性が向上する。また、上記厚さを4.0以下とすることにより、粘着剤層のリワーク性が向上する。
粘着剤層(A)は、例えば、ベンゾフェノン構造を励起可能な波長成分を含む紫外線を照射することにより光架橋させることができる。波長300nm未満、例えば200~280nmの成分を含む紫外線を照射可能な光源として高圧水銀ランプを用いることが好ましい。上記光源により照射される光は、波長300nm以上の成分を含んでいてもよい。
なお、ベンゾフェノン構造を励起可能な波長成分(例えば、波長300nm未満の成分、好ましくは350nm未満の成分)を含まないか該波長成分が少ない紫外線を照射可能な光源としては、ブラックライト、UV-LEDランプ等が挙げられる。これらの光源は、ベンゾフェノン構造の存在下で行われる光照射によりエチレン性不飽和基の反応(重合反応または硬化反応)を進行させるための光源として好ましく採用され得る。エチレン性不飽和基を反応させるための紫外線照射においては、該反応を促進するために、上記の光重合開始剤利用し得る。
本発明の粘着剤層は、波長300nm以上の光を吸収してラジカルを発生する光重合開始剤を実質的に含まない組成であってよく、例えば380nm以上(特に400nm以上)の可視光を吸収してラジカルを発生する光重合開始剤を実質的に含まない組成であり得る。このことは本発明の粘着剤層の光学特性の観点から有利となり得る。なお、波長300nm以上の光を吸収してラジカルを発生する光重合開始剤を含まないとは、上記ラジカルを発生可能な形態(上記光により開裂する部位を有する形態)の上記光重合開始剤を含まないことをいい、上記光重合開始剤の開裂残渣を含有することは許容され得る。好ましい一態様に係る本発明の粘着剤層は、分子内にリン元素を含む光重合開始剤を実質的に含有しない。ここに開示される粘着剤層は、分子内にリン元素を含む光重合開始剤および該光重合開始剤の開裂残渣のいずれをも実質的に含有しないものであり得る。
本発明の光硬化性粘着シートは、上記の通り、基材付き粘着シートであってもよい。このような基材としては、例えば、プラスチックフィルム、反射防止(AR)フィルム、偏光板、位相差板などの各種光学フィルムが挙げられる。上記プラスチックフィルムなどの素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、商品名「アートン」(環状オレフィン系ポリマー、JSR株式会社製)、商品名「ゼオノア」(環状オレフィン系ポリマー、日本ゼオン株式会社製)」等の環状オレフィン系ポリマーなどのプラスチック材料が挙げられる。なお、これらのプラスチック材料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
前記基材は、透明であることが好ましい。上記基材の可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361-1に準じる)は、特に限定されないが、85%以上が好ましく、より好ましくは88%以上である。また、上記基材のヘイズ(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、1.5%以下が好ましく、より好ましくは1.0%以下である。このような透明な基材としては、例えば、PETフィルムや、商品名「アートン」、商品名「ゼオノア」などの無配向フィルムなどが挙げられる。
前記基材の厚さは、特に限定されないが、12~75μmが好ましい。なお、上記基材は単層および複層のいずれの形態を有していてもよい。また、前記基材の表面には、例えば、アンチリフレクション処理(AR処理)、アンチグレア処理等の反射防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理などの公知慣用の表面処理が適宜施されていてもよい。
本発明の光硬化性粘着シートは、上記の通り、他の粘着剤層(本発明の粘着剤層以外の粘着剤層)を有していてもよい。上記他の粘着剤層としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤などの公知乃至慣用の粘着剤から形成された粘着剤層が挙げられる。なお、上記粘着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
また、本発明の光硬化性粘着シートは、本発明の粘着剤層、基材、他の粘着剤層以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層や下塗り層など)を有していてもよい。
本発明の光硬化性粘着シートは、使用時までは粘着面に剥離フィルム(セパレータ)が設けられていてもよい。本発明の光硬化性粘着シートの粘着面が剥離フィルムにより保護される形態は、特に限定されないが、2枚の剥離フィルムによりそれぞれの粘着面が保護される形態であってもよいし、ロール状に巻回されることにより、両面が剥離面である1枚の剥離フィルムで、それぞれの粘着面が保護される形態であってもよい。剥離フィルムは、粘着剤層の保護材として用いられ、被着体に貼付する際に剥がされる。なお、本発明の光硬化性粘着シートにおいて、剥離フィルムは、粘着剤層の支持体としての役割も担う。なお、剥離フィルムは必ずしも設けられなくてもよい。
剥離フィルムとしては、特に限定されず、例えば樹脂フィルムや紙等のフィルム基材の表面が剥離処理された剥離フィルムや、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン等)やポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)の低接着性材料からなる剥離フィルム等を用いることができる。上記剥離処理には、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系等の剥離処理剤が用いられ得る。いくつかの態様において、剥離処理された樹脂フィルムを剥離フィルムとして好ましく採用し得る。
本発明の光硬化性粘着シートの厚さ(総厚さ)は、特に限定されないが、10μm~1mmが好ましく、より好ましくは100~500μm、さらに好ましくは150~350μmである。上記厚さを10μm以上とすることにより、段差部分に本発明の粘着剤層が追従しやすくなり、段差吸収性の向上を図ることができる。なお、光硬化性粘着シート(A)の厚さには、剥離フィルムの厚さは含まれない。
本発明の光硬化性粘着シートは、本発明の粘着剤層を有するので、硬化前は、優れた段差吸収性を有する。例えば、5~10μmの段差に加えて、40μmを超えるような高い段差に対しても、段差吸収性に優れる。さらには、80μmを超えるような高い段差に対しても段差吸収性を有する。
また、本発明の光硬化性粘着シートは、本発明の粘着剤層を有するので、高圧水銀ランプ照射後は、硬化収縮して、優れたリワーク性を有し、表示パネルから容易に剥離することができると共に、表示パネルに残留しにくい。
また、本発明の光硬化性粘着シートは、本発明の粘着剤層を有するので、外光や青色の光半導体素子から発せられる光に含まれる紫外線により粘着剤層が硬化収縮して、表示パネルから粘着剤層(封止材)が剥離するのを防止できる。
また、本発明の光硬化性粘着シートは、本発明の粘着剤層を有するので、高圧水銀ランプの照射量を制御することにより、優れた加工性を有し、切断加工時の糊欠け、保管時に端部からの粘着剤層のはみ出しやダレが抑制され、さらに、接着信頼性にも優れるものにすることもできる。
<光半導体装置、自発光型表示装置、画像表示装置>
本発明の光半導体装置は、基板と、前記基板上に配置された1以上の光半導体素子と、本発明の光硬化性粘着シートと、を備え、前記光硬化性粘着シートが、前記光半導体素子を封止している。本発明の光半導体装置は、好ましくは、自発光型表示装置である。本発明の画像表示装置は、好ましくは、本発明の自発光型表示装置を備えるものである。
本発明の光半導体装置(自発光型表示装置)は、微少且つ多数の光半導体素子を配線基板上に配列し、各光半導体素子をこれに接続された発光制御手段により選択的に発光させることにより、文字・画像・動画等の視覚情報を、各光半導体素子の点滅により直接的に表示画面上に表示することができる表示装置である。自発光型表示装置としては、ミニ/マイクロLED表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置が挙げられる。本発明の光硬化性粘着シートは、特にミニ/マイクロLED表示装置の製造に好適に使用される。
図3は、本発明の自発光型表示装置(ミニ/マイクロLED表示装置)の一実施態様を示す模式図(断面図)である。
図3において、ミニ/マイクロLED表示装置20は、基板2の片面に、金属配線層3を介して複数の光半導体素子(LEDチップ)4が配列した表示パネルと、該表示パネルに積層し、金属配線層3と複数の光半導体素子4を封止する粘着剤層1と、該粘着剤層1の上部(画像表示側)に積層された基材(カバー部材)S5により構成されている。基材S5は、特に限定されないが、上記の「基材」と同様の材料により構成することができる。
本実施形態のミニ/マイクロLED表示装置20において、表示パネルの基板2上には、各光半導体素子4に発光制御信号を送るための金属配線層3が積層されている。赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色の光を発する各光半導体素子4は、表示パネルの基板2上に金属配線層3を介して交互に配列されている。金属配線層3は、銅などの金属によって形成されており、各光半導体素子4の発光を反射して、画像の視認性を低下させる。また、RGBの各色の各光半導体素子5が発する光が混色し、コントラストが低下する。
本実施形態のミニ/マイクロLED表示装置20において、表示パネル上に配列された各光半導体素子4は、粘着剤層1により封止されている。粘着剤層1は、本発明の粘着剤層により構成されるものである。粘着剤層1は、複数の光半導体素子4間の微細な段差に十分に追従して隙間なく封止されている。
粘着剤層1が着色剤を含む場合は、可視光領域で十分な遮光性を有する。遮光性が高い粘着剤層1により各光半導体素子4間の微細な段差が隙間なく封止すると、金属配線層3による反射を防止することができ、各光半導体素子4同士の混色を防止し、コントラストを向上させることができる。
本実施形態の自発光型表示装置(ミニ/マイクロLED表示装置)は、表示パネル、粘着剤層、カバー部材以外の光学部材を備えていてもよい。上記光学部材としては、特に限定されないが、偏光板、位相差板、反射防止フィルム、視野角調整フィルム、光学補償フィルム、などが挙げられる。なお、光学部材には、表示装置や入力装置の視認性を保ちながら加飾や保護の役割を担う部材(意匠フィルム、装飾フィルムや表面保護板等)も含むものとする。
本実施形態の自発光型表示装置(ミニ/マイクロLED表示装置)は、特に限定されないが、好ましくは、以下の工程を含む方法により製造することができる。
(1)基板の片面に複数の光半導体素子が配列した表示パネルに、本発明の光硬化性粘着シートの粘着剤層を積層して、前記光半導体素子を粘着剤層で封止する工程。
自発光型表示装置では、光半導体素子の不点灯、色違い、欠落、位置ずれ等が発生して、歩留りが低下するという問題がある。また、表示パネルを封止する際に、皺が寄ったり、異物の混入、気泡が残るなどのミスが生じる場合もある。このような歩留り低下・封止ミスが発生した場合、封止材を表示パネルから剥離・除去して再利用する、いわゆるリワークが行われている。
本発明の光硬化性粘着シートは、高圧水銀ランプを照射して本発明の粘着剤層を硬化収縮させることにより、リワーク性を向上させることができる。従って、本発明のミニ/マイクロLED表示装置等の自発光型表示装置に歩留りの低下や封止ミスが発生した場合に、本発明の粘着剤層(封止材)に高圧水銀ランプを照射することにより、表示パネル上の基板や光半導体素子から容易に剥離できると共に、本発明の粘着剤層(封止材)の残留も少ない。
図4は、本発明の自発光型表示装置(ミニ/マイクロLED表示装置)のリワークの一実施形態を実施するための工程を示す模式図(断面図)である。本実施態様においては、図4(a)に示すように、本発明の光硬化性粘着シート11と、基板2の片面に、金属配線層3を介して複数の光半導体素子(LEDチップ)4が配列した表示パネルが使用される。
本実施態様において、光硬化性粘着シート11は、粘着剤層1と基材(カバー部材)S5から構成される。本実施態様では、光硬化性粘着シート11は基材S5を有するものであるが、基材S5はなくてもよい。基材S5は、特に限定されないが、上記の「基材」と同様の材料により構成することができ、剥離フィルム(セパレータ)であってもよい。
次に、図4(b)に示すように、表示パネルの複数の光半導体素子が配列した面に、光硬化性粘着シート11の粘着剤層1を積層して、光半導体素子4及び金属配線層3を粘着剤層1で封止する。該積層は公知の方法で行うことができ、例えば、オートクレーブを使用した加熱加圧条件などで行うことができる。光硬化性粘着シート11の粘着剤層1は流動性が高く、優れた段差吸収性を示すものである。従って、粘着剤層1は金属配線層3と複数の光半導体素子4の間の段差を隙間なく埋めるように封止される。
製造された自発光型表示装置20において、粘着剤層1は外光や青色の光半導体素子に含まれる光による硬化収縮は進行しないため、使用環境下において粘着剤層1(封止材)の剥離は生じにくく、耐久性に優れる。
製造された自発光型表示装置20に、光半導体素子の不点灯、色違い、欠落、位置ずれ等の歩留り低下や封止ミスが生じた場合は、図4(c)に示すように、粘着剤層1に高圧水銀ランプによる放射線Uを照射して硬化収縮させる。高圧水銀ランプの照射により、粘着剤層1が硬化収縮して、表示パネルの基板2や光半導体素子4に対する剥離力が低下して、リワーク性が向上する。
次に、図4(d)、(e)に示すように、高圧水銀ランプを照射して硬化収縮した粘着剤層1を表示パネルの基板2や光半導体素子4から剥離する。硬化収縮した粘着剤層1はリワーク性に優れるため、表示パネルの基板2や光半導体素子4から容易に剥離することでき、残留もしにくい。
剥離した表示パネルは、必要に応じて、不点灯の光半導体素子の修理を行い、再利用できる。また、合格品として出荷された自発光型表示装置において、使用環境において光半導体素子の不点灯などの故障が生じた場合は、図4(c)~(e)と同様の操作により、光硬化性粘着シートを剥離して修理することも可能である。
高圧水銀ランプにより照射される放射線としては、波長300nm未満の紫外線を含むことが好ましく、より好ましくは波長200~280nmの紫外線を含む。すなわち、本発明の粘着剤層は、波長200~280nmの紫外線の照射により硬化収縮するものが好ましい。さらには、本発明の粘着剤層は、波長200~280nmの紫外線の照射により硬化収縮し、波長300nm以上の紫外線、好ましくは波長350nm以上の紫外線によって硬化収縮しにくいものが好ましい。このような構成は、本発明の粘着剤層が、外光や青色の光半導体素子から発せられる光に含まれない波長200~280nmの放射線を含む光源である高圧水銀ランプにより硬化収縮してリワーク性が向上する一方、外光や青色の光半導体素子から発せられる光に含まれる波長350nm以上の放射線によっては硬化収縮が進行しないことにより、自発光型表示装置の使用環境下において、前記粘着剤層(封止材)の剥離を防止できる点で好ましい。
高圧水銀ランプの照射時間、照射方法については、粘着剤層1を硬化でき且つ表示パネルに不当な影響を及ぼさず、且つ粘着剤層1が硬化して十分なリワーク性を示す限りで、適宜に設定することができる。例えば、紫外線の照射量(積算光量)は、好ましくは1000mJ/cm2~10000mJ/cm2であり、より好ましくは2000mJ/cm2~4000mJ/cm2であり、さらに好ましくは3000mJ/cm2である。
また、他の実施形態として、高圧水銀ランプの照射時間、照射方法について上記よりも少なく制御することにより、粘着剤層1は加工性が向上し、切断加工時の糊欠け、保管時に端部からの粘着剤層のはみ出しやダレが抑制される。また、粘着剤層1は、表示パネルの加熱による二酸化炭素などのガスの発生を抑え込み、気泡の発生を防止でき、接着信頼性も向上する。この実施形態における高圧水銀ランプの照射時間、照射方法については、表示パネルに不当な影響を及ぼさず、且つ粘着剤層1が硬化して十分な加工性を示す限りで、適宜に設定することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
(プレポリマーの調製)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた反応容器に、モノマー成分として、n-ブチルアクリレート(BA)100部、シクロヘキシルアクリレート(CHA)15.9部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)45.3重量部、4-アクリロイルオキシベンゾフェノン(ABP)4.2部、重合溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)202.7部を仕込み、熱重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.5部を投入して窒素雰囲気下で溶液重合を行うことにより、Mwが30万のアクリル系プレポリマーを含有する溶液を得た。
(粘着剤組成物の調製)
上記で得られたアクリル系プレポリマーを含有する溶液に、該溶液の調製に使用したモノマー成分100部あたり、コロネートL(トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物、東ソー社製)を固形分基準で1部加え、均一に混合して溶剤型粘着剤組成物を調製した。
(粘着シートの作成)
ポリエステルフィルムの片面が剥離面となっている厚さ38μmの剥離フィルム(三菱樹脂社製、MRF#38)の剥離面に上記で調製した溶剤型粘着剤組成物を塗布し、130℃で3分間乾燥させて、厚さ50μmの粘着シートを形成した。この粘着剤層に、厚さ38μmの剥離フィルム(三菱樹脂社製、MRE#38)の剥離面を貼り合わせて保護し、厚さ約50μmの粘着剤層が上記剥離フィルムに挟まれた光硬化性粘着シート1を基材レス両面粘着シートの形態で得た。
[実施例2]
シクロヘキシルアクリレート(CHA)を7.5部、4-アクリロイルオキシベンゾフェノン(ABP)を12.5部配合したこと以外は実施例1と同様にして、厚さ約50μmの粘着剤層が剥離フィルムに挟まれた光硬化性粘着シート2を基材レス両面粘着シートの形態で得た。
[実施例3]
(粘着剤組成物の調製)
実施例1で得られたアクリル系プレポリマーを含有する溶液に、該溶液の調製に使用したモノマー成分100部あたり、コロネートL(トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物、東ソー社製)を固形分基準で1部、顔料分散液9256BLACK(顔料重量分率:20重量%;トクシキ社製)5.2部を加え、均一に混合して溶剤型黒色粘着剤組成物を調製した。
(粘着シートの作成)
上記で得られた溶剤型黒色粘着剤組成物を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ約50μmの粘着剤層が剥離フィルムに挟まれた光硬化性粘着シート3を基材レス両面粘着シートの形態で得た。
[実施例4]
(プレポリマーの調製)
シクロヘキシルアクリレート(CHA)を7.5部、4-アクリロイルオキシベンゾフェノン(ABP)を12.5部配合したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系プレポリマーを含有する溶液を得た。
(粘着剤組成物の調製)
上記で得られたアクリル系プレポリマーを含有する溶液に、該溶液の調製に使用したモノマー成分100部あたり、コロネートL(トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物、東ソー社製)を固形分基準で1部、顔料分散液9256BLACK(顔料重量分率:20重量%;トクシキ社製)5.2部を加え、均一に混合して溶剤型黒色粘着剤組成物を調製した。
(粘着シートの作成)
上記で得られた溶剤型黒色粘着剤組成物を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ約50μmの粘着剤層が剥離フィルムに挟まれた光硬化性粘着シート4を基材レス両面粘着シートの形態で得た。
[比較例1]
4-アクリロイルオキシベンゾフェノン(ABP)を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ約50μmの粘着剤層が剥離フィルムに挟まれた粘着シート5を基材レス両面粘着シートの形態で得た。
[比較例2]
(プレポリマーの調製)
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌装置を備えた反応容器に、モノマー成分として、n-ブチルアクリレート(BA)100部、シクロヘキシルアクリレート(CHA)20部、および2-ヒドロキエチルアクリレート(2HEA)45部、重合溶媒として酢酸エチル200部を仕込み、熱重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.5部を投入して窒素雰囲気下で溶液重合を行うことにより、アクリル系ポリマー溶液を得た。
(粘着剤組成物の調製)
上記で得られたアクリル系ポリマーを含有する溶液に、該溶液の調製に使用したモノマー成分100部あたり、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)5部およびジブチルスズジラウレート0.025部を加え、空気雰囲気下、50℃で7時間攪拌することにより上記ポリマーにMOIを付加反応させて、炭素-炭素二重結合を有するポリマー溶液を得た。
上記ポリマーの溶液に、該溶液中のポリマーの100部あたり、コロネートLを固形分基準で1部加え、均一に混合して、溶剤型粘着剤組成物を調製した。
(粘着シートの作成)
ポリエステルフィルムの片面が剥離面となっている厚さ38μmの剥離フィルム(三菱樹脂社製、MRF#38)の剥離面に上記で調製した溶剤型粘着剤組成物を塗布し、130℃で3分間乾燥させて、厚さ150μmの粘着シートを形成した。この粘着剤層に、厚さ38μmの剥離フィルム(三菱樹脂社製、MRE#38)の剥離面を貼り合わせて保護し、厚さ約150μmの粘着剤層が上記剥離フィルムに挟まれた光硬化性粘着シート6を基材レス両面粘着シートの形態で得た。
(評価)
上記の実施例及び比較例で得られた粘着シートを用いて、以下の評価を行った。評価方法を以下に示す。結果は表1に示した。
[貯蔵弾性率の評価]
照射前のせん断貯蔵弾性率G’については、TAインスツルメント社のARES GIIを用いて評価した。約1mmの厚さになるように積層した粘着シートをφ8mmに打ち抜き、初期ひずみ1%、周波数1Hz、昇温速度10℃/minで-50℃から150℃まで測定した時の25℃及び85℃におけるせん断貯蔵弾性率G’を読み取り、硬化前のせん断貯蔵弾性率G’(G’b25、G’b85)とした。
高圧水銀ランプ照射後の引張り貯蔵弾性率E’については、TAインスツルメント社のRSA GIIを用いて評価した。剥離フィルムに挟まれた状態の粘着シートに、高圧水銀ランプを積算光量3000mJ/cm2となるよう照射したものを約0.2mmの厚さになるように積層して、5mm幅に切り出し、初期長さ20mm、初期ひずみ0.1%、昇温速度10℃/minで-50℃から150℃まで測定した時の25℃および85℃における引張り貯蔵弾性率E’を読み取り、高圧水銀ランプ照射後の引張り貯蔵弾性率E’(E’a25、E’a85)とした。
本積算光量は、ピーク感度波長約350nmの工業用UVチェッカー(トプコン社製、商品名:UVR-T1、受光部型式UD-T36)による測定値である。
UV-LED照射後のせん断貯蔵弾性率G’については、剥離フィルムに挟まれた状態の粘着シートに、UV-LEDを積算光量800mJ/cm2(1分間)となるよう照射したものを約1mmの厚さになるように積層して、φ8mmに打ち抜き、硬化前と同様に評価して、UV-LED照射後のせん断貯蔵弾性率G’(G’a25、G’a85)とした。
本積算光量は、ピーク感度波長約410nmの工業用UVチェッカー(トプコン社製、商品名:UVR-T1、受光部型式UD-T40)による測定値である。
なお、比較例1の粘着シートは光硬化性を示さないため、硬化後の貯蔵弾性率G’、E’は評価していない。
[180°剥離力の評価]
180°剥離力は、JIS Z 0237に従って行った。具体的には、剥離フィルムに挟まれた状態の粘着シートの片側の剥離フィルムを剥ぎ、PET基材(商品名「T912E75(UE80)」、三菱ケミカル社製)に貼り合わせた。20mm幅に切り出し、他方の剥離フィルムを剥ぎ、アクリル板に貼り付けた。貼付方法は、2kgローラー1往復とした。貼付後15分以上経ってから180°ピールして、放射線照射前の180°剥離力(N/20mm)を測定した。引っ張り速度は300mm/minとした。
放射線照射後の180°剥離力(N/20mm)は、下記の各照射条件で照射した後、15分以上経ってから、上記と同様に評価した。
・高圧水銀ランプ:積算光量3000mJ/cm2
・UV-LED:積算光量4800mJ/cm2(6分間)
[透過率の評価]
粘着シートから一方の面の剥離フィルムを剥離し、露出面に無アルカリガラスを貼り合わせた。その後、粘着シートから他方の面の剥離フィルムを剥離して、無アルカリガラス板上に粘着シートが貼り合わせられた試料を得た。
JIS K7361で定める方法により、ヘイズメーター(村上色彩科学研究所社製、商品名「HN-150」)を用いて全光透過率を測定した。
[糊残りの評価]
上記180°剥離力試験後の被着体を目視で観察し、粘着剤の付着があるものを「糊残りあり」、付着がないものを「糊残りなし」と評価した。
光硬化性粘着シートである実施例1~4、比較例2は、高圧水銀ランプ照射後に貯蔵弾性率が上昇し、180°剥離力が低下しており、糊残りも観察されず、リワーク性が向上していることが分かる。一方、光硬化性を示さない粘着シートである比較例1は、糊残りが観察され、リワーク性に劣ることが分かる。
また、実施例1~4の光硬化性粘着シートは、UV-LED照射後の180°剥離力の低下は少なく、外光や青色の光半導体素子の光では硬化収縮は進行しにくく、被着体から剥離しにくい耐光性、耐久性に優れることが分かる。一方、比較例2の光硬化性粘着シートは、UV-LED照射後の180°剥離力は大幅に低下しており、外光や青色の光半導体素子の光で硬化収縮が進行し、被着体から剥離しやすくなることが分かる。
本発明のバリエーションを以下に付記する。
〔付記1〕放射線照射により硬化する粘着剤層を有し、
前記粘着剤層は、高圧水銀ランプ照射後の180°剥離力が11N/20mm以下であること特徴とする光硬化性粘着シート。
〔付記2〕前記粘着剤層は、UV-LED照射前後の180°剥離力の変化率が10%以内である、付記1に記載の光硬化性粘着シート。
〔付記3〕前記粘着剤層は、高圧水銀ランプ照射後の25℃における引張り貯蔵弾性率(E’a25)が400kPa以上である、付記1又は2に記載の光硬化性粘着シート。
〔付記4〕前記粘着剤層の波長200~400nmの透過率の最大値が、5%以上である、付記1~3のいずれか1つに記載の光硬化性粘着シート。
〔付記5〕前記粘着剤層は、厚み(μm)に対する高圧水銀ランプ照射後の25℃における引張り貯蔵弾性率(E’a25:kPa)の比(kPa/μm)が1~50である、付記1~4のいずれか1つに記載の光硬化性粘着シート。
〔付記6〕前記高圧水銀ランプで照射される光は、波長200~280nmの放射線を含む、付記1~5のいずれか1つに記載の光硬化性粘着シート。
〔付記7〕前記UV-LEDで照射される光は、波長350nm以上の放射線である、付記2~6のいずれか1つに記載の光硬化性粘着シート。
〔付記8〕基板と、前記基板上に配置された1以上の光半導体素子と、付記1~7のいずれか1つに記載の光硬化性粘着シートと、を備え、
前記光硬化性粘着シートが、前記光半導体素子を封止する、光半導体装置。
〔付記9〕自発光型表示装置である、付記8に記載の光半導体装置。
〔付記10〕付記9に記載の自発光型表示装置を備える画像表示装置。
〔付記11〕付記8~10のいずれか一つに記載の光半導体装置の前記基板と前記基板上に配置された1以上の光半導体素子から、前記光硬化性粘着シートを剥離する方法であって、
前記光硬化性粘着シートに、波長200~280nmの光を含む放射線を照射する工程、及び
前記硬化した光硬化性粘着シートを、前記基板と前記基板上に配置された1以上の光半導体素子から剥離する工程を含む、剥離方法。
〔付記12〕前記波長200~280nmの光を含む放射線が、高圧水銀ランプの照射による放射線である、付記11に記載の剥離方法。