前述した目的、特徴及び長所は、詳細に後述され、これによって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想を容易に実施することができる。本発明を説明するにあたり、本発明に係る公知の技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすると判断される場合には詳細な説明を省略する。
以下では、添付の図面を参照して、本発明による殺菌性銅酸化物の形成方法及び殺菌性銅系物品の好ましい実施例を詳説することとする。
図1は、ポリッシングされた銅プレートを平均温度27.8℃、平均相対湿度56%の百葉箱に置いたときの表面状態を示すものであって、(a)ポリッシングされた直後、(b)5週経過後、及び(c)10週経過後の写真を示したものである。
図1から分かるように、銅は、酸化しやすくて、銅が大気中に長時間露出すると、酸化により表面が変色するか剥離する。
図2は、ポリッシングされた銅プレートを250℃、300℃及び350℃で、3分、5分、10分、及び15分間放置したときの写真を示したものである。
図2を参照すると、高い温度で銅が早く酸化し、酸化層の厚さが増加するにつれて、表面の色が変化することが分かる。
図3は、ポリッシングされた銅プレートと、300℃で、10分間酸化させた銅プレートとを大気中に長時間露出したときの写真を示したものである。
図3を参照すると、(a)ポリッシング直後の写真と、(b)平均温度27.8℃、平均相対湿度56%の大気中に5週間放置したときの写真とを比較すると、銅を大気中に長時間露出させると、変色が起こり、銅との接合性に弱い酸化層が生成することが分かる。他方、(c)ポリッシングされた銅プレートを300℃で、10分間酸化させた直後の写真と、(d)これを平均温度27.8℃、平均相対湿度56%の大気中に5週間放置したときの写真と、(e)同一条件で10週間放置したときの写真と、を比較すると、高い温度で酸化させた銅は、大気中に長時間露出しているにもかかわらず、変色並びにさらなる酸化が起こっていないことが分かる。
すなわち、高温で意図的に生成させた銅酸化物(Cu2O)層は、変色と剥離を防止し、大気中に長時間露出しているにもかかわらず、変色、剥離が起っておらず、殺菌性を有する保護被膜としての適用が可能である。
図4は、銅酸化物(Cu2O)層の殺菌効果をテストした結果を示したものである。より具体的に、標準JIS Z 2801によって、(a)黄色葡萄状球菌(Staphylococcus aureus)及び(b)大膓菌(Escherichia coli)に対する殺菌テストを行った結果と、銅酸化物層を大気中に長時間露出した後、15分間、(c)黄色葡萄状球菌及び(d)大膓菌に露出させる方法により殺菌テストを行った結果を示したものである。
図4を参照すると、酸化した銅は、黄色葡萄状球菌及び大膓菌に接触したとき、菌を死滅する効果を有することが分かる。特に、図4の(c)及び(d)を参照すると、高温で酸化した銅を大気中に長時間露出させても、殺菌性が変化することなく、却って増加することが分かる。
図5は、高温で酸化した銅について消しゴム擦りテストを行った結果を示すものであって、試片等は、(A)、(E)250℃で3分、(B)、(F)250℃で15分、(C)、(G)300℃で10分、(D)、(H)350℃で3分間酸化されている。
消しゴム擦りテストは、試片(A)~(D)の場合、質量:500g、サイクル数:200サイクル、速度:60サイクル/分の条件で行っており、試片(E)~(H)の場合、質量:700g、サイクル数:1000サイクル、速度:60サイクル/分の条件で行っており、最終テスト後の試片等の写真を図5に示した。図5の(A)~(D)の四角点線部分は、(E)~(H)の拡大した部分に対応する。
図5を参照すると、消しゴム擦りテストを行った場合、高温で酸化した膜は、剥がれていることが分かる。
前述した図3並びに図5を参照すると、高温で生成された銅酸化物層は、大気中に長時間露出したときに生成された銅酸化物層に比べて、相対的に変色及び剥離に強いものの、比較的に少ない力でも表面が剥離する問題点を有すると言える。
図6は、(I)300℃の大気中で15分間酸化した銅試片、及び(J)300℃の大気中で24時間酸化した銅試片について、局所的な塑性変形を加えたときの顕微鏡写真を示したものである。局所的な塑性変形条件は、1Kg負荷を用いた硬度テストである。
図6を参照すると、高温酸化した銅表面に局所的な塑性変形を加えた場合、酸化膜のクラック(crack)と剥離(peeling)が発生していることが分かる。
すなわち、高温で形成された銅酸化物層は、自然酸化した銅酸化物層に比べて、相対的に良好な接合性を示すものの、比較的に少ない力でもクラック及び剥離などの現象が発生するところ、銅酸化物層の接合性を向上させる必要性が台頭する。
図7は、(a)250℃で3分間酸化した銅試片のSEM写真、(b)300℃で10分間酸化した銅試片のSEM写真、(c)これらX線回折分析の結果を示したものである。
図7を参照すると、高温で酸化した銅は、ほとんどの部分がCu2Oであるのが観察された。ところが、高温酸化の際に生成されたCu2Oは、粒状を有し、これは、図7の(b)でより明確に示される。高温酸化時に生成されたCu2Oが粒状を有するということは、銅表面と酸化物表面とが緻密かつ均一に結合されていないことを意味する。よって、銅酸化物と銅とが緻密に結合されていれば、接合性は増加するだろう。
銅或いは銅酸化物の場合、次のように殺菌性を有することが知られている。
Cu>Cu2O>CuO>>FexCuyS>CuS≒Cu5FeS4≒Cu5SO4(OH)6≒Cu2CO3(OH)2
すなわち、銅が殺菌性が最も高く、その次、Cu2O(赤色)、CuO(濃い灰色)の順に高い殺菌性を示す。但し、安定性の高いCuS、Cu5FeS4、Cu5SO4(OH)6、Cu2CO3(OH)2は、非常に低い殺菌性を示す。
銅を大気中に長時間放置したとき、様々な酸化物が生成されるものの、CuOとCu2O、特に、Cu2Oを生成させることが殺菌性に有利であると言える。Cu2Oは、低い温度、高い気圧で、それから低い気圧及び高い温度で良く生成されることが知られている。
上述したように、大気中に高温で生成される銅酸化物(Cu2O)層は、殺菌性を有しており、大気中に長時間露出しても殺菌性を維持し、耐変色性及びさらなる酸化抑制効果を有する。但し、銅酸化物層と銅との弱い接合性により、外部の力によってクラックが発生しやすいか剥離する問題点がある。この点、殺菌性を有する銅酸化物(Cu2O)層を銅に強く接合させて、実際に殺菌が求められる製品への応用を可能にする方法が求められる。
本発明の発明者らは、長い研究のあげく、銅酸化物を製造するため温度及び圧力の制御、特に、高温及び低圧(真空)で酸素が存在する条件で表面処理を行うと、純粋な銅表面又は銅を母材とした銅合金表面に、殺菌性に優れた銅酸化物を緻密に生成させる方法を見出した。
図8は、本発明の実施例による殺菌性銅酸化物の形成方法に用いられる酸化処理装置を概略的に示したものである。
図8に示された酸化処理装置は、ハウジング、気体流入口、ヒーター、及び真空ポンプを含む。
ハウジング内部には銅又は銅合金が配置される。図8には、水平型構造を有するチューブタイプのハウジングの例を示しているものの、垂直型構造を有するチャンバタイプのハウジングも用いることができる。ハウジングは、高温に耐えられるセラミックや金属材質から形成することができる。
銅又は銅合金が常温でハウジング内部に配置された状態で、昇温及び減圧を行うことができる。例えば、昇温が先に行われ、その後、減圧が行われてもよい。逆に、減圧が先に行われ、その後、昇温が行われてもよい。他の例として、昇温途中に減圧が行われてもよい。他の例として、ハウジング内部が昇温した状態で、銅又は銅合金がハウジング内部に投入され、その後、ハウジング内部の減圧が行われてもよい。さらに他の例として、ハウジング外部も真空に維持される場合、ハウジング内部が減圧された状態で、真空を破ることなく、銅又は銅合金がハウジング内部に投入され、その後に銅又は銅合金の昇温が行われてもよい。
気体流入口は、ハウジング内部に酸素を含む気体が流入する部分である。酸素を含む気体は、代表的に空気(Air)であってもよく、この他も、酸素ガスやオゾンガスのような他の酸素含有ガスを用いることができる。図8では、気体流入口がハウジングとポンプに繋がるラインに配置されている例を示しているが、気体流入口は、ハウジングのどちらに配置されても良い。
ヒーターは、銅又は銅合金を500℃以上に加熱するためのものである。図8では、ヒーティングコイル型ヒーターがハウジング外部に配置された例を示しているが、ヒーターは、銅又は銅合金が安着した部品に配置されるなど、異なる形態にハウジングの内部及び/又は外部に配置されていてもよい。
真空ポンプは、酸化中にハウジング内部の圧力を真空、例えば、1/1000atm以下の圧力に保持するためのものである。
本発明による殺菌性銅酸化物の形成方法は、銅又は銅合金を500℃以上の温度及び1atm未満の圧力下で酸化処理することを特徴とする。より具体的に、本発明による殺菌性銅酸化物の形成方法は、ヒーターと真空ポンプとを含む酸化処理装置内に銅又は銅合金を配置するステップと、前記銅又は銅合金の表面に殺菌性銅酸化物層が形成されるように、前記ヒーター及び前記真空ポンプの制御によって、銅又は銅合金を500℃以上及び真空下で酸化処理するステップとを含む。
本発明の対象となる銅母材は、無酸素銅、リン脱酸銅のような純粋な銅、銅を主成分とする合金であってもよい。
また、本発明の対象となる銅母材は、鋳造材であってもよいものの、これに制限されるものではない。例えば、銅母材は、塑性加工されたものであってもよい。塑性加工は、代表的に圧延であってもよい。この他も、塑性加工は、押出、引抜きなどであってもよい。
塑性加工が圧延である場合、圧延は、公知の熱間圧延や冷間圧延方式で行うことができる。熱間圧延では、銅母材の再結晶温度以上で圧延が行われるため、多量の加工変形を行いやすく、鍛造物のような良い性質を有する銅母材を形成することができる。冷間圧延の場合、銅母材の再結晶温度以下で行われ、精密な完成加工材料を得ようとする必要がある際に行われる。冷間圧延の場合、一般的に微細な組織に圧延方向に沿う方向性が生じる。
但し、熱間圧延を行うと、銅母材表面に所望していない酸化膜が生じ、その結果、後続表面処理工程での銅酸化物層の形成に悪影響を及ぼし得る点で、圧延は、冷間圧延方式で行うのがより好ましい。
圧延のような塑性加工によって板材、棒材、線材などを製造することができる。
一方、銅母材が塑性加工されたものである場合、表面処理初期に、銅母材上の基底のCu2O銅酸化物層は、塑性加工方向に沿う方向性を有して形成されていてもよく、銅と銅酸化物(Cu2O)は、化学結合しているものと言える。
本発明による殺菌性銅酸化物の製造方法において、ヒーターの作動によって酸化処理温度を制御することができる。酸化処理温度は、500℃以上、より具体的には、500℃以上の銅又は銅合金の溶融温度未満になり得る。酸化処理温度は、500~1000℃であるのがより好ましい。酸化処理温度が500℃未満である場合、0.5μm以上の十分な平均結晶粒サイズを有する銅酸化物を形成することができず、却って約200nm以下のサイズを有する粒に近い銅酸化物を形成して、銅との高い接合力を得にくい。
本発明による殺菌性銅酸化物の製造方法において、真空ポンプの作動によってハウジング内部の圧力、つまり酸化処理圧力を制御することができる。酸化処理圧力は、1atm未満の真空になり得る。酸化処理圧力は、1/1000atm以下であるのが好ましく、1/3000atm~1/10000atmであるのがより好ましい。酸化処理圧力が1atm未満である真空条件で、銅、もしくは銅合金との優れた接合性を有する銅酸化物を形成することができる。他方、酸化処理圧力が1atmでは、形成される銅酸化物が剥離しやすい問題点がある。
銅と銅酸化物層との接合性を高めるためには、銅酸化物層の構造が銅に類似する必要がある。銅は、FCC(Face-Centered Cubic)構造であるため、立方体(Cubic)構造を有するものが、銅と構造的類似性を有しており、それによって、原子間結合側の化学結合を成す可能性が高いため、銅酸化物層は、立方体構造を有するのが好ましい。これら立方体構造を有する銅酸化物は、Cu2Oであるため、銅酸化物の形成ステップでは、Cu2Oを形成するのが好ましい。
また、銅酸化物と銅とが接合される界面が広いほど、高い接合性を有するだろう。すなわち、銅酸化物が銅表面を最大限に広く覆えるように生成されると、銅と銅酸化物との接合性が増加するだろう。
一方、銅酸化物層の厚さが大き過ぎる場合、例えば、曲げ加工の際、クラックの発生や剥離に弱いため、銅酸化物層の平均厚さを5μm以下、好ましくは、4μm以下、さらに好ましくは、3μm以下に調節することが好ましい。
一方、殺菌性銅酸化物の製造時間は、銅酸化物が銅又は銅合金の表面をほぼ覆うことで、銅に対する銅酸化物の付着効果を最大限に高めるように、30分以上、 24時間以下であるのが好ましく、さらに外部の衝撃に対する剥離を抑制するという側面からは、12時間以下であるのが好ましく、6時間以下であるのがより好ましく、2時間以下であるのが最も好ましい。
銅又は銅合金の酸化処理のため、以下で例示する方法の昇温及び冷却プロセスを適用することができる。
先ず、目標とする温度、つまり500℃以上の温度までハウジング内部を昇温する。昇温速度は、例えば、10℃/分、20℃/分、30℃/分、50℃/分、100℃/分などであってもよい。
酸化処理後は、炉冷及び/又は空冷方式を適用することができる。例えば、700~1000℃で酸化処理される場合、約5~10℃/分の冷却速度で、600~700℃まで炉冷した後、常温まで空冷することができる。他の例として、酸化処理後、全区間空冷を適用することができる。
一方、殺菌性銅酸化物を形成するとき、ハウジング内部を500℃以上に昇温した状態で、酸化処理対象となる銅又は銅合金を酸化処理装置の内部に投入し、酸化処理装置の内部を減圧する方法を用いることができる。この場合、酸素が豊かな高温条件に銅又は銅合金の表面が露出し、銅又は銅合金の表面上に多くの酸化物の核生成を誘導することができる。減圧は、約20秒以上、例えば、30秒~1分間行うことができる。
他の方法として、殺菌性銅酸化物を形成するとき、銅又は銅合金が配置された酸化処理装置の内部を1atm未満に減圧した状態で、ハウジング内部を500℃以上に昇温して、酸化処理を開始することもできる。
本発明による殺菌性銅系物品は、銅又は銅合金からなる銅母材と、前記銅母材上に形成された銅酸化物層とを含む。
銅母材は、一般鋳造材であってもよい。代案として、銅母材は、予め定まった塑性加工方向に塑性加工されたものであってもよい。例えば、銅母材は、予め定まった圧延方向に圧延された圧延材であってもよい。
銅酸化物層は、Cu2Oを主成分(約70重量%以上)として含み、若干のCuOを含むことができる。他の例として、銅酸化物層は、Cu2Oのみからなっていてもよい。
銅酸化物層は、銅母材の上部に向かう垂直方向に沿う方向性を有して形成されていてもよい。一方、銅母材が塑性加工されたものである場合、銅酸化物層は、塑性加工方向並びに銅母材の上部に向かう方向に沿う方向性を有して形成されていてもよい。
このとき、銅酸化物層は、銅母材と半整合(semi-coherent)であってもよい。一般的に、界面を成す物質等の構造差が大きい場合、これらは整合(coherent)又は半整合(semi-coherent)であることができず、不整合(incoherent)界面を有するようになる。不整合界面の場合、界面での構造的エネルギーの増加によって、界面を成す物質等の間の高い接合性を達しにくい。これに反して、界面を成す物質等の構造差が少ない場合、半整合であり、界面を成す物質等の間の高い接合性を達することが容易である。銅がFCC構造を有しており、銅酸化物のうちCu2Oは、銅に類似する立方体(cubic)構造を有している。これにより、銅とCu2Oは、半整合であってもよく、結果として、高い接合性を達することができる。
図9は、銅と銅酸化物との間の界面関係を示したものである。
図9の高解像度の透過電子顕微鏡イメージ(HRTEM,high resolution transmission electron microscope)は、基地である銅と、前記銅上に位置したCu2Oとの間の界面を示す。そして、前記HRTEMイメージの右上段挿図(insert)は、前記界面におけるFFT(fast Fourier transformation)を示す。
図9では、9.0×10-2torr(約1.2/10000atm)の圧力及び980℃の温度で1時間酸化処理した銅試片を用いた。
前記FFTで示すように、基地であるCuと基地上のCu2Oは、特定の方位における結晶学的方向性を有する。
図10は、図9のFFTを示したものであって、銅と銅酸化物との間の半整合関係を示す。
図10によれば、基地であるCuと基地上のCu2Oとの界面構造をより明確に示す。具体的に考察すると、上記図面の矢印で表された幾何学的必須転位(Geometrically necessary dislocation:GND)が、基地であるCuの格子(lattice)と基地上のCu2Oとの間の界面に規則的に配列されている。そして、前記幾何学的必須転位を含む界面を境界として隣接した両相は、両方とも結晶格子(crystal lattice)における原子配列が一致する。よって、前記界面を境界として、格子の不一致は、一連の幾何学的必須転位の配列によって長範囲変形が行われていないまま、完全に収容され得る。結局、前記幾何学的必須転位の存在は、基地であるCuと基地上のCu2Oとの間の界面が半整合(semicoherent)界面であることを直接に示す。
また、銅酸化物層は、0.5μm以上の平均結晶粒サイズを有することができる。より具体的に、銅酸化物層は、1~30μmの平均結晶粒サイズを有することができる。自然酸化又は約250~300℃の低温で形成される酸化物の場合、一般的に、約200nm以下のサイズを有する粒に近い形態を有する。これに反して、本発明の場合、500℃以上の高温及び1atm未満の低圧で、銅酸化物の核生成及び成長によって、0.5μm以上の平均結晶粒サイズを有する銅酸化物層を形成することができる。
前記銅酸化物層の平均厚さは、5μm以下であるのが好ましい。前述したように、銅酸化物層の厚さが大き過ぎる場合、曲げ加工などにおける剥離やクラックの発生可能性が高い。
一方、銅酸化処理後は、成形及び/又は加工をさらに行うことができる。もちろん、銅酸化処理の前にも成形及び/又は加工をさらに行うことができる。
実施例
以下では、本発明の好ましい実施例によって、本発明の構成及び作用をさらに詳説することとする。但し、これは、本発明の好ましい例示として提示されたものであり、どのような意味でも、これによって本発明を制限するものと解釈してはならない。以下の実施例に記載していない内容は、この技術分野における熟練者であれば、技術的に充分類推することができるため、その説明を省略することとする。
本発明で用いられた銅プレートは、リン脱酸銅C1220(Cu含量99.90重量%以上)又は無酸素銅C1020(Cu含量99.95重量%以上)である。
幾つかの実験における銅プレートは、90%の面積減少率で冷間圧延されている。
また、酸化処理対象となる銅プレートは、約0.4μm径のシリカでポリッシング処理されたものを用いた。
前述したように、Cu2Oは、低い温度、高い気圧で、それから低い気圧及び高い温度で良く生成されることが知られている。このため本発明では、図8に示された殺菌性銅酸化物の製造装置を用いて、高温及び低圧で銅プレートを酸化しており、具体的な圧力及び酸素分圧(空気中の酸素分圧)は、次のとおりである。
ハウジング内圧力:8.3×10-2torr(1/10000atm)~760torr(1atm)
酸素分圧:1.6×10-2torr~152torr
[酸化処理条件による銅酸化物の特性評価]
図11は、ハウジング内部の圧力と温度を変化させて、1時間酸化させた銅(リン脱酸銅)の写真を示したものである。
図11を参照すると、ハウジング内部の圧力が1/1000atm以下である条件では、500~980℃の温度で、剥離なしに安定的な銅酸化物層が形成されることが分かる。他方、ハウジング内部の圧力が1atmである場合には、温度に関係なく、形成された銅酸化物層がほとんど剥離することが分かる。
よって、安定的な銅酸化物、特に、Cu2Oを形成するためには500℃以上、具体的に500~980℃で、1/1000atm以下、より好ましくは、1/3000~1/10000atmの条件で銅酸化物を形成するのが好ましいという結論を得ることができる。
また、図11を参照すると、酸化処理に適用される温度及び/又は圧力を変化させると、形成される銅酸化物層のカラーが異なることが分かる。酸化処理に適用される時間を変化させる場合も、同様の結果を得ることができる(例えば、図30)。すなわち、銅との接合性などを大きく阻害しない範囲で、温度、圧力、時間のような酸化処理条件を変化させることで、所望のカラーの殺菌性銅酸化物を形成することができる。
図12は、研磨したリン脱酸銅を様々な温度で酸化処理したときに形成された銅酸化物表面の顕微鏡写真を示したものである。図13は、研磨したリン脱酸銅を様々な温度で酸化処理したときに形成された銅酸化物の表面及び側面の顕微鏡写真を示したものである。
ハウジング内圧力は、1/10000atm(酸素分圧:1.9×10-2torr)であり、酸化処理温度は、700℃、800℃及び980℃であった。そして、酸化処理は、それぞれ1時間行われた。
図12及び図13を参照すると、700℃で酸化処理したときよりも、800℃、特に、980℃で酸化処理したときが、銅酸化物の結晶サイズが増加することが分かる。
また、図13を参照すると、酸化処理温度が増加すると、銅酸化物層の平均厚さが増加することが分かる。
すなわち、図12及び図13を参照すると、酸化処理温度が増加すると、銅酸化物の結晶サイズが増加し、銅酸化物層の平均厚さが増加するという結論を出すことができる。
図14は、研磨したリン脱酸銅を様々な時間の間に酸化処理したときに形成された銅酸化物表面の顕微鏡写真を示したものである。図15は、研磨したリン脱酸銅を様々な時間の間に酸化処理したときに形成された銅酸化物の表面及び側面の顕微鏡写真を示したものである。
ハウジング内圧力は、1/10000atm(酸素分圧:1.9×10-2torr)であり、酸化処理温度は、980℃であった。そして、酸化処理は、1時間、12時間及び24時間行われた。
図14及び図15を参照すると、酸化処理時間が増加すると、銅酸化物の結晶サイズが大きくなることが分かる。
一方、図12~図15を参照すると、銅酸化物の平均結晶粒サイズは、0.5μm以上であることが分かる。また、図12~図15を参照すると、銅酸化物の結晶サイズを増大させて、銅酸化物層の厚さを増大させるためには、酸化処理温度を高めるか酸化処理時間を増加させれば良く、酸化処理温度を高めながら酸化処理時間も増加させることが、より効率良い方法であるという結論を得ることができる。逆に、銅酸化物の結晶サイズを小さくして、銅酸化物層の厚さを小さくするためには、酸化処理温度を低くするか酸化処理時間を減少させれば良く、酸化処理温度を低くしながら酸化処理時間も減少させることが、より効率良い方法であるという結論を得ることができる。
[銅酸化物と銅との接合性評価]
銅酸化物と銅との接合性を評価するため消しゴムテスト、テープテスト及び曲げテストを行った。
テープテストは、ASTM D3359(接着力:9.9N/cm)に基づいてテープを着脱した後、表面を観察して、i)剥離面積を求めており、ii)下記の基準に基づいて0B~5Bと評価した。
5B:滑らかなcutting縁が保持される
4B:Coatingの小片が交差点で分離(5%未満剥離)
3B:角と切断部でcoatingが分離(5~15%剥離)
2B:縁と正方形の一部に沿ってcoatingが分離(15~35%剥離)
1B:一部は、方形が完全に分離(35~65%剥離)
0B:65%以上が剥離
曲げテストは、厚さtの銅プレートを定まった曲率半径(R)に曲げた後、曲げ部におけるクラックの発生有無を観察した。クラックが発生していない最小曲率半径に沿って、R/t=0、0.5、1.0などと評価しており、R/tが小さいほど、接合力に優れていると言える。
表1及び表2は、様々な条件で形成された銅酸化物層に対するテープテストの結果を示したものである。
表1及び表2を参照すると、高温条件で酸化するほど、さらに低圧条件で酸化するほど、銅酸化物と銅との接合特性により優れるという結論を得ることができる。また、500℃以上の温度と共に、1/3000atm~1/10000atmの圧力条件でより良好な付着特性を発揮することが分かる。
図16は、研磨したリン脱酸銅を様々な時間の間に酸化処理した後、曲げテストに対する結果を示す顕微鏡写真である。
ハウジング内圧力は、1/10000atm(酸素分圧:1.9×10-2torr)であり、酸化処理温度は、980℃であった。そして、酸化処理は、1時間、12時間及び24時間行われた。曲げテストの際、曲げ半径(R)は、プレートの厚さと同様にした(R/t=1)。
図16を参照すると、酸化時間が増加するにつれて剥離が発生することが分かり、980℃で24時間の条件で酸化処理された試片の場合、剥離が多少多いことが分かる。980℃で1時間の条件で酸化処理された試片の場合、クラック及び剥離がないことが分かる。
銅酸化物層の酸化処理時間は、30分~24時間であるのが好ましい。但し、酸化処理時間が長くなると、銅酸化物層の厚さ増加によって剥離に弱いことがあるため、かかる点で、特に、980℃のような高温で、酸化処理時間は、12時間以下であるのがより好ましく、2時間以下であるのがさらに好ましい。
図17は、研磨したリン脱酸銅を980℃及び様々な圧力で酸化処理した後、曲げテストに対する結果を示す顕微鏡写真である。
ハウジング内圧力は、1.2/10000、1/5000atm、1/3000atm、及び1/1000atmであり、酸化処理温度は、980℃であった。そして、酸化処理は、1時間行われた。曲げテストの際、曲げ半径(R)は、プレートの厚さと同様にした(R/t=1)。
図17を参照すると、1/1000atmの圧力を適用した試片における曲げテストの際、若干の剥離が発生しただけであり、1/1000atm未満の圧力を適用した試片等では、剥離が発生していない。
また、図17を参照すると、酸化処理の際、圧力が低いほど、これによって、酸素分圧が低いほど、酸化層の厚さが減少することが分かる。すなわち、銅酸化物層の平均厚さが14.9μmのように厚過ぎる場合、剥離の発生可能性が高くなるところ、銅酸化物層の平均厚さを5μm以下に調節することが好ましい。これは、酸化処理圧力を1/3000atm以下により低くするか、酸化処理時間を12時間以下にすることで達成可能である。
図18は、研磨したリン脱酸銅を800℃及び様々な圧力で酸化処理した顕微鏡写真である。図19は、図18の写真を高配率に拡大した顕微鏡写真である。
ハウジング内圧力は、1.2/10000、1/5000atm、1/3000atm、及び1/1000atmであり、酸化処理温度は、800℃であった。そして、酸化処理は、1時間行われた。
図18を参照すると、1/1000atm未満の圧力を適用したあらゆる試片において、銅酸化物層が均一かつ緻密に形成されたことが分かる。
また、図19を参照すると、形成された1/1000atm未満の圧力を適用したあらゆる試片の場合、1/1000atmを適用した試片に比べて、相対的に偏平(flat)に銅酸化物層が形成されることが分かる。
図20は、研磨したリン脱酸銅を800℃及び様々な圧力で酸化処理した後、曲げテストに対する結果を示す顕微鏡写真である。
ハウジング内圧力は、1/10000atm、1/5000atm、1/3000atm、及び1/1000atmであり、酸化処理温度は、800℃であった。そして、酸化処理は、1時間行われた。曲げテストの際、曲げ半径(R)は、プレートの厚さと同様にした(R/t=1)。
図20を参照すると、1/1000atmの圧力を適用した試片において、曲げテストの際に若干の剥離が発生しただけであり、1/1000atm未満の圧力を適用した試片等では、剥離が発生していない。
また、図20を参照すると、1/10000atmの圧力を適用した試片の酸化層の厚さは0.42μm、1/5000atmの圧力を適用した試片の酸化層の厚さは0.62μm、1/3000atmの圧力を適用した試片の酸化層の厚さは0.76μm、1/1000atmの圧力を適用した試片の酸化層の厚さは9.8μmを示している。すなわち、酸化処理の際、圧力が低いほど、これによって、酸素分圧が低いほど、酸化層の厚さが減少することが分かる。すなわち、酸化層の厚さが厚過ぎる場合、剥離の発生可能性は高くなるところ、銅酸化物層の平均厚さを5μm以下に調節することがより好ましい。
図21は、研磨したリン脱酸銅を1.2/10000atm及び様々な温度で酸化処理した後、曲げテストに対する結果を示す顕微鏡写真である。
ハウジング内圧力は、1.2/10000atmであり、酸化処理温度は、600℃、700℃、800℃であった。そして、酸化処理は、1時間行われた。曲げテストの際、曲げ半径(R)は、プレートの厚さと同様にした(R/t=1)。
図21を参照すると、R/t=1曲げテストにおけるあらゆる試片では、剥離が発生していない。これによって、1/10000atmの圧力を適用した場合、600℃~800℃で酸化処理すると、付着特性に優れた銅酸化物層を得ることができるという結論を得ることができる。
図22は、研磨したリン脱酸銅を1/5000atm及び様々な温度で酸化処理した後、曲げテストに対する結果を示す顕微鏡写真である。図23は、研磨したリン脱酸銅を1/3000atm及び様々な温度で酸化処理した後、曲げテストに対する結果を示す顕微鏡写真である。図24は、研磨したリン脱酸銅を1/1000atm及び様々な温度で酸化処理した後、曲げテストに対する結果を示す顕微鏡写真である。
ハウジング内圧力は、1/5000atm(図22)、1/3000atm(図23)、1/1000atm(図24)であり、酸化処理温度は、600℃、700℃、800℃であった。そして、酸化処理は、1時間行われた。曲げテストの際、曲げ半径(R)は、プレートの厚さと同様にした(R/t=1)。
図22~図23を参照すると、ハウジング内圧力が1/5000atm、1/3000atmである場合、先のハウジング内圧力が1.2/10000atmである場合と同様、600℃~800℃の全温度区間において、R/t=1曲げテストにおけるあらゆる試片では、剥離が発生していない。他方、図24を参照すると、ハウジング内圧力が1/1000atmである場合、600℃及び700℃の酸化処理の際、曲げテストにおける剥離は、発生していないものの、800℃の酸化処理の際は、一部の剥離が発生している。
表3は、様々な酸化処理条件で曲げテストを行ったとき、曲げ部の剥離有無を観察した結果を示したものである。
図21~図24、そして表3の結果からみるとき、酸化処理圧力が1/10000atm~1/3000atm、酸化処理温度が500℃~980℃、酸化処理時間が12時間以下に調節されるのがより好ましいという結論を出すことができる。
図25は、(a)銅又は銅合金が配置されたハウジング内部を減圧した後に昇温した条件、及び(b)ハウジング内部を昇温した後に、銅又は銅合金の投入及び減圧した条件の酸化物の核生成程度を示したものである。
図25を参照すると、昇温した後に銅又は銅合金の投入及び減圧した条件で、核生成が大きく増加していることが分かり、銅と銅酸化物との接合性により有利な条件であると言える。
図26は、ハウジング内部を減圧した後に昇温して酸化処理する条件で、銅を1時間酸化処理したときの写真を示したものである。700~980℃の全区間において、酸化物のクラック及び剥離が発生していないことが分かる。
図27は、ハウジング内部を昇温した後、銅又は銅合金の投入及び30初間の減圧条件で銅を酸化処理したときの写真を示したものである。800℃で1時間の酸化処理、980℃で1時間の酸化処理の場合、30秒以内の減圧からも、酸化物のクラック及び剥離が発生していない。但し、980℃で24時間の酸化処理の場合、若干の剥離が発生している。
図28は、様々な条件で酸化処理された銅試片等について、R/t約1の条件で曲げテストした結果を示したものである。
図28を参照すると、1atmで酸化処理した場合、全温度区間において、曲げ部にクラックが発生していることが分かる。他方、9.0×10-2torr(約1.2/10000atm)で、800℃で1時間酸化処理した試片並びに980℃で1時間酸化処理した試片等の場合、曲げテスト後にも剥離やクラックが観察されておらず、これから銅と銅酸化物との結合が非常に堅固であることが分かる。これら銅と銅酸化物との優れた接合力は、銅がFCC構造を有しており、銅酸化物がこれに類似する立方体構造を有しているため、銅と銅酸化物との間に半整合である接合界面等が複数形成されているからであると言える。銅と銅酸化物(Cu2O)との間の接合界面については、後述の表4に示した。
300℃で酸化処理した試片の場合、カラーが一定していないことからみるとき、均一でない銅酸化膜が形成されているものと言える。
一方、980℃で24時間酸化処理した試片の場合、真空下で行ったにもかかわらず、曲げ部にクラックが発生しているが、これは、24時間酸化処理しながら酸化物層が過度に厚く形成されたからである。
実際、980℃で、1.2/10000atmの条件で1時間酸化処理された試片は、約2.5μm程の平均厚さの銅酸化物層を形成したが、同じ条件で24時間酸化処理された試片は、約7.0μm程の平均厚さの銅酸化物層を形成した。これら7.0μm程の平均厚さの銅酸化物層は、曲げに耐えるには厚過ぎるため、本発明による酸化処理方法によって生成される銅酸化物層の平均厚さを5μm以下、より好ましくは4μm以下、さらに好ましくは3μm以下の厚さに調節することが好ましい。
図29aは、980℃で、1.2/10000atmで、1時間酸化処理したときのCuとCu2Oとの間の界面を示したものである。図29bは、980℃で、1.2/10000atmで、24時間酸化処理したときのCuとCu2Oとの間の界面を示したものである。
図29a及び図29bは、両方ともCuとCu2Oが半整合であることが分かる。
表4は、980℃で、1.2/10000atmで、1時間酸化処理したときのCuとCu2Oとの界面方向と、980℃で、1.2/10000atmで、24時間酸化処理したときのCuとCu2Oとの界面方向を示したものである。
図29a、図29b及び表4を参照すると、980℃で、1.2/10000atmで、1時間酸化処理したときと、980℃で、1.2/10000atmで、24時間酸化処理したときは、いずれも多数の界面方向から接合されることが分かる。特に、980℃で、1.2/10000atmで、1時間酸化処理したときは、CuとCu2Oがさらに多くの方向の界面等における半整合であるところ、相対的により高い接合性を示すことができる。
図30は、300℃で、1atmで、10分間酸化処理した銅試片と、980℃で、1.1/30000atmで、24時間酸化処理した銅試片の消しゴムテスト結果を示す写真である。
消しゴムテストは、500gfの力で分当たり60サイクルで計500サイクルを行っている。
図30を参照すると、300℃で、1atmで、10分間酸化処理した銅の場合、銅酸化物の剥離痕が明確に表されることが分かる。他方、980℃で、1.1/30000atmで、24時間酸化処理した銅の場合、剥離痕がほとんどないことが分かる。よって、高温低圧で酸化処理すると、銅との接合性に優れた銅酸化物を生成することができるという結論を出すことができる。
図31は、無酸素銅(左側)とリン脱酸銅(右側)を高温及び低圧条件で酸化処理したときの表面を示す顕微鏡写真である。
無酸素銅(C1020)及びリン脱酸銅(C1220)に対する酸化処理は、それぞれ1/10000atmで行われた。
図31を参照すると、同じ条件で酸化処理を行った場合も、酸化処理対象となる銅の種類によってやや異なる結果を示した。リン脱酸銅を酸化処理した場合が、無酸素銅を酸化処理した場合よりも、結晶サイズが小さく、核生成もより多く行われることが分かる。但し、銅と銅酸化物との半整合界面を有するため、接合性の側面から、いずれの銅の使用も好ましいと言える。
また、図30を参照すると、同じ温度及び圧力で酸化処理を行っても、酸化処理時間によって銅酸化物のカラーが異なることが分かる。
[塑性加工による銅酸化物の特性評価]
図32は、断面積減少90%の条件で圧延された無酸素銅について、(a)真空化した状態で、980℃に加熱して、1.2/10000atmで、12時間表面処理した場合と、(b)980℃に加熱した後に真空化して、1.2/10000atmで、1時間表面処理した場合の結果を示したものである。
図32の(a)の場合、CuとCu2Oとの間の界面が明確に区分されておらず、Cu2O層が緻密でないことが分かるが、これら結果は、表面処理初期の低圧に起因して、酸化物の核生成量が少なかったからであると言える。他方、図32の(b)の場合、表面処理の際、初期の高圧(例えば、大気圧)に起因して、多くの核生成があり、緻密なCu2O層が形成されたことが分かる。
図33~図36は、断面積減少90%の条件で圧延された無酸素銅について、980℃に加熱した後に真空化して、1.2/10000atmで、1時間表面処理した場合の顕微鏡写真を示したものである。
図33を参照すると、表面処理によって形成される銅酸化物(Cu2O)層は、銅母材の全体表面にわたって同じ結晶方向を有して形成されたことが分かる。
そして、図34を参照すると、結晶の一部は、Cuに結合され、かつ、結晶の一部は、Cu2Oに結合される。
また、図35及び図36の顕微鏡写真、IQ map及びIPF mapを参照すると、表面処理初期の基底Cu2O層は、銅表面上に圧延方向(RD[100])及び垂直方向(ND[100])に沿う方向性を有しながら形成されたことが分かる。
図37は、90%の面積減少率の条件で冷間圧延された銅母材(無酸素銅)上に980℃で、12時間表面処理して形成された銅酸化物層をナイフで剥離したときの表面写真及びIPF mapを示したものである。
図37を参照すると、酸化物層を強制に剥離するとき、銅母材表面に塑性変化が生じる程に高い接合性を有することが分かる。
また、無酸素銅のグレーンサイズは、15~20μmであり、無酸素銅の表面は、キューブテクスチャを表し、Cu100上にCu2O100が形成されたことが分かる。
以上のように、本発明について例示の図面を参照して説明したが、本発明は、本明細書で開示の実施例と図面によって限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内における通常の技術者にとって様々な変形を行えることは明らかである。さらに、本発明の実施例を前述しながら、本発明の構成による作用効果を明示的に記載して説明しなかったとしても、当該構成によって予測可能な効果も認めるべきであることは当然である。