JP7656418B2 - 肺炎マイコプラズマを検出する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、肺炎マイコプラズマを免疫測定法により検出する方法に関する。
呼吸器感染症は様々な原因微生物により引き起こされる疾患であり、インフルエンザウイルス、アデノウイルスなどが原因となるウイルス性呼吸器感染症と、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)、レジオネラ菌(Legionella pneumophila)、百日咳菌(Bordetella pertussis)などが原因となる細菌性呼吸器感染症に大別される。
肺炎マイコプラズマは非定型肺炎の代表的起因菌であり、特に小児、若年、成人に多く発症する。マイコプラズマ肺炎は乾いた激しい咳が長く続くことを特徴としており、初期の段階では一般の風邪との区別がつけにくい疾患とされている。肺炎マイコプラズマの感染にはマクロライド系の抗生物質が有効であるが、本薬剤は他の細菌性の肺炎には効果が弱い。逆に、他の細菌性肺炎に有効なセフェム系などの抗生物質は肺炎マイコプラズマには効果を示さない。そのため、マイコプラズマ肺炎を早期に診断することは重要である。
肺炎マイコプラズマ感染症の検査には、培養検査や遺伝子検査、抗体検査、抗原検査が挙げられる。培養検査は肺炎マイコプラズマ自体が特殊な培地でしか発育しないこと、手技が困難であり熟練を要するため限られた施設でしか検査できないことが現状であり、培養に約3週間の期間を要するため、迅速な判断には適さない。遺伝子検査にはPolymerase chain reaction(PCR)法や、Loop-mediated isothermal amplification(LAMP)法が知られているが、一般的に検体採取から判定まで数時間を要し、また専用の機器を要するために限られた施設でしか検査できない。さらに、抗体検査では、肺炎マイコプラズマに対する特異抗体を測定するが、期間をあけて採取したペア血清について測定して抗体価の推移をみなければならず、迅速な判断には適さない。ペア血清を必要としない抗体価迅速測定キットも市販されているが、偽陽性が多く信頼性に欠けるとされている。
抗原検査は、微生物に由来する標的抗原とそれを特異的に検出する抗体とを用いて微生物の存在有無を判定する検査方法であり、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA)、免疫蛍光アッセイ、免疫濁度アッセイ、ウエスタンブロッティング法、免疫沈降法、免疫クロマトグラフィーアッセイ、又はフローサイトメトリーアッセイが挙げられる。中でも、免疫クロマトグラフィー法による抗原検査は検査に特別な装置や手技を必要とせず、迅速性な判定が可能である。
肺炎マイコプラズマについての免疫クロマトグラフィー法による抗原検査としては、例えば、細胞内のリボソームタンパク質L7/L12、熱ショックタンパク質であるDnaK、細胞膜上の接着器官構成タンパク質であるP1タンパク質、P30タンパク質を標的抗原とするものが知られており、肺炎マイコプラズマを特異的に検出することが可能である。一方で、非特許文献1によれば、細胞内タンパク質、特にリボソームタンパク質L7/L12を標的抗原とした場合には死菌よりも生菌に対する感度が高いことが報告されている。
リボソームタンパク質L7/L12のような細胞内に存在する抗原を検出するためには、測定対象となる抗原に対する抗体の特異性の高さだけでなく、前処理を施し細胞を破砕することが必須である。細胞内の抗原を検出するために細胞を破砕する方法として、特許文献1は、ウシの乳房炎の起因菌の一つである、乳汁中に存在するブドウ球菌に対して、リゾスタフィン、イオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤を含有する溶菌剤を混合して溶菌することを開示する。さらに特許文献2は、検体に含まれる細菌を検出する方法であって、該検体とアルカリ溶液を接触させ、該検体に含まれる細菌の細胞内抗原をアルカリ溶液中に抽出し、検体抽出物を得る抽出工程と、該検体抽出物と中和液を接触させ中和物を得る中和工程と、該中和物を細菌の細胞内抗原に対する抗体を用いた免疫測定法に供し、該細胞内抗原を検出する検出工程と、を含み、該中和液が、該免疫測定法における偽陽性反応の抑制上有効な手段を含む方法であることを開示する。一方、肺炎マイコプラズマから細胞内抗原を抽出する方法として、特許文献3は肺炎マイコプラズマに対し、HLB値12~15のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンセチルエーテルを接触させて、抗原を抽出する方法を開示し、この方法により検体試料中の肺炎マイコプラズマを高感度かつ特異的に検出することができることが開示されている。しかしながら、非特許文献2によれば、肺炎マイコプラズマに関する従来のリボソームタンパク質L7/L12抗原検査では抗原の抽出のために2分間の静置が必要であり、操作性には改善の余地が残されている。
国際公開WO2015/093544(特許第6314156号) 特開2017-207333号公報 特開2014-167439号公報(特許第6150559号)
医学検査 vol69(1), 2020 30-35 Medical Science Digest vol40(10),2014 40-44
本発明は、検体に含まれる肺炎マイコプラズマから抗原を迅速にかつ効率よく抽出するための検体の処理方法、抽出した抗原を免疫測定により検出するための検査方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために、検体中の肺炎マイコプラズマを、イオン性界面活性剤を含む第一の試薬に接触させ、次いで非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬に接触させることにより、検体中の肺炎マイコプラズマから細胞内抗原を即時かつ効率的に抽出し、簡便・迅速かつ高感度に検出できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下を提供する。
[1] 検体に含まれる肺炎マイコプラズマを検出する方法であって、
(a)該検体を、アルカリ性を呈しないイオン性界面活性剤を含む第一の試薬に接触させ、中間組成物を得る工程、
(b)前記中間組成物を、非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬に接触させ、反応液を得る工程、及び
(c)前記反応液を、前記肺炎マイコプラズマの抗原に対する抗体を用いた免疫測定法に供し、該抗原を検出する検出工程
を含む、方法。
[2] 検体に含まれる肺炎マイコプラズマを検出する方法であって、
(a)該検体を、イオン性界面活性剤を含む第一の試薬に接触させ、中間組成物を得る工程、
(b)前記中間組成物を、非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬に接触させ、反応液を得る工程、及び
(c)前記反応液を、前記肺炎マイコプラズマの抗原に対する抗体を用いた免疫測定法に供し、該抗原を検出する検出工程
を含む、方法。
[3](a), (b), (c) をこの順番に行う、[1]または[2]に記載の方法。
[4]イオン性界面活性剤が、陽イオン性界面活性剤である、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]陽イオン性界面活性剤が、第4級アンモニウム塩である、[4]に記載の方法。
[6]第4級アンモニウム塩が、ジデシルジメチルアンモニウムアジペート、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、及び塩化ベンザルコニウムからなる群から選択されるいずれかである、[5]に記載の方法。
[7]第4級アンモニウム塩が、ジデシルジメチルアンモニウムアジペートである、[5]又は[6]に記載の方法。
[8]イオン性界面活性剤が、陰イオン性界面活性剤である、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[9]陰イオン性界面活性剤が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、又はドデシル硫酸ナトリウムである、[8]に記載の方法。
[10]イオン性界面活性剤が、両性界面活性剤である、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[11]両性界面活性剤が、3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホネート、3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-2-ヒドロキシプロパンスルホネート、及びラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインである、[10]に記載の方法。
[12]非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルからなる群から選択されるいずれかである、[1]から[11]のいずれか一項に記載の方法。
[13]非イオン性界面活性剤が、そのHLBが10.5~18.5である非イオン性界面活性剤である、[1]から[12]のいずれか一項に記載の方法。
[14]非イオン性界面活性剤が、そのHLBが12.5~16.7である非イオン性界面活性剤である、[1]から[13]のいずれか一項に記載の方法。
[15]非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(9)アルキル(sec-C11-15)エーテル、p-第三級-オクチルフェノキシポリエチルアルコール、ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、及びポリ(オキシエチレン)ソルビタンモノラウレートからなる群から選択されるいずれかである、[1]から[14]のいずれか一項に記載の方法。
[16]非イオン性界面活性剤が、ポリ(オキシエチレン)ソルビタンモノラウレートである、[1]から[15]のいずれか一項に記載の方法。
[17]下記のいずれかを満たす、[1]から[16]のいずれか一項に記載の方法。
・第一の試薬中におけるイオン性界面活性剤の濃度が、0.0025~0.10(w/v)%である
・前記反応液中におけるイオン性界面活性剤の濃度が、0.0017~0.067(w/v)%である
[18]下記のいずれかを満たす、[1]から[17]のいずれか一項に記載の方法。
・第二の試薬中における非イオン性界面活性剤の濃度が、0.5~3.0(w/v)%である
・前記反応液中における非イオン性界面活性剤の濃度が、0.17~1.0(w/v)%である
[19]前記第二の試薬を含浸させた試料添加用部材または滴下ノズルに備わっているフィルター中に、前記中間組成物を透過させることにより、前記中間組成物と第二の試薬を接触させる[1]から[18]のいずれか一項に記載の方法。
[20]前記抗原が、リボソームタンパク質L7/L12である、[1]から[19]のいずれか一項に記載の方法。
[21]前記免疫測定が、酵素結合免疫吸着アッセイ(enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA)、免疫蛍光アッセイ、免疫濁度アッセイ、ウエスタンブロッティング法、免疫沈降法、免疫クロマトグラフィーアッセイ、又はフローサイトメトリーアッセイである、[1]から[20]のいずれか一項に記載の方法。
[22]前記免疫測定法が、免疫クロマトグラフィーアッセイである、[1]から[21]のいずれか一項に記載の方法。
[23]前記検体が、咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液、又は喀痰である、[1]から[22]のいずれか一項に記載の方法。
[24]以下を含む、[1]から[23]のいずれか一項に記載の方法を実施するための、キット。
・イオン性界面活性剤を含む、第一の試薬
・非イオン性界面活性剤を含む、第二の試薬
本発明によれば、検体に含まれる肺炎マイコプラズマから抗原を抽出し、迅速・簡便・高感度に免疫測定にて抗原を検出できる。
免疫クロマトグラフィー装置の一例を示す断面模式図である。1は基材、2は標識抗体含浸部材、3はクロマト展開用膜担体、4は吸収用部材、5は試料添加用部材、6は細菌の細胞内抗原に対する抗体が固定された判定部、又は捕捉部位を示す。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明は検体に含まれる肺炎マイコプラズマを検出する方法であって、(a)該検体をイオン性界面活性剤を含む第一の試薬に接触させ中間組成物を得る工程、(b)前記中間組成物を非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬に接触させ、反応液を得る工程、及び(c)前記反応液を、肺炎マイコプラズマの抗原に対する抗体を用いた免疫測定法に供し、該抗原を検出する検出工程を含む検出方法を提供する。
(1) 抗原の抽出:工程(a)および(b)
〔検出対象菌〕
本発明は、肺炎マイコプラズマを検出するために用いられる。
〔抗原〕
本発明では、肺炎マイコプラズマに由来する抗原を検出する。抗原は、肺炎マイコプラズマに由来する様々なもの、例えば、細胞内のリボソームタンパク質L7/L12、熱ショックタンパク質であるDnaKや細胞膜上の接着器官構成タンパク質であるP1タンパク質、P30タンパク質が挙げられる。好ましくは、リボソームタンパク質L7/L12である。
なお、検出とは、検出対象菌又はそれに由来する抗原の存在の有無、又はその量を分析することをいう。したがって、検出の結果、検出対象菌又は抗原が検出されなかった場合も、検出された場合と同様、本発明の方法の実施に該当する。
〔検体〕
本発明における検体とは、肺炎マイコプラズマを含む可能性があるものであれば特に限定はされない。好ましくは咽頭、鼻、鼻腔、鼻咽腔などの上気道より採取することが可能な咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液、喀痰などに加え、血液や尿などが含まれる。より好ましくは咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液、又は喀痰であり、特に好ましい例は咽頭ぬぐい液である。
〔第一の試薬、第二の試薬〕
抗原の抽出は、2段階で行う。すなわち、(a)綿棒などにて採取された検体をイオン性界面活性剤を含む第一の試薬に接触させ、中間生成物を得、次いで(b)非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬に接触させ、反応液を得たのち、肺炎マイコプラズマの抗原に対する抗体を用いた免疫測定法に供し、該抗原を検出する。
〔界面活性剤〕
本発明の工程(a)で用いる第一の試薬は、イオン性界面活性剤を含有する。
界面活性剤とは、界面に作用して性質を変化させる物質のことをいい、構造としては分子中に親水性を示す親水基と親油性を示す疎水基を持つ。電離してイオンとなる界面活性剤をイオン性界面活性剤といい、イオンにならない界面活性剤を非イオン性界面活性剤という。イオン性界面活性剤はさらに、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤に分類される。
第一の試薬に用いることができる陽イオン性界面活性剤は、水に溶けたとき、疎水基のついている部分がプラス(正)イオンに電離する界面活性剤であればよく、構造的には第4級アンモニウム塩型(塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、よう化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、臭化ジアルキルジメチルアンモニウム、よう化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウムなど)とアルキルアミン塩型(モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩など)に分類される。本発明には、いずれも好適に用いることができる。好ましい例は、第4級アンモニウム塩型では、ジデシルジメチルアンモニウムアジペート、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、及び塩化ベンザルコニウムであり、より好ましくはジデシルジメチルアンモニウムアジペートである。
第一の試薬に、陽イオン性界面活性剤を用いる場合、その第一の試薬中の濃度は、検出のために有効な抽出率が確保される限り特に限定されない。例えば、下限としては、0.0010(w/v)%以上とすることができ、0.0025(w/v)%以上が好ましい。また、上限としては、0.50(w/v)%以下とすることができ、0.25(w/v)%以下が好ましく、0.10(w/v)%以下がより好ましい。範囲としては、例えば、0.0010~0.50(w/v)%とすることができ、0.0025~0.25(w/v)%が好ましく、0.0025~0.10(w/v)%がより好ましい。陽イオン性界面活性剤の反応液(第一の試薬+第二の試薬、検体の量は通常無視できるが場合により考慮してもよい。)中の濃度は、ここに記載している濃度を1/2~3/4倍、例えば2/3倍とした値である。具体的には、下限としては、0.00067(w/v)%以上とすることができ、0.0017(w/v)%以上が好ましい。また、上限としては、0.33(w/v)%以下とすることができ、0.17(w/v)%以下が好ましく、0.067(w/v)%以下がより好ましい。範囲としては、例えば、0.00066~0.33(w/v)%とすることができ、0.0017~0.17(w/v)%が好ましく、0.0017~0.067(w/v)%がより好ましい。
第一の試薬に用いることのできる陰イオン性界面活性剤は、水に溶けたときに、疎水基のついている部分がマイナス(負)イオンに電離する界面活性剤であればよく、構造的にはカルボン酸型(脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルサルコシン塩、N-アシルグルタミン酸塩など)、スルホン酸型(ジアルキルスルホこはく酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル(分岐鎖)ベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩-ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N-メチル-N-アシルタウリン塩など)、硫酸エステル型(アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、油脂硫酸エステル塩など)、リン酸エステル型(アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩など)に分類される。本発明には、いずれも好適に用いることができる。好ましい例は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、又はドデシル硫酸ナトリウムである。
第一の試薬に陰イオン性界面活性剤を用いる場合、その第一の試薬中の濃度は、検出のために有効な抽出率が確保される限り特に限定されない。例えば、下限としては、0.0010(w/v)%以上とすることができ、0.0025(w/v)%以上が好ましい。また、上限としては、0.50(w/v)%以下とすることができ、0.25(w/v)%以下が好ましく、0.10(w/v)%以下がより好ましい。範囲としては、例えば、0.0010~0.50(w/v)%とすることができ、0.0025~0.25(w/v)%が好ましく、0.0025~0.10(w/v)%がより好ましい。陰イオン性界面活性剤の反応液(第一の試薬+第二の試薬、検体の量は通常無視できるが場合により考慮してもよい。)中の濃度は、ここに記載している濃度を1/2~3/4倍、例えば2/3倍とした値である。具体的には、下限としては、0.00067(w/v)%以上とすることができ、0.0017(w/v)%以上が好ましい。また、上限としては、0.33(w/v)%以下とすることができ、0.17(w/v)%以下が好ましく、0.067(w/v)%以下がより好ましい。範囲としては、例えば、0.00066~0.33(w/v)%とすることができ、0.0017~0.17(w/v)%が好ましく、0.0017~0.067(w/v)%がより好ましい。
第一の試薬に用いることのできる両性界面活性剤は、水に溶けたとき、アルカリ性領域では陰イオン性界面活性剤の性質を、酸性領域では陽イオン性界面活性剤の性質を示す界面活性剤であればよく、構造的にはカルボキシベタイン型(アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタインなど)、2-アルキルイミダゾリンの誘導型(2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなど)、グリシン型(アルキルジエチレントリアミン酢酸、ジアルキルジエチレントリアミン酢酸など)、アミンオキシド型(アルキルアミンオキシドなど)に分類される。本発明には、いずれも好適に用いることができる。好ましい例は、3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホネート、3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-2-ヒドロキシプロパンスルホネート、及びラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインである。
第一の試薬に両性界面活性剤を用いる場合、その第一の試薬中の濃度は、検出のために有効な溶菌率が確保される限り特に限定はされないが、例えば0.010~0.10(w/v)%である。両性界面活性剤の反応液(第一の試薬+第二の試薬、検体の量は通常無視できるが場合により考慮してもよい。)中の濃度は、ここに記載している濃度を1/2~3/4倍、例えば2/3倍とした値である。具体的には下限としては、0.0067~0.067(w/v)%がより好ましい。
本発明の工程(b)で用いる第二の試薬は、非イオン性界面活性剤を含有する。
第二の試薬に用いることのできる非イオン性界面活性剤は、水に溶けたとき、イオン化しない親水基をもっている界面活性剤であればよく、構造的にはエステル型(グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステルなど)、エーテル型(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなど)、エステルエーテル型(脂肪酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなど)、アルカノールアミド型(脂肪酸アルカノールアミドなど)に分類される。本発明には、いずれも好適に用いることができる。好ましい例は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、又はポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルである。より特定すると、ポリオキシエチレン(8)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(5)アルキル(sec-C11-15)エーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(9)アルキル(sec-C11-15)エーテル、p-第三級-オクチルフェノキシポリエチルアルコール、ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、又はポリ(オキシエチレン)ソルビタンモノラウレートである。好ましくは、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(9)アルキル(sec-C11-15)エーテル、p-第三級-オクチルフェノキシポリエチルアルコール、ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、又はポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートであり、より好ましくは、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートである。
また第二の試薬に用いる非イオン性界面活性剤の選択に際しては、親水基と疎水基のバランスを表すhydrophile-lipophile balance(HLB)値を指標とすることができる。HLB値の算出方法としてはグリフィン法、アトラス法、デイビス法、及び川上法などが知られている。本発明の第二の試薬に用いる非イオン性界面活性剤としては、グリフィン法に基づくHLB値が、水中油型(oil in water O/W)エマルジョンの調製に適しているとされる8.0~18.5までのものを用いることができ、10.5~18.5のものが好ましく、12.5~16.7のものがより好ましい。グリフィン法に基づくHLB値は、20×親水基の式量の総和/分子量で求めることができる。
非イオン性界面活性剤の第二の試薬中の濃度は、下限として例えば免疫クロマトグラフィーアッセイを用いる場合は展開液の流れが確保される限り特に限定はされない。例えば、下限としては、0.10(w/v)%以上とすることができ、0.25(w/v)%以上が好ましく、0.50(w/v)%以上がより好ましい。また濃度の上限は、イオン性界面活性剤を含む第一の試薬による可溶化や、免疫反応における抗原抗体反応を著しく阻害しない程度であればよい。例えば、上限としては、10(w/v)%以下とすることができ、5.0(w/v)%以下が好ましく、3.0(w/v)%以下がより好ましい。範囲としては、例えば、0.10~10(w/v)%とすることができ、0.25~5.0(w/v)%が好ましく、0.5~3.0(w/v)%がより好ましい。非イオン性界面活性剤の反応液(第一の試薬+第二の試薬、検体の量は通常無視できるが場合により考慮してもよい。)中の濃度は、ここに記載している濃度を1/4~1/2倍、例えば1/3倍とした値である。具体的には、下限としては、0.033(w/v)%以上とすることができ、0.083(w/v)%以上が好ましく、0.17(w/v)%以上がより好ましい。また濃度の上限は、イオン性界面活性剤を含む第一の試薬による可溶化や、免疫反応における抗原抗体反応を著しく阻害しない程度であればよい。例えば、上限としては、3.3(w/v)%以下とすることができ、1.7(w/v)%以下が好ましく、1.0(w/v)%以下がより好ましい。範囲としては、例えば、0.033~3.3(w/v)%とすることができ、0.083~1.7(w/v)%が好ましく、0.17~1.0(w/v)%がより好ましい。
〔アルカリについて〕
本発明の第一の試薬は、アルカリ性を呈しないように構成することができる。本発明に関し、アルカリ性を呈しないとは、液性がアルカリ性(pHが11を超えること)とはならないようにすることを指す。アルカリ性を呈しない第一の試薬の液性は、弱アルカリ性(pHが8.0を超えて11.0以下であること)、又は中性(pHが、6.0~8.0であること)である場合がある。第一の試薬がアルカリ性を呈しないことにより、作業がより安全となる、中和の手間が不要である、第一の試薬のための容器の材質が限定されない(第一の試薬がアルカリ性を呈しなければ、材質が低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、EVA樹脂、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、発泡ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、アセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート、フッ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、又は不飽和ポリエステル樹脂である容器を、耐アルカリ性を考慮せずに使用可能である。一方、第一の試薬がアルカリ性を呈する場合、アルカリ保存に適した材質の容器を選択しないと長期保存時に偽陽性が発生する等、検査の精度に悪影響を及ぼす可能性がある。)、第一の試薬中で抽出される抗原の安定性を気にしなくてよい(変性などの問題を避けられる。)等のメリットがある。
第一の試薬、第二の試薬とも、目的の作用を発揮する限り、界面活性剤以外の他の物質を含んでいてもよい。
〔2段階操作〕
2段階操作は、第一の試薬と第二の試薬を、この順に、別々に(混合してではなく)用いる。
本発明の2段階の操作は、具体的には次のように実施することができる。検体が咽頭ぬぐい液の場合は、検体の付着した綿棒をイオン性界面活性剤を含む第一の試薬の入ったチューブに浸し、次いで非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬を添加することができる。また、第二の試薬は、免疫クロマトグラフィー装置を用いる場合は、予め滴下ノズルに備わっているフィルターや、装置の試料添加用部材(図1の例では5)や標識抗体含浸部材(図1の例では2)に浸漬したものを調製しておき、検体の付着した綿棒を浸した第一の試薬を、直接試料添加用部材に滴下してもよい。
必要に応じ第一の試薬と検体との接触は、環境温度において行うことができ、必要に応じ、タンパク質などの成分の劣化がより生じにくい冷却条件下で行ってもよい。接触は、細胞内抗原が十分抽出できる時間、例えば数秒~数時間行うことができ、接触の際には必要に応じ、撹拌、振とうを行ってもよい。
また本発明者らの検討に拠ると、第一の試薬と第二の試薬は順に用いればよく、間隔は特に限定されない。第一の試薬添加から第二の試薬添加の間の時間は、短くてよい。すなわち、迅速に検査できることも、本発明の方法のメリットである。
2段階操作により、高効率の溶菌と正確な免疫測定を両立できる。イオン性界面活性剤は電荷を帯びているため、同じく電荷を帯びているタンパク質との結合性が高いといえる。したがって、溶菌の観点からはイオン性界面活性剤を選択することは理にかなっているが、免疫測定の場合、イオン性界面活性剤は測定に用いる抗体とも結合性が高く、結果として抗原抗体反応を阻害する可能性が高くなる。本発明者らは、この問題に対して、特定の非イオン性界面活性剤を一定比率で加えることにより、イオン性界面活性剤による免疫反応阻害を抑制できることを見出した。その一方で、非イオン性界面活性剤の一定比率での添加操作は、原理的にイオン性界面活性剤の溶菌作用も低減させうるため、予め2種類の界面活性剤を混合すると溶菌が不十分となりうる。したがって溶菌時はイオン性界面活性剤単独で作用させることが重要である。
(2) 抽出した抗原の免疫測定:工程(c)
〔測定法の種類〕
本発明における抽出した抗原の測定方法としては特に限定されないが、抗原と抗体との分子間の結合反応を利用した抗原抗体反応を用いた免疫測定が望ましい。免疫測定方法としては、抗原抗体反応を酵素を利用して定量的に追跡し、抗原あるいは抗体を測定する酵素免疫定量法(enzyme immunoassay、EIA)や、抗原抗体反応を放射線同位体の助けで定量的に追跡し抗原あるいは抗体を測定する放射線免疫検定法(radioimmunoassay、RIA)がある。抗原と抗体の結合反応は一般的に特異性が高く、低濃度でも比較的容易に結合し、いったん結合すると比較的解離しにくい。このため何らかの方法で抗原抗体反応を定量化すると微量の抗原あるいは抗体を測定することができる。
本発明における免疫測定とは、各種の免疫学的測定方法のことであり、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA)、免疫蛍光アッセイ、免疫濁度アッセイ、ウエスタンブロッティング法、免疫沈降法、免疫クロマトグラフィーアッセイ又はフローサイトメトリーアッセイなどを挙げることができるが、これらに限定されることはない。免疫学的測定方法の実施に際し、非特異的な吸着を防ぐためのブロッキングのための物質や、対象菌種以外の菌との交差反応を防ぐための物質を用いてもよい。
〔ELISA法〕
本発明における酵素結合免疫吸着アッセイ(enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA)とは抗原抗体反応を利用したタンパク質などの物質測定法であり、固相に予め結合させておいた一次抗体に、抗原を含む試料を反応させた後、さらに酵素で標識した二次抗体を反応させて、結合しているかどうかを酵素活性を利用して測定する方法である。本方法は検出感度が高く、測定目的に合わせた数種類の方法があり、生化学・生物学的検査に幅広く用いられている。
以下にELISAによる抗原の検出方法の一例を示す。
(1)一次抗体の生理食塩水溶液を96穴プラスチックプレートのウェルに加えて静置しウェルの表面に一次抗体を吸着させる、(2)過剰の遊離一次抗体を洗い流し、さらにプラスチック表面を無関係の過剰量のタンパク質など(BSAやカゼイン)で処理し、以降の各種タンパク質の非特異的結合を防ぐためにブロッキングする、(3)測定したい抗原を含む被験体を加え一次抗体と反応させ、抗原抗体複合体を形成させる、(4)夾雑物を洗浄にて除去した後、ペルオキシダーゼ(HRP)で標識された二次抗体を添加し反応させる、(5)過剰のHRP標識二次抗体を洗浄にて除去し、(6)発色性の酵素基質であるTMBを添加し、(7)抗体に結合したHRPと反応させ有色の最終産物を形成し、(8)最終産物の特異的な吸収波長である450nmの吸光度を測定し、(8)予め検量物質の吸光度より作成している検量線より、目的とする抗原の濃度を算出する。
〔免疫クロマトグラフィー〕
本発明は、好ましい態様の一つにおいて、免疫クロマトグラフィー法(「免疫クロマト法」ということもある。)を利用した装置又はキットを用いる。キットは、免疫クロマトグラフィー装置を含み、それ以外に、上述の第一の試薬及び/又は第二の試薬を含んでいてもよい。キットはさらに、検体を採取するための用具、例えば綿棒、及び/又は吸引カテーテルを含んでいてもよい。 免疫クロマトグラフィー装置は、細菌の有無を判定するための判定部を有し、判定部上には抗原、例えばリボソームタンパク質L7/L12に対する抗体が固定される。キット又は免疫クロマトグラフィー装置は、固定化された抗体とは異なる部位と結合する抗体を用いるサンドイッチアッセイ(「サンドイッチ免疫アッセイ」ということもある。)を利用したものでもよい。
図1に、免疫クロマトグラフィー装置の断面模式図を示した。1は基材、2は標識抗体含浸部材、3はクロマト展開用膜担体、4は吸収用部材、5は試料添加用部材を示す。6は細菌に含まれる抗原と反応する抗体が固定された判定部、又は捕捉部位である。
標識抗体含浸部材には、好ましくは、検出対象となる抗原に対する抗体であって固定化された抗体とは異なる部位と結合する標識された抗体、又は抗原が保持されている。ここに、固定化された抗体とは異なる部位と結合する標識された抗体が保持されている場合には、サンドイッチアッセイ法により抗原を検出することができる。また、ここに標識された抗原が保持されている場合には、競合法により特定物質を検出することができる。本発明においては、検出感度が高く、陽性で抗体検出ラインが出現するサンドイッチアッセイ法の方が好ましいことから、ここには、固定化された抗体とは異なる部位と結合する標識された抗体が保持されていることが好ましい。
固定化された抗体とは異なる部位と結合する標識された抗体を保持させる場合には、それぞれの抗原に対し、判定部に固定化される抗体と、固定化された抗体とは異なる部位と結合する標識された抗体の、2種類の抗体を用いる。サンドイッチアッセイ法により抗原を検出することができるように、2種類の抗体は、一つの抗原に同時に結合することができる抗体であり、一方の抗体のエピトープは、他方の抗体が認識する抗原のエピトープとは異なることが好ましい。
標識としては、着色粒子、酵素、ラジオアイソトープなどが挙げられるが、特殊な設備不要で目視によって検出可能な着色粒子を使用することが好ましい。着色粒子としては、金や白金などの金属微粒子(金コロイド粒子、白金コロイド粒子ということもある。)、非金属粒子、ラテックス粒子などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。着色粒子は、試験片の空隙内を通って下流に輸送されることができるサイズであればいかなるサイズでもよいが、直径が1nmから10μmが好ましい。より好ましくは、5nmから1μmであり、さらに好ましくは10nmから100nmである。
免疫クロマトグラフィー装置は、公知の方法にて市販の材料を用いて作製することができる。装置の基材(図1の例では1)としては、入手のしやすさや安定性、安全性、成形性、及び滅菌性に優れるという点でポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタンなどの合成高分子、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸塩などの天然高分子自体ならびにそれを架橋した構造体や改質した構造体等の天然高分子誘導体、ヒドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニアなどの無機材料、ステンレス、チタン、アルミニウムなどの金属を用いることができる。中でも合成高分子や天然高分子誘導体が好ましい。また基材の形状としては平板、メッシュ、織布、不織布、スポンジ状構造体、3次元成型体(ブロック状)などで用いることができる。
標識抗体含浸部材(図1の例では2)に使用する材料は、免疫クロマトグラフィーを行えるものであれば特に限定されないが、好ましくは、セルロース誘導体などの繊維マトリックス、濾紙、ガラス繊維、布、綿などである。
判定部(図1の例では6)を含むクロマト展開用膜担体(図1の例では3)に使用する材料は、免疫クロマトグラフィーを行えるものであれば特に限定されないが、好ましくは、ニトロセルロース、混合ニトロセルロースエステル、ポリビニリデンフロライド、ナイロンなどである。
本発明において、クロマト展開用膜担体の判定部への抗体の固定化においては、膜担体表面に抗体分子が直接結合していてもよいし、又は活性基を介して結合していてもよい。膜担体から抗体分子又は活性基が膜担体表面に固定化された状態であれば、いずれの結合状態であってもよい。結合状態としては、共有結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、水素結合、又は疎水結合の単独、又はこれら複数の合力があげられる。特に抗体溶液と膜担体表面との単純な接触による物理的な吸着法は、簡便で本発明に特に好適に用いられる。また抗体の吸着後に膜担体表面を洗浄や乾燥させること、あるいは膜担体表面に抗体溶液を塗布後に水分を蒸発せしめて膜担体表面に抗体を固定化する方法も、本発明に極めて好適に使用することができる。
〔抗体の作製方法〕
本発明で用いる抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のいずれでもよいが好ましくはモノクローナル抗体である。
リボソームタンパク質L7/L12に対する抗体は、国際公開第00/06603号公報に記載の方法で作製することができる。抗体は、リボソームタンパク質L7/L12の全長タンパク質あるいはその部分ペプチドを抗原として用いて作製することができるが、全長タンパク質を抗原として作製することが好ましい。この部分ペプチドあるいは全長タンパク質をそのまま、又はキャリアタンパク質と架橋した後必要に応じてアジュバントとともに動物へ接種せしめ、その血清を回収することでリボソームタンパク質L7/L12を認識する抗体(ポリクローナル抗体)を含む抗血清を得ることができる。また抗血清より抗体を精製して使用することもできる。接種する動物としてはヒツジ、ウマ、ヤギ、ウサギ、マウス、ラットなどであり、特にポリクローナル抗体作製にはヒツジ、ウサギなどが好ましい。また、抗体としてはハイブリドーマ細胞を作製する公知の方法により取得したモノクローナル抗体を適用することがより好ましいが、この場合はマウスが好ましい。当該モノクローナル抗体として、特定の細菌のリボソームタンパク質L7/L12と反応し、特定の細菌とは異なる種に属する細菌、又は異なる属に属する細菌のリボソームタンパク質L7/L12とは反応しないモノクローナル抗体をスクリーニングすることにより、当該細菌による感染症にかかっているかどうかの診断に役立てることが可能となる。リボソームタンパク質L7/L12抗原以外の細胞内抗原を抗原として用いる場合も、同様に抗体を作成することができる。なお以下では、本発明を、リボソームタンパク質L7/L12抗原を検出する態様を例に説明することがあるが、その説明は、当業者であれば、リボソームタンパク質L7/L12以外の細胞内抗原を抗原として用いる場合にも適宜あてはめて理解することができる。
(3) 本発明の利点
本発明を用いることにより、肺炎マイコプラズマから細胞内抗原を即時かつ効率的に抽出し、簡便・迅速かつ高感度に検出できる。具体的には呼吸器感染症状を呈する患者から咽頭ぬぐい液を綿棒にて採取し、検体の付着した綿棒をイオン性界面活性剤を含む第一の試薬の入ったチューブに浸し、次いで非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬を添加して検査用のサンプルとし、肺炎マイコプラズマの有無を検査することができる。
本発明の実施例を以下に詳細に述べるが、本発明は何らこれにより限定されるものではない。
〔実施例1:菌体の調製〕
Mycoplasma Pneumoniae FH株(ATCC15531)またはM129株(ATCC29342)をPPLOブロス(ウマ血清、新鮮酵母エキス、ブドウ糖、酢酸タリウム、ペニシリンG含有)に接種し、37℃にて好気培養したものを試験菌液として用いた。
〔実施例2:肺炎マイコプラズマのRibosomal Protein L7/L12に対するモノクローナル抗体の作製〕
特許第6150559号に記載の方法にて、Mycoplasma PneumoniaeのRibosomal Protein L7/L12との反応陽性を示すハイブリドーマMPRB-A細胞とハイブリドーマMPRB-B細胞の2クローンを取得し、定法に従ってモノクローナル抗体AMMP-AとAMMP-Bを生産回収した。
AMMP-A抗体とAMMP-B抗体は、Mycoplasma Pneumoniae Ribosomal Protein L7/L12中の抗体認識部位が異なる独立した抗体であり、Mycoplasma Pneumoniae Ribosomal Protein L7/L12を抗原としたサンドイッチELISA法にて該抗原が存在した場合に検出することができる組合せの抗体群である。
〔実施例3:免疫クロマトグラフィー装置の作製〕
(1)標識抗体含浸部材
金コロイド分散液(BBI社製:60nm)にリン酸緩衝液(pH6.2)を混合し、100μg/mLになるように調整したAMMP-Bを加え撹拌後、金コロイド標識するモノクローナル抗体AMMP-Bを100μg/mL加え室温で30分間静置し、この抗体を金コロイド粒子表面に結合させた後、金コロイド溶液における最終濃度が1%となるように10%ウシ血清アルブミン(BSA)(メルク社製)水溶液を加え、この金コロイド粒子の残余の表面をBSAでブロッキングして、金コロイド標識したモノクローナル抗体AMMP-B(以下、「金コロイド標識抗体」と記す)溶液を調製した。この溶液を遠心分離(14,000~15,000g、10~60分間)して金コロイド標識抗体を沈殿せしめ、上清液を除いて金コロイド標識抗体を得た。この金コロイド標識抗体を0.25%BSA、2.5%スクロース、35mM NaClを含有する20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.2)に懸濁して金コロイド標識抗体溶液を得た。17mm×300mmの帯状のグラスファイバーパットに、金コロイド標識抗体溶液2mLを含浸せしめ、これを室温で乾燥させて標識抗体含浸部材とした。
(2)クロマト展開用膜担体
25mm×300mmのニトロセルロース膜(Sartorius社、商品名:UniSart CN140)をクロマトグラフ媒体のクロマト展開用膜担体として用意した。金コロイド標識抗体と抗原の複合体を捕捉するためのモノクローナル抗体AMMP-Aを、3%トレハロース(富士フイルム和光純薬社製)、0.1M リン酸ナトリウム緩衝液 (pH 8.0)にて希釈し1.5 mg/mLに調製した。調製した抗体溶液を、このクロマト展開用膜担体におけるクロマト展開開始点側の末端から10mmの位置に1μL/cmでライン状に塗布して、これを50℃で一晩乾燥させた。乾燥後、0.5(w/v)%スクロース(富士フイルム和光純薬社製)、0.05(w/v)%コール酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬社製)を含むトリス緩衝液(pH8.0)にて洗浄し、38℃で3時間乾燥させ固定化メンブレンを作製した。
(3)免疫クロマトグラフィー装置の作製
接着層を持つバッキングシート(Adhesives Research Inc.製)からなる基材に上記作製した標識抗体含浸部材、上記クロマト展開用膜担体の他に、試料を添加する部分に用いる試料添加用部材(旭化成社製、商品名:NE107)、展開した試料や余剰金コロイド標識抗体を吸収するための吸収用部材を貼り合わせた。そして、裁断機を用いて4mmの幅になるように裁断し、免疫クロマトグラフィー装置を作製した。
〔実施例4:免疫クロマトグラフィー法による肺炎マイコプラズマの検出におけるイオン性界面活性剤の効果〕
Mycoplasma PneumoniaeのRibosomal Protein L7/L12検出免疫クロマトグラフィー装置における最適な界面活性剤を探索するために、イオン性界面活性剤の性能を比較した。また、対照として第一の試薬に非イオン性界面活性剤を使用した場合の効果も比較した。
[第一の試薬の調製]
下記の試薬成分を記載の濃度となるように精製水に溶解し、第一の試薬を調製した。
0.03(w/v)% 表1に示す各イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤
[第二の試薬の調製]
下記の組成となるように第二の試薬を調製した。
0.15M リン酸緩衝液(pH7.5)
2(w/v)% BSA(メルク社製)
0.05(w/v)% アジ化ナトリウム(ナカライテスク社製)
3(w/v)% ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(富士フイルム和光純薬社製)
[陽性検体液の調製]
実施例1にて作成したMycoplasma Pneumoniae試験菌液(M129株)を、生理食塩水(大塚製薬工場社製)で30倍に希釈し、陽性検体液を調製した。
[測定試料の調製]
陽性検体液を、下記の工程1から4のいずれかの工程で処理し、測定試料を調製した。
≪工程1:検体を第一の試薬で処理した後に第二の試薬を添加する工程≫
陽性検体液20μLを第一の試薬300μLに添加し混合後、第二の試薬150μLをさらに添加して混合したものを工程1の測定試料とした。
≪工程2:検体を第一の試薬と第二の試薬の混合溶液で処理する工程≫
第一の試薬300μLと第二の試薬150μLを混合し混合溶液を調製し、混合溶液に対して陽性検体液20μLを添加して混合したものを工程2の測定試料とした。
≪工程3:検体を第一の試薬のみで処理する工程≫
第一の試薬450μLに対して陽性検体液20μLを添加して混合したものを工程3の測定試料とした。
≪工程4:検体を第二の試薬のみで処理する工程≫
第二の試薬450μLに対して陽性検体液20μLを添加して混合したものを工程4の測定試料とした。
[測定]
各測定試料120μLを免疫クロマトグラフィー装置の試料添加用部材上に滴下し、15分後に目視判定を行った。
[結果]
表1に結果を記載した。判定部上にシグナルが確認できなかったものを-とし、弱いシグナルを確認できたものを±、シグナルを確認できたものを+とした。
工程1で処理した測定試料はシグナルを確認することができたが、工程2および工程4で処理した測定試料ではシグナルが観測されなかったことから、検体とイオン性界面活性剤を含む第一の試薬が接触した後に、非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬を添加することが重要であることが推測された。また、工程3で処理した測定試料では免疫クロマトグラフィー装置上を液が展開せず測定不能であったことから、免疫クロマトグラフィー装置上を展開し、抗原抗体反応を進行させるためには、非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬を添加することが重要であると推測された。
また、工程1で処理した測定試料については、表1に示す全てのイオン性界面活性剤で判定部上にシグナルを確認することができた。表1に示す通り、第一の試薬に非イオン性界面活性剤を使用した場合判定部上にシグナルを確認することができなかった、もしくは確認されたシグナルが弱かったことから、第一の試薬にイオン性界面活性剤を用いることが重要であると推測された。
Figure 0007656418000001
〔実施例5:イオン性界面活性剤の使用濃度について〕
Mycoplasma PneumoniaeのRibosomal Protein L7/L12検出免疫クロマトグラフィー装置における、イオン性界面活性剤の濃度の影響を検討した。
[第一の試薬の調製]
表2に記載の各イオン性界面活性剤を表2に記載の濃度となるように精製水に溶解し、第一の試薬を調製した。
[第二の試薬の調製]
実施例4と同一の組成となるように第二の試薬を調製した。
[陽性検体液の調製]
実施例1にて作成したMycoplasma Pneumoniae試験菌液(FH株)を、生理食塩水(大塚製薬工場社製)で100倍に希釈し、陽性検体液を調製した。
[測定試料の調製]
陽性検体液20μLを第一の試薬300μLに添加し混合後、第二の試薬150μLをさらに添加して混合したものを測定試料とした。
[測定]
各測定試料120μLを免疫クロマトグラフィー装置の試料添加用部材上に滴下し、15分後に目視判定を行った。
[結果]
表2に結果を示す。判定部上にシグナルが確認できなかったものを-とし、弱いシグナルを確認できたものを±、シグナルを確認できたものを+、よりシグナルが強いものに関しては++とした。表2に示す全てのイオン性界面活性剤について、0.0025~0.1(w/v)%の濃度範囲において、判定部上にシグナルを確認することができた。
Figure 0007656418000002
〔実施例6:イオン性界面活性剤による抽出時間に関する検討〕
イオン性界面活性剤を添加後、Mycoplasma PneumoniaeのRibosomal Protein L7/L12を抽出するために必要な抽出時間に関して検討した。
[第一の試薬の調製]
下記の試薬成分を記載の濃度となるように精製水に溶解し、第一の試薬を調製した。
0.03(w/v)% 表3に示す各イオン性界面活性剤
[第二の試薬の調製]
実施例4と同一の組成となるように第二の試薬を調製した。
[陽性検体液の調製]
実施例1にて作成したMycoplasma Pneumoniae試験菌液(FH株)を、生理食塩水(大塚製薬工場社製)で50倍に希釈し、陽性検体液を調製した。
[測定試料の調製]
陽性検体液20μLを第一の試薬300μLに添加し混合後、直ちに第二の試薬150μLをさらに添加して混合したものと、陽性検体液20μLを第一の試薬300μLに添加し1分間、2分間、5分間、15分間静置したのち、第二の試薬150μLをさらに添加して混合したものをそれぞれ測定試料とした。
[測定]
各測定試料120μLを免疫クロマトグラフィー装置の試料添加用部材上に滴下し、15分後に目視判定を行った。
〔比較例:非イオン性界面活性剤による抽出時間に関する検討〕
0.1(w/v)%のアジ化ナトリウム(ナカライテスク社製)を含むTris・HCl緩衝液(pH7.5)100mLに0.5(w/v)%となるようにポリオキシエチレンセチルエーテル(Sigma-Aldrich社製、商品名:Brij58)を加えた試薬を調製し、陽性検体液20μLを上記試薬450μLに添加して混合した以外は実施例6と同様の方法で試験を実施した。
[結果]
表3に結果を記載した。表3に示す通り、実施例の方法は抽出時間を必要とせず、イオン性界面活性剤を含む第一の試薬を添加後、ただちに抽出が可能であることが判明した。一方比較例の方法では検体と試薬の混合直後では、確認されるシグナルが弱いことが判明した。
Figure 0007656418000003
〔実施例7:免疫クロマトグラフィー法による肺炎マイコプラズマの検出における非イオン性界面活性剤の効果〕
Mycoplasma PneumoniaeのRibosomal Protein L7/L12検出免疫クロマトグラフィー装置における最適な界面活性剤を探索するために、非イオン性界面活性剤の性能を比較した。
[第一の試薬の調製]
下記の試薬成分を記載の濃度となるように精製水に溶解し、第一の試薬を調製した。
0.03(w/v)% 表4に示す各イオン性界面活性剤
[第二の試薬の調製]
下記の組成となるように第二の試薬を調製した。
0.15M リン酸緩衝液(pH7.5)
2(w/v)% BSA(メルク社製)
0.05(w/v)% アジ化ナトリウム(ナカライテスク社製)
3(w/v)% 表4に示す各非イオン性界面活性剤
[陽性検体液の調製]
実施例1にて作成したMycoplasma Pneumoniae試験菌液(FH株)を、生理食塩水(大塚製薬工場社製)で100倍に希釈し、陽性検体液を調製した。
[測定試料の調製]
陽性検体液20μLを第一の試薬300μLに添加し混合後、第二の試薬150μLをさらに添加して混合したものを測定試料とした。
[測定]
各測定試料120μLを免疫クロマトグラフィー装置の試料添加用部材上に滴下し、15分後に目視判定を行った。
[結果]
表4に結果を記載した。判定部上にシグナルが確認できなかったものを-、弱いシグナルが確認できたものを±、シグナルを確認できたものを+とし、より強いシグナルが確認できたものを++とした。表4には非イオン性界面活性剤のHLB値も併せて示す。
表4に示すように、HLB値10.5~18.5の非イオン性界面活性剤のいずれかを第二の試薬として用いることで、判定部上にシグナルを確認することができた。
Figure 0007656418000004
〔実施例8:非イオン性界面活性剤の使用濃度について〕
Mycoplasma PneumoniaeのRibosomal Protein L7/L12検出免疫クロマトグラフィー装置における、非イオン性界面活性剤の濃度の影響について調査した。第一の試薬中に含まれるイオン性界面活性剤とその濃度、第二の試薬中に含まれる非イオン性界面活性剤とその濃度を表5に示すとおりに変更した以外は、実施例7と同様にして測定を行った。
[結果]
表5に結果を示す。判定部上にシグナルが確認できなかったものを-、弱いシグナルが確認できたものを±、シグナルを確認できたものを+とし、より強いシグナルが確認できたものを++とした。また、エマルゲン705(花王社製)を10(w/v)%で使用した場合、クロマト展開用膜担体上に金コロイド標識抗体が滞留し、判定部がいわゆる白抜けする現象が観察されたため、測定不能とした。
表5から明らかな通り、HLB値が10.5~18.5の範囲にある非イオン性界面活性剤について、0.25~3(w/v)%の濃度範囲において、判定部上にシグナルを確認することができた。また、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートについては、確認したいずれの濃度においても判定部上に強いシグナルを確認することができた。
Figure 0007656418000005
〔実施例9:第一の試薬と第二の試薬の混合方法について〕
Mycoplasma PneumoniaeのRibosomal Protein L7/L12検出免疫クロマトグラフィー装置における第一の試薬と第二の試薬の混合方法を検討した。
[第一の試薬の調製]
下記の試薬成分を記載の濃度となるように精製水に溶解し、第一の試薬を調製した。
0.03(w/v)% 表6に示す各イオン性界面活性剤
[第二の試薬の調製]
下記の組成となるように第二の試薬を調製した。
0.15M リン酸緩衝液(pH7.5)
2(w/v)% BSA(メルク社製)
0.05(w/v)% アジ化ナトリウム(ナカライテスク社製)
3(w/v)% ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(富士フイルム和光純薬社製)
[陽性検体液の調製]
実施例1にて作成したMycoplasma Pneumoniae試験菌液(FH株)を、生理食塩水(大塚製薬工場社製)で100倍に希釈し、陽性検体液を調製した。
[測定試料の調製]
陽性検体液を、下記の工程1から3のいずれかの工程で処理し、測定試料を調製した。
≪工程1:第二の試薬を溶液として混合する工程≫
陽性検体液20μLを第一の試薬300μLに添加し混合後、第二の試薬150μLをさらに添加して混合したものを工程1の測定試料とした。
測定に使用する免疫クロマトグラフィー装置は、実施例3と同様の方法で作製したものを使用した。
≪工程2:第二の試薬を免疫クロマトグラフィー装置の試料添加用部材に浸漬する工程≫
陽性検体液20μLを第一の試薬300μLに添加し混合後、精製水150μLをさらに添加して混合したものを測定試料とした。
測定に使用する免疫クロマトグラフィー装置は、17mm×150mmの帯状のグラスファイバーパッドに第二の試薬1.5mLを含浸せしめ、これを室温で真空乾燥させることにより、第二の試薬を含む試料添加用部材を作製した。工程2においては、この第二の試薬を含む試料添加用部材を使用するほかは実施例3と同様の方法で免疫クロマトグラフィー装置を作製した。
≪工程3:第二の試薬を免疫クロマトグラフィー装置の検体濾過部に浸漬する工程≫
滴下ノズルに装着している直径7mmのPVAスポンジフィルターに第二の試薬0.15mLを含浸せしめ、これを室温で真空乾燥させ、第二の試薬を含む滴下ノズルを作製した。
陽性検体液20μLを第一の試薬300μLに添加し混合後、精製水150μLをさらに添加して混合し、第二の試薬を含む滴下ノズルを透過させたものを測定試料とした。
測定に使用する免疫クロマトグラフィー装置は、実施例3と同様の方法で作製したものを使用した。
[測定]
各測定試料120μLを免疫クロマトグラフィー装置の試料添加用部材上に滴下し、15分後に目視判定を行った。
[結果]
表6に結果を記載した。判定部上に弱いシグナルが確認できたものを±、シグナルを確認できたものを+とし、より強いシグナルが確認できたものを++とした。
表6に示すように、工程1、工程2、工程3のいずれの場合においても、判定部上に強いシグナルを確認することができた。
Figure 0007656418000006
本発明は、肺炎マイコプラズマによる呼吸器感染症の診断において利用することができる。
1 基材
2 標識抗体含浸部材
3 クロマト展開用膜担体
4 吸収用部材
5 試料添加用部材
6 判定部、又は捕捉部位

Claims (17)

  1. 検体に含まれる肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma Pneumoniae)を検出する方法であって、
    (a)該検体を、イオン性界面活性剤を含み、非イオン性界面活性剤を含まず、アルカリ性を呈しない第一の試薬に接触させ、中間組成物を得る工程、
    (b)前記中間組成物を、非イオン性界面活性剤を含む第二の試薬に接触させ、反応液を得る工程、及び
    (c)前記反応液を、肺炎マイコプラズマの抗原に対する抗体を用いた免疫測定法に供し、該抗原を検出する検出工程
    を含む、方法。
  2. イオン性界面活性剤が、陽イオン性界面活性剤である、請求項1に記載の方法。
  3. 陽イオン性界面活性剤が、第4級アンモニウム塩である、請求項に記載の方法。
  4. 第4級アンモニウム塩が、ジデシルジメチルアンモニウムアジペート、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、及び塩化ベンザルコニウムからなる群から選択されるいずれかである、請求項に記載の方法。
  5. 第4級アンモニウム塩が、ジデシルジメチルアンモニウムアジペートである、請求項又はに記載の方法。
  6. イオン性界面活性剤が、陰イオン性界面活性剤である、請求項1に記載の方法。
  7. 陰イオン性界面活性剤が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムまたはドデシル硫酸ナトリウムである、請求項に記載の方法。
  8. (b)の非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルからなる群から選択されるいずれかである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  9. (b)の非イオン性界面活性剤が、そのHLBが10.5~18.5である非イオン性界面活性剤である、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  10. (b)の非イオン性界面活性剤が、そのHLBが12.5~16.7である非イオン性界面活性剤である、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  11. (b)の非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(9)アルキル(sec-C11-15)エーテル、p-第三級-オクチルフェノキシポリエチルアルコール、ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、及びポリ(オキシエチレン)ソルビタンモノラウレートからなる群から選択されるいずれかである、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. (b)の非イオン性界面活性剤が、ポリ(オキシエチレン)ソルビタンモノラウレートである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記第二の試薬を含浸させた試料添加用部材または滴下ノズルに備わっているフィルター中に、前記中間組成物を透過させることにより、前記中間組成物と第二の試薬を接触させる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記抗原が、リボソームタンパク質L7/L12である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記免疫測定法が、免疫クロマトグラフィーアッセイである、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記検体が、咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液、又は喀痰である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 以下を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法を実施するための、キット。
    ・イオン性界面活性剤を含非イオン性界面活性剤を含まず、アルカリ性を呈しない第一の試薬
    ・非イオン性界面活性剤を含む、第二の試薬
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