JP7610097B2 - Fe系合金薄帯及びFe系非晶質合金薄帯 - Google Patents

Fe系合金薄帯及びFe系非晶質合金薄帯 Download PDF

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Description

本発明は、Fe系合金薄帯及びFe系非晶質合金薄帯に関する。
ここでいう非晶質とは、非特許文献1に記載されているように『アモルファスは、「無定形」、「非晶質」などと訳されているが、定義は「物質を構成する原子の配置が結晶様の長周期規則性をもたないもの」』である(非特許文献1)。一般に、融液の急冷、電着、蒸着、スパッタリングなどの製法により製作される。
合金を溶融状態から急冷することによって、連続的に薄帯や線を製造する方法として、遠心急冷法、単ロ-ル法、双ロ-ル法等が知られている。これらの方法は、高速回転する金属製ドラムの内周面または外周面に溶融金属をオリフィス等から噴出させることによって、急速に溶融金属を凝固させて薄帯や線を製造するものである。また、合金組成を適正に選ぶことによって、液体金属に類似した非晶質合金を得ることができ、磁気的性質あるいは機械的性質に優れた材料を製造することができる。
特許文献1、2では、急冷凝固により得られた非晶質合金に熱処理を施し、結晶化させることで良好な磁気特性を有した微細結晶合金が得られることを報告している。これらの微細結晶合金は透磁率が高い、磁歪が低い、保磁力が低いなどの特徴を有しており、各種トランス、チョークコイル、ノイズ対策部品などに用いることができる。
微細結晶材料の組織と磁気特性には相関が見られ、例えば、非特許文献2ではFeの結晶粒径Dと保磁力Hcの関係について、結晶粒径Dを小さくしていった場合、結晶粒径Dが600Å(60nm)より大きい領域ではHcは結晶粒径Dの低下に伴い結晶粒径Dに反比例して大きくなるが、600Å(60nm)より小さい領域ではHcは結晶粒径の6乗(D)に比例して急激に小さくなることを報告している。また、特許文献2では、Fe基軟磁性合金において優れた軟磁気特性を示すために好ましい平均粒径は500Å(50nm)以下であり、より好ましくは200Å(20nm)である、との報告もなされている。
近年、特許文献3では、微細結晶の核を有する初期超微細結晶合金を熱処理することで、磁気特性とハンドリング性が両立したナノ結晶軟磁性合金を得る手法が報告されている。
特開昭64-79342号公報 特開平1-156451号公報 国際公開第2008/133301号
"アモルファス合金 その物性と応用"、増本健、深道和明、株式会社アグネ、(1981)24ページ "Fe,Ni,Co金属の結晶粒径と保磁力"、佐藤文隆、手束展規、桜井伴明、宮崎照宣、日本応用磁気学会誌 17、886-891(1993)
微細結晶合金からなる薄帯は、単ロール法や双ロール法などの急冷凝固プロセスで一旦非晶質からなる薄帯を作製し、その後熱処理によって製造されていた。しかしながら、この熱処理時に、まれに、結晶粒が部分的あるいは広域に渡って粗大化することが生じていた。また、熱処理前の非晶質状態で加工性が悪い場合には、最終製品の形状に加工する際に割れが生じて歩留りが低下するなどの問題が生じていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた軟磁気特性を有するFe系合金薄帯を提供することを課題とする。また、本発明は、優れた軟磁気特性を有するFe系合金薄帯の素材となる、加工性に優れたFe系非晶質合金薄帯を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その要旨は、以下のとおりである。
[1] 組成式がFe100-a-b-c-d-eSiCuで表されるとともに残部が不純物元素からなり、但し、前記組成式におけるXはNb、Ti、Zr、Hf、V、Ta、Cr、Mo、Wの群から選択される一種または2種以上の元素であり、ZはN、P、Sの群から選択される一種または2種以上の元素であり、組成比a、b、c、d、eはそれぞれ原子%で、4≦a≦10、5≦b≦20、1.0≦c≦、0<d≦0.10<e≦3、<c+e<6を満たし、
X線源としてCo-Kα線を用いたX線回折パターンにおけるbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅が0.25deg以上であり、
金属組織が平均粒径60nm以下の微細結晶組織からなることを特徴とする、Fe系合金薄帯。
] 前記金属組織が熱処理前の非晶質組織からなる段階での、X線源としてCo-Kα線を用いたX線回折パターンにおけるbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅が6deg以上8deg以下であり、
前記金属組織が熱処理後の前記微細結晶組織からなる段階でのbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅が、前記非晶質組織からなる熱処理前の段階でのbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅に対して、1/30以上、1/3以下であり、
前記熱処理が、昇温速度:5℃/分以上100℃/分以下、均熱温度が、示差走査熱量測定法により測定した第一発熱部ピーク温度(Tp1)以上第二発熱部ピーク温度(Tp2)以下、均熱時間が0.5時間以上6時間以下の熱処理であることを特徴とする、[1]に記載のFe系合金薄帯
] 組成式がFe100-a-b-c-d-eSiCuで表されるとともに残部が不純物元素からなり、但し、前記組成式におけるXはNb、Ti、Zr、Hf、V、Ta、Cr、Mo、Wの群から選択される一種または2種以上の元素であり、ZはN、P、Sの群から選択される一種または2種以上の元素であり、組成比a、b、c、d、eはそれぞれ原子%で、4≦a≦10、5≦b≦20、1.0≦c≦、0<d≦0.10<e≦3、<c+e<6を満たし、
金属組織が非晶質組織からなり、
X源としてCo-Kα線を用いたX線回折パターンにおけるbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅が6deg以上8deg以下であることを特徴とする、Fe系非晶質合金薄帯。
昇温速度:5℃/分以上100℃/分以下、均熱温度が、示差走査熱量測定法により測定した第一発熱部ピーク温度(T p1 )以上第二発熱部ピーク温度(T p2 )以下、均熱時間が0.5時間以上6時間以下の熱処理により前記金属組織を平均粒径60nm以下の微細結晶組織にした場合のbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅が、前記金属組織が前記非晶質組織からなる場合のbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅に対して、1/30以上、1/3以下の範囲であることを特徴とする[3]に記載のFe系非晶質合金薄帯
昇温速度:5℃/分以上100℃/分以下、均熱温度が、示差走査熱量測定法により測定した第一発熱部ピーク温度(T p1 )以上第二発熱部ピーク温度(T p2 )以下、均熱時間が0.5時間以上6時間以下の熱処理により前記金属組織を平均粒径60nm以下の微細結晶組織にした場合のbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅が0.25deg以上であることを特徴とする[]に記載のFe系非晶質合金薄帯。
] 曲げ破壊直径が1mm以下であることを特徴とする[3]乃至[5]の何れか一項に記載のFe系非晶質合金薄帯。
本発明によれば、優れた軟磁気特性を有するFe系合金薄帯を提供できる。
また、本発明によれば、優れた軟磁気特性を有し、かつ、トランス等の製品に実際的に適用可能なFe系合金薄帯を提供できる。また、本発明によれば、優れた軟磁気特性を有するFe系合金薄帯の素材となる、加工性に優れたFe系非晶質合金薄帯を提供できる。
本発明者らは、非晶質合金を熱処理することによって微細結晶組織を有する微細結晶合金を製造するにあたり、元素X(Nb、Ti、Zr、Hf、V、Ta、Cr、Mo、W)および元素Z(C、N、P、S)の熱処理における微細結晶を生み出す役割について初めて明らかにし、その成果からこれら元素の最適な添加量を明確にすることで、本発明を提案するに至った。また、X線回折パターンから求めた新たな評価指数によって微細結晶合金を特定することで、微細結晶合金の軟磁気特性をより高めることを知見するに至った。
従来から、Fe-Si-B系非晶質合金を熱処理すると、結晶化が発現することが知られている。その結晶化の過程は2つのステップで進行するとされている。最初の第1のステップでは、熱処理温度の上昇に伴って初期結晶(α―Fe)が生成する。次の第2のステップでは、更なる熱処理温度の上昇に伴い、不連続に初期結晶が結晶成長を起こし、最終的にはボロン化合物も析出して結晶化が終了に至る。ここで、非晶質合金中に僅かにCuを含有させると、第1ステップで多くの微細な結晶が生成する。さらに、CuとともにNbなどの元素を非晶質合金に含有させると、結晶の微細化がさらに進行するとされている。つまり、CuやNbなどの元素の添加は、微細結晶を生む効果を有していることが知られている。そして、微細な結晶合金を得るためには、第2ステップまでに至らないように、熱処理温度を制御する必要がある。第2ステップまで至ると折角微細に析出した結晶を粗大化させてしまうからである。
そこで、Cu及びNbを含有させたFe-Si-B-Cu-Nb系の微細結晶合金は、一旦非晶質合金を形成させたのち、第1ステップと第2ステップの間の温度で熱処理することが必須とされていた。ところが、先に述べたように、工業的に熱処理する際に、時々結晶粒が部分的あるいは広域に渡って粗大化することが生じていた。その原因は、工業的に量産する熱処理炉では炉内の温度分布が大きく、炉内温度が目的とする制御温度より高くなるところが炉内や製品内で発生し、第2ステップが起きる温度まで炉内温度が上昇する箇所があったためと考えられる。
そこで、本発明者らは、第1ステップと第2ステップの温度差を大きくすることで、工業的規模の熱処理炉における炉内温度差を乗り越えて、すべての炉内位置において、第1ステップと第2ステップの間の温度の範囲内で非晶質合金を熱処理できるようになると考え、鋭意研究を進めた。その結果、非晶質合金からなる薄帯に、Nb、Ti、Zr、Hf、V、Ta、Cr、Mo、Wの1種または2種以上を最適な範囲で予め含有させることで、熱処理中の第1ステップと第2ステップとの間の温度差を広げることができることを見出した。つまり、安定して微細結晶粒合金およびその薄帯を得ることが可能であることを明らかにした。
また、微細結晶合金は一般に、非晶質合金の状態で切断、積層、巻回などの工程を経て所定の形状に加工した後に、熱処理を行うことで微細結晶化させている。従って、非晶質合金の状態で加工性が低い場合には、最終製品の製造歩留りの低下が生じる場合がある。そこで、本発明者らは、C、N、P、Sの1種または2種以上を適量含有させることで、アモルファス形成能を向上させ、加工性に優れる非晶質合金を安定的に製造できることを見出した。
さらに、本発明者らは、製造した微細結晶合金および薄帯についてX線回折にて評価し、X線回折像での新たな評価指数を導入することで本発見を明確化することに成功し、本発明を提案するに至った。
すなわち、本発明に係るFe系合金およびその薄帯は、X線源としてCo-Kα線を用いたX線回折パターンにおいて、金属組織が熱処理後の微細結晶組織からなる段階でのbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅が、非晶質組織からなる熱処理前の段階でのbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅に対して、1/30以上、1/3以下であることがより好ましい。X線回折パターンにおけるbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅の熱処理前後の比(以下、半値幅比という場合がある)をこの範囲内とすることで、工業的に熱処理して微細結晶合金、薄帯を製造する際に生じていた結晶粒の部分的あるいは広域に渡っての粗大化を阻止できることが判明し、この従来生じていた問題を解消することが可能となった。
ここで、半値幅比が1/30以上にすることで、部分的もしくは広域で粗大結晶粒が生じるおそれがなく、1/3以下とすることで微細結晶組織を金属組織のほぼ全域で生成することができる。よって、好ましい微細結晶粒組織を得るためには、この指標範囲を1/30以上1/3以下とする必要がある。
従前まで、Fe系合金の軟磁気特性を高めるために、微細結晶組織の平均結晶粒径をナノメートルオーダーのサイズに制御していたが、本発明者らは、軟磁気特性をより安定して発現させるためには結晶粒径の制御だけでは十分ではなく、結晶粒の部分的あるいは広域に渡る粗大化を防止する必要があることを見出した。そして鋭意検討したところ、結晶粒の部分的あるいは広域に渡る粗大化の指標として、上記の半値幅比によって合金を規定することを知見したのである。Fe系合金においてナノメートル程度の微細結晶粒の部分的な粗大化を直接検知することは容易ではない。このように、本発明は、その構造または特性を直接できないか、おおよそ実際的ではない事情があるため、半値幅比で発明を特定することとしている。
また、金属組織が非晶質組織からなる段階でのbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅が6deg以上であれば、加工性に優れる非晶質合金であり、歩留りよく所定の形状に加工することができる。この半値幅に特に上限はないが、8degが上限と考えられる。
本発明によれば、Fe-Si-B系非晶質合金に、Cuを含有させるとともに、Nb、Ti、Zr、Hf、V、Ta、Cr、Mo、Wの1種または2種以上を、最適な範囲で予め含有させて、結晶化の第1ステップと第2ステップの間の温度で熱処理することで、半値幅比を1/30以上1/3以下の範囲とすることが可能となった。また、C、N、P、Sの1種または2種以上を適量含有させることで、熱処理前の非晶質状態でのbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅を6deg以上とすることで、加工性を向上させることが可能となった。
以下、本発明に係るFe系合金及びFe系非晶質合金について詳細に説明する。
(Fe系合金及びFe系非晶質合金の組成)
本実施形態のFe系非晶質合金及びFe系合金は、FeB、Si、X、Cu及びZ(但し、XはNb、Ti、Zr、Hf、V、Ta、Cr、Mo、Wの1種または2種以上の元素、ZはC、N、P、Sの1種または2種以上の元素)を含有する合金において、非晶質状態での加工性が悪化する問題と、熱処理工程での結晶粒が部分的あるいは広域に渡って粗大化する問題を、以下の組成式(I)とすることで解消したことにある。好ましくは組成式(II)がよく、更に好ましくは組成式(III)がよい。
組成式(I):
Fe100-a-b-c-d-eSiCuで表されるとともに残部が不純物元素からなり、但し、前記組成式におけるXはNb、Ti、Zr、Hf、V、Ta、Cr、Mo、Wの群から選択される一種または2種以上の元素であり、ZはC、N、P、Sの群から選択される一種または2種以上の元素であり、組成比a、b、c、d、eはそれぞれ原子%で、4≦a≦20、5≦b≦20、1≦c≦5、0<d≦3、0.1<e≦3、1.1<c+e<6を満たす。
組成式(II):
Fe100-a-b-c-d-eSiCuで表されるとともに残部が不純物元素からなり、但し、前記組成式におけるXはNb、Ti、Zr、Hf、V、Ta、Cr、Mo、Wの群から選択される一種または2種以上の元素であり、ZはC、N、P、Sの群から選択される一種または2種以上の元素であり、組成比a、b、c、d、eはそれぞれ原子%で、4≦a≦20、5≦b≦20、1≦c≦5、0<d≦3、1<e≦3、2<c+e<6を満たし、Feは79原子%未満である。
組成式(III):
Fe100-a-b-c-d-eSiCuで表されるとともに残部が不純物元素からなり、但し、前記組成式におけるXはNb、Ti、Zr、Hf、V、Ta、Cr、Mo、Wの群から選択される一種または2種以上の元素であり、ZはC、N、P、Sの群から選択される一種または2種以上の元素であり、組成比a、b、c、d、eはそれぞれ原子%で、4≦a≦20、5≦b≦20、1≦c≦3、0<d≦3、2<e≦3、3<c+e<6を満たし、Feは79原子%未満である。
Bは、非晶質形成能を高める元素であり、Bの組成比aは原子%で4≦a≦20である。Bの組成比aが4原子%未満では非晶質形成能が劣化するため好ましくなく、20原子%を超えると飽和磁束密度の低下を招くため好ましくない。よってBの組成比aは4≦a≦20とする。より好ましいaの範囲は5≦a≦10であり、更に好ましいaの範囲は5≦a≦8である。
Siは、非晶質形成能を高める元素であり、Siの組成比bは原子%で5≦b≦20である。Siは、合金表面に酸化物として偏析することで、磁心などとして積層させて使用する際に層間絶縁を向上させる効果もある。Siが5原子%未満では非晶質形成能が不十分になる。Siの組成比bが20原子%を超えると飽和磁束密度の低下を招くため好ましくない。よって、Siの組成比bは原子%で5≦b≦20とする。より好ましい組成比bの範囲は8≦b≦16であり、更に好ましい組成比bの範囲は12≦b≦16であり、更には12.5≦b≦15.5でもよい。
X元素は、Nb、Ti、Zr、Hf、V、Ta、Cr、Mo、Wの1種または2種以上の元素である。X元素は、熱処理中の第1ステップと第2ステップとの間の温度差を広げる効果があり、工業的規模の熱処理炉でも安定して微細結晶粒合金およびその薄帯を得ることができる。Nb、V、Ta、Cr、Mo、Wの1種または2種以上がより好ましく、Nb、V、W、Crの1種または2種以上が更に好ましい。
X元素の組成比cは原子%で1≦c≦5である。X元素を含有させることで、熱処理中の第1ステップと第2ステップとの間の温度差を広げる効果が得られるが、1原子%以上含有させることが十分な効果が得られるため好ましい。X元素の組成比cが5原子%を超えると、飽和磁束密度の低下を招くため好ましくない。更に好ましいX元素の組成比cは1≦c≦4であり、より好ましくは1≦c≦3である。
Cuは、微細結晶化の際に核形成の起点として作用し、微細な結晶粒を均一に形成する効果を有する。Cuの組成比dは0<d≦3である。微細結晶化のためにはCuは必須であるが、3原子%を超えると非晶質形成能が低下し、連続的な非晶質合金薄帯の製造が困難となる。より好ましいCuの組成比dは0<d≦2であり、更に好ましくは0.5<d≦1である。
Z元素は、C、N、P、Sの1種または2種以上の元素である。これらのZ元素は、アモルファス形成能を向上させる効果があり、また、非晶質状態での加工性を改善することができる。特に、C、Pの1種以上が好ましい。Z元素の組成比eは0.1<e≦3とする。Z元素の組成比eが3原子%を超えると、飽和磁束密度の低下を招くため好ましくない。また、Z元素の組成比eが0.1原子%以下ではアモルファス形成能が十分ではない。より好ましいZ元素の組成比eは1<e≦3であり、更に、より好ましいZ元素の組成比eは2<e≦3である。
上述のように、X元素(Nb、Ti、Zr、Hf、V、Ta、Cr、Mo、Wの1種または2種以上)は、熱処理中の第1ステップと第2ステップとの間の温度差を広げる効果があり、また、Z元素(C、N、P、Sの1種以上)は、アモルファス形成能を向上させる効果があり加工性を改善することができるが、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、X元素の組成比cとZ元素の組成比eの和(c+e)を調整することで、これらの効果を両立できることを見出した。具体的にはX元素とZ元素の和を、1.1<c+e<6、より好ましくは2<c+e<6、さらに好ましくは3<c+e<6とするとよい。
本発明に係るFe系非晶質合金またはFe系合金における残部は、Fe及び不純物元素である。Feは、より好ましくは79原子%以下がよい。Feの含有量を制限することで、他の添加元素の含有量を相対的に高めることができ、軟磁気特性及び加工性を一層高めることができる。特に、アモルファス形成能が向上して鋳造性が向上することで、急冷法によって安定的に鋳造を行うことができる。
また、本発明に係るFe系非晶質合金またはFe系合金は、鉄鋼材料に含まれる不純物を不純物元素として含んでいてもよい。例えば、C、N、P、S、O等を不純物として含有してもよい。C、P、SはZ元素として上記の所定量の範囲で含有してもよく、不純物元素として微量を含有してもよい。
(Fe系非晶質合金の金属組織)
次に、Fe系非晶質合金の金属組織について説明する。
Fe系非晶質合金の金属組織は、非晶質組織である。金属組織の一部に結晶組織があると、その後の熱処理において粗大な結晶粒組織が形成されるおそれがある。従って金属組織の全体が非晶質組織である必要がある。
また、Fe系非晶質合金は、X源としてCo-Kα線を用いたX線回折パターンにおけるbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅が6deg以上8deg以下とする。半値幅が6deg未満では、Fe系非晶質合金の加工性を向上できない。一方、金属組織が非晶質であるので、半値幅の上限は特に規定する必要はないが、あえて上限を規定するならば、8deg以下とすれば十分である。
また、本実施形態のFe系非晶質合金は、厚さ10μm以上100μm以下、板幅が10mm以上の薄帯であってもよい。
Fe系非晶質合金からなる薄帯は、曲げ破壊直径が2mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。上記組成式(III)の場合に、1mm以下の曲げ破壊直径が得られやすく、上記組成式(I)または(II)の場合に2mm以下の曲げ破壊直径が得られやすい。曲げ破壊半径は、JIS Z 2248:2006の金属材料曲げ試験方法に準拠し、曲げ試験機にFe系非晶質合金からなる薄帯を設置し、密着するまで試験片の両端を互いに押し合い、破断した際の試験片の直径(曲げ破壊直径)を測定する。
本実施形態に係るFe系非晶質合金からなる薄帯は、曲げ破壊直径が小さく、加工性に優れる。そのため、トランス、チョークコイル、ノイズ対策品等を製造する際に、Fe系非晶質合金からなる薄帯を破損させることなく、これら製品の部品素材として組み込むことができる。そして、適切な条件で熱処理を行うことで、軟磁気特性に優れたFe系合金を備えたトランス等の製品を製造することが可能になる。
(Fe系合金の金属組織)
次に、Fe系合金の金属組織について説明する。なお、本実施形態のFe系合金の金属組織は、本実施形態のFe系非晶質合金を熱処理することによって得ることができる。
本実施形態のFe系合金は、X線源としてCo-Kα線を用いたX線回折パターンにおける、bcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅が0.25deg以上である。好ましくは0.4deg以上である。後述するシェラーの式より平均結晶粒径を求めると、半値幅が0.25deg以上の場合は平均結晶粒径が60nm以下、半値幅が0.4deg以上の場合は平均結晶粒径が30nm以下となる。このような半値幅を有するFe系合金は、優れた軟磁気特性を示すものとなる。
Fe系非晶質合金の金属組織は、結晶粒径が60nm以下の微細結晶組織であることが好ましい。より好適には30nm以下の微細結晶組織が好ましい。このような微細結晶組織とすることで、Fe系合金は優れた軟磁気特性を示す。
また、本実施形態のFe系合金は、上記の組成式(I)~(III)のいずれか組成を備えているため、60nm以下の結晶粒径を得るための熱処理の均熱温度の上限及び下限の幅が50℃以上と広くなる。これにより、熱処理装置内の温度バラつきの影響による不良品の発生率が低下し、製品歩留まりを向上させることができる。
また、Fe系合金は、X線源としてCo-Kα線を用いたX線回折パターンにおける、金属組織が熱処理後の微細結晶組織からなる段階でのbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅が、非晶質組織からなる熱処理前の段階でのbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅に対して、1/30以上、1/3以下であることが好ましい。X線回折パターンにおけるbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅の熱処理前後の比(半値幅比)をこの範囲とすることで、工業的に熱処理して微細結晶合金、薄帯を製造する際に生じていた結晶粒の部分的あるいは広域に渡っての粗大化を阻止できる。
また、本実施形態のFe系合金は、厚さ10μm以上100μm以下、板幅が10mm以上の薄帯であってもよい。
本実施形態のFe系非晶質合金及びFe系合金におけるbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅は、これらの合金に対してX線回折測定を行ってX線回折パターンを得ることにより、求めることができる。X線回折測定のX線源はCo-Kα(波長λ=1.7902Å)とし、スキャン範囲は2θ=10deg以上120deg以下とする。X線回折パターンからbcc-Feの(110)面の回折ピークを特定し、その回折ピークの半値幅を求めればよい。
また、Fe系合金の金属組織の平均結晶粒径は、bcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅を、シェラーの式に導入することで、求めることができる。シェラーの式は下記式で表される。シェラーの式におけるKはシェラー定数(0.94)であり、λはX線源の波長(1.7902Å)であり、βは回折ピークの半値幅であり、θは(110)面の回折ピークの回折角であり、Dが平均結晶粒径である。なお、回折ピークから測定される半値幅には測定機器によるピーク拡がりを含むことから、半値幅からピーク拡がり(0.07deg)を減算した値を半値幅βとして使用する。
D=Kλ/βcosθ …(シェラーの式)
更に、半値幅比を求める際の熱処理条件は、昇温速度:5~100℃/分、均熱温度:第一発熱部ピーク温度(Tp1)以上、第二発熱部ピーク温度(Tp2)以下、均熱時間:0.5~6時間の範囲とする。このような熱処理条件の範囲内であれば、Fe系合金のbcc-Feの半値幅はほぼ一定の値となるので、半値幅を測定する際の熱処理条件は上記の範囲において任意に選択すればよい。そして、上記の範囲内において熱処理を実施した場合に、半値幅比及び熱処理後のFeの(110)面の半値幅が上記の範囲に含まれればよい。
次に、本実施形態のFe系非晶質合金及びFe系合金の製造方法について説明する。
本実施形態のFe系非晶質合金は、上記の組成式から成る合金溶湯を急冷することによって製造できる。また、本実施形態のFe系合金は、Fe系非晶質合金を適切な条件下で熱処理を行うことにより製造できる。
本実施形態では、単ロ-ル法、双ロ-ル法によって薄帯の形態で非晶質合金を得ることができる。これらのロール法に用いるロールは金属製であり、ロールを高速回転させ、ロール表面またはロール内面に合金溶湯を衝突させることで合金の急冷凝固が可能である。単ロ-ル装置には、ドラムの内壁を使う遠心急冷装置、エンドレスタイプのベルトを使う装置、およびこれらの改良型である補助ロールやロール表面温度制御装置を付属させたもの、減圧下あるいは真空中、または不活性ガス中での鋳造装置も含まれる。
薄帯の板厚、板幅などの寸法は特に限定しないが、薄帯の板厚は、例えば、10μm以上100μm以下が好ましい。また、板幅は10mm以上が好ましい。
なお、本実施形態のFe系非晶質合金は、薄帯の他に粉末状とすることも可能である。その場合、上述の組成の合金溶湯を満たしたるつぼのノズルから回転するロールあるいは冷却用の水などの液体の中に高速で合金溶湯あるいは合金溶湯の液滴を噴出して急冷凝固する方法を採用することができ、薄帯を裁断、破砕して粉末状とすることも可能である。
次に、熱処理条件について説明する。
均熱温度に到達する前に結晶化が開始する場合があることから、昇温速度は早い方がよく、5℃/分以上、好ましくは10℃/分以上とする。昇温速度を5℃/分以上にすることで、平均粒径60nm以下の均一な微細結晶組織を形成させることができる。昇温速度は高いほど好ましいが、熱処理装置内の温度分布を均一にするには、昇温速度を100℃/分以下にするとよい。
均熱温度は、示差走査熱量測定法により測定した第一発熱部ピーク温度(Tp1)以上、第二発熱部ピーク温度(Tp2)以下とする。示差走査熱量測定の際の昇温速度は10℃~40℃/分の範囲内であれば一定のピーク温度を求めることができる。実際上には10℃/分とする。第一発熱部ピーク温度(Tp1)は、昇温開始後にDSC曲線に最初に観察された発熱ピークのピーク温度とする。また、第二発熱部ピーク温度(Tp2)は、第一発熱部ピーク温度(Tp1)よりも高い温度域において、第一発熱部ピーク温度(Tp1)の発熱ピークの次に現れた発熱ピークのピーク温度とする。Fe系非晶質合金に対して、Tp1以上Tp2以下の均熱温度で熱処理を行うことで、結晶粒が部分的あるいは広域に渡って粗大化する問題を解消することができ、安定してFe系合金を得ることができる。また、本実施形態に係る組成式を満たす合金であれば、Tp1とTp2の温度差を50℃以上にすることができる。
均熱時間は、0.5時間以上6時間以下の範囲が好ましい。均熱時間を0.5時間以上にすることで、金属組織全体に微細結晶組織を形成させることができる。また、均熱時間を6時間以下とすることで、微細結晶粒の粗大化を防止できる。
熱処理装置は、電気加熱炉、赤外ランプ加熱炉、レーザーでの加熱装置などがあるが、いずれの装置でもFe系合金を得ることができる。熱処理は大気中、真空中、不活性ガス(Ar、窒素、Heなど)中、水蒸気中で行うことができるが、特に不活性ガス中で行うことが好ましい。
また、本実施形態では、Fe系非晶質合金を熱処理することによりFe系合金を製造する際の、結晶粒径が60nm以下となる均熱温度範囲の上下限の温度差が50℃以上、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上になる。均熱温度範囲の温度差が50℃以上になることで、工業的規模の熱処理炉における炉内温度差を乗り越えて、すべての炉内位置において、第1ステップと第2ステップの間の温度の範囲内で非晶質合金を熱処理した場合に、粒径60nm以下の結晶粒を持つFe系合金を安定して製造できるようになる。
以下、実施例について説明する。
表1に示す各種成分の合金をアルゴン雰囲気中で溶解し、単ロ-ル装置で急冷して鋳造することにより、Fe系非晶質合金の薄帯を作製した。鋳造雰囲気は大気中であった。なお、用いた単ロ-ル装置は、直径300mmの銅合金製冷却ロ-ルと、試料溶解用の高周波電源と、先端にスロットノズルが付いている石英ルツボ等とから構成される。本実験では、長さ10mm、幅0.6mmのスロットノズルを使用した。冷却ロ-ルの周速は24m/秒とした。結果として、得られた薄帯の板厚は約20μmであり、板幅はスロットノズルの長さに依存するので10mmであり、長さはおよそ100mであった。
得られた非晶質合金について、示差走査熱量測定法により、第一発熱部ピーク温度(Tp1)及び第二発熱部ピーク温度(Tp2)を測定した。示差走査熱量測定の昇温速度は10℃/分とした。第一発熱部ピーク温度(Tp1)は、昇温開始後にDSC曲線に最初に観察された発熱ピークのピーク温度とした。また、第二発熱部ピーク温度(Tp2)は、第一発熱部ピーク温度(Tp1)よりも高い温度域において、第一発熱部ピーク温度(Tp1)の発熱ピークの次に現れた発熱ピークのピーク温度とした。
そして、非晶質合金に対して表1に示す条件で熱処理を行って、微細結晶組織を形成させることにより、Fe系合金を製造した。均熱温度は、第一発熱部ピーク温度(Tp1)以上、第二発熱部ピーク温度(Tp2)以下の範囲内とした。表1に、第一発熱部ピーク温度(Tp1)と第二発熱部ピーク温度(Tp2)を併せて示す。
得られたFe系非晶質合金及びFe系合金に対して、X線回折測定を行ってX線回折パターンを得た。そして、それぞれの合金について、X線回折パターン上のFeの(110)面の回折ピークの半値幅を測定した。また熱処理前のFe系非晶質合金のFeの(110)面の回折ピークの半値幅と、Fe系合金のFeの(110)面の回折ピークの半値幅とから、半値幅比を求めた。X線回折測定のX線源はCo-Kα(波長λ=1.7902Å)とし、スキャン範囲は2θ=10deg以上120deg以下とした。X線回折パターンからbcc-Feの(110)面の回折ピークを特定し、その回折ピークの半値幅を求めた。結果を表2に示す。
また、Fe系合金のFeの(110)面の回折ピークの半値幅から、Fe系合金の金属組織の平均結晶粒径を求めた。平均結晶粒径は、bcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅を、シェラーの式に導入することで、求めた。シェラーの式は下記式で表される。シェラーの式におけるKはシェラー定数(0.94)であり、λはX線源の波長(1.7902Å)であり、βは回折ピークの半値幅であり、θは(110)面の回折ピークの回折角であり、Dが平均結晶粒径である。なお、回折ピークから測定される半値幅には測定機器によるピーク拡がりを含むことから、半値幅からピーク拡がり(0.07deg)を減算した値を半値幅βとして使用した。結果を表2に示す。
D=Kλ/βcosθ …(シェラーの式)
また、結晶粒径が60nm以下となる均熱温度範囲を次のようにして求めた。単ロ-ル装置で急冷して鋳造したFe系非晶質合金薄帯から10mm×10mmの試料を作製し、試料を昇温速度10℃/分、保持温度は第一発熱部ピーク温度(Tp1)から第二発熱部ピーク温度(Tp2)まで10℃刻みとし、窒素雰囲気中で熱処理を行った。熱処理後の試料について、X線回折測定を行ってX線回折パターンから半値幅を測定し、シェラーの式から平均結晶粒径を求め、結晶粒径が60nm以下となる均熱温度範囲を求めた。
Fe系合金の薄帯から、内径15mm、外径20mm、幅10mmのトロイダルコアを作製し、直流磁気特性を評価した。最大磁場800A/mで測定した初透磁率および保磁力Hc、磁場を大きくした際に飽和した磁束密度(飽和磁束密度)を表3に示す。初透磁率が50000以上、保磁力Hcが1.0A/m以下、飽和磁束密度は1.0T以上の場合に、軟磁気特性が優れるとして合格とした。
更に、Fe系非晶質合金について、曲げ破壊直径を測定した。曲げ破壊半径は、JIS Z 2248:2006の属材料曲げ試験方法に準拠し、曲げ試験機にFe系非晶質合金からなる薄帯を設置し、破断した際の曲げ破壊直径を測定した。結果を表3に示す。
表1~表3に示すように、実施例1~8(実施例1、3、4、6、7は参考例)のFe系非晶質合金は、曲げ破壊半径が1mm以下となり、密着曲げを行うことが可能で加工性に優れていた。また、軟磁気特性に優れたFe系合金の素材として利用できるものであった。
また、表1~表3に示すように、実施例1~8(実施例1、3、4、6、7は参考例)のFe系合金は、初透磁率及び飽和磁束密度が高く、保磁力が低く、軟磁気特性に優れていた。
比較例1および比較例2は、X元素の組成比が本発明の範囲から外れたため、急冷後のFe系非晶質合金を熱処理した後のFe(110)面のピークの半値幅が0.25deg未満になり、金属組織が粗大結晶組織となり、軟磁気特性が十分ではなかった。このため、比較例1及び比較例2のFe系非晶質合金は、軟磁気特性に優れたFe系合金の素材として利用できるものではなかった。
比較例3および比較例4は、Z元素の組成比が本発明の範囲から外れていたため、熱処理前のFe系非晶質合金のFeの(110)面の回折ピークの半値幅が6deg.未満で、曲げ破壊半径が1mm超となり、加工性が低下した。従って、比較例3及び比較例4のFe系合金を、トランス、チョークコイル、ノイズ対策品等への適用を試みたとしても、素材であるFe系非晶質合金の加工性が低いために、これらトランス等の製品の製造時の歩留まりが大幅に低下すると予測された。よって、比較例3及び比較例4のFe系合金は、実用的なものとはいえなかった。
比較例5は、Bの組成比aが4原子%未満であり、非晶質形成能が不十分であったため、単ロ-ル装置で急冷して鋳造した薄帯のX線回折測定の結果、Feの(110)面の回折ピークが明確に存在していた。急冷後の薄帯の金属組織は粗大な結晶組織となり、非晶質合金を得ることができなかった。そのため、示差走査熱量測定法によるピーク温度の測定や、熱処理による微細結晶化、熱処理後の磁気特性評価を行うことができないため、表1~表3の欄中に「-」と記載した。従って、比較例5の急冷後の合金は、Fe系合金の素材として利用できるものではなかった。
比較例6は、Bの組成比aが20原子%を超えており、熱処理後の合金の飽和磁束密度が1.0T未満となり、軟磁気特性が十分ではなかった。このため、比較例6のFe系非晶質合金は、軟磁気特性に優れたFe系合金の素材として利用できるものではなく、また、比較例6のFe系合金は軟磁気特性が十分でなかった。
比較例7は、Siの組成比bが5原子%未満であり、単ロ-ル装置で急冷して鋳造した薄帯のX線回折測定の結果、Feの(110)面の回折ピークが明確に存在していた。急冷後の薄帯の金属組織は粗大な結晶組織となり、非晶質合金を得ることができなかった。そのため、示差走査熱量測定法によるピーク温度の測定や、熱処理による微細結晶化、熱処理後の磁気特性評価を行うことができないため、表1~表3の欄中に「-」と記載した。従って、比較例7の急冷後の合金は、Fe系合金の素材として利用できるものではなかった。
比較例8は、Siの組成比aが20原子%を超えており、熱処理後の合金の飽和磁束密度が1.0T未満となり、軟磁気特性が十分ではなかった。このため、比較例8のFe系非晶質合金は、軟磁気特性に優れたFe系合金の素材として利用できるものではなく、また、比較例8のFe系合金は軟磁気特性が十分でなかった。
比較例9は、Cuを含まない例であり、これを素材とするFe系合金の平均結晶粒径が60nmを超えてしまい、軟磁気特性が十分ではなかったため、軟磁気特性に優れたFe系合金の素材として利用できるものではなかった。
比較例10は、Cuの組成比dが3原子%を超えており、単ロ-ル装置で急冷して鋳造した薄帯のX線回折測定の結果、Feの(110)面の回折ピークが明確に存在していた。急冷後の薄帯の金属組織は粗大な結晶組織となり、非晶質合金を得ることができなかった。そのため、示差走査熱量測定法によるピーク温度の測定や、熱処理による微細結晶化、熱処理後の磁気特性評価を行うことができないため、表1~表3の欄中に「-」と記載した。従って、比較例10の急冷後の合金は、Fe系合金の素材として利用できるものではなかった。
Figure 0007610097000001
Figure 0007610097000002
Figure 0007610097000003

Claims (6)

  1. 組成式がFe100-a-b-c-d-eSiCuで表されるとともに残部が不純物元素からなり、但し、前記組成式におけるXはNb、Ti、Zr、Hf、V、Ta、Cr、Mo、Wの群から選択される一種または2種以上の元素であり、ZはN、P、Sの群から選択される一種または2種以上の元素であり、組成比a、b、c、d、eはそれぞれ原子%で、4≦a≦10、5≦b≦20、1.0≦c≦、0<d≦0.10<e≦3、<c+e<6を満たし、
    X線源としてCo-Kα線を用いたX線回折パターンにおけるbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅が0.25deg以上であり、
    金属組織が平均粒径60nm以下の微細結晶組織からなることを特徴とする、Fe系合金薄帯
  2. 前記金属組織が熱処理前の非晶質組織からなる段階での、X線源としてCo-Kα線を用いたX線回折パターンにおけるbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅が6deg以上8deg以下であり、
    前記金属組織が熱処理後の前記微細結晶組織からなる段階でのbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅が、前記非晶質組織からなる熱処理前の段階でのbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅に対して、1/30以上、1/3以下であり、
    前記熱処理が、昇温速度:5℃/分以上100℃/分以下、均熱温度が、示差走査熱量測定法により測定した第一発熱部ピーク温度(T p1 )以上第二発熱部ピーク温度(T p2 )以下、均熱時間が0.5時間以上6時間以下の熱処理であることを特徴とする、請求項1に記載のFe系合金薄帯
  3. 組成式がFe100-a-b-c-d-eSiCuで表されるとともに残部が不純物元素からなり、但し、前記組成式におけるXはNb、Ti、Zr、Hf、V、Ta、Cr、Mo、Wの群から選択される一種または2種以上の元素であり、ZはN、P、Sの群から選択される一種または2種以上の元素であり、組成比a、b、c、d、eはそれぞれ原子%で、4≦a≦10、5≦b≦20、1.0≦c≦、0<d≦0.10<e≦3、<c+e<6を満たし、
    金属組織が非晶質組織からなり、
    X源としてCo-Kα線を用いたX線回折パターンにおけるbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅が6deg以上8deg以下であることを特徴とする、Fe系非晶質合金薄帯
  4. 昇温速度:5℃/分以上100℃/分以下、均熱温度が、示差走査熱量測定法により測定した第一発熱部ピーク温度(T p1 )以上第二発熱部ピーク温度(T p2 )以下、均熱時間が0.5時間以上6時間以下の熱処理により前記金属組織を平均粒径60nm以下の微細結晶組織にした場合のbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅が、前記金属組織が前記非晶質組織からなる場合のbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅に対して、1/30以上、1/3以下の範囲であることを特徴とする請求項に記載のFe系非晶質合金薄帯
  5. 昇温速度:5℃/分以上100℃/分以下、均熱温度が、示差走査熱量測定法により測定した第一発熱部ピーク温度(T p1 )以上第二発熱部ピーク温度(T p2 )以下、均熱時間が0.5時間以上6時間以下の熱処理により前記金属組織を平均粒径60nm以下の微細結晶組織にした場合のbcc-Feの(110)面の回折ピークの半値幅が0.25deg以上であることを特徴とする請求項に記載のFe系非晶質合金薄帯
  6. 曲げ破壊直径が1mm以下であることを特徴とする請求項3乃至請求項5の何れか一項に記載のFe系非晶質合金薄帯。
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