以下、図面を参照しながら、本発明の実施の一形態について説明する。ここで説明される実施の一形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
図1は、本実施形態に係る防臭弁機構50を示す斜視図である。図2は、蓋20の使用例を示す図であり、貯留槽10の断面図である。本実施形態では、図1に示す防臭弁機構50は、図2に示す蓋20に備えられているものである。図2に示すように、蓋20は、例えば貯留槽10の内部を点検する際に使用される点検口11に装着されるものである。
本実施形態では、貯留槽10は、地震などの災害時に、仮設トイレ4から排出された便などが含まれた汚水を一時的に貯留するための槽である。貯留槽10は、地中に埋設されている。ここでの貯留槽10は、いわゆる下水本管に接続されるものではないが、下水本管に接続されたものであってもよい。また、ここでの貯留槽10は、災害時に汚水を貯留するための専用の槽であり、災害時以外の通常時には使用されないものである。ただし、貯留槽10は、通常時に、例えばトイレ、風呂、台所の流し台などの排水設備から排出された汚水を含む排水、または、雨水などの水が貯留される槽であってもよい。
貯留槽10の上面には、上下に貫通した点検口11、および、上下に貫通した接続口13が形成されている。点検口11は、作業者が貯留槽10内の状態(例えば貯留槽10に貯留された汚水の量などの状態)を点検するためのものである。ここでは、点検口11の数は1つであるが、複数であってもよい。
接続口13には、災害時に仮設トイレ4が接続される。通常時には、接続口13には、図示しない接続蓋が嵌め込まれている。災害時に、上記接続蓋を接続口13から取り外し、接続口13に仮設トイレ4を接続する。このことで、仮設トイレ4を使用することが可能になり、仮設トイレ4から排出された汚水は、接続口13を通じて貯留槽10内に一時的に貯留される。なお、接続口13の数は特に限定されず、ここでは複数である。図2の一例では、接続口13の数は5つである。接続口13の数は、貯留槽10の大きさに応じて適宜に設定されるものである。
本実施形態に係る蓋20は、貯留槽10の点検口11に装着されるものである。蓋20は、点検口11を開閉自在に取り付けられる。図3は、本実施形態に係る蓋20の平面図である。図4は、子蓋22が取り外された蓋20を示す平面図である。図5、図6は、それぞれ図3のV-V断面、VI-VI断面における蓋20の断面図であり、蓋20が点検口11に装着された状態を示す図である。図5に示すように、点検口11には、蓋枠16が嵌め込まれており、この蓋枠16に蓋20が嵌合する。本実施形態に係る蓋20は、いわゆる親子蓋や二重蓋と呼ばれる蓋である。蓋20は、親蓋21と、子蓋22と、防臭弁機構50(図1参照)と、を備えている。
図7は、子蓋22が取り外された蓋20の断面図であり、図5相当図である。図7に示すように、親蓋21は、親蓋本体31と、第1段差部32aと、第2段差部32bと、第3段差部32cと、凹部35(図6参照)と、を有している。親蓋本体31は、点検口11に嵌め込まれた蓋枠16に嵌合する部位である。親蓋本体31には、上下に貫通した嵌合孔33が形成されている。嵌合孔33の形状は特に限定されないが、図4に示すように、例えば円形状である。本実施形態では、嵌合孔33は、平面視における親蓋本体31の中央部分に形成されているが、嵌合孔33の形成位置は特に限定されない。
図7に示すように、第1段差部32a~第3段差部32cは、親蓋本体31の嵌合孔33の周面に設けられている。第1段差部32a~第3段差部32cは、嵌合孔33の周面から径方向の内側に突出したものである。以下の説明において、径方向とは、例えば嵌合孔33の径方向、または、後述の筒部51(図8参照)の径方向のことである。本実施形態では、上から下に、第1段差部32a、第2段差部32b、第3段差部32cの順に配置されている。
本実施形態では、嵌合孔33の周面は、第1縦面41と、第2縦面42と、第3縦面43と、第4縦面44と、第1横面46と、第2横面47と、第3横面48とを有している。第1縦面41は、嵌合孔33の周面の上部を構成しており、上下に延びている。ここでは、第1縦面41は、上から下に向かうにしたがって径方向の内側に傾斜している。第1横面46は、第1縦面41の下端に接続され、第1縦面41から径方向の内側に向かって水平方向に延びている。本実施形態では、第1段差部32aは、第1縦面41と第1横面46とによって形成された部分である。ここでは、第1段差部32aが本発明の段差部の一例である。
第2縦面42は、第1横面46の内側の端から下方に延びている。ここでは第2縦面42は、第1横面46に対して垂直方向に延びているが、下方に向かうにしたがって径方向の内側に傾斜していてもよい。第2横面47は、第2縦面42の下端に接続され、第2縦面42から径方向の内側に向かって水平方向に延びている。本実施形態では、第2段差部32bは、第2縦面42と第2横面47とによって形成された部分である。
第3縦面43は、第2横面47の内側の端から下方に延びている。ここでは第3縦面43は、第2横面47に対して垂直方向に延びているが、下方に向かうにしたがって径方向の内側に傾斜していてもよい。第3横面48は、第3縦面43の下端に接続され、第3縦面43から径方向の内側に向かって水平方向に延びている。本実施形態では、第3段差部32cは、第3縦面43と第3横面48とによって形成された部分である。第4縦面44は、第3横面48の内側の端から下方に延びている。
第4縦面44は、第3横面48に対して垂直方向に延びている。ただし、第4縦面44は、下方に向かうにしたがって径方向の内側に傾斜していてもよい。
なお、本実施形態では、図4に示すように、第1縦面41、第1横面46および第2縦面42の形状は、環状である。第2横面47、第3縦面43、第3横面48および第4縦面44について、嵌合孔33の周方向の一部(ここでは、嵌合孔33の周面における凹部35とは反対側の部分)が省略されている。言い換えると、第2横面47、第3縦面43、第3横面48および第4縦面44の形状は、C字状である。
本実施形態では、図7に示すように、第1段差部32a~第3段差部32cについて、第2段差部32bは、第1段差部32aよりも径方向の内側に配置されている。第3段差部32cは、第2段差部32bよりも径方向の内側に配置されている。
図6に示すように、凹部35は、嵌合孔33の周面から径方向の外側に凹み、かつ、親蓋本体31の上面から下方に凹んだものである。ここでは、凹部35は、嵌合孔33の周面の第1縦面41、第1横面46、第2縦面42および第2横面47に亘った大きさである。凹部35の底面は、第2横面47と上下の位置が同じである。凹部35の形状は特に限定されないが、ここでは、図4に示すように、凹部35は、平面視において略四角形状である。
図5に示すように、子蓋22は、親蓋21の親蓋本体31に形成された嵌合孔33に嵌合する。嵌合孔33に子蓋22が嵌合したとき、子蓋22は、第1段差部32aに載置される。本実施形態では、図3に示すように、子蓋22は、嵌合部36と、凸部37とを有している。嵌合部36は、嵌合孔33に嵌合する部位である。嵌合部36は、嵌合孔33に対応した形状を有しており、ここでは、円盤状である。ここでは、子蓋22の嵌合部36の最大直径は、嵌合孔33の周面のうち、第1縦面41の最大直径よりも小さく、第1縦面41の最小直径よりも大きい。また、子蓋22の嵌合部36の直径は、第2縦面42の直径よりも大きい。そのため、子蓋22の嵌合部36は、嵌合孔33の第1縦面41に嵌合し、第1段差部32aに載置される。嵌合部36は、嵌合孔33の周面の第2縦面42には入り込まないように構成されている。
凸部37は、嵌合部36に連続している。凸部37は、嵌合部36の周端の一部から径方向の外側に突出している。凸部37は、親蓋21の嵌合孔33の周面に設けられた凹部35に入り込むものである。凸部37の形状は特に限定されないが、凸部37は、例えば凹部35に対応した形状を有している。ここでは、凸部37は、直方体形状である。本実施形態では、子蓋22の上面において、子蓋22の中心C1を挟んで凸部37と反対側の部位には、子蓋22を親蓋21から取り外す際に使用される持ち上げ部38が設けられている。
本実施形態では、親蓋21および子蓋22は、鋳鉄製である。ただし、親蓋21および子蓋22を形成する材料は、特に限定されない。
本実施形態では、親蓋21から子蓋22を取り外す際、作業者は、バールなどの工具や専用の治具を持ち上げ部38に引っ掛けて、子蓋22を持ち上げる。このとき、図6の矢印A1のように、子蓋22の凸部37は、凹部35内で回転する。この凸部37の回転によって、子蓋22は、凸部37を軸にして回転し、親蓋21の嵌合孔33が開放される。嵌合孔33が開放された後、作業者が更に子蓋22を持ち上げることで、凸部37が凹部35から抜け出し、子蓋22を親蓋21から取り外すことができる。
例えば図2の貯留槽10の内部を点検するとき、作業者は、図7に示すように、点検口11に装着された蓋20のうち、親蓋21を装着させたままで子蓋22を取り外す。そして、作業者は、嵌合孔33および点検口11を通じて貯留槽10の内部を確認する。作業者が貯留槽10の内部で作業をするとき、例えば貯留槽10の内部の清掃などを行うとき、作業者は、点検口11に装着された蓋20の親蓋21を取り外す。親蓋21を取り外すことで、子蓋22も取り外される。このように、親蓋21および子蓋22を取り外した後、作業者は、点検口11から貯留槽10の中に入り、内部で作業を行うことができる。
ところで、図2に示す貯留槽10では、災害時、接続口13に仮設トイレ4を接続することで、仮設トイレ4を使用することができる。災害時、貯留槽10に接続される仮設トイレ4の数は、出来るだけ多い方が好ましい。そこで、本実施形態では、災害時、貯留槽10において、接続口13以外に点検口11にも仮設トイレ4を接続することで、貯留槽10で使用することが可能な仮設トイレ4の数を多くする。
しかしながら、点検口11に仮設トイレ4を接続した場合、仮設トイレ4と貯留槽10内とは連通した状態になる。そのため、貯留槽10に貯留された汚水から発せられる臭気が、点検口11を通じて、点検口11に接続された仮設トイレ4から漏れることがあり得る。そこで、本実施形態では、防臭弁機構50を蓋20の親蓋21に取り付けることで、貯留槽10に貯留された汚水からの臭気を点検口11から漏れ難くする。
次に、本実施形態に係る防臭弁機構50について説明する。図1に示すように、防臭弁機構50は、筒部51と、フランジ52と、シール部材53と、防臭弁54とを備えている。
図8は、本実施形態に係る防臭弁機構50の断面図である。図9、図10は、防臭弁機構50を親蓋21に取り付けた状態を示す図であり、それぞれ図5、図6相当図である。図8に示すように、筒部51は、上下に延びた円筒状のものである。筒部51の上端は上方に開口し、筒部51の下端は下方に開口している。
図9に示すように、防臭弁機構50を親蓋21に取り付けたとき、筒部51は、親蓋本体31に形成された嵌合孔33に挿入される。そのため、筒部51の外径は、嵌合孔33の直径よりも小さくなっている。本実施形態では、防臭弁機構50を親蓋21に取り付けたとき、筒部51の上端の上下の位置は、親蓋21の上面の上下の位置と同じである。しかしながら、筒部51の上端は、親蓋21の上面よりも上方に配置されていてもよいし、親蓋21の上面よりも下方に配置されていてもよい。
本実施形態では、図8に示すように、筒部51は、大径筒部61と、傾斜筒部62と、小径筒部63とを有している。大径筒部61は、筒部51の上部を構成している。大径筒部61には、図2に示すような仮設トイレ4が接続される。傾斜筒部62は、大径筒部61の下方に配置され、大径筒部61から下方に延びている。傾斜筒部62は、上から下に向かうにしたがって径方向の内側に傾斜している。傾斜筒部62は、上から下に向かうにしたがって内径および外径が徐々に小さくなっている。本実施形態では、傾斜筒部62の上端の内径は、大径筒部61の下端の内径よりも小さい。そのため、大径筒部61の内周面と、傾斜筒部62の内周面との間には、内周段差部65が設けられている。
小径筒部63は、筒部51の下部を構成しており、傾斜筒部62の下方に配置されている。小径筒部63は、傾斜筒部62から下方に延びている。小径筒部63の内径は、大径筒部61の内径よりも小さく、小径筒部63の外径は、大径筒部61の外径よりも小さい。本実施形態では、小径筒部63の外周面の一部には、下方に向かうにしたがって、径方向の内側に傾斜する傾斜面67が形成されている。そのため、小径筒部63の上端の内径は、小径筒部63の下端の内径よりも大きく、小径筒部63の上端の外径は、小径筒部63の下端の外径よりも大きくなっている。
フランジ52は、筒部51の外周面から径方向の外側に突出している。言い換えると、フランジ52は、筒部51から径方向の外側に向かって水平方向に延びている。ここでは、フランジ52は、筒部51の大径筒部61に設けられており、大径筒部61から径方向の外側に突出している。ただし、筒部51に対するフランジ52の位置は特に限定されず、フランジ52は、例えば傾斜筒部62に設けられてもよいし、小径筒部63に設けられてもよい。
本実施形態では、図1に示すように、フランジ52は、筒部51の外周面の周方向に沿った環状のものである。ただし、環状のフランジ52の一部が切り欠けられていてもよい。フランジ52の形状は、環状に限定されない。フランジ52の内周形状は、筒部51の外周形状に対応した形状を有しており、ここでは円形状である。フランジ52の外周形状は、親蓋21に形成された嵌合孔33に対応した形状であり、ここでは円形状である。ただし、例えば筒部51の外周形状や、嵌合孔33の形状が四角形状の場合には、シール部材53の内周形状や外周形状は、四角形状であってもよい。図11は、図9の範囲Aの拡大図である。防臭弁機構50を親蓋21に取り付けたとき、図11に示すように、フランジ52の少なくとも一部は、親蓋本体31の第1段差部32aに接触し、第1段差部32aに載置されている。ここでは、フランジ52の径方向の外側の端部(以下、外端部分ともいう。)が第1段差部32aに載置され、第1段差部32aに支持されている。
図8に示すように、シール部材53は、フランジ52の下面に設けられた環状のものである。ここで、シール部材53における「環状」とは、リング状のものをいい、筒部51の全周に亘って設けられている状態のことをいう。ここでは、「環状」は、内周形状および外周形状の具体的な形状は限定されるものではない。本実施形態では、シール部材53の内周形状は、筒部51の外周形状に対応した形状を有しており、ここでは円形状である。シール部材53の外周形状は、親蓋21に形成された嵌合孔33に対応した形状であり、ここでは円形状である。ただし、例えば筒部51の外周形状や、嵌合孔33の形状が四角形状の場合には、シール部材53の内周形状や外周形状は、四角形状であってもよい。
シール部材53は、フランジ52の下方において、筒部51の外周面から径方向の外側に延びている。本実施形態では、シール部材53は、フランジ52の下面に固定されている。シール部材53は、例えば接着剤によってフランジ52に固定されている。シール部材53は、フランジ52と同様に筒部51の大径筒部61に設けられているが、傾斜筒部62に設けられてもよいし、小径筒部63に設けられてもよい。また、シール部材53は省略されてもよい。
本実施形態では、シール部材53の外径L11は、フランジ52の外径L12よりも小さい。そのため、シール部材53とフランジ52との間には、外周段差部71が設けられている。外周段差部71は、フランジ52における外端部分と、シール部材53の端面によって構成されている。ここでは、図11に示すように、防臭弁機構50を親蓋21に取り付けたとき、外周段差部71が親蓋21の第1段差部32aに載置される。
本実施形態では、図8に示すように、シール部材53の厚みL21は、フランジ52の厚みL22よりも厚い。ここでの「厚み」とは、上下の長さのことをいう。例えばシール部材53の厚みL21は、フランジ52の厚みL22の2倍以上であり、好ましくは3倍以上であり、特に好ましくは4倍以上である。ただし、シール部材53の厚みL21は、フランジ52の厚みL22と同じであってもよいし、フランジ52の厚みL22よりも薄くてもよい。
本実施形態では、図9に示すように、防臭弁機構50を親蓋21に取り付けたとき、シール部材53は、親蓋21の嵌合孔33の周面に接触する。図11の一例では、シール部材53の底面の一部が、嵌合孔33の周面の第2横面47に接触している。ここでは、シール部材53の側面は、嵌合孔33の周面の第2縦面42に接触していないが、シール部材53の側面は、第2縦面42に接触していてもよい。
なお、シール部材53の材料は特に限定されない。本実施形態では、シール部材53は、可撓性を有する材料によって形成されている。シール部材53の材料の一例として、ゴム、発泡ゴムなどが挙げられるが、その中でもエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)であることが好ましい。例えばシール部材53は、貯留槽10内の臭気が点検口11から漏れ難くすることができれば、硬質の材料によって形成されてもよい。
図1に示すように、シール部材53には、突起73が設けられている。突起73は、シール部材53の径方向の外側の端から外側に突出している。図10に示すように、防臭弁機構50を親蓋21に取り付けたとき、この突起73は、親蓋21の凹部35に入り込む。ここでは、突起73は、凹部35に載置されている。しかしながら、貯留槽10内の臭気が親蓋21の凹部35から漏れ難くすることができれば(例えば突起73が凹部35の側面に接触していれば)、突起73は、凹部35に載置されていなくてもよく、突起73と凹部35の底面との間の一部に、若干の隙間が形成されていてもよい。
突起73は、親蓋21の凹部35に対応した形状を有している。ここでは、図1に示すように、突起73は、直方体形状である。突起73は、シール部材53と一体的に形成されているが、シール部材53と別体であってもよい。ここでは、突起73は、シール部材53と同じ材料で形成されている。突起73は、可撓性を有する材料、例えばゴム(ここではEPDM)で形成されている。本実施形態では、図8に示すように、突起73の厚みL23は、シール部材53の厚みL21と同じである。しかしながら、突起73の厚みL23は、シール部材53の厚みL21よりも薄くてもよいし、厚くてもよい。本実施形態では、突起73の厚みL23は、凹部35の深さよりも小さい。ただし、突起73の厚みL23は、凹部35の深さと同じであってもよいし、凹部35の深さよりも大きくてもよい。
図8に示すように、防臭弁54は、筒部51の下側の開口を開閉可能に筒部51に設けられている。本実施形態では、防臭弁54は、筒部51の小径筒部63の下端に設けられている。なお、防臭弁54の構成は特に限定されない。防臭弁54は、アーム81と、支持軸82と、弁体83と、錘84とを有している。
アーム81は、筒部51の小径筒部63の外周面に設けられている。ここでは、アーム81は、小径筒部63における傾斜面67の下方の部分から径方向の外側に向かって延びている。図12は、筒部51の底面図である。なお、図12では、弁体83および錘84は省略されている。本実施形態では、図12に示すように、アーム81の数は2つであり、2つのアーム81は前後に対向している。ただし、アーム81の数は特に限定されず、1つであってもよい。
支持軸82は、アーム81に支持されており、筒部51の軸方向(ここでは上下方向)と直交する方向(ここでは前後方向)に延びている。ここでは、支持軸82は、2つのアーム81に架け渡されている。
図8に示すように、弁体83は、筒部51の下端(言い換えると、小径筒部63の下端)に装着可能である。弁体83は、筒部51の小径筒部63の下側の開口を開閉するように構成されている。弁体83は、支持軸82に支持されており、支持軸82を介してアーム81に揺動可能に支持されている。
なお、弁体83の形状は特に限定されない。本実施形態では、図8に示すように、弁体83の形状は、上方に開口した器形状である。詳しくは、弁体83は、閉鎖板部85と、囲い部86とを備えている。閉鎖板部85は、弁体83が筒部51の下端に装着されたときに、筒部51(詳しくは、小径筒部63)を閉鎖する。閉鎖板部85は板状のものである。囲い部86は、弁体83が筒部51の下端に装着されたときに、閉鎖板部85の縁から上方、かつ、閉鎖板部85から離れる方向に向かって斜めに延びている。
図13は、弁体83の平面図である。図13に示すように、弁体83には、支持軸82の軸線82aに対して筒部51(図8参照)と反対側(図13では右側)に向かって延びた取付部87が設けられている。
図8に示すように、錘84は、支持軸82に対して弁体83と反対側に配置され、支持軸82を介してアーム81に揺動可能に支持されている。図8において、弁体83は支持軸82の左側に配置され、錘84は支持軸82の右側に配置されている。ここでは、錘84は、弁体83の取付部87に取り外し可能に取り付けられており、ボルト88およびワッシャー89によって取付部87に固定されている。本実施形態では、弁体83と錘84は別体であるが、弁体83と錘84とは一体的に形成されていてもよい。
本実施形態では、錘84の重量は、弁体83の重量よりも大きい。そのため、例えば弁体83の上に汚水などの水が溜まっていない状態では、弁体83には支持軸82の軸線82a(図13参照)周りに上向きの力が作用する。そのため、図8に示すように、弁体83は閉じた状態となる。図14は、弁体83が開かれた状態を示す図10相当図である。他方、例えば弁体83の上に水が溜まり、水および弁体83の総重量が錘84の重量よりも大きくなると、弁体83は軸線82a周りに下向きの力が作用する。その結果、弁体83は軸線82a周りに下向きに回転するため、図14に示すように、弁体83は開かれる。
本実施形態では、筒部51の小径筒部63の下端部には、弁シール部材68が設けられていてもよい。この弁シール部材68は、弁体83が筒部51の下端に装着されているときに、小径筒部63と弁体83との間に設けられており、弁体83と接触する。図8に示すように、弁体83が閉じているときには、弁シール部材68は、弁体83と筒部51との間に介在する。この弁シール部材68によって、弁体83が閉じたときのシール性が向上する。弁シール部材68は、例えば環状のゴムである。
以上、本実施形態に係る防臭弁機構50の構成について説明した。例えば災害時以外の通常時には、図5に示すように、親蓋21に防臭弁機構50は取り付けられていない。通常時、貯留槽10の点検口11に設けられた蓋枠16には、親蓋21が嵌合しており、親蓋本体31の嵌合孔33には、子蓋22が嵌合している。
災害時に、仮設トイレ4から排出された汚水の排出先として、図2に示す貯留槽10を使用する際、点検口11に仮設トイレ4を接続する。このとき、図7に示すように、まず点検口11から蓋20の子蓋22のみを取り外す。ここでは、まず作業者は、バールなどの工具や専用の治具を子蓋22の持ち上げ部38に引っ掛けて、子蓋22を持ち上げる。このとき、図6の矢印A1に示すように、子蓋22は、凸部37を軸に回転し、親蓋21の嵌合孔33が開放される。更に子蓋22を持ち上げることで、凸部37が凹部35から抜けて、子蓋22を親蓋21から取り外すことができる。
子蓋22を取り外した後、作業者は、図9に示すように、防臭弁機構50を親蓋21に取り付ける。ここでは、防臭弁機構50の筒部51を、親蓋本体31に形成された嵌合孔33に上方から挿入する。このとき、図10に示すように、防臭弁機構50のシール部材53に設けられた突起73が親蓋本体31の凹部35に入り込むように、筒部51を挿入するとよい。筒部51を嵌合孔33に挿入し続けると、図11に示すように、防臭弁機構50のフランジ52の外端部分(ここでは外周段差部71)が、嵌合孔33の周面の第1段差部32aに載置される。このことで、防臭弁機構50は、第1段差部32aに支持された状態になり、親蓋21に取り付けられる。
このようにして、防臭弁機構50を親蓋21に取り付けた後、点検口11に仮設トイレ4を接続する。仮設トイレ4の具体的な構成は何ら限定されない。図15は、仮設トイレ4の一例を示す図である。本実施形態では、図15に示すように、仮設トイレ4は、便器を構成するボウル4aと、ボウル4aと連続する接続管5と、水を貯留する給水タンク4bと、ボウル4aおよび給水タンク4bを支持するフレーム4cとを備えている。ここでは、仮設トイレ4の接続管5を、防臭弁機構50の筒部51の上端(ここでは大径筒部61の上端)に接続することで、点検口11に仮設トイレ4を設置することができる。
本実施形態では、仮設トイレ4を使用していないときには、図10に示すように、防臭弁機構50における防臭弁54の弁体83の重量は、錘84の重量よりも小さいため、弁体83は筒部51の下端に装着されている。そのため、貯留槽10内の臭気が、防臭弁機構50の筒部51および仮設トイレ4を通じて、地上に漏れ難い。
仮設トイレ4を使用しているとき、仮設トイレ4から排出された汚水は、接続管5を通じて筒部51に流れ、筒部51の下端に装着された弁体83に溜まる。そして、弁体83と、弁体83上に溜まった汚水との総重量が、錘84の重量よりも大きくなったとき、図14に示すように、弁体83は支持軸82周りに下向きに回転する。このことで、弁体83に溜まった汚水が落下し、貯留槽10に排出される。弁体83に溜まった汚水が排出されると、弁体83と弁体83上に溜まった汚水との総重量が、錘84の重量よりも小さくなる。そのため、弁体83が支持軸82周りに上向きに回転し、図10に示すように、弁体83が筒部51の下端に装着される。
以上、本実施形態では、図5に示すように、蓋20は、親蓋21と、子蓋22と、防臭弁機構50(図1参照)とを備えている。図7に示すように、親蓋21は、上下に貫通した嵌合孔33が形成された親蓋本体31と、嵌合孔33の周面から径方向の内側に突出した第1段差部32aとを有している。図5に示すように、子蓋22は、親蓋21の嵌合孔33に嵌合する。図9に示すように、防臭弁機構50は、親蓋21に取り外し可能に設けられるものである。図10に示すように、防臭弁機構50は、上下に延びた筒部51と、フランジ52と、防臭弁54とを備えている。フランジ52は、筒部51の外周面から径方向の外側に突出し、親蓋21の第1段差部32aに載置される。防臭弁54は、筒部51の下側の開口を開閉可能に筒部51に設けられている。
このことによって、蓋20の親蓋21に防臭弁機構50を取り付ける際、親蓋21を点検口11に設けられた蓋枠16に設置した状態で、親蓋21から子蓋22(図5参照)を取り外す。そして、親蓋21の嵌合孔33が開放された状態で、嵌合孔33の周面に設けられた第1段差部32aに、防臭弁機構50のフランジ52を載置する。このことで、親蓋21の第1段差部32aがフランジ52を支持した状態になり、防臭弁機構50を親蓋21に取り付けることができる。よって、親蓋21の外径の大きさが変わっても、大きさが変わらない嵌合孔33の周面に設けられた第1段差部32aに防臭弁機構50を取り付ける構成にすることで、様々な大きさの親蓋21に取り付けることが可能な汎用性の高い防臭弁機構50を提供することができる。また、親蓋21を蓋枠16から取り外すことなく、親蓋21に防臭弁機構50を取り付けることができるため、防臭弁機構50を取り付ける際の作業時間を短くすることができる。
本実施形態では、貯留槽10の点検口11に仮設トイレ4を設置しないときには、図5に示すように、親蓋21の嵌合孔33に子蓋22を嵌合させることで、貯留槽10内の汚水から発せられる臭気を嵌合孔33から漏れ難くすることができる。仮設トイレ4を設置するために、嵌合孔33から子蓋22を取り外したときには、図10に示すように、親蓋21の第1段差部32aに防臭弁機構50のフランジ52を載置して、親蓋21に防臭弁機構50を取り付ける。このことで、親蓋21から子蓋22を取り外した場合であっても、防臭弁機構50を取り付けることで、臭気が漏れ難くすることができる。
また本実施形態では、図2に示すように、蓋20は、貯留槽10の点検口11に装着されるものである。点検口11には、防臭弁機構が設けられていないため、仮に点検口11から蓋20を取り外して、点検口11に仮設トイレ4を接続した場合、貯留槽10内の臭気が点検口11を通じて地上に漏れることがあり得る。しかしながら、本実施形態では、子蓋22を親蓋21から取り外し、図10に示すように、親蓋21の嵌合孔33の周面の第1段差部32aに防臭弁機構50のフランジ52を載置することで、点検口11に防臭弁機構50を設置することができる。よって、点検口11に仮設トイレ4を接続した場合であっても、貯留槽10内の臭気が点検口11を通じて地上に漏れ難くすることができる。したがって、貯留槽10内の臭気を地上に漏れ難くしつつ、貯留槽10に接続する仮設トイレ4の数を多くすることができる。
本実施形態では、図8に示すように、防臭弁機構50は、フランジ52の下面に設けられた環状のシール部材53を備えている。このことによって、図11に示すように、防臭弁機構50を親蓋21に取り付けたとき、シール部材53は、親蓋21の嵌合孔33の周面(ここでは、当該周面の第2横面47)に接触するため、防臭弁機構50のフランジ52と、親蓋21の嵌合孔33の周面との間のシール性を向上させることができる。よって、フランジ52と嵌合孔33の周面との間から、臭気が漏れ難くすることができる。
本実施形態では、図8に示すように、シール部材53の厚みL21は、フランジ52の厚みL22よりも厚い。シール部材53は、親蓋21の嵌合孔33の周面に接触可能に構成されている。このことによって、比較的に厚みの大きいシール部材53を使用するため、シール部材53の表面積を大きくすることができ、シール部材53と嵌合孔33の周面とをより密着させ易くすることができる。よって、防臭弁機構50のフランジ52と、親蓋21の嵌合孔33の周面との間のシール性をより向上させることができる。したがって、フランジ52と嵌合孔33の周面との間から臭気がより漏れ難くすることができる。
本実施形態では、図8に示すように、シール部材53の外径L11は、フランジ52の外径L12よりも小さい。シール部材53の径方向の外側と、フランジ52の径方向の外側との間に外周段差部71が設けられている。図11に示すように、親蓋21における嵌合孔33の周面の第1段差部32aに、防臭弁機構50の外周段差部71を載置する。このとき、シール部材53の径方向の外側の端が嵌合孔33の周面に接触する。よって、親蓋21の第1段差部32aが防臭弁機構50の外周段差部71を支持しつつ、防臭弁機構50のフランジ52と親蓋21の嵌合孔33の周面との間のシール性を向上させることができる。
本実施形態では、図6に示すように、親蓋21は、嵌合孔33の周面の一部から径方向の外側に凹み、かつ、親蓋本体31の上面から下方に凹んだ凹部35を有している。図3に示すように、子蓋22は、嵌合孔33に嵌合する嵌合部36と、嵌合部36に連続し、凹部35に入り込む凸部37とを有している。図10に示すように、防臭弁機構50のシール部材53には、凹部35に入り込む突起73が設けられている。
例えば貯留槽10内の汚水から発せられる臭気は、親蓋21の凹部35から漏れることがあり得る。しかしながら、本実施形態では、防臭弁機構50のフランジ52を親蓋21の第1段差部32aに載置する際、シール部材53に設けられた突起73が、親蓋21の凹部35に入り込む。よって、凹部35が突起73によって塞がれる。したがって、防臭弁機構50を親蓋21に取り付けた場合であっても、親蓋21の凹部35から臭気が漏れ難くすることができる。
本実施形態では、突起73は、ゴム(例えばEPDM)によって形成されている。このことで、突起73が親蓋21の凹部35に入り込んだとき、突起73が凹部35を形成する面に密着し易い。よって、親蓋21の凹部35が突起73によって塞がり易く、凹部35から臭気がより漏れ難くすることができる。
上記実施形態では、シール部材53は、フランジ52の下面に設けられていた。しかしながら、図16に示す他の実施形態に係る防臭弁機構50Aのように、シール部材53はフランジ52の上面に設けられてもよい。シール部材53は、フランジ52の上方において、筒部51の外周面から径方向の外側に延びている。この実施形態では、シール部材53の上面は、筒部51の上端と同じ高さである。この実施形態では、蓋20の親蓋21に防臭弁機構50Aを取り付けたとき、シール部材53は、嵌合孔33の周面の第1縦面41の高さに配置され、シール部材53の上面は、地面と面一になる。そのため、親蓋21の嵌合孔33の第1縦面41と、筒部51の外周面と、フランジ52の上面とで形成された窪みが、シール部材53で埋められる。よって、例えば作業者の足が上記窪みに入り込みことを防止することができる。
上記実施形態では、親蓋21の第1段差部32aが本発明の段差部の一例であり、防臭弁機構50のフランジ52は、第1段差部32aに載置される。しかしながら、本発明の段差部は、第1段差部32aに限定されず、例えば親蓋21の嵌合孔33の周面に設けられ、第1段差部32aの下方に配置された第2段差部32bや第3段差部32cであってもよい。防臭弁機構50のフランジ52は、親蓋21の第2段差部32bに載置されるものであってもよいし、第3段差部32cに載置されるものであってもよい。
上記実施形態では、蓋20が装着される点検口11は、貯留槽10に形成されており、蓋20は、貯留槽10に装着されるものであった。しかしながら、点検口11は、貯留槽10に形成されることに限定されず、蓋20の装着先は、貯留槽10に限定されない。例えば点検口11は、いわゆるマンホールに形成されるものであってもよいし、ますに形成されるものであってもよい。蓋20は、マンホールや、ますに装着されるものであってもよい。