JP7578024B2 - 全固体電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は全固体電池に関する。
全固体電池は、正極活物質層を含む正極、負極活物質層を含む負極、及び、これらの間に配置された固体電解質を含む固体電解質層を備えている。
例えば特許文献1には、高いエネルギー密度と容量維持率とを実現するために好適な全固体電池用の負極、負極活物質が開示されている。
特許文献2には、空隙率が10%以下の固体電解質層と、空隙率が15%以上の易破壊層(負極側)とを積層した固体電解質シートが開示され、易破壊層はプレス圧を調整し製造している。
また、特許文献3には、全固体電池の固体電解質層が、第一固体電解質の粉末を成形した粉末成形体部と、正極側又は負極側の少なくとも一方の表面に第二固体電解質を気相法により堆積した表面蒸着膜とを備えることを開示している。これにより表面蒸着膜を備えることで、金属リチウムのデンドライト成長を抑制することができ、電池の内部短絡を防止することができるとしている。
特開2017-054720号公報 特開2020-107594号公報 特開2009-301959号公報
上記従来技術では合金系活物質を用いた全固体電池を開示しているが、このような全固体電池は、固体電解質に亀裂が生じて短絡したり、固体電解質に設けた空隙が緻密化により潰れたりして、耐久性に問題があった。
そこで本開示は、耐久性を高めることができる全固体電池を製造する方法を提供することを目的とする。
本開示は上記課題を解決するための一つの手段として、負極電解質層、正極電解質層、並びに、負極電解質層と正極電解質層の間に配置される、第一固体電解質層及び昇華性充填剤を含む第二固体電解質層を有する積層体を得る工程と、積層体を緻密化する工程と、第二固体電解質層から昇華性充填剤を昇華させる工程と、を含む、全固体電池の製造方法を開示する。
本開示の全固体電池の製造方法によれば、得られた全固体電池において耐久性を高めることができる。
全固体電池10の層構成を説明する図である。 全固体電池の製造方法S10の流れを説明する図である。
1.全固体電池
初めに、本開示の製造方法により製造される全固体電池について説明する。
図1に全固体電池の一例を示す概略断面図を示した。図1に示すように、全固体電池10は、正極活物質を含有する正極活物質層11、負極活物質を含有する負極活物質層12、正極活物質層11と負極活物質層12との間に形成された第一固体電解質層13及び第二固体電解質層14、正極活物質層11の集電を行う正極集電体層15、並びに、負極活物質層12の集電を行う負極集電体層16を有する。なお、正極活物質層11と正極集電体層15とを併せて正極と称呼することがあり、負極活物質層12と負極集電体層16とを併せて負極と称呼することがある。
以下、全固体電池10の各構成について説明する。
1.1.正極活物質層
正極活物質層11は、正極活物質を含有する層であり、必要に応じて、さらに固体電解質材、導電材及び結着材の少なくとも一つを含有していてもよい。
正極活物質は公知の活物質を用いればよい。例えば、コバルト系(LiCoO等)、ニッケル系(LiNiO等)、マンガン系(LiMn、LiMn等)、リン酸鉄系(LiFePO、LiFeP等)、NCA系(ニッケル、コバルト、アルミニウムの化合物)、NMC系(ニッケル、マンガン、コバルトの化合物)等が挙げられる。より具体的にはLiNi1/3Co1/3Mn1/3などがある。
正極活物質は表面がニオブ酸リチウム層やチタン酸リチウム層やリン酸リチウム層等の酸化物層で被覆されていてもよい。
固体電解質は無機固体電解質が好ましい。有機ポリマー電解質と比較してイオン伝導度が高く、耐熱性に優れるためである。無機固体電解質として例えば、硫化物固体電解質や酸化物固体電解質等が挙げられる。
Liイオン伝導性を有する硫化物固体電解質材としては、例えば、LiS-P、LiS-P-LiI、LiS-P-LiO、LiS-P-LiO-LiI、LiS-SiS、LiS-SiS-LiI、LiS-SiS-LiBr、LiS-SiS-LiCl、LiS-SiS-B-LiI、LiS-SiS-P-LiI、LiS-B、LiS-P-ZmSn(ただし、m、nは正の数。Zは、Ge、Zn、Gaのいずれか。)、LiS-GeS、LiS-SiS-LiPO、LiS-SiS-LixMOy(ただし、x、yは正の数。Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれか。)等を挙げることができる。なお、上記「LiS-P」の記載は、LiSおよびPを含む原料組成物を用いてなる硫化物固体電解質材を意味し、他の記載についても同様である。
一方、Liイオン伝導性を有する酸化物固体電解質材としては、例えば、NASICON型構造を有する化合物等を挙げることができる。NASICON型構造を有する化合物の一例としては、一般式Li1+xAlGe2-x(PO(0≦x≦2)で表される化合物(LAGP)、一般式Li1+xAlTi2-x(PO(0≦x≦2)で表される化合物(LATP)等を挙げることができる。また、酸化物固体電解質材の他の例としては、LiLaTiO(例えば、Li0.34La0.51TiO)、LiPON(例えば、Li2.9PO3.30.46)、LiLaZrO(例えば、LiLaZr12)等を挙げることができる。
結着材は、化学的、電気的に安定なものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系結着材、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム系結着材、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のオレフィン系結着材、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース系結着材等を挙げることができる。
導電材としてはアセチレンブラックやケッチェンブラック等の炭素材料やニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料を用いることができる。
正極活物質層11における各成分の含有量、正極活物質層11の形状は従来と同様とすればよい。特に、全固体電池10を容易に構成できる観点から、シート状の正極活物質層11が好ましい。この場合、正極活物質層11の厚みは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上150μm以下であることがより好ましい。
1.2.負極活物質層
負極活物質層12は、少なくとも負極活物質を含有する層であり、必要に応じて、固体電解質材、導電材および結着材の少なくとも一つを含有していてもよい。固体電解質材、導電材および結着材については正極活物質層11と同様に考えることができる。
負極活物質は特に限定されることはないが、リチウムイオン電池を構成する場合は、負極活物質としてグラファイトやハードカーボン等の炭素材料や、チタン酸リチウム等の各種酸化物、SiやSi合金、或いは、金属リチウムやリチウム合金等を挙げることができる。
1.3.第一固体電解質層
第一固体電解質層13は、本形態では正極活物質層11と負極活物質層12の間のうち、正極活物質層11側に配置される固体電解質層である。第一固体電解質層13は、少なくとも固体電解質材を含有する。固体電解質材としては、正極活物質層11で説明した固体電解質材と同様に考えることができる。
1.4.第二固体電解質層
第二固体電解質層14は、本形態では正極活物質層11と負極活物質層12の間のうち、負極活物質層12側に配置される固体電解質層である。すなわち、本形態では第一固体電解質13と負極活物質層12との間に第二固体電解質層14が配置されている。
第二固体電解質層14は、少なくとも固体電解質材を含有する。固体電解質材としては、正極活物質層11で説明した固体電解質材と同様に考えることができる。
ここで、第二固体電解質層14は第一固体電解質層13に比べて大きな空隙率を有している。これにより、耐久性を高める(サイクル後の自己放電電圧を抑制する)ことができる。これは、第二固体電解質層14の空隙率を第一固体電解質13の空隙率よりも大きくすることで、第二固体電解質層14の空隙が充放電時の負極体積変化による応力を緩和して、第一固体電解層が割れて短絡することを防いでいることによる。また、第二固体電解質層14に亀裂が生じても正極活物質層に亀裂が到達して短絡することを抑制できる。
第二固体電解質層14は第一固体電解質層13に比べて大きな空隙率を有していれば上記効果を奏するが、第一固体電解質層13の空隙率aに対する第二固体電解質14の空隙率bの比率(b/a)が2以上であることにより上記効果がより顕著なものとなる。
第二固体電解質層14と第一固体電解質層13との厚みの差は特に限定されることはないが、第一固体電解質層13の厚みcに対する第二固体電解質14の厚みdの比率(d/c)が0.25以上4以下の範囲にあるときに上記効果をさらに顕著なものとすることができる。
1.5.集電体層
集電体は、正極活物質層11の集電を行う正極集電体層15、及び負極活物質層12の集電を行う負極集電体層16である。正極集電体層15を構成する材料としては、例えばステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボン等を挙げることができる。一方、負極集電体層16を構成する材料としては、例えばステンレス鋼、銅、ニッケルおよびカーボン等を挙げることができる。
1.6.電池ケース
全固体電池は不図示の電池ケースを備えてもよい。電池ケースは各部材を収納するケースであり、例えばステンレス製の電池ケース等を挙げることができる。
2.全固体電池の製造方法
以下に全固体電池の製造方法について説明する。図2には1つの形態にかかる全固体電池の製造方法S10(「製造方法S10」と記載することがある。)の流れを示した。図2からわかるように製造方法S10は、正極側の部材を作製する工程(正極ペースト作製S11、正極ペースト塗工S12、第一固体電解質層ペースト作製S13、第一固体電解質層ペースト塗工S14)、負極側部材を作製する工程(負極ペースト作製S15、負極ペースト塗工S16、第二固体電解質層ペースト作製S17、第二固体電解質層ペースト塗工S18)、積層及び緻密化の工程S19、及び、昇華性充填剤除去の工程S20を含んでいる。
以下、各工程について説明する。ここではわかりやすさのため各層を上記全固体電池10と同じ符号で表した。ただし、製造方法S10では全固体電池10以外の全固体電池の製造にも適用することができる。
2.1.正極側の部材を作製する工程
本形態で正極側の部材を作製する工程では、正極集電体層15となる層に正極活物質層11となる層、及び、第一固体電解質層13となる層を順次塗工する。より具体的には、正極ペースト作製S11、正極ペースト塗工S12、第一固体電解質層ペースト作製S13、及び、第一固体電解質層ペースト塗工S14の各工程を含んでいる。
具体的には、正極活物質を準備し、この正極活物質に必要な材料(固体電解質、結着材、導電材等)を混ぜて正極ペーストを得る(正極ペースト作製S11)。次いで、正極ペースト作製S11で得られた正極ペーストを、正極集電体層15となる層に所定の厚さとなるように塗工及び乾燥して正極活物質層11となる層とする(正極ペースト塗工S12)。
また、第一固体電解質材料(例えば硫化物固体電解質材)を準備し、これに必要な材料(結着材等)を調合して混ぜることで第一固体電解質層ペーストを得る(第一固体電解質層ペースト作製S13)。その後、第一固体電解質層ペースト作製S13で得られた第一固体電解質ペーストを正極ペースト塗工S12で形成した正極活物質層11となる層に所定の厚さとなるように塗布し、乾燥させて第一固体電解質層13となる層を得る(第一固体電解質層ペースト塗工S14)。
これにより、正極集電体層15となる層に正極活物質層11となる層、及び、第一固体電解質層13となる層が積層された正極側の部材(積層体)を得る。
2.2.負極側の部材を作製する工程
本形態で負極側の部材を作製する工程は、上記正極側の部材を作製する工程とは平行した工程であり、負極集電体層15となる層に負極活物質層12となる層、及び、第二固体電解質層14となる層を順次塗工する。より具体的には、負極ペースト作製S15、負極ペースト塗工S16、第二固体電解質層ペースト作製S17、及び、第二固体電解質層ペースト塗工S18の各工程を含んでいる。
具体的には、負極活物質を準備し、この負極活物質に必要な材料(固体電解質、結着材、導電材等)を混ぜて負極ペーストを得る(負極ペースト作製S15)。次いで、負極ペースト作製S15で得られた負極ペーストを、負極集電体層16となる層に所定の厚さとなるように塗工及び乾燥して負極活物質層12となる層とする(負極ペースト塗工S16)。
また、第二固体電解質材料(例えば硫化物固体電解質)を準備し、これに必要な材料を調合して混ぜることで第二固体電解質層ペーストを得る(第二固体電解質層ペースト作製S17)。
ここで、上記したように第二固体電解質層14は第一固体電解質層13よりも空隙率が高くなるように構成されている。そのため第二固体電解質層ペースト作製S17では、この空隙を形成するため、必要な材料として昇華性充填剤が含まれる。
昇華性充填剤は昇華することが可能な材料で、第二固体電解質層ペースト作製S17では固体の状態であり、後述する昇華性充填剤除去S20で気化(昇華)することが可能な材料である。このような材料は特に限定されることはないが、例えば硫黄を挙げることができる。
また、第二固体電解質層ペーストに対する昇華性充填剤が含まれる量は、第二固体電解質層14に形成されるべき空隙率を満たすように決められる。
その後、第二固体電解質層ペースト作製S17で得られた第二固体電解質ペーストを負極ペースト塗工S16で形成した負極活物質層12となる層に所定の厚さとなるように塗布し、乾燥させて第二固体電解質層14となる層を得る(第二固体電解質層ペースト塗工S18)。
これにより、負極集電体層16となる層に負極活物質層12となる層、及び、第二固体電解質層14となる層が積層された負極側の部材(積層体)を得る。
2.3.積層及び緻密化
積層及び緻密化S19の工程では、ここまでで作製した正極側の部材の第一固体電解質層13となる層と負極側の部材の第二固体電解質層14となる層とを重ね合わせるとともに、プレスすることで緻密化して積層電極体とする。
2.4.昇華性充填剤除去
昇華性充填剤除去S20の工程では、積層及び緻密化S19で得た積層電極体を外装体に入れ、第二固体電解質層14となる層に含まれる昇華性充填剤を除去する。昇華性充填剤の除去の手段は適切な方法が選ばれればよいが、例えば減圧(加熱)乾燥等を挙げることができる。
2.5.効果等
本開示の製造方法によれば、空隙が形成される前の昇華性充填剤が含まれる状態でプレスが行われるため、プレス時には拘束力が空隙により吸収されることが抑制され、効率よく各層に伝わり、拘束圧が低くても各層の接合が強固に行われ、充放電可能かつ、サイクル特性に優れる。
また、プレス後に昇華性充填剤が除去されて空隙が形成されるため、空隙が潰れずに第二固体電解質層に残ることから、上記したように全固体電池として使用した際の充放電による電極の膨張収縮に対して効率よくその変化を吸収することができる。
3.その他
上記説明では固体電解質層として第一及び第二の2つの固体電解質層である例を説明したが、3つ以上の固体電解質層を設けるように構成してもよい。この場合には少なくとも1つにおいて昇華性充填剤が含有されて作製され、他の固体電解質層よりも空隙率が高くなるように構成されていればよい。
また、上記説明では陰極側の固体電解質層が正極側の固体電解質層よりも高い空隙率である例を説明したが、逆でもあってもよい。ただし、充放電において陰極の方が膨張収縮の変化が大きいことから、本形態のように陰極側に第二固体電解質層が配置されることが好ましい。
また、上記説明では製造において、各層を全て積層してからプレス(緻密化)を行ったが、第一固体電解質層を含む正極側の積層体と第二固体電解質を含む陰極側の積層体を別々にプレス(緻密化)してから両積層体を接合してもよい。
4.試験例
4.1.試験1から試験11の全固体電池の作製
[試験1]
実施例1は、第二固体電解質層(負極側の固体電解質層)に昇華性充填剤を混合しておき、積層・緻密化(プレス)後に昇華性充填剤を昇華させることで第二固体電解質層に空隙を形成する全固体電池の製造方法であり、ここではこれを製法Aと呼称する。以下に詳しく説明する。
<被覆正極活物質の作製>
正極活物質として、レーザ回折・散乱法に基づいて測定される平均粒子径(D50)が、6μmのLiNi1/3Mn1/3Co1/3粉体を使用し、ゾルゲル法を用いて当該正極活物質の表面にLiNbOを被覆した。具体的には、エタノール溶媒に等しいモル数のLiOCおよびNb(OCを溶解して被覆用金属アルコキシド液を作製した。そして、大気圧下、転動流動コーティング装置(型式:SFP-01、パウレック社製品)を用いて被覆用金属アルコキシド液を上記正極活物質の表面に被覆した。その際、被覆膜の厚みが凡そ5nmになるように処理時間を調整した。次いで、上記被覆された正極活物質を350℃、大気圧下で1時間にわたって熱処理することにより、LiNbOで表面が被覆されたLiNi1/3Mn1/3Co1/3からなる正極活物質を得た。
<正極となる層の作製>
上記得られた正極活物質と、硫化物固体電解質としてレーザ回折・散乱法に基づいて測定される平均粒子径(D50)が2.5μmの15LiBr・10LiI・75(0.75LiS・0.25P)ガラスセラミックスを使用し、正極を作製した。
具体的には、上記正極活物質と硫化物固体電解質との重量比率が正極活物質:硫化物固体電解質=75:25となるように秤量し、さらに正極活物質100重量部に対してPVDF系結着材を4重量部、及び、導電材(アセチレンブラック)を6重量部秤量し、これらを酪酸ブチルに固形分70重量%となるように調合し、攪拌機で混練することにより、正極活物質層形成用の組成物(正極ぺ-スト)を得た。
次いで、得られた正極ペーストを、市販のアプリケーターを用いるブレードコーティングによって、厚さ15μmのアルミニウム箔製の正極集電体上に目付量が26mg/cmとなるように均一に塗布した。その後、塗膜を120℃で3分間乾燥処理し、アルミニウム箔製の正極集電体となる層上に正極活物質層となる層が形成された正極となる層を得た。
<負極となる層の作製>
負極活物質としてレーザ回折・散乱法に基づいて測定される平均粒子径(D50)が6μmのSi(シリコン)粉末を使用し、固体電解質としては、正極と同じ硫化物固体電解質を使用して負極を作製した。具体的には、上記負極活物質と硫化物固体電解質との重量比率が負極活物質:硫化物固体電解質=55:45となるように秤量し、さらに負極活物質100重量部に対してPVDF系結着材を6重量部および導電材(アセチレンブラック)を6重量部秤量し、これらを酪酸ブチルに固形分70重量%となるように調合し、攪拌機で混練することにより、負極活物質層形成用の組成物(負極ぺ-スト)を得た。
次いで、得られた負極ペーストを、市販のアプリケーターを用いるブレードコーティングによって、厚さ15μmの銅箔製の負極集電体層となる層に目付量が4.0mg/cmとなるように均一に塗布した。その後、塗膜を120℃で3分間ほど乾燥処理し、銅箔製の負極集電体となる層上に負極活物質層となる層が形成された負極となる層を得た。
<第一固体電解質層となる層の作製>
正極となる層及び負極となる層の作製に使用した上記硫化物固体電解質を用いて正極となる層上に第一固体電解質層となる層を作製した。
初めに、正極活物質層となる層にステンレス(SUS)箔を被せ、プレス機を用いて加圧(25℃、15MPa、30秒)した。
次いで、硫化物固体電解質99.0重量部、SBR(スチレン-ブタジエンゴム)系結着材1.0重量部を秤量し、酪酸ブチルに固形分60重量%となるように調合し、超音波分散装置(型式:UH-50、エスエムテー社製品)を用いて2分間ほど超音波分散処理することにより、第一固体電解質層形成用の組成物(第一固体電解質ぺ-スト)を得た。
その後、得られた第一固体電解質ペーストを上述した正極作製時と同様の手順により、正極活物質層となる層上に目付量が8.0mg/cm(厚さ40μm)となるように均一に塗布した後、自然乾燥させ、さらに120℃で3分間ほど乾燥処理し、正極活物質層となる層上に第一固体電解質層となる層を積層した。
<第二固体電解質層となる層の作製>
正極となる層及び負極となる層の作製に使用した上記硫化物固体電解質を用いて負極となる層上に第二固体電解質層となる層を作製した。
初めに、負極活物質層となる層にステンレスSUS箔を被せ、プレス機を用いて加圧(25℃、15MPa、30秒)した。
次いで、硫化物固体電解質88.6重量部、SBR(スチレン-ブタジエンゴム)系結着材1.0重量部、昇華性充填剤としての硫黄10.4重量部を秤量し、酪酸ブチルに固形分60重量%となるように調合し、超音波分散装置(型式:UH-50、エスエムテー社製品)を用いて2分間ほど超音波分散処理することにより、第二固体電解質形成用の組成物(第二固体電解質ぺ-スト)を得た。
その後、得られた第二固体電解質ペーストを、上述した正極となる層の作製時と同様の手順により、負極活物質層となる層に目付量が2.0mg/cm(厚さ10μm)となるように均一に塗布した後、自然乾燥させ、さらに120℃で3分間ほど乾燥処理し、負極活物質層となる層上に第二固体電解質層となる層を積層した。
<全固体電池(電池組立体)の作製と空隙形成>
上記正極となる層及び第一固体電解質層となる層をアルミニウム箔ごと縦3cm横3cmの正方形状に打ち抜き、同形状に打ち抜いた上記負極となる層及び第二固体電解質層となる層に重ね合わせ、25℃、300MPaのプレス圧で1分間プレスし、積層電極体を得た。
こうして得られた積層電極体を予め正負極端子が付設されたアルミニウム製のラミネートフィルムからなる外装体に入れ、140℃で12時間真空乾燥させる過程を経て負極側である第二固体電解質層から硫黄を除去した後に密閉し、電極体接合・緻密化後の固体電解質層に空隙を有する実施例1にかかる全固体電池(全固体リチウムイオン二次電池)を得た。
[試験2]
第二固体電解質ペーストの作製において、配合比を硫化物固体電解質78重量部、SBR(スチレン-ブタジエンゴム)系結着材1.0重量部、硫黄21重量部とした以外は、実施例1と同様の材料および工程により、実施例2の全固体電池(全固体リチウムイオン二次電池)を得た。
[試験3]
第二固体電解質ペーストの作製において、配合比を硫化物固体電解質67.2重量部、SBR(スチレン-ブタジエンゴム)系結着材1.0重量部、硫黄31.8重量部とした以外は、実施例1と同様の材料および工程により、実施例3の全固体電池(全固体リチウムイオン二次電池)を得た。
[試験4]
第二固体電解質ペーストの作製において、配合比を硫化物固体電解質56.2重量部、SBR(スチレン-ブタジエンゴム)系結着材1.0重量部、硫黄42.8重量部とした以外は、実施例1と同様の材料および工程により、実施例4の全固体電池(全固体リチウムイオン二次電池)を得た。
[試験5]
第一固体電解質層の目付量が5.0mg/cm(厚さ25μm)、第二固体電解質層の目付量が5.0mg/cm(厚さ25μm)となるように均一に塗布した以外は、実施例2と同様の材料および工程により、実施例5の全固体電池(全固体リチウムイオン二次電池)を得た。
[試験6]
第一固体電解質層の目付量が2.0mg/cm(厚さ10μm)、第二固体電解質層の目付量が8.0mg/cm(厚さ40μm)となるように均一に塗布した以外は、実施例2と同様の材料および工程により、実施例6の全固体電池(全固体リチウムイオン二次電池)を得た。
[試験7]
第二固体電解質層ペーストの作製において、配合比を硫化物固体電解質93.9重量部、SBR(スチレン-ブタジエンゴム)系結着材1.0重量部、昇華性充填剤としての硫黄5.1重量部とした以外は、試験1と同様の材料および工程により、試験7の全固体電池(全固体リチウムイオン二次電池)を得た。
[試験8]
第一固体電解質層の目付量が9.0mg/cm(厚さ45μm)、第二固体電解質層の目付量が1.0mg/cm(厚さ5μm)となるように均一に塗布した以外は、実施例2と同様の材料および工程により、試験8の全固体電池(全固体リチウムイオン二次電池)を得た。
[試験9]
第一固体電解質層の目付量が1.6mg/cm(厚さ8μm)、第二固体電解質層の目付量が8.4mg/cm(厚さ42μm)となるように均一に塗布した以外は、実施例2と同様の材料および工程により、試験9の全固体電池(全固体リチウムイオン二次電池)を得た。
[試験10]
固体電解質層となる層を別々にプレスして空隙率を調整してから正極側の部材と負極側の部材とを接合した全固体電池を作製した。これを製法Bと呼称する。そして、試験10では正極は製法Aと同じとし、負極を製法Bにより作製した。
<第一固体電解質層の作製>
正負極の作製に使用した上記硫化物固体電解質を使用して正極となる層に第一固体電解質層となる層を形成した。まず、正極活物質層にステンレス(SUS)箔を被せ、プレス機を用いて加圧(25℃、15MPa、30秒)した。
次いで、硫化物固体電解質99.0重量部、SBR(スチレン-ブタジエンゴム)系結着材1.0重量部を秤量し、酪酸ブチルに固形分60重量%となるように調合し、超音波分散装置(型式:UH-50、エスエムテー社製品)を用いて2分間ほど超音波分散処理することにより、第一固体電解質形成用の組成物(第一固体電解質ぺ-スト)を得た。
そして、得られた第一固体電解質ペーストを、上述した正極作製時と同様の手順により、正極活物質層となる層上に目付量が8.0mg/cm(厚さ40μm)となるように均一に塗布し、その後、自然乾燥させ、さらに120℃で3分間ほど乾燥処理し、正極活物質層となる層上に第一固体電解質層となる層を作製した。
<第二固体電解質層の作製>
正負極の作製に使用した上記硫化物固体電解質を使用して負極上に第二固体電解質層を作製した。まず、負極活物質層にステンレス(SUS)箔を被せ、プレス機を用いて加圧(25℃、300MPa、1分)した。
次いで、硫化物固体電解質99.0重量部、SBR(スチレン-ブタジエンゴム)系結着材1.0重量部を秤量し、酪酸ブチルに固形分60重量%となるように調合し、超音波分散装置(型式:UH-50、エスエムテー社製品)を用いて2分間ほど超音波分散処理することにより、第二固体電解質形成用の組成物(第二固体電解質ぺ-スト)を得た。
そして、得られた第二固体電解質ペーストを、上述した正極作製時と同様の手順により、負極活物質層となる層上に目付量が2.0mg/cm(厚さ10μm)となるように均一に塗布しその後、自然乾燥させ、120℃で3分間ほど乾燥処理した。さらに、第二固体電解質層となる層を塗工した負極となる層をプレス機で加圧し(25℃、24MPa、30秒)、負極活物質層となる層上に空隙を有する第二固体電解質層となる層を得た。
<全固体電池(電池組立体)の作製>
上記正極及び第一固体電解質層をアルミニウム箔ごと縦3cm横3cmの正方形状に打ち抜き、25℃、300MPaのプレス圧で1分間プレスした。次いで、同形状に打ち抜いた上記負極となる層及び第二固体電解質層となる層を、上記正極となる層及び第一固体電解質となる層に重ね合わせて25℃、24MPaのプレス圧で30秒間プレスして積層電極体を得た。この積層電極体を予め正負極端子が付設されたアルミニウム製のラミネートフィルムからなる外装体に入れ密閉し、第二固体電解質層となる層に空隙形成後に電池化した試験10の全固体電池(全固体リチウムイオン二次電池)を得た。
[試験11]
試験11では、試験1で作製した第二固体電解質層となる層に対して昇華性充填剤(試験1における硫黄)を混合しない固体電解質層となる層を負極側のみに形成した全固体電池を作製した。具体的には試験1で説明した第一固体電解質層となる層は設けず、第二固体電解質ペーストの作製と同じ要領で、配合比を硫化物固体電解質99重量部、SBR(スチレン-ブタジエンゴム)系結着材1.0重量部とし、目付量が10.0mg/cm(厚さ50μm)となるように均一に塗布した。それ以外は、試験1と同様の材料および工程により試験11の全固体電池(全固体リチウムイオン二次電池)を得た。
4.2.評価
[固体電解質層の厚みと空隙率の測定]
積層後の全固体電池の断面SEM像から固体電解質層の実際の厚みを読み取った。各材料の比重と組成比、目付から充填率100%時の厚みを計算し、実際の厚みとの差から空隙率を求めた。
[セル抵抗測定]
各試験の全固体電池を1MPaで電極体の積層方向に定寸拘束した後、4.5V-CCCV充電、電流レート15mA、1mA電流カット、3.5V-CCCV放電、電流レート15mA、1mA電流カットで充放電を行い、1時間放置した。次いで、CC放電、電流レート100mA、10秒カットで放電を行い、オームの法則に従ってセル抵抗を測定した。これらの結果を試験11に対する比で表1の該当欄に示した。
[耐久試験]
各試験の全固体電池を、上記セル抵抗測定の後に4.5V-CCCV充電、電流レート15mA、1mA電流カット、2.5V-CCCV放電、電流レート15mA、1mA電流カットで充放電を100回繰り返し、4.5V-CCCV充電、電流レート15mA、1mA電流カットで再度充電し、24時間後の電圧降下を自己放電電圧として固体電解質層の耐久性の指標とした。これらの結果を試験11に対する比で表1の該当欄に示した。
4.3.結果
表1に各試験の主要な条件及び結果を示した。
試験11と試験1~試験10との比較により第二固体電解質層を設けてその空隙率を第一固体電解質層より大きくすることで耐久性を高める(サイクル後の自己放電電圧を抑制する)ことができたことがわかる。
さらにその中でも、空隙率が大きい方が充放電時の負極体積変化による応力を緩和して、正極側の固体電解層が割れて短絡することを防いでいる。より具体的には、試験1~試験4と試験7との比較により第一固体電解質層の空隙率aと第二固体電解質層の空隙率bとの比であるb/aが2以上のときに、自己放電抑制効果がより顕著であることがわかった。これは、第二固体電解質層の空隙を十分大きくとることで応力緩和効果が高められたと考えられる。
また、試験2、5、6と、試験8、9との比較により、第一固体電解質層の厚みcと第二固体電解質層の厚みdとの比であるd/cが0.25以上4以下の範囲にあるときに、自己放電電圧の抑制効果が顕著であることがわかった。この範囲とすることで、第一固体電解質層と第二固体電解質層との厚みのバランスが取られいずれかの固体電解質層が割れるということを抑制することができるためであると考えられる。
試験1と試験10との比較により、工程違いによるセル抵抗低減効果も見られた。試験1のように、正極-固体電解質層-負極を貼り合わせた後にプレスすることで空隙形成後も界面が維持されてイオン伝導が阻害され難く、抵抗増加を抑制できた。
10 全固体電池
11 正極活物質層
12 負極活物質層
13 第一固体電解質層
14 第二固体電解質層
15 正極集電体層
16 負極集電体層

Claims (1)

  1. 全固体電池の製造方法であって、
    負極活物質層、正極活物質層、並びに、前記負極活物質層と前記正極活物質層の間に配置される、第一固体電解質層及び昇華性充填剤を含む第二固体電解質層を有する積層体を得る工程と、
    前記積層体を緻密化する工程と、
    前記緻密化する工程の後に前記第二固体電解質層から前記昇華性充填剤を昇華させる工程と、を含む、
    全固体電池の製造方法。
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