本開示は、有利な挿入機構、駆動機構、滅菌流体通路アセンブリ、ステータスインジケータ、安全性特徴、及び他の有利な構成要素を有する薬物送達デバイスを提供する。かかる薬物送達デバイスは、自己投与する患者にとって、安全で使用が容易であり、審美的かつ人間工学的に魅力がある。本明細書に記載の薬物送達デバイスは、未訓練の患者にとってさえも本薬物送達デバイスの作動、操作、及びロックアウトを単純にする特徴を組み込む。本開示の薬物送達デバイスは、既知の先行技術のデバイスに関連する種々の問題を伴わずに、これらの望ましい特徴を提供する。さらに、本開示の滅菌流体通路アセンブリは、標準的な充填機器及びシステムを用いて、薬学的治療剤で充填され得る。この利点は、下記でより詳細に考察されるように、流体通路アセンブリの滅菌性を維持するように機能し、それらが入れ子になる、据え付ける、あるいは標準的な充填-最終製剤化過程のためにトレイに着脱自在に挿入されることを可能にする、本開示の充填-最終製剤化カートリッジによって可能となる。
下記でより詳細に考察されるように、本開示の薬物送達デバイスは、薬物を収容してもよく、この薬物は、薬または薬品とも称され得る。薬物は、種々の生物学的製剤(例えば、ペプチド、ペプチボディ、または抗体)、バイオ後続品、大分子薬物(例えば、およそ900ダルトン以上の分子量を有する薬物)、小分子薬物(例えば、およそ900ダルトン以下の分子量を有する薬物)、高粘度薬物、低粘度薬物、せん断減粘性等の非ニュートン流体特性を呈する薬物、及び/またはニュートン流体特性を呈する薬物であり得るが、これらに限定されない。薬物は、流体または液体形態であり得るが、本開示は、特定の状態に限定されない(例えば、例として溶液、ゲル、または凍結乾燥製品との間に区別は何ら意図されない)。
ある特定の既知の薬物送達デバイスの1つの認識される不利点は、それらが、ある特定の生物製剤等の高粘度の薬物を適時に及び/または患者の不快感をほとんど伴わずに送達する能力が欠如しているということである。高粘度薬物は典型的に、低粘度薬物よりも注射により多くの時間を必要とする。患者は、自動注入装置またはシリンジを自身の皮膚に対して、高粘度薬物を注射するのに必要な時間量にわたって保持することが困難である及び/または望ましくないと感じる場合がある。注射時間は、駆動機構の力を増加させることによって減少し得るが、より強力な駆動機構は、薬物容器及びデバイス他の内部構成要素の破損の危険性を増加させる。また、より強力な駆動機構は、患者が衝撃または機械的衝撃波を受ける可能性を増加させ、それが患者を当惑させたり、驚かせたりする場合がある。結果として、患者は、薬物送達デバイスを皮膚から引き離そうとする場合があり、それにより完全な投薬に支障を来たし得る。
長い注射時間は、薬物が装着可能な薬物送達デバイスを介して投与される場合、患者に忍容される可能性がより高い。シリンジまたは自己注入装置とは異なり、装着可能な薬物送達デバイスは、薬物送達中に患者が定位置に保有する必要がない。したがって、患者は、装着可能な薬物送達デバイスが皮膚に定置され、始動された後に、あるいは薬物送達デバイスを定位置に保有することによる負担を強いられることなく、身体活動を再開することができる。
しかしながら、装着可能な薬物送達デバイスのある特定の態様は、それらが高粘度薬物の分野において採用されることを遠ざけてきた。患者の身体から著しく突出しない低背で小型の設計を達成するために、装着可能な薬物送達デバイスは、挿入機構に対してオフセットされ、直交している薬物容器を含むことが多い。この配置構成は通常、薬物容器及び挿入機構を流体連結するために、より多くの曲がりのうちの1つ(one of more turns)を有する管状導管を必要とする。したがって、シリンジ及び自己注入装置と比較して、装着可能な薬物送達デバイスの内部流体流路は、比較的長く蛇行している傾向がある。
ニュートン流体(すなわち、せん断速度が流速に正比例する流体)の挙動を示す薬物の場合、より長い流路は、より低速の流速をもたらし得る。故に、装着可能な薬物送達デバイスは、それらの長い内部流路に起因して、高粘度薬物に関連する注射の問題を潜在的に悪化させる。流速の低減を補償するために駆動機構の力を増加させることができるが、より強力な駆動機構は、薬物容器の破損の危険性を増加させるため、典型的には望ましくないと見なされる。少なくともこれらの理由で、装着可能な薬物送達デバイスは、高粘度薬物の送達に特によく適してはいないと一部からは見なされていた。
本開示の発明者らは、種々の高粘度薬物(例えば、PCSK9特異的抗体、G-CSF、スクレロスチン抗体、及びCGRP抗体)が、装着可能な薬物送達デバイスを介して注射されたときに非ニュートン流体特性を呈することを見出した。1つのかかる特性は、せん断減粘性であり、これは、せん断ひずみに供されたときに減少した粘度を呈する非ニュートン流体の能力である。せん断減粘性は、流体が導管に押し通されるときに流体の粘度を低減する。したがって、流体を導管に押し通すために必要とされる力は、流体がニュートンであった場合に必要であろう力よりも少ない。装着可能な薬物送達デバイスの関連において、せん断光輝(shinning)は、デバイスの長い内部流路の目詰まり作用を軽減する。したがって、本開示の発明者らによって見出された装着可能な薬物送達デバイスの予想外の有益性は、それらが、せん断減粘性等の非ニュートン特性を有する高粘度薬物を送達するのによく適しているということである。本開示の発明者らは、せん断減粘性がしばしば、およそ(例えば、±10%)900ダルトン以上の分子量を有する比較的大きなタンパク質分子を有する生物製剤等の薬物において生じることを見出した。本明細書に記載の装着可能な薬物送達デバイスのいずれかは、せん断減粘性性能を有する高粘度薬物で充填される薬物容器を有し得、したがって、デバイスの操作及び使用に対してせん断減粘性の予想外の有益性を実現し得る。
本薬物送達デバイス及びそのそれぞれの構成要素のある特定の非限定的な実施形態がこれより、付随する図を参照しながら記載される。
本開示の駆動機構、挿入機構、流体通路接続子、薬物送達デバイス、または構成要素の相対的な位置のいずれかを説明して本明細書で使用されるとき、「軸方向」または「軸方向に」という用語は一般に、構成要素が好ましくは、その周りで必ずしも左右対称でないが周りに位置付けられる、縦軸「A」を指す。「径方向」という用語は一般に、軸Aに対して垂直の方向を指す。「近位の」、「後面の」、「後方の」、「逆の」、または「逆方向の」という用語は一般に、方向「P」での軸方向の方向を指す。「遠位の」、「前面の」、「前方の」、「押し下げられた」、または「順方向の」という用語は一般に、方向「D」での軸方向の方向を指す。本明細書で使用されるとき、「ガラス」という用語は、環状オレフィンコポリマー(COC)及び環状オレフィンポリマー(COP)等のある特定の非反応性ポリマーを含むがこれらに限定されない、通常はガラスを必要とする医薬品グレードの用途において使用するのに好適な他の同様に非反応性の材料を含むように理解されるべきである。「プラスチック」という用語は、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーの両方を含み得る。熱可塑性ポリマーは、熱によってそれらの元々の状態に再度軟化できるが、熱硬化性ポリマーはできない。本明細書で使用されるとき、「プラスチック」という用語は主に、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン、またはアクリル樹脂等の成形可能な熱可塑性ポリマーを指し、これは、治癒剤、充填剤、強化剤、着色剤、及び/または可塑剤等といった他の成分もまた典型的に含有し、熱及び圧力下で形成または成形され得る。本明細書で使用されるとき、「プラスチック」という用語は、それらが、プラスチックと相互作用し得る治療液、またはプラスチックから液体へ別様に進入した可能性のある置換基によって分解され得る治療液と直接接触している用途での使用に認可されている、ガラス、非反応性ポリマー、またはエラストマーを含むことは意図しない。「エラストマー」、「エラストマーの」または「エラストマー材料」という用語は主に、プラスチックよりもより容易に変形可能であるが、医薬品グレードの流体との併用に認可されており、かつ周囲温度及び圧力下で浸出またはガス移動の影響を受けにくい、架橋結合した熱硬化性ゴム状ポリマーを指す。本明細書で使用されるとき、「流体」は主に、液体を指すが、液体中に分散した固体の懸濁液、及び薬物送達デバイスの流体含有部分の内側の液体に溶解したあるいは液体内に一緒に存在するガスもまた含み得る。本明細書に記載の種々の態様及び実施形態によれば、例えば、針、トロカール、及び/またはカニューレの挿入または後退のための1つ以上の偏倚部材の関連において、「偏倚部材」に言及がなされる。偏倚部材は、エネルギーを蓄積及び放出可能である、任意の部材であってよいことが理解されよう。非限定的な例としては、例えば、コイルばね、圧縮もしくは引張ばね、ねじりばね、及び板ばね等のばね、弾性的に圧縮性もしくは伸縮自在のバンド、または同様の機能を有する任意の他の部材が挙げられる。本開示の少なくとも1つの実施形態において、偏倚部材は、ばね、好ましくは圧縮ばねである。また、本明細書で使用されるとき、「薬物送達デバイス」という用語は、作動時に流体を患者に分注することが可能である任意の数のデバイスを含むことを意図する。かかる薬物送達デバイスには、例えば、装着可能な薬物送達デバイス、オンボディ注入装置、オフボディ注入装置、自己注入装置、輸液ポンプ、ボーラス注入装置等が含まれる。さらに、本明細書で使用されるとき、「装着可能な薬物送達デバイス」という用語は、作動時に流体を患者に分注することが可能で、患者の皮膚または衣類に取り付け可能である、任意の数のデバイスを含むことを意図する。かかる装着可能な薬物送達デバイスには、例えば、オンボディ注入装置及びオフボディ注入装置が含まれる。
I.薬物送達デバイス
図1A~1Cは、本開示の少なくとも1つの実施形態による例示的な薬物送達デバイス10を示す。薬物送達デバイス10を利用して、患者の体内への薬物治療剤の送達を施してもよい。図1A~1Cに示されるように、薬物送達デバイス10は、ハウジング12を含む。ハウジング12は、薬物送達デバイス10のより容易な製造、組み立て、及び操作の便宜を図るために固定的に係合可能である、1つ以上のハウジング部分構成要素を含み得る。例えば、薬物送達デバイス10は、上部ハウジング12A及び下部ハウジング12Bを含むハウジング12を含む。薬物送達デバイス10は、作動機構14、ステータスインジケータ16、及び窓18をさらに含み得る。窓18は、薬物送達デバイス10の操作がそれを通して見られ得る、任意の半透明または透過性表面であってよい。少なくとも1つの実施形態において、窓18は、上部ハウジング12A及び下部ハウジング12Bを接続して、一緒に保有するように構成され得る。図1Bに示されるように、薬物送達デバイス10は、アセンブリプラットフォーム20、滅菌流体導管30、薬物容器50を有する駆動機構100、挿入機構200、薬物容器50と挿入機構200の針またはカニューレとの間で滅菌流体の流路を確立するように構成された流体通路接続子300、ならびに電力・制御システム400をさらに含む。薬物送達デバイス10の構成要素のうちの1つ以上は、それらが、例えば、製造中に別個の構成要素として予め組み立てられ、薬物送達デバイス10のアセンブリプラットフォーム20の上の所定の位置に収まるよう構成され得るという点で、モジュール式であり得る。いくつかの実施形態において、アセンブリプラットフォーム20は、ハウジング12の一部分、例えば、下部ハウジング12の一部分であってもよく、または代替的に、別個の構成要素であってもよい。
ハウジング12は、デバイス構成要素のいくつかまたは全てを収容し得る。いくつかの実施形態において、ハウジング12は、薬物送達デバイス10を患者の皮膚または衣類に着脱自在に取り付ける手段を提供し得、それによって、薬物送達デバイス10を装着可能な薬物送達デバイスに引き裂く(rending)。いくつかの実施形態において、薬物送達デバイス10を患者の皮膚に剥離可能に取り付けるために、接着剤の層が、ハウジング12の外面、例えば、動作中にカニューレが貫通して突出する表面に適用され得る。
ハウジング12はまた、薬物送達デバイス10の内部構成要素に環境的影響からの保護を提供する。いくつかの実施形態において、ハウジングは、汚染物質及び他の有害な物質が薬物送達デバイス10に進入するのを少なくとも部分的に防止するように構成され得る。例えば、ハウジング12は、薬物送達デバイス10の中への流体の通過を制限するように構成され得る。したがって、これにより、薬物送達デバイス10がシャワー中に、水泳及び/または他の水関連の活動の間に、装着できるようになり得る。ハウジング12は、未訓練の及び/または身体障害のある場合がある患者による容易な包装、貯蔵、取り扱い、及び使用の便宜を図るために、サイズ、形状、及び関連する特徴において人間工学的に及び審美的に設計される。さらに、ハウジング12の外面を利用して、製品ラベル、安全性指示等を提供してもよい。追加的に、上述のように、ハウジング12は、操作フィードバックを患者に提供し得る、ステータスインジケータ16及び窓18等のある特定の構成要素を含み得る。
容器50、または本明細書に記載の任意の他の容器は、およそ(例えば、±10%)0.5~20mL、もしくは1~10mL、もしくは2~10mL、もしくは2~8mL、もしくは2~6mL、もしくは2~4mL、もしくは0.5~2mL、もしくは0.5~1mL、もしくは3.5mLの範囲、またはおよそ(例えば、±10%)3.0mL以下、もしくはおよそ(例えば、±10%)2.5mL以下、もしくはおよそ(例えば、±10%)2.0mL以下、もしくはおよそ(例えば、±10%)1.5mL以下、もしくはおよそ(例えば、±10%)1.0mL以下の薬物用量体積を含む、様々な異なる薬物用量体積を収容するように構成され得る。容器50は、薬物で完全にまたは部分的に充填され得る。薬物は、以下に記載される薬物、例えば、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、PCSK9(プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)特異的抗体、スクレロスチン抗体、またはカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体等の薬物のうちの1つ以上であり得る。
少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイス10は、患者が変位させて電力・制御システム400への開始コマンドをトリガする、作動機構を提供する。好ましい実施形態において、作動機構は、上部ハウジング12Aと下部ハウジング12Bとの間の開口部を通して等、ハウジング12を通して位置し、電力・制御システム400の制御アーム40に接触する、開始ボタン14である。少なくとも1つの実施形態において、開始ボタン14は、押しボタンであり得、他の実施形態においては、オン/オフスイッチ、トグル、または当該技術分野で既知の任意の同様の作動特徴であり得る。ハウジング12はまた、ステータスインジケータ16及び窓18も提供する。他の実施形態においては、作動機構14、ステータスインジケータ16、窓18のうちの1つ以上、及びそれらの組み合わせが、例えば、薬物送達デバイス10が患者の身体上に定置されるときに患者に見える側等の、上部ハウジング12Aまたは下部ハウジング12B上に提供され得る。ハウジング12は、本開示の他の構成要素及び実施形態を参照しながらこれ以降でさらに詳述される。
薬物送達デバイス10は、作動機構を押し下げることにより患者が作動させると、薬物送達デバイス10が始動されて、流体通路を患者の中に挿入することと、薬物容器、流体通路、及び滅菌流体導管の間の必要な接続を有効化する、接続する、または開通させることと、薬物容器に格納された薬物流体を、患者の中への送達のために流体通路及び流体導管に押し通すことと行うように構成され得る。1つ以上の任意選択的な安全性機構を利用して、例えば、薬物送達デバイス10の時期尚早な作動を防止してもよい。例えば、任意選択的なオンボディセンサ24(図1Cに示される)が、一実施形態において、薬物送達デバイス10が患者の身体と接触していない限り、電力・制御システム400、または作動機構が係合され得ないことを保証する安全性特徴として提供されてもよい。かかる一実施形態において、オンボディセンサ24は、患者の身体と接触するようになり得る、下部ハウジング12Bの底部に位置する。オンボディセンサ24が変位すると、作動機構の押し下げが許容される。したがって、少なくとも1つの実施形態オンボディセンサ24は、作動機構14による薬物送達デバイス10のトリガを防止する、例えば機械的ロックアウト等の、機械的安全性機構である。別の実施形態において、オンボディセンサは、信号を電力・制御システム400に送信して作動を許容する機械的ロックアウト等の、電気機械的センサであり得る。依然として他の実施形態において、オンボディセンサは、電力・制御システム400の作動を許容する前に組織を検出しなければならない、例えば、導電ベース、静電容量ベースまたはインピーダンスベースのセンサ等の電気ベースであり得る。少なくとも1つの実施形態において、かかる電気ベースのオンボディセンサは、およそ(例えば、±10%)1MΩのインピーダンスを有する抵抗器を組み込んでもよい。これらの概念は、相互排他的なものではなく、本開示の範囲内で1つ以上の組み合わせを利用して、例えば、薬物送達デバイス10の時期尚早な作動を防止してもよい。好ましい実施形態において、薬物送達デバイス10は、1つ以上の機械的オンボディセンサを利用する。追加の一体型安全性機構が、薬物送達デバイス10の他の構成要素を参照して本明細書に記載される。
流体通路接続子300は、滅菌流体導管30、穿通部材、接続ハブ、及び滅菌スリーブを含む。流体通路接続子300は、1つ以上の流れ制限部をさらに含み得る。薬物送達デバイス10の適切な作動時に、流体通路接続子300は、滅菌流体導管30を薬物容器50に接続するように有効化される。かかる接続は、薬物容器50の穿通可能なシールを突き通す、針等の穿通部材によって容易にされる。この接続の滅菌性は、可撓性滅菌スリーブ内で接続を行うことによって維持され得る。挿入機構の実質的に同時の作動時に、薬物容器と挿入機構との間の流体通路が完成して、標的組織の中への薬物送達を許容する。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、流体通路接続子の穿通部材は、使用者の直接行為、例えば、使用者による作動機構の押し下げによって、駆動機構の薬物容器の穿通可能なシールを突き通すようにされる。例えば、作動機構自体は、作動機構のその元の位置からの変位が流体通路接続子の変位もまた引き起こすように、流体通路接続子に重圧をかけてもよい。好ましい実施形態において、この接続は、使用者が所望するまで流体が薬物容器から流れるのを防止するという理由で、使用者が作動機構を押し下げ、それによって、穿通可能なシールを通して穿通部材を駆動することによって有効化される。かかる実施形態において、圧縮性の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップと流体通路接続子の接続ハブとの間に固定的に取り付けられてもよい。穿通部材は、流体通路接続子と薬物容器との間の接続が所望されるまで、滅菌スリーブ内に常在し得る。滅菌スリーブは、作動前の穿通部材及び流体通路の滅菌性を保証するために滅菌され得る。
代替的に、または追加的に、流路の滅菌性は、流体通路接続子の1つ以上の滅菌チャンバを画定する1つ以上の膜または箔によって保存されてもよい。膜または箔は、薬物ポンプの使用時点で、穿通部材によって、または代替的に、誘導部材によって穿通されてもよい。かかる実施形態において、穿通部材は、穿通部材が異物と接触するようになることを防止するために、誘導部材の管腔内に少なくとも部分的に配置される。
薬物ポンプは、異なる粘度及び体積を有する様々な薬物を送達可能である。薬物ポンプは、制御された流速(速度)で及び/または指定の体積の薬物を送達可能である。一実施形態において、薬物送達過程は、流体通路接続子及び/または滅菌流体導管内の1つ以上の流れ制限部によって制御される。他の実施形態において、他の流速が、流体流路または送達導管の幾何形状を変化させることによって、駆動機構の構成要素が薬物容器の中へと前進してその中の薬物を分注する速度を変化させることによって、またはそれらの組み合わせによって、提供されてもよい。流体通路接続子300及び滅菌流体導管30についての依然としてさらなる詳細が、これ以降、複数の実施形態を参照して後の節で提供される。
薬物送達デバイス6010の別の実施形態が、図2A~2Bに示される。薬物送達デバイス6010は、薬物送達デバイス10と同じ要素のうちの多くを含む。薬物送達デバイス10と同様、または同じである薬物送達デバイス6010の要素は、6010により増分された、同じ参照符号によって表記される。これらの要素のうちの多くの説明は、簡潔にする目的で短縮されるか、またはさらには排除される。薬物送達デバイス6010は、患者への送達のためにある体積の流体(複数可)で充填された容器6050を含み得る。流体(複数可)は、以下に記載される薬物、例えば、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、PCSK9(プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)特異的抗体、スクレロスチン抗体、またはカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体等の薬物のうちの1つ以上を含み得る。薬物送達デバイス6010において、挿入機構6200、流体通路接続子6300、及び駆動機構6100のうちの1つ以上は、モータ6207、ソレノイドまたは他の電動アクチュエータ運動、ならびに1つ以上の歯車6209の回転によって制御される。追加的に、または代替的に、エスケープメント機構を用いて、1つ以上の歯車6209の回転速度を制御してもよい。歯車6209のうちの1つは、挿入機構ハウジング6202の歯6208と係合し得る。このようにして、歯車列の1つ以上の歯車209の回転は、挿入機構ハウジング6202の回転、及びそれによって、患者の皮膚への針またはトロカールの挿入を制御し得る。挿入機構6200の種々の実施形態の操作が、以下でより詳細に記載される。
II.電力・制御システム
電力・制御システム400は、薬物送達デバイス10内の種々の電気構成要素にエネルギーを提供する、電源、1つ以上のフィードバック機構、マイクロコントローラ、回路基板、1つ以上の伝導性パッド、及び1つ以上の相互接続部を含む。当業者には理解されようが、かかる電気システムで一般的に使用される他の構成要素もまた含まれてよい。1つ以上のフィードバック機構は、例えば、ピエゾアラーム等の可聴アラーム及び/または発光ダイオード(LED)等の光インジケータを含み得る。マイクロコントローラは、例えば、マイクロプロセッサであり得る。電力・制御システム400は、患者とのデバイスのいくつかの相互作用を制御し、駆動機構100とインターフェース接続する。一実施形態において、電力・制御システム400は、オンボディセンサ24と直接であれ間接的であれインターフェース接続して、デバイスが患者及び/または作動機構14と接触している時を特定して、薬物送達デバイス10が作動されている時を特定する。電力・制御システム400はまた、患者に視覚フィードバックを提供するために光移送を許容する透過性または半透明の材料であり得る、ハウジング12のステータスインジケータ16とインターフェース接続し得る。電力・制御システム400は、1つ以上の相互接続を通して駆動機構100とインターフェース接続して、作動、薬物送達、及び投薬終了等のステータス表示を患者に中継する。かかるステータス表示は、聴覚トーンを介して、例えば可聴アラームにより、及び/または視覚インジケータを介して、例えばLEDにより、患者に提示され得る。好ましい実施形態において、電力・制御システムと薬物送達デバイス10の他の構成要素との間の制御インターフェースは、患者が作動させるまで係合または接続されない。これは、薬物送達デバイス10の偶発的な操作を防止し、さらに、貯蔵、輸送等の間に電源内に収容されるエネルギーを維持し得る、望ましい安全性特徴である。
電力・制御システム400は、いくつかの異なるステータスインジケータを患者に提供するように構成され得る。例えば、電力・制御システム400は、オンボディセンサ及び/またはトリガ機構が押圧された後に、デバイス起動チェックにより何のエラーも報告されなければ、電力・制御システム400がステータスインジケータ16を介して開始準備完了ステータス信号を提供するように、構成され得る。開始準備完了ステータス信号を提供した後に、任意選択的なオンボディセンサを有する実施形態において、オンボディセンサが患者の身体と接触したままである場合、電力・制御システム400は、駆動機構100に電力供給して、流体通路接続子300及び滅菌流体導管30を通して挿入機構200の針またはカニューレへの薬物治療の送達を開始する。本開示の好ましい実施形態において、挿入機構200及び流体通路接続子300は、作動機構14の患者による操作によって直接作動するようにされ得る。薬物送達過程中、電力・制御システム400は、ステータスインジケータ16を介して分注ステータス信号を提供するように構成される。薬物が患者の体内に投与された後、及び実質的に全用量が患者に送達されたことを確実にするためのいずれの追加の滞留時間の終了後、電力・制御システム400は、ステータスインジケータ16を介して取り外し可ステータス信号を提供し得る。これは、患者がハウジング12の窓18を通して駆動機構100及び薬物用量送達を見ることによって、独立して検証され得る。追加的に、電力・制御システム400は、ステータスインジケータ16を介して、例えば、故障または動作不具合状況を示す警報等の1つ以上の警報信号を提供するように構成され得る。
追加的に、電力・制御システム400は、薬物送達デバイスのその包装からの取り外しを特定するように構成され得る。電力・制御システム400は、包装に機械的に、電気的に、または電気機械的に接続され得、それにより、薬物送達デバイスの包装からの取り外しが、電力・制御システムを使用のために作動させ得るもしくはその電源を入れ得るか、または患者によって電源を入れられるように電力・制御システムを単に有効化し得る。かかる実施形態において、薬物送達デバイスの包装からの取り外しなしには、薬物送達デバイスは、作動され得ない。これは、薬物送達デバイス10の及び患者のための追加の安全性機構を提供する。少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイス10または電力・制御システムは、例えば、以下の様々なセンサ、すなわち、ホール効果センサ;巨大磁気抵抗(GMR)または磁界センサ;光センサ;静電容量式または静電容量変化センサ;超音波センサ;及びリニアトラベル、LVDT、リニア抵抗、または放射測定リニア抵抗センサ;ならびにそれらの組み合わせからの、1つ以上の相互作用センサ等によって、包装に電気的にまたは電気機械的に接続され得、これらのセンサは、構成要素間の信号を伝送してそれらの間の位置を特定するように調和可能である。加えてまたは代替的に、薬物送達デバイスまたは電力・制御システムは、例えば、ピンが取り外されるときに(すなわち、薬物送達デバイスが包装から取り外されると)システムを作動させるピンとスロットの関係によって、包装に機械的に接続され得る。
本開示の好ましい実施形態において、電力・制御システム400が作動されると、多機能駆動機構(例えば、駆動機構100)が始動されて、挿入機構200及び流体通路接続子300を起動すると同時に、薬物流体が薬物容器50から押し出されることも許容する。薬物送達過程中、電力・制御システム400は、ステータスインジケータ(例えば、ステータスインジケータ16)を介して分注ステータス信号を提供するように構成される。薬物が患者の体内に投与された後、及び実質的に全用量が患者に送達されたことを確実にするためのいずれの追加の滞留時間の終了後、電力・制御システム400は、ステータスインジケータを介して取り外し可ステータス信号を提供し得る。これは、患者がハウジング12に形成された窓18を通して駆動機構及び薬物用量送達を見ることによって、独立して検証され得る。追加的に、電力・制御システム400は、ステータスインジケータを介して、例えば、故障または動作不具合状況を示す警報等の1つ以上の警報信号を提供するように構成され得る。
電力・制御システム400は加えて、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように駆動機構100を動的に制御するための、患者からの種々の入力を受け入れるように構成され得る。例えば、電力・制御システム400は、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように電力・制御システム400を介して駆動機構100の制御を設定、始動、停止、あるいは調整するための、例えば、作動機構の部分的または完全な作動、押し下げ、及び/または解放による入力を受信し得る。同様に、電力・制御システム400は、薬物用量体積を調整する、駆動機構、流体通路接続子、及び流体導管をプライミングする、ならびに/または駆動機構100の操作を開始、停止、もしくは一時停止するような入力を受信するように構成され得る。かかる入力は、例えば、作動機構14もしくは異なる制御インターフェースの使用により、患者が薬物送達デバイス10に直接働きかけることによって受信されてもよく、または電力・制御システム400は、かかる入力を遠隔制御デバイスから受信するように構成されてもよい。加えてまたは代替的に、かかる入力は、予めプログラムされてもよい。
他の電力・制御システム構成は、本開示の薬物送達デバイスと共に利用され得る。例えば、ある特定の作動遅延が、薬物送達中に利用され得る。上述のように、システム構成内に任意選択で含まれる1つのかかる遅延は、完了を患者に信号伝達する前に実質的に全薬物用量が送達されていることを確実にする、滞留時間である。同様に、薬物送達デバイス10の作動は、薬物送達デバイス10の作動機構14の遅延した押し下げ(すなわち、押圧)を必要とし得る。追加的に、システムは、患者が投薬終了信号に応答すること、及び薬物送達デバイス10を作動停止するまたはその電源を切ることを許容する特徴を含み得る。かかる特徴は同様に、停止デバイスの偶発的な作動を防止するために、作動機構の遅延した押し下げを必要とし得る。かかる特徴は、薬物送達デバイス10に対する望ましい安全性一体化機構及び使い勝手の良いパラメータを提供する。追加の安全性特徴が、薬物送達デバイスの部分的押し下げ、及びしたがって、部分的作動を防止するために作動機構に一体化されてもよい。例えば、作動機構及び/または電力・制御システムは、部分的作動を防止するために、デバイスが完全にオフまたは完全にオンのいずれかであるように構成され得る。かかる特徴は、薬物送達デバイス10の他の態様に関してこれ以降でさらに詳述される。
電力・制御システム400の前述の説明は、適切な場合、薬物送達デバイス6010の電力・制御システム6400に当てはまる。
III.流体通路接続子
少なくとも図1A~2Bに関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図3A~32Bに関連して以下に記載される流体通路接続子の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図3A~32Bに関連して以下に記載される流体通路接続子の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の流体通路接続子300もしくは6300、または本明細書に記載の任意の他の流体通路接続子を置き換えてもよい。
本開示は、流体通路の滅菌性及び/または無菌状態を維持する容器接続部、ならびに薬物容器へのかかる滅菌流体通路接続子アセンブリを組み込む薬物送達ポンプを提供する。かかるデバイスは、自己投与する患者にとって、安全で使用が容易であり、審美的かつ人間工学的に魅力がある。流体通路接続子は、使用者によって直接始動され得るか、または使用者による何らかの最初の工程の後に(本明細書に記載の)デバイスの別の機構によって作動され得る。本明細書に記載のデバイスは、未訓練の使用者にとってさえも本デバイスの作動、操作、及びロックアウトを単純にする特徴を組み込む。本開示の新規のデバイスは、既知の先行技術のデバイスに関連する問題を伴わずに、これらの望ましい特徴を提供する。新規の薬物送達ポンプ、流体通路接続子アセンブリ、及びそれらのそれぞれの構成要素のある特定の非限定的な実施形態が、付随する図を参照しながら本明細書にさらに記載される。
従来の薬物送達デバイスは、医薬品が薬物容器内にある状態ではデバイスの最終滅菌を完了できないため、使用時点で充填を必要とすることが多い。種々の医薬品が、組み立て後のデバイスの滅菌に必要な温度、圧力、及び他の条件に持ちこたえることができない。換言すると、既存の製造過程がデバイス全体の滅菌を必要とするため、薬物は、滅菌前にデバイスの中に「プレフィルド」できない。これは、デバイスの最終組み立て後に複合の工程を追加し、これには費用のかかる追加の機器、別個の薬物容器の取り扱い、及び/または注射前に充填工程を患者自身で行うための患者の訓練が必要とされることが多い。代わりに、本開示の実施形態は、種々の製造工程を通して流体通路アセンブリの滅菌性及び/または無菌状態を維持する、プレフィルド薬物送達デバイスの製造、組み立て、及び使用を可能にする。
追加的に、本開示による薬物送達デバイスは最終滅菌される必要がないため、本デバイスの構成要素は、通常は滅菌環境に持ちこたえないであろう、しばしばより安価な他の材料で構築され得る。例えば、デバイスが組み立て後に滅菌される必要がないため、より安価なプラスチックがある特定のデバイス構成要素に利用され得る。さらに、本開示の実施形態は、最終滅菌を必要とするデバイスには好適でない方法でのデバイスアーキテクチャ及び/または構成要素の一体化を許容する。例えば、デバイス全体の滅菌が必要な場合、デバイスアーキテクチャはしばしば、滅菌ガスまたは材料が標的表面に有効に到達するのを可能にするために、構成要素の十分な間隔を必要とする。最終滅菌の必要性を除去することで、それらの間隔の低減または排除が可能となり、最終滅菌を必要とするデバイスでは利用可能でない、より小さい全体の寸法、人的要因有益性、及び/または工業デザイン選択肢を提示するデバイスアーキテクチャを実現する。
換言すると、本開示の実施形態は、製造業者が、薬物流体と接触している、かつ/または滅菌及び/もしくは無菌流体通路を維持するのに必要な構成要素のみを滅菌することを可能にし得る。これらの実施形態はまた、薬物送達デバイスの組み立てに関連する充填及び仕上げ工程中に、医薬品賦形剤がこれらの構成要素の滅菌性及び/または無菌状態を維持することも可能にし得る。同様に、本開示の流体通路接続子アセンブリを組み込む薬物送達デバイスは、デバイスが組み立て後の滅菌に対して構成される必要がないため、より小さいまたはより効率的な幾何形状を有し得る。
追加的に、本開示の実施形態は、標準的な充填-最終製剤化過程を利用して薬物容器を充填することを可能にする。これは、薬物送達デバイスを構築するために用いられる製造過程を大幅に単純化する。標準的な充填-最終製剤化過程は、シリンジ等の複数の薬物容器を保有するトレイを利用する。本開示の実施形態は、薬物送達デバイス製造業者、製薬企業、または請負薬物充填業者が、この同じ標準的な充填-最終製剤化過程を用いて輸液用の薬物容器または注射ポンプを充填することを可能にする。これらの薬物容器は、費用対効果の高い様態で、業界の一般的慣行通りに、無菌性で充填することができる。流体通路接続子アセンブリの据え付け後、組み合わせたアセンブリは次いで、デバイス構成要素の残りの部分が滅菌されるのを必要とせずに、薬物送達デバイスに嵌合され得る。したがって、本開示の実施形態は、流体通路アセンブリが、費用対効果が高く能率的な過程で滅菌される、組み立てられる、充填される、及び薬物送達デバイスに組み込まれるのを可能にする、新規の構成要素を提供し得る。
薬物容器及び他の薬物送達デバイスの充填過程において、2つ以上の滅菌構成要素またはサブアセンブリを接続することが時折必要である。例えば、装着可能な注入装置または薬物送達デバイスは、標準的な薬学的充填-最終製剤化過程を用いて流体薬物で充填され得る薬物容器を含み得る。薬物容器の充填後、薬物容器とこれらの構成要素との間で流体連通が確立されるように、薬物容器を1つ以上の追加の構成要素またはサブアセンブリに接続することが必要であり得る。流路を無菌状態で維持することは、薬物及び/または流体通路への有害な微生物または微粒子の導入を防止するので、必要不可欠である。2つ以上の無菌構成要素またはサブアセンブリの接続は、典型的に、清浄な部屋等の無菌環境で行われ、それによって、有害な微生物または微粒子がアセンブリに何ら導入されないことを確実にする。これは、しかしながら、製造薬物送達デバイスに対する増加した費用につながり得る。
本開示は、かかる流体通路接続子アセンブリを組み込む一体型の安全性特徴及び薬物送達ポンプを有する、流体通路接続子アセンブリを提供する。かかるデバイスは、自己投与する患者にとって、安全で使用が容易であり、審美的かつ人間工学的に魅力がある。本明細書に記載のデバイスは、未訓練の使用者にとってさえも本デバイスの作動、操作、及びロックアウトを単純にする特徴を組み込む。本開示の新規のデバイスは、既知の先行技術のデバイスに関連する問題のうちのいずれも伴わずに、これらの望ましい特徴を提供する。新規の薬物送達デバイス、流体通路接続子アセンブリ、及びそれらのそれぞれの構成要素のある特定の非限定的な実施形態が、付随する図を参照しながら本明細書にさらに記載される。本明細書に記載のデバイスは、制御された物質の送達用に構成され得、薬品のいわゆる「暴走」送達を防止する特徴をさらに含み得る。制御された物質を送達する際、これは患者を保護するための重要な安全性特徴であり得る。例えば、いくつかの薬は、多すぎる量で及び/または速すぎる速度で投与され場合、危険であり、さらには潜在的に致死的であり得る。かかる自動的安全性停止機構を提供することによって、患者の安全性が保証され得る。
本開示は、2つ以上の構成要素またはサブアセンブリの間で無菌接続を確立するためのデバイス及び方法を提供する。本デバイスは、薬物送達ポンプ等の医療デバイスにおいて使用されてもよい。いくつかの実施形態において、薬物容器と流体通路接続子アセンブリとの間で接続が形成される。流体通路接続子アセンブリは、接続ハブ、穿通部材、及び穿通部材保持器を含み得る。この機構は、開口部を被覆し、それによって、開口部に隣接する空洞の無菌状態を維持する、第1のフィルムまたはシールをさらに含み得る。薬物容器は、流体薬物を保持し、穿通可能なシールを含み得る。第2のフィルムは、薬物容器の1つ以上の構成要素及びシールの開口部を被覆し、それによって、穿通可能なシールの無菌状態を維持し得る。穿通部材は、第1及び第2のフィルムならびに穿通可能なシールを穿通して、流体薬物の患者への送達のために流体通路を開通させるようにされ得る。
第1の実施形態において、本開示は、流体通路接続子を提供する。流体通路接続子アセンブリは、接続ハブ、穿通部材、穿通部材保持器、ならびにキャップ、穿通可能なシール、及びバレルを有する薬物容器を含み、この穿通部材は、接続ハブによって画定される滅菌空洞内に少なくとも部分的に配置されている。薬物容器は、流体通路接続子アセンブリを通した標的への送達用の薬物流体を収容し得る。穿通可能なシールは、穿通部材によって突き通され得るシールバリアを含む。流体通路接続子アセンブリは、接続ハブの開口部を覆って開口部を覆って固定的に取り付けられ、微生物等の異物が接続ハブによって形成された滅菌空洞に進入するのを防止する、第1のフィルムをさらに含み得る。薬物容器は、穿通可能なシールによって形成された空洞を覆って固定的に接続された第2のフィルムをさらに含み得、この第2のフィルムは、微生物等の異物が空洞に進入するのを防止する。第1及び第2のフィルムは、穿通部材によって穿通されてもよい。流体通路接続子は、使用者によって直接始動され得るか、または使用者による何らかの最初の工程の後に(本明細書に記載の)デバイスの別の機構によって作動され得る。
別の実施形態において、本開示は、ハウジング及びアセンブリプラットフォームを有する、一体型の滅菌性維持特徴を備えた薬物送達ポンプを提供し、その上に作動機構、流体通路接続子アセンブリ、電力・制御システム、及び薬物容器を有する駆動機構が据え付けられ得、該流体通路接続子アセンブリは、接続ハブ、穿通部材、穿通部材保持器、及びキャップを有する薬物容器、穿通可能なシール、及びバレルを含み、この穿通部材は、接続ハブによって画定される滅菌空洞内に少なくとも部分的に配置されている。薬物容器は、流体通路接続子アセンブリを通した標的への送達用の薬物流体を収容し得る。穿通可能なシールは、穿通部材によって突き通され得るシールバリアを含む。流体通路接続子アセンブリは、接続ハブの開口部を覆って開口部を覆って固定的に取り付けられ、微生物等の異物が接続ハブによって形成された滅菌空洞に進入するのを防止する、第1のフィルムをさらに含み得る。流体通路接続子アセンブリは、穿通可能なシールによって形成された空洞を覆って固定的に接続された第2のフィルムをさらに含み得、微生物等の異物が空洞に進入するのを防止する。第1及び第2のフィルムは、穿通部材によって穿通されてもよい。
本明細書に記載のデバイスは、過剰体積の薬品の送達または速すぎる速度での送達を防止する、例えば、薬品の無制御なまたは所望でない送達の暴走状態を防止する、特徴をさらに含み得る。かかる自動的安全性機構を提供することによって、患者の安全性が保証され得る。糖尿病のためのインスリンまたは他の治療薬等のいくつかの薬品は、それらが規定のパラメータに従って送達されない場合、危険であり、さらには潜在的に致死的であり得る。以下に記載される安全性特徴は、送達が指定のパラメータから逸脱する場合に薬品の送達が終結されることを確実にし得る。
本開示のさらなる実施形態において、流体通路接続子アセンブリは、1つ以上の偏倚部材を含み得る。かかる一実施形態においては、薬物容器及び流体導管を接続する、すなわち、薬物容器と流体導管との間の流体通路を開通させることにより、針挿入機構へ、そして標的の中へ薬物が流れることを可能にするために、流体通路接続子アセンブリを偏倚させる偏倚部材が含まれ得る。かかる構成において、流体通路接続子アセンブリは、例えば、ピンまたは遮断態様が動いたときに、接続を促進するために偏倚される。少なくとも1つの実施形態において、偏倚部材(複数可)は、トリガされると接続を促進するように、流体通路接続子アセンブリの内部及び/または流体通路接続子アセンブリの外部にあり得る。加えてまたは代替的に、流体通路接続子アセンブリを分断するための1つ以上の偏倚部材が含まれ得る。これは、エラー状態の信号伝達時に、薬物送達ポンプによって自動的に、または使用者が行為を起こすときにのいずれかで流体通路を分断する、望ましい安全性特徴を提供し得る。流体通路接続子アセンブリが分断されると、薬物容器と流体導管との間の薬物流体の流れは制限または遮断されて、針挿入機構への、そして標的の中への流体の流れを限定または防止する。
本開示のある態様によれば、薬物送達ポンプにおいて薬物容器と共に使用するための流体通路接続子アセンブリが提供される。薬物容器は、バレル、キャップ及び穿通可能なシールを含む。流体通路接続子アセンブリは、起動されていない構成、起動された構成、及び送達構成を含む。流体通路接続子アセンブリは、開口部を含む接続ハブ、第1のフィルム、誘導部材、穿通部材、及び穿通部材保持器を含む。第1のフィルムは、開口部に沿って封止される。接続ハブは、第1のフィルムによって封止された滅菌空洞を含む。誘導部材は、起動されていない構成において、滅菌空洞内に少なくとも部分的に配置されている。穿通部材は、誘導部材からはめ込まれるように構成されている。穿通部材は、起動されていない構成において誘導部材内に少なくとも部分的に配置された、穿通先端を含む。穿通部材保持器は、穿通部材に接続されている。誘導部材は、起動されていない構成から、誘導部材が第1のフィルムを穿通する起動された構成へと、接続ハブに対して動くように構成されている。穿通部材は、起動されていない構成から、穿通先端が誘導部材内に配置されていない送達構成へと、誘導部材からはめ込まれるように構成されている。穿通部材は、送達構成において穿通可能なシールを穿通するように適合されており、穿通部材が送達構成において穿通部材接続ハブを通した流体通路を提供する。少なくとも1つの実施形態において、流体通路接続子アセンブリ及び薬物容器の組み合わせが提供される。少なくとも1つの実施形態において、ハウジング、作動機構、流体通路接続子アセンブリ、及び薬物容器を含む、薬物送達ポンプが提供される。
少なくとも1つの実施形態において、流体通路接続子アセンブリは、穿通部材を送達構成から、穿通部材が終結機構に応答して穿通可能なシールから係脱される後退した構成へと動かすように構成される。
流体流路のこの態様状態を維持しながら、不浄の環境で、本明細書に開示される薬物送達デバイスの2つ以上の構成要素またはサブアセンブリの間で接続が形成されるのを可能にする、流体通路接続子アセンブリの実施形態が以下に記載される。見て取れるように、流体通路接続子アセンブリは、任意の配向で配列されてよい。例えば、図3A~11に例証されるように、穿通部材は、薬物容器と軸方向に揃えられてもよい。他の実施形態においては、図23~30に示されるように、流体通路接続子アセンブリは、流体通路接続子アセンブリの穿通部材が薬物容器に対して斜めに配向されるように配列されてもよい。代替的な実施形態において、穿通部材は、弓場の様態で配列されてもよい。かかる配置構成の例示的な実施形態が、図12A~22に示される。流体通路接続子アセンブリの配向は、薬物送達デバイス10の所望の全体的サイズ及び形状、ならびに薬物送達デバイス10内の利用可能な空間に基づいて選定され得る。
図3A~11は、かかる流体通路接続子の一実施形態を示す。図3A~3Bで見て取れるように、流体通路接続子300は、薬物容器50に接続され得る。図3Aは、接続前のこれらの構成要素を示し、図3Bは、接続後の構成要素を示す。本明細書に記載されるように、流体通路接続子300は、流体流路の無菌状態を損なうことなく薬物容器50に据え付けられ得る。流体通路接続子300は、誘導部材320、穿通部材316、誘導部材保持器330、穿通部材保持器314、接続ハブ312、プレート334、偏倚部材336、滅菌ブート340、及び第1のフィルム318を含む。図4A~4Bは、流体通路接続子300の分解図を示す。本明細書で使用されるとき、「穿通部材」は、少なくとも1つの尖端、及び薬物容器50との流体連通を確立するように構成された中空内部を有する、任意の容器アクセス針を指し得る。
本開示の一態様によれば(図5A及び5Bを参照されたい)、接続ハブ312は、空洞312Aを含む。滅菌ブート340は、空洞312Aを無菌性でさらに画定し得る。一実施形態において、滅菌ブート340は、第1の端部が接続ハブ312に、第2の端部が誘導部材保持器330に固定的に接続される。滅菌ブート340は、エラストマー等の可撓性材料から構築され得、それによって、滅菌ブートが変形して、動作中に接続ハブ312及び誘導部材保持器330の両方との係合を維持することを可能にする。第1のフィルム318は、微生物及び他の汚染物質が開口部312Bを通して空洞312Aに進入するのを防止するために、接続ハブ312の開口部312Bを被覆して配置される。このようにして、滅菌ブート340、接続ハブ312、及び第1のフィルム318によって封じ込められたまたは境界をつけられたエリアが、空洞312Aを画定し、空洞312Aの無菌状態を維持する。
図3Bに例証される構成等の据え付けられていない構成、及び図5A~5Bに示されるような最初の起動されていない構成において、誘導部材320の少なくとも一部分は、無菌空洞312A内に配置されている。穿通部材316の少なくとも穿通先端は、誘導部材320の管腔320A内に部分的に保持され、穿通部材316が誘導部材320内にはめ込まれるように配置されている。穿通部材316はまた、穿通部材保持器314内に少なくとも部分的に配置されている。このようにして、誘導部材320及び穿通部材316は同様に、空洞312A内で無菌状態で維持される。
穿通部材316は、穿通部材保持器314と係合し、それにより、穿通部材保持器314の平行移動が穿通部材316に伝達され、それにより、それらが操作全体を通して実質的に固定された空間的関係を維持するようになる。穿通部材316は、固着、圧入、カシメ等といった当業者に既知の任意の方法を用いて、穿通部材保持器314と係合され得る。穿通部材316は、例えば、中空針であり得る。
誘導部材320は、誘導部材保持器330によって少なくとも部分的に保持され、誘導部材保持器330と係合され、それにより、誘導部材保持器330の平行移動が誘導部材320に伝達され、それにより、それらが操作全体を通して実質的に固定された空間的関係を維持するようになる。誘導部材320は、固着、圧入、カシメ、または任意の他の適切な方法等の当業者に既知の任意の方法を用いて、誘導部材保持器330と係合され得る。
穿通部材保持器314及び誘導部材保持器330は、接続ハブ312と係合されており、穿通部材316の長軸(図5Bに示される軸「A」)と平行の方向に、接続ハブに対して平行移動するように構成され得る。接続ハブ312、穿通部材保持器314、及び誘導部材保持器330は、以下でより詳細に記載されるように、互いに対する配向及び位置を維持する1つ以上の特徴を含み得る。
流体通路接続子300にはさらに、穿通部材316及び誘導部材320のうちの一方または両方を薬物容器50の方へ前進させるように配置された挿入駆動装置が提供され得る。この実施形態において、穿通部材316及び誘導部材320のうちの一方または両方を薬物容器50の方へ前進させるための、少なくとも1つの偏倚部材336が提供される。偏倚部材336は、最初は圧縮または付勢状態にあり、圧縮解除または付勢解除を制限される。偏倚部材336の第1の端部は、軸方向に固定的なプレート334と接触しており、偏倚部材336の第2の端部は、穿通部材保持器314と接触している。一実施形態において、偏倚部材336は、穿通部材保持器314の肩部314Dと接触している。組み立て中にプレート334(図9を参照されたい)の通路334Aを通して挿入される、接続ハブ312のスナップ312Cとの係合によって、プレート334(図9を参照されたい)の運動が制限される。最初の構成において、穿通部材保持器314(図10を参照されたい)のシャフト314Aが、プレート334の中心穴334Bを通過し、嵌合338によって係合される(図3A、3B、5A、5Bを参照されたい)。嵌合338は、プレート334の遠位側に位置し、シャフト314A上の1つ以上の出張り部314Bを係合して、プレート334に対する穿通部材保持器314の平行移動を防止する。このようにして、偏倚部材336の圧縮解除または付勢解除が制限される。本明細書にさらに記載されるように、嵌合部338が穿通部材保持器314の平行移動を制限しない構成へと変容することにより、偏倚部材336の圧縮解除及び流体通路の薬物容器50への接続が可能となる。
薬物容器50は、穿通可能なシール326とバレル58との間の接続を維持するクリンプキャップ324を含み得る。穿通可能なシールは、流体薬物をバレル内に維持し、微生物及び他の物質が薬物チャンバに進入するのを防止する。陥凹328(図5Bで最もよく見て取れる)が、穿通可能なシール326の幾何形状によって形成される。第2のフィルム322が、陥凹328を封入するように薬物容器に貼着され、それによって陥凹328を無菌状態で維持する。
第1及び第2のフィルムは、関連する表面の無菌状態を維持するために必要とされるバリア特性を提供可能な任意の材料で構築され得る。好ましい実施形態において、フィルムは、箔材料から構築されている。代替的に、フィルムは、任意の種類の滅菌可能な膜、フィルム、または箔であってもよい。追加的に、フィルムは、除去可能及び/または穿通可能、ならびに通気性及び/または透過性であってもよい。
表面処理剤が、流体通路接続子及び薬物容器を結合する前に第1のフィルム318及び第2のフィルム322の両方の外面に適用されてもよい。表面処理剤は、シールの表面上のいくつかのかかる物質の数を限定または低減する抗微生物、抗菌、または抗ウイルス化合物を含有し得る。
接続ハブ312は、バレル係合態様312Dを含み得る。バレル係合態様312Dは、バレル58のクリンプキャップ324及び/またはネック58Aに係合するように構成された1つ以上の屈曲アーム312Eを含み得る。接続中、屈曲アーム312Eは、クリンプキャップ324または薬物容器の別の部分に係合し、それによって、薬物容器に対する流体通路接続子の軸方向の平行移動を限定し得る。この位置において、第1のフィルム318及び第2のフィルム322は、互いに接触しているか、または互いの至近にある。一実施形態において、第1のフィルム318及び第2のフィルム322は、組み立て中にフィルムが互いに結合されるように接着剤を含む。
図5A~5Bは、据え付けられた、起動されていない構成にある、つまりそれらが接合された後の、接続ハブ312及び薬物容器50の断面側面図を示す。この構成において、誘導部材320は、空洞312A内に少なくとも部分的に配置され、嵌合部338の穿通部材保持器314との係合が、偏倚部材336を圧縮または付勢状態に保持する。第1のフィルム318及び第2のフィルム322は無傷であり、それによって、それぞれ空洞312A及び穿通可能なシール326の無菌状態を維持する。
起動された構成が図6A~6Bに例証される。一実施形態において、作動は、嵌合部338が穿通部材保持器314の平行移動を制限しなくなるように、それを変位または変容させ得る。作動時に、穿通部材保持器314及び誘導部材保持器330は、接続ハブ及び薬物容器50に対して軸方向に平行移動させられ得る。平行移動は、偏倚部材336の圧縮解除または付勢解除によって引き起こされ得る。一実施形態において、偏倚部材336は、圧縮ばねである。穿通部材保持器314は誘導部材保持器330と接触しているため、穿通部材保持器314が平行移動するときに、誘導部材保持器330は、穿通部材保持器314と一緒に平行移動する。例えば、穿通部材保持器314の近位面314C(図10を参照されたい)は、誘導部材保持器330(図11を参照されたい)の突起330Aに接触し得る。近位面314Cは、突起330Aに接触する面取りまたはアール部分を含み得る。穿通部材保持器314及び誘導部材保持器330の接触面は、穿通部材保持器314が、軸方向力に加えて、径方向に内向き方向の力を突起330A、そしてそれによって、延出部330Dに適用するように構成され得る。しかしながら、最初に、延出部330Dのフィンガ330Cは、接続ハブ312のリブ312G(図4A、4B、6Bを参照されたい)との接触によって、内向きの変位を防止されている。それ故に、誘導部材保持器330は、穿通部材保持器314に沿って平行移動する。穿通部材保持器314の平行移動は、穿通部材316を平行移動させ、誘導部材保持器330の平行移動は、誘導部材320の平行移動を引き起こす。この平行移動により、誘導部材320が、図6A~6Bに示されるように、第1のフィルム318及び第2のフィルム322を穿通するようになる。穿通部材316が誘導部材320内に配置されているため、それは第1の318及び第2の322フィルムに接触せず、それ故に、フィルムの表面上に存在するいずれの汚染物質も穿通部材316と接触することはないことが理解されよう。
誘導部材320が第1のフィルム318及び第2のフィルム322を穿通した後、誘導部材保持器330の平行移動が、誘導部材の先端が陥凹328内に配置された(すなわち、誘導部材は穿通可能なシール326を通過しない)状態で終結されるように、誘導部材保持器330の平行移動は制限される。誘導部材保持器330の平行移動は、例えば、近位面330Bの一部分の、接続ハブ312のフランジ312Fとの接触によって制限され得る。誘導部材保持器330の全近位面330Bがフランジ312Fに接触することは必要でない。例えば、フィンガ330Cがフランジ312Fに接触し得る。この位置において、フィンガ330Cは、接続ハブ312のリブ312Gともはや接触していない。このことにより、延出部330Dは、径方向に内向きに屈曲可能である。結果として、偏倚部材336の圧縮解除及び穿通部材保持器314の平行移動を継続することにより、延出部330Dが内向きに動くようになり、穿通部材保持器314は、誘導部材保持器330を通り過ぎることが可能である。
次に図7A~7Bを見ると、流体通路接続子300の送達構成が例証される。偏倚部材336の圧縮解除を継続することにより、穿通部材保持器314がさらに変位され得、穿通可能なシール326が穿通部材316によって穿通されることにつながる。それ故に、誘導部材保持器330のさらなる平行移動が接続ハブ312との接触によって防止されている状態で、偏倚部材336の圧縮解除を継続することにより、穿通部材保持器314は、誘導部材保持器330に対して近位方向に平行移動することになる。穿通可能なシールの穿通後、薬物容器から、及び穿通部材316を通して流路が確立される。当業者であれば、穿通部材316がまた導管30(図31にあるように)と流体連通してもよく、この導管が流体内容物を、患者への送達のために挿入機構等の送達機構に運搬するように構成されていることを理解するであろう。
代替的な実施形態において、第1及び第2のフィルムの穿通は、組み立て時に生じる。かかる実施形態において、使用時または使用時近くの穿通可能なシールの穿通は、作動機構との相互作用によって始動され得る。
少なくとも1つの実施形態において、第1及び第2のフィルムは、第1の時点、例えば組み立て時に、誘導部材によって穿通され、穿通部材は、穿通可能なシールをより後の時点、例えば作動時に、穿通する。かかる実施形態において、穿通部材の端部は、使用時まで陥凹328内に配置されたままであり得る。穿通可能なシールは、薬物チャンバ内の液圧及び/または空気圧に応じて、穿通可能なシール326が変形するか、または変位され、穿通部材と接触するようになるように構成され得る。穿通可能なシール326のこの変形が、穿通部材316によるシールの穿通につながる。かかる実施形態において、誘導部材320は、第1及び第2のフィルムを穿通した後に後退し得る。
図3A~11に示される実施形態は、穿通部材316が薬物容器50と実質的に軸方向に揃えられるように構成されているが、当業者であれば、この配向が任意の配向で構成され得ることを認識するであろう。例えば、穿通部材316の軸は、薬物容器50の中心軸と直交して配向されてもよい。代替的に、この軸は、平行と直交との間の任意の角度で配向されてもよい。この角度または配向の選択は、薬物送達デバイス10の空間要件に基づいて選定され得る。
図12A~22に示される別の実施形態において、誘導部材及び穿通部材は、弓状の様態で配列される。流体通路接続子の弓状構成は、流体通路接続子の設置面積の低減を可能にし、薬物送達デバイス10のより小さい全体的サイズを実現する。流体通路接続子1300は、誘導部材1320、穿通部材1316、誘導部材保持器1330、穿通部材保持器1314、接続ハブ1312、シャフト1342、及び第1のフィルム1318を含む。上述のように、接続ハブ1312は、例えば、薬物容器1050のクリンプキャップ1324及び/またはネック1058Aに係合することによって、薬物容器1050に係合するように構成され得る。
誘導部材1320は、誘導部材保持器1330に直接であれ間接的であれ連結され得る。例えば、示される実施形態において、誘導部材1320は、第1のスリーブ1344に固定的に接続されている。次に、第1のスリーブ1344が、第2のスリーブ1346と係合される。最後に、第2のスリーブ1346が、例えば、示される位置決めされた係合によって、誘導部材保持器1330と係合される。第1のスリーブ1344及び第2のスリーブ1346はさらに、隔壁1348を保持し得、穿通部材1316がこの隔壁1348を通過し得る。
同様に、穿通部材1316は、穿通部材保持器1314に直接または間接的に連結され得る。示される実施形態において、穿通部材1316は、キーパー1350と係合される。キーパー1350は、例えば、示される位置決めされた配置構成によって、穿通部材保持器1314と係合される。
図13A~13Bに示される、最初の起動されていない構成において、誘導部材1320は最初に、空洞1312A内に少なくとも部分的に配置されている。穿通部材1316は、誘導部材1320の管腔1320A内に少なくとも部分的に配置されている。空洞1312Aは、第1のフィルム1318によって無菌状態で維持される。空洞1312Aの無菌状態は、キャップ1354及びリングシール1352によってさらに維持される。リングシール1352は、キャップ1354によって、接続ハブ1312及び/または誘導部材1320と封止係合して保有される。リングシール1352は、ここでは円形の断面で示されるが、リングシールは、当業者に既知の任意の形状を呈してよい。代替的に、例えば、無菌状態は、隔壁によって維持されてもよい。
作動時に、誘導部材保持器1330及び穿通部材保持器1314は、シャフト1342を中心として回転させられる。シャフト1342は、図20に示されるように接続ハブ1312と一体的に形成されてもよく、ハウジング12の特徴部であってもよく、または接続ハブ1312もしくはハウジング12と係合されたピンもしくは他の構成要素であってもよいことが理解されよう。これらの実施形態のうちの後者2つは具体的に例証されないが、それらは当業者には容易に理解されよう。挿入駆動装置が、穿通部材1316及び誘導部材1320のうちの一方または両方を薬物容器1050の方へ前進させるために提供され得る。例えば、シャフトを中心とした回転は、ねじりばね等の偏倚部材の付勢解除によって引き起こされ得る。代替的に、回転は、薬物送達デバイス10の駆動部材によって引き起こされてもよい。例えば、針挿入機構200は、駆動部材を含み得、この駆動部材が、作動時に、穿通部材保持器1314のある態様に接触し、穿通部材保持器1314及び誘導部材保持器1330の回転を引き起こす。別の実施形態において、針挿入機構の偏倚部材は、穿通部材保持器1314に対して重圧をかけ、その回転を引き起こす。
穿通部材保持器1314及び誘導部材保持器1330は最初に、1つのユニットとして回転し得る。図16B及び22を参照すると、誘導部材保持器1330は最初に、両方とも穿通部材保持器1314の特徴である、突起1314Eと歯1314Fとの間に配置され得る。これらの保持器は併せて、図14A~14Bに示される起動された構成へと動く。この位置において、誘導部材1320は、第1のフィルム1318及び第2のフィルム1322を穿通したが、穿通可能なシール1326は穿通していない。この位置でまたはその近くで、穿通部材保持器1314の屈曲アーム1314Gが、接続ハブ1312及び/またはキャップ1354に接触する。それ故に、穿通部材保持器1314が継続して回転することにより、屈曲アーム1314Gが下方に変位されるようになる。結果として、突起1314Eの誘導部材保持器1330との接触が、誘導部材保持器1330の回転を引き起こすことはなくなる。故に、穿通部材保持器1314のさらなる回転が、誘導部材保持器1330の追加の回転を引き起こすことはない。
図15A~15Bに例証される送達構成で示されるように、穿通部材保持器1314が継続して回転することにより、穿通部材1316が穿通可能なシール1326を穿通するようになり、故に、薬物容器1050からの、穿通部材1316を通した流路を開通する。穿通部材1316は、例えば流体導管によって、挿入機構200と流体連通して、患者への流体薬物の送達を実現してもよい。図19A~19Bに示されるように、この構成において、歯1314Fは、キャップ1354及び/または接続ハブ1312に係合して、穿通部材1316の後退を防止し得る。
図23は、流体通路接続子2300の別の実施形態の分解図を示す。流体通路接続子2300は、接続ハブ2312、誘導部材2320、誘導部材保持器2330、穿通部材2316、穿通部材保持器2314、及び任意選択で、遮断態様2356を含む。追加的に、第1のフィルム2318が、それが流体通路接続子の少なくとも一部分の無菌状態を維持するように提供され得る。流体通路接続子はまた、上述のように流体通路接続子の少なくとも一部分の無菌状態を維持するように構成された、リングシール2352及び隔壁2348も含み得る。遮断態様2356は、連結態様2312Hで接続ハブ2312に係合する嵌合部2338と共に構成され得る。追加的に、または代替的に、遮断態様2356は、ハウジング12のある態様に係合するように構成され得る。遮断態様2356は、これらの係合点を中心として回転するように構成され得る。
図24Aは、組み立て前の、起動されていない構成にある薬物容器50及び流体通路接続子2300を示す。上記の考察から理解されるように、この組み立て工程は、無制御の、または先行技術の設計に必要とされる程には制御されていない環境で起こり得る。流体通路接続子2300を、穿通可能なシール2326をバレル2058に連結しているクリンプキャップ2324に据え付けるために、バレル係合態様が、穿通可能なシール2326またはクリンプキャップ2324に係合する、接続ハブ2312の1つ以上の屈曲アーム2312Eを含んでもよい。図23B~23Dは、薬物容器2050に据え付けられてからの、流体通路接続子2300の操作段階の等角図を示す。
最初に、図24Bに例証される起動されていない構成において、遮断態様2356が薬物容器2050の方への穿通部材保持器2314の平行移動を防止するように、遮断態様2356は、穿通部材保持器2314と最初に係合されている。追加的に、または代替的に、誘導部材保持器2330の1つ以上のアーム2330E(図29を参照されたい)が最初に、接続ハブ2312の1つ以上の一次窓2312J(図28を参照されたい)内に配置されている。この係合は、流体通路接続子の不注意の作動をさらに防止し得る。例えば、少なくとも1つの実施形態において、アーム2330Eは、一次窓2312Jからの係脱に抵抗し、不注意の作動を防止するのに十分な屈曲剛性を提供するように構成される。作動に十分な力の適用が、アーム2330Eの一次窓2312Jからの係脱を引き起こして、誘導部材保持器2330の平行移動を可能にする。
作動時に、遮断態様2356が、例えば、軸Cを中心とした回転によって、変位される。遮断態様2356の変位後、穿通部材保持器2314は、図31に示される回転偏倚部材2210等の挿入駆動装置からの駆動力の適用に応じて、薬物容器2050の方へ平行移動可能である。図31は、流体通路接続子2300を起動する1つの方法を示す詳細図である。示されるように、回転偏倚部材2210は、圧縮されまたは付勢状態で最初に保有されている。回転偏倚部材2210の第1の端部は、ここでは穿通部材保持器2314である、流体通路接続子2300のある態様と係合される。さらに、回転可能なラッチ等の遮断態様2356が、回転偏倚部材2210の付勢解除、及びそれ故に、流体通路接続子2300の作動を防止する。流体通路接続子2300を作動させるために、遮断態様2356が、回転偏倚部材2210の付勢解除をもはや制限しなくなるように変位され得る。このようにして、係止態様2356が変位すると、回転偏倚部材2210は、少なくとも部分的に付勢解除し、流体通路接続子2300が薬物容器2050への流路を開通させて、薬物容器2050を針挿入機構200に、流体通路接続子2300、ならびに穿通部材2316及び針挿入機構200に連結された滅菌流体導管30を介して流体連結するようにする。遮断態様2356の変位は、使用者による作動機構14の押し下げに応じて生じ得るか、または代替的に、別個の機構との相互作用によって制御され得る。
ここで図24B~27Bに戻ると、最初に、これ以降でさらに記載されるように、穿通部材保持器2314及び誘導部材保持器2330は、薬物容器2050の方へ一緒に動く。図24Cは、起動された構成にある、つまり、誘導部材2320が構成第1のフィルム2318及び第2のフィルム2322を穿通した後の、流体通路接続子を示す。第1のフィルム2318及び第2のフィルム2322の穿通後、誘導部材2320は、さらなる動きを制限される。一実施形態において、誘導部材保持器2330のアーム2330Eは、この構成において、1つ以上の二次窓2312K内に位置付けられている。この係合は、誘導部材保持器を定置に係止して、薬物容器の方へのまたはそれから離れる方への不注意な平行移動防止し得る。穿通部材保持器2314が継続して平行移動することより、穿通部材2316が穿通可能なシール2326を穿通して、薬物容器2050からの流体流路を開通させることになる。この送達構成が、図24Dに示される。
図25A及び25Bは、最初の起動されていない構成にある流体通路接続子の断面図を示す。これらの図において見て取れるように、遮断態様2356は、薬物容器の方への穿通部材保持器2314の平行移動を防止するように、穿通部材保持器2314と係合されている。穿通部材2316は、誘導部材2320内に少なくとも部分的に配置されている。示されるように、このまたは任意の実施形態において、誘導部材2320は、誘導部材保持器2330の一体部分である。誘導部材2320及び穿通部材2316は両方とも、接続ハブ2312、第1のフィルム2318、リングシール2352、及び隔壁2348によって画定される、滅菌空洞2312A内に少なくとも部分的に配置されている。穿通部材保持器2314の肩部2314Hは、誘導部材保持器2330の延出部2330Dと接触している。延出部2330Dは、誘導部材保持器2330の比較的可撓性の態様であるように構成されている。しかしながら、最初の構成において、延出部2330Dは、接続ハブ2312との接触によって屈曲を防止される。それ故に、最初に、穿通部材保持器2314の、薬物容器2050の方への平行移動は、穿通部材保持器2314のつり合った平行移動を引き起こす。
図26A~26Bは、中間の起動された構成にある流体通路接続子2300を示す。この構成において、遮断態様2356は、それが穿通部材保持器2314の平行移動を制限しないように変位された。誘導部材2320は、第1のフィルム2318及び第2のフィルム2322を穿通しており、穿通部材2316は、穿通可能なシール2326に隣接して位置付けられている。また、この構成において、延出部2330Dは、接続ハブ2312の陥凹2312Lに隣接して位置付けられている。それ故に、延出部2330Dは、外向きに(すなわち、図26Bにおける斜線付き矢印の方向に)屈曲するのをもはや制限されない。延出部2330Dが陥凹2312Lの中へと外向きに屈曲可能であるため、穿通部材保持器2314の追加の平行移動は、肩部2314Hの延出部2330Dからの係脱を引き起こす。これは、誘導部材保持器2330の平行移動を引き起こすことなく、穿通部材保持器2314が薬物容器2050の方へ平行移動することを可能にする。図27A~26Bの送達構成で示されるように、これは、穿通部材2316が穿通可能なシール2326を穿通し、薬物容器2050からの流体流路を開通することを可能にする。
いくつかの実施形態において、穿通部材の無菌状態を維持するために、誘導部材の管腔を封止し、それによって、誘導部材の管腔、及びそれ故に穿通部材をさらに隔離する、追加のフィルムまたはシールが、誘導部材320、1320、2320の先端に存在し得る。このフィルムは、誘導部材が第1のフィルム318、1318、2318及び第2のフィルム322、1322、2322を穿通するときに無傷のままであり得る。これは、シールの表面上に存在するあらゆる微生物または他の汚染物質が穿通部材と接触することをさらに防止し得る。
少なくとも1つの他の実施形態において、第1及び第2のフィルムは、流体通路接続子300の薬物容器50への据え付け直前に、流体通路接続子及び薬物容器から除去される。フィルムの除去前、それらが定置されていることにより、薬物容器及び空洞312Aの穿通可能なシールの滅菌性が維持される。接続ハブ312及び薬物容器50は、接続ハブのバレルへの接続が穿通可能なシール及び穿通部材の無菌状態を維持する封止係合を提供するように、構成され得る。かかる実施形態において、接続ハブ312及び/または薬物容器50は、封止係合を提供するように構成されているエラストマー態様を含み得る。
別の実施形態においては、接続ハブ312の薬物容器50への据え付け後、空洞312A及び穿通可能なシール326は、UV滅菌を用いて滅菌され得る。接続ハブ312は、滅菌後に微生物及び他の夾雑物が無菌表面に接触不可能であるように、薬物容器と封止係合し得る。かかる実施形態において、接続ハブの少なくとも一部分が、ガラス等の実質的に半透明の材料から構築されてもよい。
本明細書に記載の実施形態の各々において、接続ハブ、穿通部材保持器、及び/または誘導部材保持器は、組み立て、貯蔵、輸送、及び取り扱い中に流体通路接続子の不注意な作動防止する、1つ以上の特徴を含み得る。これらの特徴は、閾値を上回る力が適用されない限り作動を防止し得る。これらの特徴には、例えば、閾値を上回る力の適用時に変位または切断される可撓性態様または脆弱態様が含まれ得る。
上述の利点に加えて、本明細書に記載の挿入機構はまた、流路を分断することによって標的組織への薬品の流れを終結させることが可能であり得る。これは、患者を保護するための重要な安全性特徴であり得る。例えば、インスリン等のいくつかの薬は、多すぎる量で及び/または速すぎる速度で投与され場合、危険であり、さらには潜在的に致死的であり得る。かかる自動的安全性停止機構を提供することによって、薬品のいわゆる「暴走」送達が防止され、それによって患者の安全性が保証され得る。流れを終結させるための方法及び関連する構造が、本明細書に開示される1つ以上の具体的な挿入機構に関して考察され得るが、本方法及び関連する構造は、本明細書に開示されるまたは本開示の趣旨及び範囲内にある流体通路接続子アセンブリのうちのいずれに対しても利用または適合され得ることが理解されよう。
流体通路接続子による薬品送達の中断は、例えば、薬品送達におけるエラーまたは使用者からの入力によって、トリガされ得る。例えば、使用者は、自身の薬物用量をすでに摂取したことに気づき、デバイスからの薬物送達を一時停止または終結させることを望む場合がある。デバイスへのかかる使用者入力時に、薬物送達は停止され得、かつ/または以下に記載されるように、穿通部材を通した流体通路が、穿通部材の後退位置への後退によって終結され得る。
加えてまたは代替的に、デバイスは、動作中にエラー警報を受信した場合、薬物送達を一時停止または終結させ得る。例えば、駆動機構が正しく機能していない場合、薬の過量送達を防止するために、流体通路接続子がトリガされて、穿通部材を穿通可能なシールから後退させて、流体通路接続子を通した薬物送達を終結させ得る。流体通路接続子のこの性能は、標的への薬物送達に関して価値ある安全性特徴を提供する。
いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスの標的組織からの取り外し時に後退が作動される。他の実施形態において、後退は、標的組織への物質送達においてエラーが生じたことが決定される場合に作動される。例えば、薬品の流れを阻止する薬物送達経路の閉塞が、薬物送達ポンプの感知機能によって検出され得る。閉塞の感知時に、電気または機械的入力を用いて、針の後退を始動してもよい。
加えてまたは代替的に、流体通路接続子を分断するための1つ以上の偏倚部材が含まれてもよい。これは、エラー状態の信号伝達時に、薬物送達ポンプによって自動的に、または使用者が行為を起こすときにのいずれかで流体通路を分断する、望ましい安全性特徴を提供し得る。例えば、係止態様が最初は、二次偏倚部材のその元の付勢状態からの拡張を制限し得る。係止態様の作動時に、二次偏倚部材は、その元の位置から付勢解除するようにされ、それによって、穿通部材保持器に対して作用してそれを軸方向に平行移動させて、穿通部材を穿通可能なシールから分断するようにされる。流体通路接続子が分断されると、薬物容器と流体導管との間の薬物流体の流れは制限または遮断されて、針挿入機構への、そして標的の中への流体の流れを限定または防止する。本明細書に記載されるように、分断は、薬物流体の標的への過量送達を防止するための追加の安全性予防策として、いくつかの操作によって、システムにより自動的に、及び/または使用者による直接もしくは間接的な始動時に、トリガされ得る。
1つのかかる実施形態が、図32A及び32Bに示される。図32Aに示されるように、二次偏倚部材362は最初は、接続ハブ312と係止態様360の1つ以上の解放アーム360Aとの間で制限されている。係止態様360は、接続ハブ312の近位面に対して配置され、このうち1つ以上の解放アームが遠位方向に延出している。薬物送達デバイスの操作における故障が生じた場合、または使用者による作動時に、係止態様360は、図32Aに示される位置から、図32Bに示される位置へと軸を中心として回転させられる。回転は、例えば、スローアームの作動アーム360Bとの接触によって引き起こされ得る。係止態様360が回転させられるとき、1つ以上の解放アーム360Aの各々が、接続ハブ312の傾斜した表面312Mに接触する。傾斜した表面312Mとの接触は、1つ以上の解放アーム360Aの外向きに径方向の変位、または代替的に、1つ以上の解放アーム360Aの破断を引き起こす。結果として、二次偏倚部材362は、圧縮解除または付勢解除可能である。二次偏倚部材362は、穿通部材保持器314と接触するようになり、穿通部材保持器314の遠位方向への平行移動を引き起こす。この平行移動は、穿通部材の穿通可能なシールからの抜去を引き起こす。それ故に、追加の薬品が穿通部材を通して送達されることはなく、それによって、患者への送達を終結させる。図32Bに示されるように、回転後、1つ以上の解放アーム360Aの各々は、径方向に外向きに屈曲して、二次偏倚部材362の付勢解除を許容し得、次いで接続ハブの切欠き312N内に配置されるように径方向内向きに戻る。係止態様360は、それによって、いずれのさらなる回転も防止され得る。
例証される実施形態のいずれも、かかる安全性特徴が装備され得る。代替的に、薬物送達デバイスのある構成要素が、流体通路接続子の一部分に直接係合して、穿通部材を穿通可能なシールから抜去してもよい。例えば、スライドまたはスローアームが穿通部材保持器2314に接触し得、スライドまたはスローアームの変位により穿通部材保持器2314の変位を引き起こして、穿通部材を穿通可能なシールから抜去してもよい。
穿通部材の穿通可能なシールからの抜去は、例えば、テザーの不具合もしくはその張力喪失、駆動機構不具合、薬物送達デバイスの標的組織からの取り外し、または使用者による作動が生じた場合に、作動され得る。安全性機構は、純粋に機械的であってもよく、または代替的に、電力・制御システムを含んでもよい。例えば、電力・制御システムからの電気信号が、穿通部材の穿通可能なシールからの抜去を始動し得る。
上記の説明から、本明細書に開示される流体通路接続子アセンブリ及び薬物送達デバイスが、薬物容器からの自動化薬物送達のために効率的かつ容易に操作されるシステムを提供することが理解されよう。本開示の新規のデバイスは、流体通路の無菌状態を維持する容器接続部、ならびに薬物容器へのかかる流体通路接続子アセンブリを組み込む薬物送達ポンプを提供する。かかるデバイスは、自己投与する患者にとって、安全で使用が容易であり、審美的かつ人間工学的に魅力がある。本明細書に記載のデバイスは、未訓練の使用者にとってさえも本デバイスの作動、操作、及びロックアウトを単純にする特徴を組み込む。使用者が薬物送達を所望するまで流路が分断されているため、流体通路接続子、薬物容器、薬物流体、及びデバイス全体の無菌状態が維持される。これらの態様は、非常に望ましい貯蔵、輸送、及び安全性利点を使用者に提供する。さらに、本開示の流体通路接続子アセンブリ及び薬物送達デバイスの新規の構成は、デバイスの操作全体を通して流路の無菌状態を維持する。薬物流体がデバイス内で移動する通路が完全に無菌状態で維持されるため、これらの構成要素は、製造過程中に滅菌される必要があるのみである。かかる構成要素には、駆動機構の薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構が含まれる。少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システム、アセンブリプラットフォーム、作動機構、ハウジング、及び他の構成要素は、滅菌される必要がない。これは、デバイスの製造性を大幅に改善し、関連する組み立て費用を低減する。したがって、本開示のデバイスは、組み立ての完了時に最終滅菌を必要としない。さらなる有益性は、例えば、ポンプ薬物のハウジング及び他の構成要素が容易に接続ハブ312、1312、2312、または本明細書に記載の構成要素のいくつかの他の変形形態を受け入れ、それを動作させるように構成され得るように、本明細書に記載の構成要素がモジュール式であるように設計されることである。
流体通路接続子300、1300、2300、薬物送達ポンプ10、または個々の構成要素のいずれかの組み立て及び/または製造は、当該技術分野で既知のいくつかの材料及び手法を利用してよい。例えば、イソプロピルアルコール及びヘキサン等のいくつかの既知の清掃流体を用いて、構成要素及び/またはデバイスを清浄してもよい。いくつかの既知の接着剤または糊も同様に製造過程で用いられてもよい。追加的に、既知のシリコン処理及び/または潤滑流体及び処理が、新規の構成要素及びデバイスの製造中に用いられ得る。さらに、既知の滅菌過程が、最終製品の滅菌性を保証するために製造または組み立て段階のうちの1つ以上で用いられてもよい。
流体通路接続子及び薬物容器は、いくつかの手法で組み立てられ得る。1つの組み立て方法において、薬物容器50は組み立てられ、標的への送達用の流体で充填され得る。薬物容器50は、キャップ324、穿通可能なシール326、バレル58、及びプランジャシール60を含む。プランジャシール60は、バレル58に挿入されてもよい。バレル58は、バレル58の開口遠位端における穿通可能なシールの挿入前に、開口遠位端を通して薬物流体で充填されてもよい。穿通可能なシール326が次いで、バレル58の遠位端において、キャップ324とバレル58との間に固定的に係合され得る。このようにして、薬物容器は、標準的な充填-最終製剤化過程及び機器を使用して充填され、封止することができる。例えば、薬物容器50は、標準的なバイアルの充填及び封止において一般的に用いられる過程及び機器を使用して充填され、封止され得る。追加的に、キャップ324は、かかる過程にいて一般的に使用されるものと同様のクリンプキャップであってもよい。キャップ324の適用前または後に、第2のシールまたはフィルム322が薬物容器50の遠位面に適用されてもよい。
穿通部材316が、穿通部材保持器314と固定的に係合され得る。穿通部材保持器314のシャフト314Aが、プレート334の中心穴334Bを通して挿入され得、嵌合部338は、偏倚部材336が圧縮解除を防止されるように、穿通部材保持器314に係合し得る。誘導部材320が、誘導部材保持器330に固定的に接続され得る。追加的に、滅菌ブート340が、誘導部材保持器330に固定的に接続され得る。誘導部材保持器330は、穿通部材316が誘導部材320の管腔320A内に少なくとも部分的に配置されるように、穿通部材保持器314内に位置付けられ得る。接続ハブ312は次いで、通路334Aを通したスナップ312Cの挿入によってプレート334に接続され得る。この位置において、誘導部材320の一部分は、空洞312A内に配置され、滅菌ブート340は、接続ハブ312と係合されている。第2のフィルム322が、空洞312Aを画定するように接続ハブ312の開口部312Bを覆って定置されてもよい。追加的に、組み立て中に、流体導管は、穿通部材316に流体接続されてもよい。挿入機構200は、組み立てられ、流体導管の他方の端部に取り付けられ得る。流体通路接続子は次いで、薬物容器50に組み立てられ得る。流体通路接続子の薬物容器への接続は、清浄な部屋または滅菌環境で生じることも、そうでないこともある。第1のフィルム318及び第2のフィルム322がそれぞれ穿通可能なシール326及び空洞312Aの無菌状態を維持するため、流路は、汚染物質に曝露されない。
組み立て工程はまた、任意選択で、係止態様を接続ハブの近位面に対して配置する工程も含み得る。組み立て工程はまた、二次偏倚部材が係止態様によって圧縮または付勢状態で保持されるように、二次偏倚部材を接続ハブの一部分の周りに同心円状に配置することも含み得る。
図12A~22に示される実施形態において、アセンブリは、上記で概説した工程を含んでもよく、また、追加のまたは異なる工程を含んでもよい。追加のまたは異なる工程は、リングシール1352が接続ハブ1312とキャップ1354との間に位置付けられるように、キャップ1354を接続ハブ1312に接続することを含み得る。追加のまたは異なる工程はまた、穿通部材保持器1314及び誘導部材保持器1330がシャフト1342を中心として回転可能であるように、それらをシャフト1342上に定置することも含み得る。追加的に、本工程は、誘導部材1320を第1のスリーブ1344に固定的に係合し、第1のスリーブ1344を第2のスリーブ1346に、隔壁1348がこれらのスリーブ間に位置付けられるように係合することを含み得る。本工程はまた、穿通部材1316をキーパー1350に固定的に係合することも含み得る。
図23~30に示される実施形態はまた、上記で概説した工程のいずれかを使用して組み立てられてもよく、また、追加のまたは異なる工程を含んでもよい。追加のまたは異なる工程は、例えば、遮断態様を接続ハブの連結態様で接続ハブと連結することを含み得る。
駆動機構100は、薬物容器50の近位端に取り付けられ得る。このサブアセンブリのある特定の構成要素は、アセンブリプラットフォーム20にまたは直接ハウジング12の内部に据え付けられ得る一方で、他の構成要素は、使用者による作動のためにガイド390に据え付けられる。
薬物送達デバイスの製造は、流体通路接続子及び薬物容器の両方を、別個にまたは組み合わせた構成要素として、薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付ける工程を含む。製造方法は、駆動機構、薬物容器、及び挿入機構のアセンブリプラットフォームまたはハウジングへの取り付けをさらに含む。電力・制御システム、作動機構、及び制御アームを含めた、上述の薬物送達デバイスの追加の構成要素は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付けられ、予備形成され、または予め組み立てられ得る。接着パッチ及びパッチライナーが、デバイスの動作中に標的に接触する、薬物送達デバイスのハウジング表面に取り付けられ得る。
薬物送達デバイスを操作する方法は、使用者が作動機構を作動させる工程、制御アームを変位させて、挿入機構を起動する工程、流体通路接続子を起動する工程、及び電力・制御システムを起動して、駆動制御機構を作動させて、薬物送達デバイスを通した流体薬物の流れを駆動する工程を含み、流体通路接続子の起動は、穿通部材が穿通可能なシールを突き通し、それによって、薬物容器から流体通路接続子への流路を開通させるようにする。本方法は、作動機構を作動させる前に任意選択的なオンボディセンサを係合させる工程をさらに含み得る。さらに、本操作方法は、プランジャシールを駆動制御機構及び薬物容器内で平行移動させて、流体薬物の流れを、流体薬物の標的への送達のために薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構に押し通すことを含み得る。
IV.流体通路接続子の追加の実施形態
少なくとも図1A~2Bに関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図33A~33Cに関連して以下に記載される流体通路接続子の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図33A~33Cに関連して以下に記載される流体通路接続子の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の流体通路接続子300もしくは6300、または本明細書に記載の任意の他の流体通路接続子を置き換えてもよい。
いくつかの流体通路接続子が、本開示の実施形態内で利用され得る。一般に、好適流体通路接続子は、滅菌流体導管、穿通部材、及び薬物容器に取り付けられた滅菌スリーブまたは薬物容器内に一体化された摺動型の穿通可能なシールを含む。流体通路接続子は、1つ以上の流れ制限部をさらに含み得る。送達デバイス8000の適切な作動時に、流体通路接続子8300は、滅菌流体導管8030を駆動機構8100の薬物容器に接続するように有効化される。かかる接続は、駆動機構8100薬物容器の穿通可能なシールを突き通す、針等の穿通部材によって容易にされる。この接続の滅菌性は、可撓性滅菌スリーブ内で接続を行うことによって維持され得る。挿入機構の実質的に同時の作動時に、薬物容器と挿入機構との間の流体通路が完成して、患者の体内への薬物送達を許容する。かかる一実施形態において、流体通路接続子は、国際特許出願第PCT/US2012/054861号に記載されるものと実質的に同様であり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。かかる実施形態において、圧縮性の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップと流体通路接続子の接続ハブとの間に固定的に取り付けられてもよい。穿通部材は、流体接続通路と薬物容器との間の接続が所望されるまで、滅菌スリーブ内に常在し得る。滅菌スリーブは、作動前の穿通部材及び流体通路の滅菌性を保証するために滅菌され得る。
代替的に、流体通路接続子は、例えば、国際特許出願第PCT/US2013/030478号または同第PCT/US2014/052329号に記載されるように、薬物容器の中に一体化され得、同特許出願は、参照によりそれらの全体が全目的で本明細書に組み込まれる。かかる実施形態によれば、薬物容器は、穿通可能なシールとプランジャシールとの間でバレル内に薬物チャンバを有し得る。薬物流体は、薬物チャンバに収容される。患者による作動デバイスの作動時に、駆動機構は、薬物容器に収容されるプランジャシールに力を及ぼす。プランジャシールが薬物流体及びいずれの空気/ガスの間隙または気泡に力を及ぼすとき、空気/ガス及び薬物流体の圧縮によって空気圧及び液圧の組み合わせが蓄積し、この力が、摺動型の穿通可能なシールに引き継がれる。穿通可能なシールは、キャップの方へ摺動させられて、一体型の滅菌流体通路接続子内に保持された穿通部材によって穿通されることになる。したがって、一体型の滅菌流体通路接続子は、駆動機構の作動によって生み出された、薬物チャンバ内の空気/ガス及び薬物流体の組み合わせた空気圧/液圧の力によって接続される(すなわち、流体通路が開通される)。一体型の滅菌流体通路接続子が接続されるか、または開通されると、薬物流体は、薬物送達のために薬物容器から、一体型の滅菌流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通って、そして患者の体内へと流れることを許容される。少なくとも1つの実施形態において、流体は、マニホールドならびに挿入機構のカニューレ及び/または針のみを通って流れ、それによって、薬物送達前及び送達中に流体通路の滅菌性を維持する。
好ましい実施形態において、滅菌流体通路接続子は、針挿入機構が動くことによって始動され、この針挿入機構の動き自体は、多機能駆動機構によって始動される。加えてまたは代替的に、滅菌流体通路接続子は、直接、多機能駆動機構が動くことによって始動される。例えば、多機能駆動機構は、本明細で上述される星形歯車等の回転歯車を含み得、これらの回転歯車は同時にまたは順次に作用して、薬物送達の速度を制御する、針挿入機構を起動する、及び/または滅菌流体通路接続子を始動する。図33A~33Cに示される1つの特定の実施形態において、多機能駆動機構は、これらの工程のうちの全てを実質的に同時に行う。多機能駆動機構は、いくつかの他の構成要素に対して作用する歯車を回転させる。この歯車は、流体通路を患者の中に誘導する針挿入機構に接触もしながら、歯車アセンブリに作用して薬物送達の速度を制御する。針挿入機構が始動されるとき、滅菌流体の接続は、多機能駆動機構の歯車及び歯車アセンブリが薬物送達の速度を制御しながら、患者の中への送達のために薬物容器から、流体導管を通した、針挿入機構の中への薬物流体の流れを許容するようにされる。
薬物送達デバイスによって利用される流体通路接続子を問わず、薬物送達デバイスは、異なる粘度及び体積を有する様々な薬物を送達可能である。薬物送達デバイスは、制御された流速(速度)で及び/または指定の体積の薬物を送達可能である。一実施形態において、薬物送達過程は、流体通路接続子及び/または滅菌流体導管内で1つ以上の流れ制限部によって制御される。他の実施形態において、他の流速が、流体流路または送達導管の幾何形状を変化させることによって、駆動機構の構成要素が薬物容器の中へと前進してその中の薬物を分注する速度を変化させることによって、またはそれらの組み合わせによって、提供されてもよい。流体通路接続子8300及び滅菌流体導管8030についての依然としてさらなる詳細が、これ以降、他の実施形態を参照して後の節で提供される。
V.流体通路接続子の他の実施形態
少なくとも図1A~2B及び33A~33Cに関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図34A~42に関連して以下に記載される流体通路接続子の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図34A~42に関連して以下に記載される流体通路接続子の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の流体通路接続子300、6300、もしくは8300、または本明細書に記載の任意の他の流体通路接続子を置き換えてもよい。
薬物容器及び他の薬物送達デバイスの充填過程において、2つ以上の滅菌構成要素またはサブアセンブリを接続することがときに必要である。例えば、装着可能な注入装置または薬物ポンプは、標準的な薬学的充填-最終製剤化過程を用いて流体薬物で充填され得る薬物容器を含み得る。薬物容器の充填後、薬物容器とこれらの構成要素との間で流体連通が確立されるように、薬物容器を1つ以上の追加の構成要素またはサブアセンブリに接続することが必要であり得る。流路を無菌状態で維持することは、薬物及び/または流体通路への有害な微生物の導入を防止するので、必要不可欠である。2つ以上の無菌構成要素またはサブアセンブリの接続は、典型的に、清浄な部屋等の無菌環境で行われ、それによって、有害な微生物がアセンブリに何ら導入されないことを確実にする。これは、しかしながら、製造薬物送達デバイスに対する増加した費用につながり得る。
本開示の実施形態は、不浄の環境で2つのまたは構成要素またはサブアセンブリとの間に無菌接続が形成されることを可能にする。図34A~34Cで見て取れるように、流体通路接続子(例えば、流体通路接続子300、6300、及び/または8300)の接続ハブ310は、薬物容器350に接続され得る。図34Aは、接続前のこれらの構成要素を示す。第1のフィルム318は、接続ハブ312上の定位置にある。第1のフィルム318は、接続ハブ312の開口部312Bを被覆して配置され、微生物が開口部312Bを通して空洞312Aに進入するのを防止し、それによって、空洞312B及び穿通部材316を無菌状態で維持する。穿通部材316は、空洞312A内に部分的に配置され、保持器314内に少なくとも部分的に配置されている。穿通部材は、中空針であり得る。保持器314は、接続ハブ312と係合されており、穿通部材316の長軸と平行の方向に、接続ハブに対して平行移動するように構成され得る。保持器は、接続ハブ312における1つ以上の第1の陥凹312Cに係合し得る、1つ以上の係止アーム314Aを含み得る。係止アームは、それらの下端に突出部を含み得、これらは係止位置において、上部陥凹内に少なくとも部分的に配置されている。屈曲アームの係合は、保持器及び接続ハブの空間的関係を維持する。
薬物容器350は、穿通可能なシール326とバレル(図示せず)との間の接続を維持するクリンプキャップ324を含み得る。穿通可能なシールは、流体薬物をバレル内に維持し、微生物及び他の物質が薬物チャンバに進入するのを防止する。陥凹328が、穿通可能なシールの幾何形状によって形成される。第2のフィルム322が薬物容器に貼着されることにより、それが陥凹328を封入し、それによって陥凹328を無菌状態で維持する。第1及び第2のフィルムは、関連する表面の無菌状態を維持するために必要とされるバリア特性を提供可能な任意の材料で構築され得る。好ましい実施形態において、フィルムは、箔材料から構築されている。代替的に、フィルムは、任意の種類の滅菌可能な膜、フィルム、または箔であってもよい。追加的に、フィルムは、除去可能及び/または穿通可能、ならびに通気性及び/または透過性であってもよい。
接着剤が、流体通路接続子及び薬物容器350を結合する前に第1のフィルム318及び第2のフィルム322の両方の外面に適用されてもよい。接着剤は、シールの表面上のいくつかのかかる物質の数を限定または低減する抗微生物、抗菌、及び抗ウイルス化合物を含有し得る。接続中、屈曲アーム312Eは、クリンプキャップ324または薬物容器350の別の部分に係合し、それによって、薬物容器350に対する流体通路接続子の軸方向の平行移動を限定し得る。この位置において、第1のフィルム318及び第2のフィルム322は、互いに接触しているか、または互いの至近にある。接着剤がフィルムのうちの1つ以上の面に存在する場合、これらのフィルムは一緒に結合され得る。
流体通路接続子及び薬物容器350が接合された後、保持器314は、接続ハブに対して軸方向に平行移動させられ得る。保持器の平行移動により、係止アーム314Aが屈曲し、第1の陥凹312Cから係脱されるようになる。保持器の平行移動により、針316もまた平行移動する。この平行移動により、針が、第1のフィルム318及び第2のフィルム322を穿通するようになる。保持器の平行移動の後、穿通部材は、穿通可能なシール326の陥凹328内に少なくとも部分的に配置される。保持器は、さらに平行移動させられ得、穿通可能なシール326が穿通部材316によって穿通されることにつながる。穿通可能なシールの穿通後、薬物容器から、及び針を通した流路が確立される。針はまた、導管と流体連通してもよく、この導管は、流体内容物を、患者への送達のために挿入機構等の送達機構に運搬するように構成されている。第1及び第2のフィルムの穿通は、組み立て時に生じ得る。代替的に、フィルムの穿通は、薬物送達デバイスの使用時または使用時近くに生じてもよい。使用時または使用時近くの穿通可能なシールの穿通は、患者による作動機構との相互作用によって始動され得る。
いくつかの実施形態において、穿通部材の端部は、使用時まで空洞328内に配置されたままであり得る。穿通可能なシールは、薬物チャンバ内の液圧及び/または空気圧に応じて、それが変形し、穿通部材と接触するようになるように構成され得る。穿通可能なシールのこの変形が、穿通部材によるシールの穿通につながる。
図35A~35Dは、穿通部材1316の長軸が薬物容器の薬物バレル1330の長軸と直交するように、流体通路接続子接続ハブ1312が薬物容器に接続されている実施形態を示す。図35Bで見て取れるように、屈曲アーム1312Eは、流体通路接続子を薬物容器にしっかりと接続するように、キャップ1324の一部分に係合する。流体通路接続子は、接続ハブ1312内に配置された挿入部1332をさらに含み得る。保持器1314の延在部1314Dが、挿入部1332と封止係合され得、挿入部に対して軸方向に平行移動するように構成され得る。保持器1314の突出部1314Bは最初に、接続ハブ1312の第1の陥凹1312C内に配置されている。この位置において、穿通部材1316の穿通端は、挿入部1332内に配置されている。図35Cは、組み立て後かつ流路の接続前の薬物容器及び流体通路接続子の断面図を示す。断面で見て取れるように、キャップ1324は、穿通部材が穿通可能なシールにアクセスすることを可能にする側部ポート1324Aを含み得る。導管が保持器に接続されることを可能にするように構成され得る導管ポート1314Cもまた、図35Cに示される。この導管は、流体薬物の患者への送達のために薬物容器を送達機構に接続する流路を提供し得る。図35Dは、開通した流路構成にあるアセンブリを示す断面図である。示されるように、保持器1314は、薬物容器の中心軸の方へ変位された。屈曲アーム1314の突出部1314Bは、第1の陥凹1312Cから係脱し、第2の陥凹1312Dに係合した。穿通部材1316は、第1のフィルム1318、第2のフィルム1322、及び穿通可能なシール1326を穿通した。これらの各々の穿通は、使用時に患者による始動に応じて生じ得る。代替的に、第1及び第2のフィルムは、組み立て時に穿通されてもよい。これは、患者への送達のために薬物容器から、穿通部材、導管、及び挿入機構を通した流路を生み出す。穿通部材の長軸が薬物容器の長軸と直交するような、流体通路接続子の接続は、薬物送達デバイスにおけるより小型の実装を実現し得る。
図36A~36Dに示される他の実施形態において、穿通部材は、内部穿通部材2316A及び外部穿通部材2316Bを含む。内部穿通部材2316Aは、中空の外部穿通部材2316B内に配置されている。接続ハブ2312の薬物容器2330への接続後、外部穿通部材2316Bは、内部穿通部材2316Aをその中空の内部空洞内に維持しながら、接続ハブ2312の末端を被覆する第1のフィルム2318及び薬物容器2330の末端を被覆する第2のフィルム2318を穿通する。穿通は、穿通部材2316A及び2316Bの薬物容器の方への関節運動によって引き起こされ得るか、または代替的に、薬物容器が接続ハブを変位し、それによって、外部穿通部材2316Bを露出することによって引き起こされ得る。内部穿通部材2316Aが第1及び第2のフィルム2318及び2322に接触することはないため、フィルム2318及び2322の表面上に存在するいずれの汚染物質も穿通部材2316Aと接触することはない。フィルム2318及び2322を穿通した後、外部穿通部材は、後退し、それによって、内部穿通部材2316Aを露出する。図36Cに示されるこの位置において、内部穿通部材2316Aの端部は、穿通可能なシール2326によって作り出された空洞2328内に配置されている。薬物容器内の液圧及び/または空気圧に応じて、穿通可能なシール2326は、図36Dに示されるように変形し得る。穿通可能なシール2326の変形により、内部穿通部材2316Aが穿通可能なシール2326を穿通し、それによって、患者への送達のために薬物容器2330から、内部穿通部材2316Aを通した流路を生み出すことになる。
図37~38の代替的な実施形態に示されるように、流体通路接続子は、エラストマー構成要素3334を含み得る。外部穿通部材2316Bの少なくとも一部分は、エラストマー構成要素3334に埋設され得る。外部穿通部材2316Bは、無菌環境にある間にエラストマー構成要素334に埋設され得る。外部穿通部材2316Bの埋設された部分の無菌状態は、外部穿通部材2316Bのエラストマー構成要素3334との封止係合に起因して、流路接続機構が不浄の環境に移送されるときにも維持される。それ故、流体通路接続子を薬物容器に据え付けた後、流体通路接続子は、第1及び第2のフィルム2318及び2322を外部穿通部材2316Bで最初に穿通し、次いで、外部穿通部材2316Bを固定して維持しながら内部穿通部材2316Aを外部穿通部材2316Bに対して動かすことにより、穿通可能なシール3324を内部穿通部材2316Aで穿通することによって、開通構成に変容され得る。このようにして、内部穿通部材2316Aは、第1及び第2の箔2318及び2322の非滅菌外面に触れることにより汚染されることがない。代替的な実施形態において、外部穿通部材2316Bは、唯一の穿通部材であり得、かつ/または第1及び第2のフィルム2318及び2322に加えて穿通可能なシール3324を穿通し得る。図38A~Dのさらなる代替的な実施形態で見て取れるように、第1のフィルム2318及び/または第2のフィルム2322は、上述の抗微生物剤を含有する接着剤をさらに含み得る。最初に、第1のフィルム2318の抗微生物接着剤は、除去可能なライナー2319によって被覆され得、第2のフィルム2322の抗微生物接着剤は、除去可能なライナー2323によって被覆され得る。第1のフィルム2318を第2のフィルム2322と係合させて組み立てる前に、剥離可能なライナー2319及び2323が除去され得る。第1及び第2のフィルム2318及び2322の外面上のこの抗微生物接着剤の存在は、この組み立て工程が非滅菌環境で行われる場合にそれらの表面の汚染を阻止または防止する。
図39A~Bに示されるいくつかの実施形態において、外部穿通部材4316Bの内部空洞、及びそれ故に内部穿通部材4316Aをさらに切り離す、追加のフィルムまたはシール4336が外部穿通部材4316B上に存在し得る。このシール4336は、外部穿通部材が第1のフィルム4318及び第2のフィルム4322を穿通するときに無傷のままであり得る。これは、シールの表面上に存在するあらゆる微生物が内部穿通部材と接触することを防止し得る。第1及び第2のフィルム4318及び4322を穿通した後、外部穿通部材4318Bの平行移動は、外部穿通部材が穿通可能な(piercable)シール4326を穿通する前に制限され得る。内部穿通部材4316Aは、薬物容器2330の方へ平行移動し続け、第1及び第2のフィルム4318及び4322ならびに穿通可能なシール4326を穿通し、それによって、流路を開通させる。さらに、図39A~Bに示される実施形態において、抗微生物接着剤4325は最初に、第1のフィルム4318及び/または第2のフィルム4322の外面(複数可)を被覆し得る。
図40A~Cに示される他の実施形態において、第1及び第2のフィルムは、流体通路接続子の据え付け直前に、流体通路接続子及び薬物容器から除去される。フィルムの除去前、それらが定置されていることにより、薬物容器の穿通可能なシール及び流体通路接続子のエラストマー構成要素の面の滅菌性が維持される。流体通路接続子及び薬物容器の接続前の第1及び第2のフィルムの除去及び外部穿通部材2316Bの省略を除いて、図40A~Cに示される実施形態は、図37A~Cに示される実施形態と同じまたは同様の要素を含む。故に、両方の図の組において、同じ参照符号が、同じまたは同様の要素を示すように使用される。図37A~Cに示される実施形態の外部穿通部材2316Bは、図40A~Cに示される実施形態の代替的な別形式において実装され得ることに留意されたい。また、図40A~Cの実施形態のエラストマー構成要素3334は、図37A~Cの実施形態のエラストマー構成要素3334とは異なり、薬物容器2330の遠位端2329を受け入れ、それと締まりばめ(例えば、気密な締め代または圧入)を形成するように構成された陥凹または空洞2327を含むことにも留意されたい。この締まりばめは、汚染物質の進入を防止し、それによって、薬物容器と流体通路接続子との間のインターフェースの滅菌性を維持し得る。いくつかの実施形態において、薬物容器2330の遠位端2329は、組み立ての結果として汚染物質が薬物容器2330の遠位端2329とエラストマー構成要素3334との間に捕捉されないように、非滅菌または無菌状態下で陥凹2327及びエラストマー構成要素3334に挿入され得る。
図41A~Dの代替的な実施形態に示されるように、流体通路接続子はまた、ガラス管2335を使用して薬物容器2330に据え付けられてもよい。据え付け後、ガラス管2335ならびにエラストマー穿通部材保持器または構成要素3334及び穿通可能なシール3324の表面は、UV滅菌(図41Cを参照されたい)を用いて滅菌され得る。ガラス管は、滅菌後に微生物及び他の夾雑物が無菌表面に接触不可能であるように、薬物容器2330及び流体通路接続子のエラストマー構成要素3334の両方と封止係合(例えば、気密シール)し得、それによって、ガラス管2335の内部の無菌状態を維持する。第1及び第2の箔2318及び2322の省略及びガラス管2335の包含を除いて、図41A~Dに示される実施形態は、図40A~Cに示される実施形態と同じまたは同様の要素を含み得る。したがって、両方の図の組において、同じ参照符号が、同じまたは同様の要素を示すように使用される。
図42に示される実施形態は、薬物容器の長軸と直交に形成された接続を示す。この実施形態において、第1のフィルム5318は最初に、接続ハブ5312の空洞5312Aを覆って定位置にあり、その滅菌性を維持する。接続中、第1のフィルム5318は、薬物容器の挿入部5340によって穿通される。穿通部分は、穿通後、挿入部の凹状部分5342内に保持される。この穿通部分を凹状部分内に保持することによって、第1のフィルムの非無菌表面が隔離され、その上に存在するいずれの物質も、薬物流体または流路を汚染することを防止される。第2のフィルム5322は最初に、挿入部5340における開口部5340Aを覆って定位置にあり、開口部の無菌状態を維持する。第2のフィルム5322は、それが微生物及び他の汚染物質が開口部に進入することを防止するように、挿入部に密に適合している剛性またはエラストマー構成要素であり得る。接続ハブが薬物容器に据え付けられると、第2のフィルムは、その最初の位置から変位され得、それによって、薬物容器から、流体通路接続子を通して流路が確立されることを可能にする。接続ハブが薬物容器に据え付けられると、挿入部5340における開口部5340Aは、接続ハブ5312における開口部5312Bと揃えられる。穿通可能なシールが、流路を確立するために穿通部材によって穿通され得る開口部のうちの1つ以上を覆って定位置にあってもよい。1つ以上のスナップアームが、挿入部を薬物バレルに対して適所に保持してもよい。スナップアームは、薬物バレル自体、または薬物容器の別の構成要素に接続し得る。
VI.流体通路接続子の追加の実施形態
少なくとも図1A~2B及び33A~33Cに関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図43~52Dに関連して以下に記載される流体通路接続子の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図43~52Dに関連して以下に記載される流体通路接続子の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の流体通路接続子300、6300、もしくは8300、または本明細書に記載の任意の他の流体通路接続子を置き換えてもよい。
図43~45の実施形態に示されるように、薬物容器1850は、バレル1858、キャップ1852、及び穿通可能なシール1856からなり得る。穿通可能なシール1856の基部1856Aは、バレル1858の内側と封止係合し得る。キャップ1852は、バレル1858の外側に固定的に係合され得、穿通可能なシール1856を適所に保持して、穿通可能なシール1856がバレル1858に対して動くのを制限し得る。キャップ1852は、キャップ1852のリング1852Bから軸A-Aに実質的に平行かつ遠位方向に延出する、1つ以上の係止アーム1852Aを含み得る。係止アーム1852Aは、それらの遠位端にまたはその近くに径方向に延出する突出部1852Cを含み得る。薬物容器は、ドーナツ形シール1857をさらに含み得る。図43に示される最初の構成において、ドーナツ形シールは、突出部1852Bと穿通可能なシール1856の近位円周リブ1856Bとの間に保持される。穿通可能なシール1856は、ドーナツ形シール1857をさらに保持する遠位円周リブ1856Cをさらに含み得る。薬物容器が無菌環境にあるときにドーナツ形シールをこの位置に定置することによって、薬物容器が不浄の環境に移動された場合であっても、ドーナツ形シール1857の内面(すなわち、近位円周リブと遠位円周リブとの間のエリア)と接触している、穿通可能なシール1856の部分が、無菌状態で維持される。
流体通路接続子18300は、接続ハブ18310、保持器18320、穿通部材18330、及びプラグシール18330を含む。図45Aに示されるように、プラグシール18330は最初に、接続ハブ18310の穴18310A内に配置されている。流体通路接続子が組み立てられるときに、プラグシールは、穴18310Aとの封止係合を維持することによって、流体通路接続子の少なくとも一部分の無菌状態を維持する。保持器は、接続ハブ18310に対して、軸B-B(図45Dに示される)と平行の方向に摺動的に平行移動するように配置されている。最初は、保持器18320の平行移動は制限され得る。この制限は、屈曲アーム18320Bの、接続ハブ18310における陥凹部との係合によるものであり得る。穿通部材18330は、保持器18320の平行移動が穿通部材に伝わるように、保持器18320と固定的に係合され得る。穿通部材は、他の適切な手段を用いて保持器に結合、圧入、または係合され得る。穿通部材は最初に、接続ハブ18310の空洞18310D及び/または開口部18310C内に少なくとも部分的に配置され得る。空洞18310D及び18310Cは、プラグシール18340によって無菌状態で維持される。保持器18320は、滅菌流体導管30(図1Bを参照されたい)が取り付けられ得る導管接続部18320Aをさらに含み得る。これは、滅菌流体通路接続子から挿入機構への滅菌流路を提供する。穿通部材18330は、流体が穿通部材の中空内部を通過し、滅菌流体導管に入るように、中空針であり得る。
図45A~Dは、流体通路接続子を薬物容器に接続する工程を示す。この接続は、非無菌環境で行われてもよい。図45Aにおいて、流体通路接続子のプラグシールは、軸A-Aと実質的に揃えられている(すなわち、プラグシール18340は、穿通可能なシール56の遠位端と揃えられている)。図45Bは、薬物容器と接触している流体通路接続子18300の断面図を示す。接続ハブ18310の陥凹18310Bが係止アーム1852Aと揃えられており、この位置揃えは、流体通路接続子の設置を導き、薬物容器に対する流体通路接続子の回転を防止する。図45Cに示されるように、接続ハブが軸A-Aに沿って近位方向に平行移動させられるとき、プラグシール18340は、穿通可能なシール1856との接触に起因して、接続ハブと共に平行移動することを防止される。これにより、プラグシールがその穴18310A内での位置から変位することになる。追加的に、接続ハブ18310の肩部18310Eの、ドーナツ形シール1857との接触により、ドーナツ形シールが軸A-Aに沿って近位方向に平行移動することになる。接続ハブが軸A-Aに沿って平行移動させられるとき、穴18310Aのみが、それまではドーナツ形シール1857によって被覆されていた穿通可能なシールの一部分と接触するようになる。さらに、接続ハブがドーナツ形シールと接触するようになるとき、これらの構成要素は、微生物及び他の異物が穿通可能なシール及び流体通路接続子の滅菌部分と接触し得ないように、封止的に係合する。このようにして、穿通可能なシール1856、開口部18310C、空洞18310D、及び穿通部材18330の無菌状態が、流体通路接続子の設置中に維持される。
図45Dにおいて見て取れるように、接続ハブのさらなる近位の平行移動は、接続ハブを薬物容器1850の一部分と接触させ、故に、接続ハブのさらなる遠位の平行移動を防止する。示される実施形態において、接続ハブは、キャップ1852の一部分に接触する。接続ハブがこの位置に達するとき、プラグシールは、アセンブリから除去され、破棄され得る。スナップアーム1852Aが、接続ハブの1つ以上の態様に係合し、それによって、接続ハブが薬物容器から除去されるのを防止し得る。
設置後、穿通部材は、ドーナツ形シールと元々は係合していた穿通可能なシールの滅菌部分と揃えられる。構成要素は、薬物送達デバイス10(図1A~1Cを参照されたい)へと組み立てられ、使用者が薬物ポンプを作動させるまで、この構成で留まる。作動時に、保持器18320は、軸B-Bと平行の方向に接続ハブに対して平行移動させられて、穿通部材18330の平行移動を引き起こす。この平行移動に起因して、穿通部材は、穿通可能なシール1856と接触するようになり、その後、それを穿通する。これにより、薬物容器から穿通部材を通した流体通路が開通する。流体通路は、保持器18320の導管接続18320Aと係合されている滅菌流体導管30(図1Bを参照されたい)をさらに含み得る。このようにして、患者への送達のために薬物容器から挿入機構への滅菌流路が提供される。
図46A~46Bは、接続ハブ181310が、薬物容器181050のキャップ181052に係合され得るスナップアーム181310Fを含む、本開示の別の実施形態を示す。ドーナツ形シール181057は最初に、穿通可能なシール181056の近位円周リブ181056Bと遠位円周リブ181056Cとの間に保持され、接続ハブとの接触によって近位方向に平行移動させられる。流体通路接続子の薬物容器への据え付け後、流体通路の開通は、上述のものと実質的に同様である。
図47は、接続ハブの穴内に配置されているプラグシールの詳細図を示す。これは、タブ181310Gを用いてプラグシールを適所に保持する、考えられる方法を示す。これらのタブは、内部穴におけるプラグシールの場所を制御する。
図48~50は、キャップ及び穿通可能なシールの代替的な構成を例証する、本開示の追加の実施形態を示す。
図51に示される実施形態において、穴182310Aは、その遠位面上を遠位フィルム182350によって、及びその近位面上を近位フィルム182352によって封入されている。近位及び遠位フィルムは、異物の通過を防止するのに十分なバリア特性を備えた材料から構築され得る。例えば、フィルムは、箔材料から構築され得る。フィルムは、接続ハブに結合されるか、あるいはそれにしっかりと貼着されてもよい。このようにして、穴182310Aは、無菌状態で維持される。
流体通路接続子が薬物容器と接触させられるとき、薬物容器の一部分が、近位フィルム182352の一部分を穿通する、引き裂く、あるいは接続ハブから除去する。例えば、図51に示されるように、キャップ182052の一部分が、設置中に近位フィルムに接触し、その一部分を接続ハブから係脱させる。近位シール182352の係脱された部分は、キャップ182052及び穿通可能なシール182056によって形成された空隙182055内に保持され、それによって、近位フィルム182352の不浄部分が穿通可能なシール182056の無菌部分と接触するのを防止する。
図51にまた示される、シール182057は、穿通可能なシール182056の円周の一部分のみの無菌状態を維持するように構成され得る。この部分は、流体通路接続子182300の設置後、開口部182310C及び穿通部材182330と揃えられるように構成され得る。設置中、シール182057は、他の実施形態を参照して記載されるように接続ハブによって変位される。シール182057は、シールがキャップ182052のスロット182052D、近位円周リブ182056B、及び遠位円周リブ182056Cと係合することによって、穿通可能なシールに対して適所に保持され得る。変位中、シールは、スロット182052D内で近位方向に平行移動する。
図52A~52Dは、流体通路接続子が第1の回転円盤183360を含み、薬物容器183050が第2の回転円盤183051を含む、流体通路接続子別の実施形態を示す。第1の回転円盤183360は、中心軸を中心として接続ハブ183310に対して回転するように構成され得、第1の開口部183360Aをさらに含み得る。図52Aに示されるように、第1の回転円盤はまた、ポスト183360B及びレセプタクル183360Cを含み得る。第2の回転円盤183051は、第1の開口部183360Aが第2の開口部183051Aと揃うことを可能にする相補的特徴を含み得る。第2の回転円盤183051は、薬物容器に対して回転するように構成され得、第2の開口部183051Aを有し得る。開口部のうちの一方または両方は最初にフィルムによって被覆され得、それにより、フィルムは異物が開口部に進入するのを防止する。
図52Cで見て取れるように、設置中、第1及び第2の回転円盤は、第1及び第2の開口部が揃うように接触させられる。回転円盤は、接着剤の使用により接合され得るか、代替的に、他の実施形態に関連して先に記載されたスナップアーム等の特徴によって接触して保有され得る。いったん接続されると、円盤は、それらがチムニ183053及び接続ハブ183310における第3の開口部183310Fと揃うように回転させられ得る。チムニ183053は、ばねまたはエネルギーを蓄積可能な他の偏倚部材によって、遠位方向に軸方向へ動くように偏倚され得る。図52Dに示されるように、第1及び第2の開口部と揃うと、チムニは、遠位方向に、第1及び第2の開口部の両方を通って平行移動する。チムニは、内容物が薬物容器から流れることを可能にするパススルーを有し得る。このようにして、滅菌流路が薬物容器と流体通路接続子との間に作り出される。流体通路接続子は、使用者によって作動されると、チムニを通過し、薬物容器の穿通可能なシールを穿通するように構成されている、穿通部材をさらに含み得る。穿通可能なシールが穿通された後、薬物流体が穿通部材を通過し、患者に送達され得る。穿通部材は、保持器183320と係合され得る。保持器はまた、導管接続部183320Aで滅菌流体導管30(図1Bを参照されたい)と接続するように構成され得る。穿通部材の平行移動は、保持器の平行移動によって引き起こされ得る。
少なくとも1つの実施形態において、本開示は、使用者により始動される流体通路接続子を提供する。流体通路接続子は、接続ハブ、穿通部材、穿通部材保持器、ならびにキャップ、穿通可能なシール、及びバレルを有する薬物容器を含み、この穿通部材は、接続ハブによって画定される滅菌チャンバ内に少なくとも部分的に配置されている。流体通路接続子は、それが流体通路の無菌状態を維持しながら薬物容器に接続され得るように構成されている。薬物容器は、送達用の薬物流体を収容し得る。流体通路接続子はさらに、患者への流体薬物の送達のために流体通路を提供する導管と流体連通していてもよい。使用者によって始動されると、流体薬物は、流体通路を通して使用者の身体に送達される。穿通可能なシールは、使用者による始動時に穿通部材によって突き通され得るシールバリアを含む。
別の実施形態において、本開示は、ハウジング及びアセンブリプラットフォームを有する、一体型の滅菌性維持特徴を備えた薬物送達ポンプを提供し、その上に作動機構、流体通路接続子、電力・制御システム、及び薬物容器を有する駆動機構が据え付けられ得、該流体通路接続子は、接続ハブ、穿通部材、穿通部材保持器、及びキャップを有する薬物容器、穿通可能なシール、及びバレルを含み、この穿通部材は、接続ハブによって画定される滅菌チャンバ内に少なくとも部分的に配置されている。流体通路接続子は、流体通路の無菌状態を維持しながらそれが薬物容器に接続され得るように構成されている。薬物容器は、送達用の薬物流体を収容し得る。流体通路接続子はさらに、患者への流体薬物の送達のために流体通路を提供する導管と流体連通していてもよい。使用者によって始動されると、流体薬物は、流体通路接続子を通して使用者の身体に送達される。穿通可能なシールは、使用者による始動時に穿通部材によって突き通され得るシールバリアを含む。
VII.流体通路接続子の追加の実施形態
少なくとも図1A~2B及び33A~33Cに関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図53A~68に関連して以下に記載される流体通路接続子の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図53A~68に関連して以下に記載される流体通路接続子の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の流体通路接続子300、6300、もしくは8300、または本明細書に記載の任意の他の流体通路接続子を置き換えてもよい。
一般に、本実施形態は、流体通路の滅菌性を維持し、流体容器に一体化される容器接続部;流体容器へのかかる滅菌流体通路接続子を組み込む薬物送達デバイス;かかるデバイスを操作する方法;及びかかるデバイスの組み立て方法を実現する。本実施形態の流体通路接続子は、流体送達前、送達中、及び送達後の流体通路の滅菌性を保証する、一体型の安全性特徴を提供する。一態様において、流体通路は、操作者によってデバイスが始動されるまで、流体容器から分断されたままである。別の態様において、流体通路は、操作者によって作動される前の滅菌空洞内での流体容器との接続前に、穿通部材の滅菌性を維持する。操作者によって作動されると、穿通可能なシールの少なくとも一部分が、例えば、空気圧及び/または液圧もしくは流体内の力によって、実質的に固定された穿通部材の方へ平行移動させられ、それにより、穿通可能なシールが穿通され、流体通路が接続または開通されて、デバイスからの流体送達のために流体が流体通路を通って流れることを可能にする。
輸液ポンプまたはボーラス注入装置等の薬物送達デバイスが、特定量の流体を一定期間内に送達するために必要とされ得る。例えば、薬物流体を皮下送達する場合、患者に送達される流体の流れを制御すること、ならびに流体送達デバイスの作動または操作前に流体容器及び流体通路の滅菌性を維持することが重要である。使用者がデバイスを作動させ容器からの流体の流れを始動するまで、容器の完全性、滅菌性、及び他の目的のために流体通路接続子が分断されたままであることが所望され得る。いくつかの薬物送達デバイスは、1つ以上の能動流体通路制御機構を利用して、時期尚早な流体通路接続子または薬物送達を防止し得る。他の薬物送達デバイスは、流体通路接続子が製造時に形成され、使用者が所望するまで流体送達が遮断されているように構成されている。かかる設計は、薬物送達デバイスの内部構成要素の容器の完全性及び滅菌性を維持することに関連する有益な利点を提供しない。本実施形態は、滅菌薬物送達デバイスのための一体型流体通路接続子機構を提供する。これらの新規の実施形態は両方とも、使用者に対して不必要な工程を追加することなく、流体容器と流体導管との間の滅菌流体通路を開通させるまたは接続する接続機構を提供する。これは、駆動機構の作動及びプランジャシールが平行移動して、空気圧及び/または流体内の液圧をもたらし、この圧力が穿通可能なシールの少なくとも一部分の平行移動を強いて、それが実質的に固定的な穿通部材に衝撃を与えるようにし、故に流体容器と流体導管との間の滅菌流体通路を開通させることによって、有効化される。
したがって、本開示の実施形態は、流体容器に一体化され、デバイス及び駆動機構の操作によって開通、接続、作動、あるいは有効化される、滅菌流体通路接続子を提供する。駆動機構の作動及び駆動機構からプランジャシールに伝達される力は、それ自体が、流体容器と流体導管との間の滅菌流体通路を開通させるために用いられる。したがって、流体容器の容器完全性及び滅菌性は、デバイスの動作前及び動作中に維持され得る。この新規の構成はまた、滅菌流体通路接続子工程を自動化して、デバイス、及びデバイスまたは使用者によって行われる必要のある操作工程の複雑性を大幅に低減する。本開示の新規の実施形態はまた、流体容器のキャップ側に別個の滅菌流体通路接続子機構が何ら必要とされないため、デバイス構成要素の構成の柔軟性を許容し、デバイスのレイアウトまたは全体的設置面積を低減する。本実施形態はまた、全体的に実装されてもよく、または真空引きを必要とする用途を含む、薬物充填-最終製剤化過程を含めて、滅菌流体の標準的な製造において利用されてもよい。追加的に、本実施形態はまた、穿通部材またはプランジャシールを、滅菌流体容器から接続子への流体移送のステータスに関連する表示機構の部品として利用することを含めて、いくつかの異なるステータス表示機構をデバイスに一体化させてもよい。例えば、流体容器が薬物容器である場合、かかる構成要素及びデバイスは、プランジャシールの実際の移動及び薬物送達ステータスに連結された投薬終了表示を提供する。
少なくとも1つの実施形態は、穿通部材、接続子ハブ、及び穿通可能なシールを含む滅菌流体通路接続子を可能にする。より具体的には、少なくとも1つの実施形態は、滅菌流体通路に接続するように構成された第1の部分及び滅菌流体の容器を据え付けるように構成されたハウジングを含む第2の部分を含む、滅菌流体接続子;接続子ハブ;接続子ハブと滅菌流体の容器との間に少なくとも部分的に配置され、接続子ハブと穿通可能なシールとの間に滅菌流体チャンバを形成する、穿通可能なシール;ならびに滅菌流体チャンバと滅菌流体通路との間での滅菌流体連通を提供可能な接続子ハブ内に配置された、穿通部材を可能にし、穿通可能なシールの少なくとも一部分は、穿通可能なシールが無傷である非作動状態から、穿通可能なシールが穿通部材によって破壊されて、滅菌流体容器と滅菌流体通路との間の滅菌流体連通を作り出す作動状態へと変容するように構成されている。ハウジングは、接続子の一部分を滅菌流体の容器内に陥没させるようにさらに構成され得る。接続子ハブは、少なくとも1つのポートまたは通気口をさらに含み得る。滅菌流体通路はまた、滅菌流体容器から接続子への流体移送のステータスを示すように構成された少なくとも1つのセンサを含み得る。追加的に、滅菌流体通路接続子は、1つ以上の流れ制限部を含み得る。少なくとも1つの実施形態において、接続子ハブは、少なくとも部分的に流体導管または流れ制限部として機能してもよい。少なくとも1つの実施形態において、流体通路接続子は、フィルタをさらに含む。いくつかの既知のフィルタが本開示の実施形態内で利用され得るが、このことは当業者には容易に理解されるであろう。例えば、フィルタは、滅菌空洞を外側環境から封入する透過性膜、半透性膜または多孔質膜を含んでもよい。
穿通部材は最初に、接続子ハブと穿通可能なシールとの間の滅菌空洞内の実質的に固定された位置で保持されている。操作者(例えば、患者)によって作動されると、穿通可能なシールの少なくとも一部分は、穿通可能なシールが穿通部材によって突き通される第2の位置へと動かされる。滅菌空洞と反対の側で穿通可能なシールにかけられる、空気圧及び/または液圧力等の力が、穿通可能なシールの少なくとも一部分を穿通部材の方へ平行移動させる。穿通可能なシールの平行移動により、それが実質的に固定的なまたは固定された穿通部材に衝撃を与えるようにして、穿通可能なシールを貫通する流体通路を開通させる。したがって、穿通可能なシールの少なくとも一部分は、流体により穿通可能なシールにかけられる力によって第1の位置から第2の位置へと動くように構成されている。穿通可能なシールの一部分が第1の位置から第2の位置へと動いた際の、穿通可能なシールの穿通部材による突き通しが、穿通可能なシール及び穿通部材を通した流体導管への流体通路を開通させる。
少なくとも1つの実施形態において、穿通可能なシールは、穿通部材によって突き通され得るシールバリアを含む。穿通部材は最初に、シールバリアと接触、またはそれに隣接していてもよい。
流体通路接続子は、穿通部材ガイドをさらに含み得、この穿通部材ガイドは、接続子ハブと係合するかまたは接続子ハブの上で平行移動可能である。穿通部材ガイドは、穿通可能なシール、またはシールバリア等のその少なくとも一部分が、穿通部材に適切に接触し、その上で平行移動して穿通されるようになり、穿通可能なシール及び穿通部材を通した流体導管への流体通路を開通させることを保証するように機能し得る。
穿通部材は、接続子ハブの中を通過し、流体導管に接続するように構成され得る。別の実施形態において、接続子ハブは、穿通部材を流体導管に接続し得、流体導管は、少なくとも部分的に接続子ハブの一部であり得る。少なくとも1つの実施形態において、流体導管は、接続子ハブのポートにおいて接続子ハブの中を通過する。
少なくとも1つの実施形態において、滅菌流体接続子は、滅菌流体容器から接続子への流体移送のステータスを示すように構成された少なくとも1つのセンサを含む。例えば、滅菌流体通路接続子は、1つ以上の相互接続部、及び任意選択で、使用者に信号を伝送するための1つ以上の対応する接触部をさらに含み得る。例えば、相互接続部(複数可)は、穿通部材がプランジャシールを突き通し、相互接続部(複数可)が使用者に信号を伝送するための接触部(複数可)として作用可能であるように、流体容器内で平行移動可能なプランジャシール内またはその少なくとも部分的に近位にあり得る。加えてまたは代替的に、プランジャシール及び穿通可能なシールが実質的に接触しているときに使用者に信号を伝送するために、相互接続部(複数可)または接触部(複数可)は、薬物容器内で平行移動可能なプランジャシール内またはその少なくとも部分的に近位にあり、他方は、穿通可能なシール内またはその少なくとも部分的に遠位にある。加えてまたは代替的に、流体移送終了時の空気圧及び/または液圧の解放が相互接続を解除して、使用者に信号を伝達するまたは使用者への信号伝達を停止するように、相互接続部(複数可)または接触部(複数可)は、接続子ハブと穿通可能なシールとの間の滅菌空洞内にある。いくつかの既知の相互接続部及び接触部が本開示の実施形態内で利用され得るが、このことは当業者には容易に理解されるであろう。例えば、以下の様々なセンサ、すなわち、ホール効果センサ;巨大磁気抵抗(GMR)または磁界センサ;光センサ;静電容量式または静電容量変化センサ;超音波センサ;及びリニアトラベル、LVDT、リニア抵抗、または放射測定リニア抵抗センサ;ならびにそれらの組み合わせがかかる目的で利用され得、これらのセンサは、構成要素間の信号を伝送してそれらの間の位置を特定するように調和可能である。
別の実施形態は、バレル及びプランジャシールを有する薬物容器内に少なくとも部分的に一体化された穿通部材、接続子ハブ、及び穿通可能なシールを有する、一体型の流体通路接続子及び薬物容器を可能にする。穿通可能なシールは、実質的に固定的な穿通部材の上で平行移動可能であり、穿通可能なシールは、穿通部材が接続子ハブと穿通可能なシールとの間の滅菌空洞内に位置付けられている第1の位置から、穿通可能なシールが穿通部材によって突き通された第2の位置へと動くように構成されている。流体容器は、流体を最初に保持するために穿通可能なシールとプランジャシールとの間に流体チャンバを収容し、穿通可能なシールは、流体により穿通可能なシールにかけられる力によって第1の位置から第2の位置へと動くように構成されている。少なくとも1つの実施形態において、穿通可能なシールは、穿通部材によって突き通され得るシールバリアを有し、穿通部材は最初に、シールバリアと接触、またはそれに隣接している。
一体型流体通路接続子は、接続子ハブまたは穿通部材に取り付けられた穿通部材ガイドピースをさらに含み得、この穿通部材ガイドは、接続子ハブまたは穿通部材に摺動自在に係合して、接続子からの流体出口の方向への穿通可能なシール、またはその一部分の平行移動を許容する。流体容器の方向への穿通可能なシールの平行移動は、動作中に接続子ハブ、穿通部材、及び穿通可能なシールを適所に保持する、例えば、流体容器バレルに据え付けられたクリンプ式キャップ等のハウジングによる、穿通可能なシールの一部分の保持によって防止され得る。かかる構成を用いて、流体容器の流体チャンバが、滅菌流体通路接続子の機能を損なうことなく、流体で充填する前に真空等によって排気されるのを許容してもよい。
少なくとも1つの実施形態において、接続子ハブは、導管ポートを有するヘッダ、チャンバ、及び滅菌空洞がチャネルを通して排気され得るようにチャンバにつながるチャネルを有する真空ポートを有する。導管ポートは、流体がチャンバから流れ出ることを許容し、栓をされることが可能であり得る、膜またはシールを有し得る。同様に、真空ポートは、ポリマープラグ等によって、栓をされることが可能であり得る。かかる構成は、例えば、滅菌空洞と穿通可能なシールの反対側との間の滅菌性及び圧力平衡の両方を維持する、あるいは使用者によるデバイスの動作前または動作中に構成要素の相対的位置の維持を補助するように、滅菌空洞が排気されることを可能にする。
少なくとも1つの実施形態において、穿通可能なシール、またはその少なくとも一部分は、穿通部材の上で平行移動可能であり、穿通可能なシールは、穿通可能なシールが穿通部材によって突き通された第2の位置から、少なくとも1つのセンサが滅菌流体容器から接続子への流体移送のステータスを表示する第3の位置へと動くようにさらに構成されている。例えば、第3の位置において、1つ以上の相互接続部及び1つ以上の対応する接触部は、使用者に信号を伝送することを許容される。かかる一実施形態において、プランジャシール及び穿通可能なシールが実質的に接触しているときに使用者に信号を伝送するために、相互接続部(複数可)または接触部(複数可)は、駆動機構のある態様上にあり、他方は、プランジャシール内またはその少なくとも部分的に近位にある。代替的に、プランジャシール及び穿通可能なシールが実質的に接触しているときに使用者に信号を伝送するために、相互接続部(複数可)または接触部(複数可)は、穿通可能なシール内またはその少なくとも部分的に遠位にあり、他方は、接続子ハブの近位にある。加えてまたは代替的に、投薬終了時の空気圧及び/または液圧の解放が相互接続を解除して、使用者に信号を伝達するまたは使用者への信号伝達を停止するように、相互接続部(複数可)または接触部(複数可)は、接続子ハブと穿通可能なシールとの間の滅菌空洞内にある。いくつかの既知の相互接続部及び接触部が本実施形態と共に使用され得るが、このことは当業者には容易に理解されるであろう。例えば、以下の様々なセンサ、すなわち、ホール効果センサ;巨大磁気抵抗(GMR)または磁界センサ;光センサ;静電容量式または静電容量変化センサ;超音波センサ;及びリニアトラベル、LVDT、リニア抵抗、または放射測定リニア抵抗センサ;ならびにそれらの組み合わせがかかる目的で利用され得、これらのセンサは、構成要素間の信号を伝送してそれらの間の位置を特定するように調和可能である。
なおも別の実施形態は、作動機構、挿入機構、及びプランジャシールを有する流体容器が内側に据え付けら得るハウジングを含む、一体型の滅菌性主維持特徴を備える薬物送達デバイスを提供する。流体容器は、一方の端部で駆動機構に、別の端部で流体通路接続子に接続されている。流体通路接続子は、穿通部材、接続子ハブ、及び穿通可能なシールを含み、穿通部材は、接続子ハブと穿通可能なシールとの間の滅菌空洞内に保持され、穿通可能なシールは、第1の位置から、穿通可能なシールが穿通部材によって突き通された第2の位置へと動くように構成されている。流体容器は、流体を最初に保持するために穿通可能なシールとプランジャシールとの間に流体チャンバを収容し、穿通可能な流体シールは、流体により穿通可能なシールにかけられる力によって第1の位置から第2の位置へと動くように構成されている。少なくとも1つの実施形態において、穿通可能なシールは、穿通部材によって突き通され得るシールバリアを有し、穿通部材は最初に、シールバリアと接触、またはそれに隣接している。
薬物送達デバイスは、接続子ハブまたは穿通部材と係合された穿通部材ガイドピースをさらに含み得、この穿通部材ガイドは、接続子ハブまたは穿通部材に摺動自在に係合して、穿通可能なシール、またはその一部分の、遠位方向(すなわち、流体が接続子を脱出する位置から流体導管の方への)平行移動を許容する。近位方向への穿通可能なシールの平行移動は、動作中にハウジングが接続子ハブ、穿通部材、及び穿通可能なシールを適所に保持するような、例えば、バレルに据え付けられたクリンプ式キャップ等のハウジングによる、穿通可能なシール、またはその一部分の保持によって防止され得る。かかる構成を用いて、薬物容器の薬物チャンバが、滅菌流体通路接続子の機能を損なうことなく、流体で充填する前に真空等によって排気されるのを許容してもよい。少なくとも1つの実施形態において、接続子ハブは、導管ポートを有するヘッダ、チャンバ、及び滅菌空洞がチャネルを通して排気され得るようにチャンバにつながるチャネルを有する真空ポートを有する。導管ポートは、流体がチャンバから流れ出ることを許容または制限する、フィルタ、膜またはシールを有し得る。同様に、真空ポートは、ポリマープラグ等によって、栓をされることが可能であり得る。かかる構成は、例えば、滅菌空洞と穿通可能なシールの反対側との間の滅菌性を維持する、圧力平衡の維持、または使用者によるデバイスの動作前または動作中に構成要素の相対的位置の維持を補助するように、滅菌空洞が排気されることを可能にし得る。
少なくとも1つの実施形態において、穿通可能なシールは、穿通部材または接続子ハブのある態様の上で平行移動可能であり、かつ、穿通可能なシールが穿通部材によって突き通された第2の位置から、1つ以上の相互接続部及び1つ以上の対応する接触部が使用者に信号を伝送することを許容される第3の位置へと動くようにさらに構成されている。相互接続部(複数可)及び対応する接触部(複数可)は、例えば、以下のように構成されている:(a)プランジャシール及び穿通可能なシールが実質的に接触しているときに使用者に信号を伝送するために、相互接続部(複数可)または接触部(複数可)が駆動機構のある態様の上に位置付けられ、他方がプランジャシール内またはその少なくとも部分的に近位に位置付けられる、(b)プランジャシール及び穿通可能なシールが実質的に接触しているときに使用者に信号を伝送するために、相互接続部(複数可)または接触部(複数可)が穿通可能なシール内またはその少なくとも部分的に遠位に位置付けられ、他方が接続子ハブの近位に位置付けられる、(c)シールが穿通された後に、薬物チャンバ内の継続する圧力が相互接続を引き起こし、その相互接続が使用者に信号を伝送し、ひとたび薬物チャンバの内側の圧力が降下して相互接続が失われると(すなわち投薬終了時)その信号が終結されるように、相互接続部(複数可)及び接触部(複数可)が接続子ハブと穿通可能なシールとの間の滅菌空洞内に置かれる。いくつかの既知の相互接続部及び接触部が本開示の実施形態内で利用され得るが、このことは当業者には容易に理解されるであろう。例えば、以下の様々なセンサ、すなわち、ホール効果センサ;巨大磁気抵抗(GMR)または磁界センサ;光センサ;静電容量式または静電容量変化センサ;超音波センサ;及びリニアトラベル、LVDT、リニア抵抗、または放射測定リニア抵抗センサ;ならびにそれらの組み合わせがかかる目的で利用され得、これらのセンサは、構成要素間の信号を伝送してそれらの間の位置を特定するように調和可能である。
追加的に、流体通路接続子は、1つ以上の流れ制限部を含み得る。少なくとも1つの実施形態において、接続子ハブは、少なくとも部分的に流体導管または流れ制限部として機能してもよい。少なくとも1つの実施形態において、流体通路接続子は、フィルタをさらに含む。いくつかの既知のフィルタが本開示の実施形態内で利用され得るが、このことは当業者には容易に理解されるであろう。例えば、フィルタは、滅菌空洞を外側環境から封入する透過性膜、半透性膜または多孔質膜であってもよい。
本実施形態の新規のデバイスは、流体通路の滅菌性を維持し、流体容器に一体化される容器流体通路接続子、ならびに流体容器へのかかる一体型の滅菌流体通路接続子を組み込む薬物送達デバイスを提供する。操作者が流体送達を所望するまで流路が分断されているため、流体通路接続子、流体容器、流体、及びデバイス全体の内部の滅菌性が維持される。さらに、本開示の流体通路接続子及び薬物送達デバイスの新規の構成は、デバイスの操作を通して流路の滅菌性を維持する。流体がデバイス内で移動する通路が完全に滅菌状態で維持されるため、これらの構成要素は、製造過程中に滅菌される必要があるのみである。かかる構成要素には、駆動機構の流体容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構が含まれる。本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システム、アセンブリプラットフォーム、制御アーム、作動機構、ハウジング、及び他の構成要素は、滅菌される必要がない。これは、デバイスの製造性を大幅に改善し、関連する組み立て費用を低減する。したがって、本実施形態のデバイスは、組み立ての完了時に最終滅菌を必要としない。本実施形態のさらなる有益性は、例えば、デバイスの流体通路接続子及び他の構成要素がハウジングに一体化され、薬物送達デバイスとして機能するように容易にインターフェース接続し得るように、本明細書に記載の構成要素がモジュール式であるように設計されることである。
さらなる実施形態は、一体型の滅菌流体通路接続子及び流体容器の組み立て方法を提供する。滅菌流体通路接続子は最初に組み立てられ得、次いで、穿通可能なシールの少なくとも一部分が薬物容器内に収容されるように、流体容器の中に取り付けられ、据え付けられ、接続され、あるいは一体化され得る。流体容器は次いで、使用者への送達のために流体で充填され、穿通可能なシールと反対の端部にてプランジャシールで栓をされ得る。バレルは、バレルの近位端からのプランジャシールの挿入前に、開口近位端を通して流体で充填され得る。駆動機構は次いで、駆動機構の構成要素がプランジャシールに接触可能であるように、流体容器の近位端に取り付けられ得る。挿入機構は、組み立てられ、流体導管の他方の端部に取り付けられ得る。駆動機構、薬物容器、流体通路接続子、流体導管、及び挿入機構を含む、このサブアセンブリ全体は、薬物送達デバイスへの組み立て前に上述のように滅菌され得る。このサブアセンブリのある特定の構成要素は、ハウジング内のアセンブリプラットフォームにまたは直接ハウジングの内部に据え付けられ得、他の構成要素は、使用者による作動のためにガイド、チャネル、または他の構成要素もしくは態様に据え付けられ得る。薬物送達デバイスの製造方法は、流体通路接続子及び流体容器の両方を、別個にまたは組み合わせた構成要素として、薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付ける工程を含む。製造方法は、駆動機構、流体容器、及び挿入機構のアセンブリプラットフォームまたはハウジングへの取り付けをさらに含む。電力・制御システム、作動機構、及び制御アームを含めた、本明細書に記載の薬物送達デバイスの追加の構成要素は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付けられ、予備形成され、または予め組み立てられ得る。流体が薬物であり、薬物送達デバイスが携帯型輸注デバイスである事例において、接着パッチ及びパッチライナーは、デバイスの動作中に使用者と接触する薬物送達デバイスのハウジング表面に取り付けられ得る。
薬物送達デバイスを操作する方法は、使用者が作動機構を作動させる工程、制御アームを変位させて、挿入機構を起動する工程、駆動制御機構を作動させて、プランジャシールを押圧し、滅菌流体通路接続子に接続し、薬物送達デバイスを通した流体薬物の流れを駆動する工程、のうちの1つ以上を含み、プランジャシールの押圧は、流体を平行移動させ、故に穿通可能なシールを流体導管の方向へ変形させ、穿通部材によって穿通されるようにして、それによって、流体容器から流体導管への流路を開通させる。駆動制御機構は、電力・制御システムを起動することによって作動され得る。本方法は、作動機構を作動させる前に任意選択的なオンボディセンサを係合させる工程をさらに含み得る。さらに、本操作方法は、流体を所望の標的、例えば患者の身体に送達するために、プランジャシールを駆動制御機構及び流体容器内で平行移動させて、流体の流れを、流体薬物の標的への送達のために流体容器、流体通路接続子、流体導管、及び挿入機構に押し通すことを含み得る。
本実施形態の新規のデバイスは、流体通路の滅菌性を維持し、流体容器に一体化される容器接続部、ならびに流体容器へのかかる一体型の滅菌流体通路接続子を組み込む薬物送達デバイスを提供する。例えば、かかるデバイスは、自己投与する患者にとって、安全で使用が容易であり、審美的かつ人間工学的に魅力がある。
少なくとも1つの実施形態において、本開示の滅菌流体通路接続子は、穿通部材、接続子ハブ、及び穿通可能なシールを含み、穿通可能なシールの少なくとも一部分は、穿通部材が穿通可能なシールと接続子ハブの間の滅菌空洞内に保持されている第1の位置から、穿通可能なシールが穿通部材によって突き通された第2の位置へと動くように構成されている。フィルタを利用して、滅菌空洞を外側環境から封入してもよい。かかる流体通路接続子は、バレル及びプランジャシールを有する流体容器に一体化され得る。流体通路接続子の構成要素はさらに、流体送達の完了時、例えば、プランジャシール及び穿通可能なシールとの間の接触時に、使用者に信号を伝送可能であり得る。流体送達ポンプは、かかる一体型の流体通路接続子及び流体容器を含む。
本明細書に提示される新規の実施形態は、一体型の滅菌流体通路接続子及び流体容器、ならびに、デバイスの操作前、操作中、及び操作後に流体通路の滅菌性を維持するように構成され、デバイスの能動的安全性制御を有効化する、かかる接続部を利用する薬物送達デバイスを提供する。流体通路接続子の、流体容器の一部分への一体化は、容器の完全性及び流体通路の滅菌性を保証する一助となる。追加的に、滅菌流体通路接続子を流体容器の一部分に一体化することによって、流体移送のための接続が使用者によって制御され(すなわち、使用者作動型である)、駆動機構の機能によって有効化され得る。したがって、使用者作動型の工程及び薬物送達デバイスの内部動作は、本実施形態の新規の一体型の滅菌流体通路接続子によって大幅に簡略化することができる。
この新規の実施形態は、流体通路の滅菌性を維持し、流体容器に一体化される容器接続部、ならびに流体容器へのかかる一体型の滅菌流体通路接続子を組み込む薬物送達デバイスを提供する。本実施形態はまた、接続部及び薬物送達デバイスの必要な構成要素を低減するため、または接続部及び薬物送達デバイスのより容易でより効率的な操作を提供するために、滅菌通路接続子を流体容器にさらに一体化する。本明細書に開示される接続子、滅菌流体通路アセンブリ、及び輸液ポンプは、医療用途に限定されず、滅菌または汚染されていない流体送達が所望され得る工業使用を含む、任意の用途もまた含み得る。流体が薬物である場合、本実施形態は、自己投与する患者にとって、安全で使用が容易であり、審美的かつ人間工学的に魅力があるデバイスを提供する。本明細書に記載の実施形態は、未訓練の使用者にとってさえも本デバイスの作動、操作、及びロックアウトを単純にする特徴を組み込む。本実施形態の構成要素のうちの1つ以上は、それらが、例えば、製造中に別個の構成要素として予め組み立てられ、薬物送達デバイスのハウジング内の所定の位置に収まるよう構成され得るという点で、モジュール式であり得る。
図53A及び図53Bは、流体チャンバ23021及びプランジャシール23060を有する流体容器23050と一体化された滅菌流体通路接続子23030の実施形態の最初の構成を示す。いくつかの実施形態において、流体通路接続子23030及び流体容器23050は、部分的にまたは全体的に、本出願の図1Bに例証される流体通路接続子30及び流体容器50の代わりに置き換えられ得る。流体通路接続子23030は、プランジャシール23060と反対の端部で流体容器23050に、永久的にまたは着脱自在に、据え付けられ、接続され、あるいは取り付けられ得る。図53A及び図53Bの実施形態に示されるように、流体容器23050は、バレル23058内に、穿通可能なシール23056及びプランジャシール23060の位置によって画定される可変の流体チャンバ23021を有する。本明細書に記載のシールは、いくつかの材料で作製され得るが、典型的には、1つ以上のエラストマーまたはゴムで作製される。流体チャンバ23021は、一体型の滅菌流体通路接続子23030を通した送達用の流体を収容し得る。図53A及び図53Bの実施形態において、流体通路接続子23030は、滅菌流体導管23035、穿通部材23033、接続子ハブ23031、及び穿通可能なシール23056を含む。流体通路接続子23030は、穿通可能なシール23056が動作中に接続子ハブ23031の穿通部材23033とインターフェース接続し得る、接続子ハブ23031と係合された穿通部材ガイド37を含む。フィルタ23039等の、透過性、半透性、または多孔質膜を用いて、例えば、接続子ハブ23031におけるポートまたは通気口23031Bを通して、デバイスの動作中に流体通路接続子23030内からの空気の通気を可能にしてもよい。フィルタ23039は、外部接続子ハブ23031と穿通可能なシール23056との間の滅菌空洞23032を封入するように、取り付けられ、据え付けられ、結合され、オーバーモールドされ、共成形され、予形成され、あるいは接続され得る。「封入する」または「封入」という用語は、本明細書において、滅菌され、真空によって排気され、通気されることが可能であるが、微生物、汚染物質、または他の望ましくない環境要因によっては透入されない、少なくとも半透性または多孔質の閉じ込められたエリアを定義して使用される。例えば、フィルタ23039は、滅菌空洞23032を外側環境から隔てるために、接続子ハブ23031内で少なくとも部分的にオーバーモールドされ得る。いくつかの実施形態において、フィルタは、起動中に穿通可能なシール23056、流体通路接続子23030、及びポンプデバイスの空気の通気を可能にする、膜、例えば半透性膜である。フィルタ23039は、当業者に周知の方法によって滅菌され得、故にフィルタは、微生物、汚染物質、または他の望ましくない環境要因への穿通部材23033の曝露を防止する滅菌バリアを維持することができる。
図53Bに示されるように、穿通部材23033は、穿通可能なシール23056のシールバリア23056Cにおいてまたはその近くで、一体型の滅菌流体通路接続子23030内に保持される。穿通部材23033は、当業者には容易に理解されるように、流体導管23035のある態様であり得るか、または流体導管23035とは別個の構成要素であり得る。追加的に、流体通路接続子23030は、任意選択で、バレル23058(特にリップ23058Aにおいて)、接続子ハブ23031、及びハウジング23052の間でシールに圧縮された、1つ以上のガスケット、Oリング、または他の封止部材を含んでもよい。少なくとも1つの実施形態において、穿通可能なシール23056の封止態様23056Aは、バレルリップ23058A、接続子ハブ23031、及びハウジング23052との間のシールとして構成され得る。ハウジング23052は、クリンプキャップ等の別個の構成要素であり得るか、またはバレル23058に据え付け可能な接続子ハブ23031の態様であり得る。ハウジングまたはキャップはまた、流体容器内のねじ山を補完するように構成されたねじ山を有するか、または流体容器を滅菌流体通路接続子に接続するための他の一時的手段を用いることが可能である。図53A及び図53Bに示されるように、滅菌流体通路接続子23030は、流体容器23050に取り付けられ(すなわち、それと一体化され)、それが今度は、いくつかの既知の方法によって滅菌され、その後、固定的にまたは着脱自在に、図1A~1Cに示される薬物送達デバイス10等の、流体ポンプのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに据え付けられ得る。アセンブリプラットフォームは、ハウジングとは別個の構成要素であり得るか、またはハウジングの内部表面上の予形成された据え付け態様等の、ハウジングの統合された構成要素であり得る。かかる構成において、流体通路の滅菌性は維持され、流体が流れるための通路は、使用者が所望するまで接続されず、使用者始動型の作動が、流体チャンバ及び流体通路接続子の接続を引き起こす。流体通路接続子は、任意選択で、1つ以上の別個の流れ制限部さらに含み得るか、または穿通部材23033及び流体導管23035のうちの1つ以上が流れ制限部として追加的に機能し得る。
本実施形態の一体型の流体接続は、図54A及び図54Bに示されるように、駆動機構を参照してさらに例証される。本実施形態は、係合部23038において穿通部材23033と係合された流体導管23035、通気口23031Bを含む接続子ハブ23031、接続子ハブ23031に接して収容されるフィルタ23039、及びその封止部分23056が接続子ハブ23031及びバレル23058の端部に当接する、穿通可能なシール23056Aを含み、これらの全てがキャップ23052に収容されている。バレル23058は、可変の流体チャンバ23021を含み、その中に摺動自在に配置され、偏倚部材23099を含む、駆動機構(例えば、図1Bに例証される駆動機構100)と接触しているプランジャシール23060を収容する。図54Aは、少なくとも1つの実施形態による、一体型の滅菌流体通路接続部及び流体容器の構成要素の分解側面図である。図54Bは、同じ実施形態の断面分解図を示す。滅菌流体通路接続子23030は、プランジャシール23060と反対の端部で流体容器23050内に少なくとも部分的に一体化され得る。これらの構成要素の配向を明確化するために、例示的な駆動機構23090がこれらの図に示される。新規の滅菌流体通路接続子23030の構成要素は、予め組み立てられ得(例えば、図56Aを参照されたい)、その後、流体容器23050等の流体容器と永久的にまたは着脱自在に、取り付けられ、据え付けられ、接続され、あるいは嵌合され得る。
いくつかの駆動機構を利用して、送達のために流体を流体容器から押し出してもよい。かかる一実施形態において、駆動機構23090は、WO2013/023033467(PCT/US2012/023052303241)に記載されるものと実質的に同様であり得る。作動時に、駆動機構の構成要素を用いて、流体容器のプランジャシールの遠位方向(すなわち、図53のハウジング23052の方)への軸方向平行移動を駆動してもよい。任意選択で、駆動機構は、例えば、実質的に全薬物用量が使用者に送達されたこと、及びフィードバック接触機構が接続または相互接続されたことを確実にするために、プランジャシールの追加の軸方向平行移動を可能にする1つ以上の遵守特徴を含み得る。さらに、駆動機構は、機構及びデバイスの安全性及び有用性を向上させるために、時期尚早作動防止機構等の1つ以上の安全性機構を含み得る。
特定の実施形態において、駆動機構23090は、図54Bに示されるように、1つ以上の圧縮ばね23099を偏倚部材(複数可)として用いる。使用者により流体ポンプが作動されると、電力・制御システムが起動されて、圧縮ばね(複数可)を付勢状態から直接的または間接的に解放する。解放されると、圧縮ばね(複数可)は、プランジャシール23060に対して重圧をかけ、かつそれに作用して、図55A~55Cを参照してさらに記載されるように流体を薬物容器23050の可変の流体チャンバ23021から押し出し得る。
図55A~図55Cは、使用前、穿通可能なシールの穿通時、及び流体送達の完了時の実施形態の特徴を例証する。より具体的には、図55Aに示される構成において、穿通部材23033は、滅菌空洞23032内に維持され、このうち第1の端部(近位端)が流体通路接続子23030の穿通可能なシール23056に隣接または接触している。空洞23032及び穿通部材23033の滅菌性は、例えば、滅菌空洞23032と外側環境との間に配置されたフィルタ23039によって、維持される。少なくとも1つの実施形態において、図55に示されるように、フィルタ23039は、接続子ハブ23031に接続されているか、それと係合されているか、またはその一部であり、滅菌空洞23032を外側環境から封入する。滅菌空洞23032は、ハブ接続部23031内の通気口またはポート23031Bを介して通気され得る。したがって、流体通路接続子23030は、少なくとも1つの実施形態において、例えば、ハウジング(キャップ)23052がバレル23058のリップ23058Aと係合されることによって、流体容器23050に据え付けられ、それと一体化されている。穿通部材は、剛性の針等の、様々なカニューレまたは導管であり得、鋼等の、様々な材料からなり得る。少なくとも1つの実施形態において、穿通部材23033は、剛性の鋼針である。穿通可能なシール23056は、穿通可能なシール23056がバレル23058、接続子ハブ23031、及びキャップ23052に直接据え付けられる、あるいはその間の適所に保有されることを許容する、封止態様23056Aを有し得る。接続子ハブ23031は、穿通可能な膜23056のより固定的な態様の位置をさらに安定化する、内部シールマウント23034を含む。シールバリア23056C等の穿通可能なシール23056の少なくとも一部分は、本明細書に記載されるように、接続子ハブ23031の上で平行移動して、穿通部材23033に接して破裂し、滅菌流体導管23035への流体通路接続子を有効化することが可能である。有利なことに、かかる配置構成は、穿通可能なシール23056がキャップ23052の方へ平行移動することを許容するが、プランジャシール23060の方へは許容しない。これは、流体容器23050の流体チャンバ23021が、滅菌流体通路接続子23030の機能を損なうことなく、流体で充填する前に真空等によって排気されるのを許容する、望ましい特徴である。
最初の位置において、穿通部材23033の近位端は、例えば、シールバリア23056Cが穿通されるようになり、流体容器23050を流体通路接続子23030に開通させるために平行移動する距離を最小化するために、穿通可能なシール23056のシールバリア23056Cに隣接して、またはそれと接触して常在し得る。特定の実施形態において、穿通部材23033の近位端は、穿通可能なシール23056のシールバリア23056C内に少なくとも部分的に常在し得るが、それでも、使用者がデバイスを作動させるまでそれを完全には通過しない。
図55Bに示されるように、ひとたびポンプデバイスが作動され、駆動機構がプランジャシール23060を押圧すると、プランジャシール23060は、流体チャンバ23021に対して力を及ぼし、チャンバ23021内での流体の圧縮によって空気圧及び/または液圧が蓄積する。空気圧及び/または液圧が流体チャンバ23021内で蓄積するとき、この力は、穿通可能なシール23056に引き継がれて、バリアシール23056Cの変容を引き起こす。この変容は、シールバリア23056C等の穿通可能なシール23056の一部分が、穿通部材23033の実質的に固定された位置に衝突し、穿通部材23033が図55Bに示されるようにシールバリア23056Cにおいて穿通可能なシール23056を穿通するようになり、それによって、可変の流体チャンバ23021、穿通部材23033、及び流体導管23035の間の流体通路を開通させるあるいは接続するような、シフト、反転、平行移動、屈曲、変形、はじき、スナップ、または任意の他の機能的に同等の変化を含み得る。
したがって、一体型の滅菌流体通路接続子23030が、駆動機構の作動によって生み出された、流体チャンバ23021内の空気圧及び/または流体の液圧力によって接続される(すなわち、流体通路が開通される)。いったん一体型の滅菌流体通路接続子23030が接続または開通されると、流体は、薬物容器23050から一体型の滅菌流体通路接続子23030及び滅菌流体導管23035を通ることが許容される。流体ポンプが携帯型薬物輸液ポンプである態様において、流体薬物は次いで、薬物送達のために挿入機構を通って、使用者の体内へと流れる。少なくとも1つの実施形態において、いくつかの流れ制限部を任意選択で利用して、流体通路接続子内の流体の流れを変更してもよい。少なくとも1つの実施形態において、流体は、マニホールドならびに挿入機構のカニューレまたは針のみを通って流れ、それによって、流体送達前及び送達中に流体通路の滅菌性を維持する。
加えてまたは代替的に、プランジャシール23060または穿通可能なシール23056は、薬物容器23050からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。追加的に、駆動機構、プランジャシール23060、接続子ハブ23031、穿通可能なシール23056、またはそれらの組み合わせは、流体を送達するためのデバイスの操作前、操作中、及び操作後の薬物送達駆動のステータスを測定し、通信するために、相互接続部及び接触部等の1つ以上のセンサまたはステータス表示機構を含み得る。
図55Cは、流体の実質的に全てが流体容器23050から押し出された後の、流体容器23050及び滅菌流体通路接続子23030の構成要素を示す。具体的には、プランジャシール23060が、バレル23058内の最遠位の位置にある。図55Cの実施形態において、プランジャシール23060の接続子ハブ側(例えば、遠位端)は、任意選択的な突出部及び空洞態様23069と共に構成され、この構造は、今や畳まれた流体チャンバ23021内の残余体積を最小化する。代替的に、プランジャシールは、平坦面のプランジャシール(例えば、図57A及び図58におけるプランジャシール23160)であり得るか、または、当業者には容易に理解されよう任意の数の他の構成を有し得る。図55に示される実施形態において、プランジャシール23060は、相互接続部/接触部23061をさらに含み、接続子ハブ23031は、相互接続部/接触部62をさらに含む。送達終了時に、プランジャシール23060の相互接続部/接触部61及び接続子ハブ23031の相互接続部/接触部62は、相互接続し、使用者によって知覚され得る信号を伝達する。本明細書に記載されるように、多数のセンサ及び信号伝達手段が、本実施形態で使用するために組み込まれ、または適合され得る。
本実施形態の流体通路接続子の新規の設計、及びそれらの流体容器内の少なくとも部分的な一体化機構のため、流体通路の滅菌性が、デバイスの輸送、貯蔵、及び操作全体を通して維持され、デバイスの使用者による作動が簡略化され、使用者が所望するときのみ流体通路が接続される。流体通路接続子の滅菌性は最初に、滅菌空洞23032内で接続子ハブ23031、穿通可能なシール23056、及び穿通部材ガイド23037の間の接続を行うことによって維持される。少なくとも1つの実施形態において、空洞23032の滅菌性は、接続子ハブ23031に当接する、それと係合されている、またはその一部であるフィルタ23039によって維持される。フィルタ23039は、例えば、穿通可能なシール23056の起動及び平行移動中に接続子ハブ23031の通気口23031Bを通した空気の通気を可能にする半透性膜であり得る。フィルタ23039は、当業者には容易に理解されよう典型的な滅菌方法によって滅菌され得、これを用いて、微生物、汚染物質、または他の望ましくない環境要因への穿通部材23033の曝露を防止する滅菌バリアを維持してもよい。例えば、挿入機構の実質的に同時の作動時に、可変の流体チャンバ23021と挿入機構との間の流体通路が完成して、使用者の体内への薬物送達を許容する。流体通路接続子23030は、流体ポンプ及び駆動機構が作動されるまで流体チャンバ23021と流体接続または連通していないため、使用者が所望するまで流体容器23050からの流体の流れが防止される。これは、使用者に重要な安全性特徴を提供し、また、流体容器の容器完全性及び流体通路の滅菌性を維持する。
プランジャシール23060を平行移動させる駆動機構は、(例えば、図54Bに示されるような)1つ以上の駆動偏倚部材を収容し得る。駆動機構の構成要素は、流体通路接続子23030を通した送達のために、穿通可能なシール23056を通して、及び穿通部材23033または滅菌流体導管23035を通して流体を可変の流体チャンバ23021から押し出すように機能する。さらに駆動機構に関して、いくつかの駆動機構を利用して、使用者の体内への送達のために流体を薬物容器から押し出してもよい。かかる一実施形態において、駆動機構23090は、WO2013/023033467(PCT/US2012/023052303241)に記載されるものと実質的に同様であり得、これらの文献は参照によりその全体がこれによって本明細書に組み込まれる。作動時に、駆動機構の構成要素を用いて、薬物容器のプランジャシールの遠位方向への軸方向平行移動を駆動する。任意選択で、駆動機構は、例えば、実質的に全流体用量が使用者に送達されたこと、及びフィードバック接触機構が接続されたことを確実にするために、プランジャシールの追加の軸方向平行移動を可能にする1つ以上の遵守特徴を含み得る。さらに、駆動機構は、機構及びデバイスの安全性及び有用性を向上させるために、時期尚早作動防止機構等の1つ以上の安全性機構を含み得る。
少なくとも1つの実施形態は、モジュール式流体通路接続子を可能にする。図56A及び図56Bは、フィルタ23039、及び封止部材23056Aにおいて穿通可能なシール23056に当接する、接続子ハブ23031を含む、モジュール式流体通路接続子の実施形態を詳述する。接続子ハブ23031、フィルタ23039及び穿通可能なシール23056は、図56Aに示されるようにキャップ23052内に収容される。接続子ハブ23031は、流体導管23035及び穿通部材23033の接合部を形成するヘッダ23031Cをさらに含む。図56A及び図56Bに示されるように、流体導管23035は、穿通部材23033に直接接続され得る。代替的に、図57Aに示されるように、流体導管223035は、導管ポート223038を介して接続され得る。それにもかかわらず、モジュール式流体通路接続子は、いくつかの代替的なバレル及び駆動構成と共に使用するために適合され得、様々な携帯型輸注デバイス内で使用することができる。新規の滅菌流体通路接続子23030の構成要素は、予め組み立てられて、図56Aに例示されるような外観を呈してもよく、その後、流体容器23050等の流体容器と取り付けられ、据え付けられ、接続され、あるいは嵌合され得る。代替的に、滅菌流体通路接続子23030の構成要素は、薬物容器23050へと直接組み立てられてもよい。当業者には容易に理解されようが、いくつかの糊もしくは接着剤、またはスナップ嵌め、締まり嵌め、ねじ嵌め、融着接合、溶接、超音波溶接レーザー溶接、及び機械的締結等といった他の接続方法を用いて、本明細書に記載の構成要素のうちの1つ以上を、特定の使用に対する所望に応じて永久的または一時的接続で、係合することができる。例えば、バレル23058の遠位端、封止部材23056A、または接続子ハブ23031Aの間で糊を使用することができる。加えてまたは代替的に、滅菌流体通路接続子23030の構成要素は、バレル23058に据え付けられ、バレル23058の遠位態様に対して、例えば、バレル23058Aのフランジ付き態様またはリップに対して、クリンプ式キャップ23052定位置に保持されてもよい。
少なくとも1つの実施形態において、図57A~図57Cに示されるように、穿通部材ガイド230237を利用して、穿通可能なシール23056をガイドし、接続子ハブ230231に摺動自在に係合してもよい。加えてまたは代替的に、穿通部材ガイド230237を利用して、穿通可能なシール23056をシールバリア23056Cの所望の部分において穿通するように、穿通部材230233が軸上で実質的に中心にとどまることを確実にしてもよい。図57Aの実施形態は、バレル23058を含み、プランジャシール230260と穿通可能なシール56との間に可変の流体チャンバ23021を形成する、流体容器を示す。図57Aに示されるように、プランジャシール230260は、平坦なプランジャシールであるが、様々なプランジャシール形状が、本実施形態の流体接続及び輸液ポンプと共に使用するために適合され得る。図57Aの実施形態は、接続子ハブ230231に当接し、接続子ハブ230231と穿通可能なシール23056との間の滅菌チャンバ23032の滅菌性を維持するために使用される、フィルタ23039をさらに含む。接続子ハブ230231はまた、穿通可能なシール23056に当接するシールマウント230234、及びシール23056のシール部材23056Aに当接し、これが今度はバレル23058の遠位のリップ23058Aに当接する、フランジ230231Aも含む。接続子ハブ230231A、封止部材23056A及びバレルリップ23058Aの接触表面は、定位置に位置付けられ、キャップ23052の周縁内に固定される。接続子ハブ230231はまた、流体導管230235に接続する穿通部材230233も収容する。接続子ハブ230231はまた、滅菌チャンバ23032につながる濾過チャネルである真空ポート230231Bも有する。接続子ハブ230231はまた、滅菌流体導管23035(図示されず)を介して等で、滅菌流体接続子230230から輸注デバイス(例えば、注射手段)への出口を提供する、導管ポート230231Dと共に構成される。導管ポート230231D及び真空ポート230231Bは、それぞれのポートを通したチャンバ23032からの流体の流れを許容するが、これらのポートを通してのチャンバ23032の中への流体の流れは許容しない、一方向シール等の膜またはシールを含み得る。追加的に、または代替的に、導管ポート230231D及び真空ポート230231Bは、ある特定の組み立て時点または操作時点で栓をされてもよい。例えば、真空ポート230231Bを用いて、製造中、組み立て中、またはデバイスの操作前の任意の時点で、滅菌空洞23032を排気してもよく、次いで、排気が完了した後に真空ポート230231Bに栓をすることができる。
さらに穿通部材ガイド230237に関して、この構成要素は、接続子ハブ230231に摺動自在に取り付けられ得る。当該技術分野で既知のいくつかの手段、例えば、穿通部材ガイド230237の接続子先端部230237D及び脚部230237Aと、接続子ハブ230231における相補的な空洞230236の間の係合等を用いて、この摺動自在の取り付けを容易にしてもよい。これらの構成要素は、図57A及び図144Bでより明確に見ることができる。図57Bは、ヘッダ230237C穿通部材ガイド230237から出現する、穿通部材ガイド230237内での穿通部材230233の配向を示し、図57Cは、接続子ハブ230231内での穿通部材23033及び穿通部材ガイド230237の配向を示す。かかる配置構成は、穿通可能なシール23056及び穿通部材ガイド230237がハウジング23052の方へ一緒に、少なくともシールバリア23056Cの平行移動の一部分にわたって平行移動することを許容する。追加的に、穿通可能なシール23056は、当該技術分野で既知のいくつかの手段、例えば、着脱自在なスナップ嵌め係合等によって、穿通部材ガイド230237に着脱自在に取り付けられ得るか、またはそれは、穿通部材230233の上でのシールバリア23056Cの平行移動をガイドするための構成要素間の接触を可能にするように構成され得る。図57Aにおける穿通部材ガイド230237等の穿通部材ガイドが使用されるとき、穿通部材ガイドは、シールバリア23056Cが穿通部材230233に接触し、それによって穿通されることを確実にするために、穿通可能なシール23056と共に、それらの平行移動の少なくとも一部分にわたって平行移動し得る。ひとたび流体通路が開通または接続されると、駆動機構によるプランジャシール230160の遠位方向への平行移動により、薬物チャンバ23021内の流体が滅菌流体接続子に押し通されるようになる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の針挿入機構は、使用者への流体移送を容易にするために、流体導管23035の他方の端部で接続されて、針を使用者の体内に挿入し得る。
図57Aに示される実施形態はまた、穿通部材ガイド237と共にステータス表示機構の一部として使用され得る、プランジャシール260を含む。より具体的には、この実施形態において、プランジャシール260は、穿通部材ガイド237上に位置する相互接続部/接触部261及び対応する相互接続部/接触部262を含む。プランジャシール260及び穿通部材ガイド237が送達終了時に近位に到達するとき(例えば、図57Cにあるように)、相互接続部/接触部261及び相互接続部/接触部261は、相互接続し、使用者に知覚可能な信号を伝達する。
本明細書に提示される新規の実施形態は、一体型の滅菌流体通路接続子及び流体容器、ならびに、デバイスの操作前、操作中、及び操作後に流体通路の滅菌性を維持するように構成され、デバイスの能動的安全性制御を有効化する、かかる接続部を利用する流体ポンプを提供する。流体通路接続子の、流体容器の一部分への一体化は、容器の完全性及び流体通路の滅菌性を保証する一助となる。追加的に、滅菌流体通路接続子を流体容器の一部分に一体化することによって、流体移送のための接続が使用者によって制御され(すなわち、使用者作動型)、駆動機構の機能によって有効化され得る。したがって、使用者作動型の工程及び流体ポンプの内部動作は、本実施形態の新規の一体型の滅菌流体通路接続子によって大幅に簡略化することができる。
別の実施形態において、流体容器は、少なくとも2可変の内部区画を含み、各区画間のインターフェースが、滅菌流体通路接続子の穿通部材によって破壊されて、滅菌流体通路と滅菌流体の容器のその区画との間の滅菌流体連通を生み出することが可能な、別々の穿通可能なシールを含む。図58に示されるように、容器23050は、プランジャシール230160及び穿通可能なシール230156に加えて1つ以上のシールを利用し得る。これは、例えば、複数の流体物質が容器及び輸液ポンプデバイスによって送達されることが所望される場合に適用可能であり得る。図58は、2つの追加のシール、230163及び230165を利用して、1つ以上の流体物質が送達用に中に格納され得る区画またはチャンバ230121A、230121B及び230121Cを作り出す、1つのかかる実施形態を示す。図58の実施形態、穿通可能なシール230156は、シールバリア230156C及び基部230156Aを含み、その基部230156Aがバレルリップ23058Aにその遠位側で当接し、接続子ハブ230131Aがその近位側で当接し、これらの当接がハウジング23052内に保有される。接続子ハブ230151は、滅菌チャンバ23032につながるチャネルを有する真空ポート230131Bをさらに含む。接続子ハブ230131はまた、滅菌流体接続子230130から輸注デバイス(例えば、注射機構)への出口を提供する、導管ポート230131Dと共に構成される。導管ポート230131D及び真空ポート230131Bは各々、それぞれのポートを通したチャンバ23032からの流体の流れを許容するが、該ポートを通してのチャンバ23032の中への流体の流れは許容しない、一方向シール等の膜、フィルタまたはシールを含み得る。追加的に、または代替的に、導管ポート230131D及び真空ポート230131Bは、ある特定の組み立て時点または操作時点で栓をされてもよい。例えば、真空ポート230131Bを用いて、製造中、組み立て中、またはデバイスの操作前の任意の時点で、滅菌空洞32を排気してもよく、次いで、排気が完了した後に真空ポート230131Bに栓をすることができる。
流体ポンプの作動時に、プランジャシール230160インターフェース230168における圧力が、ハウジング23052の方へのプランジャシール230160の遠位の平行移動を引き起こす。薬物チャンバ230121A、230121B及び230121C内の空気圧及び/またはそれらの中に保有される流体物質(複数可)内の液圧は、その力をチャンバシール230163、チャンバシール230165、及び穿通可能なシール230156に引き継ぎ、それらの遠位の平行移動を引き起こして、シールバリア230156Cがハウジング23052の方へ平行移動し、穿通部材230133によって穿通されるようにする。これにより、本明細書に記載されるように、滅菌流体通路接続子が形成または開通されるようになる。プランジャシール160がさらに平行移動すると、可変の薬物チャンバ230121Aに保有される流体物質は、導管230135を通して分注される。流体及びシールがさらに平行移動すると、シール230165は次いで、穿通部材230133によって穿通され得、それによって、可変の流体チャンバ230121B内の流体物質が流体通路接続子から分注されることを許容する。さらなる区画またはチャンバが所望される場合、より多くのシール及びチャンバ(シール230163及び可変のチャンバ230121C等)が構成され、その後、プランジャシール230160がハウジング23052の方へ完全に平行移動させられるまで、同じ様態で係合されてもよい。この構成は、単一区画の流体容器に勝る利点を提供し得る。例えば、希釈剤が可変の流体チャンバ230121Aに格納され得、治療薬が可変の流体チャンバ230121Bに格納され得、それにより、滅菌流体通路が、薬物治療剤の患者への送達前に希釈剤によって最初にパージされる。合剤が送達に所望される場合、この実施形態によって提供される構成を用いて、複数の治療剤が格納され、送達されてもよい。穿通部材230133、駆動機構、及び本実施形態の他の構成要素が、かかる送達に適切に構成されることを条件として、任意の数のシール及び薬物チャンバがかかる構成において利用されてよい。
本開示の新規の一体型の滅菌流体通路接続子は、ステータス表示を流体送達機構にさらに組み込んでもよい。かかるステータス表示特徴は、WO2013/033467に記載されるように、駆動機構23090に組み込まれ得る。加えてまたは代替的に、ステータス表示特徴は、滅菌流体通路接続子の構成要素に組み込まれてもよい。一実施形態において、1つ以上の相互接続部がプランジャシール内、またはその近位に含まれる。流体送達終了時に、穿通部材を利用して相互接続部に接触して、または穿通部材を相互接続部に対する接触部として利用して、電力・制御システムを開放、閉鎖、あるいはそれに対して信号を生成して、使用者にフィードバックを提供してもよい。別の実施形態において、相互接続部/接触部のいずれか一方がプランジャシール内、またはその近位に含まれる一方で、他方が穿通可能なシール内またはその遠位、例えばシールマウントまたはガイドピース内またはその上に含まれる。流体送達終了時に、相互接続部及び対応する接触部は、信号が電力・制御システムに送信されて、使用者にフィードバックを提供することを可能にするのに十分に近接している。
別の実施形態において、滅菌チャンバ23032内に封鎖された接続子ハブの表面は、ステータス表示機構に対する接触部または相互接続部を組み込むか、またはそれ自体が接触部または相互接続部として利用されてもよい。例えば、接続子ハブの表面と係合され、ハブを通して適切な電子回路に接続された、滅菌区画23032内に収容される板/屈曲アームまたはばね形式のスイッチ機構を用いて、送達終了信号が提供され得る。この配置構成において、加圧されていない状態では(デバイス作動前)、スイッチは、開放位置にとどまり、何の接触/相互接続または信号も伝達されない。デバイスが作動されるとき、すなわち、駆動装置が薬物容器内のプランジャシールに係合するとき、空気圧及び/または液圧が穿通可能なシールを穿通(piecing)部材へと平行移動させ、故に穿通可能なシールを破壊し、流体が滅菌流体接続子を通って流れることを可能にする。空気圧及び/または液圧はさらに、穿通可能なシールの隔膜がその相補的接触部と相互接続するまでスイッチ機構に押し付けられるようにし、それにより回路を閉鎖し、薬物送達が開始されたことを示す信号が使用者に送信されることを可能にする。送達終了時、滅菌チャンバ内の空気圧及び/または液圧は解放され、スイッチが再び開いて、回路を遮断し、使用者に送達終了信号を提供する。
滅菌流体通路接続子の滅菌チャンバ内に封鎖された接続子ハブの表面が、ステータス表示機構に対する接触部または相互接続部を組み込むか、またはそれ自体が接触部または相互接続部として利用され得る、かかる構成は、穿通可能なシールの構成によって容易にされ得る。例えば、図59A~図59Eに示されるように、流体チャンバ23058は、プランジャシール230160を滅菌流体接続子230130の方へ強いる駆動機構に係合するように構成された、プランジャシール230160を含む。最初の位置において(すなわち、駆動が係合される前)、穿通可能なシール230356は、滅菌チャンバ23032内を、特に、図59Aに示されるようにシールマウント230134によって部分的に維持される、穿通可能なシール230356及び接続子ハブ230131によって画定される空間内に維持する。接続子ハブ230131は、穿通部材23033真空ポートまたは通気口131Bをさらに含み、チャンバ23032の滅菌性がフィルタ23039によって維持される。接続子ハブ基部230131A、穿通可能な部材230356の封止部材230356A、及びバレルリップ23058Aは全て、ハウジング23052内に固定され、このハウジングは、クリンプキャップ等のキャップであり得る。接続子ハブ230131はまた、流体導管23035の滅菌流体通路接続子からの出口通路を提供する、出口ポート230131Dも含む。ひとたびポンプ駆動が作動され、プランジャシール230160が穿通部材23033の方へ強いられると、可変の流体チャンバ23021内の空気圧及び/または液圧は、穿通可能なシール230356のシールバリア230356Cを穿通部材23033へと強い、この穿通部材23033がシールバリア230356Cを穿通し、滅菌流体通路を開通させる。可変のチャンバ23021内の継続的な空気圧及び/または液圧が、図59Bに示されるように、穿通可能なシール230356の少なくとも一部分を、滅菌チャンバ23032内の接続子ハブ230131の少なくとも一部分に接触するように強いる。この継続的な空気圧及び/または液圧は、駆動装置が作動され、流体が可変のチャンバ23021にとどまる限り、図59C及び59Dに示されるように、シール230356と接続子ハブ230131との間の接触を維持する。流体が可変の流体チャンバ23021から、このチャンバが本質的にもはや存在しないようにポンプ送出されたとき、シール230356にかかる空気圧及び/または液圧が解除され、シール230356は、図59Eに示されるように、チャンバ23032内で、シール230356とハブ230131の間の接触がもはや存在しない加圧されていない状態に戻る。
本実施形態のこの態様は、滅菌流体容器から接続子への流体移送のステータスを示すように構成された少なくとも1つのセンサを有する滅菌流体通路接続子を提供するのに有用な、いくつかのデバイス及び構成にとって有利である。かかるセンサの例が、滅菌流体接続子における滅菌チャンバ内に含まれる「スイッチ」機構である。例えば、図60A~図60Hに示される実施形態において、流体容器230350は、プランジャシール230360及び可変の流体チャンバ230321内の流体を滅菌流体接続子230330の方へ強いる駆動機構に係合するように構成された、流体チャンバ230321及びプランジャシール230360を収容するバレル230358を含む。穿通可能なシール230356は、図60A及び図60Bに示されるように、滅菌チャンバ230332を、穿通可能なシール230356及び接続子ハブ230331によって画定される空間内に維持し、ここで流体通路は「閉鎖」している。接続子230330は、チャンバ230332の滅菌性がフィルタ230339によって維持される、接続子ハブ230331(これは真空ポート230331Bをさらに)、流体導管230335の滅菌流体通路接続子230330からの出口通路を提供し、穿通部材333に係合する出口ポート230331Dをさらに含む。接続子ハブ基部230331A、穿通可能なシール230356封止部材230356A、及びバレルリップ230358Aは、ハウジング230352内に固定されている。接続子ハブ230331はさらに、滅菌チャンバ230332内に、接続子ハブ230331のシールマウント230334上に嵌められた打ち抜きリング230391、接触部230392、ばね230393、及び可撓性電源ストリップ230394(屈曲部)と通信している相互接続部230362を収容する。図60A及び図60Bに示されるように、駆動装置の作動前の最初の状態において、ばね230393は非圧縮状態でとどまり、接触部230392は、ばね230393と打ち抜きリング230391との間で、接触相互接続部230362と接触部230392との間に何の接触もない定位置に保有される。接触部230392は、滅菌チャンバ230332内で、通路230392Cを通して接触部230392を通過する穿通部材230333の位置によってさらに安定化される。
図60C及び図60Dに示されるように、ひとたび駆動機構が作動され、プランジャシール230360が、矢印によって示されるように穿通部材230333の方へ強いられると、可変の流体チャンバ230321内の空気圧及び/または液圧は、穿通可能なシール230356のシールバリア230356Cを穿通部材230333へと強い、それによって、シールバリア230356Cを穿通し、流体が滅菌流体導管230335に通行し得るように滅菌流体通路を開通させる。この空気圧及び/または液圧内可変のチャンバ230321もまた、バリアシール230356Cの少なくとも一部分を、接触部230392の少なくとも一部分に接するように強い、それにより、ばね230393は、接触部230392が滅菌チャンバ230332内の相互接続部230362に接触して相互接続を形成するまで圧縮される。信号が次いで接触部230392、相互接続部230362、及び屈曲部230394を介して伝達され得る。継続的な空気圧及び/または液圧が(矢印を参照されたい)、駆動装置が作動され、流体が可変のチャンバ230321にとどまる限り、図60E~図60F示されるように、ばね230393を圧縮し、接触シール230356、接触部230392及び相互接続部230362の間の接触を維持し、それにより相互接続が継続する。図60G及び図60Hに示されるように(後者は、接続子ハブ230331内での相互接続部230362の位置を示す、滅菌流体通路接続子の異なる断面図である)、流体が可変の流体チャンバ230321から、このチャンバが本質的にもはや存在しないようにポンプ送出され、滅菌流体接続子230330を通る流れが停止したとき、シール230356にかかる空気圧及び/または液圧が解除され、ばね230393が非圧縮状態に戻って、接触部230362を打ち抜きリング230391の方へ戻して押圧し、接触部230392と相互接続部230362との間の相互接続を破断する。ひとたびこの相互接続が破断されると、信号は屈曲部230394を介してもはや伝達されない。
加圧状態及び加圧されていない状態での膜の位置を用いて、滅菌流体容器から接続子への流体移送のステータスを示す信号の伝達を図る、他のスイッチ機構が設計され得る。例えば、図61A~図61Gに示されるように、接続子ハブ230331は、板/屈曲アーム接触部395を含むスイッチの構成要素を収容することができる。図61B、図61D及び図61Eは、穿通可能なシール230356が穿通されておらず、無傷である、使用前位置にある滅菌流体通路接続子を示す。この位置において、接触部230395は、相互接続部230362に触れて(またはそれに十分に近接して)おらず、信号は何ら伝達され得ない。図61C、図61F及び図61Gは、流体チャンバからの空気圧及び/または液圧がバリアシール230356Cを穿通部材230333に対して変形させて、穿通可能なシール230356を穿通し、流体通路を開通させた、作動され加圧された位置にある滅菌流体通路接続子を示す。この位置において、バリアシール230356Cはさらに接触部230395に押し付けられ、それにより、接触部230395が相互接続部230362と接するようになり(または十分に近接するようになり)、その結果、相互接続が、屈曲部230394を介して伝達され得る信号を形成する。図148D及び10Fは、それぞれ使用前の位置及び加圧された位置にある、穿通可能なシール230356、接続子ハブ230331、及び穿通部材230333の位置を例証する、斜視図(バレル及びハウジングが図示されていない)である。図61E及び61Gは、それぞれ使用前(相互接続なし)の位置及び加圧された(相互接続された)位置にある、接触部230395及び相互接続部230362の位置を例証するためにバレル、ハウジング及び穿通可能なシールが図示されていない、斜視図である。
図62A~図62Dは、図62B及び図62Dに示されるように、空気圧及び/または液圧がシールバリア230356Cを接続部230395へと強いる(その力が次いで、相互接続部230362と接触している接触部230395に伝わり、これが次いで屈曲部230394を介した信号の流れを可能にする)まで、かつそうでない限り、板/アーム接触部230395が相互接続部362との相互接続を形成しない、実施形態をさらに例証する。追加的に、図62A~図62Dの実施形態に示されるように、接続子ハブ230331は、滅菌流体通路接続子を通る流体通路を妨害する場合があるオーバセンタ位置を回避するために接触部230395及び膜230356の位置を制限する構造である、内部ポスト230334Aをさらに含む。
図63A~図63Dは、滅菌流体容器から接続子への流体移送のステータスを示す信号を伝送可能である、滅菌流体接続子の実施形態をさらに例証する。図63Bは、加圧されていない状態にある滅菌流体接続子230330の構成要素の位置を例証する一方で、図63Cは、加圧された状態を例証し、図63Dは、送達終了状態を例証する。相互接続部(複数可)230362及び接触部(複数可)230395は、接続子ハブ230331と穿通可能なシール230356との間の滅菌チャンバ230332内に置かれており、それにより、穿通可能なシール230356が穿通された後、薬物チャンバ230321内の継続的な圧力が1つ以上の相互接続部(複数可)230362と1つ以上の接触部(複数可)230395との間の相互接続を引き起こし、それが使用者に信号を伝送するようになり、この信号は、ひとたび薬物チャンバ321内側の圧力が降下し、相互接続が失われると、すなわち送達終了時に、終結される。いくつかの既知の相互接続部及び接触部が本実施形態と共に使用され得るが、このことは当業者には容易に理解されるであろう。例えば、以下の様々なセンサ、すなわち、ホール効果センサ;巨大磁気抵抗(GMR)または磁界センサ;光センサ;静電容量式または静電容量変化センサ;超音波センサ;及びリニアトラベル、LVDT、リニア抵抗、または放射測定リニア抵抗センサ;ならびにそれらの組み合わせがかかる目的で利用され得、これらのセンサは、構成要素間の信号を伝送してそれらの間の位置を特定するように調和可能である。図64A~図64Cは、滅菌流体容器から接続子への流体移送のステータスを示す信号を伝送可能である、滅菌流体接続子の別の実施形態を例証する。
なおも別のスイッチ機構が、滅菌流体通路接続子の断面図及び断面等角図を示す(バレルは図示されず)、図65A及び図65Bに示される。この実施形態において、穿通可能なシール230356シールマウント230334及びハブ接続部230331の位置によって部分的に確定される、滅菌チャンバ230332。接続子ハブもまた、穿通部材230333及び相互接続部230362を滅菌チャンバ230332内に保有する。スイッチ機構は、相互接続部230362、第1の圧縮ばね230393、接触部230392、及び第2の圧縮ばね230396を含む。作動されておらず、加圧されていない状態で示されるこの実施形態において、接触部230392が相互接続部230362との相互接続を形成するために、両方の圧縮ばね230393及び396が圧縮する。シールバリア230356に対する空気圧及び/または液圧の解除前及び解除時、圧縮ばね230393及び230396は圧縮解除し、相互接続が破断される。
スイッチ機構の別の実施形態が、図66A及び図66Bに示される。この実施形態において、穿通可能なシール230456は、伝導性材料またはコーティングを含む。接続子ハブ230431は、流体送達の終了時にシステム圧力が降下するとき伝導性穿通可能なシール230456と接触部230462との間の導通が破断されることを確実にする、リブ434Aを含む。より具体的には、図66Bに示されるように、空気圧及び/または液圧により伝導性穿通可能な膜230456が穿通部材230433によって破裂させられた、加圧されたシステムにおいて、伝導性穿通可能な膜230456は、相互接続部230462に接するためにリブ230434の近位でさらに変形しなければならない。ひとたび空気圧及び/または液圧が止むと、すなわち、流体送達終了時、伝導性穿通可能な膜230456は、リブ230434の近位による相互接続から自然に解放される。
スイッチ機構のなおも別の実施形態が、図67に示される。この実施形態において、接続子ハブ230531は、接続子ハブ230531と穿通可能な膜230556との間の滅菌チャンバ230532に保有された伝導性エラストマー230597を含む。この実施形態において、伝導性エラストマー230597の少なくとも一部分は、シールマウント230534貼着されるか、あるいはそれと係合されており、ポンプの作動時ならびに穿通可能な膜230556に対する空気圧及び/または液圧の生成時に、バリアシール230556Cが穿通部材230533と接触するよう強いられることを可能にする、中心に位置する開口部と共に構成されている。伝導性エラストマー230597は、本質的に「ばね性」であり、穿通可能なシール230556からの遠位の力に応じて変形(すなわち、伸長)することができ、それによって、穿通可能なシール230356からの圧力下で相互接続部230362に接するように変形され得る。伝導性エラストマー230597の弾性の性質は、それが、加圧されていない環境において、相互接続が存在しない変形前の状態に戻ることを可能にする。したがって、ひとたび空気圧及び/または液圧が止むと、すなわち、送達終了時、伝導性エラストマーフィルム230597は、相互接続部230562との接触から受動的に解放され、信号が中断される。
図68に示される別の実施形態において、滅菌流体通路接続子は、ドームスイッチ230666を含むセンサ機構を含み、このドームは、伝導性材料から作製されるかまたはそれを含み、それにより、ドームスイッチ230666は、ドームスイッチ230666が相互接続部230662と接するかまたはそれに十分に接近するよう動いて、回路を完成させるときに信号を生成する接触部として作用し得る。ドームスイッチ230666は、変形に抵抗し、接続子ハブシールマウント230634の内壁と係合するか、またはそれに対して重圧をかける、少なくとも1つの外部部分230666Aと共に構成されている。代替的に、ドームスイッチの外部変形抵抗部分は、径方向リング、または滅菌流体通路接続子内でのドームの位置を安定化させる任意の構造であることができる。ドームスイッチの伝導性部分は、そのドーム形状を「記憶する」が、圧力下ではより平坦化した形状へと変形され、次いで、ひとたび圧力が解除されるとドーム形状に戻ることができる、形状記憶合金を含み得る。図68の実施形態において、ドームスイッチ230666は、ドームスイッチ230666が相互接続部230662の方向に押圧されるときに穿通部材230633が通過し得る、開口部230666Cをさらに含む。より具体的には、ポンプデバイスが起動され、空気圧及び/または液圧が穿通可能な膜(図示されず)に対して蓄積するとき、穿通可能な膜は、穿通部材230633へと強いられ、破裂して流体通路を開通させる。ドームスイッチ230666は、空気圧及び/もしくは液圧によって、または穿通可能なシールの変形部分の遠位の圧力がそれに対して重圧をかけることによって、同様に変形され、ドームスイッチ666は、相互接続部230662の方へ平坦化して、信号が伝達されることを可能にする。ひとたび空気圧及び/または液圧が停止すると、すなわち、送達終了時、ドームスイッチはその変形前のドーム形状に戻り、相互接続が終わる。図68に示されるように、ドームスイッチ230666は、流体通路接続子の滅菌空洞内の、穿通可能なシール(図示されず)の下に定置されるように構成されている。ドームスイッチは、しかしながら、穿通可能なシールの上部に「乗る」ように構成されることが可能であり、加圧時に、相互接続部230662と十分に近接するよう押圧されて、信号を生成するであろう。代替的に、ドームスイッチは、均一に変形可能な/抵抗性の形状記憶材料で作製されることが可能であり、このうち、ドームスイッチの伝導性部分が、ドームの外部部分または周縁において構成され、流体通路接続子の滅菌チャンバに「上下逆に」(ボウル形状として)定置される。この構成において、穿通された穿通可能な膜に対する空気圧及び/または液圧は、ドームの外部伝導性部分が、接続子ハブに位置付けられた相互接続部と十分に接触して信号を可能にするまで、ドームを十分に平坦化するであろう。圧力が止むと、すなわち、送達終了時、ドームは、その記憶したドーム形状にはじき戻り、それによって、相互接続からの接続的接触を取り除くであろう。
先行する考察から明確になろうが、様々な既知の相互接続部及び接触部、または同様の構成要素が当該技術分野で知られており、本明細書に開示される新規の実施形態内で利用され得る。当業者には容易に理解されようが、多種多様な磁石、センサ、コイル等を利用して、使用者フィードバックのための信号を接続、伝送、または中継し得る。一般に、直列でまたは並列で接続された抵抗器、誘導子、及びコンデンサを有する、任意のRLC回路系接続がこの目的で利用され得る。例えば、ホール効果センサ;巨大磁気抵抗(GMR)または磁界センサ;光センサ;静電容量式または静電容量変化センサ;超音波センサ;またはリニアトラベル、LVDT、リニア抵抗、もしくは放射測定リニア抵抗センサが、使用者にフィードバックを提供するための信号が電力・制御システムに送信されることを可能にするために使用される、相互接続部及び対応する接触部として利用され得る。接触部及び相互接続部の位置は、相互交換されてもよく、または、電気回路の完成を許容する、あるいは構成要素間の伝送を許容する様々な他の構成にあってもよい。1つ以上のステータススイッチ及び1つ以上の対応する電気接触部の使用によって、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、使用者にフィードバックを提供するために電力・制御システムに中継され得る。かかるフィードバックは、触覚、視覚、または聴覚によるものであってもよく、デバイスの使用中にフィードバックの1つ超の信号または種類が使用者に提供されるように重複してもよい。
追加的に、本開示の実施形態は、実質的に全流体体積が送達されたこと、及び使用者に正確なフィードバックを提供するようにステータス表示特徴が適切に接触されたことを確実にするために、送達終了遵守を提供する。これらの機構を通して、流体送達の確認が使用者または投与者に正確に提供され得る。したがって、本開示の新規のデバイスは、先行技術のデバイスに関連する問題のうちの1つ以上を軽減する。任意選択で、駆動機構は、例えば、実質的に全流体体積が送達されたこと、及びフィードバック接触機構が接続されたことを確実にするために、プランジャシールの追加の軸方向平行移動を可能にする1つ以上の遵守特徴を含み得る。例えば、本開示の一実施形態において、駆動機構は、プランジャシールの、または流体容器からの流体の遵守による一押しのために、プランジャシールの少なくとも一部分のさらなる軸方向の平行移動を駆動するように構成され得る。加えてまたは代替的に、プランジャシールは、それ自体、遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有してもよい。例えば、ポップアウト型プランジャシール、すなわち、初期状態から変形可能なプランジャシールが用いられる場合、プランジャシールは、変形または「ポップアウト」させられて、遵守による一押しを提供し得る。同様に、プランジャシールは、それ自体が遵守による一押しを提供可能であるように、多孔質、圧縮性、変形性等であり得る。
上述のように、接触部及び相互接続部の位置は、相互交換されてもよく、または、電気回路の完成を許容する、あるいは構成要素間の伝送を許容する様々な他の構成にあってもよい。一実施形態において、プランジャシールは、ステータス表示機構(例えば、図55Cにおける23061)に対する接触部または相互接続部を組み込むか、またはそれ自体が接触部または相互接続部として利用されてもよい。一実施形態において、シールマウントは、ステータス表示機構(例えば、図55Cにおける23062)に対する接触部または相互接続部を組み込むか、またはそれ自体が接触部または相互接続部として利用されてもよい。一実施形態において、ガイドピースは、ステータス表示機構(例えば、図57Aにおける230232)に対する接触部または相互接続部を組み込むか、またはそれ自体が接触部または相互接続部として利用されてもよい。別の実施形態において、滅菌チャンバ32内に封鎖された接続子ハブの表面は、ステータス表示機構(例えば、図60~図68)に対する接触部または相互接続部を組み込むか、またはそれ自体が接触部または相互接続部として利用されてもよい。
滅菌流体通路接続子の他の構成要素も同様に、複数の機能のために利用され得る。代替的に、他の任意選択的な構成要素が、本開示の新規の実施形態内で利用され得る。例えば、1つ以上の任意選択的な流れ制限部が、本明細書に記載の流体通路接続子の構成内で利用され得る。少なくとも1つの実施形態において、流れ制限部が、穿通部材と流体導管との間の接続部において利用され得る。流体ポンプは、異なる粘度及び体積を有する様々な流体を送達可能である。流体ポンプは、制御された流速(速度)でまたは指定の体積の流体を送達可能である。一実施形態において、流体送達過程は、流体通路接続子及び/または滅菌流体導管内で1つ以上の流れ制限部によって制御される。他の実施形態において、他の流速が、流体流路または送達導管の幾何形状を変化させることによって、駆動機構の構成要素が流体容器の中へと前進してその中の流体を分注する速度を変化させることによって、またはそれらの組み合わせによって、提供されてもよい。本開示の少なくとも1つの実施形態において、接続子ハブ自体が、流路の一部として利用され得、任意選択で、流れ制限部として機能し得る。
上記の説明から、本明細書に開示される流体通路接続子及び流体ポンプが、流体容器からの自動化流体送達のために効率的かつ容易に操作されるシステムを提供することが理解されよう。本開示の新規のデバイスは、流体通路の滅菌性を維持し、流体容器に一体化される容器接続部、ならびに流体容器へのかかる一体型の滅菌流体通路接続子を組み込む流体送達ポンプを提供する。かかるデバイスは、自己投与する患者にとって、安全で使用が容易であり、審美的かつ人間工学的に魅力がある。本明細書に記載のデバイスは、未訓練の使用者にとってさえも本デバイスの作動、操作、及びロックアウトを単純にする特徴を組み込む。操作者が流体送達を所望するまで流路が分断されているため、流体通路接続子、流体容器、流体、及びデバイス全体の滅菌性が維持される。本実施形態のこれらの態様は、非常に望ましい貯蔵、輸送、及び安全性利点を操作者に提供する。さらに、本開示の流体通路接続子及び薬物ポンプの新規の構成は、デバイスの操作を通して流路の滅菌性を維持する。流体がデバイス内で移動する通路が完全に滅菌状態で維持されるため、これらの構成要素は、製造過程中に滅菌される必要があるのみである。かかる構成要素には、駆動機構の流体容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び、流体が薬物である場合、挿入機構が含まれる。本開示の少なくとも1つの実施形態において、流体ポンプの電力・制御システム、アセンブリプラットフォーム、制御アーム、作動機構、ハウジング、及び他の構成要素は、滅菌される必要がない。これは、デバイスの製造性を大幅に改善し、関連する組み立て費用を低減する。したがって、本開示のデバイスは、組み立ての完了時に最終滅菌を必要としない。本実施形態のさらなる有益性は、例えば、デバイスの流体通路接続子及び他の構成要素がハウジングに一体化され、流体ポンプとして機能するように容易にインターフェース接続し得るように、本明細書に記載の構成要素がモジュール式であるように設計されることである。
流体通路接続子23030または個々の構成要素のいずれかの組み立てまたは製造は、当該技術分野で既知のいくつかの材料及び手法を利用してよい。例えば、いくつかの既知の清掃流体等のイソプロピルアルコール及びヘキサンを用いて、構成要素またはデバイスを清浄してもよい。いくつかの既知の接着剤も同様に製造過程で用いられ得る。追加的に、既知のシリコン処理または潤滑流体及び処理が、新規の構成要素及びデバイスの製造中に用いられ得る。さらに、既知の滅菌過程が、最終製品の滅菌性を保証するために製造または組み立て段階のうちの1つ以上で用いられ得る。
流体通路接続子は、いくつかの手法で組み立てられ得る。1つの組み立て方法において、滅菌流体通路接続子は、例えば、図56A及び図56Bに示されるように組み立てられ得、次いで、穿通可能なシール23056の少なくとも一部分が流体容器23050内に収容されるように、流体容器23050の中に取り付けられ、据え付けられ、接続され、あるいは一体化され得る。流体容器23050は次いで、流体で充填され、穿通可能なシール23056と反対の端部にてプランジャシール23060で栓をされ得る。バレル23058は、バレル23058の近位端からのプランジャシール23060の挿入前に、開口近位端を通して流体で充填され得る。駆動機構23090は次いで、駆動機構23090の構成要素がプランジャシール23060に接触可能であるように、流体容器23050の近位端に取り付けられ得る。挿入機構23070は、組み立てられ、流体導管23035の他方の端部に取り付けられ得る。駆動機構23090、流体容器23050、流体通路接続子23030、流体導管23035、及び挿入機構23070を含む、このサブアセンブリ全体は、薬物送達デバイスへの組み立て前に、既知の技法によって滅菌され得る。このサブアセンブリのある特定の構成要素は、ハウジング12A、12B内のアセンブリプラットフォームにまたは直接ハウジング12A、12Bの内部に据え付けられ得る一方で、他の構成要素は、使用者による作動のためにガイド、チャネル、または他の構成要素もしくは態様に据え付けられ得る。
流体ポンプの製造は、流体通路接続子及び流体容器の両方を、別個にまたは組み合わせた構成要素として、薬物ポンプのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付ける工程を含む。製造方法は、駆動機構、流体容器、及び挿入機構のアセンブリプラットフォームまたはハウジングへの取り付けをさらに含む。電力・制御システム、作動機構、及び制御アームを含めた、上述の流体ポンプの追加の構成要素は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付けられ、予備形成され、または予め組み立てられ得る。接着パッチ及びパッチライナーは、デバイスの動作中に使用者と接触する薬物ポンプのハウジング表面に取り付けられ得る。
流体ポンプを操作する方法は、使用者が作動機構を作動させる工程、制御アームを変位させて、挿入機構を起動する工程、駆動制御機構を作動させて、プランジャシールを押圧し、滅菌流体通路接続子に接続し、流体ポンプを通した流体薬物の流れを駆動する工程、のうちの1つ以上を含み、流体通路接続子の平行移動により、穿通可能なシールが穿通部材によって穿通されるようになり、それによって、流体容器から流体通路接続子への流路を開通させる。駆動制御機構は、電力・制御システムを起動することによって作動され得る。本方法は、作動機構を作動させる前に任意選択的なオンボディセンサを係合させる工程をさらに含み得る。さらに、本操作方法は、流体を所望の標的、例えば患者の身体に送達するために、プランジャシールを駆動制御機構及び流体容器内で平行移動させて、流体薬物の流れを、流体の使用者の身体への送達のために流体容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び任意選択で挿入機構に押し通すことを含み得る。
VIII.多機能駆動機構
少なくとも図1A~2B及び33A~33Cに関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図69A~77Cに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図69A~77Cに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の駆動機構100、6100、もしくは8100、または本明細書に記載の任意の他の駆動機構を置き換えてもよい。
本開示は、原薬の制御された送達のための多機能駆動機構、かかる駆動機構を有する制御された薬物送達ポンプ、かかるデバイスを操作する方法、及びかかるデバイスの組み立て方法を提供する。特に、本開示の多機能駆動機構は、(i)原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御することと、(ii)針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供することと、(iii)滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容することと、を含むいくつかの機能を有効化または始動する。本開示の実施形態は、故に、可変速度で原薬を送達することが可能である。本開示の駆動機構は、以下に詳細に説明されるように、所望の送達速度またはプロファイルを満たすために、電力・制御システムによる制御によって予め構成され得るか、または動的に構成され得る。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、駆動機構の1つ以上の構成要素の軸方向平行移動及び/または移動の物理的終了に関連するため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。これらの機構を通して、薬物用量送達の確認が使用者または投与者に正確に提供され得る。したがって、本開示のデバイスは、上記のもの等の先行技術のデバイスに関連する問題のうちの1つ以上を軽減する。
第1の実施形態において、本開示は、アクチュエータと、主歯車を含む歯車アセンブリと、駆動ハウジングと、キャップ、穿通可能なシール(不可視)、バレル、及びプランジャシールを有する薬物容器とを含む多機能駆動機構を提供する。主歯車は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシールとの間でバレル内に位置する薬物チャンバは、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。1つ以上の偏倚部材が付勢状態で最初に保持され、ピストンのインターフェース表面上に支えられるように構成されている、ピストン及び1つ以上の偏倚部材もまた、多機能駆動機構に組み込まれ得る。ピストンは、プランジャシール及びバレルを有する薬物容器内で実質的に軸方向に平行移動するように構成されている。テザーは、一方の端部においてピストンに接続され、他方の末端において調節機構のウィンチドラム/歯車に接続され、テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を制限する。薬物容器は、使用者への送達のための薬物流体を薬物チャンバ内に収容し得る。任意選択で、被覆スリーブは、駆動機構の動作中にバレルの内部構成要素(すなわち、ピストン及び偏倚部材)を視界から隠すために、偏倚部材とピストンのインターフェース表面との間に利用され得る。テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、多機能駆動機構の調節機構のウィンチドラム/歯車から解放されるように構成されている。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、調節機構は、多機能駆動機構のアクチュエータによって駆動される歯車アセンブリである。調節機構は、テザーの分配を妨げるかまたは制限し、調節された速度または所望の速度でのみ前進させる。これは、1つ以上の偏倚部材によって押圧されているバレル内でのピストンの移動を制限し、よって、プランジャシールの移動及びチャンバに入っている薬物の送達を制御する。プランジャシールが薬物容器内に前進すると、原薬は、薬物送達のために、滅菌通路接続、導管、挿入機構を通り、かつ使用者の身体内へと分注される。アクチュエータは、モータ(例えば、DCモータ、ACモータ、ステッパモータ)またはソレノイド(例えば、リニアソレノイド、回転ソレノイド)を含むいくつかの電力/運動源であり得る。特定の実施形態において、アクチュエータは、主/星形歯車の歯に対応するノッチを有する回転式ステッパモータである。
調節機構は、歯車アセンブリの1つ以上の歯車をさらに含み得る。歯車のうちの1つ以上は、例えば、大径歯車に共有中心点で取り付けられた小径歯車を有する複合歯車であり得る。歯車アセンブリは、テザーがその上に着脱可能に巻き付いているウィンチドラム/歯車に連結されたウィンチギアを含み得る。したがって、アクチュエータによって始動された歯車アセンブリの回転は、ウィンチドラム/歯車に連結され(すなわち、歯車アセンブリを通して)、それによって、テザーの分配、偏倚部材の拡張及びピストンの軸方向平行移動の速度、ならびにバレル内でのプランジャシールの移動の速度を制御して、流体を薬物チャンバから押し出し得る。ウィンチドラム/歯車の回転移動、及び故にピストン及びプランジャシールの軸方向平行移動は、本明細書に記載されるように、調節要素の他の構成要素による自在な軸方向平行移動を計測、制限、または別様に防止される。とりわけ、本開示の調節機構は、薬物チャンバからの流体物質の送達を駆動しない。薬物チャンバからの流体物質の送達は、偏倚部材の、ピストン及びプランジャシール上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって引き起こされる。調節機構は、代わりに、それらが偏倚部材のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン及びプランジャシールの自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン及びプランジャシールの運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。
原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御すること(それによって、原薬を可変の速度及び/または送達プロファイルで送達すること)に加え、本開示の多機能駆動機構は、針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供する工程、及び滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容する工程を同時にまたは連続的に実施し得る。少なくとも1つの実施形態において、多機能駆動機構のアクチュエータによる初期運動は、主/星形歯車を回転させる。1つの様態において、主/星形歯車は、歯車アセンブリを通して調節機構に運動を伝える。別の様態において、主/星形歯車は、歯車を通して針挿入機構に運動を伝える。主/星形歯車によって歯車が回転させられると、上に詳細に記載されるように、歯車は針挿入機構に係合して、流体通路接続子を使用者の中へと始動させる。1つの特定の実施形態において、針挿入機構は、回転式針挿入機構である。したがって、歯車は、針挿入機構の対応する歯車表面に係合するように構成されている。歯車の回転は、駆動機構の歯車と針挿入機構の対応する歯車表面との間の歯車の相互作用を通して針挿入機構の回転を引き起こす。いったん針挿入機構の好適な回転が生じると、本明細書に詳細に記載されるように、針挿入機構が始動されて、使用者への流体通路接続子を生み出す。
少なくとも1つの実施形態において、この様態での針挿入機構の回転はまた、滅菌流体通路の薬物容器への接続をもたらして、使用者への送達のための薬物容器から挿入機構への流体流を許容し得る。針挿入機構のランプ態様は、滅菌流体通路接続子の可動接続ハブ上に支えられるようにされる。多機能駆動機構によって針挿入機構が回転させられると、針挿入機構のランプ機構は、滅菌流体通路接続子の可動接続ハブに係合し、かつそれを平行移動させて、その内部の流体接続を容易にする。少なくとも1つの実施形態において、針挿入機構は、上に詳述されるように、特定の角度の回転が針/トロカールの後退を可能にするように構成され得る。加えてまたは代替的に、かかる針/トロカールの後退は、使用者の活動時または薬物送達デバイスの別の構成要素の移動もしくは機能時に生じるように構成され得る。少なくとも1つの実施形態において、針/トロカール後退は、例えば、本明細書に記載されるように、調節機構及び/またはステータスリーダのうちの1つ以上によってトリガされる、薬物送達の終了時に生じるように構成され得る。
なおも別の実施形態において、駆動機構は、1つ以上の対応するスタータストリガを読み取るかまたは認識するように構成されたステータスリーダを含み得る。ステータストリガは、テザー上で増分的に間隔を空けてもよく、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、光学的ステータストリガであり、電気機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、電気機械的ステータストリガであるか、または機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、機械的ステータストリガである。
さらなる実施形態において、本開示は、制御された薬物送達を有する薬物送達ポンプを提供する。薬物送達ポンプはハウジング及びアセンブリプラットフォームを有し、その上に作動機構、挿入機構、流体通路接続子、電力・制御システム、及び制御送達駆動機構が据え付けられてもよく、該駆動機構は、駆動ハウジング、ピストン、及び偏倚部材を有し、偏倚部材は、付勢状態で最初に保持され、ピストンの表面上に支えられるように構成されている。ピストンは、プランジャシール及びバレルを有する薬物容器内で実質的に軸方向に平行移動するように構成されている。テザーは、一方の端部においてピストンに接続され、他方の末端において送達調節機構のウィンチドラム/歯車に接続され、テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を制限する。薬物容器は、使用者への送達のための薬物流体を薬物チャンバ内に収容し得る。任意選択で、被覆スリーブは、駆動機構の動作中にバレルの内部構成要素(すなわち、ピストン及び偏倚部材)を視界から隠すために、偏倚部材とピストンのインターフェース表面との間に利用され得る。テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、送達調節機構のウィンチドラム/歯車から解放されるように構成されている。
別の実施形態において、薬物送達デバイスは、歯車アセンブリをさらに含む。歯車アセンブリは、テザーがその上に着脱可能に巻き付き得るウィンチドラム/歯車に接続されたウィンチギアを含み得、ウィンチドラム/歯車の回転は、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、テザーをウィンチドラム/歯車から解放する。テザーの計測は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御する。ピストンは、1つ以上の部品であり得、テザーの遠位端に接続する。ウィンチドラム/歯車は、ウィンチドラム/歯車の回転、及びしたがってピストンの平行移動の計測を制御する調節機構に連結されている。
なおも別の実施形態において、薬物送達デバイスは、1つ以上の対応するスタータストリガを読み取るかまたは認識するように構成されたステータスリーダを含み得る。ステータストリガは、テザー上で増分的に間隔を空けてもよく、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、光学的ステータストリガであり、電気機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、電気機械的ステータストリガであるか、または機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、機械的ステータストリガである。
別の実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システムは、1つ以上の入力を受信して、ウィンチドラム/歯車によるテザーの解放を計り、それによって、偏倚部材によるピストンの軸方向平行移動を許容して、プランジャシールをバレル内で平行移動させるように構成されている。1つ以上の入力は、作動機構、制御インターフェース、及び/または遠隔制御機構の起動によって提供され得る。電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすために、使用者への送達のための用量体積を変えるために、かつ/または駆動機構の操作を別様に開始、停止、もしくは一時停止するために、1つ以上の入力を受信して、偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動上にテザー及びウィンチドラム/歯車によってもたらされる制限を調整するように構成され得る。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬品の送達プロファイルは、調整可能である。例えば、食事、運動、睡眠等のある特定の活動前、活動中、または活動後に、薬品のボーラス注射を送達することが望ましい場合がある。「ボーラス注射」は、多くの場合、送達時間または持続時間にかかわらず送達される任意の測定された薬物体積である。逆に、「基底注射(basal injection)」は、多くの場合、制御された送達速度、及び/または異なる時間間隔で様々な送達速度を有する送達プロファイルである。同様に、使用者は、これらの時間または他の時間で薬品の基底送達速度を増加または減少させることを望む場合がある。少なくとも1つの実施形態において、送達プロファイルは、この所望の薬物送達を達成するために使用者によって調整可能である。使用者は、薬物送達デバイス自体と相互作用することによって送達プロファイルを調整してもよく、または代替的に、そのためにスマートフォン等の外部デバイスを使用してもよい。例えば、使用者は、作動機構を変位させることによって送達プロファイルを調整してもよく、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させてもよい。
本開示の別の実施形態において、送達プロファイルは、1つ以上の入力に基づいて自動的に調整されてもよい。例えば、送達プロファイルは、患者の活動レベル、心拍数、血糖値等に基づいて調整され得る。上記のように、これらの測定値を用いて、ボーラス注射、または基底注射送達速度の増加もしくは減少、または基底注射送達プロファイルの調整の必要性を判定することができる。少なくとも1つの実施形態において、これらの入力測定値は、デバイス自体によって監視され得る。追加的に、または代替的に、それらは、スマートフォン、スマートウォッチ、心拍数モニタ、グルコースモニタ、血圧モニタ等の二次デバイスによって監視されてもよい。いくつかの実施形態において、送達プロファイルは、使用者の介入を必要とせずにこれらの測定値に基づいて調整され得る。二次デバイスによる監視及び/または制御に場合、二次デバイス及び薬物送達デバイスは、互いに無線または有線通信し得る。この通信は、Bluetooth(登録商標)、近距離無線通信、Wi-Fi、またはデバイスの相互接続性に関する当業者に既知の任意の他の方法を通したものであり得る。
しかしながら、好ましい実施形態において、監視/調整機構は、使用者に対して警報を発し、かつ推奨を行う場合があり、使用者は、監視/調整機構による推奨を始動/許可するか、または無視する能動制御を有し得る。例えば、測定値のうちの1つ以上が指定の閾値より高いかまたは低い場合、デバイスは、可聴、可視、または触覚による警報を使用者に対して発する場合がある。一例において、警報は、デバイスの振動によって提供され、それによって、個別の警報を使用者に提供する。加えてまたは代替的に、警報は、使用者のスマートフォンまたは他の二次デバイスによって提供され得る。使用者は、コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースにおける測定値の現在のステータスを、デバイス自体、コンピュータ、スマートフォン、または他のデバイスの上で見ることができる場合がある。コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースは、送達プロファイルへの推奨される調整を提供し得る。この情報に基づいて、使用者は、薬物送達デバイスの送達速度を調整することができる。上記のように、使用者は、作動機構を変位させるか、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させることによって、送達プロファイルを調整してもよい。
一実施形態において、使用者の入力または上記の測定値のいずれかに基づく送達プロファイルを調整する信号に応じて、電力・制御システムは、アクチュエータの移動速度を変化させ得る。アクチュエータの移動速度の変化は、調節機構の回転速度を変化させ、これは次いで、使用者への薬物送達速度を制御する。代替的に、送達プロファイルは、薬物容器及び挿入機構を接続する導管を通る薬品の流路の特性の変化によって変えることができる。この変化は、薬物容器から挿入機構への薬品の流れを制限する流れ制限部の導入、取り外し、または修正によって引き起こされ得る。例えば、流れ制限部は、流れ制限部の入力及び出力と流体連通して選択的に定置され得る複数の流路を有し得る。異なる長さまたは断面を有する流路を提供することによって、送達速度を制御することができる。他の実施形態において、送達プロファイルは、導管の衝突の導入または取り外しによって変えることができる。流路の衝突は、導管を通る薬品の流れを中断させるかまたは遅くすることができ、それによって、使用者への送達速度を制御する。したがって、本開示の1つ以上の実施形態は、薬物容器からの薬品送達速度の変化を生み出し、それによって、多機能駆動機構及び/または薬物送達デバイスの動的制御能力を提供することができる。
本開示の実施形態は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止し、それによって、原薬の送達速度を制御することができる駆動機構を提供する。制御送達駆動機構は、加えて、デバイスの操作の前、その間、及びその後に薬物送達の増分ステータスを提供することができる。本明細書全体を通して、別段の指示がない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」、または「含む(includes)」もしくは「からなる」等の関連する用語は、明記された整数または整数の群が、1つ上の他の明記されていない整数または整数の群を含み得るように、排他的ではなく包括的に使用される。以下にさらに記載されるように、本開示の実施形態は、医療デバイスの業界において標準的な構成要素と見なされ得る1つ以上の追加の構成要素を含み得る。例えば、実施形態は、本開示のモータ、駆動機構、及び薬物送達デバイスに電力供給するために利用される1つ以上の電池を含み得る。構成要素、及びかかる構成要素を含む実施形態は、本開示の企図内であり、本開示の幅及び範囲内に入ることを理解されたい。
本開示は、既定の時間でかつ調整された送達速度での原薬の送達に関連するシステム及び方法を提供する。特に、本開示は、多機能駆動機構を制御し、駆動するように構成されている制御システム及びサブシステムを含む、薬物送達デバイス送達デバイスに関する。追加的に、制御システム及びサブシステムは、ある特定の待機時間枠が経過した後に原薬を適切な送達速度で送達するように構成され得る。
一例において、使用者には、非経口法を介して原薬を注射するためのプレフィルド薬物送達ポンプデバイスが提供され得る。かかる例において、ポンプデバイスの作動が、モバイルデバイス(例えば、スマートフォン)との短距離通信を確立し得る。一実施形態において、薬物送達デバイス送達デバイスは、作動ボタンまたは電力ボタンの押圧によって作動され得る。モバイルデバイスは、薬物送達過程に関連するデータを処理、受信、及び伝送するように構成され得る1つ以上のモバイルアプリケーションを含み得る。モバイルアプリケーションは、外部センサ(例えば、心拍数センサ及びグルコース速度センサ)と通信し、モニタリング期間中に患者の健康及び/または状態に関する情報(例えば、使用者の心拍数、グルコース/インスリン情報等)を受信し得る。モバイルアプリケーションはさらに、センサから受信されたデータに基づいて薬物の調整された送達速度を算出し得る。
さらに、薬物送達デバイスは、デバイスが作動された後に、針挿入のための使用者による作動を要請し得る。薬物送達デバイスは、針作動に対する視覚もしくは音声合図を提供し得るか、または代替的に、モバイルデバイスが針作動に対する要請通知を提供するようにし得る。針挿入が使用者によって起動されると、薬物送達デバイスは次いで、薬物の送達前の待機時間枠を追跡するタイマーを始動し得る。代替的に、タイマーは、デバイスの作動時に始動され得る。薬物送達デバイスは、任意選択で、薬物が送達に最適な温度に達したかどうかを決定するために温度を監視し得る。追加的に、電力・制御システムは、既定の待機時間枠が経過したかどうかを決定するように構成され得、その決定に基づいて、薬物送達過程の始動について使用者に通知し得る。任意選択で、使用者は、既定の待機時間が経過した後に薬物送達を始動する選択肢を有し得る。
薬物の種類及び用量に基づいて、薬物送達デバイスが薬物の送達速度を調節してもよいことに留意する。送達速度の調節及び/または調整はまた、センサ(例えば、温度センサ、心拍数センサ、グルコースモニタセンサ)から受信された情報に基づいてもよい。
薬物送達デバイスはさらに、薬物送達が終了したかどうかを決定し得、その決定に基づいて、薬物送達終了情報をモバイルデバイスに伝送し得る。
モバイルデバイスはさらに、受信した送達終了情報を遠隔サーバ(例えば、クラウドコンピュータサーバ)に提供し得る。送達終了情報は、送達終了表示、送達速度、送達開始及び終了時間、総計送達時間、薬物温度、ならびにセンサによって収集されるデータを含み得るが、これらに限定されない。情報はまた、薬物体積、製造日、充填日、シリアル/ロット番号等といった、薬物及び/またはポンプデバイスに関連する情報も含み得る。
さらに、薬物送達デバイスは、有効電力モードと非有効電力モードとの間で切り替わり得る。有効電力モードの間、電力・制御システムは、駆動制御システム1つ以上のモータと相互作用して、1つ以上の駆動機構を起動し得、このようにして、電力・制御システム及びモータの両方がエネルギー源(例えば、電池)から電力を受け得る。他方で、いくつかの事例においては、電力・制御システムは、薬物送達ポンプデバイスの1つ以上の操作を実行するのに駆動制御システムと相互作用する必要がない場合がある。例えば、薬物送達デバイスは、薬物送達デバイスの駆動制御システムと相互作用することなく、モバイルデバイスを確立し、それと通信するか、または薬物の温度を監視し得る。かかる事例において、電力・制御システムのみが電力供給されてもよく、駆動制御システムは、電池から電力を受けない場合がある。追加的に、ポンプデバイスの1つ以上の構成要素または機能が、1つ以上のモードで断続的に電力供給されてもよい。
有効電力モードと非有効電力モードとの間での切替えは、薬物送達デバイスの電力資源を実質的に節約し得る。例えば、非有効電力モードへと切り替わると、薬物送達デバイスは、電力をモータに提供する必要がなく、さもなければ電池を著しく消費し得る。
特に、有効電力モードの間、薬物送達ポンプデバイスの電力・制御システムは、(i)原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御することと、(ii)針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供することと、(iii)滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容することと、を含むいくつかのサブシステムまたは機能を始動するように多機能駆動機構を制御する。
本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、電力・制御システムに、ひいては使用者にフィードバックを提供し得る、センサ等の一体型のステータス表示特徴を提供し得る。例えば、使用者は、デバイスが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する1つ以上のセンサによって促され得る。1つ以上のデバイスの作動時に、センサは次いで、薬物送達の完了時の投薬終了表示等の、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。
本開示の駆動機構、薬物送達ポンプ、または構成要素の相対的な位置のいずれかを説明して本明細書で使用されるとき、「軸方向」または「軸方向に」という用語は一般に、駆動機構が好ましくは、その周りで必ずしも左右対称でないが周りに位置付けられる、縦軸「A」を指す。「径方向」という用語は一般に、軸Aに対して垂直の方向を指す。「近位の」、「後面の」、「後方の」、「逆の」、または「逆方向の」という用語は一般に、方向「P」での軸方向の方向を指す。「遠位の」、「前面の」、「前方の」、「押し下げられた」、または「順方向の」という用語は一般に、方向「D」での軸方向の方向を指す。本明細書で使用されるとき、「ガラス」という用語は、環状オレフィンコポリマー(COC)及び環状オレフィンポリマー(COP)等のある特定の非反応性ポリマーを含むがこれらに限定されない、通常はガラスを必要とする医薬品グレードの用途において使用するのに好適な他の同様に非反応性の材料を含むように理解されるべきである。「プラスチック」という用語は、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーの両方を含み得る。熱可塑性ポリマーは、熱によってそれらの元々の状態に再度軟化できるが、熱硬化性ポリマーはできない。本明細書で使用されるとき、「プラスチック」という用語は主に、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン、またはアクリル樹脂等の成形可能な熱可塑性ポリマーを指し、これは、治癒剤、充填剤、強化剤、着色剤、及び/または可塑剤等といった他の成分もまた典型的に含有し、熱及び圧力下で形成または成形され得る。本明細書で使用されるとき、「プラスチック」という用語は、それらが、プラスチックと相互作用し得る治療液、またはプラスチックから液体へ別様に進入した可能性のある置換基によって分解され得る治療液と直接接触している用途での使用に認可されている、ガラス、非反応性ポリマー、またはエラストマーを含むことは意図しない。「エラストマー」、「エラストマーの」または「エラストマー材料」という用語は主に、プラスチックよりもより容易に変形可能であるが、医薬品グレードの流体との併用に認可されており、かつ周囲温度及び圧力下で浸出またはガス移動の影響を受けにくい、架橋結合した熱硬化性ゴム状ポリマーを指す。「流体」は主に、液体を指すが、液体中に分散した固体の懸濁液、及び薬物ポンプの流体含有部分の内側の液体に溶解したあるいは液体内に一緒に存在するガスもまた含み得る。本明細書に記載の種々の態様及び実施形態によれば、例えば、プランジャシールに力を及ぼす1つ以上の偏倚部材の関連において、「偏倚部材」に言及がなされる。偏倚部材は、エネルギーを蓄積及び放出可能である、任意の部材であってよいことが理解されよう。非限定的な例としては、例えば、コイルばね、圧縮もしくは引張ばね、ねじりばね、または板ばね等のばね、弾性的に圧縮性もしくは伸縮自在のバンド、または同様の機能を有する任意の他の部材が挙げられる。本開示の少なくとも1つの実施形態において、偏倚部材は、ばね、好ましくは圧縮ばねである。
本開示のデバイスは、一体型のステータス表示を有する駆動機構及びかかる駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。かかるデバイスは、自己投与する患者にとって、安全で使用が容易であり、審美的かつ人間工学的に魅力がある。本明細書に記載のデバイスは、未訓練の使用者にとってさえも本デバイスの作動、操作、及びロックアウトを単純にする特徴を組み込む。本開示のデバイスは、既知の先行技術のデバイスに関連する問題のうちのいずれも伴わずに、これらの望ましい特徴を提供する。薬物送達ポンプ、駆動機構、及びそれらのそれぞれの構成要素のある特定の非限定的な実施形態が、付随する図を参照しながら本明細書にさらに記載される。
本明細書で使用されるとき、「ポンプ」及び「送達デバイス」という用語は、作動時に流体を使用者に分注することが可能である任意の数の薬物送達システムを含むことを意図する。かかる薬物送達システムには、例えば、注入システム、輸液ポンプ、ボーラス注入装置、オンボディ注入装置等が含まれるが、これらに限定されない。図69A~69Cは、本開示の少なくとも1つの実施形態による例示的な薬物送達デバイスを示し、上ハウジングは、内部構成要素が見えるように取り外されている。薬物送達デバイスを利用して、使用者の体内への薬物治療剤の送達を施してもよい。図69A~69Cに示されるように、薬物送達デバイス9010は、ポンプハウジング9012を含む。ポンプハウジング9012は、薬物ポンプのより容易な製造、組み立て、及び操作の便宜を図るために固定的に係合可能である、1つ以上のハウジング部分構成要素を含み得る。例えば、薬物送達デバイス9010は、上部ハウジング及び下部ハウジング(内部構成要素を見やすくするために図示せず)を含み得るポンプハウジング9012を含む。ポンプハウジング9012は、薬物送達デバイスが開封または不正細工されているかどうかを特定するための1つ以上のタンパーエビデンス特徴を含み得る。例えば、ポンプハウジング9012は、上部ハウジング及び下部ハウジングにわたって架けられたラベル等の1つ以上のタンパーエビデンスラベルまたはステッカーを含み得る。加えてまたは代替的に、ハウジング9012は、上部ハウジングと下部ハウジングとの間を接続する1つ以上のスナップアームまたは先端部を含み得る。破壊されたまたは改造されたというタンパーエビデンス特徴は、デバイスが評価され、ことによると、使用者による使用または使用者へのリスクを伴わずに破棄されるように、例えば、デバイスの内部態様にアクセスすることによって、薬物送達デバイスが不正細工された可能性があることを使用者、医師、供給業者、製造業者等に合図する。薬物送達デバイスは、作動機構、ステータスインジケータ、及び窓をさらに含み得る。窓は、薬物送達デバイスの操作がそれを通して見られ得る、任意の半透明または透過性表面であってよい。図69Bに示されるように、薬物送達デバイス9010は、アセンブリプラットフォーム9020、滅菌流体導管9030、薬物容器9050を有する駆動機構90100、挿入機構90200、流体通路接続子90300、及び電力・制御システム(図示せず)をさらに含む。かかる薬物送達デバイスの構成要素のうちの1つ以上は、それらが、例えば、製造中に別個の構成要素として予め組み立てられ、薬物送達デバイス9010のアセンブリプラットフォーム9020の上の所定の位置に収まるよう構成され得るという点で、モジュール式であり得る。
ポンプハウジング9012は、デバイスの構成要素の全てを含み、デバイス9010を使用者の皮膚に着脱自在に取り付ける手段を提供する。ポンプハウジング9012はまた、デバイス9010の内部構成要素に環境的影響からの保護を提供する。ポンプハウジング9012は、未訓練の及び/または身体障害のある場合がある使用者による容易な包装、貯蔵、取り扱い、及び使用の便宜を図るために、サイズ、形状、及び関連する特徴において人間工学的に及び審美的に設計される。さらに、ポンプハウジング9012の外面を利用して、製品ラベル、安全性指示等を提供してもよい。追加的に、上述のように、ハウジング9012は、操作フィードバックを使用者に提供し得る、1つ以上のステータスインジケータ(例えば、LED光、スピーカフォンを介した音声トーン)及び窓等のある特定の構成要素を含み得る。
一例において、電力・制御システムは、いくつかの異なるステータス表示を使用者に提供するように構成され得る。例えば、電力・制御システムは、オンボディセンサ(例えば、皮膚センサ)がトリガされた後に、デバイス起動点検により何のエラーも報告されなければ、電力・制御システムがステータスインジケータ(例えば、音声トーン及び/または点滅灯)を介して開始準備完了ステータス信号を提供するように、構成され得る。開始準備完了ステータス信号を提供した後に、任意選択的なオンボディセンサを有する実施形態において、オンボディセンサが使用者の身体と接触したままである場合、電力・制御システムは、駆動機構90100に電力供給して、流体通路接続子90300及び滅菌流体導管9030を通した薬物治療剤の送達を開始する。
追加的に、電力・制御システムは、薬物送達デバイスのその包装からの取り外しを特定するように構成され得る。電力・制御システムは、包装に機械的に、電気的に、または電気機械的に接続され得、それにより、薬物送達デバイスの包装からの取り外しが、電力・制御システムを使用のために作動させ得るもしくはその電源を入れ得るか、または使用者によって電源を入れられるように電力・制御システムを単に有効化し得る。かかる実施形態において、薬物送達デバイスの包装からの取り外しなしには、薬物送達デバイスは、作動され得ない。これは、薬物送達デバイスの及び使用者のための追加の安全性機構を提供する。少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスまたは電力・制御システムは、例えば、以下の様々なセンサ、すなわち、ホール効果センサ;巨大磁気抵抗(GMR)または磁界センサ;光センサ;静電容量式または静電容量変化センサ;超音波センサ;及びリニアトラベル、LVDT、リニア抵抗、または放射測定リニア抵抗センサ;ならびにそれらの組み合わせからの、1つ以上の相互作用センサ等によって、包装に電気的にまたは電気機械的に接続され得、これらのセンサは、構成要素間の信号を伝送してそれらの間の位置を特定するように調和可能である。
加えてまたは代替的に、薬物送達デバイスまたは電力・制御システムは、例えば、ピンが取り外されるときに(すなわち、薬物送達デバイスが包装から取り外されると)システムを作動させるピンとスロットの関係によって、包装に機械的に接続され得る。
本開示の好ましい実施形態において、電力・制御システムが作動されると、かつ既定の待機時間枠の後に、多機能駆動機構が始動されて、薬物容器から押し出されるよう薬物流体を起動する。
薬物送達過程中、電力・制御システムは、ステータスインジケータを介して分注ステータス信号を提供するようにさらに構成され得る。薬物が使用者の身体内に投与された後、及び実質的に全用量が使用者に送達されたことを確実にするためのいずれの追加の滞留時間の終了後、電力・制御システムは、ステータスインジケータを介して取り外し可ステータス信号を提供し得る。これは、使用者がポンプハウジング9012の窓を通して駆動機構及び薬物用量送達を見ることによって、独立して検証され得る。追加的に、電力・制御システムは、ステータスインジケータを介して、例えば、故障または動作不具合状況を示す警報等の1つ以上の警報信号を提供するように構成され得る。
電力・制御システムは加えて、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように駆動機構90100を動的に制御するための、使用者からの(例えば、作動ボタンを介した)種々の入力を受け入れるように構成され得る。例えば、電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように電力・制御システムを介して駆動機構90100の制御を設定、始動、停止、あるいは調整するための、例えば、作動機構の部分的または完全な作動、押し下げ、及び/または解放による入力を受信し得る。同様に、電力・制御システムは、モバイルデバイスとの通信を始動する、薬物用量体積を調整する、駆動機構、流体通路接続子、及び流体導管をプライミングする、ならびに/または駆動機構90100の操作を開始、停止、もしくは一時停止するような入力を受信するように構成され得る。かかる入力は、例えば、作動機構9014もしくは異なる制御インターフェースの使用により、使用者が薬物送達デバイス9010に直接働きかけることによって受信されてもよく、または電力・制御システムは、かかる入力を遠隔デバイス(例えば、モバイルデバイス)から受信するように構成されてもよい。加えてまたは代替的に、かかる入力は、予めプログラムされてもよい。
他の電力・制御システム構成が、本開示の薬物送達デバイスと共に利用されてもよい。例えば、ある特定の作動遅延が、薬物送達前、または薬物送達中に利用され得る。例えば、待機時間枠は、電力・制御システムにおいて設定され得、薬物の送達を既定の時間量だけ遅延させ得る、既定の時間であってもよい。上述のように、システム構成内に任意選択で含まれる1つのかかる遅延は、完了を使用者に信号伝達する前に実質的に全薬物用量が送達されていることを確実にする、滞留時間である。同様に、デバイスの作動は、薬物送達デバイスの作動前に、薬物送達デバイス9010の作動機構の遅延した押し下げ(すなわち、押圧)を必要とし得る。追加的に、システムは、使用者が投薬終了信号に応答すること、及び薬物送達デバイスを作動停止するまたはその電源を切ることを許容する特徴を含み得る。かかる特徴は同様に、停止デバイスの偶発的な作動を防止するために、作動機構の遅延した押し下げを必要とし得る。かかる特徴は、薬物送達デバイスに対する望ましい安全性一体化機構及び使い勝手の良いパラメータを提供する。追加の安全性特徴が、薬物送達デバイスの部分的押し下げ、及びしたがって、部分的作動を防止するために作動機構に一体化されてもよい。例えば、作動機構及び/または電力・制御システムは、部分的作動を防止するために、デバイスが完全にオフであるかまたは完全にオンであるかのいずれかであるように構成され得る。かかる特徴は、薬物送達デバイスの他の態様に関してこれ以降でさらに詳述される。
一実施形態において、薬物送達ポンプデバイス9010は、電力・制御システム90800及び駆動制御システム90820等であるがこれらに限定されない、1つ以上の制御システムを含み得る。上記に開示されるように、薬物送達ポンプ9010は、駆動機構またはサブシステム90100、針挿入機構(NIM)またはサブシステム90200、滅菌流体通路接続子(SFPC)またはサブシステム90300、及び調節機構またはサブシステム90500等であるがこれらに限定されない、種々の機構またはサブシステムをさらに含み得る。いくつかの例において、制御システムは、プリント回路基板(PCB)、マザーボード及び/またはドーターボードを含み得る。
いくつかの実施形態において、サブシステムは、制御システムに含まれ得る。例えば、駆動制御システム90820は、駆動サブシステム90100、NIMサブシステム90200、及び/または調節サブシステム90500を含み得る。かかる例において、電力・制御システム90800は、コマンド信号を駆動制御システム90820に送信することによってサブシステムを制御し得る。
他の例においては、駆動制御システム90820は、サブシステムを含まない場合がある。したがって、これらの例においては、電力・制御システム90800は、駆動制御システム90820を介してサブシステムを制御し得る。例えば、電力・制御システム90800は、コマンド信号を駆動制御システム90820に送信し得る。例えば、駆動制御システム90820は次いで、電力・制御システム90810から受信されたコマンド信号に基づいて、サブシステムのうちの1つ以上を選択的に制御し得る。
なおも別の実施形態において、電力・制御システム90800は、サブシステムを直接制御し得る。その実施形態において、サブシステムは、電力・制御システム90800と直接通信するように構成され得る、それぞれの制御装置またはコントローラ及び記憶装置(図示されず)を含み得る。
代替的に、いくつかの実装形態において、電力・制御システム90800は、駆動制御システム90820及びサブシステム、ならびに1つ以上の他の制御システム及びサブシステムを含み得る。
図76Aに示されるように、1つの例示的な実施形態において、電力・制御システム90800は、薬物送達ポンプ9010に含まれ得る。電力・制御システム90800は、薬物送達ポンプ9010の1つ以上のセンサ、タイマー及び記憶装置に接続された1つ以上の制御装置を含み得る。
いくつかの実装形態において、電力・制御システム90800は、薬物送達に関連する遅延時間枠を制御するように構成され得る。かかる実装形態において、電力・制御システム90800は、薬物送達ポンプ9010の作動後に、薬物を始動し、送達するための時間パラメータを監視し、制御し得る。例えば、デバイス9010の作動時、電力・制御システム90800は、薬物送達の始動前の待機期間(例えば、既定の遅延時間)を監視し得る。一例において、待機期間中、電力・制御システム90800は、任意選択で、デバイスをプライミングしてもよい。
一例において、電力・制御システム90800は、デバイスが作動された後にNIM機構を作動させる要請通知を提供し得る。要請通知は、薬物送達デバイス送達デバイス9010によって直接、またはモバイルデバイス9011を介して提供され得る。NIM機構90200を始動するよう使用者に通知すると、電力・制御システムは、(例えば、使用者からの)作動/始動信号が作動ボタンを介して受信されるかどうかをさらに決定し得る。
電力・制御システム90800が、作動信号が(例えば、NIM作動の既定の時間内で)受信されていると決定する場合、電力・制御システムは、NIMサブシステムの作動を引き起こし得る。代替的に、NIMは、使用者によって直接作動されてもよい。電力・制御システム90800は、薬物の送達が始動されたことを使用者にさらに通知し得る。電力・制御システム800が、NIM作動に関する作動信号を受信すると、及びさらに、薬物送達デバイス9010が使用者の皮膚を感知していることを示す信号をオンボディセンサから受信すると、NIM機構を作動させてもよいことに留意する。任意選択で、電力・制御システムが、作動信号が受信されていない、かつ/またはオンボディセンサが使用者の皮膚部分を感知していないと決定する場合、電力・制御システム90800は、使用者に(例えば、可聴トーンを介して)通知し、任意選択で薬物送達過程を終結させ得る。
さらに、いくつかの実装形態において、電力・制御システム90800が、待機期間が経過したと決定する場合、電力・制御システムは、薬物の送達の始動について使用者に通知し得る。電力・制御システムは、薬物の送達が始動されたことを使用者にさらに通知し得る。
任意選択で、電力・制御システム90800は、使用者に薬物送達の時間枠(例えば、薬物を送達するのにかかる総計時間)をさらに通知し得る。電力・制御システム90800は、通信装置90830を介して外部デバイスに通知を通信し得る。
薬物送達の始動時、電力・制御システムは、薬物送達のタイミング及び/または速度パラメータをさらに制御し得る。例えば、電力・制御システムは、所与の一定期間内に薬物を送達するように調節サブシステムまたは機構を制御し得る。さらに、電力・制御システムは、内部センサ及び外部センサによって取得された種々のデータを処理して、薬物送達のタイミング及び/または速度パラメータを決定し得る。この決定に基づいて、電力・制御システムは、適切な時間枠内で使用者に薬物を送達し得る。
電力・制御システムは、電力・制御システム90800の全ての要素を含む場合も、含まない場合もあり、かつ/または追加の要素を含む場合がある。追加的に、いくつかの例において、薬物送達デバイス9010は、電力・制御システム等であるがこれらに限定されない、1つ以上の制御システムを含み得、また、薬物送達デバイスの動作のための追加の要素を含み得る。
いくつかの実装形態において、制御システム90800は、主制御装置または制御装置90810を含み得る。主制御装置90810は、1つ以上のコントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、または特定用途向け集積回路(ASIC)を含み得る。主制御装置90810は、ハードウェア、またはハードウェアと、命令がプログラムされ得るソフトウェアとの組み合わせとして、実装され得る。主制御装置90810は、薬物送達デバイス9010の種々の動作を生じさせるような命令を実行するように構成され得る。さらに、電力・制御システムまたは主制御装置90810は、例えば、信号またはデータを通信装置90830、タイマー装置90812、記憶装置90813、オンボディセンサ90840、温度センサ90880、及びI/O装置90850から受信する及び/またはそれらに送信することによって、通信し得る。主制御装置90810は、薬物送達デバイス9010の種々の機能及び動作を決定し、実行するために、1つ以上の制御システムにおける種々の要素によって収集または監視されたデータを処理し、解釈し得る。
薬物送達デバイス9010が、2つの電力モード、つまり有効電力モード及び非有効電力モードにおいて動作し得ることに留意する。有効電力モードの間、電力・制御システム90800及びモータ90101は、電源(例えば、電池)から電力を受け取り得、及び電力・制御システム90800は、NIM機構90200、及び/または調節機構90500等の種々の動作を駆動するよう駆動制御システム90820に命令し得る。その一方で、非有効電力モードの間、電力・制御システム90800は電力供給され得、モータ90101は電力供給されない場合がある。非有効電力モードの間、電力・制御システム90800は、モータ90101に関連する動作を必要としない場合がある、薬物送達デバイス9010の種々の動作を実行し得る。例えば、電力・制御システム90800は、モバイルデバイス9011との通信リンクを確立し得、さらに、非有効電力モードの間、モバイルデバイス9011と断続的にまたは継続的に通信し得る。追加的に、非駆動モードの間、電力・制御システム90800は、通知、及び警報を使用者に提供し得、さらに、種々のセンサ(例えば、温度センサ及びオンボディセンサ)と通信し、かつ/または種々の動作のタイミングを決定し得る。任意選択で、薬物送達デバイス9010は、非有効電力モードの間、プライミングされ得る。
さらに、薬物送達デバイス9010は、有効電力モードと非有効電力モードとの間で切り替わり得る。
異なる電力モードが、(a)作動(例えば、デバイス作動、薬物送達の作動、薬物送達の制御、タイマーの始動等)の種類、(b)既定の時間セット(例えば、待機時間枠後、またはその最中)、及び/または(c)薬物送達デバイス9010の動作(例えば、電力・制御システム90800によるモバイルデバイス及び/またはセンサとの通信、種々の動作の制御)に基づいて、始動され得る。代替的に、モードの作動及び/またはモード間の切替えは、薬物送達デバイス9010の使用者によって手動で行われてもよい。
モータ90101及び電力・制御システム90800への電力を適切に増加させることによって、薬物送達デバイス9010の全体的な電力所要量が低減され得ることが理解されよう。例えば、モータ90101が働いていない間のモータ90101への電力供給は、薬物送達デバイス9010の電源または電池を時期尚早に消費し得る。このようにして、電力サイクルを管理することによって、例えば、モータ90101に関連する活動が始動されるときのみ電力をモータ90101に提供することによって、薬物送達デバイス9010を動作させる電池の寿命が好適に増加され得るか、または薬物送達期間の寿命にわたって薬物送達デバイス9010を動作させるための電力の要求量が著しく低減され得る。
タイマー装置90812は、例えば、薬物送達デバイス9010の種々の動作のための時間枠を設定するようにプログラムされ得る、デジタルクロックであり得る。例えば、タイマー装置90812は、主制御装置90810に対して、薬物の待機時間または遅延期間(すなわち、薬物が送達を強いられ得る前の時間枠)を示すように構成され得る。
追加的に、タイマー装置90812は、作動信号を受信するためのタイムアウト期間(すなわち、使用者が薬物送達を始動するための作動信号またはNIM90200を提供し得る時間枠)を示し得る。いくつかの実施形態において、タイマー装置90812は、種々のセンサの制御装置と直接通信し得る。いくつかの実装形態において、タイマー装置90812は、主制御装置90810に含まれ得る。
制御システム90800は、記憶装置90813を含み得る。記憶装置90813は、主制御装置90810の一時的パラメータ、情報及び命令を記憶するための、ランダムアクセスメモリ(RAM)もしくは他の動的記憶デバイス、及び/または読み取り専用メモリ(ROM)、及び/または電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)等の、もう1つの(one more)記憶装置を含み得る。いくつかの実装形態において、記憶装置は、薬物送達デバイスの制御システムの動作を制御するよう制御装置によって処理され、実行され得る命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体として実装され得る。追加的に、記憶装置90813は、薬物送達デバイス9010のセンサ及び制御装置に関連する種々の動作についてのエラーコードまたはエラー通知を記憶し得る。エラーコードは、記憶装置90813に予めプログラムされ得る。
記憶装置90813は追加的に、薬物送達に関連する種々の既定の遅延または待機時間枠を記憶し得る。
いくつかの例において、電力・制御システム90800は、通信装置90830を含み得る。通信装置90830は、1つ以上の90802.11 Wi-Fi送受信機、セルラー送受信機、IEEE 90802.14 ZigBee送受信機、Bluetooth送受信機、及び/またはBluetooth Low Energy(BLE)送受信機、ならびに、近距離通信(NFC)等の他の無線通信プロトコルについては、赤外線または超音波を含み得る。薬物送達デバイス9010は、外的コンピュータデバイスとの通信のための適切なアンテナ(図示されず)を含み得、通信装置90830を介してデータを受信/伝送し得る。
図76Dに示されるように、薬物送達デバイス9010は、外部計算デバイスと(通信装置90830を介して)通信し得る。外部計算デバイスは、種々のモバイルアプリケーションを含み得、適切な通信プロトコルと共に構成され得る、スマートフォン等のモバイル計算デバイス9011であり得る。
一例において、モバイルデバイス9011は、薬物送達デバイス9010と通信するポンプデバイスモバイルアプリケーション(アプリ)9010aを含み得る。かかる例において、モバイルアプリ9010aは、薬物または薬物送達デバイス9010の購入時に(薬物または薬物送達デバイス9010の製造業者から)使用者に提供され得る。例えば、薬物送達デバイス9010の容器または箱が、薬物送達デバイスモバイルアプリ10aをダウウンロードするために使用者が使用し得る、固有のダウンロード識別子を含み得る。例えば、使用者は、ダウンロード識別子を使用して、アプリ9010aをAppleストアまたはGoogle Playストアからダウンロードしてもよい。
薬物送達デバイスアプリ9010aをモバイルデバイス9010aにダウンロードすると、使用者は、(例えば、薬物送達デバイス9010との無線通信リンクを確立次第)薬物送達デバイスアプリケーション9010aを使用して薬物送達デバイス9010と通信し得る。モバイルアプリ9010aは、モバイルデバイス9011に、薬物送達デバイス9010、センサ9011a及び9011b等の外的要素から受信された種々の情報、ならびに/または任意選択でクラウドサーバから受信されたデータを処理させるように、構成され得る。かかるデータの処理に基づいて、モバイルアプリ9010aは、モバイルデバイス9011が適切なデータを外的クラウドサーバ9011cに移送するようにし得る。モバイルアプリ10aはさらに、かかるデータの処理に基づいて、モバイルデバイス9011が使用者に対して適切な通知を表示するようにし得る。
一例において、使用者は、任意選択で、薬物送達デバイス9010との短距離無線接続を確立するために作動ボタン9010bを選択してもよい。一例において、作動ボタン9010bは、Bluetooth発見及びモバイルデバイス9011のためのペアリングプロセスを始動し得る。
さらに、薬物送達デバイス9010が作動され、モバイルデバイス9011と通信しているとき、モバイルアプリ9010aは、薬物送達デバイス9010から(通信装置90830を介して)、薬物送達デバイス9010の作動を示す通知を受信し得る。いくつかの例において、作動ボタン9010bはさらに、薬物送達過程の種々の機構を始動、変更及び/または終結させるように構成され得る。
いくつかの例において、薬物送達デバイスアプリ9010aは、薬物送達過程の種々の時間枠情報を集め、それを使用者に提供し得る。特に、一例において、タイマーボタン9010cの選択は、薬物送達過程に関連する種々のタイミング期間に関する情報を提供し得る。タイマーボタン9010cは、一例において、作動ボタン10bを選択するとトリガされ得る。一例において、タイマーボタン9010cの選択は、モバイルデバイス9011のクロックまたはストップウォッチアプリケーションを喚起し得る。
一例において、薬物送達デバイス9010の作動及びタイマー装置90812の始動時、使用者は、薬物送達の始動前の既定の待機時間枠に関する情報を集め得る。
任意選択で、薬物送達デバイスアプリ9010aは、アラーム通知を提供し得る。例えば、タイマーボタン9010cは、薬物送達過程の始動前にアラーム通知を提供するように構成され得る。一例において、使用者は、任意選択で、薬物送達過程前にアラーム通知を受信する頻度を指示し得る。タイマーボタン9010cは、薬物が使用者に送達されているときの送達時間枠を示すようにさらに構成され得る。
さらに、薬物送達デバイスアプリ9010aは、例えば、薬物送達デバイス9010から、情報を受信するように構成され得る。例えば、使用者は、薬物送達過程に関する通知を(例えば、薬物送達ポンプデバイス9010から)受信し、薬物送達過程関する情報を(例えば、クラウドサーバ9011cに)伝送するように、Tx/Rx通知及びデータボタン9010dを選択し得る。
一例において、Tx/Rxボタン9010dを選択すると、使用者は、薬物送達デバイス9010の作動、及び/または投薬終了通知等の、薬物送達過程に関する通知を見てもよい。
追加的に、使用者は、Tx/Rxボタン9010dを介して、薬物が送達された速度、送達過程の総計時間枠等の、薬物送達過程に関連するデータを見てもよい。一例において、使用者は、データ及び/または通知を関連する実体(例えば、医師、健康保険会社等)のクラウドサーバ9011cにさらに移送し得る。かかるシナリオにおいて、薬物送達デバイスアプリケーション9010aは、薬物送達デバイス9010から受信されるような情報を外的クラウドサーバ9011cに通信するように、モバイルデバイス9011の通信インターフェース(例えば、セルラー通信インターフェース)を喚起し得る。
一例において、モバイルアプリ9010aは、モバイルデバイスのローカルまたはその外部にある他のセンサから情報を収集し得る。例えば、モバイルアプリ9010aは、情報を無線心拍数速度センサ9011a、無線グルコース速度モニタ9011bから収集し、モバイルデバイス9011にかかる情報を処理させ得る。処理された情報に基づいて、モバイルアプリ9010aは、薬物の送達速度を決定し、薬物送達デバイス9010の送達速度情報及び作動入力についての指示を使用者に提供し得る。
薬物送達デバイス9010は、心拍数センサ9011a及び/またはグルコース速度モニタ9011bと無線通信し、受信された情報を処理して、薬物の薬物送達速度を決定し得ることが企図される。
図76Aに戻って参照すると、電力・制御システム90800は、機械的、電気機械的皮膚センサ、及び/または電気皮膚センサ、例えば、静電容量式皮膚センサ等の、オンボディセンサ90840を含み得る。一例において、オンボディセンサ90840は、ポンプデバイス9010が患者の皮膚と接触しているかどうかを検出するように構成され得る。この決定に基づいて、オンボディセンサは、適切な表示(例えば、信号)を制御装置90810に提供し得る。制御装置90810は次いで、薬物送達デバイス9010の種々の機能を制御し得る。例えば、制御装置90810は、ポンプデバイス9010が使用者の皮膚と接触しているときのみ、使用者に薬物の送達を始動するよう通知し得る。これは、電力・制御システムがオンボディセンサ90840から信号を受信するまで駆動制御システム90820が作動されてはならないため、薬物送達デバイス9010の安全性特徴であり得る。
一例において、オンボディセンサ90840は、機械的スイッチであり得、機械的オンボディセンサ90840の押し下げは、電力・制御システム90810、及び/または駆動制御システム90820の作動をトリガし得る。別の実施形態において、オンボディセンサは、静電容量式またはインピーダンス式皮膚センサであり得、電力・制御システム及び/または駆動制御システム90820は、オンボディセンサから信号を受信すると機能的となり得る。これらの概念は、相互排他的なものではなく、本開示の範囲内で1つ以上の組み合わせを利用して、例えば、薬物送達デバイス9010の時期尚早な作動を防止してもよい。好ましい実施形態において、薬物送達デバイス9010は、1つ以上の機械的オンボディセンサを利用する。追加の一体型安全性機構が、薬物送達デバイスの他の構成要素を参照して本明細書に記載される。
電力・制御システム90800は、任意選択で、1つ以上の温度センサ90880を含み得る。温度センサ90880は、薬物または薬物容器9050の近くに好適に位置付けられ、薬物の温度を検出するように構成され得る。温度センサは、熱電対またはサーミスタ(すなわち、温度により抵抗性が大きく変動する抵抗器)であり得、制御装置90810に電気的に連結され得る。制御装置90810は、温度センサ90880から受信される検出された温度情報を処理して、薬物送達デバイス9010の種々の動作を制御し得る。一例において、薬物の検出された温度に基づいて、制御装置90810は、既定の時間が経過する前または経過した後に薬物の送達を始動するよう使用者に通知し得る。かかるシナリオにおいて、制御装置90810は、薬物送達に関連する所定の待機期間をオーバーライドするように構成され得る。
電力・制御システム90800は、薬物送達デバイス9010の種々の電気構成要素に電力を提供する、電池(図示されず)等の電源を含み得る。
さらに、入力/出力電気機械的装置90850は、作動ボタン、例えば、ピエゾアラーム等の可聴アラーム及び/または発光ダイオード(LED)等の光インジケータを含み得る。
一実施形態において、電力・制御システム90800の制御装置90810は、機械的オンボディセンサ9024または電気及び/または電気機械的オンボディセンサ90840とインターフェース接続して、デバイスが使用者及び/または作動機構と接触しているときを特定して、薬物送達デバイスが作動されているときを特定する。
電力・制御システム90800は、1つ以上の相互接続を通して駆動制御システム90820とインターフェース接続し、それを制御して、作動、薬物送達、及び投薬終了等のステータス表示を中継し、駆動制御システムからステータスフィードバックを受信する。ステータス表示またはステータスフィードバックは、I/O装置90850を介して、かかる聴覚トーンもしくは可聴アラーム、及び/または視覚インジケータを介して、例えばLEDにより、使用者に提示され得る。
一実施形態において、電力・制御システム90800と薬物制御システム90820の他の構成要素との間の制御インターフェースは、使用者が(例えば、作動ボタンを介して)作動させるまで係合または接続されない。これは、薬物送達デバイスの偶発的な操作を防止し、さらに、貯蔵、輸送等の間に電池を維持し、節約し得る、望ましい安全性特徴である。
一実装形態において、(例えば、I/O装置90850の作動ボタンを介して)作動薬物送達デバイス9010を作動させると、駆動制御システム90820の多機能駆動機構90100が作動されて、流体通路を使用者の中に挿入することと、薬物容器、流体通路、及び滅菌流体導管の間の必要な接続を有効化する、接続する、または開通させることと、薬物容器に格納された薬物流体を、使用者の中への送達のために流体通路及び流体導管に押し通すこととを行う。少なくとも1つの実施形態において、使用者への薬物流体のかかる送達は、制御された様態で(例えば、流速制御サブシステム90825を介して)駆動制御システムによって行われる。
図76Bは、薬物送達デバイス9010の種々の機械的及び電気機械的構成要素駆動し、制御するように構成され得る、例示的な駆動制御システム90820を例証する。電力・制御システム90800の1つ以上の構成要素(例えば、制御装置90810)が、駆動制御システム90820とインターフェース接続し、薬物送達デバイス9010の種々の要素を駆動するようアクチュエータ/モータ90101に指示し得る。
いくつかの実施形態において、制御装置90810は、モータ90101、及び駆動制御システム90820の任意の他の要素に電気的に連結され、それと通信するように構成されている。
いくつかの例において、駆動制御システム90820は、任意選択で、容器9050内の圧力の情報を提供するように構成され得る圧力センサ90870(図示されず)、テザー90525のステータス情報を提供するように構成され得るテザーセンサ90875(図示されず)、及び容器上に提供され得る弁(図示されず)のステータス情報を提供するように構成され得る弁センサ90877(図示されず)等であるがこれらに限定されない、種々のセンサを含み得る。センサ90870、90875及び90877は、電気及び/または電気機械的構成要素であり得、それぞれのセンサに対応するステータス信号を提供することによって制御装置90810と通信し得る。制御装置90810は、かかる信号を処理して、モータ90101を介して種々のサブシステムの制御を実行及び/またはその実行を遅延させ得る。
一例において、駆動制御システム90820は、任意選択で、タイマー装置90860を含む。タイマー装置90860は、制御装置90810に連結されたデジタルクロックであり得る。一例において、タイマー装置90860は、制御装置90810に含まれ得る。いくつかの例において、タイマー装置90860は、タイマー装置90812と同じであり得る。
駆動制御システムは、アクチュエータまたはモータ90101を含み得る。アクチュエータ90101は、例えば、ソレノイド、ステッパモータ、または回転式駆動モータを含む、いくつかの電力/運動源であり得る。一実施形態において、アクチュエータ90101は、主/星形歯車90102の歯に対応するノッチを有する回転式ステッパモータである。一般に、かかる回転式ステッパモータは、「Pac-Man」モータと称され得る。
いくつかの実施形態において(図69A~73Dを参照されたい)、アクチュエータ90101は、主/星形歯車90102と垂直に整列し、かつそれと直接係合している。機械技術分野における当業者であれば容易に理解され得るように、アクチュエータ90101は、水平に整列するように修正されてもよい。加えてまたは代替的に、アクチュエータ90101は、図75を参照して下記に考察されるように、主/星形歯車90102と間接的に係合するように修正されてもよい。
図76Cを参照すると、駆動制御システム90820は、薬物送達デバイス9010の複数の駆動機構を制御し得る。一例において、駆動制御システムは、駆動機構またはサブシステム90100を制御して、NIMまたはサブシステム90200を制御し、SFPC90300を確立し、さらに薬物送達デバイス9010の調節機構90200を制御し得る。
一例において、針挿入機構90200の始動時間、流体通路接続子90300を確立する時間、及び薬物の薬物送達速度は、外部センサ(例えば、グルコース速度、心拍数等)から電力・制御システムによって受信された種々の入力値に基づいて、電力・制御システム90800によって決定され得る。電力・制御システム90800は次いで、適切なコマンド信号及び情報(例えば、送達速度情報)を駆動制御システム90820に伝送し得る。
さらに、駆動制御システム90820の記憶装置90865、及び/または記憶装置90813は、ルックアップテーブル及び/またはデータベースに、歯車アセンブリの比率情報(例えば、歯車アセンブリ90516の比率)、歯車の回転速度情報(例えば、主星形歯車90102の回転速度)、及び歯車及びドラムの直径情報等の、予めプログラムされた構成及び設定情報を記憶し得る。このようにして、送達速度情報を受信すると、制御装置90810は、記憶装置90865または記憶装置90813に問い合わせて、ルックアップテーブルまたはデータベースから歯車アセンブリ及びモータの適切な構成を特定及び選択し得る。この選択に基づいて、制御装置90810は、モータ90101を駆動して、薬物を所望の速度で送達するように駆動機構90100、NIM機構90200及び調節機構90500を制御し得る。
さらに、駆動制御システム90820は、電力・制御システム90810と相互作用し、既定の時間後に薬物送達デバイス9010の種々の駆動機構を制御することのコマンド信号を受信し得る。
例えば、駆動制御システム90820は、コマンド信号及びタイミング情報を受信して、既定の時間後に駆動機構を制御または始動し得る。この例において、制御装置90810は、タイマー装置90860またはタイマー装置90812に問い合わせて、駆動機構の作動の始動時間を決定し得る。決定後、制御装置90810は、下記で考察されるように駆動機構を制御することによって既定の時間後に薬物送達過程を始動するようアクチュエータ/モータ90101に命令し得る。
薬物送達の始動後、制御装置90810は、タイマー装置90860またはタイマー装置90812にさらに問い合わせて、既定の時間で薬物送達を完了し得る。電力・制御システム90800は、タイミング期間を決定し得、薬物送達過程の前、その最中、及びその後に、薬物送達過程を制御することのコマンド信号を駆動制御システム90820に送信し得る。
駆動機構90100、挿入機構90200、流体通路接続子90300及び調節機構90500が、駆動制御システム90820によって、電力・制御システム90810によって設定されたタイミング期間に基づいて同時に、順次に及び/または非順次に制御され得ることに留意する。
いくつかの例において、駆動制御システム90820は、駆動機構90100を介して挿入機構またはサブシステム90200を駆動または制御し得る。挿入機構90200の制御は、既定の待機時間枠または遅延時間枠に基づいて、電力・制御システム90810によって直接、または駆動制御システム90820によってのいずれかで行われ得る。
一例において、駆動制御システム90820は、使用者への薬物送達のための流体通路接続子を同時に提供するように挿入機構90200をさらに制御し得る。
代替的に、駆動制御システム90820は、滅菌流体通路を薬物容器に接続することによって、滅菌流体通路接続子90300を別個に(かつ挿入機構90200の前または後に)確立して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体の流れを許容し得る。挿入機構90200の制御の詳細が下記に考察される。
XIII.A.挿入機構:
いくつかの挿入機構が、患者の体内への針挿入を作動させるために本開示の薬物送達デバイス内で利用され得る。本開示のポンプ式送達デバイスは、例えば、任意の好適な中空チューブを通して、流体流連通によって患者または使用者に接続され得る。固形針を用いて、患者の皮膚を穿通し、中空カニューレを適切な送達位置に定置してもよく、固形針は、患者への薬物送達の前に取り外されるかまたは後退される。流体は、自動的に挿入された針、カニューレ、微小針アレイ、または輸液セットチューブを含むがこれらに限定されない任意の数の手段を通して身体内に誘導され得る。
一例において、電力・制御システム90800の制御装置90810は、作動入力を受信して、薬物送達デバイス9010を始動し得る。既定の時間後、またはオンボディセンサ90840が使用者の皮膚部分を感知しているとの決定後、電力・制御システム90800は、駆動制御システム90820にNIM90200を始動するよう指示し得る。待機時間枠後、制御装置90810は、1つ以上の偏倚部材を起動して、針挿入機構またはサブシステム90200を始動し得る。例えば、ばね等の偏倚部材がモータ90101によって起動されて、針及びカニューレを患者の皮膚に穿通させるために十分な力を提供し得る。同じばね、追加のばね、または別の同様の機構を利用して、針を患者から後退させることができる。
一実施形態において、電力・制御システム90800及び/または駆動制御システム90820は、国際特許出願第PCT/US2012/53174号に記載されるように、挿入機構90200を起動し得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。かかる構成は、患者への痛みを最小限に抑える方法で患者の皮膚(または筋肉)内またはその下への薬物送達通路の挿入のために利用されてもよい。流体通路の挿入のための他の既知の方法が利用されてもよく、本開示の範囲内であることが企図され、これには、本開示の譲受人によって開発された剛性針挿入機構及び/または回転式針挿入機構が含まれる。
少なくとも1つの実施形態において、挿入機構90200は、1つ以上のロックアウト窓、ならびにアセンブリプラットフォーム及び/またはポンプハウジングへの接続のための基部を有する挿入機構ハウジングを含む(図69B及び図69Cに示されるように)。アセンブリプラットフォーム9020への基部の接続は、例えば、基部の底部がアセンブリプラットフォーム内の穴を通過することが許容されて、使用者の身体への基部の直接的な接触を許容するようなものであり得る。かかる構成において、基部の底部は、薬物送達デバイス9010の使用前に取り外し可能な封止膜を含み得る。挿入機構は、1つ以上の挿入偏倚部材、針、後退偏倚部材、カニューレ、及びマニホールドをさらに含み得る。マニホールドは、滅菌流体導管9030に接続して、薬物送達中に、マニホールド、カニューレを通り、かつ使用者の身体への流体流を許容し得る。
本明細書で使用されるとき、「針」は、剛性中空針等の従来の中空針、及びより一般的には「トロカール」と称される中実針を含むがこれらに限定されない様々な針を指すことを意図する。好ましい実施形態において、針は、9027ゲージの中実トロカールであり、他の実施形態において、針は、意図する薬物及び薬物投与(例えば、皮下、筋肉内、皮内等)の種類のための、カニューレを挿入するために好適な任意のサイズの針であり得る。針挿入機構内で滅菌ブーツが利用されてもよい。滅菌ブーツは、近位端においてマニホールドと、かつ遠位端において基部と固定係合している折り畳み式滅菌膜である。少なくとも一実施形態において、滅菌ブーツは、基部と挿入機構ハウジングとの間で遠位端における固定係合に維持される。基部は、以下にさらに記載されるように、挿入機構の動作中に針及びカニューレがそれを通って通過し得る基部開口を含む。カニューレ及び針の滅菌性は、挿入機構の滅菌部分内でのそれらの初期位置付けによって維持される。具体的には、上述のように、針及びカニューレは、マニホールド及び滅菌ブーツの滅菌環境において維持される。基部の基部開口は、例えば封止膜(不可視)によって、非滅菌環境からも閉鎖され得る。
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、挿入機構は初めに、挿入機構ハウジングのロックアウト窓内に初めに位置付けられたロックアウトピン(複数可)によって即時使用可能な段階に係止されている。この初期構成において、挿入偏倚部材及び後退偏倚部材は、それらの圧縮された付勢状態に各々保持されている。一例において、電力・制御システム90800は、コマンド信号を駆動制御システム90820に送信して、待機時間枠後に針挿入機構90200を始動し得る。コマンド信号を受信すると、アクチュエータ90101は、引張、押圧、摺動、及び/または回転等、ロックアウトピン(複数可)の変位を引き起こし得る。これは、挿入偏倚部材がその初期の圧縮された付勢状態から圧縮解除されることを引き起こし得る。特に、挿入偏倚部材のこの圧縮解除は、任意選択で、針及びカニューレを使用者の身体内に駆動する。挿入段階の終わりに、または(多機能駆動機構90100及び/または調節機構90500によってトリガされる)薬物送達の終わりに、後退偏倚部材は、その初期の付勢状態から近位方向に拡張することが許容される。後退偏倚部材の近位方向におけるこの軸方向拡張は、針を後退させる。インサータ針/トロカール及びカニューレ構成が利用される場合、カニューレを使用者の身体と流体連通に維持しながら、針の後退が生じ得る。したがって、挿入機構を用いて、針及びカニューレを使用者内に挿入し、その後、カニューレを使用者の身体への薬物送達のための位置に保持しながら、針を後退させてもよい。
下記でさらに考察されるように、いくつかの例において、電力・制御システム90800及び/または駆動制御システム90820は、多機能駆動機構90100を介して針挿入機構90200を制御し得る。追加的に、電力・制御システム90800及び/または駆動制御システム90820は、駆動機構90100及び調節機構90500を介して、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し得る(それによって可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達する)。
図70A~70D及び71A~71Dに戻って参照すると、多機能駆動機構90100は、針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供する工程、及び滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容する工程を同時にまたは連続的に実施し得る。
少なくとも1つの実施形態において、図70A~70D及び71A~71Dに示されるように、制御装置90810は、駆動制御システム90820のアクチュエータ90101の運動を始動し得、それが多機能駆動機構90100の主/星形歯車90102の回転を引き起こし得る。主/星形歯車90102は、態様90102A及び90102B(図72を参照されたい)を有する複合歯車として示される。一例において、主/星形歯車90102は、歯車アセンブリ90516を通して調節機構90500に運動を伝える。
別の例において、主/星形歯車90102は、歯車90112を通して針挿入機構90200に運動を伝える。主/星形歯車90102によって歯車90112が回転させられると、上に詳細に記載されるように、歯車90112は針挿入機構90200に係合して、流体通路接続子を使用者の中へと始動させる。1つの特定の実施形態において、針挿入機構90200は、回転式針挿入機構である。したがって、歯車90112は、針挿入機構90200の対応する歯車表面90208に係合するように構成されている(図70A及び71Bを参照されたい)。歯車90112の回転は、駆動機構90100の歯車90112と針挿入機構90200の対応する歯車表面90208との間の歯車の相互作用を通して針挿入機構90200の回転を引き起こす。いったん針挿入機構90200の好適な回転、例えば、図70B~70Cに示される軸「R」に沿った回転が生じると、上に詳細に記載されるように、針挿入機構が始動されて、使用者への流体通路接続子を生み出す。
代替的な実施形態において、図75Aに示されるように、挿入機構90200は、最初は付勢状態に保持されている、回転して偏倚された部材90210を含む。一例において、回転方向に偏倚された部材は、ねじりばねである。駆動制御システム90820は、1つ以上の構成要素多機能駆動機構90100、挿入機構90200及び/または調節機構90500を起動して、回転偏倚部材90210の回転を防止及び/または制御し得る。
歯車90112は、針挿入機構90200と接触または遮断する制御アーム90202(図75Bにおいて見ることができる)の対応する歯車表面に係合するように構成され得る。歯車90112の回転は、制御アーム90202の移動を引き起こし、これは、針挿入機構90200の回転を始動または許容し得る。
さらに、回転偏倚部材は、制御アームの遮断態様等の、薬物送達デバイスの回転防止特徴との挿入機構の構成要素の接触によって付勢解除することを防止され得る。回転偏倚部材90210は、歯車90112との歯車表面90208の相互作用によって付勢解除することを防止され得る。
一例において、少なくとも回転偏倚部材90210の回転の防止は、オンボディ感知の前に実施され得ることが企図される。このようにして、オンボディセンサ90840が使用者の皮膚部分を感知する、かつ/または電力・制御システム90800が(例えば、作動ボタンを介した)薬物送達の始動のための入力及び/もしくは針挿入のための入力を受信するとき、電力・制御システム90800は、回転方向に偏倚された部材90210が、少なくとも部分的に、付勢解除することを許容するよう駆動制御システム90820に命令し得る。これは挿入機構90200、駆動制御機構90100及び/または調節機構90500の1つ以上の構成要素の回転を引き起こし得、これは次いで、患者内への針の挿入を引き起こすか、またはそれを可能にする。さらに、カニューレが、上述のように患者内に挿入され得る。
下記に詳述されるように、薬物の送達中、駆動制御システム90820、駆動機構100及び調節機構90500の間の相互作用に基づいて、挿入機構は、さらに制御され得る。例えば、駆動制御システム90820の制御アームまたは別の構成要素がテザーにおけるたるみを認識する場合、回転方向に偏倚された部材は、さらに付勢解除されることを許容されて、挿入機構90200の1つ以上の構成要素の追加の回転を引き起こし得る。
この回転は、駆動制御システム90820が、針を患者から後退させるか、それを可能にさせ得る。針は、単一の工程で完全に後退してもよく、または複数の後退工程があってもよい。
少なくとも1つの実施形態において、針挿入機構90200は、上に詳述されるように、回転軸「R」(図70B~70Cに示される)上の特定の角度の回転が針/トロカールの後退を可能にするように構成され得る。加えてまたは代替的に、かかる針/トロカールの後退は、使用者の活動時または薬物送達デバイスの別の構成要素の移動もしくは機能時に生じるように構成され得る。少なくとも1つの実施形態において、針/トロカール後退は、例えば、上述のように、調節機構90500及び/またはセンサ(例えば、テザーセンサ、圧力センサ等)のうちの1つ以上によってトリガされる、薬物送達の終了時に生じるように構成され得る。これらの操作段階の間、薬物チャンバ9021からの流体物質の送達は、偏倚部材90122の、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって始動され、進行中であり、かつ/または完了され得る。
加えてまたは代替的に、駆動制御システム90820は、以下に記載されるように、滅菌流体接続サブシステム90300を確立するために針挿入機構90200に直接係合し得る。
XIII.B.流体通路接続子:
電力・制御システム90800及び/または駆動制御システム90820は、流体通路接続子を有効化するために、滅菌流体導管を薬物容器に接続することによって流体通路接続子またはサブシステム90300をさらに確立し得る。
流体通路接続子90300の確立は、待機時間枠の前、その最中、またはその後に行われ得る。追加的に、通路接続90300は、挿入機構90200の起動の前、またはその最中に確立され得る。いくつかの実施形態において、電力・制御システム90800は、多機能駆動機構90100、及び/または針挿入機構もしくはサブシステム90200等の他のサブシステムのうちの1つを介して、流体通路接続子90300の確立を引き起こし得る。一般に、好適流体通路接続子は、滅菌流体導管、穿通部材、及び薬物容器に取り付けられた滅菌スリーブまたは薬物容器内に一体化された摺動型の穿通可能なシールを含む。流体通路接続子は、1つ以上の流れ制限部をさらに含み得る。送達デバイス9010の適切な作動時に、流体通路接続子90300は、滅菌流体導管9030を駆動機構90100の薬物容器に接続するように有効化される。かかる接続は、駆動機構90100の薬物容器の穿通可能なシールを突き通す、針等の穿通部材によって容易にされる。この接続の滅菌性は、可撓性滅菌スリーブ内で接続を行うことによって維持され得る。挿入機構90200の実質的に同時の作動時に、薬物容器と挿入機構との間の流体通路が完成して、使用者の身体内への薬物送達を許容する。かかる一実施形態において、流体通路接続子は、国際特許出願第PCT/US2012/054861号に記載されるものと実質的に同様であり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。かかる実施形態において、圧縮性の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップと流体通路接続子の接続ハブとの間に固定的に取り付けられてもよい。穿通部材は、流体接続通路と薬物容器との間の接続が所望されるまで、滅菌スリーブ内に常在し得る。滅菌スリーブは、作動前の穿通部材及び流体通路の滅菌性を保証するために滅菌され得る。
代替的に、流体通路接続子は、例えば、国際特許出願第PCT/US2013/030478号または同第PCT/US2014/052329号に記載されるように、薬物容器の中に一体化され得、同特許出願は、参照によりそらの全体が全目的で本明細書に組み込まれる。
かかる実施形態によれば、薬物容器9050は、穿通可能なシール(図示されず)とプランジャシール9060との間でバレル内に薬物チャンバ9021を有し得る。薬物流体は、薬物チャンバ9021に収容される。使用者によるデバイスの作動時に、駆動機構(例えば、多機能駆動機構90100)は、薬物容器に収容されているプランジャシール9060に力を及ぼす。プランジャシール9060が薬物流体及びいずれの空気/ガスの間隙または気泡に力を及ぼすとき、空気/ガスの圧縮によって空気圧及び液圧の組み合わせが蓄積し、薬物流体及び力が、摺動型の穿通可能なシールに引き継がれる。穿通可能なシールは、キャップ9052の方へ摺動させられて、一体型の滅菌流体通路接続子内に保持された穿通部材によって穿通されることになる。したがって、一体型の滅菌流体通路接続子は、駆動機構90100の作動によって生み出された、薬物チャンバ内の空気/ガス及び薬物流体の空気圧/液圧の組み合わせた力によって接続される(すなわち、流体通路が開通される)。いったん一体型の滅菌流体通路接続子が接続または開通されると、薬物流体は、薬物容器9050から、一体型の滅菌流体通路接続子90300、滅菌流体導管9030、及び挿入機構90200を通り、そして使用者の体内へと薬物送達のために流れることを許容される。少なくとも1つの実施形態において、流体は、マニホールドならびに挿入機構のカニューレ及び/または針のみを通って流れ、それによって、薬物送達前及び送達中に流体通路の滅菌性を維持する。
一実施形態において、電力・制御システム90800は、滅菌流体通路サブシステムまたは接続部90300を確立するかまたはそれを作動させるよう駆動制御システム90820に命令し得る。例えば、接続90300は、多機能駆動機構90100によって作動または制御され得る針挿入機構90200を介して確立され得る。
加えてまたは代替的に、滅菌流体通路接続子90300は、多機能駆動機構90100によって直接始動され得る。例えば、制御装置90810は、電力・制御システム90800によって提供される種々の既定の時間(例えば、待機時間枠、薬物送達期間)に基づいて、(a)薬物送達の速度を制御する、(b)針挿入機構90200を起動する、及び/または(c)滅菌流体通路接続子90300を始動するために同時にまたは順次に動作し得る、本明細書に詳述される星形歯車90102等の回転歯車を起動するようモータ90101に命令し得る。
図69A~69Cに示される一実施形態において、多機能駆動機構90100は、これらの工程の全てを実質的に同時に実施する。その実施形態において、駆動制御システム90820は、多機能駆動機構90100が、いくつかの他の構成要素(例えば、他の歯車アセンブリ)に対して作用する歯車(例えば、星形歯車90102)を回転させるようにする。例えば、歯車は、針挿入機構90200と接触して流体通路接続子90200を使用者へと誘導もしながら、歯車アセンブリに作用して、薬物送達速度を制御する。針挿入機構90200が始動されるとき、滅菌流体の接続が形成されて、多機能駆動機構の歯車及び歯車アセンブリが薬物送達の速度を制御しながら、患者の中への送達のために薬物容器9050から、流体導管9030を通した、針挿入機構90200の中への薬物流体の流れを許容する。
薬物送達デバイス9010が、確立された滅菌流体通路サブシステムまたは接続部90300を介して、異なる粘度及び体積を有する様々な薬物を送達するように構成されていることが理解されよう。さらに、薬物送達デバイス9010は、制御された流速(速度)で及び/または指定の体積の薬物を送達する。一実施形態において、薬物送達過程は、流体通路接続子及び/または滅菌流体導管内で1つ以上の流れ制限部(図示されず)によって制御される。他の実施形態において、他の流速が、流体流路または送達導管の幾何形状を変化させることによって提供されてもよい。
図70A~70D及び71A~71Dに示されるように、この様態での針挿入機構90200の回転はまた、滅菌流体通路の薬物容器への接続をもたらして、使用者への送達のための薬物容器から挿入機構への流体流を許容し得る。かかる例において、制御装置90810は、(a)駆動機構90100、(b)針挿入機構200、及び(c)滅菌流体通路接続子90300に命令し、それらを制御し得る。例えば、針挿入機構90200の傾斜態様90222は、滅菌流体通路接続子90300の可動接続ハブ90322上に支えられるようにされる。(制御装置90810のコマンドに基づいて)多機能駆動機構90100によって針挿入機構90200が回転させられると、針挿入機構90200のランプ機構90222は、滅菌流体通路接続子90300の可動接続ハブ90322に係合し、かつそれを平行移動させて、その内部の流体接続を容易にする。かかる平行移動は、例えば、図70B及び71Bに示される軸「C」に沿った中空矢印の方向に生じ得る。
さらに、薬物送達デバイス9010は、薬物の流速を制御し得る。一例において、流速は、駆動制御システム90820(例えば、駆動制御システムのモータ)によって、駆動機構90100の1つ以上の構成要素が薬物容器9050の中へと前進して薬物を分注する速度を変動させることによって制御され得る。異なる流速制御方法の組み合わせを実装して、滅菌流体通路接続子90300を介した薬物の流れを制御し得ることに留意する。
電力・制御システム90800(例えば、制御装置90810)は、下記で考察されるように多機能駆動機構90100を介して流速制御サブシステムまたは調節機構90500を制御することのコマンド信号を駆動制御システム90820に送信し得る。駆動制御システム90820によって制御される薬物送達の速度は、歯車アセンブリ90516の歯車比の選択、主/星形歯車90102の選択、巻胴/歯車90520の直径の選択、主/星形歯車90102の回転速度を制御するようアクチュエータ90101に命令することによってかかる要素をさらに駆動すること、または当業者に既知である任意の他の方法によって決定され得る。電気機械的アクチュエータ90101を使用して主/星形歯車90102の回転速度を制御及び調整することによって、可変の投薬速度を提供する(すなわち、薬物送達の速度が治療中に変動する)ように薬物送達デバイス9010を構成することが可能であり得る。
追加的に、駆動制御システム90820は、調節機構またはサブシステム90500を制御し得、これには、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することが含まれ得る。
図70A~70D及び71A~71Dに示される実施形態を参照すると、電力・制御システム90820は、モータ90101を介して駆動機構90100を制御し得る。駆動機構90100は、主歯車90102を含む歯車アセンブリ90110、駆動ハウジング130、ならびにキャップ9052、穿通可能なシール(不可視)、バレル9058、及びプランジャシール9060を有する薬物容器9050を含み得る。主歯車90102は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシール9060との間でバレル9058内に位置する薬物チャンバ9021は、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。本明細書に記載のシールは、いくつかの材料から構成され得るが、好ましい実施形態において、1つ以上のエラストマーまたはゴムから構成されている。駆動機構90100は、本明細書にさらに記載されるように、1つ以上の駆動偏倚部材、1つ以上の解放機構、及び1つ以上のガイドをさらに含み得る。駆動機構90100の構成要素は、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通る、かつ使用者の身体内への送達のために、穿通可能なシールを通して、または好ましくは流体通路接続子90300の穿通部材を通して流体を薬物容器から押し出すように機能する。
1つの特定の実施形態において、駆動機構90100は、1つ以上の圧縮ばねを駆動偏倚部材(複数可)90122として用いる。かかる実施形態において、使用者により(例えば、作動ボタンを介して)薬物送達デバイスが作動されると、電力・制御システムが起動されて、駆動偏倚部材90122を付勢状態から直接または間接的に(及び電気機械的に)解放するように構成され得る。解放されると、駆動偏倚部材90122は、プランジャシールに対して重みをかけ、かつそれに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。圧縮ばねは、ピストンに対して重みをかけ、かつそれに作用し、これは次いで、プランジャシール9060に作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。一例において、1つ以上の駆動偏倚部材90122が、駆動ハウジング90130とピストン90110との間で圧縮され得、この駆動偏倚部材90122は、ピストンのインターフェース表面90110C上に重みをかけ得る。
任意選択で、例えば、駆動偏倚部材90122からピストン90110への力の均等な分配を促すため、駆動偏倚部材90122の座屈を防止するため、かつ/または偏倚部材90122を使用者の視界から隠すために、被覆スリーブ(図示せず)が駆動偏倚部材90122とピストン90110のインターフェース表面90110Cとの間に利用されてもよい。ピストン90110のインターフェース表面90110Cは、シール9060の近位端に実質的に隣接して、またはそれと接触して静止させられる。図70A~70D及び71A~71Dに示される実施形態は、単数の偏倚部材を示しているものの、並行して作用するように配置された1つ以上の偏倚部材が使用され得ることも企図される。
下記でさらに考察されるように、いくつかの実施形態において、駆動制御システム90820及び/または電力・制御システム90800は、駆動機構90100、挿入機構90200及び調節機構90500を介して薬物の送達速度を制御し得る。
図70D及び図71Dに最も良好に示されるように、ピストン90110は、2つの構成要素90110A及び90110Bから構成され、プランジャシール9060に接触するためのインターフェース表面90110Cを有し得る。
さらに、テザー、リボン、紐、または他の保持ストラップ(本明細書において「テザー」90525と称される)は、一方の端部においてピストン90110A、90110Bに接続され得る。例えば、テザー90525は、組み立てられたときのピストン90110A、90110Bの2つの構成要素の間の保持によって、ピストン90110A、90110Bに接続され得る。テザー90525は、別の端部において調節制御機構90500のウィンチドラム/歯車90520に接続されている。テザー90525の一方の端部に接続されたウィンチドラム/歯車90520、及び別の端部においてピストン90110A、90110Bに接続されたテザー90525の使用を通して、調節機構90500は、原薬を薬物容器9050から押し出すために利用されるピストン90110A、90110B及びプランジャシール9060の自在な軸方向平行移動を制御するか、それを計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止するように機能する。
したがって、電力・制御システム90800は、多機能駆動機構の態様の歯車アセンブリ90116の一部分であり得、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御するために一緒に機能し得る、調節サブシステムまたは機構90500を制御し得る。
図76Cを参照して、電力・制御システムは、駆動制御システム90820を介して、調節機構500を(例えば、駆動制御機構90100を介して)制御し得る。例えば、制御装置90810は、モータ90101及び歯車アセンブリに適切な構成を選択することによって、調節機構90500の種々の歯車アセンブリ(例えば、歯車アセンブリ90516)を駆動するために、アクチュエータまたはPac-Manモータ90101を駆動し得る。さらに、調節機構の駆動は、本明細書で考察されるように、時間制御され得る。
図70A~70D及び71A~71Dに示されるように、かつ図72及び73A~73Bに分離して示されるように、本開示の実施形態において、調節機構90500は、アクチュエータ90101によって駆動される歯車アセンブリである。さらに、コマンド信号を制御装置90810から受信すると、モータ90101は、テザー90525の分配を遅延させるかまたは抑制して、テザー90525が調節された速度または所望の速度で前進することを可能にするように、調節機構90500を制御し得る。これは、1つ以上の偏倚部材90122によって押圧されているバレル9058内でのピストン90110の移動を制限し、よって、プランジャシール9060の移動及びチャンバ9021に入っている薬物の送達を制御する。プランジャシール9060が薬物容器9050内に前進すると、原薬は、薬物送達のために、滅菌通路接続90300、導管9030、挿入機構90200を通り、かつ使用者の体内へと分注される。一例において、テザー90525の調節された運動は、電力・制御システム90800の制御装置90810にステータスフィードバックを提供し得る、任意選択的なテザーセンサ90875によって監視され得る。制御装置90810は、テザー90525の調節された運動のフィードバックステータス情報を処理して、調節機構90500をさらに制御し得る。
上記で考察したように、少なくとも1つの実施形態において、モータ90101は、薬物送達ポンプデバイス9010の動作中に主歯車の1つ以上の歯がその内部に部分的に常在し得る、歯車インターフェースを有するPac-Manモータであり得る。Pac-Manモータの動作は、制御装置90810によって制御され得る。(図73A~73Bを参照されたい)。
一例において、Pac-Manモータ90101の歯車インターフェース90101Aが主歯車90102の歯90102Aと整列しているとき、Pac-Manモータ90101の回転運動は、主歯車90102の歯車インターフェース回転を引き起こす。Pac-Manモータ90101が主歯車の歯の間にあるとき、例えば、歯車アセンブリ90116のバックスピンまたは巻き戻しのための抵抗として作用し得る。1つの特定の実施形態において、Pac-Manモータ90101は、Pac-Manモータ90101を逆方向及び順方向に回転させるために、交番方向型のモータを利用する。この構成は、モータの多方向を使用して、(暴走状態のために必要とされるであろう)一方向における連続スピンを防止することによって、モータ及び歯車が回転することを自在に許容されている暴走状態の防止を補助する。Pac-Manモータ内の歯車インターフェースの切れ目の使用と連結されたモータのこの二方向の動きは、使用者への薬物の過剰送達につながる可能性がある暴走状態を防止するために好適な安全性特徴を提供する。歯車アセンブリ90116、調節機構90500、及び多機能駆動機構90100についてのさらなる詳細は、本明細書に提供される。図73A~73Bに示される特定の実施形態において、調節機構90500は、歯車アセンブリ90516の1つ以上の歯車90511、90512、90513、90514をさらに含む。歯車90511、90512、90513、90514のうちの1つ以上は、例えば、大径歯車に共有中心点で取り付けられた小径歯車を有する複合歯車であり得る。歯車90513は、例えば、位置決めされたシャフトによってウィンチドラム/歯車90520に回転式に連結され得、それによって、歯車アセンブリ90516の回転をウィンチドラム/歯車90520に連結し得る。複合歯車90512は、複合歯車態様90512Bの回転移動が歯車の係合によって(例えば、対応する歯車の歯の係合によって)歯車90513へと伝達されるように、小径歯車90513に係合する。その回転が歯車態様90512Bに連結している複合歯車態様90512Aは、主/星形歯車90102の複合歯車態様102Bの作用によって回転させられる。その回転が主/星形歯車90102に連結している複合歯車態様90102Bは、主/星形歯車90102Aとアクチュエータ90101のインターフェース90101Aとの間の相互作用によって回転させられる。故に、主/星形歯車90102の回転は、ウィンチドラム/歯車90520に伝達される。したがって、(駆動制御システム90820の)アクチュエータ90101によって始動された歯車アセンブリ90516の回転はウィンチドラム/歯車90520に連結され(すなわち、歯車アセンブリ90516を通して)、それによって、テザー90525の分配、及びバレル9058内でのプランジャシール9060の移動の速度を制御して、流体を薬物チャンバ9021から押し出し得る。ウィンチドラム/歯車90520の回転移動、及び故にピストン90110及びプランジャシール9060の軸方向平行移動は、本明細書に記載されるように、調節要素90500の他の構成要素による自在な軸方向平行移動を計測、制限、または別様に防止される。上述のように、アクチュエータ90101は、モータ(例えば、DCモータ、ACモータ、ステッパモータ)またはソレノイド(例えば、リニアソレノイド、回転ソレノイド)を含むいくつかの既知の電力/運動源であり得る。
上記で考察したように、図75A~75Bに示される実施形態は、制御装置90810によって駆動され、主/星形歯車90102と水平に整列し、かつそれと間接的に係合しているアクチュエータ90101を示す。かかる実施形態は、モータの運動の方向を水平から垂直(すなわち、垂直相互作用)に変えるために、図75A~75Bに示されるように、ラック及びピニオン係合、駆動ねじ、またはウォーム歯車90101Wを利用してもよい。アクチュエータ90101は(制御装置90810から受信されたコマンド信号に基づいて)、ウォーム歯車90101Wを回転させ、ウォーム歯車は、歯車90101Gに係合し、その運動をPac-Man歯車90101Aに伝達する。Pac-Man歯車90101Aは、主/星形歯車90102に係合して、本明細書に記載されるように、駆動機構及び薬物送達デバイスの操作を可能にする。
制御装置90810は、モータ90101を介して主星形歯車90102を制御する。主星形歯車90102は次いで、他の歯車アセンブリを駆動し得る。例えば、主/星形歯車90102は、歯車90112を駆動して、本明細書に記載されるように、針挿入機構90200の操作を可能にし得る。
一実施形態において、制御装置90810は、ウォーム歯車90101W、歯車90101G、及びPac-Man歯車90101Aを逆方向及び順方向に回転させるようにコマンド信号を提供する。この構成は、モータの多方向を使用して、(暴走状態のために必要とされるであろう)一方向における連続スピンを防止することによって、モータ及び歯車が回転することを自在に許容されている暴走状態の防止を補助する。主/星形歯車90102と共に、ウォーム歯車90101W、歯車90101G、及びPac-Man歯車90101Aの歯車インターフェースの使用と連結されたアクチュエータ90101のこの二方向の動きは、使用者への薬物の過剰送達につながる可能性がある暴走状態を防止するために好適な安全性特徴を提供する。
追加的に、モータ90101は、停止ブロック90150に対してPac-Man歯車90101Aの回転を停止させる停止部材90101Bを含み得る。停止ブロック90150は、Pac-Man歯車90101A、及びしたがって主/星形歯車90102の過剰回転をさらに防止して、使用者への薬物の過剰送達につながる可能性がある暴走状態を防止する。停止部材90101Bは、停止ブロック90150との相互作用によって一方向における過剰回転を防止するため、デバイスがこの構成で機能するためには、Pac-Man歯車90101Aは、主/星形歯車90102を前進させるために再び順方向に回転する前に、他の方向で逆方向に回転させられなければならない。
追加的に、ウォーム歯車90101Wの幾何形状は、それ自体が自己係止されるか、かつ/または歯車90101Gによって後方駆動されないように構成され得る。これは、ピッチ、リード角、圧力角、及びねじの数等のパラメータの構成によってなされ得る。そうするとき、アクチュエータ90101によって引き起こされていない回転に対するウォーム歯車の抵抗によって、駆動機構の暴走状態が防止されることになる。代替的にまたは追加的に、制御装置90810は、モータ90101によってではなく他の歯車(例えば、歯車90101G)の回転によって引き起こされる、ウォーム歯車90101Wからの何らかのフィードバックが存在するかどうかを決定するように構成され得る。制御装置90810がかかるフィードバックを決定または受信する場合、制御装置90810は、さらなる動作を終結させ得る。
電力・制御システム90800は、薬物チャンバ9021からの流体物質の送達を駆動するために本開示の調節機構90500を制御しないことに留意する。薬物チャンバ9021からの流体物質の送達は、偏倚部材90122の、ピストン90110A、90110B及びプランジャシール9060上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって引き起こされる(これはモータ101を介して制御装置90810によって起動され得る)。調節機構90500は、代わりに、それらが偏倚部材90122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構90500は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン90110及びプランジャシール9060の運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。好ましい実施形態によれば、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスは、偏倚部材90122によって軸方向に平行移動するように駆動されているピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の軸方向平行移動を計るテザーに間接的または直接的に接続された調節機構を含む。
一例において、薬物送達デバイス9010の電力・制御システム90800は、調節機構90500を制御するための1つ以上の調節パラメータを受信するように構成され得る。代替的に、または加えて電力・制御システム90800は、センサ入力(例えば、心拍数センサ、グルコースモニタセンサ情報)を受信し得、次いでセンサ入力を調節パラメータへと変換し得る。制御装置90810は次いで、既定の時間後(例えば、待機時間枠後)に調節機構90500を制御し得る。この入力に基づいて、制御装置90810は、ウィンチドラム/歯車90520によるテザー90525の解放を計り、それによって、偏倚部材90122によるピストン90110の軸方向平行移動を許容して、プランジャシール9060をバレル9058内で平行移動させ得る。
この調節パラメータに基づいて、制御装置90810及びモータ90101は、モータ90101を介して偏倚部材90122がその上に支えられているピストン90110の自在な軸方向平行移動に対する、テザー90525及びウィンチドラム/歯車90520によってもたらされる制限をさらに制御し得る。制御装置90810は、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすために、使用者への送達のための用量体積を換えるために、かつ/または駆動機構の操作を別様に開始、停止、もしくは一時停止するために、かかる動作を制御し得る。一例において、制御装置90810は、所望の時間または既定の時間内で薬物送達用量を完了するために、薬物送達速度を制御し得る。
薬物送達過程中、及び既定の待機時間枠後、電力・制御システムは、送達指示を駆動制御システム90820に提供し得る。この指示に基づいて、駆動制御システムは、薬物容器9050のプランジャシール9060を遠位方向へと軸方向に平行移動させるように、駆動機構90100の構成要素を制御し得る。任意選択で、駆動機構90100及び/または調節機構90500は、例えば、実質的に全薬物用量が使用者に送達されたことを確実にするために、プランジャシール9060の追加の軸方向平行移動を可能にする1つ以上の遵守特徴を含み得る。例えば、プランジャシール9060自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。
例えば、本開示の制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスは、加えて、実質的に全ての原薬が薬物チャンバ9021から押し出されたことを確実にするために、遵守による一押しを可能にする。プランジャシール9060自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。例えば、ポップアウト型プランジャシール、すなわち、初期状態から変形可能なプランジャシールが用いられる場合、プランジャシールは、変形または「ポップアウト」させられて、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを提供し得る。加えてまたは代替的に、接触、接続、または別様に電力・制御システム90800の制御装置90810への伝送を可能にして、投薬終了を使用者に信号伝達するために、電気機械的ステータススイッチが利用され得る。この構成は、使用者への真の終了表示をさらに可能にし得る。
図76Bを参照して考察したように、駆動制御システム90820は、制御装置90810に及び/またはモータ90101に連結され得る種々のセンサ(例えば、テザーセンサ90875、弁センサ90877、圧力センサ90870)を含み得る。センサは、薬物送達デバイス9010のシステム及びサブシステムの種々の要素に信号またはステータス情報を提供するように構成され得る。一例において、制御装置90810は、調節サブシステム等のサブシステムまたは機構90500を制御するために、センサから受信されたフィードバック信号またはステータス情報を処理し得る。
追加的に、電力・制御システム90800は、センサによって制御装置に提供されたフィードバックに基づいて、使用者に通知を提供し得る。通知は、上述のように、触覚、視覚、及び/または聴覚によるものであってもよく、デバイスの使用中に通知の1つ超の信号または種類が使用者に提供されるように重複してもよい。例えば、使用者は、薬物送達デバイス9010が操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを示す初期通知を提供され得、例えば、1つ以上のセンサによって提供されたフィードバック信号に基づいて投薬終了通知をさらに提供し得る。一例において、薬物送達デバイス9010の適切な位置に位置付けられた圧力センサ90870及び/または弁センサ90877は、ピストンがその軸方向平行移動の端部に到達するとき投薬終了を感知し得る。したがって、制御装置90810は次いで、センサから受信されたセンサ信号に基づいて投薬終了通知を提供し得る。
加えてまたは代替的に、テザー90525は、ステータスフィードバックをテザーセンサ90875に、及び転じて、制御装置90820に提供するように構成されている、電気的接触、光学的マーキング、及び/または電気機械的ピンもしくは陥凹等の1つ以上のセンサトリガを有し得る。少なくとも1つの実施形態において、投薬終了ステータス通知は、ひとたびテザーセンサ90875が、テザー90525上に位置付けられた最終ステータストリガが薬物容器9050のバレル9058内でのピストン90110A、90110B及びプランジャ9060の軸方向移動終了に最終位置に達したことを検出すると、使用者に提供され得る。テザーセンサ90875は、例えば、対応する電気接触に接触する電気スイッチリーダ、対応する光学的マーキングを認識する光学的リーダ、または対応するピン、穴、もしくはテザー90525上の同様の態様に接触するように構成された機械的もしくは電気機械的リーダであり得る。
一例において、ステータストリガ(図示されず)は、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは検出されるテザー90525に沿って位置付けられ得る。
いくつかの例において、駆動制御システム90820は、偏倚部材90122の解放、ならびに結果として生じるピストン90110A、90110B及びプランジャシール9060にかかる力によって、(駆動機構90100の起動時に)薬物送達を始動する。電力・制御システム90800は、調節機構90500、歯車アセンブリ90516、ウィンチドラム/歯車90520を制御し、テザー90525を解放し、偏倚部材90122の拡張、ならびにピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の軸方向平行移動を許容することによって使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御するよう、駆動制御システム90820にさらに指示する。これが生じると、テザー90525のステータストリガは、テザーセンサによって接触または認識され、使用者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが次いで、電力・制御システム90800の制御装置90810に伝えられ得る。テザー90525上に位置するステータストリガの数に応じて、増分ステータス表示の頻度所望通りに変動され得る。上述のように、利用されるステータストリガに応じて、様々なテザーセンサを利用することができる。
いくつかの実施形態において、テザーセンサは、1つ以上の同様の種類のセンサ、及び/または異なる種類のセンサの組み合わせを含み得る。一例において、張力が、(例えば、制御装置90810からの1つ以上のコマンド信号に従って)テザー90525に加えられ得る。薬物送達デバイス9010が投薬終了に達すると、テザー90525はたるみ、これが電気または電気機械的スイッチ等のテザーセンサ90875によって検出され得る。テザーセンサ90875は、テザー90525におけるたるみを電力・制御システム90800の制御装置90810に信号送信し得る。
追加的に、歯車アセンブリ90516の歯車90511A及び/または歯車90511Bは、センサと共にエンコーダとして構成され得る。例えば、センサ/エンコーダ組み合わせは、歯車アセンブリ回転のフィードバックを提供するように構成され得る。一例において、エンコーダ/センサは、ピストンの初期位置(例えば、テザー90525にたるみがないときのピストン90110の位置)に較正され得る。さらに、この位置情報は、制御装置90810に記録または記憶され得る。このようにして、制御装置90810または電力・制御システム800は、例えば、センサ/エンコーダによってカウントされるモータ回転が予想される数に達する前にテザー90525におけるたるみに起因して、位置フィードバック、投薬終了信号、及び閉塞等のエラー表示を受信し得る。代替的にまたは追加的に、駆動制御システム90820は、調節機構90500と組み合わせてテザー90525を介して薬物の流れの速度を制御し得る。
テザー90525のたるみまたは不具合(例えば、テザーの破損の間)がある場合に薬品の流れを終結させるかまたは制限するための、追加の及び/または代替的な手段が実装され得ることが理解されよう。
図74A~74Bは、テザー90525の不具合の間の安全性停止についての1つのかかる実施形態を示す。ブレーキ9064、スリーブ9062、及びプラグ9068、ならびに任意選択で保持器9066がバレル9058内に配置されている。偏倚部材90122は、スリーブ9062に対して重みをかけている。最初に、テザー90525はプラグ9068と係合されており、それによって、テザー90525がスリーブ9062の運動を制限することを可能にする。この制限は、偏倚部材90122の拡張または付勢解除の速度を制御する。テザー90525が張力下にあるとき、プラグ9068は、ブレーキ9064の遠位面9064Aに重みをかけ、ブレーキ9064の近位面9064Bに、スリーブ9062に対して重みをかけさせる。この接触、及びスリーブ9062の遠位端9062Aのプロファイルに起因して、ブレーキ9064は、図74Aに示されるように実質的に円錐状の構成に維持される。この構成において、偏倚部材90122の拡張または付勢解除は制限されている。また、この円錐状の構成において、ブレーキ9064の外径は、バレル9058の内径よりも小さく、故に、ブレーキの平行移動は、薬物容器の内壁との接触によって制限されない。また、ブレーキ64の一部分は、保持器9066と接触している。ブレーキ9064は、プラグ9068及びスリーブ9062によってこの構成に維持されるため、偏倚部材90122の圧縮解除によって引き起こされるスリーブ9062の平行移動は、保持器9066に移送される。同様に、保持器9066のプランジャシール9060との接触は、プランジャシール9060の平行移動を引き起こす。
図74Bに示されるように、テザー90525のたるみまたは不具合がある場合、プラグ9068は、テザー90525によってもはや所定の位置に保持されず、及びしたがって、スリーブ9062の運動をもはや制限しない。偏倚部材90122が圧縮解除または付勢解除すると、ブレーキ9064は、相対的により円錐状ではないか、またはより平らな構成に変形する。これは、この構成に変形するためのブレーキ9064の自然な偏倚によって引き起こされ得るか、または代替的に、保持器9066及びスリーブ9062の両方とのブレーキ9064の接触によって引き起こされ得る。ブレーキが変形すると、それはバレル9058の内壁と接触するようになる。故に、ブレーキは、スリーブ9062の平行移動を制限するためのくさびとして作用する。これは、さらなる平行移動を防止し得るか、または平行移動の速度を制限するように作用し得る。任意選択で、テザーにおける張力の回復は、プラグがブレーキと接触し、かつブレーキをその円錐状の構成に戻すように変形させることを引き起こし、及び故に、薬物送達デバイスの通常の動作を回復させる。
図74A~74Bは、球形を有するプラグ及び円錐形を有するブレーキを示す。かかる形状は、本明細書において単に例示目的で使用されているにすぎず、同じかまたは同様の機能を達成するために他の形状または構成が容易に利用される。例えば、プラグは、それ自体が円錐状の形状であってもよく、一実施形態において、ブレーキが円錐形状である場合に、ブレーキとインターフェース接続するような形状をなしてもよい。かかる構成において、プラグの円錐形状は、ブレーキの円錐形状を維持することを補助し、それによって、スリーブ9062の軸平衡平行移動を制限するために、ブレーキの外径とバレルの内径との間の接触を防止する(すなわち、ブレーキ力を加える)。別の実施形態において、ブレーキ9064は、バレル9058の内径と接触して、スリーブ9062のさらなる軸方向平行移動を防止または制限するように、実質的に平坦化した位置にあるときに星形状または他の構成を用いることができる。スリーブ9062のさらなる平行移動がないと、偏倚部材90122は、さらに拡張または付勢解除することができず、これは次いで、使用者へのさらなる薬物送達を防止または制限する。これは、使用者への薬物の過剰送達または加速した送達を防止するように、薬物送達のための安全処置を提供する。
さらに、上記で考察したように、テザー90525の制御は、制御装置90810によって提供され得る。追加的に、テザー90525のたるみまたは不具合に関連する何らかのフィードバックが、駆動制御システム90820に及び/または電力・制御システム90800に提供され得る。
上述のように、調節機構90500は、それらが偏倚部材90122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の自在な運動に対して抵抗を提供する。調節機構90500は、送達を駆動しない場合があり、送達運動を制御するのみであり得る。
テザーは、ピストン90110及びプランジャシール9060の運動を限定または制限し得るが、送達のための力を加えない場合がある(図70A~70D及び71A~71Dを参照されたい)ことに留意する。図70A~70D及び71A~71Dの移行で示されるように、それらが偏倚部材90122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間の、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の自在な運動は、近位または第1の位置「P」から遠位または第2の位置「D」への軸「A」に沿った実線矢印の方向で示される。
テザー90525の制御が、図72及び図73A~73Bを参照してさらに記載される。
図72は、少なくとも第1の実施形態による、その初期係止段階中の多機能駆動機構の斜視図を示す。最初に、テザー90525は、偏倚部材90122をピストン90110A、90110B内の最初の付勢位置で保持し得る。電力・制御システム90800が作動のための入力を受信するとき、それは、多機能駆動機構90100を始動するよう駆動制御システムに命令する。一例において、駆動機構90100は、偏倚部材がピストン90110に、及びしたがってテザー90525に、力を加えるようにし得る。テザー90525上のこの力は、巻胴90520上にトルクを加え、これは、歯車アセンブリ90516及び調節機構90500に運動を開始させる。
さらに、図71Cに示されるように、ピストン90110及び偏倚部材90122はいずれも、最初は、プランジャシール9060の後方で圧縮された付勢状態にある。偏倚部材90122は、駆動ハウジング90130の内部特徴とピストン90110A、90110Bのインターフェース表面90110Cとの間でデバイスが作動するまで、この状態に維持され得る。薬物送達デバイス9010が作動され、駆動機構90100が動作するようにトリガされると、偏倚部材90122は、遠位方向で(すなわち、図70A~70D及び図71A~71Dに示される実線矢印の方向で)軸方向に拡張(すなわち、圧縮解除)することが許容される。かかる拡張は、偏倚部材90122がインターフェース表面90110C及びピストン90110上に作用し、かつそれらを遠位に平行移動させ、それによって、プランジャシール9060を遠位に平行移動させて、薬物流体をバレル9058の薬物チャンバ9021から押し出すことを引き起こす。
上記で考察したように、ひとたび1つ以上のセンサが(例えば、テザー90525上に位置付けられたステータストリガに基づいて)薬物容器9050のバレル9058内でのピストン90110A、90110B及びプランジャシール9060の軸方向移動の終了に接触するかまたはそれを検出すると、投薬終了ステータス表示もまた使用者に提供され得る。ステータストリガは、使用者に増分ステータス表示を提供するために、ある特定の体積測定に対応する増分等の種々の増分でテザー90525に沿って位置付けられ得る。少なくとも1つの実施形態において、センサは、テザー上の対応する光学的ステータストリガを認識するように構成された光学的ステータスリーダである。当業者には理解されようが、かかる光学的ステータストリガは、光学的ステータスリーダによって認識可能なマーキングであり得る。別の実施形態において、ステータスリーダは、対応するピン、穴、またはテザー上の同様の態様に接触するように構成された機械的または電気機械的リーダである。電気接触は、対応する電気センサに接触するか、または別様にそれによって認識されるステータストリガと同様にテザー上で利用され得る。ステータストリガは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー90525に沿って位置付けられ得る。示されるように、テザー90525は、駆動機構ハウジング90130、偏倚部材90122を通って通過し、ピストン90110A、90110Bに接続して、ピストン90110A、90110B、及びそれらに隣接して常在するプランジャシール9060の軸方向平行移動を制限する。センサは、種々の構成要素の制御された運動のフィードバックを通知または提供するように、検出された情報(例えば、投薬終了情報、増分運動、制限された運動等)を駆動制御システム90820に及び/または電力・制御システム90800に通信し得る。
上述のように、種々のセンサが電力・制御システム800に直接、または駆動制御システム90820を介して連結され得、増分ステータス表示を提供するように構成され得る。使用者は次いで、例えば、例えば、歯車アセンブリ90516の1つ以上の歯車の回転運動の検出に基づいて、かかる表示を通知され得る。例えば、歯車アセンブリ90516が回転するにつれて、センサは、歯車アセンブリにおける歯車のうちの1つの上の1つ以上の対応するステータストリガを読み取るかまたは検出して、可変速度制御送達駆動機構の操作前、操作中、及び操作後に、増分ステータス表示を提供し得る。いくつかのセンサが、本開示の実施形態内で利用され得る。
一例において、駆動機構90100は、歯車アセンブリの歯車のうちの1つの歯車歯と物理的に接触し得る電気機械的センサを利用してもよい。センサが、この例示的な実施形態においては歯車のうちの1つの歯車歯(または、歯車上の穴、ピン、隆起、マーキング、電気接触等)であり得る、ステータスまたはセンサトリガ(複数可)によって接触されると、センサは、歯車の回転位置を測定または検出し、使用者へのステータス表示または通知のために信号を電力・制御システム90800に伝送する。
加えてまたは代替的に、駆動機構90100は、電気光学センサを利用してもよい。光学センサは、運動を検出し、電力・制御システムにステータス信号を伝送するように構成され得る光ビームを含み得る。例えば、光学センサは、歯車アセンブリの歯車のうちの1つの歯(または、歯車上の穴、ピン、隆起、マーキング、電気接触等)の運動を検出するように構成され得る。別の実施形態において、センサは、歯車上の電気接触を認識するように構成された電気スイッチであり得る。これらの実施形態のいずれかにおいて、センサを利用して、次いで信号を電力・制御システムに伝送して、使用者に、制御された運動及び/または薬物送達についての通知フィードバックを提供してもよい。
当業者には理解されようが、電気光学センサ及び対応するトリガ、電気機械的センサ及び対応するトリガ、ならびに/または電気もしくは機械的センサ及び対応するトリガは全て、使用者電力・制御システム90800に増分ステータス表示を提供するために本開示の実施形態によって実装され得る。本開示の駆動機構は、歯車アセンブリ及び調節機構に関連して記載されているものの、当業者には容易に理解されるであろうが、様々な構成が許容可能であり、本開示の実施形態内で用いられることができる。したがって、本開示の実施形態は、制御送達駆動機構及び薬物送達ポンプ内で用いるためのかかる機構の例示的な実施形態として提供されている、本明細書に記載の特定の歯車アセンブリ及び調節機構に限定されない。
さらに、本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬品の送達プロファイルは、調整可能である。例えば、食事、運動、睡眠等のある特定の活動前、活動中、または活動後に、薬品のボーラス注射を送達することが望ましい場合がある。「ボーラス注射」は、多くの場合、送達時間または持続時間にかかわらず送達される任意の測定された薬物体積である。逆に、「基底注射」は、多くの場合、制御された送達速度、及び/または異なる時間間隔で様々な送達速度を有する送達プロファイルである。同様に、使用者は、これらの時間または他の時間で薬品の基底送達速度を増加または減少させることを望む場合がある。少なくとも1つの実施形態において、送達プロファイルは、この所望の薬物送達を達成するために使用者によって調整可能である。使用者は、薬物送達デバイス自体と相互作用することによって送達プロファイルを調整してもよく、または代替的に、そのためにスマートフォン等の外部デバイスを使用してもよい。例えば、使用者は、作動機構を変位させることによって送達プロファイルを調整してもよく、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させてもよい。
本開示の別の実施形態において、送達プロファイルは、1つ以上の入力に基づいて自動的に調整されてもよい。例えば、送達プロファイルは、患者の活動レベル、心拍数、血糖値等に基づいて調整され得る。上記のように、これらの測定値を用いて、ボーラス注射、または基底注射送達速度の増加もしくは減少、または基底注射送達プロファイルの調整の必要性を判定することができる。少なくとも1つの実施形態において、これらの入力測定値は、デバイス自体によって監視され得る。追加的に、または代替的に、それらは、スマートフォン、スマートウォッチ、心拍数モニタ、グルコースモニタ、血圧モニタ等の二次デバイスによって監視されてもよい。いくつかの実施形態において、送達プロファイルは、使用者の介入を必要とせずにこれらの測定値に基づいて調整され得る。二次デバイスによる監視及び/または制御に場合、二次デバイス及び薬物送達デバイスは、互いに無線または有線通信し得る。この通信は、Bluetooth、近距離無線通信、Wi-Fi、またはデバイスの相互接続性に関する当業者に既知の任意の他の方法を通したものであり得る。
しかしながら、好ましい実施形態において、監視/調整機構は、使用者に対して警報を発し、かつ推奨を行う場合があり、使用者は、監視/調整機構による推奨を始動/許可するか、または無視する能動制御を有し得る。例えば、測定値のうちの1つ以上が指定の閾値より高いかまたは低い場合、デバイスは、可聴、可視、または触覚による警報を使用者に対して発する場合がある。一例において、警報は、デバイスの振動によって提供され、それによって、個別の警報を使用者に提供する。加えてまたは代替的に、警報は、使用者のスマートフォンまたは他の二次デバイスによって提供され得る。使用者は、コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースにおける測定値の現在のステータスを、デバイス自体、コンピュータ、スマートフォン、または他のデバイスで見ることが可能であり得る。コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースは、送達プロファイルへの推奨される調整を提供し得る。この情報に基づいて、使用者は、薬物送達デバイスの送達速度を調整してもよい。上記のように、使用者は、作動機構を変位させるか、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させることによって、送達プロファイルを調整してもよい。
一実施形態において、使用者の入力または上記の測定値のいずれかに基づく送達プロファイルを調整する信号に応じて、電力・制御システムは、アクチュエータ90101の移動速度を変化させ得る。アクチュエータ90101の移動速度の変化は、調節機構500の回転速度を変化させ、これは次いで、使用者への薬物送達速度を制御する。代替的に、送達プロファイルは、薬物容器及び挿入機構を接続する導管を通る薬品の流路の特性の変化によって変えることができる。この変化は、薬物容器から挿入機構への薬品の流れを制限する流れ制限部の導入、取り外し、または修正によって引き起こされ得る。例えば、流れ制限部は、流れ制限部の入力及び出力と流体連通して選択的に定置され得る複数の流路を有し得る。異なる長さまたは断面を有する流路を提供することによって、送達速度を制御することができる。他の実施形態において、送達プロファイルは、導管の衝突の導入または取り外しによって変えることができる。流路の衝突は、導管を通る薬品の流れを中断させるかまたは遅くすることができ、それによって、使用者への送達速度を制御する。したがって、本開示の1つ以上の実施形態は、薬物容器からの薬品送達速度の変化を生み出し、それによって、多機能駆動機構及び/または薬物送達デバイスの動的制御能力を提供することができる。
既定の時間での薬物送達に関連する例示的な方法の詳細が、これより図9Aを参照して提供される。方法90900の1つ以上の工程は、電力・制御システム90800の有効電力モード中でも非有効電力モード中でも実行され得る。方法90900は、例えば、既定の待機時間枠後に薬物送達デバイス9010によって調整された速度で薬物を使用者に始動及び送達することに関連する工程を含む。本方法は、薬物送達デバイス9010とモバイルデバイス9011間の通信工程を含む。本方法は任意選択で、モニタリング期間中に患者の健康及び/または状態に関する情報(例えば、使用者の心拍数、グルコース/インスリン情報等)を監視及び受信し得る。特に、本方法は、デバイスが作動された後に、針挿入を作動させる(すなわち、NIM90200を始動する)よう薬物送達デバイス9010の使用者に要請する。針挿入が起動されると、薬物送達デバイス9010は次いで、遅延時間枠を追跡するタイマーを始動し得る。代替的に、タイマーは、デバイスの作動によって始動されてもよい。
さらに、本方法は、既定の待機時間枠が経過したかどうかを決定し、その決定に基づいて、薬物送達過程の始動について使用者に適宜通知する。本方法は、センサ(例えば、温度センサ、心拍数センサ、グルコースモニタセンサ)から受信された情報に基づいて薬物の送達速度を調節する。送達速度の調節は、薬物の有効性の最適化に基づいてもよい。代替的に、または追加的に、送達速度は、使用者の不快感を低減する及び/または最小化するように調節されてもよい。例えば、比較的冷たい薬物の送達は、使用者に痛みを引き起こし得る。それ故に、温度センサが、薬物及び/または薬物容器が少ないという信号を制御装置に提供する場合、送達速度が低減され得る。
本方法はさらに、薬物送達が終了したかどうかを決定し得、その決定に基づいて、一例において薬物送達終了情報をモバイルデバイスにさらに伝送し得る。モバイルデバイスはさらに、受信した情報を遠隔サーバ(例えば、クラウドサーバ)に提供し得る。センサからの入力に基づいて他のパラメータが調節されてもよい。例えば、投薬終了センサの作動と、薬物送達が完了したという使用者への通知との間の遅延。薬物の粘度は、薬物の温度に依存し得、より粘稠な薬物は、使用者に完全に送達されるのに追加の時間を必要とする。それ故に、制御装置は、使用者への送達完了の通知をどれほど長く遅延させるかを決定するために温度センサからの入力を使用し得る。制御装置は、例えば、温度センサからの入力を、ローカルに記憶されているかまたは遠隔でアクセスされるかのいずれかであるルックアップテーブルと比較し得る。代替的に、制御装置は、温度センサからの入力を、遅延を算出するのに使用される等式における入力として使用し得る。
次に図77Aを参照すると、図示される過程の流れは、単に本開示の実施形態であり、本開示の範囲を限定することを意図しない。例えば、本方法または過程説明に列挙される工程は、任意の順序で実行されてよく、提示される順序に限定されない。さらに、次の説明は、図77Aに図示される工程だけでなく、本開示を参照して説明される種々のシステム構成要素もまた適切に参照することが理解されよう。
次に図77Aを参照すると、工程90901において、ポンプデバイス9010が作動される。薬物送達デバイス9010は、使用者からトリガ信号を受信して、電力・制御システム90800に電力供給することを含み得る、作動機構と共に構成され得る。一例において、使用者は、オン/オフスイッチ、及び/またはトグルスイッチであり得る開始ボタンを押圧することによって、薬物送達デバイス9010を作動させ得る。作動ボタンまたはスイッチは、上部ハウジングと下部ハウジングとの間の開口部を通して等、ポンプハウジング9012を通して位置し得、電力・制御システム90800に直接であれ間接的であれ(例えば、電気接触部を介して)接触する。使用者は、薬物送達デバイス9010を最初に作動させるために作動ボタンまたはスイッチを既定の回数押圧(例えば、単回の押圧)し得る。代替的に、ポンプデバイス9010は、その包装の一部分から取り外されると作動されるように構成され得る。ポンプデバイス9010は、包装の一部分からのポンプデバイスの取り外しを検出するように構成されている1つ以上の包装ステータスセンサを含み得る。包装ステータスセンサは、包装の一部分からのポンプデバイスの取り外しを検出することが可能な任意の形態をとり得る。例えば、包装ステータスセンサは、包装時に接続されているかまたは分断されている、電力・制御システム800上のピン相互接続の形態にあり得る。包装からの取り外しは、ピン相互接続の状態を接続から分断へ、またはその逆に変化させ得る。この状態の変化がタイマーの始動を引き起こし得る。代替的に、包装ステータスセンサは、包装の一部分からのポンプデバイス9010の取り外しによって引き起こされる点灯状態の変化を検出するように構成されている、光学センサからなり得る。
一例において、作動入力を受信すると、短距離無線通信リンクが薬物送達デバイス9010とモバイルデバイス9011との間で始動され得る。一例において、無線通信リンクは、モバイルデバイス9011と薬物送達デバイス9010との間のBluetoothペアリングに基づいて確立され得る。
一例において、作動中及び/または作動時、薬物送達デバイス9010は、発見モードにあり得、そのモードの間にモバイルデバイス9011は、薬物送達デバイス9010を発見し、薬物送達デバイス9010との無線通信を確立し得る。代替的に、薬物送達デバイス9010は、モバイルデバイス9011に短いバースト信号またはピングを送信することによって、モバイルデバイス9011との無線通信を始動及び確立し得る。
作動信号を受信すると、ポンプデバイス9010は、デバイス9010が作動されたことを示すために使用者に通知またはフィードバックを提供し得る。例えば、可聴トーン等の通知信号、及び/またはLED光等の視覚通知が、電力・制御システム90800によって提供され得る。
一例において、使用者がモバイルデバイス9011を使用して、薬物送達デバイス9010を作動させ得ることが企図される。かかる例において、作動前、薬物送達デバイス9010は、通信専用モードにあり得、そのモードの間に薬物送達デバイス9010は、モバイルデバイス9011との通信リンク(例えば、Bluetoothペアリング)を確立するように構成され得る。2つのデバイス間の通信リンクを確立すると、使用者は、作動/開始ボタン9010bを選択または押圧して、薬物送達デバイス9010を作動させ得る。
一例において、ハウジング9012は、薬物送達デバイス9010の作動の表示を提供し得る1つ以上のステータスインジケータ(例えば、発光ダイオード(LED)及び/またはスピーカ)ならびに窓を含み得る。作動機構、ステータスインジケータ、窓、及びそれらの組み合わせが、例えば、薬物送達デバイス9010が使用者の身体上に定置されるときに使用者に見える側等の、上部ハウジングまたは下部ハウジング上に提供され得る。ハウジング9012は、本開示の他の構成要素及び実施形態を参照しながらこれ以降でさらに詳述される。
加えてまたは代替的に、薬物送達デバイス9010は、作動通知をモバイルデバイス9011にプッシュし得る。この例において、モバイルアプリ9010aは、モバイルデバイス9011がモバイルデバイス9011のスピーカまたはLED光(図示されず)介して通知を提供するようにし得る。代替的に、使用者は、作動の通知を受信するように通知/データボタン9010dを選択し得る。
薬物送達デバイス9010及びモバイルデバイス9011が、デバイス作動に基づいて短距離無線通信を介してリンクされるとき、モバイルデバイス9011は、薬物送達デバイス9010の操作に関連する通知及びガイダンスを提供し得る。一例において、モバイルデバイス9011は、薬物送達デバイス9010を使用者の身体上に定置する命令を提供し得る。
デバイス作動工程中、薬物送達デバイス9010は、非有効電力モードにあり得ることに留意する(すなわち、電力・制御システム90800は電力を電源から受け取っている可能性があり、駆動制御システム90820(すなわち、モータ90101)は電力を電源から受け取っていない可能性がある)。
工程90903において、薬物送達デバイス9010が作動された後、制御装置90810は、オンボディ皮膚センサ90840のステータスを決定し得る。例えば、制御装置90810は、オンボディ皮膚センサ90840及び/または電気機械的皮膚センサからの信号を監視して、薬物送達デバイス9010が使用者の皮膚または身体と接触しているかどうかを決定し得る。制御装置90810がオンボディ皮膚センサ90840が既定の時間量(例えば、2分間)にわたって使用者の皮膚と接触していることを決定する場合、制御装置90810は、フラグを「オン」に設定し得る。
オンボディセンサのステータスチェックは、薬物送達デバイス9010に安全措置を提供することが理解されよう。具体的には、制御装置90810が、フラグを「オン」に設定する前に実質的な時間量にわたってオンボディセンサ表示信号を監視するため、薬物送達デバイス9010と使用者の皮膚との間のいずれの短い接触(数秒間)またはタッチ(例えば、間違いによる)は、制御装置90810によって無視され得る。さらに、オンボディセンサ90840がオンであると決定されると、薬物送達デバイス9010の種々の動作のための使用者によるいずれの後続の作動ボタン押圧も、制御装置によって認識されるのみであり得る。
工程90904において、制御装置90810が、薬物送達デバイス9010が既定の時間量にわたって使用者の身体と接触していないと決定する場合、薬物送達デバイス9010は、薬物送達過程を終結させる通知を提供し得る。加えてまたは代替的に、薬物送達デバイス9010は、モバイルアプリ9010aを介して、使用者に薬物送達過程の終結、または薬物送達デバイス9010適切に位置付けることを通知し得る。
工程905において、薬物送達デバイス9010は、使用者に針挿入を作動させる要請通知を提供する。例えば、上述のように、要請通知は、作動ボタンを既定の回数(例えば、2回)押圧して針挿入を作動させるよう、薬物送達デバイス9010の可聴トーン(連続的または可変のトーン)を介して及び/またはLED光を介して提供され得る。
別の例において、要請通知は、制御装置90810がオンボディ皮膚センサ90840の「オン」ステータスを決定した後にモバイルデバイス9011を介して提供され得る。その例において、薬物送達デバイスモバイルアプリ9010aは、モバイルデバイス9011が針挿入の作動の要請通知を提供するようにし得る。一例において、モバイルデバイスは、作動ボタンを押圧して(例えば、2回)針挿入を作動させるよう使用者に要請通知を提供し得る。例えば、要請及び/または通知は、テキストメッセージを介して提供され得る。別の例において、使用者は、通知ボタン9010dを介して要請メッセージの通知の表示を受信し得る。ボタン9010dを選択すると、使用者は、要請通知メッセージを提供され得る。
工程90907において、制御装置90810は、使用者が針挿入の作動に適切な入力(例えば、作動ボタンの2回押圧)を提供したかどうかを決定し得る。
工程90908において、制御装置90810が針作動が既定の時間量内で作動されなかったと決定すると、本方法は、薬物送達過程を終結させるよう使用者に通知し得る。かかる例において、制御装置90810は、終結通知を提供する前に既定の時間量にわたって待機し得る。
工程90907において、制御装置は、使用者が針挿入作動を実行することによって(例えば、要請メッセージに従って作動ボタンを押圧することによって)要請通知に応答したと決定し得る。本方法は次いで、工程90909に進む。代替的に、使用者は、NIMを直接作動させてもよい。(すなわち、ポンプデバイスは、NIMが使用者による入力によって機械的に作動されるように構成され得る)。
使用者により始動される針挿入作動は、これにより使用者が使用者の体内への針挿入の作動及び/または薬物送達過程の始動を把握するため、有益であることに留意する。
工程90909で、電力・制御システム90800は、薬物送達デバイス9010を準備またはプライミングし得る。一例において、電力・制御システム90800は、工程90907で使用者作動を受信すると針挿入機構90200を作動させ得る。
追加的に、電力・制御システムは、SFPCサブシステム90300をプライミングまたは始動し得る。いくつかの実施形態において、SFPCは、薬物が送達されているときに(例えば、工程90921で)、または針挿入作動と同時に、始動され得ることが企図される。一例において、デバイスのプライミング中、ピストンは、流体導管を流体薬物で充填し、それによって、その中に元々存在したいずれの空気も置き換えるように制御され得る。
工程90901、90903、90904、90907及び90908中、電力・制御システムは、非有効電力モードにあり得ることに留意する(すなわち、駆動制御システム90820またはモータ90101はいずれの電力も電源から受け取っていない可能性がある)。その一方で、針挿入作動及び/またはSFPC中、例えば、薬物送達デバイス9010は、有効電力モードにあり得る。
工程90911で、タイマー装置90812は、自動的に始動され得る。例えば、制御装置90810は、待機時間枠を開始し得るタイマー装置90812を始動し得る。任意選択で、待機時間枠は、モバイルデバイス9011によって監視されてもよい。例えば、タイマー装置90812の始動時、制御装置90810は、タイミング情報(例えば、タイマーが始動された時、薬物送達前の時間量等)をモバイルデバイス9011に通信し得る。使用者は、かかるタイミング情報を、アプリ9011aを介して(例えば、タイマーボタン9010cを押圧することによって)受信し得る。
制御装置90810は、待機時間枠または遅延期間を監視するためにタイマー装置90812にアクセスまたは問い合わせ得ることに留意する。待機時間枠は、薬物送達の始動前に経過する必要がある時間枠に対応し得る。一例において、待機時間枠は、電力・制御システム90800において予めプログラムされ得る。一例において、待機時間枠は27時間であり得る。代替的に、待機時間枠は、薬物送達過程に好適な任意の他の時間枠であり得る。
さらに、待機時間枠中、薬物送達デバイス9010は、非有効電力モードにあり得る。一例において、薬物送達デバイス9010は、待機時間枠中、モバイルデバイス9011と断続的に通信し得る。例えば、制御装置90810は、薬物送達デバイス9010の通信装置90830を介して、薬物送達デバイス9010が動作状態であることを示すステータス信号(例えば、ピング信号)をモバイルデバイス9011に送信し得る。追加的に、薬物送達デバイス9010は、(上記で考察したような)タイミング情報に関連する情報をモバイルデバイス9011に送信し得る。
工程90913で、電力・制御システム90800は、種々の内部センサ及び/または外部センサからのセンサ信号を監視し得る。例えば、制御装置90810は、温度センサ90880からの信号を監視して、薬物の温度を決定し得る。一例において、制御装置90810は、検出された温度値を処理して、薬物が薬物送達に最適な既定の温度に達したと決定し得る。薬物送達デバイス9010は、待機時間枠中、薬物の温度情報をモバイルデバイス9011に送信し得る。モバイルデバイス9011は、かかる受信されたデータを処理して、待機時間枠中、さらなる通知を使用者に提供し得る。工程90913はまた、制御装置によるによるオンボディセンサの連続的監視を含み得る。オンボディセンサが、ポンプデバイス9010が患者の皮膚と接触していないことを制御システム90800に示す場合、制御システムは、使用者に通知を提供し得る。
任意選択で、制御装置90810は、グルコース速度モニタ9011b及び心拍数モニタ9011a等の、外部センサからの信号またはデータを監視するようモバイルデバイス9011に要請し、取得したデータをさらに処理し得る。
一例において、薬物送達デバイス9010からの要請信号に基づいて、モバイルアプリ9010aは、外部センサから受信されたデータを処理して、薬物送達過程の種々の動作を決定し得る。例えば、外部センサから受信されたデータに基づいて、モバイルアプリ9010aは、患者に送達され得る薬物の調整された薬物送達速度を決定し得る。
一例において、使用者は、待機時間枠中に運動する場合があり、その間、モバイルアプリ9010aは、心拍数モニタ9011aと通信することによって使用者の心拍数を監視し得る。モバイルアプリ9010aは、アルゴリズムを実行して、使用者の心拍数の変化に基づいて薬物送達速度を決定し、調整し得る。追加的に、または代替的に、モバイルアプリ9010aは、グルコース速度モニタ9011bと通信して、使用者のグルコース速度の変化に基づいて薬物送達速度を決定し、調整し得る。したがって、モバイルアプリ9011aは、どのように薬物を調整された速度で送達するかについての情報を提供する通知及び命令を提供し得る。一例において、使用者は、通知ボタン9010dを介してかかる情報にアクセスし得る。例えば、通知は、使用者が薬物を調整された速度で送達するために薬物送達デバイス9010上の作動ボタン押圧する必要がある回数を含み得る。薬物送達期間中、薬物送達デバイス9010の制御装置90810は、かかる指定の作動信号(例えば、作動ボタンの押圧の数)を受信すると、薬物を調整された送達速度で送達するために、調整された送達速度情報を駆動機構情報(例えば、種々の歯車アセンブリの歯車比、モータ90101の回転速度等)へと変換するよう記憶装置90813に問い合わせ得る。例えば、制御装置90810は、駆動制御システム90820を介して調節機構90500または流速制御サブシステム90825を制御し得る。
任意選択で、別の例において、モバイルデバイス9011は、調整された薬物送達速度を薬物送達デバイス9010に無線通信し得、薬物送達デバイス9010は、既定の待機時間枠が満了するときに薬物を調整された速度で自動的に送達し得る。その例において、使用者は、薬物の送達速度を調整するのに作動ボタンを押圧する必要がない可能性がある。
なおも別の例において、薬物のボーラス送達のために、薬物送達デバイス9010は、送達速度を調整しない場合がある。その例において、制御装置90810は、待機時間枠中に薬物の温度を監視し、待機時間枠が経過した後に薬物を使用者に送達し得る。任意選択で、待機時間枠が経過した後、薬物送達は、薬物及び/または薬物容器の温度が既定値を下回る場合、さらに遅延され得る。追加的に、モバイルアプリ9011aは、薬物の送達前に使用者に通知を提供し得る。
工程90915で、薬物送達デバイス9010は、待機時間枠が経過した、かつ/または待機時間枠の終わりに近づいているかどうかを決定し得る。例えば、制御装置810は、タイマー装置90812に問い合わせると、決定を行い得る。
一例において、制御装置90810は、待機時間枠が経過した、かつ/または待機時間枠の終わりに近づいていると決定し得る。本方法は次いで、工程90917に進む。
しかしながら、待機時間枠が経過していない、かつ/または待機時間枠に近くでないことが決定される場合(例えば、制御装置90810が待機時間枠の終わりの4時間前にチェックを行う場合)、本方法は工程90913に戻る。
一例において、ボーラス送達過程の場合、工程90917で、薬物送達デバイス9010は、待機時間枠が経過した、かつ/または待機時間枠の終わりが近づいていることを示す通知を使用者に提供する。この通知は、薬物送達が始動されることをさらに示し得る。例えば、上述のように、通知は、薬物送達デバイス9010の可聴トーン(連続的または可変のトーン)を介して及び/またはLED光を介して提供され得る。別の例において、通知は、モバイルデバイス9011を介して提供され得る。上述のように、モバイルデバイス9010は、薬物送達デバイス9010から表示信号を受信するか、または代替的に、薬物が送達されると決定し得る。したがって、モバイルデバイス9011は次いで、適切な通知を使用者に提供し得る。
別の例において、薬物デバイスは、使用者が既定の待機時間の完了近くに薬物送達を始動する選択肢を有するように構成され得る。かかるシナリオにおいて、通知は、既定の時間が経過する直前(例えば、27時間の待機期間の約5分前)に提供され得る。これは、使用者に、薬物送達過程を準備し、始動させるのに十分な時間を提供し得る。例えば、使用者は、既定の待機時間枠が間もなく経過するときに職場の会議中である場合があり、待機時間枠を把握していない場合がある。このようにして、使用者が待機時間枠の終わり前にアラームまたは通知警報を受信する場合、使用者は、職場の会議から席を外して薬物送達を始動する、または単に会議において薬物送達を始動するのに十分な時間を有し得る。
別の例において、通知は、待機時間枠満了後または満了近くにポンプデバイス9010またはモバイルデバイス9011を介して提供され得る。その例において、薬物送達デバイスモバイルアプリ9010aは、上述のように、モバイルデバイス9011が通知を提供するようにし得る。一例において、モバイルアプリ9010aは、(監視された外部センサデータに基づいて)使用者に、薬物送達を始動するよう準備することの要請メッセージをさらに提供し得る。例えば、要請及び/または通知は、テキストメッセージを介して提供され得る。別の例において、使用者は、通知ボタン9010dを介して要請メッセージの通知の表示を受信し得る。ボタン9010dを選択すると、使用者は、要請及び/または通知メッセージを提供され得る。代替的に、または追加的に、ポンプデバイスは、可聴トーン、視覚表示、または他の手段を通して、使用者に待機時間枠の満了の通知を提供し得る。
モバイル薬物送達デバイスアプリ9010aは、待機時間枠を追跡し得ることが企図される。例えば、使用者は、薬物送達前の待機時間枠においてどれほどの時間が残っているか、またはどれほどの時間が経過したか等の情報を集めるために、タイマーボタン9010cを選択し得る。いくつかの例において、この情報に基づいて、使用者は、薬物送達過程を終結させるか、または情報を薬物送達デバイス9010に送信し得る。
上述のように、通知は、使用者への調整された薬物送達速度の送達に関連する命令をさらに提供し得る。電力・制御システム800は、使用者が既定の時間内で薬物送達の始動を作動させたかどうかを決定し得る。例えば、制御装置90810は、通知後、(例えば、約2分以内に)作動ボタンが押圧されたかどうかを決定し得る。
薬物送達デバイス9010が、使用者が、既定の時間内に調整された速度で薬物送達過程を始動するためのいずれの入力も提供していないと決定する場合、制御装置90810は、薬物送達過程を終結させ得る。しかしながら、使用者が通知の受信時に既定の時間内での作動のための入力を提供する場合、本方法は次いで、工程90919に進む。
任意選択で、図9Bに示されるように、ポンプデバイス9010は、使用者が待機時間枠の完了後のいくらかの既定の時間内に薬物送達を始動する選択肢を有するように構成され得る。使用者がこの既定の時間内に薬物送達を始動しない場合、ポンプデバイスは、既定の時間の満了時に薬物送達を自動的に始動し得る。
工程90919で、電力・制御システム90800は、既定の待機時間枠後に薬物を送達するように薬物送達デバイス9010の種々の駆動機構を制御することの命令を駆動制御システム90820に提供し得る。
例えば、電力・制御システム90800の制御装置は、送達速度情報を駆動制御システムの種々の構成要素に関する設定及び構成に変換して、決定された送達速度に従った薬物の送達を有効化し得る。上述のように、この変換は、記憶装置に記憶されたルックアップテーブル及び/またはデータベースに問い合わせることを含み得る。代替的に、電力・制御システム90810は、送達速度情報を駆動制御システム90820に送信してもよく、駆動制御システムの別のコントローラ(図示されず)が、上述のように、決定された送達速度に従った薬物の送達を有効化する変換を行ってもよい。
任意選択で、工程90919で、電力・制御システム90800は、外部センサから受信された処理済みデータに基づいて(例えば、工程90913で説明されるように使用者の心拍数及び/またはグルコース速度情報に基づいて)、薬物送達速度を適切に変化(例えば、増加または減少)させてもよい。
したがって、制御装置90810は、(使用者作動とは無関係に)薬物送達過程を始動するよう駆動制御システム90820に命令し得る。駆動制御システムは次いで、駆動機構90100を介して制御することによって薬物を送達し得る。
いくつかの例において、電力・制御システム90800は、既定の待機時間枠が経過した後に、挿入機構90200を始動し、薬物送達中に薬物容器と滅菌通路との間の接続を形成するよう駆動制御システムに命令し得ることが企図される。かかるシナリオにおいて、使用者は、既定の時間が経過した後にNIM作動のための入力を提供し得る。別の実施形態において、NIMは、薬物送達の始動前に電力・制御システム90800によって作動される。
工程90921で、電力・制御システム90810は、薬物の送達が終了したかどうかを決定し得る。例えば、モータ90101は、テザーセンサ90875、弁センサ90877及び/または圧力センサ90870から、薬物の投薬終了を示す信号を受信し得る。したがって、駆動制御システム90820は次いで、投薬終了情報を制御装置90810に通知し得る。本方法は次いで、工程90923に進む。
薬物送達デバイス9010が、薬物が送達されたと決定するとき、電力・制御システム90800は、上述の可聴トーン及び/またはLED光を介して通知を提供し得る。加えて及び/または代替的に、投薬終了情報の通知は、薬物送達デバイスモバイルアプリ9010aを介して薬物送達デバイス9010によって提供され得る。
一例において、薬物送達デバイス9010は、薬物が送達されていない、または投薬終了が既定の時間量において生じなかったと決定し得る。そのような場合、薬物送達デバイス9010は、(例えば、LED光を介して及び/または薬物送達デバイスモバイルアプリ9010aを介して)エラー通知を提供し得、本方法は次いで、工程90919に戻り得る。代替的に、電力・制御システム90800は、投薬終了信号が予想される送達時間内に受信されない場合、薬物送達を終結させ、かつ/またはNIMの後退を作動させてもよい。
工程90923で、薬物の投薬終了が生じた(すなわち、薬物が既定の時間内に及び/または所望の送達速度に従って送達された)と決定すると、薬物送達デバイス9010は、種々の送達終了情報を薬物送達デバイスモバイルアプリ9010aに通信し得る。モバイルアプリ9010aは次いで、モバイルデバイス9011がかかる情報を種々の実体(例えば、医療従事者、健康保険提供業者、薬物製造業者等)の1つ以上の遠隔サーバまたはストレージ9011cに伝送するようにし得る。一例において、薬物送達デバイスアプリ9010aに記憶された、送達終了情報に関連するデータは、セルラーネットワークインターフェースを介してクラウドサーバ9011cに伝送され得る。さらに、送達終了情報は、投薬終了の検証、薬物送達の総時間枠、送達速度情報等を含み得るが、これらに限定されない。一例において、使用者は、モバイルアプリ9010aのボタン9010dを選択して、かかる情報を移送してもよい。一例において、モバイルアプリ9010aは、送達終了情報を種々の実体に選択的に移送するように構成され得る。送達終了情報、及び/または薬物送達に関連する任意の他の情報は、かかる情報をクラウドサーバ9011cに移送した後、永久的に記憶されない場合があることが企図される。
図77B及び77Cは、ポンプデバイス9010及び/またはモバイルデバイス9011の操作の代替的な方法を示す。図77B及び9Cに例証される方法において、デバイスの作動は、既定の待機時間の始まりを印付けるようにタイマーを始動する。追加的に、デバイス作動はまた、NIM作動過程における第1の工程を始動する。これらの図に示されるように、NIM作動過程における第1の工程は、オンボディセンサが標的の存在を検出するかどうかを決定することであり得る。必要とされる時間枠について標的が検出される場合、デバイスは、NIM作動に対して準備され得る。NIM作動に対するデバイスの準備は、使用者がNIMを作動させ得るように駆動機構、調節機構、及び起動機構のうちの1つ以上を構成することを含み得る。デバイスがNIM作動に対して準備された後、使用者は、NIMを作動させるよう通知され得る。通知は、ポンプデバイスからの可聴、視覚、または触覚フィードバックの形態にあり得る。代替的に、または追加的に、通知は、モバイルデバイスによって提供され得る。
通知後、使用者は、NIMを作動させて、流路を標的に挿入し得る。例えば、使用者は、ポンプデバイスの起動機構または別の機構を押し下げるかまたは起動することによってNIMを作動させ得る。
図77Bに示されるように、既定の待機時間が経過した後に、使用者は、ポンプデバイスが作動されて薬物送達を開始してもよいことを通知され得る。使用者は、既定の「使用者始動時間」内に薬物送達を始動可能であり得る。使用者始動時間が経過した後に、ポンプデバイスは、薬物送達を自動的に始動し得る。使用者は、任意選択で、薬物送達の始動時に通知され得る。通知は、ポンプデバイスによる視覚、可聴、または触覚表示の形態にあり得るか、代替的に、モバイルデバイスによる通知によるものであり得る。
図77Cに示される方法において、ポンプデバイス9010は、待機時間が経過した後に薬物送達が自動的に始動されるように構成されている。使用者は、薬物送が始動される、または始動されたことを通知され得る。使用者は、ポンプデバイスからの可聴、視覚、または触覚通知を通知され得る。代替的に、使用者は、モバイルデバイスによって通知されてもよい。
制御送達駆動機構90100、薬物送達ポンプ9010、または個々の構成要素のいずれかの組み立て及び/または製造は、当該技術分野で既知のいくつかの材料及び手法を利用してもよい。例えば、いくつかの既知の清掃流体等のイソプロピルアルコール及びヘキサンを用いて、構成要素及び/またはデバイスを清浄してもよい。いくつかの既知の接着剤または糊も同様に製造過程で用いられ得る。追加的に、既知のシリコン処理及び/または潤滑流体及び処理が、構成要素及びデバイスの製造中に用いられ得る。さらに、既知の滅菌過程が、最終製品の滅菌性を保証するために製造または組み立て段階のうちの1つ以上で用いられ得る。
駆動機構は、いくつかの手法で組み立てられ得る。1つの組み立て方法において、薬物容器9050は最初に組み立てられ、使用者への送達用の流体で充填され得る。薬物容器9050は、キャップ9052、穿通可能なシール9056、バレル9058、及びプランジャシール9060を含む。穿通可能なシール9056は、バレル9058の遠位端において、キャップ9052とバレル9058との間に固定的に係合され得る。バレル9058は、バレル9058の近位端からのプランジャシール9060の挿入前に、開口近位端を通して薬物流体で充填されてもよい。任意選択的な接続マウント9054は、穿通可能なシール9056の遠位端に据え付けられ得る。接続マウント9054は、薬物容器9050のバレル9058内への流体通路接続子の穿通部材の挿入をガイドし得る。薬物容器9050は、その後、駆動ハウジング90130の遠位端に据え付けられ得る。
1つ以上の駆動偏倚部材90122は、駆動ハウジング90130の遠位端内に挿入され得る。任意選択で、被覆スリーブ90140は、偏倚部材90122を実質的に被覆するために、駆動ハウジング90130の遠位端内に挿入され得る。ピストンは、それが少なくとも部分的に偏倚部材90122の軸方向パススルー内に常在し、かつ偏倚部材90122が、偏倚部材90122の遠位端においてピストン90110A、90110Bのピストンインターフェース表面90110Cと接触することを許容されるように、駆動ハウジング90130の遠位端内に挿入され得る。偏倚部材90122を封入し、ピストン90110A、90110Bのピストンインターフェース表面90110Cと接触するために、任意選択的な被覆スリーブ90140を利用してもよい。ピストン90110A、90110B、及び駆動偏倚部材90122、ならびに任意選択的な被覆スリーブ90140は、駆動ハウジング90130内に圧縮され得る。かかる組み立ては、駆動偏倚部材90122を最初の圧縮された付勢状態に位置付け、かつ好ましくは、バレル9058の近位端内でプランジャシール9060の近位表面と接触してピストンインターフェース表面90110Cを定置する。ピストン、ピストン偏倚部材、接触スリーブ、及び任意選択的な構成要素は、薬物容器9050の取り付けまたは据え付け前に、駆動ハウジング90130内で圧縮され、起動準備完了状態に係止され得る。テザー90525は、ピストン90110A、90110Bの近位端に予め接続され、偏倚部材90122及び駆動機構90130の軸方向開口部に通され、その後、テザー90525の他の端部が調節機構90500のウィンチドラム/歯車90520に巻き付けられた状態で、薬物送達デバイスの内部に巻き付けられる。
流体通路接続子、及び具体的には流体通路接続子の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップ及び/または穿通可能なシールに接続され得る。流体導管は、流体通路が、開放、接続、または別様に有効化されているときに、使用者の身体内への薬物送達のために薬物容器、流体通路接続子、流体導管、挿入機構から、かつカニューレを通って直接移動するように、それ自体が挿入機構に接続されている流体通路接続子の他の端部に接続され得る。流体流のための通路を構成する構成要素が次に組み立てられる。これらの構成要素は、図69Bに示されるように、いくつかの既知の方法によって滅菌され、その後、固定的にまたは着脱自在に薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに据え付けられ得る。
本開示の幅及び範囲内に留まりながら、駆動機構90100または薬物送達デバイス9010のある特定の任意選択的な標準的な構成要素または変形形態が企図される。例えば、実施形態は、本開示のモータまたはソレノイド、駆動機構、及び薬物送達デバイスに電力供給するために利用される1つ以上の電池を含み得る。当該技術分野で既知の様々な電池がこの目的で利用され得る。追加的に、上部または下部ハウジングは、使用者が薬物送達デバイス9010の動作を見るか、または薬物用量が完了したことを検証することを可能にするために、任意選択で1つ以上の透明または半透明窓9018を含み得る。同様に、薬物送達デバイス9010は、接着パッチ9026及びパッチライナー9028をハウジング9012の底部表面上に含み得る。接着パッチ9026は、薬物送達デバイス9010を薬物用量の送達のために使用者の身体に接着するために利用され得る。当業者には容易に理解されようが、接着パッチ9026は、使用者の身体への薬物送達デバイスの接着のための接着面を有し得る。接着パッチ9026は、最初は、非接着パッチライナー9028によって被覆されていてもよく、これは、使用者の身体と接触した薬物送達デバイス9010の定置の前に接着パッチ9026から取り外される。パッチライナー9028の取り外しはさらに、挿入機構90200の封止膜254を取り外し、薬物送達のために使用者の身体に対して挿入機構を開放する(図69Cに示されるように)。
同様に、制御送達駆動機構90100及び薬物送達デバイス9010の構成要素のうちの1つ以上は、機能的に本開示の幅及び範囲内に留まりながら修正され得る。例えば、上述のように、薬物送達デバイス9010のハウジングは、上部ハウジング9012A及び下部ハウジング9012Bの2つの別個の構成要素として示されているが、これらの構成要素は、単一の統合された構成要素であってもよい。上記で考察したように、糊、接着剤、もしくは他の既知の材料、または方法を利用して、制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素を互いに貼着してもよい。代替的に、制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素は、統合された構成要素であり得る。例えば、上部ハウジング及び下部ハウジングは、糊または接着剤、ねじ嵌め接続、締まり嵌め、融着接合、溶接、超音波溶接等によって一緒に貼着された別個の構成要素であってもよく、または上部ハウジング及び下部ハウジングは、単一の統合された構成要素であってもよい。かかる標準的な構成要素及び機能的変形形態は当業者には理解され得、したがって、本開示の幅及び範囲内である。
上記の説明から、本明細書に開示される制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスが、薬物容器からの自動化薬物送達のために効率的かつ容易に操作されるシステムを提供することが理解されよう。本明細書に記載の実施形態は、原薬の制御された送達のための駆動機構、及びかかる制御送達駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供し得る。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。本開示の制御送達駆動機構は、使用者によって直接的または間接的に作動され得る。さらに、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスの構成は、貯蔵中、輸送中、及びデバイスの操作を通して、流体通路の滅菌状態を維持する。薬物流体がデバイス内で移動する通路が完全に滅菌状態で維持されるため、これらの構成要素は、製造過程中に滅菌される必要があるのみである。かかる構成要素には、駆動機構の薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構が含まれる。本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システム、アセンブリプラットフォーム、制御アーム、作動機構、ハウジング、及び他の構成要素は、滅菌される必要がない。これは、デバイスの製造性を大幅に改善し、関連する組み立て費用を低減する。したがって、本開示のデバイスは、組み立ての完了時に最終滅菌を必要としない。
送達デバイスの製造薬物は、別個にまたは複合構成要素としていずれかで制御送達駆動機構及び薬物容器の両方を、薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付ける工程を含む。製造方法は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングへの流体通路接続子、薬物容器、及び挿入機構の取り付けをさらに含む。電力・制御システム、作動機構、及び制御アームを含めた、上述の薬物送達デバイスの追加の構成要素は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付けられ、予備形成され、または予め組み立てられ得る。接着パッチ及びパッチライナーは、デバイスの動作中に使用者と接触する薬物送達デバイスのハウジング表面に取り付けられ得る。
薬物送達デバイスを操作する方法は、使用者によって作動機構を作動させる工程と、制御アームを変位させて挿入機構を起動する工程と、電力・制御システムを起動して制御送達駆動機構を作動させて、制御された速度または薬物送達プロファイルに従って薬物送達デバイスを通る流体薬物流を駆動する工程と、を含む。本方法は、作動機構を作動させる前に任意選択的なオンボディセンサを係合させる工程をさらに含み得る。本方法は、同様に、流体通路接続子と薬物容器との間の接続を確立する工程を含み得る。さらに、操作方法は、薬物容器内でピストン上に作用する偏倚部材の拡張によって制御送達駆動機構内でプランジャシールを平行移動させて、使用者の身体への流体薬物の送達のために薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構に流体薬物流を押し通すことを含み得、テザーの分配を制限するように作用する調節機構は、ピストンの自在な軸方向平行移動を計るために利用される。駆動機構及び薬物送達デバイスの操作方法は、上述のように、図70A~70D及び図71A~71Dを参照してより良好に理解され得る。
IX.多機能駆動機構の追加の実施形態
少なくとも図1A~2B及び33A~33Cに関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図69A~75B及び78A~79Bに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図69A~75B及び78A~79Bに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の駆動機構100、6100、もしくは8100、または本明細書に記載の任意の他の駆動機構を置き換えてもよい。
本開示は、原薬の制御された送達のための多機能駆動機構、かかる駆動機構を有する制御された薬物送達ポンプ、かかるデバイスを操作する方法、及びかかるデバイスの組み立て方法を提供する。特に、本開示の多機能駆動機構は、(i)原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御することと、(ii)針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供することと、(iii)滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容することと、を含むいくつかの機能を有効化または始動する。本開示の新規の実施形態は、故に、可変速度で薬物を送達することが可能である。本開示の駆動機構は、以下に詳細に説明されるように、所望の送達速度またはプロファイルを満たすために、電力・制御システムによる制御によって予め構成され得るか、または動的に構成され得る。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、駆動機構の1つ以上の構成要素の軸方向平行移動及び/または移動の物理的終了に関連するため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。これらの機構を通して、薬物用量送達の確認が使用者または投与者に正確に提供され得る。したがって、本開示の新規のデバイスは、上記のもの等の先行技術のデバイスに関連する問題のうちの1つ以上を軽減する。
第1の実施形態において、本開示は、アクチュエータと、主歯車を含む歯車アセンブリと、駆動ハウジングと、キャップ、穿通可能なシール(不可視)、バレル、及びプランジャシールを有する薬物容器とを含む多機能駆動機構を提供する。主歯車は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシールとの間でバレル内に位置する薬物チャンバは、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。1つ以上の偏倚部材が付勢状態で最初に保持され、ピストンのインターフェース表面上に支えられるように構成されている、ピストン及び1つ以上の偏倚部材もまた、多機能駆動機構に組み込まれ得る。ピストンは、プランジャシール及びバレルを有する薬物容器内で実質的に軸方向に平行移動するように構成されている。テザーは、一方の端部においてピストンに接続され、他方の末端において調節機構のウィンチドラム/歯車に接続され、テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を制限する。薬物容器は、使用者への送達のための薬物流体を薬物チャンバ内に収容し得る。任意選択で、被覆スリーブは、駆動機構の動作中にバレルの内部構成要素(すなわち、ピストン及び偏倚部材)を視界から隠すために、偏倚部材とピストンのインターフェース表面との間に利用され得る。テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、多機能駆動機構の調節機構のウィンチドラム/歯車から解放されるように構成されている。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、調節機構は、多機能駆動機構のアクチュエータによって駆動される歯車アセンブリである。調節機構は、テザーの分配を妨げるかまたは制限し、調節された速度または所望の速度でのみ前進させる。これは、1つ以上の偏倚部材によって押圧されているバレル内でのピストンの移動を制限し、よって、プランジャシールの移動及びチャンバに入っている薬物の送達を制御する。プランジャシールが薬物容器内に前進すると、原薬は、薬物送達のために、滅菌通路接続、導管、挿入機構を通り、かつ使用者の身体内へと分注される。アクチュエータは、モータ(例えば、DCモータ、ACモータ、ステッパモータ)またはソレノイド(例えば、リニアソレノイド、回転ソレノイド)を含むいくつかの電力/運動源であり得る。特定の実施形態において、アクチュエータは、主/星形歯車の歯に対応するノッチを有する回転式ステッパモータである。
調節機構は、歯車アセンブリの1つ以上の歯車をさらに含み得る。歯車のうちの1つ以上は、例えば、大径歯車に共有中心点で取り付けられた小径歯車を有する複合歯車であり得る。歯車アセンブリは、テザーがその上に着脱可能に巻き付いているウィンチドラム/歯車に連結されたウィンチギアを含み得る。したがって、アクチュエータによって始動された歯車アセンブリの回転は、ウィンチドラム/歯車に連結され(すなわち、歯車アセンブリを通して)、それによって、テザーの分配、偏倚部材の拡張及びピストンの軸方向平行移動の速度、ならびにバレル内でのプランジャシールの移動の速度を制御して、流体を薬物チャンバから押し出し得る。ウィンチドラム/歯車の回転移動、及び故にピストン及びプランジャシールの軸方向平行移動は、本明細書に記載されるように、調節要素の他の構成要素による自在な軸方向平行移動を計測、制限、または別様に防止される。とりわけ、本開示の調節機構は、薬物チャンバからの流体物質の送達を駆動しない。薬物チャンバからの流体物質の送達は、偏倚部材の、ピストン及びプランジャシール上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって引き起こされる。調節機構は、代わりに、それらが偏倚部材のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン及びプランジャシールの自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン及びプランジャシールの運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。
原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御すること(それによって、原薬を可変の速度及び/または送達プロファイルで送達すること)に加え、本開示の多機能駆動機構は、針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供する工程、及び滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容する工程を同時にまたは連続的に実施し得る。少なくとも1つの実施形態において、多機能駆動機構のアクチュエータによる初期運動は、主/星形歯車を回転させる。1つの様態において、主/星形歯車は、歯車アセンブリを通して調節機構に運動を伝える。別の様態において、主/星形歯車は、歯車を通して針挿入機構に運動を伝える。主/星形歯車によって歯車が回転させられると、上に詳細に記載されるように、歯車は針挿入機構に係合して、流体通路接続子を使用者の中へと始動させる。1つの特定の実施形態において、針挿入機構は、回転式針挿入機構である。したがって、歯車は、針挿入機構の対応する歯車表面に係合するように構成されている。歯車の回転は、駆動機構の歯車と針挿入機構の対応する歯車表面との間の歯車の相互作用を通して針挿入機構の回転を引き起こす。いったん針挿入機構の好適な回転が生じると、本明細書に詳細に記載されるように、針挿入機構が始動されて、使用者への流体通路接続子を生み出す。
少なくとも1つの実施形態において、この様態での針挿入機構の回転はまた、滅菌流体通路の薬物容器への接続をもたらして、使用者への送達のための薬物容器から挿入機構への流体流を許容し得る。針挿入機構のランプ態様は、滅菌流体通路接続子の可動接続ハブ上に支えられるようにされる。多機能駆動機構によって針挿入機構が回転させられると、針挿入機構のランプ機構は、滅菌流体通路接続子の可動接続ハブに係合し、かつそれを平行移動させて、その内部の流体接続を容易にする。少なくとも1つの実施形態において、針挿入機構は、上に詳述されるように、特定の角度の回転が針/トロカールの後退を可能にするように構成され得る。加えてまたは代替的に、かかる針/トロカールの後退は、使用者の活動時または薬物送達デバイスの別の構成要素の移動もしくは機能時に生じるように構成され得る。少なくとも1つの実施形態において、針/トロカール後退は、例えば、本明細書に記載されるように、調節機構及び/またはステータスリーダのうちの1つ以上によってトリガされる、薬物送達の終了時に生じるように構成され得る。
なおも別の実施形態において、駆動機構は、1つ以上の対応するスタータストリガを読み取るかまたは認識するように構成されたステータスリーダを含み得る。ステータストリガは、テザー上で増分的に間隔を空けてもよく、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、光学的ステータストリガであり、電気機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、電気機械的ステータストリガであるか、または機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、機械的ステータストリガである。
さらなる実施形態において、本開示は、制御された薬物送達を有する薬物送達ポンプを提供する。薬物送達ポンプはハウジング及びアセンブリプラットフォームを有し、その上に作動機構、挿入機構、流体通路接続子、電力・制御システム、及び制御送達駆動機構が据え付けられてもよく、該駆動機構は、駆動ハウジング、ピストン、及び偏倚部材を有し、偏倚部材は、付勢状態で最初に保持され、ピストンの表面上に支えられるように構成されている。ピストンは、プランジャシール及びバレルを有する薬物容器内で実質的に軸方向に平行移動するように構成されている。テザーは、一方の端部においてピストンに接続され、他方の末端において送達調節機構のウィンチドラム/歯車に接続され、テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を制限する。薬物容器は、使用者への送達のための薬物流体を薬物チャンバ内に収容し得る。任意選択で、被覆スリーブは、駆動機構の動作中にバレルの内部構成要素(すなわち、ピストン及び偏倚部材)を視界から隠すために、偏倚部材とピストンのインターフェース表面との間に利用され得る。テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、送達調節機構のウィンチドラム/歯車から解放されるように構成されている。
別の実施形態において、薬物送達デバイスは、歯車アセンブリをさらに含む。歯車アセンブリは、テザーがその上に着脱可能に巻き付き得るウィンチドラム/歯車に接続されたウィンチギアを含み得、ウィンチドラム/歯車の回転は、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、テザーをウィンチドラム/歯車から解放する。テザーの計測は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御する。ピストンは、1つ以上の部品であり得、テザーの遠位端に接続する。ウィンチドラム/歯車は、ウィンチドラム/歯車の回転、及びしたがってピストンの平行移動の計測を制御する調節機構に連結されている。
なおも別の実施形態において、薬物送達デバイスは、1つ以上の対応するスタータストリガを読み取るかまたは認識するように構成されたステータスリーダを含み得る。ステータストリガは、テザー上で増分的に間隔を空けてもよく、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、光学的ステータストリガであり、電気機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、電気機械的ステータストリガであるか、または機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、機械的ステータストリガである。
別の実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システムは、1つ以上の入力を受信して、ウィンチドラム/歯車によるテザーの解放を計り、それによって、偏倚部材によるピストンの軸方向平行移動を許容して、プランジャシールをバレル内で平行移動させるように構成されている。1つ以上の入力は、作動機構、制御インターフェース、及び/または遠隔制御機構の起動によって提供され得る。電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすために、使用者への送達のための用量体積を変えるために、かつ/または駆動機構の操作を別様に開始、停止、もしくは一時停止するために、1つ以上の入力を受信して、偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動上にテザー及びウィンチドラム/歯車によってもたらされる制限を調整するように構成され得る。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬品の送達プロファイルは、調整可能である。例えば、食事、運動、睡眠等のある特定の活動前、活動中、または活動後に、薬品のボーラス注射を送達することが望ましい場合がある。「ボーラス注射」は、多くの場合、送達時間または持続時間にかかわらず送達される任意の測定された薬物体積である。逆に、「基底注射」は、多くの場合、制御された送達速度、及び/または異なる時間間隔で様々な送達速度を有する送達プロファイルである。同様に、使用者は、これらの時間または他の時間で薬品の基底送達速度を増加または減少させることを望む場合がある。少なくとも1つの実施形態において、送達プロファイルは、この所望の薬物送達を達成するために使用者によって調整可能である。使用者は、薬物送達デバイス自体と相互作用することによって送達プロファイルを調整してもよく、または代替的に、そのためにスマートフォン等の外部デバイスを使用してもよい。例えば、使用者は、作動機構を変位させることによって送達プロファイルを調整してもよく、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させてもよい。
本開示の別の実施形態において、送達プロファイルは、1つ以上の入力に基づいて自動的に調整されてもよい。例えば、送達プロファイルは、患者の活動レベル、心拍数、血糖値等に基づいて調整され得る。上記のように、これらの測定値を用いて、ボーラス注射、または基底注射送達速度の増加もしくは減少、または基底注射送達プロファイルの調整の必要性を判定することができる。少なくとも1つの実施形態において、これらの入力測定値は、デバイス自体によって監視され得る。追加的に、または代替的に、それらは、スマートフォン、スマートウォッチ、心拍数モニタ、グルコースモニタ、血圧モニタ等の二次デバイスによって監視されてもよい。いくつかの実施形態において、送達プロファイルは、使用者の介入を必要とせずにこれらの測定値に基づいて調整され得る。二次デバイスによる監視及び/または制御に場合、二次デバイス及び薬物送達デバイスは、互いに無線または有線通信し得る。この通信は、Bluetooth、近距離無線通信、Wi-Fi、またはデバイスの相互接続性に関する当業者に既知の任意の他の方法を通したものであり得る。
しかしながら、好ましい実施形態において、監視/調整機構は、使用者に対して警報を発し、かつ推奨を行う場合があり、使用者は、監視/調整機構による推奨を始動/許可するか、または無視する能動制御を有し得る。例えば、測定値のうちの1つ以上が指定の閾値より高いかまたは低い場合、デバイスは、可聴、可視、または触覚による警報を使用者に対して発する場合がある。一例において、警報は、デバイスの振動によって提供され、それによって、個別の警報を使用者に提供する。加えてまたは代替的に、警報は、使用者のスマートフォンまたは他の二次デバイスによって提供され得る。使用者は、コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースにおける測定値の現在のステータスを、デバイス自体、コンピュータ、スマートフォン、または他のデバイスで見ることが可能であり得る。コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースは、送達プロファイルへの推奨される調整を提供し得る。この情報に基づいて、使用者は、薬物送達デバイスの送達速度を調整してもよい。上記のように、使用者は、作動機構を変位させるか、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させることによって、送達プロファイルを調整してもよい。
一実施形態において、使用者の入力または上記の測定値のいずれかに基づく送達プロファイルを調整する信号に応じて、電力・制御システムは、アクチュエータの移動速度を変化させ得る。アクチュエータの移動速度の変化は、調節機構の回転速度を変化させ、これは次いで、使用者への薬物送達速度を制御する。代替的に、送達プロファイルは、薬物容器及び挿入機構を接続する導管を通る薬品の流路の特性の変化によって変えることができる。この変化は、薬物容器から挿入機構への薬品の流れを制限する流れ制限部の導入、取り外し、または修正によって引き起こされ得る。例えば、流れ制限部は、流れ制限部の入力及び出力と流体連通して選択的に定置され得る複数の流路を有し得る。異なる長さまたは断面を有する流路を提供することによって、送達速度を制御することができる。他の実施形態において、送達プロファイルは、導管の衝突の導入または取り外しによって変えることができる。流路の衝突は、導管を通る薬品の流れを中断させるかまたは遅くすることができ、それによって、使用者への送達速度を制御する。したがって、本開示の1つ以上の実施形態は、薬物容器からの薬品送達速度の変化を生み出し、それによって、多機能駆動機構及び/または薬物送達デバイスの動的制御能力を提供することができる。
本開示の新規の実施形態は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止し、それによって、原薬の送達速度を制御することができる駆動機構を提供する。新規の制御送達駆動機構は、加えて、デバイスの操作の前、その間、及びその後に薬物送達の増分ステータスを提供することができる。本明細書全体を通して、別段の指示がない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」、または「含む(includes)」もしくは「からなる」等の関連する用語は、明記された整数または整数の群が、1つ上の他の明記されていない整数または整数の群を含み得るように、排他的ではなく包括的に使用される。以下にさらに記載されるように、本開示の実施形態は、医療デバイスの業界において標準的な構成要素と見なされ得る1つ以上の追加の構成要素を含み得る。例えば、実施形態は、本開示のモータ、駆動機構、及び薬物送達デバイスに電力供給するために利用される1つ以上の電池を含み得る。構成要素、及びかかる構成要素を含む実施形態は、本開示の企図内であり、本開示の幅及び範囲内に入ることを理解されたい。
本開示は、原薬の制御された送達のための多機能駆動機構、及びかかる多機能駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の多機能駆動機構は、(i)原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御することと、(ii)針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供することと、(iii)滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容することと、を含むいくつかの機能を有効化または始動する。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。
本開示の駆動機構、薬物送達ポンプ、または構成要素の相対的な位置のいずれかを説明して本明細書で使用されるとき、「軸方向」または「軸方向に」という用語は一般に、駆動機構が好ましくは、その周りで必ずしも左右対称でないが周りに位置付けられる、縦軸「A」を指す。「径方向」という用語は一般に、軸Aに対して垂直の方向を指す。「近位の」、「後面の」、「後方の」、「逆の」、または「逆方向の」という用語は一般に、方向「P」での軸方向の方向を指す。「遠位の」、「前面の」、「前方の」、「押し下げられた」、または「順方向の」という用語は一般に、方向「D」での軸方向の方向を指す。本明細書で使用されるとき、「ガラス」という用語は、環状オレフィンコポリマー(COC)及び環状オレフィンポリマー(COP)等のある特定の非反応性ポリマーを含むがこれらに限定されない、通常はガラスを必要とする医薬品グレードの用途において使用するのに好適な他の同様に非反応性の材料を含むように理解されるべきである。「プラスチック」という用語は、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーの両方を含み得る。熱可塑性ポリマーは、熱によってそれらの元々の状態に再度軟化できるが、熱硬化性ポリマーはできない。本明細書で使用されるとき、「プラスチック」という用語は主に、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン、またはアクリル樹脂等の成形可能な熱可塑性ポリマーを指し、これは、治癒剤、充填剤、強化剤、着色剤、及び/または可塑剤等といった他の成分もまた典型的に含有し、熱及び圧力下で形成または成形され得る。本明細書で使用されるとき、「プラスチック」という用語は、それらが、プラスチックと相互作用し得る治療液、またはプラスチックから液体へ別様に進入した可能性のある置換基によって分解され得る治療液と直接接触している用途での使用に認可されている、ガラス、非反応性ポリマー、またはエラストマーを含むことは意図しない。「エラストマー」、「エラストマーの」または「エラストマー材料」という用語は主に、プラスチックよりもより容易に変形可能であるが、医薬品グレードの流体との併用に認可されており、かつ周囲温度及び圧力下で浸出またはガス移動の影響を受けにくい、架橋結合した熱硬化性ゴム状ポリマーを指す。「流体」は主に、液体を指すが、液体中に分散した固体の懸濁液、及び薬物送達デバイスの流体含有部分の内側の液体に溶解したあるいは液体内に一緒に存在するガスもまた含み得る。本明細書に記載の種々の態様及び実施形態によれば、例えば、プランジャシールに力を及ぼす1つ以上の偏倚部材の関連において、「偏倚部材」に言及がなされる。偏倚部材は、エネルギーを蓄積及び放出可能である、任意の部材であってよいことが理解されよう。非限定的な例としては、例えば、コイルばね、圧縮もしくは引張ばね、ねじりばね、または板ばね等のばね、弾性的に圧縮性もしくは伸縮自在のバンド、または同様の機能を有する任意の他の部材が挙げられる。本開示の少なくとも1つの実施形態において、偏倚部材は、ばね、好ましくは圧縮ばねである。
本開示の新規のデバイスは、一体型のステータス表示を有する駆動機構及びかかる駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。かかるデバイスは、自己投与する患者にとって、安全で使用が容易であり、審美的かつ人間工学的に魅力がある。本明細書に記載のデバイスは、未訓練の使用者にとってさえも本デバイスの作動、操作、及びロックアウトを単純にする特徴を組み込む。本開示の新規のデバイスは、既知の先行技術のデバイスに関連する問題のうちのいずれも伴わずに、これらの望ましい特徴を提供する。新規の薬物送達ポンプ、駆動機構、及びそれらのそれぞれの構成要素のある特定の非限定的な実施形態が、付随する図を参照しながら本明細書にさらに記載される。
本明細書で使用されるとき、「ポンプ」及び「送達デバイス」という用語は、作動時に流体を使用者に分注することが可能である任意の数の薬物送達システムを含むことを意図する。かかる薬物送達システムには、例えば、注入システム、輸液ポンプ、ボーラス注入装置、オンボディ注入装置等が含まれるが、これらに限定されない。図69A~69Cは、本開示の少なくとも1つの実施形態による例示的な薬物送達デバイスを示し、上ハウジングは、内部構成要素が見えるように取り外されている。薬物送達デバイスを利用して、使用者の体内への薬物治療剤の送達を施してもよい。図69A~69Cに示されるように、薬物送達デバイス9010は、ポンプハウジング9012を含む。ポンプハウジング9012は、薬物送達デバイスのより容易な製造、組み立て、及び操作の便宜を図るために固定的に係合可能である、1つ以上のハウジング部分構成要素を含み得る。例えば、薬物送達デバイス9010は、上部ハウジング及び下部ハウジング(内部構成要素を見やすくするために図示せず)を含み得るポンプハウジング9012を含む。ポンプハウジング9012は、薬物送達デバイスが開放または改変されているかどうかを特定するために1つ以上のタンパーエビデンス特徴を含み得る。例えば、ポンプハウジング9012は、上部ハウジング及び下部ハウジングにわたって架けられたラベル等の1つ以上のタンパーエビデンスラベルまたはステッカーを含み得る。加えてまたは代替的に、ハウジング9012は、上部ハウジングと下部ハウジングとの間を接続する1つ以上のスナップアームまたは先端部を含み得る。破壊されたまたは改造されたというタンパーエビデンス特徴は、デバイスが評価され、ことによると、使用者による使用または使用者へのリスクを伴わずに破棄されるように、例えば、デバイスの内部態様にアクセスすることによって、薬物送達デバイスが不正細工された可能性があることを使用者、医師、供給業者、製造業者等に合図する。薬物送達デバイスは、作動機構、ステータスインジケータ、及び窓をさらに含み得る。窓は、薬物送達デバイスの操作がそれを通して見られ得る、任意の半透明または透過性表面であってよい。図69Bに示されるように、薬物送達デバイス9010は、アセンブリプラットフォーム9020、滅菌流体導管30、薬物容器9050を有する駆動機構90100、挿入機構90200、流体通路接続子90300、及び電力・制御システム(図示せず)をさらに含む。かかる薬物送達デバイスの構成要素のうちの1つ以上は、それらが、例えば、製造中に別個の構成要素として予め組み立てられ、薬物送達デバイス9010のアセンブリプラットフォーム9020の上の所定の位置に収まるよう構成され得るという点で、モジュール式であり得る。
ポンプハウジング9012は、デバイスの構成要素の全てを含み、デバイス9010を使用者の皮膚に着脱自在に取り付ける手段を提供する。ポンプハウジング9012はまた、デバイス9010の内部構成要素に環境的影響からの保護を提供する。ポンプハウジング9012は、未訓練の及び/または身体障害のある場合がある使用者による容易な包装、貯蔵、取り扱い、及び使用の便宜を図るために、サイズ、形状、及び関連する特徴において人間工学的に及び審美的に設計される。さらに、ポンプハウジング9012の外面を利用して、製品ラベル、安全性指示等を提供してもよい。追加的に、上述のように、ハウジング9012は、操作フィードバックを使用者に提供し得る、1つ以上のステータスインジケータ及び窓等のある特定の構成要素を含み得る。
少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイス9010は、使用者が変位させて電力・制御システムへの開始コマンドをトリガする、作動機構を提供する。好ましい実施形態において、作動機構は、上部ハウジングと下部ハウジングとの間の開口部を通して等、ポンプハウジング9012を通して位置し、電力・制御システムと直接的または間接的に接触する、開始ボタンである。少なくとも1つの実施形態において、開始ボタンは、押しボタンであり得、他の実施形態においては、オン/オフスイッチ、トグル、または当該技術分野で既知の任意の同様の作動特徴であり得る。ポンプハウジング9012はまた、1つ以上のステータスインジケータ及び窓も提供する。他の実施形態においては、作動機構、ステータスインジケータ、窓のうちの1つ以上、及びそれらの組み合わせが、例えば、薬物送達デバイス9010が使用者の身体上に定置されるときに使用者に見える側等の、上部ハウジングまたは下部ハウジング上に提供され得る。ハウジング9012は、本開示の他の構成要素及び実施形態を参照しながらこれ以降でさらに詳述される。
薬物送達デバイス9010は、作動機構を押し下げることにより使用者が作動させると、多機能駆動機構が作動されて、流体通路を使用者の中に挿入することと、薬物容器、流体通路、及び滅菌流体導管の間の必要な接続を有効化する、接続する、または開通させることと、薬物容器に格納された薬物流体を、使用者の中への送達のために流体通路及び流体導管に押し通すこととを行うように構成されている。少なくとも1つの実施形態において、使用者への薬物流体のかかる送達は、制御された様態で多機能駆動機構によって行われる。1つ以上の任意選択的な安全性機構を利用して、例えば、薬物送達デバイスの時期尚早な作動を防止してもよい。例えば、任意選択的なオンボディセンサ(不可視)が、一実施形態において、薬物送達デバイス9010が使用者の身体と接触していない限り、電力・制御システム、または作動機構が係合され得ないことを保証する安全性特徴として提供されてもよい。かかる一実施形態において、オンボディセンサは、使用者の身体と接触するようになり得る、下部ハウジングの底部に位置する。オンボディセンサが変位すると、作動機構の押し下げが許容される。したがって、少なくとも1つの実施形態において、オンボディセンサは、作動機構による薬物送達デバイス9010のトリガを防止する、例えば機械的ロックアウト等の、機械的安全性機構である。別の実施形態において、オンボディセンサは、信号を電力・制御システムに送信して作動を許容する機械的ロックアウト等の、電気機械的センサであり得る。依然として他の実施形態において、オンボディセンサは、電力・制御システムの作動を許容する前に組織を検出しなければならない、例えば、静電容量ベースまたはインピーダンスベースのセンサ等の電気ベースであり得る。これらの概念は、相互排他的なものではなく、本開示の範囲内で1つ以上の組み合わせを利用して、例えば、薬物送達デバイスの時期尚早な作動を防止してもよい。好ましい実施形態において、薬物送達デバイス9010は、1つ以上の機械的オンボディセンサを利用する。追加の一体型安全性機構は、新規の薬物送達デバイスの他の構成要素を参照して本明細書に記載される。
IX.A.電力・制御システム
電力・制御システムは、薬物送達デバイス内の種々の電気構成要素にエネルギーを提供する、電源、1つ以上のフィードバック機構、マイクロコントローラ、回路基板、1つ以上の伝導性パッド、及び1つ以上の相互接続部を含み得る。当業者には理解されようが、かかる電気システムで一般的に使用される他の構成要素もまた含まれてもよい。1つ以上のフィードバック機構は、例えば、ピエゾアラーム等の可聴アラーム及び/または発光ダイオード(LED)等の光インジケータを含み得る。マイクロコントローラは、例えば、マイクロプロセッサであり得る。電力・制御システムは、使用者とのデバイスのいくつかの相互作用を制御し、駆動機構90100とインターフェース接続する。一実施形態において、電力・制御システムは、オンボディセンサ9024と直接であれ間接的であれインターフェース接続して、デバイスが使用者及び/または作動機構と接触している時を特定して、薬物送達デバイスが作動されている時を特定する。電力・制御システムはまた、使用者に視覚フィードバックを提供するために光移送を許容する透過性または半透明の材料であり得る、ポンプハウジング9012のステータスインジケータとインターフェース接続し得る。電力・制御システムは、1つ以上の相互接続を通して駆動機構90100とインターフェース接続して、作動、薬物送達、及び投薬終了等のステータス表示を患者に中継する。かかるステータス表示は、聴覚トーンを介して、例えば可聴アラームにより、及び/または視覚インジケータを介して、例えばLEDにより、使用者に提示され得る。好ましい実施形態において、電力・制御システムと薬物送達デバイスの他の構成要素との間の制御インターフェースは、使用者が作動させるまで係合または接続されない。これは、薬物送達デバイスの偶発的な操作を防止し、さらに、貯蔵、輸送等の間に電源内に収容されるエネルギーを維持し得る、望ましい安全性特徴である。
電力・制御システムは、いくつかの異なるステータスインジケータを使用者に提供するように構成され得る。例えば、電力・制御システムは、オンボディセンサ及び/またはトリガ機構が押圧された後に、デバイス起動点検により何のエラーも報告されなければ、電力・制御システムがステータスインジケータを介して開始準備完了ステータス信号を提供するように、構成され得る。開始準備完了ステータス信号を提供した後に、任意選択的なオンボディセンサを有する実施形態において、オンボディセンサが使用者の身体と接触したままである場合、電力・制御システムは、駆動機構90100に電力供給して、流体通路接続子90300及び滅菌流体導管9030(図示せず)を通した薬物治療剤の送達を開始する。
追加的に、電力・制御システムは、薬物送達デバイスのその包装からの取り外しを特定するように構成され得る。電力・制御システムは、包装に機械的に、電気的に、または電気機械的に接続され得、それにより、薬物送達デバイスの包装からの取り外しが、電力・制御システムを使用のために作動させ得るもしくはその電源を入れ得るか、または使用者によって電源を入れられるように電力・制御システムを単に有効化し得る。かかる実施形態において、薬物送達デバイスの包装からの取り外しなしには、薬物送達デバイスは、作動され得ない。これは、薬物送達デバイスの及び使用者のための追加の安全性機構を提供する。少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスまたは電力・制御システムは、例えば、以下の様々なセンサ、すなわち、ホール効果センサ;巨大磁気抵抗(GMR)または磁界センサ;光センサ;静電容量式または静電容量変化センサ;超音波センサ;及びリニアトラベル、LVDT、リニア抵抗、または放射測定リニア抵抗センサ;ならびにそれらの組み合わせからの、1つ以上の相互作用センサ等によって、包装に電気的にまたは電気機械的に接続され得、これらのセンサは、構成要素間の信号を伝送してそれらの間の位置を特定するように調和可能である。加えてまたは代替的に、薬物送達デバイスまたは電力・制御システムは、例えば、ピンが取り外されるときに(すなわち、薬物送達デバイスが包装から取り外されると)システムを作動させるピンとスロットの関係によって、包装に機械的に接続され得る。
本開示の好ましい実施形態において、いったん電力・制御システムが作動されると、多機能駆動機構が始動されて、挿入機構90200及び流体通路接続子90300を起動すると同時に、薬物流体が薬物容器から押し出されることも許容する。薬物送達過程中、電力・制御システムは、ステータスインジケータを介して分注ステータス信号を提供するように構成される。薬物が使用者の身体内に投与された後、及び実質的に全用量が使用者に送達されたことを確実にするためのいずれの追加の滞留時間の終了後、電力・制御システムは、ステータスインジケータを介して取り外し可ステータス信号を提供し得る。これは、使用者がポンプハウジング9012の窓を通して駆動機構及び薬物用量送達を見ることによって、独立して検証され得る。追加的に、電力・制御システムは、ステータスインジケータを介して、例えば、故障または動作不具合状況を示す警報等の1つ以上の警報信号を提供するように構成され得る。
電力・制御システムは加えて、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように駆動機構90100を動的に制御するための、使用者からの種々の入力を受け入れるように構成され得る。例えば、電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように電力・制御システムを介して駆動機構90100の制御を設定、始動、停止、あるいは調整するための、例えば、作動機構の部分的または完全な作動、押し下げ、及び/または解放による入力を受信し得る。同様に、電力・制御システムは、薬物用量体積を調整する、駆動機構、流体通路接続子、及び流体導管をプライミングする、ならびに/または駆動機構90100の操作を開始、停止、もしくは一時停止するような入力を受信するように構成され得る。かかる入力は、例えば、作動機構9014もしくは異なる制御インターフェースの使用により、使用者が薬物送達デバイス9010に直接働きかけることによって受信されてもよく、または電力・制御システムは、かかる入力を遠隔制御デバイスから受信するように構成されてもよい。加えてまたは代替的に、かかる入力は、予めプログラムされてもよい。
他の電力・制御システム構成は、本開示の新規の薬物送達デバイスと共に利用され得る。例えば、ある特定の作動遅延が、薬物送達中に利用され得る。上述のように、システム構成内に任意選択で含まれる1つのかかる遅延は、完了を使用者に信号伝達する前に実質的に全薬物用量が送達されていることを確実にする、滞留時間である。同様に、デバイスの作動は、薬物送達デバイスの作動前に、薬物送達デバイス9010の作動機構の遅延した押し下げ(すなわち、押圧)を必要とし得る。追加的に、システムは、使用者が投薬終了信号に応答すること、及び薬物送達デバイスを作動停止するまたはその電源を切ることを許容する特徴を含み得る。かかる特徴は同様に、停止デバイスの偶発的な作動を防止するために、作動機構の遅延した押し下げを必要とし得る。かかる特徴は、薬物送達デバイスに対する望ましい安全性一体化機構及び使い勝手の良いパラメータを提供する。追加の安全性特徴が、薬物送達デバイスの部分的押し下げ、及びしたがって、部分的作動を防止するために作動機構に一体化されてもよい。例えば、作動機構及び/または電力・制御システムは、部分的作動を防止するために、デバイスが完全にオフであるかまたは完全にオンであるかのいずれかであるように構成され得る。かかる特徴は、新規の薬物送達デバイスの他の態様に関してこれ以降でさらに詳述される。
IX.B.挿入機構
いくつかの挿入機構が、本開示の薬物送達デバイス内で利用され得る。本開示のポンプ式送達デバイスは、例えば、任意の好適な中空チューブを通して、流体流連通によって患者または使用者に接続され得る。固形針を用いて、患者の皮膚を穿通し、中空カニューレを適切な送達位置に定置してもよく、固形針は、患者への薬物送達の前に取り外されるかまたは後退される。上記のように、流体は、自動的に挿入された針、カニューレ、微小針アレイ、または輸液セットチューブを含むがこれらに限定されない任意の数の手段を通して身体内に誘導され得る。いくつかの機構がまた、患者への針の挿入を作動させるために用いられ得る。例えば、ばね等の偏倚部材が、針及びカニューレを患者の皮膚に穿通させるために十分な力を提供するために用いられる。同じばね、追加のばね、または別の同様の機構を利用して、針を患者から後退させることができる。好ましい実施形態において、挿入機構は、一般に、参照により全目的で本明細書に含まれる国際特許出願第PCT/US2012/53174号に記載されるようなものであり得る。かかる構成は、患者への痛みを最小限に抑える方法で患者の皮膚(または筋肉)内またはその下への薬物送達通路の挿入のために利用されてもよい。流体通路の挿入のための他の既知の方法が利用されてもよく、本開示の範囲内であることが企図され、これには、本開示の譲受人によって開発された剛性針挿入機構及び/または回転式針挿入機構が含まれる。
少なくとも1つの実施形態において、挿入機構90200は、1つ以上のロックアウト窓、ならびにアセンブリプラットフォーム及び/またはポンプハウジングへの接続のための基部を有する挿入機構ハウジングを含む(図69B及び図69Cに示されるように)。アセンブリプラットフォーム9020への基部の接続は、例えば、基部の底部がアセンブリプラットフォーム内の穴を通過することが許容されて、使用者の身体への基部の直接的な接触を許容するようなものであり得る。かかる構成において、基部の底部は、薬物送達デバイス9010の使用前に取り外し可能な封止膜を含み得る。挿入機構は、1つ以上の挿入偏倚部材、針、後退偏倚部材、カニューレ、及びマニホールドをさらに含み得る。マニホールドは、滅菌流体導管9030に接続して、薬物送達中に、マニホールド、カニューレを通り、かつ使用者の身体への流体流を許容し得る。
本明細書で使用されるとき、「針」は、剛性中空針等の従来の中空針、及びより一般的には「トロカール」と称される中実針を含むがこれらに限定されない様々な針を指すことを意図する。好ましい実施形態において、針は、9027ゲージの中実トロカールであり、他の実施形態において、針は、意図する薬物及び薬物投与(例えば、皮下、筋肉内、皮内等)の種類のための、カニューレを挿入するために好適な任意のサイズの針であり得る。針挿入機構内で滅菌ブーツが利用されてもよい。滅菌ブーツは、近位端においてマニホールドと、かつ遠位端において基部と固定係合している折り畳み式滅菌膜である。少なくとも一実施形態において、滅菌ブーツは、基部と挿入機構ハウジングとの間で遠位端における固定係合に維持される。基部は、以下にさらに記載されるように、挿入機構の動作中に針及びカニューレがそれを通って通過し得る基部開口を含む。カニューレ及び針の滅菌性は、挿入機構の滅菌部分内でのそれらの初期位置付けによって維持される。具体的には、上述のように、針及びカニューレは、マニホールド及び滅菌ブーツの滅菌環境において維持される。基部の基部開口は、例えば封止膜(不可視)によって、非滅菌環境からも閉鎖され得る。
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、挿入機構は初めに、挿入機構ハウジングのロックアウト窓内に初めに位置付けられたロックアウトピン(複数可)によって即時使用可能な段階に係止されている。この初期構成において、挿入偏倚部材及び後退偏倚部材は、それらの圧縮された付勢状態に各々保持されている。引張、押圧、摺動、及び/または回転等の1つ以上の方法によるロックアウトピン(複数可)の変位は、挿入偏倚部材がその初期の圧縮された付勢状態から圧縮解除されることを許容する。挿入偏倚部材のこの圧縮解除は、任意選択で、針及びカニューレを使用者の身体内に駆動する。挿入段階の終わりに、または(多機能駆動機構によってトリガされる)薬物送達の終わりに、後退偏倚部材は、その初期の付勢状態から近位方向に拡張することが許容される。後退偏倚部材の近位方向におけるこの軸拡張は、針を後退させる。インサータ針/トロカール及びカニューレ構成が利用される場合、カニューレを使用者の身体と流体連通に維持しながら、針の後退が生じ得る。したがって、挿入機構を用いて、針及びカニューレを使用者内に挿入し、その後、カニューレを使用者の身体への薬物送達のための位置に保持しながら、針を後退させてもよい。
少なくとも1つの実施形態において、図75に示されるように、挿入機構は、最初は付勢状態に保持されている、回転して偏倚された部材90210を含む。好ましい実施形態において、回転して偏倚された部材は、ねじりばねである。回転偏倚部材は、歯車90112との歯車表面90208の相互作用によって、または代替的には、薬物送達デバイスの回転防止特徴との挿入機構の構成要素の接触によって付勢解除することを防止され得る。デバイスの作動時、または別の入力時に、回転して偏倚された部材90210は、付勢解除することを少なくとも部分的に許容される。これは挿入機構の1つ以上の構成要素の回転を引き起こし、これは次いで、患者内への針の挿入を引き起こすか、またはそれを可能にする。さらに、カニューレは、上述のように患者内に挿入され得る。デバイスの制御アームまたは別の構成要素がテザーにおけるたるみを認識したとき等の後の時点で、回転して偏倚された部材は、さらに付勢解除され得、これは、挿入機構の1つ以上の構成要素の追加の回転を引き起こす。この回転は、針を患者から後退させるか、それを可能にし得る。針は、単一の工程で完全に後退してもよく、または複数の後退工程があってもよい。
IX.C.流体通路接続子
いくつかの流体通路接続子が、本開示の実施形態内で利用され得る。一般に、好適流体通路接続子は、滅菌流体導管、穿通部材、及び薬物容器に取り付けられた滅菌スリーブまたは薬物容器内に一体化された摺動型の穿通可能なシールを含む。流体通路接続子は、1つ以上の流れ制限部をさらに含み得る。送達デバイス9010の適切な作動時に、流体通路接続子90300は、滅菌流体導管9030を駆動機構90100の薬物容器に接続するように有効化される。かかる接続は、駆動機構90100の薬物容器の穿通可能なシールを突き通す、針等の穿通部材によって容易にされる。この接続の滅菌性は、可撓性滅菌スリーブ内で接続を行うことによって維持され得る。挿入機構の実質的に同時の作動時に、薬物容器と挿入機構との間の流体通路が完成して、使用者の身体内への薬物送達を許容する。かかる一実施形態において、流体通路接続子は、国際特許出願第PCT/US2012/054861号に記載されるものと実質的に同様であり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。かかる実施形態において、圧縮性の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップと流体通路接続子の接続ハブとの間に固定的に取り付けられてもよい。穿通部材は、流体接続通路と薬物容器との間の接続が所望されるまで、滅菌スリーブ内に常在し得る。滅菌スリーブは、作動前の穿通部材及び流体通路の滅菌性を保証するために滅菌され得る。
代替的に、流体通路接続子は、例えば、国際特許出願第PCT/US2013/030478号または同第PCT/US2014/052329号に記載されるように、薬物容器の中に一体化され得、同特許出願は、参照によりそれらの全体が全目的で本明細書に組み込まれる。かかる実施形態によれば、薬物容器は、穿通可能なシールとプランジャシールとの間でバレル内に薬物チャンバを有し得る。薬物流体は、薬物チャンバに収容される。使用者によるデバイスの作動時に、駆動機構は、薬物容器内に入っているプランジャシール上に力をアサートする。プランジャシールが薬物流体及びいずれの空気/ガスの間隙または気泡に力を及ぼすとき、空気/ガスの圧縮によって空気圧及び液圧の組み合わせが蓄積し、薬物流体及び力が、摺動型の穿通可能なシールに引き継がれる。穿通可能なシールは、キャップの方へ摺動させられて、一体型の滅菌流体通路接続子内に保持された穿通部材によって穿通されることになる。したがって、一体型の滅菌流体通路接続子は、駆動機構の作動によって生み出された、薬物チャンバ内の空気/ガス及び薬物流体の組み合わせた空気圧/液圧の力によって接続される(すなわち、流体通路が開通される)。いったん一体型の滅菌流体通路接続子が接続または開放されると、薬物流体は、薬物容器から、一体型の滅菌流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通り、そして使用者の身体へと薬物送達のために流れることが許容される。少なくとも1つの実施形態において、流体は、マニホールドならびに挿入機構のカニューレ及び/または針のみを通って流れ、それによって、薬物送達前及び送達中に流体通路の滅菌性を維持する。
好ましい実施形態において、滅菌流体通路接続子は、針挿入機構が動くことによって始動され、この針挿入機構の動き自体は、多機能駆動機構によって始動される。加えてまたは代替的に、滅菌流体通路接続子は、多機能駆動機構が直接動くことによって始動される。例えば、多機能駆動機構は、本明細で上述される星形歯車等の回転歯車を含み得、これらの回転歯車は同時にまたは順次に作用して、薬物送達の速度を制御する、針挿入機構を起動する、及び/または滅菌流体通路接続子を始動する。図69A~69Cに示される1つの特定の実施形態において、多機能駆動機構は、これらの工程の全てを実質的に同時に実施する。多機能駆動機構は、いくつかの他の構成要素に対して作用する歯車を回転させる。歯車は、針挿入機構と接触して流体通路を使用者へと導入しながら、歯車アセンブリに作用して、薬物送達速度を制御する。針挿入機構が始動されるとき、滅菌流体の接続は、多機能駆動機構の歯車及び歯車アセンブリが薬物送達の速度を制御しながら、患者の中への送達のために薬物容器から、流体導管を通した、針挿入機構の中への薬物流体の流れを許容するようにされる。
薬物送達デバイスによって利用される流体通路接続子を問わず、薬物送達デバイスは、異なる粘度及び体積を有する様々な薬物を送達可能である。薬物送達デバイスは、制御された流速(速度)で及び/または指定の体積の薬物を送達可能である。一実施形態において、薬物送達過程は、流体通路接続子及び/または滅菌流体導管内で1つ以上の流れ制限部によって制御される。他の実施形態において、他の流速が、流体流路または送達導管の幾何形状を変化させることによって、駆動機構の構成要素が薬物容器の中へと前進してその中の薬物を分注する速度を変化させることによって、またはそれらの組み合わせによって、提供されてもよい。流体通路接続子90300及び滅菌流体導管9030についての依然としてさらなる詳細が、これ以降、他の実施形態を参照して後の節で提供される。
IX.D.多機能駆動機構:
本開示の多機能駆動機構は、(i)原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御することと、(ii)針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供することと、(iii)滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容することと、を含むいくつかの機能を有効化または始動する。図70A~70D及び3A~3Dに示される実施形態を参照すると、駆動機構90100は、アクチュエータ90101と、主歯車90102を含む歯車アセンブリ90110と、駆動ハウジング90130と、キャップ9052、穿通可能なシール(不可視)、バレル9058、及びプランジャシール9060を有する薬物容器9050とを含む。主歯車90102は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシール9060との間でバレル9058内に位置する薬物チャンバ9021は、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。本明細書に記載のシールは、いくつかの材料から構成され得るが、好ましい実施形態において、1つ以上のエラストマーまたはゴムから構成されている。駆動機構90100は、本明細書にさらに記載されるように、1つ以上の駆動偏倚部材、1つ以上の解放機構、及び1つ以上のガイドをさらに含み得る。駆動機構の構成要素は、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通る、かつ使用者の身体内への送達のために、穿通可能なシールを通して、または好ましくは流体通路接続子の穿通部材を通して流体を薬物容器から押し出すように機能する。
1つの特定の実施形態において、駆動機構90100は、1つ以上の圧縮ばねを偏倚部材(複数可)として用いる。使用者により薬物送達デバイスが作動されると、電力・制御システムが起動されて、圧縮ばね(複数可)を付勢状態から直接的または間接的に解放し得る。解放されると、圧縮ばね(複数可)は、プランジャシールに対して重みをかけ、かつそれに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。圧縮ばねは、ピストンに対して重みをかけ、かつそれに作用し、これは次いで、プランジャシールに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。流体通路接続子は、駆動機構の作動前、それと同時に、またはその後に穿通可能なシールを通して接続されて、薬物容器から流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通り、かつ使用者の身体内への薬物送達のための流体流を許容し得る。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構のマニホールド及びカニューレのみを通って流れ、それによって、薬物送達前及びその間に滅菌性流体通路を維持する。かかる構成要素及びそれらの機能は、本明細書にさらに詳細に記載される。
次に図70A~70D及び71A~71Dに示される多機能駆動機構の実施形態を参照すると、駆動機構100は、アクチュエータ90101と、主歯車90102を含む歯車アセンブリ90110と、駆動ハウジング90130と、キャップ9052、穿通可能なシール(不可視)、バレル9058、及びプランジャシール9060を有する薬物容器9050とを含む。主歯車90102は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシール9060との間でバレル9058内に位置する薬物チャンバ9021は、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。1つ以上の駆動偏倚部材90122及びピストン90110は、薬物容器9050とハウジング90130の近位端との間で駆動ハウジング90130内で圧縮され、駆動偏倚部材90122は、本明細書にさらに記載されるように、ピストン90110のインターフェース表面90110C上に支えられるように構成されている。任意選択で、例えば、駆動偏倚部材90122からピストン90110への力のより均等な分配を促すため、駆動偏倚部材90122の座屈を防止するため、かつ/または偏倚部材90122を使用者の視界から隠すために、被覆スリーブ(図示せず)が駆動偏倚部材90122とピストン90110のインターフェース表面90110Cとの間に利用されてもよい。ピストン90110のインターフェース表面90110Cは、シール9060の近位端に実質的に隣接して、またはそれと接触して静止させられる。図70A~70D及び71A~71Dに示される実施形態は、単数の偏倚部材を示しているものの、並行して作用するように配置された1つ以上の偏倚部材が使用され得ることも企図される。
図70D及び図71Dに最も良好に示されるように、ピストン90110は、2つの構成要素90110A及び90110Bから構成され、プランジャシールに接触するためのインターフェース表面90110Cを有し得る。テザー、リボン、紐、または他の保持ストラップ(本明細書において「テザー」90525と称される)は、一方の端部においてピストン90110A、90110Bに接続され得る。例えば、テザー90525は、組み立てられたときのピストン90110A、90110Bの2つの構成要素の間の保持によって、ピストン90110A、90110Bに接続され得る。テザー90525は、別の端部において送達制御機構90500のウィンチドラム/歯車90520に接続されている。テザー90525の一方の端部に接続されたウィンチドラム/歯車90520、及び別の端部においてピストン90110A、90110Bに接続されたテザー90525の使用を通して、調節機構90500は、原薬を薬物容器9050から押し出すために利用されるピストン90110A、90110B及びプランジャシール9060の自在な軸方向平行移動を制御するか、それを計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止するように機能する。したがって、調節機構90500は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御するために一緒に機能する、多機能駆動機構の態様の歯車アセンブリ90116の一部分である。
図70A~70D及び71A~71Dに示されるように、かつ図72及び73A~73Bに分離して示されるように、本開示の実施形態において、調節機構90500は、多機能駆動機構90100のアクチュエータ90101によって駆動される歯車アセンブリである。調節機構は、テザー90525の分配を妨げるかまたは制限し、調節された速度または所望の速度でのみ前進させる。これは、1つ以上の偏倚部材90122によって押圧されているバレル9058内でのピストン90110の移動を制限し、よって、プランジャシール9060の移動及びチャンバ9021に入っている薬物の送達を制御する。プランジャシール9060が薬物容器9050内に前進すると、原薬は、薬物送達のために、滅菌流体通路接続子90300、導管9030、挿入機構90200を通り、かつ使用者の身体内へと分注される。アクチュエータ90101は、例えば、ソレノイド、ステッパモータ、または回転式駆動モータを含む、いくつかの電力/運動源であり得る。特定の実施形態において、アクチュエータ90101は、主/星形歯車90102の歯に対応するノッチを有する回転式ステッパモータである。一般に、かかる回転式ステッパモータは、「Pac-Man」モータと称され得る。少なくとも1つの実施形態において、Pac-Manモータは、システムの動作中に主歯車の1つ以上の歯がその内部に部分的に常在し得る、歯車インターフェースを有する。これは、図73A~73Bにおいてより明らかに見ることができる。Pac-Manモータ90101の歯車インターフェース90101Aが主歯車90102の歯90102Aと整列しているとき、Pac-Manモータ90101の回転運動は、主歯車90102の歯車インターフェース回転を引き起こす。Pac-Manモータ90101が主歯車の歯の間にあるとき、例えば、歯車アセンブリ90116のバックスピンまたは巻き戻しのための抵抗として作用し得る。1つの特定の実施形態において、Pac-Manモータ90101は、Pac-Manモータ90101を逆方向及び順方向に回転させるために、交番方向型のモータを利用する。この構成は、モータの多方向を使用して、(暴走状態のために必要とされるであろう)一方向における連続スピンを防止することによって、モータ及び歯車が回転することを自在に許容されている暴走状態の防止を補助する。Pac-Manモータ内の歯車インターフェースの切れ目の使用と連結されたモータのこの二方向の動きは、使用者への薬物の過剰送達につながる可能性がある暴走状態を防止するために好適な安全性特徴を提供する。歯車アセンブリ90116、調節機構90500、及び多機能駆動機構90100についてのさらなる詳細が、本明細書に提供される。
図73A~73Bに示される特定の実施形態において、調節要素90500は、歯車アセンブリ90516の1つ以上の歯車90511、90512、90513、90514をさらに含む。歯車90511、90512、90513、90514のうちの1つ以上は、例えば、大径歯車に共有中心点で取り付けられた小径歯車を有する複合歯車であり得る。歯車90513は、例えば、位置決めされたシャフトによってウィンチドラム/歯車90520に回転式に連結され得、それによって、歯車アセンブリ90516の回転をウィンチドラム/歯車90520に連結し得る。複合歯車90512は、複合歯車態様90512Bの回転移動が歯車の係合によって(例えば、対応する歯車の歯の係合によって)歯車90513へと伝達されるように、小径歯車90513に係合する。その回転が歯車態様90512Bに連結している複合歯車態様90512Aは、主/星形歯車90102の複合歯車態様90102Bの作用によって回転させられる。その回転が主/星形歯車90102に連結している複合歯車態様90102Bは、主/星形歯車90102Aとアクチュエータ90101のインターフェース90101Aとの間の相互作用によって回転させられる。故に、主/星形歯車90102の回転は、ウィンチドラム/歯車90520に伝達される。したがって、アクチュエータ90101によって始動された歯車アセンブリ90516の回転は、ウィンチドラム/歯車90520に連結され(すなわち、歯車アセンブリ90516を通して)、それによって、テザー90525の分配、及びバレル9058内でのプランジャシール9060の移動の速度を制御して、流体を薬物チャンバ9021から押し出し得る。ウィンチドラム/歯車90520の回転移動、及び故にピストン90110及びプランジャシール9060の軸方向平行移動は、本明細書に記載されるように、調節要素90500の他の構成要素による自在な軸方向平行移動を計測、制限、または別様に防止される。上述のように、アクチュエータ90101は、モータ(例えば、DCモータ、ACモータ、ステッパモータ)またはソレノイド(例えば、リニアソレノイド、回転ソレノイド)を含むいくつかの既知の電力/運動源であり得る。
上に記載され、かつ図69A~73Dに示される実施形態は、主/星形歯車90102と垂直に整列し、かつそれと直接係合しているアクチュエータ90101を示す。機械技術における当業者であれば容易に理解され得るように、アクチュエータ90101は、水平に整列するように修正されてもよい。加えてまたは代替的に、アクチュエータ90101は、主/星形歯車90102と間接的に係合するように修正されてもよい。図75A~75Bに示される実施形態は、主/星形歯車90102と水平に整列し、かつそれと間接的に係合しているアクチュエータ90101を示す。かかる実施形態は、モータの運動の方向を水平から垂直(すなわち、垂直相互作用)に変えるために、図75A~75Bに示されるように、ラック及びピニオン係合、駆動ねじ、またはウォーム歯車90101Wを利用してもよい。アクチュエータ90101は、ウォーム歯車90101Wを回転させ、ウォーム歯車は、歯車90101Gに係合し、その運動をPac-Man歯車90101Aに伝達する。Pac-Man歯車90101Aは、主/星形歯車90102に係合して、本明細書に記載されるように、駆動機構及び薬物送達デバイスの操作を可能にする。主/星形歯車90102はまた、歯車90112の操作を駆動して、本明細書に記載されるように、針挿入機構90200の操作を可能にする。1つの特定の実施形態において、アクチュエータ90101は、ウォーム歯車90101W、歯車90101G、及びPac-Man歯車90101Aを逆方向及び順方向に回転させるために、交番方向型のモータを利用する。この構成は、モータの多方向を使用して、(暴走状態のために必要とされるであろう)一方向における連続スピンを防止することによって、モータ及び歯車が回転することを自在に許容されている暴走状態の防止を補助する。主/星形歯車90102と共に、ウォーム歯車90101W、歯車90101G、及びPac-Man歯車90101Aの歯車インターフェースの使用と連結されたアクチュエータ90101のこの二方向の動きは、使用者への薬物の過剰送達につながる可能性がある暴走状態を防止するために好適な安全性特徴を提供する。追加的に、アクチュエータ90101は、停止ブロック90150に対してPac-Man歯車90101Aの回転を停止させる停止部材90101Bを含み得る。停止ブロック90150は、Pac-Man歯車90101A、及びしたがって主/星形歯車90102の過剰回転をさらに防止して、使用者への薬物の過剰送達につながる可能性がある暴走状態を防止する。停止部材90101Bは、停止ブロック90150との相互作用によって一方向における過剰回転を防止するため、デバイスがこの構成で機能するためには、Pac-Man歯車90101Aは、主/星形歯車90102を前進させるために再び順方向に回転する前に、他の方向で逆方向に回転させられなければならない。追加的に、ウォーム歯車90101Wの幾何形状は、それ自体が自己係止されるか、かつ/または歯車90101Gによって後方駆動されないように構成され得る。これは、ピッチ、リード角、圧力角、及びねじの数等のパラメータの構成によってなされ得る。そうするとき、アクチュエータ90101によって引き起こされていない回転に対するウォーム歯車の抵抗によって、駆動機構の暴走状態が防止されることになる。
とりわけ、本開示の調節機構90500は、薬物チャンバ9021からの流体物質の送達を駆動しない。薬物チャンバ9021からの流体物質の送達は、偏倚部材90122の、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって引き起こされる。調節機構90500は、代わりに、それらが偏倚部材90122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構90500は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン90110及びプランジャシール9060の運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。好ましい実施形態によれば、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスは、偏倚部材90122によって軸方向に平行移動するように駆動されているピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の軸方向平行移動を計るテザーに間接的または直接的に接続された調節機構を含む。調節機構によって制御される薬物送達の速度は、歯車アセンブリ90516の歯車比の選択;主/星形歯車90102の選択;巻胴/歯車90520の直径の選択;電気機械的アクチュエータ90101を使用して主/星形歯車90102の回転速度を制御すること;または当業者に既知である任意の他の方法によって決定され得る。電気機械的アクチュエータ90101を使用して主/星形歯車90102の回転速度によって、可変の用量速度を提供する(すなわち、薬物送達の速度が治療中に変動する)ように薬物送達デバイスを構成することが可能であり得る。
別の実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システムは、1つ以上の入力を受信して、ウィンチドラム/歯車90520によるテザー90525の解放を計り、それによって、偏倚部材90122によるピストン90110の軸方向平行移動を許容して、プランジャシール9060をバレル9058内で平行移動させるように構成されている。1つ以上の入力は、作動機構、制御インターフェース、及び/または遠隔制御機構の起動によって提供され得る。電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすために、使用者への送達のための用量体積を変えるために、かつ/または駆動機構の操作を別様に開始、停止、もしくは一時停止するために、1つ以上の入力を受信して、偏倚部材90122がその上に支えられているピストン90110の自在な軸方向平行移動上にテザー90525及びウィンチドラム/歯車90520によってもたらされる制限を調整するように構成され得る。
作動時に、駆動機構90100の構成要素を用いて、薬物容器9050のプランジャシール9060の遠位方向への軸方向平行移動を駆動してもよい。任意選択で、駆動機構90100は、例えば、実質的に全薬物用量が使用者に送達されたことを確実にするために、プランジャシール9060の追加の軸方向平行移動を可能にする1つ以上の遵守特徴を含み得る。例えば、プランジャシール9060自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。
本開示の新規の制御送達駆動機構は、任意選択で、ステータス表示を薬物用量送達内に一体化し得る。1つ以上のステータストリガ及び対応するステータスリーダの使用によって、使用者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、電力・制御システムに伝えられ得る。かかるフィードバックは、上述のように、触覚、視覚、及び/または聴覚によるものであってもよく、デバイスの使用中にフィードバックの1つ超の信号または種類が使用者に提供されるように重複してもよい。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、ピストンがその軸方向平行移動の終了に達したことに結び付けられるため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。
テザー90525は、ステータスリーダに接触することができるか、またはそれによって認識されることができる、電気的接触、光学的マーキング、または電気機械的ピンもしくは陥凹等の1つ以上のステータストリガを有し得る。少なくとも1つの実施形態において、いったんステータスリーダが、薬物容器9050のバレル9058内でのピストン90110A、90110B、及びプランジャ9060の軸方向移動の終わりにステータスリーダに接触することになるテザー90525上に位置付けられた最終ステータストリガに接触するか、またはそれを認識すると、投薬終了ステータス表示が使用者に提供され得る。ステータスリーダは、例えば、対応する電気接触に接触する電気スイッチリーダ、対応する光学的マーキングを認識する光学的リーダ、または対応するピン、穴、もしくはテザー上の同様の態様に接触するように構成された機械的もしくは電気機械的リーダであり得る。ステータストリガは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー90525に沿って位置付けられ得る。薬物送達デバイスが作動され、偏倚部材90122、ならびに結果としてピストン90110A、90110B、及びプランジャシール6900に加えられた力の解放によって薬物送達が開始されると、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルは、調節機構90500、歯車アセンブリ90516、及びウィンチドラム/歯車90520によって制御され、テザー90525を解放し、偏倚部材90122の拡張、ならびにピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の軸方向平行移動を許容する。これが生じると、テザー90525のステータストリガは、ステータスリーダによって接触または認識され、使用者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、電力・制御システムに伝えられ得る。テザー90525上に位置するステータストリガの数に応じて、増分ステータス表示の頻度所望通りに変動され得る。上述のように、システムによって利用されるステータストリガに応じて、様々なステータスリーダを利用することができる。
好ましい実施形態において、ステータスリーダは、テザー90525に張力を加えてもよい。システムが投薬終了に達すると、テザー90525はたるみ、ステータスリーダ90544は、支点の周りで回転することを許容される。この回転は、電気的または電気機械的スイッチ、例えばスイッチを動作させ、テザー90525におけるたるみについて電力・制御システムに信号伝達する。追加的に、歯車列90516の歯車90511は、センサと共にエンコーダとして作用し得る。センサ/エンコーダの組み合わせは、歯車アセンブリの回転のフィードバックを提供するために使用され、これは次いで、テザー90525にたるみがないときのピストン90110の位置に較正され得る。ステータスリーダ及びセンサ/エンコーダは併せて、センサ/エンコーダによってカウントされるモータ回転が予想される数に達する前にテザー90525におけるたるみを観察することによって、位置フィードバック、投薬終了信号、及び閉塞等のエラー表示を提供し得る。
テザーのたるみまたは不具合がある場合に薬品の流れを終結させるかまたは制限するための、追加の手段が存在し得る。図74A~74Bは、1つのかかる実施形態を示す。ブレーキ9064、スリーブ9062、及びプラグ9068、ならびに任意選択で保持器9066がバレル9058内に配置されている。偏倚部材90122は、スリーブ9062に対して重みをかけている。テザー90525はプラグ9068に係合し、それによって、テザー90525がスリーブ9062の運動を制限することを可能にする。この制限は、偏倚部材90122の拡張または付勢解除の速度を制御する。テザー90525が張力下にあるとき、プラグ9068は、ブレーキ9064の遠位面9064Aに重みをかけ、ブレーキ9064の近位面9064Bに、スリーブ9062に対して重みをかけさせる。この接触、及びスリーブ9062の遠位端9062Aのプロファイルに起因して、ブレーキ9064は、図74Aに示されるように実質的に円錐状の構成に維持される。この構成において、偏倚部材90122の拡張または付勢解除は制限されている。また、この円錐状の構成において、ブレーキ9064の外径は、バレル9058の内径よりも小さく、故に、ブレーキの平行移動は、薬物容器の内壁との接触によって制限されない。また、ブレーキ9064の一部分は、保持器9066と接触している。ブレーキ9064は、プラグ9068及びスリーブ9062によってこの構成に維持されるため、偏倚部材90122の圧縮解除によって引き起こされるスリーブ9062の平行移動は、保持器9066に移送される。同様に、保持器9066のプランジャシール9060との接触は、プランジャシール9060の平行移動を引き起こす。
図74Bに示されるように、テザー90525のたるみまたは不具合がある場合、プラグ9068は、テザー90525によってもはや所定の位置に保持されず、及びしたがって、スリーブ9062の運動をもはや制限しない。偏倚部材90122が圧縮解除または付勢解除すると、ブレーキ9064は、相対的により円錐状ではないか、またはより平らな構成に変形する。これは、この構成に変形するためのブレーキ9064の自然な偏倚によって引き起こされ得るか、または代替的に、保持器9066及びスリーブ9062の両方とのブレーキ9064の接触によって引き起こされ得る。ブレーキが変形すると、それはバレル9058の内壁と接触するようになる。故に、ブレーキは、スリーブ9062の平行移動を制限するためのくさびとして作用する。これは、さらなる平行移動を防止し得るか、または平行移動の速度を制限するように作用し得る。任意選択で、テザーにおける張力の回復は、プラグがブレーキと接触し、かつブレーキをその円錐状の構成に戻すように変形させることを引き起こし、及び故に、薬物送達デバイスの通常の動作を回復させる。
図74A~74Bは、球形を有するプラグ及び円錐形を有するブレーキを示す。かかる形状は、本明細書において単に例示目的で使用されているにすぎず、同じかまたは同様の機能を達成するために他の形状または構成が容易に利用される。例えば、プラグは、それ自体が円錐状の形状であってもよく、一実施形態において、ブレーキが円錐形状である場合に、ブレーキとインターフェース接続するような形状をなしてもよい。かかる構成において、プラグの円錐形状は、ブレーキの円錐形状を維持することを補助し、それによって、スリーブ9062の軸平衡平行移動を制限するために、ブレーキの外径とバレルの内径との間の接触を防止する(すなわち、ブレーキ力を加える)。別の実施形態において、ブレーキ9064は、バレル9058の内径と接触して、スリーブ9062のさらなる軸方向平行移動を防止または制限するように、実質的に平坦化した位置にあるときに星形状または他の構成を用いることができる。スリーブ9062のさらなる平行移動がないと、偏倚部材90122は、さらに拡張または付勢解除することができず、これは次いで、使用者へのさらなる薬物送達を防止または制限する。これは、使用者への薬物の過剰送達または加速した送達を防止するように、薬物送達のための安全処置を提供する。
図70A~70D及び71A~71Dに戻って参照すると、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御すること(それによって、原薬を可変の速度及び/または送達プロファイルで送達すること)に加え、本開示の多機能駆動機構は、針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供する工程、及び滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容する工程を同時にまたは連続的に実施し得る。少なくとも1つの実施形態において、図70A~70D及び71A~71Dに示されるように、多機能駆動機構90100のアクチュエータ90101による初期運動は、主/星形歯車90102を回転させる。主/星形歯車90102は、態様90102A及び90102B(図72を参照されたい)を有する複合歯車として示される。1つの様態において、主/星形歯車90102は、歯車アセンブリ90516を通して調節機構90500に運動を伝える。別の様態において、主/星形歯車90102は、歯車90112を通して針挿入機構90200に運動を伝える。主/星形歯車90102によって歯車90112が回転させられると、上に詳細に記載されるように、歯車90112は針挿入機構90200に係合して、流体通路接続子を使用者の中へと始動させる。1つの特定の実施形態において、針挿入機構90200は、回転式針挿入機構である。したがって、歯車90112は、針挿入機構90200の対応する歯車表面90208に係合するように構成されている。歯車90112の回転は、駆動機構90100の歯車90112と針挿入機構90200の対応する歯車表面90208との間の歯車の相互作用を通して針挿入機構90200の回転を引き起こす。いったん針挿入機構90200の好適な回転、例えば、図70B~70Cに示される軸「R」に沿った回転が生じると、上に詳細に記載されるように、針挿入機構が始動されて、使用者への流体通路接続子を生み出す。代替的な実施形態において、図75A~75Bに示されるように、歯車90112は、針挿入機構90200に間接的に係合して、流体通路接続子を使用者の中へと始動させ得る。例えば、歯車90112は、針挿入機構90200と接触または遮断する制御アーム90202(図75において見ることができる)の対応する歯車表面に係合するように構成され得る。歯車90112の回転は、制御アーム90202の移動を引き起こし、これは、針挿入機構90200の回転を始動または許容し得る。かかる針挿入機構は、図75A~75Bに示されるように、最初は付勢状態に保持されている、回転して偏倚された部材90210を含む。回転偏倚部材は、制御アームの遮断態様等の、薬物送達デバイスの回転防止特徴との挿入機構の構成要素の接触によって付勢解除することを防止され得る。デバイスの作動時、または別の入力時に、回転して偏倚された部材90210は、付勢解除することを少なくとも部分的に許容される。これは挿入機構の1つ以上の構成要素の回転を引き起こし、これは次いで、患者内への針の挿入を引き起こすか、またはそれを可能にする。さらに、カニューレは、上述のように患者内に挿入され得る。デバイスの制御アームまたは別の構成要素がテザー90525におけるたるみを認識したとき等の後の時点で、回転して偏倚された部材は、例えば制御アームとのさらなる相互作用によってさらに付勢解除され得、これは、挿入機構の1つ以上の構成要素の追加の回転を引き起こす。この回転は、針を患者から後退させるか、それを可能にし得る。針は、単一の工程で完全に後退してもよく、または複数の後退工程があってもよい。
図70A~70D及び71A~71Dに示されるように、この様態での針挿入機構90200の回転はまた、滅菌流体通路の薬物容器への接続をもたらして、使用者への送達のための薬物容器から挿入機構への流体流を許容し得る。針挿入機構90200のランプ態様90222は、滅菌流体通路接続子90300の可動接続ハブ90322上に支えられるようにされる。多機能駆動機構90100によって針挿入機構90200が回転させられると、針挿入機構90200のランプ機構90222は、滅菌流体通路接続子90300の可動接続ハブ90322に係合し、かつそれを平行移動させて、その内部の流体接続を容易にする。かかる平行移動は、例えば、図70B及び71Bに示される軸「C」に沿った中空矢印の方向に生じ得る。少なくとも1つの実施形態において、針挿入機構90200は、上に詳述されるように、回転軸「R」(図70B~70Cに示される)上の特定の角度の回転が針/トロカールの後退を可能にするように構成され得る。加えてまたは代替的に、かかる針/トロカールの後退は、使用者の活動時または薬物送達デバイスの別の構成要素の移動もしくは機能時に生じるように構成され得る。少なくとも1つの実施形態において、針/トロカール後退は、例えば、上述のように、調節機構90500及び/またはステータスリーダのうちの1つ以上によってトリガされる、薬物送達の終了時に生じるように構成され得る。これらの操作段階の間、薬物チャンバ9021からの流体物質の送達は、偏倚部材90122の、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール60上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって始動され、進行中であり、かつ/または完了され得る。上述のように、調節機構90500は、それらが偏倚部材90122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構90500は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン90110及びプランジャシール9060の運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。これは、図70A~70D及び71A~71Dに示される構成要素の進行を通して見ることができる。図70A~70D及び71A~71Dの移行で示されるように、それらが偏倚部材90122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間の、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の自在な運動は、近位または第1の位置「P」から遠位または第2の位置「D」への軸「A」に沿った実線矢印の方向で示される。
新規の駆動機構のさらなる態様は、図72及び73A~73Bを参照して記載される。図72は、少なくとも第1の実施形態による、その初期係止段階中の多機能駆動機構の斜視図を示す。最初に、テザー90525は、偏倚部材90122をピストン90110A、90110B内の最初の付勢位置で保持し得る。使用者によるデバイスの作動時に直接的または間接的に、多機能駆動機構90100は、偏倚部材がピストン90110に、及びしたがってテザー90525に力を加えることを許容するために、作動し得る。テザー90525上のこの力は、巻胴90520上にトルクを加え、これは、歯車アセンブリ90516及び調節機構90500に運動を開始させる。図73Aに示されるように、ピストン90110及び偏倚部材90122はいずれも、最初は、プランジャシール60の後方で圧縮された付勢状態にある。偏倚部材90122は、駆動ハウジング90130の内部特徴とピストン90110A、90110Bのインターフェース表面90110Cとの間でデバイスが作動するまで、この状態に維持され得る。薬物送達デバイス9010が作動され、駆動機構90100が動作するようにトリガされると、偏倚部材90122は、遠位方向で(すなわち、図70A~70D及び図71A~71Dに示される実線矢印の方向で)軸方向に拡張(すなわち、圧縮解除)することが許容される。かかる拡張は、偏倚部材90122がインターフェース表面90110C及びピストン90110上に作用し、かつそれらを遠位に平行移動させ、それによって、プランジャシール9060を遠位に平行移動させて、薬物流体をバレル9058の薬物チャンバ9021から押し出すことを引き起こす。少なくとも1つの実施形態において、いったんステータスリーダが、薬物容器9050のバレル9058内でのピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の軸方向移動の終わりに実質的に対応するようにテザー90525上に位置付けられたステータストリガに接触するか、またはそれを認識すると、投薬終了ステータス表示が使用者に提供され得る。ステータストリガは、使用者に増分ステータス表示を提供するために、ある特定の体積測定に対応する増分等の種々の増分でテザー90525に沿って位置付けられ得る。少なくとも1つの実施形態において、ステータスリーダは、テザー上の対応する光学的ステータストリガを認識するように構成された光学的ステータスリーダである。当業者には理解されようが、かかる光学的ステータストリガは、光学的ステータスリーダによって認識可能なマーキングであり得る。別の実施形態において、ステータスリーダは、対応するピン、穴、またはテザー上の同様の態様に接触するように構成された機械的または電気機械的リーダである。電気接触は、対応する電気的ステータスリーダに接触するか、または別様にそれによって認識されるステータスインジケータと同様にテザー上で利用され得る。ステータストリガは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー90525に沿って位置付けられ得る。示されるように、テザー90525は、駆動機構ハウジング90130、偏倚部材90122を通って通過し、ピストン90110A、90110Bに接続して、ピストン90110A、90110B、及びそれらに隣接して常在するプランジャシール9060の軸方向平行移動を制限する。
本開示の新規の実施形態は、巻胴90520の自在な回転、及び故に制御送達駆動機構90100の構成要素の軸方向平行移動を計り、制限し、または別様に防止するために利用され得る。したがって、調節機構90500は駆動機構の運動を制御するのみで、薬物送達のための力は加えない。圧縮ばね等の1つ以上の追加の偏倚部材90122を利用して、ピストン90110を駆動するか、またはその駆動を補助してもよい。例えば、圧縮ばねは、この目的で、駆動ハウジング90130内で利用され得る。調節機構90500は、かかる作用を制御するか、計るか、または調節するのみである。本開示の制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスは、加えて、実質的に全ての原薬が薬物チャンバ9021から押し出されたことを確実にするために、遵守による一押しを可能にする。プランジャシール9060自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。例えば、ポップアウト型プランジャシール、すなわち、初期状態から変形可能なプランジャシールが用いられる場合、プランジャシールは、変形または「ポップアウト」させられて、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを提供し得る。加えてまたは代替的に、電力・制御システムへの接触、接続、または別様に伝送を可能にして、投薬終了を使用者に信号伝達するために、電気機械的ステータススイッチ及び相互接続アセンブリが利用され得る。この構成は、使用者への真の終了表示をさらに可能にする。
少なくとも1つの実施形態において、歯車アセンブリ90516の1つ以上の歯車の回転運動を読み取るかまたは認識することによって、増分ステータス表示が使用者に提供され得る。歯車アセンブリ90516が回転するにつれて、ステータスリーダは、歯車アセンブリにおける歯車のうちの1つの上の1つ以上の対応するステータストリガを読み取るかまたは認識して、可変速度制御送達駆動機構の操作前、操作中、及び操作後に、増分ステータス表示を提供し得る。いくつかのステータスリーダが、本開示の実施形態内で利用され得る。例えば、駆動機構は、歯車アセンブリの歯車のうちの1つの歯によって物理的に接触された機械的ステータスリーダを利用してもよい。この例示的な実施形態において歯車のうちの1つの歯(または、歯車上の穴、ピン、隆起、マーキング、電気接触等)であり得るステータストリガ(複数可)によってステータスリーダが接触されると、ステータスリーダは、歯車の回転位置を測定し、使用者へのステータス表示のために信号を電力・制御システムに伝送する。加えてまたは代替的に、駆動機構は、光学的ステータスリーダを利用してもよい。光学的ステータスリーダは、例えば、運動を認識し、電力・制御システムに信号を伝送することができる光ビームであり得る。例えば、駆動機構は、歯車アセンブリの歯車のうちの1つの歯(または、歯車上の穴、ピン、隆起、マーキング、電気接触等)の運動を認識するように構成された光学的ステータスリーダを利用してもよい。同様に、ステータスリーダは、歯車上の電気接触を認識するように構成された電気スイッチであり得る。これらの実施形態のいずれかにおいて、次いで信号を電力・制御システムに伝えて、使用者にフィードバックを提供するために、センサを利用してもよい。
当業者には理解されようが、光学的ステータスリーダ及び対応するトリガ、電気機械的ステータスリーダ及び対応するトリガ、ならびに/または機械的ステータスリーダ及び対応するトリガは全て、使用者に増分ステータス表示を提供するために本開示の実施形態によって利用され得る。本開示の駆動機構は、図面に示される歯車アセンブリ及び調節機構に関連して記載されているものの、当業者には容易に理解されるであろうが、様々な構成が許容可能であり、本開示の実施形態内で用いられることができる。したがって、本開示の実施形態は、制御送達駆動機構及び薬物送達ポンプ内で用いるためのかかる機構の例示的な実施形態として提供されている、本明細書に記載の特定の歯車アセンブリ及び調節機構に限定されない。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬品の送達プロファイルは、調整可能である。例えば、食事、運動、睡眠等のある特定の活動前、活動中、または活動後に、薬品のボーラス注射を送達することが望ましい場合がある。「ボーラス注射」は、多くの場合、送達時間または持続時間にかかわらず送達される任意の測定された薬物体積である。逆に、「基底注射」は、多くの場合、制御された送達速度、及び/または異なる時間間隔で様々な送達速度を有する送達プロファイルである。同様に、使用者は、これらの時間または他の時間で薬品の基底送達速度を増加または減少させることを望む場合がある。少なくとも1つの実施形態において、送達プロファイルは、この所望の薬物送達を達成するために使用者によって調整可能である。使用者は、薬物送達デバイス自体と相互作用することによって送達プロファイルを調整してもよく、または代替的に、そのためにスマートフォン等の外部デバイスを使用してもよい。例えば、使用者は、作動機構を変位させることによって送達プロファイルを調整してもよく、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させてもよい。
本開示の別の実施形態において、送達プロファイルは、1つ以上の入力に基づいて自動的に調整されてもよい。例えば、送達プロファイルは、患者の活動レベル、心拍数、血糖値等に基づいて調整され得る。上記のように、これらの測定値を用いて、ボーラス注射、または基底注射送達速度の増加もしくは減少、または基底注射送達プロファイルの調整の必要性を判定することができる。少なくとも1つの実施形態において、これらの入力測定値は、デバイス自体によって監視され得る。追加的に、または代替的に、それらは、スマートフォン、スマートウォッチ、心拍数モニタ、グルコースモニタ、血圧モニタ等の二次デバイスによって監視されてもよい。いくつかの実施形態において、送達プロファイルは、使用者の介入を必要とせずにこれらの測定値に基づいて調整され得る。二次デバイスによる監視及び/または制御に場合、二次デバイス及び薬物送達デバイスは、互いに無線または有線通信し得る。この通信は、Bluetooth、近距離無線通信、Wi-Fi、またはデバイスの相互接続性に関する当業者に既知の任意の他の方法を通したものであり得る。
しかしながら、好ましい実施形態において、監視/調整機構は、使用者に対して警報を発し、かつ推奨を行う場合があり、使用者は、監視/調整機構による推奨を始動/許可するか、または無視する能動制御を有し得る。例えば、測定値のうちの1つ以上が指定の閾値より高いかまたは低い場合、デバイスは、可聴、可視、または触覚による警報を使用者に対して発する場合がある。一例において、警報は、デバイスの振動によって提供され、それによって、個別の警報を使用者に提供する。加えてまたは代替的に、警報は、使用者のスマートフォンまたは他の二次デバイスによって提供され得る。使用者は、コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースにおける測定値の現在のステータスを、デバイス自体、コンピュータ、スマートフォン、または他のデバイスの上で見ることができる場合がある。コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースは、送達プロファイルへの推奨される調整を提供し得る。この情報に基づいて、使用者は、薬物送達デバイスの送達速度を調整することができる。上記のように、使用者は、作動機構を変位させるか、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させることによって、送達プロファイルを調整してもよい。
一実施形態において、使用者の入力または上記の測定値のいずれかに基づく送達プロファイルを調整する信号に応じて、電力・制御システムは、アクチュエータ90101の移動速度を変化させ得る。アクチュエータ90101の移動速度の変化は、調節機構90500の回転速度を変化させ、これは次いで、使用者への薬物送達速度を制御する。代替的に、送達プロファイルは、薬物容器及び挿入機構を接続する導管を通る薬品の流路の特性の変化によって変えることができる。この変化は、薬物容器から挿入機構への薬品の流れを制限する流れ制限部の導入、取り外し、または修正によって引き起こされ得る。例えば、流れ制限部は、流れ制限部の入力及び出力と流体連通して選択的に定置され得る複数の流路を有し得る。異なる長さまたは断面を有する流路を提供することによって、送達速度を制御することができる。他の実施形態において、送達プロファイルは、導管の衝突の導入または取り外しによって変えることができる。流路の衝突は、導管を通る薬品の流れを中断させるかまたは遅くすることができ、それによって、使用者への送達速度を制御する。したがって、本開示の1つ以上の実施形態は、薬物容器からの薬品送達速度の変化を生み出し、それによって、多機能駆動機構及び/または薬物送達デバイスの動的制御能力を提供することができる。
制御送達駆動機構90100、薬物送達ポンプ9010、または個々の構成要素のいずれかの組み立て及び/または製造は、当該技術分野で既知のいくつかの材料及び手法を利用してもよい。例えば、いくつかの既知の清掃流体等のイソプロピルアルコール及びヘキサンを用いて、構成要素及び/またはデバイスを清浄してもよい。いくつかの既知の接着剤または糊も同様に製造過程で用いられ得る。追加的に、既知のシリコン処理及び/または潤滑流体及び処理が、新規の構成要素及びデバイスの製造中に用いられ得る。さらに、既知の滅菌過程が、最終製品の滅菌性を保証するために製造または組み立て段階のうちの1つ以上で用いられ得る。
駆動機構は、いくつかの手法で組み立てられ得る。1つの組み立て方法において、薬物容器9050は最初に組み立てられ、使用者への送達用の流体で充填され得る。薬物容器9050は、キャップ9052、穿通可能なシール9056、バレル9058、及びプランジャシール9060を含む。穿通可能なシール9056は、バレル9058の遠位端において、キャップ9052とバレル9058との間に固定的に係合され得る。バレル9058は、バレル9058の近位端からのプランジャシール9060の挿入前に、開口近位端を通して薬物流体で充填されてもよい。任意選択的な接続マウント9054は、穿通可能なシール9056の遠位端に据え付けられ得る。接続マウント9054は、薬物容器9050のバレル58内への流体通路接続子の穿通部材の挿入をガイドし得る。薬物容器9050は、その後、駆動ハウジング90130の遠位端に据え付けられ得る。
1つ以上の駆動偏倚部材90122は、駆動ハウジング90130の遠位端内に挿入され得る。任意選択で、被覆スリーブ90140は、偏倚部材90122を実質的に被覆するために、駆動ハウジング90130の遠位端内に挿入され得る。ピストンは、それが少なくとも部分的に偏倚部材90122の軸方向パススルー内に常在し、かつ偏倚部材90122が、偏倚部材90122の遠位端においてピストン90110A、90110Bのピストンインターフェース表面90110Cと接触することを許容されるように、駆動ハウジング90130の遠位端内に挿入され得る。偏倚部材90122を封入し、ピストン90110A、90110Bのピストンインターフェース表面90110Cと接触するために、任意選択的な被覆スリーブ90140を利用してもよい。ピストン90110A、90110B、及び駆動偏倚部材90122、ならびに任意選択的な被覆スリーブ90140は、駆動ハウジング90130内に圧縮され得る。かかる組み立ては、駆動偏倚部材90122を最初の圧縮された付勢状態に位置付け、かつ好ましくは、バレル9058の近位端内でプランジャシール9060の近位表面と接触してピストンインターフェース表面90110Cを定置する。ピストン、ピストン偏倚部材、接触スリーブ、及び任意選択的な構成要素は、薬物容器9050の取り付けまたは据え付け前に、駆動ハウジング90130内で圧縮され、起動準備完了状態に係止され得る。テザー90525は、ピストン90110A、90110Bの近位端に予め接続され、偏倚部材90122及び駆動機構90130の軸方向開口部に通され、その後、テザー90525の他の端部が調節機構90500のウィンチドラム/歯車90520に巻き付けられた状態で、薬物送達デバイスの内部に巻き付けられる。
流体通路接続子、及び具体的には流体通路接続子の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップ及び/または穿通可能なシールに接続され得る。流体導管は、流体通路が、開放、接続、または別様に有効化されているときに、使用者の身体内への薬物送達のために薬物容器、流体通路接続子、流体導管、挿入機構から、かつカニューレを通って直接移動するように、それ自体が挿入機構に接続されている流体通路接続子の他の端部に接続され得る。流体流のための通路を構成する構成要素が次に組み立てられる。これらの構成要素は、図69Bに示されるように、いくつかの既知の方法によって滅菌され、その後、固定的にまたは着脱自在に薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに据え付けられ得る。
本開示の幅及び範囲内に留まりながら、駆動機構90100または薬物送達デバイス9010のある特定の任意選択的な標準的な構成要素または変形形態が企図される。例えば、実施形態は、本開示のモータまたはソレノイド、駆動機構、及び薬物送達デバイスに電力供給するために利用される1つ以上の電池を含み得る。当該技術分野で既知の様々な電池がこの目的で利用され得る。追加的に、上部または下部ハウジングは、使用者が薬物送達デバイス9010の動作を見るか、または薬物用量が完了したことを検証することを可能にするために、任意選択で1つ以上の透明または半透明窓9018を含み得る。同様に、薬物送達デバイス9010は、接着パッチ9026及びパッチライナー9028をハウジング9012の底部表面上に含み得る。接着パッチ9026は、薬物送達デバイス9010を薬物用量の送達のために使用者の身体に接着するために利用され得る。当業者には容易に理解されようが、接着パッチ9026は、使用者の身体への薬物送達デバイスの接着のための接着面を有し得る。接着パッチ9026は、最初は、非接着パッチライナー9028によって被覆されていてもよく、これは、使用者の身体と接触した薬物送達デバイス9010の定置の前に接着パッチ9026から取り外される。パッチライナー9028の取り外しはさらに、挿入機構90200の封止膜90254を取り外し、薬物送達のために使用者の身体に対して挿入機構を開放する(図69Cに示されるように)。
同様に、制御送達駆動機構90100及び薬物送達デバイス9010の構成要素のうちの1つ以上は、機能的に本開示の幅及び範囲内に留まりながら修正され得る。例えば、上述のように、薬物送達デバイス9010のハウジングは、上部ハウジング9012A及び下部ハウジング9012Bの2つの別個の構成要素として示されているが、これらの構成要素は、単一の統合された構成要素であってもよい。上記で考察したように、糊、接着剤、もしくは他の既知の材料、または方法を利用して、制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素を互いに貼着してもよい。代替的に、制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素は、統合された構成要素であり得る。例えば、上部ハウジング及び下部ハウジングは、糊または接着剤、ねじ嵌め接続、締まり嵌め、融着接合、溶接、超音波溶接等によって一緒に貼着された別個の構成要素であってもよく、または上部ハウジング及び下部ハウジングは、単一の統合された構成要素であってもよい。かかる標準的な構成要素及び機能的変形形態は当業者には理解され得、したがって、本開示の幅及び範囲内である。
上記の説明から、本明細書に開示される制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスが、薬物容器からの自動化薬物送達のために効率的かつ容易に操作されるシステムを提供することが理解されよう。本明細書に記載の新規の実施形態は、原薬の制御された送達のための駆動機構、及びかかる制御送達駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供し得る。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。本開示の新規の制御送達駆動機構は、使用者によって直接的または間接的に作動され得る。さらに、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスの新規の構成は、貯蔵中、輸送中、及びデバイスの操作を通して、流体通路の滅菌状態を維持する。薬物流体がデバイス内で移動する通路が完全に滅菌状態で維持されるため、これらの構成要素は、製造過程中に滅菌される必要があるのみである。かかる構成要素には、駆動機構の薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構が含まれる。本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システム、アセンブリプラットフォーム、制御アーム、作動機構、ハウジング、及び他の構成要素は、滅菌される必要がない。これは、デバイスの製造性を大幅に改善し、関連する組み立て費用を低減する。したがって、本開示のデバイスは、組み立ての完了時に最終滅菌を必要としない。
送達デバイスの製造薬物は、別個にまたは複合構成要素としていずれかで制御送達駆動機構及び薬物容器の両方を、薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付ける工程を含む。製造方法は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングへの流体通路接続子、薬物容器、及び挿入機構の取り付けをさらに含む。電力・制御システム、作動機構、及び制御アームを含めた、上述の薬物送達デバイスの追加の構成要素は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付けられ、予備形成され、または予め組み立てられ得る。接着パッチ及びパッチライナーは、デバイスの動作中に使用者と接触する薬物送達デバイスのハウジング表面に取り付けられ得る。
薬物送達デバイスを操作する方法は、使用者によって作動機構を作動させる工程と、制御アームを変位させて挿入機構を起動する工程と、電力・制御システムを起動して制御送達駆動機構を作動させて、制御された速度または薬物送達プロファイルに従って薬物送達デバイスを通る流体薬物流を駆動する工程と、を含む。本方法は、作動機構を作動させる前に任意選択的なオンボディセンサを係合させる工程をさらに含み得る。本方法は、同様に、流体通路接続子と薬物容器との間の接続を確立する工程を含み得る。さらに、操作方法は、薬物容器内でピストン上に作用する偏倚部材の拡張によって制御送達駆動機構内でプランジャシールを平行移動させて、使用者の身体への流体薬物の送達のために薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構に流体薬物流を押し通すことを含み得、テザーの分配を制限するように作用する調節機構は、ピストンの自在な軸方向平行移動を計るために利用される。駆動機構及び薬物送達デバイスの操作方法は、上述のように、図70A~70D及び図71A~71Dを参照してより良好に理解され得る。
いくつかの実施形態において、電力・制御システム91810は、(a)オンボディセンサ91840、温度センサ91880、及び/または他のセンサからの信号に基づいて薬物の最適な温度、送達に適切な時間等を決定し、(b)薬物送達を始動するためのコマンド信号を駆動制御システム91820に送信し、(c)「送達速度」情報を駆動制御システム91820に提供し、(d)通信装置91830を介して、「薬物送達情報」を受信し、「送達終了情報」を遠隔計算デバイスに伝送する。
いくつかの実施形態において、駆動制御システム91820は、(a)多機能駆動機構、例えば、駆動機構90100、調節機構90500、針挿入機構を駆動し、流体通路を接続し(図78Cを参照されたい)、(b)調節要素90500または歯車アセンブリを制御する。
いくつかの実施形態において、コントローラは、駆動制御システム91820に含まれ得る。コントローラ91822は、電力・制御システム91810から受信されたコマンド信号に基づいてアクチュエータ/モータ90101駆動し得る。コントローラ91822は、送達速度情報を、歯車の選択、直径の選択、回転速度、選択等に変換する。コントローラ91822は次いで、駆動制御システム91820の種々の構成要素を駆動して、必要とされる「送達速度に従って薬物を送達し得る(図78Bを参照されたい)。
X.多機能駆動機構の他の実施形態
少なくとも図1A~2B及び33A~33Cに関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図69A~73Dに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図69A~73Dに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の駆動機構100、6100、もしくは8100、または本明細書に記載の任意の他の駆動機構を置き換えてもよい。
本開示の多機能駆動機構は、(i)原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御することと、(ii)針挿入機構をトリガして、患者への薬物送達のための流体通路を提供することと、(iii)滅菌流体通路を薬物容器に接続して、患者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容することと、を含むいくつかの機能を有効化または始動する。図70A~70D及び71A~71Dに示される実施形態を参照すると、駆動機構90100は、アクチュエータ90101と、主歯車90102を含む歯車アセンブリ90110と、駆動ハウジング90130と、キャップ9052、穿通可能なシール(不可視)、バレル9058、及びプランジャシール9060を有する薬物容器9050とを含む。主歯車90102は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシール9060との間でバレル9058内に位置する薬物チャンバ9021は、患者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。本明細書に記載のシールは、いくつかの材料から構成され得るが、好ましい実施形態において、1つ以上のエラストマーまたはゴムから構成されている。駆動機構90100は、本明細書にさらに記載されるように、1つ以上の駆動偏倚部材、1つ以上の解放機構、及び1つ以上のガイドをさらに含み得る。駆動機構の構成要素は、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通る、かつ患者の身体内への送達のために、穿通可能なシールを通して、または好ましくは流体通路接続子の穿通部材を通して流体を薬物容器から押し出すように機能する。
1つの特定の実施形態において、駆動機構90100は、1つ以上の圧縮ばねを偏倚部材(複数可)として用いる。患者により薬物送達デバイスが作動されると、電力・制御システムが起動されて、圧縮ばね(複数可)を付勢状態から直接的または間接的に解放し得る。解放されると、圧縮ばね(複数可)は、プランジャシールに対して重みをかけ、かつそれに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。圧縮ばねは、ピストンに対して重みをかけ、かつそれに作用し、これは次いで、プランジャシールに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。流体通路接続子は、駆動機構の作動前、それと同時に、またはその後に穿通可能なシールを通して接続されて、薬物容器から流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通り、かつ患者の身体内への薬物送達のための流体流を許容し得る。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構のマニホールド及びカニューレのみを通って流れ、それによって、薬物送達前及びその間に滅菌性流体通路を維持する。かかる構成要素及びそれらの機能は、本明細書にさらに詳細に記載される。
次に図70A~70D及び70A~70Dに示される多機能駆動機構の実施形態を参照すると、駆動機構90100は、アクチュエータ90101と、主歯車90102を含む歯車アセンブリ90110と、駆動ハウジング90130と、キャップ9052、穿通可能なシール(不可視)、バレル9058、及びプランジャシール9060を有する薬物容器9050とを含む。主歯車90102は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシール9060との間でバレル9058内に位置する薬物チャンバ9021は、患者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。1つ以上の駆動偏倚部材90122及びピストン90110は、薬物容器9050とハウジング90130の近位端との間で駆動ハウジング90130内で圧縮され、駆動偏倚部材90122は、本明細書にさらに記載されるように、ピストン90110のインターフェース表面90110C上に支えられるように構成されている。任意選択で、例えば、駆動偏倚部材90122からピストン90110への力のより均等な分配を促すため、駆動偏倚部材90122の座屈を防止するため、かつ/または偏倚部材90122を患者の視界から隠すために、被覆スリーブ(図示せず)が駆動偏倚部材90122とピストン90110のインターフェース表面90110Cとの間に利用されてもよい。ピストン90110のインターフェース表面90110Cは、シール9060の近位端に実質的に隣接して、またはそれと接触して静止させられる。図70A~70D及び71A~71Dに示される実施形態は、単数の偏倚部材を示しているものの、並行して作用するように配置された1つ以上の偏倚部材が使用され得ることも企図される。
図70D及び図71Dに最も良好に示されるように、ピストン90110は、2つの構成要素90110A及び90110Bから構成され、プランジャシールに接触するためのインターフェース表面90110Cを有し得る。テザー、リボン、紐、または他の保持ストラップ(本明細書において「テザー」90525と称される)は、一方の端部においてピストン90110A、90110Bに接続され得る。例えば、テザー90525は、組み立てられたときのピストン90110A、90110Bの2つの構成要素の間の保持によって、ピストン8110A、8110Bに接続され得る。テザー8525は、別の端部において送達制御機構90500のウィンチドラム/歯車90520に接続されている。テザー90525の一方の端部に接続されたウィンチドラム/歯車90520、及び別の端部においてピストン90110A、90110Bに接続されたテザー90525の使用を通して、調節機構90500は、原薬を薬物容器9050から押し出すために利用されるピストン90110A、90110B及びプランジャシール9060の自在な軸方向平行移動を制御するか、それを計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止するように機能する。したがって、調節機構90500は、患者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御するために一緒に機能する、多機能駆動機構の態様の歯車アセンブリ90116の一部分である。
図70A~70D及び71A~71Dに示されるように、かつ図72及び73A~73Bに分離して示されるように、本開示の実施形態において、調節機構90500は、多機能駆動機構90100のアクチュエータ90101によって駆動される歯車アセンブリである。調節機構は、テザー90525の分配を妨げるかまたは制限し、調節された速度または所望の速度でのみ前進させる。これは、1つ以上の偏倚部材90122によって押圧されているバレル9058内でのピストン90110の移動を制限し、よって、プランジャシール9060の移動及びチャンバ9021に入っている薬物の送達を制御する。プランジャシール9060が薬物容器9050内に前進すると、原薬は、薬物送達のために、滅菌通路接続90300、導管9030、挿入機構90200を通り、かつ使用者の身体内へと分注される。アクチュエータ90101は、例えば、ソレノイド、ステッパモータ、または回転式駆動モータを含む、いくつかの電力/運動源であり得る。特定の実施形態において、アクチュエータ90101は、主/星形歯車90102の歯に対応するノッチを有する回転式ステッパモータである。一般に、かかる回転式ステッパモータは、「Pac-Man」モータと称され得る。少なくとも1つの実施形態において、Pac-Manモータは、システムの動作中に主歯車の1つ以上の歯がその内部に部分的に常在し得る、歯車インターフェースを有する。これは、図73A~73Bにおいてより明らかに見ることができる。Pac-Manモータ90101の歯車インターフェース90101Aが主歯車90102の歯90102Aと整列しているとき、Pac-Manモータ90101の回転運動は、主歯車90102の歯車インターフェース回転を引き起こす。Pac-Manモータ90101が主歯車の歯の間にあるとき、例えば、歯車アセンブリ90116のバックスピンまたは巻き戻しのための抵抗として作用し得る。歯車アセンブリ90116、調節機構90500、及び多機能駆動機構90100についてのさらなる詳細が、本明細書に提供される。
図73A~73Bに示される特定の実施形態において、調節要素90500は、歯車アセンブリ90516の1つ以上の歯車90511、90512、90513、90514をさらに含む。歯車90511、90512、90513、90514のうちの1つ以上は、例えば、大径歯車に共有中心点で取り付けられた小径歯車を有する複合歯車であり得る。歯車90513は、例えば、位置決めされたシャフトによってウィンチドラム/歯車90520に回転式に連結され得、それによって、歯車アセンブリ90516の回転をウィンチドラム/歯車90520に連結し得る。複合歯車90512は、複合歯車態様90512Bの回転移動が歯車の係合によって(例えば、対応する歯車の歯の係合によって)歯車90513へと伝達されるように、小径歯車90513に係合する。その回転が歯車態様90512Bに連結している複合歯車態様90512Aは、主/星形歯車90102の複合歯車態様90102Bの作用によって回転させられる。その回転が主/星形歯車90102に連結している複合歯車態様90102Bは、主/星形歯車90102Aとアクチュエータ90101のインターフェース90101Aとの間の相互作用によって回転させられる。故に、主/星形歯車90102の回転は、ウィンチドラム/歯車90520に伝達される。したがって、アクチュエータ90101によって始動された歯車アセンブリ90516の回転は、ウィンチドラム/歯車90520に連結され(すなわち、歯車アセンブリ90516を通して)、それによって、テザー90525の分配、及びバレル9058内でのプランジャシール9060の移動の速度を制御して、流体を薬物チャンバ9021から押し出し得る。ウィンチドラム/歯車90520の回転移動、及び故にピストン90110及びプランジャシール9060の軸方向平行移動は、本明細書に記載されるように、調節要素90500の他の構成要素による自在な軸方向平行移動を計測、制限、または別様に防止される。上述のように、アクチュエータ90101は、モータ(例えば、DCモータ、ACモータ、ステッパモータ)またはソレノイド(例えば、リニアソレノイド、回転ソレノイド)を含むいくつかの既知の電力/運動源であり得る。
とりわけ、本開示の調節機構90500は、薬物チャンバ9021からの流体物質の送達を駆動しない。薬物チャンバ9021からの流体物質の送達は、偏倚部材90122の、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって引き起こされる。調節機構90500は、代わりに、それらが偏倚部材90122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構90500は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン90110及びプランジャシール9060の運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。好ましい実施形態によれば、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスは、偏倚部材90122によって軸方向に平行移動するように駆動されているピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の軸方向平行移動を計るテザーに間接的または直接的に接続された調節機構を含む。調節機構によって制御される薬物送達の速度は、歯車アセンブリ90516の歯車比の選択;主/星形歯車90102の選択;巻胴/歯車90520の直径の選択;電気機械的アクチュエータ90101を使用して主/星形歯車90102の回転速度を制御すること;または当業者に既知である任意の他の方法によって決定され得る。電気機械的アクチュエータ90101を使用して主/星形歯車90102の回転速度によって、可変の用量速度を提供する(すなわち、薬物送達の速度が治療中に変動する)ように薬物送達デバイスを構成することが可能であり得る。
別の実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システムは、1つ以上の入力を受信して、ウィンチドラム/歯車90520によるテザー90525の解放を計り、それによって、偏倚部材90122によるピストン90110の軸方向平行移動を許容して、プランジャシール9060をバレル9058内で平行移動させるように構成されている。1つ以上の入力は、作動機構、制御インターフェース、及び/または遠隔制御機構の起動によって提供され得る。電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすために、患者への送達のための用量体積を変えるために、かつ/または駆動機構の操作を別様に開始、停止、もしくは一時停止するために、1つ以上の入力を受信して、偏倚部材90122がその上に支えられているピストン90110の自在な軸方向平行移動上にテザー90525及びウィンチドラム/歯車90520によってもたらされる制限を調整するように構成され得る。
作動時に、駆動機構90100の構成要素を用いて、薬物容器9050のプランジャシール9060の遠位方向への軸方向平行移動を駆動してもよい。任意選択で、駆動機構8100は、例えば、実質的に全薬物用量が患者に送達されたことを確実にするために、プランジャシール9060の追加の軸方向平行移動を可能にする1つ以上の遵守特徴を含み得る。例えば、プランジャシール9060自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。
本開示の新規の制御送達駆動機構は、任意選択で、ステータス表示を薬物用量送達内に一体化し得る。1つ以上のステータストリガ及び対応するステータスリーダの使用によって、患者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、電力・制御システムに伝えられ得る。かかるフィードバックは、上述のように、触覚、視覚、及び/または聴覚によるものであってもよく、デバイスの使用中にフィードバックの1つ超の信号または種類が患者に提供されるように重複してもよい。例えば、患者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を患者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、ピストンがその軸方向平行移動の終了に達したことに結び付けられるため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を患者に提供する。
テザー90525は、ステータスリーダに接触することができるか、またはそれによって認識されることができる、電気的接触、光学的マーキング、または電気機械的ピンもしくは陥凹等の1つ以上のステータストリガを有し得る。少なくとも1つの実施形態において、いったんステータスリーダが、薬物容器9050のバレル8058内でのピストン90110A、90110B、及びプランジャ9060の軸方向移動の終わりにステータスリーダに接触することになるテザー90525上に位置付けられた最終ステータストリガに接触するか、またはそれを認識すると、投薬終了ステータス表示が患者に提供され得る。ステータスリーダは、例えば、対応する電気接触に接触する電気スイッチリーダ、対応する光学的マーキングを認識する光学的リーダ、または対応するピン、穴、もしくはテザー上の同様の態様に接触するように構成された機械的もしくは電気機械的リーダであり得る。ステータストリガは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー90525に沿って位置付けられ得る。薬物送達デバイスが作動され、偏倚部材90122、ならびに結果としてピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060に加えられた力の解放によって薬物送達が開始されると、患者への薬物送達の速度またはプロファイルは、調節機構90500、歯車アセンブリ90516、及びウィンチドラム/歯車90520によって制御され、テザー90525を解放し、偏倚部材90122の拡張、ならびにピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の軸方向平行移動を許容する。これが生じると、テザー8525のステータストリガは、ステータスリーダによって接触または認識され、患者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、電力・制御システムに伝えられ得る。テザー90525上に位置するステータストリガの数に応じて、増分ステータス表示の頻度所望通りに変動され得る。上述のように、システムによって利用されるステータストリガに応じて、様々なステータスリーダを利用することができる。
好ましい実施形態において、ステータスリーダは、テザー90525に張力を加えてもよい。システムが投薬終了に達すると、テザー90525はたるみ、ステータスリーダ90544は、支点の周りで回転することを許容される。この回転は、電気的または電気機械的スイッチ、例えばスイッチを動作させ、テザー90525におけるたるみについて電力・制御システムに信号伝達する。追加的に、歯車列90516の歯車90511は、センサと共にエンコーダとして作用し得る。センサ/エンコーダの組み合わせは、歯車アセンブリの回転のフィードバックを提供するために使用され、これは次いで、テザー90525にたるみがないときのピストン90110の位置に較正され得る。ステータスリーダ及びセンサ/エンコーダは併せて、センサ/エンコーダによってカウントされるモータ回転が予想される数に達する前にテザー90525におけるたるみを観察することによって、位置フィードバック、投薬終了信号、及び閉塞等のエラー表示を提供し得る。
次に図70A~70D及び71A~71Dを参照すると、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御すること(それによって、原薬を可変の速度及び/または送達プロファイルで送達すること)に加え、本開示の多機能駆動機構は、針挿入機構をトリガして、患者への薬物送達のための流体通路を提供する工程、及び滅菌流体通路を薬物容器に接続して、患者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容する工程を同時にまたは連続的に実施し得る。少なくとも1つの実施形態において、図70A~70D及び71A~71Dに示されるように、多機能駆動機構90100のアクチュエータ90101による初期運動は、主/星形歯車90102を回転させる。主/星形歯車90102は、態様90102A及び90102B(図72を参照されたい)を有する複合歯車として示される。1つの様態において、主/星形歯車90102は、歯車アセンブリ90516を通して調節機構90500に運動を伝える。別の様態において、主/星形歯車90102は、歯車90112を通して針挿入機構90200に運動を伝える。主/星形歯車90102によって歯車90112が回転させられると、上に詳細に記載されるように、歯車90112は針挿入機構90200に係合して、流体通路接続子を標的の中へと始動させる。1つの特定の実施形態において、針挿入機構90200は、回転式針挿入機構である。したがって、歯車90112は、針挿入機構90200の対応する歯車表面90208に係合するように構成されている。歯車90112の回転は、駆動機構90100の歯車90112と針挿入機構90200の対応する歯車表面90208との間の歯車の相互作用を通して針挿入機構90200の回転を引き起こす。いったん針挿入機構90200の好適な回転、例えば、図70B~70Cに示される軸「R」に沿った回転が生じると、上に詳細に記載されるように、針挿入機構が始動されて、患者への流体通路接続子を生み出す。
図70A~70D及び71A~71Dに示されるように、この様態での針挿入機構90200の回転はまた、滅菌流体通路の薬物容器への接続をもたらして、患者への送達のための薬物容器から挿入機構への流体流を許容し得る。針挿入機構90200のランプ態様90222は、滅菌流体通路接続子90300の可動接続ハブ322上に支えられるようにされる。多機能駆動機構90100によって針挿入機構90200が回転させられると、針挿入機構90200のランプ機構90222は、滅菌流体通路接続子90300の可動接続ハブ322に係合し、かつそれを平行移動させて、その内部の流体接続を容易にする。かかる平行移動は、例えば、図70B及び71Bに示される軸「C」に沿った中空矢印の方向に生じ得る。少なくとも1つの実施形態において、針挿入機構90200は、上に詳述されるように、回転軸「R」(図70B~70Cに示される)上の特定の角度の回転が針/トロカールの後退を可能にするように構成され得る。加えてまたは代替的に、かかる針/トロカールの後退は、患者の活動時または薬物送達デバイスの別の構成要素の移動もしくは機能時に生じるように構成され得る。少なくとも1つの実施形態において、針/トロカール後退は、例えば、上述のように、調節機構90500及び/またはステータスリーダのうちの1つ以上によってトリガされる、薬物送達の終了時に生じるように構成され得る。これらの操作段階の間、薬物チャンバ9021からの流体物質の送達は、偏倚部材90122の、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって始動され、進行中であり、かつ/または完了され得る。上述のように、調節機構90500は、それらが偏倚部材90122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構90500は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン90110及びプランジャシール9060の運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。これは、図70A~70D及び71A~71Dに示される構成要素の進行を通して見ることができる。図70A~70D及び71A~71Dの移行で示されるように、それらが偏倚部材90122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間の、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の自在な運動は、近位または第1の位置「P」から遠位または第2の位置「D」への軸「A」に沿った実線矢印の方向で示される。
新規の駆動機構のさらなる態様は、図72及び73A~73Bを参照して記載される。図4は、少なくとも第1の実施形態による、その初期係止段階中の多機能駆動機構の斜視図を示す。最初に、テザー90525は、偏倚部材90122をピストン90110A、90110B内の最初の付勢位置で保持し得る。患者によるデバイスの作動時に直接的または間接的に、多機能駆動機構90100は、偏倚部材がピストン90110に、及びしたがってテザー90512に力を加えることを許容するために、作動し得る。テザー90525上のこの力は、巻胴90520上にトルクを加え、これは、歯車アセンブリ90516及び調節機構90500に運動を開始させる。図73Aに示されるように、ピストン90110及び偏倚部材90122はいずれも、最初は、プランジャシール9060の後方で圧縮された付勢状態にある。偏倚部材90122は、駆動ハウジング90130の内部特徴とピストン90110A、90110Bのインターフェース表面90110Cとの間でデバイスが作動するまで、この状態に維持され得る。薬物送達デバイス9010が作動され、駆動機構90100が動作するようにトリガされると、偏倚部材90122は、遠位方向で(すなわち、図70A~70D及び図71A~71Dに示される実線矢印の方向で)軸方向に拡張(すなわち、圧縮解除)することが許容される。かかる拡張は、偏倚部材90122がインターフェース表面90110C及びピストン90110上に作用し、かつそれらを遠位に平行移動させ、それによって、プランジャシール9060を遠位に平行移動させて、薬物流体をバレル9058の薬物チャンバ9021から押し出すことを引き起こす。少なくとも1つの実施形態において、いったんステータスリーダが、薬物容器9050のバレル9058内でのピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の軸方向移動の終わりに実質的に対応するようにテザー90525上に位置付けられたステータストリガに接触するか、またはそれを認識すると、投薬終了ステータス表示が患者に提供され得る。ステータストリガは、患者に増分ステータス表示を提供するために、ある特定の体積測定に対応する増分等の種々の増分でテザー90525に沿って位置付けられ得る。少なくとも1つの実施形態において、ステータスリーダは、テザー上の対応する光学的ステータストリガを認識するように構成された光学的ステータスリーダである。当業者には理解されようが、かかる光学的ステータストリガは、光学的ステータスリーダによって認識可能なマーキングであり得る。別の実施形態において、ステータスリーダは、対応するピン、穴、またはテザー上の同様の態様に接触するように構成された機械的または電気機械的リーダである。電気接触は、対応する電気的ステータスリーダに接触するか、または別様にそれによって認識されるステータスインジケータと同様にテザー上で利用され得る。ステータストリガは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー90525に沿って位置付けられ得る。示されるように、テザー90525は、駆動機構ハウジング90130、偏倚部材90122を通って通過し、ピストン90110A、90110Bに接続して、ピストン90110A、90110B、及びそれらに隣接して常在するプランジャシール9060の軸方向平行移動を制限する。
本開示の新規の実施形態は、巻胴90520の自在な回転、及び故に制御送達駆動機構90100の構成要素の軸方向平行移動を計り、制限し、または別様に防止するために利用され得る。したがって、調節機構90500は駆動機構の運動を制御するのみで、薬物送達のための力は加えない。圧縮ばね等の1つ以上の追加の偏倚部材90122を利用して、ピストン90110を駆動するか、またはその駆動を補助してもよい。例えば、圧縮ばねは、この目的で、駆動ハウジング90130内で利用され得る。調節機構90500は、かかる作用を制御するか、計るか、または調節するのみである。本開示の制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスは、加えて、実質的に全ての原薬が薬物チャンバ9021から押し出されたことを確実にするために、遵守による一押しを可能にする。プランジャシール9060自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。例えば、ポップアウト型プランジャシール、すなわち、初期状態から変形可能なプランジャシールが用いられる場合、プランジャシールは、変形または「ポップアウト」させられて、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを提供し得る。加えてまたは代替的に、接触、接続、または別様に電力・制御システムへの伝送を可能にして、投薬終了を患者に信号伝達するために、電気機械的ステータススイッチ及び相互接続アセンブリが利用され得る。この構成は、患者への真の終了表示をさらに可能にする。
少なくとも1つの実施形態において、歯車アセンブリ90516の1つ以上の歯車の回転運動を読み取るかまたは認識することによって、増分ステータス表示が使用者に提供され得る。歯車アセンブリ90516が回転するにつれて、ステータスリーダは、歯車アセンブリにおける歯車のうちの1つの上の1つ以上の対応するステータストリガを読み取るかまたは認識して、可変速度制御送達駆動機構の操作前、操作中、及び操作後に、増分ステータス表示を提供し得る。いくつかのステータスリーダが、本開示の実施形態内で利用され得る。例えば、駆動機構は、歯車アセンブリの歯車のうちの1つの歯によって物理的に接触された機械的ステータスリーダを利用してもよい。この例示的な実施形態において歯車のうちの1つの歯(または、歯車上の穴、ピン、隆起、マーキング、電気接触等)であり得るステータスリーダがステータストリガ(複数可)によって接触されると、ステータスリーダは、歯車の回転位置を測定し、患者へのステータス表示のために信号を電力・制御システムに伝送する。加えてまたは代替的に、駆動機構は、光学的ステータスリーダを利用してもよい。光学的ステータスリーダは、例えば、運動を認識し、電力・制御システムに信号を伝送することができる光ビームであり得る。例えば、駆動機構は、歯車アセンブリの歯車のうちの1つの歯(または、歯車上の穴、ピン、隆起、マーキング、電気接触等)の運動を認識するように構成された光学的ステータスリーダを利用してもよい。同様に、ステータスリーダは、歯車上の電気接触を認識するように構成された電気スイッチであり得る。これらの実施形態のいずれかにおいて、次いで信号を電力・制御システムに伝えて、患者にフィードバックを提供するために、センサを利用してもよい。
当業者には理解されようが、光学的ステータスリーダ及び対応するトリガ、電気機械的ステータスリーダ及び対応するトリガ、ならびに/または機械的ステータスリーダ及び対応するトリガは全て、患者に増分ステータス表示を提供するために本開示の実施形態によって利用され得る。本開示の駆動機構は、図面に示される歯車アセンブリ及び調節機構に関連して記載されているものの、当業者には容易に理解されるであろうが、様々な構成が許容可能であり、本開示の実施形態内で用いられることができる。したがって、本開示の実施形態は、制御送達駆動機構及び薬物送達ポンプ内で用いるためのかかる機構の例示的な実施形態として提供されている、本明細書に記載の特定の歯車アセンブリ及び調節機構に限定されない。
制御送達駆動機構90100、薬物送達薬物送達デバイス9010、または個々の構成要素のいずれかの組み立て及び/または製造は、当該技術分野で既知のいくつかの材料及び手法を利用してもよい。例えば、いくつかの既知の清掃流体等のイソプロピルアルコール及びヘキサンを用いて、構成要素及び/またはデバイスを清浄してもよい。いくつかの既知の接着剤または糊も同様に製造過程で用いられ得る。追加的に、既知のシリコン処理及び/または潤滑流体及び処理が、新規の構成要素及びデバイスの製造中に用いられ得る。さらに、既知の滅菌過程が、最終製品の滅菌性を保証するために製造または組み立て段階のうちの1つ以上で用いられ得る。
駆動機構は、いくつかの手法で組み立てられ得る。1つの組み立て方法において、薬物容器9050は最初に組み立てられ、使用者への送達用の流体で充填され得る。薬物容器9050は、キャップ9052、穿通可能なシール9056、バレル9058、及びプランジャシール9060を含む。穿通可能なシール9056は、バレル9058の遠位端において、キャップ9052とバレル9058との間に固定的に係合され得る。バレル9058は、バレル9058の近位端からのプランジャシール9060の挿入前に、開口近位端を通して薬物流体で充填されてもよい。任意選択的な接続マウント9054は、穿通可能なシール9056の遠位端に据え付けられ得る。接続マウント9054は、薬物容器9050のバレル9058内への流体通路接続子の穿通部材の挿入をガイドし得る。薬物容器9050は、その後、駆動ハウジング90130の遠位端に据え付けられ得る。
1つ以上の駆動偏倚部材90122は、駆動ハウジング90130の遠位端内に挿入され得る。任意選択で、被覆スリーブ90140は、偏倚部材90122を実質的に被覆するために、駆動ハウジング90130の遠位端内に挿入され得る。ピストンは、それが少なくとも部分的に偏倚部材90122の軸方向パススルー内に常在し、かつ偏倚部材90122が、偏倚部材90122の遠位端においてピストン90110A、90110Bのピストンインターフェース表面90110Cと接触することを許容されるように、駆動ハウジング90130の遠位端内に挿入され得る。偏倚部材90122を封入し、ピストン90110A、90110Bのピストンインターフェース表面90110Cと接触するために、任意選択的な被覆スリーブ90140を利用してもよい。ピストン90110A、90110B、及び駆動偏倚部材90122、ならびに任意選択的な被覆スリーブ90140は、駆動ハウジング90130内に圧縮され得る。かかる組み立ては、駆動偏倚部材90122を最初の圧縮された付勢状態に位置付け、かつ好ましくは、バレル9058の近位端内でプランジャシール9060の近位表面と接触してピストンインターフェース表面90110Cを定置する。ピストン、ピストン偏倚部材、接触スリーブ、及び任意選択的な構成要素は、薬物容器9050の取り付けまたは据え付け前に、駆動ハウジング90130内で圧縮され、起動準備完了状態に係止され得る。テザー90525は、ピストン90110A、90110Bの近位端に予め接続され、偏倚部材90122及び駆動機構90130の軸方向開口部に通され、その後、テザー90525の他の端部が調節機構90500のウィンチドラム/歯車90520に巻き付けられた状態で、薬物送達デバイスの内部に巻き付けられる。
流体通路接続子、及び具体的には流体通路接続子の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップ及び/または穿通可能なシールに接続され得る。流体導管は、流体通路が、開放、接続、または別様に有効化されているときに、患者の身体内への薬物送達のために薬物容器、流体通路接続子、流体導管、挿入機構から、かつカニューレを通って直接移動するように、それ自体が挿入機構に接続されている流体通路接続子の他の端部に接続され得る。流体流のための通路を構成する構成要素が次に組み立てられる。これらの構成要素は、図69Bに示されるように、いくつかの既知の方法によって滅菌され、その後、固定的にまたは着脱自在に薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに据え付けられ得る。
本開示の幅及び範囲内に留まりながら、駆動機構90100または薬物送達デバイス9010のある特定の任意選択的な標準的な構成要素または変形形態が企図される。例えば、実施形態は、本開示のモータまたはソレノイド、駆動機構、及び薬物送達デバイスに電力供給するために利用される1つ以上の電池を含み得る。当該技術分野で既知の様々な電池がこの目的で利用され得る。追加的に、上部または下部ハウジングは、患者が薬物送達デバイス9010の動作を見るか、または薬物用量が完了したことを検証することを可能にするために、任意選択で1つ以上の透明または半透明窓18を含み得る。同様に、薬物送達デバイス9010は、接着パッチ9026及びパッチライナー9028をハウジング9012の底部表面上に含み得る。接着パッチ9026は、薬物送達デバイス9010を薬物用量の送達のために患者の身体に接着するために利用され得る。当業者には容易に理解されようが、接着パッチ9026は、患者の身体への薬物送達デバイスの接着のための接着面を有し得る。接着パッチ9026は、最初は、非接着パッチライナー9028によって被覆されていてもよく、これは、患者の身体と接触した薬物送達デバイス9010の定置の前に接着パッチ9026から取り外される。パッチライナー9028の取り外しはさらに、挿入機構90200の封止膜254を取り外し、薬物送達のために患者の身体に対して挿入機構を開放する(図69Cに示されるように)。いくつかの実施形態において、パッチライナー9028の取り外しはまた、搭載電子装置(例えば、電力・制御システム2400)に搭載電池からの電気を供給することによってそれらを起動し得る。
同様に、制御送達駆動機構90100及び薬物送達デバイス9010の構成要素のうちの1つ以上は、機能的に本開示の幅及び範囲内に留まりながら修正され得る。例えば、上述のように、薬物送達デバイス9010のハウジングは、上部ハウジング9012A及び下部ハウジング9012Bの2つの別個の構成要素として示されているが、これらの構成要素は、単一の統合された構成要素であってもよい。上記で考察したように、糊、接着剤、もしくは他の既知の材料、または方法を利用して、制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素を互いに貼着してもよい。代替的に、制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素は、統合された構成要素であり得る。例えば、上部ハウジング及び下部ハウジングは、糊または接着剤、ねじ嵌め接続、締まり嵌め、融着接合、溶接、超音波溶接等によって一緒に貼着された別個の構成要素であってもよく、または上部ハウジング及び下部ハウジングは、単一の統合された構成要素であってもよい。かかる標準的な構成要素及び機能的変形形態は当業者には理解され得、したがって、本開示の幅及び範囲内である。
上記の説明から、本明細書に開示される制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスが、薬物容器からの自動化薬物送達のために効率的かつ容易に操作されるシステムを提供することが理解されよう。本明細書に記載の新規の実施形態は、原薬の制御された送達のための駆動機構、及びかかる制御送達駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、患者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供し得る。例えば、患者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を患者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。本開示の新規の制御送達駆動機構は、患者によって直接的または間接的に作動され得る。さらに、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスの新規の構成は、貯蔵中、輸送中、及びデバイスの操作を通して、流体通路の滅菌状態を維持する。薬物流体がデバイス内で移動する通路が完全に滅菌状態で維持されるため、これらの構成要素は、製造過程中に滅菌される必要があるのみである。かかる構成要素には、駆動機構の薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構が含まれる。本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システム、アセンブリプラットフォーム、制御アーム、作動機構、ハウジング、及び他の構成要素は、滅菌される必要がない。これは、デバイスの製造性を大幅に改善し、関連する組み立て費用を低減する。したがって、本開示のデバイスは、組み立ての完了時に最終滅菌を必要としない。
送達デバイスの製造薬物は、別個にまたは複合構成要素としていずれかで制御送達駆動機構及び薬物容器の両方を、薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付ける工程を含む。製造方法は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングへの流体通路接続子、薬物容器、及び挿入機構の取り付けをさらに含む。電力・制御システム、作動機構、及び制御アームを含めた、上述の薬物送達デバイスの追加の構成要素は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付けられ、予備形成され、または予め組み立てられ得る。接着パッチ及びパッチライナーは、デバイスの動作中に患者と接触する薬物送達デバイスのハウジング表面に取り付けられ得る。
薬物送達デバイスを操作する方法は、患者によって作動機構を作動させる工程と、制御アームを変位させて挿入機構を起動する工程と、電力・制御システムを起動して制御送達駆動機構を作動させて、制御された速度または薬物送達プロファイルに従って薬物送達デバイスを通る流体薬物流を駆動する工程と、を含む。本方法は、作動機構を作動させる前に任意選択的なオンボディセンサを係合させる工程をさらに含み得る。本方法は、同様に、流体通路接続子と薬物容器との間の接続を確立する工程を含み得る。さらに、操作方法は、薬物容器内でピストン上に作用する偏倚部材の拡張によって制御送達駆動機構内でプランジャシールを平行移動させて、患者の身体への流体薬物の送達のために薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構に流体薬物流を押し通すことを含み得、テザーの分配を制限するように作用する調節機構は、ピストンの自在な軸方向平行移動を計るために利用される。駆動機構及び薬物送達デバイスの操作方法は、上述のように、図70A~70D及び図71A~71Dを参照してより良好に理解され得る。
XI.多機能駆動機構の他の実施形態
少なくとも図1A~2B、33A~33C、及び69A~73Dに関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図80A~85Cに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図80A~85Cに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の駆動機構100、6100、8100、もしくは9010、または本明細書に記載の任意の他の駆動機構を置き換えてもよい。
本開示は、原薬の制御された送達のための駆動機構、制御送達駆動機構を有する薬物送達ポンプ、かかるデバイスを操作する方法、及びかかるデバイスの組み立て方法を提供する。特に、本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御する。本開示の新規の実施形態は、故に、可変速度で薬物を送達することが可能である。本開示の制御送達駆動機構は、以下に詳細に説明されるように、所望の送達速度またはプロファイルを満たすために、電力・制御システムによる制御によって予め構成され得るか、または動的に構成され得る。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、駆動機構の1つ以上の構成要素の軸方向平行移動の物理的終了に関連するため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。これらの機構を通して、薬物用量送達の確認が使用者または投与者に正確に提供され得る。したがって、本開示の新規のデバイスは、上記のもの等の先行技術のデバイスに関連する問題のうちの1つ以上を軽減する。
第1の実施形態において、本開示は、駆動ハウジング、ピストン、及び1つ以上の偏倚部材を含む制御送達駆動機構を提供し、1つ以上の偏倚部材は、付勢状態で最初に保持され、ピストンのインターフェース表面上に支えられるように構成されている。ピストンは、プランジャシール及びバレルを有する薬物容器内で実質的に軸方向に平行移動するように構成されている。テザーは、一方の端部においてピストンに接続され、他方の末端において調節機構のウィンチドラムに接続され、テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を制限する。薬物容器は、使用者への送達のための薬物流体を薬物チャンバ内に収容し得る。任意選択で、被覆スリーブは、駆動機構の動作中にバレルの内部構成要素(すなわち、ピストン及び偏倚部材)を視界から隠すために、偏倚部材とピストンのインターフェース表面との間に利用され得る。テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、調節機構のウィンチドラムから解放されるように構成されている。
少なくとも1つの実施形態において、調節機構は、ウィンチドラムに連結されているか、またはそれと共に作用するエスケープメント調節機構である。エスケープメント調節機構は、1つ以上の歯車を有する歯車列をさらに含み得、歯車列の少なくとも1つの歯車の回転は、ウィンチドラムの回転に連結されている。特定の実施形態において、エスケープメント調節機構は、歯車列に係合し、その回転移動を計るように構成されたレバー及びガンギ車をさらに含む。レバーは、ピン及び先端部を有し、先端部は、ポストに移動可能に係合し、テン輪の衝突ピンに着脱自在に係合するように構成され、テン輪は、ひげぜんまいと組み合わせて、ポストに係合し、その周りで振動することができる。加えて、テン輪の振動及び/または回転を制御するために、モータまたはソレノイド等の電気機械的アクチュエータが使用され得る。例えば、DCまたはステッパモータを使用してもよく、または回転ソレノイドを使用してもよい。ガンギ車は、歯車列に係合し、それを計るように構成された、大径ガンギ歯車及び小径歯車の円周の周りにガンギ歯を有する複合歯車である。エスケープメント調節機構による歯車列及び/またはウィンチドラムの計測は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御する。
歯車列は、テザーがその上に着脱可能に巻き付いているウィンチドラムに連結されたウィンチギアを含み得る。ウィンチギアは、ウィンチギア及び第1の複合歯車の小さい歯車の回転が連動するように、第1の複合歯車に係合するように構成され得る。加えて、歯車アセンブリは、第2の複合歯車を含み得、第1の複合歯車の大きい歯車は、第2の複合歯車の小さい歯車に係合する。第2の複合歯車の大きい歯車は、第2の複合歯車及びガンギ車の回転が連結されるように、ガンギ車の歯車と係合してもよい。この方法で、ガンギ車の回転はウィンチドラムの回転と連結し、それによって、ウィンチドラムからのテザーの解放を制御して、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計ることができる。調節機構によるテザーの計測は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御する。ピストンは、1つ以上の部品であり得、テザーの遠位端に接続する。
なおも別の実施形態において、駆動機構は、1つ以上の対応するスタータストリガを読み取るかまたは認識するように構成されたステータスリーダを含み得る。ステータストリガは、テザー上で増分的に間隔を空けてもよく、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、光学的ステータストリガであり、電気機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、電気機械的ステータストリガであるか、または機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、機械的ステータストリガである。
さらなる実施形態において、本開示は、制御された薬物送達を有する薬物送達ポンプを提供する。薬物送達ポンプはハウジング及びアセンブリプラットフォームを有し、その上に作動機構、挿入機構、流体通路接続子、電力・制御システム、及び制御送達駆動機構が据え付けられてもよく、該駆動機構は、駆動ハウジング、ピストン、及び偏倚部材を有し、偏倚部材は、付勢状態で最初に保持され、ピストンの表面上に支えられるように構成されている。ピストンは、プランジャシール及びバレルを有する薬物容器内で実質的に軸方向に平行移動するように構成されている。テザーは、一方の端部においてピストンに接続され、他方の末端において送達調節機構のウィンチドラムに接続され、テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を制限する。薬物容器は、使用者への送達のための薬物流体を薬物チャンバ内に収容し得る。任意選択で、被覆スリーブは、駆動機構の動作中にバレルの内部構成要素(すなわち、ピストン及び偏倚部材)を視界から隠すために、偏倚部材とピストンのインターフェース表面との間に利用され得る。テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、送達調節機構のウィンチドラムから解放されるように構成されている。
別の実施形態において、薬物送達デバイスは、歯車アセンブリをさらに含む。歯車アセンブリは、テザーがその上に着脱可能に巻き付き得るウィンチドラムに接続されたウィンチギアを含み得、ウィンチドラムの回転は、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、テザーをウィンチドラムから解放する。テザーの計測は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御する。ピストンは、1つ以上の部品であり得、テザーの遠位端に接続する。ウィンチドラムは、ウィンチドラムの回転、及びしたがってピストンの平行移動の計測を制御する調節機構に連結されている。
薬物送達デバイスは、第1の実施形態において上に記載される調節機構を利用し得、その構成は、エスケープメント調節機構を利用してテザーの計測を制御する。エスケープメント調節機構は、1つ以上の歯車を有する歯車列をさらに含み得る。特定の実施形態において、エスケープメント調節機構は、歯車列に係合し、その回転移動を計るように構成されたレバー及びガンギ車をさらに含む。レバーは、ピン及び先端部を有し、先端部は、ポストに移動可能に係合し、テン輪の衝突ピンに着脱自在に係合するように構成され、テン輪は、ひげぜんまいと組み合わせて、ポストに係合し、その周りで振動することができる。加えて、テン輪の振動及び/または回転を制御するために、DCモータもしくはステッパモータ等のモータ、またはリニアもしくは回転ソレノイドが使用され得る。ガンギ車は、歯車列に係合し、それを計るように構成された、大径ガンギ歯車及び小径歯車の円周の周りにガンギ歯を有する複合歯車である。エスケープメント調節機構による歯車列の計測は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御する。ピストンは、バレル内でプランジャシールに接触し、かつそれを軸方向に平行移動させるように構成されている。
なおも別の実施形態において、薬物送達デバイスは、1つ以上の対応するスタータストリガを読み取るかまたは認識するように構成されたステータスリーダを含み得る。ステータストリガは、テザー上で増分的に間隔を空けてもよく、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、光学的ステータストリガであり、電気機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、電気機械的ステータストリガであるか、または機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、機械的ステータストリガである。
別の実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システムは、1つ以上の入力を受信して、ウィンチドラムによるテザーの解放を計り、それによって、偏倚部材によるピストンの軸方向平行移動を許容して、プランジャシールをバレル内で平行移動させるように構成されている。1つ以上の入力は、作動機構、制御インターフェース、及び/または遠隔制御機構の起動によって提供され得る。電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすために、使用者への送達のための用量体積を変えるために、かつ/または駆動機構の操作を別様に開始、停止、もしくは一時停止するために、1つ以上の入力を受信して、偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動上にテザー及びウィンチドラムによってもたらされる制限を調整するように構成され得る。
本開示の新規の実施形態は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止し、それによって、原薬の送達速度を制御することができる駆動機構を提供する。新規の制御送達駆動機構は、加えて、デバイスの操作の前、その間、及びその後に薬物送達の増分ステータスを提供することができる。以下にさらに記載されるように、本開示の実施形態は、医療デバイスの業界において標準的な構成要素と見なされ得る1つ以上の追加の構成要素を含み得る。例えば、実施形態は、本開示のモータ、駆動機構、及び薬物送達デバイスに電力供給するために利用される1つ以上の電池を含み得る。構成要素、及びかかる構成要素を含む実施形態は、本開示の企図内であり、本開示の幅及び範囲内に入ることを理解されたい。
本開示は、原薬の制御された送達のための駆動機構、及びかかる制御送達駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。
本開示の新規のデバイスは、一体型のステータス表示を有する駆動機構及びかかる駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。かかるデバイスは、自己投与する患者にとって、安全で使用が容易であり、審美的かつ人間工学的に魅力がある。本明細書に記載のデバイスは、未訓練の使用者にとってさえも本デバイスの作動、操作、及びロックアウトを単純にする特徴を組み込む。本開示の新規のデバイスは、既知の先行技術のデバイスに関連する問題のうちのいずれも伴わずに、これらの望ましい特徴を提供する。新規の薬物送達ポンプ、駆動機構、及びそれらのそれぞれの構成要素のある特定の非限定的な実施形態が、付随する図を参照しながら本明細書にさらに記載される。
本明細書で使用されるとき、「ポンプ」及び「送達デバイス」という用語は、作動時に流体を使用者に分注することが可能である任意の数の薬物送達システムを含むことを意図する。かかる薬物送達システムには、例えば、注入システム、輸液ポンプ、ボーラス注入装置、オンボディ注入装置等が含まれるが、これらに限定されない。図80A~80Cは、本開示の少なくとも1つの実施形態による例示的な薬物送達デバイスを示す。薬物送達デバイスを利用して、使用者の体内への薬物治療剤の送達を施してもよい。図80A~80Cに示されるように、薬物送達デバイス9210は、ポンプハウジング9212を含む。ポンプハウジング9212は、薬物送達デバイスのより容易な製造、組み立て、及び操作の便宜を図るために固定的に係合可能である、1つ以上のハウジング部分構成要素を含み得る。例えば、薬物送達デバイス9210は、上部ハウジング9212A及び下部ハウジング9212Bを含むポンプハウジング9212を含む。薬物送達デバイスは、作動機構9214、ステータスインジケータ9216、及び窓9218をさらに含み得る。窓9218は、薬物送達デバイスの操作がそれを通して見られ得る、任意の半透明または透過性表面であってよい。図80Bに示されるように、薬物送達デバイス9210は、アセンブリプラットフォーム9220、滅菌流体導管9230、薬物容器9250を有する駆動機構92100、挿入機構92200、流体通路接続子92300、及び電力・制御システム(図示せず)をさらに含む。かかる薬物送達デバイスの構成要素のうちの1つ以上は、それらが、例えば、製造中に別個の構成要素として予め組み立てられ、薬物送達デバイス9210のアセンブリプラットフォーム9220の上の所定の位置に収まるよう構成され得るという点で、モジュール式であり得る。
ポンプハウジング9212は、デバイスの構成要素の全てを含み、デバイス9210を使用者の皮膚に着脱自在に取り付ける手段を提供する。ポンプハウジング9212はまた、デバイス9210の内部構成要素に環境的影響からの保護を提供する。ポンプハウジング9212は、未訓練の及び/または身体障害のある場合がある使用者による容易な包装、貯蔵、取り扱い、及び使用の便宜を図るために、サイズ、形状、及び関連する特徴において人間工学的に及び審美的に設計される。さらに、ポンプハウジング9212の外面を利用して、製品ラベル、安全性指示等を提供してもよい。追加的に、上述のように、ハウジング9212は、操作フィードバックを使用者に提供し得る、ステータスインジケータ9216及び窓9218等のある特定の構成要素を含み得る。
少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイス9210は、使用者が変位させて電力・制御システムへの開始コマンドをトリガする、作動機構9214を提供する。好ましい実施形態において、作動機構は、上部ハウジング9212Aと下部ハウジング9212Bとの間の開口部を通して等、ポンプハウジング9212を通して位置し、電力・制御システムの制御アーム40に接触する、開始ボタン9214である。少なくとも1つの実施形態において、開始ボタン14は、押しボタンであり得、他の実施形態においては、オン/オフスイッチ、トグル、または当該技術分野で既知の任意の同様の作動特徴であり得る。ポンプハウジング9212はまた、ステータスインジケータ16及び窓9218も提供する。他の実施形態においては、作動機構9214、ステータスインジケータ9216、窓9218のうちの1つ以上、及びそれらの組み合わせが、例えば、薬物送達デバイス9210が使用者の身体上に定置されるときに使用者に見える側等の、上部ハウジング9212Aまたは下部ハウジング9212B上に提供され得る。ハウジング9212は、本開示の他の構成要素及び実施形態を参照しながらこれ以降でさらに詳述される。
薬物送達デバイス9210は、作動機構を押し下げることにより使用者が作動させると、薬物送達デバイスが始動されて、流体通路を使用者の中に挿入することと、薬物容器、流体通路、及び滅菌流体導管の間の必要な接続を有効化する、接続する、または開通させることと、薬物容器に格納された薬物流体を、使用者の中への送達のために流体通路及び流体導管に押し通すこととを行うように構成されている。1つ以上の任意選択的な安全性機構を利用して、例えば、薬物送達デバイスの時期尚早な作動を防止してもよい。例えば、任意選択的なオンボディセンサ9224(図80Cに示される)が、一実施形態において、薬物送達デバイス9210が使用者の身体と接触していない限り、電力・制御システム、または作動機構9214が係合され得ないことを保証する安全性特徴として提供されてもよい。かかる一実施形態において、オンボディセンサ9224は、使用者の身体と接触するようになり得る、下部ハウジング9212Bの底部に位置する。オンボディセンサ9224が変位すると、作動機構の押し下げが許容される。したがって、少なくとも1つの実施形態において、オンボディセンサ9224は、作動機構9214による薬物送達デバイス9210のトリガを防止する、例えば機械的ロックアウト等の、機械的安全性機構である。別の実施形態において、オンボディセンサは、信号を電力・制御システムに送信して作動を許容する機械的ロックアウト等の、電気機械的センサであり得る。依然として他の実施形態において、オンボディセンサは、電力・制御システムの作動を許容する前に組織を検出しなければならない、例えば、静電容量ベースまたはインピーダンスベースのセンサ等の電気ベースであり得る。これらの概念は、相互排他的なものではなく、本開示の範囲内で1つ以上の組み合わせを利用して、例えば、薬物送達デバイスの時期尚早な作動を防止してもよい。好ましい実施形態において、薬物送達デバイス10は、1つ以上の機械的オンボディセンサを利用する。追加の一体型安全性機構は、新規の薬物送達デバイスの他の構成要素を参照して本明細書に記載される。
XI.A.電力・制御システム
電力・制御システムは、薬物送達デバイス内の種々の電気構成要素にエネルギーを提供する、電源、1つ以上のフィードバック機構、マイクロコントローラ、回路基板、1つ以上の伝導性パッド、及び1つ以上の相互接続部を含む。当業者には理解されようが、かかる電気システムで一般的に使用される他の構成要素もまた含まれてよい。1つ以上のフィードバック機構は、例えば、ピエゾアラーム等の可聴アラーム及び/または発光ダイオード(LED)等の光インジケータを含み得る。マイクロコントローラは、例えば、マイクロプロセッサであり得る。電力・制御システムは、使用者とのデバイスのいくつかの相互作用を制御し、駆動機構92100とインターフェース接続する。一実施形態において、電力・制御システムは、制御アーム9240とインターフェース接続して、オンボディセンサ9224及び/または作動機構9214が作動されているときを特定する。電力・制御システムはまた、使用者に視覚フィードバックを提供するために光移送を許容する透過性または半透明の材料であり得る、ポンプハウジング9212のステータスインジケータ9216とインターフェース接続し得る。電力・制御システムは、1つ以上の相互接続を通して駆動機構92100とインターフェース接続して、作動、薬物送達、及び投薬終了等のステータス表示を患者に中継する。かかるステータス表示は、聴覚トーンを介して、例えば可聴アラームにより、及び/または視覚インジケータを介して、例えばLEDにより、使用者に提示され得る。好ましい実施形態において、電力・制御システムと薬物送達デバイスの他の構成要素との間の制御インターフェースは、使用者が作動させるまで係合または接続されない。これは、薬物送達デバイスの偶発的な操作を防止し、さらに、貯蔵、輸送等の間に電源内に収容されるエネルギーを維持し得る、望ましい安全性特徴である。
電力・制御システムは、いくつかの異なるステータスインジケータを使用者に提供するように構成され得る。例えば、電力・制御システムは、オンボディセンサ及び/またはトリガ機構が押圧された後に、デバイス起動点検により何のエラーも報告されなければ、電力・制御システムがステータスインジケータ9216を介して開始準備完了ステータス信号を提供するように、構成され得る。開始準備完了ステータス信号を提供した後に、任意選択的なオンボディセンサを有する実施形態において、オンボディセンサが使用者の身体と接触したままである場合、電力・制御システムは、駆動機構92100に電力供給して、流体通路接続子92300及び滅菌流体導管9230(図示せず)を通した薬物治療剤の送達を開始する。本開示の好ましい実施形態において、挿入機構92200及び流体通路接続子92300は、作動機構9214の使用者による操作によって直接、作動するようにされ得る。薬物送達過程中、電力・制御システムは、ステータスインジケータ9216を介して分注ステータス信号を提供するように構成される。薬物が使用者の身体内に投与された後、及び実質的に全用量が使用者に送達されたことを確実にするためのいずれの追加の滞留時間の終了後、電力・制御システムは、ステータスインジケータ9216を介して取り外し可ステータス信号を提供し得る。これは、使用者がポンプハウジング9212の窓9218を通して駆動機構及び薬物用量送達を見ることによって、独立して検証され得る。追加的に、電力・制御システムは、ステータスインジケータ9216を介して、例えば、故障または動作不具合状況を示す警報等の1つ以上の警報信号を提供するように構成され得る。
電力・制御システムは加えて、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように駆動機構92100を動的に制御するための、使用者からの種々の入力を受け入れるように構成され得る。例えば、電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように電力・制御システムを介して駆動機構92100の制御を設定、始動、停止、あるいは調整するための、例えば、作動機構9214の部分的または完全な作動、押し下げ、及び/または解放による入力を受信し得る。同様に、電力・制御システムは、薬物用量体積を調整する、駆動機構、流体通路接続子、及び流体導管をプライミングする、ならびに/または駆動機構92100の操作を開始、停止、もしくは一時停止するような入力を受信するように構成され得る。かかる入力は、例えば、作動機構9214もしくは異なる制御インターフェースの使用により、使用者が薬物送達デバイス9210に直接働きかけることによって受信されてもよく、またはシステム92400は、かかる入力を遠隔制御デバイスから受信するように構成されてもよい。加えてまたは代替的に、かかる入力は、予めプログラムされてもよい。
他の電力・制御システム構成は、本開示の新規の薬物送達デバイスと共に利用され得る。例えば、ある特定の作動遅延が、薬物送達中に利用され得る。上述のように、システム構成内に任意選択で含まれる1つのかかる遅延は、完了を使用者に信号伝達する前に実質的に全薬物用量が送達されていることを確実にする、滞留時間である。同様に、デバイスの作動は、薬物送達デバイスの作動前に、薬物送達デバイス9210の作動機構9214の遅延した押し下げ(すなわち、押圧)を必要とし得る。追加的に、システムは、使用者が投薬終了信号に応答すること、及び薬物送達デバイスを作動停止するまたはその電源を切ることを許容する特徴を含み得る。かかる特徴は同様に、停止デバイスの偶発的な作動を防止するために、作動機構の遅延した押し下げを必要とし得る。かかる特徴は、薬物送達デバイスに対する望ましい安全性一体化機構及び使い勝手の良いパラメータを提供する。追加の安全性特徴が、薬物送達デバイスの部分的押し下げ、及びしたがって、部分的作動を防止するために作動機構に一体化されてもよい。例えば、作動機構及び/または電力・制御システムは、部分的作動を防止するために、デバイスが完全にオフまたは完全にオンのいずれかであるように構成され得る。かかる特徴は、新規の薬物送達デバイスの他の態様に関してこれ以降でさらに詳述される。
XI.B.流体通路接続子
いくつかの流体通路接続子が、本開示の実施形態内で利用され得る。一般に、好適な流体通路接続子は、滅菌流体導管、穿通部材、及び薬物容器または薬物容器内に一体化された摺動型の穿通可能なシールに取り付けられた滅菌スリーブを含む。流体通路接続子は、1つ以上の流れ制限部をさらに含み得る。送達デバイス9210の適切な作動時に、流体通路接続子92300は、滅菌流体導管30を駆動機構92100の薬物容器に接続するように有効化される。かかる接続は、駆動機構92100の薬物容器の穿通可能なシールを突き通す、針等の穿通部材によって容易にされる。この接続の滅菌性は、可撓性滅菌スリーブ内で接続を行うことによって維持され得る。挿入機構の実質的に同時の作動時に、薬物容器と挿入機構との間の流体通路が完成して、使用者の身体内への薬物送達を許容する。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、流体通路接続子の穿通部材は、使用者の直接行為、例えば、使用者による作動機構の押し下げによって、駆動機構の薬物容器の穿通可能なシールを突き通すようにされる。例えば、作動機構自体は、作動機構のその元の位置からの変位が流体通路接続子の変位もまた引き起こすように、流体通路接続子上で支えられてもよい。かかる一実施形態において、流体通路接続子は、国際特許出願第PCT/US2012/054861号に記載されるものと実質的に同様であり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。かかる実施形態によれば、接続は、使用者が所望するまで流体が薬物容器から流れるのを防止するという理由で、使用者が作動機構を押し下げ、それによって、穿通可能なシールを通して穿通部材を駆動することによって有効化される。かかる実施形態において、圧縮性の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップと流体通路接続子の接続ハブとの間に固定的に取り付けられてもよい。穿通部材は、流体接続通路と薬物容器との間の接続が所望されるまで、滅菌スリーブ内に常在し得る。滅菌スリーブは、作動前の穿通部材及び流体通路の滅菌性を保証するために滅菌され得る。
代替的に、流体通路接続子は、参照によりその全体が全目的で本明細書に含まれる国際特許出願第PCT/US2013/030478号に記載されるように、薬物容器内に一体化され得る。かかる実施形態によれば、薬物容器は、穿通可能なシールとプランジャシールとの間でバレル内に薬物チャンバを有し得る。薬物流体は、薬物チャンバに収容される。使用者による作動デバイスの作動時に、駆動機構は、薬物容器に収容されたプランジャシールに力を及ぼす。プランジャシールが薬物流体及びいずれの空気/ガスの間隙または気泡に力を及ぼすと、空気/ガス及び薬物流体の圧縮によって空気圧及び液圧の組み合わせが蓄積し、この力が、摺動型の穿通可能なシールに引き継がれる。摺動型の穿通可能なシールは、キャップの方へ摺動させられて、一体型の滅菌流体通路接続子内に保持された穿通部材によって穿通されることになる。したがって、一体型の滅菌流体通路接続子は、駆動機構の作動によって生み出された、薬物チャンバ内の空気/ガス及び薬物流体の組み合わせた空気圧/液圧の力によって接続される(すなわち、流体通路が開通される)。いったん一体型の滅菌流体通路接続子が接続されるか、または開通されると、薬物流体は、薬物送達のために薬物容器から、一体型の滅菌流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通って、そして使用者の体内へと流れることを許容される。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構のマニホールドならびにカニューレ及び/または針のみを通って流れ、それによって、薬物送達前及び送達中に流体通路の滅菌性を維持する。
薬物送達デバイスによって利用される流体通路接続子を問わず、薬物送達デバイスは、異なる粘度及び体積を有する様々な薬物を送達可能である。薬物送達デバイスは、制御された流速(速度)で及び/または指定の体積の薬物を送達可能である。一実施形態において、薬物送達過程は、流体通路接続子及び/または滅菌流体導管内で1つ以上の流れ制限部によって制御される。他の実施形態において、他の流速が、流体流路または送達導管の幾何形状を変化させることによって、駆動機構の構成要素が薬物容器の中へと前進してその中の薬物を分注する速度を変化させることによって、またはそれらの組み合わせによって、提供されてもよい。流体通路接続子92300及び滅菌流体導管30についての依然としてさらなる詳細が、これ以降、他の実施形態を参照して後の節で提供される。
XI.C.挿入機構
いくつかの挿入機構が、本開示の薬物送達デバイス内で利用され得る。本開示のポンプ式送達デバイスは、例えば、任意の好適な中空チューブを通して、流体流連通によって患者または使用者に接続され得る。固形針を用いて、患者の皮膚を穿通し、中空カニューレを適切な送達位置に定置してもよく、固形針は、患者への薬物送達の前に取り外されるかまたは後退される。上記のように、流体は、自動的に挿入された針、カニューレ、微小針アレイ、または輸液セットチューブを含むがこれらに限定されない任意の数の手段を通して身体内に誘導され得る。いくつかの機構は、患者への針の挿入を作動させるためにも用いられ得る。例えば、ばね等の偏倚部材は、針及びカニューレを患者の皮膚に穿通させるために十分な力を提供するために用いられる。同じばね、追加のばね、または別の同様の機構を利用して、針を患者から後退させることができる。好ましい実施形態において、挿入機構は、一般に、国際特許出願第PCT/US2012/53174号に記載されるようなものであり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に含まれる。かかる構成は、患者への痛みを最小限に抑える方法で患者の皮膚(または筋肉)内またはその下への薬物送達通路の挿入のために利用されてもよい。流体通路の挿入のための他の既知の方法が利用されてもよく、本開示の範囲内であることが企図される。
少なくとも1つの実施形態において、挿入機構92200は、1つ以上のロックアウト窓、ならびにアセンブリプラットフォーム及び/またはポンプハウジングへの接続のための基部を有する挿入機構ハウジングを含む(図80B及び図80Cに示されるように)。アセンブリプラットフォーム9220への基部の接続は、例えば、基部の底部がアセンブリプラットフォーム内の穴を通過することが許容されて、使用者の身体への基部の直接的な接触を許容するようなものであり得る。かかる構成において、基部の底部は、薬物送達デバイス9210の使用前に取り外し可能な封止膜を含み得る。挿入機構は、1つ以上の挿入偏倚部材、針、後退偏倚部材、カニューレ、及びマニホールドをさらに含み得る。マニホールドは、滅菌流体導管9230に接続して、薬物送達中に、マニホールド、カニューレを通り、かつ使用者の身体への流体流を許容し得る。
本明細書で使用されるとき、「針」は、剛性中空針等の従来の中空針、及びより一般的には「トロカール」と称される中実針を含むがこれらに限定されない様々な針を指すことを意図する。好ましい実施形態において、針は、9227ゲージの中実トロカールであり、他の実施形態において、針は、意図する薬物及び薬物投与(例えば、皮下、筋肉内、皮内等)の種類のための、カニューレを挿入するために好適な任意のサイズの針であり得る。針挿入機構内で滅菌ブーツが利用されてもよい。滅菌ブーツは、近位端においてマニホールドと、かつ遠位端において基部と固定係合している折り畳み式滅菌膜である。少なくとも一実施形態において、滅菌ブーツは、基部と挿入機構ハウジングとの間で遠位端における固定係合に維持される。基部は、以下にさらに記載されるように、挿入機構の動作中に針及びカニューレがそれを通って通過し得る基部開口を含む。カニューレ及び針の滅菌性は、挿入機構の滅菌部分内でのそれらの初期位置付けによって維持される。具体的には、上述のように、針及びカニューレは、マニホールド及び滅菌ブーツの滅菌環境において維持される。基部の基部開口は、例えば封止膜92254(図80Cに示される)によって、非滅菌環境からも閉鎖され得る。
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、挿入機構は初めに、挿入機構ハウジングのロックアウト窓内に初めに位置付けられたロックアウトピン(複数可)によって即時使用可能な段階に係止されている。この初期構成において、挿入偏倚部材及び後退偏倚部材は、それらの圧縮された付勢状態に各々保持されている。図80Bに示されるように、ロックアウトピン(複数可)92208は、作動機構9214の使用者の押し下げによって直接変位し得る。使用者が、任意選択的なオンボディセンサ9224(図80Cに示される)等の任意の安全性機構を係脱すると、作動機構9214が押し下げられて、薬物送達デバイスを始動する。作動機構9214の押し下げは、制御アーム40の平行移動または変位を直接的に引き起こし得、挿入機構ハウジング92202の係止窓92202A内のそれらの初期位置からのロックアウトピン(複数可)92208の変位を直接的または間接的に引き起こし得る。ロックアウトピン(複数可)92208の変位は、挿入偏倚部材がその初期の圧縮された付勢状態から圧縮解除されることを許容する。挿入偏倚部材のこの圧縮解除は、針及びカニューレを使用者の身体内に駆動する。挿入段階の終わりに、後退偏倚部材は、その初期の付勢状態から近位方向に拡張することが許容される。後退偏倚部材の近位方向におけるこの軸拡張は、カニューレを使用者の身体と流体連通に維持しながら、針を後退させる。したがって、挿入機構を用いて、針及びカニューレを使用者内に挿入し、その後、カニューレを使用者の身体への薬物送達のための位置に保持しながら、針を後退させてもよい。
XI.D.駆動機構
図81及び82に示される実施形態を参照すると、駆動機構92100は、駆動ハウジング92130と、キャップ9252、穿通可能なシール(不可視)、バレル9258、及びプランジャシール9260を有する薬物容器9250とを含む。穿通可能なシールとプランジャシール9260との間でバレル9258内に位置する薬物チャンバ9221は、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。本明細書に記載のシールは、いくつかの材料から構成され得るが、好ましい実施形態において、1つ以上のエラストマーまたはゴムから構成されている。駆動機構は、薬物容器9250のバレル9258内への流体通路接続子の穿通部材の挿入をガイドするための接続マウント9254をさらに含み得る。駆動機構92100は、本明細書にさらに記載されるように、1つ以上の駆動偏倚部材、1つ以上の解放機構、及び1つ以上のガイドをさらに含み得る。駆動機構の構成要素は、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通した、かつ使用者の体内への送達のために、穿通可能なシールを通して、または好ましくは流体通路接続子の穿通部材を通して流体を薬物容器から押し出すように機能する。
1つの特定の実施形態において、駆動機構92100は、1つ以上の圧縮ばねを偏倚部材(複数可)として用いる。使用者により薬物送達デバイスが作動されると、電力・制御システムが起動されて、圧縮ばね(複数可)を付勢状態から直接的または間接的に解放し得る。解放されると、圧縮ばね(複数可)は、プランジャシールに対して重みをかけ、かつそれに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。圧縮ばねは、ピストンに対して重みをかけ、かつそれに作用し、これは次いで、プランジャシールに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。流体通路接続子は、駆動機構の作動前、それと同時に、またはその後に穿通可能なシールを通して接続されて、薬物容器から流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通り、かつ使用者の身体内への薬物送達のための流体流を許容し得る。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構のマニホールド及びカニューレのみを通って流れ、それによって、薬物送達前及び送達中に流体通路の滅菌性を維持する。かかる構成要素及びそれらの機能は、本明細書にさらに詳細に記載される。
ここで図81及び図9282に示される駆動機構の実施形態を参照すると、駆動機構92100は、キャップ9252、穿通可能なシール(不可視)、バレル9258、及びプランジャシール9260、ならびに任意選択で接続マウント9254を有する薬物容器9250を含む。薬物容器9250は、駆動ハウジング92130の遠位端に据え付けられている。駆動偏倚部材92122a及び92122b、ならびにピストン92110は、薬物容器9250とハウジング92130の近位端との間で駆動ハウジング92130内で圧縮され、駆動偏倚部材92122a、92122bは、本明細書にさらに記載されるように、ピストン92110のインターフェース表面92110C上に支えられるように構成されている。任意選択で、例えば、駆動偏倚部材92122からピストン92110への力のより均等な分配を促すため、駆動偏倚部材92122の座屈を防止するため、かつ/または偏倚部材92122を使用者の視界から隠すために、被覆スリーブ92140が駆動偏倚部材92122とピストン92110のインターフェース表面92110Cとの間に利用されてもよい。ピストン92110のインターフェース表面92110Cは、シール9260の近位端に実質的に隣接して、またはそれと接触して静止させられる。図81及び82に示される実施形態は、複数の偏倚部材を示しているものの、単一の偏倚部材が使用され得ることも企図される。
図82Bに最も良好に示されるように、ピストン92110は、2つの構成要素92110A及び92110Bから構成され、プランジャシールに接触するためのインターフェース表面92110Cを有し得る。テザー、リボン、紐、または他の保持ストラップ(本明細書において「テザー」92512と称される)は、一方の端部においてピストン9210A、92110Bに接続され得る。例えば、テザー92512は、組み立てられたときのピストン92110A、92110Bの2つの構成要素の間の保持によって、ピストン92110A、92110Bに接続され得る。テザー92512は、別の端部において送達制御機構92500のウィンチドラム92520に接続されている。テザー92512の一方の端部に接続されたウィンチドラム92520、及び別の端部においてピストン92110A、92110Bに接続されたテザー92512の使用を通して、調節機構92500は、原薬を薬物容器9250から押し出すために利用されるピストン92110A、92110B及びプランジャシール9260の自在な軸方向平行移動を制御するか、それを計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止するように機能する。したがって、調節機構92500及び駆動機構92100(本明細書において合わせて「制御送達駆動機構」と称される)は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御するために一緒に機能する。
図81及び82に示されるように、本開示の実施形態において、調節機構92500は、エスケープメント調節機構である。エスケープメント調節機構は、テザー92512の分配を妨げるかまたは制限し、調節された速度または所望の速度でのみ前進させる。これは、バレル9258内でのピストン92110の移動を制限し、よって、プランジャシール9260の移動及びチャンバ9221に収容された薬物の送達を制御する。プランジャシール9260が薬物容器9250内で前進すると、原薬は、薬物送達のために、滅菌通路接続92300、導管9230、挿入機構92200を通り、かつ使用者の身体内へと分注される。その後、偏倚部材92122のピストン92110への力によって引き起こされるテザー92512上の張力は、歯車列92510を通してエスケープメント調節機構に移送されるウィンチドラム92520上にトルクを加える。任意選択で、エスケープメント調節機構に連結されたぜんまいばねが含まれ得る。これは、巻胴及び/または歯車列に追加のトルクを加えるために行われ得る。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、駆動機構92100は、エスケープメント調節要素92500を利用する。調節要素92500は、歯車列92510の1つ以上の歯車92512、92514、92516をさらに含む。歯車92512、92514、92516のうちの1つ以上は、例えば、大径歯車に共有中心点で取り付けられた小径歯車を有する複合歯車であり得る。第1の歯車92512は、例えば、位置決めされたシャフトによってウィンチドラム92520に回転式に連結され得、それによって、歯車列92510の回転をウィンチドラム92520に連結し得る。第1の複合歯車92512は、第1の歯車92512の回転移動が歯車の係合によって(例えば、対応する歯車の歯の係合によって)第2の複合歯車92514へと伝達されるように、複合歯車92514の小径歯車92514Bに係合する。複合歯車92514の大きい歯車92514Aは、第2の複合歯車92516の小さい歯車92516Bに係合し、それに回転を伝達する。第2の複合歯車92516の大きい歯車92516Aは、ガンギ車92562の小さい歯車92562Bに係合し、それによって、ガンギ車92562の回転をウィンチドラム92520に連結する。歯車列92510の回転は、ウィンチドラム92520に連結され、それによって、テザー92512の分配、及びバレル9258内でのプランジャシール9260の移動の速度を制御して、流体を薬物チャンバ9221から押し出し得る。ウィンチドラム92520の回転移動、及び故にピストン92110及びプランジャシール9260の軸方向平行移動は、本明細書に記載されるように、エスケープメント調節要素92500の他の構成要素による自在な軸方向平行移動を計測、制限、または別様に防止される。
ガンギ車92562は、歯車列92510に係合し、その自在な回転移動を計るか、制限するか、または別様に防止するように構成された、大径ガンギ歯車92562A及び小径歯車92562B(不可視)の円周の周りにガンギ歯を有する複合歯車である。エスケープメント調節要素500は、レバー92564をさらに含む。レバー92564は、ピン92564A、B、及び先端部92564Cを有する。先端部92564Cは、ポスト92566Aに移動可能に係合し、テン輪92566の衝突ピン92566Bに着脱可能に係合するように構成されている。テン輪92566は、ひげぜんまい92568と組み合わせて、枢動点92564Dの周りで振動子として係合し、機能する。歯車列92510、ガンギ車92562、テン輪92566、ひげぜんまい92568、及びレバー92564は、第1のプレート92504及び/または第2のプレート92506上に据え付けられてもよく、またはその上で自在に回転または移動することができる。第1のプレート92504及び第2のプレート92506は、1つ以上のスペーサカラムを利用して、構成要素と、構成要素がその上に据え付けられ、かつ自在に回転させられる1つ以上の枢動ピンとの間の所望の間隔を維持し得る。電気機械的アクチュエータ92570が、ひげぜんまい92568に加えて、またはその代わりに提供されてもよい。電気機械的アクチュエータ92570は、これ以降でさらに考察されるように、テン輪92566の回転及び/または振動を制御及び/または調整するように構成され得る。
エスケープメント調節要素92500のガンギ車92562、テン輪92566、ひげぜんまい92568、及びレバー92564の構成要素の機能は、図81B及び図83A~83Hを参照して説明される。ガンギ車92562及びレバー92564は、図83Aに示されるように、最初に作動位置にあってもよい。ガンギ車562及びレバー92564は、概して、係止作用及び衝突作用と呼ばれる2つの工程を実施するように機能する。これらの2つの作用は、図83B及び図83Cにそれぞれ例証され、これらの図において、歯車列510は、ガンギ車92562に時計回りのトルクを加えている。時計回りのトルクは、偏倚部材92122がピストン92110に力を加え、それが次いでテザー92512に張力を加えた結果として生じ得る。テザー92512の張力は、歯車列92510を通してガンギ車92562へと伝送される巻胴92520上にトルクを加える。任意選択で、加えて、ぜんまいばねを使用して、歯車列92510を加えることができる。係止作用において、2つのレバーピン92564A、Bのうちの1つは、ガンギ歯車92562A上の歯の径方向面上のガンギ車92562の回転を妨害する。これにより、歯車列92510は衝突作用間に係止される。衝突作用において、レバーピン92564A、Bは、レバー92564上のテン輪92566の作用に起因して、この歯面へと上に摺動する。ガンギ車は係止解除され、摺動作用を介してレバーピン92564A、B上で機械仕事を行い、これは次いで、テン輪92566に運動エネルギーを与える。レバー92564は、反対のピン92564A、Bがガンギ歯車92562A上のガンギ車の歯に係合するまで、枢動点92564D上で枢動し、ガンギ車92562の半分の歯が前進した後に係止状態に再び入る。係止作用から衝突作用への移行は、ぜんまいばね92568及び/または電気機械的アクチュエータ92570と組み合わせて振動子として機能するテン輪92566によってトリガされる。それは、速度制御として働く自然振動数で周期を成す。代替的に、速度は、電気機械的アクチュエータ92570によって制御及び/または変動され得る。テン輪92566は、先端部92564Cにおいてレバー92564と相互作用する衝突ピン92566Bを含む。図83Cにおいて図示される衝突相の場合、レバー92564上の時計回りのモーメントは、テン輪92566上に反時計回りのモーメントを発揮し、その運動エネルギーを増す。テン輪92566は、その運動エネルギーがぜんまいばね92568によって吸収されるまで、またはそれが電気機械的アクチュエータ92570によって停止させられるまで回転する。それは、レバー92564によって衝突ピン92566Bを停止させ、反転させ、かつそれに係合する。完全な周期は、図83D~83H間の移行で示される。例えば、テン輪を回転させるために、モータ(例えば、DCモータ、ACモータ、もしくはステッパモータ)またはソレノイド(例えば、リニアソレノイド、回転ソレノイド)が使用され得る。この電気機械的アクチュエータは、ぜんまいばねに加えて、またはぜんまいばねの代わりに使用され得る。電気機械的アクチュエータは、電力・制御システムによって制御され得る。電気機械的アクチュエータを提供することによって、薬物送達の速度は、調整及び/または制御され得る。一実施形態において、電気機械的アクチュエータ92570は、回転ソレノイドである。電力・制御システムから入力信号を受信すると、回転ソレノイドのコアは回転し得る。この回転は、例えば、位置決めされたシャフトによって、釣合車92566に加えられ得る。回転ソレノイドは、後に、入力信号の除去時または第2の入力信号の受信時のいずれかに、釣合車を反対方向に戻して回転させてもよく、または代替的に、ぜんまいばねを用いて、釣合車を反対方向に戻してもよい。この作用は、ソレノイドコアの直線運動を釣合車の回転運動に変換するための適切な連結を使用して、リニアソレノイドによって同様に行われ得る。モータもまた、同様に動作するように構成され得る。
エスケープメント調節機構92500を係止解除するために、テン輪92566は、ガンギ車92562のガンギ歯車92562Aの歯の面の上にレバーピン92564A、Bを引くのに十分な運動エネルギーを有しなければならない。衝突作用が、摩擦により失われるよりも少ないエネルギーを付加する場合、テン輪92566の回転は徐々に少なくなり、最終的には止まり、エスケープメント調節機構92500を係止することになる。エスケープメントが負荷下においてこの方法で停止すると、それは容易には再開しない。自己始動型であるためには、ぜんまいばね92568は、図83Aに示されるように、ガンギ車92562の枢動及びテン輪92566の枢動を接続する軸に沿ってレバー92564と整列しなければならない。レバーピン92564A、Bは、駆動トルクの付加に際して歯の斜面がすぐに衝突作用を開始することができるように位置付けられることになる。この整列は、無負荷状態においてエスケープメント調節機構92500でのみ生じ得る。ピストン92110上の偏倚部材92122の力によって提供されるテザー上の張力は、送達の開始まで、エスケープメント調節機構500から切り離されなければならない。これは、例えば、第1の構成においてピストン92110の運動を防止するロックアウト特徴を提供することによって行われ得る。第2の構成への変形後、ロックアウト特徴は、ピストン92110の運動を防止せず、その後、テザー92512上の張力は、巻胴92520上にトルクを作り出すように作用する。代替的に、エスケープメント調節機構92500は、電力・制御システムを直接的または間接的に介して使用者が作動機構に力を加え、駆動トルクを加えて初期衝突作用を開始させることによって始動され得る。いったんエスケープメント調節機構92500が始動されると、それは、歯車列92510、巻胴92520、及びピストン92110、ならびに故に、プランジャシール9260の自在な回転移動を計り、制限し、または別様に防止するために効果的に利用され得る。特定の実施形態において、ガンギ車92562は、大径ガンギ歯車92562A及び小径歯車92562B(不可視)の円周の周りにガンギ歯を有する複合歯車である。ガンギ車92562の小径歯車92562Bは、回転シャフト92518を通して巻胴92520に係合する駆動列92510に係合する。この新規の構成は、ガンギ車92562が、駆動列92510及び巻胴92520の回転を調節することを直接許容し、これは次いで、テザー92512及びピストン92110を効率的に調節する。
とりわけ、本開示の調節機構92500は、薬物チャンバ9221からの流体物質の送達を駆動しない。薬物チャンバ9221からの流体物質の送達は、偏倚部材92122の、ピストン92110A、92110B、及びプランジャシール9260上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって引き起こされる。調節機構92500は、代わりに、それらが偏倚部材92122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン92110A、92110B、及びプランジャシール9260の自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構92500は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン92110及びプランジャシール9260の運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。好ましい実施形態によれば、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスは、偏倚部材92122によって軸方向に平行移動するように駆動されているピストン92110A、92110B、及びプランジャシール9260の軸方向平行移動を計るテザーに間接的または直接的に接続されたエスケープメント調節機構を含む。調節機構によって制御される薬物送達の速度は、歯車列92510の歯車比の選択;ひげぜんまい92568のばね定数の選択;巻胴92520の直径の選択;電気機械的アクチュエータ92570を使用してテン輪92566の振動及び/もしくは回転の速度を制御すること;または当業者に既知である任意の他の方法によって決定され得る。電気機械的アクチュエータ92570を使用してテン輪92566の振動及び/または回転を制御することによって、可変の用量速度を提供する(すなわち、薬物送達の速度が治療中に変動する)ように薬物送達デバイスを構成することが可能であり得る。
別の実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システムは、1つ以上の入力を受信して、ウィンチドラム92520によるテザー92512の解放を計り、それによって、偏倚部材92122によるピストン92110の軸方向平行移動を許容して、プランジャシール9260をバレル9258内で平行移動させるように構成されている。1つ以上の入力は、作動機構9214、制御インターフェース、及び/または遠隔制御機構の起動によって提供され得る。電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすために、使用者への送達のための用量体積を変えるために、かつ/または駆動機構の操作を別様に開始、停止、もしくは一時停止するために、1つ以上の入力を受信して、偏倚部材92122がその上に支えられているピストン92110の自在な軸方向平行移動上にテザー59212及びウィンチドラム92520によってもたらされる制限を調整するように構成され得る。
作動時に、駆動機構92100の構成要素を用いて、薬物容器9250のプランジャシール9260の遠位方向への軸方向平行移動を駆動してもよい。任意選択で、駆動機構92100は、例えば、実質的に全薬物用量が使用者に送達されたことを確実にするために、プランジャシール9260の追加の軸方向平行移動を可能にする1つ以上の遵守特徴を含み得る。例えば、プランジャシール9260自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。
本開示の新規の制御送達駆動機構は、任意選択で、ステータス表示を薬物用量送達内に一体化し得る。1つ以上のステータストリガ及び対応するステータスリーダの使用によって、使用者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、電力・制御システムに伝えられ得る。かかるフィードバックは、上述のように、触覚、視覚、及び/または聴覚によるものであってもよく、デバイスの使用中にフィードバックの1つ超の信号または種類が使用者に提供されるように重複してもよい。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、ピストンがその軸方向平行移動の終了に達したことに結び付けられるため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。
テザー92512は、ステータスリーダに接触することができるか、またはそれによって認識されることができる、電気的接触、光学的マーキング、または電気機械的ピンもしくは陥凹等の1つ以上のステータストリガを有し得る。少なくとも1つの実施形態において、いったんステータスリーダが、薬物容器9250のバレル9258内でのピストン92110A、92110B、及びプランジャ60の軸方向移動の終わりにステータスリーダに接触することになるテザー92512上に位置付けられた最終ステータストリガに接触するか、またはそれを認識すると、投薬終了ステータス表示が使用者に提供され得る。ステータスリーダは、例えば、対応する電気接触に接触する電気スイッチリーダ、対応する光学的マーキングを認識する光学的リーダ、または対応するピン、穴、もしくはテザー上の同様の態様に接触するように構成された機械的もしくは電気機械的リーダであり得る。ステータストリガは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー92512に沿って位置付けられ得る。薬物送達デバイスが作動され、偏倚部材92122、ならびに結果としてピストン92110A、92110B、及びプランジャシール9260に加えられた力の解放によって薬物送達が開始されると、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルは、エスケープメント調節機構、歯車アセンブリ、及びウィンチドラム92520によって制御され、テザー92512を解放し、偏倚部材92122の拡張、ならびにピストン92110A、92110B、及びプランジャシール9260の軸方向平行移動を許容する。これが生じると、テザー92512のステータストリガは、ステータスリーダによって接触または認識され、使用者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、電力・制御システムに伝えられ得る。テザー92512上に位置するステータストリガの数に応じて、増分ステータス表示の頻度所望通りに変動され得る。上述のように、システムによって利用されるステータストリガに応じて、様々なステータスリーダを利用することができる。
好ましい実施形態において、ステータスリーダは、テザー92512に張力を加えてもよい。システムが投薬終了に達すると、テザー92512はたるみ、ステータスリーダ92544は、支点の周りで回転することを許容される。この回転は、電気的または電気機械的スイッチ、例えばスイッチを動作させ、テザー92512におけるたるみについて電力・制御システムに信号伝達する。追加的に、歯車列92510の歯車は、センサと共にエンコーダとして作用し得る。センサ/エンコーダの組み合わせは、歯車列回転のフィードバックを提供するために使用され、これは次いで、テザー92512にたるみがないときのピストン92110の位置に較正され得る。ステータスリーダ及びセンサ/エンコーダは併せて、センサ/エンコーダによってカウントされるモータ回転が予想される数に達する前にテザー92512におけるたるみを観察することによって、位置フィードバック、投薬終了信号、及び閉塞等のエラー表示を提供し得る。
新規の駆動機構のさらなる態様は、図84A~84B及び85A~85Cを参照して記載される。図84Aは、少なくとも第1の実施形態による、その初期係止段階中の駆動機構の等角図を示す。薬物流体等の流体は、使用者への送達のために、プランジャシール9260と穿通可能なシール(不可視)との間の薬物チャンバ9221においてバレル9258内に収容されてもよい。穿通可能なシールは、キャップ9252に隣接しているか、またはその内部に少なくとも部分的に保持されている。使用者によって作動されると、流体通路接続子は、穿通可能なシール9256を通して薬物容器に接続され得る。上述のように、この流体接続は、穿通可能なシールを穿通し、かつ薬物容器から、流体通路接続子、流体導管、挿入機構、及びカニューレを通る、使用者の身体への薬物流体の送達のための流体通路を完了させる流体通路接続子の穿通部材によって容易にされ得る。最初に、1つ以上の係止機構(図示せず)は、偏倚部材92122をピストン92110A、92110B内の最初の付勢位置で保持し得る。使用者によって直接的または間接的にデバイスが作動されると、係止機構は取り外されて、駆動機構の操作を許容する。係止機構の取り外しは、偏倚部材がピストン92110に、及びしたがってテザー92512に力を加えることを許容し得る。テザー92512上のこの力は、巻胴92520上にトルクを加え、これは、歯車列及びエスケープメント調節機構に運動を開始させる。図85Aに示されるように、ピストン92110及び偏倚部材92122はいずれも、最初は、プランジャシール9260の後方で圧縮された付勢状態にある。偏倚部材92122は、駆動ハウジング92130の内部特徴とピストン92110A、92110Bのインターフェース表面92110Cとの間でデバイスが作動するまで、この状態に維持され得る。係止機構が取り外されるかまたは変位されると、偏倚部材92122は、遠位方向で(すなわち、斜線矢印の方向で)軸方向に拡張(すなわち、圧縮解除)することが許容される。かかる拡張は、偏倚部材92122がインターフェース表面92110C及びピストン92110上に作用し、かつそれらを遠位に平行移動させ、それによって、プランジャシール9260を遠位に平行移動させて、薬物流体をバレル9258の薬物チャンバ9221から押し出すことを引き起こす。
図85Bに示されるように、ピストン92110A、92110B、及びプランジャシール9260のかかる遠位平行移動は、穿通可能なシール9256を通して流体をバレル9258から押し出し続ける。少なくとも1つの実施形態において、いったんステータスリーダが、薬物容器9250のバレル9258内でのピストン92110A、92110B、及びプランジャシール9260の軸方向移動の終わりに実質的に対応するようにテザー92512上に位置付けられたステータストリガに接触するか、またはそれを認識すると、投薬終了ステータス表示が使用者に提供され得る。ステータストリガは、使用者に増分ステータス表示を提供するために、ある特定の体積測定に対応する増分等の種々の増分でテザー92512に沿って位置付けられる。少なくとも1つの実施形態において、ステータスリーダは、テザー上の対応する光学的ステータストリガを認識するように構成された光学的ステータスリーダである。当業者には理解されようが、かかる光学的ステータストリガは、光学的ステータスリーダによって認識可能なマーキングであり得る。別の実施形態において、ステータスリーダは、対応するピン、穴、またはテザー上の同様の態様に接触するように構成された機械的または電気機械的リーダである。電気接触は、対応する電気的ステータスリーダに接触するか、または別様にそれによって認識されるステータスインジケータと同様にテザー上で利用され得る。ステータストリガは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー92512に沿って位置付けられ得る。示されるように、テザー92512は、駆動機構ハウジング130、偏倚部材92122を通って通過し、ピストン92110A、92110Bに接続して、ピストン92110A、92110B、及びそれらに隣接して常在するプランジャシール9260の軸方向平行移動を制限する。
本開示の新規の実施形態は、巻胴92520の自在な回転、及び故に制御送達駆動機構92100の構成要素の軸方向平行移動を計り、制限し、または別様に防止するために利用され得る。したがって、エスケープメント調節機構92500は駆動機構の運動を制御するのみで、薬物送達のための力は加えない。圧縮ばね等の1つ以上の追加の偏倚部材92122を利用して、ピストン92110を駆動するか、またはその駆動を補助してもよい。例えば、圧縮ばねは、この目的で、駆動ハウジング92130内で利用され得る。エスケープメント調節機構92500は、かかる作用を制御するか、計るか、または調節するのみである。ピストン92110及びプランジャシール9260が、制御された距離または制御された体積だけ軸方向に平行移動することを可能にするために、本明細書に記載のエスケープメント調節機構等の機械的タイミングシステムを利用してもよく、所望の送達速度またはプロファイルを満たすためにそれを利用してもよい。当業者には理解されようが、タイミングシステムは、機械的タイミングの代わりに石英タイミングによって制御されてもよい。石英タイミングの場合、電池は、マイクロチップ及び回路に電力を提供する。水晶は、高精度な周波数で振動する。マイクロプロセッサにおいて一般に見出される時計機能を含む、例えばRCタイミング機構等の代替的な電気的タイミング機構も使用され得る。送達が計画されている期間に応じて、マイクロチップは、水晶の振動数または他のタイミング信号に基づいてモータを駆動する。モータは、機械的タイミングシステムについて本明細書に記載されるものと同様の方法で、駆動列の運動を解放してプランジャの軸方向平行移動を制御する。
本開示の送達制御機構92500は、薬物チャンバ9221からの流体物質の送達を駆動しない。薬物チャンバ9221からの流体物質の送達は、偏倚部材92122の、ピストン92110A、92110B、及びプランジャシール9260上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって引き起こされる。送達制御機構92500は、代わりに、それらが偏倚部材92122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン92110A、92110B、及びプランジャシール9260の自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。制御機構92500がテザー92512を解放すると、偏倚部材92122は、プランジャシール9260が穿通可能なシール9256に実質的に接触するまで、その付勢状態からのその拡張を続け、かつ駆動ピストン92110A、92110B、及びプランジャシール9260を駆動することを許容される。これは、図85Cに提供される断面図で見ることができる。この時点で、実質的に全ての原薬が、使用者への薬物送達のための流体通路接続子92300を通して薬物チャンバ9221から押し出されている。ステータストリガは、ピストン92110A、92110Bのこの位置に対応するように、テザー92512に沿って構成され得、それによって、ピストン92110A、92110Bは軸方向移動の終わりに達すると、ステータストリガがステータスリーダによって読み取られるかまたは認識されて、真の投薬終了表示を使用者に提供する。上述のように、ステータストリガは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー92512に沿って位置付けられ得る。本開示の制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスは、加えて、実質的に全ての原薬が薬物チャンバ9221から押し出されたことを確実にするために、遵守による一押しを可能にする。プランジャシール9260自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。例えば、ポップアウト型プランジャシール、すなわち、初期状態から変形可能なプランジャシールが用いられる場合、図85Cに示されるように、プランジャシールは、変形または「ポップアウト」させられて、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを提供し得る。加えてまたは代替的に、電力・制御システムへの接触、接続、または別様に伝送を可能にして、投薬終了を使用者に信号伝達するために、電気機械的ステータススイッチ及び相互接続アセンブリが利用され得る。例えば、バレル9258内でのプランジャシール9260の実質的に完全な軸方向平行移動(及び任意選択的な遵守による一押し)に際して、電力・制御システムへの伝送を可能にして投薬終了を使用者に信号伝達するために、ステータススイッチ及び相互接続が協働するように、ステータススイッチは、穿通可能なシール9256の遠位に位置し得、相互接続は、プランジャシール9260の近位に位置し得る。この構成は、使用者への真の終了表示をさらに可能にする。
少なくとも1つの実施形態において、歯車列92510の1つ以上の歯車の回転運動を読み取るかまたは認識することによって、増分ステータス表示が使用者に提供され得る。歯車列92510が回転するにつれて、ステータスリーダは、歯車列における歯車のうちの1つの上の1つ以上の対応するステータストリガを読み取るかまたは認識して、可変速度制御送達駆動機構の操作前、操作中、及び操作後に、増分ステータス表示を提供し得る。いくつかのステータスリーダが、本開示の実施形態内で利用され得る。例えば、駆動機構は、歯車列の歯車のうちの1つの歯によって物理的に接触された機械的ステータスリーダを利用してもよい。この例示的な実施形態において歯車のうちの1つの歯(または、歯車上の穴、ピン、隆起、マーキング、電気接触等)であり得るステータストリガ(複数可)によってステータスリーダが接触されると、ステータスリーダは、歯車の回転位置を測定し、使用者へのステータス表示のために信号を電力・制御システムに伝送する。加えてまたは代替的に、駆動機構は、光学的ステータスリーダを利用してもよい。光学的ステータスリーダは、例えば、運動を認識し、電力・制御システムに信号を伝送することができる光ビームであり得る。例えば、駆動機構は、歯車列の歯車のうちの1つの歯(または、歯車上の穴、ピン、隆起、マーキング、電気接触等)の運動を認識するように構成された光学的ステータスリーダを利用してもよい。同様に、ステータスリーダは、歯車上の電気接触を認識するように構成された電気スイッチであり得る。これらの実施形態のいずれかにおいて、次いで信号を電力・制御システムに伝えて、使用者にフィードバックを提供するために、センサを利用してもよい。
当業者には理解されようが、光学的ステータスリーダ及び対応するトリガ、電気機械的ステータスリーダ及び対応するトリガ、ならびに/または機械的ステータスリーダ及び対応するトリガは全て、使用者に増分ステータス表示を提供するために本開示の実施形態によって利用され得る。本開示の駆動機構は、図面に示される歯車列及びエスケープメント調節機構に関連して記載されているものの、当業者には容易に理解されるであろうが、様々な構成が許容可能であり、本開示の実施形態内で用いられることができる。したがって、本開示の実施形態は、制御送達駆動機構及び薬物送達ポンプ内で用いるためのかかる機構の例示的な実施形態として提供されている、本明細書に記載の特定の歯車列及びエスケープメント調節機構に限定されない。
制御送達駆動機構100、薬物送達ポンプ10、または個々の構成要素のいずれかの組み立て及び/または製造は、当該技術分野で既知のいくつかの材料及び手法を利用してもよい。例えば、イソプロピルアルコール及びヘキサン等のいくつかの既知の清掃流体を用いて、構成要素及び/またはデバイスを清浄してもよい。いくつかの既知の接着剤または糊も同様に製造過程で用いられてもよい。追加的に、既知のシリコン処理及び/または潤滑流体及び処理が、新規の構成要素及びデバイスの製造中に用いられ得る。さらに、既知の滅菌過程が、最終製品の滅菌性を保証するために製造または組み立て段階のうちの1つ以上で用いられてもよい。
駆動機構は、いくつかの手法で組み立てられ得る。1つの組み立て方法において、薬物容器9250は最初に組み立てられ、使用者への送達用の流体で充填され得る。薬物容器9250は、キャップ9252、穿通可能なシール9256、バレル9258、及びプランジャシール9260を含む。穿通可能なシール9256は、バレル9258の遠位端において、キャップ9252とバレル9258との間に固定的に係合され得る。バレル9258は、バレル9258の近位端からのプランジャシール9260の挿入前に、開口近位端を通して薬物流体で充填されてもよい。任意選択的な接続マウント9254は、穿通可能なシール9256の遠位端に据え付けられ得る。接続マウント9254は、薬物容器9250のバレル9258内への流体通路接続子の穿通部材の挿入をガイドし得る。薬物容器9250は、その後、駆動ハウジング92130の遠位端に据え付けられ得る。
1つ以上の駆動偏倚部材92122は、駆動ハウジング92130の遠位端内に挿入され得る。任意選択で、被覆スリーブ92140は、偏倚部材92122を実質的に被覆するために、駆動ハウジング92130の遠位端内に挿入され得る。ピストンは、それが少なくとも部分的に偏倚部材92122の軸方向パススルー内に常在し、かつ偏倚部材92122が、偏倚部材92122の遠位端においてピストン92110A、92110Bのピストンインターフェース表面92110Cと接触することを許容されるように、駆動ハウジング92130の遠位端内に挿入され得る。偏倚部材92122を封入し、ピストン92110A、92110Bのピストンインターフェース表面92110Cと接触するために、任意選択的な被覆スリーブ92140を利用してもよい。ピストン92110A、92110B、及び駆動偏倚部材92122、ならびに任意選択的な被覆スリーブ92140は、駆動ハウジング92130内に圧縮され得る。かかる組み立ては、駆動偏倚部材92122を最初の圧縮された付勢状態に位置付け、かつ好ましくは、バレル58の近位端内でプランジャシール9260の近位表面と接触してピストンインターフェース表面110Cを定置する。ピストン、ピストン偏倚部材、接触スリーブ、及び任意選択的な構成要素は、薬物容器9250の取り付けまたは据え付け前に、駆動ハウジング92130内で圧縮され、起動準備完了状態に係止され得る。テザー92512は、ピストン92110A、92110Bの近位端に予め接続され、偏倚部材92122及び駆動機構92130の軸方向開口部に通され、その後、テザー92512の他の端部が調節機構92500のウィンチドラム92520に巻き付けられた状態で、薬物送達デバイスの内部に巻き付けられる。
流体通路接続子、及び具体的には流体通路接続子の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップ及び/または穿通可能なシールに接続され得る。流体導管は、流体通路が、開放、接続、または別様に有効化されているときに、使用者の身体内への薬物送達のために薬物容器、流体通路接続子、流体導管、挿入機構から、かつカニューレを通って直接移動するように、それ自体が挿入機構に接続されている流体通路接続子の他の端部に接続され得る。流体流のための通路を構成する構成要素が次に組み立てられる。これらの構成要素は、図80Bに示されるように、いくつかの既知の方法によって滅菌され、その後、固定的にまたは着脱自在に薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに据え付けられ得る。
本開示の幅及び範囲内に留まりながら、駆動機構92100または薬物送達デバイス9210のある特定の任意選択的な標準的な構成要素または変形形態が企図される。例えば、実施形態は、本開示のモータまたはソレノイド、駆動機構、及び薬物送達デバイスに電力供給するために利用される1つ以上の電池を含み得る。当該技術分野で既知の様々な電池がこの目的で利用され得る。追加的に、図80Aに示されるように、上部または下部ハウジングは、使用者が薬物送達デバイス9210の動作を見るか、または薬物用量が完了したことを検証することを可能にするために、任意選択で1つ以上の透明または半透明窓9218を含み得る。同様に、薬物送達デバイス9210は、接着パッチ9226及びパッチライナー9228をハウジング9212の底部表面上に含み得る。接着パッチ9226は、薬物送達デバイス9210を薬物用量の送達のために使用者の身体に接着するために利用され得る。当業者には容易に理解されようが、接着パッチ9226は、使用者の身体への薬物送達デバイスの接着のための接着面を有し得る。接着パッチ9226は、最初は、非接着パッチライナー9228によって被覆されていてもよく、これは、使用者の身体と接触した薬物送達デバイス9210の定置の前に接着パッチ9226から取り外される。パッチライナー9228の取り外しはさらに、挿入機構92200の封止膜92254を取り外し、薬物送達のために使用者の身体に対して挿入機構を開放する(図80Cに示されるように)。
同様に、制御送達駆動機構92100及び薬物送達デバイス9210の構成要素のうちの1つ以上は、機能的に本開示の幅及び範囲内に留まりながら修正され得る。例えば、上述のように、薬物送達デバイス9210のハウジングは、上部ハウジング9212A及び下部ハウジング9212Bの2つの別個の構成要素として示されているが、これらの構成要素は、単一の統合された構成要素であってもよい。上記で考察したように、糊、接着剤、もしくは他の既知の材料、または方法を利用して、制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素を互いに貼着してもよい。代替的に、制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素は、統合された構成要素であり得る。例えば、上部ハウジング及び下部ハウジングは、糊または接着剤、ねじ嵌め接続、締まり嵌め、融着接合、溶接、超音波溶接等によって一緒に貼着された別個の構成要素であってもよく、または上部ハウジング及び下部ハウジングは、単一の統合された構成要素であってもよい。かかる標準的な構成要素及び機能的変形形態は当業者には理解され得、したがって、本開示の幅及び範囲内である。
上記の説明から、本明細書に開示される制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスが、薬物容器からの自動化薬物送達のために効率的かつ容易に操作されるシステムを提供することが理解されよう。本明細書に記載の新規の実施形態は、原薬の制御された送達のための駆動機構、及びかかる制御送達駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供し得る。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。本開示の新規の制御送達駆動機構は、使用者によって直接的または間接的に作動され得る。さらに、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスの新規の構成は、貯蔵中、輸送中、及びデバイスの操作を通して、流体通路の滅菌状態を維持する。薬物流体がデバイス内で移動する通路が完全に滅菌状態で維持されるため、これらの構成要素は、製造過程中に滅菌される必要があるのみである。かかる構成要素には、駆動機構の薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構が含まれる。本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システム、アセンブリプラットフォーム、制御アーム、作動機構、ハウジング、及び他の構成要素は、滅菌される必要がない。これは、デバイスの製造性を大幅に改善し、関連する組み立て費用を低減する。したがって、本開示のデバイスは、組み立ての完了時に最終滅菌を必要としない。
送達デバイスの製造薬物は、別個にまたは複合構成要素としていずれかで制御送達駆動機構及び薬物容器の両方を、薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付ける工程を含む。製造方法は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングへの流体通路接続子、薬物容器、及び挿入機構の取り付けをさらに含む。電力・制御システム、作動機構、及び制御アームを含めた、上述の薬物送達デバイスの追加の構成要素は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付けられ、予備形成され、または予め組み立てられ得る。接着パッチ及びパッチライナーは、デバイスの動作中に使用者と接触する薬物送達デバイスのハウジング表面に取り付けられ得る。
薬物送達デバイスを操作する方法は、使用者によって作動機構を作動させる工程と、制御アームを変位させて挿入機構を起動する工程と、電力・制御システムを起動して制御送達駆動機構を作動させて、制御された速度または薬物送達プロファイルに従って薬物送達デバイスを通る流体薬物流を駆動する工程と、を含む。本方法は、作動機構を作動させる前に任意選択的なオンボディセンサを係合させる工程をさらに含み得る。本方法は、同様に、流体通路接続子と薬物容器との間の接続を確立する工程を含み得る。さらに、操作方法は、薬物容器内でピストン上に作用する偏倚部材の拡張によって制御送達駆動機構内でプランジャシールを平行移動させて、使用者の身体への流体薬物の送達のために薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構に流体薬物流を押し通すことを含み得、テザーの分配を制限するように作用する調節機構は、ピストンの自在な軸方向平行移動を計るために利用される。挿入機構及び薬物送達デバイスの操作方法は、上述のように、図84A~84B及び図85A~85Cを参照してより良好に理解され得る。
XII.多機能駆動機構の追加の実施形態
少なくとも図1A~2B、33A~33C、69A~73D、及び80A~85Cに関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図86A~91に関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図86A~91に関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の駆動機構100、6100、8100、9010、もしくは9210、または本明細書に記載の任意の他の駆動機構を置き換えてもよい。
本開示は、原薬の制御された送達のための駆動機構、制御送達駆動機構を有する薬物送達ポンプ、かかるデバイスを操作する方法、及びかかるデバイスの組み立て方法を提供する。特に、本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御する。本開示の新規の実施形態は、故に、可変速度で薬物を送達することが可能である。本開示の制御送達駆動機構は、以下に詳細に説明されるように、所望の送達速度またはプロファイルを満たすために、電力・制御システムによる制御によって予め構成され得るか、または動的に構成され得る。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、駆動機構の1つ以上の構成要素の軸方向平行移動の物理的終了に関連するため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。これらの機構を通して、薬物用量送達の確認が使用者または投与者に正確に提供され得る。したがって、本開示の新規のデバイスは、上記のもの等の先行技術のデバイスに関連する問題のうちの1つ以上を軽減する。
第1の実施形態において、本開示は、駆動ハウジング、ピストン、及び偏倚部材を含む制御送達駆動機構を提供し、偏倚部材は、付勢状態で最初に保持され、ピストンのインターフェース表面上に支えられるように構成されている。ピストンは、プランジャシール及びバレルを有する薬物容器内で実質的に軸方向に平行移動するように構成されている。テザーは、一方の端部においてピストンに接続され、他方の末端において送達制御機構のウィンチドラムに接続され、テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を制限する。薬物容器は、使用者への送達のための薬物流体を薬物チャンバ内に収容し得る。任意選択で、被覆スリーブは、駆動機構の動作中にバレルの内部構成要素(すなわち、ピストン及び偏倚部材)を視界から隠すために、偏倚部材とピストンのインターフェース表面との間に利用され得る。テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、送達制御機構のウィンチドラムから解放されるように構成されている。
別の実施形態において、駆動機構は、歯車アセンブリをさらに含む。歯車アセンブリは、テザーがその上に着脱可能に巻き付き得るウィンチドラムに接続されたウィンチギア、ウィンチギアに係合可能に接続されたウォーム歯車、ウォーム歯車に係合可能に接続された複合歯車、及び複合歯車に係合可能に接続されたピニオンを有するモータを含んでもよく、モータは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、テザーをウィンチドラムから解放するように歯車アセンブリを駆動するように構成されている。モータによるテザーの計測は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御する。ピストンは、1つ以上の部品であり得、テザーの遠位端に接続する。
なおも別の実施形態において、駆動機構は、1つ以上の対応するスタータストリガを読み取るかまたは認識するように構成されたステータスリーダを含み得る。ステータストリガは、テザー上で増分的に間隔を空けてもよく、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、光学的ステータストリガであり、電気機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、電気機械的ステータストリガであるか、または機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、機械的ステータストリガである。
さらなる実施形態において、本開示は、制御された薬物送達を有する薬物送達ポンプを提供する。薬物はハウジング及びアセンブリプラットフォームを有し、その上に作動機構、挿入機構、流体通路接続子、電力・制御システム、及び制御送達駆動機構が据え付けられてもよく、該駆動機構は、駆動ハウジング、ピストン、及び偏倚部材を有し、偏倚部材は、付勢状態で最初に保持され、ピストンの表面上に支えられるように構成されている。ピストンは、プランジャシール及びバレルを有する薬物容器内で実質的に軸方向に平行移動するように構成されている。テザーは、一方の端部においてピストンに接続され、他方の末端において送達制御機構のウィンチドラムに接続され、テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を制限する。薬物容器は、使用者への送達のための薬物流体を薬物チャンバ内に収容し得る。任意選択で、被覆スリーブは、駆動機構の動作中にバレルの内部構成要素(すなわち、ピストン及び偏倚部材)を視界から隠すために、偏倚部材とピストンのインターフェース表面との間に利用され得る。テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、送達制御機構のウィンチドラムから解放されるように構成されている。
別の実施形態において、薬物送達デバイスは、歯車アセンブリをさらに含む。歯車アセンブリは、テザーがその上に着脱可能に巻き付き得るウィンチドラムに接続されたウィンチギア、ウィンチギアに係合可能に接続されたウォーム歯車、ウォーム歯車に係合可能に接続された複合歯車、及び複合歯車に係合可能に接続されたピニオンを有するモータを含んでもよく、モータは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、テザーをウィンチドラムから解放するように歯車アセンブリを駆動するように構成されている。モータによるテザーの計測は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御する。ピストンは、1つ以上の部品であり得、テザーの遠位端に接続する。
なおも別の実施形態において、薬物送達デバイスは、1つ以上の対応するスタータストリガを読み取るかまたは認識するように構成されたステータスリーダを含み得る。ステータストリガは、テザー上で増分的に間隔を空けてもよく、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、光学的ステータストリガであり、電気機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、電気機械的ステータストリガであるか、または機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、機械的ステータストリガである。
別の実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システムは、1つ以上の入力を受信して、ウィンチドラムによるテザーの解放を計り、それによって、偏倚部材によるピストンの軸方向平行移動を許容して、プランジャシールをバレル内で平行移動させるように構成されている。1つ以上の入力は、作動機構、制御インターフェース、及び/または遠隔制御機構の起動によって提供され得る。電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすために、使用者への送達のための用量体積を変えるために、かつ/または駆動機構の操作を別様に開始、停止、もしくは一時停止するために、1つ以上の入力を受信して、偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動上にテザー及びウィンチドラムによってもたらされる制限を調整するように構成され得る。
本開示の新規の実施形態は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止し、それによって、原薬の送達速度を制御することができる駆動機構を提供する。新規の制御送達駆動機構は、加えて、デバイスの操作の前、その間、及びその後に薬物送達の増分ステータスを提供することができる。本明細書全体を通して、別段の指示がない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」、または「含む(includes)」もしくは「からなる」等の関連する用語は、明記された整数または整数の群が、1つ上の他の明記されていない整数または整数の群を含み得るように、排他的ではなく包括的気に使用される。以下にさらに記載されるように、本開示の実施形態は、医療デバイスの業界において標準的な構成要素と見なされ得る1つ以上の追加の構成要素を含み得る。例えば、実施形態は、本開示のモータ、駆動機構、及び薬物送達デバイスに電力供給するために利用される1つ以上の電池を含み得る。構成要素、及びかかる構成要素を含む実施形態は、本開示の企図内であり、本開示の幅及び範囲内に入ることを理解されたい。
本開示は、原薬の制御された送達のための駆動機構、及びかかる制御送達駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。
本開示の新規のデバイスは、一体型のステータス表示を有する駆動機構及びかかる駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。かかるデバイスは、自己投与する患者にとって、安全で使用が容易であり、審美的かつ人間工学的に魅力がある。本明細書に記載のデバイスは、未訓練の使用者にとってさえも本デバイスの作動、操作、及びロックアウトを単純にする特徴を組み込む。本開示の新規のデバイスは、既知の先行技術のデバイスに関連する問題のうちのいずれも伴わずに、これらの望ましい特徴を提供する。新規の薬物送達ポンプ、駆動機構、及びそれらのそれぞれの構成要素のある特定の非限定的な実施形態が、付随する図を参照しながら本明細書にさらに記載される。
また、本明細書で使用されるとき、「ポンプ」及び「送達デバイス」という用語は、作動時に流体を使用者に分注することが可能である任意の数の薬物送達システムを含むことを意図する。かかる薬物送達システムには、例えば、注入システム、輸液ポンプ、ボーラス注入装置、オンボディ注入装置等が含まれるが、これらに限定されない。図86A~86Cは、本開示の少なくとも1つの実施形態による例示的な薬物送達デバイスを示す。薬物送達デバイスを利用して、使用者の体内への薬物治療剤の送達を施してもよい。図86A~86Cに示されるように、薬物送達デバイス9310は、ポンプハウジング9312を含む。ポンプハウジング9312は、薬物送達デバイスのより容易な製造、組み立て、及び操作の便宜を図るために固定的に係合可能である、1つ以上のハウジング部分構成要素を含み得る。例えば、薬物送達デバイス9310は、上部ハウジング9312A及び下部ハウジング9312Bを含むポンプハウジング9312を含む。薬物送達デバイスは、作動機構9314、ステータスインジケータ9316、及び窓9318をさらに含み得る。窓9318は、薬物送達デバイスの操作がそれを通して見られ得る、任意の半透明または透過性表面であってよい。図86Bに示されるように、薬物送達デバイスは、アセンブリプラットフォーム9320、滅菌流体導管9330、薬物容器9350を有する駆動機構93100、挿入機構93200、流体通路接続子93300、及び電力・制御システム93400をさらに含む。かかる薬物送達デバイスの構成要素のうちの1つ以上は、それらが、例えば、製造中に別個の構成要素として予め組み立てられ、薬物送達デバイス9310のアセンブリプラットフォーム9320の上の所定の位置に収まるよう構成され得るという点で、モジュール式であり得る。
ポンプハウジング9312は、デバイスの構成要素の全てを含み、デバイス9310を使用者の皮膚に着脱自在に取り付ける手段を提供する。ポンプハウジング9312はまた、デバイス9310の内部構成要素に環境的影響からの保護を提供する。ポンプハウジング9312は、未訓練の及び/または身体障害のある場合がある使用者による容易な包装、貯蔵、取り扱い、及び使用の便宜を図るために、サイズ、形状、及び関連する特徴において人間工学的に及び審美的に設計される。さらに、ポンプハウジング9312の外面を利用して、製品ラベル、安全性指示等を提供してもよい。追加的に、上述のように、ハウジング9312は、操作フィードバックを使用者に提供し得る、ステータスインジケータ9316及び窓9318等のある特定の構成要素を含み得る。
少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイス9310は、使用者が変位させて電力・制御システム93400への開始コマンドをトリガする、作動機構9314を提供する。好ましい実施形態において、作動機構は、上部ハウジング9312Aと下部ハウジング9312Bとの間の開口部を通して等、ポンプハウジング9312を通して位置し、電力・制御システム93400の制御アーム9340に接触する、開始ボタン9314である。少なくとも1つの実施形態において、開始ボタン9314は、押しボタンであり得、他の実施形態においては、オン/オフスイッチ、トグル、または当該技術分野で既知の任意の同様の作動特徴であり得る。ポンプハウジング9312はまた、ステータスインジケータ9316及び窓9318も提供する。他の実施形態においては、作動機構9314、ステータスインジケータ9316、窓9318のうちの1つ以上、及びそれらの組み合わせが、例えば、薬物送達デバイス9310が使用者の身体上に定置されるときに使用者に見える側等の、上部ハウジング9312Aまたは下部ハウジング9312B上に提供され得る。ハウジング9312は、本開示の他の構成要素及び実施形態を参照しながらこれ以降でさらに詳述される。
薬物送達デバイスは、作動機構を押し下げることにより使用者が作動させると、薬物送達デバイスが始動されて、流体通路を使用者の中に挿入することと、薬物容器、流体通路、及び滅菌流体導管の間の必要な接続を有効化する、接続する、または開通させることと、薬物容器に格納された薬物流体を、使用者の中への送達のために流体通路及び流体導管に押し通すこととを行うように構成されている。1つ以上の任意選択的な安全性機構を利用して、例えば、薬物送達デバイスの時期尚早な作動を防止してもよい。例えば、任意選択的なオンボディセンサ9324(図86Cに示される)が、一実施形態において、薬物送達デバイス9310が使用者の身体と接触していない限り、電力・制御システム93400、または作動機構が係合され得ないことを保証する安全性特徴として提供されてもよい。かかる一実施形態において、オンボディセンサ9324は、使用者の身体と接触するようになり得る、下部ハウジング9312Bの底部に位置する。オンボディセンサ9324が変位すると、作動機構の押し下げが許容される。したがって、少なくとも1つの実施形態において、オンボディセンサ9324は、作動機構9314による薬物送達デバイス9310のトリガを防止する、例えば機械的ロックアウト等の、機械的安全性機構である。別の実施形態において、オンボディセンサは、信号を電力・制御システム93400に送信して作動を許容する機械的ロックアウト等の、電気機械的センサであり得る。依然として他の実施形態において、オンボディセンサは、電力・制御システム93400の作動を許容する前に組織を検出しなければならない、例えば、静電容量ベースまたはインピーダンスベースのセンサ等の電気ベースであり得る。これらの概念は、相互排他的なものではなく、本開示の範囲内で1つ以上の組み合わせを利用して、例えば、薬物送達デバイスの時期尚早な作動を防止してもよい。好ましい実施形態において、薬物送達デバイス9310は、1つ以上の機械的オンボディセンサを利用する。追加の一体型安全性機構は、新規の薬物送達デバイスの他の構成要素を参照して本明細書に記載される。
XII.A.電力・制御システム
電力・制御システム93400は、薬物送達デバイス内の種々の電気構成要素にエネルギーを提供する、電源、1つ以上のフィードバック機構、マイクロコントローラ、回路基板、1つ以上の伝導性パッド、及び1つ以上の相互接続部を含む。当業者には理解されようが、かかる電気システムで一般的に使用される他の構成要素もまた含まれてよい。1つ以上のフィードバック機構は、例えば、ピエゾアラーム等の可聴アラーム及び/または発光ダイオード(LED)等の光インジケータを含み得る。マイクロコントローラは、例えば、マイクロプロセッサであり得る。電力・制御システム93400は、使用者とのデバイスのいくつかの相互作用を制御し、駆動機構93100とインターフェース接続する。一実施形態において、電力・制御システム93400は、制御アーム9340とインターフェース接続して、オンボディセンサ9324及び/または作動機構9314が作動されているときを特定する。電力・制御システム93400はまた、使用者に視覚フィードバックを提供するために光移送を許容する透過性または半透明の材料であり得る、ポンプハウジング9312のステータスインジケータ9316とインターフェース接続し得る。電力・制御システム93400は、1つ以上の相互接続を通して駆動機構93100とインターフェース接続して、作動、薬物送達、及び投薬終了等のステータス表示を患者に中継する。かかるステータス表示は、聴覚トーンを介して、例えば可聴アラームにより、及び/または視覚インジケータを介して、例えばLEDにより、使用者に提示され得る。好ましい実施形態において、電力・制御システムと薬物送達デバイスの他の構成要素との間の制御インターフェースは、使用者が作動させるまで係合または接続されない。これは、薬物送達デバイスの偶発的な操作を防止し、さらに、貯蔵、輸送等の間に電源内に収容されるエネルギーを維持し得る、望ましい安全性特徴である。
電力・制御システム93400は、いくつかの異なるステータスインジケータを使用者に提供するように構成され得る。例えば、電力・制御システム93400は、オンボディセンサ及び/またはトリガ機構が押圧された後に、デバイス起動点検により何のエラーも報告されなければ、電力・制御システム93400がステータスインジケータ9316を介して開始準備完了ステータス信号を提供するように、構成され得る。開始準備完了ステータス信号を提供した後に、任意選択的なオンボディセンサを有する実施形態において、オンボディセンサが使用者の身体と接触したままである場合、電力・制御システム93400は、駆動機構93100に電力供給して、流体通路接続子93300及び滅菌流体導管9330を通した薬物治療剤の送達を開始する。本開示の好ましい実施形態において、挿入機構93200及び流体通路接続子93300は、作動機構9314の使用者による操作によって直接、作動するようにされ得る。薬物送達過程中、電力・制御システム93400は、ステータスインジケータ9316を介して分注ステータス信号を提供するように構成される。薬物が使用者の身体内に投与された後、及び実質的に全用量が使用者に送達されたことを確実にするためのいずれの追加の滞留時間の終了後、電力・制御システム93400は、ステータスインジケータ9316を介して取り外し可ステータス信号を提供し得る。これは、使用者がポンプハウジング9312の窓9318を通して駆動機構及び薬物用量送達を見ることによって、独立して検証され得る。追加的に、電力・制御システム93400は、ステータスインジケータ9316を介して、例えば、故障または動作不具合状況を示す警報等の1つ以上の警報信号を提供するように構成され得る。
電力・制御システム93400は加えて、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように駆動機構93100を動的に制御するための、使用者からの種々の入力を受け入れるように構成され得る。例えば、電力・制御システム93400は、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように電力・制御システム93400を介して駆動機構93100の制御を設定、始動、停止、あるいは調整するための、例えば、作動機構9314の部分的または完全な作動、押し下げ、及び/または解放による入力を受信し得る。同様に、電力・制御システム93400は、薬物用量体積を調整する、駆動機構、流体通路接続子、及び流体導管をプライミングする、ならびに/または駆動機構93100の操作を開始、停止、もしくは一時停止するような入力を受信するように構成され得る。かかる入力は、例えば、作動機構9314もしくは異なる制御インターフェースの使用により、使用者が薬物送達デバイス9310に直接働きかけることによって受信されてもよく、またはシステム93400は、かかる入力を遠隔制御デバイスから受信するように構成されてもよい。加えてまたは代替的に、かかる入力は、予めプログラムされてもよい。
他の電力・制御システム構成は、本開示の新規の薬物送達デバイスと共に利用され得る。例えば、ある特定の作動遅延が、薬物送達中に利用され得る。上述のように、システム構成内に任意選択で含まれる1つのかかる遅延は、完了を使用者に信号伝達する前に実質的に全薬物用量が送達されていることを確実にする、滞留時間である。同様に、デバイスの作動は、薬物送達デバイスの作動前に、薬物送達デバイス9310の作動機構9314の遅延した押し下げ(すなわち、押圧)を必要とし得る。追加的に、システムは、使用者が投薬終了信号に応答すること、及び薬物送達デバイスを作動停止するまたはその電源を切ることを許容する特徴を含み得る。かかる特徴は同様に、停止デバイスの偶発的な作動を防止するために、作動機構の遅延した押し下げを必要とし得る。かかる特徴は、薬物送達デバイスに対する望ましい安全性一体化機構及び使い勝手の良いパラメータを提供する。追加の安全性特徴が、薬物送達デバイスの部分的押し下げ、及びしたがって、部分的作動を防止するために作動機構に一体化されてもよい。例えば、作動機構及び/または電力・制御システムは、部分的作動を防止するために、デバイスが完全にオフまたは完全にオンのいずれかであるように構成され得る。かかる特徴は、新規の薬物送達デバイスの他の態様に関してこれ以降でさらに詳述される。
XII.B.流体通路接続子
いくつかの流体通路接続子が、本開示の実施形態内で利用され得る。一般に、好適な流体通路接続子は、滅菌流体導管、穿通部材、及び薬物容器に取り付けられた滅菌スリーブまたは薬物容器内に一体化された摺動型の穿通可能なシールを含む。流体通路接続子は、1つ以上の流れ制限部をさらに含み得る。送達デバイス9310の適切な作動時に、流体通路接続子93300は、滅菌流体導管9330を駆動機構93100の薬物容器に接続するように有効化される。かかる接続は、駆動機構93100の薬物容器の穿通可能なシールを突き通す、針等の穿通部材によって容易にされる。この接続の滅菌性は、可撓性滅菌スリーブ内で接続を行うことによって維持され得る。挿入機構の実質的に同時の作動時に、薬物容器と挿入機構との間の流体通路が完成して、使用者の身体内への薬物送達を許容する。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、流体通路接続子の穿通部材は、使用者の直接行為、例えば、使用者による作動機構の押し下げによって、駆動機構の薬物容器の穿通可能なシールを突き通すようにされる。例えば、作動機構自体は、作動機構のその元の位置からの変位が流体通路接続子の変位もまた引き起こすように、流体通路接続子上で支えられてもよい。かかる一実施形態において、流体通路接続子は、国際特許出願第PCT/US2012/054861号に記載されるものと実質的に同様であり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に含まれる。かかる実施形態によれば、接続は、使用者が所望するまで流体が薬物容器から流れるのを防止するという理由で、使用者が作動機構を押し下げ、それによって、穿通可能なシールを通して穿通部材を駆動することによって有効化される。かかる実施形態において、圧縮性の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップと流体通路接続子の接続ハブとの間に固定的に取り付けられてもよい。穿通部材は、流体接続通路と薬物容器との間の接続が所望されるまで、滅菌スリーブ内に常在し得る。滅菌スリーブは、作動前の穿通部材及び流体通路の滅菌性を保証するために滅菌され得る。
代替的に、流体通路接続子は、参照によりその全体が全目的で本明細書に含まれる国際特許出願第PCT/US2013/030478号に記載されるように、薬物容器内に一体化され得る。かかる実施形態によれば、薬物容器は、穿通可能なシールとプランジャシールとの間でバレル内に薬物チャンバを有し得る。薬物流体は、薬物チャンバに収容される。使用者による作動デバイスの作動時に、駆動機構は、薬物容器に収容されたプランジャシールに力を及ぼす。プランジャシールが薬物流体及びいずれの空気/ガスの間隙または気泡に力を及ぼすと、空気/ガス及び薬物流体の圧縮によって空気圧及び液圧の組み合わせが蓄積し、この力が、摺動型の穿通可能なシールに引き継がれる。摺動型の穿通可能なシールは、キャップの方へ摺動させられて、一体型の滅菌流体通路接続子内に保持された穿通部材によって穿通されることになる。したがって、一体型の滅菌流体通路接続子は、駆動機構の作動によって生み出された、薬物チャンバ内の空気/ガス及び薬物流体の組み合わせた空気圧/液圧の力によって接続される(すなわち、流体通路が開通される)。いったん一体型の滅菌流体通路接続子が接続されるか、または開通されると、薬物流体は、薬物送達のために薬物容器から、一体型の滅菌流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通って、そして使用者の体内へと流れることを許容される。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構のマニホールドならびにカニューレ及び/または針のみを通って流れ、それによって、薬物送達前及び送達中に流体通路の滅菌性を維持する。
薬物送達デバイスによって利用される流体通路接続子を問わず、薬物送達デバイスは、異なる粘度及び体積を有する様々な薬物を送達可能である。薬物送達デバイスは、制御された流速(速度)で及び/または指定の体積の薬物を送達可能である。一実施形態において、薬物送達過程は、流体通路接続子及び/または滅菌流体導管内で1つ以上の流れ制限部によって制御される。他の実施形態において、他の流速が、流体流路または送達導管の幾何形状を変化させることによって、駆動機構の構成要素が薬物容器の中へと前進してその中の薬物を分注する速度を変化させることによって、またはそれらの組み合わせによって、提供されてもよい。流体通路接続子93300及び滅菌流体導管9330についての依然としてさらなる詳細が、これ以降、他の実施形態を参照して後の節で提供される。
XII.C.挿入機構
いくつかの挿入機構が、本開示の薬物送達デバイス内で利用され得る。本開示のポンプ式送達デバイスは、例えば、任意の好適な中空チューブを通して、流体流連通によって患者または使用者に接続され得る。固形針を用いて、患者の皮膚を穿通し、中空カニューレを適切な送達位置に定置してもよく、固形針は、患者への薬物送達の前に取り外されるかまたは後退される。上記のように、流体は、自動的に挿入された針、カニューレ、微小針アレイ、または輸液セットチューブを含むがこれらに限定されない任意の数の手段を通して身体内に誘導され得る。いくつかの機構は、患者への針の挿入を作動させるためにも用いられ得る。例えば、ばね等の偏倚部材は、針及びカニューレを患者の皮膚に穿通させるために十分な力を提供するために用いられる。同じばね、追加のばね、または別の同様の機構を利用して、針を患者から後退させることができる。好ましい実施形態において、挿入機構は、一般に、国際特許出願第PCT/US2012/53174号に記載されるようなものであり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に含まれる。かかる構成は、患者への痛みを最小限に抑える方法で患者の皮膚(または筋肉)内またはその下への薬物送達通路の挿入のために利用されてもよい。流体通路の挿入のための他の既知の方法が利用されてもよく、本開示の範囲内であることが企図される。
少なくとも1つの実施形態において、挿入機構93200は、1つ以上のロックアウト窓、ならびにアセンブリプラットフォーム及び/またはポンプハウジングへの接続のための基部を有する挿入機構ハウジングを含む(図86B及び図86Cに示されるように)。アセンブリプラットフォーム9320への基部の接続は、例えば、基部の底部がアセンブリプラットフォーム内の穴を通過することが許容されて、使用者の身体への基部の直接的な接触を許容するようなものであり得る。かかる構成において、基部の底部は、薬物送達デバイス9310の使用前に取り外し可能な封止膜を含み得る。挿入機構は、1つ以上の挿入偏倚部材、針、後退偏倚部材、カニューレ、及びマニホールドをさらに含み得る。マニホールドは、滅菌流体導管9330に接続して、薬物送達中に、マニホールド、カニューレを通り、かつ使用者の身体への流体流を許容し得る。
本明細書で使用されるとき、「針」は、剛性中空針等の従来の中空針、及びより一般的には「トロカール」と称される中実針を含むがこれらに限定されない様々な針を指すことを意図する。好ましい実施形態において、針は、9327ゲージの中実トロカールであり、他の実施形態において、針は、意図する薬物及び薬物投与(例えば、皮下、筋肉内、皮内等)の種類のための、カニューレを挿入するために好適な任意のサイズの針であり得る。針挿入機構内で滅菌ブーツが利用されてもよい。滅菌ブーツは、近位端においてマニホールドと、かつ遠位端において基部と固定係合している折り畳み式滅菌膜である。少なくとも一実施形態において、滅菌ブーツは、基部と挿入機構ハウジングとの間で遠位端における固定係合に維持される。基部は、以下にさらに記載されるように、挿入機構の動作中に針及びカニューレがそれを通って通過し得る基部開口を含む。カニューレ及び針の滅菌性は、挿入機構の滅菌部分内でのそれらの初期位置付けによって維持される。具体的には、上述のように、針及びカニューレは、マニホールド及び滅菌ブーツの滅菌環境において維持される。基部の基部開口は、例えば封止膜93254(図86Cに示される)によって、非滅菌環境からも閉鎖され得る。
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、挿入機構は初めに、挿入機構ハウジングのロックアウト窓内に初めに位置付けられたロックアウトピン(複数可)によって即時使用可能な段階に係止されている。この初期構成において、挿入偏倚部材及び後退偏倚部材は、それらの圧縮された付勢状態に各々保持されている。図86Bに示されるように、ロックアウトピン(複数可)93208は、作動機構9314の使用者の押し下げによって直接変位し得る。使用者が、任意選択的なオンボディセンサ9324(図86Cに示される)等の任意の安全性機構を係脱すると、作動機構9314が押し下げられて、薬物送達デバイスを始動する。作動機構9314の押し下げは、制御アーム9340の平行移動または変位を直接的に引き起こし得、挿入機構ハウジング93202の係止窓93202A内のそれらの初期位置からのロックアウトピン(複数可)93208の変位を直接的または間接的に引き起こし得る。ロックアウトピン(複数可)93208の変位は、挿入偏倚部材がその初期の圧縮された付勢状態から圧縮解除されることを許容する。挿入偏倚部材のこの圧縮解除は、針及びカニューレを使用者の身体内に駆動する。挿入段階の終わりに、屈折偏倚部材は、その初期の付勢状態から近位方向に拡張することが許容される。屈折偏倚部材の近位方向におけるこの軸拡張は、カニューレを使用者の身体と流体連通に維持しながら、針を屈折させる。したがって、挿入機構を用いて、針及びカニューレを使用者内に挿入し、その後、カニューレを使用者の身体への薬物送達のための位置に保持しながら、針を後退させてもよい。
XII.D.駆動機構
図87及び88に示される実施形態を参照すると、駆動機構93100は、駆動ハウジング93130と、キャップ9352、穿通可能なシール(不可視)、バレル9358、及びプランジャシール9360を有する薬物容器9350とを含む。穿通可能なシールとプランジャシール9360との間でバレル9358内に位置する薬物チャンバ9321は、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。本明細書に記載のシールは、いくつかの材料から構成され得るが、好ましい実施形態において、1つ以上のエラストマーまたはゴムから構成されている。駆動機構は、薬物容器9350のバレル9358内への流体通路接続子の穿通部材の挿入をガイドするための接続マウント9354をさらに含み得る。駆動機構93100は、本明細書にさらに記載されるように、1つ以上の駆動偏倚部材、1つ以上の解放機構、及び1つ以上のガイドをさらに含み得る。駆動機構の構成要素は、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通る、かつ使用者の身体内への送達のために、穿通可能なシールを通して、または好ましくは流体通路接続子の穿通部材を通して流体を薬物容器から押し出すように機能する。
1つの特定の実施形態において、駆動機構93100は、1つ以上の圧縮ばねを偏倚部材(複数可)として用いる。使用者により薬物送達デバイスが作動されると、電力・制御システムが起動されて、圧縮ばね(複数可)を付勢状態から直接的または間接的に解放し得る。解放されると、圧縮ばね(複数可)は、プランジャシールに対して重みをかけ、かつそれに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。圧縮ばねは、ピストンに対して重みをかけ、かつそれに作用し、これは次いで、プランジャシールに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。流体通路接続子は、駆動機構の作動前、それと同時に、またはその後に穿通可能なシールを通して接続されて、薬物容器から流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通り、かつ使用者の身体内への薬物送達のための流体流を許容し得る。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構のマニホールド及びカニューレのみを通って流れ、それによって、薬物送達前及び送達中に流体通路の滅菌性を維持する。かかる構成要素及びそれらの機能は、これ以降でさらに詳細に記載される。
ここで図87及び図88に示される駆動機構の実施形態を参照すると、駆動機構93100は、キャップ9352、穿通可能なシール(不可視)、バレル9358、及びプランジャシール9360、ならびに任意選択で接続マウント9354を有する薬物容器9350を含む。薬物容器9350は、駆動ハウジング93130の遠位端に据え付けられている。駆動偏倚部材93122及びピストン93110は、薬物容器9350とハウジング93130の近位端との間で駆動ハウジング93130内で圧縮され、駆動偏倚部材93122は、本明細書にさらに記載されるように、ピストン93110のインターフェース表面93110C上に支えられるように構成されている。任意選択で、例えば、駆動偏倚部材93122からピストン93110への力のより均等な分配を促すため、駆動偏倚部材93122の座屈を防止するため、かつ/または偏倚部材を使用者の視界から隠すために、被覆スリーブ93140が駆動偏倚部材93122とピストン93110のインターフェース表面93110Cとの間に利用されてもよい。ピストン93110のインターフェース表面93110Cは、シール9360の近位端に実質的に隣接して、またはそれと接触して静止させられる。
図88に示されるように、ピストン93110A、93110Bは、2つの構成要素から構成され、プランジャシールに接触するためのインターフェース表面93110Cを有し得る。テザー、リボン、紐、または他の保持ストラップ(本明細書において「テザー」93512と称される)は、一方の端部においてピストン93110A、93110Bに接続され得る。例えば、テザー93512は、組み立てられたときのピストン93110A、93110Bの2つの構成要素の間の保持によって、ピストン93110A、93110Bに接続され得る。テザー93512は、別の端部において送達制御機構93500のウィンチドラム93520に接続されている。モータ93530、歯車アセンブリ、ならびにテザー93512の一方の端部に接続されたウィンチドラム93520、及び別の端部においてピストン93110A、93110Bに接続されたテザー93512の使用を通して、送達制御機構93500は、原薬を薬物容器9350から押し出すために利用されるピストン93110A、93110B、及びプランジャシール9360の自在な軸方向平行移動を制御するか、それを計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止するように機能する。したがって、送達制御機構93500及び駆動機構93100(本明細書において合わせて「制御送達駆動機構」と称される)は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御するために一緒に機能する。
とりわけ、本開示の送達制御機構93500は、薬物チャンバ9321からの流体物質の送達を駆動しない。薬物チャンバ9321からの流体物質の送達は、偏倚部材93122の、ピストン93110A、93110B、及びプランジャシール9360上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって引き起こされる。送達制御機構93500は、代わりに、それらが偏倚部材93122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン93110A、93110B、及びプランジャシール9360の自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。モータ93530は、プランジャシールの平行移動を駆動する代わりに、プランジャシールの軸方向平行移動を制御するか、それを計るか、または別様に防止するためのみに利用されるため、より小さいかつ/またはより多くのエネルギー効率の良いモータが本開示の新規の実施形態によって利用され得る。送達制御機構93500、及び具体的にはモータ93530は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン93110、93110B、及びプランジャシール9360の運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。好ましい実施形態によれば、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスは、偏倚部材93122によって軸方向に平行移動するように駆動されているピストン93110A、93110B、及びプランジャシール9360の軸方向平行移動を計るテザーに間接的または直接的に接続されたモータ93530を含む。モータ93530は、したがって、ブラシ付きDCモータ、ECモータ、ステッパモータ、ソレノイド、または制御された動きを生み出すことができる他の技術等の、増分式の動きが可能な様々な電気機械的供給源から選択され得る。少なくとも1つの実施形態において、モータは、最も好ましくは、ステッパモータである。
作動時に、駆動機構93100の構成要素を用いて、薬物容器9350のプランジャシール9360の遠位方向への軸方向平行移動を駆動してもよい。任意選択で、駆動機構93100は、例えば、実質的に全薬物用量が使用者に送達されたことを確実にするために、プランジャシール9360の追加の軸方向平行移動を可能にする1つ以上の遵守特徴を含み得る。例えば、プランジャシール9360自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。
本開示の新規の制御送達駆動機構は、任意選択で、ステータス表示を薬物用量送達内に一体化し得る。1つ以上のステータストリガ及び対応するステータスリーダの使用によって、使用者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、電力・制御システムに伝えられ得る。かかるフィードバックは、上述のように、触覚、視覚、及び/または聴覚によるものであってもよく、デバイスの使用中にフィードバックの1つ超の信号または種類が使用者に提供されるように重複してもよい。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、ピストンがその軸方向平行移動の終了に達したことに結び付けられるため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。
少なくとも1つの実施形態において、図87及び図88に示されるように、いったんステータスリーダ93544が、薬物容器9350のバレル9358内でのピストン93110A、93110B、及びプランジャ9360の軸方向移動の終わりにステータスリーダ93544に接触することになるテザー93512上に位置付けられた最終ステータストリガ93512Aに接触するか、またはそれを認識すると、投薬終了ステータス表示が使用者に提供され得る。明確にするために、テザー93512は、ステータスリーダ93544に接触することができるか、またはそれによって認識されることができる、電気的接触、光学的マーキング、または電気機械的ピンもしくは陥凹等の1つ以上のステータストリガ93512Aを有し得る。ステータスリーダ93544は、例えば、対応する電気接触に接触する電気スイッチリーダ、対応する光学的マーキングを認識する光学的リーダ、または対応するピン、穴、もしくはテザー上の同様の態様に接触するように構成された機械的もしくは電気機械的リーダであり得る。ステータストリガ93512Aは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー93512に沿って位置付けられ得る。薬物送達デバイスが作動され、偏倚部材93122、ならびに結果としてピストン93110A、93110B、及びプランジャシール9360に加えられた力の解放によって薬物送達が開始されると、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルは、モータ93530、歯車アセンブリ、及びウィンチドラム93520によって制御され、テザー93512を解放し、偏倚部材93122の拡張、ならびにピストン93110A、93110B、及びプランジャシール9360の軸方向平行移動を許容する。これが生じると、テザー93512のステータストリガ93512Aは、ステータスリーダ93544によって接触または認識され、使用者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、電力・制御システムに伝えられ得る。テザー93512上に位置するステータストリガ93512Aの数に応じて、増分ステータス表示の頻度所望通りに変動され得る。上述のように、システムによって利用されるステータストリガ93512Aに応じて、様々なステータスリーダ93544を利用することができる。
好ましい実施形態において、図91を参照して本明細書に記載されるように、ステータスリーダ93544は、テザー93512に張力を加えてもよい。システムが投薬終了に達すると、テザー93512はたるみ、ステータスリーダ93544は、支点(ステータスリーダ93544の側部からの円筒状突出部として図91に示される)の周りで回転することを許容される。この回転は、電気的または電気機械的スイッチ、例えばセンサ93540内のスイッチを動作させ、テザー93512におけるたるみについて電力・制御システム93400に信号伝達する。追加的に、歯車93528のステータスは、センサ93540と共にエンコーダとして作用し得る。センサ/エンコーダの組み合わせは、モータ回転のフィードバックを提供するために使用され、これは次いで、テザー93512にたるみがないときのピストン93110の位置に較正され得る。ステータスリーダ93544及びセンサ/エンコーダ93540は併せて、センサ/エンコーダ93540によってカウントされるモータ回転が予想される数に達する前にテザー93512におけるたるみを観察することによって、位置フィードバック、投薬終了信号、及び閉塞等のエラー表示を提供し得る。
次に図87及び図88に示される実施形態に戻ると、新規の駆動機構のさらなる態様は、図89A~89C及び90A~90Cを参照して記載される。図89Aは、少なくとも第1の実施形態による、その初期係止段階中の駆動機構の等角図を示す。薬物流体等の流体は、使用者への送達のために、プランジャシール9360と穿通可能なシール(不可視)との間の薬物チャンバ9321においてバレル9358内に収容されてもよい。穿通可能なシールは、キャップ9352に隣接しているか、またはその内部に少なくとも部分的に保持されている。使用者によって作動されると、流体通路接続子は、穿通可能なシール9356を通して薬物容器に接続され得る。上述のように、この流体接続は、穿通可能なシールを穿通し、かつ薬物容器から、流体通路接続子、流体導管、挿入機構、及びカニューレを通る、使用者の身体への薬物流体の送達のための流体通路を完了させる流体通路接続子の穿通部材によって容易にされ得る。最初に、1つ以上の係止機構(図示せず)は、偏倚部材93122をピストン93110A、93110B内の最初の付勢位置で保持し得る。使用者によって直接的または間接的にデバイスが作動されると、係止機構は取り外されて、駆動機構の操作を許容する。図90Aに示されるように、ピストン9310及び偏倚部材93122はいずれも、最初は、プランジャシール9360の後方で圧縮された付勢状態にある。偏倚部材93122は、駆動ハウジング130の内部特徴とピストン93110A、93110Bのインターフェース表面93110Cとの間でデバイスが作動するまで、この状態に維持され得る。係止機構が取り外されるかまたは変位されると、偏倚部材93122は、遠位方向で(すなわち、斜線矢印の方向で)軸方向に拡張(すなわち、圧縮解除)することが許容される。かかる拡張は、偏倚部材93122がインターフェース表面93110C及びピストン93110上に作用し、かつそれらを遠位に平行移動させ、それによって、プランジャシール9360を遠位に平行移動させて、薬物流体をバレル9358の薬物チャンバ9321から押し出すことを引き起こす。
図89Bに示されるように、ピストン93110A、93110B、及びプランジャシール9360のかかる遠位平行移動は、穿通可能なシール9356を通して流体をバレル9358から押し出し続ける。少なくとも1つの実施形態において、いったんステータスリーダ93544が、薬物容器9350のバレル9358内でのピストン93110A、93110B、及びプランジャシール9360の軸方向移動の終わりに実質的に対応するようにテザー93512上に位置付けられたステータストリガ93512Aに接触するか、またはそれを認識すると、投薬終了ステータス表示が使用者に提供され得る。図89Bに示されるように、ステータストリガ93512Aは、使用者に増分ステータス表示を提供するために、ある特定の体積測定に対応する増分等の種々の増分でテザー93512に沿って位置付けられる。少なくとも1つの実施形態において、ステータスリーダは、テザー上の対応する光学的ステータストリガを認識するように構成された光学的ステータスリーダである。当業者には理解されようが、かかる光学的ステータストリガは、光学的ステータスリーダによって認識可能なマーキングであり得る。別の実施形態において、ステータスリーダは、対応するピン、穴、またはテザー上の同様の態様に接触するように構成された機械的または電気機械的リーダである。電気接触は、対応する電気的ステータスリーダに接触するか、または別様にそれによって認識されるステータスインジケータと同様にテザー上で利用され得る。ステータストリガ93512Aは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー93512に沿って位置付けられ得る。図90Bは、図89Bに示される図の断面図を示す。示されるように、テザー93512は、駆動機構ハウジング93130、偏倚部材93122を通って通過し、ピストン93110A、93110Bに接続して、ピストン93110A、93110B、及びそれらに隣接して常在するプランジャシール9360の軸方向平行移動を制限する。
図89Cに示されるように、本開示の送達制御機構93500は、薬物チャンバ9321からの流体物質の送達を駆動しない。薬物チャンバ9321からの流体物質の送達は、偏倚部材93122の、ピストン93110A、93110B、及びプランジャシール9360上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって引き起こされる。送達制御機構93500は、代わりに、それらが偏倚部材93122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン93110A、93110B、及びプランジャシール9360の自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。モータ93530及び制御機構93500がテザー93512を解放すると、偏倚部材93122は、プランジャシール9360が穿通可能なシール9356に実質的に接触するまで、その付勢状態からのその拡張を続け、かつ駆動ピストン93110A、93110B、及びプランジャシール9360を駆動することを許容される。これは、図90Cに提供される断面図で見ることができる。この時点で、実質的に全ての原薬が、使用者への薬物送達のための流体通路接続子93300を通して薬物チャンバ9321から押し出されている。ステータストリガ93512Aは、ピストン93110A、93110Bのこの位置に対応するように、テザー93512に沿って構成され得、それによって、ピストン93110A、93110Bは軸方向移動の終わりに達すると、ステータストリガ93512Aがステータスリーダ93544によって読み取られるかまたは認識されて、真の投薬終了表示を使用者に提供する。上述のように、ステータストリガ93512Aは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー93512に沿って位置付けられ得る。本開示の制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスは、加えて、実質的に全ての原薬が薬物チャンバ9321から押し出されたことを確実にするために、遵守による一押しを可能にする。プランジャシール9360自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。例えば、ポップアウト型プランジャシール、すなわち、初期状態から変形可能なプランジャシールが用いられる場合、図90Cに示されるように、プランジャシールは、変形または「ポップアウト」させられて、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを提供し得る。加えてまたは代替的に、電力・制御システムへの接触、接続、または別様に伝送を可能にして、投薬終了を使用者に信号伝達するために、電気機械的ステータススイッチ及び相互接続アセンブリが利用され得る。例えば、バレル9358内でのプランジャシール9360の実質的に完全な軸方向平行移動(及び任意選択的な遵守による一押し)に際して、電力・制御システムへの伝送を可能にして投薬終了を使用者に信号伝達するために、ステータススイッチ及び相互接続が協働するように、ステータススイッチは、穿通可能なシール9356の遠位に位置し得、相互接続は、プランジャシール9360の近位に位置し得る。この構成は、使用者への真の終了表示をさらに可能にする。
図91は、本発明の少なくとも1つの実施形態による、制御送達駆動機構ある特定の構成要素の斜視図を示す。制御送達駆動機構は、ステータスリーダ及び1つ以上の対応するステータストリガを有する増分ステータスインジケータ機構を組み込む。少なくとも1つの実施形態において、送達制御機構93500の歯車アセンブリは、ピニオン93530Aを有するモータ93530を利用する。ピニオン93530Aは、複合歯車93526の第1の歯車93526Aと接触し、複合歯車93526の第2の歯車93526Bは、ウォーム歯車93524の歯車態様93524Bと接触する。ウォーム歯車93524のウォーム態様93524Aは、ウィンチドラム93520に接続されたドラム歯車93522と接触する。テザー93512は、少なくとも部分的にウィンチドラム93520に巻き付けられている。モータ93530が歯車アセンブリ上に作用すると、運動は、ピニオン93530Aの歯車の歯、複合歯車93526、ウォーム歯車93524、及びドラム歯車93522をウィンチドラム93520とインターフェース接続させて、テザー93512をそこから解くことによって伝達される。上に詳述されるように、テザー93512を解くことによって、それがピストン93110A、93110B上にもたらす抵抗が低減され、偏倚部材93122がその付勢状態から拡張することが許容され、それによって、薬物送達のためにプランジャシール9360を駆動する。テザー93512がウィンチドラム93520から解かれると、ステータスリーダ93544は、テザー93512上の1つ以上の対応するステータストリガ93512Aを読み取るかまたは認識して、可変速度制御送達駆動機構の操作前、操作中、及び操作後に、増分ステータス表示を提供し得る。上述のように、いくつかのステータスリーダが、本開示の実施形態内で利用され得る。例えば、図91に示される駆動機構は、所望のステータス表示(例えば、送達された体積、残った体積、送達速度またはプロファイルの変化等)と対応するように、テザー93512上に増分的に間隔を空けた隆起、穴、または他の態様によって物理的に接触される機械的ステータスリーダ93544を利用してもよい。ステータスリーダ93544がステータストリガ(複数可)93512Aによって接触されると、ステータスリーダ93544は、センサ93540に歯車93528の位置を測定させ、使用者へのステータス表示のために信号を電力・制御システムに伝送させる。上述のように、光学的ステータスリーダ及び対応するトリガ、電気機械的ステータスリーダ及び対応するトリガ、ならびに/または機械的ステータスリーダ及び対応するトリガは全て、使用者に増分ステータス表示を提供するために本開示の実施形態によって利用され得る。
制御送達駆動機構93100、薬物送達ポンプ9310、または個々の構成要素のいずれかの組み立て及び/または製造は、当該技術分野で既知のいくつかの材料及び手法を利用してもよい。例えば、イソプロピルアルコール及びヘキサン等のいくつかの既知の清掃流体を用いて、構成要素及び/またはデバイスを清浄してもよい。いくつかの既知の接着剤または糊も同様に製造過程で用いられ得る。追加的に、既知のシリコン処理及び/または潤滑流体及び処理が、新規の構成要素及びデバイスの製造中に用いられ得る。さらに、既知の滅菌過程が、最終製品の滅菌性を保証するために製造または組み立て段階のうちの1つ以上で用いられ得る。
駆動機構は、いくつかの手法で組み立てられ得る。1つの組み立て方法において、薬物容器9350は最初に組み立てられ、使用者への送達用の流体で充填され得る。薬物容器9350は、キャップ9352、穿通可能なシール9356、バレル9358、及びプランジャシール9360を含む。穿通可能なシール9356は、バレル9358の遠位端において、キャップ9352とバレル9358との間に固定的に係合され得る。バレル9358は、バレル9358の近位端からのプランジャシール9360の挿入前に、開口近位端を通して薬物流体で充填されてもよい。任意選択的な接続マウント9354は、穿通可能なシール9356の遠位端に据え付けられ得る。接続マウント9354は、薬物容器9350のバレル9358内への流体通路接続子の穿通部材の挿入をガイドし得る。薬物容器9350は、その後、駆動ハウジング93130の遠位端に据え付けられ得る。
駆動偏倚部材93122は、駆動ハウジング93130の遠位端内に挿入され得る。任意選択で、被覆スリーブ93140は、偏倚部材93122を実質的に被覆するために、駆動ハウジング130の遠位端内に挿入され得る。ピストンは、それが少なくとも部分的に偏倚部材93122の軸方向パススルー内に常在し、かつ偏倚部材93122が、偏倚部材93122の遠位端においてピストン93110A、93110Bのピストンインターフェース表面93110Cと接触することを許容されるように、駆動ハウジング93130の遠位端内に挿入され得る。偏倚部材93122を封入し、ピストン93110A、93110Bのピストンインターフェース表面93110Cと接触するために、任意選択的な被覆スリーブ93140を利用してもよい。ピストン93110A、93110B、及び駆動偏倚部材93122、ならびに任意選択的な被覆スリーブ93140は、駆動ハウジング93130内に圧縮され得る。かかる組み立ては、駆動偏倚部材93122を最初の圧縮された付勢状態に位置付け、かつ好ましくは、バレル9358の近位端内でプランジャシール9360の近位表面と接触してピストンインターフェース表面93110Cを定置する。ピストン、ピストン偏倚部材、接触スリーブ、及び任意選択的な構成要素は、薬物容器9350の取り付けまたは据え付け前に、駆動ハウジング93130内で圧縮され、起動準備完了状態に係止され得る。テザー93512は、ピストン93110A、93110Bの近位端に予め接続され、偏倚部材93122及び駆動機構93130の軸方向開口部に通され、その後、テザー93512の他の端部が駆動制御機構93500のウィンチドラム93520に巻き付けられた状態で、薬物送達デバイスの内部に巻き付けられる。
流体通路接続子、及び具体的には流体通路接続子の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップ及び/または穿通可能なシールに接続され得る。流体導管は、流体通路が、開放、接続、または別様に有効化されているときに、使用者の身体内への薬物送達のために薬物容器、流体通路接続子、流体導管、挿入機構から、かつカニューレを通って直接移動するように、それ自体が挿入機構に接続されている流体通路接続子の他の端部に接続され得る。流体流のための通路を構成する構成要素が次に組み立てられる。これらの構成要素は、図86Bに示されるように、いくつかの既知の方法によって滅菌され、その後、固定的にまたは着脱自在に薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに据え付けられ得る。
本開示の幅及び範囲内に留まりながら、駆動機構93100または薬物送達デバイス9310のある特定の任意選択的な標準的な構成要素または変形形態が企図される。例えば、実施形態は、本開示のモータ、駆動機構、及び薬物送達デバイスに電力供給するために利用される1つ以上の電池を含み得る。当該技術分野で既知の様々な電池がこの目的で利用され得る。追加的に、図86Aに示されるように、上部または下部ハウジングは、使用者が薬物送達デバイス9310の動作を見るか、または薬物用量が完了したことを検証することを可能にするために、任意選択で1つ以上の透明または半透明窓9318を含み得る。同様に、薬物送達デバイス9310は、接着パッチ9326及びパッチライナー9328をハウジング9312の底部表面上に含み得る。接着パッチ9326は、薬物送達デバイス9310を薬物用量の送達のために使用者の身体に接着するために利用され得る。当業者には容易に理解されようが、接着パッチ9326は、使用者の身体への薬物送達デバイスの接着のための接着面を有し得る。接着パッチ9326は、最初は、非接着パッチライナー9328によって被覆されていてもよく、これは、使用者の身体と接触した薬物送達デバイス9310の定置の前に接着パッチ9326から取り外される。パッチライナー9328の取り外しはさらに、挿入機構93200の封止膜93254を取り外し、薬物送達のために使用者の身体に対して挿入機構を開放する(図86Cに示されるように)。
同様に、制御送達駆動機構93100及び薬物送達デバイス9310の構成要素のうちの1つ以上は、機能的に本開示の幅及び範囲内に留まりながら修正され得る。例えば、上述のように、薬物送達デバイス9310のハウジングは、上部ハウジング9312A及び下部ハウジング9312Bの2つの別個の構成要素として示されているが、これらの構成要素は、単一の統合された構成要素であってもよい。上記で考察したように、糊、接着剤、もしくは他の既知の材料、または方法を利用して、制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素を互いに貼着してもよい。代替的に、制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素は、統合された構成要素であり得る。例えば、上部ハウジング及び下部ハウジングは、糊または接着剤、ねじ嵌め接続、締まり嵌め、融着接合、溶接、超音波溶接等によって一緒に貼着された別個の構成要素であってもよく、または上部ハウジング及び下部ハウジングは、単一の統合された構成要素であってもよい。かかる標準的な構成要素及び機能的変形形態は当業者には理解され得、したがって、本開示の幅及び範囲内である。
上記の説明から、本明細書に開示される制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスが、薬物容器からの自動化薬物送達のために効率的かつ容易に操作されるシステムを提供することが理解されよう。本明細書に記載の新規の実施形態は、原薬の制御された送達のための駆動機構、及びかかる制御送達駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。本開示の新規の制御送達駆動機構は、使用者によって直接的または間接的に作動され得る。さらに、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスの新規の構成は、貯蔵中、輸送中、及びデバイスの操作を通して、流体通路の滅菌状態を維持する。薬物流体がデバイス内で移動する通路が完全に滅菌状態で維持されるため、これらの構成要素は、製造過程中に滅菌される必要があるのみである。かかる構成要素には、駆動機構の薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構が含まれる。本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システム、アセンブリプラットフォーム、制御アーム、作動機構、ハウジング、及び他の構成要素は、滅菌される必要がない。これは、デバイスの製造性を大幅に改善し、関連する組み立て費用を低減する。したがって、本開示のデバイスは、組み立ての完了時に最終滅菌を必要としない。
薬物送達デバイスの製造は、制御送達駆動機構及び薬物容器の両方を、別個にまたは組み合わせた構成要素として、薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付ける工程を含む。製造方法は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングへの流体通路接続子、薬物容器、及び挿入機構の取り付けをさらに含む。電力・制御システム、作動機構、及び制御アームを含めた、上述の薬物送達デバイスの追加の構成要素は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付けられるか、予備形成されるか、または予め組み立てられ得る。接着パッチ及びパッチライナーは、デバイスの動作中に使用者と接触する薬物送達デバイスのハウジング表面に取り付けられ得る。
薬物送達デバイスを操作する方法は、使用者によって作動機構を作動させる工程と、制御アームを変位させて挿入機構を起動する工程と、電力・制御システムを起動して制御送達駆動機構を作動させて、制御された速度または薬物送達プロファイルに従って薬物送達デバイスを通る流体薬物流を駆動する工程と、を含む。本方法は、作動機構を作動させる前に任意選択的なオンボディセンサを係合させる工程をさらに含み得る。本方法は、同様に、流体通路接続子と薬物容器との間の接続を確立する工程を含み得る。さらに、操作方法は、薬物容器内でピストン上に作用する偏倚部材の拡張によって制御送達駆動機構内でプランジャシールを平行移動させて、使用者の身体への流体薬物の送達のために薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構に流体薬物流を押し通すことを含み得、テザーは、ピストンの自在な軸方向平行移動を制限するために利用される。挿入機構及び薬物送達デバイスの操作方法は、上述のように、図89A~89C及び図90A~90Cを参照してより良好に理解され得る。
XIII.多機能駆動機構の追加の実施形態
少なくとも図1A~2B、33A~33C、69A~73D、80A~85C、及び86A~91に関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図92~99に関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図92~99に関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の駆動機構100、6100、8100、9010、9210、もしくは9310、または本明細書に記載の任意の他の駆動機構を置き換えてもよい。
本開示は、原薬の制御された送達のための駆動機構、かかる駆動機構を有する薬物送達ポンプ、かかるデバイスを操作する方法、及びかかるデバイスの組み立て方法を提供する。特に、本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御する。本開示の新規の実施形態は、故に、可変速度で薬物を送達することが可能である。本開示の駆動機構は、以下に詳細に説明されるように、所望の送達速度またはプロファイルを満たすために、電力・制御システムによる制御によって予め構成され得るか、または動的に構成され得る。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、駆動機構の1つ以上の構成要素の軸方向平行移動の物理的終了に関連するため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。これらの機構を通して、薬物用量送達の確認が使用者または投与者に正確に提供され得る。したがって、本開示の新規のデバイスは、上記のもの等の先行技術のデバイスに関連する問題のうちの1つ以上を軽減する。
第1の実施形態において、本開示は、バレル及びプランジャシールを有する薬物容器と、インターフェース表面及び駆動ラックを有するピストンが少なくとも最初に部分的にその内部に常在している駆動ハウジングと、ぜんまいばね及び駆動ピニオンの回転運動を駆動ラックの軸方向平行移動に変換するように、ピストンの駆動ラックにインターフェース接続する駆動ピニオンに直接的または間接的に連結したぜんまいばねと、を含む制御送達駆動機構を提供する。ピストンは、バレル内でプランジャシールに接触し、かつそれを軸方向に平行移動させるように構成されている。この構成は、駆動ピニオンの回転運動を駆動ラックの軸方向平行移動に変換する。調節機構は、ピストンが制御された速度で軸方向に平行移動するように、駆動ピニオンを計る。薬物容器は、制御された速度での薬物送達のための薬物流体を薬物チャンバ内に収容し得る。
別の実施形態において、本開示は、バレル及びプランジャシールを有する薬物容器と、線形ぜんまいばねならびにインターフェース表面及び駆動ラックを有するピストンが少なくとも最初に部分的にその内部に常在している駆動ハウジングと、を有する制御送達駆動機構を提供し、線形ぜんまいばねは、線形ぜんまいばねの軸方向の力を駆動ピニオンのねじり運動へと変換するように、ピストンに直接的または間接的に連結している。ピストンは、バレル内でプランジャシールに接触し、かつそれを軸方向に平行移動させるように構成されている。調節機構は、線形ぜんまいばねによってピストンが制御された速度で軸方向に平行移動するように、駆動ピニオンを計る。
少なくとも1つの実施形態において、調節機構は、ぜんまいばねに連結されているか、またはそれと共に作用するエスケープメント調節機構である。エスケープメント調節機構は、1つ以上の歯車を有する歯車列と、回転シャフトと、歯車伝動装置と、をさらに含み、歯車伝動装置の少なくとも1つの歯車は、歯車の回転が駆動ピニオンの回転をもたらすように、駆動ピニオンに係合することができる。特定の実施形態において、エスケープメント調節要素は、歯車列に係合し、その回転移動を計るように構成されたレバー及びガンギ車をさらに含む。レバーは、ピン及び先端部を有し、先端部は、ポストに移動可能に係合し、テン輪の衝突ピンに着脱自在に係合するように構成され、テン輪は、ひげぜんまいと組み合わせて、ポストに係合し、その周りで振動することができる。ガンギ車は、歯車列に係合し、それを計るように構成された、大径ガンギ歯車及び小径歯車の円周の周りにガンギ歯を有する複合歯車である。エスケープメント調節機構による駆動ピニオン及び/または歯車列の計測は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御する。
少なくとも1つの実施形態において、駆動機構は、1つ以上の対応するステータストリガを読み取るかまたはそれを認識するように構成されたステータスリーダを利用し、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、駆動歯車の歯車の歯であり、機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、駆動歯車の歯車の歯であり、機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、ピストン及び/もしくは駆動ラックの外部特徴であるか、または光学的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、ピストン及び/もしくは駆動ラックの外部特徴である。
さらなる実施形態において、本開示は、制御送達駆動機構を有する薬物送達ポンプを提供する。薬物送達デバイスはハウジング及びアセンブリプラットフォームを含み、その上に作動機構、挿入機構、流体通路接続子、電力・制御システム、及び制御送達駆動機構が据え付けられもよい。薬物送達デバイスの薬物容器は、制御された速度での薬物送達のための薬物流体を薬物チャンバ内に収容する。
薬物送達デバイスは、その構成がぜんまいばねを利用し、駆動ピニオンの回転運動を駆動ラックの軸方向平行移動に変換する、上記の第1の実施形態に記載される第1の制御送達駆動機構、またはその構成が線形ぜんまいばねを利用して軸方向の力を駆動ピニオンのねじり運動へと変換する、上記の第2の実施形態に記載される第2の制御送達駆動機構を利用してもよい。いずれの実施形態においても、ピストンは、バレル内でプランジャシールに接触し、かつそれを軸方向に平行移動させるように構成されている。各実施形態はまた、線形ぜんまいばねによってピストンが制御された速度で軸方向に平行移動するように、調節機構を利用して駆動ピニオンを計る。
少なくとも1つの実施形態において、調節機構は、ぜんまいばねに連結されているか、またはそれと共に作用するエスケープメント調節機構である。エスケープメント調節機構は、1つ以上の歯車を有する歯車列と、回転シャフトと、歯車伝動装置と、をさらに含み、歯車伝動装置の少なくとも1つの歯車は、歯車の回転が駆動ピニオンの回転をもたらすように、駆動ピニオンに係合することができる。特定の実施形態において、エスケープメント調節要素は、歯車列に係合し、その回転移動を計るように構成されたレバー及びガンギ車をさらに含む。レバーは、ピン及び先端部を有し、先端部は、ポストに移動可能に係合し、テン輪の衝突ピンに着脱自在に係合するように構成され、テン輪は、ひげぜんまいと組み合わせて、ポストに係合し、その周りで振動することができる。ガンギ車は、歯車列に係合し、それを計るように構成された、大径ガンギ歯車及び小径歯車の円周の周りにガンギ歯を有する複合歯車である。エスケープメント調節機構による駆動ピニオン及び/または歯車列の計測は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御する。
少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスは、1つ以上の対応するステータストリガを読み取るかまたはそれを認識するように構成されたステータスリーダを利用し、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、駆動歯車の歯車の歯であり、機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、駆動歯車の歯車の歯であり、機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、ピストン及び/もしくは駆動ラックの外部特徴であるか、または光学的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、ピストン及び/もしくは駆動ラックの外部特徴である。
本開示は、原薬の制御された送達のための駆動機構、及びかかる駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、可変速度駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。
本開示の新規のデバイスは、一体型のステータス表示を有する可変速度制御送達駆動機構及びかかる駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。かかるデバイスは、自己投与する患者にとって、安全で使用が容易であり、審美的かつ人間工学的に魅力がある。本明細書に記載のデバイスは、未訓練の使用者にとってさえも本デバイスの作動、操作、及びロックアウトを単純にする特徴を組み込む。本開示の新規のデバイスは、既知の先行技術のデバイスに関連する問題のうちのいずれも伴わずに、これらの望ましい特徴を提供する。新規の薬物送達ポンプ、駆動機構、及びそれらのそれぞれの構成要素のある特定の非限定的な実施形態が、付随する図を参照しながら本明細書にさらに記載される。
本明細書で使用されるとき、「ポンプ」及び「送達デバイス」という用語は、作動時に流体を使用者に分注することが可能である任意の数の薬物送達システムを含むことを意図する。かかる薬物送達システムには、例えば、注入システム、輸液ポンプ、ボーラス注入装置、オンボディ注入装置等が含まれるが、これらに限定されない。図92A~92Cは、例示的な薬物送達デバイスまたは本開示の少なくとも1つの実施形態による薬物送達デバイスを示す。薬物送達デバイスを利用して、使用者の体内への薬物治療剤の送達を施してもよい。図92A~92Cに示されるように、薬物送達デバイス9410は、ポンプハウジング9412を含む。ポンプハウジング9412は、薬物送達デバイスのより容易な製造、組み立て、及び操作の便宜を図るために固定的に係合可能である、1つ以上のハウジング部分構成要素を含み得る。例えば、薬物送達デバイス9410は、上部ハウジング9412A及び下部ハウジング9412Bを含むポンプハウジング9412を含む。薬物送達デバイスは、作動機構9414、ステータスインジケータ9416、及び窓9418をさらに含み得る。窓9418は、薬物送達デバイスの操作がそれを通して見られ得る、任意の半透明または透過性表面であってよい。図92Bに示されるように、薬物送達デバイスは、アセンブリプラットフォーム9420、滅菌流体導管9430、薬物容器9450を有する駆動機構94100、挿入機構94200、流体通路接続子94300、及び電力・制御システム94400をさらに含む。かかる薬物送達デバイスの構成要素のうちの1つ以上は、それらが、例えば、製造中に別個の構成要素として予め組み立てられ、薬物送達デバイス9410のアセンブリプラットフォーム9420の上の所定の位置に収まるよう構成され得るという点で、モジュール式であり得る。
ポンプハウジング9412は、デバイスの構成要素の全てを含み、デバイス9410を使用者の皮膚に着脱自在に取り付ける手段を提供する。ポンプハウジング9412はまた、デバイス9410の内部構成要素に環境的影響からの保護を提供する。ポンプハウジング9412は、未訓練の及び/または身体障害のある場合がある使用者による容易な包装、貯蔵、取り扱い、及び使用の便宜を図るために、サイズ、形状、及び関連する特徴において人間工学的に及び審美的に設計される。さらに、ポンプハウジング9412の外面を利用して、製品ラベル、安全性指示等を提供してもよい。追加的に、上述のように、ハウジング9412は、操作フィードバックを使用者に提供し得る、ステータスインジケータ9416及び窓9418等のある特定の構成要素を含み得る。
少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイス9410は、使用者が変位させて電力・制御システム94400への開始コマンドをトリガする、作動機構9414を提供する。好ましい実施形態において、作動機構は、上部ハウジング9412Aと下部ハウジング9412Bとの間の開口部を通して等、ポンプハウジング9412を通して位置し、電力・制御システム94400の制御アーム9440に接触する、開始ボタン9414である。少なくとも1つの実施形態において、開始ボタン9414は、押しボタンであり得、他の実施形態においては、オン/オフスイッチ、トグル、または当該技術分野で既知の任意の同様の作動特徴であり得る。ポンプハウジング9412はまた、ステータスインジケータ9416及び窓9418も提供する。他の実施形態においては、作動機構9414、ステータスインジケータ9416、窓9418のうちの1つ以上、及びそれらの組み合わせが、例えば、薬物送達デバイス9410が使用者の身体上に定置されるときに使用者に見える側等の、上部ハウジング9412Aまたは下部ハウジング9412B上に提供され得る。ハウジング9412は、本開示の他の構成要素及び実施形態を参照しながらこれ以降でさらに詳述される。
薬物送達デバイスは、作動機構を押し下げることにより使用者が作動させると、薬物送達デバイスが始動されて、流体通路を使用者の中に挿入することと、薬物容器、流体通路、及び滅菌流体導管の間の必要な接続を有効化する、接続する、または開通させることと、薬物容器に格納された薬物流体を、使用者の中への送達のために流体通路及び流体導管に押し通すこととを行うように構成されている。1つ以上の任意選択的な安全性機構を利用して、例えば、薬物送達デバイスの時期尚早な作動を防止してもよい。例えば、任意選択的なオンボディセンサ9424(図92Cに示される)が、一実施形態において、薬物送達デバイス9410が使用者の身体と接触していない限り、電力・制御システム94400、または作動機構が係合され得ないことを保証する安全性特徴として提供されてもよい。かかる一実施形態において、オンボディセンサ9424は、使用者の身体と接触するようになり得る、下部ハウジング9412Bの底部に位置する。オンボディセンサ9424が変位すると、作動機構の押し下げが許容される。したがって、少なくとも1つの実施形態において、オンボディセンサ9424は、作動機構9414による薬物送達デバイス9410のトリガを防止する、例えば機械的ロックアウト等の、機械的安全性機構である。別の実施形態において、オンボディセンサは、信号を電力・制御システム94400に送信して作動を許容する機械的ロックアウト等の、電気機械的センサであり得る。依然として他の実施形態において、オンボディセンサは、電力・制御システム94400の作動を許容する前に組織を検出しなければならない、例えば、静電容量ベースまたはインピーダンスベースのセンサ等の電気ベースであり得る。これらの概念は、相互排他的なものではなく、本開示の範囲内で1つ以上の組み合わせを利用して、例えば、薬物送達デバイスの時期尚早な作動を防止してもよい。好ましい実施形態において、薬物送達デバイス9410は、1つ以上の機械的オンボディセンサを利用する。追加の一体型安全性機構は、新規の薬物送達デバイスの他の構成要素を参照して本明細書に記載される。
XIII.A.電力・制御システム
電力・制御システム94400は、薬物送達デバイス内の種々の電気構成要素にエネルギーを提供する、電源、1つ以上のフィードバック機構、マイクロコントローラ、回路基板、1つ以上の伝導性パッド、及び1つ以上の相互接続部を含む。当業者には理解されようが、かかる電気システムで一般的に使用される他の構成要素もまた含まれてもよい。1つ以上のフィードバック機構は、例えば、ピエゾアラーム等の可聴アラーム及び/または発光ダイオード(LED)等の光インジケータを含み得る。マイクロコントローラは、例えば、マイクロプロセッサであり得る。電力・制御システム94400は、使用者とのデバイスのいくつかの相互作用を制御し、駆動機構94100とインターフェース接続する。一実施形態において、電力・制御システム94400は、制御アーム9440とインターフェース接続して、オンボディセンサ9424及び/または作動機構9414が作動されているときを特定する。電力・制御システム94400はまた、使用者に視覚フィードバックを提供するために光移送を許容する透過性または半透明の材料であり得る、ポンプハウジング9412のステータスインジケータ9416とインターフェース接続し得る。電力・制御システム94400は、1つ以上の相互接続を通して駆動機構94100とインターフェース接続して、作動、薬物送達、及び投薬終了等のステータス表示を患者に中継する。かかるステータス表示は、聴覚トーンを介して、例えば可聴アラームにより、及び/または視覚インジケータを介して、例えばLEDにより、使用者に提示され得る。好ましい実施形態において、電力・制御システムと薬物送達デバイスの他の構成要素との間の制御インターフェースは、使用者が作動させるまで係合または接続されない。これは、薬物送達デバイスの偶発的な操作を防止し、さらに、貯蔵、輸送等の間に電源内に収容されるエネルギーを維持し得る、望ましい安全性特徴である。
電力・制御システム94400は、いくつかの異なるステータスインジケータを使用者に提供するように構成され得る。例えば、電力・制御システム94400は、オンボディセンサ及び/またはトリガ機構が押圧された後に、デバイス起動点検により何のエラーも報告されなければ、電力・制御システム94400がステータスインジケータ9416を介して開始準備完了ステータス信号を提供するように、構成され得る。開始準備完了ステータス信号を提供した後に、任意選択的なオンボディセンサを有する実施形態において、オンボディセンサが使用者の身体と接触したままである場合、電力・制御システム94400は、駆動機構94100に電力供給して、流体通路接続子94300及び滅菌流体導管9430を通した薬物治療剤の送達を開始する。本開示の好ましい実施形態において、挿入機構94200及び流体通路接続子94300は、作動機構9414の使用者による操作によって直接、作動するようにされ得る。薬物送達過程中、電力・制御システム94400は、ステータスインジケータ9416を介して分注ステータス信号を提供するように構成される。薬物が使用者の身体内に投与された後、及び実質的に全用量が使用者に送達されたことを確実にするためのいずれの追加の滞留時間の終了後、電力・制御システム94400は、ステータスインジケータ9416を介して取り外し可ステータス信号を提供し得る。これは、使用者がポンプハウジング9412の窓9418を通して駆動機構及び薬物用量送達を見ることによって、独立して検証され得る。追加的に、電力・制御システム94400は、ステータスインジケータ9416を介して、例えば、故障または動作不具合状況を示す警報等の1つ以上の警報信号を提供するように構成され得る。
他の電力・制御システム構成は、本開示の新規の薬物送達デバイスと共に利用され得る。例えば、ある特定の作動遅延が、薬物送達中に利用され得る。上述のように、システム構成内に任意選択で含まれる1つのかかる遅延は、完了を使用者に信号伝達する前に実質的に全薬物用量が送達されていることを確実にする、滞留時間である。同様に、デバイスの作動は、薬物送達デバイスの作動前に、薬物送達デバイス9410の作動機構9414の遅延した押し下げ(すなわち、押圧)を必要とし得る。追加的に、システムは、使用者が投薬終了信号に応答すること、及び薬物送達デバイスを作動停止するまたはその電源を切ることを許容する特徴を含み得る。かかる特徴は同様に、停止デバイスの偶発的な作動を防止するために、作動機構の遅延した押し下げを必要とし得る。かかる特徴は、薬物送達デバイスに対する望ましい安全性一体化機構及び使い勝手の良いパラメータを提供する。追加の安全性特徴が、薬物送達デバイスの部分的押し下げ、及びしたがって、部分的作動を防止するために作動機構に一体化されてもよい。例えば、作動機構及び/または電力・制御システムは、部分的作動を防止するために、デバイスが完全にオフであるかまたは完全にオンであるかのいずれかであるように構成され得る。かかる特徴は、新規の薬物送達デバイスの他の態様に関してこれ以降でさらに詳述される。
XIII.B.流体通路接続子
いくつかの流体通路接続子が、本開示の実施形態内で利用され得る。一般に、好適流体通路接続子は、滅菌流体導管、穿通部材、及び薬物容器に取り付けられた滅菌スリーブまたは薬物容器内に一体化された摺動型の穿通可能なシールを含む。流体通路接続子は、1つ以上の流れ制限部をさらに含み得る。送達デバイス9410の適切な作動時に、流体通路接続子94300は、滅菌流体導管9430を駆動機構94100の薬物容器に接続するように有効化される。かかる接続は、駆動機構94100の薬物容器の穿通可能なシールを突き通す、針等の穿通部材によって容易にされる。この接続の滅菌性は、可撓性滅菌スリーブ内で接続を行うことによって維持され得る。挿入機構の実質的に同時の作動時に、薬物容器と挿入機構との間の流体通路が完成して、使用者の身体内への薬物送達を許容する。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、流体通路接続子の穿通部材は、使用者の直接行為、例えば、使用者による作動機構の押し下げによって、駆動機構の薬物容器の穿通可能なシールを突き通すようにされる。例えば、作動機構自体は、作動機構のその元の位置からの変位が流体通路接続子の変位もまた引き起こすように、流体通路接続子上で支えられてもよい。かかる一実施形態において、流体通路接続子は、国際特許出願第PCT/US2012/054861号に記載されるものと実質的に同様であり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。かかる実施形態によれば、接続は、使用者が所望するまで流体が薬物容器から流れるのを防止するという理由で、使用者が作動機構を押し下げ、それによって、穿通可能なシールを通して穿通部材を駆動することによって有効化される。かかる実施形態において、圧縮性の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップと流体通路接続子の接続ハブとの間に固定的に取り付けられてもよい。穿通部材は、流体接続通路と薬物容器との間の接続が所望されるまで、滅菌スリーブ内に常在し得る。滅菌スリーブは、作動前の穿通部材及び流体通路の滅菌性を保証するために滅菌され得る。
代替的に、流体通路接続子は、参照によりその全体が全目的で本明細書に含まれる国際特許出願第PCT/US2013/030478号に記載されるように、薬物容器内に一体化され得る。かかる実施形態によれば、薬物容器は、穿通可能なシールとプランジャシールとの間でバレル内に薬物チャンバを有し得る。薬物流体は、薬物チャンバに収容される。使用者による作動デバイスの作動時に、駆動機構は、薬物容器に収容されたプランジャシールに力を及ぼす。プランジャシールが薬物流体及びいずれの空気/ガスの間隙または気泡に力を及ぼすと、空気/ガス及び薬物流体の圧縮によって空気圧及び液圧の組み合わせが蓄積し、この力が、摺動型の穿通可能なシールに引き継がれる。摺動型の穿通可能なシールは、キャップの方へ摺動させられて、一体型の滅菌流体通路接続子内に保持された穿通部材によって穿通されることになる。したがって、一体型の滅菌流体通路接続子は、駆動機構の作動によって生み出された、薬物チャンバ内の空気/ガス及び薬物流体の組み合わせた空気圧/液圧の力によって接続される(すなわち、流体通路が開通される)。いったん一体型の滅菌流体通路接続子が接続されるか、または開通されると、薬物流体は、薬物送達のために薬物容器から、一体型の滅菌流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通って、そして使用者の体内へと流れることを許容される。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構のマニホールドならびにカニューレ及び/または針のみを通って流れ、それによって、薬物送達前及び送達中に流体通路の滅菌性を維持する。
薬物送達デバイスによって利用される流体通路接続子にかかわらず、薬物送達デバイスは、異なる粘度及び体積を有する様々な薬物を送達可能である。薬物送達デバイスは、制御された流速(速度)で及び/または指定の体積の薬物を送達可能である。一実施形態において、薬物送達過程は、流体通路接続子及び/または滅菌流体導管内で1つ以上の流れ制限部によって制御される。他の実施形態において、他の流速が、流体流路または送達導管の幾何形状を変化させることによって、駆動機構の構成要素が薬物容器の中へと前進してその中の薬物を分注する速度を変化させることによって、またはそれらの組み合わせによって、提供されてもよい。流体通路接続子94300及び滅菌流体導管9430についての依然としてさらなる詳細が、これ以降、他の実施形態を参照して後の節で提供される。
XIII.C.挿入機構:
いくつかの挿入機構が、本開示の薬物送達デバイス内で利用され得る。本開示のポンプ式送達デバイスは、例えば、任意の好適な中空チューブを通して、流体流連通によって患者または使用者に接続され得る。固形針を用いて、患者の皮膚を穿通し、中空カニューレを適切な送達位置に定置してもよく、固形針は、患者への薬物送達の前に取り外されるかまたは後退される。上記のように、流体は、自動的に挿入された針、カニューレ、微小針アレイ、または輸液セットチューブを含むがこれらに限定されない任意の数の手段を通して身体内に誘導され得る。いくつかの機構は、患者への針の挿入を作動させるためにも用いられ得る。例えば、ばね等の偏倚部材は、針及びカニューレを患者の皮膚に穿通させるために十分な力を提供するために用いられる。同じばね、追加のばね、または別の同様の機構を利用して、針を患者から後退させることができる。好ましい実施形態において、挿入機構は、一般に、国際特許出願第PCT/US2012/53174号に記載されるようなものであり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に含まれる。かかる構成は、患者への痛みを最小限に抑える方法で患者の皮膚(または筋肉)内またはその下への薬物送達通路の挿入のために利用されてもよい。流体通路の挿入のための他の既知の方法が利用されてもよく、本開示の範囲内であることが企図される。
少なくとも1つの実施形態において、挿入機構94200は、1つ以上のロックアウト窓、ならびにアセンブリプラットフォーム及び/またはポンプハウジングへの接続のための基部を有する挿入機構ハウジングを含む(図92B及び図92Cに示されるように)。アセンブリプラットフォーム9420への基部の接続は、例えば、基部の底部がアセンブリプラットフォーム内の穴を通過することが許容されて、使用者の身体への基部の直接的な接触を許容するようなものであり得る。かかる構成において、基部の底部は、薬物送達デバイス9410の使用前に取り外し可能な封止膜を含み得る。挿入機構は、1つ以上の挿入偏倚部材、針、後退偏倚部材、カニューレ、及びマニホールドをさらに含み得る。マニホールドは、滅菌流体導管9430に接続して、薬物送達中に、マニホールド、カニューレを通り、かつ使用者の身体への流体流を許容し得る。
本明細書で使用されるとき、「針」は、剛性中空針等の従来の中空針、及びより一般的には「トロカール」と称される中実針を含むがこれらに限定されない様々な針を指すことを意図する。好ましい実施形態において、針は、9427ゲージの中実トロカールであり、他の実施形態において、針は、意図する薬物及び薬物投与(例えば、皮下、筋肉内、皮内等)の種類のための、カニューレを挿入するために好適な任意のサイズの針であり得る。針挿入機構内で滅菌ブーツが利用されてもよい。滅菌ブーツは、近位端においてマニホールドと、かつ遠位端において基部と固定係合している折り畳み式滅菌膜である。少なくとも一実施形態において、滅菌ブーツは、基部と挿入機構ハウジングとの間で遠位端における固定係合に維持される。基部は、以下にさらに記載されるように、挿入機構の動作中に針及びカニューレがそれを通って通過し得る基部開口を含む。カニューレ及び針の滅菌性は、挿入機構の滅菌部分内でのそれらの初期位置付けによって維持される。具体的には、上述のように、針及びカニューレは、マニホールド及び滅菌ブーツの滅菌環境において維持される。基部の基部開口は、例えば封止膜94254(図92Cに示される)によって、非滅菌環境からも閉鎖され得る。
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、挿入機構は初めに、挿入機構ハウジングのロックアウト窓内に初めに位置付けられたロックアウトピン(複数可)によって即時使用可能な段階に係止されている。この初期構成において、挿入偏倚部材及び後退偏倚部材は、それらの圧縮された付勢状態に各々保持されている。図92Bに示されるように、ロックアウトピン(複数可)94208は、作動機構9414の使用者の押し下げによって直接変位し得る。使用者が、任意選択的なオンボディセンサ9424(図92Cに示される)等の任意の安全性機構を係脱すると、作動機構9414が押し下げられて、薬物送達デバイスを始動する。作動機構9414の押し下げは、制御アーム9440の平行移動または変位を直接的に引き起こし得、挿入機構ハウジング94202の係止窓94202A内のそれらの初期位置からのロックアウトピン(複数可)94208の変位を直接的または間接的に引き起こし得る。ロックアウトピン(複数可)94208の変位は、挿入偏倚部材がその初期の圧縮された付勢状態から圧縮解除されることを許容する。挿入偏倚部材のこの圧縮解除は、針及びカニューレを使用者の身体内に駆動する。挿入段階の終わりに、屈折偏倚部材は、その初期の付勢状態から近位方向に拡張することが許容される。屈折偏倚部材の近位方向におけるこの軸拡張は、カニューレを使用者の身体と流体連通に維持しながら、針を屈折させる。したがって、挿入機構を用いて、針及びカニューレを使用者内に挿入し、その後、カニューレを使用者の身体への薬物送達のための位置に保持しながら、針を後退させてもよい。
XIII.D.駆動機構:
図93及び94に示される実施形態を参照すると、駆動機構94100は、駆動ハウジング94130と、キャップ9452、穿通可能なシール9456、バレル9458、及びプランジャシール9460を有する薬物容器9450とを含む。穿通可能なシールとプランジャシール9460との間でバレル9458内に位置する薬物チャンバ9421は、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。本明細書に記載のシールは、いくつかの材料から構成され得るが、好ましい実施形態において、1つ以上のエラストマーまたはゴムから構成されている。駆動機構は、薬物容器9450のバレル9458内への流体通路接続子の穿通部材の挿入をガイドするための接続マウント9454をさらに含み得る。駆動機構94100は、本明細書にさらに記載されるように、1つ以上の駆動偏倚部材、1つ以上の解放機構、及び1つ以上のガイドをさらに含み得る。駆動機構の構成要素は、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通る、かつ使用者の身体内への送達のために、穿通可能なシールを通して、または好ましくは流体通路接続子の穿通部材を通して流体を薬物容器から押し出すように機能する。
1つの特定の実施形態において、駆動機構94100は、1つ以上のばねを駆動偏倚部材(複数可)として用いる。使用者により薬物送達デバイスが作動されると、電力・制御システムが起動されて、ばね(複数可)を付勢状態から直接的または間接的に解放し得る。解放されると、ばね(複数可)を直接的または間接的に利用して、プランジャシールを駆動し、流体薬物を薬物容器から押し出すことができる。より具体的には、ばねを直接的または間接的に利用してピストンを駆動し、それが次いでプランジャシールに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。流体通路接続子は、駆動機構の作動前、それと同時に、またはその後に穿通可能なシールを通して接続されて、薬物容器から流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通り、かつ使用者の身体内への薬物送達のための流体流を許容し得る。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構のマニホールド及びカニューレのみを通って流れ、それによって、薬物送達前及びその間に流体通路の滅菌性を維持する。かかる構成要素及びそれらの機能は、これ以降でさらに詳細に記載される。
ここで図93及び図9494に示される駆動機構の実施形態を参照すると、駆動機構94100は、キャップ9452、穿通可能なシール9456、バレル9458、及びプランジャシール9460、ならびに任意選択で接続マウント9454を有する薬物容器9450を含む。薬物容器9450は、駆動ハウジング94130の遠位端に据え付けられている。インターフェース表面94110C及び駆動ラック94110Aを有するピストン94110は、薬物容器9450とハウジング94130の近位端との間で駆動ハウジング94130内に少なくとも部分的に保持されている。任意選択で、被覆スリーブは、ピストン94110に係合し、駆動ラック94110Aを被覆して、その初期位置からの拡張時にかかる構成要素を使用者の視界から隠すために利用され得る。被覆スリーブは、ピストン94110に係合し、かつピストン94110と駆動機構ハウジング94130の遠位端との間でその上で摺動して、その初期付勢状態からの拡張時に駆動ラック94110Aを使用者の視界から隠すように構成され得る。
図94A及び94Bに示されるように、本開示の制御送達駆動機構94100は、駆動ピニオン94120の回転運動を駆動ラック94110Aの軸方向平行移動に変換し、それによって、バレル9458内でプランジャシール9460を押圧して、流体を薬物チャンバ9421から押し出すために、ピストン94110の駆動ラック94110Aとインターフェース接続する、駆動ピニオン94120に直接的または間接的に連結したぜんまいばね94122を利用し得る。とりわけ、ぜんまいばね94122は、原薬を含有するバレル9458内でプランジャシール9460を押圧する駆動ピニオン94120等の歯車アセンブリにトルクを加える。代替的に、図99に示されるように、線形ぜんまいばね941122を、駆動ラック94110Aを有するピストン94110に直接的または間接的に連結して、駆動ピニオン94120に連結したねじり運動へ、及び調節機構94500へと軸方向の力を変換することができる。両方の構成において、プランジャシール9460は、薬物容器9450内へと前進し、原薬は、薬物送達のために、滅菌通路接続94300、導管9430、挿入機構94200を通り、かつ使用者の身体内へと分注される。原薬の流れからの流体力学的抵抗及びバレルに対するプランジャシールの摩擦力等のプランジャシール上のある特定の反力は、大きく変動し得る。このため、これらの力が変動したときに一定の送達速度を保つ調節機構94500を駆動機構94100の中に有することが望ましい。本開示の実施形態において、調節機構94500は、エスケープメント調節機構である。エスケープメント調節機構は、歯車アセンブリを妨げるかまたは制限し、調節された速度または望ましい速度でのみ前進させる。かかる構成において、ぜんまいばね94122は、水力及び摩擦力の最悪の場合の変動を克服するのに十分なトルクを供給するように設計されている。理論上、より公称の反力条件下で生じるあらゆる過剰な力はエスケープメント調節機構によって吸収され、送達速度は一定に維持される。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、駆動機構94100は、エスケープメント調節要素94500及びぜんまいばね94122を利用する。ぜんまいばね94122は、歯車列94510の1つ以上の歯車94512、94514、94516に(かつ/または歯車伝動装置94550の歯車94522に)、軸「B」の周りでの回転運動を提供するように構成される。歯車94512、94514、94516の各々は、例えば、大径歯車に共有中心点で取り付けられた小径歯車を有する複合歯車であり得る。例えば 第1の複合歯車94512は、大径歯車94512Aに取り付けられた小径歯車94512B(不可視)を有する。第1の複合歯車94512の回転運動が、歯車列94510を通した第2の複合歯車94514等への歯車の係合によって(例えば、対応する歯車の歯の係合によって)伝達されるように、各複合歯車の小径歯車は、例えば、歯車94510中の次の複合歯車の大径歯車に係合する。歯車列94510のかかる回転運動は、回転シャフト94518によって、駆動歯車94520を含む1つ以上の歯車を有する歯車伝動装置94550に伝達され得る。例えば、歯車伝動装置94550は、駆動歯車94520に加えて、歯車94522及び歯車94524を含み得る。駆動94520の回転が駆動ピニオン94120の回転を引き起こすように、駆動歯車94520は、駆動ピニオン94120に(例えば、接続突出部94120Aによって)接続されている。駆動ピニオン94120は、ピストン94110の駆動ラック94110Aに係合して、駆動ピニオン94120の回転運動を駆動ラック94110Aの軸方向平行移動に変換し、それによって、バレル9458内でプランジャシール9460を押圧して、流体を薬物チャンバ9421から押し出すように構成されている。駆動歯車94520の回転移動、及び故に駆動ラック94110A及びプランジャシール9460の軸方向平行移動は、本明細書に記載されるように、エスケープメント調節要素94500の他の構成要素による自在な軸方向平行移動を計測、制限、または別様に防止される。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、回転シャフト94518は、第1の複合歯車94512及び歯車伝動装置94550の第1の歯車94522の両方に位置付けられている。この構成は、ぜんまいばね94122と直接回転整列し、かつ/またはそれと関連する第1の複合歯車94512の回転運動が位置付けられ、歯車伝動装置94550の力の伝達及び回転(例えば、歯車94522において)を引き起こすことを許容する。この構成において、ぜんまいばね94122からの力のうちの少なくとも一部は、ピストン94110の駆動ラック94110A及びプランジャシール9460の軸方向への平行移動における使用のために向けられ、ぜんまいばね94122からの力の少なくとも一部は、エスケープメント調節要素500のガンギ車94562、テン輪94566、ひげぜんまい94568、及びレバー94564構成要素による使用のために向けられる。したがって、ぜんまいばねは、プランジャシール9460の軸方向平行移動のために使用される力を提供する一方、それはまた、かかる軸方向移動に提供される力を計るかまたはそれを制限するように機能するエスケープメント調節要素94500にも動力供給する。歯車列94510の複合歯車構造は、ぜんまいばね94122によって提供される力の分割を許容する。ぜんまいばね94122からの力のうちの一部は、歯車伝動装置94550の歯車94522、回転シャフト94518、及び第1の歯車94522に直接伝達され、力のうちの一部は、ガンギ車94566及びひげぜんまい94568との相互作用による調節または計測のために歯車94514、歯車94516、レバー94564、及びガンギ車94562に伝達されて、ガンギ車94562の小径歯車94562Bが歯車列94510を調節または計測することを許容する。
エスケープメント調節要素94500は、ガンギ車94562及びレバー94564をさらに含む。ガンギ車94562は、歯車列94510に係合し、その自在な回転移動を計るか、制限するか、または別様に防止するように構成された、大径ガンギ歯車94562A及び小径歯車94562B(不可視)の円周の周りにガンギ歯を有する複合歯車である。レバー94564は、ピン94564A、B、及び先端部94564Cを有する。先端部94564Cは、ポスト94566Aに移動可能に係合し、テン輪94566の衝突ピン94566Bに着脱可能に係合するように構成されている。テン輪94566は、ひげぜんまい94568と組み合わせて、枢動点94564Dの周りで振動子として係合し、機能する。ぜんまいばね94122は、ぜんまいばね94122が巻取装置94502内で自在に回転移動することを許容する方法で、巻取装置94502内に保持されるかまたは留められている。歯車列94510、ガンギ車94562、テン輪94566、ひげぜんまい94568、及びレバー94564は、プレート94504上に据え付けられてもよく、またはその上で自在に回転または移動することができる。同様に、歯車伝動装置94550は、プラットフォーム94506上に据え付けられてもよく、かつその上で自在に回転することができる。巻取装置94502、プレート94504、及びプラットフォーム94506は、1つ以上のスペーサカラムを利用して、構成要素と、構成要素がその上に据え付けられ、かつ自在に回転させられる1つ以上の枢動ピンとの間の所望の間隔を維持し得る。
エスケープメント調節要素94500のガンギ車94562、テン輪94566、ひげぜんまい94568、及びレバー94564の構成要素の機能は、図94B及び図95A~95Hを参照して説明される。ガンギ車94562は、歯車列94510に係合し、その自在な回転移動を計るか、制限するか、または別様に防止するように構成された、大径ガンギ歯車94562A及び小径歯車94562B(不可視)の円周の周りにガンギ歯を有する複合歯車である。レバー94564は、ピン94564A、B、及び先端部94564Cを有する。先端部94564Cは、ポスト94566Aに移動可能に係合し、テン輪94566の衝突ピン94566Bに着脱可能に係合するように構成されている。テン輪94566は、ひげぜんまい94568と組み合わせて、枢動点94564Dの周りで振動子として係合し、機能する。ガンギ車94562及びレバー94564は、図95Aに示されるように、最初に作動位置にあってもよい。ガンギ車94562及びレバー94564は、概して、係止作用及び衝突作用と呼ばれる2つの工程を実施するように機能する。これらの2つの作用は、図95B及び図95Cにそれぞれ例証され、これらの図において、歯車列94510は、ガンギ車94562に時計回りのトルクを加えている。係止作用において、2つのレバーピン94564A、Bのうちの1つは、ガンギ歯車94562A上の歯の径方向面上のガンギ車94562の回転を妨害する。これにより、歯車列94510は衝突作用間に係止される。衝突作用において、レバーピン94564A、Bは、レバー94564上のテン輪94566の作用に起因して、この歯面へと上に摺動する。ガンギ車は係止解除され、摺動作用を介してレバーピン94564A、B上で機械仕事を行い、これは次いで、テン輪94566に運動エネルギーを与える。レバー94564は、反対のピン94564A、Bがガンギ歯車94562A上のガンギ車の歯に係合するまで、枢動点94564D上で枢動し、ガンギ車94562の半分の歯が前進した後に係止状態に再び入る。係止作用から衝突作用への移行は、ぜんまいばね94568と組み合わせて振動子として機能するテン輪94566によってトリガされる。それは、速度制御として働く自然振動数で周期を成す。テン輪94566は、先端部94564Cにおいてレバー94564と相互作用する衝突ピン94566Bを含む。図95Cにおいて図示される衝突相の場合、レバー94564上の時計回りのモーメントは、テン輪94566上に反時計回りのモーメントを発揮し、その運動エネルギーを増す。テン輪94566は、その運動エネルギーがぜんまいばね94568によって吸収されるまで回転する。それは、レバー94564によって衝突ピン94566Bを停止させ、反転させ、かつそれに係合する。完全な周期は、図95D~95H間の移行で示される。
エスケープメント調節機構94500を係止解除するために、テン輪94566は、ガンギ車94562のガンギ歯車94562Aの歯の面の上にレバーピン94564A、Bを引くのに十分な運動エネルギーを有しなければならない。衝突作用が、摩擦により失われるよりも少ないエネルギーを付加する場合、テン輪94566の回転は徐々に少なくなり、最終的には止まり、エスケープメント調節機構94500を係止することになる。エスケープメントが負荷下においてこの方法で停止すると、それは容易には再開しない。自己始動型であるためには、ぜんまいばね94568は、図95Aに示されるように、ガンギ車94562の枢動及びテン輪94566の枢動を接続する軸に沿ってレバー94564と整列しなければならない。レバーピン94564A、Bは、駆動トルクの付加に際して歯の斜面がすぐに衝突作用を開始することができるように位置付けられることになる。この整列は、無負荷状態においてエスケープメント調節機構94500でのみ生じ得る。ぜんまいばね94122のトルクは、送達の開始まで、エスケープメント調節機構94500から切り離されなければならない。この作用は、電力・制御システム94400を直接的または間接的に介して使用者が作動機構に力を加え、駆動トルクを加えて初期衝突作用を開始させることによって始動され得る。いったんエスケープメント調節機構94500が始動されると、それは、歯車列94510、歯車伝動装置94550、駆動歯車94520、及び駆動ピニオン94120の自在な回転移動、ならびに故に、駆動ラック94110A及びプランジャシール9460の軸方向平行移動を計り、制限し、または別様に防止するために効果的に利用され得る。特定の実施形態において、ガンギ車94562は、大径ガンギ歯車94562A及び小径歯車94562B(不可視)の円周の周りにガンギ歯を有する複合歯車である。ガンギ車94562の小径歯車94562Bは、回転シャフト94518を通して歯車伝動装置94550に係合する駆動列94510に係合する。この新規の構成は、ガンギ車94562が、ぜんまいばね94122によって加えられた駆動列94510の回転を調節することを直接許容し、これは次いで、駆動伝動装置94550、駆動歯車94520、駆動ピニオン94120、及びピストン94110の駆動ラック94110Aを効率的に調節する。
本開示の新規の実施形態は、制御送達駆動機構94100の構成要素の自在な回転、及び故に軸方向平行移動を計り、制限し、または別様に防止するために利用され得る。したがって、エスケープメント調節機構94500は駆動機構の運動を制御するのみで、薬物送達のための力は加えない。圧縮ばね等の1つ以上の追加の偏倚部材を利用して、ピストン94110を駆動するか、またはその駆動を補助してもよい(図99に示されるように)。例えば、圧縮ばねは、この目的で駆動ハウジング94130内で利用されてもよく、ぜんまいばね94122は、ピストン110及びプランジャシール9460を部分的に駆動し、上記のような計測を実施するようにエスケープメント調節要素94500を部分的に駆動する。したがって、流れを制御する手段は、ピストン94110及びプランジャシール9460上の負荷とは別個である。ぜんまいばね94122は、薬物送達のためにピストン94110及びプランジャシール9460を駆動するために利用される力を加える一方で、エスケープメント調節機構94500は、かかる作用を制御するか、計るか、または調節するのみである。ピストン94110及びプランジャシール9460が、制御された距離または制御された体積だけ軸方向に平行移動することを可能にするために、本明細書に記載のエスケープメント調節機構等の機械的タイミングシステムを利用してもよく、所望の送達速度またはプロファイルを満たすためにそれを利用してもよい。当業者には理解されようが、タイミングシステムは、機械的タイミングの代わりに石英タイミングによって制御されてもよい。石英タイミングの場合、電池は、マイクロチップ及び回路に電力を提供する。水晶は、高精度な周波数で振動する。マイクロプロセッサにおいて一般に見出される時計機能を含む、例えばRCタイミング機構等の代替的な電気的タイミング機構も使用され得る。送達が計画されている期間に応じて、マイクロチップは、水晶の振動数または他のタイミング信号に基づいてモータを駆動する。モータは、機械的タイミングシステムについて本明細書に記載されるものと同様の方法で、駆動列、駆動伝動装置、及び/または駆動ラックの運動を解放してプランジャの軸方向平行移動を制御する。
エスケープメント調節機構94500を有する駆動機構94100は、薬物容器9450のバレル9458内でのピストン94110及びプランジャシール9460の軸方向平行移動によって押し出された薬物送達の速度を制御するように機能する。これは、図96A~96C及び図97A~97Cにおいて移行して示されている。上述のように、ぜんまいばね94122は、薬物送達のためのピストン94110及びプランジャシール9460の軸方向平行移動の速度を制御するようにエスケープメント調節機構94500によって調節、計測、または別様に制御された駆動機構に力を加える。使用者によって始動されると、ぜんまいばね94122は、エスケープメント調節機構94500によって調節されるシステムに力またはトルクを加えることを許容される。これは、図96A及び図97Aに示される駆動機構を作動させ、かつバレル9458内でのピストン94110及びプランジャシール9460の遠位方向(すなわち、斜線矢印の方向)への計測された軸方向平行移動を許容する。この計測された活動は、図96C及び図97Cに示されるように、実質的に全ての薬物流体が薬物チャンバ9421から滅菌通路接続94300を通って分注されるまで、図96B及び図97Bに示されるように、制御された速度または薬物送達プロファイルでの薬物送達を通して継続する。
作動時に、駆動機構94100の構成要素を用いて、薬物容器9450のプランジャシール9460の遠位方向への軸方向平行移動を駆動してもよい。任意選択で、駆動機構94100は、例えば、実質的に全薬物用量が使用者に送達されたことを確実にするために、プランジャシール9460の追加の軸方向平行移動を可能にする1つ以上の遵守特徴を含み得る。例えば、プランジャシール9460自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。プランジャシール9460自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。例えば、ポップアウト型プランジャシール、すなわち、初期状態から変形可能なプランジャシールが用いられる場合、プランジャシールは、変形または「ポップアウト」させられて、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを提供し得る。同様に、ピストン94110がバレル58内で軸方向に平行移動するときに、駆動ラック94110A及び他の内部構成要素の可視性を使用者から隠すために任意選択的な被覆スリーブを利用してもよい。
本開示の新規の可変速度送達駆動機構は、任意選択で、ステータス表示を薬物用量送達内に一体化し得る。1つ以上のステータストリガ及び対応するステータスリーダの使用によって、使用者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、電力・制御システムに伝えられ得る。かかるフィードバックは、上述のように、触覚、視覚、及び/または聴覚によるものであってもよく、デバイスの使用中にフィードバックの1つ超の信号または種類が使用者に提供されるように重複してもよい。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、ピストンがその軸方向平行移動の終了に達したことに結び付けられるため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。加えてまたは代替的に、電力・制御システムへの接触、接続、または別様に伝送を可能にして、投薬終了を使用者に信号伝達するために、電気機械的ステータススイッチ及び相互接続アセンブリが利用され得る。例えば、バレル9458内でのプランジャシール9460の実質的に完全な軸方向平行移動(及び任意選択的な遵守による一押し)に際して、電力・制御システムへの伝送を可能にして投薬終了を使用者に信号伝達するために、ステータススイッチ及び相互接続が協働するように、ステータススイッチは、穿通可能なシール9456の遠位に位置し得、相互接続は、プランジャシール9460の近位に位置し得る。この構成は、使用者への真の終了表示をさらに可能にする。
少なくとも1つの実施形態において、図98に示されるように、駆動歯車94520の回転運動を読み取るかまたは認識することによって、増分ステータス表示が使用者に提供され得る。駆動歯車94520が回転するにつれて、ステータスリーダ94600は、駆動歯車94520の上の1つ以上の対応するステータストリガを読み取るかまたは認識して、可変速度制御送達駆動機構の操作前、操作中、及び操作後に、増分ステータス表示を提供し得る。いくつかのステータスリーダが、本開示の実施形態内で利用され得る。例えば、図98に示される駆動機構は、駆動歯車9420の歯によって物理的に接触された機械的ステータスリーダ94600を利用してもよい。この例示的な実施形態において駆動歯車94520の歯(または、駆動歯車94520上の穴、ピン、隆起、マーキング、電気接触等)であり得るステータストリガ(複数可)によってステータスリーダ94600が接触されると、ステータスリーダ94600は、駆動歯車94520の回転位置を測定し、使用者へのステータス表示のために信号を電力・制御システムに伝送する。加えてまたは代替的に、図98に示される駆動機構は、光学的ステータスリーダ94600を利用してもよい。光学的ステータスリーダ94600は、例えば、運動を認識し、電力・制御システムに信号を伝送することができる光ビームであり得る。例えば、駆動機構は、駆動歯車94520の歯(または、駆動歯車94520上の穴、ピン、隆起、マーキング、電気接触等)の運動を認識するように構成された光学的ステータスリーダ94600を利用してもよい。同様に、ステータスリーダ94600は、駆動歯車94520上の電気接触を認識するように構成された電気スイッチであり得る。これらの実施形態のいずれかにおいて、次いで信号を電力・制御システム94400に伝えて、使用者にフィードバックを提供するために、センサ94602を利用してもよい。
当業者には理解されようが、光学的ステータスリーダ及び対応するトリガ、電気機械的ステータスリーダ及び対応するトリガ、ならびに/または機械的ステータスリーダ及び対応するトリガは全て、使用者に増分ステータス表示を提供するために本開示の実施形態によって利用され得る。本開示の駆動機構は、図98に示される歯車伝動装置、歯車列、及びエスケープメント調節機構に関連して記載されているものの、当業者には容易に理解されるであろうが、これらの構成要素のために、選択された負荷及びぜんまいばねに基づく適切な歯車減速と共に様々な構成が利用され得、許容可能であり、かつ本開示の実施形態内で用いられ得る。したがって、本開示の実施形態は、制御送達駆動機構及び薬物送達ポンプ内で用いるためのかかる機構の例示的な実施形態として提供されている、本明細書に記載の特定の歯車伝動装置、歯車列、及びエスケープメント調節機構に限定されない。
次に図96A~96C及び図97A~97Cに示される実施形態に戻ると、薬物流体等の流体は、使用者への送達のために、プランジャシール9460と穿通可能なシール9456との間の薬物チャンバ9421においてバレル9458内に収容されてもよい。穿通可能なシールは、キャップ9452に隣接しているか、またはその内部に少なくとも部分的に保持されている。使用者によって作動されると、流体通路接続子は、穿通可能なシールを通して薬物容器に接続され得る。上述のように、この流体接続は、穿通可能なシールを穿通し、かつ薬物容器から、流体通路接続子、流体導管、挿入機構、及びカニューレを通る、使用者の身体への薬物流体の送達のための流体通路を完了させる流体通路接続子の穿通部材によって容易にされ得る。ピストン94110及びプランジャシール9460の遠位平行移動は、しかし本明細書に記載される駆動機構及び調節機構は、穿通可能なシール9456を通して流体をバレル9458から押し出し続ける。少なくとも1つの実施形態において、いったんステータスリーダが、ピストン94110及びプランジャシール9460の軸方向移動の終わりに実質的に対応するように駆動歯車上に位置付けられたステータストリガを認識すると、投薬終了ステータス表示が使用者に提供され得る。本開示の新規のエスケープメント調節機構94500及び駆動機構94100は、故に、薬物送達の速度またはプロファイルを制御するために、偏倚部材94122の自在な軸方向の拡張を許容、計測、または別様に制限する。本開示の新規の実施形態はまた、故に、増分ステータス表示を使用者に提供する。
可変速度制御送達駆動機構94100、薬物送達ポンプ9410、または個々の構成要素のいずれかの組み立て及び/または製造は、当該技術分野で既知のいくつかの材料及び手法を利用してもよい。例えば、イソプロピルアルコール及びヘキサン等のいくつかの既知の清掃流体を用いて、構成要素及び/またはデバイスを清浄してもよい。いくつかの既知の接着剤または糊も同様に製造過程で用いられ得る。追加的に、既知のシリコン処理及び/または潤滑流体及び処理が、新規の構成要素及びデバイスの製造中に用いられ得る。さらに、既知の滅菌過程が、最終製品の滅菌性を保証するために製造または組み立て段階のうちの1つ以上で用いられ得る。
駆動機構は、いくつかの手法で組み立てられ得る。1つの組み立て方法において、薬物容器9450は最初に組み立てられ、使用者への送達用の流体で充填され得る。薬物容器9450は、キャップ9452、穿通可能なシール9456、バレル9458、及びプランジャシール9460を含む。穿通可能なシール9456は、バレル9458の遠位端において、キャップ9452とバレル9458との間に固定的に係合され得る。バレル9458は、バレル9458の近位端からのプランジャシール9460の挿入前に、開口近位端を通して薬物流体で充填されてもよい。任意選択的な接続マウント9454は、穿通可能なシール9456の遠位端に据え付けられ得る。接続マウント9454は、薬物容器9450のバレル9458内への流体通路接続子の穿通部材の挿入をガイドし得る。薬物容器9450は、その後、駆動ハウジング94130の遠位端に据え付けられ得る。駆動ラック94110Aを有するピストン94110は、駆動機構ハウジング94130内に据え付けられ、駆動ピニオン94120及び歯車駆動歯車94520に接続されてもよい。駆動ピニオン94120は、それが少なくとも部分的に駆動ハウジング94130の中に延出して、操作のために駆動ラック94110Aに係合するように、駆動機構ハウジング94130に隣接する位置に定置される。
流体通路接続子、及び具体的には流体通路接続子の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップ及び/または穿通可能なシールに接続され得る。流体導管は、流体通路が、開放、接続、または別様に有効化されているときに、使用者の身体内への薬物送達のために薬物容器、流体通路接続子、流体導管、挿入機構から、かつカニューレを通って直接移動するように、それ自体が挿入機構に接続されている流体通路接続子の他の端部に接続され得る。流体流のための通路を構成する構成要素が次に組み立てられる。これらの構成要素は、図92Bに示されるように、いくつかの既知の方法によって滅菌され、その後、固定的にまたは着脱自在に薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに据え付けられ得る。
本開示の幅及び範囲内に留まりながら、駆動機構94100または薬物送達デバイス9410のある特定の任意選択的な標準的な構成要素または変形形態が企図される。例えば、図92Aに示されるように、上部または下部ハウジングは、使用者が薬物送達デバイス9410の動作を見るか、または薬物用量が完了したことを検証することを可能にするために、任意選択で1つ以上の透明または半透明窓9418を含み得る。同様に、薬物送達デバイス9410は、接着パッチ9426及びパッチライナー9428をハウジング9412の底部表面上に含み得る。接着パッチ9426は、薬物送達デバイス9410を薬物用量の送達のために使用者の身体に接着するために利用され得る。当業者には容易に理解されようが、接着パッチ9426は、使用者の身体への薬物送達デバイスの接着のための接着面を有し得る。接着パッチ9426は、最初は、非接着パッチライナー9428によって被覆されていてもよく、これは、使用者の身体と接触した薬物送達デバイス10の定置の前に接着パッチ9426から取り外される。パッチライナー9428の取り外しはさらに、挿入機構94200の封止膜94254を取り外し、薬物送達のために使用者の身体に対して挿入機構を開放する(図92Cに示されるように)。
同様に、制御送達駆動機構94100及び薬物送達デバイス9410の構成要素のうちの1つ以上は、機能的に本開示の幅及び範囲内に留まりながら修正され得る。例えば、上述のように、薬物送達デバイス9410のハウジングは、上部ハウジング9412A及び下部ハウジング9412Bの2つの別個の構成要素として示されているが、これらの構成要素は、単一の統合された構成要素であってもよい。上記で考察したように、糊、接着剤、もしくは他の既知の材料、または方法を利用して、可変速度制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素を互いに貼着してもよい。代替的に、可変速度制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素は、統合された構成要素であり得る。例えば、上部ハウジング及び下部ハウジングは、糊または接着剤、ねじ嵌め接続、締まり嵌め、融着接合、溶接、超音波溶接等によって一緒に貼着された別個の構成要素であってもよく、または上部ハウジング及び下部ハウジングは、単一の統合された構成要素であってもよい。かかる標準的な構成要素及び機能的変形形態は当業者には理解され得、したがって、本開示の幅及び範囲内である。
上記の説明から、本明細書に開示される駆動機構及び薬物送達デバイスが、薬物容器からの自動化薬物送達のために効率的かつ容易に操作されるシステムを提供することが理解されよう。本明細書に記載の新規の実施形態は、原薬の制御された送達のための駆動機構、及びかかる駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、所望の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。本開示の新規の駆動機構は、使用者によって直接的または間接的に作動され得る。さらに、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスの新規の構成は、貯蔵中、輸送中、及びデバイスの操作を通して、流体通路の滅菌状態を維持する。薬物流体がデバイス内で移動する通路が完全に滅菌状態で維持されるため、これらの構成要素は、製造過程中に滅菌される必要があるのみである。かかる構成要素には、駆動機構の薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構が含まれる。本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システム、アセンブリプラットフォーム、制御アーム、作動機構、ハウジング、及び他の構成要素は、滅菌される必要がない。これは、デバイスの製造性を大幅に改善し、関連する組み立て費用を低減する。したがって、本開示のデバイスは、組み立ての完了時に最終滅菌を必要としない。
薬物送達デバイスの製造は、制御送達駆動機構及び薬物容器の両方を、別個にまたは組み合わせた構成要素として、薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付ける工程を含む。製造方法は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングへの流体通路接続子、薬物容器、及び挿入機構の取り付けをさらに含む。電力・制御システム、作動機構、及び制御アームを含めた、上述の薬物送達デバイスの追加の構成要素は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付けられるか、予備形成されるか、または予め組み立てられ得る。接着パッチ及びパッチライナーは、デバイスの動作中に使用者と接触する薬物送達デバイスのハウジング表面に取り付けられ得る。
薬物送達デバイスを操作する方法は、使用者によって作動機構を作動させる工程と、制御アームを変位させて挿入機構を起動する工程と、電力・制御システムを起動して制御送達駆動機構を作動させて、制御された速度または薬物送達プロファイルに従って薬物送達デバイスを通る流体薬物流を駆動する工程と、を含む。本方法は、作動機構を作動させる前に任意選択的なオンボディセンサを係合させる工程をさらに含み得る。本方法は、同様に、流体通路接続子と薬物容器との間の接続を確立する工程を含み得る。さらに、操作方法は、薬物容器内でピストン上に(直接的または間接的に)作用するねじりぜんまいばにねよって加えられた力によって制御送達駆動機構内でプランジャシールを平行移動させて、使用者の身体への流体薬物の送達のために薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構に流体薬物流を押し通すことを含み得、ぜんまいばねによって加えられる力を制限するように作用する調節機構は、ピストンの自在な軸方向平行移動を計るために利用される。挿入機構及び薬物送達デバイスの操作方法は、上述のように、図96A~96C及び図97A~97Cを参照してより良好に理解され得る。
XIV.多機能駆動機構の追加の実施形態
少なくとも図1A~2B、33A~33C、69A~73D、80A~85C、86A~91、及び92~99に関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図100A~109Bに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図100A~109Bに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の駆動機構100、6100、8100、9010、9210、9310、もしくは9410、または本明細書に記載の任意の他の駆動機構を置き換えてもよい。
本開示は、原薬の制御された送達のための可変速度駆動機構、可変速度駆動機構を有する薬物送達ポンプ、かかるデバイスを操作する方法、及びかかるデバイスの組み立て方法を提供する。特に、本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御する。本開示の新規の実施形態は、故に、可変速度で薬物を送達することが可能である。本開示の可変速度駆動機構は、以下に詳細に説明されるように、所望の送達速度またはプロファイルを満たすために、電力・制御システムによる制御によって予め構成され得るか、または動的に構成され得る。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、駆動機構の1つ以上の構成要素の軸方向平行移動の物理的終了に関連するため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。これらの機構を通して、薬物用量送達の確認が使用者または投与者に正確に提供され得る。したがって、本開示の新規のデバイスは、上記のもの等の先行技術のデバイスに関連する問題のうちの1つ以上を軽減する。
第1の実施形態において、本開示は、少なくとも部分的にその中にピストンの内部管腔内で初期付勢状態に位置付けられた偏倚部材が常在する駆動機構ハウジングを含む可変速度制御送達駆動機構を提供する。駆動機構は、をさらに含み得る。歯車及び実質的に軸方向の内部パススルーを有する歯車駆動装置と、少なくとも部分的に軸方向の内部パススルー内に常在する第1のねじであって、該第1のねじも実質的に軸方向のパススルー及び第1の外部ピッチを有し、第1の外部ピッチは、歯車駆動装置の内部パススルー内に常在する第1のナットに係合するように構成されている、第1のねじと、第2の外部ピッチを有する第2のねじに係合するように構成された第2のナットであって、該第2のナットはピストンの軸方向ポスト内に位置付けられ、該軸方向ポスト及び第2のナットは、少なくとも部分的に第1のねじの軸方向パススルー内に常在するように位置付けられている、第2のナットと、をさらに含み得る。ピストンは、プランジャシールに隣接するインターフェース表面を有し、偏倚部材その上にアサートされた力によって、薬物送達のために薬物容器内で第1の位置から第2の位置へとプランジャシールを軸方向に平行移動させるように構成されている。偏倚部材は、部材は、その付勢状態からの自在な拡張を計測されるか、または別様に制限される。第1のナットは、歯車駆動装置に回転して制約され(すなわち位置決めされ)、第2のナットは、ピストンに回転して制約されている。
別の実施形態において、本開示は、少なくとも部分的にその中にピストンの内部管腔内で初期付勢状態に位置付けられた偏倚部材が常在する駆動機構ハウジングを有する可変速度制御送達駆動機構を提供する。歯車は、ナットに係合するように構成された外部ピッチを有する駆動ねじの近位端に接続され得る。ナットは、ピストンに回転して制約されている(すなわち、位置決めされている)。ピストンは、プランジャシールに隣接するインターフェース表面を有し、偏倚部材その上にアサートされた力によって、薬物送達のために薬物容器内で第1の位置から第2の位置へとプランジャシールを軸方向に平行移動させるように構成されている。偏倚部材は、その付勢状態からの自在な拡張を計測されるか、または別様に制限される。
少なくとも1つの実施形態において、駆動機構は、モータを有する歯車アセンブリ機構をさらに含み得、歯車アセンブリ機構は、歯車に係合して、偏倚部材のその付勢状態からの自在な拡張を計るように構成されている。モータを有する歯車アセンブリ機構は、モータから延出するピニオンと、各々第1の歯車及び第2の歯車を有する1つ以上の複合歯車と、をさらに含み得、ピニオンは、トリガ歯車と接触する1つ以上の複合歯車と接触し、トリガ歯車は歯車と接触して、駆動機構の運動を伝える。モータによる偏倚部材の計測は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御する。
さらなる実施形態において、駆動機構は、1つ以上の対応するステータストリガを読み取るかまたはそれを認識するように構成されたステータスリーダを含み、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、例えば、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、トリガ歯車の歯車の歯であり、機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、トリガ歯車の歯車の歯であり、機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、ピストン及び/もしくはスリーブ任意選択のスリーブの外部特徴であるか、または光学的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、ピストン及び/もしくは任意選択のスリーブの外部特徴である。モータを有する歯車アセンブリ機構の機能は、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすために、予めプログラムされるか、または電力・制御システムによって動的に制御されてもよい。
なおも別の実施形態において、本開示は、可変速度制御送達機構を有する薬物送達ポンプを提供する。駆動機構は、上述のようであり得る。少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスは、モータを有する歯車アセンブリ機構をさらに含み得、歯車アセンブリ機構は、歯車に係合して、偏倚部材のその付勢状態からの自在な拡張を計るように構成されている。モータを有する歯車アセンブリ機構は、モータから延出するピニオンと、各々第1の歯車及び第2の歯車を有する1つ以上の複合歯車と、をさらに含み得、ピニオンは、トリガ歯車と接触する1つ以上の複合歯車と接触し、トリガ歯車は歯車と接触して、駆動機構の運動を伝える。モータによる偏倚部材の計測は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御する。
さらなる実施形態において、薬物送達デバイスは、1つ以上の対応するステータストリガを読み取るかまたはそれを認識するように構成されたステータスリーダを含み、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、例えば、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、トリガ歯車の歯車の歯であり、機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、トリガ歯車の歯車の歯であり、機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、ピストン及び/もしくはスリーブ任意選択のスリーブの外部特徴であるか、または光学的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、ピストン及び/もしくは任意選択のスリーブの外部特徴である。モータを有する歯車アセンブリ機構の機能は、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすために、予めプログラムされるか、または電力・制御システムによって動的に制御されてもよい。
本開示は、原薬の制御された送達のための可変速度駆動機構、及びかかる可変速度駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の可変速度駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の可変速度駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、可変速度駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。
本開示の新規のデバイスは、一体型のステータス表示を有する可変速度制御送達駆動機構及びかかる駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。かかるデバイスは、自己投与する患者にとって、安全で使用が容易であり、審美的かつ人間工学的に魅力がある。本明細書に記載のデバイスは、未訓練の使用者にとってさえも本デバイスの作動、操作、及びロックアウトを単純にする特徴を組み込む。本開示の新規のデバイスは、既知の先行技術のデバイスに関連する問題のうちのいずれも伴わずに、これらの望ましい特徴を提供する。新規の薬物送達ポンプ、駆動機構、及びそれらのそれぞれの構成要素のある特定の非限定的な実施形態が、付随する図を参照しながら本明細書にさらに記載される。
また、本明細書で使用されるとき、「ポンプ」及び「送達デバイス」という用語は、作動時に流体を使用者に分注することが可能である任意の数の薬物送達システムを含むことを意図する。かかる薬物送達システムには、例えば、注入システム、輸液ポンプ、ボーラス注入装置、オンボディ注入装置等が含まれるが、これらに限定されない。図100A~100Cは、例示的な薬物送達デバイスまたは本開示の少なくとも1つの実施形態による薬物送達デバイスを示す。薬物送達デバイスを利用して、使用者の体内への薬物治療剤の送達を施してもよい。図100A~100Cに示されるように、薬物送達デバイス9510は、ポンプハウジング9512を含む。ポンプハウジング9512は、薬物送達デバイスのより容易な製造、組み立て、及び操作の便宜を図るために固定的に係合可能である、1つ以上のハウジング部分構成要素を含み得る。例えば、薬物送達デバイス9510は、上部ハウジング9512A及び下部ハウジング9512Bを含むポンプハウジング9512を含む。薬物送達デバイスは、作動機構9514、ステータスインジケータ9516、及び窓9518をさらに含み得る。窓9518は、薬物送達デバイスの操作がそれを通して見られ得る、任意の半透明または透過性表面であってよい。図100Bに示されるように、薬物送達デバイスは、アセンブリプラットフォーム9520、滅菌流体導管9530、薬物容器9550を有する駆動機構95100、挿入機構95200、流体通路接続子95300、及び電力・制御システム95400をさらに含む。かかる薬物送達デバイスの構成要素のうちの1つ以上は、それらが、例えば、製造中に別個の構成要素として予め組み立てられ、薬物送達デバイス9510のアセンブリプラットフォーム9520の上の所定の位置に収まるよう構成され得るという点で、モジュール式であり得る。
ポンプハウジング9512は、デバイスの構成要素の全てを含み、デバイス9510を使用者の皮膚に着脱自在に取り付ける手段を提供する。ポンプハウジング9512はまた、デバイス9510の内部構成要素に環境的影響からの保護を提供する。ポンプハウジング9512は、未訓練の及び/または身体障害のある場合がある使用者による容易な包装、貯蔵、取り扱い、及び使用の便宜を図るために、サイズ、形状、及び関連する特徴において人間工学的に及び審美的に設計される。さらに、ポンプハウジング9512の外面を利用して、製品ラベル、安全性指示等を提供してもよい。追加的に、上述のように、ハウジング9512は、操作フィードバックを使用者に提供し得る、ステータスインジケータ9516及び窓9518等のある特定の構成要素を含み得る。
少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイス9510は、使用者が変位させて電力・制御システム95400への開始コマンドをトリガする、作動機構9514を提供する。好ましい実施形態において、作動機構は、上部ハウジング9512Aと下部ハウジング9512Bとの間の開口部を通して等、ポンプハウジング9512を通して位置し、電力・制御システム95400の制御アーム9540に接触する、開始ボタン9514である。少なくとも1つの実施形態において、開始ボタン9514は、押しボタンであり得、他の実施形態においては、オン/オフスイッチ、トグル、または当該技術分野で既知の任意の同様の作動特徴であり得る。ポンプハウジング9512はまた、ステータスインジケータ9516及び窓9518も提供する。他の実施形態においては、作動機構9514、ステータスインジケータ16、窓9518のうちの1つ以上、及びそれらの組み合わせが、例えば、薬物送達デバイス9510が使用者の身体上に定置されるときに使用者に見える側等の、上部ハウジング9512Aまたは下部ハウジング9512B上に提供され得る。ハウジング9512は、本開示の他の構成要素及び実施形態を参照しながらこれ以降でさらに詳述される。
薬物送達デバイスは、作動機構を押し下げることにより使用者が作動させると、薬物送達デバイスが始動されて、流体通路を使用者の中に挿入することと、薬物容器、流体通路、及び滅菌流体導管の間の必要な接続を有効化する、接続する、または開通させることと、薬物容器に格納された薬物流体を、使用者の中への送達のために流体通路及び流体導管に押し通すこととを行うように構成されている。1つ以上の任意選択的な安全性機構を利用して、例えば、薬物送達デバイスの時期尚早な作動を防止してもよい。例えば、任意選択的なオンボディセンサ9524(図100Cに示される)が、一実施形態において、薬物送達デバイス9510が使用者の身体と接触していない限り、電力・制御システム95400、または作動機構が係合され得ないことを保証する安全性特徴として提供されてもよい。かかる一実施形態において、オンボディセンサ9524は、使用者の身体と接触するようになり得る、下部ハウジング9512Bの底部に位置する。オンボディセンサ9524が変位すると、作動機構の押し下げが許容される。したがって、少なくとも1つの実施形態において、オンボディセンサ9524は、作動機構9514による薬物送達デバイス9510のトリガを防止する、例えば機械的ロックアウト等の、機械的安全性機構である。別の実施形態において、オンボディセンサは、信号を電力・制御システム95400に送信して作動を許容する機械的ロックアウト等の、電気機械的センサであり得る。依然として他の実施形態において、オンボディセンサは、電力・制御システム95400の作動を許容する前に組織を検出しなければならない、例えば、静電容量ベースまたはインピーダンスベースのセンサ等の電気ベースであり得る。これらの概念は、相互排他的なものではなく、本開示の範囲内で1つ以上の組み合わせを利用して、例えば、薬物送達デバイスの時期尚早な作動を防止してもよい。好ましい実施形態において、薬物送達デバイス9510は、1つ以上の機械的オンボディセンサを利用する。追加の一体型安全性機構は、新規の薬物送達デバイスの他の構成要素を参照して本明細書に記載される。
XIV.A.電力・制御システム
電力・制御システム95400は、薬物送達デバイス内の種々の電気構成要素にエネルギーを提供する、電源、1つ以上のフィードバック機構、マイクロコントローラ、回路基板、1つ以上の伝導性パッド、及び1つ以上の相互接続部を含む。当業者には理解されようが、かかる電気システムで一般的に使用される他の構成要素もまた含まれてもよい。1つ以上のフィードバック機構は、例えば、ピエゾアラーム等の可聴アラーム及び/または発光ダイオード(LED)等の光インジケータを含み得る。マイクロコントローラは、例えば、マイクロプロセッサであり得る。電力・制御システム95400は、使用者とのデバイスのいくつかの相互作用を制御し、駆動機構95100とインターフェース接続する。一実施形態において、電力・制御システム95400は、制御アーム9540とインターフェース接続して、オンボディセンサ9524及び/または作動機構9514が作動されているときを特定する。電力・制御システム95400はまた、使用者に視覚フィードバックを提供するために光移送を許容する透過性または半透明の材料であり得る、ポンプハウジング9512のステータスインジケータ9516とインターフェース接続し得る。電力・制御システム95400は、1つ以上の相互接続を通して駆動機構95100とインターフェース接続して、作動、薬物送達、及び投薬終了等のステータス表示を患者に中継する。かかるステータス表示は、聴覚トーンを介して、例えば可聴アラームにより、及び/または視覚インジケータを介して、例えばLEDにより、使用者に提示され得る。好ましい実施形態において、電力・制御システムと薬物送達デバイスの他の構成要素との間の制御インターフェースは、使用者が作動させるまで係合または接続されない。これは、薬物送達デバイスの偶発的な操作を防止し、さらに、貯蔵、輸送等の間に電源内に収容されるエネルギーを維持し得る、望ましい安全性特徴である。
電力・制御システム95400は、いくつかの異なるステータスインジケータを使用者に提供するように構成され得る。例えば、電力・制御システム95400は、オンボディセンサ及び/またはトリガ機構が押圧された後に、デバイス起動点検により何のエラーも報告されなければ、電力・制御システム95400がステータスインジケータ9516を介して開始準備完了ステータス信号を提供するように、構成され得る。開始準備完了ステータス信号を提供した後に、任意選択的なオンボディセンサを有する実施形態において、オンボディセンサが使用者の身体と接触したままである場合、電力・制御システム95400は、駆動機構95100に電力供給して、流体通路接続子95300及び滅菌流体導管9530を通した薬物治療剤の送達を開始する。本開示の好ましい実施形態において、挿入機構95200及び流体通路接続子95300は、作動機構9514の使用者による操作によって直接、作動するようにされ得る。薬物送達過程中、電力・制御システム95400は、ステータスインジケータ9516を介して分注ステータス信号を提供するように構成される。薬物が使用者の身体内に投与された後、及び実質的に全用量が使用者に送達されたことを確実にするためのいずれの追加の滞留時間の終了後、電力・制御システム95400は、ステータスインジケータ9516を介して取り外し可ステータス信号を提供し得る。これは、使用者がポンプハウジング9512の窓18を通して駆動機構及び薬物用量送達を見ることによって、独立して検証され得る。追加的に、電力・制御システム95400は、ステータスインジケータ9516を介して、例えば、故障または動作不具合状況を示す警報等の1つ以上の警報信号を提供するように構成され得る。
電力・制御システム95400は加えて、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように駆動機構95100を動的に制御するための、使用者からの種々の入力を受け入れるように構成され得る。例えば、電力・制御システム95400は、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように電力・制御システム95400を介して駆動機構95100の制御を設定、始動、停止、あるいは調整するための、例えば、作動機構9514の部分的または完全な作動、押し下げ、及び/または解放による入力を受信し得る。同様に、電力・制御システム95400は、薬物用量体積を調整する、駆動機構、流体通路接続子、及び流体導管をプライミングする、ならびに/または駆動機構95100の操作を開始、停止、もしくは一時停止するような入力を受信するように構成され得る。かかる入力は、例えば、作動機構9514もしくは異なる制御インターフェースの使用により、使用者が薬物送達デバイス9510に直接働きかけることによって受信されてもよく、またはシステム95400は、かかる入力を遠隔デバイスから受信するように構成されてもよい。加えてまたは代替的に、かかる入力は、予めプログラムされてもよい。
他の電力・制御システム構成は、本開示の新規の薬物送達デバイスと共に利用され得る。例えば、ある特定の作動遅延が、薬物送達中に利用され得る。上述のように、システム構成内に任意選択で含まれる1つのかかる遅延は、完了を使用者に信号伝達する前に実質的に全薬物用量が送達されていることを確実にする、滞留時間である。同様に、デバイスの作動は、薬物送達デバイスの作動前に、薬物送達デバイス9510の作動機構9514の遅延した押し下げ(すなわち、押圧)を必要とし得る。追加的に、システムは、使用者が投薬終了信号に応答すること、及び薬物送達デバイスを作動停止するまたはその電源を切ることを許容する特徴を含み得る。かかる特徴は同様に、停止デバイスの偶発的な作動を防止するために、作動機構の遅延した押し下げを必要とし得る。かかる特徴は、薬物送達デバイスに対する望ましい安全性一体化機構及び使い勝手の良いパラメータを提供する。追加の安全性特徴が、薬物送達デバイスの部分的押し下げ、及びしたがって、部分的作動を防止するために作動機構に一体化されてもよい。例えば、作動機構及び/または電力・制御システムは、部分的作動を防止するために、デバイスが完全にオフまたは完全にオンのいずれかであるように構成され得る。かかる特徴は、新規の薬物送達デバイスの他の態様に関してこれ以降でさらに詳述される。
XIV.B.流体通路接続子
いくつかの流体通路接続子が、本開示の実施形態内で利用され得る。一般に、好適流体通路接続子は、滅菌流体導管、穿通部材、及び薬物容器に取り付けられた滅菌スリーブまたは薬物容器内に一体化された摺動型の穿通可能なシールを含む。流体通路接続子は、1つ以上の流れ制限部をさらに含み得る。送達デバイス9510の適切な作動時に、流体通路接続子95300は、滅菌流体導管9530を駆動機構95100の薬物容器に接続するように有効化される。かかる接続は、駆動機構95100の薬物容器の穿通可能なシールを突き通す、針等の穿通部材によって容易にされる。この接続の滅菌性は、可撓性滅菌スリーブ内で接続を行うことによって維持され得る。挿入機構の実質的に同時の作動時に、薬物容器と挿入機構との間の流体通路が完成して、使用者の身体内への薬物送達を許容する。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、流体通路接続子の穿通部材は、使用者の直接行為、例えば、使用者による作動機構の押し下げによって、駆動機構の薬物容器の穿通可能なシールを突き通すようにされる。例えば、作動機構自体は、作動機構のその元の位置からの変位が流体通路接続子の変位もまた引き起こすように、流体通路接続子上で支えられてもよい。かかる一実施形態において、流体通路接続子は、国際特許出願第PCT/US2012/054861号に記載されるものと実質的に同様であり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。かかる実施形態によれば、接続は、使用者が所望するまで流体が薬物容器から流れるのを防止するという理由で、使用者が作動機構を押し下げ、それによって、穿通可能なシールを通して穿通部材を駆動することによって有効化される。かかる実施形態において、圧縮性の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップと流体通路接続子の接続ハブとの間に固定的に取り付けられてもよい。穿通部材は、流体接続通路と薬物容器との間の接続が所望されるまで、滅菌スリーブ内に常在し得る。滅菌スリーブは、作動前の穿通部材及び流体通路の滅菌性を保証するために滅菌され得る。
代替的に、流体通路接続子は、参照によりその全体が全目的で本明細書に含まれる国際特許出願第PCT/US2013/030478号に記載されるように、薬物容器内に一体化され得る。かかる実施形態によれば、薬物容器は、穿通可能なシールとプランジャシールとの間でバレル内に薬物チャンバを有し得る。薬物流体は、薬物チャンバに収容される。使用者による作動デバイスの作動時に、駆動機構は、薬物容器に収容されたプランジャシールに力を及ぼす。プランジャシールが薬物流体及びいずれの空気/ガスの間隙または気泡に力を及ぼすと、空気/ガス及び薬物流体の圧縮によって空気圧及び液圧の組み合わせが蓄積し、この力が、摺動型の穿通可能なシールに引き継がれる。摺動型の穿通可能なシールは、キャップの方へ摺動させられて、一体型の滅菌流体通路接続子内に保持された穿通部材によって穿通されることになる。したがって、一体型の滅菌流体通路接続子は、駆動機構の作動によって生み出された、薬物チャンバ内の空気/ガス及び薬物流体の組み合わせた空気圧/液圧の力によって接続される(すなわち、流体通路が開通される)。いったん一体型の滅菌流体通路接続子が接続されるか、または開通されると、薬物流体は、薬物送達のために薬物容器から、一体型の滅菌流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通って、そして使用者の体内へと流れることを許容される。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構のマニホールドならびにカニューレ及び/または針のみを通って流れ、それによって、薬物送達前及び送達中に流体通路の滅菌性を維持する。
薬物送達デバイスによって利用される流体通路接続子を問わず、薬物送達デバイスは、異なる粘度及び体積を有する様々な薬物を送達可能である。薬物送達デバイスは、制御された流速(速度)で及び/または指定の体積の薬物を送達可能である。一実施形態において、薬物送達過程は、流体通路接続子及び/または滅菌流体導管内で1つ以上の流れ制限部によって制御される。他の実施形態において、他の流速が、流体流路または送達導管の幾何形状を変化させることによって、駆動機構の構成要素が薬物容器の中へと前進してその中の薬物を分注する速度を変化させることによって、またはそれらの組み合わせによって、提供されてもよい。流体通路接続子95300及び滅菌流体導管9530についての依然としてさらなる詳細が、これ以降、他の実施形態を参照して後の節で提供される。
XIV.C.挿入機構
いくつかの挿入機構が、本開示の薬物送達デバイス内で利用され得る。本開示のポンプ式送達デバイスは、例えば、任意の好適な中空チューブを通して、流体流連通によって患者または使用者に接続され得る。固形針を用いて、患者の皮膚を穿通し、中空カニューレを適切な送達位置に定置してもよく、固形針は、患者への薬物送達の前に取り外されるかまたは後退される。上記のように、流体は、自動的に挿入された針、カニューレ、微小針アレイ、または輸液セットチューブを含むがこれらに限定されない任意の数の手段を通して身体内に誘導され得る。いくつかの機構は、患者への針の挿入を作動させるためにも用いられ得る。例えば、ばね等の偏倚部材は、針及びカニューレを患者の皮膚に穿通させるために十分な力を提供するために用いられる。同じばね、追加のばね、または別の同様の機構を利用して、針を患者から後退させることができる。好ましい実施形態において、挿入機構は、一般に、国際特許出願第PCT/US2012/53174号に記載されるようなものであり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に含まれる。かかる構成は、患者への痛みを最小限に抑える方法で患者の皮膚(または筋肉)内またはその下への薬物送達通路の挿入のために利用されてもよい。流体通路の挿入のための他の既知の方法が利用されてもよく、本開示の範囲内であることが企図される。
少なくとも1つの実施形態において、挿入機構95200は、1つ以上のロックアウト窓、ならびにアセンブリプラットフォーム及び/またはポンプハウジングへの接続のための基部を有する挿入機構ハウジングを含む(図100B及び図100Cに示されるように)。アセンブリプラットフォーム9520への基部の接続は、例えば、基部の底部がアセンブリプラットフォーム内の穴を通過することが許容されて、使用者の身体への基部の直接的な接触を許容するようなものであり得る。かかる構成において、基部の底部は、薬物送達デバイス9510の使用前に取り外し可能な封止膜を含み得る。挿入機構は、1つ以上の挿入偏倚部材、針、後退偏倚部材、カニューレ、及びマニホールドをさらに含み得る。マニホールドは、滅菌流体導管30に接続して、薬物送達中に、マニホールド、カニューレを通り、かつ使用者の身体への流体流を許容し得る。
本明細書で使用されるとき、「針」は、剛性中空針等の従来の中空針、及びより一般的には「トロカール」と称される中実針を含むがこれらに限定されない様々な針を指すことを意図する。好ましい実施形態において、針は、9527ゲージの中実トロカールであり、他の実施形態において、針は、意図する薬物及び薬物投与(例えば、皮下、筋肉内、皮内等)の種類のための、カニューレを挿入するために好適な任意のサイズの針であり得る。針挿入機構内で滅菌ブーツが利用されてもよい。滅菌ブーツは、近位端においてマニホールドと、かつ遠位端において基部と固定係合している折り畳み式滅菌膜である。少なくとも一実施形態において、滅菌ブーツは、基部と挿入機構ハウジングとの間で遠位端における固定係合に維持される。基部は、以下にさらに記載されるように、挿入機構の動作中に針及びカニューレがそれを通って通過し得る基部開口を含む。カニューレ及び針の滅菌性は、挿入機構の滅菌部分内でのそれらの初期位置付けによって維持される。具体的には、上述のように、針及びカニューレは、マニホールド及び滅菌ブーツの滅菌環境において維持される。基部の基部開口は、例えば封止膜95254(図100Cに示される)によって、非滅菌環境からも閉鎖され得る。
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、挿入機構は初めに、挿入機構ハウジングのロックアウト窓内に初めに位置付けられたロックアウトピン(複数可)によって即時使用可能な段階に係止されている。この初期構成において、挿入偏倚部材及び後退偏倚部材は、それらの圧縮された付勢状態に各々保持されている。図100Bに示されるように、ロックアウトピン(複数可)95208は、作動機構9514の使用者の押し下げによって直接変位し得る。使用者が、任意選択的なオンボディセンサ9524(図100Cに示される)等の任意の安全性機構を係脱すると、作動機構9514が押し下げられて、薬物送達デバイスを始動する。作動機構9514の押し下げは、制御アーム9540の平行移動または変位を直接的に引き起こし得、挿入機構ハウジング95202の係止窓95202A内のそれらの初期位置からのロックアウトピン(複数可)95208の変位を直接的または間接的に引き起こし得る。ロックアウトピン(複数可)95208の変位は、挿入偏倚部材がその初期の圧縮された付勢状態から圧縮解除されることを許容する。挿入偏倚部材のこの圧縮解除は、針及びカニューレを使用者の身体内に駆動する。挿入段階の終わりに、屈折偏倚部材は、その初期の付勢状態から近位方向に拡張することが許容される。屈折偏倚部材の近位方向におけるこの軸拡張は、カニューレを使用者の身体と流体連通に維持しながら、針を屈折させる。したがって、挿入機構を用いて、針及びカニューレを使用者内に挿入し、その後、カニューレを使用者の身体への薬物送達のための位置に保持しながら、針を後退させてもよい。
XIV.D.駆動機構
図101及び102に示される実施形態を参照すると、駆動機構95100は、駆動ハウジング95130と、キャップ9552、穿通可能なシール9556、バレル9558、及びプランジャシール9560を有する薬物容器9550とを含む。穿通可能なシールとプランジャシール9560との間でバレル9558内に位置する薬物チャンバ9521は、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。本明細書に記載のシールは、いくつかの材料から構成され得るが、好ましい実施形態において、1つ以上のエラストマーまたはゴムから構成されている。駆動機構は、薬物容器9550のバレル9558内への流体通路接続子の穿通部材の挿入をガイドするための接続マウント9554をさらに含み得る。駆動機構95100は、本明細書にさらに記載されるように、1つ以上の駆動偏倚部材、1つ以上の解放機構、及び1つ以上のガイドをさらに含み得る。駆動機構の構成要素は、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通る、かつ使用者の身体内への送達のために、穿通可能なシールを通して、または好ましくは流体通路接続子の穿通部材を通して流体を薬物容器から押し出すように機能する。
1つの特定の実施形態において、駆動機構95100は、1つ以上の圧縮ばねを偏倚部材(複数可)として用いる。使用者により薬物送達デバイスが作動されると、電力・制御システムが起動されて、圧縮ばね(複数可)を付勢状態から直接的または間接的に解放し得る。解放されると、圧縮ばね(複数可)は、プランジャシールに対して重みをかけ、かつそれに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。圧縮ばねは、ピストンに対して重みをかけ、かつそれに作用し、これは次いで、プランジャシールに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。流体通路接続子は、駆動機構の作動前、それと同時に、またはその後に穿通可能なシールを通して接続されて、薬物容器から流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通り、かつ使用者の身体内への薬物送達のための流体流を許容し得る。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構のマニホールド及びカニューレのみを通って流れ、それによって、薬物送達前及びその間に流体通路の滅菌性を維持する。かかる構成要素及びそれらの機能は、これ以降でさらに詳細に記載される。
ここで図101及び図95102に示される駆動機構の実施形態を参照すると、駆動機構95100は、キャップ9552、穿通可能なシール9556、バレル9558、及びプランジャシール9560、ならびに任意選択で接続マウント9554を有する薬物容器9550を含む。薬物容器9550は、駆動ハウジング130の遠位端に据え付けられている。駆動偏倚部材95122及びピストン95110は、薬物容器9550とハウジング95130の近位端との間で駆動ハウジング95130内で圧縮され、駆動偏倚部材95122は、本明細書にさらに記載されるように、ピストン95110のインターフェース表面95110C上に支えられるように構成されている。任意選択で、被覆スリーブ95140は、ピストン95110に係合し、偏倚部材95122を被覆して、その初期付勢状態からの拡張時に偏倚部材95122を使用者の視界から隠すために利用され得る。被覆スリーブ95140は、ピストン95110に係合し、かつピストン95110と駆動機構ハウジング95130の遠位端との間でその上で摺動して、その初期付勢状態からの拡張時に偏倚部材95122を使用者の視界から隠すように構成され得る。
図102に示されるように、本開示の可変速度制御送達駆動機構95100は、歯車95520と、実質的に軸方向のパススルー95124Aを有する第1のねじ95124及び第1の外部ピッチ95124Bがその内部に少なくとも部分的に常在する、実質的に軸方向の内部パススルー95120Aと、を有する歯車駆動装置95120を組み組む伸縮式駆動アセンブリを利用してもよい。第1の外部ピッチ95124Bは、歯車駆動装置95120の内部パススルー95120A内にまた常在する(例えば、内部パススルー95120Aの遠位端において)第1のナット95126に係合し、かつその上またはその内部で回転して平行移動するように構成されている。同様に、第2のナット95128は、第1のねじ95124の軸方向パススルー95124A内に常在し、第2の外部ピッチ95132Bを有する第2のねじ95132に係合し、かつそれを回転して平行移動させるように構成されている。より正確には、第2のナット95128は、それ自体が第1のねじ95124の軸方向パススルー124A内に少なくとも部分的に常在している、ピストン95110の軸方向ポスト95110B内に常在する。第2のナット95128は、第2の外部ピッチ95132Bを有する第2のねじ95132に係合し、かつその上またはその周りで回転して平行移動するように構成されている。これらの態様は、図103A~103C及び図104A~104Cを参照して、より明らかに見ることができる。構成要素のこの構成により、及び歯車駆動装置95120の軸方向回転がピストン95110の軸方向平行移動をもたらすことにより、図101、102、103A~103C、及び104A~104Cに示される可変速度制御送達駆動機構は、「伸縮式」駆動機構と称される。歯車駆動装置95120はとりわけ、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。歯車駆動装置95120は、ピストン95110及びプランジャシール9560の運動を制御するが、薬物送達のために必要な力を加えない。代わりに、歯車駆動装置95120は単に、軸方向に平行移動するように偏倚部材95122によって駆動されているピストン95110及びプランジャシール9560の平行移動を計るかまたは許容するにすぎない。ピストン95110及びプランジャシール9560の軸方向平行移動は、偏倚部材95122によって駆動され、かつ歯車駆動装置95120は単に軸方向平行移動を計るかまたは許容するにすぎないため、歯車駆動装置95120によって軸方向平行移動を計るために必要な力または動力は、歯車駆動装置が送達を実際に駆動する場合に必要とされるであろう力または動力よりもはるかに小さい。したがって、本開示の実施形態によってより小さいモータが利用され得る。モータ95530は、したがって、ブラシ付きDCモータ、ECモータ、ステッパモータ、ソレノイド、または制御された動きを生み出すことができる他の技術等の、増分式の動きが可能な様々な電気機械的供給源から選択され得る。少なくとも1つの実施形態において、モータ95530は、最も好ましくは、ステッパモータである。
代替的に、図105、106、107A~107C、及び108A~108Cに示されるような非伸縮式駆動機構が、本開示の実施形態内で利用され得る。ここで図105及び図106に示される駆動機構の実施形態を参照すると、駆動機構951100は、キャップ951052、穿通可能なシール951056、バレル951058、及びプランジャシール951060、ならびに任意選択で接続マウント951054を有する薬物容器951050を含む。薬物容器951050は、駆動ハウジング951130の遠位端に据え付けられている。駆動偏倚部材951122及びピストン951110は、薬物容器951050とハウジング951130の近位端との間で駆動ハウジング951130内で圧縮され、駆動偏倚部材951122は、本明細書にさらに記載されるように、ピストン951110のインターフェース表面951110C上に支えられるように構成されている。図106に示されるように、本開示の可変速度制御送達駆動機構951100は、外部ピッチ951124Bを有する駆動ねじ951124の近位端に接続された歯車951520を組み込む非伸縮式駆動アセンブリを利用してもよい。外部ピッチ951124Bは、ナット951126に係合し、かつその上またはその内部で回転して平行移動するように構成されている。歯車951520及び駆動ねじ951124が軸方向に回転させられると、駆動ねじ951124とナット951126との間の螺合は、偏倚部材951122によるピストン951110の軸方向平行移動を許容する。これらの態様は、図107A~107C及び図108A~108Cを参照して、より明らかに見ることができる。駆動ねじ951124の軸方向回転がピストン951110の軸方向平行移動を直接もたらすため、本開示のかかる実施形態は、本明細書において「非伸縮式」と称される。第1の実施形態に関して上述のように、駆動ねじ951124はとりわけ、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。駆動ねじ951124は、ピストン951110及びプランジャシール951060の運動を制御するが、薬物送達のために必要な力を加えない。代わりに、駆動ねじ951124は単に、軸方向に平行移動するように偏倚部材951122によって駆動されているピストン951110及びプランジャシール951060の平行移動を計るかまたは許容するにすぎない。ピストン951110及びプランジャシール951060の軸方向平行移動は、偏倚部材951122によって駆動され、かつ駆動ねじ951124は単に軸方向平行移動を計るかまたは許容するにすぎないため、駆動ねじ951124によって軸方向平行移動を計るために必要な力または動力は、駆動ねじが送達を実際に駆動する場合に必要とされるであろう力または動力よりもはるかに小さい。したがって、本開示の実施形態によってより小さいモータが利用され得る。モータ951530は、したがって、ブラシ付きDCモータ、ECモータ、ステッパモータ、ソレノイド、または制御された動きを生み出すことができる他の技術等の、増分式の動きが可能な様々な電気機械的供給源から選択され得る。少なくとも1つの実施形態において、モータ951530は、最も好ましくは、ステッパモータである。
図103A~103C及び図104A~104Cは、図101~102に示される実施形態による、作動、原薬の制御送達、及び薬物送達の完了を通して進行する、伸縮式駆動機構構成を有する可変速度制御送達駆動機構の進行を示す。示されるように、原薬の送達のためのプランジャシール9560を薬物チャンバ9521から押し出すために使用される偏倚部材95122の自在な軸方向平行移動を計るかまたは別様に防止するために、モータ95530を有する歯車伝動アセンブリ95500を利用してもよい。歯車伝動アセンブリ95500は、図109A~109Bを参照して以下にさらに詳述される。電力・制御システムの起動等によって、可変速度制御送達駆動機構95100が使用者により起動されると、モータ95530は歯車伝動アセンブリ95500を回転させるようにされ、それにより同様に歯車95520を回転させる。モータ95530のかかる作動と実質的に同時にまたはその前に、偏倚部材95122は、係止解除されるか、または別様にその初期付勢状態から解放することを許容される。偏倚部材95122は、駆動機構ハウジング95130内に位置付けられ、駆動機構ハウジング95130とピストン95110の内部インターフェース表面95110Cとの間で初期付勢状態に保持される。かかる係止解除または解放に際し、偏倚部材95122が制限されていないかまたは別様に計測されていない場合、偏倚部材95122は、ピストン95110(及びインターフェース表面95110Cの反対側の上でピストン95110に実質的に隣接して位置するプランジャシール9560)に作用し、それを押圧して、薬物送達のためにプランジャシール60を駆動することになる。本開示の新規の可変速度制御送達駆動機構は、偏倚部材95122の拡張のかかる制限または計測を提供するように構成される。電力・制御システムによって予めプログラムされるかまたは動的に制御され得る所望の薬物送達速度またはプロファイルに応じて、歯車アセンブリ機構95500のモータ95530は、偏倚部材95122の軸方向拡張、及び故に、ピストン95110及びプランジャシール9560の軸方向平行移動を増分的に許容するように機能し得る。
歯車アセンブリ機構95500の構成要素がモータ530の機能及び対応する歯車の相互作用によって回転させられると、歯車95520が回転させられる。歯車駆動装置95120は、歯車9520の軸方向回転が歯車駆動95120の軸方向回転をもたらすように、歯車95520に接続されているか、またはその一部として形成されている。歯車駆動装置95520は、実質的に軸方向のパススルー95124A及び第1の外部ピッチ95124Bを有する第1のねじ95124がその内部に少なくとも部分的に常在する、実質的に軸方向の内部パススルー95120を有する。第1の外部ピッチ95124Bは、歯車駆動装置95120の内部パススルー95120A内にまた常在する(例えば、内部パススルー95120Aの遠位端において)第1のナット95126に係合し、かつその上またはその内部で回転して平行移動するように構成されている。第1のナット95126は、歯車駆動装置95120の内部パススルー95120A内で回転して位置決めされる(すなわち、制約される)か、または別様に所定の位置に保持されている(が、軸方向に平行移動することは許容される)。上述のように、駆動機構が使用者によって作動されると、偏倚部材95122は、駆動機構によって計測または制限されているピストン95110に力を加えることになる。歯車駆動装置95120が軸方向に回転させられると、第1のナット95126の歯車駆動95120との位置決めされた係合及び第1のねじ95124の対応する歯車の歯と第1のナット95126との間の可動可動係合(第1の外部ピッチ95124Bにおける)は、第1のねじ95124の軸方向平行移動を許容する。同様に、第2のナット95128は、第1のねじ95124の軸方向パススルー95124A内に常在し、第2の外部ピッチ95132Bを有する第2のねじ95132に係合し、かつそれを回転して平行移動させるように構成されている。より正確には、第2のナット95128は、それ自体が第1のねじ95124の軸方向パススルー95124A内に少なくとも部分的に常在している、ピストン95110の軸方向ポスト95110B内に常在する。第2のナット95128は、第2の外部ピッチ95132Bを有する第2のねじ95132に係合し、かつその上またはその周りで回転して平行移動するように構成されている。
したがって、第1のねじ95124の軸方向回転(及び平行移動)は、第2のねじ95132の軸方向回転及び軸方向平行移動を許容する。したがって、歯車95520及び歯車駆動装置95120の軸方向回転は、第1のねじ95124の軸方向回転及び軸方向平行移動をもたらす。これは、図103A~図103B~図103Cにおける移行、及び図104A~図104B~図104Cにおける移行で示される。偏倚部材95122がピストン95110に力を加えているため、駆動機構の構成要素による計測は、偏倚部材95122がピストン95110及びプランジャシール9560を、制御された薬物送達のための可変の速度のまたはプロファイルで軸方向に平行移動させることを許容する。
本開示の可変速度制御送達駆動機構は当然、第1の外部ピッチ95124Bの第2の外部ピッチ95132Bに対するピッチ比及びそれらのそれぞれの第1のナット95126及び第2のナット95128との相互作用を操作すること等によって、第1のねじ及び第2のねじの両方が同時に軸方向に平行移動させられるように構成され得る。上述のように、歯車駆動装置95120はとりわけ、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。歯車駆動装置95120は、ピストン19510及びプランジャシール9560の運動を制御するが、薬物送達のために必要な力を加えない。代わりに、歯車駆動装置95120は単に、軸方向に平行移動するように偏倚部材95122によって駆動されているピストン95110及びプランジャシール9560の平行移動を計るかまたは許容するにすぎない。ピストン95110及びプランジャシール9560の軸方向平行移動は、偏倚部材95122によって駆動され、かつ歯車駆動装置95120は単に軸方向平行移動を計るかまたは許容するにすぎないため、歯車駆動装置95120によって軸方向平行移動を計るために必要な力または動力は、歯車駆動装置が送達を実際に駆動する場合に必要とされるであろう力または動力よりもはるかに小さい。任意選択で、ピストン95110が偏倚部材95122によって軸方向に平行移動させられるときに、偏倚部材95122及び他の内部構成要素の可視性を使用者から隠すために任意選択的な被覆スリーブ140を利用してもよい。被覆スリーブ95140はまた、例えば、駆動機構ハウジング95130及びピストン95110を含む、駆動機構の非回転式(歯車駆動装置95120に対して)構成要素間の回転して固定された関係の維持を補助し得る。この回転による制約は、ねじ及び対応するナットが軸方向に回転することを許容し、ピストンは軸方向に平行移動することを許容される。これらの図に示される実施形態は、圧縮位置にあるときにより小さい配置構成または寸法面積を維持しながら、より大きな利用可能な軸方向平行移動を得るために、伸縮式駆動機構構成を利用する。
図107A~107C及び図108A~108Cは、図105~106に示される実施形態による、作動、原薬の制御送達、及び薬物送達の完了を通して進行する、非伸縮式駆動機構構成を有する可変速度制御送達駆動機構の進行を示す。示されるように、原薬の送達のためのプランジャシール951060を薬物チャンバ951021から押し出すために使用される偏倚部材951122の自在な軸方向平行移動を計るかまたは別様に防止するために、モータ951530を有する歯車伝動アセンブリ951500を利用してもよい。歯車伝動アセンブリ951500は、図109A~109Bを参照して以下にさらに詳述される。電力・制御システムの起動等によって、可変速度制御送達駆動機構951100が使用者により起動されると、モータ95530は歯車伝動アセンブリ951500を回転させるようにされ、それにより同様に歯車951520を回転させる。モータ951530のかかる作動と実質的に同時にまたはその前に、偏倚部材951122は、係止解除されるか、または別様にその初期付勢状態から解放することを許容される。偏倚部材951122は、駆動機構ハウジング951130内に位置付けられ、駆動機構ハウジング951130とピストン951110の内部インターフェース表面951110Cとの間で初期付勢状態に保持される。かかる係止解除または解放に際し、偏倚部材951122が制限されていないかまたは別様に計測されていない場合、偏倚部材951122は、ピストン951110(及びインターフェース表面951110Cの反対側の上でピストン951110に実質的に隣接して位置するプランジャシール951060)に作用し、それを押圧して、薬物送達のためにプランジャシール951060を駆動することになる。本開示の新規の可変速度制御送達駆動機構は、偏倚部材951122の拡張のかかる制限または計測を提供するように構成される。電力・制御システムによって予めプログラムされるかまたは動的に制御され得る所望の薬物送達速度またはプロファイルに応じて、歯車アセンブリ機構951500のモータ951530は、偏倚部材951122の軸方向拡張、及び故に、ピストン951110及びプランジャシール951060の軸方向平行移動を増分的に許容するように機能し得る。
歯車アセンブリ機構951500の構成要素がモータ951530の機能及び対応する歯車の相互作用によって回転させられると、歯車951520が回転させられる。外部ピッチ951124Bを有する駆動ねじ951124は、歯車951520に接続されているか、またはその一部として形成されている。外部ピッチ951124Bは、ナット951126に係合し、かつその上またはその内部で回転して平行移動するように構成されている。歯車951520及び駆動ねじ951124が軸方向に回転させられると、駆動ねじ951124の外部ピッチ951124Bとナット951126との間の螺合及び対応する相互作用は、偏倚部材951122によるピストン951110の軸方向平行移動を許容する。本開示の伸縮式実施形態に関連して上述のように、非伸縮式実施形態のピストン951110は、駆動ねじ951124に対して駆動ハウジング951130に回転して位置決めされる(すなわち、制約される)。ナット951126は同様に、ピストン951110に位置決めされ、この構成は、ピストン951110の軸方向平行移動を可能にする。駆動ねじ951124の軸方向回転がピストン951110の軸方向平行移動を直接許容するため、本開示のかかる実施形態は、本明細書において「非伸縮式」と称される。第1の実施形態に関して上述のように、駆動ねじ951124はとりわけ、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。駆動ねじ951124は、ピストン951110及びプランジャシール951060の運動を制御するが、薬物送達のために必要な力を加えない。代わりに、駆動ねじ951124は単に、軸方向に平行移動するように偏倚部材951122によって駆動されているピストン951110及びプランジャシール1060の平行移動を計るかまたは許容するにすぎない。任意選択で、駆動機構ハウジング951130内での歯車951520の軸方向回転を容易にするために、ワッシャまたは軸受951580を利用してもよい。追加的に、本明細書に記載の駆動機構は、例えば、実質的に全薬物用量が使用者に送達されたことを確実にするために、プランジャシール9560、951060の追加の軸方向平行移動を可能にする1つ以上の遵守特徴を含み得る。例えば、プランジャシール9560、951060自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。
本開示の新規の可変速度送達駆動機構は、任意選択で、ステータス表示を薬物用量送達内に一体化し得る。1つ以上のステータストリガ及び対応するステータスリーダの使用によって、使用者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、電力・制御システムに伝えられ得る。かかるフィードバックは、上述のように、触覚、視覚、及び/または聴覚によるものであってもよく、デバイスの使用中にフィードバックの1つ超の信号または種類が使用者に提供されるように重複してもよい。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、ピストンがその軸方向平行移動の終了に達したことに結び付けられるため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。加えてまたは代替的に、電力・制御システムへの接触、接続、または別様に伝送を可能にして、投薬終了を使用者に信号伝達するために、電気機械的ステータススイッチ及び相互接続アセンブリが利用され得る。例えば、バレル9558内でのプランジャシール9560の実質的に完全な軸方向平行移動(及び任意選択的な遵守による一押し)に際して、電力・制御システムへの伝送を可能にして投薬終了を使用者に信号伝達するために、ステータススイッチ及び相互接続が協働するように、ステータススイッチは、穿通可能なシール9556の遠位に位置し得、相互接続は、プランジャシール9560の近位に位置し得る。この構成は、使用者への真の終了表示をさらに可能にする。
図109A及び109Bは、本開示の少なくとも1つの実施形態による、可変速度制御送達駆動機構のある特定の構成要素の等角図を示す。かかる構成要素は、図101、102、103A~103C、及び104A~104Cに詳述される実施形態に関連して示されているが、同じまたは同様の構成要素が、本開示の他の実施形態と共に利用されてもよい。少なくとも1つの実施形態において、本開示の可変速度駆動機構95100の歯車アセンブリ機構95500は、ピニオン95530Aを有するモータ95530を利用する。ピニオン95530Aは、第1の複合歯車95526の第1の歯車95526Bと接触する。第1の複合歯車95526の第2の歯車95526Aは、第2の複合歯車95528の第1の歯車95528Bと接触し、第2の複合歯車95528の第2の歯車95528A(不可視)は、トリガ歯車95524と接触する。トリガ歯車95524は、歯車95520と接触して、駆動機構95100の残りの部分に運動を伝える。モータ95530が歯車アセンブリ機構95500上に作用すると、運動は、ピニオン95530Aの歯車の歯、第1の複合歯車95526、第2の複合歯車95528、トリガ歯車95524、及び歯車95520をインターフェース接続させることによって伝達される。上に詳述されるように、かかる運動は、偏倚部材95122によるピストン95110の軸方向平行移動を許容するか、それを計るか、または別様に制限し、それによって、薬物送達のためにプランジャシールを駆動するために利用される。トリガ歯車95524が回転するにつれて、ステータスリーダ95600は、トリガ歯車95524の上の1つ以上の対応するステータストリガを読み取るかまたは認識して、可変速度制御送達駆動機構の操作前、操作中、及び操作後に、増分ステータス表示を提供し得る。本開示の駆動機構は、図109A及び95109Bに示される歯車アセンブリ機構に関連して記載されているものの、当業者には容易に理解されるであろうが、選択された負荷及びぜんまいばねに基づく適切な歯車減速を有する様々な歯車アセンブリ構成が許容可能であり、かつ本開示の実施形態内で用いられ得る。したがって、本開示の実施形態は、制御送達駆動機構及び薬物送達ポンプ内で用いるためのかかる機構の例示的な実施形態として提供されている、本明細書に記載の特定の歯車アセンブリ機構に限定されない。
上述のように、いくつかのステータスリーダが、本開示の実施形態内で利用され得る。例えば、図109Aに示される駆動機構は、トリガ歯車95524の歯によって物理的に接触された機械的ステータスリーダ95600を利用してもよい。この例示的な実施形態においてトリガ歯車95524の歯であるステータストリガ(複数可)によってステータスリーダ95600が接触されると、ステータスリーダ95600は、トリガ歯車95524の回転位置を測定し、使用者へのステータス表示のために信号を電力・制御システムに伝送する。加えてまたは代替的に、図95109Bに示されるように、駆動機構は、光学的ステータスリーダ951600を利用してもよい。光学的ステータスリーダ951600は、例えば、運動を認識し、電力・制御システムに信号を伝送することができる光ビームであり得る。例えば、図109Bに示される駆動機構は、トリガ歯車95524の歯の運動を認識するように構成された光学的ステータスリーダ951600を利用してもよい。当業者には理解されようが、光学的ステータスリーダ及び対応するトリガ、電気機械的ステータスリーダ及び対応するトリガ、ならびに/または機械的ステータスリーダ及び対応するトリガは全て、使用者に増分ステータス表示を提供するために本開示の実施形態によって利用され得る。
次に図101~102及び図105~106に示される実施形態に戻ると、薬物流体等の流体は、使用者への送達のために、プランジャシール9560、951060と穿通可能なシール9556、951056との間の薬物チャンバ9521、951021においてバレル9558、951058内に収容されてもよい。穿通可能なシールは、キャップ9552、951052に隣接しているか、またはその内部に少なくとも部分的に保持されている。使用者によって作動されると、流体通路接続子は、穿通可能なシールを通して薬物容器に接続され得る。上述のように、この流体接続は、穿通可能なシールを穿通し、かつ薬物容器から、流体通路接続子、流体導管、挿入機構、及びカニューレを通る、使用者の身体への薬物流体の送達のための流体通路を完了させる流体通路接続子の穿通部材によって容易にされ得る。最初に、1つ以上の係止機構(図示せず)は、偏倚部材95122、951122をピストン95110、951110内の最初の付勢位置で保持し得る。使用者によって直接的または間接的にデバイスが作動されると、係止機構は取り外されて、駆動機構の操作を許容する。ピストン95110、951110及び偏倚部材95122、951122はいずれも、最初は、プランジャシール9560、951060の後方で(すなわち、その近位で)圧縮された付勢状態にある。偏倚部材95122、951122は、駆動ハウジング95130、951130の内部特徴とピストン95110、951110のインターフェース表面95110C、951110Cとの間でデバイスが作動するまで、この状態に維持され得る。係止機構が取り外されるかまたは変位されると、偏倚部材95122、951122は、遠位方向で(すなわち、斜線矢印の方向で)軸方向に拡張(すなわち、圧縮解除)することが許容される。かかる拡張は、偏倚部材95122、1122がインターフェース表面95110C、951110C及びピストン95110、951110上に作用し、かつそれらを遠位に平行移動させ、それによって、プランジャシール9560、951060を遠位に平行移動させて、薬物流体をバレル9558、951058の薬物チャンバ9521、951021から押し出すことを引き起こす。ピストン95110、951110及びプランジャシール60、1060の遠位平行移動は、穿通可能なシール56、1056を通して流体をバレル9558、951058から押し出し続ける。少なくとも1つの実施形態において、いったんステータスリーダが、ピストン95110、951110及びプランジャシール9560、951060の軸方向移動の終わりに実質的に対応するようにトリガ歯車上に位置付けられたステータストリガを認識すると、投薬終了ステータス表示が使用者に提供され得る。本開示の歯車アセンブリ機構95500、951500及び新規の駆動機構95100、951100は、故に、薬物送達の速度またはプロファイルを制御するために、偏倚部材95122、951122の自在な軸方向の拡張を許容、計測、または別様に制限する。本開示の新規の実施形態はまた、故に、増分ステータス表示を使用者に提供する。
可変速度制御送達駆動機構95100、951100、薬物送達ポンプ9510、または個々の構成要素のいずれかの組み立て及び/または製造は、当該技術分野で既知のいくつかの材料及び手法を利用してもよい。例えば、イソプロピルアルコール及びヘキサン等のいくつかの既知の清掃流体を用いて、構成要素及び/またはデバイスを清浄してもよい。いくつかの既知の接着剤または糊も同様に製造過程で用いられ得る。追加的に、既知のシリコン処理及び/または潤滑流体及び処理が、新規の構成要素及びデバイスの製造中に用いられ得る。さらに、既知の滅菌過程が、最終製品の滅菌性を保証するために製造または組み立て段階のうちの1つ以上で用いられ得る。
駆動機構は、いくつかの手法で組み立てられ得る。1つの組み立て方法において、薬物容器9550は最初に組み立てられ、使用者への送達用の流体で充填され得る。薬物容器9550は、キャップ9552、穿通可能なシール9556、バレル9558、及びプランジャシール9560を含む。穿通可能なシール9556は、バレル9558の遠位端において、キャップ9552とバレル9558との間に固定的に係合され得る。バレル9558は、バレル9558の近位端からのプランジャシール9560の挿入前に、開口近位端を通して薬物流体で充填されてもよい。任意選択的な接続マウント9554は、穿通可能なシール9556の遠位端に据え付けられ得る。接続マウント9554は、薬物容器9550のバレル9558内への流体通路接続子の穿通部材の挿入をガイドし得る。薬物容器50は、その後、駆動ハウジング95130の遠位端に据え付けられ得る。
駆動偏倚部材95122は、駆動ハウジング95130の遠位端内に挿入され得る。任意選択で、被覆スリーブ95140は、偏倚部材95122を実質的に被覆するために、駆動ハウジング130の遠位端内に挿入され得る。ピストンは、それが少なくとも部分的に偏倚部材95122の軸方向パススルー内に常在し、かつ偏倚部材95122が、偏倚部材95122の遠位端においてピストン110のピストンインターフェース表面95110Cと接触することを許容されるように、駆動ハウジング95130の遠位端内に挿入され得る。ピストン110及び駆動偏倚部材95122、ならびに任意選択的な被覆スリーブ95140は、駆動ハウジング95130内に圧縮され得る。かかる組み立ては、駆動偏倚部材95122を最初の圧縮された付勢状態に位置付け、かつ好ましくは、バレル9558の近位端内でプランジャシール9560の近位表面と接触してピストンインターフェース表面95110Cを定置する。ピストン、ピストン偏倚部材、接触スリーブ、及び任意選択的な構成要素は、薬物容器9550の取り付けまたは据え付け前に、駆動ハウジング95130内で圧縮され、起動準備完了状態に係止され得る。駆動ねじ951124、または第1のねじ95124及び第2のねじ95132の組み合わせ、及びそれらの対応する係合構成要素は、予め組み立てられ、ピストン95110に接続され、駆動機構ハウジング95130内に据え付けられ、かつそれがそこから近位方向に延びて動作のために歯車アセンブリ機構95500、951500に係合するように駆動機構ハウジング95130の近位端に定置された歯車駆動装置95120及び歯車95520に接続され(または代替的に、歯車951520に接続され)てもよい。
流体通路接続子、及び具体的には流体通路接続子の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップ及び/または穿通可能なシールに接続され得る。流体導管は、流体通路が、開放、接続、または別様に有効化されているときに、使用者の身体内への薬物送達のために薬物容器、流体通路接続子、流体導管、挿入機構から、かつカニューレを通って直接移動するように、それ自体が挿入機構に接続されている流体通路接続子の他の端部に接続され得る。流体流のための通路を構成する構成要素が次に組み立てられる。これらの構成要素は、図100Bに示されるように、いくつかの既知の方法によって滅菌され、その後、固定的にまたは着脱自在に薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに据え付けられ得る。
本開示の幅及び範囲内に留まりながら、駆動機構95100、駆動機構951100、または薬物送達デバイス9510のある特定の任意選択的な標準的な構成要素または変形形態が企図される。例えば、実施形態は、本開示のモータ、駆動機構、及び薬物送達デバイスに電力供給するために利用される1つ以上の電池を含み得る。当該技術分野で既知の様々な電池がこの目的で利用され得る。追加的に、図100Aに示されるように、上部または下部ハウジングは、使用者が薬物送達デバイス9510の動作を見るか、または薬物用量が完了したことを検証することを可能にするために、任意選択で1つ以上の透明または半透明窓9518を含み得る。同様に、薬物送達デバイス9510は、接着パッチ9526及びパッチライナー9528をハウジング9512の底部表面上に含み得る。接着パッチ9526は、薬物送達デバイス9510を薬物用量の送達のために使用者の身体に接着するために利用され得る。当業者には容易に理解されようが、接着パッチ9526は、使用者の身体への薬物送達デバイスの接着のための接着面を有し得る。接着パッチ9526は、最初は、非接着パッチライナー9528によって被覆されていてもよく、これは、使用者の身体と接触した薬物送達デバイス9510の定置の前に接着パッチ9526から取り外される。パッチライナー9528の取り外しはさらに、挿入機構95200の封止膜95254を取り外し、薬物送達のために使用者の身体に対して挿入機構を開放する(図100Cに示されるように)。
同様に、可変速度制御送達駆動機構95100、駆動機構951100、及び薬物送達デバイス9510の構成要素のうちの1つ以上は、機能的に本開示の幅及び範囲内に留まりながら修正され得る。例えば、上述のように、薬物送達デバイス9510のハウジングは、上部ハウジング9512A及び下部ハウジング9512Bの2つの別個の構成要素として示されているが、これらの構成要素は、単一の統合された構成要素であってもよい。上記で考察したように、糊、接着剤、もしくは他の既知の材料、または方法を利用して、可変速度制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素を互いに貼着してもよい。代替的に、可変速度制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素は、統合された構成要素であり得る。例えば、上部ハウジング及び下部ハウジングは、糊または接着剤、ねじ嵌め接続、締まり嵌め、融着接合、溶接、超音波溶接等によって一緒に貼着された別個の構成要素であってもよく、または上部ハウジング及び下部ハウジングは、単一の統合された構成要素であってもよい。かかる標準的な構成要素及び機能的変形形態は当業者には理解され得、したがって、本開示の幅及び範囲内である。
上記の説明から、本明細書に開示される可変速度駆動機構及び薬物送達デバイスが、薬物容器からの自動化薬物送達のために効率的かつ容易に操作されるシステムを提供することが理解されよう。本明細書に記載の新規の実施形態は、原薬の制御された送達のための駆動機構、及びかかる可変速度駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。本開示の新規の可変速度駆動機構は、使用者によって直接的または間接的に作動され得る。さらに、本開示の可変速度制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスの新規の構成は、貯蔵中、輸送中、及びデバイスの操作を通して、流体通路の滅菌状態を維持する。薬物流体がデバイス内で移動する通路が完全に滅菌状態で維持されるため、これらの構成要素は、製造過程中に滅菌される必要があるのみである。かかる構成要素には、駆動機構の薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構が含まれる。本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システム、アセンブリプラットフォーム、制御アーム、作動機構、ハウジング、及び他の構成要素は、滅菌される必要がない。これは、デバイスの製造性を大幅に改善し、関連する組み立て費用を低減する。したがって、本開示のデバイスは、組み立ての完了時に最終滅菌を必要としない。
送達デバイスの製造薬物は、別個にまたは複合構成要素としていずれかで可変速度制御送達駆動機構及び薬物容器の両方を、薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付ける工程を含む。製造方法は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングへの流体通路接続子、薬物容器、及び挿入機構の取り付けをさらに含む。上述のように、電力・制御システム、作動機構、及び制御アームを含む薬物送達デバイスの追加の構成要素は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付けられるか、予め形作られるか、または予め組み立てられ得る。接着パッチ及びパッチライナーは、デバイスの動作中に使用者と接触する薬物送達デバイスのハウジング表面に取り付けられ得る。
薬物送達デバイスを操作する方法は、使用者によって作動機構を作動させる工程と、制御アームを変位させて挿入機構を起動する工程と、電力・制御システムを起動して可変速度制御送達駆動機構を作動させて、制御された速度または薬物送達プロファイルに従って薬物送達デバイスを通る流体薬物流を駆動する工程と、を含む。本方法は、作動機構を作動させる前に任意選択的なオンボディセンサを係合させる工程をさらに含み得る。本方法は、同様に、流体通路接続子と薬物容器との間の接続を確立する工程を含み得る。さらに、操作方法は、薬物容器内でピストン上に作用する偏倚部材の拡張によって可変速度制御送達駆動機構内でプランジャシールを平行移動させて、使用者の身体への流体薬物の送達のために薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構に流体薬物流を押し通すことを含み得、ピストンに作用する駆動歯車またはねじは、ピストンの自在な軸方向平行移動を制限するために利用される。挿入機構及び薬物送達デバイスの操作方法は、上述のように、図103A~103C、図104A~104C、図107A~107C、及び図108A~108Cを参照してより良好に理解され得る。
XV.多機能駆動機構の追加の実施形態
少なくとも図1A~2B、33A~33C、80A~85C、86A~91、92~99、100A~109Bに関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図69A~75Bに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図69A~75Bに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の駆動機構100、6100、8100、9210、9310、9410、もしくは9510、または本明細書に記載の任意の他の駆動機構を置き換えてもよい。
本開示は、原薬の制御された送達のための多機能駆動機構、かかる駆動機構を有する制御された薬物送達ポンプ、かかるデバイスを操作する方法、及びかかるデバイスの組み立て方法を提供する。特に、本開示の多機能駆動機構は、(i)原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御することと、(ii)針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供することと、(iii)滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容することと、を含むいくつかの機能を有効化または始動する。本開示の新規の実施形態は、故に、可変速度で薬物を送達することが可能である。本開示の駆動機構は、以下に詳細に説明されるように、所望の送達速度またはプロファイルを満たすために、電力・制御システムによる制御によって予め構成され得るか、または動的に構成され得る。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、駆動機構の1つ以上の構成要素の軸方向平行移動及び/または移動の物理的終了に関連するため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。これらの機構を通して、薬物用量送達の確認が使用者または投与者に正確に提供され得る。したがって、本開示の新規のデバイスは、上記のもの等の先行技術のデバイスに関連する問題のうちの1つ以上を軽減する。
第1の実施形態において、本開示は、アクチュエータと、主歯車を含む歯車アセンブリと、駆動ハウジングと、キャップ、穿通可能なシール(不可視)、バレル、及びプランジャシールを有する薬物容器とを含む多機能駆動機構を提供する。主歯車は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシールとの間でバレル内に位置する薬物チャンバは、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。1つ以上の偏倚部材が付勢状態で最初に保持され、ピストンのインターフェース表面上に支えられるように構成されている、ピストン及び1つ以上の偏倚部材もまた、多機能駆動機構に組み込まれ得る。ピストンは、プランジャシール及びバレルを有する薬物容器内で実質的に軸方向に平行移動するように構成されている。テザーは、一方の端部においてピストンに接続され、他方の末端において調節機構のウィンチドラム/歯車に接続され、テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を制限する。薬物容器は、使用者への送達のための薬物流体を薬物チャンバ内に収容し得る。任意選択で、被覆スリーブは、駆動機構の動作中にバレルの内部構成要素(すなわち、ピストン及び偏倚部材)を視界から隠すために、偏倚部材とピストンのインターフェース表面との間に利用され得る。テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、多機能駆動機構の調節機構のウィンチドラム/歯車から解放されるように構成されている。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、調節機構は、多機能駆動機構のアクチュエータによって駆動される歯車アセンブリである。調節機構は、テザーの分配を妨げるかまたは制限し、調節された速度または所望の速度でのみ前進させる。これは、1つ以上の偏倚部材によって押圧されているバレル内でのピストンの移動を制限し、よって、プランジャシールの移動及びチャンバに収容された薬物の送達を制御する。プランジャシールが薬物容器内で前進すると、原薬は、薬物送達のために、滅菌通路接続、導管、挿入機構を通り、かつ使用者の身体内へと分注される。アクチュエータは、モータ(例えば、DCモータ、ACモータ、ステッパモータ)またはソレノイド(例えば、リニアソレノイド、回転ソレノイド)を含むいくつかの電力/運動源であり得る。特定の実施形態において、アクチュエータは、主/星形歯車の歯に対応するノッチを有する回転式ステッパモータである。
調節機構は、歯車アセンブリの1つ以上の歯車をさらに含み得る。歯車のうちの1つ以上は、例えば、大径歯車に共有中心点で取り付けられた小径歯車を有する複合歯車であり得る。歯車アセンブリは、テザーがその上に着脱可能に巻き付いているウィンチドラム/歯車に連結されたウィンチギアを含み得る。したがって、アクチュエータによって始動された歯車アセンブリの回転は、ウィンチドラム/歯車に連結され(すなわち、歯車アセンブリを通して)、それによって、テザーの分配、偏倚部材の拡張及びピストンの軸方向平行移動の速度、ならびにバレル内でのプランジャシールの移動の速度を制御して、流体を薬物チャンバから押し出し得る。ウィンチドラム/歯車の回転移動、及び故にピストン及びプランジャシールの軸方向平行移動は、本明細書に記載されるように、調節要素の他の構成要素による自在な軸方向平行移動を計測、制限、または別様に防止される。とりわけ、本開示の調節機構は、薬物チャンバからの流体物質の送達を駆動しない。薬物チャンバからの流体物質の送達は、偏倚部材の、ピストン及びプランジャシール上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって引き起こされる。調節機構は、代わりに、それらが偏倚部材のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン及びプランジャシールの自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン及びプランジャシールの運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。
原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御すること(それによって、原薬を可変の速度及び/または送達プロファイルで送達すること)に加え、本開示の多機能駆動機構は、針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供する工程、及び滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容する工程を同時にまたは連続的に実施し得る。少なくとも1つの実施形態において、多機能駆動機構のアクチュエータによる初期運動は、主/星形歯車を回転させる。1つの様態において、主/星形歯車は、歯車アセンブリを通して調節機構に運動を伝える。別の様態において、主/星形歯車は、歯車を通して針挿入機構に運動を伝える。主/星形歯車によって歯車が回転させられると、上に詳細に記載されるように、歯車は針挿入機構に係合して、流体通路接続子を使用者の中へと始動させる。1つの特定の実施形態において、針挿入機構は、回転式針挿入機構である。したがって、歯車は、針挿入機構の対応する歯車表面に係合するように構成されている。歯車の回転は、駆動機構の歯車と針挿入機構の対応する歯車表面との間の歯車の相互作用を通して針挿入機構の回転を引き起こす。いったん針挿入機構の好適な回転が生じると、本明細書に詳細に記載されるように、針挿入機構が始動されて、使用者への流体通路接続子を生み出す。
少なくとも1つの実施形態において、この様態での針挿入機構の回転はまた、滅菌流体通路の薬物容器への接続をもたらして、使用者への送達のための薬物容器から挿入機構への流体流を許容し得る。針挿入機構のランプ態様は、滅菌流体通路接続子の可動接続ハブ上に支えられるようにされる。多機能駆動機構によって針挿入機構が回転させられると、針挿入機構のランプ機構は、滅菌流体通路接続子の可動接続ハブに係合し、かつそれを平行移動させて、その内部の流体接続を容易にする。少なくとも1つの実施形態において、針挿入機構は、上に詳述されるように、特定の角度の回転が針/トロカールの後退を可能にするように構成され得る。加えてまたは代替的に、かかる針/トロカールの後退は、使用者の活動時または薬物送達デバイスの別の構成要素の移動もしくは機能時に生じるように構成され得る。少なくとも1つの実施形態において、針/トロカール後退は、例えば、本明細書に記載されるように、調節機構及び/またはステータスリーダのうちの1つ以上によってトリガされる、薬物送達の終了時に生じるように構成され得る。
なおも別の実施形態において、駆動機構は、1つ以上の対応するスタータストリガを読み取るかまたは認識するように構成されたステータスリーダを含み得る。ステータストリガは、テザー上で増分的に間隔を空けてもよく、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、光学的ステータストリガであり、電気機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、電気機械的ステータストリガであるか、または機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、機械的ステータストリガである。
さらなる実施形態において、本開示は、制御された薬物送達を有する薬物送達ポンプを提供する。薬物送達ポンプはハウジング及びアセンブリプラットフォームを有し、その上に作動機構、挿入機構、流体通路接続子、電力・制御システム、及び制御送達駆動機構が据え付けられてもよく、該駆動機構は、駆動ハウジング、ピストン、及び偏倚部材を有し、偏倚部材は、付勢状態で最初に保持され、ピストンの表面上に支えられるように構成されている。ピストンは、プランジャシール及びバレルを有する薬物容器内で実質的に軸方向に平行移動するように構成されている。テザーは、一方の端部においてピストンに接続され、他方の末端において送達調節機構のウィンチドラム/歯車に接続され、テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を制限する。薬物容器は、使用者への送達のための薬物流体を薬物チャンバ内に収容し得る。任意選択で、被覆スリーブは、駆動機構の動作中にバレルの内部構成要素(すなわち、ピストン及び偏倚部材)を視界から隠すために、偏倚部材とピストンのインターフェース表面との間に利用され得る。テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、送達調節機構のウィンチドラム/歯車から解放されるように構成されている。
別の実施形態において、薬物送達デバイスは、歯車アセンブリをさらに含む。歯車アセンブリは、テザーがその上に着脱可能に巻き付き得るウィンチドラム/歯車に接続されたウィンチギアを含み得、ウィンチドラム/歯車の回転は、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、テザーをウィンチドラム/歯車から解放する。テザーの計測は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御する。ピストンは、1つ以上の部品であり得、テザーの遠位端に接続する。ウィンチドラム/歯車は、ウィンチドラム/歯車の回転、及びしたがってピストンの平行移動の計測を制御する調節機構に連結されている。
なおも別の実施形態において、薬物送達デバイスは、1つ以上の対応するスタータストリガを読み取るかまたは認識するように構成されたステータスリーダを含み得る。ステータストリガは、テザー上で増分的に間隔を空けてもよく、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、光学的ステータストリガであり、電気機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、電気機械的ステータストリガであるか、または機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、機械的ステータストリガである。
別の実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システムは、1つ以上の入力を受信して、ウィンチドラム/歯車によるテザーの解放を計り、それによって、偏倚部材によるピストンの軸方向平行移動を許容して、プランジャシールをバレル内で平行移動させるように構成されている。1つ以上の入力は、作動機構、制御インターフェース、及び/または遠隔制御機構の起動によって提供され得る。電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすために、使用者への送達のための用量体積を変えるために、かつ/または駆動機構の操作を別様に開始、停止、もしくは一時停止するために、1つ以上の入力を受信して、偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動上にテザー及びウィンチドラム/歯車によってもたらされる制限を調整するように構成され得る。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬品の送達プロファイルは、調整可能である。例えば、食事、運動、睡眠等のある特定の活動前、活動中、または活動後に、薬品のボーラス注射を送達することが望ましい場合がある。「ボーラス注射」は、多くの場合、送達時間または持続時間にかかわらず送達される任意の測定された薬物体積である。逆に、「基底注射」は、多くの場合、制御された送達速度、及び/または異なる時間間隔で様々な送達速度を有する送達プロファイルである。同様に、使用者は、これらの時間または他の時間で薬品の基底送達速度を増加または減少させることを望む場合がある。少なくとも1つの実施形態において、送達プロファイルは、この所望の薬物送達を達成するために使用者によって調整可能である。使用者は、薬物送達デバイス自体と相互作用することによって送達プロファイルを調整してもよく、または代替的に、そのためにスマートフォン等の外部デバイスを使用してもよい。例えば、使用者は、作動機構を変位させることによって送達プロファイルを調整してもよく、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させてもよい。
本開示の別の実施形態において、送達プロファイルは、1つ以上の入力に基づいて自動的に調整されてもよい。例えば、送達プロファイルは、患者の活動レベル、心拍数、血糖値等に基づいて調整され得る。上記のように、これらの測定値を用いて、ボーラス注射、または基底注射送達速度の増加もしくは減少、または基底注射送達プロファイルの調整の必要性を判定することができる。少なくとも1つの実施形態において、これらの入力測定値は、デバイス自体によって監視され得る。追加的に、または代替的に、それらは、スマートフォン、スマートウォッチ、心拍数モニタ、グルコースモニタ、血圧モニタ等の二次デバイスによって監視されてもよい。いくつかの実施形態において、送達プロファイルは、使用者の介入を必要とせずにこれらの測定値に基づいて調整され得る。二次デバイスによる監視及び/または制御に場合、二次デバイス及び薬物送達デバイスは、互いに無線または有線通信し得る。この通信は、Bluetooth、近距離無線通信、Wi-Fi、またはデバイスの相互接続性に関する当業者に既知の任意の他の方法を通したものであり得る。
しかしながら、好ましい実施形態において、監視/調整機構は、使用者に対して警報を発し、かつ推奨を行う場合があり、使用者は、監視/調整機構による推奨を始動/許可するか、または無視する能動制御を有し得る。例えば、測定値のうちの1つ以上が指定の閾値より高いかまたは低い場合、デバイスは、可聴、可視、または触覚による警報を使用者に対して発する場合がある。一例において、警報は、デバイスの振動によって提供され、それによって、個別の警報を使用者に提供する。加えてまたは代替的に、警報は、使用者のスマートフォンまたは他の二次デバイスによって提供され得る。使用者は、コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースにおける測定値の現在のステータスを、デバイス自体、コンピュータ、スマートフォン、または他のデバイスの上で見ることができる場合がある。コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースは、送達プロファイルへの推奨される調整を提供し得る。この情報に基づいて、使用者は、薬物送達デバイスの送達速度を調整することができる。上記のように、使用者は、作動機構を変位させるか、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させることによって、送達プロファイルを調整してもよい。
一実施形態において、使用者の入力または上記の測定値のいずれかに基づく送達プロファイルを調整する信号に応じて、電力・制御システムは、アクチュエータの移動速度を変化させ得る。アクチュエータの移動速度の変化は、調節機構の回転速度を変化させ、これは次いで、使用者への薬物送達速度を制御する。代替的に、送達プロファイルは、薬物容器及び挿入機構を接続する導管を通る薬品の流路の特性の変化によって変えることができる。この変化は、薬物容器から挿入機構への薬品の流れを制限する流れ制限部の導入、取り外し、または修正によって引き起こされ得る。例えば、流れ制限部は、流れ制限部の入力及び出力と流体連通して選択的に定置され得る複数の流路を有し得る。異なる長さまたは断面を有する流路を提供することによって、送達速度を制御することができる。他の実施形態において、送達プロファイルは、導管の衝突の導入または取り外しによって変えることができる。流路の衝突は、導管を通る薬品の流れを中断させるかまたは遅くすることができ、それによって、使用者への送達速度を制御する。したがって、本開示の1つ以上の実施形態は、薬物容器からの薬品送達速度の変化を生み出し、それによって、多機能駆動機構及び/または薬物送達デバイスの動的制御能力を提供することができる。
本開示の新規の実施形態は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止し、それによって、原薬の送達速度を制御することができる駆動機構を提供する。新規の制御送達駆動機構は、加えて、デバイスの操作の前、その間、及びその後に薬物送達の増分ステータスを提供することができる。本明細書全体を通して、別段の指示がない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」、または「含む(includes)」もしくは「からなる」等の関連する用語は、明記された整数または整数の群が、1つ上の他の明記されていない整数または整数の群を含み得るように、排他的ではなく包括的気に使用される。以下にさらに記載されるように、本開示の実施形態は、医療デバイスの業界において標準的な構成要素と見なされ得る1つ以上の追加の構成要素を含み得る。例えば、実施形態は、本開示のモータ、駆動機構、及び薬物送達デバイスに電力供給するために利用される1つ以上の電池を含み得る。構成要素、及びかかる構成要素を含む実施形態は、本開示の企図内であり、本開示の幅及び範囲内に入ることを理解されたい。
本開示は、原薬の制御された送達のための多機能駆動機構、及びかかる多機能駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の多機能駆動機構は、(i)原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御することと、(ii)針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供することと、(iii)滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容することと、を含むいくつかの機能を有効化または始動する。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。
本開示の新規のデバイスは、一体型のステータス表示を有する駆動機構及びかかる駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。かかるデバイスは、自己投与する患者にとって、安全で使用が容易であり、審美的かつ人間工学的に魅力がある。本明細書に記載のデバイスは、未訓練の使用者にとってさえも本デバイスの作動、操作、及びロックアウトを単純にする特徴を組み込む。本開示の新規のデバイスは、既知の先行技術のデバイスに関連する問題のうちのいずれも伴わずに、これらの望ましい特徴を提供する。新規の薬物送達ポンプ、駆動機構、及びそれらのそれぞれの構成要素のある特定の非限定的な実施形態が、付随する図を参照しながら本明細書にさらに記載される。
また、本明細書で使用されるとき、「ポンプ」及び「送達デバイス」という用語は、作動時に流体を使用者に分注することが可能である任意の数の薬物送達システムを含むことを意図する。かかる薬物送達システムには、例えば、注入システム、輸液ポンプ、ボーラス注入装置、オンボディ注入装置等が含まれるが、これらに限定されない。図69A~69Cは、本開示の少なくとも1つの実施形態による例示的な薬物送達デバイスを示し、上ハウジングは、内部構成要素が見えるように取り外されている。薬物送達デバイスを利用して、使用者の体内への薬物治療剤の送達を施してもよい。図69A~69Cに示されるように、薬物送達デバイス9010は、ポンプハウジング9012を含む。ポンプハウジング9012は、薬物送達デバイスのより容易な製造、組み立て、及び操作の便宜を図るために固定的に係合可能である、1つ以上のハウジング部分構成要素を含み得る。例えば、薬物送達デバイス9010は、上部ハウジング及び下部ハウジング(内部構成要素を見やすくするために図示せず)を含み得るポンプハウジング9012を含む。ポンプハウジング9012は、薬物送達デバイスが開放または改変されているかどうかを特定するために1つ以上のタンパーエビデンス特徴を含み得る。例えば、ポンプハウジング9012は、上部ハウジング及び下部ハウジングにわたって架けられたラベル等の1つ以上のタンパーエビデンスラベルまたはステッカーを含み得る。加えてまたは代替的に、ハウジング9012は、上部ハウジングと下部ハウジングとの間を接続する1つ以上のスナップアームまたは先端部を含み得る。壊れたかまたは改変されたタンパーエビデンス特徴は、デバイスが評価され、使用者による使用または使用者へのリスクを伴わずに可能であれば破棄されるように、例えば、デバイスの内部態様にアクセスすることによって、薬物送達デバイスが改変された可能性があることを使用者、医師、供給業者、製造業者等に信号伝達する。薬物送達デバイスは、作動機構、ステータスインジケータ、及び窓をさらに含み得る。窓は、薬物送達デバイスの操作がそれを通して見られ得る、任意の半透明または透過性表面であってよい。図69Bに示されるように、薬物送達デバイス9010は、アセンブリプラットフォーム9020、滅菌流体導管9030、薬物容器9050を有する駆動機構90100、挿入機構90200、流体通路接続子90300、及び電力・制御システム(図示せず)をさらに含む。かかる薬物送達デバイスの構成要素のうちの1つ以上は、それらが、例えば、製造中に別個の構成要素として予め組み立てられ、薬物送達デバイス9010のアセンブリプラットフォーム9020の上の所定の位置に収まるよう構成され得るという点で、モジュール式であり得る。
ポンプハウジング9012は、デバイスの構成要素の全てを含み、デバイス9010を使用者の皮膚に着脱自在に取り付ける手段を提供する。ポンプハウジング9012はまた、デバイス9010の内部構成要素に環境的影響からの保護を提供する。ポンプハウジング9012は、未訓練の及び/または身体障害のある場合がある使用者による容易な包装、貯蔵、取り扱い、及び使用の便宜を図るために、サイズ、形状、及び関連する特徴において人間工学的に及び審美的に設計される。さらに、ポンプハウジング9012の外面を利用して、製品ラベル、安全性指示等を提供してもよい。追加的に、上述のように、ハウジング9012は、操作フィードバックを使用者に提供し得る、1つ以上のステータスインジケータ及び窓等のある特定の構成要素を含み得る。
少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイス9010は、使用者が変位させて電力・制御システムへの開始コマンドをトリガする、作動機構を提供する。好ましい実施形態において、作動機構は、上部ハウジングと下部ハウジングとの間の開口部を通して等、ポンプハウジング9012を通して位置し、電力・制御システムと直接的または間接的に接触する、開始ボタンである。少なくとも1つの実施形態において、開始ボタンは、押しボタンであり得、他の実施形態においては、オン/オフスイッチ、トグル、または当該技術分野で既知の任意の同様の作動特徴であり得る。ポンプハウジング9012はまた、1つ以上のステータスインジケータ及び窓も提供する。他の実施形態においては、作動機構、ステータスインジケータ、窓のうちの1つ以上、及びそれらの組み合わせが、例えば、薬物送達デバイス9010が使用者の身体上に定置されるときに使用者に見える側等の、上部ハウジングまたは下部ハウジング上に提供され得る。ハウジング9012は、本開示の他の構成要素及び実施形態を参照しながらこれ以降でさらに詳述される。
薬物送達デバイス9010は、作動機構を押し下げることにより使用者が作動させると、多機能駆動機構が作動されて、流体通路を使用者の中に挿入することと、薬物容器、流体通路、及び滅菌流体導管の間の必要な接続を有効化する、接続する、または開通させることと、薬物容器に格納された薬物流体を、使用者の中への送達のために流体通路及び流体導管に押し通すこととを行うように構成されている。少なくとも1つの実施形態において、使用者への薬物流体のかかる送達は、制御された様態で多機能駆動機構によって行われる。1つ以上の任意選択的な安全性機構を利用して、例えば、薬物送達デバイスの時期尚早な作動を防止してもよい。例えば、任意選択的なオンボディセンサ(不可視)が、一実施形態において、薬物送達デバイス9010が使用者の身体と接触していない限り、電力・制御システム、または作動機構が係合され得ないことを保証する安全性特徴として提供されてもよい。かかる一実施形態において、オンボディセンサは、使用者の身体と接触するようになり得る、下部ハウジングの底部に位置する。オンボディセンサが変位すると、作動機構の押し下げが許容される。したがって、少なくとも1つの実施形態において、オンボディセンサは、作動機構による薬物送達デバイス9010のトリガを防止する、例えば機械的ロックアウト等の、機械的安全性機構である。別の実施形態において、オンボディセンサは、信号を電力・制御システムに送信して作動を許容する機械的ロックアウト等の、電気機械的センサであり得る。依然として他の実施形態において、オンボディセンサは、電力・制御システムの作動を許容する前に組織を検出しなければならない、例えば、静電容量ベースまたはインピーダンスベースのセンサ等の電気ベースであり得る。これらの概念は、相互排他的なものではなく、本開示の範囲内で1つ以上の組み合わせを利用して、例えば、薬物送達デバイスの時期尚早な作動を防止してもよい。好ましい実施形態において、薬物送達デバイス9010は、1つ以上の機械的オンボディセンサを利用する。追加の一体型安全性機構は、新規の薬物送達デバイスの他の構成要素を参照して本明細書に記載される。
XV.A.電力・制御システム:
電力・制御システムは、薬物送達デバイス内の種々の電気構成要素にエネルギーを提供する、電源、1つ以上のフィードバック機構、マイクロコントローラ、回路基板、1つ以上の伝導性パッド、及び1つ以上の相互接続部を含み得る。当業者には理解されようが、かかる電気システムで一般的に使用される他の構成要素もまた含まれてもよい。1つ以上のフィードバック機構は、例えば、ピエゾアラーム等の可聴アラーム及び/または発光ダイオード(LED)等の光インジケータを含み得る。マイクロコントローラは、例えば、マイクロプロセッサであり得る。電力・制御システムは、使用者とのデバイスのいくつかの相互作用を制御し、駆動機構90100とインターフェース接続する。一実施形態において、電力・制御システムは、オンボディセンサ9024と直接であれ間接的であれインターフェース接続して、デバイスが使用者及び/または作動機構と接触しているときを特定して、薬物送達デバイスが作動されているときを特定する。電力・制御システムはまた、使用者に視覚フィードバックを提供するために光移送を許容する透過性または半透明の材料であり得る、ポンプハウジング9012のステータスインジケータとインターフェース接続し得る。電力・制御システムは、1つ以上の相互接続を通して駆動機構90100とインターフェース接続して、作動、薬物送達、及び投薬終了等のステータス表示を患者に中継する。かかるステータス表示は、聴覚トーンを介して、例えば可聴アラームにより、及び/または視覚インジケータを介して、例えばLEDにより、使用者に提示され得る。好ましい実施形態において、電力・制御システムと薬物送達デバイスの他の構成要素との間の制御インターフェースは、使用者が作動させるまで係合または接続されない。これは、薬物送達デバイスの偶発的な操作を防止し、さらに、貯蔵、輸送等の間に電源内に収容されるエネルギーを維持し得る、望ましい安全性特徴である。
電力・制御システムは、いくつかの異なるステータスインジケータを使用者に提供するように構成され得る。例えば、電力・制御システムは、オンボディセンサ及び/またはトリガ機構が押圧された後に、デバイス起動点検により何のエラーも報告されなければ、電力・制御システムがステータスインジケータを介して開始準備完了ステータス信号を提供するように、構成され得る。開始準備完了ステータス信号を提供した後に、任意選択的なオンボディセンサを有する実施形態において、オンボディセンサが使用者の身体と接触したままである場合、電力・制御システムは、駆動機構90100に電力供給して、流体通路接続子90300及び滅菌流体導管9030(図示せず)を通した薬物治療剤の送達を開始する。
追加的に、電力・制御システムは、薬物送達デバイスのその包装からの取り外しを特定するように構成され得る。電力・制御システムは、包装に機械的に、電気的に、または電気機械的に接続され得、それにより、薬物送達デバイスの包装からの取り外しが、電力・制御システムを使用のために作動させ得るもしくはその電源を入れ得るか、または使用者によって電源を入れられるように電力・制御システムを単に有効化し得る。かかる実施形態において、薬物送達デバイスの包装からの取り外しなしには、薬物送達デバイスは、作動され得ない。これは、薬物送達デバイスの及び使用者のための追加の安全性機構を提供する。少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスまたは電力・制御システムは、例えば、以下の様々なセンサ、すなわち、ホール効果センサ;巨大磁気抵抗(GMR)または磁界センサ;光センサ;静電容量式または静電容量変化センサ;超音波センサ;及びリニアトラベル、LVDT、リニア抵抗、または放射測定リニア抵抗センサ;及びそれらの組み合わせからの、1つ以上の相互作用センサ等によって、包装に電気的にまたは電気機械的に接続され得、これらのセンサは、構成要素間の信号を伝送してそれらの間の位置を特定するように調和可能である。加えてまたは代替的に、薬物送達デバイスまたは電力・制御システムは、例えば、ピンが取り外されるときに(すなわち、薬物送達デバイスが包装から取り外されると)システムを作動させるピンとスロットの関係によって、包装に機械的に接続され得る。
本開示の好ましい実施形態において、いったん電力・制御システムが作動されると、多機能駆動機構が始動されて、挿入機構90200及び流体通路接続子90300を起動すると同時に、薬物流体が薬物容器から押し出されることも許容する。薬物送達過程中、電力・制御システムは、ステータスインジケータを介して分注ステータス信号を提供するように構成される。薬物が使用者の身体内に投与された後、及び実質的に全用量が使用者に送達されたことを確実にするためのいずれの追加の滞留時間の終了後、電力・制御システムは、ステータスインジケータを介して取り外し可ステータス信号を提供し得る。これは、使用者がポンプハウジング9012の窓を通して駆動機構及び薬物用量送達を見ることによって、独立して検証され得る。追加的に、電力・制御システムは、ステータスインジケータを介して、例えば、故障または動作不具合状況を示す警報等の1つ以上の警報信号を提供するように構成され得る。
電力・制御システムは加えて、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように駆動機構90100を動的に制御するための、使用者からの種々の入力を受け入れるように構成され得る。例えば、電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように電力・制御システムを介して駆動機構90100の制御を設定、始動、停止、あるいは調整するための、例えば、作動機構の部分的または完全な作動、押し下げ、及び/または解放による入力を受信し得る。同様に、電力・制御システムは、薬物用量体積を調整する、駆動機構、流体通路接続子、及び流体導管をプライミングする、ならびに/または駆動機構90100の操作を開始、停止、もしくは一時停止するような入力を受信するように構成され得る。かかる入力は、例えば、作動機構9014もしくは異なる制御インターフェースの使用により、使用者が薬物送達デバイス9010に直接働きかけることによって受信されてもよく、または電力・制御システムは、かかる入力を遠隔制御デバイスから受信するように構成されてもよい。加えてまたは代替的に、かかる入力は、予めプログラムされてもよい。
他の電力・制御システム構成は、本開示の新規の薬物送達デバイスと共に利用され得る。例えば、ある特定の作動遅延が、薬物送達中に利用され得る。上述のように、システム構成内に任意選択で含まれる1つのかかる遅延は、完了を使用者に信号伝達する前に実質的に全薬物用量が送達されていることを確実にする、滞留時間である。同様に、デバイスの作動は、薬物送達デバイスの作動前に、薬物送達デバイス9010の作動機構の遅延した押し下げ(すなわち、押圧)を必要とし得る。追加的に、システムは、使用者が投薬終了信号に応答すること、及び薬物送達デバイスを作動停止するまたはその電源を切ることを許容する特徴を含み得る。かかる特徴は同様に、停止デバイスの偶発的な作動を防止するために、作動機構の遅延した押し下げを必要とし得る。かかる特徴は、薬物送達デバイスに対する望ましい安全性一体化機構及び使い勝手の良いパラメータを提供する。追加の安全性特徴が、薬物送達デバイスの部分的押し下げ、及びしたがって、部分的作動を防止するために作動機構に一体化されてもよい。例えば、作動機構及び/または電力・制御システムは、部分的作動を防止するために、デバイスが完全にオフまたは完全にオンのいずれかであるように構成され得る。かかる特徴は、新規の薬物送達デバイスの他の態様に関してこれ以降でさらに詳述される。
XV.B.挿入機構
いくつかの挿入機構が、本開示の薬物送達デバイス内で利用され得る。本開示のポンプ式送達デバイスは、例えば、任意の好適な中空チューブを通して、流体流連通によって患者または使用者に接続され得る。固形針を用いて、患者の皮膚を穿通し、中空カニューレを適切な送達位置に定置してもよく、固形針は、患者への薬物送達の前に取り外されるかまたは後退される。上記のように、流体は、自動的に挿入された針、カニューレ、微小針アレイ、または輸液セットチューブを含むがこれらに限定されない任意の数の手段を通して身体内に誘導され得る。いくつかの機構は、患者への針の挿入を作動させるためにも用いられ得る。例えば、ばね等の偏倚部材は、針及びカニューレを患者の皮膚に穿通させるために十分な力を提供するために用いられる。同じばね、追加のばね、または別の同様の機構を利用して、針を患者から後退させることができる。好ましい実施形態において、挿入機構は、一般に、国際特許出願第PCT/US2012/53174号に記載されるようなものであり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に含まれる。かかる構成は、患者への痛みを最小限に抑える方法で患者の皮膚(または筋肉)内またはその下への薬物送達通路の挿入のために利用されてもよい。流体通路の挿入のための他の既知の方法が利用されてもよく、本開示の範囲内であることが企図され、これには、本開示の譲受人によって開発された剛性針挿入機構及び/または回転式針挿入機構が含まれる。
少なくとも1つの実施形態において、挿入機構90200は、1つ以上のロックアウト窓、ならびにアセンブリプラットフォーム及び/またはポンプハウジングへの接続のための基部を有する挿入機構ハウジングを含む(図69B及び図69Cに示されるように)。アセンブリプラットフォーム9020への基部の接続は、例えば、基部の底部がアセンブリプラットフォーム内の穴を通過することが許容されて、使用者の身体への基部の直接的な接触を許容するようなものであり得る。かかる構成において、基部の底部は、薬物送達デバイス9010の使用前に取り外し可能な封止膜を含み得る。挿入機構は、1つ以上の挿入偏倚部材、針、後退偏倚部材、カニューレ、及びマニホールドをさらに含み得る。マニホールドは、滅菌流体導管9030に接続して、薬物送達中に、マニホールド、カニューレを通り、かつ使用者の身体への流体流を許容し得る。
本明細書で使用されるとき、「針」は、剛性中空針等の従来の中空針、及びより一般的には「トロカール」と称される中実針を含むがこれらに限定されない様々な針を指すことを意図する。好ましい実施形態において、針は、9027ゲージの中実トロカールであり、他の実施形態において、針は、意図する薬物及び薬物投与(例えば、皮下、筋肉内、皮内等)の種類のための、カニューレを挿入するために好適な任意のサイズの針であり得る。針挿入機構内で滅菌ブーツが利用されてもよい。滅菌ブーツは、近位端においてマニホールドと、かつ遠位端において基部と固定係合している折り畳み式滅菌膜である。少なくとも一実施形態において、滅菌ブーツは、基部と挿入機構ハウジングとの間で遠位端における固定係合に維持される。基部は、以下にさらに記載されるように、挿入機構の動作中に針及びカニューレがそれを通って通過し得る基部開口を含む。カニューレ及び針の滅菌性は、挿入機構の滅菌部分内でのそれらの初期位置付けによって維持される。具体的には、上述のように、針及びカニューレは、マニホールド及び滅菌ブーツの滅菌環境において維持される。基部の基部開口は、例えば封止膜(不可視)によって、非滅菌環境からも閉鎖され得る。
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、挿入機構は初めに、挿入機構ハウジングのロックアウト窓内に初めに位置付けられたロックアウトピン(複数可)によって即時使用可能な段階に係止されている。この初期構成において、挿入偏倚部材及び後退偏倚部材は、それらの圧縮された付勢状態に各々保持されている。引張、押圧、摺動、及び/または回転等の1つ以上の方法によるロックアウトピン(複数可)の変位は、挿入偏倚部材がその初期の圧縮された付勢状態から圧縮解除されることを許容する。挿入偏倚部材のこの圧縮解除は、任意選択で、針及びカニューレを使用者の身体内に駆動する。挿入段階の終わりに、または(多機能駆動機構によってトリガされる)薬物送達の終わりに、後退偏倚部材は、その初期の付勢状態から近位方向に拡張することが許容される。後退偏倚部材の近位方向におけるこの軸拡張は、針を後退させる。インサータ針/トロカール及びカニューレ構成が利用される場合、カニューレを使用者の身体と流体連通に維持しながら、針の後退が生じ得る。したがって、挿入機構を用いて、針及びカニューレを使用者内に挿入し、その後、カニューレを使用者の身体への薬物送達のための位置に保持しながら、針を後退させてもよい。
少なくとも1つの実施形態において、図75Aに示されるように、挿入機構は、最初は付勢状態に保持されている、回転して偏倚された部材90210を含む。好ましい実施形態において、回転して偏倚された部材は、ねじりばねである。回転偏倚部材は、歯車90112との歯車表面90208の相互作用によって、または代替的には、薬物送達デバイスの回転防止特徴との挿入機構の構成要素の接触によって付勢解除することを防止され得る。デバイスの作動時、または別の入力時に、回転して偏倚された部材90210は、付勢解除することを少なくとも部分的に許容される。これは挿入機構の1つ以上の構成要素の回転を引き起こし、これは次いで、患者内への針の挿入を引き起こすか、またはそれを可能にする。さらに、カニューレは、上述のように患者内に挿入され得る。デバイスの制御アームまたは別の構成要素がテザーにおけるたるみを認識したとき等の後の時点で、回転して偏倚された部材は、さらに付勢解除され得、これは、挿入機構の1つ以上の構成要素の追加の回転を引き起こす。この回転は、針を患者から後退させるか、それを可能にし得る。針は、単一の工程で完全に後退してもよく、または複数の後退工程があってもよい。
XV.C.流体通路接続子
いくつかの流体通路接続子が、本開示の実施形態内で利用され得る。一般に、好適流体通路接続子は、滅菌流体導管、穿通部材、及び薬物容器に取り付けられた滅菌スリーブまたは薬物容器内に一体化された摺動型の穿通可能なシールを含む。流体通路接続子は、1つ以上の流れ制限部をさらに含み得る。送達デバイス9010の適切な作動時に、流体通路接続子90300は、滅菌流体導管9030を駆動機構90100の薬物容器に接続するように有効化される。かかる接続は、駆動機構90100の薬物容器の穿通可能なシールを突き通す、針等の穿通部材によって容易にされる。この接続の滅菌性は、可撓性滅菌スリーブ内で接続を行うことによって維持され得る。挿入機構の実質的に同時の作動時に、薬物容器と挿入機構との間の流体通路が完成して、使用者の身体内への薬物送達を許容する。かかる一実施形態において、流体通路接続子は、国際特許出願第PCT/US2012/054861号に記載されるものと実質的に同様であり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。かかる実施形態において、圧縮性の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップと流体通路接続子の接続ハブとの間に固定的に取り付けられてもよい。穿通部材は、流体接続通路と薬物容器との間の接続が所望されるまで、滅菌スリーブ内に常在し得る。滅菌スリーブは、作動前の穿通部材及び流体通路の滅菌性を保証するために滅菌され得る。
代替的に、流体通路接続子は、例えば、国際特許出願第PCT/US2013/030478号または同第PCT/US2014/052329号に記載されるように、薬物容器の中に一体化され得、同特許出願は、参照によりそれらの全体が全目的で本明細書に組み込まれる。かかる実施形態によれば、薬物容器は、穿通可能なシールとプランジャシールとの間でバレル内に薬物チャンバを有し得る。薬物流体は、薬物チャンバに収容される。使用者による作動デバイスの作動時に、駆動機構は、薬物容器に収容されたプランジャシールに力を及ぼす。プランジャシールが薬物流体及びいずれの空気/ガスの間隙または気泡に力を及ぼすと、空気/ガス及び薬物流体の圧縮によって空気圧及び液圧の組み合わせが蓄積し、この力が、摺動型の穿通可能なシールに引き継がれる。穿通可能なシールは、キャップの方へ摺動させられて、一体型の滅菌流体通路接続子内に保持された穿通部材によって穿通されることになる。したがって、一体型の滅菌流体通路接続子は、駆動機構の作動によって生み出された、薬物チャンバ内の空気/ガス及び薬物流体の組み合わせた空気圧/液圧の力によって接続される(すなわち、流体通路が開通される)。いったん一体型の滅菌流体通路接続子が接続されるか、または開通されると、薬物流体は、薬物送達のために薬物容器から、一体型の滅菌流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通って、そして使用者の体内へと流れることを許容される。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構のマニホールドならびにカニューレ及び/または針のみを通って流れ、それによって、薬物送達前及び送達中に流体通路の滅菌性を維持する。
好ましい実施形態において、滅菌流体通路接続子は、針挿入機構が動くことによって始動され、この針挿入機構の動き自体は、多機能駆動機構によって始動される。加えてまたは代替的に、滅菌流体通路接続子は、多機能駆動機構が直接動くことによって始動される。例えば、多機能駆動機構は、薬物送達の速度を制御する、針挿入機構を起動する、及び/または滅菌流体通路接続子を始動するために同時にまたは順次に作用する、本明細書で上述される星形歯車等の回転歯車を含み得る。図69A~69Cに示される1つの特定の実施形態において、多機能駆動機構は、これらの工程の全てを実質的に同時に実施する。多機能駆動機構は、いくつかの他の構成要素に対して作用する歯車を回転させる。歯車は、針挿入機構と接触して流体通路を使用者へと導入しながら、歯車アセンブリに作用して、薬物送達速度を制御する。針挿入機構が始動されるとき、滅菌流体の接続は、多機能駆動機構の歯車及び歯車アセンブリが薬物送達の速度を制御しながら、患者の中への送達のために薬物容器から、流体導管を通した、針挿入機構の中への薬物流体の流れを許容するようにされる。
薬物送達デバイスによって利用される流体通路接続子にかかわらず、薬物送達デバイスは、異なる粘度及び体積を有する様々な薬物を送達可能である。薬物送達デバイスは、制御された流速(速度)で及び/または指定の体積の薬物を送達可能である。一実施形態において、薬物送達過程は、流体通路接続子及び/または滅菌流体導管内で1つ以上の流れ制限部によって制御される。他の実施形態において、他の流速が、流体流路または送達導管の幾何形状を変化させることによって、駆動機構の構成要素が薬物容器の中へと前進してその中の薬物を分注する速度を変化させることによって、またはそれらの組み合わせによって、提供されてもよい。流体通路接続子90300及び滅菌流体導管9030についての依然としてさらなる詳細が、これ以降、他の実施形態を参照して後の節で提供される。
XV.D.多機能駆動機構:
本開示の多機能駆動機構は、(i)原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御することと、(ii)針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供することと、(iii)滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容することと、を含むいくつかの機能を有効化または始動する。図70A~70D及び71A~71Dに示される実施形態を参照すると、駆動機構90100は、アクチュエータ90101と、主歯車90102を含む歯車アセンブリ90110と、駆動ハウジング90130と、キャップ9052、穿通可能なシール(不可視)、バレル9058、及びプランジャシール9060を有する薬物容器9050とを含む。主歯車90102は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシール9060との間でバレル9058内に位置する薬物チャンバ9021は、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。本明細書に記載のシールは、いくつかの材料から構成され得るが、好ましい実施形態において、1つ以上のエラストマーまたはゴムから構成されている。駆動機構90100は、本明細書にさらに記載されるように、1つ以上の駆動偏倚部材、1つ以上の解放機構、及び1つ以上のガイドをさらに含み得る。駆動機構の構成要素は、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通る、かつ使用者の身体内への送達のために、穿通可能なシールを通して、または好ましくは流体通路接続子の穿通部材を通して流体を薬物容器から押し出すように機能する。
1つの特定の実施形態において、駆動機構90100は、1つ以上の圧縮ばねを偏倚部材(複数可)として用いる。使用者により薬物送達デバイスが作動されると、電力・制御システムが起動されて、圧縮ばね(複数可)を付勢状態から直接的または間接的に解放し得る。解放されると、圧縮ばね(複数可)は、プランジャシールに対して重みをかけ、かつそれに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。圧縮ばねは、ピストンに対して重みをかけ、かつそれに作用し、これは次いで、プランジャシールに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。流体通路接続子は、駆動機構の作動前、それと同時に、またはその後に穿通可能なシールを通して接続されて、薬物容器から流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通り、かつ使用者の身体内への薬物送達のための流体流を許容し得る。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構のマニホールド及びカニューレのみを通って流れ、それによって、薬物送達前及びその間に流体通路の滅菌性を維持する。かかる構成要素及びそれらの機能は、本明細書にさらに詳細に記載される。
次に図70A~70D及び71A~71Dに示される多機能駆動機構の実施形態を参照すると、駆動機構90100は、アクチュエータ90101と、主歯車90102を含む歯車アセンブリ90110と、駆動ハウジング90130と、キャップ9052、穿通可能なシール(不可視)、バレル9058、及びプランジャシール9060を有する薬物容器9050とを含む。主歯車90102は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシール9060との間でバレル9058内に位置する薬物チャンバ9021は、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。1つ以上の駆動偏倚部材90122及びピストン90110は、薬物容器9050とハウジング90130の近位端との間で駆動ハウジング90130内で圧縮され、駆動偏倚部材90122は、本明細書にさらに記載されるように、ピストン90110のインターフェース表面90110C上に支えられるように構成されている。任意選択で、例えば、駆動偏倚部材90122からピストン90110への力のより均等な分配を促すため、駆動偏倚部材90122の座屈を防止するため、かつ/または偏倚部材90122を使用者の視界から隠すために、被覆スリーブ(図示せず)が駆動偏倚部材90122とピストン90110のインターフェース表面90110Cとの間に利用されてもよい。ピストン90110のインターフェース表面90110Cは、シール9060の近位端に実質的に隣接して、またはそれと接触して静止させられる。図70A~70D及び71A~71Dに示される実施形態は、単数の偏倚部材を示しているものの、並行して作用するように配置された1つ以上の偏倚部材が使用され得ることも企図される。
図70D及び図71Dに最も良好に示されるように、ピストン90110は、2つの構成要素90110A及び90110Bから構成され、プランジャシールに接触するためのインターフェース表面90110Cを有し得る。テザー、リボン、紐、または他の保持ストラップ(本明細書において「テザー」90525と称される)は、一方の端部においてピストン90110A、90110Bに接続され得る。例えば、テザー90525は、組み立てられたときのピストン90110A、90110Bの2つの構成要素の間の保持によって、ピストン90110A、90110Bに接続され得る。テザー90525は、別の端部において送達制御機構90500のウィンチドラム/歯車90520に接続されている。テザー90525の一方の端部に接続されたウィンチドラム/歯車90520、及び別の端部においてピストン90110A、90110Bに接続されたテザー90525の使用を通して、調節機構90500は、原薬を薬物容器9050から押し出すために利用されるピストン90110A、90110B及びプランジャシール9060の自在な軸方向平行移動を制御するか、それを計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止するように機能する。したがって、調節機構90500は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御するために一緒に機能する、多機能駆動機構の態様の歯車アセンブリ90116の一部分である。
図70A~70D及び71A~71Dに示されるように、かつ図72及び73A~73Bに分離して示されるように、本開示の実施形態において、調節機構90500は、多機能駆動機構90100のアクチュエータ90101によって駆動される歯車アセンブリである。調節機構は、テザー90525の分配を妨げるかまたは制限し、調節された速度または所望の速度でのみ前進させる。これは、1つ以上の偏倚部材90122によって押圧されているバレル9058内でのピストン90110の移動を制限し、よって、プランジャシール9060の移動及びチャンバ9021に収容された薬物の送達を制御する。プランジャシール9060が薬物容器9050内で前進すると、原薬は、薬物送達のために、滅菌通路接続90300、導管9030、挿入機構90200を通り、かつ使用者の身体内へと分注される。アクチュエータ90101は、例えば、ソレノイド、ステッパモータ、または回転式駆動モータを含む、いくつかの電力/運動源であり得る。特定の実施形態において、アクチュエータ90101は、主/星形歯車90102の歯に対応するノッチを有する回転式ステッパモータである。一般に、かかる回転式ステッパモータは、「Pac-Man」モータと称され得る。少なくとも1つの実施形態において、Pac-Manモータは、システムの動作中に主歯車の1つ以上の歯がその内部に部分的に常在し得る、歯車インターフェースを有する。これは、図73A~73Bにおいてより明らかに見ることができる。Pac-Manモータ90101の歯車インターフェース90101Aが主歯車90102の歯90102Aと整列しているとき、Pac-Manモータ90101の回転運動は、主歯車90102の歯車インターフェース回転を引き起こす。Pac-Manモータ90101が主歯車の歯の間にあるとき、例えば、歯車アセンブリ90116のバックスピンまたは巻き戻しのための抵抗として作用し得る。1つの特定の実施形態において、Pac-Manモータ90101は、Pac-Manモータ90101を逆方向及び順方向に回転させるために、交番方向型のモータを利用する。この構成は、モータの多方向を使用して、(暴走状態のために必要とされるであろう)一方向における連続スピンを防止することによって、モータ及び歯車が回転することを自在に許容されている暴走状態の防止を補助する。Pac-Manモータ内の歯車インターフェースの切れ目の使用と連結されたモータのこの二方向の動きは、使用者への薬物の過剰送達につながる可能性がある暴走状態を防止するために好適な安全性特徴を提供する。歯車アセンブリ90116、調節機構90500、及び多機能駆動機構90100についてのさらなる詳細は、本明細書に提供される。
図73A~73Bに示される特定の実施形態において、調節要素90500は、歯車アセンブリ90516の1つ以上の歯車90511、90512、90513、90514をさらに含む。歯車90511、90512、90513、90514のうちの1つ以上は、例えば、大径歯車に共有中心点で取り付けられた小径歯車を有する複合歯車であり得る。歯車90513は、例えば、位置決めされたシャフトによってウィンチドラム/歯車90520に回転式に連結され得、それによって、歯車アセンブリ90516の回転をウィンチドラム/歯車90520に連結し得る。複合歯車90512は、複合歯車態様90512Bの回転移動が歯車の係合によって(例えば、対応する歯車の歯の係合によって)歯車90513へと伝達されるように、小径歯車90513に係合する。その回転が歯車態様90512Bに連結している複合歯車態様90512Aは、主/星形歯車90102の複合歯車態様90102Bの作用によって回転させられる。その回転が主/星形歯車90102に連結している複合歯車態様90102Bは、主/星形歯車90102Aとアクチュエータ90101のインターフェース90101Aとの間の相互作用によって回転させられる。故に、主/星形歯車90102の回転は、ウィンチドラム/歯車90520に伝達される。したがって、アクチュエータ90101によって始動された歯車アセンブリ90516の回転は、ウィンチドラム/歯車90520に連結され(すなわち、歯車アセンブリ90516を通して)、それによって、テザー90525の分配、及びバレル9058内でのプランジャシール9060の移動の速度を制御して、流体を薬物チャンバ9021から押し出し得る。ウィンチドラム/歯車90520の回転移動、及び故にピストン90110及びプランジャシール9060の軸方向平行移動は、本明細書に記載されるように、調節要素90500の他の構成要素による自在な軸方向平行移動を計測、制限、または別様に防止される。上述のように、アクチュエータ90101は、モータ(例えば、DCモータ、ACモータ、ステッパモータ)またはソレノイド(例えば、リニアソレノイド、回転ソレノイド)を含むいくつかの既知の電力/運動源であり得る。
上に記載され、かつ図69A~73Dに示される実施形態は、主/星形歯車90102と垂直に整列し、かつそれと直接係合しているアクチュエータ90101を示す。機械技術における当業者であれば容易に理解され得るように、アクチュエータ90101は、水平に整列するように修正されてもよい。加えてまたは代替的に、アクチュエータ90101は、主/星形歯車90102と間接的に係合するように修正されてもよい。図75A~75Bに示される実施形態は、主/星形歯車90102と水平に整列し、かつそれと間接的に係合しているアクチュエータ90101を示す。かかる実施形態は、モータの運動の方向を水平から垂直(すなわち、垂直相互作用)に変えるために、図75A~75Bに示されるように、ラック及びピニオン係合、駆動ねじ、またはウォーム歯車90101Wを利用してもよい。アクチュエータ90101は、ウォーム歯車90101Wを回転させ、ウォーム歯車は、歯車90101Gに係合し、その運動をPac-Man歯車90101Aに伝達する。Pac-Man歯車90101Aは、主/星形歯車90102に係合して、本明細書に記載されるように、駆動機構及び薬物送達デバイスの操作を可能にする。主/星形歯車90102はまた、歯車90112の操作を駆動して、本明細書に記載されるように、針挿入機構90200の操作を可能にする。1つの特定の実施形態において、アクチュエータ90101は、ウォーム歯車90101W、歯車90101G、及びPac-Man歯車90101Aを逆方向及び順方向に回転させるために、交番方向型のモータを利用する。この構成は、モータの多方向を使用して、(暴走状態のために必要とされるであろう)一方向における連続スピンを防止することによって、モータ及び歯車が回転することを自在に許容されている暴走状態の防止を補助する。主/星形歯車90102と共に、ウォーム歯車90101W、歯車90101G、及びPac-Man歯車90101Aの歯車インターフェースの使用と連結されたアクチュエータ90101のこの二方向の動きは、使用者への薬物の過剰送達につながる可能性がある暴走状態を防止するために好適な安全性特徴を提供する。追加的に、アクチュエータ90101は、停止ブロック90150に対してPac-Man歯車90101Aの回転を停止させる停止部材90101Bを含み得る。停止ブロック90150は、Pac-Man歯車90101A、及びしたがって主/星形歯車90102の過剰回転をさらに防止して、使用者への薬物の過剰送達につながる可能性がある暴走状態を防止する。停止部材90101Bは、停止ブロック90150との相互作用によって一方向における過剰回転を防止するため、デバイスがこの構成で機能するためには、Pac-Man歯車90101Aは、主/星形歯車90102を前進させるために再び順方向に回転する前に、他の方向で逆方向に回転させられなければならない。追加的に、ウォーム歯車90101Wの幾何形状は、それ自体が自己係止されるか、かつ/または歯車90101Gによって後方駆動されないように構成され得る。これは、ピッチ、リード角、圧力角、及びねじの数等のパラメータの構成によってなされ得る。そうするとき、アクチュエータ90101によって引き起こされていない回転に対するウォーム歯車の抵抗によって、駆動機構の暴走状態が防止されることになる。
とりわけ、本開示の調節機構90500は、薬物チャンバ9021からの流体物質の送達を駆動しない。薬物チャンバ9021からの流体物質の送達は、偏倚部材90122の、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって引き起こされる。調節機構90500は、代わりに、それらが偏倚部材90122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構90500は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン90110及びプランジャシール9060の運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。好ましい実施形態によれば、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスは、偏倚部材90122によって軸方向に平行移動するように駆動されているピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の軸方向平行移動を計るテザーに間接的または直接的に接続された調節機構を含む。調節機構によって制御される薬物送達の速度は、歯車アセンブリ90516の歯車比の選択;主/星形歯車90102の選択;巻胴/歯車90520の直径の選択;電気機械的アクチュエータ90101を使用して主/星形歯車90102の回転速度を制御すること;または当業者に既知である任意の他の方法によって決定され得る。電気機械的アクチュエータ90101を使用して主/星形歯車90102の回転速度によって、可変の用量速度を提供する(すなわち、薬物送達の速度が治療中に変動する)ように薬物送達デバイスを構成することが可能であり得る。
別の実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システムは、1つ以上の入力を受信して、ウィンチドラム/歯車90520によるテザー90525の解放を計り、それによって、偏倚部材90122によるピストン90110の軸方向平行移動を許容して、プランジャシール9060をバレル9058内で平行移動させるように構成されている。1つ以上の入力は、作動機構、制御インターフェース、及び/または遠隔制御機構の起動によって提供され得る。電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすために、使用者への送達のための用量体積を変えるために、かつ/または駆動機構の操作を別様に開始、停止、もしくは一時停止するために、1つ以上の入力を受信して、偏倚部材90122がその上に支えられているピストン90110の自在な軸方向平行移動上にテザー90525及びウィンチドラム/歯車90520によってもたらされる制限を調整するように構成され得る。
作動時に、駆動機構90100の構成要素を用いて、薬物容器9050のプランジャシール9060の遠位方向への軸方向平行移動を駆動してもよい。任意選択で、駆動機構90100は、例えば、実質的に全薬物用量が使用者に送達されたことを確実にするために、プランジャシール9060の追加の軸方向平行移動を可能にする1つ以上の遵守特徴を含み得る。例えば、プランジャシール9060自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。
本開示の新規の制御送達駆動機構は、任意選択で、ステータス表示を薬物用量送達内に一体化し得る。1つ以上のステータストリガ及び対応するステータスリーダの使用によって、使用者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、電力・制御システムに伝えられ得る。かかるフィードバックは、上述のように、触覚、視覚、及び/または聴覚によるものであってもよく、デバイスの使用中にフィードバックの1つ超の信号または種類が使用者に提供されるように重複してもよい。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、ピストンがその軸方向平行移動の終了に達したことに結び付けられるため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。
テザー90525は、ステータスリーダに接触することができるか、またはそれによって認識されることができる、電気的接触、光学的マーキング、または電気機械的ピンもしくは陥凹等の1つ以上のステータストリガを有し得る。少なくとも1つの実施形態において、いったんステータスリーダが、薬物容器9050のバレル9058内でのピストン90110A、90110B、及びプランジャ9060の軸方向移動の終わりにステータスリーダに接触することになるテザー90525上に位置付けられた最終ステータストリガに接触するか、またはそれを認識すると、投薬終了ステータス表示が使用者に提供され得る。ステータスリーダは、例えば、対応する電気接触に接触する電気スイッチリーダ、対応する光学的マーキングを認識する光学的リーダ、または対応するピン、穴、もしくはテザー上の同様の態様に接触するように構成された機械的もしくは電気機械的リーダであり得る。ステータストリガは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー90525に沿って位置付けられ得る。薬物送達デバイスが作動され、偏倚部材90122、ならびに結果としてピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060に加えられた力の解放によって薬物送達が開始されると、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルは、調節機構90500、歯車アセンブリ90516、及びウィンチドラム/歯車90520によって制御され、テザー90525を解放し、偏倚部材90122の拡張、ならびにピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の軸方向平行移動を許容する。これが生じると、テザー90525のステータストリガは、ステータスリーダによって接触または認識され、使用者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、電力・制御システムに伝えられ得る。テザー90525上に位置するステータストリガの数に応じて、増分ステータス表示の頻度所望通りに変動され得る。上述のように、システムによって利用されるステータストリガに応じて、様々なステータスリーダを利用することができる。
好ましい実施形態において、ステータスリーダは、テザー90525に張力を加えてもよい。システムが投薬終了に達すると、テザー90525はたるみ、ステータスリーダ90544は、支点の周りで回転することを許容される。この回転は、電気的または電気機械的スイッチ、例えばスイッチを動作させ、テザー90525におけるたるみについて電力・制御システムに信号伝達する。追加的に、歯車列90516の歯車90511は、センサと共にエンコーダとして作用し得る。センサ/エンコーダの組み合わせは、歯車アセンブリの回転のフィードバックを提供するために使用され、これは次いで、テザー90525にたるみがないときのピストン90110の位置に較正され得る。ステータスリーダ及びセンサ/エンコーダは併せて、センサ/エンコーダによってカウントされるモータ回転が予想される数に達する前にテザー90525におけるたるみを観察することによって、位置フィードバック、投薬終了信号、及び閉塞等のエラー表示を提供し得る。
テザーのたるみまたは不具合のがある場合に薬品の流れを終結させるかまたは制限するための、追加の手段が存在し得る。図74A~74Bは、1つのかかる実施形態を示す。ブレーキ9064、スリーブ9062、及びプラグ9068、ならびに任意選択で保持器9066がバレル9058内に配置されている。偏倚部材90122は、スリーブ9062に対して重みをかけている。テザー90525はプラグ9068に係合し、それによって、テザー90525がスリーブ9062の運動を制限することを可能にする。この制限は、偏倚部材90122の拡張または付勢解除の速度を制御する。テザー90525が張力下にあるとき、プラグ9068は、ブレーキ9064の遠位面9064Aに重みをかけ、ブレーキ9064の近位面9064Bに、スリーブ9062に対して重みをかけさせる。この接触、及びスリーブ9062の遠位端9062Aのプロファイルに起因して、ブレーキ9064は、図74Aに示されるように実質的に円錐状の構成に維持される。この構成において、偏倚部材90122の拡張または付勢解除は制限されている。また、この円錐状の構成において、ブレーキ9064の外径は、バレル9058の内径よりも小さく、故に、ブレーキの平行移動は、薬物容器の内壁との接触によって制限されない。また、ブレーキ9064の一部分は、保持器9066と接触している。ブレーキ9064は、プラグ9068及びスリーブ9062によってこの構成に維持されるため、偏倚部材90122の圧縮解除によって引き起こされるスリーブ9062の平行移動は、保持器9066に移送される。同様に、保持器9066のプランジャシール9060との接触は、プランジャシール9060の平行移動を引き起こす。
図74Bに示されるように、テザー90525のたるみまたは不具合がある場合、プラグ9068は、テザー90525によってもはや所定の位置に保持されず、及びしたがって、スリーブ9062の運動をもはや制限しない。偏倚部材90122が圧縮解除または付勢解除すると、ブレーキ9064は、相対的により円錐状ではないか、またはより平らな構成に変形する。これは、この構成に変形するためのブレーキ9064の自然な偏倚によって引き起こされ得るか、または代替的に、保持器9066及びスリーブ9062の両方とのブレーキ9064の接触によって引き起こされ得る。ブレーキが変形すると、それはバレル9058の内壁と接触するようになる。故に、ブレーキは、スリーブ9062の平行移動を制限するためのくさびとして作用する。これは、さらなる平行移動を防止し得るか、または平行移動の速度を制限するように作用し得る。任意選択で、テザーにおける張力の回復は、プラグがブレーキと接触し、かつブレーキをその円錐状の構成に戻すように変形させることを引き起こし、及び故に、薬物送達デバイスの通常の動作を回復させる。
図74A~74Bは、球形を有するプラグ及び円錐形を有するブレーキを示す。かかる形状は、本明細書において単に例示目的で使用されているにすぎず、同じかまたは同様の機能を達成するために他の形状または構成が容易に利用される。例えば、プラグは、それ自体が円錐状の形状であってもよく、一実施形態において、ブレーキが円錐形状である場合に、ブレーキとインターフェース接続するような形状をなしてもよい。かかる構成において、プラグの円錐形状は、ブレーキの円錐形状を維持することを補助し、それによって、スリーブ9062の軸平衡平行移動を制限するために、ブレーキの外径とバレルの内径との間の接触を防止する(すなわち、ブレーキ力を加える)。別の実施形態において、ブレーキ9064は、バレル9058の内径と接触して、スリーブ9062のさらなる軸方向平行移動を防止または制限するように、実質的に平坦化した位置にあるときに星形状または他の構成を用いることができる。スリーブ9062のさらなる平行移動がないと、偏倚部材90122は、さらに拡張または付勢解除することができず、これは次いで、使用者へのさらなる薬物送達を防止または制限する。これは、使用者への薬物の過剰送達または加速した送達を防止するように、薬物送達のための安全処置を提供する。
次に図70A~70D及び71A~71Dを参照すると、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御すること(それによって、原薬を可変の速度及び/または送達プロファイルで送達すること)に加え、本開示の多機能駆動機構は、針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供する工程、及び滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容する工程を同時にまたは連続的に実施し得る。少なくとも1つの実施形態において、図70A~70D及び71A~71Dに示されるように、多機能駆動機構90100のアクチュエータ90101による初期運動は、主/星形歯車90102を回転させる。主/星形歯車90102は、態様90102A及び90102B(図72を参照されたい)を有する複合歯車として示される。1つの様態において、主/星形歯車90102は、歯車アセンブリ90516を通して調節機構90500に運動を伝える。別の様態において、主/星形歯車90102は、歯車90112を通して針挿入機構90200に運動を伝える。主/星形歯車90102によって歯車90112が回転させられると、上に詳細に記載されるように、歯車90112は針挿入機構90200に係合して、流体通路接続子を使用者の中へと始動させる。1つの特定の実施形態において、針挿入機構90200は、回転式針挿入機構である。したがって、歯車90112は、針挿入機構90200の対応する歯車表面90208に係合するように構成されている。歯車90112の回転は、駆動機構90100の歯車90112と針挿入機構90200の対応する歯車表面90208との間の歯車の相互作用を通して針挿入機構90200の回転を引き起こす。いったん針挿入機構90200の好適な回転、例えば、図2B~2Cに示される軸「R」に沿った回転が生じると、上に詳細に記載されるように、針挿入機構が始動されて、使用者への流体通路接続子を生み出す。代替的な実施形態において、図75A~75Bに示されるように、歯車90112は、針挿入機構90200に間接的に係合して、流体通路接続子を使用者の中へと始動させ得る。例えば、歯車90112は、針挿入機構90200と接触または遮断する制御アーム90202(図75Bにおいて見ることができる)の対応する歯車表面に係合するように構成され得る。歯車90112の回転は、制御アーム90202の移動を引き起こし、これは、針挿入機構90200の回転を始動または許容し得る。かかる針挿入機構は、図75A~75Bに示されるように、最初は付勢状態に保持されている、回転して偏倚された部材90210を含む。回転偏倚部材は、制御アームの遮断態様等の、薬物送達デバイスの回転防止特徴との挿入機構の構成要素の接触によって付勢解除することを防止され得る。デバイスの作動時、または別の入力時に、回転して偏倚された部材90210は、付勢解除することを少なくとも部分的に許容される。これは挿入機構の1つ以上の構成要素の回転を引き起こし、これは次いで、患者内への針の挿入を引き起こすか、またはそれを可能にする。さらに、カニューレは、上述のように患者内に挿入され得る。デバイスの制御アームまたは別の構成要素がテザー90525におけるたるみを認識したとき等の後の時点で、回転して偏倚された部材は、例えば制御アームとのさらなる相互作用によってさらに付勢解除され得、これは、挿入機構の1つ以上の構成要素の追加の回転を引き起こす。この回転は、針を患者から後退させるか、それを可能にし得る。針は、単一の工程で完全に後退してもよく、または複数の後退工程があってもよい。
図70A~70D及び71A~71Dに示されるように、この様態での針挿入機構90200の回転はまた、滅菌流体通路の薬物容器への接続をもたらして、使用者への送達のための薬物容器から挿入機構への流体流を許容し得る。針挿入機構90200のランプ態様90222は、滅菌流体通路接続子90300の可動接続ハブ90322上に支えられるようにされる。多機能駆動機構90100によって針挿入機構90200が回転させられると、針挿入機構90200のランプ機構90222は、滅菌流体通路接続子90300の可動接続ハブ90322に係合し、かつそれを平行移動させて、その内部の流体接続を容易にする。かかる平行移動は、例えば、図70B及び71Bに示される軸「C」に沿った中空矢印の方向に生じ得る。少なくとも1つの実施形態において、針挿入機構90200は、上に詳述されるように、回転軸「R」(図70B~70Cに示される)上の特定の角度の回転が針/トロカールの後退を可能にするように構成され得る。加えてまたは代替的に、かかる針/トロカールの後退は、使用者の活動時または薬物送達デバイスの別の構成要素の移動もしくは機能時に生じるように構成され得る。少なくとも1つの実施形態において、針/トロカール後退は、例えば、上述のように、調節機構90500及び/またはステータスリーダのうちの1つ以上によってトリガされる、薬物送達の終了時に生じるように構成され得る。これらの操作段階の間、薬物チャンバ9021からの流体物質の送達は、偏倚部材90122の、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって始動され、進行中であり、かつ/または完了され得る。上述のように、調節機構90500は、それらが偏倚部材90122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構90500は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン90110及びプランジャシール9060の運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。これは、図70A~70D及び71A~71Dに示される構成要素の進行を通して見ることができる。図70A~70D及び71A~71Dの移行で示されるように、それらが偏倚部材90122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間の、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の自在な運動は、近位または第1の位置「P」から遠位または第2の位置「D」への軸「A」に沿った実線矢印の方向で示される。
新規の駆動機構のさらなる態様は、図72及び73A~73Bを参照して記載される。図72は、少なくとも第1の実施形態による、その初期係止段階中の多機能駆動機構の斜視図を示す。最初に、テザー90525は、偏倚部材90122をピストン90110A、90110B内の最初の付勢位置で保持し得る。使用者によるデバイスの作動時に直接的または間接的に、多機能駆動機構90100は、偏倚部材がピストン90110に、及びしたがってテザー90525に力を加えることを許容するために、作動し得る。テザー90525上のこの力は、巻胴90520上にトルクを加え、これは、歯車アセンブリ90516及び調節機構90500に運動を開始させる。図73Aに示されるように、ピストン90110及び偏倚部材90122はいずれも、最初は、プランジャシール9060の後方で圧縮された付勢状態にある。偏倚部材90122は、駆動ハウジング90130の内部特徴とピストン90110A、90110Bのインターフェース表面90110Cとの間でデバイスが作動するまで、この状態に維持され得る。薬物送達デバイス9010が作動され、駆動機構90100が動作するようにトリガされると、偏倚部材90122は、遠位方向で(すなわち、図70A~70D及び図71A~71Dに示される実線矢印の方向で)軸方向に拡張(すなわち、圧縮解除)することが許容される。かかる拡張は、偏倚部材90122がインターフェース表面90110C及びピストン90110上に作用し、かつそれらを遠位に平行移動させ、それによって、プランジャシール9060を遠位に平行移動させて、薬物流体をバレル9058の薬物チャンバ9021から押し出すことを引き起こす。少なくとも1つの実施形態において、いったんステータスリーダが、薬物容器9050のバレル9058内でのピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の軸方向移動の終わりに実質的に対応するようにテザー90525上に位置付けられたステータストリガに接触するか、またはそれを認識すると、投薬終了ステータス表示が使用者に提供され得る。ステータストリガは、使用者に増分ステータス表示を提供するために、ある特定の体積測定に対応する増分等の種々の増分でテザー90525に沿って位置付けられ得る。少なくとも1つの実施形態において、ステータスリーダは、テザー上の対応する光学的ステータストリガを認識するように構成された光学的ステータスリーダである。当業者には理解されようが、かかる光学的ステータストリガは、光学的ステータスリーダによって認識可能なマーキングであり得る。別の実施形態において、ステータスリーダは、対応するピン、穴、またはテザー上の同様の態様に接触するように構成された機械的または電気機械的リーダである。電気接触は、対応する電気的ステータスリーダに接触するか、または別様にそれによって認識されるステータスインジケータと同様にテザー上で利用され得る。ステータストリガは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー90525に沿って位置付けられ得る。示されるように、テザー90525は、駆動機構ハウジング90130、偏倚部材90122を通って通過し、ピストン90110A、90110Bに接続して、ピストン90110A、90110B、及びそれらに隣接して常在するプランジャシール9060の軸方向平行移動を制限する。
本開示の新規の実施形態は、巻胴90520の自在な回転、及び故に制御送達駆動機構90100の構成要素の軸方向平行移動を計り、制限し、または別様に防止するために利用され得る。したがって、調節機構90500は駆動機構の運動を制御するのみで、薬物送達のための力は加えない。圧縮ばね等の1つ以上の追加の偏倚部材90122を利用して、ピストン90110を駆動するか、またはその駆動を補助してもよい。例えば、圧縮ばねは、この目的で、駆動ハウジング90130内で利用され得る。調節機構90500は、かかる作用を制御するか、計るか、または調節するのみである。本開示の制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスは、加えて、実質的に全ての原薬が薬物チャンバ9021から押し出されたことを確実にするために、遵守による一押しを可能にする。プランジャシール9060自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。例えば、ポップアウト型プランジャシール、すなわち、初期状態から変形可能なプランジャシールが用いられる場合、プランジャシールは、変形または「ポップアウト」させられて、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを提供し得る。加えてまたは代替的に、電力・制御システムへの接触、接続、または別様に伝送を可能にして、投薬終了を使用者に信号伝達するために、電気機械的ステータススイッチ及び相互接続アセンブリが利用され得る。この構成は、使用者への真の終了表示をさらに可能にする。
少なくとも1つの実施形態において、歯車アセンブリ90516の1つ以上の歯車の回転運動を読み取るかまたは認識することによって、増分ステータス表示が使用者に提供され得る。歯車アセンブリ90516が回転するにつれて、ステータスリーダは、歯車アセンブリにおける歯車のうちの1つの上の1つ以上の対応するステータストリガを読み取るかまたは認識して、可変速度制御送達駆動機構の操作前、操作中、及び操作後に、増分ステータス表示を提供し得る。いくつかのステータスリーダが、本開示の実施形態内で利用され得る。例えば、駆動機構は、歯車アセンブリの歯車のうちの1つの歯によって物理的に接触された機械的ステータスリーダを利用してもよい。この例示的な実施形態において歯車のうちの1つの歯(または、歯車上の穴、ピン、隆起、マーキング、電気接触等)であり得るステータストリガ(複数可)によってステータスリーダが接触されると、ステータスリーダは、歯車の回転位置を測定し、使用者へのステータス表示のために信号を電力・制御システムに伝送する。加えてまたは代替的に、駆動機構は、光学的ステータスリーダを利用してもよい。光学的ステータスリーダは、例えば、運動を認識し、電力・制御システムに信号を伝送することができる光ビームであり得る。例えば、駆動機構は、歯車アセンブリの歯車のうちの1つの歯(または、歯車上の穴、ピン、隆起、マーキング、電気接触等)の運動を認識するように構成された光学的ステータスリーダを利用してもよい。同様に、ステータスリーダは、歯車上の電気接触を認識するように構成された電気スイッチであり得る。これらの実施形態のいずれかにおいて、次いで信号を電力・制御システムに伝えて、使用者にフィードバックを提供するために、センサを利用してもよい。
当業者には理解されようが、光学的ステータスリーダ及び対応するトリガ、電気機械的ステータスリーダ及び対応するトリガ、ならびに/または機械的ステータスリーダ及び対応するトリガは全て、使用者に増分ステータス表示を提供するために本開示の実施形態によって利用され得る。本開示の駆動機構は、図面に示される歯車アセンブリ及び調節機構に関連して記載されているものの、当業者には容易に理解されるであろうが、様々な構成が許容可能であり、本開示の実施形態内で用いられることができる。したがって、本開示の実施形態は、制御送達駆動機構及び薬物送達ポンプ内で用いるためのかかる機構の例示的な実施形態として提供されている、本明細書に記載の特定の歯車アセンブリ及び調節機構に限定されない。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬品の送達プロファイルは、調整可能である。例えば、食事、運動、睡眠等のある特定の活動前、活動中、または活動後に、薬品のボーラス注射を送達することが望ましい場合がある。「ボーラス注射」は、多くの場合、送達時間または持続時間にかかわらず送達される任意の測定された薬物体積である。逆に、「基底注射」は、多くの場合、制御された送達速度、及び/または異なる時間間隔で様々な送達速度を有する送達プロファイルである。同様に、使用者は、これらの時間または他の時間で薬品の基底送達速度を増加または減少させることを望む場合がある。少なくとも1つの実施形態において、送達プロファイルは、この所望の薬物送達を達成するために使用者によって調整可能である。使用者は、薬物送達デバイス自体と相互作用することによって送達プロファイルを調整してもよく、または代替的に、そのためにスマートフォン等の外部デバイスを使用してもよい。例えば、使用者は、作動機構を変位させることによって送達プロファイルを調整してもよく、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させてもよい。
本開示の別の実施形態において、送達プロファイルは、1つ以上の入力に基づいて自動的に調整されてもよい。例えば、送達プロファイルは、患者の活動レベル、心拍数、血糖値等に基づいて調整され得る。上記のように、これらの測定値を用いて、ボーラス注射、または基底注射送達速度の増加もしくは減少、または基底注射送達プロファイルの調整の必要性を判定することができる。少なくとも1つの実施形態において、これらの入力測定値は、デバイス自体によって監視され得る。追加的に、または代替的に、それらは、スマートフォン、スマートウォッチ、心拍数モニタ、グルコースモニタ、血圧モニタ等の二次デバイスによって監視されてもよい。いくつかの実施形態において、送達プロファイルは、使用者の介入を必要とせずにこれらの測定値に基づいて調整され得る。二次デバイスによる監視及び/または制御に場合、二次デバイス及び薬物送達デバイスは、互いに無線または有線通信し得る。この通信は、Bluetooth、近距離無線通信、Wi-Fi、またはデバイスの相互接続性に関する当業者に既知の任意の他の方法を通したものであり得る。
しかしながら、好ましい実施形態において、監視/調整機構は、使用者に対して警報を発し、かつ推奨を行う場合があり、使用者は、監視/調整機構による推奨を始動/許可するか、または無視する能動制御を有し得る。例えば、測定値のうちの1つ以上が指定の閾値より高いかまたは低い場合、デバイスは、可聴、可視、または触覚による警報を使用者に対して発する場合がある。一例において、警報は、デバイスの振動によって提供され、それによって、個別の警報を使用者に提供する。加えてまたは代替的に、警報は、使用者のスマートフォンまたは他の二次デバイスによって提供され得る。使用者は、コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースにおける測定値の現在のステータスを、デバイス自体、コンピュータ、スマートフォン、または他のデバイスの上で見ることができる場合がある。コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースは、送達プロファイルへの推奨される調整を提供し得る。この情報に基づいて、使用者は、薬物送達デバイスの送達速度を調整することができる。上記のように、使用者は、作動機構を変位させるか、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させることによって、送達プロファイルを調整してもよい。
一実施形態において、使用者の入力または上記の測定値のいずれかに基づく送達プロファイルを調整する信号に応じて、電力・制御システムは、アクチュエータ90101の移動速度を変化させ得る。アクチュエータ90101の移動速度の変化は、調節機構90500の回転速度を変化させ、これは次いで、使用者への薬物送達速度を制御する。代替的に、送達プロファイルは、薬物容器及び挿入機構を接続する導管を通る薬品の流路の特性の変化によって変えることができる。この変化は、薬物容器から挿入機構への薬品の流れを制限する流れ制限部の導入、取り外し、または修正によって引き起こされ得る。例えば、流れ制限部は、流れ制限部の入力及び出力と流体連通して選択的に定置され得る複数の流路を有し得る。異なる長さまたは断面を有する流路を提供することによって、送達速度を制御することができる。他の実施形態において、送達プロファイルは、導管の衝突の導入または取り外しによって変えることができる。流路の衝突は、導管を通る薬品の流れを中断させるかまたは遅くすることができ、それによって、使用者への送達速度を制御する。したがって、本開示の1つ以上の実施形態は、薬物容器からの薬品送達速度の変化を生み出し、それによって、多機能駆動機構及び/または薬物送達デバイスの動的制御能力を提供することができる。
制御送達駆動機構90100、薬物送達デバイス9010、または個々の構成要素のいずれかの組み立て及び/または製造は、当該技術分野で既知のいくつかの材料及び手法を利用してもよい。例えば、イソプロピルアルコール及びヘキサン等のいくつかの既知の清掃流体を用いて、構成要素及び/またはデバイスを清浄してもよい。いくつかの既知の接着剤または糊も同様に製造過程で用いられ得る。追加的に、既知のシリコン処理及び/または潤滑流体及び処理が、新規の構成要素及びデバイスの製造中に用いられ得る。さらに、既知の滅菌過程が、最終製品の滅菌性を保証するために製造または組み立て段階のうちの1つ以上で用いられ得る。
駆動機構は、いくつかの手法で組み立てられ得る。1つの組み立て方法において、薬物容器9050は最初に組み立てられ、使用者への送達用の流体で充填され得る。薬物容器9050は、キャップ9052、穿通可能なシール9056、バレル9058、及びプランジャシール9060を含む。穿通可能なシール9056は、バレル9058の遠位端において、キャップ9052とバレル9058との間に固定的に係合され得る。バレル9058は、バレル9058の近位端からのプランジャシール9060の挿入前に、開口近位端を通して薬物流体で充填されてもよい。任意選択的な接続マウント9054は、穿通可能なシール9056の遠位端に据え付けられ得る。接続マウント9054は、薬物容器9050のバレル9058内への流体通路接続子の穿通部材の挿入をガイドし得る。薬物容器9050は、その後、駆動ハウジング90130の遠位端に据え付けられ得る。
1つ以上の駆動偏倚部材90122は、駆動ハウジング90130の遠位端内に挿入され得る。任意選択で、被覆スリーブ90140は、偏倚部材90122を実質的に被覆するために、駆動ハウジング90130の遠位端内に挿入され得る。ピストンは、それが少なくとも部分的に偏倚部材90122の軸方向パススルー内に常在し、かつ偏倚部材90122が、偏倚部材90122の遠位端においてピストン90110A、90110Bのピストンインターフェース表面90110Cと接触することを許容されるように、駆動ハウジング90130の遠位端内に挿入され得る。偏倚部材90122を封入し、ピストン90110A、90110Bのピストンインターフェース表面90110Cと接触するために、任意選択的な被覆スリーブ90140を利用してもよい。ピストン90110A、90110B、及び駆動偏倚部材90122、ならびに任意選択的な被覆スリーブ90140は、駆動ハウジング90130内に圧縮され得る。かかる組み立ては、駆動偏倚部材90122を最初の圧縮された付勢状態に位置付け、かつ好ましくは、バレル9058の近位端内でプランジャシール9060の近位表面と接触してピストンインターフェース表面90110Cを定置する。ピストン、ピストン偏倚部材、接触スリーブ、及び任意選択的な構成要素は、薬物容器9050の取り付けまたは据え付け前に、駆動ハウジング90130内で圧縮され、起動準備完了状態に係止され得る。テザー90525は、ピストン90110A、90110Bの近位端に予め接続され、偏倚部材90122及び駆動機構90130の軸方向開口部に通され、その後、テザー90525の他の端部が調節機構90500のウィンチドラム/歯車90520に巻き付けられた状態で、薬物送達デバイスの内部に巻き付けられる。
流体通路接続子、及び具体的には流体通路接続子の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップ及び/または穿通可能なシールに接続され得る。流体導管は、流体通路が、開放、接続、または別様に有効化されているときに、使用者の身体内への薬物送達のために薬物容器、流体通路接続子、流体導管、挿入機構から、かつカニューレを通って直接移動するように、それ自体が挿入機構に接続されている流体通路接続子の他の端部に接続され得る。流体流のための通路を構成する構成要素が次に組み立てられる。これらの構成要素は、図69Bに示されるように、いくつかの既知の方法によって滅菌され、その後、固定的にまたは着脱自在に薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに据え付けられ得る。
本開示の幅及び範囲内に留まりながら、駆動機構90100または薬物送達デバイス9010のある特定の任意選択的な標準的な構成要素または変形形態が企図される。例えば、実施形態は、本開示のモータまたはソレノイド、駆動機構、及び薬物送達デバイスに電力供給するために利用される1つ以上の電池を含み得る。当該技術分野で既知の様々な電池がこの目的で利用され得る。追加的に、上部または下部ハウジングは、使用者が薬物送達デバイス9010の動作を見るか、または薬物用量が完了したことを検証することを可能にするために、任意選択で1つ以上の透明または半透明窓9018を含み得る。同様に、薬物送達デバイス9010は、接着パッチ9026及びパッチライナー9028をハウジング9012の底部表面上に含み得る。接着パッチ9026は、薬物送達デバイス9010を薬物用量の送達のために使用者の身体に接着するために利用され得る。当業者には容易に理解されようが、接着パッチ9026は、使用者の身体への薬物送達デバイスの接着のための接着面を有し得る。接着パッチ9026は、最初は、非接着パッチライナー9028によって被覆されていてもよく、これは、使用者の身体と接触した薬物送達デバイス9010の定置の前に接着パッチ9026から取り外される。パッチライナー9028の取り外しはさらに、挿入機構90200の封止膜90254を取り外し、薬物送達のために使用者の身体に対して挿入機構を開放する(図69Cに示されるように)。
同様に、制御送達駆動機構90100及び薬物送達デバイス9010の構成要素のうちの1つ以上は、機能的に本開示の幅及び範囲内に留まりながら修正され得る。例えば、上述のように、薬物送達デバイス9010のハウジングは、上部ハウジング9012A及び下部ハウジング9012Bの2つの別個の構成要素として示されているが、これらの構成要素は、単一の統合された構成要素であってもよい。上記で考察したように、糊、接着剤、もしくは他の既知の材料、または方法を利用して、制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素を互いに貼着してもよい。代替的に、制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素は、統合された構成要素であり得る。例えば、上部ハウジング及び下部ハウジングは、糊または接着剤、ねじ嵌め接続、締まり嵌め、融着接合、溶接、超音波溶接等によって一緒に貼着された別個の構成要素であってもよく、または上部ハウジング及び下部ハウジングは、単一の統合された構成要素であってもよい。かかる標準的な構成要素及び機能的変形形態は当業者には理解され得、したがって、本開示の幅及び範囲内である。
上記の説明から、本明細書に開示される制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスが、薬物容器からの自動化薬物送達のために効率的かつ容易に操作されるシステムを提供することが理解されよう。本明細書に記載の新規の実施形態は、原薬の制御された送達のための駆動機構、及びかかる制御送達駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供し得る。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。本開示の新規の制御送達駆動機構は、使用者によって直接的または間接的に作動され得る。さらに、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスの新規の構成は、貯蔵中、輸送中、及びデバイスの操作を通して、流体通路の滅菌状態を維持する。薬物流体がデバイス内で移動する通路が完全に滅菌状態で維持されるため、これらの構成要素は、製造過程中に滅菌される必要があるのみである。かかる構成要素には、駆動機構の薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構が含まれる。本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システム、アセンブリプラットフォーム、制御アーム、作動機構、ハウジング、及び他の構成要素は、滅菌される必要がない。これは、デバイスの製造性を大幅に改善し、関連する組み立て費用を低減する。したがって、本開示のデバイスは、組み立ての完了時に最終滅菌を必要としない。
送達デバイスの製造薬物は、別個にまたは複合構成要素としていずれかで制御送達駆動機構及び薬物容器の両方を、薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付ける工程を含む。製造方法は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングへの流体通路接続子、薬物容器、及び挿入機構の取り付けをさらに含む。上述のように、電力・制御システム、作動機構、及び制御アームを含む薬物送達デバイスの追加の構成要素は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付けられるか、予め形作られるか、または予め組み立てられ得る。接着パッチ及びパッチライナーは、デバイスの動作中に使用者と接触する薬物送達デバイスのハウジング表面に取り付けられ得る。
薬物送達デバイスを操作する方法は、使用者によって作動機構を作動させる工程と、制御アームを変位させて挿入機構を起動する工程と、電力・制御システムを起動して制御送達駆動機構を作動させて、制御された速度または薬物送達プロファイルに従って薬物送達デバイスを通る流体薬物流を駆動する工程と、を含む。本方法は、作動機構を作動させる前に任意選択的なオンボディセンサを係合させる工程をさらに含み得る。本方法は、同様に、流体通路接続子と薬物容器との間の接続を確立する工程を含み得る。さらに、操作方法は、薬物容器内でピストン上に作用する偏倚部材の拡張によって制御送達駆動機構内でプランジャシールを平行移動させて、使用者の身体への流体薬物の送達のために薬物容器、流体通路接続、滅菌流体導管、及び挿入機構に流体薬物流を押し通すことを含み得、テザーの分配を制限するように作用する調節機構は、ピストンの自在な軸方向平行移動を計るために利用される。駆動機構及び薬物送達デバイスの操作方法は、上述のように、図70A~70D及び図71A~71Dを参照してより良好に理解され得る。
XVI.多機能駆動機構の追加の実施形態
少なくとも図1A~2B、33A~33C、80A~85C、86A~91、92~99、100A~109Bに関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図69A~75Bに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図69A~75Bに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の駆動機構100、6100、8100、9210、9310、9410、もしくは9510、または本明細書に記載の任意の他の駆動機構を置き換えてもよい。
本開示は、原薬の制御された送達のための多機能駆動機構、かかる駆動機構を有する制御された薬物送達ポンプ、かかるデバイスを操作する方法、及びかかるデバイスの組み立て方法を提供する。特に、本開示の多機能駆動機構は、(i)原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御することと、(ii)針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供することと、(iii)滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容することと、を含むいくつかの機能を有効化または始動する。本開示の新規の実施形態は、故に、可変速度で薬物を送達することが可能である。本開示の駆動機構は、以下に詳細に説明されるように、所望の送達速度またはプロファイルを満たすために、電力・制御システムによる制御によって予め構成され得るか、または動的に構成され得る。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、駆動機構の1つ以上の構成要素の軸方向平行移動及び/または移動の物理的終了に関連するため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。これらの機構を通して、薬物用量送達の確認が使用者または投与者に正確に提供され得る。したがって、本開示の新規のデバイスは、上記のもの等の先行技術のデバイスに関連する問題のうちの1つ以上を軽減する。
第1の実施形態において、本開示は、アクチュエータと、主歯車を含む歯車アセンブリと、駆動ハウジングと、キャップ、穿通可能なシール(不可視)、バレル、及びプランジャシールを有する薬物容器とを含む多機能駆動機構を提供する。主歯車は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシールとの間でバレル内に位置する薬物チャンバは、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。1つ以上の偏倚部材が付勢状態で最初に保持され、ピストンのインターフェース表面上に支えられるように構成されている、ピストン及び1つ以上の偏倚部材もまた、多機能駆動機構に組み込まれ得る。ピストンは、プランジャシール及びバレルを有する薬物容器内で実質的に軸方向に平行移動するように構成されている。テザーは、一方の端部においてピストンに接続され、他方の末端において調節機構のウィンチドラム/歯車に接続され、テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を制限する。薬物容器は、使用者への送達のための薬物流体を薬物チャンバ内に収容し得る。任意選択で、被覆スリーブは、駆動機構の動作中にバレルの内部構成要素(すなわち、ピストン及び偏倚部材)を視界から隠すために、偏倚部材とピストンのインターフェース表面との間に利用され得る。テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、多機能駆動機構の調節機構のウィンチドラム/歯車から解放されるように構成されている。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、調節機構は、多機能駆動機構のアクチュエータによって駆動される歯車アセンブリである。調節機構は、テザーの分配を妨げるかまたは制限し、調節された速度または所望の速度でのみ前進させる。これは、1つ以上の偏倚部材によって押圧されているバレル内でのピストンの移動を制限し、よって、プランジャシールの移動及びチャンバに収容された薬物の送達を制御する。プランジャシールが薬物容器内で前進すると、原薬は、薬物送達のために、滅菌通路接続、導管、挿入機構を通り、かつ使用者の身体内へと分注される。アクチュエータは、モータ(例えば、DCモータ、ACモータ、ステッパモータ)またはソレノイド(例えば、リニアソレノイド、回転ソレノイド)を含むいくつかの電力/運動源であり得る。特定の実施形態において、アクチュエータは、主/星形歯車の歯に対応するノッチを有する回転式ステッパモータである。
調節機構は、歯車アセンブリの1つ以上の歯車をさらに含み得る。歯車のうちの1つ以上は、例えば、大径歯車に共有中心点で取り付けられた小径歯車を有する複合歯車であり得る。歯車アセンブリは、テザーがその上に着脱可能に巻き付いているウィンチドラム/歯車に連結されたウィンチギアを含み得る。したがって、アクチュエータによって始動された歯車アセンブリの回転は、ウィンチドラム/歯車に連結され(すなわち、歯車アセンブリを通して)、それによって、テザーの分配、偏倚部材の拡張及びピストンの軸方向平行移動の速度、ならびにバレル内でのプランジャシールの移動の速度を制御して、流体を薬物チャンバから押し出し得る。ウィンチドラム/歯車の回転移動、及び故にピストン及びプランジャシールの軸方向平行移動は、本明細書に記載されるように、調節要素の他の構成要素による自在な軸方向平行移動を計測、制限、または別様に防止される。とりわけ、本開示の調節機構は、薬物チャンバからの流体物質の送達を駆動しない。薬物チャンバからの流体物質の送達は、偏倚部材の、ピストン及びプランジャシール上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって引き起こされる。調節機構は、代わりに、それらが偏倚部材のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン及びプランジャシールの自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン及びプランジャシールの運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。
原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御すること(それによって、原薬を可変の速度及び/または送達プロファイルで送達すること)に加え、本開示の多機能駆動機構は、針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供する工程、及び滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容する工程を同時にまたは連続的に実施し得る。少なくとも1つの実施形態において、多機能駆動機構のアクチュエータによる初期運動は、主/星形歯車を回転させる。1つの様態において、主/星形歯車は、歯車アセンブリを通して調節機構に運動を伝える。別の様態において、主/星形歯車は、歯車を通して針挿入機構に運動を伝える。主/星形歯車によって歯車が回転させられると、上に詳細に記載されるように、歯車は針挿入機構に係合して、流体通路接続子を使用者の中へと始動させる。1つの特定の実施形態において、針挿入機構は、回転式針挿入機構である。したがって、歯車は、針挿入機構の対応する歯車表面に係合するように構成されている。歯車の回転は、駆動機構の歯車と針挿入機構の対応する歯車表面との間の歯車の相互作用を通して針挿入機構の回転を引き起こす。いったん針挿入機構の好適な回転が生じると、本明細書に詳細に記載されるように、針挿入機構が始動されて、使用者への流体通路接続子を生み出す。
少なくとも1つの実施形態において、この様態での針挿入機構の回転はまた、滅菌流体通路の薬物容器への接続をもたらして、使用者への送達のための薬物容器から挿入機構への流体流を許容し得る。針挿入機構のランプ態様は、滅菌流体通路接続子の可動接続ハブ上に支えられるようにされる。多機能駆動機構によって針挿入機構が回転させられると、針挿入機構のランプ機構は、滅菌流体通路接続子の可動接続ハブに係合し、かつそれを平行移動させて、その内部の流体接続を容易にする。少なくとも1つの実施形態において、針挿入機構は、上に詳述されるように、特定の角度の回転が針/トロカールの後退を可能にするように構成され得る。加えてまたは代替的に、かかる針/トロカールの後退は、使用者の活動時または薬物送達デバイスの別の構成要素の移動もしくは機能時に生じるように構成され得る。少なくとも1つの実施形態において、針/トロカール後退は、例えば、本明細書に記載されるように、調節機構及び/またはステータスリーダのうちの1つ以上によってトリガされる、薬物送達の終了時に生じるように構成され得る。
なおも別の実施形態において、駆動機構は、1つ以上の対応するスタータストリガを読み取るかまたは認識するように構成されたステータスリーダを含み得る。ステータストリガは、テザー上で増分的に間隔を空けてもよく、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、光学的ステータストリガであり、電気機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、電気機械的ステータストリガであるか、または機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、機械的ステータストリガである。
さらなる実施形態において、本開示は、制御された薬物送達を有する薬物送達ポンプを提供する。薬物送達ポンプはハウジング及びアセンブリプラットフォームを有し、その上に作動機構、挿入機構、流体通路接続子、電力・制御システム、及び制御送達駆動機構が据え付けられてもよく、該駆動機構は、駆動ハウジング、ピストン、及び偏倚部材を有し、偏倚部材は、付勢状態で最初に保持され、ピストンの表面上に支えられるように構成されている。ピストンは、プランジャシール及びバレルを有する薬物容器内で実質的に軸方向に平行移動するように構成されている。テザーは、一方の端部においてピストンに接続され、他方の末端において送達調節機構のウィンチドラム/歯車に接続され、テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を制限する。薬物容器は、使用者への送達のための薬物流体を薬物チャンバ内に収容し得る。任意選択で、被覆スリーブは、駆動機構の動作中にバレルの内部構成要素(すなわち、ピストン及び偏倚部材)を視界から隠すために、偏倚部材とピストンのインターフェース表面との間に利用され得る。テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、送達調節機構のウィンチドラム/歯車から解放されるように構成されている。
別の実施形態において、薬物送達デバイスは、歯車アセンブリをさらに含む。歯車アセンブリは、テザーがその上に着脱可能に巻き付き得るウィンチドラム/歯車に接続されたウィンチギアを含み得、ウィンチドラム/歯車の回転は、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、テザーをウィンチドラム/歯車から解放する。テザーの計測は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御する。ピストンは、1つ以上の部品であり得、テザーの遠位端に接続する。ウィンチドラム/歯車は、ウィンチドラム/歯車の回転、及びしたがってピストンの平行移動の計測を制御する調節機構に連結されている。
なおも別の実施形態において、薬物送達デバイスは、1つ以上の対応するスタータストリガを読み取るかまたは認識するように構成されたステータスリーダを含み得る。ステータストリガは、テザー上で増分的に間隔を空けてもよく、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、光学的ステータストリガであり、電気機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、電気機械的ステータストリガであるか、または機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、機械的ステータストリガである。
別の実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システムは、1つ以上の入力を受信して、ウィンチドラム/歯車によるテザーの解放を計り、それによって、偏倚部材によるピストンの軸方向平行移動を許容して、プランジャシールをバレル内で平行移動させるように構成されている。1つ以上の入力は、作動機構、制御インターフェース、及び/または遠隔制御機構の起動によって提供され得る。電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすために、使用者への送達のための用量体積を変えるために、かつ/または駆動機構の操作を別様に開始、停止、もしくは一時停止するために、1つ以上の入力を受信して、偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動上にテザー及びウィンチドラム/歯車によってもたらされる制限を調整するように構成され得る。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬品の送達プロファイルは、調整可能である。例えば、食事、運動、睡眠等のある特定の活動前、活動中、または活動後に、薬品のボーラス注射を送達することが望ましい場合がある。「ボーラス注射」は、多くの場合、送達時間または持続時間にかかわらず送達される任意の測定された薬物体積である。逆に、「基底注射」は、多くの場合、制御された送達速度、及び/または異なる時間間隔で様々な送達速度を有する送達プロファイルである。同様に、使用者は、これらの時間または他の時間で薬品の基底送達速度を増加または減少させることを望む場合がある。少なくとも1つの実施形態において、送達プロファイルは、この所望の薬物送達を達成するために使用者によって調整可能である。使用者は、薬物送達デバイス自体と相互作用することによって送達プロファイルを調整してもよく、または代替的に、そのためにスマートフォン等の外部デバイスを使用してもよい。例えば、使用者は、作動機構を変位させることによって送達プロファイルを調整してもよく、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させてもよい。
本開示の別の実施形態において、送達プロファイルは、1つ以上の入力に基づいて自動的に調整されてもよい。例えば、送達プロファイルは、患者の活動レベル、心拍数、血糖値等に基づいて調整され得る。上記のように、これらの測定値を用いて、ボーラス注射、または基底注射送達速度の増加もしくは減少、または基底注射送達プロファイルの調整の必要性を判定することができる。少なくとも1つの実施形態において、これらの入力測定値は、デバイス自体によって監視され得る。追加的に、または代替的に、それらは、スマートフォン、スマートウォッチ、心拍数モニタ、グルコースモニタ、血圧モニタ等の二次デバイスによって監視されてもよい。いくつかの実施形態において、送達プロファイルは、使用者の介入を必要とせずにこれらの測定値に基づいて調整され得る。二次デバイスによる監視及び/または制御に場合、二次デバイス及び薬物送達デバイスは、互いに無線または有線通信し得る。この通信は、Bluetooth、近距離無線通信、Wi-Fi、またはデバイスの相互接続性に関する当業者に既知の任意の他の方法を通したものであり得る。
しかしながら、好ましい実施形態において、監視/調整機構は、使用者に対して警報を発し、かつ推奨を行う場合があり、使用者は、監視/調整機構による推奨を始動/許可するか、または無視する能動制御を有し得る。例えば、測定値のうちの1つ以上が指定の閾値より高いかまたは低い場合、デバイスは、可聴、可視、または触覚による警報を使用者に対して発する場合がある。一例において、警報は、デバイスの振動によって提供され、それによって、個別の警報を使用者に提供する。加えてまたは代替的に、警報は、使用者のスマートフォンまたは他の二次デバイスによって提供され得る。使用者は、コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースにおける測定値の現在のステータスを、デバイス自体、コンピュータ、スマートフォン、または他のデバイスの上で見ることができる場合がある。コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースは、送達プロファイルへの推奨される調整を提供し得る。この情報に基づいて、使用者は、薬物送達デバイスの送達速度を調整することができる。上記のように、使用者は、作動機構を変位させるか、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させることによって、送達プロファイルを調整してもよい。
一実施形態において、使用者の入力または上記の測定値のいずれかに基づく送達プロファイルを調整する信号に応じて、電力・制御システムは、アクチュエータの移動速度を変化させ得る。アクチュエータの移動速度の変化は、調節機構の回転速度を変化させ、これは次いで、使用者への薬物送達速度を制御する。代替的に、送達プロファイルは、薬物容器及び挿入機構を接続する導管を通る薬品の流路の特性の変化によって変えることができる。この変化は、薬物容器から挿入機構への薬品の流れを制限する流れ制限部の導入、取り外し、または修正によって引き起こされ得る。例えば、流れ制限部は、流れ制限部の入力及び出力と流体連通して選択的に定置され得る複数の流路を有し得る。異なる長さまたは断面を有する流路を提供することによって、送達速度を制御することができる。他の実施形態において、送達プロファイルは、導管の衝突の導入または取り外しによって変えることができる。流路の衝突は、導管を通る薬品の流れを中断させるかまたは遅くすることができ、それによって、使用者への送達速度を制御する。したがって、本開示の1つ以上の実施形態は、薬物容器からの薬品送達速度の変化を生み出し、それによって、多機能駆動機構及び/または薬物送達デバイスの動的制御能力を提供することができる。
本開示は、原薬の制御された送達のための多機能駆動機構、及びかかる多機能駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の多機能駆動機構は、(i)原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御することと、(ii)針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供することと、(iii)滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容することと、を含むいくつかの機能を有効化または始動する。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。
本開示の新規のデバイスは、一体型のステータス表示を有する駆動機構及びかかる駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。かかるデバイスは、自己投与する患者にとって、安全で使用が容易であり、審美的かつ人間工学的に魅力がある。本明細書に記載のデバイスは、未訓練の使用者にとってさえも本デバイスの作動、操作、及びロックアウトを単純にする特徴を組み込む。本開示の新規のデバイスは、既知の先行技術のデバイスに関連する問題のうちのいずれも伴わずに、これらの望ましい特徴を提供する。新規の薬物送達ポンプ、駆動機構、及びそれらのそれぞれの構成要素のある特定の非限定的な実施形態が、付随する図を参照しながら本明細書にさらに記載される。
また、本明細書で使用されるとき、「ポンプ」及び「送達デバイス」という用語は、作動時に流体を使用者に分注することが可能である任意の数の薬物送達システムを含むことを意図する。かかる薬物送達システムには、例えば、注入システム、輸液ポンプ、ボーラス注入装置、オンボディ注入装置等が含まれるが、これらに限定されない。図69A~169は、本開示の少なくとも1つの実施形態による例示的な薬物送達デバイスを示し、上ハウジングは、内部構成要素が見えるように取り外されている。薬物送達デバイスを利用して、使用者の体内への薬物治療剤の送達を施してもよい。図69A~69Cに示されるように、薬物送達デバイス9010は、ポンプハウジング9012を含む。ポンプハウジング9012は、薬物送達デバイスのより容易な製造、組み立て、及び操作の便宜を図るために固定的に係合可能である、1つ以上のハウジング部分構成要素を含み得る。例えば、薬物送達デバイス9010は、上部ハウジング及び下部ハウジング(内部構成要素を見やすくするために図示せず)を含み得るポンプハウジング9012を含む。ポンプハウジング9012は、薬物送達デバイスが開放または改変されているかどうかを特定するために1つ以上のタンパーエビデンス特徴を含み得る。例えば、ポンプハウジング9012は、上部ハウジング及び下部ハウジングにわたって架けられたラベル等の1つ以上のタンパーエビデンスラベルまたはステッカーを含み得る。加えてまたは代替的に、ハウジング9012は、上部ハウジングと下部ハウジングとの間を接続する1つ以上のスナップアームまたは先端部を含み得る。壊れたかまたは改変されたタンパーエビデンス特徴は、デバイスが評価され、使用者による使用または使用者へのリスクを伴わずに可能であれば破棄されるように、例えば、デバイスの内部態様にアクセスすることによって、薬物送達デバイスが改変された可能性があることを使用者、医師、供給業者、製造業者等に信号伝達する。薬物送達デバイスは、作動機構、ステータスインジケータ、及び窓をさらに含み得る。窓は、薬物送達デバイスの操作がそれを通して見られ得る、任意の半透明または透過性表面であってよい。図69Bに示されるように、薬物送達デバイス9010は、アセンブリプラットフォーム9020、滅菌流体導管30、薬物容器9050を有する駆動機構90100、挿入機構90200、流体通路接続子90300、及び電力・制御システム(図示せず)をさらに含む。かかる薬物送達デバイスの構成要素のうちの1つ以上は、それらが、例えば、製造中に別個の構成要素として予め組み立てられ、薬物送達デバイス9010のアセンブリプラットフォーム9020の上の所定の位置に収まるよう構成され得るという点で、モジュール式であり得る。
ポンプハウジング9012は、デバイスの構成要素の全てを含み、デバイス9010を使用者の皮膚に着脱自在に取り付ける手段を提供する。ポンプハウジング9012はまた、デバイス9010の内部構成要素に環境的影響からの保護を提供する。ポンプハウジング9012は、未訓練の及び/または身体障害のある場合がある使用者による容易な包装、貯蔵、取り扱い、及び使用の便宜を図るために、サイズ、形状、及び関連する特徴において人間工学的に及び審美的に設計される。さらに、ポンプハウジング9012の外面を利用して、製品ラベル、安全性指示等を提供してもよい。追加的に、上述のように、ハウジング9012は、操作フィードバックを使用者に提供し得る、1つ以上のステータスインジケータ及び窓等のある特定の構成要素を含み得る。
少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイス9010は、使用者が変位させて電力・制御システムへの開始コマンドをトリガする、作動機構を提供する。好ましい実施形態において、作動機構は、上部ハウジングと下部ハウジングとの間の開口部を通して等、ポンプハウジング9012を通して位置し、電力・制御システムと直接的または間接的に接触する、開始ボタンである。少なくとも1つの実施形態において、開始ボタンは、押しボタンであり得、他の実施形態においては、オン/オフスイッチ、トグル、または当該技術分野で既知の任意の同様の作動特徴であり得る。ポンプハウジング9012はまた、1つ以上のステータスインジケータ及び窓も提供する。他の実施形態においては、作動機構、ステータスインジケータ、窓のうちの1つ以上、及びそれらの組み合わせが、例えば、薬物送達デバイス9010が使用者の身体上に定置されるときに使用者に見える側等の、上部ハウジングまたは下部ハウジング上に提供され得る。ハウジング9012は、本開示の他の構成要素及び実施形態を参照しながらこれ以降でさらに詳述される。
薬物送達デバイス9010は、作動機構を押し下げることにより使用者が作動させると、多機能駆動機構が作動されて、流体通路を使用者の中に挿入することと、薬物容器、流体通路、及び滅菌流体導管の間の必要な接続を有効化する、接続する、または開通させることと、薬物容器に格納された薬物流体を、使用者の中への送達のために流体通路及び流体導管に押し通すこととを行うように構成されている。少なくとも1つの実施形態において、使用者への薬物流体のかかる送達は、制御された様態で多機能駆動機構によって行われる。1つ以上の任意選択的な安全性機構を利用して、例えば、薬物送達デバイスの時期尚早な作動を防止してもよい。例えば、任意選択的なオンボディセンサ(不可視)が、一実施形態において、薬物送達デバイス9010が使用者の身体と接触していない限り、電力・制御システム、または作動機構が係合され得ないことを保証する安全性特徴として提供されてもよい。かかる一実施形態において、オンボディセンサは、使用者の身体と接触するようになり得る、下部ハウジングの底部に位置する。オンボディセンサが変位すると、作動機構の押し下げが許容される。したがって、少なくとも1つの実施形態において、オンボディセンサは、作動機構による薬物送達デバイス9010のトリガを防止する、例えば機械的ロックアウト等の、機械的安全性機構である。別の実施形態において、オンボディセンサは、信号を電力・制御システムに送信して作動を許容する機械的ロックアウト等の、電気機械的センサであり得る。依然として他の実施形態において、オンボディセンサは、電力・制御システムの作動を許容する前に組織を検出しなければならない、例えば、静電容量ベースまたはインピーダンスベースのセンサ等の電気ベースであり得る。これらの概念は、相互排他的なものではなく、本開示の範囲内で1つ以上の組み合わせを利用して、例えば、薬物送達デバイスの時期尚早な作動を防止してもよい。好ましい実施形態において、薬物送達デバイス9010は、1つ以上の機械的オンボディセンサを利用する。追加の一体型安全性機構は、新規の薬物送達デバイスの他の構成要素を参照して本明細書に記載される。
XVI.A.電力・制御システム:
電力・制御システムは、薬物送達デバイス内の種々の電気構成要素にエネルギーを提供する、電源、1つ以上のフィードバック機構、マイクロコントローラ、回路基板、1つ以上の伝導性パッド、及び1つ以上の相互接続部を含み得る。当業者には理解されようが、かかる電気システムで一般的に使用される他の構成要素もまた含まれてもよい。1つ以上のフィードバック機構は、例えば、ピエゾアラーム等の可聴アラーム及び/または発光ダイオード(LED)等の光インジケータを含み得る。マイクロコントローラは、例えば、マイクロプロセッサであり得る。電力・制御システムは、使用者とのデバイスのいくつかの相互作用を制御し、駆動機構90100とインターフェース接続する。一実施形態において、電力・制御システムは、オンボディセンサ9024と直接であれ間接的であれインターフェース接続して、デバイスが使用者及び/または作動機構と接触しているときを特定して、薬物送達デバイスが作動されているときを特定する。電力・制御システムはまた、使用者に視覚フィードバックを提供するために光移送を許容する透過性または半透明の材料であり得る、ポンプハウジング9012のステータスインジケータとインターフェース接続し得る。電力・制御システムは、1つ以上の相互接続を通して駆動機構90100とインターフェース接続して、作動、薬物送達、及び投薬終了等のステータス表示を患者に中継する。かかるステータス表示は、聴覚トーンを介して、例えば可聴アラームにより、及び/または視覚インジケータを介して、例えばLEDにより、使用者に提示され得る。好ましい実施形態において、電力・制御システムと薬物送達デバイスの他の構成要素との間の制御インターフェースは、使用者が作動させるまで係合または接続されない。これは、薬物送達デバイスの偶発的な操作を防止し、さらに、貯蔵、輸送等の間に電源内に収容されるエネルギーを維持し得る、望ましい安全性特徴である。
電力・制御システムは、いくつかの異なるステータスインジケータを使用者に提供するように構成され得る。例えば、電力・制御システムは、オンボディセンサ及び/またはトリガ機構が押圧された後に、デバイス起動点検により何のエラーも報告されなければ、電力・制御システムがステータスインジケータを介して開始準備完了ステータス信号を提供するように、構成され得る。開始準備完了ステータス信号を提供した後に、任意選択的なオンボディセンサを有する実施形態において、オンボディセンサが使用者の身体と接触したままである場合、電力・制御システムは、駆動機構90100に電力供給して、流体通路接続子90300及び滅菌流体導管9030(図示せず)を通した薬物治療剤の送達を開始する。
追加的に、電力・制御システムは、薬物送達デバイスのその包装からの取り外しを特定するように構成され得る。電力・制御システムは、包装に機械的に、電気的に、または電気機械的に接続され得、それにより、薬物送達デバイスの包装からの取り外しが、電力・制御システムを使用のために作動させ得るもしくはその電源を入れ得るか、または使用者によって電源を入れられるように電力・制御システムを単に有効化し得る。かかる実施形態において、薬物送達デバイスの包装からの取り外しなしには、薬物送達デバイスは、作動され得ない。これは、薬物送達デバイスの及び使用者のための追加の安全性機構を提供する。少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスまたは電力・制御システムは、例えば、以下の様々なセンサ、すなわち、ホール効果センサ;巨大磁気抵抗(GMR)または磁界センサ;光センサ;静電容量式または静電容量変化センサ;超音波センサ;及びリニアトラベル、LVDT、リニア抵抗、または放射測定リニア抵抗センサ;及びそれらの組み合わせからの、1つ以上の相互作用センサ等によって、包装に電気的にまたは電気機械的に接続され得、これらのセンサは、構成要素間の信号を伝送してそれらの間の位置を特定するように調和可能である。加えてまたは代替的に、薬物送達デバイスまたは電力・制御システムは、例えば、ピンが取り外されるときに(すなわち、薬物送達デバイスが包装から取り外されると)システムを作動させるピンとスロットの関係によって、包装に機械的に接続され得る。
本開示の好ましい実施形態において、いったん電力・制御システムが作動されると、多機能駆動機構が始動されて、挿入機構90200及び流体通路接続子90300を起動すると同時に、薬物流体が薬物容器から押し出されることも許容する。薬物送達過程中、電力・制御システムは、ステータスインジケータを介して分注ステータス信号を提供するように構成される。薬物が使用者の身体内に投与された後、及び実質的に全用量が使用者に送達されたことを確実にするためのいずれの追加の滞留時間の終了後、電力・制御システムは、ステータスインジケータを介して取り外し可ステータス信号を提供し得る。これは、使用者がポンプハウジング9012の窓を通して駆動機構及び薬物用量送達を見ることによって、独立して検証され得る。追加的に、電力・制御システムは、ステータスインジケータを介して、例えば、故障または動作不具合状況を示す警報等の1つ以上の警報信号を提供するように構成され得る。
電力・制御システムは加えて、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように駆動機構90100を動的に制御するための、使用者からの種々の入力を受け入れるように構成され得る。例えば、電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように電力・制御システムを介して駆動機構90100の制御を設定、始動、停止、あるいは調整するための、例えば、作動機構の部分的または完全な作動、押し下げ、及び/または解放による入力を受信し得る。同様に、電力・制御システムは、薬物用量体積を調整する、駆動機構、流体通路接続子、及び流体導管をプライミングする、ならびに/または駆動機構90100の操作を開始、停止、もしくは一時停止するような入力を受信するように構成され得る。かかる入力は、例えば、作動機構9014もしくは異なる制御インターフェースの使用により、使用者が薬物送達デバイス9010に直接働きかけることによって受信されてもよく、または電力・制御システムは、かかる入力を遠隔制御デバイスから受信するように構成されてもよい。加えてまたは代替的に、かかる入力は、予めプログラムされてもよい。
他の電力・制御システム構成は、本開示の新規の薬物送達デバイスと共に利用され得る。例えば、ある特定の作動遅延が、薬物送達中に利用され得る。上述のように、システム構成内に任意選択で含まれる1つのかかる遅延は、完了を使用者に信号伝達する前に実質的に全薬物用量が送達されていることを確実にする、滞留時間である。同様に、デバイスの作動は、薬物送達デバイスの作動前に、薬物送達デバイス9010の作動機構の遅延した押し下げ(すなわち、押圧)を必要とし得る。追加的に、システムは、使用者が投薬終了信号に応答すること、及び薬物送達デバイスを作動停止するまたはその電源を切ることを許容する特徴を含み得る。かかる特徴は同様に、停止デバイスの偶発的な作動を防止するために、作動機構の遅延した押し下げを必要とし得る。かかる特徴は、薬物送達デバイスに対する望ましい安全性一体化機構及び使い勝手の良いパラメータを提供する。追加の安全性特徴が、薬物送達デバイスの部分的押し下げ、及びしたがって、部分的作動を防止するために作動機構に一体化されてもよい。例えば、作動機構及び/または電力・制御システムは、部分的作動を防止するために、デバイスが完全にオフまたは完全にオンのいずれかであるように構成され得る。かかる特徴は、新規の薬物送達デバイスの他の態様に関してこれ以降でさらに詳述される。
XVI.B.挿入機構:
いくつかの挿入機構が、本開示の薬物送達デバイス内で利用され得る。本開示のポンプ式送達デバイスは、例えば、任意の好適な中空チューブを通して、流体流連通によって患者または使用者に接続され得る。固形針を用いて、患者の皮膚を穿通し、中空カニューレを適切な送達位置に定置してもよく、固形針は、患者への薬物送達の前に取り外されるかまたは後退される。上記のように、流体は、自動的に挿入された針、カニューレ、微小針アレイ、または輸液セットチューブを含むがこれらに限定されない任意の数の手段を通して身体内に誘導され得る。いくつかの機構は、患者への針の挿入を作動させるためにも用いられ得る。例えば、ばね等の偏倚部材は、針及びカニューレを患者の皮膚に穿通させるために十分な力を提供するために用いられる。同じばね、追加のばね、または別の同様の機構を利用して、針を患者から後退させることができる。好ましい実施形態において、挿入機構は、一般に、国際特許出願第PCT/US2012/53174号に記載されるようなものであり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に含まれる。かかる構成は、患者への痛みを最小限に抑える方法で患者の皮膚(または筋肉)内またはその下への薬物送達通路の挿入のために利用されてもよい。流体通路の挿入のための他の既知の方法が利用されてもよく、本開示の範囲内であることが企図され、これには、本開示の譲受人によって開発された剛性針挿入機構及び/または回転式針挿入機構が含まれる。
少なくとも1つの実施形態において、挿入機構90200は、1つ以上のロックアウト窓、ならびにアセンブリプラットフォーム及び/またはポンプハウジングへの接続のための基部を有する挿入機構ハウジングを含む(図69B及び図69Cに示されるように)。アセンブリプラットフォーム9020への基部の接続は、例えば、基部の底部がアセンブリプラットフォーム内の穴を通過することが許容されて、使用者の身体への基部の直接的な接触を許容するようなものであり得る。かかる構成において、基部の底部は、薬物送達デバイス9010の使用前に取り外し可能な封止膜を含み得る。挿入機構は、1つ以上の挿入偏倚部材、針、後退偏倚部材、カニューレ、及びマニホールドをさらに含み得る。マニホールドは、滅菌流体導管9030に接続して、薬物送達中に、マニホールド、カニューレを通り、かつ使用者の身体への流体流を許容し得る。
本明細書で使用されるとき、「針」は、剛性中空針等の従来の中空針、及びより一般的には「トロカール」と称される中実針を含むがこれらに限定されない様々な針を指すことを意図する。好ましい実施形態において、針は、9027ゲージの中実トロカールであり、他の実施形態において、針は、意図する薬物及び薬物投与(例えば、皮下、筋肉内、皮内等)の種類のための、カニューレを挿入するために好適な任意のサイズの針であり得る。針挿入機構内で滅菌ブーツが利用されてもよい。滅菌ブーツは、近位端においてマニホールドと、かつ遠位端において基部と固定係合している折り畳み式滅菌膜である。少なくとも一実施形態において、滅菌ブーツは、基部と挿入機構ハウジングとの間で遠位端における固定係合に維持される。基部は、以下にさらに記載されるように、挿入機構の動作中に針及びカニューレがそれを通って通過し得る基部開口を含む。カニューレ及び針の滅菌性は、挿入機構の滅菌部分内でのそれらの初期位置付けによって維持される。具体的には、上述のように、針及びカニューレは、マニホールド及び滅菌ブーツの滅菌環境において維持される。基部の基部開口は、例えば封止膜(不可視)によって、非滅菌環境からも閉鎖され得る。
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、挿入機構は初めに、挿入機構ハウジングのロックアウト窓内に初めに位置付けられたロックアウトピン(複数可)によって即時使用可能な段階に係止されている。この初期構成において、挿入偏倚部材及び後退偏倚部材は、それらの圧縮された付勢状態に各々保持されている。引張、押圧、摺動、及び/または回転等の1つ以上の方法によるロックアウトピン(複数可)の変位は、挿入偏倚部材がその初期の圧縮された付勢状態から圧縮解除されることを許容する。挿入偏倚部材のこの圧縮解除は、任意選択で、針及びカニューレを使用者の身体内に駆動する。挿入段階の終わりに、または(多機能駆動機構によってトリガされる)薬物送達の終わりに、後退偏倚部材は、その初期の付勢状態から近位方向に拡張することが許容される。後退偏倚部材の近位方向におけるこの軸拡張は、針を後退させる。インサータ針/トロカール及びカニューレ構成が利用される場合、カニューレを使用者の身体と流体連通に維持しながら、針の後退が生じ得る。したがって、挿入機構を用いて、針及びカニューレを使用者内に挿入し、その後、カニューレを使用者の身体への薬物送達のための位置に保持しながら、針を後退させてもよい。
少なくとも1つの実施形態において、図75に示されるように、挿入機構は、最初は付勢状態に保持されている、回転して偏倚された部材90210を含む。好ましい実施形態において、回転して偏倚された部材は、ねじりばねである。回転偏倚部材は、歯車90112との歯車表面90208の相互作用によって、または代替的には、薬物送達デバイスの回転防止特徴との挿入機構の構成要素の接触によって付勢解除することを防止され得る。デバイスの作動時、または別の入力時に、回転して偏倚された部材90210は、付勢解除することを少なくとも部分的に許容される。これは挿入機構の1つ以上の構成要素の回転を引き起こし、これは次いで、患者内への針の挿入を引き起こすか、またはそれを可能にする。さらに、カニューレは、上述のように患者内に挿入され得る。デバイスの制御アームまたは別の構成要素がテザーにおけるたるみを認識したとき等の後の時点で、回転して偏倚された部材は、さらに付勢解除され得、これは、挿入機構の1つ以上の構成要素の追加の回転を引き起こす。この回転は、針を患者から後退させるか、それを可能にし得る。針は、単一の工程で完全に後退してもよく、または複数の後退工程があってもよい。
XVI.C.流体通路接続子:
いくつかの流体通路接続子が、本開示の実施形態内で利用され得る。一般に、好適流体通路接続子は、滅菌流体導管、穿通部材、及び薬物容器に取り付けられた滅菌スリーブまたは薬物容器内に一体化された摺動型の穿通可能なシールを含む。流体通路接続子は、1つ以上の流れ制限部をさらに含み得る。送達デバイス9010の適切な作動時に、流体通路接続子90300は、滅菌流体導管9030を駆動機構90100の薬物容器に接続するように有効化される。かかる接続は、駆動機構90100の薬物容器の穿通可能なシールを突き通す、針等の穿通部材によって容易にされる。この接続の滅菌性は、可撓性滅菌スリーブ内で接続を行うことによって維持され得る。挿入機構の実質的に同時の作動時に、薬物容器と挿入機構との間の流体通路が完成して、使用者の身体内への薬物送達を許容する。かかる一実施形態において、流体通路接続子は、国際特許出願第PCT/US2012/054861号に記載されるものと実質的に同様であり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。かかる実施形態において、圧縮性の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップと流体通路接続子の接続ハブとの間に固定的に取り付けられてもよい。穿通部材は、流体接続通路と薬物容器との間の接続が所望されるまで、滅菌スリーブ内に常在し得る。滅菌スリーブは、作動前の穿通部材及び流体通路の滅菌性を保証するために滅菌され得る。
代替的に、流体通路接続子は、例えば、国際特許出願第PCT/US2013/030478号または同第PCT/US2014/052329号に記載されるように、薬物容器の中に一体化され得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。かかる実施形態によれば、薬物容器は、穿通可能なシールとプランジャシールとの間でバレル内に薬物チャンバを有し得る。薬物流体は、薬物チャンバに収容される。使用者による作動デバイスの作動時に、駆動機構は、薬物容器に収容されたプランジャシールに力を及ぼす。プランジャシールが薬物流体及びいずれの空気/ガスの間隙または気泡に力を及ぼすと、空気/ガス及び薬物流体の圧縮によって空気圧及び液圧の組み合わせが蓄積し、この力が、摺動型の穿通可能なシールに引き継がれる。穿通可能なシールは、キャップの方へ摺動させられて、一体型の滅菌流体通路接続子内に保持された穿通部材によって穿通されることになる。したがって、一体型の滅菌流体通路接続子は、駆動機構の作動によって生み出された、薬物チャンバ内の空気/ガス及び薬物流体の組み合わせた空気圧/液圧の力によって接続される(すなわち、流体通路が開通される)。いったん一体型の滅菌流体通路接続子が接続されるか、または開通されると、薬物流体は、薬物送達のために薬物容器から、一体型の滅菌流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通って、そして使用者の体内へと流れることを許容される。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構のマニホールドならびにカニューレ及び/または針のみを通って流れ、それによって、薬物送達前及び送達中に流体通路の滅菌性を維持する。
好ましい実施形態において、滅菌流体通路接続子は、針挿入機構が動くことによって始動され、この針挿入機構の動き自体は、多機能駆動機構によって始動される。加えてまたは代替的に、滅菌流体通路接続子は、多機能駆動機構が直接動くことによって始動される。例えば、多機能駆動機構は、薬物送達の速度を制御する、針挿入機構を起動する、及び/または滅菌流体通路接続子を始動するために同時にまたは順次に作用する、本明細書で上述される星形歯車等の回転歯車を含み得る。図69A~69Cに示される1つの特定の実施形態において、多機能駆動機構は、これらの工程の全てを実質的に同時に実施する。多機能駆動機構は、いくつかの他の構成要素に対して作用する歯車を回転させる。歯車は、針挿入機構と接触して流体通路を使用者へと導入しながら、歯車アセンブリに作用して、薬物送達速度を制御する。針挿入機構が始動されるとき、滅菌流体の接続は、多機能駆動機構の歯車及び歯車アセンブリが薬物送達の速度を制御しながら、患者の中への送達のために薬物容器から、流体導管を通した、針挿入機構の中への薬物流体の流れを許容するようにされる。
薬物送達デバイスによって利用される流体通路接続子にかかわらず、薬物送達デバイスは、異なる粘度及び体積を有する様々な薬物を送達可能である。薬物送達デバイスは、制御された流速(速度)で及び/または指定の体積の薬物を送達可能である。一実施形態において、薬物送達過程は、流体通路接続子及び/または滅菌流体導管内で1つ以上の流れ制限部によって制御される。他の実施形態において、他の流速が、流体流路または送達導管の幾何形状を変化させることによって、駆動機構の構成要素が薬物容器の中へと前進してその中の薬物を分注する速度を変化させることによって、またはそれらの組み合わせによって、提供されてもよい。流体通路接続子300及び滅菌流体導管30についての依然としてさらなる詳細が、これ以降、他の実施形態を参照して後の節で提供される。
XVI.D.多機能駆動機構:
本開示の多機能駆動機構は、(i)原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御することと、(ii)針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供することと、(iii)滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容することと、を含むいくつかの機能を有効化または始動する。図70A~70D及び3A~3Dに示される実施形態を参照すると、駆動機構90100は、アクチュエータ90101と、主歯車90102を含む歯車アセンブリ90110と、駆動ハウジング90130と、キャップ9052、穿通可能なシール(不可視)、バレル9058、及びプランジャシール9060を有する薬物容器9050とを含む。主歯車90102は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシール9060との間でバレル9058内に位置する薬物チャンバ9021は、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。本明細書に記載のシールは、いくつかの材料から構成され得るが、好ましい実施形態において、1つ以上のエラストマーまたはゴムから構成されている。駆動機構90100は、本明細書にさらに記載されるように、1つ以上の駆動偏倚部材、1つ以上の解放機構、及び1つ以上のガイドをさらに含み得る。駆動機構の構成要素は、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通る、かつ使用者の身体内への送達のために、穿通可能なシールを通して、または好ましくは流体通路接続子の穿通部材を通して流体を薬物容器から押し出すように機能する。
1つの特定の実施形態において、駆動機構90100は、1つ以上の圧縮ばねを偏倚部材(複数可)として用いる。使用者により薬物送達デバイスが作動されると、電力・制御システムが起動されて、圧縮ばね(複数可)を付勢状態から直接的または間接的に解放し得る。解放されると、圧縮ばね(複数可)は、プランジャシールに対して重みをかけ、かつそれに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。圧縮ばねは、ピストンに対して重みをかけ、かつそれに作用し、これは次いで、プランジャシールに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。流体通路接続子は、駆動機構の作動前、それと同時に、またはその後に穿通可能なシールを通して接続されて、薬物容器から流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通り、かつ使用者の身体内への薬物送達のための流体流を許容し得る。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構のマニホールド及びカニューレのみを通って流れ、それによって、薬物送達前及びその間に流体通路の滅菌性を維持する。かかる構成要素及びそれらの機能は、本明細書にさらに詳細に記載される。
次に図70A~70D及び71A~71Dに示される多機能駆動機構の実施形態を参照すると、駆動機構90100は、アクチュエータ90101と、主歯車90102を含む歯車アセンブリ90110と、駆動ハウジング90130と、キャップ9052、穿通可能なシール(不可視)、バレル9058、及びプランジャシール9060を有する薬物容器9050とを含む。主歯車90102は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシール9060との間でバレル9058内に位置する薬物チャンバ9021は、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。1つ以上の駆動偏倚部材90122及びピストン90110は、薬物容器9050とハウジング90130の近位端との間で駆動ハウジング90130内で圧縮され、駆動偏倚部材90122は、本明細書にさらに記載されるように、ピストン90110のインターフェース表面90110C上に支えられるように構成されている。任意選択で、例えば、駆動偏倚部材90122からピストン90110への力のより均等な分配を促すため、駆動偏倚部材90122の座屈を防止するため、かつ/または偏倚部材90122を使用者の視界から隠すために、被覆スリーブ(図示せず)が駆動偏倚部材90122とピストン90110のインターフェース表面90110Cとの間に利用されてもよい。ピストン90110のインターフェース表面90110Cは、シール9060の近位端に実質的に隣接して、またはそれと接触して静止させられる。図70A~70D及び71A~71Dに示される実施形態は、単数の偏倚部材を示しているものの、並行して作用するように配置された1つ以上の偏倚部材が使用され得ることも企図される。
図70D及び図71Dに最も良好に示されるように、ピストン90110は、2つの構成要素90110A及び90110Bから構成され、プランジャシールに接触するためのインターフェース表面90110Cを有し得る。テザー、リボン、紐、または他の保持ストラップ(本明細書において「テザー」90525と称される)は、一方の端部においてピストン90110A、90110Bに接続され得る。例えば、テザー90525は、組み立てられたときのピストン90110A、90110Bの2つの構成要素の間の保持によって、ピストン90110A、90110Bに接続され得る。テザー90525は、別の端部において送達制御機構90500のウィンチドラム/歯車90520に接続されている。テザー90525の一方の端部に接続されたウィンチドラム/歯車90520、及び別の端部においてピストン90110A、90110Bに接続されたテザー90525の使用を通して、調節機構90500は、原薬を薬物容器9050から押し出すために利用されるピストン90110A、90110B及びプランジャシール9060の自在な軸方向平行移動を制御するか、それを計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止するように機能する。したがって、調節機構90500は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御するために一緒に機能する、多機能駆動機構の態様の歯車アセンブリ90116の一部分である。
図70A~70D及び71A~71Dに示されるように、かつ図72及び73A~73Bに分離して示されるように、本開示の実施形態において、調節機構90500は、多機能駆動機構90100のアクチュエータ90101によって駆動される歯車アセンブリである。調節機構は、テザー90525の分配を妨げるかまたは制限し、調節された速度または所望の速度でのみ前進させる。これは、1つ以上の偏倚部材90122によって押圧されているバレル9058内でのピストン90110の移動を制限し、よって、プランジャシール9060の移動及びチャンバ9021に収容された薬物の送達を制御する。プランジャシール9060が薬物容器9050内で前進すると、原薬は、薬物送達のために、滅菌通路接続90300、導管9030、挿入機構90200を通り、かつ使用者の身体内へと分注される。アクチュエータ90101は、例えば、ソレノイド、ステッパモータ、または回転式駆動モータを含む、いくつかの電力/運動源であり得る。特定の実施形態において、アクチュエータ90101は、主/星形歯車90102の歯に対応するノッチを有する回転式ステッパモータである。一般に、かかる回転式ステッパモータは、「Pac-Man」モータと称され得る。少なくとも1つの実施形態において、Pac-Manモータは、システムの動作中に主歯車の1つ以上の歯がその内部に部分的に常在し得る、歯車インターフェースを有する。これは、図73A~73Bにおいてより明らかに見ることができる。Pac-Manモータ90101の歯車インターフェース90101Aが主歯車90102の歯90102Aと整列しているとき、Pac-Manモータ90101の回転運動は、主歯車90102の歯車インターフェース回転を引き起こす。Pac-Manモータ90101が主歯車の歯の間にあるとき、例えば、歯車アセンブリ90116のバックスピンまたは巻き戻しのための抵抗として作用し得る。1つの特定の実施形態において、Pac-Manモータ90101は、Pac-Manモータ90101を逆方向及び順方向に回転させるために、交番方向型のモータを利用する。この構成は、モータの多方向を使用して、(暴走状態のために必要とされるであろう)一方向における連続スピンを防止することによって、モータ及び歯車が回転することを自在に許容されている暴走状態の防止を補助する。Pac-Manモータ内の歯車インターフェースの切れ目の使用と連結されたモータのこの二方向の動きは、使用者への薬物の過剰送達につながる可能性がある暴走状態を防止するために好適な安全性特徴を提供する。歯車アセンブリ90116、調節機構90500、及び多機能駆動機構90100についてのさらなる詳細は、本明細書に提供される。
図73A~73Bに示される特定の実施形態において、調節要素90500は、歯車アセンブリ90516の1つ以上の歯車90511、90512、90513、90514をさらに含む。歯車90511、90512、90513、90514のうちの1つ以上は、例えば、大径歯車に共有中心点で取り付けられた小径歯車を有する複合歯車であり得る。歯車90513は、例えば、位置決めされたシャフトによってウィンチドラム/歯車90520に回転式に連結され得、それによって、歯車アセンブリ90516の回転をウィンチドラム/歯車90520に連結し得る。複合歯車90512は、複合歯車態様90512Bの回転移動が歯車の係合によって(例えば、対応する歯車の歯の係合によって)歯車90513へと伝達されるように、小径歯車90513に係合する。その回転が歯車態様90512Bに連結している複合歯車態様90512Aは、主/星形歯車90102の複合歯車態様90102Bの作用によって回転させられる。その回転が主/星形歯車90102に連結している複合歯車態様90102Bは、主/星形歯車90102Aとアクチュエータ90101のインターフェース90101Aとの間の相互作用によって回転させられる。故に、主/星形歯車90102の回転は、ウィンチドラム/歯車90520に伝達される。したがって、アクチュエータ90101によって始動された歯車アセンブリ90516の回転は、ウィンチドラム/歯車90520に連結され(すなわち、歯車アセンブリ90516を通して)、それによって、テザー90525の分配、及びバレル9058内でのプランジャシール9060の移動の速度を制御して、流体を薬物チャンバ9021から押し出し得る。ウィンチドラム/歯車90520の回転移動、及び故にピストン90110及びプランジャシール9060の軸方向平行移動は、本明細書に記載されるように、調節要素90500の他の構成要素による自在な軸方向平行移動を計測、制限、または別様に防止される。上述のように、アクチュエータ90101は、モータ(例えば、DCモータ、ACモータ、ステッパモータ)またはソレノイド(例えば、リニアソレノイド、回転ソレノイド)を含むいくつかの既知の電力/運動源であり得る。
上に記載され、かつ図69A~73Dに示される実施形態は、主/星形歯車90102と垂直に整列し、かつそれと直接係合しているアクチュエータ90101を示す。機械技術における当業者であれば容易に理解され得るように、アクチュエータ90101は、水平に整列するように修正されてもよい。加えてまたは代替的に、アクチュエータ90101は、主/星形歯車90102と間接的に係合するように修正されてもよい。図75A~75Bに示される実施形態は、主/星形歯車90102と水平に整列し、かつそれと間接的に係合しているアクチュエータ90101を示す。かかる実施形態は、モータの運動の方向を水平から垂直(すなわち、垂直相互作用)に変えるために、図5A~75Bに示されるように、ラック及びピニオン係合、駆動ねじ、またはウォーム歯車101Wを利用してもよい。アクチュエータ90101は、ウォーム歯車90101Wを回転させ、ウォーム歯車は、歯車90101Gに係合し、その運動をPac-Man歯車90101Aに伝達する。Pac-Man歯車90101Aは、主/星形歯車90102に係合して、本明細書に記載されるように、駆動機構及び薬物送達デバイスの操作を可能にする。主/星形歯車90102はまた、歯車90112の操作を駆動して、本明細書に記載されるように、針挿入機構90200の操作を可能にする。1つの特定の実施形態において、アクチュエータ90101は、ウォーム歯車90101W、歯車90101G、及びPac-Man歯車90101Aを逆方向及び順方向に回転させるために、交番方向型のモータを利用する。この構成は、モータの多方向を使用して、(暴走状態のために必要とされるであろう)一方向における連続スピンを防止することによって、モータ及び歯車が回転することを自在に許容されている暴走状態の防止を補助する。主/星形歯車90102と共に、ウォーム歯車90101W、歯車90101G、及びPac-Man歯車90101Aの歯車インターフェースの使用と連結されたアクチュエータ90101のこの二方向の動きは、使用者への薬物の過剰送達につながる可能性がある暴走状態を防止するために好適な安全性特徴を提供する。追加的に、アクチュエータ90101は、停止ブロック90150に対してPac-Man歯車90101Aの回転を停止させる停止部材90101Bを含み得る。停止ブロック90150は、Pac-Man歯車90101A、及びしたがって主/星形歯車90102の過剰回転をさらに防止して、使用者への薬物の過剰送達につながる可能性がある暴走状態を防止する。停止部材90101Bは、停止ブロック90150との相互作用によって一方向における過剰回転を防止するため、デバイスがこの構成で機能するためには、Pac-Man歯車90101Aは、主/星形歯車90102を前進させるために再び順方向に回転する前に、他の方向で逆方向に回転させられなければならない。追加的に、ウォーム歯車90101Wの幾何形状は、それ自体が自己係止されるか、かつ/または歯車90101Gによって後方駆動されないように構成され得る。これは、ピッチ、リード角、圧力角、及びねじの数等のパラメータの構成によってなされ得る。そうするとき、アクチュエータ90101によって引き起こされていない回転に対するウォーム歯車の抵抗によって、駆動機構の暴走状態が防止されることになる。
とりわけ、本開示の調節機構90500は、薬物チャンバ9021からの流体物質の送達を駆動しない。薬物チャンバ9021からの流体物質の送達は、偏倚部材90122の、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって引き起こされる。調節機構90500は、代わりに、それらが偏倚部材90122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構90500は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン90110及びプランジャシール9060の運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。好ましい実施形態によれば、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスは、偏倚部材90122によって軸方向に平行移動するように駆動されているピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の軸方向平行移動を計るテザーに間接的または直接的に接続された調節機構を含む。調節機構によって制御される薬物送達の速度は、歯車アセンブリ90516の歯車比の選択;主/星形歯車90102の選択;巻胴/歯車90520の直径の選択;電気機械的アクチュエータ90101を使用して主/星形歯車90102の回転速度を制御すること;または当業者に既知である任意の他の方法によって決定され得る。電気機械的アクチュエータ90101を使用して主/星形歯車90102の回転速度によって、可変の用量速度を提供する(すなわち、薬物送達の速度が治療中に変動する)ように薬物送達デバイスを構成することが可能であり得る。
別の実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システムは、1つ以上の入力を受信して、ウィンチドラム/歯車90520によるテザー90525の解放を計り、それによって、偏倚部材90122によるピストン90110の軸方向平行移動を許容して、プランジャシール9060をバレル9058内で平行移動させるように構成されている。1つ以上の入力は、作動機構、制御インターフェース、及び/または遠隔制御機構の起動によって提供され得る。電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすために、使用者への送達のための用量体積を変えるために、かつ/または駆動機構の操作を別様に開始、停止、もしくは一時停止するために、1つ以上の入力を受信して、偏倚部材90122がその上に支えられているピストン90110の自在な軸方向平行移動上にテザー90525及びウィンチドラム/歯車90520によってもたらされる制限を調整するように構成され得る。
作動時に、駆動機構90100の構成要素を用いて、薬物容器9050のプランジャシール60の遠位方向への軸方向平行移動を駆動してもよい。任意選択で、駆動機構90100は、例えば、実質的に全薬物用量が使用者に送達されたことを確実にするために、プランジャシール9060の追加の軸方向平行移動を可能にする1つ以上の遵守特徴を含み得る。例えば、プランジャシール9060自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。
本開示の新規の制御送達駆動機構は、任意選択で、ステータス表示を薬物用量送達内に一体化し得る。1つ以上のステータストリガ及び対応するステータスリーダの使用によって、使用者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、電力・制御システムに伝えられ得る。かかるフィードバックは、上述のように、触覚、視覚、及び/または聴覚によるものであってもよく、デバイスの使用中にフィードバックの1つ超の信号または種類が使用者に提供されるように重複してもよい。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、ピストンがその軸方向平行移動の終了に達したことに結び付けられるため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。
テザー90525は、ステータスリーダに接触することができるか、またはそれによって認識されることができる、電気的接触、光学的マーキング、または電気機械的ピンもしくは陥凹等の1つ以上のステータストリガを有し得る。少なくとも1つの実施形態において、いったんステータスリーダが、薬物容器9050のバレル9058内でのピストン90110A、90110B、及びプランジャ9060の軸方向移動の終わりにステータスリーダに接触することになるテザー90525上に位置付けられた最終ステータストリガに接触するか、またはそれを認識すると、投薬終了ステータス表示が使用者に提供され得る。ステータスリーダは、例えば、対応する電気接触に接触する電気スイッチリーダ、対応する光学的マーキングを認識する光学的リーダ、または対応するピン、穴、もしくはテザー上の同様の態様に接触するように構成された機械的もしくは電気機械的リーダであり得る。ステータストリガは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー90525に沿って位置付けられ得る。薬物送達デバイスが作動され、偏倚部材90122、ならびに結果としてピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060に加えられた力の解放によって薬物送達が開始されると、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルは、調節機構90500、歯車アセンブリ90516、及びウィンチドラム/歯車90520によって制御され、テザー90525を解放し、偏倚部材90122の拡張、ならびにピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の軸方向平行移動を許容する。これが生じると、テザー90525のステータストリガは、ステータスリーダによって接触または認識され、使用者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、電力・制御システムに伝えられ得る。テザー90525上に位置するステータストリガの数に応じて、増分ステータス表示の頻度所望通りに変動され得る。上述のように、システムによって利用されるステータストリガに応じて、様々なステータスリーダを利用することができる。
好ましい実施形態において、ステータスリーダは、テザー90525に張力を加えてもよい。システムが投薬終了に達すると、テザー90525はたるみ、ステータスリーダ90544は、支点の周りで回転することを許容される。この回転は、電気的または電気機械的スイッチ、例えばスイッチを動作させ、テザー90525におけるたるみについて電力・制御システムに信号伝達する。追加的に、歯車列90516の歯車90511は、センサと共にエンコーダとして作用し得る。センサ/エンコーダの組み合わせは、歯車アセンブリの回転のフィードバックを提供するために使用され、これは次いで、テザー90525にたるみがないときのピストン90110の位置に較正され得る。ステータスリーダ及びセンサ/エンコーダは併せて、センサ/エンコーダによってカウントされるモータ回転が予想される数に達する前にテザー90525におけるたるみを観察することによって、位置フィードバック、投薬終了信号、及び閉塞等のエラー表示を提供し得る。
テザーのたるみまたは不具合のがある場合に薬品の流れを終結させるかまたは制限するための、追加の手段が存在し得る。図6A~6Bは、1つのかかる実施形態を示す。ブレーキ9064、スリーブ9062、及びプラグ9068、ならびに任意選択で保持器66がバレル9058内に配置されている。偏倚部材90122は、スリーブ9062に対して重みをかけている。テザー90525はプラグ9068に係合し、それによって、テザー90525がスリーブ9062の運動を制限することを可能にする。この制限は、偏倚部材90122の拡張または付勢解除の速度を制御する。テザー90525が張力下にあるとき、プラグ9068は、ブレーキ9064の遠位面9064Aに重みをかけ、ブレーキ9064の近位面9064Bに、スリーブ9062に対して重みをかけさせる。この接触、及びスリーブ9062の遠位端9062Aのプロファイルに起因して、ブレーキ9064は、図6Aに示されるように実質的に円錐状の構成に維持される。この構成において、偏倚部材90122の拡張または付勢解除は制限されている。また、この円錐状の構成において、ブレーキ64の外径は、バレル9058の内径よりも小さく、故に、ブレーキの平行移動は、薬物容器の内壁との接触によって制限されない。また、ブレーキ9064の一部分は、保持器9066と接触している。ブレーキ9064は、プラグ9068及びスリーブ9062によってこの構成に維持されるため、偏倚部材90122の圧縮解除によって引き起こされるスリーブ9062の平行移動は、保持器9066に移送される。同様に、保持器9066のプランジャシール9060との接触は、プランジャシール9060の平行移動を引き起こす。
図74Bに示されるように、テザー90525のたるみまたは不具合がある場合、プラグ9068は、テザー90525によってもはや所定の位置に保持されず、及びしたがって、スリーブ9062の運動をもはや制限しない。偏倚部材90122が圧縮解除または付勢解除すると、ブレーキ9064は、相対的により円錐状ではないか、またはより平らな構成に変形する。これは、この構成に変形するためのブレーキ9064の自然な偏倚によって引き起こされ得るか、または代替的に、保持器9066及びスリーブ9062の両方とのブレーキ9064の接触によって引き起こされ得る。ブレーキが変形すると、それはバレル9058の内壁と接触するようになる。故に、ブレーキは、スリーブ9062の平行移動を制限するためのくさびとして作用する。これは、さらなる平行移動を防止し得るか、または平行移動の速度を制限するように作用し得る。任意選択で、テザーにおける張力の回復は、プラグがブレーキと接触し、かつブレーキをその円錐状の構成に戻すように変形させることを引き起こし、及び故に、薬物送達デバイスの通常の動作を回復させる。
図74A~74Bは、球形を有するプラグ及び円錐形を有するブレーキを示す。かかる形状は、本明細書において単に例示目的で使用されているにすぎず、同じかまたは同様の機能を達成するために他の形状または構成が容易に利用される。例えば、プラグは、それ自体が円錐状の形状であってもよく、一実施形態において、ブレーキが円錐形状である場合に、ブレーキとインターフェース接続するような形状をなしてもよい。かかる構成において、プラグの円錐形状は、ブレーキの円錐形状を維持することを補助し、それによって、スリーブ9062の軸平衡平行移動を制限するために、ブレーキの外径とバレルの内径との間の接触を防止する(すなわち、ブレーキ力を加える)。別の実施形態において、ブレーキ9064は、バレル9058の内径と接触して、スリーブ9062のさらなる軸方向平行移動を防止または制限するように、実質的に平坦化した位置にあるときに星形状または他の構成を用いることができる。スリーブ9062のさらなる平行移動がないと、偏倚部材90122は、さらに拡張または付勢解除することができず、これは次いで、使用者へのさらなる薬物送達を防止または制限する。これは、使用者への薬物の過剰送達または加速した送達を防止するように、薬物送達のための安全処置を提供する。
次に図70A~70D及び71A~71Dを参照すると、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御すること(それによって、原薬を可変の速度及び/または送達プロファイルで送達すること)に加え、本開示の多機能駆動機構は、針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供する工程、及び滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容する工程を同時にまたは連続的に実施し得る。少なくとも1つの実施形態において、図70A~70D及び71A~71Dに示されるように、多機能駆動機構90100のアクチュエータ90101による初期運動は、主/星形歯車90102を回転させる。主/星形歯車90102は、態様90102A及び90102B(図72を参照されたい)を有する複合歯車として示される。1つの様態において、主/星形歯車90102は、歯車アセンブリ90516を通して調節機構90500に運動を伝える。別の様態において、主/星形歯車90102は、歯車90112を通して針挿入機構90200に運動を伝える。主/星形歯車90102によって歯車90112が回転させられると、上に詳細に記載されるように、歯車90112は針挿入機構90200に係合して、流体通路接続子を使用者の中へと始動させる。1つの特定の実施形態において、針挿入機構90200は、回転式針挿入機構である。したがって、歯車90112は、針挿入機構90200の対応する歯車表面90208に係合するように構成されている。歯車90112の回転は、駆動機構90100の歯車90112と針挿入機構90200の対応する歯車表面90208との間の歯車の相互作用を通して針挿入機構90200の回転を引き起こす。いったん針挿入機構90200の好適な回転、例えば、図70B~70Cに示される軸「R」に沿った回転が生じると、上に詳細に記載されるように、針挿入機構が始動されて、使用者への流体通路接続子を生み出す。代替的な実施形態において、図75A~75Bに示されるように、歯車90112は、針挿入機構90200に間接的に係合して、流体通路接続子を使用者の中へと始動させ得る。例えば、歯車90112は、針挿入機構90200と接触または遮断する制御アーム90202(図75において見ることができる)の対応する歯車表面に係合するように構成され得る。歯車90112の回転は、制御アーム90202の移動を引き起こし、これは、針挿入機構90200の回転を始動または許容し得る。かかる針挿入機構は、図75A~75Bに示されるように、最初は付勢状態に保持されている、回転して偏倚された部材90210を含む。回転偏倚部材は、制御アームの遮断態様等の、薬物送達デバイスの回転防止特徴との挿入機構の構成要素の接触によって付勢解除することを防止され得る。デバイスの作動時、または別の入力時に、回転して偏倚された部材90210は、付勢解除することを少なくとも部分的に許容される。これは挿入機構の1つ以上の構成要素の回転を引き起こし、これは次いで、患者内への針の挿入を引き起こすか、またはそれを可能にする。さらに、カニューレは、上述のように患者内に挿入され得る。デバイスの制御アームまたは別の構成要素がテザー90525におけるたるみを認識したとき等の後の時点で、回転して偏倚された部材は、例えば制御アームとのさらなる相互作用によってさらに付勢解除され得、これは、挿入機構の1つ以上の構成要素の追加の回転を引き起こす。この回転は、針を患者から後退させるか、それを可能にし得る。針は、単一の工程で完全に後退してもよく、または複数の後退工程があってもよい。
図70A~70D及び71A~71Dに示されるように、この様態での針挿入機構90200の回転はまた、滅菌流体通路の薬物容器への接続をもたらして、使用者への送達のための薬物容器から挿入機構への流体流を許容し得る。針挿入機構90200のランプ態様90222は、滅菌流体通路接続子90300の可動接続ハブ90322上に支えられるようにされる。多機能駆動機構90100によって針挿入機構90200が回転させられると、針挿入機構90200のランプ機構90222は、滅菌流体通路接続子90300の可動接続ハブ90322に係合し、かつそれを平行移動させて、その内部の流体接続を容易にする。かかる平行移動は、例えば、図70B及び71Bに示される軸「C」に沿った中空矢印の方向に生じ得る。少なくとも1つの実施形態において、針挿入機構90200は、上に詳述されるように、回転軸「R」(図70B~70Cに示される)上の特定の角度の回転が針/トロカールの後退を可能にするように構成され得る。加えてまたは代替的に、かかる針/トロカールの後退は、使用者の活動時または薬物送達デバイスの別の構成要素の移動もしくは機能時に生じるように構成され得る。少なくとも1つの実施形態において、針/トロカール後退は、例えば、上述のように、調節機構90500及び/またはステータスリーダのうちの1つ以上によってトリガされる、薬物送達の終了時に生じるように構成され得る。これらの操作段階の間、薬物チャンバ9021からの流体物質の送達は、偏倚部材90122の、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって始動され、進行中であり、かつ/または完了され得る。上述のように、調節機構90500は、それらが偏倚部材90122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構90500は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン90110及びプランジャシール9060の運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。これは、図70A~70D及び71A~71Dに示される構成要素の進行を通して見ることができる。図70A~70D及び71A~71Dの移行で示されるように、それらが偏倚部材90122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間の、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の自在な運動は、近位または第1の位置「P」から遠位または第2の位置「D」への軸「A」に沿った実線矢印の方向で示される。
新規の駆動機構のさらなる態様は、図72及び73A~73Bを参照して記載される。図72は、少なくとも第1の実施形態による、その初期係止段階中の多機能駆動機構の斜視図を示す。最初に、テザー90525は、偏倚部材90122をピストン90110A、90110B内の最初の付勢位置で保持し得る。使用者によるデバイスの作動時に直接的または間接的に、多機能駆動機構90100は、偏倚部材がピストン90110に、及びしたがってテザー90525に力を加えることを許容するために、作動し得る。テザー90525上のこの力は、巻胴90520上にトルクを加え、これは、歯車アセンブリ90516及び調節機構90500に運動を開始させる。図73Aに示されるように、ピストン90110及び偏倚部材90122はいずれも、最初は、プランジャシール9060の後方で圧縮された付勢状態にある。偏倚部材90122は、駆動ハウジング90130の内部特徴とピストン90110A、90110Bのインターフェース表面90110Cとの間でデバイスが作動するまで、この状態に維持され得る。薬物送達デバイス9010が作動され、駆動機構90100が動作するようにトリガされると、偏倚部材90122は、遠位方向で(すなわち、図70A~70D及び図71A~71Dに示される実線矢印の方向で)軸方向に拡張(すなわち、圧縮解除)することが許容される。かかる拡張は、偏倚部材90122がインターフェース表面90110C及びピストン90110上に作用し、かつそれらを遠位に平行移動させ、それによって、プランジャシール9060を遠位に平行移動させて、薬物流体をバレル9058の薬物チャンバ9021から押し出すことを引き起こす。少なくとも1つの実施形態において、いったんステータスリーダが、薬物容器9050のバレル9058内でのピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の軸方向移動の終わりに実質的に対応するようにテザー90525上に位置付けられたステータストリガに接触するか、またはそれを認識すると、投薬終了ステータス表示が使用者に提供され得る。ステータストリガは、使用者に増分ステータス表示を提供するために、ある特定の体積測定に対応する増分等の種々の増分でテザー90525に沿って位置付けられ得る。少なくとも1つの実施形態において、ステータスリーダは、テザー上の対応する光学的ステータストリガを認識するように構成された光学的ステータスリーダである。当業者には理解されようが、かかる光学的ステータストリガは、光学的ステータスリーダによって認識可能なマーキングであり得る。別の実施形態において、ステータスリーダは、対応するピン、穴、またはテザー上の同様の態様に接触するように構成された機械的または電気機械的リーダである。電気接触は、対応する電気的ステータスリーダに接触するか、または別様にそれによって認識されるステータスインジケータと同様にテザー上で利用され得る。ステータストリガは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー90525に沿って位置付けられ得る。示されるように、テザー90525は、駆動機構ハウジング90130、偏倚部材90122を通って通過し、ピストン90110A、90110Bに接続して、ピストン90110A、90110B、及びそれらに隣接して常在するプランジャシール9060の軸方向平行移動を制限する。
本開示の新規の実施形態は、巻胴90520の自在な回転、及び故に制御送達駆動機構90100の構成要素の軸方向平行移動を計り、制限し、または別様に防止するために利用され得る。したがって、調節機構90500は駆動機構の運動を制御するのみで、薬物送達のための力は加えない。圧縮ばね等の1つ以上の追加の偏倚部材90122を利用して、ピストン90110を駆動するか、またはその駆動を補助してもよい。例えば、圧縮ばねは、この目的で、駆動ハウジング90130内で利用され得る。調節機構500は、かかる作用を制御するか、計るか、または調節するのみである。本開示の制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスは、加えて、実質的に全ての原薬が薬物チャンバ9021から押し出されたことを確実にするために、遵守による一押しを可能にする。プランジャシール9060自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。例えば、ポップアウト型プランジャシール、すなわち、初期状態から変形可能なプランジャシールが用いられる場合、プランジャシールは、変形または「ポップアウト」させられて、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを提供し得る。加えてまたは代替的に、電力・制御システムへの接触、接続、または別様に伝送を可能にして、投薬終了を使用者に信号伝達するために、電気機械的ステータススイッチ及び相互接続アセンブリが利用され得る。この構成は、使用者への真の終了表示をさらに可能にする。
少なくとも1つの実施形態において、歯車アセンブリ90516の1つ以上の歯車の回転運動を読み取るかまたは認識することによって、増分ステータス表示が使用者に提供され得る。歯車アセンブリ90516が回転するにつれて、ステータスリーダは、歯車アセンブリにおける歯車のうちの1つの上の1つ以上の対応するステータストリガを読み取るかまたは認識して、可変速度制御送達駆動機構の操作前、操作中、及び操作後に、増分ステータス表示を提供し得る。いくつかのステータスリーダが、本開示の実施形態内で利用され得る。例えば、駆動機構は、歯車アセンブリの歯車のうちの1つの歯によって物理的に接触された機械的ステータスリーダを利用してもよい。この例示的な実施形態において歯車のうちの1つの歯(または、歯車上の穴、ピン、隆起、マーキング、電気接触等)であり得るステータストリガ(複数可)によってステータスリーダが接触されると、ステータスリーダは、歯車の回転位置を測定し、使用者へのステータス表示のために信号を電力・制御システムに伝送する。加えてまたは代替的に、駆動機構は、光学的ステータスリーダを利用してもよい。光学的ステータスリーダは、例えば、運動を認識し、電力・制御システムに信号を伝送することができる光ビームであり得る。例えば、駆動機構は、歯車アセンブリの歯車のうちの1つの歯(または、歯車上の穴、ピン、隆起、マーキング、電気接触等)の運動を認識するように構成された光学的ステータスリーダを利用してもよい。同様に、ステータスリーダは、歯車上の電気接触を認識するように構成された電気スイッチであり得る。これらの実施形態のいずれかにおいて、次いで信号を電力・制御システムに伝えて、使用者にフィードバックを提供するために、センサを利用してもよい。
当業者には理解されようが、光学的ステータスリーダ及び対応するトリガ、電気機械的ステータスリーダ及び対応するトリガ、ならびに/または機械的ステータスリーダ及び対応するトリガは全て、使用者に増分ステータス表示を提供するために本開示の実施形態によって利用され得る。本開示の駆動機構は、図面に示される歯車アセンブリ及び調節機構に関連して記載されているものの、当業者には容易に理解されるであろうが、様々な構成が許容可能であり、本開示の実施形態内で用いられることができる。したがって、本開示の実施形態は、制御送達駆動機構及び薬物送達ポンプ内で用いるためのかかる機構の例示的な実施形態として提供されている、本明細書に記載の特定の歯車アセンブリ及び調節機構に限定されない。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬品の送達プロファイルは、調整可能である。例えば、食事、運動、睡眠等のある特定の活動前、活動中、または活動後に、薬品のボーラス注射を送達することが望ましい場合がある。「ボーラス注射」は、多くの場合、送達時間または持続時間にかかわらず送達される任意の測定された薬物体積である。逆に、「基底注射」は、多くの場合、制御された送達速度、及び/または異なる時間間隔で様々な送達速度を有する送達プロファイルである。同様に、使用者は、これらの時間または他の時間で薬品の基底送達速度を増加または減少させることを望む場合がある。少なくとも1つの実施形態において、送達プロファイルは、この所望の薬物送達を達成するために使用者によって調整可能である。使用者は、薬物送達デバイス自体と相互作用することによって送達プロファイルを調整してもよく、または代替的に、そのためにスマートフォン等の外部デバイスを使用してもよい。例えば、使用者は、作動機構を変位させることによって送達プロファイルを調整してもよく、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させてもよい。
本開示の別の実施形態において、送達プロファイルは、1つ以上の入力に基づいて自動的に調整されてもよい。例えば、送達プロファイルは、患者の活動レベル、心拍数、血糖値等に基づいて調整され得る。上記のように、これらの測定値を用いて、ボーラス注射、または基底注射送達速度の増加もしくは減少、または基底注射送達プロファイルの調整の必要性を判定することができる。少なくとも1つの実施形態において、これらの入力測定値は、デバイス自体によって監視され得る。追加的に、または代替的に、それらは、スマートフォン、スマートウォッチ、心拍数モニタ、グルコースモニタ、血圧モニタ等の二次デバイスによって監視されてもよい。いくつかの実施形態において、送達プロファイルは、使用者の介入を必要とせずにこれらの測定値に基づいて調整され得る。二次デバイスによる監視及び/または制御に場合、二次デバイス及び薬物送達デバイスは、互いに無線または有線通信し得る。この通信は、Bluetooth、近距離無線通信、Wi-Fi、またはデバイスの相互接続性に関する当業者に既知の任意の他の方法を通したものであり得る。
しかしながら、好ましい実施形態において、監視/調整機構は、使用者に対して警報を発し、かつ推奨を行う場合があり、使用者は、監視/調整機構による推奨を始動/許可するか、または無視する能動制御を有し得る。例えば、測定値のうちの1つ以上が指定の閾値より高いかまたは低い場合、デバイスは、可聴、可視、または触覚による警報を使用者に対して発する場合がある。一例において、警報は、デバイスの振動によって提供され、それによって、個別の警報を使用者に提供する。加えてまたは代替的に、警報は、使用者のスマートフォンまたは他の二次デバイスによって提供され得る。使用者は、コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースにおける測定値の現在のステータスを、デバイス自体、コンピュータ、スマートフォン、または他のデバイスの上で見ることができる場合がある。コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースは、送達プロファイルへの推奨される調整を提供し得る。この情報に基づいて、使用者は、薬物送達デバイスの送達速度を調整することができる。上記のように、使用者は、作動機構を変位させるか、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させることによって、送達プロファイルを調整してもよい。
一実施形態において、使用者の入力または上記の測定値のいずれかに基づく送達プロファイルを調整する信号に応じて、電力・制御システムは、アクチュエータ90101の移動速度を変化させ得る。アクチュエータ90101の移動速度の変化は、調節機構90500の回転速度を変化させ、これは次いで、使用者への薬物送達速度を制御する。代替的に、送達プロファイルは、薬物容器及び挿入機構を接続する導管を通る薬品の流路の特性の変化によって変えることができる。この変化は、薬物容器から挿入機構への薬品の流れを制限する流れ制限部の導入、取り外し、または修正によって引き起こされ得る。例えば、流れ制限部は、流れ制限部の入力及び出力と流体連通して選択的に定置され得る複数の流路を有し得る。異なる長さまたは断面を有する流路を提供することによって、送達速度を制御することができる。他の実施形態において、送達プロファイルは、導管の衝突の導入または取り外しによって変えることができる。流路の衝突は、導管を通る薬品の流れを中断させるかまたは遅くすることができ、それによって、使用者への送達速度を制御する。したがって、本開示の1つ以上の実施形態は、薬物容器からの薬品送達速度の変化を生み出し、それによって、多機能駆動機構及び/または薬物送達デバイスの動的制御能力を提供することができる。
制御送達駆動機構90100、薬物送達ポンプ9010、または個々の構成要素のいずれかの組み立て及び/または製造は、当該技術分野で既知のいくつかの材料及び手法を利用してもよい。例えば、イソプロピルアルコール及びヘキサン等のいくつかの既知の清掃流体を用いて、構成要素及び/またはデバイスを清浄してもよい。いくつかの既知の接着剤または糊も同様に製造過程で用いられ得る。追加的に、既知のシリコン処理及び/または潤滑流体及び処理が、新規の構成要素及びデバイスの製造中に用いられ得る。さらに、既知の滅菌過程が、最終製品の滅菌性を保証するために製造または組み立て段階のうちの1つ以上で用いられ得る。
駆動機構は、いくつかの手法で組み立てられ得る。1つの組み立て方法において、薬物容器9050は最初に組み立てられ、使用者への送達用の流体で充填され得る。薬物容器9050は、キャップ9052、穿通可能なシール9056、バレル9058、及びプランジャシール9060を含む。穿通可能なシール56は、バレル9058の遠位端において、キャップ9052とバレル9058との間に固定的に係合され得る。バレル9058は、バレル9058の近位端からのプランジャシール9060の挿入前に、開口近位端を通して薬物流体で充填されてもよい。任意選択的な接続マウント9054は、穿通可能なシール9056の遠位端に据え付けられ得る。接続マウント9054は、薬物容器9050のバレル9058内への流体通路接続子の穿通部材の挿入をガイドし得る。薬物容器9050は、その後、駆動ハウジング90130の遠位端に据え付けられ得る。
1つ以上の駆動偏倚部材90122は、駆動ハウジング90130の遠位端内に挿入され得る。任意選択で、被覆スリーブ90140は、偏倚部材90122を実質的に被覆するために、駆動ハウジング90130の遠位端内に挿入され得る。ピストンは、それが少なくとも部分的に偏倚部材90122の軸方向パススルー内に常在し、かつ偏倚部材90122が、偏倚部材90122の遠位端においてピストン90110A、90110Bのピストンインターフェース表面90110Cと接触することを許容されるように、駆動ハウジング90130の遠位端内に挿入され得る。偏倚部材90122を封入し、ピストン90110A、90110Bのピストンインターフェース表面90110Cと接触するために、任意選択的な被覆スリーブ90140を利用してもよい。ピストン90110A、90110B、及び駆動偏倚部材90122、ならびに任意選択的な被覆スリーブ90140は、駆動ハウジング90130内に圧縮され得る。かかる組み立ては、駆動偏倚部材90122を最初の圧縮された付勢状態に位置付け、かつ好ましくは、バレル9058の近位端内でプランジャシール9060の近位表面と接触してピストンインターフェース表面90110Cを定置する。ピストン、ピストン偏倚部材、接触スリーブ、及び任意選択的な構成要素は、薬物容器9050の取り付けまたは据え付け前に、駆動ハウジング90130内で圧縮され、起動準備完了状態に係止され得る。テザー90525は、ピストン90110A、90110Bの近位端に予め接続され、偏倚部材90122及び駆動機構90130の軸方向開口部に通され、その後、テザー90525の他の端部が調節機構90500のウィンチドラム/歯車90520に巻き付けられた状態で、薬物送達デバイスの内部に巻き付けられる。
流体通路接続子、及び具体的には流体通路接続子の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップ及び/または穿通可能なシールに接続され得る。流体導管は、流体通路が、開放、接続、または別様に有効化されているときに、使用者の身体内への薬物送達のために薬物容器、流体通路接続子、流体導管、挿入機構から、かつカニューレを通って直接移動するように、それ自体が挿入機構に接続されている流体通路接続子の他の端部に接続され得る。流体流のための通路を構成する構成要素が次に組み立てられる。これらの構成要素は、図69Bに示されるように、いくつかの既知の方法によって滅菌され、その後、固定的にまたは着脱自在に薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに据え付けられ得る。
本開示の幅及び範囲内に留まりながら、駆動機構90100または薬物送達デバイス9010のある特定の任意選択的な標準的な構成要素または変形形態が企図される。例えば、実施形態は、本開示のモータまたはソレノイド、駆動機構、及び薬物送達デバイスに電力供給するために利用される1つ以上の電池を含み得る。当該技術分野で既知の様々な電池がこの目的で利用され得る。追加的に、上部または下部ハウジングは、使用者が薬物送達デバイス9010の動作を見るか、または薬物用量が完了したことを検証することを可能にするために、任意選択で1つ以上の透明または半透明窓9018を含み得る。同様に、薬物送達デバイス9010は、接着パッチ9026及びパッチライナー9028をハウジング9012の底部表面上に含み得る。接着パッチ9026は、薬物送達デバイス9010を薬物用量の送達のために使用者の身体に接着するために利用され得る。当業者には容易に理解されようが、接着パッチ9026は、使用者の身体への薬物送達デバイスの接着のための接着面を有し得る。接着パッチ9026は、最初は、非接着パッチライナー9028によって被覆されていてもよく、これは、使用者の身体と接触した薬物送達デバイス9010の定置の前に接着パッチ9026から取り外される。パッチライナー9028の取り外しはさらに、挿入機構90200の封止膜90254を取り外し、薬物送達のために使用者の身体に対して挿入機構を開放する(図69Cに示されるように)。
同様に、制御送達駆動機構90100及び薬物送達デバイス10の構成要素のうちの1つ以上は、機能的に本開示の幅及び範囲内に留まりながら修正され得る。例えば、上述のように、薬物送達デバイス9010のハウジングは、上部ハウジング9012A及び下部ハウジング9012Bの2つの別個の構成要素として示されているが、これらの構成要素は、単一の統合された構成要素であってもよい。上記で考察したように、糊、接着剤、もしくは他の既知の材料、または方法を利用して、制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素を互いに貼着してもよい。代替的に、制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素は、統合された構成要素であり得る。例えば、上部ハウジング及び下部ハウジングは、糊または接着剤、ねじ嵌め接続、締まり嵌め、融着接合、溶接、超音波溶接等によって一緒に貼着された別個の構成要素であってもよく、または上部ハウジング及び下部ハウジングは、単一の統合された構成要素であってもよい。かかる標準的な構成要素及び機能的変形形態は当業者には理解され得、したがって、本開示の幅及び範囲内である。
上記の説明から、本明細書に開示される制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスが、薬物容器からの自動化薬物送達のために効率的かつ容易に操作されるシステムを提供することが理解されよう。本明細書に記載の新規の実施形態は、原薬の制御された送達のための駆動機構、及びかかる制御送達駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供し得る。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。本開示の新規の制御送達駆動機構は、使用者によって直接的または間接的に作動され得る。さらに、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスの新規の構成は、貯蔵中、輸送中、及びデバイスの操作を通して、流体通路の滅菌状態を維持する。薬物流体がデバイス内で移動する通路が完全に滅菌状態で維持されるため、これらの構成要素は、製造過程中に滅菌される必要があるのみである。かかる構成要素には、駆動機構の薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構が含まれる。本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システム、アセンブリプラットフォーム、制御アーム、作動機構、ハウジング、及び他の構成要素は、滅菌される必要がない。これは、デバイスの製造性を大幅に改善し、関連する組み立て費用を低減する。したがって、本開示のデバイスは、組み立ての完了時に最終滅菌を必要としない。
送達デバイスの製造薬物は、別個にまたは複合構成要素としていずれかで制御送達駆動機構及び薬物容器の両方を、薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付ける工程を含む。製造方法は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングへの流体通路接続子、薬物容器、及び挿入機構の取り付けをさらに含む。上述のように、電力・制御システム、作動機構、及び制御アームを含む薬物送達デバイスの追加の構成要素は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付けられるか、予め形作られるか、または予め組み立てられ得る。接着パッチ及びパッチライナーは、デバイスの動作中に使用者と接触する薬物送達デバイスのハウジング表面に取り付けられ得る。
薬物送達デバイスを操作する方法は、使用者によって作動機構を作動させる工程と、制御アームを変位させて挿入機構を起動する工程と、電力・制御システムを起動して制御送達駆動機構を作動させて、制御された速度または薬物送達プロファイルに従って薬物送達デバイスを通る流体薬物流を駆動する工程と、を含む。本方法は、作動機構を作動させる前に任意選択的なオンボディセンサを係合させる工程をさらに含み得る。本方法は、同様に、流体通路接続子と薬物容器との間の接続を確立する工程を含み得る。さらに、操作方法は、薬物容器内でピストン上に作用する偏倚部材の拡張によって制御送達駆動機構内でプランジャシールを平行移動させて、使用者の身体への流体薬物の送達のために薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構に流体薬物流を押し通すことを含み得、テザーの分配を制限するように作用する調節機構は、ピストンの自在な軸方向平行移動を計るために利用される。駆動機構及び薬物送達デバイスの操作方法は、上述のように、図70A~70D及び図71A~71Dを参照してより良好に理解され得る。
XVII.多機能駆動機構の追加の実施形態
少なくとも図1A~2B、33A~33C、80A~85C、86A~91、92~99、及び100A~109Bに関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図69A~73Dに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図69A~73Dに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の駆動機構100、6100、8100、9210、9310、9410、もしくは9510、または本明細書に記載の任意の他の駆動機構を置き換えてもよい。
本開示は、原薬の制御された送達のための多機能駆動機構、かかる駆動機構を有する制御された薬物送達ポンプ、かかるデバイスを操作する方法、及びかかるデバイスの組み立て方法を提供する。特に、本開示の多機能駆動機構は、(i)原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御することと、(ii)針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供することと、(iii)滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容することと、を含むいくつかの機能を有効化または始動する。本開示の新規の実施形態は、故に、可変速度で薬物を送達することが可能である。本開示の駆動機構は、以下に詳細に説明されるように、所望の送達速度またはプロファイルを満たすために、電力・制御システムによる制御によって予め構成され得るか、または動的に構成され得る。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、駆動機構の1つ以上の構成要素の軸方向平行移動及び/または移動の物理的終了に関連するため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。これらの機構を通して、薬物用量送達の確認が使用者または投与者に正確に提供され得る。したがって、本開示の新規のデバイスは、上記のもの等の先行技術のデバイスに関連する問題のうちの1つ以上を軽減する。
第1の実施形態において、本開示は、アクチュエータと、主歯車を含む歯車アセンブリと、駆動ハウジングと、キャップ、穿通可能なシール(不可視)、バレル、及びプランジャシールを有する薬物容器とを含む多機能駆動機構を提供する。主歯車は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシールとの間でバレル内に位置する薬物チャンバは、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。1つ以上の偏倚部材が付勢状態で最初に保持され、ピストンのインターフェース表面上に支えられるように構成されている、ピストン及び1つ以上の偏倚部材もまた、多機能駆動機構に組み込まれ得る。ピストンは、プランジャシール及びバレルを有する薬物容器内で実質的に軸方向に平行移動するように構成されている。テザーは、一方の端部においてピストンに接続され、他方の末端において調節機構のウィンチドラムに接続され、テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を制限する。薬物容器は、使用者への送達のための薬物流体を薬物チャンバ内に収容し得る。任意選択で、被覆スリーブは、駆動機構の動作中にバレルの内部構成要素(すなわち、ピストン及び偏倚部材)を視界から隠すために、偏倚部材とピストンのインターフェース表面との間に利用され得る。テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、多機能駆動機構の調節機構のウィンチドラム/歯車から解放されるように構成されている。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、調節機構は、多機能駆動機構のアクチュエータによって駆動される歯車アセンブリである。調節機構は、テザーの分配を妨げるかまたは制限し、調節された速度または所望の速度でのみ前進させる。これは、1つ以上の偏倚部材によって押圧されているバレル内でのピストンの移動を制限し、よって、プランジャシールの移動及びチャンバに収容された薬物の送達を制御する。プランジャシールが薬物容器内で前進すると、原薬は、薬物送達のために、滅菌通路接続、導管、挿入機構を通り、かつ使用者の身体内へと分注される。アクチュエータは、モータ(例えば、DCモータ、ACモータ、ステッパモータ)またはソレノイド(例えば、リニアソレノイド、回転ソレノイド)を含むいくつかの電力/運動源であり得る。特定の実施形態において、アクチュエータは、主/星形歯車の歯に対応するノッチを有する回転式ステッパモータである。
調節機構は、歯車アセンブリの1つ以上の歯車をさらに含み得る。歯車のうちの1つ以上は、例えば、大径歯車に共有中心点で取り付けられた小径歯車を有する複合歯車であり得る。歯車アセンブリは、テザーがその上に着脱可能に巻き付いているウィンチドラム/歯車に連結されたウィンチギアを含み得る。したがって、アクチュエータによって始動された歯車アセンブリの回転は、ウィンチドラム/歯車に連結され(すなわち、歯車アセンブリを通して)、それによって、テザーの分配、偏倚部材の拡張及びピストンの軸方向平行移動の速度、ならびにバレル内でのプランジャシールの移動の速度を制御して、流体を薬物チャンバから押し出し得る。ウィンチドラム/歯車の回転移動、及び故にピストン及びプランジャシールの軸方向平行移動は、本明細書に記載されるように、調節要素の他の構成要素による自在な軸方向平行移動を計測、制限、または別様に防止される。とりわけ、本開示の調節機構は、薬物チャンバからの流体物質の送達を駆動しない。薬物チャンバからの流体物質の送達は、偏倚部材の、ピストン及びプランジャシール上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって引き起こされる。調節機構は、代わりに、それらが偏倚部材のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン及びプランジャシールの自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン及びプランジャシールの運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。
原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御すること(それによって、原薬を可変の速度及び/または送達プロファイルで送達すること)に加え、本開示の多機能駆動機構は、針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供する工程、及び滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容する工程を同時にまたは連続的に実施し得る。少なくとも1つの実施形態において、多機能駆動機構のアクチュエータによる初期運動は、主/星形歯車を回転させる。1つの様態において、主/星形歯車は、歯車アセンブリを通して調節機構に運動を伝える。別の様態において、主/星形歯車は、歯車を通して針挿入機構に運動を伝える。主/星形歯車によって歯車が回転させられると、上に詳細に記載されるように、歯車は針挿入機構に係合して、流体通路接続子を使用者の中へと始動させる。1つの特定の実施形態において、針挿入機構は、回転式針挿入機構である。したがって、歯車は、針挿入機構の対応する歯車表面に係合するように構成されている。歯車の回転は、駆動機構の歯車と針挿入機構の対応する歯車表面との間の歯車の相互作用を通して針挿入機構の回転を引き起こす。いったん針挿入機構の好適な回転が生じると、本明細書に詳細に記載されるように、針挿入機構が始動されて、使用者への流体通路接続子を生み出す。
少なくとも1つの実施形態において、この様態での針挿入機構の回転はまた、滅菌流体通路の薬物容器への接続をもたらして、使用者への送達のための薬物容器から挿入機構への流体流を許容し得る。針挿入機構のランプ態様は、滅菌流体通路接続子の可動接続ハブ上に支えられるようにされる。多機能駆動機構によって針挿入機構が回転させられると、針挿入機構のランプ機構は、滅菌流体通路接続子の可動接続ハブに係合し、かつそれを平行移動させて、その内部の流体接続を容易にする。少なくとも1つの実施形態において、針挿入機構は、上に詳述されるように、特定の角度の回転が針/トロカールの後退を可能にするように構成され得る。加えてまたは代替的に、かかる針/トロカールの後退は、使用者の活動時または薬物送達デバイスの別の構成要素の移動もしくは機能時に生じるように構成され得る。少なくとも1つの実施形態において、針/トロカール後退は、例えば、本明細書に記載されるように、調節機構及び/またはステータスリーダのうちの1つ以上によってトリガされる、薬物送達の終了時に生じるように構成され得る。
なおも別の実施形態において、駆動機構は、1つ以上の対応するスタータストリガを読み取るかまたは認識するように構成されたステータスリーダを含み得る。ステータストリガは、テザー上で増分的に間隔を空けてもよく、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、光学的ステータストリガであり、電気機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、電気機械的ステータストリガであるか、または機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、機械的ステータストリガである。
さらなる実施形態において、本開示は、制御された薬物送達を有する薬物送達ポンプを提供する。薬物送達ポンプはハウジング及びアセンブリプラットフォームを有し、その上に作動機構、挿入機構、流体通路接続子、電力・制御システム、及び制御送達駆動機構が据え付けられてもよく、該駆動機構は、駆動ハウジング、ピストン、及び偏倚部材を有し、偏倚部材は、付勢状態で最初に保持され、ピストンの表面上に支えられるように構成されている。ピストンは、プランジャシール及びバレルを有する薬物容器内で実質的に軸方向に平行移動するように構成されている。テザーは、一方の端部においてピストンに接続され、他方の末端において送達調節機構のウィンチドラム/歯車に接続され、テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を制限する。薬物容器は、使用者への送達のための薬物流体を薬物チャンバ内に収容し得る。任意選択で、被覆スリーブは、駆動機構の動作中にバレルの内部構成要素(すなわち、ピストン及び偏倚部材)を視界から隠すために、偏倚部材とピストンのインターフェース表面との間に利用され得る。テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、送達調節機構のウィンチドラム/歯車から解放されるように構成されている。
別の実施形態において、薬物送達デバイスは、歯車アセンブリをさらに含む。歯車アセンブリは、テザーがその上に着脱可能に巻き付き得るウィンチドラム/歯車に接続されたウィンチギアを含み得、ウィンチドラム/歯車の回転は、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、テザーをウィンチドラム/歯車から解放する。テザーの計測は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御する。ピストンは、1つ以上の部品であり得、テザーの遠位端に接続する。ウィンチドラム/歯車は、ウィンチドラム/歯車の回転、及びしたがってピストンの平行移動の計測を制御する調節機構に連結されている。
なおも別の実施形態において、薬物送達デバイスは、1つ以上の対応するスタータストリガを読み取るかまたは認識するように構成されたステータスリーダを含み得る。ステータストリガは、テザー上で増分的に間隔を空けてもよく、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、光学的ステータストリガであり、電気機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、電気機械的ステータストリガであるか、または機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、機械的ステータストリガである。
別の実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システムは、1つ以上の入力を受信して、ウィンチドラム/歯車によるテザーの解放を計り、それによって、偏倚部材によるピストンの軸方向平行移動を許容して、プランジャシールをバレル内で平行移動させるように構成されている。1つ以上の入力は、作動機構、制御インターフェース、及び/または遠隔制御機構の起動によって提供され得る。電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすために、使用者への送達のための用量体積を変えるために、かつ/または駆動機構の操作を別様に開始、停止、もしくは一時停止するために、1つ以上の入力を受信して、偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動上にテザー及びウィンチドラム/歯車によってもたらされる制限を調整するように構成され得る。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬品の送達プロファイルは、調整可能である。例えば、食事、運動、睡眠等のある特定の活動前、活動中、または活動後に、薬品のボーラス注射を送達することが望ましい場合がある。「ボーラス注射」は、多くの場合、送達時間または持続時間にかかわらず送達される任意の測定された薬物体積である。逆に、「基底注射」は、多くの場合、制御された送達速度、及び/または異なる時間間隔で様々な送達速度を有する送達プロファイルである。同様に、使用者は、これらの時間または他の時間で薬品の基底送達速度を増加または減少させることを望む場合がある。少なくとも1つの実施形態において、送達プロファイルは、この所望の薬物送達を達成するために使用者によって調整可能である。使用者は、薬物送達デバイス自体と相互作用することによって送達プロファイルを調整してもよく、または代替的に、そのためにスマートフォン等の外部デバイスを使用してもよい。例えば、使用者は、作動機構を変位させることによって送達プロファイルを調整してもよく、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させてもよい。
本開示の別の実施形態において、送達プロファイルは、1つ以上の入力に基づいて自動的に調整されてもよい。例えば、送達プロファイルは、患者の活動レベル、心拍数、血糖値等に基づいて調整され得る。上記のように、これらの測定値を用いて、ボーラス注射、または基底注射送達速度の増加もしくは減少、または基底注射送達プロファイルの調整の必要性を判定することができる。少なくとも1つの実施形態において、これらの入力測定値は、デバイス自体によって監視され得る。追加的に、または代替的に、それらは、スマートフォン、スマートウォッチ、心拍数モニタ、グルコースモニタ、血圧モニタ等の二次デバイスによって監視されてもよい。いくつかの実施形態において、送達プロファイルは、使用者の介入を必要とせずにこれらの測定値に基づいて調整され得る。二次デバイスによる監視及び/または制御に場合、二次デバイス及び薬物送達デバイスは、互いに無線または有線通信し得る。この通信は、Bluetooth、近距離無線通信、Wi-Fi、またはデバイスの相互接続性に関する当業者に既知の任意の他の方法を通したものであり得る。
しかしながら、好ましい実施形態において、監視/調整機構は、使用者に対して警報を発し、かつ推奨を行う場合があり、使用者は、監視/調整機構による推奨を始動/許可するか、または無視する能動制御を有し得る。例えば、測定値のうちの1つ以上が指定の閾値より高いかまたは低い場合、デバイスは、可聴、可視、または触覚による警報を使用者に対して発する場合がある。一例において、警報は、デバイスの振動によって提供され、それによって、個別の警報を使用者に提供する。加えてまたは代替的に、警報は、使用者のスマートフォンまたは他の二次デバイスによって提供され得る。使用者は、コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースにおける測定値の現在のステータスを、デバイス自体、コンピュータ、スマートフォン、または他のデバイスの上で見ることができる場合がある。コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースは、送達プロファイルへの推奨される調整を提供し得る。この情報に基づいて、使用者は、薬物送達デバイスの送達速度を調整することができる。上記のように、使用者は、作動機構を変位させるか、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させることによって、送達プロファイルを調整してもよい。
一実施形態において、使用者の入力または上記の測定値のいずれかに基づく送達プロファイルを調整する信号に応じて、電力・制御システムは、アクチュエータの移動速度を変化させ得る。アクチュエータの移動速度の変化は、調節機構の回転速度を変化させ、これは次いで、使用者への薬物送達速度を制御する。代替的に、送達プロファイルは、薬物容器及び挿入機構を接続する導管を通る薬品の流路の特性の変化によって変えることができる。この変化は、薬物容器から挿入機構への薬品の流れを制限する流れ制限部の導入、取り外し、または修正によって引き起こされ得る。例えば、流れ制限部は、流れ制限部の入力及び出力と流体連通して選択的に定置され得る複数の流路を有し得る。異なる長さまたは断面を有する流路を提供することによって、送達速度を制御することができる。他の実施形態において、送達プロファイルは、導管の衝突の導入または取り外しによって変えることができる。流路の衝突は、導管を通る薬品の流れを中断させるかまたは遅くすることができ、それによって、使用者への送達速度を制御する。したがって、本開示の1つ以上の実施形態は、薬物容器からの薬品送達速度の変化を生み出し、それによって、多機能駆動機構及び/または薬物送達デバイスの動的制御能力を提供することができる。
本開示は、原薬の制御された送達のための多機能駆動機構、及びかかる多機能駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の多機能駆動機構は、(i)原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御することと、(ii)針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供することと、(iii)滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容することと、を含むいくつかの機能を有効化または始動する。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。
本開示の新規のデバイスは、一体型のステータス表示を有する駆動機構及びかかる駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。かかるデバイスは、自己投与する患者にとって、安全で使用が容易であり、審美的かつ人間工学的に魅力がある。本明細書に記載のデバイスは、未訓練の使用者にとってさえも本デバイスの作動、操作、及びロックアウトを単純にする特徴を組み込む。本開示の新規のデバイスは、既知の先行技術のデバイスに関連する問題のうちのいずれも伴わずに、これらの望ましい特徴を提供する。新規の薬物送達ポンプ、駆動機構、及びそれらのそれぞれの構成要素のある特定の非限定的な実施形態が、付随する図を参照しながら本明細書にさらに記載される。
また、本明細書で使用されるとき、「ポンプ」及び「送達デバイス」という用語は、作動時に流体を使用者に分注することが可能である任意の数の薬物送達システムを含むことを意図する。かかる薬物送達システムには、例えば、注入システム、輸液ポンプ、ボーラス注入装置、オンボディ注入装置等が含まれるが、これらに限定されない。図69A~69Cは、本開示の少なくとも1つの実施形態による例示的な薬物送達デバイスを示し、上ハウジングは、内部構成要素が見えるように取り外されている。薬物送達デバイスを利用して、使用者の体内への薬物治療剤の送達を施してもよい。図69A~69Cに示されるように、薬物送達デバイス9010は、ポンプハウジング9012を含む。ポンプハウジング9012は、薬物送達デバイスのより容易な製造、組み立て、及び操作の便宜を図るために固定的に係合可能である、1つ以上のハウジング部分構成要素を含み得る。例えば、薬物送達デバイス9010は、上部ハウジング及び下部ハウジング(内部構成要素を見やすくするために図示せず)を含み得るポンプハウジング9012を含む。薬物送達デバイスは、作動機構、ステータスインジケータ、及び窓をさらに含み得る。窓は、薬物送達デバイスの操作がそれを通して見られ得る、任意の半透明または透過性表面であってよい。図69Bに示されるように、薬物送達デバイス9010は、アセンブリプラットフォーム9020、滅菌流体導管9030、薬物容器9050を有する駆動機構90100、挿入機構90200、流体通路接続子90300、及び電力・制御システム(図示せず)をさらに含む。かかる薬物送達デバイスの構成要素のうちの1つ以上は、それらが、例えば、製造中に別個の構成要素として予め組み立てられ、薬物送達デバイス9010のアセンブリプラットフォーム9020の上の所定の位置に収まるよう構成され得るという点で、モジュール式であり得る。
ポンプハウジング9012は、デバイスの構成要素の全てを含み、デバイス9010を使用者の皮膚に着脱自在に取り付ける手段を提供する。ポンプハウジング9012はまた、デバイス9010の内部構成要素に環境的影響からの保護を提供する。ポンプハウジング9012は、未訓練の及び/または身体障害のある場合がある使用者による容易な包装、貯蔵、取り扱い、及び使用の便宜を図るために、サイズ、形状、及び関連する特徴において人間工学的に及び審美的に設計される。さらに、ポンプハウジング9012の外面を利用して、製品ラベル、安全性指示等を提供してもよい。追加的に、上述のように、ハウジング9012は、操作フィードバックを使用者に提供し得る、1つ以上のステータスインジケータ及び窓等のある特定の構成要素を含み得る。
少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイス9010は、使用者が変位させて電力・制御システムへの開始コマンドをトリガする、作動機構を提供する。好ましい実施形態において、作動機構は、上部ハウジングと下部ハウジングとの間の開口部を通して等、ポンプハウジング9012を通して位置し、電力・制御システムと直接的または間接的に接触する、開始ボタンである。少なくとも1つの実施形態において、開始ボタンは、押しボタンであり得、他の実施形態においては、オン/オフスイッチ、トグル、または当該技術分野で既知の任意の同様の作動特徴であり得る。ポンプハウジング9012はまた、1つ以上のステータスインジケータ及び窓も提供する。他の実施形態においては、作動機構、ステータスインジケータ、窓のうちの1つ以上、及びそれらの組み合わせが、例えば、薬物送達デバイス9010が使用者の身体上に定置されるときに使用者に見える側等の、上部ハウジングまたは下部ハウジング上に提供され得る。ハウジング9012は、本開示の他の構成要素及び実施形態を参照しながらこれ以降でさらに詳述される。
薬物送達デバイス9010は、作動機構を押し下げることにより使用者が作動させると、多機能駆動機構が作動されて、流体通路を使用者の中に挿入することと、薬物容器、流体通路、及び滅菌流体導管の間の必要な接続を有効化する、接続する、または開通させることと、薬物容器に格納された薬物流体を、使用者の中への送達のために流体通路及び流体導管に押し通すこととを行うように構成されている。少なくとも1つの実施形態において、使用者への薬物流体のかかる送達は、制御された様態で多機能駆動機構によって行われる。1つ以上の任意選択的な安全性機構を利用して、例えば、薬物送達デバイスの時期尚早な作動を防止してもよい。例えば、任意選択的なオンボディセンサ(不可視)が、一実施形態において、薬物送達デバイス9010が使用者の身体と接触していない限り、電力・制御システム、または作動機構が係合され得ないことを保証する安全性特徴として提供されてもよい。かかる一実施形態において、オンボディセンサは、使用者の身体と接触するようになり得る、下部ハウジングの底部に位置する。オンボディセンサが変位すると、作動機構の押し下げが許容される。したがって、少なくとも1つの実施形態において、オンボディセンサは、作動機構による薬物送達デバイス9010のトリガを防止する、例えば機械的ロックアウト等の、機械的安全性機構である。別の実施形態において、オンボディセンサは、信号を電力・制御システムに送信して作動を許容する機械的ロックアウト等の、電気機械的センサであり得る。依然として他の実施形態において、オンボディセンサは、電力・制御システムの作動を許容する前に組織を検出しなければならない、例えば、静電容量ベースまたはインピーダンスベースのセンサ等の電気ベースであり得る。これらの概念は、相互排他的なものではなく、本開示の範囲内で1つ以上の組み合わせを利用して、例えば、薬物送達デバイスの時期尚早な作動を防止してもよい。好ましい実施形態において、薬物送達デバイス9010は、1つ以上の機械的オンボディセンサを利用する。追加の一体型安全性機構は、新規の薬物送達デバイスの他の構成要素を参照して本明細書に記載される。
XVII.A.電力・制御システム:
電力・制御システムは、薬物送達デバイス内の種々の電気構成要素にエネルギーを提供する、電源、1つ以上のフィードバック機構、マイクロコントローラ、回路基板、1つ以上の伝導性パッド、及び1つ以上の相互接続部を含み得る。当業者には理解されようが、かかる電気システムで一般的に使用される他の構成要素もまた含まれてもよい。1つ以上のフィードバック機構は、例えば、ピエゾアラーム等の可聴アラーム及び/または発光ダイオード(LED)等の光インジケータを含み得る。マイクロコントローラは、例えば、マイクロプロセッサであり得る。電力・制御システムは、使用者とのデバイスのいくつかの相互作用を制御し、駆動機構90100とインターフェース接続する。一実施形態において、電力・制御システムは、オンボディセンサ9024と直接であれ間接的であれインターフェース接続して、デバイスが使用者及び/または作動機構と接触しているときを特定して、薬物送達デバイスが作動されているときを特定する。電力・制御システムはまた、使用者に視覚フィードバックを提供するために光移送を許容する透過性または半透明の材料であり得る、ポンプハウジング9012のステータスインジケータとインターフェース接続し得る。電力・制御システムは、1つ以上の相互接続を通して駆動機構90100とインターフェース接続して、作動、薬物送達、及び投薬終了等のステータス表示を患者に中継する。かかるステータス表示は、聴覚トーンを介して、例えば可聴アラームにより、及び/または視覚インジケータを介して、例えばLEDにより、使用者に提示され得る。好ましい実施形態において、電力・制御システムと薬物送達デバイスの他の構成要素との間の制御インターフェースは、使用者が作動させるまで係合または接続されない。これは、薬物送達デバイスの偶発的な操作を防止し、さらに、貯蔵、輸送等の間に電源内に収容されるエネルギーを維持し得る、望ましい安全性特徴である。
電力・制御システムは、いくつかの異なるステータスインジケータを使用者に提供するように構成され得る。例えば、電力・制御システムは、オンボディセンサ及び/またはトリガ機構が押圧された後に、デバイス起動点検により何のエラーも報告されなければ、電力・制御システムがステータスインジケータを介して開始準備完了ステータス信号を提供するように、構成され得る。開始準備完了ステータス信号を提供した後に、任意選択的なオンボディセンサを有する実施形態において、オンボディセンサが使用者の身体と接触したままである場合、電力・制御システムは、駆動機構90100に電力供給して、流体通路接続子90300及び滅菌流体導管9030(図示せず)を通した薬物治療剤の送達を開始する。
追加的に、電力・制御システムは、薬物送達デバイスのその包装からの取り外しを特定するように構成され得る。電力・制御システムは、包装に機械的に、電気的に、または電気機械的に接続され得、それにより、薬物送達デバイスの包装からの取り外しが、電力・制御システムを使用のために作動させ得るもしくはその電源を入れ得るか、または使用者によって電源を入れられるように電力・制御システムを単に有効化し得る。かかる実施形態において、薬物送達デバイスの包装からの取り外しなしには、薬物送達デバイスは、作動され得ない。これは、薬物送達デバイスの及び使用者のための追加の安全性機構を提供する。少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスまたは電力・制御システムは、例えば、以下の様々なセンサ、すなわち、ホール効果センサ;巨大磁気抵抗(GMR)または磁界センサ;光センサ;静電容量式または静電容量変化センサ;超音波センサ;及びリニアトラベル、LVDT、リニア抵抗、または放射測定リニア抵抗センサ;及びそれらの組み合わせからの、1つ以上の相互作用センサ等によって、包装に電気的にまたは電気機械的に接続され得、これらのセンサは、構成要素間の信号を伝送してそれらの間の位置を特定するように調和可能である。加えてまたは代替的に、薬物送達デバイスまたは電力・制御システムは、例えば、ピンが取り外されるときに(すなわち、薬物送達デバイスが包装から取り外されると)システムを作動させるピンとスロットの関係によって、包装に機械的に接続され得る。
本開示の好ましい実施形態において、いったん電力・制御システムが作動されると、多機能駆動機構が始動されて、挿入機構90200及び流体通路接続子90300を起動すると同時に、薬物流体が薬物容器から押し出されることも許容する。薬物送達過程中、電力・制御システムは、ステータスインジケータを介して分注ステータス信号を提供するように構成される。薬物が使用者の身体内に投与された後、及び実質的に全用量が使用者に送達されたことを確実にするためのいずれの追加の滞留時間の終了後、電力・制御システムは、ステータスインジケータを介して取り外し可ステータス信号を提供し得る。これは、使用者がポンプハウジング9012の窓を通して駆動機構及び薬物用量送達を見ることによって、独立して検証され得る。追加的に、電力・制御システムは、ステータスインジケータを介して、例えば、故障または動作不具合状況を示す警報等の1つ以上の警報信号を提供するように構成され得る。
電力・制御システムは加えて、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように駆動機構90100を動的に制御するための、使用者からの種々の入力を受け入れるように構成され得る。例えば、電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように電力・制御システムを介して駆動機構90100の制御を設定、始動、停止、あるいは調整するための、例えば、作動機構の部分的または完全な作動、押し下げ、及び/または解放による入力を受信し得る。同様に、電力・制御システムは、薬物用量体積を調整する、駆動機構、流体通路接続子、及び流体導管をプライミングする、ならびに/または駆動機構90100の操作を開始、停止、もしくは一時停止するような入力を受信するように構成され得る。かかる入力は、例えば、作動機構9014もしくは異なる制御インターフェースの使用により、使用者が薬物送達デバイス9010に直接働きかけることによって受信されてもよく、または電力・制御システムは、かかる入力を遠隔制御デバイスから受信するように構成されてもよい。加えてまたは代替的に、かかる入力は、予めプログラムされてもよい。
他の電力・制御システム構成は、本開示の新規の薬物送達デバイスと共に利用され得る。例えば、ある特定の作動遅延が、薬物送達中に利用され得る。上述のように、システム構成内に任意選択で含まれる1つのかかる遅延は、完了を使用者に信号伝達する前に実質的に全薬物用量が送達されていることを確実にする、滞留時間である。同様に、デバイスの作動は、薬物送達デバイスの作動前に、薬物送達デバイス9010の作動機構の遅延した押し下げ(すなわち、押圧)を必要とし得る。追加的に、システムは、使用者が投薬終了信号に応答すること、及び薬物送達デバイスを作動停止するまたはその電源を切ることを許容する特徴を含み得る。かかる特徴は同様に、停止デバイスの偶発的な作動を防止するために、作動機構の遅延した押し下げを必要とし得る。かかる特徴は、薬物送達デバイスに対する望ましい安全性一体化機構及び使い勝手の良いパラメータを提供する。追加の安全性特徴が、薬物送達デバイスの部分的押し下げ、及びしたがって、部分的作動を防止するために作動機構に一体化されてもよい。例えば、作動機構及び/または電力・制御システムは、部分的作動を防止するために、デバイスが完全にオフまたは完全にオンのいずれかであるように構成され得る。かかる特徴は、新規の薬物送達デバイスの他の態様に関してこれ以降でさらに詳述される。
XVII.B.挿入機構
いくつかの挿入機構が、本開示の薬物送達デバイス内で利用され得る。本開示のポンプ式送達デバイスは、例えば、任意の好適な中空チューブを通して、流体流連通によって患者または使用者に接続され得る。固形針を用いて、患者の皮膚を穿通し、中空カニューレを適切な送達位置に定置してもよく、固形針は、患者への薬物送達の前に取り外されるかまたは後退される。上記のように、流体は、自動的に挿入された針、カニューレ、微小針アレイ、または輸液セットチューブを含むがこれらに限定されない任意の数の手段を通して身体内に誘導され得る。いくつかの機構は、患者への針の挿入を作動させるためにも用いられ得る。例えば、ばね等の偏倚部材は、針及びカニューレを患者の皮膚に穿通させるために十分な力を提供するために用いられる。同じばね、追加のばね、または別の同様の機構を利用して、針を患者から後退させることができる。好ましい実施形態において、挿入機構は、一般に、国際特許出願第PCT/US2012/53174号に記載されるようなものであり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に含まれる。かかる構成は、患者への痛みを最小限に抑える方法で患者の皮膚(または筋肉)内またはその下への薬物送達通路の挿入のために利用されてもよい。流体通路の挿入のための他の既知の方法が利用されてもよく、本開示の範囲内であることが企図され、これには、本開示の譲受人によって開発された剛性針挿入機構及び/または回転式針挿入機構が含まれる。
少なくとも1つの実施形態において、挿入機構90200は、1つ以上のロックアウト窓、ならびにアセンブリプラットフォーム及び/またはポンプハウジングへの接続のための基部を有する挿入機構ハウジングを含む(図69B及び図69Cに示されるように)。アセンブリプラットフォーム9020への基部の接続は、例えば、基部の底部がアセンブリプラットフォーム内の穴を通過することが許容されて、使用者の身体への基部の直接的な接触を許容するようなものであり得る。かかる構成において、基部の底部は、薬物送達デバイス9010の使用前に取り外し可能な封止膜を含み得る。挿入機構は、1つ以上の挿入偏倚部材、針、後退偏倚部材、カニューレ、及びマニホールドをさらに含み得る。マニホールドは、滅菌流体導管9030に接続して、薬物送達中に、マニホールド、カニューレを通り、かつ使用者の身体への流体流を許容し得る。
本明細書で使用されるとき、「針」は、剛性中空針等の従来の中空針、及びより一般的には「トロカール」と称される中実針を含むがこれらに限定されない様々な針を指すことを意図する。好ましい実施形態において、針は、9027ゲージの中実トロカールであり、他の実施形態において、針は、意図する薬物及び薬物投与(例えば、皮下、筋肉内、皮内等)の種類のための、カニューレを挿入するために好適な任意のサイズの針であり得る。針挿入機構内で滅菌ブーツが利用されてもよい。滅菌ブーツは、近位端においてマニホールドと、かつ遠位端において基部と固定係合している折り畳み式滅菌膜である。少なくとも一実施形態において、滅菌ブーツは、基部と挿入機構ハウジングとの間で遠位端における固定係合に維持される。基部は、以下にさらに記載されるように、挿入機構の動作中に針及びカニューレがそれを通って通過し得る基部開口を含む。カニューレ及び針の滅菌性は、挿入機構の滅菌部分内でのそれらの初期位置付けによって維持される。具体的には、上述のように、針及びカニューレは、マニホールド及び滅菌ブーツの滅菌環境において維持される。基部の基部開口は、例えば封止膜(不可視)によって、非滅菌環境からも閉鎖され得る。
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、挿入機構は初めに、挿入機構ハウジングのロックアウト窓内に初めに位置付けられたロックアウトピン(複数可)によって即時使用可能な段階に係止されている。この初期構成において、挿入偏倚部材及び後退偏倚部材は、それらの圧縮された付勢状態に各々保持されている。引張、押圧、摺動、及び/または回転等の1つ以上の方法によるロックアウトピン(複数可)の変位は、挿入偏倚部材がその初期の圧縮された付勢状態から圧縮解除されることを許容する。挿入偏倚部材のこの圧縮解除は、任意選択で、針及びカニューレを使用者の身体内に駆動する。挿入段階の終わりに、または(多機能駆動機構によってトリガされる)薬物送達の終わりに、後退偏倚部材は、その初期の付勢状態から近位方向に拡張することが許容される。後退偏倚部材の近位方向におけるこの軸拡張は、針を後退させる。インサータ針/トロカール及びカニューレ構成が利用される場合、カニューレを使用者の身体と流体連通に維持しながら、針の後退が生じ得る。したがって、挿入機構を用いて、針及びカニューレを使用者内に挿入し、その後、カニューレを使用者の身体への薬物送達のための位置に保持しながら、針を後退させてもよい。
XVII.C.流体通路接続子
いくつかの流体通路接続子が、本開示の実施形態内で利用され得る。一般に、好適流体通路接続子は、滅菌流体導管、穿通部材、及び薬物容器に取り付けられた滅菌スリーブまたは薬物容器内に一体化された摺動型の穿通可能なシールを含む。流体通路接続子は、1つ以上の流れ制限部をさらに含み得る。送達デバイス9010の適切な作動時に、流体通路接続子90300は、滅菌流体導管9030を駆動機構90100の薬物容器に接続するように有効化される。かかる接続は、駆動機構90100の薬物容器の穿通可能なシールを突き通す、針等の穿通部材によって容易にされる。この接続の滅菌性は、可撓性滅菌スリーブ内で接続を行うことによって維持され得る。挿入機構の実質的に同時の作動時に、薬物容器と挿入機構との間の流体通路が完成して、使用者の身体内への薬物送達を許容する。かかる一実施形態において、流体通路接続子は、国際特許出願第PCT/US2012/054861号に記載されるものと実質的に同様であり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。かかる実施形態において、圧縮性の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップと流体通路接続子の接続ハブとの間に固定的に取り付けられてもよい。穿通部材は、流体接続通路と薬物容器との間の接続が所望されるまで、滅菌スリーブ内に常在し得る。滅菌スリーブは、作動前の穿通部材及び流体通路の滅菌性を保証するために滅菌され得る。
代替的に、流体通路接続子は、例えば、国際特許出願第PCT/US2013/030478号または同第PCT/US2014/052329号に記載されるように、薬物容器の中に一体化され得、同特許出願は、参照によりそれらの全体が全目的で本明細書に組み込まれる。かかる実施形態によれば、薬物容器は、穿通可能なシールとプランジャシールとの間でバレル内に薬物チャンバを有し得る。薬物流体は、薬物チャンバに収容される。使用者による作動デバイスの作動時に、駆動機構は、薬物容器に収容されたプランジャシールに力を及ぼす。プランジャシールが薬物流体及びいずれの空気/ガスの間隙または気泡に力を及ぼすと、空気/ガス及び薬物流体の圧縮によって空気圧及び液圧の組み合わせが蓄積し、この力が、摺動型の穿通可能なシールに引き継がれる。穿通可能なシールは、キャップの方へ摺動させられて、一体型の滅菌流体通路接続子内に保持された穿通部材によって穿通されることになる。したがって、一体型の滅菌流体通路接続子は、駆動機構の作動によって生み出された、薬物チャンバ内の空気/ガス及び薬物流体の組み合わせた空気圧/液圧の力によって接続される(すなわち、流体通路が開通される)。いったん一体型の滅菌流体通路接続子が接続されるか、または開通されると、薬物流体は、薬物送達のために薬物容器から、一体型の滅菌流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通って、そして使用者の体内へと流れることを許容される。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構のマニホールドならびにカニューレ及び/または針のみを通って流れ、それによって、薬物送達前及び送達中に流体通路の滅菌性を維持する。
好ましい実施形態において、滅菌流体通路接続子は、針挿入機構が動くことによって始動され、この針挿入機構の動き自体は、多機能駆動機構によって始動される。加えてまたは代替的に、滅菌流体通路接続子は、多機能駆動機構が直接動くことによって始動される。例えば、多機能駆動機構は、薬物送達の速度を制御する、針挿入機構を起動する、及び/または滅菌流体通路接続子を始動するために同時にまたは順次に作用する、本明細書で上述される星形歯車等の回転歯車を含み得る。図69A~69Cに示される1つの特定の実施形態において、多機能駆動機構は、これらの工程の全てを実質的に同時に実施する。多機能駆動機構は、いくつかの他の構成要素に対して作用する歯車を回転させる。歯車は、針挿入機構と接触して流体通路を使用者へと導入しながら、歯車アセンブリに作用して、薬物送達速度を制御する。針挿入機構が始動されるとき、滅菌流体の接続は、多機能駆動機構の歯車及び歯車アセンブリが薬物送達の速度を制御しながら、患者の中への送達のために薬物容器から、流体導管を通した、針挿入機構の中への薬物流体の流れを許容するようにされる。
薬物送達デバイスによって利用される流体通路接続子を問わず、薬物送達デバイスは、異なる粘度及び体積を有する様々な薬物を送達可能である。薬物送達デバイスは、制御された流速(速度)で及び/または指定の体積の薬物を送達可能である。一実施形態において、薬物送達過程は、流体通路接続子及び/または滅菌流体導管内で1つ以上の流れ制限部によって制御される。他の実施形態において、他の流速が、流体流路または送達導管の幾何形状を変化させることによって、駆動機構の構成要素が薬物容器の中へと前進してその中の薬物を分注する速度を変化させることによって、またはそれらの組み合わせによって、提供されてもよい。流体通路接続子90300及び滅菌流体導管30についての依然としてさらなる詳細が、これ以降、他の実施形態を参照して後の節で提供される。
XVII.D.多機能駆動機構
本開示の多機能駆動機構は、(i)原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御することと、(ii)針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供することと、(iii)滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容することと、を含むいくつかの機能を有効化または始動する。図70A~70D及び3A~3Dに示される実施形態を参照すると、駆動機構90100は、アクチュエータ90101と、主歯車90102を含む歯車アセンブリ90110と、駆動ハウジング90130と、キャップ9052、穿通可能なシール(不可視)、バレル9058、及びプランジャシール9060を有する薬物容器9050とを含む。主歯車90102は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシール9060との間でバレル9058内に位置する薬物チャンバ9021は、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。本明細書に記載のシールは、いくつかの材料から構成され得るが、好ましい実施形態において、1つ以上のエラストマーまたはゴムから構成されている。駆動機構90100は、本明細書にさらに記載されるように、1つ以上の駆動偏倚部材、1つ以上の解放機構、及び1つ以上のガイドをさらに含み得る。駆動機構の構成要素は、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通る、かつ使用者の身体内への送達のために、穿通可能なシールを通して、または好ましくは流体通路接続子の穿通部材を通して流体を薬物容器から押し出すように機能する。
1つの特定の実施形態において、駆動機構90100は、1つ以上の圧縮ばねを偏倚部材(複数可)として用いる。使用者により薬物送達デバイスが作動されると、電力・制御システムが起動されて、圧縮ばね(複数可)を付勢状態から直接的または間接的に解放し得る。解放されると、圧縮ばね(複数可)は、プランジャシールに対して重みをかけ、かつそれに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。圧縮ばねは、ピストンに対して重みをかけ、かつそれに作用し、これは次いで、プランジャシールに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。流体通路接続子は、駆動機構の作動前、それと同時に、またはその後に穿通可能なシールを通して接続されて、薬物容器から流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通り、かつ使用者の身体内への薬物送達のための流体流を許容し得る。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構のマニホールド及びカニューレのみを通って流れ、それによって、薬物送達前及び送達中に流体通路の滅菌性を維持する。かかる構成要素及びそれらの機能は、本明細書にさらに詳細に記載される。
次に図70A~70D及び71A~71Dに示される多機能駆動機構の実施形態を参照すると、駆動機構90100は、アクチュエータ90101と、主歯車90102を含む歯車アセンブリ110と、駆動ハウジング90130と、キャップ9052、穿通可能なシール(不可視)、バレル9058、及びプランジャシール9060を有する薬物容器9050とを含む。主歯車90102は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシール9060との間でバレル9058内に位置する薬物チャンバ9021は、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。1つ以上の駆動偏倚部材90122及びピストン90110は、薬物容器9050とハウジング90130の近位端との間で駆動ハウジング90130内で圧縮され、駆動偏倚部材90122は、本明細書にさらに記載されるように、ピストン90110のインターフェース表面90110C上に支えられるように構成されている。任意選択で、例えば、駆動偏倚部材90122からピストン90110への力のより均等な分配を促すため、駆動偏倚部材90122の座屈を防止するため、かつ/または偏倚部材90122を使用者の視界から隠すために、被覆スリーブ(図示せず)が駆動偏倚部材90122とピストン90110のインターフェース表面90110Cとの間に利用されてもよい。ピストン90110のインターフェース表面90110Cは、シール9060の近位端に実質的に隣接して、またはそれと接触して静止させられる。図70A~70D及び71A~71Dに示される実施形態は、単数の偏倚部材を示しているものの、並行して作用するように配置された1つ以上の偏倚部材が使用され得ることも企図される。
図70D及び図71Dに最も良好に示されるように、ピストン90110は、2つの構成要素90110A及び90110Bから構成され、プランジャシールに接触するためのインターフェース表面90110Cを有し得る。テザー、リボン、紐、または他の保持ストラップ(本明細書において「テザー」90525と称される)は、一方の端部においてピストン90110A、90110Bに接続され得る。例えば、テザー90525は、組み立てられたときのピストン90110A、90110Bの2つの構成要素の間の保持によって、ピストン90110A、90110Bに接続され得る。テザー90525は、別の端部において送達制御機構90500のウィンチドラム/歯車90520に接続されている。テザー90525の一方の端部に接続されたウィンチドラム/歯車90520、及び別の端部においてピストン90110A、90110Bに接続されたテザー90525の使用を通して、調節機構90500は、原薬を薬物容器9050から押し出すために利用されるピストン90110A、90110B及びプランジャシール9060の自在な軸方向平行移動を制御するか、それを計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止するように機能する。したがって、調節機構90500は、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルを制御するために一緒に機能する、多機能駆動機構の態様の歯車アセンブリ90116の一部分である。
図70A~70D及び71A~71Dに示されるように、かつ図72及び73A~73Bに分離して示されるように、本開示の実施形態において、調節機構90500は、多機能駆動機構90100のアクチュエータ90101によって駆動される歯車アセンブリである。調節機構は、テザー90525の分配を妨げるかまたは制限し、調節された速度または所望の速度でのみ前進させる。これは、1つ以上の偏倚部材90122によって押圧されているバレル9058内でのピストン90110の移動を制限し、よって、プランジャシール9060の移動及びチャンバ9021に収容された薬物の送達を制御する。プランジャシール9060が薬物容器9050内で前進すると、原薬は、薬物送達のために、滅菌通路接続90300、導管9030、挿入機構90200を通り、かつ使用者の身体内へと分注される。アクチュエータ90101は、例えば、ソレノイド、ステッパモータ、または回転式駆動モータを含む、いくつかの電力/運動源であり得る。特定の実施形態において、アクチュエータ90101は、主/星形歯車90102の歯に対応するノッチを有する回転式ステッパモータである。一般に、かかる回転式ステッパモータは、「Pac-Man」モータと称され得る。少なくとも1つの実施形態において、Pac-Manモータは、システムの動作中に主歯車の1つ以上の歯がその内部に部分的に常在し得る、歯車インターフェースを有する。これは、図73A~73Bにおいてより明らかに見ることができる。Pac-Manモータ90101の歯車インターフェース90101Aが主歯車90102の歯90102Aと整列しているとき、Pac-Manモータ90101の回転運動は、主歯車90102の歯車インターフェース回転を引き起こす。Pac-Manモータ90101が主歯車の歯の間にあるとき、例えば、歯車アセンブリ90116のバックスピンまたは巻き戻しのための抵抗として作用し得る。歯車アセンブリ90116、調節機構90500、及び多機能駆動機構90100についてのさらなる詳細は、本明細書に提供される。
図73A~73Bに示される特定の実施形態において、調節要素90500は、歯車アセンブリ90516の1つ以上の歯車90511、90512、90513、90514をさらに含む。歯車90511、90512、90513、90514のうちの1つ以上は、例えば、大径歯車に共有中心点で取り付けられた小径歯車を有する複合歯車であり得る。歯車90513は、例えば、位置決めされたシャフトによってウィンチドラム/歯車90520に回転式に連結され得、それによって、歯車アセンブリ90516の回転をウィンチドラム/歯車90520に連結し得る。複合歯車90512は、複合歯車態様90512Bの回転移動が歯車の係合によって(例えば、対応する歯車の歯の係合によって)歯車90513へと伝達されるように、小径歯車90513に係合する。その回転が歯車態様90512Bに連結している複合歯車態様90512Aは、主/星形歯車90102の複合歯車態様90102Bの作用によって回転させられる。その回転が主/星形歯車90102に連結している複合歯車態様90102Bは、主/星形歯車90102Aとアクチュエータ90101のインターフェース90101Aとの間の相互作用によって回転させられる。故に、主/星形歯車90102の回転は、ウィンチドラム/歯車90520に伝達される。したがって、アクチュエータ90101によって始動された歯車アセンブリ90516の回転は、ウィンチドラム/歯車90520に連結され(すなわち、歯車アセンブリ90516を通して)、それによって、テザー90525の分配、及びバレル9058内でのプランジャシール9060の移動の速度を制御して、流体を薬物チャンバ9021から押し出し得る。ウィンチドラム/歯車90520の回転移動、及び故にピストン90110及びプランジャシール9060の軸方向平行移動は、本明細書に記載されるように、調節要素90500の他の構成要素による自在な軸方向平行移動を計測、制限、または別様に防止される。上述のように、アクチュエータ90101は、モータ(例えば、DCモータ、ACモータ、ステッパモータ)またはソレノイド(例えば、リニアソレノイド、回転ソレノイド)を含むいくつかの既知の電力/運動源であり得る。
とりわけ、本開示の調節機構90500は、薬物チャンバ9021からの流体物質の送達を駆動しない。薬物チャンバ9021からの流体物質の送達は、偏倚部材90122の、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって引き起こされる。調節機構90500は、代わりに、それらが偏倚部材90122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構90500は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン90110及びプランジャシール9060の運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。好ましい実施形態によれば、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスは、偏倚部材90122によって軸方向に平行移動するように駆動されているピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の軸方向平行移動を計るテザーに間接的または直接的に接続された調節機構を含む。調節機構によって制御される薬物送達の速度は、歯車アセンブリ90516の歯車比の選択;主/星形歯車90102の選択;巻胴/歯車90520の直径の選択;電気機械的アクチュエータ90101を使用して主/星形歯車90102の回転速度を制御すること;または当業者に既知である任意の他の方法によって決定され得る。電気機械的アクチュエータ90101を使用して主/星形歯車90102の回転速度によって、可変の用量速度を提供する(すなわち、薬物送達の速度が治療中に変動する)ように薬物送達デバイスを構成することが可能であり得る。
別の実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システムは、1つ以上の入力を受信して、ウィンチドラム/歯車90520によるテザー90525の解放を計り、それによって、偏倚部材90122によるピストン90110の軸方向平行移動を許容して、プランジャシール9060をバレル9058内で平行移動させるように構成されている。1つ以上の入力は、作動機構、制御インターフェース、及び/または遠隔制御機構の起動によって提供され得る。電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすために、使用者への送達のための用量体積を変えるために、かつ/または駆動機構の操作を別様に開始、停止、もしくは一時停止するために、1つ以上の入力を受信して、偏倚部材90122がその上に支えられているピストン90110の自在な軸方向平行移動上にテザー90525及びウィンチドラム/歯車90520によってもたらされる制限を調整するように構成され得る。
作動時に、駆動機構90100の構成要素を用いて、薬物容器9050のプランジャシール9060の遠位方向への軸方向平行移動を駆動してもよい。任意選択で、駆動機構90100は、例えば、実質的に全薬物用量が使用者に送達されたことを確実にするために、プランジャシール9060の追加の軸方向平行移動を可能にする1つ以上の遵守特徴を含み得る。例えば、プランジャシール9060自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。
本開示の新規の制御送達駆動機構は、任意選択で、ステータス表示を薬物用量送達内に一体化し得る。1つ以上のステータストリガ及び対応するステータスリーダの使用によって、使用者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、電力・制御システムに伝えられ得る。かかるフィードバックは、上述のように、触覚、視覚、及び/または聴覚によるものであってもよく、デバイスの使用中にフィードバックの1つ超の信号または種類が使用者に提供されるように重複してもよい。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、ピストンがその軸方向平行移動の終了に達したことに結び付けられるため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。
テザー90525は、ステータスリーダに接触することができるか、またはそれによって認識されることができる、電気的接触、光学的マーキング、または電気機械的ピンもしくは陥凹等の1つ以上のステータストリガを有し得る。少なくとも1つの実施形態において、いったんステータスリーダが、薬物容器9050のバレル9058内でのピストン90110A、90110B、及びプランジャ9060の軸方向移動の終わりにステータスリーダに接触することになるテザー90525上に位置付けられた最終ステータストリガに接触するか、またはそれを認識すると、投薬終了ステータス表示が使用者に提供され得る。ステータスリーダは、例えば、対応する電気接触に接触する電気スイッチリーダ、対応する光学的マーキングを認識する光学的リーダ、または対応するピン、穴、もしくはテザー上の同様の態様に接触するように構成された機械的もしくは電気機械的リーダであり得る。ステータストリガは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー90525に沿って位置付けられ得る。薬物送達デバイスが作動され、偏倚部材90122、ならびに結果としてピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060に加えられた力の解放によって薬物送達が開始されると、使用者への薬物送達の速度またはプロファイルは、調節機構90500、歯車アセンブリ90516、及びウィンチドラム/歯車90520によって制御され、テザー90525を解放し、偏倚部材90122の拡張、ならびにピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の軸方向平行移動を許容する。これが生じると、テザー90525のステータストリガは、ステータスリーダによって接触または認識され、使用者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、電力・制御システムに伝えられ得る。テザー90525上に位置するステータストリガの数に応じて、増分ステータス表示の頻度所望通りに変動され得る。上述のように、システムによって利用されるステータストリガに応じて、様々なステータスリーダを利用することができる。
好ましい実施形態において、ステータスリーダは、テザー90525に張力を加えてもよい。システムが投薬終了に達すると、テザー90525はたるみ、ステータスリーダ90544は、支点の周りで回転することを許容される。この回転は、電気的または電気機械的スイッチ、例えばスイッチを動作させ、テザー90525におけるたるみについて電力・制御システムに信号伝達する。追加的に、歯車列90516の歯車90511は、センサと共にエンコーダとして作用し得る。センサ/エンコーダの組み合わせは、歯車アセンブリの回転のフィードバックを提供するために使用され、これは次いで、テザー90525にたるみがないときのピストン90110の位置に較正され得る。ステータスリーダ及びセンサ/エンコーダは併せて、センサ/エンコーダによってカウントされるモータ回転が予想される数に達する前にテザー90525におけるたるみを観察することによって、位置フィードバック、投薬終了信号、及び閉塞等のエラー表示を提供し得る。
次に図70A~70D及び71A~71Dを参照すると、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御すること(それによって、原薬を可変の速度及び/または送達プロファイルで送達すること)に加え、本開示の多機能駆動機構は、針挿入機構をトリガして、使用者への薬物送達のための流体通路を提供する工程、及び滅菌流体通路を薬物容器に接続して、使用者への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容する工程を同時にまたは連続的に実施し得る。少なくとも1つの実施形態において、図70A~70D及び71A~71Dに示されるように、多機能駆動機構90100のアクチュエータ90101による初期運動は、主/星形歯車90102を回転させる。主/星形歯車90102は、態様90102A及び90102B(図72を参照されたい)を有する複合歯車として示される。1つの様態において、主/星形歯車90102は、歯車アセンブリ90516を通して調節機構90500に運動を伝える。別の様態において、主/星形歯車90102は、歯車90112を通して針挿入機構90200に運動を伝える。主/星形歯車90102によって歯車90112が回転させられると、上に詳細に記載されるように、歯車90112は針挿入機構90200に係合して、流体通路接続子を使用者の中へと始動させる。1つの特定の実施形態において、針挿入機構90200は、回転式針挿入機構である。したがって、歯車90112は、針挿入機構90200の対応する歯車表面90208に係合するように構成されている。歯車90112の回転は、駆動機構90100の歯車90112と針挿入機構90200の対応する歯車表面90208との間の歯車の相互作用を通して針挿入機構90200の回転を引き起こす。いったん針挿入機構90200の好適な回転、例えば、図70B~70Cに示される軸「R」に沿った回転が生じると、上に詳細に記載されるように、針挿入機構が始動されて、使用者への流体通路接続子を生み出す。
図70A~70D及び71A~71Dに示されるように、この様態での針挿入機構90200の回転はまた、滅菌流体通路の薬物容器への接続をもたらして、使用者への送達のための薬物容器から挿入機構への流体流を許容し得る。針挿入機構90200のランプ態様90222は、滅菌流体通路接続子90300の可動接続ハブ90322上に支えられるようにされる。多機能駆動機構90100によって針挿入機構90200が回転させられると、針挿入機構90200のランプ機構90222は、滅菌流体通路接続子90300の可動接続ハブ90322に係合し、かつそれを平行移動させて、その内部の流体接続を容易にする。かかる平行移動は、例えば、図70B及び71Bに示される軸「C」に沿った中空矢印の方向に生じ得る。少なくとも1つの実施形態において、針挿入機構90200は、上に詳述されるように、回転軸「R」(図70B~70Cに示される)上の特定の角度の回転が針/トロカールの後退を可能にするように構成され得る。加えてまたは代替的に、かかる針/トロカールの後退は、使用者の活動時または薬物送達デバイスの別の構成要素の移動もしくは機能時に生じるように構成され得る。少なくとも1つの実施形態において、針/トロカール後退は、例えば、上述のように、調節機構90500及び/またはステータスリーダのうちの1つ以上によってトリガされる、薬物送達の終了時に生じるように構成され得る。これらの操作段階の間、薬物チャンバ9021からの流体物質の送達は、偏倚部材90122の、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって始動され、進行中であり、かつ/または完了され得る。上述のように、調節機構90500は、それらが偏倚部材90122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構90500は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン90110及びプランジャシール9060の運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。これは、図70A~70D及び71A~71Dに示される構成要素の進行を通して見ることができる。図70A~70D及び71A~71Dの移行で示されるように、それらが偏倚部材90122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間の、ピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の自在な運動は、近位または第1の位置「P」から遠位または第2の位置「D」への軸「A」に沿った実線矢印の方向で示される。
新規の駆動機構のさらなる態様は、図72及び73A~73Bを参照して記載される。図72は、少なくとも第1の実施形態による、その初期係止段階中の多機能駆動機構の斜視図を示す。最初に、テザー90525は、偏倚部材90122をピストン90110A、90110B内の最初の付勢位置で保持し得る。使用者によるデバイスの作動時に直接的または間接的に、多機能駆動機構90100は、偏倚部材がピストン90110に、及びしたがってテザー90525に力を加えることを許容するために、作動し得る。テザー90525上のこの力は、巻胴90520上にトルクを加え、これは、歯車アセンブリ90516及び調節機構90500に運動を開始させる。図73Aに示されるように、ピストン90110及び偏倚部材90122はいずれも、最初は、プランジャシール9060の後方で圧縮された付勢状態にある。偏倚部材90122は、駆動ハウジング90130の内部特徴とピストン90110A、90110Bのインターフェース表面90110Cとの間でデバイスが作動するまで、この状態に維持され得る。薬物送達デバイス10が作動され、駆動機構90100が動作するようにトリガされると、偏倚部材90122は、遠位方向で(すなわち、図70A~70D及び図71A~71Dに示される実線矢印の方向で)軸方向に拡張(すなわち、圧縮解除)することが許容される。かかる拡張は、偏倚部材90122がインターフェース表面90110C及びピストン90110上に作用し、かつそれらを遠位に平行移動させ、それによって、プランジャシール9060を遠位に平行移動させて、薬物流体をバレル9058の薬物チャンバ9021から押し出すことを引き起こす。少なくとも1つの実施形態において、いったんステータスリーダが、薬物容器9050のバレル9058内でのピストン90110A、90110B、及びプランジャシール9060の軸方向移動の終わりに実質的に対応するようにテザー90525上に位置付けられたステータストリガに接触するか、またはそれを認識すると、投薬終了ステータス表示が使用者に提供され得る。ステータストリガは、使用者に増分ステータス表示を提供するために、ある特定の体積測定に対応する増分等の種々の増分でテザー90525に沿って位置付けられ得る。少なくとも1つの実施形態において、ステータスリーダは、テザー上の対応する光学的ステータストリガを認識するように構成された光学的ステータスリーダである。当業者には理解されようが、かかる光学的ステータストリガは、光学的ステータスリーダによって認識可能なマーキングであり得る。別の実施形態において、ステータスリーダは、対応するピン、穴、またはテザー上の同様の態様に接触するように構成された機械的または電気機械的リーダである。電気接触は、対応する電気的ステータスリーダに接触するか、または別様にそれによって認識されるステータスインジケータと同様にテザー上で利用され得る。ステータストリガは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー90525に沿って位置付けられ得る。示されるように、テザー90525は、駆動機構ハウジング90130、偏倚部材90122を通って通過し、ピストン90110A、90110Bに接続して、ピストン90110A、90110B、及びそれらに隣接して常在するプランジャシール9060の軸方向平行移動を制限する。
本開示の新規の実施形態は、巻胴90520の自在な回転、及び故に制御送達駆動機構90100の構成要素の軸方向平行移動を計り、制限し、または別様に防止するために利用され得る。したがって、調節機構90500は駆動機構の運動を制御するのみで、薬物送達のための力は加えない。圧縮ばね等の1つ以上の追加の偏倚部材90122を利用して、ピストン90110を駆動するか、またはその駆動を補助してもよい。例えば、圧縮ばねは、この目的で、駆動ハウジング90130内で利用され得る。調節機構90500は、かかる作用を制御するか、計るか、または調節するのみである。本開示の制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスは、加えて、実質的に全ての原薬が薬物チャンバ9021から押し出されたことを確実にするために、遵守による一押しを可能にする。プランジャシール9060自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。例えば、ポップアウト型プランジャシール、すなわち、初期状態から変形可能なプランジャシールが用いられる場合、プランジャシールは、変形または「ポップアウト」させられて、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを提供し得る。加えてまたは代替的に、電力・制御システムへの接触、接続、または別様に伝送を可能にして、投薬終了を使用者に信号伝達するために、電気機械的ステータススイッチ及び相互接続アセンブリが利用され得る。この構成は、使用者への真の終了表示をさらに可能にする。
少なくとも1つの実施形態において、歯車アセンブリ90516の1つ以上の歯車の回転運動を読み取るかまたは認識することによって、増分ステータス表示が使用者に提供され得る。歯車アセンブリ90516が回転するにつれて、ステータスリーダは、歯車アセンブリにおける歯車のうちの1つの上の1つ以上の対応するステータストリガを読み取るかまたは認識して、可変速度制御送達駆動機構の操作前、操作中、及び操作後に、増分ステータス表示を提供し得る。いくつかのステータスリーダが、本開示の実施形態内で利用され得る。例えば、駆動機構は、歯車アセンブリの歯車のうちの1つの歯によって物理的に接触された機械的ステータスリーダを利用してもよい。この例示的な実施形態において歯車のうちの1つの歯(または、歯車上の穴、ピン、隆起、マーキング、電気接触等)であり得るステータストリガ(複数可)によってステータスリーダが接触されると、ステータスリーダは、歯車の回転位置を測定し、使用者へのステータス表示のために信号を電力・制御システムに伝送する。加えてまたは代替的に、駆動機構は、光学的ステータスリーダを利用してもよい。光学的ステータスリーダは、例えば、運動を認識し、電力・制御システムに信号を伝送することができる光ビームであり得る。例えば、駆動機構は、歯車アセンブリの歯車のうちの1つの歯(または、歯車上の穴、ピン、隆起、マーキング、電気接触等)の運動を認識するように構成された光学的ステータスリーダを利用してもよい。同様に、ステータスリーダは、歯車上の電気接触を認識するように構成された電気スイッチであり得る。これらの実施形態のいずれかにおいて、次いで信号を電力・制御システムに伝えて、使用者にフィードバックを提供するために、センサを利用してもよい。
当業者には理解されようが、光学的ステータスリーダ及び対応するトリガ、電気機械的ステータスリーダ及び対応するトリガ、ならびに/または機械的ステータスリーダ及び対応するトリガは全て、使用者に増分ステータス表示を提供するために本開示の実施形態によって利用され得る。本開示の駆動機構は、図面に示される歯車アセンブリ及び調節機構に関連して記載されているものの、当業者には容易に理解されるであろうが、様々な構成が許容可能であり、本開示の実施形態内で用いられることができる。したがって、本開示の実施形態は、制御送達駆動機構及び薬物送達ポンプ内で用いるためのかかる機構の例示的な実施形態として提供されている、本明細書に記載の特定の歯車アセンブリ及び調節機構に限定されない。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬品の送達プロファイルは、調整可能である。例えば、食事、運動、睡眠等のある特定の活動前、活動中、または活動後に、薬品のボーラス注射を送達することが望ましい場合がある。「ボーラス注射」は、多くの場合、送達時間または持続時間にかかわらず送達される任意の測定された薬物体積である。逆に、「基底注射」は、多くの場合、制御された送達速度、及び/または異なる時間間隔で様々な送達速度を有する送達プロファイルである。同様に、使用者は、これらの時間または他の時間で薬品の基底送達速度を増加または減少させることを望む場合がある。少なくとも1つの実施形態において、送達プロファイルは、この所望の薬物送達を達成するために使用者によって調整可能である。使用者は、薬物送達デバイス自体と相互作用することによって送達プロファイルを調整してもよく、または代替的に、そのためにスマートフォン等の外部デバイスを使用してもよい。例えば、使用者は、作動機構を変位させることによって送達プロファイルを調整してもよく、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させてもよい。
本開示の別の実施形態において、送達プロファイルは、1つ以上の入力に基づいて自動的に調整されてもよい。例えば、送達プロファイルは、患者の活動レベル、心拍数、血糖値等に基づいて調整され得る。上記のように、これらの測定値を用いて、ボーラス注射、または基底注射送達速度の増加もしくは減少、または基底注射送達プロファイルの調整の必要性を判定することができる。少なくとも1つの実施形態において、これらの入力測定値は、デバイス自体によって監視され得る。追加的に、または代替的に、それらは、スマートフォン、スマートウォッチ、心拍数モニタ、グルコースモニタ、血圧モニタ等の二次デバイスによって監視されてもよい。いくつかの実施形態において、送達プロファイルは、使用者の介入を必要とせずにこれらの測定値に基づいて調整され得る。二次デバイスによる監視及び/または制御に場合、二次デバイス及び薬物送達デバイスは、互いに無線または有線通信し得る。この通信は、Bluetooth、近距離無線通信、Wi-Fi、またはデバイスの相互接続性に関する当業者に既知の任意の他の方法を通したものであり得る。
しかしながら、好ましい実施形態において、監視/調整機構は、使用者に対して警報を発し、かつ推奨を行う場合があり、使用者は、監視/調整機構による推奨を始動/許可するか、または無視する能動制御を有し得る。例えば、測定値のうちの1つ以上が指定の閾値より高いかまたは低い場合、デバイスは、可聴、可視、または触覚による警報を使用者に対して発する場合がある。一例において、警報は、デバイスの振動によって提供され、それによって、個別の警報を使用者に提供する。加えてまたは代替的に、警報は、使用者のスマートフォンまたは他の二次デバイスによって提供され得る。使用者は、コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースにおける測定値の現在のステータスを、デバイス自体、コンピュータ、スマートフォン、または他のデバイスの上で見ることができる場合がある。コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースは、送達プロファイルへの推奨される調整を提供し得る。この情報に基づいて、使用者は、薬物送達デバイスの送達速度を調整することができる。上記のように、使用者は、作動機構を変位させるか、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させることによって、送達プロファイルを調整してもよい。
一実施形態において、使用者の入力または上記の測定値のいずれかに基づく送達プロファイルを調整する信号に応じて、電力・制御システムは、アクチュエータ90101の移動速度を変化させ得る。アクチュエータ90101の移動速度の変化は、調節機構90500の回転速度を変化させ、これは次いで、使用者への薬物送達速度を制御する。代替的に、送達プロファイルは、薬物容器及び挿入機構を接続する導管を通る薬品の流路の特性の変化によって変えることができる。この変化は、薬物容器から挿入機構への薬品の流れを制限する流れ制限部の導入、取り外し、または修正によって引き起こされ得る。例えば、流れ制限部は、流れ制限部の入力及び出力と流体連通して選択的に定置され得る複数の流路を有し得る。異なる長さまたは断面を有する流路を提供することによって、送達速度を制御することができる。他の実施形態において、送達プロファイルは、導管の衝突の導入または取り外しによって変えることができる。流路の衝突は、導管を通る薬品の流れを中断させるかまたは遅くすることができ、それによって、使用者への送達速度を制御する。したがって、本開示の1つ以上の実施形態は、薬物容器からの薬品送達速度の変化を生み出し、それによって、多機能駆動機構及び/または薬物送達デバイスの動的制御能力を提供することができる。
制御送達駆動機構90100、薬物送達ポンプ9010、または個々の構成要素のいずれかの組み立て及び/または製造は、当該技術分野で既知のいくつかの材料及び手法を利用してもよい。例えば、イソプロピルアルコール及びヘキサン等のいくつかの既知の清掃流体を用いて、構成要素及び/またはデバイスを清浄してもよい。いくつかの既知の接着剤または糊も同様に製造過程で用いられてもよい。追加的に、既知のシリコン処理及び/または潤滑流体及び処理が、新規の構成要素及びデバイスの製造中に用いられ得る。さらに、既知の滅菌過程が、最終製品の滅菌性を保証するために製造または組み立て段階のうちの1つ以上で用いられ得る。
駆動機構は、いくつかの手法で組み立てられ得る。1つの組み立て方法において、薬物容器9050は最初に組み立てられ、使用者への送達用の流体で充填され得る。薬物容器9050は、キャップ9052、穿通可能なシール9056、バレル9058、及びプランジャシール9060を含む。穿通可能なシール9056は、バレル9058の遠位端において、キャップ9052とバレル9058との間に固定的に係合され得る。バレル9058は、バレル9058の近位端からのプランジャシール9060の挿入前に、開口近位端を通して薬物流体で充填されてもよい。任意選択的な接続マウント9054は、穿通可能なシール9056の遠位端に据え付けられ得る。接続マウント9054は、薬物容器9050のバレル9058内への流体通路接続子の穿通部材の挿入をガイドし得る。薬物容器9050は、その後、駆動ハウジング90130の遠位端に据え付けられ得る。
1つ以上の駆動偏倚部材90122は、駆動ハウジング90130の遠位端内に挿入され得る。任意選択で、被覆スリーブ90140は、偏倚部材90122を実質的に被覆するために、駆動ハウジング90130の遠位端内に挿入され得る。ピストンは、それが少なくとも部分的に偏倚部材90122の軸方向パススルー内に常在し、かつ偏倚部材90122が、偏倚部材90122の遠位端においてピストン90110A、90110Bのピストンインターフェース表面90110Cと接触することを許容されるように、駆動ハウジング90130の遠位端内に挿入され得る。偏倚部材122を封入し、ピストン90110A、90110Bのピストンインターフェース表面90110Cと接触するために、任意選択的な被覆スリーブ90140を利用してもよい。ピストン90110A、90110B、及び駆動偏倚部材90122、ならびに任意選択的な被覆スリーブ90140は、駆動ハウジング90130内に圧縮され得る。かかる組み立ては、駆動偏倚部材90122を最初の圧縮された付勢状態に位置付け、かつ好ましくは、バレル9058の近位端内でプランジャシール9060の近位表面と接触してピストンインターフェース表面90110Cを定置する。ピストン、ピストン偏倚部材、接触スリーブ、及び任意選択的な構成要素は、薬物容器9050の取り付けまたは据え付け前に、駆動ハウジング90130内で圧縮され、起動準備完了状態に係止され得る。テザー90525は、ピストン90110A、90110Bの近位端に予め接続され、偏倚部材90122及び駆動機構90130の軸方向開口部に通され、その後、テザー90525の他の端部が調節機構90500のウィンチドラム/歯車90520に巻き付けられた状態で、薬物送達デバイスの内部に巻き付けられる。
流体通路接続子、及び具体的には流体通路接続子の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップ及び/または穿通可能なシールに接続され得る。流体導管は、流体通路が、開放、接続、または別様に有効化されているときに、使用者の身体内への薬物送達のために薬物容器、流体通路接続子、流体導管、挿入機構から、かつカニューレを通って直接移動するように、それ自体が挿入機構に接続されている流体通路接続子の他の端部に接続され得る。流体流のための通路を構成する構成要素が次に組み立てられる。これらの構成要素は、図69Bに示されるように、いくつかの既知の方法によって滅菌され、その後、固定的にまたは着脱自在に薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに据え付けられ得る。
本開示の幅及び範囲内に留まりながら、駆動機構90100または薬物送達デバイス9010のある特定の任意選択的な標準的な構成要素または変形形態が企図される。例えば、実施形態は、本開示のモータまたはソレノイド、駆動機構、及び薬物送達デバイスに電力供給するために利用される1つ以上の電池を含み得る。当該技術分野で既知の様々な電池がこの目的で利用され得る。追加的に、上部または下部ハウジングは、使用者が薬物送達デバイス9010の動作を見るか、または薬物用量が完了したことを検証することを可能にするために、任意選択で1つ以上の透明または半透明窓9018を含み得る。同様に、薬物送達デバイス9010は、接着パッチ9026及びパッチライナー9028をハウジング9012の底部表面上に含み得る。接着パッチ9026は、薬物送達デバイス9010を薬物用量の送達のために使用者の身体に接着するために利用され得る。当業者には容易に理解されようが、接着パッチ9026は、使用者の身体への薬物送達デバイスの接着のための接着面を有し得る。接着パッチ9026は、最初は、非接着パッチライナー9028によって被覆されていてもよく、これは、使用者の身体と接触した薬物送達デバイス9010の定置の前に接着パッチ9026から取り外される。パッチライナー9028の取り外しはさらに、挿入機構90200の封止膜90254を取り外し、薬物送達のために使用者の身体に対して挿入機構を開放する(図69Cに示されるように)。
同様に、制御送達駆動機構90100及び薬物送達デバイス9010の構成要素のうちの1つ以上は、機能的に本開示の幅及び範囲内に留まりながら修正され得る。例えば、上述のように、薬物送達デバイス9010のハウジングは、上部ハウジング9012A及び下部ハウジング9012Bの2つの別個の構成要素として示されているが、これらの構成要素は、単一の統合された構成要素であってもよい。上記で考察したように、糊、接着剤、もしくは他の既知の材料、または方法を利用して、制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素を互いに貼着してもよい。代替的に、制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素は、統合された構成要素であり得る。例えば、上部ハウジング及び下部ハウジングは、糊または接着剤、ねじ嵌め接続、締まり嵌め、融着接合、溶接、超音波溶接等によって一緒に貼着された別個の構成要素であってもよく、または上部ハウジング及び下部ハウジングは、単一の統合された構成要素であってもよい。かかる標準的な構成要素及び機能的変形形態は当業者には理解され得、したがって、本開示の幅及び範囲内である。
上記の説明から、本明細書に開示される制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスが、薬物容器からの自動化薬物送達のために効率的かつ容易に操作されるシステムを提供することが理解されよう。本明細書に記載の新規の実施形態は、原薬の制御された送達のための駆動機構、及びかかる制御送達駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供し得る。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。本開示の新規の制御送達駆動機構は、使用者によって直接的または間接的に作動され得る。さらに、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスの新規の構成は、貯蔵中、輸送中、及びデバイスの操作を通して、流体通路の滅菌状態を維持する。薬物流体がデバイス内で移動する通路が完全に滅菌状態で維持されるため、これらの構成要素は、製造過程中に滅菌される必要があるのみである。かかる構成要素には、駆動機構の薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構が含まれる。本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システム、アセンブリプラットフォーム、制御アーム、作動機構、ハウジング、及び他の構成要素は、滅菌される必要がない。これは、デバイスの製造性を大幅に改善し、関連する組み立て費用を低減する。したがって、本開示のデバイスは、組み立ての完了時に最終滅菌を必要としない。
薬物送達デバイスの製造は、制御送達駆動機構及び薬物容器の両方を、別個にまたは組み合わせた構成要素として、薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付ける工程を含む。製造方法は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングへの流体通路接続子、薬物容器、及び挿入機構の取り付けをさらに含む。電力・制御システム、作動機構、及び制御アームを含めた、上述の薬物送達デバイスの追加の構成要素は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付けられるか、予備形成されるか、または予め組み立てられ得る。接着パッチ及びパッチライナーは、デバイスの動作中に使用者と接触する薬物送達デバイスのハウジング表面に取り付けられ得る。
薬物送達デバイスを操作する方法は、使用者によって作動機構を作動させる工程と、制御アームを変位させて挿入機構を起動する工程と、電力・制御システムを起動して制御送達駆動機構を作動させて、制御された速度または薬物送達プロファイルに従って薬物送達デバイスを通る流体薬物流を駆動する工程と、を含む。本方法は、作動機構を作動させる前に任意選択的なオンボディセンサを係合させる工程をさらに含み得る。本方法は、同様に、流体通路接続子と薬物容器との間の接続を確立する工程を含み得る。さらに、操作方法は、薬物容器内でピストン上に作用する偏倚部材の拡張によって制御送達駆動機構内でプランジャシールを平行移動させて、使用者の身体への流体薬物の送達のために薬物容器、流体通路接続、滅菌流体導管、及び挿入機構に流体薬物流を押し通すことを含み得、テザーの分配を制限するように作用する調節機構は、ピストンの自在な軸方向平行移動を計るために利用される。駆動機構及び薬物送達デバイスの操作方法は、上述のように、図70A~70D及び図71A~71Dを参照してより良好に理解され得る。
XVIII.多機能駆動機構の追加の実施形態
少なくとも図1A~2B、33A~33C、69A~75B、80A~85C、86A~91、92A~99、及び100A~109Bに関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図110A~141Bに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図110A~141Bに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の駆動機構100、6100、8100、90100、92100、93100、94100、もしくは95100、または本明細書に記載の任意の他の駆動機構を置き換えてもよい。
本開示は、原薬の制御された送達のための駆動機構、かかる駆動機構を有する制御された薬物送達ポンプ、かかるデバイスを操作する方法、及びかかるデバイスの組み立て方法を提供する。特に、本開示の駆動機構は、(i)原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御することと、(ii)針挿入機構をトリガして、標的への薬物送達のための流体通路を提供することと、(iii)滅菌流体通路を薬物容器に接続して、標的への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容することと、を含むいくつかの機能を有効化または始動する。本開示の新規の実施形態は、故に、可変速度で薬物を送達することが可能である。本開示の駆動機構は、以下に詳細に説明されるように、所望の送達速度またはプロファイルを満たすために、電力・制御システムによる制御によって予め構成され得るか、または動的に構成され得る。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、駆動機構の1つ以上の構成要素の軸方向平行移動及び/または移動の物理的終了に関連するため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。これらの機構を通して、薬物用量送達の確認が使用者または投与者に正確に提供され得る。したがって、本開示の新規のデバイスは、上記のもの等の先行技術のデバイスに関連する問題のうちの1つ以上を軽減する。
第1の実施形態において、本開示は、アクチュエータと、主歯車を含む歯車アセンブリと、駆動ハウジングと、キャップ、穿通可能なシール(不可視)、バレル、及びプランジャシールを有する薬物容器とを含む駆動機構を提供する。主歯車は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシールとの間でバレル内に位置する薬物チャンバは、使用者の身体内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。1つ以上の偏倚部材が付勢状態で最初に保持され、ピストンのインターフェース表面上に支えられるように構成されている、ピストン及び1つ以上の偏倚部材もまた、駆動機構に組み込まれ得る。ピストンは、プランジャシール及びバレルを有する薬物容器内で実質的に軸方向に平行移動するように構成されている。テザーは、一方の端部においてピストンに接続され、他方の末端において調節機構のウィンチアセンブリに接続され、テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を制限する。薬物容器は、標的への送達のための薬物流体を薬物チャンバ内に収容し得る。任意選択で、被覆スリーブは、駆動機構の動作中にバレルの内部構成要素(すなわち、ピストン及び偏倚部材)を視界から隠すために、偏倚部材とピストンのインターフェース表面との間に利用され得る。テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、駆動機構の調節機構のウィンチアセンブリから解放されるように構成されている。
代替的に、本開示は、薬物送達デバイス内の、バレル及びプランジャシールを含む薬物容器との利用のための駆動機構を提供し、該駆動機構は、テザー、電動アクチュエータ、及び歯車インターフェースを含む。歯車インターフェースの回転は、電動アクチュエータによって制御される。歯車アセンブリは、歯車インターフェースと回転係合し、主歯車及び調節機構を含み、テザーの解放は、歯車アセンブリの操作によって調節機構を通して計測される。駆動ハウジングが提供される。ピストンは、テザーに接続され、プランジャシールに隣接してバレル内に配置されるように構成されている。ピストンは、薬物容器内で実質的に軸方向に平行移動するように構成され、偏倚部材は、バレル内に少なくとも部分的に配置されるように構成され、偏倚部材は、ピストンと駆動ハウジングとの間で付勢状態に保持されている。テザーの解放は、偏倚部材のその付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を制御する。
他の態様において、本開示は、開示された実施形態のいずれかに記載の駆動機構とバレル及びプランジャシールを含む薬物容器とを含む薬物送達ポンプ、針挿入機構、ならびに流体通路接続子を提供する。本開示はまた、テザーにおける張力が失われたときに流体通路接続子を通る薬物流体の送達を終結させるかまたは遅くするように構成された安全性機構も提供し得る。
なおも別の実施形態において、本開示は、薬物送達デバイス内の、バレル及びプランジャシールを含む薬物容器との利用のためのプライミング可能な駆動機構を提供し、該駆動機構は、テザー、駆動ハウジング、及びウィンチドラムを含む。ピストンは、テザーに接続され、プランジャシールに隣接してバレル内に配置されるように構成され、該ピストンは、薬物容器内で実質的に軸方向に平行移動するように構成され、偏倚部材は、バレル内に少なくとも部分的に配置されるように構成され、偏倚部材は、ピストンと駆動ハウジングとの間で付勢状態に保持されている。テザーは、ウィンチドラムに配置され、その上に巻き付けられており、かつ偏倚部材のその付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、ウィンチドラムの回転によりウィンチドラムから解放されるように構成されている。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、調節機構は、駆動機構のアクチュエータによって駆動される歯車アセンブリである。調節機構は、テザーの分配を妨げるかまたは制限し、調節された速度または所望の速度でのみ前進させる。これは、1つ以上の偏倚部材によって押圧されているバレル内でのピストンの移動を制限し、よって、プランジャシールの移動及びチャンバに収容された薬物の送達を制御する。プランジャシールが薬物容器内で前進すると、原薬は、薬物送達のために、滅菌通路接続、導管、挿入機構を通り、かつ標的内へと分注される。アクチュエータは、モータ(例えば、DCモータ、ACモータ、ステッパモータ)またはソレノイド(例えば、リニアソレノイド、回転ソレノイド)を含むいくつかの電力/運動源であり得る。特定の実施形態において、アクチュエータは、主/星形歯車の歯に対応するノッチを有する回転式ステッパモータである。
調節機構は、歯車アセンブリの1つ以上の歯車をさらに含み得る。歯車のうちの1つ以上は、例えば、大径歯車に共有中心点で取り付けられた小径歯車を有する複合歯車であり得る。歯車アセンブリは、テザーがその上に着脱可能に巻き付いているウィンチアセンブリに連結された歯車を含み得る。したがって、アクチュエータによって始動された歯車アセンブリの回転は、ウィンチアセンブリに連結され(すなわち、歯車アセンブリを通して)、それによって、テザーの分配、偏倚部材の拡張及びピストンの軸方向平行移動の速度、ならびにバレル内でのプランジャシールの移動の速度を制御して、流体を薬物チャンバから押し出し得る。ウィンチアセンブリの回転移動、及び故にピストン及びプランジャシールの軸方向平行移動は、本明細書に記載されるように、調節要素の他の構成要素による自在な軸方向平行移動を計測、制限、または別様に防止される。とりわけ、本開示の調節機構は、薬物チャンバからの流体物質の送達を駆動しない。薬物チャンバからの流体物質の送達は、偏倚部材の、ピストン及びプランジャシール上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって引き起こされる。調節機構は、代わりに、それらが偏倚部材のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン及びプランジャシールの自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン及びプランジャシールの運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。
原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御すること(それによって、原薬を可変の速度及び/または送達プロファイルで送達すること)に加え、本開示の駆動機構は、針挿入機構(NIM)をトリガして、標的への薬物送達のための流体通路を提供する工程、及び滅菌流体通路を薬物容器に接続して、標的への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容する工程を同時にまたは連続的に実施し得る。少なくとも1つの実施形態において、駆動機構のアクチュエータによる初期運動は、主/星形歯車を回転させる。1つの様態において、主/星形歯車は、歯車アセンブリを通して調節機構に運動を伝える。別の様態において、主/星形歯車は、歯車を通して針挿入機構に運動を伝える。主/星形歯車によって歯車が回転させられると、上に詳細に記載されるように、歯車は針挿入機構に係合して、流体通路接続子を標的の中へと始動させる。1つの特定の実施形態において、針挿入機構は、回転式針挿入機構である。したがって、歯車は、針挿入機構の対応する歯車表面に係合するように構成されている。歯車の回転は、駆動機構の歯車と針挿入機構の対応する歯車表面との間の歯車の相互作用を通して針挿入機構の回転を引き起こす。いったん針挿入機構の好適な回転が生じると、本明細書に詳細に記載されるように、針挿入機構が始動されて、標的への流体通路接続子を生み出す。
別の実施形態において、駆動機構は、使用者による作動のためのNIM作動機構を構成し得る。例えば、NIM作動機構は、作動機構の起動の押し下げがNIMを作動させない最初の構成にあってもよい。駆動機構は、その後、NIM作動機構を、作動機構の起動が針挿入を作動させる構成へと変形させ得る。例えば、作動機構の起動は、スライドの平行移動を引き起こし得る。駆動機構は、スライドとセレクタ部材との間の接触がスライドの少なくとも一部分を変異させるように、セレクタ部材を位置付けさせ得る。この変位はスライドをスローアームと接触させ、該スローアームはスライドと平行移動させられる。このスローアームの平行移動は、針挿入の作動を引き起こす。例えば、スローアームは、最初の構成においてNIM保持器の回転を防止するNIM嵌合の変位を引き起こし得る。NIM保持器は、最初に、針挿入の作動を防止する。NIM嵌合の平行移動の後、NIM嵌合の開口部は、NIM保持器の一部分と整列し、NIM保持器の回転を許容する。この回転は、針挿入の作動を可能にする。
少なくとも1つの実施形態において、この様態での針挿入機構の回転はまた、滅菌流体通路の薬物容器への接続をもたらして、標的への送達のための薬物容器から挿入機構への流体流を許容し得る。針挿入機構のランプ態様は、滅菌流体通路接続子の可動接続ハブ上に支えられるようにされる。駆動機構によって針挿入機構が回転させられると、針挿入機構のランプ機構は、滅菌流体通路接続子の可動接続ハブに係合し、かつそれを平行移動させて、その内部の流体接続を容易にする。少なくとも1つの実施形態において、針挿入機構は、上に詳述されるように、特定の角度の回転が針/トロカールの後退を可能にするように構成され得る。加えてまたは代替的に、かかる針/トロカールの後退は、使用者の活動時または薬物送達デバイスの別の構成要素の移動もしくは機能時に生じるように構成され得る。少なくとも1つの実施形態において、針/トロカール後退は、例えば、本明細書に記載されるように、調節機構及び/またはステータスリーダのうちの1つ以上によってトリガされる、薬物送達の終了時に生じるように構成され得る。
なおも別の実施形態において、駆動機構は、1つ以上の対応するスタータストリガを読み取るかまたは認識するように構成されたステータスリーダを含み得る。ステータストリガは、テザー上で増分的に間隔を空けてもよく、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、光学的ステータストリガであり、電気機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、電気機械的ステータストリガであるか、または機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、機械的ステータストリガである。
さらなる実施形態において、本開示は、制御された薬物送達を有する薬物送達ポンプを提供する。薬物送達ポンプはハウジング及びアセンブリプラットフォームを有し、その上に作動機構、挿入機構、流体通路接続子、電力・制御システム、及び制御送達駆動機構が据え付けられてもよく、該駆動機構は、駆動ハウジング、ピストン、及び偏倚部材を有し、偏倚部材は、付勢状態で最初に保持され、ピストンの表面上に支えられるように構成されている。ピストンは、プランジャシール及びバレルを有する薬物容器内で実質的に軸方向に平行移動するように構成されている。テザーは、一方の端部においてピストンに接続され、他方の末端において送達調節機構のウィンチアセンブリに接続され、テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を制限する。薬物容器は、標的への送達のための薬物流体を薬物チャンバ内に収容し得る。任意選択で、被覆スリーブは、駆動機構の動作中にバレルの内部構成要素(すなわち、ピストン及び偏倚部材)を視界から隠すために、偏倚部材とピストンのインターフェース表面との間に利用され得る。テザーは、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、送達調節機構のウィンチアセンブリから解放されるように構成されている。
別の実施形態において、薬物送達デバイスは、歯車アセンブリをさらに含む。歯車アセンブリは、テザーがその上に着脱可能に巻き付き得るウィンチアセンブリに接続されたウィンチギアを含み得、ウィンチアセンブリの回転は、偏倚部材のその初期付勢状態からの自在な拡張、及び偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動を計るために、テザーをウィンチアセンブリから解放する。テザーの計測は、標的への薬物送達の速度またはプロファイルを制御する。ピストンは、1つ以上の部品であり得、テザーの遠位端に接続する。ウィンチアセンブリは、ウィンチアセンブリの回転、及びしたがってピストンの平行移動の計測を制御する調節機構に連結されている。
なおも別の実施形態において、薬物送達デバイスは、1つ以上の対応するスタータストリガを読み取るかまたは認識するように構成されたステータスリーダを含み得る。ステータストリガは、テザー上で増分的に間隔を空けてもよく、駆動機構の動作中に、ステータスリーダとステータストリガとの間の相互作用は、電力・制御システムに信号を伝送して、使用者にフィードバックを提供する。ステータスリーダは、光学的ステータスリーダであり得、対応するステータストリガは、光学的ステータストリガであり、電気機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、電気機械的ステータストリガであるか、または機械的ステータスリーダ及び対応するステータストリガは、機械的ステータストリガである。
別の実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システムは、1つ以上の入力を受信して、ウィンチアセンブリによるテザーの解放を計り、それによって、偏倚部材によるピストンの軸方向平行移動を許容して、プランジャシールをバレル内で平行移動させるように構成されている。1つ以上の入力は、作動機構、制御インターフェース、及び/または遠隔制御機構の起動によって提供され得る。電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすために、標的への送達のための用量体積を変えるために、かつ/または駆動機構の操作を別様に開始、停止、もしくは一時停止するために、1つ以上の入力を受信して、偏倚部材がその上に支えられているピストンの自在な軸方向平行移動上にテザー及びウィンチアセンブリによってもたらされる制限を調整するように構成され得る。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬品の送達プロファイルは、調整可能である。例えば、食事、運動、睡眠等のある特定の活動前、活動中、または活動後に、薬品のボーラス注射を送達することが望ましい場合がある。「ボーラス注射」は、多くの場合、送達時間または持続時間にかかわらず送達される任意の測定された薬物体積である。逆に、「基底注射」は、多くの場合、制御された送達速度、及び/または異なる時間間隔で様々な送達速度を有する送達プロファイルである。同様に、使用者は、これらの時間または他の時間で薬品の基底送達速度を増加または減少させることを望む場合がある。少なくとも1つの実施形態において、送達プロファイルは、この所望の薬物送達を達成するために使用者によって調整可能である。使用者は、薬物送達デバイス自体と相互作用することによって送達プロファイルを調整してもよく、または代替的に、そのためにスマートフォン等の外部デバイスを使用してもよい。例えば、使用者は、作動機構を変位させることによって送達プロファイルを調整してもよく、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させてもよい。
本開示の別の実施形態において、送達プロファイルは、1つ以上の入力に基づいて自動的に調整されてもよい。例えば、送達プロファイルは、活動レベル、心拍数、血糖値等に基づいて調整され得る。上記のように、これらの測定値を用いて、ボーラス注射、または基底注射送達速度の増加もしくは減少、または基底注射送達プロファイルの調整の必要性を判定することができる。少なくとも1つの実施形態において、これらの入力測定値は、デバイス自体によって監視され得る。追加的に、または代替的に、それらは、スマートフォン、スマートウォッチ、心拍数モニタ、グルコースモニタ、血圧モニタ等の二次デバイスによって監視されてもよい。いくつかの実施形態において、送達プロファイルは、使用者の介入を必要とせずにこれらの測定値に基づいて調整され得る。二次デバイスによる監視及び/または制御に場合、二次デバイス及び薬物送達デバイスは、互いに無線または有線通信し得る。この通信は、Bluetooth、近距離無線通信、Wi-Fi、またはデバイスの相互接続性に関する当業者に既知の任意の他の方法を通したものであり得る。
しかしながら、好ましい実施形態において、監視/調整機構は、使用者に対して警報を発し、かつ推奨を行う場合があり、使用者は、監視/調整機構による推奨を始動/許可するか、または無視する能動制御を有し得る。例えば、測定値のうちの1つ以上が指定の閾値より高いかまたは低い場合、デバイスは、可聴、可視、または触覚による警報を使用者に対して発する場合がある。一例において、警報は、デバイスの振動によって提供され、それによって、個別の警報を使用者に提供する。加えてまたは代替的に、警報は、使用者のスマートフォンまたは他の二次デバイスによって提供され得る。使用者は、コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースにおける測定値の現在のステータスを、デバイス自体、コンピュータ、スマートフォン、または他のデバイスの上で見ることができる場合がある。コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースは、送達プロファイルへの推奨される調整を提供し得る。この情報に基づいて、使用者は、薬物送達デバイスの送達速度を調整することができる。上記のように、使用者は、作動機構を変位させるか、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させることによって、送達プロファイルを調整してもよい。
一実施形態において、使用者の入力または上記の測定値のいずれかに基づく送達プロファイルを調整する信号に応じて、電力・制御システムは、アクチュエータの移動速度を変化させ得る。アクチュエータの移動速度の変化は、調節機構の回転速度を変化させ、これは次いで、標的への薬物送達速度を制御する。代替的に、送達プロファイルは、薬物容器及び挿入機構を接続する導管を通る薬品の流路の特性の変化によって変えることができる。この変化は、薬物容器から挿入機構への薬品の流れを制限する流れ制限部の導入、取り外し、または修正によって引き起こされ得る。例えば、流れ制限部は、流れ制限部の入力及び出力と流体連通して選択的に定置され得る複数の流路を有し得る。異なる長さまたは断面を有する流路を提供することによって、送達速度を制御することができる。他の実施形態において、送達プロファイルは、導管の衝突の導入または取り外しによって変えることができる。流路の衝突は、導管を通る薬品の流れを中断させるかまたは遅くすることができ、それによって、標的への送達速度を制御する。したがって、本開示の1つ以上の実施形態は、薬物容器からの薬品送達速度の変化を生み出し、それによって、駆動機構及び/または薬物送達デバイスの動的制御能力を提供することができる。
本明細書に記載のデバイスは、過剰体積の薬品の送達または速すぎる速度での送達を防止する、例えば、薬品の無制御なまたは所望でない送達の暴走状態を防止する、特徴をさらに含み得る。かかる自動的安全性機構を提供することによって、標的の安全性が保証され得る。糖尿病のためのインスリンまたは他の治療薬等のいくつかの薬品は、それらが規定のパラメータに従って送達されない場合、危険であり、さらには潜在的に致死的であり得る。かかる安全性機構は、本明細書に詳細に記載されるもの等のブレーキ機構、プランジャシール穿通機構、及びプランジャシール変位機構を含み得る。以下に記載される安全性特徴は、送達が指定のパラメータから逸脱する場合に薬品の送達が終結されることを確実にし得る。
本開示は、原薬の送達のための駆動機構、及びかかる駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の駆動機構は、(i)原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御することと、(ii)針挿入機構をトリガして、標的への薬物送達のための流体通路を提供することと、(iii)滅菌流体通路を薬物容器に接続して、標的への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容することと、を含む1つ以上機能を有効化または始動し得る。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供する。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。
本明細書に記載のデバイスは、制御された物質の送達用に構成され得、薬品のいわゆる「暴走」送達を防止する特徴をさらに含み得る。制御された物質を送達する際、これは標的を保護するための重要な安全性特徴であり得る。例えば、インスリン等のいくつかの薬は、多すぎる量で及び/または速すぎる速度で投与され場合、危険であり、さらには潜在的に致死的であり得る。かかる自動的安全性停止機構を提供することによって、標的の安全性が保証され得る。
本開示の新規のデバイスは、一体型のステータス表示を有する駆動機構及びかかる駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。かかるデバイスは、安全で使用が容易であり、審美的かつ人間工学的に魅力がある。本明細書に記載のデバイスは、未訓練の使用者にとってさえも本デバイスの作動、操作、及びロックアウトを単純にする特徴を組み込む。本開示の新規のデバイスは、既知の先行技術のデバイスに関連する問題のうちのいずれも伴わずに、これらの望ましい特徴を提供する。新規の薬物送達ポンプ、駆動機構、及びそれらのそれぞれの構成要素のある特定の非限定的な実施形態が、付随する図を参照しながら本明細書にさらに記載される。
本明細書で使用されるとき、「ポンプ」及び「送達デバイス」という用語は、作動時に流体を使用者に分注することが可能である任意の数の薬物送達システムを含むことを意図する。かかる薬物送達システムには、例えば、注入システム、輸液ポンプ、ボーラス注入装置、オンボディ注入装置等が含まれるが、これらに限定されない。図110A~111Aは、本開示の少なくとも1つの実施形態による例示的な薬物送達デバイスを示す。図110B及び111Aは、内部構成要素が見えるように上ハウジングが取り外された、薬物送達デバイスを示す。薬物送達デバイスを利用して、標的への薬物治療剤の送達を施してもよい。図110A~110Cに示されるように、薬物送達デバイス9610は、ポンプハウジング9612を含む。ポンプハウジング9612は、薬物送達デバイスのより容易な製造、組み立て、及び操作の便宜を図るために固定的に係合可能である、1つ以上のハウジング部分構成要素を含み得る。例えば、薬物送達デバイス9610は、上部ハウジング9612A及び下部ハウジング9612Bを含み得るポンプハウジング9612を含む。ポンプハウジング9612は、薬物送達デバイスが開放または改変されているかどうかを特定するために1つ以上のタンパーエビデンス特徴を含み得る。例えば、ポンプハウジング9612は、上部ハウジング及び下部ハウジングにわたって架けられたラベル等の1つ以上のタンパーエビデンスラベルまたはステッカーを含み得る。加えてまたは代替的に、ハウジング9612は、上部ハウジングと下部ハウジングとの間を接続する1つ以上のスナップアームまたは先端部を含み得る。壊れたかまたは改変されたタンパーエビデンス特徴は、デバイスが評価され、使用者による使用または使用者へのリスクを伴わずに可能であれば破棄されるように、例えば、デバイスの内部態様にアクセスすることによって、薬物送達デバイスが改変された可能性があることを使用者、医師、供給業者、製造業者等に信号伝達する。薬物送達デバイスは、作動機構9614、ステータスインジケータ(図示せず)、及び窓9618をさらに含み得る。窓9618は、薬物送達デバイスの操作がそれを通して見られ得る、任意の半透明または透過性表面であってよい。図110B及び111Aに示されるように、薬物送達デバイス9610は、アセンブリプラットフォーム9620、薬物容器9650を有する駆動機構96100、挿入機構96200、流体通路接続子96300、及び電力・制御システム96400をさらに含む。かかる薬物送達デバイスの構成要素のうちの1つ以上は、それらが、例えば、製造中に別個の構成要素として予め組み立てられ、薬物送達デバイス9610のアセンブリプラットフォーム9620の上の所定の位置に収まるよう構成され得るという点で、モジュール式であり得る。
ポンプハウジング9612は、デバイスの構成要素の全てを含み、デバイス9610を標的に着脱自在に取り付ける手段を提供する。ポンプハウジング9612はまた、デバイス9610の内部構成要素に環境的影響からの保護を提供する。ポンプハウジング9612は、未訓練の及び/または身体障害のある場合がある使用者による容易な包装、貯蔵、取り扱い、及び使用の便宜を図るために、サイズ、形状、及び関連する特徴において人間工学的に及び審美的に設計される。さらに、ポンプハウジング9612の外面を利用して、製品ラベル、安全性指示等を提供してもよい。追加的に、上述のように、ハウジング9612は、操作フィードバックを使用者に提供し得る、1つ以上のステータスインジケータ及び窓等のある特定の構成要素を含み得る。
少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイス9610は、使用者が変位させて電力・制御システムへの開始コマンドをトリガする、作動機構14を提供する。好ましい実施形態において、作動機構9614は、上部ハウジング9612Aと下部ハウジング9612Bとの間の開口部を通して等、ポンプハウジング9612を通して位置し、電力・制御システム96400と直接的または間接的に接触する、開始ボタンである。少なくとも1つの実施形態において、開始ボタンは、押しボタンであり得、他の実施形態においては、オン/オフスイッチ、トグル、または当該技術分野で既知の任意の同様の作動特徴であり得る。ポンプハウジング9612はまた、1つ以上のステータスインジケータ及び窓も提供する。他の実施形態においては、作動機構9614、ステータスインジケータ、窓9618のうちの1つ以上、及びそれらの組み合わせが、例えば、薬物送達デバイス9610が標的上に定置されるときに使用者に見える側等の、上部ハウジング9612Aまたは下部ハウジング9612B上に提供され得る。ハウジング9612は、本開示の他の構成要素及び実施形態を参照しながらこれ以降でさらに詳述される。
薬物送達デバイス9610は、作動機構を押し下げることにより使用者が作動させると、駆動機構が作動されて、流体通路を標的の中に挿入する機能と、薬物容器、流体通路、及び滅菌流体導管の間の必要な接続を有効化する、接続する、または開通させる機能と、薬物容器に格納された薬物流体を、標的の中への送達のために流体通路及び流体導管に押し通す機能と、のうちの1つ以上を実施するように構成されている。少なくとも1つの実施形態において、標的への薬物流体のかかる送達は、制御された様態で駆動機構によって行われる。1つ以上の任意選択的な安全性機構を利用して、例えば、薬物送達デバイスの時期尚早な作動を防止してもよい。例えば、任意選択的なオンボディセンサ9624が、一実施形態において、薬物送達デバイス9610が標的と接触していない限り、電力・制御システム、または作動機構が係合され得ないことを保証する安全性特徴として提供されてもよい。かかる一実施形態において、オンボディセンサは、標的と接触するようになり得る、下部ハウジング9612Bの底部に位置する。オンボディセンサ9624が変位または作動すると、作動機構の押し下げが許容される。したがって、少なくとも1つの実施形態において、オンボディセンサは、作動機構による薬物送達デバイス9610のトリガを防止する、例えば機械的ロックアウト等の、機械的安全性機構である。別の実施形態において、オンボディセンサは、信号を電力・制御システムに送信して作動を許容する機械的ロックアウト等の、電気機械的センサであり得る。依然として他の実施形態において、オンボディセンサは、電力・制御システムの作動を許容する前に組織を検出しなければならない、例えば、導電ベース、静電容量ベースまたはインピーダンスベースのセンサ等の電気ベースであり得る。少なくとも1つの実施形態において、ハウジング9612は、有害な物質が薬物送達デバイスに進入するのを少なくとも部分的に防止するように構成されている。例えば、ハウジングは、薬物送達デバイスの中への流体の通過を制限するように構成され得る。これにより、薬物送達デバイスがシャワーで、水泳中、または他の水関連の活動の間に装着できるようになり得る。電気ベースのオンボディセンサの使用は、かかる流体のための薬物送達デバイスへの進入点を排除し得る。これらの概念は、相互排他的なものではなく、本開示の範囲内で1つ以上の組み合わせを利用して、例えば、薬物送達デバイスの時期尚早な作動を防止してもよい。好ましい実施形態において、薬物送達デバイス9610は、1つ以上の電気ベースのオンボディセンサを利用する。追加の一体型安全性機構は、新規の薬物送達デバイスの他の構成要素を参照して本明細書に記載される。
XVIII.A.電力・制御システム:
電力・制御システムは、薬物送達デバイス内の種々の電気構成要素にエネルギーを提供する、電源、1つ以上のフィードバック機構、マイクロコントローラ、回路基板、1つ以上の伝導性パッド、及び1つ以上の相互接続部を含み得る。当業者には理解されようが、かかる電気システムで一般的に使用される他の構成要素もまた含まれてもよい。1つ以上のフィードバック機構は、例えば、ピエゾアラーム等の可聴アラーム及び/または発光ダイオード(LED)等の光インジケータを含み得る。マイクロコントローラは、例えば、マイクロプロセッサであり得る。電力・制御システムは、使用者とのデバイスのいくつかの相互作用を制御し、駆動機構96100とインターフェース接続する。一実施形態において、電力・制御システムは、オンボディセンサ9624と直接であれ間接的であれインターフェース接続して、デバイスが標的及び/または作動機構9614と接触しているときを特定して、薬物送達デバイスが作動されているときを特定する。電力・制御システムはまた、使用者に視覚フィードバックを提供するために光移送を許容する透過性または半透明の材料であり得る、ポンプハウジング9612のステータスインジケータとインターフェース接続し得る。電力・制御システムは、1つ以上の相互接続を通して駆動機構96100とインターフェース接続して、作動、薬物送達、及び投薬終了等のステータス表示を患者に中継する。かかるステータス表示は、聴覚トーンを介して、例えば可聴アラームにより、及び/または視覚インジケータを介して、例えばLEDにより、使用者に提示され得る。好ましい実施形態において、電力・制御システムと薬物送達デバイスの他の構成要素との間の制御インターフェースは、使用者が作動させるまで係合または接続されない。これは、薬物送達デバイスの偶発的な操作を防止し、さらに、貯蔵、輸送等の間に電源内に収容されるエネルギーを維持し得る、望ましい安全性特徴である。
電力・制御システムは、いくつかの異なるステータスインジケータを使用者に提供するように構成され得る。例えば、電力・制御システムは、オンボディセンサ及び/またはトリガ機構が押圧された後に、デバイス起動点検により何のエラーも報告されなければ、電力・制御システムがステータスインジケータを介して開始準備完了ステータス信号を提供するように、構成され得る。開始準備完了ステータス信号を提供した後に、任意選択的なオンボディセンサを有する実施形態において、オンボディセンサが標的と接触したままである場合、電力・制御システムは、駆動機構96100に電力供給して、流体通路接続子96300及び滅菌流体導管(図示せず)を通した薬物治療剤の送達を開始する。
追加的に、電力・制御システムは、薬物送達デバイスのその包装からの取り外しを特定するように構成され得る。電力・制御システムは、包装に機械的に、電気的に、または電気機械的に接続され得、それにより、薬物送達デバイスの包装からの取り外しが、電力・制御システムを使用のために作動させ得るもしくはその電源を入れ得るか、または使用者によって電源を入れられるように電力・制御システムを単に有効化し得る。かかる実施形態において、薬物送達デバイスの包装からの取り外しなしには、薬物送達デバイスは、作動され得ない。これは、薬物送達デバイスの及び使用者のための追加の安全性機構を提供する。少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスまたは電力・制御システムは、例えば、以下の様々なセンサ、すなわち、ホール効果センサ;巨大磁気抵抗(GMR)または磁界センサ;光センサ;静電容量式または静電容量変化センサ;超音波センサ;及びリニアトラベル、LVDT、リニア抵抗、または放射測定リニア抵抗センサ;及びそれらの組み合わせからの、1つ以上の相互作用センサ等によって、包装に電気的にまたは電気機械的に接続され得、これらのセンサは、構成要素間の信号を伝送してそれらの間の位置を特定するように調和可能である。加えてまたは代替的に、薬物送達デバイスまたは電力・制御システムは、例えば、ピンが取り外されるときに(すなわち、薬物送達デバイスが包装から取り外されると)システムを作動させるピンとスロットの関係によって、包装に機械的に接続され得る。
本開示の好ましい実施形態において、いったん電力・制御システムが作動されると、駆動機構が始動されて、挿入機構96200及び流体通路接続子96300を起動する工程と同時に、薬物流体が薬物容器から押し出されることも許容する工程のうちの1つ以上を実施する。薬物送達過程中、電力・制御システムは、ステータスインジケータを介して分注ステータス信号を提供するように構成される。薬物が標的内に投与された後、及び実質的に全用量が標的に送達されたことを確実にするためのいずれの追加の滞留時間の終了後、電力・制御システムは、ステータスインジケータを介して取り外し可ステータス信号を提供し得る。これは、使用者がポンプハウジング9612の窓9618を通して駆動機構及び薬物用量送達を見ることによって、独立して検証され得る。追加的に、電力・制御システムは、ステータスインジケータを介して、例えば、故障または動作不具合状況を示す警報等の1つ以上の警報信号を提供するように構成され得る。
電力・制御システムは加えて、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように駆動機構96100を動的に制御するための、使用者からの種々の入力を受け入れるように構成され得る。例えば、電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすように電力・制御システムを介して駆動機構96100の制御を設定、始動、停止、あるいは調整するための、例えば、作動機構の部分的または完全な作動、押し下げ、及び/または解放による入力を受信し得る。同様に、電力・制御システムは、薬物用量体積を調整すること、駆動機構、流体通路接続子、及び流体導管をプライミングすること、ならびに/または駆動機構96100の操作を開始、停止、もしくは一時停止するような入力を受信することのうちの1つ以上を行うように構成され得る。かかる入力は、例えば、作動機構9614もしくは異なる制御インターフェースの使用により、使用者が薬物送達デバイス9610に直接働きかけることによって受信されてもよく、または電力・制御システムは、かかる入力を遠隔制御デバイスから受信するように構成されてもよい。加えてまたは代替的に、かかる入力は、予めプログラムされてもよい。
他の電力・制御システム構成は、本開示の新規の薬物送達デバイスと共に利用され得る。例えば、ある特定の作動遅延が、薬物送達中に利用され得る。上述のように、システム構成内に任意選択で含まれる1つのかかる遅延は、完了を使用者に信号伝達する前に実質的に全薬物用量が送達されていることを確実にする、滞留時間である。同様に、デバイスの作動は、薬物送達デバイスの作動前に、薬物送達デバイス9610の作動機構の遅延した押し下げ(すなわち、押圧)を必要とし得る。追加的に、システムは、使用者が投薬終了信号に応答すること、及び薬物送達デバイスを作動停止するまたはその電源を切ることを許容する特徴を含み得る。かかる特徴は同様に、停止デバイスの偶発的な作動を防止するために、作動機構の遅延した押し下げを必要とし得る。かかる特徴は、薬物送達デバイスに対する望ましい安全性一体化機構及び使い勝手の良いパラメータを提供する。追加の安全性特徴が、薬物送達デバイスの部分的押し下げ、及びしたがって、部分的作動を防止するために作動機構に一体化されてもよい。例えば、作動機構及び/または電力・制御システムは、部分的作動を防止するために、デバイスが完全にオフであるかまたは完全にオンであるかのいずれかであるように構成され得る。かかる特徴は、新規の薬物送達デバイスの他の態様に関してこれ以降でさらに詳述される。
追加的に、電力・制御システムは、一時的な電力をアクチュエータに提供しながら、システムの電源の調節を維持するように構成され得る。薬物送達デバイスの動作中、本明細書にさらに記載されるように、機械的限界の間で時計回り及び反時計回りにアクチュエータを移動させるために一時的な電力が必要とされる。この運動は、駆動システムの運動、及びしたがって、薬品の送達速度を制御する。アクチュエータに電力を直接供給することは、大きな電圧降下につながり得、それにより、薬物送達デバイスの他の構成要素への電源が中断される可能性がある。これを回避するために、電力・制御システムは、電力がアクチュエータに供給されているときに、電源をアクチュエータから分離するように構成され得る。この目的で、電力・制御システムは、電界効果トランジスタ等のスイッチングデバイス、抵抗器等の充電遅延デバイス、及びコンデンサ等の貯蔵デバイスを含み得る。これらの3つのデバイスは、電源と接地との間で直列接続されている。出力は、コンデンサから得られ、Hブリッジ等の制御デバイスを介してアクチュエータに接続されている。動作中、システムは、以下の様態で動作する:第1に、スイッチングデバイスは、完全に閉じた構成に設定され、電源を貯蔵デバイスに接続し、及び貯蔵デバイスが、例えばRC時定数によって定義された時間内に電源によって充電される。第2に、スイッチが開放され、それによって、貯蔵デバイスが完全に充電されたまま、電源を貯蔵デバイスから分断する。第3に、充電された貯蔵デバイスは、制御デバイスに適用される。第4に、制御デバイスは、貯蔵された電力をアクチュエータに適用し、アクチュエータの方向(時計回りまたは反時計回り)を制御する。このようにして、電源は、アクチュエータが電力供給されているときにアクチュエータに接続されず、電源が電圧降下を経験しないことを確実にする。この過程は、システム電源を崩壊させることなく、アクチュエータの時計回り及び反時計回りの継続して入力をポンプ駆動機構に提供するために、必要に応じて繰り返される。
XVIII.B.挿入機構:
いくつかの挿入機構が、本開示の薬物送達デバイス内で利用され得る。本開示のポンプ式送達デバイスは、例えば、任意の好適な中空チューブを通して、流体流連通によって標的に接続され得る。中空針または固形針を用いて、標的を穿通し、中空カニューレを適切な送達位置に定置してもよく、針は、標的への薬物送達の前に少なくとも部分的に取り外されるかまたは後退される。上記のように、流体は、自動的に挿入された針、カニューレ、微小針アレイ、または輸液セットチューブを含むがこれらに限定されない任意の数の手段を通して身体内に誘導され得る。いくつかの機構は、標的への針の挿入を作動させるためにも用いられ得る。例えば、ばね等の偏倚部材は、針及びカニューレを標的に穿通させるために十分な力を提供するために用いられる。同じばね、追加のばね、または別の同様の機構を利用して、針を標的から後退させることができる。一実施形態において、挿入機構は、一般に、国際特許出願第PCT/US2012/53174号に記載されるようなものであり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に含まれる。かかる構成は、痛みを最小限に抑える方法で標的内またはその下への薬物送達通路の挿入のために利用されてもよい。流体通路の挿入のための他の既知の方法が利用されてもよく、本開示の範囲内であることが企図され、これには、本開示の譲受人によって開発された剛性針挿入機構及び/または回転式針挿入機構が含まれる。
少なくとも1つの実施形態において、挿入機構96200は、アセンブリプラットフォーム及び/またはポンプハウジングへの接続のための基部を有し得る挿入機構ハウジングを含む(図110B及び図110Cに示されるように)。アセンブリプラットフォーム9620への基部の接続は、例えば、基部の底部がアセンブリプラットフォーム内の穴を通過することが許容されて、標的への基部の直接的な接触を許容するようなものであり得る。かかる構成において、基部の底部は、薬物送達デバイス9610の使用前に取り外し可能な封止膜を含み得る。挿入機構は、1つ以上の挿入偏倚部材、針、後退偏倚部材、カニューレ、及びマニホールドをさらに含み得る。マニホールドは、滅菌流体導管に接続して、薬物送達中に、マニホールド、カニューレを通り、かつ標的への流体流を許容し得る。
本明細書で使用されるとき、「針」は、剛性中空針等の従来の中空針、及びより一般的には「トロカール」と称される中実針を含むがこれらに限定されない様々な針を指すことを意図する。いくつかの実施形態において、針は、9627ゲージの中実トロカールであり、他の実施形態において、針は、意図する薬物及び薬物投与(例えば、皮下、筋肉内、皮内等)の種類のための、カニューレを挿入するために好適な任意のサイズの針であり得る。1つ以上の実施形態において、挿入機構は、一般に、WO2013/033421A2として公開された国際特許出願第PCT/US2012/53174号、WO2013/033467A2として公開された国際特許出願第PCT/US2012/053241号、または国際特許出願第PCT/US2015/052815号に記載されるようなものであり得、同特許出願は、参照によりそれらの全体が全目的で本明細書に含まれる。
基部は、挿入機構の動作中に針及びカニューレがそれを通って通過し得る基部開口を含む。カニューレ及び針の滅菌性は、挿入機構の滅菌部分内でのそれらの初期位置付けによって維持される。基部の基部開口は、例えば封止膜によって、非滅菌環境からも閉鎖され得る。
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、挿入機構は初めに、挿入機構ハウジングのロックアウト窓内に初めに位置付けられたロックアウトピン(複数可)によって即時使用可能な段階に係止されている。この初期構成において、挿入偏倚部材及び後退偏倚部材は、それらの圧縮された付勢状態に各々保持されている。引張、押圧、摺動、及び/または回転等の1つ以上の方法によるロックアウトピン(複数可)の変位は、挿入偏倚部材がその初期の圧縮された付勢状態から圧縮解除されることを許容する。挿入偏倚部材のこの圧縮解除は、任意選択で、針及びカニューレを標的内に駆動する。挿入段階の終わりに、または(駆動機構によってトリガされる)薬物送達の終わりに、後退偏倚部材は、その初期の付勢状態から近位方向に拡張することが許容される。後退偏倚部材の近位方向におけるこの軸方向拡張は、針を後退させる。インサータ針/トロカール及びカニューレ構成が利用される場合、カニューレを標的と流体連通に維持しながら、針の後退が生じ得る。したがって、挿入機構を用いて、針及びカニューレを標的内に挿入し、その後、カニューレを標的への薬物送達のための位置に保持しながら、針を後退させてもよい。
1つ以上の実施形態において、挿入機構は、一般に、2016年2月10日に出願された国際特許出願第PCT/US2016/017534号に記載されるようなものであり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に含まれる。少なくとも1つの実施形態において、図115Aに示されるように、挿入機構は、最初は付勢状態に保持されている、回転して偏倚された部材96210を含む。好ましい実施形態において、回転して偏倚された部材は、ねじりばねである。回転偏倚部材は、図111Aに示されるような歯車96112との歯車表面96208の相互作用によって、または代替的には、本明細書にさらに記載されるように、薬物送達デバイスの回転防止特徴との挿入機構の構成要素の接触によって付勢解除することを防止され得る。デバイスの作動時、または別の入力時に、回転して偏倚された部材96210は、付勢解除することを少なくとも部分的に許容される。これは挿入機構の1つ以上の構成要素の回転を引き起こし、これは次いで、標的内への針の挿入を引き起こすか、またはそれを可能にする。さらに、カニューレは、上述のように標的内に挿入され得る。デバイスの制御アームまたは別の構成要素がテザーにおけるたるみを認識したとき等の後の時点で、回転して偏倚された部材は、さらに付勢解除され得、これは、挿入機構の1つ以上の構成要素の追加の回転を引き起こす。この回転は、針を標的から後退させるか、それを可能にし得る。針は、単一の工程で完全に後退してもよく、または複数の後退工程があってもよい。
一実施形態において、作動機構の平行移動は、NIM作動機構の一部であり得るか、またはそれを動作させ得る。NIM作動機構は、図122A~122Bに示される有効化機構を含み得る。この実施形態において、作動機構9614の平行移動は、スライド96602に直接的または間接的に連結され得る。第1の構成において、有効化機構は、作動機構及びスライドの平行移動が、針挿入機構96200または滅菌流体通路接続子96300の作動を引き起こさないように構成されている。
図122A~122Bは、作動機構9614(図110Aを参照されたい)及びスライド96602の平行移動が、針挿入機構96200の作動を引き起こすように構成された有効化機構を例証する。第1の構成から第2の構成への有効化機構の変形は、例えば、オンボディセンサのトリガによって、またはデバイスの電源を入れた後の既定の時間の経過によって始動され得る。第1の構成から第2の構成への有効化機構の変形は、アクチュエータ96101の回転によって行われ得、これは、セレクタ部材96604をスライド96602の態様と整列させ得る。セレクタ部材96604は、作動機構14及びスライド96602の平行移動時にスライド96602の一部分と接触するように構成された傾斜した表面96604Aを含み得る。セレクタ部材96604は、位置決めピン961101等の歯車インターフェースに据え付けられてもよく、またはその一体部分であってもよい。スライド96602のセレクタ部材96604との接触は、スライドの一部分が、突出部96606A等のスローアームまたは制御アーム96606の一部分と整列するように、スライド96602を変位させ得る。この構成において、作動機構14の平行移動は、スローアーム96606の平行移動を引き起こす。スローアーム96606の平行移動は、針挿入機構96200の挿入を引き起こして、流路を標的内に挿入する。製造、輸送、及び貯蔵中に、有効化機構は、差動機構9614の押し下げが針挿入機構96200を作動させない第1の構成にある。このようにして、針挿入機構は、時期尚早に作動することを防止される。スライド96602のセレクタ部材96604との接触は、スライドの実質的に剛性本体の変位を引き起こし得るか、または代替的に、この接触は、スライドの変形を引き起こし得る。例えば、スライドは、接触によって変位され得る変形可能な(すなわち、より剛性でない)部分を含み得る。
NIM作動機構の一例が、図116A~121Bに示される。明確にするために、薬物送達デバイスのいくつかの構成要素は、これらの図において隠されている。NIM作動機構は、スライド96602、スローアーム96606、NIM嵌合96608、及びNIM保持器96610を含む。最初に、図116A~117Bに示されるように、NIM保持器96610は、NIM保持器96610がNIM96200の突出部96204と接触するように位置付けられ、その結果、突出部96204は、軸R(図118Bを参照されたい)の周りで回転することを防止され、それによって、NIM96200の作動を防止する。示される実施形態において、NIM保持器96610は、軸B(図120Bを参照されたい)の周りでの回転移動のために構成されている。NIM保持器96610は、例えば、穴96610Aにおいて、ハウジング9612または上プレート961530に据え付けられ得る。例えば、ピンまたはシャフトは、穴96610A内に配置され得、その周りでNIM保持器96610が回転し得る。ピンまたはシャフトは、ハウジング9612または上プレート961530の一体部分であってもよく、または代替的に、別個の構成要素であってもよい。NIM保持器96610は、NIM保持器96610のアーム96610BとNIM嵌合96608との間の接触によって回転することを防止される。NIM嵌合96608は、平行移動の運動(図116Bの中空矢印の方向で)のために配置され、上プレート961530の一部分であり得る屈曲アーム961530Aによって最初に所定の位置に保持されている。NIM嵌合96608は、最初に、それがスローアーム96606の下部表面96606Bと接触しているかまたはそれと隣接している、第1の位置または係止構成にある。
セレクタ部材96604が第2の構成(図122A~122Bに示される)にある状態で、作動機構9614の押し下げは、上述のように、スローアーム96606の平行移動(図116Aの実線矢印の方向で)を引き起こす。スローアーム96606の傾斜した表面96606Cは、NIM嵌合96608と接触し、スローアーム96606の平行移動の方向に対して実質的に直交する方向でNIM嵌合96608を平行移動させる。図118A~119Bは、スローアームの平行移動の後のスローアーム96606及びNIM嵌合96608の位置を示す。示されるように、この構成(例えば、係止解除構成)において、NIM嵌合96608は、スローアーム96606の上部表面96606Dに隣接して、またはそれと接触して位置付けられている。NIM嵌合96608の窓96608Aは、NIM保持器96610のアーム96610Bと整列している。したがって、図120A~121Bに示されるように、NIM保持器96610は、軸Bの周りで回転することができる。突出部96204及び保持器96610の接触表面は、突出部96204が回転力をNIM保持器96610に加え、それによって、NIM保持器96610の軸Bの周りでの回転を引き起こすように構成され得る。代替的に、または追加的に、NIM保持器96610は、偏倚部材によって回転されるように偏倚され得る。偏倚部材は、例えば、ねじりばねであり得る。NIM保持器96610の回転は、NIM保持器96610がNIM96200の突出部96204を係脱させることを引き起こす。したがって、NIM96200は、流路を標的内に挿入するために作動させることができる。
他の実施形態において、NIM嵌合96608は、突出部96204等のNIM96200の一部分に直接係合して、NIM96200の作動を最初に防止し得る。スローアーム96606の平行移動に対して直交する方向でのNIM嵌合96608の平行移動は、NIM嵌合96608にNIM96200を係脱させ、NIM96200が作動することを可能にし得る。また、スライド96602及びスローアーム96606は、ここで別個の構成要素として示されて理宇ものの、これらは単一の統合された構成要素であり得ることが企図される。かかる実施形態において、セレクタ部材は、最初に、スライド及び/またはスローアームの平行移動を防止するように構成され得る。
別の実施形態において、スローアーム96606は、NIMの一部分に係合し、それによって、スローアーム96606の平行移動はNIM96200の作動を可能にする。
上述の利点に加えて、本明細書に記載の挿入機構はまた、流路を分断することによって標的組織への薬品の流れを終結させることが可能であり得る。これは、標的を保護するための重要な安全性特徴であり得る。例えば、インスリン等のいくつかの薬は、多すぎる量で及び/または速すぎる速度で投与され場合、危険であり、さらには潜在的に致死的であり得る。かかる自動的安全性停止機構を提供することによって、薬品のいわゆる「暴走」送達が防止され、それによって標的の安全性が保証され得る。流れを終結させるための方法及び関連する構造が、本明細書に開示される1つ以上の具体的な挿入機構に関して考察され得るが、本方法及び関連する構造は、本明細書に開示されるまたは本開示の趣旨及び範囲内にある挿入機構のうちのいずれに対しても利用または適合され得ることが理解されよう。
標的組織への薬品送達の中断は、例えば、薬品送達におけるエラーまたは使用者からの入力によって、トリガされ得る。例えば、使用者は、自身の薬物用量をすでに摂取したことに気づき、デバイスからの薬物送達を一時停止または終結させることを望む場合がある。デバイスへのかかる使用者入力時に、薬物送達は停止され得、かつ/または針もしくはカニューレを通した流体通路が、針のその完全に後退した位置への後退によって終結され得る。
加えてまたは代替的に、デバイスは、動作中にエラー警報を受信した場合、薬物送達を一時停止または終結させ得る。例えば、駆動機構が正しく機能していない場合、標的組織への薬の過量送達を防止するために、針挿入機構がトリガされて完全に後退し、流体通路接続子を通した標的組織への薬物送達を終結させ得る。針挿入機構のこの性能は、標的への薬物送達に関して価値ある安全性特徴を提供する。
いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスの標的組織からの取り外し時に後退が作動される。他の実施形態において、後退は、標的組織への物質送達においてエラーが生じたことが決定される場合に作動される。例えば、薬品の流れを阻止する薬物送達経路の閉塞が、薬物送達ポンプの感知機能によって検出され得る。閉塞の感知時に、電気または機械的入力を用いて、針の後退を始動してもよい。
XVIII.C.流体通路接続子
いくつかの流体通路接続子が、本開示の実施形態内で利用され得る。一般に、好適流体通路接続子は、滅菌流体導管、穿通部材、及び薬物容器に取り付けられた滅菌スリーブまたは薬物容器内に一体化された摺動型の穿通可能なシールを含む。流体通路接続子は、1つ以上の流れ制限部をさらに含み得る。送達デバイス9610の適切な作動時に、流体通路接続子96300は、滅菌流体導管9630を駆動機構96100の薬物容器に接続するように有効化される。かかる接続は、駆動機構96100の薬物容器の穿通可能なシールを突き通す、針等の穿通部材によって容易にされる。この接続の滅菌性は、可撓性滅菌スリーブ内で接続を行うことによって維持され得る。挿入機構の実質的に同時の作動時に、薬物容器と挿入機構との間の流体通路が完成して、標的内への薬物送達を許容する。かかる一実施形態において、流体通路接続子は、WO2015027174A4として公開された国際特許出願第PCT/US2012/054861号、または2016年3月2日に出願された国際特許出願第PCT/US2016/020486号に記載されるものと実質的に同様であり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。かかる実施形態において、圧縮性の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップと流体通路接続子の接続ハブとの間に固定的に取り付けられてもよい。穿通部材は、流体接続通路と薬物容器との間の接続が所望されるまで、滅菌スリーブ内に常在し得る。滅菌スリーブは、作動前の穿通部材及び流体通路の滅菌性を保証するために滅菌され得る。
代替的に、流体通路接続子は、例えば、国際特許出願第PCT/US2013/030478号または同第PCT/US2014/052329号に記載されるように、薬物容器の中に一体化され得、同特許出願は、参照によりそれらの全体が全目的で本明細書に組み込まれる。かかる実施形態によれば、薬物容器は、穿通可能なシールとプランジャシールとの間でバレル内に薬物チャンバを有し得る。薬物流体は、薬物チャンバに収容される。使用者による作動デバイスの作動時に、駆動機構は、薬物容器に収容されたプランジャシールに力を及ぼす。プランジャシールが薬物流体及びいずれの空気/ガスの間隙または気泡に力を及ぼすと、空気/ガス及び薬物流体の圧縮によって空気圧及び液圧の組み合わせが蓄積し、この力が、摺動型の穿通可能なシールに引き継がれる。穿通可能なシールは、キャップの方へ摺動させられて、一体型の滅菌流体通路接続子内に保持された穿通部材によって穿通されることになる。したがって、一体型の滅菌流体通路接続子は、駆動機構の作動によって生み出された、薬物チャンバ内の空気/ガス及び薬物流体の組み合わせた空気圧/液圧の力によって接続される(すなわち、流体通路が開通される)。いったん一体型の滅菌流体通路接続子が接続されるか、または開通されると、薬物流体は、薬物送達のために薬物容器から、一体型の滅菌流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通って、そして標的へと流れることを許容される。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構のマニホールドならびにカニューレ及び/または針のみを通って流れ、それによって、薬物送達前及び送達中に流体通路の滅菌性を維持する。
好ましい実施形態において、滅菌流体通路接続子は、針挿入機構が動くことによって始動され、この針挿入機構の動き自体は、駆動機構によって始動される。加えてまたは代替的に、滅菌流体通路接続子は、駆動機構が直接動くことによって始動される。例えば、駆動機構は、薬物送達の速度を制御する、針挿入機構を起動する、及び/または滅菌流体通路接続子を始動するために同時にまたは順次に作用する、本明細書で上述される星形歯車等の回転歯車を含み得る。図110A~110Cに示される1つの特定の実施形態において、駆動機構は、これらの工程の全てを実質的に同時に実施する。駆動機構は、いくつかの他の構成要素に対して作用する歯車を回転させる。歯車は、針挿入機構と接触して流体通路を標的へと導入しながら、歯車アセンブリに作用して、薬物送達速度を制御する。針挿入機構が始動されるとき、滅菌流体の接続は、駆動機構の歯車及び歯車アセンブリが薬物送達の速度を制御しながら、標的内への送達のために薬物容器から、流体導管を通した、針挿入機構の中への薬物流体の流れを許容するようにされる。
薬物送達デバイスによって利用される流体通路接続子を問わず、薬物送達デバイスは、異なる粘度及び体積を有する様々な薬物を送達可能である。薬物送達デバイスは、制御された流速(速度)で及び/または指定の体積の薬物を送達可能である。一実施形態において、薬物送達過程は、流体通路接続子及び/または滅菌流体導管内で1つ以上の流れ制限部によって制御される。他の実施形態において、他の流速が、流体流路または送達導管の幾何形状を変化させることによって、駆動機構の構成要素が薬物容器の中へと前進してその中の薬物を分注する速度を変化させることによって、またはそれらの組み合わせによって、提供されてもよい。流体通路接続子300及び滅菌流体導管30についての依然としてさらなる詳細が、これ以降、他の実施形態を参照して後の節で提供される。
XVIII.D.駆動機構:
本開示の駆動機構は、(i)原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御することと、(ii)針挿入機構をトリガして、標的への薬物送達のための流体通路を提供することと、(iii)滅菌流体通路を薬物容器に接続して、標的への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容することと、を含むいくつかの機能を有効化または始動し得る。図111A~111E及び112A~112Dに示される実施形態を参照すると、駆動機構96100は、アクチュエータ96101と、主歯車96102を含む歯車アセンブリ96116と、駆動ハウジング96130と、キャップ9652、穿通可能なシール(不可視)、バレル9658、及びプランジャシール9660を有する薬物容器9650とを含む。主歯車96102は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシール9660との間でバレル9658内に位置する薬物チャンバ9621は、標的内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。本明細書に記載のシールは、いくつかの材料から構成され得るが、好ましい実施形態において、1つ以上のエラストマーまたはゴムから構成されている。駆動機構96100は、本明細書にさらに記載されるように、1つ以上の駆動偏倚部材、1つ以上の解放機構、及び1つ以上のガイドをさらに含み得る。駆動機構の構成要素は、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通る、かつ標的内への送達のために、穿通可能なシールを通して、または好ましくは流体通路接続子の穿通部材を通して流体を薬物容器から押し出すように機能する。
1つの特定の実施形態において、駆動機構96100は、1つ以上の圧縮ばねを偏倚部材(複数可)として用いる。使用者により薬物送達デバイスが作動されると、電力・制御システムが起動されて、圧縮ばね(複数可)を付勢状態から直接的または間接的に解放し得る。解放されると、圧縮ばね(複数可)は、プランジャシールに対して重みをかけ、かつそれに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。圧縮ばねは、ピストンに対して重みをかけ、かつそれに作用し、これは次いで、プランジャシールに作用して、流体薬物を薬物容器から押し出し得る。任意選択で、これ以降でさらに記載されるように、ピストンは、ピストンの平行移動を制限して、標的への薬品の流れを制限するように構成された1つ以上の安全性機構を含み得る。かかる安全性機構は、本明細書に詳細に記載されるもの等のブレーキ機構、プランジャシール穿通機構、及びプランジャシール変位機構を含み得る。流体通路接続子は、駆動機構の作動前、それと同時に、またはその後に穿通可能なシールを通して接続されて、薬物容器から流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構を通り、かつ標的内への薬物送達のための流体流を許容し得る。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構のマニホールドまたは針及びカニューレのみを通って流れ、それによって、薬物送達前及び送達中に流体通路の滅菌性を維持する。かかる構成要素及びそれらの機能は、本明細書にさらに詳細に記載される。
次に図111A~111E及び112A~112Dに示される駆動機構の実施形態を参照すると、駆動機構96100は、アクチュエータ96101と、主歯車96102を含む歯車アセンブリ96116と、駆動ハウジング96130と、キャップ9652、穿通可能なシール(不可視)、バレル9658、及びプランジャシール9660を有する薬物容器9650とを含む。主歯車96102は、例えば、複数の副歯車または歯車表面と接触するように配置された星形歯車であり得る。穿通可能なシールとプランジャシール9660との間でバレル9658内に位置する薬物チャンバ9621は、標的内への挿入機構及び薬物送達デバイスを通した送達のための薬物流体を収容し得る。1つ以上の駆動偏倚部材96122及びピストン96110は、薬物容器9650とハウジング96130の近位端との間で駆動ハウジング96130内で圧縮され、駆動偏倚部材96122は、本明細書にさらに記載されるように、ピストン96110のインターフェース表面96110C上に支えられるように構成されている。任意選択で、例えば、駆動偏倚部材96122からピストン96110への力のより均等な分配を促すため、駆動偏倚部材96122の座屈を防止するため、かつ/または偏倚部材96122を使用者の視界から隠すために、被覆スリーブ(図示せず)が駆動偏倚部材96122とピストン96110のインターフェース表面96110Cとの間に利用されてもよい。ピストン96110のインターフェース表面96110Cは、シール9660の近位端に実質的に隣接して、またはそれと接触して静止させられる。図111A~111E及び112A~112Dに示される実施形態は、単数の偏倚部材を示しているものの、並行してまたは連続して作用するように配置された1つ以上の偏倚部材が使用され得ることも企図される。
図111E及び図112Dに最も良好に示されるように、ピストン96110は、1つ以上の構成要素から構成され、プランジャシールに接触するためのインターフェース表面を有し得る。テザー、リボン、紐、または他の保持ストラップ(本明細書において「テザー」96525と称される;図112Dを参照されたい)は、一方の端部においてピストン96110に接続され得る。例えば、テザー96525は、組み立てられたときのピストン96110の2つの構成要素の間の保持によって、ピストン96110に接続され得る。図112Dは、テザーのピストンへの接続を見ることを可能にするために部分的に隠された偏倚部材を示す。テザー96525は、別の端部において送達制御または調節機構96500のウィンチアセンブリ96520に接続されている。ウィンチアセンブリ96520は、ウィンチギア96520A及びウィンチドラム96520Bを含み、その回転は、位置決めされた関係によって連結されている。テザー96525の一方の端部に接続されたウィンチアセンブリ96520、及び別の端部においてピストン96110に接続されたテザー96525の使用を通して、調節機構96500は、原薬を薬物容器9650から押し出すために利用されるピストン96110及びプランジャシール9660の自在な軸方向平行移動を制御するか、それを計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止するように機能する。したがって、調節機構96500は、標的への薬物送達の速度またはプロファイルを制御するために一緒に機能する、駆動機構の態様の歯車アセンブリ96116の一部分である。
図111A~111E及び112A~112Dに示されるように、かつ図113及び114A~114Bに分離して示されるように、本開示の実施形態において、調節機構96500は、駆動機構96100のアクチュエータ96101によって制御される歯車アセンブリを含む。調節機構は、テザー96525の分配を妨げるかまたは制限し、調節された速度もしくは所望の速度で、または選択された間隔に従ってのみ前進させる。これは、1つ以上の偏倚部材96122によって押圧されているバレル9658内でのピストン96110の移動を制限し、よって、プランジャシール9660の移動及びチャンバ9621に収容された薬物の送達を制御する。プランジャシール9660が薬物容器9650内で前進すると、原薬は、薬物送達のために、滅菌通路接続96300、導管9630、挿入機構96200を通り、かつ標的内へと分注される。アクチュエータ96101は、例えば、ソレノイド、ステッパモータ、または回転式駆動モータを含む、いくつかの電力/運動源であり得る。特定の実施形態において、アクチュエータ96101は、主/星形歯車96102の歯に対応するノッチを有するシャフト等の、歯車インターフェースに係合した回転式ステッパモータである。少なくとも1つの実施形態において、歯車インターフェースのノッチは、システムの動作中に主歯車の1つ以上の歯がその内部に部分的に常在し得る陥凹を形成する。これは、図114A~114Bにおいてより明らかに見ることができる。歯車インターフェース96101Aが主歯車96102の歯96102Aと整列しているとき、モータ96101の回転運動は、主歯車96102の回転を可能にする。ノッチが主歯車の歯の間にあるとき、例えば、歯車アセンブリ96116の回転、バックスピン、または巻き戻しのための抵抗として作用し得る。1つの特定の実施形態において、モータ96101は、モータ96101を逆方向及び順方向に回転させるために、交番方向型のモータを利用する。この構成は、モータの多方向を使用して、(暴走状態のために必要とされるであろう)一方向における連続スピンを防止することによって、モータ及び歯車が回転することを自在に許容されている暴走状態の防止を補助する。さらに、主歯車96102は、歯96102Aが歯車インターフェース96101Aのノッチと整列しているときにのみ前進することができるため、主歯車96102は、増分的に回転することのみ可能である。モータに連結された歯車インターフェースの使用と連結されたモータのこの二方向の動きは、標的への薬物の過剰送達につながる可能性がある暴走状態を防止するために好適な安全性特徴を提供する。歯車アセンブリ96116、調節機構96500、及び駆動機構96100についてのさらなる詳細は、本明細書に提供される。図114A~114Bに示される特定の実施形態において、調節要素96500は、歯車アセンブリ96516の1つ以上の歯車96511、96512、96513、96514をさらに含む。歯車96511、96512、96513、96514のうちの1つ以上は、例えば、大径歯車に共有中心軸で取り付けられた小径歯車を有する複合歯車であり得る。歯車96513は、ウィンチギア96520Aに回転式に連結され得、それによって、歯車アセンブリ96516の回転をウィンチアセンブリ96520に連結し得る。複合歯車96512は、複合歯車態様96512Bの回転移動が歯車の係合によって(例えば、対応する歯車の歯の係合によって)歯車96513へと伝達されるように、小径歯車96513に係合する。歯車態様96512Aは、歯車態様96512Bに係合し、それによって、複合歯車96512の回転を複合歯車96511に連結する。その回転が歯車態様96511Bに連結している複合歯車態様96511Aは、主/星形歯車96102Aの複合歯車態様96102Bの作用によって回転させられる。その回転が主/星形歯車96102Aに連結している複合歯車態様96102Bは、主/星形歯車96102Aとアクチュエータ96101のインターフェース96101Aとの間の相互作用によって回転させられる。故に、主/星形歯車96102Aの回転は、ウィンチアセンブリ96520に伝達される。したがって、アクチュエータ96101によって始動された歯車アセンブリ96516の回転は、ウィンチアセンブリ96520に連結され(すなわち、歯車アセンブリ96516を通して)、それによって、テザー96525の分配、及びバレル9658内でのプランジャシール9660の移動の速度を制御して、流体を薬物チャンバ9621から押し出し得る。ウィンチアセンブリ96520の回転移動、及び故にピストン96110及びプランジャシール9660の軸方向平行移動は、本明細書に記載されるように、調節要素96500の他の構成要素による自在な軸方向平行移動を計測、制限、または別様に防止される。上述のように、アクチュエータ96101は、モータ(例えば、DCモータ、ACモータ、ステッパモータ)またはソレノイド(例えば、リニアソレノイド、回転ソレノイド)を含むいくつかの既知の電力/運動源であり得る。当業者であれば、調節機構96500が、所望の歯車比を達成するために任意の数の歯車を含み得ることを理解するであろう。調節機構は、主歯車96102Aとウィンチギア96520Aとの間の任意の望ましい歯車比を提供し得る。歯車比は、例えば、所望の薬物送達プロファイルに基づいて選択されてもよい。追加的に、歯車アセンブリの分解能は、主歯車96102の歯の数に基づいて構成され得る。主歯車96102がより多くの歯を有するほど、歯車アセンブリの分解能はより細かくなる。逆に、主歯車96102がより少ない歯を有する場合、歯車アセンブリは、より荒い分解能を有することになる(すなわち、アクチュエータの各回転毎に、より多い薬物流体が送達されることになる)。
上に記載され、かつ図110A~114Dに示される実施形態は、歯車インターフェース96101Aと、及びしたがって、主/星形歯車96102と垂直に整列し、かつそれと直接係合しているアクチュエータ96101を示す。機械技術における当業者であれば容易に理解され得るように、アクチュエータ96101は、水平に整列するように修正されてもよい。加えてまたは代替的に、アクチュエータ96101は、歯車インターフェース96101A及び主/星形歯車96102と間接的に係合するように修正されてもよい。図115A~115Bに示される実施形態は、歯車インターフェース96101A及び主/星形歯車96102と水平に整列し、かつそれと間接的に係合しているアクチュエータ96101を示す。かかる実施形態は、モータの運動の方向を水平から垂直(すなわち、垂直相互作用)に変えるために、図115A~96115Bに示されるように、ラック及びピニオン係合、駆動ねじ、またはウォーム歯車96101Wを利用してもよい。アクチュエータ96101は、ウォーム歯車96101Wを回転させ、ウォーム歯車は、歯車96101Gに係合し、その運動を歯車インターフェース96101A、この実施形態ではノッチを有するシャフトに伝達する。歯車インターフェース96101Aは、主/星形歯車96102に係合して、本明細書に記載されるように、駆動機構及び薬物送達デバイスの操作を可能にする。主/星形歯車96102はまた、歯車96112の操作を駆動して、本明細書に記載されるように、針挿入機構96200の操作を可能にし得る。1つの特定の実施形態において、アクチュエータ96101は、ウォーム歯車96101W、歯車96101G、及び歯車インターフェース96101Aを逆方向及び順方向に回転させるために、交番方向型のモータを利用する。この構成は、モータの多方向を使用して、(暴走状態のために必要とされるであろう)一方向における連続スピンを防止することによって、モータ及び歯車が回転することを自在に許容されている暴走状態の防止を補助する。主/星形歯車96102と共に、ウォーム歯車96101W、歯車96101G、及び歯車インターフェース96101Aの使用と連結されたアクチュエータ96101のこの二方向の動きは、標的への薬物の過剰送達につながる可能性がある暴走状態を防止するために好適な安全性特徴を提供する。追加的に、歯車インターフェース96101Aは、停止ブロック150に対して歯車インターフェース96101Aの回転を停止させる停止部材96101Bを含み得る。停止ブロック96150は、歯車インターフェース96101A、及びしたがって主/星形歯車96102の過剰回転をさらに防止して、標的への薬物の過剰送達につながる可能性がある暴走状態を防止する。停止部材96101Bは、停止ブロック96150との相互作用によって一方向における過剰回転を防止するため、デバイスがこの構成で機能するためには、歯車インターフェース96101Aは、主/星形歯車96102を前進させるために再び順方向に回転する前に、他の方向で逆方向に回転させられなければならない。追加的に、ウォーム歯車96101Wの幾何形状は、それ自体が自己係止されるか、かつ/または歯車96101Gによって後方駆動されないように構成され得る。これは、ピッチ、リード角、圧力角、及びねじの数等のパラメータの構成によってなされ得る。そうするとき、アクチュエータ96101によって引き起こされていない回転に対するウォーム歯車の抵抗によって、駆動機構の暴走状態が防止されることになる。
別の実施形態において、アクチュエータ96101は、図124A~124Bに示されるもののような位置決めピン961101等の歯車インターフェースに回転式に連結されている。アクチュエータは、上述のように、交番方向型のモータであり得る。位置決めピン961101は、主歯車961102とインターフェース接続する1つ以上のフランジ961101A、961101Bを有するシャフトであり得る。第1のフランジ961101A及び第2のフランジ961101Bは、シャフトの長さに沿ってオフセットされている。位置決めピン961101の時計回り及び反時計回りの交互の回転は、主歯車961102の段階的な回転を可能にする。示される実施形態において、位置決めピン961101は2つのフランジを有するが、位置決めピン961101が任意の数のフランジを含み得ることが企図される。示されるように、位置決めピン961101は、回転制限器961101C及びステータスリーダインターフェース961101Dをさらに含み得る。第2のフランジ961101Bは、ステップ961101Eをさらに含み得る。これらの特徴は、動作中に、主歯車961102と相互作用して歯車アセンブリ961516の回転を制御し、かつ任意選択で、ステータスリーダ961550と相互作用して調節機構961500の回転を監視するように構成されている。回転制限器961101C及びステータスステップ961101Eは、これらの特徴の主歯車961102との接触が位置決めピンの継続した回転を制限するように構成されている。
図125に示されるように、主歯車961102は、位置決めピン961101のフランジ961101A、961101Bの通過、及びしたがって、位置決めピン961101の回転を可能にする可変のパススルーを含む。示されるように、主歯車961102は、各々が歯961102Cによって分離された、周期的に交互になった大きい961102A及び小さい961102Bパススルーを含み得る。これ以降でさらに記載されるように、パススルーのサイズは、位置決めピン961101の回転を制御して、調節機構961500の動作が監視されることを可能にするように構成され得る。
位置決めピン961101及び主歯車961102の動作の工程は、図126A~129Bを参照してさらに記載される。動作の段階を説明するために第1の、第2の、第3の、及び第4の、等の連続的な用語が使用されているものの、これらの用語は、説明目的でのみ使用される。位置決めピン及び歯車列は、記載される構成のうちのいずれで始まってもよい。図126A~126Bは、第1の構成にある位置決めピン961101及び主歯車961102を示す。主歯車961102の歯は、位置決めピン961101の第1のフランジ961101Aと接触しており、主歯車961102の回転はそれによって制限されている。位置決めピン961101の第1のフランジ961101Aの一部分は、主歯車961102の大きいパススルー961102A内に配置されている。駆動偏倚部材によってテザーに加えられた張力は、図126Bに示される実線矢印の方向にあるトルクを主歯車に加える(調節機構961500を通して)。主歯車961102の歯961102Cと位置決めピンの第1のフランジ961101Aとの間の接触は、この方向における回転に抵抗する。
主歯車961102が前進することを可能にするために、位置決めピン961101は、第1のフランジ961101Aの第1の開口部961101Fが主歯車961102の歯961102Cと整列するように回転され得る。示される実施形態において、回転は、図126Bの破線矢印の方向である。位置決めピン961101の回転量は、主歯車961102との第2のフランジ961101Bのステップ961101Eの接触によって制限されることになる。この位置において、主歯車の歯がいずれも位置決めピンと接触していないため、位置決めピン961101は、主歯車961102の回転を防止していない。調節機構961500が適切に動作している場合、テザー上の張力は、主歯車961102の歯961102Cが位置決めピン961101の第2のフランジ961101Bと接触するまで、主歯車961102を(図126Bの実線矢印の方向に)回転させることになる。したがって、主歯車961102は、制御された量だけ前進し、位置決めピン961101の回転を可能にして、テザーのアンスプール及びピストンの平行移動を制御する。図127A~127Bに示されるように、この位置において、第2のフランジ961101Bのステップ961101Eと主歯車961102との間の接触は、位置決めピン961101の回転を制限し、かつそれによって、ステータスリーダインターフェース961101Dがステータスリーダ961550と接触することを防止する。
この位置から、主歯車961102は、前に回転していた方向と反対の方向での位置決めピン961101の回転によって別のステップに前進させられる。例えば、位置決めピンが第1の位置から第2の位置へと変形するために反時計回りの方向に回転させられた場合、位置決めピンは、第2の位置から第3の位置へと変形するために、今度は時計回りに回転させられることになる。第2の開口部961101Gが主歯車961102と整列するように第2のフランジ961101Bが主歯車961102を過ぎて回転した後に、第2のフランジ961101Bと接触していた主歯車961102の歯961102Cは、それが第1のフランジ961101Aと接触するまで前進することができる。この第3の位置は、図128A~28Bに示される。この位置において、第1のフランジ961101Aは、主歯車961102の小さいパススルー961102B内に配置され、第2のフランジ961101Bは、主歯車961102の大きいパススルー961102Aと整列しているが、その中に配置されていない。
位置決めピン961101の回転は、再び、主歯車961102の前進を可能にすることになる。しかしながら、第3の位置から第4の位置へと変形するとき、主歯車961102の大きいパススルー961102Aは、ステップ961101Eの通過を可能にするように構成されているため(すなわち、大きいパススルーは、ステップがそれを通って通過するのに十分な大きさである)、第2のフランジ961101Bのステップ961101Eは主歯車961102と接触しない。したがって、図129A~129Bに示されるように、第4の位置において、位置決めピン961101のステータスリーダインターフェース961101Dは、ステータスリーダ961550と接触する。この接触は、電力・制御システムに信号を送信させる。ステータスリーダは、例えば、ステータスリーダアーム961550Aとの接触、またはその変異に際して電気信号を生み出すか、またはそれを修正する検出器スイッチであり得る。ステータスリーダ961550は、ハウジング9612または上プレート961530に据え付けられ得、電力・制御システムと電気通信し得る。
このようにして、調節機構の操作は監視され得る。上述の実施形態において、主歯車961102が適切に動作しているとき、位置決めピン961101は、動作中に既定の回転間隔で、例えば、位置決めピン961101の4回転毎に1回、ステータスリーダ961550と接触することになる。しかしながら、主歯車961102が適切に回転していない場合、位置決めピン961101は、何らかの他の間隔でステータスリーダ961550と接触するか、またはステータスリーダと全く接触しないことになる。例えば、第2のフランジ961101Bが主歯車961102の大きいパススルー961102Aと整列している位置で主歯車961102が回転を停止した場合、位置決めピン961101は、位置決めピン961101の1回おきの回転毎にステータスリーダ961550と接触することになる(すなわち、位置決めピンは毎回、図126Bの斜線矢印の方向に回転させられる)。代替的に、第2のフランジ961101Bが主歯車961102の小さいパススルー961102Bと整列している位置で主歯車961102が回転を停止した場合、位置決めピン961101は、ステータスリーダ961550と接触することを防止されることになる。したがって、電力・制御システムは、位置決めピンとステータスリーダとの間の接触の頻度を、予想される頻度と比較し、調節機構が適切に動作しているかどうかを判定することができる。
これは、標的に安全性利点を提供し得る。例えば、位置決めピン961101が4回回転し、電力・制御システムがステータスリーダ961550から信号を受信しない場合、電力・制御システムは、標的への薬品の送達を終結させ得る。同様に、2回転のみの後に電力・制御システムがステータスリーダ961550から信号を受信した場合、これもまた、調節機構における故障を信号伝達し、送達の終結を始動することになる。電力・制御システムは、標的からの針またはカニューレの後退等の1つ以上の作用を作動させることによって送達を終結させ得る。
上述の実施形態は、位置決めピン961101がステータスリーダ961550と4回点毎に1回接触するように構成されているものの、これらの構成要素は、例えば、主歯車961102における大きいパススルー961102A及び小さいパススルー961102Bの分配を変動させることによって、任意の頻度の作動のために構成され得る。
さらに、位置決めピン961101は、暴走薬物送達シナリオを防止するときに追加の利点を提供するように構成され得る。図124A~124Bに示される実施形態において、位置決めピン961101は、主歯車961102が一度に1回転の増分でのみ回転するができるように構成されている。常時、第1の開口部961101F及び第2の開口部961101Gは整列していない(すなわち、それらはシャフトの円周の周りでオフセットされている)ため、第1のフランジ961101A及び第2のフランジ961101Bのうちの少なくとも1つは、主歯車961102の歯961102Cの移動経路にあることによって、主歯車961102の回転を防止するように位置付けられる。さらに、示される実施形態において、位置決めピン961101のフランジ961101A、961101Bは、主歯車の歯961102Cの移動経路に対して実質的に垂直に配向される。したがって、主歯車によって位置決めピンに加えられる力は、位置決めピン上にトルクを加えず、したがって、位置決めピン961101は、主歯車961102によって後方駆動され得ない。したがって、アクチュエータ96101が位置決めピン961101の回転を防止するために電力供給されていないときでさえも、主歯車961102の回転は位置決めピン961101によって制限されることになる。
駆動機構はまた、テザーの制限されていないアンスプールを可能にするように構成され得る。図124Cは、駆動機構のかかる構成を可能にし得る位置決めピン962101の実施形態を示す。示されるように、第1のフランジ962101Aの開口部962101Fは、第2のフランジ962101Bの開口部962101Gと円周方向に整列している。したがって、位置決めピン961101の回転に際して、主歯車961102の歯961102Cは、両方の開口部と整列している。これは、主歯車961102が位置決めピン962101によって制限されることなく自在に回転することを可能にする。結果として、偏倚部材96122は、テザーによって制限されることなく拡張することができる。その結果、薬物容器の実質的に全ての内容物が、偏倚部材の剛性及びシステムの空気圧/流体力学的抵抗によって制御された速度で一度に送達される。薬物送達デバイスが、上述のように計測された薬物プロファイルを長時間にわたって送達するように、または代替的に、単一のより短い用量で薬物を送達するように構成し得ることの多用途性は、いくつかの利点を提供する。具体的には、それは、デバイスが薬物送達デバイスのプラットフォームにわたって同様の構成要素を使用することを可能にし、それによって、構成要素及びアセンブリの価格の点でスケールメリットを提供する。
とりわけ、本開示の調節機構96500、961500、及びアクチュエータ96101は、薬物チャンバ9621からの流体物質の送達を駆動しない。薬物チャンバ9621からの流体物質の送達は、偏倚部材96122の、ピストン96110及びプランジャシール9660上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって引き起こされる。調節機構96500、961500は、代わりに、それらが偏倚部材96122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン96110及びプランジャシール9660の自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構96500、961500は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン96110及びプランジャシール9660の運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。好ましい実施形態によれば、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスは、偏倚部材96122によって軸方向に平行移動するように駆動されているピストン96110及びプランジャシール9660の軸方向平行移動を計るテザーに間接的または直接的に接続された調節機構を含む。調節機構によって制御される薬物送達の速度は、歯車アセンブリ96516の歯車比の選択;主/星形歯車96102の選択;ウィンチドラム96520Bの直径の選択;電気機械的アクチュエータ96101を使用して主/星形歯車96102、961102の回転速度を制御すること;または当業者に既知である任意の他の方法によって決定され得る。電気機械的アクチュエータ96101を使用して主/星形歯車96102、961102の回転速度を制御することによって、可変の用量速度を提供する(すなわち、薬物送達の速度が治療中に変動する)ように薬物送達デバイスを構成することが可能であり得る。
別の実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システムは、1つ以上の入力を受信して、ウィンチアセンブリ96520によるテザー96525の解放を計り、それによって、偏倚部材96122によるピストン96110の軸方向平行移動を許容して、プランジャシール9660をバレル9658内で平行移動させるように構成されている。1つ以上の入力は、作動機構、制御インターフェース、及び/または遠隔制御機構の起動によって提供され得る。電力・制御システムは、所望の薬物送達速度またはプロファイルを満たすために、使用者への送達のための用量体積を変えるために、かつ/または駆動機構の操作を別様に開始、停止、もしくは一時停止するために、1つ以上の入力を受信して、偏倚部材96122がその上に支えられているピストン96110の自在な軸方向平行移動上にテザー96525及びウィンチアセンブリ96520によってもたらされる制限を調整するように構成され得る。例えば、ポンプが適切に動作していないと電力・制御システムが判定した場合、電力・制御システムは、アクチュエータ96101の回転を終結させ得る。
作動時に、駆動機構96100の構成要素を用いて、薬物容器9650のプランジャシール9660の遠位方向への軸方向平行移動を駆動してもよい。任意選択で、駆動機構96100は、例えば、実質的に全薬物用量が標的に送達されたことを確実にするために、プランジャシール9660の追加の軸方向平行移動を可能にする1つ以上の遵守特徴を含み得る。例えば、プランジャシール9660自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。
本開示の新規の制御送達駆動機構は、任意選択で、ステータス表示を薬物用量送達内に一体化し得る。1つ以上のステータストリガ及び対応するステータスリーダの使用によって、使用者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、電力・制御システムに伝えられ得る。かかるフィードバックは、上述のように、触覚、視覚、及び/または聴覚によるものであってもよく、デバイスの使用中にフィードバックの1つ超の信号または種類が使用者に提供されるように重複してもよい。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。投薬終了表示は、ピストンがその軸方向平行移動の終了に達したことに結び付けられるため、駆動機構及び薬物送達デバイスは、真の投薬終了表示を使用者に提供する。
テザー96525は、ステータスリーダに接触することができるか、またはそれによって認識されることができる、電気的接触、光学的マーキング、または電気機械的ピンもしくは陥凹等の1つ以上のステータストリガを有し得る。少なくとも1つの実施形態において、いったんステータスリーダが、薬物容器9650のバレル9658内でのピストン96110及びプランジャ9660の軸方向移動の終わりにステータスリーダに接触することになるテザー96525上に位置付けられた最終ステータストリガに接触するか、またはそれを認識すると、投薬終了ステータス表示が使用者に提供され得る。ステータスリーダは、例えば、対応する電気接触に接触する電気スイッチリーダ、対応する光学的マーキングを認識する光学的リーダ、または対応するピン、穴、もしくはテザー上の同様の態様に接触するように構成された機械的もしくは電気機械的リーダであり得る。ステータストリガは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー96525に沿って位置付けられ得る。薬物送達デバイスが作動され、偏倚部材96122、ならびに結果としてピストン96110及びプランジャシール9660に加えられた力の解放によって薬物送達が開始されると、標的への薬物送達の速度またはプロファイルは、調節機構96500、歯車アセンブリ96516、及びウィンチアセンブリ96520によって制御され、テザー96525を解放し、偏倚部材96122の拡張、ならびにピストン96110及びプランジャシール9660の軸方向平行移動を許容する。これが生じると、テザー96525のステータストリガは、ステータスリーダによって接触または認識され、使用者にフィードバックを提供するために、操作前、操作中、及び操作後の駆動機構のステータスが、電力・制御システムに伝えられ得る。テザー96525上に位置するステータストリガの数に応じて、増分ステータス表示の頻度所望通りに変動され得る。上述のように、システムによって利用されるステータストリガに応じて、様々なステータスリーダを利用することができる。
好ましい実施形態において、ステータスリーダは、テザー96525に張力を加えてもよい。システムが投薬終了に達すると、テザー96525はたるみ、ステータスリーダ544は、支点の周りで回転することを許容される。この回転は、電気的または電気機械的スイッチ、例えばスイッチを動作させ、テザー96525におけるたるみについて電力・制御システムに信号伝達する。追加的に、歯車アセンブリの歯車は、センサと共にエンコーダとして作用し得る。センサ/エンコーダの組み合わせは、歯車アセンブリの回転のフィードバックを提供するために使用され、これは次いで、テザー96525にたるみがないときのピストン96110の位置に較正され得る。例えば、主歯車96102、961102の回転は、光学的センサによって監視されるように構成され得る。光学的センサの精度を向上させるために、反射表面コーティングが主歯車96102、961102の面の少なくとも一部分に塗布されてもよい。ステータスリーダ及びセンサ/エンコーダは併せて、センサ/エンコーダによってカウントされるモータ回転が予想される数に達する前にテザー96525または駆動機構の他の構成要素におけるたるみを観察することによって、位置フィードバック、投薬終了信号、及び閉塞等のエラー表示を提供し得る。
次に図111A~111E及び112A~112Dを参照すると、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御すること(それによって、原薬を可変の速度及び/または送達プロファイルで送達すること)に加え、本開示の駆動機構は、針挿入機構をトリガして、標的への薬物送達のための流体通路を提供する工程、及び滅菌流体通路を薬物容器に接続して、標的への送達のために薬物容器から針挿入機構への流体流を許容する工程を同時にまたは連続的に実施し得る。少なくとも1つの実施形態において、図111A~111E及び96112A~96112Dに示されるように、駆動機構96100のアクチュエータ96101による初期運動は、主/星形歯車96102を回転させる。主/星形歯車96102は、態様96102A及び96102B(図113を参照されたい)を有する複合歯車として示される。1つの様態において、主/星形歯車96102は、歯車アセンブリ96516を通して調節機構96500に運動を伝える。別の様態において、主/星形歯車96102は、歯車96112を通して針挿入機構96200に運動を伝える。主/星形歯車96102によって歯車96112が回転させられると、上に詳細に記載されるように、歯車96112は針挿入機構96200に係合して、流体通路接続子を標的の中へと始動させる。1つの特定の実施形態において、針挿入機構96200は、回転式針挿入機構である。したがって、歯車96112は、針挿入機構96200の対応する歯車表面96208に係合するように構成されている。歯車96112の回転は、駆動機構96100の歯車96112と針挿入機構96200の対応する歯車表面96208との間の歯車の相互作用を通して針挿入機構96200の回転を引き起こす。いったん針挿入機構96200の好適な回転、例えば、図111Dに示される軸「R」に沿った回転が生じると、上に詳細に記載されるように、針挿入機構が始動されて、標的への流体通路接続子を生み出す。
代替的な実施形態において、図115A~115Bに示されるように、歯車96112は、針挿入機構96200に間接的に係合して、流体通路接続子を標的の中へと始動させ得る。例えば、歯車96112は、針挿入機構96200と接触または遮断する制御アーム96202(図115A及び6Bにおいて見ることができる)の対応する歯車表面に係合するように構成され得る。歯車96112の回転は、制御アーム96202の移動を引き起こし、これは、針挿入機構96200の回転を始動または許容し得る。かかる針挿入機構は、図115A~115Bに示されるように、最初は付勢状態に保持されている、回転して偏倚された部材96210を含む。回転偏倚部材は、遮断態様96206等の、薬物送達デバイスの回転防止特徴との挿入機構の構成要素の接触によって付勢解除することを防止され得る。遮断態様96206の回転または平行移動は、制御アーム96202との接触によって最初に防止される。歯車96112の回転によって引き起こされる制御アーム96202の平行移動は、それが遮断態様96206の回転をもはや防止しないように制御アーム96202を位置付ける。デバイスの作動時、または別の入力時に、回転して偏倚された部材96210は、付勢解除することを少なくとも部分的に許容される。これは挿入機構の1つ以上の構成要素の回転を引き起こし、これは次いで、標的内への針の挿入を引き起こすか、またはそれを可能にする。さらに、カニューレは、上述のように標的内に挿入され得る。デバイスの制御アームまたは別の構成要素がテザー96525におけるたるみを認識したとき等の後の時点で、回転して偏倚された部材は、例えば制御アームとのさらなる相互作用によってさらに付勢解除され得、これは、挿入機構の1つ以上の構成要素の追加の回転を引き起こす。この回転は、針を標的から後退させるか、それを可能にし得る。針は、単一の工程で完全に後退してもよく、または複数の後退工程があってもよい。
図111A~111E及び112A~112Dに示されるように、この様態での針挿入機構96200の回転はまた、滅菌流体通路の薬物容器への接続をもたらして、標的への送達のための薬物容器から挿入機構への流体流を許容し得る。針挿入機構96200のランプ態様96222は、滅菌流体通路接続子96300の可動接続ハブ96322上に支えられるようにされる。駆動機構96100によって針挿入機構96200が回転させられると、針挿入機構96200のランプ機構96222は、滅菌流体通路接続子96300の可動接続ハブ96322に係合し、かつそれを平行移動させて、その内部の流体接続を容易にする。かかる平行移動は、例えば、図111Bに示される軸「C」に沿った中空矢印の方向に生じ得る。少なくとも1つの実施形態において、針挿入機構96200は、上に詳述されるように、回転軸「R」(図111Dに示される)上の特定の角度の回転が針/トロカールの後退を可能にするように構成され得る。加えてまたは代替的に、かかる針/トロカールの後退は、使用者の活動時または薬物送達デバイスの別の構成要素の移動もしくは機能時に生じるように構成され得る。少なくとも1つの実施形態において、針/トロカール後退は、例えば、上述のように、調節機構96500及び/またはステータスリーダのうちの1つ以上によってトリガされる、薬物送達の終了時に生じるように構成され得る。これらの操作段階の間、薬物チャンバ9621からの流体物質の送達は、偏倚部材96122の、ピストン96110及びプランジャシール9660上に作用されるその初期付勢状態からの拡張によって始動され、進行中であり、かつ/または完了され得る。上述のように、調節機構96500は、それらが偏倚部材96122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間に、ピストン96110及びプランジャシール9660の自在な運動に対して抵抗を提供するように機能する。調節機構96500は、送達を駆動せず、送達運動を制御するのみである。テザーは、ピストン96110及びプランジャシール9660の運動を限定するか、または別様に制限するが、送達のための力を加えない。これは、図111A~111E及び112A~112Dに示される構成要素の進行を通して見ることができる。図111A~111E及び112A~112Dの移行で示されるように、それらが偏倚部材96122のその初期付勢状態からの拡張によって押される間の、ピストン96110及びプランジャシール9660の自在な運動は、近位または第1の位置「P」から遠位または第2の位置「D」への軸「A」に沿った実線矢印(図2D)の方向で示される。
新規の駆動機構のさらなる態様は、図113及び114A~114Bを参照して記載される。図113は、少なくとも第1の実施形態による、その初期係止段階中の駆動機構の斜視図を示す。最初に、テザー96525は、偏倚部材96122をピストン96110内の最初の付勢位置で保持し得る。使用者によるデバイスの作動時に直接的または間接的に、駆動機構96100は、偏倚部材がピストン96110に、及びしたがってテザー96525に力を加えることを許容するために、作動し得る。テザー96525上のこの力は、ウィンチドラム96520B上にトルクを加え、これは、歯車アセンブリ96516及び調節機構96500に運動を開始させる。図114Aに示されるように、ピストン96110及び偏倚部材96122はいずれも、最初は、プランジャシール9660の後方で圧縮された付勢状態にある。偏倚部材96122は、駆動ハウジング96130の内部特徴とピストン96110のインターフェース表面96110Cとの間でデバイスが作動するまで、この状態に維持され得る。薬物送達デバイス9610が作動され、駆動機構96100が動作するようにトリガされると、偏倚部材96122は、遠位方向で(すなわち、図96111Dに示される実線矢印の方向で)軸方向に拡張(すなわち、圧縮解除)することが許容される。かかる拡張は、偏倚部材96122がインターフェース表面96110C及びピストン96110上に作用し、かつそれらを遠位に平行移動させ、それによって、プランジャシール9660を遠位に平行移動させて、薬物流体をバレル9658の薬物チャンバ9621から押し出すことを引き起こす。少なくとも1つの実施形態において、いったんステータスリーダが、薬物容器9650のバレル9658内でのピストン96110及びプランジャシール9660の軸方向移動の終わりに実質的に対応するようにテザー96525上に位置付けられたステータストリガに接触するか、またはそれを認識すると、投薬終了ステータス表示が使用者に提供され得る。ステータストリガは、使用者に増分ステータス表示を提供するために、ある特定の体積測定に対応する増分等の種々の増分でテザー96525に沿って位置付けられ得る。少なくとも1つの実施形態において、ステータスリーダは、テザー上の対応する光学的ステータストリガを認識するように構成された光学的ステータスリーダである。当業者には理解されようが、かかる光学的ステータストリガは、光学的ステータスリーダによって認識可能なマーキングであり得る。別の実施形態において、ステータスリーダは、対応するピン、穴、またはテザー上の同様の態様に接触するように構成された機械的または電気機械的リーダである。電気接触は、対応する電気的ステータスリーダに接触するか、または別様にそれによって認識されるステータスインジケータと同様にテザー上で利用され得る。ステータストリガは、薬物送達の開始及び終了、ならびに薬物送達中の所望の増分に対応する位置において読み取られるかまたは認識されるテザー96525に沿って位置付けられ得る。示されるように、テザー96525は、駆動機構ハウジング96130、偏倚部材96122を通って通過し、ピストン96110に接続して、ピストン及びそれに隣接して常在するプランジャシール9660の軸方向平行移動を制限する。
本開示の新規の実施形態は、ウィンチドラム96520Bの自在な回転、及び故に制御送達駆動機構96100の構成要素の軸方向平行移動を計り、制限し、または別様に防止するために利用され得る。したがって、調節機構96500は駆動機構の運動を制御するのみで、薬物送達のための力は加えない。圧縮ばね等の1つ以上の追加の偏倚部材96122を利用して、ピストン96110を駆動するか、またはその駆動を補助してもよい。例えば、圧縮ばねは、この目的で、駆動ハウジング96130内で利用され得る。調節機構96500は、かかる作用を制御するか、計るか、または調節するのみである。本開示の制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスは、加えて、実質的に全ての原薬が薬物チャンバ9621から押し出されたことを確実にするために、遵守による一押しを可能にする。プランジャシール9660自体は、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを許容するいくらかの圧縮性を有し得る。例えば、ポップアウト型プランジャシール、すなわち、初期状態から変形可能なプランジャシールが用いられる場合、プランジャシールは、変形または「ポップアウト」させられて、薬物容器からの薬物流体の遵守による一押しを提供し得る。加えてまたは代替的に、電力・制御システムへの接触、接続、または別様に伝送を可能にして、投薬終了を使用者に信号伝達するために、電気機械的ステータススイッチ及び相互接続アセンブリが利用され得る。この構成は、使用者への真の終了表示をさらに可能にする。
少なくとも1つの実施形態において、歯車アセンブリ96516の1つ以上の歯車の回転運動を読み取るかまたは認識することによって、増分ステータス表示が使用者に提供され得る。歯車アセンブリ96516が回転するにつれて、ステータスリーダは、歯車アセンブリにおける歯車のうちの1つの上の1つ以上の対応するステータストリガを読み取るかまたは認識して、可変速度制御送達駆動機構の操作前、操作中、及び操作後に、増分ステータス表示を提供し得る。いくつかのステータスリーダが、本開示の実施形態内で利用され得る。例えば、駆動機構は、歯車アセンブリの歯車のうちの1つの歯によって物理的に接触された機械的ステータスリーダを利用してもよい。この例示的な実施形態において歯車のうちの1つの歯(または、歯車上の穴、ピン、隆起、マーキング、電気接触等)であり得るステータストリガ(複数可)によってステータスリーダが接触されると、ステータスリーダは、歯車の回転位置を測定し、使用者へのステータス表示のために信号を電力・制御システムに伝送する。加えてまたは代替的に、駆動機構は、光学的ステータスリーダを利用してもよい。光学的ステータスリーダは、例えば、運動を認識し、電力・制御システムに信号を伝送することができる光ビームであり得る。例えば、駆動機構は、歯車アセンブリの歯車のうちの1つの歯(または、歯車上の穴、ピン、隆起、マーキング、電気接触等)の運動を認識するように構成された光学的ステータスリーダを利用してもよい。同様に、ステータスリーダは、歯車上の電気接触を認識するように構成された電気スイッチであり得る。これらの実施形態のいずれかにおいて、次いで信号を電力・制御システムに伝えて、使用者にフィードバックを提供するために、センサを利用してもよい。
当業者には理解されようが、光学的ステータスリーダ及び対応するトリガ、電気機械的ステータスリーダ及び対応するトリガ、ならびに/または機械的ステータスリーダ及び対応するトリガは全て、使用者に増分ステータス表示を提供するために本開示の実施形態によって利用され得る。本開示の駆動機構は、図面に示される歯車アセンブリ及び調節機構に関連して記載されているものの、当業者には容易に理解されるであろうが、様々な構成が許容可能であり、本開示の実施形態内で用いられることができる。したがって、本開示の実施形態は、制御送達駆動機構及び薬物送達ポンプ内で用いるためのかかる機構の例示的な実施形態として提供されている、本明細書に記載の特定の歯車アセンブリ及び調節機構に限定されない。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬品の送達プロファイルは、調整可能である。例えば、食事、運動、睡眠等のある特定の活動前、活動中、または活動後に、薬品のボーラス注射を送達することが望ましい場合がある。「ボーラス注射」は、多くの場合、送達時間または持続時間にかかわらず送達される任意の測定された薬物体積である。逆に、「基底注射」は、多くの場合、制御された送達速度、及び/または異なる時間間隔で様々な送達速度を有する送達プロファイルである。同様に、使用者は、これらの時間または他の時間で薬品の基底送達速度を増加または減少させることを望む場合がある。少なくとも1つの実施形態において、送達プロファイルは、この所望の薬物送達を達成するために使用者によって調整可能である。使用者は、薬物送達デバイス自体と相互作用することによって送達プロファイルを調整してもよく、または代替的に、そのためにスマートフォン等の外部デバイスを使用してもよい。例えば、使用者は、作動機構を変位させることによって送達プロファイルを調整してもよく、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させてもよい。
本開示の別の実施形態において、送達プロファイルは、1つ以上の入力に基づいて自動的に調整されてもよい。例えば、送達プロファイルは、活動レベル、心拍数、血糖値等に基づいて調整され得る。上記のように、これらの測定値を用いて、ボーラス注射、または基底注射送達速度の増加もしくは減少、または基底注射送達プロファイルの調整の必要性を判定することができる。少なくとも1つの実施形態において、これらの入力測定値は、デバイス自体によって監視され得る。追加的に、または代替的に、それらは、スマートフォン、スマートウォッチ、心拍数モニタ、グルコースモニタ、血圧モニタ等の二次デバイスによって監視されてもよい。いくつかの実施形態において、送達プロファイルは、使用者の介入を必要とせずにこれらの測定値に基づいて調整され得る。二次デバイスによる監視及び/または制御に場合、二次デバイス及び薬物送達デバイスは、互いに無線または有線通信し得る。この通信は、Bluetooth、近距離無線通信、Wi-Fi、またはデバイスの相互接続性に関する当業者に既知の任意の他の方法を通したものであり得る。
しかしながら、好ましい実施形態において、監視/調整機構は、使用者に対して警報を発し、かつ推奨を行う場合があり、使用者は、監視/調整機構による推奨を始動/許可するか、または無視する能動制御を有し得る。例えば、測定値のうちの1つ以上が指定の閾値より高いかまたは低い場合、デバイスは、可聴、可視、または触覚による警報を使用者に対して発する場合がある。一例において、警報は、デバイスの振動によって提供され、それによって、個別の警報を使用者に提供する。加えてまたは代替的に、警報は、使用者のスマートフォンまたは他の二次デバイスによって提供され得る。使用者は、コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースにおける測定値の現在のステータスを、デバイス自体、コンピュータ、スマートフォン、または他のデバイスの上で見ることができる場合がある。コンピュータプログラムまたはウェブインターフェースは、送達プロファイルへの推奨される調整を提供し得る。この情報に基づいて、使用者は、薬物送達デバイスの送達速度を調整することができる。上記のように、使用者は、作動機構を変位させるか、または別個のデバイス一体型もしくは外部の送達制御機構に係合させることによって、送達プロファイルを調整してもよい。
一実施形態において、使用者の入力または上記の測定値のいずれかに基づく送達プロファイルを調整する信号に応じて、電力・制御システムは、アクチュエータ96101の移動速度を変化させ得る。アクチュエータ96101の移動速度の変化は、調節機構96500、961500の回転速度を変化させ、これは次いで、標的への薬物送達速度を制御する。代替的に、送達プロファイルは、薬物容器及び挿入機構を接続する導管を通る薬品の流路の特性の変化によって変えることができる。この変化は、薬物容器から挿入機構への薬品の流れを制限する流れ制限部の導入、取り外し、または修正によって引き起こされ得る。例えば、流れ制限部は、流れ制限部の入力及び出力と流体連通して選択的に定置され得る複数の流路を有し得る。異なる長さまたは断面を有する流路を提供することによって、送達速度を制御することができる。他の実施形態において、送達プロファイルは、導管の衝突の導入または取り外しによって変えることができる。流路の衝突は、導管を通る薬品の流れを中断させるかまたは遅くすることができ、それによって、標的への送達速度を制御する。したがって、本開示の1つ以上の実施形態は、薬物容器からの薬品送達速度の変化を生み出し、それによって、駆動機構及び/または薬物送達デバイスの動的制御能力を提供することができる。
エネルギーを保存しながら薬物送達デバイスを急速にプライミングするために、薬物送達デバイスは、図130A~113に示されるもの等のプライミング機構を含み得る。プライミング機構96700は、アクチュエータ96101の回転を伴わずにテザーの巻き戻し及びピストンの変位を可能にし得る。ピストン96110のこの変位は、少なくとも2つの有益性を提供し得る。第1に、組み立て後にピストン96110とプランジャシール9660との間に存在する任意の間隙はすぐに閉鎖されてその2つを接触させ、その結果、それらは薬品の送達を開始する準備が整う。第2に、ピストン96110がプランジャシール9660と接触した後、ピストン96110の継続した平行移動は、プランジャシール9660のつり合った変位を引き起こすことになる。これは、プライミング機構を含むプライミング可能な薬物送達デバイスがプライミングされることを可能にし得る。流体通路接続子の作動及び薬物容器からの流路の開通に際し、プランジャシール9660の平行移動は、最初に流路接続子96300、流体導管9630、及び針挿入機構96200の中に存在する空気またはガスが吐き出されることを引き起こし得る。この空気またはガスは、標的への薬品の送達を開始させるために、薬物容器に収容された薬品によって置き換えられてもよい。
図130A~133に示される実施形態において、プライミング機構は、ウィンチギア961520及びウィンチドラム961522を含む。ウィンチドラム961522は、連結器96702、キャプスタン96704、及び巻取装置96706を含む。ウィンチギア961520は、歯車アセンブリを通して歯車インターフェースに回転式に連結されている。テザー961525は、キャプスタン96704の周りに巻き付き、巻取装置79606に係合している。結果として、ピストンによってテザーに加えられる張力は、キャプスタン96704にトルクが加えられることをもたらす。キャプスタン96704は、キャプスタン96704が連結器96702に移されるように連結器96702に位置決めされている。例証される実施形態において、キャプスタン96704の外部位置決めピン態様96704Aは、連結器96702の内部位置決めピン態様96702Aに係合して、1つの構成要素から別の構成要素へと回転を移す。一実施形態において、位置決めピン態様は、相補的な歯の形態である。したがって、テザー961525に力を加えることによって、図130Aにおける矢印の方向での回転力が連結器96702に加えられる。
ウィンチギア961520は、歯車アセンブリ96116を通してアクチュエータ96101に係合した、図131に示される平歯車インターフェース961520A等の歯車インターフェースを含む。ウィンチギア961520は、連結器96702が少なくとも部分的にその内部に配置されている中空961520Eをさらに含む。中空961520Eは、ランプ961520D及び停止部961520C等の、連結器96702の回転を制御するための特徴と共に構成されている。図132に示される連結器96702は、比較的可撓性であるように構成された1つ以上の延出部96702Bを含む。図130Aに示されるように、連結器96702は、最初は、延出部96702Bの角度をなした面96702Cがウィンチギア961520のランプ961520Dに隣接するか、またはそれと接触するように位置付けられる。角度をなした面96702Cとランプ961520Dとの間の接触は、ウィンチギア961520に対する連結器96702の不注意による回転を防止する。
薬物送達デバイス9610の1つ以上の構成要素は、最初は連結器96702の解放態様96702Dに係合している解放機構を形成する。この係合が最初に、連結器96702の回転を防止する。解放機構は、作動機構9614の押し下げ等の使用者の作用によって、連結器96702の回転を解放させられ得る。代替的に、回転機構は、電力・制御システム96400の作用によって、連結器96702の回転を許容させられ得る。解放機構の係脱時に、かつテザー96525によって加えられるトルクに応じて、連結器96702は、図130Bに示される位置まで回転する。この位置において、延出部96702Bは、停止部961520Cと接触する。この接触は、図130Aにおける矢印の方向でのウィンチギア961520に対する連結器96702のさらなる相対的回転を防止する。追加的に、延出部96702Bは、ウィンチギア961520のステップ961520Fに係合して、それによって、ウィンチギア961520に対する位置に連結器96702を係止してもよい。連結器96702及びウィンチギア961520が図130Bに示される構成にある状態で、連結器96702の任意のさらなる回転は、ウィンチギア961520のつり合った回転を伴わなければならない。ウィンチギア961520は、歯車アセンブリ96116を通してアクチュエータ96101に係合しているため、連結器96702の回転もまた、アクチュエータ96101によって制御される。このようにして、ピストン96110の平行移動速度及び薬品の送達速度は、アクチュエータ96101によって制御され得る。また、図130Aに示される位置から図130Bに示される位置へのピストン96110の初期平行移動及び連結器96702の回転は、アセンブリの耐久力を上げ、プライミング可能な薬物送達デバイスがアクチュエータの回転を伴わずにプライミングされることを可能にする。これは、プライミング可能な薬物送達デバイスが、動作のこの初期段階中にエネルギーを保存することを可能にする。
少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイス及びまたは駆動機構は、送達における故障の場合に、標的への薬品の流れを自動的に遅らせるかまたは終結させるための1つ以上の安全性機構を含む。これは、制御された物質の送達において有益な特徴であり得る。インスリン等のいくつかの物質は、多すぎる量で、または速すぎる送達速度で送達された場合、有害であり得るか、または致死的でさえあり得る。いわゆる「暴走」送達が生じないことを確実にするために、本明細書に記載の安全性機構を用いてもよい。例えば、動作中にテザーのたるみまたは不具合のがある場合に薬品の流れを終結させるかまたは制限するための手段が存在し得る。
一実施形態において、安全性機構は、図141A~141Bに示されるようなブレーキ機構である。ブレーキ9664、スリーブ9662、及びプラグ9668、ならびに任意選択で保持器9666がバレル9658内に配置されている。偏倚部材96122は、スリーブ9662に対して重みをかけている。テザー96525はプラグ9668に係合し、それによって、テザー96525がスリーブ9662の運動を制限することを可能にする。この制限は、偏倚部材96122の拡張または付勢解除の速度を制御する。テザー96525が張力下にあるとき、プラグ9668は、ブレーキ9664の遠位面9664Aに重みをかけ、ブレーキ9664の近位面9664Bに、スリーブ9662に対して重みをかけさせる。この接触、及びスリーブ9662の遠位端9662Aのプロファイルに起因して、ブレーキ9664は、図141Aに示されるように実質的に円錐状の構成に維持される。この構成において、偏倚部材96122の拡張または付勢解除はテザーによって制限されている。また、この円錐状の構成において、ブレーキ9664の外径は、バレル9658の内径よりも小さく、故に、ブレーキの平行移動は、薬物容器の内壁との接触によって制限されない。これは、ブレーキが、バレルの内壁との制動接触のために不十分な位置にあることを許容する。制動接触は、偏倚部材のさらなる付勢解除を制限または防止するのに十分な接触であり、ブレーキとバレルの内壁との完全な接触を必ずしも必要としない。同様に、ブレーキは、バレルの内壁と制動接触していない初期状態に保持され得るが、バレルの内壁との接触していないことを必ずしも必要としない。少なくとも1つの実施形態において、ブレーキがブレーキ機構の作動前に偏倚部材のさらなる付勢解除を実質的に制限または防止しない限り、例えば、ブレーキをバレル内で中心に置くために、ブレーキとバレルの内壁との間のいくらかの接触が、ブレーキ機構の作動前に所望される場合がある。また、ブレーキ9664の一部分は、保持器9666と接触している。ブレーキ9664は、プラグ9668及びスリーブ9662によってこの構成に維持されるため、偏倚部材96122の圧縮解除によって引き起こされるスリーブ9662の平行移動は、保持器9666に移送される。同様に、保持器9666のプランジャシール9660との接触は、プランジャシール9660の平行移動を引き起こす。
図141Bに示されるように、テザー96525のたるみまたは不具合がある場合、プラグ9668は、テザー59625によってもはや所定の位置に保持されず、及びしたがって、スリーブ9662の運動をもはや制限しない。偏倚部材96122が圧縮解除または付勢解除すると、ブレーキ9664は、相対的により円錐状ではないか、またはより平らな構成に変形する。これは、この構成に変形するためのブレーキ9664の自然な偏倚によって引き起こされ得るか、または代替的に、保持器9666及びスリーブ9662の両方とのブレーキ9664の接触によって引き起こされ得る。ブレーキが変形すると、それはバレル9658の内壁と接触するようになる。故に、ブレーキは、スリーブ9662の平行移動を制限するためのくさびとして作用する。これは、さらなる平行移動を防止し得るか、または平行移動の速度を制限するように作用し得る。任意選択で、テザーにおける張力の回復は、プラグがブレーキと接触し、かつブレーキをその円錐状の構成に戻すように変形させることを引き起こし、及び故に、薬物送達デバイスの通常の動作を回復させる。
図141A~141Bは、球形を有するプラグ及び円錐形を有するブレーキを示す。かかる形状は、本明細書において単に例示目的で使用されているにすぎず、同じかまたは同様の機能を達成するために他の形状または構成が容易に利用される。例えば、プラグは、それ自体が円錐状の形状であってもよく、一実施形態において、ブレーキが円錐形状である場合に、ブレーキとインターフェース接続するような形状をなしてもよい。かかる構成において、プラグの円錐形状は、ブレーキの円錐形状を維持することを補助し、それによって、スリーブ9662の軸平衡平行移動を制限するために、ブレーキの外径とバレルの内径との間の接触を防止する(すなわち、ブレーキ力を加える)。別の実施形態において、ブレーキ9664は、バレル9658の内径と接触して、スリーブ9662のさらなる軸方向平行移動を防止または制限するように、実質的に平坦化した位置にあるときに星形状または他の構成を用いることができる。スリーブ9662のさらなる平行移動がないと、偏倚部材96122は、さらに拡張または付勢解除することができず、これは次いで、標的へのさらなる薬物送達を防止または制限する。これは、標的への薬物の過剰送達または加速した送達を防止するように、薬物送達のための安全処置を提供する。
図134A~136Bに示される別の実施形態において、安全性機構はプランジャシール穿通機構961000であり得、バレル9658または駆動ハウジング961130内に少なくとも部分的に位置付けられ得る。プランジャシール穿通機構961000は、1つ以上の安全性穿通部材961072、ハブ961074、ピストン961110、及び安全性偏倚部材961078を含み得る。ピストンは加えて、テザー961525がその内部を通過し得る開口部961110A及び内部チャンバ961110Bを有し得、プランジャシール穿通機構961000の1つ以上の構成要素が配置される得る。ピストンは加えて、安全性基部961076に係合してもよい。基部961076は、テザー961525がその内部を通過し得る中央開口部961076Aと、1つ以上の穿通部材961072がその中に配置され得る1つ以上の周辺開口部961076Bとを含み得る。1つ以上の安全性穿通部材961072は、例えば、ステンレス鋼針等の中空針であり得る。代替的に、穿通部材961072は、中実トロカールであってもよい。それらはまた、熱可塑性または熱硬化性ポリマー等の任意の他の材料で構築されてもよい。1つ以上の穿通部材961072は、プランジャシール961060の穿通の精度を高めるために面取りされた端部を有し、かつ材料がその内部を通過し得る管腔961072Bを有し得る。1つ以上の穿通部材961072は、カシメ、圧入、及び接着剤等の当業者に既知である任意の手段によってハブ961074に接続されてもよい。代替的に、穿通部材は、ハブの一体的に形成された部分であってもよい。近位のプラグ961070及び遠位のプラグ961068は、プラグがテザー961525の長さに沿って所定の位置に固定されるように、テザー961525に固定的に係合し得る。プラグ961068、961070は、例えば、ボールケーブル嵌めであってもよい。代替的に、それらは、テザー961525の一体的特徴であり得る。プランジャシール961060は、1つ以上の穿通部材961072の遠位端961072Aがその中に最初に配置されている空洞961060Aを含み得る。
最初の構成において、図134A~134Bに示されるように、安全性偏倚部材961078は、肩961074A等のハブ961074の一部分とピストン961110の内面961110Cとの間でテザー961525における張力によって圧縮状態または付勢状態に保持されている。示される実施形態において、テザー961525の張力は、ハブ961074の空洞961074B内に配置された近位プラグ961070によって、ハブ961074の運動を制限する。安全性偏倚部材961078の剛性は、通常の操作中に、テザー961525における張力が、安全性偏倚部材961078の圧縮解除を防止するのに十分であるようなものである。したがって、通常の操作中、ハブ961074及び1つ以上の穿通部材961072は、ピストン961110に対して平行移動しない。駆動機構の不具合または故障の不在下では、張力はテザー961525において維持され、安全性偏倚部材961078は、薬物送達過程にわたって圧縮解除することを防止されることになる。遠位プラグ961068は、安全性機構基部961076の少なくとも一部分に対して遠位に位置付けられ得る。したがって、テザー961525の張力は、遠位プラグ961068及び近位プラグ961070の両方によって、プランジャシール穿通機構961000に移される。ピストン961110は、プランジャシール961060と駆動偏倚部材96122との間に配置されたフランジ961110Dを含み得る。代替的に、駆動偏倚部材96122は、安全性機構基部961076に作用し得る。駆動偏倚部材96122の運動は、ピストン961110のフランジ961110D及び/または安全性機構基部961076を通してプランジャシール961060に伝えられる。これはまた、駆動偏倚部材96122の圧縮解除及びプランジャシール961060の平行移動がテザー961525によって制限されることを可能にする。図135A~135Bは、プランジャシール961060がバレル9658内で遠位に平行移動した、部分的に圧縮解除された状態にある駆動偏倚部材96122を示す。
駆動機構または調節機構の不具合、及びテザーにおける結果的な張力の低減が起きた場合、安全性偏倚部材961078は、圧縮解除または付勢解除することができる。図136A~136Bに示されるように、安全性偏倚部材961078のこの圧縮解除は、ハブ961074及び1つ以上の穿通部材961072を、ピストン961110に対して遠位方向に平行移動させる。結果として、1つ以上の穿通部材961072の遠位端961072Aは、プランジャシール961060を穿通する。プランジャシール961060の穿通に際して、薬物チャンバ9621から、1つ以上の穿通部材961072を通るかまたはその周りで、そしてピストン961110、バレル9658の近位部分、または薬物送達デバイス9610の別の態様の中への流体通路が作り出される。1つ以上の穿通部材961072を通るかまたはその周りの流体通路は、滅菌流体通路接続子96300を通る流体通路よりも低い圧力を有する(すなわち、より低い抵抗を有する流路である)ため、バレル9658の遠位端に向かうプランジャシール961060の継続した平行移動は、流体薬物が1つ以上の穿通部材961072を通ってまたはその周りを移動することをもたらすことになる。故に、滅菌流体通路接続子96300を通って送達され、かつ標的に送達される薬物の体積は、低減されるかまたは終結されることになる。このようにして、安全性機構961000は、暴走流体送達シナリオの危険性を低減または除去し得、それによって、デバイスの安全性を高めることができる。
上述のように、テザー961525は、ピストン961110の平行移動を1つ以上の位置で直接的または間接的に制限し得る。例えば、図134A~136Bに示される実施形態において、テザー961525は、遠位プラグ961068及び近位プラグ961070においてピストン961110の平行移動を制限し得、遠位プラグ961068及び近位プラグ961070は、テザー961525の中間部分961525Aによって分離されている。これは、追加の重複安全性機構を提供し得る。例えば、遠位プラグ961068またはテザー961525の中間部分961525Aにおいて不具合が生じた場合、駆動偏倚部材96122の圧縮解除の速度は、近位プラグ961070におけるテザー961525のピストン961110との係合に起因して制限され続けることになる。近位プラグ961070の近位での駆動機構またはテザー961525の不具合は、安全性偏倚部材961078の圧縮解除、1つ以上の穿通部材961072によるプランジャシール961060の穿通、及び上述のように標的への薬物流体の流れの制限または低減をもたらすことになる。中間部分961525Aは、テザー961525の一体部分であってもよく、またはテザー961525に直接的または間接的に連結した別個の構成要素であってもよい。
通常の操作中、プランジャシール穿通機構961000の構成要素は、薬物と接触しない。追加的に、プランジャシール穿通機構961000が作動した場合、1つ以上の穿通部材961072を通ってまたはその周りを通過する流体は、標的に送達されない。したがって、所望の場合はそれらは滅菌のために構成され得るが、プランジャシール穿通機構961000の構成要素は滅菌を必要としない。
プランジャシール穿通機構の製造方法は、ピストン961110の開口部961110Aを通してテザー961525を通過させる工程と、1つ以上の穿通部材961072をハブ961074に貼着する工程と、ピストン961110の内部近位面961110Cに対して安全性偏倚部材961078を位置付ける工程と、ハブ196074の開口部961074Bを通してテザー961525を通過させる工程と、近位プラグ961070をテザー961525に固定させる工程と、安全性基部961076の中央開口部961076Aを通してテザー961525を通過させる工程と、遠位プラグ961068をテザー961525に固定させる工程と、のうちの1つ以上を含む。
図137A~137Bに示される別の実施形態において、安全性機構は、プランジャシール変位機構962000である。変位機構は、ピストン962110、ばね保持器962074、スリーブ962084、安全性偏倚部材962078、プラグ962068、及び1つ以上の移送要素962082を含む。プラグ962068は、テザー962525に固定的に係合し得る。さらに、プラグ962068は、プラグ962068がスリーブ962084の遠位の変位を制限するように、スリーブ962084の少なくとも一部分に対して遠位に位置付けられ得る。例えば、プラグ962068は、スリーブ962084の陥凹962084B内に配置され得る(図140に示される)。安全性偏倚部材962078は、ピストン962110とスリーブ962084との間に位置付けられ、最初に、スリーブ962084の変異の制限に起因する圧縮解除及び/または不正解除を防止されている。最初の位置において、移送要素962082は、ピストンの開口部962110A内に配置され、スリーブ962084との接触によってその位置に保持されている。移送要素962082はまた、接触表面962074A等の、ばね保持器962074の一部分と接触しており、それによって、ピストン962110に対するばね保持器962074の平行移動を防止する。したがって、駆動偏倚部材122によってばね保持器962074に加えられた力は、移送要素962082を通してピストン962110へ、かつピストン962110からプランジャシール962060へと移送される。ばね保持器962074の接触表面2074Aは、それが、少なくとも部分的に内側の径方向に移送要素2082に力を加えるように角度をなしてもよい。
駆動機構またはテザーの不具合または故障に際し、安全性偏倚部材962078は、テザーにおける張力による圧縮解除をもはや制限されなくなる。安全性偏倚部材962078の圧縮解除は、スリーブ962084を、ピストン962110に対して遠位方向に平行移動させる。スリーブ962084が平行移動するにつれて、スリーブ962084の受容スロット962084Aは、移送要素962082と整列するようになる。そのように整列すると、ばね保持器962074によって移送要素962082に加えられた力は、移送要素962082を受容スロット962084A内に落下させる。この位置において、移送要素962082は、ピストン962110に対するばね保持器962074の軸方向の遠位平行移動をもはや防止しない。そのため、かつ駆動偏倚部材96122の継続した圧縮解除に応じて、ばね保持器962074は、ピストン962110に対して遠位に平行移動し、ばね保持器962074の先端部962074Bをプランジャシール2060と接触させる。
ばね保持器962074は、任意の数の先端部962074Bを含み得、好ましくは、2つまたは3つの先端部を含む。先端部962074Bは、ばね保持器962074の円周の周りに均等に間隔を空けていてもよく、または代替的に、不均等に間隔を空けていてもよい。図138~139に示されるように、先端部962074Bは、傾斜した表面を含み得る。傾斜した表面とプランジャシール962060との接触は、プランジャシール962060の内向きに径方向の変位を引き起こし得る。プランジャシール962060のこの変位は、バレル9658との接触の少なくとも部分的な喪失を引き起こし得、バレルの内容物がシール962060を過ぎて、かつバレル9658の近位部分内へと流れさせる。プランジャシール962060の継続した遠位平行移動は、これが滅菌流体通路接続子96300を通る流路よりも抵抗が少ない流路であることに起因して、バレルの内容物がシールを過ぎて流れることをもたらすことになる。ばね保持器962074の先端部962074Bは、プランジャシール962060を過ぎる流体の流れを促進するスロットまたはスカラップ等のバイパス特徴962074Cを含み得る。
別の実施形態において、ばね保持器962074は、接触時にプランジャシール962060をバレル内で歪めさせる(すなわち、プランジャシールの中心軸がバレルの中心軸と平行でないようにさせる)ように構成されている。これは、バレル9658の内容物がプランジャシール962060を過ぎて流れることを可能にし、標的へのさらなる送達を制限または除去する。プランジャシール962060の歪みを引き起こすために、ばね保持器962074は、例えば、単一の先端部962074Bのみを有することによって、それがプランジャシール962060に不均等に圧力を加えるように構成され得る。
薬物容器の内容物が速すぎる速度で送達されないことを確実にするために、安全性機構の他の形態を用いてもよい。例えば、流体通路接続子は、流体通路内の圧力上昇に応じて開く圧逃し弁または「吹出し」弁を含み得る。この圧力上昇は、プランジャシールが速すぎる速度で平行移動することによって引き起こされ得る。弁が開いた位置にある状態で、標的への薬物流体の送達は、終結または低減され得る。
制御送達駆動機構96100、薬物送達ポンプ9610、または個々の構成要素のいずれかの組み立て及び/または製造は、当該技術分野で既知のいくつかの材料及び手法を利用してもよい。例えば、イソプロピルアルコール及びヘキサン等のいくつかの既知の清掃流体を用いて、構成要素及び/またはデバイスを清浄してもよい。いくつかの既知の接着剤または糊も同様に製造過程で用いられてもよい。追加的に、既知のシリコン処理及び/または潤滑流体及び処理が、新規の構成要素及びデバイスの製造中に用いられ得る。さらに、既知の滅菌過程が、最終製品の滅菌性を保証するために製造または組み立て段階のうちの1つ以上で用いられ得る。
駆動機構は、いくつかの手法で組み立てられ得る。1つの組み立て方法において、薬物容器9650は最初に組み立てられ、標的への送達用の流体で充填され得る。薬物容器9650は、キャップ9652、穿通可能なシール9656、バレル9658、及びプランジャシール9660を含む。穿通可能なシール9656は、バレル9658の遠位端において、キャップ9652とバレル9658との間に固定的に係合され得る。バレル9658は、バレル9658の近位端からのプランジャシール9660の挿入前に、開口近位端を通して薬物流体で充填されてもよい。任意選択的な接続マウント9654は、穿通可能なシール9656の遠位端に据え付けられ得る。接続マウント9654は、薬物容器9650のバレル9658内への流体通路接続子の穿通部材の挿入をガイドし得る。薬物容器9650は、その後、駆動ハウジング96130の遠位端に据え付けられ得る。
1つ以上の駆動偏倚部材96122は、駆動ハウジング96130の遠位端内に挿入され得る。任意選択で、被覆スリーブは、偏倚部材96122を実質的に被覆するために、駆動ハウジング96130の遠位端内に挿入され得る。ピストンは、それが少なくとも部分的に偏倚部材96122の軸方向パススルー内に常在し、かつ偏倚部材96122が、偏倚部材96122の遠位端においてピストン96110のピストンインターフェース表面96110Cと接触することを許容されるように、駆動ハウジング96130の遠位端内に挿入され得る。偏倚部材96122を封入し、ピストン96110のピストンインターフェース表面96110Cと接触するために、任意選択的な被覆スリーブを利用してもよい。ピストン96110及び駆動偏倚部材96122、ならびに任意選択的な被覆スリーブは、駆動ハウジング96130内に圧縮され得る。かかる組み立ては、駆動偏倚部材96122を最初の圧縮された付勢状態に位置付け、かつ好ましくは、バレル9658の近位端内でプランジャシール9660の近位表面と接触してピストンインターフェース表面96110Cを定置する。ピストン、ピストン偏倚部材、接触スリーブ、及び任意選択的な構成要素は、薬物容器9650の取り付けまたは据え付け前に、駆動ハウジング96130内で圧縮され、起動準備完了状態に係止され得る。テザー96525は、ピストン96110に予め接続され、偏倚部材96122及び駆動機構96130の軸方向開口部に通され、その後、テザー96525の他の端部が調節機構96500のウィンチドラム96520Bに巻き付けられた状態で、薬物送達デバイスの内部に巻き付けられる。
流体通路接続子、及び具体的には流体通路接続子の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップ及び/または穿通可能なシールに接続され得る。流体導管は、流体通路が、開放、接続、または別様に有効化されているときに、使用者の身体内への薬物送達のために薬物容器、流体通路接続子、流体導管、挿入機構から、かつカニューレを通って直接移動するように、それ自体が挿入機構に接続されている流体通路接続子の他の端部に接続され得る。流体流のための通路を構成する構成要素が次に組み立てられる。これらの構成要素は、図110Bに示されるように、いくつかの既知の方法によって滅菌され、その後、固定的にまたは着脱自在に薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォーム9620またはハウジング9612に据え付けられ得る。
本開示の幅及び範囲内に留まりながら、駆動機構96100または薬物送達デバイス9610のある特定の任意選択的な標準的な構成要素または変形形態が企図される。例えば、実施形態は、本開示のモータまたはソレノイド、駆動機構、及び薬物送達デバイスに電力供給するために利用される1つ以上の電池を含み得る。当該技術分野で既知の様々な電池がこの目的で利用され得る。追加的に、上部または下部ハウジングは、使用者が薬物送達デバイス9610の動作を見るか、または薬物用量が完了したことを検証することを可能にするために、任意選択で1つ以上の透明または半透明窓9618を含み得る。同様に、薬物送達デバイス9610は、接着パッチ及びパッチライナーをハウジング9612の底部表面上に含み得る。接着パッチは、薬物送達デバイス9610を薬物用量の送達のために標的に接着するために利用され得る。当業者には容易に理解されようが、接着パッチは、標的への薬物送達デバイスの接着のための接着面を有し得る。接着パッチは、最初は、非接着パッチライナーによって被覆されていてもよく、これは、標的と接触した薬物送達デバイス9610の定置の前に接着パッチから取り外される。パッチライナーの取り外しはさらに、挿入機構96200の封止膜96254を取り外し、薬物送達のために標的に対して挿入機構を開放する。
同様に、制御送達駆動機構96100及び薬物送達デバイス9610の構成要素のうちの1つ以上は、機能的に本開示の幅及び範囲内に留まりながら修正され得る。例えば、上述のように、薬物送達デバイス9610のハウジングは、上部ハウジング9612A及び下部ハウジング9612Bの2つの別個の構成要素として示されているが、これらの構成要素は、単一の統合された構成要素であってもよい。上記で考察したように、糊、接着剤、もしくは他の既知の材料、または方法を利用して、制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素を互いに貼着してもよい。代替的に、制御送達駆動機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素は、統合された構成要素であり得る。例えば、上部ハウジング及び下部ハウジングは、糊または接着剤、ねじ嵌め接続、締まり嵌め、融着接合、溶接、超音波溶接等によって一緒に貼着された別個の構成要素であってもよく、または上部ハウジング及び下部ハウジングは、単一の統合された構成要素であってもよい。かかる標準的な構成要素及び機能的変形形態は当業者には理解され得、したがって、本開示の幅及び範囲内である。
上記の説明から、本明細書に開示される制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスが、薬物容器からの自動化薬物送達のために効率的かつ容易に操作されるシステムを提供することが理解されよう。本明細書に記載の新規の実施形態は、原薬の制御された送達のための駆動機構、及びかかる制御送達駆動機構を組み込む薬物送達ポンプを提供する。本開示の駆動機構は、原薬を薬物容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自在な軸方向の平行移動を計るか、抵抗を提供するか、または別様に防止することによって、薬物送達の速度を制御し、したがって、可変の速度及び/または送達プロファイルで原薬を送達することができる。追加的に、本開示の駆動機構は、薬物送達の前、その間、及びその後に、使用者にフィードバックを提供する一体型のステータス表示特徴を提供し得る。例えば、使用者は、システムが操作可能であり、薬物送達ができる状態であることを特定する初期フィードバックを提供され得る。作動時に、システムは次いで、1つ以上の薬物送達ステータス表示を使用者に提供し得る。薬物送達の完了時に、駆動機構及び薬物送達デバイスは、投薬終了表示を提供し得る。本開示の新規の制御送達駆動機構は、使用者によって直接的または間接的に作動され得る。さらに、本開示の制御送達駆動機構及び薬物送達デバイスの新規の構成は、貯蔵中、輸送中、及びデバイスの操作を通して、流体通路の滅菌状態を維持する。薬物流体がデバイス内で移動する通路が完全に滅菌状態で維持されるため、これらの構成要素は、製造過程中に滅菌される必要があるのみである。かかる構成要素には、駆動機構の薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構が含まれる。本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システム、アセンブリプラットフォーム、制御アーム、作動機構、ハウジング、及び他の構成要素は、滅菌される必要がない。これは、デバイスの製造性を大幅に改善し、関連する組み立て費用を低減する。したがって、本開示のデバイスは、組み立ての完了時に最終滅菌を必要としない。さらに、本開示の実施形態は、最終滅菌を必要とするデバイスには好適でない方法でのデバイスアーキテクチャ及び/または構成要素の一体化を許容する。例えば、デバイス全体の滅菌が必要な場合、デバイスアーキテクチャはしばしば、滅菌ガスまたは材料が標的表面に有効に到達するのを可能にするために、構成要素の十分な間隔を必要とする。最終滅菌の必要性を除去することで、それらの間隔の低減または排除が可能となり、最終滅菌を必要とするデバイスでは利用可能でない、より小さい全体の寸法、人的要因有益性、及び/または工業デザイン選択肢を提示するデバイスアーキテクチャを実現する。
薬物送達デバイスの製造は、制御送達駆動機構及び薬物容器の両方を、別個にまたは組み合わせた構成要素として、薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付ける工程を含む。製造方法は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングへの流体通路接続子、薬物容器、及び挿入機構の取り付けをさらに含む。電力・制御システム、作動機構、及び制御アームを含めた、上述の薬物送達デバイスの追加の構成要素は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付けられるか、予備形成されるか、または予め組み立てられ得る。接着パッチ及びパッチライナーは、デバイスの動作中に使用者と接触する薬物送達デバイスのハウジング表面に取り付けられ得る。薬物送達デバイスの組み立て方法は、プランジャシール穿通機構等の安全性機構を少なくとも部分的にバレル内に、かつプランジャシールに隣接するかまたは接触して位置付けることをさらに含み得る。
薬物送達デバイスを操作する方法は、使用者によって作動機構を作動させる工程と、制御アームを変位させて挿入機構を起動する工程と、電力・制御システムを起動して制御送達駆動機構を作動させて、制御された速度または薬物送達プロファイルに従って薬物送達デバイスを通る流体薬物流を駆動する工程と、を含む。本方法は、作動機構を作動させる前に任意選択的なオンボディセンサを係合させる工程をさらに含み得る。本方法は、同様に、流体通路接続子と薬物容器との間の接続を確立する工程を含み得る。さらに、操作方法は、薬物容器内でピストン上に作用する偏倚部材の拡張によって制御送達駆動機構内でプランジャシールを平行移動させて、標的への流体薬物の送達のために薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構に流体薬物流を押し通すことを含み得、テザーの分配を制限するように作用する調節機構は、ピストンの自在な軸方向平行移動を計るために利用される。駆動機構及び薬物送達デバイスの操作方法は、上述のように、図111A~111E及び図112A~112Dを参照してより良好に理解され得る。
XIX.挿入機構
少なくとも図1A~2B、33A~33C、69A~75B、80A~85C、86A~91、92A~99、100A~109B、及び110A~141Bに関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図142A~152に関連して以下に記載される挿入機構の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図142A~152に関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の挿入機構200、90200、92200、93200、94200、95200、もしくは96200、または本明細書に記載の任意の他の挿入機構を置き換えてもよい。
一実施形態において、挿入機構6200は、図142A及び142Bの分解図に示されるように、1つ以上の延出アーム6202A、基部6252、及び滅菌ブーツ6250を有する挿入機構ハウジング6202を含む。基部6252は、挿入機構を薬物送達デバイス6010(図2Bに示されるように)または薬物送達デバイス6010内に一体化するために、アセンブリプラットフォーム6020に接続され得る。アセンブリプラットフォーム6020への基部6252の接続は、例えば、基部の底部がアセンブリプラットフォーム内の穴を通過することが許容されて、患者の身体への基部の直接的な接触を許容するようなものであり得る。かかる構成において、基部6252の底部は、少なくとも一実施形態において、薬物送達デバイス6010または薬物送達デバイス6010の使用前に取り外し可能な封止膜6254を含み得る。代替的に、封止膜6254は、薬物送達デバイス6010または薬物送達デバイス6010の動作中に針6214が封止膜6254を穿通するように、基部6252の底部に取り付けられたままであってもよい。図142A及び142Bに示されるように、挿入機構6200は、回転偏倚部材6210、針ハブ6212、針6214、後退偏倚部材6216、スリーブ6220、及び導管6218をさらに含み得る。導管6218は、滅菌流体導管30または滅菌アクセス接続300に接続して、本明細書においてさらに詳細に記載されるように、薬物送達中に、導管6218、針6214を通り、かつ患者の身体への流体流を許容し得る。
本明細書で使用されるとき、「針」は、剛性中空針等の従来の中空針を含むがこれらに限定されない様々な針を指すことを意図する。組み立て時に、針6214の近位端は、ハブ6212と固定接触して維持され、針6214の残りの部分は、好ましくは、滅菌ブーツ6250内に位置する。針6214はさらに、基部開口部6252Eを通過し得る。
滅菌ブーツ6250は、近位端においてハブ6212と、かつ遠位端においてスリーブ6220及び/または基部6252と固定係合している折り畳み式または圧縮式滅菌膜である。「滅菌ブーツ」という用語は、滅菌状態において、1つ以上の操作段階である特定の内部構成要素がその内部に常在し得るブーツを説明するために使用される。ブーツは、機構または薬物送達デバイスの全操作中に滅菌でなくてもよく、実際、ある特定の構成要素の組み立て及び滅菌が生じるまで、最初は滅菌でなくてもよい。追加的に、「ブーツ」という用語は、任意の特定の形状または構成を意味することを意図せず、1つ以上の操作段階で他の構成要素がその内部に常在し得る内部空間を提供することができる構成要素を説明するために利用される。少なくとも一実施形態において、滅菌ブーツ6250は、基部6252とスリーブ6220との間で遠位端における固定係合に維持される。他の実施形態において、滅菌ブーツ6250は、基部6252と挿入機構ハウジング6202との間で遠位端における固定係合に維持される。基部6252は、以下にさらに記載されるように、挿入機構の動作中にそれを通って針が通り得る基部開口部6252Eを含む。針の滅菌性は、挿入機構の滅菌部分内でのその初期位置付けによって維持される。具体的には、上述のように、針6214は、滅菌ブーツ6250の滅菌環境において維持される。基部6252の基部開口部6252Eは、例えば封止膜6254によって、非滅菌環境からも閉鎖され得る。
図143A~143B及び60~62は、少なくとも第1の実施形態による挿入機構の構成要素をより詳細に示す。図59A~59Bに示されるように、挿入機構ハウジング6202は、初期構成において導管6218、ハブ6212、針6214、スリーブ6220、後退偏倚部材6216、及び滅菌ブーツ6250がその内部に実質的に配置されている内部チャンバを有する、実質的に円筒状の構成要素であり得る。ガイド表面6204(図143Bにおいて最も良好に見られる)は、ハウジング6202の内面上に位置し、ハブ6212の延出アーム6212Aと相互作用するように構成されている。これ以降でさらに詳述されるように、ハウジング6202の回転は、ガイド表面6204とハブ6212の延出アーム6212Aとの相互作用によってハブ6212の軸方向の運動に移される。
ハウジング6202に回転運動をもたらすために、ハウジング6202は、回転偏倚部材6210との相互作用のために配置された1つ以上の係合表面6202Bをさらに含み得る。例証される実施形態において、ハウジング6202には、回転偏倚部材6210の近位端に係合するように構成された1つ以上の突出部202Aが提供される。突出部6202Aは、回転偏倚部材6210の近位端がその中に配置され得る陥凹の形態で係合表面202Bを形成し得る。このようにして、回転偏倚部材6210の巻き戻し及び/または付勢解除は、軸Aの周りでのハウジング6202の回転を引き起こす。
例証される実施形態は、突出部6202Aに係合する回転偏倚部材を示すものの、ハウジング6202及び回転偏倚部材6210の回転は、任意の方法で連結され得る。例えば、回転偏倚部材6210は、ハウジング6202におけるスロット、開口部、または穴に係合してもよい。例証される実施形態にあるように、回転偏倚部材6210は、実質的に同心円状の関係でハウジング6202の外側に位置してもよい。回転偏倚部材6210の遠位端の動きが制限されるように、回転偏倚部材の遠位端は、基部6252または薬物送達デバイスの6010別の軸方向の静止特徴に係合し得る。
追加的に、突出部6202A、またはハウジング6202の別の特徴はさらに、ハウジング6202の回転中に滅菌アクセス接続と接触してもよい。穿通可能なシールの穿通を始動させ、それによって、薬物容器の内容物が導管を通って流れることを可能にするために、ハウジング6202の回転と併せてこの接触を用いてもよい。
図144に見られるハブ6212は、上述のように延出アーム6212Aを含む。それは、導管6218の一部分を受容するように構成された開口部6212Bをさらに含む。開口部6212Bは、患者への流体薬物の送達のために、導管6218が針6214と流体連通することを可能にする。針6214は、付着、圧入、または当業者に既知である他の手段によってハブ6212に強固に係合している。
図145により詳細に示されるハブ6212の中心体部分6212Cは、スリーブ6220内で軸方向に平行移動するように配置されている。スリーブ6220に対するハブ6212の軸方向の動きを制御するために、ハブ6212及びスリーブ6220には、互いに係合するように構成された突出部6212D及び陥凹が提供される。例証される実施形態において、ハブ6212の突出部6212Dは、延出アーム6212Aの一部として構成され、スリーブ6220は、挿入機構の動作中にハブ6212の延出アーム6212Aがその中に少なくとも部分的に配置されているスロット6220Aを含む。この相互作用は、スリーブ6220に対して回転するハブ6212の能力を制限する。
スリーブ6220、図145に示されるように、挿入機構の動作中にハブ6212の延出アーム6212Aが少なくとも部分的に配置されているスロット6220Aを含む。これらのスロットは、ハブ6212が回転する能力を制限する。スリーブ6220は、基部6252の屈曲アーム6252Aとインターフェース接続するように構成された1つ以上の開口部6220Bをさらに含む。組み立て中、屈曲6252Aは開口部6220Bに係合し、それによって、基部6252に対するスリーブ6220の動きを制限する。基部6252は、図147に示されるように、スリーブ6220の1つ以上の整列ノッチ6220Cに係合するように構成された1つ以上の下部整列部材6252Cをさらに含み得る。この係合は、スリーブ6220を基部6252と整列させ、基部6252に対するスリーブ6220の回転を制限する。基部6252はまた、設置中にハウジング6202の係合表面6206に係合し、それによって、基部6252に対してハウジング6202を位置付けるように構成された1つ以上の上部整列部材6252Dを含み得る。
挿入機構の操作は、図147~149を考慮して、上述の構成要素を参照して本明細書に記載される。図147Aは、係止され、かつ使用準備完了段階にある、本開示の少なくとも1つの実施形態による挿入機構の等角図を示し、図147Bはその断面図を示す。回転偏倚部材6210の近位端は、ハウジング6202の陥凹6202B内に配置され、回転偏倚部材6210は、付勢状態にある。この初期位置において、ハブ6212は、針6214が基部6252の開口6252Eを過ぎて延出しないように、後退した近位位置にある。滅菌ブーツ6250は、一方の端部がハブ6212に係合し、他方の端部がシェル6220及び基部6252に係合している延出構成にある。後退偏倚部材6216は、相対的に圧縮解除及び/または付勢解除された状態にある。ハブ6212の延出アーム6212Aは、ガイド表面6204の近位部分6204A内またはそれに実質的に隣接して位置する。コイル状流体導管6218は、ハブ6212の近位に位置し得る。流体導管6218は、一方の端部においてハブ6212と接続し得、患者への送達のために流体薬物の内容物が薬物容器6050から針6214へと通ることを可能にする。
この実施形態において、後退偏倚部材6216は、相対的に圧縮解除及び/または付勢解除された状態で、ハブ6212と挿入機構の1つ以上の軸方向の静止要素との間に配置される。ここで、軸方向の静止要素は、スリーブ6220の一部分である。しかしながら、軸方向の静止要素は、例えば、基部6252、または2つ以上のかかる軸方向の静止要素の組み合わせ等の代替的な構成要素を含み得ることが理解されよう。
後退偏倚部材は、代替的に配置され得、任意の適切な種類の後退偏倚部材を含み得ることがさらに理解されよう。例えば、代替的な実施形態において、後退偏倚部材は、圧縮ばねに対して引張ばねを含み得る。かかる実施形態において、遠位方向でのハブ6212の軸方向平行移動が引張ばねを付勢するように、後退偏倚部材はハブ6212の近位に配置され、付勢解除された状態でハブ及び軸方向の静止部材と連結し得る。
当業者には理解されようが、挿入機構6200は、薬物送達デバイス6010の他の構成要素との相互作用によってこの初期構成に保持され得る。例えば、薬物送達デバイス6010は、NIM作動機構を含み得る。NIM作動機構は、作動部材14の押し下げによって始動または作動され得る。代替的に、NIM作動機構は、使用者による作動のために構成された別個の部材を含み得る。例として、作動部材14は、初期構成において突出部6202Aとの相互作用によってハウジング6202の回転を防止するスライドに係合してもよい。トリガ部材14の押し下げは、スライドを変位させ、ハウジング6202の突出部6202Aからスライドまたは別の構成要素を係脱し、それによって、ハウジング6202の回転を回転にし得る。
NIM作動機構の一例が、図163A~163Bに示される。NIM作動機構は、スローアーム606、NIM嵌合608、及びNIM保持器610を含む。最初に、図163Aに示されるように、NIM保持器610は、NIM保持器610がハウジング202の突出部202Aと接触するように位置付けられ、その結果、ハウジング202は、軸Aの周りで回転することを防止され、それによって、NIM200の作動を防止する。示される実施形態において、NIM保持器610は、軸Bの周りでの回転移動のために構成されている。NIM保持器610は、例えば、穴610Aにおいて、ハウジング12に据え付けられ得る。例えば、ピンまたはシャフトは、穴610A内に配置され得、その周りでNIM保持器610が回転し得る。ピンまたはシャフトは、ハウジング12の一体部分であってもよく、または代替的に、別個の構成要素であってもよい。NIM保持器610は、最初に、NIM保持器610のアーム610BとNIM嵌合608との間の接触によって回転することを防止される。NIM嵌合608は、最初に、それがスローアーム606の下部表面606Bと接触しているかまたはそれと隣接している、第1の位置にある。
作動機構14の押し下げは、スローアーム606の平行移動を引き起こす。スローアーム606の傾斜した表面606Cは、NIM嵌合608と接触し、スローアーム606の平行移動の方向に対して実質的に直交する方向で(すなわち、図163Aにおける影付き矢印の方向で)NIM嵌合608を平行移動させる。図24Bは、スローアームの平行移動の後のスローアーム606及びNIM嵌合608の位置を示す。示されるように、この構成において、NIM嵌合は、スローアーム606の上部表面606Dに隣接して、またはそれと接触して位置付けられている。NIM嵌合608の窓608Aは、NIM保持器610のアーム610Bと整列している。したがって、図163Bに示されるように、NIM保持器610は、軸Bの周りで回転することができる。
少なくとも1つの実施形態において、NIM保持器610は、偏倚部材によって回転されるように偏倚され得る。偏倚部材は、例えば、ねじりばねであり得る。NIM保持器610の回転は、NIM保持器610がハウジング202の突出部202Aを係脱させることを引き起こす。したがって、NIM200は、流路を患者内に挿入するために作動させることができる。代替的に、突出部202AによってNIM保持器610に加えられた力は、NIM保持器610の回転を引き起こす。
他の実施形態において、NIM嵌合608は、突出部202A等のNIM200の一部分に直接係合して、NIM200の作動を最初に防止し得る。スローアーム606の平行移動に対して直交する方向でのNIM嵌合608の平行移動は、NIM嵌合608にNIM200を係脱させ、NIM200が作動することを可能にし得る。
別の実施形態において、スローアーム606は、NIMの一部分に直接係合し、それによって、スローアーム606の平行移動はNIM200の作動を可能にする。
図2A~2Bに示される代替的な実施形態において、ハウジング6202の一部分は、ハウジングの回転を防止する歯車6209と相互作用するように構成された歯車のは6208を有し得る。この構成において、歯車は、歯車、及びしたがってハウジングの回転を制御するモータ6207に接続され得る。ハウジングは、歯車から係脱されることができ、それによって、回転偏倚部材の付勢解除に応じてハウジングの自在な回転を可能にし得る。歯車6209は歯車列を通してモータ6207に接続されてもよく、歯車列は、モータ6207の回転と歯車6209との間の関係を制御する。追加的に、または代替的に、エスケープメント機構を用いて、歯車列の回転を制御してもよい。
図148Aは、針が挿入された段階にある挿入機構の等角図を示し、図148Bはその断面図を示す。図147Aに示されるように、回転偏倚部材6210の巻き戻し及び/または付勢解除は、軸Aの周りでのハウジング6202の回転を引き起こす。ハウジング6202が回転するにつれて、ガイド表面6204とハブ6212の延出アーム6212Aとの接触は、ハブ6212が遠位方向に平行移動することを引き起こす。ハブ6212は、延出アーム6212Aとスリーブ6220のスロット6220Aとの間の相互作用によって回転することを防止される。スリーブ6220は、屈曲アーム6252Bの開口部6220Bとの係合によって基部6252に接続される。示されるように、滅菌ブーツ6250は、ハウジング6202が回転し、ハブ6212が遠位方向に平行移動するときに折り畳まれることを許容され、針6214を患者の身体内に挿入する。図147Bに示されるこの段階で、針6214は、薬物送達のために患者の身体内に導入される。ハブ6212の遠位平行移動に起因して、後退偏倚部材6216は、圧縮または付勢される。ハウジング6202の回転は、好ましくは、ガイド表面6204がハブ6212を遠位位置に保持する位置で限定または停止される。ハウジング6202の回転は、突出部6202Aと薬物送達デバイス6010または薬物送達デバイス6010の停止構成要素との間の相互作用によってこの位置で停止され得る。代替的に、停止構成要素は、ハウジング6202の別の部分と相互作用してもよい。針6214が挿入されると、導管から患者の身体内への針6214を通した流体通路が開通される。流体通路接続子が薬物容器に作製され、駆動機構は作動されると、流体薬物治療剤は、患者の身体内への送達のために薬物容器から流体通路接続子及び滅菌流体導管を通り、針6214内へと押し出される。
図149A及び149Bに示されるように、薬物送達が完了すると、針6214は、挿入機構ハウジング6202へと戻るように後退する(すなわち、近位方向に軸方向平行移動させられる)。ハウジング6202の継続した回転は、ハブ6212の近位平行移動がもはや制限されなくなるように、ガイド表面6204の近位部分6204Aをハブ6212の延出アーム6212Aと整列させる。この位置において、後退偏倚部材6216は、圧縮解除または付勢解除することができる。後退偏倚部材6216の拡張は、ハブ6212、及びそれに接続した針6214を、近位歩行に軸方向平行移動させる。したがって、挿入機構の作動は、針6214を患者の身体内に挿入し、及び順次に、薬物送達の完了後、またはいくつかの他の後退始動機構に際して、針6214を後退させる。
図150~152は、挿入機構7200の別の実施形態を示す。図150に示されるように、回転偏倚部材7210の1つの端部は、挿入機構のハウジング7202内に形成された陥凹7202B内に配置される。ハウジングにこのように係合することによって、ハウジングから外向きに延出する延出部のための要件が排除され、それによって、挿入機構の全体のサイズが低減されることを可能にする。さらに、図151に示されるように、滅菌ブーツ7250は、「アコーディオン」構成で構成されてもよく、これは、滅菌ブーツの直径が以前の実施形態に示される滅菌ブーツよりも小さいことを可能にし得る。プラットフォーム7020が、針挿入機構を設置及び保持することを補助する上向きに延出するボス7020Aを有し得ることも、図151において見ることができる。回転偏倚部材7210は、ボス7020Aの外側の周りに位置付けられ得る。針挿入機構はまた、キャップ7222を含んでもよい。キャップは、シェル7220に係合し、針挿入機構の構成要素を所定の位置に保持するように作用し得る。具体的には、キャップは、導管をハウジング7202内の所定の位置に保持し得る。キャップは、設置中に、シェル7220の突出部との接触に応じて外向きに屈曲し得る1つ以上の円周屈曲アーム7222Aを含み得る。屈曲アームは、その後、それらの元の位置に戻り、それによって、図152の断面図において最も良好にみられるように、シェルに対して所定の位置に保持され得る。また図152に見られるように、プラットフォーム7020の1つ以上の屈曲アーム7020Bは、ハウジング7220の開口部7220Bに係合し得る。この係合は、プラットフォーム7020に対して挿入機構を保持し、位置付ける。薬物送達デバイスのプラットフォーム7020は、シェルの開口部7220Bに係合するように構成された係止アーム7020Bをさらに含み得る。この係合は、薬物送達デバイスに対して所定の位置に挿入機構を保持する。この実施形態の操作段階は、上述のものと実質的に同様であり得る(すなわち、回転偏倚部材の付勢解除が針の挿入をもたらし、後退偏倚部材の付勢解除が針の後退をもたらす)。
針挿入機構の追加の実施形態が、図153A~155Bに示される。この実施形態において、定置を補助するために剛性針2214を利用して、薬品の送達のために可撓性カニューレ2260が標的組織内に挿入される。剛性針2214は、中空針または中実トロカールであり得る。図153A~153Cに示される実施形態において、カニューレ2260を挿入するために中空針が使用される。理解を容易にするために、この実施形態における構造は、図1A~1Cの実施形態における同様の構造のために利用した、数字の「2」で始まる参照番号、または図2A~2C及び142A~152の実施形態におけるように、参照番号を「6XXX」から「2XXX」に変更することによって識別される。構造は、「2XXX」によって識別され、「XXX」は、図1A~1Cの実施形態における同様の構造、または「6XXX」によって識別される、図2A~2C及び142A~152の実施形態における同様の構造を指す。したがって、図153A~155Bに示される参照番号に関して以下に具体的な考察がない場合、当業者であれば、参照番号「2XXX」によって識別される構造が、図1A~1C、2A~2C、及び142A~152の実施形態に関して考察された構造と同じかまたは同様の構造を指すことを理解するであろう。明確にする目的のために、プラットフォームは、図153A~155Bに示されず、当業者であれば、以前の実施形態において例証されたものと同様のプラットフォームがこの実施形態及びその後の実施形態において使用され得ることを理解するであろう。
図153Aは、作動前の初期構成にある挿入機構を示す。初期構成において、可撓性カニューレ2260は、剛性針2214が可撓性カニューレの管腔を通過するように配置されている。追加的に、可撓性カニューレ2260の近位端は、針ハブ2212と接触しているか、またはそれに隣接している。示されるように、カニューレ2260は、滅菌ブーツ2250内に最初に配置され、隔壁2270は、基部2252における開口部2252E内に配置される。このようにして、針2214及びカニューレ2260は、それによって無菌状態に維持される。カニューレは、圧入、付着、または任意の他の接合方法によって針に係合し得る。針は、保持器2290によってハブ2212内にさらに保持され、かつ/または位置し得る。挿入機構の作動時に、回転偏倚部材2210の付勢解除によって引き起こされたハウジング2202の回転は、針ハブ2212を遠位方向に平行移動させる。上述のように、かつ図154A~154Bに示されるように、この平行移動は、ハブ2212のフォロア/アーム2212Aと内部ハウジング2202上のガイド表面2204との接触によってガイドされ得る。針ハブ2212の平行移動は、針2214及びカニューレ2260が遠位方向に平行移動し、隔壁2270を穿通し、標的組織内に挿入されることを引き起こす。図153Bは、挿入工程の完了時の挿入機構を示す。
例えば、回転偏倚部材2210の力の下でハウジング2202が回転し続けると、ハウジング2202の二次回転は、ハウジング2202及びハブ2212を相対的に位置付けて、後退偏倚部材2216許容する少なくとも部分的に付勢解除することを許容する。換言すると、ハウジング2202のこのさらなる回転は、ハブ2212の延出アーム2212Aを、ハウジング2202の軸方向スロット2208と整列させる。この位置において、後退偏倚部材2216は、付勢解除または圧縮解除することができ、ハブ2212及び針2214を近位方向に平行移動させる。図153Cは、この工程の完了時の挿入機構を示す。カニューレ2260は、挿入位置において、及び標的組織において維持され、針2214は、少なくとも部分的にカニューレ内に配置される。これは、標的組織への薬品の送達のための導管2218、針2214、及びカニューレ2260を通る流路を生み出す。可撓性カニューレ2260のみが標的組織内に配置されるため、カニューレ2260は、動きに応じて屈曲し得る。これは、患者の快適性における利点を提供し得る。カニューレ2260のバーブ2260Aは、隔壁2270に係合し、それによって、カニューレ2260の挿入機構内への後退に抵抗するように構成され得る。任意選択で、針2214は、この位置にあるときに標的組織内に部分的に配置され得る。
上述の利点に加えて、本明細書に記載の挿入機構はまた、流路を分断することによって標的組織への薬品の流れを終結させることが可能であり得る。これは、患者を保護するための重要な安全性特徴であり得る。例えば、インスリン等のいくつかの薬は、多すぎる量で及び/または速すぎる速度で投与され場合、危険であり、さらには潜在的に致死的であり得る。かかる自動的安全性停止機構を提供することによって、薬品のいわゆる「暴走」送達が防止され、それによって患者の安全性が保証され得る。流れを終結させるための方法及び関連する構造が、本明細書に開示される1つ以上の具体的な挿入機構に関して考察され得るが、本方法及び関連する構造は、本明細書に開示されるまたは本開示の趣旨及び範囲内にある挿入機構のうちのいずれに対しても利用または適合され得ることが理解されよう。
標的組織への薬品送達の中断は、例えば、薬品送達におけるエラーまたは使用者からの入力によって、トリガされ得る。例えば、使用者は、自身の薬物用量をすでに摂取したことに気づき、デバイスからの薬物送達を一時停止または終結させることを望む場合がある。上述のように、デバイスへのかかる使用者入力時に、薬物送達は停止され得、かつ/または針もしくはカニューレを通した流体通路が、針のその完全に後退した位置への後退によって終結され得る。
加えてまたは代替的に、デバイスは、動作中にエラー警報を受信した場合、薬物送達を一時停止または終結させ得る。例えば、駆動機構が正しく機能していない場合、標的組織への薬の過量送達を防止するために、針挿入機構がトリガされて完全に後退し、流体通路接続子を通した標的組織への薬物送達を終結させ得る。針挿入機構のこの性能は、使用者への薬物送達に関して価値ある安全性特徴を提供する。
いくつかの実施形態において、患者の身体からの薬物送達デバイスの取り外し時に後退が作動される。他の実施形態において、後退は、患者への物質送達においてエラーが生じたことが決定される場合に作動される。例えば、薬品の流れを阻止する薬物送達経路の閉塞が、薬物送達デバイスの感知機能によって検出され得る。閉塞の感知時に、電気または機械的入力を用いて、針の後退を始動してもよい。
針の後退を作動させることは、多くの機構を通して達成され得る。例えば、患者によって押し下げられたときに、患者の身体からの針の後退を作動させるボタンがハウジング6012の外側に提供されてもよい。例えば、一実施形態において、ボタンを押し下げることは、ハウジング6202を回転させ、したがって、後退偏倚部材6216を拡張させ、針6214を後退させる。ボタンの作動は、ボタンを押し下げるために必要とされる移動及び/または力が低減されるように、ばねによって補助され得る。代替的に、または追加的に、駆動機構6100が投薬終了に達すると、電気的または機械的アクチュエータが後退の作動を引き起こし得る。例えば、投薬終了時に、ニチノール構成要素に電流が印加されるように、電気的接続がなされ得る。電流が印加されると、ニチノール構成要素の温度が上昇する。ニチノールの形状記憶特性により、この構成要素は、気温が上昇すると、第1の構成から第2の構成へと変形するように構成され得る。この第2の構成において、ニチノール構成要素は、例えば、ハウジング6202の回転を可能にすることによって、針の後退の作動を可能にするかまたはそれを引き起こし得る。
代替的に、または追加的に、センサ等のオンボディセンサ24は、薬物送達デバイス6010が患者の身体から取り外されたときに、針の後退の作動を引き起こすかまたはそれを可能にし得る。例えば、薬物送達デバイス6010が患者の上に設置されたときに、オンボディセンサ24の位置は、後退位置へのハウジング6202の回転を防止し得る。患者から取り外されると、オンボディセンサ24の構成の変化が回転を可能にし得る。別の実施形態において、基部開口部6252の近くで薬物送達デバイス6010上に光センサが置かれてもよい。薬物送達デバイス6010が患者の身体の上で所定の位置にあるとき、光は、光センサに進入することを実質的に遮断される。薬物送達デバイス6010が患者の身体から取り外されると、光は、光センサによって感知され、光センサは、電気機械的アクチュエータが後退の作動を可能にするかまたはそれを引き起こすことをトリガし得る。他の実施形態において、ピン型の圧入相互接続を使用して、針の後退を始動する。ピンは、ハウジング6012から少なくとも部分的に突出するように偏倚され、患者の上に薬物送達デバイス6010が定置されると変位され得る。変位されると、ピンは、電力・制御システム6400の一部であり得るPCB上の雌穴に係合し得る。薬物送達デバイス6010が患者から取り外されると、偏倚されたピンは、雌PCB穴を係脱し、それによって、針の後退を作動させるための信号を引き起こす。
針及び/またはカニューレの後退はさらに、駆動機構100の不具合及び/または故障によって始動され得る。例えば、駆動機構は、薬物容器50の内容物の送達速度を計るかまたは制御するように働くテザーを含み得る。テザーに加えられるかまたはそれによって維持される張力は、1つ以上のセンサによって監視され得る。テザーの張力の低減は、テザーが薬品の送達を適切に計測または制御していないことを示し得る。センサは、テザーの一部分と接触している機械的構成要素または連結であり得、この接触は、センサの位置及び/または構成を少なくとも部分的に制御する。テザーにおける張力の低減に応じて、センサは、第1の位置から第2の位置に変形する。この変形は、針及び/またはカニューレの後退を直接的または間接的に引き起こし得る。後退は、純粋な機械的作用によって引き起こされ得るか、または代替的に、電力・制御システム400によって受信及び/または生成された電気信号が関与する場合がある。
他の実施形態において、センサは、テザーに存在するひずみ、負荷、または張力を測定及び/または監視するように構成されたひずみゲージ、ロードセル、力センサ、または他のセンサであり得る。これらの実施形態において、センサは、テザーに少なくとも部分的に貼着され、テザーの張力に基づいて電気信号を生成する。テザーにおける張力の大きさに比例して、電気信号の大きさは変動し得る。代替的に、テザーにおける張力が指定の大きさを下回るかまたはそれを超えたときに、信号は中断または始動され得る。信号は、電力・制御システムによって監視され得、これは、信号の存在、不在、もしくは大きさに基づいて、針及び/またはカニューレの後退を引き起こすかまたは可能にし得る。
依然として他の実施形態において、テザーの機械的不具合は、電気信号が始動または中断されることを直接引き起こし得る。例えば、テザーは、少なくとも部分的に、伝導性材料から構築され得る。テザーは、電力・制御システムと電気通信し得る。テザーの機械的不具合は、テザーを通る電流通路を中断し、1つ以上の回路における電流の流れの変化を引き起こし得る。この変化は、針及び/またはカニューレの後退を始動するかまたは可能にし得る。
追加的に、または代替的に、駆動システムの1つ以上の特徴の位置及び/または速度は、エンコーダ等の光センサ等のセンサ、電位差計、または変換器によって監視され得る。監視される特徴の位置及び/または速度が指定の閾値を超えるかまたはそれを下回る場合、電力・制御システムは、針及び/またはカニューレの後退を始動させ、かつ/またはそれを可能にし得る。
一例において、図153A~153Cに示される実施形態において、標的組織への薬品の流れは、針2214をカニューレ2260から後退させることによって終結させることができる。図16Aは、送達位置にある針2214の詳細な図を示す。この位置において、針2214は、カニューレ2260内に少なくとも部分的に配置され、それによって、導管、針、及びカニューレを通り、そして標的組織内への流路を作り出す。図155Bは、針2214がもはやカニューレ2260内に配置されないように後退されている構成の詳細な図を示す。つまり、例えば、回転偏倚部材2210の力の下でハウジング2200が回転し続けると、ハウジング2200のこの三次回転は、フォロア2212Aをハウジング2200内の後退開口部2207と整列させ、後退偏倚部材2216がさらに付勢解除し、針2214を完全に後退した位置まで動かすことを可能にする。針2214はもはやカニューレ2260内に配置されていないため、標的組織への薬品の送達のための流路は存在しない。導管2218を通過する任意の追加の流体は、針2214を通して、薬物ポンプの内部、例えば滅菌ブーツ2250内に排出されることになる。カニューレからの針の後退後に任意の薬品がカニューレ2260に進入することをさらに防止するために、バリア2280が含まれてもよい。バリア2280は、例えば、針及びカニューレの組み立て中に針によって穿通される隔壁であり得る。代替的に、バリア2280は、組み立て中に針によって変位されるが、カニューレから針が後退されると、カニューレの管腔を実質的に被覆する膜またはクリップであり得る。カニューレ内の圧力差もまた、バリア2280の利用を伴ってまたは伴わずに、針の後退後にそれを通る薬品の流れを防止し得る。
に示されるように図164A~164B、ハウジングの二次または三次回転は、NIM後退機構によって制御され得る。NIM後退機構の一例において、図164Aに示されるように、針及び針ハブが送達位置にある状態で、突出部202Aは、停止部材620と接触していてもよい。この位置において、停止部材620は、スライド部材622との接触によってスピンドル624の周りで回転することを防止される。故に、ハウジング202のさらなる回転が防止される。例えば、図153A~153Cに示され、かつ上述されるもの、または図156A~161に示され、かつ以下に記載されるもの等の可撓性カニューレを有する実施形態において、この位置はそれぞれ、図153C及び図157Cに例証される位置に対応し得る。トリガ機構に応じて、スライド部材622は、停止部材620が図164Bに示される位置までスピンドル624の周りで回転することができるように変位され得る。したがって、停止部材620は、ハウジング202の回転をもはや制限せず、図155B及び図156Dに示されるもの等の、薬品が標的組織にもはや送達されない位置まで針が完全に後退することを可能にする。スライド部材622の変位を引き起こすトリガ機構は、例えば、使用者の入力、薬物ポンプの動作の故障、または上述の任意の他の事象によって引き起こされ得る。加えて、スライド部材622の変位は、純粋に機械的であってもよく、または代替的に、電力・制御システム400からの信号に少なくとも部分的に応じて生じてもよい。
別の実施形態が、図156A~161に示される。上述の図153A~153Cの実施形態と同様に、本実施形態は、可撓性カニューレを標的内に挿入するように構成されている。理解を容易にするために、この実施形態における構造は、図1A~1Cの実施形態における同様の構造のために利用した、数字の「3」で始まる参照番号、または図153A~155Bの実施形態におけるように、参照番号を「2XXX」から「3XXX」に変更することによって識別される。構造は、「3XXX」によって識別され、「XXX」は、図1A~1Cの実施形態における同様の構造、または「2XXX」によって識別される、図153A~155Bの実施形態における同様の構造を指す。したがって、図156A~161に示される参照番号に関して以下に具体的な考察がない場合、当業者であれば、参照番号「3XXX」によって識別される構造が、以前の実施形態に関して考察された構造と同じかまたは同様の構造を指すことを理解するであろう。
操作段階が3つの異なる断面で図156~158に示される一方、クリップ3286、カニューレ保持器3282、針ハブ3212、及びハウジング3202の個々の構成要素は、図159~162にそれぞれ例証される。図156A~156Dに示される第1の断面は、種々の操作段階における針ハブ3212のフォロア3212Aとハウジング3202のガイド表面3204との相互作用を示す。最初に、図156Aに示されるように、フックアーム3212Cは、ハウジング3202のノッチ3202Cに係合している。これは、ハウジング3202に対する針ハブ3212の適切な位置付け及び整列を可能にする。
回転偏倚部材3210の付勢解除によって引き起こされるハウジングの回転は、フックアーム3212Cをノッチ3202Cから係脱する。ハウジング3202のさらなる回転、及びフォロア3212Aとガイド表面3204との間の接触は、図156Bに示されるように針3214及びカニューレ3260が標的内に完全に挿入されるまで、針ハブ3212を遠位方向に平行移動させる。
針3214及びカニューレ3260の挿入後、ハウジング3202の継続した、つまり二次回転は、ハウジング3202の軸方向スロット3208をフォロア3212Aと整列させる。したがって、後退偏倚部材3216は、付勢解除することができ、これは、図156Cに示されるように少なくとも部分的に後退した位置まで針ハブ3212を近位に平行移動させる。この位置において、針3214は、少なくとも部分的にカニューレ3260内に、かつ隔壁3284を通して配置され、フォロア3212Aは、ガイド表面3204の近位部分3204Aと接触している。したがって、内容物は、針3214、カニューレ 3260を通り、そして標的組織へと送達され得る。
標的組織への薬品の送達を終結させるために、ハウジング3202の継続した回転は、図156Dに示される位置まで針3214をさらに後退させ得る。つまり、例えば、回転偏倚部材3210の力の下でハウジング3200が回転し続けると、ハウジング3200のこの三次回転は、フォロア3212Aが近位部分3204Aを係脱し、後退開口部3207と整列することを引き起こし、それによって、後退偏倚部材3216の付勢解除に応じて針ハブ3212の追加の近位平行移動を可能にする。この位置において、針3214は、隔壁3284から抜去される。したがって、針3214を通って流れる内容物は、カニューレ3260に進入することができない。針の後退は、例えば、図164A及び164Bに例証される安全性機構等の、記載される安全性機構のいずれによっても引き起こされ得る。
図157A~157Cに示される第2の断面は、クリップ3286の接続アーム3286Aと針ハブ3212との相互作用を示す。クリップ3286及び針ハブ3212は、図159及び161にそれぞれより詳細に示される。最初に、図1157Aに見られるように、接続アーム3286Aは針ハブ3212に係合し、それによって、クリップ3286及び針ハブ3212の軸方向平行移動を連結する。図1157Bに見られるように、針3214及びカニューレ3260が標的内に挿入されるとき、接続アーム3286Aは針ハブ3212に係合したままである。以下に記載され、かつ図158A~158Cにおいて最も良好に見られるように、クリップ3286が遠位方向に平行移動するにつれて、それはスリーブ3220の屈曲アーム3220Dに係合する。この係合に起因して、クリップ3286は、近位方向に平行移動することを防止される。したがって、フォロア3212Aがガイド表面3204の近位部分3204Aと整列すると、接続アーム3286Aは、外向きに屈曲することによって(すなわち、図157Cにおける斜線付き矢印の方向に)針ハブ3212から係脱する。結果として、フォロア3212Aがガイド表面3204の近位部分3204Aと整列すると、針ハブ3212及び針3214は近位方向に平行移動し、針3214は、標的から少なくとも部分的に抜去される。カニューレ3260は、標的内に配置されたままである。
第3の断面が、図158A~158Cに示される。スリーブ3220の屈曲アーム3220Dとクリップ3286との間の相互作用が、これらの図において見られ得る。クリップ3286は、針及びカニューレの挿入中に遠位に平行移動させられると、クリップ3286は屈曲アーム3220Dと接触し、それらを外向きに(すなわち、図158Aに示される実線矢印の方向に)変位させる。図158Bに示されるように、クリップ3286の継続した遠位平行移動は、屈曲アーム3220Dがそれらの初期位置に少なくとも部分的に戻ることを可能にする。図158Cに示されるように、偏倚部材3216が拡張し始めると、クリップ3286の平行移動は、屈曲アーム3220Dとの接触によって制限される。この制限は、カニューレ3260を標的内に配置されたままにさせる。図149に示されるように、クリップ3286は、屈曲アーム3320Dに係合するように構成された傾斜した表面3286Bを含み得る。傾斜した表面は、傾斜した表面3286Bの屈曲アーム3320Dとの接触が屈曲アーム3320Dの外向きの屈曲を引き起こさないことを確実にするアンダーカットを作り出し得る。
図160に示されるように、カニューレ保持器3282は、穴3282B及びピン3282Aを含む。組み立てられるとき、カニューレ3260及び隔壁3284の肩は、穴3282B内に配置される。それらは、クリップ3286の位置によってこの位置に保持される。ピン3282Aは、クリップ3286の穴3286Dに係合するように構成されている。この係合は、カニューレ保持器3282及びクリップ3286の相対的な位置を維持するための圧入係合であるように構成され得る。クリップ3286の中央穴3286Cは、針3214を受容するように適合されている。
本開示の幅及び範囲内に留まりながら、挿入機構6200または薬物送達デバイス6010のある特定の任意選択的な標準的な構成要素または変形形態が企図される。例えば、図1A~1Cに示されるように、上部または下部ハウジングは、患者が薬物送達デバイス6010の動作を見るか、または薬物用量が完了したことを検証することを可能にするために、任意選択で1つ以上の透明または半透明窓18を含み得る。追加的に、薬物送達デバイス6010は、接着パッチ及びパッチライナーをハウジング6012の底部表面上に含み得る。接着パッチは、薬物送達デバイス6010を薬物用量の送達のために患者の身体に接着するために利用され得る。当業者には容易に理解されようが、接着パッチは、患者の身体への薬物送達デバイスの接着のための接着面を有し得る。接着パッチは、最初は、非接着パッチライナーによって被覆されていてもよく、これは、患者の身体と接触した薬物送達デバイス6010の定置の前に接着パッチから取り外される。接着剤26は、任意選択で、任意選択的なオンボディセンサ24の作動を防止し、かつ基部開口部6252Eを被覆する保護シュラウドを含み得る。パッチライナーの取り外しによって保護シュラウドが取り外され得るか、または保護シュラウドは、別個に取り外され得る。パッチライナーの取り外しはさらに、挿入機構6200の封止膜6254を取り外し、薬物送達のために患者の身体に対して挿入機構を開放する。
同様に、挿入機構6200ならびに薬物送達デバイス6010及び6010の構成要素のうちの1つ以上は、機能的に本開示の幅及び範囲内に留まりながら修正され得る。例えば、上述のように、薬物送達デバイス6010のハウジングは、上部ハウジング12A及び下部ハウジング12Bの2つの別個の構成要素として示されているが、これらの構成要素は、単一の統合された構成要素であってもよい。上記で考察したように、糊、接着剤、もしくは他の既知の材料、または方法を利用して、挿入機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素を互いに貼着してもよい。代替的に、挿入機構及び/または薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素は、統合された構成要素であり得る。例えば、上部ハウジング及び下部ハウジングは、糊または接着剤、ねじ嵌め接続、締まり嵌め、融着接合、溶接、超音波溶接等によって一緒に貼着された別個の構成要素であってもよく、または上部ハウジング及び下部ハウジングは、単一の統合された構成要素であってもよい。かかる標準的な構成要素及び機能的変形形態は当業者には理解され得、したがって、本開示の幅及び範囲内である。
上記の説明から、本明細書に開示される挿入機構及び薬物送達デバイスが、薬物容器からの自動化薬物送達のために効率的かつ容易に操作されるシステムを提供することが理解されよう。本明細書に記載の新規の実施形態は、一体型の安全性特徴を提供し、患者による挿入機構の直接作動を可能にし、流体通路の滅菌性を維持するように構成されている。上述のように、一体型の安全性特徴は、任意選択的なオンボディセンサ、重複ロックアウト、患者による作動時の自動化した針挿入及び後退、ならびに視覚及び聴覚フィードバックオプションを含む多数の患者フィードバックオプションを含む。本開示の新規の挿入機構じゃ、患者によって直接作動され得る。例えば、少なくとも1つの実施形態において、挿入機構をその係止された後退状態に維持する回転防止特徴は、それが突出部6202Aに係合するように構成された停止構成要素であれ、ハウジング6202の歯に係合する歯であれ、患者による作動機構の押し下げによってその係止された位置から直接変位される。代替的に、任意の介入工程を伴わずに患者によって作動機構が直接変位されると、回転防止特徴を変位させる、ばね機構等の1つ以上の追加の構成要素が含まれ得る。少なくとも1つの構成において、モータの回転は、歯車の回転を引き起こすかまたはそれを可能にし、それによって、挿入機構のハウジングの回転を許容する。
さらに、本開示の挿入機構及び薬物送達デバイスの新規の構成は、貯蔵中、輸送中、及びデバイスの操作を通して、流体通路の滅菌状態を維持する。薬物流体がデバイス内で移動する通路が完全に滅菌状態で維持されるため、これらの構成要素は、製造過程中に滅菌される必要があるのみである。かかる構成要素には、駆動機構の薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構が含まれる。本開示の少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスの電力・制御システム、アセンブリプラットフォーム、制御アーム、作動機構、ハウジング、及び他の構成要素は、滅菌される必要がない。これは、デバイスの製造性を大幅に改善し、関連する組み立て費用を低減する。したがって、本開示のデバイスは、組み立ての完了時に最終滅菌を必要としない。本開示のさらなる有益性は、例えば、薬物送達デバイスのハウジング及び他の構成要素が容易に挿入機構6200、または本明細書に記載の挿入機構のいくつかの他の変形形態を受け入れ、それを動作させるように構成され得るように、本明細書に記載の構成要素がモジュール式であるように設計されることである。
挿入機構6200、薬物送達デバイス6010、または個々の構成要素のいずれかの組み立て及び/または製造は、当該技術分野で既知のいくつかの材料及び手法を利用してもよい。例えば、イソプロピルアルコール等のいくつかの既知の清掃流体を用いて、構成要素及び/またはデバイスを清浄してもよい。いくつかの既知の接着剤または糊も同様に製造過程で用いられてもよい。追加的に、既知のシリコン処理流体及び処理が、新規の構成要素及びデバイスの製造中に用いられ得る。さらに、既知の滅菌過程が、最終製品の滅菌性を保証するために製造または組み立て段階のうちの1つ以上で用いられ得る。
さらなる実施形態において、本開示は、ハブを針の近位端に接続する工程と、導管をハブに接続する工程と、滅菌ブーツをハブに接続する工程と、後退偏倚部材を針挿入機構のスリーブ内に挿入する工程と、ハブ、針、導管、及び滅菌ブーツをスリーブ内に挿入する工程と(この位置において、後退偏倚部材は一方の端部におけるハブと他方の端部におけるシェルとの間で制約されている)、ハウジングをスリーブの周りに定置する工程と、後退偏倚部材をスリーブ内に挿入する工程と、屈曲アームとハウジングにおける開口部との係合によって基部をスリーブに接続する工程と、を含む、挿入機構の組み立て方法を提供する。回転偏倚部材は、回転偏倚部材の一部分がハウジングの一部分に係合し、それによって、偏倚部材の付勢解除をハウジングの回転と連結させるように、ハウジングの周りに定置され得る。
滅菌ブーツの遠位端は、ハウジングと基部との係合によって挿入機構ハウジングの遠位端に位置付けられ、それとの固定係合に保持され得る。この位置において、滅菌ブーツは、針の周りで拡張構成にあり、滅菌であり得る環状容積を生み出す。流体導管は、それが開通しているときに、流体通路が流体導管からハブを通り、かつ針を通って直接移動するように、ハブに接続され得る。流体通路接続子は、流体導管の反対の端部に取り付けられ得る。流体通路接続子、及び具体的には流体通路接続子の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップ及び穿通可能なシールに接続され得る。プランジャシール及び駆動機構は、流体通路接続子に対向する端部において薬物容器に接続され得る。封止膜は、環境から挿入機構を閉め切るために基部の底部に取り付けられ得る。流体流のための通路を構成する構成要素が次に組み立てられる。これらの構成要素は、いくつかの既知の方法によって滅菌され、その後、固定的にまたは着脱自在に薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに据え付けられ得る。
薬物送達デバイスの製造は、挿入機構の基部を薬物送達デバイスのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付ける工程を含む。少なくとも1つの実施形態において、取り付けは、挿入機構の基部が、アセンブリプラットフォーム及び/またはハウジングを通過して、患者の身体と直接接触することを許容されるようなものである。製造方法は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングへの流体通路接続子、薬物容器、及び駆動機構の取り付けをさらに含む。電力・制御システム、作動機構、及び制御アームを含めた、上述の薬物送達デバイスの追加の構成要素は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付けられるか、予備形成されるか、または予め組み立てられ得る。接着パッチ及びパッチライナーは、デバイスの動作中に患者と接触する薬物送達デバイスのハウジング表面に取り付けられ得る。
薬物送達デバイスを操作する方法は、患者によって作動機構を作動させる工程と、制御アームを変位させて挿入機構を起動する工程と、電力・制御システムを起動して駆動制御機構を作動させて、薬物送達デバイスを通る流体薬物流を駆動する工程と、を含み得る。本方法は、作動機構を作動させる前に任意選択的なオンボディセンサを係合させる工程をさらに含み得る。本方法は、同様に、流体通路接続子と薬物容器との間の接続を確立する工程を含み得る。さらに、本操作方法は、プランジャシールを駆動制御機構及び薬物容器内で平行移動させて、流体薬物の流れを、患者の身体への流体薬物の送達のために薬物容器、流体通路接続子、滅菌流体導管、及び挿入機構に押し通すことを含み得る。
XX.挿入機構追加の実施形態
少なくとも図1A~2B、33A~33C、69A~75B、80A~85C、86A~91、92A~99、100A~109B、及び110A~141Bに関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図33A~33Cに関連して以下に記載される挿入機構の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図33A~33Cに関連して以下に記載される駆動機構の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の挿入機構200、6200、7200、90200、92200、93200、94200、95200、もしくは96200、または本明細書に記載の任意の他の挿入機構を置き換えてもよい。
いくつかの挿入機構が、本開示の薬物送達デバイス内で利用され得る。本開示のポンプ式送達デバイスは、例えば、任意の好適な中空チューブを通して、流体流連通によって患者または患者に接続され得る。固形針を用いて、患者の皮膚を穿通し、中空カニューレを適切な送達位置に定置してもよく、固形針は、患者への薬物送達の前に取り外されるかまたは後退される。上記のように、流体は、自動的に挿入された針、カニューレ、微小針アレイ、または輸液セットチューブを含むがこれらに限定されない任意の数の手段を通して身体内に誘導され得る。いくつかの機構は、患者への針の挿入を作動させるためにも用いられ得る。例えば、ばね等の偏倚部材は、針及びカニューレを患者の皮膚に穿通させるために十分な力を提供するために用いられる。同じばね、追加のばね、または別の同様の機構を利用して、針を患者から後退させることができる。好ましい実施形態において、挿入機構は、一般に、国際特許出願第PCT/US2012/53174号に記載されるようなものであり得、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に含まれる。かかる構成は、患者への痛みを最小限に抑える方法で患者の皮膚(または筋肉)内またはその下への薬物送達通路の挿入のために利用されてもよい。流体通路の挿入のための他の既知の方法が利用されてもよく、本開示の範囲内であることが企図され、これには、本開示によって記載される剛性針挿入機構及び/または回転式針挿入機構が含まれる。
少なくとも1つの実施形態において、挿入機構8200は、1つ以上のロックアウト窓、ならびにアセンブリプラットフォーム及び/またはポンプハウジングへの接続のための基部を有する挿入機構ハウジングを含む(図33B及び図33Cに示されるように)。アセンブリプラットフォーム8020への基部の接続は、例えば、基部の底部がアセンブリプラットフォーム内の穴を通過することが許容されて、患者の身体への基部の直接的な接触を許容するようなものであり得る。かかる構成において、基部の底部は、薬物送達デバイス8000の使用前に取り外し可能な封止膜を含み得る。挿入機構は、1つ以上の挿入偏倚部材、針、後退偏倚部材、カニューレ、及びマニホールドをさらに含み得る。マニホールドは、滅菌流体導管8030に接続して、薬物送達中に、マニホールド、カニューレを通り、かつ患者の身体への流体流を許容し得る。
本明細書で使用されるとき、「針」は、剛性中空針等の従来の中空針、及びより一般的には「トロカール」と称される中実針を含むがこれらに限定されない様々な針を指すことを意図する。好ましい実施形態において、針は、27ゲージの中実トロカールであり、他の実施形態において、針は、意図する薬物及び薬物投与(例えば、皮下、筋肉内、皮内等)の種類のための、カニューレを挿入するために好適な任意のサイズの針であり得る。針挿入機構内で滅菌ブーツが利用されてもよい。滅菌ブーツは、近位端においてマニホールドと、かつ遠位端において基部と固定係合している折り畳み式滅菌膜である。少なくとも一実施形態において、滅菌ブーツは、基部と挿入機構ハウジングとの間で遠位端における固定係合に維持される。基部は、以下にさらに記載されるように、挿入機構の動作中に針及びカニューレがそれを通って通過し得る基部開口を含む。カニューレ及び針の滅菌性は、挿入機構の滅菌部分内でのそれらの初期位置付けによって維持される。具体的には、上述のように、針及びカニューレは、マニホールド及び滅菌ブーツの滅菌環境において維持される。基部の基部開口は、例えば封止膜(不可視)によって、非滅菌環境からも閉鎖され得る。
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、挿入機構は初めに、挿入機構ハウジングのロックアウト窓内に初めに位置付けられたロックアウトピン(複数可)によって即時使用可能な段階に係止されている。この初期構成において、挿入偏倚部材及び後退偏倚部材は、それらの圧縮された付勢状態に各々保持されている。引張、押圧、摺動、及び/または回転等の1つ以上の方法によるロックアウトピン(複数可)の変位は、挿入偏倚部材がその初期の圧縮された付勢状態から圧縮解除されることを許容する。挿入偏倚部材のこの圧縮解除は、任意選択で、針及びカニューレを患者の身体内に駆動する。挿入段階の終わりに、または(多機能駆動機構によってトリガされる)薬物送達の終わりに、後退偏倚部材は、その初期の付勢状態から近位方向に拡張することが許容される。後退偏倚部材の近位方向におけるこの軸方向拡張は、針を後退させる。インサータ針/トロカール及びカニューレ構成が利用される場合、カニューレを患者の身体と流体連通に維持しながら、針の後退が生じ得る。したがって、挿入機構を用いて、針及びカニューレを患者内に挿入し、その後、カニューレを患者の身体への薬物送達のための位置に保持しながら、針を後退させてもよい。
XXI.充填最終製剤化カートリッジ
上述の滅菌流体通路アセンブリは、標準的な充填機器及びシステムを用いて、以下に記載される薬物等の薬学的治療剤で充填され得る。この利点は、以下にさらに考察されるように、流体通路アセンブリの滅菌性を維持するように機能し、それらが入れ子になる、据え付ける、あるいは標準的な充填-最終製剤化過程のためにトレイに着脱自在に挿入されることを可能にする、下記の充填-最終製剤化カートリッジによって可能となる。図165~87に関連して以下に記載される駆動機構、流体通路接続子、挿入機構、ならびに薬物送達デバイスの他の構成要素及び副次構成要素は、適切な場合、図1A~164Bに関連して上に記載される薬物送達デバイスのいずれか、または本明細書に開示される任意の他の薬物送達デバイスにおいて実装され得る。さらに、以下に記載される製造方法及び使用方法は、適切な場合、図1A~164Bに関連して上に記載される薬物送達デバイス、または本明細書に開示される任意の他の薬物送達デバイスに適用され得る。
次に図165を見ると、本開示の態様を組み込む薬物送達デバイス10の例の概略図が例証される。デバイス10は、作動機構614を有するハウジング612を含む。理解を容易にするために、ハウジング612は概略的に示されている。本開示に従って、デバイスは、充填-最終製剤化カートリッジ616をさらに含む。充填-最終製剤化カートリッジ616は、薬物容器618、流体通路接続子622を含む流体通路アセンブリ620、及び針挿入機構624を含む。流体通路アセンブリ620は、例えば、流体導管26を含む種々の構成要素の配置を容易にするさらなる構造を含み得る。流体通路接続子622は、薬物容器618の遠位端628に実質的に隣接して配置され、針挿入機構624は、流体通路接続子622の遠位端630に実質的に隣接して配置される。例証される実施形態において、薬物容器618は、概して水平に位置付けられ、垂直に位置付けられた針挿入機構624から垂直である。しかしながら、構成要素は、任意の適切な様態で位置付けられ得ることが理解されよう。
薬物容器618に収容された薬物の投与は、作動機構614によって始動され得る。作動機構614は、例えば、患者によって手動で起動されるか、または例えば電力・制御モジュール632によって自動的に作動される作動機構を含み得、この電力・制御モジュールには、さらなる例として、マイクロプロセッサまたは適切な接続を有する他の自動投与配置構成が含まれ得る。この実施形態において、作動機構614は、例えば、ハウジング612の外部表面に沿って配置され得、かつ患者によって選択的に押し下げられ得るボタン634である。薬物送達デバイス10ならびに作動機構614は、任意の適切な設計を有し得ることが理解されよう。
電力・制御モジュール632は、それが含まれる場合、薬物送達デバイス内の種々の電気構成要素にエネルギーを提供する、電源、1つ以上のフィードバック機構、マイクロコントローラ、回路基板、1つ以上の伝導性パッド、及び1つ以上の相互接続部を含み得る。当業者には理解されようが、かかる電気システムで一般的に使用される他の構成要素もまた含まれてもよい。1つ以上のフィードバック機構は、例えば、ピエゾアラーム等の可聴アラーム及び/または発光ダイオード(LED)等の光インジケータを含み得る。マイクロコントローラは、例えば、マイクロプロセッサであり得る。電力・制御モジュール632は、患者とのデバイスのいくつかの相互作用を制御し、薬物送達デバイス10の1つ以上の他の構成要素とインターフェース接続し得る。一実施形態において、電力・制御モジュール632は、オンボディセンサ及び/または作動機構614が作動されているときを特定し得る。電力・制御モジュール632はまた、患者に視覚フィードバックを提供するために光移送を許容する透明または半透明の材料であり得る、ステータスインジケータとインターフェース接続し得る。電力・制御モジュール632は、1つ以上の相互接続を通して駆動機構ならびに/または一体型の滅菌流体通路接続子及び薬物容器618とインターフェース接続して、作動、薬物送達、及び/または投薬終了等のステータス表示を患者に中継し得る。かかるステータス表示は、振動等の触覚によるフィードバックを介して、聴覚トーンを介して、例えば可聴アラームにより、及び/または視覚インジケータを介して、例えばLEDにより、患者に提示され得る。好ましい実施形態において、電力・制御システムと薬物送達デバイスの他の構成要素との間の制御インターフェースは、患者が作動させるまで係合または接続されない。これは、薬物送達デバイスの偶発的な操作を防止し、また、貯蔵、輸送等の間に電源内に貯蔵されたエネルギーを維持し得る、望ましい安全性特徴である。
電力・制御モジュール632は、いくつかの異なるステータスインジケータを患者に提供するように構成され得る。例えば、電力・制御モジュール632は、オンボディセンサ及び/またはトリガ機構が押圧された後に、デバイス起動点検により何のエラーも報告されなければ、電力・制御モジュール632がステータスインジケータを介して開始準備完了ステータス信号を提供するように、構成され得る。開始準備完了ステータス信号を提供した後に、任意選択的なオンボディセンサを有する実施形態において、オンボディセンサが患者の身体と接触したままである場合、電力・制御モジュール632は、駆動機構に電力供給して、一体型の滅菌流体通路接続子622及び滅菌流体導管26を通して薬物治療の送達を開始する。本開示の好ましい実施形態において、挿入機構624及び駆動機構は、作動機構614の患者による操作によって直接、作動するようにされ得る。一体型の滅菌流体通路接続子は、本明細書にさらに詳述されるように、駆動機構の作動によって生み出された、薬物容器618内の薬物流体の空気圧の力によって接続される(すなわち、流体通路が開通される)。薬物送達過程中、電力・制御モジュール632は、ステータスインジケータを介して分注ステータス信号を提供するように構成される。薬物が患者の体内に投与された後、及び実質的に全用量が患者に送達されたことを確実にするためのいずれの追加の滞留時間の終了後、電力・制御モジュール632は、ステータスインジケータを介して取り外し可ステータス信号を提供し得る。これは、患者が、ハウジング612の窓を通して駆動機構、及び薬物容器内の薬物用量の送達を見ることによって、独立して検証され得る。追加的に、電力・制御モジュール632は、ステータスインジケータを介して、例えば、故障または動作不具合状況を示す警報等の1つ以上の警報信号を提供するように構成され得る。
他の電力・制御システム構成は、本開示の新規の薬物送達デバイスと共に利用され得る。例えば、ある特定の作動遅延が、薬物送達中に利用され得る。上述のように、システム構成内に任意選択で含まれる1つのかかる遅延は、完了を患者に信号伝達する前に実質的に全薬物用量が送達されていることを確実にする、滞留時間である。同様に、デバイスの作動は、薬物送達デバイスの作動前に、薬物送達デバイス10の作動機構614の長期の押し下げ(すなわち、押圧)を必要とし得る。追加的に、システムは、患者が投薬終了信号に応答すること、及び薬物送達デバイスを作動停止するまたはその電源を切ることを許容する特徴を含み得る。かかる特徴は同様に、停止デバイスの偶発的な作動を防止するために、作動機構の遅延した押し下げを必要とし得る。かかる特徴は、薬物送達デバイスに対する望ましい安全性一体化機構及び使い勝手の良いパラメータを提供する。追加の安全性特徴が、薬物送達デバイスの部分的押し下げ、及びしたがって、部分的作動を防止するために作動機構に一体化されてもよい。例えば、作動機構及び/または電力・制御システムは、部分的作動を防止するために、デバイスが完全にオフであるかまたは完全にオンであるかのいずれかであるように構成され得る。かかる特徴は、新規の薬物送達デバイスの他の態様に関してこれ以降でさらに詳述される。
含まれる場合、電力・制御モジュール632は、プロセッサ(図示せず)及びメモリ構成要素(図示せず)を含み得る。プロセッサは、マイクロプロセッサ、または当該技術分野で既知の他のプロセッサであり得る。いくつかの実施形態において、プロセッサは、複数のプロセッサからなってもよい。プロセッサは、投与信号を生成し、かつ薬物容器618に収容された薬物の投与を制御するための命令を実行し得る。かかる命令は、メモリ構成要素等のコンピュータ可読媒体に読み込まれるもしくは組み込まれるか、またはプロセッサの外部に提供され得る。代替的な実施形態において、薬物投与を実装するために、ソフトウェア命令の代わりに、またはそれと組み合わせて、ハードワイヤード回路が使用されてもよい。故に、実施形態は、ハードウェア回路及びソフトウェアの任意の特定の組み合わせに限定されない。
本明細書で使用されるとき、「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行のためのプロセッサへの命令の提供に参加する、任意の媒体または媒体の組み合わせを指す。かかる媒体は、多くの形態をとり得る。メモリ構成要素は、上述のようにコンピュータ可読媒体の任意の形態を含み得る。メモリ構成要素は、複数のメモリ構成要素を含み得る。
電力・制御モジュール632は、単一のハウジング内に封入され得る。代替的な実施形態において、電力・制御モジュール632は、動作可能に接続され、かつ複数のハウジング内に封入された複数の構成要素を含み得る。
電力・制御モジュール632は、患者による起動、予めプログラムされた起動、または遠隔起動の機能として投与信号を生成するように構成され得る。電力・制御モジュール632は、充填-最終製剤化カートリッジ616、及び/または薬物容器618、流体通路接続子622、及び/または針挿入機構624に個々に通信可能に連結されている。
本開示の実施形態の態様に従って、例証される実施形態において、作動機構614の起動、ここではボタン634の押し下げは、以下により詳細に考察されるように、流体通路接続子622の係合をもたらす。患者によるこの同じ行為は、以下に同様により詳細に説明されるように、針挿入機構624が針またはカニューレを患者の中に挿入することをトリガし得る。故に、作動機構614の起動は、薬物容器618から、流体通路接続子622、流体導管26、及び針挿入機構624を通り、そして患者(図示せず)への薬物通路の完成をもたらす。作動機構614の起動はまた、駆動機構が、薬物容器618に関連する構造上に作用して、滅菌通路を通って流体を押し出すことをもたらし得る。本開示の実施形態において、針挿入機構624は、針を患者から後退させるようにトリガされ得、薬物送達の完了時に明確な用量送達終了の表示を提供する。ハウジング612は加えて、例えば、薬物送達を確認するためにそれを通して薬物容器618を見ることができる窓を含み得る。
本開示の実施形態の態様によれば、充填-最終製剤化カートリッジ616は、ハウジング612内への薬物送達デバイス10の組み立て前に構築及び充填される。その際、充填-最終製剤化カートリッジ616は、いくつかの実施形態においては充填前、及びいくつかの実施形態においては充填後に、充填-最終製剤化カートリッジ616を滅菌するための手順に持ちこたえるのに十分に眼鏡である。充填-最終製剤化カートリッジ616の滅菌構築及び充填後に、デバイスは、必要に応じて薬物送達デバイス10内に位置付けられ得る。いずれにしても、流体通路アセンブリ620及び薬物容器618の滅菌性は、組み立て、充填、及び製造過程の態様を通して維持される。薬物送達デバイス10の最終組み立ては、故に、滅菌環境の外側で行われ得る。滅菌流体通路アセンブリ620の構成要素のみが滅菌される必要があり、かつ滅菌されているため、薬物送達デバイス10の残りの部分は滅菌(すなわち、最終滅菌)を必要としない。これは、いくつかの利点を提供する。本開示の新規の実施形態はまた、使用時点で薬物送達デバイスを充填する必要性を軽減するが、本開示のいくつかの実施形態は、使用時点での充填のために構成されたデバイスにおいても利用され得る。
本開示の実施形態の別の態様によれば、充填-最終製剤化カートリッジ616の個々の構成要素の種々の実施形態は、充填-最終製剤化カートリッジ616の種々の実施形態を提供するために種々の構成で組み立てられ得る。以下の開示は、充填-最終製剤化カートリッジ616内に組み込まれ得る個々の要素の例示的な構造を開示し、それらは参照によりそれらに開示される全てについて本明細書に組み込まれる:2012年8月30日に出願された米国出願第13/600,114号;2012年8月30日に出願された米国出願第13/599,727号;2012年9月12日に出願された米国出願第13/612,203号;及び2013年3月12日に出願された13/796,156号。図166Bは、充填-最終製剤化カートリッジ616の実施形態の種々の構成をもたらし得る個々の構成要素間の接続の考えられる可変要素の例のチャートである一方、図166Aは、図166Aにおいて参照される態様を特定する充填-最終製剤化カートリッジ616の例を示す。理解を容易にするために、図165において同じ参照番号が利用される。個々の構成要素、ならびに個々の構成要素間の相互作用及び接続は、種々の設計を有し得る。例えば、針挿入機構624は、任意の好適な設計であってもよい。同様に、容器618及び流体通路接続子622は各々、任意の好適な設計であってもよい。
同様に、構成要素間の相互作用は、任意の適切な設計であってもよい。例えば、流体通路接続子622と薬物容器618との係合は、密封が得られる限り、螺合もしくはスナップ接続、を含み得、締まり嵌め、外的サポートもしくは他の配置構成を含み得る。同様に、流体通路接続子622と針挿入機構624との係合は、螺合もしくはスナップ接続、締まり嵌め、溝形配置構成、外的サポート、または接続のために流体通路接続子622と針挿入機構624との間の流体導管を利用することを含むがこれに限定されないいくつかの他の配置構成を含み得る。さらに、いくつかの実施形態において、流体通路接続子622と針挿入機構624との係合は、滅菌流体の接続が維持される限り、針挿入機構624が充填-最終製剤化カートリッジ616の残りの部分と共に軸方向以外に配向されることを許容するように、充填-最終製剤化過程後に分解され得る。
種々の実施形態において、充填-最終製剤化カートリッジ616は、充填-最終製剤化過程中に、ならびに薬物送達デバイス10との使用中に、構成要素が軸方向に整列して維持され得る。つまり、例えば、針挿入機構624は、図166Bに示されるような充填-最終製剤化過程中、及び薬物送達の使用中に、充填-最終製剤化カートリッジ616の残りの部分と共に軸方向に配置され得る。他の実施形態において、充填-最終製剤化カートリッジ616は、図166Bに例証されるもの等の充填-最終製剤化過程中に、構成要素が軸方向に整列して維持されてもよく、一方で、構成要素は、薬物送達デバイス10との使用において軸方向以外に整列して維持されてもよい。例えば、図165に例証されように、針挿入機構624は、流体通路接続子622及び薬物容器618から間隔を空けて、かつ90度の配向で配置される。他の実施形態において、充填-最終製剤化カートリッジは、充填-最終製剤化過程中に、構成要素が軸方向以外に整列して維持されてもよく、それでもなお薬物送達デバイス10との使用においては軸方向に整列されてもよい。他の実施形態において、充填-最終製剤化カートリッジ616は、充填-最終製剤化過程中、及び薬物送達デバイス10との使用中の両方において、構成要素が軸方向以外に整列して維持されてもよい。
さらに、全ての実施形態において含まれていないものの、充填-最終製剤化カートリッジ616に追加の構造的一体性を提供するために、以下により詳細に説明されるように、キャリアが提供され得る。かかるキャリアは、それが薬物送達デバイス10内で充填-最終製剤化カートリッジ616の少なくとも一部分の周りで、またはそれに沿って維持されるように、充填-最終製剤化カートリッジ616の構造と一体化されてもよく、またはかかるキャリアは、完全にまたは部分的に使い捨てであってもよい。キャリアは、組み立て、充填-最終製剤化過程、または充填-最終製剤化カートリッジもしくはそれを組み込む薬物送達デバイス上で行われる他の操作中の、充填-最終製剤化カートリッジ構成要素の種々の相対的位置の維持等の、いくつかの機能を実施し得、キャリアまたはキャリアの一部分は、充填-最終製剤化カートリッジ616の薬物送達デバイス10への取り付けにおいて、または薬物送達デバイスの10の操作に関連して、充填-最終製剤化カートリッジと薬物送達デバイス10との相互作用に利用され得る。変動する構成にあるかかる構造の種々の例のより詳細な説明は以下にあるが、構造をこれらの特定の構成に限定することは意図しない。むしろ、説明される個々の配置構成は、本開示の範囲内の種々の考えられる構成及び構造の例として提供される。
図167は、本開示の充填-最終製剤化カートリッジ716の一実施形態の分解図を示す。理解を容易にするために、図165に利用される数字は、接頭数字を用いて本開示の実施形態のさらなる例に利用され、この実施形態においては、1XXが利用される。この実施形態の充填-最終製剤化カートリッジ716は、薬物容器718に接続された流体通路アセンブリ720を含む。
流体通路アセンブリ720は、流体導管726によって流体通路接続子722に連結された針挿入機構724を含む。針挿入機構724の近位端は、その近位端において流体通路接続子722に接続された流体導管726の遠位端に接続されている。
針挿入機構724は、それが薬物送達デバイスにおける充填-最終製剤化カートリッジ716の定置の前に滅菌され得る限り、任意の適切な設計のものであってもよい。移植及び液剤用のかかる針挿入機構724の例は、2012年8月30日に出願された米国出願第13/599,727号に開示され、同特許出願は、参照によりそれに開示される全てについて本明細書に組み込まれる。図167の針挿入機構724は、投与針(図167において不可視)が投与のために充填-最終製剤化カートリッジ716の遠位端から軸方向に延出するように、軸方向構造を含むことに留意されたい。しかしながら、流体通路接続子722及び/または薬物容器718の軸に対して角度をなして配置された針挿入機構724が代替的に利用され得ることが理解されよう。
針挿入機構724、流体通路接続子722、及び流体導管726を含む流体通路アセンブリ720の構成要素は、従来の滅菌技術及び機械によって滅菌され得る材料で形成される。流体導管726は、任意の適切な材料、例えば、プラスチックチューブ等の、ある長さの可撓性チューブで形成され得る。しかしながら、流体通路接続子722及び針挿入機構724が、いくつかの実施形態において直接取り付けられ得ることが理解されよう(図167及び168では例証されない)。
流体通路アセンブリ720の構成要素は、かかる接続の前に滅菌され得るか、または統合された構成要素として滅菌前に接続され得る。かかる接続の前に滅菌される場合、流体通路アセンブリ720は、組み立てまたは起動中に穿通され得る透過性シール等の追加のシールを流体通路接続子722において含み得る(例証されない)。
この実施形態及び実施形態の各々の薬物容器718は、任意の適切な材料、ならびに任意の適切な形状及びサイズのものであってもよく、その中に含有される薬物の完全性及び滅菌性を維持するためにシールを含んでもよい。例えば、薬物容器718は、ガラス、プラスチック、または他の適切な材料で形成され得る。この実施形態及び実施形態の各々の薬物容器718は、取り扱い、薬物送達デバイス内での据え付け、滅菌、及び/または充填-最終製剤化カートリッジ716の他の構成要素とのインターフェース接続を容易にする構造を含み得る。例えば、フランジ719は、薬物容器716に沿った任意の適切な位置に提供され得る。かかるフランジ719は、薬物容器718と一体に形成されてもよく、または薬物容器に固定された別個の要素であってもよい。例証される実施形態において、フランジ719は、薬物容器718の近位端に連結された別個の構成要素である。
本開示の実施形態において、薬を薬物容器718から流体通路アセンブリ720へと移動させるために任意の適切な駆動機構が提供され得ることが理解されよう。例えば、2013年8月30日に出願された米国出願第13/600,114号は、薬物容器に関連する駆動機構の実施形態を開示し、同特許出願は、同出願に開示される全てについて参照により本明細書に組み込まれる。
薬物容器718の充填及び薬物送達容器からの薬の投与の両方を容易にするために、薬物容器718は、近位端及び遠位端6127、728においてそれぞれ、開口部718a、718bを含み得る。薬物容器718を密封するために、薬物容器718の遠位端728に透過性シール150が提供され得る。このようにして、いったん充填されると、薬物容器718内に収容された薬物は、シール150が流体通路接続子722によって穿通された流体通路が完成するときまで滅菌環境内に維持され得る。透過性シール150は、任意の適切な設計及び材料のものであってもよい。
薬物容器718の遠位端728は、以下により詳細に説明されるように、充填前または充填後の滅菌のために、流体通路アセンブリ720と共に組み立てられ得る。図168は、これらの構成要素が組み立てられた後、滅菌ができる状態にある、図168の流体通路接続子722及び透過性シール150の拡大断面図を示す。透過性シール150は、薬物容器718の遠位端728における開口部718bにわたる単一の薄膜762等であり得る一方、透過性シール150は、薬物容器718及び/または流体通路接続子722との接続を容易にするさらなる構造を含み得る。示されるように、本開示の少なくとも1つの実施形態において、透過性シール150は、薬物容器718を覆い、ならびに流体通路接続子722のためのサポートを提供する容器先端の形態である。この実施形態において、透過性シール150は、薬物容器718内にとどまり、透過性シール150を薬物容器718に据え付けるための当接面を提供する部分152を含み得る。シール150の薬物容器718との接続の維持を補助するために、透過性シール150及び薬物容器718の周り、薬物容器718上のリップの周り等にキャップ151が提供され得る。かかるキャップ151は、箔等の任意の適切な材料のものであってもよい。薬物容器718が透過性シール150とのインターフェースでネックインしているが、代替的な設計が同様に提供され得ることが理解されよう。
透過性シール150はまた、流体通路接続子722との据え付けを容易にする延出部153を有し得る。図168に示される実施形態において、流体通路接続子722は、カニューレ158がそれを通って延出し得るハブ154を含む。当業者であれば、本明細書で使用されるとき、「カニューレ」158という用語は、必要な流体接続を提供するように動作可能であり得る針またはカニューレを含むことを理解するであろう。流体導管726は、それがハブ154の表面から延出するにつれて、カニューレ158に流体接続される。流体通路接続子722のハブ154は、ここに示されるように、延出部153の穴760内に配置されているカニューレ158の近位端を、透過性シール150の延出部153と据え付けるか、取り付けるか、または別様に接続するために用いられ得る。薬物容器718と流体導管726との間の流体通路の完成前に、カニューレ158は、図168に例証される位置に保持される。
透過性シール150は、カニューレ158によって穿通され得る膜762として作用する部分を有する。図167及び168の実施形態において、膜762は、カニューレ158に対して概して垂直に配置されて、薬物容器718を流体通路接続子722から閉め切り、それによって、薬物容器718から流体導管726への流体通路を遮断している。患者が作動させると、薬物容器718を遮断している透過性シール150の一部分、ここでは膜762は、流体通路接続子722のカニューレ158によって穿通され、それによって、流体通路が完成し、薬物流体が容器718からカニューレ158及び流体導管726へ、そして針挿入機構724上へと通ることを許容する。穿通を容易にするために、透過性シール150の延出部153は、例えば、カニューレ158が膜762を穿通して流体通路を完成させることを可能にするように、十分な軸方向の圧力に応じて外向きに曲がり得る。
本開示の実施形態の別の態様によれば、充填-最終製剤化カートリッジ716の薬物容器718、流体通路接続子722、及び針挿入機構724は、充填-最終製剤化過程において利用され、かつ薬物送達デバイスのハウジングへと組み立てられるのに十分な構造統合性を呈する。任意の適切な流体通路接続子722が本開示の実施形態に組み込まれ得ることが理解されよう。例えば、例えば、2012年9月12日に出願された米国出願第13/612,203号に開示されるような、据え付けられた流体通路接続子が利用され得る。同様に、例えば、2013年3月12日に出願された米国出願第13/796,156号に開示されるような一体型の流体通路接続子が利用され得る。これらの出願の両方は、参照により本明細書に組み込まれる。
同様に、流体通路接続子722と針挿入機構724との間に任意の適切な接続が提供され得ることが理解されよう。いくつかの接続の例が本明細書において詳細に開示されているものの、本開示を限定することは出願人の意図ではない。かかる接続には、例えば、スナップ接続(図210~187を参照されたい)、螺合接続(図180~184を参照されたい)、締まり嵌め接続、溝形接続、外的サポート(図167を参照されたい)、または他の適切な接続が含まれ得る。
図167に戻ると、流体通路接続子722と透過性シール150との間、及び/または流体通路接続子722と針挿入機構724との間ののかかるインターフェースにさらなる構造統合性を提供するために、キャリア742が提供され得る。この実施形態のキャリア742は、接続カラー740及びバレル6141を含む。製造目的で、接続カラー740自体は、図167に例証されるように、流体通路接続子722、透過性シール150、及び薬物容器718の一部分の周りで任意の適切な機構によって一緒に連結され得る複数の構成要素を含み得る。しかしながら、一体型の接続カラー740が代替的に提供され得ることが理解されよう。全ての実施形態において接続カラー740が必要とされないかまたは望ましくない場合があり、かかる接続カラー740が設計の一体部分として提供され得るか、または組み立てもしくは滅菌過程中に完全にもしくは部分的に使い捨てであり得ることがさらに理解されよう。
さらなる構造統合性は、滅菌及び組み立て過程中に流体通路アセンブリ720をサポートし得るバレル6141によって提供され得る。任意の適切な連結が提供され得るが、接続カラー740は、流体通路アセンブリ720の周りでのバレル6141の連結を容易にし得る。例証される実施形態において、接続カラー740は、バレル6141内の一対の陥凹746と当接する一対の突出部744(図167において一方のみ見ることができる)を含む。接続カラー740と同様に、全ての実施形態においてバレル6141が必要とされないかまたは望ましくない場合があり、かかるバレル6141が設計の一体部分として提供され得るか、または組み立てもしくは滅菌過程中に完全にもしくは部分的に使い捨てであり得ることがさらに理解されよう。針挿入機構724を操作して薬を投与することを許容するために、バレル6141は、投与針が使用中にそれを通って延出し得る開口部6741aを含み得る。
操作の効率性のために、針挿入機構724は、流体通路接続子722に連結され得、流体通路接続子722は、滅菌、充填、及び組み立て過程を通じて針挿入機構724が非穿通構成に維持された状態で、透過性シール150に接続され得る。このようにして、充填-最終製剤化カートリッジ716は、図169に示されるように見ることができ、流体通路アセンブリ720は、キャリア742によって外部環境から完全に隠されて常在している。いったん薬物容器718が薬学的治療剤で充填されると、適切な薬物送達デバイス内に挿入され得る閉じた充填-最終製剤化カートリッジ716を提供するために、薬物容器718の近位端6127にシール764が提供され得る。図169~170に例証される実施形態において、エラストマープランジャシール764は、薬物容器718の近位端6127内に挿入されている。しかしながら、他の適切なシール配置構成が提供され得ることが理解されよう。図169及び170において、流体通路接続子722、容器718、及び挿入機構724の互いに対する配置構成は、第1の構成と見なされ得る。第1の構成は、標準的な充填機器及びシステムの使用を可能にすることによって製造過程を容易にし得る。図169及び170に示される第1の構成は容器718及び挿入機構724の軸方向の整列を伴うものの、他の実施形態において、第1の構成は、容器718及び挿入機構724非軸方向の整列、または容器718及び挿入機構724の任意の他の相対的な位置付けを伴ってもよい。その後、図165に例証されるように薬物送達デバイス610内に組み立てられるとき、流体通路接続子722、容器718、及び挿入機構724は、それらが第2の構成を有するように互いに対して配置され得る。第2の構成は、図165に例証されるように容器718及び挿入機構724の非整列、または代替的な実施形態において、容器718及び挿入機構724の軸方向整列、もしくは容器718及び挿入機構724の任意の他の相対的な位置付けを伴い得る。いくつかの実施形態において、第1の構成は、第2の構成とは異なる。
本開示の別の態様によれば、流体通路アセンブリは滅菌状態に維持され得、各アセンブリの薬物容器は、当該技術分野で既知のものと同様の過程を無菌で使用して薬学的化合物で充填され得る。薬学的治療剤が薬物容器内に充填され、例えば図167~170の実施形態のプランジャシール764によって薬物容器が密封された後に、充填-最終製剤化カートリッジ716は、薬物容器718、流体通路アセンブリ720、またはそれらの個々の構成要素の滅菌性または容器の完全性を含まずに滅菌充填環境から取り外されてもよい。
代替的に、充填-最終製剤化過程は、薬学的治療剤での容器718の充填の前にプランジャシール764が薬物容器718の近位端に挿入されるようなものであり得る。かかる実施形態において、薬学的治療剤は、流体通路接続子722及び流体通路アセンブリ720の挿入及び接続の前に薬物容器718の遠位端728から充填され得る。したがって、本開示の充填-最終製剤化カートリッジは、本開示の流体通路アセンブリが標準的な充填-最終製剤化過程において薬学的治療剤で充填されることを可能にし、構成要素及びそれらが組み込まれている薬物送達デバイスの製造及び操作に関連する複雑さを大幅に低減させる。
本開示の別の態様によれば、本開示の充填-最終製剤化カートリッジの実施形態は、流体通路アセンブリが標準的な充填-最終製剤化過程で充填されることを可能にし得る。その際、充填-最終製剤化カートリッジは、既存のまたは標準的な充填-最終製剤化 機器を利用してもよい。例えば図167~170に例証されるもの等の複数の充填-最終製剤化カートリッジ716は、例えば図171~172に例証されるように、薬学的治療剤での充填のために標準的な充填-最終製剤化トレイ770内に着脱自在に据え付けられ、嵌合され、挿入、または別様に定置される。上で説明したように、薬物容器718のフランジ719は、充填-最終製剤化カートリッジ716の定置及び取り扱いを補助し得る。図171~172に例証される充填-最終製剤化トレイ770は、36個の薬物容器、ここでは充填-最終製剤化カートリッジ716を保持するように構成されているが、任意の構成の、または任意の数の容器を保持することができるトレイが利用され得る。
本開示の別の態様によれば、充填-最終製剤化カートリッジは、固定カートリッジまたは調整可能なカートリッジであるように構成され得る。例えば、カートリッジは、それらが曲がるか、回転するか、拡張するか、または収縮して、いくつかの異なる流体通路アセンブリと嵌合するか、または異なる寸法の充填-最終製剤化過程と当接することを可能にする、可撓性または調整可能な部分を有し得る。
本開示のなおも別の態様によれば、充填-最終製剤化カートリッジのいくつかの実施形態の構成要素は、薬物送達デバイス内に組み込まれ得る一方、他の実施形態において、充填-最終製剤化カートリッジの構成要素は、充填-最終製剤化過程のために利用され、その後、流体通路アセンブリ及び薬物容器の薬物送達デバイスへの据え付け後に廃棄され得る。例えば、図167~170に例証されるような実施形態において、図165に示されるように、バレルを取り外すことによって、接続カラーを利用して、薬物容器を薬物送達デバイス内の位置に据え付け及び/または留めることができ、針挿入機構は、薬物容器から遠隔に、かつそれに対して90度で据え付けられる。
図173~175の実施形態において、薬物送達デバイス内への挿入の前の充填-最終製剤化過程の後に捨てられ得るキャリア842を含む充填-最終製剤化カートリッジ816が例証される。この実施形態の充填-最終製剤化カートリッジ816は、薬物容器818に接続された流体通路アセンブリ820を含む。流体通路アセンブリ820は、流体導管826によって流体通路接続子822に連結された針挿入機構824を含む。針挿入機構824の近位端は、その近位端において流体通路接続子822に接続された流体導管826の遠位端に接続されている。充填-最終製剤化カートリッジ816へのさらなるサポートを提供するために、例証されるキャリア842は、薬物容器818及び流体通路アセンブリ820の一部分、つまり、流体通路接続子822、流体導管826、及び針挿入機構824の一部分の周りに配置される。
キャリア842は、所望の場合、組み立て及び分解を容易にするために複数の構成要素で製造され得る概して細長い管状構造である。例証される実施形態において、キャリア842の一部分は、突出部844を有する円周方向の延出アーム843を含む一方、キャリア842の当接部分は、充填-最終製剤化カートリッジ816の周りで組み立てられるときに突出部844がそれを通して延出し得る陥凹または開口部846を含む。
充填-最終製剤化カートリッジ816の構成要素をそれらの相対的な位置に維持することを補助するために、キャリア842は、1つ以上の径方向に突き出たフランジ848a、848b、848cをさらに含み得る。以下の説明から明らかになるように、フランジ848a及び848bは、流体通路接続子822及び薬物容器818の態様をそれらの相対的な位置にさらに固定するように配置され得る。さらに、以下の説明から同様に明らかになるように、フランジ848b及び848cは、充填中、及び任意選択で、薬物送達デバイス内での定置中に、充填-最終製剤化カートリッジ816を起動されていない位置に維持するように配置され得る。デバイスの起動を許容するために、キャリア842は、充填-最終製剤化カートリッジ816から取り外され、廃棄され得る。キャリア842は、取り外し可能な留め金840をさらに含み得る。取り外し可能な留め金840は、薬物容器818から流体通路接続子822への流体通路の時期尚早な完成を防止するために、概してU字形状の構造と、充填-最終製剤化カートリッジ816の表面と向き合う表面とを有し得る。取り外し可能な留め金840は、それが薬物送達デバイスのハウジング内に組み立てられるときに充填-最終製剤化カートリッジ816と共に留まり得、いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスのハウジング内の構造は、取り外し可能な留め金840の1つ以上の表面と向き合って、それがハウジング内に組み立てられるときに取り外し可能な留め金840を充填-最終製剤化カートリッジ816から係脱させ得る。
薬物容器818は、細長く、概して環状の構造であるが、薬物容器818は代替的な設計のものであってもよい。例えば、薬物容器818に沿った任意の適切な位置にフランジ819が提供され得る。かかるフランジ819は、薬物容器818と一体に形成されてもよく、または薬物容器818に固定された別個の要素であってもよい。例証される実施形態において、フランジ819は、薬物容器818の近位端827に連結された別個の構成要素である。一実施形態において、フランジ819は、充填-最終製剤化カートリッジ816を組み込む薬物送達デバイスのハウジングの壁とインターフェース接続してもよい。さらに、この実施形態において、フランジ817は、薬物容器818の遠位端828に提供される。図175に例証されるように、フランジ817は、キャリア842のフランジ848aに係合して、充填-最終製剤化過程及び取り扱い中に充填-最終製剤化カートリッジ816の構成要素の相対的な位置の維持を容易にし得る。
薬物容器818を密封するために、薬物容器818の遠位端828に透過性シール850が提供され得る。このようにして、薬物容器818内に収容された薬物は、シール850が流体通路接続子822によって穿通された流体通路が完成するときまで滅菌環境内に維持され得る。薬物容器818は、充填前または充填後の滅菌のために、透過性シール850及び流体通路アセンブリ820と共に組み立てられ得る。透過性シール850は、任意の適切な設計及び材料のものであってもよい。透過性シール850は、薬物容器818から流体通路接続子822及び流体導管826を通る、針挿入アセンブリ824への流体通路を完成させるために穿通され得る薄膜862等を含む。
透過性シール850は、薬物容器818及び/または流体通路接続子822との接続を容易にする構造を含み得る。例えば、透過性シール850は、薬物容器818内にとどまり、透過性シール850を薬物容器818に据え付けるための当接面を提供する部分852を含み得る。
流体通路接続子822は、任意の適切な設計であってもよい。かかる穿通配置構成は、例えば、米国出願第13/612,203号、及び米国出願第13/796,156号に開示され、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
図175を参照すると、例証される流体通路接続子822は、起動中に透過性シール850の膜862を穿通するように配置されたカニューレ858を含み、このカニューレ858は、起動されていない位置(図175を参照されたい)において透過性シール850と間隔を空けており、近位方向にそれぞれ軸方向に進行し、起動の結果として膜862と向き合い、それを穿通する。図175に示される実施形態において、流体通路接続子822は、カニューレ858がそれを通して延出するハブ854を含む。ハブ854内で固定されたカニューレ858からの通路は、カニューレ858の管腔から流体導管826の管腔へと延出する。したがって、カニューレ858が透過性シール850の膜862を穿通すると、薬物容器818、流体導管826、及び針挿入機構824の針825の間に流体通路が提供される。
ハブ854、及びしたがってカニューレ858を、薬物容器818を閉じる透過性シール850に対する所望の位置に維持するために、流体通路接続子822は、エラストマー材料等の折り畳み式の材料で形成されたブーツ853をさらに含む。ブーツ853の遠位端は、ハブ854の一部分の周りに配置された概して軸方向に延出する穴853aを含む一方、ブーツ853の近位端は、概して径方向に延出するフランジ853bを含む。透過性シール850はまた、薬物容器818の遠位端828において流体通路接続子822のブーツ853のフランジ853bと、フランジ817との間に挟まれ得るフランジ849を含んでもよい。図167~170に例証される実施形態と同様に、フランジ817、849、853bの周辺の周りにキャップ851等の保持構造が提供され得る。
充填-最終製剤化カートリッジ816の流体通路接続子822は、流体通路を完成させるために、例えば、薬物容器818の近位端827の手動での押し下げによって、または代替的な配置構成によって、透過性シール850の膜862を穿通させられ得る。起動中、ブーツ853は、外向きに曲がって、ハブ854と透過性シール850との間の相対的な軸方向の動きを可能にし、その結果、カニューレ858が透過性シール850の膜862を穿通して、流体導管826を介して薬物容器818を針挿入機構824の送達針825と流体接続させる。
流体通路接続子822の不注意の作動を阻止するために、いったんキャリア842が取り外されると、滅菌ブーツ853の円周の一部分の周り、及び/または薬物容器818に対するハブ854の軸方向の動きを阻止する表面間に取り外し可能な留め金840が提供され得る。取り外し可能な留め金840は、例えば、ハブ854表面、及び滅菌ブーツ853のフランジ853b、ここではフランジ853bに沿ったキャップ851上で対向する表面840a、840bと向き合う、比較的剛性の構造であり得、結果として、取り外し可能な留め金840は、シール850に対するハブ854の軸方向の動きを阻止する。例証される取り外し可能な留め金840はまた、滅菌ブーツ853の周辺の少なくとも一部分を近接して辿り、結果として、取り外し可能な留め金840は、カニューレ858が軸方向に動いてシール850を穿通するときに滅菌ブーツ853が外向きに曲がることを同様に防止する。この実施形態において、例えば、取り外し可能な留め金840が送達デバイスのハウジングの向き合う表面に係合するときに取り外し可能な留め金840は、充填-最終製剤化カートリッジ816を薬物送達デバイス内に組み立てる前に患者によって、薬物送達デバイス内への定置の作用によって、滅菌ブーツ853上の位置から引っ張り出されてもよい(例証されない)。
針挿入機構824は、任意の適切な設計であってもよい。図173~176の実施形態に関連して例証される針挿入機構824は同様に、針後退機構を含み、これは、参照により組み込まれる米国出願第13/599,727号に示され、より詳細に説明されている。
挿入機構824は、1つ以上のロックアウト窓865a、基部866、及び滅菌ブーツ879を有する挿入機構ハウジング865を含む。基部866は、針825の通過のための開口部を含み、少なくとも一実施形態において、充填-最終製剤化カートリッジ816の使用前に取り外し可能である封止膜867を含み得る。代替的に、封止膜867は、それを組み込む薬物送達デバイス内の充填-最終製剤化カートリッジ816の動作中に針825が封止膜867を穿通するように、基部866の底部に取り付けられたままであってもよい。
挿入機構824は、挿入偏倚部材868、ハブ869、針825、屈折偏倚部材871、クリップ872、マニホールドガイド873、隔壁874、カニューレ 875、及びマニホールド876をさらに含み得る。図175に例証されるように、挿入及び後退偏倚部材868、871の両方は、付勢状態に保持される。マニホールド876は、滅菌流体導管826に接続して、本明細書においてさらに詳細に記載されるように、薬物送達中に、マニホールド876、カニューレ875を通り、かつ患者の身体への流体流を許容し得る。
本明細書で使用されるとき、「針」は、剛性中空針等の従来の中空針、及びしばしば「トロカール」と称される中実針を含むがこれらに限定されない様々な針を指すことを意図する。一実施形態において、針825は、27ゲージの中実トロカールであり得、他の実施形態において、針は、意図する薬物及び薬物投与(例えば、皮下、筋肉内、皮内等)の種類のための、カニューレを挿入するために好適な任意のサイズの針であり得る。
組み立て時に、針825の近位端は、ハブ869と固定接触して維持される。針825は、針825の動きをさらに制御するために、提供されている場合、カニューレ875を通って動くように位置付けられ得る。ハブ869、及びしたがって針825は、クリップ872によってマニホールドガイド873と選択的に接触するように維持される。偏倚部材868及び871はマニホールドガイド873上で支えられる一方、マニホールドガイド873は、ハウジング865の窓865aを通して延出する少なくとも1つのロックアウトピン878によって所定の位置に維持される。
針挿入824デバイスの起動は、ロックアウトピン878を取り外すことによってもたらされる。ロックアウトピン878は、充填-最終製剤化カートリッジ816の起動の直接的または間接的な結果として、窓865aから取り外され得る。ロックアウトピン878が取り外されると、ハブ869及び針825を載せたマニホールドガイド873は、注射偏倚部材868の偏倚力の下で軸方向に動くことを許容される。つまり、針825は、注射位置へと動く。ハブ869及び針825が注射位置へと動くにつれて、滅菌ブーツ879は折り畳まれる。
図175に示される実施形態等の、少なくともいくつかの実施形態において、針挿入機構824は、注射後に針825を後退させる屈折機構をさらに含む。かかる後退機構は、任意の適切な設計であってもよい。マニホールドガイド873が遠位方向へ軸方向に動くにつれて、クリップ872は、ハブ869を解放する。解放されると、後退偏倚部材871の偏倚力は、ハブ869及び関連する針825を後退させる。
図167~170の実施形態と同様に、図173~176の針挿入機構824は、投与針825が投与中に充填-最終製剤化カートリッジ816の遠位端から軸方向に延出するように、軸方向に整列した構造を含む。構成要素は、任意の適切な構造及び方法によって一緒に固定され得ることが理解されよう。流体通路接続子822及び針挿入機構824の相対的な位置は、例えば、図174~176に見ることができるように、ブラケット880によって維持され得る。例証されるブラケット880は、図175に最も良好に見ることができるように、流体通路接続子822のハブ854と挿入機構ハウジング865との間に延出する。ブラケット880は、例えば、流体導管826の管理等の追加の機能を行い得る。
ブラケット880が流体通路接続子822または針挿入機構824のいずれかとのその接続から取り外されているか、または充填-最終製剤化カートリッジがブラケット880を含まないいくつかの実施形態において、流体導管826は、流体通路接続子822と針挿入機構824との間の可撓性流体接続を提供し、針挿入機構824及び流体通路接続子822が軸方向の整列以外で定置されることを可能にし得ることが理解されよう。かかる実施形態は、例えば、図165または図177~180に例証される。
図177を参照すると、本開示の教示による薬物送達デバイス910の別の実施形態が例証される。薬物送達デバイス910のハウジング912の一部分は、その中に含有される構成要素の相対的な位置を例証するために分離されている。充填-最終製剤化カートリッジ916は、流体通路アセンブリ920が連結する薬物容器918を含む。流体通路アセンブリ920は、流体導管926によって針挿入機構924に流体連結された流体通路接続子922を含む。この実施形態において、それらは流体連結されたまま、針挿入機構924は、ハウジング912内に組み立てられるときに充填-最終製剤化カートリッジ916の流体通路接続子922からを分離されることが理解されよう。図178及び179に示されるように、充填-最終製剤化過程中、構成要素は、図171及び172に例証されるように、充填-最終製剤化カートリッジ916が容易にトレイに定置されることを可能にするように整列される。しかしながら、充填-最終製剤化過程中に、構成要素が、針挿入機構924の軸が薬物容器918及び流路接続922の軸に対して垂直に延出するのと同じ程度には、充填-最終製剤化カートリッジ916内で軸方向に整列していないことに留意されたい。図178に最も良好に見ることができるように、針挿入機構924は、少なくとも一実施形態において、針挿入機構924からの針の通貨を可能にするために、充填-最終製剤化カートリッジ916の使用前に取り外し可能である封止膜967を薬物送達デバイス内に含み得る。代替的に、封止膜967は、それを組み込む薬物送達デバイス910内の充填-最終製剤化カートリッジ916の動作中に針が封止膜967を穿通するように、針挿入機構924の底部に取り付けられたままであってもよい。
図178を参照すると、充填-最終製剤化過程中に組み立てられた充填-最終製剤化カートリッジ916を部分的に囲むキャリア942と共に充填-最終製剤化カートリッジ916が例証される。図178に見ることができるように、キャリア942は、薬物容器918の遠位部分、流体通路接続子922、及び前記針挿入機構924実質的に囲む。この実施形態のキャリア942は3つの別個のセクションを含むが、より多いまたはより少ない数が提供されてもよい。この実施形態において、キャリア942の一部分は、薬物送達デバイス910のハウジング912への充填-最終製剤化カートリッジ916の定置の前に使い捨てである一方、一部分は、ハウジング912内に配置されたときに充填-最終製剤化カートリッジ916上に留まり、デバイス910の操作に利用され得る。
図178及び179に見ることができるように、キャリア942は、第1のバレルセクション941a及び第2のバレルセクション941bを含む。第1及び第2のバレルセクション941a、941bは、任意の適切な機構によって選択的に一緒に連結され得る。例証される実施形態において、薬物送達デバイス910のハウジング912内への定置の前に第1及び第2のセクション941a、941bが分離され、取り外され得るように、図173~75に例証されるものと同様の連結配置構成が利用され得る。キャリア942は、充填-最終製剤化カートリッジ916に組み立てられるときにバレルを完成させるカラー940をさらに含む。
流体通路接続子922及び針挿入機構924は、任意の適切な設計であってもよい。例証される流体通路接続子922は、例えば、図173~176に関連して説明され、針挿入機構924は同様に、図173~176に関連して説明され得る。図179を参照すると、簡潔に言えば、透過性シール950は、薬物容器918と流体通路接続子922の滅菌ブーツ953との間に配置されている。ハブ954から延出するカニューレ958は、滅菌ブーツ953内で軸方向に配置されている。透過性シール950へ向かうカニューレ958の継続した相対的な軸方向での近位の動きは、透過性シール950の穿通、及び針挿入機構924への流体通路の完成をもたらす。
充填された充填-最終製剤化カートリッジ916の薬物送達デバイスハウジング912への組み立てにおいて、図177に例証されるように、カラー940は、流体通路接続子922に連結されたままである。本開示のいくつかの実施形態において、ここではカラー940等のキャリアまたはその一部分は、充填-最終製剤化カートリッジ916の操作または起動に利用され得る。この実施形態において、ボタン等の作動機構914は、患者が選択的に薬を提供することを許容するために、薬物送達デバイスハウジング912の外部表面に沿って提供され得る。この実施形態において、作動機構914は、軸方向で近位に方向付けられた力をカラー940に及ぼす。カラー940はさらに、軸方向で近位に方向付けられた力をハブ954に及ぼし、カニューレ958を流体通路接続子922の透過性シール950に穿通させて、薬物容器918から針挿入機構924への流体通路を完成させる。針挿入機構924は、任意の適切な操作によって起動され得る。例えば、カラー940の一部分の動きは、ロックアウトピンの脱落を引き起こし、針挿入機構924の作動を引き起こし得、これは図173~176に例証される実施形態に関連してより詳細に説明される。
次に図180~186の実施形態を見ると、充填-最終製剤化カートリッジ1116は、近位端及び遠位端1127、1128を有する薬物容器1118を含む。近位端1127は、フランジ1119を含み得、プラグまたはプランジャシール1164を受容するように適合されている一方、遠位端1128は、フランジ1117を含み得、流体通路アセンブリ1120と併せて透過性シール1150を受容するように適合されている。流体通路アセンブリ1120は、流体導管1126によって針挿入機構824に流体連結された流体通路接続子1122を含む。
この実施形態において、流体通路接続子1122は、薬物容器1118の透過性シールと一体となっている。流体通路接続子1122は、図181の断面図及び図183の分解図において最も良好に見ることができる。流体通路接続子1122は、ハブ1154及びキャップ1155を有するハブアセンブリ1156を含む。カニューレ1158は、内部を通る流路を提供するハブ1154に固定されている。流体導管1126は、任意の適切な構造によってカニューレ1158に連結され得る。この実施形態において、流体導管1126は、カニューレ1158に流体的に開いているニップル1159に連結される。
関連するカニューレ1158と共にハブアセンブリ1156を、透過性シール1150に対する位置に維持するために、シールマウント1130が提供される。シールマウント1130は任意の適切な構造によって透過性シール1150に連結され得るものの、例証される実施形態において、透過性シール1150及びシールマウント1130は、それぞれの嵌合フランジ1131、1132の形態での当接構造を含む。
ハブアセンブリ1156は、薬物容器1118への連結のためにシールマウント1130及び透過性シール1150と共に組み立てられ得る一方、透過性シール1150及びシールマウント1130は、ハブアセンブリ1156に対して摺動自在に配置されている。この摺動し、なおかつ連結された関係を可能にするために、ハブ1154は、シールマウント1130における調和して配置された穴1160と嵌合する表面を提示する1つ以上の弾性ポスト1154aを含む。図181に示されるように、一緒に組み立てられるとき、カニューレ1158は、透過性シール1150の膜1162の下に配置されている。このようにして、透過性シール1150、シールマウント1130、及び連結したハブアセンブリ1156は、容器1118の遠位端1128に組み立てられ得る一体型の流体通路接続子1122を形成する。
流体通路接続子1122の容器1118への組み立てをさらに容易にするために、キャップ1151が提供され得る。流体通路接続子1122の隣接する表面と、例えば薬物容器1118のフランジ1117との間に、1つ以上のガスケット1133が提供され得る。1つのかかるガスケット1133は、図181に例証されるが、追加のガスケットが提供されてもよい。
針挿入機構1124は、例えば、図175に例証される針挿入機構1124等の任意の適切な設計であってもよい。流体通路接続子1122のカニューレ1158は、流体導管1126によって針挿入機構1124の針425と流体接続している。
この実施形態において、流体通路接続子1122及び針挿入機構1124は、例えば機械的連結によって、相補的ねじ1134、1135によって、連結されている。例証される実施形態において、流体通路接続子1122、ここではハブ1154は、雄ねじ1134を含む一方、針挿入機構1124、ここでは挿入機構ハウジング1165の延出部1137の穴436は、相補的な雌ねじ1135を含む。代替的な配置構成が想起されることが理解されよう。例えば、流体通路接続子1122が雌ねじを含み、針挿入機構1124が雄ねじを含むようにねじ配置構成は逆転してもよい。代替的に、構成要素を一緒に連結するために、ねじ付きカラー等が提供され得る。
さらに、流体通路接続子1122及び針挿入機構1124は、充填過程のために充填-最終製剤化カートリッジ1116内で軸方向に整列して連結されているものの、構成要素は、代替的に配置され得る。例えば、針挿入機構1124の軸は、流体通路接続子1122及び薬物容器1118の軸に対して直角に配置されてもよい。
本開示の別の態様によれば、充填-最終製剤化カートリッジ1116は、流体導管1126の制御された管理を提供する。この実施形態において、針挿入機構1124及び流体通路接続子1122のねじによる連結は、流体導管1126の制御された定置を提供し得る。連結されていない針挿入機構1124及び流体通路接続子1122は、図184に例証される。針挿入機構1124及び流体通路接続子1122が、図180及び181に例証される位置まで一緒に通されるにつれて、流体導管1126が針挿入機構1124のハウジング1165の周りに巻き付く。図184において、針挿入機構1124及び流体通路接続子1122は分解された構成で例証され、流体通路接続子1122が容器1118に組み立てられているが、構成要素は、任意の順序で組み立てられ得ることが理解されよう。例えば、針挿入機構1124及び流体通路接続子1122は、流体通路接続子1122を容器1118に連結して、充填-最終製剤化カートリッジ1116を形成する前に一緒に組み立てられ得る。
次に、図185~187に例証される実施形態を見ると、例証される充填-最終製剤化カートリッジ1216は、図180~184の充填-最終製剤化カートリッジ1116の操作と同様である。しかしながら、図185~187の充填-最終製剤化カートリッジ1216は、流体通路接続子1222がスナップ接続1238によって針挿入機構1224に連結され、針挿入機構1224及び流体通路接続子1222が構成要素が一緒にスナップすることを可能にする相補的な構造を含む点で異なる。例えば、針挿入機構1224のハウジング1265は、流体通路接続子1222の対応する雄部1234を受容するように適合された陥凹もしくは穴1236、または雌部を有する延出部1237を含み得る。延出部1237及び雄部1234の軸方向の整列を確実にするために、各々が、1つ以上の向き合う肩を提示し得る。例えば、それの陥凹1236は、流体通路接続子1222の1つ以上の外向きに延出する肩1283、1285がそれに対して据え付けられる肩1282、1284を含み得る。接続を容易にするために、流体通路接続子1222のハブ1254は、ハブ1254から延出する1つ以上の弾性フィンガ586を含み得る。組み立て中に、フィンガ586は、フィンが586が陥凹または穴1236を通って動かされるにつれて、肩1283が概して径方向で内向きに動くことができるように屈曲し、流体通路接続子1222及び針挿入機構1224が、それらの最終的な組み立てられた軸方向の位置にあるときに、外向きにスナップして肩1282に係合し得る。しかしながら、スナップ接続1238は、例えば、流体通路接続子1222が肩付きの陥凹を含み、かつ針挿入機構1224が当接する外向きに延出する肩を含んだ場合等に、代替的な構造を有し得ることが理解されよう。
図180~184の実施形態と同様に、図185~187の実施形態は、流体通路接続子1222及び針挿入機構1224を流体接続する流体導管1226の制御された管理を可能にする。例えば、導管は、スナップ1238の係合前、その後、またはその間に、図187に例証されるように、針挿入機構1224のハウジング1265の周辺の周りに巻き付けられてもよい。
ねじによる接続は図180~184に関連して、及びスナップ接続は図185~187に関連して説明されてきたが、従来の充填-最終製剤化過程での容器の充填を容易にするのに十分な構造統合性をカートリッジに提供するために代替的な機械的接続が利用され得ることが理解されよう。例えば、溝形タイプの接続を利用してもよい。代替的に、または追加的に、図173~176のブラケット880等の外的サポートを利用してもよく、または相対的な位置は、図167~170のキャリア742等のキャリアによって維持されてもよい。他の機械的連結配置構成は、同様に本開示の範囲内である。
故に、本明細書に記載の本発明の配置構成は、従来の充填-最終製剤化過程で滅菌及び充填され得る充填-最終製剤化カートリッジの種々の設計を提供するために種々の構成において組み立てられ得る構成要素の様々な設計を提供する。
さらなる有益性として、本開示の実施形態は、プレフィルド輸液または注射ポンプの製造を可能にするため、これらのポンプは、単回使用用または再利用可能なポンプであるように構成され得る。例えば、本開示の流体通路アセンブリ及び/または充填-最終製剤化カートリッジは、再利用可能なポンプデバイス内で交換することができるカートリッジであるように構成され得る。
本開示のいくつかの実施形態は、薬物治療剤を滅菌環境または状態に晒すことなく、薬物容器が標準的な充填-最終製剤化過程で充填されることを可能にする。しかしながら、いくつかの薬物治療剤は、分解、効能の喪失等を伴わずに、滅菌状態に持ちこたえることができる。したがって、本開示の少なくとも1つの実施形態において、流体通路アセンブリ及び/または充填-最終製剤化カートリッジの滅菌は、構成要素が組み立てられ、及び薬物容器が薬学的治療剤で充填された後に生じてもよい。本開示の新規の実施形態の製造、充填、及び使用方法はなお、標準的な充填-最終製剤化過程に適合可能であることの有益性を提供し得る。追加的に、この方法は、薬物送達デバイスの製造業者及び充填者に、流体通路の構成要素(すなわち、薬物流体と接触し得る構成要素)の滅菌のみが必要とされることの有益性をもたらす。本開示の充填-最終製剤化カートリッジ、流体通路アセンブリ、及び個々の構成要素は、薬物送達デバイス内へのそれらの一体化の前に滅菌され得る。このようにして、一般に薬物流体と接触することのない薬物送達デバイスの他の構成要素は、本開示によって提供される利点のために、滅菌される必要がない。したがって、本開示の実施形態は、高度な薬物送達デバイスの製造のために、例えば、より複雑な幾何形状及びより標準的な材料が用いられることを可能にする。
本開示の流体通路アセンブリ及び充填-最終製剤化カートリッジの新規の構成は、市場において実質的な有益性を提供し得る。本開示の実施形態は、滅菌環境において容易に製造することができ、薬学的治療剤の無菌充填のための標準的な薬物充填(例えば、充填-最終製剤化)過程ラインに統合され、薬物送達デバイスへの費用効果の高い組み立てのために利用され得る。これらの利点の各々は、既存の手法に優る実質的な有益性を有する。
例えば、充填及びデバイス組み立て過程中に流体通路アセンブリ自体が滅菌され、滅菌状態で維持され得るため、得られる薬物送達デバイスは、組み立て後に滅菌される必要がない(すなわち、最終滅菌される)。これは、薬物送達デバイスの製造のための既存の手法が直面するいくつかの既知の問題を回避する。
従来の薬物送達デバイスは、医薬品が薬物容器内にある状態ではデバイスの最終滅菌を完了できないため、使用時点で充填を必要とすることが多い。種々の医薬品が、組み立て後のデバイスの滅菌に必要な温度、圧力、及び他の条件に持ちこたえることができない。換言すると、既存の製造過程がデバイス全体の滅菌を必要とするため、薬物は、滅菌前にデバイスの中に「プレフィルド」できない。これは、デバイスの最終組み立て後に複合の工程を追加し、これには費用のかかる追加の機器、別個の薬物容器の取り扱い、及び/または注射前に充填工程を患者自身で行うための患者の訓練が必要とされることが多い。代わりに、本開示の実施形態は、種々の製造工程を通して流体通路アセンブリの滅菌性を維持する、プレフィルド薬物送達デバイスの製造、組み立て、及び使用を可能にする。
追加的に、本開示の新規の実施形態を組み込む薬物送達デバイスは最終滅菌される必要がないため、本デバイスの構成要素は、通常は滅菌環境に持ちこたえないであろう、しばしばより安価な他の材料で構成され得る。例えば、デバイスが組み立て後に滅菌される必要がないため、より安価なプラスチックがある特定のデバイス構成要素に利用され得る。
換言すると、本開示の実施形態は、製造業者が、薬物流体と接触している、かつ/または滅菌流体通路を維持するのに必要な構成要素のみを滅菌することを可能にし得る。これらの実施形態はまた、薬物送達デバイスの組、お立てに関連する充填及び仕上げ工程中に、医薬品賦形剤がこれらの構成要素の滅菌性を維持することも可能にし得る。同様に、本開示の流体通路アセンブリを組み込む薬物送達デバイスは、デバイスが組み立て後の滅菌に対して構成される必要がないため、より小さいまたはより効率的な幾何形状を有し得る。
追加的に、本開示の実施形態は、標準的な充填-最終製剤化過程を利用して薬物容器を充填することを可能にする。これは、薬物送達デバイスを構築するために用いられる製造過程を大幅に単純化する。標準的な充填-最終製剤化過程は、シリンジ等の複数の薬物容器を保有するトレイを利用する。本開示の実施形態は、薬物送達デバイス製造業者、製薬企業、または請負薬物充填業者が、この同じ標準的な充填-最終製剤化過程を用いて輸液用の薬物容器または注射ポンプを充填することを可能にする。これらの薬物容器は、流体通路アセンブリの滅菌性を保存する費用対効果の高い様態で、業界の一般的慣行通りに、無菌性で充填することができる。流体通路接続子機構の据え付け後、組み合わせたアセンブリは次いで、デバイス構成要素の残りの部分が滅菌されるのを必要とせずに、薬物送達デバイスに嵌合され得る。したがって、本開示の実施形態は、流体通路アセンブリが、費用対効果が高く能率的な過程で滅菌される、組み立てられる、充填される、及び薬物送達デバイスに組み込まれるのを可能にする、新規の構成要素を提供し得る。
追加的に、本開示の流体通路アセンブリは、治療用流体または薬物に対して実質的に非反応性であり、かつ医薬品グレードの適用での使用に好適である材料を利用する。新規の流体通路アセンブリ及び充填-最終製剤化カートリッジは、ある特定のプラスチック等の分解性材料と治療用流体または薬物との間の接触または相互作用の可能性を最小化または排除するように構成されている。適合可能な針注射及び後退機構を有する流体通路アセンブリはまた、分解性材料を実質的に含まない、針またはカニューレを通した薬物容器から患者への流体導管も提供し得る。かかる構成は、充填-最終製剤化カートリッジまたは薬物送達デバイスに一体化されているとき、増加した安定性及び貯蔵寿命パラメータを薬物及び薬物送達デバイスに提供し得る。これらの特性は、概して全ての薬学的治療剤のために非常に望ましいが、おそらく特に、生物製剤及び他の複雑な治療剤との使用のための薬物送達デバイスにおいて貴重であると考えられている。
本開示の1つ以上の実施形態は、ある特定の標準的な構成要素をさらに含み得る。例えば、本開示の充填-最終製剤化カートリッジ構成及び薬物送達デバイスは、1つ以上の膜を含み得る。少なくとも1つの実施形態において、薬物容器を密封し、かつ/または薬物チャンバ内の滅菌環境及び容器統合性を確実にするために、1つ以上の透過性膜が用いられる。同様に、薬物容器は、フランジを含み得る。フランジは、容器の任意の部分に沿って予備形成されてもよく、または容器に接続または貼着された別個の構成要素であってもよい。少なくとも1つの実施形態において、フランジは、薬物容器の近位端に接続された、取り外し可能な接続された構成要素である。フランジは、充填-最終製剤化カートリッジ及び薬物容器が、標準的な充填-最終製剤化過程で薬学的化合物での充填のために充填-最終製剤化トレイ内で静止することを可能にするように構成され得る。かかる構成要素のための位置、形状、数、及び材料は、当業者には容易に理解されようが、任意のいくつかの所望の特性を満たすために変動し得る。
同様に、充填-最終製剤化カートリッジ及び流体通路アセンブリの構成要素は、別個の構成要素として本明細書に記載されているが、これらの構成要素のうちのある特定の群が、個々の構成要素の機能を行うことができる単一の構成要素を形成するために組み合わされることは、本開示の企図内である。少なくとも1つの実施形態において、針挿入及び針後退機構は、二重機能を提供し得る1つの統合された構成要素であり得る。追加的に、当業者には理解されようが、デバイスの構成要素は、個々の構成要素として、または単一の構成要素として製造され得る。例えば、フランジは、製造過程中に薬物容器自体の一部として予備形成された構成要素であってもよい。したがって、少なくとも1つの実施形態において、フランジは、容器のガラス製フランジ延出部であり得る。さらに、充填-最終製剤化カートリッジ及び流体通路アセンブリの構成要素は、別個の構成要素として本明細書に記載されているが、それらは、複数の機能を有する統合された構成要素であってもよい。構成要素の構成及びそれらの組み立ては、組み立て過程、デバイスパラメータ、及び他の所望の特性に基づいて変動し得る。
本開示の実施形態は、流体通路アセンブリ、充填-最終製剤化カートリッジ、かかるカートリッジの製造方法、及びそれらの使用方法を提供し得る。充填-最終製剤化カートリッジ及び流体通路アセンブリは、いくつかの異なる構成で利用されてもよく、それら自体が1つ以上の構成要素を含んでもよい。かかる修正が本開示の実施形態によって企図され、かつ包含される。上に考察された実施形態に記載されるように、他の構成要素は、同様に、単一の構成要素、統合された構成要素、または多目的構成要素であり得る。故に、本開示は、この開示の修正及び変形形態を網羅することが意図されるが、但し、それらが添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内であることを条件とする。
XXII.温度制御システム
少なくとも図1A~187に関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、適切な場合、図188に関連して以下に記載される温度制御システムの実施形態を組み込むように構成され得る。
いくつかの薬物について、温度は、患者への送達の間及びその前の両方における重要な検討事項である。例えば、生物製剤は、しばしば、患者への送達の前に冷蔵または冷凍貯蔵を必要とする。冷温は薬物の貯蔵寿命を延長する助けとなり得るが、薬物の粘度の増加をもたらす可能性がある。より粘性の薬物は、注射するのにより長く時間がかかり、かつ/またはを追加の者出力を必要とし得る。さらに、一部の患者にとって、冷たい薬物を注射することは不快感を伴う場合があり、痛みさえも伴う可能性がある。したがって、低温状態で貯蔵された薬物は通常、患者への送達の前に室温近くまで加温される。この加温時間は、30秒間以上かかる場合があり、これは患者にとって不便であり得、結果的に患者の遵守率に悪影響を及ぼし得る。
本開示の薬物送達デバイスは、デバイス内の薬物の温度を監視及び/または制御するための温度制御システムを含むように構成され得る。本開示の原理による温度制御システム11600を組み込む、参照番号11010によって示される薬物送達デバイスの一実施形態が図188に例証される。温度制御システム11600は、薬物送達デバイス11010の特定の要素及び特徴と共に記載されているが、温度制御システム11600は、適切な場合、薬物送達デバイス10、910、6010、8000、9010、9210、9310、9410、9510、9610、11600、12340、12710、11010、13100、19010、または19020のうちのいずれか1つを含むがこれらに限定されない、本明細書に開示される薬物送達デバイスのいずれか1つにおいて実装され得る。薬物送達デバイス11010の種々の要素は、薬物送達デバイス10に関連して以前に記載されたものと構造及び/または機能が同様である。これらの要素には、2桁の接頭数字「11」を加えて、以前に提供されたものと同様の参照番号が割り当てられ、簡潔性のために、以下に詳細に記載しない。例えば、薬物送達デバイス11010は、薬物送達デバイス10の針挿入機構200の構造及び/または機能と少なくともいくらかの類似性を有する針挿入機構11200を含む。しかしながら、温度制御システム11600は、薬物送達デバイス10の要素と共に使用されることに限定されず、適切な場合、本明細書に開示される薬物送達デバイスのうちのいずれか1つにおいて実装され得ることに留意されたい。
次に図188を見ると、薬物送達デバイス11600は、開始ボタン11014、薬物容器11050、駆動機構11100、針挿入機構11200、流体通路接続子11300、電力・制御システム11400、及び温度制御システム11600を含み得る。薬物容器11050は、バレル11058と、薬物をバレル11058から放出するためにバレル11058を通じて可動なプランジャシール11060と、バレル11058の内部へのアクセスを制御する穿通可能なシール(例証されない)と、を含み得る。駆動機構11100は、駆動ハウジング11130、駆動ハウジング11130に対して可動で、プランジャシール11060に動きを加えるように構成されたピストン11110、及び駆動ハウジング11130とピストン11110との間に配置されたピストン偏倚部材11106を含み得る。流体通路接続子11300は、薬物容器11050と挿入機構11200との間の滅菌流体の流路を画定し得る。流体通路接続子11300は、接続ハブ11310、流体連通接続ハブ11310と挿入機構11200との間に流体連通を提供する管状導管11030、及び穿通可能なシールを穿通して、薬物送達中にバレル11058と管状導管11030との間の間に流体連通を確立するように構成された穿通部材(例証されない)を含み得る。
管状導管11030は、第1の可撓性チューブ11032、第2の可撓性チューブ11034、ならびに第1及び第2の可撓性チューブ11032及び11034に接続され、かつそれらの間の流体連通を提供する剛性チューブ11036を含み得る。第1の可撓性チューブ11032は、接続ハブ11310を剛性チューブ11036の近位端11037と流体接続させ得、第2の可撓性チューブ11032は、針挿入機構11200を剛性チューブ11036の遠位端11038と流体接続させ得る。第1及び第2の可撓性チューブ11032及び11034は各々、剛性チューブ11036を構築するために使用される材料よりも可撓性である材料で作製され得る。少なくとも1つの実施形態において、第1及び第2の可撓性チューブ11032、11034は、ポリマー材料で作製され、剛性チューブ11036は、金属で作製されている。以下に記載されるように、剛性チューブ11036を構築するために使用される材料は、送達中に、剛性チューブ11036を通って流れる薬物へと加熱素子から熱が伝えられ得るように、比較的高い熱伝導性を保有し得る。
剛性チューブ11036の内径は、第1の可撓性チューブ11032及び/または第2の可撓性チューブ11034の内径より小さくてもよい。したがって、剛性チューブ11036は、送達中の薬物の流速を低減及び/または調節する流れ制限部として働き得る。剛性チューブ11036は、目標流速によって異なる内径を有する他の剛性チューブで置き換えられてもよい。さらに、流れ制限部を含めることは、駆動ばね等の他の寄与する要素と連結されたときにより広い設計空間を提供し得る。代替的な実施形態において、剛性チューブ11036は、第1の可撓性チューブ11032及び/または第2の可撓性チューブ11034のものと等しい内径を有してもよい。
引き続き図188を参照すると、温度制御システム11600は、加熱素子11602、第1の温度センサ11604、及び第2の温度センサ11606を含み得る。例証される実施形態において、加熱素子11602は、剛性チューブ10036の外部に巻き付けられ、かつそれと接触している導電性コイルを含む。加熱素子11602は、制御された様態で電力・制御システム11400から加熱素子11602に電力が供給されるように、電力・制御システム11400に電気的に接続されてもよい。加熱素子11602を構築するために使用される材料のインピーダンスは、加熱素子11602に、それに供給された電力のうちの一部を熱に変換させる。加熱素子11602の剛性チューブ11036との接触または近接に起因して、加熱素子11602によって生成された熱は、剛性チューブ11036を加温し、かつ剛性チューブ11036の熱伝導性に起因して、剛性チューブ11036を通って流れる薬物を加温し得る。
加熱素子11602を含めることによって、薬物送達デバイス11010が低温貯蔵から取り外された場合の、送達前の加温期間の必要性が排除され得る。さらに、剛性チューブ11036の単位長さ当たりの薬物の体積は比較的小さいため、加熱素子11602から薬物への熱伝達は比較的効率的であり得る。したがって、流速を低減するか、または流路の長さを増加させることなく、薬物を目標温度まで加温することが可能である場合がある。したがって、送達時間を変えることなく、送達中に薬物を加熱することが可能である場合がある。さらに、加熱素子11602は、既存の流体通路接続子への修正をほとんどまたは全く伴わずに設置することができ、それによって、製造及び/または設計費用が低減される。
いくつかの実施形態において、加熱素子11602は、薬物が所望の温度で患者に送達されていることを確実にするために、リアルタイムの薬物温度測定に基づいて動的に制御され得る。図77に示されるように、第1の温度センサ11604は、第1の温度センサ11604が剛性チューブ11036内に流れる薬物の温度を測定することができるように、剛性チューブ11036の近位端11037に接続され得る。第2の温度センサ11606は、第2の温度センサ11606が剛性チューブ11036内に流れる薬物の温度を測定することができるように、剛性チューブ11036の遠位端11038に接続され得る。いくつかの実施形態において、第1及び第2の温度センサ11604及び11606は、薬物の温度を直接測定しない場合がある。むしろ、第1及び第2の温度センサ11604及び11060はそれぞれ、剛性チューブ11036の入り口及び出口部分(薬物に近接する薬物送達デバイスの他の部分)の温度を測定してもよいこれらの温度測定を使用して、剛性チューブ11036(薬物に近接する薬物送達デバイスの他の部分)を構築するために使用された材料の熱伝達特性に基づいて、薬物の温度を推定することができる。
第1及び第2の温度センサ11604及び11606は、それらの温度測定値を、目標薬物温度を達成するために加熱素子11602に供給されなければならない電力の量を判定するために温度測定値を分析する電力・制御システム11400に出力され得る。追加的に、第1及び第2の温度センサ11604及び11606の温度測定値は、薬物の流速を判定するために、熱希釈技術に従って電力・制御システム11400によって分析され得る。さらに、薬物送達デバイスがピストン偏倚部材の拡張を制御するためにモータ-制御された調節機構を組み込む実施形態において(例えば、薬物送達デバイス6010または8000と類似したもの)、電力・制御システム11400は、薬物が加熱素子11602によって十分に加温されていなかった場合に、患者が低温に起因して痛みを伴う注射を受けないように、第1及び第2の温度センサ11604及び11606の出力に基づいてモータ(例えば、モータ6207または本明細書に記載の任意の他のモータ)を制御して、流速を低減させ得る。さらに、第1及び第2の温度センサ11604及び11606からの入力を使用して、薬物が加熱素子11602によって過熱され、したがってもはや注射に好適ではないかどうかを判定してもよく、その場合、駆動機構11100は、締め出され得る。貯蔵中の容器内の薬物の温度を監視して、薬物が適切な温度で貯蔵されているかどうかを判定するために、追加の温度センサが含まれてもよい。そうでない場合、電力・制御システム11400は、デバイスを締め出し、かつ/または薬物がもはや使用可能ではないことを患者に通知し得る。
温度制御システム11600は加えて、温度インジケータ(例えば、光、音、グラフィカル表示等)、または薬物温度及び/もしくは薬物温度が注射に適しているかどうかを使用者に知らせるための他の出力デバイスを含み得る。
図188に例証される管状導管の実施形態は、2つの可撓性チューブ及びそれらの間に接続された剛性チューブを組み込むが、代替的な実施形態は、管状導管が単一の一体型の可撓性チューブによって形成されるように、剛性チューブを含まなくてもよい。かかる実施形態において、加熱素子11602は、単一の一体型の可撓性チューブに巻き付けられ得る。
1つの代替的な実施形態において、電力・制御システム11400は、加熱素子11602として、または追加の加熱素子として働き得る。電力・制御システム11400は、それらのデータ処理機能を実施する間に昇温する回路基板及び/または他の電子装置を含み得る。回路基板及び/または他の電子装置を管状導管11030のすぐ隣(例えば、管状導管11030の真上)に位置付けることによって、回路基板及び/または他の電子装置によって生成された熱を使用して、それが管状導管11030を通って流れるときに薬物を加温することができる。また、いくつかの実施形態において、電力・制御システム11400によって生成された熱が、薬物を加温することを許容されないことが望ましい場合がある。かかる実施形態において、電力・制御システム11400は、吸熱器が薬物を含む薬物送達デバイスの領域から熱を奪うことができる薬物容器、流体通路接続子、及び/または挿入機構から離れた吸熱器を含み得る。
上記の加熱素子11602は、主に電気抵抗を通じて熱を生成する一方、加熱素子の他の実施形態は、誘導、ペルチェ効果、及び/または化学反応を含むがこれらに限定されない他の手段を通じて熱を生成し得る。
さらに、温度制御システム11600の他の実施形態は、薬物が容器11050内に配置される間、及び/または管状導管11030を通って流れる間に、薬物の温度を下げるための冷却システム(例証されない)を含んでもよい。かかる冷却システムは、薬物送達デバイスの外側から冷気を引き込み、かつ/または薬物送達デバイスの内側から温風を吐き出す送風機を用いてもよい。代替的に、または追加的に、冷却システムは、薬物の温度を低減するために、ペルチェ効果及び/または化学反応を利用する熱電冷却要素を用いてもよい。
XXIII.皮膚への取り付け
少なくとも図1A~188に関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、適切な場合、図189A~194Cに関連して以下に記載される皮膚取り付け部材の実施形態を組み込むように構成され得る。
本開示の薬物送達デバイスは、薬物が送達される間の、患者の身体組織(例えば、患者の皮膚)への一時的な取り付けのために構成され得る。薬物送達デバイスは、患者の腹部、大腿部、腕、または患者の身体の何らかの他の部分の組織に取り付けられ得る。上述のように、薬物送達デバイスを患者の身体組織に接着させるために、ハウジングの基部上、またはその上に接着パッチ(例えば、接着パッチ26)が配置されてもよい。接着パッチは、最初は、非接着パッチライナー(例えば、非接着パッチライナー28)によって被覆されていてもよく、これは、患者の身体組織と接触した薬物送達デバイスの定置の前に接着パッチ26から取り外される。
接着剤の患者の身体組織からの係脱は、特に、接着剤が患者の身体組織の大きな表面積に係合している場合、患者への不快感を引き起こす場合がある。したがって、接着剤と接触する身体組織の量を低減するために、薬物送達デバイスの基部の限定的な部分のみが接着剤で被覆され得る。図189A及び189Bはそれぞれ、接着剤と接触する身体組織の量を低減するが、薬物送達中に薬物送達デバイスを患者の身体組織に固定するのに適切な接着をなお提供する接着パッチ12000及び12100を例証する。接着パッチ12000及び12100は各々、薬物送達デバイス10、910、6010、8000、9010、9210、9310、9410、9510、9610、11600、12340、12710、11010、13100、19010、または19020のうちのいずれか1つを含むがこれらに限定されない、本明細書に開示される薬物送達デバイスのうちのいずれか1つの基部に塗布され得る。
図189Aは、接着パッチ12000が、接着剤ドット12002と、その間に位置する非接着剤領域12004とのパターンを含むことを示す。例証されるパターンは、対称的であり、円形の接着剤ドット12202の等間隔の列及び行を含む。代替的な実施形態は、非対称的なパターン及び/または非円形の接着剤ドットを有し得る。接着パッチ12000は、薬物送達デバイスへの取り付けのための第1の側部(例証されない)と、接着剤ドット12002のパターンを含む反対の第2の側部12006とを有する基部12006を含む。代替的な実施形態において、基部12006は省略されてもよく、接着剤ドット12002のパターンは、薬物送達デバイスの外面に直接塗布されてもよい。
接着剤ドットの代わりに、図189Bに示される接着パッチ12100は、複数の接着剤ストリップ12102を含み、それらの間に非接着剤領域12104が位置している。接着剤ストリップ12102は、等間隔であり、接着パッチ12100にわたって縦に延びる。代替的な実施形態は、非線形の(例えば、湾曲した)接着剤ストリップを有してもよく、かつ/または接着剤ストリップは、接着パッチ12100にわたって横に延びてもよい。接着パッチ12100は、薬物送達デバイスへの取り付けのための第1の側部(例証されない)と、接着剤ストリップ12102を含む反対の第2の側部12106とを有する基部12106を含む。代替的な実施形態において、基部12106は省略されてもよく、接着剤ストリップ12102のパターンは、薬物送達デバイスの外面に直接塗布されてもよい。使用前に接着パッチ12100及び12200の各々の接着剤側を被覆するために、非接着パッチライナー(例えば、非接着パッチライナー28)を用いてもよい。
図190は、非接着パッチライナー12300に剛性を加えるための剛化部材12310を含む、参照番号12300によって示される非接着パッチライナー、ならびに非接着パッチライナー12300によって被覆された接着パッチ(例えば、接着パッチ28、12100、または12200)の実施形態を例証する。非接着パッチライナー12300の本体12312は、薬物送達デバイスの使用前の意図しない接着を防止するために、接着パッチと同一の広がりを持ち得る。剛化部材12310は各々、非接着パッチライナー12300の本体12312よりも剛性の材料(例えば、金属または強化プラスチック)で作製され得る。追加的に、図190に示されるように、剛化部材12310の各々は、剛化部材12310が本体12312の外周縁部に近づくにつれて幅が狭くなるテーパ形状を有し得る。図190に示されるように薬物送達12340デバイスの本体の外縁部を越えて延出し得る、剛化部材12300によって接着パッチの外周縁部に加えられる剛性は、接着パッチの外周縁部が湾曲する可能性を減らす。したがって、非接着パッチライナー12300を取り外す際に患者が接着パッチを患者の身体組織に対して面一に押圧することができるように、剛化部材12310は、接着パッチがその平面形状を保持する助けとなり得る。
図190に例証される非接着パッチライナーの実施形態は、非接着パッチライナーの周辺の周りの個別の点に位置する剛化部材を含むが、非接着パッチライナーの他の実施形態は、非接着パッチライナーの周辺の周りで連続的に延びる剛化部材を含んでもよい。図191Aは、12600薬物送達デバイスの非接着パッチライナー12400、接着パッチ12500、及び基部分解組立図を例証する。接着パッチ12500は、接着パッチ28、12100、または12200を含むがこれらに限定されない本明細書に開示される接着パッチのうちのいずれか1つと同様であり得る。非接着パッチライナー12400は、中心本体部分12402と、中心本体部分12402の周辺の周りに位置付けられた環状剛化部分12404(図191Bに示される組立図で見られるように)とを含み得る。中心本体部分12402は、接着パッチ12500の中心部分を被覆し、接着パッチ12500の外周縁部を曝露したままにする。接着パッチ12500のこの曝露された外周縁部を被覆し、それによって、それが湾曲することを防止するために、環状剛化部分12404を用いてもよい。いくつかの実施形態において、環状剛化部分12404は、中心本体部分12402の外周縁部、接着パッチ12500の外周縁部、及び接着パッチ12500を囲む薬物送達デバイスの基部12600の一部分の各々を被覆し、かつそれらと接触し得る。かかる実施形態において、環状剛化部分12404の下側は、環状剛化部分12404を薬物送達デバイスの基部12600及び中心本体部分12402に直接接着させるための接着剤を含み得る。このようにして、中心本体部分12402を取り外すこと(例えば、中心本体12402から延びるタブを引っ張ることによって)は、環状剛化部分12404を薬物送達デバイスの基部12600、ならびに接着パッチ12500から係脱させ得る。
上記の剛化部材は、非接着パッチライナーに取り付けられ得るか、またはそれと一体的に形成され得るが、剛化部材の代替的な実施形態は、接着パッチに取り付けられ得るか、またはそれと一体的に形成され得る。図192は、ハウジング12712と、ハウジング12712の下側に取り付けられた接着パッチ12726と、接着パッチ12726の下側に着脱自在に取り付けられた非接着パッチライナー12728とを含む、薬物送達デバイス12710(薬物送達デバイス10、910、6010、8000、9010、9210、9310、9410、9510、9610、11600、12340、12710、11010、13100、19010、または19020のうちのいずれか1つを含むがこれらに限定されない、本明細書に開示される薬物送達デバイスのうちのいずれか1つと対応し得る)を例証する。
接着パッチ12726は、基部12730及び複数の剛化部材12732を含み得る。基部12730は、ハウジング12712の下側に剛性に取り付けられた上部表面12734と、皮膚接着剤で被覆された下部表面(図192において隠れている)とを有し得る。基部12730は、基部12730の外周部分12736がハウジング12712の外縁部を越えて延出するスカートを形成するように、ハウジング12712よりも大きい面積を有し得る。
なおも図192を参照すると、剛化部材12732は、基部12730の外周部分12736に形成され得る。例証される実施形態において、剛化部材12732及び基部12730は、剛化部材12732及び基部12730が単一の材料で作製された単一の一体構造を形成するように、一体的に形成される。代替的に、剛化部材12732は、基部12730とは異なる構造であり得る。図192に例証されるように、剛化部材12732は、基部12730の周辺の周りの個別の場所に位置する複数の等間隔のリブとして設計されてもよい。さらに、剛化部材12732は、基部12730の外周部分12736の上部表面12734から上向きに突出し得る。それにもかかわらず、剛化部材12732の高さは、剛化部材12732の上部が、ハウジング12712の底面の下に位置するようなものであり得る。
剛化部材12732は、接着パッチ12726がその概して平面形状を保持することができるように、接着パッチ12726に剛性を加え得る。したがって、接着パッチ12726の周辺は、それ自体で捲り上がるか、または薬物送達デバイス12710が患者の皮膚に適用されるとき、もしくは非接着パッチライナー12728が取り外されるときに曲がる可能性は低い。
図193を参照すると、少なくとも1つの実施形態において、非接着パッチライナー12728は、接着パッチ12726の下側のそれぞれの部分を被覆する別個の第1及び第2のセクション12740及び12742からなってもよい。第1のセクション12740は、接着パッチ12726の側部から外向きに突出する第1のタブ12744を有し得、第2のセクション12742は、接着パッチ12726の反対側から外向きに突出する第2のタブ12746を有し得る。第1及び第2のセクション12740及び12742はそれぞれ、図192A~8192Cを参照して以下に記載されるように、第1及び第2のタブ12744及び12746を引っ張ることによって別個に取り外され得る。
少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイス12710を患者の皮膚12750に取り付ける過程は、以下の工程を伴い得る。最初に、非接着パッチライナー12728が患者の皮膚12750に対して配置され得る。次に、図192Aに例証されるように、使用者または患者がハウジング12712の第1の端部12752(第1のタブ12744の反対)を押し下げる間に、第1のタブ12744は引っ張られて、非接着パッチライナー12728の第1のセクション12740を接着パッチ12726から取り外し得る。続いて、図192Bに見られるように、使用者または患者がハウジング12712の第2の端部12754(第2のタブ12746の反対)を押し下げる間に、第2のタブ12746は引っ張られて、非接着パッチライナー12728の第2のセクション12742を接着パッチ12726から取り外し得る。これは、図192Cに示されるように、接着パッチ12726が患者の皮膚12750と面一となることをもたらす。
図192A~192Cに例証されるもの等のいくつかの実施形態において、第1のタブ12744は、それ自体で捲り上がっている非接着パッチライナー12728の第1のセクション12740の一部分によって形成され得る。より具体的には、第1のセクション12740は、接着パッチ12726と接触している第1の端部12760と、第1の端部12760の上に捲り上がり、かつ患者の皮膚12750と最初に接触するように構成されている第2の端部12762とを有し得る。第2の端部12762は、第1のタブ12744を含み得る。第1のタブ12744を外向きに引っ張ることによって、第1のセクション12740の第1の端部12760は、それが接着パッチ12726から剥がされるように展開し得る。非接着パッチライナー12728の第1のセクション12740のこの構成は、薬物送達デバイス12710が患者の皮膚12750に押し当てられているにもかかわらず、図192Aに示されるように、接着パッチ12726からの第1のセクション12740の取り外しを容易にし得る。
同様に、第2のタブ12746は、それ自体で捲り上がっている非接着パッチライナー12728の第2のセクション12742の一部分で形成され得る。より具体的には、第2のセクション12742は、接着パッチ12726と接触している第1の端部12770と、第1の端部12770の上に捲り上がり、かつ患者の皮膚12750と最初に接触するように構成されている第2の端部12772とを有し得る。第2の端部12772は、第2のタブ12746を含み得る。第2のタブ12746を外向きに引っ張ることによって、第2のセクション12746の第2の端部12770は、それが接着パッチ12726から剥がされるように展開し得る。第1のセクション12740と同様に、非接着パッチライナー12728の第2のセクション12742のこの構成は、薬物送達デバイス12710が患者の皮膚12750に押し当てられているにもかかわらず、図192Bに示されるように、接着パッチ12728からの第2のセクション12742の取り外しを容易にし得る。
本明細書に開示される薬物送達デバイスの患者の身体組織への取り付けは、接着手段に限定されない。接着パッチの代わりに、または接着パッチへの追加として、薬物送達デバイスは、薬物送達デバイスを患者の身体組織に一時的に取り付けるための空気圧システムを組み込み得る。かかる空気圧システムは、薬物送達デバイスの基部を通して延出し、かつ基部に対して身体組織を引く基部にわたる負の流体圧力を分配する、少なくとも1つの圧力連通チャネルまたは開口部を含み得る。薬物送達デバイスを身体組織に一時的に取り付けるためのかかる接着剤及び/または空気圧システムの実施形態は、「DRUG DELIVERY DEVICE WITH VACUUM ASSISTED SECUREMENT AND/OR FEEDBACK」と題される米国特許仮出願第62/117,420号に記載され、同特許出願は、参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。薬物送達デバイス10、910、6010、8000、9010、9210、9310、9410、9510、9610、11600、12340、12710、11010、13100、19010、または19020のうちのいずれか1つを含むがこれらに限定されない、本明細書に開示される薬物送達デバイスのうちのいずれか1つは、米国特許仮出願第62/117,420号に記載されるような、薬物送達デバイスを身体組織に一時的に取り付けるための接着剤及び/または空気圧システムの実施形態のうちの1つ以上を組み込むように構成され得る。
なおもさらなる実施形態において、本明細書に開示される薬物送達デバイスは、患者の身体の軟組織と、身体の軟組織の後方にある骨またはより剛性の解剖構造との間で薬物送達デバイスを締め付けるかまたは圧迫する機構(例えば、ストラップ)によって、患者の身体の軟組織に一時的に取り付けられ得る。
XIV.接続性態様
少なくとも図1A~194Cに関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、適切な場合、図195に関連して以下に記載されるデータ処理システムの実施形態を組み込み、かつ/またはそれと通信するように構成され得る。
本開示の薬物送達デバイスは、種々のデータ処理機能を含み、かつ/または種々のデータ処理ネットワーク内で動作するように構成され得る。薬物送達デバイスに関連するかかるデータ処理機能及びネットワークの実施形態は、国際特許出願公開第WO/2015/187793号、国際特許出願公開第WO/2015/187797号、国際特許出願公開第WO/2015/187799号、国際特許出願公開第WO/2015/187802号、及び国際特許出願公開第WO/2015/187805号に開示され、これらの各々は参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。薬物送達デバイス10、910、6010、8000、9010、9210、9310、9410、9510、9610、11600、12340、12710、11010、13100、19010、または19020のうちのいずれか1つを含むがこれらに限定されない、本明細書に開示される薬物送達デバイスのうちのいずれか1つは、国際特許出願公開第WO/2015/187793号、国際特許出願公開第WO/2015/187797号、国際特許出願公開第WO/2015/187799号、国際特許出願公開第WO/2015/187802号、及び国際特許出願公開第WO/2015/187805号に開示されるデータ処理機能のうちの1つ以上を含み、かつ/またはそれらに開示されるデータ処理ネットワークのうちの1つ以上の中で動作するように構成され得る。
本開示の薬物送達デバイス、または本開示の薬物送達デバイスと通信しているデータ処理システムは、薬物送達の1つ以上の状態を判定するように構成され得、これらの状態は、1つ以上のコントローラと組み合わせた1つ以上のセンサの使用を通して判定され得る。センサは、機械的、電気的、または化学的感知機構に依存し得、制御装置は、機械的、電気的、及び/または電気機械的でもよい。例として、かつ制限としてではなく、状態は、薬物送達装置の動作、または薬物送達装置の条件に関連してもよい。薬物送達デバイス、またはデータ処理システムと通信している薬物送達デバイスは、状態決定を使用して薬物送達装置の動作を制御してもよく、かつ/または状態決定を、例えば、薬物送達装置から受信した状態決定を収集、処理、及び/またはさらに広め得る、第三者のサーバ等の他の装置に通信してもよい。少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスは、モバイル計算デバイス(例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、ラップトップ等)等の1つ以上のローカルの計算デバイスに状態決定を通信し得る。
少なくとも1つの実施形態において、本開示による薬物送達デバイスは、デバイスまたは患者に関するデータをソーシャルサポートネットワークに通信し得る。例えば、薬物送達デバイスは、センサまたは他の手段によって患者のデバイスの使用を監視し、患者が治療レジメン(treatment regimen)(例えば、治療レジメン(therapeutic regimen))を遵守することを奨励することができるサポートグループに患者を結び付け得る。このようにして、薬物送達デバイスは、患者がそのアドバイスに従う可能性が高いサポートグループを特定するソーシャルネットワーキングサービス(例えば、Facebook、Twitter等)の能力を利用し、それによって、患者の治療レジメンへの患者の遵守の可能性を高めることができる。
図195は、本明細書に開示される他の薬物送達デバイスのいずれか1つ(薬物送達デバイス10、910、6010、8000、9010、9210、9310、9410、9510、9610、11600、12340、12710、11010、13100、19010、または19020のうちのいずれか1つを含むがこれらに限定されない)に対応する薬物送達デバイス13100と通信しているデータ処理ネットワーク13000の実施形態を例証する。薬物送達デバイス13100は、治療体制の一部として薬物を注入するために薬物送達デバイス13100を使用し得る患者13102と関連付けられてもよい。薬物送達デバイス13100は、1つ以上の中間計算デバイス及び/または1つ以上のネットワークを介して、サーバ13104と通信してもよい。次いで、サーバ13104は、1つ以上の中間計算デバイス及び/または1つ以上のネットワークを介して、薬物送達デバイス13100、患者13102、及び1つ以上の計算デバイスと(これらの関連する関係者と共に)通信してもよい。図195にも示されるとおり、サーバ13104は、例えば4Gアンテナを使用して、ウェアラブル薬物送達デバイス13100と直接及び/または無線で通信してもよい。
依然として図195を参照すると、薬物送達デバイス13100は、第1の通信リンク13112を介してモバイル計算デバイス13110(例えば、スマートフォン)と、及び第2の通信リンク13116を介して計算デバイス(例えば、パーソナルコンピュータまたは専用ハブ)13114と通信していることが示されている。リンク13112及び13116の両方は、例えば、Bluetooth等の近距離通信プロトコルに従って動作してもよい。モバイル計算デバイス13110が、通信リンク13120を介してセルラーネットワーク13118と通信し得る一方で、計算デバイス13114は、通信リンク13124を介してハードワイヤードネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワークまたは広域ネットワーク)13122と通信し得る。これらのネットワーク13118及び122もまた、サーバ13104と通信し得る。
ネットワーク13118及び13122は、サーバ13104と、患者13102と関連した1人以上の関係者、例えば患者の介護人13130、支援者13132、及び医療提供者13134との間の通信を、自身のモバイル計算デバイス(例えば、スマートフォン)を介して容易にすることができる。サーバ13104は、患者13102と関連した1人以上のさらなる関係者と関連した1つ以上の計算デバイス(例えば、サーバ)とも通信し得る。例えば、ネットワーク13122を介してサーバ13104と通信している健康管理システムサーバ13140、決済サーバ13142、薬局サーバ13144、物流業者サーバ13146、及び政府機関サーバ13148が例証される。ネットワーク13118及び13122は、互いに通信していてもよいことも理解されよう。
少なくとも1つの実施形態において、モバイル計算デバイス13110は、プロセッサによって実行されるコンピュータ実行可能命令を記憶するためのプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)及びメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスク等の不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、リムーバブルメモリ、ノンリムーバブルメモリ等)を含み得る。いくつかの実施形態において、コンピュータ実行可能命令は、モバイル計算デバイス13110のメモリ内に記憶されたソフトウェアアプリケーション(例えば、一般に「モバイルアプリ」とも称されるモバイルソフトウェアアプリケーション)内に含まれ得る。ソフトウェアアプリケーションは、インターネットへの接続を介して好適なアプリケーションストアからダウンロードされた実行可能なパッケージインストールファイル等の1つ以上のファイルとしてモバイル計算デバイス13110上にインストールされ得る。パッケージダウンロードファイルの例には、iTunesストア、Google Playストア、Windows Phoneストアを介したダウンロード、別の計算デバイスからパッケージインストールファイルをダウンロードすること等が含まれ得る。ソフトウェアアプリケーションは、それぞれGoogle及びAppleによって開発された、Android(商標)またはiOS(登録商標)等のモバイルオペレーティングシステム用に開発され得る。いくつかの実施形態において、アプリケーションは、モバイル計算デバイス13110のディスプレイ(例えば、タッチスクリーン)のホーム画面上に示されるアイコンを選択する使用者によって開始されてもよい。国際特許出願公開第WO/2015/187797号の図面に示されるものと同様の情報プロンプト及び/または指示プロンプトを有するものを含む、様々なディスプレイは、ソフトウェアアプリケーション内で生成され、モバイル計算デバイス13110のディスプレイを介して、使用者及び/または患者に表示されてもよい。
XXV.エネルギー管理
少なくとも図1A~195に関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、適切な場合、図196A~200に関連して以下に記載される皮エネルギー管理機構の実施形態を組み込むように構成され得る。
上述のように、本開示の薬物送達デバイスは、容器から薬物を吐き出すようにプランジャシールを動かすためのエネルギーを提供するために、1つ以上のばねを含む駆動機構を組み込み得る。ばねの使用は、単純性及び低コストの有益性をもたらすことができるが、ある特定の制限を有し得る。
ばねアクチュエータにおける力と変位との間に直線関係がある。プランジャシールのストロークの終わりに、薬物送達のための十分なエネルギーを提供するために、薬物送達が始まるときに過剰量のエネルギーがシステム内に入力され得る。
さらに、薬物送達デバイスを介してより高い粘度の薬物が送達されるとき、必要なばね力が増加する場合がある。より高いばね定数を有するばねは、より大きい力を薬物製品及び容器に伝える。運動エネルギーは、速度の2乗に比例するため、ばね定数の増分的な増加は、薬物及び容器に加えられる正味運動エネルギーにおける大きな変化をもたらし得る。
患者は、ばね駆動式ピストンが薬物を貯蔵する容器のプランジャシールに衝突するときに、この過剰なエネルギーを「平手打ち」または同様の物理的「衝撃」として感じ得る。かかる機械的衝撃はまた、注入装置の使用者の気を散らすかまたは不安にさせる可能性があり、したがって、適切な用量完了を防止する可能性があることが既知である。したがって、かかる障害を排除することが望ましい。
したがって、薬物製品に伝えられる力及び結果的なエネルギーを低減し、それによって薬物送達デバイスの容器または他の構成要素への構造損傷の可能性を低減しながら、駆動機構の意図するばね力の負荷を維持することができるエネルギー管理システムを有する薬物送達デバイスの必要性が存在する。かかる薬物送達デバイスは、より快適でより安全に使用できる可能性を有し得、より幅広い薬物に適用可能である。
本開示の薬物送達デバイスは、薬物製品に伝えられる力及び結果的なエネルギーを低減しながら、駆動機構の意図するばね力の負荷を維持するエネルギー管理システムを含むように構成され得る。かかるエネルギー管理システムの実施形態は、「AUTOINJECTOR WITH SHOCK REDUCING ELEMENTS」と題される国際特許出願第PCT/US15/29485号、及び国際特許出願公開第WO/2016/003813号、国際特許出願公開第WO/2015/187799号に開示され、これらの各々は参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる。薬物送達デバイス10、910、6010、8000、9010、9210、9310、9410、9510、9610、11600、12340、12710、11010、13100、19010、または19020のうちのいずれか1つを含むがこれらに限定されない、本明細書に開示される薬物送達デバイスのうちのいずれか1つは、国際特許出願第PCT/US15/29485号及び国際特許出願公開第WO/2015/187799号に開示されるエネルギー管理システムの態様、特徴、及び/または機能のうちの1つ以上を組み込むように構成され得る。
図196A~196C、197A~197C、及び198A~198Cはそれぞれ、アセンブリ14000a、14000b、14000cを例証し、その各々は、薬物容器14050(容器50、350、618、718、818、918、1050、6050、8050、または9050のうちのいずれか1つに対応し得るがこれらに限定されない)、駆動機構14100(駆動機構100、130、1100、2100、6100、8100、8130 11100、14100、23090、または90100のうちのいずれか1つに対応し得るがこれらに限定されない)、流体通路接続子14300(流体通路接続子300、622、722、822、922、1122、1222、1300、2300、8300、18300、23030、90300 182300、230330、または230130のうちのいずれか1つに対応し得るがこれらに限定されない)、及びエネルギー管理システムとして機能する駆動ダンパ機構14170a、14170b、または14170cを含む。アセンブリ14000a、14000b、及び14000cは各々、薬物送達デバイス10、910、6010、8000、9010、9210、9310、9410、9510、9610、11600、12340、12710、11010、13100、19010、または19020のうちのいずれか1つを含むがこれらに限定されない、本明細書に開示される薬物送達デバイスのうちのいずれか1つに実装され得る。
薬物容器14050は、バレル14058と、薬物14038をバレル14058から放出するためにバレル14058を通じて可動なプランジャシール14060と、バレル14058の内部へのアクセスを制御する穿通可能なシール(例証されない)と、を含み得る。駆動機構14100は、駆動ハウジング14130、駆動ハウジング14130に対して可動で、プランジャシール14060に動きを加えるように構成されたピストン14110、及び駆動ハウジング14130とピストン14110との間に配置されたピストン偏倚部材14106を含み得る。ピストン14110は、その遠位端に配置されたヘッド部材14148を含み得る。
駆動ダンパ機構14170は、ピストン14110がバレル14058を通してプランジャシール14060を遠位に動かし始める前に、駆動機構14100の意図する力を保持しながら、ピストン14110の速度を低減させる。ピストン14110の速度を低減させることによって、ダンパ機構14170は、それが薬物14038及び薬物容器14050に加えられた運動エネルギーを低減させるため、衝撃低減要素として本質的に動作する。ダンパ機構14170は、ピストン14110の速度を低減させて、システムに送達される圧力がシリンジ破損を誘発しないこと、システムに送達される圧力が患者への明らかな「平手打ち」または不快感を防止すること、及び/または薬物14038に送達される圧力がせん断力による薬物14038の損傷を防止することを確実にするように適合され得る。
いくつかの実施形態において、駆動ダンパ機構は、ピストンの速度を1%未満だけ低減するように適合され得る。他の実施形態において、駆動ダンパ機構は、ピストンの速度を約1~5%低減するように適合され得る。さらなる実施形態において、駆動ダンパ機構は、ピストンの速度を約5~10%低減するように適合され得る。さらなる実施形態において、駆動ダンパ機構は、ピストンの速度を約10~15%低減するように適合され得る。さらなる実施形態において、駆動ダンパ機構は、ピストンの速度を約15~20%低減するように適合され得る。さらなる実施形態において、駆動ダンパ機構は、ピストンの速度を約20~30%低減するように適合され得る。依然としてさらなる実施形態において、駆動ダンパ機構は、ピストンの速度を約30~50%低減するように適合され得る。なおもさらなる実施形態において、駆動ダンパ機構は、ピストンの速度を約51~100%低減するように適合され得る。駆動ダンパ機構によって提供される速度の低減は、明らかな「平手打ち」防止することによって患者への物理的障害及び/または不快感を防止し、かつ/または薬物貯蔵デバイスの破損を低減し、かつ/またはせん断負荷によって引き起こされる薬物製品の損傷を低減し、かつ/または注射デバイスがより高い粘度の薬物の注射のために使用されることを可能にするために選択され得る。
図196A~196Cに示されるように、ダンパ機構14170は、アセンブリ14000aのサイズを最小化し、かつプランジャヘッド/ストッパインターフェースにおけるピストン14110の運動をより効果的に減衰させるために、薬物容器14050のプランジャシール14060とピストン14110のプランジャヘッド14148との間のライン内に配置され得る。他の実施形態において、図197A~8197Cに示されるように、駆動ダンパ機構は、駆動機構のピストン14110の近位端と薬物送達デバイスの主ハウジングとの間のライン内に配置されてもよい。さらなる実施形態において、駆動ダンパ機構は、ピストン内に一体化されてもよい。
アセンブリ14000aの種々の実施形態によれば、ダンパ機構14170は、ダッシュポットを含み得る。ダッシュポットは、粘性摩擦を使用して、ピストン14110運動を制限し、それによって、ピストン14110の速度を低減させる。図196A~196Cは、アセンブリ14000aに使用され得る線形ダッシュポット14172の例示的な実施形態を図示する。示されるように、線形ダッシュポット14172は、駆動減衰機構ハウジング14174、ハウジング14174の内部に収容された作動流体14178、及びハウジング14174内で可動に配置されたピストンアセンブリ14176を含む。ハウジング14174は、末端壁14174ewによってその第1及び第2の端部の各々において閉じられている円筒状側壁14174swを含んでもよい。いくつかの実施形態において、ハウジング14174は、プラスチックまたは金属等の剛性材料で作製され得る。ハウジング14174内に収容された作動流体14178には、限定することなく、油(例えば、鉱物油)、シリコーン材料、水、または空気が含まれ得る。
図196A~8196Cに示されるように、ピストンアセンブリ14176は、ピストン14180、及びハウジング14174を通じてピストン14180を押圧するためのロッド14184を含んでもよい。図196A~196Cに示されるもの等の他の実施形態において、ピストンロッドは、ダッシュポットハウジング14174を通じてピストンを引っ張るように構成及び適合され得る。図196A~196Cに示されるように、ピストン14180は、先端及び後端表面、それぞれ14182l及び14182tを有する、単一の円盤状構造または部材14182(ピストンディスク部材14182)を含み得る。ピストンロッド14184は、ハウジング14174の末端壁14174ewのうちの1つにおける開口部14174aを通して延出し、一方の端部は、それが減衰ストローク時にピストンディスク部材14182を押圧するか(図196A~196Cを参照されたい)または引っ張るか(図197A~197C)に応じて、ピストンディスク部材14182の先端面14182lまたは後端面14182tに取り付けられるかまたはそれと一体であってもよい。典型的にハウジング14174の外部に配置されるピストンロッド14184の自由端は、図196A~196Cに示されるように、プランジャヘッド14148に取り付けられ得る。Oリング(不可視)等のシールは、ピストンロッド14184と、ハウジング14174の末端壁14174ew内の開口部14174aとの間で作動流体14178がハウジング14174から漏出することを防止するために、開口部14174a内またはそれに隣接して提供され得る。いくつかの実施形態において、ピストンアセンブリ14176は、プラスチックまたは金属等の剛性材料で作製され得る。他の実施形態において、ピストンアセンブリ14176は、天然または剛性ポリマー等の弾性材料で作製されてもよい。依然としてさらなる実施形態において、ピストンアセンブリ14176は、多孔質の合成材料で作製されてもよい。
図196A~196Cは、ダッシュポット14172の操作の1つの例示的なモードを図示する。図196Aに示されるように、駆動トリガ機構が起動すると、駆動機構14100のエネルギー源(例えば、ピストン偏倚部材14106)は、ピストン14110を薬物容器14050のバレル14058内に配置されたプランジャシール14060に向かって前進させる。いったん線形ダッシュポット14172がプランジャシール14060と接触すると、図196Bに示されるように、ピストン偏倚部材14106からの負荷が線形ダッシュポット14172へと伝わり始め、それによって、ピストンディスク部材14182がハウジング14174の一方の端部から他方の端部へと移動するにつれて、ダッシュポットピストン部材14182の前面内に位置する作動流体178が1つ以上の狭窄部を通してピストンディスク部材14182の後方の位置へと押圧または変位されることを引き起こす。1つ以上の狭窄部を通る作動流体14178の流れは、ピストンディスク部材14182の移動を制限する粘性摩擦を生み出し、それによって、プランジャ運動を減衰させる。ピストンディスク部材14182が剛性材料で作製されるいくつかの実施形態において、狭窄部(複数可)は、ピストンディスク部材14182の周縁部とダッシュポットハウジング14174の側壁174swとの間に小さい間隙(図示せず)を含んでもよい。他の実施形態において、狭窄部(複数可)はさらにまたは代替的に、ピストンディスク部材の周縁部に提供される1つ以上の溝14186、及び/またはそれがピストンディスク部材14182の前面からピストンディスク部材14182の後方へと変位されるときに作動流体178がそれを通って流れる、ピストンディスク部材14182を通して延出する1つ以上の開口部を含んでもよい。ピストンディスク部材14182が弾性材料で作製される他の実施形態において、ピストンディスク部材14182の周縁部は、作動流体178がそれを通って流れることができるように、ピストンディスク部材14182の周縁部とダッシュポットハウジング14174(図示せず)の側壁174swとの間に狭い間隙または狭窄部を生み出すのに十分に逆方向に曲がることができる。ピストンディスク部材14182が多孔材料で作製される他の実施形態において、作動流体178は、ピストンディスク部材14182の細孔(狭窄部)を通して流れることになる。これらの実施形態の各々において、線形ダッシュポット14172の1つ以上の狭窄部は、ピストン14110に働きかけるエネルギー源144(例えば、ピストン偏倚部材14106)の力に対する速度依存抵抗を提供する。この抵抗は、ピストン14110に連結されると、エネルギー源144(例えば、ピストン偏倚部材14106)の力を維持しながら、ピストン14110がプランジャシール14060を動かし始める前に、ピストン14110の速度を低減させる。狭窄部のサイズ、数、及び種類、線形ダッシュポット14172において使用される作動流体178の種類、ハウジング14174及びピストンアセンブリ14176の構成、ならびにそれらの任意の組み合わせは、適切に駆動機構14100の衝撃特性を減衰させるようにダンパ機構14170の減衰特性が微調整されることを可能にするために、調整及び/または選択され得る。
図196Cに示されるように、ピストンディスク部材14182は、ダッシュポットハウジング14174の末端壁のうちの先端側の1つに係合し、ピストン偏倚部材14106の力は、プランジャシール14060、線形ダッシュポット14172、及びピストン14110を、薬物容器14050のバレル14058を通して低減された速度で遠位に動かして、薬物14038をバレル14058から吐き出す。
図197A~197Cは、注射駆動機構のピストンロッド14146の近位端14146peと、薬物送達デバイスの主ハウジングとの間のライン内に配置されたダッシュポット14192の操作の1つの例示的なモードを図示する。この実施形態において、ダッシュポットハウジング14194は、管状サポート部材14122と一体的に形成された戻り止め14123によって主ハウジングの管状サポート部材14122内に保持され得る。かかる配置構成は、管状サポート部材14122内に画定された片持ちばね14125上に提供されてもよい。ダッシュポットハウジング14194内に配置されたピストンロッド14204の末端は、ピストンディスク部材14202の先端表面14202lに取り付けられてもよく、ピストンロッド14204の自由端は、ピストンロッド14146の近位端14146peに取り付けられてもよく、それによりピストンロッド14146がエネルギー源(例えば、ピストン偏倚部材14106)によって遠位に駆動されるときに。ピストンロッド14204は、ダッシュポットハウジング14194を通してピストンディスク部材14202を引っ張る。
図197A~197Cに示されるように、駆動トリガ機構が起動すると、注射駆動機構のエネルギー源(例えば、ピストン偏倚部材14106)は、ピストン14110を薬物容器14050のバレル14058内に配置されたプランジャシール14060に向かって前進させ始める。ピストン偏倚部材14106によってピストン14110に加えられた負荷は、ダッシュポット14192に伝えられ得る。ピストンディスク部材14202の前面に位置する作動流体194は、ピストンディスク部材14202がダッシュポットハウジング14194の一方の端部から他方の端部へと引っ張られるにつれて、1つ以上の狭窄部を通してピストンディスク部材14202の後方の位置へと押圧または変位される。1つ以上の狭窄部を通って流れる作動流体14198によって生み出される抵抗は、ピストン14110のヘッド部材がプランジャシール14060と衝突する前にピストン14110の速度を低減させながら、ピストン偏倚部材14106の力を維持する。ピストン14110のヘッド部材は、低減された速度でプランジャシール14060と衝突し、エネルギー源(例えば、ピストン偏倚部材14106)の力は、薬物14038をバレル14058から吐き出すためにプランジャシール14060及びピストン14110を、薬物容器14050のバレル14058を通して遠位に動かし始める。ほぼ同じときに、ダッシュポット14192のピストンディスク部材14202は、そのストロークの終わりに達し、ダッシュポットハウジング14194の先端壁194ewに係合する。エネルギー源(例えば、ピストン偏倚部材14106)は、エネルギー源(例えば、ピストン偏倚部材14106)が、薬物容器14050のバレル14058を通してピストン14110、プランジャシール14060、及び薬物14038を駆動するときに、それがダッシュポット14192を管状サポート部材14122から解放して、ピストン14110の移動を可能にするように、戻り止め及び片持ち配置構成123/125に打ち勝つのに十分なエネルギーをピストン14110に加えるように選択され得る。管状サポート部材14122からのダッシュポット14192の解放は、係合の時間を低減させ、これは、注射デバイスの全長が低減されることを可能にする。
図198A~198Cは、ピストン14242内に一体化されたダッシュポット14212の操作の例示的なモードを図示する。図198A~198Cに示されるように、一体型のダッシュポット14212は、管状壁14214tと、及び管状壁14214tの開放遠位端を閉じるプランジャヘッド14248とによって形成されたハウジング14214を含む。ダッシュポット14212は、最初はダッシュポットハウジング14214の管状壁14214tの開放近位端内に配置されている、中空プランジャロッド14246の遠位末端壁14220によって形成されたピストンをさらに含む。ダッシュポット14212の作動流体14218は、最初に、プランジャロッド14246の遠位末端壁14220の前面において、ダッシュポットハウジング14214内に提供されている。図198Aに示されるように、駆動トリガ機構(図示せず)が起動すると、注射駆動機構のエネルギー源(例えば、ばね14244s)は、プランジャロッド14246に力を加え、ピストン14242を薬物容器14050のバレル14058内に配置されたプランジャシール14060に向かって前進させる。いったんプランジャヘッド14248がプランジャシール14060と接触すると、図198Bに示されるように、ばね14244sからの負荷は、ピストン14242内に一体的に形成されたダッシュポット14212へと伝えられる。プランジャロッド14246の末端壁220の前面内に位置する作動流体14218は、それがダッシュポットハウジング14214へと遠位に移動するにつれて、末端壁220内に提供される1つ以上の狭窄部を通して、かつ中空プランジャロッド14246によって画定される、末端壁220の後方の空間内へと押圧または変位される(前に記載されたように)。ダッシュポット14212によって提供される抵抗または減衰は、プランジャロッド14246がプランジャヘッド14248に係合してプランジャシール14060を動かす前にプランジャロッド14246の速度を低減させ、ばね14244sの力を維持しながら減衰を行う。
図198Cに示されるように、プランジャロッド14246の末端壁220は、プランジャヘッド14248に係合し、これは、ダッシュポットの減衰ストロークの終わりを示す。次いで、ばね14244sは、プランジャロッド14246及びプランジャヘッド14248を単一の構成要素(すなわち、プランジャ)としてプランジャシール14060に対して推進させるかまたは押し付けて、薬物14038をバレル14058から吐き出すために薬物容器14050のバレル14058を通して駆動プランジャシール14060を遠位に駆動する。
図199は、ダッシュポットの別の例示的な実施形態を示す。ダッシュポット14270は、ピストンアセンブリ14276のピストンが、ピストンロッド14284に沿って互いに間隔を空けた2つ以上のディスク部材14282を含むことを除き、前に記載されるダッシュポットと実質的に同様である。2つ以上のピストンディスク部材14282、及び各ピストンディスク部材14282と関連し得る前に記載された狭窄部は、ピストン移動に対する一連の抵抗を提供し、抵抗の各々は、同じであり、かつ/または異なってもよい。ダッシュポット14270の一連の抵抗は、エネルギー源(例えば、ばね14144s)の力を維持しながら、プランジャの速度が段階的または増分的に低減されることを可能にする。いくつかの実施形態において、マルチディスクピストンアセンブリ14276は、プラスチックまたは金属等の剛性材料で作製され得る。かかる実施形態において、各ピストンディスク部材14282によって提供される抵抗を制御または画定する狭窄部(複数可)は、ピストンディスク部材14282のうちの1つ以上の周縁部とダッシュポットハウジング14274の側壁14274swとの間に小さい間隙(図示せず)を含んでもよい。他のかかる実施形態において、狭窄部(複数可)は、ピストンディスク部材14182のうちの1つ以上の周縁部内に提供される1つ以上の溝、またはピストンディスク部材のうちの1つ以上を多孔ディスクとして形成する、1つ以上のピストンディスク部材14182を通って延出する1つ以上の開口部14188、及びそれらの任意の組み合わせを含み得る。他の実施形態において、マルチディスクピストンアセンブリ14276は、各ピストンディスク部材14282の周縁部が、作動流体が内部を通って流れることができるようにピストンディスク部材14282の周縁部とダッシュポットハウジング14274の側壁14274swとの間に狭い間隙または狭窄部を生み出すのに十分に逆方向に曲がることができるように、天然または合成エラストマー等の弾性材料で作製されてもよい。作動流体として空気が使用される場合、スクイズ膜ダンピング効果を生み出すために、ピストンアセンブリ276の剛性ピストンディスク部材282が使用され得る。図196A~85C、86A~86C、及び87A~87Cに関連して上に記載されるダッシュポットのいずれかを、図199のピストンアセンブリ14276に利用することができる。
図200は、本開示のダッシュポットの例示的な実施形態を示す。ダッシュポット14370は、ハウジング14374と、中空ピストンロッド14384、及びハウジング14374内に配置されたピストンロッド14384の末端に取り付けられた蛇腹構造(蛇腹ピストン構造)として構成されたピストンを含むピストンアセンブリ14376と、を含む。中空ピストンロッド14384は、中空ピストンロッド14384を通って流れる作動流体(図示せず)をダッシュポットハウジング14374の外側に排出するための開口部14384aを有し得る。蛇腹ピストン構造は、作動流体を収容する1つ以上の折り畳み式出張り部を含んでもよく、この流体は、空気または任意の他の好適な作動流体であり得る。開口部14386(狭窄部)は、蛇腹ピストン構造の各隣接する対の出張り部を互いに、及び中空ピストンロッド14384に接続する出張り部壁の一部に提供され得る。開口部14386は、出張り部内に収容された作動流体が1つの出張り部から別の出張り部へと流れることを可能にし、それによって狭窄部として機能する。ダッシュポット14370は、蛇腹ピストン構造がダッシュポットハウジング14374の末端壁14374ew内へと押されるかまたは引き込まれ、駆動プランジャ機構のエネルギー源(例えば、ばね14144s)によって供給される、プランジャ14142に働きかける力によって折り畳まれるときに、減衰を提供する。減衰作用は、蛇腹ピストン構造の出張り部が折り畳まれるにつれて、出張り部の中に収容された作動流体が開口部14386、中空ピストンロッド14384、及びロッド開口部14384aを通って流れるときに提供される。図196A~196C、197A~197C、及び198A~198Cに関連して上に記載されるダッシュポットの実施形態のいずれかを、図200のピストンアセンブリ14376に利用することができる。
XXVI.皮膚取り付けに関する追加の実施形態
少なくとも図1A~200に関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図201A~202Dに関連して以下に記載される接着剤の実施形態を組み込むように構成され得る。
本実施形態は、刺激因子の存在に対して感度が高い結合強度を有する接着剤を開示する。接着剤を用いて、薬物送達デバイスを患者の皮膚に接着してもよい。刺激因子の導入は、接着剤の結合強度を減少させ得、それにより、デバイスがより容易に患者の皮膚から取り外され得ると同時に、ことによると取り外しに起因する患者の痛みまたは不快感を低減する。刺激因子は、結合の強度を減少させることが可能である、UV光等の光、熱、及び電気を含む、刺激因子の群のいずれから選定されてもよい。刺激源は、医療デバイスに一体化され得るか、または代替的に、医療デバイスとは独立していてもよい。使用及び組み立て方法もまた記載される。
図201A~201Cで見て取れるように、薬物送達デバイス19010は、本体19001、刺激源19002、第1の接着パッチ19003、及び第2の接着パッチ19004を含み得る。本体19001は、刺激源19002を包囲または封入し得るかまたは、代替的に、刺激源19002は、本体19001の外側に位置してもよい。刺激源19002は、作動停止状態及び作動状態を有する。作動停止状態において、刺激源は、刺激因子を生成及び/または放出しない。作動状態においては、刺激源は、刺激因子を生成及び放出する。第1の接着剤19003の結合強度は、それが刺激源19002の作動に応じて減少しないようなものであり得る。第1の接着剤は、第2の接着剤を医療デバイスに関連して保持し得る。第2の接着剤19004の結合強度は、最初は、刺激因子の不在下で第1の結合強度を、及び刺激因子の存在下では第2の結合強度を有し得る。デバイス190010は、任意選択で、発送中及び患者への医療デバイスの適用前に接着剤を保護し、切り離す、除去可能な接着剤被覆を含み得る。
薬品の送達の開始前に、患者または医師は、備えられている場合、接着剤被覆を除去し得る。医療デバイスは次いで、接着剤を使用して患者に固着され得る。第2の接着剤の第1の結合強度は、それがデバイスを患者の皮膚にしっかりと取り付けて、意図しない取り外しを防止するようなものであり得る。薬品の送達後、または任意の他の所望の時点で、刺激源19002が作動され得る。作動は、薬品送達の完了時に自動的に生じてもよく、または患者による入力に応じて生じてもよい。例えば、デバイスは、ボタン、スイッチ等の刺激因子作動機構、または当業者に既知の任意の他の機構を含み得る。刺激源の作動は、第2の接着パッチ19004の少なくとも一部分の結合強度を第2の結合強度に減少させる。少なくとも1つの実施形態において、第2の接着剤の外縁の結合強度が第2の結合強度に減少し得、それによって、使用者が接着剤の縁を容易に係合し、それによって、接着剤を患者の皮膚から除去または剥離することを可能にする。これらの実施形態において、刺激源は、デバイスの外郭の周りに配置され得、刺激源の位置及び刺激因子の強度が、影響を受ける第2の接着剤の部分を制御する。他の実施形態において、第2の接着剤の実質的に全体の結合強度が減少し、それによって、患者の皮膚からのデバイスの容易な取り外しを可能にする。第2の接着剤の結合強度は、刺激源の作動に応じて均一に減少する必要はない。換言すると、第2の接着剤の何らかの部分の結合強度は、他の部分よりも大きな程度に減少してもよい。接着剤の凝集特性は、完全に排除され得るか、または代替的に、いくらかの結合強度を保持してもよい。例えば、接着剤の結合強度は、作動させた刺激因子の存在下で、患者により取り外し操作が行われるまで患者の皮膚へのその接着を維持するのに十分であり得る。
刺激因子は、UV光源であり得、図201A~201Cで見て取れるようにデバイスの一体的態様であり得る。UV光源は、それが接着パッチに近接しているように、デバイスの底部部分に位置し得る。UV光源は、UV光源の作動がPCBまたは他の種類の電気コントローラによって行われかつ/または制御され得るように、デバイスの1つ以上の他の態様と電気通信していてもよい。電気コントローラによる作動は、患者への薬品の送達の完了に応じて生じてもよい。作動はまた、ボタンの押し下げ等の、使用者による入力によってトリガされてもよい。
図202A~202Dに示される他の実施形態において、刺激源190015は、外的刺激源である(すなわち、医療デバイスに物理的に接続されていない)。これらの実施形態において、刺激源は、薬物送達デバイス19020と共に、使用者に供給されてもよく、または別個に供給されてもよい。外的刺激源は、複数回、及び複数のデバイスに対して使用されてもよい。刺激因子の接着剤への適用を容易にするために、デバイスの本体の1つ以上の態様は、少なくとも部分的に半透明であり得、それによって、UV光等の刺激因子が通過することを可能にする。少なくとも1つの実施形態において、医療デバイスは、取り外し可能な部分19011を有し得る。医療デバイスのこの部分の取り外しは、半透明部分19012を露出させ得る。半透明部分19012は、デバイスの薄い部分であり得、それによって、刺激源が接着剤に接近することを可能にする。第1の接着剤19013が半透明部分19012に結合され得る。第1の接着剤の結合強度は、刺激因子の存在によって影響を受けない可能性がある。第2の接着剤19014が適用され得、その結合強度は、先に記載したように刺激因子の存在によって変化させられる。外的刺激は、使用者が光源を接着剤の方へ方向付け得るように手持ち型のUV光源の形態にあってもよい。
本発明の別の態様において、二次接着剤は、再利用可能であり得る。刺激因子の除去は、接着剤がその第1の結合強度に戻ることを可能にし得る。第1の結合強度に戻った後、デバイスは、患者の皮膚に再度適用され得る。これは、再利用可能な医療デバイスの用途において有用であり得る。
接着剤の結合強度が光によって影響を受ける用途において、接着剤は、それがある特定の波長の光のみに応答するように構成され得る。これは、結合強度の不注意な減少を防止するフィルタが適用されることを可能にし得る。
接着剤の結合強度は、刺激因子の存在下で即座には減少しない可能性がある。代替的に、結合強度を減少させるために接着剤が刺激に長期間曝露されることが必要である可能性がある。この時間は、数秒間ほどに短いものから、数分間ほどに長いものであってもよい。
他の実施形態においては、使用方法が提供される。使用方法は、接着剤を使用して医療デバイスを患者の皮膚に適用する工程と、医療デバイスの動作を開始させる工程と、刺激源を作動させて接着剤の少なくとも一部分の結合強度を減少させる工程と、医療デバイスを患者から取り外す工程とを含み得る。刺激源は、医療デバイスに一体的であり得るか、またはデバイスとは独立していてもよい。本方法は、任意選択でまた、接着パッチ被覆を除去する工程を含んでもよい。本方法はまた、医療デバイスの1つ以上の部分の、医療デバイスの1つ以上の他の部分からの取り外しを含み得る。
依然として他の実施形態において、組み立て方法が提供される。本組み立て方法は、第1の接着剤を医療デバイスの一部分に適用する工程と、第2の接着剤を第2の接着剤に少なくとも部分的に適用する工程とを含み得る。本組み立て方法は、刺激源を医療デバイスの中に組み立てることをさらに含み得る。
XXVII.流体通路接続子の追加の実施形態
少なくとも図1~202Dに関連して記載されるものを含む、本出願に記載の薬物送達デバイスのうちの少なくともいくつかは、図203A~203Cに関連して以下に記載される流体通路接続子の実施形態を組み込むように構成され得る。適切な場合、図203A~203Cに関連して以下に記載される流体通路接続子の実施形態を用いて、全体的にまたは部分的に、上述の流体通路接続子300、622、722、822、1222、1300、2300、6300、8300、14300、18300、90300、94300、95300、もしくは96300、または本明細書に記載の任意の他の流体通路接続子を置き換えてもよい。
薬物容器及び他の薬物送達デバイスの充填過程において、2つ以上の滅菌構成要素またはサブアセンブリを接続することがときに必要である。例えば、装着可能な注入装置または薬物ポンプは、標準的な薬学的充填-最終製剤化過程を用いて流体薬物で充填され得る薬物容器を含み得る。薬物容器の充填後、薬物容器とこれらの構成要素との間で流体連通が確立されるように、薬物容器を1つ以上の追加の構成要素またはサブアセンブリに接続することが必要であり得る。流路を無菌状態で維持することは、薬物及び/または流体通路への有害な微生物の導入を防止するので、必要不可欠である。2つ以上の無菌構成要素またはサブアセンブリの接続は、典型的に、清浄な部屋等の無菌環境で行われ、それによって、有害な微生物がアセンブリに何ら導入されないことを確実にする。これは、しかしながら、製造薬物送達デバイスに対する増加した費用につながり得る。
上述の流体通路接続子の実施形態の多くは、薬物送達デバイスの作動時に薬物容器にアクセスするために移動する穿通部材を組み込むが、流体通路接続子の代替的な実施形態、例えば、図203A~203Cに例証される実施形態は、薬物送達全体を通して静止して留まる穿通部材を含み得る。かかる代替的な実施形態において、薬物容器が、薬物送達デバイスの作動時に穿通部材の方へ移動してもよい。薬物容器の移動は、静止した穿通部材が、薬物容器の遠位端に位置する穿通可能なシールを通して薬物容器にアクセスすることをもたらし得る。
図203A~203Cは、薬物容器10050(これは薬物容器300、622、722、822、922、1122、1222、1300、2300、8300、18300、23030、90300 182300、230330、もしくは230130、または本明細書に記載の任意の他の流体通路接続子のうちのいずれか1つの代わりに置き換えられ得る)、駆動機構10100(これは駆動機構100、130、1100、2100、6100、8100、8130 11100、14100、23090、もしくは90100、または本明細書に記載の任意の他の流体通路接続子のうちのいずれか1つの代わりに置き換えられ得る)、及び流体通路接続子10300を含む、薬物送達デバイスのサブアセンブリ(例えば、薬物送達デバイス10、910、6010、8000、9010、9210、9310、9410、9510、9610、11600、12340、12710、11010、13100、19010、もしくは19020、または本明細書に記載の任意の他の薬物送達デバイス)を例証する。薬物容器10050、バレル10058、バレル10058を通じて可動なプランジャシール10060、及びバレル10058の開口遠位端を被覆し、バレル10058の内部へのアクセスを制御する穿通可能なシール10056を含み得る。
駆動機構10100は、駆動ハウジング10130、駆動ハウジング10130に対して可動で、プランジャシール10060に動きを加えるように構成された、ピストン10110、及び駆動ハウジング10130とピストン10110との間に配置されたピストン偏倚部材10106を含み得る。送達前、ピストン偏倚部材10106は、図203Aに図示されるように、ピストン偏倚部材の付勢状態で保持され得る。ピストン偏倚部材10106が解放され、結果的に付勢解除するとき(図203B及び203Cで見て取れるように)、ピストン偏倚部材10106は、ピストン10110及び/またはプランジャシール10060を流体通路接続子10300の方へ動かし得る。
流体通路接続子10300は、薬物容器10050と挿入機構(例えば、針挿入機構200、624、724、824、924、1124、1224、6200、7200、8200、11200、23070、90200、92200、93200、94200、95200、もしくは96200、または本明細書に記載の任意の他の挿入機構)との間で滅菌流体の流路を画定し得る。流体通路接続子10300は、接続ハブ10310、接続ハブ10310と挿入機構との間の流体連通を提供する管状導管(例証されず)、穿通可能なシール10056を穿通して、送達中にバレル10058と管状導管薬物との間との間の流体連通を確立するように構成された穿通部材10330(例えば、容器アクセス針)、バレル接続子10332、及び可撓性封止部材10334を含み得る。いくつかの実施形態において、管状導管は、可撓性材料で作製された単一の一体型管であり得、接続ハブ10310と挿入機構との間に直接延出し得る。他の実施形態において、薬物の流体圧力、流体流速、または他の特性を調節するまたは修正する必要性に応じて、管状導管は、剛性材料で作製され、それぞれ反対の端部で、可撓性管を介して接続ハブ10310及び挿入機構にそれぞれ接続された、1つ以上の流れ制限部を含み得る。
引き続き図203A~203Cを参照して、可撓性封止部材10334は、遠位端バレル10058と接続ハブ10310との間に押し潰し可能な体積を有する滅菌チャンバ10062を画定し得る。少なくとも1つの実施形態において、可撓性封止部材10334は、略円錐状の形状及び可撓性のふいごとしての機能を有し得る。可撓性封止部材10334の近位端が、バレル接続子10332とバレル10058の遠位端表面との間で締め付けられ得る。その遠位端で、可撓性封止部材10334は、接続ハブ10310に接続され得る。
バレル接続子10332は、バレル10058の外周表面にぴったりと適合するように構成された管状本体部分10335、ならびに環状本体部分10335のそれぞれ反対の端部で第1及び第2の径方向内向きに寄りかかる環状突出部10336、10338を有し得る。第1の環状突出部10336は、バレル10058のネックを把持し得、第2の環状突出部10338は、可撓性封止部材10334の近位端をバレル10332の遠位端表面に対して締め付け得る。
接続ハブ10310は、接続ハブ10310が薬物送達デバイスのハウジングに対して移動するのを防止されるように、薬物送達デバイスのハウジング(例えば、ハウジング12)に対して固定され得る。穿通部材10330の遠位端は、穿通部材10330もまた薬物送達デバイスのハウジングに対して固定されるように、接続ハブ10310に堅く接続され得る。バレル10058は、バレル10058が薬物送達デバイスのハウジングに対して移動する(例えば、直線方向に平行移動する)ことができるように、薬物送達デバイスのハウジングに摺動自在に接続され得る。バレル10058が接続ハブ10310の方へ移動するにつれて、可撓性封止部材10334は、図203B及び203Cに例証されるように、滅菌チャンバ10062の体積が減少するように弾性的にまたは非弾性的に変形し得る。
送達前状態において(図203A)、穿通部材10330の近位端は、可撓性封止部材10334によって画定される滅菌チャンバ10062内に配置され得る。ピストン偏倚部材10106の解放時、ピストン偏倚部材10106は、付勢解除し始め、それによって、ピストン10110及びプランジャシール10060が穿通部材10330の方へ移動するようにし得る。プランジャシール10060とバレル10058の内壁との間の摩擦が、ハウジングに摺動自在に接続されたバレル10058を、最初はプランジャシール10060と一緒に遠位方向に移動させ得る。バレル10058の移動により、穿通可能なシール10056が穿通部材10330によって穿通されるようになる。結果として、穿通部材10330は、バレル10058の内部にアクセスし、バレル10058と接続ハブ10310との間の流体連通を確立し得る。
図203Bは、バレル10058が、本実施形態においては接続ハブ10310に相当する停止部材に接触するまで、それが遠位方向に移動し続けることを示す。停止部材によってバレル10058に及ぼされる反力は、プランジャシール10060とバレル10058の内壁との間の摩擦力に打ち勝ち、それによって、プランジャシール10060がバレル10058に対して移動し、薬物をバレル10058から穿通部材10330を介して排出することを可能にする。図203Cは、プランジャシール10060がバレル10058にネックにおいてバレル10058の内壁の一部分に衝突するときに、プランジャシール10060の移動が止められ、それによって、薬物送達を終わらせることを示す。
静止した穿通部材10330を有する流体通路接続子10300及び可動のバレル10058を有する薬物容器10050の組み合わせは、薬物送達デバイスの作動時にバレル10058の内部との流体連通を確立するための別個の機構に対する必要性を取り除く。代わりに、ピストン偏倚部材10106の力を利用して、バレル10058の内部との流体連通を確立するために、穿通可能なシール10056を静止した穿通部材10330へと移動させる。したがって、薬物送達デバイスの設計及び製造が簡略化され得、薬物送達デバイスの全体的サイズが低減され得る。
XXVIII.薬物情報
上記の説明は、様々な薬物送達装置と一緒に使用するための様々なシステム及び方法を説明している。システム、薬物送達装置、または方法は、以下に列記される薬剤の使用をさらに含むことができるが、ただし以下の列記のいずれも全てを包含するか、または制限すると見なされるべきではないことは明らかである。薬品は、容器50、350、618、718、818、918、1050、1118、1850、2050、2330、6050、8050、9050、9250、9350、9450、9550、9650、11050、14050、23050、230350、または951050のうちのいずれか1つを含むがこれらに限定されない、本明細書に記載のリザーバまたは容器のうちのいずれか1つに収容される。いくつかの事例において、貯蔵部は、治療のために薬剤で充填されるかまたは事前に充填されたかのいずれかである一次容器である。一次容器は、カートリッジまたは事前に充填された注射器でもよい。追加的に、いくつかの事例において、リザーバは、事前に充填された一次容器であり得る。
例えば薬物送達装置、またはより具体的には装置の貯蔵部は、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)等のコロニー刺激因子で充填されてもよい。そのようなG-CSF剤には、Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム)及びNeulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム)が挙げられるが、これらに限定されない。様々な他の実施形態において、薬物送達装置は、液体または凍結乾燥形態であり得る赤血球生成促進剤(ESA)等の様々な医薬製品と一緒に使用されてもよい。ESAは、赤血球生成を促進する任意の分子、例えば、Epogen(登録商標)(エポエチンα)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンα)、Dynepo(登録商標)(エポエチンδ)、Mircera(登録商標)(メチオキシポリエチレングリコール-エポエチンβ)、ヘマタイド(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)(エポエチンζ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンβ)、Silapo(登録商標)(エポエチンζ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンα)、エポエチンαHexal、Abseamed(登録商標)(エポエチンα)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンθ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンθ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンθ)、エポエチンα、エポエチンβ、エポエチンζ、エポエチンθ、及びエポエチンδ、ならびに以下の特許または特許出願(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されるこれらの分子または変異体もしくは類似体である:米国特許第4,703,008号、同第5,441,868号、同第5,547,933号、同第5,618,698号、同第5,621,080号、同第5,756,349号、同第5,767,078号、同第5,773,569号、同第5,955,422号、同第5,986,047号、同第6,583,272号、同第7,084,245号、及び同第7,271,689号、ならびにPCT公開第WO91/05867号、同第WO95/05465号、同第WO96/40772号、同第WO00/24893号、同第WO01/81405号、及び同第WO2007/136752。
ESAは、赤血球生成促進タンパク質でもよい。本明細書において使用する場合、「赤血球生成促進タンパク質」は、例えば、エリスロポエチン受容体に結合し、それの二量化を引き起こすことによってエリスロポエチン受容体の活性化を直接的にまたは間接的に引き起こす任意のタンパク質を意味する。赤血球生成促進タンパク質には、エリスロポエチン受容体に結合しそれを活性化させるエリスロポエチン及びその変異体、類似体、もしくは誘導体;エリスロポエチン受容体に結合し、この受容体を活性化させる抗体;またはエリスロポエチン受容体に結合しそれを活性化させるペプチドが含まれる。赤血球生成促進タンパク質には、エポエチンα、エポエチンβ、エポエチンδ、エポエチンω、エポエチンι、エポエチンζ、及びこれらの類似体、ペグ化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン、(EMP1/ヘマタイドを含む)模倣ペプチド、ならびに模倣抗体が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な赤血球生成促進タンパク質としては、エリスロポエチン受容体に結合し、それを活性化させるエリスロポエチン、ダルベポエチン、エリスロポエチン作動薬変異体、及びペプチドまたは抗体(ならびに各々の開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国公開第2003/0215444号及び同第2006/0040858号に報告される化合物)と、各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる以下の特許または特許出願に開示されるエリスロポエチン分子またはその変異体もしくは類似体と、が挙げられる:米国特許第4,703,008号、同第5,441,868号、同第5,547,933号、同第5,618,698号、同第5,621,080号、同第5,756,349号、同第5,767,078号、同第5,773,569号、同第5,955,422号、同第5,830,851号、同第5,856,298号、同第5,986,047号、同第6,030,086号、同第6,310,078号、同第6,391,633号、同第6,583,272号、同第6,586,398号、同第6,900,292号、同第6,750,369号、同第7,030,226号、同第7,084,245号、及び同第7,217,689号、米国公開第2002/0155998号、同第2003/0077753号、同第2003/0082749号、同第2003/0143202号、同第2004/0009902号、同第2004/0071694号、同第2004/0091961号、同第2004/0143857号、同第2004/0157293号、同第2004/0175379号、同第2004/0175824号、同第2004/0229318号、同第2004/0248815号、同第2004/0266690号、同第2005/0019914号、同第2005/0026834号、同第2005/0096461号、同第2005/0107297号、同第2005/0107591号、同第2005/0124045号、同第2005/0124564号、同第2005/0137329号、同第2005/0142642号、同第2005/0143292号、同第2005/0153879号、同第2005/0158822号、同第2005/0158832号、同第2005/0170457号、同第2005/0181359号、同第2005/0181482号、同第2005/0192211号、同第2005/0202538号、同第2005/0227289号、同第2005/0244409号、同第2006/0088906号、及び同第2006/0111279号、ならびにPCT公開第WO91/05867号、同第WO95/05465号、同第WO99/66054号、同第WO00/24893号、同第WO01/81405号、同第WO00/61637号、同第WO01/36489号、同第WO02/014356号、同第WO02/19963号、同第WO02/20034号、同第WO02/49673号、同第WO02/085940号、同第WO03/029291号、同第WO2003/055526号、同第WO2003/084477号、同第WO2003/094858号、同第WO2004/002417号、同第WO2004/002424号、同第WO2004/009627号、同第WO2004/024761号、同第WO2004/033651号、同第WO2004/035603号、同第WO2004/043382号、同第WO2004/101600号、同第WO2004/101606号、同第WO2004/101611号、同第WO2004/106373号、同第WO2004/018667号、同第WO2005/001025号、同第WO2005/001136号、同第WO2005/021579号、同第WO2005/025606号、同第WO2005/032460号、同第WO2005/051327号、同第WO2005/063808号、同第WO2005/063809号、同第WO2005/070451号、同第WO2005/081687号、同第WO2005/084711号、同第WO2005/103076号、同第WO2005/100403号、同第WO2005/092369号、同第WO2006/50959号、同第WO2006/02646号、及び同第WO2006/29094。
本装置と一緒に使用するための他の医薬製品の例には、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(商標)(デノスマブ)、及びProlia(商標)(デノサマブ)等の抗体、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF阻害薬)、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム、ペグ化フィルガストリム、ペグ化G-CSF、ペグ化hu-Met-G-CSF)、Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)、及びNplate(登録商標)(ロミプロスチム)等の他の生物学的製剤、Sensipar(登録商標)(シナカルセト)等の小分子薬物が含まれ得るが、これらに限定されない。本装置は、治療用抗体、ポリペプチド、タンパク質、または鉄、例えば、フェルモキシトール、鉄デキストラン、グルコン酸第二鉄、及び鉄スクロース等の他の化学物質とも一緒に使用されてもよい。医薬製品は、液体形態、または凍結乾燥の形態から戻されてもよい。
特定の例示のタンパク質の中には、その融合物、断片、類似体、変異体、または誘導体を含む、以下に記載される特異タンパク質がある。
(RANKL特異抗体、ペプチボディ等とも称される)OPGL特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、例えば、完全ヒト化及びヒトOPGL特異抗体、特に、完全ヒト化モノクローナル抗体、例えば、限定されないが、OPGL特異抗体及び抗体関連タンパク質に関して本明細書にその全体が組み込まれるPCT公開第WO03/002713号に記載される抗体、特に、その中に記載される配列を有するもの、特に、限定されないが、その中に示されるもの(9H7、18B2、2D8、2E11、16E1、及び22B3)、例えば、各々が前述の公開に開示されるその全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる、その中の図2に記載される配列番号2の軽鎖及び/またはその中の図4に記載される配列番号4の重鎖のいずれかを有するOPGL特異抗体;
ミオスタチン結合タンパク質、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、例えば、ミオスタチン特異的ペプチボディ、特に、特に部分的にミオスタチン特異的ペプチボディに関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2004/0181033号及びPCT公開第WO2004/058988号に記載されるもの、例えば、限定されないが、mTN8-19ファミリーのペプチボディ、例えば、配列番号305~351のもの、例えば、各々が前述の公開に開示されるそれらの全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれるTN8-19-1~TN8-19-40、TN8-19 con1、及びTN8-19 con2、配列番号357~383のmL2ファミリー、配列番号384~409のmL15ファミリー、配列番号410~438のmL17ファミリー、配列番号439~446のmL20ファミリー、配列番号447~452のmL21ファミリー、配列番号453~454のmL24ファミリーのペプチボディ、ならびに配列番号615~631のもの;
IL-4受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、特にIL-4及び/またはIL-13の受容体への結合によって媒介される活動を抑制するもの、例えば、特に部分的にIL-4受容体特異抗体に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT公開第WO2005/047331号またはPCT出願第PCT/US2004/37242号及び米国特許公開第2005/112694号に記載されているもの、特にその中に記載されるそのような抗体、特に、限定されないが、各々が前述の公開に開示されるその全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれるその中に示されるもの:L1H1、L1H2、L1H3、L1H4、L1H5、L1H6、L1H7、L1H8、L1H9、L1H10、L1H11、L2H1、L2H2、L2H3、L2H4、L2H5、L2H6、L2H7、L2H8、L2H9、L2H10、L2H11、L2H12、L2H13、L2H14、L3H1、L4H1、L5H1、L6H1、
インターロイキン1-受容体1(「IL1-R1」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、例えば、限定されないが、特に部分的にIL1-R1特異結合タンパク質、モノクローナル抗体に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2004/097712号に記載されているもの、特に、限定されないが、各々が前述の公開に開示されるその全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれるその中に示されているもの:15CA、26F5、27F2、24E12、及び10H7;
Ang2特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、例えば、限定されないが、各々が特に部分的にAng2特異抗体及びペプチボディ等に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT公開第WO03/057134号及び米国特許公開第2003/0229023号に記載されているもの、特にその中に記載される配列のもの、及び例えば、限定されないが:L1(N)、L1(N)WT、L1(N)1K WT、2xL1(N)、2xL1(N)WT、Con4(N)、Con4(N)1K WT、2xCon4(N)1K、L1C、L1C 1K、2xL1C、Con4C、Con4C 1K、2xCon4C 1K、Con4-L1(N)、Con4-L1C、TN-12-9(N)、C17(N)、TN8-8(N)、TN8-14(N)、Con1(N)、また、例えば、同じものに関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT公開第WO2003/030833号に記載されているもの等の抗Ang2抗体及び製剤、特に、各々が前述の公開に開示されるその全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれるその中に記載されるこれらの様々な順列のAb526、Ab528、Ab531、Ab533、Ab535、Ab536、Ab537、Ab540、Ab543、Ab544、Ab545、Ab546、A551、Ab553、Ab555、Ab558、Ab559、Ab565、AbF1AbFD、AbFE、AbFJ、AbFK、AbG1D4、AbGC1E8、AbH1C12、AblA1、AblF、AblK、AblP、及びAblP;
NGF特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、例えば特に、限定されないが、特にこの点についてNGF-特異抗体及び関連タンパク質に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2005/0074821号及び米国特許第6,919,426号に記載されているもの、例えば特に、限定されないが、各々が前述の公開に開示されるその全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれるその中に示されるNGF-特異抗体、4D4、4G6、6H9、7H2、14D10及び14D11;
CD22特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、例えば、CD22特異抗体及び関連タンパク質に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,789,554号に記載されているもの、特に限定されないがヒト化及び完全ヒト抗体等のヒトCD22特異抗体、例えば、限定されないがヒト化及び完全ヒトモノクローナル抗体、特に例えば、限定されないがヒトCD22特異IgG抗体、例えば、限定されないが、例えば、エプラツズマブ(CAS登録番号501423-23-0)のヒトCD22特異完全ヒト化抗体を含むヒト-マウスモノクローナルhLL2κ鎖に結合したヒト-マウスモノクローナルhLL2γ鎖二硫化物の二量体等;
IGF-1受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、例えば、IGF-1受容体特異抗体及び関連タンパク質に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT公開第WO06/069202号に記載されているもの、例えば、限定されないが、各々が前述の公開に開示されるその全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれるその中に示されるIGF-1特異抗体であるL1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、L7H7、L8H8、L9H9、L10H10、L11H11、L12H12、L13H13、L14H14、L15H15、L16H16、L17H17、L18H18、L19H19、L20H20、L21H21、L22H22、L23H23、L24H24、L25H25、L26H26、L27H27、L28H28、L29H29、L30H30、L31H31、L32H32、L33H33、L34H34、L35H35、L36H36、L37H37、L38H38、L39H39、L40H40、L41H41、L42H42、L43H43、L44H44、L45H45、L46H46、L47H47、L48H48、L49H49、L50H50、L51H51、L52H52、及びIGF-1R-結合フラグメント及びその誘導体;
また、本開示の方法及び組成物における使用のための抗IGF-1R抗体の非限定的例の中には、以下に記載されているものの各々及び全てがある:
(i)限定されないが、例えば、抗体1A(DSMZ受託番号DSM ACC 2586)、抗体8(DSMZ受託番号DSM ACC 2589)、抗体23(DSMZ受託番号DSM ACC 2588)、及び抗体18を含む、米国特許公開第2006/0040358号(2006年2月23日公開)、同第2005/0008642号(2005年1月13日公開)、同第2004/0228859号(2004年11月18日公開)に記載されているもの;
(ii)限定されないが、抗体2F8、A12、及びIMC-A12を含む、PCT公開第WO06/138729号(2006年12月28日公開)及び同第WO05/016970号(2005年2月24日公開)、及びLu et al.(2004),J.Biol.Chem.279:2856-2865に記載されているもの;
(iii)PCT公開第WO07/012614号(2007年2月1日公開)、同第WO07/000328号(2007年1月4日公開)、同第WO06/013472号(2006年2月9日公開)、同第WO05/058967号(2005年6月30日公開)、及び同第WO03/059951号(2003年7月24日公開)に記載されているもの;
(iv)限定されないが、抗体7C10、キメラ抗体C7C10、抗体h7C10、抗体7H2M、キメラ抗体*7C10、抗体GM607、ヒト化抗体7C10バージョン1、ヒト化抗体7C10バージョン2、ヒト化抗体7C10バージョン3、及び抗体7H2HMを含む、米国特許公開第2005/0084906号(2005年4月21日公開)に記載されているもの;
(v)限定されないが、後退EM164、表面再構成EM164、ヒト化EM164、huEM164 v1.0、huEM164 v1.1、huEM164 v1.2、及びhuEM164 v1.3を含む、米国公開第2005/0249728号(2005年11月10日公開)、同第2005/0186203号(2005年8月25日公開)、同第2004/0265307号(2004年12月30日公開)、及び同第2003/0235582号(2003年12月25日公開)、ならびにMaloney et al.(2003),Cancer Res.63:5073-5083に記載されているもの;
(vi)限定されないが、ATCC受託番号PTA-2792、PTA-2788、PTA-2790、PTA-2791、PTA-2789、PTA-2793を有するハイブリドーマによって産生された抗体の各々、ならびに抗体2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、及び4.17.3を含む、米国特許第7,037,498号(2006年5月2日発行)、米国公開第2005/0244408号(2005年11月30日公開)及び同第2004/0086503号(2004年5月6日公開)、及びCohen,etal.(2005)、Clinical Cancer Res.11:2063-2073に記載されているもの、例えば、抗体CP-751,871;
(vii)限定されないが、抗体19D12、ならびに番号PTA-5214の下でATCCに寄託された、プラスミド15H12/19D12HCA(γ4)におけるポリヌクレオチドによってコードされる重鎖及び番号PTA-5220の下でATCCに寄託された、プラスミド15H12/19D12LCF(κ)におけるポリヌクレオチドによってコードされる軽鎖を含む抗体を含む、米国公開第2005/0136063号(2005年6月23日公開)及び同第2004/0018191号(2004年1月29日公開)に記載されているもの;
(viii)限定されないが、抗体PINT-6A1、PINT-7A2、PINT-7A4、PINT-7A5、PINT-7A6、PINT-8A1、PINT-9A2、PINT-11A1、PINT-11A2、PINT-11A3、PINT-11A4、PINT-11A5、PINT-11A7、PINT-11A12、PINT-12A1、PINT-12A2、PINT-12A3、PINT-12A4、及びPINT-12A5を含む、米国特許公開第2004/0202655号(2004年10月14日公開)に記載されているもの(これらの各々及び全ては、特にIGF-1受容体を標的にする前述の抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等に関して、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる);
B-7関連タンパク質1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等(文献中でB7H2、ICOSL、B7h、及びCD275とも称される「B7RP-1」)、特にB7RP特異完全ヒトモノクローナルIgG2抗体、特にB7RP-1の最初の免疫グロブリン様ドメインのエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体、特にB7RP-1と特に活性化T細胞上のB7RP-1の自然受容体であるICOSとの相互作用を抑制するもの、特に、限定されないが、各々が前述の公開に開示されるその全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる、次のとおりに下記の特許公開の中に示される抗体:16H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号1及び配列番号7を有する);5D(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号2及び配列番号9を有する);2H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号3及び配列番号10を有する);43H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号6及び配列番号14を有する);41H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号5及び配列番号13を有する);ならびに15H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号4及び配列番号12を有する)を含む、前述の点の全てにおいて、そのような抗体及び関連タンパク質に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2008/0166352号及びPCT公開第WO07/011941号に開示されているもの;
IL-15特異的抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、例えば、特にヒト化モノクローナル抗体、特に、例えば、限定されないが、例えば146B7等のHuMax IL-15抗体及び関連タンパク質を特に含む、ペプチボディを含めたIL-15特異的抗体及び関連タンパク質に関して各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国公開第2003/0138421号、同第2003/023586号、及び同第2004/0071702号、ならびに米国特許第7,153,507号に開示されるもの等の抗体;
IFN γ特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、特にヒトIFNγ特異抗体、特に、例えば、IFNγ特異抗体、特に、例えば、次の特許公開の中で1118、1118*、1119、1121、及び1121*と示されている抗体に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2005/0004353号に記載されているもの等の完全ヒト抗IFNγ抗体。これらの抗体の各々の重鎖及び軽鎖の配列全体と、これらの重鎖及び軽鎖可変領域ならびに相補性決定領域の配列は各々、前述の公開及びThakur et al.(1999),Mol.Immunol.36:1107-1115に開示されるその全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる。さらに、前述の公開の中に提供されるこれらの抗体の特性の説明もまた、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特異抗体には、前述の公開に開示されている、配列番号17の重鎖及び配列番号18の軽鎖を有するもの、配列番号6の重鎖可変領域及び配列番号8の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号19の重鎖及び配列番号20の軽鎖を有するもの、配列番号10の重鎖可変領域及び配列番号12の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号32の重鎖及び配列番号20の軽鎖を有するもの、配列番号30の重鎖可変領域及び配列番号12の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号21の重鎖配列及び配列番号22の軽鎖配列を有するもの、配列番号14の重鎖可変領域及び配列番号16の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号21の重鎖及び配列番号33の軽鎖を有するもの、ならびに配列番号14の重鎖可変領域及び配列番号31の軽鎖可変領域を有するものが含まれる。企図される特異的抗体は、前述の米国公開に開示されているそれ自体の中に開示される配列番号17の完全重鎖を有し、それ自体の中に開示される配列番号18の完全軽鎖を有する抗体1119;
TALL-1特異的抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、ならびに他のTALL特異的結合タンパク質、例えば、米国公開第2003/0195156号及び同第2006/0135431号(これらの各々は、TALL-1結合タンパク質、特に表4及び5Bの分子に関して、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるもの(これらの各々は、参照によりその全体が前述の公報に開示されたように完全に本明細書に組み込まれる);
副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、例えば、特に部分的にPTHと結合するタンパク質に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,756,480号に記載されているもの;
トロンボポチエン受容体(「TPO-R」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、例えば、特に部分的にTPO-Rと結合するタンパク質に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,835,809号に記載されているもの;
HGF/SF:cMet軸(HGF/SF:c-Met)を標的とするものを含む、肝細胞増殖因子(「HGF」)特異的抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、例えば、米国公開第2005/0118643号及びPCT公開第WO2005/017107号に記載される、肝細胞増殖因子/分散(HGF/SF)を中和する完全ヒトモノクローナル抗体、米国特許第7,220,410号に記載されるhuL2G7、ならびに米国特許第5,686,292号及び同第6,468,529号及びPCT公開第WO96/38557号に記載されるOA-5d5(これらの各々は、参照によりその全体、特にHGFに結合するタンパク質に関連する部分が本明細書に組み込まれる);
TRAIL-R2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、例えば、特に部分的にTRAIL-R2と結合するタンパク質に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,521,048号に記載されているもの;
アクチビンA特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、例えば、限定されないが、特に部分的にアクチビンAと結合するタンパク質に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2009/0234106号に記載されているもの;
TGF-β特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、例えば、限定されないが、特に部分的にTGF-βと結合するタンパク質に関連してその各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,803,453号及び米国特許公開第2007/0110747号に記載されているもの;
アミロイドβタンパク質特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、例えば、限定されないが、特に部分的にアミロイドβタンパク質と結合するタンパク質に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT公開第WO2006/081171号に記載されているものである。企図される1つの抗体は、前述の公開に開示されている配列番号8を含む重鎖可変領域及び配列番号6を有する軽鎖可変領域を有する抗体;
c-Kit特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、例えば、限定されないが特に部分的にc-Kit及び/または他の幹細胞因子受容体と結合するタンパク質に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2007/0253951号に記載されているもの;
OX40L特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、例えば、限定されないが、特に部分的にOX40L及び/またはOX40受容体の他のリガンドと結合するタンパク質に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2006/0002929号に記載されているもの;ならびに
他の例となるタンパク質、例えば、Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA);Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンα);Epogen(登録商標)(エポエチンα、またはエリスロポエチン);GLP-1、Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a);Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体);Betaseron(登録商標)(インターフェロン-β);Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体);Dynepo(登録商標)(エポエチンδ);Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ);MLN0002(抗α4β7 mAb);MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb);Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF阻害薬);Eprex(登録商標)(エポエチンα);Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1);Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン);Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb);Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン);Humira(登録商標)(アダリムマブ);溶液中のインスリン;Infergen(登録商標)(インターフェロンalfacon-1);Natrecor(登録商標)(ネシリチド;遺伝子組換えのヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP);Kineret(登録商標)(アナキンラ);Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF);LymphoCide(登録商標)(エプラツズマブ、抗CD22 mAb);Benlysta(商標)(リンフォスタットB、ベリムマブ、抗BlyS mAb);Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体);Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンβ);Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン);Raptiva(登録商標)(エファリズマブ);Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP870);Soliris(商標)(エクリズマブ);pexelizumab(抗補体C5);Numax(登録商標)(MEDI-524);Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ);Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ);Trabio(登録商標)(レルデリムマブ);TheraCim hR3(ニモツズマブ);Omnitarg(ペルツズマブ、2C4);Osidem(登録商標)(IDM-1);OvaRex(登録商標)(B43.13);Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ);カンツズマブメルタンシン(huC242-DM1);NeoRecormon(登録商標)(エポエチンβ);Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインターロイキン-11);Neulasta(登録商標)(ペグ化フィルガストリム、ペグ化G-CSF、ペグ化hu-Met-G-CSF);Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF);Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体);Procrit(登録商標)(エポエチンα);Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体);Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP lIb/Ilia受容体モノクローナル抗体);Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb);Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ);Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20 mAb);Tarceva(登録商標)(エルロチニブ);Roferon-A(登録商標)-(インターフェロンα-2a);Simulect(登録商標)(バシリキシマブ);Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ);Synagis(登録商標)(パリビズマブ);146B7-CHO(抗IL15抗体、米国特許第7,153,507号を参照のこと);Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4インテグリンmAb);Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗炭疽菌防御抗原mAb);ABthrax(商標);Vectibix(登録商標)(パニツムマブ);Xolair(登録商標)(オマリズマブ);ETI211(抗MRSA mAb);IL-1 trap(ヒトIgG1のFc部分及びIL-1受容体構成要素(I型受容体及び受容体補助タンパク質)両方の細胞外ドメイン);VEGF trap(IgG1 Fcと融合したVEGFR1のドメイン);Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ);Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2Rα mAb);Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン);Zetia(登録商標)(エゼチミブ);Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig);抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ);抗CD23 mAb(ルミリキシマブ);BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF拮抗薬);CNTO148(ゴリムマブ、抗TNFα mAb);HGS-ETR1(マパツズマブ;ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb);HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb);HuMax-EGFR(ザルツムマブ);M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb);MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb及びVEGFR-1(IMC-18F1);抗BR3 mAb;抗クロストリジウム・ディフィシル毒素Aならびに毒素B C mAbs MDX-066(CDA-1)及びMDX-1388);抗CD22 dsFv-PE38 抱合体(CAT-3888及びCAT-8015);抗CD25 mAb(HuMax-TAC);抗CD3 mAb(NI-0401);アデカツムマブ;抗CD30 mAb(MDX-060);MDX-1333(抗IFNAR);抗CD38 mAb(HuMax CD38);抗CD40L mAb;抗Cripto mAb;抗CTGF特発性肺線維症第1期フィブロゲン(FG-3019);抗CTLA4 mAb;抗エオタキシン-1 mAb(CAT-213);抗FGF8 mAb;抗ガングリオシドGD2 mAb;抗ガングリオシドGM2 mAb;抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029);抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001);抗HepC mAb(HuMax HepC);抗IFNα mAb(MEDI-545、MDX-1103);抗IGF1R mAb;抗IGF-1R mAb(HuMax-Inflam);抗IL12 mAb(ABT-874);抗IL12/IL23 mAb(CNTO1275);抗IL13 mAb(CAT-354);抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC);抗IL5受容体mAb;抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO95);抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100);抗LLY抗体;BMS-66513;抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307);抗メソテリンdsFv-PE38抱合体(CAT-5001);抗PD1mAb(MDX-1106(ONO-4538));抗PDGFRα抗体(IMC-3G3);抗TGFβ mAb(GC-1008);抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2);抗TWEAK mAb;抗VEGFR/Flt-1 mAb;抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3);NVS抗体1番;ならびにNVS抗体2番である。
限定されないがロモソズマブ、ブロソズマブ、またはBPS804(Novartis)等のスクレロスチン抗体もまた含まれ得る。リロツムマブ、ビキサロマー、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、二リン酸モテサニブ、ブロダルマブ、ヴィデュピプラント、パニツムマブ、デノスマブ、NPLATE、PROLIA、VECTIBIX、またはXGEVA等の治療剤がさらに含まれ得る。さらに、ヒトプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に結合するモノクローナル抗体(IgG)も、本デバイスに含めることができる。かかるPCSK9特異的抗体には、参照によりその全体が全目的で本明細書に組み込まれる次の特許または特許出願に開示される、Repatha(登録商標)(エボロクマブ)及びPraluent(登録商標)(アリロクマブ)、ならびにそれらの分子、変異体、類似体または誘導体が含まれるが、これらに限定されない:米国特許第8,030,547号、米国特許第8,563,698号、米国特許第8,829,165号、米国特許第8,859,741号、米国特許第8,871,913号、米国特許第8,871,914号、米国特許第8,883,983号、米国特許第8,889,834号、米国特許第8,981,064号、米国特許第9,056,915号、米国特許第8,168,762号、米国特許第9,045,547号、米国特許第8,030,457号、米国特許第8,030,457号、米国特許第8,829,165号、米国特許第8,981,064号、米国特許第8,030,457号、米国公開第2013/0064825号、米国特許出願公開第2012/0093818号、米国特許出願公開第2013/0079502号、米国特許出願公開第2014/0357850号、米国特許出願公開第2011/0027287号、米国特許出願公開第2014/0357851号、米国特許出願公開第2014/0357854号、米国特許出願公開第2015/0031870号、米国特許出願公開第2013/0085265号、米国特許出願公開第2013/0079501号、米国特許出願公開第2012/0213797号、米国特許出願公開第2012/0251544号、米国特許出願公開第2013/0072665号、米国特許出願公開第2013/0058944号、米国特許出願公開第2013/0052201号、米国特許出願公開第2012/0027765号、米国特許出願公開第2015/0087819号、米国特許出願公開第2011/0117011号、米国特許出願公開第2015/0004174号、米国特許仮出願第60/957,668号、米国特許仮出願第61/008,965号、米国特許仮出願第61/010,630号、米国特許仮出願第61/086,133号、米国特許仮出願第61/125,304号、米国特許仮出願第61/798,970号、米国特許仮出願第61/841,039号、米国特許仮出願第62/002,623号、米国特許仮出願第62/024,399号、米国特許仮出願第62/019,729号、米国特許仮出願第62/067,637号、米国特許出願第14/777,371号、国際特許出願第PCT/US2013/048714号、国際特許出願第PCT/US2015/040211号、国際特許出願第PCT/US2015/056972号、国際特許出願公開第WO/2008/057457号、国際特許出願公開第WO/2008/057458号、国際特許出願公開第WO/2008/057459号、国際特許出願公開第WO/2008/063382号、国際特許出願公開第WO/2008/133647号、国際特許出願公開第WO/2009/100297号、国際特許出願公開第WO/2009/100318号、国際特許出願公開第WO/2011/037791号、国際特許出願公開第WO/2011/053759号、国際特許出願公開第WO/2011/053783号、国際特許出願公開第WO/2008/125623号、国際特許出願公開第WO/2011/072263号、国際特許出願公開第WO/2009/055783号、国際特許出願公開第WO/2012/0544438号、国際特許出願公開第WO/2010/029513号、国際特許出願公開第WO/2011/111007号、国際特許出願公開第WO/2010/077854号、国際特許出願公開第WO/2012/088313号、国際特許出願公開第WO/2012/101251号、国際特許出願公開第WO/2012/101252号、国際特許出願公開第WO/2012/101253号、国際特許出願公開第WO/2012/109530号、及び国際特許出願公開第WO/2001/031007号、国際特許出願公開第WO/2009/026558号、国際特許出願公開第WO/2009/131740号、国際特許出願公開第WO/2013/166448号、及び国際特許出願公開第WO/2014/150983号。
黒色腫または他の癌の治療のためのタリモジーン・ラハーパレプベックまたは別の腫瘍溶解性HSVもまた、含めることができる。腫瘍溶解性HSVの例としては、タリモジーン・ラハーパレプベック(米国特許第7,223,593号及び同第7,537,924号)、OncoVEXGALV/CD(米国特許第7,981,669号)、OrienX010(Leietal.(2013)、World J.Gastroenterol.,19:5138-5143);G207、1716;NV1020;NV12023;NV1034及びNV1042(Vargehes et al.(2002),Cancer Gene Ther.,9(12):967-978)が挙げられるが、これらに限定されない。
TIMPもまた含まれる。TIMPは、メタロプロテイナーゼの内在性組織阻害剤(TIMP)であり、多くの自然過程において重要である。TIMP-3は、様々な細胞によって発現される、または/及び細胞外基質内に存在し、全ての主な軟骨分解メタロプロテアーゼを抑制し、リウマチ性関節炎及び骨関節炎を含む結合組織の多くの分解疾患における役割において、ならびに癌及び心臓血管状態において役割を担い得る。TIMP-3のアミノ酸配列、及びTIMP-3をコードするDNAの核酸配列は、2003年5月13日発行の米国特許第6,562,596号に開示されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。TIMP変異の説明は、米国特許公開第2014/0274874号及びPCT公開第WO2014/152012号に見出すことができる。
ヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体の拮抗的抗体、ならびにCGRP受容体及び他の頭痛標的を標的にする二重特異性抗体分子もまた含まれる。これらの分子に関するさらなる情報は、PCT出願第WO2010/075238号に見出すことができる。
さらに、二重特異性T細胞誘導抗体(BiTe)、例えば、ブリノツモマブを、本デバイスに使用することができる。あるいは、APJ巨大分子作動薬、例えば、アペリンまたはその類似体を本デバイスに含めることができる。そのような分子に関連する情報は、PCT公開第WO2014/099984号に見出すことができる。
ある特定の実施形態において、薬剤は、治療有効量の抗胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)またはTSLP受容体抗体を含む。そのような実施形態において使用され得る抗TSLP抗体の例としては、米国特許第7,982,016号及び同第8,232,372号、ならびに米国公開第2009/0186022号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。抗TSLP受容体抗体の例には、米国特許第8,101,182号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましい実施形態において、薬剤は、米国特許第7,982,016号内にA5として示される治療的有効量の抗TSLP抗体を含む。
XXIX.追加の態様
上述の薬物送達デバイス、アセンブリ、機構、構成要素、特徴、機能性、製造方法、及び使用方法は、各々が参照によりその全体において全目的で本明細書に組み込まれる、次の文献に記載されている薬物送達デバイス、アセンブリ、機構、構成要素、特徴、機能性、製造方法、及び使用方法の種々の態様を組み込んでもよい:米国特許第8,939,935号、米国特許出願公開第2013/0060233号、米国特許出願公開第2013/0066274号、米国特許出願公開第2013/0237916号、米国特許出願公開第2014/0200510号、米国特許出願公開第2014/0288511A1号、米国特許出願公開第2015/0290390号、米国特許出願公開第2015/0374919A1号、米国特許出願公開第2015/0209505号、米国特許出願公開第2015/0297827号、米国特許出願公開第2015/0359965号、米国特許出願公開第2015/0190588号、米国特許出願公開第2015/0217045号、米国特許出願公開第2015/0057613号、米国特許出願公開第2014/0296787号、「DRUG DELIVERY DEVICE WITH PROXIMITY SENSOR」と題される米国特許仮出願第62/094,395号、「ROTATIONALLY BIASED INSERTION MECHANISM FOR A DRUG DELIVERY PUMP」と題される米国特許仮出願第62/114,200号、「DRUG DELIVERY DEVICE WITH VACUUM ASSISTED SECUREMENT AND/OR FEEDBACK」と題される米国特許仮出願第62/117,420号、「DEVICE AND METHOD FOR MAKING ASEPTIC CONNECTIONS」と題される米国特許仮出願第62/127,021号、「MULTI-FUNCTION DRIVE MECHANISMS FOR CONTROLLED DRUG DELIVERY PUMPS」と題される米国特許仮出願第62/130,318号、「DRUG DELIVERY STORAGE DEVICE AND SYSTEM」と題される米国特許仮出願第62/266,788号、「DRUG DELIVERY DEVICE」と題される、2016年2月10日出願の米国特許仮出願第62/293,556号、「ROTATIONALLY BIASED INSERTION MECHANISM FOR A DRUG DELIVERY PUMP」と題される米国特許仮出願第62/133,690号、「MULTI-FUNCTION DRIVE MECHANISMS FOR CONTROLLED DRUG DELIVERY PUMPS」と題される米国特許仮出願第62/201,456号、「MULTI-FUNCTION DRIVE MECHANISMS FOR CONTROLLED DRUG DELIVERY PUMPS」と題される米国特許仮出願第62/147,435号、「MULTI-FUNCTION DRIVE MECHANISMS FOR CONTROLLED DRUG DELIVERY PUMPS」と題される米国特許仮出願第62/134,226号、「ROTATIONALLY BIASED INSERTION MECHANISM FOR A DRUG DELIVERY PUMP」と題される米国特許仮出願第62/147,403号、「CONTROLLED DELIVERY DRIVE MECHANISMS FOR DRUG DELIVERY PUMPS」と題される米国特許仮出願第62/220,754号、「ASEPTIC CONNECTIONS FOR DRUG DELIVERY DEVICES」と題される米国特許仮出願第62/290,064号、「DRUG DELIVERY PUMPS HAVING MULTIPLE CHAMBERS」と題される米国特許仮出願第62/201,468号、「SYSTEMS FOR THE CONTROL OF DRUG DELIVERY PUMPS BASED ON INPUT DATA」と題される米国特許仮出願第62/262,666号、「FILL-FINISH CARRIERS FOR DRUG CONTAINERS」と題される米国特許仮出願第62/241,906号、「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLED DRUG DELIVERY PUMPS」と題される米国特許仮出願第62/262,683号、「AUTOMATIC DRUG INJECTORS AND ASSOCIATED DEVICES INCORPORATING DATA RECORDING, TRANSMISSION, AND RECEIVING」と題される米国特許仮出願第62/204,866号、「AUTOMATIC INJECTORS FOR INJECTABLE CARTRIDGES INCORPORATING SIMPLIFIED LOADING OF CARTRIDGES」と題される米国特許仮出願第62/239,116号、「ARCUATE DRIVE MECHANISMS FOR AUTOMATIC INJECTORS」と題される米国特許仮出願第62/206,503号、「MEDICAL DEVICE INCORPORATING ADHESIVE WITH STIMULANT SENSITIVE BONDING STRENGTH」と題される米国特許仮出願第62/278,028号、国際特許出願公開第WO/2015/061386号、国際特許出願公開第WO/2015/061389号、国際特許出願公開第WO/2015/187793号、国際特許出願公開第WO/2015/187797号、国際特許出願公開第WO/2015/187799号、国際特許出願公開第WO/2015/187802号、国際特許出願公開第WO/2015/187805号、国際特許出願公開第WO/2016/003813号、「ROTATIONALLY BIASED INSERTION MECHANISM FOR A DRUG DELIVERY PUMP」と題される国際特許出願第PCT/US2016/017534号、「ROTATIONALLY BIASED INSERTION MECHANISM FOR A DRUG DELIVERY PUMP」と題される国際特許出願第PCT/US2016/017534号、「CONCENTRIC BARREL DRUG CONTAINERS AND DRUG DELIVERY PUMPS THAT ALLOW MIXING AND DELIVERY」と題される国際特許出願第PCT/US2015/052311号、「SEQUENTIAL CHAMBER DRUG DELIVERY PUMPS FOR DRUG MIXING AND DELIVERY」と題される国際特許出願第PCT/US2015/052367号、「SKIN SENSORS FOR DRUG DELIVERY DEVICES」と題される国際特許出願第PCT/US2015/047487号、「RIGID NEEDLE INSERTION MECHANISM FOR A DRUG DELIVERY PUMP」と題される国際特許出願第PCT/US2015/052815号、「SENSOR SYSTEMS FOR DRUG DELIVERY DEVICES」と題される国際特許出願第PCT/US2015/047503号、「DRIVE MECHANISMS FOR DRUG DELIVERY PUMPS」と題される国際特許出願第PCT/US2016/021585号、「DEVICE AND METHOD FOR MAKING ASEPTIC CONNECTIONS」と題される国際特許出願第PCT/US2016/020486号、「AUTOINJECTOR WITH SHOCK REDUCING ELEMENTS」と題される国際特許出願第PCT/US15/29485号。さらに、上記に列挙される、参照により組み込まれる開示のいずれかに記載される薬物送達デバイス、アセンブリ、機構、構成要素、特徴、機能性、製造方法、及び使用方法は、例えば、PCSK9特異的抗体、G-CSF、スクレロスチン抗体、またはCGRP抗体を含む上述の薬物のうちの1つ以上で部分的または全体的に充填された、容器を含み得る。
本明細書全体を通して、目的は、本開示をいずれの1つの実施形態、または具体的な特徴のまとまりにも限定することなく、本開示の好ましい実施形態を記載することであった。本開示から逸脱することなく、記載され、例証される実施形態に対して種々の変更及び修正が行われてもよい。本明細書で参照される各特許文献及び科学文献、コンピュータプログラム及びアルゴリズムの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。