本発明のカーテンウォールの一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のカーテンウォールは、方立式のカーテンウォールであり、複数のカーテンウォールユニットを備えている。カーテンウォール及びカーテンウォールユニットは、建物の壁部(外壁)に用いられて、建物の室内(屋内)と室外(屋外)の間に設置される。複数のカーテンウォールユニットは、互いに組み合わされて、建物の壁面を形成する。
図1は、本実施形態のカーテンウォール1の正面図であり、建物2の壁部2Aに設置されたカーテンウォール1及びカーテンウォールユニット3を室外側からみて示している。図2は、本実施形態のカーテンウォール1の縦断面図であり、カーテンウォール1と建物2の一部を示している。図3は、本実施形態のカーテンウォール1の横断面図である。
図示のように、カーテンウォール1は、上下方向に延びる複数の方立4と、建物2の壁部2Aに並べて設置される複数のカーテンウォールユニット3を備えている。方立4がカーテンウォールユニット3の室内側に配置されて、カーテンウォールユニット3が方立4に取り付けられている。
なお、建物2に設けたカーテンウォール1(カーテンウォールユニット3)を正面からみたときに(図1参照)、上下となる方向が上下方向であり、左右となる方向が左右方向である。図1では、上下方向は鉛直方向であり、左右方向は水平方向である。室内外方向S(図2、図3参照)は、建物2に設けたカーテンウォール1における室内外方向(屋内外方向)である。このように、カーテンウォール1に関する方向は、建物2に設けた状態での方向で特定する。また、カーテンウォール1に関して室内側、室外側とは、建物2に設けた状態での室内側、室外側である。
方立4は、カーテンウォール1の縦材であり、建物2の躯体に連結されている。複数の方立4は、左右方向に互いに間隔をあけて配置されて、建物2の壁部2Aに設置される。カーテンウォールユニット3は、カーテンウォール1を構成するパネルユニットであり、壁部2Aへの設置前に、予めユニットとして組み立てられる。カーテンウォール1及びカーテンウォールユニット3は、建物2の躯体の室外側に配置されて、建物2の壁部2Aの壁面を構成している。複数のカーテンウォールユニット3は、上下方向と左右方向に並べて配置されて、隣り合うカーテンウォールユニット3と互いに組み合わされている。
カーテンウォールユニット3は、パネル体3Aと、パネル体3Aを囲む枠体5を備えている。パネル体3Aは、方形状のパネル状部材であり、枠体5の開口部5Aに配置されて、枠体5に保持されている。ここでは、パネル体3Aは、ガラスパネル体(例えば、複層ガラス)であり、枠体5に嵌め込まれて、枠体5に固定されている。枠体5は、方形状の開口枠であり、方立4に取り付けられている。また、枠体5は、互いに組み合わされた4つの枠10~13(上枠10、下枠11、一対の縦枠12、13)を有し、4つの枠10~13により、方形状の開口部5Aを形成している。
枠体5の枠10~13は、枠体5を構成する枠材であり、例えば、押出成形により形成された形材からなる。上枠10と下枠11は、枠体5の上下の横枠であり、枠体5の上部と下部で左右方向(横方向)に沿って延びる。一対の縦枠12、13は、枠体5の左右の側部で上下方向(縦方向)に沿って延びる。上枠10、下枠11、及び、左右の縦枠12、13が枠組みされて、枠10~13の端部同士が接続されている。方立4は、縦枠12、13の室内側に配置されており、カーテンウォールユニット3は、左右方向に隣り合う2つの方立4の室外側に配置されている。一対の縦枠12、13は、それぞれ方立4の室外側に隣接して配置されて、方立4に沿って延びる。
カーテンウォール1は、カーテンウォールユニット3を方立4に取り付ける取付機構6A、6B(第1取付機構6A、第2取付機構6B)(図1では、取付機構6A、6Bの位置を鎖線で示す)を備えている。取付機構6A、6Bは、枠体5の一対の縦枠12、13のそれぞれに連結されている。左右の方立4の室外側で、取付機構6A、6Bにより、一対の縦枠12、13のそれぞれが方立4に取り付けられて、枠体5及びカーテンウォールユニット3が2つの方立4に取り付けられている。また、左右に隣接する2つのカーテンウォールユニット3は、互いの隣接する縦枠12、13の室内側に位置する共通の方立4の室外側に配置されて、共通の方立4に取り付けられている。
第1取付機構6Aは、縦枠12、13の上下方向の上部に位置する上取付機構であり、第2取付機構6Bは、縦枠12、13の上下方向の中間部に位置する中間取付機構である。縦枠12、13の上部は、第1取付機構6Aにより方立4に取り付けられ、縦枠12、13の中間部は、第2取付機構6Bにより方立4に取り付けられている。縦枠12、13のそれぞれは、2つの取付機構6A、6Bにより1つの方立4に取り付けられ、枠体5及びカーテンウォールユニット3は、4つの取付機構6A、6Bにより、2つの方立4に取り付けられている。
図4は、本実施形態のカーテンウォールユニット3、方立4、及び、第1取付機構6Aを示す横断面図であり、2つのカーテンウォールユニット3の縦枠12、13側の部分を示している。また、図4では、上側からみた第1取付機構6Aを示している。図5は、図4のX1-X1線で切断したカーテンウォールユニット3、方立4、及び、第1取付機構6Aを示す縦断面図であり、左右方向の一方側からみた縦枠12、13の上部と第1取付機構6Aを示している。
図示のように、2つのカーテンウォールユニット3は、方立4の室外側の位置で、互いに左右に隣接して配置されて、方立4に取り付けられている。また、2つのカーテンウォールユニット3の縦枠12、13が取付機構6A、6B(図4、図5では、第1取付機構6Aのみを示している)により1つの方立4に取り付けられている。2つのカーテンウォールユニット3が左右方向に隣接する箇所で、左右のカーテンウォールユニット3の縦枠12、13は、左右方向において対向して配置されている。
方立4は、金属製のマリオン(例えば、鋼製のスチールマリオン)であり、方立4の長手方向(上下方向)に直交する断面形状は、矩形状に形成されている。また、方立4は、室外側に向けて配置された室外側面4Aと、左右方向の両側に位置する2つの見込み面4Bを有している。室外側面4Aは、方立4において最も室外側に位置する部分であり、凹凸のない平坦面に形成されて、左右方向に沿って配置されている。左右に隣接する2つのカーテンウォールユニット3の縦枠12、13は、方立4及び室外側面4Aよりも室外側に配置され、室内外方向Sにおいて方立4の室外側面4Aと対向している。左右の見込み面4Bは、方立4の左右の側方に向けて配置された側面部であり、室外側面4Aよりも室内側に位置して、方立4の見込み方向(室内外方向S)に沿って配置されている。
縦枠12、13は、パネル体3Aを保持する保持部20、30と、保持部20、30の室内側に位置する室内側部21、31を有している。また、縦枠12、13は、室内側部21、31に形成された見込み部22、32、装着部23、33、室外側壁部24、34、係合部25、35、室内側壁部26、36、及び、収容部27、37を有している。装着部23、33には、取付機構6A、6Bの一部が装着され、収容部27、37には、取付機構6A、6Bの一部が収容される。室外側壁部24、34は、室内側部21、31の室外側の端部に位置するとともに、保持部20、30の一部(室内側の部分)でもある。
保持部20、30は、縦枠12、13の室外側の部分(室外側部)であり、室内側部21、31の室外側に位置している。パネル体3Aの縦縁部が保持部20、30に装着されて、パネル体3Aが保持部20、30に保持されている。室内側部21、31は、縦枠12、13の室内側の部分であり、パネル体3Aよりも室内側に位置している。室内側部21、31は、パネル体3Aと方立4の間に位置しており、室内外方向Sにおいて、方立4の室外側面4Aと隣接して配置されている。左右に隣接する2つのカーテンウォールユニット3において、左右の保持部20、30は、左右方向に互いに対向し、左右の室内側部21、31は、左右方向に互いに対向している。
見込み部22、32は、枠体5の開口部5Aを区画する板状部であり、パネル体3Aと方立4の間で、縦枠12、13の見込み方向(室内外方向S)に沿って配置されている。装着部23、33、室外側壁部24、34、係合部25、35、室内側壁部26、36、及び、収容部27、37は、縦枠12、13の見込み部22、32に対して枠体5の左右方向における外方側(枠体5の開口部5Aの反対側)に形成されている。また、装着部23、33、室外側壁部24、34、及び、室内側壁部26、36は、縦枠12、13の見込み部22、32から枠体5の左右方向における外方側に向かって突出している。枠体5の左右方向における外方側は、カーテンウォールユニット3の左右方向における外方側であり、枠体5の左右方向における内方側は、カーテンウォールユニット3の左右方向における内方側である。
装着部23、33は、中空状の凸部であり、見込み部22、32の室内外方向Sにおける中間部に接続している。室外側壁部24、34は、装着部23、33の室外側(パネル体3A側)に形成されている。一対の縦枠12、13の係合部25、35のうち、一方の縦枠12の係合部25は、左右方向に突出する係合突部であり、他方の縦枠13の係合部35は、係合部25が挿入可能な係合凹部である。
一方の縦枠12の係合部25は、突片である2つの係合片25A、25Bを有し、装着部23と室外側壁部24のそれぞれから他方の縦枠13の係合部35に向かって突出している。他方の縦枠13の係合部35は、溝状の凹部(係合溝)であり、溝壁である2つの係合壁35A、35Bを有している。係合部35の係合壁35A、35Bは、装着部33の室外側の壁部と室外側壁部34である。係合部35は、係合壁35A、35Bと見込み部32により溝状(凹状)に区画されて、枠体5の左右方向における外方側(係合部25側)に向かって開放されている。
図6は、本実施形態の縦枠12、13の係合部25、35を係合するときの途中段階を示す横断面図である。
図示のように、縦枠12、13の係合部25、35を互いに係合するときには、カーテンウォールユニット3を左右方向に移動して、左右に隣接するカーテンウォールユニット3の縦枠12、13を左右方向において互いに接近させる。これにより、一方の縦枠12の係合部25(係合突部)が他方の縦枠13の係合部35(係合凹部)に挿入されて、係合部25、35が互いに係合する(図4参照)。
係合部25、35の係合時には、係合部25の係合片25A、25Bが係合部35の係合壁35A、35Bの間に配置されて、室内外方向Sに対向する係合片25A、25Bと係合壁35A、35Bが係合する。室外側の係合壁35Aにはレインバリア38Aが取り付けられており、室外側の係合片25Aと係合壁35Aの間にレインバリア38Aが挟まれる。また、室内側の係合壁35Bにはウインドバリア38Bが取り付けられており、室内側の係合片25Bと係合壁35Bの間にウインドバリア38Bが挟まれる。
係合片25A、25Bと係合壁35A、35Bにより、左右に隣接するカーテンウォールユニット3の縦枠12、13の係合部25、35は、左右方向に移動可能に係合する。また、係合部25(係合片25A、25B)と係合部35(係合壁35A、35B)の係合により、左右に隣接するカーテンウォールユニット3の室内外方向Sの移動が規制される。このように、係合部25、35は、カーテンウォールユニット3のインターロック部である。従って、カーテンウォールユニット3は、インターロック式のカーテンウォールユニットであり、係合部25、35により、左右に隣接する他のカーテンウォールユニット3と連結される。なお、上下に隣接する2つのカーテンウォールユニット3では、上枠10の係合部と下枠11の係合部が係合して、2つのカーテンウォールユニット3が互いに連結されている。
室内側壁部26、36は、室内側部21、31及び縦枠12、13において最も室内側に位置する突片(室内側片)であり、見込み部22、32の室内側の端部に接続している。室内側壁部26、36の突出方向の先端部は、方立4の室外側面4Aの室外側に位置している。装着部23、33と室内側壁部26、36は、室内外方向Sに離隔して形成されて、室内外方向Sにおいて対向している。収容部27、37は、装着部23、33と室内側壁部26、36の間に形成された溝状の凹部(収容溝)であり、見込み部22、32、装着部23、33、及び、室内側壁部26、36により区画されている。また、収容部27、37は、室内側壁部26、36の室外側に形成されて、室内側壁部26、36により、室内側において閉鎖され、枠体5の左右方向における外方側に向かって開放されている。
カーテンウォール1は、第1取付機構6Aに設けられた第1ファスナー40、第1ブラケット50、及び、調整機構60を備えている(図4~図6参照)。第1ファスナー40は、縦枠12、13の上部に位置するファスナー(上ファスナー)であり、方立4(見込み面4B)に固定されている。第1ブラケット50は、縦枠12、13の上部に位置するブラケット(上ブラケット)であり、カーテンウォールユニット3の縦枠12、13のそれぞれに固定されている。第1取付機構6Aの調整機構60により、カーテンウォールユニット3の上下方向の位置(高さ)が調整されて、第1取付機構6Aの第1ファスナー40と第1ブラケット50により、縦枠12、13の上部が方立4に取り付けられる。
第1ファスナー40は、方立4に固定される固定部41と、第1ブラケット50が取り付けられる被取付部42を有し、方立4の左右方向の両側に設けられている。固定部41は、方立4の見込み面4Bに沿って配置されて、固定具であるボルト43により、方立4の見込み面4Bに固定されている。ボルト43は、固定部41を貫通して、方立4に形成されたネジ孔(雌ネジ部)に螺合している。被取付部42は、第1ファスナー40の室外側の端部に形成された板状の突片であり、固定部41及び方立4の見込み面4Bから左右方向(方立4の側方)に突出して、縦枠12、13及び第1ブラケット50の室内側に配置されている。また、被取付部42は、方立4から縦枠12、13よりも枠体5の左右方向における内方側(枠体5の開口部5A側)の位置まで配置されている。
第1ブラケット50は、縦枠12、13に固定される固定部51と、第1ファスナー40に取り付けられる取付部52を有している。固定部51は、縦枠12、13の室内側部21、31及び装着部23、33に対して枠体5の左右方向における外方側に配置されて、装着部23、33に当接する。ボルト53が固定部51及び装着部23、33を貫通して、装着部23、33内の裏板54にボルト53が螺合している。固定部51及び第1ブラケット50は、固定具であるボルト53及び裏板54により、縦枠12、13の装着部23、33に固定されて装着されている。これにより、第1ブラケット50は、縦枠12、13の係合部25、35よりも室内側の位置で、縦枠12、13の上部に固定される。
取付部52は、第1ブラケット50の室内側の端部に形成された板状の突片であり、縦枠12、13の室内側壁部26、36よりも上側で、枠体5の左右方向における内方側に突出して、第1ファスナー40の被取付部42の室外側に配置されている。また、取付部52は、縦枠12、13よりも枠体5の左右方向における内方側の位置まで配置されて、被取付部42に当接する。ボルト55が被取付部42及び取付部52を室内側から貫通して、取付部52の室外側に位置するナット56にボルト55が螺合している。
取付部52及び第1ブラケット50は、取付具であるボルト55及びナット56により、第1ファスナー40の被取付部42に取り付けられている。これにより、第1ブラケット50は、縦枠12、13よりも枠体5の左右方向における内方側の位置で、かつ、第1ファスナー40及び方立4の室外側の位置で、被取付部42及び第1ファスナー40に取り付けられる。第1ブラケット50は、左右に隣接する2つのカーテンウォールユニット3の縦枠12、13のそれぞれに固定されている。第1取付機構6Aの第1ブラケット50及び第1ファスナー40により、縦枠12、13の上部が方立4の見込み面4Bに取り付けられるとともに、左右に隣接するカーテンウォールユニット3の縦枠12、13が方立4に取り付けられる。
調整機構60は、カーテンウォールユニット3の上下方向の位置を調整する調整ボルト61と、調整ボルト61を受けるボルト受け部62を有している。第1ブラケット50は、調整ボルト61が挿通する挿通部57を有しており、挿通部57を含む第1ブラケット50の一部は、調整機構60の一部を構成している。調整ボルト61、ボルト受け部62、第1ブラケット50の挿通部57、及び、調整機構60は、方立4(室外側面4A)よりも室外側の位置で、左右に隣接する2つのカーテンウォールユニット3の縦枠12、13の間に配置されている。調整機構60は、第1ブラケット50により、カーテンウォールユニット3の縦枠12、13に連結されるとともに、ボルト受け部62により、方立4に連結されている。
挿通部57は、上下方向に沿って延びる挿通孔58を有し、枠体5の左右方向における外方側に向かって突出している。挿通孔58は、挿通部57を上下方向に貫通している。調整ボルト61は、挿通部57の上方から挿通孔58に挿入されて、挿通部57を上下方向に挿通し、挿通部57から上方と下方に突出する。調整ボルト61の上端部は、調整ボルト61の頭部であり、調整ボルト61の下端部は、調整ボルト61の先端部(ネジ先)である。調整ボルト61は、上下方向に沿って延び、挿通部57(挿通孔58)内に回転可能、かつ、上下方向に変位可能に配置される。
調整ボルト61は、2つの連結ナット63、64(第1連結ナット63、第2連結ナット64)(図5参照)により、第1ブラケット50の挿通部57に連結されている。連結ナット63、64は、調整ボルト61の軸部に形成されたネジ部に螺合している。第1連結ナット63は、調整ボルト61の頭部と挿通部57の上端部の間に位置し、挿通部57の上端部に当接する。第2連結ナット64は、調整ボルト61の先端部と挿通部57の下端部の間に位置し、挿通部57の下端部に当接する。連結ナット63、64を挿通部57に向かって締め付けることで、調整ボルト61が挿通部57に固定される。連結ナット63、64を緩めることで、調整ボルト61の回転が可能になる。
ボルト受け部62は、固定具であるボルト65により、方立4の室外側面4Aに固定されて、方立4から室外側に突出している。ボルト65は、ボルト受け部62を室外側から貫通して、方立4に形成されたネジ孔に螺合している。ボルト受け部62は、第1ブラケット50の固定部51の室内側に位置するとともに、第1ブラケット50の挿通部57及び調整ボルト61の下側に位置している。調整ボルト61は、載置部であるボルト受け部62に載置されて、ボルト受け部62により、回転可能に支持されている。ボルト受け部62は、調整ボルト61及び第1ブラケット50の上下方向の位置を維持する。
調整ボルト61は、第1ブラケット50の挿通部57に回転可能に連結されて、挿通部57に保持され、縦枠12、13に固定された第1ブラケット50により、縦枠12、13に連結されている。カーテンウォールユニット3の上下方向の位置を調整するときには、方立4に固定された第1ファスナー40に第1ブラケット50を取り付けていない状態で、第1ブラケット50の挿通部57及び調整ボルト61をボルト受け部62の上側に配置する。また、調整ボルト61の先端部を上方からボルト受け部62に載置して、ボルト受け部62により調整ボルト61の先端部を受ける。その状態で、調整ボルト61を用いて、カーテンウォールユニット3の上下方向の位置を調整する。
連結ナット63、64を緩めた状態で、調整ボルト61を回転し、又は、第2連結ナット64を回転することで、調整ボルト61を第2連結ナット64に対して相対的に回転させる。調整ボルト61のネジ作用により、第2連結ナット64は、調整ボルト61の軸部(ネジ部)に沿って上下方向に移動する。第1ブラケット50の挿通部57は、第2連結ナット64に上方から当接しており、第2連結ナット64とともに調整ボルト61の軸部に沿って上下方向に移動する。
カーテンウォールユニット3を方立4に取り付ける前に、第1ファスナー40とボルト受け部62を方立4に固定し、第1ブラケット50を縦枠12、13に固定する。その状態で、カーテンウォールユニット3を左右方向、及び、下方に移動して、調整機構60の調整ボルト61をボルト受け部62に載置してボルト受け部62で受ける。次に、連結ナット63、64を緩めた状態で、調整ボルト61又は第2連結ナット64を回転する。
調整ボルト61は、ボルト受け部62に載置された状態(ボルト受け部62に受けられた状態)で、第2連結ナット64と第1ブラケット50を上下方向に移動する。同時に、調整ボルト61は、カーテンウォールユニット3を第1ブラケット50とともに上下方向に移動して、方立4に取り付けられるカーテンウォールユニット3の上下方向の位置(取付位置)を調整する。続いて、連結ナット63、64を締め付けて、調整ボルト61を挿通部57に固定する。
調整機構60は、方立4よりも室外側で、かつ、左右のカーテンウォールユニット3の縦枠12、13の間で、カーテンウォールユニット3を上下方向に移動して、カーテンウォールユニット3の上下方向の位置を調整する。その状態で、第1ブラケット50を第1ファスナー40に取り付けて、カーテンウォールユニット3を調整後の位置で方立4に取り付ける。また、左右に隣接する2つのカーテンウォールユニット3を同様の手順で方立4に取り付ける。
左右に隣接する2つのカーテンウォールユニット3の調整機構60は、方立4に固定された1つのボルト受け部62を共有している。そのため、2つのカーテンウォールユニット3の調整機構60の調整ボルト61は、縦枠12、13の間の1つのボルト受け部62を共通のボルト受け部62として、1つのボルト受け部62に載置されて受けられる。左右に隣接するカーテンウォールユニット3は、それぞれ調整機構60により、上下方向の位置が調整される。また、左右に隣接するカーテンウォールユニット3の縦枠12、13は、調整ボルト61、ボルト受け部62、及び、調整機構60を互いの間に収容して、調整ボルト61、ボルト受け部62、及び、調整機構60を遮蔽する。
図7は、本実施形態のカーテンウォールユニット3、方立4、及び、第2取付機構6Bを示す横断面図であり、2つのカーテンウォールユニット3の縦枠12、13側の部分を示している。また、図7では、上側からみた第2取付機構6Bを示している。図8は、図7のX2-X2線で切断したカーテンウォールユニット3、方立4、及び、第2取付機構6Bを示す縦断面図であり、図9は、図7のX3-X3線で切断したカーテンウォールユニット3と第2取付機構6Bを示す縦断面図である。図8、図9は、左右方向の一方側からみた縦枠12、13の中間部と第2取付機構6Bを示している。
図示のように、カーテンウォール1は、第2取付機構6Bに設けられた第2ファスナー70と第2ブラケット80を備えている。第2ファスナー70は、縦枠12、13の中間部に位置するファスナー(中間ファスナー)であり、方立4(室外側面4A)に固定されている。第2ブラケット80は、縦枠12、13の中間部に位置するブラケット(中間ブラケット)であり、カーテンウォールユニット3の縦枠12、13のそれぞれに固定されている。第2取付機構6Bの第2ファスナー70と第2ブラケット80により、縦枠12、13の中間部が方立4に取り付けられる。
第2ファスナー70の全体及び第2ブラケット80の全体は、方立4及び室外側面4Aよりも室外側に配置されている。第2ファスナー70は、方立4に固定される固定部71と、それぞれ第2ブラケット80を係止する2つの係止部72を有し、方立4の室外側のみに設けられている。固定部71は、方立4の室外側面4Aに沿って配置されて、固定具であるボルト73により、方立4の室外側面4Aに固定されている。ボルト73は、固定部71を室外側から貫通して、方立4に形成されたネジ孔に螺合している。固定部71及び第2ファスナー70は、方立4(室外側面4A)から室外側に突出している。縦枠12、13の室内側壁部26、36は、固定部71に向かって突出しており、固定部71は、左右の縦枠12、13の室内側壁部26、36の間に配置されている。
係止部72は、第2ファスナー70の室外側の部分に形成された板状の突片(係止片)であり、固定部71から左右に突出している。左右の係止部72のそれぞれに第2ブラケット80が係止されて、1つの第2ファスナー70に2つの第2ブラケット80が係止される。第2ブラケット80は、左右方向に突出する係止部72に連結されて、係止部72に取り付けられる。固定部71、係止部72、及び、第2ファスナー70は、方立4(室外側面4A)よりも室外側の位置で、左右に隣接する2つのカーテンウォールユニット3の縦枠12、13の間に配置されている。
第2ファスナー70の左右の係止部72は、縦枠12、13の間で左右に突出するとともに、第2ファスナー70の左右に位置する縦枠12、13に向かって左右方向に突出している。係止部72は、室内外方向Sにおいて、縦枠12、13の装着部23、33と室内側壁部26、36の間に配置されて、縦枠12、13の収容部27、37に収容されている。係止部72の突出方向の先端部は、左右方向において、縦枠12、13(見込み部22、32)と対向している。
第2ブラケット80は、縦枠12、13に固定される固定部81と、第2ファスナー70に連結する連結部82を有している。固定部81は、縦枠12、13の室内側部21、31及び装着部23、33に対して枠体5の左右方向における外方側に配置されて、装着部23、33に当接する。ボルト83が固定部81及び装着部23、33を貫通して、装着部23、33内の裏板84にボルト83が螺合している。固定部81及び第2ブラケット80は、固定具であるボルト83及び裏板84により、縦枠12、13の装着部23、33に固定されて装着されている。これにより、第2ブラケット80は、縦枠12、13の係合部25、35よりも室内側の位置で、縦枠12、13の中間部に固定される。
第2ファスナー70の係止部72は、第2ブラケット80の固定部81よりも室内側に配置されており、係止部72及び第2ブラケット80の連結部82は、室内外方向Sにおいて、固定部81と方立4の間に配置されている。連結部82は、下向きのフック状の被係止部(フック部)であり、縦枠12、13の見込み部22、32に沿って室内側に突出している。また、連結部82は、室内外方向Sにおいて、縦枠12、13の装着部23、33と室内側壁部26、36の間に配置されて、縦枠12、13の収容部27、37に収容されている。固定部81、連結部82、及び、第2ブラケット80は、方立4(室外側面4A)よりも室外側の位置で、左右に隣接する2つのカーテンウォールユニット3の縦枠12、13の間に配置されている。
第2ブラケット80の連結部82は、下向きの凹部85と、凹部85の室内側に位置する突起86を有している。凹部85は、上側に向かって窪んで形成されて、下側、及び、左右方向の両側に向かって開放されている。突起86は、下側に突出して形成されて、上下方向に沿って配置されている。連結部82を第2ファスナー70の係止部72に係止するときに、連結部82は、係止部72に上方から引っ掛けられる。これにより、係止部72は、連結部82の凹部85内に配置されて、連結部82の凹部85に嵌る。また、連結部82の突起86は、係止部72の室内側に配置されるとともに、係止部72と縦枠12、13の室内側壁部26、36の間に配置されて、係止部72に当接する。連結部82は、係止部72に引っ掛けられた状態で、係止部72に係止されて、縦枠12、13の収容部27、37内で、係止部72及び第2ファスナー70に連結する。
第2ブラケット80は、左右に隣接する2つのカーテンウォールユニット3の縦枠12、13のそれぞれに固定されて、方立4(室外側面4A)よりも室外側の位置で、左右に隣接する2つのカーテンウォールユニット3の縦枠12、13の間に配置されている。また、第2ブラケット80は、連結部82の係止部72への係止(連結)により、縦枠12、13の間で、係止部72及び第2ファスナー70に取り付けられる。縦枠12、13の室内側壁部26、36は、連結部82及び係止部72の室内側に位置し、連結部82と方立4(室外側面4A)の間に配置されている。連結部82は、室内側壁部26、36の室外側で、係止部72に係止される。
第2取付機構6Bの第2ブラケット80及び第2ファスナー70により、縦枠12、13の中間部が方立4の室外側面4Aに取り付けられるとともに、左右に隣接するカーテンウォールユニット3の縦枠12、13が方立4に取り付けられる。左右に隣接するカーテンウォールユニット3の縦枠12、13は、互いの間に第2取付機構6Bの第2ブラケット80と第2ファスナー70を収容して、第2ブラケット80と第2ファスナー70を遮蔽する。
カーテンウォールユニット3を方立4に取り付ける前に、第2ファスナー70を方立4に固定し、第2ブラケット80を縦枠12、13に固定する。その状態で、カーテンウォールユニット3を左右方向、及び、下方に移動して、第2ブラケット80の連結部82を第2ファスナー70の係止部72に係止する。これにより、第2ブラケット80を縦枠12、13の収容部27、37内(室内側壁部26、36の室外側)で第2ファスナー70に取り付けて、カーテンウォールユニット3を方立4に取り付ける。また、左右に隣接する2つのカーテンウォールユニット3を同様の手順で方立4に取り付ける。
左右に隣接する2つのカーテンウォールユニット3の第2取付機構6Bは、方立4に固定された1つの第2ファスナー70を共有している。そのため、2つのカーテンウォールユニット3の第2取付機構6Bの第2ブラケット80は、縦枠12、13の間の1つの第2ファスナー70を共通の第2ファスナー70として、1つの第2ファスナー70に取り付けられる。
以上説明したように、第2ファスナー70を方立4よりも室外側に配置しており、第2ブラケット80を方立4に干渉されずに第2ファスナー70に取り付けることができ、カーテンウォールユニット3の施工を容易に行うことができる。また、左右に隣接するカーテンウォールユニット3の縦枠12、13と方立4により、第2取付機構6Bの第2ファスナー70と第2ブラケット80を遮蔽して、第2ファスナー70と第2ブラケット80の室内側への露出を抑制することができる。縦枠12、13の間で第2ブラケット80を第2ファスナー70に取り付けており、カーテンウォールユニット3と方立4の間の室内外方向Sにおける距離を短くして、カーテンウォールユニット3を方立4に接近させて設置することができる。
従って、カーテンウォール1では、方立4の室外側で、第2ブラケット80を第2ファスナー70に容易に取り付けられるとともに、第2ブラケット80と第2ファスナー70の露出を抑制して、カーテンウォール1の意匠性を向上させることができる。調整機構60により、方立4の室外側で、カーテンウォールユニット3の上下方向の位置を容易に調整することができる。また、左右に隣接するカーテンウォールユニット3の縦枠12、13と方立4により、調整機構60を遮蔽して、調整機構60の室内側への露出を抑制することができる。調整機構60の調整ボルト61とボルト受け部62により、カーテンウォールユニット3を支持した状態で、カーテンウォールユニット3の上下方向の位置を容易に調整できるとともに、調整ボルト61とボルト受け部62の露出を抑制することができる。
第2ブラケット80を第2ファスナー70に取り付けるときには、第2ブラケット80の連結部82を第2ファスナー70の左右に突出する係止部72に引っ掛けて係止する。そのため、第2ファスナー70の左右で、第2ブラケット80を第2ファスナー70に円滑に係止することができる。また、カーテンウォールユニット3の左右方向の移動により、第2ブラケット80を第2ファスナー70に係止することができる。これにより、カーテンウォールユニット3を上方から下方に向かって大きく移動しなくても、第2ブラケット80を第2ファスナー70に容易に取り付けることができる。
なお、第2取付機構6Bにおいて、第2ファスナー70を左右に分割して、それぞれ1つの係止部72を有する2つの第2ファスナー70を方立4に固定してもよい。この場合には、左右の縦枠12、13のそれぞれに固定された第2ブラケット80は、互いに異なる第2ファスナー70に取り付けられる。また、第1取付機構6Aの調整機構60において、ボルト受け部62を左右に分割して、2つのボルト受け部62を方立4に固定してもよい。この場合には、左右の縦枠12、13のそれぞれに連結された調整ボルト61は、互いに異なるボルト受け部62に載置される。
調整機構60は、調整ボルト61とボルト受け部62を有する調整機構に限定されず、カーテンウォールユニット3の上下方向の位置を調整可能な他の調整機構であってもよい。これに対し、調整機構60をカーテンウォール1に設けないようにしてもよい。また、第1取付機構6Aをカーテンウォール1に設けずに、第2取付機構6Bの第2ファスナー70と第2ブラケット80により、カーテンウォールユニット3を方立4に取り付けるようにしてもよい。
以上のとおり、カーテンウォールは、
方立の室外側で左右に隣接して配置され、前記方立に取り付けられるカーテンウォールユニットを備えたカーテンウォールであって、
前記方立に固定され、前記方立よりも室外側で、左右に隣接する前記カーテンウォールユニットの縦枠の間に配置されるファスナーと、
前記カーテンウォールユニットの縦枠に固定され、左右に隣接する前記カーテンウォールユニットの縦枠の間に配置されて、前記ファスナーに取り付けられるブラケットと、
を備えたカーテンウォールである。
従って、方立の室外側で、カーテンウォールユニットに固定されたブラケットを方立に固定されたファスナーに容易に取り付けられるとともに、ブラケットとファスナーの露出を抑制して、カーテンウォールの意匠性を向上させることができる。
カーテンウォールは、
前記方立よりも室外側で、左右に隣接する前記カーテンウォールユニットの縦枠の間に配置されて、前記カーテンウォールユニットの上下方向の位置を調整する調整機構を備える。
調整機構により、方立の室外側で、カーテンウォールユニットの上下方向の位置を容易に調整できるとともに、調整機構の露出を抑制することができる。
前記調整機構は、前記方立に固定されたボルト受け部と、前記カーテンウォールユニットの縦枠に連結され、前記ボルト受け部に載置された状態で前記カーテンウォールユニットを上下方向に移動する調整ボルトと、を有する。
調整ボルトとボルト受け部により、カーテンウォールユニットを支持した状態で、カーテンウォールユニットの上下方向の位置を容易に調整できるとともに、調整ボルトとボルト受け部の露出を抑制することができる。
前記ファスナーは、左右に隣接する前記カーテンウォールユニットの縦枠の間で左右に突出して、前記ブラケットを係止する係止部を有し、
前記ブラケットは、前記係止部に引っ掛けられた状態で係止されて、前記ファスナーに連結する連結部を有する。
そのため、ファスナーの左右で、ブラケットをファスナーに円滑に係止することができる。また、カーテンウォールユニットの左右方向の移動により、ブラケットをファスナーに係止することができる。これにより、カーテンウォールユニットを上方から下方に向かって大きく移動しなくても、ブラケットをファスナーに容易に取り付けることができる。