本明細書において「樹脂」の用語は、2種以上の樹脂を含む樹脂混合物や、樹脂以外の成分を含む樹脂組成物をも含む用語として使用する。本明細書において「フィルム」の用語は、「シート」と相互交換的に又は相互置換可能に使用する。本明細書において、「フィルム」及び「シート」の用語は、工業的にロール状に巻き取ることのできるものに使用する。「板」の用語は、工業的にロール状に巻き取ることのできないものに使用する。また本明細書において、ある層と他の層とを順に積層することは、それらの層を直接積層すること、及び、それらの層の間にアンカーコートなどの別の層を1層以上介在させて積層することの両方を含む。
本明細書において数値範囲に係る「以上」の用語は、ある数値又はある数値超の意味で使用する。例えば、20%以上は、20%又は20%超を意味する。数値範囲に係る「以下」の用語は、ある数値又はある数値未満の意味で使用する。例えば、20%以下は、20%又は20%未満を意味する。また数値範囲に係る「~」の記号は、ある数値、ある数値超かつ他のある数値未満、又は他のある数値の意味で使用する。ここで、他のある数値は、ある数値よりも大きい数値とする。例えば、10~90%は、10%、10%超かつ90%未満、又は90%を意味する。更に、数値範囲の上限と下限とは、任意に組み合わせることができるものとし、任意に組み合わせた実施形態が読み取れるものとする。例えば、ある特性の数値範囲に係る「通常10%以上、好ましくは20%以上である。一方、通常40%以下、好ましくは30%以下である。」や「通常10~40%、好ましくは20~30%である。」という記載から、そのある特性の数値範囲は、一実施形態において10~40%、20~30%、10~30%、又は20~40%であることが読み取れるものとする。
実施例以外において、又は別段に指定されていない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用されるすべての数値は、「約」という用語により修飾されるものとして理解されるべきである。特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとすることなく、各数値は、有効数字に照らして、及び通常の丸め手法を適用することにより解釈されるべきである。
1.防曇性塗料:
本発明の防曇性塗料は、(A)活性エネルギー線硬化性樹脂;及び、(B)ポリアルキレングリコールスルホン酸アミン塩;を含む。以下、各成分について説明する。
(A)活性エネルギー線硬化性樹脂:
上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂は、紫外線や電子線などの活性エネルギー線により重合・硬化して、塗膜(硬化塗膜)を形成する働きをする。上記成分(A)は、(A1)アリル基を有する化合物;及び、(A2)チオール基を有する化合物;を含む。
理論に拘束される意図はないが、本発明の塗料が高湿度の環境であっても十分な視認性を確保できる防曇性を発現し、かつそれが持続する防曇性塗膜を形成することのできる理由を以下のように考察している。防曇性塗膜の形成用塗料には、塗工性の観点から、硬化性樹脂として、防曇剤とある程度の相容性を有するものを用いる必要がある。そのため、防曇性塗膜は吸水性を有するものとなっている。もっとも防曇剤の塩部分は、硬化性樹脂との相容性が高くはないことから、防曇剤はウェット塗膜を乾燥し、硬化する工程において防曇性塗膜の表面に集まり、その結果、水蒸気との相互作用により水膜を形成可能な状態になっている。そのため、防曇性が発現する。ところが、高湿度の環境であったり、持続的に水蒸気に曝されたりすると、上述の通り、防曇性塗膜は吸水性を有するものであることから、塗膜の内部に水が浸入して防曇剤との相容性が高まり、防曇剤の一部が塗膜内部に移行する。そのため、塗膜表面における防曇剤の存在量が不十分になり、防曇性が発現しなくなる。また硬化性樹脂の塗膜は架橋密度が高いため、一度、塗膜内部に移行した防曇剤が、再び、塗膜表面に移行するのに非常に長い時間を要することになる。一方、本発明の塗料では、硬化性樹脂として上記成分(A1)アリル基を有する化合物を含むものを用いる。アリル基は重合サイト(ビニル基)に隣接するのがメチレン基(-CH2-)であることから、架橋点近傍も高い運動性を有し、架橋密度が低くなっている。そのため、一度、塗膜内部に移行した防曇剤が、塗膜表面における防曇剤の存在量が少なくなると、短時間のうちに塗膜表面に再び移行し、防曇性を発現させる。同様のことが上記成分(A2)チオール基を有する化合物についても言える。また上記成分(B)ポリアルキレングリコールスルホン酸アミン塩として重合性官能基を有するものを用いる場合は、化学結合のため、そもそも塗膜表面から遠くには移行できず、近傍に留まっている。そのため、速やかに塗膜表面に再び移行し、防曇性を発現させる。
(A1)アリル基を有する化合物:
上記成分(A1)アリル基を有する化合物は、1分子中に1個以上のアリル基(2‐プロペニル基、-CH2-CH=CH2)を有する化合物である。上記成分(A1)は、塗料の硬化性を高め、硬化時の収縮を抑制し、塗膜の耐クラック性/可撓性を良好にする働きをする。
上記成分(A1)の1分子中に有するアリル基の数は、塗料の硬化性の観点から、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上であってよい。一方、塗膜の耐クラック性の観点から、通常20個以下、好ましくは12個以下、より好ましくは8個以下であってよい。
上記成分(A1)としては、例えば、アリルエーテル基を有する化合物、アリルエステル基を有する化合物、アリルイソシアヌレート化合物、アリルアミン化合物、及びアリルグリシジル化合物などをあげることができる。
上記アリルエーテル基を有する化合物は、アリルエーテル基(-O-CH2-CH=CH2)を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上有する化合物である。上記アリルエーテル基を有する化合物としては、例えば、イソソルビドジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ネオペンチルグリコールモノアリルエーテル、ジアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、及び水素化ビスフェノールAジアリルエーテルなどの1分子中に2個のアリルエーテル基を有する化合物;トリメチロールプロパンジアリルエーテル、及びソルビトールトリアリルエーテルなどの1分子中に3個のアリルエーテル基を有する化合物;並びに、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルなどの1分子中に4個のアリルエーテル基を有する化合物;などをあげることができる。
上記アリルエステル基を有する化合物は、アリルエステル基(-CO-CH2-CH=CH2)を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上有する化合物である。上記アリルエステル基を有する化合物としては、例えば、ソルビン酸アリルなどの1分子中に1個のアリルエステル基を有する化合物;マレイン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、コハク酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、リンゴ酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、ドデカン二酸ジアリル、4‐メチルヘキサヒドロフタル酸ジアリル、及びシクロヘキセンジカルボン酸ジアリルなどの1分子中に2個のアリルエステル基を有する化合物;並びに、クエン酸トリアリル、及びトリメリット酸トリアリルなどの1分子中に3個のアリルエステル基を有する化合物;などをあげることができる。
上記アリルイソシアヌレート化合物は、1分子中に1個以上、好ましくは2個以上のアリル基を有するイソシアヌレート化合物である。上記アリルイソシアヌレート化合物としては、例えば、1,3,5‐トリ‐2‐プロペニル‐1,3,5‐トリアジン‐2,4,6(1H,3H,5H)‐トリオンなどのトリアリルイソシアヌレート化合物をあげることができる。
上記アリルアミン化合物は、1分子中に1個以上のアリル基を有するアミン化合物である。上記アリルアミン化合物としては、例えば、アリルジメチルアミン、ジアリルメチルアミン、及びジアリルジメチルアンモニウムニトレートなどをあげることができる。
上記アリルグリシジル化合物は、1分子中に1個以上のアリル基と1個以上のグリシジル基を有する化合物である。上記アリルグリシジル化合物としては、例えば、グリセリンジアリルモノグリシジルエーテル、アリルグリシジルフタレート、及びアリルグリシジルヘキサヒドロフタレートなどをあげることができる。
これらの中で、上記成分(A1)としては、アリルエーテル基を有する化合物、アリルエステル基を有する化合物、アリルイソシアヌレート化合物が好ましく、アリルエーテル基を有する化合物がより好ましい。
上記成分(A1)としてはこれらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
(A2)チオール基を有する化合物:
上記成分(A2)チオール基を有する化合物は、1級チオール基、2級チオール基、及び3級チオール基からなる群から選択される1種以上を、1分子中に1個以上有する化合物である。上記成分(A2)は、塗料の硬化性を高め、酸素による硬化阻害を抑制し、塗膜と基材との密着性を高め、塗膜の耐クラック性/可撓性を良好にする働きをする。
上記成分(A2)の1分子中に有するチオール基の数は、塗料の硬化性の観点から、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上、更に好ましくは4個以上であってよい。一方、塗膜の耐クラック性の観点から、通常20個以下、好ましくは12個以下、より好ましくは8個以下であってよい。
上記成分(A2)は、防曇性の観点から、好ましくは1級チオール基を有する化合物であってよい。該化合物の1分子中に有するチオール基の数は、塗料の硬化性の観点から、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上、更に好ましくは4個以上であってよい。一方、塗膜の耐クラック性の観点から、通常20個以下、好ましくは12個以下、より好ましくは8個以下であってよい。
上記成分(A2)は、塗料の硬化性、及び臭気の観点から、好ましくは2級チオール基を有する化合物であってよい。該化合物の1分子中に有するチオール基の数は、塗料の硬化性の観点から、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上、更に好ましくは4個以上であってよい。一方、塗膜の耐クラック性の観点から、通常20個以下、好ましくは12個以下、より好ましくは8個以下であってよい。
上記成分(A2)として、防曇性、塗料の硬化性、及び臭気の観点から、1級チオール基を有する化合物と2級チオール基を有する化合物との混合物を用いることは、好ましい実施形態の1つであり、1級チオール基を2個以上有する化合物と2級チオール基を2個以上有する化合物との混合物を用いることは、より好ましい実施形態の1つである。
上記成分(A2)として、1級チオール基を有する化合物と2級チオール基を有する化合物との混合物を用いる場合、上記成分(A2)中の1級チオール基を有する化合物の量は、上記成分(A2)の総量を100質量%として、防曇性の観点から、通常60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは85質量%以上であってよい。一方、塗料の硬化性、及び臭気の観点から、通常99質量%以下、好ましくは97質量%以下、より好ましくは95質量%以下であってよい。上記成分(A2)中の2級チオール基を有する化合物の量は、上記成分(A2)の総量を100質量%として、塗料の硬化性、及び臭気の観点から、通常1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であってよい。一方、防曇性の観点から、通常40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、最も好ましくは15質量%以下であってよい。
上記成分(A2)としては、例えば、3‐メルカプトプロピオン酸、2‐エチルヘキシル‐3‐メルカプトプロピオネート、n‐オクチル‐3‐メルカプトプロピオネート、3‐メトキシブチル‐3‐メルカプトプロピオネート、及びステアリル‐3‐メルカプトプロピオネートなどの1分子中に1個の1級チオール基を有する化合物;テトラエチレングリコールビス(3‐メルカプトプロピオネート)などの1分子中に2個の1級チオール基を有する化合物;トリメチロールプロパントリス(3‐メルカプトプロピオネート)、及びトリス‐((3‐メルカプトプロピオニルオキシ)‐エチル)‐イソシアヌレートなどの1分子中に3個の1級チオール基を有する化合物;ペンタエリスリトールテトラキス(3‐メルカプトプロピオネート)などの1分子中に4個の1級チオール基を有する化合物;ジペンタエリスリトールヘキサキス(3‐メルカプトプロピオネート)などの1分子中に6個の1級チオール基を有する化合物;1,4‐ビス(3‐メルカプトブチリルオキシ)ブタンなどの1分子中に2個の2級チオール基を有する化合物;1,3,5‐トリス(2‐(3‐スルファニルブタノイルオキシ)エチル)‐1,3,5‐トリアジナン‐2,4,6‐トリオン、及びトリメチロールプロパントリス(3‐メルカプトブチレート)などの1分子中に3個の2級チオール基を有する化合物;並びに、ペンタエリスリトールテトラキス(3‐メルカプトブチレート)などの1分子中に4個の2級チオール基を有する化合物;などをあげることができる。
上記成分(A2)としてはこれらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
(A3)水溶性(メタ)アクリレート:
上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂は、実施形態の1つにおいて、更に(A3)水溶性(メタ)アクリレートを含むものであってよい。上記成分(A3)を含ませることにより、塗膜の耐摩耗性、及び表面硬度を向上させることができる。
本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを意味する。
上記成分(A3)水溶性(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上有し、かつ水溶性を有する化合物である。ここで、(メタ)アクリロイル基はアクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。ここで水溶性とは、温度20℃の純水1gに通常0.4g以上、好ましくは0.6g以上、より好ましくは0.8g以上、更に好ましくは1.0g以上の量が溶解することを意味する。
上記成分(A3)としては、例えば、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレートと、ソルビトールなどの糖アルコールとのエーテル化合物であって、1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物;及び、該エーテル化合物の誘導体であって、1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物;などをあげることができる。
上記成分(A3)としてはこれらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(A)として、更に(A3)水溶性(メタ)アクリレートを含む実施形態において、上記成分(A2)は、防曇性、塗料の硬化性、及び臭気の観点から、1級チオール基を有する化合物と2級チオール基を有する化合物との混合物を用いることが好ましく、1級チオール基を2個以上有する化合物と2級チオール基を2個以上有する化合物との混合物を用いることがより好ましい。この場合、上記成分(A2)中の1級チオール基を有する化合物の量は、上記成分(A2)の総量を100質量%として、防曇性の観点から、通常60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは85質量%以上であってよい。一方、塗料の硬化性、及び臭気の観点から、通常99質量%以下、好ましくは97質量%以下、より好ましくは95質量%以下であってよい。上記成分(A2)中の2級チオール基を有する化合物の量は、上記成分(A2)の総量を100質量%として、塗料の硬化性、及び臭気の観点から、通常1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であってよい。一方、防曇性の観点から、通常40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、最も好ましくは15質量%以下であってよい。
上記成分(A)は、本発明の目的に反しない限度において、上記成分(A1)~(A3)以外のその他の活性エネルギー線硬化性樹脂を更に含むものであってよい。
上記その他の活性エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば、ビニルエーテル基を有する化合物、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、N‐置換(メタ)アクリルアミド化合物、及び芳香族ビニル化合物などをあげることができる。
上記ビニルエーテル基を有する化合物は、ビニルエーテル基(-O-CH=CH2)を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上する化合物である。上記ビニルエーテル基を有する化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n‐プロピルビニルエーテル、n‐ブチルビニルエーテル、及び2‐エチルヘキシルビニルエーテルなどの1分子中に1個のビニルエーテル基を有する化合物;ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4‐シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,4‐ブダンジオールジビニルエーテル、及び1,6‐ヘキサンジオールジビニルエーテルなどの1分子中に2個のビニルエーテル基を有する化合物;並びに、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどの1分子中に3個のビニルエーテル基を有する化合物;などをあげることができる。
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、アクリロイル基(-CO-CH=CH2)又はメタクリロイル基(-CO-C(CH3)=CH2)を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上する化合物である。上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリアクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート、及び、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有プレポリマー又はオリゴマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n‐プロピル(メタ)アクリレート、n‐ブチル(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2‐メトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの1分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2‘‐ビス(4‐(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、及び、2,2’‐ビス(4‐(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパンなどの1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びトリメチロールエタントリ(メタ)アクリレートなどの1分子中に3個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの1分子中に4個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物;並びに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの1分子中に6個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物;などをあげることができる。
上記N‐置換(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルモルホリン、N,N‐ジエチル(メタ)アクリルアミド、及びN‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどをあげることができる。
上記芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α‐メチルスチレン、及び4‐メチルスチレンなどをあげることができる。
上記その他の活性エネルギー線硬化性樹脂としてはこれらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(A)が、上記成分(A1)、及び上記成分(A2)を含む実施形態における、各成分の配合割合について説明する。ここで、上記成分(A1)、及び上記成分(A2)の配合割合の和は100質量%である。
上記成分(A1)の配合割合は、上記成分(A1)の使用効果を確実に得る観点、並びに塗膜の耐摩耗性、表面硬度、及び防曇性の観点から適宜決定する。上記成分(A1)の配合割合は、上記成分(A1)の使用効果を確実に得る観点から、通常10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であってよい。一方、塗膜の耐摩耗性、表面硬度、及び防曇性の観点から、通常70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下であってよい。
上記成分(A2)の配合割合は、上記成分(A2)の使用効果を確実に得る観点、及び並びに塗膜の耐摩耗性、表面硬度、及び防曇性の観点から適宜決定する。上記成分(A2)の配合割合は、上記成分(A2)の使用効果を確実に得る観点から、通常30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上であってよい。一方、塗膜の耐摩耗性、表面硬度、及び防曇性の観点から、通常90質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下であってよい。
上記成分(A1)の単位質量当たりのアリル基の数(a1)と上記成分(A2)の単位質量当たりのチオール基の数(a2)との比(a1/a2)は、塗膜の耐摩耗性、表面硬度、及び防曇性の観点から、通常0.1~10、好ましくは0.25~4、より好ましくは0.5~2.0、更に好ましくは0.8~1.25であってよい。
上記成分(A)中の上記成分(A1)の量と上記成分(A2)の量との和は、上記成分(A)の総量を100質量%として、通常60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは85質量%以上、最も好ましくは90~100質量%であってよい。
次に、上記成分(A)が、上記成分(A1)、上記成分(A2)、及び上記成分(A3)を含む実施形態における、各成分の配合割合について説明する。ここで、上記成分(A1)、上記成分(A2)、及び上記成分(A3)の配合割合の和は100質量%である。
上記成分(A1)の配合割合は、上記成分(A1)の使用効果を確実に得る観点、並びに塗膜の耐摩耗性、表面硬度、及び防曇性の観点から適宜決定する。上記成分(A1)の配合割合は、上記成分(A1)の使用効果を確実に得る観点から、通常6質量%以上、好ましくは14質量%以上、より好ましくは23質量%以上であってよい。一方、塗膜の耐摩耗性、表面硬度、及び防曇性の観点から、通常69質量%以下、好ましくは57質量%以下、より好ましくは45質量%以下であってよい。
上記成分(A2)の配合割合は、上記成分(A2)の使用効果を確実に得る観点、並びに塗膜の耐摩耗性、表面硬度、及び防曇性の観点から適宜決定する。上記成分(A2)の配合割合は、上記成分(A2)の使用効果を確実に得る観点から、通常18質量%以上、好ましくは28質量%以上、より好ましくは38質量%以上であってよい。一方、塗膜の耐摩耗性、表面硬度、及び防曇性の観点から、通常88質量%以下、好ましくは76質量%以下、より好ましくは63質量%以下であってよい。
上記成分(A3)の配合割合は、上記成分(A3)の使用効果を確実に得る観点、及び耐水性の観点から適宜決定する。上記成分(A3)の配合割合は、上記成分(A3)の使用効果を確実に得る観点から、通常2質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であってよい。一方、耐水性の観点から、通常40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下であってよい。
上記成分(A)中の上記成分(A1)の量、上記成分(A2)の量、及び上記成分(A3)の量の和は、上記成分(A)の総量を100質量%として、通常80質量%以上、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、最も好ましくは98~100質量%であってよい。
(B)ポリアルキレングリコールスルホン酸アミン塩:
上記成分(B)ポリアルキレングリコールスルホン酸アミン塩は、塗膜に防曇性を付与する働きをする。上記成分(B)ポリアルキレングリコールスルホン酸アミン塩は、ポリアルキレングリコールスルホン酸とアミン化合物との塩である。ここでポリアルキレングリコールスルホン酸は、ポリアルキレングリコールの末端に、通常は一方の末端にスルホン酸基を有する化合物である。
上記ポリアルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロパン‐1,2‐ジオール、1,3‐プロパンジオール、1,4‐ブタンジオール、及び1,6‐ヘキサンジオールなどのアルキレングリコールの1種又は2種以上が通常1~30個、好ましくは3~20個、より好ましくは5~15個が重合した化合物をあげることができる。
上記ポリアルキレングリコールスルホン酸は、好ましい実施形態の1つにおいて、重合性官能基を有するものであってよい。該重合性官能基は、典型的な実施形態において、炭素・炭素二重結合を有する官能基である。上記重合性官能基としては、例えば、アリルエーテル基、アリルエステル基などのアリル基;ビニルエーテル基などのビニル基;チオール基;及び、(メタ)アクリロイル基;などをあげることができる。上記成分(B)の原料として重合性官能基を有するポリアルキレングリコールスルホン酸を用いることにより、上記成分(B)のブリードアウトを抑制し、ひいては防曇性の持続性を高めることができる。
上記アミン化合物は、アンモニア、第1級アミン、第2級アミン、又は第3級アミンであって、ポリアルキレングリコールスルホン酸のスルホン酸基からプロトンを受け取ってアミノカチオンを形成し、ポリアルキレングリコールスルホン酸と塩を形成することのできる化合物である。
上記第1級アミンとしては、例えば、メタノールアミン、2‐アミノエタノール、3‐アミノ‐1‐プロパノール、4‐アミノ‐1‐ブタノール、及び6‐アミノ‐1‐ヘキサノールなどのアルキルアルコールアミン;並びに、2‐アミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキルアクリレート;などをあげることができる。
上記第2級アミンとしては、例えば、2‐(メチルアミノ)エタノール、3‐(メチルアミノ)‐1‐プロパノール、3‐メチルアミノ‐1,2‐プロパンジオール、4‐(エチルアミノ)‐1‐ブタノール、及び6‐(メチルアミノ)‐1‐ヘキサノールなどのアルキルアミノアルキルアルコール;並びに、2‐(メチルアミノ)エチル(メタ)アクリレートなどのアルキルアミノアルキルアクリレート;などをあげることができる。
上記第3級アミンとしては、例えば、2‐(ジメチルアミノ)エタノール、3‐(ジメチルアミノ)‐1‐プロパノール、3‐ジメチルアミノ‐1,2‐プロパンジオール、4‐(ジメチルアミノ)‐1‐ブタノール、4‐(ジエチルアミノ)‐1‐ブタノール、及び6‐(ジメチルアミノ)‐1‐ヘキサノールなどのジアルキルアミノアルキルアルコール;並びに、2‐(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、及び3‐(ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキルアクリレート;などをあげることができる。
上記アミン化合物は、好ましい実施形態の1つにおいて、重合性官能基を有するものであってよい。該重合性官能基は、典型的な実施形態において、炭素・炭素二重結合を有する官能基である。上記重合性官能基としては、例えば、アリルエーテル基、アリルエステル基などのアリル基;ビニルエーテル基などのビニル基;チオール基;及び、(メタ)アクリロイル基;などをあげることができる。上記成分(B)の原料として重合性官能基を有するアミン化合物を用いることにより、上記成分(B)のブリードアウトを抑制し、ひいては防曇性の持続性を高めることができる。
これらの中で、上記アミン化合物としては、防曇性、及び上記成分(B)の耐ブリードアウト性の観点から、アンモニア、アミノアルキルアクリレート、アルキルアミノアルキルアクリレート、及びジアルキルアミノアルキルアクリレートが好ましく、アンモニア、及びジアルキルアミノアルキルアクリレートがより好ましい。
上記成分(B)は、実施形態の1つにおいて、下記一般式(b1)で示されるポリエチレングリコールの一方の末端にスルホン酸基を有する化合物のアンモニウム塩であってよい。
R-O-(CH2-CH2-O)n-SO3・NH4 ・・・(b1)
ここでRは酸素原子、窒素原子を有していてもよい炭化水素基である。nは通常1~30、好ましくは3~20、より好ましくは5~15の自然数である。
上記成分(B)は、実施形態の他の1つにおいて、下記一般式(b2)で示されるエチレングリコールと1,4‐ブタンジオールとの共重合体の一方の末端にスルホン酸基を有する化合物とジメチルアミノ化合物との塩であってよい。
R-O-((CH2)4-O)m-(CH2-CH2-O)n-SO3・(CH2)2NH-R’ ・・・(b2)
ここでRは酸素原子、窒素原子を有していてもよい炭化水素基である。R’は酸素原子、窒素原子を有していてもよい炭化水素基である。nは通常1~15、好ましくは2~10、より好ましくは3~8の自然数である。mは通常1~15、好ましくは1~10、より好ましくは2~7の自然数である。n+mは通常1~30、好ましくは3~20、より好ましくは5~15の自然数である。
上記成分(B)は好ましい実施形態の1つにおいて、重合性官能基を有するものであってよい。該重合性官能基は、上記ポリアルキレングリコールスルホン酸が有していてもよく、上記アミン化合物が有していてもよく、両方の化合物が有していてもよい。上記重合性官能基は、典型的な実施形態の1つにおいて、炭素・炭素二重結合を有する官能基である。上記重合性官能基としては、例えば、アリルエーテル基、アリルエステル基などのアリル基;ビニルエーテル基、ビニルエステル基などのビニル基;チオール基;及び、(メタ)アクリロイル基;などをあげることができる。上記成分(B)として重合性官能基を有するものを用いることにより、上記成分(B)のブリードアウトを抑制し、ひいては防曇性の持続性を高めることができる。
上記成分(B)は、より少ない配合量で防曇性を発現させる観点から、上記重合性官能基を上記アミン化合物が有し、上記ポリアルキレングリコールスルホン酸は有さないものであってよい。
上記成分(B)は、その配合量が多量であっても、ブリード白化などのトラブルの発生を抑制する観点から、上記重合性官能基を上記ポリアルキレングリコールスルホン酸が有し、上記アミン化合物は有さないものであってよい。
上記成分(B)として、上記重合性官能基を上記アミン化合物が有し、上記ポリアルキレングリコールスルホン酸は有さないものと、上記重合性官能基を上記ポリアルキレングリコールスルホン酸が有し、上記アミン化合物は有さないものとを併用することは、より好ましい実施形態の1つである。この場合、両者の配合比(前者/後者の質量比)は、通常1/100~100/100、好ましくは5/100~60/100、より好ましくは10/100~30/100であってよい。
上記成分(B)としてはこれらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(B)の配合量は、用いる上記成分(B)の種類を勘案し、防曇性、塗膜の硬化性、及び耐擦傷性の観点から適宜決定する。上記成分(B)の配合量は、用いる上記成分(B)の種類にもよるが、上記成分(A)100質量部に対して、防曇性の観点から、通常1質量部以上、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは8質量部以上、最も好ましくは10質量部以上であってよい。一方、塗膜の硬化性、及び耐擦傷性の観点から、通常100質量部以下、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは40質量部以下、最も好ましくは30質量部以下であってよい。
(C)光重合開始剤:
本発明の塗料は、好ましくは更に(C)光重合開始剤を含むものであってよい。上記成分(C)は、活性エネルギー線の照射によりラジカルなどの活性種を発生する化合物である。上記成分(C)はラジカルなどの活性種を発生することにより、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂を重合、硬化させる働きをする。
上記成分(C)としては、例えば、ベンゾフェノン、メチル‐o‐ベンゾイルベンゾエート、4‐メチルベンゾフェノン、4、4’‐ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o‐ベンゾイル安息香酸メチル、4‐フェニルベンゾフェノン、4‐ベンゾイル‐4’‐メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’‐テトラ(tert‐ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、及び2,4,6‐トリメチルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、及びベンジルメチルケタールなどのベンゾイン系化合物;アセトフェノン、2、2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及び2‐ヒロドキシ‐1‐{4‐[4‐(2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐プロピオニル)‐ベンジル]フェニル}‐2‐メチル‐プロパン‐1‐オンなどのアセトフェノン系化合物;α‐ヒドロキシアルキルフェノン、及びアセトフェノンジメチルケタールなどのアルキルフェノン系化合物;メチルアントラキノン、2‐エチルアントラキノン、及び2‐アミルアントラキノンなどのアントラキノン系化合物;チオキサントン、2、4‐ジエチルチオキサントン、及び2、4‐ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物;ビス(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、及び2,4,6‐トリメチルベンゾイル‐ジフェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド系化合物;ビイミダゾール化合物;チタノセン系化合物;オキシムエステル系化合物;オキシムフェニル酢酸エステル系化合物;ヒドロキシケトン系化合物;トリアジン系化合物;並びに、アミノベンゾエート系化合物などをあげることができる。
上記成分(C)としては、これらの中でアセトフェノン系化合物が好ましく、ヒドロキシアセトフェノン系化合物がより好ましく、2‐ヒロドキシ‐1‐{4‐[4‐(2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐プロピオニル)‐ベンジル]フェニル}‐2‐メチル‐プロパン‐1‐オンが更に好ましい。
上記成分(C)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(C)の配合量は、上記成分(C)の使用効果を確実に得る観点、並びに塗膜の色調、耐擦傷性の観点から適宜決定する。上記成分(C)の配合量は、上記成分(A)100質量部に対して、上記成分(C)の使用効果を確実に得る観点から、通常0.5質量部以上、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上であってよい。一方、塗膜の色調、耐擦傷性の観点から、通常10質量部以下、好ましくは7質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下であってよい。
本発明の塗料は、本発明の目的に反しない限度において、上記成分(A)~(C)以外の任意成分を更に含むものであってよい。上記任意成分としては、例えば、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤、チクソ性付与剤、帯電防止剤、汚染防止剤、印刷性改良剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、無機粒子、有機粒子、顔料、及び染料などをあげることができる。上記任意成分としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。上記任意成分の配合量は、上記成分(A)100質量部に対して、通常10質量部以下、あるいは0.01~10質量部程度であってよい。
本発明の塗料は、ウェット塗膜を形成する際の生産性の観点から、更に、溶剤を含むものであってよい。上記溶剤としては、上記成分(A)~(C)、及び上記任意成分と反応したり、これらの成分の自己反応(劣化反応を含む)を触媒(促進)したりしないものであれば、特に制限されない。上記溶剤としては、例えば、1‐メトキシ‐2‐プロパノール、1‐エトキシ‐2‐プロパノール、酢酸エチル、酢酸n‐ブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ダイアセトンアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジアセトンアルコール、及びアセトンなどをあげることができる。上記溶剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
本発明の塗料は、これらの成分を混合、攪拌することにより得ることができる。
2.塗膜:
本発明の塗膜は、本発明の塗料を用いて形成される塗膜である。本発明の塗膜は、実施形態の1つにおいて、本発明の塗料をフィルム基材の面の上に塗布し、硬化することにより形成される。本発明の塗膜は、他の実施形態の1つにおいて、本発明の塗料を成形体の面の上に塗布し、硬化することにより形成される。
本発明の塗料をフィルム基材の面の上に塗布し、硬化することにより本発明の塗膜を形成する実施形態について説明する。この実施形態の場合、本発明の塗料を上記フィルム基材の面の上に塗布してウェット塗膜を形成し、予備乾燥した後、活性エネルギー線を照射して硬化することにより本発明の塗膜を形成することができる。
本発明の塗料を上記フィルム基材の面の上に塗布する方法は、特に制限されず、公知の塗布方法を使用することができる。上記塗布方法としては、ロール・トゥ・ロールの方法で生産性良く塗料を塗布する観点から、例えば、ロッドコート、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、キスリバースコート、及びダイコートなどの方法が好ましい。
上記予備乾燥の方法は、特に制限されず、公知の乾燥方法を使用することができる。上記予備乾燥の方法としては、例えば、ウェブを通常は温度23~150℃程度、好ましくは温度50~130℃、より好ましくは70~120℃に設定された乾燥炉内を、入口から出口までパスするのに要する時間が0.5~10分程度、好ましくは1~5分となるようなライン速度でパスさせることにより行うことができる。
活性エネルギー線の照射量は、塗膜を完全硬化させるのに必要十分な照射量とする観点から、塗料の特性を勘案して適宜決定する。上記活性エネルギー線の照射量は、通常10~10000mJ/cm2程度、好ましくは200~2000mJ/cm2、より好ましくは300~700mJ/cm2であってよい。
上記塗膜の厚みは、防曇性、耐擦傷性、及び塗膜を形成する際の生産性を勘案して適宜決定する。上記塗膜の厚みは、防曇性、耐擦傷性の観点から、通常0.5μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは1.5μm以上、更に好ましくは2μm以上であってよい。一方、塗膜を形成する際の生産性の観点から、通常60μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下であってよい。
上記フィルム基材が本発明の物品の構成材料の1つである場合について説明する。
上記フィルム基材が本発明の物品の構成材料の1つである場合、上記フィルム基材は、物品の透明性を高め、視認性を確保する観点から、高い透明性を有し、かつ着色のないものが好ましい。このようなフィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロース等のセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;エチレンノルボルネン共重合体等の環状炭化水素系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、及びビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等のアクリル系樹脂;芳香族ポリカーボネート系樹脂;ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂;ポリプロピレン、及びポリ4‐メチルペンテン‐1等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリマー型ウレタンアクリレート系樹脂;及びポリイミド系樹脂;などの透明樹脂フィルムをあげることができる。これらのフィルムは無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、及び二軸延伸フィルムを包含する。またこれらのフィルムは、これらの1種又は2種以上を、2層以上積層した積層フィルムを包含する。
上記フィルム基材が本発明の物品の構成材料の1つである場合、上記フィルム基材の厚みは物品の用途を勘案して適宜決定される。上記フィルム基材が本発明の物品の構成材料の1つである場合、上記フィルム基材の厚みは、ハンドリング性の観点から、通常20μm以上、好ましくは50μm以上であってよい。上記フィルム基材の厚みは、物品の強度の観点から、通常100μm以上、好ましくは150μm以上であってよい。一方、上記フィルム基材の厚みは、物品の軽量化の観点から、通常2000μm以下、好ましくは800μm以下、より好ましくは600μm以下であってよい。
上記フィルム基材が本発明の物品の構成材料の1つである場合、上記フィルム基材と本発明の塗膜との密着性を高める観点から、上記フィルム基材の塗膜形成面は、コロナ放電処理やアンカーコート形成などの易接着処理が施されたものであってよい。
次に、本発明の塗膜を他の基材(例えば、フィルム、シート、板、及び任意の形状の基体など)に転写して用いる場合(即ち、上記フィルム基材は本発明の物品を構成しない場合。)について説明する。
本発明の塗膜を他の基材に転写して用いる場合、上記フィルム基材としては、特に制限されず、任意のフィルム基材を用いることができる。この場合、上記フィルム基材としては、ウェブハンドリング性、及び経済性の観点から、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂の無延伸フィルム、及び二軸延伸フィルム、並びにポリプロピレン系樹脂の無延伸フィルム、及び二軸延伸フィルムが好ましい。
本発明の塗膜を他の基材に転写して用いる場合、上記フィルム基材の厚みは、ウェブハンドリング性の観点から、通常20μm以上、好ましくは30μm以上であってよい。一方、上記フィルム基材の厚みは、経済性の観点から、通常100μm以下、好ましくは75μm以下であってよい。
本発明の塗膜を他の基材に転写して用いる場合、上記フィルム基材の塗膜形成面は易剥離処理されたものであってよい。
続いて、本発明の塗料を成形体の面の上に塗布し、硬化することにより本発明の塗膜を形成する実施形態について説明する。この実施形態の場合、本発明の塗料を上記成形体の面の上に、通常は、水滴による曇りの発生を抑制すべき面の上に塗布してウェット塗膜を形成し、予備乾燥した後、活性エネルギー線を照射して硬化することにより本発明の塗膜を形成することができる。
上記成形体については「3.物品」の項において説明する。
本発明の塗料を上記成形体の面の上に塗布する方法は、特に制限されず、公知の塗布方法を使用することができる。上記塗布方法としては、例えば、スプレーコート、ディップコート、及びエアナイフコートなどの方法をあげることができる。
上記予備乾燥の方法は、特に制限されず、公知の乾燥方法を使用することができる。上記予備乾燥の方法としては、例えば、通常は温度23~150℃程度、好ましくは温度50~130℃、より好ましくは70~120℃に設定された乾燥炉内で0.5~10分程度、好ましくは1~5分程度乾燥する方法をあげることができる。
活性エネルギー線の照射量は、塗膜を完全硬化させるのに必要十分な照射量とする観点から、塗料の特性を勘案して適宜決定する。上記活性エネルギー線の照射量は、通常10~10000mJ/cm2程度、好ましくは200~2000mJ/cm2、より好ましくは300~700mJ/cm2であってよい。
上記塗膜の厚みは、防曇性、耐擦傷性、及び塗膜を形成する際の生産性を勘案して適宜決定する。上記塗膜の厚みは、防曇性、耐擦傷性の観点から、通常0.5μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは1.5μm以上、更に好ましくは2μm以上であってよい。一方、塗膜を形成する際の生産性の観点から、通常60μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下であってよい。
3.物品:
本発明の物品は、本発明の塗膜を有する。本発明の物品は、実施形態の1つにおいて、本発明の塗膜を有し、かつ該塗膜は物品の表面の少なくとも一部を形成する。本発明の物品は、好ましい実施形態の1つにおいて、本発明の塗膜を水滴による曇りの発生を抑制すべき面の上に有し、かつ該面側の表面を本発明の塗膜が形成する。
本発明の物品を生産する方法としては、例えば、本発明の塗料を用い、フィルム基材の面の上に本発明の塗膜を形成して本発明の塗膜を有する積層フィルムを得た後、該積層フィルムを成形体の面の上に貼合する方法;本発明の塗料を用い、フィルム基材の面の上に本発明の塗膜を形成した後、該塗膜を成形体の面の上に転写する方法;及び、本発明の塗料を用い、成形体の面の上に本発明の塗膜を形成する方法;などをあげることができる。
本発明の塗料を用い、フィルム基材の面の上に本発明の塗膜を形成する方法については上述した。本発明の塗料を用い、成形体の面の上に本発明の塗膜を形成する方法については上述した。
上記成形体は、本発明の物品の基体であり、本発明の物品に所望の形状を付与し、耐衝撃性、強度、及び剛性などの機械的物性を付与する働きをする。上記成形体は、典型的な実施形態の1つにおいて、特に視認性を確保することが求められる物品の基体となる。上記成形体は、実施形態の1つにおいて三次元形状を有するものであってよい。上記成形体は、他の実施形態の1つにおいて、フィルム、シート又は板であってよい。
三次元形状を有する成形体を生産する方法としては、例えば、樹脂シートをメンブレンプレス成形、圧空プレス成形、真空成形、及び真空圧空成形などの三次元成形法により成形する方法;熱可塑性樹脂を射出成形、ブロー成形、及び押出成形などの方法により成形する方法;並びに、硬化性樹脂を、所望の形状の型に注入し、硬化させる方法などをあげることができる。
樹脂シートを三次元成形する方法について説明する。
上記樹脂シートの厚みは、特に制限されないが、物品の基体として必要な強度及び剛性を保持する観点から、通常0.1mm以上、好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは0.8mm以上、最も好ましくは1mm以上であってよい。一方、物品の軽量化の要求に応える観点、及び三次元成形性の観点から、通常10mm以下、好ましくは6mm以下、より好ましくは3mm以下であってよい。
上記樹脂シートの引張弾性率は、特に制限されないが、物品の基体として必要な強度及び剛性を保持する観点から、好ましくは1500MPa以上、より好ましくは1800MPa以上であってよい。引張弾性率の上限は特にないが、樹脂シートであるから、通常入手可能な範囲ではせいぜい10000MPa程度であろう。引張弾性率は、JIS K7127:1999に従い、試験片タイプ1B、引張速度50mm/分の条件で測定する。
上記樹脂シートを構成する樹脂のガラス転移温度は、特に制限されないが、耐熱性(成形体の生産時に必要とされる耐熱性、及び物品の使用時に必要とされる耐熱性の両方を含む。)を保持する観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上であってよい。なお上記樹脂シートが、構成樹脂として2種類以上の樹脂を含むときは、これらの中で最もガラス転移温度の低い樹脂が、上記範囲を満たすことが好ましい。
上記樹脂シートを構成する樹脂のガラス転移温度は、上記成形体を得るために三次元成形する際の加工性の観点から、好ましくは200℃以下、より好ましくは160℃以下、更に好ましくは150℃以下であってよい。なお上記樹脂シートが、構成樹脂として2種類以上の樹脂を含むときは、これらの中で最もガラス転移温度の高い樹脂が、上記範囲を満たすことが好ましい。
本明細書において、ガラス転移温度は、示差走査熱量計を使用し、試料を50℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、200℃で10分間保持した後、20℃/分の降温速度で50℃まで冷却し、50℃で10分間保持した後、20℃/分の昇温速度で200℃まで加熱するという温度プログラムにおける最後の昇温過程において測定される曲線に現れるガラス転移について、ASTM D3418の図2に従い作図して算出される中間点ガラス転移温度である。上記示差走査熱量計としては、例えば、株式会社パーキンエルマージャパンのDiamond DSC型示差走査熱量計を使用することができる。
上記樹脂シートとしては、視認性を確保する観点から、透明樹脂シートが好ましい。上記透明樹脂シートとしては、例えば、トリアセチルセルロース等のセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;エチレンノルボルネン共重合体等の環状炭化水素系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、及びビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等のアクリル系樹脂;芳香族ポリカーボネート系樹脂;ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂;ポリプロピレン、及びポリ4‐メチルペンテン‐1等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリマー型ウレタンアクリレート系樹脂;及びポリイミド系樹脂;などの透明樹脂シートをあげることができる。これらのシートは無延伸シート、一軸延伸シート、及び二軸延伸シートを包含する。またこれらのシートは、これらの1種又は2種以上を、2層以上積層した積層シートを包含する。
上記樹脂シートを用いて、真空成形法により三次元形状を有する成形体を生産する方法を説明する。
図1は真空成形法により生産された三次元形状を有する成形体の一例を示す平面図(図1(a))と側面図(図1(b))である。図2は真空成形法を説明する概念図である。以下、図2に基づいて説明する。先ず、樹脂シート6を、赤外線ヒーター7を使用して加熱し、軟化させる(図2(a))。次に、軟化した樹脂シート6を赤外線ヒーター7から外し、速やかに成形型8の上に被覆させる(図2(b))。続いて、樹脂シート6と成形型8との間の空間9を減圧し、樹脂シート6を成形型8に密着させて、成形体10を得る(図2(c))。空間9の圧力は、樹脂シート6と成形型8とを、その間に空気を残留させることなく十分密着させる観点から、好ましく10KPa以下、より好ましくは1KPa以下であってよい。空間9の圧力は、密着させる観点からは、小さいほど密着力が大きくなるため好ましい。一方、空間9の圧力を小さくするためには加速度的にコストがかかること、及び樹脂シート6の機械的強度を考慮すれば、実用的には、上記空間9の圧力の下限は10-5KPa程度であってよい。
熱可塑性樹脂を射出成形、ブロー成形、及び押出成形などの方法により成形する方法について説明する。
熱可塑性樹脂を射出成形する方法は、特に制限されず、公知の方法を使用することができる。なお本明細書において、上記射出成形にはインサート成形も含む。成形型にインサートする樹脂シートとしては、上述したものを用いることができる。熱可塑性樹脂をブロー成形する方法は、特に制限されず、公知の方法を使用することができる。熱可塑性樹脂を押出成形する方法は、特に制限されず、公知の方法を使用することができる。これらの中で、形状の自由度の観点から、射出成形が好ましい。
射出成形、ブロー成形、又は押出成形に用いる上記熱可塑性樹脂としては、視認性を確保する観点から、透明性に優れる熱可塑性樹脂が好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース等のセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;エチレンノルボルネン共重合体等の環状炭化水素系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、及びビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等のアクリル系樹脂;芳香族ポリカーボネート系樹脂;ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂;ポリプロピレン、及びポリ4‐メチルペンテン‐1等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリマー型ウレタンアクリレート系樹脂;及びポリイミド系樹脂;などをあげることができる。
硬化性樹脂を、所望の形状の型に注入し、硬化させる方法について説明する。
上記成形体を構成するための上記硬化性樹脂は、熱により、あるいは活性エネルギー線を照射することにより硬化させることのできる樹脂である。上記硬化性樹脂としては、特に制限されず、任意の硬化性樹脂を用いることができる。
上記硬化性樹脂としては、例えば、1分子中に2個以上の重合性官能基を有する樹脂;及び、該樹脂と硬化剤との樹脂組成物;などをあげることができる。上記重合性官能基としては、例えば、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、イソシアネート基、アルコキシ基、アシルオキシ基、及びハロゲン基などをあげることができる。上記硬化剤としては、イソシアネート系硬化剤(1分子中に2個以上のイソシアネート基(-N=C=O)を有する化合物)、光重合開始剤、及び有機過酸化物などをあげることができる。
上記硬化性樹脂としては、視認性を確保する観点から、透明性に優れる硬化性樹脂が好ましい。このような硬化性樹脂としては、例えば、アクリル系硬化性樹脂、及びポリエステル系硬化性樹脂などをあげることができる。
上記硬化性樹脂としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
本発明の物品としては、例えば、ゴーグル、サングラス、偏光メガネ、ヘルメットシールド、自動車のヘッドランプカバー、オートバイのヘッドランプカバー、自動車のリアランプカバー、オートバイのリアランプカバー、建築物の窓ガラスを代替する透明樹脂基材、及び自動車のウィンドウガラスを代替する透明樹脂基材などをあげることができる。
図3は本発明の防曇性塗料を用いて形成される塗膜を有する積層体(自動車のウィンドウガラスを代替する透明樹脂基材)の一例を示す断面の概念図である。実使用状態において自動車の車外側の表面から順に、耐候性に優れるハードコート11、アンカーコート12、透明樹脂シートの層13、赤外線遮蔽機能を有する塗膜14、及び本発明の防曇性塗料を用いて形成される防曇性塗膜15を有し、該防曇性塗膜15は実使用状態において自動車の車内側の表面を形成する。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
測定方法
(イ‐1)防曇性1:
防曇性フィルムから試験片(マシン方向10cm、横方向10cm)を採取し、株式会社堀場製作所のグロスチェッカ「グロスチェッカ IG-320(商品名)」を使用し、ブランクのグロス値(単位:%)を測定した。円筒形の容器(内径240mm、高さ120mm)に蒸留水3Lを入れ、湯浴により蒸留水の温度を所定温度の50℃にまで加温した後、上記試験片を、上記容器の開口を塞ぐように置いた。このとき、上記試験片の防曇性塗膜面が上記容器側となるようにした。所定時間の1分間経過後、上記グロスチェッカを使用してグロス値(単位:%)を測定した。ブランクのグロス値との差(ブランクのグロス値-防曇性試験で測定されたグロス値)を防曇性指標として算出した。
(イ‐2)防曇性2:
上記所定温度を37℃に変更したこと以外は、上記試験(イ‐1)防曇性1と同様にして防曇性指標を算出した。
(イ‐3)防曇性3:
上記試験片を予め温度24℃の蒸留水に10分間浸漬した後、上記容器の開口を塞ぐように置いたこと以外は、上記試験(イ‐1)防曇性1と同様にして防曇性指標を算出した。
上記試験(イ‐3)防曇性3は、蒸留水に浸漬し、塗膜を吸水状態にした後に行う試験であることから、高湿度の環境であっても十分な視認性が持続するか否かの指標と考えられる。
上記試験(イ‐1~3)防曇性1~3の防曇性指標は、視認性の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、より更に好ましくは-20~5、最も好ましくは-15~0であってよい。
(ロ)全光線透過率:
JIS K7361‐1:1997に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH4000(商品名)」を使用し、防曇性フィルムの塗膜面側から光を入射する条件で、全光線透過率(単位:%)を測定した。
(ハ)ヘーズ:
JIS K7136:2000に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH4000(商品名)」を使用し、防曇性フィルムの塗膜面側から光を入射する条件で、ヘーズ(単位:%)を測定した。
(ハ)碁盤目試験(塗膜密着性):
JIS K5600‐5‐6:1999に従い、防曇性フィルムの塗膜面側から碁盤目の切れ込みを100マス(1マス=1mm×1mm)入れた後、密着試験用テープを碁盤目へ貼り付けて指でしごいた後、剥がした。評価基準はJISの上記規格の表1に従った。
分類0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥れがない。
分類1:カットの交差点における塗膜の小さな剥れ。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
分類2:塗膜がカットの縁に沿って、及び/又は交差点において剥れている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を超えるが15%を上回ることはない。
分類3:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥れを生じており、及び/又は目のいろいろな部分が、部分的又は全面的に剥れている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが35%を上回ることはない。
分類4:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥れを生じており、及び/又は数箇所の目が、部分的又は全面的に剥れている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に35%を超えるが65%を上回ることはない。
分類5:剥れの程度が分類4を超える場合。
(ニ)耐擦傷性:
縦150mm、横50mmの大きさで、マシン方向が試験片の縦方向となるように採取した試験片を、防曇性フィルムの塗膜面側が表面となるようにJIS L0849:2013のクロックメータ形試験機(摩擦試験機1形)に置き、該試験機の摩擦端子を4枚重ねのガーゼ(川本産業株式会社の医療用タイプ1ガーゼ)で覆い、試験片と接触するようにセットし、200g荷重を載せ、試験片の塗膜面を、摩擦端子の移動距離60mm、速度1往復/秒の条件で往復50回擦った後、蛍光灯下、蛍光灯から50cm離れた位置において、試験片の摩擦箇所を目視観察することにより傷の有無を判定した。傷の認められないときは、更に試験片の同じ個所を往復50回擦った後目視観察する作業を繰り返した。以下の基準で評価した。
A:傷は往復300回後にも認められなかった。
B:傷は往復250回後に認められなかったが往復300回後に認められた。
C:傷は往復200回後に認められなかったが往復250回後に認められた。
D:傷は往復150回後に認められなかったが往復200回後に認められた。
E:傷は往復100回後に認められなかったが往復150回後に認められた。
F:傷は往復50回後に認められなかったが往復100回後に認められた。
G:傷が往復50回後に認められた。
使用した原材料
(A1)アリル基を有する化合物:
(A1‐1)株式会社大阪ソーダのペンタエリスリトールトリアリルエーテル「ネオアリルP‐30(商品名)」。アリルエーテル基数3個。
(A1‐2)株式会社大阪ソーダのクエン酸トリアリル「DAISO MTAC Monomer(商品名)」。アリルエステル基数3個。
(A1‐3)三菱ケミカル株式会社のイソシアヌレート環構造を有するトリアリルイソシアヌレート化合物(1,3,5‐トリ‐2‐プロペニル‐1,3,5‐トリアジン‐2,4,6(1H,3H,5H)‐トリオン)「タイク(商品名)」。
(A1’)参考成分:
(A1’‐1)ペンタエリスリトールトリアクリレート。
(A2)チオール基を有する化合物:
(A2‐1)SC有機化学株式会社のトリス‐((3‐メルカプトプロピオニルオキシ)‐エチル)‐イソシアヌレート「TEMPIC(商品名)」。1分子中に3個の1級チオール基を有する。
(A2‐2)SC有機化学株式会社のトリメチロールプロパントリス(3‐メルカプトプロピオネート)「TMMP(商品名)」。1分子中に3個の1級チオール基を有する。
(A2‐3)SC有機化学株式会社のペンタエリスリトールテトラキス(3‐メルカプトプロピオネート)「PEMP(商品名)」。1分子中に4個の1級チオール基を有する。
(A2‐4)昭和電工株式会社の1,3,5‐トリス(2‐(3‐スルファニルブタノイルオキシ)エチル)‐1,3,5‐トリアジナン‐2,4,6‐トリオン「カレンズMT NR‐1(商品名)」。1分子中に3個の2級チオール基を有する。
(A3)水溶性(メタ)アクリレート:
(A3‐1)東亜合成株式会社のソルビトールアクリレート「アロニックスM‐926(商品名)」。1分子中に2個のアクリロイル基を有する。温度20℃の純水1gに1g以上が容易に溶解した(任意の割合で水に溶解すると推定した)。
(B)ポリアルキレングリコールスルホン酸アミン塩:
(B‐1)第一工業製薬株式会社のポリエチレングリコールの一方の末端にスルホン酸基を有する化合物であって、アリルエーテル基を有する化合物のアンモニウム塩「アクアロンKH05(商品名)」。
(B‐2)第一工業製薬株式会社のポリエチレングリコールの一方の末端にスルホン酸基を有する化合物であって、アリルエーテル基を有する化合物のアンモニウム塩「アクアロンKH10(商品名)」。
上記成分(B‐1)、及び上記成分(B‐2)は下記一般式(b3)を有する化合物である。
CH2=CH-CH2-O-CH2-CHR-O-((CH2)2-O)n-SO3・NH4 ・・・(b3)
ここでRは酸素原子、窒素原子を有していてもよい炭化水素基。nは1~30の自然数である。
(B‐3)日本乳化剤株式会社のエチレングリコールと1,4‐ブタンジオールとの共重合体の一方の末端にスルホン酸基を有する化合物と2‐(ジメチルアミノ)エチルアクリレートとの塩(下記式(b4)の化合物)「アミノイオンRE3000MF(商品名)」。固形分50質量%。
C13H27-O-((CH2)4-O)3-((CH2)2-O)5-SO3・(CH3)2NH-(CH2)2-OCOCH=CH2 ・・・(b4)
(C)光重合開始剤:
(C‐1)IGM Resins社のα‐ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤(1‐ヒドロキシシクロヘキシル‐フェニルケトン)「Omnirad 184(商品名)」。
(P)フィルム基材:
(P‐1)東レ株式会社の厚み50μmの両面易接着二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム「ルミラー(商品名)」。
(Q)防曇性塗料:
(Q‐1)上記成分(A1‐1)40質量部、上記成分(A2‐1)60質量部、上記成分(B‐1)20質量部、上記成分(B‐3)6質量部(固形分換算3質量部)、上記成分(C‐1)2質量部、及び1‐メトキシ‐2‐プロパノール(表にはPGMと記載)150質量部を混合攪拌し、防曇性塗料(Q‐1)を得た。なお表には、1‐メトキシ‐2‐プロパノールを除き、固形分換算の値を記載した。
(Q‐2)~(Q‐14):
配合を表1に示すように変更したこと以外は上記防曇性塗料(Q‐1)と同様にして防曇性塗料(Q‐2)~(Q‐14)を得た。
例1
上記防曇性塗料(Q‐1)を用い、フィルムメイヤーバー方式の塗工装置を使用し、上記フィルム基材(P‐1)の片面の上に、硬化後の厚みが5μmとなるようにウェット塗膜を形成し、乾燥炉で予備乾燥した後、紫外線を照射して硬化し、防曇性塗膜を形成し、フィルム基材の片面の上に防曇性塗膜を有する防曇性フィルムを得た。上記試験(イ‐1)~(ニ)を行った。結果を表1に示す。
例2~14
防曇性塗料として表1に示すものを用いたこと以外は、例1と同様にして防曇性フィルムを得た。上記試験(イ‐1)~(ニ)を行った。結果を表1に示す。
本発明の塗料を用いて形成された塗膜は、高湿度の環境であっても十分な視認性を確保できる防曇性を発現し、かつこれが持続することが分かった。本発明の好ましい塗料を用いて形成された塗膜は、更に透明性、耐擦傷性、及び透明樹脂基材との密着性にも優れることが分かった。また、上記試験(イ‐3)防曇性3における蒸留水に浸漬後の塗膜の面状態から、吸水寸法安定性も十分なレベルにあると判断した。