JP7522734B2 - パルス光源を備えたガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明の技術分野は、黒体又は灰色体の光源を用いたガスの分析及び光源から放射される光波の吸収の測定である。本発明は、光源に関し、特に光源の駆動方法に関する。
光学的方法は、ガスの分析にしばしば用いられる。センサは、ガスを構成する種が互いに異なるスペクトル吸収特性を有するという事実に基づいて、ガスの組成を決定することを可能にする。したがって、ガス種の吸収スペクトルバンドが既知である場合、後者の濃度は、Beer-Lambertの法則を用いて、ガスを通過する光の吸収を推定することによって決定することができる。この原理により、ガス中に存在するガス種の濃度を推定することができる。
最も一般的な方法では、分析されるガスは光源と光検出器の間にあり、光検出器は測定光検出器と呼ばれ、測定光検出器は分析されるガスによって透過される光波を測定することを目的とし、光波は測定光検出器によって部分的に吸収される。光源は、通常、赤外線を放射する光源であり、そのときに使用される方法は、通常、NDIR検出と呼ばれ、NDIRは、非分散型赤外線の頭字語である。このような原理は、頻繁に実施されており、例えば、米国特許第5026992号明細書及び国際公開第2007/064370号に記載されている。
ガスが存在するときの光波とガスが存在しないときの光波とを比較することにより、ガスの吸収を特徴付けることができる。例えば、「吸収型NDIR(absorption-based NDIR)」と呼ばれる技術の場合、ガス中のガス種の量を決定することが問題となる。
一般に、光源はパルス光源である。測定光検出器は、各パルスで、ガスによって透過される光波の強度に依存する信号を送出する。したがって、光検出器によって生成される信号は、パルスから形成され、その振幅は、光源によって放射される光波のガスによる吸収に依存する。吸収が大きいほど、振幅は小さくなる。パルスの振幅を測定することにより、吸収を推定することができ、後者は、吸収に起因するガス種の量と相関関係がある。したがって、振幅を測定することで、測定したいガス種の量を評価することができる。光検出器によって送出される信号は、光源のパルスの外側に位置する最小値と、光源のパルスから生じる最大値とを含む。振幅は、最大値と最小値との比較によって、又は光検出器によって送出される信号のスペクトル分析によって測定することができる。
光源のパルスは、通常、約1Hzの周波数で生成される。センサを長期間、例えば数ヶ月連続して使用すると、光源が劣化し、その結果、放射される光波のパルスの振幅が減少する。このため、ある種のデバイスは、ガスに吸収されないと考えられるスペクトルバンドにおける各パルスの振幅を測定するために、参照光検出器を備える。参照光検出器はまた、光源と参照光検出器との間にガスが存在しないようなものであってもよい。参照光検出器を使用すると、吸収がない場合に光検出器に到達する光波を推定することができ、光源のパルスの振幅の漸進的な減少を考慮することができる。これは、例えば、国際公開第2018/149799号又は国際公開第2018/162848号に記載されている。
本発明者は、光源の劣化を遅らせるため、及び/又は光検出器によって生成された信号の可能なスペクトル分析を容易にするために、現在のデバイスを改善することを提案する。
本発明の第1の主題は、ガス中に存在するガス種の量を測定する方法であって、前記ガス種は、吸収スペクトルバンドで光を吸収することが可能であり、以下のステップを含む方法である。
a)前記ガスを光源と測定光検出器との間に配置し、前記光源は、前記ガスを通して前記測定光検出器に伝搬する光波を発することが可能であり、
b)前記光源が光パルスを放出するように、前記ガスを照射するように前記光源を作動させ、
c)前記測定光検出器を用いて、前記ガスが照明の過程で透過する光波の測定強度と呼ばれる強度を、前記吸収スペクトルバンドを含む測定スペクトルバンドで測定し、
ステップb)において、前記光源にパルス活性化信号を供給することを特徴とし、前記活性化信号は電気パルスを含み、各電気パルスは、初期時間と最終時間との間に延び、各電気パルスは、以下を含む。
-前記初期時間から初期継続期間延び、その過程で前記活性化信号が初期レベルにある、初期期間。
-前記初期期間の後の公称期間であって、活性化信号が前記初期レベルよりも厳密に低い公称レベルに維持され、前記初期継続期間よりも長い公称継続期間を有する、公称期間。
前記初期継続期間は、2ms~20ms、好ましくは5ms~15msであってよい。前記公称継続期間は、20ms~150ms、好ましくは50ms~100msであってよい。
前記公称期間は、前記初期期間に連続し、前記初期期間の終了は、前記公称期間の開始に対応する。
一実施形態によれば、前記初期期間において、前記活性化信号は、前記初期継続期間の間、前記初期レベルに維持される。
一実施形態によれば、前記公称期間は、前記最終時間まで延びる。
一実施形態によれば、前記公称期間の後に最終期間が続き、最終継続期間から前記最終期間までの間に、前記活性化信号が前記公称レベルを下回って減少する。前記最終継続期間は、前記初期継続期間よりも長くてもよい。前記最終継続期間は、前記公称継続期間よりも短くてもよい。本実施形態によれば、前記公称期間の終了は、前記最終期間の開始に相当する。
前記最終期間の間、前記活性化信号は、例えば、連続関数、線形関数又は正弦関数などにより、前記最終時間まで徐々に減少してもよい。
前記最終継続期間は、10ms~100ms、好ましくは、20ms~50msであってよい。
本発明の第2の主題は、ガス中のガス種の量を決定するセンサであって、以下を含むセンサである。
-ガスに伝搬する光波を発するように構成され、前記光波は、ガス種の吸収スペクトルバンドに存在する、光源。
-前記ガスを透過した光波を検出可能であって、様々な測定時間において、測定スペクトルバンドにおける測定強度と呼ばれる強度を測定する、測定光検出器。
-活性化信号を前記光源に送信するように構成されるパルス発生器であって、前記活性化信号はパルスから形成され、各パルスは、以下を含む。
・前記初期時間から初期継続期間まで延び、その過程で前記活性化信号が初期レベルにある、初期期間。
・前記初期期間の後の公称期間であって、活性化信号が前記初期レベルよりも厳密に低い公称レベルに維持され、前記初期継続期間よりも長い公称継続期間を有する、公称期間。
一実施形態によれば、前記センサは、以下を含む。
-前記光源から放射される参照光波の参照強度と呼ばれる強度を、参照スペクトルバンドにおいて、前記様々な測定時間において測定するように構成されている、参照光検出器。
一実施形態によれば、前記センサは、以下を含む。
-前記初期継続期間は、2ms~20ms、好ましくは、5ms~15msである。
-及び/又は、前記公称継続期間は、20ms~150ms、好ましくは50ms~100msである。
一実施形態によれば、前記パルス発生器は、各パルスが、前記最終時間までの前記最終継続期間の間に、前記活性化信号が前記公称レベルを下回って減少する最終期間を含むように構成される。前記最終継続期間は、10ms~100ms、好ましくは20ms~50msであってよい。
他の利点及び特徴は、本発明の特定の実施形態の以下の説明からより明確に明らかになるであろう。これらの実施形態は、非限定的な実施例として提供され、以下の図に示されている。
図1Aは、本発明を実施することを可能にする装置の一例を示す。
図1Bは、黒体光源の発光スペクトルの概略図を示す。
図2Aは、従来技術による活性化信号を形成する電気パルスを示す。
図2Bは、図2Aのブレースによって示される時間範囲内で、従来技術による電気パルスが供給される光源によって放射される光パルスの形状を示す。
図2Cは、従来技術による活性化信号が供給された光源に露光された光検出器によって検出された光パルスの形状を示す。
図2Dは、本発明の一実施形態による、活性化信号が供給された光源に露光された光検出器によって検出された光パルスの形状を示す図である。
図3Aは、第1の実施形態による、活性化信号を形成する電気パルスの概略図である。
図3Bは、図3Aに示すような電気パルスを受けた光源によって生成される光パルスを示す。
図3Cは、図3Bの一部を拡大したものである。
図4は、第2の実施形態による、活性化信号を形成する電気パルスの概略図である。
図5Aは、従来技術及び第2の実施形態のそれぞれに係る活性化信号により活性化された光源が発する光波を示す記録図である。
図5Bは、従来技術及び第2の実施形態のそれぞれに係る活性化信号により活性化された光源から発せられる光波を示す記録図である。
図6Aは、ガスセンサの光検出器によって生成される信号を示す。
図6Bは、図6Aの周波数分析である。
図1Aは、ガス分析装置1の一例である。この装置は、内部空間を定義する筐体5を備え、その内部空間は、
-光源11は、入射光波と呼ばれる光波12を放射することができ、内部空間に存在するガスGを照明する。入射光波12は、照明スペクトルバンドΔ12にある。
-測定光検出器と呼ばれる光検出器20は、ガスGが透過した光波14を入射光波12の照射の影響下で検出する。光波14は、測定光波という用語で表される。そして、測定光検出器20により測定スペクトルバンドΔ20で検出される。
-参照光検出器20refは、参照スペクトルバンドΔrefにおいて参照光波と呼ばれる光波12refを検出するように構成されている。参照スペクトルバンドΔrefは、光波12のガスGによる吸収が無視できると考えられるスペクトルバンドである。参照スペクトルバンドΔrefは、測定スペクトルバンドΔ20と異なる。参照光検出器は任意である。
ガスGは、ガス種G、量c(k)を含み、例えば、その濃度は、測定時間kで決定することが望ましい。このガス種は、吸収スペクトルバンドΔにおいて光の測定可能な部分を吸収する。
光源11は、入射光波12を、近紫外光と中赤外光との間、例えば200nmと10μmとの間、最も多くは1μmと10μmとの間に延びる可能性がある照明スペクトルバンドΔ12において放射することができる。分析ガス種Gの吸収スペクトルバンドΔは、照明スペクトルバンドΔ12に含まれる。光源11はパルス光源であり、入射光波12は、一般に100msと1sとの間で構成される継続期間(duration)のパルスである。光源11は、特に、フィラメントが400℃から800℃の間の温度に浮遊及び加熱されるフィラメント光源であり得る。発光スペクトルバンドΔ12における発光スペクトルは、黒体の発光スペクトルに対応する。
測定光検出器20は、好ましくは、光学フィルタ18と関連し、ガス種の吸収スペクトルバンドΔの全て又は一部を包含する測定スペクトルバンドΔ20を定義する。
この例では、測定光検出器20はサーモパイルであり、検出された光波の強度に応じた信号を送出することができる。あるいは、測定光検出器は、フォトダイオード又は別のタイプの光検出器であってもよい。
参照光検出器20refは、測定光検出器20の横に配置され、後者と同じタイプである。参照光学フィルタ18refと呼ばれる光学フィルタに関連付けられる。参照光学フィルタ18refは、参照スペクトルバンドΔrefを定義し、これは、問題の気体種によって吸収されない波長の範囲に対応する。参照帯域幅Δrefは、例えば波長3.91μmを中心としたものである。
測定時間kにおける測定光検出器20によって検出される光波14の強度I20(k)は、測定強度と呼ばれ、Beer-Lambertの法則に従って、測定時の量c(k)に依存する。
Figure 0007522734000001
ここで、
-μ(c(k))は、時間kにおける量c(k)に依存する吸収係数である。
-lは筐体5内で光波が通過するガスの厚さである。
-I(k)は、時間kにおける入射光波の強度であり、測定スペクトルバンドΔ20における光波の強度に対応し、筐体5内に吸収性ガスが存在しない状態で測定光検出器20に到達する。
20(k)とI(k)とを比(I20(k)/I(k))の形で比較することにより、時間kにおいて問題のガス種によって生成される吸収abs(k)を定義することができる。
装置は、メモリ32に接続された処理ユニット30、例えばマイクロプロセッサを含む。各測定時間kにおける分析物の量c(k)を決定するために、処理ユニットは、測定光検出器20及び参照光検出器20refによってそれぞれ検出された信号を受け取る。
したがって、光源11からの各パルスの間に、μ(c(k))を決定することが可能であり、これにより、c(k)とμ(c(k))の関係が既知である場合に、c(k)を推定することができる。
式(1)は、入射光波12の強度I(k)が測定時間kにおいて既知であることを前提としている。この強度は、参照光検出器によって検出された光の強度から決定される。
上述のように、光源はパルス化される。測定時間kは光パルスに対応する時間である。
したがって、種々の測定時間は、種々の光パルスにそれぞれ対応する。
図1Bは、黒体光源、すなわちプランクの法則に従う光源の発光スペクトルの概略図である。
Figure 0007522734000002
ここで、
-L(λ,Temp)は、波長λと黒体の表面温度Tempに依存する輝度である。
-hはプランク定数である。
-Bはボルツマン定数である。
-cは空気中の光の速度である。
光源11の照明スペクトルSは、光源が温度Tempのときの輝度L(λ、Temp)のλの関数としての変化に対応する。一般に、温度は400℃~800℃である。
光源11は電気パルス発生器10によって制御され、電気パルス発生器10は、光源を作動させるために活性化信号(activation signal)を送出する。活性化信号Vは、光源11に供給される電気信号である。これは、電気パルスimpから形成され、各電気パルスは、光源による光パルスimpの放射を生成する。活性化信号のレベルは、光源によって供給される各光パルスの振幅を設定する。レベルとは、活性化信号の電流又は電圧レベルを意味する。本文中の残りの部分では、活性化信号は、光源の端子間の電圧を設定するものとみなされる。あるいは、光源が供給される活性化信号の電流の問題であってもよい。
図2Aは、従来技術による活性化信号Vにおける時間の関数としての変動V(t)を示す。活性化信号は、一定の継続期間Δtにわたって延びる電気パルスimpを含む。活性化信号Vは、規則的な矩形パルスからなる不連続な時間依存関数の形をとる。各矩形パルスは、電気パルスの継続期間の間、活性化信号を実質的に一定の公称レベル(nominal level)Vまで上げることによって得られることに留意されたい。実質的に一定とは、統計的変動の範囲内、例えば±5%又は±10%の範囲内で同じ値を維持することを意味する。
本発明者らは、上述のような光源11に、図2Aに示すような規則的な矩形パルスから形成された活性化信号Vを供給した。彼らは光源によって発生された光にフォトダイオードを露光した。図2Bは、フォトダイオードによって送信される信号Vout(t)における時間の関数としての変動を、その最大値に関して正規化して示す。図2Bは、図2Aのブレースによって示される時間間隔の間にフォトダイオードによって送信される信号を示す。なお、本発明者らは、この種の光検出器は、光源に対して応答時間が短いため、フォトダイオードを用いてこの試みを行った。したがって、信号Voutは、光源によって生成された光波12の強度Iを表すと考えることができる。
光源11の活性化信号Vの電気パルスの継続期間Δtは260msであった。公称レベルVは1100mVであった。最大値で正規化した活性化信号における時間の関数としての変動Vを、黒の点線で模式的に示した。
光源から放射される光波の強度Iは、予想されたように、光パルスimpの形をとることが分かる。しかしながら、光パルスimpは、電気パルスimpに対して待ち時間を有することも分かる。これにより、活性化信号の電気パルスと光源11の光パルスとの間に時間差が生じる。時間差は次のように現れる。
-各電気パルスimpの開始時に、光パルスimpの立ち上がり時間tとして、電気パルスimpに対する光パルスの立ち上がりの間の遅延を誘発する。立ち上がり時間は、この例では40msより長い。
-impの立ち下がり時間tとして、電気パルスに対する光パルスの立ち下がり中の遅延を誘発する。立ち下がり時間は、この例では約40msである。
立ち上がり時間及び立ち下がり時間の存在により、各光パルスimpは、図2Cに概略的に示すような形状を有する。各光パルスの最大レベルImaxは、立ち上がり時間tの存在により、電気パルスの開始に対して遅れている。さらに、立ち下がり時間tが存在するため、各光パルスの減少は、τが立ち下がり時間tに依存する時定数であるe-t/τ型の方程式に関する時間依存型を有する。
図2Cに見られるように、各光パルスは、測定光検出器20の問題であるか参照光検出器20refの問題であるかにかかわらず、光検出器によって測定された信号に関して、正弦波の形状にならない。したがって、測定光検出器20(又は参照光検出器20ref)で測定された信号を周波数解析する際には、光検出器と処理ユニット30との間にフィルタ、例えばアナログフィルタを配置する必要がある。このフィルタは、図2Dに示すように、測定された信号を正弦波にするように整形することができる。
本発明の目的は、アナログフィルタを必要としないように、光源によって放射される各光パルスの形状を調整するために、活性化信号の各電気パルスの形状を修正することである。
第1の実施形態によれば、各光パルスの立ち上がり時間tを短くして、各光パルスの継続期間を短くすることができる。第2の実施形態によれば、測定光検出器20及び任意の参照光検出器20refによって生成される信号の処理を容易にするために、立ち下がり中の光波の形状を適応させることが求められる。
上述したように、各測定時間kは、各光パルスの最大強度Imaxに対応するように選択されることが好ましい。立ち上がり時間tが長いほど、測定時間は、活性化信号Vの電気パルスの開始に対してオフセットされなければならない。オフセットは、測定時間を光パルスが最も高い時間に対応させることを可能にする。
光パルスの立ち上がり時間tを短縮するために、本発明者らは、光源11の制御に用いられる活性化信号Vの各電気パルスの振幅を変調することを提案する。これが本発明の第1の実施形態であり、図3A~3Cを参照して説明する。
図3Aは、光パルスの立ち上がり時間tを減少させる形状の電気パルスの例を示す。電気パルスは、初期時間tと最終時間tの間に延びる。初期時間tと第1時間tとの間では、活性化信号Vは、初期継続期間(initial duration)Δtが続く初期期間(initial period)Tの間、初期レベルVにある。好ましくは、初期期間T中、活性化信号は、初期レベルV、又は実質的にこのレベルに維持される。この用語は、統計的変動、好ましくは±5%又は±10%未満の変動を実質的に意味することを想起されたい。
初期期間Tの終了時に、活性化信号は公称レベルVに到達し、そこで、公称継続期間(nominal duration)Δtが続く公称期間(nominal period)Tの間維持される。公称レベルは、光源の従来の供給レベルに対応する。公称期間Tは、第1時間tと第2時間tの間に延びる。図3Aに示す実施形態では、第2時間tは、最終時間tと同じである。公称レベルVは、初期レベルVよりも低い。初期レベルVは、少なくとも10%、さらには少なくとも15%又は20%、公称レベルVよりも高いことが好ましい。好ましくは、公称継続期間Δtは、初期継続期間Δtiよりも長い。例えば、公称継続期間Δtは、初期継続期間Δtiより少なくとも1.5倍長い。公称期間Tの終わりに、活性化信号は0又は最小値に減少する。この例では、公称継続期間Δtの終了は、最終時間tと一致するが、これは必須ではない。したがって、1つの変形例によれば、活性化信号は、第2時間tの後、最終時間tまで減少する。この減少は、第2時間tから最終時間tまでの最終期間(final period)Tに相当する。
一般に、初期継続期間Δtiは、公称継続期間Δtよりも短い。
初期継続期間Δtiは、好ましくは2ms~20ms、好ましくは5ms~15msである。公称継続期間Δtは、好ましくは20ms~150ms、好ましくは50ms~100msである。
図3Aに示す例では、各電気パルスの継続期間Δtは、初期継続期間Δtと公称継続期間Δtとの和に対応する。
図3Bでは、フィラメント光源11に露光されたフォトダイオードによって測定された信号Voutの時間の関数としての変動が示されている。光源11は、図3Aに概略的に示すような電気パルスから形成されるパルス活性化電流Vによって活性化される。図示されている例では、初期レベルV及び公称レベルVは、それぞれ2000mV及び1100mVに等しい。初期時間はt=0msである。各電気パルスの合計継続期間Δtは260msに等しい。様々な初期継続期間Δtがテストされている。0ms(先行技術に対応する)、3ms、5ms、7ms、10ms、及び12msである。各初期継続期間Δtは図3Bに示されている。各光パルスの合計期間が260msに等しくなるように、公称期間TΝの公称継続期間Δtを調整した。
フォトダイオードの応答時間が無視できるため、図3Bに示すパルスは、活性化信号の各電気パルスに応答して光源から放射される光パルスを表している。
1000mVの値は、従来の構成で放射された光波の最大強度Imaxに対応する。図3Cは、図3Bの詳細であり、初期時間tからの最初の100ミリ秒を示している。なお、初期継続期間Δtが短い場合(0ms、3ms、5ms)、光パルスは初期時間tに対して一定の遅延を受ける。遅延は、80ms(Δt=0ms)、又は60msに近い(Δt=3ms、Δt=5ms)。遅延は、立ち上がり時間t、すなわち光波が最大レベルImaxに達する初期時間tに対する遅延に相当する。初期継続期間Δtが10ms又は12msの場合、光パルスの立ち上がり時間tが短い。しかしながら、最初の40ミリ秒の間に、光パルスは、通常、光源の公称強度を上回る「オーバーシュート(overshoot)」と呼ばれる強度ピークを形成する。この強度ピークは、光源の早期の劣化を引き起こす可能性があるため、望ましくない。選択された初期レベル及び選択された公称レベル(V=1100mV-V=2000mV)を考慮すると、7msの初期継続期間Δtが最適であり、立ち上がり時間tは20msよりも短く、立ち上がり時間中の光強度の変化は単調であり、最大レベルImaxまで徐々に増加する。公称レベルVの値は、初期レベルVの値に応じて選択されるものであり、VとVとの差が大きいほど、初期継続期間Δtが小さくなる。
、Δt、又はVの様々な値をテストして、光検出器において最適と考えられるパルス形状を得ることは、当業者の能力の範囲内である。Vの値が高すぎると、消費電力が著しく増加する可能性があることが考慮される。このような初期継続期間Δtを考慮すると、最大レベルImaxは、従来よりも迅速に到達する。これにより、各測定時間kを各パルスの初期時間に近づけることができるので、各光パルスの持続時間を短縮することができる。具体的には、測定時間は、光パルスが最大強度Imaxに達した時間である。光パルスの立ち上がり時間tを減少させることによって、最大強度Imaxがより迅速に到達する。パルスの最終時間tは、最大強度Imaxの数ms後又は数十ms後になるように選択することができる。この結果、光パルスの合計継続期間が短縮される。光パルスの継続期間を短くすることにより、光源11の劣化を遅らせる。図3Bに示す例では、発明者らは、光パルスの継続期間が150msに短縮され得ると推定する。
第1の実施形態と同時に実施されてもよいし、第2の実施形態とは独立して実施されてもよい別の実施形態によれば、主な目的は、立ち下がり中の光パルスの形状を最適化することである。この第2の実施形態によれば、立ち上がり時間tの短縮を図ることもできる。この実施形態によれば、図4に示すように、公称期間Τの終わり、すなわち第2時間tの後、電気パルスimpは、最終時間tまで徐々に減少する。第2時間tと最終時間tで区切られる期間が最終期間Tである。図4に示す例では、電気パルスは、第1の実施形態で説明したような初期継続期間Δtを含む。公称期間Tは、第2時間tで終了する。活性化信号が徐々に減少する最終期間Tは、公称期間Tの後にある。
好ましくは、最終期間Tの最終継続期間(final duration)Δtは、公称期間Tの公称継続期間Δtよりも短く、例えば、公称期間Tの公称継続期間Δtの少なくとも1.5倍短いか、又は少なくとも2倍短い。好ましくは、最終継続期間Δtの期間は、初期継続期間Δtの期間よりも長い。最終期間Tの最終継続期間Δtは、10ms~100ms、好ましくは20ms~50msとすることができる。最終期間Tの間、活性化信号は公称レベルVよりも低く、初期レベルVよりもさらに低い。
図4に示す例では、各電気パルスの継続期間Δtは、初期継続期間Δt、公称継続期間Δt、及び最終継続期間Δtの和に対応する。
好ましくは、最終期間Tの過程で、活性化信号の立ち下がりは、単調減少関数、例えば、そして有利には、正弦関数に従う。
この実施形態によれば、光パルスimpは、図2Dに示されるように、実質的に正弦波的に減少する。
図4に示される電気パルスimpは、図3A~3Cを参照して説明されるように、初期期間Tを含む。
1つの変形例によると、パルスは初期期間Tを含まない。その場合、初期時間tは、公称期間Τの第1時間tと同じとなる。
いずれの実施形態であっても、活性化信号Vの各電気パルスは、以下のパラメータを有することができる。
-初期期間Tの初期継続期間Δt
-初期期間T中の活性化信号のレベルV
-公称期間T中の公称継続期間Δt
-公称期間T中の活性化信号のレベルV
-最終期間Tの最終継続期間Δt
-最終期間Tの間に活性化信号が従う関数
これらのパラメータは、求められる技術的効果、すなわち光パルスの立ち上がり時間tの減少及び/又は光波の立ち下がりの最適化に応じて、ケースバイケースで決定され得る。パラメータは、例えば、光源を作動させ、光検出器によって検出された信号の変動を観察することによって決定することができる。後者は、センサによって使用される測定光検出器20であってもよく、又は、活性化信号が形成される電気パルスの形状のパラメータを調整するために使用される特定の光検出器、例えばフォトダイオードであってもよい。光源の消費電力が考慮されてもよい。
図5A及び5Bは、オシロスコープのスクリーンショットである。これらの各図には、フィラメント光源の活性化信号Vを形成する電気パルスimpが示されている。光源によって生成された光波に露光された光検出器によって生成された信号Voutの時間の関数としての変動も示されている。光検出器は、測定光検出器20又は参照光検出器20refを表す。
図5Aは、従来技術による構成を示し、活性化信号Vは、矩形の電気パルスimpを形成する。図5Bは、本発明による構成を示し、活性化信号Vは、図4を参照して説明したようなものである。初期期間Tの間の初期レベルV、公称期間Tの間の公称レベルV、及び最終期間Tの間における、正弦関数による活性化信号の立ち下がりが、全て見られる。図5Bでは、活性化信号のパルスのパラメータ化により、光検出器によって放射された信号が得られ、その形状は正弦波に近い。上述したように、このような形状は、測定光検出器20によって生成された信号のスペクトル分析を行う場合に望ましい。
図6Aは、図1Aに示されるようなガスセンサの測定光検出器(サーモパイル)20によって生成される信号を示す。測定光検出器20は、光源11が発生する光波に露光された。光源11は、図4に示すように、活性化信号によって活性化された。この例では、パルスのパラメータは次のとおりであった。
-初期期間Tの初期継続期間Δt=8ms
-初期期間T中の活性化信号のレベルV=1.3V
-公称期間Tの公称継続期間Δt=1.9V
-公称期間T中の活性化信号のレベルV=45ms
-最終期間Tの最終継続期間Δt=35ms
-最終期間Tの過程で従う関数:正弦関数
測定光検出器20によって生成された信号は、光源によって生成された3つの光パルスに対応する3つのパルスを含む。
光検出器で生成された信号は、様々な周波数に対応するスペクトルパワーを得るために、高速フーリエ変換を適用した後、周波数解析を受ける。図6Bは、周波数(x軸)の関数としてのスペクトルパワー(y軸)を示す。ピークは7Hzに近い周波数で観測される。
この実施形態では、公称期間Tの公称継続期間Δtを短縮することができるため、光源の劣化を制限することができる。本発明者らは、本実施形態により、公称期間の公称継続期間を260msから45msに短縮できると推定している。
本発明を実施するセンサ(第2の実施形態)と、図2Aに示すように一定の間隔で光源に電力を供給する従来のセンサとを用いて、1週間にわたって試験を行った。各センサについて、光パルスの繰返し率(repetition rate)は1パルス/秒であった。各センサについて、光源の劣化を測定した。この劣化は各パルスの最大強度の減少を評価することにより決定した。従来技術のデバイスでは、本発明を実施した場合の0.1%に対して、3.3%の光源の劣化の減少が観察された。
したがって、本発明による活性化信号Vのパラメータ化は、以下を行うことができる。
-図3Aから3Cを参照して説明したように、各光パルスの継続期間を短縮することができるように、迅速な光波の立ち上がり時間を支持し、これにより、光源の劣化を遅らせることができる。
-及び/又は、図4、図5A及び図5Bを参照して説明したように、測定光検出器及び任意の参照光検出器によって生成された信号が、信号整形フィルタ(signal-shaping filter)を使用することなくスペクトル分析を受けることができるように、光波の正弦波形状を支持する。これはまた、光パルスの立ち上がり時間の減少を想定することができ、これもまた、光源の劣化の遅延に寄与することに留意されたい。
本発明は、大気汚染の監視、食品加工、工業プロセスの監視、燃焼ガスの監視などの用途のために、ガスセンサが装備されている光源を制御するために使用される可能性がある。

Claims (16)

  1. ガス中に存在するガス種(G)の量(c)を測定する方法であって、前記ガス種は、吸収スペクトルバンド(Δ)で光を吸収し、以下のステップを含む方法。
    a)前記ガスを光源(11)と測定光検出器(20)との間に配置し、前記光源(11)は、前記ガスを通して前記測定光検出器(20)に伝搬する光波(12)を発するように構成され、
    b)前記光源が光パルスを放出するように、前記ガスを照射するように前記光源(11)を作動させ、前記光パルスは立ち上がり時間を有し、
    c)前記測定光検出器(20)を用いて、前記ガスが照明されている間に透過する光波(14)の測定強度(I(k))を、測定スペクトルバンド(Δ20)で測定し、前記測定スペクトルバンド(Δ 20 は前記吸収スペクトルバンド(Δ)を含み、
    ステップb)において、前記光源にパルス活性化信号(V)を供給し、前記活性化信号は電気パルスを含み、各電気パルスは、初期時間(t)と最終時間(t)との間に延び、各電気パルスは、前記光パルスの前記立ち上がり時間を短くするために、以下を含む。
    -前記初期時間(t)から初期継続期間(Δt)延び、その過程で前記活性化信号(V)が初期レベル(V)にある、初期期間(T)。
    -前記初期期間(T)の後の公称期間であって、前記活性化信号が前記初期レベル(V)よりも厳密に低い公称レベル(V)に維持され、前記初期継続期間(Δt)よりも長い公称継続期間(Δt)を有する、公称期間(T)。
  2. 前記初期継続期間(Δt)は、2ms~20msである
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記公称継続期間(Δt)は、20ms~150msである
    請求項1に記載の方法。
  4. 前記初期期間(T)において、前記活性化信号(V)は、前記初期継続期間(Δt)の間、前記初期レベル(V)に維持される
    請求項1に記載の方法。
  5. 前記公称期間(T)は、前記最終時間(t)まで延びる
    請求項1に記載の方法。
  6. 前記公称期間(T)の後に最終期間(T)が続き、前記最終時間(t )まで最終継続期間(Δt延びる前記最終期間(T )の間に、前記活性化信号が前記公称レベル(V)を下回って減少する
    請求項1に記載の方法。
  7. 前記最終継続期間(Δt)は、前記初期継続期間(Δt)よりも長い
    請求項6に記載の方法。
  8. 前記最終継続期間(Δt)は、前記公称継続期間(Δt)よりも短い
    請求項6に記載の方法。
  9. 前記最終期間(T)の間、前記活性化信号は、前記最終時間(t)まで徐々に減少する
    請求項6に記載の方法。
  10. 前記最終期間(T )の間、前記活性化信号は正弦関数に従って前記最終時間(t )まで徐々に減少する、
    請求項9に記載の方法。
  11. 前記最終継続期間(Δt)は、10ms~100msである
    請求項6に記載の方法。
  12. ガス(G)中のガス種(G)の量(c)を決定するセンサ(1)であって、以下を含むセンサ。
    -ガス(G)に伝搬する光波(12)を発するように構成され、前記光波は、ガス種(G)の吸収スペクトルバンド(Δ)に存在する、光源(11)。
    -前記ガスを透過した光波(14)を検出するように構成され、様々な測定時間(k)において、測定スペクトルバンドにおける測定強度(I(k))を測定する、測定光検出器(20)。
    -活性化信号を前記光源に送信するように構成されるパルス発生器(10)であって、前記活性化信号はパルスから形成され、各パルスは、以下を含む。
    ・初期時間から初期継続期間延び、その過程で前記活性化信号が初期レベル(V)にある、初期期間(T)。
    ・前記初期期間の後の公称期間であって、活性化信号が前記初期レベルよりも厳密に低い公称レベル(V)に維持され、前記初期継続期間よりも長い公称継続期間を有する、公称期間(T)。
  13. さらに、以下を含む、請求項12に記載のセンサ。
    -光源(11)から放射される参照光波(12ref)の参照強度(ref(k))を、参照スペクトルバンドにおいて、前記様々な測定時間(k)において測定するように構成されている、参照光検出器(20ref)。
  14. 請求項12に記載のセンサであって、以下を含むセンサ。
    -前記初期継続期間(Δt)は、2ms~20msである。
    -及び/又は、前記公称継続期間(Δt)は、20ms~150msである。
  15. 前記パルス発生器は、各パルスが、最終時間(t)まで最終継続期間(Δt延びる最終期間(T の間に、前記活性化信号が前記公称レベル(V)を下回って減少する、前記公称期間の後の前記最終期間(T)を含むように構成される
    請求項12~14のいずれか1項に記載のセンサ。
  16. 前記最終継続期間は、10ms~100msである
    請求項15に記載のセンサ。
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