JP5087526B2 - 散乱吸収体計測方法及び散乱吸収体計測装置 - Google Patents

散乱吸収体計測方法及び散乱吸収体計測装置 Download PDF

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Description

本発明は、生体等の散乱吸収体の内部情報を計測するための散乱吸収体計測方法及び散乱吸収体計測装置に関する。
生体等の散乱吸収体の内部情報を計測する装置として、光マンモグラフィ装置等の時間分解分光法(TRS:Time Resolved Spectroscopy)を用いた散乱吸収体計測装置といった、散乱吸収体の内部を伝播したパルス光を用いる装置がある。このような装置で計測された光の時間分解波形には、計測対象とする散乱吸収体の時間応答特性の他、装置自体の時間応答特性(装置関数)が含まれている。従って、データ解析を行う際には、計測波形から装置関数の影響を除去する、即ち、データの校正を行う必要がある。
現状の光マンモグラフィ装置では、実際に計測した装置関数を用いてデータの校正を行っている。装置関数を計測する際、ガントリ部に設置した多数の照射用及び検出用の光ファイバを取り外して装置関数計測用モジュールに付け替え、装置関数の計測終了後に再び光ファイバにガントリ部に設置する必要がある。そのため、この方法では作業時間と計測時間とが長くなる点が問題となる。
この問題点を改善するために、装置関数を導出することなく計測対象とする散乱吸収体の計測波形を校正する、特許文献1に記載された方法が提案された。この方法では、計測対象とする散乱吸収体の計測波形及び光学係数(吸収係数及び散乱係数)が既知であるリファレンス用の散乱吸収体の計測波形とその理論波形とを用いて、計測対象とする散乱吸収体の計測波形の校正を行う。これによって、より簡易に装置関数を考慮した散乱吸収体の内部情報の取得が可能となった。
特開2008−2908号公報
しかしながら、特許文献1に記載された上記の方法を用いると、校正処理を行う際に計測波形にノイズが影響し処理後の波形が大きく歪んでしまうことがあった。処理後の波形の歪みは、その後に算出される内部情報の正確性にも影響を及ぼしえる。このような状況から、計測波形にノイズが含まれる場合であっても、より正確かつ簡易に装置関数を考慮して散乱吸収体の内部情報を取得する方法が求められていた。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、計測波形にノイズが含まれる場合であっても、より正確かつ簡易に装置関数を考慮して散乱吸収体の内部情報を取得することができる散乱吸収体計測方法及び散乱吸収体計測装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る散乱吸収体計測方法は、計測対象の散乱吸収体及びリファレンス用の散乱吸収体に対して、所定波長のパルス光を光入射位置から入射する光入射ステップと、光入射ステップにおいて入射されて各散乱吸収体の内部を伝播したパルス光を光検出位置で検出して光検出信号を取得する光検出ステップと、光検出ステップにおいて検出された光検出信号に基づいて、光強度の時間変化を示す計測波形を取得する信号処理ステップと、信号処理ステップにおいて取得された計測対象の散乱吸収体での計測波形をP(t)、所定のパラメータを有する予め用意された関数によって示される計測対象の散乱吸収体での理論波形をP theory(t)、信号処理ステップにおいて取得されたリファレンス用の散乱吸収体での計測波形をP(t)、予め用意されたリファレンス用の散乱吸収体での理論波形をP theory(t)、コンボリューションを演算子“*”とそれぞれしたときに、以下の式
Figure 0005087526

に基づいてパラメータを特定する波形処理ステップと、波形処理ステップにおいて特定されたパラメータを有する関数によって示される計測対象の散乱吸収体での理論波形に基づいて、計測対象の散乱吸収体の内部情報を算出する内部情報算出ステップと、を含むことを特徴とする。
計測対象及びリファレンス用の散乱吸収体の計測波形には装置関数の影響が含まれている。従って、上記のような波形の関係に基づいて上記のパラメータを特定することによって、装置関数を算出することなく、計測対象の散乱吸収体の計測波形から装置関数の影響を除去した理論波形を得ることができる。また、計測対象の散乱吸収体の理論波形を所定のパラメータを有する予め用意された関数とすることによって、計測波形のばらつきの影響を防止することができる。即ち、計測波形にノイズが含まれる場合であっても、計測対象の散乱吸収体の理論波形をより正確に求めることができる。従って、本発明によれば、計測波形にノイズが含まれる場合であっても、より正確かつ簡易に装置関数を考慮して散乱吸収体の内部情報を取得することができる。
theory(t)を示す関数は、離散的な時刻tの関数であり、A、α、βをパラメータ、cを光速を示す値、γを光入射位置と光検出位置との間の距離を示す値とそれぞれしたときに、以下の式
Figure 0005087526

(ここで、
Figure 0005087526

である)で表されることが望ましい。上記の関数は、散乱吸収体内部の光伝播をより適切に示すものであるので、更に正確に計測対象の散乱吸収体の理論波形を求めることができ、結果として、更に正確に散乱吸収体の内部情報を取得することができる。
ところで、本発明は、上記のように散乱吸収体計測方法の発明として記述できる他に、以下のように散乱吸収体計測装置の発明としても記述することができる。これはカテゴリが異なるだけで、実質的に同一の発明であり、同様の作用及び効果を奏する。
即ち、本発明に係る散乱吸収体計測装置は、計測対象の散乱吸収体及びリファレンス用の散乱吸収体に対して、所定波長のパルス光を光入射位置から入射する光入射手段と、光入射手段によって入射されて各散乱吸収体の内部を伝播したパルス光を光検出位置で検出して光検出信号を取得する光検出手段と、光検出手段によって検出された光検出信号に基づいて、光強度の時間変化を示す計測波形を取得する信号処理手段と、信号処理手段によって取得された計測対象の散乱吸収体での計測波形をP(t)、所定のパラメータを有する予め用意された関数によって示される計測対象の散乱吸収体での理論波形をP theory(t)、信号処理手段によって取得されたリファレンス用の散乱吸収体での計測波形をP(t)、予め用意されたリファレンス用の散乱吸収体での理論波形をP theory(t)、コンボリューションを演算子“*”とそれぞれしたときに、以下の式
Figure 0005087526

に基づいてパラメータを特定する波形処理手段と、波形処理手段によって特定されたパラメータを有する関数によって示される計測対象の散乱吸収体での理論波形に基づいて、計測対象の散乱吸収体の内部情報を算出する内部情報算出手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、装置関数を算出することなく、計測対象の散乱吸収体の計測波形から装置関数の影響を除去した理論波形を得ることができる。また、計測対象の散乱吸収体の理論波形を所定のパラメータを有する予め用意された関数とすることによって、計測波形にノイズが含まれる場合であっても、計測対象の散乱吸収体の理論波形をより正確に求めることができる。従って、本発明によれば、計測波形にノイズが含まれる場合であっても、より正確かつ簡易に装置関数を考慮して散乱吸収体の内部情報を取得することができる。
以下、図面とともに本発明に係る散乱吸収体計測方法及び散乱吸収体計測装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1に本実施形態に係る散乱吸収体計測装置10の機能構成を示す。図2に本実施形態に係る散乱吸収体計測装置10のハードウェア構成を示す。散乱吸収体計測装置10は、散乱吸収体の内部情報を計測するための装置である。散乱吸収体計測装置10の計測対象である散乱吸収体(Scattering Medium)は、自身に入射された光を散乱及び吸収するものであり、例えば生体である。また、計測される内部情報は、例えば、散乱吸収体の散乱係数及び吸収係数、並びに散乱吸収体に含まれている各成分の濃度である。本実施形態に係る散乱吸収体計測装置10は、これらの内部情報を計測することによって、例えば、乳癌の診断に応用される。なお、図2に示すハードウェア構成は、いわゆる時間相関光電子計数法と呼ばれる方法を用いて高速時間波形計測法を実施するための構成である。
図1及び2に示すように、散乱吸収体計測装置10は、光源20と、波長選択器21と、光検出器30と、光入射用の光ガイド40aと、光検出用の光ガイド40bと、信号処理部50と、演算処理部60とを備えて構成されている。
光源20は、散乱吸収体SMに入射するための、所定波長のパルス光を発生させる装置である。光源20により発生し散乱吸収体SMに入射されるパルス光としては、散乱吸収体SMの内部情報が計測できる程度に短い時間幅のパルス光が用いられ、通常は1ns以下の範囲の時間幅が選択される。光源20から発生したパルス光は、波長選択器21に入力される。光源20としては、発光ダイオード、レーザダイオード、及び各種のパルスダイオード等、様々なものを使用することができる。
波長選択器21は、光源20から入力されたパルス光を、所定波長に波長選択する装置である。光源20により発生し波長選択器21により波長選択されるパルス光の波長は、計測対象である散乱吸収体SMに応じて適宜、選択されるが、一般に例えば生体では、生体の透過率と定量すべき吸収成分の分光吸収係数との関係等から、700〜900nm程度の近赤外線領域の波長が用いられる。波長選択器21により波長選択されたパルス光は、光入射用の光ガイド40aの入力端に入力される。なお、複数の成分についての内部情報を計測する場合等、必要があれば光源20及び波長選択器21は、複数の波長成分のパルス光を計測光として入射可能に構成される。また、波長選択を行う必要がない場合等には、波長選択器21については、設置を省略してもよい。
光入射用の光ガイド40aは、その入力端で波長選択器21からパルス光の入力を受け付けて、その出力端から散乱吸収体SMに対して当該パルス光を入射するものである。光入射用の光ガイド40aは、その出力端が散乱吸収体SMの表面上の光入射位置Aに位置するように設置されている。光入射用の光ガイド40aは、具体的には、パルス光を伝達することができる光ファイバにより構成される。上記の光源20、波長選択器21及び光入射用の光ガイド40aは、散乱吸収体SMに対して、所定波長のパルス光を光入射位置Aから入射する入射手段を構成する。
光検出用の光ガイド40bは、その入力端で散乱吸収体SMの内部を伝播した光を入力させて、その出力端から光検出器30に当該光を出力するものである。光検出用の光ガイド40bは、その入力端が散乱吸収体SMの表面上の光検出位置Bに位置するように設置されている。光検出用の光ガイド40bは、具体的には、光を伝達することができる光ファイバにより構成される。
光検出器30は、光検出用の光ガイド40bから入力された光を検出するための装置である。光検出器30は、検出した光の光強度等を示す光検出信号S1を生成する。生成された光検出信号S1は信号処理部50に入力される。光検出器30としては、図3に示す光電子増倍管(PMT:Photomultiplier)の他、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、PINフォトダイオード等、様々なものを使用することができる。光検出器30の選択については、散乱吸収体計測に使用されるパルス光の波長の光が十分に検出できる分光感度特性を有していればよい。また、光信号が微弱であるときは、高感度あるいは高利得の光検出器を使用することが好ましい。上記の光検出器30及び光検出用の光ガイド40bは、光入射手段により入射されて散乱吸収体SMの内部を伝播したパルス光を光検出位置Bで検出して光検出信号を取得する光検出手段を構成する。
上述した光入射用の光ガイド40a及び光検出用の光ガイド40bは、それぞれ必ずしも一つでなくてもよい。例えば、乳癌の診断のために用いられる散乱吸収体計測装置10では、計測対象の散乱吸収体SMである乳房を入れることができるカップ状のガントリに複数のフォルダが設けられており、当該フォルダそれぞれに光ガイド40a,40bが差し込まれる。なお、各フォルダに差し込まれるのは、入射用の光ガイド40aと光検出用の光ガイド40bとが1本になった光ガイドとして、演算処理部60からの制御等により何れのフォルダ位置からでも入射及び検出の何れかができるようにしておくのがよい。
信号処理部50は、光検出器30及び光源20と電気的に接続されており、光検出器30により検出された光検出信号及び光源20からのパルス光出射のトリガ信号S2等に基づいて、光強度の時間変化を示す計測波形を取得する信号処理手段である。計測波形の情報は電子データD1として取得され、演算処理部60に入力される。
信号処理部50は、図2に示すように、コンスタント・フラクション・ディスクリミネータ(CFD)51、時間−振幅変換器(TAC)52及びADコンバータ(A/D)53で構成されている。光検出器(PMT)30からの出力信号である光検出信号は、CFD51を介してTAC52に導かれて時間に対応したアナログ電圧に変換され、更にADコンバータ53でデジタル信号に変換される。このデジタル信号は、検出光強度の時間変化を示す計測波形のデータに対応するものである。
なお、本実施形態に係る散乱吸収体計測装置10において、パルス光が入射されて当該パルス光の光強度の時間変化を示す計測波形が計測されるのは、後述するように、計測対象の散乱吸収体SM及びリファレンス用の散乱吸収体SMである。リファレンス用の散乱吸収体SMは、計測対象の散乱吸収体SMの計測波形から装置関数の影響を除去するために計測されるものである。リファレンス用の散乱吸収体SMとしては、計測対象の散乱吸収体SMと屈折率がほぼ等しく、また、吸光係数や散乱係数等の理論波形を算出するのに必要な光学パラメータが既知であるものを用いる。
演算処理部60は、信号処理部50と電気的に接続されており、信号処理部50から計測波形の情報の入力を受け付けて、当該計測波形の情報を用いて散乱吸収体SMの内部情報を算出する演算処理を実行する。演算処理部60は、上記の演算処理を行うために、図1に示すように、波形処理部61と、計測波形格納部62と、理論波形格納部63と、内部情報算出部64とを備えて構成されている。また、演算処理部60は、それ以外にも、光源20や光検出器30等、上記の各構成要素を制御する機能を更に備えているとよい。
波形処理部61は、信号処理部50により取得された計測波形に基づき、装置関数の影響を除去した計測対象の散乱吸収体SMの波形を取得するための波形処理手段である。即ち、波形処理部61は、計測対象の散乱吸収体SMの理論波形を取得する手段である。波形処理部61は、計測対象の散乱吸収体SMでの理論波形P theory(t)を、所定のパラメータを有する予め用意された関数で示されるものとする。波形処理部61は、この関数を予め記憶している。ここで、上記のtはパルス光が散乱吸収体SMに入射された時刻(≒光源20からパルス光が出射した時刻)を原点(t=0)として経過時間であり、関数値P theory(t)は各時刻における光強度を示す。
波形処理部61は、装置関数の影響を除去した計測対象の散乱吸収体SMの波形を取得するために、計測対象の散乱吸収体SMでの理論波形とリファレンス用の散乱吸収体SMでの計測波形とのコンボリューション演算の結果が、リファレンス用の散乱吸収体SMでの理論波形と計測対象の散乱吸収体SMでの計測波形とのコンボリューション演算の結果と等しくなるように演算処理を行う。即ち、波形処理部61は、計測対象の散乱吸収体SMでの計測波形をP(t)、リファレンス用の散乱吸収体SMでの計測波形をP(t)、予め用意されたリファレンス用の散乱吸収体SMでの理論波形をP theory(t)、コンボリューションを演算子“*”とそれぞれしたときに、以下の式
Figure 0005087526

が成り立つように上記のパラメータを特定することによって計測対象の散乱吸収体の理論波形P theory(t)を算出する。計測対象の散乱吸収体SMでの理論波形を表すための関数、及び波形処理部61による演算処理について、より具体的には後述する。波形処理部61により処理された波形の情報は、内部情報算出部64に出力される。
計測波形格納部62は、信号処理部50で所得された計測対象の散乱吸収体SMの計測波形及びリファレンス用の散乱吸収体SMの計測波形の情報(信号処理部50から演算処理部60に入力された上記の電子データD1)を格納するものである。計測波形格納部62に格納された情報は、波形処理部61による処理において適宜参照される。
理論波形格納部63は、予め用意されたリファレンス用の散乱吸収体SMの理論波形の情報を格納するものである。リファレンス用の散乱吸収体SMの理論波形については、例えば、リファレンス用の散乱吸収体SMの吸光係数や散乱係数等の光学パラメータから予め算出しておく。この算出は、例えば、有限要素法で行われる。それ以外でも、モンテカルロ法、差分法及びその他の解析解法等が用いられてもよい。理論波形格納部63に格納された情報は、波形処理部61による処理において適宜参照される。
内部情報算出部64は、波形処理部61により処理された計測対象の散乱吸収体SMの計測波形に基づいて、計測対象の散乱吸収体SMの内部情報を算出する内部情報算出手段である。内部情報の算出は、例えば、検出光の時間分解波形を利用する時間分解波形を利用する時間分解計測法(TRS法:Time Resolved Spectroscopy)、あるいは、変調光を利用する位相変調計測法(PMS法:Phase Modulation Spectroscopy)等による解析演算を適用することにより行われる。
上記の各構成要素を備える演算処理部60は、例えば、図2に示すようなハードウェア構成により実現される。演算処理部60においては、光源20及び信号処理部50にCPU(Central Processing Unit)70が電気的に接続されている。これによって、光入射に同期した光検出のタイミング等がCPU70によって制御されると共に、信号処理部50から出力された計測波形の情報は、CPU70に導かれて所定の演算処理が行われる。また、入射パルス光の波長等、計測光の入射条件についても、このCPU70によって制御あるいは選択される。
図2に示す演算処理部60は、更に、オペレーティングシステム(OS)71a及び所定の演算処理を行うための演算プログラム71bが記憶されたプログラムメモリ71と、各種データファイルが記憶されるデータファイルメモリ72と、得られた散乱吸収体SMの内部情報を示す情報を記憶するデータメモリ73と、作業用データを一時的に記憶する作業用メモリ74とを備えている。
プログラムメモリ71の演算プログラム71bには、上述した波形処理の演算や、内部情報を算出するための解析演算をそれぞれ実行するためのプログラム等が含まれている。また、データファイルメモリ72は、計測波形の情報を格納する計測波形格納部62、及び予め用意された理論波形の情報を格納する理論波形格納部63が含まれている。また、必要な物理量等の諸データや、予め入力された計測条件や既知値等のデータ等も記憶される。
また、演算処理部60は、データの入力を受け付けるキーボード75a及びマウス75bを備える入力装置75と、得られたデータを出力するディスプレイ76a及びプリンタ76bを備える出力装置76とを備えている。これらの演算処理部60の各部の動作は、何れもCPU70によって制御される。なお、上記の各メモリについては、コンピュータ内部に設置されているハードディスク等であってもよい。また、散乱吸収体計測装置10の具体的なハードウェア構成については図2に示すものに限られるものではなく、必要に応じて変形又は拡張を行ってもよい。
ここで、計測波形と、散乱吸収体に対する理論波形と、装置関数との関係、及び波形処理部61における演算処理について説明する。図5は、計測波形P(t)、理論波形Ptheory(t)、及び装置関数IF(t)の関係の一例を模式的に示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は、パルス光が散乱吸収体SMに入射された時刻を原点(t=0)とした経過時間tを示し、縦軸は、各時刻における光強度を示している。この光強度の経過時間tに依存した時間変化が、図示したそれぞれの時間波形となっている。
計測対象の散乱吸収体SMに対してパルス光を照射し、散乱吸収体SM内部を伝播して出射された拡散光は、理想的には理論波形Ptheory(t)で表される。散乱吸収体の内部情報は、この理論波形Ptheory(t)に基づいて算出されるべきである。しかしながら、計測装置を用いた散乱吸収体計測では、計測対象である散乱吸収体による時間応答とは別に、計測装置の各部、各回路に起因する装置関数IF(t)として、時間遅れや時間分散等の装置自体の時間応答を生じる。例えば、図1に示した散乱吸収体計測装置10では、光源20、波長選択器21、光検出器30、光ガイド40a,40b、信号処理部50、及びそれらの間の配線や回路等において、それぞれ時間応答を生じる。これらの時間応答を全て合わせたものを、散乱吸収体計測装置10自体の時間応答を表す装置関数とする。従って、信号処理部50で取得されて演算処理部60へと入力される計測波形P(t)は、散乱吸収体での理想的な計測波形(理論波形)Ptheory(t)に対して、上記の装置関数IF(t)が重畳(コンボリューション)されたのものとなる。
これに対して、本実施形態の散乱吸収体計測装置10では、(波形処理部61が)計測対象の散乱吸収体SMの理論波形とリファレンス用の散乱吸収体SMでの計測波形とのコンボリューション演算の結果が、リファレンス用の散乱吸収体SMでの理論波形と計測対象の散乱吸収体SMでの計測波形とのコンボリューション演算の結果と等しくなるように演算処理を行うことにより、計測対象の散乱吸収体SMの計測波形から装置関数の影響を除去する。具体的には、以下のように行う。
上述したように、計測対象の散乱吸収体SMでの計測波形をP(t)、リファレンス用の散乱吸収体SMでの計測波形をP(t)とし、それぞれの理論波形をP theory(t)、P theory(t)とする。また、装置関数をIF(t)とする。ここで、リファレンス用の散乱吸収体SMでの理論波形P theory(t)は、散乱吸収体SMの光学係数が既知であるため、予め得られている。計測波形は、理論波形に装置関数がコンボリューションされたものであるため、各々の波形の間には、次の式(1),式(2)に示す関係が成り立つ。
Figure 0005087526

これらの式をフーリエ変換すると、以下の式(3)と式(4)とが得られる。但し、フーリエ変換をF[・]と表記する。
Figure 0005087526
式(3),式(4)から次の式(5)に示す関係が得られる。
Figure 0005087526

式(5)を変形すると以下の式(6)になる。
Figure 0005087526

式(6)の逆フーリエ変換を行うと、次の式(7)が得られる。
Figure 0005087526

式(7)は、計測対象の散乱吸収体SMの理論波形とリファレンス用の散乱吸収体SMでの計測波形とのコンボリューション演算の結果が、リファレンス用の散乱吸収体SMでの理論波形と計測対象の散乱吸収体SMでの計測波形とのコンボリューション演算の結果と等しくなることを表している。従って、式(7)を満足するようにして求められたP theory(t)が、計測対象の散乱吸収体SMでの計測波形から装置関数の影響が除去されたものになる。
ここで、P theory(t)は、変数をtとし所定のパラメータを有する予め用意された関数として扱われる。波形処理部61による、式(7)を満足させるような関数の決定は、上記のパラメータを決定することで行われる。なお、P theory(t)を示す関数に含まれる決定対象となるパラメータは必ずしも1つでなくてもよく、後述するように複数のパラメータが含まれていてもよい。具体的には、例えば、最小二乗法を適用して、以下に示す式(8)を最小にするようなパラメータを決定する。ここでは、tを離散的な値t(n=0,1,…)(t=0)とし、上記の決定対象のパラメータ(の集合)をpとする。
Figure 0005087526

式(8)において、
Figure 0005087526

である。また、式(8)におけるNは、最小二乗法の解析で使用する時間範囲の最大値を表しており、予め設定された値である。例えば、N=1024であれば、t≦t≦t1023の範囲の値を用いて解析を行う。この時間範囲には、上記の各理論波形及び計測波形が含まれるようにされる。なお、tを離散的な値としているのは、通常、信号処理部50で得られる波形が、デジタル値である時刻に対応する光強度の値であるためであり、連続的な値として考慮されてもよい。
theory(t)を示す関数としては、上記のパラメータを与えれば波形が一意に決まり、散乱吸収体SM内部の光伝播を近似できる(表すことができる)関数を用いる。具体的には例えば、パラメータをA,α,βとして、
(即ち、列ベクトルの形で表したパラメータpは、
Figure 0005087526

である(Tは転置行列を意味する))、P theory(t)を示す関数f(p;t)として以下の式(9)を用いることができる。
Figure 0005087526

ここで、cは光速を示す値、γは光入射位置Aと光検出位置Bとの間の距離を示す値であり、設定値として予め波形処理部61に記憶されている情報である。また、
Figure 0005087526

である。散乱吸収体SM内部を伝播した光の時間的な強度変化(波形)は、およそ式(9)のような関数で表すことができる。従って、P theory(t)を近似するには式(9)のような形の関数が適している。
式(9)は、半無限媒質からの反射光として光拡散方程式から解析的に得られる式、
Figure 0005087526

において、
Figure 0005087526

としたものである。ここでR(p;t)は時刻tのときの光強度(pは、上記の光拡散方程式から解析的に得られる式におけるパラメータの集合を示す)、μは散乱吸収体の吸収係数、Dは散乱吸収体の拡散係数(=1/3μ´)、μ´は散乱吸収体の散乱係数、ρは光入射位置と光検出位置との間の距離、cは光速をそれぞれ示す値である。なお、本実施形態においては、半無限媒質でない形状の散乱吸収体SMに対して得られた波形を解析の対象とする場合にも式(9)を使用するため、式(9)における各パラメータに物理的な意味はない。
式(9)のように、所定のパラメータで波形が決まる関数を用いてP theory(t)を近似することにより、計測波形に含まれるノイズに影響されずに理論波形を求めることができる。即ち、P theory(t)を式(9)のような関数で近似せずに、直接求めた場合(各時刻におけるP theory(t)の値そのものを求めた場合)には、各時刻における計測データのばらつき(ノイズ)が影響を与える。一方、P theory(t)を式(9)で近似した場合、パラメータA,α,βを与えれば、各時刻におけるP theory(t)の値が一意に求まる。従って、各時刻における計測データのばらつきには影響されない。
上記のようにP theory(t)を近似する関数は式(9)を用いることが望ましいが、式(9)に限定されるものではない。所定のいくつかのパラメータを与えれば波形が一意に決まり、散乱吸収体SM内部の光伝播を近似できる関数であればどのようなものでも構わない。また、モンテカルロ法、有限差分法及び有限要素法等の数値計算によって得られた波形を示す関数を用いることも可能である。
引き続いて、図4のフローチャートを用いて、散乱吸収体計測装置10を用いて実行される本実施形態に係る散乱吸収体計測方法を説明する。散乱吸収体計測方法は、計測対象の散乱吸収体SMの内部情報を計測する方法である。
まず、本実施形態に係る散乱吸収体計測方法では、リファレンス用の散乱吸収体SMでの計測波形P(t)の取得が行われる(S01)。計測波形の取得は、具体的には、以下のように行われる。まず、散乱吸収体計測装置10の所定位置にリファレンス用の散乱吸収体SMを配置する(S01a)。この配置は、散乱吸収体計測装置10により散乱吸収体SMへのパルス光の入射及び散乱吸収体SMからの光検出ができるように行われる。例えば、散乱吸収体計測装置10が備えるガントリに光入射位置及び光検出位置が設けられる場合は、ガントリにリファレンス用の散乱吸収体SMを満たす。なお、上述したようにリファレンス用の散乱吸収体SMでの理論波形P theory(t)は、予め算出されており理論波形格納部63に格納されている。
続いて、散乱吸収体計測装置10では、光源20により発生し波長選択器21により波長選択されたパルス光が、光入射用の光ガイド40aを通って所定の光入射位置からリファレンス用の散乱吸収体SMに入射される(S01b、光入射ステップ)。入射されたパルス光は、散乱吸収体内部を散乱し、吸収されつつ伝播する。散乱吸収体計測装置10では、所定の光検出位置において、光検出用の光ガイド40bを通って光検出器30により検出される(S01c、光検出ステップ)。続いて、信号処理部50により、検出された光検出信号に基づいて、リファレンス用の散乱吸収体SMでの光強度の時間変化を示す計測波形P(t)が取得される(S01d、信号処理ステップ)。取得された計測波形P(t)の情報は、演算処理部60に出力され、計測波形格納部62に格納される。
ここで、光入射位置と光検出位置との組み合わせにより、散乱吸収体SMの内部情報を十分に取得できるように、パルス光を入射させる位置を何個所か移動させて上記の処理(S01b〜S01d)を繰り返し行い、複数の計測波形を取得するようにしてもよい。また、1個所からのパルス光の入射に対して、複数の光検出位置での光検出を行ってもよい。例えば、ガントリにおける10箇所の光入射位置でのパルス光の入射を行うようにし、1つの光入射位置に対して、30箇所の光検出位置での光検出を行うこととしてもよい。その場合、10×30の計測波形が取得される。
続いて、計測対象の散乱吸収体SMでの計測波形計測波形をP(t)の取得が行われる(S02)。計測対象の散乱吸収体SMでの計測波形計測波形をP(t)の取得は、以下のように行われる。まず、リファレンス用の散乱吸収体SMでの計測と同様に散乱吸収体計測装置10の所定位置に、計測対象の散乱吸収体SMを配置する(S02a)。例えば、散乱吸収体計測装置10が備えるガントリに計測対象の散乱吸収体SMである乳房を配置する。続いて、リファレンス用の散乱吸収体SMでの計測と同じ条件で、上記と同様に光入射、光検出及び計測波形P(t)の取得が行われる(S02b〜S02d、光入射ステップ、光検出ステップ、信号処理ステップ)。取得された計測波形P(t)の情報は、演算処理部60に出力され、計測波形格納部62に格納される。なお、リファレンス用の散乱吸収体SMでの計測波形P(t)の取得(S01)と、計測対象の散乱吸収体SMでの計測波形P(t)の取得(S02)とは順序が逆になってもよい。
続いて、演算処理部60の波形処理部61により計測波形格納部62から各計測波形P(t)及びP(t)とリファレンス用の散乱吸収体SMでの理論波形P theory(t)を示す情報が取得される。また、波形処理部61により、決定対象のパラメータを有する(自身により記憶されている)理論波形P theory(t)を示す関数が読み出される。続いて、上述したように、波形処理部61により、計測対象の散乱吸収体SMでの理論波形P theory(t)とリファレンス用の散乱吸収体SMでの計測波形P(t)とのコンボリューション演算の結果が、リファレンス用の散乱吸収体SMでの理論波形P theory(t)と計測対象の散乱吸収体SMでの計測波形P(t)とのコンボリューション演算の結果と等しくなるように演算処理が行われて、計測対象の散乱吸収体SMでの理論波形P theory(t)のパラメータが算出され、特定される。このようにパラメータが特定された理論波形P theory(t)は、計測波形P(t)から装置関数IF(t)の影響が除去されたものである(S03、波形処理ステップ)。当該処理により得られた(装置関数IF(t)の影響が除去された)計測対象の散乱吸収体SMでの時間応答波形P theory(t)は、内部情報算出部64に出力される。
続いて、内部情報算出部64により、上記のように特定されたパラメータを含む関数により示される、計測対象の散乱吸収体SMでの理論波形P theory(t)に基づいて、計測対象の散乱吸収体SMの内部情報が算出される(S04、内部情報算出ステップ)。算出される内部情報は、散乱吸収体SMの吸光係数や散乱係数等である。算出された内部情報は、例えば、ユーザにより参照可能なように、分布化されて演算処理部60のディスプレイ76aに出力される。
上述したように本実施形態に係る散乱吸収体計測方法及び散乱吸収体計測装置10では、上記の式(7)のような波形の関係に基づいて、計測対象の散乱吸収体SMでの理論波形P theory(t)を示す関数のパラメータを特定することによって、装置関数を算出することなく、計測対象の散乱吸収体の計測波形から装置関数の影響を除去した理論波形を得ることができる。即ち、装置関数IF(t)を算出することなく、装置関数IF(t)の影響が除去された波形に基づいて、計測対象の散乱吸収体SMの内部情報を算出することができる。
また、計測対象の散乱吸収体の理論波形P theory(t)を上記のような所定のパラメータを有する予め用意された関数とすることによって、計測波形のばらつきの影響を防止することができる。即ち、計測波形P(t)にノイズが含まれる場合であっても、P(t)に対応する計測対象の散乱吸収体SMの理論波形P theory(t)をより正確に求めることができる。従って、本発明によれば、計測波形P(t)にノイズが含まれる場合であっても、より正確かつ簡易に装置関数IF(t)を考慮して散乱吸収体の内部情報を取得することができる。
また、本実施形態のように計測対象の散乱吸収体SMでの理論波形P theory(t)を示す関数を式(9)のような、散乱吸収体内部の光伝播をより適切に示すものとすることが望ましい。このような構成にすれば、更に正確に計測対象の散乱吸収体の理論波形を求めることができ、結果として、更に正確に散乱吸収体の内部情報を取得することができる。
本実施形態に係る方法によって、散乱吸収体の理論波形P theory(t)を算出した例を図5〜図7を用いて説明する。図5に、計測対象の散乱吸収体SMでの計測波形P(t)、リファレンス用の散乱吸収体SMでの計測波形P(t)、及びリファレンス用の散乱吸収体SMでの理論波形P theory(t)のグラフを示す。図5のグラフにおいて、横軸はチャネル(経過時間、時刻に相当)であり、縦軸は光強度(a.u.)である(図6及び図7でも同様)。
図6に、図5に示すデータを用いて、特許文献1に記載の方法を用いて算出した計測対象の散乱吸収体SMでの理論波形、及び実際の理論波形(真値)を示す。特許文献1に記載された方法では、フーリエ変換した波形の演算が計測波形に含まれるノイズに敏感であるため、計測波形の取り扱いが煩雑であった。また、そのままの計測波形を使用して演算を行った場合、ノイズの影響により、図6に示すように処理後の波形(算出された理論波形)が真値から大きくずれて歪んでしまう場合があった。
図7に、図5に示すデータを用いて、本実施形態に係る方法を用いて算出した計測対象の散乱吸収体SMでの理論波形P theory(t)、及び実際の理論波形(真値)を示す。本実施形態に係る方法では、処理後の波形(算出された理論波形)が真値とほぼ一致しており、この結果からも本実施形態による方法によれば、ノイズが含まれる場合であっても正確な理論波形を導出することができ、その結果、正確な散乱吸収体の内部情報を取得することができることがわかる。
本発明の実施形態に係る散乱吸収体計測装置の機能構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る散乱吸収体計測装置のハードウェア構成を示す図である。 計測波形、理論波形、及び装置関数の一例を模式的に示すグラフである。 本発明の実施形態に係る散乱吸収体計測方法を示すフローチャートである。 計測対象の散乱吸収体での計測波形、リファレンス用の散乱吸収体での計測波形、及びリファレンス用の散乱吸収体での理論波形の例を示すグラフである。 計測対象の散乱吸収体での理論波形(真値)、及び従来の方法で校正された計測対象の散乱吸収体での計測波形(算出された理論波形)の例を示すグラフである。 計測対象の散乱吸収体での理論波形(真値)、及び本発明に係る方法で校正された計測対象の散乱吸収体での計測波形(算出された理論波形)の例を示すグラフである。
符号の説明
10…散乱吸収体計測装置、20…光源、21…波長選択器、30…光検出器、40a,40b…光ガイド、50…信号処理部、60…演算処理部、61…波形処理部、62…計測波形格納部、63…理論波形格納部、64…内部情報算出部。

Claims (3)

  1. 計測対象の散乱吸収体及びリファレンス用の散乱吸収体に対して、所定波長のパルス光を光入射位置から入射する光入射ステップと、
    前記光入射ステップにおいて入射されて前記各散乱吸収体の内部を伝播したパルス光を光検出位置で検出して光検出信号を取得する光検出ステップと、
    前記光検出ステップにおいて検出された光検出信号に基づいて、光強度の時間変化を示す計測波形を取得する信号処理ステップと、
    前記信号処理ステップにおいて取得された前記計測対象の散乱吸収体での計測波形をP(t)、所定のパラメータを有する予め用意された関数によって示される前記計測対象の散乱吸収体での理論波形をP theory(t)、前記信号処理ステップにおいて取得された前記リファレンス用の散乱吸収体での計測波形をP(t)、予め用意された前記リファレンス用の散乱吸収体での理論波形をP theory(t)、コンボリューションを演算子“*”とそれぞれしたときに、以下の式
    Figure 0005087526

    に基づいて前記パラメータを特定する波形処理ステップと、
    前記波形処理ステップにおいて特定されたパラメータを有する前記関数によって示される前記計測対象の散乱吸収体での理論波形に基づいて、前記計測対象の散乱吸収体の内部情報を算出する内部情報算出ステップと、
    を含む散乱吸収体計測方法。
  2. theory(t)を示す前記関数は、離散的な時刻tの関数であり、A、α、βを前記パラメータ、cを光速を示す値、γを前記光入射位置と前記光検出位置との間の距離を示す値とそれぞれしたときに、以下の式
    Figure 0005087526

    (ここで、
    Figure 0005087526

    である)で表されることを特徴とする請求項1に記載の散乱吸収体計測方法。
  3. 計測対象の散乱吸収体及びリファレンス用の散乱吸収体に対して、所定波長のパルス光を光入射位置から入射する光入射手段と、
    前記光入射手段によって入射されて前記各散乱吸収体の内部を伝播したパルス光を光検出位置で検出して光検出信号を取得する光検出手段と、
    前記光検出手段によって検出された光検出信号に基づいて、光強度の時間変化を示す計測波形を取得する信号処理手段と、
    前記信号処理手段によって取得された前記計測対象の散乱吸収体での計測波形をP(t)、所定のパラメータを有する予め用意された関数によって示される前記計測対象の散乱吸収体での理論波形をP theory(t)、前記信号処理手段によって取得された前記リファレンス用の散乱吸収体での計測波形をP(t)、予め用意された前記リファレンス用の散乱吸収体での理論波形をP theory(t)、コンボリューションを演算子“*”とそれぞれしたときに、以下の式
    Figure 0005087526

    に基づいて前記パラメータを特定する波形処理手段と、
    前記波形処理手段によって特定されたパラメータを有する前記関数によって示される前記計測対象の散乱吸収体での理論波形に基づいて、前記計測対象の散乱吸収体の内部情報を算出する内部情報算出手段と、
    を備える散乱吸収体計測装置。
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