(第1実施形態)
以下、各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。第1実施形態では、回転電機としてのモータ10を例示して説明する。
図1に示すモータ10は、永久磁石界磁型のものであり、具体的には3相巻線を有する永久磁石界磁型同期機である。つまり、モータ10は、ブラシレスモータである。モータ10は、ハウジング20と、ハウジング20に固定される固定子30と、固定子30に対して回転する回転子40と、回転子40が固定される回転軸11と、を備える。以下、本実施形態において、軸方向とは、回転軸11の軸方向のことを示す(図において矢印Y1で示す)。径方向とは、回転軸11の径方向のことを示す(図において矢印Y2で示す)。周方向とは、回転軸11の周方向のことを示す(図において矢印Y3で示す)。
ハウジング20は、円筒形状に形成されており、ハウジング20内には、固定子30及び回転子40等が収容されている。ハウジング20には、軸受け23,24が設けられており、この軸受け23,24により回転軸11が回転自在に支持されている。ハウジング20の内周面の軸心は、回転軸11と同軸となっている。回転軸11の先端側には、角度センサ12が設けられている。角度センサ12は、磁気センサでもレゾルバでもよい。
固定子30は、ハウジング20の軸方向略中央において、ハウジング20の内周に沿って円筒状に設けられている。そして、固定子30は、回転軸11の軸心Oを中心にして、ハウジング20の内周面に固定されている。固定子30は、磁気回路の一部を構成するものであり、円環状をなし回転子40の外周側において径方向に対向して配置される固定子鉄心31(電機子鉄心、電機子コア、ステータコア)と、固定子鉄心31に巻回された固定子巻線32(電機子巻線、アーマチャコイル)とを有している。
図2に示すように、固定子鉄心31は、円環状のバックヨーク33と、バックヨーク33から径方向から回転軸11に向かって突出し、周方向に並べて配列された複数のティースT1~T18とを有し、隣り合うティースT1~T18の間にスロット35(ステータスロット)が形成されている。
固定子鉄心31においてスロット35は周方向に並べて設けられ、そのスロット35に固定子巻線32が配置されるように、ティースT1~T18に固定子巻線32が巻回される。本実施形態では、ティースT1~T18の数を「18」とし、スロット35の数を「18」としている。説明の都合上、各ティースT1~T18には、周方向の配列順で反時計回りに符号T1~18を付する。固定子巻線32は、当該スロット35に収容され保持されている。そして、固定子巻線32は、電力(交流電力)が供給されることで磁束を発生する。
固定子鉄心31は、円環状をなす複数の薄板状の磁性体である鋼板(コアシート)を、固定子鉄心31の軸方向に積層して形成された一体型のものである。鋼板は、帯状の電磁鋼板材をプレス打ち抜きすることで形成される。
回転子40は、磁気回路の一部を構成するものであり、周方向に1又は複数対の磁極を有し、固定子30に対して径方向に対向するように配置される。本実施形態において、回転子40は、14個の(すなわち、磁極対数が7個となる)磁極を有する界磁部に相当する。回転子40は、磁性体からなる回転子鉄心41と、回転子鉄心41に固定される永久磁石42と、を備える。具体的には、図2に示すように、回転子40は、周方向に極性が交互となるように磁石部としての永久磁石42を14個備えており、回転子鉄心41に軸方向に沿って設けられた収容孔に永久磁石42が埋め込まれている。
回転子40は、周知の構成でよく、例えば、IPM型(Interior Permanent Magnet:埋め込み磁石型)の回転子であっても、SPM型(Surface Permanent Magnet:表面磁石側)の回転子であってもよい。また、回転子40として、界磁巻線側の回転子を採用してもよい。本実施形態では、IPM型の回転子を採用している。回転子40には、回転軸11が挿通され、回転軸11を中心にして回転軸11と一体回転するように回転軸11に固定されている。
モータ10には、制御装置50が接続されている。制御装置50は、CPU、ROM、RAM及びI/O等を備えたマイクロコンピュータを主体として構成されており、CPUがROMに記憶されているプログラムを実行することにより、各種機能を実現する。なお、各種機能は、ハードウェアである電子回路によって実現されてもよく、あるいは、少なくとも一部をソフトウェア、すなわちコンピュータ上で実行される処理によって実現されてもよい。
制御装置50が備える機能としては、例えば、外部(例えばバッテリ)からの電力を変換し、モータ10に供給して駆動力を発生させる機能を有する。また、例えば、制御装置50は、角度センサ12から入力された回転角度に関する情報を利用して、モータ10の制御(電流制御など)を行う機能を備える。
また、制御装置50には、図3に示すように、インバータ回路51が設けられている。インバータ回路51は、3相の相数と同数の上下アームを有するフルブリッジ回路により構成されている。制御装置50は、各アームに設けられたスイッチング素子のオンオフにより、各相における電流を制御する。
詳しく説明すると、図3に示すように、インバータ回路51は、U相、V相及びW相からなる3相において、スイッチング素子としての上アームスイッチSpと下アームスイッチSnとの直列接続体をそれぞれ備えている。本実施形態では、各相における上アームスイッチSp及び下アームスイッチSnとして、電圧制御形の半導体スイッチング素子を用いており、具体的にはIGBTを用いている。なお、MOSFETを用いてもよい。各相における上アームスイッチSp及び下アームスイッチSnには、それぞれフリーホイールダイオード(還流ダイオード)Dp,Dnが逆並列に接続されている。
各相の上アームスイッチSpの高電位側端子(コレクタ)は、バッテリの正極端子に接続されている。また、各相の下アームスイッチSnの低電位側端子(エミッタ)は、バッテリの負極端子(グランド)に接続されている。各相の上アームスイッチSpと下アームスイッチSnとの間の中間接続点は、それぞれ固定子巻線32の一端(引出線A1,B1,C1)に接続されている。
ところで、回転電機では、トルクリプルに基づく騒音や振動が問題となっている。トルクリプルは、主に6次高調波成分又は12次高調波成分が主要成分となるため、これらの抑制することが望ましい。そこで、固定子巻線32の巻回方法を次のように構成した。以下、固定子巻線32の巻回方法について詳しく説明する。
固定子巻線32は、3相の各相をそれぞれ表すU相、V相、及びW相の固定子巻線32に分類される。図4及び図5に示すように、U相の固定子巻線32は、12個の部分巻線U11-,U12+,U13-,U14+,U15-,U16+,U21+,U22-,U23+,U24-,U25+,U26-により構成されている。これらのU相の部分巻線は、直列に接続されている。V相の固定子巻線32は、12個の部分巻線V11-,V12+,V13-,V14+,V15-,V16+,V21+,V22-,V23+,V24-,V25+,V26-により構成されている。これらのV相の部分巻線は、直列に接続されている。W相の固定子巻線32は、12個の部分巻線W11-,W12+,W13-,W14+,W15-,W16+,W21+,W22-,W23+,W24-,W25+,W26-により構成されている。これらのW相の部分巻線は、直列に接続されている。
これらの直列接続体は、一端が中性点Qに接続され、他端がインバータ回路51に接続される引出線A1,B1,C1にそれぞれ接続されている。なお、引出線A1には、U相の部分巻線が接続され、引出線B1には、V相の部分巻線が接続され、引出線C1には、W相の部分巻線が接続される。なお、本実施形態の固定子巻線32では、Y結線(スター結線)としているが、デルタ結線としてもよい。
また、36個の部分巻線は、図2及び図4に示すように、各ティースT1~T18に対して固定子巻線32が巻回されることにより設けられている。例えば、ティースT1には、部分巻線U12+と、部分巻線V24-と、が設けられている。ティースT1において、部分巻線U12+は、部分巻線V24-に比較して巻回数が多くなっている。以下では、複数の部分巻線が設けられている各ティースT1~T18において、巻回数が多い部分巻線を単に主巻線と示し、巻回数が少ない部分巻線を単に従巻線と示す場合がある。ティースT1において、部分巻線U12+が主巻線であり、部分巻線V24-が従巻線である。
ティースT2には、主巻線V25+が設けられ、従巻線U13-が設けられている。ティースT3には、部分巻線W14+と部分巻線V26-とが設けられている。ティースT3に設けられている部分巻線W14+の巻回数は、部分巻線V26-の巻回数と同じである。以下では、主巻線や従巻線と区別するため、これらの部分巻線を同巻線と示す。以下、ティースT3~T18に設けられている各部分巻線は、図2及び図4に示す通りである。
各部分巻線において、「+」及び「-」の符号は、電流の向き、すなわち、部分巻線により生じる起磁力(界磁)の極性を示す。例えば、本実施形態の図2において、紙面手前側から奥側への電流の流れを「+」とした場合、奥側から手前側への電流の流れが「-」となる。つまり、固定子巻線32に電流が流れた場合、「+」の部分巻線と、「-」の部分巻線とは、径方向に反対となる起磁力が生じることを意味する。「+」の部分巻線と、「-」の部分巻線とは、電気角で180度の起磁力の位相差があるといえる。「+」の部分巻線と、「-」の部分巻線とは、巻き方を反対することにより実現できる。後述するコイル体の場合も同様に、コイル体により生じる起磁力(界磁)の極性を示す。
なお、各ティースT1~T18には、2個の部分巻線が径方向位置を異ならせて配置されている。部分巻線の径方向位置は、図2に示すとおりである必要はなく、入れ替えてもよい。
そして、図4に示すように、ティースT1に、U相の主巻線U12+と、V相の従巻線V24-とが設けられていることにより、U相のコイル体Ua+が構成される。なお、部分巻線を組み合わせることによる各相のコイル体の構成方法については、後述する。また、ティースT10に、U相の主巻線U15-と、V相の従巻線V21+とが設けられていることにより、U相のコイル体Ua-が構成される。
また、ティースT14に、U相の主巻線U25+と、W相の従巻線W13-とが設けられていることにより、U相のコイル体Ub+が構成される。U相のコイル体Ub+は、U相のコイル体Ua+に対して所定の位相差を有するように構成されている。また、ティースT5に、U相の主巻線U22-と、W相の従巻線W16+とが設けられていることにより、U相のコイル体Ub-が構成される。
また、ティースT9に、U相の同巻線U14+と、W相の同巻線W26-とが設けられていることにより、U相のコイル体Uc+が構成される。U相のコイル体Uc+は、U相のコイル体Ua+に対して所定の位相差を有するように構成されている。また、ティースT18に、U相の同巻線U11-と、W相の同巻線W23+とが設けられていることにより、U相のコイル体Uc-が構成される。
本実施形態において、U相のコイル体Ua+,Ua-,Ub+,Ub-,Uc+,Uc-を第1相のコイル体とした場合、U相が第1相に相当し、V相が第2相に相当し、W相が第3相に相当する。この場合、ティースT1,T10が第1ティースに相当し、ティースT14,T5が第2ティースに相当し、ティースT9,T18が第3ティースに相当する。
また、ティースT7に、V相の主巻線V12+と、W相の従巻線W24-とが設けられていることにより、V相のコイル体Va+が構成される。V相のコイル体Va+は、U相のコイル体Ua+に対して120度の位相差を有するように構成されている。また、ティースT16に、V相の主巻線V15-と、W相の従巻線W21+とが設けられていることにより、V相のコイル体Va-が構成される。
また、ティースT2に、V相の主巻線V25+と、U相の従巻線U13-とが設けられていることにより、V相のコイル体Vb+が構成される。V相のコイル体Vb+は、U相のコイル体Ub+に対して120度の位相差を有するように構成されている。また、ティースT11に、V相の主巻線V22-と、U相の従巻線U16+とが設けられていることにより、V相のコイル体Vb-が構成される。
また、ティースT15に、V相の同巻線V14+と、U相の同巻線U26-とが設けられていることにより、V相のコイル体Vc+が構成される。V相のコイル体Vc+は、U相のコイル体Uc+に対して120度の位相差を有するように構成されている。また、ティースT6に、V相の同巻線V11-と、U相の同巻線U23+とが設けられていることにより、V相のコイル体Vc-が構成される。
本実施形態において、V相のコイル体Va+,Va-,Vb+,Vb-,Vc+,Vc-を第1相のコイル体とした場合、V相が第1相に相当し、W相が第2相に相当し、U相が第3相に相当する。この場合、ティースT7,T16が第1ティースに相当し、ティースT2,T11が第2ティースに相当し、ティースT15,T6が第3ティースに相当する。
また、ティースT13に、W相の主巻線W12+と、U相の従巻線U24-とが設けられていることにより、W相のコイル体Wa+が構成される。W相のコイル体Wa+は、U相のコイル体Ua+に対して240度の位相差を有するように構成されている。また、ティースT4に、W相の主巻線W15-と、U相の従巻線U21+とが設けられていることにより、W相のコイル体Wa-が構成される。
また、ティースT8に、W相の主巻線W25+と、V相の従巻線V13-とが設けられていることにより、W相のコイル体Wb+が構成される。W相のコイル体Wb+は、U相のコイル体Ub+に対して240度の位相差を有するように構成されている。また、ティースT17に、W相の主巻線W22-と、V相の従巻線V16+とが設けられていることにより、W相のコイル体Wb-が構成される。
また、ティースT3に、W相の同巻線W14+と、V相の同巻線V26-とが設けられていることにより、W相のコイル体Wc+が構成される。W相のコイル体Wc+は、U相のコイル体Uc+に対して240度の位相差を有するように構成されている。また、ティースT12に、W相の同巻線W11-と、V相の同巻線V23+とが設けられていることにより、W相のコイル体Wc-が構成される。
本実施形態において、W相のコイル体Wa+,Wa-,Wb+,Wb-,Wc+,Wc-を第1相のコイル体とした場合、W相が第1相に相当し、U相が第2相に相当し、V相が第3相に相当する。そしてこの場合、ティースT13,T4が第1ティースに相当し、ティースT8,T17が第2ティースに相当し、ティースT3,T12が第3ティースに相当する。
図2に示すように、各相のコイル体は、回転軸11の軸心を中心として、2回回転対称に配置されている。つまり、軸心を中心に、機械角で180度回転させても、各コイル体の配置順が同じとなっている。
ところで、上記のように3相(U相,V相,W相)のコイル体を3系統(a,b,c)で設定する場合、各相におけるトルクの6次高調波成分「Tr6」は、数式(1)により表すことができる。また、各相におけるトルクの12次高調波成分「Tr12」は、数式(2)により表すことができる。
なお、数式(1),(2)において、「θ」は、固定子巻線32に流れる電流の位相(インバータ回路51から供給されるU相電流の位相を基準とする)である。「α」は定数であり、ノイズなどにより依存する。また、第1実施形態において、数式(1),(2)の第1項は、コイル体Ua,Va,Wa(1系統目)に基づく成分に対応し、第2項は、コイル体Ub,Vb,Wb(2系統目)に基づく成分に対応し、第3項は、コイル体Uc,Vc,Wc(3系統目)に基づく成分に対応する。
また、数式(1),(2)において、「Ta」は、コイル体Ua,Va,Waの巻回数や電流の最大値に比例する定数である。また、「Tb」は、コイル体Ub,Vb,Wbの巻回数や電流の最大値に比例する定数である。また、「Tc」は、コイル体Uc,Vc,Wcの巻回数や電流の最大値に比例する定数である。
ここで、「γ1」と「γ2」がそれぞれ電気角で「20度」と「40度」である場合であって、「Ta」、「Tb」及び「Tc」が同じである場合、数式(3)、(4)及び図6に示すように、トルクの各高調波成分がキャンセルされることがわかる。
したがって、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Ub,Vb,Wbの起磁力との各位相差「λ1」を、20度とし、かつ、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Uc,Vc,Wcの起磁力の各位相差「λ2」を、40度とすれば、トルクリプルを抑制することができるといえる。
なお、位相差「λ1」は、20+180n(nは整数)度であって同じように、数式(3)は、ゼロとなり、6次高調波成分がキャンセルされる。同様に、位相差「λ2」は、40+180n(nは整数)度であって同じように、数式(4)は、ゼロとなり、12次高調波成分がキャンセルされる。つまり、各コイル体の極性が反転した場合であっても同様にキャンセル可能となっている。また、位相差「λ1」は、20+180n(nは整数)度であることが望ましいが、その周辺の値(例えば、15~25度の範囲)としてもよく、この場合でもトルクリプルの抑制効果を得ることができる。位相差「λ2」も同様である。
そこで、本実施形態では、「λ1」と「λ2」がそれぞれ電気角で「20+180n度」と「40+180n度」となり、かつ、起磁力が同程度となるように、各コイル体を設けている。より詳しくは、そのような各コイル体を構成するために、各ティースT1~T18に設けられている各部分巻線の組み合わせ及び巻回数を設定している。以下、具体的に説明する。
ここで前提として、1つのインバータ回路51から3相交流電流を固定子巻線32に出力しているため、各部分巻線の起磁力は、以下の数式(11)~(16)のとおりである。なお、U相の部分巻線U12+,U14+,U16+,U21+,U23+,U25+の起磁力Fu1としている。また、極性が反転したU相の部分巻線U11-,U13-,U15-,U22-,U24-,U26-の起磁力Fu2としている。また、V相の部分巻線V12+,V14+,V16+,V21+,V23+,V25+の起磁力Fv1としている。また、極性が反転したV相の部分巻線V11-,V13-,V15-,V22-,V24-,V26-の起磁力Fv2としている。また、W相の部分巻線W12+,W14+,W16+,W21+,W23+,W25+の起磁力Fw1としている。また、極性が反転したW相の部分巻線W11-,W13-,W15-,W22-,W24-,W26-の起磁力Fw2としている。また、「I」は、交流電流の最大値に依存する定数であり、「N」は、各部分巻線の巻回数に依存する定数である。
まず、U相のコイル体Ua+を構成するための巻回方法について説明する。図2、図4に示すように、ティースT1には、主巻線U12+と、従巻線V24-とが設けられている。そして、主巻線U12+の起磁力Fu1と、従巻線V24-の起磁力Fv2は、数式(11)(15)に示すとおり、位相差が60度となっている。より詳しくは、主巻線U12+の位相を基準として、従巻線V24-は、-60度の関係を有している。ここで、起磁力Fu1を0.88倍したベクトル値と、起磁力Fv2を0.2倍したベクトル値とを合算すると、数式(21)及び図7(a)のようになることが分かっている。
そこで、主巻線U12+の巻回数「Na」と、従巻線V24-の巻回数「Nb」が上記関係を満たすように、すなわち、Na:Nb=0.88:0.2に近づき、かつ、「Na」及び「Nb」が整数となるように、各巻回数が設定されている。本実施形態では、Na:Nb=9:2となるように設定されている。なお、3.0≦Na/Nb≦6.0の範囲内で巻回数が設定されていてもよい。上記のように巻回数を調整することにより、主巻線U12+と、従巻線V24-とによって、起磁力Fua1を発生可能なU相のコイル体Ua+が構成される。
次に、U相のコイル体Ub+を構成するための巻回方法について説明する。図2、図4に示すように、ティースT14には、主巻線U25+と、従巻線W13-とが設けられている。そして、主巻線U25+の起磁力Fu1と、従巻線W13-の起磁力Fw2は、数式(11)(16)に示すとおり、位相差が60度となっている。より詳しくは、主巻線U25+の位相を基準として、従巻線W13-は、+60度の関係を有している。ここで、起磁力Fu1を0.88倍したベクトル値と、起磁力Fw2を0.2倍したベクトル値とを合算すると、数式(22)及び図7(b)のようになることが分かっている。
そこで、主巻線U25+の巻回数「Na」と、従巻線W13-の巻回数「Nb」が上記関係を満たすように、すなわち、Na:Nb=0.88:0.2に近づき、かつ、「Na」及び「Nb」が整数となるように、各巻回数が設定されている。本実施形態では、Na:Nb=9:2となるように設定されている。なお、3.0≦Na/Nb≦6.0の範囲内で巻回数が設定されていてもよい。
また、各コイル体の起磁力の振幅のバランスをとる必要上、起磁力Fub1は、起磁力Fua1と同じ大きさ(振幅)であることが望ましい。このため、U相のコイル体Ub+を構成する主巻線U25+の巻回数「Na」は、U相のコイル体Ua+を構成する主巻線U12+の巻回数「Na」と同じ回数である。同様に、U相のコイル体Ub+を構成する従巻線W13-の巻回数「Nb」は、U相のコイル体Ua+を構成する従巻線V24-の巻回数「Nb」と同じ回数である。
上記のように巻回数を調整することにより、主巻線U25+と、従巻線W13-とによって、起磁力Fub1を発生可能なU相のコイル体Ub+が構成される。すなわち、コイル体Ua+と起磁力が同じで、コイル体Ua+に対して位相差「λ1」が20度となるU相のコイル体Ub+が構成される。
次に、U相のコイル体Uc+を構成するための巻回方法について説明する。図2、図4に示すように、ティースT9には、同巻線U14+と、同巻線W26-とが設けられている。そして、同巻線U14+の起磁力Fu1と、同巻線W26-の起磁力Fw2は、数式(11)(16)に示すとおり、位相差が60度となっている。より詳しくは、同巻線U14+の位相を基準として、同巻線W26-は、+60度の関係を有している。
ここで、起磁力Fu1を0.57倍したベクトル値と、起磁力Fw2を0.57倍したベクトル値とを合算すると、数式(23)及び図7(c)のようになることが分かっている。すなわち、巻回数を調整することにより、同巻線U14+と同巻線W26-とによって、コイル体+Uaに対して位相差「λ2」が40度となるU相のコイル体+Ucが構成される。
この際、各コイル体の起磁力の振幅のバランスをとる必要上、起磁力Fuc1は、起磁力Fua1と同じ大きさ(振幅)であることが望ましい。このため、U相のコイル体Uc+を構成する同巻線U14+及び同巻線W26-の巻回数「Nc」は、U相のコイル体Ua+を構成する主巻線U12+の巻回数「Na」に対して、Na:Nc=0.88:0.57に近づき、かつ、ともに整数となるように、設定されている。
本実施形態では、Na:Nc=9:6となるように設定されている。つまり、Na:Nb:Nc=9:2:6となるように各部分巻線の巻回数が設定されている。なお、1.4≦Na/Nc≦1.8の範囲内で巻回数が設定されていてもよい。上記のように巻回数を調整することにより、コイル体Ua+と起磁力が同じで、コイル体Ua+に対して位相差「λ2」が40度となるU相のコイル体Uc+が構成される。
同様にして、Na:Nb:Nc=9:2:6となるように、各部分巻線の巻回数が設定されたうえで、各ティースT1~T18に対して、図2及び図4に従って、各部分巻線が設けられている。これにより、U相のコイル体Ua+の起磁力Fua1、V相のコイル体Va+の起磁力Fva1、及びW相のコイル体Wa+の起磁力Fwa1を、数式(31)~(33)に示すように構成することができる。また、U相のコイル体Ua-の起磁力Fua2、V相のコイル体Va-の起磁力Fva2、W相のコイル体Wa-の起磁力Fwa2を、数式(34)~(36)に示すように構成することができる。なお、「θ」は、固定子巻線32に流れる電流の位相(インバータ回路51から供給されるU相電流の位相を基準とする)である。また、「I」は、交流電流の最大値に依存する定数であり、「N」は、各ティースT1~T18に巻回される固定子巻線32の巻回数(部分巻線の巻回数の合計)に依存する定数である。
同様に、U相のコイル体Ub+の起磁力Fub1、V相のコイル体Vb+の起磁力Fvb1、及びW相のコイル体Wb+の起磁力Fwb1を、数式(37)~(39)に示すように構成することができる。また、U相のコイル体Ub-の起磁力Fub2、V相のコイル体Vb-の起磁力Fvb2、W相のコイル体Wb-の起磁力Fwb2を、数式(40)~(42)に示すように構成することができる。「λ1」は、コイル体Ua+の起磁力に対するコイル体Ub+の起磁力の位相差である。つまり、コイル体Ua+の起磁力を基準とした場合、コイル体Ub+の起磁力の位相の遅れを示す。同様に、「λ1」は、コイル体Va+の起磁力に対するコイル体Vb+の起磁力の位相差であり、コイル体Wa+の起磁力に対するコイル体Wb+の起磁力の位相差である。本実施形態の「λ1」は、「20」度となっている。
同様に、U相のコイル体Uc+の起磁力Fuc1、V相のコイル体Vc+の起磁力Fvc1、及びW相のコイル体Wc+の起磁力Fwc1を、数式(43)~(45)に示すように構成することができる。また、U相のコイル体Uc-の起磁力Fuc2、V相のコイル体Vc-の起磁力Fvc2、及びW相のコイル体Wc-の起磁力Fwc2を、数式(46)~(48)に示すように構成することができる。
「λ2」は、コイル体Ua+の起磁力に対するコイル体Uc+の起磁力の位相差である。つまり、コイル体Ua+の起磁力を基準とした場合、コイル体Uc+の起磁力の位相の遅れを示す。同様に、「λ2」は、コイル体Va+の起磁力に対するコイル体Vc+の起磁力の位相差であり、コイル体Wa+の起磁力に対するコイル体Wc+の起磁力の位相差である。本実施形態の「λ2」は、「40」度となっている。
以上の数式(31)~(48)に示すように、「λ1」と「λ2」がそれぞれ電気角で「20度」と「40度」となり、かつ、起磁力が同程度となるように、各コイル体Uaが構成されることとなる。なお、図において、電気角の欄は、「θ」を基準(ゼロ)とした場合における各相のコイル体の位相差を示すものである。他の実施形態における図面も同様である。
以上、第1実施形態の構成によれば、以下の効果を有する。
第1ティースとしてのティースT1に、U相の主巻線U12+と、V相の従巻線V24-とが設けられることにより、U相のコイル体Ua+が構成される。また、第2ティースとしてのティースT14に、U相の主巻線U25+と、W相の従巻線W13-とが設けられることにより、U相のコイル体Ub+が構成される。第3ティースとしてのティースT9に、U相の同巻線U14+と、W相の同巻線W26-とが設けられることにより、U相のコイル体Uc+が構成される。
そして、ティースT9において、U相の同巻線U14+の起磁力Fu1と、W相の同巻線W26-の起磁力Fw2との位相差が、電気角で60度となるように設定されている。また、ティースT1において、U相の主巻線U12+の起磁力Fu1と、V相の従巻線V24-の起磁力Fv2との位相差が、電気角で60度となるように設定されている。また、ティースT14において、U相の主巻線U25+の起磁力Fu1と、W相の従巻線W13-の起磁力Fw2との位相差が、電気角で60度となるように設定されている。
さらに、U相の主巻線U12+,U25+の巻回数をそれぞれ「Na」とし、V相の従巻線V24-及びW相の従巻線W13-をそれぞれ「Nb」とした場合、3.0≦Na/Nb≦6.0の関係を満たすように、各巻回数が設定されている。より具体的には、Na:Nb=9:2となるように巻回数が設定されている。そして、V相のコイル体や、W相のコイル体も同様に設定されている。
これにより、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Ub,Vb,Wbの起磁力の各位相差「λ1」を20+180n度とすることができる。また、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Uc,Vc,Wcの起磁力の各位相差「λ2」を、40+180n度とすることができる。そして、図2に示すように、各相のコイル体は、回転軸11の軸心を中心として、2回回転対称に配置されている。したがって、数式(1)~数式(4)に示すように、トルクの6次又は12次高調波成分を打消し、トルクリプルを抑制することが可能となる。
各コイル体の起磁力が所定の振幅範囲内(本実施形態では同程度)となるように、各部分巻線の巻回数を設定した。具体的には、主巻線の巻回数「Na」と、同巻線の巻回数「Nc」が1.4≦Na/Nc≦1.8の関係を満たすように、各巻回数が設定されている。具体的には、Na:Nb:Nc=9:2:6となるように巻回数が設定されている。これにより、各コイル体の起磁力の振幅を同程度にすることができ、トルクリプルを抑制することができる。
モータ10は、磁極数を「14」とし、スロット35の数を「18」とした。すなわち、磁極数を(18±4)×m(mは1以上の整数)とし、かつ、スロット数を18×mとした。これにより、軸心を中心として、電磁力のバランスを取ることができる。
図8に基づいて詳しく説明する。図8(a)は、各ティースT1~T18により発生する電磁力と、モータ10の機械角との関係を示す図である。図8(b)は、回転軸11を中心とした場合において、図8(a)に示す電磁力の変動を周方向に沿って示したものである。
図4に示すように、U相のコイル体Ua±,Ub±,Uc±が約90度間隔で配置されている。V相のコイル体Va±,Vb±,Vc±及びW相のコイル体Wa±,Wb±,Wc±も同様である。このため、図8に示すように、電磁力のバランスが良くなる。したがって、電磁力がどこかに偏ることがなくなり、トルク変動を抑え、振動や騒音を抑制することができる。
そして、図2や図4に示すように、第3ティースとしてのティースT3,T6,T9,T12,T15,T18に巻回された各同巻線は、第3ティースの隣ティースに巻回されている主巻線と接続されている。例えば、ティースT3の同巻線W14+は、ティースT4の主巻線W15-に接続されており、ティースT3の同巻線V26-は、ティースT2の主巻線V25+に接続されている。これにより、コイルエンドにおいて、スロット35間を接続するための渡り線を短くすることができ、接続が容易となり、また、小型化することが可能となる。
(第2実施形態)
第1実施形態の構成の一部を以下のように変更してもよい。以下、第1実施形態の構成を基本として、異なる箇所のみ説明する。
第2実施形態において、図9及び図10に示すように、回転子40は、22個の(すなわち、磁極対数が11個となる)磁極を有する。つまり、22個の永久磁石42を有する。
また、第2実施形態において、U相の固定子巻線32は、12個の部分巻線U11-,U12+,U13-,U14+,U15-,U16+,U21-,U22+,U23-,U24+,U25-,U26+により構成されている。これらのU相の部分巻線は、直列に接続されている。V相の固定子巻線32は、12個の部分巻線V11+,V12-,V13+,V14-,V15+,V16-,V21+,V22-,V23+,V24-,V25+,V26-により構成されている。これらのV相の部分巻線は、直列に接続されている。W相の固定子巻線32は、12個の部分巻線W11+,W12-,W13+,W14-,W15+,W16-,W21-,W22+,W23-,W24+,W25-,W26+により構成されている。これらのW相の部分巻線は、直列に接続されている。
これらの直列接続体は、一端が中性点Qに接続され、他端がインバータ回路51に接続される引出線A1,B1,C1にそれぞれ接続されている。なお、本実施形態の固定子巻線32では、Y結線(スター結線)としているが、デルタ結線としてもよい。
また、36個の部分巻線は、図9及び図10に示すように、各ティースT1~T18に対して固定子巻線32が巻回されることにより、設けられている。第2実施形態において、U相のコイル体Ua+,Ua-,Ub+,Ub-,Uc+,Uc-を第1相のコイル体とした場合、U相が第1相に相当し、V相が第2相に相当し、W相が第3相に相当する。この場合、ティースT1,T10が第1ティースに相当し、ティースT6,T15が第2ティースに相当し、ティースT11,T2が第3ティースに相当する。
また、第2実施形態において、V相のコイル体Va+,Va-,Vb+,Vb-,Vc+,Vc-を第1相のコイル体とした場合、V相が第1相に相当し、W相が第2相に相当し、U相が第3相に相当する。この場合、ティースT13,T4が第1ティースに相当し、ティースT18,T9が第2ティースに相当し、ティースT5,T14が第3ティースに相当する。
また、第2実施形態において、W相のコイル体Wa+,Wa-,Wb+,Wb-,Wc+,Wc-を第1相のコイル体とした場合、W相が第1相に相当し、U相が第2相に相当し、V相が第3相に相当する。この場合、ティースT7,T16が第1ティースに相当し、ティースT12,T3が第2ティースに相当し、ティースT17,T8が第3ティースに相当する。
また、図10に示すように、各相のコイル体は、回転軸11の軸心を中心として、2回回転対称に配置されている。
そして、第3ティースであるティースT11に設けられるU相の同巻線U16+の起磁力Fu1と、ティースT11に設けられるW相の同巻線W21-の起磁力Fw2との位相差が、電気角で60度となる。また、第1ティースであるティースT1に設けられるU相の主巻線U12+の起磁力Fu1と、ティースT1に設けられるV相の従巻線V26-の起磁力Fv2との位相差が、電気角で60度となる。また、第2ティースであるティースT6に設けられるU相の主巻線U22+の起磁力Fu1と、ティースT6に設けられるW相の従巻線W14-の起磁力Fw2との位相差が、電気角で60度となる。
さらに、U相の主巻線U12+とU相の主巻線U22+の巻回数をそれぞれ「Na」とし、V相の従巻線V26-及びW相の従巻線W14-をそれぞれ「Nb」とした場合、3.0≦Na/Nb≦6.0の関係を満たすように、各巻回数が設定されている。より具体的には、Na:Nb=9:2となるように巻回数が設定されている。
また、主巻線の巻回数「Na」と、同巻線の巻回数「Nc」が1.4≦Na/Nc≦1.8の関係を満たすように、各巻回数が設定されている。具体的には、Na:Nb:Nc=9:2:6となるように巻回数が設定されている。
そして、V相のコイル体や、W相のコイル体も同様に設定されている。また、極性を異ならせた各コイル体も同様に設定されている。
これにより、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Ub,Vb,Wbの起磁力の各位相差「λ1」を20+180n度とすることができる。また、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Uc,Vc,Wcの起磁力の各位相差「λ2」を、40+180n度とすることができる。
したがって、第1実施形態と同様に、数式(1)~数式(4)に示すように、トルクの6次又は12次高調波成分を打消し、トルクリプルを抑制することが可能となる。また、コイル体Ua±~Uc±,Va±~Vc±,Wa±~Wc±の起磁力の振幅を同程度にすることができる。これにより、より効果的にトルクリプルを抑制することができる。また、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
第1実施形態の構成の一部を以下のように変更してもよい。以下、第1実施形態の構成を基本として、異なる箇所のみ説明する。
第3実施形態において、図11及び図12に示すように、回転子40は、16個の(すなわち、磁極対数が8個となる)磁極を有する。つまり、16個の永久磁石42を有する。
また、第3実施形態において、U相の固定子巻線32は、12個の部分巻線U11+,U12-,U13+,U14+,U15-,U16+,U21-,U22+,U23-,U24-,U25+,U26-により構成されている。これらのU相の部分巻線は、直列に接続されている。V相の固定子巻線32は、12個の部分巻線V11+,V12-,V13+,V14+,V15-,V16+,V21-,V22+,V23-,V24-,V25+,V26-により構成されている。これらのV相の部分巻線は、直列に接続されている。W相の固定子巻線32は、12個の部分巻線W11+,W12-,W13+,W14+,W15-,W16+,W21-,W22+,W23-,W24-,W25+,W26-により構成されている。これらのW相の部分巻線は、直列に接続されている。
これらの直列接続体は、一端が中性点Qに接続され、他端がインバータ回路51に接続される引出線A1,B1,C1にそれぞれ接続されている。なお、本実施形態の固定子巻線32では、Y結線(スター結線)としているが、デルタ結線としてもよい。
また、36個の部分巻線は、図11及び図12に示すように、各ティースT1~T18に対して設けられている。第3実施形態において、U相のコイル体Ua+,Ub-,Uc+を第1相のコイル体とした場合、U相が第1相に相当し、V相が第2相に相当し、W相が第3相に相当する。この場合、ティースT1,T10が第1ティースに相当し、ティースT9,T18が第2ティースに相当し、ティースT8,T17が第3ティースに相当する。
また、第3実施形態において、V相のコイル体Va+,Vb-,Vc+を第1相のコイル体とした場合、V相が第1相に相当し、W相が第2相に相当し、U相が第3相に相当する。この場合、ティースT4,T13が第1ティースに相当し、ティースT3,T12が第2ティースに相当し、ティースT2,T11が第3ティースに相当する。
また、第3実施形態において、W相のコイル体Wa+,Wb-,Wc+を第1相のコイル体とした場合、W相が第1相に相当し、U相が第2相に相当し、V相が第3相に相当する。この場合、ティースT7,T16が第1ティースに相当し、ティースT6,T15が第2ティースに相当し、ティースT5,T14が第3ティースに相当する。
また、図11及び図12に示すように、各相のコイル体は、回転軸11の軸心を中心として、2回回転対称に配置されている。
そして、第3ティースであるティースT17,T8において、U相の同巻線U22+,U25+の起磁力Fu1と、W相の同巻線W12-,W15-の起磁力Fw2との位相差は、それぞれ電気角で60度となる。また、第1ティースであるティースT1、T10において、U相の主巻線U12+,U14+の起磁力Fu1と、V相の従巻線V21-,V24-の起磁力Fv2との位相差は、それぞれ電気角で60度となる。また、第2ティースであるティースT9,T18において、U相の主巻線U26-,U23-の起磁力Fu2と、W相の従巻線W16+,W13+の起磁力Fw1との位相差は、それぞれ電気角で60度となる。
さらに、U相の主巻線U12+,U14+,U26-,U23-の巻回数をそれぞれ「Na」とし、V相の従巻線V21-,V24-及びW相の従巻線W16+,W13+をそれぞれ「Nb」とした場合、3.0≦Na/Nb≦6.0の関係を満たすように、各巻回数が設定されている。より具体的には、Na:Nb=9:2となるように巻回数が設定されている。
また、主巻線の巻回数「Na」と、同巻線の巻回数「Nc」が1.4≦Na/Nc≦1.8の関係を満たすように、各巻回数が設定されている。具体的には、Na:Nb:Nc=9:2:6となるように巻回数が設定されている。そして、V相のコイル体や、W相のコイル体も同様に設定されている。
これにより、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Ub,Vb,Wbの起磁力の各位相差「λ1」を20+180n度とすることができる。また、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Uc,Vc,Wcの起磁力の各位相差「λ2」を、40+180n度とすることができる。
したがって、第1実施形態と同様に、数式(1)~数式(4)に示すように、トルクの6次又は12次高調波成分を打消し、トルクリプルを抑制することが可能となる。また、各コイル体の起磁力の振幅を同程度にすることができる。これにより、より効果的にトルクリプルを抑制することができる。
図11や図12に示すように、第3ティースとしてのティースT2,T5,T8,T11,T14,T16に巻回された各同巻線は、第3ティースの隣に配置されているティースに巻回されている主巻線と接続されている。例えば、ティースT2の同巻線U12-は、ティースT1の主巻線U11+に接続されており、ティースT2の同巻線V22+は、ティースT3の主巻線V23-に接続されている。これにより、コイルエンドにおいて、スロット35間を接続するための渡り線を短くすることができ、接続が容易となり、また、小型化することが可能となる。
(第4実施形態)
第1実施形態の構成の一部を以下のように変更してもよい。以下、第1実施形態の構成を基本として、異なる箇所のみ説明する。
第4実施形態において、図13及び図14に示すように、回転子40は、20個の(すなわち、磁極対数が10個となる)磁極を有する。つまり、20個の永久磁石42を有する。
第4実施形態において、U相の固定子巻線32は、12個の部分巻線U11+,U12-,U13+,U14+,U15-,U16+,U21-,U22+,U23-,U24-,U25+,U26-により構成されている。これらのU相の部分巻線は、直列に接続されている。V相の固定子巻線32は、12個の部分巻線V11+,V12-,V13+,V14+,V15-,V16+,V21-,V22+,V23-,V24-,V25+,V26-により構成されている。これらのV相の部分巻線は、直列に接続されている。W相の固定子巻線32は、12個の部分巻線W11+,W12-,W13+,W14+,W15-,W16+,W21-,W22+,W23-,W24-,W25+,W26-により構成されている。これらのW相の部分巻線は、直列に接続されている。
これらの直列接続体は、一端が中性点Qに接続され、他端がインバータ回路51に接続される引出線A1,B1,C1にそれぞれ接続されている。なお、本実施形態の固定子巻線32では、Y結線(スター結線)としているが、デルタ結線としてもよい。
また、36個の部分巻線は、図13及び図14に示すように、各ティースT1~T18に対して巻回されている。第4実施形態において、U相のコイル体Ua+,Ub-,Uc+を第1相のコイル体とした場合、U相が第1相に相当し、V相が第2相に相当し、W相が第3相に相当する。この場合、ティースT1,T10が第1ティースに相当し、ティースT2,T11が第2ティースに相当し、ティースT3,T12が第3ティースに相当する。
また、第4実施形態において、V相のコイル体Va+,Vb-,Vc+を第1相のコイル体とした場合、V相が第1相に相当し、W相が第2相に相当し、U相が第3相に相当する。この場合、ティースT7,T16が第1ティースに相当し、ティースT8,T17が第2ティースに相当し、ティースT9,T18が第3ティースに相当する。
また、第4実施形態において、W相のコイル体Wa+,Wb-,Wc+を第1相のコイル体とした場合、W相が第1相に相当し、U相が第2相に相当し、V相が第3相に相当する。この場合、ティースT4,T13が第1ティースに相当し、ティースT5,T14が第2ティースに相当し、ティースT6,T15が第3ティースに相当する。
また、図13及び図14に示すように、各相のコイル体は、回転軸11の軸心を中心として、2回回転対称に配置されている。
そして、第3ティースであるティースT3,T12において、U相の同巻線U25+,U22+の起磁力Fu1と、W相の同巻線W12-,W15-の起磁力Fw2との位相差は、それぞれ電気角で60度となる。また、第1ティースであるティースT1,T10において、U相の主巻線U13+,U16+の起磁力Fu1と、V相の従巻線V23-,V26-の起磁力Fv2との位相差は、それぞれ電気角で60度となる。また、第2ティースであるティースT2,T11において、U相の主巻線U24-,U21-の起磁力Fu2と、W相の従巻線W14+,W11+の起磁力Fw1との位相差は、電気角で60度となる。
さらに、U相の主巻線U13+,U16+,U24-,U21-の巻回数をそれぞれ「Na」とし、V相の従巻線V23-,V26-及びW相の従巻線W14+,W11+をそれぞれ「Nb」とした場合、3.0≦Na/Nb≦6.0の関係を満たすように、各巻回数が設定されている。より具体的には、Na:Nb=9:2となるように巻回数が設定されている。
また、主巻線の巻回数「Na」と、同巻線の巻回数「Nc」が1.4≦Na/Nc≦1.8の関係を満たすように、各巻回数が設定されている。具体的には、Na:Nb:Nc=9:2:6となるように巻回数が設定されている。そして、V相のコイル体や、W相のコイル体も同様に設定されている。
これにより、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Ub,Vb,Wbの起磁力の各位相差「λ1」を20+180n度とすることができる。また、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Uc,Vc,Wcの起磁力の各位相差「λ2」を、40+180n度とすることができる。
したがって、第1実施形態と同様に、数式(1)~数式(4)に示すように、トルクの6次又は12次高調波成分を打消し、トルクリプルを抑制することが可能となる。また、各コイル体の起磁力の振幅を同程度にすることができる。これにより、より効果的にトルクリプルを抑制することができる。
図13や図14に示すように、第3ティースとしてのティースT3,T6,T9,T12,T15,T18に巻回された各同巻線は、第3ティースの隣に配置されているティースに巻回されている主巻線と接続されている。例えば、ティースT3の同巻線W15-は、ティースT4の主巻線W16+に接続されており、ティースT3の同巻線U25+は、ティースT2の主巻線U24-に接続されている。これにより、コイルエンドにおいて、スロット35間を接続するための渡り線を短くすることができ、接続が容易となり、また、小型化することが可能となる。
(第5実施形態)
第1実施形態の構成の一部を以下のように変更してもよい。以下、第1実施形態の構成を基本として、異なる箇所のみ説明する。
図15及び図16に示すように、第5実施形態において、U相の固定子巻線32は、10個の部分巻線U11-,U12+,U13-,U14+,U15-,U16+,U21-,U22+,U23+,U24-により構成されている。これらのU相の部分巻線は、直列に接続されている。V相の固定子巻線32は、10個の部分巻線V11+,V12-,V13+,V14-,V15+,V16-,V21+,V22-,V23-,V24+により構成されている。これらのV相の部分巻線は、直列に接続されている。W相の固定子巻線32は、10個の部分巻線W11-,W12+,W13-,W14+,W15-,W16+,W21+,W22-,W23-,W24+により構成されている。これらのW相の部分巻線は、直列に接続されている。
これらの直列接続体は、一端が中性点Qに接続され、他端がインバータ回路51に接続される引出線A1,B1,C1にそれぞれ接続されている。なお、本実施形態の固定子巻線32では、Y結線(スター結線)としているが、デルタ結線としてもよい。
また、30個の部分巻線は、図15及び図16に示すように、各ティースT1~T18に設けられている。例えば、ティースT1には、部分巻線U12+のみが設けられている。以下、1つのティースT1~T18に対して、1相の部分巻線のみが設けられている場合、当該部分巻線を単巻線と示す場合がある。また、ティースT2には、主巻線V21+が巻回され、従巻線U13-が巻回されている。以下、ティースT3~T18に設けられている部分巻線は、図15及び図16に示す通りである。
そして、ティースT1に、U相の単巻線U12+が設けられていることにより、U相のコイル体Ua+が構成される。また、ティースT10に、U相の単巻線U15-が設けられていることにより、U相のコイル体Ua-が構成される。
また、ティースT14に、U相の主巻線U23+と、W相の従巻線W13-が設けられていることにより、U相のコイル体Ub+が構成される。また、ティースT5に、U相の主巻線U21-と、W相の従巻線W16+が設けられていることにより、U相のコイル体Ub-が構成される。
また、ティースT9に、W相の主巻線W22-と、U相の従巻線U14+が設けられていることにより、U相のコイル体Uc+が構成される。また、ティースT18に、W相の主巻線W24+と、U相の従巻線U11-が設けられていることにより、U相のコイル体Uc-が構成される。
本実施形態において、U相のコイル体Ua+,Ua-,Ub+,Ub-,Uc+,Uc-を第1相のコイル体とした場合、U相が第1相に相当し、W相が第2相に相当する。この場合、ティースT1,T10が第1ティースに相当し、ティースT14,T5が第2ティースに相当し、ティースT9,T18が第3ティースに相当する。
また、ティースT7に、V相の単巻線V15+が設けられていることにより、V相のコイル体Va+が構成される。また、ティースT16に、V相の単巻線V12-が設けられていることにより、V相のコイル体Va-が構成される。
また、ティースT2に、V相の主巻線V21+と、U相の従巻線U13-とが設けられていることにより、V相のコイル体Vb+が構成される。また、ティースT11に、V相の主巻線V23-と、U相の従巻線U16+が設けられていることにより、V相のコイル体Vb-が構成される。
また、ティースT15に、U相の主巻線U24-と、V相の従巻線V11+とが設けられていることにより、V相のコイル体Vc+が構成される。また、ティースT6に、U相の主巻線U22+と、V相の従巻線V14-とが設けられていることにより、V相のコイル体Vc-が構成される。
本実施形態において、V相のコイル体Va+,Va-,Vb+,Vb-,Vc+,Vc-を第1相のコイル体とした場合、V相が第1相に相当し、U相が第2相に相当する。この場合、ティースT7,T16が第1ティースに相当し、ティースT2,T11が第2ティースに相当し、ティースT15,T6が第3ティースに相当する。
また、ティースT13に、W相の単巻線W12+が設けられていることにより、W相のコイル体Wa+が構成される。また、ティースT4に、W相の単巻線W15-が設けられていることにより、W相のコイル体Wa-が構成される。
また、ティースT8に、W相の主巻線W21+と、V相の従巻線V16-とが設けられていることにより、W相のコイル体Wb+が構成される。また、ティースT17に、W相の主巻線W23-と、V相の従巻線V13+とが設けられていることにより、W相のコイル体Wb-が構成される。
また、ティースT3に、V相の主巻線V22-と、W相の従巻線W14+とが設けられていることにより、W相のコイル体Wc+が構成される。また、ティースT12に、V相の主巻線V24+と、W相の従巻線W11-とが設けられていることにより、W相のコイル体Wc-が構成される。
本実施形態において、W相のコイル体Wa+,Wa-,Wb+,Wb-,Wc+,Wc-を第1相のコイル体とした場合、W相が第1相に相当し、V相が第2相に相当する。この場合、ティースT13,T4が第1ティースに相当し、ティースT8,T17が第2ティースに相当し、ティースT3,T12が第3ティースに相当する。
図16に示すように、各相のコイル体は、回転軸11の軸心を中心として、2回回転対称に配置されている。つまり、軸心を中心に、機械角で180度回転させても、コイル体の配置順が同じとなっている。
次に第5実施形態における各ティースT1~T18に巻回される各部分巻線の組み合わせ及び巻回数について説明する。
まず、U相のコイル体Ua+を構成するための巻回方法について説明する。図15、図16に示すように、ティースT1には、単巻線U12+が設けられている。そして、単巻線U12+の起磁力Fu1は、数式(11)に示すとおりである。そして、第5実施形態において、単巻線U12+の起磁力Fu1が、図17(a)に示すように、U相のコイル体Ua+の起磁力Fua1に相当する。
次に、U相のコイル体Ub+を構成するための巻回方法について説明する。図15、図16に示すように、ティースT14には、主巻線U23+と、従巻線W13-とが設けられている。そして、主巻線U23+の起磁力Fu1と、従巻線W13-の起磁力Fw2は、数式(11)(16)に示すとおり、位相差が60度となっている。より詳しくは、主巻線U23+の位相を基準として、従巻線W13-の位相は、+60度の関係を有している。ここで、起磁力Fu1を0.74倍したベクトル値と、起磁力Fw2を0.39倍したベクトル値とを合算すると、数式(51)及び図17(b)のようになることが分かっている。
そこで、主巻線U23+の巻回数「Nd」と、従巻線W13-の巻回数「Ne」が上記関係を満たすように、すなわち、Nd:Ne=0.74:0.39に近づき、かつ、「Nd」及び「Ne」が整数となるように、各巻回数が設定されている。本実施形態では、Na:Nb=11:6となるように設定されている。なお、1.8≦Nd/Ne≦2.0の範囲内で巻回数が設定されていてもよい。
また、各コイル体の起磁力の振幅のバランスをとる必要上、起磁力Fub1は、起磁力Fua1と同じ大きさ(振幅)であることが望ましい。このため、U相のコイル体Ua+を構成する単巻線U12+の巻回数「Nf」とした場合、1.2≦Nf/Nd≦1.5の関係を満たすように、各巻回数が設定されている。具体的には、Nd:Ne:Nf=11:6:15となるように、各巻回数が設定されている。
上記のように巻回数を調整することにより、コイル体Ua+の起磁力が同じで、コイル体Ua+に対して位相差「λ1」が20度となるU相のコイル体Ub+が構成される。
次に、U相のコイル体Uc+を構成するための巻回方法について説明する。図15、図16に示すように、ティースT9には、主巻線W22-と、従巻線U14+とが設けられている。そして、主巻線W22-の起磁力Fw2と、従巻線U14+の起磁力Fu1は、数式(11)(16)に示すとおり、位相差が60度となっている。より詳しくは、従巻線U14+の位相を基準として、主巻線W22-の位相は、+60度の関係を有している。ここで、起磁力Fw2を0.74倍したベクトル値と、起磁力Fu1を0.39倍したベクトル値とを合算すると、数式(52)及び図17(c)のようになることが分かっている。
そこで、主巻線W22-の巻回数「Nd」と、従巻線U14+の巻回数「Ne」が上記関係を満たすように、すなわち、Nd:Ne=0.74:0.39に近づき、かつ、「Nd」及び「Ne」が整数となるように、各巻回数が設定されている。本実施形態では、Nf:Ne=11:6となるように設定されている。なお、1.8≦Nd/Ne≦2.0の範囲内で巻回数が設定されていてもよい。
また、起磁力の振幅のバランスをとる必要上、起磁力Fuc1は、起磁力Fua1と同じ大きさ(振幅)であることが望ましい。このため、U相のコイル体Ua+を構成する単巻線U12+の巻回数「Nf」とした場合、1.2≦Nf/Nd≦1.5の関係を満たすように、各巻回数が設定されている。具体的には、Nd:Ne:Nf=11:6:15となるように、各巻回数が設定されている。
上記のように巻回数を調整することにより、コイル体Ua+の起磁力が同じで、コイル体Ua+に対して位相差「λ2」が40度となるU相のコイル体Uc+が構成される。
同様にして、Nd:Ne:Nf=11:6:15となるように、各部分巻線の巻回数が設定されたうえで、各ティースT1~T18に対して、図15及び図16に従って、各部分巻線が設けられている。これにより、U相のコイル体Ua+の起磁力Fua1、V相のコイル体Va+の起磁力Fva1、及びW相のコイル体Wa+の起磁力Fwa1を、数式(61)~(63)に示すように構成することができる。また、U相のコイル体Ua-の起磁力Fua2、V相のコイル体Va-の起磁力Fva2、W相のコイル体Wa-の起磁力Fwa2を、数式(64)~(66)に示すように構成することができる。
同様に、U相のコイル体Ub+の起磁力Fub1、V相のコイル体Vb+の起磁力Fvb1、及びW相のコイル体Wb+の起磁力Fwb1を、数式(67)~(69)に示すように構成することができる。また、U相のコイル体Ub-の起磁力Fub2、V相のコイル体Vb-の起磁力Fvb2、W相のコイル体Wb-の起磁力Fwb2を、数式(70)~(72)に示すように構成することができる。本実施形態の「λ1」は、「20」度となっている。
同様に、U相のコイル体Uc+の起磁力Fuc1、V相のコイル体Vc+の起磁力Fvc1、及びW相のコイル体Wc+の起磁力Fwc1を、数式(73)~(75)に示すように構成することができる。また、U相のコイル体Uc-の起磁力Fuc2、V相のコイル体Vc-の起磁力Fvc2、及びW相のコイル体Wc-の起磁力Fwc2を、数式(76)~(78)に示すように構成することができる。本実施形態の「λ2」は、「40」度となっている。
以上の数式(61)~(78)に示すように、「λ1」と「λ2」がそれぞれ電気角で「20度」と「40度」となり、かつ、起磁力が同程度となるように、各コイル体が設けられることとなる。
以上、第5実施形態の構成によれば、以下の効果を有する。
第1ティースとしてのティースT1には、U相の単巻線U12+が巻回されることにより、U相のコイル体Ua+が設けられる。また、第2ティースとしてのティースT14には、U相の主巻線U23+が巻回されるとともに、W相の従巻線W13-が巻回されることにより、U相のコイル体Ub+が設けられる。第3ティースとしてのティースT9には、W相の主巻線W22-が巻回されるとともに、U相の従巻線14+が巻回されることにより、U相のコイル体Uc+が設けられる。
そして、ティースT14に設けられるU相の主巻線U23+の起磁力Fu1と、ティースT14に設けられるW相の従巻線W13-の起磁力Fw2との位相差が、電気角で60度となるように設定されている。また、ティースT9に設けられるW相の主巻線W22-の起磁力Fw2と、ティースT9に設けられるU相の従巻線14+の起磁力Fu1との位相差が、電気角で60度となるように設定されている。
さらに、主巻線U23+と主巻線W22-の巻回数をそれぞれ「Nd」とし、従巻線W13-及び従巻線14+をそれぞれ「Ne」とした場合、1.8≦Nd/Nf≦2.0の関係を満たすように、各巻回数が設定されている。より具体的には、Nd:Nf=11:6となるように巻回数が設定されている。
そして、V相のコイル体や、W相のコイル体も同様に設定されている。また、極性を異ならせた各コイル体+も同様に設定されている。
これにより、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Ub,Vb,Wbの起磁力の各位相差「λ1」を20+180n度とすることができる。また、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Uc,Vc,Wcの起磁力の各位相差「λ2」を、40+180n度とすることができる。そして、図16に示すように、各相のコイル体は、回転軸11の軸心を中心として、2回回転対称に配置されている。したがって、数式(1)~数式(4)に示すように、トルクの6次又は12次高調波成分を打消し、トルクリプルを抑制することが可能となる。
各コイル体の起磁力が所定の振幅範囲内(本実施形態では同程度)となるように、各部分巻線の巻回数を設定した。具体的には、単巻線の巻回数「Nf」と、主巻線の巻回数「Nd」が1.2≦Nf/Nd≦1.5の関係を満たすように、各巻回数が設定されている。具体的には、Nd:Ne:Nf=11:6:15となるように巻回数が設定されている。これにより、コイル体の起磁力の振幅を同程度にすることができ、トルクリプルを抑制することができる。
モータ10は、磁極数を「14」とし、スロット35の数を「18」とした。すなわち、磁極数を(18±4)×m(mは1以上の整数)とし、かつ、スロット数を18×mとした。これにより、第1実施形態に、軸心を中心として、電磁力のバランスを取ることができる。
図15や図16に示すように、第3ティースとしてのティースT1,T4,T7,T10,T13,T16に巻回された各単巻線は、第3ティースの隣に配置されているティースに巻回されている従巻線と接続されている。例えば、ティースT1の単巻線U12+は、ティースT18の従巻線U11-と、ティースT2の従巻線U13-に接続されている。また、隣り合うティースにおいて、主巻線同士が接続されている。例えば、ティースT2の主巻線V21+は、ティースT3の主巻線V22-に接続されている。これにより、コイルエンドにおいて、スロット35間を接続するための渡り線を短くすることができ、接続が容易となり、また、小型化することが可能となる。
(第6実施形態)
第5実施形態の構成の一部を以下のように変更してもよい。以下、第5実施形態の構成を基本として、異なる箇所のみ説明する。
第6実施形態において、図18及び図19に示すように、回転子40は、22個の(すなわち、磁極対数が11個となる)磁極を有する。つまり、22個の永久磁石42を有する。
図18及び図19に示すように、第6実施形態において、各相の固定子巻線32は、10個の部分巻線により構成されている。各相の部分巻線は、直列に接続されている。これらの直列接続体は、一端が中性点Qに接続され、他端がインバータ回路51に接続される引出線A1,B1,C1にそれぞれ接続されている。なお、本実施形態の固定子巻線32では、Y結線(スター結線)としているが、デルタ結線としてもよい。
また、30個の部分巻線は、図18及び図19に示すように、各ティースT1~T18に設けられている。本実施形態において、U相のコイル体Ua+,Ua-,Ub+,Ub-,Uc+,Uc-を第1相のコイル体とした場合、U相が第1相に相当し、W相が第2相に相当する。この場合、ティースT1,T10が第1ティースに相当し、ティースT6,T15が第2ティースに相当し、ティースT2,T11が第3ティースに相当する。
また、本実施形態において、V相のコイル体Va+,Va-,Vb+,Vb-,Vc+,Vc-を第1相のコイル体とした場合、V相が第1相に相当し、U相が第2相に相当する。この場合、ティースT4,T13が第1ティースに相当し、ティースT9,T18が第2ティースに相当し、ティースT5,T14が第3ティースに相当する。
また、本実施形態において、W相のコイル体Wa+,Wa-,Wb+,Wb-,Wc+,Wc-を第1相のコイル体とした場合、W相が第1相に相当し、V相が第2相に相当する。この場合、ティースT7,T16が第1ティースに相当し、ティースT3,T12が第2ティースに相当し、ティースT8,T17が第3ティースに相当する。
図19に示すように、各相のコイル体は、回転軸11の軸心を中心として、2回回転対称に配置されている。つまり、軸心を中心に、機械角で180度回転させても、コイル体の配置順が同じとなっている。
上記のように構成されることにより、第2ティースであるティースT6には、主巻線U22+と従巻線W11-が設けられ、主巻線U22+の起磁力と従巻線W11-の起磁力との位相差は、電気角で60度となる。また、第3ティースであるティースT11には、主巻線W21-と従巻線U16+が設けられ、主巻線W21-の起磁力と従巻線U16+の起磁力との位相差は、電気角で60度となる。
そして、主巻線の巻回数「Nd」と、従巻線の巻回数「Ne」は、Nd:Ne=0.74:0.39に近づき、かつ、「Nd」及び「Ne」が整数となるように、各巻回数が設定されている。本実施形態では、Nd:Ne=11:6となるように設定されている。なお、1.8≦Nd/Ne≦2.0の範囲内で巻回数が設定されていてもよい。
また、単巻線の巻回数「Nf」とした場合、1.2≦Nf/Nd≦1.5の関係を満たすように、各巻回数が設定されている。具体的には、Nd:Ne:Nf=11:6:15となるように、各巻回数が設定されている。
上記のように主巻線と従巻線とを組み合わせ、巻回数を調整することにより、第5実施形態と同様の理屈により、コイル体Ua+の起磁力が同じで、コイル体Ua+に対して位相差「λ1」が20度となるU相のコイル体Ub+が構成される。また、コイル体Ua+の起磁力が同じで、コイル体Ua+に対して位相差「λ2」が40度となるU相のコイル体Uc+が構成される。そして、V相のコイル体や、W相のコイル体も同様に設定されている。また、極性を異ならせた各コイル体も同様に設定されている。
これにより、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Ub,Vb,Wbの起磁力の各位相差「λ1」を20+180n度とすることができる。また、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Uc,Vc,Wcの起磁力の各位相差「λ2」を、40+180n度とすることができる。このため、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第7実施形態)
第5実施形態の構成の一部を以下のように変更してもよい。以下、第5実施形態の構成を基本として、異なる箇所のみ説明する。
第7実施形態において、図20及び図21に示すように、回転子40は、16個の(すなわち、磁極対数が8個となる)磁極を有する。つまり、16個の永久磁石42を有する。
図20及び図21に示すように、第7実施形態において、各相の固定子巻線32は、10個の部分巻線により構成されている。各相の部分巻線は、直列に接続されている。これらの直列接続体は、一端が中性点Qに接続され、他端がインバータ回路51に接続される引出線A1,B1,C1にそれぞれ接続されている。なお、本実施形態の固定子巻線32では、Y結線(スター結線)としているが、デルタ結線としてもよい。
また、30個の部分巻線は、図20及び図21に示すように、各ティースT1~T18に設けられている。これにより、各相のコイル体が構成される。本実施形態において、U相のコイル体Ua+,Ub-,Uc+を第1相のコイル体とした場合、U相が第1相に相当し、W相が第2相に相当する。この場合、ティースT1,T10が第1ティースに相当し、ティースT9,T18が第2ティースに相当し、ティースT8,T17が第3ティースに相当する。
また、本実施形態において、V相のコイル体Va+,Vb-,Vc+を第1相のコイル体とした場合、V相が第1相に相当し、U相が第2相に相当する。この場合、ティースT4,T13が第1ティースに相当し、ティースT3,T12が第2ティースに相当し、ティースT2,T11が第3ティースに相当する。
また、本実施形態において、W相のコイル体Wa+,Wb-,Wc+を第1相のコイル体とした場合、W相が第1相に相当し、V相が第2相に相当する。この場合、ティースT7,T16が第1ティースに相当し、ティースT6,T15が第2ティースに相当し、ティースT5,T14が第3ティースに相当する。
図21に示すように、各相のコイル体は、回転軸11の軸心を中心として、2回回転対称に配置されている。つまり、軸心を中心に、機械角で180度回転させても、コイル体の配置順が同じとなっている。
上記のように構成されることにより、第2ティースであるティースT9,T18には、主巻線U23-,U21-と従巻線W16+,W13+が設けられ、主巻線U23-,U21-の起磁力と従巻線W16+,W13+の起磁力との位相差は、それぞれ電気角で60度となる。また、第3ティースであるティースT8,T17には、主巻線W22-,24-と従巻線U14+,U11+が設けられ、主巻線W22-,24-の起磁力と従巻線U14+,U11+の起磁力との位相差は、それぞれ電気角で60度となる。
そして、主巻線の巻回数「Nd」と、従巻線の巻回数「Ne」は、Nd:Ne=0.74:0.39に近づき、かつ、「Nd」及び「Ne」が整数となるように、各巻回数が設定されている。本実施形態では、Nd:Ne=11:6となるように設定されている。なお、1.8≦Nd/Ne≦2.0の範囲内で巻回数が設定されていてもよい。
また、単巻線の巻回数「Nf」とした場合、1.2≦Nf/Nd≦1.5の関係を満たすように、各巻回数が設定されている。具体的には、Nd:Ne:Nf=11:6:15となるように、各巻回数が設定されている。
上記のように主巻線と従巻線とを組み合わせ、巻回数を調整することにより、第5実施形態と同様の理屈により、コイル体Ua+の起磁力が同じで、コイル体Ua+に対して位相差「λ1」が20+180度となるU相のコイル体Ub-が構成される。また、コイル体Ua+の起磁力が同じで、コイル体Ua+に対して位相差「λ2」が40度となるU相のコイル体Uc+が構成される。そして、V相のコイル体や、W相のコイル体も同様に設定されている。
これにより、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Ub,Vb,Wbの起磁力の各位相差「λ1」を20+180n度とすることができる。また、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Uc,Vc,Wcの起磁力の各位相差「λ2」を、40+180n度とすることができる。このため、第5実施形態と同様に6次及び12次高調波成分を抑制し、トルクリプルを抑制することができる。
また、図20や図21に示すように、第1ティースとしてのティースT1,T4,T7,T10,T13,T16に巻回された各単巻線は、第3ティースの2つ隣に配置されているティースに巻回されている従巻線と接続されている。例えば、ティースT1の単巻線U12+は、ティースT17の従巻線U11+と、ティースT3の従巻線U13+に接続されている。
また、第2ティースとしてのティースT3,T6,T9,T12,T15,T18に設けられた各主巻線は、当該ティースの2つ隣に配置されている第3ティースとしてのティースT2,T5,T8,T11,T14,T17に設けられた主巻線と接続されている。例えば、ティースT18の主巻線U21-は、ティースT2の主巻線U22-に接続されている。これにより、コイルエンドにおいて、スロット35間を接続するための渡り線を短くすることができ、接続が容易となり、また、小型化することが可能となる。
(第8実施形態)
第5実施形態の構成の一部を以下のように変更してもよい。以下、第5実施形態の構成を基本として、異なる箇所のみ説明する。
第8実施形態において、図22及び図23に示すように、回転子40は、20個の(すなわち、磁極対数が8個となる)磁極を有する。つまり、20個の永久磁石42を有する。
図22及び図23に示すように、第8実施形態において、各相の固定子巻線32は、10個の部分巻線により構成されている。各相の部分巻線は、直列に接続されている。これらの直列接続体は、一端が中性点Qに接続され、他端がインバータ回路51に接続される引出線A1,B1,C1にそれぞれ接続されている。なお、本実施形態の固定子巻線32では、Y結線(スター結線)としているが、デルタ結線としてもよい。
また、30個の部分巻線は、図22及び図23に示すように、各ティースT1~T18に設けられている。これにより、各相のコイル体が構成される。本実施形態において、U相のコイル体Ua+,Ub-,Uc+を第1相のコイル体とした場合、U相が第1相に相当し、W相が第2相に相当する。この場合、ティースT1,T10が第1ティースに相当し、ティースT2,T11が第2ティースに相当し、ティースT3,T12が第3ティースに相当する。
また、本実施形態において、V相のコイル体Va+,Vb-,Vc+を第1相のコイル体とした場合、V相が第1相に相当し、U相が第2相に相当する。この場合、ティースT7,T16が第1ティースに相当し、ティースT8,T17が第2ティースに相当し、ティースT9,T18が第3ティースに相当する。
また、本実施形態において、W相のコイル体Wa+,Wb-,Wc+を第1相のコイル体とした場合、W相が第1相に相当し、V相が第2相に相当する。この場合、ティースT4,T13が第1ティースに相当し、ティースT5,T14が第2ティースに相当し、ティースT6,T15が第3ティースに相当する。
上記のように構成されることにより、図23に示すように、各相のコイル体は、回転軸11の軸心を中心として、2回回転対称に配置されている。つまり、軸心を中心に、機械角で180度回転させても、コイル体の配置順が同じとなっている。
また、第2ティースであるティースT2,T11には、主巻線U22-,U24-と従巻線W14+,W11+が設けられ、主巻線U22-,U24-の起磁力と従巻線W14+,W11+の起磁力との位相差は、それぞれ電気角で60度となる。また、第3ティースであるティースT3,T12には、主巻線W23-,W21-と従巻線U13+,U16+が設けられ、主巻線W23-,W21-の起磁力と従巻線U13+,U16+の起磁力との位相差は、それぞれ電気角で60度となる。
そして、主巻線の巻回数「Nd」と、従巻線の巻回数「Ne」は、Nd:Ne=0.74:0.39に近づき、かつ、「Nd」及び「Ne」が整数となるように、各巻回数が設定されている。本実施形態では、Nd:Ne=11:6となるように設定されている。なお、1.8≦Nd/Ne≦2.0の範囲内で巻回数が設定されていてもよい。
また、単巻線の巻回数「Nf」とした場合、1.2≦Nf/Nd≦1.5の関係を満たすように、各巻回数が設定されている。具体的には、Nd:Ne:Nf=11:6:15となるように、各巻回数が設定されている。
上記のように主巻線と従巻線とを組み合わせ、巻回数を調整することにより、第5実施形態と同様の理屈により、コイル体Ua+の起磁力が同じで、コイル体Ua+に対して位相差「λ1」が20+180度となるU相のコイル体Ub-が構成される。また、コイル体Ua+の起磁力が同じで、コイル体Ua+に対して位相差「λ2」が40度となるU相のコイル体Uc+が構成される。そして、V相のコイル体や、W相のコイル体も同様に構成されている。
これにより、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Ub,Vb,Wbの起磁力の各位相差「λ1」を20+180n度とすることができる。また、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Uc,Vc,Wcの起磁力の各位相差「λ2」を、40+180n度とすることができる。このため、第5実施形態と同様に6次及び12次高調波成分を抑制し、トルクリプルを抑制することができる。
また、図22や図23に示すように、第1ティースとしてのティースT1,T4,T7,T10,T13,T16に巻回された各単巻線は、2つ隣に配置されているティースに設けられている従巻線と接続されている。例えば、ティースT1の単巻線U12+は、ティースT17の従巻線U11+と、ティースT3の従巻線U13+に接続されている。
また、第3ティースとしてのティースT3,T6,T9,T12,T15,T18に設けられた各主巻線は、当該ティースの2つ隣に配置されている第2ティースとしてのティースT2,T5,T8,T11,T14,T17に設けられた主巻線と接続されている。例えば、ティースT18の主巻線U21-は、ティースT2の主巻線U22-に接続されている。これにより、コイルエンドにおいて、スロット35間を接続するための渡り線を短くすることができ、接続が容易となり、また、小型化することが可能となる。
(第9実施形態)
第1実施形態の構成の一部を以下のように変更してもよい。以下、第1実施形態の構成を基本として、異なる箇所のみ説明する。
第9実施形態では、図24及び図25に示すように、各ティースT1~T18に対して、部分巻線を配置して、各相のコイル体を構成した。すなわち、第1実施形態における各従巻線を省略し、主巻線を単巻線に変更した。
第9実施形態において、U相のコイル体Ua+,Ua-,Ub+,Ub-,Uc+,Uc-を第1相のコイル体とした場合、U相が第1相に相当し、W相が第2相に相当する。この場合、ティースT1,T10が第1ティースに相当し、ティースT5,T14が第2ティースに相当し、ティースT9,T18が第3ティースに相当する。
また、第9実施形態において、V相のコイル体Va+,Va-,Vb+,Vb-,Vc+,Vc-を第1相のコイル体とした場合、V相が第1相に相当し、U相が第2相に相当する。この場合、ティースT7,T16が第1ティースに相当し、ティースT2,T11が第2ティースに相当し、ティースT6,T15が第3ティースに相当する。
また、第9実施形態において、W相のコイル体Wa+,Wa-,Wb+,Wb-,Wc+,Wc-を第1相のコイル体とした場合、W相が第1相に相当し、V相が第2相に相当する。この場合、ティースT4,T13が第1ティースに相当し、ティースT8,T17が第2ティースに相当し、ティースT3,T12が第3ティースに相当する。
また、図24及び図25に示すように、各相のコイル体は、回転軸11の軸心を中心として、2回回転対称に配置されている。
上記構成により、第3ティースとしてのティースT3,T6,T9,T12,T15,T18に設けられる2つの同巻線の起磁力の位相差が、電気角で60度と設定される。そして、単巻線の巻回数「Ng」と、同巻線の巻回数「Nh」が、Ng/Nh=1.73に近い値となるように設定されている。なお、Ng/Nh=1.73である必要はなく、1.5≦Ng/Nh≦2.0の関係を満たすように、各巻回数が設定されていればよい。具体的には、Ng:Nh=16:9となるように巻回数が設定されている。
これにより、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Uc,Vc,Wcの起磁力の各位相差「λ2」を、30度又は210度とすることができる。このため、位相差がない場合に比較して、トルクリプルを抑制することが可能となる。
また、第1実施形態に比較して、部分巻線の数及び配置を簡略化することができる。また、モータ10は、磁極数を「14」とし、スロット35の数を「18」とした。すなわち、磁極数を(18±4)×m(mは1以上の整数)とし、かつ、スロット数を18×mとした。これにより、軸心を中心として、電磁力のバランスを取ることができる。
そして、図25に示すように、第3ティースとしてのティースT3,T6,T9,T12,T15,T18に巻回された各同巻線は、第3ティースの隣のティースに設けられている単巻線と接続されている。これにより、コイルエンドにおいて、スロット35間を接続するための渡り線を短くすることができ、接続が容易となり、また、小型化することが可能となる。
(第10実施形態)
第2実施形態の構成の一部を以下のように変更してもよい。以下、第2実施形態の構成を基本として、異なる箇所のみ説明する。
第10実施形態では、図26及び図27に示すように、各ティースT1~T18に対して、部分巻線を配置して、各相のコイル体を構成した。すなわち、第2実施形態における各従巻線を省略し、主巻線を単巻線に変更した。
第10実施形態において、U相のコイル体Ua+,Ua-,Ub+,Ub-,Uc+,Uc-を第1相のコイル体とした場合、U相が第1相に相当し、W相が第2相に相当する。また、第10実施形態において、V相のコイル体Va+,Va-,Vb+,Vb-,Vc+,Vc-を第1相のコイル体とした場合、V相が第1相に相当し、U相が第2相に相当する。また、第10実施形態において、W相のコイル体Wa+,Wa-,Wb+,Wb-,Wc+,Wc-を第1相のコイル体とした場合、W相が第1相に相当し、V相が第2相に相当する。
また、図26及び図27に示すように、各相のコイル体は、回転軸11の軸心を中心として、2回回転対称に配置されている。
上記構成により、第3ティースとしてのティースT2,T5,T8,T11,T14,T17に設けられる2つの同巻線の起磁力の位相差が、電気角で60度と設定される。そして、単巻線の巻回数「Ng」と、同巻線の巻回数「Nh」が、Ng/Nh=1.73に近い値となるように設定されている。なお、Ng/Nh=1.73である必要はなく、1.5≦Ng/Nh≦2.0の関係を満たすように、各巻回数が設定されていればよい。具体的には、Ng:Nh=16:9となるように巻回数が設定されている。
これにより、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Uc,Vc,Wcの起磁力の各位相差「λ2」を、30度又は210度とすることができる。このため、位相差がない場合に比較して、トルクリプルを抑制することが可能となる。
また、第2実施形態に比較して、部分巻線の数及び配置を簡略化することができる。また、モータ10は、磁極数を「22」とし、スロット35の数を「18」とした。すなわち、磁極数を(18±4)×m(mは1以上の整数)とし、かつ、スロット数を18×mとした。これにより、軸心を中心として、電磁力のバランスを取ることができる。
そして、図26及び図27に示すように、第3ティースとしてのティースT2,T5,T8,T11,T14,T17に巻回された各同巻線は、当該ティースの隣のティースに設けられている単巻線と接続されている。これにより、コイルエンドにおいて、スロット35間を接続するための渡り線を短くすることができ、接続が容易となり、また、小型化することが可能となる。
(第11実施形態)
第3実施形態の構成の一部を以下のように変更してもよい。以下、第3実施形態の構成を基本として、異なる箇所のみ説明する。
第11実施形態では、図28及び図29に示すように、各ティースT1~T18に対して、部分巻線を配置して、各相のコイル体を構成した。すなわち、第3実施形態における各従巻線を省略し、主巻線を単巻線に変更した。
第11実施形態において、U相のコイル体Ua+,Ub-,Uc+を第1相のコイル体とした場合、U相が第1相に相当し、W相が第2相に相当する。また、第11実施形態において、V相のコイル体Va+,Vb-,Vc+を第1相のコイル体とした場合、V相が第1相に相当し、U相が第2相に相当する。また、第11実施形態において、W相のコイル体Wa+,Wb-,Wc+を第1相のコイル体とした場合、W相が第1相に相当し、V相が第2相に相当する。
また、図28及び図29に示すように、各相のコイル体は、回転軸11の軸心を中心として、2回回転対称に配置されている。
上記構成により、第3ティースとしてのティースT2,T5,T8,T11,T14,T17に設けられる2つの同巻線の起磁力の位相差が、電気角で60度と設定される。そして、単巻線の巻回数「Ng」と、同巻線の巻回数「Nh」が、Ng/Nh=1.73に近い値となるように設定されている。なお、Ng/Nh=1.73である必要はなく、1.5≦Ng/Nh≦2.0の関係を満たすように、各巻回数が設定されていればよい。具体的には、Ng:Nh=16:9となるように巻回数が設定されている。
これにより、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Uc,Vc,Wcの起磁力の各位相差「λ2」を、30度又は210度とすることができる。このため、位相差がない場合に比較して、トルクリプルを抑制することが可能となる。
また、第3実施形態に比較して、部分巻線の数及び配置を簡略化することができる。そして、図28及び図29に示すように、第3ティースとしてのティースT2,T5,T8,T11,T14,T17に巻回された各同巻線は、当該ティースの隣のティースに設けられている単巻線と接続されている。これにより、コイルエンドにおいて、スロット35間を接続するための渡り線を短くすることができ、接続が容易となり、また、小型化することが可能となる。
(第12実施形態)
第4実施形態の構成の一部を以下のように変更してもよい。以下、第4実施形態の構成を基本として、異なる箇所のみ説明する。
第12実施形態では、図30及び図31に示すように、各ティースT1~T18に対して、部分巻線を配置して、各相のコイル体を構成した。すなわち、第4実施形態における各従巻線を省略し、主巻線を単巻線に変更した。
第12実施形態において、U相のコイル体Ua+,Ub-,Uc+を第1相のコイル体とした場合、U相が第1相に相当し、W相が第2相に相当する。また、第12実施形態において、V相のコイル体Va+,Vb-,Vc+を第1相のコイル体とした場合、V相が第1相に相当し、U相が第2相に相当する。また、第12実施形態において、W相のコイル体Wa+,Wb-,Wc+を第1相のコイル体とした場合、W相が第1相に相当し、V相が第2相に相当する。また、図31に示すように、各相のコイル体は、回転軸11の軸心を中心として、2回回転対称に配置されている。
上記構成により、第3ティースとしてのティースT3,T6,T9,T12,T15,T18に設けられる2つの同巻線の起磁力の位相差が、電気角で60度と設定される。そして、単巻線の巻回数「Ng」と、同巻線の巻回数「Nh」が、Ng/Nh=1.73に近い値となるように設定されている。なお、Ng/Nh=1.73である必要はなく、1.5≦Ng/Nh≦2.0の関係を満たすように、各巻回数が設定されていればよい。具体的には、Ng:Nh=16:9となるように巻回数が設定されている。
これにより、コイル体Ua,Va,Waの起磁力に対するコイル体Uc,Vc,Wcの起磁力の各位相差「λ2」を、30度又は210度とすることができる。このため、位相差がない場合に比較して、トルクリプルを抑制することが可能となる。
また、第4実施形態に比較して、部分巻線の数及び配置を簡略化することができる。そして、図30及び図31に示すように、第3ティースとしてのティースT3,T6,T9,T12,T15,T18に巻回された各同巻線は、当該ティースの隣のティースに設けられている単巻線と接続されている。これにより、コイルエンドにおいて、スロット35間を接続するための渡り線を短くすることができ、接続が容易となり、また、小型化することが可能となる。
(他の実施形態)
・上記実施形態において、1つのインバータ回路51にて回路を実現したが、2つのインバータ回路を用いて回路を構成してもよい。この場合、例えば、部分巻線U1*±,V1*±,W1*±(「*」は、1~6のいずれかの数)が1つ目のインバータ回路に接続され、部分巻線U2*±,V2*±,W2*±(「*」は、1~6のいずれかの数)が2つ目のインバータ回路に接続されるように構成すればよい。
2つのインバータ回路に接続する場合、図32に示すように、各相の固定子巻線32の引出線A1,B1,C1,A2,B2,C2を配置してもよい。すなわち、引出線A1,B1,C1,A2,B2,C2を、回転軸11の軸心を中心として各相が対称となるように配置してもよい。これにより、引出線A1,B1,C1,A2,B2,C2から発生する漏れ磁束をバランスさせ、打ち消すことができるため、角度センサ12の検出誤差を抑制することができる。
・上記実施形態において、各相の固定子巻線32は、部分巻線が直列に接続されていたが、部分巻線が並列に接続されていてもよい。この場合、例えば、部分巻線U1*±,V1*±,W1*±(「*」は、1~6のいずれかの数)を直列に接続し、部分巻線U2*±,V2*±,W2*±(「*」は、1~6のいずれかの数)を直列に接続し、当該直列接続体を並列に接続すればよい。
・上記実施形態において、主巻線と従巻線との位相差、及び同巻線同士の位相差を、電気角で60度としていたが、電気角で52度~68度の範囲内となるように設定されていてもよい。
・上記実施形態において、各部分巻線間の渡り線をどのように接続するかは任意に変更してもよい。
・上記実施形態において、磁極数、及びスロット数を変更してもよい。例えば、界磁部の磁極数が(18±4)×m(mは1以上の整数)であって、かつ、ティース間のスロット数が18×mであるとしてもよい。また、界磁部の磁極数が(18±2)×Q(Qは1以上の整数)であって、かつ、ティース間のスロット数が18×Qであるとしてもよい。