JP7511258B2 - ナノファイバーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ナノファイバーの製造方法に関する。
近年、ナノオーダーの繊維径(おおよそ3000nm以下の繊維径)を有するナノファイバーに注目が集まっている。ナノファイバーは極めて大きい比表面積を有するため、従来から用いられてきた通常の繊維(繊維径がおおよそ1μm以上の繊維)とは顕著に異なる性質を有する。このため、ナノファイバーは、通常の繊維では実現不可能な様々な性能(高いイオン透過性、高い液保持性、高い吸着能力等)を有する製品の材料として期待されている。
ナノファイバーの製造方法としては、電界紡糸法(エレクトロスピニング法)が広く知られている。一般的な電界紡糸法では、ナノファイバーの原料であるポリマーを溶媒に溶解させて紡糸溶液とし、当該紡糸溶液を静電気力で微細化させることによりナノファイバーを製造する。
ところで、ナノファイバーの原料として用いられるポリマーの多くは有機溶剤(有機溶媒)に溶けやすいため、溶媒として有機溶剤を用いることが多い。しかし、有機溶剤を用いる場合には処理設備や防爆設備等の設置が必要となることから、設備費用やランニングコストという形でナノファイバーを製造するためのコストが増大する。コストの問題はナノファイバーの普及を阻む大きな障害となっているため、軽視することはできない。一方、有機溶剤の使用を回避するために、水溶性ポリマーを用いることも考えられるが、水溶性ポリマーをナノファイバーの主構成材料として用いる場合には、ナノファイバーの溶解性を低減する後処理(薬品処理又は熱処理)を実施するための設備が必要となり、このような設備もコスト増大の要因となる。また、水溶性のポリマーは種類が限られているという問題もある。
上記のような問題を解決可能な方法の1つとして、紡糸溶液として水系溶媒中にポリマーの微粒子が分散している分散液を用いるナノファイバーの製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2012-12715号公報
ところで、上記したような分散液は、均一な溶液とは異なり、溶媒とポリマーとで極性が大きく異なる。このため、このような分散液に何らかの物質を添加した場合には、均一な溶液に当該物質を添加した場合とは液中の状態が全く異なるようになる。このため、分散液に機能性物質を添加した紡糸溶液を用いて電界紡糸を実施することで、今までにない性質を有する有用なナノファイバーを製造することが可能となると考えられる。
本発明は上記観点からなされたものであり、機能性物質を含有する分散液から有用なナノファイバーを製造することができるナノファイバーの製造方法を提供することを目的とする。
[1]本発明のナノファイバーの製造方法は、水系溶媒中に主構造形成用ポリマーの微粒子が分散している紡糸溶液を準備する紡糸溶液準備工程と、電界紡糸法により前記紡糸溶液からナノファイバーを形成する紡糸工程とを含むナノファイバーの製造方法であって、前記紡糸溶液準備工程においては、前記紡糸溶液として機能性物質を含有するものを準備することを特徴とする。
[2]本発明のナノファイバーの製造方法においては、前記機能性物質の少なくとも一部は、シリコーン系化合物であることが好ましい。
[3]本発明のナノファイバーの製造方法においては、前記シリコーン系化合物の少なくとも一部は、シリコーン系表面改質剤相当物であることが好ましい。
[4]本発明のナノファイバーの製造方法においては、前記機能性物質の少なくとも一部は、水溶性ポリマーであることが好ましい。
[5]本発明のナノファイバーの製造方法においては、前記機能性物質の一部は、前記水溶性ポリマーとは異なる水溶性の機能性物質であることが好ましい。
[6]本発明のナノファイバーの製造方法においては、前記機能性物質の少なくとも一部は、水分散型のマイクロカプセルであることが好ましい。
[7]本発明のナノファイバーの製造方法においては、前記紡糸溶液準備工程においては、前記紡糸溶液として前記主構造形成用ポリマーを架橋可能な架橋剤をさらに含有するものを準備することが好ましい。
本発明のナノファイバーの製造方法によれば、機能性物質を含有する分散液から有用なナノファイバーを製造することができる。
実施例1におけるナノファイバー不織布とPETスパンボンド不織布との接着に関する実験結果を示すSEM画像。 実施例1におけるナノファイバー不織布とPET紙との接着に関する実験結果を示すSEM画像。
以下、本発明のナノファイバーの製造方法について説明する。以下に説明する実施形態は、請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている諸要素、方法及びそれらの組み合わせの全てが本発明に必須であるとは限らない。
[実施形態]
実施形態に係るナノファイバーの製造方法は、紡糸溶液準備工程と、紡糸工程とを含む。以下、各工程について説明する。
紡糸溶液準備工程は、水系溶媒中に主構造形成用ポリマーの微粒子が分散している紡糸溶液を準備する工程である。つまり、当該紡糸溶液は主構造形成用ポリマーの分散液である。なお、分散液は、エマルジョン(エマルション)、乳濁液、サスペンション、懸濁液、ディスパージョン、コロイド溶液等と呼称される場合もある。紡糸溶液準備工程においては、紡糸溶液として機能性物質を含有するものを準備する。
本明細書における「水系溶媒」とは、水を主成分とする溶媒のことをいう。水系溶媒は水以外の溶媒成分を含んでいてもよいが、分散液を用いる電界紡糸法の利点を考慮すると、水以外の溶媒成分の量はなるべく少なくすることが好ましい。水系溶媒においては、総重量のうち水の重量が占める割合が90%以上であることが好ましく、95%以上であることが一層好ましく、水以外の溶媒成分を使用しないことが最も好ましい。ただし、水系溶媒においては、水以外の成分であって不可避的に混入するものの存在は許容される。
本発明における「主構造形成用ポリマー」は、ナノファイバーとしたときに当該ナノファイバーの主構造(骨格)の材料となるポリマーである。なお、本発明における「主構造形成用ポリマー」には、ポリマーの材料となるもの(比較的低分子量のポリマー、オリゴマー、モノマー等)も含み得る。
主構造形成用ポリマーは、水系溶媒に分散可能であり、かつ、電界紡糸法によりナノファイバーを形成可能なものであれば特に限定されない。主構造形成用ポリマーは水に易溶であってはならないが、必ずしも疎水性であったり有機溶剤に易溶であったりする必要はない。主構造形成用ポリマーとしては、例えば、ポリウレタン系、ポリフッ化ビニリデン系、ポリエステル系、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリオレフィン系(フッ素系含む)、フェノール系等の合成ポリマーや、セルロース、シルク、キチン-キトサン、ケラチン、タンパク質等の天然ポリマーを例示することができる。
電界紡糸を安定実施し、かつ、耐久性が高いナノファイバーを得るという観点からは、最初から分子量が大きいポリマーを用いるよりも、ナノファイバー形成後に架橋等により分子量を調節することが好ましい。このため、主構造形成用ポリマーは、炭素鎖をベースとする合成ポリマー(例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリオレフィン系及びフェノール系のポリマー)であることが好ましい。
電界紡糸後に主構造形成用ポリマーを架橋させる場合には、架橋剤を用いることが好ましい。つまり、紡糸溶液として主構造形成用ポリマーを架橋可能な架橋剤をさらに含有するものを準備することが好ましい。当該架橋剤としては、紡糸溶液中では架橋反応を開始しないもの(熱や電磁波等のような外部刺激により架橋反応を開始するもの)を用いることが好ましい。架橋剤は主構造形成用ポリマーを架橋可能なものであれば特に限定されないが、水系溶媒を用いることを考慮すると、親水性のものを用いることが好ましい。
紡糸溶液における分散質(不揮発分)の平均粒子径は特に限定されないが、ポリマー分散液としての安定性(分散質の沈殿しにくさ)及びナノファイバーの形成しやすさを考慮すると、上記平均粒子径は1μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることが一層好ましい。
本明細書における「機能性物質」とは、主構造形成用ポリマー以外の物質であって、電界紡糸後にナノファイバー内又はナノファイバー上に残存し、かつ、ナノファイバーに何らかの機能を付与することが可能なもののことをいう。なお、機能性物質は、紡糸溶液に添加する前の構造、紡糸溶液中の構造及び電界紡糸後の構造のそれぞれの構造が同じであるものであってもよいし、異なるものであってもよい。
機能性物質として用いられる物質の種類は、紡糸溶液に溶解又は分散させることができ、かつ、ナノファイバーの形成を阻害しないものであれば、特に限定されない。機能性物質は紡糸溶液への添加前においては固体、液体、気体のいずれであってもよいし、親水性であっても疎水性であってもよい。以下の説明においては、機能性物質として用いたときに特に大きな効果が得られるものについて説明する。なお、以下に記載する機能性物質は、単独で用いてもよいし、複数種類を組み合わせて用いてもよい。また、紡糸溶液を準備する際には、上記した機能性物質に該当しない物質(溶液の導電性を向上させるための導電助剤等)をさらに用いてもよい。
1.シリコーン系化合物
機能性物質としては、シリコーン系化合物を好適に用いることができる。シリコーン系化合物とは、シロキサン結合を主骨格とするポリマー、オリゴマー及びモノマーのことをいう。シリコーン系化合物を用いる場合には、シリコーン系化合物も紡糸溶液に分散している(分散質である)ことが好ましい。
シリコーン系化合物はポリマー内に入り込むため、機能性物質としてシリコーン系化合物を用いることで、様々な機能や性質(例えば、撥水性、撥油性、耐熱性、耐寒性、耐候性、消泡性、接着性、絶縁性)が付加されたナノファイバーを製造することが可能となる。シリコーン系化合物は、ナノファイバーとしたときにシリコーン系化合物が入り込みやすい主構造形成用ポリマー(例えば、炭素鎖をベースとする合成ポリマー)や他のポリマー(例えば、後述する水溶性ポリマー)とともに用いることが好ましい。
シリコーン系化合物としては、いわゆるシリコーン系表面改質剤相当物を好適に用いることができる。このため、シリコーン系化合物の少なくとも一部はシリコーン系表面改質剤相当物であることが好ましい。シリコーン系表面改質剤相当物とは、比較的分子量が小さい(重合度が低い)シリコーン系化合物であって、塗料やコーティング剤の表面特性や塗装特性の改質(離型性向上、レベリング、消泡等)のために使用可能なもののことをいう。シリコーン系表面改質剤相当物を機能性物質として用いる場合には、ナノファイバーの表面が改質されるため、接着性、撥水性、平滑度、摩擦係数等の表面物性が通常とは異なるナノファイバーを製造することが可能となる。例えば、離型性を向上させるようなシリコーン系表面改質剤相当物を用いた場合には、紡糸工程で用いられる基材(電界紡糸されたナノファイバーを受けるもの)から容易に剥離させることが可能なナノファイバーを製造することができる。
本明細書における「シリコーン系表面改質剤相当物」は、シリコーン系表面改質剤として使用可能であるシリコーン系化合物のことをいうが、製品としての名称が「表面改質剤」であるものに限定されない。例えば、シリコーン系表面改質剤として用いることが可能な物質を含むものであれば、商品としての名称が「離型性向上剤」、「レベリング剤」、「消泡剤」、「摩擦抵抗低減剤」等であっても「シリコーン系表面改質剤相当物」に含まれ得る。
なお、シリコーン系表面改質剤相当物としては、アクリレート基のような反応性の構造(基)を有するものであれば、一般的なものを用いることができる。また、シリコーン系表面改質剤相当物には、反応性の構造が分子鎖の一端に存在するもの、両端に存在するもの及び側鎖に存在するものといった種類があるが、本発明においては、主構造形成用ポリマーの種類等に応じて適当なものを選択して用いることができる。
2.水溶性ポリマー
機能性物質としては、水溶性ポリマーを好適に用いることができる。水溶性ポリマーとは、室温~90℃程度の範囲内で水に易溶であり安定した水溶液とすることができるポリマーのことをいう。このようにすることで、水溶性ポリマーがバインダーの役割を果たすため、ナノファイバーを形成しやすくなる。特に、電界紡糸後すぐの状態ではナノファイバーの強度や構造安定性が低い場合(例えば、電界紡糸工程後の処理によりナノファイバーに強度や構造安定性を付与する場合)には、上記効果は重要なものとなる。
また、水溶性ポリマーを用いることで、主に主構造形成用ポリマーからなる部分と主に水溶性ポリマーからなる部分とを有するナノファイバーを製造することができる。水溶性ポリマーは熱や水分により溶解しやすい傾向があり、優れた接着剤として機能する場合が多い。また、実施形態におけるナノファイバーのうち水溶性ポリマーからなる部分を溶解させても主構造形成用ポリマーからなる部分が残存するため、全体としては繊維構造が維持される。このため、実施形態に係るナノファイバーの製造方法において水溶性ポリマーを用いることで、残存する繊維構造により接着力を高くすることができ、接着後もそれ自体でナノ構造を有する空間を形成することが可能なナノファイバーを製造することが可能となる。
水溶性ポリマーとしては、紡糸性(ナノファイバーの形成しやすさ)及び扱いやすさの観点から、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、水溶性ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクリルアミドを好適に用いることができる。水溶性ポリマーとして複数種類の水溶性ポリマーを用いてもよい。
また、水溶性ポリマーを使用する場合には、水溶性ポリマーとは異なる水溶性の機能性物質とともに用いることも好ましい。つまり、機能性物質の一部は、水溶性ポリマーとは異なる水溶性の機能性物質であることも好ましい。水溶性の機能性物質は、ナノファイバーとしたときに水溶性ポリマーからなる部分に存在するようになる。このため、水溶性の機能性物質を用いることで、水等に浸した時に水溶性ポリマーからなる部分とともに水溶性の機能性物質が溶け出し、かつ、主構造形成用ポリマーからなる部分が繊維構造を保持するナノファイバーを製造することが可能となる。水溶性の機能性物質としては、ビタミン、ヒアルロン酸、アミノ酸等の医薬系の物質、化粧料系の物質、色素、マーカー等を挙げることができる。
水溶性の機能性物質を用いて製造したナノファイバーは、水分と密接にかかわる製品、例えば、化粧品、医薬品、医療用装具(マスク等)、水分検出用センサー等の主要な構成要素として用いることができる。
3.マイクロカプセル
機能性物質としては、水分散型のマイクロカプセルを好適に用いることができる。本明細書における「マイクロカプセル」とは、第1の物質からなるコアを第2の物質からなるシェルで覆う構造を有する微細物質のことをいう。マイクロカプセルは医薬品、化粧料、食品、農薬、色素等の分野で用いられており、マイクロカプセルを用いて製造したナノファイバーも同様の分野で用いることができる。
マイクロカプセルは、水系溶媒に分散可能なものであれば、既知の方法で作成されたものを用いることができる。当該方法としては、例えば、物理学的な方法(パンコーティング法、スプレードライ法等)、物理化学的な方法(ゲル化法、コアセルべージョン法)及び化学的な方法(界面重合法等)を挙げることができる。
次に、上記以外の工程について説明する。
紡糸工程は、電界紡糸法により紡糸溶液からナノファイバーを形成する工程である。電界紡糸法については公知の方法を用いることができるため、説明は省略する。
実施形態に係るナノファイバーの製造方法においては、紡糸工程後に架橋工程を実施してもよい。架橋工程は、架橋によりナノファイバーを構成するポリマーの分子量を高くする、又は、ポリマーの構造を複雑化させる工程である。架橋工程を実施することにより、例えば、ナノファイバーの耐水性、耐溶剤性、耐熱性等を向上させることが可能となる。架橋工程は、薬品処理や熱処理等、既知の方法を用いて実施することができる。また、架橋剤を含有する紡糸溶液を用いる場合には、架橋工程は、熱や光(紫外線を含む)により架橋反応を開始させることで実施することができる。なお、架橋の対象とすべきポリマーは主に主構造形成用ポリマーであるが、これだけには限られない。例えば、ナノファイバーに水溶性ポリマーからなる部分がある場合には、当該水溶性ポリマーも架橋の対象となり得る。
以上の工程を実施することにより、機能性物質を含有する分散液から有用なナノファイバーを製造することができる。実施形態に係るナノファイバーの製造方法は、上記以外の工程を含んでいてもよい。また、上記の説明では言及しなかった操作等を実施してもよい。
[実施例]
本発明の発明者らは、本発明のナノファイバーの製造方法によりナノファイバーを実際に製造し、観察及び実験をおこなった。以下、その結果について説明する。
まず、製造や実験等に用いた材料及び装置について説明する。なお、一般的な普及品であって特定の名称等を記載する必要がない事物については説明を省略する。
ポリエチレンオキシド(以下、PEOと記載する。粘度平均分子量Mv~1,000,000、粉末)は、米国のSigma-Aldrich Corporationを通じて購入したものを用いた。
ポリウレタン分散液としては、水分散ポリカーボネート系ポリウレタンディスパージョン(アニオン性、乳白色、不揮発分30%、平均粒子径~0.06μm)を用いた。
カルボジイミド架橋剤としては、水溶性のカルボジイミド架橋剤を用いた。
シリコーン系表面改質剤相当物としては、信越化学工業株式会社のKP-126(離型性付与剤)を用いた。
クッキングシート(表面に低摩擦性の樹脂がコーティングされている紙シート)、PET紙(厚さ10μm、目付6.5gsm)及びPETスパンボンド不織布(目付20gsm)としては、一般的な市販品を用いた。
DMFは、富士フイルム和光純薬株式会社を通じて購入したものを用いた。
蒸留水は、実験前に製造したものを用いた。
電界紡糸装置は、株式会社ナフィアスのナノファイバープロダクションシステムES200(自社製品)を用いた。
カレンダ機としては、試作品の試験用熱カレンダ機(非市販品)を用いた。試験用熱カレンダ機の基本的な構造は、一般的に広く知られているものと同様である。試験用熱カレンダ機は、上部金属ロール(直径100mm、幅300mm)及び下部ゴムロール(直径100mm、幅300mm)を備える。試験用熱カレンダ機の上部金属ロール側にはエアシリンダが設けられ、ロール間を通過する物体に圧力をかけることができるように構成されている。また、下部ゴムロールは電動モーターと接続されており、回転速度を調節しながら回転させることが可能な構成となっている。
走査型電子顕微鏡(SEM)としては、株式会社キーエンスのVE-9800を用いた。
[実施例1]
図1は、実施例1におけるナノファイバー不織布とPETスパンボンド不織布との接着に関する実験結果を示すSEM画像である。図1(a)のSEM画像と図1(b)のSEM画像とでは、拡大率が異なる。図1(a)及び図1(b)はナノファイバー不織布の端部のSEM画像であり、画像左側においてはナノファイバー不織布とPETスパンボンド不織布とが重なって(接着されて)おり、画像右側においてはPETスパンボンド不織布が露出している。
図2は、実施例1におけるナノファイバー不織布とPET紙との接着に関する実験結果を示すSEM画像である。図2(a)のSEM画像と図2(b)のSEM画像とでは、拡大率が異なる。図2(a)及び図2(b)はナノファイバー不織布の端部のSEM画像であり、画像左側においてはナノファイバー不織布とPET紙とが重なって(接着されて)おり、画像右側においてはPET紙が露出している。
実施例1においては、機能性物質として水溶性ポリマーであるPEOを用いてナノファイバーを製造し、接着力に関する実験をおこなった。以下、当該実験について説明する。
(1)紡糸溶液準備工程
まず、PEOを蒸留水に溶解させ、6wt%の水溶性ポリマー水溶液を作製した。次に、当該水溶性ポリマー水溶液7gに対して水分散ポリカーボネート系ポリウレタン分散液3gを混合して混合液を作製した。さらに、当該混合液にカルボジイミド架橋剤を0.5g添加して攪拌し、紡糸溶液を作製した。
(2)電界紡糸工程
電界紡糸工程においては、19G針先15mm長の金属ノズルを取り付けた5mlシリンジに紡糸溶液を充填し、当該金属ノズルにプラス電極を取り付けた。その後、回転可能な金属製ドラムコレクタにアース線を接続し、金属製ドラムコレクタの回転部分にクッキングシートを巻きつけ、当該クッキングシートを基材として電界紡糸をおこなった。電界紡糸は、印加電圧8kV、TCD12cm、シリンジ押出速度0.002mm/min、ノズルトラバース幅150mm、コレクタ回転速度50rpmという条件で実施した。その結果、ナノファイバーからなる不織布を得ることができた。
(3)架橋工程
架橋工程においては、試験用熱カレンダ機を用いて、130℃、30cm/minの条件で搬送しながら、加圧を伴う熱処理を実施した。なお、実施例1における架橋工程では、手間を省くために熱処理と熱接着とを同時におこなった。つまり、実施例1における架橋工程では、クッキングシート上のナノファイバー不織布を接着対象物で覆い、クッキングシート及び接着対象物でナノファイバー不織布を挟み込んだ状態で熱処理を実施した。接着対象物としては、PETスパンボンド不織布及びPET紙を用いた。
その結果、PETスパンボンド不織布を用いた場合とPET紙を用いた場合との両方において、ナノファイバー不織布は接着対象物に強力に接着され、指や爪でこすった程度では全く剥がれが見られなかった。
また、図1及び図2に示すように、実施例1においては接着後においてもナノファイバーの繊維構造が維持されていることが確認できた。つまり、実施例1により、本発明のナノファイバーの製造方法によれば、機能性物質として水溶性ポリマーを用いた場合には、接着力を高くすることができ、かつ、接着後もそれ自体でナノ構造を有する空間を形成することが可能なナノファイバーを製造できることが確認できた。
[実施例2]
実施例2においては、機能性物質として水溶性ポリマーとともにシリコーン系化合物(シリコーン系表面改質剤相当物)を用いてナノファイバーを製造し、接着力に関する実験をおこなった。以下、当該実験について説明する。
(1)紡糸溶液準備工程
まず、PEOを蒸留水に溶解させ、6wt%の水溶性ポリマー水溶液を作製した。次に、当該水溶性ポリマー水溶液7gに対して水分散ポリカーボネート系ポリウレタン分散液3gを混合して混合液を作製した。さらに、当該混合液にカルボジイミド架橋剤を0.5g、シリコーン系表面改質剤相当物を1g、それぞれ添加して攪拌し、紡糸溶液を作製した。
(2)電界紡糸工程
実施例2における電界紡糸工程は、実施例1と同様の条件及び手法により実施した。
(3)架橋工程
実施例2における架橋工程も、実施例1と同様の条件及び手法により実施した。
その結果、PETスパンボンド不織布を用いた場合とPET紙を用いた場合との両方において、ナノファイバー不織布は接着対象物とは接着せずに剥離した。実施例2により、本発明のナノファイバーの製造方法によれば、機能性物質としてシリコーン系化合物を用いた場合には、シリコーン系化合物の種類に応じた機能や性質が付加されたナノファイバー(シリコーン系表面改質剤相当物を用いた場合には、表面物性が通常とは異なるナノファイバー)を製造できることが確認できた。
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の様態において実施することが可能である。
本発明に係るナノファイバーは、様々な分野において好適に用いることができるが、特にセパレータ、フィルター、接着剤、吸着材、断熱材、美容用シート材、医療用シート材、抗菌シート材及び触媒といった分野において特に好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 水系溶媒中に主構造形成用ポリマーの微粒子が分散している紡糸溶液を準備する紡糸溶液準備工程と、
    電界紡糸法により前記紡糸溶液からナノファイバーを形成する紡糸工程とを含むナノファイバーの製造方法であって、
    前記紡糸溶液準備工程においては、前記紡糸溶液として機能性物質を含有するものを準備し、
    前記機能性物質の少なくとも一部は、シリコーン系化合物及び水溶性ポリマーであり、
    前記シリコーン系化合物の少なくとも一部は、シリコーン系表面改質剤相当物であり、
    前記紡糸溶液準備工程においては、前記紡糸溶液として前記主構造形成用ポリマーを架橋可能な架橋剤をさらに含有するものを準備し、
    前記ナノファイバーの製造方法は、前記紡糸工程の後に、架橋により前記ナノファイバーを構成するポリマーの分子量を高くする、又は、前記ポリマーの構造を複雑化させる工程である架橋工程を実施することを特徴とするナノファイバーの製造方法。
  2. 前記機能性物質の一部は、前記水溶性ポリマーとは異なる水溶性の機能性物質であることを特徴とする請求項に記載のナノファイバーの製造方法。
  3. 前記機能性物質の一部は、水分散型のマイクロカプセルであることを特徴とする請求項1又は2に記載のナノファイバーの製造方法。
JP2021538842A 2020-03-09 2020-03-09 ナノファイバーの製造方法 Active JP7511258B2 (ja)

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