JP7509189B2 - 電気自動車 - Google Patents

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本開示は、電気モータを走行用の動力装置として用いる電気自動車に関する。
特開2021-118569号公報には、マニュアルトランスミッションと内燃機関とを備える車両(以下、MT車両という)のようなトルク特性を、電気自動車のモータトルクを制御して模擬する技術が開示されている。
特開2021-118569号公報
MT車両のようなトルク特性が得られる制御モードと、通常の電気自動車のトルク特性を有する制御モードとを切り替え可能にすることで、運転者は、MT車両のような運転と通常の電気自動車としての運転の両方を選択的に楽しむことができる。しかし、その一方で、車両を起動したときの制御モードが毎回異なっている場合、運転者は制御モードの違いによる車両の操作の違いに対応しなければならないために煩わしさを覚えてしまう。
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものである。本開示の1つの目的は、電気モータを走行用の動力装置として用いる電気自動車において、制御モードの切り替えによってMT車両のような運転と通常の電気自動車としての運転の両方を選択的に楽しむことを可能にしつつ、車両を起動したときの制御モードが定まっていないことによる煩わしさを無くすことにある。
本開示は上記目的を達成するための電気自動車を提供する。本開示の電気自動車は、アクセルペダルと、シフターと、モード選択装置と、制御装置とを備える。モード選択装置は、運転者のモード選択操作に従い電気モータの制御モードとして第1モードと第2モードのいずれか一方を選択する装置である。制御装置は、モード選択装置で選択された制御モードに従い電気モータを制御する装置である。制御装置は、第1モードで電気モータを制御する場合は、シフターの操作ポジションによらずにアクセルペダルの操作に応じて電気モータの出力を変化させ、第2モードで電気モータを制御する場合は、アクセルペダルの操作に対する電気モータの出力特性をシフターの操作ポジションに応じて変化させるように構成されている。モード選択装置は、電気自動車の起動時、第1モードと第2モードのうちの特定の制御モードを自動で選択するように構成されている。
本開示の電気自動車によれば、運転者に対し、第1モードの選択による通常の電気自動車としての運転と、第2モードの選択によるMT車両のような運転の両方を選択的に楽しませつつ、車両の起動時に制御モードが定まっていないことによる煩わしさを運転者に覚えさせることがない。
本開示の実施形態に係る電気自動車の構成を模式的に示す図である。 図1に示す電気自動車の制御システムの構成を示すブロック図である。 図1に示す電気自動車の制御装置の機能を示すブロック図である。 モード選択装置によるモード切替処理の手順を示すフローチャートである。 図3に示す制御装置が備えるMT車両モデルの一例を示すブロック図である。 図5に示すMT車両モデルを構成するエンジンモデル、クラッチモデル、及びトランスミッションモデルの一例を示す図である。
1.電気自動車の構成
図1は、本実施の形態に係る電気自動車10の動力系の構成を模式的に示す図である。図1に示すように、電気自動車10は、動力源として電気モータ2を備えている。電気モータ2は、例えばブラシレスDCモータや三相交流同期モータである。電気モータ2には、その回転速度を検出するための回転速度センサ40が設けられている。電気モータ2の出力軸3は、ギア機構4を介してプロペラシャフト5の一端に接続されている。プロペラシャフト5の他端は、デファレンシャルギア6を介して、車両前方のドライブシャフト7に接続されている。
電気自動車10は、前車輪である駆動輪8と、後車輪である従動輪12とを備えている。駆動輪8は、ドライブシャフト7の両端にそれぞれ設けられている。各車輪8,12には、車輪速センサ30が設けられている。図1では、代表して右後輪の車輪速センサ30のみが描かれている。車輪速センサ30は、電気自動車10の車速を検出するための車速センサとしても用いられる。車輪速センサ30は、コントローラエリアネットワーク(CAN)などの車載ネットワークによって後述する制御装置50に接続されている。
電気自動車10は、バッテリ14と、インバータ16とを備えている。バッテリ14は、電気モータ2を駆動する電気エネルギを蓄える。すなわち、電気自動車10は、バッテリ14に蓄えられた電気エネルギで走行するバッテリ電気自動車(BEV)である。インバータ16は、バッテリ14から入力される直流電力を電気モータ2の駆動電力に変換する。インバータ16による電力変換は、制御装置50によるPWM制御によって行われる。インバータ16は、車載ネットワークによって制御装置50に接続されている。
電気自動車10は、運転者が電気自動車10に対する動作要求を入力するための動作要求入力装置として、加速要求を入力するためのアクセルペダル22と、制動要求を入力するためのブレーキペダル24とを備えている。アクセルペダル22には、アクセルペダル22の操作量であるアクセル開度を検出するためのアクセルポジションセンサ32が設けられている。またブレーキペダル24には、ブレーキペダル24の操作量であるブレーキ踏み込み量を検出するためのブレーキポジションセンサ34が設けられている。アクセルポジションセンサ32及びブレーキポジションセンサ34は、車載ネットワークによって制御装置50に接続されている。
電気自動車10は、動作入力装置として、さらに疑似パドルシフター26を備えている。パドルシフター、すなわち、パドル式のシーケンシャルシフターはシーケンシャルマニュアルトランスミッション(SMT)を操作する装置であるが、当然ながら電気自動車10はSMTを備えていない。疑似パドルシフター26は、あくまでも、本来のパドルシフターとは異なるダミーである。一般的に、パドルシフターを備えるMT車両は、クラッチペダルを備えないクラッチペダルレスMT車両である。ゆえに、電気自動車10は、疑似パドルシフター26を備えているが、クラッチペダルに似せた疑似クラッチペダルは備えていない。
疑似パドルシフター26は、クラッチペダルレスMT車両が備えるパドルシフターに似せた構造を有している。疑似パドルシフター26は、ステアリングホイールに取り付けられている。疑似パドルシフター26は、アップシフトスイッチ26uとダウンシフトスイッチ26dを備える。アップシフトスイッチ26uは、ステアリングホイールの右側に設けられ、ダウンシフトスイッチ26dは、ステアリングホイールの左側に設けられている。アップシフトスイッチ26uとダウンシフトスイッチ26dは独立に操作することができる。アップシフトスイッチ26uは手前に引かれることで信号を発し、ダウンシフトスイッチ26dも手前に引かれることで信号を発する。以下、アップシフトスイッチ26uを手前に引く操作をアップシフト操作と称し、アップシフト操作によってアップシフトスイッチ26uが発する信号をアップシフト信号と称する。また、ダウンシフトスイッチ26dを手前に引く操作をダウンシフト操作と称し、ダウンシフト操作によってダウンシフトスイッチ26dが発する信号をダウンシフト信号と称する。アップシフトスイッチ26uとダウンシフトスイッチ26dは車載ネットワークによって制御装置50に接続されている。
電気自動車10は、モード選択スイッチ42を備えている。モード選択スイッチ42は、電気モータ2の制御モードを選択するスイッチである。電気モータ2の制御モードには、MTモードとEVモードとがある。モード選択スイッチ42は、MTモードとEVモードのいずれか一方を任意に選択可能に構成されている。詳細は後述するが、EVモードでは、一般的な電気自動車のための通常の制御モード(第1モード)で電気モータ2の制御が行われる。MTモードでは、電気自動車10をMT車両のように運転するための制御モード(第2モード)で電気モータ2の制御が行われる。モード選択スイッチ42は、車載ネットワークによって制御装置50に接続されている。
電気自動車10は、起動スイッチ46を備えている。起動スイッチ46をオンにすることで、起動スイッチ46から制御装置50に起動信号が入力される。起動スイッチ46をオフにすることで、起動スイッチ46から制御装置50に停止信号が入力される。制御装置50への起動信号の入力によって電気自動車10のシステムが起動し、電気自動車10は走行可能になる。そして、制御装置50への停止信号の入力によって電気自動車10のシステムは停止し、電気自動車10は走行不能になる。
制御装置50は、典型的には、電気自動車10に搭載される電子制御ユニット(ECU)である。制御装置50は、複数のECUの組み合わせであってもよい。制御装置50は、インターフェース52と、メモリ54と、プロセッサ56とを備えている。インターフェース52には車載ネットワークが接続されている。メモリ54は、データを一時的に記録するRAMと、プロセッサ56で実行可能なプログラムやプログラムに関連する種々のデータを保存するROMとを含んでいる。プログラムは複数のインストラクションで構成されている。プロセッサ56は、プログラムやデータをメモリ54から読み出して実行し、各センサから取得した信号に基づいて制御信号を生成する。
図2は、本実施の形態に係る電気自動車10の制御システムの構成を示すブロック図である。制御装置50は、少なくとも車輪速センサ30、アクセルポジションセンサ32、ブレーキポジションセンサ34、アップシフトスイッチ26u、ダウンシフトスイッチ26d、回転速度センサ40、ドライブモード選択スイッチ42、及び起動スイッチ46からの信号の入力を受け付ける。また、制御装置50は、少なくともインバータ16へ信号を出力する。図示は省略するが、これらの他にも様々なセンサ、アクチュエータ、表示器が電気自動車10に搭載されている。
制御装置50は、制御信号算出部520としての機能を備える。詳しくは、メモリ54に記憶されたプログラムがプロセッサ56により実行されることで、プロセッサ56は、少なくとも制御信号算出部520として機能する。制御信号算出とは、アクチュエータや機器に対する制御信号を算出する機能である。制御信号には、少なくとも、インバータ16をPWM制御するための信号が含まれる。以下、制御装置50が有する機能について説明する。
2.制御装置の機能
2-1.モータトルク算出機能
2-1-1.制御信号算出部の機能
図3は、本実施の形態に係る制御装置50の機能、特に、電気モータ2に対するモータトルク指令値の算出に係る機能を示すブロック図である。制御装置50は、このブロック図に示された機能によりモータトルク指令値を計算し、モータトルク指令値に基づいてインバータ16をPWM制御するための制御信号を生成する。
図3に示すように、制御信号算出部520は、MT車両モデル530、要求モータトルク計算部540、モータトルク指令マップ550、及び切替スイッチ560を備える。御信号算出部520には、車輪速センサ30、アクセルポジションセンサ32、アップシフトスイッチ26u、ダウンシフトスイッチ26d、回転速度センサ40、及びモード選択スイッチ42からの信号が入力される。制御信号算出部520は、これらのセンサからの信号を処理し、電気モータ2に出力させるモータトルクを算出する。
制御信号算出部520によるモータトルクの計算は、MT車両モデル530と要求モータトルク計算部540とを用いた計算と、モータトルク指令マップ550を用いた計算の2通りがある。前者は、電気自動車10をMTモードで走行させる場合のモータトルクの計算に用いられる。後者は、電気自動車10をEVモードで走行させる場合のモータトルクの計算に用いられる。どちらのモータトルクを用いるかは、切替スイッチ560によって決まる。切替スイッチ560は、モード選択スイッチ42から入力される信号によって動作する。切替スイッチ560とモード選択スイッチ42は、モード選択装置を構成する。
2-1-2.MTモードでのモータトルクの計算
MT車両モデル530は、電気自動車10をクラッチペダルレスMT車両であると仮定した場合に、アクセルペダル22及び疑似パドルシフター26の操作によって得られるはずの駆動輪トルクを計算するモデルである。クラッチペダルレスMT車両は、エンジン、SMT、及びエンジンとSMTとを接続するクラッチを備えるが、クラッチは自動で操作されるためクラッチペダルを備えないMT車両である。クラッチペダルレスMT車両における駆動輪トルクは、エンジンに対する燃料供給を制御するガスペダルの操作と、SMTのギア段を切り替えるパドルシフターの操作とによって決定付けられる。エンジンは火花点火式エンジンでもよいし、ディーゼルエンジンでもよい。以下、MT車両モデル530により仮想的に実現されるエンジン、クラッチ、及びSMTをそれぞれ仮想エンジン、仮想クラッチ、仮想SMTと称する。
MT車両モデル530には、仮想エンジンのガスペダルの操作量として、アクセルポジションセンサ32で検出されたアクセル開度Papが入力される。また、MT車両モデル530には、仮想SMTのギア段を決定するパドルシフターの操作の入力として、アップシフトスイッチ26uから発信されたアップシフト信号Suと、ダウンシフトスイッチ26dから発信されたダウンシフト信号Sdとが入力される。さらに、MT車両モデル530には、車両の負荷状態を示す信号として車輪速センサ30で検出された車速Vw(或いは車輪速)も入力される。
要求モータトルク計算部540は、MT車両モデル530で算出された駆動輪トルクTwを要求モータトルクTmに変換する。要求モータトルクTmは、MT車両モデル530で算出された駆動輪トルクTwの実現必要なモータトルクである。駆動輪トルクTwの要求モータトルクTmへの変換には、電気モータ2の出力軸3から駆動輪8までの減速比が用いられる。
2-1-3.EVモードでのモータトルクの計算
EVモードでは、運転者が疑似パドルシフター26を操作しても、その操作は電気自動車10の運転には反映されない。つまり、EVモードでは、疑似パドルシフター26の操作は無効化される。EVモードでモータトルクの計算に用いられるモータトルク指令マップ550は、アクセル開度と電気モータ2の回転速度とをパラメータとしてモータトルクを決定するマップである。モータトルク指令マップ550の各パラメータには、アクセルポジションセンサ32の信号と、回転速度センサ40の信号とが入力される。モータトルク指令マップ550からは、これらの信号に対応するモータトルクが出力される。
2-1-4.モータトルクの切り替え
モータトルク指令マップ550を用いて計算されたモータトルクをTevと表記し、MT車両モデル530及び要求モータトルク計算部540を用いて計算されたモータトルクをTmtと表記する。2つのモータトルクTev,Tmtのうち切替スイッチ560によって選択されたモータトルクが、電気モータ2に対してモータトルク指令値として与えられる。ただし、モータトルクTevがモータトルク指令値として出力されている間も、MT車両モデル530を用いたモータトルクTmtの計算は継続されている。逆に、モータトルクTmtがモータトルク指令値として出力されている間も、モータトルクTevの計算は継続されている。つまり、切替スイッチ560には、モータトルクTevとモータトルクTmtの両方が継続的に入力されている。
切替スイッチ560は、モード選択スイッチ42で選択された制御モードに応じて動作する。モード選択スイッチ42でEVモードが選択されている場合、切替スイッチ560は、モータトルク指令マップ550に接続し、モータトルク指令マップ550から入力されるモータトルクTevをモータトルク指令値として出力する。モード選択スイッチ42でMTモードが選択された場合、切替スイッチ560は、接続先を要求モータトルク計算部540に切り替える。そして、切替スイッチ560は、要求モータトルク計算部540から入力されるモータトルクTmtをモータトルク指令値として出力する。このような入力の切り替えが、モード選択スイッチ42による制御モードの選択に連動して行われる。
ただし、電気自動車10の起動時には、前回のトリップにおいてどの制御モードが選択されていたかに関係なく、切替スイッチ560は予め設定されている起動時接続先に自動で接続する。起動時接続先は、ハードスイッチにより或いはソフトスイッチによって運転者が任意に設定することができる。初期設定では、切替スイッチ560の起動時接続先はモータトルク指令マップ550とされている。つまり、運転者が起動スイッチ46をオンにしたときには、必ずEVモードで起動するように初期設定がなされている。EVモードであれば、運転者が誰であっても、つまり、MT車両の運転が苦手な者であっても難なく運転を開始することができる。運転者がMTモードでの起動を望むのであれば、設定変更によって切替スイッチ560の起動時接続先を要求モータトルク計算部540とすればよい。
図4は、モード選択スイッチ42と切替スイッチ560とで構成されるモード選択装置によるモード切替処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、起動時の制御モードは初期設定であるEVモードであるとする。
ステップS01では、起動スイッチ46がオンになったかどうか判定される。起動スイッチ46がオンになるまではシステムの停止状態が継続される。そして、起動スイッチ46がオンになった場合、手順はステップS02に進む。
ステップS02では、前回のトリップがEVモードとMTモードのどちらの制御モードで終了したかに関係なく、切替スイッチ560は、モータトルク指令マップ550に自動で接続される。つまり、起動スイッチ46のオンによってEVモードが自動で選択され、電気自動車10は必ずEVモードで起動される。次に、手順はステップS03に進む。
ステップS03では、モード選択スイッチ42によってMTモードが選択されたかどうか判定される。MTモードが選択されるまでは、EVモードでの電気モータ2の制御が継続される。MTモードが選択された場合、手順はステップS04に進む。
ステップS04では、切替スイッチ560の接続先がモータトルク指令マップ550から要求モータトルク計算部540へ切り替えられる。これにより、制御モードはEVモードからMTモードへ切り替わる。
2-2.MT車両モデル
2-2-1.概要
次に、MT車両モデル530について説明する。図5は、MT車両モデル530の一例を示すブロック図である。MT車両モデル530は、エンジンモデル531、クラッチモデル532、MTモデル533、車軸・駆動輪モデル534、及びPCUモデル535から構成されている。エンジンモデル531では、仮想エンジンがモデル化されている。本実施形態の仮想エンジンは、スロットルの開度によってトルクが制御される火花点火式エンジンである。クラッチモデル532では、仮想クラッチがモデル化されている。MTモデル533では、仮想SMTがモデル化されている。車軸・駆動輪モデル534では、車軸から駆動輪までの仮想のトルク伝達系がモデル化されている。そして、PCUモデル535では、仮想エンジン、仮想クラッチ、及び仮想SMTを統合制御する仮想のプラントコントロールユニット(PCU)の一部の機能がモデル化されている。各モデルは、例えば、計算式で表されてもよいしマップで表されてもよい。
各モデル間では計算結果の入出力が行われる。また、MT車両モデル530に入力されたアクセル開度Pap、アップシフト信号Su、及びダウンシフト信号Sdは、PCUモデル535で用いられる。車速Vw(或いは車輪速)は複数のモデルにおいて使用される。MT車両モデル530では、これらの入力信号に基づき、駆動輪トルクTwと仮想エンジン回転速度Neとが算出される。
2-2-2.PCUモデル
PCUモデル535は、仮想エンジンの仮想スロットル開度、仮想クラッチの仮想クラッチ開度、及び仮想SMTの仮想ギア段を算出する。PCUモデル535は、仮想スロットル開度を計算するスロットル開度モデル、仮想クラッチ開度を計算するクラッチ開度モデル、及び仮想ギア段を計算するギア段モデルから構成される。
スロットル開度モデルは、アクセル開度Pap、アップシフト信号Su、及びダウンシフト信号Sdの入力を受けて仮想スロットル開度TAを出力する。スロットル開度モデルでは、仮想スロットル開度TAはアクセル開度Papに関連付けられ、アクセル開度Papが大きくなるにつれて仮想スロットル開度TAは大きくされる。ただし、アップシフト信号Suが入力されたとき、及びダウンシフト信号Sdが入力されたとき、仮想スロットル開度TAはアクセル開度Papに関わらず一時的に低下される。これは、疑似パドルシフター26のシフト操作が行われたとき、仮想スロットルは一時的に閉じられることを意味する。スロットル開度モデルから出力される仮想スロットル開度TAは、エンジンモデル531に入力される。
クラッチ開度モデルは、アップシフト信号Su及びダウンシフト信号Sdの入力を受けて仮想クラッチ開度CPを出力する。仮想クラッチ開度CPは、基本的にはゼロ%とされている。すなわち、仮想クラッチの基本の状態は係合された状態である。アップシフト信号Suが入力されたとき、及びダウンシフト信号Sdが入力されたとき、仮想クラッチ開度CPは一時的に0%にされる。これは、疑似パドルシフター26のシフト操作が行われたとき、仮想クラッチは一時的に解放されることを意味する。仮想クラッチを係合する際の仮想クラッチ開度CPの計算には、車速Vwと仮想エンジン回転速度とが用いられる。クラッチ開度モデルは、車速Vwから計算される仮想SMTの入力軸の回転速度と、仮想エンジン回転速度とを滑らかに一致させるように、回転速度差に基づいて仮想クラッチ開度CPを計算する。クラッチ開度モデルから出力される仮想クラッチ開度CPは、クラッチモデル532に入力される。
ギア段モデルは、アップシフト信号Su及びダウンシフト信号Sdの入力を受けて仮想ギア段GPを出力する。仮想SMTのギア段数はN(Nは2以上の自然数)である。仮想ギア段GPは、アップシフト信号Suが入力される毎に1段上げられる。ただし、仮想ギア段GPが第N段になっているときは、アップシフト信号Suが入力された場合でも仮想ギア段GPは第N段に維持される。また、仮想ギア段GPは、ダウンシフト信号Sdが入力される毎に1段下げられる。ただし、仮想ギア段GPが第1段になっているときは、ダウンシフト信号Sdが入力された場合でも仮想ギア段GPは第1段に維持される。ギア段モデルから出力される仮想ギア段GPは、MTモデル533に入力される。
2-2-3.エンジンモデル
エンジンモデル531は、仮想エンジン回転速度Neと仮想エンジン出力トルクTeoutを算出する。エンジンモデル531は、仮想エンジン回転速度Neを計算するモデルと仮想エンジン出力トルクTeoutを計算するモデルから構成される。仮想エンジン回転速度Neの計算には、例えば、次式(1)で表されるモデルが用いられる。次式(1)では、車輪8の回転速度Nw、総合減速比R、及び仮想クラッチのスリップ率Rslipから仮想エンジン回転速度Neが算出される。
Figure 0007509189000001
式(1)において、車輪8の回転速度Nwは車輪速センサ30によって検出される。総合減速比Rは、後述するMTモデル533で計算されるギア比(変速比)rと、車軸・駆動輪モデル534で規定されている減速比とから算出される。スリップ率Rslipは、後述するクラッチモデル532で算出される。
ただし、式(1)は、仮想クラッチによって仮想エンジンと仮想SMTとが接続されている状態での仮想エンジン回転速度Neの計算式である。仮想クラッチが切られている場合には、仮想エンジンで発生する仮想エンジントルクTeは、仮想エンジン回転速度Neの上昇に使用されるとみなすことができる。仮想エンジントルクTeは、仮想エンジン出力トルクTeoutに慣性モーメントによるトルクを加えたトルクである。仮想クラッチが切られている場合、仮想エンジン出力トルクTeoutはゼロである。ゆえに、エンジンモデル531は、仮想クラッチが切られている場合、仮想エンジントルクTeと仮想エンジンの慣性モーメントJとを用いて次式(2)により仮想エンジン回転速度Neを算出する。仮想エンジントルクTeの計算には、仮想スロットル開度TAをパラメータとするマップが用いられる。
Figure 0007509189000002
なお、クラッチペダルレスMT車両のアイドリング中は、エンジン回転速度を一定回転速度に維持するアイドルスピードコントロール制御が行われる。そこで、エンジンモデル531は、仮想クラッチが切られ、車速が0であり、且つ仮想スロットル開度TAが0%である場合、仮想エンジン回転速度Neを所定のアイドリング回転速度(例えば1000rpm)として算出する。運転者が、停車中にアクセルペダル22を踏み込んで空吹かしを行う場合、式(2)で計算される仮想エンジン回転速度Neの初期値としてアイドリング回転速度が用いられる。
エンジンモデル531は、仮想エンジン回転速度Ne及び仮想スロットル開度TAから仮想エンジン出力トルクTeoutを算出する。仮想エンジン出力トルクTeoutの計算には、例えば、図6に示すようなマップが用いられる。このマップは、定常状態での仮想スロットル開度TAと、仮想エンジン回転速度Neと、仮想エンジン出力トルクTeoutとの関係を規定したマップである。このマップでは、仮想スロットル開度TA毎に仮想エンジン回転速度Neに対する仮想エンジン出力トルクTeoutが与えられる。図6に示すトルク特性は、自然吸気エンジンを想定した特性に設定することもできるし、過給エンジンを想定した特性に設定することもできる。また、図6に示すトルク特性は、仮想スロットル開度TAを仮想燃料噴射量に置き換えることで、ディーゼルエンジンを想定した特性に設定することもできる。エンジンモデル531で算出された仮想エンジン出力トルクTeoutは、クラッチモデル532に入力される。
2-2-4.クラッチモデル
クラッチモデル532は、トルク伝達ゲインkを算出する。トルク伝達ゲインkは、仮想クラッチ開度CPに応じた仮想クラッチのトルク伝達度合いを算出するためのゲインである。クラッチモデル532は、例えば、図6に示すようなマップを有する。このマップでは、仮想クラッチ開度CPに対してトルク伝達ゲインkが与えられる。図6でトルク伝達ゲインkは、仮想クラッチ開度CPがCP0からCP1の範囲で1となり、仮想クラッチ開度CPがCP1からCP2の範囲で0まで一定の傾きで単調減少し、仮想クラッチ開度CPがCP2からCP3の範囲で0となるように与えられる。ここで、CP0はクラッチ開度0%に対応し、CP3はクラッチ開度100%に対応している。CP0からCP1までの範囲とCP2からCP3までの範囲は、仮想クラッチ開度CPによってトルク伝達ゲインkが変わらない不感帯である。
クラッチモデル532は、トルク伝達ゲインkを用いてクラッチ出力トルクTcoutを算出する。クラッチ出力トルクTcoutは、仮想クラッチから出力されるトルクである。クラッチモデル532は、例えば、次式(3)により、仮想エンジン出力トルクTeout及びトルク伝達ゲインkからクラッチ出力トルクTcoutを算出する。クラッチモデル532で算出されたクラッチ出力トルクTcoutは、MTモデル533に入力される。
Figure 0007509189000003
また、クラッチモデル532は、スリップ率Rslipを算出する。スリップ率Rslipは、エンジンモデル531での仮想エンジン回転速度Neの計算に用いられる。スリップ率Rslipの算出には、トルク伝達ゲインkと同様に、クラッチペダル踏み込み量Pcに対してスリップ率Rslipが与えられるマップを用いることができる。そのようなマップに代えて、スリップ率Rslipとトルク伝達ゲインとの関係を表す次式(4)によって、トルク伝達ゲインkからスリップ率Rslipを算出してもよい。
Figure 0007509189000004
2-2-5.MTモデル
MTモデル533は、ギア比(変速比)rを算出する。ギア比rは、仮想SMTにおいて仮想ギア段GPにより決まるギア比である。MTモデル533は、例えば、図6に示すようなマップを有する。このマップでは、仮想ギア段GPに対してギア比rが与えられる。図6に示すように、仮想ギア段GPが大きいほどギア比rは小さくなる。
MTモデル533は、ギア比rを用いて変速機出力トルクTgoutを算出する。変速機出力トルクTgoutは、仮想SMTから出力されるトルクである。MTモデル533は、例えば、次式(5)により、クラッチ出力トルクTcout及びギア比rから変速機出力トルクTgoutを算出する。MTモデル533で算出された変速機出力トルクTgoutは、車軸・駆動輪モデル534に入力される。
Figure 0007509189000005
2-2-5.車軸・駆動輪モデル
車軸・駆動輪モデル534は、所定の減速比rrを用いて駆動輪トルクTwを算出する。減速比rrは、仮想SMTから駆動輪8までの機械的な構造により決まる固定値である。減速比rrにギア比rを乗じて得られる値が前述の総合減速比Rである。車軸・駆動輪モデル534は、例えば、次式(6)により、変速機出力トルクTgout、及び減速比rrから駆動輪トルクTwを算出する。車軸・駆動輪モデル534算出された駆動輪トルクTwは、要求モータトルク計算部540に出力される。
Figure 0007509189000006
3.その他
上記実施形態において、パドル式の疑似シフターに代えてレバー式の疑似シフターを備えてもよい。レバー式の疑似シフターは、シフトレバーを前方に倒すことでアップシフト信号を出力し、シフトレバーを後方に倒すことでダウンシフト信号を出力するように構成される。
上記実施形態において、疑似シーケンシャルシフターに代えて疑似H型シフターと疑似クラッチペダルとを備えてもよい。その場合、MT車両モデルのクラッチモデルでは、疑似クラッチペダルの踏み込み量に応じてトルク伝達ゲインを算出するようにすればよい。また、MT車両モデルのMTモデルでは、疑似H型シフターのシフトポジションに応じてギア比を算出すればよい。
上記実施形態に係る電気自動車10は、変速機を備えていない。しかし、有段或いは無段の自動変速機を備えた電気自動車にも本発明は適用可能である。この場合、MT車両モデルで計算されたモータトルクを出力させるように、電気モータ及び自動変速機からなるパワートレインを制御すればよい。
本開示のモータトルク制御技術は、バッテリ電気自動車に限らず、電気モータを走行用の動力装置として用いる電気自動車であれば広く適用可能である。
2 電気モータ、10 電気自動車、16 インバータ、22 アクセルペダル、26 疑似パドルシフター、42 モード選択スイッチ、46 起動スイッチ、50 制御装置

Claims (1)

  1. 電気モータを走行用の動力装置として用いる電気自動車であって、
    アクセルペダルと、
    シフターと、
    運転者のモード選択操作に従い前記電気モータの制御モードとして第1モードと第2モードのいずれか一方を選択するモード選択装置と、
    前記モード選択装置で選択された前記制御モードに従い前記電気モータを制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    前記第1モードで前記電気モータを制御する場合は、前記シフターの操作ポジションによらずに前記アクセルペダルの操作に応じて前記電気モータの出力を変化させ、
    前記第2モードで前記電気モータを制御する場合は、前記アクセルペダルの操作に対する前記電気モータの出力特性を前記シフターの操作ポジションに応じて変化させる、ように構成され、
    前記モード選択装置は、前記電気自動車の起動時、前回のトリップでどの制御モードが選択されていたかに関係なく前記第1モードと前記第2モードのうちの前記運転者が予め設定した制御モードを自動で選択する、ように構成されている
    ことを特徴とする電気自動車。
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