JP7472726B2 - 電気自動車 - Google Patents
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Description
図1は、本実施の形態に係る電気自動車10の動力系の構成を模式的に示す図である。図1に示すように、電気自動車10は、動力源として電気モータ2を備えている。電気モータ2は、例えばブラシレスDCモータや三相交流同期モータである。電気モータ2には、その回転速度を検出するための回転速度センサ40が設けられている。電気モータ2の出力軸3は、ギア機構4を介してプロペラシャフト5の一端に接続されている。プロペラシャフト5の他端は、デファレンシャルギア6を介して、車両前方のドライブシャフト7に接続されている。
2-1.モータトルク算出機能
図3は、本実施の形態に係る制御装置50の機能、特に、電気モータ2に対するモータトルク指令値の算出に係る機能を示すブロック図である。制御装置50は、このブロック図に示された機能によりモータトルク指令値を計算し、モータトルク指令値に基づいてインバータ16をPWM制御するための制御信号を生成する。
MT車両における駆動輪トルクは、エンジンに対する燃料供給を制御するガスペダルの操作と、MTのギア段を切り替えるシフトレバー(シフト装置)の操作と、エンジンとMTとの間のクラッチを動作させるクラッチペダルの操作とによって決定付けられる。MT車両モデル530は、電気自動車10がエンジン、クラッチ、及びMTを備えているのであれば、アクセルペダル22、疑似クラッチペダル28、及び疑似シフトレバー26の操作によって得られる駆動輪トルクを計算するモデルである。以下、MTモードにおいて、MT車両モデル530により仮想的に実現されるエンジン、クラッチ、及びMTを仮想エンジン、仮想クラッチ、仮想MTと称する。
図4は、EVモードでのモータトルクの計算に用いられモータトルク指令マップ550の一例を示す図である。モータトルク指令マップ550は、アクセル開度とPapと電気モータ2の回転速度とをパラメータとしてモータトルクを決定するマップである。モータトルク指令マップ550の各パラメータには、アクセルポジションセンサ32の信号と、回転速度センサ40の信号とが入力される。モータトルク指令マップ550からは、これらの信号に対応するモータトルクが出力される。
モータトルク指令マップ550を用いて計算されたモータトルクをTevと表記し、MT車両モデル530及び要求モータトルク計算部540を用いて計算されたモータトルクをTmtと表記する。2つのモータトルクTev,Tmtのうち切替スイッチ560によって選択されたモータトルクが、電気モータ2に対してモータトルク指令値として与えられる。
2-5-1.概要
次に、MT車両モデル530について説明する。図5は、MT車両モデル530の一例を示すブロック図である。MT車両モデル530は、エンジンモデル531と、クラッチモデル532と、MTモデル533と、車軸・駆動輪モデル534とから構成されている。エンジンモデル531では、仮想エンジンがモデル化されている。クラッチモデル532では、仮想クラッチがモデル化されている。MTモデル533は、仮想MTがモデル化されている。車軸・駆動輪モデル534では、車軸から駆動輪までの仮想のトルク伝達系がモデル化されている。各モデルは計算式で表されてもよいしマップで表されてもよい。
エンジンモデル531は、仮想エンジン回転速度Neと仮想エンジン出力トルクTeoutを算出する。エンジンモデル531は、仮想エンジン回転速度Neを計算するモデルと仮想エンジン出力トルクTeoutを計算するモデルから構成される。仮想エンジン回転速度Neの計算には、例えば、次式(1)で表されるモデルが用いられる。次式(1)では、車輪8の回転速度Nw、総合減速比R、及びクラッチ機構のスリップ率slipから仮想エンジン回転速度Neが算出される。
クラッチモデル532は、トルク伝達ゲインkを算出する。トルク伝達ゲインkは、疑似クラッチペダル28の踏み込み量に応じた仮想クラッチのトルク伝達度合いを算出するためのゲインである。クラッチモデル532は、例えば、図7に示すようなマップを有する。このマップでは、クラッチペダル踏み込み量Pcに対してトルク伝達ゲインkが与えられる。図7でトルク伝達ゲインkは、クラッチペダル踏み込み量PcがPc0からPc1の範囲で1となり、クラッチペダル踏み込み量PcがPc1からPc2の範囲で0まで一定の傾きで単調減少し、クラッチペダル踏み込み量PcがPc2からPc3の範囲で0となるように与えられる。ここで、Pc0はクラッチペダル踏み込み量Pcが0%に対応し、Pc1はクラッチペダル踏み込み時の遊び限界に対応し、Pc3はクラッチペダル踏み込み量Pcが100%対応し、Pc2はPc3から際の遊び限界に対応している。
MTモデル533は、ギア比(変速比)rを算出する。ギア比rは、仮想MTにおいて疑似シフトレバー26のシフトポジションSpにより決まるギア比である。疑似シフトレバー26のシフトポジションSpと仮想MTのギア段とは一対一の関係にある。MTモデル533は、例えば、図8に示すようなマップを有する。このマップでは、ギア段に対してギア比rが与えられる。図8に示すように、ギア段が大きいほどギア比rは小さくなる。
車軸・駆動輪モデル534は、所定の減速比rrを用いて駆動輪トルクTwを算出する。減速比rrは、仮想MTから駆動輪8までの機械的な構造により決まる固定値である。車軸・駆動輪モデル534は、例えば、次式(4)により、変速機出力トルクTgout、及び減速比rrから駆動輪トルクTwを算出する。車軸・駆動輪モデル534算出された駆動輪トルクTwは、要求モータトルク計算部540に出力される。
要求モータトルク計算部540は、MT車両モデル530で算出された駆動輪トルクTwをモータトルクに変換する。図9は、MT走行モードで実現される電気モータ2のトルク特性を、EV走行モードで実現される電気モータ2のトルク特性と比較して示す図である。MTモードの場合、図9に示されるように、疑似シフトレバー26により設定されるギア段に応じてMT車両のトルク特性を模擬するようなトルク特性(図中実線)を実現することができる。
2-6-1.概要
次に、ゼロ発進加速要求判定部500によるゼロ発進加速要求判定について説明する。ゼロ発進加速は、停止状態からの加速である。AT車両や通常のEVであれば、アクセルペダルを踏みこむことで、素早い加速を実現することができる。さらに大きな加速を望むのであれば、運転者は、ブレーキペダルを踏んだ状態でアクセルペダルを踏み込み、駆動輪にトルクをかけた状態でブレーキペダルを離せばよい。しかし、MT車両の場合には、より複雑な操作が必要とされる。MT車両では、クラッチペダルを切った状態でアクセルペダルを踏み、エンジン回転速度を最大トルク付近まで高めた状態で、クラッチペダルをつなぐ操作、すなわち、ゼロ発進加速操作が必要となる。ゼロ発進加速操作は、電気自動車10をMTモードで運転する場合のゼロ発進加速にも必要とされる。
図10は、ゼロ発進加速要求判定を含むゼロ発進加速制御の手順を示すフローチャートである。ステップS101では、現在の走行モードがMTモードかどうかが判定される。現在の走行モードがEVモードの場合、以降の処理はスキップされる。なお、EVモードの場合には、EVモードならではの大トルクによる加速が可能である。
図11は、ゼロ発進加速のためのトルクアップの第1の方法を示す図である。第1の方法では、電気モータ2のトルクを通常発進時よりも大きくすることが行われる。具体的には、MTモードでは、ギア段ごとにトルクカーブが定められ、トルクカーブに沿ってモータトルクが決定される。1速でのトルクカーブから分かるように、通常のMTモードにおいて1速発進時に得られるモータトルクは大きくない。そこで、ゼロ発進加速要求判定部500から要求モータトルク計算部540にトルクアップ指示信号が入力された場合、要求モータトルク計算部540は、電流制限を解除してモータトルクを最大トルクまで増大させる。これにより、EVモードと同等の大トルクを電気モータ2に出力させることができるので、EVに慣れた運転者であっても、違和感なくゼロ発進加速を楽しむことができる。
上記実施形態に係る電気自動車10は、1つの電気モータ2で前輪を駆動するFF車である。しかし、電気モータを前と後ろに2基配置し、前輪と後輪のそれぞれを駆動する電気自動車にも本発明は適用可能である。また、本発明は、各輪にインホイールモータを備える電気自動車にも適用可能である。これらの場合のMT車両モデルには、MT付き全輪駆動車をモデル化したものを用いることができる。
8 駆動輪
10 電気自動車
16 インバータ
26 疑似シフトレバー(疑似シフト装置)
28 疑似クラッチペダル
30 車輪速センサ
40 回転速度センサ
42 モード選択スイッチ
44 疑似エンジン回転速度メーター
50 制御装置
500 ゼロ発進加速要求判定部
520 制御信号算出部
530 MT車両モデル
540 要求モータトルク計算部
550 モータトルク指令マップ
560 切替スイッチ
Claims (1)
- 電気モータを走行用の動力装置として用いる電気自動車であって、
加速用ペダルと、
疑似クラッチペダルと、
疑似シフト装置と、
疑似エンジン回転速度メーターと、
前記電気モータが出力するモータトルクを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
メモリと、
プロセッサと、を備え、
前記メモリは、ガスペダルの操作によってトルクを制御される内燃機関とクラッチペダルの操作とシフト装置の操作とによってギア段が切り替えられるマニュアルトランスミッションとを有するMT車両における駆動輪トルクのトルク特性を模擬したMT車両モデルを記憶し、
前記プロセッサは、
前記加速用ペダルの操作量を、前記MT車両モデルに対する前記ガスペダルの操作量の入力として受け付ける処理と、
前記疑似クラッチペダルの操作量を、前記MT車両モデルに対する前記クラッチペダルの操作量の入力として受け付ける処理と、
前記疑似シフト装置のシフト位置を、前記MT車両モデルに対する前記シフト装置のシフト位置の入力として受け付ける処理と、
前記加速用ペダルの操作量と、前記疑似クラッチペダルの操作量と、前記疑似シフト装置のシフト位置とで定まる前記駆動輪トルクを、前記MT車両モデルを用いて計算する処理と、
前記駆動輪トルクを前記電気自動車の駆動輪に与えるための前記モータトルクを演算する処理と、
前記MT車両モデルを用いて計算される仮想エンジンの回転速度を前記疑似エンジン回転速度メーターに表示する処理と、を実行し、
前記電気自動車の停止時に、前記疑似エンジン回転速度メーターに表示される前記仮想エンジンの回転速度を所定回転速度付近まで高めた状態で前記疑似クラッチペダルをつなぐゼロ発進加速操作が検出された場合、
前記電気モータのトルクを通常発進時よりも大きくする処理と、
前記疑似クラッチペダルの操作量より決まるトルク伝達ゲインを通常発進時よりも大きくする処理と、のうち少なくとも1つの処理を実行する
ことを特徴とする電気自動車。
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