JP7413951B2 - 電気自動車 - Google Patents

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Description

本発明は、電気モータを走行用の動力装置として用いる電気自動車に関する。
電気自動車(EV:Electric Vehicle)において走行用の動力装置として用いられる電気モータは、従来車両において走行用の動力装置として用いられてきた内燃機関に対して、トルク特性が大きく異なっている。動力装置のトルク特性の違いにより、従来車両は変速機が必須であるのに対し、一般にEVは変速機を備えていない。もちろん、EVは、運転者の手動操作により変速比を切り替えるマニュアルトランスミッション(MT:Manual Transmission)は備えていない。このため、MT付きの従来車両(以下「MT車両」とも称する。)の運転とEVの運転とでは、運転感覚に大きな違いがある。
一方で電気モータは、印加する電圧や界磁を制御することで比較的容易にトルクを制御することができる。従って電気モータでは、適当な制御を実施することにより、電気モータの動作範囲内で所望のトルク特性を得ることが可能である。この特徴を活かして、EV車両のトルクを制御してMT車両特有のトルク特性を模擬する技術がこれまで提案されている。
特許文献1には、駆動モータにより車輪にトルクを伝達する車両において、疑似的なシフトチェンジを演出する技術が開示されている。この車両では、車速、アクセル開度、アクセル開速度、又はブレーキ踏み込み量により規定される所定の契機で、駆動モータのトルクを設定変動量だけ減少させた後、所定時間でトルクを再度増加させるトルク変動制御が行われる。これにより、有段変速機を備える車両に慣れた運転者に対して与える違和感が抑制されるとしている。
特開2018-166386号公報
しかしながら、上記の技術では、変速動作を模擬したトルク変動制御のタイミングを運転者自身の操作によって主体的に決めることはできない。特に、MT車両の運転に慣れた運転者にとっては、運転者自身による手動変速動作を介在しない疑似的な変速動作は、MTを操る楽しさを求める運転者の運転感覚に違和感を与える虞がある。
このような事情を考慮し、本出願に係る発明者らは、EVでMT車両の運転感覚を得ることができるように、EVに疑似シフト装置と疑似クラッチペダルを設けることを検討している。もちろん、単にこれらの疑似装置をEVに取り付けるのではない。本出願に係る発明者らは、疑似シフト装置と疑似クラッチペダルの操作によって、MT車両のトルク特性と同様のトルク特性が得られるように電気モータを制御できるようにすることを検討している。
ただし、疑似シフト装置と疑似クラッチペダルの操作が常に必要となると、EVの特徴の一つである運転の容易さ、そして、CVに対して優位な加速性能が損なわれてしまう。運転者としては、例えば走行環境や自身の気分により、MT車両のように運転したいし、通常のEVとしても運転したい。このような要望を実現する方法としては、電気モータの制御モードとして、MT車両を模擬した制御モードと、EVとしての通常の制御モードとを用意し、それらを任意に切り替え可能にすることが考えられる。
しかしながら、MT車両を模擬した電気モータの制御モードと、EVとしての通常の電気モータの制御モードとでは、異なるロジックによる制御が行われることになる。このため、制御モードの切り替えを行うと、制御の不連続が生じてしまい、運転者の意図と実際の制御結果とのあいだに乖離が生じてしまう虞がある。これにより、自車両が置かれている状況次第では、運転者に違和感を与え、また走行上の安全性にも影響する虞がある。
本発明は、上述の課題を鑑みてなされたもので、MT車両のような運転と通常のEVとしての運転の両方を違和感なく安全に楽しむことができる電気自動車を提供することを目的とする。
本発明に係る電気自動車は、電気モータを走行用の動力装置として用いる電気自動車であって、加速用ペダルと、疑似クラッチペダルと、疑似シフト装置と、モード選択装置と、制御装置とを備える。モード選択装置は、電気モータの制御モードを第1モードと第2モードとの間で手動或いは自動で選択する装置である。制御装置は、モード選択装置で選択された制御モードに従い電気モータが出力するモータトルクを制御する装置である。
制御装置は、メモリと、プロセッサとを備える。メモリは、MT車両モデルと、モータトルク指令マップとを記憶する。MT車両モデルは、MT車両における駆動輪トルクのトルク特性を模擬したモデルである。ここでいうMT車両とは、ガスペダルの操作によってトルクを制御される内燃機関と、クラッチペダルの操作とシフト装置の操作とによってギア段が切り替えられるマニュアルトランスミッションとを有する車両である。MT車両モデルは、第1モードで使用される。モータトルク指令マップは、加速用ペダルの操作量と電気モータの回転速度に対するモータトルクの関係を規定したマップである。モータトルク指令マップは、第2モードで使用される。
プロセッサは、第1モードで電気モータを制御する場合、以下の第1乃至第5の処理を実行する。第1の処理は、加速用ペダルの操作量を、MT車両モデルに対するガスペダルの操作量の入力として受け付ける処理である。第2の処理は、疑似クラッチペダルの操作量を、MT車両モデルに対するクラッチペダルの操作量の入力として受け付ける処理である。第3の処理は、疑似シフト装置のシフト位置を、MT車両モデルに対するシフト装置の入力として受け付ける処理である。第4の処理は、加速用ペダルの操作量と、疑似クラッチペダルの操作量と、疑似シフト装置のシフト位置とで定まる駆動輪トルクを、MT車両モデルを用いて計算する処理である。そして、第5の処理は、駆動輪トルクを自車両の駆動輪に与えるためのモータトルクを演算する処理である。
プロセッサは、第2モードで電気モータを制御する場合、以下の第6及び第7の処理を実行する。第6の処理は、疑似クラッチペダルの操作と疑似シフト装置の操作とを無効にする処理である。第7の処理は、加速用ペダルの操作量と電気モータの回転速度とに基づき、モータトルク指令マップを用いてモータトルクを演算する処理である。
また、プロセッサは、モード選択装置により制御モードの選択が変更された場合、変更前に選択されていたモードにおいて演算されるモータトルクが、変更後に選択されるモードにおいて演算されるモータトルクに徐々に変化するようにモータトルクを制御する処理を実行する。
以上の構成によれば、運転者は、モード選択装置により第1モードを選択することにより、内燃機関とマニュアルトランスミッションとを有するMT車両のように電気自動車を運転することができる。つまり、運転者は、クラッチペダル及びシフト装置を操作しMT車両のような運転感覚を得ることができる。また、運転者は、モード選択装置により第2モードを選択することにより、本来の性能で電気自動車を運転することができる。
さらに、以上の構成によれば、モード選択装置により制御モードの選択が変更された場合、モータトルクは変更前のモードにおいて演算されるモータトルクから変更後のモードにおいて演算されるモータトルクに徐々に変化するように制御される。これにより、制御モードの変更に伴うモータトルクの不連続な変化が抑制され、運転者はMT車両のような運転とEVとしての運転の両方を違和感なく安全に楽しむことができる。
以上述べたように、本発明によれば、MT車両のような運転と通常のEVとしての運転の両方を違和感なく安全に楽しむことができる電気自動車を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る電気自動車の動力系の構成を模式的に示す図である。 図1に示す電気自動車の制御システムの構成を示すブロック図である。 図1に示す電気自動車の制御装置の機能を示すブロック図である。 図3に示す制御装置が備えるモータトルク指令マップの一例を示す図である。 図3に示す制御装置が備えるモータトルク調停処理部の動作の概要を示す図である。 図3に示す制御装置が備えるMT車両モデルの一例を示すブロック図である。 図5に示すMT車両モデルを構成するエンジンモデルの一例を示す図である。 図5に示すMT車両モデルを構成するクラッチモデルの一例を示す図である。 図5に示すMT車両モデルを構成するMTモデルの一例を示す図である。 MT走行モードで実現される電気モータのトルク特性を、EV走行モードで実現される電気モータのトルク特性と比較して示す図である。 図3に示す制御装置が備えるモータトルク調停処理部の処理を示すフローチャートである。 図3に示す制御装置が備えるモータトルク調停処理部の処理を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
1.電気自動車の構成
図1は、本実施の形態に係る電気自動車10の動力系の構成を模式的に示す図である。図1に示すように、電気自動車10は、動力源として電気モータ2を備えている。電気モータ2は、例えばブラシレスDCモータや三相交流同期モータである。電気モータ2には、その回転速度を検出するための回転速度センサ40が設けられている。電気モータ2の出力軸3は、ギア機構4を介してプロペラシャフト5の一端に接続されている。プロペラシャフト5の他端は、デファレンシャルギア6を介して、車両前方のドライブシャフト7に接続されている。
電気自動車10は、前車輪である駆動輪8と、後車輪である従動輪12とを備えている。駆動輪8は、ドライブシャフト7の両端にそれぞれ設けられている。各車輪8,12には、車輪速センサ30が設けられている。図1では、代表して右後輪の車輪速センサ30のみが描かれている。車輪速センサ30は、電気自動車10の車速を検出するための車速センサとしても用いられる。車輪速センサ30は、CAN(Controller Area Network)などの車載ネットワークによって後述する制御装置50に接続されている。
電気自動車10は、バッテリ14と、インバータ16とを備えている。バッテリ14は、電気モータ2を駆動する電気エネルギを蓄える。インバータ16は、バッテリ14から入力される直流電力を電気モータ2の駆動電力に変換する。インバータ16による電力変換は、制御装置50によるPWM(Pulse Wave Modulation)制御によって行われる。インバータ16は、車載ネットワークによって制御装置50に接続されている。
電気自動車10は、運転者が電気自動車10に対する動作要求を入力するための動作要求入力装置として、加速要求を入力するためのアクセルペダル(加速用ペダル)22と、制動要求を入力するためのブレーキペダル24とを備えている。アクセルペダル22には、アクセルペダル22の操作量であるアクセル開度Pap[%]を検出するためのアクセルポジションセンサ32が設けられている。またブレーキペダル24には、ブレーキペダル24の操作量であるブレーキ踏み込み量を検出するためのブレーキポジションセンサ34が設けられている。アクセルポジションセンサ32及びブレーキポジションセンサ34、車載ネットワークによって制御装置50に接続されている。
電気自動車10は、動作入力装置として、さらに疑似シフトレバー(疑似シフト装置)26と、疑似クラッチペダル28とを備えている。シフトレバー(シフト装置)とクラッチペダルはマニュアルトランスミッション(MT)を操作する装置であるが、当然ながら電気自動車10はMTを備えていない。疑似シフトレバー26と疑似クラッチペダル28は、あくまでも、本来のシフトレバーやクラッチペダルとは異なるダミーである。
疑似シフトレバー26は、MT車両が備えるシフトレバーを模擬した構造を有している。疑似シフトレバー26の配置及び操作感は、実際のMT車両と同等である。疑似シフトレバー26には、例えば1速、2速、3速、4速、5速、6速、及びニュートラルの各ギア段に対応するポジションが設けられている。疑似シフトレバー26には、疑似シフトレバー26がどのポジションにあるかを示すシフトポジションSpを検出するシフトポジションセンサ36が設けられている。シフトポジションセンサ36は、車載ネットワークによって制御装置50に接続されている。
疑似クラッチペダル28は、MT車両が備えるクラッチペダルを模擬した構造を有している。疑似クラッチペダル28の配置及び操作感は、実際のMT車両と同等である。運転者は、疑似シフトレバー26によりギア段の設定変更をしたい場合に疑似クラッチペダル28を踏み込み、ギア段の設定変更が終わると踏み込みをやめて疑似クラッチペダル28を元に戻す。疑似クラッチペダル28には、疑似クラッチペダル28のクラッチペダル踏込量Pc[%]を検出するためのクラッチポジションセンサ38が設けられている。クラッチポジションセンサ38は、車載ネットワークによって制御装置50に接続されている。
電気自動車10は、疑似エンジン回転速度メーター44を備えている。エンジン回転速度メーターは、運転者に対して内燃機関(エンジン)の回転速度を表示する装置であるが、当然ながら電気自動車10はエンジンを備えていない。疑似エンジン回転速度メーター44は、あくまでも、本来のエンジン回転速度メーターとは異なるダミーである。疑似エンジン回転速度メーター44は、従来車両が備えるエンジン回転速度メーターを模擬した構造を有している。疑似エンジン回転速度メーター44は、機械式でもよいし液晶表示式でもよい。液晶表示式の場合、レブリミットを任意に設定できるようにしてもよい。疑似エンジン回転速度メーター44は、車載ネットワークによって制御装置50に接続されている。
電気自動車10は、モード選択スイッチ(モード選択装置)42を備えている。モード選択スイッチ42は、電気自動車10の走行モードを選択するスイッチである。電気自動車10の走行モードには、MTモードとEVモードとがある。モード選択スイッチ42は、MTモードとEVモードのいずれか一方を任意に選択可能に構成されている。詳細は後述するが、MTモードでは、電気自動車10をMT車両のように運転するための制御モード(第1モード)で電気モータ2の制御が行われる。EVモードでは、一般的な電気自動車のための通常の制御モード(第2モード)で電気モータ2の制御が行われる。モード選択スイッチ42は、車載ネットワークによって制御装置50に接続されている。なお、モード選択スイッチ42は、走行モードを手動で選択するモード選択装置であるが、走行モードの選択は自動で行われても良い。例えば、カメラやLIDAR(Light Detection And Ranging)などの外部センサで取得した車両の周辺情報や、ナビゲーション装置で取得可能な地図上の位置情報に門とづいて、走行モードを自動で選択するモード選択装置が設けられていてもよい。
電気自動車10は、制御装置50を備えている。制御装置50は、典型的には、電気自動車10に搭載されるECU(Electronic Control Unit)である。制御装置50は、複数のECUの組み合わせであってもよい。あるいは、制御装置50は、電気自動車10の外部の情報処理装置であってもよい。制御装置50は、インターフェース52と、メモリ54と、プロセッサ56とを備えている。インターフェース52には車載ネットワークが接続されている。メモリ54は、データを一時的に記録するRAM(Random Access Memory)と、プロセッサ56で実行可能な制御プログラムや制御プログラムに関連する種々のデータを保存するROM(Read Only Memory)とを含んでいる。プロセッサ56は、制御プログラムやデータをメモリ54から読み出して実行し、各センサから取得した信号に基づいて制御信号を生成する。
図2は、本実施の形態に係る電気自動車10の制御システムの構成を示すブロック図である。制御装置50には、少なくとも車輪速センサ30、アクセルポジションセンサ32、ブレーキポジションセンサ34、シフトポジションセンサ36、クラッチポジションセンサ38、回転速度センサ40、及びモード選択スイッチ42から信号が入力される。これらのセンサと制御装置50との間の通信には車載ネットワークが用いられている。図示は省略するが、これらの他にも様々なセンサが電気自動車10に搭載され、車載ネットワークによって制御装置50に接続されている。
また、制御装置50からは、少なくともインバータ16と疑似エンジン回転速度メーター44へ信号が出力されている。制御装置50はインバータ16を介して電気モータ2のトルク制御を行う。これらの機器と制御装置50との間の通信には車載ネットワークが用いられている。図示は省略するが、これらの他にも様々なアクチュエータや表示器が電気自動車10に搭載され、車載ネットワークによって制御装置50に接続されている。
制御装置50は、制御信号算出部520としての機能を備える。詳しくは、メモリ54(図1に参照)に記憶されたプログラムがプロセッサ56(図1に参照)により実行されることで、プロセッサ56は、少なくとも制御信号算出部520として機能する。制御信号算出とは、アクチュエータや機器に対する制御信号を算出する機能である。制御信号には、少なくとも、インバータ16を介して電気モータ2のトルク制御をするための信号と、疑似エンジン回転速度メーター44に情報を表示させる信号とが含まれる。以下、制御装置50が有するこれらの機能について説明する。
2.制御装置の機能
2-1.モータトルク算出機能
図3は、本実施の形態に係る制御装置50の機能、特に、電気モータ2に対するモータトルク指令値の算出に係る機能を示すブロック図である。制御装置50は、このブロック図に示された機能によりモータトルク指令値を計算し、モータトルク指令値に基づいてインバータ16を介して電気モータ2のトルク制御を行う制御信号を生成する。
図3に示すように、制御信号算出部520は、MT車両モデル530、要求モータトルク計算部540、モータトルク指令マップ550、及びモータトルク調停処理部560を備える。制御信号算出部520には、車輪速センサ30、アクセルポジションセンサ32、シフトポジションセンサ36、クラッチポジションセンサ38、回転速度センサ40、及びモード選択スイッチ42からの信号が入力される。制御信号算出部520は、これらのセンサからの信号を処理し、電気モータ2に出力させるモータトルクを算出する。
制御信号算出部520によるモータトルクの計算は、MT車両モデル530と要求モータトルク計算部540とを用いた計算と、モータトルク指令マップ550を用いた計算の2通りがある。前者は、電気自動車10をMTモードで走行させる場合のモータトルクの計算に用いられる。後者は、電気自動車10をEVモードで走行させる場合のモータトルクの計算に用いられる。これら2通りの計算により得られるモータトルクから、後述するように、モータトルク調停処理部560により電気モータ2に出力させるモータトルクが算出される。
2-2.MTモードでのモータトルクの計算
MT車両における駆動輪トルクは、エンジンに対する燃料供給を制御するガスペダルの操作と、MTのギア段を切り替えるシフトレバー(シフト装置)の操作と、エンジンとMTとの間のクラッチを動作させるクラッチペダルの操作とによって決定付けられる。MT車両モデル530は、アクセルペダル22、疑似クラッチペダル28、及び疑似シフトレバー26の操作によって得られる駆動輪トルクを計算するモデルである。以下、MTモードにおいて、MT車両モデル530により仮想的に実現されるエンジン、クラッチ、及びMTを仮想エンジン、仮想クラッチ、仮想MTと称する。
MT車両モデル530には、仮想エンジンのガスペダルの操作量として、アクセルポジションセンサ32の信号が入力される。仮想MTのシフトレバーのシフト位置として、シフトポジションセンサ36の信号が入力される。さらに、仮想クラッチのクラッチペダルの操作量として、クラッチポジションセンサ38の信号が入力される。また、MT車両モデル530には、車両の負荷状態を示す信号として車輪速センサ30の信号も入力される。MT車両モデル530は、MT車両における駆動輪トルクのトルク特性を模擬したモデルである。MT車両モデル530は、運転者によるアクセルペダル22、疑似シフトレバー26、及び疑似クラッチペダル28の操作が駆動輪トルクの値に反映されるように作成されている。MT車両モデル530の詳細については後述する。
要求モータトルク計算部540は、MT車両モデル530で算出された駆動トルクを要求モータトルクに変換する。要求モータトルクは、MT車両モデル530で算出された駆動トルクの実現に必要なモータトルクである。駆動トルクの要求モータトルクへの変換には、電気モータ2の出力軸3から駆動輪8までの減速比が用いられる。
2-3.EVモードでのモータトルクの計算
図4は、EVモードでのモータトルクの計算に用いられるモータトルク指令マップ550の一例を示す図である。モータトルク指令マップ550は、アクセル開度とPapと電気モータ2の回転速度とをパラメータとしてモータトルクを決定するマップである。モータトルク指令マップ550の各パラメータには、アクセルポジションセンサ32の信号と、回転速度センサ40の信号とが入力される。モータトルク指令マップ550からは、これらの信号に対応するモータトルクが出力される。
2-4.モータトルクの調停
モータトルク指令マップ550を用いて計算されたモータトルクをTevと表記し、MT車両モデル530及び要求モータトルク計算部540を用いて計算されたモータトルクをTmtと表記する。2つのモータトルクTev,Tmt、及びモード選択スイッチ42により選択される走行モードから、モータトルク調停処理部560により、電気モータ2に対するモータトルク指令値Tcmdが与えられる。
モータトルク調停処理部560は、モード選択スイッチ42によりMTモードが選択されている場合には、モータトルクTmtをモータトルク指令値Tcmdとして与える。同様に、モード選択スイッチ42によりEVモードが選択されている場合には、モータトルクTevをモータトルク指令値Tcmdとして与える。モータトルク調停処理部560は、さらにモード選択スイッチ42により走行モードの変更が行われた場合は、変更前の走行モードのモータトルクから変更後の走行モードのモータトルクに徐々に変化するようにモータトルク指令値Tcmdを与える徐変処理を行う。
モード選択スイッチ42によりEVモードが選択されている場合、運転者が疑似シフトレバー26や疑似クラッチペダル28を操作しても、その操作は電気自動車10の運転には反映されない。つまり、EVモードでは、疑似シフトレバー26の操作と疑似クラッチペダル28の操作は無効化される。ただし、モータトルクTevがモータトルク指令値Tcmdとして出力されている間も、MT車両モデル530及び要求モータトルク計算部540を用いたモータトルクTmtの計算は継続されている。逆に、モータトルクTmtがモータトルク指令値Tcmdとして出力されている間も、モータトルクTevの計算は継続されている。つまり、モータトルク調停処理部560には、モータトルクTevとモータトルクTmtの両方が継続的に入力されている。
図5は、モード選択スイッチ42によりMTモードからEVモードへ走行モードが変更される場合にモータトルク調停処理部560により与えられるモータトルク指令値Tcmdの概要を示す図である。
図5において、モータトルク指令値Tcmdは図中実線で表されている。図中一点鎖線は、MT車両モデル530及び要求モータトルク計算部540を用いて計算されるモータトルクTmtを表している。図中点線は、モータトルク指令マップ550を用いて計算されるモータトルクTevを表している。図5に示されるように、モータトルクTmtとモータトルクTevは、算出方法が異なるため通常一致していない。また、時刻t1でモード選択スイッチ42によりMTモードからEVモードへ走行モードの変更が行われている。
MTモードが選択されている時刻t1より前では、モータトルク指令値TcmdはモータトルクTmtと一致している。時刻t1においてMTモードからEVモードへ走行モードの変更が行われると、モータトルク指令値Tcmdは徐変処理により、モータトルクTmtからモータトルクTevへ徐々に変化するように与えられる。時刻t2において、モータトルクの切替が完了し、時刻t2以降はモータトルク指令値TcmdとモータトルクTevは一致している。
このように、モータトルク調停処理部560は、モード選択スイッチ42により走行モードの変更が行われた場合には、モータトルク指令値Tcmdの徐変処理を実行する。これにより、2つのモータトルクTmt,Tevの間にずれがある場合であっても、走行モードの変更に伴うトルクの急激な変化が生じずに、モータトルクの不連続な変化を抑制することができる。モータトルク調停処理部560で実行される処理の詳細については後述する。
2-5.MT車両モデル
2-5-1.概要
次に、MT車両モデル530について説明する。図6は、MT車両モデル530の一例を示すブロック図である。MT車両モデル530は、エンジンモデル531と、クラッチモデル532と、MTモデル533と、車軸・駆動輪モデル534とから構成されている。エンジンモデル531では、仮想エンジンがモデル化されている。クラッチモデル532では、仮想クラッチがモデル化されている。MTモデル533は、仮想MTがモデル化されている。車軸・駆動輪モデル534では、車軸から駆動輪までの仮想のトルク伝達系がモデル化されている。各モデルは計算式で表されてもよいしマップで表されてもよい。
各モデル間では計算結果の入出力が行われる。また、エンジンモデル531にはアクセルポジションセンサ32で検出されたアクセル開度Papが入力される。クラッチモデル532には、クラッチポジションセンサ38で検出されたクラッチペダル踏込量Pcが入力される。MTモデル533には、シフトポジションセンサで検出されたシフトポジションSpが入力される。さらに、MT車両モデル530では、車輪速センサ30で検出された車速Vw(或いは車輪速)が複数のモデルにおいて使用される。MT車両モデル530では、これらの入力信号に基づき、駆動輪トルクTwと仮想エンジン回転速度Neとが算出される。
2-5-2.エンジンモデル
エンジンモデル531は、仮想エンジン回転速度Neと仮想エンジン出力トルクTeoutを算出する。エンジンモデル531は、仮想エンジン回転速度Neを計算するモデルと仮想エンジン出力トルクTeoutを計算するモデルから構成される。仮想エンジン回転速度Neの計算には、例えば、次式(1)で表されるモデルが用いられる。次式(1)では、車輪8の回転速度Nw、総合減速比R、及びクラッチ機構のスリップ率slipから仮想エンジン回転速度Neが算出される。
Figure 0007413951000001
式(1)において、車輪8の回転速度Nwは車輪速センサ30で検出された車輪速から算出される。総合減速比Rは、後述するMTモデル533で計算されるギア比(変速比)rと、車軸・駆動輪モデル534で規定されている減速比とから算出される。スリップ率slipは、後述するクラッチモデル532で算出される。仮想エンジン回転速度Neは、MTモードの選択時、疑似エンジン回転速度メーター44に表示される。
ただし、式(1)は、仮想クラッチによって仮想エンジンと仮想MTとが接続されている状態での仮想エンジン回転速度Neの計算式である。仮想クラッチが切られている場合には、仮想エンジンで発生する仮想エンジントルクTeは、仮想エンジン出力トルクTeoutに慣性モーメントによるトルクを加えたトルクである。仮想クラッチが切られている場合、仮想エンジン出力トルクTeoutはゼロである。ゆえに、エンジンモデル531は、仮想クラッチが切られている場合、仮想エンジントルクTeと仮想エンジンの慣性モーメントJとを用いて次式(2)により仮想エンジン回転速度Neを算出する。仮想エンジントルクTeの計算には、アクセル開度Papをパラメータとするマップが用いられる。
Figure 0007413951000002
なお、MT車両のアイドリング中は、エンジン回転速度を一定回転速度に維持するアイドルスピードコントロール制御(ISC制御)が行われる。そこで、エンジンモデル531は、仮想クラッチが切られ、車速が0であり、かつアクセル開度Papが0%である場合、仮想エンジン回転速度Neを所定のアイドリング回転速度(例えば1000rpm)として算出する。運転者が、停車中にアクセルペダル22を踏み込んで空吹かしを行う場合、式(2)で計算される仮想エンジン回転速度Neの初期値としてアイドリング回転速度が用いられる。
エンジンモデル531は、仮想エンジン回転速度Ne及びアクセル開度Papから仮想エンジン出力トルクTeoutを算出する。仮想エンジン出力トルクTeoutの計算には、例えば、図7に示すような2次元マップが用いられる。この2次元マップでは、アクセル開度Pap毎に仮想エンジン回転速度Neに対する仮想エンジン出力トルクTeoutが与えられる。図7に示すトルク特性は、ガソリンエンジンを想定した特性に設定することもできるし、ディーゼルエンジンを想定した特性に設定することもできる。また、自然吸気エンジンを想定した特性に設定することもできるし、過給エンジンを想定した特性に設定することもできる。MTモードでの仮想エンジンを切り替えるスイッチを設けて、運転者が好みの設定に切り替えられるようにしてもよい。エンジンモデル531で算出された仮想エンジン出力トルクTeoutは、クラッチモデル532に出力される。
2-5-3.クラッチモデル
クラッチモデル532は、トルク伝達ゲインkを算出する。トルク伝達ゲインkは、疑似クラッチペダル28の踏み込み量に応じた仮想クラッチのトルク伝達度合いを算出するためのゲインである。クラッチモデル532は、例えば、図8に示すようなマップを有する。このマップでは、クラッチペダル踏み込み量Pcに対してトルク伝達ゲインkが与えられる。図8でトルク伝達ゲインkは、クラッチペダル踏み込み量PcがPc0からPc1の範囲で1となり、クラッチペダル踏み込み量PcがPc1からPc2の範囲で0まで一定の傾きで単調減少し、クラッチペダル踏み込み量PcがPc2からPc3の範囲で0となるように与えられる。ここで、Pc0はクラッチペダル踏み込み量Pcが0%に対応し、Pc1はクラッチペダル踏み込み時の遊び限界に対応し、Pc3はクラッチペダル踏み込み量Pcが100%対応し、Pc2はPc3からクラッチペダルを戻す際の遊び限界に対応している。
図8に示すマップは一例であり、クラッチペダル踏み込み量Pcの増加に対するトルク伝達ゲインkの変化は、0に向かう広義単調減少であればその変化曲線に限定はない。例えば、Pc1からPc2におけるトルク伝達ゲインkの変化は、上に凸となる単調減少曲線でも良いし、下に凸となる単調減少でも良い。
クラッチモデル532は、トルク伝達ゲインkを用いてクラッチ出力トルクTcoutを算出する。クラッチ出力トルクTcoutは、仮想クラッチから出力されるトルクである。クラッチモデル532は、例えば、次式(3)により、仮想エンジン出力トルクTeout、及びトルク伝達ゲインkからクラッチ出力トルクTcoutを算出する。クラッチモデル532で算出されたクラッチ出力トルクTcoutは、MTモデル533に出力される。
Figure 0007413951000003
また、クラッチモデル532は、スリップ率slipを算出する。スリップ率slipは、エンジンモデル531での仮想エンジン回転速度Neの計算に用いられる。スリップ率slipの算出には、トルク伝達ゲインkと同様に、クラッチペダル踏み込み量Pcに対してスリップ率slipとトルク伝達ゲインとの関係を表す次式(4)によって、トルク伝達ゲインkからスリップ率slipを算出してもよい。
Figure 0007413951000004
2-5-4.MTモデル
MTモデル533は、ギア比(変速比)rを算出する。ギア比rは、仮想MTにおいて疑似シフトレバー26のシフトポジションSpにより決まるギア比である。疑似シフトレバー26のシフトポジションSpと仮想MTのギア段とは一対一の関係にある。MTモデル533は、例えば、図9に示すようなマップを有する。このマップでは、ギア段に対してギア比rが与えられる。図9に示すように、ギア段が大きいほどギア比rは小さくなる。
MTモデル533は、ギア比rを用いて変速機出力トルクTgoutを算出する。変速機出力トルクTgoutは、仮想変速機から出力されるトルクである。MTモデル533は、例えば、次式(5)により、クラッチ出力トルクTcout、及びギア比rから変速機出力トルクTgoutを算出する。MTモデル533で算出された変速機出力トルクTgoutは、車軸・駆動輪モデル534に出力される。
Figure 0007413951000005
2-5-5.車軸・駆動輪モデル
車軸・駆動輪モデル534は、所定の減速比rrを用いて駆動輪トルクTwを算出する。減速比rrは、仮想MTから駆動輪8までの機械的な構造により決まる固定値である。減速比rrにギア比rを乗じて得られる値が前述の総合減速比Rである。車軸・駆動輪モデル534は、例えば、次式(5)により、変速機出力トルクTgout、及び減速比rrから駆動輪トルクTwを算出する。車軸・駆動輪モデル534算出された駆動輪トルクTwは、要求モータトルク計算部540に出力される。
Figure 0007413951000006
2-6.MTモードで実現される電気モータのトルク特性
要求モータトルク計算部540は、MT車両モデル530で算出された駆動輪トルクTwをモータトルクに変換する。図10は、MTモードで実現される電気モータ2のトルク特性、詳しくは、モータ回転速度に対するモータトルクの特性を、EVモードで実現される電気モータ2のトルク特性と比較して示す図である。MTモードの場合、図10に示されるように、疑似シフトレバー26により設定されるギア段に応じてMT車両のトルク特性を模擬するようなトルク特性(図中実線)を実現することができる。
2-7.モータトルク調停処理部の動作
次に、プロセッサ56により制御信号算出部520のモータトルク調停処理部560で実行される処理について詳細に説明する。モータトルク調停処理部560には、MT車両モデル530及び要求モータトルク計算部540を用いて計算されるモータトルクTmt、モータトルク指令マップ550を用いて計算されるモータトルクTev、及びモード選択スイッチ42により選択される走行モード、の情報が入力される。
図11及び図12は、モータトルク調停処理部560で実行される処理を示すフローチャートである。図11及び図12は、図中Pで繋がっており1つのフローチャートを示している。図11及び図12に示される処理は、制御装置50の所定の制御周期で繰り返し実行される。また、現在実行している制御周期における処理で得られる値を[n]で表し、1つ前の制御周期における処理で得られる値を[n-1]で表す。例えば、Tmt[n]は、現在実行している制御周期において要求モータトルク計算部540で計算されたモータトルクTmtを表し、Tcmd[n-1]は、1つ前の制御周期においてモータトルク調停処理部560により与えられたモータトルク指令値Tcmdを表す。従って、現在の制御周期においてモータトルク調停処理部560は、モータトルク指令値Tcmd[n]を与える。
ステップS500において、プロセッサ56は、モード選択スイッチ42により走行モードの変更が行われたか否かを判定する。走行モードの変更が行われたか否かの判定は、現在選択されている走行モードと、1つ前の制御周期において選択されていた走行モードを比較することにより行う。現在選択されている走行モードと、1つ前の制御周期において選択されていた走行モードが異なる場合、変更が行われたと判定し、同一である場合、変更が行われていないと判定する。変更が行われたと判定される場合(ステップS500;Yes)、処理はステップS501に進む。変更が行われていないと判定される場合(ステップS500;No)、ステップS501を実行せず処理はステップS502に進む。
ステップS501において、プロセッサ56は、切替完了フラグを0に設定する。切替完了フラグは、走行モードの変更に伴うモータトルクの切替が完了しているか否かを示すブール値である。言い換えると、モータトルク指令値Tcmdの徐変処理が終了したか否かを示すブール値である。モータトルクの切替が完了している(徐変処理が終了している)場合は1となり、モータトルクの切替を実行中(徐変処理を実行中)の場合は0となるように設定される。ステップS501を実行後、処理はステップS502に進む。
ステップS502において、プロセッサ56は、モード選択スイッチ42により選択されている走行モードがEVモードであるかMTモードであるかを判定する。EVモードが選択されている場合(ステップS502;Yes)、処理はステップS503に進む。このとき、ステップS503以降の処理では、EVモードとしてのモータトルクTevをモータトルク指令値Tcmdの目標値とする処理を実行する。MTモードが選択されている場合(ステップS502;No)、処理はステップS513に進む。このとき、ステップS513以降の処理では、MTモードとしてのモータトルクTmtをモータトルク指令値Tcmdの目標値とする処理を実行する。
ステップS503において、プロセッサ56は、切替完了フラグが0であるか否かを判定する。すなわち、モータトルクの切替を実行中(徐変処理を実行中)であるか否かを判定する。モータトルクの切替を実行中(徐変処理が終了している)の場合(ステップS503;Yes)、処理はステップS504に進む。モータトルクの切替が完了している(徐変処理が終了している)場合(ステップS503;No)、処理はステップS508に進み、モータトルク指令値Tcmd[n]をモータトルクTev[n]とし処理を終了する。
ステップS504において、プロセッサ56は、現在の制御周期において計算されたモータトルクTev[n]から、1つ前の制御周期において与えられたモータトルク指令値Tcmd[n-1]を引いた差分dT[n]を算出する。ステップS504を実行後、処理はステップS505に進む。
ステップS505において、プロセッサ56は、ステップS504において算出された差分dT[n]の絶対値が所定の閾値ε以上となるか否かを判定する。閾値εは、モータトルク指令値Tcmdが目標値とするモータトルクTevに十分近づいていることを示す閾値である。閾値εは、本実施の形態に係る制御装置50を適用する電気自動車の適合によって定まるパラメータであり、プログラムにあらかじめ与えられる。差分dT[n]の絶対値が閾値ε以上となる場合(ステップS505;Yes)、処理はステップS506に進む。差分dT[n]の絶対値が閾値εより小さくなる場合(ステップS505;No)、処理はステップS507に進む。
ステップS506において、プロセッサ56は、モータトルク指令値Tcmdを以下の式(7)により与える。ここでf(dT)は、差分dT[n]を入力とする関数値である。ただしf(dT[n])は、Tcmd[n]が目標値とするモータトルクTevに近づくように構成される。例えばdT[n]に正の定数倍をかけるように構成したf(dT[n])=0.3dT[n]が考えられる。この場合、モータトルク指令値Tcmdは算出される差分dT[n]の3割だけ目標値とするモータトルクTevに近づくことになる。
関数f(dT[n])は、徐変処理における変化の度合いを規定する。関数f(dT[n])は、本実施の形態に係る制御装置50を適用する電気自動車の適合を通して任意に構成の設計が行われても良い。ステップS506を実行後、処理を終了する。
Figure 0007413951000007
ステップS507において、プロセッサ56は、切替完了フラグを1に設定する。これは、ステップS505における判定により、モータトルク指令値Tcmdが目標値とするモータトルクTevに十分近づいたことを反映した処理である。ステップS507を実行後、処理はステップS508に進み、モータトルク指令値Tcmd[n]をモータトルクTev[n]とし処理を終了する。
ステップS513乃至ステップS518においてプロセッサ56により実行される処理は、目標値をMTモードとしてのモータトルクTmtとする点を除いて、ステップS503乃至ステップS508と同一である。
ステップS513において、プロセッサ56は、切替完了フラグが0であるか否かを判定する。モータトルクの切替を実行中(徐変処理が終了している)の場合(ステップS513;Yes)、処理はステップS514に進む。モータトルクの切替が完了している(徐変処理が終了している)場合(ステップS513;No)、処理はステップS518に進み、モータトルク指令値Tcmd[n]をモータトルクTmt[n]とし処理を終了する。
ステップS514において、プロセッサ56は、現在の制御周期において計算されたモータトルクTmt[n]から、1つ前の制御周期において与えられたモータトルク指令値Tcmd[n-1]を引いた差分dT[n]を算出する。ステップS514を実行後、処理はステップS515に進む。
ステップS515において、プロセッサ56は、ステップS514において算出された差分dT[n]の絶対値が所定の閾値ε以上となるか否かを判定する。ステップS515における閾値εは、ステップS505における閾値εと異なるように設計されても良い。差分dT[n]の絶対値が閾値ε以上となる場合(ステップS515;Yes)、処理はステップS516に進む。差分dT[n]の絶対値が閾値εより小さくなる場合(ステップS515;No)、処理はステップS517に進む。
ステップS516において、プロセッサ56は、モータトルク指令値Tcmdを以下の式(8)により与える。ここでg(dT)は、差分dT[n]を入力とする関数値である。ただしg(dT[n])は、Tcmd[n]が目標値とするモータトルクTmtに近づくように構成される。
関数g(dT[n])は、徐変処理における変化の度合いを規定する。関数g(dT[n])は、本実施の形態に係る制御装置50を適用する電気自動車の適合を通して任意に構成の設計が行われて良い。ステップS516を実行後、処理を終了する。
Figure 0007413951000008
ステップS517において、プロセッサ56は、切替完了フラグを1に設定する。これは、ステップS515における判定により、モータトルク指令値Tcmdが目標値とするモータトルクTmtに十分近づいたことを反映した処理である。ステップS517を実行後、処理はステップS518に進み、モータトルク指令値Tcmd[n]をモータトルクTmt[n]とし処理を終了する。
このようにモータトルク調停処理部560の処理を実行することで、図5に示されるように、モード選択スイッチ42により選択される走行モードの変更が行われた場合に、モータトルク指令値Tcmdの徐変処理を行うことができる。ただし、ここで示される徐変処理は一例であり、異なる態様により実現されていても良い。
3.効果
以上説明したように、本実施の形態に係る電気自動車10によれば、運転者はモード選択スイッチ42によりMTモードを選択することにより、MT車両のように電気自動車を運転することができる。また、運転者はモード選択スイッチ42によりEVモードを選択することにより、本来の性能で電気自動車を運転することができる。これにより、MT車両のような運転と通常のEVとしての運転の両方の運転感覚を得ることができる。
さらに、モード選択スイッチ42により走行モードの変更が行われた場合、変更前の走行モードにおいて演算されるモータトルクから変更後の走行モードにおいて演算されるモータトルクに徐々に変化するようにモータトルク指令値Tcmdの徐変処理を実行する。これにより、走行モードの変更に伴うモータトルクの不連続な変化を抑制され、運転者はMT車両のような運転とEVとしての運転の両方を違和感なく安全に楽しむことができる。
2 電気モータ
10 電気自動車
14 バッテリ
16 インバータ
22 アクセルペダル
24 ブレーキペダル
26 疑似シフトレバー
28 疑似クラッチペダル
30 車輪速センサ
32 アクセルポジションセンサ
34 ブレーキポジションセンサ
36 シフトポジションセンサ
38 クラッチポジションセンサ
40 回転速度センサ
42 モード選択スイッチ
50 制御装置
52 インターフェース
54 メモリ
56 プロセッサ
520 制御信号算出部
530 車両モデル
531 エンジンモデル
532 クラッチモデル
533 MTモデル
534 車軸・駆動輪モデル
540 要求モータトルク計算部
550 モータトルク指令マップ
560 モータトルク調停処理部

Claims (1)

  1. 電気モータを走行用の動力装置として用いる電気自動車であって、
    加速用ペダルと、
    疑似クラッチペダルと、
    疑似シフト装置と、
    前記電気モータの制御モードを第1モードと第2モードとの間で手動或いは自動で選択するモード選択装置と、
    前記モード選択装置で選択された前記制御モードに従い前記電気モータが出力するモータトルクを制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    メモリと、
    プロセッサと、を備え、
    前記メモリは、
    ガスペダルの操作によりトルクを制御する内燃機関とクラッチペダルの操作及びシフト装置の操作によりギア段が切り替えられるマニュアルトランスミッションとを有するMT車両における駆動輪トルクのトルク特性を模擬したMT車両モデルと、
    前記加速用ペダルの操作量と前記電気モータの回転速度に対する前記モータトルクの関係を規定したモータトルク指令マップと、を記憶し、
    前記プロセッサは、
    前記第1モードで前記電気モータを制御する場合は、
    前記加速用ペダルの操作量を、前記MT車両モデルに対する前記ガスペダルの操作量の入力として受け付ける処理と、
    前記疑似クラッチペダルの操作量を、前記MT車両モデルに対する前記クラッチペダルの操作量の入力として受け付ける処理と、
    前記疑似シフト装置のシフト位置を、前記MT車両モデルに対する前記シフト装置の入力として受け付ける処理と、
    前記加速用ペダルの操作量と、前記疑似クラッチペダルの操作量と、前記疑似シフト装置のシフト位置とで定まる前記駆動輪トルクを、前記MT車両モデルを用いて計算する処理と、
    前記駆動輪トルクを自車両の駆動輪に与えるための前記モータトルクを演算する処理と、を実行し、
    前記第2モードで前記電気モータを制御する場合は、
    前記疑似クラッチペダルの操作と前記疑似シフト装置の操作とを無効にする処理と、
    前記加速用ペダルの操作量と前記電気モータの回転速度とに基づき、前記モータトルク指令マップを用いて前記モータトルクを演算する処理と、を実行し、
    前記モード選択装置により前記制御モードの選択が変更された場合、
    変更前に選択されていたモードにおいて演算される前記モータトルクが、変更後に選択されるモードにおいて演算される前記モータトルクに徐々に変化するように前記モータトルクを制御する処理を実行する
    ことを特徴とする電気自動車。
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