JP7506000B2 - 積層造形物の製造方法および表示装置 - Google Patents

積層造形物の製造方法および表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、積層造形物の製造方法および表示装置に関する。
アークを用いてワイヤ等の溶加材を溶融、固化して溶着ビードを形成し、複数の溶着ビードを積層して積層造形物を製造する方法が知られている。形成した下地の溶着ビードに対して更に溶着ビードを積層する際、下地の溶着ビードにおいてスラグが存在すると、溶加材を溶融するアークが発生せず、エラー(アークスタートエラー)が生じ得る。
特許文献1は、消耗電極式溶接機の自動溶接方法を開示している。この方法においては、カメラと画像処理装置が、消耗電極に面する溶着ビード上のスラグの有無を判別し、スラグ無しの場合は消耗電極溶接機の移動とアーク電流の供給を再開する。一方で、スラグ有りの場合は、その状態で消耗電極式溶接機を折り返し側へ移動させつつ上記カメラと画像処理装置とによるスラグの有無の判別を継続し、スラグの無い位置でアーク電流の供給を再開する。
特許文献2は、ヒューム発生量、スパッタ発生量、および、スラグ発生量を低減させることができ、かつ平坦なビード形状と適度に小さな溶込み深さを有する硬化肉盛溶接金属を得ることができる硬化肉盛用MIGアーク溶接ワイヤおよび硬化肉盛用MIGアーク溶接方法を開示している。
特開平4-251671号公報 特開2011-104624号公報
特許文献1は溶接中にスラグのない位置を検索する技術であり、特許文献2は溶加材であるワイヤそのものを設計する技術である。しかしながら、積層造形物の製造開始前において、スラグの量を把握し、アーク発生が生じないエラーを防止することができれば、用いる溶加材の種類の制限なしで、積層造形物を効率的に製造することができる。
本発明は、積層造形物の造形を効率的に行うことができる技術を提供することを目的とする。
本発明は、三次元形状データに基づき、アークを用いて溶加材を溶融および固化してなる溶着ビードを複数重ねた積層体を含む積層造形物を製造する、積層造形物の製造方法であって、前記三次元形状データを複数の層に分割して得たスライスデータに、ビード経路とビード形状を設定する工程と、少なくとも前記スライスデータ、前記ビード経路、前記ビード形状のいずれか一つを基に、生成する溶着ビードにおける特定箇所のスラグの残存確率を表すスラグ特徴量を算出する工程と、前記スラグ特徴量の分布を示すマップを作成するマップ作成工程と、前記マップ中で前記スラグ特徴量が相対的に低い箇所を積層開始点に設定する工程と、前記積層開始点から、前記ビード経路に沿って溶着ビードの積層を繰り返す工程と、を含む。
また本発明は、三次元形状データに基づき、アークを用いて溶加材を溶融および固化してなる溶着ビードを複数重ねた積層体を含む積層造形物の製造を補助する表示装置であって、前記三次元形状データを複数の層に分割したスライスデータ、ビード経路およびビード形状を取得するデータ取得部と、少なくとも前記スライスデータ、前記ビード経路、前記ビード形状のいずれか一つを基に、生成する溶着ビードにおける特定箇所のスラグの残存確率を表すスラグ特徴量を算出する演算部と、前記スラグ特徴量を前記スライスデータに対してマッピングした画像を作成するマッピング画像作成部と、前記マッピング画像作成部で作成された画像を表示する表示部と、を備える。
本発明によれば、アークスタートエラーの生じにくい位置を積層開始点として選択、抽出することが可能となり、積層造形物の造形前に抽出した積層開始点の情報を軌道計画に反映させることができる。よって、積層造形物の造形を効率的に行うことができる。
図1は、積層造形物の製造に用いる製造システムの構成図である。 図2は、製造システムを用いた積層造形物の製造方法のフローチャートである。 図3は、枠部の内部に溶着ビードを充填して作成する積層造形物の一層分の造形物の例を示す概略図である。 図4は、図3に示した造形物を生成するために設定されるビード経路を示す説明図である。 図5は、マッピング画像作成部が作成したスラグ特徴量の分布を示すマップを、造形物上に示した概略図である。 図6は、積層開始点の設定を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の積層造形物の製造に用いる製造システムの構成図である。本構成の積層造形物の製造システム100は、積層造形装置11と、積層造形装置11を統括制御するコントローラ13と、電源装置15と、を備える。
積層造形装置11は、先端軸にトーチ17が設けられた溶接ロボット19と、トーチ17に溶加材(溶接ワイヤ)Mを供給する溶加材供給部21とを有する。この溶接ロボット19の先端軸には、トーチ17とともに形状センサ23が設けられている。
溶接ロボット19は、多関節ロボットであり、ロボットアームの先端軸に取り付けたトーチ17には、溶加材Mが連続供給可能に支持される。トーチ17の位置や姿勢は、ロボットアームの自由度の範囲で三次元的に任意に設定可能となっている。
トーチ17は、不図示のシールドノズルを有し、シールドノズルからシールドガスが供給される。アーク溶接法としては、被覆アーク溶接や炭酸ガスアーク溶接等の消耗電極式、TIG溶接やプラズマアーク溶接等の非消耗電極式のいずれであってもよく、作製する積層造形物に応じて適宜選定される。
例えば、消耗電極式の場合、シールドノズルの内部にはコンタクトチップが配置され、溶融電流が給電される溶加材Mがコンタクトチップに保持される。トーチ17は、溶加材Mを保持しつつ、シールドガス雰囲気で溶加材Mの先端からアークを発生する。溶加材Mは、ロボットアーム等に取り付けた不図示の繰り出し機構により、溶加材供給部21からトーチ17に送給される。そして、トーチ17を移動しつつ、連続送給される溶加材Mを溶融及び凝固させると、ベースプレート51上に溶加材Mの溶融凝固体である線状の溶着ビードBDが形成され、この溶着ビードBDからなる積層造形物Wが造形される。
図1に示すように、形状センサ23は、トーチ17に並設されており、トーチ17とともに移動される。この形状センサ23は、溶着ビードBDを形成する際の下地となる部分の形状を計測するセンサである。この形状センサ23としては、例えば、照射したレーザ光の反射光を高さデータとして取得するレーザセンサが用いられる。なお、形状センサ23としては、三次元形状計測用カメラを用いてもよい。
コントローラ13は、CAD/CAM部31と、データ取得部33と、記憶部35と、演算部37と、マッピング画像作成部39と、表示部32と、入力部34と、これらが接続される制御部41と、を有する。
CAD/CAM部31は、作製しようとする積層造形物Wの形状データ(CADデータ等)を入力又は作成し、データ取得部33と協働して、積層造形物の造形手順を表す溶着ビードBDの積層モデルを生成する。データ取得部33は、三次元形状データの形状モデルを溶着ビードBDの高さに応じた複数の層に分割したスライスデータ、溶着ビードを生成する経路であるビード経路およびビード形状を取得し、これらのデータを含む層形状データに基づいてトーチ17の移動軌跡を決定する。CAD/CAM部31は、生成された層形状データやトーチ17の移動軌跡等のデータに基づいて、トーチ17を移動させて溶着ビードを形成する溶接ロボット19及び電源装置15の駆動プログラムを生成する。生成された駆動プログラム等の各種データは記憶部35に記憶される。
演算部37は、データ取得部33が取得したスライスデータ、ビード経路、ビード形状の少なくともいずれか一つを基に、既に形成した溶着ビードにおけるスラグの残存確率を表すスラグ特徴量を算出する。
マッピング画像作成部39は、演算部37が算出したスラグ特徴量をスライスデータに対してマッピングしたマップ及び当該マップの画像を作成する。表示部32は、マッピング画像作成部39で作成された画像を表示する液晶ディスプレイ等の表示装置である。入力部34は、操作者の操作を受け付けるキーボード、マウス等の入力装置である。
制御部41は、記憶部35に記憶された駆動プログラムを実行して、溶接ロボット19や電源装置15等を駆動する。つまり、溶接ロボット19は、コントローラ13からの指令により、トーチ17を移動させるとともに、溶加材Mをアークで溶融させて、ベースプレート51上に溶着ビードBDを形成する。
なお、ベースプレート51は、鋼板等の金属板からなり、基本的には積層造形物Wの底面(最下層の面)より大きいものが使用される。このベースプレート51は、板状に限らず、ブロック体や棒状等、他の形状のベースであってもよい。
溶加材Mとしては、あらゆる市販の溶接ワイヤを用いることができる。例えば、軟鋼、高張力鋼及び低温用鋼用のマグ溶接及びミグ溶接ソリッドワイヤ(JIS Z 3312)、軟鋼、高張力鋼及び低温用鋼用アーク溶接フラックス入りワイヤ(JIS Z 3313)等で規定されるワイヤを用いることができる。
図2は、製造システム100を用いた積層造形物の製造方法のフローチャートを示す。
製造システム100は、CAD/CAM部31の三次元形状データに基づき、アークを用いて溶加材Mを溶融および固化してなる溶着ビードを複数重ねた積層体を含む積層造形物を製造する。積層造形物の製造方法は、スライスデータの取得(ステップS1)、ビード経路とビード形状の設定(ステップS2)、スラグ特徴量の算出(ステップS3)、スラグ特徴量のマッピング(ステップS4)、画像の表示(ステップS5)、積層開始点の設定(ステップS6)、溶着ビードの積層(ステップS7)の各ステップを含む。以下、各ステップについて説明する。
(スライスデータの取得:ステップS1)
データ取得部33は、CAD/CAM部31が作成または入力した積層造形物Wの三次元形状データ(CADデータ等)について、溶着ビードの積層方向の軸に垂直な面で複数の層に分割したスライスデータを取得する。具体的なスライスデータの取得方法は、市販のソフトウェア製品等を用いてよく、特に限定はされない。
(ビード経路とビード形状の設定:ステップS2)
次にデータ取得部33は、取得したスライスデータに対して、ビード経路とビード形状を設定する。図3は、ビード経路とビード形状の設定の例を示す。以下の説明では、スライスデータの面内の一方向をX方向、X方向に直交する方向をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。溶着ビードの積層方向の軸がZ方向である。
図3は、Z方向に延びるコの字型の枠部(壁)53の内部に溶着ビードBD1~BD4を充填して作成する積層造形物の一層分の造形物の例を示す概略図である。溶着ビードBD1は、枠部53の平面視における内側において、枠部53に沿う様にコの字型形成される溶着ビードであり、X方向及びY方向に沿って形成される。溶着ビードBD2、BD3、BD4は溶着ビードBD1の平面視における内側において、X方向に沿って直線状に形成される溶着ビードである。溶着ビードBD2、BD3、BD4はY方向に並べられている。溶着ビードBD2、BD3、BD4それぞれのビード形状は同じであるが、溶着ビードBD1のビード形状とは異なる。
図4は、図3に示した造形物を生成するために設定されるビード経路を示す説明図であり、ビード経路R1が溶着ビードBD1を形成するためのビード経路、ビード経路R2、R3、R4それぞれが、溶着ビードBD2、BD3、BD4を形成するためのビード経路である。図3、図4で示すビード経路やビード形状の設定方法は特に限定されない。ビード形状については、所望の高さ、幅を実現する溶接ビードの条件や、形状プロファイルを予めデータベース化しておけば、その高さと幅に対応するビード形状を付与することができる。また、ビード経路については、埋めるべき溶着面積や、ビード幅、積層パス数の上限等を考慮して適宜設定すればよい。
(スラグ特徴量の算出:ステップS3)
次に演算部37が、データ取得部33が取得したスライスデータ、ビード経路、ビード形状の少なくともいずれか一つを基に、生成する溶着ビードにおける特定箇所(座標に基づいて決定される特定の領域)のスラグの残存確率を表すスラグ特徴量を算出する。スラグ特徴量は、アーク(アーク放電)の発生を妨げるアークスタートエラーの原因となる様なスラグの発生確率(密度)に相当する量として定義される。演算部37は、スラグ特徴量を例えば以下の要因(1)~(4)に基づき適切に算出することができるが、必ずしも下記の要因に限定されるものではない。
(1)材質要因A
材質要因Aは、溶着ビードの生成に関わる材料の材質の種類に由来する要因であり、ここでの材料は、主に溶加材Mであるワイヤ、母材であるベースプレート51である。材質要因Aは、主としてワイヤ、母材からのスラグの出やすさに相当する項A1と、ワイヤ、母材において発生したスラグの剥離性に相当する項A2を含み、A=A1×A2により求められる。例えばスラグが出にくいワイヤ、母材のA1は小さくなり、スラグが自然剥離しやすいワイヤ、母材のA2は小さくなる。
本例での母材の材料はベースプレート51を構成する鋼板等であり、鋼板等の材質により材質要因A(=A1×A2)が決定される。ワイヤは種々の材料を含むが、例えばワイヤの性質を大きく左右するSi、Mgの組成量(質量%)が材質要因Aを決定する。
<Si:0.50~3.00質量%>
Siは、溶融池と母材の濡れ性を向上させ、結果としてビード形状を平坦化させる作用がある。この作用が有効となるのには、最低0.50質量%が必要である。一方、Siは、ワイヤに含まれる酸素と結合し、ガラス質のSiOスラグを発生させる。Si含有量が3.00質量%を超えると、スラグ発生量が過剰となると共に剥離性の劣化が著しくなり、溶接後の後処理の負荷が大きくなる。したがって、Si含有量は、3.00質量%以下にする必要がある。
<Mn:0.30~20.00質量%>
Mnは、溶融池と母材の濡れ性を向上させ、結果としてビード形状を平坦化させる作用があると共に、焼入れ硬化性を高め、溶接金属の硬度を高める作用がある。これらの作用が有効となるのには、最低0.30質量%が必要である。一方、Mnは、ワイヤに含まれる酸素と結合し、強固で剥離性の悪いスラグを発生させる。Mn含有量が20.00質量%を超えると、スラグ発生量が過剰となると共に剥離性の劣化が著しくなり、溶接後の後処理の負荷が大きくなる。したがって、Mn含有量は、20.00質量%以下にする必要がある。
Siは、溶融池と母材の濡れ性を向上させ、結果としてビード形状を平坦化させる作用がある。一方、Siは、ワイヤに含まれる酸素と結合し、ガラス質のSiOスラグを発生させる。Si含有量が所定量を超えると、スラグ発生量が過剰となると共に剥離性の劣化が著しくなる。また、Mnは、溶融池と母材の濡れ性を向上させ、結果としてビード形状を平坦化させる作用があると共に、焼入れ硬化性を高め、溶接金属の硬度を高める作用がある。一方、Mnは、ワイヤに含まれる酸素と結合し、強固で剥離性の悪いスラグを発生させる。Mn含有量が所定量を超えると、スラグ発生量が過剰となると共に剥離性の劣化が著しくなる。
(2)場所要因B
場所要因Bは、スラグの粘性に依存して溶着ビードの場所に応じてスラグの存在分布が変化する現象に由来する要因であり、主としていわゆる定常部(ビード形成の終端以外の部分)のビード長手方向に垂直な断面方向に対応するスラグ分布の項B1と、クレータ部のビード長手方向に垂直な断面方向に対応するスラグ分布の項B2とを含む。場所要因Bは、B1かB2のいずれかによって決定される。
定常部には、溶着ビードの直線部と折れ曲がり部分とが含まれる。この定常部においては、ビード形成の止端部、及び上方部(中央部、又は曲率が周囲と比較して大きい箇所)にピークがある関数の分布に基づき、B1を算出する。クレータ部は溶着ビードの終端部分であり、クレータ部の形状の輪郭に該当する箇所がピークとなる関数の分布に基づき、B2を算出する。
(3)溶接条件C
溶接条件Cは、ビード溶着量Vとビード表面積Sとの比、すなわちビード溶着量V/ビード表面積Sにより算出される要因であり、ビード溶着量Vが大きくなるほど溶接条件Cは大きくなり、ビード表面積Sが小さくなるほど溶接条件Cは大きくなる。
(4)低減率D
低減率Dは、工具等を用いた溶着ビードからのスラグ剥離作業の実施により、除去するスラグの量に対応した要因であり、例えばスラグ剥離を長時間実施することにより、Dは小さくなる。スラグ剥離を実施しない場合、Dは例えば1に設定される。
演算部37は、例えば上記の要因を全て掛け合わせたA×B×C×Dからスラグ特徴量を算出する。演算部37は、スライスデータにおける特定の座標(特定の領域)ごとにスラグ特徴量を算出する。ただし、スラグ特徴量の算出方法はこのような方法に限定されない。事例によっては、材質要因A、場所要因B、溶接条件C、低減率Dのうち、いずれかの要因を外して算出することもできるし、他の要因を採用することもできる。
(スラグ特徴量のマッピング:ステップS4)
次にマッピング画像作成部39は、演算部37が算出したスラグ特徴量の分布を示すマップを作成する。すなわちマッピング画像作成部39は、ビード形状、ビード経路が設定されたスライスデータ上の対応する箇所にスラグ特徴量をマッピングするとともに、作成したマップに対応する画像を作成する。
図5は、マッピング画像作成部39が作成したスラグ特徴量の分布を示すマップを、造形物上に示した概略図である。本例ではスラグ特徴量が異なる分布A1、分布A2、分布A3が存在しており、スラグ特徴量の大小関係はA1>A2>A3になっている。すなわち、分布A1においてスラグの存在量が多く、アークスタートエラーが生じやすく、分布A3においてスラグの存在量が少なく、アークスタートエラーが生じにくい。
(画像の表示:ステップS5)
次に表示部32は、マッピング画像作成部39が作成したスラグ特徴量の分布を示すマップ、すなわち図5に示すマップに対応した画像を表示する。操作者は画像を確認して、次に述べる積層開始点を設定することができる。ただしコントローラ13がマップのデータに基づき積層開始点を設定する場合、画像の表示ステップは必ずしも必要ではない。表示部32を含むコントローラ13は、画像を表示して操作者の積層開始点の設定を補助するため、積層造形物Wの製造を補助する表示装置としても把握される。スラグ特徴量の分布を視覚的に把握することが可能となる。
(積層開始点の設定:ステップS6)、
操作者は、表示部32が表示した画像を確認しながら、積層開始点を探索し、設定する。
操作者は、画像が示すマップ中で、スラグ特徴量が相対的に低い箇所を積層開始点に設定する。具体的な積層開始点の設定は、例えばワイヤの先端が母材または下地の溶着ビードに接触する接触範囲(ワイヤ径に依存)におけるスラグ特徴量の値を基準にして行うことができる。例えば、ワイヤを特定の座標を基準とした特定の領域に接触させた時のワイヤの接触範囲内において、スラグ特徴量が所定の閾値を上回る箇所が存在しない場合、操作者は当該座標を積層開始点に設定することができる。
また、上記の状態において、ワイヤの接触範囲内にスラグ特徴量が所定の閾値を上回る箇所が存在する場合、操作者は予め設定したビード経路上の特定の領域、またはビード経路の近傍の特定の領域を探索する。このような領域上におけるワイヤの接触範囲内において、スラグ特徴量が所定の閾値を上回る箇所が存在しない場合、操作者は当該領域の基準となる座標を積層開始点に設定することができる。
上記のような探索によっても積層開始点に設定すべき座標が存在しない場合、操作者はスライスデータ上において、改めてビード形状およびビード経路の少なくとも一つ、またはこれら双方について、再度の設定を行い、改めて積層開始点の探索を行う。
また、操作者は、スラグ特徴量が所定の閾値を下回る箇所の数を基に、ビード経路を再設定することもできる。すなわち、スラグ特徴量が所定の閾値を上回る箇所の数が少ないビード経路を再設定する。これにより、スラグによるアークスタートエラーの発生可能性が低い軌道を選択して、積層造形物の製造システム100の連続稼働時間を上げることができる。
上述のステップによれば、操作者が表示部32に表示されたスラグ特徴量の分布を示すマップの画像を見ながら、入力部34を操作することにより座標を指定し、制御部41が操作入力を受け付けた上で積層開始点の設定を行うことができる。ただし、操作者の入力なしでコントローラ13の制御部41が所定のプログラムに従い、マップ上のスラグ特徴量を参照し、適切な積層開始点の設定を行うようにしてもよい。
図6は、操作者または制御部41が設定した積層開始点の設定を示す説明図である。本例において、積層開始点P1、P2、P3、P4の各々が、ビード経路R1、R2、R3、R4に対応する。積層開始点P1は、予め存在するビード経路R1の開始点に一致している。積層開始点P2、P3、P4は、予め存在するビード経路R2、R3、R4の開始点に一致しておらず、これらビード経路の近傍に位置している。積層開始点P2、P3、P4から、ビード経路R2、R3、R4とはX方向において逆向きのビード経路R2a、R3a、R4aが延び、溶着ビードBD1の近傍まで到達した後折り返してビード経路R2、R3、R4が始まる。
(溶着ビードの積層:ステップS7)
積層開始点P1、P2、P3、P4が決定した後、コントローラ13が積層造形装置11を制御し、トーチ17が積層開始点P1、P2、P3、P4を始点として、ビード経路R1、R2、R3、R4に沿って移動し、連続送給される溶加材Mを溶融及び凝固させて溶着ビードを形成する。スライスデータ1つ分(1層分)について溶着ビードの形成が完了すると、上層のスライスデータについて、再びステップS1以降の工程を繰り返し、溶着ビードの積層を繰り返し、積層造形物Wを製造する。
本実施形態によれば、スライスデータ、ビード形状、ビード経路を含む軌道計画の情報からスラグ特徴量の分布を示すマップを作成するため、アークスタートエラーの生じにくい位置を積層開始点として選択、抽出することが可能となり、積層造形物の造形前に抽出した積層開始点の情報を軌道計画に反映させことができる。よって、積層造形物の造形を効率的に行うことができる。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 三次元形状データに基づき、アークを用いて溶加材を溶融および固化してなる溶着ビードを複数重ねた積層体を含む積層造形物を製造する、積層造形物の製造方法であって、
前記三次元形状データを複数の層に分割して得たスライスデータに、ビード経路とビード形状を設定する工程と、
少なくとも前記スライスデータ、前記ビード経路、前記ビード形状のいずれか一つを基に、生成する溶着ビードにおける特定箇所のスラグの残存確率を表すスラグ特徴量を算出する工程と、
前記スラグ特徴量の分布を示すマップを作成するマップ作成工程と、
前記マップ中で前記スラグ特徴量が相対的に低い箇所を積層開始点に設定する工程と、
前記積層開始点から、前記ビード経路に沿って溶着ビードの積層を繰り返す工程と、
を含む積層造形物の製造方法。
これにより、アークスタートエラーの生じにくい位置を積層開始点として選択、抽出することが可能となり、積層造形物の造形前に抽出した積層開始点の情報を軌道計画に反映させることができる。よって、積層造形物の造形を効率的に行うことができる。
(2) (1)に記載の積層造形物の製造方法であって、
前記スラグ特徴量が所定の閾値を下回る箇所の数を基に、前記ビード経路を再設定する、積層造形物の製造方法。
これにより、スラグによるアークスタートエラーの発生可能性が低い軌道を選択して、積層造形物を製造する連続稼働時間を上げることができる。
(3) (1)または(2)に記載の積層造形物の製造方法であって、
前記スラグ特徴量は、溶着ビードの生成に関わる材料の材質の種類に由来する材質要因、溶着ビードの場所に応じてスラグの存在分布が変化する現象に由来する場所要因、ビード溶着量とビード表面積の比により算出される溶接条件、溶着ビードからのスラグ剥離作業の実施により除去するスラグの量に対応した低減率、のうち少なくともいずれか一つにより算出される、積層造形物の製造方法。
これにより、スラグ特徴量を適切に算出することができる。
(4) 三次元形状データに基づき、アークを用いて溶加材を溶融および固化してなる溶着ビードを複数重ねた積層体を含む積層造形物の製造を補助する表示装置であって、
前記三次元形状データを複数の層に分割したスライスデータ、ビード経路およびビード形状を取得するデータ取得部と、
少なくとも前記スライスデータ、前記ビード経路、前記ビード形状のいずれか一つを基に、生成する溶着ビードにおける特定箇所のスラグの残存確率を表すスラグ特徴量を算出する演算部と、
前記スラグ特徴量を前記スライスデータに対してマッピングした画像を作成するマッピング画像作成部と、
前記マッピング画像作成部で作成された画像を表示する表示部と、
を備える表示装置。
これにより、スラグ特徴量の分布を視覚的に把握することが可能となる。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
11 積層造形装置
13 コントローラ
15 電源装置
17 トーチ
19 溶接ロボット
21 溶加材供給部
23 形状センサ
31 CAD/CAM部
32 表示部
33 データ取得部
34 入力部
35 記憶部
37 演算部
39 マッピング画像作成部
41 制御部
53 枠部
100 積層造形物の製造システム
BD、BD1、BD2、BD3、BD4 溶着ビード
M 溶加材
P1、P2、P3、P4 積層開始点
R1、R2、R3、R4 ビード経路
W 積層造形物

Claims (4)

  1. 三次元形状データに基づき、アークを用いて溶加材を溶融および固化してなる溶着ビードを複数重ねた積層体を含む積層造形物を製造する、積層造形物の製造方法であって、
    前記三次元形状データを複数の層に分割して得たスライスデータに、ビード経路とビード形状を設定する工程と、
    少なくとも前記スライスデータ、前記ビード経路、前記ビード形状のいずれか一つを基に、生成する溶着ビードにおける特定箇所のスラグの残存確率を表すスラグ特徴量を算出する工程と、
    前記スラグ特徴量の分布を示すマップを作成するマップ作成工程と、
    前記マップ中で前記スラグ特徴量が相対的に低い箇所を積層開始点に設定する工程と、
    前記積層開始点から、前記ビード経路に沿って溶着ビードの積層を繰り返す工程と、
    を含む積層造形物の製造方法。
  2. 請求項1に記載の積層造形物の製造方法であって、
    前記スラグ特徴量が所定の閾値を下回る箇所の数を基に、前記ビード経路を再設定する、積層造形物の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の積層造形物の製造方法であって、
    前記スラグ特徴量は、溶着ビードの生成に関わる材料の材質の種類に由来する材質要因、溶着ビードの場所に応じてスラグの存在分布が変化する現象に由来する場所要因、ビード溶着量とビード表面積の比により算出される溶接条件、溶着ビードからのスラグ剥離作業の実施により除去するスラグの量に対応した低減率、のうち少なくともいずれか一つにより算出される、積層造形物の製造方法。
  4. 三次元形状データに基づき、アークを用いて溶加材を溶融および固化してなる溶着ビードを複数重ねた積層体を含む積層造形物の製造を補助する表示装置であって、
    前記三次元形状データを複数の層に分割したスライスデータ、ビード経路およびビード形状を取得するデータ取得部と、
    少なくとも前記スライスデータ、前記ビード経路、前記ビード形状のいずれか一つを基に、生成する溶着ビードにおける特定箇所のスラグの残存確率を表すスラグ特徴量を算出する演算部と、
    前記スラグ特徴量を前記スライスデータに対してマッピングした画像を作成するマッピング画像作成部と、
    前記マッピング画像作成部で作成された画像を表示する表示部と、
    を備える表示装置。
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