以下、本発明の実施形態に係る積層セラミック電子部品としての積層セラミックコンデンサ1について説明する。図1は、積層セラミックコンデンサ1の外観斜視図である。図2は図1の積層セラミックコンデンサ1を矢印IIの方向から見たときの矢視図である。図3は図2の積層セラミックコンデンサ1を矢印IIIの方向から見たときの矢視図である。図4は図2の積層セラミックコンデンサ1を矢印IVの方向から見たときの矢視図である。図5は、図1に対応する図であり、積層セラミックコンデンサ1の内部の構造を説明するための仮想的な斜視図である。図6は、積層セラミックコンデンサ1の内部の構造を説明するための仮想的な図であり、図5の積層セラミックコンデンサ1を矢印VIの方向から見たときの仮想的な矢視図である。
積層セラミックコンデンサ1は、積層セラミック電子部品本体としての積層セラミックコンデンサ本体2と、金属端子100と、外装材3と、を有する。積層セラミックコンデンサ本体2は、外装材3によって覆われているため、図1~図4には図示されていない。図5および図6に、積層セラミックコンデンサ本体2が示されている。
図5、図6に加えて、図7~図10を用いて、積層セラミックコンデンサ本体2について説明する。図7は、外装材3に覆われる前であって、金属端子100が取り付けられる前の、積層セラミックコンデンサ本体2の外観を示す外観斜視図である。図8は、図7の積層セラミックコンデンサ本体2のVIII-VIII線に沿った断面図である。図9は、図8の積層セラミックコンデンサ本体2のIX-IX線に沿った断面図である。図10は、図8の積層セラミックコンデンサ本体2のX-X線に沿った断面図である。
積層セラミックコンデンサ本体2は、積層体10と、外部電極40と、を有する。
図5~図10には、XYZ直交座標系が示されている。図5、図7に示すように、積層セラミックコンデンサ本体2および積層体10の長さ方向Lは、X方向と対応している。積層セラミックコンデンサ本体2および積層体10の幅方向Wは、Y方向と対応している。積層セラミックコンデンサ本体2および積層体10の高さ方向Tは、Z方向と対応している。ここで、図8に示す断面はLT断面とも称される。図9に示す断面はWT断面とも称される。図10に示す断面はLW断面とも称される。なお、図1~図4、図11、図13A~図15Bにおいても、同様のXYZ直交座標系が示されている。
図5~図10に示すように、積層体10は、高さ方向Tに相対する第1の主面TS1および第2の主面TS2と、高さ方向Tに直交する幅方向Wに相対する第1の側面WS1および第2の側面WS2と、高さ方向Tおよび幅方向Wに直交する長さ方向Lに相対する第1の端面LS1および第2の端面LS2と、を含む。
図7に示すように、積層体10は、略直方体形状を有している。なお、積層体10の長さ方向Lの寸法は、幅方向Wの寸法よりも必ずしも長いとは限らない。積層体10の角部および稜線部には、丸みがつけられていることが好ましい。角部は、積層体の3面が交わる部分であり、稜線部は、積層体の2面が交わる部分である。なお、積層体10を構成する表面の一部または全部に凹凸などが形成されていてもよい。
積層体10の寸法は、特に限定されないが、積層体10の長さ方向Lの寸法をL寸法とすると、L寸法は、0.2mm以上10mm以下であることが好ましい。また、積層体10の高さ方向Tの寸法をT寸法とすると、T寸法は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。また、積層体10の幅方向Wの寸法をW寸法とすると、W寸法は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。
図8および図9に示すように、積層体10は、内層部11と、高さ方向Tにおいて内層部11を挟み込むように配置された第1の主面側外層部12および第2の主面側外層部13と、を有する。なお、内層部11は、有効層部ともいう。
内層部11は、複数のセラミック層としての複数の誘電体層20と、複数の内部導体層としての複数の内部電極層30と、を含む。内層部11は、高さ方向Tにおいて、最も第1の主面TS1側に位置する内部電極層30から最も第2の主面TS2側に位置する内部電極層30までを含む。内層部11では、複数の内部電極層30が誘電体層20を介して対向して配置されている。内層部11は、静電容量を発生させ実質的にコンデンサとして機能する部分である。
複数の誘電体層20は、誘電体材料により構成される。誘電体材料は、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、またはCaZrO3などの成分を含む誘電体セラミックであってもよい。また、誘電体材料は、これらの主成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの副成分を添加したものであってもよい。
誘電体層20の厚みは、0.5μm以上72μm以下であることが好ましい。積層される誘電体層20の枚数は、10枚以上700枚以下であることが好ましい。なお、この誘電体層20の枚数は、内層部11の誘電体層の枚数と第1の主面側外層部12および第2の主面側外層部13の誘電体層の枚数との総数である。
複数の内部電極層30(内部導体層30)は、複数の第1の内部電極層31(第1の内部導体層31)および複数の第2の内部電極層32(第2の内部導体層32)を有する。複数の第1の内部電極層31は、複数の誘電体層20上に配置されている。複数の第2の内部電極層32は、複数の誘電体層20上に配置されている。複数の第1の内部電極層31および複数の第2の内部電極層32は、積層体10の高さ方向Tに誘電体層20を介して交互に配置されている。第1の内部電極層31および第2の内部電極層32は、誘電体層20を挟むようにして配置されている。
第1の内部電極層31は、第2の内部電極層32に対向する第1の対向部31Aと、第1の対向部31Aから第1の端面LS1に引き出される第1の引き出し部31Bとを有している。第1の引き出し部31Bは、第1の端面LS1に露出している。
第2の内部電極層32は、第1の内部電極層31に対向する第2の対向部32Aと、第2の対向部32Aから第2の端面LS2に引き出される第2の引き出し部32Bとを有している。第2の引き出し部32Bは、第2の端面LS2に露出している。
本実施形態では、第1の対向部31Aと第2の対向部32Aが誘電体層20を介して対向することにより容量が形成され、コンデンサの特性が発現する。
第1の対向部31Aおよび第2の対向部32Aの形状は、特に限定されないが、矩形状であることが好ましい。もっとも、矩形形状のコーナー部が丸められていてもよいし、矩形形状のコーナー部が斜めに形成されていてもよい。第1の引出き出し部31Bおよび第2の引き出し部32Bの形状は、特に限定されないが、矩形状であることが好ましい。もっとも、矩形形状のコーナー部が丸められていてもよいし、矩形形状のコーナー部が斜めに形成されていてもよい。
第1の対向部31Aの幅方向Wの寸法と第1の引き出し部31Bの幅方向Wの寸法は、同じ寸法で形成されていてもよく、どちらか一方の寸法が小さく形成されていてもよい。第2の対向部32Aの幅方向Wの寸法と第2の引き出し部32Bの幅方向Wの寸法は、同じ寸法で形成されていてもよく、どちらか一方の寸法が狭く形成されていてもよい。
第1の内部電極層31および第2の内部電極層32は、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、これらの金属の少なくとも一種を含む合金などの適宜の導電材料により構成される。合金を用いる場合、第1の内部電極層31および第2の内部電極層32は、例えばAg-Pd合金等により構成されてもよい。
第1の内部電極層31および第2の内部電極層32のそれぞれの厚みは、例えば、0.2μm以上3.0μm以下程度であることが好ましい。第1の内部電極層31および第2の内部電極層32の枚数は、合わせて5枚以上350枚以下であることが好ましい。
第1の主面側外層部12は、積層体10の第1の主面TS1側に位置する。第1の主面側外層部12は、第1の主面TS1と最も第1の主面TS1に近い内部電極層30との間に位置する複数のセラミック層としての誘電体層20の集合体である。すなわち、第1の主面側外層部12は、第1の主面TS1と、複数の内部電極層30のうち最も第1の主面TS1側に位置する内部電極層30との間に位置する複数の誘電体層20から形成されている。第1の主面側外層部12で用いられる誘電体層20は、内層部11で用いられる誘電体層20と同じものであってもよい。
第2の主面側外層部13は、積層体10の第2の主面TS2側に位置する。第2の主面側外層部13は、第2の主面TS2と最も第2の主面TS2に近い内部電極層30との間に位置する複数のセラミック層としての誘電体層20の集合体である。すなわち、第2の主面側外層部13は、第2の主面TS2と、複数の内部電極層30のうち最も第2の主面TS2側に位置する内部電極層30との間に位置する複数の誘電体層20から形成されている。第2の主面側外層部13で用いられる誘電体層20は、内層部11で用いられる誘電体層20と同じものであってもよい。
以上のように、積層体10は、積層された複数の誘電体層20と、誘電体層20上に積層された複数の内部電極層30と、を有する。すなわち、積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層20と内部電極層30とが交互に積層された積層体10を有する。
なお、積層体10は、対向電極部11Eを有する。対向電極部11Eは、第1の内部電極層31の第1の対向部31Aと第2の内部電極層32の第2の対向部32Aが対向する部分である。対向電極部11Eは、内層部11の一部として構成されている。図8には、対向電極部11Eの長さ方向Lの範囲が示されている。図9には、対向電極部11Eの幅方向Wの範囲が示されている。図10には、対向電極部11Eの幅方向Wおよび長さ方向Lの範囲が示されている。なお、対向電極部11Eは、コンデンサ有効部ともいう。
なお、積層体10は、側面側外層部を有する。側面側外層部は、第1の側面側外層部WG1と、第2の側面側外層部WG2を有する。第1の側面側外層部WG1は、対向電極部11Eと第1の側面WS1との間に位置する誘電体層20を含む部分である。第2の側面側外層部WG2は、対向電極部11Eと第2の側面WS2との間に位置する誘電体層20を含む部分である。図9および図10には、第1の側面側外層部WG1および第2の側面側外層部WG2の幅方向Wの範囲が示されている。なお、第1の側面側外層部WG1および第2の側面側外層部WG2は、Wギャップまたはサイドギャップともいう。
なお、積層体10は、端面側外層部を有する。端面側外層部は、第1の端面側外層部LG1と、第2の端面側外層部LG2を有する。第1の端面側外層部LG1は、対向電極部11Eと第1の端面LS1との間に位置する誘電体層20および第1の引き出し部31Bを含む部分である。第2の端面側外層部LG2は、対向電極部11Eと第2の端面LS2との間に位置する誘電体層20および第2の引き出し部32Bを含む部分である。図8および図10には、第1の端面側外層部LG1および第2の端面側外層部LG2の長さ方向Lの範囲が示されている。なお、第1の端面側外層部LG1および第2の端面側外層部LG2は、Lギャップまたはエンドギャップともいう。
外部電極40は、第1の端面LS1側に配置された第1の外部電極40Aと、第2の端面LS2側に配置された第2の外部電極40Bと、を有する。
第1の外部電極40Aは、少なくとも第1の主面TS1上の第1の端面LS1側に配置されている。第1の外部電極40Aは、少なくとも、第1の端面LS1上と、第1の主面TS1上の一部と、に配置されていることが好ましい。本実施形態においては、第1の外部電極40Aは、第1の端面LS1上と、第1の主面TS1上の一部と、第2の主面TS2上の一部と、第1の側面WS1上の一部と、第2の側面WS2上の一部と、に配置されている。また、本実施形態においては、第1の外部電極40Aは、第1の端面LS1上において、第1の内部電極層31に接続されている。なお、第1の外部電極40Aは、例えば、第1の端面LS1から第1の主面TS1の一部まで延びて配置されていてもよい。言い換えれば、第1の外部電極40Aの断面形状がL字状(不図示)であってもよい。第1の外部電極40Aのうち、第1の主面TS1上に配置されている部分は、接合材を介して、後述の第1の金属端子100Aと接続される。
なお、第1の主面TS1に設けられた第1の外部電極40Aの長さ方向Lの長さL1は、積層体のL寸法の10%以上40%以下(例えば、20μm以上4000μm以下)であることが好ましい。第2の主面TS2、第1の側面WS1、および第2の側面WS2にも第1の外部電極40Aを設ける場合には、これらの面に設けられた第1の外部電極40Aの長さ方向Lの長さL1も、積層体のL寸法の10%以上40%以下(例えば、20μm以上4000μm以下)であることが好ましい。
また、第1の主面TS1に設けられた第1の外部電極40Aの幅方向Wの長さW1は、積層体10のW寸法と略等しい寸法(例えば、0.1mm以上10mm以下)であることが好ましい。第2の主面TS2にも第1の外部電極40Aを設ける場合には、第2の主面TS2に設けられた第1の外部電極40Aの幅方向Wの長さW1は、積層体10のW寸法と略等しい寸法(例えば、0.1mm以上10mm以下)であることが好ましい。また、第1の側面WS1または第2の側面WS2の少なくとも一方の面に第1の外部電極40Aを設ける場合には、この部分に設けられた第1の外部電極40Aの高さ方向Tの長さT1は、積層体10のT寸法と略等しい寸法(例えば、0.1mm以上10mm以下)であることが好ましい。
第2の外部電極40Bは、少なくとも第1の主面TS1上の第2の端面LS2側に配置されている。第2の外部電極40Bは、少なくとも、第2の端面LS2上と、第1の主面TS1上の一部と、に配置されていることが好ましい。本実施形態においては、第2の外部電極40Bは、第2の端面LS2上と、第1の主面TS1上の一部と、第2の主面TS2上の一部と、第1の側面WS1上の一部と、第2の側面WS2上の一部と、に配置されている。また、本実施形態においては、第1の外部電極40Aは、第2の端面LS2上において、第2の内部電極層32に接続されている。なお、第2の外部電極40Bは、例えば、第2の端面LS2から第1の主面TS1の一部まで延びて配置されていてもよい。言い換えれば、第2の外部電極40Bの断面形状がL字状(不図示)であってもよい。第2の外部電極40Bのうち、第1の主面TS1上に配置されている部分は、接合材を介して、後述の第2の金属端子100Bと接続される。
なお、第1の主面TS1に設けられた第2の外部電極40Bの長さ方向Lの長さL2は、積層体のL寸法の10%以上40%以下(例えば、20μm以上4000μm以下)であることが好ましい。第2の主面TS2、第1の側面WS1、および第2の側面WS2にも第2の外部電極40Bを設ける場合には、これらの面に設けられた第2の外部電極40Bの長さ方向Lの長さL2も、積層体のL寸法の10%以上40%以下(例えば、20μm以上4000μm以下)であることが好ましい。
また、第1の主面TS1に設けられた第2の外部電極40Bの幅方向Wの長さW1は、積層体10のW寸法と略等しい寸法(例えば、0.1mm以上10mm以下)であることが好ましい。第2の主面TS2にも第2の外部電極40Bを設ける場合には、第2の主面TS2に設けられた第2の外部電極40Bの幅方向Wの長さW1は、積層体10のW寸法と略等しい寸法(例えば、0.1mm以上10mm以下)であることが好ましい。また、第1の側面WS1または第2の側面WS2の少なくとも一方の面に第2の外部電極40Bを設ける場合には、この部分に設けられた第2の外部電極40Bの高さ方向Tの長さT1は、積層体10のT寸法と略等しい寸法(例えば、0.1mm以上10mm以下)であることが好ましい。
なお、図7に示すように、本実施形態においては、積層体10の表面のうち、外部電極40から露出している部分の長さ方向Lの長さL3は、積層体のL寸法の20%以上80%以下(例えば、40μm以上8000μm以下)であることが好ましい。言い換えると、第1の外部電極40Aと、第2の外部電極40Bの離間距離L3は、積層体のL寸法の20%以上80%以下(例えば、40μm以上8000μm以下)であることが好ましい。
前述のとおり、積層体10内においては、第1の内部電極層31の第1の対向部31Aと第2の内部電極層32の第2の対向部32Aとが誘電体層20を介して対向することにより容量が形成されている。そのため、第1の内部電極層31が接続された第1の外部電極40Aと第2の内部電極層32が接続された第2の外部電極40Bとの間でコンデンサの特性が発現する。
第1の外部電極40Aは、第1の下地電極層50Aと、第1の下地電極層50A上に配置された第1のめっき層60Aと、を有する。
第2の外部電極40Bは、第2の下地電極層50Bと、第2の下地電極層50B上に配置された第2のめっき層60Bと、を有する。
第1の下地電極層50Aは、第1の端面LS1上に配置されている。第1の下地電極層50Aは、第1の内部電極層31に接続されている。本実施形態においては、第1の下地電極層50Aは、第1の端面LS1上から第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部、ならびに第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にまで延びて形成されている。
第2の下地電極層50Bは、第2の端面LS2上に配置されている。第2の下地電極層50Bは、第2の内部電極層32に接続されている。本実施形態においては、第2の下地電極層50Bは、第2の端面LS2上から第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部、ならびに第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にまで延びて形成されている。
本実施形態の第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bは、焼き付け層である。焼付け層は、金属成分と、ガラス成分もしくはセラミック成分のどちらか一方を含んでいるか、その両方を含んでいることが好ましい。金属成分は、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含む。ガラス成分は、例えば、B、Si、Ba、Mg、Al、Li等から選ばれる少なくとも1つを含む。セラミック成分は、誘電体層20と同種のセラミック材料を用いてもよいし、異なる種のセラミック材料を用いてもよい。セラミック成分は、例えば、BaTiO3、CaTiO3、(Ba,Ca)TiO3、SrTiO3、CaZrO3等から選ばれる少なくとも1つを含む。
焼き付け層は、例えば、ガラスおよび金属を含む導電性ペーストを積層体に塗布して焼き付けたものである。焼き付け層は、内部電極層および誘電体層を有する積層チップと積層チップに塗布した導電性ペーストとを同時焼成したものでもよく、内部電極層および誘電体層を有する積層チップを焼成して積層体を得た後に積層体に導電性ペーストを塗布して焼き付けたものでもよい。なお、内部電極層および誘電体層を有する積層チップと積層チップに塗布した導電性ペーストとを同時に焼成する場合には、焼付け層は、ガラス成分の代わりにセラミック材料を添加したものを焼き付けて形成することが好ましい。この場合、添加するセラミック材料として、誘電体層20と同種のセラミック材料を用いることが特に好ましい。焼き付け層は、複数層であってもよい。
第1の端面LS1に位置する第1の下地電極層50Aの長さ方向の厚みは、第1の下地電極層50Aの高さ方向Tおよび幅方向Wの中央部において、例えば、10μm以上200μm以下程度であることが好ましい。
第2の端面LS2に位置する第2の下地電極層50Bの長さ方向の厚みは、第2の下地電極層50Bの高さ方向Tおよび幅方向Wの中央部において、例えば、10μm以上200μm以下程度であることが好ましい。
第1の主面TS1または第2の主面TS2の少なくも一方の面の一部にも第1の下地電極層50Aを設ける場合には、この部分に設けられた第1の下地電極層50Aの高さ方向の厚みは、この部分に設けられた第1の下地電極層50Aの長さ方向Lおよび幅方向Wの中央部において、例えば、5μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
第1の側面WS1または第2の側面WS2の少なくも一方の面の一部にも第1の下地電極層50Aを設ける場合には、この部分に設けられた第1の下地電極層50Aの幅方向の厚みは、この部分に設けられた第1の下地電極層50Aの長さ方向Lおよび高さ方向Tの中央部において、例えば、5μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
第1の主面TS1または第2の主面TS2の少なくも一方の面の一部にも第2の下地電極層50Bを設ける場合には、この部分に設けられた第2の下地電極層50Bの高さ方向の厚みは、この部分に設けられた第2の下地電極層50Bの長さ方向Lおよび幅方向Wの中央部において、例えば、5μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
第1の側面WS1または第2の側面WS2の少なくも一方の面の一部にも第2の下地電極層50Bを設ける場合には、この部分に設けられた第2の下地電極層50Bの幅方向の厚みは、この部分に設けられた第2の下地電極層50Bの長さ方向Lおよび高さ方向Tの中央部において、例えば、5μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
なお、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bは、焼き付け層に限らず、薄膜層であってもよい。薄膜層は、スパッタリング法または蒸着法等の薄膜形成法により形成された、金属粒子が堆積された層である。薄膜層は、例えば、Mg、Al、Ti、W、Cr、Cu、Ni、Ag、Co、MoおよびVからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。これにより、積層体10に対する外部電極40の固着力を高めることができる。薄膜層は、単層であってもよいし、複数層によって形成されていてもよい。例えば、NiCrの層と、NiCuの層の2層構造によって形成されていてもよい。
下地電極としての薄膜層を、スパッタリング法によるスパッタ電極により形成する場合、このスパッタ電極は、積層体10の第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部に形成されることが好ましい。スパッタ電極は、例えば、Ni、Cr、Cu等から選ばれる少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。スパッタ電極の厚みは50nm以上400nm以下であることが好ましく、50nm以上130nm以下であることがさらに好ましい。
下地電極層として、積層体10の第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部にスパッタ電極を形成し、その一方、第1の端面LS1上および第2の端面LS2上には焼き付け層を形成してもよい。あるいは、第1の端面LS1上および第2の端面LS2上には下地電極層を形成せずに、後述するめっき層を積層体10に直接形成してもよい。なお、第1の端面LS1上および第2の端面LS2上に焼き付け層を形成する場合、焼き付け層は、第1の端面LS1および第2の端面LS2だけでなく、第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部にも延びて配置されていてもよい。この場合、スパッタ電極は、焼き付け層上にオーバーラップするように配置されてもよい。
第1のめっき層60Aは、第1の下地電極層50Aを覆うように配置されている。
第2のめっき層60Bは、第2の下地電極層50Bを覆うように配置されている。
第1のめっき層60Aおよび第2のめっき層60Bは、例えば、Cu、Ni、Sn、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。第1のめっき層60Aおよび第2のめっき層60Bは、それぞれ複数層により形成されていてもよい。第1のめっき層60Aおよび第2のめっき層60Bは、Niめっき層の上にSnめっき層が形成された2層構造が好ましい。
第1のめっき層60Aは、第1の下地電極層50Aを覆うように配置されている。本実施形態においては、第1のめっき層60Aは、第1のNiめっき層61Aと、第1のNiめっき層61A上に位置する第1のSnめっき層62Aと、を有する。
第2のめっき層60Bは、第2の下地電極層50Bを覆うように配置されている。本実施形態においては、第2のめっき層60Bは、第2のNiめっき層61Bと、第2のNiめっき層61B上に位置する第2のSnめっき層62Bと、を有する。
Niめっき層は、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bが、積層セラミックコンデンサ本体2と金属端子100とを接合する接合材5としてのはんだによって侵食されることを防止する。また、Snめっき層は、積層セラミックコンデンサ本体2と金属端子100とを接合する接合材5としてのはんだのぬれ性を向上させる。これにより、積層セラミックコンデンサ本体2と金属端子100の接合を容易にする。第1のめっき層70Aおよび第2のめっき層70BのそれぞれをNiめっき層とSnめっき層との2層構造とする場合、Niめっき層とSnめっき層それぞれの厚みは、1μm以上15μm以下であることが好ましい。
なお、本実施形態の第1の外部電極40Aおよび第2の外部電極40Bは、例えば導電性粒子と熱硬化性樹脂を含む導電性樹脂層を有していてもよい。下地電極層(第1の下地電極層50A、第2の下地電極層50B)として導電性樹脂層を設ける場合、導電性樹脂層は、焼き付け層を覆うように配置されてもよいし、焼き付け層を設けずに積層体10上に直接配置されてもよい。導電性樹脂層が焼き付け層を覆うように配置される場合、導電性樹脂層は、焼き付け層とめっき層(第1のめっき層60A、第2のめっき層60B)との間に配置される。導電性樹脂層は、焼き付け層上を完全に覆っていてもよいし、焼き付け層の一部を覆っていてもよい。
熱硬化性樹脂を含む導電性樹脂層は、例えばめっき膜や導電性ペーストの焼成物からなる導電層よりも柔軟性に富んでいる。このため、積層セラミックコンデンサ1に物理的な衝撃や熱サイクルに起因する衝撃が加わった場合であっても、導電性樹脂層は、緩衝層として機能する。よって、導電性樹脂層は、積層セラミックコンデンサ1のクラック発生を抑制する。
導電性粒子を構成する金属は、Ag、Cu、Ni、Sn、Biまたは、それらを含む合金であってもよい。導電性粒子は、好ましくはAgを含む。導電性粒子は、例えばAgの金属粉である。Agは、金属の中でもっとも比抵抗が低いため、電極材料に適している。また、Agは貴金属であるため、酸化しにくく、対候性が高い。よって、Agの金属粉は、導電性粒子として好適である。
また、導電性粒子は、金属粉の表面にAgコーティングされた金属粉であってもよい。金属粉の表面にAgコーティングされたものを使用する際には、金属粉は、Cu、Ni、Sn、Biまたはそれらの合金粉であることが好ましい。Agの特性は保ちつつ、母材の金属を安価なものにするために、Agコーティングされた金属粉を用いることが好ましい。
さらに、導電性粒子は、Cu、Niに酸化防止処理を施したものであってもよい。また、導電性粒子は、金属粉の表面にSn、Ni、Cuをコーティングした金属粉であってもよい。金属粉の表面にSn、Ni、Cuをコーティングされたものを使用する際には、金属粉は、Ag、Cu、Ni、Sn、Biまたはそれらの合金粉であることが好ましい。
導電性粒子の形状は、特に限定されない。導電性粒子は、球形状、扁平状などのものを用いることができるが、球形状金属粉と扁平状金属粉とを混合して用いることが好ましい。
導電性樹脂層に含まれる導電性粒子は、主に導電性樹脂層の通電性を確保する役割を担う。具体的には、複数の導電性粒子どうしが接触することにより、導電性樹脂層内部に通電経路が形成される。
導電性樹脂層を構成する樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの公知の種々の熱硬化性樹脂から選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。その中でも、耐熱性、耐湿性、密着性などに優れたエポキシ樹脂は、最も適切な樹脂のひとつである。また、導電性樹脂層の樹脂は、熱硬化性樹脂とともに、硬化剤を含むことが好ましい。ベース樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂の硬化剤は、フェノール系、アミン系、酸無水物系、イミダゾール系、活性エステル系、アミドイミド系など公知の種々の化合物であってもよい。
なお、導電性樹脂層は、複数層で形成されていてもよい。導電性樹脂層の最も厚い部分の厚みは、10μm以上150μm以下であることが好ましい。
なお、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bを設けずに、積層体10上に後述の第1のめっき層60Aおよび第2のめっき層60Bが直接配置される構成であってもよい。すなわち、積層セラミックコンデンサ1は、第1の内部電極層31と、第2の内部電極層32とに、直接電気的に接続されるめっき層を含む構成であってもよい。このような場合、前処理として積層体10の表面に触媒を配設した後で、めっき層が形成されてもよい。
この場合においても、めっき層は、複数層であることが好ましい。下層めっき層および上層めっき層はそれぞれ、例えば、Cu、Ni、Sn、Pb、Au、Ag、Pd、BiまたはZnなどから選ばれる少なくとも1種の金属またはこれらの金属を含む合金を含むことが好ましい。下層めっき層は、はんだバリア性能を有するNiを用いて形成されることがより好ましい。上層めっき層は、はんだ濡れ性が良好なSnまたはAuを用いて形成されることがより好ましい。なお、例えば、第1の内部電極層31および第2の内部電極層32がNiを用いて形成される場合は、下層めっき層は、Niと接合性のよいCuを用いて形成されることが好ましい。なお、上層めっき層は必要に応じて形成されればよく、外部電極40は、下層めっき層のみで構成されてもよい。また、めっき層は、上層めっき層を最外層としてもよいし、上層めっき層の表面にさらに他のめっき層を形成してもよい。
下地電極層を設けずに配置するめっき層の1層あたりの厚みは、2μm以上10μm以下であることが好ましい。なお、めっき層は、ガラスを含まないことが好ましい。めっき層の単位体積あたりの金属割合は、99体積%以上であることが好ましい。
なお、めっき層を積層体10上に直接形成する場合は、下地電極層の厚みを削減することができる。よって、下地電極層の厚みを削減した分、積層セラミックコンデンサ本体2の高さ方向Tの寸法を低減させて、積層セラミックコンデンサ本体2の低背化を図ることができる。あるいは、下地電極層の厚みを削減した分、第1の内部電極層31および第2の内部電極層32の間に挟まれる誘電体層20の厚みを厚くし、素体厚みの向上を図ることができる。このように、めっき層を積層体10上に直接形成することで、積層セラミックコンデンサの設計自由度を向上させることができる。
なお、積層体10と外部電極40を含む積層セラミックコンデンサ本体2の長さ方向の寸法をL寸法とすると、L寸法は、0.2mm以上10mm以下であることが好ましい。また、積層セラミックコンデンサ本体2の高さ方向の寸法をT寸法とすると、T寸法は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。また、積層セラミックコンデンサ本体2の幅方向の寸法をW寸法とすると、W寸法は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。
なお、本実施形態においては、積層セラミックコンデンサ本体2の第1の端面LS1側の第1の表面S1は、第1の端面LS1上に配置された第1の外部電極40Aの表面によって構成されている。積層セラミックコンデンサ本体2の第2の端面LS2側の第2の表面S2は、第2の端面LS2上に配置された第2の外部電極40Bの表面によって構成されている。
図1~図6に加えて、図11を用いて、金属端子100について説明する。図11は、図4に対応する図であって、第2の主面TS2から第1の主面TS1に向かって高さ方向に見たときの矢視図であり、外装材3および積層セラミックコンデンサ本体2を除外した際の、金属端子100を示す図である。なお、図11においては、積層セラミックコンデンサ本体2の積層体10および外部電極40の輪郭形状が二点鎖線で示されている。
金属端子100は、第1の金属端子100Aと、第2の金属端子100Bと、を有する。
第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bは、積層セラミックコンデンサ1が実装されるべき後述の実装基板(図13Aおよび図13Bの実装基板310を参照)の実装面に実装される金属端子である。第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bは、例えば板状のリードフレームである。なお、本実施形態においては、積層体10の第1の主面TS1は、積層セラミックコンデンサ1が実装されるべき実装基板の実装面と対向する面である。
第1の金属端子100Aは、第1の主面TS1と対向し、第1の外部電極40Aに接続される第1の接合部110Aと、第1の接合部110Aに接続され、実装基板の実装面から遠ざかるように延び、第1の端面LS1と対向する第1の立ち上がり部120Aと、第1の立ち上がり部120Aに接続され、積層セラミックコンデンサ本体2から遠ざかるように長さ方向Lに延びる第1の延長部130Aと、第1の延長部130Aに接続され、実装基板の実装面側に向かって延びる第1の立ち下がり部140Aと、第1の立ち下がり部140Aに接続され、実装基板の実装面に沿う方向に延びる第1の実装部150Aと、を有する。図6に示すように、第1の立ち上がり部120Aと、積層セラミックコンデンサ本体2の第1の端面LS1側の第1の表面S1との間には、隙間部Gが存在している。
第2の金属端子100Bは、第1の主面TS1と対向し、第2の外部電極40Bに接続される第2の接合部110Bと、第2の接合部110Bに接続され、実装基板の実装面から遠ざかるように延び、第2の端面LS2と対向する第2の立ち上がり部120Bと、第2の立ち上がり部120Bに接続され、積層セラミックコンデンサ本体2から遠ざかるように長さ方向Lに延びる第2の延長部130Bと、第2の延長部130Bに接続され、実装基板の実装面側に向かって延びる第2の立ち下がり部140Bと、第2の立ち下がり部140Bに接続され、実装基板の実装面に沿う方向に延びる第2の実装部150Bと、を有する。図6に示すように、第2の立ち上がり部120Bと、積層セラミックコンデンサ本体2の第2の端面LS2側の第2の表面S2との間には、隙間部Gが存在している。
なお、第1の立ち下がり部140Aおよび第2の立ち下がり部140Bは、積層セラミックコンデンサ1の外装材3と実装基板の実装面との間に隙間を設けることが可能な程度に、装基板の実装面に向かって延びていることが好ましい。
なお、このような第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bを採用することにより、実装基板と積層セラミック電子部品本体2との距離を長くすることができ、実装基板からの応力を緩和する効果が得られる。また、実装基板側に設けられる外装材3の厚みを厚くすることができ、絶縁性を確保することができる。
なお、図11に示すように、第1の金属端子100Aの第1の実装部150Aと第2の金属端子100Bの第2の実装部150Bとの離間距離L4は、積層セラミックコンデンサ本体2の第1の外部電極40Aと第2の外部電極40Bとの離間距離L3よりも長い。
接合材5は、積層セラミックコンデンサ本体2と、金属端子100とを接合する。接合材5は、第1の接合材5Aと、第2の接合材5Bと、を有する。
図6に示すように、第1の金属端子100Aは、第1の接合材5Aを介して第1の外部電極40Aに接続される。第2の金属端子100Bは、第2の接合材5Bを介して第2の外部電極40Bに接続される。
接合材5は、はんだであることが好ましい。例えば、Pbフリーはんだであってもよい。Pbフリーはんだとしては、例えばSn-Sb系、Sn-Ag-Cu系、Sn-Cu系、Sn-Bi系などの鉛フリーはんだが好ましい。例えば、Sn-10Sb~Sn-15Sbはんだを用いることができる。
図1~図6を用いて、外装材3について説明する。
外装材3は、高さ方向Tに相対する第1の主面MTS1および第2の主面MTS2と、高さ方向Tに直交する幅方向Wに相対する第1の側面MWS1および第2の側面MWS2と、高さ方向Tおよび幅方向Wに直交する長さ方向Lに相対する第1の端面MLS1および第2の端面MLS2と、を含む。外装材3の第1の端面MLS1は、外装材3の表面における、積層体10の第1の端面LS1側の表面である。外装材3の第2の端面MLS2は、外装材3の表面における、積層体10の第2の端面LS2側の表面である。
外装材3の第1の側面MWS1、第2の側面MWS2、第1の端面MLS1、および第2の端面MLS2には、高さ方向Tの中央部に、パーティングラインPLを有する。パーティングラインPLは、外装材3を成型する際に用いられる金型の分割面に対応するラインである。外装材3の表面には、パーティングラインPLを境界にした抜き勾配が設けられている。
外装材3の第1の側面MWS1は、第1の主面側の表面MWS1Aと、第2の主面側の表面MWS1Bと、を有する。外装材3の第2の側面MWS2は、第1の主面側の表面MWS2Aと、第2の主面側の表面MWS2Bと、を有する。外装材3の第1の端面MLS1は、第1の主面側の表面MLS1Aと、第2の主面側の表面MLS1Bと、を有する。外装材3の第2の端面MLS2は、第1の主面側の表面MLS2Aと、第2の主面側の表面MLS2Bと、を有する。これらの第1の主面側の表面と第2の主面側の表面は、パーティングラインPLを境界として分かれて配置されている。
第1の主面側の表面MWS1A、MWS2A、MLS1A、MLS2Aそれぞれは、パーティングラインPLから第1の主面TS1に近づくについて外装材3のLW断面の断面積が小さくなるような抜き勾配が設けられている。第2の主面側の表面MWS1B、MWS2B、MLS1B、MLS2Bそれぞれは、パーティングラインPLをから第2の主面TS2に近づくについて、外装材3のLW断面の断面積が小さくなるような抜き勾配が設けられている。
外装材3は、積層セラミックコンデンサ本体2と、積層セラミックコンデンサ本体2と金属端子100とを接続する接合材5と、金属端子100の一部と、を覆う。具体的には、外装材3は、積層セラミックコンデンサ本体2の全体と、第1の接合材5Aおよび第2の接合材5Bの全体と、第1の金属端子100Aの一部と、第2の金属端子100Bの一部と、を覆うように配置されている。
例えば、外装材3は、第1の金属端子100Aのうち、第1の接合部110Aの全体と、第1の立ち上がり部120Aの全体と、第1の延長部130Aの少なくとも一部と、を覆うように配置されている。また、外装材3は、第2の金属端子100Bのうち、第2の接合部110Bの全体と、第2の立ち上がり部120Bの全体と、第2の延長部130Bの少なくとも一部と、を覆うように配置されている。
なお、本実施形態においては、第1の金属端子100Aの第1の延長部130Aは、外装材3の第1の端面MLS1から突出して一部が露出している。第2の金属端子100Bの第2の延長部130Bは、外装材3の第2の端面MLS2から突出して一部が露出している。より具体的には、第1の金属端子100Aの第1の延長部130Aは、外装材3の第1の端面MLS1のパーティングラインPLから突出して一部が露出している。第2の金属端子100Bの第2の延長部130Bは、外装材3の第2の端面MLS2のパーティングラインPLから突出して一部が露出している。
外装材3の第2の主面MTS2は所定の平坦度を有する平面状に構成されていることが好ましい。これにより、実装基板に積層セラミックコンデンサ1を搭載する際に用いる実装機のマウンターの吸着不良を防止することができる。よって、確実に実装基板に積層セラミックコンデンサ1を搭載することが可能となる。その結果、実装不良の発生を抑制することが可能となる。
外装材3の第2の主面MTS2から積層セラミックコンデンサ本体2の表面までの最小距離は、100μm以上1500μm以下であることが好ましい。外装材3の第1の主面MTS1から第1の金属端子100Aの第1の接合部110Aまでの最小距離は、100μm以上1500μm以下であることが好ましい。外装材3の第1の側面MWS1から積層セラミックコンデンサ本体2の表面までの最小距離は、100μm以上1500μm以下であることが好ましい。外装材3の第2の側面MWS2から積層セラミックコンデンサ本体2の表面までの最小距離は、100μm以上1500μm以下であることが好ましい。外装材3の第1の端面MLS1から積層セラミックコンデンサ本体2の表面までの最小距離は、300μm以上2500μm以下であることが好ましい。外装材3の第2の端面MLS2から積層セラミックコンデンサ本体2の表面までの最小距離は、300μm以上2500μm以下であることが好ましい。外装材3の第1の端面MLS1の第1の主面側の表面MLS1Aから第1の金属端子100Aの第1の立ち上がり部120Aまでの長さ方向Lの平均距離は、200μm以上2450μm以下であることが好ましい。外装材3の第2の端面MLS2の第1の主面側の表面MLS2Aから第2の金属端子100Bの第2の立ち上がり部120Bまでの長さ方向Lの平均距離は、200μm以上2450μm以下であることが好ましい。
外装材3は、樹脂により形成されることが好ましい。例えば、トランスファーモールド法やインジェクションモールド法等によってエンジニアリングプラスチックがモールドされることにより、外装材3が形成されてもよい。特に、外装材3の材料は、熱硬化型エポキシ樹脂からなることが好ましい。これにより、外装材3と、積層セラミックコンデンサ本体2および金属端子100との密着性を確保し、耐電圧および耐湿性能の向上効果を得ることができる。外装材3は、例えば、液状や粉状のシリコーン系やエポキシ系などの樹脂が塗装されることにより形成されてもよい。
このように、外装材3が、外部電極40および金属端子100といった導体金属部分を広い範囲で覆うことにより、導体間の絶縁表面距離(沿面距離)を確保することができる。また、外装材3によって導体金属部分を広い範囲で覆うことにより、表面放電リスクを回避することができる。
なお、外装材3の形状は特に限定されない。例えば、角錐台等の切頭錐体であってもよい。なお、外装材3の角部の形状は、特に限定されることなく、丸められていてもよい。
図5、図6、図11に加えて、図12A~図12Cを用いて、積層セラミックコンデンサ本体2の外部電極40と金属端子100の接合部の周辺の構成および、金属端子100の詳細を説明する。
図12Aは、図6に示す積層セラミックコンデンサ1のXIIA部拡大図であって、第1の外部電極40Aと第1の金属端子100Aとの接合部の周辺の構成および、第1の金属端子100Aの詳細を説明するための図である。図12Bは、図6に示す積層セラミックコンデンサ1のXIIB部拡大図であって、第2の外部電極40Bと第2の金属端子100Bとの接合部の周辺の構成および、第2の金属端子100Bの詳細を説明するための図である。図12Cは、第1の金属端子100Aの部分外観斜視図である。
図12Aに示すように、第1の金属端子100Aの第1の立ち上がり部120Aと、積層セラミックコンデンサ本体2の第1の端面LS1側の第1の表面S1との間には、隙間部Gが存在し、隙間部G内には外装材3が充填されている。本実施形態においては、第1の表面S1は、第1の端面LS1上に配置された第1の外部電極40Aの表面により形成されている。すなわち、本実施形態においては、第1の立ち上がり部120Aと、第1の端面LS1上に配置された第1の外部電極40Aの表面S1との間に、隙間部Gが存在し、隙間部G内には外装材3が充填されている。この隙間部Gの長さ方向Lの平均距離は、50μm以上100μm以下であることが好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ1の寸法を大きくすることなく、第1の外部電極40Aと第1の立ち上がり部120Aとの接触を確実に防止することができる。また、隙間部G内に適切に外装材3を充填することができ、基板実装時のリフロー中に、はんだスプラッシュ等の問題が発生することを抑制することができる。
第1の立ち上がり部120Aは、第1の接合部110Aとの接続部から、第1の延長部130Aとの接続部に向かうにつれて、積層セラミックコンデンサ本体2の第1の端面LS1側の表面S1から離れるように傾斜している。これにより、隙間部Gの長さ方向Lの距離は、実装基板の実装面に近い位置から遠い位置に向かうにつれて長くなっている。すなわち、隙間部Gの実装面から遠い位置における長さ方向Lの距離G2は、隙間部Gの実装面に近い位置における長さ方向Lの距離G1よりも長い。なお、第1の立ち上がり部120Aと、積層セラミックコンデンサ本体2の第1の端面LS1側の表面S1とのなす角αは、1°以上10°以下であることが好ましい。
ここで、外装材3の第1の端面MLS1を形成する表面であって、第1の延長部130Aが突出している部分よりも実装面側の第1の主面側の表面MLS1Aは、外装材3の第1の傾斜面を構成する。第1の傾斜面MLS1Aは、実装面に近い位置から遠い位置に向かうにつれて、積層セラミックコンデンサ本体2の第1の表面S1から離れるように傾斜している。この第1の傾斜面MLS1Aの抜き勾配角度βは、1°以上10°以下であることが好ましい。そして、第1の立ち上がり部120Aと、第1の傾斜面MLS1Aとのなす角は5°以内であることが好ましい。このように、第1の立ち上がり部120Aと第1の傾斜面MLS1Aが同じ方向に傾斜し、かつ両者の傾き角度の差を小さくすることにより、外装材3の第1の傾斜面MLS1Aから第1の金属端子100Aの第1の立ち上がり部120Aまでの距離を、略一定とすることができる。これにより、力のかかりやすい第1の立ち上がり部120A周辺の強度を確保することができる。
図12Bに示すように、第2の金属端子100Bの第2の立ち上がり部120Bと、積層セラミックコンデンサ本体2の第2の端面LS2側の表面S2との間には、隙間部Gが存在し、隙間部G内には外装材3が充填されている。本実施形態においては、第2の表面S2は、第2の端面LS2上に配置された第2の外部電極40Bの表面により形成されている。すなわち、本実施形態においては、第2の立ち上がり部120Bと、第2の端面LS2上に配置された第2の外部電極40Bの表面S2との間に、隙間部Gが存在し、隙間部G内には外装材3が充填されている。この隙間部Gの長さ方向Lの平均距離は、50μm以上100μm以下であることが好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ1の寸法を大きくすることなく、第2の外部電極40Bと第2の立ち上がり部120Bとの接触を確実に防止することができる。また、隙間部G内に適切に外装材3を充填することができ、基板実装時のリフロー中に、はんだスプラッシュ等の問題が発生することを抑制することができる。
第2の立ち上がり部120Bは、第2の接合部110Bとの接続部から、第2の延長部130Bとの接続部に向かうにつれて、積層セラミックコンデンサ本体2の第2の端面LS2側の表面S2から離れるように傾斜している。これにより、隙間部Gの長さ方向Lの距離は、実装基板の実装面に近い位置から遠い位置に向かうにつれて長くなっている。すなわち、隙間部Gの実装面から遠い位置における長さ方向Lの距離G2は、隙間部Gの実装面に近い位置における長さ方向Lの距離G1よりも長い。なお、第2の立ち上がり部120Bと、積層セラミックコンデンサ本体2の第2の端面LS2側の表面S2とのなす角αは、1°以上10°以下であることが好ましい。
ここで、外装材3の第2の端面MLS2を形成する表面であって、第2の延長部130Bが突出している部分よりも実装面側の第1の主面側の表面MLS2Aは、外装材3の第2の傾斜面を構成する。第2の傾斜面MLS2Aは、実装面に近い位置から遠い位置に向かうにつれて、積層セラミックコンデンサ本体2の第2の表面S2から離れるように傾斜している。この第2の傾斜面MLS2Aの抜き勾配角度βは、1°以上10°以下であることが好ましい。そして、第2の立ち上がり部120Bと、第2の傾斜面MLS2Aとのなす角は5°以内であることが好ましい。このように、第2の立ち上がり部120Bと第2の傾斜面MLS2Aが同じ方向に傾斜し、かつ両者の傾き角度の差を小さくすることにより、外装材3の第2の傾斜面MLS2Aから第2の金属端子100Bの第2の立ち上がり部120Bまでの距離を、略一定とすることができる。これにより、力のかかりやすい第2の立ち上がり部120B周辺の強度を確保することができる。
なお、外装材3の第1の端面MLS1の第1の主面側の表面MLS1Aから第1の金属端子100Aの第1の立ち上がり部120Aまでの長さ方向Lの平均距離は、隙間部Gの長さ方向Lの平均距離の2倍以上であることが好ましい。より好ましくは、4倍以上49倍以下である。さらに好ましくは、6倍以上49倍以下である。これにより、力のかかりやすい第1の立ち上がり部120A周辺の強度を確保することができる。また、耐湿性を向上させることができる。
なお、外装材3の第2の端面MLS2の第1の主面側の表面MLS2Aから第2の金属端子100Bの第2の立ち上がり部120Bまでの長さ方向Lの平均距離は、隙間部Gの長さ方向Lの平均距離の2倍以上であることが好ましい。より好ましくは、4倍以上49倍以下である。さらに好ましくは、6倍以上49倍以下である。これにより、力のかかりやすい第2の立ち上がり部120B周辺の強度を確保することができる。また、耐湿性を向上させることができる。
なお、上述の隙間部Gや外装材3の所定の部分といった測定対象部の長さ方向Lの平均距離の測定は、以下の方法により行われる。まず、積層セラミックコンデンサ1をW寸法の1/2の位置程度まで断面研磨し、金属端子100の断面が確認できる特定のLT断面を露出させる。そして、研磨により露出させた積層セラミックコンデンサ1のLT断面をSEMにて観察する。次に、測定対象部において、長さ方法Lに延びる線を、高さT方向に等間隔に10本引き、この10本の線の距離の平均を、本実施形態における測定対象部の長さ方向Lの平均距離とする。
図12Cは、金属端子100を代表して、第1の金属端子100Aの外観の一部を示す外観斜視図である。なお、第1の金属端子100Aと、第2の金属端子100Bは、積層セラミックコンデンサ1の長さ方向Lの中央のWT断面に対して概ね面対称である。よって、第2の金属端子100Bの外観斜視図(不図示)は、第1の金属端子100Aの外観斜視図と基本的に同じとなる。
第1の金属端子100Aは、第1の切り欠き160Aと、第1の開口部170Aと、第3の切り欠き180Aと、を有する。
第1の切り欠き160Aは、第1の接合部110Aの端部から第1の立ち上がり部120Aの途中の位置まで連続して延びる。これにより、例えば外装材3のモールド時に、外装材3を構成する樹脂が、第1の切り欠き160Aを通じて流通するため、隙間部G内に樹脂が充填されやすくなる。また、外装材3を構成する樹脂が第1の切り欠き160Aに配置されることにより、第1の金属端子100Aの第1の立ち上がり部120Aの一面側の樹脂と他面側の樹脂が第1の切り欠き160A内の樹脂により接続されるため、より構造が強固となる。なお、第1の切り欠き160Aの切りかかれている部分は第1の立ち上がり部120Aの途中の位置までとなっているため、第1の金属端子100Aの強度は確保される。なお、本実施形態の第1の立ち上がり部120Aは、前述のとおり傾斜しているため、例えば外装材3のモールド時に、外装材3を構成する樹脂が、隙間部G内に入り込み、第1の切り欠き160Aを通じて流通しやすい。
図12Cに示すように、第1の切り欠き160Aの高さ方向Tの立ち上がり高さT3は、第1の立ち上がり部120Aの高さ方向Tの立ち上がり高さT2の半分以下の寸法であることが好ましい。これにより、例えば外装材3のモールド時に、外装材3を構成する樹脂の流通性を確保しつつ、第1の金属端子100Aの強度を確保することができる。
なお、第1の接合部110Aは、第1の切り欠き160Aにより分断された、第1の側面WS1側の第1の接合片111Aと、第2の側面WS2側の第2の接合片112Aと、を有する。
第1の開口部170Aは、第1の延長部130Aに配置されている。このように、第1の金属端子100Aに、前述の第1の切り欠き160Aに加えて、第1の開口部170Aを設けることにより、例えば外装材3のモールド時に、外装材3を構成する樹脂の流通性をより高めることができる。また、外装材3を構成する樹脂が第1の開口部170Aに配置されることにより、第1の金属端子100Aの第1の延長部130Aの一面側の樹脂と他面側の樹脂が第1の開口部170A内の樹脂により接続されるため、より構造が強固となる。以上の構成によって、第1の切り欠き160Aのうち、第1の立ち上がり部120Aに形成された部分と、第1の開口部170Aには、外装材3を構成する同一の材料が配置されることが好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ1の構造が強固となる。
第3の切り欠き180Aは、第1の実装部150Aの端部から第1の立ち下がり部140Aの途中の位置まで連続して延びる。
図11および図12Cに示すように、第1の金属端子100Aの第1の接合部110Aの幅方向の長さW2は、第1の立ち上がり部120Aの幅方向の長さW3よりも長い。これにより、第1の接合材5Aによる、第1の外部電極40Aと、第1の金属端子100Aの接合領域を広く確保することができる。特に、上述のように第1の切り欠き160Aを設けた場合であっても、第1の接合材5Aによる、第1の外部電極40Aと、第1の金属端子100Aの接合領域を広く確保することができる。
なお、第1の切り欠き160Aの幅方向Wの長さW4は、第1の開口部170Aの幅方向Wの長さW5と同程度であってもよい。第1の切り欠き160Aの高さ方向Tの立ち上がり高さT3は、第1の開口部170Aの長さ方向Lの長さL6と同程度であってもよい。例えば、第1の立ち上がり部120Aに形成されている第1の切り欠き160Aの面積は、第1の開口部170Aの面積の50%以上200%以下の範囲内であってもよい。これにより、例えば外装材3のモールド時に、外装材3を構成する樹脂がバランスよく流通する。
第2の金属端子100Bは、第2の切り欠き160Bと、第2の開口部170Bと、第4の切り欠き180Bと、を有する。
第2の切り欠き160Bは、第2の接合部110Bの端部から第2の立ち上がり部120Bの途中の位置まで連続して延びる。これにより、例えば外装材3のモールド時に、外装材3を構成する樹脂が、第2の切り欠き160Bを通じて流通するため、隙間部G内に樹脂が充填されやすくなる。また、外装材3を構成する樹脂が第2の切り欠き160Bに配置されることにより、第2の金属端子100Bの第2の立ち上がり部120Bの一面側の樹脂と他面側の樹脂が第2の切り欠き160B内の樹脂により接続されるため、より構造が強固となる。なお、第2の切り欠き160Bの切りかかれている部分は第2の立ち上がり部120Bの途中の位置までとなっているため、第2の金属端子100Bの強度は確保される。なお、本実施形態の第2の立ち上がり部120Bは、前述のとおり傾斜しているため、例えば外装材3のモールド時に、外装材3を構成する樹脂が、隙間部G内に入り込み、第2の切り欠き160Bを通じて流通しやすい。
第2の切り欠き160Bの高さ方向Tの立ち上がり高さT3は、第2の立ち上がり部120Bの高さ方向Tの立ち上がり高さT2の半分以下の寸法であることが好ましい。これにより、例えば外装材3のモールド時に、外装材3を構成する樹脂の流通性を確保しつつ、第2の金属端子100Bの強度を確保することができる。
なお、第2の接合部110Bは、第2の切り欠き160Bにより分断された、第1の側面WS1側の第3の接合片111Bと、第2の側面WS2側の第4の接合片112Bと、を有する。
第2の開口部170Bは、第2の延長部130Bに配置されている。このように、第2の金属端子100Bに、前述の第2の切り欠き160Bに加えて、第2の開口部170Bを設けることにより、例えば外装材3のモールド時に、外装材3を構成する樹脂の流通性をより高めることができる。また、外装材3を構成する樹脂が第2の開口部170Bに配置されることにより、第2の金属端子100Bの第2の延長部130Bの一面側の樹脂と他面側の樹脂が第2の開口部170B内の樹脂により接続されるため、より構造が強固となる。以上の構成によって、第2の切り欠き160Bのうち、第2の立ち上がり部120Bに形成された部分と、第2の開口部170Bには、外装材3を構成する同一の材料が配置されることが好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ1の構造が強固となる。
第4の切り欠き180Bは、第2の実装部150Bの端部から第2の立ち下がり部140Bの途中の位置まで連続して延びる。
図11に示すように、第2の金属端子100Bの第2の接合部110Bの幅方向の長さW2は、第2の立ち上がり部120Bの幅方向の長さW3よりも長い。これにより、第2の接合材5Bによる、第2の外部電極40Bと、第2の金属端子100Bの接合領域を広く確保することができる。特に、上述のように第2の切り欠き160Bを設けた場合であっても、第2の接合材5Bによる、第2の外部電極40Bと、第2の金属端子100Bの接合領域を広く確保することができる。
なお、第2の切り欠き160Bの幅方向Wの長さW4は、第2の開口部170Bの幅方向Wの長さW5と同程度であってもよい。第2の切り欠き160Bの高さ方向Tの立ち上がり高さT3は、第2の開口部170Bの長さ方向Lの長さL6と同程度であってもよい。例えば、第2の立ち上がり部120Bに形成されている第2の切り欠き160Bの面積は、第2の開口部170Bの面積の50%以上200%以下の範囲内であってもよい。これにより、例えば外装材3のモールド時に、外装材3を構成する樹脂がバランスよく流通する。
なお、第1の実装部150Aは、実装面に沿って、実装面と平行に延びていてもよいが、第1の立ち下がり部140Aとの接続部に近づくにつれて、実装面から離れる方向に傾斜して延びていてもよい。第2の実装部150Bは、実装面に沿って、実装面と平行に延びていてもよいが、第2の立ち下がり部140Bとの接続部に近づくにつれて、実装面から離れる方向に傾斜して延びていてもよい。これにより、実装基板への積層セラミックコンデンサ1の実装時に接合材をこの部分によび込むことができ、取り付け強度を高めることができる。なお、この傾斜角度θは、1°以上10°以下であることが好ましい。
第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bは、端子本体と、端子本体の表面に配置されるめっき膜を有する。さらに、第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bは、表面の一部において、めっき膜の最外表面のめっき膜よりも内側の材料が表面に露出している露出面を有する。
端子本体は、Ni、Fe、Cu、Ag、Crまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金からなることが好ましい。例えば、端子本体の母材の金属を、Fe-42Ni合金やFe-18Cr合金やCu-8Sn合金とすることができる。また、放熱性の観点からは、端子本体の母材の金属を、熱伝導率の高い無酸素銅やCu系合金とすることができる。このように、端子本体の材料を熱伝導の良い銅系にすることで、低ESR化や低熱抵抗化を実現することができる。また、本実施形態においては、端子本体の母材の金属を、はんだのぬれ性が低いステンレスやアルミとすることもできる。少なくとも、端子本体の母材の金属の表面は、最外表面のめっき膜よりも、はんだのぬれ性が低い表面となっている。端子本体の厚みは、0.05mm以上0.5mm以下程度であることが好ましい。
めっき膜は、めっき膜の最外表面に配置された上層めっき膜と、上層めっき膜よりも下層に配置された下層めっき膜を有していることが好ましい。例えば、めっき膜は、下層めっき膜の上に上層めっき膜が形成された2層構造であってもよい。下層めっき膜は、Ni、Fe、Cu、Ag、Crまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金からなることが好ましい。さらに好ましくは、下層めっき膜は、Ni、Fe、Crまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金からなる。下層めっき膜を、高融点のNi、Fe、Crまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金により形成することにより、金属端子100の耐熱性を向上させることができる。下層めっき膜の厚みは0.2μm以上5.0μm以下程度であることが好ましい。上層めっき膜は、Sn、Ag、Auまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金からなることが好ましい。さらに好ましくは、上層めっき膜は、SnまたはSnを主成分として含む合金からなる。上層めっき膜をSnまたはSnを主成分として含む合金により形成することにより、外部電極40と、金属端子100とのはんだ付け性を向上させることができる。上層めっき膜の厚みは、1.0μm以上5.0μm以下程度であることが好ましい。
なお、めっき膜の最外表面に配置された上層めっき膜は、端子本体の母材の金属の表面よりも、はんだのぬれ性が高い表面となっている。また、めっき膜の最外表面に配置された上層めっき膜は、下層めっき膜の表面よりもはんだのぬれ性が高い表面となっている。例えば、下層めっき膜は、Niめっき膜であることが好ましい。上層めっき膜は、Snめっき膜であることが好ましい。
図12Aには、第1の金属端子100Aの露出面ES1の配置位置の一例が示される。図12Aに示されるように、露出面ES1は、第1の金属端子100Aの第1の立ち上がり部120Aにおける、積層セラミック電子部品本体2の第1の表面S1と対向する面に配置される。第1の立ち上がり部120Aの露出面ES1と積層セラミック電子部品本体2の第1の表面S1との間には外装材3が充填される。
なお、第1の金属端子100Aのめっき膜は、少なくとも、第1の接合部110Aにおける、第1の接合材5Aが配置される部分と、第1の実装部150Aにおける、実装基板の実装面に対向する部分に配置されている。第1の金属端子100Aの露出面ES1は、第1の接合部110Aの表面の一部と、第1の立ち上がり部120Aの表面の全面または一部と、第1の延長部130Aの表面の全面または一部と、に配置されていてもよい。
図12Bには、第2の金属端子100Bの露出面ES2の配置位置の一例が示される。図12Bに示されるように、露出面ES2は、第2の金属端子100Bの第2の立ち上がり部120Bにおける、積層セラミック電子部品本体2の第2の表面S2と対向する面に配置される。第2の立ち上がり部120Bの露出面ES2と積層セラミック電子部品本体2の第2の表面S2との間には外装材3が充填される。
なお、第2の金属端子100Bのめっき膜は、少なくとも、第2の接合部110Bにおける、第2の接合材5Bが配置される部分と、第2の実装部150Bにおける、実装基板の実装面に対向する部分に配置されている。第2の金属端子100Bの露出面ES2は、第2の接合部110Bの表面の一部と、第2の立ち上がり部120Bの表面の全面または一部と、第2の延長部130Bの表面の全面または一部と、に配置されていてもよい。
ここで、露出面は、下層めっき膜が露出する表面であってもよい。下層めっき膜は、上層めっき膜よりもはんだのぬれ性が低い。よって、第1の接合材5Aが、第1の金属端子100Aの立ち上がり部120Aを伝わってぬれ上がることを防ぐことができる。また、第2の接合材5Bが、第2の金属端子100Bの立ち上がり部120Bを伝わってぬれ上がることを防ぐことができる。これにより、より確実に、隙間部Gに外装材3を充填することができる。よって、はんだスプラッシュ等の問題が生じることをさらに抑制することができる。
また、露出面は、端子本体の母材が露出する表面であってもよい。端子本体の母材表面は、上層めっき膜よりもはんだのぬれ性が低い。よって、第1の接合材5Aが、第1の金属端子100Aの立ち上がり部120Aを伝わってぬれ上がることを防ぐことができる。また、第2の接合材5Bが、第2の金属端子100Bの立ち上がり部120Bを伝わってぬれ上がることを防ぐことができる。これにより、より確実に、隙間部Gに外装材3を充填することができる。よって、はんだスプラッシュ等の問題が生じることをさらに抑制することができる。
なお、露出面は、端子本体にめっき膜を形成後、除去加工を行うことにより形成されてもよい。除去加工は、例えば、研削や研磨等による機械的な除去加工、レーザートリミングによる除去加工、水酸化ナトリウム等のめっき剥離剤による除去加工等の各種の除去加工であってもよい。また、めっき膜を形成する前に、露出面としたい部分をレジストで覆ってもよい。この場合は、めっき膜の形成後、レジストを除去することにより、露出面が形成される。
なお、外装材3および金属端子100を含む積層セラミックコンデンサ1の長さ方向の寸法をL寸法とすると、L寸法は、3.2mm以上20mm以下であることが好ましい。また、積層セラミックコンデンサ1の積層方向の寸法をT寸法とすると、T寸法は、1.0mm以上10mm以下であることが好ましい。また、積層セラミックコンデンサ1の幅方向の寸法をW寸法とすると、W寸法は、1.5mm以上20mm以下であることが好ましい。
次に、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の製造方法について説明する。まず、積層セラミックコンデンサ本体2の製造方法について説明する。
誘電体層20用の誘電体シートおよび内部電極層30用の導電性ペーストが準備される。誘電体シートおよび内部電極用の導電性ペーストは、バインダおよび溶剤を含む。バインダおよび溶剤は、公知のものであってもよい。
誘電体シート上に、内部電極層30用の導電性ペーストが、例えば、スクリーン印刷やグラビア印刷などにより所定のパターンで印刷される。これにより、第1の内部電極層31のパターンが形成された誘電体シートおよび、第2の内部電極層32のパターンが形成された誘電体シートが準備される。
内部電極層のパターンが印刷されていない誘電体シートが所定枚数積層されることにより、第1の主面TS1側の第1の主面側外層部12となる部分が形成される。その上に、第1の内部電極層31のパターンが印刷された誘電体シートおよび第2の内部電極層32のパターンが印刷された誘電体シートが順次積層されることにより、内層部11となる部分が形成される。この内層部11となる部分の上に、内部電極層のパターンが印刷されていない誘電体シートが所定枚数積層されることにより、第2の主面TS2側の第2の主面側外層部13となる部分が形成される。これにより、積層シートが作製される。
積層シートが静水圧プレスなどの手段により積層方向にプレスされることにより、積層ブロックが作製される。
積層ブロックが所定のサイズにカットされることにより、積層チップが切り出される。このとき、バレル研磨などにより積層チップの角部および稜線部に丸みがつけられてもよい。
積層チップが焼成されることにより、積層体10が作製される。焼成温度は、誘電体層20や内部電極層30の材料にもよるが、900℃以上1400℃以下であることが好ましい。
積層体10の両端面に第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bとなる導電性ペーストが塗布される。本実施形態においては、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bは、焼き付け層である。ガラス成分と金属とを含む導電性ペーストが、例えばディッピングなどの方法により、積層体10に塗布される。その後、焼き付け処理が行われ、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bが形成される。この時の焼き付け処理の温度は、700℃以上900℃以下であることが好ましい。
なお、焼成前の積層チップと、積層チップに塗布した導電性ペーストとを同時に焼成する場合には、焼付け層は、ガラス成分の代わりにセラミック材料を添加したものを焼き付けて形成することが好ましい。このとき、添加するセラミック材料として、誘電体層20と同種のセラミック材料を用いることが特に好ましい。この場合は、焼成前の積層チップに対して、導電性ペーストを塗布し、積層チップと積層チップに塗布した導電性ペーストを同時に焼き付けて、焼き付け層が形成された積層体10を形成する。
なお、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bとして薄膜層を形成する場合は、積層体10の第1の主面TS1上の一部および第2の主面TS2上の一部に、薄膜層を形成してもよい。薄膜層は、例えば、スパッタリング法によりスパッタ電極であってもよい。第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bとして、積層体10の第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部にスパッタ電極を形成する場合は、第1の端面LS1上および第2の端面LS2上には焼き付け層を形成してもよい。あるいは、第1の端面LS1上および第2の端面LS2上には下地電極層を形成せずに、後述するめっき層を積層体10に直接形成してもよい。
その後、第1の下地電極層50Aの表面に、第1のめっき層60Aが形成される。また、第2の下地電極層50Bの表面に、第2のめっき層60Bが形成される。本実施形態では、めっき層として、Niめっき層およびSnめっき層が形成される。Niめっき層およびSnめっき層は、例えばバレルめっき法により、順次形成される。
このような製造工程により、積層セラミックコンデンサ本体2が製造される。
次に、第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bの製造方法について説明する。
第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bを構成する端子本体にめっき膜が施される。その後、めっき膜の少なくとも最外表面を構成する膜が剥離され、はんだのぬれ性が低い表面が露出する露出面が形成される。あるいは、レジスト等で一部の表面をマスキングした状態の端子本体に対してめっき処理が施され、これにより、はんだのぬれ性が低い表面が露出する露出面が形成されてもよい。
次に、積層セラミックコンデンサ本体2と、第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bとを接合する工程について説明する。
第1の外部電極40Aと第1の金属端子100Aは、第1の接合材5Aによって接合される。第2の外部電極40Bと第2の金属端子100Bは、第2の接合材5Bによって接合される。本実施形態においては、第1の接合材5Aおよび第2の接合材5Bは、はんだである。例えば、リフローによるはんだ付けで接合される場合、第1の接合材5Aおよび第2の接合材5Bは、例えば270℃以上290℃以下の温度で30秒以上加熱される。
このリフロー時の加熱により、第1の接合材5Aおよび第2の接合材5Bが溶融する。このとき、露出面ES1が、第1の金属端子100Aの第1の立ち上がり部120Aにおける、積層セラミック電子部品本体2の第1の表面S1と対向する面に配置されているため、第1の接合材5Aが、第1の金属端子100Aの立ち上がり部120Aを伝わってぬれ上がりにくい。また、露出面ES2が、第2の金属端子100Bの第2の立ち上がり部120Bにおける、積層セラミック電子部品本体2の第2の表面S2と対向する面に配置されているため、第2の接合材5Bが、第2の金属端子100Bの立ち上がり部120Bを伝わってぬれ上がりにくい。
よって、加熱後、第1の金属端子100Aの第1の立ち上がり部120Aと、積層セラミックコンデンサ本体2の第1の端面LS1側の第1の表面S1との間には、隙間部Gが残存した状態で、第1の接合材5Aが固化し、積層セラミックコンデンサ本体2と、第1の金属端子100Aとが接合される。また、第2の金属端子100Bの第2の立ち上がり部120Bと、積層セラミックコンデンサ本体2の第2の端面LS2側の第2の表面S2との間には、隙間部Gが残存した状態で、第2の接合材5Bが固化し、積層セラミックコンデンサ本体2と、第2の金属端子100Bとが接合される。これにより、その後の工程において、より確実に、隙間部Gに外装材3を充填することができる。
次に、積層セラミックコンデンサ本体2と、第1の接合材5Aおよび第2の接合材5Bと、第1の金属端子100Aの一部と、第2の金属端子100Bの一部とを、外装材3で覆う工程について説明する。
外装材3は、例えば、トランスファーモールド工法によって形成される。具体的には、外装材3で覆う前の積層セラミックコンデンサ、すなわち、接合材5を介して金属端子100が接合された積層セラミックコンデンサ本体2を金型内に配置し、その後、金型内に外装材3の樹脂を充填し、樹脂を硬化させる。これにより、積層セラミックコンデンサ本体2と、第1の接合材5Aおよび第2の接合材5Bと、第1の金属端子100Aの一部と、第2の金属端子100Bの一部とを覆うように、外装材3が設けられる。このとき、隙間部Gにも外装材3を充填することができる。
最後に、金属端子100に不要部分がある場合、打ち抜き金型等を用いて、不要部分がカットされる。そして、曲げ金型等を用いて、金属端子100が所望の形状に折り曲げられる。このように、金属端子100は、曲げ加工により形成されていてもよい。すなわち、屈曲形成されている金属端子100の各接続部は、曲げ加工により形成されていてもよい。なお、一部の曲げ加工は、外装材3のモールド前に行われる。
以上の製造方法により、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1が製造される。
図13Aおよび図13Bに、積層セラミックコンデンサ1の実装構造300を示す。図13Aは、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1が実装基板310に実装された実装構造300を示す外観斜視図である。図13Bは、図6に対応する図であって、図13Aの積層セラミックコンデンサ1の実装構造300を矢印XIIIBの方向から見たときの仮想的な矢視図である。
外装材3に覆われて完成品となった積層セラミックコンデンサ1は、その後、部品として、基板実装用接合材320を介して、実装基板310にリフロー実装される。
具体的には、第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bは、実装基板310の実装面311に配置されている配線部材312に対して、基板実装用接合材320を介して接合される。第2の金属端子100Bは、実装基板310の実装面311に配置されている配線部材312に対して、基板実装用接合材320を介して接合される。
このとき、接合材5が溶融して、接合材5の体積が膨張するおそれがあるが、隙間部G内に外装材3が充填されているため、はんだスプラッシュ等の問題の発生を抑制することができる。
なお、本実施形態においては、第1の金属端子100Aの第1の接合部110Aは、第1の切り欠き160Aにより分断されている。また、第2の金属端子100Bの第2の接合部110Bは、第2の切り欠き160Bにより分断されている。この効果について、図14Aおよび図14Bを用いて説明する。
図14Aおよび図14Bは、図6の積層セラミックコンデンサ1のXIV-XIV線に沿った模式的な断面図であり、第1の切り欠き160Aの有無によって生じる影響を説明するための模式的な図である。なお、第1の金属端子100Aと、第2の金属端子100Bは、積層セラミックコンデンサ1の長さ方向Lの中央のWT断面に対して概ね面対称である。よって、金属端子100を代表して、第1の金属端子100Aを図示して説明する。
図14Aは、第1の接合部110Aに、第1の切り欠き160Aが設けられていない場合において生じ得る、積層セラミックコンデンサ本体2の状態ついて説明する図である。
図14Aに模式的に示されるように、外部電極40が形成された後の積層セラミックコンデンサ本体2のWT断面は、その製法上、わずかに膨らむように湾曲している。よって、積層セラミックコンデンサ本体2と、第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bとを接合するリフロー工程において、第1の接合部110Aに第1の切り欠き160Aが設けられていない場合、積層セラミックコンデンサ本体2は回転して傾いてしまう可能性がある。この場合、その後に外装材3が設けられたときに、外装材3の表面と、積層セラミックコンデンサ本体2の表面とが部分的に近づく。よって、その近づいた部分の外装材3の厚さdが薄くなってしまう可能性がある。
図14Bに示すように、また、図11にも示されるように、本実施形態においては、第1の金属端子100Aの第1の接合部110Aは、第1の切り欠き160Aにより分断された、第1の側面WS1側の第1の接合片111Aと、第2の側面WS2側の第2の接合片112Aと、を有する。同様に、第2の金属端子100Bの第2の接合部110Bは、第2の切り欠き160Bにより分断された、第1の側面WS1側の第3の接合片111Bと、第2の側面WS2側の第4の接合片112Bと、を有する。よって、図14Bに示すように、2つの接合片が、わずかに湾曲している積層セラミックコンデンサ本体を支持するため、積層セラミックコンデンサ本体2が傾きにくい。なお、図14Bにおいては、外装材3の図示は省略されている。
以下、図14C~図14Iを用いて、図14Bに示される第1の金属端子100Aの変形例について説明する。なお、第1の金属端子100Aと、第2の金属端子100Bは、積層セラミックコンデンサ1の長さ方向Lの中央のWT断面に対して概ね面対称である。よって、図14C~図14Iでは、金属端子100を代表して、第1の金属端子100Aを図示して説明する。
図14Cに示すように、第1の金属端子100Aの第1の接合片111Aは、第1の側面WS1側から積層体10の幅方向Wの中心側に向かうにつれて、実装面に近づくように傾斜し、第2の接合片112Aは、第2の側面WS2側から積層体の幅方向Wの中心側に向かうにつれて、実装面に近づくように傾斜していてもよい。同様に、第2の金属端子100Bの第3の接合片111Bは、第1の側面WS1側から積層体10の幅方向Wの中心側に向かうにつれて、実装面に近づくように傾斜し、第4の接合片112Bは、第2の側面WS2側から積層体の幅方向Wの中心側に向かうにつれて、実装面に近づくように傾斜していてもよい。なお、このときの傾斜角度γは、1°以上10°以下であることが好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ本体2がより傾きにくくなる。
なお、切り欠きに換えて、第1の接合部110Aおよび第2の接合部110Bに突部を設けてもよい。
図14Dに示すように、第1の接合部110Aは、第1の側面WS1側に配置された突部Pと、第2の側面WS2側に配置された突部Pを有する。第2の接合部110Bも、同様の突部Pを有する。すなわち、第2の接合部110Bは、第1の側面WS1側に配置された突部と、第2の側面WS2側に配置された突部を有する。これによっても、これらの突部が、わずかに湾曲している積層セラミックコンデンサ本体を支持するため、積層セラミックコンデンサ本体2が傾きにくい。
なお、突部Pは、図14Eに示すように、曲げ加工により形成された突部であってもよい。
なお、第1の接合部110Aの幅方向Wの長さは、第1の立ち上がり部120Aの幅方向Wの長さと同じ長さであってもよい。また、第2の接合部110Bの幅方向Wの長さは、第2の立ち上がり部120Bの幅方向Wの長さと同じ長さであってもよい。この場合においても、図14Fおよび図14Gに示すように、切り欠きを設けることにより、図14Bおよび図14Cと同様の効果を得ることができる。また、図14Hおよび図14Iに示すように、突部Pを設けることにより、図14Dおよび図14Eと同様の効果を得ることができる。なお、突部Pは、図14Iに示されるように、第1の接合部110Aおよび第2の接合部110Bの幅方向Wの両端部を折り曲げることにより形成してもよい。
以下、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の変形例について説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。図15Aは、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の変形例を示す図であり、図2に対応する図である。図15Bは、図15Aの積層セラミックコンデンサ1を矢印XVBの方向から見たときの矢視図であり、図4に対応する図である。
本変形例においては、金属端子の構成が、上記実施形態とは異なる。本変形例の金属端子は、第1の金属端子200Aと、第2の金属端子200Bと、を有する。
第1の金属端子200Aのうち、外装材3の内部に配置されている部分の構成は、上記実施形態の第1の金属端子100Aの構成と同じである。第2の金属端子200Bのうち、外装材3の内部に配置されている部分の構成は、上記実施形態の第2の金属端子100Bの構成と同じである。
第1の金属端子200Aは、第1の延長部230Aと、第1の立ち下がり部240Aと、第1の実装部250Aと、を有する。第1の延長部230Aは、外装材3の第1の端面LS1側の表面MLS1から突出してすぐに、第1の立ち下がり部240Aに接続されている。第1の延長部230Aと第1の立ち下がり部240Aの接続部は、略直角に曲げられることにより形成されている。第1の立ち下がり部240Aは、実装面に向かって、実装面に略直交する方向に延びる。第1の実装部250Aは、積層セラミックコンデンサ1の長さ方向Lの中央側に向かって、実装面に沿って延びる。
第2の金属端子200Bは、第2の延長部230Bと、第2の立ち下がり部240Bと、第2の実装部250Bと、を有する。第2の延長部230Bは、外装材3の第2の端面LS2側の表面MLS2から突出してすぐに、第2の立ち下がり部240Bに接続されている。第2の延長部230Bと第2の立ち下がり部240Bの接続部は、略直角に曲げられることにより形成されている。第2の立ち下がり部240Bは、実装面に向かって、実装面に略直交する方向に延びる。第2の実装部250Bは、積層セラミックコンデンサ1の長さ方向Lの中央側に向かって、実装面に沿って延びる。
これにより、第1の金属端子200Aおよび第2の金属端子200Bを含む積層セラミックコンデンサ1の長さ方法の寸法L8を短くすることができる。よって、積層セラミックコンデンサ1を実装基板に実装する際に必要となる実装面積を小さくすることができる。
なお、この場合においても、第1の金属端子200Aの第1の実装部250Aの端部と第2の金属端子200Bの第2の実装部250Bの端部との離間距離L7は、図7に示される積層セラミックコンデンサ本体2の第1の外部電極40Aと第2の外部電極40Bとの離間距離L3よりも長いことが好ましい。
なお、第1の実装部250Aは、実装面に沿って、実装面と平行に延びていてもよいが、積層セラミックコンデンサ1の長さ方向Lの中央側に向かうにつれて、実装面から離れるように傾斜して延びていてもよい。第2の実装部250Bは、実装面に沿って、実装面と平行に延びていてもよいが、積層セラミックコンデンサ1の長さ方向Lの中央側に向かうにつれて、実装面から離れるように傾斜して延びていてもよい。これにより、実装基板への積層セラミックコンデンサ1の実装時に接合材をこの部分によび込むことができ、取り付け強度を高めることができる。また、積層セラミックコンデンサ1を実装基板の実装面に安定して配置することができる。なお、この傾斜角度θは、1°以上10°以下であることが好ましい。
なお、金属端子は、追加の露出面を有していてもよい。図15Aには、第1の金属端子200Aの追加の露出面ES3の配置位置および、第2の金属端子200Bの追加の露出面ES4の配置位置の一例が示される。
追加の露出面ES3は、第1の金属端子200Aの第1の立ち下がり部240Aにおける、積層セラミック電子部品1の外装材3の第1の傾斜面MLS1Aと対向する面に配置される。また、追加の露出面ES3は、第1の実装部250Aにおける、実装面と反対側の面、すなわち、外装材3の第1の主面MTS1と対向する面にも配置されていてもよい。
追加の露出面ES4は、第2の金属端子200Bの第3の立ち下がり部240Bにおける、積層セラミックコンデンサ1の外装材3の第2の傾斜面MLS2Aと対向する面に配置される。また、追加の露出面ES4は、第2の実装部250Bにおける、実装面と反対側の面、すなわち、外装材3の第1の主面MTS1と対向する面にも配置されていてもよい。
これにより、積層セラミックコンデンサ1の実装時において、はんだが第1の金属端子200Aと外装材3の間および、第2の金属端子200Bと外装材3の間に入り込むのを防止することができる。
なお、本実施形態の積層セラミックコンデンサ本体2は、複数の第1の内部電極層31および複数の第2の内部電極層32が、積層体10の高さ方向Tに交互に配置されていたが、積層セラミックコンデンサ本体2の構成は、これに限らない。複数の第1の内部電極層31および複数の第2の内部電極層32は、積層体10の幅方向Wに交互に配置されていてもよい。
この場合、第1の内部電極層31の第1の引き出し部を、第1の端面LS1側の第1の主面TS1に引き出し、第1の外部電極40Aを、第1の主面TS1上の第1の端面LS1側のみに配置してもよい。すなわち、第1の端面LS1には、第1の外部電極40Aを設けなくてもよい。この場合、積層セラミックコンデンサ本体2の第1の端面LS1側の第1の表面S1は、積層体10の第1の端面LS1によって構成される。また、第2の内部電極層32の第2の引き出し部を、第2の端面LS2側の第1の主面TS1に引き出し、第2の外部電極40Bを、第1の主面TS1上の第2の端面LS2側のみに配置してもよい。すなわち、第2の端面LS2には、第2の外部電極40Bを設けなくてもよい。この場合、積層セラミックコンデンサ本体2の第2の端面LS2側の第1の表面S1は、積層体10の第2の端面LS2によって構成される。この場合、隙間部G内を、接合材5が、よりぬれ上がりにくくなる。
なお、本実施形態においては、1つの積層セラミックコンデンサ本体2が外装材3に覆われて、積層セラミックコンデンサ1が構成されている例を説明したが、これに限らない。複数の積層セラミック電子部品本体としての積層セラミックコンデンサ本体2が外装材3に覆われて、積層セラミック電子部品としての積層セラミックコンデンサ1が構成されていてもよい。例えば、並列に配置された複数の積層セラミックコンデンサ本体2が外装材3に覆われて、積層セラミックコンデンサ1が構成されていてもよい。例えば、2段以上積み重ねられた積層セラミックコンデンサ本体2が外装材3に覆われて、積層セラミックコンデンサ1が構成されていてもよい。
なお、積層セラミックコンデンサ本体の構成は、図7~図10に示す構成に限定されない。例えば、積層セラミックコンデンサ本体は、図16A、図16B、図16Cに示すような、2連構造、3連構造、4連構造の積層セラミックコンデンサであってもよい。
図16Aに示す積層セラミックコンデンサ本体2は、2連構造の積層セラミックコンデンサ本体2であり、内部電極層30として、第1の内部電極層33および第2の内部電極層34に加えて、第1の端面LS1および第2の端面LS2のどちらにも引き出されない浮き内部電極層35を備える。図16Bに示す積層セラミックコンデンサ本体2は、浮き内部電極層35として、第1の浮き内部電極層35Aおよび第2の浮き内部電極層35Bを備えた、3連構造の積層セラミックコンデンサ本体2である。図16Cに示す積層セラミックコンデンサ本体2は、浮き内部電極層35として、第1の浮き内部電極層35A、第2の浮き内部電極層35Bおよび第3の浮き内部電極層35Cを備えた、4連構造の積層セラミックコンデンサ本体2である。このように、内部電極層30として、浮き内部電極層35を設けることにより、積層セラミックコンデンサ本体2は、対向電極部が複数に分割された構造となる。これにより、対向する内部電極層30間において複数のコンデンサ成分が形成され、これらのコンデンサ成分が直列に接続された構成となる。よって、それぞれのコンデンサ成分に印加される電圧が低くなり、積層セラミックコンデンサ本体2の高耐圧化を図ることができる。なお、本実施形態の積層セラミックコンデンサ本体2は、4連以上の多連構造であってもよいことはいうまでもない。
なお、積層セラミックコンデンサ本体2は、2個の外部電極を備える2端子型のものであってもよいし、多数の外部電極を備える多端子型のものであってもよい。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態の積層セラミック電子部品1は、積層された複数の誘電体層20と、誘電体層20上に積層された複数の内部電極層30とを含み、高さ方向Tに相対する第1の主面TS1および第2の主面TS2と、高さ方向Tに直交する幅方向Wに相対する第1の側面WS1および第2の側面WS2と、高さ方向Tおよび幅方向Wに直交する長さ方向Lに相対する第1の端面LS1および第2の端面LS2と、を含む積層体10と、第1の端面LS1側に配置される第1の外部電極40Aと、第2の端面LS2側に配置される第2の外部電極40Bと、を有する積層セラミック電子部品本体2と、接合材5を介して第1の外部電極40Aに接続される第1の金属端子100Aと、接合材5を介して第2の外部電極40Bに接続される第2の金属端子100Bと、積層セラミック電子部品本体2と、接合材5と、第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bの一部と、を覆う外装材3と、を備える、積層セラミック電子部品1であって、第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bは、積層セラミック電子部品1が実装されるべき実装基板の実装面に実装される金属端子であり、積層体10の第1の主面TS1は、実装面311と対向する面であり、第1の外部電極40Aは、少なくとも第1の主面TS1上の前記第1の端面LS1側に配置され、第2の外部電極40Bは、少なくとも第1の主面TS1上の第2の端面LS2側に配置され、第1の金属端子100Aは、第1の主面TS1と対向し、第1の外部電極40Aに接続される第1の接合部110Aと、第1の接合部110Aに接続され、実装面から遠ざかるように延びる第1の立ち上がり部120Aと、第1の立ち上がり部120Aに接続され、積層セラミック電子部品本体2から遠ざかるように延びる第1の延長部130Aと、第1の延長部130Aに接続され、実装面側に向かって延びる第1の立ち下がり部140Aと、第1の立ち下がり部に接続され、実装面に沿う方向に延びる第1の実装部150Aと、を有し、第2の金属端子100Bは、第1の主面TS1と対向し、第2の外部電極40Bに接続される第2の接合部110Bと、第2の接合部110Bに接続され、実装面から遠ざかるように延びる第2の立ち上がり部120Bと、第2の立ち上がり部120Bに接続され、積層セラミック電子部品本体2から遠ざかるように延びる第2の延長部130Bと、第2の延長部130Bに接続され、実装面側に向かって延びる第2の立ち下がり部140Bと、第2の立ち下がり部に接続され、実装面に沿う方向に延びる第2の実装部150Bと、を有し、第1の立ち上がり部120Aと積層セラミック電子部品本体2の第1の端面LS1側の第1の表面S1との間および、第2の立ち上がり部120Bと積層セラミック電子部品本体2の第2の端面LS2側の第2の表面S2との間には、隙間部Gが存在し、隙間部G内には外装材3が充填されている。これにより、基板実装時のリフロー中に、はんだスプラッシュ等の問題が発生することを抑制することができる。
(2)本実施形態の積層セラミック電子部品1の隙間部Gの長さ方向Lの平均距離は、50μm以上100μm以下である。これにより、積層セラミックコンデンサ1の寸法を大きくすることなく、積層セラミック電子部品本体2と、第1の立ち上がり部120Aおよび第2の立ち上がり部120Bとの接触を確実に防止することができる。また、隙間部G内に適切に外装材3を充填することができ、基板実装時のリフロー中に、はんだスプラッシュ等の問題が発生することを抑制することができる。
(3)本実施形態の第1の金属端子100Aの第1の立ち上がり部120Aは、第1の接合部110Aとの接続部から、第1の延長部130Aとの接続部に向かうにつれて、積層セラミック電子部品本体2の第1の表面S1から離れるように傾斜し、第2の金属端子100Bの第2の立ち上がり部120Bは、第2の接合部110Bとの接続部から、第2の延長部130Bとの接続部に向かうにつれて、積層セラミック電子部品本体2の第2の表面S2から離れるように傾斜している。これにより、外装材3を構成する樹脂が、隙間部G内に充填されやすい。
(4)本実施形態の第1の金属端子100Aの第1の立ち上がり部120Aと、積層セラミック電子部品本体2の第1の表面S1とのなす角は1°以上10°以下であり、第2の金属端子100Bの第2の立ち上がり部120Bと、積層セラミック電子部品本体2の第2の表面S2とのなす角は1°以上10°以下である。これにより、積層セラミック電子部品1の寸法を大きくすることなく、隙間部G内に適切に外装材3を充填することができる。
(5)本実施形態の積層セラミック電子部品1の外装材3は、第1の接合部110Aと、第1の立ち上がり部120Aと、第1の延長部130Aの少なくとも一部と、第2の接合部110Bと、第2の立ち上がり部120Bと、第2の延長部130Bの少なくとも一部と、を覆う。これにより、導体間の絶縁表面距離(沿面距離)を確保することができる。また、外装材3によって導体金属部分を広い範囲で覆うことにより、表面放電リスクを回避することができる。
(6)本実施形態の第1の金属端子100Aの第1の延長部130Aは、外装材3の第1の端面側の表面MLS1から突出して一部が露出し、第2の金属端子100Bの第2の延長部130Bは、外装材3の第2の端面側の表面MLS2から突出して一部が露出している。このように、外装材3によって導体金属部分を広い範囲で覆うことにより、表面放電リスクを回避することができる。
(7)本実施形態の積層セラミック電子部品1の外装材は、第1の端面側の表面MLS1であって、第1の延長部130Aが突出している部分よりも実装面側の第1の傾斜面MLS1Aと、第2の端面側の表面MLS2であって、第2の延長部130Bが突出している部分よりも実装面側の第2の傾斜面MLS2Aと、を有し、第1の傾斜面MLS1Aは、実装面に近い位置から遠い位置に向かうにつれて、積層セラミック電子部品本体2の第1の表面S1から離れるように傾斜し、第2の傾斜面MLS2Aは、実装面に近い位置から遠い位置に向かうにつれて、積層セラミック電子部品本体2の第2の表面S2から離れるように傾斜し、第1の立ち上がり部120Aと、第1の傾斜面MLS1Aとのなす角は5°以内であり、第2の立ち上がり部120Bと、第2の傾斜面MLS2Aとのなす角は5°以内である。これにより、力のかかりやすい第1の立ち上がり部120Aおよび第2の立ち上がり部120B周辺の強度を確保することができる。
(8)本実施形態の第1の金属端子100Aの第1の接合部110Aの幅方向Wの長さW2は、第1の立ち上がり部120Aの幅方向Wの長さW3よりも長く、第2の接合部110Bの幅方向Wの長さW2は、第2の立ち上がり部120Bの幅方向Wの長さW3よりも長い。これにより、接合材5による、外部電極40と金属端子100の接合領域を広く確保することができる。
(9)本実施形態の第1の金属端子100Aは、第1の接合部110Aの端部から第1の立ち上がり部120Aの途中の位置まで連続して延びる第1の切り欠き160Aを有し、第2の金属端子100Bは、第2の接合部110Bの端部から第2の立ち上がり部120Bの途中の位置まで連続して延びる第2の切り欠き160Bを有する。これにより、積層セラミックコンデンサ本体2と、金属端子100とを接合するリフロー工程において、積層セラミックコンデンサ本体2が傾きにくい。また、隙間部G内に樹脂が充填されやすくなる。また、構造が強固となる。第1の切り欠き160Aは、第1の接合部110Aに形成された部分と、第1の立ち上がり部120Aに形成された部分とが、それぞれ機能を発揮する。第2の切り欠き160Bは、第2の接合部110Bに形成された部分と、第2の立ち上がり部120Bに形成された部分とが、それぞれ機能を発揮する。すなわち、上述の切り欠きを設けることにより、複雑な構成を採用することなく、複数の効果を得ることができる。
(10)本実施形態の第1の金属端子100Aの第1の切り欠き160Aの高さ方向Tの立ち上がり高さT3は、第1の立ち上がり部120Aの高さ方向Tの立ち上がり高さT2の半分以下の寸法であり、第2の金属端子100Bの第2の切り欠き160Bの高さ方向Tの立ち上がり高さT3は、第1の立ち上がり部120Bの高さ方向Tの立ち上がり高さT2の半分以下の寸法である。これにより、例えば外装材3のモールド時に、外装材3を構成する樹脂の流通性を確保しつつ、金属端子100の強度を確保することができる。
(11)本実施形態の第1の金属端子100Aの第1の延長部130Aには、第1の開口部170Aが設けられ、第2の金属端子100Bの第2の延長部130Bには、第2の開口部170Bが設けられ、第1の切り欠き160Aのうち、第1の立ち上がり部120Aに形成された部分と、第1の開口部170Aには、外装材3を構成する同一の材料が配置されており、第2の切り欠き160Bのうち、第2の立ち上がり部120Bに形成された部分と、第2の開口部170Bには、外装材3を構成する同一の材料が配置されている。これにより、積層セラミックコンデンサ1の構造が強固となる。
(12)本実施形態の第1の金属端子100Aの第1の接合部110Aは、第1の切り欠き160Aにより分断された、第1の側面WS1側の第1の接合片111Aと、第2の側面WS2側の第2の接合片112Aと、を有し、第2の金属端子100Bの第2の接合部110Bは、第2の切り欠き160Bにより分断された、第1の側面WS1側の第3の接合片111Bと、第2の側面WS2側の第4の接合片112Bを有し、第1の接合片111Aは、第1の側面WS1側から積層体10の中心側に向かうにつれて、実装面に近づくように傾斜し、第2の接合片112Aは、第2の側面WS2側から積層体10の中心側に向かうにつれて、実装面に近づくように傾斜し、第3の接合片111Bは、第1の側面WS1側から積層体10の中心側に向かうにつれて、実装面に近づくように傾斜し、第4の接合片112Bは、第2の側面WS2側から積層体10の中心側に向かうにつれて、実装面に近づくように傾斜している。これにより、積層セラミックコンデンサ本体2と、金属端子100とを接合するリフロー工程において、積層セラミックコンデンサ本体2が傾きにくい。
(13)本実施形態の第1の金属端子100Aの第1の接合部110Aは、第1の側面WS1側に配置された突部Pと、第2の側面WS2側に配置された突部Pを有し、第2の金属端子100Bの第2の接合部110Bは、第1の側面WS1側に配置された突部Pと、第2の側面WS2側に配置された突部Pを有する。これにより、積層セラミックコンデンサ本体2と、金属端子100とを接合するリフロー工程において、積層セラミックコンデンサ本体2が傾きにくい。
(14)本実施形態の第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bは、端子本体と、端子本体の表面に配置されるめっき膜を有し、第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bは、表面の一部において、めっき膜の最外表面のめっき膜よりも内側の材料が表面に露出している露出面ES1、ES2を有する。これにより、接合材5の不必要なぬれ上がりを防止することができる。
(15)本実施形態の露出面ES1、ES2は、少なくとも、第1の金属端子100Aの第1の立ち上がり部120Aにおける、積層セラミック電子部品本体2の第1の表面S1と対向する面と、第2の金属端子100Bの第2の立ち上がり部120Bにおける、積層セラミック電子部品本体2の第2の表面S2と対向する面と、に配置され、第1の立ち上がり部120Aの露出面ES1と積層セラミック電子部品本体2の第1の表面S1との間には外装材3が充填され、第2の立ち上がり部120Bの露出面ES2と積層セラミック電子部品本体2の第2の表面S2との間には、外装材3が充填されている。これにより、より確実に、隙間部Gに外装材3を充填することができる。
(16)本実施形態の露出面ES1、ES2は、第1の接合部110Aの表面の一部と、第1の立ち上がり部120Aの表面の全面または一部と、第1の延長部130Aの表面の全面または一部と、第2の接合部110Bの表面の一部と、第2の立ち上がり部120Bの表面の全面または一部と、第2の延長部130Bの表面の全面または一部と、に配置される。これにより、接合材5の不必要なぬれ上がりを防止することができる。
(17)本実施形態の第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bのめっき膜は、めっき膜の最外表面に配置された上層めっき膜と、上層めっき膜よりも下層に配置された下層めっき膜を有し、露出面ES1、ES2は、下層めっき膜が露出する表面である。これにより、接合材5の不必要なぬれ上がりを防止することができる。
(18)本実施形態の第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bの下層めっき膜は、Niめっき膜であり、上層めっき膜は、Snめっき膜である。これにより、金属端子100の耐熱性およびはんだ付け性が向上する。
(19)本実施形態の露出面ES1、ES2は、端子本体の母材が露出する表面である。これにより、接合材5の不必要なぬれ上がりを防止することができる。
(20)本実施形態の外装材3は、熱硬化型エポキシ樹脂である。これにより、外装材3と、積層セラミック電子部品本体2および金属端子100との密着性を確保し、耐電圧および耐湿性能の向上効果を得ることができる。
なお、上述した実施形態では、積層セラミック電子部品として、誘電体セラミックを用いた積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明の積層セラミック電子部品はこれに限定されず、圧電体セラミックを用いた圧電部品、半導体セラミックを用いたサーミスタ、磁性体セラミックを用いたインダクタ等の種々の積層セラミック電子部品にも適用可能である。圧電体セラミックとしてはPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系セラミック等が挙げられ、半導体セラミックとしてはスピネル系セラミック等が挙げられ、磁性体セラミックとしてはフェライト等が挙げられる。
本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、上記実施形態において記載する個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。