JP7491456B1 - フレキシブルディスプレイ用粘着シート、フレキシブルディスプレイ用積層体、およびフレキシブルディスプレイ - Google Patents

フレキシブルディスプレイ用粘着シート、フレキシブルディスプレイ用積層体、およびフレキシブルディスプレイ Download PDF

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Abstract

【課題】低極性被着体のカラーレスポリイミドに対する接着性および、動的屈曲性、高温高湿条件下での静的屈曲性、保持力、透明性に優れるフレキシブルディスプレイ用粘着シート、および該積層体、さらにはフレキシブルディスプレイを提供する。【解決手段】(メタ)アクリル系ランダム共重合体、(メタ)アクリル系トリブロック共重合体、及び架橋剤を含む粘着剤層であって、(メタ)アクリル系トリブロック共重合体は、特定のガラス転移温度(Tg)の(A1)-(B)-(A2)ブロック構造を有し、かつ(メタ)アクリル系ランダム共重合体100質量部に対し、(メタ)アクリル系トリブロック共重合体を5~30質量部含有し、粘着剤層は、-20℃、1Hzにおける貯蔵弾性率が1.0×106Pa以下であって、60℃、1Hzにおける貯蔵弾性率が5.0×103Pa以上であって、ヘーズが1%以下である、フレキシブルディスプレイ用粘着シート。【選択図】 なし

Description

本発明は、フレキシブルディスプレイ用粘着シート、フレキシブルディスプレイ用積層体、およびフレキシブルディスプレイに関する。
近年、液晶ディスプレイ(LCD)や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)ディスプレイ(OLED)等のディスプレイとタッチパネルを組み合わせて用いる入力装置が普及している。タッチパネルに用いる透明導電性フィルムは、支持ガラス等の部材に粘着剤層を介して積層されている。また、ディスプレイに用いる偏光板フィルムは、液晶モジュールや有機ELモジュールに粘着剤層を介して貼付される。
前記ディスプレイとしては、ガラス基板を用いたフラットディスプレイが主流であったが、近年、プラスチック等の可撓性基板を用いたフォルダブルディスプレイ(Foldable display)やローラブルディスプレイ(Rollable display)等の、フレキシブルディスプレイが開発されている。このようなフレキシブルディスプレイは、従来のガラス基板を用いたフラットディスプレイと比較して、軽量性、薄さ、可撓性等に優れており、また意匠性にも優れている等の種々の利点を有する。
前記フレキシブルディスプレイまたはフレキシブルディスプレイに使用される粘着剤層、および粘着剤層によって積層された光学フィルム積層体には、光学特性や耐久性に加えて、良好な接着性や折り曲げを行っても剥がれや浮きが発生することのないことが必要とされる。したがって、剥がれや浮きの発生を抑制するためには、前記光学フィルム積層体の接合部における接着性を向上することが効果的である。
近年、粘着シートのさらなる接着性向上のための検討が行われている。例えば、特許文献1では、アクリル系ポリマーに対して、軟化点が120℃未満である粘着付与樹脂を含んだ粘着剤層を有する粘着シートが記載されている。また、特許文献2には、少なくとも2つの高Tg重合体ブロックと少なくとも1つの低Tg重合体ブロックを有するアクリルブロックコポリマーからなるフレキシブルデバイス用のアセンブリ層(粘着剤層)が記載されている。
特表2018-524425号公報
一般に、フレキシブルディスプレイでは、折り曲げを繰り返した際に浮き・剥がれが生じない特性(動的屈曲性)が厳しい水準で要求されるだけでなく、高温高湿条件下で長時間、屈曲状態を保持した際に浮きや剥がれが生じない特性(静的屈曲性)も必要となっている。さらに、フレキシブルディスプレイには強度と透明性の観点からカラーレスポリイミドフィルムの使用が増えているが、カラーレスポリイミドフィルムは一般的に低極性材料であるため、アクリル系粘着剤との親和性が低く、接着性が悪化するという課題があった。一般的に、主にロジン系化合物やテルペン系化合物からなる粘着付与樹脂を含むことにより、ポリプロピレンなどの低極性被着体に対する接着力が向上するが、水素添加処理、精製、または不均化処理などをして無色透明化して得られたロジン系化合物は通常アクリル系ポリマーへの相溶性が乏しく、白濁してしまうことが多い。また、ポリテルペン樹脂や石油樹脂などの炭化水素系樹脂も透明性に優れるものがあるが、同様にアクリル系ポリマーへの相溶性が非常に乏しい。また、高軟化点の粘着付与樹脂を添加することにより、粘着剤層の弾性率が増大するため、フレキシブル性が不良化し、屈曲性も悪化する懸念もあった。そこで、特許文献1では、アクリルブロックコポリマーを用いることにより、低ヘーズであり、かつポリエチレンテレフタレート(PET)などの標準的な被着体に対する粘着力向上が示されているものの、アセンブリ層(粘着剤層)の架橋成分をアクリルブロックコポリマーに由来する物理架橋のみに依存してるため、例えば、高温高湿条件においてはその凝集力が低下し、同条件下における保持力試験や静的曲げ試験においてアセンブリ層(粘着剤層)の破壊が発生する懸念があった。
そこで本発明は、動的屈曲性、静的屈曲性、保持力、透明性、および低極性被着体のカラーレスポリイミドに対する接着性すべてに優れるフレキシブルディスプレイ用粘着シート、および該積層体、さらにはフレキシブルディスプレイの提供を可能とする。
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、以下の態様において、本発明の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、粘着剤層を備えるフレキシブルディスプレイ用粘着シートであって、前記粘着剤層は、(メタ)アクリル系ランダム共重合体、(メタ)アクリル系トリブロック共重合体、及び架橋剤を含み、前記(メタ)アクリル系トリブロック共重合体は、それぞれ独立してガラス転移温度(Tg)が100℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する二つの重合体ブロック(A1)、(A2)と、ガラス転移温度(Tg)が-50℃以下の(メタ)アクリル酸エステルに由来する重合体ブロック(B)からなる(A1)-(B)-(A2)で表されるブロック構造を有し、かつ前記(メタ)アクリル系ランダム共重合体100質量部に対し、前記(メタ)アクリル系トリブロック共重合体を5~30質量部含有してなり、前記粘着剤層は、-20℃、1Hzにおける貯蔵弾性率が1.0×10Pa以下であって、60℃、1Hzにおける貯蔵弾性率が5.0×10Pa以上であって、ヘーズが1%以下である、フレキシブルディスプレイ用粘着シート。
上記構成の本発明によれば、動的屈曲性、静的屈曲性、保持力、透明性および低極性被着体のカラーレスポリイミドに対する接着性すべてに優れるフレキシブルディスプレイ用粘着シート、および該積層体、さらにはフレキシブルディスプレイを提供できる。
以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。本明細書において特定する数値は、実施形態または実施例に開示した方法により求められる値である。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれる。また、本発明の粘着シートは、粘着フィルム、粘着テープと同義である。また、特に言及しない限り、粘着剤層中の各種配合成分は、それぞれ独立に、単独または2種類以上を併用できる。また、(メタ)アクリルはアクリル或いはメタクリルを、(メタ)アクリレートはアクリレート或いはメタクリレートをそれぞれ意味する。
<フレキシブルディスプレイ用粘着シート>
本発明のフレキシブルディスプレイ用粘着シート(以下、粘着シートとも省略する)は粘着剤層からなり、セパレータを積層する形態が好ましい。粘着剤層の一方面にセパレータが積層された形態、並びに粘着剤層の両面をセパレータで挟みこむ形態のいずれも好ましく、中でも両面を挟み込む形態が好ましい。尚、粘着剤層は単層であることが好ましいが、組成の異なる粘着剤層を積層してもよい。また、間に芯材として光透過性可撓性基材を設ける形態も好ましい。
<粘着剤層>
本発明の粘着剤層は(メタ)アクリル系ランダム共重合体および、(メタ)アクリル系トリブロック共重合体、架橋剤を含み、これらの硬化物である。粘着剤層はカラーレスポリイミドやガラス基材と貼り合わせフレキシブルディスプレイとして曲げて使用する。
<(メタ)アクリル系ランダム共重合体>
(メタ)アクリル系ランダム共重合体の構成には特に制限はないが、主に下記のモノマー(r-1)~(r-3)のいずれかを含むモノマー混合物の共重合体であることが好ましく、後述する架橋剤との反応部位としての役割を有する観点からモノマー(r-3)を含むことが特に好ましい。
[モノマー(r-1)]
モノマー(r-1)は、炭素数6~10のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸分岐アルキルエステルモノマーであり、具体的には、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソデシル等が挙げられる。
(メタ)アクリル系ランダム共重合体は、モノマー(r-1)を含有することで、側鎖に分岐構造をもつアルキル基を有することになる。これにより、ポリマー同士が適度に絡まり合い、応力緩和性が向上し、柔軟な粘着剤層が得られ、基材への密着性を高度に向上することができる。
これらモノマー(r-1)のうち、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルにより、応力緩和性および密着力が向上し動的屈曲性が良化する。
モノマー(r-1)は、モノマー混合物100質量%中、30~70質量%含まれることが好ましく、40~70質量%がより好ましい。含有量が30質量%以上になることで充分な応力緩和性を得やすく、静的屈曲性が向上する。また、含有量が70質量%以下になることで凝集力と応力緩和性を両立しやすくなるために動的屈曲性が向上する。
[モノマー(r-2)]
モノマー(r-2)は、炭素数12~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーであり、具体的には、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。これら(r-2)のうち、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸イコシルがゴム弾性の観点で好ましく、(メタ)アクリル酸ドデシルが、屈曲性の観点より、なお好ましい。モノマー(r-2)を含有することで、粘着剤層の凝集力が向上し、強靭な粘着剤層が得られ、静的屈曲性が特に向上する。
モノマー(r-2)は、モノマー混合物100質量%中、10~60質量%含まれることが好ましく、20~50質量%がより好ましい。モノマー(r-2)を10質量%以上含むと充分なゴム弾性を得やすくなり、強靭な粘着剤層が得られる。また、含有量を60質量%以下とすると柔軟性とゴム弾性を両立しやすくなるため、動的屈曲性と静的屈曲性を向上させることができる。
[モノマー(r-3)]
モノマー(r-3)は、官能基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーである。前記官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、アミド基、アミノ基、アルコキシシリル基、等が挙げられ、モノマー(r-3)は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ヒドロキシ基を有するモノマーは、分子内にヒドロキシ基を有するモノマーであれば制限されず、具体的には、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、等が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルがカラーレスポリイミドへの接着性が向上する観点より好ましい。
カルボキシ基を有するモノマーは、分子内にカルボキシ基を有するモノマーであれば制限されず、具体的には、(メタ)アクリル酸、アクリル酸p-カルボキシベンジル、アクリル酸β-カルボキシエチル、マレイン酸、モノエチルマレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸等が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸が凝集力およびカラーレスポリイミドへの接着力の観点より好ましい。
エポキシ基を有するモノマーは、分子内にエポキシ基を有するモノマーであれば制限されず、具体的には、(メタ)アクリル酸グリシジル、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。
アミド基を有するモノマーは、分子内にアミド基を有するモノマーであれば制限されず、具体的には、(メタ)アクリル酸アミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリル酸アミド等が挙げられる。
アミノ基を有するモノマーは、分子内にアミノ基を有するモノマーであれば制限されず、具体的には、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸2-ジメチルアミノエチル等が挙げられる。
モノマー(r-3)を含有することで、後述する架橋剤との間で架橋構造が形成され、粘着剤層の凝集力が向上し、強靭な粘着剤層が得られる。これにより、カラーレスポリイミドに対する接着性が向上するとともに動的屈曲性や静的屈曲性、および保持力を向上させることができる。
モノマー(r-3)は、モノマー混合物100質量%中、0.5~2.5質量%含まれることが好ましく、0.5~2.0質量%がより好ましい。含有量が0.5質量%以上になることで充分な凝集力を得やすく保持力が向上する。また、含有量が2.5質量%以下になることで凝集力と応力緩和性を両立し、カラーレスポリイミドに対する接着性が向上する。
[その他のモノマー]
(メタ)アクリル系ランダム共重合体はモノマー(r-1)~(r-3)に加えて、その他のモノマーを含んでよい。その他のモノマーとしては、モノマー(r-1)~(r-3)以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、アルキレンオキシ基を有するモノマー、イミド基を有するモノマー、シアノ基を有するモノマー、その他ビニルモノマー等が挙げられる。
<(メタ)アクリル系トリブロック共重合体>
(メタ)アクリル系トリブロック共重合体とは、それぞれ独立してガラス転移温度(Tg)が100℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する二つの重合体ブロック(A1)、(A2)と、ガラス転移温度(Tg)が-50℃以下の(メタ)アクリル酸エステルに由来する重合体ブロック(B)からなる(A1)-(B)-(A2)で表されるブロック構造を有するモノマー混合物の共重合体である。
重合体ブロック(A1)および(A2)のガラス転移温度(Tg)は100℃以上であって、105℃以上が好ましい。また、重合体ブロック(B)のガラス転移温度(Tg)は、-50℃以下であって、-55℃以下が好ましい。重合体ブロック(A1)、(A2)、および(B)のガラス転移温度(Tg)が上記の温度範囲とすると、粘着剤層の通常の使用温度下(-30℃~60℃)では、粘着剤層中においてミクロ相分離構造を形成する。上記のミクロ相分離構造において、重合体ブロック(B)に由来する相は、粘着剤に柔軟性と濡れ性とを付与し、これによりカラーレスポリイミドに対する接着性が向上する。また、重合体ブロック(A1)および(A2)は拘束相(物理的な擬似架橋点)の一成分として作用し、凝集力の発現により、優れた粘着特性および耐久性が発揮され、動的屈曲性や静的屈曲性、および保持力が向上する。
重合体ブロック(A1)および(A2)のガラス転移温度(Tg)は100℃以上であればそれぞれ異なってもよいが、同一であることが好ましい。
上記重合体ブロック(A1)および(A2)はメタクリル酸アルキルエステルを重合することにより得られる。係るメタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、およびメタクリル酸イソボルニルなどが挙げられる。中でも、メタクリル酸メチルが好ましい。
前記アクリル系トリブロック共重合体において、重合体ブロック(A1)および(A2)は、いずれもガラス転移温度(Tg)が100℃以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合体である限りは、同じ重合体または異なる重合体[分子量、単量体組成、立体構造(およびシンジオタクティシティなど)などのうちの1つまたは2つ以上が互いに異なる(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合体]からなっていてもよい。
重合体ブロック(B)はガラス転移温度(Tg)が-50℃以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合体である限りは、本発明の効果を損なわない範囲で、少量(通常各重合体ブロックの質量に対して10質量部以下の割合)であれば、2種類以上のモノマー単位を有していてもよい。
上記重合体ブロック(B)はアクリル酸アルキルエステルを重合することにより得られる。かかるアクリル酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸n-ブチル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸イソデシルなどが挙げられる。
重合体ブロック(B)のガラス転移温度(Tg)が-50℃以下となり、粘着剤層の低温での接着力及びタックが良好となる点から、上記アクリル酸アルキルエステルの中でも、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、およびアクリル酸n-オクチルが好ましい。得られる重合体ブロック(B)を少なくとも1成分とする相と上記重合体ブロック(A1)および(A2)をその成分として含む相との相分離が明瞭となり、重合体ブロック(A1)および(A2)をその成分として含む相による物理的な擬似架橋が崩されず、凝集力が高くかつ耐久性に優れた粘着剤が得られる点から、上記アクリル酸アルキルエステルの中でも、特にアクリル酸n-ブチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルが好ましい。
尚、上記のガラス転移温度(Tg)はFOXの式により算出した値であり詳細は実施例に記載する。
重合体ブロック(B)は、(メタ)アクリル系トリブロック共重合体100質量%中70~89質量%含むことが好ましい。重合体ブロック(B)の比率が70質量%より少ないと、-20℃、1Hzでの貯蔵弾性率が上昇し、フレキシブル性が悪化するため、屈曲時の追従性が低下する。90質量%以上であると、重合体ブロック(A1)および(A2)由来の凝集力が充分に得られず保持力が低下するとともに、粘着力も低下するため動的屈曲性および静的屈曲性が低下する。
(メタ)アクリル系トリブロック共重合体は、(メタ)アクリル系ランダム共重合体100質量%に対し、5~30質量%含有し、7~20質量%含有することが好ましい。(メタ)アクリル系トリブロック共重合体の含有量を上記の範囲内とすることにより、(メタ)アクリル系トリブロック共重合体に由来する凝集力の効果が適切となり、動的屈曲性や静的屈曲性、および保持力が向上する。
(メタ)アクリル系トリブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、100,000~300,000であることが好ましい。Mwが100,000以上であれば、充分な凝集力が得られ、動的屈曲性と静的屈曲性を向上することができる。Mwが300,000未満であれば、(メタ)アクリル系ランダム共重合体との良好な相溶性を保ち、透明性を維持することができる。
<架橋剤>
架橋剤は、(メタ)アクリル系ランダム共重合体が有するヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、アミド基、アミノ基、アルコキシシリル基、等の官能基と反応することで、粘着剤層の凝集力が向上し、動的屈曲性や静的屈曲性、および保持力がより向上する。
架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、または金属キレート等が挙げられる。これらのうち、架橋剤として、イソシアネート化合物を使用することで、基材への投錨性に優れ、カラーレスポリイミドへの接着性が向上できるために好ましい。
イソシアネート化合物は、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネートである。イソシアネート化合物は、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等のイソシアネートモノマー、ならびにこれらのビュレット体、ヌレート体、およびアダクト体が好ましい。
芳香族ポリイソシアネートは、例えば、1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートは、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(別名:HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートは、例えば、ω,ω’-ジイソシアネート-1,3-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートは、例えば、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:IPDI、イソホロンジイソシアネート)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
前記ビュレット体は、イソシアネートモノマーが自己縮合したビュレット結合を有する自己縮合物である。ビュレット体は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体が挙げられる。
前記ヌレート体は、イソシアネートモノマーの3量体である。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体、イソホロンジイソシアネートの3量体、トリレンジイソシアネートの3量体などが挙げられる。
前記アダクト体は、イソシアネートモノマーと2官能以上の低分子活性水素含有化合物が反応した2官能以上のイソシアネート化合物である。アダクト体は、例えば、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとイソホロンジイソシアネートとを反応させた化合物、1,6-ヘキサンジオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させた化合物等が挙げられる。
イソシアネート化合物は、充分な架橋構造を形成する観点から、3官能のイソシアネート化合物が好ましい。イソシアネート化合物は、イソシアネートモノマーと3官能の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体、及びヌレート体がより好ましい。イソシアネート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのヌレート体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのヌレート体が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体がより好ましい。
エポキシ化合物は、例えばグリセリンジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1、3-ビス(N、N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラグリシジルアミノフェニルメタン等が挙げられる。
アジリジン化合物は、例えばN,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキサイト)、トリス-2,4,6-(1-アジリジニル)-1、3、5-トリアジン、4,4’-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。
カルボジイミド化合物は、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネート化合物を脱炭酸縮合反応させることによって生成した高分子量ポリカルボジイミドが好ましい。前記高分子量ポリカルボジイミドの市販品は、日清紡ケミカル社のカルボジライトシリーズ、帝人社のカルボジスタシリーズが好ましい。その中でもカルボジライトV-03、07、09、およびカルボジスタTCC-FP10Mが有機溶剤との相溶性に優れており好ましい。
金属キレートは、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロムおよびジルコニウムなどの多価金属と、アセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルとの配位化合物が好ましい。金属キレートは、例えば、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレートが挙げられる。
架橋剤は、(メタ)アクリル系ランダム共重合体100質量部に対して0.01~5質量部含むことが好ましく、0.05~2質量部含むことがより好ましい。含有量が0.01質量部以上であると凝集力がより向上し、5質量部以下であることで凝集力と柔軟性を両立しやすくなるために好ましい。
本発明の粘着剤層には、課題を解決できる範囲であれば、任意成分として各種樹脂、シランカップリング剤、オイル、軟化剤、染料、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤及び帯電防止剤等を含有できる。
<貯蔵弾性率>
粘着剤層の貯蔵弾性率は、周波数1Hzの粘弾性測定により求められる。貯蔵弾性率は、材料が変形する際に弾性エネルギーとして貯蔵される部分に相当し、硬さの程度を表す指標である。すなわち、貯蔵弾性率の値が高いほど、粘着剤層は硬く、貯蔵弾性率の値が低いほど柔らかいことになる。
粘着剤層は、-20℃、1Hzでの貯蔵弾性率(以下、G’(-20)と略記することがある)が、1.0×10Pa以下であり、5.0×10Pa以下が好ましく、3.0×10Pa以下であることがより好ましい。G’(-20)が1.0×10Pa以下であると、動的屈曲性が向上する。このことは低温下でのフレキシブル性が高いことを意味し、したがって例えば0℃以下の寒冷地等において、後述するフォルダブルディスプレイを折り曲げて使用する際に、粘着剤層が基材から剥がれてしまう現象を抑制することができる。
また、G’(-20)は、カラーレスポリイミドへの接着性が向上する観点から5.0×10Pa以上が好ましく、1.0×10Pa以上がより好ましい。
粘着剤層は、60℃、1Hzでの貯蔵弾性率(以下、G’(60)と略記することがある)が、5.0×10Pa以上であって、1.0×10Pa以上が好ましく、1.5×10Pa以上がより好ましく、2.0×10Pa以上がさらに好ましい。G’(60)が5.0×10Pa以上であると、凝集力が向上し、静的屈曲時の耐久性や保持力が向上する。
また、G’(60)は、フレキシブル性を向上させ静的、動的屈曲性を向上させる観点から5.0×10Pa以下が好ましい。
本発明の粘着剤層の厚みは、好ましくは16~150μmであり、より好ましくは25~100μmであり、より好ましくは25~75μmである。前記範囲内であれば、屈曲を阻害することなく、また、密着性の点でも、好ましい態様となる。粘着剤層の厚みが150μm以下であれば、凝集力の低下が抑制され、高い保持力が維持されるとともにヘーズも良化する。16μm以上の場合、屈曲時の応力を緩和できるため、屈曲が阻害されず、静的屈曲性および動的屈曲性が向上する。
<ヘーズ>
本発明の粘着剤層のJIS K 7136に準拠して測定されるヘーズは、光学部品の接着に適するものとする観点から、1%以下であり、0.7%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.3%以下がさらに好ましい。
粘着シートの作製は、(メタ)アクリル系ランダム共重合体および、(メタ)アクリル系トリブロック共重合体、架橋剤、溶剤等を含む粘着剤をセパレータに塗布し、溶剤等を乾燥除去して粘着剤層を形成する方法が挙げられる。
上述の溶剤の乾燥温度は、好ましくは40~200℃であり、さらに好ましくは、50~180℃であり、特に好ましくは70~170℃である。乾燥温度を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有する粘着剤層を得ることができる。
乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、好ましくは5秒~20分、さらに好ましくは5秒~10分、特に好ましくは、10秒~5分である。
前記粘着剤の塗布方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーター等による押出しコート法等の方法が挙げられる。
セパレータは紙、プラスチックフィルム、合成紙等の基材に、剥離剤を塗工して形成した剥離層を有する。剥離剤は、例えばシリコーン、アルキド樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。なお、セパレータの厚さは特に制限はないが10~200μm程度である。
<フレキシブルディスプレイ用積層体>
フレキシブルディスプレイ用積層体は、光透過性可撓性基材、粘着剤層、および偏光板や透明導電膜を備え、前記粘着剤層は、本発明の粘着シートを用いて形成されてなる。
フレキシブルディスプレイ用積層体の形成方法の一例として、両面をセパレータで挟みこんだ粘着シートを用いる場合、まず一方の面のセパレータを剥がし、露出した粘着剤層に光透過性可撓性基材を貼り合わせる。次いで対向するもう一方のセパレータを剥がし露出した粘着剤層と偏光板や透明導電膜を貼り合わせることによりフレキシブルディスプレイ用積層体を形成する。
尚、粘着剤層と光透過性可撓性基材の積層面にハードコート層や、易接着用コーティング層、色差調整層などが積層されていても良い。
光透過性可撓性基材としては、特に制限されないが、ガラスまたは透明プラスチック基材を好適に用いることができる。透明プラスチック基材の素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、トリアセチルセルロース、カラーレスポリイミド等のプラスチック材料などが挙げられる。なお、プラスチック材料は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。前述のような透明プラスチック基材のなかでも、耐熱性が優れた透明プラスチック基材、すなわち、高温、高温高湿などの苛酷な条件下において、変形が抑制または防止されている透明プラスチック基材を好適に用いることができる。透明プラスチック基材としては、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシクロオレフィン、薄膜ガラス、カラーレスポリイミドが好適である。
<フレキシブルディスプレイ>
フレキシブルディスプレイは、屈曲機能を有することが大きな特徴の1つであり、上記のフレキシブルディスプレイ用積層体と、折り曲げ可能に構成された有機EL表示パネルとを含み、有機EL表示パネルに対して視認側にフレキシブルディスプレイ用積層体が配置され、折り曲げ可能に構成されている。また、有機EL表示パネルに代えて、マイクロLED、液晶パネル、または電子ペーパーモジュールであってもよく、抵抗膜方式や静電容量方式といったタッチパネル等の方式に関係なく使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお例中、特に断りのない限り、「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」に基づく値である。
<重量平均分子量(Mw)の測定>
重量平均分子量(Mw)の測定は、島津製作所社製GPC「LC-GPCシステム」を用いた。重量平均分子量(Mw)の決定は、分子量既知のポリスチレンを標準物質とした換算で行った。
装置名:島津製作所社製、LC-GPCシステム「Prominence」カラム:東ソー社製GMHXL4本、東ソー社製HXL-1本を連結した。
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0ml/分
カラム温度:40℃
<(メタ)アクリル系ランダム共重合体(R)の製造例>
((メタ)アクリル系ランダム共重合体(R1)の合成)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器(以下、単に「反応容器」と記述する。)に、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)58部、アクリル酸ドデシル(DOA)30部、アクリル酸(AA)1部、アクリル酸メチル(MA)5部、アクリル酸ブチル(BA)5部、アクリル酸4-ヒドロキシエチル(HEA)1部、開始剤として、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(以下、単に「AIBN」と記述する。)0.2部を仕込み、この反応容器内の雰囲気を窒素ガスで置換した。その後、窒素雰囲気下で撹拌しながら、50℃まで加熱し反応を開始した。その後、反応溶液を50℃で4時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチルで希釈して不揮発分30%、粘度2000mPa・sのアクリル系ランダム共重合体(R1)溶液を得た。得られたアクリル系ランダム共重合体(R1)の重量平均分子量(Mw)は120万であった。
((メタ)アクリル系ランダム共重合体(R2~R9)の合成)
表1記載の組成および配合量(質量部)に変更した以外は、(メタ)アクリル系ランダム共重合体(R1)の製造と同様の方法でランダム共重合体(R2~R9)を合成した。
Figure 0007491456000001
表1の略称は下記の通りである。
2EHA:アクリル酸2-エチルヘキシル
DOA:アクリル酸ドデシル
HEA:アクリル酸2-ヒドロキシエチル
MA:アクリル酸メチル
BA:アクリル酸ブチル
AA:アクリル酸
<(メタ)アクリル系トリブロック共重合体>
(メタ)アクリル系トリブロック共重合体は市販品及び合成品を用いた。下記に詳細を記載する。
・MMA-BA-MMAトリブロック共重合体1(I-1)
クラレ社製のクラリティ―LA3710(Mw:240,000、BAの含有量:88質量%)
・MMA-BA-MMAトリブロック共重合体2(I-2)
クラレ社製のクラリティ―LA3320(Mw:160,000、BAの含有量:85質量%)
・MMA-BA-MMAトリブロック共重合体3(I-3)
クラレ社製のクラリティ―LA2114(Mw:70,000、BAの含有量:90質量%)
・MMA-BA-MMAトリブロック共重合体4(I-4)
合成品を用いた。(Mw:70,000、BAの含有量:85質量%)
・MMA-BA-MMAトリブロック共重合体5(I-5)
クラレ社製のクラリティ―LA2250(Mw:70,000、BAの含有量:70質量%)
・MMA-BA-MMAトリブロック共重合体6(I-6)
合成品を用いた。(Mw:70,000、BAの含有量:67質量%)
・MMA-BA-MMAトリブロック共重合体7(I-7)
合成品を用いた。(Mw:300,000、BAの含有量:85質量%)
・MMA-BA-MMAトリブロック共重合体8(I-8)
合成品を用いた。(Mw:70,000、BAの含有量:95質量%)
・MMA-BA-MMAトリブロック共重合体9(I-9)
合成品を用いた。(Mw:50,000、BAの含有量:85質量%)
・MMA-BA-MMAトリブロック共重合体10(I-10)
クラレ社製のクラリティ―LA2270(Mw:70,000、BAの含有量:60質量%)
・MMA-BA-MMAトリブロック共重合体11(I-11)
合成品を用いた。(Mw:330,000、BAの含有量:85質量%)
・tBM-BA-tBMトリブロック共重合体(II)
合成品を用いた。(Mw:160,000、BAの含有量:88質量%)
・MMA-BA/2EHA-MMAトリブロック共重合体(III)
クラレ社製のクラリティ―LK9243(Mw:60,000、BA/2EHAの含有量:80質量%)
・MMA-BA-tBMトリブロック共重合体(IV)
合成品を用いた。(Mw:160,000、BAの含有量:85質量%)
・EMA-BA-EMAトリブロック共重合体(V)
合成品を用いた。(Mw:160,000、BAの含有量:85質量%)
・MMA-DOA-MMAトリブロック共重合体(VI)
合成品を用いた。(Mw:160,000、DOAの含有量:85質量%)
<MMA-BA-MMAトリブロック共重合体4(I-4)の合成>
反応容器内部を窒素で置換した後、室温にてトルエン868g、1,2-ジメトキシエタン43.4g、イソブチルビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)アルミニウム40.2mmolを含有するトルエン溶液60.0gを加え、さらにsec-ブチルリチウム5.00mmolを含有するシクロヘキサンとn-ヘキサンの混合溶液2.89gを加えた。続いて、これにメタクリル酸メチル35.9gを加えた。室温にて60分間攪拌して重合を開始させ、引き続き、重合液の内部温度を-30℃に冷却し、アクリル酸n-ブチル405gを2時間かけて滴下し、滴下終了後-30℃にて5分間攪拌した。次いで、メタクリル酸メチル35.9gを加え、一晩室温にて攪拌後、メタノ-ル3.50gを添加して重合反応を停止した。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈澱物を析出させた。その後、濾過により白色沈殿物を回収し、乾燥させることにより、重量平均分子量(Mw)が70,000からなるMMA-BA-MMAトリブロック共重合体4(I-4)を得た。
(メタ)アクリル系トリブロック共重合体(I-6)~(I-11)、(II)~(VI)についても、表2記載の組成、および重量平均分子量(Mw)に変更した以外は、前述したトリブロック共重合体4(I-4)の合成例と同様にして得た。
上記の各種(メタ)アクリル系トリブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)、各ブロックの構成モノマーおよびガラス転移温度(Tg)、(メタ)アクリル系トリブロック共重合体100質量%中の重合体ブロック(B)の含有量(質量%)を表2に示す。
Figure 0007491456000002
表2中の略称は下記の通りである。
2EHA:アクリル酸2-エチルヘキシル
MA:アクリル酸メチル
BA:アクリル酸ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
tBA:メタクリル酸t-ブチル
EMA:メタクリル酸エチル
<架橋剤>
実施例および比較例で使用した架橋剤および粘着付与樹脂は下記の通りである。
C1:トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体
C2:N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン
C3:アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート
TF1:ヤスハラケミカル社のYSレジンSX100(スチレン系モノマー単独重合体、軟化点:100℃)
TF2:東ソー社のペトロタック100V(C5-C9系石油樹脂、軟化点:96℃)
TF3:荒川化学工業社のパインクリスタルKE-359(水添ロジンエステル樹脂、軟化点:94~104℃、水酸基価42mgKOH/g)
TF4:ヤスハラケミカル社のYSポリスターTH130(テルペンフェノール樹脂、軟化点:130℃)
(実施例1)
<粘着剤の調整>
(メタ)アクリル系ランダム共重合体(R1)不揮発分100質量部に対して、MMA-BA-MMAトリブロック共重合体1(I-1)5質量部、架橋剤(C1)を0.1質量部配合し、さらにトルエンを加えて不揮発分を20%に調製した粘着剤を得た。
<フレキシブルディスプレイ用粘着シートの製造>
前記粘着剤を、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート製セパレータに、乾燥後の
厚さが50μmになるように塗工し、100℃で5分間熱風乾燥することで粘着剤層を形
成した。次いで、この粘着剤層に、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート製セパレ
ータを貼り合せ、「セパレータ/粘着剤層/セパレータ」の積層体を作製した。得られた
積層体を温度40℃の条件で1週間熟成させて、フレキシブルディスプレイ用粘着シート
を得た。
(実施例2~35、比較例1~12)
表3~7に示す通り、(メタ)アクリル系ランダム共重合体、(メタ)アクリル系トリブロック共重合体、粘着付与剤、架橋剤の種類と配合量(質量部)を変更した以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
<貯蔵弾性率>
粘着シートの一方面のセパレータを剥がしたシートを2組用意し、粘着剤層同士をラミネータで貼り合わせ、セパレータ/粘着剤層/セパレータの積層体を作成した。前記積層体から一方面のセパレータを剥離して貼り合わせを繰り返すことで、厚さ1mmの粘着剤層の積層物を形成した。この積層物に対し、TAInsturument-WatersLL.C.社製「DiscoveryHR-2(DHR-2)」を用い、冶具として8.0mmφプローブを使用し、周波数1Hz、昇温速度10℃/分、歪み0.1%、法線荷重1Nで温度分散測定(温度範囲:-70℃~200℃)を実施した。得られた測定グラフから、-20℃、60℃での貯蔵弾性率G’を読み取った。
<粘着剤層のヘーズ測定>
粘着シートの片面のセパレータを剥がし、露出した粘着面をカバーグラス(松浪硝子社製)に貼り付けた。その後、前記粘着シートからもう一方のセパレータを剥がし、露出した粘着面に、もう一枚のカバーグラスを貼り合わせ、「カバーグラス/粘着剤層/カバーグラス」の積層体を作製した。この状態で50℃、5気圧のオートクレーブ内に20分間保持させてガラス板に密着させることにより測定試料を得た。前記測定試料について、JISK7136に準拠し、積分球式光線透過率測定装置(日本電色工業社製、NDH-8000)を用いてヘーズを測定した。
<カラーレスポリイミドに対する接着性>
粘着シートの一方面のセパレータを剥がして50μmのPETフィルムにラミネータを用いて粘着剤層を貼り付けた。続いて、もう一方のセパレータを剥がし、一方の面に出力300Wでコロナ処理を施した厚さ50μmのカラーレスポリイミドフィルム(KOLON社製)のコロナ処理面にラミネータにより露出した粘着剤層と貼り付けた。その後50℃、5気圧のオートクレーブ内に20分保持させて各部材を密着させることで測定試料(粘着剤層のサイズ:90mm×25mm)を得た。前記測定試料を、23℃で1日放置した後に、23℃、相対湿度50%の環境下で引張試験機(オリエンテック社製「テンシロン」)を用いて、剥離速度300mm/分剥離角度180°の条件で粘着力を測定した。評価基準は下記のとおりである。
+++:粘着力が25N/25mm以上。優秀。
++:粘着力が20N/25mm以上、25N/25mm未満。良好。
+:粘着力が15N/25mm以上、20N/25mm未満。実用可。
NG:粘着力が15N/25mm未満。実用不可。
<動的屈曲性>
厚さ188μmのPETフィルム(商品名:A4300、東洋紡社製)上に、粘着シートの一方面のセパレータを剥がしてハンドラミネータを用いて粘着剤層を貼り付けた。続いて、もう一方のセパレータを剥がし露出した粘着剤層を、厚さ50μmのカラーレスポリイミドフィルム(KOLON社製)のコロナ処理面に重ね、ハンドラミネータを用いて貼り付けた。その後50℃、5気圧のオートクレーブ内に20分保持させて各部材を密着させることで測定試料を得た。これにより、「PETフィルム/粘着剤層/カラーレスポリイミドフィルム」の積層体を得た。得られた積層体を、25℃、相対湿度50%雰囲気にて折り曲げ試験機(ユアサシステム機器社製)を用いて、PETフィルム面を内側にして折り曲げた時の内径(直径)を4mm条件に設定し、折り曲げと180°開放とを1サイクルとして20万サイクル繰り返し行った。積層体の外観について、粘着剤層と、PETフィルムまたはカラーレスポリイミドフィルムとの間ではがれ、浮き、しわ等が生じているかを目視で観察し、外観を判定した。評価基準は下記のとおりである。
+++:剥がれ、浮き、粘着剤層にしわ等全く発生しなかった。優秀。
++:剥がれ、浮きは無いが、粘着剤層にわずかなしわが発生した。良好。
+:粘着剤層にわずかなしわが発生し、さらに剥がれや浮きもわずかに発生した。実用可。
NG:剥がれ、浮き、粘着剤層のしわが顕著に発生した。実用不可。
<静的屈曲性>
動的屈曲性試験に使用した「PETフィルム/粘着剤層/カラーレスポリイミドフィルム」の積層体を同様の手順で作製し、PETフィルム面を内側にして折り曲げた時の内径(直径)が4mmになるようスペーサを用いて空隙を調整した2枚のガラスプレートで挟み、60℃相対湿度90%雰囲気にて10日間静置後の積層体の外観を、動的屈曲性試験と同様の評価方法、評価基準にて判定した。
<保持力>
厚さ188μmのPETフィルム(商品名:A4300、東洋紡社製)上に、粘着シートの一方面のセパレータを剥がしてハンドラミネータを用いて粘着剤層を貼り付けた。続いて、20mm×20mmのサイズにカットして、もう一方のセパレータを剥がし露出した粘着剤層を、被着体であるガラス板に2kgゴムローラーを用い2往復して貼り付け、50℃、5気圧のオートクレーブ内に20分保持させて各部材を密着させることで測定試料を得た。当該測定試料に1kgの重りを取り付けて、60℃相対湿度90%雰囲気にて、JISZ0237に準拠してクリープ試験を行った。試験結果の評価基準は下記のとおりである。
+++:1440分後の測定試料の位置ズレが0.2mm未満。優秀。
++:1440分後の測定試料の位置ズレが0.2mm以上、0.4mm未満。良好。
+:1440分後の測定試料の位置ズレが0.4mm以上、0.6mm未満。実用可。
NG:1440分後の測定試料の位置ズレが0.6mm以上、又は、試料が落下した。実用不可。
上記の評価結果を表3~7に示す
Figure 0007491456000003
Figure 0007491456000004
Figure 0007491456000005
Figure 0007491456000006
Figure 0007491456000007

Claims (7)

  1. 粘着剤層を備えるフレキシブルディスプレイ用粘着シートであって、
    前記粘着剤層は、(メタ)アクリル系ランダム共重合体、(メタ)アクリル系トリブロック共重合体、及び架橋剤を含み、
    前記(メタ)アクリル系ランダム共重合体は、粘着剤層100質量%中77~95質量%含有し、
    前記(メタ)アクリル系トリブロック共重合体は、それぞれ独立してガラス転移温度(Tg)が100℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する二つの重合体ブロック(A1)、(A2)と、ガラス転移温度(Tg)が-50℃以下の(メタ)アクリル酸エステルに由来する重合体ブロック(B)からなる(A1)-(B)-(A2)で表されるブロック構造を有し、
    かつ前記(メタ)アクリル系ランダム共重合体100質量部に対し、前記(メタ)アクリル系トリブロック共重合体を5~30質量部含有してなり、
    かつ前記(メタ)アクリル系ランダム共重合体100質量部に対し、前記架橋剤を0.01~5質量部含み、
    前記粘着剤層は、-20℃、1Hzにおける貯蔵弾性率が1.0×10Pa以下であって、60℃、1Hzにおける貯蔵弾性率が5.0×10Pa以上であって、ヘーズが1%以下である、
    フレキシブルディスプレイ用粘着シート。
  2. 前記(メタ)アクリル系トリブロック共重合体100質量%中、重合体ブロック(B)を70~89質量%含む請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ用粘着シート。
  3. 前記(メタ)アクリル系トリブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)が100,000~300,000である請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ用粘着シート。
  4. 前記架橋剤がイソシアネート化合物である請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ用粘着シート。
  5. 前記粘着剤層の厚みが16μm以上、150μm以下である請求項1~4のいずれか1項に記載のフレキシブルディスプレイ用粘着シート。
  6. 請求項5記載の粘着剤層と、光透過性可撓性基材を備えるフレキシブルディスプレイ用積層体。
  7. 請求項6記載のフレキシブルディスプレイ用積層体を備えるフレキシブルディスプレイ。
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