JP7488455B2 - 酸素吹き込みランス及び酸素吹き付け方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸素吹き込みランス及び酸素吹き付け方法に関する。
近年、転炉型の炉を用いたスクラップの多量溶解法や鉄浴式溶融還元法の開発が盛んに行われている。これらの技術では、炉内での熱発生量を増大させることが重要であり、炉の上部から酸素吹き込みランスを挿入し、酸素吹き込みランスから鉄溶融物に向けて酸素ジェットを衝突させることが行われる。酸素ジェットは、超音速噴流となって鉄溶融物に衝突し、鉄溶融物中の炭素(C)と反応して多量の一酸化炭素(CO)ガスを発生させる。ここで、CからCOへの反応で発生する燃焼熱よりも、COから二酸化炭素(CO)への反応で発生する燃焼熱(いわゆる、二次燃焼熱)の方が大きいため、炉内の二次燃焼率を高めるための工夫が行われてきている。
上記のような二次燃焼率を高めるための工夫の一つに、酸素吹き込みランスに設けられるノズルの設置条件がある。例えば以下の特許文献1では、主孔ノズルと、かかる主孔ノズルの中心軸に対して対称に設けられる副孔ノズルと、を有し、副孔ノズルの中心軸と主孔ノズルの中心軸との間につくられる内角が30度以上90度未満であるランスが開示されており、かかるランスを用いて、副孔ノズルのガス流量を主孔ノズルのガス流量の1/10以下とするガス吹き付け方法が開示されている。かかる特許文献1に開示されているランスでは、主孔ノズルからのガスジェットに乱れを与えるために副孔ノズルからのガスジェットが利用されており、主孔ノズルからのガスジェットが乱れることで、ジェットの拡散及び周囲からのガスの巻き込みが促進され、二次燃焼率が増大するとしている。
ここで、以下の特許文献1に開示されているランス及びガスの吹き付け方法では、主孔ノズルからのガスジェットに乱れが生じているとはいえ、超音速ジェットが鉄溶融物に吹きつけられるため、炉内では粒鉄の飛散(スピッティング)が発生して、飛散した粒鉄がランスの先端に付着してしまうという問題がある。
また、近年では、転炉における精錬工程で発生した転炉ガス(LDガス)を回収して再利用することが行われているが、転炉における精錬工程で二次燃焼率を増大させた場合、回収されるLDガスの発熱量は低減してしまうために、精錬工程を含む製鉄プロセス全体としての熱効率は低下してしまう。そのため、より効率の良いエネルギーの再利用方法が求められている状況にある。
そこで、本発明者らは、以下の特許文献2に開示されているように、酸素ジェット同士を互いに衝突させるようにした酸素吹き込みノズルを提案している。
特開平10-130712号公報 特開2018-3073号公報
K.Naito,Y.Ogawa,T.Inomoto,S.Kitamura and M.Yano,"Characteristics of Jets from Top-blown Lance in Converter",ISIJ Journal,2000,Vol.40,No.1,p.23-30.
しかしながら、本発明者らが酸素吹き込みノズルについて更なる検討を行った結果、上記特許文献2に開示されている酸素吹き込みノズルについて、粒鉄の飛散(スピッティング)の低減という観点においては、未だ改善の余地があることが判明した。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、スピッティングによるランスへの地金の付着をより低減することが可能な、酸素吹き込みランス及び酸素吹き付け方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
[1]上吹き酸素機能を有する転炉で溶鉄を精錬する際に、上吹き酸素を吹き込むための酸素吹き込みランスであって、前記酸素吹き込みランスの前記溶鉄に対向する側の端部には、前記酸素吹き込みランスの中心軸の周囲に複数の酸素ノズルが設けられており、前記複数の酸素ノズルのうち少なくとも一対は、2つの前記酸素ノズルの入口側の中心を結ぶ直線において他方の前記酸素ノズルに対向する方向をX軸正方向とし、前記酸素ノズルの入口側の中心を通り前記酸素ノズルの出口側に向かって鉛直方向下向きの方向をZ軸正方向とする右手系のXYZ直交座標系を、前記2つの酸素ノズルのそれぞれに定めたときに、前記酸素ノズルの入口側の中心と出口側の中心とを結ぶノズル軸のXY平面への射影がX軸となす角度をφとして、前記2つの酸素ノズルのそれぞれから吹き込まれる酸素ジェットがX軸正方向から時計回りに角度φで偏心した状態で互いに衝突するように配置され、前記角度φは、3~30°の範囲内である、酸素吹き込みランス。
[2]前記ノズル軸のXZ平面への射影がZ軸となす角度をθとしたときに、前記角度θは、5~20°の範囲内である、[1]に記載の酸素吹き込みランス。
[3]前記酸素ノズルの出口位置から、当該酸素ノズルからの前記酸素ジェットのマッハ数が1となる位置までを、ジェットコア領域としたときに、前記複数の酸素ノズルは、前記複数の酸素ノズルから吹き込まれる酸素ジェットが互いに前記ジェットコア領域内で衝突するように配置される、[1]又は[2]に記載の酸素吹き込みランス。
[4]前記複数の酸素ノズルは、以下の式(1)~式(9)に基づき算出される前記酸素ジェットのジェットコア長さHが以下の式(10)に基づき算出される前記酸素ノズルの出口位置から前記酸素ジェットの衝突位置までの離隔距離Lよりも大きくなるように配置される、[1]~[3]の何れか1つに記載の酸素吹き込みランス。
[5]前記酸素ノズルの個数は、3~6個の範囲内である、[1]~[4]の何れか1つに記載の酸素吹き込みランス。
[6]前記溶鉄に対向する側の端部では、前記酸素吹き込みランスの中心軸の位置に、更に酸素ノズルが設けられる、[1]~[5]の何れか1つに記載の酸素吹き込みランス。
[7]上吹き酸素機能を有する転炉で溶鉄を精錬する際に、上吹き酸素を吹き込むための酸素吹き込み方法であって、前記酸素吹き込みランスの前記溶鉄に対向する側の端部には、前記酸素吹き込みランスの中心軸の周囲に複数の酸素ノズルが設けられており、前記複数の酸素ノズルのうちの少なくとも一対について、2つの前記酸素ノズルの入口側の中心を結ぶ直線において他方の前記酸素ノズルに対向する方向をX軸正方向とし、前記酸素ノズルの入口側の中心を通り鉛直方向下向きの方向をZ軸正方向とする右手系のXYZ直交座標系を、前記2つの酸素ノズルのそれぞれに定めたときに、前記酸素ノズルの入口側の中心と出口側の中心とを結ぶノズル軸のXY平面への射影がX軸となす角度をφとして、前記2つの酸素ノズルのそれぞれから吹き込まれる酸素ジェットを、X軸正方向から時計回りに角度φで偏心した状態で互いに衝突させ、前記角度φを、3~30°の範囲内とする、酸素吹き込み方法。
Figure 0007488455000001
ここで、上記式(1)~式(10)において、
:ジェットコア長さ[mm]
CP:ノズル適正マッハ数でのジェットコア長さ[mm]
OP:ノズル適正マッハ数[-]
:スロート径[mm]
:ノズル入口圧[kg/cm-abs]
Q:送酸速度[Nm/h]
T:雰囲気温度[℃]
n:酸素ノズルの個数[-]
:雰囲気圧[kg/cm-abs]
:ランスの中心軸と、2つの酸素ノズルの入口側の中心を両端とする線分の中点と、を通る平面と、酸素ノズルの出口側の中心との離隔距離[mm]
:酸素ノズルの出口位置から酸素ジェット衝突位置までの離隔距離[mm]
φ:ノズル軸のXY平面への射影がX軸となす角度[度]
θ:ノズル軸のXZ平面への射影がZ軸となす角度[度]
であり、上記式(7)で算出されるfの値は、0.4超5.0以下である。
以上説明したように本発明によれば、スピッティングによるランスへの地金の付着を、より低減することが可能となる。
本発明の実施形態に係る酸素吹き込みランスが用いられる溶鉄の精錬処理を説明するための説明図である。 同実施形態に係る酸素吹き込みランスを説明するための説明図である。 同実施形態に係る酸素吹き込みランスを説明するための説明図である。 同実施形態に係る酸素吹き込みランスを説明するための説明図である。 同実施形態に係る酸素吹き込みランスを説明するための説明図である。 同実施形態に係る酸素吹き込みランスを説明するための説明図である。 同実施形態に係る酸素吹き込みランスを説明するための説明図である。 同実施形態に係る酸素吹き込みランスを説明するための説明図である。 同実施形態に係る酸素吹き込みランスを説明するための説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(溶鉄の精錬処理について)
まず、図1を参照しながら、本発明の実施形態で着目する溶鉄の精錬処理について、簡単に説明する。図1は、本実施形態に係る酸素吹き込みランスが用いられる溶鉄の精錬処理を説明するための説明図である。
図1に模式的に示したような、上吹き酸素機能を有する転炉で溶鉄を精錬する場合、炉内に装てんされた溶融鉄浴(鉄の溶融物)に対して、転炉の上方から挿入された酸素吹き込みランス(以下、単に「ランス」ともいう。)10を介して酸素ガスを吹き込むことで、炭素、ケイ素、リン等といった溶融物中の不純物を酸化させる。また、かかる精錬処理では、蒸気やダスト等が発生するため、発生するダスト等を外部環境に出さないためのフードが、転炉の炉口付近に設けられており、このフードを介して、LDガス等が回収されている。
ここで、従来の精錬処理では、二次燃焼率を低下させるために、酸素吹き込みランス高さを低下させて溶融鉄浴との距離を短縮し、炉内での燃焼を可能な限り抑制することが行われている。また、鉄浴の攪拌を強化して脱炭、脱リン等の精錬反応を促進させるために、酸素吹き込みランスを介して酸素ガスを勢いよく溶融鉄浴に衝突させている。しかしながら、酸素吹き込みランス高さを低下させて酸素ガスを勢いよく溶融鉄浴に衝突させた場合、浴面に深いキャビティーが形成され、かかるキャビティーの形成に伴って粒鉄の飛散(スピッティング)が増加することとなる。スピッティングが増加すると、ランスの先端に付着する地金の量が増加し、操業に影響を及ぼすようになる。
そこで、本実施形態に係る酸素吹き込みランス及び酸素吹き込み方法では、酸素吹き込みランス10から噴射される酸素ジェット同士を、特定の方向に偏心させた状態で互いに衝突させる。これにより、酸素ジェットの有している運動エネルギーをより低下させて、運動エネルギーがより低下した状態で溶融鉄浴に衝突するようにする。運動エネルギーを低下させた状態の酸素ガスを溶融鉄浴と衝突させることで、飛散する粒鉄を減少させることが可能となり、また、飛散した粒鉄が存在したとしても、かかる粒鉄は大きな運動エネルギーを有さないようになる。そのため、ランスの先端(溶融鉄浴と対向している端部)まで到達して地金として付着する粒鉄量を低減することが可能となる。
また、酸素ジェット同士を運動エネルギーが低下するように衝突させることで、酸素ジェットの総側面積は大きく低下することとなる。その結果、従来の精錬処理とは逆に、二次燃焼率を低下させることが可能となる。これにより、転炉から回収されるLDガスの発熱量を向上させることが可能となり、精錬工程を含むプロセス全体として、より効率の良いエネルギーの再利用を行うことが可能となる。
(酸素吹き込みランスについて)
次に、図2A~図8を参照しながら、本実施形態に係る酸素吹き込みランス10について、詳細に説明する。図2A~図8は、本実施形態に係る酸素吹き込みランス10を説明するための説明図である。
本実施形態に係る酸素吹き込みランス10は、上吹き酸素機能を有する転炉で溶鉄を精錬する際に、上吹き酸素を吹き込むために用いられるものである。図2Aの上段に、本実施形態に係るランス10の溶鉄に対向する側の端部付近の模式図を示しており、図2Aの下段に、図2A上段の図におけるA-A’の位置でランス10を切断した場合の左側部分の断面図を模式的に示している。同様に、図2Bの上段に、本実施形態に係るランス10の溶鉄に対向する側の端部付近の模式図を示しており、図2Bの下段に、図2B上段の図におけるB-B’の位置でランス10を切断した場合の切断部端面図を模式的に示している。なお、図2A及び図2Bにおいて、ランス側面及びランス底面を流れる冷却水の水路は、省略して図示している。
図2A及び図2Bに模式的に示したように、本実施形態に係るランス10の底面には、ランス10の内部に供給される酸素ガスを噴射するための酸素ノズル101が、ランス10の中心軸の周囲に複数配置されている。ここで、ランス10に設けられる酸素ノズル101については、特に限定されるものではなく、例えばラバールノズル等といった各種のノズルを用いることが可能である。
以下で詳述するように、本実施形態に係るランス10では、図2A及び図2Bに示したような複数の酸素ノズル101のうちの少なくとも2つについて、2つの酸素ノズル101のそれぞれから吹き込まれる酸素ジェットが、特定の方向に偏心した状態で互いに衝突するようになっている。本実施形態では、酸素ジェットが互いに衝突するように設定された酸素ノズル101のそれぞれに対して、図2A及び図2Bに示したような右手系のXYZ直交座標系を設定する。
まず、図2Aの上段に示したように、対となる2つの酸素ノズル101A、101Bを設定し、2つの酸素ノズル101A、101Bの入口側の中心を結ぶ直線において、他方の酸素ノズル101に対向する方向を、X軸正方向とする。また、図2Aの下段に示したように、各酸素ノズル101A、101Bの入口側の中心を通り、酸素ノズルの出口側に向かって鉛直方向下向きの方向を、Z軸正方向とする。X軸及びZ軸の原点は、酸素ノズル101A、101Bの入口側の中心とし、Z=0が示す面は、酸素ノズル101A、101Bの入口が位置する面とする。このようにX軸正方向及びZ軸正方向を規定することで、Y軸正方向は、XYZ直交座標系が右手系となるように規定される。
また、本実施形態において、各酸素ノズル101A、101Bそれぞれにおいて入口側の中心と出口側の中心とを通る軸を、「ノズル軸」と称することとする。この際、着目する酸素ノズル101のノズル軸のXZ平面への射影がZ軸となす角を、角度θとし、着目する酸素ノズル101のノズル軸のXY平面への射影がX軸となす角を、角度φとする。
ここで、図3に模式的に示したように、酸素ノズル101から吹き込まれる酸素ジェットには、ランス10の先端に近い側から順に、ジェットコア領域と、自由噴流領域と、が存在している。ジェットコア領域は、ランス10の出口位置(酸素ノズル101の出口位置でもある。)から、吹き込まれた酸素ジェットのマッハ数が1となる位置までに対応する領域である。また、自由噴流領域は、ジェットコア領域の下流側に位置し、酸素ノズル101から吹き込まれた酸素ジェットが自由噴流となって噴出している領域である。
本実施形態では、図3に示したようなジェットコア領域の長さ(酸素ノズル101のノズル軸に沿った長さ、以下単に「ジェットコア長さ」ともいう。)を、Hと表わすこととする。このジェットコア長さHは、酸素ジェットの流速が減速していない領域の長さである「ポテンシャルコア長さ」の代わりとして、一般的に用いられる指標である。
本実施形態に係るランス10では、ランス10の底面に設けられた複数の酸素ノズル101のそれぞれから吹き込まれる酸素ジェットが、互いにジェットコア領域内で衝突するようになっていることが好ましい。また、本実施形態に係るランス10では、複数の酸素ノズル101のうち、任意の1つの酸素ノズル101から吹き込まれる酸素ジェットの酸素流量は、他の酸素ノズル101のそれぞれから吹き込まれる酸素ジェットの酸素流量の50%以上100%以下となるように制御されることが好ましい。
ここで、複数の酸素ノズル101から噴射される酸素ジェットが衝突するという状態は、換言すれば、それぞれの酸素ノズル101のノズル軸が、互いに交差するように配設されている状態ともいえる。
上記のような酸素流量が実現されている状態で、かつ、複数の酸素ノズル101のそれぞれから吹き込まれる酸素ジェットがジェットコア領域内で互いに衝突することで、酸素ジェットが有している運動エネルギーの損失が生じ、酸素ジェットの流速がより急激に低下することとなる。この状態で酸素ジェットが鉄浴に衝突することで、スピッティングの発生をより低減させることが可能となる。また、各酸素ノズル101からの酸素ジェットが上記のような衝突により合体するため、酸素ジェットの総側面積は大きく低下する。その結果、二次燃焼率の低下を図ることが可能となる。
ここで、任意の1つの酸素ノズル101から吹き込まれる酸素ジェットの酸素流量が、他の酸素ノズル101から吹き込まれる酸素ジェットの酸素流量の50%未満である場合には、酸素ジェットの運動エネルギーの損失を生じさせることができず、スピッティングの発生を低減させることが困難となる場合がある。また、任意の1つの酸素ノズル101から吹き込まれる酸素ジェットの酸素流量は、他の酸素ノズル101のそれぞれから吹き込まれる酸素ジェットの酸素流量と近ければ近いほど良く、例えば、70%以上100%以下とすることがより好ましく、90%以上100%以下とすることが更に好ましく、100%とすることが最も好ましい。
また、複数の酸素ノズル101のそれぞれから吹き込まれる酸素ジェットが、ジェットコア領域内で互いに衝突しない場合には、衝突による運動エネルギーの損失が発生しない酸素ジェットが存在してしまう可能性があり、スピッティングの抑制効果を得ることが困難となる場合がある。
図2Aに示した角度θは、5°以上20°以下の範囲内であることが好ましい。角度θを5°以上20°以下とすることで、より確実に酸素ジェットを衝突させることが可能となり、スピッティングの抑制効果や二次燃焼率の低減効果をより確実に実現することが可能となる。角度θが5°未満である場合には、各酸素ノズル101から吹き込まれる酸素ジェットをジェットコア領域内で互いに衝突させることが困難となる場合がある。また、角度θが20°を超える場合には、鉄浴まで到達しない酸素ジェットが生じ、酸素ジェットを効率良く使用することが困難となる場合がある。角度θは、より好ましくは10°以上20°以下であり、更に好ましくは15°以上20°以下である。
本実施形態に係るランス10は、複数の酸素ノズル101のうち少なくとも一対が、2つの酸素ノズル101のそれぞれから吹き込まれる酸素ジェットがX軸正方向から時計回りに角度φで偏心した状態で互いに衝突するように、配置される。以下、かかる一対の酸素ノズル101について、例を挙げながら説明する。
便宜的に、図2Aの上段に示した左下の酸素ノズル101Aを、「酸素ノズルA」と称し、右下の酸素ノズル101Bを、「酸素ノズルB」と称することとする。これら酸素ノズルA及び酸素ノズルBが対として考慮され、酸素ノズルAから吹き込まれる酸素ジェットと、酸素ノズルBから吹き込まれる酸素ジェットとが、図2Aの上段に示した衝突面内で互いに衝突するように設定される場合を考える。
上記の場合、酸素ノズルAのX軸Xは、図2Aの紙面右向きに設定され、酸素ノズルAのY軸Yは、図2Aの紙面下向きに設定される。また、酸素ノズルBのX軸Xは、図2Aの紙面左向きに設定され、酸素ノズルBのY軸Yは、図2Aの紙面上向きに設定される。
図2Aの上段の図において、一対の酸素ノズルA及び酸素ノズルBに関して、ランス10の底面において各酸素ノズルの出口が存在する位置を、破線で示している。図2Aの上段の図から明らかなように、酸素ノズルのノズル軸のXY平面への射影は、X軸に対して平行となっているわけではなく、X軸正方向に対して角度φ(φ≠0)で交わっている。このように一対の酸素ノズル101A、101Bを配置することで、2つの酸素ノズル(すなわち、酸素ノズルA及び酸素ノズルB)のそれぞれから吹き込まれる酸素ジェットは、上記のように規定されるX軸正方向から時計回りに、角度φ、φで偏心した状態で進行していくこととなる。また、本実施形態に係るランス10では、一対の酸素ノズルから吹き込まれる酸素ジェットを斜行させるだけではなく、一対の酸素ノズルから吹き込まれる酸素ジェットが互いに衝突するように、図2Aに示した角度φが設定される。
ノズル軸のXY平面への射影がX軸に対して平行ではなく、角度φで斜交しているために、一対の酸素ノズル101A、101Bから吹き込まれる酸素ジェットは、正面から衝突するわけではなく、衝突軸がずれた状態で衝突するようになる。これにより、一対の酸素ノズル101A、101Bから吹き出される酸素ジェットが分散して、酸素ジェットの運動エネルギーが低下し、流速が急激に低下する。低流速のまま酸素ガスを溶融鉄浴と衝突させることで、飛散する粒鉄を減少させることが可能となり、また、飛散した粒鉄が存在したとしても、かかる粒鉄は大きな運動エネルギーを有さないようになる。そのため、ランスの先端まで到達して地金として付着する粒鉄量を低減することが可能となる。
図2Aに示した角度φは、3°以上30°以下とする。角度φを3°以上30°以下とすることで、一対の酸素ノズル101からそれぞれ吹き出される酸素ジェットを、確実に衝突させることが可能となり、酸素ジェットの分散を促進することが可能となる。角度φが3°未満である場合には、酸素ジェットの分散が実現しない。また、角度φが30°を超える場合には、酸素ジェットが衝突しなくなる。角度φは、より好ましくは、10°以上20°以下である。
図2A及び図2Bでは、図2A及び図2Bの上段の図において左下に位置する酸素ノズル101と、右下に位置する酸素ノズル101と、を組とする場合について図示しているが、組み合わせる酸素ノズル101は、図2A及び図2Bに示した例に限定されるものではない。例えば、図2A及び図2Bの上段の図において、右上に位置する酸素ノズル101と右下に位置する酸素ノズル101とを対として取り扱ってもよいし、左上に位置する酸素ノズル101と左下に位置する酸素ノズル101とを対として取り扱ってもよい。また、右上に位置する酸素ノズル101と左下に位置する酸素ノズル101とを対として取り扱ってもよいし、左上に位置する酸素ノズル101と右下に位置する酸素ノズル101とを対として取り扱ってもよい。
なお、対として取り扱わない酸素ノズル101については、角度φがゼロとなるように設定されていてもよいし、角度φがゼロ以外の値となるように設定されていてもよい。
また、対として取り扱われる酸素ノズル101の組数は、1つに限定されるものではなく、対として取り扱われる酸素ノズル101が複数組存在していてもよい。
ここで、ランス10に設けられる酸素ノズル101の個数は、特に限定されるものではないが、3個~6個の範囲とすることが好ましい。酸素ノズル101の個数が3個未満である場合には、各酸素ノズル101から吹き込まれた酸素ジェットは、他の複数のジェットと衝突することができず、結果としてエネルギー損失が少なくなる可能性がある。一方、酸素ノズル101の個数が6個を超える場合には、従来のランス径では多くのノズルを配置することが困難であり、また、たとえ配置できたとしても、熱交換する冷却水の水路断面積を十分に確保することができずに冷却効率が低下し、ランスチップ寿命が低下する可能性がある。酸素ノズル101の個数は、より好ましくは、5個~6個である。
なお、図2A及び図2Bでは、4つの酸素ノズル101が、ランスの中心軸の周囲に同心円上に設けられる場合を図示しているが、酸素ノズル101の配置状態は、酸素ジェットを互いに衝突させることが可能であれば、同心円上に設けなくとも良い。また、図2A及び図2Bでは、ランスの中心軸上には酸素ノズル101が配置されていないが、ランスの中心軸上に更に酸素ノズル101を配置してもよい。
なお、ランスの中心軸上に酸素ノズル101が存在する場合に、かかるランス中心軸上の酸素ノズル101を介して対向する酸素ノズル101を対として扱うことも可能である。この場合には、ランス中心軸上に位置する酸素ノズル101の角度θ及び角度φを、それぞれ0°に設定することが好ましい。これにより、3つの酸素ノズル101から吹き込まれた酸素ジェットが互いに衝突し、更に、対として取り扱われる酸素ノズル101から吹き込まれた酸素ジェットは、衝突軸をずらしながら衝突するようになる。
図4に、本実施形態に係る酸素ノズル101の配置例を模式的に示した。図4では、ランス10の底面における酸素ノズル101の配置の様子を模式的に示している。
図4における第1群の配置例のように、ランス10の中心軸の周囲に、3個~6個の酸素ノズル101を均等に配置してもよいし、第2群の配置例のように、ランス10の中心軸上に更に酸素ノズル101を配置してもよい。また、第3群の配置例のように、複数の同心円を設定し、これらの同心円上に酸素ノズル101を配置するようにしてもよい。更に、第4群の配置例のように、酸素ジェットを互いに衝突させることが可能であれば、複数の酸素ノズルをランス10の中心軸の周囲に不均等に配置してもよい。
図5は、図4における第1群の配置例における、対となる酸素ノズル101の組み合わせ例を示したものであり、図6は、図4における第2群の配置例における、対となる酸素ノズル101の組み合わせ例を示したものであり、図7は、図4における第3群の配置例における、対となる酸素ノズル101の組み合わせ例を示したものであり、図8は、図4における第4群の配置例における、対となる酸素ノズル101の組み合わせ例を示したものである。
図5~図8では、対として取り扱われる酸素ノズル101同士を、線で結んで示している。また、図5~図8では、等価となる配置状態については図示を省略している。図5~図8から明らかなように、対として取り扱う酸素ノズル101の組み合わせ方、及び、組数は、任意である。ただし、ランス中心軸上の酸素ノズル101を除いて、3つ以上の酸素ノズル101からの酸素ジェットが衝突することは、好ましくない。
なお、図4に示した酸素ノズル101の配置例は、あくまでも一例であって、図4に示した以外の酸素ノズル101の配置形態であっても良いことは言うまでもない。
また、図2A及び図2Bに示したような酸素ノズル101において、各酸素ノズル101のスロート径(酸素ノズル101の断面積が最小となる部分でのノズルの直径)をDと表わすとすると、各酸素ノズル101のスロート径Dは、本実施形態に係るランス10を適用する転炉の大きさに応じて、適宜決定すればよい。同様に、各酸素ノズル101の出口径についても、本実施形態に係るランス10を適用する転炉の大きさに応じて、適宜決定すればよい。
また、それぞれの酸素ノズル101における送酸速度(例えば平均送酸速度)は、本実施形態に係るランス10を適用する転炉の大きさに応じて、適宜決定すればよい。
以上のように、本実施形態に係るランス10では、各酸素ノズル101におけるノズル径(すなわち、スロート径及び出口径)の具体的な値や、送酸速度の具体的な値は、特に規定するものではなく、酸素ノズル101間での酸素ジェットの酸素流量比が、上記のような条件を満たすことが好ましい。
また、ある規模の転炉において、本実施形態に係るランス10を用いることで上記のような効果が実現された場合に、かかるランス10を異なる規模の転炉に適用したとしても、適用した転炉の規模に応じて各酸素ノズル101のノズル径や送酸速度を適切に設定することで、同様な効果を得ることができる。
ここで、図3に示したジェットコア長さHであるが、上記非特許文献1に開示されているように、ランス10に関する各種設定値を利用して、理論的に算出することが可能である。以下の説明において、ジェットコア長さHの算出に利用する各種設定値を、以下のように表わすものとする。
:ジェットコア長さ[mm]
CP:ノズル適正マッハ数でのジェットコア長さ[mm]
OP:ノズル適正マッハ数[-]
:スロート径[mm]
:ノズル入口圧[kg/cm-abs]
Q:送酸速度[Nm/h]
T:雰囲気温度(転炉内の温度)[℃]
n:酸素ノズルの個数[-]
:雰囲気圧(転炉内の雰囲気圧)[kg/cm-abs]
φ:ノズル軸のXY平面への射影がX軸となす角度[度]
θ:ノズル軸のXZ平面への射影がZ軸となす角度[度]
:ランスの中心軸と、2つの酸素ノズルの入口側の中心を両端とする線分の中点と、を通る平面と、酸素ノズルの出口側の中心との離隔距離[mm](図2Aを参照)
:酸素ノズルの出口位置から酸素ジェット衝突位置までの離隔距離[mm](図2Bを参照)
この場合に、図3に示したジェットコア長さHは、以下の式(101)~式(109)を用いて算出することが可能である。
Figure 0007488455000002
すなわち、送酸速度Q、スロート径Dt、ノズルの個数n、及び、雰囲気温度Tという、ランス10の設計値及び操業条件を利用することで、上記式(103)~式(109)により、ジェットコア長さHと、ノズル適正マッハ数でのジェットコア長さHCPとの比である(H/HCP)を算出することができる。この際、上記式(107)で算出されるfの値が、0.4超5.0以下となるように、ランス10の設計値及び操業条件が設定される。一方で、ノズル適正マッハ数でのジェットコア長さHCPは、上記式(102)により別途算出することが可能であるから、上記式(103)~式(109)により算出した(H/HCP)と、上記式(102)により算出したHCPと、を利用して、上記式(101)により、ジェットコア長さHを算出することができる。
一方、図2A及び図2Bに示した幾何学的な関係から明らかなように、酸素ノズルの中心とランスの中心との離隔距離Lと、酸素ノズルの出口位置から酸素ジェット衝突位置までの離隔距離Lとの間には、下記の式(110)に示す関係が成立する。従って、「酸素ジェットがジェットコア領域内で衝突する」という状況を実現するためには、上記式(101)により算出されるジェットコア長さHと、下記式(110)で算出される離隔距離Lとの間に、下記式(111)に示す関係が成立していることが好ましい。
Figure 0007488455000003
以上、図2A~図8を参照しながら、本実施形態に係る酸素吹き込みランス10について、詳細に説明した。
(酸素吹き込み方法について)
次に、以上説明したような本実施形態に係る酸素吹き込みランス10を利用した、酸素吹き込み方法について、簡単に説明する。
本実施形態に係る酸素吹き込み方法は、上吹き酸素機能を有する転炉で溶鉄を精錬する際に、上吹き酸素を吹き込むための酸素吹き込みランスから酸素を前記溶鉄に吹き付ける酸素吹き付け方法である。この際に、酸素吹き込みランスとして、図2A~図8を参照しながら説明したような、本実施形態に係る酸素吹き込みランス10を利用する。
より詳細には、本実施形態に係る酸素吹き込み方法では、図2A~図8に示したような複数の酸素ノズル101のうち、少なくとも一対の酸素ノズルについて、2つの酸素ノズルのそれぞれから吹き込まれる酸素ジェットを、X軸正方向から時計回りに角度φで偏心した状態で互いに衝突させ、角度φを3~30°の範囲内とする。これにより、本実施形態に係る酸素吹き込み方法では、スピッティングによるランスへの地金の付着をより低減しつつ、二次燃焼率を更に低下させることが可能となる。
以下では、実施例を示しながら、本発明に係る酸素吹き込みランス及び酸素吹き込み方法について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明に係る酸素吹き込みランス及び酸素吹き込み方法のあくまでも一例にすぎず、本発明に係る酸素吹き込みランス及び酸素吹き込み方法が、以下に示す例に限定されるものではない。
スクラップ10tが保持されている100トン規模の転炉を用い、かかる転炉中に溶融鉄浴100トンと、脱リン用の生石灰等の副原料とを供給し、以下の表1に示した酸素吹き込みランスを用いて酸素の吹き込みを行って溶銑を脱炭し、溶鋼を製造した。スクラップは、毎回、同一重量比率で用いた。装入時の溶銑温度は、1300~1350℃であり、処理後の溶融鉄浴温度は、1600~1650℃であった。
酸素吹き込みランスからの平均送酸速度を、以下の表1のように制御して、約20分の脱炭処理を行った。底吹き羽口から、窒素ガス又は二酸化炭素ガスをキャリアガスとして平均400Nm/hrの速度で吹き込んだ。
本実験例では、酸素吹き込みランスの酸素ノズルとして、ランス底面の同円周上にノズルが配置されたラバールノズルを用い、基準条件はノズル数nをn=4として、図2Aの上段に示したようなノズル配置の酸素吹き込みランスとした。この際、図2Aの上段に示した図において、左上に位置する酸素ノズルと右上に位置する酸素ノズルとが対となり、更に、左下に位置する酸素ノズルと右下に位置する酸素ノズルとが対となるようにした。
また、図5において破線で囲ったようなノズル数nをn=6としたノズル配置の酸素吹込みランス、及び、図6において破線で囲ったような中心孔を付与したノズル配置の酸素吹込みランスを、一部使用した。この二つのノズルの主孔は全てスロート径27mmとし、出口径を34mmとし、主孔一孔あたりの送酸速度は5000Nm/hr/孔で一定として、平均送酸速度を変更した。
このような各酸素吹き込みランスにおいて、ランス中心からノズルまでの距離Lを72mmとし、酸素ノズルのねじれ角φは、0°~50°の範囲で変化させた。また、酸素ノズルの傾斜角θは、θ=3~25°の範囲で変化させた。すべての主孔ノズルにおいてスロート径を27mmとし、出口径を34mmとして、ジェットコア長さHは800mmと計算され、ジェット衝突位置Lは上記式(110)を利用して算出した。溶銑面からのランス高さについては、約2000mmで同一になるように吹錬を行った。
以下に示す実験例において、水準毎に地金付着状況を撮影し、静止画像から体積を求めて質量に換算し、付着地金量を評価した。より詳細には、得られた質量に基づき、以下に示す4孔の場合は比較例1で得られた付着地金量を100として、6孔の場合は比較例5で得られた付着地金量を100として、各水準の付着地金量を指数化した。
また、酸素ジェットを効率良く使用できておらず、鉄浴まで到達しない酸素ジェットが生じた場合には、酸素ジェットが炉壁に到達して、耐熱レンガの目地が露出する場合がある。そこで、炉壁のレンガ露出状況を観察し、通常と変わらない場合は評点「A」を付し、レンガの目地が露出していた場合は評点「B」を付した。
得られた結果を、以下の表1にあわせて示した。なお、以下の表1における「ジェットコア長さ」の値は、上記式(101)~式(109)を利用して算出した値である。
Figure 0007488455000004
比較例1、比較例2、及び、比較例5は、角度φが0°又は1°であり、偏心によるジェットの分散の効果が得られなかった。これら比較例1、比較例5において酸素吹き込みランスに付着した地金量を基準として、各水準の地金付着量を指数化した。
また、角度φをさらに大きくした比較例3及び比較例4では、ジェット同士が衝突せず分散した状態で溶鉄面に到達するため、溶鉄飛散が増大したことでランス地金付着量が増大したと考えられる。
一方、酸素ノズルに関するノズル角度φを3°~30°の範囲に設定した実施例1~5では、ジェットの衝突による減衰と、偏心によるジェットの分散の効果で、溶鉄面への衝突動圧が小さくなる結果、溶鉄飛散が低減したことで、ランス地金付着量が低減したと考えられる。
また、実施例6~9のように、角度φが3°~30°の範囲内であれば、角度θが0°以上の値となることで、ランス地金付着量が低減した。これは、ジェットの衝突と、偏心によるジェットの分散の効果で、溶鉄飛散が低減したためと考えられる。また、θ=25°とした実施例9では、偏心によって分散したジェットが炉壁に直接到達し、炉壁のレンガが露出したと考えられる。
また、孔数を6個にした実施例10、及び、中心孔を付与した実施例11においても、同様にランス地金付着が低減したことが確認された。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 酸素吹き込みランス
101 酸素ノズル

Claims (7)

  1. 上吹き酸素機能を有する転炉で溶鉄を精錬する際に、上吹き酸素を吹き込むための酸素吹き込みランスであって、
    前記酸素吹き込みランスの前記溶鉄に対向する側の端部には、前記酸素吹き込みランスの中心軸の周囲に複数の酸素ノズルが設けられており、
    前記複数の酸素ノズルのうち少なくとも一対は、
    2つの前記酸素ノズルの入口側の中心を結ぶ直線において他方の前記酸素ノズルに対向する方向をX軸正方向とし、前記酸素ノズルの入口側の中心を通り前記酸素ノズルの出口側に向かって鉛直方向下向きの方向をZ軸正方向とする右手系のXYZ直交座標系を、前記2つの酸素ノズルのそれぞれに定めたときに、前記酸素ノズルの入口側の中心と出口側の中心とを結ぶノズル軸のXY平面への射影がX軸となす角度をφとして、
    前記2つの酸素ノズルのそれぞれから吹き込まれる酸素ジェットがX軸正方向から時計回りに角度φで偏心した状態で互いに衝突するように配置されており、
    前記角度φは、3~30°の範囲内である、酸素吹き込みランス。
  2. 前記ノズル軸のXZ平面への射影がZ軸となす角度をθとしたときに、
    前記角度θは、5~20°の範囲内である、請求項1に記載の酸素吹き込みランス。
  3. 前記酸素ノズルの出口位置から、当該酸素ノズルからの前記酸素ジェットのマッハ数が1となる位置までを、ジェットコア領域としたときに、
    前記複数の酸素ノズルは、前記複数の酸素ノズルから吹き込まれる酸素ジェットが互いに前記ジェットコア領域内で衝突するように配置される、請求項1又は2に記載の酸素吹き込みランス。
  4. 前記複数の酸素ノズルは、以下の式(1)~式(9)に基づき算出される前記酸素ジェットのジェットコア長さHが以下の式(10)に基づき算出される前記酸素ノズルの出口位置から前記酸素ジェットの衝突位置までの離隔距離Lよりも大きくなるように配置される、請求項1~3の何れか1項に記載の酸素吹き込みランス。
    ここで、以下の式(1)~式(10)において、
    :ジェットコア長さ[mm]
    CP:ノズル適正マッハ数でのジェットコア長さ[mm]
    OP:ノズル適正マッハ数[-]
    :スロート径[mm]
    :ノズル入口圧[kg/cm-abs]
    Q:送酸速度[Nm/h]
    T:雰囲気温度[℃]
    n:酸素ノズルの個数[-]
    :雰囲気圧[kg/cm-abs]
    :ランスの中心軸と、前記2つの酸素ノズルの入口側の中心を両端とする線分の中点と、を通る平面と、前記酸素ノズルの出口側の中心との離隔距離[mm]
    :酸素ノズルの出口位置から酸素ジェット衝突位置までの離隔距離[mm]
    φ:前記ノズル軸の前記XY平面への射影が前記X軸となす角度[度]
    θ:前記ノズル軸のXZ平面への射影がZ軸となす角度[度]
    であり、下記式(7)で算出されるfの値は、0.4超5.0以下である。
    Figure 0007488455000005
  5. 前記酸素ノズルの個数は、3~6個の範囲内である、請求項1~4の何れか1項に記載の酸素吹き込みランス。
  6. 前記溶鉄に対向する側の端部では、前記酸素吹き込みランスの中心軸の位置に、更に酸素ノズルが設けられる、請求項1~5の何れか1項に記載の酸素吹き込みランス。
  7. 上吹き酸素機能を有する転炉で溶鉄を精錬する際に、上吹き酸素を吹き込むための酸素吹き込み方法であって、
    前記酸素吹き込みランスの前記溶鉄に対向する側の端部には、前記酸素吹き込みランスの中心軸の周囲に複数の酸素ノズルが設けられており、
    前記複数の酸素ノズルのうちの少なくとも一対について、
    2つの前記酸素ノズルの入口側の中心を結ぶ直線において他方の前記酸素ノズルに対向する方向をX軸正方向とし、前記酸素ノズルの入口側の中心を通り鉛直方向下向きの方向をZ軸正方向とする右手系のXYZ直交座標系を、前記2つの酸素ノズルのそれぞれに定めたときに、前記酸素ノズルの入口側の中心と出口側の中心とを結ぶノズル軸のXY平面への射影がX軸となす角度をφとして、
    前記2つの酸素ノズルのそれぞれから吹き込まれる酸素ジェットを、X軸正方向から時計回りに角度φで偏心した状態で互いに衝突させ、
    前記角度φを、3~30°の範囲内とする、酸素吹き込み方法。
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