JP7482483B2 - レール把持具及び保線作業装置 - Google Patents
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Description
そこで、扛上作業における作業者の負担を軽減し、作業効率の改善を図るものとして、例えば、特許文献1~5には、様々なレール把持具が開示されている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、細かな位置合わせを必要とせず、簡単かつ確実にレールを把持することができる動作の安定性に優れたレール把持具及びそれを備えることにより、保線作業を効率的に行うことができる省力性に優れた保線作業装置を提供することを目的とする。
前記クランプ部は、左右一対のクランプアームと、該各クランプアームを駆動する駆動手段とを有し、
前記各クランプアームは、垂直軸と、該垂直軸の下端側から水平方向に突出する係止爪とを備え、
前記駆動手段で前記各クランプアームを前記各垂直軸の軸心回りに回動させ、前記各係止爪を前記レールの頭部の下面側に係合させて前記レールを把持する。
図1~図3に示す本発明の一実施の形態に係るレール把持具10は、保線作業時にレール11a(11b)を把持して持ち上げるために用いられるものである。ここで、図8、図9において、左右2本のレール11a、11bと複数の枕木12を梯子状に締結したものが軌框13であり、軌框13の下の道床14には小石や砂利等のバラストが敷き詰められている。そして、軌框13と道床14を合わせたものが軌道15であり、保線作業では、レール把持具10でレール11a、11bを把持して軌框13を持ち上げる軌框扛上作業と、道床14(バラスト)を搗き固める道床搗き固め作業を行う。
図1~図5に示すように、レール把持具10は、レール11a又は11bを把持するクランプ部17を備えている。このクランプ部17は、左右一対のクランプアーム18a、18bと、各クランプアーム18a、18bを駆動する駆動手段19とを有しており、各クランプアーム18a、18bは、垂直軸21a、21bと、垂直軸21a、21bの下端側から水平方向に突出する係止爪22a、22bとを備えている。そして、レール把持具10は、駆動手段19で各クランプアーム18a、18bを各垂直軸21a、21bの軸心回りに回動させることにより、各係止爪22a、22bをレール11a(11b)の頭部23の下面側に係合可能な状態とすることができる。
クランプ部17は、図4~図7に示すように、駆動手段19の駆動力を各垂直軸21a、21bに伝達して、各クランプアーム18a、18bの回動動作を同期させるリンク機構25を備えている。本実施の形態では、図4(A)、図5(A)、図6に示すように、駆動手段19として、シャフト26を長手方向に往復動させるプルプッシュ型のソレノイドを用いた。また、リンク機構25として、シャフト26の長手方向に沿って取付けたスライド板27に、スライド板27の長手方向と直交する長孔状の2つのガイド孔28a、28bを形成し、各垂直軸21a、21bの上端側に取付けた回転円板29a、29bの外周部に設けたリンクピン30a、30bを摺動可能に遊嵌させたものを用いた。駆動手段19でシャフト26と共にスライド板27をスライドさせると、図7(A)、(B)に示すように、スライド板27に形成されたガイド孔28a、28bもシャフト26の長手方向(ガイド孔28a、28bの長手方向と直交方向に移動する。このとき、ガイド孔28a、28bに遊嵌されたリンクピン30a、30bは、ガイド孔28a、28bと共に移動しながら、ガイド孔28a、28bの長手方向に沿って摺動するので、回転円板29a、29bが回転する。そして、回転円板29a、29bと共に各垂直軸21a、21bが回転することにより、各クランプアーム18a、18bを各垂直軸21a、21bの軸心回りに回動させることができる。従って、各クランプアーム18a、18bの係止爪22a、22bを各垂直軸21a、21bの円周方向に180度の位相差で配置し、回転円板29a、29b(垂直軸21a、21b)の回転角度を90度に設定すれば、駆動手段19でシャフト26を往復動させることにより、係止爪22a、22bとレール11a(11b)が平行な状態(図4(B))と、係止爪22a、22bとレール11a(11b)が直交する状態(図5(B))を切り替えることができる。
さらに、本実施の形態では、クランプ部17は、図1~図5に示すように、駆動手段19及びリンク機構25が収容される筐体32を有しており、各クランプアーム18a、18bのみが、筐体32の底部33から下方に突出しているので、駆動手段19及びリンク機構25を筐体32で保護することができる。なお、図4(A)、図5(A)では、筐体の蓋を省略した。
図8、図9に示す保線作業装置41は、例えば8tの軌陸車42の荷台43に搭載されて軌道15上を移動しながら、保線作業を行うものである。軌陸車42は、レール11a、11b上を移動(走行)するための車輪44aと、道路上を走行するためのタイヤ44bを備えており、図示しない昇降手段で車輪44aを昇降させることができる。図8では、車輪44aを降下させてタイヤ44bを浮かせ、レール11a、11b上を移動可能な状態となっている。なお、軌陸車42の前後方向及び幅方向を保線作業装置41の前後方向及び左右方向とし、図8は左側面を表すものとする。
また、各ジャッキアーム49a、49bは、それぞれ各関節部52a~52cで回動可能に連結された第1~第3のアーム部53a~53cと、各関節部52a~52cを中心に第1~第3のアーム部53a~53cを回動させる第1~第3の油圧シリンダー54a~54cを有している。よって、第1~第3の油圧シリンダー54a~54cを伸縮させて第1~第3のアーム部53a~53cを回動させることにより、それぞれのレール把持具10を前後及び上下に移動させることができる。
図8、図9では、扛上手段50aが使用状態で、扛上手段50bが待機状態(折り畳み状態)となっているが、実際の軌框扛上作業では、左右の扛上手段50a、50bを用いて、各クランプ部17でレール11a、11bを把持し、軌框13全体を持ち上げることが好ましい。但し、必要に応じて、扛上手段50a、50bのいずれか一方のみを用いて、レール11a又はレール11bを持ち上げることもできる。
保線作業装置41は、軌陸車42の荷台43に搭載された状態で一般道路、高速道路及び軌道15上を移動する。このとき、先に説明したように、摺動部58a、58bを近付け、ジャッキアーム49a、49b及び搗き固めアーム64を折り畳むことにより、軌框扛上ユニット47及び道床搗き固めユニット48が所定の寸法内に収まるようにすることができる。
そして、目的地(保線対象位置)まで移動したら、レール11a、11bの間隔に合わせて摺動部58a、58bをスライドさせ、扛上手段50a、50bの左右方向の位置決めを行う。その後、ジャッキアーム49a、49bで各レール把持具10を前後及び上下に移動させ、各支持フレーム35の2本の脚部37a、37bを道床14に接地させる。次に、各クランプ部17を図4(B)に示した状態で所定の高さ(接触センサー40でレール11a(11b)の頭部23の上面を検出する)まで下降させ、駆動手段19を駆動して各クランプアーム18a、18bを回動させることにより、図5(B)に示したように、各係止爪22a、22bがレール11a、11bの頭部23の下面側に係合可能な状態となる。そして、ジャッキアーム49a、49bで各支持フレーム35を道床14に押し付けた状態で各レール把持具10の昇降手段36を駆動して各クランプ部17を上昇させることにより、図10に示すように、それぞれのクランプアーム18a、18bで頭部23を把持して軌框13を部分的に持ち上げることができる(以上、軌框扛上作業)。
一連の作業が完了したら、次の目的地(保線対象位置)まで移動し、同様の作業を行う。
例えば、ジャッキアーム及び搗き固めアームの関節の数及び駆動手段(油圧シリンダー)の数と配置は、適宜、選択することができる。また、ジャッキアーム及び搗き固めアームは、それぞれレール把持具及び搗き固め手段を上下、前後及び左右方向に移動させることができればよく、その構造は、多関節構造のみに限定されず、適宜、選択することができる。例えば、関節を曲げる構造に代えて若しくは加えて、アームの一部を伸縮させる構造とすることもできる
さらに、レール把持具のクランプ部(駆動手段及びリンク機構等)の構造は、適宜、選択することができる。また、支持フレームの脚部の数又はクランプ部(駆動手段及びリンク機構等)の構造等に応じて、支持フレームに対するクランプ部の取付け位置は、適宜、選択することができる。
操作席及び操作部の位置は特に限定されるものではなく、適宜、選択することができる。また、リモコンにより、作業者が地上から保線作業装置を操作する構成とすることもでき、その場合、ベースフレーム上の操作席及び操作部は省略してもよい。
上記実施の形態では、保線作業装置に専用の電源油圧ユニットを搭載したが、軌陸車用電源油圧ユニットを共用できる場合は、専用の電源油圧ユニットは不要である。
Claims (8)
- 保線作業時にレールを把持するクランプ部と、道床上に接地される支持フレームと、該支持フレームに対して前記クランプ部を昇降させる昇降手段とを備えたレール把持具であって、
前記クランプ部は、左右一対のクランプアームと、該各クランプアームを駆動する駆動手段とを有し、
前記各クランプアームは、垂直軸と、該垂直軸の下端側から水平方向に突出する係止爪とを備え、
前記駆動手段で前記各クランプアームを前記各垂直軸の軸心回りに回動させ、前記各係止爪を前記レールの頭部の下面側に係合させて前記レールを把持することを特徴とするレール把持具。 - 請求項1記載のレール把持具において、前記クランプ部は、前記駆動手段の駆動力を前記各垂直軸に伝達して、前記各クランプアームの回動動作を同期させるリンク機構を備え、前記駆動手段及び前記リンク機構は筐体に収容され、前記各クランプアームは、前記筐体の底部から下方に突出していることを特徴とするレール把持具。
- 請求項1記載のレール把持具において、前記支持フレームは、少なくとも左右一対の脚部を有し、該脚部の長手方向に沿って前記クランプ部を案内することを特徴とするレール把持具。
- 請求項1~3のいずれか1記載のレール把持具において、前記レールの上面位置を検知するレール検知手段、前記レールの上面を撮影するレール撮影手段及び前記レールの上面にレーザー光を照射するレーザー光照射手段のいずれか1以上を備えていることを特徴とするレール把持具。
- ジャッキアームの先側にレール把持具が取付けられた扛上手段が2つ並列に配置され、2つの該扛上手段の間が電気的に絶縁された軌框扛上ユニットを備え、
前記レール把持具は、保線作業時にレールを把持するクランプ部を備え、
該クランプ部は、左右一対のクランプアームと、該各クランプアームを駆動する駆動手段とを有し、
前記各クランプアームは、垂直軸と、該垂直軸の下端側から水平方向に突出する係止爪とを備え、
前記駆動手段で前記各クランプアームを前記各垂直軸の軸心回りに回動させ、前記各係止爪を前記レールの頭部の下面側に係合させて前記レールを把持することを特徴とする保線作業装置。 - 請求項5記載の保線作業装置において、前記レール把持具の前記クランプ部は、前記駆動手段の駆動力を前記各垂直軸に伝達して、前記各クランプアームの回動動作を同期させるリンク機構を備え、前記駆動手段及び前記リンク機構は筐体に収容され、前記各クランプアームは、前記筐体の底部から下方に突出していることを特徴とする保線作業装置。
- 請求項5又は6記載の保線作業装置において、前記レール把持具は、道床上に接地される支持フレームと、該支持フレームに対して前記クランプ部を昇降させる昇降手段とを備えることを特徴とする保線作業装置。
- 請求項5~7のいずれか1記載の保線作業装置において、軌陸車の荷台に搭載可能であることを特徴とする保線作業装置。
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