JP7482352B2 - インダクタの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、導線を巻いてコイルが形成され、コイルが磁性体粉末とバインダ材料とを含有する複合磁性材料で形成された成形体内に埋設されたインダクタの製造方法に関するものである。
近年携帯電話や車載デバイスにおける電子部品に対する小型化のニーズが高まっている。これに対し、コイルを磁性材料の内部に埋設することによって、小さいサイズにおいても所定のインダクタンス値が得られるように設計されたコイル部品が開発されている。従来のインダクタはコイルと圧粉磁性粉を金型に入れ、圧力を加えて成形する圧粉成形が多く使われてきた。しかしながらインダクタが小型になってくると個々の成形が難しくなり、量産性に欠けていた。これに対して、半導体部品で多く用いられているトランスファーモールドを応用することも可能である。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2012-18974号公報
しかしながら、複数個連結した成形型でトランスファー成形を行うと、成形樹脂にフィラーが含有されていると、注入口から遠い部分では樹脂分が多く流れ込み、結果として場所によりフィラーの量が異なってしまう場合がある。半導体部品でもモールド樹脂にシリカフィラーを混ぜて成形するものの、半導体部品の場合シリカフィラーが偏在しても特性にはほとんど影響しない。これに対してインダクタの場合、磁性体粉末が偏在すると透磁率が変動し、結果としてインダクタンス値にばらつきが生じてしまう。
本発明は上記課題を解決するために、直列状リードフレームのコイル搭載部に搭載したコイル素子と端子部とを接続した後、直列状に配列された複数個のキャビティ部、ランナー部を有する上金型と下金型の間にクランプし、ポット内で加熱した樹脂混錬磁性粉をプランジャーによりカルランナーを介してキャビティ部に注入し、熱硬化により固化させ当該コイル素子組立品の封止を行うインダクタの製造方法において、カルランナーに近い部分の樹脂混錬磁性粉の磁性粉重量割合をカルランナーから遠い部分の樹脂混錬磁性粉の磁性粉重量割合よりも小さくしたしたものである。
以上のように行うことにより、金型の最終端にも十分な磁性粉を行きわたらせることができ、インダクタンス値のばらつきの小さいインダクタを得ることができる。
本発明の一実施の形態におけるインダクタの製造方法におけるインダクタの成形後の上面図 本発明の一実施の形態におけるインダクタの製造方法に用いるインダクタ製造装置の断面図 本発明の一実施の形態におけるインダクタの製造方法におけるキャビティ毎のインダクタンス値を示す図 本発明の一実施の形態におけるインダクタの製造方法に用いる別のインダクタ製造装置の断面図
以下、本発明の一実施の形態におけるインダクタの製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施の形態におけるインダクタの製造方法におけるインダクタの成形後の上面図、図2は本発明の一実施の形態におけるインダクタの製造方法に用いるインダクタ製造装置の断面図である。この製造装置はトランスファー成形によって、リードフレーム11に取り付けられたコイル素子12を中に入れて、樹脂混錬磁性粉の成形を行う上金型14aおよび下金型14bからなる金型14を有している。金型14の中にはキャビティ部13が10個直列状に設けられており、これらのキャビティ部13がランナー部17で等間隔に接続されている。ポット15内に投入した樹脂混錬磁性粉16をプランジャー19によりカルランナー18を介して圧力を加えてキャビティ部13に注入し、それぞれのキャビティ部13に樹脂混錬磁性粉16を充填するものである。
まずはコイル搭載部を直列状に形成したリードフレーム11の端子部にそれぞれのコイル素子12を接続する。コイル素子12を接続する方法としては、溶接等を用いることができる。
次にこのリードフレーム11を、コイル素子12が各キャビティ部13に入るように金型14に設定する。金型14は上金型14aと下金型14bとからなり、この間にリードフレーム11を入れて金型14を閉じる。このとき金型14は約165℃に保持されている。
次にポット15内にタブレット状に成形した樹脂混錬粉16を入れて、約165℃に加熱しながら樹脂を溶解させて、プランジャー19によりカルランナー19を介して圧力を加えてキャビティ部13に注入し、それぞれのキャビティ部13に樹脂混錬磁性粉16を充填し熱硬化により固化させ、金型14から取り出して個片化することによりインダクタを得る。ポット15内に樹脂混錬粉16を入れる場合は、下金型14bを下げて上金型14aとの間に隙間を作り、その隙間の間から樹脂混錬磁性粉16をポット15内に投入する等の方法を用いることができる。
本実施の形態ではポット15の両側にそれぞれ10個のキャビティを設けているが、例えば4個のリードフレームを並列に設け、同時に成形するようにしても構わない。このようにすることにより、さらに効率よく生産することができる。
通常このように成形した場合、磁性粉の方が樹脂に比べて密度が高いため、プランジャーで樹脂混錬磁性粉を押し出したときに磁性粉の運動エネルギーの方が樹脂の運動エネルギーよりも大きくなり、キャビティの先端部に磁性粉の方がより多く到達しやすくなる。そのためキャビティ間で磁性粉の割合が異なるインダクタができ、インダクタン値のばらつきが大きくなってしまう。
これに対して本発明の一実施形態では、磁性粉重量割合の異なる樹脂混錬磁性粉のタブレットを準備し、カルランナー18に近い部分の第1の樹脂混錬磁性粉16aの磁性粉重量割合をカルランナー18から遠い部分の第2の樹脂混錬磁性粉16bの磁性粉重量割合よりも小さくしたものを用いる。例えば第1の樹脂混錬磁性粉16aとして磁性粉重量割合が92wt%のものを用い、第2の樹脂混錬磁性粉16bとして磁性粉重量割合が95wt%のものを用いている。このようにすることにより、先端部のキャビティの磁性粉重量割合が上がりすぎることを防止し、インダクタンス値のばらつきが小さいインダクタを得ることができる。
図3は本発明の一実施の形態におけるインダクタの製造方法におけるキャビティ毎のインダクタンス値を示す図であり、カルランナーに近いキャビティ部から順に1から10までつながっているものである。この図からわかるように、均一の磁性粉重量割合を用いた従来例に対して、インダクタンス値の変動が少ないインダクタを得ることができている。
磁性粉重量割合は、第1の樹脂混錬磁性粉16aと第2の樹脂混錬磁性粉16bとで、1wt%以上、5wt%異ならせることが望ましい。磁性粉重量割合の差が1wt%未満では十分にインダクタンス値のばらつきを抑えられず、5wt%よりも大きくなると先端部のキャビティ内の磁性分量が少なくなりすぎてインダクタンス値のばらつきが大きくなってしまう可能性があるためである。
なお、上記実施の形態では磁性粉重量割合の異なる2個のタブレット状の第1の樹脂混錬磁性粉16a、第2の樹脂混錬磁性粉16bを用いたが、粉状の磁性粉重量割合の異なる樹脂混錬磁性粉を順次ポット内に投入しても構わない。さらに磁性粉重量割合の異なる3種類以上の樹脂混錬磁性粉を用いても構わない。
図4は、本発明の一実施の形態におけるインダクタの製造方法に用いる別のインダクタ製造装置の断面図である。インダクタ製造装置そのものは図2のものと同じであるが、樹脂混錬磁性粉16が異なっている。図2のものは磁性粉重量割合の異なる2個のタブレット状の第1の樹脂混錬磁性粉16aおよび第2の樹脂混錬磁性粉16bを用いているが、図4では磁性粉重量割合の異なる2種類の第1の樹脂混錬磁性粉16aおよび第2の樹脂混錬磁性粉16bを一体化したものを用いている。このようにすることにより樹脂混錬磁性粉の投入する工程を簡略化することができる。この場合タブレットの上下を間違えて投入してしまうとインダクタンス値のばらつきが大きくなってしまう。そのため図4のように、タブレットの形状を上の面から下の面にいくにしたがって径が小さくなる円錐の一部を切り取ったような形状とすることが望ましい。このようにすることにより、上下間違いを防止することができるとともに、投入もしやすくなる。
本発明のインダクタの製造方法は、インダクタンス値のばらつきが小さいインダクタを効率よく生産することができ、産業上有用である。
11 リードフレーム
12 コイル素子
13 キャビティ部
14 金型
14a 上金型
14b 下金型
15 ポット
16 樹脂混錬磁性粉
16a 第1の樹脂混錬磁性粉
16b 第2の樹脂混錬磁性粉
17 ランナー部
18 カルランナー
19 プランジャー

Claims (3)

  1. 直列状リードフレームのコイル搭載部に搭載したコイル素子と端子部とを接続した後、直列状に配列された複数個のキャビティ部、ランナー部を有する上金型と下金型の間にクランプし、ポット内で加熱した樹脂混錬磁性粉をプランジャーによりカルランナーを介して前記キャビティ部に注入し、熱硬化により固化させ当該コイル素子組立品の封止を行うインダクタの製造方法において、前記カルランナーに近い部分の樹脂混錬磁性粉の磁性粉重量割合を前記カルランナーから遠い部分の前記樹脂混錬磁性粉の磁性粉重量割合よりも小さくしたインダクタの製造方法。
  2. 前記樹脂混錬磁性粉はタブレット状の物を用いる請求項1記載のインダクタの製造方法。
  3. 前記樹脂混錬磁性粉は、磁性粉重量割合の異なる複数個のタブレット状の物を用いた請求項2記載のインダクタ製造方法。
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JP2012234986A (ja) 2011-05-02 2012-11-29 Shindengen Electric Mfg Co Ltd インダクタ一体型リードフレーム、並びに、電子回路モジュール及びその製造方法
WO2015199044A1 (ja) 2014-06-24 2015-12-30 株式会社オートネットワーク技術研究所 コア部材、リアクトル、及びコア部材の製造方法
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