JP7482333B2 - 燃料タンク - Google Patents

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Description

本発明は、燃料タンクに関する。
自動車の燃料タンクとして、タンク本体の内側に凹む凹部を設けたものが知られている。例えば特許文献1には、タンク本体の上面及び下面に、タンク本体の内側に向かって凹む凹部を形成し、上面側の凹部と下面側の凹部の底壁同士を接合した燃料タンク(つまり、突き当て部を有する燃料タンク)が記載されている。この構成によれば、例えばタンク壁の肉厚を大きくすることなく燃料タンクの剛性を高めることができる。
また、タンク本体の内側に直線状又は曲線状に凹む凹部(ビード形状部とも言う)を設けた燃料タンクが知られている。ビード形状部を備えることで、燃料の流動を制御することができ、燃料の波打ち音が発生するのを防ぐとともに、タンク本体の変形を抑制することができる。
実開平5-029828号公報
ここで、突き当て部やビード形状部などの凹形状部と、タンク本体を構成する立壁との距離が近い場合、凹形状部と立壁との間にインナーピンチ(内面突起)が発生するおそれがある。インナーピンチは、パリソンの伸びを阻害する要因が存在することで、パリソンが好適にブローアップしきれずに発生すると考えられる。
インナーピンチが発生すると、意図しない位置で燃料の流動が阻害されたり、外力又はタンク内圧による割れの起点になったりするおそれがあるため、例えば、凹形状部と立壁との距離を十分に離間させることで、インナーピンチの発生を防いでいた。しかし、このような方法では、設計の自由度が制限されてしまうという問題がある。
本発明は、このような観点から創案されたものであり、インナーピンチの発生を防ぐとともに、設計の自由度が高い燃料タンクを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、タンク本体から連続してなり内側へ突出した凹形状部を有する燃料タンクであって、前記タンク本体の立壁と前記凹形状部との間、又は、二つの前記凹形状部の間において成形時にインナーピンチが発生する懸念のあるインナーピンチ発生懸念領域の少なくとも片側に配置され、前記凹形状部の突出量よりも小さい突出量を有するインナーピンチ抑制凹部を備える、ことを特徴とする。
本発明によれば、インナーピンチ抑制凹部によってインナーピンチの発生を防ぐとともに、設計の自由度を高めることができる。
また、前記凹形状部は、例えば、対向する壁部を凹ませて底部同士を接合した突き当て部を構成する凹部、又は、波消しあるいは変形抑制を意図して形成されたビード形状部であることが好ましい。
また、前記インナーピンチ抑制凹部は、インナーピンチ発生懸念領域の両側に配置されるのが好ましい。このようにすると、インナーピンチの発生をバランスよく抑制することができる。
本発明の燃料タンクによれば、インナーピンチの発生を防ぐとともに、設計の自由度を高めることができる。
本発明の第1実施形態に係る燃料タンクの斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る燃料タンクの平面図である。 図1BのIC-IC断面図である。 比較例としてのインナーピンチ抑制凹部を有しない燃料タンクの斜視図である。 比較例としてのインナーピンチ抑制凹部を有しない燃料タンクの平面図である。 比較例としての燃料タンクをブロー成形している状態を説明する図である。 突当成形部がない状態でブローアップした状態を示すイメージ図である。 突当成形部がある状態でブローアップした状態を示すイメージ図である。 比較例としてのインナーピンチ抑制凹部を有しない燃料タンク(脱型した直後)の下面図であり、下壁の一部を切り欠いてタンク本体の内部を表している。 図6のVII-VII断面図である。 第1実施形態に係る燃料タンクの製造に用いる製造装置(特に成形型)の縦断面図である。 成形型の成形面への転写状況を説明するための図であり、突当成形部周辺の拡大断面図である。 成形型の成形面への転写状況を説明するための図であり、図9AのIXB-IXB断面図である。 第1実施形態の第1変形例に係る燃料タンクの平面図である。 第1実施形態の第2変形例に係る燃料タンクの平面図である。 第1実施形態の第3変形例に係る燃料タンクの平面図である。 第2実施形態の比較例となる燃料タンクの平面図である。 第2実施形態に係る燃料タンクの平面図である。 第3実施形態の比較例となる燃料タンクの平面図である。 第3実施形態に係る燃料タンクの平面図である。 第4実施形態の比較例となる燃料タンクの平面図である。 第4実施形態に係る燃料タンクの平面図である。 第5実施形態の比較例となる燃料タンクの平面図である。 第5実施形態に係る燃料タンクの平面図である。 第5実施形態の第1変形例に係る燃料タンクの平面図である。 第5実施形態の第2変形例に係る燃料タンクの平面図である。 第5実施形態の第3変形例に係る燃料タンクの平面図である。 第5実施形態の第4変形例に係る燃料タンクの平面図である。 第6実施形態の比較例となる燃料タンクの平面図である。 第6実施形態に係る燃料タンクの平面図である。
≪第1実施形態に係る燃料タンク≫
図1Aないし図1Cを参照して、第1実施形態に係る燃料タンクT11について説明する。燃料タンクT11は、自動車やバイク並びに船舶等の移動手段に搭載されるものであり、タンク本体T11aで主に構成されている。燃料タンクT11は、タンク本体T11aの他に、図示しない内蔵部品を備えていてもよい。内蔵部品は、例えば補強部材、バルブ、波消し板などである。燃料タンクT11の説明における「上下」、「前後」、「左右」は図1Aの矢印に従う。当該方向は、説明の便宜上定めるものであり、本発明を限定するものではない。なお、図1Aの上下方向は、燃料タンクT11を製造する一対の成形型の開閉方向に対応している。
タンク本体T11aは、ガソリン等の燃料を貯溜する樹脂製の中空容器であり、バリア層を含んだ複数層構造になっている。タンク本体T11aは、例えば、ポリエチレン、高密度ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を主な材料としている。タンク本体T11aは、例えばブロー成形等によって成形される。
タンク本体T11aは、下壁11と、上壁12と、複数の立壁(前側の第一側壁13、後側の第二側壁14、左側の第三側壁15および右側の第四側壁16)とで構成されている。なお、下壁11、上壁12、第一側壁13、第二側壁14、第三側壁15および第四側壁16をまとめて「壁部」と称する場合がある。
図1A及び図1Bに示すように、タンク本体T11aには、2つの突き当て部21が形成されている。突き当て部21は、対向する壁部を凹ませ、底部同士を接合して柱状に形成された部位である。具体的には、図1Cに示すように、突き当て部21は、対向する二つの凹部22,23で構成されている。凹部22は、下壁11に形成されており、下壁11を内部方向(上方向)に向かって凹ませた形状である。凹部23は、上壁12に形成されており、上壁12を内部方向(下方向)に向かって凹ませた形状である。
凹部22,23は、同じ形状を呈し、例えば上下で鏡面対象になっている。凹部22,23は、上下方向に直交する切断面では円形を呈し、深さ方向に向かって内径が小さくなっている。つまり、凹部22,23は、深さ方向に向かって先細りとなっている。凹部22の底部と凹部23の底部とは接合(溶着)されている。
図1Bに示すように、突き当て部21,21は、本実施形態では第一側壁13および第二側壁14の近くにそれぞれ配置されている。凹部22,23は、ブロー成型時に成形型2,3(図8参照)の成形面2a,3aに設けられた突当成形部2j,3jに転写されて成形される。なお、突き当て部21を構成する凹部22,23は、「凹形状部」の一例である。なお、突き当て部21は、本実施形態では2つ設けたが、1つでもよいし、3つ以上設けてもよい。
タンク本体T11aには、少なくとも一つ以上(図1A,図1Bでは四つ)のインナーピンチ抑制凹部31が形成されている。インナーピンチ抑制凹部31は、インナーピンチの発生を抑制するために設けられた部位である。インナーピンチ抑制凹部31は、インナーピンチが発生する懸念のあるインナーピンチ発生懸念領域K1(図2B参照)の少なくとも左右どちらか一方に配置される。インナーピンチ抑制凹部31のサイズや形状は特に限定されず、インナーピンチの発生を抑制する効果を奏するものであればよい。
図1Aに示すように、本実施形態でのインナーピンチ抑制凹部31は、上壁12に形成されており、上壁12を内部方向(下方向)に向かって凹ませた形状である。インナーピンチ抑制凹部31のタンク本体T11a内部方向への突出量E2(図1C参照)は、凹部22,23の突出量E1よりも小さい。つまり、インナーピンチ抑制凹部31の深さは、凹部22,23の深さに比べて浅くなっている。
インナーピンチ抑制凹部31は、成形型に形成されたインナーピンチ抑制凸部2k(図8参照)に対応して形成されており、ブロー成型時にインナーピンチ抑制凸部2kに転写されて成形される。
ここで、図2Aないし図7を参照して、インナーピンチの発生について説明する。図2Aおよび図2Bに示す燃料タンクT10をブロー成形によって製造する場合を想定する。図2Aおよび図2Bに示す燃料タンクT10は、図1Aに示す燃料タンクT11からインナーピンチ抑制凹部31を除いたものである。そのため、タンク本体T10aは、突き当て部21を有するが、インナーピンチ抑制凹部31を有しない。突き当て部21は、第一側壁13および第二側壁14から近い位置に配置されている。タンク本体10aには、インナーピンチが発生する懸念のあるインナーピンチ発生懸念領域K1が存在する。
図3に、燃料タンクT10をブロー成形している状態を示す。燃料タンクT10は、一対の成形型902,903の間に筒状又はシート状のパリソンSを配置した状態で型締めし、内部にエアーを供給することで成形型902,903の成形面902a,903aにパリソンSを転写させて成形される。図3では、符号Pを付した白抜き矢印でブロー圧を示している。図3に示すパリソンSは、ブローアップを行っている途中の状態を示している。
成形型902の成形面902aは、第一成形部2bと、第二成形部2cと、第三成形部2dとを有する。第一成形部2bは、タンク本体T10aの上壁12を成形する部分であり、第二成形部2cは、タンク本体T10aの前側の第一側壁13を成形する部分であり、第三成形部2dは、タンク本体T10aの後側の第二側壁14を成形する部分である。同様に、成形型903の成形面903aは、第一成形部3bと、第二成形部3cと、第三成形部3dとを有する。第一成形部3bは、タンク本体T10aの下壁11を成形する部分であり、第二成形部3cは、タンク本体T10aの前側の第一側壁13を成形する部分であり、第三成形部3dは、タンク本体T10aの後側の第二側壁14を成形する部分である。
成形型902の成形面902aには、上壁12の凹部23を成形するための二つの突当成形部2jが形成されている。突当成形部2jは、成形型902,903の型締め方向に突出して形成されている。例えば、第二成形部2c側の突当成形部2jは、第二成形部2cまでの距離Lが近く、型締め方向の突出量F1が第二成形部2cと同等程度に高くなっている。第三成形部2d側の突当成形部2jについても同様であり、第三成形部2dに対して距離が近く、同等程度の高さになっている。また、成形型903の成形面903aには、下壁11の凹部22を成形するための二つの突当成形部3jが形成される。
第二成形部2c側の突当成形部2jに着目して、パリソンSのブローアップについて説明する。図4の符号801に示すように、突当成形部2jがない状態でブローアップした場合、符号802に示すように、パリソンSが好適にブローアップされて折れ曲がることなく第一成形部2bに転写される。
一方、図5の符号803に示すように、突当成形部2jがある状態でブローアップした場合、突当成形部2jがパリソンSの伸びを阻害する要因(起点)となり、パリソンSが好適にブローアップできずにタンク内部へ向けて折れ曲がる。そして、符号804に示すように、パリソンSの外層同士が溶着することで壁部から立ち上がるインナーピンチQが形成される。インナーピンチQは、条件にもよるが、例えばパリソンSの伸びを阻害する起点(ここでは突当成形部2j)から立壁に向けて直線状に形成される。パリソンSの伸びを阻害する起点が二つある場合、起点同士を繋ぐようにインナーピンチQが発生する傾向がある。
脱型した直後のタンク本体T10aを図6および図7に示す。図6は、タンク本体T10aの下面図であり、下壁11の一部を切り欠いてタンク本体T10aの内部を表している。図7は、図6のVII-VII断面図である。脱型した直後のタンク本体T10aには、バリBが形成されており、突き当て部21と後側の第二側壁14との間を繋ぐようにインナーピンチQが形成されている。突き当て部21と前側の第一側壁13との間にも同様にインナーピンチQが形成されている。
図6,図7に示すインナーピンチQは、突き当て部21の凹部22,23の深さが深く、突き当て部21と立壁(前側の第一側壁13、後側の第二側壁14、左側の第三側壁15および右側の第四側壁16)との距離が近いと発生しやすい。ここでは、一方の突き当て部21と第二側壁14との距離が近いので、突き当て部21と第二側壁14との間にインナーピンチQが発生しやすい。他方の突き当て部21と第一側壁13との関係についても同様である。つまり、図2Bに示すように、一方の突き当て部21と第二側壁14との間および他方の突き当て部21と第一側壁13との間が、インナーピンチQが発生する懸念のあるインナーピンチ発生懸念領域K1となる。そのため、図1Bに示すように、本実施形態での燃料タンクT11では、インナーピンチ発生懸念領域K1(図2B参照)の左右両側にインナーピンチ抑制凹部31を設けることで、インナーピンチQが発生するのを抑制している。
≪第1実施形態に係る燃料タンクの製造方法≫
次に、図8ないし図9Bを参照して(適宜、図1Aないし図7を参照)、第1実施形態に係る燃料タンクT11(図1A参照)の製造方法について説明する。燃料タンクT11の製法工程は、タンク本体成形工程を含んだ複数の工程で構成される。
タンク本体成形工程は、図8に示す成形型2,3でタンク本体T11a(図1A参照)をブロー成形する工程である。タンク本体成形工程では、一対の成形型2,3の間に筒状又はシート状のパリソンSをダイ(図示せず)から吐出させる。パリソンSは、内部にバリア層を含んで複数層で構成された熱可塑性樹脂であり、例えばHDPE(高密度ポリエチレン)、EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)及び接着層などにより多層断面構造になっている。成形型2,3は、パリソンSが塑性変形するように所定の温度まで予め加熱させておく。そして、成形型2,3を型締めしつつ、内部にエアーを供給することで、パリソンSは成形型2,3の成形面2a,3aに転写される。なお、成形型2,3に設けられた真空引き手段を用いてパリソンSを吸引し、パリソンSを成形型2,3に転写させてもよい。所定の時間が経過したら脱型し、余分なバリを切除することでタンク本体T11aが完成する。
図8に示す一対の成形型2,3は、図3に示した成形型902にインナーピンチ抑制凸部2kを追加したものであり、それ以外の構成は成形型902,903と同様である。インナーピンチ抑制凸部2kは、インナーピンチ発生懸念領域K1(図2B参照)の少なくとも左右何れか一方(ここでは左右両側)に設けられる。インナーピンチ抑制凸部2kの型締め方向の突出量F2は、突当成形部2jの突出量F1よりも小さくなっている。
図9Aおよび図9Bを参照して、成形型2の成形面2aへの転写状況について説明する。図9Aは、第二成形部2c側の突当成形部2j周辺の拡大断面図であり、図9Bは、図9AのIXB-IXBの断面図である。
図9Aに示すように、突当成形部2jよりも高さが低いインナーピンチ抑制凸部2kを設けることで、ブローアップ時のパリソンSが第一成形部2bに接触する前にインナーピンチ抑制凸部2kに接触する。つまり、インナーピンチ抑制凸部2kは、ブローアップ時のパリソンSが第一成形部2bよりも先に接触する先当て形状として機能する。これにより、図9Bに示すように、インナーピンチ抑制凸部2kがパリソンSに膨らみを与えてパリソンSがタンク内部へ向けて折れ曲がり難くなり、インナーピンチQの発生を抑制する。
以上説明した第1実施形態によれば、突き当て部21と前側の第一側壁13との間および突き当て部21と後側の第二側壁14との間に存在するインナーピンチ発生懸念領域K1(図2B参照)の左右両側に、インナーピンチ抑制凹部31を設ける。これにより、インナーピンチQが発生するのを抑制できる。また、本実施形態によれば、突き当て部21の位置、形状、高さ等の制限を受けなくなるため、設計の自由度を高めることができる。
≪第1実施形態の変形例≫
第1実施形態では、突き当て部21と前側の第一側壁13との間および突き当て部21と後側の第二側壁14との間にインナーピンチ発生懸念領域K1(図2B参照)が発生する場合を想定し、インナーピンチ発生懸念領域K1の両側にインナーピンチ抑制凹部31を設けていた。しかしながら、図10Aに示す燃料タンクT12のように、タンク本体T12aは、インナーピンチ発生懸念領域K1の片側にのみインナーピンチ抑制凹部31を備えていてもよい。この構成でもインナーピンチQの発生を抑制する効果を奏する。また、図10Bに示す燃料タンクT13(タンク本体T13a)のように、インナーピンチ抑制凹部31の一部が突き当て部21に重なるように配置されてもよい。この場合でも、図10Cに示すように、インナーピンチ発生懸念領域K1の片側にのみインナーピンチ抑制凹部31を配置することができる。
≪第2実施形態に係る燃料タンク≫
第1実施形態では、比較例となる燃料タンクの構造として、図2A,図2Bに示すものを想定していた。つまり、比較例となる燃料タンクT10のタンク本体T10aの上壁12には、前後方向に並設された二つの突き当て部21が形成されており、突き当て部21は、第一側壁13および第二側壁14の近くに配置されていた。
第2実施形態では、比較例となる燃料タンクの構造として、図11Aに示すものを想定する。つまり、比較例となる燃料タンクT20のタンク本体T20aの上壁12には、前後方向に並設された二つの突き当て部21と、二つの突き当て部21,21を貫通するように前後方向に延設されたビード形状部24とが形成されている。ビード形状部24は、壁部を直線状に凹ませたものであり、溝形状を呈する。ビード形状部24は、曲線状となる部位を含んでいてもよい。ビード形状部24は、上下方向に直交する切断面では長方形(又は長方形の角部を丸めた略長方形)を呈し、深さ方向に向かって長方形の幅が狭くなっている。つまり、ビード形状部24は、深さ方向に向かって先細りになっている。ビード形状部24は、下壁11に接触していない。ビード形状部24は、「凹形状部」の一例である。
ビード形状部24の前端部24aは、前側の第一側壁13の近くまで到達しており、また、後端部24bは、後側の第二側壁14の近くまで到達している。タンク本体T20aでは、ビード形状部24の前端部24aと第一側壁13との間および後端部24bと第二側壁14との間が、インナーピンチQが発生する懸念のあるインナーピンチ発生懸念領域K2となる。つまり、ビード形状部24(ビード形状部24に対応する成形型の突出部分)がパリソンSの伸びを阻害する起点となり、第1実施形態と同様の原理によってインナーピンチQが発生する。
図11Bに示すように、本実施形態での燃料タンクT21では、インナーピンチ発生懸念領域K2(図11A参照)の左右両側にインナーピンチ抑制凹部131を設けることで、インナーピンチQが発生するのを抑制している。インナーピンチ抑制凹部131のタンク本体T21a内部方向への突出量は、ビード形状部24の突出量よりも小さい。つまり、インナーピンチ抑制凹部131の深さは、ビード形状部24の深さに比べて浅くなっている。なお、第1実施形態の変形例と同様に、インナーピンチ発生懸念領域K2の片側にのみインナーピンチ抑制凹部131を配置してもよい。
以上説明した第2実施形態に係る燃料タンクT21によれば、第1実施形態に係る燃料タンクT11と同様の効果を奏する。
≪第3実施形態に係る燃料タンク≫
第3実施形態では、比較例となる燃料タンクの構造として、図12Aに示すものを想定する。つまり、比較例となる燃料タンクT30のタンク本体T30aの上壁12には、前後方向に並設された二つの突き当て部21と、各々の突き当て部21から互いに近接するように配置された一対のビード形状部25とが形成されている。
後側のビード形状部25の前端部25aと前側のビード形状部25の後端部25bとは、対向して配置されている。タンク本体T30aでは、後側のビード形状部25の前端部25aと前側のビード形状部25の後端部25bとの間が、インナーピンチQが発生する懸念のあるインナーピンチ発生懸念領域K3となる。つまり、ビード形状部25(ビード形状部25に対応する成形型の突出部分)がパリソンSの伸びを阻害する起点となり、第1実施形態と同様の原理によってインナーピンチQが発生する。
図12Bに示すように、本実施形態での燃料タンクT31では、インナーピンチ発生懸念領域K3(図12A参照)の左右両側にインナーピンチ抑制凹部231を設けることで、インナーピンチQが発生するのを抑制している。インナーピンチ抑制凹部231のタンク本体T31a内部方向への突出量は、ビード形状部25の突出量よりも小さい。つまり、インナーピンチ抑制凹部231の深さは、ビード形状部25の深さに比べて浅くなっている。なお、第1実施形態の変形例と同様に、インナーピンチ発生懸念領域K3の片側にのみインナーピンチ抑制凹部231を配置してもよい。
以上説明した第3実施形態に係る燃料タンクT31によれば、第1実施形態に係る燃料タンクT11と同様の効果を奏する。
≪第4実施形態に係る燃料タンク≫
第4実施形態では、比較例となる燃料タンクの構造として、図13Aに示すものを想定する。つまり、比較例となる燃料タンクT40のタンク本体T40aの上壁12には、前後方向に並設された二つの突き当て部21と、突き当て部21の間に配置されたビード形状部26とが形成されている。
ビード形状部26の前端部26aは、前側の突き当て部21の近くまで到達しており、また、ビード形状部26の後端部26bは、後側の突き当て部21の近くまで到達している。タンク本体T40aでは、ビード形状部26の前端部26aと前側の突き当て部21との間およびビード形状部26の後端部26bと後側の突き当て部21との間が、インナーピンチQが発生する懸念のあるインナーピンチ発生懸念領域K4となる。つまり、ビード形状部26(ビード形状部26に対応する成形型の突出部分)および突き当て部21(突き当て部21に対応する成形型の突出部分)がパリソンSの伸びを阻害する起点となり、第1実施形態と同様の原理によってインナーピンチQが発生する。
図13Bに示すように、本実施形態での燃料タンクT41では、インナーピンチ発生懸念領域K4(図13A参照)の左右両側にインナーピンチ抑制凹部331を設けることで、インナーピンチQが発生するのを抑制している。インナーピンチ抑制凹部331のタンク本体T41a内部方向への突出量は、ビード形状部26や突き当て部21の凹部22,23の突出量よりも小さい。つまり、インナーピンチ抑制凹部331の深さは、ビード形状部26や突き当て部21の凹部22,23の深さに比べて浅くなっている。なお、第1実施形態の変形例と同様に、インナーピンチ発生懸念領域K4の片側にのみインナーピンチ抑制凹部331を配置してもよい。
以上説明した第4実施形態に係る燃料タンクT41によれば、第1実施形態に係る燃料タンクT11と同様の効果を奏する。
≪第5実施形態に係る燃料タンク≫
第5実施形態では、比較例となる燃料タンクの構造として、図14Aに示すものを想定する。つまり、比較例となる燃料タンクT50のタンク本体T50aの上壁12には、前後方向に並設された二つの突き当て部21が形成されている。二つの突き当て部21は、短い間隔で配置されている。タンク本体T50aでは、二つの突き当て部21の間が、インナーピンチQが発生する懸念のあるインナーピンチ発生懸念領域K5となる。つまり、二つの突き当て部21(突き当て部21に対応する成形型の突出部分)がパリソンSの伸びを阻害する起点となり、第1実施形態と同様の原理によってインナーピンチQが発生する。
図14Bに示すように、本実施形態での燃料タンクT51では、インナーピンチ発生懸念領域K5(図14A参照)の左右両側にインナーピンチ抑制凹部431を設けることで、インナーピンチQが発生するのを抑制している。インナーピンチ抑制凹部431のタンク本体T51a内部方向への突出量は、突き当て部21の凹部22,23の突出量よりも小さい。つまり、インナーピンチ抑制凹部431の深さは、突き当て部21の凹部22,23の深さに比べて浅くなっている。なお、第1実施形態の変形例と同様に、インナーピンチ発生懸念領域K5の片側にのみインナーピンチ抑制凹部431を配置してもよい。
また、図14Cに示す燃料タンクT52(タンク本体T52a)のように、インナーピンチ抑制凹部431の一部が突き当て部21に重なるように配置されてもよい。図14Cでは、各々の突き当て部21に対して二つのインナーピンチ抑制凹部431を重ねて配置している。各々の突き当て部21に対応する一対のインナーピンチ抑制凹部431は、インナーピンチ発生懸念領域K5(図14A参照)の両側に配置される。なお、インナーピンチ発生懸念領域K5の片側にのみインナーピンチ抑制凹部431を配置してもよい。
また、図14Dに示す燃料タンクT53(タンク本体T53a)や図14Eに示す燃料タンクT54(タンク本体T54a)のように、一方の突き当て部21に対してのみインナーピンチ抑制凹部431を配置してもよい。また、図14Fに示す燃料タンクT55(タンク本体T55a)のように、各々の突き当て部21に対して一つのインナーピンチ抑制凹部431を重ねて配置してもよい。図14Fでは、前側の突き当て部21に対応するインナーピンチ抑制凹部431は、インナーピンチ発生懸念領域K5(図14A参照)の左側に配置され、後側の突き当て部21に対応するインナーピンチ抑制凹部431は、インナーピンチ発生懸念領域K5の右側に配置される。
以上説明した第5実施形態に係る燃料タンクT51~T55によれば、第1実施形態に係る燃料タンクT11と同様の効果を奏する。
≪第6実施形態に係る燃料タンク≫
第6実施形態では、比較例となる燃料タンクの構造として、図15Aに示すものを想定する。つまり、比較例となる燃料タンクT60のタンク本体T60aの上壁12には、前後方向に延設されたビード形状部27が形成されている。
ビード形状部27は、壁部を直線状に凹ませたものであり、溝形状を呈する。ビード形状部27は、曲線状となる部位を含んでいてもよい。ビード形状部27の先端は、下壁11に接触していない。ビード形状部27の前端部27aは、前側の第一側壁13の近くまで到達しており、また、後端部27bは、後側の第二側壁14の近くまで到達している。タンク本体T60aでは、ビード形状部27の前端部27aと第一側壁13との間および後端部27bと第二側壁14との間が、インナーピンチQが発生する懸念のあるインナーピンチ発生懸念領域K6,K6となる。つまり、ビード形状部27(ビード形状部27に対応する成形型の突出部分)がパリソンSの伸びを阻害する起点となり、第1実施形態と同様の原理によってインナーピンチQが発生する。
図15Bに示すように、本実施形態でのタンク本体T61aでは、インナーピンチ発生懸念領域K6(図15A参照)の左右両側にインナーピンチ抑制凹部531,531をそれぞれ設けることで、インナーピンチQが発生するのを抑制している。インナーピンチ抑制凹部531のタンク本体T61a内部方向への突出量は、ビード形状部27の突出量よりも小さい。つまり、インナーピンチ抑制凹部531の深さは、ビード形状部27の深さに比べて浅くなっている。なお、第1実施形態の変形例と同様に、インナーピンチ発生懸念領域K6の片側にのみインナーピンチ抑制凹部531を配置してもよい。
以上説明した第6実施形態に係る燃料タンクT61によれば、第1実施形態に係る燃料タンクT11と同様の効果を奏する。
以上発明の各実施形態およびその変形例について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。
例えば、各実施形態ではタンク本体の上壁12にインナーピンチ抑制凹部31,131,231,331,431,531を設けていたが、上壁12に代えて又は上壁12とともに下壁11にインナーピンチ抑制凹部31,131,231,331,431,531を設けてもよい。
また、各実施形態では、凹形状部の一例として、突き当て部21を構成する凹部22,23およびビード形状部24,25,26,27を示したが、凹形状部は他の形状であってもよい。
T11 燃料タンク
T11a タンク本体
11 下壁(壁部)
12 上壁(壁部)
13 第一側壁(立壁,壁部)
14 第二側壁(立壁,壁部)
15 第三側壁(立壁,壁部)
16 第四側壁(立壁,壁部)
21 突き当て部
22,23 凹部(凹形状部)
24,25,26,27 ビード形状部(凹形状部)
31,131,231,331,431,531 インナーピンチ抑制凹部
2,3,902,903 成形型
2a,3a,902a,903a 成形面
2j,3j 突当成形部
2k インナーピンチ抑制凸部
K1,K2,K3,K4,K5,K6 インナーピンチ発生懸念領域
S パリソン
Q インナーピンチ

Claims (3)

  1. タンク本体から連続してなり内側へ突出した凹形状部を有する燃料タンクであって、
    前記タンク本体の立壁と前記凹形状部との間、又は、二つの前記凹形状部の間において成形時にインナーピンチが発生する懸念のあるインナーピンチ発生懸念領域の少なくとも片側に配置され、前記凹形状部の突出量よりも小さい突出量を有するインナーピンチ抑制凹部を備える、
    ことを特徴とする燃料タンク。
  2. 前記凹形状部は、対向する壁部を凹ませて底部同士を接合した突き当て部を構成する凹部、又は、波消しあるいは変形抑制を意図して形成されたビード形状部である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料タンク。
  3. 前記インナーピンチ抑制凹部は、インナーピンチ発生懸念領域の両側に配置される、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料タンク。
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