JP7480900B2 - 容器 - Google Patents

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Description

本発明は、容器に関する。
従来から、同時に配合すると経時変化を起こすような不安定な各種薬剤(液剤、粉末若しくは固形剤)を個別に収納する複数の収納室を備えた医療用複室容器及びこれに取り付けられる開封防止部材に関する発明が知られている(下記特許文献1を参照)。
特許文献1に記載された医療用複室容器は、薬剤を収納する複数の収納室及び前記各収納室間を仕切る仕切り用封止部を備えた容器本体と、当該容器本体に取り付けられ前記収納室から薬剤を排出する開口を有する薬剤排出部とを備えている。前記仕切り用封止部は、使用に際して前記各収納室を連通させるように開封可能に構成されている。
この従来の医療用複室容器は、前記薬剤排出部に取り付けられて前記開口を塞ぐ開封防止部材を備えている。当該開封防止部材は、前記開口を塞ぐ本体部と、当該本体部に連結され前記収納室を挟持する一対の挟持部と、当該一対の挟持部の挟持状態を保持する保持手段とを備えている。この医療用複室容器は、前記収納室内の圧力が高まると前記保持手段による挟持状態が解除され、前記開封防止部材が前記薬剤排出部から離脱可能となる(同文献、請求項1等を参照)。
特開2005-305136号公報
前記特許文献1に記載された医療用複室容器は、収納室から薬剤を排出する開口を塞ぐ開封防止部材の一対の挟持部によって収納室を挟持するように構成されている。このように、容器本体の一部を挟持すると、容器本体に負荷が掛かり、容器本体が損傷するおそれがある。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、封止するときに損傷を防止することができ、かつ容易に開封することができる容器を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の容器は、内容物が充填される容器であって、前記内容物を収容する本体部と、該本体部の内部に連通する流路を形成するとともに該流路を狭窄して閉鎖可能な可撓性を有する流路形成部と、を備え、前記流路形成部は、互いに対向する部分が剥離可能に接合された剥離可能部を有し、前記剥離可能部により前記流路が狭窄されて閉鎖されていることを特徴とする。
前記構成により、流路形成部の互いに対向する部分を剥離可能に接合して剥離可能部を形成することで、流路形成部によって形成された流路が狭窄されて閉鎖され、容器を封止することができる。そのため、容器を封止するときに、前記従来の医療用複室容器のように容器本体を機械的に挟持する一対の挟持部を用いる必要がなく、容器の損傷を防止することができる。
また、剥離可能部は、流路形成部の互いに対向し剥離可能に接合された部分である。そのため、流路形成部の互いに対向し接合された部分に、互いに離れる方向の力が加えられ、その力が流路形成部の互いに対向する部分を剥離可能な力に達したときに、流路形成部の互いに対向する部分が分離し、剥離可能部が剥離された状態になる。剥離可能部が剥離された状態では、剥離可能部によって狭窄されて閉鎖されていた流路が開通する。すなわち、流路形成部の互いに対向する部分に対して互いに離れる方向の力を加えるだけで、剥離可能部を剥離させ、本体部の内部に連通する流路を開通させることができる。したがって、容器の開封を容易にすることができる。
本発明の分配装置は、前記容器と、前記容器の前記流路形成部に接続され、前記流路に連通するチューブと、前記チューブを介して前記容器の内部に前記内容物を圧送する圧送部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、封止するときに損傷を防止することができ、かつ容易に開封することができる容器を提供することができる。
本発明に係る容器の実施の形態の一例を示す概略的な正面図。 図1Aの1B-1B線に沿う拡大断面図。 図1Aに示す容器の変形例を示す概略的な正面図。 図1Cの1D-1D線に沿う拡大断面図。 図1Aに示す容器の変形例を示す拡大図。 図1Aに示す容器の変形例を示す拡大図。 図1Aに示す容器の変形例を示す拡大図。 図1Aに示す容器の変形例を示す拡大図。 図1Aに示す容器の変形例を示す拡大図。 図1Bに示す容器の変形例を示す拡大図。 図1Bに示す容器の変形例を示す拡大図。 図1Bに示す容器の変形例を示す拡大図。 図1Bに示す容器の変形例を示す拡大図。 図1Bに示す容器の変形例を示す拡大図。 本発明に係る分配装置の実施の形態の一例を示す概略図。
以下、図面を参照して本発明に係る容器および分配装置の実施の形態を説明する。以下では、まず、容器の実施の形態を説明し、次に、分配装置の実施の形態を説明する。
(容器)
図1Aは、本発明に係る容器の実施の形態の一例を示す概略的な正面図である。図1Bは、図1Aの1B-1B線に沿う拡大断面図である。図1Cは、図1Aに示す容器10の変形例を示す概略的な正面図である。図1Dは、図1Cの1D-1D線に沿う拡大断面図である。本実施形態の容器10は、たとえば、医薬品分野において、細胞や薬剤を含む懸濁液を収容するため容器である。なお、容器10は、医療分野に限定されず、たとえば、調味料や飲料を含む食品を収容する食品分野などの多岐の用途に用いることができる。
本実施形態の容器10は、たとえば、液状物や粒状物などの流動性を有する内容物が無菌状態で充填される無菌充填用の容器である。ここで、無菌状態とは、容器10や、その容器10に内容物を分配する分配装置100(図4参照)、および内容物などに対する滅菌処理が施された状態や、菌などの汚染源の侵入が防止された状態などを含む。容器10は、内容物を凍結保存する観点から、凍結耐性を有する素材によって構成されていることが好ましい。また、容器10は、滅菌処理を行う観点から、γ線滅菌耐性を有する素材によって構成されていることが好ましい。
図1Aから図1Dに示す本実施形態の容器10は、前述のように内容物が、無菌状態で充填される。容器10は、主に、本体部11と、流路形成部13と、を備えている。本体部11は、内容物を収容するための部分である。流路形成部13は、本体部11の内部に連通する流路12を形成するとともに、その流路12を狭窄して閉鎖可能な可撓性を有している。流路形成部13は、流路形成部13の互いに対向して剥離可能に接合された剥離可能部14を有している。本実施形態の容器10は、剥離可能部14により流路12が狭窄されて閉鎖されている。容器10は、剥離可能部14が接合された状態で流路12が狭窄されて閉鎖された状態になり、剥離可能部14が剥離された状態で流路12が開通している状態になる。以下、本実施形態の容器10の各部の構成について、さらに詳細に説明する。
本体部11は、内容物を収容するための部分であり、袋状、筒状、箱状などの任意の形状を有することができる。図1Aおよび図1Cに示す例において、本体部11は、可撓性を有する袋状のバッグであり、たとえば、二枚の樹脂フィルムを重ねて周縁部を溶着することによって周縁部が封止されている。また、本体部11は、樹脂フィルム製の可撓性を有するバッグに限定されず、所定の形状を維持可能な剛性を有してもよい。本体部11は、たとえば、内容物を充填するための入口ポート16、充填された内容物を排出するための出口ポート17を含む、各種のポートを有することができる。
流路形成部13は、内容物が収容される本体部11の内部に連通する流路12を形成するとともに、その流路12を狭窄して閉鎖可能な可撓性を有している。図1Aおよび図1Bに示す例において、流路形成部13は、たとえば、本体部11を構成する二枚の樹脂フィルムを、おおむね矩形の本体部11の周縁部の一側から、その周縁部の一側に直交する方向に延出させ、その周縁部の一側に沿う方向の両側部を溶着することによって形成されている。図1Cおよび図1Dに示す例において、流路形成部13は、たとえば、本体部11を構成する二枚の樹脂フィルムの周縁部の間に可撓性を有する樹脂製のチューブを挟み、二枚の樹脂フィルムの周縁部を溶着することによって形成されている。
剥離可能部14は、流路形成部13の互いに対向して剥離可能に接合された部分である。図1Aおよび図1Bに示す例において、剥離可能部14は、流路形成部13を構成する2枚の樹脂フィルムを熱溶着することによって、二枚の樹脂フィルムの互いに対向する内面12aの一部が剥離可能に接合されている。剥離可能部14は、流路形成部13の流路12を横断するように、二枚の樹脂フィルムの互いに対向する内面12aを接合することで帯状に形成される。このように、剥離可能部14が接合されている状態で、流路形成部13の流路12は、狭窄されて閉鎖された状態になっている。
図1Cおよび図1Dに示す例において、剥離可能部14は、流路形成部13を構成する樹脂製のチューブの一部を外側から加圧して狭窄して熱溶着することで、互いに対向するチューブの内壁の一部が剥離可能に接合されている。剥離可能部14は、流路形成部13の流路12を横断するように、径方向両側からチューブを挟んで加圧した状態で流路12の内面12aを接合することで、帯状に形成される。このように、剥離可能部14が接合されている状態で、流路形成部13の流路12は、狭窄されて閉鎖された状態になっている。
剥離可能部14は、たとえば、熱溶着によって形成する場合、流路形成部13の素材を適切に選定し、形成時の加圧力、加熱温度、加熱時間などを適切に選定することで、接合された部材を剥がすように所定の力が作用したときに、剥離させることができる。具体的には、流路形成部13の素材としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体を用いることができる。剥離可能部14の形成時の条件としては、たとえば、富士インパルス製ヒートシーラー(FA-300-10W)により120μm厚のポリエチレンフィルムを、200℃で0.6秒間プレスする条件を採用することができる。剥離可能部14が剥離されている状態で、流路形成部13の流路12は、狭窄が解除されて開通した状態になる。なお、剥離可能部14の形成方法は、溶着に限定されず、適切な接着剤を用いて、流路形成部13の互いに対向する部分を接着することによって形成してもよい。接着剤としては、たとえば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤を用いることができる。
容器10は、剥離可能部14が接合された状態で、本体部11の内部に収容され、本体部11の外部からの加圧によって前記流路12の内圧を上昇させる剥離用媒体Mを備えてもよい。剥離用媒体Mとしては、無菌フィルターを通したり滅菌処理したりすることで無菌状態にされた空気、その他のガス、または水などの液体を用いることができる。
図2Aおよび図2Bは、図1Aに示す容器10の変形例を示す拡大図である。図2Aおよび図2Bに示す例において、剥離可能部14は、流路12を横断するように形成され、流路12に沿う方向の幅が部分的に狭くされた剥離開始部14aを有している。図2Aに示す例では、剥離開始部14aは、流路12の幅方向のおおむね中央部に形成され、剥離可能部14の流路12に沿う方向の幅は、流路12の幅方向両端部よりも幅方向中央部において減少している。換言すると、剥離可能部14の接合面積は、流路12の幅方向両端部よりも幅方向中央部において減少している。図2Bに示す例では、剥離開始部14aは、流路12の幅方向の一端に形成され、剥離可能部14の流路12に沿う方向の幅は、流路12の幅方向の他端よりも幅方向の一端において減少している。換言すると、剥離可能部14の接合面積は、流路12の幅方向の他端よりも幅方向の一端において減少している。
図2Cは、図1Aに示す容器10の変形例を示す拡大図である。図2Cに示す例において、流路形成部13は、流路12を狭窄して閉鎖する四つの襞13eが流路12の中心12cから放射状に設けられている。剥離可能部14は、流路形成部13の襞13eにおいて互いに対向する流路12の内面12aが剥離可能に接合されて形成されている。なお、剥離可能部14は、四つの襞13eのすべてに形成してもよいが、互いに反対方向に突出する2つの襞13eのみに形成してもよい。2つの襞13eのみに剥離可能部14を形成する場合、流路形成部13の幅方向の両端の溶着された部分を有する襞13eに剥離可能部14を形成することが好ましい。
図2Dは、図1Aに示す容器10の変形例を示す拡大図である。図2Dに示す例において、流路形成部13は、剥離可能部14を剥離させる方向に延出した一対の剥離用把持部13dを有している。一対の剥離用把持部13dは、たとえば、剥離可能部14を形成する流路12の互いに対向する内面12aが対向する方向において、互いに反対方向に延びている。剥離用把持部13dは、たとえば、流路形成部13の外面13fに剥離しないように接合され、または、流路形成部13と一体に形成された樹脂フィルムなどによって形成することができる。
図2Eは、図1Aに示す容器10の変形例を示す拡大図である。図2Aから図2Dに示す例では、剥離可能部14は、流路12の互いに対向する内面12aが剥離可能に接合された部分である。しかし、図2Eに示す例では、流路形成部13は、流路12を狭窄するように折り返されており、剥離可能部14は、折り返された流路形成部13の互いに対向する外面13fが剥離可能に接合された部分である。この例において、剥離可能部14は、熱溶着によって形成してもよいが、接着剤によって折り返された流路形成部13の互いに対向する外面13fを剥離可能に接合して形成することもできる。接着剤としては、たとえば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤を用いることができる。
図3Aは、図1Cに示す容器10の変形例を示す拡大図である。図3Aに示す例において、流路形成部13は、肉厚が部分的に薄くされた薄肉部13aを有している。薄肉部13aは、樹脂製のチューブの成形時に形成してもよいが、機械加工によって形成してもよい。剥離可能部14は、たとえば、薄肉部13aを径方向両側から加圧して流路形成部13の流路12を狭窄した状態で、薄肉部13aにおいて互いに対向する流路12の内面12aを剥離可能に接合することによって、薄肉部13aに形成されている。
図3Bは、図1Cに示す容器10の変形例を示す拡大図である。図3Bに示す例において、流路形成部13は、本体部11に接続された基端部13bと、この基端部13bに接続された複数の分岐部13cとを有している。図3Bに示す例において、分岐部13cは二本であるが、分岐部13cを三本以上にすることもできる。剥離可能部14は、分岐部13cごとに設けられ、各分岐部13cにおいて、流路形成部13の流路12を狭窄して閉鎖している。なお、分岐部13cは、基端部13bと同一の素材で一体に成形されて基端部13bに接続するようにしてもよいし、コネクタ等を用いて基端部13bに接続するようにしてもよい。
図3Cは、図1Cに示す容器10の変形例を示す拡大図である。図3Cに示す例において、容器10は、流路形成部13の流路12を横断するように形成された一対の剥離可能部14を有している。この一対の剥離可能部14が接合されている状態では、一対の剥離可能部14の間は、閉鎖された空間となっている。図3Cに示す例において、容器10は、この一対の剥離可能部14の間で流路12に封入され、流路形成部13の外部からの加圧によって一対の剥離可能部14の間の流路12の内圧を上昇させる剥離用媒体Mを備えている。この剥離用媒体Mとしては、前述のように、無菌状態にされた空気、その他のガス、または水などの液体を用いることができる。
図3Dおよび図3Eは、図1Cに示す容器10の変形例を示す拡大図である。図3Dおよび図3Eに示す例において、容器10は、流路12の内部に剥離可能部14に向けて突出する突出部15を有している。突出部15は、たとえば、樹脂を素材として剛性を有する棒状に形成することができる。突出部15は、本体部11または流路形成部13に固定されている。
より詳細には、図3Dに示す例において、流路形成部13は、図1Aに示す本体部11に接続された基端部と反対側の先端部に筒状のポートとして入口ポート16を有している。突出部15は、入口ポート16に一体に設けられ、入口ポート16の流路12に挿入された部分から流路12に沿って剥離可能部14に向けて延びている。入口ポート16と反対側の突出部15の先端部は、剥離可能部14に隣接して配置されている。また、図3Eに示す例において、突出部15は、たとえば、図1Cに示す本体部11の流路形成部13が設けられた一側と反対側の一側に基端部が固定され、先端部が流路形成部13によって形成された流路12まで延びて剥離可能部14に隣接して配置されている。すなわち、図3Eに示す例において、突出部15の一端となる基端部は、図1Cに示す本体部11のポート17が設けられた縁部側に固定され、突出部15の他端となる先端部は、剥離可能部14に隣接して配置されている。
図3Aから図3Eに示す例において、剥離可能部14は、流路12の互いに対向する内面12aが剥離可能に接合された部分である。しかし、図1Cおよび図1Dに示すように、流路形成部13が可撓性を有するチューブによって形成されている場合にも、図2Eに示すように、流路形成部13は、流路12を狭窄するように折り返され、剥離可能部14は、折り返された流路形成部13の互いに対向する外面13fが剥離可能に接合された部分であってもよい。
以下、本実施形態の容器10の作用について説明する。
本実施形態の容器10は、前述のように、内容物が無菌状態で充填される容器10である。容器10は、内容物を収容する本体部11と、この本体部11の内部に連通する流路12を形成するとともにその流路12を狭窄して閉鎖可能な可撓性を有する流路形成部13と、この流路形成部13の互いに対向し剥離可能に接合された部分である剥離可能部14と、を備えている。容器10は、剥離可能部14が接合された状態で流路12が狭窄されて閉鎖されており、剥離可能部14が剥離された状態で流路12が開通している。
このように、流路形成部13の互いに対向する部分を剥離可能に接合して剥離可能部14を形成することで、たとえば、図1Aから図1D、図2Aから図2E、ならびに図3Aから図3Eに示したように、流路形成部13によって形成された流路12が狭窄されて閉鎖され、容器10を封止することができる。そのため、容器10を封止するときに、従来の医療用複室容器のように容器本体を機械的に挟持する一対の挟持部を用いる必要がなく、容器10の損傷を防止することができる。
また、剥離可能部14は、流路形成部13の互いに対向し剥離可能に接合された部分である。より具体的には、剥離可能部14は、たとえば、図1Aから図1D、図2Aから図2D、ならびに図3Aから図3Eに示したように、流路12の内面12aの互いに対向し剥離可能に接合された部分や、図2Eに示したように、流路形成部13の外面13fなどの互いに対向し剥離可能に接合された部分である。
そのため、流路形成部13の互いに対向し接合された部分に、互いに離れる方向の力が加えられ、その力が流路形成部13の互いに対向する部分を剥離可能な力に達したときに、流路形成部13の互いに対向する部分が分離し、剥離可能部14が剥離された状態になる。剥離可能部14が剥離された状態では、剥離可能部14によって狭窄されて閉鎖されていた流路12が開通する。すなわち、流路形成部13の互いに対向する部分に対して互いに離れる方向の力を加えるだけで、剥離可能部14を剥離させ、本体部11の内部に連通する流路12を開通させることができる。したがって、容器10の開封を容易にすることができる。
剥離可能部14は、たとえば、図2Aおよび図2Bに示したように、流路12を横断するように形成され、流路12に沿う方向の幅が部分的に狭くされた剥離開始部14aを有することができる。これにより、流路12を横断する方向において、剥離可能部14の他の部分よりも流路12に沿う方向の幅が小さい剥離開始部14aが容易に剥離する。換言すると、流路12を横断する方向において、剥離可能部14の他の部分よりも接合面積が小さい剥離開始部14aが容易に剥離する。そのため、剥離開始部14aを起点として、剥離可能部14の剥離を促進させ、剥離可能部14の全体を容易に剥離させることができる。したがって、容器10の開封を容易にすることができる。
なお、剥離開始部14aは、流路12を横断する方向において、剥離可能部14の接着強度を部分的に低下させて形成してもよい。この場合、流路12を横断する方向において、剥離可能部14の流路12に沿う方向の幅は、一様であってもよい。これにより、図2Aおよび図2Bに示す例と同様に、剥離可能部14の他の部分よりも接着強度が低い剥離開始部14aを起点として、剥離可能部14の剥離を促進させ、剥離可能部14の全体を容易に剥離させることができる。
流路形成部13は、たとえば、図3Aに示したように、肉厚が部分的に薄くされた薄肉部13aを有し、剥離可能部14は、薄肉部13aに形成される。このように、薄肉部13aは、流路形成部13の他の部分よりも肉厚が薄くされているため、剥離可能部14を薄肉部13aに形成することで、流路12を狭窄して閉鎖することが容易になり、剥離可能部14を容易に形成することができる。したがって、剥離可能部14の形成時に、流路形成部13を狭窄するのに必要な力を小さくして、容器10の損傷を防止することができる。
流路形成部13は、たとえば、図3Bに示したように、本体部11に接続された基端部13bと、基端部13bに接続された複数の分岐部13cとを有し、剥離可能部14は、分岐部13cごとに設けられている。これにより、流路形成部13によって分岐された流路12を形成することができ、分岐された流路12を介して異なる内容物を本体部11に収容することが可能になる。また、各分岐部13cの剥離可能部14を剥離させることで、分岐した流路12をそれぞれ容易に開通させることができる。したがって、容器10の開封を容易にすることができる。なお、各分岐部13cの剥離可能部14の接合力を変化させ、剥離容易性を異ならせてもよい。これにより、各分岐部13cの流路12を順次開通させることが可能になる。
容器10は、たとえば、図1Aから図1Dに示したように、剥離可能部14が接合された状態で、本体部11の内部に収容され、本体部11の外部からの加圧によって流路12の内圧を上昇させる剥離用媒体Mを備えている。これにより、本体部11の外部から本体部11の内部に収容された剥離用媒体Mを加圧することで、流路12の内圧が上昇し、流路形成部13の互いに対向し接合された部分に互いに離れる方向の力を作用させ、剥離可能部14を剥離させることができる。したがって、容器10の開封を容易にすることができる。
容器10は、たとえば、図3Cに示したように、流路12を横断するように形成された一対の剥離可能部14と、一対の剥離可能部14の間で流路12に封入され、流路形成部13の外部からの加圧によって一対の剥離可能部14の間の流路12の内圧を上昇させる剥離用媒体Mと、を備えている。これにより、流路形成部13の外部から剥離可能部14の間の流路12に封入された剥離用媒体Mを加圧することで、流路12の内圧が上昇し、流路形成部13の互いに対向し接合された部分に互いに離れる方向の力を作用させ、剥離可能部14を剥離させることができる。したがって、容器10の開封を容易にすることができる。
流路形成部13は、たとえば、図2Dに示したように、剥離可能部14を剥離させる方向に延出した一対の剥離用把持部13dを有してもよい。これにより、一対の剥離用把持部13dを把持して互いに反対方向に引っ張ることで、流路形成部13の互いに対向し接合された部分である流路12の内面12aに互いに離れる方向の力を作用させ、剥離可能部14を剥離させることができる。したがって、容器10の開封を容易にすることができる。
流路形成部13は、たとえば、図2Cに示したように、流路12を狭窄して閉鎖する四つの襞13eが流路12の中心12cから放射状に設けられている。この場合、前述のように、剥離可能部14は、流路形成部13の襞13eにおいて互いに対向する流路12の内面12aが剥離可能に接合されて形成されている。これにより、四つの襞13eのうち、互いに隣接しない二つの襞13eを、互いに反対方向に引っ張ることで、他の二つの襞13eの互いに対向し接合された流路12の内面12aに互いに離れる方向の力を作用させ、剥離可能部14を剥離させることができる。したがって、容器10の開封を容易にすることができる。
容器10は、たとえば、図3Dおよび図3Eに示したように、流路12の内部に剥離可能部14に向けて突出する突出部15を有している。この場合、突出部15は、本体部11または流路形成部13に固定されている。これにより、流路形成部13または本体部11を撓ませて、突出部15を剥離可能部14へ押し込み、流路形成部13の互いに対向し接合された部分に互いに離れる方向の力を作用させ、剥離可能部14を剥離させることができる。したがって、容器10の開封を容易にすることができる。
流路形成部13は、たとえば、図3Dに示したように、本体部11と反対側の先端部に筒状のポートとして入口ポート16を有し、突出部15は、入口ポート16に設けられている。これにより、流路形成部13を撓ませて、流路形成部13の先端部の入口ポート16に設けられた突出部15を剥離可能部14へ押し込み、流路形成部13の互いに対向し接合された部分に互いに離れる方向の力を作用させ、剥離可能部14を剥離させることができる。したがって、容器10の開封を容易にすることができる。
剥離可能部14は、たとえば、図1Aから図1D、図2Aから図2D、ならびに図3Aから図3Eに示すように、流路12の互いに対向する内面12aが剥離可能に接合された部分である。これにより、流路形成部13の互いに対向し接合された部分に互いに離れる方向の力を作用させることで、剥離可能に接合された流路12の互いに対向する内面12aを剥離させ、剥離可能部14によって狭窄されていた流路12を開通させることができる。したがって、容器10の開封を容易にすることができる。
流路形成部13は、たとえば、図2Eに示すように、流路12を狭窄するように折り返されている。この場合、剥離可能部14は、折り返された流路形成部13の互いに対向する外面13fが剥離可能に接合された部分である。これにより、流路形成部13の折り返された部分を元に戻すように力を加えることで、折り返された流路形成部13の互いに対向して接合された外面13fが剥離し、流路形成部13の折り返された部分が伸ばされて元に戻り、流路12の狭窄が解除されて流路12が開通する。したがって、容器10の開封を容易にすることができる。
前記容器10は、凍結耐性を有する素材によって構成されている場合には、容器10に内容物を収容した状態で、内容物を凍結させることができる。また、容器10が、γ線滅菌耐性を有する素材によって構成されている場合には、容器10をガンマ線滅菌することができ、無菌状態にすることができる。
以上説明したように、本実施形態の容器10は、本体部11と流路形成部13と剥離可能部14とを備え、剥離可能部14が接合された状態で流路12が狭窄されて閉鎖された状態になり、剥離可能部14が剥離された状態で流路12が開通している状態になる。したがって、本実施形態によれば、封止するときに損傷を防止することができ、かつ容易に開封することができる容器10を提供することができる。
(分配装置)
図4は、本発明に係る分配装置の実施の形態の一例を示す概略構成図である。本実施形態の分配装置100は、たとえば、10個以上の複数の容器10に内容物を分配する用途に適しており、たとえば、100個以上の複数の容器10に対する内容物の分配を想定している。本実施形態の分配装置100は、上述の複数の容器10と、前記容器10の前記流路形成部13に接続され、その容器10に内容物を分配するチューブ20と、そのチューブ20を介して内容物を圧送する圧送部40と、を備える。
チューブ20は、たとえば、一端が内容物を供給する供給元30に接続され、他端が複数に分岐されて個々の容器10のポートに接続されている。圧送部40は、たとえば、チューブ20を外側から加圧して内容物を圧送する蠕動ポンプなど、内容物を無菌的に圧送するのに適したポンプを用いることができる。また、チューブ20の分岐や容器10のポートは、開閉可能なバルブを有することができる。
分配装置100は、複数の容器10を備えることで、内容物の供給元30からチューブ20を介して各容器10に内容物を供給するときに、容器10の開封を容易にして、効率よく内容物を分配することができる。また、容器10を封止するときに本体部11や流路形成部13を機械的に挟持する一対の挟持部を用いる必要がないので、容器10の損傷が防止され、本体部11に収容される内容物の品質低下を防止することができる。
より詳細には、圧送部40から圧送される内容物の圧力で容器10の剥離可能部14を剥離させて流路形成部13の流路12を開通させ、容器に内容物を充填することができる。また、容器10内へ内容物を圧送する前段階で本体部11を圧迫し、剥離用媒体Mの圧力を上昇させることで、剥離可能部14を剥離させて流路形成部13の流路12を開通させることができる。また、図2Cから図2Eに示す態様により、容器10内へ内容物を圧送する前段階で、流路形成部13に引張力を加えて剥離可能部14を剥離させ、流路形成部13の流路12を開通させることができる。また、図3Dおよび図3Eに示す態様により、突出部15を剥離可能部14へ押し込み、流路形成部13の互いに対向し接合された部分に互いに離れる方向の力を作用させ、剥離可能部14を剥離させることができる。したがって、容器10の開封を容易にすることができる。
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
たとえば、前述の実施形態において図1Aに示す容器の変形例として示した図2Aから図2Eに示す変形例は、図1Cに示す容器の変形例としても採用することができる。同様に、前述の実施形態において図1Cに示す容器の変形例として示した図3Aから図3Eに示す変形例は、図1Aに示す容器の変形例としても採用することができる。
また、前述の実施形態では、流路形成部を外部から挟持して流路を閉鎖する挟持部を備えない構成について説明した。しかし、流路形成部や本体部の損傷を防止できるものであれば、容器は挟持部を備えてもよい。
具体的には、容器は、挟持部によって挟持されることで流路が閉鎖される追加の流路形成部を有してもよい。この場合、追加の流路形成部は、挟持部が取り付けられる部分において、流路を横断する方向の寸法が小さくされていてもよい。また、挟持部が脱落しないように、挟持部の一部を本体部に取り付けてもよい。また、追加の流路形成部は挟持部を取付けるための目印を有してもよい。また、追加の流路形成部は、前述の剥離可能部が設けられる流路形成部と同様に可撓性を有していてもよい。
10 容器
11 本体部
12 流路
12a 内面
13 流路形成部
13a 薄肉部
13b 基端部
13c 分岐部
13d 剥離用把持部
13e 襞
13f 外面
14 剥離可能部
14a 剥離開始部
15 突出部
16 入口ポート(ポート)
20 チューブ
40 圧送部
100 分配装置
M 剥離用媒体

Claims (3)

  1. 内容物を収容する樹脂フィルム製の本体部と、
    前記本体部の内部に連通する流路を形成する流路形成部と、
    前記流路形成部の互いに対向する部分が前記流路を横断するように剥離可能に接合され、前記流路を狭窄して閉鎖する二つの剥離可能部と、
    前記二つの剥離可能部の間に封入され、前記流路形成部の外部からの加圧によって前記流路の内圧を上昇させて前記二つの剥離可能部を剥離させる剥離用媒体と、
    を備え
    前記本体部は、内容物を充填するための入口ポートと、充填された内容物を排出するための出口ポートとを有し、
    前記二つの剥離可能部は、前記出口ポートよりも前記入口ポートに隣接して設けられていることを特徴とする容器。
  2. 前記内容物は、細胞や薬剤を含む懸濁液、液状物、または粒状物であることを特徴とする請求項1に記載の容器。
  3. 前記剥離用媒体は、気体または液体であることを特徴とする請求項1に記載の容器。
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