JP7480354B2 - 歩行者保護用エアバッグ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のAピラー付近に沿って膨張展開するエアバッグクッションを備えた歩行者保護用エアバッグ装置に関するものである。
近年、車内の乗員を拘束するものとは異なるエアバッグ装置として、車外の歩行者を保護する歩行者保護用エアバッグ装置が開発されている。一般的な歩行者保護用エアバッグ装置は、車両の前部等に設けたセンサが歩行者との接触を検知すると、ウインドシールド等の歩行者の身体が接触するおそれのある部位にフロントフードの下側等からエアバッグクッションが膨張展開する構成となっている。
上記の一般的な構成の歩行者保護用エアバッグ装置以外にも、より局所的な範囲を保護するための歩行者保護用エアバッグ装置も開発されている。例えば、特許文献1に記載の技術では、図7に例示されているように、エアバッグクッションが車両のフロントフードの車幅方向の端部それぞれからAピラーに沿って車両前後方向に長尺な形状に膨張展開する構成となっている。当該エアバッグクッションは、図5に例示されているように、フロントフードの端部からAピラーに沿って収容される構成となっている。
中国特許出願公開第109094507号明細書
現在のエアバッグ装置には、エアバッグクッションが迅速かつ円滑に膨張展開できる構成の実現が要請されている。しかしながら、エアバッグクッションは、限られた収容スペースに収まるよう縮小した状態で車両に搭載されるため、複雑な機構等を追加することが難しく、迅速な膨張展開の達成は容易ではない。
本発明は、このような課題に鑑み、簡潔な構成で歩行者を効率よく保護することが可能な歩行者保護用エアバッグ装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかる歩行者保護用エアバッグ装置の代表的な構成は、車両のフロントフードの車幅方向の端部それぞれに収容され、若しくは車両の左右のAピラーそれぞれに収容され、またはフロントフードの車幅方向の端部それぞれからAピラーにかけて収容され、少なくともAピラーに沿って車両前後方向に長尺な形状に膨張展開するエアバッグクッションを備えた歩行者保護用エアバッグ装置において、エアバッグクッションは、車幅方向の両端から当該エアバッグクッションの短手方向の中央に向かって巻回または折り畳み、さらに中央でV字形状に谷折りした収容形態となって車両に収容されることを特徴とする。
上記収容形態のエアバッグクッションにおけるV字形状の谷折りとは、車外側から見て谷折りの状態、すなわち車内側に窪むように折られた状態のことである。この構成であれば、エアバッグクッションの膨張展開の初期において、谷折りを解消するときに車外側に向かう挙動が発生するため、エアバッグクッションの収容部を効率よく押しのけて展開することができる。特に、当該エアバッグクッションを利用することで、車両前部のうち剛性の高いフロントフードの角部やAピラーなどを覆い、歩行者等を効率よく保護することが可能となる。また、当該エアバッグクッションであれば、膨張展開しても乗員の視界を遮ることがないため、歩行者および乗員の双方の安全に資することが可能である。
上記のエアバッグクッションは、左右のAピラーの下端部それぞれからAピラーおよびフロントフードの車幅方向の端部それぞれに沿って車両前後方向に延びるよう膨張展開してもよい。この構成によって、車両前部のうち剛性の高いフロントフードの角部からAピラーまでを覆い、歩行者等を効率よく保護することが可能となる。
上記の収容形態のエアバッグクッションは、V字形状の先端が車両の下方を向くように収容されてもよい。この構成によって、エアバッグクッションは効率よく膨張展開することが可能になる。
上記の収容形態のエアバッグクッションは、谷折りを解消するよう短手方向の中央から車幅方向の両側に広がって膨張展開してもよい。この構成によって、エアバッグクッションは効率よく膨張展開することが可能になる。
当該歩行者保護用エアバッグ装置はさらに、車両に設置されて収容形態のエアバッグクッションを収容するハウジングを備え、ハウジングは、車両のAピラー内に設置されて収容形態のエアバッグクッションを収容する本体部と、本体部を封じるリッドと、を有し、リッドは、エアバッグクッションの膨張展開の力で開裂可能な脆弱部を有してもよい。
上記構成によれば、エアバッグクッションから脆弱部に効率よく力を加え、脆弱部を円滑に開裂することが可能になる。
上記の脆弱部は、リッドの車幅方向の中央部近傍に設けられてもよい。この構成によっても、エアバッグクッションから脆弱部に効率よく力を加え、脆弱部を円滑に開裂することが可能になる。
上記のAピラーは、ウインドシールドを車両後方から支持する後方支持部を有し、ハウジングはさらに、本体部から延びて後方支持部とウインドシールドとの間に挿入される緩衝部を有してもよい。
上記構成によれば、ウインドシールドに歩行者等が接触したときの力を緩衝部によって吸収し、歩行者等に与える衝撃をやわらげることが可能となる。
上記課題を解決するために、本発明にかかる歩行者保護用エアバッグ装置の他の代表的な構成は、車両のAピラーを覆うよう膨張展開するエアバッグクッションを備えた歩行者保護用エアバッグ装置において、当該歩行者保護用エアバッグ装置はさらに、Aピラーに沿って設置されてエアバッグクッションを収容するハウジングを備え、ハウジングは、Aピラーに沿って延びてエアバッグクッションを収容する本体部と、本体部の車両外側を封じるリッドと、を有し、エアバッグクッションは、リッド側が谷折りになるようV字形状に折り畳んだ収容形態となってハウジングに収容され、ハウジングはさらに、エアバッグクッションの膨張展開の力で開裂しリッドを開放する脆弱部を有することを特徴とする。
上記構成によっても、エアバッグクッションの膨張展開の初期において、谷折りを解消するときに車外側に向かう挙動を発生させ、ハウジングの脆弱部を効率よく開裂して膨張展開することができる。よって、上記構成によっても、歩行者等を効率よく保護することが可能となる。
上記課題を解決するために、本発明にかかる歩行者保護用エアバッグ装置の他の代表的な構成は、車両のウインドシールドを覆うよう膨張展開するエアバッグクッションを備えた歩行者保護用エアバッグ装置において、当該歩行者保護用エアバッグ装置はさらに、車両のフロントフードの下側のウインドシールド側に設置されてエアバッグクッションを収容するハウジングを備え、ハウジングは、車幅方向に延びてエアバッグクッションを収容する本体部と、本体部の車両後側を封じるリッドと、を有し、エアバッグクッションは、リッド側が谷折りになるようV字形状に折り畳んだ収容形態となってハウジングに収容され、ハウジングはさらに、エアバッグクッションの膨張展開の力で開裂しリッドを開放する脆弱部を有することを特徴とする。
上記構成によっても、エアバッグクッションの膨張展開の初期において、谷折りを解消するときの挙動でハウジングの脆弱部を効率よく開裂させ、当該ハウジングを押しのけて膨張展開することができる。
上記課題を解決するために、本発明にかかる歩行者保護用エアバッグ装置の他の代表的な構成は、車両のウインドシールドを覆うよう膨張展開するエアバッグクッションを備えた歩行者保護用エアバッグ装置において、当該歩行者保護用エアバッグ装置はさらに、車両のウインドシールドの下縁に沿って設置されてエアバッグクッションを収容するハウジングを備え、ハウジングは、車幅方向に延びてエアバッグクッションを収容する本体部と、本体部の上側を封じるリッドと、を有し、エアバッグクッションは、リッド側が谷折りになるようV字形状に折り畳んだ収容形態となってハウジングに収容され、ハウジングはさらに、エアバッグクッションの膨張展開の力で開裂しリッドを開放する脆弱部を有することを特徴とする。
上記構成によっても、エアバッグクッションの膨張展開の初期において、谷折りを解消するときの挙動でハウジングの脆弱部を効率よく開裂させ、当該ハウジングを押しのけて膨張展開することができる。
本発明によれば、簡潔な構成で歩行者を効率よく保護することが可能な歩行者保護用エアバッグ装置を提供可能である。
本発明の実施形態にかかる歩行者保護用エアバッグ装置の概要を例示する図である。 図1(a)のエアバッグクッションが膨張展開する様子を例示した図である。 図1(a)のエアバッグ装置のA-A断面図である。 図2(a)のエアバッグ装置の変形例を例示した図である。 図1(a)のエアバッグ装置の第2変形例を例示した図である。 図5のエアバッグクッションが膨張展開する様子を例示した図である。 本発明の第2実施形態にかかる歩行者保護用エアバッグ装置の概要を例示した図である。 図7(a)のエアバッグクッションが膨張展開する様子を例示した図である。 本発明の第3実施形態にかかる歩行者保護用エアバッグ装置の概要を例示した図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本発明の実施形態にかかる歩行者保護用エアバッグ装置100の概要を例示する図である。図1(a)は歩行者保護用エアバッグ装置100の作動前の車両102を例示した図であり、図1(b)は歩行者保護用エアバッグ装置100の作動時の車両102を例示した図である。これら図1その他の各図においては、車両前後方向をそれぞれ矢印F(Forward)、B(Back)、車幅方向の左右をそれぞれ矢印L(Left)、R(Right)、車両上下方向をそれぞれ矢印U(up)、D(down)で例示する。
図1(a)に例示するように、本実施形態の歩行者保護用エアバッグ装置100(エアバッグ装置100a、100b)は、車両102のAピラー110a、110bに沿って、左右一対設けられている。当該歩行者保護用エアバッグ装置100は、エアバッグクッション112a、112b(図1(b)参照)を利用して、車両前部のなかでも剛性の高いフロントフード104付近の車幅方向の角部104a、104bからAピラー110a、110bにかけて覆い、これら部位への歩行者等の接触を防ぐ。
歩行者保護用エアバッグ装置100は、エアバッグクッション112a、112bを収容するハウジング114a、114bを備えている。ハウジング114a、114bは、主に樹脂で形成された長尺な箱状の容器であり、フロントフード104の車幅方向の端部近傍(角部104a、104b付近)それぞれからAピラー110a、110bに沿って設けられている。これらハウジング114a、114bには、エアバッグクッション112a、112bと共に、ガスを供給するインフレータ等も収容される。
また、車両には、他の歩行者保護用エアバッグ装置として、エアバッグ装置116も備えられている。エアバッグ装置116は、フロントフード104の下側に設置されたハウジングにエアバッグクッション(図示省略)が収容されていて、そこからエアバッグクッションがウインドシールド108に向かって膨張展開する構成となっている。
歩行者保護用エアバッグ装置100は、例えばフロントバンパ106付近の内部など、歩行者の脚部等が接触しやすい箇所に不図示のセンサを備えている。センサが歩行者との接触を検知すると、制御部等を介してガス発生装置である不図示のインフレータに稼動信号が送信され、図1(b)のようにエアバッグクッション112a、112bが膨張展開する仕組みとなっている。
図1(b)に例示するエアバッグクッション112a、112bは、左右のAピラー110a、110bそれぞれの下端部付近から、Aピラー110a、110bおよびフロントフード104の車幅方向の端部に沿って車両前後方向に延びる長尺な形状に膨張展開する。この構成によって、エアバッグクッション112a、112bは、車両前部の角部104a、104bからAピラー110a、110bにかけて接触しようとする歩行者を受け止める。エアバッグクッション112a、112bは、袋状であって、その表面を構成する複数の基布を重ねて縫製または接着することや、OPW(One-Piece Woven)を用いての紡織などによって形成されている。
加えて、エアバッグクッション112a、112bは、フロントフード104を持ち上げてわずかに浮かせる構成を採ることもできる。この動作には、フロントフード104に接触する歩行者に与える衝撃を和らげる効果がある。
図2は、図1(a)のエアバッグクッション112aが膨張展開する様子を例示した図である。図2(a)は、図1(a)のエアバッグ装置100aのA-A断面図である。ハウジング114aは、エアバッグクッション112を収容する本体部118がAピラー110aに埋め込まれるように設置されていて、エアバッグクッション112aは当該本体部118の底部にリベット120等を使用して固定された状態になっている。
本実施形態のエアバッグクッション112aは、当該エアバッグクッション112aの短手方向の両端から中央に向かって巻回または折り畳んで収縮し、さらに中央でV字形状に谷折り122を形成した収容形態となって車両に収容される。収容形態のエアバッグクッション112aにおけるV字形状の谷折り122とは、車外側から見て谷折り122の状態、すなわち車内側に窪むように折られた状態のことである。例えば、エアバッグクッション112aのうち、Aピラー110aに収容される部位はV字形状の先端が車内側である下方かつ車両後方を向くようにして折られた状態となり、フロントフード104(図1(a)の脇に収容される部位は当該先端が下方を向くようにして折られた状態となる。そして、エアバッグクッション112aは、ハウジング114aの蓋であるリッド124にこの谷折り122側を向けて収容されている。
図2(b)は、図2(a)のエアバッグクッション112aの膨張展開の初期の挙動を例示した図である。上記収容形態(図2(a)参照)のエアバッグクッション112aに不図示のインフレータからガスが供給されると、エアバッグクッション112aは膨張展開を開始し、まず谷折り122を解消しようとして車外側に向かう挙動(矢印126)が発生する。この挙動によって、エアバッグクッション112aは収容部であるハウジング114aのリッド124を効率よく押しのけて展開することができる。
ここで、図2(a)に例示したように、ハウジング114aのリッド124は、収容形態のエアバッグクッション112aの谷折り122の車外側の位置に、谷折り122と向かい合うように脆弱部128を有している。脆弱部128は、エアバッグクッション112aの膨張展開の力で開裂可能な部位であり、例えばリッド124の車幅方向の中央部近傍に溝状のティアラインを設けることで実現できる。この構成によれば、図2(b)に例示したように、エアバッグクッション112aが車外側に向かって膨張展開しようとする力(矢印126)を脆弱部128に効率よく加え、脆弱部128からリッド124に開裂を誘発させ、リッド124を円滑に開口させることが可能になる。
図3は、図1(a)のエアバッグ装置100aのA-A断面図である。エアバッグクッション112aは、リッド124を開裂させた後、さらに谷折り122(図2(b)参照)を解消するよう中央から車幅方向の両側(矢印130a、130b)に広がるよう膨張展開する。特に、互いに向き合ったV字形状の両辺が、膨張しながら互いに押し合うようにして展開する。
これらのように、エアバッグクッション112aは、V字形状の両辺が車外側(図2(b)の矢印126)かつ車幅方向両側(図3の矢印130a、130b)に向かって押し広げ合うように展開する。この構成によって、エアバッグクッション112aは、剛性の高いフロントフード104の角部104a、104b(図1(a)参照)からAピラー110a、110b、さらにはサイドミラー132の付近までを覆うよう効率よく膨張展開し、歩行者等を保護することが可能になっている。
当該エアバッグクッション112aは、Aピラー110aおよびフロントフード104の角部104aに上から噛み合うような形状に膨張展開し、これによってAピラー110a等に対して揺動を規制することが可能になっている。また、当該エアバッグクッション112a、112bであれば、Aピラー110a、110b等に沿って局所的に膨張展開(図1(b)参照)するため乗員の視界を遮ることがない。すなわち、当該歩行者保護用エアバッグ装置100であれば、簡潔な構成で歩行者を効率よく保護し、さらには乗員の安全にも資することが可能である。
本実施形態では、図1(a)に例示したように、ハウジング114a、114bはフロントフード104の車幅方向の端部近傍それぞれからAピラー110a、110bに沿って設けられている。しかしながら、ハウジングは、この構成に限らず、フロントフード104の車幅方向の端部近傍のみに設置される構成としたり、Aピラー110a、110bのみに設置される構成としたりすることも可能である。
(変形例)
図4は、図2(a)のエアバッグ装置100aの変形例(エアバッグ装置150)を例示した図である。以下、既に説明した構成要素と同じものには同じ符号を付していて、これによって既出の構成要素については説明を省略する。また、以下の説明において、既に説明した構成要素と同じ名称のものについては、例え異なる符号を付していても、特に明記しない場合は同じ機能を有しているものとする。
図4(a)は、図2(a)に応じてエアバッグ装置150を例示した図である。のエアバッグ装置150は、ハウジング152に緩衝部156が備えられている点で、図2(a)のエアバッグ装置100aと構成が異なっている。ハウジング152は、大きく分けて、本体部154と、本体部154からウインドシールド108側に延びた緩衝部156とを有して構成されている。
本体部154は、Aピラー110a内に設置されて、収容形態のエアバッグクッション112aを収容する。緩衝部156は、本体部154から延びて150、Aピラー110aのうちウインドシールド108の端部を車両後方から支持する後方支持部158とウインドシールド108との間に挿入される。緩衝部156は、例えば弾性に富んだ樹脂素材を含んで構成されている。
図4(b)は、図3に応じてエアバッグ装置150を例示した図である。当該エアバッグ装置150によれば、ウインドシールド108に歩行者等が接触したときの力を緩衝部156によって吸収し、歩行者等に与える衝撃をやわらげることが可能となる。また、緩衝部156は、ハウジング152をAピラー110aとウインドシールド108との間に挟み込ませつつ、エアバッグクッション112aの膨張展開時の衝撃を吸収することで、ハウジング152およびエアバッグクッション112aの設置剛性を高めることにも役立っている。
図5は、図1(a)のエアバッグ装置100aの第2変形例(エアバッグ装置200)を例示した図である。当該エアバッグ装置200は、Aピラー202に沿って設置されるハウジング204を備えている点で、図1(a)のエアバッグ装置100aと構成が異なる。
ハウジング204は、断面コ字状になっていて、内側に収容形態のエアバッグクッション206を収容し、Aピラー202のウインドシールド108側(図5中、左側)に沿って設置される。
エアバッグクッション206は、エアバッグクッション112a(図1(b)参照)と同様に、Aピラー202および車両前部の角部104a付近を覆うよう膨張展開する。エアバッグクッション206もまた、短手方向の両端から中央に向かって巻回または折り畳んで収縮し、さらに中央でV字形状に谷折り122を形成した収容形態となってハウジング204に収容される。
図6は、図5のエアバッグクッション206が膨張展開する様子を例示した図である。図6(a)は、図2(a)に対応した図5のエアバッグ装置200の断面図である。
ハウジング204は、Aピラー202に沿って延びてエアバッグクッション206を収容する本体部208と、本体部208の車両外側を封じているリッド210とを含んで構成されている。リッド210は、ハウジング204のうち車両外側に面する部位であって、Aピラー202と面一になるよう、Aピラー202の長手方向に沿って延びている。
リッド210には、エアバッグクッション206の膨張圧で開裂可能な脆弱部212が設けられている。脆弱部212は、リッド210の内側に彫られた溝状の部位として設けられていて、エアバッグクッション206の膨張展開の力で開裂してリッド210を開放する。脆弱部212は、リッド210の幅方向の中央にて、リッド210の長手方向に沿って設けられている。
エアバッグクッション206もまた、エアバッグクッション112a(図2(a)参照)と同様に、V字形状の先端側がAピラー202に対して車両内側である下方かつ車両後方を向くようにして折られた状態となってハウジング204に収容される。特に、収容形態のエアバッグクッション206は、リッド210側が谷折り122になるようにV字形状に折り畳まれ、当該谷折り122が脆弱部212に向かい合うように収容される。
図6(b)は、図6(a)のエアバッグ装置200が膨張展開したときの様子である。エアバッグクッション206は、リッド210を開裂させた後、さらに谷折り122(図6(b)参照)を解消するよう中央から車幅方向の両側(矢印214a、214b)に広がるよう膨張展開する。特に、互いに向き合ったV字形状の両辺が、膨張しながら互いに押し合うようにして展開する。
エアバッグクッション206もまた、図2(b)および図3のエアバッグクッション112aと同様に、V字形状の両辺が車外側(図2(b)の矢印126)かつ車幅方向両側(図3の矢印130a、130b)に向かって押し広げ合うように展開する。この構成によって、エアバッグクッション206は、剛性の高いフロントフード104の角部104a(図1(a)参照)からAピラー202、さらにはサイドミラー132の付近までを覆うよう効率よく膨張展開し、歩行者等を保護することができる。
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態にかかる歩行者保護用エアバッグ装置(以下、エアバッグ装置220)の概要を例示した図である。図7(a)はエアバッグ装置220の作動前の車両を例示した図であり、図7(b)はエアバッグ装置220の作動時の車両を例示した図である。
図7(a)に例示するように、エアバッグ装置220は、車両102のフロントフード104の下側に設置されている。エアバッグ装置220は、不図示のセンサを介して車両102と歩行者との接触を予測または検知すると、制御部を介してインフレータ226(図8(a)参照)を作動させ、図7(b)のようにエアバッグクッション222がフロントフード104の下方からウインドシールド108に向かって膨張展開する。
図7(a)に例示するように、エアバッグ装置200は、エアバッグクッション222を収容するハウジング224を備えている。ハウジング224は、主に樹脂で形成された長尺な箱状の容器であり、エアバッグクッション222(図8(a)参照)やインフレータ226等を収納する。ハウジング224は、その長手方向を車幅方向に向けて、専用のブラケット等を介してフロントフード104の下面に取り付けられる。
図7(b)に例示するように、本実施形態におけるエアバッグクッション222は、ウインドシールド108および左右のAピラー110a、110bを覆うように膨張展開し、このウインドシールド108に接触しようとする歩行者を受け止める。加えて、エアバッグクッション222はフロントフード104を持ち上げて浮かせる。この動作には、フロントフード104に接触する歩行者に与える衝撃を和らげる効果がある。
図8は、図7(a)のエアバッグクッション222が膨張展開する様子を例示した図である。図8(a)は、図7(a)のエアバッグ装置220のC-C断面図である。
ハウジング224は、フロントフード104の下側のウインドシールド108側に設置されてる。ハウジング224は、車幅方向に延びてエアバッグクッション222を収容する本体部228と、本体部228の主に車両後側を封じているリッド230とを含んで構成されている。
ハウジング224には、エアバッグクッション222の膨張圧で開裂可能な脆弱部232が設けられている。脆弱部232は、ハウジング224の内側に彫られた溝状の部位として設けられていて、主に車両後側のリッド230に車幅方向に延びるよう設けられている。
エアバッグクッション222は、V字形状の先端が車両前方を向くようにして折られた状態となってハウジング224に収容される。特に、収容形態のエアバッグクッション222は、車両後側が谷折り122になるようにV字形状に折り畳まれ、当該谷折り122が脆弱部232に向き合うようにして収容される。
図8(b)は、図7(b)のエアバッグ装置220のD-D断面図である。エアバッグクッション222は、インフレータ226から供給されるガスの圧力を利用して、ハウジング224の脆弱部232を開裂させ、車両後方に膨張展開する。
エアバッグクッション222は、V字形状(図8(a)参照)の両辺が、上方(矢印234a)および下方(矢印234b)に向かって押し広げ合うように展開する。この構成によって、エアバッグクッション222は、開裂したハウジング224のリッド230を押しのけつつ、車両後方(矢印234c)に向かってウインドシールド108を覆うよう膨張展開し、歩行者等を保護する。また、エアバッグクッション222は、矢印234aの力でフロントフード104を持ち上げて浮かせ、フロントフード104に接触する歩行者に与える衝撃を和らげることが可能になっている。
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態にかかる歩行者保護用エアバッグ装置(以下、エアバッグ装置240)の概要を例示した図である。図9(a)はエアバッグ装置240の作動前の車両102を例示した図であり、図9(b)はエアバッグ装置240の作動時の車両102を例示した図である。
ハウジング242は、ウインドシールド108の下縁に沿って設置されている。当該ハウジング242は、例えばウインドシールド108の下縁側を支えるカウル部などに設置することができる。
ハウジング242は、車幅方向に延びてエアバッグクッション222を収容する本体部244と、本体部244の上側を封じるリッド246とを含んで構成されている。
リッド246には、エアバッグクッション222の膨張圧で開裂可能な脆弱部248が設けられている。脆弱部248は、リッド246の内側に彫られた溝状の部位として設けることができ、主にリッド246に車幅方向に延びるよう設けられている。
エアバッグクッション222は、V字形状の先端が下方を向くようにして折られた状態となってハウジング242に収容される。特に、収容形態のエアバッグクッション222は、上方のリッド246側が谷折り122になるようにV字形状に折り畳まれ、当該谷折り122が脆弱部248に向かい合うようにして収容される。
図9(b)は、図9(a)のエアバッグ装置240が膨張展開したときの様子である。エアバッグクッション222は、インフレータ226から供給されるガスの圧力を利用して、ハウジング242の脆弱部248を開裂させ、車両後方に膨張展開する。
エアバッグクッション222は、ハウジング242から上方(矢印250a)に膨張しつつ、V字形状の両辺が車両前方(矢印250b)および車両後方(矢印250c)に向かって押し広げ合うように展開する。この構成によって、エアバッグクッション222は、開裂したハウジング242のリッド246を押しのけつつ、矢印250a、250bの方向に膨張展開することでフロントフード104を持ち上げて浮かせると共に、矢印250cの方向に膨張展開してウインドシールド108を覆う。これらによって、エアバッグ装置240は、フロントフード104およびウインドシールド108に接触する可能性のある歩行者等を保護することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、以上に述べた実施形態は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。
したがって、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、車両のAピラー付近に沿って膨張展開するエアバッグクッションを備えた歩行者保護用エアバッグ装置に利用することができる。
100…歩行者保護用エアバッグ装置、100a、100b…エアバッグ装置、102…車両、104…フロントフード、104a、104b…角部、106…フロントバンパ、108…ウインドシールド、110a、110b…Aピラー、112a、112b…エアバッグクッション、114a、114b…ハウジング、116…エアバッグ装置、118…本体部、120…リベット、122…谷折り、124…リッド、126…矢印、128…脆弱部、130a、130b…矢印、150…エアバッグ装置、152…ハウジング、154…本体部、156…緩衝部、158…後方支持部、200…エアバッグ装置、202…Aピラー、204…ハウジング、206…エアバッグクッション、208…本体部、210…リッド、212…脆弱部、214a、214b…矢印、220…エアバッグ装置、222…エアバッグクッション、224…ハウジング、226…インフレータ、228…本体部、230…リッド、232…脆弱部、234a~234c…矢印、240…エアバッグ装置、242…ハウジング、244…本体部、246…リッド、248…脆弱部、250a~250c…矢印

Claims (4)

  1. 車両のフロントフードの車幅方向の端部それぞれに収容され、若しくは該車両の左右のAピラーそれぞれに収容され、または該フロントフードの車幅方向の端部それぞれからAピラーにかけて収容され、少なくともAピラーに沿って車両前後方向に長尺な形状に膨張展開するエアバッグクッションを備えた歩行者保護用エアバッグ装置において、
    前記エアバッグクッションは、車幅方向の両端から当該エアバッグクッションの短手方向の中央に向かって巻回または折り畳み、さらに該中央でV字形状に谷折りした収容形態となって前記車両に収容されていて、
    前記エアバッグクッションは、前記左右のAピラーの下端部それぞれから該Aピラーおよび前記フロントフードの車幅方向の端部それぞれに沿って車両前後方向に長尺な形状に延びるよう膨張展開し、
    前記収容形態のエアバッグクッションは、前記V字形状の先端が前記車両の下方を向くように収容されていて、
    前記収容形態のエアバッグクッションは、前記谷折りを解消するよう前記短手方向の中央から車幅方向の両側に広がって膨張展開し、
    前記エアバッグクッションは、膨張展開したときに前記Aピラーを覆いつつ、前記フロントフードを持ち上げて浮かせることを特徴とする歩行者保護用エアバッグ装置。
  2. 当該歩行者保護用エアバッグ装置はさらに、前記車両に設置されて前記収容形態のエアバッグクッションを収容するハウジングを備え、
    前記ハウジングは、
    前記車両のAピラー内に設置されて前記収容形態のエアバッグクッションを収容する本体部と、
    前記本体部を封じるリッドと、
    を有し、
    前記リッドは、前記エアバッグクッションの膨張展開の力で開裂可能な脆弱部を有することを特徴とする請求項に記載の歩行者保護用エアバッグ装置。
  3. 前記脆弱部は、前記リッドの車幅方向の中央部近傍に設けられることを特徴とする請求項に記載の歩行者保護用エアバッグ装置。
  4. 前記Aピラーは、前記車両のウインドシールドを車両後方から支持する後方支持部を有し、
    前記ハウジングはさらに、前記本体部から延びて前記後方支持部と前記ウインドシールドとの間に挿入される緩衝部を有することを特徴とする請求項またはに記載の歩行者保護用エアバッグ装置。
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