JP7479879B2 - トナー - Google Patents

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Description

本開示は、電子写真及び静電印刷のような画像形成方法に用いられる静電荷像(静電潜像)を現像するためのトナーに関する。
電子写真法とは、一般的な例を挙げると、以下のプロセスからなる印刷方法である。
まず、光導電性物質を利用した感光体を一様に帯電させ、露光によって静電潜像を形成させる。次に、ブレード・キャリア等の帯電部材との摩擦によって帯電したトナーを前記感光体に現像する。最後に、紙等の媒体にトナー像を転写した後、加熱・加圧等によって媒体上にトナー像を定着させる。必要に応じて、転写後に感光体上に残留したトナーをクリーニング部材により除去する。再びこの一連のプロセスを経ることによって、連続的に印刷を行うことができる。
上記プロセスにおいて、トナーはほぼ全ての工程に関わる。このため、トナーには流動性、帯電性、熱物性(耐熱保存性や定着性)といった様々な特性の向上が求められる。中でもトナー帯電特性の制御は、良好な画質の印刷物を得るために重要である。トナー帯電特性とは、具体的には、摩擦による帯電の迅速性(帯電立ち上がり性)、摩擦により生じる帯電量の大きさ、温度や湿度に依存しない安定性である。このような帯電特性の中でもトナーの帯電量向上は、電子写真プロセスを成立させるために重要である。
トナーの帯電量向上のため、トナー粒子表面に外添剤(シリカ、チタニア、アルミナ等の無機粒子)を付着または固着させることが多い。
しかしながら、外添剤は現像槽内の各部材を汚染しやすく、その使いこなしは難しい。さらに近年はマシンの高速化、長寿命化が進み、帯電量向上と部材汚染抑制の両立はより一層困難である。このような事情から、トナーの帯電量向上と部材汚染抑制を両立できる技術の確立が望まれていた。
これらの課題を解決する手法の一例として、外添剤を用いない技術が開発されている。具体的にはトナー粒子表面にゾルゲルプロセスを用いて、アルコキシシランの重合体を被覆する手法が知られている。
特許文献1では、従来の外添剤の脱離や埋没といった課題を解決するため、トナー粒子表面にテトラアルコキシシランの重合体を被覆したトナーが開示されている。
特許文献2では、トナー定着プロセスにおけるホットオフセットを抑制するため、ジアルコキシシリル基を有するポリビニル系熱可塑性樹脂で構成されたトナーコア粒子の表面に、ジアルコキシシランの重合体を被覆したトナーが開示されている。
特許文献3では、現像部による耐摩耗性を向上するため、トナー粒子表面に、主成分としてトリアルコキシシランの重合体を被覆したトナーが開示されている。
特開2013-120251号公報 特開平9-269611号公報 特開2018-194837号公報
特許文献1に記載の方法は、帯電量が不十分であることがわかった。この理由はトナー表面で起きる電荷リークのためだと考えられる。以下に具体的に説明する。
特許文献1に記載の方法におけるトナー粒子表面の被覆層には、主に二酸化ケイ素が含まれる。しかし、条件によってはテトラアルコキシシランの重合が不十分で完全に二酸化ケイ素とはならず、シラノール基が多く存在している場合がある。シラノール基は吸湿性が高いためトナーの抵抗値を下げてしまうので、電荷リークが起きると考えられる。
また、特許文献1に記載の方法は、部材汚染抑制も不十分であることがわかった。この理由は、上記のように完全に二酸化ケイ素になる割合が少なく、シロキサン結合の架橋ネットワークが少ないため、該被覆層が脆くなるからだと考えられる。
特許文献2に記載の方法も、トナーの帯電量が不十分であることがわかった。この理由もトナー表面で起きる電荷リークのためだと考えられる。以下に具体的に説明する。
特許文献2に記載の方法におけるトナー粒子表面の被覆層には、主にポリジメチルシリコーン化合物が含まれる。ポリジメチルシリコーン化合物は柔軟性が高いため、発生した電荷をその場に保持することが困難と推測される。その結果、電荷リークが起きたと考えられる。
また、特許文献2に記載の方法は、部材汚染抑制も不十分であることがわかった。この理由は、遊離成分が多く、該遊離成分が部材に付着しやすいからと考えられる。
詳細には次の通りである。特許文献2には、トナー粒子中に含まれる二官能性シランを含む樹脂によって、ポリジメチルシリコーンが共有結合することが開示されているが、トナー粒子表面と共有結合するポリジメチルシリコーンの割合が少ない。そのため、遊離成分が多くなり、該遊離成分が部材に付着しやすいと考えられる。
特許文献3に記載の方法は、前記特許文献1や2に記載の方法に比べれば、トナーの帯電量は高いことがわかった。この理由は、前記のようなトナー表面で起きる電荷リークが抑制されたからだと考えられる。以下に具体的に説明する。
特許文献3に記載のトナー粒子被覆層の主成分であるトリアルコキシシランの重合体は、テトラアルコキシシランの重合体よりも疎水性が高く、ポリジメチルシリコーンの重合体よりも硬いため、前記のような電荷リークが抑制されるためと考えられる。
しかし、より高速化されたプロセスにおいては、トナー表面で起きる電荷リークが抑制できても、帯電量は不十分であることがわかった。
また、特許文献3に記載の方法は、前記特許文献1や2に記載の方法に比べれば、部材汚染が抑制されていることがわかった。その理由は、所定のマルテンス硬度を有する有機ケイ素重合体とすることで耐摩耗性が強くなったからだと考えられる。
しかしながら、前述の理由で帯電量は不十分であることがわかった。そこで、十分な帯電量を確保するために、ハイドロタルサイト粒子等の外添剤を用いることを検討したが、該外添剤による部材汚染を抑制することが困難であった。
以上のように、トナー帯電性向上と部材汚染抑制はトレードオフの関係性にあり、従来技術では解決が困難であった。
本開示は、従来技術の課題を解決したトナーを提供するものである。即ち、本開示は、トナーの帯電量向上と部材汚染抑制を両立できるトナーを提供するものである。
本開示は、トナー粒子を含有するトナーであって、
該トナー粒子が、
トナーコア粒子と、
該トナーコア粒子の表面を被覆する有機ケイ素重合体と、
を含有し、
該有機ケイ素重合体が、下記式(A)で表される構造を有し、
該トナーコア粒子が、樹脂Aを含有し、
該樹脂Aが、分子内に置換または無置換のシリル基を有し、
該置換のシリル基の置換基が、炭素原子数1以上のアルキル基、炭素原子数1以上のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子および炭素原子数6以上のアリール基からなる群から選択される少なくとも一であり、
該樹脂A中のケイ素原子の含有量が、0.02質量%~10.00質量%であり、
該有機ケイ素重合体中のケイ素原子の含有量が、30質量%~50質量%であり、
Figure 0007479879000001
(該式(A)中、Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1~6のアルキル基、またはフェニル基を表す。)
該樹脂Aが、下記式(1)で表される構造を有する、
Figure 0007479879000002
(該式(1)中、P はポリエステル部位を表し、L は単結合または二価の連結基を表し、R ~R は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1以上のアルキル基、炭素原子数1以上のアルコキシ基、炭素原子数6以上のアリール基またはヒドロキシ基を表し、mは正の整数を表し、mが2以上である場合の、複数のL 、複数のR 、複数のR および複数のR は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。)
ことを特徴とするトナーに関する。
本開示により、トナーの帯電量向上と部材汚染抑制を両立できるトナーを提供することが可能となる。
ファラデーケージの模式図である。
数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決すべく鋭意検討の結果、以下の構成とすることにより、トナーの帯電量向上と部材汚染抑制を両立できることを見出した。
具体的には、
トナー粒子を含有するトナーであって、
該トナー粒子が、
トナーコア粒子と、
該トナーコア粒子の表面を被覆する有機ケイ素重合体と、
を含有し、
該有機ケイ素重合体が、下記式(A)で表される構造を有し、
該トナーコア粒子が、樹脂Aを含有し、
該樹脂Aが、分子内に置換または無置換のシリル基を有し、
該置換のシリル基の置換基が、炭素原子数1以上のアルキル基、炭素原子数1以上のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子および炭素原子数6以上のアリール基からなる群から選択される少なくとも一であり、
該樹脂A中のケイ素原子の含有量が、0.02質量%~10.00質量%であり、
該有機ケイ素重合体中のケイ素原子の含有量が、30質量%~50質量%である
ことを特徴とするトナーである。
Figure 0007479879000003

(該式(A)中、Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1~6のアルキル基、またはフェニル基を表す。)
従来のトナーよりも大幅に帯電量が増大し、且つ部材汚染抑制も可能となるメカニズム
について、発明者らは以下のように推測している。
まず、帯電量向上のメカニズムについて説明する。
トナーの帯電とは、トナー表面と、帯電ローラー、帯電ブレードおよびキャリア等の帯電部材と、が摩擦することによりトナー表面に電荷が付与される現象である。この時、トナー表面の抵抗が高い場合、電荷はトナー表面に維持されるため、トナーが帯電することができる。しかし、摩擦されたところしか電荷を付与できないため、帯電量は低い。
一方、トナー表面の抵抗が低い場合、電荷がトナー表面を伝わり逃げてしまう現象(電荷リーク)が発生する。その結果、帯電量は低下する。
具体的には、特許文献1および2に記載の従来のトナーは、トナー表面での電荷リークが大きいため帯電量が低い。
これに対して、特許文献3に記載の従来のトナーは、トナー表面での電荷リークが小さいため、十分でないものの帯電量は向上する。しかし、発生した電荷がトナー表面に保持され、トナー表面上の電荷がすぐに飽和するため、高速化されたプロセスにおいては、帯電量は不十分である。
このように、従来のトナーでは、トナー表面での摩擦帯電と電荷のリーク関係上、高い帯電量を達成することはできなかった。
一方、本開示のトナーは、トナー表面の電荷がトナーコア粒子内部に拡散し、トナー粒子全体で帯電することができるため、高い帯電量を実現できると考えられる。
このトナーコア粒子内部への電荷の拡散は、トナーコア粒子内部の上記樹脂Aによって引き起こされる。
詳細に述べると、樹脂A中のシリル基は負に帯電しやすい。一方で、樹脂A中のシリル基以外の部位は正に帯電しやすい。このため、トナーコア粒子の表面を被覆する有機ケイ素重合体に含まれる上記式(A)で表される構造と、トナーコア粒子内部の上記樹脂Aが有するシリル基と、の間で電荷の授受が起き、その結果、トナー表面からトナーコア内部へ電荷の伝播が発生する。
この電荷の伝播により、トナー表面の電荷が減るために、トナー表面は、摩擦により更に帯電することができ、結果、トナーとして高帯電を達成することができる。
次に、部材汚染抑制のメカニズムについて説明する。
特許文献3に記載のトナーにおける有機ケイ素重合体の被膜は硬く耐摩耗性が強いものの、トナーコア粒子との密着性が不十分であり、多数枚印刷時に部材を汚染する場合があることがわかった。
それに対し、本開示では、トナーコア粒子に上記樹脂Aを存在させることによって、部材汚染を抑制できるようになった。これは、トナーコア粒子中の樹脂Aと、有機ケイ素重合体と、の極性が近いために、トナーコア粒子と有機ケイ素重合体の密着性が向上したためと本発明者らは考えている。
以上説明したように、樹脂Aを含有するトナーコア粒子に、式(A)で表される構造を含有する有機ケイ素重合体を被覆することで、課題であった帯電量向上と部材汚染抑制を初めて両立させることができた。
以下、本開示の構成要件について詳細に説明する。
<樹脂A>
トナーコア粒子は、樹脂Aを含有する。該樹脂Aは、(i)分子内に置換または無置換のシリル基を有し、(ii)該置換のシリル基の置換基は、炭素原子数1以上のアルキル基、炭素原子数1以上のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子および炭素原子数6以上のアリール基からなる群から選択される少なくとも一である。
該アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~4である。
該アルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~4で
あり、さらに好ましくは1~3であり、特に好ましくは1または2である。
該アリール基の炭素原子数は、好ましくは6~14であり、より好ましくは6~10である。
樹脂Aの例としては、上記(i)および(ii)を満足するものであれば限定されるものではないが、シランカップリング剤等を化学的に結合した樹脂、および、有機ケイ素化合物の重合体、並びにそれらのハイブリッド樹脂等が挙げられる。より具体的には、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂またはスチレンアクリル樹脂を、シランカップリング剤および/またはシリコーンオイルなどで変性した樹脂等が挙げられる。
樹脂A中のケイ素原子の含有量は、0.02質量%~10.00質量%である。この範囲にすることで、トナーコア内部へ電荷を伝播させつつ、トナーコア粒子と有機ケイ素重合体との密着性を向上することができるため、帯電量向上と部材汚染抑制を両立できる。
樹脂A中のケイ素原子の含有量は、好ましくは0.10質量%~5.00質量%であり、より好ましくは0.15質量%~2.00質量%である。
樹脂A中のケイ素原子の含有量は、該樹脂Aの製造時に使用するケイ素化合物の量の調整により制御することができる。
また、トナーコア粒子中の樹脂Aの含有量は、0.1質量%~100.0質量%であることが好ましく、0.3質量%~30.0質量%であることがより好ましい。
樹脂Aは、下記式(1)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 0007479879000004

(該式(1)中、Pは高分子部位を表し、Lは単結合または二価の連結基を表し、R~Rは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1以上のアルキル基、炭素原子数1以上のアルコキシ基、炭素原子数6以上のアリール基またはヒドロキシ基を表し、mは正の整数を表し、mが2以上である場合の、複数のL、複数のR、複数のRおよび複数のRは、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。)
前記式(1)中のR~Rのうち、少なくとも一つは炭素原子数1以上のアルコキシ基、またはヒドロキシ基を表すことが好ましい。より好ましくは、さらに前記式(1)中のR~Rが、各々独立して炭素原子数1以上のアルコキシ基、またはヒドロキシ基を表す。
上記置換基のうち、アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~4である。また、アルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~4であり、さらに好ましくは1~3であり、特に好ましくは1または2である。さらに、アリール基の炭素原子数は、好ましくは6~14であり、より好ましくは6~10である。
前記式(1)中のR~Rのうち、少なくとも一つが炭素原子数1以上のアルコキシ基またはヒドロキシ基を表す場合、前記式(1)で表される構造はSi-O-結合を有する。
Si-O-結合を有するトナーコア粒子は、トナー粒子表面の有機ケイ素重合体中のSi-O-結合との親和性が増すため、電荷のトナーコア内部への伝播効率が向上して帯電量がより向上すると共に、トナーコア粒子と有機ケイ素重合体との密着性もより向上する

さらに、トナー粒子表面の有機ケイ素重合体との密着性が向上することにより、熱変形に対する抵抗力が増し、トナーの耐熱保存性も向上する。
前記式(1)中のR~Rの一つ以上をヒドロキシ基とするためには、R~Rの一つ以上がアルコキシ基である樹脂Aを加水分解し、アルコキシ基をヒドロキシ基に変換してもよい。
加水分解の方法は、どのような方法でも構わないが、例えば以下の手法がある。
前記式(1)中のR~Rの一つ以上がアルコキシ基である樹脂Aを適当な溶媒(重合性単量体でも構わない)に溶解または懸濁し、酸やアルカリを用いてpHを酸性に調整し混合し、加水分解させる。
また、トナー粒子製造中に加水分解を起こさせても構わない。
前記式(1)中のPとしては、特に限定されるものではないが、ポリエステル部位、ビニル部位、スチレンアクリル部位、ポリウレタン部位、ポリカーボネート部位、フェノール樹脂部位、ポリオレフィン部位等が挙げられる。
これらの中でも、帯電立ち上がり性の観点から、Pがポリエステル部位またはスチレンアクリル部位を含むことが好ましい。例えば、ポリエステルとスチレンアクリルとのハイブリッド部位であってもよい。Pがポリエステル部位またはスチレンアクリル部位を表すことがより好ましく、ポリエステル部位を表すことが特に好ましい。
この理由は、次のように考えられる。式(1)で表される樹脂中のケイ素原子とP中のエステル結合間で、電荷の受け渡しが発生するため、摩擦帯電でトナー表面に生じた電荷が、トナー全体に拡散する。この拡散により、トナー表面だけでなくトナー内部も帯電に寄与することができるため、帯電立ち上がり性が向上する。
樹脂Aの重量平均分子量(Mw)は、帯電立ち上がり性と保存性の観点から、3000~100000であることが好ましく、より好ましくは3000~30000である。該樹脂AのMwは、含まれる樹脂の種類によって様々な制御方法が挙げられる。例えばポリエステル樹脂を含む場合は、そのモノマーであるジアルコールとジカルボン酸の仕込み比率の調整や、重合時間の調整などにより制御することができる。また、スチレンアクリル樹脂を含む場合は、そのモノマーであるビニルモノマーと重合開始剤の比率の調整や、反応温度の調整によって制御することができる。
ポリエステル樹脂は、特に限定されないが、ジアルコールとジカルボン酸の縮合体であることが好ましい。例えば、下記式(6)で表される構造と、下記式(7)~(9)で表される構造からなる群より選択される少なくとも一の構造(複数選択可能)と、を有するポリエステル樹脂が好ましい。あるいは、下記式(10)で表される構造を有するポリエステル樹脂が挙げられる。
Figure 0007479879000005

(式(6)中、Rはアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を表す。式(7)中、R10はアルキレン基、フェニレン基を表す。式(8)中、R18はエチレン基又はプロピレン基を表す。x、yはそれぞれ0以上の整数であり、且つx+yの平均値は2~10である。式(10)中、R11はアルキレン基またはアルケニレン基を表す。)
上記式(6)中のRにおける(好ましくは炭素数1~12の)アルキレン基としては、例えば以下のものが挙げられる。メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、ネオペンチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、1,3-シクロペンチレン、1,3-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレン基。
上記式(6)中のRにおける(好ましくは炭素数1~4の)アルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、2-ブテニレン基が挙げられる。
上記式(6)中のRにおける(好ましくは炭素数6~12の)アリーレン基としては、例えば、1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,2-フェニレン基、2,6-ナフチレン基、2,7-ナフチレン基、4,4’-ビフェニレン基が挙げられる。
上記式(6)中のRは、置換基により置換されていてもよい。この場合、置換基としては、例えば、メチル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、トリフルオロメチル基及びそれらの組合せが挙げられる。
上記式(7)中のR10における(好ましくは炭素数1~12の)アルキレン基としては、例えば以下のものが挙げられる。メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、ネオペンチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、1,3-シクロペンチレン、1,3-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレン基。
上記式(7)中のR10におけるフェニレン基としては、例えば、1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,2-フェニレン基が挙げられる。
上記式(7)中のR10は置換基により置換されていてもよい。この場合、置換基とし
ては、例えば、メチル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子及びそれらの組合せが挙げられる。
上記式(10)中のR11における(好ましくは炭素数1~12の)アルキレン基としては、例えば以下のものが挙げられる。メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、ネオペンチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、1,4-シクロヘキシレン基。
上記式(10)中のR11における(好ましくは炭素数1~40の)アルケニレン基としては、例えば以下のものが挙げられる。ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘキサジエニレン基、ヘプテニレン基、オクタニレン基、デセニレン基、オクタデセニレン基、エイコセニレン基、トリアコンテニレン基。これらのアルケニレン基は直鎖状、分岐状、及び環状のいずれの構造であってもよい。また、二重結合の位置はいずれの箇所でもよく、少なくとも一つ以上の二重結合を有していればよい。
上記式(10)中のR11は置換基により置換されていてもよい。この場合、置換しても良い置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子及びそれらの組合せが挙げられる。
ビニル樹脂は、特に制限されず公知のものを用いることができる。例えば、以下のモノマーを用いることができる。
スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロルスチレン、3,4-ジクロルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレンのようなスチレン及びその誘導体などのスチレン系モノマー。
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸-n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸-2-クロルエチル、アクリル酸フェニルのようなアクリル酸エステル。
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなメタクリル酸エステル。
メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなアミノ基含有α-メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドのようなアクリル酸又はメタクリル酸誘導体などの窒素原子を含むビニル系モノマー。
マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸のような不飽和二塩基酸;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸のようなα,β-不飽和酸;及びこれらの酸無水物などのカルボキシ基を含むビニル系モノマー。
カルボキシ基を含有する化合物が、ビニル樹脂を含む場合、ビニル樹脂にカルボキシ基を含有させる方法は特に制限されず公知の方法を用いることができる。例えば、アクリル酸、メタクリル酸などカルボキシ基を含むビニル系モノマーを用いることが好ましい。
ビニル樹脂は、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つ、スチレン系モノマー並びにカルボキシ基を含むビニル系モノマーの重
合体であることが好ましい。
前記式(1)中のLが表し得る二価の連結基は、例えば下記式(2)~(5)で表されるような構造が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。
Figure 0007479879000006

(式(2)中のRは、単結合、アルキレン基またはアリーレン基を表す。(*)は式(1)中のPへの結合部位を表し、(**)は前記式(1)中のケイ素原子への結合部位を表す。式(3)中のRは、単結合、アルキレン基またはアリーレン基を表す。(*)は式(1)中のPへの結合部位を表し、(**)は前記式(1)中のケイ素原子への結合部位を表す。式(4)及び(5)中のR及びRは、各々独立して、アルキレン基、アリーレン基、オキシアルキレン基を表す。(*)は前記式(1)中のPへの結合部位を表し、(**)は式(1)中のケイ素原子への結合部位を表す。)
前記式(2)で表される構造は、アミド結合を含有する二価の連結基である。
該連結基は、例えば、樹脂中のカルボキシ基とアミノシランとの反応によって形成することができる。
前記アミノシランとしては、特に限定されるものではないが、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニルγ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニルγ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-6-(アミノヘキシル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメチルシラン、3-アミノプロピルシリコン等が挙げられる。
における(好ましくは炭素数1~12の)アルキレン基は、特に限定されるものではないが、例えば、-NH-基を含有するアルキレン基であってもよい。
における(好ましくは炭素数6~12の)アリーレン基は、特に限定されるものではないが、例えば、ヘテロ原子を含有するアリーレン基であってもよい。
前記式(3)で表される構造は、ウレタン結合を含有する二価の連結基である。
該連結基は、例えば、樹脂中のヒドロキシ基とイソシアネートシランとの反応によって形成することができる。
前記イソシアネートシランとしては、特に限定されるものではないが、例えば3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルジメチルメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルジメチルエトキシシラン等が挙げられる。
における(好ましくは炭素数1~12の)アルキレン基は、特に限定されるものではないが、例えば、-NH-基を含有するアルキレン基であってもよい。
における(好ましくは炭素数6~12の)アリーレン基は、特に限定されるものではないが、例えば、ヘテロ原子を含有するアリーレン基であってもよい。
前記式(4)または(5)で表される構造は、樹脂中のエステル結合にグラフト化させた結合を含有する二価の連結基である。
該連結基は、例えば、エポキシシランの挿入反応によって形成される。
エポキシシランの挿入反応とは、樹脂中の主鎖に含まれるエステル結合に、エポキシシランのエポキシ基を挿入反応させる工程を包含する反応をいう。また、ここでいう挿入反応とは、例えば、有機合成化学、第49巻、第3号、第218頁、1991年に「ポリマー鎖中のエステル結合へのエポキシ化合物の挿入反応」として説明されている反応をいう。
エポキシシランの挿入反応の反応機構は、下記モデル図で表すことができる。
Figure 0007479879000007

(図中、D及びEは樹脂の構成部を示し、Fはエポキシ化合物の構成部を示す。)
図中のエポキシ基の開環にはα開裂とβ開裂があることから2種類の化合物が形成されるが、いずれも樹脂中のエステル結合へエポキシ基が挿入された化合物、言い換えればエポキシ化合物のエポキシ部位を除く構成部が樹脂にグラフトした化合物となる。
エポキシシランとしては、特に限定されるものではないが、例えば、β-(3,4-エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
及びRにおける(好ましくは炭素数1~12の)アルキレン基は、特に限定されるものではないが、例えば、-NH-基を含有するアルキレン基であってもよい。
及びRにおける(好ましくは炭素数6~12の)アリーレン基は、特に限定されるものではないが、例えば、ヘテロ原子を含有するアリーレン基であってもよい。
及びRにおける(好ましくは炭素数1~12の)オキシアルキレン基は、特に限定されるものではないが、例えば、-NH-基を含有するオキシアルキレン基であってもよい。
<式(A)で表される構造を有する有機ケイ素重合体>
有機ケイ素重合体は、少なくとも下記式(A)で表される構造を有する。
Figure 0007479879000008

(該式(A)中、Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1~6(好ましくは炭素原子数1~3)のアルキル基、またはフェニル基を表す。)
式(A)で表される構造中のSi原子の4個の原子価電子について、1個はRとの結合に関与し、残り3個はO原子との結合に関与している。O原子は、2個の原子価がいずれもSiと結合している状態、つまり、シロキサン結合(Si-O-Si)を構成する。有機ケイ素重合体としてのSi原子とO原子を考えると、Si原子2個でO原子3個を有することになるため、-SiO3/2と表現される。
式(A)で表される構造を有する有機ケイ素重合体は、該構造に含まれるシロキサン結合の濃度が二酸化ケイ素(SiO)に近いため、高い硬度を有する。また、前記Rが結合しているため、該構造は疎水性が強い。これらによってトナー表面での電荷のリークを抑えることができるので、本開示のトナーは従来のトナーよりも高い帯電量を有する。
前記式(A)で表される構造を有する有機ケイ素重合体の硬さ、疎水度が望ましい範囲内となるように、該有機ケイ素重合体の組成を制御してもよい。具体的には、該有機ケイ素重合体の製造に用いる有機ケイ素化合物の種類及び量、並びに、有機ケイ素重合体形成時の加水分解、付加重合及び縮合重合の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHを変更することによって制御することができる。
このようにして得られた有機ケイ素重合体中のケイ素原子の含有量は、30質量%~50質量%であり、好ましくは33質量%~40質量%である。有機ケイ素重合体中のケイ素原子の含有量は、製造時の有機ケイ素化合物の種類を変更し縮重合する、種類の異なる有機ケイ素重合体の混合比率を調整したものを縮重合する、または温度やpHを調整後に(または調整しながら)縮重合する、などの方法によって制御することができる。
また、トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の29Si-NMRの測定において、前記有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、前記式(A)で表される構造のピーク面積の割合は、好ましくは30%~100%である。さらに、帯電量の大幅な向上、および部材汚染抑制の大幅な向上のためには、前記式(A)で表される構造のピーク面積の割合が50%~100%であることがより好ましく、50%~90%であることがさらに好ましい。式(A)で表される構造のピーク面積の割合は、製造時の有機ケイ素化合物の種類を変更し縮重合する、種類の異なる有機ケイ素重合体の混合比率を調整したものを縮重合する、または温度やpHを調整後に(または調整しながら)縮重合する、などの方法によって制御することができる。
前記式(A)で表される構造を含有する有機ケイ素重合体において、該有機ケイ素重合体の硬度および疎水性を適度な範囲内とする観点から、前記式(A)中のRは、炭素原子数が1~6のアルキル基、またはフェニル基であることが好ましく、Rは炭素数が1~3の炭化水素基であることがより好ましい。帯電保持性の観点から、Rはメチル基またはエチル基であることがさらに好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
<式(A)で表される構造を有する有機ケイ素重合体の製造方法>
有機ケイ素重合体は、特に限定されるものではないが、下記式(11)で表される構造を有する有機ケイ素化合物(三官能性シラン)の縮重合物であることが好ましい。
Figure 0007479879000009

式(11)中、R14は、前記式(A)中のRと同義である。
式(11)中、R15~R17は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基(以下、これらを総称して反応基ともいう)を表す。これらの反応基が加水分解、付加重合及び縮重合して架橋構造が形成されることで、部材汚染をより抑制することができる。
室温での加水分解性が穏やかである点、トナー粒子の表面への析出性、および被覆性の観点から、R15~R17は各々独立して炭素数1~3のアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基またはエトキシ基であることがより好ましい。また、R15~R17の加水分解、付加重合及び縮合重合は、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHを変更することによって制御することができる。
有機ケイ素重合体を得るには、三官能性シランを1種又は複数種を組み合わせて用いるとよい。
三官能性シランの具体例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチルメトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシラン、のような三官能性のメチルシラン。
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシラン、プロピルトリヒドロキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリアセトキシシラン、ヘキシルトリヒドロキシシランのような三官能性のシラン。
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシランのような三官能性のフェニルシラン。
また、本開示の効果を損なわない程度に、三官能性シランとともに、以下の化合物を併用して得られた有機ケイ素重合体を用いてもよい。
一分子中に4つの反応基を有する有機ケイ素化合物(四官能性シラン)、一分子中に2つの反応基を有する有機ケイ素化合物(二官能性シラン)、一分子中に1つの反応基を有する有機ケイ素化合物(一官能性シラン)、Rが置換基を有する上記三官能性シラン。これらの化合物の具体例としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン。
ビニルトリイソシアネートシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジエトキシメトキシシラン、ビニルエトキシジメトキシシラン、ビニルエトキシジヒドロキシシラン、ビニルジメトキシヒドロキシシラン、ビニルエトキシメトキシヒドロキシシラン、ビニルジエトキシヒドロキシシランなどの三官能性のビニルシラン。
さらに、トナー粒子中の有機ケイ素重合体の含有量は、0.1質量%~20.0質量%であることが好ましく、1.0質量%~10.0質量%であることがより好ましい。
有機ケイ素重合体の含有量が0.1質量%以上であることで、部材汚染やカブリの発生を抑制することができる。20.0質量%以下であることで、チャージアップを発生し難くすることができる。有機ケイ素重合体の含有量は、有機ケイ素重合体の製造に用いる有機ケイ素化合物の種類及び量、有機ケイ素重合体形成時のトナー粒子の製造方法、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHを変更することによって制御することができる。
有機ケイ素重合体を製造する方法として、例えば以下の方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
まず、結着樹脂及び必要に応じて着色剤を含むトナーのコア粒子を製造して水系媒体に分散し、コア粒子分散液を得る。次に、このコア粒子分散液に有機ケイ素化合物を添加し、縮重合させることで、トナーコア粒子の表面を被覆する有機ケイ素重合体を形成する。
有機ケイ素化合物の添加方法としては、有機ケイ素化合物をそのまま添加してもよい。また、事前に水系媒体と混合し加水分解した後に添加してもよい。
有機ケイ素化合物は、加水分解した後に縮重合反応がおこる。加水分解反応に最適pHと、縮重合反応に最適なpHとは異なる場合がある。このため、事前に有機ケイ素化合物と水系媒体を混合し、加水分解反応に適したpHで加水分解させた後に、縮重合反応に最適なpHで有機ケイ素化合物縮重合させることで、効果的に反応を進めることができる。
<結着樹脂について>
トナーコア粒子中に含有される樹脂は、上記樹脂Aのみでもよいが、必要に応じて結着樹脂を有してもよい。
トナーコア粒子が結着樹脂を含む場合の、結着樹脂100質量部に対する樹脂Aの含有量は、0.1質量部~20.0質量部であることが好ましく、0.3質量部~5.0質量部であることがより好ましい。
結着樹脂は特に限定されず、従来公知のものを用いることができるが、例えばビニル系樹脂、ポリエステル樹脂などが好ましい。ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂及びその他の結着樹脂として、以下の樹脂又は重合体が例示できる。
ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;
スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタレン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-アクリル酸オクチル共重合体、スチレン-アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;
ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂および芳香族系石油樹脂。
これら結着樹脂は一種単独で、又は二種以上を混合して使用できる。
帯電性の観点から、結着樹脂はカルボキシ基を含有することが好ましく、カルボキシ基を含む重合性単量体を用いて製造された樹脂であることが好ましい。カルボキシ基を含む重合性単量体の具体例としては、例えば以下のような重合性単量体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
α-エチルアクリル酸、クロトン酸などの(メタ)アクリル酸、およびα-アルキル誘導体あるいはβ-アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;コハク酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、コハク酸モノアクリロイルオキシエチレンエステル、フタル酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、フタル酸モノメタクリロイルオキシエチルエステルなどの不飽和ジカルボン酸モノエステル誘導体など。
ポリエステル樹脂としては、下記に挙げるカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させたものを用いることができる。
カルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及び、トリメリット酸が挙げられる。
アルコール成分としては、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、及び、ペンタエリスリトールが挙げられる。
また、ポリエステル樹脂は、ウレア基を含有したポリエステル樹脂であってもよい。ポリエステル樹脂末端などに存在するカルボキシ基は、キャップしないことが好ましい。
高温時におけるトナーの粘度変化の改良を目的として、結着樹脂は重合性官能基を有していてもよい。重合性官能基としては、例えば、ビニル基、イソシアナート基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基が挙げられる。
<架橋剤>
結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合性単量体の重合に際して、架橋剤を添加してもよい。
架橋剤としては、例えば、以下のような化合物を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、ビス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレートおよびポリエステル型ジアクリレート(MANDA 日本化薬)、並びに、上記のアクリレートをメタクリレートに変えたもの。
架橋剤の添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001質量部~15.0質量部であることが好ましい。
<離型剤>
トナーコア粒子は、ワックスを含有してもよい。
ワックスとしては、例えば以下のようなワックスを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチルなどの1価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸エステル、又は、1価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル;セバシン酸ジベヘニル、ヘキサンジオールジベヘネートなどの2価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸エステル、又は、2価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル;グリセリントリベヘネートなどの3価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸エステル、又は、3価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル;ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテートなどの4価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸エステル、又は、4価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル;ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテートなどの6価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸エステル、又は、6価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル;ポリグリセリンベヘネートなどの多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸エステル、又は、多価カルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル;カルナバワックス、ライスワックスなどの天然エステルワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムなどの石油系ワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸;酸アミドワックスが挙げられる。
トナー粒子中のワックスの含有量は、0.5質量%~20.0質量%であることが好ましい。
<着色剤>
トナーコア粒子は、着色剤を含有してもよい。着色剤は特に限定されず、例えば以下に示す公知のものを使用することができる。
黄色顔料としては、例えば、黄色酸化鉄、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が用いられる。具体的には、例えば以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180。
橙色顔料としては、例えば以下のものが挙げられる。
パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色顔料としては、例えば、ベンガラ、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリラントカーミン3B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキなどの縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、
例えば以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254。
青色顔料としては、例えばアルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBGなどの銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には、例えば以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66。
紫色顔料としては、例えば、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
緑色顔料としては、例えば、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。
白色顔料としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛が挙げられる。
黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライトおよびマグネタイト、並びに、上記黄色系着色剤、赤色系着色剤及び青色系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、一種単独で使用してもよく、又は二種以上を混合して使用してもよい。また、これらの着色剤は、固溶体の状態で用いることができる。
必要により、重合阻害のない物質により着色剤の表面処理を施してもよい。
トナー粒子中の着色剤の含有量は、3.0質量%~15.0質量%であることが好ましい。
<荷電制御剤>
トナーコア粒子は荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては特に制限されず、公知のものが使用できる。特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナーコア粒子を直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤として、トナーコア粒子を負荷電性に制御するものとしては、例えば以下のものが挙げられる。
有機金属化合物及びキレート化合物として、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、又はエステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類なども含まれる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーンが挙げられる。
一方、トナーコア粒子を正荷電性に制御する荷電制御剤としては、例えば以下のものが挙げられる。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩のようなによるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム-1-ヒドロキシ-4-ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;樹脂
系荷電制御剤。
これら荷電制御剤は一種単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。トナー粒子中のこれらの荷電制御剤の含有量は、0.01質量%~10質量%であることが好ましい。
<外添剤>
トナー粒子は、外添せずにトナーとすることもできるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、いわゆる外添剤である流動化剤、クリーニング助剤などを外添してトナーとしてもよい。
外添剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら無機微粒子は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸およびシリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、光沢処理が行われていることが好ましい。外添剤のBET比表面積は、10m/g~450m/gであることが好ましい。
BET比表面積は、BET法(好ましくはBET多点法)に従って、動的定圧法による低温ガス吸着法により求める。例えば、比表面積測定装置(商品名:ジェミニ2375 Ver.5.0、(株)島津製作所製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて測定することにより、BET比表面積(m/g)を算出する。
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部~10質量部、より好ましくは0.1質量部~5質量部である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
<現像剤>
トナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
キャリアとしては、例えば鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金など、公知の材料からなる磁性粒子を用いることができる。これらの中ではフェライト粒子を用いることが好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。
キャリアとしては、体積平均粒径が15μm~100μmのものが好ましく、25μm~80μmのものがより好ましい。
<トナーコア粒子の製造方法について>
トナーコア粒子の製造方法は公知の手段を用いることができ、混練粉砕法や湿式製造法を用いることができる。粒子径の均一化や形状制御性の観点からは湿式製造法を好ましく用いることができる。さらに、湿式製造法としては懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化重合凝集法、乳化凝集法などを挙げることができる。
ここでは懸濁重合法について説明する。懸濁重合法においては樹脂A、並びに、必要に応じて、結着樹脂を生成するための重合性単量体および着色剤などのその他の添加剤を、ボールミル、超音波分散機などの分散機を用いてこれらを均一に溶解又は分散させた重合性単量体組成物を調製する工程(重合性単量体組成物の調製工程)を有していてもよい。このとき、必要に応じて、多官能性単量体、連鎖移動剤、離型剤としてのワックス、荷電制御剤および可塑剤などを適宜加えることができる。
懸濁重合法における重合性単量体として、以下に示すビニル系重合性単量体が好適に例
示できる。
スチレン;α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレンなどのスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、iso-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2-ベンゾイルオキシエチルアクリレートなどのアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、iso-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、n-ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートなどのメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル、ギ酸ビニルなどのビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン。
懸濁重合法においては、上記重合性単量体組成物を、予め用意しておいた水系媒体中に投入し、高せん断力を有する撹拌機や分散機により、重合性単量体組成物からなる液滴を所望のトナー粒子のサイズに形成する工程(造粒工程)を有していてもよい。
造粒工程における水系媒体は分散安定剤を含有していることが、トナー粒子の粒径制御、粒度分布のシャープ化、製造過程におけるトナー粒子の合一を抑制するために好ましい。分散安定剤としては、一般的に立体障害による反発力を発現させる高分子と、静電気的な反発力で分散安定化を図る難水溶性無機化合物とに大別される。難水溶性無機化合物の微粒子は、酸やアルカリにより溶解するため、重合後に酸やアルカリで洗浄することにより溶解させて容易に除去することができるため、好適に用いられる。
難水溶性無機化合物の分散安定剤としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、リンのいずれかが含まれているものが好ましく用いられる。より好ましくは、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、リンのいずれかが含まれている。具体的には、例えば以下のものが挙げられる。
リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、塩化カルシウム、ヒドロキシアパタイド。
上記分散安定剤に有機系化合物、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンを併用してもよい。
これら分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部~2.00質量部使用することが好ましい。
さらに、これら分散安定剤の微細化のため、重合性単量体100質量部に対して、0.001質量部~0.1質量部の界面活性剤を併用してもよい。具体的には、市販のノニオン型界面活性剤、市販のアニオン型界面活性剤、市販のカチオン型界面活性剤が利用できる。例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、
ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどが好ましく用いられる。
懸濁重合法においては、好ましくは50℃~90℃の温度に設定して、重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体の重合を行い、トナー母粒子分散液を得る工程(重合工程)を有していてもよい。該重合工程は、造粒工程の後に行ってもよく、造粒工程を行いながら行ってもよい。
重合工程では、容器内の温度分布が均一になるように攪拌操作を行うことが好ましい。重合開始剤を添加する場合、任意のタイミングと所要時間で行うことができる。また、所望の分子量分布を得る目的で重合反応後半に昇温してもよく、さらに、未反応の重合性単量体、副生成物などを系外に除去するために反応後半、または反応終了後に、一部水系媒体を蒸留操作により留去してもよい。蒸留操作は常圧又は減圧下で行うことができる。
懸濁重合法において使用する重合開始剤としては、一般的に油溶性開始剤が用いられる。例えば、以下のものが挙げられる。
2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリルのようなアゾ化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert-ブチルヒドロパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシピバレート、クメンヒドロパーオキサイドのようなパーオキサイド系開始剤。
重合開始剤は必要に応じて水溶性開始剤を併用してもよく、以下のものが挙げられる。
過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’-アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄又は過酸化水素。
これらの重合開始剤は一種単独で又は複数を併用して使用でき、重合性単量体の重合度を制御するために、連鎖移動剤、重合禁止剤等をさらに併用することも可能である。
トナーコア粒子の表面を有機ケイ素重合体で被覆する工程においては、水系媒体中でトナーコア粒子を形成する場合には、水系媒体中で重合工程などを行いながら、前述のように有機ケイ素化合物の加水分解液を添加して該表層を形成させることができる。また、重合後のトナー粒子の分散液をコア粒子分散液として用いて、有機ケイ素化合物の加水分解液を添加し、該表層を形成させてもよい。
さらに、混練粉砕法など水系媒体以外の場合には得られたトナー粒子を水系媒体に分散してコア粒子分散液として用いて、前述のように有機ケイ素化合物の加水分解液を添加し、該表層を形成させることができる。
トナー粒子の粒径は、高精細かつ高解像の画像を得るという観点から重量平均粒径が3.0μm~10.0μmであることが好ましい。トナーの重量平均粒径は細孔電気抵抗法により測定することができる。例えば「コールター・カウンター Multisizer
3」(ベックマン・コールター(株)製)用いて測定することができる。こうして得られたトナー粒子分散液は、トナー粒子と水系媒体を固液分離する濾過工程へと送られる。
得られたトナー粒子分散液からトナー粒子を得るための固液分離は、一般的な濾過方法で行うことができ、その後トナー粒子表面から除去しきれなかった異物を除去するため、リスラリーや洗浄水のかけ洗いなどによって更に洗浄を行うことが好ましい。十分な洗浄が行なわれた後に、再び固液分離してトナーケーキを得る。その後、公知の乾燥手段によ
り乾燥され、必要であれば分級により所定外の粒径を有する粒子群を分離してトナー粒子を得る。このとき分離された所定外の粒径を有する粒子群は最終的な収率を向上させるために再利用してもよい。
以下に、各物性値の測定方法を記載する。
<トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の調製法(有機ケイ素重合体の取り出し)>
まず、外添剤などでトナー粒子の表面が処理されている場合は、下記方法によって外添剤を除去し、トナー粒子を得る。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50mL)に上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れ分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(容量50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R 株式会社コクサン製)にて3500rpm、30分間の条件で分離する。この操作により、トナー粒子と外れた外添剤が分離する。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラ等で採取する。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、トナー粒子を得る。この操作を複数回実施して、必要量を確保する。
次に、トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分は、以下のように調製する。
トナー粒子10.0gを秤量し、円筒濾紙(東洋濾紙製No.84)に入れてソックスレー抽出器にかける。溶媒としてTHF200mLを用いて20時間抽出する。更に新しいTHF200mLに交換して20時間抽出する。最後に再度新しいTHF200mLに交換して20時間抽出する(使用したTHFの総量は600mL、総抽出時間は60時間)。
円筒濾紙中の濾物を40℃で数時間真空乾燥を行って得られたものがテトラヒドロフラン不溶分である。テトラヒドロフラン不溶分には「式(A)で表される構造を有する有機ケイ素重合体」が含まれる。
さらに、必要に応じてテトラヒドロフラン不溶分から顔料等の不溶分を除去し、「式(A)で表される構造を有する有機ケイ素重合体」を単離するために、上記の外添剤を除去する作業と同様の方法を行ってもよい(上記の「トナー」の代わりに「テトラヒドロフラン不溶分」を用いる。有機ケイ素重合体は遠心分離後の下層に単離されることが多い)。
<トナー粒子のテトラヒドロフラン可溶分の調製法(樹脂Aの取り出し)>
トナー粒子中の樹脂Aの取り出しはテトラヒドロフラン(THF)を用いた抽出物を溶媒グラジエント溶出法により分離することで行う。調製方法を以下に示す。
トナー粒子10.0gを秤量し、円筒濾紙(東洋濾紙製No.84)に入れてソックスレー抽出器にかける。溶媒としてTHF200mLを用いて20時間抽出し、抽出液を脱溶剤して得られた固体がTHF可溶分である。THF可溶分には樹脂Aが含まれる。これを複数回行い、必要な量のTHF可溶分を得る。
溶媒グラジエント溶出法には、グラジエント分取HPLC(島津製作所製LC-20AP高圧グラジエント分取システム、Waters社製SunFire分取カラム50mmφ250mm)を用いる。カラム温度は30℃、流量は50mL/分、移動相には貧溶媒としてアセトニトリル、良溶媒としてTHFを用いる。抽出により得られたTHF可溶分0.02gをTHF1.5mLに溶解させたものを分離のための試料とする。移動相はアセトニトリル100%の組成から開始し、試料注入後5分経過した時点で毎分4%ずつTHFの比率を増加させ、25分かけて移動相の組成をTHF100%とする。得られた分
画を乾固させることで成分を分離することができる。これにより樹脂Aを得ることができる。どの分画成分が樹脂Aであるかは後述するケイ素原子の含有量の測定及び13C-NMR測定により判別することができる。
<樹脂Aまたは有機ケイ素重合体中のケイ素原子の含有量の測定方法>
樹脂Aまたは有機ケイ素重合体中のケイ素の含有量の測定は、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中に樹脂Aもしくは前記調整法で得たテトラヒドロフラン可溶分4g、または、有機ケイ素重合体もしくはテトラヒドロフラン不溶分4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ2mm、直径39mmに成型したペレットを用いる。
また、バインダー粒子[商品名:Spectro Blend、成分:C81.0質量%,O2.9質量%,H13.5質量%,N2.6質量%、化学式:C1938ON、形状:粉末(44μm);(株)リガク製]100質量部に対して、SiO粒子(疎水性フュームドシリカ)[商品名:AEROSIL NAX50、比表面積:40±10m/g、炭素含有量:0.45%~0.85%;日本アエロジル(株)製]0.5質量部となるように添加し、コーヒーミルを用いて充分混合する。同様にして、前記SiO粒子を5.0質量部、10.0質量部となるように前記バインダー粒子とそれぞれ混合し、これらを検量線用の試料とする。
それぞれの試料について、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにして検量線用の試料のペレットを作製し、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=109.08°に観測されるSi-Kα線の計数率(単位:cps)を測定する。この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、24kV、100mAとする。得られたX線の計数率を縦軸に、各検量線用試料中のSiO粒子添加量を横軸として、一次関数の検量線を得る。
次に、分析対象の樹脂Aもしくは前記調整法で得たテトラヒドロフラン可溶分、または、有機ケイ素重合体もしくはテトラヒドロフラン不溶分を、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにしてペレットとし、そのSi-Kα線の計数率を測定する。そして、上記の検量線から樹脂Aもしくはテトラヒドロフラン可溶分、または、有機ケイ素重合体もしくはテトラヒドロフラン不溶分中のケイ素原子の含有量を求める。
<式(A)で表される構造の確認方法>
トナー粒子に含有される有機ケイ素重合体における、式(A)で表される構造は以下の方法を用いて確認する。
式(A)のRで表されるアルキル基は、13C-NMRにより確認する。
13C-NMR(固体)の測定条件)
装置:JEOL RESONANCE製 JNM-ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:前記調製法で得たテトラヒドロフラン不溶分 150mg
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:123.25MHz(13C)
基準物質:アダマンタン(外部標準:29.5ppm)
試料回転数:20kHz
コンタクト時間:2ms
遅延時間:2s
積算回数:2000~8000回
当該方法にて、ケイ素原子に結合しているメチル基(Si-CH)、エチル基(Si-C)、プロピル基(Si-C)、ブチル基(Si-C)、ペンチル基(Si-C11)、ヘキシル基(Si-C13)またはフェニル基(Si-C)に起因するシグナルの有無により、式(A)のRで表されるアルキル基を確認する。
<有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、式(A)で表される部分構造のピーク面積の割合の算出方法>
トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の29Si-NMR(固体)測定を、以下の測定条件で行う。
29Si-NMR(固体)の測定条件)
装置:JEOL RESONANCE製 JNM-ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:NMR測定用のトナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分 150mg
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:97.38MHz(29Si)
基準物質:DSS(外部標準:1.534ppm)
試料回転数:10kHz
コンタクト時間:10ms
遅延時間:2s
積算回数:2000~8000回
上記測定後に、トナー粒子のTHF不溶分の、置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィッティングにて下記図中のX1構造、X2構造、X3構造、及びX4構造にピーク分離して、それぞれピーク面積を算出する。
X1構造:(R)(R)(R)SiO1/2
X2構造:(R)(R)Si(O1/2
X3構造:RSi(O1/2
X4構造:Si(O1/2

(上記図中、X1~X3構造中のR、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、ケイ素に結合している、炭素数1~6のアルキル基などの有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基又はアルコキシ基を示す。)
そして、X3構造の割合を算出し、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する式(A)で表される構造の割合を算出する。
なお、上記式(A)で表される構造をさらに詳細に確認する必要がある場合、上記13C-NMR及び29Si-NMRの測定結果と共にH-NMRの測定結果によって同定してもよい。
<式(1)で表される構造の同定>
式(1)で表される構造中の高分子部位P、L部位、R~R部位は、H-NMR分析、13C-NMR分析、29Si-NMR分析およびFT-IR分析を用いて行う。分析試料としては、前記調整法で得たテトラヒドロフラン可溶分、または別途合成した樹脂Aを用いる。
が前記式(2)で表されるようなアミド結合を含有する場合は、H-NMR分析により同定できる。具体的には、アミド基のNH部位のプロトンのケミカルシフト値によ
って同定が可能であり、積分値の算出によってアミド基の定量が可能である。
また、式(1)で表される構造中のR~Rがアルコキシ基、またはヒドロキシ基を含有する場合には、前記「29Si-NMR(固体)の測定条件」と同じ方法によりアルコキシ基、またはヒドロキシ基のケイ素原子に対する価数を決定することが可能である。分析試料としては、前記調整法で得たテトラヒドロフラン可溶分、または別途合成した樹脂A等用いる。
具体的には、測定データにおける前記のX1~X4構造の比率を算出し、アルコキシ基、またはヒドロキシ基に由来するピーク面積の割合の算出によって価数が算出できる。
<重量平均分子量(Mw)の測定方法>
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調製する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、80
7の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<樹脂の酸価Avの測定方法>
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。樹脂の酸価はJIS K 0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。
前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C-B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料の質量(g)である。
<樹脂の水酸基価OHvの測定方法>
水酸基価とは、試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。樹脂の水酸基価はJIS K 0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
特級無水酢酸25gをメスフラスコ100mLに入れ、ピリジンを加えて全量を100mLにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス等に触れないように、褐色びんにて保存する。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム35gを20mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。
水酸化カリウム溶液のファクターは、0.5モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、該フェノールフタレイン溶液を数滴加え、水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した該水酸化カリウム溶液の量から求める。0.5モル/L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した試料1.0gを200mL丸底フラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5.0mLをホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
フラスコの口に小さな漏斗をのせ、約97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。
1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1mLを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに完全に加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5mLで漏斗およびフラスコの壁を洗う。
指示薬として該フェノールフタレイン溶液を数滴加え、該水酸化カリウム溶液で滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、水酸基価を算出する。
A=[{(B-C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料の質量(g)、D:試料の酸価(mgKOH/g)である。
以下に、実施例を挙げて本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例中及び比較例中の各材料の「部」は特に断りがない場合、全て質量基準である。なお、以下実施例19~21はそれぞれ参考例19~21とする。
<ポリエステル(A-1)の合成>
下記の手順によりポリエステル(A-1)を合成した。
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、及び撹拌装置を備えたオートクレーブ中に下記材料を仕込み、窒素雰囲気下、常圧、200℃で5時間反応を行った。
・ビスフェノールA-プロピレンオキサイド2.1モル付加物:39.6部
・テレフタル酸:8.0部
・イソフタル酸:7.6部
・テトラブトキシチタネート:0.1部
その後、トリメリット酸0.01部及びテトラブトキシチタネート0.12部を追加し、220℃で3時間反応し、さらに10mmHg~20mmHgの減圧下で2時間反応してポリエステル(A-1)を得た。
得られたポリエステル(A-1)の酸価は6.1mgKOH/g、水酸基価は33.6mgKOH/g、Mw=10200であった。
<ポリエステル(A-2)の合成>
前記ポリエステル(A-1)の合成において、ビスフェノールA-プロピレンオキサイド2.1モル付加物39.6部を、ビスフェノールA-エチレンオキサイド2モル付加物33.2部に変更した以外は同様にしてポリエステル(A-2)を得た。
得られたポリエステル(A-2)の酸価は5.8mgKOH/g、水酸基価は34.3mgKOH/g、Mw=10800であった。
<ポリエステル(A-3)の合成>
下記の手順によりポリエステル(A-3)を合成した。
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、及び撹拌装置を備えたオートクレーブ中に下記材料を仕込み、窒素雰囲気下、常圧、200℃で5時間反応を行った。
・ビスフェノールA-プロピレンオキサイド2モル付加物:21.0部
・エチレングリコール:2.1部
・イソソルビド:0.6部
・テレフタル酸:14.8部
・テトラブトキシチタネート:0.1部
その後、トリメリット酸1.1部及びテトラブトキシチタネート0.1部を追加し、220℃で3時間反応し、さらに10mmHg~20mmHgの減圧下で2時間反応してポリエステル(A-3)を得た。
得られたポリエステル(A-3)の酸価は6.0mgKOH/g、水酸基価は32.4mgKOH/g、Mw=10400であった。
<ポリエステル(A-4)の合成>
下記の手順により、カルボン酸末端がステアリルエステルであるポリε-カプロラクトン[ポリエステル(A-4)]を合成した。
窒素ガス導入装置、温度測定装置、及び撹拌装置を備えた反応容器に、下記材料を仕込み、窒素雰囲気下、100℃で5時間反応を行った。
・ステアリルアルコール:3.0部
・ε-カプロラクトン:38.2部
・チタン(IV)テトライソプロポキシド:0.5部
得られた樹脂をクロロホルムに溶解し、この溶液をメタノール中に滴下し再沈殿して濾過することで、ポリエステル(A-4)を得た。
得られたポリエステル(A-4)の酸価は0.0mgKOH/g、水酸基価は30.3mgKOH/g、Mw=8300であった。
<ポリエステル(A-5)の合成>
下記の手順により、ポリ乳酸[ポリエステル(A-5)]を合成した。
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、及び撹拌装置を備えたオートクレープ中に下記材料を仕込み、窒素雰囲気下、常圧、200℃で5時間反応を行った。
・乳酸:100.0部
・テトラブトキシチタネート:0.1部
その後、テトラブトキシチタネート0.1部を追加し、220℃で3時間反応し、さらに10mmHg~20mmHgの減圧下で2時間反応を行った。得られた樹脂をクロロホルムに溶解し、この溶液をエタノール中に滴下し再沈殿して濾過することで、ポリエステル(A-5)を得た。
得られたポリエステル(A-5)の酸価は3.5mgKOH/g、Mw=30000であった。
<ポリエステル(A-6)および(A-7)の合成>
前記ポリエステル(A-1)の合成において、目的の分子量が得られるように、反応圧力、反応温度、反応時間を調整した以外は同様にして、ポリエステル(A-6)および(A-7)を合成した。
得られたポリエステル(A-6)および(A-7)の物性を表1中に示す。
<スチレンアクリル樹脂(A-8)の合成>
以下のようにして、スチレンアクリル樹脂(A-8)を合成した。
プロピレングリコールモノメチルエーテル100.0部を窒素置換しながら加熱し、液温120℃以上で還流させた。そこへ、スチレン80.2部、アクリル酸ブチル20.1部、アクリル酸5.0部、及びtert-ブチルパーオキシベンゾエート[有機過酸化物系重合開始剤、日油(株)製、商品名:パーブチルZ]1.0部を混合したものを3時間かけて滴下した。
滴下終了後、溶液を3時間撹拌した後、液温を170℃まで昇温しながら常圧蒸留した。液温が170℃に到達した後、1hPaに減圧し、1時間蒸留して脱溶剤し、樹脂固形物を得た。該樹脂固形物をテトラヒドロフランに溶解し、n-ヘキサンで再沈殿させて析出した固体を濾別することでスチレンアクリル樹脂(A-8)を得た。
得られたスチレンアクリル樹脂(A-8)の酸価は36.6mgKOH/g、Mw=22000であった。
<スチレンアクリル樹脂(A-9)の合成>
以下のようにして、スチレンアクリル樹脂(A-9)を合成した。
プロピレングリコールモノメチルエーテル100.0部を窒素置換しながら加熱し、液温120℃以上で還流させた。そこへ、スチレン72.9部、アクリル酸21.6部、及びtert-ブチルパーオキシベンゾエート[有機過酸化物系重合開始剤、日油(株)製、商品名:パーブチルZ]1.0部を混合したものを3時間かけて滴下した。
滴下終了後、溶液を3時間撹拌した後、液温を170℃まで昇温しながら常圧蒸留した。液温が170℃に到達した後、1hPaに減圧し、1時間蒸留して脱溶剤し、樹脂固形物を得た。該樹脂固形物をテトラヒドロフランに溶解し、n-ヘキサンで再沈殿させて析出した固体を濾別することでスチレンアクリル樹脂(A-9)を得た。
得られたスチレンアクリル樹脂(A-9)の酸価は154.6mgKOH/g、Mw=
22000であった。
<アクリル樹脂(A-10)の合成>
以下のようにして、アクリル樹脂(A-10)を合成した。
プロピレングリコールモノメチルエーテル100.0部を窒素置換しながら加熱し、液温120℃以上で還流させた。そこへ、メチルメタクリレート30.0部、アクリル酸50.4部、及びtert-ブチルパーオキシベンゾエート[有機過酸化物系重合開始剤、日油(株)製、商品名:パーブチルZ]1.0部を混合したものを3時間かけて滴下した。
滴下終了後、溶液を3時間撹拌した後、液温を170℃まで昇温しながら常圧蒸留した。液温が170℃に到達した後、1hPaに減圧し、1時間蒸留して脱溶剤し、樹脂固形物を得た。該樹脂固形物をテトラヒドロフランに溶解し、n-ヘキサンで再沈殿させて析出した固体を濾別することでアクリル樹脂(A-10)を得た。
得られたアクリル樹脂(A-10)の酸価は351.8mgKOH/g、Mw=8700であった。
<樹脂A(R-1)の合成>
前記ポリエステル(A-1)中のカルボキシ基と、アミノシラン中のアミノ基とをアミド化し、樹脂A(R-1)を以下のように合成した。
N,N-ジメチルアセトアミド200.0部に、ポリエステル(A-1)50.0部を溶解し、3-アミノプロピルトリエトキシシラン1.2部、縮合剤としてDMT-MM(4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルフォリニウムクロライド)を1.7部添加し、常温で5時間撹拌した。反応終了後、この溶液をメタノール中に滴下し再沈殿して濾過することで、樹脂A(R-1)を得た。
得られた樹脂A(R-1)の物性を表2に示す。
<樹脂A(R-2)、(R-3)、および、(R-13)~(R-16)の合成>
前記樹脂A(R-1)の合成において、3-アミノプロピルトリエトキシシラン1.2部から、表1に示した「修飾させたケイ素化合物の種類と添加量」に各々変更した以外は同様にして、樹脂A(R-2)、(R-3)、および、(R-13)~(R-16)の各々を合成した。
得られたこれらの樹脂Aの物性を表2に示す。
<樹脂A(R-7)、(R-9)、(R-17)~(R-21)、(R-23)、および、(R-24)の合成>
前記(R-1)の合成において、ポリエステル(A-1)を、表1に示した「ベースとなる原料樹脂の種類」の各々に変更し、3-アミノプロピルトリエトキシシランの添加量を、1.2部から表1に示した「修飾させたケイ素化合物の添加量」の各々に変更し、DMT-MMの添加量を、1.7部から表1に示した「縮合剤(DMT-MM)の添加量」の各々に変更した以外は同様にして、樹脂A(R-7)、(R-9)、(R-17)~(R-21)、(R-23)、および、(R-24)の各々を合成した。
得られたこれらの樹脂Aの物性を表2に示す。
<樹脂A(R-4)の合成>
ポリエステル(A-1)中のヒドロキシ基と、イソシアネートシラン中のイソシアネート基とを反応させウレタン結合を形成した樹脂A(R-4)を以下のように合成した。
クロロホルム500.0部に、ポリエステル(A-1)50.0部を溶解し、窒素雰囲気下、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン1.3部、チタン(IV)テトライソプロポキシド0.5部を添加し、常温で5時間撹拌した。反応終了後、この溶液をメタノール中に滴下し再沈殿して濾過することで、樹脂A(R-4)を得た。
得られた樹脂A(R-4)の物性を表2に示す。
<樹脂A(R-8)の合成>
前記樹脂A(R-4)の合成において、ポリエステル(A-1)をポリエステル(A-4)に変更し、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランの添加量を、1.3部から6.6部に変更した以外は同様にして、樹脂A(R-8)を合成した。
得られた樹脂A(R-8)の物性を表2に示す。
<樹脂A(R-5)の合成>
ポリエステル(A-1)中のエステル結合に対して、エポキシシラン中のエポキシ基による挿入反応により、式(4)または式(5)で表される連結基を形成した樹脂A(R-5)を合成した。
アニソール100.0部に、ポリエステル(A-1)50.0部を溶解し、5,6-エポキシヘキシルトリエトキシシラン2.9部、テトラブチルホスホニウムブロマイド10.0部を投入し、窒素雰囲気下、約140℃で5時間加熱撹拌した。放冷後、反応混合物を、クロロホルム200mlに溶解し、メタノール中に滴下し再沈殿して濾過することで、樹脂A(R-5)を得た。
得られた樹脂A(R-5)の物性を表2に示す。
<樹脂A(R-6)の合成>
前記樹脂A(R-5)の合成において、ポリエステル(A-1)をポリエステル(A-2)に変更し、5,6-エポキシヘキシルトリエトキシシラン2.9部を、(3-グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン12.2部に変更した以外は同様にして、樹脂A(R-6)を合成した。
得られた樹脂A(R-6)の物性を表2に示す。
<樹脂A(R-10)の合成>
前記樹脂A(R-1)10.0部をトルエン90.0部に溶解した溶液に、純水400.0部を混合撹拌した。攪拌後、希塩酸を用いてpHを5.0に調整し、常温で2.4時間撹拌させた後、撹拌を止め分液ロートに移し、油相を抽出した。該油相を濃縮し、メタノールで再沈殿することによって、アルコキシ基が一つ加水分解された樹脂A(R-10)を得た。
得られた樹脂A(R-10)の物性を表2に示す。
<樹脂A(R-11)の合成>
前記樹脂A(R-10)の合成において、pHを5.0から4.0に変更し、撹拌時間を2.4時間から3.8時間に各々変更した以外は同様にして、アルコキシ基が二つ加水分解された樹脂A(R-11)を得た。
得られた樹脂A(R-11)の物性を表2に示す。
<樹脂A(R-12)の合成>
前記樹脂A(R-11)の合成において、撹拌時間を3.8時間から10.8時間に変更した以外は同様にして、アルコキシ基が三つ加水分解された樹脂A(R-12)を得た。
得られた樹脂A(R-12)の物性を表2に示す。
Figure 0007479879000011
Figure 0007479879000012
※1:樹脂A中のケイ素原子の含有量(質量%)
<トナー母粒子分散液1の製造例>
(水系媒体1の製造例)
反応容器に、イオン交換水390.0部、及びリン酸ナトリウム(12水和物)〔ラサ工業(株)製〕14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
さらに、該水系媒体に10%塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体1を得た。
(重合性単量体組成物1の製造例)
・スチレン 60.0部
・着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5部
前記材料をアトライタ(日本コークス工業(株)製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5.0時間分散させて、着色剤が分散された分散液1を調製した。
前記分散液1に下記材料を加えた。
・スチレン 20.0部
・アクリル酸n-ブチル 20.0部
・樹脂A(R-1) 3.0部
・ポリエステル(A-1) 5.0部
・フィッシャートロプシュワックス(融点:78℃) 7.0部
これを65℃に保温し、T.K.ホモミクサーを用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物1を調製した。
(造粒工程)
水系媒体1の温度を70℃、撹拌装置の回転数を12,000rpmに保ちながら、水系媒体1中に重合性単量体組成物1を投入し、重合開始剤であるt-ブチルパーオキシピバレート9.0部を添加した。そのまま該撹拌装置にて12,000rpmを維持しつつ10分間造粒した。
(重合工程)
高速撹拌装置からプロペラ撹拌羽根を備えた撹拌機に変更し、150rpmで攪拌しながら70℃を保持して5.0時間重合を行い、さらに85℃に昇温して2.0時間加熱することで重合反応を行い、トナー母粒子分散液1を得た。
また、トナー母粒子分散液1は、イオン交換水を加えて分散液中のトナー母粒子濃度が20.0%になるように調整した。
<トナー母粒子分散液2~6、8~21、28、および、29の製造例>
前記トナー母粒子分散液1の製造例において、樹脂A(R-1)を、樹脂A(R-2)~(R-6)、(R-8)~(R-21)、(R-23)、および(R-24)に各々変更した以外は同様にして、トナー母粒子分散液2~6、8~21、28、および、29を各々製造した。
<トナー母粒子分散液7の製造例>
前記トナー母粒子分散液1の製造例において、樹脂A(R-1)を、樹脂A(R-7)に、ポリエステル(A-1)をポリエステル(A-3)に変更した以外は同様にして、トナー母粒子分散液7を製造した。
<トナー母粒子分散液22の製造例>
前記トナー母粒子分散液1の製造例において、ポリエステル(A-1)を用いなかった
以外は同様にして、トナー母粒子分散液22を製造した。
<トナー母粒子分散液23の製造例>
前記トナー母粒子分散液1の製造例において、樹脂A(R-1)を用いなかった以外は同様にして、トナー母粒子分散液23を製造した。
<トナー母粒子分散液24の製造例>
前記トナー母粒子分散液1の製造例において、樹脂A(R-1)を、3-アミノプロピルトリメトキシシランに変更した以外は同様にして、トナー母粒子分散液24を製造した。
<トナー母粒子分散液25の製造例>
イオン交換水660.0部、及び48.5%のドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液25.0部を混合し、T.K.ホモミクサーを用いて、10000rpmにて撹拌して水系媒体2を調製した。
下記材料を酢酸エチル500.0部へ投入し、プロペラ式撹拌装置にて100rpmで溶解して溶解液を調製した。
・スチレン/ブチルアクリレート共重合体 100.0部
(共重合質量比:80/20)
・樹脂A(R-1) 3.0部
・ポリエステル(A-1) 5.0部
・着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5部
・フィッシャートロプシュワックス(融点:78℃) 9.0部
150.0部の水系媒体2を容器に入れ、T.K.ホモミクサーを用い、回転数12,000rpmで撹拌し、これに前記溶解液100.0部を添加し、10分間混合して乳化スラリーを調製した。
その後、脱気用配管、撹拌機及び温度計を備えたフラスコに、乳化スラリー100.0部を仕込み、500rpmで撹拌しながら30℃にて12時間減圧下、脱溶剤し45℃で4時間熟成させて、脱溶剤スラリーとした。
脱溶剤スラリーを減圧濾過した後、得られた濾過ケーキにイオン交換水300.0部を添加し、T.K.ホモミクサーで混合、再分散(回転数12,000rpmにて10分間)した後、濾過した。
得られた濾過ケーキを乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩いトナー母粒子25を得た。
容器中に、イオン交換水390.0部、及びリン酸ナトリウム(12水和物)〔ラサ工業(株)製〕14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサーを用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
さらに、該水系媒体に10%塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体3を得た。
該水系媒体3中にトナー母粒子25を200.0部投入し、T.K.ホモミクサーを用いて、温度60℃、5,000rpmで回転させながら15分間分散した。イオン交換水を加えて分散液中のトナー母粒子濃度が20.0%になるように調整し、トナー母粒子分散液25を得た。
<トナー母粒子分散液26の製造例>
(樹脂粒子分散液の製造例)
下記材料を秤量し、混合及び溶解させた。
・スチレン 82.6部
・アクリル酸n-ブチル 9.2部
・アクリル酸 1.3部
・樹脂A(R-1) 3.0部
・ヘキサンジオールジアクリレート 0.4部
・n-ラウリルメルカプタン 3.2部
得られた溶液にネオゲンRK(第一工業製薬(株)製)の10%水溶液を添加して、分散させた。さらに10分間ゆっくりと撹拌しながら、過硫酸カリウム0.15部をイオン交換水10.0部に溶解させた水溶液を添加した。窒素置換をした後、温度70℃で6.0時間乳化重合を行った。重合終了後、反応液を室温まで冷却し、イオン交換水を添加することで固形分濃度が12.5%、体積基準のメジアン径が0.2μmの樹脂粒子分散液を得た。
(ワックス粒子分散液の製造例)
以下の材料を秤量し混合した。
・エステルワックス(融点:70℃) 100.0部
・ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製) 15.0部
・イオン交換水 385.0部
前記材料を湿式ジェットミル JN100((株)常光製)を用いて1時間分散してワックス粒子分散液を得た。ワックス粒子分散液中のワックスの固形分濃度は20.0%であった。
(着色剤粒子分散液の製造例)
以下の材料を秤量し混合した。
・着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 100.0部
・ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製) 15.0部
・イオン交換水 885.0部
前記材料を湿式ジェットミル JN100((株)常光製)を用いて1時間分散して着色剤粒子分散液を得た。
・樹脂粒子分散液 160.0部
・ワックス粒子分散液 10.0部
・着色剤粒子分散液 10.0部
・硫酸マグネシウム 0.2部
前記材料をホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた後、撹拌させながら、65℃まで加温した。
65℃で1.0時間撹拌した後、光学顕微鏡にて観察すると、個数平均粒径が6.0μmである凝集体粒子が形成されていることが確認された。
これにネオゲンRK(第一工業製薬(株)製)2.2部加えた後、80℃まで昇温して2.0時間撹拌して、融合した球形トナー母粒子を得た。
冷却後、ろ過し、ろ別した固体を720.0部のイオン交換水で、1.0時間撹拌洗浄した。トナー母粒子を含む溶液をろ過し、真空乾燥機を用いて乾燥させ、トナー母粒子26を得た。
容器中に、イオン交換水390.0部、及びリン酸ナトリウム(12水和物)〔ラサ工業(株)製〕14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサーを用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
さらに、該水系媒体に10%塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体4を得た。
該水系媒体4中にトナー母粒子26を200.0部投入し、T.K.ホモミクサーを用
いて、温度60℃、5,000rpmで回転させながら15分間分散した。イオン交換水を加えて分散液中のトナー母粒子濃度が20.0%になるように調整し、トナー母粒子分散液26を得た。
<トナー母粒子分散液27の製造例>
冷却管、攪拌機、及び、窒素導入管のついた反応槽中に、以下の材料を投入した。
・テレフタル酸 29.0部
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン
80.0部
・チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート) 0.1部
その後、200℃に加熱し、窒素を導入しながら生成する水を除去しながら9時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸5.8部を加え、170℃に加熱し、3時間反応させバインダー樹脂としてのポリエステル(A-11)を合成した。
また、
・低密度ポリエチレン(融点:100℃) 20.0部
・スチレン 64.0部
・アクリル酸n-ブチル 13.5部
・アクリロニトリル 2.5部
をオートクレーブに仕込み、系内を窒素置換後、昇温攪拌しながら180℃に保持した。
系内に、2.0%のt-ブチルハイドロパーオキシドのキシレン溶液50.0部を4.5時間かけて連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、ポリエチレンに共重合体がグラフトしたグラフト重合体を得た。
・ポリエステル樹脂(A-11) 100.0部
・樹脂A(R-1) 3.0部
・パラフィンワックス(融点:75℃) 5.0部
・グラフト重合体 5.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.0部
前記材料をFMミキサ(FM-75型、日本コークス工業株式会社製)でよく混合した後、温度100℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、池貝鉄工(株)製)にて溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。
次に、得られた粗砕物を、ターボ工業社製のターボ・ミル(T-250:RSSローター/SNBライナー)を用いて、5μm程度の微粉砕物を得た。
その後、さらにコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粉及び粗粉をカットしてトナー母粒子27を得た。
容器中に、イオン交換水390.0部、及びリン酸ナトリウム(12水和物)〔ラサ工業(株)製〕14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサーを用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
さらに、該水系媒体に10%塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体5を得た。
該水系媒体5中にトナー母粒子27を200.0部投入し、T.K.ホモミクサーを用いて、温度60℃、5,000rpmで回転させながら15分間分散した。イオン交換水を加えて分散液中のトナー母粒子濃度が20.0%になるように調整し、トナー母粒子分散液27を得た。
<トナー母粒子分散液28の製造例>
前記トナー母粒子分散液27の製造例において、樹脂A(R-1)を用いなかった以外は同様にして、トナー母粒子分散液28を製造した。
<トナー母粒子分散液29の製造例>
前記トナー母粒子分散液27の製造例において、樹脂A(R-1)を、下記で合成した樹脂A(R-22)に変更した以外は同様にして、トナー母粒子分散液29を製造した。[樹脂A(R-22)の合成]
・トルエン 100.0部
・スチレン 70.0部
・ブチルアクリレート 30.0部
・3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン 1.8部
・アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 1.5部
を四つ口フラスコにとり、窒素置換した後、80℃で8時間重合してポリマーのトルエン溶液を得た。このポリマーのトルエン溶液をn-へキサンを用いて再沈して樹脂A(R-22)を得た。得られた樹脂A(R-22)中のケイ素原子の含有量は0.21質量%であった。
<トナー母粒子分散液30の製造例>
前記トナー母粒子分散液17の製造例において、樹脂A(R-17)の代わりに樹脂A(R-23)を用いた以外は同様にして、トナー母粒子分散液30を製造した。
<トナー母粒子分散液31の製造例>
前記トナー母粒子分散液21の製造例において、樹脂A(R-21)の代わりに樹脂A(R-24)を用いた以外は同様にして、トナー母粒子分散液31を製造した。
<有機ケイ素化合物液1の製造例>
・イオン交換水 90.0部
・メチルトリメトキシシラン 10.0部
前記材料をビーカーに秤量し、1モル/Lの塩酸でpHを4.5に調整した。その後、ウォーターバスで60℃に加熱しながら1時間撹拌し、有機ケイ素化合物液1を作製した。
<有機ケイ素化合物液2の製造例>
前記有機ケイ素化合物液1の製造例において、メチルトリメトキシシラン10.0部を、メチルトリエトキシシラン8.5部とテトラエトキシシラン1.5部の混合物に変更した以外は同様にして、有機ケイ素化合物液2を製造した。
<有機ケイ素化合物液3の製造例>
前記有機ケイ素化合物液1の製造例において、メチルトリメトキシシラン10.0部を、メチルトリメトキシシラン9.0部とジメトキシジメチルシラン1.0部の混合物に変更した以外は同様にして、有機ケイ素化合物液3を製造した。
<有機ケイ素化合物液4の製造例>
前記有機ケイ素化合物液1の製造例において、メチルトリメトキシシラン10.0部を、メチルトリメトキシシラン9.5部とプロピルトリメトキシシラン0.5部の混合物に変更した以外は同様にして、有機ケイ素化合物液4を製造した。
<有機ケイ素化合物液5の製造例>
前記有機ケイ素化合物液4の製造例において、プロピルトリメトキシシランをヘキシルトリメトキシシランに変更した以外は同様にして、有機ケイ素化合物液5を製造した。
<有機ケイ素化合物液6の製造例>
前記有機ケイ素化合物液4の製造例において、プロピルトリメトキシシランをフェニルトリメトキシシランに変更した以外は同様にして、有機ケイ素化合物液6を製造した。
<有機ケイ素化合物液7の製造例>
前記有機ケイ素化合物液1の製造例において、メチルトリメトキシシランをテトラメトキシシランに変更した以外は同様にして、有機ケイ素化合物液7を製造した。
<有機ケイ素化合物液8の製造例>
前記有機ケイ素化合物液1の製造例において、メチルトリメトキシシランをジメチルジエトキシシランに変更した以外は同様にして、有機ケイ素化合物液8を製造した。
<トナー1の製造例>
反応容器内に下記材料を秤量し、プロペラ撹拌羽根を用いて混合した。
・有機ケイ素化合物液1 20.0部
・トナー母粒子分散液1 500.0部
次に、得られた混合液のpHを7.0に調整し、混合液の温度を50℃にした後に、プロペラ撹拌羽根を用いて混合しながら、1時間保持した。
その後、1モル/LのNaOH水溶液を用いてpHを9.5に調整し、温度は50℃で、撹拌しながら2時間保持した。
1モル/Lの塩酸でpHを1.5に調整して1時間撹拌後、イオン交換水で洗浄しながら、ろ過し、その後乾燥工程を経て、トナー粒子1を得た。
トナー粒子1のテトラヒドロフラン(THF)不溶分を、蛍光X線測定で測定したところ、該不溶分中のケイ素原子の含有量は35質量%であった。
また、該不溶分を、29Si-NMRで測定したところ、式(A)で表される構造のピークの割合は71%であった。
得られたトナー粒子1をトナー1とした。
<トナー2~21、28~31、および、比較用トナー6~7の製造例>
前記トナー1の製造例において、トナー母粒子分散液1を、表3に記載のトナー母粒子分散液に各々変更した以外は同様にして、トナー2~21、および28~31、および、比較用トナー6~7の各々を製造した。これらのトナーの物性を下記表3に示す。
<トナー22の製造例>
前記トナー1の製造例において、pHを9.5に調整し、温度は50℃で、撹拌しながら2時間保持したところを、18時間保持することに変更した以外は同様にして、トナー22を得た。このトナーの物性を下記表3に示す。
<トナー23~27の製造例>
前記トナー1の製造例において、有機ケイ素化合物液1を、有機ケイ素化合物液2~6の各々に変更した以外は同様にして、トナー23~27の各々を製造した。これらのトナーの物性を下記表3に示す。
<トナー32の製造例>
500.0部の前記トナー母粒子分散液1に対して、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを11.5に調製した。これを60℃に加温し、撹拌しながら20.0部の前記有機ケイ素化合物液1を加えた。添加後、温度を60℃に保持しながら攪拌を継続し、縮合反応2時間を行った。
その後、1モル/Lの塩酸でpHを1.5に調整して1時間撹拌後、イオン交換水で洗浄しながら、ろ過し、その後乾燥工程を経て、トナー粒子32を得た。
トナー粒子32のテトラヒドロフラン(THF)不溶分を、蛍光X線測定で測定したところ、該不溶分中のケイ素原子の含有量は33質量%であった。
また、該不溶分を、29Si-NMRで測定したところ、式(A)で表される構造のピークの割合は65%であった。
得られたトナー粒子32をトナー32とした。
<比較用トナー1の製造例>
特許文献1を想定し、下記のようにして比較用トナー1を製造した。
前記トナー1の製造例において、有機ケイ素化合物液1を有機ケイ素化合物液7に、また、トナー母粒子分散液1をトナー母粒子分散液28に変更した以外は同様にして、比較用トナー1を製造した。このトナーの物性を下記表3に示す。
<比較用トナー2の製造例>
特許文献2を想定し、下記のようにして比較用トナー2を製造した。
前記トナー1の製造例において、有機ケイ素化合物液1を、有機ケイ素化合物液8に、また、トナー母粒子分散液1をトナー母粒子分散液29に変更した以外は同様にして、比較用トナー2を製造した。これらのトナーの物性を下記表3に示す。
<比較用トナー3の製造例>
特許文献3を想定し、下記のようにして比較用トナー3を製造した。
前記トナー1の製造例において、トナー母粒子分散液1を、トナー母粒子分散液23に変更した以外は同様にして、比較用トナー3を製造した。このトナーの物性を下記表3に示す。
<比較用トナー4の製造例>
特許文献3を想定し、下記のようにして比較用トナー4を製造した。
SUPERMIXER PICCOLO(株式会社カワタ製)に、100部の前記比較用トナー3、およびハイドロタルサイト粒子[商品名:DHT-4A、協和化学工業(株)製]0.2部を投入し、3000rpmで10分間混合を行った。処理後、目開き150μmのメッシュで篩い、比較用トナー4を得た。このトナーの物性を下記表3に示す。
<比較用トナー5の製造例>
前記トナー1の製造例において、トナー母粒子分散液1を、トナー母粒子分散液24に変更した以外は同様にして、比較用トナー5を製造した。このトナーの物性を下記表3に示す。
Figure 0007479879000013

※2:有機ケイ素重合体中のケイ素原子の含有量(質量%)
※3:有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、式(A)で表される構造のピーク面積の割合(%)
表3中の略語は、以下の通りである。
MTMS:メチルトリメトキシシラン
MTES:メチルトリエトキシシラン
DMDMS:ジメチルジメトキシシラン
DMDES:ジメチルジエトキシシラン
TEOS:テトラエトキシシラン
TMOS:テトラメトキシシラン
PrTMS:プロピルトリメトキシシラン
HTMS:ヘキシルトリメトキシシラン
PhTMS:フェニルトリメトキシシラン
[実施例1~32、比較例1~7]
トナー1~32、および比較用トナー1~7の各々について行った評価について、その方法を以下に述べる。なお、評価結果については表4に記載する。
<トナー評価の準備>
市販のキヤノン製レーザービームプリンタLBP7600Cの改造機を用いた。改造点は、評価機本体及びソフトウェアを変更することにより、現像ローラーの回転速度を540mm/secとした。
これを用いて、以下のトナー帯電量、部材汚染、および帯電立ち上がりの評価を行った。
<帯電量の評価(常温常湿環境)>
LBP7600Cのトナーカートリッジに、トナー200gを装填した。そして、そのトナーカートリッジを常温常湿(25℃/50%RH;N/Nとも言う)の環境下で24時間放置した。当該環境下で24時間放置後のトナーカートリッジを上記LBP7600Cに取り付けた。
ベタ画像を20枚出力した。20枚目の出力中に強制的にマシンを停止して、規制ブレードを通過した直後の現像ローラー上のトナー帯電量を測定した。現像ローラー上の帯電量の測定は、図1の透視図に示すファラデーケージを用いて行った。内部(図の右側)を減圧状態にして現像ローラー上のトナーが吸い込まれるようにし、トナーフィルター33を設けてトナーを捕集した。なお、図1中、符号31は吸引部であり、符号32はホルダーである。
この捕集したトナーの質量M(g)と、クーロンメーターにて直接測定した電荷Q(μC)より、単位質量当たりの電荷量(μC/g)を計算し、トナー帯電量(Q/M)として、以下の基準で評価を行った。評価結果を表4に示す。
A:-50μC/g未満
B:-50μC/g以上-40μC/g未満
C:-40μC/g以上-30μC/g未満
D:-30μC/g以上-20μC/g未満
E:-20μC/g以上
<部材汚染の評価(現像ローラー上のSi量の測定方法)>
前記帯電量の評価が完了してから、そのままの環境下で、35.0%の印字率画像をA4用紙横方向で4000枚プリントアウトした。
4000枚の印字後、使用したカートリッジから現像ローラーを取り出し、ブロワーでトナーを除去した。現像ローラーの長手方向の一方の端部から他方の端部に向かって10cmとなる点を中心とした部分について、該現像ローラーの表面を面積が5mm×5mm、厚みが1mmになるようカッターでそぎ取り、試料台にカーボンテープで固定した。サンプルを固定した試料台をPtイオンスパッター(E-1045、HITACHI製)の試料室に入れ、放電電流15mA、放電時間20秒、Ptターゲットからの試料表面までの距離を3cmに設定し、真空度7.0PaにてPtを蒸着した。得られた試料を走査型電子顕微鏡(JSM-7800、日本電子社製)で観察した。観察条件は以下の通りである。
観察モード:SEM
検出器:LED
フィルタ:3
照射電流:8
WD:10.0mm
加速電圧:5kV
観察視野を500倍に合わせ、EDS(NORAN System 7、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)分析を行った。以下のように条件を設定し、元素の設定にて炭素、酸素、ケイ素、白金を選択し、視野全域の電子線イメージの収集を実行した。
ライフタイムのリミット:30秒
時定数:Rate1
その後、スペクトルの定量を行い、炭素、酸素、ケイ素、白金の各元素の割合(原子%)を求めた。得られたケイ素の割合(原子%)を白金の割合(原子%)で除した値を、その視野における現像ローラー上Si量とした。3視野について上記現像ローラー上Si量を測定し、その平均値を最終的な現像ローラー上Si量(原子%)とし、以下の基準で評価した。評価結果を表4に示す。
A:1.0原子%未満
B:1.0原子%以上2.0原子%未満
C:2.0原子%以上3.0原子%未満
D:3.0原子%以上4.0原子%未満
E:4.0原子%以上
<帯電立ち上がりの評価(高温高湿環境)>
LBP7600Cのトナーカートリッジに、トナー200gを装填した。そして、そのトナーカートリッジを高温高湿(35℃/80%RH;H/Hとも言う)の環境下で24時間放置した。当該環境下で24時間放置後のトナーカートリッジを上記LBP7600Cに取り付けた。
まず、ベタ黒を1枚印刷した後、上記帯電量の評価と同様の評価によってトナー帯電量(Q/M)を測定した。この時の帯電量を「初期のトナー帯電量」とした。
次に、ベタ白を20枚印刷し、上記帯電量の評価と同様の評価によってトナー帯電量(Q/M)を測定した。この時の帯電量を「トナー飽和帯電量」とした。
測定した結果より、帯電立ち上がりを以下の式より算出した。
帯電立ち上がり性(%)=(初期のトナー帯電量)/(トナー飽和帯電量)×100
上記の式で得た帯電立ち上がり性について、以下の基準で評価を行った。評価結果を表4に示す。
A:帯電の立ち上がり性が90%以上
B:帯電の立ち上がり性が70%以上90%未満
C:帯電の立ち上がり性が50%以上70%未満
D:帯電の立ち上がり性が30%以上50%未満
E:帯電の立ち上がり性が30%未満
<帯電保持性の評価(高温高湿環境)>
トナー0.01gをアルミニウム製パンに計量し、コロナ帯電装置[商品名:KTB-20、春日電機(株)製]を用いて-600Vに帯電させた。続いて、H/H環境下で表面電位計(トレックジャパン製 model347)を用いて表面電位の変化挙動を30分間測定した。
測定した結果より、電荷保持率を以下の式より算出した。該電荷保持率に基づき帯電保持性を評価した。評価結果を表4に示す。
30分後の電荷保持率(%)=(30分後の表面電位/初期表面電位)×100
A:電荷保持率が90%以上
B:電荷保持率が70%以上90%未満
C:電荷保持率が50%以上70%未満
D:電荷保持率が30%以上50%未満
E:電荷保持率が30%未満
<耐熱保存性の評価>
約10gのトナーを100mLのポリカップに入れ、50℃(常湿)に3日放置した後、目視で評価した。評価結果を表4に示す。
A:凝集物は見られない。
B:凝集物がわずかに見られるが、容易に崩れる。
C:凝集物が見られるが、容易に崩れる。
D:凝集物が見られるが、振れば崩れる。
E:凝集物をつかむことができ、容易に崩れない。
Figure 0007479879000014

Claims (7)

  1. トナー粒子を含有するトナーであって、
    該トナー粒子が、
    トナーコア粒子と、
    該トナーコア粒子の表面を被覆する有機ケイ素重合体と、
    を含有し、
    該有機ケイ素重合体が、下記式(A)で表される構造を有し、
    該トナーコア粒子が、樹脂Aを含有し、
    該樹脂Aが、分子内に置換または無置換のシリル基を有し、
    該置換のシリル基の置換基が、炭素原子数1以上のアルキル基、炭素原子数1以上のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子および炭素原子数6以上のアリール基からなる群から選択される少なくとも一であり、
    該樹脂A中のケイ素原子の含有量が、0.02質量%~10.00質量%であり、
    該有機ケイ素重合体中のケイ素原子の含有量が、30質量%~50質量%であり、
    Figure 0007479879000015
    (該式(A)中、Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1~6のアルキル基、またはフェニル基を表す。)
    該樹脂Aが、下記式(1)で表される構造を有する、
    Figure 0007479879000016
    (該式(1)中、P はポリエステル部位を表し、L は単結合または二価の連結基を表し、R ~R は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1以上のアルキル基、炭素原子数1以上のアルコキシ基、炭素原子数6以上のアリール基またはヒドロキシ基を表し、mは正の整数を表し、mが2以上である場合の、複数のL 、複数のR 、複数のR および複数のR は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。)
    ことを特徴とするトナー。
  2. 前記式(1)中のR~Rのうち、少なくとも一つが、炭素原子数1以上のアルコキシ基またはヒドロキシ基を表す、
    請求項に記載のトナー。
  3. 前記式(1)中のR~Rが、各々独立して炭素原子数1以上のアルコキシ基またはヒドロキシ基を表す、
    請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記樹脂Aの重量平均分子量が3000~100000である、
    請求項1~のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の29Si-NMRの測定において、前記有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、前記式(A)で表される構造のピーク面積の割合が30%~100%である、
    請求項1~のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の29Si-NMRの測定において、前記有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、前記式(A)で表される構造のピーク面積の割合が50%~90%である、
    請求項に記載のトナー。
  7. 前記式(A)中のRが炭素原子数1~3のアルキル基を表す、
    請求項1~のいずれか1項に記載のトナー。
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