JP7478843B2 - 光ファイバケーブルの接続構造及び光ファイバケーブルの製造方法 - Google Patents
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Description
本願は、2020年12月10日に日本に出願された特願2020-205028号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
以下、本発明の第一実施形態について図1~8を参照して説明する。
図1,2に示すように、第一実施形態の光ファイバケーブルの接続構造は、長手方向の中間部10Mにおいて分断された光ファイバケーブル10と、第1樹脂部21(第1固定部)と、第2樹脂部22(第2固定部)と、光路31と、を備える。以下の説明では、光ファイバケーブル10の長手方向を軸方向Xと呼ぶ。
図1において、第1、第2樹脂部21,22については、複数の第1光ファイバ111が第1樹脂部21の内部に埋まるように、また、複数の第2光ファイバ112が第2樹脂部22の内部に埋まるように形成されているが、これに限ることはない。
また、光路31は、分断された光ファイバ11同士を光学的に接続する。具体的に、光路31は、複数の第1光ファイバ111と複数の第2光ファイバ112とを個別に光学的に接続する。
軸方向Xにおいて互いに対向する第1光学樹脂331の対向面331a及び第2光学樹脂332の対向面332aは、互いに面接触するように形成されている。第1、第2光学樹脂331,332のそれぞれの対向面331a,332aは、図示例のように平坦に形成されてもよいが、これに限ることはない。
図1,2に示す接続構造を有する光ファイバケーブル10を製造するためには、はじめに図3,4に示すように、軸方向Xにおける光ファイバケーブル10の中間部10Mに位置する外皮15を除去する(外皮除去工程)。これにより、中間部10Mに位置する複数の光ファイバ11が外部に露出する。これら複数の光ファイバ11は、軸方向Xに延びることに限らず、軸方向Xに対して傾斜する方向に延びたりしている。
なお、本実施形態では複数の光ファイバ11の固定のために樹脂20を用いているが、これに限らず、例えば、複数の光ファイバ11を樹脂製のスパイラルチューブや熱収縮チューブによって締め上げることで、複数の光ファイバ11が固定されてもよい。
分断工程では、回転刃やレーザ光などを利用して固定部40(複数の光ファイバ11及び樹脂20)を切断する。固定部40を切断する際には、固定部40が切断位置CLにおいて軸方向Xにおける所定の長さ(削り代SV)だけ削り取られる。削り代SVは、回転刃の厚さやレーザ光のスポット径の大きさなどに依存する。
第1、第2光学樹脂331,332の合計の厚みT(合計厚みT)は、削り代SVの長さと一致してもよいし、削り代SVの長さに対して例えば数%の誤差があってもよい。また、合計厚みTは、第1光ファイバ111の切断面111aや第2光ファイバ112の切断面112aから、それぞれ対応する第1、第2光学樹脂331,332に出射した光が切断面111a,112aから離れるにしたがって発散することを考慮して、削り代SVの長さに対応するように設定されてもよい。具体的には、合計厚みTが、削り代SVの長さよりも短く設定されてもよい。
上記の接続工程が完了することで、本実施形態に係る光ファイバケーブルの製造方法が完了する。
これに対し、本実施形態では、図8に示すように、削り代SVの長さに対応する厚みTを有する光学樹脂333が第1光ファイバ111の切断面111aと第2光ファイバ112の切断面112aとの間に挟まれる。これにより、第1光ファイバ111の切断面111aから第2光ファイバ112の切断面112aまで光ファイバ11が延びる方向(光ファイバ11が軸方向Xに対して傾斜する方向)に光を伝播させることができる。すなわち、第1光ファイバ111と第2光ファイバ112とを簡単に光学的に正しく接続することができる。
光ファイバケーブル10の複数の光ファイバ11を一括して接続できることで、例えば、長尺の光ファイバケーブル10を複数のドラムに分けて巻き回して搬送しても、現場において光ファイバケーブル10同士を短時間で接続することが可能となる。
次に、本発明の第二実施形態に係る光ファイバケーブルの製造方法について、主に図9~13を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
中間部10Mに位置する複数の光ファイバ11を収容するケース50の内部空間51は、軸方向Xの両端において外側に開口する。これらケース50の開口部55は、中間部10Mに位置する複数の光ファイバ11を収容することで光ファイバケーブル10によって塞がれる。また、ケース50の内部空間51は、ケース50の外側に開口する樹脂注入孔52につながっている。図9において、ケース50の内部空間51は円筒状に形成されているが、これに限ることはない。
本実施形態では、軸方向Xに直交し、4つの平坦面53のうち2つの平坦面53(上面53a、下面53b)が延びる方向を上下方向Zとする。また、軸方向X及び上下方向Zに直交し、4つの平坦面53のうち他の2つの平坦面53(側面53c)が延びる方向を、左右方向Yとする。
以上のように第1、第2ケース分割体56,57が相互に位置決めされることで、分断された複数の第1光ファイバ111と複数の第2光ファイバ112(図10参照)とを相互に位置決めすることができる。
以上により、接続工程が完了し、第二実施形態に係る光ファイバケーブルの製造方法が完了する。
また、第二実施形態の光ファイバケーブルの製造方法では、固定工程において、液体状の樹脂20を複数の光ファイバ11の間に浸透させた上で、当該樹脂20を硬化させることにより、複数の光ファイバ11を固定する。このため、複数の光ファイバ11の相対的な位置関係をより確実に保持することができる。これにより、分断工程後において、複数の第1光ファイバ111が相互に位置ずれしたり、複数の第2光ファイバ112が相互に位置ずれしたりすることを、効果的に抑制することができる。
次に、本発明の第三実施形態に係る光ファイバケーブルの接続構造及び製造方法について、主に図16~19を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
自己形成光導波路35は、光硬化性樹脂によって形成されている。光硬化性樹脂としては、例えばエポキシ系材料、アクリル系材料、ポリイミド系材料、シリコーン系材料、有機・無機ハイブリッド系材料などが挙げられる。複数の自己形成光導波路35は、第1の束13及び第2の束14のそれぞれの切断面111a,112a(図2参照)から延び、分断された複数の光ファイバ11同士を個別に接続する。具体的に、複数の自己形成光導波路35は、複数の第1光ファイバ111と複数の第2光ファイバ112とを個別に接続する。
また、複数の自己形成光導波路35は、第1の束13の切断面111aと第2の束14の切断面112aとの間に介在している。さらに、軸方向Xにおける自己形成光導波路35の長さは、削り代SVの長さに対応している。これにより、自己形成光導波路35は、軸方向Xにおける第1の束13と第2の束14との間の間隔を削り代SVの長さに保持する。
保持用樹脂部36は、光が透過しない樹脂であってもよいし、光透過性を有する光学樹脂であってもよい。保持用樹脂部36が光学樹脂である場合、保持用樹脂部36の屈折率は、自己形成光導波路35の屈折率よりも低いことが好ましい。
保持用筒部37は、光ファイバケーブル10の中間部10Mに配される。保持用筒部37の内周部371は、軸方向Xにおいて中間部10Mの両側に位置する外皮15の間に挟まれる。軸方向Xにおいて、外皮15の間に挟まれる保持用筒部37の内周部371の長さLは、第1の束13と第2の束14との間隔が削り代SVの長さとなるときの外皮15の間の長さ(すなわち中間部10Mの長さ)に対応している。すなわち、保持用筒部37は、自己形成光導波路35と共に、軸方向Xにおける第1の束13と第2の束14との間の間隔を削り代SVの長さに保持する。
第三実施形態に係る光ファイバケーブルの製造方法では、第一実施形態と同様に、固定工程、分断工程、接続工程を順番に実施する。また、固定工程の前には第一実施形態と同様の外皮除去工程を実施する。第三実施形態の外皮除去工程、固定工程及び分断工程は、第一実施形態と同じである。
導波路形成工程では、図18に示すように、対応する第1光ファイバ111と第2光ファイバ112とに光を通し、当該光を第1光ファイバ111及び第2光ファイバ112の切断面111a,112aから光硬化性樹脂35Aに出射する。当該光によって光硬化性樹脂35Aが硬化する。光硬化性樹脂35Aが硬化する部分(硬化部分35A1)は、第1光ファイバ111及び第2光ファイバ112のそれぞれの切断面111a,112aから光の進行方向(図18において右上方向あるいは左下方向)に延びる。そして、第1光ファイバ111の切断面111a及び第2光ファイバ112の切断面112aから延びるそれぞれの光硬化性樹脂35Aの硬化部分35A1同士が接続されることで、図19に示すように、自己形成光導波路35が形成される。これにより、第1光ファイバ111と第2光ファイバ112とが自己形成光導波路35を介して光学的に接続され、接続工程が完了する。
以上により、本実施形態に係る光ファイバケーブルの製造方法が完了する。
また、第三実施形態の光ファイバケーブルの接続構造では、分断された複数の光ファイバ11同士が複数の自己形成光導波路35によって個別に光学的に接続されている。これにより、分断された光ファイバ11の間で伝送される光信号の結合効率の向上を図ることができる。
また、第三実施形態の光ファイバケーブルの製造方法では、軸方向Xにおける第1光ファイバ111の切断面111aと第2光ファイバ112の切断面112aとの間隔を高い精度で設定しなくても、すなわち当該間隔が削り代SVの長さと多少異なっていても、分断された光ファイバ11同士を自己形成光導波路35によって光学的に接続することができる。
被覆除去工程を実施する場合には、光ファイバ11のファイバ本体(ガラス部分)が露出するため、当該ファイバ本体を固定工程において樹脂により直接固定することができる。このため、分断工程後において、複数の第1光ファイバ111が相互に位置ずれしたり、複数の第2光ファイバ112が相互に位置ずれしたりすることを抑制又は防止することができる。
一方、被覆除去工程を実施しない場合には、光ファイバ11のファイバ本体が被覆によって保護される。このため、固定工程や分断工程など光ファイバケーブルを製造する過程において、ファイバ本体が傷つくことを抑制又は防止することができる。これにより、製造後の光ファイバケーブルにおける機械的な信頼性の向上を図ることができる。
また、本発明において採用される光ファイバの材料は、石英光ファイバやプラスチック光ファイバなどであってよく、特に限定されない。
また、本発明に採用される光ファイバケーブルは、一種類の光ファイバだけを有してもよいし、複数種類の光ファイバを有していてもよい。
Claims (5)
- 光ファイバケーブルの長手方向における中間部において、第1の束と第2の束とに分断された複数の光ファイバと、
前記中間部に位置する前記第1の束の複数の光ファイバを一体に固定する第1固定部と、
前記中間部に位置する前記第2の束の複数の光ファイバを一体に固定する第2固定部と、
前記第1の束と前記第2の束との間に設けられて前記長手方向における前記第1の束と前記第2の束との間の間隔を保持すると共に、分断された光ファイバ同士を光学的に接続する光路と、
を備え、
前記複数の光ファイバの少なくとも1つが、前記光ファイバケーブルの前記長手方向に対して傾斜して延びており、
前記光路は、光透過性を有し、前記第1の束及び前記第2の束の切断面の少なくとも一方に設けられた光学樹脂であり、
前記光学樹脂の厚みは、分断された前記第1の束と前記第2の束の削り代の長さに対応する光ファイバケーブルの接続構造。 - 光ファイバケーブルの長手方向における中間部において、第1の束と第2の束とに分断された複数の光ファイバと、
前記中間部に位置する前記第1の束の複数の光ファイバを一体に固定する第1固定部と、
前記中間部に位置する前記第2の束の複数の光ファイバを一体に固定する第2固定部と、
前記第1の束と前記第2の束との間に設けられて前記長手方向における前記第1の束と前記第2の束との間の間隔を保持すると共に、分断された光ファイバ同士を光学的に接続する光路と、
を備え、
前記複数の光ファイバの少なくとも1つが、前記光ファイバケーブルの前記長手方向に対して傾斜して延びており、
前記光路は、光硬化性樹脂によって形成され、前記第1の束及び前記第2の束の切断面から延びて分断された複数の光ファイバ同士を個別に接続する複数の自己形成光導波路であり、
前記光硬化性樹脂の厚みは、分断された前記第1の束と前記第2の束の削り代の長さに対応する光ファイバケーブルの接続構造。 - 光ファイバケーブルの長手方向における中間部において、複数の光ファイバを樹脂によって固めて固定部を形成する固定工程と、
前記固定部において前記複数の光ファイバを切断して第1の束と第2の束とに分断する分断工程と、
前記第1の束と前記第2の束との間の間隔を、前記分断工程における削り代の長さに対応する間隔に保持した状態で、前記分断工程において分断された光ファイバ同士を光学的に接続する接続工程と、を備え、
前記接続工程では、光透過性を有する光学樹脂を前記第1の束及び前記第2の束の切断面の少なくとも一方に設け、
前記第1の束の切断面と前記第2の束の切断面との間に介在する前記光学樹脂の厚みは、前記削り代の長さに対応する光ファイバケーブルの製造方法。 - 光ファイバケーブルの長手方向における中間部において、複数の光ファイバを樹脂によって固めて固定部を形成する固定工程と、
前記固定部において前記複数の光ファイバを切断して第1の束と第2の束とに分断する分断工程と、
前記第1の束と前記第2の束との間の間隔を、前記分断工程における削り代の長さに対応する間隔に保持した状態で、前記分断工程において分断された光ファイバ同士を光学的に接続する接続工程と、を備え、
前記接続工程では、
前記第1の束と前記第2の束との間隔を前記削り代の長さに対応する間隔に保持した状態で、前記第1の束と前記第2の束との間に光硬化性樹脂を充填し、
前記第1の束と前記第2の束の光ファイバとのうち少なくとも一方に光を通し、当該光を前記光硬化性樹脂に向けて出射して前記光によって前記光硬化性樹脂を硬化させることで、前記第1の束の光ファイバと前記第2の束の光ファイバとを接続する自己形成光導波路を形成する光ファイバケーブルの製造方法。 - 前記固定工程では、前記中間部をケースの内部に収容し、前記ケースの内部に前記樹脂を注入することで前記固定部を形成し、
前記分断工程では、前記複数の光ファイバと共に前記ケースを切断することで、前記ケースを前記第1の束と一体に固定された第1ケース分割体と前記第2の束と一体に固定された第2ケース分割体とに分割し、
前記接続工程では、前記第1ケース分割体と前記第2ケース分割体とを相互に位置決めすることで、分断された光ファイバ同士を相互に位置決めする請求項3または4に記載の光ファイバケーブルの製造方法。
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