JP7478670B2 - 有機金属錯体、発光デバイス、発光装置、電子機器、および照明装置 - Google Patents

有機金属錯体、発光デバイス、発光装置、電子機器、および照明装置 Download PDF

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Description

本発明の一態様は、有機化合物、発光デバイス、発光装置、電子機器、および照明装置に関する。但し、本発明の一態様は、それらに限定されない。すなわち、本発明の一態様は、物、方法、製造方法、または駆動方法に関する。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。また、具体的には、半導体装置、表示装置、液晶表示装置などを一例として挙げることができる。
一対の電極間にEL層を挟んでなる発光デバイス(発光素子、または有機EL素子ともいう)は、薄型軽量、入力信号に対する高速な応答性、低消費電力などの特性を有することから、これを適用したディスプレイは、次世代のフラットパネルディスプレイとして注目されている。
発光デバイスは、一対の電極間に電圧を印加することにより、各電極から注入された電子およびホールがEL層において再結合し、EL層に含まれる発光物質(有機化合物)が励起状態となり、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。なお、励起状態の種類としては、一重項励起状態(S)と三重項励起状態(T)とがあり、一重項励起状態からの発光が蛍光、三重項励起状態からの発光が燐光と呼ばれている。また、発光デバイスにおけるそれらの統計的な生成比率は、S:T=1:3であると考えられている。
また、上記発光物質のうち、一重項励起状態におけるエネルギーを発光に変換することが可能な化合物は蛍光性化合物(蛍光材料)と呼ばれ、三重項励起状態におけるエネルギーを発光に変換することが可能な化合物は燐光性化合物(燐光材料)と呼ばれる。
従って、上記の生成比率を根拠にした時、上記各発光物質を用いた発光デバイスにおける内部量子効率(注入したキャリアに対して発生するフォトンの割合)の理論的限界は、蛍光材料を用いた場合は25%、燐光材料を用いた場合は75%となる。
つまり、蛍光材料を用いた発光デバイスに比べて、燐光材料を用いた発光デバイスでは、より高い効率を得ることが可能となる。そのため、近年では様々な種類の燐光材料の開発が盛んに行われている。特に、その燐光量子収率の高さゆえに、イリジウム等を中心金属とする有機金属錯体が注目されている(例えば、特許文献1。)。
特開2009-23938号公報
上述した特許文献1において報告されているように優れた特性を示す燐光材料の開発が進んでいるが、燐光材料の発光領域に応じてその用途が広がるため、可視光領域にのみならず、個人認証や医療診断などに有効とされる長波長領域で発光を示す新規材料の開発が望まれている。
そこで、本発明の一態様では、新規な有機化合物(有機金属錯体を含む)を提供する。また、本発明の一態様は、長波長領域(700nm以上の波長の可視領域または近赤外領域)に発光ピークを有する有機金属錯体を提供する。また、本発明の一態様では、LUMO準位が3.5eV以下である新規の有機金属錯体を提供する。また、本発明の一態様では、発光デバイスに用いることができる新規な有機金属錯体を提供する。また、本発明の一態様では、発光デバイスのEL層に用いることができる、新規な有機金属錯体を提供する。また、本発明の一態様では、新規な有機金属錯体を用いた、効率および信頼性の高い新規な発光デバイスを提供する。また、新規な発光装置、新規な電子機器、または新規な照明装置を提供する。
本明細書中において、可視領域の光(可視光ともいう)は、400nm以上750nm未満の波長の光を示し、近赤外領域の光(近赤外光ともいう)は、750nm以上1000nm以下の波長の光を示す。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。また、本発明の一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はない。また、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
本発明の一態様は、中心金属に、キノキサリン骨格を有する配位子が配位し、この配位子のキノキサリン骨格に縮環するベンゼン環の置換可能な位置の少なくとも一に電子吸引性基(例えば、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基等)を置換基として有する、下記一般式(G1)で表される有機金属錯体である。なお、配位子が電子吸引性基を置換基として有することによる電子状態の変化に伴い、LUMO準位を下げることができる。
Figure 0007478670000001
但し、一般式(G1)中、Mは第9族元素または第10族元素を表し、ArおよびArは、それぞれ独立に置換または無置換のフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、フルオレニル基のいずれか一を示す。また、R~Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、または置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかであり、かつ、R~Rの少なくとも一は、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、ArおよびArがそれぞれ有する置換基のいずれかが互いに結合し、環を形成していても良い。また、ArおよびArが直接結合していても良い。また、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。また、Mが第9族元素の場合、m+n=3(但し、m=0、1または2、n=1、2、または3のいずれか)であり、Mが第10族元素の場合、m+n=2(但し、m=0または1、n=1または2のいずれか)である。
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G2)で表される有機金属錯体である。
Figure 0007478670000002
但し、一般式(G2)中、Mは第9族元素または第10族元素を表す。また、R~R13はそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、または置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルコキシ基、または置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキルスルファニル基のいずれかであり、かつ、R~Rの少なくとも一は、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、RおよびR10は、互いに結合し、環を形成していても良い。また、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、R10およびR11、R11およびR12、ならびにR12およびR13のいずれか一または複数が互いに結合し、置換もしくは無置換の炭素数3~24の飽和環もしくは不飽和環を形成してもよい。また、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。また、Mが第9族元素の場合、m+n=3(但し、m=0、1または2、n=1、2、または3のいずれか)であり、Mが第10族元素の場合、m+n=2(但し、m=0または1、n=1または2のいずれか)である。
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G3)で表される有機金属錯体である。
Figure 0007478670000003
但し、一般式(G3)中、ArおよびArは、それぞれ独立に置換または無置換のフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、フルオレニル基のいずれか一を示す。また、R~Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、または置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかであり、かつ、R~Rの少なくとも一は、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフロロスルファニル基のいずれかを表す。また、ArおよびArがそれぞれ有する置換基のいずれかが互いに結合し、環を形成していても良い。また、ArおよびArが直接結合していても良い。また、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G4)で表される有機金属錯体である。
Figure 0007478670000004
但し、一般式(G4)中、R~R13はそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルコキシ基、または置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキルスルファニル基のいずれかであり、かつ、R~Rの少なくとも一は、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、RおよびR10は、互いに結合し、環を形成していても良い。また、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、R10およびR11、R11およびR12、ならびにR12およびR13のいずれか一または複数が互いに結合し、置換もしくは無置換の炭素数3~24の飽和環もしくは不飽和環を形成してもよい。また、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G5)で表される有機金属錯体である。
Figure 0007478670000005
但し、一般式(G5)中、R~RおよびR11~R13はそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルコキシ基、または置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキルスルファニル基のいずれかであり、かつ、R~Rの少なくとも一は、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、RおよびR、RおよびR、RおよびR、R11およびR12、ならびにR12およびR13のいずれか一または複数が互いに結合し、置換もしくは無置換の炭素数3~24の飽和環もしくは不飽和環を形成してもよい。また、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。
また、上記各構成において、モノアニオン性の配位子は、β-ジケトン構造を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、カルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、フェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、二つの配位元素がいずれも窒素であるモノアニオン性の二座キレート配位子、またはシクロメタル化によりイリジウムと金属-炭素結合を形成する二座配位子のいずれか一であることが好ましい。
また、上記各構成において、モノアニオン性の配位子は、下記一般式(L1)~(L7)のいずれか一であることが好ましい。
Figure 0007478670000006
但し、上記一般式(L1)~(L7)中、R51~R89は、それぞれ独立に水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、ハロゲノ基、ビニル基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキルスルファニル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基を表す。また、A~A13は、それぞれ独立に、窒素、水素と結合するsp混成炭素、または置換基を有するsp混成炭素を表し、置換基は炭素数1~6のアルキル基、ハロゲノ基、炭素数1~6のハロアルキル基、又はフェニル基のいずれかを表す。
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G6)で表される有機金属錯体である。
Figure 0007478670000007
但し、一般式(G6)中、R~R16はそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルコキシ基、または置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキルスルファニル基のいずれかであり、かつ、R~Rの少なくとも一は、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、RおよびR10は、互いに結合し、環を形成していても良い。また、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、R10およびR11、R11およびR12、ならびにR12およびR13のいずれか一または複数が互いに結合し、置換もしくは無置換の炭素数3~24の飽和環もしくは不飽和環を形成してもよい。
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G7)で表される有機金属錯体である。
Figure 0007478670000008
但し、一般式(G7)中、R~RおよびR11~R16はそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルコキシ基、または置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキルスルファニル基のいずれかであり、かつ、R~Rの少なくとも一は、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、RおよびR、RおよびR、RおよびR、R11およびR12、ならびにR12およびR13のいずれか一または複数が互いに結合し、置換もしくは無置換の炭素数3~24の飽和環もしくは不飽和環を形成してもよい。
また、本発明の別の一態様は、構造式(100)、構造式(101)、または構造式(116)で表される有機金属錯体である。
Figure 0007478670000009
本発明の別の一態様は、中心金属に、キノキサリン骨格を有する配位子が配位し、この配位子のキノキサリン骨格に縮環するベンゼン環の置換可能な位置の少なくとも一に電子吸引性基(例えば、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基等)を置換基として有する、有機金属錯体を用いた発光デバイスである。なお、上記有機金属錯体に加えて他の有機化合物を有する発光デバイスも本発明の一態様に含める。
本発明の別の一態様は、上述した本発明の一態様である有機金属錯体を用いた発光デバイスである。なお、一対の電極間に有するEL層や、EL層に含まれる発光層に本発明の一態様である有機金属錯体を用いて形成された発光デバイスも本発明の一態様に含まれることとする。また、発光デバイスに加えて、トランジスタ、基板などを有する発光装置も発明の範疇に含める。さらに、これらの発光装置に加えて、マイク、カメラ、操作用ボタン、外部接続部、筐体、カバー、支持台または、スピーカ等を有する電子機器や照明装置も発明の範疇に含める。
本発明の一態様である有機金属錯体は、他の有機化合物と組み合わせて発光デバイスの発光層に用いることができる。すなわち、発光層から三重項励起状態からの発光を得ることが可能であるため、発光デバイスの高効率化が可能となり、非常に有効である。したがって、本発明の一態様である有機金属錯体と、他の有機化合物とを組み合わせて発光層に用いた発光デバイスは、本発明の一態様に含まれるものとする。さらに上記に加えて第3の物質を発光層に加えた構成としてもよい。
また、本発明の一態様は、発光デバイスを有する発光装置を含み、さらに発光装置を有する照明装置も範疇に含めるものである。従って、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、または光源(照明装置含む)を指す。また、発光装置にコネクター、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光デバイスにCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
本発明の一態様は、新規な有機金属錯体を提供することができる。また、本発明の一態様は、長波長(700nm以上)な範囲に発光ピークを有する有機金属錯体を提供することができる。また、本発明の一態様は、LUMO準位が3.5eV以下である新規の有機金属錯体を提供することができる。また、本発明の一態様では、発光デバイスに用いることができる新規な有機金属錯体を提供することができる。また、本発明の一態様では、発光デバイスのEL層に用いることができる、新規な有機金属錯体を提供することができる。また、本発明の一態様である新規な有機金属錯体を用いた、効率および信頼性の高い新規な発光デバイスを提供することができる。また、新規な発光装置、新規な電子機器、または新規な照明装置を提供することができる。
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。また、デバイスの効率および信頼性を高めることができる新規な発光デバイスを提供することができる。
図1A、図1Bは発光デバイスの構造について説明する図である。
図2A、図2B、図2Cは発光装置について説明する図である。
図3A、図3Bは発光装置について説明する図である。
図4A、図4B、図4C、図4D、図4E、図4F、図4Gは電子機器について説明する図である。
図5A、図5B、図5Cは電子機器について説明する図である。
図6A、図6Bは自動車について説明する図である。
図7A、図7Bは照明装置について説明する図である。
図8は構造式(100)に示す有機金属錯体のH-NMRチャートである。
図9は構造式(100)に示す有機金属錯体の溶液中の紫外・可視吸収スペクトル及び発光スペクトルである。
図10は構造式(101)に示す有機金属錯体のH-NMRチャートである。
図11は構造式(101)に示す有機金属錯体の溶液中の紫外・可視吸収スペクトル及び発光スペクトルである。
図12A、図12Bは蒸着方法について説明する図である。
図13は発光デバイスについて説明する図である。
図14は発光デバイス1の電流密度-放射束特性を示す図である。
図15は発光デバイス1の電圧-放射輝度特性を示す図である。
図16は発光デバイス1の電圧-電流特性を示す図である。
図17は発光デバイス1の電流密度-外部量子効率特性を示す図である。
図18は発光デバイス1の電圧-外部エネルギー効率特性を示す図である。
図19は発光デバイス1の発光スペクトルを示す図である。
図20は発光デバイス1の信頼性を示す図である。
図21は構造式(116)に示す有機金属錯体の溶液中の紫外・可視吸収スペクトル及び発光スペクトルである。
以下、本発明の一態様である発光デバイス用組成物について詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることが可能である。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
また、本明細書等において、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である有機金属錯体について説明する。
本発明の一態様である有機金属錯体は、中心金属に、キノキサリン骨格を有する配位子が配位し、この配位子のキノキサリン骨格に縮環するベンゼン環の置換可能な位置の少なくとも一に電子吸引性基(例えば、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基等)を置換基として有する、下記一般式(G1)で表される構造を有する。
Figure 0007478670000010
一般式(G1)において、Mは第9族元素または第10族元素を表し、ArおよびArは、それぞれ独立に置換または無置換のフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、フルオレニル基のいずれか一を示す。また、R~Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、または置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかであり、かつ、R~Rの少なくとも一は、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、ArおよびArがそれぞれ有する置換基のいずれかが互いに結合し、環を形成していても良い。また、ArおよびArが直接結合していても良い。また、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。また、Mが第9族元素の場合、m+n=3(但し、m=0、1または2、n=1、2、または3のいずれか)であり、Mが第10族元素の場合、m+n=2(但し、m=0または1、n=1または2のいずれか)である。
本発明の別の一態様である有機金属錯体は、下記一般式(G2)で表される有機金属錯体である。
Figure 0007478670000011
一般式(G2)において、Mは第9族元素または第10族元素を表す。また、R~R13はそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルコキシ基、または置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキルスルファニル基のいずれかであり、かつ、R~Rの少なくとも一は、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、RおよびR10は、互いに結合し、環を形成していても良い。また、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、R10およびR11、R11およびR12、ならびにR12およびR13のいずれか一または複数が互いに結合し、置換もしくは無置換の炭素数3~24の飽和環もしくは不飽和環を形成してもよい。また、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。また、Mが第9族元素の場合、m+n=3(但し、m=0、1または2、n=1、2、または3のいずれか)であり、Mが第10族元素の場合、m+n=2(但し、m=0または1、n=1または2のいずれか)である。
本発明の別の一態様である有機金属錯体は、下記一般式(G3)で表される有機金属錯体である。
Figure 0007478670000012
一般式(G3)において、ArおよびArは、それぞれ独立に置換または無置換のフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、フルオレニル基のいずれか一を示す。また、R~Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、または置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかであり、かつ、R~Rの少なくとも一は、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフロロスルファニル基のいずれかを表す。また、ArおよびArがそれぞれ有する置換基のいずれかが互いに結合し、環を形成していても良い。また、ArおよびArが直接結合していても良い。また、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。
本発明の別の一態様である有機金属錯体は、下記一般式(G4)で表される有機金属錯体である。
Figure 0007478670000013
一般式(G4)において、R~R13はそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルコキシ基、または置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキルスルファニル基のいずれかであり、かつ、R~Rの少なくとも一は、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、RおよびR10は、互いに結合し、環を形成していても良い。また、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、R10およびR11、R11およびR12、ならびにR12およびR13のいずれか一または複数が互いに結合し、置換もしくは無置換の炭素数3~24の飽和環もしくは不飽和環を形成してもよい。また、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。
本発明の別の一態様である有機金属錯体は、下記一般式(G5)で表される有機金属錯体である。
Figure 0007478670000014
一般式(G5)において、R~RおよびR11~R13はそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルコキシ基、または置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキルスルファニル基のいずれかであり、かつ、R~Rの少なくとも一は、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、RおよびR、RおよびR、RおよびR、R11およびR12、ならびにR12およびR13のいずれか一または複数が互いに結合し、置換もしくは無置換の炭素数3~24の飽和環もしくは不飽和環を形成してもよい。また、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。
なお、上記一般式(G1)乃至(G5)中のモノアニオン性の配位子は、β-ジケトン構造を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、カルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、フェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、二つの配位元素がいずれも窒素であるモノアニオン性の二座キレート配位子、またはシクロメタル化によりイリジウムと金属-炭素結合を形成する二座配位子のいずれか一である。
なお、上記一般式(G1)乃至(G5)中のモノアニオン性の配位子は、具体的には下記一般式(L1)~(L7)のいずれか一である。
Figure 0007478670000015
また、上記一般式(L1)~(L7)中、R51~R89は、それぞれ独立に水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、ハロゲノ基、ビニル基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキルスルファニル基、または置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基のいずれかを表す。また、A~A13は、それぞれ独立に、窒素、水素と結合するsp混成炭素、または置換基を有するsp混成炭素のいずれかを表し、置換基は炭素数1~6のアルキル基、ハロゲノ基、炭素数1~6のハロアルキル基、又はフェニル基のいずれかを表す。
また、本発明の別の一態様である有機金属錯体は、下記一般式(G6)で表される有機金属錯体である。
Figure 0007478670000016
一般式(G6)において、R~R16はそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルコキシ基、または置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキルスルファニル基のいずれかであり、かつ、R~Rの少なくとも一は、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、RおよびR10は、互いに結合し、環を形成していても良い。また、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、R10およびR11、R11およびR12、ならびにR12およびR13のいずれか一または複数が互いに結合し、置換もしくは無置換の炭素数3~24の飽和環もしくは不飽和環を形成してもよい。
また、本発明の別の一態様である有機金属錯体は、下記一般式(G7)で表される有機金属錯体である。
Figure 0007478670000017
一般式(G7)において、R~RおよびR11~R16はそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルコキシ基、または置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキルスルファニル基のいずれかであり、かつ、R~Rの少なくとも一は、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、RおよびR、RおよびR、RおよびR、R11およびR12、ならびにR12およびR13のいずれか一または複数が互いに結合し、置換もしくは無置換の炭素数3~24の飽和環もしくは不飽和環を形成してもよい。
なお、上記一般式(G1)乃至上記一般式(G7)で表される有機金属錯体において、置換とは、好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基のような炭素数1~6のアルキル基や、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ビフェニル基、3-ビフェニル基、4-ビフェニル基のような炭素数6~12のアリール基のような置換基による置換を表す。また、これらの置換基は互いに結合し、環を形成していても良い。例えば、上記アリール基が、置換基として9位に2つのフェニル基を有する2-フルオレニル基である場合、該フェニル基が互いに結合し、スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-イル基となっても良い。より具体的には、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、インデニル基、ナフチル基、フルオレニル基などが挙げられる。
また、上記一般式(G1)乃至上記一般式(G7)で表される有機金属錯体において、式中の、R~R16における炭素数1~6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、2-エチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基等が挙げられる。
また、上記一般式(G1)乃至上記一般式(G7)で表される有機金属錯体において、式中の、R~R16における、置換もしくは無置換の炭素数が6~12(すなわち、環を形成する炭素数が6~12)のアリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、またはインデニル基等が挙げられる。
また、上記一般式(G1)乃至上記一般式(G7)で表される有機金属錯体において、式中の、R~R16における、置換もしくは無置換の炭素数が3~12の(すなわち、環を形成する炭素数が3~12)のヘテロアリール基の具体例としては、トリアジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、インドリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、またはカルバゾリル基等が挙げられる。
また、上記一般式(G1)乃至上記一般式(G7)で表される有機金属錯体において、式中の、R~R16における、置換もしくは無置換の1~6のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基等が挙げられる。
また、上記一般式(G1)乃至上記一般式(G7)で表される有機金属錯体において、式中の、R~R16における、置換もしくは無置換の1~6のアルキルスルファニル基の具体例としては、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、n-プロピルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基、n-ブチルスルファニル基、イソブチルスルファニル基、tert-ブチルスルファニル基等が挙げられる。
次に、上述した本発明の一態様である有機金属錯体の具体的な構造式を下記に示す。
Figure 0007478670000018
Figure 0007478670000019
Figure 0007478670000020
なお、上記構造式(100)~(118)で表される有機金属錯体は、上記一般式(G1)乃至上記一般式(G7)のいずれかで表される、本発明の一態様である有機金属錯体の一例である。但し、本発明の一態様である有機金属錯体は、これに限られることはない。
次に、下記一般式(G1)で表される本発明の一態様である有機金属錯体の合成方法の一例について説明する。
Figure 0007478670000021
但し、一般式(G1)中、Mは第9族元素または第10族元素を表し、ArおよびArは、それぞれ独立に置換または無置換のフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、フルオレニル基のいずれか一を示す。また、R~Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、または置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかであり、かつ、R~Rの少なくとも一は、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、ArおよびArがそれぞれ有する置換基のいずれかが互いに結合し、環を形成していても良い。また、ArおよびArが直接結合していても良い。また、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。また、Mが第9族元素の場合、m+n=3(但し、m=0、1または2、n=1、2、または3のいずれか)であり、Mが第10族元素の場合、m+n=2(但し、m=0または1、n=1または2のいずれか)である。
≪一般式(G0)で表されるキノキサリン誘導体の合成方法≫
下記一般式(G0)で表されるキノキサリン誘導体は以下のような合成方法により合成することができる。
Figure 0007478670000022
一般式(G0)において、ArおよびArは、それぞれ独立に置換または無置換のフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、フルオレニル基のいずれか一を示す。また、R~Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、または置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかであり、かつ、R~Rの少なくとも一は、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、ArおよびArがそれぞれ有する置換基のいずれかが互いに結合し、環を形成していても良い。また、ArおよびArが直接結合していても良い。
一般式(G0)で表されるキノキサリン誘導体は、下記合成スキーム(A)に示すように、ジケトン化合物(a1)とジアミン化合物(a2)とを反応させることにより得られる。
Figure 0007478670000023
また、下記合成スキーム(B)に示すように、ジケトン化合物(b1)とジアミン化合物(b2)とを反応させても良い。
Figure 0007478670000024
また、一般式(G0)で表されるキノキサリン誘導体は、下記合成スキーム(C)に示すように、ジアミン化合物(c1)とハロゲン化オキサリル(c2)とを反応させて、ジハロゲン化されたキノキサリン誘導体(c3)を得た後、アリールボロン酸化合物(c4),(c5)と反応させることにより得ることもできる。
Figure 0007478670000025
なお、上記合成スキーム(A),(B)および(C)において、ArおよびArは、それぞれ独立に置換または無置換のフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、フルオレニル基のいずれか一を示す。また、R~Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、または置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかであり、かつ、R~Rの少なくとも一は、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、ArおよびArがそれぞれ有する置換基のいずれかが互いに結合し、環を形成していても良い。また、ArおよびArが直接結合していても良い。式中、Xはハロゲンを表し、塩素または臭素が好ましい。Y、Yはボロン酸またはボロン酸エステルまたは環状トリオールボレート塩等を表す。環状トリオールボレート塩はリチウム塩の他に、カリウム塩、ナトリウム塩を用いても良い。
≪一般式(G1)で表される有機金属錯体の合成方法≫
次に、一般式(G1)で表される有機金属錯体の合成方法について説明する。まず、下記合成スキーム(D)に示すように、一般式(G0)で表されるキノキサリン誘導体またはモノアニオン性配位子Lと、ハロゲンを含む第9族または第10族の金属化合物とを、無溶媒、またはアルコール系溶媒(グリセロール、エチレングリコール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノールなど)単独、あるいはアルコール系溶媒1種類以上と水との混合溶媒を用いて、不活性ガス雰囲気にて加熱することにより、ハロゲンで架橋された構造を有する有機金属錯体の一種である複核錯体(d1)またはモノアニオン性の配位子を含む複核錯体(d2)を得ることができる。加熱手段として特に限定はなく、オイルバス、サンドバス、又はアルミブロック等を用いることができる。また、マイクロ波を加熱手段として用いることも可能である。
Figure 0007478670000026
さらに、合成スキーム(E)に示すように、上記合成スキーム(D)で得られる複核錯体(d1)または(d2)と一般式(G0)で表されるキノキサリン誘導体またはモノアニオン性配位子Lとを、不活性ガス雰囲気下にて反応させることにより、一般式(G1)で表される本発明の一態様である有機金属錯体を得ることができる。
Figure 0007478670000027
別の方法として、一般式(G1)で表される有機金属錯体は、下記合成スキーム(F)に示すように、ハロゲンを含む第9族または第10族の金属化合物と上記一般式(G0)で表されるキノキサリン誘導体またはモノアニオン性配位子Lとを不活性ガス雰囲気下にて加熱した後、モノアニオン性配位子Lまたは上記一般式(G0)で表されるキノキサリン誘導体を加えて加熱することにより得ることができる。
Figure 0007478670000028
さらに別の方法としては、下記スキーム(G)に示すように、モノアニオン性配位子Lを含む有機金属化合物(g1)と一般式(G0)で表されるキノキサリン誘導体とを、不活性ガス雰囲気下にて加熱しても良い。
Figure 0007478670000029
なお、上記合成スキーム(D),(E),(F)および(G)において、Mは第9族元素または第10族元素を表し、ArおよびArは、それぞれ独立に置換または無置換のフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、フルオレニル基のいずれか一を示す。また、R~Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、または置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかであり、かつ、R~Rの少なくとも一は、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、ArおよびArがそれぞれ有する置換基のいずれかが互いに結合し、環を形成していても良い。また、ArおよびArが直接結合していても良い。また、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。また、Mが第9族元素の場合、m+n=3(但し、m=0、1または2、n=1、2、または3のいずれか)であり、Mが第10族元素の場合、m+n=2(但し、m=0または1、n=1または2のいずれか)である。
以上、本発明の一態様である有機金属錯体として、一般式(G1)で表される有機金属錯体の合成方法について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、他の合成方法によって合成してもよい。
なお、本発明の一態様である有機金属錯体は、中心金属に、キノキサリン骨格を有する配位子が配位し、この配位子のキノキサリン骨格に縮環するベンゼン環の置換可能な位置の少なくとも一に電子吸引性基(例えば、フッ素、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロスルファニル基等)を置換基として有する。配位子に電子吸引性基を導入することにより、配位子中のLUMO(最低空分子軌道:Lowest Unoccupied Molecular Orbital)準位を下げることができ、LUMO準位とHOMO(最高被占有軌道:Highest Occupied Molecular Orbital)準位との差で表されるバンドギャップが小さくなるため、このような置換基を有さないものに比べて長波長領域(700nm以上の可視領域または近赤外領域)に発光ピークを有する有機金属錯体を提供することができる。また、このようにLUMO準位の低い有機金属錯体を発光デバイスの発光層に用いることで、発光層におけるキャリアの挙動が制御されるため、発光デバイスの効率および信頼性を向上させることができる。
なお、本明細書中において、HOMO準位またはLUMO準位が高いとは、そのエネルギーレベルが大きいことを意味し、HOMO準位またはLUMO準位が低いとは、そのエネルギーレベルが小さいことを意味する。
また、本発明の一態様である有機金属錯体を用いることで、効率および信頼性の高い発光デバイス、発光装置、電子機器、または照明装置を実現することができる。
なお、本実施の形態において、本発明の一態様である有機金属錯体について説明したが、本発明の一態様は、これに限定されない。すなわち、他の実施の形態に示される様々な発明の態様と組み合わせることが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光デバイスの一例について説明する。なお、本実施の形態で説明する発光デバイスには、本発明の一態様である有機金属錯体を用いることができる。
≪発光デバイスの構造≫
図1Aは、一対の電極間に発光層を含むEL層を有する発光デバイスの一例を示す。具体的には、第1の電極101と第2の電極102との間にEL層103が挟まれた構造を有する。なお、EL層103は、例えば、第1の電極101を陽極とした場合、正孔(ホール)注入層111、正孔(ホール)輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115が機能層として、順次積層された構造を有する。また、その他の発光デバイスの構造として、図1Bに示すように一対の電極間に電荷発生層104を挟んで形成される複数のEL層(103a、103b)を有する構成(タンデム構造)とすることにより低電圧駆動を可能とする発光デバイスや、一対の電極間に微小光共振器(マイクロキャビティ)構造を形成することにより光学特性を向上させた発光デバイス等も本発明の一態様に含めることとする。なお、電荷発生層104は、第1の電極101と第2の電極102に電圧を印加したときに、隣り合う一方のEL層に電子を注入し、他方のEL層に正孔を注入する機能を有する。
上記発光デバイスの第1の電極101と第2の電極102の少なくとも一方は、透光性を有する電極(透明電極、半透過・半反射電極など)とする。従って、発光デバイスの発光方向については、図1Aの第2の電極102側から光が射出されるトップエミッション構造であっても、第1の電極101側から光が射出されるボトムエミッション構造であっても構わない。透光性を有する電極が透明電極の場合、透明電極の可視光(400nm以上750nm未満の波長の光)または近赤外光(750nm以上1000nm以下の波長の光)の透過率は、40%以上とする。また、半透過・半反射電極の場合、半透過・半反射電極の可視光または近赤外光に対する反射率は、10%以上100%未満、好ましくは30%以上100%未満とする。また、これらの電極は、抵抗率が1×10-2Ωcm以下とするのが好ましい。
また、上述した本発明の一態様である発光デバイスにおいて、第1の電極101と第2の電極102の一方が、反射性を有する電極(反射電極)である場合、反射性を有する電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、この電極は、抵抗率が1×10-2Ωcm以下とするのが好ましい。
なお、本発明の一態様である発光デバイスにおいて、上記微小光共振器(マイクロキャビティ)構造を形成する場合には、例えば、図1Aにおいて、第1の電極101を反射電極とし、第2の電極102を半透過・半反射電極とすることにより、EL層103で得られた発光を両電極間で共振させ、得られる発光を強める構成とすることができる。なお、第1の電極101が、反射性を有する導電性材料と透光性を有する導電性材料(透明導電膜)との積層構造からなる反射電極である場合、透明導電膜の膜厚を制御することにより光学調整を行うことができる。具体的には、発光層113から得られる光の波長λに対して、第1の電極101と、第2の電極102との電極間距離がmλ/2(ただし、mは自然数)近傍となるように調整するのが好ましい。
また、発光層113から得られる所望の光(波長:λ)を増幅させるために、第1の電極101から発光層113の所望の光が得られる領域(発光領域)までの光学距離と、第2の電極102から発光層113の所望の光が得られる領域(発光領域)までの光学距離と、をそれぞれ(2m’+1)λ/4(ただし、m’は自然数)近傍となるように調節するのが好ましい。なお、ここでいう発光領域とは、発光層113における正孔(ホール)と電子との再結合領域を示す。
このような光学調整を行うことにより、発光層113から得られる特定の単色光のスペクトルを狭線化させ、色純度の良い発光を得ることができる。
但し、上記の場合、第1の電極101と第2の電極102との光学距離は、厳密には第1の電極101における反射面から第2の電極102における反射面までの距離と屈折率の積に、反射で生じる位相シフトを足し合わせた値で表される。しかし、第1の電極101や第2の電極102における反射面および位相シフトを厳密に決定することは困難であるため、第1の電極101と第2の電極102の任意の位置を反射面と仮定し、任意の位相シフトを仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。また、第1の電極101と、所望の光が得られる発光層との光学距離は、厳密には第1の電極101における反射面と、所望の光が得られる発光層における発光領域との距離と屈折率の積に、反射で生じる位相シフトを足し合わせた値であるということができる。しかし、第1の電極101における反射面および位相シフト、所望の光が得られる発光層における発光領域を厳密に決定することは困難であるため、第1の電極101の任意の位置を反射面と仮定し、任意の位相シフトを仮定し、所望の光が得られる発光層の任意の位置を発光領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。
また、発光デバイスが、マイクロキャビティ構造を有する場合、EL層が共通であっても異なる波長の光(単色光)を取り出すことができる。従って、異なる発光色を得るための塗り分け(例えば、RGB)が不要となり、高精細化が可能となる。また、着色層(カラーフィルタ)との組み合わせも可能である。また、特定波長の正面方向の発光強度を強めることが可能なため、低消費電力化を図ることができる。
次に、発光デバイスの構成や、発光デバイスを構成する電極や機能層について、図1Aに示す構造を基に具体的に説明する。但し、図1Bに示すタンデム構造においても、図1Aと同様に発光デバイスを構成する、第1の電極101および第2の電極102、EL層(103a、103b)、また、EL層(103a、103b)を構成する各機能層、正孔注入層(111a、111b)、正孔輸送層(112a、112b)、発光層(113a、113b)、電子輸送層(114a、114b)、電子注入層(115a、115b)について、同様の材料を用いて、同様の機能を有するものとする。
<第1の電極および第2の電極>
第1の電極101および第2の電極102を形成する材料としては、上述した両電極の機能が満たせるのであれば、以下に示す材料を適宜組み合わせて用いることができる。例えば、金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを適宜用いることができる。具体的には、In-Sn酸化物(ITOともいう)、In-Si-Sn酸化物(ITSOともいう)、In-Zn酸化物、In-W-Zn酸化物が挙げられる。その他、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)などの金属、およびこれらを適宜組み合わせて含む合金を用いることもできる。その他、上記例示のない元素周期表の第1族または第2族に属する元素(例えば、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr))、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)などの希土類金属およびこれらを適宜組み合わせて含む合金、その他グラフェン等を用いることができる。
なお、これらの電極の作製には、スパッタ法や真空蒸着法を用いることができる。
<正孔注入層>
正孔注入層111は、陽極である第1の電極101からEL層103に正孔(ホール)を注入する層であり、有機アクセプター材料や正孔注入性の高い材料を含む層である。
有機アクセプター材料は、そのLUMO準位の値とHOMO準位の値が近い他の有機化合物との間で電荷分離させることにより、当該有機化合物に正孔(ホール)を発生させることができる材料である。従って、有機アクセプター材料としては、キノジメタン誘導体やクロラニル誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体などの電子吸引基(ハロゲン基やシアノ基)を有する化合物を用いることができる。例えば、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタン(略称:F-TCNQ)、3,6-ジフルオロ-2,5,7,7,8,8-ヘキサシアノキノジメタン、クロラニル、2,3,6,7,10,11-ヘキサシアノ-1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT-CN)、1,3,4,5,7,8-ヘキサフルオロテトラシアノ-ナフトキノジメタン(略称:F6-TCNNQ)等を用いることができる。なお、有機アクセプター材料の中でも特にHAT-CNは、アクセプター性が高く、熱に対して膜質が安定であるため好適である。その他にも、[3]ラジアレン誘導体は、電子受容性が非常に高いため好ましく、具体的にはα,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[4-シアノ-2,3,5,6-テトラフルオロベンゼンアセトニトリル]、α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[2,6-ジクロロ-3,5-ジフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンアセトニトリル]、α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゼンアセトニトリル]などを用いることができる。
また、正孔注入性の高い材料としては、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の遷移金属酸化物が挙げられる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、等を用いることができる。
また、上記材料に加えて低分子化合物である、4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’-ビス(N-{4-[N’-(3-メチルフェニル)-N’-フェニルアミノ]フェニル}-N-フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6-ビス[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3-[N-(1-ナフチル)-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物、等を用いることができる。
また、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)である、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)等を用いることができる。または、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(略称:PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子系化合物、等を用いることもできる。
また、正孔注入性の高い材料としては、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)を含む複合材料を用いることもできる。この場合、アクセプター性材料により正孔輸送性材料から電子が引き抜かれて正孔注入層111で正孔が発生し、正孔輸送層112を介して発光層113に正孔が注入される。なお、正孔注入層111は、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)を含む複合材料からなる単層で形成しても良いが、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)とをそれぞれ別の層で積層して形成しても良い。
なお、正孔輸送性材料としては、1×10-6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質が好ましい。なお、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いることができる。
正孔輸送性材料としては、π電子過剰型複素芳香族化合物等の正孔輸送性の高い材料が好ましい。また、本発明の一態様である発光デバイス用組成物に用いる第2の有機化合物としては、正孔輸送性材料に含まれる材料のうち、π電子過剰型複素芳香族化合物等の材料が好ましい。なお、π電子過剰型複素芳香族化合物としては、芳香族アミン骨格を有する、芳香族アミン化合物(トリアリールアミン骨格を有する)、カルバゾール骨格を有するカルバゾール化合物(トリアリールアミン骨格を有さない)、チオフェン化合物(チオフェン骨格を有する化合物)、またはフラン化合物(フラン骨格を有する化合物)などが挙げられる。
なお、上記芳香族アミン化合物としては、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα-NPD)、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(略称:TPD)、4,4’-ビス[N-(スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-イル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)、4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4-フェニル-3’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-N-{9,9-ジメチル-2-[N’-フェニル-N’-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ]-9H-フルオレン-7-イル}フェニルアミン(略称:DFLADFL)、N-(9,9-ジメチル-2-ジフェニルアミノ-9H-フルオレン-7-イル)ジフェニルアミン(略称:DPNF)、2-[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:DPASF)、2,7-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:DPA2SF)、4,4’,4’’-トリス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’-TNATA)、4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:m-MTDATA)、N,N’-ジ(p-トリル)-N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’-ビス{4-[ビス(3-メチルフェニル)アミノ]フェニル}-N,N’-ジフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(略称:DNTPD)、1,3,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等が挙げられる。
また、カルバゾリル基を有する芳香族アミン化合物としては、4-フェニル-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、N-(4-ビフェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCBiF)、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)、4,4’-ジフェニル-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4-(1-ナフチル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’-ジ(1-ナフチル)-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、4-フェニルジフェニル-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)アミン(略称:PCA1BP)、N,N’-ビス(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N,N’-ジフェニルベンゼン-1,3-ジアミン(略称:PCA2B)、N,N’,N’’-トリフェニル-N,N’,N’’-トリス(9-フェニルカルバゾール-3-イル)ベンゼン-1,3,5-トリアミン(略称:PCA3B)、9,9-ジメチル-N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]フルオレン-2-アミン(略称:PCBAF)、N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミン(略称:PCBFF)、N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-N-[4-(1-ナフチル)フェニル]-9,9’-スピロビ(9H-フルオレン)-2-アミン(略称:PCBNBSF)、N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-N-[4-(1-ナフチル)フェニル]-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBNBF)、N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-アミン(略称:PCBASF)、3-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6-ビス[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3-[N-(1-ナフチル)-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)、3-[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA1)、3,6-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA2)、3,6-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-(1-ナフチル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzTPN2)、2-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:PCASF)、N-[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N-(4-フェニル)フェニルアニリン(略称:YGA1BP)、N,N’-ビス[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニル-9,9-ジメチルフルオレン-2,7-ジアミン(略称:YGA2F)、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)などが挙げられる。
また、上記カルバゾール化合物(トリアリールアミン骨格を有さない)としては、3-[4-(9-フェナントリル)-フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPPn)、3-[4-(1-ナフチル)-フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPN)、1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、4,4’-ジ(N-カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、3,6-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)-9-フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、1,3,5-トリス[4-(N-カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9-[4-(10-フェニル-9-アントラセニル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)等が挙げられる。さらに、ビカルバゾール誘導体(例えば、3,3’-ビカルバゾール誘導体)である、3,3’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール)(略称:PCCP)、9-(1,1’-ビフェニル-3-イル)-9’-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール(略称:mBPCCBP)、9-(2-ナフチル)-9’-フェニル-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール(略称:βNCCP)などが挙げられる。
また、上記チオフェン化合物(チオフェン骨格を有する化合物)としては、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)、2,8-ジフェニル-4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-III)、4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]-6-フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-IV)などが挙げられる。
また、上記フラン化合物(フラン骨格を有する化合物)としては、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P-II)、4-{3-[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi-II)等が挙げられる。
その他にも、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)などの高分子化合物を正孔輸送性材料として用いることができる。
但し、正孔輸送性材料は、上記に限られることなく公知の様々な材料を1種または複数種組み合わせて正孔輸送性材料として用いてもよい。
正孔注入層111に用いるアクセプター性材料としては、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を用いることができる。具体的には、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムが挙げられる。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。その他、上述した有機アクセプターを用いることもできる。
なお、正孔注入層111は、公知の様々な成膜方法を用いて形成することができるが、例えば、真空蒸着法を用いて形成することができる。
<正孔輸送層>
正孔輸送層112は、正孔注入層111によって、第1の電極101から注入された正孔を発光層113に輸送する層である。なお、正孔輸送層112は、正孔輸送性材料を含む層である。従って、正孔輸送層112には、正孔注入層111に用いることができる正孔輸送性材料を用いることができる。
なお、本発明の一態様である発光デバイスにおいて、正孔輸送層112と同じ有機化合物を発光層113に用いることが好ましい。正孔輸送層112と発光層113に同じ有機化合物を用いることで、正孔輸送層112から発光層113へのホールの輸送が効率よく行えるためである。
<発光層>
発光層113は、発光物質(有機化合物)を含む層である。なお、発光層113に用いることができる発光物質としては、特に限定は無く、一重項励起エネルギーを可視光領域の発光に変える発光物質(例えば、蛍光発光物質)、または三重項励起エネルギーを可視光領域の発光に変える発光物質(例えば、燐光発光物質やTADF材料など)を用いることができる。また、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色などの発光色を呈する物質を適宜用いることができる。
発光層113は、発光物質(ゲスト材料)および一種または複数種の有機化合物(ホスト材料等)を有する。但し、ここで用いる有機化合物(ホスト材料等)には、発光物質(ゲスト材料)のエネルギーギャップよりも大きなエネルギーギャップを有する物質を用いるのが好ましい。なお、一種または複数種の有機化合物(ホスト材料等)としては、前述の正孔輸送層112に用いることができる正孔輸送性材料や、後述の電子輸送層114に用いることができる電子輸送性材料、等の有機化合物が挙げられる。
なお、発光層113において、第1の有機化合物、第2の有機化合物、および発光物質を有する構成とする場合において、第1の有機化合物と第2の有機化合物を混合してなる、本発明の一態様である発光デバイス用組成物を用いることができる。また、このような構成の場合、第1の有機化合物として電子輸送性材料を用い、第2の有機化合物として正孔輸送性材料を用い、発光物質として燐光発光物質、蛍光発光物質またはTADF材料等を用いることができる。また、このような構成の場合、第1の有機化合物と第2の有機化合物が励起錯体を形成する組み合わせであると、好ましい。
また、発光層113の構成としては、異なる発光物質を含む複数の発光層を有することにより、異なる発光色を呈する構成(例えば、補色の関係にある発光色を組み合わせて得られる白色発光)としても良い。その他、一つの発光層が異なる発光物質を複数有する構成としても良い。
なお、発光層113に用いることができる発光物質としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
まず、一重項励起エネルギーを発光に変える発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光発光物質)が挙げられる。
一重項励起エネルギーを発光に変える発光物質である蛍光発光物質としては、例えば、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタレン誘導体などが挙げられる。特にピレン誘導体は発光量子収率が高いので好ましい。ピレン誘導体の具体例としては、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ビス[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)、N,N’-ビス(ジベンゾフラン-2-イル)-N,N’-ジフェニルピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6FrAPrn)、N,N’-ビス(ジベンゾチオフェン-2-イル)-N,N’-ジフェニルピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6ThAPrn)、N,N’-(ピレン-1,6-ジイル)ビス[(N-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン)-6-アミン](略称:1,6BnfAPrn)、N,N’-(ピレン-1,6-ジイル)ビス[(N-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン)-8-アミン](略称:1,6BnfAPrn-02)、N,N’-(ピレン-1,6-ジイル)ビス[(6,N-ジフェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン)-8-アミン](略称:1,6BnfAPrn-03)などが挙げられる。
その他にも、5,6-ビス[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-2,2’-ビピリジン(略称:PAP2BPy)、5,6-ビス[4’-(10-フェニル-9-アントリル)ビフェニル-4-イル]-2,2’-ビピリジン(略称:PAPP2BPy)、N,N’-ビス[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニルスチルベン-4,4’-ジアミン(略称:YGA2S)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPA)、4-(10-フェニル-9-アントリル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、4-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPBA)、ペリレン、2,5,8,11-テトラ-tert-ブチルペリレン(略称:TBP)、N,N’’-(2-tert-ブチルアントラセン-9,10-ジイルジ-4,1-フェニレン)ビス[N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPPA)、N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)等を用いることができる。
なお、発光層113に用いることができる一重項励起エネルギーを発光に変える発光物質(蛍光発光物質)としては、上記に示す可視光領域に発光色(発光ピーク)を示す蛍光発光物質に限られず、近赤外光領域の一部に発光色(発光ピーク)を示す蛍光発光物質(例えば、赤色の発光を示す、800nm以上950nm以下の材料)を用いることもできる。
次に、三重項励起エネルギーを発光に変える発光物質としては、例えば、燐光を発する物質(燐光発光物質)や熱活性化遅延蛍光を示す熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料が挙げられる。
まず、三重項励起エネルギーを発光に変える発光物質である燐光発光物質としては、例えば、有機金属錯体、金属錯体(白金錯体)、希土類金属錯体等が挙げられる。これらは、物質ごとに異なる発光色(発光ピーク)を示すため、必要に応じて適宜選択して用いる。なお、燐光発光物質のうち、可視光領域に発光色(発光ピーク)を示す材料としては、以下に示す材料が挙げられる。
青色または緑色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が450nm以上570nm以下(例えば、青色の場合は、450nm以上495nm以下、緑色の場合は、495nm以上570nm以下が好ましい。)である燐光発光物質としては、以下のような物質が挙げられる。
例えば、トリス{2-[5-(2-メチルフェニル)-4-(2,6-ジメチルフェニル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-κN2]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(mpptz-dmp)])、トリス(5-メチル-3,4-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz)])、トリス[4-(3-ビフェニル)-5-イソプロピル-3-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrptz-3b)])、トリス[3-(5-ビフェニル)-5-イソプロピル-4-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPr5btz)])、のような4H-トリアゾール骨格を有する有機金属錯体、トリス[3-メチル-1-(2-メチルフェニル)-5-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz1-mp)])、トリス(1-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Prptz1-Me)])のような1H-トリアゾール骨格を有する有機金属錯体、fac-トリス[1-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-2-フェニル-1H-イミダゾール]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrpmi)])、トリス[3-(2,6-ジメチルフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(dmpimpt-Me)])のようなイミダゾール骨格を有する有機金属錯体、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1-ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2-[3’,5’-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト-N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:[Ir(CFppy)(pic)])、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))のように電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属錯体等が挙げられる。
緑色、黄緑色、または黄色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が495nm以上590nm以下である燐光発光物質としては、以下のような物質が挙げられる。(例えば、緑色の場合は、495nm以上570nm以下、黄緑色の場合は、530nm以上570nm以下、黄色の場合は、570nm以上590nm以下が好ましい。)
例えば、トリス(4-メチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)])、トリス(4-t-ブチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)])、(アセチルアセトナト)ビス(6-メチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(6-tert-ブチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[6-(2-ノルボルニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(nbppm)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[5-メチル-6-(2-メチルフェニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(mpmppm)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス{4,6-ジメチル-2-[6-(2,6-ジメチルフェニル)-4-ピリミジニル-κN3]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(dmppm-dmp)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(4,6-ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)(acac)])のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、(アセチルアセトナト)ビス(3,5-ジメチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr-Me)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(5-イソプロピル-3-メチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr-iPr)(acac)])のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、トリス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)])、ビス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(ppy)(acac)])、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bzq)(acac)])、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(bzq)])、トリス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(pq)])、ビス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(pq)(acac)])、ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC][2-(4-フェニル-2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)(4dppy)])、ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC][2-(4-メチル-5-フェニル-2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]、[2-(4-メチル-5-フェニル-2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]イリジウム(略称:[Ir(ppy)(mdppy)])のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、ビス(2,4-ジフェニル-1,3-オキサゾラト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(dpo)(acac)])、ビス{2-[4’-(パーフルオロフェニル)フェニル]ピリジナト-N,C2’}イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(p-PF-ph)(acac)])、ビス(2-フェニルベンゾチアゾラト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bt)(acac)])などの有機金属錯体の他、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:[Tb(acac)(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。
黄色、橙色、または赤色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が570nm以上750nm以下である燐光発光物質としては、以下のような物質が挙げられる。(例えば、黄色の場合は、570nm以上590nm以下、橙色の場合は、590nm以上620nm以下、赤色の場合は、600nm以上750nm以下が好ましい。)
例えば、(ジイソブチリルメタナト)ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)(dibm)])、ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)(dpm)])、(ジピバロイルメタナト)ビス[4,6-ジ(ナフタレン-1-イル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(d1npm)(dpm)])のようなピリミジン骨格を有する有機金属錯体、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)(acac)])、ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)(dpm)])、ビス{4,6-ジメチル-2-[3-(3,5-ジメチルフェニル)-5-フェニル-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κO,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-P)(dibm)])、ビス{4,6-ジメチル-2-[5-(4-シアノ-2,6-ジメチルフェニル)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κO,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-dmCP)(dpm)])、ビス{4,6-ジメチル-2-[5-(5-シアノ-2-メチルフェニル)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κO,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-m5CP)(dpm)])、(アセチルアセトナト)ビス[2-メチル-3-フェニルキノキサリナト-N,C2’]イリジウム(III)(略称:[Ir(mpq)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(2,3-ジフェニルキノキサリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dpq)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[2,3-ビス(4-フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Fdpq)(acac)])のようなピラジン骨格を有する有機金属錯体や、トリス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(piq)])、ビス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(piq)(acac)])、ビス[4,6-ジメチル-2-(2-キノリニル-κN)フェニル-κC](2,4-ペンタンジオナト-κO,O)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmpqn)(acac)])のようなピリジン骨格を有する有機金属錯体、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィリン白金(II)(略称:[PtOEP])のような白金錯体、トリス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(DBM)(Phen)])、トリス[1-(2-テノイル)-3,3,3-トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(TTA)(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。
なお、発光層113に用いることができる材料としては、上記に示す可視光領域に発光色(発光ピーク)を示す燐光発光物質に限られず、近赤外光領域の一部に発光色(発光ピーク)を示す燐光発光物質(例えば、赤色の発光を示す、800nm以上950nm以下の材料)、例えば、フタロシアニン化合物(中心金属:アルミニウム、亜鉛等)、ナフタロシアニン化合物、ジオチレン化合物(中心金属:ニッケル)、キノン系化合物、ジイモニウム系化合物、アゾ系化合物等、を用いることもできる。
次に、三重項励起エネルギーを発光に変える発光物質であるTADF材料としては、以下に示す材料を用いることができる。なお、TADF材料とは、三重項励起状態をわずかな熱エネルギーによって一重項励起状態にアップコンバート(逆項間交差)が可能で、一重項励起状態からの発光(蛍光)を効率よく呈する材料のことである。また、熱活性化遅延蛍光が効率良く得られる条件としては、三重項励起準位と一重項励起準位のエネルギー差が0eV以上0.2eV以下、好ましくは0eV以上0.1eV以下であることが挙げられる。また、TADF材料における遅延蛍光とは、通常の蛍光と同様のスペクトルを持ちながら、寿命が著しく長い発光をいう。その寿命は、1×10-6秒以上、好ましくは1×10-3秒以上である。
TADF材料の具体例としては、フラーレンやその誘導体、プロフラビン等のアクリジン誘導体、エオシン等が挙げられる。また、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、もしくはパラジウム(Pd)等を含む金属含有ポルフィリンが挙げられる。金属含有ポルフィリンとしては、例えば、プロトポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF(Proto IX))、メソポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF(Meso IX))、ヘマトポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF(Hemato IX))、コプロポルフィリンテトラメチルエステル-フッ化スズ錯体(略称:SnF(Copro III-4Me))、オクタエチルポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF(OEP))、エチオポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF(Etio I))、オクタエチルポルフィリン-塩化白金錯体(略称:PtClOEP)等が挙げられる。
その他にも、2-(ビフェニル-4-イル)-4,6-ビス(12-フェニルインドロ[2,3-a]カルバゾール-11-イル)-1,3,5-トリアジン(略称:PIC-TRZ)、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PCCzPTzn)、2-[4-(10H-フェノキサジン-10-イル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PXZ-TRZ)、3-[4-(5-フェニル-5,10-ジヒドロフェナジン-10-イル)フェニル]-4,5-ジフェニル-1,2,4-トリアゾール(略称:PPZ-3TPT)、3-(9,9-ジメチル-9H-アクリジン-10-イル)-9H-キサンテン-9-オン(略称:ACRXTN)、ビス[4-(9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン)フェニル]スルホン(略称:DMAC-DPS)、10-フェニル-10H,10’H-スピロ[アクリジン-9,9’-アントラセン]-10’-オン(略称:ACRSA)等のπ電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環の一方または両方を有する複素環化合物を用いることもできる。
なお、π電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環とが直接結合した物質は、π電子過剰型複素芳香環のドナー性とπ電子不足型複素芳香環のアクセプター性が共に強くなり、一重項励起状態と三重項励起状態のエネルギー差が小さくなるため、特に好ましい。
発光層113において、上述したような発光物質(一重項励起エネルギーを可視光領域の発光に変える発光物質(例えば、蛍光発光物質)、または三重項励起エネルギーを可視光領域の発光に変える発光物質(例えば、燐光発光物質やTADF材料など))を用いた場合、これらの発光物質(有機化合物)との組み合わせが好ましいという観点から、(上記と一部重複有)以下に示す有機化合物を用いることが好ましい。
まず、発光物質として蛍光発光物質を用いる場合、アントラセン誘導体、テトラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物等の有機化合物を組み合わせて用いることが好ましい。
具体例としては、9-フェニル-3-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:PCzPA)、3,6-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:DPCzPA)、3-[4-(1-ナフチル)-フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPN)、9,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、N,N-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:CzA1PA)、4-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、YGAPA、PCAPA、N,9-ジフェニル-N-{4-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]フェニル}-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPBA)、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPA)、6,12-ジメトキシ-5,11-ジフェニルクリセン、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’-オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン-2,7,10,15-テトラアミン(略称:DBC1)、9-[4-(10-フェニル-9-アントラセニル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)、7-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:cgDBCzPA)、6-[3-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン(略称:2mBnfPPA)、9-フェニル-10-{4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)-ビフェニル-4’-イル}-アントラセン(略称:FLPPA)、9,10-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、9,9’-ビアントリル(略称:BANT)、9,9’-(スチルベン-3,3’-ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’-(スチルベン-4,4’-ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、1,3,5-トリ(1-ピレニル)ベンゼン(略称:TPB3)、5,12-ジフェニルテトラセン、5,12-ビス(ビフェニル-2-イル)テトラセンなどが挙げられる。
また、発光物質として燐光発光物質を用いる場合、発光物質の三重項励起エネルギー(基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差)よりも三重項励起エネルギーの大きい有機化合物と組み合わせることが好ましい。また、このような有機化合物の他に、上述した正孔輸送性の高い有機化合物(第2の有機化合物)と、電子輸送性の高い有機化合物(第1の有機化合物)とを組み合わせて用いても良い。
さらに、このような有機化合物の他にも、励起錯体を形成することができる複数の有機化合物(例えば、第1の有機化合物および第2の有機化合物、第1のホスト材料および第2のホスト材料、または、ホスト材料およびアシスト材料等)を用いてもよい。なお、複数の有機化合物を用いて励起錯体を形成させる場合には、正孔を受け取りやすい化合物(正孔輸送性材料)と、電子を受け取りやすい化合物(電子輸送性材料)とを組み合わせることにより効率よく励起錯体を形成することができるので好ましい。また、燐光発光物質と励起錯体が発光層に含まれる構成とすることで、励起錯体から発光物質へのエネルギー移動であるExTET(Exciplex-Triplet Energy Transfer)を効率良く行うことができるため発光効率を高めることができる。なお、蛍光発光物質と励起錯体が発光層に含まれる構成としてもよい。
なお、発光物質として燐光発光物質(上述のように蛍光発光物質の場合も一部含む)を用いる場合であって、上記の燐光発光物質に複数の有機化合物(例えば、第1の有機化合物および第2の有機化合物、第1のホスト材料および第2のホスト材料、または、ホスト材料およびアシスト材料等)を用いる場合、これらの複数の有機化合物を予め必要な重量比で混合させておき、混合物を蒸着法により蒸着させても良い。
例えば、発光層113の形成に3種類の材料(発光物質、第1の有機化合物、第2の有機化合物)を用いる場合、図12Aに示すように蒸着する材料と同じ数(この場合は3つ)の蒸着源を用い、それぞれの蒸着源に第1の有機化合物401、第2の有機化合物402、および発光物質403を備えて共蒸着を行うことにより、基板400表面に3種類の蒸着材料の混合膜である発光層113を形成するが、上記3種類の材料のうち、第1の有機化合物と第2の有機化合物とを混合してなる組成物を用いる場合は、図12Bに示すように発光層113の形成に用いる材料が3種類であっても、2種類の蒸着源を用い、それぞれの蒸着源に組成物404および発光物質405を備えて共蒸着を行うことで、3種類の蒸着源を用いて形成された混合膜と同じ混合膜である発光層113を形成することができる。このように組成物を用いた蒸着を行うことにより、量産工程においても装置の仕様が複雑になることやメンテナンスの手間が増えるといった不都合を軽減することができるため、生産性の高い発光デバイスの作製が可能となる。
また、上記の材料は、低分子材料や高分子材料と組み合わせて用いてもよい。高分子材料としては、具体的には、ポリ(2,5-ピリジンジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(ピリジン-3,5-ジイル)](略称:PF-Py)、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(2,2’-ビピリジン-6,6’-ジイル)](略称:PF-BPy)などが挙げられる。また、成膜には、公知の方法(真空蒸着法や塗布法や印刷法など)を適宜用いることができる。
<電子輸送層>
電子輸送層114は、後述する電子注入層115によって第2の電極102から注入された電子を発光層113に輸送する層である。なお、電子輸送層114は、電子輸送性材料を含む層である。電子輸送層114に用いる電子輸送性材料は、1×10-6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質が好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いることができる。また、電子輸送層114は、単層でも機能するが、必要に応じて2層以上の積層構造とすることにより、デバイス特性を向上させることもできる。
電子輸送層114に用いることができる有機化合物としては、π電子不足型複素芳香族化合物等の電子輸送性の高い材料が好ましい。また、本発明の一態様である発光デバイス用組成物に用いる第1の有機化合物としては、電子輸送性材料に含まれる材料のうち、π電子不足型複素芳香族化合物等の材料が好ましい。なお、π電子不足型複素芳香族化合物としては、フロジアジン骨格のフラン環に芳香環としてベンゼン環が縮合した、ベンゾフロジアジン骨格を有する化合物、フロジアジン骨格のフラン環に芳香環としてナフチル環が縮合した、ナフトフロジアジン骨格を有する化合物、フロジアジン骨格のフラン環に芳香環としてフェナントロ環が縮合した、フェナントロフロジアジン骨格を有する化合物、チエノジアジン骨格のチエノ環に芳香環としてベンゼン環が縮合した、ベンゾチエノジアジン骨格を有する化合物、チエノジアジン骨格のチエノ環に芳香環としてナフチル環が縮合した、ナフトチエノジアジン骨格を有する化合物、チエノジアジン骨格のチエノ環に芳香環としてフェナントロ環が縮合した、フェナントロチエノジアジン骨格を有する化合物などが挙げられる。その他にも、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体等の他、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン配位子を有するキノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、その他含窒素複素芳香族化合物などが挙げられる。
なお、電子輸送性材料としては、9-[(3’-ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mDBtBPNfpr)、9-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9PCCzNfpr)、9-[3-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ「2,3-b]ピラジン(略称:9mPCCzPNfpr)、9-[3-(9’-フェニル-2,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mPCCzPNfpr-02)、10-[(3’-ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:10mDBtBPNfpr)、10-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:10PCCzNfpr)、12-[(3’-ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]フェナントロ[9’,10’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:12mDBtBPPnfpr)、9-[4-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9pPCCzPNfpr)、9-[4-(9’-フェニル-2,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9pPCCzPNfpr-02)、9-[3’-(6-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-イル)ビフェニル-3-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mBnfBPNfpr)、9-[3’-(6-フェニルジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mDBtBPNfpr-02)、9-{3-[6-(9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)ジベンゾチオフェン-4-イル]フェニル}ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mFDBtPNfpr)、11-(3-ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン-9-イル-フェニル)-12-フェニルインドロ[2,3-a]カルバゾール(略称:9mIcz(II)PNfpr)、3-ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン-9-イル-N,N-ジフェニルベンゼンアミン(略称:9mTPANfpr)、10-[4-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:10mPCCzPNfpr)、11-[(3’-ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]フェナントロ[9’,10’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:11mDBtBPPnfpr)、10-[3-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:10pPCCzPNfpr)、9-[3-(7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール-7-イル)フェニル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mcgDBCzPNfpr)、9-{3’-[6-(ビフェニル-3-イル)ジベンゾチオフェン-4-イル]ビフェニル-3-イル}ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mDBtBPNfpr-03)、9-{3’-[6-(ビフェニル-4-イル)ジベンゾチオフェン-4-イル]ビフェニル-3-イル}ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mDBtBPNfpr-04)、11-[3’(6-フェニルジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]フェナントロ[9’,10’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:11mDBtBPPnfpr-02)等が挙げられる。
また、4-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-8-(ナフタレン-2-イル)-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8βN-4mDBtPBfpm)、8-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-4-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8BP-4mDBtPBfpm)、4,8-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:4,8mDBtP2Bfpm)、8-[(2,2’-ビナフタレン)-6-イル]-4-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8(βN2)-4mDBtPBfpm)、3,8-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ベンゾフロ[2,3-b]ピラジン(略称:3,8mDBtP2Bfpr)、8-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)(1,1’-ビフェニル-3-イル)]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8mDBtBPNfpm)等を用いることもできる。
また、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)等のキノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)、ビス[2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(II)(略称:Zn(BTZ))等のオキサゾール骨格またはチアゾール骨格を有する金属錯体等を用いることもできる。
また、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3-ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、9-[4-(5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CO11)等のオキサジアゾール誘導体、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、3-(4-tert-ブチルフェニル)-4-(4-エチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,2,4-トリアゾール(略称:p-EtTAZ)等のトリアゾール誘導体、2,2’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm-II)等のイミダゾール誘導体(ベンゾイミダゾール誘導体を含む)や、4,4’-ビス(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)スチルベン(略称:BzOs)などのオキサゾール誘導体、バソフェナントロリン(略称:Bphen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBphen)などのフェナントロリン誘導体、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq-II)、2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)、2-[3’(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mCzBPDBq)、2-[4-(3,6-ジフェニル-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq-III)、7-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:7mDBTPDBq-II)、及び6-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTPDBq-II)等のキノキサリン誘導体、またはジベンゾキノキサリン誘導体、3,5-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,3,5-トリ[3-(3-ピリジル)フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)、等のピリジン誘導体、4,6-ビス[3-(フェナントレン-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4,6-ビス[3-(4-ジベンゾチエニル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDBTP2Pm-II)、4,6-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mCzP2Pm)、等のピリミジン誘導体、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PCCzPTzn)、mPCCzPTzn-02、9-[3-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]-9’-フェニル-2,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:mPCCzPTzn-02)、5-[3-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニルl]-7,7-ジメチル-5H,7H-インデノ[2,1-b]カルバゾール(略称:mINc(II)PTzn)、2-{3-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mDBtBPTzn)、等のトリアジン誘導体を用いることができる。
また、PPy、PF-Py、PF-BPyのような高分子化合物を用いることもできる。
<電子注入層>
電子注入層115は、陰極102からの電子の注入効率を高めるための層であり、陰極102の材料の仕事関数の値と、電子注入層115に用いる材料のLUMO準位の値とを比較した際、その差が小さい(0.5eV以下)材料を用いることが好ましい。従って、電子注入層115には、リチウム、セシウム、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、8-(キノリノラト)リチウム(略称:Liq)、2-(2-ピリジル)フェノラトリチウム(略称:LiPP)、2-(2-ピリジル)-3-ピリジノラトリチウム(略称:LiPPy)、4-フェニル-2-(2-ピリジル)フェノラトリチウム(略称:LiPPP)リチウム酸化物(LiO)、炭酸セシウム等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはこれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウム(ErF)のような希土類金属化合物を用いることができる。
<電荷発生層>
なお、図1Bの発光デバイスにおける電荷発生層104は、第1の電極(陽極)101と第2の電極(陰極)102との間に電圧を印加したときに、EL層103aに電子を注入し、EL層103bに正孔を注入する機能を有する。なお、電荷発生層104は、正孔輸送性材料に電子受容体(アクセプター)が添加された構成であっても、電子輸送性材料に電子供与体(ドナー)が添加された構成であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていても良い。なお、上述した材料を用いて電荷発生層104を形成することにより、EL層が積層された場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
電荷発生層104において、正孔輸送性材料に電子受容体が添加された構成とする場合、正孔輸送性材料としては、本実施の形態で示した材料を用いることができる。また、電子受容体としては、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタン(略称:F-TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムなどが挙げられる。
また、電荷発生層104において、電子輸送性材料に電子供与体が添加された構成とする場合、電子輸送性材料としては、本実施の形態で示した材料を用いることができる。また、電子供与体としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属または希土類金属または元素周期表における第2、第13族に属する金属およびその酸化物、炭酸塩を用いることができる。具体的には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)、インジウム(In)、酸化リチウム、炭酸セシウムなどを用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物を電子供与体として用いてもよい。
なお、図1Bでは、EL層103が2層積層された構成を示したが、異なるEL層の間に電荷発生層を設けることにより3層以上のEL層の積層構造としてもよい。また、EL層(103、103a、103b)に含まれる発光層113(113a、113b)は、それぞれ発光物質や複数の物質を適宜組み合わせて有しており、所望の発光色を呈する蛍光発光や燐光発光が得られる構成とすることができる。また、発光層113(113a、113b)を複数有する場合は、各発光層の発光色が異なる構成としてもよい。なお、この場合、積層された各発光層に用いる発光物質やその他の物質は、それぞれ異なる材料を用いればよい。例えば、発光層113aを青色、発光層113bを赤色、緑色、または黄色のいずれかとすることができるが、発光層113aを赤色、発光層113bを青色、緑色、または黄色のいずれかとすることもできる。さらに、EL層が3層以上積層された構造を有する場合には、1層目のEL層の発光層(113a)を青色、2層目のEL層の発光層(113b)を赤色、緑色、または黄色のいずれか、3層目のEL層の発光層を青色とすることができ、その他、1層目のEL層の発光層(113a)を赤色、2層目のEL層の発光層(113b)を青色、緑色、または黄色のいずれか、3層目のEL層の発光層を赤色とすることもできる。なお、複数の発光色の輝度や特性を考慮した上で、適宜その他の発光色の組み合わせを用いることができる。
<基板>
本実施の形態で示した発光デバイスは、様々な基板上に形成することができる。なお、基板の種類は、特定のものに限定されることはない。基板の一例としては、半導体基板(例えば単結晶基板又はシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルムなどが挙げられる。
なお、ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダライムガラスなどが挙げられる。また、可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)に代表されるプラスチック、アクリル樹脂等の合成樹脂、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、又はポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、アラミド樹脂、エポキシ樹脂、無機蒸着フィルム、又は紙類などが挙げられる。
本実施の形態で示す発光デバイスの作製には、蒸着法などの真空プロセスや、スピンコート法やインクジェット法などの溶液プロセスを用いることができる。蒸着法を用いる場合には、スパッタ法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、分子線蒸着法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD法)や、化学蒸着法(CVD法)等を用いることができる。特に発光デバイスのEL層に含まれる機能層(正孔注入層(111、111a、111b)、正孔輸送層(112、112a、112b)、発光層(113、113a、113b)、電子輸送層(114、114a、114b)、電子注入層(115、115a、115b))、および電荷発生層(104)については、蒸着法(真空蒸着法等)、塗布法(ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法等)、印刷法(インクジェット法、スクリーン(孔版印刷)法、オフセット(平版印刷)法、フレキソ(凸版印刷)法、グラビア法、マイクロコンタクト法、ナノインプリント法等)などの方法により形成することができる。
なお、本実施の形態で示す発光デバイスのEL層(103、103a、103b)を構成する各機能層(正孔注入層(111、111a、111b)、正孔輸送層(112、112a、112b)、発光層(113、113a、113b)、電子輸送層(114、114a、114b)、電子注入層(115、115a、115b))や電荷発生層(104)は、上述した材料に限られることはなく、それ以外の材料であっても各層の機能を満たせるものであれば組み合わせて用いることができる。一例としては、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)、中分子化合物(低分子と高分子の中間領域の化合物:分子量400乃至4000)、無機化合物(量子ドット材料等)等を用いることができる。なお、量子ドット材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料などを用いることができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができるものとする。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光装置について説明する。なお、図2Aに示す発光装置は、第1の基板201上のトランジスタ(FET)202と発光デバイス(203R、203G、203B、203W)が電気的に接続されてなるアクティブマトリクス型の発光装置であり、複数の発光デバイス(203R、203G、203B、203W)は、共通のEL層204を有し、また、各発光デバイスの発光色に応じて、各発光デバイスの電極間の光学距離が調整されたマイクロキャビティ構造を有する。また、EL層204から得られた発光が第2の基板205に形成されたカラーフィルタ(206R、206G、206B)を介して射出されるトップエミッション型の発光装置である。
図2Aに示す発光装置において、第1の電極207は、反射電極として機能するように形成する。また、第2の電極208は、光(可視光または近赤外光)に対する透過性および反射性の両機能を有する、半透過・半反射電極として機能するように形成する。なお、第1の電極207および第2の電極208を形成する電極材料としては、他の実施の形態の記載を参照し、適宜用いることができる。
また、図2Aにおいて、例えば、発光デバイス203Rを赤色発光デバイス、発光デバイス203Gを緑色発光デバイス、発光デバイス203Bを青色発光デバイス、発光デバイス203Wを白色発光デバイスとする場合、図2Bに示すように発光デバイス203Rは、第1の電極207と第2の電極208との間が光学距離200Rとなるように調整し、発光デバイス203Gは、第1の電極207と第2の電極208との間が光学距離200Gとなるように調整し、発光デバイス203Bは、第1の電極207と第2の電極208との間が光学距離200Bとなるように調整する。なお、図2Bに示すように、発光デバイス203Rにおいて導電層210Rを第1の電極207に積層し、発光デバイス203Gにおいて導電層210Gを第1の電極207に積層することにより、光学調整を行うことができる。
第2の基板205には、カラーフィルタ(206R、206G、206B)が形成されている。なお、カラーフィルタは、可視光のうち特定の波長域を通過させ、特定の波長域を阻止するフィルタである。従って、図2Aに示すように、発光デバイス203Rと重なる位置に赤の波長域のみを通過させるカラーフィルタ206Rを設けることにより、発光デバイス203Rから赤色発光を得ることができる。また、発光デバイス203Gと重なる位置に緑の波長域のみを通過させるカラーフィルタ206Gを設けることにより、発光デバイス203Gから緑色発光を得ることができる。また、発光デバイス203Bと重なる位置に青の波長域のみを通過させるカラーフィルタ206Bを設けることにより、発光デバイス203Bから青色発光を得ることができる。但し、発光デバイス203Wは、カラーフィルタを設けることなく白色発光を得ることができる。なお、1種のカラーフィルタの端部には、黒色層(ブラックマトリックス)209が設けられていてもよい。さらに、カラーフィルタ(206R、206G、206B)や黒色層209は、透明な材料を用いたオーバーコート層で覆われていても良い。
図2Aでは、第2の基板205側に発光を取り出す構造(トップエミッション型)の発光装置を示したが、図2Cに示すようにFET202が形成されている第1の基板201側に光を取り出す構造(ボトムエミッション型)の発光装置としても良い。なお、ボトムエミッション型の発光装置の場合には、第1の電極207を半透過・半反射電極として機能するように形成し、第2の電極208を反射電極として機能するように形成する。また、第1の基板201は、少なくとも透光性の基板を用いる。また、カラーフィルタ(206R’、206G’、206B’)は、図2Cに示すように発光デバイス(203R、203G、203B)よりも第1の基板201側に設ければよい。
また、図2Aにおいて、発光デバイスが、赤色発光デバイス、緑色発光デバイス、青色発光デバイス、白色発光デバイスの場合について示したが、本発明の一態様である発光デバイスはその構成に限られることはなく、黄色の発光デバイスや橙色の発光デバイスを有する構成であっても良い。なお、これらの発光デバイスを作製するためにEL層(発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層など)に用いる材料としては、他の実施の形態の記載を参照し、適宜用いればよい。なお、その場合には、また、発光デバイスの発光色に応じてカラーフィルタを適宜選択する必要がある。
以上のような構成とすることにより、複数の発光色を呈する発光デバイスを備えた発光装置を得ることができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができるものとする。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光装置について説明する。
本発明の一態様である発光デバイスのデバイス構成を適用することで、アクティブマトリクス型の発光装置やパッシブマトリクス型の発光装置を作製することができる。なお、アクティブマトリクス型の発光装置は、発光デバイスとトランジスタ(FET)とを組み合わせた構成を有する。従って、パッシブマトリクス型の発光装置、アクティブマトリクス型の発光装置は、いずれも本発明の一態様に含まれる。なお、本実施の形態に示す発光装置には、他の実施の形態で説明した発光デバイスを適用することが可能である。
本実施の形態では、アクティブマトリクス型の発光装置について図3を用いて説明する。
なお、図3Aは発光装置を示す上面図であり、図3Bは図3Aを鎖線A-A’で切断した断面図である。アクティブマトリクス型の発光装置は、第1の基板301上に設けられた画素部302、駆動回路部(ソース線駆動回路)303と、駆動回路部(ゲート線駆動回路)(304a、304b)を有する。画素部302および駆動回路部(303、304a、304b)は、シール材305によって、第1の基板301と第2の基板306との間に封止される。
また、第1の基板301上には、引き回し配線307が設けられる。引き回し配線307は、外部入力端子であるFPC308と電気的に接続される。なお、FPC308は、駆動回路部(303、304a、304b)に外部からの信号(例えば、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等)や電位を伝達する。また、FPC308にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。なお、これらFPCやPWBが取り付けられた状態は、発光装置に含まれる。
次に、図3Bに発光装置の断面構造を示す。
画素部302は、FET(スイッチング用FET)311、FET(電流制御用FET)312、およびFET312と電気的に接続された第1の電極313を有する複数の画素により形成される。なお、各画素が有するFETの数は、特に限定されることはなく、必要に応じて適宜設けることができる。
FET309、310、311、312は、特に限定されることはなく、例えば、スタガ型や逆スタガ型などのトランジスタを適用することができる。また、トップゲート型やボトムゲート型などのトランジスタ構造であってもよい。
なお、これらのFET309、310、311、312に用いることのできる半導体の結晶性については特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。なお、結晶性を有する半導体を用いることで、トランジスタ特性の劣化を抑制することができるため好ましい。
また、これらの半導体としては、例えば、第14族の元素、化合物半導体、酸化物半導体、有機半導体などを用いることができる。代表的には、シリコンを含む半導体、ガリウムヒ素を含む半導体、インジウムを含む酸化物半導体などを適用することができる。
駆動回路部303は、FET309とFET310とを有する。なお、FET309とFET310は、単極性(N型またはP型のいずれか一方のみ)のトランジスタを含む回路で形成されても良いし、N型のトランジスタとP型のトランジスタを含むCMOS回路で形成されても良い。また、外部に駆動回路を有する構成としても良い。
第1の電極313の端部は、絶縁物314により覆われている。なお、絶縁物314には、ネガ型の感光性樹脂や、ポジ型の感光性樹脂(アクリル樹脂)などの有機化合物や、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン等の無機化合物を用いることができる。絶縁物314の上端部または下端部には、曲率を有する曲面を有するのが好ましい。これにより、絶縁物314の上層に形成される膜の被覆性を良好なものとすることができる。
第1の電極313上には、EL層315及び第2の電極316が積層形成される。EL層315は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層等を有する。
なお、本実施の形態で示す発光デバイス317の構成は、他の実施の形態で説明した構成や材料を適用することができる。なお、ここでは図示しないが、第2の電極316は外部入力端子であるFPC308に電気的に接続されている。
また、図3Bに示す断面図では発光デバイス317を1つのみ図示しているが、画素部302において、複数の発光デバイスがマトリクス状に配置されているものとする。画素部302には、3種類(R、G、B)の発光が得られる発光デバイスをそれぞれ選択的に形成し、フルカラー表示可能な発光装置を形成することができる。また、3種類(R、G、B)の発光が得られる発光デバイスの他に、例えば、ホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)等の発光が得られる発光デバイスを形成してもよい。例えば、3種類(R、G、B)の発光が得られる発光デバイスに上述の数種類の発光が得られる発光デバイスを追加することにより、色純度の向上、消費電力の低減等の効果が得ることができる。また、カラーフィルタと組み合わせることによってフルカラー表示可能な発光装置としてもよい。なお、カラーフィルタの種類としては、赤(R)、緑(G)、青(B)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)等を用いることができる。
第1の基板301上のFET(309、310、311、312)や、発光デバイス317は、第2の基板306と第1の基板301とをシール材305により貼り合わせることにより、第1の基板301、第2の基板306、およびシール材305で囲まれた空間318に備えられた構造を有する。なお、空間318には、不活性気体(窒素やアルゴン等)や有機物(シール材305を含む)で充填されていてもよい。
シール材305には、エポキシ樹脂やガラスフリットを用いることができる。なお、シール材305には、できるだけ水分や酸素を透過しない材料を用いることが好ましい。また、第2の基板306は、第1の基板301に用いることができるものを同様に用いることができる。従って、他の実施の形態で説明した様々な基板を適宜用いることができるものとする。基板としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiber-Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル樹脂等からなるプラスチック基板を用いることができる。シール材としてガラスフリットを用いる場合には、接着性の観点から第1の基板301及び第2の基板306はガラス基板であることが好ましい。
以上のようにして、アクティブマトリクス型の発光装置を得ることができる。
また、アクティブマトリクス型の発光装置を可撓性基板に形成する場合、可撓性基板上にFETと発光デバイスとを直接形成しても良いが、剥離層を有する別の基板にFETと発光デバイスを形成した後、熱、力、レーザ照射などを与えることによりFETと発光デバイスを剥離層で剥離し、さらに可撓性基板に転載して作製しても良い。なお、剥離層としては、例えば、タングステン膜と酸化シリコン膜との無機膜の積層や、ポリイミド等の有機樹脂膜等を用いることができる。また可撓性基板としては、トランジスタを形成することが可能な基板に加え、紙基板、セロファン基板、アラミドフィルム基板、ポリイミドフィルム基板、布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、又はゴム基板などが挙げられる。これらの基板を用いることにより、耐久性や耐熱性に優れ、軽量化および薄型化を図ることができる。
また、アクティブマトリクス型の発光装置が有する発光デバイスの駆動は、発光デバイスをパルス状(例えば、kHz、MHz等の周波数を用いる)に発光させ、表示に用いる構成としても良い。上記有機化合物を用いて形成される発光デバイスは、優れた周波数特性を備えるため、発光デバイスを駆動する時間を短縮し、消費電力を低減することができる。また、駆動時間の短縮に伴い発熱が抑制されるため、発光デバイスの劣化を軽減することも可能である。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光デバイス、本発明の一態様である発光デバイスを有する発光装置を適用して完成させた様々な電子機器や自動車の一例について、説明する。なお、発光装置は、本実施の形態で説明する電子機器において、主に表示部に適用することができる。
図4A乃至図4Cに示す電子機器は、筐体7000、表示部7001、スピーカ7003、LEDランプ7004、操作キー7005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子7006、センサ7007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい、又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7008、等を有することができる。
図4Aはモバイルコンピュータであり、上述したものの他に、スイッチ7009、赤外線ポート7010、等を有することができる。
図4Bは記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(たとえば、DVD再生装置)であり、上述したものの他に、第2表示部7002、記録媒体読込部7011、等を有することができる。
図4Cはテレビ受像機能付きデジタルカメラであり、上述したものの他に、アンテナ7014、シャッターボタン7015、受像部7016、等を有することができる。
図4Dは携帯情報端末である。携帯情報端末は、表示部7001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報7052、情報7053、情報7054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末を収納した状態で、携帯情報端末の上方から観察できる位置に表示された情報7053を確認することもできる。使用者は、携帯情報端末をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
図4Eは携帯情報端末(スマートフォンを含む)であり、筐体7000に、表示部7001、操作キー7005、等を有することができる。なお、携帯情報端末は、スピーカ、接続端子、センサ等を設けてもよい。また、携帯情報端末は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。ここでは3つのアイコン7050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報7051を表示部7001の他の面に表示することもできる。情報7051の一例としては、電子メール、SNS、電話などの着信の通知、電子メールやSNSなどの題名、送信者名、日時、時刻、バッテリーの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報7051が表示されている位置にはアイコン7050などを表示してもよい。
図4Fは、大型のテレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)であり、筐体7000、表示部7001、等を有することができる。また、ここでは、スタンド7018により筐体7000を支持した構成を示している。また、テレビジョン装置の操作は、別体のリモコン操作機7111、等により行うことができる。なお、表示部7001にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7001に触れることで操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7001に表示される画像を操作することができる。
図4A乃至図4Fに示す電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、様々なソフトウエア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信又は受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能、等を有することができる。さらに、複数の表示部を有する電子機器においては、一つの表示部を主として画像情報を表示し、別の一つの表示部を主として文字情報を表示する機能、または、複数の表示部に視差を考慮した画像を表示することで立体的な画像を表示する機能、等を有することができる。さらに、受像部を有する電子機器においては、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を自動または手動で補正する機能、撮影した画像を記録媒体(外部又はカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、図4A乃至図4Fに示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。
図4Gは、腕時計型の携帯情報端末であり、例えばスマートウォッチとして用いることができる。この腕時計型の携帯情報端末は、筐体7000、表示部7001、操作用ボタン7022、7023、接続端子7024、バンド7025、マイクロフォン7026、センサ7029、スピーカ7030等を有している。表示部7001は、表示面が湾曲しており、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、この携帯情報端末は、例えば無線通信可能なヘッドセットとの相互通信によりハンズフリーでの通話が可能である。なお、接続端子7024により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うことや、充電を行うこともできる。充電動作は無線給電により行うこともできる。
ベゼル部分を兼ねる筐体7000に搭載された表示部7001は、非矩形状の表示領域を有している。表示部7001は、時刻を表すアイコン7027、その他のアイコン7028等を表示することができる。また、表示部7001は、タッチセンサ(入力装置)を搭載したタッチパネル(入出力装置)であってもよい。
なお、図4Gに示すスマートウォッチは、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、様々なソフトウエア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信又は受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能、等を有することができる。
また、筐体7000の内部に、スピーカ、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン等を有することができる。
なお、本発明の一態様である発光装置は、本実施の形態に示す電子機器の各表示部に用いることができ、長寿命な電子機器を実現できる。
また、発光装置を適用した電子機器として、図5A乃至図5Cに示すような折りたたみ可能な携帯情報端末が挙げられる。図5Aには、展開した状態の携帯情報端末9310を示す。また、図5Bには、展開した状態又は折りたたんだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の携帯情報端末9310を示す。さらに、図5Cには、折りたたんだ状態の携帯情報端末9310を示す。携帯情報端末9310は、折りたたんだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。
表示部9311はヒンジ9313によって連結された3つの筐体9315に支持されている。なお、表示部9311は、タッチセンサ(入力装置)を搭載したタッチパネル(入出力装置)であってもよい。また、表示部9311は、ヒンジ9313を介して2つの筐体9315間を屈曲させることにより、携帯情報端末9310を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。なお、本発明の一態様の発光装置は、表示部9311に用いることができる。また、長寿命な電子機器を実現できる。表示部9311における表示領域9312は折りたたんだ状態の携帯情報端末9310の側面に位置する表示領域である。表示領域9312には、情報アイコンや使用頻度の高いアプリやプログラムのショートカットなどを表示させることができ、情報の確認やアプリなどの起動をスムーズに行うことができる。
また、発光装置を適用した自動車について、図6A、図6Bに示す。すなわち、発光装置を、自動車と一体にして設けることができる。具体的には、図6Aに示す自動車の外側のライト5101(車体後部も含む)、タイヤのホイール5102、ドア5103の一部または全体などに適用することができる。また、図6Bに示す自動車の内側の表示部5104、ハンドル5105、シフトレバー5106、座席シート5107、インナーリアビューミラー5108、フロントガラス5109等に適用することができる。その他のガラス窓の一部に適用してもよい。
以上のようにして、本発明の一態様である発光装置を適用した電子機器や自動車を得ることができる。なお、その場合には、長寿命な電子機器を実現できる。また、適用できる電子機器や自動車は、本実施の形態に示したものに限らず、あらゆる分野において適用することが可能である。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光装置、またはその一部である発光デバイスを適用して作製される照明装置の構成について図7を用いて説明する。
図7A、図7Bは、照明装置の断面図の一例を示す。なお、図7Aは基板側に光を取り出すボトムエミッション型の照明装置であり、図7Bは、封止基板側に光を取り出すトップエミッション型の照明装置である。
図7Aに示す照明装置4000は、基板4001上に発光デバイス4002を有する。また、基板4001の外側に凹凸を有する基板4003を有する。発光デバイス4002は、第1の電極4004と、EL層4005と、第2の電極4006を有する。
第1の電極4004は、電極4007と電気的に接続され、第2の電極4006は電極4008と電気的に接続される。また、第1の電極4004と電気的に接続される補助配線4009を設けてもよい。なお、補助配線4009上には、絶縁層4010が形成されている。
また、基板4001と封止基板4011は、シール材4012で接着されている。また、封止基板4011と発光デバイス4002の間には、乾燥剤4013が設けられていることが好ましい。なお、基板4003は、図7Aのような凹凸を有するため、発光デバイス4002で生じた光の取り出し効率を向上させることができる。
図7Bの照明装置4200は、基板4201上に発光デバイス4202を有する。発光デバイス4202は第1の電極4204と、EL層4205と、第2の電極4206とを有する。
第1の電極4204は、電極4207と電気的に接続され、第2の電極4206は電極4208と電気的に接続される。また第2の電極4206と電気的に接続される補助配線4209を設けてもよい。また、補助配線4209の下部に、絶縁層4210を設けてもよい。
基板4201と凹凸のある封止基板4211は、シール材4212で接着されている。また、封止基板4211と発光デバイス4202の間にバリア膜4213および平坦化膜4214を設けてもよい。なお、封止基板4211は、図7Bのような凹凸を有するため、発光デバイス4202で生じた光の取り出し効率を向上させることができる。
また、これらの照明装置の応用例としては、室内の照明用であるシーリングライトが挙げられる。シーリングライトには、天井直付型や天井埋め込み型等がある。なお、このような照明装置は、発光装置を筐体やカバーと組み合わせることにより構成される。
その他にも床面に灯りを照射し、足元の安全性を高めることができる足元灯などへの応用も可能である。足元灯は、例えば、寝室や階段や通路などに使用するのが有効である。その場合、部屋の広さや構造に応じて適宜サイズや形状を変えることができる。また、発光装置と支持台とを組み合わせて構成される据え置き型の照明装置とすることも可能である。
また、シート状の照明装置(シート状照明)として応用することも可能である。シート状照明は、壁面に張り付けて使用するため、場所を取らず幅広い用途に用いることができる。なお、大面積化も容易である。なお、曲面を有する壁面や筐体に用いることもできる。
なお、上記以外にも室内に備えられた家具の一部に本発明の一態様である発光装置、またはその一部である発光デバイスを適用し、家具としての機能を備えた照明装置とすることができる。
以上のように、発光装置を適用した様々な照明装置が得られる。なお、これらの照明装置は本発明の一態様に含まれるものとする。
また、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
≪合成例1≫
本実施例では、実施の形態1の構造式(100)で表される本発明の一様態である有機金属錯体、ビス(13,14-ジシアノベンゾ[a]ナフト[2,1-c]フェナジン-10-イル-κC10,κN11)(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κO,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(bnphz-dCN)(dpm)])の合成方法について説明する。なお、[Ir(bnphz-dCN)(dpm)]の構造を以下に示す。
Figure 0007478670000030
<ステップ1:ベンゾ[a]ナフト[2,1-c]フェナジン-13,14-ジカルボニトリル(略称:Hdbnphz)の合成>
まず、クリセン-5,6-ジオン1.0g(4.0mmol)、4,5-ジアミノフタロニトリル0.69g(4.4mmol)、エタノール20mLを反応容器に入れ、63時間加熱還流した。所定時間経過後、得られた混合物を吸引ろ過し、固体をエタノールで洗浄した。この固体を加熱トルエンで洗浄し、目的物を得た(1.1g、収率70%)。ステップ1の合成スキームを下記式(a-1)に示す。
Figure 0007478670000031
<ステップ2:[Ir(bnphz-dCN)(dpm)]の合成>
次に、上記ステップ2で得た配位子、Hbnphz-dCN1.0g(2.6mmol)、塩化イリジウム水和物0.37g(1.3mmol)、ジメチルホルムアミド(DMF)26mLを反応容器に加え、容器内を窒素置換し、160℃で7時間加熱撹拌した。所定時間経過後、炭酸ナトリウム0.70g(6.6mmol)とジピバロイルメタン0.70g(3.8mmol)を加えて140℃で8時間加熱撹拌した。得られた反応混合物を吸引ろ過し、水、エタノールで洗浄した。得られた固体をジクロロメタンで洗浄し、得られたろ液を濃縮して固体を得た。この固体をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。展開溶媒には、ジクロロメタン:トルエン=3:7の混合溶媒を用い、徐々にジクロロメタンの量を増やして極性を上げながら行った。得られたフラクションを濃縮して得た固体をヘキサンにて洗浄して、目的物を得た(黒色固体5mg、収率0.4%)。
ステップ2の合成スキームを下記式(a-2)に示す。
Figure 0007478670000032
上記ステップ2で得られた黒色固体のプロトン(H)を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に得られた値を示す。また、H-NMRチャートを図8に示す。このことから、本合成例において、上述の構造式(100)で表される本発明の一態様である有機金属錯体、[Ir(bnphz-dCN)(dpm)]が得られたことがわかった。
H-NMR δ(CDCl):0.56(s,18H),5.33(s,1H),6.68(d,2H),7.19(t,2H),7.78(t,2H),7.97(t,2H),8.13(d,2H),8.23(d,2H),8.38(d,2H),8.67(d,2H),8.93(s,2H),9.06(s,2H),10.87(d,2H)。
続いて、[Ir(bnphz-dCN)(dpm)]のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定した。
吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用い、ジクロロメタン溶液(0.010mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。また、発光スペクトルの測定には、絶対PL量子収率測定装置((株)浜松ホトニクス製 C11347-01)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.010mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。
得られた吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を図9に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。なお、図9に示す吸収スペクトルは、ジクロロメタン溶液を石英セルに入れて測定した吸収スペクトルから、ジクロロメタンのみを石英セルに入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた結果を示している。
図9に示す通り、[Ir(bnphz-dCN)(dpm)]のジクロロメタン溶液からは、882nmに発光ピークを有する近赤外の発光が観測された。
≪合成例2≫
本実施例では、実施の形態1の構造式(101)で表される本発明の一様態である有機金属錯体、ビス{4,6-ジメチル-[5,7-ビス(トリフルオロメチル)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-キノキサリニル-κN]フェニル-κC}(2,4-ペンタンジオナト-κO,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdpq-dCF(acac)])の合成方法について説明する。なお、[Ir(dmdpq-dCF(acac)]の構造を以下に示す。
Figure 0007478670000033
<ステップ1:5,7-ビス(トリフルオロメチル)-2,3-ビス(3,5-ジメチルフェニル)キノキサリン(略称:Hdmdpq-dCF)の合成>
まず、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジル4.1g(15mmol)、3,5-ビス(トリフルオロメチル)-1,2-フェニレンジアミン4.1g(17mmol)、エタノール80mLを反応容器に入れ23時間加熱還流した。ここに、酢酸0.098g(1.6mmol)を加え、18時間加熱還流した。所定時間経過後、得られた混合物を吸引ろ過し、固体をエタノールで洗浄して目的物を得た(淡黄色固体6.8g、収率93%)。ステップ1の合成スキームを下記式(b-1)に示す。
Figure 0007478670000034
<ステップ2:[Ir(dmdpq-dCF(acac)]の合成>
次に、上記ステップ2で得た、配位子Hdmdpq-dCF2.0g(4.2mmol)、トリス(アセチルアセトナト)イリジウム(III)0.42g(0.84mmol)を反応容器に入れ、容器内をアルゴン置換した後、250℃で44時間加熱撹拌した。所定時間経過後、反応物をジクロロメタンに溶解しシリカゲルに吸着させてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。展開溶媒にはトルエン:ヘキサン=3:1を用いた。得られたフラクションを濃縮して固体を得た。この固体をジクロロメタンとメタノールの混合溶媒により精製して目的物を得た(黒色固体174mg、収率17%)。ステップ2の合成スキームを下記式(b-2)に示す。
Figure 0007478670000035
上記ステップ2で得られた黒色固体のプロトン(H)を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に得られた値を示す。また、H-NMRチャートを図10に示す。このことから、本合成例において、上述の構造式(101)で表される本発明の一態様である有機金属錯体、[Ir(dmdpq-dCF(acac)]が得られたことがわかった。
H-NMR δ(CDCl):1.05(s,6H),1.56(s,6H),2.05(s,6H),2.45(br,12H),4.64(s,1H),6.55(s,2H),7.13(s,2H),7.29(s,2H),7.85(s,4H),8.07(s,2H),8.27(s,2H)。
続いて、[Ir(dmdpq-dCF(acac)]のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定した。
吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用い、ジクロロメタン溶液(0.010mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.010mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。
得られた吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を図11に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。なお、図11に示す吸収スペクトルは、ジクロロメタン溶液を石英セルに入れて測定した吸収スペクトルから、ジクロロメタンのみを石英セルに入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた結果を示している。
図11に示す通り、[Ir(dmdpq-dCF(acac)]のジクロロメタン溶液からは、807nmに発光ピークを有する近赤外の発光が観測された。
次に、[Ir(dmdpq-dCF(acac)]について、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定を行った。CV測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600Aまたは600C)を用いた。
また、CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;227056-12)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ-n-ブチルアンモニウム(electrochemical grade、和光純薬工業(株)製造元コード:043999、CAS.NO:1923-70-2)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製し、電気化学用セルに加え、各電極をセットした後、アルゴンバブリングで約30分脱気した。また使用した電極には、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、Ptカウンター電極)を、参照電極としては非水溶媒系参照電極(ビー・エー・エス(株)製、RE-7非水溶媒系参照電極(Ag/Ag+)をそれぞれ用いた。また、測定は室温(20~25℃)とし、測定時のスキャン速度は、0.1V/secに統一した。なお、本実施例では、参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーを、-4.94eVであるとした。
CV測定の結果から、[Ir(dmdpq-dCF(acac)]のLUMO準位(還元電位)を求めた。酸化ピーク電位(還元側から中性間)Epc[V]と、還元ピーク電位(中性側から還元間)Epa[V]から半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は、(Epa+Epc)/2[V](=-1.17eV)と算出された。さらに、参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギー(-4.94eV)から、この半波電位(-1.17)を差し引き、[Ir(dmdpq-dCF(acac)]のLUMO準位(還元電位)を-3.77eVとした。一般的な燐光材料である有機金属錯体のLUMO準位は-3eV~-2eV程度を示すため、この値はかなり低いことがわかる。
次に、下記構造式(200)で表される有機金属錯体、ビス{4,6-ジメチル-2-[4-(3,5-ジメチルフェニル)-2-キノキサリニル-κN]フェニル-κC}(2,2’,6,6’-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ20,0’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdpq)(dpm)])について同様にLUMOの値を測定した。
Figure 0007478670000036
なお、[Ir(dmdpq)(dpm)]は、本実施例で合成した、[Ir(dmdpq-dCF(acac)]の配位子において、キノキサリン骨格に縮環するベンゼン環が電子吸引基(具体的には、トリフルオロメチル基)で置換された構造を有するのに対して、電子吸引基が置換されていない構造を有する。CV測定は、[Ir(dmdpq-dCF(acac)]の測定と同じ方法で行った。
その結果、[Ir(dmdpq)(dpm)]のLUMOの値は-3.22eVと見積もられた。従って、[Ir(dmdpq)(dpm)]と[Ir(dmdpq-dCF(acac)]とのLUMOの値の差は、0.55eVとなる。すなわち、電子吸引基を有することによりLUMOの値が著しく小さくなることがわかった。
本実施例では、本発明の一態様である発光デバイスとして、実施例1で説明したビス{4,6-ジメチル-2-[3-(3,5-ジメチルフェニル)-5,7-ビス(トリフルオロメチル)キノキサリン-2-イル-κN)フェニル-κC}(2,4-ペンタンジオナト-κ20,0’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdpq-dCF(acac)])(構造式(101))を発光層に用いた発光デバイス1について、素子構造、作製方法およびその特性について説明する。なお、本実施例で用いる発光デバイスの素子構造を図13に示し、具体的な構成について表1に示す。また、本実施例で用いる材料の化学式を以下に示す。
Figure 0007478670000037
Figure 0007478670000038
≪発光デバイスの作製≫
本実施例で示す発光デバイスは、図13に示すように基板900上に形成された第1の電極901上に正孔注入層911、正孔輸送層912、発光層913、電子輸送層914、電子注入層915が順次積層され、電子注入層915上に第2の電極903が積層された構造を有する。
まず、基板900上に第1の電極901を形成した。電極面積は、4mm(2mm×2mm)とした。また、基板900には、ガラス基板を用いた。また、第1の電極901は、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法により、70nmの膜厚で成膜して形成した。
ここで、前処理として、基板の表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10-4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
次に、第1の電極901上に正孔注入層911を形成した。正孔注入層911は、真空蒸着装置内を10-4Paに減圧した後、1,3,5-トリ(ジベンゾチオフェン-4-イル)ベンゼン(略称:DBT3P-II)と酸化モリブデンとを、DBT3P-II:酸化モリブデン=2:1(質量比)とし、膜厚が120nmとなるように共蒸着して形成した。
次に、正孔注入層911上に正孔輸送層912を形成した。正孔輸送層912は、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)を用い、膜厚が20nmになるように蒸着して形成した。
次に、正孔輸送層912上に発光層913を形成した。
発光層913は、ホスト材料として、2mDBTBPDBq-IIを用い、アシスト材料としてPCBBiF、ゲスト材料(燐光材料)として、本発明の一態様である有機金属錯体、[Ir(dmdpq-dCF(acac)]を用い、重量比が2mDBTBPDBq-II:PCBBiF:[Ir(dmdpq-dCF(acac)]=0.7:0.3:0.1となるように共蒸着した。なお、膜厚は、40nmとした。
次に、発光層913上に電子輸送層914を形成した。電子輸送層914は、2mDBTBPDBq-IIの膜厚が20nm、2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBphen)の膜厚が70nmとなるように順次蒸着して形成した。
次に、電子輸送層914上に電子注入層915を形成した。電子注入層915は、フッ化リチウム(LiF)を用い、膜厚が1nmになるように蒸着して形成した。
次に、電子注入層915上に第2の電極903を形成した。第2の電極903は、アルミニウムを蒸着法により、膜厚が200nmとなるように形成した。なお、本実施例において、第2の電極903は、陰極として機能する。
以上の工程により、基板900上に一対の電極間にEL層を挟んでなる発光デバイスを形成した。なお、上記工程で説明した正孔注入層911、正孔輸送層912、発光層913、電子輸送層914、電子注入層915は、本発明の一態様におけるEL層を構成する機能層である。また、上述した作製方法における蒸着工程では、全て抵抗加熱法による蒸着法を用いた。
また、上記に示すように作製した発光デバイスは、別の基板(図示せず)により封止される。なお、別の基板(図示せず)を用いた封止の際は、窒素雰囲気のグローブボックス内において、紫外光により固化するシール剤を塗布した別の基板(図示せず)を基板900上に固定し、基板900上に形成された発光デバイスの周囲にシール剤が付着するよう基板同士を接着させた。封止時には365nmの紫外光を6J/cm照射しシール剤を固化し、80℃にて1時間熱処理することによりシール剤を安定化させた。
≪発光デバイス1の動作特性≫
作製した発光デバイス1の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。また、発光デバイス1の電流密度-放射束特性を図14、電圧-放射輝度特性を図15、電圧-電流特性を図16、電流密度-外部量子効率特性を図17、電流密度-外部エネルギー効率特性を図18にそれぞれ示す。なお、放射束、外部量子効率は、デバイスの配光特性がランバーシアン型と仮定し、放射輝度を用いて算出した。
次に、放射輝度、1.1W/sr/m付近における発光デバイス1の主な初期特性値について以下の表2に示す。
Figure 0007478670000039
動作特性の結果より、発光デバイス1は、近赤外発光を示す発光デバイスとしては高い信頼性を示すことが分かった。これは、本発明の一態様である有機金属錯体、[Ir(dmdpq-dCF(acac)]を発光デバイス1の発光層に用いたことによる効果が一因であるといえる。[Ir(dmdpq-dCF(acac)]は、配位子のキノキサリン骨格に縮環するベンゼン環に電子吸引性基である、トリフルオロメチル基が置換された構造を有する。この構造により、LUMO準位を低く(-3.5eV以下)することができるため、発光層における電子の挙動が制御され、発光領域が狭くなるため発光デバイス1の効率を高めることができる。
また、発光デバイス1に0.9mA/cmの電流密度で電流を流した際のEL発光スペクトルを、図19に示す。EL発光スペクトルの測定には、近赤外分光放射計(SR-NIR トプコン社製)を用いた。図19において、発光デバイス1は、発光層913に含まれる有機金属錯体、[Ir(dmdpq-dCF(acac)]の発光に由来して、791nm付近にピークを有する発光スペクトルを示す。なお、スペクトルの半値幅は100nmである。この半値幅をエネルギーで換算するとおよそ0.19eVであり、有機金属錯体由来の発光としてはかなり狭い。
次に、発光デバイス1に対する信頼性試験を行った。信頼性試験の結果を図20に示す。図20において、縦軸は初期輝度を100%とした時の規格化輝度(%)を示し、横軸は発光デバイス1の駆動時間(h)を示す。なお、信頼性試験は、電流密度を75mA/cmに設定し、発光デバイスを駆動させた。
信頼性試験の結果より、発光デバイス1は、高い信頼性を示すことが分かった。これは、本発明の一態様である有機金属錯体、[Ir(dmdpq-dCF(acac)](構造式(101))を発光デバイス1の発光層に用いたことによる効果といえる。[Ir(dmdpq-dCF(acac)]は、配位子のキノキサリン骨格に縮環するベンゼン環に電子吸引性基である、トリフルオロメチル基が置換された構造を有する。この構造により、長波長領域(700nm以上の可視領域または近赤外領域)に発光ピークを有するだけでなく、低いLUMO準位(-3.5eV以下)を有する。LUMO準位の値が低くなることにより、発光層における電子の挙動が制御されるため、発光デバイス1の信頼性が高くなると言える。
≪合成例3≫
本実施例では、実施の形態1の構造式(116)で表される本発明の一様態である有機金属錯体、ビス{3-[5,7-ビス(トリフルオロメチル)-3-(2-ナフチル)-2―キノキサリニル-κN]-2-ナフチル-κC}(2,4-ペンタンジオナト-κO,O’)イリジウム(III)((略称:[Ir(d2nq-dCF(acac)])の合成方法について説明する。なお、[Ir(d2nq-dCF(acac)]の構造を以下に示す。
Figure 0007478670000040
<ステップ1:1,2-ジ-2-ナフチル-1,2-エタンジオンの合成>
まず、2-ブロモナフタレン25g(122mmol)と炭酸ビニレン3.6g(40mmol)、トリフェニルホスフィン2.1g(8mmol)、炭酸セシウム28g(88mmol)、ジメチルホルムアミド180mLを三口フラスコに入れ、フラスコ内を脱気、窒素置換した。ここに酢酸パラジウム(II)0.90g(4.0mmol)を加え120℃で4.5時間加熱撹拌した。得られた反応混合物に水を加え、水層をトルエンで抽出した。抽出溶液を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。得られた混合物を自然ろ過し、ろ液を濃縮して固体を得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。展開溶媒にはトルエン:ヘキサン=4:1の混合溶媒を用いた。得られたフラクションを濃縮して目的物である白色固体を3.2g、収率26%で得た。ステップ1の合成スキームを下記式(c-1)に示す。
Figure 0007478670000041
<ステップ2:5,7-ビス(トリフルオロメチル)-2,3-ジ-(2-ナフチル)キノキサリン(略称:Hd2nq-dCF)の合成>
次に、上記ステップ2で得た1,2-ジ-2-ナフチル-1,2-エタンジオン1.6g(4.8mmol)、3,5-ビス(トリフルオロメチル)-1,2-フェニレンジアミン1.3g(5.3mmol)、エタノール25mL、酢酸30mg(0.48mmol)を反応容器に入れ22時間加熱還流した。ここに、酢酸をパスツールで2滴加え、さらに41時間加熱還流した。所定時間経過後、得られた混合物を吸引ろ過し、固体を水、エタノールで洗浄して目的物を得た(淡黄色固体2.4g、収率96%)。ステップ2の合成スキームを下記式(c-2)に示す。
Figure 0007478670000042
<ステップ3;ビス{3-[5,7-ビス(トリフルオロメチル)-3-(2-ナフチル)-2-キノキサリニル-κN]-2-ナフチル-κC}(2,4-ペンタンジオナト-κO,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(d2nq-dCF(acac)])の合成>
次に、上記ステップ2で得た配位子、Hd2nq-dCF2.0g(3.8mmol)、トリス(アセチルアセトナト)イリジウム(III)0.38g(0.77mmol)を反応容器に入れ、容器内をアルゴン置換した後、250℃で48時間加熱撹拌した。所定時間経過後、反応物をトルエンに溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。展開溶媒にはトルエンを用いた。得られたフラクションを濃縮して固体を得た。この固体をジクロロメタンとエタノールの混合溶媒により精製して目的物を得た(黒色固体76mg、収率7.5%)。ステップ3の合成スキームを下記式(c-3)に示す。
Figure 0007478670000043
実施例3で得られた[Ir(d2nq-dCF(acac)]を液体クロマトグラフ質量分析(Liquid Chromatography Mass Spectrometry,略称:LC/MS分析)によって分析した。
LC/MS分析はLC(液体クロマトグラフィー)分離をウォーターズ社製Acquity UPLCにより、MS分析(質量分析)をウォーターズ社製Xevo G2 Tof MSにより行った。LC分離で用いたカラムはAcquity UPLC BEH C8 (2.1×100mm1.7μm)、カラム温度は40℃とした。移動相は移動相Aを0.1%ギ酸水溶液、移動相Bをアセトニトリルとした。また、サンプルは任意の濃度の[Ir(d2nq-dCF(acac)]をクロロホルムに溶解して調整し、注入量は5.0μLとした。
LC分離には移動相の組成を変化させるグラジエント法を用い、測定開始後0分から1分までが、移動相A:移動相B=10:90、その後1分から5分まで組成を変化させ、5分における移動相Aと移動相Bとの比が移動相A:移動相B=5:95となるようにした。その後、測定開始から5分から10分までを、移動相A:移動相B=5:95で行った。組成はリニアに変化させた。
MS分析では、エレクトロスプレーイオン化法(ElectroSpray Ionization、略称:ESI)によるイオン化を行い、キャピラリー電圧は3.0kV、サンプルコーン電圧は30V、検出はポジティブモードで行った。
以上の条件で分離、イオン化を行ったところ、[Ir(d2nq-dCF(acac)]由来のイオンであるm/z=1327.2の成分が検出されたため、本合成例において、上述の構造式(116)で表される本発明の一態様である有機金属錯体、[Ir(d2nq-dCF(acac)]が得られたことがわかった。
続いて、[Ir(d2nq-dCF(acac)]のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定した。
吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用い、ジクロロメタン溶液(0.010mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.010mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。
得られた吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を図21に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。なお、図21に示す吸収スペクトルは、ジクロロメタン溶液を石英セルに入れて測定した吸収スペクトルから、ジクロロメタンのみを石英セルに入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた結果を示している。
図21に示す通り、[Ir(d2nq-dCF(acac)]のジクロロメタン溶液からは、797nmに発光ピークを有する近赤外の発光が観測された。
101:第1の電極、102:第2の電極、103:EL層、103a、103b:EL層、104:電荷発生層、111、111a、111b:正孔注入層、112、112a、112b:正孔輸送層、113、113a、113b:発光層、114、114a、114b:電子輸送層、115、115a、115b:電子注入層、200R、200G、200B:光学距離、201:第1の基板、202:トランジスタ(FET)、203R、203G、203B、203W:発光デバイス、204:EL層、205:第2の基板、206R、206G、206B:カラーフィルタ、206R’、206G’、206B’:カラーフィルタ、207:第1の電極、208:第2の電極、209:黒色層(ブラックマトリックス)、210R、210G:導電層、301:第1の基板、302:画素部、303:駆動回路部(ソース線駆動回路)、304a、304b:駆動回路部(ゲート線駆動回路)、305:シール材、306:第2の基板、307:引き回し配線、308:FPC、309:FET、310:FET、311:FET、312:FET、313:第1の電極、314:絶縁物、315:EL層、316:第2の電極、317:発光デバイス、318:空間、400:基板、401:第1の有機化合物、402:第2の有機化合物、403:発光物質、404:組成物、405:発光物質、900:基板、901:第1の電極、902:EL層、903:第2の電極、911:正孔注入層、912:正孔輸送層、913:発光層、914:電子輸送層、915:電子注入層、4000:照明装置、4001:基板、4002:発光デバイス、4003:基板、4004:第1の電極、4005:EL層、4006:第2の電極、4007:電極、4008:電極、4009:補助配線、4010:絶縁層、4011:封止基板、4012:シール材、4013:乾燥剤、4015:拡散板、4200:照明装置、4201:基板、4202:発光デバイス、4204:第1の電極、4205:EL層、4206:第2の電極、4207:電極、4208:電極、4209:補助配線、4210:絶縁層、4211:封止基板、4212:シール材、4213:バリア膜、4214:平坦化膜、4215:拡散板、5101:ライト、5102:ホイール、5103:ドア、5104:表示部、5105:ハンドル、5106:シフトレバー、5107:座席シート、5108:インナーリアビューミラー、5109:フロントガラス、7000:筐体、7001:表示部、7002:第2表示部、7003:スピーカ、7004:LEDランプ、7005:操作キー、7006:接続端子、7007:センサ、7008:マイクロフォン、7009:スイッチ、7010:赤外線ポート、7011:記録媒体読込部、7012:支持部、7013:イヤホン、7014:アンテナ、7015:シャッターボタン、7016:受像部、7018:スタンド、7020:カメラ、7021:外部接続部、7022、7023:操作用ボタン、7024:接続端子、7025:バンド、7026:マイクロフォン、7027:時刻を表すアイコン、7028:その他のアイコン、7029:センサ、7030:スピーカ、7052、7053、7054:情報、9310:携帯情報端末、9311:表示部、9312:表示領域、9313:ヒンジ、9315:筐体

Claims (14)

  1. 一般式(G2)で表される有機金属錯体。

    (式中、Mはイリジウムを表す。また、R~R13はそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、または置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表し、かつ、R~Rの少なくとも一は、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、またはペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、RおよびR10は、互いに結合し、環を形成していても良い。また、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、R10およびR11、R11およびR12、ならびにR12およびR13のいずれか一または複数が互いに結合し、置換もしくは無置換の炭素数3~24の飽和環もしくは不飽和環を形成してもよい。また、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。また、m+n=3(但し、m=0、1または2、n=1、2、または3のいずれか)である。)
  2. 一般式(G4)で表される有機金属錯体。

    (式中、R~R13はそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、または置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表し、かつ、R~Rの少なくとも一は、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、またはペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、RおよびR10は、互いに結合し、環を形成していても良い。また、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、R10およびR11、R11およびR12、ならびにR12およびR13のいずれか一または複数が互いに結合し、置換もしくは無置換の炭素数3~24の飽和環もしくは不飽和環を形成してもよい。また、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。)
  3. 一般式(G5)で表される有機金属錯体。

    (式中、R~RおよびR11~R13はそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、または置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表し、かつ、R~Rの少なくとも一は、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、およびペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、RおよびR、RおよびR、RおよびR、R11およびR12、ならびにR12およびR13のいずれか一または複数が互いに結合し、置換もしくは無置換の炭素数3~24の飽和環もしくは不飽和環を形成してもよい。また、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。)
  4. 請求項1乃至請求項のいずれか一において、
    ノアニオン性の配位子は、β-ジケトン構造を有するモノアニオン性の二座キレート配位子である有機金属錯体。
  5. 一般式(G6)で表される有機金属錯体。

    (式中、R~R16はそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、または置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表し、かつ、R~Rの少なくとも一は、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、またはペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、RおよびR10は、互いに結合し、環を形成していても良い。また、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、R10およびR11、R11およびR12、ならびにR12およびR13のいずれか一または複数が互いに結合し、置換もしくは無置換の炭素数3~24の飽和環もしくは不飽和環を形成してもよい。)
  6. 一般式(G7)で表される有機金属錯体。

    (式中、R~RおよびR11~R16はそれぞれ独立に、水素、炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~12のアリール基、または置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表し、かつ、R~Rの少なくとも一は、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルスルホニル基、またはペンタフルオロスルファニル基のいずれかを表す。また、RおよびR、RおよびR、RおよびR、R11およびR12、ならびにR12およびR13のいずれか一または複数が互いに結合し、置換もしくは無置換の炭素数3~24の飽和環もしくは不飽和環を形成してもよい。)
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
    ~R の少なくとも一は、シアノ基、またはトリフルオロメチル基を表す、有機金属錯体。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか一において、
    およびR 、R およびR 、R およびR 、R およびR 、R 10 およびR 11 、R 11 およびR 12 、ならびにR 12 およびR 13 のいずれか一または複数が互いに結合し、置換もしくは無置換のベンゼン環を形成する、有機金属錯体。
  9. 構造式(100)、構造式(101)または構造式(116)で表される有機金属錯体。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれか一に記載の有機金属錯体を有する発光デバイス。
  11. 一対の電極間に発光層を有し、
    前記発光層は、請求項1乃至請求項9のいずれか一に記載の有機金属錯体を有する発光デバイス。
  12. 請求項10または請求項11に記載の発光デバイスと、
    トランジスタ、または基板のいずれか一と、
    を有する発光装置。
  13. 請求項12に記載の発光装置と、
    マイク、カメラ、操作用ボタン、外部接続部、または、スピーカのいずれか一と、
    を有する電子機器。
  14. 請求項12に記載の発光装置と、
    筐体、カバー、または、支持台のいずれか一と、
    を有する照明装置。

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