JP7476743B2 - インクジェット用記録シート - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット用記録シートに関する。
インクジェット印刷を行う対象のインクジェット用記録シートは、通常、基材と、この基材上に設けられたインク受容層と、を備えて構成される。インク受容層は、インクを吸収させて、印字や画像を形成するための層である。インク受容層は、インクの定着等に必要な成分と、これらを分散又は溶解させるための溶媒と、を含有する液状の組成物を、基材上に塗工し、乾燥させることで形成できる。前記組成物を基材上に塗工する方法は、目的に応じて、公知の方法から選択できる。
インク受容層には、十分な強度を有し、インクの乾燥性が良好であり、インクの滲みを抑制できることが求められる。そして、インク受容層が限定的な組成を有することによって、このような特性を併せ持つインクジェット用記録シートが開示されている(特許文献1参照)。
インクジェット用記録シートには、さらに、用途に応じて、その他の特性を有することも求められる。例えば、インクジェット用記録シートは、用途の拡大によって、水で濡れた環境下で使用されることもある。この場合、インクジェット用記録シートには、水の存在下でもその機能を十分に発揮できるように、耐水性を有することが望まれる。例えば、冷凍宅配便用のラベルとして、インクジェット用記録シートが利用されることがある。この場合、結露によってインクジェット用記録シートに水が付着することがあり、このような状態のシート同士が擦れることによって、印字や画像が読み取れなくなってしまうことが考えられるが、インクジェット用記録シートには、このような不具合の発生を抑制できることが期待される。そして、インク受容層が限定的な組成を有することによって、このような耐水性を有するインクジェット用記録シートが開示されている(特許文献2参照)。
特開2019-43097号公報 特開2018-171859号公報
一方、水で濡れた環境下で使用され得るインクジェット用記録シートには、その適用対象物の物流等を管理する目的で、バーコードや二次元コード等の機械読取コードが印刷されることがある。このようなインクジェット用記録シートには、インク受容層の強度が十分に高く、インクの乾燥性が良好であり、インクの滲みを抑制でき、水で濡れた環境下で耐水性を有することに加え、さらに、水で濡れた後でも問題なく機械読取コードを読み取れる機械読取コード適性を有することも求められる。
しかし、特許文献1で開示されているインクジェット用記録シートは、耐水性が不十分であるという問題点があった。
また、特許文献2で開示されているインクジェット用記録シートは、耐水性を有するものの、機械読取コード適性が不十分であるという問題点があった。
本発明は、基材及びインク受容層を備えたインクジェット用記録シートであって、インク受容層の強度が十分に高く、インクの乾燥性が良好であり、インクの滲みを抑制でき、耐水性を有し、さらに、機械読取コードが印刷された場合には、水で濡れた後でも問題なく機械読取コードを読み取れるインクジェット用記録シートを提供することを課題とする。
本発明は、基材と、前記基材の少なくとも一方の面上に形成されたインク受容層と、を備えたインクジェット用記録シートであって、前記インク受容層は、無機顔料として、平均2次粒子径が異なる第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムを含有し、前記インク受容層は、有機顔料として、中空粒子を含有し、前記インク受容層は、バインダーとして、カチオン性スチレン系樹脂及びポリビニルアルコールを含有し、前記インク受容層は、インク定着剤として、前記カチオン性スチレン系樹脂以外のカチオン性樹脂を含有し、前記インク受容層において、前記第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、前記カチオン性スチレン系樹脂及びポリビニルアルコールの合計含有量の割合が、15~20質量%であり、前記インク受容層において、前記第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、前記ポリビニルアルコールの含有量の割合が、7質量%以下であり、前記基材上での、前記インク受容層の形成量が、6g/m以上である、インクジェット用記録シートを提供する。
本発明のインクジェット用記録シートにおいては、前記第1の凝集軽質炭酸カルシウムの平均2次粒子径が1μm未満であり、前記第2の凝集軽質炭酸カルシウムの平均2次粒子径が2~5μmであり、前記インク受容層において、[第1の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量(質量)]:[第2の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量(質量)]の比率が、65:35~75:25であることが好ましい。
本発明によれば、基材及びインク受容層を備えたインクジェット用記録シートであって、インク受容層の強度が十分に高く、インクの乾燥性が良好であり、インクの滲みを抑制でき、耐水性を有し、さらに、機械読取コードが印刷された場合には、水で濡れた後でも問題なく機械読取コードを読み取れるインクジェット用記録シートが提供される。
本実施形態のインクジェット用記録シートの一例を模式的に示す断面図である。 本実施形態のインクジェット用記録シートの他の例を模式的に示す断面図である。 本実施形態のインクジェット用記録シートのさらに他の例を模式的に示す断面図である。
◎インクジェット用記録シート
本発明の一実施形態に係るインクジェット用記録シートは、基材と、前記基材の少なくとも一方の面上に形成されたインク受容層と、を備えたインクジェット用記録シートであって、前記インク受容層は、無機顔料として、平均2次粒子径が異なる第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムを含有し、前記インク受容層は、有機顔料として、中空粒子を含有し、前記インク受容層は、バインダーとして、カチオン性スチレン系樹脂及びポリビニルアルコールを含有し、前記インク受容層は、インク定着剤として、前記カチオン性スチレン系樹脂以外のカチオン性樹脂を含有し、前記インク受容層において、前記第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、前記カチオン性スチレン系樹脂及びポリビニルアルコールの合計含有量の割合が、15~20質量%であり、前記インク受容層において、前記第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、前記ポリビニルアルコールの含有量の割合が、7質量%以下であり、前記基材上での、前記インク受容層の形成量が、6g/m以上である。
本実施形態のインクジェット用記録シートは、インク受容層が上記のような限定的な組成を有することにより、インク受容層の強度が十分に高く、インクの乾燥性が良好であり、インクの滲みを抑制でき、耐水性を有し、さらに、インク受容層上に機械読取コードが印刷された場合には、水で濡れた後でも、問題なく機械読取コードを読み取れる。本明細書においては、機械読取コードを問題なく読み取れる特性を、「機械読取コード適性」と称することがある。
また、本実施形態のインクジェット用記録シートは、基材上でのインク受容層の形成量が、特定量以上であることにより、インクの滲みを抑制する効果と、機械読取コード適性が高くなる。
本明細書において、「機械読取コード」とは、バーコード、二次元コード等の、識別情報を有するコードを意味する。
本実施形態のインクジェット用記録シートは、前記基材及びインク受容層を備えていれば、特に限定されない。例えば、インクジェット用記録シートは、カレンダー処理(平滑化処理)されたものであってもよく、高速スーパーカレンダー処理されたものであってもよい。
カレンダー処理とは、シートの表面を加圧することで、平滑化する処理であり、同時にシートの表面を加熱してもよい。高速スーパーカレンダー処理とは、このカレンダー処理(平滑化処理)を高速で行うものである。
高速スーパーカレンダー処理時の処理速度は、例えば、300m/min以上である。
カレンダー処理されたインクジェット用記録シートにおいては、インク受容層の表面が平滑化処理される。したがって、このようなインクジェット用記録シートは、通常であれば、カレンダー処理されていないインクジェット用記録シートよりも、インク受容層におけるインクの乾燥性が悪化する。
これに対して、本実施形態のインクジェット用記録シートは、上記のような限定的な組成を有するインク受容層を備えていることで、カレンダー処理されても、インク受容層におけるインクの乾燥性は良好である。
さらに、カレンダー処理されたインクジェット用記録シートにおいては、インクの滲みが抑制され、機械読取コード適性も高くなる傾向にある。これは、カレンダー処理に伴い、インク受容層による、基材表面の空隙部の埋め込みの効果によって、毛細管現象が抑制されるためであると推測される。
<<インク受容層>>
前記インク受容層は、これを構成するための成分を含有するインク受容層用組成物を用いて形成できる。より具体的には、インク受容層は、前記インク受容層用組成物を基材上に塗工し、乾燥させることで形成できる。
インク受容層用組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、インク受容層の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
インク受容層用組成物の基材上への塗工は、1回で行ってもよいし、複数回(2回以上)に分けて行ってもよい。塗工を複数回に分けて行う場合には、乾燥させた塗工層上に、さらにインク受容層用組成物を塗工する方法、及び、乾燥させていない塗工層上に、さらにインク受容層用組成物を塗工する方法、のいずれであってもよい。
インク受容層用組成物の塗工量は、インク受容層用組成物の固形分濃度、インク受容層の厚さ等を考慮して、適宜調節すればよい。
インク受容層用組成物の塗工方法は特に限定されず、液状物を塗工できる方法であれば、いずれであってもよい。具体的な塗工方法としては、例えば、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター、グラビアオフセットコーター等の各種コーター;ワイヤーバーコーター等の装置を使用する公知の方法が挙げられる。
塗工したインク受容層用組成物は、送風乾燥、加熱送風乾燥等、公知の方法で乾燥させればよい。乾燥温度、乾燥時間等の条件は、乾燥方法に応じて適宜設定すればよい。
基材上でのインク受容層の形成量は、6g/m以上であり、例えば、6.4g/m以上及び6.8g/m以上のいずれかであってもよい。前記インク受容層の形成量が前記下限値以上であることで、インクの滲みを抑制する効果が高くなり、特に、カレンダー装置を用いて、少なくともインク受容層の表面を平滑化処理した場合に、このような効果が高くなる。これは、基材上でのインク受容層の形成量が多くなることで、インクの滲みを抑制する効果を有するカチオン性スチレン系樹脂の基材上での量も増大するためである。
さらに、本実施形態においては、インクの滲みを抑制する効果が高くなると、機械読取コード適性も高くなる傾向にある。
基材上でのインク受容層の形成量の上限値は、特に限定されない。例えば、前記インク受容層の形成量は、30g/m以下、25g/m以下及び20g/m以下のいずれかであってもよい。
基材上でのインク受容層の形成量は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、前記インク受容層の形成量は、6~30g/m、6~25g/m、及び6~20g/mのいずれかであってもよいし、6.4~30g/m、及び6.8~30g/mのいずれかであってもよいし、6.4~25g/m、及び6.8~25g/mのいずれかであってもよい。
前記インク受容層の形成量は、例えば、インク受容層用組成物の基材上への塗工量、又はインク受容層用組成物の各配合成分の配合量等を調節することで、調節できる。
本実施形態のインクジェット用記録シートにおいて、基材上でのインク受容層の形成量(g/m)の値は、形成されたインク受容層の厚さ(μm)の値と、ほぼ又は全く同じとなる。
本実施形態のインクジェット用記録シートは、インク受容層を基材の少なくとも一方の面上に備えていればよく、片面上のみに備えていてもよいし、両面上に備えていてもよい。
本発明のインクジェット用記録シートが、基材の両面上にインク受容層を備えている場合、これら2層のインク受容層は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
<インク受容層用組成物>
前記インク受容層用組成物及びインク受容層としては、例えば、前記無機顔料、有機顔料、バインダー、インク定着剤、及び必要に応じてこれらのいずれにも該当しない他の成分を含有するものが挙げられる。
以下、各成分について説明する。
[無機顔料]
前記無機顔料は、インク受容層において、インク中の顔料を保持し、水分の吸収及び透過に影響を与える成分である。
インク受容層用組成物及びインク受容層は、無機顔料として、平均2次粒子径が異なる第1の凝集軽質炭酸カルシウム及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムを含有する。
炭酸カルシウムには、重質炭酸カルシウム及び軽質炭酸カルシウムが存在する。
重質炭酸カルシウムは、天然の石灰石を粉砕分級したものである。
軽質炭酸カルシウムは、化学的に合成したものであり、その粒子の形や大きさは化学的に制御できる。軽質炭酸カルシウムの粒子の形は、通常、立方形、紡錘形又は柱形等である。軽質炭酸カルシウムには、1次粒子が単体粒子として存在するものと、1次粒子が凝集して2次粒子を形成したものとがある。
1次粒子が凝集して2次粒子を形成した軽質炭酸カルシウムを凝集軽質炭酸カルシウムという。1次粒子の平均粒子径(平均1次粒子径)は、例えば、走査型電子顕微鏡での観察結果から求められる。2次粒子の平均粒子径は、例えば、レーザー回折法での測定により求められる。
前記インク受容層は、無機顔料として、少なくとも、平均2次粒子径が互いに異なる第1の凝集軽質炭酸カルシウム及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムを含有する。
インク受容層が第1の凝集軽質炭酸カルシウムを含有することにより、インクジェット用記録シートにインクジェット印刷した場合の、インクの滲みを抑制する効果が高くなる。
インク受容層が第2の凝集軽質炭酸カルシウムを含有することにより、インクジェット用記録シートにインクジェット印刷した場合の、インクの乾燥性がより高くなる。ここで、「インクの乾燥性が高い」とは、「インクの乾燥に要する時間が短い」ことを意味する。
インク受容層が、第1の凝集軽質炭酸カルシウム及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムを含有することは、例えば、インク受容層の断面を作製し、この断面を電子顕微鏡等で観察したときに、凝集軽質炭酸カルシウムとして、平均2次粒子径が明らかに異なると認識できるものが、混在していることを確認することで、確認できる。そして、前記断面のうち、凝集軽質炭酸カルシウムの分布に偏りが見られない特定範囲の領域中で、これら凝集軽質炭酸カルシウムの2次粒子の数を測定することによって、これら凝集軽質炭酸カルシウムの含有量(質量)の比率を、算出できる。
前記第1の凝集軽質炭酸カルシウムの平均2次粒子径は1μm未満であることが好ましく、0.9μm以下であることがより好ましく、例えば、0.8μm以下、0.7μm以下及び0.6μm以下のいずれかであってもよい。ただし、これらは、第1の凝集軽質炭酸カルシウムの平均2次粒子径の一例である。
第1の凝集軽質炭酸カルシウムの平均2次粒子径の下限値は、特に限定されない。例えば、前記平均2次粒子径が0.2μm以上である第1の凝集軽質炭酸カルシウムは、容易に入手できる。
第1の凝集軽質炭酸カルシウムの平均2次粒子径は、上述の下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、第1の凝集軽質炭酸カルシウムの平均2次粒子径は、0.2μm以上1μm未満、0.2~0.9μm、0.2~0.8μm、0.2~0.7μm、及び0.2~0.6μmのいずれかであってもよい。
前記第2の凝集軽質炭酸カルシウムの平均2次粒子径は2~5μmであることが好ましく、2.3~4.7μmであることがより好ましく、例えば、2.6~4.4μm及び3~4μmのいずれかであってもよい。ただし、これらは、第2の凝集軽質炭酸カルシウムの平均2次粒子径の一例である。
インク受容層用組成物及びインク受容層は、第1の凝集軽質炭酸カルシウム及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムとして、上述のいずれかの平均2次粒子径のものを、適宜組み合わせて含有していることが好ましい。例えば、インク受容層における第1の凝集軽質炭酸カルシウム及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの好ましい組み合わせとしては、平均2次粒子径が1μm未満(例えば、0.2μm以上1μm未満)である第1の凝集軽質炭酸カルシウムと、平均2次粒子径が2~5μmである第2の凝集軽質炭酸カルシウムと、の組み合わせが挙げられる。ただし、これは、第1の凝集軽質炭酸カルシウム及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの組み合わせの一例である。
このように、インク受容層が第1の凝集軽質炭酸カルシウム及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムをともに含有することにより、インクジェット用記録シートは、インクの滲みを抑制する効果と、インクの乾燥性が、より高くなり、また、高速インクジェットプリンターでカラー印刷した場合であっても、インクの乾燥性が良好となる。
インク受容層用組成物及びインク受容層において、[第1の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量(質量)]:[第2の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量(質量)]の比率は、特に限定されないが、10:90~90:10であることが好ましく、16:84~84:16であることがより好ましく、22:78~78:22であることが特に好ましい。[第1の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量(質量)]:[第2の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量(質量)]の比率が、上述の範囲であることにより、インクジェット用記録シートにおいて、インクの滲みの抑制効果の向上と乾燥性の向上との双方をさらにバランスよく達成でき、かつインクジェット用記録シートは、高速インクジェットプリンターでカラー印刷した場合であっても、インクの乾燥性がより良好となる。
インク受容層用組成物及びインク受容層においては、インクの滲みの抑制効果がより高くなり、機械読取コード適性がより向上する点では、第1の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量が、第2の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量よりも、多いことが好ましい。このように、第1の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量が多い場合、[第1の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量(質量)]:[第2の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量(質量)]の比率は、65:35~75:25であることが好ましく、例えば、65:35~72:28であってもよいし、68:32~75:25であってもよい。ただし、これらは、前記比率の一例である。このように、第1の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量が、第2の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量よりも多いインク受容層は、より高い機械読取コード適性が安定して得られる点で、特に好ましい。
インク受容層用組成物及びインク受容層においては、インクの乾燥性がより高くなる点では、第2の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量が、第1の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量よりも、多いことが好ましい。このように、第2の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量が多い場合、[第1の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量(質量)]:[第2の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量(質量)]の比率は、例えば、47:53~10:90、42:58~16:84、及び37:63~22:78のいずれかであってもよい。ただし、これらは、前記比率の一例である。
インク受容層用組成物及びインク受容層は、本発明の効果を損なわない範囲内において、第1の凝集軽質炭酸カルシウムと、第2の凝集軽質炭酸カルシウムと、のいずれにも該当しない、他の無機顔料を含有していてもよい。
前記他の無機顔料は、前記他の成分に該当する。
前記他の無機顔料としては、例えば、非凝集軽質炭酸カルシウム(すなわち、1次粒子が凝集して2次粒子を形成したものではない軽質炭酸カルシウム);前記重質炭酸カルシウム等の、他の炭酸カルシウムが挙げられる。
インク受容層用組成物及びインク受容層が含有する第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウム、並びに前記他の無機顔料は、いずれも1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
インク受容層用組成物及びインク受容層において、第1の凝集軽質炭酸カルシウム、第2の凝集軽質炭酸カルシウム及び他の無機顔料の合計含有量に対する、第1の凝集軽質炭酸カルシウム及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量の割合は、92質量%以上であることが好ましく、94質量%以上であることがより好ましく、96質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であってもよい。
インク受容層用組成物において、後述する溶媒以外の成分の総含有量に対する、第1の凝集軽質炭酸カルシウム及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量の割合(すなわち、インク受容層における、インク受容層の総質量に対する、第1の凝集軽質炭酸カルシウム及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量の割合)は、60~93質量%であることが好ましく、65~88質量%であることがより好ましく、70~83質量%であることが特に好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムを用いたことによる効果がより顕著に得られる。前記割合が前記上限値以下であることで、インク受容層の強度がより高くなる。
インク受容層用組成物及びインク受容層で特に好ましいものの一例としては、平均2次粒子径が1μm未満である第1の凝集軽質炭酸カルシウムと、平均2次粒子径が2~5μmである第2の凝集軽質炭酸カルシウムと、を含有し、[第1の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量(質量)]:[第2の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量(質量)]の比率が、65:35~75:25であるものが挙げられる。
[バインダー]
前記バインダーは、インク受容層において、これが含有する無機顔料(第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウム)と、必要に応じてこれが含有する前記他の無機顔料と、を保持するための成分である。
インク受容層用組成物及びインク受容層は、前記バインダーとして、カチオン性スチレン系樹脂及びポリビニルアルコールを含有する。
前記カチオン性スチレン系樹脂は、主にインク受容層の耐水性に大きな影響を与え、インク受容層におけるインクの乾燥性及び滲みにも影響を与える成分である。
前記ポリビニルアルコールは、主にインク受容層の強度に大きな影響を与える成分である。
前記カチオン性スチレン系樹脂は、スチレンから誘導された構成単位を有し、水に溶解又は分散させたときにカチオン性を呈する。
カチオン性スチレン系樹脂は、このようなものであれば特に限定されず、例えば、スチレン又はその誘導体から誘導された構成単位のみを有していてもよいし、スチレン又はその誘導体から誘導された構成単位と、これら以外の他の構成単位と、を有していてもよい。
カチオン性スチレン系樹脂は、スチレン又はその誘導体から誘導された構成単位を有する樹脂と、これ以外の他の樹脂と、の共重合体であってもよく、このような共重合体としては、例えば、スチレン又はその誘導体から誘導された構成単位を有する樹脂と、アクリル系樹脂((メタ)アクリロイル基を有する樹脂)と、の共重合体等が挙げられる。
本明細書においては、ある特定の化合物において、1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換された構造が想定される場合、このような置換された構造を有する化合物を、上述の特定の化合物の「誘導体」と称するか、又は、特定の化合物の名称の末尾に「類」を付して表す。
本明細書において、「基」とは、複数個の原子が結合してなる原子団だけでなく、1個の原子も包含するものとする。
本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を包含する概念である。(メタ)アクリロイル基と類似の用語についても同様であり、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念である。
カチオン性スチレン系樹脂の重量平均分子量は、5000~110000であることが好ましい。
本明細書において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
ポリビニルアルコールとしては、例えば、完全ケン化型ポリビニルアルコール、部分ケン化型ポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリビニルアルコールのケン化度は、90モル%以上であることが好ましく、93モル%以上であることがより好ましく、96モル%以上であることが特に好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度が前記下限値以上であることで、インク受容層におけるインクの滲みの抑制効果がより高くなり、インク受容層の強度がより高くなる。ポリビニルアルコールのケン化度の上限値は特に限定されず、例えば、99.5モル%であってもよいし、100モル%であってもよい。
ポリビニルアルコールのケン化度は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を適宜任意に組み合わされて設定された範囲内にあることが好ましい。
ポリビニルアルコールの重合度は、500~2500であることが好ましく、750~2350であることがより好ましく、1000~2200であることがさらに好ましく、1250~2000であることが特に好ましい。ポリビニルアルコールの重合度が前記上限値以下であることで、インクの乾燥性がより高くなる。ポリビニルアルコールの重合度が前記下限値以上であることで、インク受容層の強度がより高くなる。
インク受容層用組成物及びインク受容層は、本発明の効果を損なわない範囲内において、カチオン性スチレン系樹脂と、ポリビニルアルコールと、のいずれにも該当しない、他のバインダーを含有していてもよい。
前記他のバインダーは、前記他の成分に該当する。
前記他のバインダーとしては、例えば、カチオン性スチレン系樹脂と、ポリビニルアルコールと、のいずれにも該当しない水溶性高分子等が挙げられる。
前記水溶性高分子としては、例えば、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール;酸化デンプン;リン酸エステル化デンプン;ローコンス;カゼイン;カルボキシメチルセルロース(CMC);エステル系ポリウレタン、カーボネート系ポリウレタン等のポリウレタン等が挙げられる。
前記ポリウレタンは、例えば、カチオン性、アニオン性及び非イオン性のいずれであってもよい。
インク受容層用組成物及びインク受容層が含有するカチオン性スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール、及び前記他のバインダーは、いずれも1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
インク受容層用組成物及びインク受容層において、カチオン性スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール及び前記他のバインダーの合計含有量に対する、カチオン性スチレン系樹脂及びポリビニルアルコールの合計含有量の割合は、65質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることが特に好ましく、例えば、90質量%以上及び95質量%以上のいずれかであってもよいし、100質量%であってもよい。
インク受容層用組成物及びインク受容層において、第1の凝集軽質炭酸カルシウム及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、カチオン性スチレン系樹脂及びポリビニルアルコールの合計含有量の割合は、15~20質量%であり、例えば、15~17.5質量%であってもよいし、17.5~20質量%であってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、インク受容層の耐水性がより高くなり、前記割合が前記上限値以下であることで、インク受容層でのインクの乾燥性がより高くなる。
インク受容層用組成物及びインク受容層において、第1の凝集軽質炭酸カルシウム及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、ポリビニルアルコールの含有量の割合は、7質量%以下であり、0.5~7質量%であることが好ましく、0.5~6.5質量%であることがより好ましく、0.5~6質量%であることがさらに好ましく、0.5~5.5質量%であることが特に好ましく、例えば、0.5~3質量%であってもよいし、3~5.5質量%であってもよい。前記割合が前記上限値以下であることで、インク受容層の耐水性が高くなる。前記割合が前記下限値以上であることで、インク受容層の強度がより高くなる。特に、インク受容層の強度が高いことにより、インクジェット用記録シートは、高速スーパーカレンダー処理を行うのに好適なものとなる。
インク受容層用組成物及びインク受容層において、第1の凝集軽質炭酸カルシウム及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、カチオン性スチレン系樹脂の含有量の割合は、4~24質量%であることが好ましく、7~22質量%であることがより好ましく、10~20質量%であることが特に好ましい。
[有機顔料]
前記有機顔料は、前記インクジェット用記録シートの機械読取コード適性を向上させるための成分である。
インク受容層用組成物及びインク受容層は、前記有機顔料として、中空粒子を含有する。
前記中空粒子は、全体の形状が粒子状であり、かつ中空部を有していれば、特に限定されない。例えば、1個の中空粒子が有する中空部は、1個のみであってもよいし、2個以上であってもよい。
また、中空粒子は、その外殻の一部に、中空粒子の内部と外部とを繋ぐ開口部を有していてもよい。中空粒子は、その内部に空隙部を有していることが重要であり、内部の空隙部の存在を維持できる限り、外殻の形状は特に限定されない。
1個あたり中空部を1個のみ有する前記中空粒子としては、例えば、医薬、農薬等の分野で公知のマイクロカプセルが、溶媒や芯物質を内包していない状態のものが挙げられる。このような中空粒子は、例えば、マイクロカプセルの外殻を形成している膜形成成分によって、中空部を1個のみ有するように形成された粒子、ということもできる。
1個あたり中空部を2個以上有する前記中空粒子としては、例えば、公知の多孔質粒子が挙げられる。
1個の中空粒子を構成している構成材料は、1種のみであってもよし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択できる。
前記中空粒子は、その構成材料として有機材料を有し、樹脂を有することが好ましい。
前記樹脂としては、例えば、天然ゴムを主成分とするラテックス(天然ゴムラテックス)、天然ゴムを変性した変性ゴムを主成分とする変性ラテックス、合成樹脂等が挙げられる。
前記合成樹脂は、1種のモノマーが重合してなる単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーが共重合してなる共重合体であってもよい。
前記共重合体としては、例えば、スチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。前記スチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、例えば、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体であることが好ましく、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体であることがより好ましい。
前記中空粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、0.35~3μmであることが好ましく、0.4~2.7μmであることがより好ましく、0.45~2.4μmであることが特に好ましい。中空粒子の平均粒子径が前記下限値以上であることで、インク受容層における、インクの滲みの抑制効果がより高くなる。中空粒子の平均粒子径が前記上限値以下であることで、インク受容層におけるインクの乾燥性がより高くなる。
中空粒子の平均粒子径とは、コールターカウンターを用いて、中空粒子の粒度分布を測定し、これにより得られた体積基準の累積粒度分布曲線から求められた、50%累積時の粒子径(D50、メジアン径)を意味する。
中空粒子の中空率は、特に限定されないが、40~85%であることが好ましく、50~80%であることがより好ましい。中空粒子の中空率がこのような範囲であることで、インクジェット用記録シートの機械読取コード適性が、より向上する。
中空粒子の中空率(%)は、中空粒子の密度の理論値Dと、中空粒子の密度の実測値Dと、から、式「(D-D)/D×100」により、求められる。
中空粒子の外殻の厚さは、中空粒子の粒子径の5~10%であることが好ましい。中空粒子の外殻の厚さがこのような範囲であることで、中空粒子を用いたことによる効果がより顕著に得られる。
中空粒子は、インク受容層中では、粒子状で中空部を有していれば、その形状は特に限定されない。例えば、中空粒子の形状は、中空粒子の製造完了時と、インクジェット用記録シートの製造完了時とでは、一致していなくてもよい。インクジェット用記録シートの製造時に、中空粒子に力が加えられることで、中空粒子の形状が変形することがある。本実施形態においては、変形によって元の形状とは異なる形状になっていても、変形する前の元の形状が粒子状であると認識でき、かつ変形後でも中空部を有していれば、そのようなものも中空粒子として取り扱う。このように、粒子状で中空部を有する形状が維持されている中空粒子を用いることで、インクジェット用記録シートの機械読取コード適性が向上する。
インク受容層用組成物及びインク受容層において、第1の凝集軽質炭酸カルシウム及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、中空粒子の含有量の割合は、3~20質量%であることが好ましく、3.5~17.5質量%であることがより好ましく、4~15質量%であることがさらに好ましく、4.5~12.5質量%であることが特に好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、インクジェット用記録シートの機械読取コード適性が、より向上する。前記割合が前記上限値以下であることで、インク受容層におけるインクの乾燥性が高くなる。
[インク定着剤]
前記インク定着剤は、インク受容層において、インクを定着させるための成分である。
インク受容層用組成物及びインク受容層は、インク定着剤として、前記カチオン性スチレン系樹脂以外のカチオン性樹脂(本明細書においては、「カチオン性樹脂定着剤」と称することがある)を含有する。
前記カチオン性樹脂定着剤は、水に溶解又は分散させたときにカチオン性を呈する。
カチオン性樹脂定着剤は、例えば、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン若しくは第4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー又はポリマーであることが好ましく、前記オリゴマー又はポリマーであることがより好ましい。
カチオン性樹脂定着剤でさらに好ましいものとしては、例えば、アルキルアミン-エピクロルヒドリン共重合物;第2級アミノ基、第3級アミノ基又は第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体;ポリビニルアミン;ポリビニルアミジン;5員環アミジン類;ジシアンジアミド-ホルマリン共重合体等のジシアン系カチオン性樹脂;ジシアンジアミド-ポリエチレンアミン共重合物等のポリアミン系カチオン性樹脂;ポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類及びその誘導体;ジアリルジメチルアンモニウム-SO共重合物;ジアリルアミン塩-SO共重合物;ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物;アリルアミン塩の重合物;ビニルベンジルトリアリルアンモニウム塩の単独重合体又は共重合体;ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合物;アクリルアミド-ジアリルアミン塩共重合物;ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウム等のアルミニウム塩が挙げられ、アルキルアミン-エピクロルヒドリン共重合物であることが特に好ましく、ジメチルアミン-エピクロルヒドリン共重合物であることが最も好ましい。
本明細書において、重合物には、重縮合物も含まれる。
インク受容層用組成物及びインク受容層が含有するカチオン性樹脂定着剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
インク受容層用組成物及びインク受容層において、第1の凝集軽質炭酸カルシウム及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、カチオン性樹脂定着剤の含有量の割合は、1~15質量%であることが好ましく、1~12質量%であることがより好ましく、1~9質量%であることがさらに好ましく、1~6質量%であることが特に好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、インク受容層におけるインクの定着性が、より向上する。前記割合が前記上限値以下であることで、インク受容層におけるインクの定着性以外の特性が、より向上する。
[他の成分]
前記他の成分としては、例えば、溶媒、多価金属塩、pH調整剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、酸化防止剤、防腐剤、耐水化剤、紙力増強剤、着色染料、色素定着剤、顔料分散剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤等、インクジェット用記録シートのインク受容層において通常使用される成分が挙げられる。ただし、インク受容層は、溶媒を含まないことが好ましい。
前記他の成分としては、これら以外に、前記他の無機顔料、及び前記他のバインダーも挙げられる。
インク受容層用組成物及びインク受容層が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
(溶媒)
インク受容層用組成物を製造するために、前記無機顔料、有機顔料、バインダー、インク定着剤、又は溶媒以外の前記他の成分を、分散物又は溶液として配合したときに、前記分散物又は溶液を調製するために使用した溶媒以外に、溶媒を配合しなかった場合には、前記溶媒とは、前記分散物又は溶液を調製するために使用した溶媒を意味する。
一方、前記分散物又は溶液を調製するために使用した前記溶媒以外に、別途溶媒を配合した場合には、前記溶媒とは、前記分散物又は溶液を調製するために使用した溶媒と、この別途配合した溶媒と、の双方を意味する。
そして、前記無機顔料、有機顔料、バインダー、インク定着剤、又は溶媒以外の前記他の成分を、いずれも固形物として配合した場合には、前記溶媒とは、これらとは別に配合した溶媒を意味する。
前記溶媒としては、例えば、水、アルコール等が挙げられる。
インク受容層用組成物及びインク受容層が含有する溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
インク受容層用組成物における、インク受容層用組成物の総質量に対する、溶媒の含有量の割合は、目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されず、例えば、35~90質量%であってもよい。
(多価金属塩)
前記多価金属塩は、インク受容層において、インクの乾燥性を向上させるための成分である。
前記多価金属塩は、価数が2以上の金属カチオンを構成成分とするものであれば、特に限定されない。
多価金属塩としては、例えば、塩化カルシウム(CaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、塩化アルミニウム(AlCl)、塩化バリウム(BaCl)、塩化亜鉛(ZnCl)、硫酸カルシウム(CaSO)、硫酸マグネシウム(MgSO)、硝酸カルシウム(Ca(NO)、酢酸マグネシウム((CHCOO)Mg)、酢酸カルシウム((CHCOO)Ca)、硫酸アルミニウムカリウム(カリミョウバン、AlK(SO)等が挙げられる。
多価金属塩は水和物であってもよいし、非水和物であってもよい。
なかでも、多価金属塩は、インク受容層におけるインクの乾燥性及び発色濃度、並びにインク受容層の耐水性及び耐擦過性等のインクジェット印刷適性をバランスよく向上させることができ、安全性も高い点で、塩化カルシウム、塩化マグネシウム又は硫酸アルミニウムカリウムであることが好ましく、特にインクの乾燥性がより高くなる点では、硫酸アルミニウムカリウムであることが好ましい。
インク受容層用組成物及びインク受容層が含有する多価金属塩は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
インク受容層用組成物及びインク受容層は、多価金属塩を含有する場合、塩化カルシウム、塩化マグネシウム及び硫酸アルミニウムカリウムからなる群より選択される1種又は2種以上を含有するものが好ましく、硫酸アルミニウムカリウムを含有するものがより好ましく、硫酸アルミニウムカリウムを含有する場合、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムのいずれか一方又は両方を含有するものもより好ましい。インク受容層は、少なくとも硫酸アルミニウムカリウムを含有することで、インクの乾燥性がより高くなる。
インク受容層用組成物及びインク受容層において、カチオン性スチレン系樹脂の含有量に対する、多価金属塩の含有量の割合は、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%であること、すなわち、インク受容層用組成物及びインク受容層は多価金属塩を含有しないこと、が特に好ましい。インク受容層用組成物中の多価金属塩の量が多くなると、インク受容層用組成物中には凝集物が生成してしまう。この凝集物は、カチオン性スチレン系樹脂と多価金属塩の混合物であり、多価金属塩は、その量が多くなると、カチオン性スチレン系樹脂と相互作用して、カチオン性スチレン系樹脂を凝集させると推測される。このように凝集物が生成すると、インク受容層用組成物は、取り扱い性が悪化して、塗工できなくなってしまう。
(消泡剤)
前記消泡剤は特に限定されず、公知のものであってよい。
インク受容層用組成物及びインク受容層が含有する消泡剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
インク受容層用組成物における、前記他の成分の総含有量は、目的に応じて適宜調節すればよい。
ただし、インク受容層用組成物における、溶媒以外の成分の総含有量に対する、溶媒以外の前記他の成分の総含有量の割合(すなわち、インク受容層における、インク受容層の総質量に対する、溶媒以外の前記他の成分の総含有量の割合)は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、例えば、3質量%以下及び1質量%以下のいずれかであってもよいし、0質量%であってもよい。
換言すると、インク受容層用組成物における、溶媒以外の成分の総含有量に対する、無機顔料、有機顔料、バインダー及びインク定着剤の合計含有量の割合(すなわち、インク受容層における、インク受容層の総質量に対する、無機顔料、有機顔料、バインダー及びインク定着剤の合計含有量の割合)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、97質量%以上及び99質量%以上のいずれかであってもよいし、100質量%であってもよい。
先に説明した特許文献1(特開2019-43097号公報)には、基材と、前記基材の少なくとも一方の表面上に形成されたインク受容層と、を備え、前記インク受容層は、顔料として、平均2次粒子径が異なる第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムを含有し、バインダーとして、ケン化度が97モル%以上であるポリビニルアルコールを含有し、中空粒子を含有し、前記インク受容層において、前記第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、前記ポリビニルアルコールの含有量の割合が、4~13.5質量%であり、前記インク受容層において、前記第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、前記中空粒子の含有量の割合が、3~23質量%である、インクジェット用記録シート、が開示されている。このインクジェット用記録シートにおいては、インク受容層が十分な強度を有し、インクの乾燥性が良好であり、インクの滲みを抑制できる。さらに特許文献1には、インク受容層は、多価金属塩を含有することによって、インクの乾燥性が向上することが開示されており、具体的に開示されているインク受容層は、すべて多価金属塩を含有しており、特許文献1の開示内容は、多価金属塩の使用を強く推奨するものとなっている。
先に説明した特許文献2(特開2018-171859号公報)には、基材と、前記基材の少なくとも一方の表面上に形成されたインク受容層と、を備え、前記インク受容層は、顔料として、平均2次粒子径が異なる第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムを含有し、バインダーとして、カチオン性スチレン系樹脂及びポリビニルアルコールを含有し、インク定着剤として、前記カチオン性スチレン系樹脂以外のカチオン性樹脂を含有し、前記インク受容層において、前記第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、前記カチオン性スチレン系樹脂及びポリビニルアルコールの合計含有量の割合が、11~25質量%であり、前記インク受容層において、前記第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、前記ポリビニルアルコールの含有量の割合が、7質量%以下である、インクジェット用記録シート、が開示されている。このインクジェット用記録シートは、耐水性を有する。
本実施形態のインクジェット用記録シートにおける、インク受容層用組成物及びインク受容層の含有成分は、これら特許文献1又は特許文献2で開示されているインクジェット用記録シートにおける、インク受容層用組成物及びインク受容層の含有成分と重複する。しかし、特許文献1及び特許文献2で開示されているこれら含有成分を組み合わせて、インク受容層用組成物を得ようとすると、通常、このインク受容層用組成物においては、凝集物の生成が避けられず、塗工可能な組成物とはならない。これは、特許文献1の開示内容に従って、多価金属塩を含有成分として選択し、特許文献2の開示内容に従って、カチオン性スチレン系樹脂を含有成分として選択して、インク受容層用組成物を調製すると、多価金属塩の含有量に特段の注意を払わない限り、先の説明のとおり、多価金属塩とカチオン性スチレン系樹脂との相互作用によって、カチオン性スチレン系樹脂が凝集するからである。すなわち、特許文献1又は特許文献2で開示されている技術内容を単純に組み合わせるだけでは、通常、塗工可能なインク受容層用組成物が得られない。
これに対して、本実施形態における、インク受容層用組成物及びインク受容層では、カチオン性スチレン系樹脂が必須成分であるのに対して、多価金属塩は必須成分ではなく、多価金属塩がもたらす効果を期待して、多価金属塩を用いる場合にも、その含有量を極力少なくするように設計している。
さらに、特許文献1及び特許文献2で開示されている、多価金属塩以外の含有成分を組み合わせて、これら特許文献で開示されている各成分の含有量を参照して、インク受容層用組成物を調製した場合には、機械読取コード適性が許容範囲内で低水準となることが多い。これに対して、本実施形態でのインク受容層用組成物及びインク受容層において、第1の凝集軽質炭酸カルシウムと第2の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量の比率を調節することで、良好な機械読取コード適性が安定して得られるように調節することが可能である。例えば、[第1の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量(質量)]:[第2の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量(質量)]の比率を、65:35~75:25とするなど、第1の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量を、第2の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量よりも多くすることで、このような調節が容易となる。
さらに、特許文献1及び特許文献2にはいずれも、インク受容層の含有成分と、機械読取コード適性と、の関連については、記載も示唆もされていない。したがって、特許文献1に記載の技術内容と、特許文献2に記載の技術内容と、を組み合わせることによって、機械読取コード適性を向上させることができるとは、当業者は全く認識できないし、そもそも、特許文献1及び特許文献2は、機械読取コード適性を向上させるという本発明の課題を解決するために、当業者が参照に導かれるものであるとはいえない。
<インク受容層用組成物の製造方法>
インク受容層用組成物は、例えば、前記無機顔料、有機顔料、バインダー、インク定着剤、及び必要に応じて前記他の成分を配合して、これら配合成分を十分に撹拌することで製造できる。インク受容層用組成物において、前記無機顔料及び有機顔料は、分散されていることが好ましく、バインダー及びインク定着剤は、溶解しているか又は分散されていることが好ましい。
インク受容層用組成物の製造時における、各成分の配合順序は特に限定されない。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよいし、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
溶媒は、先に説明したように、無機顔料、有機顔料、バインダー、インク定着剤、又は溶媒以外の前記他の成分とあらかじめ混合して使用してもよいし、これらの成分とあらかじめ混合することなく、単独で使用してもよい。
各成分の配合時の温度は特に限定されず、配合成分の種類等に応じて適宜調節すればよいが、通常は、15~30℃であることが好ましい。
撹拌は、ミキサーを使用する方法等、分散物を調製する公知の方法で行えばよい。撹拌時間は、製造するインク受容層用組成物の総量や撹拌方法等に応じて、適宜調節すればよく、例えば、10分~24時間であることが好ましい。
<<基材>>
前記基材は、シート状又はフィルム状である。
基材の材質は特に限定されず、塗工層を形成可能なものから目的に応じて選択すればよい。例えば、基材は耐水性基材であってもよいし、非耐水性基材であってもよいが、耐水性基材であることが好ましい。
前記耐水性基材としては、例えば、JIS P8135:1998に準拠した湿潤引張強度試験において、縦目及び横目のいずれかの残留率が10%以上である基材が挙げられる。
基材の材質として、具体的には、例えば、耐水紙、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、レジンコート紙、合成紙等の紙類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等の合成樹脂等が挙げられる。
前記紙類は、セルロースを主成分とする。
基材は、単層からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、複数層からなる基材においては、すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい。そして、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。ここで、複数層が互いに異なるとは、各層の材質及び厚さの少なくとも一方が互いに異なることを意味する。
基材の厚さは、基材がシート状又はフィルム状である限り、特に限定されないが、20~1000μmであることが好ましく、35~500μmであることがより好ましく、50~200μmであることが特に好ましい。基材の厚さが前記下限値以上であることで、インク受容層の構造をより安定して保持できる。基材の厚さが前記上限値以下であることで、インクジェット用記録シートとしての取り扱い性がより良好となる。
基材が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材の厚さとなるようにするとよい。
基材としては、市販品を用いてもよいし、公知の方法で製造したものを用いてもよい。
次に、本実施形態のインクジェット用記録シートの全体構成について、図面を参照しながら説明する。
以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1は、本実施形態のインクジェット用記録シートの一例を模式的に示す断面図である。図2は、本実施形態のインクジェット用記録シートの他の例を模式的に示す断面図である。
図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付している。
図1に示すインクジェット用記録シート1は、基材11を備え、基材11の一方の面(本明細書においては「第1面」と称することがある)11a上のみに、インク受容層12を備えている。
図2に示すインクジェット用記録シート2は、基材11の第1面11a上及び他方の面(本明細書においては「第2面」と称することがある)11b上(すなわち両面上)に、ともにインク受容層12を備えている。インクジェット用記録シート2における2層のインク受容層12,12については、必要に応じて、基材11の第1面11a上に設けられているものを第1インク受容層121として示し、基材11の第2面11b上に設けられているものを第2インク受容層122として示して、互いに区別する。
図1において、符号12aは、インク受容層12の基材11側とは反対側の面(本明細書においては「第1面」と称することがある)を示し、符号12bは、インク受容層12の基材11側の面(本明細書においては「第2面」と称することがある)を示している。
図2において、符号12a、121a及び122aは、それぞれインク受容層12、第1インク受容層121及び第2インク受容層122の、基材11側とは反対側の面(第1面)を示し、符号12b、121b及び122bは、それぞれインク受容層12、第1インク受容層121及び第2インク受容層122の、基材11側の面(第2面)を示している。
図1及び図2において、基材11及びインク受容層12(第1インク受容層121、第2インク受容層122)は、それぞれ上記で説明したものである。
図1及び図2に示すインクジェット用記録シートは、本実施形態の一例に過ぎず、本実施形態のインクジェット用記録シートはこれらに限定されない。
本実施形態のインクジェット用記録シートにおいて、インク受容層は、基材上の形成対象面の全面に設けられていてもよいし、一部の領域のみに設けられていてもよい。
本実施形態のインクジェット用記録シートを、インク受容層が設けられている側の上方から見下ろして平面視したとき、インク受容層の表面積は、基材の表面積に対して同等以下であればよく、この条件を満たす限り、特に限定されない。そして、このように平面視したときのインク受容層及び基材の形状も、目的に応じて任意に設定でき、特に限定されない。例えば、このように平面視したときの、インク受容層及び基材の形状は、互いに相似形であってもよいし、非相似形であってもよい。
本実施形態のインクジェット用記録シートは、目的に応じて、基材上にインク受容層以外の他の層を備えていてもよい。
前記他の層としては、例えば、粘着剤層、接着剤層、剥離フィルム、印刷層等が挙げられる。
前記粘着剤層及び接着剤層としては、例えば、インクジェット用記録シートを目的物に貼付して、固定するための層が挙げられる。インクジェット用記録シートは、このような粘着剤層又は接着剤層を備えている場合、さらにこれらの層の、基材側とは反対側の面上に、剥離フィルムを備え、粘着剤層又は接着剤層が露出していないものが好ましい。
前記接着剤層としては、例えば、シートの重ね合わせ面同士を貼り合わせた後、これらを剥がすことにより、シートの重ね合わせ面同士を傷付けることなく再び剥離した状態とすることを可能とする、いわゆる再剥離可能にシート同士を接着する感圧接着剤層も挙げられる。
前記インクジェット用記録シートは、前記感圧接着剤層を備えている場合、感圧接着剤層の、基材側とは反対側の面上に、さらに剥離フィルムを備え、感圧接着剤層が露出していなくてもよい。
剥離フィルムは、公知のものであってよい。
感圧接着剤層は、インク受容層上に設けられていてもよい。
感圧接着剤層を備えたインクジェット用記録シートは、感圧接着剤層に、接着対象であるシートが再剥離可能に接着された状態であってもよいし、接着対象であるシートが接着されていなくてもよい。
感圧接着剤層を備えたインクジェット用記録シートは、1枚のインクジェット用記録シートが折りこまれて、感圧接着剤層によって再剥離可能に接着されたものであってもよいし、1枚のインクジェット用記録シート中の感圧接着剤層に、他のシートが再剥離可能に接着されたものであってもよい。
前記印刷層としては、例えば、インクジェット印刷によって形成された層(本明細書においては、「インクジェット印刷層」と略記することがある)が挙げられる。すなわち、本実施形態のインクジェット用記録シートは、予めインクジェット印刷層等の印刷層を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
印刷層は、目的に応じて、その形状、厚さ、表面積、数等を適宜調節できる。
インクジェット用記録シートが備えている印刷層の数は、1のみであってもよいし、2以上であってもよい。インクジェット用記録シートが2以上の印刷層を備えている場合、これら複数の印刷層は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
印刷層は、印字、パターン又は画像等を形成している。そして、少なくとも一部の印刷層は、バーコード、二次元コード等の前記機械読取コードであることが好ましい。
図3は、本実施形態のインクジェット用記録シートのさらに他の例を模式的に示す断面図である。
図3に示すインクジェット用記録シート3は、インク受容層12の第1面12a側の領域に、印刷層14を備えている。すなわち、インクジェット用記録シート3は、基材11と、基材11の第1面(一方の面)11a上に形成されたインク受容層12と、インク受容層12の第1面(基材11側とは反対側の面)12a側の領域に形成された印刷層14と、を備えて、構成されている。
図3中、見かけ上の印刷層14の数は2であるが、これら印刷層14は、インクジェット用記録シート1において、一体となっていてもよい(図3で図示しない領域で互いに繋がっていてもよい)し、互いに独立していてもよい。すなわち、インクジェット用記録シート1は、1又は2以上の印刷層14を備えている。
図3に示すインクジェット用記録シートは、本実施形態の一例に過ぎず、本実施形態の印刷層を備えたインクジェット用記録シートは、これに限定されない。
例えば、図2に示すインクジェット用記録シート2における、第1インク受容層121の第1面121a側の領域と、第2インク受容層122の第1面122a側の領域と、のいずれか一方又は両方に、印刷層を備えたものも、本実施形態の印刷層を備えたインクジェット用記録シートとして挙げられる。
◎インクジェット用記録シートの製造方法
本実施形態のインクジェット用記録シートは、基材の少なくとも一方の面上に、インク受容層を形成することで、製造できる。
インク受容層の形成方法は、先に説明したとおりである。
前記他の層を備えたインクジェット用記録シートを製造する場合には、上記の製造方法において、基材上へのインク受容層の形成前又は形成後に、目的とする箇所に、他の層の種類に応じて適した方法によって、他の層を形成すればよい。
前記インクジェット用記録シートが、カレンダー処理(平滑化処理)されたものである場合、カレンダー処理は、インク受容層を形成後に、少なくともインク受容層の表面に対して行えばよい。
インクジェット用記録シート(インク受容層の表面)のカレンダー処理(平滑化処理)は、例えば、マシンカレンダー、TGカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー、グロスカレンダー、コンパクトカレンダー、マットスーパーカレンダー、マットカレンダー等の公知のカレンダー装置を用いて行うことができる。
カレンダー装置は、コーターと分離されたオフタイプ、及びコーターと一体となったオンタイプのいずれであってもよい。
カレンダー装置のうちロールには、例えば、剛性ロール及び弾性ロールがある。
前記剛性ロールとしては、例えば、金属製ロール、金属の表面が硬質クロムメッキ等で鏡面処理されたロール等が挙げられる。
前記弾性ロールとしては、例えば、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリアミド、フェノール樹脂又はポリアクリレート等の樹脂製ロール;コットン、ナイロン、アスベスト又はアラミド繊維等を成型したロール等が挙げられる。
カレンダー処理の条件は、剛性ロールの温度、カレンダー圧力、ニップ数、ロール速度、カレンダー処理前の紙水分等により、要求される品質に応じて適宜選択される。
カレンダー処理時の処理温度は、特に限定されないが、例えば、10~50℃とすることができる。
カレンダー処理時の圧力は、特に限定されないが、例えば、50~400kN/mとすることができる。
カレンダー処理時の圧力は、例えば、カレンダー装置中の一対のロールを、処理対象のインクジェット用記録シートに押し当てるときの圧力や、前記一対のロールのロール面間の距離を調節することで、調節できる。ロール面間の距離を調節して、カレンダー処理時の圧力を調節する方法は、小スケールでのカレンダー処理に適している。一例を挙げれば、処理対象であるインクジェット用記録シートの厚さ等に応じて、ロール面間の距離を好ましくは10~400μmとすることで、カレンダー処理時の圧力を容易に調節できる。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
<基材>
以下の実施例及び比較例において、基材としては、以下に示すものを使用した。
Figure 0007476743000001
<原料>
以下の実施例及び比較例において、顔料、バインダー及び中空粒子としては、それぞれ以下に示すものを使用した。
Figure 0007476743000002
Figure 0007476743000003
Figure 0007476743000004
以下の実施例及び比較例において、無機顔料、バインダー及び有機顔料以外の原料としては、それぞれ以下に示すものを使用した。
[インク定着剤]
(c)-1:アルキルアミン-エピクロルヒドリン重縮合物(里田化工社製「Jetfix260」、分子量710)
[多価金属塩]
(d)-1:塩化カルシウム
(d)-2:硫酸アルミニウムカリウム(カリミョウバン)
<<インクジェット用記録シートの製造>>
[実施例1]
無機顔料(a)-1(25質量部)及び無機顔料(a)-2(75質量部)に、バインダー(b)-1(15質量部(固形分))、バインダー(b)-2(5質量部(固形分))、有機顔料(y)-1(5質量部)及びインク定着剤(c)-1(2.78質量部(固形分))を添加し、常温下で撹拌機を用いて、1400rpmで1時間撹拌することで、これらの成分を分散させ、分散液であるインク受容層用組成物を得た。
次いで、ワイヤーバーコーターを用いて、上記で得られたインク受容層用組成物を基材(z)-1上に塗工し、105℃で乾燥させることにより、厚さが約7μmのインク受容層を7g/mの形成量で形成し、インクジェット用記録シートとした。
さらに、このインクジェット用記録シートに対して、室温下でカレンダー処理を行い、目的とするインクジェット用記録シートを得た。カレンダー処理時には、一対の金属製ロールのロール面間の距離を25μmとして、このロール面間を、インクジェット用記録シートを2回通過させて、インクジェット用記録シートを加圧することにより行った。
[実施例2~12、比較例1~9]
インク受容層用組成物の配合成分の種類及び配合量、並びに基材の種類、のいずれか1以上を、表5又は表6に示すとおりとした点以外は、実施例1と同じ方法でインクジェット用記録シートを製造した。
なお、以下の表中の配合成分の欄の「-」との記載は、その成分が未配合であることを意味する。
<<インク受容層用組成物の評価>>
上記で得られたインク受容層用組成物について、下記項目を評価した。結果を表7に示す。
<相溶性の評価>
インク受容層用組成物を目視観察し、下記基準に従って、このインク受容層用組成物中の含有成分の相溶性を評価した。
(評価基準)
A:製造直後から24時間静置保存した後まで、インク受容層用組成物において、固形物が認められない。
B:製造直後から24時間静置保存した後のインク受容層用組成物において、僅かな増粘が認められるが、固形物は認められない。
C:製造直後から24時間静置保存した後のインク受容層用組成物に、僅かな増粘が認められ、固形物が認められる。
<<インクジェット用記録シートの評価>>
上記で得られたインクジェット用記録シートについて、下記項目を評価した。ただし、上述のインク受容層用組成物の「相溶性」の評価結果が「C」となった比較例では、インクジェット用記録シートを製造できないため、以降の項目は評価しなかった。結果を表7に示す。
<ドット滲みの抑制効果の評価>
ドット滲みの抑制効果をドット形状係数により評価した。評価サンプルは、卓上インクジェットプリンターを用いて、インクジェット用記録シートのインク受容層上に、水性黒色顔料インクを2cm×2cmのサイズでドットが重ならないように濃度10%で印刷(単色印刷)して作製した。次いで、インクジェット用記録シートの表面の顕微鏡画像を撮影し、ドットアナライザー(王子計測機器社製「DA6000」)を用いて、その画像を解析した。具体的には、ドットの周囲長及び面積を測定し、以下の計算式によりドット形状係数を算出した。
ドット形状係数=(周囲長)/(4π×面積)
ドット形状係数は、ドットが真円であるときには1となり、ドットの形状が真円から離れるほど、すなわち、ドットが滲んでいるほど大きな値となる。なお、卓上インクジェットプリンター(印刷速度4.3f(1.3m)/分)で測定したドット形状係数が、高速インクジェットプリンター(印刷速度500f(152.4m)/分)で測定したドット形状係数と十分な相関があることを事前に確認した。
上記の方法により、約30個のドットについて、ドット形状係数を算出して平均値を求め、下記基準に従って、ドット滲みの抑制効果を評価した。結果を表7に示す。表7中の「ドット滲みの抑制効果」の欄中のかっこ内の数値は、ドット形状係数の平均値である。
(評価基準)
A:ドット形状係数の平均値が1.8以下であり、ドットは真円に近く、ドットの滲みは完全に又は高度に抑制されている。
B:ドット形状係数の平均値が1.8を超え2.0以下であり、ドットの滲みが抑制されている。
C:ドット形状係数の平均値が2.0を超えており、ドットの滲みが抑制されていない。
<インクの乾燥性の評価>
インクジェットプリンターを用いて、インクジェット用記録シートのインク受容層上に、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のインクで印字を行った。印字は、より具体的には、各色ごとに印字濃度を10%単位で100%から400%まで変化させて行った。
次いで、印字終了直後に、透明なポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚さ100μm)を、インクジェット用記録シートの前記印字面に重ね合せて、しっかりと押し当てて密着させた。
次いで、このフィルムを前記印字面に密着させたまま、前記印字面への密着面とは反対側から目視観察して、前記密着面に前記印字面から転写されていないインクの最高印字濃度を確認し、下記基準に従って、インクの乾燥性を評価した。結果を表7に示す。表7中の「インクの乾燥性」の欄中のかっこ内の数値は、前記最高印字濃度である。この評価方法では、前記フィルムが印字面に密着してさえいれば、評価結果にばらつきが生じないことを予め確認した。
(評価基準)
A:インクの最高印字濃度が300%以上であり、乾燥性に優れ、高速印刷適性を有している。
B:インクの最高印字濃度が190%以上300%未満であり、乾燥性が良好で、高速印刷適性を有している。
C:インクの最高印字濃度が190%未満であり、乾燥性に劣り、高速印刷適性を有していない。
<バーコード適性の評価>
インクジェットプリンターを用いて、インクジェット用記録シートの受容層上に、ブラックインク単色でGS1-128バーコードを印刷した。このとき、バーコードを構成する4種のモジュールを、その比率を変えて、ストレート及びコンベックスの向きにそれぞれ印刷することによって、GS1-128バーコードを印刷した。ここで「ストレート」とは、バーコードのラインが印字(印刷)流れ方向と平行になる向きを示し、「コンベックス」とはバーコードのラインが印字(印刷)流れ方向と垂直になる向きを示す。
印刷したGS1-128バーコードについて、ANSI規格に準拠した装置を用いて、ANSI規格に準拠して、バーコード適性を評価した。すなわち、評価グレードはA、B、C、D、及びFの5段階とし、A~Cを、実用可能レベルと判断した。結果を表7に示す。表7中の「バーコード適性」の欄中のかっこ内の数値は、ISO/IEC 15416:2000に準拠して10回測定して得られた、印刷品質のグレードを示す値の平均値である。この評価方法は、機械読取コード適性を評価する方法としては、最も厳しい条件で行われるものであり、ここでバーコード適性が実用可能レベルであると判断されたものは、バーコード適性以外の他の機械読取コード適性も実用可能レベルであると判断できる。
<インク受容層の強度の評価>
上記の各実施例及び比較例における、室温下でのカレンダー処理を行う前のインクジェット用記録シートを用い、これを70mm×40mmの大きさに裁断し、試験片を作製した。また、大きさが20mm×40mmで厚さが75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意した。前記PETフィルムの一方の表面全面が前記試験片の一方の表面と重なり、かつ試験片のインク受容層を備えている側の表面が露出面となるように、前記試験片と前記PETフィルムを積層して第1積層物とした。さらに、この第1積層物よりもサイズが大きく、厚さが1mmである2枚のステンレス鋼(SUS403)製鏡面板で、この第1積層物を挟み込んで、第2積層物とした。このとき、第1積層物の両方の表面全面が、それぞれ前記鏡面板と重なるように、第1積層物を配置した。これにより、第2積層物において、試験片のインク受容層は、前記鏡面板と直接接触している。次いで、加圧と加熱が同時に可能である熱加圧装置(ラミネータ)を用い、その2箇所の加熱加圧処理面の間に、前記第2積層物を挟み込んで、温度50℃、圧力10kN、処理時間30秒の条件で、第2積層物に対して、加熱加圧処理を行った。このとき、第2積層物の両方の表面全面が、それぞれ前記加熱加圧処理面と重なるように、第2積層物を配置した。これにより、前記試験片の表面のうち、前記PETフィルムと重なっている領域全域に、加熱加圧処理時の圧力を均等に加えた。
加熱加圧処理の終了後、前記試験片と直接接触していた前記鏡面板の表面を目視観察し、インク受容層のこの鏡面板への転写の有無、転写がある場合にはその程度、の観点から、下記基準に従って、インク受容層の強度を評価した。結果を表7に示す。
(評価基準)
A:インク受容層の鏡面板への転写が認められず、インク受容層はカレンダー処理に耐えられる十分な強度を有している。
B:インク受容層の鏡面板への転写が若干認められるが、インク受容層はカレンダー処理に耐えられる程度の強度を有している。
C:インク受容層の鏡面板への転写がはっきりと認められ、インク受容層はカレンダー処理に耐えられる程度の強度を有していない。
<インク受容層の耐水性の評価>
上述のドット滲みの抑制効果の評価時で用いたものと同じ卓上インクジェットプリンターを用いて、インクジェット用記録シートのインク受容層の表面全面に、ブラックインクにより濃度100%で印刷(ベタ印刷)を行った。そして、印刷後のインクを完全に乾燥させた。
次いで、この印刷後のインクジェット用記録シートを十分な量の水道水中に1分間浸漬し、その状態のまま、水道水中でインク受容層を指で擦った。次いでインク受容層の状態について目視観察し、インク受容層の壊れ及び剥がれの有無、壊れ又は剥がれがある場合にはその程度、の観点から、下記基準に従って、インク受容層の耐水性を評価した。結果を表7に示す。なお、上記のように、インクジェット用記録シートに対して、ブラックインクで印刷を行った理由は、このインク受容層の壊れ及び剥がれの有無を、明りょうに視認可能とするためである。
(評価基準)
A:インク受容層の壊れ及び剥がれが認められず、インク受容層は耐水性に優れている。
B:インク受容層の壊れ又は剥がれが若干認められるが、実使用上問題なく、インク受容層は耐水性が良好である。
C:インク受容層の壊れ又は剥がれがはっきりと認められ、実使用上問題があり、インク受容層は耐水性に劣っている。
なお、表7中の評価結果の欄における「-」との記載は、その項目の評価を行わなかったことを意味する。
<水濡れ及び擦過後のバーコード適性の評価>
上述の「バーコード適性の評価」で用いた、GS1-128バーコードを印刷済みのインクジェット用記録シートを、室温下の水道水中に1時間浸漬した。
次いで、水道水中からインクジェット用記録シートを取り出し、余分な水分を除去した後、乾燥している紙製シート(キムワイプ(登録商標))を用いて、インクジェット用記録シートのGS1-128バーコードが印刷されている領域を擦過した。このとき、擦過方向がバーコードの線長方向に対して直交する方向となり、擦過時に前記紙製シートによってインクジェット用記録シートに加えられる加重が約50gとなり、前記紙製シートにおける擦過領域が、面積が約10mm×5mmの四角形状の領域となり、擦過速度が約100mm/secとなるように、調節した。
次いで、擦過後のインクジェット用記録シートを、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、24時間以上静置することで乾燥させた。
次いで、この乾燥後のインクジェット用記録シートについて、上述の「バーコード適性の評価」時と同じ方法で、水濡れ及び擦過後のバーコード適性を評価した。結果を表8に示す。
Figure 0007476743000005
Figure 0007476743000006
Figure 0007476743000007
Figure 0007476743000008
上記結果から明らかなように、実施例1~12のインクジェット用記録シートは、ドット滲みの抑制効果、インクの乾燥性、インク受容層の強度、及びインク受容層の耐水性がいずれも良好であり、水で濡れた環境下で使用されるインクジェット用記録シートとして、優れた基本特性を有していた。さらに、実施例1~12のインクジェット用記録シートは、バーコード適性も有していた。
このように、実施例1~12のインクジェット用記録シートは、インク受容層の耐水性と、バーコード適性と、をともに有しており、水で濡れた後でも問題なく機械読取コードを読み取れる特性を有していた。そして実際に、実施例1~12のインクジェット用記録シートについて、水濡れ及び擦過後のバーコード適性を評価したところ、良好な結果が得られ、これらインクジェット用記録シートは、確かに機械読取コード適性を有していることを確認できた。
実施例1~12のインクジェット用記録シートにおいて、インク受容層は、無機顔料として第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムを含有し、有機顔料として中空粒子を含有し、バインダーとしてカチオン性スチレン系樹脂及びポリビニルアルコールを含有し、インク定着剤として、前記カチオン性スチレン系樹脂以外のカチオン性樹脂を含有していた。
また、これらインク受容層において、第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、前記カチオン性スチレン系樹脂及びポリビニルアルコールの合計含有量の割合は、15~20質量%であった。
また、これらインク受容層において、第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、前記ポリビニルアルコールの含有量の割合が、5質量%以下(1~5質量%)であった。
また、これらインクジェット用記録シートにおいて、基材上でのインク受容層の形成量は、6g/m以上(6~7g/m)であった。
なかでも、実施例3~11のインクジェット用記録シートのバーコード適性が、特に高かった。実施例3~11のインク受容層においては、無機顔料(a)-1の含有量が、無機顔料(a)-2の含有量よりも、明らかに多かった。さらに、実施例3~9のインクジェット用記録シートは、水濡れ及び擦過後のバーコード適性がより高く、特に好ましい特性を有していた。実施例3~9のインク受容層においては、無機顔料(a)-1の含有量が最も多かった。
実施例1~12のインク受容層用組成物は、相溶性に優れていた。
これに対して、比較例1のインク受容層用組成物は、相溶性に劣っていた。これは、インク受容層用組成物が、多価金属塩を一定量以上含有し、さらに、バインダーとしてカチオン性スチレン系樹脂(バインダー(b)-1)を含有していることで、凝集物が生成したためであった。そのため、比較例1においては、インクジェット用記録シートを製造できず、他の項目は評価しなかった。
比較例2~4のインクジェット用記録シートは、水濡れ及び擦過後であるか否かによらず、バーコード適性を有していなかった。
比較例2~4のインクジェット用記録シートにおいては、インク受容層が有機顔料として中空粒子を含有していなかった。
比較例5のインクジェット用記録シートは、水濡れ及び擦過後であるか否かによらず、バーコード適性を有しておらず、さらに、インク受容層の強度が不十分であった。
比較例5のインクジェット用記録シートにおいては、インク受容層が有機顔料として中空粒子を含有しておらず、さらに、バインダーとしてポリビニルアルコールを含有していなかった。
比較例6のインクジェット用記録シートは、水濡れ及び擦過後であるか否かによらず、バーコード適性を有しておらず、さらに、ドット滲みの抑制効果が不十分であった。
比較例6のインクジェット用記録シートにおいては、インク受容層が有機顔料として中空粒子を含有しておらず、さらに、基材上でのインク受容層の形成量が、3g/mであった。
比較例7のインクジェット用記録シートは、インク受容層の耐水性が不十分であり、さらに、水濡れ及び擦過後のバーコード適性を有していなかった。
比較例7のインクジェット用記録シートにおいては、インク受容層がバインダーとしてカチオン性スチレン系樹脂を含有しておらず、有機顔料として中空粒子を含有していなかった。また、インク受容層において、第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、カチオン性スチレン系樹脂及びポリビニルアルコールの合計含有量の割合が、8.3質量%であった。また、インク受容層において、第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、ポリビニルアルコールの含有量の割合が、8.3質量%であった。
比較例8のインクジェット用記録シートも、インク受容層の耐水性が不十分であり、さらに、水濡れ及び擦過後のバーコード適性を有していなかった。
比較例8のインクジェット用記録シートにおいては、インク受容層がバインダーとしてカチオン性スチレン系樹脂を含有していなかった。また、その影響で、インク受容層において、第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、カチオン性スチレン系樹脂及びポリビニルアルコールの合計含有量の割合が、8.3質量%であった。さらに、インク受容層において、第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、ポリビニルアルコールの含有量の割合が、8.3質量%であった。
比較例7~8におけるインク受容層用組成物は、多価金属塩を含有していたが、バインダーとしてカチオン性スチレン系樹脂(バインダー(b)-1)を含有していなかったため、凝集物が生成せず、相溶性が良好であった。
比較例9のインクジェット用記録シートも、インク受容層の耐水性が不十分であり、さらに、水濡れ及び擦過後のバーコード適性を有していなかった。
比較例9のインクジェット用記録シートにおいては、第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、ポリビニルアルコールの含有量の割合が、7.5質量%であった。
本発明は、機械読取コードの印刷と、水で濡れた環境下での使用と、が想定される、又は、機械読取コードが印刷され、水で濡れた環境下での使用が想定される、インクジェット用記録シートとして、利用可能である。
1,2,3・・・インクジェット用記録シート、11・・・基材、11a・・・基材の第1面、11b・・・基材の第2面、12・・・インク受容層、12a・・・インク受容層の第1面、12b・・・インク受容層の第2面、121・・・第1インク受容層、121a・・・第1インク受容層の第1面、121b・・・第1インク受容層の第2面、122・・・第2インク受容層、122a・・・第2インク受容層の第1面、122b・・・第2インク受容層の第2面、14・・・印刷層

Claims (1)

  1. 基材と、前記基材の少なくとも一方の面上に形成されたインク受容層と、を備えたインクジェット用記録シートであって、
    前記インク受容層は、無機顔料として、平均2次粒子径が異なる第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムを含有し、
    前記インク受容層は、有機顔料として、中空粒子を含有し、
    前記インク受容層は、バインダーとして、カチオン性スチレン系樹脂及びポリビニルアルコールを含有し、
    前記インク受容層は、インク定着剤として、前記カチオン性スチレン系樹脂以外のカチオン性樹脂を含有し、
    前記インク受容層において、前記第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、前記カチオン性スチレン系樹脂及びポリビニルアルコールの合計含有量の割合が、15~20質量%であり、
    前記インク受容層において、前記第1及び第2の凝集軽質炭酸カルシウムの合計含有量に対する、前記ポリビニルアルコールの含有量の割合が、7質量%以下であり、
    前記基材上での、前記インク受容層の形成量が、6g/m以上であり、
    前記第1の凝集軽質炭酸カルシウムの平均2次粒子径が1μm未満であり、前記第2の凝集軽質炭酸カルシウムの平均2次粒子径が2~5μmであり、
    前記インク受容層において、[第1の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量(質量)]:[第2の凝集軽質炭酸カルシウムの含有量(質量)]の比率が、65:35~75:25である、インクジェット用記録シート。
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