JP7474930B2 - マイクロ波加熱装置 - Google Patents

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Description

本開示は、導波管を伝搬するマイクロ波の電力レベルを検出するマイクロ波加熱装置に関する。
導波管を伝搬するマイクロ波の電力レベルを検出する装置として、方向性結合器が知られている。方向性結合器は、導波管を伝搬する入射波と反射波とを分離して、それぞれを検出する。
従来、例えば、特許文献1に記載の方向性結合器が知られている。特許文献1の方向性結合器は、導波管の壁面に配置された開口部と、導波管の外側に配置された結合線路とを備える。開口部は、平面視において導波管の管軸と交差しない位置に配置され、円偏波のマイクロ波を放射するように形成される。結合線路は、平面視において開口部を横切る第1伝送線路および第2伝送線路を備える。第1伝送線路と第2伝送線路とは、開口部の中央部を挟んで対向するように配置され、開口部の鉛直上方の領域から外れた位置で互いに接続される。
特許文献1の方向性結合器によれば、開口部から放射される円偏波のマイクロ波の回転方向は、入射波と反射波とで互いに逆になる。このような円偏波のマイクロ波の回転方向の違いを利用して、入射波と反射波とを分離して検出することができる。
特許第6176540号公報
しかしながら、上記従来のマイクロ波検出部では、入射波と反射波とをより精度よく分離して検出するという観点において、未だ改善の余地がある。
従って、本開示は、導波管を伝搬する入射波と反射波とをより精度よく分離して検出することができるマイクロ波加熱装置を提供することを目的とする。
本開示の一態様のマイクロ波加熱装置は、被加熱物を収容する加熱室と、マイクロ波発生部と、導波管と反射波検出部と、を備える。マイクロ波発生部は、マイクロ波を発生させる。導波管は、マイクロ波の一部を取り出すための開口部を備えた壁面を有し、マイクロ波発生部により発生されたマイクロ波を加熱室に伝送する反射波検出部は、開口部から取り出され、加熱室からマイクロ波発生部に向けて伝搬するマイクロ波である反射波の一部を検出する。反射波検出部は、開口部から、開口部の最大開口長の1/2の距離内に配置される。
本態様によれば、導波管を伝搬する入射波と反射波とをより精度よく分離して検出することができる。
図1は、本開示の実施の形態に係るマイクロ波加熱装置の構成を示す概略図である。 図2は、実施の形態に係るマイクロ波検出部の斜視図である。 図3は、実施の形態に係るマイクロ波検出部の、プリント基板を取り外した状態の斜視図である。 図4は、実施の形態に係る導波管の平面図である。 図5は、実施の形態に係るマイクロ波検出部に設けられたプリント基板の回路構成図である。 図6は、クロス開口から円偏波のマイクロ波が放射される原理を説明するための図である。 図7は、マイクロストリップ線路を伝搬し、時間経過とともに変化するマイクロ波の向きおよび量を説明するための図である。 図8は、マイクロストリップ線路を伝搬し、時間経過とともに変化するマイクロ波の向きおよび量を説明するための図である。 図9Aは、結合線路の第1変形例を示す平面図である。 図9Bは、結合線路の第2変形例を示す平面図である。 図9Cは、結合線路の第3変形例を示す平面図である。 図9Dは、結合線路の第4変形例を示す平面図である。 図9Eは、結合線路の第5変形例を示す平面図である。 図9Fは、結合線路の第6変形例を示す平面図である。 図10は、マイクロ波検出部と開口部との位置関係を模式的に示す図である。 図11は、マイクロ波検出部と開口部との距離と検出精度との関係を示すグラフである。
発明者らは、導波管を伝搬する入射波と反射波とをより精度よく分離して検出するために鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
マイクロ波発生部により発生されたマイクロ波は、入射波として導波管を介して加熱室に伝送される。加熱室に伝送されたマイクロ波の一部は被加熱物に吸収され、残りは反射波として導波管を介して加熱室から戻る。
導波管を伝搬する反射波を取り出すために、導波管の壁面に開口部が設けられる。反射波検出部は、開口部から取り出された反射波を検出する。
本発明者らは、その際に、開口部と、開口部に対向する反射波検出部との間の距離が、反射波の検出精度に大きく影響することを知見した。本発明者らはさらに、正確な検出が可能な開口部と反射波検出部との間の距離が、開口部の最大開口長と関連があることを知見した。
これらの新規な知見に基づき、本発明者らは以下の発明を見出した。
本開示の第1の態様のマイクロ波加熱装置は、被加熱物を収容する加熱室と、マイクロ波発生部と、導波管と反射波検出部と、を備える。
マイクロ波発生部は、マイクロ波を発生させる。導波管は、マイクロ波の一部を取り出すための開口部を備えた壁面を有し、マイクロ波発生部により発生されたマイクロ波を加熱室に伝送する反射波検出部は、開口部から取り出され、加熱室からマイクロ波発生部に向けて伝搬するマイクロ波である反射波の一部を検出する。反射波検出部は、開口部から、開口部の最大開口長の1/2の距離内に配置される。
本開示の第2の態様のマイクロ波加熱装置では、第1の態様に基づきながら、反射波検出部は、開口部に接触しないように配置される。
本開示の第3の態様のマイクロ波加熱装置は、第1の態様に基づきながら、マイクロ波発生部から加熱室に伝播するマイクロ波である入射波の一部を検出する入射波検出部をさらに備える。
本開示の第4の態様のマイクロ波加熱装置では、第1の態様に基づきながら、入射波検出部と反射波検出部とは、開口部に対向する結合線路を共有する。入射波検出部は、結合線路の一端から入射波を取り出す。反射波検出部は、結合線路の他端から反射波を取り出す。
本開示の第5の態様のマイクロ波加熱装置では、第1の態様に基づきながら、開口部は、平面視において導波管の管軸と交差しない位置に配置された、互いに交差する第1長孔と第2長孔とを有する。結合線路は、第1伝送線路と第2伝送線路とを備える。
第1伝送線路は第1交差線部を有する。第1交差線部は、平面視において管軸の一端から第1長孔と第2長孔とが交差する開口交差部を通り、管軸に直交する垂線に近づくにつれて管軸から離れるように延在し、開口交差部よりも管軸から離れた位置で第1長孔と交差する。
第2伝送線路は第2交差線部を有する。第2交差線部は、平面視において管軸の他端から垂線に近づくにつれて管軸から離れるように延在し、開口交差部よりも管軸から離れた位置で第2長孔と交差する。
第1伝送線路の一端は、平面視で開口部の領域から外れた位置で第2伝送線路の一端と接続される。
以下、本開示の実施の形態に係るマイクロ波加熱装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本開示の実施の形態に係るマイクロ波加熱装置10の構成を示す概略図である。図2は、本実施の形態に係るマイクロ波検出部5の斜視図である。図3は、マイクロ波検出部5の、プリント基板12を取り外した状態の斜視図である。図4は、導波管3の平面図である。図5は、図1のマイクロ波検出部5に設けられたプリント基板12の回路構成図である。
図1に示すように、マイクロ波加熱装置10は、加熱室1と、マイクロ波発生部2と、導波管3と、マイクロ波放射部4と、マイクロ波検出部5と、制御部6と、駆動電源7と、モータ9とを備える。
加熱室1は、被加熱物を収容する。マイクロ波発生部2は、マイクロ波を発生させる。導波管3は、マイクロ波発生部2が発生させるマイクロ波を伝搬させる。マイクロ波放射部4は、加熱室1の底面1aの下方に配置され、導波管3内を伝搬するマイクロ波を加熱室1に放射する。
マイクロ波検出部5は、導波管3に設けられたクロス開口11を覆うように配置された方向性結合器である。クロス開口11から、導波管3内を伝搬するマイクロ波の一部が取り出される。
マイクロ波検出部5は、マイクロ波発生部2からマイクロ波放射部4に向かって導波管3内を伝搬し、クロス開口11から取り出された入射波に応じて検出信号5aを検出する。マイクロ波検出部5は、マイクロ波放射部4からマイクロ波発生部2に向かって導波管3内を伝搬し、クロス開口11から取り出された反射波に応じて検出信号5bを検出する。導波管3、マイクロ波検出部5、クロス開口11の詳細については後述する。
制御部6は、検出信号5a、5bに加えて信号8を受信する。信号8には、マイクロ波加熱装置10の入力部(図示せず)により設定された加熱条件、センサ(図示せず)により検出された被加熱物の重量、蒸気の量が含まれる。
制御部6は、検出信号5a、5bと信号8とに基づいて、駆動電源7とモータ9とを制御する。駆動電源7は、マイクロ波を発生させるための電力をマイクロ波発生部2に供給する。モータ9は、マイクロ波放射部4を回転させる。このようにして、マイクロ波加熱装置10は、加熱室1に供給されたマイクロ波により、加熱室1に収容された被加熱物を加熱する。
図2、図3に示すように、マイクロ波検出部5は、マイクロ波を伝送する導波管3の壁面に配置される。導波管3は方形導波管である。導波管3の管軸L1に直交する断面は長方形形状を有する。管軸L1は、幅方向の導波管3の中心軸である。
マイクロ波検出部5は、クロス開口11とプリント基板12と支持部14とを備える。クロス開口11は、導波管3の幅広面(Wide Plane)3aに配置されたX形状の開口部である。プリント基板12は、クロス開口11と対向するように導波管3の外側に配置される。支持部14は、導波管3の外面上でプリント基板12を支持する。
図4に示すように、クロス開口11は、平面視において導波管3の管軸L1と交差しない位置に配置される。クロス開口11の開口中央部11cは、平面視において導波管3の管軸L1から寸法D1だけ離れて配置される。寸法D1は、例えば、導波管3の幅の1/4である。クロス開口11は、導波管3内を伝搬するマイクロ波を円偏波のマイクロ波としてプリント基板12に向けて放射する。
クロス開口11の開口形状は、導波管3の幅および高さ、導波管3を伝搬するマイクロ波の電力レベルおよび周波数帯域、クロス開口11から放射される円偏波のマイクロ波の電力レベルなどに応じて決定される。
例えば、導波管3の幅が100mm、高さが30mm、導波管3の壁面の厚さが0.6mm、導波管3を伝搬するマイクロ波の最大電力レベルが1000W、周波数帯域が2450MHz、クロス開口11から放射される円偏波のマイクロ波の最大電力レベルが約10mWである場合、クロス開口11の長さ11wおよび幅11dは20mm、2mmにそれぞれ設定される。
図5に示すように、クロス開口11は、互いに交差する第1長孔11eと第2長孔11fとを含む。クロス開口11の開口中央部11cは、第1長孔11eと第2長孔11fとが交差する開口交差部と一致する。クロス開口11は、垂線L2に対して線対称に形成される。垂線L2は管軸L1に直交し、開口中央部11cを通る。
本実施の形態において、第1長孔11eと第2長孔11fとは90度の角度で交差する。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。第1長孔11eと第2長孔11fとが60度または120度の角度で交差してもよい。
クロス開口11の開口中央部11cを平面視において管軸L1と重なる位置に配置した場合、電界は回転せずにマイクロ波の伝送方向に沿って往復する。この場合、クロス開口11は直線偏波のマイクロ波を放射する。
開口中央部11cが管軸L1から少しでもずれていれば、電界は回転する。しかし、開口中央部11cが管軸L1に近いと(寸法D1が0mmに近いほど)、いびつな回転の電界が発生する。この場合、クロス開口11は、楕円偏波のマイクロ波を放射する。
本実施の形態において、寸法D1は、導波管3の幅の約1/4に設定される。この場合、ほぼ真円状の回転の電界が発生する。クロス開口11は、ほぼ真円状の円偏波のマイクロ波を放射する。このため、円偏波のマイクロ波の回転方向がより明確になる。その結果、入射波と反射波とを精度よく分離して検出することができる。
プリント基板12は、クロス開口11に対向する基板裏面12bと、基板裏面12bとは反対側の基板表面12aとを有する。基板表面12aは、マイクロ波反射部材の一例として基板表面12a全体を覆うように形成された銅箔(図示せず)を有する。この銅箔が、クロス開口11から放射された円偏波のマイクロ波がプリント基板12を透過するのを防止する。
図5に示すように、基板裏面12bには、結合線路の一例であるマイクロストリップ線路13が配置される。マイクロストリップ線路13は、例えば、ほぼ50Ωの特性インピーダンスを有する伝送線路で構成される。マイクロストリップ線路13は、クロス開口11の開口中央部11cを取り囲むように配置される。
以下、マイクロストリップ線路13の実効長λreについて説明する。マイクロストリップ線路13の幅をw、プリント基板12の厚さをh、光の速度をc、電磁波の周波数をf、プリント基板の比誘電率をεとすると、マイクロストリップ線路13の実効長λreは次式で表される。実効長λreとは、マイクロストリップ線路13を伝搬する電磁波の波長である。
Figure 0007474930000001
具体的には、マイクロストリップ線路13は、第1伝送線路13aと第2伝送線路13bとを備える。第1伝送線路13aは、第1交差線部の一例である第1直線部13aaを有する。第1直線部13aaは、平面視において開口中央部11cよりも管軸L1から離れた位置で第1長孔11eと交差する。第1直線部13aaは、垂線L2に近づくにつれて管軸L1から離れるように延在する。
第2伝送線路13bは、第2交差線部の一例である第2直線部13baを有する。第2直線部13baは、平面視において開口中央部11cよりも管軸L1から離れた位置で第2長孔11fと交差する。第2直線部13baは、垂線L2に近づくにつれて管軸L1から離れるように延在する。第1直線部13aaと第2直線部13baとは、垂線L2に対して線対称に配置される。
第1伝送線路13aと第2伝送線路13bとは、平面視において矩形領域E1の外、かつ、矩形領域E1よりも管軸L1から離れた位置で互いに接続される。第1直線部13aaは、平面視において開口中央部11cよりも開口先端部11eaに近い位置で第1長孔11eと交差する。
第1直線部13aaは、平面視において第1長孔11eに直交する。第2直線部13baは、平面視において開口中央部11cよりも開口先端部11faに近い位置で第2長孔11fと交差する。第2直線部13baは、平面視において第2長孔11fに直交する。
第1伝送線路13aの一端と第2伝送線路13bの一端とは、平面視においてクロス開口11と重なる領域の外で互いに接続される。第1直線部13aaの一端は、クロス開口11に外接する矩形領域E1の外で第2直線部13baの一端に接続される。
第1結合点P1は、平面視において第1直線部13aaと第1長孔11eとが互いに交差する点である。第2結合点P2は、平面視において第2直線部13baと第2長孔11fとが互いに交差する点である。第1結合点P1と第2結合点P2とを結ぶ直線を仮想直線L3とする。本実施の形態では、仮想直線L3よりも管軸L1から離れた第1伝送線路13aと第2伝送線路13bとの合計距離が、実効長λreの1/4に設定される。
平面視において、開口中央部11cを通り、かつ、管軸L1に平行な線を平行線L4とする。本実施の形態では、平行線L4よりも管軸L1から離れた第1伝送線路13aと第2伝送線路13bとの合計距離が、実効長λreの1/2に設定される。
第1伝送線路13aは、第1直線部13aaの他端と第1出力部131とを接続する第3直線部13abを備える。第1直線部13aaと第3直線部13abとは、鈍角(例えば135度)を成すように接続される。
第2伝送線路13bは、第2直線部13baの他端と第2出力部132とを接続する第4直線部13bbを備える。第2直線部13baと第4直線部13bbとは、鈍角(例えば135度)を成すように接続される。第3直線部13abと第4直線部13bbとは、垂線L2に平行に配置される。
第1出力部131および第2出力部132は、平面視において支持部14(図2、図3参照)の外に配置される。第1出力部131には第1検波回路15が接続される。第1検波回路15は、マイクロ波信号のレベルを検出し、検出したマイクロ波信号のレベルを制御信号として出力する。第2出力部132には第2検波回路16が接続される。第2検波回路16は、検出したマイクロ波信号のレベルを制御信号として出力する。
本実施の形態において、第1検波回路15および第2検波回路16は、いずれもチップ抵抗およびショットキーダイオードにより構成された平滑回路(図示せず)を備える。第1検波回路15は、第1出力部131からのマイクロ波信号を整流し、整流されたマイクロ波信号を直流電圧に変換する。変換された直流電圧は、第1検波出力部18に出力される。
同様に、第2検波回路16は、第2出力部132からのマイクロ波信号を整流し、整流されたマイクロ波信号を直流電圧に変換する。変換された直流電圧は、第2検波出力部19に出力される。
プリント基板12は、プリント基板12を導波管3に取り付けるための四つの穴(穴20a、20b、20c、20d)を有する。基板裏面12bにおける穴20a、20b、20c、20dの周辺には、グランドとなる銅箔が形成される。この銅箔が形成された部分は、基板表面12aと同じ電位を有する。
プリント基板12は、穴20a、20b、20c、20dを通してネジ201a、201b、201c、201d(図2参照)で支持部14にねじ止めすることによって、導波管3に固定される。
図3に示すように、支持部14は、ネジ201a、201b、201c、201dをそれぞれねじ止めするためのネジ部202a、202b、202c、202dを有する。ネジ部202a、202b、202c、202dは、支持部14に設けられたフランジ部に形成される。
支持部14は、導電性を有し、平面視においてクロス開口11を取り囲むように配置される。支持部14は、クロス開口11から放射された円偏波のマイクロ波が支持部14の外に漏洩するのを防ぐシールドとして機能する。
支持部14は、マイクロストリップ線路13の第3直線部13abおよび第4直線部13bbが通る溝141、溝142を有する。この構成により、マイクロストリップ線路13の第1出力部131および第2出力部132を支持部14の外に配置することができる。溝141、142は、マイクロストリップ線路13を伝搬するマイクロ波信号を支持部14の外に取り出すための取出し部として機能する。溝141、142は、プリント基板12から離れるように支持部14のフランジ部を凹ませることにより形成することができる。
図2、図3は、図5に示す第1検波出力部18、第2検波出力部19にそれぞれ接続されたコネクタ18a、コネクタ19aを図示する。
次に、マイクロ波検出部5の動作および作用について説明する。
まず、図6を参照して、クロス開口11から円偏波のマイクロ波が放射される原理について説明する。図6において、導波管3内に生じる磁界分布3dを点線の同心楕円で示す。磁界分布3dの磁界の向きを矢印で示す。磁界分布3dは、導波管3内を時間の経過とともにマイクロ波の伝送方向A1に移動する。
図6の(a)に示す時刻t=t0において、磁界分布3dが形成される。このとき、破線矢印B1で示す磁界が、クロス開口11の第1長孔11eを励起する。図6の(b)に示す時刻t=t0+t1において、破線矢印B2で示す磁界が、クロス開口11の第2長孔11fを励起する。
図6の()に示す時刻t=t0+T/2(Tはマイクロ波の管内波長の周期)において、破線矢印B3で示す磁界が、クロス開口11の第1長孔11eを励起する。図6の(d)に示す時刻t=t0+T/2+t1において、破線矢印B4で示す磁界が、クロス開口11の第2長孔11fを励起する。時刻t=t0+Tにおいて、時刻t=t0と同様に、破線矢印B1で示す磁界が、クロス開口11の第1長孔11eを励起する。
これらの状態が順次繰り返されることで、反時計回り(マイクロ波の回転方向32)に回転する円偏波のマイクロ波が、クロス開口11から導波管3の外に放射される。
ここで、図4に示す矢印30に沿って伝搬するマイクロ波を入射波とし、矢印31に沿って伝搬するマイクロ波を反射波とすると、入射波は図6に示す伝送方向A1と同じ向きに伝搬する。このため、上述のように、反時計回りに回転する円偏波のマイクロ波が、クロス開口11から導波管3の外に放射される。
一方、反射波は図6に示す伝送方向A1と逆向きに伝搬する。このため、時計回りに回転する円偏波のマイクロ波が、クロス開口11から導波管3の外に放射される。
導波管3の外に放射された円偏波のマイクロ波は、クロス開口11に対向するマイクロストリップ線路13に結合する。マイクロストリップ線路13は、矢印30に沿って伝搬する入射波によりクロス開口11から放射されるマイクロ波の大部分を、第1出力部131に出力する。
一方、マイクロストリップ線路13は、矢印31に沿って伝搬する反射波によりクロス開口11から放射されるマイクロ波の大部分を、第2出力部132に出力する。
すなわち、マイクロ波検出部5は、クロス開口11に対向する結合線路であるマイクロストリップ線路13を共有し、入射波を検出する入射波検出部と、反射波を検出する反射波検出部として機能する。
この構成により、マイクロ波検出部5は、入射波と反射波とをより精度よく分離して検出することができる。このことについて、図7を参照して詳しく説明する。
図7は、マイクロストリップ線路13を伝搬し、時間経過とともに変化するマイクロ波の向きおよび量を説明するための図である。マイクロストリップ線路13とクロス開口11との間には隙間がある。本来、マイクロ波がマイクロストリップ線路13に到達するのに要する時間は、マイクロ波がこの隙間を伝搬する時間だけ遅れる。しかし、便宜上、ここではこの時間遅れは無いものとする。
ここで、平面視においてクロス開口11とマイクロストリップ線路13とが交差する領域を結合領域という。第1結合点P1は、第1長孔11eとマイクロストリップ線路13とが交差する結合領域のほぼ中心である。第2結合点P2は、第2長孔11fとマイクロストリップ線路13とが交差する結合領域のほぼ中心である。
図7において、マイクロストリップ線路13を伝搬するマイクロ波の量(磁界の鎖交によって流れる電流)を実線矢印の線の太さで表現する。すなわち、マイクロストリップ線路13を伝搬するマイクロ波の量が多い場合には線が太く、マイクロストリップ線路13を伝搬するマイクロ波の量が少ない場合には線が細い。
図7の(a)に示す時刻t=t0において、破線矢印B1で示す磁界がクロス開口11の第1長孔11eを励起し、第1結合点P1には太い実線矢印M1で示すマイクロ波が生じる。このマイクロ波は、第2結合点P2に向かってマイクロストリップ線路13を伝搬する。
図7の(b)に示す時刻t=t0+t1において、破線矢印B2で示す磁界がクロス開口11の第2長孔11fを励起し、第2結合点P2には太い実線矢印M2で示すマイクロ波が生じる。
第1結合点P1と第2結合点P2との間のマイクロストリップ線路13によるマイクロ波の実効伝搬時間を時間t1に設定すると、図7の(a)に示す時刻に第1結合点P1に生じたマイクロ波は、図7の(b)に示す時刻に第2結合点P2に伝搬する。すなわち、図7の(b)に示す時刻に、第2結合点P2には、実線矢印M1で示すマイクロ波と実線矢印M2で示すマイクロ波とが生じる。
このため、二つのマイクロ波は加算されてマイクロストリップ線路13を第2出力部132に向けて伝搬し、所定時間経過後、第2出力部132に出力される。本実施の形態では、上記実効伝搬時間を時間t1に設定するため、仮想直線L3よりも管軸L1から離れた第1伝送線路13aと第2伝送線路13bとの合計距離が、実効長λreの1/4に設定される。この構成により、マイクロストリップ線路13の設計を容易に行うことができる。
図7の(c)に示す時刻t=t0+T/2において、破線矢印B3で示す磁界がクロス開口11の第1長孔11eを励起し、第1結合点P1には細い実線矢印M3で示すマイクロ波が生じる。このマイクロ波は、マイクロストリップ線路13を第1出力部131に向けて伝搬し、所定時間経過後、第1出力部131に出力される。
実線矢印M3の太さを実線矢印M1の太さに比べて細くした理由は、以下の通りである。クロス開口11から、上述したように反時計回り(マイクロ波の回転方向32)に回転する円偏波のマイクロ波が放射される。
図7の(a)に示す時刻に、第1結合点P1に生じる実線矢印M1で示すマイクロ波は、クロス開口11から放射されるマイクロ波の回転方向とほぼ同じ方向に伝搬する。このため、実線矢印M1で示すマイクロ波のエネルギは縮減されない。
一方、図7の(c)に示す時刻に、第1結合点P1に生じる実線矢印M3で示すマイクロ波は、クロス開口11から放射されるマイクロ波の回転方向とはほぼ逆方向に伝搬する。このため、結合したマイクロ波のエネルギは縮減される。従って、実線矢印M3で示すマイクロ波の量は、実線矢印M1で示すマイクロ波の量よりも少ない。
図7の(d)に示す時刻t=t0+T/2+t1において、破線矢印B4で示す磁界がクロス開口11の第2長孔11fを励起し、第2結合点P2には細い実線矢印M4で示すマイクロ波が生じる。このマイクロ波は第1結合点P1に向かって伝搬する。実線矢印M4の太さを細くした理由は、上述した実線矢印M3の太さを細くした理由と同じである。
時刻t=t0+Tにおいて、図7の(a)に示す時刻t=t0と同様に、破線矢印B1で示す磁界がクロス開口11の第1長孔11eを励起する。この場合、図7の(a)に示す時刻の場合には説明しなかった細い実線矢印M4で示すマイクロ波がマイクロストリップ線路13上に存在する。
細い実線矢印M4で示すマイクロ波は、時刻t=t0+T(すなわちt=t0)において、第1結合点P1に伝搬する。細い実線矢印M4で示すマイクロ波は、太い実線矢印M1で示すマイクロ波とは逆向きに伝搬する。このため、実線矢印M4で示すマイクロ波は打ち消されて消滅し、第1出力部131に出力されない。
厳密には、時刻t=t0において第1結合点P1から伝搬するマイクロ波の量は、太い実線矢印M1で示すマイクロ波の量から細い実線矢印M4で示すマイクロ波の量を差分した量(M1-M4)となる。従って、第2出力部132に出力されるマイクロ波の量は、第2結合点P2から伝搬するマイクロ波の量に太い実線矢印M2で示すマイクロ波の量を加算した量(M1+M2-M4)となる。
このことを考慮しても、第2出力部132に出力されるマイクロ波の量(M1+M2-M4)は、第1出力部131に出力されるマイクロ波の量(M3)よりはるかに多い。従って、マイクロストリップ線路13は、矢印31に沿って伝搬する反射波によりクロス開口11から反時計回りに放射されるマイクロ波の大部分を第2出力部132に出力する。一方、マイクロストリップ線路13は、矢印30に沿って伝搬する入射波によりクロス開口11から時計回りに放射されるマイクロ波の大部分を第1出力部131に出力する。
導波管3を伝搬するマイクロ波の量に対するクロス開口11から放射されるマイクロ波の量は、導波管3およびクロス開口11の形状および寸法によって決まる。例えば、上述の形状および寸法に設定した場合、導波管3を伝播するマイクロ波の量に対するクロス開口11から放射されるマイクロ波の量は、約1/100000(約-50dB)である。
次に、本実施の形態において、平行線L4よりも管軸L1から離れた第1伝送線路13aと第2伝送線路13bとの合計距離を、実効長λreの1/2に設定した理由について説明する。
図8は、マイクロストリップ線路13を伝搬し、時間経過とともに変化するマイクロ波の向きおよび量を説明するための図である。図8の(a)~(d)は、図7の(a)~(d)からそれぞれt1/2の時間が経過した状態を示す図である。
上記では説明を省略したが、磁界分布3dは、時間経過とともに導波管3内をマイクロ波の伝送方向A1に移動する。このため、図8の(a)~(d)に示すように、破線矢印B12、B23、B34、B41で示す磁界が、第1長孔11eおよび第2長孔11fを励起する。これにより、導波管3の外に放射された円偏波のマイクロ波は、マイクロストリップ線路13に結合する。
ここで、平面視において垂線L2とマイクロストリップ線路13とが交差する領域、および平行線L4とマイクロストリップ線路13とが交差する領域を結合領域という。第3結合点P3は、垂線L2とマイクロストリップ線路13とが交差する結合領域のほぼ中心である。第4結合点P4は、平行線L4と第1伝送線路13aとが交差する結合領域のほぼ中心である。第5結合点P5は、平行線L4と第2伝送線路13bとが交差する結合領域のほぼ中心である。
図8の(a)に示す時刻t=t0+t1/2において、破線矢印B12で示す磁界がクロス開口11を励起し、第3結合点P3には太い実線矢印M11で示すマイクロ波が生じる。このマイクロ波は、第5結合点P5に向かってマイクロストリップ線路13を伝搬する。
図8の(b)に示す時刻t=t0+t1+t1/2において、破線矢印B23で示す磁界がクロス開口11を励起する。第5結合点P5には太い実線矢印M12aで示すマイクロ波が生じ、第4結合点P4には細い実線矢印M12bで示すマイクロ波が生じる。実線矢印M12bの太さを細くした理由は、上述した実線矢印M3の太さを細くした理由と同じである。
第3結合点P3と第5結合点P5との間のマイクロストリップ線路13によるマイクロ波の実効伝搬時間を時間t1に設定すると、図8の(a)に示す時刻に第3結合点P3に生じたマイクロ波は、図8の(b)に示す時刻に第5結合点P5に伝搬する。すなわち、図8の(b)に示す時刻に、第5結合点P5には、太い実線矢印M11で示すマイクロ波と太い実線矢印M12aで示すマイクロ波とが生じる。
このため、二つのマイクロ波が加算されてマイクロストリップ線路13を第2出力部132に向けて伝搬し、所定時間経過後、第2出力部132に出力される。上記実効伝搬時間を時間t1に設定するため、本実施の形態では、平行線L4よりも管軸L1から離れた第1伝送線路13aの距離が、実効長λreの1/4に設定される。第4結合点P4に生じた細い実線矢印M12bで示すマイクロ波は、マイクロストリップ線路13を第1出力部131に向けて伝搬し、所定時間経過後、第1出力部131に出力される。
図8の(c)に示す時刻t=t0+T/2+t1/2において、破線矢印B34で示す磁界がクロス開口11を励起し、第3結合点P3には細い実線矢印M13bで示すマイクロ波が生じる。このマイクロ波は、マイクロストリップ線路13を第1出力部131に向けて伝搬する。実線矢印M13bの太さを細くした理由は、上述した実線矢印M3の太さを細くした理由と同じである。
図8の(d)に示す時刻t=t0+T/2+t1+t1/2において、破線矢印B41で示す磁界がクロス開口11を励起する。第5結合点P5には細い実線矢印M14bで示すマイクロ波が生じ、第4結合点P4には太い実線矢印M14aで示すマイクロ波が生じる。細い実線矢印M14bで示すマイクロ波は、第3結合点P3に向かってマイクロストリップ線路13を伝搬する。実線矢印M14bの太さを細くした理由は、上述した実線矢印M3の太さを細くした理由と同じである。
太い実線矢印M14aで示すマイクロ波は、第3結合点P3に向かってマイクロストリップ線路13を伝搬する。第3結合点P3と第4結合点P4との間のマイクロストリップ線路13によるマイクロ波の実効伝搬時間を時間t1に設定すると、図8の(c)に示す時刻に第3結合点P3に生じたマイクロ波は、図8の(d)に示す時刻に第4結合点P4に伝搬する。
すなわち、図8の(d)に示す時刻に、第4結合点P4には、細い実線矢印M13bで示すマイクロ波と太い実線矢印M14aで示すマイクロ波とが生じる。上記実効伝搬時間を時間t1に設定するため、本実施の形態では、平行線L4よりも管軸L1から離れた第2伝送線路13bの距離が、実効長λreの1/4に設定される。
すなわち、平行線L4よりも管軸L1から離れた第1伝送線路13aと第2伝送線路13bとの合計距離が、実効長λreの1/2に設定される。細い実線矢印M13bで示すマイクロ波は、太い実線矢印M14aで示すマイクロ波とは逆向きに伝搬する。このため、細い実線矢印M13bで示すマイクロ波は打ち消されて消滅し、第1出力部131に出力されない。
時刻t=t0+T+t1/2において、図8の(a)に示す時刻t=t0+t1/2と同様に、破線矢印B12で示す磁界がクロス開口11を励起する。この場合、図8の(a)に示す時刻の場合には説明しなかった細い実線矢印M14bで示すマイクロ波がマイクロストリップ線路13上に存在する。
細い実線矢印M14bで示すマイクロ波は、時刻t=t0+T+t1/2において、第3結合点P3に伝搬する。細い実線矢印M14bで示すマイクロ波は、太い実線矢印M11および太い実線矢印M14aで示すマイクロ波とは逆向きに伝搬する。このため、細い実線矢印M14bで示すマイクロ波は打ち消されて消滅し、第1出力部131に出力されない。
厳密には、時刻t=t0+t1/2において第3結合点P3から伝搬するマイクロ波の量は、太い実線矢印M11、M14aで示すマイクロ波の量から細い実線矢印M14bで示すマイクロ波の量を差分した量(M11+M14a-M14b)となる。従って、第2出力部132に出力されるマイクロ波の量は、第3結合点P3から伝搬するマイクロ波の量に太い実線矢印M12aで示すマイクロ波の量を加算した量(M11+M12a+M14a-M14b)となる。
このことを考慮しても、第2出力部132に出力されるマイクロ波の量(M11+M12a+M14a-M14b)は、第1出力部131に出力されるマイクロ波の量(M12b)よりはるかに多い。従って、マイクロストリップ線路13は、矢印31の方向に伝搬する反射波によりクロス開口11から反時計回りに放射されるマイクロ波の大部分を第2出力部132に出力する。一方、マイクロストリップ線路13は、矢印30の方向に伝搬する入射波によりクロス開口11から時計回りに放射されるマイクロ波の大部分を第1出力部131に出力する。
マイクロ波検出部5は、平面視において導波管3の管軸L1と交差しない位置に配置された、円偏波のマイクロ波を放射するクロス開口11を有する。この構成により、クロス開口11から放射される円偏波のマイクロ波の回転方向が入射波と反射波とで互いに逆になる。この円偏波のマイクロ波の回転方向の違いを利用して、入射波と反射波とを分離して検出することができる。
マイクロ波検出部5では、第1伝送線路13aが第1直線部13aaを備えるとともに、第2伝送線路13bが第2直線部13baを備える。この構成により、従来よりも、マイクロストリップ線路13が屈曲する箇所を少なくすることができる。マイクロストリップ線路13を直角に屈曲させる必要性を無くすことができる。マイクロストリップ線路13が屈曲する箇所をクロス開口11の鉛直方向の領域から離すことができる。その結果、入射波と反射波とをより精度よく分離して検出することができる。
マイクロ波検出部5では、第1伝送線路13aと第2伝送線路13bとが、平面視において矩形領域E1の外で、かつ、管軸L1から離れた位置で互いに接続される。この構成により、マイクロストリップ線路13が屈曲する箇所をクロス開口11の鉛直方向の領域からより一層離すことができる。第1直線部13aaおよび第2直線部13baの長さをより長くすることができ、マイクロストリップ線路13内の電流の流れが阻害されるのを抑制することができる。その結果、入射波と反射波とをより一層精度よく分離して検出することができる。
マイクロ波検出部5では、第1直線部13aaが、平面視において開口中央部11cよりも開口先端部11eaに近い位置で第1長孔11eと交差する。第2直線部13baが、平面視において開口中央部11cよりも開口先端部11faに近い位置で第2長孔11fに交差する。通常、開口中央部11cの周辺に比べて開口先端部11ea、11faの周辺は、より強い磁界が発生する。上記構成により、より強い磁界がマイクロストリップ線路13に結合する。このため、マイクロストリップ線路13を流れる電流がより多くなる。その結果、入射波と反射波とをより一層精度よく分離して検出することができる。
マイクロ波検出部5では、第1直線部13aaが、平面視において第1長孔11eに直交する。この構成により、第1結合点P1に生じる実線矢印M1で示すマイクロ波の伝送方向を、クロス開口11から放射されるマイクロ波の回転方向32と同じにする。これにより、実線矢印M1で示すマイクロ波の量をより大きくすることができる。
第1結合点P1に生じる実線矢印M3で示すマイクロ波の伝送方向を、クロス開口11から放射されるマイクロ波の回転方向32と逆にする。これにより、実線矢印M3で示すマイクロ波の量をより小さくすることができる。その結果、入射波と反射波とをより一層精度よく分離して検出することができる。
マイクロ波検出部5では、第2直線部13baが、平面視において第2長孔11fに直交する。この構成により、第2結合点P2に生じる実線矢印M2で示すマイクロ波の伝送方向を、クロス開口11から放射されるマイクロ波の回転方向32と同じにする。これにより、実線矢印M2で示すマイクロ波の量をより大きくすることができる。
第2結合点P2に生じる実線矢印M4で示すマイクロ波の伝送方向を、クロス開口11から放射されるマイクロ波の回転方向32と逆にする。これにより、実線矢印M4で示すマイクロ波の量をより小さくすることができる。その結果、入射波と反射波とをより一層精度よく分離して検出することができる。
マイクロ波検出部5では、マイクロストリップ線路13が、第1直線部13aaと第2直線部13baと第3直線部13abと第4直線部13bbと有する。互いに隣接する第1直線部13aaと第3直線部13abとは、鈍角を成すように接続される。互いに隣接する第2直線部13baと第4直線部13bbは、鈍角を成すように接続される。
この構成により、マイクロストリップ線路13において直角に屈曲する箇所を少なくすることができる。これにより、結合線路内の電流の流れが阻害されるのを抑制することができる。その結果、入射波と反射波とをより一層精度よく分離して検出することができる。
マイクロ波検出部5では、仮想直線L3よりも管軸L1から離れた第1伝送線路13aと第2伝送線路13bとの合計距離が、実効長λreの1/4に設定される。この構成により、入射波と反射波とをより一層精度よく分離して検出することができる。上記合計距離は、実効長λreのほぼ1/4に設定されていれば、必ずしも実効長λreの1/4に設定される必要はない。
マイクロ波検出部5では、平行線L4よりも管軸L1から離れた第1伝送線路13aと第2伝送線路13bとの合計距離が、実効長λreの1/2に設定される。この構成により、入射波と反射波とをより一層精度よく分離して検出することができる。上記合計距離は、実効長λreのほぼ1/2に設定されていれば、必ずしも実効長λreの1/2に設定される必要はない。
図5に示すように、本実施の形態では、第1伝送線路13aの一端と第2伝送線路13bの一端とが、直角を成すように接続される。しかし、本開示はこれに限定されない。第1伝送線路13aの一端が、平面視でクロス開口11の領域から外れた位置で第2伝送線路13bの一端と接続されていればよい。この領域では、磁界による影響が大きい。
図9A~図9はそれぞれ、マイクロストリップ線路13の第1変形例~第6変形例を示す平面図である。図9Aに示すように、第1伝送線路13aの一端と第2伝送線路13bの一端との接続点が、開口中央部11cから離れるように、第1伝送線路13aと第2伝送線路13bとが屈曲していてもよい。
図9Bに示すように、第1伝送線路13aの一端と第2伝送線路13bの一端との接続点が開口中央部11cに近づくように、第1伝送線路13aと第2伝送線路13bとが屈曲していてもよい。図9Cに示すように、第1伝送線路13aの一端と第2伝送線路13bの一端との接続点が開口中央部11cに近づくように、第1伝送線路13aと第2伝送線路13bとが湾曲していてもよい。
本実施の形態では、第1直線部13aa、第2直線部13baがそれぞれ第1交差線部、第2交差線部に対応する。しかし、本開示はこれに限定されない。図9Dに示すように、第1交差線部、第2交差線部がそれぞれ、円弧状部13ac、円弧状部13bcであってもよい。
本実施の形態では、第3直線部13abおよび第4直線部13bbが垂線L2に平行である。しかし、本開示はこれに限定されない。図9Eに示すように、第3直線部13abおよび第4直線部13bbが平行線L4に平行であってもよい。
本実施の形態では、第1伝送線路13aおよび第2伝送線路13bが複数の直線部を有する。しかし、本開示はこれに限定されない。図9Fに示すように、第1伝送線路13aおよび第2伝送線路13bが、いずれも一本の直線部で構成されてもよい。
本実施の形態では、クロス開口11は、垂線L2に対して線対称に形成される。垂線L2は、管軸L1に直交し、かつ、開口中央部11cを通る。しかし、本開示はこれに限定されない。クロス開口11は、垂線L2に対して線対称に形成されなくてもよい。例えば、第1長孔11eと第2長孔11fとが、それぞれの長手方向の中央部からずれた位置で交差してもよい。第1長孔11eの長さと第2長孔11fの長さとが互いに異なってもよい。
これらの場合、第1長孔11eと第2長孔11fとが交差する開口交差部は、開口中央部11cからずれる。クロス開口11は、平面視において垂線L2に対して僅かに傾斜する直線に対して線対称に形成されてもよい。
図10は、本実施の形態における、マイクロ波検出部5と開口部33との位置関係を模式的に示す図である。図10において、開口部33は、図4に示すクロス開口11に相当する。開口部33の最大開口長D2は、図4に示すクロス開口11の長さ11wに相当する。
図10に示すように、開口部33から取り出されるマイクロ波は、開口部33からほぼ球状に放射する。開口部33の中心から最大開口長D2の半分の距離までの範囲HRでは、開口部33から放射されるマイクロ波の強度が高い。
従って、マイクロ波検出部5は、マイクロ波検出部5と開口部33との距離D3が最大開口長D2の1/2以下となるように配置される。この構成により、マイクロ波検出部5は、効率よくマイクロ波を検出することができる。その結果、入射波と反射波とをより一層精度よく分離して検出することができる。
本実施の形態では、距離D3が0より大きくなる、すなわち、マイクロ波検出部5を導波管3に接触させないように、マイクロ波検出部5が配置される。これにより、電界集中によるスパークを起こすことなく、マイクロ波検出部5は、安定的にマイクロ波を検出することができる。その結果、入射波と反射波とをより一層精度よく分離して検出することができる。
本実施の形態では、マイクロ波検出部5の検波回路などに用いる電子部品、コネクタ18a、19a(図2、図3参照)が、開口部33と対向する面に配置される。この場合、距離D3が短いと、導波管3の壁面と検波回路の電子部品またはコネクタとが接触して、マイクロ波検出部5を配置させるのが困難となる。このため、距離D3は1mm以上であるのが望ましい。
図11は、電磁界シミュレータを用いて得られた、最大開口長D2が24mmである場合における距離D3と検出精度との関係を示す。
検出精度は、一般的なマイクロ波検出部である方向性結合器において、入射波と反射波との信号の分離度を表す方向性を意味する。検出精度は、検出信号に方向性の値分の誤差成分が含まれることを表す。そのため、検出精度は値が小さいほど誤差成分が小さく、方向性結合器がより高性能であることを意味する。
図11に示すように、距離D3がおよそ6mm、すなわち、最大開口長D2の1/4である場合に、最も検出精度が高くなる。入射波と反射波とを精度よく分離するためには、検出信号が最小になる際に、誤差成分が検出信号より小さい値であれば良い。
検出信号が最小値をとるのは、反射が最も小さくなる際の反射波である。一般的なマイクロ波加熱装置において、反射波の最小値は-13dB(入力値の5%)程度である。このため、安全率を加味し、検出精度としては、-13dBの1/2である-16dB(入力値の2.5%)の誤差成分までであれば、問題なく検出が可能である。
そのため、検出精度は-16dB以下であることが望ましい。図11に示すように、距離D3がおよそ3mm~12mmの範囲、すなわち、最大開口長D2の1/8~1/2の範囲であればよい。このようにして、入射波と反射波とを精度よく分離して検出することができる。
本開示に係るマイクロ波検出部は、民生用および業務用のマイクロ波加熱装置(例えば、電子レンジ)に適用可能である。
1 加熱室
1a 底面
2 マイクロ波発生部
3 導波管
3a 幅広面
3d 磁界分布
4 マイクロ波放射部
5 マイクロ波検出部
5a、5b 検出信号
6 制御部
7 駆動電源
8 信号
9 モータ
10 マイクロ波加熱装置
11 クロス開口
11c 開口中央部
11d 幅
11e 第1長孔
11ea、11fa 開口先端部
11f 第2長孔
11w 長さ
12 プリント基板
12a 基板表面
12b 基板裏面
13 マイクロストリップ線路
13a 第1伝送線路
13aa 第1直線部
13ab 第3直線部
13ac 円弧状部
13b 第2伝送線路
13ba 第2直線部
13bb 第4直線部
13bc 円弧状部
14 支持部
15 第1検波回路
16 第2検波回路
18 第1検波出力部
18a、19a コネクタ
19 第2検波出力部
20a 穴
30、31 矢印
32 回転方向
33 開口部
131 第1出力部
132 第2出力部
141、142 溝

Claims (1)

  1. 被加熱物を収容するように構成された加熱室と、
    マイクロ波を発生させるように構成されたマイクロ波発生部と、
    前記マイクロ波の一部を取り出すための開口部を備えた壁面を有し、前記マイクロ波発生部により発生されたマイクロ波を前記加熱室に伝送する導波管と、
    前記開口部から取り出され、前記加熱室から前記マイクロ波発生部に向けて伝搬するマイクロ波である反射波の一部を検出するように構成された反射波検出部と、を備え、
    前記反射波検出部は、前記開口部から、前記開口部の最大開口長の1/2の距離内に配置される、マイクロ波加熱装置であって、
    前記開口部が、平面視において前記導波管の管軸と交差しない位置に配置された、互いに交差する第1長孔と第2長孔とを有し、
    結合線路が、第1伝送線路と第2伝送線路とを備え、
    前記第1伝送線路が前記第1長孔と交差し、
    前記第2伝送線路が前記第2長孔と交差し、
    前記第1伝送線路の一端と、前記第2伝送線路の一端とが、
    前記開口部の領域から外れた位置で接続され、
    且つ、前記第1長孔と前記第2長孔とが交差する開口交差部を通り、前記管軸に直交する垂線上で接続された、マイクロ波加熱装置。
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