JP7474351B2 - 塩素化塩化ビニル系樹脂、成形用樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

塩素化塩化ビニル系樹脂、成形用樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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Description

本発明は、塩素化塩化ビニル系樹脂、成形用樹脂組成物及び成形体に関する。
塩化ビニル系樹脂は、一般に、機械的強度、耐候性に優れている。このため、塩化ビニル系樹脂は、各種の成形体に加工されており、多くの分野で使用されている。
塩化ビニル系樹脂は、耐熱性に劣るため、塩化ビニル系樹脂を塩素化することにより耐熱性を向上させた塩素化塩化ビニル系樹脂(CPVC)が開発されている。
例えば、特許文献1には、特定の製造方法により得られた塩素化塩化ビニル系樹脂が開示されており、このような樹脂は、加熱成形時の初期着色が少なく、また、熱安定性に優れることが開示されている。
国際公開第2014/178362号
しかしながら、特許文献1に記載のような塩素化塩化ビニル系樹脂を用いて、成形加工された製品は、耐衝撃性が悪く、特に高温・高圧を負荷された場合や、酸性の液体等に接触した場合に厚みが変化したり、耐衝撃性が大きく低下したりするという問題がある。
本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、高温高圧にて酸性液体と接触する場合における厚みの変化、耐衝撃性の低下を抑制することが可能な塩素化塩化ビニル系樹脂、成形用樹脂組成物及び成形体を提供することを目的とする。
本開示(1)は、高速液体クロマトグラフィー測定において、リテンションタイムが10~18分の範囲に観測されるピークのシンメトリ係数Bに対する、リテンションタイムが2~4分の範囲に観測されるピークのシンメトリ係数Aの比(A/B)が2.61以上4.50以下である、塩素化塩化ビニル系樹脂である。
本開示(2)は、過塩素化単位の含有量が23.0モル%以上、65.0モル%以下である、本開示(1)記載の塩素化塩化ビニル系樹脂である。
本開示(3)は、付加塩素化量が3.3質量%以上15.3質量%以下である、本開示(1)又は(2)記載の塩素化塩化ビニル系樹脂である。
本開示(4)は、下記式(1)から算出されるCが7.0以上25.0以下である、本開示(1)~(3)のいずれかに記載の塩素化塩化ビニル系樹脂である。

C=(付加塩素化量)1/3×(シンメトリ係数A) (1)
本開示(5)は、本開示(1)~(4)のいずれかに記載の塩素化塩化ビニル系樹脂を含有する、成形用樹脂組成物である。
本開示(6)は、本開示(5)に記載の成形用樹脂組成物を用いて得られる、成形体である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、高速液体クロマトグラフィー測定において、リテンションタイムが10~18分の範囲に観測されるピークのシンメトリ係数Bに対する、リテンションタイムが2~4分の範囲に観測されるピークのシンメトリ係数Aの比(A/B、以下シンメトリ係数比ともいう)が2.61以上4.50以下である。
上記シンメトリ係数比が上記範囲内であることで、高温高圧で酸性液体と接触する用途に使用する場合でも優れた耐衝撃性を実現することができる。特に、本発明では酸性液体等に接触する場合(耐薬品性)よりも過酷な条件での使用でも所望の性質を維持することが可能となる。
上記シンメトリ係数比は、2.84以上、4.24以下であることが好ましく、2.94以上、3.84以下であることがより好ましい、3.09以上、3.44以下であることが更に好ましい。
なお、上記シンメトリ係数比(A/B)は、以下の方法により測定することができる。
上記シンメトリ係数A及びBは、アセトニトリル-テトラヒドロフラン溶離液による逆相分配グラジエント高速液体クロマトグラフィーで測定されるJIS K 0124(2011年)に基づくシンメトリ係数(W0.05h/2f)である。
本明細書において、「W0.05h」、「f」の定義は、JIS K 0124(2011年)の記載に準拠したものとする。即ち、「W0.05h」はピークのベースラインからピーク高さの1/20の高さにおけるピーク幅を表し、「f」はW0.05hのピーク幅をピーク頂点から横軸へ下ろした垂線で二分した時のピーク開始点を含む側の距離を表す。ただし、W0.05h、fは同じ単位を用いる。
ここで、シンメトリ係数は、高速液体クロマトグラフィーを用いて得られる測定ピークの対称性の度合いを示す係数である。図1にHPLC測定結果の一例を示す。図1にて、得られた測定ピークの1/20(5%)の高さ位置でのピーク幅(W0.05h)、及び、当該ピーク幅におけるピーク開始点から、ピーク開始点を含む水平線とピーク頂点を含む垂線との交点までの距離(f)を用いてシンメトリ係数(W0.05h/2f)を算出する。
なお、fは、図1に示されるxy間の距離、すなわち、HPLC分析の測定ピークの高さ5%位置でのピーク開始点xから、ピーク開始点を含む水平線とピーク頂点を含む垂線との交点yまでの距離(言い換えれば、ピーク5%高さ位置でのピーク幅をピーク頂点を含む垂線で二分したときのピークの立ち上がり側の距離)を意味する。図1中、横軸と平行な点線がベースラインを表し、xはピーク開始点を表す。シンメトリ係数が1.0に近いほどピークの対称性が高いことを示す。
塩素化塩化ビニル系樹脂を高速液体クロマトグラフィー測定した場合、リテンションタイムが2~4分の範囲と、リテンションタイムが10~18分の範囲に2つのピークが検出されるため、リテンションタイムが2~4分の範囲に観測されるピークのシンメトリ係数を「シンメトリ係数A」とする。また、リテンションタイムが10~18分の範囲に観測されるピークのシンメトリ係数を「シンメトリ係数B」として、シンメトリ係数Bに対する、シンメトリ係数Aの比(A/B)を算出する。
また、本発明において、高速液体クロマトグラフィー測定は、以下の手順で行う。
移動相には極性の異なる種類の液体を用いる。高極性の移動相aとしてアセトニトリル等、及び低極性の移動相bとしてテトラヒドロフラン等を使用する。サンプル注入前の時点においては、HPLCシステムのカラム内部は移動相a/移動相bが体積比で7/3の混合溶媒で満たされた状態である。この状態でサンプルを注入する。そして、サンプル注入の直後から12分かけて移動相における移動相bの割合を一定速度(5vol%/分)で増加させる。サンプル注入から12分後(この時点で移動相は完全に移動相bに置換される)から6分間は移動相bを流す。
なお、HPLCカラムとしては、例えば、C8シリカカラムを用いる。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、高速液体クロマトグラフィー測定において、リテンションタイムが2~4分の範囲に観測されるピークのシンメトリ係数Aが2.27以上3.09以下であることが好ましい。上記シンメトリ係数Aは、2.41以上、2.91以下であることがより好ましく、2.81以上、2.89以下であることが更に好ましい。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、高速液体クロマトグラフィー測定において、リテンションタイムが10~18分の範囲に観測されるピークのシンメトリ係数Bが0.65以上、0.95以下であることが好ましい。上記シンメトリ係数Bは、0.74以上、0.86以下であることがより好ましく、0.76以上、0.81以下であることが更に好ましい。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、高速液体クロマトグラフィー測定において、リテンションタイムが10~18分の範囲に観測されるピークの半値幅BW0.5に対する、リテンションタイムが2~4分の範囲に観測されるピークの半値幅AW0.5の比(AW0.5/BW0.5)が、0.31以上0.66以下であることが好ましい。なお、上記AW0.5/BW0.5を半値幅比ともいう。
上記半値幅比が上記範囲内であることで、高温高圧にて酸性液体と接触する用途に使用する場合でも優れた耐衝撃性を実現することができる。
上記半値幅比は、0.36以上、0.58以下であることがより好ましい。
なお、上記半値幅とは、観測されるピークの1/2(50%)の高さ位置でのピーク幅(W0.5)を意味する。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、高速液体クロマトグラフィー測定において、リテンションタイムが2~4分の範囲に観測されるピークの半値幅AW0.5は0.18以上0.30以下であることが好ましい。上記半値幅AW0.5は、0.19以上、0.27以下であることがより好ましい。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、高速液体クロマトグラフィー測定において、リテンションタイムが10~18分の範囲に観測されるピークの半値幅BW0.5は0.30以上、0.80以下であることが好ましい。上記半値幅BW0.5は、0.32以上、0.65以下であることがより好ましい。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、上記シンメトリ係数Aとシンメトリ係数Bとに基づき下記式(2)から算出されるDが2.36以上であることが好ましく、2.70以下であることが好ましい。また、上記Dは2.40以上であることがより好ましく、2.60以下であることがより好ましい。上記範囲内とすることで、高温高圧にて酸性液体と接触する場合における厚みの変化、耐衝撃性の低下を抑制することができる。
D=(シンメトリ係数B)+(シンメトリ係数A)1/2 (2)
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル単位及び過塩素化単位を有する。このような塩素化塩化ビニル系樹脂は、高温高圧にて酸性液体と接触する場合における厚みの変化、耐衝撃性の低下を抑制することができる。なお、上記塩化ビニル単位とは、塩素化前の塩化ビニル系樹脂に由来する構成単位であり、上記過塩素化単位とは、塩素化によって新たに形成された構成単位である。
なお、本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂にて得られる効果は、塩化ビニル単位及び過塩素化単位の構成のみによって得られるものではない。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、上記塩化ビニル単位の含有量が7.0モル%以上であることが好ましく、32.0モル%以上であることがより好ましく、92.0モル%以下であることが好ましく、62.0モル%以下であることがより好ましい。
なお、上記塩化ビニル単位とは、下記式(a)に示す構成単位のほか、下記式(b)に示す構成単位等が挙げられる。
また、上記塩化ビニル単位の含有量は、本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂全体に対する含有量である。
更に、下記式(b)に示す構成単位の含有量は、本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂全体に対して、0.001モル%以上、1モル%以下であることが好ましく、0.1モル%以上、0.9モル%以下であることがより好ましい。
Figure 0007474351000001
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、上記過塩素化単位の含有量が23.0モル%以上であることが好ましく、33.0モル%以上であることがより好ましく、65.0モル%以下であることが好ましく、60.0モル%以下であることがより好ましい。
なお、上記過塩素化単位とは、下記式(c)~(e)に示す構成単位が挙げられる。
また、上記過塩素化単位の含有量は、本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂全体に対する含有量である。
更に、下記式(e)に示す構成単位の含有量は、本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂全体に対して、1.0モル%以上、1.5モル%以下であることが好ましく、1.1モル%以上、1.4モル%以下であることがより好ましい。
Figure 0007474351000002
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記塩化ビニル単位及び過塩素化単位以外の他の構成単位を含んでいてもよい。
上記他の構成単位の含有量は、塩素化塩化ビニル系樹脂中、0.1モル%以上であることが好ましく、25モル%以下であることが好ましく、0.2モル%以上、20モル%以下であることがより好ましい。
上記他の構成単位としては、例えば、下記式(f)、(g)、(h)に示す構成単位が挙げられる。なお、式(f)中のXは水素原子又は塩素原子を表す。また、式(h)は末端構造を示す。
Figure 0007474351000003
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂の塩化ビニル単位、過塩素化単位及び他の構成単位の含有量は、NMRを用いた分子構造解析により測定することができる。NMR分析は、R.A.Komoroski,R.G.Parker,J.P.Shocker,Macromolecules,1985,18,1257-1265に記載の方法に準拠して行うことができる。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、付加塩素化量が3.3~15.3質量%であることが好ましい。
上記付加塩素化量を3.3質量%以上とすることで、成形品としての耐熱性が充分なものとなり、15.3質量%以下とすることで、成形性が向上する。
上記付加塩素化量は、5.3質量%以上であることがより好ましく、8.2質量%以上であることが更に好ましく、12.3質量%以下であることがより好ましく、11.2質量%以下であることが更に好ましい。
なお、塩化ビニル系樹脂の塩素含有量は通常56.8質量%であるが、上記付加塩素化量は、塩化ビニル系樹脂に対する塩素の導入割合を意味するものであり、JIS K 7229に記載の方法により測定することができる。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、下記式(1)から算出されるCが7.0以上25.0以下であることが好ましい。また、上記Cは10.0以上であることがより好ましく、19.0以下であることがより好ましい。上記範囲内とすることで、高温高圧にて酸性液体と接触する場合における厚みの変化、耐衝撃性の低下を抑制することができる。
C=(付加塩素化量)1/3×(シンメトリ係数A) (1)
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、特に限定されず、400以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましく、2000以下であることが好ましく、1500以下であることがより好ましい。
上記平均重合度を上述の範囲内とすることで、射出時の流動性と成形品の強度を両立することができる。
本発明において重合度はJIS-K-6721に準拠し、比粘度から算出される平均重合度をいう。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、下記式(3)から算出されるEが22.0以上50.0以下であることが好ましい。また、上記Eは24.0以上であることがより好ましく、43.0以下であることがより好ましい。上記範囲内とすることで、高温高圧にて酸性液体と接触する場合における厚みの変化、耐衝撃性の低下を抑制することができる。
E=[シンメトリ係数比(A/B)]+(平均重合度)1/2 (3)
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル系樹脂が塩素化されてなる樹脂である。
上記塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独重合体のほか、塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーと塩化ビニルモノマーとの共重合体、重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト共重合したグラフト共重合体等を用いることができる。これら重合体は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
また、上記塩化ビニル系樹脂が塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーと塩化ビニルモノマーとの共重合体、又は、重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト共重合したグラフト共重合体である場合、上記塩化ビニル系樹脂における塩化ビニルモノマーに由来する成分の含有量は90質量%以上であることが好ましい。また、100質量%以下であることが好ましい。
上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては、例えば、α-オレフィン類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族ビニル類、ハロゲン化ビニル類、N-置換マレイミド類等が挙げられ、これらの1種若しくは2種以上が使用される。
上記α-オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられ、上記ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられ、上記ビニルエーテル類としては、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、フェニルメタクリレート等が挙げられ、上記芳香族ビニル類としては、スチレン、α-メチルスチレン等が挙げられる。
更に、上記ハロゲン化ビニル類としては、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等が挙げられ、上記N-置換マレイミド類としては、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
なかでも、エチレン、酢酸ビニルが好ましい。
上記塩化ビニルをグラフト共重合する重合体としては、塩化ビニルをグラフト重合させるものであれば特に限定されない。このような重合体としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート-一酸化炭素共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-プロピレン共重合体等が挙げられる。また、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されても良い。
上記塩化ビニル系樹脂の重合方法は、特に限定されず、従来公知の水懸濁重合、塊状重合、溶液重合、乳化重合等を用いることができる。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂を製造する方法としては、例えば、反応容器中において、塩化ビニル系樹脂を水性媒体に懸濁して懸濁液を調製し、前記反応容器内に塩素を導入し、前記懸濁液を加熱することによって前記塩化ビニル系樹脂を塩素化する方法が挙げられる。
また、上記シンメトリ係数比(A/B)は、塩素化塩化ビニル系樹脂の構造のほか、塩化ビニル系樹脂を塩素化する際の圧力、温度、塩素濃度、二酸化塩素濃度、過酸化水素濃度、塩素消費速度、攪拌条件(バッフル間距離/攪拌翼径、体積当たりの運動エネルギーの均一性等)、光エネルギーの照射強度、光の波長等の条件を変更することで調整することができる。
上記反応容器としては、例えば、グラスライニングが施されたステンレス製反応容器、チタン製反応容器等の一般に使用されている容器を使用することができる。
上記反応容器は、バッフルが設置されていることが好ましい。上記バッフルは、反応容器の内壁に配置され、撹拌翼が反応液を攪拌するときに生じる反応液の流通方向を変更する板状部材である。上記バッフルは、反応容器の内部における、反応液の旋回流の流れを乱して、その流通方向を変更することで、反応溶液の内部における循環流の生成を促進する。
上記塩化ビニル系樹脂を水性媒体に懸濁して懸濁液を調製する方法は、特に限定されず、重合後のPVCを脱モノマー処理したケーキ状のPVCを用いてもよいし、乾燥させたものを再度、水性媒体で懸濁化してもよい。また、重合系中より、塩素化反応に好ましくない物質を除去した懸濁液を使用してもよいが、重合後のPVCを脱モノマー処理したケーキ状の樹脂を用いることが好ましい。
上記水性媒体としては、例えば、イオン交換処理された純水を用いることができる。水性媒体の量は、特に限定されないが、一般にPVCの100質量部に対して150~400質量部が好ましい。
上記反応容器内に導入する塩素は、液体塩素及び気体塩素のいずれであってもよい。短時間に多量の塩素を仕込めるため、液体塩素を用いることが効率的である。圧力を調整するためや塩素を補給するために、反応途中に塩素を追加してもよい。このとき、液体塩素の他に気体塩素を適宜吹き込むこともできる。
上記反応容器内のゲージ圧力は、特に限定されないが、塩素圧力が高いほど塩素がPVC粒子の内部に浸透し易いため、0~2MPaの範囲が好ましい。
上記懸濁した状態でPVCを塩素化する方法は、特に限定されず、例えば、熱エネルギーによりPVCの結合や塩素を励起させて塩素化を促進する方法(以下、熱塩素化という)、紫外光線等の光エネルギーを照射して光反応的に塩素化を促進する方法(以下、光塩素化という)等が挙げられる。熱エネルギーにより塩素化する際の加熱方法は、特に限定されず、例えば、反応器壁からの外部ジャケット方式による加熱が効果的である。また、紫外光線等の光エネルギーを使用する場合は、高温、高圧の条件下での紫外線照射等の光エネルギー照射が可能な装置が必要である。光塩素化の場合の塩素化反応温度は、40~80℃が好ましい。また、光塩素化の場合の光エネルギーの照射強度(W)と原料PVC及び水の合計量(kg)との比は、0.001~6(W/kg)とすることが好ましく、照射する光の波長は280~420nmであることが好ましい。
上記塩素化方法の中では、熱塩素化、光塩素化が好ましく、熱塩素化を行う場合は、熱のみ又は熱及び過酸化水素により塩化ビニル系樹脂の結合や塩素を励起させ塩素化反応を促進する方法が好ましい。
上記加熱のみで塩素化する場合は、40~120℃の範囲であることが好ましい。温度が低すぎると、塩素化速度が低下する。温度が高すぎると、塩素化反応と並行して脱HCl反応が起こり、得られたCPVCが着色する。加熱温度は、50~110℃の範囲であることがより好ましい。加熱方法は、特に限定されず、例えば、外部ジャケット方式で反応容器壁から加熱することができる。
上記塩素化において、懸濁液にさらに過酸化水素を添加することが好ましい。過酸化水素を添加することにより、塩素化の速度を向上させることができる。過酸化水素は、反応時間1時間毎に、PVCに対して5~500ppmの量を添加することが好ましい。添加量が少なすぎると、塩素化の速度を向上させる効果が得られない。添加量が多すぎると、CPVCの熱安定性が低下する。
上記過酸化水素を添加する場合、塩素化速度が向上するため、加熱温度を比較的低くすることができる。例えば、65~110℃の範囲であってよい。
上記塩素化の際に、最終付加塩素化量から5質量%手前に達した時点以降の塩素化を、塩素消費速度が0.010~0.015kg/PVC-Kg・5minの範囲で行い、さらに、最終付加塩素化量から3質量%手前に達した時点以降の塩素化を、塩素消費速度が0.005~0.010kg/PVC-Kg・5minの範囲で行うことが好ましい。ここで、塩素消費速度とは、原料PVC1kgあたりの5分間の塩素消費量を指す。
上記方法で塩素化を行うことにより、塩素化状態の不均一性が少なく、熱安定性の優れたCPVCを得ることができる。
上記塩素化方法では、懸濁液を攪拌しながら塩素化することが好ましい。また、懸濁液を攪拌する際の攪拌条件としては、体積当たりの運動エネルギーの均一性が0.31~0.45kg/m/sとなる条件とすることが好ましい。
上記体積当たりの運動エネルギーの均一性が0.31kg/m/s以上であることにより、反応器内の気相部の塩素を液相部に充分に取り込むことができ、0.45kg/m/s以下であると液相部に取り込んだ塩素が気相部に再放出されにくくなるため、均一に塩素化することが可能となる。
なお、上記体積当たりの運動エネルギーの均一性は、例えば、熱流体・粉体解析ソフト「R-FLOW」(アールフロー社製)を用いて算出することができる。
具体的には、反応容器の最下点から液面までの高さを3分割し、高さの上部1/3に相当する領域を上層部、高さの下部1/3に相当する領域を下層部とした場合に、下層部と上層部の体積当たりの運動エネルギーの差を求めることで確認することができる。
なお、攪拌時の攪拌翼の回転数は、10~500rpmであることが好ましく、反応容器の容量は0.01m~100mであることが好ましい。
また、攪拌時における液面から攪拌翼までの距離と液面高さとの比(液面から攪拌翼までの距離/液面高さ)が0.05~0.70(m/m)となるように攪拌翼の高さを調整することが好ましい。なお、上記液面高さとは、反応容器に原料を投入した際の反応容器底部から原料液面までの距離を意味する。また、上記液面から攪拌翼までの距離とは、液面から攪拌翼最上部までの距離を意味する。
攪拌時における反応容器のバッフル間距離は、241~600mmであることが好ましい。
上記バッフル間距離とは、反応容器に設置したバッフルの最下点と、撹拌翼の最上点との距離のことをいう。図2に、撹拌翼を有する撹拌装置、バッフルが設置された反応容器の模式図を示す。バッフル間距離Xとは、反応容器に設置したバッフルの最下点aと、撹拌翼の最上点bとの距離のことである。なお、バッフル最下点aは、バッフルの底部かつ中心部を意味し、撹拌翼の最上点bは、撹拌翼とシャフトの交点部を意味する。
また、攪拌翼径に対するバッフル間距離の比(バッフル間距離/攪拌翼径)は、0.634(mm/mm)以上であることが好ましく、1.58(mm/mm)以下であることが好ましい。
更に、攪拌翼径と反応容器径との比(攪拌翼径/反応容器径)が0.3(m/m)以上であることが好ましく、0.9(m/m)以下であることが好ましい。
上記塩素化方法において、反応容器に導入される塩素の濃度は、95%以上であることが好ましい。
また、上記塩素化方法においては、反応容器中の二酸化塩素濃度を導入される塩素の質量に対して5000ppm以下とすることが好ましく、2500ppm以下とすることがより好ましい。また、上記二酸化塩素濃度の下限は特に限定されないが、0.1ppm以上であることが好ましく、1ppm以上であることがより好ましい。
なお、上記塩素化方法では、安定化二酸化塩素を添加剤として投入してもよく、二酸化塩素を含む塩素ガスを用いてもよい。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂を含有する成形用樹脂組成物を成形することで、成形体を作製することができる。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂を含有する成形用樹脂組成物もまた本発明の1つである。
本発明の成形用樹脂組成物における本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂の含有量は、好ましい下限が65質量%、より好ましい下限が70質量%、好ましい上限が96質量%、より好ましい上限が93質量%である。
本発明の成形用樹脂組成物は、必要に応じて、安定剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、熱可塑性エラストマー、顔料等の添加剤が添加されていてもよい。
上記安定剤としては、特に限定されず、例えば、熱安定剤、熱安定化助剤等が挙げられる。上記熱安定剤としては、特に限定されず、例えば、有機錫系安定剤、鉛系安定剤、カルシウム-亜鉛系安定剤;バリウム-亜鉛系安定剤;バリウム-カドミウム系安定剤等が挙げられる。
上記有機錫系安定剤としては、例えば、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー等が挙げられる。
上記鉛系安定剤としては、ステアリン酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記熱安定化助剤としては、特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、リン酸エステル、ポリオール、ハイドロタルサイト、ゼオライト等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記滑剤としては、内部滑剤、外部滑剤が挙げられる。
内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記内部滑剤としては特に限定されず、例えば、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、ビスアミド等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。外部滑剤としては特に限定されず、例えば、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、モンタン酸ワックス等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記加工助剤としては、特に限定されず、例えば、質量平均分子量10万~200万のアルキルアクリレート-アルキルメタクリレート共重合体等のアクリル系加工助剤等が挙げられる。上記アクリル系加工助剤としては特に限定されず、例えば、n-ブチルアクリレート-メチルメタクリレート共重合体、2-エチルヘキシルアクリレート-メチルメタクリレート-ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記衝撃改質剤としては特に限定されず、例えば、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム等が挙げられる。
上記耐熱向上剤としては特に限定されず、例えば、α-メチルスチレン系、N-フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては特に限定されず、例えば、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
上記光安定剤としては特に限定されず、例えば、ヒンダードアミン系等の光安定剤等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
上記充填剤としては特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
上記顔料としては特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料;酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアニン化物系等の無機顔料等が挙げられる。
更に、本発明の成形用樹脂組成物から成形された成形体が提供される。このような成形体もまた本発明の1つである。
上記成形の方法としては、従来公知の任意の成形方法が採用されてよく、例えば、押出成形法、射出成形法等が挙げられる。
本発明の成形体は、高温高圧にて酸性液体と接触する場合における厚みの変化、耐衝撃性の低下を抑制することを防止できるため、建築部材、管工機材、住宅資材等の用途に好適に用いることができる。
本発明によれば、高温高圧にて酸性液体と接触する場合における厚みの変化、耐衝撃性の低下を抑制することが可能な塩素化塩化ビニル系樹脂、成形用樹脂組成物及び成形体を提供できる。
HPLC測定で得られるピークの一例である。 撹拌翼を有する撹拌装置、バッフルが設置された反応容器の模式図である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
内容積300Lのグラスライニング製反応容器に、イオン交換水130kgと平均重合度700の塩化ビニル樹脂50kgと安定化二酸化塩素を投入し、攪拌して塩化ビニル樹脂を水中に分散させ水懸濁状態にした後、反応容器内を加熱して水懸濁液を100℃に昇温した。なお、上記安定化二酸化塩素は、塩素化の際に導入する塩素の質量に対して二酸化塩素の量が200ppmとなる割合で添加した。次いで、反応容器中を減圧して酸素を除去(酸素量100ppm)した後、攪拌時の体積当たりの運動エネルギーの均一性が0.380kg/m/sとなるように攪拌翼により攪拌しながら塩素分圧が0.40MPaになるように塩素を導入して熱塩素化を開始した。なお、反応容器にはバッフルが設置されており、撹拌時の攪拌翼径に対するバッフル間距離の比(バッフル間距離/攪拌翼径)は1.107(mm/mm)であった。
その後、塩素化温度を100℃、塩素分圧を0.40MPaに保ち、付加塩素化量が4.2質量%に到達した後、200ppmの過酸化水素水を、塩化ビニル樹脂に対して過酸化水素として15ppm/Hrとなるように添加開始し、平均塩素消費速度が0.01kg/PVC-kg・5minになるように調整した。その後、付加塩素化量が10.6質量%に達した時点で、過酸化水素水と塩素ガスの供給を停止し、塩素化を終了した。
次いで、窒素ガスを通気して、未反応塩素を除去し、得られた塩素化塩化ビニル系樹脂スラリーを水酸化ナトリウムで中和し、水で洗浄し、脱水した後、乾燥して、熱塩素化された粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂(付加塩素化量が10.6質量%)を得た。
(実施例2)
内容積300Lのグラスライニング製反応容器に、イオン交換水130kgと平均重合度700の塩化ビニル樹脂50kgを投入し、攪拌して塩化ビニル樹脂を水中に分散させ水懸濁状態にした後、反応容器内を加熱して水懸濁液を70℃に昇温した。次いで、反応容器中を減圧して酸素を除去(酸素量100ppm)した後、攪拌時の体積当たりの運動エネルギーの均一性が0.383kg/m・sとなるように攪拌翼により攪拌しながら高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射強度350Wで照射し塩素化反応を開始した。なお、反応容器にはバッフルが設置されており、撹拌時の攪拌翼径に対するバッフル間距離の比(バッフル間距離/攪拌翼径)は1.130(mm/mm)であった。
その後、塩素化温度を70℃、塩素分圧を0.04MPaに保ち、平均塩素消費速度が0.01kg/PVC-kg・5minになるように調整し、付加塩素化量が10.5質量%に到達した時点で、高圧水銀灯での紫外線の照射と塩素ガスの供給を停止し、塩素化を終了した。
次いで、窒素ガスを通気して、未反応塩素を除去し、得られた塩素化塩化ビニル系樹脂スラリーを水酸化ナトリウムで中和し、水で洗浄し、脱水した後、乾燥して、光塩素化された粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂(付加塩素化量が10.5質量%)を得た。
(実施例3~5、7~9、11、13、比較例2~3、6~7、9)
表1に示すように、原料塩化ビニル樹脂の平均重合度、添加量、イオン交換水添加量、塩素化条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂を得た。
(実施例6、10、12)
表1に示すように、原料塩化ビニル樹脂の平均重合度、添加量、イオン交換水添加量、塩素化条件を変更した以外は、実施例2と同様にして、粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂を得た。
(比較例1)
内容積300Lのグラスライニング製反応容器に、イオン交換水130kgと平均重合度700の塩化ビニル樹脂50kgを投入し、攪拌して塩化ビニル樹脂を水中に分散させ水懸濁状態にした後、反応容器内を加熱して水懸濁液を70℃に昇温した。次いで、反応容器中を減圧して酸素を除去(酸素量100ppm)した後、攪拌時の体積当たりの運動エネルギーの均一性が0.090kg/m・sとなるように攪拌翼により攪拌しながら高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射強度350Wで照射し塩素化反応を開始した。なお、反応容器にはバッフルが設置されており、撹拌時の攪拌翼径に対するバッフル間距離の比(バッフル間距離/攪拌翼径)は0.210(mm/mm)であった。
その後、塩素化温度を70℃、塩素分圧を0.04MPaに保ち、平均塩素消費速度が0.02kg/PVC-kg・5minになるように調整し、付加塩素化量が10.5質量%に到達した時点で、高圧水銀灯での紫外線の照射と塩素ガスの供給を停止し、塩素化を終了した。
次いで、窒素ガスを通気して、未反応塩素を除去し、得られた塩素化塩化ビニル系樹脂スラリーを水酸化ナトリウムで中和し、水で洗浄し、脱水した後、乾燥して、光塩素化された粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂(付加塩素化量が10.5質量%)を得た。
(比較例4、5、8)
表1に示すように、原料塩化ビニル樹脂の平均重合度、添加量、イオン交換水添加量、塩素化条件を変更した以外は、比較例1と同様にして、粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂を得た。
(評価)
実施例、比較例で得られた塩素化塩化ビニル系樹脂について、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)付加塩素化量の測定
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂について、JIS K 7229に準拠して付加塩素化量を測定した。
(2)分子構造解析
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂について、R.A.Komoroski,R.G.Parker,J.P.Shocker,Macromolecules,1985,18,1257-1265に記載のNMR測定方法に準拠して分子構造解析を行い、塩化ビニル単位及び過塩素化単位の含有量を測定した。
NMR測定条件は以下の通りである。
装置:FT-NMRJEOLJNM-AL-300
測定核:13C(プロトン完全デカップリング)
パルス幅:90°
PD:2.4sec
溶媒:o-ジクロロベンゼン:重水素化ベンゼン(C5D5)=3:1
試料濃度:約20%
温度:110℃
基準物質:ベンゼンの中央のシグナルを128ppmとした
積算回数:20000回
(3)シンメトリ係数測定
(高速液体クロマトグラフィー[HPLC]測定)
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂を、アセトニトリル/テトラヒドロフラン=7/3[体積比]を溶媒として濃度:5mg/mLに調整し、測定サンプルとした。
測定機器としては、HPLC装置(株式会社島津製作所製、高圧グラジエントHPLCシステム Prominence)、HPLCカラム(Waters社製、XBridge(登録商標) C8[内径4.6mm×長さ150mm、充填剤粒径3.5μm])、蒸発光散乱検出器(株式会社島津製作所製、ELSD_LTII)を使用した。
分析は、以下の手順で行った。
移動相aとしてアセトニトリル、移動相bとしてテトラヒドロフランを使用した。当初はHPLC装置内部を移動相a/移動相bが体積比で7/3の混合溶媒で満たした状態である。この状態で上記測定サンプル(注入量:10μL)を注入する。そして、サンプル注入直後から12分かけて移動相中の移動相bの割合を一定速度(5vol%/分)で増加させた。12分後(この時点で移動相は完全に移動相bに置換される)から6分間は移動相bを流した。カラム温度は45℃であり、送液流量は総流量0.6mL/分であった。蒸発光散乱検出器のネブライザーガスとして窒素ガスを使用した。ガス供給圧力=350kPa、ドリフトチューブ温度は40℃である。なお、ベースラインの決定は、塩素化塩化ビニル系樹脂を溶解すること以外は前記分析サンプルの調製と同様の方法で準備した空試験液を分析して行った。
[シンメトリ係数、半値幅の算定]
シンメトリ係数(W0.05h/2f)は、JIS K 0124(2011年)に基づいてアセトニトリル-テトラヒドロフラン溶離液による逆相分配グラジエント高速液体クロマトグラフィーで測定した。W0.05hはピーク5%高さ(1/20の高さ)位置でのピーク幅を表し、fはW0.05hのピーク幅をピーク頂点から横軸へ下ろした垂線で二分した時のピーク開始点を含む側の距離を表す。即ち、上記条件で測定したHPLC分析の測定ピークの5%高さ位置(ベースラインからのピーク高さの1/20の高さ)でのピーク幅(W0.05h)、及び測定ピークの高さ5%位置でのピーク幅におけるピーク開始点から、当該ピーク開始点を含む水平線とピーク頂点を含む垂線との交点までの距離(f)を測定した。それらの数値からシンメトリ係数(W0.05h/2f)を算出した。
上記シンメトリ係数の算出は、リテンションタイムが2~4分の範囲に観測されるピークのシンメトリ係数(シンメトリ係数A)、及び、リテンションタイムが10~18分の範囲に観測されるピークのシンメトリ係数(シンメトリ係数B)のそれぞれについて行い、シンメトリ係数Bに対する、シンメトリ係数Aの比(A/B)を算出した。
また、リテンションタイムが2~4分の範囲に観測されるピークの半値幅(半値幅AW0.5)、及び、リテンションタイムが10~18分の範囲に観測されるピークの半値幅(半値幅BW0.5)をそれぞれ求めた後、半値幅比(AW0.5/BW0.5)を算出した。
(4)Izod衝撃値
(塩素化塩化ビニル系樹脂組成物の作製)
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、耐衝撃改質剤5.0質量部を添加した。更に、熱安定剤2.0質量部を添加して混合した。なお、耐衝撃改質剤としては、カネエースB-564(カネカ社製、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体)を用いた。また、熱安定剤としては、TVS#1380(日東化成社製、有機錫系安定剤)を用いた。
更に、ポリエチレン系滑剤(三井化学社製、Hiwax220MP)0.5質量部、脂肪酸エステル系滑剤(エメリーオレオケミカルズジャパン社製、LOXIOL G-32)0.5質量部を添加した。その後、スーパーミキサーで均一に混合して、塩素化塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
(Izod衝撃値[試験前]の測定)
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂組成物を2本の8インチロールに供給し、205℃で3分間混練して、厚さ1.0mmのシートを作製した。得られたシートを重ね合わせて、205℃のプレスで3分間予熱した後、4分間加圧して、厚さ3mmのプレス板を得た。得られたプレス板から、機械加工により試験片を切り出した。この試験片を用いて、ASTM D256に準拠してIzod衝撃値[試験前]を測定した。
(酸性高温高圧浸漬評価試験、Izod衝撃値[試験後]の測定、Izod衝撃値低下率の算出)
上記で得られた試験片をpH1の塩酸に、80℃で窒素加圧(0.2MPa)した状態で4週間浸漬した。その後、試験片を取り出し、60℃で24時間加熱し乾燥した(酸性高温高圧浸漬評価試験)。そして、酸性高温高圧浸漬評価試験後の試験片についても、上述の方法でIzod衝撃値[試験後]を測定した。また、得られたIzod衝撃値[試験前]、Izod衝撃値[試験後]から、下記式に基づきIzod衝撃値低下率を算出した。

Izod衝撃値低下率(%)=[(Izod衝撃値[試験前]-Izod衝撃値[試験後])/Izod衝撃値[試験前]]×100
(5)酸性高温高圧浸漬評価試験前後の厚み変位
上記(Izod衝撃値[試験前]の測定)で得られた試験片について、ノギスを用いて厚み[試験前]を測定した。また、(Izod衝撃値[試験後]の測定、Izod衝撃値低下率の算出)で得られた試験片についても、同様に厚み[試験後]を測定し、厚み[試験前]と、厚み[試験後]とから酸性高温高圧浸漬評価試験前後の厚み変位を算出し、以下の基準で評価した。

○:試験前後の厚み変位0.2mm未満
△:試験前後の厚み変位0.2mm以上0.5mm未満
×:試験前後の厚み変位0.5mm以上
Figure 0007474351000004
本発明によれば、高温高圧にて酸性液体と接触する場合における厚みの変化、耐衝撃性の低下を抑制することが可能な塩素化塩化ビニル系樹脂、成形用樹脂組成物及び成形体を提供できる。

Claims (5)

  1. 塩素化塩化ビニル樹脂を、アセトニトリル/テトラヒドロフラン=7/3[体積比]を溶媒として濃度5mg/mLに調整した測定サンプルについて、HPLC装置(株式会社島津製作所製、高圧グラジエントHPLCシステム Prominence)、HPLCカラム(Waters社製、XBridge(登録商標) C8[内径4.6mm×長さ150mm、充填剤粒径3.5μm])、蒸発光散乱検出器(株式会社島津製作所製、ELSD_LTII)を使用し、カラム温度45℃、送液総流量0.6mL/分で測定し、アセトニトリル/テトラヒドロフラン=7/3[体積比]の溶媒を、サンプル注入直後から12分かけてテトラヒドロフランの割合を一定速度で増加させ、12分後から6分間はテトラヒドロフランを流す高速液体クロマトグラフィー測定において、
    リテンションタイムが10~18分の範囲に観測されるピークのシンメトリ係数Bに対する、リテンションタイムが2~4分の範囲に観測されるピークのシンメトリ係数Aの比(A/B)が2.61以上4.50以下であり、過塩素化単位の含有量が23.0モル%以上、65.0モル%以下であり、平均重合度が400以上、2000以下である、
    塩素化塩化ビニル樹脂。
  2. 付加塩素化量が3.3質量%以上15.3質量%以下である、請求項1記載の塩素化塩化ビニル樹脂。
  3. 下記式(1)から算出されるCが7.0以上25.0以下である、請求項1又は2に記載の塩素化塩化ビニル樹脂。

    C=(付加塩素化量)1/3×(シンメトリ係数A) (1)
  4. 請求項1又は2に記載の塩素化塩化ビニル樹脂を含有する、成形用樹脂組成物。
  5. 請求項4に記載の成形用樹脂組成物を用いて得られる、成形体。
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