以下、本発明による化粧料繰出容器の好適な実施形態について図1~図21を参照しながら説明する。図1~図3は、本発明の実施形態に係る化粧料繰出容器を示す各外観図、図4は、図3中のIV-IV線に沿う断面図であり、移動体が後退限に位置している初期状態を示す断面図、図5は、図4中のV-V線に沿う断面図、図6は、化粧料繰出容器の要部を拡大して示す断面図、図7は、図6中のVII-VII線に沿う断面図、図8及び図9は、スリーブを示す各図、図10及び図11は、バレルを示す各図、図12及び図13は、テールプラグを示す各図、図14~図17は、スクリューを示す各図、図18~図20は、移動体を示す各図、図21は、ピストンを示す斜視図である。
本実施形態の化粧料繰出容器は、例えば、アイライナー、アイブロー、リップライナー、コンシーラー等を始めとした種々の棒状化粧料を収容し、使用者が必要に応じて適量繰り出して出現させ塗布に供するものであり、特に芯径の細い棒状化粧料に好適なものである。棒状化粧料Mは、ここでは、略楕円形状(猫目形状;扁平形状)の外形を呈する細径の棒状化粧料が用いられている。
図1~図3に示すように、化粧料繰出容器100は、全体形状が筆記具の如き細長い形状を呈するものであり、容器前部を構成するスリーブ1と、容器中間部を構成しスリーブ1と同期回転可能且つ軸線方向移動不能とされたバレル2と、容器後部を構成しバレル2と相対回転可能且つ軸線方向移動不能とされたテールプラグ3と、を外形形状として備えている。
この化粧料繰出容器100では、図4に示すように、スリーブ1、バレル2及びテールプラグ3内に、棒状化粧料Mと、外周に雄螺子4aを有しスリーブ1と同期回転可能且つ軸線方向に移動可能とされ棒状化粧料Mを繰り出す(押し出す)ための移動体(ロッド)4と、内周に雄螺子4aと螺合する雌螺子5aを有しスリーブ1とテールプラグ3との間に挟まれテールプラグ3と同期回転可能とされたスクリュー5と、を収容し、バレル2(スリーブ1でも可)とテールプラグ3が、移動体4を繰り出す繰り出し方向に相対回転されると、移動体4が繰り出され、棒状化粧料Mがスリーブ1の先端の開口1aから出現し、塗布に供せるものである。
スリーブ1は、熱可塑性樹脂からなり、図8及び図9に示すように、軸線方向後端部寄りの位置の外周面に段差部(鍔部)1bを有する段付き筒状に構成されている。段差部1bは、軸線方向視において対向する円弧面同士を対向する平面同士で繋いだ略長方形の外形形状を呈し、段差部1bより後側に円筒部1cが形成され、段差部1b及び円筒部1cが、バレル2に内挿される内挿部とされる(図4参照)。
スリーブ1の円筒部1cの段差部1bより後側の外周面には、バレル2に軸線方向に係合するための凹部1dが円環状に設けられている。スリーブ1の凹部1dより後側の後端部の外周面には、周方向に沿い90°間隔で配置されて軸線方向に延びる突条1fが、バレル2に回転方向に係合するためのものとして設けられている。
スリーブ1の段差部1bより前側は、図1~図3に示すように、扁平筒状部1gとされ、この扁平筒状部1gの後半部は、段差部1bを縮径した横断面(軸線方向に直交する断面)略長方形の形状を呈し、扁平筒状部1gの前半部は、後半部の長辺及び短辺の両方が先端へ行くに従い徐々に短くなる先細り形状とされている。
スリーブ1は、その先端の開口1aから段差部1bの多少後側までが略楕円状の筒孔とされ、図4に示すように、棒状化粧料Mが通過する棒状化粧料孔1hとされている。また、略楕円状の棒状化粧料孔1hに続く筒孔は、段差部1iを介して棒状化粧料孔1hより大径の円形孔とされ、スクリュー5の先端部を内挿するための孔とされている。
バレル2は、熱可塑性樹脂等からなり、図10及び図11に示すように、軸線方向に長尺な略円筒状に構成される。バレル2は、その先端部に、スリーブ1の段差部1bを収容する凹部2aが形成されている。バレル2の凹部2aより多少後側の内周面からは、軸線方向中程過ぎまで延びる突条2bが、ここでは周方向に沿って複数(ここでは8個)が45°間隔で設けられている。突条2bは、スリーブ1の突条1fと回転不能に係合するためのものである。また、突条2bの先端部は内方へさらに突出する凸部2cを有し、凸部2cが、スリーブ1の凹部1dに軸線方向に係合するためのものとして設けられている。
突条2bは、図5に示すように、径方向内側へ垂直に延びる垂直面2dと、当該垂直面2dの頂点から略円弧状に延びる円弧面2eと、円弧面2eから下り勾配で傾斜する傾斜面2fと、を有する形状を呈し、このような形状の突条2bが内周面に周方向に沿って複数離間並設されることにより、その後端部分において、図11に示すように、スクリュー5とラチェット係合するラチェット歯(第1ラチェット歯)2gとされている。また、バレル2の後端部の内周面には、テールプラグ3を装着するための凸部2hが円環状に設けられている。
テールプラグ3は、熱可塑性樹脂等からなり、図12及び図13に示すように、段差部3aを介して後端部の外径が大径とされた段付き有底円筒状に構成される。テールプラグ3の大径の後端部より前側の小径の円筒部には、バレル2の凸部2hに軸線方向に係合するための凹部3bが円環状に設けられている。テールプラグ3の先端部の内周面には、軸線方向に所定長の延び、スクリュー5の後端部を回転方向に係合するための凹部3cが、周方向に沿って複数個(ここでは8個)設けられている。
スクリュー5は、熱可塑性樹脂等からなり、図14~図17に示すように、軸線方向に長尺な略円筒状に構成され、図14~図16に示すように、先端側から後端側へ向かって、先端部5b、第1中間部5c、第2中間部5d及び後端部5eをこの順に備えている。
先端部5bの先端内周面には、移動体4の雄螺子4aと螺合する雌螺子5aが形成されている。
第1中間部5cは、先端部5bに対して段差部5fを介して大径され、軸線方向に伸縮可能とされた所謂樹脂バネである。この第1中間部5cは、略矩形断面で一定太さ(一定厚)の円環状部5gを軸線方向に離間して複数並べ、これらの円環状部5gを、軸線方向に延び径方向に対向する一対の連結部5h,5hで連結したものである。一対の連結部5h,5hは、ここでは、軸線方向に隣り合う一対の連結部5h,5hに対して、軸線周りに90°互いにずれて配設される。そして、第1中間部5cは、上記のような円環状部5g及び連結部5h,5hを有することにより、回転方向に捩れないように(捩れ難く)なっている。この第1中間部5cは、専ら組立時の部品の寸法誤差等を吸収するためのものである。
第2中間部5dは、円筒部に、バレル2のラチェット歯2gにラチェット係合するラチェット歯(第2ラチェット歯)5iを設けた構成とされている。ラチェット歯5iは、周方向に沿った2箇所に設けられている。ラチェット歯5iは、軸線方向に延びその横断面形状が、図17に示すように、径方向外側へ垂直に延びる垂直面5jと、当該垂直面5jの頂点から略円弧状に延びる円弧面5kと、円弧面5kから下り勾配で傾斜する傾斜面5mと、を有する形状を呈している。
このラチェット歯5iが、図14に示すように、第2中間部5dの周方向に沿って対向して設けられた一対の開口5pにそれぞれ配置されて、開口5p周面から突出し径方向に可撓性を有するバネ部5nの先端部外周に設けられている。このバネ部5nの形状は、ここでは、片持ち梁状としているが、梁状であっても良く、可撓性を有する形状であれば良い。
後端部5eは、テールプラグ3に内挿される内挿部であり、図14~図17に示すように、当該後端部5eには、第2中間部5dと同径でそのまま後端へ延びる突条5qが、テールプラグ3の凹部3cに回転方向に係合するためのものとして周方向に沿って複数個(ここでは4個)設けられている。また、後端部5eの周方向に沿って突条5q,5q同士の間は凹部5uとされ、凹部5uの凹面は、テールプラグ3の先端部の凹部3cを除く内周面に内挿されて対面する面とされている。この凹部5uを形成する先端側の段差部は、テールプラグ3の先端面を突き当てるための突当面5tとされる。図16に示すように、これら後端部5e、第1中間部5c及び第2中間部5dの内径は同径とされている。
そして、ラチェット歯5iは、バレル2の内周面のラチェット歯2gにラチェット係合し得るように、第1中間部5c及び後端部5eの外周面より径方向外方へ突出する構成とされている。
移動体4は、熱可塑性樹脂等からなり、図18~図20に示すように、軸線方向に長尺とされ前半部が略楕円棒状に構成されている。移動体4は、先端部の近傍から軸線方向中程過ぎまでの軸部4bに、軸線方向に延びる雄螺子4aを、スクリュー5の雌螺子5aに螺合するものとして備えている。この雄螺子4aは、図20に示すように、軸線方向視において丸棒に形成された雄螺子の対向する位置の面を円弧面4cに形成することにより、円弧面4cを挟むようにして軸線方向に延びている。すなわち、雄螺子4aは、軸線方向に沿って断続的に螺旋を描くように設けられている。移動体4の雄螺子4a及び円弧面4cを備える軸部4b、すなわち、軸線方向視において楕円の長軸側の円弧面に雄螺子4aを備える非円形の軸部4bは、スリーブ1の軸線方向視において非円形な略楕円状の棒状化粧料孔1hに内挿される形状とされており、スリーブ1に回転方向に係合し同期回転可能(所謂回り止め)となっている。
移動体4の軸部4bより後方には、丸棒状の軸部が連設され、この軸部の後端部には、当該軸部より拡径された拡径部(突起部)4dが、バレル2とテールプラグ3の移動体4を繰り出す繰り出し方向への相対回転を阻止するためのものとして設けられている。拡径部4dは、円柱状に構成され、その外径は、スクリュー5の第1中間部5c、第2中間部5d及び後端部5eの内径より若干小さくされている(図16参照)。
移動体4の先端部には、図4に示すように、棒状化粧料Mを繰り出す(押し出す)ためのピストン6が装填されている。ピストン6は、熱可塑性樹脂、ゴム、シリコン等からなり、図21に示すように、棒状化粧料孔1hを通るべく、その断面が棒状化粧料孔1hの形状より若干小さい略楕円状に構成されている。
そして、図4に示すように、移動体4の雄螺子4aをスクリュー5の雌螺子5aに螺合し、移動体4を後退限へ螺子込んだ状態で、移動体4に螺合するスクリュー5を、その後端部5eからテールプラグ3に内挿し、その凹部5uを形成する突当面5t(図14参照)をテールプラグ3の先端面に突き当てると共に、その突条5qをテールプラグ3の凹部3cに回転方向に係合することにより、スクリュー5がテールプラグ3と同期回転可能とされる。
また、バレル2をテールプラグ3及びスクリュー5に外挿し、その後端面をテールプラグ3の段差部3aに突き当て、その凸部2hがテールプラグ3の凹部3bに軸線方向に係合することにより、バレル2がテールプラグ3と軸線方向移動不能且つ相対回転可能に装着される。
そして、スリーブ1の円筒部1c及び段差部1bが、スクリュー5の先端部5bに外挿されると共に、バレル2の先端部に内挿され、その段差部1bがバレル2の凹部2aに突き当てられて収容されると共に、その段差部1iにスクリュー5の先端面が突き当てられ、さらに、その後端面に、スクリュー5の段差部5fが当接し、この状態で、スリーブ1の凹部1dがバレル2の凸部2cに軸線方向に係合すると共に、その突条1fがバレル2の突条2bに回転方向に係合することにより、スリーブ1がバレル2に同期回転可能且つ軸線方向移動不能に装着される。この状態で、スクリュー5の第1中間部5c及び第2中間部5dが、スリーブ1とテールプラグ3との間に挟まれた状態とされている。
また、この状態で、バレル2のラチェット歯2gとスクリュー5の第2中間部5dのラチェット歯5iとは、径方向に離れた軸線方向の略同位置に位置し、従って、図5に示すように、軸線周り回転方向にラチェット係合可能な状態とされている。すなわち、ラチェット歯2g,5iは、バレル2とテールプラグ3の移動体4を繰り出す繰り出し方向への相対回転(図5においてバレル2を反時計方向へ回すこと)のみを許容し、これとは反対方向への相対回転を規制する構成とされている。
また、図4に示すように、棒状化粧料孔1h内のピストン6の前には、略楕円状で細径の棒状化粧料Mが装填されている。
このように構成された化粧料繰出容器100は、移動体4が後退限に位置する初期状態で市場に供され、使用者により、バレル2(スリーブ1でも可)とテールプラグ3が、移動体4を繰り出す繰り出し方向に相対回転されると、移動体4の雄螺子4aとスクリュー5の雌螺子5aの螺合作用が働くと共に、スリーブ1の棒状化粧料孔1hとピストン6及び移動体4とが回り止めとなっているため、移動体4が繰り出され棒状化粧料Mがピストン6に押される。
このバレル2とテールプラグ3の相対回転時に、ラチェット歯2g,5iが相対回転方向にラチェット係合/解除を繰り返して(図5参照)、クリック感が生じ、相対回転の度合いや移動体4の前進具合が使用者に感知され、当該クリック感により棒状化粧料Mを適度に押し出しスリーブ1の先端の開口1aから出現させることができ、塗布に供することができる。
そして、特に本実施形態にあっては、移動体4が繰り出されていき、図6に示すように、移動体4の拡径部4dが、スクリュー5のラチェット歯5iを外面に有するバネ部5nの径方向内側へ位置し、図7に示すように、拡径部4dがバネ部5nの内側に当接して、バネ部5nの径方向内側への撓みが規制される。ここでは、図6に示すように、拡径部4dの先端部4eがバネ部5nの後端部の内側に位置したときに、図7に示すように、拡径部4dがバネ部5nの内側に当接し(密着し)、バネ部5nの径方向内側への撓みが規制されるようになっている。
この状態では、それ以上、バレル2とテールプラグ3とを同方向へ相対回転することが阻止される。すなわち、バレル2とテールプラグ3が、移動体4を繰り出す繰り出し方向に相対回転できなくなり、移動体4は繰出限に達したことになる。そして、移動体4に回転トルクが作用することはなく、移動体4を保護できる。
また、本実施形態によれば、拡径部4dは、移動体4の後端部に形成されているため、移動体4の移動長を長くでき、棒状化粧料Mの収容量を大きくできる。
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、移動体4の繰り出しを行う化粧料繰出容器に対する適用を述べているが、第1ラチェット歯2g、第2ラチェット歯5iを、例えば三角形状(山型形状)等の第1、第2クリック歯に代え、バレル2とテールプラグ3の両方向への相対回転を可能としてクリック係合/解除を繰り返しクリック感を付与しつつ、移動体4を繰り出し/繰り戻せるようにしても良い。この場合、例えば移動体4の繰り戻しにより、移動体4の先端(ここではピストン6)と棒状化粧料Mとの間に負圧を生じさせて棒状化粧料Mを繰り戻すようにしても良い。また、移動体4の先端部のピストン6に代えて、例えば芯チャックのように棒状化粧料Mを把持可能な化粧料把持体を用いることにより、移動体4の繰り出し/繰り戻しに伴い、棒状化粧料Mを繰り出し/繰り戻すようにしても良い。何れの場合であっても、バネ部5nの径方向内側に移動体4の拡径部4dが位置し、それ以上のバレル2とテールプラグ3との同方向への相対回転が不能となるため、移動体4に回転トルクが作用することはなく、移動体4を保護できる。
また、上記実施形態においては、特に好ましいと、拡径部4dを移動体4の後端部に設けているが、移動体4の軸線方向途中に設けるようにしても良い。
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、径方向に可撓性を有するバネ部5nを周方向に複数(ここでは2個)設けているが、1個でも3個以上であっても良い。
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、略楕円形状の棒状化粧料Mに対する適用を述べているが、断面円形、角形、扁平形等であっても良い。勿論、スリーブ、バレル、テールプラグ等の部品の外形状も、断面円形、角形、扁平形、楕円等種々の中から適宜採用できる。
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、棒状化粧料Mに対する適用を述べているが、液状化粧料やジェル状の化粧料等、他の化粧料に対しても適用できる。