JP7471537B2 - 劣化判別装置および劣化判別方法 - Google Patents

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Description

本開示は、劣化判別装置および劣化判別方法に関する。
電動機は、回転子鉄心および回転子鉄心の外周面に形成されるスロットに挿入される回転子導体または永久磁石を有する回転子と、固定子鉄心および固定子鉄心の内周面に形成されるスロットに挿入される固定子コイルを有する固定子と、を備える。電動機はさらに、固定子鉄心と固定子コイルとを絶縁する絶縁部材を備える。絶縁部材が劣化すると電動機の内部での短絡、電動機の外部への地絡等が生じる可能性があるため、絶縁部材の劣化の程度を定期的に確認することが好ましい。
しかしながら、鉄道車両に搭載される電動機は大型であり、車両の床下の台車に取り付けられるため、台車からの電動機の取り外し、電動機の分解等を含む保守作業が繁雑である。このため、頻繁に電動機の絶縁部材の劣化の有無を確認することはできない。そこで、電動機を分解することなく、絶縁部材の劣化の有無を判別することが好ましい。絶縁部材の劣化の有無を判別する装置の一例が特許文献1に開示されている。
特開2020-20611号公報
特許文献1に開示される制御装置は、電動機に流れる電流の値に基づいて、電動機が有する絶縁部材の劣化の有無を判別する。電動機に流れる電流は、電動機に電力を供給する電力変換装置が有するスイッチング素子のスイッチング動作に起因する高調波成分を含む。このため、電動機に流れる電流に基づいて、電動機が有する絶縁部材の劣化の有無を精度よく判別することは難しい。
本開示は上述の事情に鑑みてなされたものであり、精度よく電動機が有する絶縁部材の劣化の有無を判別する劣化判別装置および劣化判別方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示の劣化判別装置は、アンテナと、劣化判別部と、を備える。アンテナは、電動機が有する絶縁部材で起きる部分放電に起因して放射されるマイクロ波周波数帯の電磁波を受信して受信信号を生成する。劣化判別部は、受信信号の信号強度の位相特性と絶縁部材の劣化の種別に応じて定められている位相特性パターンとを比較し、絶縁部材の劣化の有無、ならびに、絶縁部材の劣化の要因および劣化している絶縁部材の位置の少なくともいずれかを含む絶縁部材の劣化の種別を判別する。
本開示に係る劣化判別装置は、電動機が有する絶縁部材で起きる部分放電に起因して放射される電磁波から生成された受信信号が基準を満たすか否かに基づいて、絶縁部材の劣化の有無を判別する。受信信号は、電動機に電力を供給する電力変換装置が有するスイッチング素子のスイッチング動作に起因する高調波成分の影響を受けないため、劣化判別装置は、精度よく絶縁部材の劣化の有無を判別することが可能となる。
実施の形態1に係る劣化判別装置が搭載される鉄道車両を示す図 実施の形態1に係る劣化判別装置が備えるアンテナの取付位置の例を示す図 実施の形態1に係る劣化判別装置のブロック図 実施の形態1に係る劣化判別装置のハードウェア構成を示す図 実施の形態1に係る劣化判別装置が行う劣化判別処理の動作の一例を示すフローチャート 実施の形態1における信号強度の位相特性の一例を示す図 実施の形態1における信号強度の位相特性の一例を示す図 実施の形態1における信号強度の位相特性の一例を示す図 実施の形態1における信号強度の位相特性の一例を示す図 実施の形態1における信号強度の位相特性の一例を示す図 実施の形態1における信号振幅の位相特性の一例を示す図 実施の形態2に係る劣化判別装置が備えるアンテナの取付位置の例を示す図 実施の形態2に係る劣化判別装置が備えるアンテナの取付位置の例を示す図 実施の形態3に係る劣化判別装置のブロック図 実施の形態に係る劣化判別装置のハードウェア構成の変形例を示す図
以下、本開示の実施の形態に係る劣化判別装置および劣化判別方法について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
(実施の形態1)
電力変換装置から供給される電力によって駆動される電動機が有する絶縁部材の劣化の有無を判別する劣化判別装置について、実施の形態1で説明する。図1に示すように、鉄道車両100は、1つまたは複数の車両51と、レール101上を移動可能であって、各車両51を支持する台車40と、電力供給線102を介して図示しない変電所から供給される電力を取得する集電装置52と、を備える。図1において、X軸方向は、車両51の幅方向を示す。Y軸方向は、鉄道車両100の進行方向を示す。Z軸は、X軸およびY軸のそれぞれに直交する。鉄道車両100が水平に位置している状態で、Z軸方向は、鉛直方向を示す。
車両51の少なくとも1つは、電動車である。図1には、電動車である車両51が示されている。各車両51には、2台の台車40が設けられる。図1では、一方の台車40のみが記載されている。集電装置52は、例えば、電力供給線102である架線を介して電力を取得するパンタグラフ、または、電力供給線102である第三軌条を介して電力を取得する集電靴である。
鉄道車両100はさらに、電動車である車両51の床下に設けられ、集電装置52が取得した電力を変換して出力する電力変換装置53と、台車40に設けられ、電力変換装置53が出力する電力によって駆動される1つまたは複数の電動機41と、を備える。実施の形態1では、1つの台車40に2つの電動機41が取り付けられている。電力変換装置53と各電動機41は、電線54で接続されている。電線54を介して、電力変換装置53から各電動機41に電力が供給される。
実施の形態1では、鉄道車両100は、直流き電方式の鉄道車両である。この場合、電力変換装置53は、集電装置52が取得した直流電力を三相交流電力に変換し、三相交流電力を各電動機41に供給するインバータ55と、インバータ55を制御するインバータ制御装置56と、を有する。実施の形態1では、各電動機41は三相電動機であって、電力変換装置53が有するインバータ55から供給される三相交流電力によって駆動される。
電動機41の構成の詳細については図示しないが、電動機41は、回転可能に支持されるシャフトと、回転子鉄心および回転子鉄心の外周面に形成されるスロットに挿入される回転子導体または永久磁石を有する回転子と、固定子鉄心および固定子鉄心の内周面に形成されるスロットに挿入される固定子コイルを有する固定子と、を備える。電動機41はさらに、固定子鉄心と固定子コイルとを絶縁する絶縁部材と、互いに隣接する固定子コイル同士を絶縁する絶縁部材と、を備える。
台車40を鉛直方向上部から見た図である図2に示すように、台車40は、電動機41のシャフトに接続されている継手43と、継手43を介して電動機41から伝達された回転力を車軸45に伝達する歯車装置44と、車軸45と、車軸45の両端に取り付けられる車輪42と、を備える。電動機41が駆動されると、電動機41のシャフトが回転し、シャフトの回転力が継手43および歯車装置44を介して、車軸45に伝達される。そして、車軸45の回転にともなって、車軸45の両端に取り付けられる車輪42が回転し、鉄道車両100の推進力が得られる。
図1に示す電力変換装置53が有するインバータ55の入力端子には、集電装置52から高電圧が印加される。高電圧とは、例えば、直流では400V以上、3000V以下の電圧である。インバータ55がインバータ制御装置56によってPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御される場合、インバータ55から出力される高電圧のパルス電圧が、電動機41が有する固定子コイル、具体的には、U相コイル、V相コイル、およびW相コイルのそれぞれに印加される。
パルス電圧には、パルス電圧の立ち上がり時に瞬間的に生じる高電圧のサージ電圧が重畳されている。サージ電圧は、電線54が長くなるにつれて増大する。増大したサージ電圧が重畳されているパルス電圧が電動機41に印加されると、電動機41が有する絶縁部材において部分放電が生じる。詳細には、電動機41において、固定子鉄心と固定子コイルとを絶縁する絶縁部材、互いに隣接する固定子コイル同士を絶縁する絶縁部材等で、部分放電が生じる。
部分放電に起因して、マイクロ波周波数帯の電磁波、具体的には、300MHz以上、かつ、300GHz以下の電磁波が放射される。絶縁部材が劣化していると、部分放電によって生じるマイクロ波周波数帯の電磁波の振幅が増大する。そこで、図3に示す実施の形態1に係る劣化判別装置1は、部分放電によって生じるマイクロ波周波数帯の電磁波に基づいて、絶縁部材の劣化の有無を判別する。
劣化判別装置1は、部分放電に起因して放射されるマイクロ波周波数帯の電磁波を受信して受信信号を生成する1つまたは複数のアンテナ10と、アンテナ10が生成した受信信号の振幅または信号強度の位相特性に基づいて、電動機41の劣化の有無を判別する劣化判別部20と、を備える。
各アンテナ10は、マイクロ波周波数帯の電磁波を受信する。実施の形態1では、アンテナ10は、アンテナ素子が形成される面が電動機41に向いた状態で設けられる平面アンテナである。アンテナ10は、電動機41に隣接した位置に設けられることが好ましい。実施の形態1では、図2に示すように、各電動機41が有するフレームの外周面の鉛直方向上部に、例えばマイクロストリップアンテナであるアンテナ10が取り付けられる。詳細には、アンテナ10は、電動機41が備える固定子の内、固定子コイルの近傍に設けられることが好ましい。一例として、アンテナ10は、U相電流が流れる固定子コイルであるU相コイルの近傍に設けられればよい。
図3に示すように、劣化判別部20は、複数のアンテナ10から受信信号を取得し、各アンテナ10に対応する電動機41が有する絶縁部材の劣化の有無を判別する。詳細には、劣化判別部20は、各受信信号が基準を満たすか否かに基づいて、電動機41が有する絶縁部材の劣化の有無を判別する。例えば、劣化判別部20は、電動機41の相電圧に対する受信信号の位相特性に基づいて、電動機41が有する絶縁部材の劣化の有無を判別する。実施の形態1では、劣化判別部20は、各受信信号の信号強度の位相特性が、定められた位相特性パターンに一致するか否かに基づいて、電動機41が有する絶縁部材の劣化の有無を判別する。劣化判別部20は、各受信信号の位相ごとの信号強度を検出する検出器21と、各受信信号の強度の位相特性に基づいて、各電動機41の絶縁部材の劣化の有無を判別する位相特性判別部22と、を有する。
アンテナ10と検出器21との距離が長くなるにつれて、受信信号に重畳するノイズが増大するため、検出器21は、図2に示すように、アンテナ10に隣接した位置に設けられることが好ましい。実施の形態1では、2つのアンテナ10に対して、1つの検出器21が設けられる。各検出器21は台車40の上面に取り付けられる。図3に示す検出器21は、各アンテナ10から受信した受信信号に対して、ノイズ除去、A-D(Analog-to-Digital)変換、検波等の信号処理を行う。そして、検出器21は、信号処理を施した受信信号について、定められた検出時間、例えば、5秒間に亘って、受信信号の信号強度を定められた検出タイミング、例えば、10ミリ秒ごとに検出する。
そして、検出器21は、電動機41に印加されるパルス電圧、具体的には、電動機41のU相電圧の位相を基準にして、検出された信号強度と位相とを対応付ける。例えば、アンテナ10がU相コイルの近傍に設けられている場合、検出器21は、インバータ制御装置56からU相電圧指令値を取得し、U相電圧指令値が立ち上がる時点を位相0度として、検出された信号強度と位相とを対応付けたデータである検出データを位相特性判別部22に送信する。
位相特性判別部22は、検出器21から取得した検出データが示す受信信号の位相特性に応じて、各電動機41が有する絶縁部材の劣化の有無を判別する。さらに、位相特性判別部22は、受信信号の位相特性と絶縁部材の劣化の種別に応じて定められている位相特性パターンとを比較し、絶縁部材の劣化の種別を判別することが好ましい。そして、位相特性判別部22は、絶縁部材の劣化の有無を示す判別結果、または、絶縁部材の劣化の有無および絶縁部材の劣化の種別を示す判別結果を出力装置30に送信する。
検出器21を除いた劣化判別部20、すなわち、位相特性判別部22は、例えば運転台に設けられる。検出器21と位相特性判別部22は、鉄道車両100に引き通されている伝送線によって接続される。
出力装置30は、例えば運転台に設けられている表示装置であり、位相特性判別部22の判別結果を出力する。詳細には、出力装置30は、位相特性判別部22の判別結果を画面に表示する。
上記構成を有する劣化判別装置1が備える劣化判別部20のハードウェア構成を図4に示す。劣化判別部20は、プロセッサ61と、メモリ62と、インターフェース63と、を備える。プロセッサ61、メモリ62、およびインターフェース63は互いにバス60で接続されている。検出器21および位相特性判別部22の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ62に格納される。プロセッサ61が、メモリ62に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、上述の各部の機能が実現される。すなわち、メモリ62には、検出器21および位相特性判別部22の処理を実行するためのプログラムが格納される。
メモリ62は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)等を含む。
上記構成を有する劣化判別装置1の動作について以下に説明する。
劣化判別装置1は、電力変換装置53が有するインバータ55が動作を開始すると、図5に示す劣化判別処理を開始する。例えば、劣化判別装置1は、インバータ制御装置56から、U相電圧指令値を取得し、U相電圧指令値の立ち上がりを検出すると、劣化判別処理を開始する。
検出器21は、アンテナ10から取得した受信信号に対して信号処理を施し、信号強度を検出し、検出された信号強度とインバータ制御装置56から取得したU相電圧指令値が示す位相とを対応付けて検出データを生成する(ステップS11)。位相特性判別部22は、ステップS11で生成された検出データが示す受信信号の信号強度の位相特性、具体的には、位相に応じた受信信号の信号強度の変化に基づいて、電動機41が有する絶縁部材の劣化の有無を判別する(ステップS12)。
電動機41が有する絶縁部材の劣化が生じていない場合に得られる検出データをXY座標にプロットすると、例えば、図6に示すように受信信号の信号強度の位相特性が得られる。図6の横軸は、位相(単位:度)を示し、縦軸は、信号強度(単位:dBm)を示す。アンテナ10が出力する受信信号の電力が、例えば、10-9mW以上、かつ、10-3mW以下である場合、図6に示すように、電力を変換して得られる信号強度は-90dBm以上、かつ、-30dBm以下となる。
実施の形態1では、位相特性判別部22は、受信信号の信号強度の位相特性が、図6に示す位相特性パターンと同様の特徴を有するとみなせる場合に、絶縁部材の劣化が生じていないと判別する。具体的には、位相特性判別部22は、図6のように、信号強度が下限値、例えば-90dBmより大きい検出データの位相が0度、180度、または360度の近傍の値であり、信号強度が正常時強度範囲、例えば、-70dBm以下にある場合に、絶縁部材の劣化が生じていないと判別する。
位相特性判別部22は、電動機41が有する絶縁部材の劣化が生じていない状態で電動機41を駆動させて得られる検出データを正常時の位相特性パターンとして予め保持している。さらに、位相特性判別部22は、電動機41が有する絶縁部材が劣化としている状態で電動機41を駆動させて得られる検出データを劣化発生時の位相特性パターンとして予め保持している。図6に示す正常時の位相特性パターンおよび図7から図10に示す劣化発生時の位相特性パターンは、一例である。
位相特性判別部22は、機械学習により、正常時の位相特性パターンおよび劣化発生時の位相特性パターンを学習すればよい。例えば、電動機41が有する絶縁部材が劣化していない状態で電動機41を駆動させて得られる検出データ、および、電動機41が有する絶縁部材の劣化の種別、具体的には、絶縁部材の劣化種別ごとに、絶縁部材を劣化させた電動機41を駆動させて得られる検出データが図示しないメモリに記憶される。詳細には、検出データに対して、絶縁部材の劣化の有無および絶縁部材の劣化種別を示すラベルが対応付けられて、学習用データとして、メモリに記憶される。絶縁部材の劣化種別は、絶縁部材の劣化の要因、劣化している絶縁部材の位置等、絶縁部材の劣化を分類するために予め定められたものである。
位相特性判別部22は、学習用データから、位相特性パターンを学習する。機械学習の手法として、例えば、ニューラルネットワーク手法が用いられる。位相特性判別部22は、絶縁部材の劣化の有無、および、絶縁部材が劣化している場合には絶縁部材の劣化種別に応じて、学習用データに基づいて、位相ごとの信号強度の変化、具体的には、信号強度の分散、平均値、最大値等の特徴を検出し、位相特性パターンを認識する。そして、位相特性判別部22は、正常時の位相特性パターンおよび絶縁部材の劣化種別ごとに位相特性パターンを特定し、記憶する。その後、位相特性判別部22は、正常時の位相特性パターンおよび絶縁部材の劣化種別ごとの位相特性パターンに基づいて、絶縁部材の劣化の有無および絶縁部材の劣化の種別の判別を行う。
下限値は、上述のように、受信信号の電力に応じて定められる。位相が0度の近傍にあるとは、例えば、位相が0度以上かつ10度以下の範囲にあることを示す。位相が180度の近傍にあるとは、例えば、位相が170度以上かつ190度以下の範囲であることを示す。位相が360度の近傍にあるとは、例えば、位相が350度以上かつ360度未満の範囲にあることを示す。正常時強度範囲は、例えば、電動機41が有する絶縁部材に劣化が生じていない状態で受信信号の信号強度が取り得る値に応じて定められる。
詳細には、位相特性判別部22は、信号強度が下限値より大きく、位相が0度、180度、または360度の近傍の値である検出データの個数をカウントする。位相特性判別部22は、カウントした検出データの個数が第1閾値以上であれば、信号強度が下限値より大きい検出データの位相が0度、180度、または360度の近傍の値であるため、絶縁部材の劣化は生じていないと判別する。第1閾値は、例えば、検出データの総数に0.5を乗算した値である。換言すれば、第1閾値は、検出器21における検出期間を検出タイミングの間隔で乗算して得られる値に0.5を乗算した値である。
図5に示すように、位相特性判別部22が、絶縁部材の劣化が生じていないと判別した場合(ステップS13;No)、ステップS14の処理は行われない。そして、位相特性判別部22は、絶縁部材の劣化が生じていないことを示す判別結果を出力装置30に送信する(ステップS15)。
一方、位相特性判別部22は、信号強度の位相特性が図6に示す位相特性パターンと同様の特徴を有するとみなせないため、絶縁部材の劣化が生じていると判別した場合(ステップS13;Yes)、位相特性判別部22は、絶縁部材の劣化の種別を判別する(ステップS14)。
ステップS14において、位相特性判別部22は、受信信号の信号強度の位相特性と絶縁部材の劣化の種別に応じて定められた位相特性パターンとを比較することで、絶縁部材の劣化の種別を判別する。
一例として、位相特性判別部22は、図7に示す位相特性パターンを、固定子コイルのコイルエンドの絶縁部材の汚損に対応する位相特性パターンとして保持している。位相特性判別部22は、受信信号の信号強度の位相特性が図7に示す位相特性パターンと同様の特徴を有するとみなせる場合、固定子コイルのコイルエンドの絶縁部材に汚損が生じていると判別する。詳細には、位相特性判別部22は、図7に示すように、信号強度が下限値より大きい検出データの位相が0度、180度、または360度の近傍に集中しているが、信号強度が正常時強度範囲より高い場合、固定子コイルのコイルエンドの絶縁部材に汚損が生じていると判別する。
例えば、位相特性判別部22は、図6に示す位相特性パターンと比較する際と同様に、信号強度が下限値より大きく、位相が0度、180度、または360度の近傍に位置する検出データの個数をカウントする。さらに、位相特性判別部22は、信号強度が正常時強度範囲より高い検出データの個数をカウントする。信号強度が正常時強度範囲より高い検出データの個数が、第2閾値以上であれば、位相特性判別部22は、信号強度が正常時強度範囲より高いとみなすことができる。第2閾値は、異常値に基づく誤った判別を防ぐために定められた値である。第2閾値は、例えば、検出データの総数に0.1を乗算した値である。換言すれば、第2閾値は、検出器21における検出期間を検出タイミングの間隔で除算して得られる値に0.1を乗算した値である。
他の一例として、位相特性判別部22は、図8に示す位相特性パターンを、固定子コイルに取り付けられた熱電対の周囲の絶縁部材の劣化に対応する位相特性パターンとして保持している。熱電対は、固定子コイルの温度を測定するために、固定子コイルが挿入される固定子鉄心のスロットにおいて、固定子コイルと固定子鉄心に挟まれる位置に設けられる。位相特性判別部22は、受信信号の信号強度の位相特性が図8に示す位相特性パターンと同様の特徴を有するとみなせる場合、固定子コイルに取り付けられた熱電対の周囲の絶縁部材が劣化していると判別する。詳細には、位相特性判別部22は、図8に示すように、信号強度が正常時強度範囲より高い検出データの位相が0度以上かつ90度以下の範囲または180度以上かつ270度以下の範囲にある場合、固定子コイルに取り付けられた熱電対の周囲の絶縁部材が劣化していると判別する。
例えば、位相特性判別部22は、信号強度が正常時強度範囲より高く、位相が0度以上かつ90度以下の範囲または180度以上かつ270度以下の範囲にある検出データの個数をカウントする。位相特性判別部22は、カウントした検出データの個数が第1閾値以上であれば、信号強度が正常時強度範囲より高い検出データの位相が0度以上かつ90度以下の範囲または180度以上かつ270度以下の範囲にあるため、固定子コイルに取り付けられた熱電対の周囲の絶縁部材が劣化していると判別する。
他の一例として、位相特性判別部22は、図9に示す位相特性パターンを、固定子コイルの電極の周囲の絶縁部材の剥離に対応する位相特性パターンとして保持している。位相特性判別部22は、信号強度の位相特性が図9に示す位相特性パターンと同様の特徴を有するとみなせる場合、固定子コイルの電極の周囲の絶縁部材が剥離していると判別する。詳細には、位相特性判別部22は、図9に示すように、信号強度が下限値より高い検出データの位相が180度以上かつ270度以下の範囲にある場合、固定子コイルの電極の周囲の絶縁部材が剥離していると判別する。
例えば、位相特性判別部22は、信号強度が下限値より高く、位相が180度以上かつ270度以下の範囲にある検出データの個数をカウントする。位相特性判別部22は、カウントした検出データの個数が第3閾値以上であれば、信号強度が正常時強度範囲より高い検出データの位相が180度以上かつ270度以下の範囲にあるため、固定子コイルの電極の周囲の絶縁部材が剥離していると判別する。第3閾値は、例えば、検出データの総数に0.8を乗算した値である。換言すれば、第3閾値は、検出器21における検出期間を検出タイミングの間隔で除算して得られる値に0.8を乗算した値である。
他の一例として、位相特性判別部22は、図10に示す位相特性パターンを、互いに隣接する固定子コイルの間の絶縁部材の劣化に対応する位相特性パターンとして保持している。位相特性判別部22は、信号強度の位相特性が図10に示す位相特性パターンと同様の特徴を有するとみなせる場合、互いに隣接する固定子コイルの間の絶縁部材が劣化していると判別する。図10の横軸は、位相(単位:度)を示し、縦軸は、信号強度(単位:V)を示す。図10の縦軸の0Vは、図6の-90dBmに相当し、図10の縦軸の100Vは、図10の-30dBmに相当する。位相特性判別部22は、図10に示すように、信号強度が下限値、例えば、0Vより高い検出データの位相が180度の近傍を除く範囲にある場合、互いに隣接する固定子コイルの間の絶縁部材が劣化していると判別する。
詳細には、位相特性判別部22は、信号強度が下限値より高く、位相が0度以上かつ170度以下の範囲または190度以上かつ360度未満の範囲にある検出データの個数をカウントする。位相特性判別部22は、カウントした検出データの個数が第3閾値以上であれば、信号強度が下限値より高い検出データの位相が180度の近傍を除く範囲にあるため、互いに隣接する固定子コイルの間の絶縁部材が劣化していると判別する。
他の一例として、位相特性判別部22は、信号強度の位相特性が図11に示す位相特性パターンと同様の特徴を有するとみなせる場合、固定子コイルのコイルエンドに針状の金属製の異物が付着しているために、コイルエンドの絶縁部材が劣化していると判別する。詳細には、位相特性判別部22は、図11に示すように、信号強度が下限値より高い検出データの位相が0度以上かつ90度以下の範囲または330度以上かつ360度未満の範囲にある場合、固定子コイルのコイルエンドに針状の金属製の異物が付着しているために、コイルエンドの絶縁部材が劣化していると判別する。
例えば、位相特性判別部22は、信号強度が下限値より高く、位相が0度以上かつ90度以下の範囲または330度以上かつ360度未満の範囲にある検出データの個数をカウントする。位相特性判別部22は、カウントした検出データの個数が第3閾値以上であれば、信号強度が下限値より高い検出データの位相が0度以上かつ90度以下の範囲または位相が330度以上かつ360度未満の範囲にあるため、固定子コイルのコイルエンドに針状の金属製の異物が付着しているために、コイルエンドの絶縁部材が劣化していると判別する。
上述のように絶縁部材の劣化の種別を判別した位相特性判別部22は、図5に示すように、絶縁部材の劣化が生じていること、および、絶縁部材の劣化の種別を示す判別結果を出力装置30に送信する(ステップS15)。
ステップS15の処理が完了すると、劣化判別装置1は、劣化判別処理を終了する。劣化判別装置1は、電力変換装置53が有するインバータ55が動作を停止するまで、上述の処理を繰り返し行う。例えば、劣化判別装置1は、U相電圧指令値が一定時間以上変化しない場合に、インバータ55が動作を停止しているとみなし、劣化判別処理を繰り返し行わない。
以上説明した通り、実施の形態1に係る劣化判別装置1は、マイクロ波周波数帯の電磁波から生成された受信信号の信号強度の位相特性に基づいて、電動機41が有する絶縁部材の劣化の有無を判別する。このため、電力変換装置53が備えるインバータ55が有するスイッチング素子のスイッチング動作に起因する高調波成分の影響を受けることがなく、精度よく電動機41が有する絶縁部材の劣化の有無を判別することが可能となる。
さらに、位相特性判別部22が、受信信号の信号強度の位相特性と絶縁部材の劣化の種別に応じて定められている位相特性パターンとの比較に基づいて、電動機41が有する絶縁部材の劣化の種別を判別することで、出力装置30に電動機41が有する絶縁部材の劣化の種別を通知することが可能となる。絶縁部材の劣化の種別が特定されるため、絶縁部材の劣化に応じた保守作業を行うことが可能となり、効率的に電動機41の保守作業を行うことが可能となる。
(実施の形態2)
アンテナ10および劣化判別装置1の設置位置は上述の例に限られない。鉄道車両100に搭載されないアンテナ10および劣化判別装置1について実施の形態2で説明する。
劣化判別装置1の構成は実施の形態1と同様である。実施の形態2に係る劣化判別装置1において、図12および図13に示すように、2つのアンテナ10は、鉄道車両100が走行する2本のレール101の間に設けられる。図12において、2本のレール101の内、X軸正方向側のレール101を点線で示す。2つのアンテナ10の相対的な位置関係は、台車40における2つの電動機41の位置に応じて定められる。2つのアンテナ10に隣接した位置に検出器21が設けられる。
詳細には、各アンテナ10は、例えば駅または車両基地等の鉄道車両100が低速、具体的には時速10キロメートル以下で走行する区間のレール101に隣接した位置に設けられる。
実施の形態2では、各アンテナ10は、アンテナ素子が形成される面が鉛直方向上部に向いた状態で、2本のレール101の間に設けられる平面アンテナである。
検出器21は、鉄道車両100に搭載されている通信機器を介して、鉄道車両100に搭載されている電力変換装置53が有するインバータ制御装置56からU相電圧指令値を取得する。例えば、検出器21は、鉄道車両100に搭載されている無線通信機器から、U相電圧指令値を示すデータを取得する。そして、検出器21は、実施の形態1と同様に、アンテナ10から取得した受信信号に信号処理を施して、信号処理を施した受信信号の信号強度とU相電圧指令値が示す位相とを対応付けて検出データを生成する。
検出器21を除いた劣化判別部20、すなわち、位相特性判別部22は、駅または車両基地等に設置されている地上設備に設けられればよい。劣化判別部20は、実施の形態1と同様に、検出器21から取得した検出データに基づいて、電動機41が有する絶縁部材の劣化の有無を判別し、判別結果を出力装置30に送信する。
出力装置30は、鉄道車両100の走行情報および鉄道車両100の編成情報に応じて、劣化判別装置1によって絶縁部材の劣化の有無が判別された電動機41を特定し、判別結果と特定された電動機41とを対応付けて出力する。詳細には、出力装置30は、鉄道車両100の走行情報および編成情報、ならびに、劣化判別装置1における劣化判別処理に要する時間に基づいて、劣化判別装置1における劣化判別処理が行われた際にアンテナ10の上部に位置した電動機41を特定する。
以上説明した通り、実施の形態2に係る劣化判別装置1は、レール101に隣接した位置に設けられるアンテナ10が生成する受信信号の信号強度の位相特性に基づいて、電動機41が有する絶縁部材の劣化の有無を判別する。このため、電動機41ごとにアンテナ10を設ける必要がなく、電動機41が有する絶縁部材の有無を判別する構成が簡易である。
(実施の形態3)
実施の形態1,2に係る劣化判別装置1は、受信信号の信号強度の位相特性に基づいて絶縁部材の劣化の有無を判別するが、受信信号の信号波形に基づいて絶縁部材の劣化の有無が判別されてもよい。受信信号の信号波形に基づいて電動機41が有する絶縁部材の劣化の有無を判別する劣化判別装置2について実施の形態3で説明する。
図14に示す劣化判別装置2が備える劣化判別部23は、サンプリング時間ごと、例えば、10ミリ秒ごとに各受信信号の信号値を検出する検出器24と、各受信信号の信号値を比較することで、電動機41が有する絶縁部材の劣化の有無を判別する比較部25と、を備える。劣化判別部23のハードウェア構成は、実施の形態1に係る劣化判別装置1が備える劣化判別部20と同様である。ただし、劣化判別部23は、インバータ制御装置56と通信する必要はない。
各アンテナ10は、同相のコイルの近傍に設けられる。例えば、各アンテナ10は、電動機41が有するU相コイルの近傍に設けられる。
検出器24は、共通の電力変換装置53から供給される電力で駆動される複数の電動機41に対応する複数のアンテナ10から受信した複数の受信信号のそれぞれに対して、ノイズ除去、A-D変換、検波等の信号処理を行う。そして、検出器24は、信号処理を施した複数の受信信号のそれぞれについて、時間領域の信号波形の信号値をサンプリング時間ごとに検出し、各信号値を比較部25に送信する。
比較部25は、複数の受信信号に応じて検出器24で検出された複数の信号値を比較する。比較部25は、複数の信号値の差が差分閾値未満、例えば、10%未満であれば、複数の信号値は一致しているとみなす。複数の信号値が一致している場合、共通の電力変換装置53から供給される電力で駆動される複数の電動機41は同様に動作しているとみなすことができる。このため、比較部25は、複数の信号値の差が閾値未満である場合、絶縁部材の経年劣化を除く劣化、例えば、異物の付着による絶縁部材の劣化は生じていないと判別する。
一方、比較部25は、複数の信号値の差が差分閾値以上、例えば、10%以上であれば、複数の信号値は一致していないとみなす。複数の信号値が一致していない場合、共通の電力変換装置53から供給される電力で駆動される複数の電動機41は異なった動作をしているとみなすことができる。このため、比較部25は、複数の信号値の差が閾値以上である場合、絶縁部材の経年劣化を除く劣化、例えば、異物の付着による絶縁部材の劣化が生じていると判別する。
絶縁部材の劣化の誤判定を防ぐために、比較部25は、対象期間、例えば、1秒間に亘って、複数の信号値の比較を繰り返し、複数の信号値の差が差分閾値以上となる回数が判定閾値以上であれば、絶縁部材の経年劣化を除く劣化が生じていると判別してもよい。判定閾値は、例えば、対象期間をサンプリング周期で除算した値に0.1を乗算して得られる値である。
比較部25は、上述の複数の信号値の比較結果に基づく絶縁部材の劣化の有無を示す判別結果を出力装置30に送信する。
以上説明した通り、実施の形態3に係る劣化判別装置2は、マイクロ波周波数帯の電磁波から生成された受信信号の信号波形に基づいて、電動機41が有する絶縁部材の劣化の有無を判別することを可能とする。
本開示は上述した実施の形態に限られない。上記のハードウェア構成およびフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
劣化判別部20は、図15に示すように、処理回路71で実現されてもよい。処理回路71は、インターフェース回路72を介して、アンテナ10、インバータ制御装置56および出力装置30に接続される。処理回路71が専用のハードウェアである場合、処理回路71は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものである。検出器21および位相特性判別部22のそれぞれが個別の処理回路71で実現されてもよいし、検出器21および位相特性判別部22は共通の処理回路71で実現されてもよい。劣化判別部23についても同様である。
劣化判別部20が備える検出器21および位相特性判別部22の各機能の一部が専用のハードウェアで実現され、他の一部がソフトウェアまたはファームウェアで実現されてもよい。例えば、検出器21は図15に示す処理回路71で実現され、位相特性判別部22は図4に示すプロセッサ61がメモリ62に格納されたプログラムを読み出して実行することで実現されてもよい。
アンテナ10の取付位置は、上述の例に限られず、部分放電によって生じる電磁波を受信可能な位置であれば任意である。一例として、アンテナ10は、V相電流が流れる固定子コイルであるV相コイルまたはW相電流が流れる固定子コイルであるW相コイルの近傍に設けられてもよい。他の一例として、アンテナ10は、電動機41に接続されるケーブルに取り付けられてもよい。電動機41がフレームレスモータである場合、アンテナ10は、固定子鉄心の外周面に取り付けられてもよい。
アンテナ10は平面アンテナに限られず、電動機41が有する絶縁部材で生じる部分放電に起因して放射される電磁波を受信可能であって、対象でない電動機41から放射される電磁波との干渉を抑制可能な任意の指向性アンテナである。
検出器21は、電動機41のV相電圧の位相を基準にして、検出された信号強度と位相とを対応付けたデータである検出データを位相特性判別部22に送信してもよい。あるいは、検出器21は、電動機41のW相電圧の位相を基準にして、検出された信号強度と位相とを対応付けたデータである検出データを位相特性判別部22に送信してもよい。
位相特性判別部22は、受信信号の信号強度の位相特性および電動機41の稼動状況の履歴に基づいて、電動機41が有する絶縁部材の劣化の有無を判別してもよい。電動機41の稼動状況は、インバータ55の動作時間、インバータ55のスイッチング周波数、電動機41の回転速度、電動機41の温度、および電動機41が取り付けられている台車40が支持する車両51の乗車率の少なくともいずれかを含む。
一例として、位相特性判別部22は、電動機41の稼動中の回転速度の平均値に応じて、図6に示す正常時の位相特性パターンを複数パターン保持する。そして、位相特性判別部22は、受信信号の信号強度の位相特性と、電動機41の稼動中の回転速度の平均値に応じた位相特性パターンとを比較することで、電動機41が有する絶縁部材の劣化の有無を判別する。
他の一例として、位相特性判別部22は、電動機41の稼動中の温度の平均値に応じて、図7に示す絶縁部材の劣化が生じている際の位相特性パターンを複数パターン保持する。そして、位相特性判別部22は、受信信号の信号強度の位相特性と、電動機41の稼動中の温度の平均値に応じた位相特性パターンとを比較することで、電動機41が有する絶縁部材の劣化の種別を判別する。
位相特性判別部22は、列車情報管理システムの一機能として実現されてもよい。同様に、比較部25は、列車情報管理システムの一機能として実現されてもよい。
位相特性判別部22は、電動機41が有する絶縁部材の劣化の有無のみを判別してもよい。その場合、図5におけるステップS15は実行されなくてもよい。
電動機41は、三相誘導電動機および三相同期電動機のいずれでもよい。さらに、電動機41は、三相電動機に限られず、例えば、単相電動機または直流電動機等でもよい。電動機41は、インナーローターでもアウターローターでもよい。
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、この開示の範囲内とみなされる。
1,2 劣化判別装置、10 アンテナ、20,23 劣化判別部、21,24 検出器、22 位相特性判別部、25 比較部、30 出力装置、40 台車、41 電動機、42 車輪、43 継手、44 歯車装置、45 車軸、51 車両、52 集電装置、53 電力変換装置、54 電線、55 インバータ、56 インバータ制御装置、60 バス、61 プロセッサ、62 メモリ、63 インターフェース、71 処理回路、72 インターフェース回路、100 鉄道車両、101 レール、102 電力供給線。

Claims (12)

  1. 電動機が有する絶縁部材で起きる部分放電に起因して放射されるマイクロ波周波数帯の電磁波を受信して受信信号を生成するアンテナと、
    前記受信信号の信号強度の位相特性と前記絶縁部材の劣化の種別に応じて定められている位相特性パターンとを比較し、前記絶縁部材の劣化の有無、ならびに、前記絶縁部材の劣化の要因および劣化している前記絶縁部材の位置の少なくともいずれかを含む前記絶縁部材の劣化の種別を判別する劣化判別部と、
    を備える劣化判別装置。
  2. それぞれが、複数の前記電動機の内、対応する前記電動機にアンテナ素子が形成される面が向いた状態で設けられる平面アンテナである複数の前記アンテナを備える、
    請求項1に記載の劣化判別装置。
  3. それぞれが、共通の電力変換装置から電力の供給を受ける複数の電動機の内、対応する前記電動機にアンテナ素子が形成される面が向いた状態で、前記電動機に隣接した位置に設けられる平面アンテナであって、前記電動機が有する絶縁部材で起きる部分放電に起因して放射されるマイクロ波周波数帯の電磁波を受信して受信信号を生成する複数のアンテナ
    記複数のアンテナのそれぞれが生成する前記受信信号の信号値の差分に基づいて、前記絶縁部材の劣化の有無を判別する劣化判別部と
    を備える劣化判別装置。
  4. 前記アンテナは、前記電動機が有するフレームの外面に取り付けられる、
    請求項1からのいずれか1項に記載の劣化判別装置。
  5. 前記アンテナは、前記電動機が有する固定子鉄心の外面に取り付けられる、
    請求項1からのいずれか1項に記載の劣化判別装置。
  6. 前記電動機は、鉄道車両の床下に搭載され、前記鉄道車両の推進力を生じさせ、
    前記アンテナは、前記鉄道車両の床下であって、前記電動機に隣接した位置に設けられる、
    請求項1からのいずれか1項に記載の劣化判別装置。
  7. 鉄道車両の床下に搭載されて前記鉄道車両の推進力を生じさせる電動機に隣接した位置に設けられ、前記電動機が有する絶縁部材で起きる部分放電に起因して放射されるマイクロ波周波数帯の電磁波を受信して受信信号を生成するアンテナと、
    前記受信信号が基準を満たすか否かに基づいて、前記絶縁部材の劣化の有無を判別する劣化判別部と、
    を備える劣化判別装置。
  8. 前記電動機は、鉄道車両に搭載され、前記鉄道車両の推進力を生じさせ、
    前記アンテナは、前記鉄道車両が走行するレールに隣接した位置に設けられる、
    請求項1からのいずれか1項に記載の劣化判別装置。
  9. 鉄道車両が走行するレールに隣接した位置に設けられ、前記鉄道車両の床下に搭載されて前記鉄道車両の推進力を生じさせる電動機が有する絶縁部材で起きる部分放電に起因して放射されるマイクロ波周波数帯の電磁波を受信して受信信号を生成するアンテナと、
    前記受信信号が基準を満たすか否かに基づいて、前記絶縁部材の劣化の有無を判別する劣化判別部と、
    を備える劣化判別装置。
  10. 前記電動機は、鉄道車両に搭載され、
    前記劣化判別部は、前記受信信号、ならびに、前記電動機に電力を供給する電力変換装置の動作時間、前記電力変換装置のスイッチング周波数、前記電動機の回転速度、前記電動機の温度、および前記鉄道車両において前記電動機が取り付けられている車両の乗車率の少なくともいずれかを含む前記電動機の稼動状況の履歴に基づいて、前記絶縁部材の劣化の有無を判別する、
    請求項1から9のいずれか1項に記載の劣化判別装置。
  11. 鉄道車両に搭載される電動機が有する絶縁部材で起きる部分放電に起因して放射されるマイクロ波周波数帯の電磁波を受信して受信信号を生成するアンテナと、
    前記受信信号、ならびに、前記電動機に電力を供給する電力変換装置の動作時間、前記電力変換装置のスイッチング周波数、前記電動機の回転速度、前記電動機の温度、および前記鉄道車両において前記電動機が取り付けられている車両の乗車率の少なくともいずれかを含む前記電動機の稼動状況の履歴に基づいて、前記絶縁部材の劣化の有無を判別する劣化判別部と、
    を備える劣化判別装置。
  12. 電動機が有する絶縁部材で起きる部分放電に起因して放射されるマイクロ波周波数帯の電磁波を受信して得られる受信信号の信号強度の位相特性と前記絶縁部材の劣化の種別に応じて定められている位相特性パターンとを比較し、前記絶縁部材の劣化の有無、ならびに、前記絶縁部材の劣化の要因および劣化している前記絶縁部材の位置の少なくともいずれかを含む前記絶縁部材の劣化の種別を判別する、
    劣化判別方法。
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