以下、実施の形態に係る羽根車、多翼送風機、及び空気調和装置について図面等を参照しながら説明する。なお、図1を含む以下の図面では、各構成部材の相対的な寸法の関係及び形状等が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。また、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、それらの表記は、説明の便宜上、そのように記載しているだけであって、装置あるいは部品の配置及び向きを限定するものではない。
実施の形態1.
[多翼送風機100]
図1は、実施の形態1に係る多翼送風機100を模式的に示す斜視図である。図2は、実施の形態1に係る多翼送風機100を回転軸RSと平行に見た構成を模式的に示す外観図である。図3は、図2の多翼送風機100のA-A線断面を模式的に示した断面図である。図1~図3を用いて、多翼送風機100の基本的な構造について説明する。なお、図1~図3は、多翼送風機100の全体構造を模式的に示したものであり、多翼送風機100において特徴のある羽根12の構成については、他の図を用いて詳細に説明する。多翼送風機100は、多翼遠心型の送風機であり、気流を発生させる羽根車10と、羽根車10を内部に収納するスクロールケーシング40とを有する。多翼送風機100は、羽根車10の仮想の回転軸RSの軸方向において、スクロールケーシング40の両側から空気が吸い込まれる両吸込型の遠心送風機である。
(スクロールケーシング40)
スクロールケーシング40は、多翼送風機100用の羽根車10を内部に収納し、羽根車10から吹き出された空気を整流する。スクロールケーシング40は、スクロール部41と、吐出部42と、を有する。
(スクロール部41)
スクロール部41は、羽根車10が発生させた気流の動圧を静圧に変換する風路を形成する。スクロール部41は、羽根車10を構成する軸部11bの回転軸RSの軸方向から羽根車10を覆い、空気を取り込む吸込口45が形成された側壁44aと、羽根車10を軸部11bの回転軸RSの径方向から羽根車10を囲む周壁44cと、を有する。また、スクロール部41は、吐出部42と周壁44cの巻始部41aとの間に位置して曲面を構成し、羽根車10が発生させた気流を、スクロール部41を介して吐出口42aに導く舌部43を有する。なお、回転軸RSの径方向とは、回転軸RSの軸方向に対して垂直な方向である。周壁44c及び側壁44aにより構成されるスクロール部41の内部空間は、羽根車10から吹き出された空気が周壁44cに沿って流れる空間となっている。
(側壁44a)
側壁44aは、羽根車10の回転軸RSの軸方向において、羽根車10の両側に配置されている。スクロールケーシング40の側壁44aには、羽根車10とスクロールケーシング40の外部との間を空気が流通できるように、吸込口45が形成されている。吸込口45は円形状に形成され、羽根車10は、吸込口45の中心と羽根車10の軸部11bの中心とがほぼ一致するように配置される。なお、吸込口45の形状は、円形状に限定されるものではなく、例えば楕円形状等、他の形状であってもよい。多翼送風機100のスクロールケーシング40は、軸部11bの回転軸RSの軸方向において、主板11の両側に、吸込口45が形成された側壁44aを有する両吸込タイプのケーシングである。
多翼送風機100は、スクロールケーシング40において側壁44aを2つ有する。2つの側壁44aは、周壁44cを介してそれぞれ対向するように形成されている。より詳細には、スクロールケーシング40は、図3に示すように、側壁44aとして、第1側壁44a1と、第2側壁44a2とを有する。第1側壁44a1は、後述する第1側板13aが配置された側の主板11の板面に対向する第1吸込口45aを形成している。第2側壁44a2は、後述する第2側板13bが配置された側の主板11の板面に対向する第2吸込口45bを形成している。なお、上述した吸込口45は、第1吸込口45a及び第2吸込口45bの総称である。
側壁44aに設けられた吸込口45は、ベルマウス46によって形成されている。すなわち、ベルマウス46は、主板11と複数の羽根12とによって形成される空間に連通する吸込口45を形成している。ベルマウス46は、羽根車10に吸入される気体を整流して羽根車10の吸込口10eに流入させる。ベルマウス46は、スクロールケーシング40の外部から内部に向けて開口径が次第に小さくなるように形成されている。側壁44aの当該構成により、吸込口45近傍の空気はベルマウス46に沿って滑らかに流動し、吸込口45から羽根車10に効率よく流入する。
(周壁44c)
周壁44cは、羽根車10が発生させた気流を、湾曲する壁面に沿わせて吐出口42aに導く。周壁44cは、互いに対向する側壁44aの間に設けられた壁であり、羽根車10の回転方向Rに沿った湾曲面を構成する。周壁44cは、例えば、羽根車10の回転軸RSの軸方向と平行に配置されて羽根車10を覆う。なお、周壁44cは、羽根車10の回転軸RSの軸方向に対して傾斜した形態であってもよく、回転軸RSの軸方向と平行に配置される形態に限定されるものではない。周壁44cは、軸部11bの径方向から羽根車10を覆い、後述する複数の羽根12と対向する内周面を構成する。周壁44cは、羽根車10の羽根12の空気の吹き出し側と対向する。周壁44cは、図2に示すように、周壁44cと舌部43との境界に位置する巻始部41aから、舌部43から離れた側の吐出部42とスクロール部41との境界に位置する巻終部41bまで、羽根車10の回転方向Rに沿って設けられている。巻始部41aは、湾曲面を構成する周壁44cにおいて、羽根車10の回転により発生する気流の上流側の端部であり、巻終部41bは、羽根車10の回転により発生する気流の下流側の端部である。
周壁44cは、渦巻形状に形成されている。渦巻形状としては、例えば、対数螺旋、アルキメデス螺旋、あるいは、インボリュート曲線等に基づく形状がある。周壁44cの内周面は、渦巻形状の巻始めとなる巻始部41aから渦巻形状の巻終りとなる巻終部41bまで羽根車10の周方向に沿って滑らかに湾曲する湾曲面を構成する。このような構成により、羽根車10から送り出された空気は、吐出部42の方向へ羽根車10と周壁44cとの間隙を滑らかに流動する。このため、スクロールケーシング40内では、舌部43から吐出部42へ向かって空気の静圧が効率よく上昇する。
(吐出部42)
吐出部42は、羽根車10が発生させスクロール部41を通過した気流を吐き出す吐出口42aを形成する。吐出部42は、周壁44cに沿って流動する空気の流れ方向に直交する断面が、矩形状となる中空の管で構成される。なお、吐出部42の断面形状は、矩形に限定されるものではない。吐出部42は、羽根車10から送り出されて周壁44cと羽根車10との間隙を流動する空気を、スクロールケーシング40の外部へ排出するように案内する流路を形成する。
吐出部42は、図1に示すように、延設板42bと、ディフューザ板42cと、第1側板部42dと、第2側板部42eと等で構成される。延設板42bは、周壁44cの下流側の巻終部41bに滑らかに連続して、周壁44cと一体に形成される。ディフューザ板42cは、スクロールケーシング40の舌部43と一体に形成されており、延設板42bと対向する。ディフューザ板42cは、吐出部42内の空気の流れ方向に沿って流路の断面積が次第に拡大するように、延設板42bに対して所定の角度を有して形成されている。第1側板部42dは、スクロールケーシング40の第1側壁44a1と一体に形成されており、第2側板部42eは、スクロールケーシング40の反対側の第2側壁44a2と一体に形成されている。そして、第1側板部42dと第2側板部42eとは、延設板42bとディフューザ板42cとの間に形成されている。このように、吐出部42は、延設板42b、ディフューザ板42c、第1側板部42d及び第2側板部42eにより、断面矩形状の流路が形成されている。
(舌部43)
スクロールケーシング40において、吐出部42のディフューザ板42cと、周壁44cの巻始部41aとの間に舌部43が形成されている。舌部43は、所定の曲率半径で形成されており、周壁44cは、舌部43を介してディフューザ板42cと滑らかに接続されている。舌部43は、渦巻状流路の巻き終わりから巻き始めへの空気の流入を抑制する。舌部43は、通風路の上流部に設けられ、羽根車10の回転方向Rに向かう空気の流れと、通風路の下流部から吐出口42aに向かう吐出方向の空気の流れと、を分流させる役割を有する。また、吐出部42に流入する空気流れは、スクロールケーシング40を通過する間に静圧が上昇し、スクロールケーシング40内よりも高圧となる。そのため、舌部43は、このような圧力差を仕切る機能を有する。
(羽根車10)
羽根車10は、遠心式のファンである。羽根車10は、モータ等(図示は省略)によって回転駆動され、回転で生じる遠心力により、径方向外方へ空気を強制的に送出させる。羽根車10は、モータ等によって、矢印で示す回転方向Rに向かって回転する。羽根車10は、図1~図3に示すように、円盤状の主板11と、円環状の側板13と、主板11の周縁部において、主板11の周方向に放射状に配置された数枚の羽根12と、を有する。
主板11は板状であればよく、例えば多角形状等、円盤状以外の形状であってもよい。また、主板11の厚さは、回転軸RSを中心とする径方向において、図3に示すように、中心に向かって壁の厚さが厚くなるように形成されてもよく、回転軸RSを中心とする径方向において一定の厚さに形成されてもよい。主板11の中心部には、モータ(図示は省略)が接続される軸部11bが設けられている。主板11は、軸部11bを介してモータによって回転駆動される。なお、主板11は一枚の板状部材で構成されたものに限らず、複数枚の板状部材を一体的に固定して構成されたものでもよい。
複数の羽根12は、一端が主板11と接続され、他端が側板13と接続されており、主板11の仮想の回転軸RSを中心とする周方向に配列している。複数の羽根12のそれぞれは、主板11と側板13との間に配置されている。複数の羽根12は、軸部11bの回転軸RSの軸方向において、主板11の両側に設けられている。各羽根12は、主板11の周縁部において、互いに一定の間隔をあけて配置されている。なお、各羽根12の詳細な構成については後述する。
羽根車10は、軸部11bの回転軸RSの軸方向において、複数の羽根12の主板11と反対側の端部に取り付けられた環状の側板13を有している。側板13は、羽根車10において、主板11と対向して配置される。側板13は、複数の羽根12を連結することで、各羽根12の先端の位置関係を維持し、かつ、複数の羽根12を補強している。
羽根車10は、図3に示すように、主板11と、第1翼部112aと、第2翼部112bとを有する。第1翼部112aと第2翼部112bとは、複数の羽根12と側板13とによって構成されている。より詳細には、第1翼部112aは、主板11と対向して配置される環状の第1側板13aと、主板11と第1側板13aとの間に配置されている複数の羽根12とによって構成されている。第2翼部112bは、主板11に対して第1側板13aが配置されている側とは反対側において主板11と対向して配置される環状の第2側板13bと、主板11と第2側板13bとの間に配置されている複数の羽根12とによって構成されている。なお、側板13は、第1側板13a及び第2側板13bの総称であり、羽根車10は、回転軸RSの軸方向において主板11に対して一方の側に第1側板13aを有し、他方の側に第2側板13bを有する。
第1翼部112aは、主板11の一方の板面側に配置されており、第2翼部112bは、主板11の他方の板面側に配置されている。すなわち、複数の羽根12は、回転軸RSの軸方向において、主板11の両側に設けられており、第1翼部112aと第2翼部112bとは、主板11を介して背合わせに設けられている。なお、図3では、主板11に対して左側に第1翼部112aが配置されており、主板11に対して右側に第2翼部112bが配置されている。しかし、第1翼部112aと第2翼部112bとは、主板11を介して背合わせに設けられていればよく、主板11に対して右側に第1翼部112aが配置され、主板11に対して左側に第2翼部112bが配置されてもよい。なお、以下の説明では、特に説明のない限り、羽根12は、第1翼部112aを構成する羽根12と第2翼部112bを構成する羽根12の総称として記載する。
羽根車10は、主板11に配置された複数の羽根12により、筒形状に構成されている。そして、羽根車10は、軸部11bの回転軸RSの軸方向において、主板11と反対側の側板13側に、主板11と複数の羽根12とで囲まれた空間に気体を流入させるための吸込口10eが形成されている。羽根車10は、主板11を構成する板面の両側にそれぞれ羽根12及び側板13が配置されており、主板11を構成する板面の両側に羽根車10の吸込口10eが形成されている。
羽根車10は、モータ(図示は省略)が駆動することにより、回転軸RSを中心に回転駆動される。羽根車10が回転することで、多翼送風機100の外部の気体が、スクロールケーシング40に形成された吸込口45と、羽根車10の吸込口10eとを通り、主板11と複数の羽根12とで囲まれる空間に吸込まれる。そして、羽根車10が回転することで、主板11と複数の羽根12とで囲まれる空間に吸込まれた空気が、羽根12と隣接する羽根12との間の空間を通り、羽根車10の径方向外方に送り出される。
(羽根12の詳細な構成)
図4は、実施の形態1に係る多翼送風機100を構成する羽根車10の斜視図である。図5は、図4の羽根車10の側面図である。図6は、図5の羽根車10のC-C線断面における羽根12を表す模式図である。図7は、図5の羽根車10のD-D線断面における羽根12を示す模式図である。なお、図5に示す羽根車10の中間位置MPは、第1翼部112aを構成する複数の羽根12において、回転軸RSの軸方向における中間の位置を示している。そして、第1翼部112aを構成する複数の羽根12において、回転軸RSの軸方向における中間位置MPから主板11までの領域を羽根車10の第1領域である主板側羽根領域122aとする。また、第1翼部112aを構成する複数の羽根12において、回転軸RSの軸方向における中間位置MPから側板13側の端部までの領域を羽根車10の第2領域である側板側羽根領域122bとする。すなわち、複数の羽根12のそれぞれは、回転軸RSの軸方向における中間位置MPよりも主板11側に位置する第1領域と、第1領域よりも側板13側に位置する第2領域と、を有している。
図5に示すC-C線断面は、図6に示すように、羽根車10の主板11側、すなわち、第1領域である主板側羽根領域122aにおける、複数の羽根12の断面である。この主板11側の羽根12の断面は、回転軸RSに垂直な第1平面71であって、羽根車10の主板11寄りの部分が切断された、羽根車10の第1断面である。ここで、羽根車10の主板11寄りの部分とは、例えば、回転軸RSの軸方向において主板側羽根領域122aの中間位置よりも主板11側の部分、又は、回転軸RSの軸方向において羽根12の主板11側の端部が位置する部分である。
図5に示すD-D線断面は、図7に示すように、羽根車10の側板13側、すなわち、第2領域である側板側羽根領域122bにおける、複数の羽根12の断面である。この側板13側の羽根12の断面は、回転軸RSに垂直な第2平面72であって、羽根車10の側板13寄りの部分が切断された、羽根車10の第2断面である。ここで、羽根車10の側板13寄りの部分とは、例えば、回転軸RSの軸方向において側板側羽根領域122bの中間位置よりも側板13側の部分、又は、回転軸RSの軸方向において羽根12の側板13側の端部が位置する部分である。
第2翼部112bにおける羽根12の基本的な構成は、第1翼部112aの羽根12の基本的な構成と同様である。すなわち、図5に示す羽根車10の中間位置MPは、第2翼部112bを構成する複数の羽根12において、回転軸RSの軸方向における中間の位置を示している。そして、第2翼部112bを構成する複数の羽根12において、回転軸RSの軸方向における中間位置MPから主板11までの領域を羽根車10の第1領域である主板側羽根領域122aとする。また、第2翼部112bを構成する複数の羽根12において、回転軸RSの軸方向における中間位置MPから第2側板13b側の端部までの領域を羽根車10の第2領域である側板側羽根領域122bとする。なお、上記説明では、第1翼部112aの基本的な構成と第2翼部112bの基本的な構成とが同様であると説明したが、羽根車10の構成は当該構成に限定されるものではなく、第1翼部112aと、第2翼部112bとが異なる構成を有してもよい。以下に説明する羽根12の構成は、第1翼部112aと第2翼部112bとの両方が有してもよく、いずれか一方が有してもよい。以下、図4~図7を用いて羽根12の詳細な構成について説明する。
図4~図7に示すように、複数の羽根12は、複数の第1羽根12Aと、複数の第2羽根12Bと、を有している。複数の羽根12は、羽根車10の周方向において、第1羽根12Aと、1又は複数の第2羽根12Bとを交互に配置している。図4及び図6に示すように、羽根車10は、第1羽根12Aと回転方向Rにおいて隣に配置された第1羽根12Aとの間に2枚の第2羽根12Bが配置されている。ただし、第1羽根12Aと回転方向Rにおいて隣に配置された第1羽根12Aとの間に配置される第2羽根12Bの数は2枚に限定されるものではなく、1枚又は3枚以上であってもよい。すなわち、複数の第1羽根12Aのうち周方向で互いに隣り合う2つの第1羽根12Aの間には、複数の第2羽根12Bのうちの少なくとも1つの第2羽根12Bが配置されている。
第1羽根12Aは、回転軸RSに垂直な第1平面71で切断された羽根車10の第1断面において、回転軸RSを中心とする径方向において回転軸RS側に位置する内周端14Aと、径方向において内周端14Aよりも外周側に位置する外周端15Aとを有している。複数の第1羽根12Aのそれぞれにおいて、内周端14Aは、羽根車10の回転方向Rにおいて外周端15Aよりも前方に配置されている。内周端14Aは、図4に示すように、第1羽根12Aの前縁14A1となり、外周端15Aは、第1羽根12Aの後縁15A1となる。図6に示すように、羽根車10には、14枚の第1羽根12Aが配置されているが、第1羽根12Aの枚数は14枚に限定されるものではなく、14枚より少なくてもよく、14枚より多くてもよい。
第2羽根12Bは、回転軸RSに垂直な第1平面71で切断された羽根車10の第1断面において、回転軸RSを中心とする径方向において回転軸RS側に位置する内周端14Bと、径方向において内周端14Bよりも外周側に位置する外周端15Bとを有している。複数の第2羽根12Bのそれぞれにおいて、内周端14Bは、羽根車10の回転方向Rにおいて外周端15Bよりも前方に配置されている。内周端14Bは、図4に示すように、第2羽根12Bの前縁14B1となり、外周端15Bは第2羽根12Bの後縁15B1となる。図6に示すように、羽根車10には、28枚の第2羽根12Bが配置されているが、第2羽根12Bの枚数は28枚に限定されるものではなく、28枚より少なくてもよく、28枚より多くてもよい。
次に、第1羽根12Aと第2羽根12Bとの関係について説明する。図4及び図7に示すように、回転軸RSに沿う方向において中間位置MPよりも第1側板13a及び第2側板13bに近い部分では、第1羽根12Aの翼長は、第2羽根12Bの翼長と等しくなっている。一方、図4及び図6に示すように、回転軸RSに沿う方向において中間位置MPよりも主板11に近い部分では、第1羽根12Aの翼長は、第2羽根12Bの翼長よりも長くなっており、かつ主板11に近づくほど長くなっている。このように、本実施の形態では、第1羽根12Aの翼長は、回転軸RSに沿う方向の少なくとも一部において、第2羽根12Bの翼長よりも長くなっている。なお、ここで使用する翼長とは、羽根車10の径方向における第1羽根12Aの長さ、及び、羽根車10の径方向における第2羽根12Bの長さである。
図5に示す中間位置MPよりも主板11寄りの第1断面において、図6に示すように、回転軸RSを中心とした複数の第1羽根12Aの内周端14Aを通る円C1の直径、すなわち第1羽根12Aの内径を、内径ID1とする。回転軸RSを中心とした複数の第1羽根12Aの外周端15Aを通る円C3の直径、すなわち第1羽根12Aの外径を、外径OD1とする。外径OD1と内径ID1との差の2分の1は、第1断面での第1羽根12Aの翼長L1aとなる(翼長L1a=(外径OD1-内径ID1)/2)。ここで、第1羽根12Aの内径と、第1羽根12Aの外径との比は0.7以下である。すなわち、複数の第1羽根12Aは、複数の第1羽根12Aのそれぞれの内周端14Aにより構成される内径ID1と、複数の第1羽根12Aのそれぞれの外周端15Aにより構成される外径OD1との比が0.7以下である。なお、一般的な多翼送風機では、回転軸に垂直な断面における羽根の翼長は、回転軸方向での羽根の幅寸法よりも短くなっている。本実施の形態においても、第1羽根12Aの最大翼長、すなわち第1羽根12Aの主板11寄り端部での翼長は、第1羽根12Aの回転軸方向の幅寸法W(図5参照)よりも短くなっている。
また、第1断面において、回転軸RSを中心とした複数の第2羽根12Bの内周端14Bを通る円C2の直径、すなわち第2羽根12Bの内径を、内径ID1よりも大きい内径ID2とする(内径ID2>内径ID1)。回転軸RSを中心とした複数の第2羽根12Bの外周端15Bを通る円C3の直径、すなわち第2羽根12Bの外径を、外径OD1と等しい外径OD2とする(外径OD2=外径OD1)。外径OD2と内径ID2との差の2分の1は、第1断面での第2羽根12Bの翼長L2aとなる(翼長L2a=(外径OD2-内径ID2)/2)。第1断面での第2羽根12Bの翼長L2aは、同断面での第1羽根12Aの翼長L1aよりも短い(翼長L2a<翼長L1a)。ここで、第2羽根12Bの内径と、第2羽根12Bの外径との比は0.7以下である。すなわち、複数の第2羽根12Bは、複数の第2羽根12Bのそれぞれの内周端14Bにより構成される内径ID2と、複数の第2羽根12Bのそれぞれの外周端15Bにより構成される外径OD2との比が0.7以下である。
一方、図5に示す中間位置MPよりも側板13寄りの第2断面において、図7に示すように、回転軸RSを中心とした第1羽根12Aの内周端14Aを通る円C7の直径を、内径ID3とする。内径ID3は、第1断面の内径ID1よりも大きい(内径ID3>内径ID1)。回転軸RSを中心とした第1羽根12Aの外周端15Aを通る円C8の直径を、外径OD3とする。外径OD3と内径ID1との差の2分の1は、第2断面における第1羽根12Aの翼長L1bとなる(翼長L1b=(外径OD3-内径ID3)/2)。
また、第2断面において、回転軸RSを中心とした第2羽根12Bの内周端14Bを通る円C7の直径を、内径ID4とする。内径ID4は、同断面での内径ID3と等しい(内径ID4=内径ID3)。回転軸RSを中心とした第2羽根12Bの外周端15Bを通る円C8の直径を、外径OD4とする。外径OD4は、同断面での外径OD3と等しい(外径OD4=外径OD3)。外径OD4と内径ID4との差の2分の1は、第2断面での第2羽根12Bの翼長L2bとなる(翼長L2b=(外径OD4―内径ID4)/2)。第2断面における第2羽根12Bの翼長L2bは、同断面における第1羽根12Aの翼長L1bと等しい(翼長L2b=翼長L1b)。
回転軸RSと平行に見たとき、図7に示す第2断面での第1羽根12Aは、図6に示す第1断面での第1羽根12Aの輪郭からはみ出ないように当該第1羽根12Aと重なっている。このため、羽根車10は、外径OD3=外径OD1、内径ID3≧内径ID1、及び翼長L1b≦翼長L1aの関係が満たされている。
同様に、回転軸RSと平行に見たとき、図7に示す第2断面での第2羽根12Bは、図6に示す第1断面での第2羽根12Bの輪郭からはみ出ないように当該第2羽根12Bと重なっている。このため、羽根車10は、外径OD4=外径OD2、内径ID4≧内径ID2、及び翼長L2b≦翼長L2aの関係が満たされている。
ここで、上述したように、第1羽根12Aの内径ID1と、第1羽根12Aの外径OD1との比は0.7以下である。羽根12は、内径ID3≧内径ID1であり、内径ID4≧内径ID2、内径ID2>内径ID1であるため第1羽根12Aの内径を羽根12の羽根内径とすることができる。また、羽根12は、外径OD3=外径OD1、外径OD4=外径OD2、外径OD2=外径OD1であるため第1羽根12Aの外径を羽根12の羽根外径とすることができる。そして、羽根車10を構成する羽根12を全体として見た場合に、羽根12は、羽根12の羽根内径と、羽根12の羽根外径との比は0.7以下である。なお、複数の羽根12の羽根内径は、複数の羽根12のそれぞれの内周端により構成される。すなわち、複数の羽根12の羽根内径は、複数の羽根12の前縁14A1により構成される。また、複数の羽根12の羽根外径は、複数の羽根12のそれぞれの外周端により構成される。すなわち、複数の羽根12の羽根外径は、複数の羽根12の後縁15A1及び後縁15B1により構成される。
(第1羽根12A及び第2羽根12Bの構成)
第1羽根12Aは、図6に示す第1断面と図7に示す第2断面との比較において、翼長L1a>翼長L1bの関係を有する。すなわち、複数の羽根12のそれぞれは、第1領域における翼長が第2領域における翼長よりも長く形成されている。より具体的には、第1羽根12Aは、回転軸RSの軸方向において、主板11側から側板13側に向かって、翼長が小さくなるように形成されている。同様に、第2羽根12Bは、図6に示す第1断面と図7に示す第2断面との比較において、翼長L2a>翼長L2bの関係を有する。すなわち、第2羽根12Bは、回転軸RSの軸方向において、主板11側から側板13側に向かって、翼長が小さくなるように形成されている。
図3に示すように、第1羽根12A及び第2羽根12Bの前縁は、主板11側から側板13側に向かうにつれて、羽根内径が大きくなるように傾斜している。すなわち、複数の羽根12は、主板11側から側板13側に向かうにつれて、羽根内径が大きくなるように前縁14A1を構成する内周端14Aが回転軸RSから離れるように傾斜した傾斜部141Aを形成している。同様に、複数の羽根12は、主板11側から側板13側に向かうにつれて、羽根内径が大きくなるように前縁14B1を構成する内周端14Bが回転軸RSから離れるように傾斜した傾斜部141Bを形成している。
(シロッコ翼部及びターボ翼部)
第1羽根12Aは、図6及び図7に示すように、前向羽根として構成された第1シロッコ翼部12A1と、後向羽根として構成された第1ターボ翼部12A2とを有する。羽根車10の径方向において、第1シロッコ翼部12A1は第1羽根12Aの外周側を構成し、第1ターボ翼部12A2は、第1羽根12Aの内周側を構成する。すなわち、第1羽根12Aは、羽根車10の径方向において、回転軸RSから外周側に向かって、第1ターボ翼部12A2、第1シロッコ翼部12A1の順に構成されている。第1羽根12Aにおいて、第1ターボ翼部12A2と第1シロッコ翼部12A1とは一体に形成されている。第1ターボ翼部12A2は、第1羽根12Aの前縁14A1を構成し、第1シロッコ翼部12A1は、第1羽根12Aの後縁15A1を構成する。第1ターボ翼部12A2は、羽根車10の径方向において、前縁14A1を構成する内周端14Aから外周側に向かって直線状に延在している。
羽根車10の径方向において、第1羽根12Aの第1シロッコ翼部12A1を構成する領域を第1シロッコ領域12A11と定義し、第1羽根12Aの第1ターボ翼部12A2を構成する領域を第1ターボ領域12A21と定義する。第1羽根12Aは、羽根車10の径方向において、第1ターボ領域12A21が第1シロッコ領域12A11よりも大きい。そして、羽根車10は、第1領域である主板側羽根領域122a及び第2領域である側板側羽根領域122bの何れの領域においても、羽根車10の径方向において、第1シロッコ領域12A11<第1ターボ領域12A21の関係を有する。羽根車10及び第1羽根12Aは、第1領域である主板側羽根領域122a及び第2領域である側板側羽根領域122bの何れの領域においても、羽根車10の径方向において、第1ターボ翼部12A2の割合が第1シロッコ翼部12A1の割合よりも大きい。
同様に、第2羽根12Bは、図6及び図7に示すように、前向羽根として構成された第2シロッコ翼部12B1と、後向羽根として構成された第2ターボ翼部12B2とを有する。羽根車10の径方向において、第2シロッコ翼部12B1は第2羽根12Bの外周側を構成し、第2ターボ翼部12B2は、第2羽根12Bの内周側を構成する。すなわち、第2羽根12Bは、羽根車10の径方向において、回転軸RSから外周側に向かって、第2ターボ翼部12B2、第2シロッコ翼部12B1の順に構成されている。第2羽根12Bにおいて、第2ターボ翼部12B2と第2シロッコ翼部12B1とは一体に形成されている。第2ターボ翼部12B2は、第2羽根12Bの前縁14B1を構成し、第2シロッコ翼部12B1は、第2羽根12Bの後縁15B1を構成する。第2ターボ翼部12B2は、羽根車10の径方向において、前縁14B1を構成する内周端14Bから外周側に向かって直線状に延在している。
羽根車10の径方向において、第2羽根12Bの第2シロッコ翼部12B1を構成する領域を第2シロッコ領域12B11と定義し、第2羽根12Bの第2ターボ翼部12B2を構成する領域を第2ターボ領域12B21と定義する。第2羽根12Bは、羽根車10の径方向において、第2ターボ領域12B21が第2シロッコ領域12B11よりも大きい。そして、羽根車10は、第1領域である主板側羽根領域122a及び第2領域である側板側羽根領域122bの何れの領域においても、羽根車10の径方向において、第2シロッコ領域12B11<第2ターボ領域12B21の関係を有する。羽根車10及び第2羽根12Bは、第1領域である主板側羽根領域122a及び第2領域である側板側羽根領域122bの何れの領域においても、羽根車10の径方向において、第2ターボ翼部12B2の割合が第2シロッコ翼部12B1の割合よりも大きい。
上記構成から、複数の羽根12は、主板側羽根領域122a及び側板側羽根領域122bの何れの領域においても、羽根車10の径方向において、ターボ翼部の領域がシロッコ翼部の領域よりも大きい。すなわち、複数の羽根12は、主板側羽根領域122a及び側板側羽根領域122bの何れの領域においても、羽根車10の径方向において、ターボ翼部の割合がシロッコ翼部の割合よりも大きく、シロッコ領域<ターボ領域の関係を有する。換言すれば、複数の羽根12のそれぞれは、第1領域及び第2領域において、径方向におけるターボ翼部の割合が、シロッコ翼部の割合よりも大きい。なお、複数の羽根12は、主板側羽根領域122a及び側板側羽根領域122bの何れの領域においても、羽根車10の径方向において、ターボ翼部の割合がシロッコ翼部の割合よりも大きく、シロッコ領域<ターボ領域の関係を有するものに限定されるものではない。複数の羽根12のそれぞれは、第1領域及び第2領域において、径方向におけるターボ翼部の割合が、シロッコ翼部の割合と等しいか、シロッコ翼部の割合よりも小さくてもよい。
(出口角)
図6に示すように、第1断面における第1羽根12Aの第1シロッコ翼部12A1の出口角を出口角α1とする。出口角α1は、回転軸RSを中心とする円C3の円弧と外周端15Aとの交点において、円の接線TL1と、外周端15Aにおける第1シロッコ翼部12A1の中心線CL1とがなす角度と定義する。この出口角α1は、90度よりも大きい角度である。同断面における第2羽根12Bの第2シロッコ翼部12B1の出口角を、出口角α2とする。出口角α2は、回転軸RSを中心とする円C3の円弧と外周端15Bとの交点において、円の接線TL2と、外周端15Bにおける第2シロッコ翼部12B1の中心線CL2とがなす角度と定義する。出口角α2は、90度よりも大きい角度である。第2シロッコ翼部12B1の出口角α2は、第1シロッコ翼部12A1の出口角α1と等しい(出口角α2=出口角α1)。第1シロッコ翼部12A1及び第2シロッコ翼部12B1は、回転軸RSと平行に見たとき、回転方向Rと反対の方向に凸となるように弧状に形成されている。
図7に示すように、羽根車10は、第2断面においても、第1シロッコ翼部12A1の出口角α1と、第2シロッコ翼部12B1の出口角α2とが等しい。すなわち、複数の羽根12は、主板11から側板13にかけて、出口角が90度よりも大きい角度に形成された前向羽根を構成するシロッコ翼部を有している。
また、図6に示すように、第1断面における第1羽根12Aの第1ターボ翼部12A2の出口角を出口角β1とする。出口角β1は、回転軸RSを中心とする円C4の円弧と第1ターボ翼部12A2との交点において、円の接線TL3と、第1ターボ翼部12A2の中心線CL3とがなす角度と定義する。この出口角β1は、90度より小さい角度である。同断面における第2羽根12Bの第2ターボ翼部12B2の出口角を、出口角β2とする。出口角β2は、回転軸RSを中心とする円C4の円弧と第2ターボ翼部12B2との交点において、円の接線TL4と、第2ターボ翼部12B2の中心線CL4とがなす角度と定義する。出口角β2は、90度より小さい角度である。第2ターボ翼部12B2の出口角β2は、第1ターボ翼部12A2の出口角β1と等しい(出口角β2=出口角β1)。
図7では図示を省略しているが、羽根車10は、第2断面においても、第1ターボ翼部12A2の出口角β1と、第2ターボ翼部12B2の出口角β2とが等しい。また、出口角β1及び出口角β2は、90度よりも小さい角度である。
(ラジアル翼部)
第1羽根12Aは、図6及び図7に示すように、第1ターボ翼部12A2と第1シロッコ翼部12A1との間の繋ぎの部分として第1ラジアル翼部12A3を有している。第1ラジアル翼部12A3は、羽根車10の径方向に直線状に延びるラジアル翼として構成されている部分である。同様に、第2羽根12Bは、第2ターボ翼部12B2と第2シロッコ翼部12B1との間の繋ぎの部分として第2ラジアル翼部12B3を有している。第2ラジアル翼部12B3は、羽根車10の径方向に直線状に延びるラジアル翼として構成されている部分である。第1ラジアル翼部12A3及び第2ラジアル翼部12B3の翼角度は、90度である。より詳細には、第1ラジアル翼部12A3の中心線と回転軸RSを中心とする円C5との交点における接線と、第1ラジアル翼部12A3の中心線とがなす角度が90度である。また、第2ラジアル翼部12B3の中心線と回転軸RSを中心とする円C5との交点における接線と、第2ラジアル翼部12B3の中心線とがなす角度が90度である。
図8は、図6に示す羽根車10の変形例に係る羽根車10Aの断面を表す模式図である。図8に示す変形例に係る羽根車10Aは、図5に示す羽根車10のC-C線断面の位置における羽根12を表す模式図である。羽根車10Aは、複数の羽根12を有する。そして、複数の羽根12は、第1羽根12Aで構成されている。すなわち、羽根車10Aは、第2羽根12Bを有していない。変形例に係る羽根車10Aのように、羽根12は、第1羽根12Aのみで構成されてもよい。
(翼間)
図9は、実施の形態1に係る多翼送風機100においてモータ50と接続された羽根車10を説明する概念図である。図10は、図5の第1翼部112aのC-C線断面における羽根12を表す模式図である。図11は、図5の第2翼部112bのC-C線断面における羽根12を表す模式図である。図12は、図5の第1翼部112aのD-D線断面における羽根12を表す模式図である。図13は、図5の第2翼部112bのD-D線断面における羽根12を表す模式図である。図9~図13を用いて、周方向に隣接する羽根12同士の翼間の距離について説明する。図10及び図12は、図9の矢印VW1の方向に見た羽根車10の断面である。図11及び図13は、図9の矢印VW2の方向に見た羽根車10の断面である。
複数の羽根12のうち周方向で互いに隣り合う2つの羽根12の間隔を翼間と定義したときに、図10~図13に示すように、複数の羽根12の翼間は、前縁14A1側から後縁15A1側に向かうにしたがって広がっている。同様に、複数の羽根12の翼間は、前縁14B1側から後縁15B1側に向かうにしたがって広がっている。具体的には、第1ターボ翼部12A2及び第2ターボ翼部12B2によって構成されるターボ翼部における翼間は、内周側から外周側にかけて広がっている。そして、第1シロッコ翼部12A1及び第2シロッコ翼部12B1によって構成されるシロッコ翼部における翼間は、ターボ翼部の翼間よりも広く、且つ、内周側から外周側にかけて広がっている。すなわち、第1ターボ翼部12A2と第2ターボ翼部12B2との間の翼間、あるいは、隣り合う第2ターボ翼部12B2同士の翼間は、内周側から外周側にかけて広がっている。また、第1シロッコ翼部12A1と第2シロッコ翼部12B1との翼間、あるいは、隣り合う第2シロッコ翼部12B1同士の翼間は、ターボ翼部の翼間よりも広く、且つ、内周側から外周側にかけて広がっている。
図9に示すように、多翼送風機100は、羽根車10及びスクロールケーシング40の他に、羽根車10の主板11を回転させるモータ50を有してもよい。すなわち、多翼送風機100は、羽根車10と、羽根車10を収容するスクロールケーシング40と、羽根車10を駆動するモータ50と、を有してもよい。モータ50の回転軸となるモータシャフト51は、スクロールケーシング40の側面を貫通してスクロールケーシング40の内部に挿入されている。モータシャフト51は、羽根車10の主板11と接続され、固定される。多翼送風機100は、主板11に対して第1翼部112aの形成側にモータシャフト51が接続されてモータ50が配置されており、主板11に対して第2翼部112bの形成側にモータシャフト51は接続されておらず、モータ50は配置されていない。すなわち、多翼送風機100は、第1翼部112aと対向するようにモータ50が配置されている。ここで、モータ50が配置されている側に形成されている第1翼部112aと、モータ50が配置されていない側に形成されている第2翼部112bとの構造の違いについて説明する。
第1翼部112a及び第2翼部112bは、主板11側から側板13側に向かうにつれて、羽根内径が大きくなるように前縁14A1及び前縁14B1が回転軸RSから離れるように傾斜した羽根傾斜領域142を有している。複数の羽根12が、図8に示すように第1羽根12Aのみで構成されている場合には、羽根傾斜領域142は、主板11側から側板13側に向かうにつれて、羽根内径が大きくなるように前縁14A1が回転軸RSから離れるように傾斜している。複数の羽根12は、図9に示すように、羽根傾斜領域142によって、内周側に勾配を形成している。第1翼部112aの羽根傾斜領域142は、モータ50と対向するように配置されている。
羽根傾斜領域142は、複数の第1羽根12Aにおける主板11寄りの内周端14Aを通る円C1と、複数の第1羽根12Aにおける側板13寄りの内周端14Aを通る円C7との間の領域に少なくとも形成されている。すなわち、羽根傾斜領域142は、中間位置MPよりも主板11寄りの第1断面における複数の第1羽根12Aの内径ID1と、中間位置MPよりも側板13寄りの第2断面における複数の第1羽根12Aの内径ID3との間の領域に少なくとも形成されている。なお、羽根傾斜領域142は、前述した傾斜部141A及び傾斜部141Bが形成されている領域である。
図10に示すように、第1翼部112aにおいて、主板11側の羽根12同士の翼間の距離を第1翼間a1と定義する。そして、図11に示すように、第2翼部112bにおいて、主板11側の羽根12同士の翼間の距離を第2翼間b1と定義する。羽根傾斜領域142は、主板11の一方の面側と他方の面側とにおいて、第1翼間a1と第2翼間b1とを形成する複数の羽根12を有する。第1翼間a1は、第1翼部112aの羽根傾斜領域142の翼間であり、第2翼間b1は、第2翼部112bの羽根傾斜領域142の翼間である。
より詳細には、図10に示すように、第1翼部112aの羽根傾斜領域142において、周方向CDに隣接して配置される第1羽根12A同士の翼間の距離を第1翼間a1-1と定義する。また、周方向CDに隣接して配置される第1羽根12A同士の間において、周方向CDに隣接して配置される第1羽根12Aと第2羽根12Bとの間の翼間の距離を第1翼間a1-2と定義する。すなわち、第1翼間a1-1において、周方向CDに隣接して配置される第1羽根12Aと第2羽根12Bとの間の翼間の距離を第1翼間a1-2と定義する。また、周方向CDに隣接して配置される第1羽根12A同士の間において、周方向CDに隣接して配置される第2羽根12B同士の翼間の距離を第1翼間a1-3と定義する。すなわち、第1翼間a1-1において、周方向CDに隣接して配置される第2羽根12B同士の翼間の距離を第1翼間a1-3と定義する。また、周方向CDに隣接して配置される第1羽根12A同士の間において、周方向CDに隣接して配置される第2羽根12Bと第1羽根12Aとの間の翼間の距離を第1翼間a1-4と定義する。すなわち、第1翼間a1-1において、周方向CDに隣接して配置される第2羽根12Bと第1羽根12Aとの間の翼間の距離を第1翼間a1-4と定義する。第1翼間a1-1、第1翼間a1-2、第1翼間a1-3及び第1翼間a1-4は、第1翼部112aの羽根傾斜領域142における羽根12の翼間の距離である。
図11に示すように、第2翼部112bの羽根傾斜領域142において、周方向CDに隣接して配置される第1羽根12A同士の翼間の距離を第2翼間b1-1と定義する。また、周方向CDに隣接して配置される第1羽根12A同士の間において、周方向CDに隣接して配置される第1羽根12Aと第2羽根12Bとの間の翼間の距離を第2翼間b1-2と定義する。すなわち、第2翼間b1-1において、周方向CDに隣接して配置される第1羽根12Aと第2羽根12Bとの間の翼間の距離を第2翼間b1-2と定義する。また、周方向CDに隣接して配置される第1羽根12A同士の間において、周方向CDに隣接して配置される第2羽根12B同士の翼間の距離を第2翼間b1-3と定義する。すなわち、第2翼間b1-1において、周方向CDに隣接して配置される第2羽根12B同士の翼間の距離を第2翼間b1-3と定義する。また、周方向CDに隣接して配置される第1羽根12A同士の間において、周方向CDに隣接して配置される第2羽根12Bと第1羽根12Aとの間の翼間の距離を第2翼間b1-4と定義する。すなわち、第2翼間b1-1において、周方向CDに隣接して配置される第2羽根12Bと第1羽根12Aとの間の翼間の距離を第2翼間b1-4と定義する。第2翼間b1-1、第2翼間b1-2、第2翼間b1-3及び第2翼間b1-4は、第2翼部112bの羽根傾斜領域142における羽根12の翼間の距離である。
第1翼間a1及び第2翼間b1は、羽根車10の回転軸RSの径方向において回転軸RSから同じ距離だけ離れた位置で測定した距離である。同様に、第1翼間a1-1及び第2翼間b1-1は、羽根車10の回転軸RSの径方向において回転軸RSから同じ距離だけ離れた位置で測定した距離である。同様に、第1翼間a1-2及び第2翼間b1-2は、羽根車10の回転軸RSの径方向において回転軸RSから同じ距離だけ離れた位置で測定した距離である。同様に、第1翼間a1-3及び第2翼間b1-3は、羽根車10の回転軸RSの径方向において回転軸RSから同じ距離だけ離れた位置で測定した距離である。同様に、第1翼間a1-4及び第2翼間b1-4は、羽根車10の回転軸RSの径方向において回転軸RSから同じ距離だけ離れた位置で測定した距離である。
多翼送風機100の羽根車10は、モータ50が配置される側の第1翼部112aの第1翼間a1-1が、モータ50が配置されない側の第2翼部112bの第2翼間b1-1よりも大きくなるように形成されている(第1翼間a1-1>第2翼間b1-1)。同様に、羽根車10は、モータ50が配置される側の第1翼部112aの第1翼間a1-2が、モータ50が配置されない側の第2翼部112bの第2翼間b1-2よりも大きくなるように形成されている(第1翼間a1-2>第2翼間b1-2)。同様に、羽根車10は、モータ50が配置される側の第1翼部112aの第1翼間a1-3が、モータ50が配置されない側の第2翼部112bの第2翼間b1-3よりも大きくなるように形成されている(第1翼間a1-3>第2翼間b1-3)。同様に、羽根車10は、モータ50が配置される側の第1翼部112aの第1翼間a1-4が、モータ50が配置されない側の第2翼部112bの第2翼間b1-4よりも大きくなるように形成されている(第1翼間a1-4>第2翼間b1-4)。
羽根車10は、モータ50が配置される側の第1翼部112aを構成する羽根12の第1翼間a1が、モータ50が配置されない側の第2翼部112bを構成する羽根12の第2翼間b1よりも大きくなるように形成されている(第1翼間a1>第2翼間b1)。そして、多翼送風機100は、モータ50が配置される側の第1翼部112aを構成する複数の羽根12の第1翼間a1が、モータ50が配置されない側の第2翼部112bを構成する複数の羽根12の第2翼間b1よりも大きく形成されている領域を有する。なお、多翼送風機100が図8に示す羽根車10Aで構成されている場合には、第1翼部112aを構成する複数の第1羽根12Aの第1翼間a1が、第2翼部112bを構成する複数の第1羽根12Aの第2翼間b1よりも大きくなるように形成されている。
図12は、第1翼部112aにおける側板13側の羽根車10の断面である。図12に示すように、第1翼部112aにおいて、側板13側の羽根12同士の翼間の距離を第1翼間a2と定義する。これに対し、図10は、第1翼部112aにおける主板11側の羽根車10の断面である。羽根車10は、第1翼部112aの側板13側の第1翼間a2が、第1翼部112aの主板11側の第1翼間a1よりも大きくなるように形成されている(第1翼間a1<第1翼間a2)。図10及び図12では羽根車10の一断面同士の比較であるが、この構成は羽根車10の全体に適用されている。すなわち、羽根車10は、主板側羽根領域122a全体と側板側羽根領域122b全体とにおいても、第1翼部112aの側板13側の第1翼間a2が、第1翼部112aの主板11側の第1翼間a1よりも大きくなるように形成されている(第1翼間a1<第1翼間a2)。そして、主板側羽根領域122a及び側板側羽根領域122bを有する1セットの羽根12を見たとき、側板側羽根領域122bにおける最大翼間(a2max)は、主板側羽根領域122aにおける最大翼間(a1max)よりも大きい(最大翼間(a1max)<最大翼間(a2max))。
図13は、第2翼部112bにおける側板13側の羽根車10の断面である。図13に示すように、第2翼部112bにおいて、側板13側の羽根12同士の翼間の距離を第2翼間b2と定義する。これに対し、図11は、第2翼部112bにおける主板11側の羽根車10の断面である。羽根車10は、第2翼部112bの側板13側の第2翼間b2が、第2翼部112bの主板11側の第2翼間b1よりも大きくなるように形成されている(第2翼間b1<第2翼間b2)。図11及び図13では羽根車10の一断面同士の比較であるが、この構成は羽根車10の全体に適用されている。すなわち、羽根車10は、主板側羽根領域122a全体と側板側羽根領域122b全体とにおいても、第2翼部112bの側板13側の第2翼間b2が、第2翼部112bの主板11側の第2翼間b1よりも大きくなるように形成されている(第2翼間b1<第2翼間b2)。そして、主板側羽根領域122a及び側板側羽根領域122bを有する1セットの羽根12を見たとき、側板側羽根領域122bにおける最大翼間(b2max)は、主板側羽根領域122aにおける最大翼間(b1max)よりも大きい(最大翼間(b1max)<最大翼間(b2max))。
多翼送風機100の羽根車10は、図10に示す第1翼部112aの主板11側の第1翼間a1が、図11に示す第2翼部112bの主板11側の第2翼間b1よりも大きくなるように形成されている(第1翼間a1>第2翼間b1)。図10及び図11では羽根車10の一断面同士の比較であるが、この構成は羽根車10の全体に適用されている。すなわち、羽根車10は、第1翼部112aの主板側羽根領域122a全体と第2翼部112bの主板側羽根領域122a全体とにおいても、第1翼部112aの主板11側の第1翼間a1が、第2翼部112bの主板11側の第2翼間b1よりも大きくなるように形成されている(第1翼間a1>第2翼間b1)。そして、羽根車10において、第1翼部112aの主板側羽根領域122aにおける最大翼間(a1max)は、第2翼部112bの主板側羽根領域122aにおける最大翼間(b1max)よりも大きい(最大翼間(b1max)<最大翼間(a1max))。
多翼送風機100の羽根車10は、図12に示す第1翼部112aの側板13側の第1翼間a2が、図13に示す第2翼部112bの側板13側の第2翼間b2以上の大きさとなるように形成されている(第1翼間a2≧第2翼間b2)。図12及び図13では羽根車10の一断面同士の比較であるが、この構成は羽根車10の全体に適用されている。すなわち、羽根車10は、第1翼部112aの側板側羽根領域122b全体と第2翼部112bの側板側羽根領域122b全体とにおいても、第1翼部112aの側板13側の第1翼間a2が、第2翼部112bの側板13側の第2翼間b2以上の大きさとなるように形成されている(第1翼間a2≧第2翼間b2)。そして、羽根車10は、第1翼部112aの側板側羽根領域122bにおける最大翼間(a2max)が、第2翼部112bの側板側羽根領域122bにおける最大翼間(b2max)以上の大きさとなるように形成されている。なお、第1翼間a2及び第2翼間b2は、羽根車10の回転軸RSの径方向において回転軸RSから同じ距離だけ離れた位置で測定した距離である。
多翼送風機100の羽根車10は、図12に示す第1翼部112aの側板13側の第1翼間a2が、図11に示す第2翼部112bの主板11側の第2翼間b1よりも大きくなるように形成されている(第1翼間a2>第2翼間b1)。図12及び図11では羽根車10の一断面同士の比較であるが、この構成は羽根車10の全体に適用されている。すなわち、羽根車10は、第1翼部112aの側板側羽根領域122b全体と第2翼部112bの主板側羽根領域122a全体とにおいても、第1翼部112aの側板13側の第1翼間a2が、第2翼部112bの主板11側の第2翼間b1よりも大きくなるように形成されている(第1翼間a2>第2翼間b1)。そして、羽根車10において、第1翼部112aの側板側羽根領域122bにおける最大翼間(a2max)は、第2翼部112bの主板側羽根領域122aにおける最大翼間(b1max)よりも大きい(最大翼間(b1max)<最大翼間(a2max))。なお、第1翼間a2及び第2翼間b1は、羽根車10の回転軸RSの径方向において回転軸RSから同じ距離だけ離れた位置で測定した距離である。
上述したように、羽根車10の主板11側となる主板側羽根領域122aは第1領域であり、羽根車10の側板13側となる側板側羽根領域122bは第2領域である。したがって、羽根車10及び多翼送風機100は、第1領域の第1翼間a1が、第1領域の第2翼間b1よりも大きく形成されており(第1翼間a1>第2翼間b1)、第2領域の第1翼間a2が、第2領域の第2翼間b2以上の大きさに形成されている(第1翼間a2≧第2翼間b2)。また、羽根車10及び多翼送風機100は、更に第2領域の第1翼間a2が、第1領域の第1翼間a1よりも大きく形成されており(第1翼間a1<第1翼間a2)、第2領域の第2翼間b2が、第1領域の第2翼間b1よりも大きく形成されてもよい(第2翼間b1<第2翼間b2)。すなわち、羽根車10及び多翼送風機100は、側板13側の翼間が、主板11側の翼間よりも大きく形成されてもよい。また、羽根車10及び多翼送風機100は、第2領域の第1翼間a2が、第1領域の第2翼間b1よりも大きくなるように形成されてもよい。(第1翼間a2>第2翼間b1)。したがって、多翼送風機100の羽根車10は、モータ50が配置される側の第1翼部112aを構成する複数の羽根12の翼間が、モータ50が配置されない側の第2翼部112bを構成する複数の羽根12の翼間以上の大きさとなるように形成されている。また、多翼送風機100の羽根車10は、側板13側の複数の羽根12の翼間が、主板11側の複数の羽根12の翼間よりも大きくなるように形成されている。
[羽根車10とスクロールケーシング40との関係]
図14は、図2の多翼送風機100のA-A線断面において羽根車10とベルマウス46との関係を示す模式図である。図15は、図14の羽根車10の第2断面において、回転軸RSと平行に見たときの羽根12とベルマウス46との関係を示す模式図である。図14及び図15に示すように、複数の羽根12のそれぞれの外周端により構成される羽根外径ODは、スクロールケーシング40を構成するベルマウス46の内径BIよりも大きい。なお、複数の羽根12の羽根外径ODは、第1羽根12Aの外径OD1及び外径OD2、並びに、第2羽根12Bの外径OD3及び外径OD4と等しい(羽根外径OD=外径OD1=外径OD2=外径OD3=外径OD4)。
羽根車10は、回転軸RSに対する径方向において、第1ターボ領域12A21が第1シロッコ領域12A11よりも大きい。すなわち、羽根車10及び第1羽根12Aは、回転軸RSに対する径方向において、第1ターボ翼部12A2の割合が第1シロッコ翼部12A1の割合よりも大きく、第1シロッコ翼部12A1<第1ターボ翼部12A2の関係を有する。回転軸RSの径方向における第1シロッコ翼部12A1と第1ターボ翼部12A2との割合の関係は、第1領域である主板側羽根領域122a及び第2領域である側板側羽根領域122bの何れの領域においても成立する。なお、羽根車10及び第1羽根12Aは、回転軸RSに対する径方向において、第1ターボ翼部12A2の割合が第1シロッコ翼部12A1の割合よりも大きく、第1シロッコ翼部12A1<第1ターボ翼部12A2の関係を有するものに限定されるものではない。羽根車10及び第1羽根12Aは、回転軸RSに対する径方向において、第1ターボ翼部12A2の割合が、第1シロッコ翼部12A1の割合と等しいか、第1シロッコ翼部12A1の割合よりも小さくなるように形成されてもよい。
さらに、回転軸RSと平行に見たとき、回転軸RSに対する径方向において、ベルマウス46の内径BIよりも外周側にある複数の羽根12の部分の領域を外周側領域12Rと定義する。羽根車10は、外周側領域12Rにおいても、第1ターボ翼部12A2の割合が第1シロッコ翼部12A1の割合よりも大きいことが望ましい。すなわち、回転軸RSと平行に見たとき、ベルマウス46の内径BIよりも外周側にある羽根車10の外周側領域12Rでは、回転軸RSに対する径方向において、第1ターボ領域12A21aが第1シロッコ領域12A11よりも大きい。第1ターボ領域12A21aは、回転軸RSと平行に見たとき、ベルマウス46の内径BIよりも外周側にある第1ターボ領域12A21の領域である。そして、第1ターボ領域12A21aを構成する第1ターボ翼部12A2を第1ターボ翼部12A2aとした場合、羽根車10の外周側領域12Rは、第1ターボ翼部12A2aの割合が第1シロッコ翼部12A1の割合よりも大きいことが望ましい。外周側領域12Rにおける第1シロッコ翼部12A1と第1ターボ翼部12A2aとの割合の関係は、第1領域である主板側羽根領域122a及び第2領域である側板側羽根領域122bの何れの領域においても成立する。
同様に、羽根車10は、回転軸RSに対する径方向において、第2ターボ領域12B21が第2シロッコ領域12B11よりも大きい。すなわち、羽根車10及び第2羽根12Bは、回転軸RSに対する径方向において、第2ターボ翼部12B2の割合が第2シロッコ翼部12B1の割合よりも大きく、第2シロッコ翼部12B1<第2ターボ翼部12B2の関係を有する。回転軸RSの径方向における第2シロッコ翼部12B1と第2ターボ翼部12B2との割合の関係は、第1領域である主板側羽根領域122a及び第2領域である側板側羽根領域122bの何れの領域においても成立する。なお、羽根車10及び第2羽根12Bは、回転軸RSに対する径方向において、第2ターボ翼部12B2の割合が第2シロッコ翼部12B1の割合よりも大きく、第2シロッコ翼部12B1<第2ターボ翼部12B2の関係を有するものに限定されるものではない。羽根車10及び第2羽根12Bは、回転軸RSに対する径方向において、第2ターボ翼部12B2の割合が、第2シロッコ翼部12B1の割合と等しいか、第2シロッコ翼部12B1の割合よりも小さく形成されてもよい。
さらに、羽根車10は、外周側領域12Rにおいても、第2ターボ翼部12B2の割合が第2シロッコ翼部12B1の割合よりも大きいことが望ましい。すなわち、回転軸RSと平行に見たとき、ベルマウス46の内径BIよりも外周側にある羽根車10の外周側領域12Rでは、回転軸RSに対する径方向において、第2ターボ領域12B21aが第2シロッコ領域12B11よりも大きい。第2ターボ領域12B21aは、回転軸RSと平行に見たとき、ベルマウス46の内径BIよりも外周側にある第2ターボ領域12B21の領域である。そして、第2ターボ領域12B21aを構成する第2ターボ翼部12B2を第2ターボ翼部12B2aとした場合、羽根車10の外周側領域12Rは、第2ターボ翼部12B2aの割合が第2シロッコ翼部12B1の割合よりも大きいことが望ましい。外周側領域12Rにおける第2シロッコ翼部12B1と第2ターボ翼部12B2aとの割合の関係は、第1領域である主板側羽根領域122a及び第2領域である側板側羽根領域122bの何れの領域においても成立する。
図16は、図2の多翼送風機100のA-A線断面において羽根車10とベルマウス46との関係を示す模式図である。図17は、図16の羽根車10において、回転軸RSと平行に見たときの羽根12とベルマウス46との関係を示す模式図である。なお、図16に示す白抜き矢印Lは、羽根車10を回転軸RSと平行に見たときの方向を示している。図16及び図17に示すように、回転軸RSと平行に見た場合に、第1羽根12Aと主板11との接続位置において、回転軸RSを中心とした複数の第1羽根12Aの内周端14Aを通る円を円C1aと定義する。そして、円C1aの直径、すなわち、第1羽根12Aと主板11との接続位置における第1羽根12Aの内径を、内径ID1aとする。また、回転軸RSと平行に見た場合に、第2羽根12Bと主板11との接続位置において、回転軸RSを中心とした複数の第2羽根12Bの内周端14Bを通る円を円C2aと定義する。そして、円C2aの直径、すなわち、第1羽根12Aと主板11との接続位置における第2羽根12Bの内径を、内径ID2aとする。なお、内径ID2aは内径ID1aよりも大きい(内径ID2a>内径ID1a)。また、回転軸RSと平行に見た場合に、回転軸RSを中心とした複数の第1羽根12Aの外周端15A及び複数の第2羽根12Bの外周端15Bを通る円C3aの直径、すなわち複数の羽根12の外径を、羽根外径ODとする。また、回転軸RSと平行に見た場合に、第1羽根12Aと側板13との接続位置において、回転軸RSを中心とした複数の第1羽根12Aの内周端14Aを通る円を円C7aと定義する。そして、円C7aの直径、すなわち、第1羽根12Aと側板13との接続位置における第1羽根12Aの内径を、内径ID3aとする。また、回転軸RSと平行に見た場合に、第2羽根12Bと側板13との接続位置において、回転軸RSを中心とした複数の第2羽根12Bの内周端14Bを通る円は円C7aとなる。そして、円C7aの直径、すなわち、第2羽根12Bと側板13との接続位置における第2羽根12Bの内径を、内径ID4aとする。
図16及び図17に示すように、回転軸RSと平行に見たときに、ベルマウス46の内径BIの位置は、第1羽根12Aの主板11側の内径ID1aと、側板13側の内径ID3aとの間の第1ターボ翼部12A2及び第2ターボ翼部12B2の領域に位置する。より詳細には、ベルマウス46の内径BIは、第1羽根12Aの主板11側の内径ID1aよりも大きく、側板13側の内径ID3aよりも小さい。すなわち、ベルマウス46の内径BIは、複数の羽根12の主板11側の羽根内径よりも大きく、側板13側の羽根内径よりも小さく形成されている。換言すると、ベルマウス46の内径BIを形成する開口部46aは、回転軸RSと平行に見たときに、円C1aと円C7aとの間において、第1ターボ翼部12A2及び第2ターボ翼部12B2の領域に位置する。
また、図16及び図17に示すように、回転軸RSと平行に見たときにベルマウス46の内径BIの位置は、第2羽根12Bの主板11側の内径ID2aと、側板13側の内径ID4aとの間の第1ターボ翼部12A2及び第2ターボ翼部12B2の領域に位置する。より詳細には、ベルマウス46の内径BIは、第2羽根12Bの主板11側の内径ID2aよりも大きく、側板13側の内径ID4aよりも小さい。すなわち、ベルマウス46の内径BIは、複数の羽根12の主板11側の羽根内径よりも大きく、側板13側の羽根内径よりも小さく形成されている。より詳細には、ベルマウス46の内径BIは、第1領域の複数の羽根12のそれぞれの内周端により構成される羽根内径よりも大きく、第2領域の複数の羽根12のそれぞれの内周端により構成される羽根内径よりも小さく形成されている。換言すると、ベルマウス46の内径BIを形成する開口部46aは、回転軸RSと平行に見たときに、円C2aと円C7aとの間において、第1ターボ翼部12A2及び第2ターボ翼部12B2の領域に位置する。
図16及び図17に示すように、羽根車10の径方向において、第1シロッコ翼部12A1及び第2シロッコ翼部12B1の径方向長さを距離SLとする。また、多翼送風機100において、羽根車10の複数の羽根12と、スクロールケーシング40の周壁44cとの間の最接近距離を距離MSとする。このとき、多翼送風機100は、距離MSは、距離SLの2倍よりも大きい(距離MS>距離SL×2)。なお、距離MSは、図16のA-A線断面の多翼送風機100に示しているが、距離MSは、スクロールケーシング40の周壁44cとの間の最接近距離であり、必ずしもA-A線断面上に表されるものではない。
図18は、実施の形態1に係る多翼送風機100において羽根車10とモータ50との関係を説明する概念図である。なお、図18に示す点線FLは、スクロールケーシング40の外部から内部に流入する空気の流れの一例を示すものである。図18に示すように、多翼送風機100は、羽根車10及びスクロールケーシング40の他に、羽根車10の主板11を回転させるモータ50を有してもよい。すなわち、多翼送風機100は、羽根車10と、羽根車10を収容するスクロールケーシング40と、羽根車10を駆動するモータ50と、を有してもよい。
モータ50は、スクロールケーシング40の側壁44aに隣接して配置されている。モータ50のモータシャフト51は、羽根車10の回転軸RS上に延びており、スクロールケーシング40の側面を貫通してスクロールケーシング40の内部に挿入されている。
主板11は、モータ50側のスクロールケーシング40の側壁44aに沿って、回転軸RSと垂直となるように配置されている。主板11の中心部にはモータシャフト51が接続される軸部11bが設けられており、主板11の軸部11bにはスクロールケーシング40の内部に挿入されたモータシャフト51が固定されている。モータ50のモータシャフト51は、羽根車10の主板11と接続され、固定される。
モータ50が運転されると、モータシャフト51及び主板11を介して、複数の羽根12が回転軸RSを中心として回転する。これにより、外部の空気が吸込口45から羽根車10の内部に吸い込まれ、羽根車10の昇圧作用によりスクロールケーシング40内に吹き出される。スクロールケーシング40内に吹き出された空気は、スクロールケーシング40の周壁44cによって形成される拡大風路で減速されて静圧を回復し、図1に示す吐出口42aから外部に吹き出される。
モータ50の端部50aの外径MO1を構成する外周壁52は、羽根12の主板11側の羽根内径を回転軸RSの軸方向に延ばした仮想の延長面VF1と、側板13側の羽根内径を回転軸RSの軸方向に延ばした仮想の延長面VF3との間に位置する。また、モータ50の端部50aの外径MO1を構成する外周壁52は、回転軸RSの軸方向において、第1ターボ翼部12A2及び第2ターボ翼部12B2と対向する位置に配置されている。より詳細には、モータ50の端部50aの外径MO1は、複数の第1羽根12Aの主板11側の内径ID1よりも大きく、複数の第1羽根12Aの側板13側の内径ID3よりも小さい。すなわち、モータ50の端部50aの外径MO1は、複数の羽根12の主板11側の羽根内径よりも大きく、複数の羽根12の側板13側の羽根内径よりも小さく形成されている。また、モータ50の端部50aにおける外周壁52は、回転軸RSと平行に見たときに、上述した円C1aと円C7aとの間において、第1ターボ翼部12A2及び第2ターボ翼部12B2の領域に位置する。なお、多翼送風機100は、端部50a以外のモータ50の外径MO2の寸法については、外径MO2の大きさが限定されるものではない。
図19は、図18に示す多翼送風機100の第1の変形例である多翼送風機100Aの概念図である。モータ50Aの外径MOを構成する外周壁52は、羽根12の主板11側の羽根内径を回転軸RSの軸方向に延ばした仮想の延長面VF1と、側板13側の羽根内径を回転軸RSの軸方向に延ばした仮想の延長面VF3との間に位置する。また、モータ50Aの外径MOを構成する外周壁52は、回転軸RSの軸方向において、第1ターボ翼部12A2及び第2ターボ翼部12B2と対向する位置に配置されている。より詳細には、モータ50Aの外径MOは、複数の第1羽根12Aの主板11側の内径ID1よりも大きく、複数の第1羽根12Aの側板13側の内径ID3よりも小さい。すなわち、モータ50Aの外径MOは、複数の羽根12の主板11側の羽根内径よりも大きく、複数の羽根12の側板13側の羽根内径よりも小さく形成されている。また、モータ50Aの外径MOを形成する外周壁52は、回転軸RSと平行に見たときに、上述した円C1aと円C7aとの間において、第1ターボ翼部12A2及び第2ターボ翼部12B2の領域に位置する。
図20は、図18に示す多翼送風機100の第2の変形例である多翼送風機100Bの概念図である。図20に示すように、モータ50Bの端部50aの外径MO1aを構成する外周壁52aは、回転軸RSと、羽根12の主板11側の羽根内径を回転軸RSの軸方向に延ばした仮想の延長面VF1との間に位置する。また、モータ50Bの端部50aの外径MO1aを構成する外周壁52aは、回転軸RSの軸方向において、第1ターボ翼部12A2及び第2ターボ翼部12B2と対向する位置に配置されている。より詳細には、モータ50Bの端部50aの外径MO1aは、複数の第1羽根12Aの主板11側の内径ID1よりも小さい。すなわち、モータ50Bの端部50aの外径MO1aは、複数の羽根12の主板11側の羽根内径よりも小さく形成されている。また、モータ50Bの端部50aにおける外周壁52aは、回転軸RSと平行に見たときに、上述した円C1a内に位置する。
また、モータ50Bの最外径MO2aを構成する外周壁52bは、羽根12の主板11側の羽根内径を回転軸RSの軸方向に延ばした仮想の延長面VF1と、側板13側の羽根内径を回転軸RSの軸方向に延ばした仮想の延長面VF3との間に位置する。また、モータ50Bの最外径MO2aを構成する外周壁52bは、回転軸RSの軸方向において、第1ターボ翼部12A2及び第2ターボ翼部12B2と対向する位置に配置されている。より詳細には、モータ50Bの最外径MO2aは、複数の第1羽根12Aの主板11側の内径ID1よりも大きく、複数の第1羽根12Aの側板13側の内径ID3よりも小さい。すなわち、モータ50Bの最外径MO2aは、複数の羽根12の主板11側の羽根内径よりも大きく、複数の羽根12の側板13側の羽根内径よりも小さく形成されている。また、モータ50Bの最外径MO2aを形成する外周壁52bは、回転軸RSと平行に見たときに、上述した円C1aと円C7aとの間において、第1ターボ翼部12A2及び第2ターボ翼部12B2の領域に位置する。
[羽根車10及び多翼送風機100の作用効果]
羽根車10及び多翼送風機100は、複数の羽根12が、主板11の一方の板面側に形成された第1翼部112aと、主板11の他方の板面側に形成された第2翼部112bと、を有する。そして、羽根車10及び多翼送風機100は、第1翼部112aの第1翼間が第2翼部112bの第2翼間よりも大きく形成されている領域を有するものである。そのため、モータ50が配置されることで羽根車10における空気の吸込み面積が小さくなったとしても、翼間が広がった第1翼部112aの形成側にモータ50を配置することで、モータ50が配置されている側の羽根車10の吸込み損失を抑制することができる。すなわち、両吸込みタイプの羽根車10であって、使用形態あるいは使用環境等により吸込み空気の流れが一方の吸込み側と他方の吸込み側とで異なる場合でも、吸込み空気の流れが少ない側に第2翼部112bと比較して翼間が広がった第1翼部112aを配置することで、羽根車10は、第1翼部112a側の吸い込み空気の流量を増加させることができる。その結果、羽根車10は、吸込み損失を抑制することができる。
また、羽根車10の第1領域及び第2領域において、径方向におけるターボ翼部の割合が、シロッコ翼部の割合よりも大きいものである。羽根車10は、主板11と側板13との間のいずれの領域においても、ターボ翼部の割合が高く、羽根によって充分な圧力回復を行うことができ、当該構成を備えない羽根車及び多翼送風機と比較して圧力回復を向上させることができる。
また、複数の羽根12のそれぞれは、主板11側から側板13側に向かうにつれて、内周端14A及び内周端14Bが回転軸RSから離れるように傾斜した羽根傾斜領域142を有している。そして、第1翼間a1は、第1翼部112aの羽根傾斜領域142の翼間であり、第2翼間b1は、第2翼部112bの羽根傾斜領域142の翼間である。羽根傾斜領域142は、モータ50が配置された場合、回転軸RSの軸方向において、第1翼部112aと対向する。そして、羽根車10及び多翼送風機100は、第1翼部112aの第1翼間a1が第2翼部112bの第2翼間b1よりも大きく形成されている領域を有している。そのため、モータ50が配置されることで羽根車10における空気の吸込み面積が小さくなったとしても、翼間が広がった第1翼部112aの形成側にモータ50を配置することで、モータ50が配置されている側の羽根車10の吸込み損失を抑制することができる。すなわち、両吸込みタイプの羽根車10であって、使用形態あるいは使用環境等により吸込み空気の流れが一方の吸込み側と他方の吸込み側とで異なる場合でも、吸込み空気の流れが少ない側に第2翼部112bと比較して翼間が広がった第1翼部112aを配置することで、羽根車10は、第1翼部112a側の吸い込み空気の流量を増加させることができる。その結果、羽根車10は、吸込み損失を抑制することができる。
羽根車10及び多翼送風機100は、第1領域の第1翼間が、第1領域の第2翼間よりも大きく形成されており(第1翼間a1>第2翼間b1)、第2領域の第1翼間が、第2領域の第2翼間以上の大きさに形成されている(第1翼間a2≧第2翼間b2)。そのため、モータ50が配置されることで羽根車10における空気の吸込み面積が小さくなったとしても、翼間が広がった第1翼部112aの形成側にモータ50を配置することで、モータ50が配置されている側の羽根車10の吸込み損失を抑制することができる。また、羽根車10は、主板11と側板13との間のいずれの領域においても、ターボ翼部の割合が高く、羽根によって充分な圧力回復を行うことができ、当該構成を備えない羽根車及び多翼送風機と比較して圧力回復を向上させることができる。
また、羽根車10及び多翼送風機100は、第2領域の第1翼間が、第1領域の第1翼間よりも大きく形成されており(第1翼間a1<第1翼間a2)、第2領域の第2翼間が、第1領域の第2翼間よりも大きく形成されている(第2翼間b1<第2翼間b2)。すなわち、羽根車10及び多翼送風機100は、側板13側の翼間が、主板11側の翼間よりも大きく形成されている。そのため、羽根車10及び多翼送風機100は、当該構成を備えない羽根車及び多翼送風機と比較して圧力回復を向上させることができる。その結果、羽根車10は、多翼送風機100の効率を向上させることができる。さらに、羽根車10は、上記構成を備えていることで側板13側における気流の前縁剥離を低減することができる。
また、羽根車10及び多翼送風機100は、羽根車10の第1領域及び第2領域において、径方向におけるターボ翼部の割合が、シロッコ翼部の割合よりも大きいものである。羽根車10及び多翼送風機100は、主板11と側板13との間のいずれの領域においても、ターボ翼部の割合が高いため、複数の羽根12によって充分な圧力回復を行うことができる。そのため、羽根車10及び多翼送風機100は、当該構成を備えない羽根車及び多翼送風機と比較して圧力回復を向上させることができる。その結果、羽根車10は、多翼送風機100の効率を向上させることができる。さらに、羽根車10は、上記構成を備えていることで側板13側における気流の前縁剥離を低減することができる。
また、複数の羽根12のそれぞれは、ターボ翼部とシロッコ翼部との間の繋ぎの部分として翼角度が90度に形成されたラジアル翼部を有している。羽根車10は、ターボ翼部とシロッコ翼部との間にラジアル翼部を有することで、シロッコ翼部とターボ翼部との繋ぎ部分の急激な角度変化がなくなる。そのため、羽根車10は、スクロールケーシング40内の圧力変動を低減させ、多翼送風機100のファン効率をアップさせ、更に騒音を低減することができる。
また、複数の羽根12は、複数の第1羽根12Aのうち周方向で互いに隣り合う2つの第1羽根12Aの間に、複数の第2羽根12Bのうちの少なくとも1つの第2羽根12Bが配置されている。羽根車10及び多翼送風機100は、第2羽根12Bにおいても、主板11と側板13との間のいずれの領域において、ターボ翼部の割合が高いため、第2羽根12Bによって充分な圧力回復を行うことができる。そのため、羽根車10及び多翼送風機100は、当該構成を備えない羽根車及び多翼送風機と比較して圧力回復を向上させることができる。その結果、羽根車10は、多翼送風機100の効率を向上させることができる。さらに、羽根車10は、上記構成を備えていることで側板13側における気流の前縁剥離を低減することができる。
また、複数の第2羽根12Bは、複数の第2羽根12Bのそれぞれの内周端14Bにより構成される内径と、複数の第2羽根12Bのそれぞれの外周端15Bにより構成される外径との比が0.7以下であるように形成されている。羽根車10及び多翼送風機100は、第2羽根12Bにおいても、主板11と側板13との間のいずれの領域において、ターボ翼部の割合が高いため、第2羽根12Bによって充分な圧力回復を行うことができる。そのため、羽根車10及び多翼送風機100は、当該構成を備えない羽根車及び多翼送風機と比較して圧力回復を向上させることができる。その結果、羽根車10は、多翼送風機100の効率を向上させることができる。さらに、羽根車10は、上記構成を備えていることで側板13側における気流の前縁剥離を低減することができる。
また、複数の羽根12は、回転軸RSに対する径方向において、ベルマウス46の内径BIよりも外側にある複数の羽根12の部分では、羽根12全体において、主板11の径方向におけるターボ翼部の領域の割合が、シロッコ翼部の領域の割合よりも大きい。複数の羽根12は、当該構成が主板11と側板13との間のいずれの領域においても成立する。複数の羽根12は、当該構成を備えることで、ベルマウス46の内径BIより内側の羽根12部分では空気の吸込量を増大させることができる。また、複数の羽根12は、ベルマウス46の内径BIよりも外側にある複数の羽根12部分において、ターボ翼部の割合を増やすことで、羽根車10から排出される風量を増大させることができる。さらに、複数の羽根12は、当該構成を有することで、多翼送風機100のスクロールケーシング40の内部での圧力回復を増大させ、ファン効率を向上させることができる。
また、ベルマウス46の内径BIは、複数の羽根12の主板11側の羽根内径よりも大きく、複数の羽根12の側板13側の羽根内径よりも小さく形成されている。そのため、多翼送風機100は、ベルマウス46の吸込口45から流入する吸込気流と、側板13側の羽根12との干渉を低減し、更に騒音を低減することができる。
また、ベルマウス46の内径BIは、複数の第2羽根12Bの主板11側の羽根内径よりも大きく、複数の第2羽根12Bの側板13側の羽根内径よりも小さく形成されている。そのため、多翼送風機100は、ベルマウス46の吸込口45から流入する吸込気流と、側板13側の第2羽根12Bとの干渉を低減し、更に騒音を低減することができる。
また、複数の羽根12と周壁44cとの間の最接近距離である距離MSが、シロッコ翼部の径方向長さの2倍よりも大きい。そのため、多翼送風機100は、ターボ翼部で圧力回復を行うことができ、スクロールケーシング40と羽根車10との最接近部において互いの距離を離すことができるため騒音を低減することができる。
また、多翼送風機100は、モータ50の端部50aの外径MO1が、複数の羽根12の主板11側の羽根内径よりも大きく、複数の羽根12の側板13側の羽根内径よりも小さく形成されている。多翼送風機100は、当該構成を備えることで、モータ50の近傍からの気流が羽根車10の回転軸RSの軸方向に転向され、スクロールケーシング40内に空気が滑らかに流入されることで、羽根車10から排出される風量を増加させることができる。また、多翼送風機100は、当該構成を備えることでスクロールケーシング40の内部での圧力回復を増大させ、ファン効率を向上させることができる。
また、多翼送風機100Aは、モータ50Aの外径MOが、複数の羽根12の主板11側の羽根内径よりも大きく、複数の羽根12の側板13側の羽根内径よりも小さく形成されている。多翼送風機100Aは、当該構成を備えることで、モータ50Aの近傍からの気流が羽根車10の回転軸RSの軸方向に転向され、スクロールケーシング40内に空気が滑らかに流入されることで、羽根車10から排出される風量を増加させることができる。また、多翼送風機100Aは、当該構成を備えることでスクロールケーシング40の内部での圧力回復を増大させ、ファン効率を向上させることができる。
また、多翼送風機100Bは、モータ50Bの最外径MO2aが、複数の羽根12の主板11側の羽根内径よりも大きく、複数の羽根12の側板13側の羽根内径よりも小さく形成されている。また、多翼送風機100Bは、モータ50Bの端部50aの外径MO1aが、複数の羽根12の主板11側の羽根内径よりも小さく形成されている。多翼送風機100Bは、当該構成を備えることで、多翼送風機100A等と比較して、更にスクロールケーシング40内に空気を滑らかに流入させることができ、羽根車10から排出される風量を増加させることができる。また、多翼送風機100Bは、当該構成を備えることで、多翼送風機100A等と比較して、更にスクロールケーシング40の内部での圧力回復を増大させ、ファン効率を向上させることができる。
実施の形態2.
[多翼送風機100C]
図21は、実施の形態2に係る多翼送風機100Cを模式的に示す断面図である。図22は、比較例である多翼送風機100Hを模式的に示す断面図である。図23は、実施の形態2に係る多翼送風機100Cの作用を模式的に示す断面図である。図21は、実施の形態2に係る多翼送風機100Cの効果を模式的に示す断面図である。図21~図23を用いて実施の形態2に係る多翼送風機100Cについて説明する。なお、図1~図20の多翼送風機100等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態2に係る多翼送風機100Cの羽根車10Cは、実施の形態1に係る多翼送風機100の羽根車10における複数の羽根12の傾斜部141A及び141Bの構成を更に特定するものである。従って、以下の説明では、図21~図23を用いて、実施の形態2に係る多翼送風機100Cの傾斜部141A及び141Bの構成を中心に羽根車10Cについて説明する。
上述したように、複数の羽根12は、主板11側から側板13側に向かうにつれて、羽根内径が大きくなるように前縁14A1が回転軸RSから離れるように傾斜した傾斜部141Aを形成している。すなわち、複数の羽根12は、主板11側から側板13側に向かうにつれて、羽根内径が大きくなるように内周端14Aが回転軸RSから離れるように傾斜した傾斜部141Aを形成している。同様に、複数の羽根12は、主板11側から側板13側に向かうにつれて、羽根内径が大きくなるように前縁14B1が回転軸RSから離れるように傾斜した傾斜部141Bを形成している。すなわち、複数の羽根12は、主板11側から側板13側に向かうにつれて、羽根内径が大きくなるように内周端14Bが回転軸RSから離れるように傾斜した傾斜部141Bを形成している。複数の羽根12は、傾斜部141A及び傾斜部141Bによって、内周側に勾配を形成している。
傾斜部141Aは、回転軸RSに対して傾斜している。傾斜部141Aの傾斜の角度は、好ましくは0度より大きく60度以下、より好ましくは0度より大きく45度以下である。すなわち、傾斜部141Aと回転軸RSとの間の傾斜角θ1は、好ましくは0°<θ1≦60°、より好ましくは0°<θ1≦45°の関係を満たすように構成されている。なお、図21に示す、仮想線VL1は、回転軸RSと平行な仮想の線である。そのため、傾斜部141Aと仮想線VL1との間の角度は、傾斜部141Aと回転軸RSの間の角度と等しい。
同様に、傾斜部141Bは、回転軸RSに対して傾斜している。傾斜部141Bの傾斜の角度は、好ましくは0度より大きく60度以下、より好ましくは0度より大きく45度以下である。すなわち、傾斜部141Bと回転軸RSとの間の傾斜角θ2は、好ましくは0°<θ2≦60°、より好ましくは0°<θ2≦45°の関係を満たすように構成されている。なお、図21に示す、仮想線VL2は、回転軸RSと平行な仮想の線である。そのため、傾斜部141Bと仮想線VL2との間の角度は、傾斜部141Bと回転軸RSの間の角度と等しい。なお、傾斜角θ1及び傾斜角θ2は、同じ角度であってもよく、異なる角度であってもよい。
図21に示す羽根高さWHは、200mm以下である。羽根高さWHは、主板11と、回転軸RSの軸方向における複数の羽根12の端部12tとの間の距離であり、主板11と、回転軸RSの軸方向における複数の羽根12の端部12tとの間の最大距離である。羽根高さWHは、200mm以下に限定されるものではなく、200mmより大きくてもよい。
[羽根車10C及び多翼送風機100Cの作用効果]
図22に示すように、比較例である多翼送風機100Hは、前縁14Hによって形成される内径IDhが、回転軸RSの軸方向において一定の大きさである。すなわち、比較例である多翼送風機100Hは、傾斜部141A及び傾斜部141Bを有しておらず、羽根内径に勾配が形成されていない。そのため、図22に示すように、比較例である多翼送風機100Hは、多翼送風機100H内に吸い込まれる空気(点線FL)が、羽根車10Hの端部12t、あるいは、端部12tと前縁14Hとにより形成される角部を通過しやすい。羽根車10Hの端部12t、あるいは、端部12tと前縁14Hとにより形成される角部は、羽根12の面積が狭い部分である。そのため、羽根12と隣接する羽根12との間の狭い隙間を空気が通過することになり、多翼送風機100Hは、空気を吸い込む際の通風抵抗が大きくなる。
これに対し、図23に示すように、多翼送風機100Cは、羽根12の前縁において、傾斜部141A及び傾斜部141Bを有しており、羽根内径に勾配を形成している。そのため、図23に示すように、多翼送風機100Cは、羽根12の羽根内径に形成された勾配により、気流に対する羽根12の前縁の面積を広くとることができ、羽根車10Cを通過する際の空気の通風抵抗を小さくすることができる。その結果、多翼送風機100Cは、送風効率を上げることができる。
多翼送風機100Cの傾斜部141A及び傾斜部141Bの傾斜の角度は、適宜設定可能である。多翼送風機100Cは、傾斜部141A及び傾斜部141Bの傾斜の角度をより大きくすることで、気流に対する羽根12の前縁の面積をより広くとることができる。しかし、所定の羽根高さWHを確保した状態で傾斜角度を大きくする場合には、羽根車10C及び多翼送風機100Cを径方向に大きくする必要がある。羽根車10C及び多翼送風機100Cの大型化を抑制しつつ、上述した羽根12の前縁の面積を広くとるためには、傾斜部141A及び傾斜部141Bの傾斜の角度を60度以下に設定することが望ましい。また、羽根車10C及び多翼送風機100Cの更なる小型化を実現するためには、傾斜部141A及び傾斜部141Bの傾斜の角度を45度以下に設定することが望ましい。
[多翼送風機100D]
図24は、図21に示す多翼送風機100Cの第1の変形例である多翼送風機100Dの断面図である。図24を用いて実施の形態2に係る多翼送風機100Cの第1の変形例である多翼送風機100Dについて説明する。なお、図1~図23の多翼送風機100等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。多翼送風機100Dの羽根車10Dは、実施の形態2に係る多翼送風機100Cの羽根車10Cにおける複数の羽根12の前縁14A1及び前縁14B1の構成を更に特定するものである。従って、以下の説明では、図24を用いて、多翼送風機100Dの前縁14A1及び前縁14B1の構成を中心に羽根車10Dについて説明する。
上述したように、複数の羽根12は、主板11側から側板13側に向かうにつれて、羽根内径が大きくなるように前縁14A1が回転軸RSから離れるように傾斜した傾斜部141Aを形成している。同様に、複数の羽根12は、主板11側から側板13側に向かうにつれて、羽根内径が大きくなるように前縁14B1が回転軸RSから離れるように傾斜した傾斜部141Bを形成している。複数の羽根12は、傾斜部141A及び傾斜部141Bによって、内周側に勾配を形成している。
傾斜部141Aは、回転軸RSに対して傾斜している。傾斜部141Aの傾斜の角度は、好ましくは0度より大きく60度以下、より好ましくは0度より大きく45度以下である。すなわち、傾斜部141Aと回転軸RSとの間の傾斜角θ1は、好ましくは0°<θ1≦60°、より好ましくは0°<θ1≦45°の関係を満たすように構成されている。同様に、傾斜部141Bは、回転軸RSに対して傾斜している。傾斜部141Bの傾斜の角度は、好ましくは0度より大きく60度以下、より好ましくは0度より大きく45度以下である。すなわち、傾斜部141Bと回転軸RSとの間の傾斜角θ2は、好ましくは0°<θ2≦60°、より好ましくは0°<θ2≦45°の関係を満たすように構成されている。
図24に示す羽根高さWHは、200mm以下である。羽根高さWHは、主板11と、回転軸RSの軸方向における複数の羽根12の端部12tとの間の距離であり、主板11と、回転軸RSの軸方向における複数の羽根12の端部12tとの間の最大距離である。羽根高さWHは、200mm以下に限定されるものではなく、200mmより大きくてもよい。
複数の羽根12は、主板11側と側板13側と間の前縁14A1において、図24において回転軸RSと平行な直線部141C1を設けている。なお、直線部141C1は、回転軸RSと平行な構成であるものに限定されない。直線部141C1は、主板11側と側板13側と間において、主板11側に設けられている。したがって、第1羽根12Aの前縁14A1は、主板11側に設けられた直線部141C1と、側板13側に設けられた傾斜部141Aとによって形成されている。多翼送風機100Dの羽根車10Dは、前縁14A1の直線部141C1によって形成される内径IDc1が、回転軸RSの軸方向において一定の大きさである。
同様に、複数の羽根12は、主板11側と側板13側と間の前縁14B1において、図24において回転軸RSと平行な直線部141C2を設けている。なお、直線部141C2は、回転軸RSと平行な構成であるものに限定されない。直線部141C2は、主板11側と側板13側と間において、主板11側に設けられている。したがって、第2羽根12Bの前縁14B1は、主板11側に設けられた直線部141C2と、側板13側に設けられた傾斜部141Bとによって形成されている。多翼送風機100Dの羽根車10Dは、前縁14B1の直線部141C2によって形成される内径IDc2が、回転軸RSの軸方向において一定の大きさである。
[羽根車10D及び多翼送風機100Dの作用効果]
図24に示すように、多翼送風機100Dは、羽根12の前縁において、傾斜部141A及び傾斜部141Bを有しており、羽根内径に勾配を形成している。そのため、多翼送風機100Dは、羽根12の羽根内径に形成された勾配により、気流に対する羽根12の前縁の面積を広くとることができ、羽根車10Dを通過する際の空気の通風抵抗を小さくすることができる。その結果、多翼送風機100Dは、送風効率を上げることができる。
[多翼送風機100E]
図25は、図21に示す多翼送風機100Cの第2の変形例である多翼送風機100Eの断面図である。図25を用いて実施の形態2に係る多翼送風機100Cの第2の変形例である多翼送風機100Eについて説明する。なお、図1~図24の多翼送風機100等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。多翼送風機100Eの羽根車10Eは、実施の形態2に係る多翼送風機100Cの羽根車10Cにおける複数の羽根12の前縁14A1及び前縁14B1の構成を更に特定するものである。従って、以下の説明では、図25を用いて、多翼送風機100Eの前縁14A1及び前縁14B1の構成を中心に羽根車10Eについて説明する。
上述したように、複数の羽根12は、主板11側から側板13側に向かうにつれて、羽根内径IDeが大きくなるように、前縁14A1が回転軸RSから離れるように傾斜した傾斜部141Aを形成している。また、複数の羽根12は、主板11側から側板13側に向かうにつれて、羽根内径IDeが大きくなるように前縁14A1が回転軸RSから離れるように傾斜した傾斜部141A2を形成している。傾斜部141A2は、主板11側と側板13側と間において、主板11側に設けられている。したがって、第1羽根12Aの前縁14A1は、主板11側に設けられた傾斜部141A2と、側板13側に設けられた傾斜部141Aとによって形成されている。すなわち、複数の羽根12の第1羽根12Aは、主板11と側板13との間において、傾斜部141Aと傾斜部141A2との、2つの傾斜部を有している。なお、複数の羽根12の第1羽根12Aは、傾斜部141Aと傾斜部141A2との、2つの傾斜部を有している構成に限定されるものではなく、2つ以上の傾斜部を有していればよい。
同様に、複数の羽根12は、主板11側から側板13側に向かうにつれて、羽根内径IDeが大きくなるように、前縁14B1が回転軸RSから離れるように傾斜した傾斜部141Bを形成している。また、複数の羽根12は、主板11側から側板13側に向かうにつれて、羽根内径IDeが大きくなるように前縁14B1が回転軸RSから離れるように傾斜した傾斜部141B2を形成している。傾斜部141B2は、主板11側と側板13側と間において、主板11側に設けられている。したがって、第2羽根12Bの前縁14B1は、主板11側に設けられた傾斜部141B2と、側板13側に設けられた傾斜部141Bとによって形成されている。すなわち、複数の羽根12の第2羽根12Bは、主板11と側板13との間において、傾斜部141Bと傾斜部141B2との、2つの傾斜部を有している。なお、複数の羽根12の第2羽根12Bは、傾斜部141Bと傾斜部141B2との、2つの傾斜部を有している構成に限定されるものではなく、2つ以上の傾斜部を有していればよい。複数の羽根12は、傾斜部141A、傾斜部141A2、傾斜部141B及び傾斜部141B2によって、内周側に勾配を形成している。
傾斜部141A及び傾斜部141A2の少なくとも一方は、回転軸RSに対して傾斜している。傾斜部141A及び/又は傾斜部141A2の傾斜の角度は、好ましくは0度より大きく60度以下、より好ましくは0度より大きく45度以下である。すなわち、傾斜部141Aと回転軸RSとの間の傾斜角θ1は、好ましくは0°<θ1≦60°、より好ましくは0°<θ1≦45°の関係を満たすように構成されている。あるいは、傾斜部141A2と回転軸RSとの間の傾斜角θ11は、好ましくは0°<θ11≦60°、より好ましくは0°<θ11≦45°の関係を満たすように構成されている。なお、図25に示す、仮想線VL3は、回転軸RSと平行な仮想の線である。そのため、傾斜部141A2と仮想線VL3との間の角度は、傾斜部141A2と回転軸RSの間の角度と等しい。
傾斜部141Aの傾斜角θ1と傾斜部141A2の傾斜角θ11とは、角度が異なる。第1羽根12Aが2つ以上の傾斜部を有している場合には、各傾斜部の傾斜角はそれぞれ異なる。傾斜部141Aの傾斜角θ1の大きさと、傾斜部141A2の傾斜角θ11の大きさとの関係は限定されるものではない。例えば、第1羽根12Aは、図25に示すように、傾斜部141A2の傾斜角θ11の大きさが、傾斜部141Aの傾斜角θ1の大きさより大きくてもよい。あるいは、第1羽根12Aは、傾斜部141A2の傾斜角θ11の大きさが、傾斜部141Aの傾斜角θ1の大きさより小さくてもよい。
同様に、傾斜部141B及び傾斜部141B2の少なくとも一方は、回転軸RSに対して傾斜している。傾斜部141B及び/又は傾斜部141B2の傾斜の角度は、好ましくは0度より大きく60度以下、より好ましくは0度より大きく45度以下である。すなわち、傾斜部141Bと回転軸RSとの間の傾斜角θ2は、好ましくは0°<θ2≦60°、より好ましくは0°<θ2≦45°の関係を満たすように構成されている。あるいは、傾斜部141B2と回転軸RSとの間の傾斜角θ22は、好ましくは0°<θ22≦60°、より好ましくは0°<θ22≦45°の関係を満たすように構成されている。なお、図25に示す、仮想線VL4は、回転軸RSと平行な仮想の線である。そのため、傾斜部141B2と仮想線VL4との間の角度は、傾斜部141B2と回転軸RSの間の角度と等しい。
傾斜部141Bの傾斜角θ2と傾斜部141B2の傾斜角θ22とは、角度が異なる。第2羽根12Bが2つ以上の傾斜部を有している場合には、各傾斜部の傾斜角はそれぞれ異なる。傾斜部141Bの傾斜角θ2の大きさと、傾斜部141B2の傾斜角θ22の大きさとの関係は限定されるものではない。例えば、第2羽根12Bは、図25に示すように、傾斜部141B2の傾斜角θ22の大きさが、傾斜部141Bの傾斜角θ2の大きさより大きくてもよい。あるいは、第2羽根12Bは、傾斜部141B2の傾斜角θ22の大きさが、傾斜部141Bの傾斜角θ2の大きさより小さくてもよい。
図25に示す羽根高さWHは、200mm以下である。羽根高さWHは、主板11と、回転軸RSの軸方向における複数の羽根12の端部12tとの間の距離であり、主板11と、回転軸RSの軸方向における複数の羽根12の端部12tとの間の最大距離である。羽根高さWHは、200mm以下に限定されるものではなく、200mmより大きくてもよい。
[羽根車10E及び多翼送風機100Eの作用効果]
図25に示すように、多翼送風機100Eは、羽根12の前縁において、傾斜部141A、傾斜部141A2、傾斜部141B及び傾斜部141B2を有しており、羽根内径IDeに勾配を形成している。そのため、多翼送風機100Eは、羽根12の羽根内径IDeに形成された勾配により、気流に対する羽根12の前縁の面積を広くとることができ、羽根車10Eを通過する際の空気の通風抵抗を小さくすることができる。その結果、多翼送風機100Eは、送風効率を上げることができる。
実施の形態3.
[多翼送風機100F]
図26は、実施の形態3に係る多翼送風機100Fのベルマウス46と羽根12との関係を示す模式図である。図27は、実施の形態3に係る多翼送風機100Fの変形例のベルマウス46と羽根12との関係を示す模式図である。図26及び図27を用いて実施の形態3に係る多翼送風機100Fについて説明する。なお、図1~図25の多翼送風機100等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態3に係る多翼送風機100Fの羽根車10Fは、実施の形態1に係る多翼送風機100の羽根車10におけるターボ翼部の構成を更に特定するものである。従って、以下の説明では、図26及び図27を用いて、実施の形態3に係る多翼送風機100Fのターボ翼部の構成を中心に羽根車10Fについて説明する。
実施の形態3に係る多翼送風機100Fの羽根車10Fは、ターボ翼部の側板13側の端部12tに段差部12Dが形成されている。以下、図26に示すように、第1羽根12Aを用いて段差部12Dについて説明する。段差部12Dは、第1ターボ翼部12A2の側板13側の端部12tに形成されている。すなわち、段差部12Dは、傾斜部141Aの側板13側の端部12tに形成されている。段差部12Dは、第1羽根12Aを構成する壁が切り欠かれた状態に形成されている部分である。段差部12Dは、第1羽根12Aの前縁14A1と、第1ターボ翼部12A2の側板13側の端部12tとの連続する部分が切り欠かれた状態に形成されている部分である。段差部12Dは、羽根車10Fの回転軸RSの軸方向に延びる側部縁部12D1と、羽根車10Fの径方向に延びる上部縁部12D2とによって形成されている。ただし、段差部12Dは、羽根車10Fの回転軸RSの軸方向に延びる側部縁部12D1と、羽根車10Fの径方向に延びる上部縁部12D2とによって形成されている構成に限定されるものではない。例えば、段差部12Dは、側部縁部12D1と上部縁部12D2とが連続して一体に形成された弧状の縁部として形成されてもよい。
第2羽根12Bの段差部12Dは、第1羽根12Aと同様の構成のために図示は省略するが、段差部12Dは、第2羽根12Bにも形成されている。段差部12Dは、第2ターボ翼部12B2の側板13側の端部12tにも形成されている。すなわち、段差部12Dは、傾斜部141Bの側板13側の端部12tに形成されている。段差部12Dは、第2羽根12Bを構成する壁が切り欠かれた状態に形成されている部分である。段差部12Dは、第2羽根12Bの前縁14B1と、第2ターボ翼部12B2の側板13側の端部12tとの連続する部分が切り欠かれた状態に形成されている部分である。
実施の形態3に係る多翼送風機100F複数の羽根12は、複数の羽根12のそれぞれの外周端により構成される羽根外径が、ベルマウス46の内径BIよりも大きく形成されている。そして、図26及び図27に示すように、多翼送風機100Fは、ベルマウス46の内周側端部46bが、段差部12Dの上方に配置される。多翼送風機100Fは、ベルマウス46の内周側端部46bが、段差部12Dの上部縁部12D2と対向するように配置されている。多翼送風機100Fは、ベルマウス46の内周側端部46bと、側部縁部12D1及び上部縁部12D2との間に隙間を形成している。
[羽根車10F及び多翼送風機100Fの作用効果]
羽根車10F及び多翼送風機100Fは、ターボ翼部の側板13側の端部12tに段差部12Dが形成されている。羽根車10F及び多翼送風機100Fは、段差部12Dによって、ベルマウス46と羽根12との隙間を広げることができる。そのため、羽根車10F及び多翼送風機100Fは、ベルマウス46と羽根12との隙間における気流の速度増加を抑制することができ、ベルマウス46と羽根12との隙間を通過する気流によって生じる騒音を抑制することができる。
また、羽根車10F及び多翼送風機100Fは、羽根12に段差部12Dがない場合と比較して、ベルマウス46を羽根車10Fに近づけることができる。そして、羽根車10F及び多翼送風機100Fは、ベルマウス46を羽根車10Fに近づけることでベルマウス46と羽根12との隙間を小さくすることができる。その結果、羽根車10F及び多翼送風機100Fは、吸込み空気の漏れ、すなわち、羽根車10Fの隣接する羽根12同士の間を通過しない空気の量を低減することができる。羽根車10F及び多翼送風機100Fは、図27に示すように、ベルマウス46と側部縁部12D1とが対向するように配置されることで、ベルマウス46と側部縁部12D1とが対向していない場合と比較して吸込み空気の漏れを更に低減することができる。換言すると、多翼送風機100Fは、ベルマウス46が段差部12D内に配置され、羽根12の上方かつ径方向に配置されることで、ベルマウス46が段差部12D内に配置されていない場合と比較して、吸込み空気の漏れを更に低減することができる。
実施の形態4.
[多翼送風機100J、多翼送風機100K、多翼送風機100L]
図28は、実施の形態4に係る多翼送風機100の羽根車10であって、回転軸RS方向における側板13側端部の羽根12を表す模式図である。図29は、実施の形態4に係る多翼送風機100Jの羽根車10Jとベルマウス46との関係を示す第1の模式図である。図30は、実施の形態4に係る多翼送風機100Kの羽根車10Kとベルマウス46との関係を示す第2の模式図である。図31は、実施の形態4に係る多翼送風機100Lの羽根車10Lとベルマウス46との関係を示す第3の模式図である。なお、以下の説明では、多翼送風機100J、多翼送風機100K、及び、多翼送風機100Lについて多翼送風機100K等と省略する場合がある。また、羽根車10J、羽根車10K及び羽根車10Lについて羽根車10J等と省略する場合がある。
図29~図31に示す点線BDは、第1シロッコ翼部12A1と第1ターボ翼部12A2との境界を示している。また、図29~図31に示す点線BDは、第2シロッコ翼部12B1と第2ターボ翼部12B2との境界を示している。図29~図31を用いて実施の形態4に係る多翼送風機100J、多翼送風機100K、及び、多翼送風機100Lについて説明する。なお、図1~図27の多翼送風機100等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。また、図29~31に示す羽根車10J、羽根車10K及び羽根車10Lは、図28の羽根車10に相当する。多翼送風機100J、多翼送風機100K及び多翼送風機100Lは、図9に示す多翼送風機100のようにモータ50を有する。
図28及び図29に示すように、羽根車10Jの側板13側の端部12uは、第1シロッコ翼部12A1で構成されている。そして、羽根車10Jの側板13側の端部12uを構成する第1シロッコ翼部12A1は、第1羽根12Aの内径と、第1羽根12Aの外径との比が0.7以上に形成されている。すなわち、多翼送風機100Jは、羽根12の側板13側領域において、羽根12の内径と羽根12の外径との比が0.7以上のシロッコ翼部として形成されている。多翼送風機100Jは、側板13領域の第1羽根12Aの内径と第1羽根12Aの外径との比が0.7以上となるように形成された第1シロッコ翼部12A1を有することで、吸込口10e近傍の第1羽根12Aを径方向に広げることができる。
羽根車10Jが、第2羽根12Bを有する場合には、羽根車10Jの側板13側の端部12uは、第1シロッコ翼部12A1及び第2シロッコ翼部12B1で構成されている。そして、羽根車10Jの側板13側の端部12uを構成する第2シロッコ翼部12B1は、第2羽根12Bの内径と、第2羽根12Bの外径との比が0.7以上に形成されている。すなわち、多翼送風機100Jは、羽根12の側板13側領域において、羽根12の内径と羽根12の外径との比が0.7以上のシロッコ翼部として形成されている。多翼送風機100Jは、側板13領域の羽根12の内径と羽根12の外径との比が0.7以上となるように形成された第1シロッコ翼部12A1及び第2シロッコ翼部12B1を有することで、吸込口10e近傍の第2羽根12Bを径方向に広げることができる。
同様に、図28及び図30に示すように、羽根車10Kの側板13側の端部12uは、第1シロッコ翼部12A1で構成されている。そして、羽根車10Kの側板13側の端部12uを構成する第1シロッコ翼部12A1は、第1羽根12Aの内径と、第1羽根12Aの外径との比が0.7以上に形成されている。すなわち、多翼送風機100Kは、羽根12の側板13側領域において、羽根12の内径と羽根12の外径との比が0.7以上のシロッコ翼部として形成されている。多翼送風機100Kは、側板13領域の第1羽根12Aの内径と第1羽根12Aの外径との比が0.7以上となるように形成された第1シロッコ翼部12A1を有することで、吸込口10e近傍の第1羽根12Aを径方向に広げることができる。
羽根車10Kが、第2羽根12Bを有する場合には、羽根車10Kの側板13側の端部12uは、第1シロッコ翼部12A1及び第2シロッコ翼部12B1で構成されている。そして、羽根車10Kの側板13側の端部12uを構成する第2シロッコ翼部12B1は、第2羽根12Bの内径と、第2羽根12Bの外径との比が0.7以上に形成されている。すなわち、多翼送風機100Kは、羽根12の側板13側領域において、羽根12の内径と羽根12の外径との比が0.7以上のシロッコ翼部として形成されている。多翼送風機100Kは、側板13領域の羽根12の内径と羽根12の外径との比が0.7以上となるように形成された第1シロッコ翼部12A1及び第2シロッコ翼部12B1を有することで、吸込口10e近傍の第2羽根12Bを径方向に広げることができる。
多翼送風機100Kの羽根車10Kは、ターボ翼部の側板13側の端部12uに段差部12Dが形成されている。
同様に、図28及び図31に示すように、羽根車10Lの側板13側の端部12uは、第1シロッコ翼部12A1で構成されている。そして、羽根車10Lの側板13側の端部12uを構成する第1シロッコ翼部12A1は、第1羽根12Aの内径と、第1羽根12Aの外径との比が0.7以上に形成されている。すなわち、多翼送風機100Lは、羽根12の側板13側領域において、羽根12の内径と羽根12の外径との比が0.7以上のシロッコ翼部として形成されている。多翼送風機100Lは、側板13領域の第1羽根12Aの内径と第1羽根12Aの外径との比が0.7以上となるように形成された第1シロッコ翼部12A1を有することで、吸込口10e近傍の第1羽根12Aを径方向に広げることができる。
羽根車10Lが、第2羽根12Bを有する場合には、羽根車10Lの側板13側の端部12uは、第1シロッコ翼部12A1及び第2シロッコ翼部12B1で構成されている。そして、羽根車10Lの側板13側の端部12uを構成する第2シロッコ翼部12B1は、第2羽根12Bの内径と、第2羽根12Bの外径との比が0.7以上に形成されている。すなわち、多翼送風機100Lは、羽根12の側板13側領域において、羽根12の内径と羽根12の外径との比が0.7以上のシロッコ翼部として形成されている。多翼送風機100Lは、側板13領域の羽根12の内径と羽根12の外径との比が0.7以上となるように形成された第1シロッコ翼部12A1及び第2シロッコ翼部12B1を有することで、吸込口10e近傍の第2羽根12Bを径方向に広げることができる。
多翼送風機100Lの羽根車10Lは、端部12uと傾斜部141Aとの間に直線部143を有している。直線部143は、傾斜部141Aと比べて回転軸RSの軸方向に沿った方向に延びるように形成されている。すなわち、直線部143は、回転軸RSの軸方向において、傾斜部141Aと比べて傾きが小さい。直線部143は、回転軸RSの軸方向と平行な方向に延びるように形成されてもよい。なお、直線部143の延びる方向は、回転軸RSの軸方向と平行でなくてもよい。多翼送風機100Lの羽根車10Lは、回転軸RSの軸方向に延びる直線部143と、回転軸RSの軸方向に対して傾斜する傾斜部141Aとによって段差部12Dを形成している。
[羽根車10J及び多翼送風機100J等の作用効果]
複数の羽根12は、回転軸RSの軸方向における側板13側の端部において、複数の羽根12の内周端により構成される羽根内径と、複数の羽根12の外周端により構成される羽根外径との比が0.7以上となるように形成されたシロッコ翼部を有する。羽根車10J及び多翼送風機100J等は、側板13側の端部12uの羽根12の内径と羽根12の外径との比が0.7以上となるように形成されたシロッコ翼部を有することによって、ベルマウス46と羽根12との隙間を広げることができる。そのため、羽根車10J及び多翼送風機100J等は、ベルマウス46と羽根12との隙間における気流の速度増加を抑制することができ、ベルマウス46と羽根12との隙間を通過する気流によって生じる騒音を抑制することができる。また、羽根車10J及び多翼送風機100J等は、モータ50と羽根12とが接近している場合に、上記構成を有することで吸込時の抵抗を低減することができ、発生する騒音を抑制することができる。
また、羽根車10K及び多翼送風機100K等は、ターボ翼部の側板13側の端部12uに段差部12Dが形成されている。羽根車10K及び多翼送風機100K等は、段差部12Dによって、ベルマウス46と羽根12との隙間を広げることができる。そのため、羽根車10K及び多翼送風機100K等は、ベルマウス46と羽根12との隙間における気流の速度増加を抑制することができ、ベルマウス46と羽根12との隙間を通過する気流によって生じる騒音を抑制することができる。
また、多翼送風機100Lの羽根車10Lは、直線部143と、傾斜部141Aとによって段差部12Dを形成している。羽根車10L及び多翼送風機100Lは、第1羽根12Aが傾斜部141Aと直線部143とを有することで、第1羽根12Aの面積を小さくし、吸込空気に対する抵抗を低減することができる。
[多翼送風機100J、多翼送風機100K、多翼送風機100L等の変形例]
図32は、実施の形態4に係る多翼送風機100Jの変形例の羽根車10Jとベルマウス46との関係を示す第1の模式図である。図33は、実施の形態4に係る多翼送風機100Kの変形例の羽根車10Kとベルマウス46との関係を示す第2の模式図である。図34は、実施の形態4に係る多翼送風機100Lの変形例の羽根車10Lとベルマウス46との関係を示す第3の模式図である。なお、以下の説明では、多翼送風機100J、多翼送風機100K、及び、多翼送風機100Lの変形例について多翼送風機100K等の変形例と省略する場合がある。また、羽根車10J、羽根車10K及び羽根車10Lの変形例について羽根車10J等の変形例と省略する場合がある。
多翼送風機100J等の変形例は、複数の羽根12を有する。そして、複数の羽根12は、側板13側の端部12uにおいて、複数の羽根12の内周端により構成される羽根内径と、複数の羽根12の外周端により構成される羽根外径との比が0.7以上となるように形成されたターボ翼部及びシロッコ翼部を有する。
多翼送風機100J等の変形例の第1ターボ翼部12A2は、回転軸RSの軸方向と平行な方向に見た場合に、回転軸RSを中心とした径方向において、ベルマウス46の内周側端部46bよりも外側にまで形成されている。多翼送風機100J、多翼送風機100K及び多翼送風機100Lは、第1シロッコ翼部12A1と第1ターボ翼部12A2とによって、回転軸RSの軸方向の側板13側の端部12uが形成されている。多翼送風機100J等の変形例は、回転軸RSの軸方向の側板13側の端部12uにおいて、第1ターボ翼部12A2が、羽根車10J等の変形例の内径を形成している。
回転軸RSの軸方向と平行な方向に見た場合に、羽根車10J、羽根車10K及び羽根車10Lの端部12uにおいて、第1ターボ翼部12A2の外周側端部12A22は、径方向においてベルマウス46の内周側端部46bよりも外周側に配置されている。そして、点線BDで示す第1シロッコ翼部12A1と第1ターボ翼部12A2との境界は、回転軸RSの軸方向と平行な方向に見た場合に、径方向においてベルマウス46の内周側端部46bよりも外周側に配置されている。すなわち、多翼送風機100J、多翼送風機100K及び多翼送風機100Lは、第1ターボ翼部12A2の外周側端部12A22によって形成される外径が、図14に示すベルマウス46の内径BIよりも大きくなるように形成されている。
多翼送風機100J等の変形例が第2羽根12Bを有する場合には、多翼送風機100J等の変形例の第2ターボ翼部12B2は、回転軸RSの軸方向と平行な方向に見た場合に、回転軸RSを中心とした径方向において、ベルマウス46の内周側端部46bよりも外側にまで形成されている(図示は省略)。この場合、多翼送風機100J等の変形例は、第1シロッコ翼部12A1及び第1ターボ翼部12A2、並びに、第2シロッコ翼部12B1及び第2ターボ翼部12B2によって、回転軸RSの軸方向の側板13側の端部12uが形成されている。多翼送風機100J等の変形例が第2羽根12Bを有する場合には、多翼送風機100J等の変形例は、回転軸RSの軸方向の側板13側の端部12uにおいて、第1ターボ翼部12A2及び第2ターボ翼部12B2が、羽根車10J等の変形例の内径を形成している。
回転軸RSの軸方向と平行な方向に見た場合に、羽根車10J、羽根車10K及び羽根車10Lの端部12uにおいて、第2ターボ翼部12B2の外周側端部12A22は、径方向においてベルマウス46の内周側端部46bよりも外周側に配置されている。そして、点線BDで示す第2シロッコ翼部12B1と第2ターボ翼部12B2との境界は、回転軸RSの軸方向と平行な方向に見た場合に、径方向においてベルマウス46の内周側端部46bよりも外周側に配置されている。すなわち、多翼送風機100J、多翼送風機100K及び多翼送風機100Lは、第2ターボ翼部12B2の外周側端部12A22によって形成される外径が、図14に示すベルマウス46の内径BIよりも大きくなるように形成されている。
[羽根車10J及び多翼送風機100J等の変形例の作用効果]
多翼送風機100J、多翼送風機100K及び多翼送風機100Lは、ターボ翼部の外周側端部によって形成される外径が、図14に示すベルマウス46の内径BIよりも大きくなるように形成されている。そのため、多翼送風機100J、多翼送風機100K及び多翼送風機100Lは、当該構成を有しない多翼送風機と比較して静圧効率を上げることができる。
また、羽根車10J及び多翼送風機100J等の変形例は、ベルマウス46と羽根12との隙間における気流の速度増加を抑制することができ、ベルマウス46と羽根12との隙間を通過する気流によって生じる騒音を抑制することができる。また、羽根車10J及び多翼送風機100Jは、モータ50と羽根12とが接近している場合に、吸込時の抵抗を低減することができ、発生する騒音を抑制することができる。
また、複数の羽根12は、側板13側の端部において、複数の羽根12の内周端により構成される羽根内径と、複数の羽根12の外周端により構成される羽根外径との比が0.7以上となるように形成されたターボ翼部及びシロッコ翼部を有する。羽根車10J及び多翼送風機100J等の変形例は、側板13側の端部12uの羽根12の内径と羽根12の外径との比が0.7以上となるように形成されたシロッコ翼部及びターボ翼部を有することによりベルマウス46と羽根12との隙間を広げることができる。そのため、羽根車10J及び多翼送風機100J等の変形例は、ベルマウス46と羽根12との隙間における気流の速度増加を抑制することができ、ベルマウス46と羽根12との隙間を通過する気流によって生じる騒音を抑制することができる。また、羽根車10J及び多翼送風機100J等の変形例は、モータ50と羽根12とが接近している場合に、上記構成を有することで吸込時の抵抗を低減することができ、発生する騒音を抑制することができる。
実施の形態5.
[多翼送風機100M、多翼送風機100N、多翼送風機100P]
図35は、実施の形態5に係る多翼送風機100Mの羽根車10Mとベルマウス46との関係を示す第1の模式図である。図36は、実施の形態5に係る多翼送風機100Nの羽根車10Nとベルマウス46との関係を示す第2の模式図である。図37は、実施の形態5に係る多翼送風機100Pの羽根車10Pとベルマウス46との関係を示す第3の模式図である。なお、以下の説明では、多翼送風機100M、多翼送風機100N、及び、多翼送風機100Pについて多翼送風機100M等と省略する場合がある。また、羽根車10M、羽根車10N及び羽根車10Pについて羽根車10M等と省略する場合がある。
図35~図37を用いて実施の形態5に係る多翼送風機100M、多翼送風機100N、及び、多翼送風機100Pについて説明する。なお、図1~図34の多翼送風機100等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。また、多翼送風機100M、多翼送風機100N及び多翼送風機100Pは、図9に示す多翼送風機100のようにモータ50を有する。実施の形態5に係る多翼送風機100M、多翼送風機100N及び多翼送風機100Pは、実施の形態4に係る多翼送風機100J、多翼送風機100K及び多翼送風機100Lと比較して、羽根車10とベルマウス46との位置関係を特定するものである。
羽根車10M、羽根車10N及び羽根車10Pの側板13側の端部12uは、第1シロッコ翼部12A1で構成されている。そして、羽根車10M、羽根車10N及び羽根車10Pの側板13側の端部12uを構成する第1シロッコ翼部12A1は、第1羽根12Aの内径と、第1羽根12Aの外径との比が0.7以上に形成されている。すなわち、多翼送風機100M等は、羽根12の側板13側領域において、羽根12の内径と羽根12の外径の比が0.7以上のシロッコ翼部として形成されている。多翼送風機100M等は、側板13領域の第1羽根12Aの内径と第1羽根12Aの外径との比が0.7以上となるように形成された第1シロッコ翼部12A1を有することで、吸込口10e近傍の第1羽根12Aを径方向に広げることができる。
羽根車10M、羽根車10N及び羽根車10Pが、第2羽根12Bを有する場合には、羽根車10M、羽根車10N及び羽根車10Pの側板13側の端部12uは、第1シロッコ翼部12A1及び第2シロッコ翼部12B1で構成されている。そして、羽根車10M、羽根車10N及び羽根車10Pの側板13側の端部12uを構成する第2シロッコ翼部12B1は、第2羽根12Bの内径と、第2羽根12Bの外径との比が0.7以上に形成されている。すなわち、多翼送風機100M等は、羽根12の側板13側領域において、羽根12の内径と羽根12の外径の比が0.7以上のシロッコ翼部として形成されている。多翼送風機100M等は、側板13領域の第2羽根12Bの内径と第2羽根12Bの外径との比が0.7以上となるように形成されたる第1シロッコ翼部12A1及び第2シロッコ翼部12B1を有することで、吸込口10e近傍の第2羽根12Bを径方向に広げることができる。
羽根車10M、羽根車10N及び羽根車10Pの側板13側の端部12uの第1シロッコ翼部12A1は、端部12uにおいて、羽根12の内径が図14に示すベルマウス46の内径BIよりも大きくなるように形成されている。すなわち、多翼送風機100M等は、側板13側の端部12uにおいて、羽根12の内径>ベルマウス46の内径BIとなるように形成されている。
回転軸RSの軸方向と平行な方向に見た場合に、点線BDで示す第1シロッコ翼部12A1と第1ターボ翼部12A2との境界は、回転軸RSの軸方向と平行な方向に見た場合に、径方向においてベルマウス46の内周側端部46bよりも外周側に配置されている。すなわち、多翼送風機100M、多翼送風機100N及び多翼送風機100Pは、第1ターボ翼部12A2の外周側端部12A22によって形成される外径が、図14に示すベルマウス46の内径BIよりも大きくなるように形成されている。
第2羽根12Bを有する場合、羽根車10M、羽根車10N及び羽根車10Pの側板13側の端部12uの第2シロッコ翼部12B1は、端部12uにおいて、羽根12の内径が図14に示すベルマウス46の内径BIよりも大きくなるように形成されている。すなわち、多翼送風機100M等は、側板13側の端部12uにおいて、羽根12の内径>ベルマウス46の内径BIとなるように形成されている。
回転軸RSの軸方向と平行な方向に見た場合に、点線BDで示す第2シロッコ翼部12B1と第2ターボ翼部12B2との境界は、回転軸RSの軸方向と平行な方向に見た場合に、径方向においてベルマウス46の内周側端部46bよりも外周側に配置されている。すなわち、多翼送風機100M、多翼送風機100N及び多翼送風機100Pは、第2ターボ翼部12B2の外周側端部12A22によって形成される外径が、図14に示すベルマウス46の内径BIよりも大きくなるように形成されている。
[羽根車10M及び多翼送風機100M等の作用効果]
多翼送風機100M、多翼送風機100N及び多翼送風機100Pは、側板13側の端部12uにおいて、シロッコ翼部によって形成された羽根12の内径がベルマウス46の内径BIよりも大きくなるように形成されている。そのため、多翼送風機100M等は、ベルマウス46と羽根12との隙間を広げることができる。その結果、羽根車10M及び多翼送風機100M等は、ベルマウス46と羽根12との隙間における気流の速度増加を抑制することができ、ベルマウス46と羽根12との隙間を通過する気流によって生じる騒音を抑制することができる。また、羽根車10M及び多翼送風機100M等は、モータ50と羽根12とが接近している場合に、吸込時の抵抗を低減することができ、発生する騒音を抑制することができる。
また、羽根車10N及び多翼送風機100N等は、ターボ翼部の側板13側の端部12uに段差部12Dが形成されている。羽根車10N及び多翼送風機100N等は、段差部12Dによって、ベルマウス46と羽根12との隙間を広げることができる。そのため、羽根車10N及び多翼送風機100N等は、ベルマウス46と羽根12との隙間における気流の速度増加を抑制することができ、ベルマウス46と羽根12との隙間を通過する気流によって生じる騒音を抑制することができる。
また、多翼送風機100Pの羽根車10Pは、直線部143と、傾斜部141Aとによって段差部12Dを形成している。羽根車10P及び多翼送風機100Pは、第1羽根12Aが傾斜部141Aと直線部143とを有することで、第1羽根12Aの面積を小さくし、吸込空気に対する抵抗を低減することができる。
[多翼送風機100M、多翼送風機100N、多翼送風機100P等の変形例]
図38は、実施の形態5に係る多翼送風機100Mの変形例の羽根車10Mとベルマウス46との関係を示す第1の模式図である。図39は、実施の形態5に係る多翼送風機100Nの変形例の羽根車10Nとベルマウス46との関係を示す第2の模式図である。図40は、実施の形態5に係る多翼送風機100Pの変形例の羽根車10Pとベルマウス46との関係を示す第3の模式図である。なお、以下の説明では、多翼送風機100M、多翼送風機100N、及び、多翼送風機100Pの変形例について多翼送風機100M等の変形例と省略する場合がある。また、羽根車10M、羽根車10N及び羽根車10Pについて羽根車10M等の変形例と省略する場合がある。
多翼送風機100M等の変形例は、複数の羽根12を有する。そして、複数の羽根12は、側板13側の端部において、複数の羽根12の内周端により構成される羽根内径と、複数の羽根12の外周端により構成される羽根外径との比が0.7以上となるように形成されたターボ翼部及びシロッコ翼部を有する。
多翼送風機100M、多翼送風機100N及び多翼送風機100Pの第1ターボ翼部12A2は、回転軸RSの軸方向と平行な方向に見た場合に、回転軸RSを中心とした径方向において、ベルマウス46の内周側端部46bよりも外側にまで形成されている。多翼送風機100M、多翼送風機100N及び多翼送風機100Pは、第1シロッコ翼部12A1と第1ターボ翼部12A2とによって、回転軸RSの軸方向の側板13側の端部12uが形成されている。多翼送風機100M、多翼送風機100N及び多翼送風機100Pは、回転軸RSの軸方向の側板13側の端部12uにおいて、第1ターボ翼部12A2が、羽根車10M、羽根車10N及び羽根車10Pの内径を形成している。
回転軸RSの軸方向と平行な方向に見た場合に、羽根車10M、羽根車10N及び羽根車10Pの端部12uにおいて、第1ターボ翼部12A2の外周側端部12A22は、径方向においてベルマウス46の内周側端部46bよりも外周側に配置されている。そして、点線BDで示す第1シロッコ翼部12A1と第1ターボ翼部12A2との境界は、回転軸RSの軸方向と平行な方向に見た場合に、径方向においてベルマウス46の内周側端部46bよりも外周側に配置されている。すなわち、多翼送風機100M、多翼送風機100N及び多翼送風機100Pは、第1ターボ翼部12A2の外周側端部12A22によって形成される外径が、図14に示すベルマウス46の内径BIよりも大きくなるように形成されている。
多翼送風機100M等が第2羽根12Bを有する場合、第2ターボ翼部12B2は、回転軸RSの軸方向と平行な方向に見た場合に、径方向において、ベルマウス46の内周側端部46bよりも外側にまで形成されている。多翼送風機100M等は、第1シロッコ翼部12A1及び第1ターボ翼部12A2、並びに、第2シロッコ翼部12B1と第2ターボ翼部12B2とによって、回転軸RSの軸方向の側板13側の端部12uが形成されている。第2羽根12Bを有する場合、多翼送風機100M等は、回転軸RSの軸方向の側板13側の端部12uにおいて、第1ターボ翼部12A2及び第2ターボ翼部12B2が、羽根車10M、羽根車10N及び羽根車10Pの内径を形成している。
回転軸RSの軸方向と平行な方向に見た場合に、羽根車10M、羽根車10N及び羽根車10Pの端部12uにおいて、第2ターボ翼部12B2の外周側端部12A22は、径方向においてベルマウス46の内周側端部46bよりも外周側に配置されている。そして、点線BDで示す第2シロッコ翼部12B1と第2ターボ翼部12B2との境界は、回転軸RSの軸方向と平行な方向に見た場合に、径方向においてベルマウス46の内周側端部46bよりも外周側に配置されている。すなわち、多翼送風機100M、多翼送風機100N及び多翼送風機100Pは、第2ターボ翼部12B2の外周側端部12A22によって形成される外径が、図14に示すベルマウス46の内径BIよりも大きくなるように形成されている。
羽根車10M、羽根車10N及び羽根車10Pの側板13側の端部12uの第1ターボ翼部12A2は、端部12uにおいて、羽根12の内径が図14に示すベルマウス46の内径BIよりも大きくなるように形成されている。すなわち、多翼送風機100M等の変形例は、側板13側の端部12uにおいて、羽根12の内径>ベルマウス46の内径BIとなるように形成されている。
第2羽根12Bを有する場合、羽根車10M、羽根車10N及び羽根車10Pの側板13側の端部12uの第2ターボ翼部12B2は、端部12uにおいて、羽根12の内径が図14に示すベルマウス46の内径BIよりも大きくなるように形成されている。すなわち、多翼送風機100M等の変形例は、側板13側の端部12uにおいて、羽根12の内径>ベルマウス46の内径BIとなるように形成されている。
[羽根車10M及び多翼送風機100M等の変形例の作用効果]
多翼送風機100M、多翼送風機100N及び多翼送風機100Pは、第1ターボ翼部12A2の外周側端部12A22によって形成される外径が、図14に示すベルマウス46の内径BIよりも大きくなるように形成されている。そのため、多翼送風機100M、多翼送風機100N及び多翼送風機100Pは、当該構成を有しない多翼送風機と比較して静圧効率を上げることができる。
また、羽根車10M及び多翼送風機100M等の変形例は、ベルマウス46と羽根12との隙間における気流の速度増加を抑制することができ、ベルマウス46と羽根12との隙間を通過する気流によって生じる騒音を抑制することができる。また、羽根車10M及び多翼送風機100Mは、モータ50と羽根12とが接近している場合に、吸込時の抵抗を低減することができ、発生する騒音を抑制することができる。
また、変形例に係る多翼送風機100M、多翼送風機100N及び多翼送風機100Pは、側板13側の端部12uにおいて、ターボ翼部によって形成された羽根12の内径がベルマウス46の内径BIよりも大きくなるように形成されている。そのため、多翼送風機100M等は、ベルマウス46と羽根12との隙間を広げることができる。その結果、羽根車10M及び多翼送風機100M等は、ベルマウス46と羽根12との隙間における気流の速度増加を抑制することができ、ベルマウス46と羽根12との隙間を通過する気流によって生じる騒音を抑制することができる。また、羽根車10M及び多翼送風機100M等は、モータ50と羽根12とが接近している場合に、吸込時の抵抗を低減することができ、発生する騒音を抑制することができる。
また、複数の羽根12は、側板13側の端部において、複数の羽根12の内周端により構成される羽根内径と、複数の羽根12の外周端により構成される羽根外径との比が0.7以上となるように形成されたターボ翼部及びシロッコ翼部を有する。羽根車10M及び多翼送風機100M等の変形例は、側板13側の端部12uの羽根12の内径と羽根12の外径との比が0.7以上となるように形成されたシロッコ翼部及びターボ翼部を有することによりベルマウス46と羽根12との隙間を広げることができる。そのため、羽根車10M及び多翼送風機100M等の変形例は、ベルマウス46と羽根12との隙間における気流の速度増加を抑制することができ、ベルマウス46と羽根12との隙間を通過する気流によって生じる騒音を抑制することができる。また、羽根車10M及び多翼送風機100M等の変形例は、モータ50と羽根12とが接近している場合に、上記構成を有することで吸込時の抵抗を低減することができ、発生する騒音を抑制することができる。
また、羽根車10N及び多翼送風機100N等の変形例は、ターボ翼部の側板13側の端部12uに段差部12Dが形成されている。羽根車10N及び多翼送風機100N等は、段差部12Dによって、ベルマウス46と羽根12との隙間を広げることができる。そのため、羽根車10N及び多翼送風機100N等は、ベルマウス46と羽根12との隙間における気流の速度増加を抑制することができ、ベルマウス46と羽根12との隙間を通過する気流によって生じる騒音を抑制することができる。
実施の形態6.
[多翼送風機100G]
図41は、実施の形態6に係る多翼送風機100Gを模式的に示す断面図である。図42は、図41の羽根車10Gにおいて、回転軸RSと平行に見たときの羽根12の模式図である。図43は、図41の羽根車10GのD-D線断面における羽根12を示す模式図である。図41~図43を用いて実施の形態6に係る多翼送風機100Gについて説明する。なお、図1~図40の多翼送風機100等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
図41~図43に示すように、実施の形態6に係る多翼送風機100Gの羽根車10Gは、複数の羽根12の全てが第1羽根12Aで構成されている形態である。図41~図43に示すように、羽根車10Gには、42枚の第1羽根12Aが配置されているが、第1羽根12Aの枚数は42枚に限定されるものではなく、42枚より少なくてもよく、42枚より多くてもよい。
第1羽根12Aは、翼長L1a>翼長L1bの関係を有する。すなわち、第1羽根12Aは、回転軸RSの軸方向において、主板11側から側板13側に向かって、翼長が小さくなるように形成されている。そして、図41に示すように、第1羽根12Aは、主板11側から側板13側に向かうにつれて、羽根内径IDgが大きくなるように傾斜している。すなわち、複数の羽根12は、主板11側から側板13側に向かうにつれて、羽根内径IDgが大きくなるように前縁14A1を構成する内周端14Aが回転軸RSから離れるように傾斜した傾斜部141Aを形成している。
第1羽根12Aは、前向羽根として構成された第1シロッコ翼部12A1と、後向羽根として構成された第1ターボ翼部12A2とを有する。第1羽根12Aは、羽根車10の径方向において、第1ターボ領域12A21が第1シロッコ領域12A11よりも大きい。羽根車10及び第1羽根12Aは、第1領域である主板側羽根領域122a及び第2領域である側板側羽根領域122bの何れの領域においても、羽根車10の径方向において、第1ターボ翼部12A2の割合が第1シロッコ翼部12A1の割合よりも大きい。
複数の羽根12のうち周方向で互いに隣り合う2つの羽根12の間隔を翼間と定義したときに、図42及び図43に示すように、複数の羽根12の翼間は、前縁14A1側から後縁15A1側に向かうにしたがって広がっている。具体的には、第1ターボ翼部12A2における翼間は、内周側から外周側にかけて広がっている。そして、第1シロッコ翼部12A1における翼間は、第1ターボ翼部12A2の翼間よりも広く、且つ、内周側から外周側にかけて広がっている。
図41に示すように、ベルマウス46の内径BIは、第1羽根12Aの主板11側の内径ID1aよりも大きく、側板13側の内径ID3aよりも小さい。すなわち、ベルマウス46の内径BIは、複数の羽根12の主板11側の羽根内径IDgよりも大きく、側板13側の羽根内径IDgよりも小さく形成されている。
[羽根車10G及び多翼送風機100Gの作用効果]
羽根車10G及び多翼送風機100Gは、実施の形態1に係る多翼送風機100及び羽根車10と同様の効果を得ることができる。例えば、羽根車10G及び多翼送風機100Gは、主板11と側板13との間のいずれの領域においても、主板11の径方向における第1ターボ翼部12A2の領域の割合が、第1シロッコ翼部12A1の領域の割合よりも大きいものである。羽根車10G及び多翼送風機100Gは、主板11と側板13との間のいずれの領域においても、ターボ翼部の割合が高いため、複数の羽根12によって充分な圧力回復を行うことができる。そのため、羽根車10G及び多翼送風機100Gは、当該構成を備えない羽根車及び多翼送風機と比較して圧力回復を向上させることができる。その結果、羽根車10Gは、多翼送風機100Gの効率を向上させることができる。さらに、羽根車10Gは、上記構成を備えていることで側板13側における気流の前縁剥離を低減することができる。
なお、上記実施の形態1~実施の形態6では、主板11の両方に複数の羽根12が形成された両吸込型の羽根車10を備えた多翼送風機100を例に挙げた。しかし、実施の形態1~実施の形態6は、主板11の片側のみに複数の羽根12が形成された片吸込型の羽根車10を備えた多翼送風機100にも適用できる。
実施の形態7.
[空気調和装置140]
図44は、実施の形態7に係る空気調和装置140の斜視図である。図45は、実施の形態7に係る空気調和装置140の内部構成を示す図である。なお、実施の形態7に係る空気調和装置140に用いられる多翼送風機100については、図1~図43の多翼送風機100等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。また、図45では、空気調和装置140の内部構成を示すために、上面部16aは省略している。
実施の形態7に係る空気調和装置140は、実施の形態1~実施の形態6に係る多翼送風機100等のいずれか1つ以上と、多翼送風機100の吐出口42aと対向する位置に配置された熱交換器15と、を備える。また、実施の形態7に係る空気調和装置140は、空調対象の部屋の天井裏に設置されたケース16を備えている。なお、以下の説明において、多翼送風機100と示す場合には、実施の形態1~実施の形態6に係る多翼送風機100等のいずれか1つを用いるものである。また、図44及び図45では、ケース16内にスクロールケーシング40を有する多翼送風機100が示されているが、ケース16内にはスクロールケーシング40を有さない羽根車10~羽根車10G等が設置されてもよい。
(ケース16)
ケース16は、図44に示すように、上面部16a、下面部16b及び側面部16cを含む直方体状に形成されている。なお、ケース16の形状は、直方体状に限定されるものではなく、例えば、円柱形状、角柱状、円錐状、複数の角部を有する形状、複数の曲面部を有する形状等、他の形状であってもよい。ケース16は、側面部16cの1つとして、ケース吐出口17が形成された側面部16cを有する。ケース吐出口17の形状は、図44で示すように矩形状に形成されている。なお、ケース吐出口17の形状は、矩形状に限定されるものではなく、例えば、円形状、オーバル形状等でもよく、他の形状であってもよい。ケース16は、側面部16cのうち、ケース吐出口17が形成された面に対して反対側となる面に、ケース吸込口18が形成された側面部16cを有している。ケース吸込口18の形状は、図45で示すように矩形状に形成されている。なお、ケース吸込口18の形状は、矩形状に限定されるものではなく、例えば、円形状、オーバル形状等でもよく、他の形状であってもよい。ケース吸込口18には、空気中の塵埃を取り除くフィルタが配置されてもよい。
ケース16の内部には、多翼送風機100と、熱交換器15とが収容されている。多翼送風機100は、羽根車10と、ベルマウス46が形成されたスクロールケーシング40と、モータ50とを備えている。モータ50は、ケース16の上面部16aに固定されたモータサポート9aによって支持されている。モータ50は、モータシャフト51を有する。モータシャフト51は、側面部16cのうち、ケース吸込口18が形成された面及びケース吐出口17が形成された面に対して平行に延びるように配置されている。空気調和装置140は、図45に示すように、2つの羽根車10がモータシャフト51に取り付けられている。多翼送風機100の羽根車10は、ケース吸込口18からケース16内に吸い込まれ、ケース吐出口17から空調対象空間へと吹き出される空気の流れを形成する。なお、ケース16内に配置される羽根車10は、2つに限定されるものではなく、1つ又は3つ以上でもよい。
多翼送風機100は、図45に示すように、仕切板19に取り付けられており、ケース16の内部空間は、スクロールケーシング40の吸い込み側の空間S11と、スクロールケーシング40の吹き出し側の空間S12とが、仕切板19によって仕切られている。
熱交換器15は、多翼送風機100の吐出口42aと対向する位置に配置され、ケース16内において、多翼送風機100が吐出する空気の風路上に配置されている。熱交換器15は、ケース吸込口18からケース16内に吸い込まれ、ケース吐出口17から空調対象空間へと吹き出される空気の温度を調整する。なお、熱交換器15は、公知の構造のものを適用できる。なお、ケース吸込口18は、多翼送風機100の回転軸RSの軸方向に垂直な位置に形成されていればよく、例えば、下面部16bにケース吸込口18が形成されてもよい。
多翼送風機100の羽根車10が回転すると、空調対象空間の空気は、ケース吸込口18を通じてケース16の内部に吸い込まれる。ケース16の内部に吸い込まれた空気は、ベルマウス46に案内され、羽根車10に吸い込まれる。羽根車10に吸い込まれた空気は、羽根車10の径方向外側に向かって吹き出される。羽根車10から吹き出された空気は、スクロールケーシング40の内部を通過後、スクロールケーシング40の吐出口42aから吹き出され、熱交換器15に供給される。熱交換器15に供給された空気は、熱交換器15を通過する際に、熱交換器15の内部を流れる冷媒との間で熱交換され、温度及び湿度調整される。熱交換器15を通過した空気は、ケース吐出口17から空調対象空間に吹き出される。
実施の形態7に係る空気調和装置140は、実施の形態1~実施の形態6に係る多翼送風機100等のいずれか1つを備えたものである。そのため、空気調和装置140において、実施の形態1~実施の形態6のいずれかと同様の効果を得ることができる。
上記の各実施の形態1~実施の形態7は、互いに組み合わせて実施することが可能である。また、以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。例えば、実施の形態では、第1領域である主板側羽根領域122aと第2領域である側板側羽根領域122bのみで構成された羽根車10等を説明している。羽根車10は、第1領域及び第2領域のみで構成されるものに限定されるものではない。羽根車10は、第1領域及び第2領域の他に、他の領域を更に有してもよい。例えば、実施の形態1では翼長が主板11側から側板13側にかけて連続的に変化した形状であるが、主板11と側板13との間で一部に翼長が一定の部分、すなわち、内径IDが一定で回転軸RSに対して傾斜していない部分を有していてもよい。