JP7471169B2 - 運搬車両 - Google Patents

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本発明は露天掘り鉱山等において掘削された鉱石や土砂を搬送するダンプトラック等の運搬車両に関する。
露天掘り鉱山等では、掘削された鉱石や土砂を搬送するためにダンプトラック等の運搬車両が走行している。運搬車両は、一般的には鉱物を掘削するためにすり鉢状に掘り進められた鉱山の底にある積込場において運搬物を荷台に積載し、積載した運搬物を搬送路を走行して放土場まで運んだうえで放土(排出)する。そして、荷台が空になった運搬車両はまた搬送路を走行して積込場に戻り、これを何回も繰り返すことで作業を実行する。このように運搬車両においては、積載状態や走行する搬送路の勾配の状態が毎回変化し得る状況での走行を繰り返しており、状態が変化することで前後輪それぞれが負担する荷重の割合も変化し得る。さらに、露天堀りであるがゆえに天候の変化にも影響を受けやすく、搬送路の滑りやすさなど路面状態も変化しやすい。
このように車両の置かれる状況の変化により、車両を減速させる場合に各車輪が負担可能な制動力の大きさも変化する。各輪に備えられたブレーキ装置により発生される、各車輪が負担可能な制動力の大きさは基本的には各車輪が負担する荷重に比例して決まる。そのため、例えば各車輪に掛かる荷重の比率に応じて制動力を配分することができれば、様々な条件においても安定した制動が可能になる。各車輪の制動力を理想配分特性に近づけることができ、又、ブレーキの利き味を自由に設定することができる技術として、特許文献1が公知である。特許文献1には、「前輪後輪の各輪に設けた電動ブレーキと、ブレーキペダルなどのブレーキ操作器による操作量を検出するブレーキ操作量検出手段と、当該車両の減速度を検出する減速度検出手段と、操作量と減速度に基づいて所要の演算を行い、前輪後輪のブレーキ力を決定する演算手段と、そのブレーキ力に応じて電動ブレーキを個別に駆動制御する駆動制御手段を備えている」という内容が記載されている。
特開平3-57755号公報
しかしながら、上記特許文献1のような従来技術にあっては、電動ブレーキ装置やその駆動回路(駆動制御手段)、コントローラ(演算手段)などといった電気電子システムが失陥(故障)すると車両を停止させることが出来なくなるため車両制動システムの信頼性に課題がある。
本発明の目的は、車両制動システムの信頼性を確保しながら前後輪の制動力の配分比を任意の値に設定できる運搬車両を提供することにある。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、前輪を制動する第1油圧ブレーキと、後輪を制動する第2油圧ブレーキと、前記第1油圧ブレーキを作動させるための第1作動圧と前記第2油圧ブレーキを作動させるための第2作動圧とを運転者の操作量に応じて発生するブレーキペダル装置とを備えた運搬車両において、前記ブレーキペダル装置の操作量に応じて第1油圧ブレーキの動作を制御する第1制御信号及び第2油圧ブレーキの動作を制御する第2制御信号を演算して出力するコントローラと、前記第1油圧ブレーキを作動させるための作動圧であって前記第1作動圧と異なる第3作動圧を、前記コントローラから入力される前記第1制御信号に基づいて発生する第1電磁比例弁と、前記第2油圧ブレーキを作動させるための作動圧であって前記第2作動圧と異なる第4作動圧を、前記コントローラから入力される前記第2制御信号に基づいて発生する第2電磁比例弁と、前記第1作動圧と前記第3作動圧のうち大きい方の作動圧を選択して第1油圧ブレーキ装置に出力する第1高圧選択弁と、前記第2作動圧と前記第4作動圧のうち大きい方の作動圧を選択して第2油圧ブレーキ装置に出力する第2高圧選択弁と、を備え、前記第1油圧ブレーキは、前記第1作動圧と前記第3作動圧のうち前記第1高圧選択弁によって出力された大きい方の作動圧によって駆動され、前記第2油圧ブレーキは、前記第2作動圧と前記第4作動圧のうち前記第2高圧選択弁によって出力された大きい方の作動圧によって駆動され、前記コントローラは、前記第3作動圧と前記第4作動圧との比が所定の値になるように前記第1制御信号及び前記第2信号を演算することとする。
本発明によれば、電気電子システムが失陥しても従前からの油圧ブレーキ装置による制動が可能であるため、故障時の車両制動システムの信頼性を確保しながら、正常時には前後輪の制動力の配分比を任意の値に設定できる。
本発明の実施形態に係る運搬車両におけるブレーキ油圧回路の構成図。 本発明の実施形態に係る運搬車両における制動力配分を行わない油圧変化の一例。 本発明の実施形態に係る運搬車両における制動力配分を行う油圧変化の一例。 本発明の実施形態に係る運搬車両の側面図。 本発明の実施形態に係る運搬車両のタイヤ特性の一例。 従来の運搬車両におけるブレーキ油圧回路の一例を示す構成図。 本発明の実施形態に係る運搬車両の降坂中の側面図。 本発明の第2実施形態において、ブレーキ油圧Pf,Prを発生するためにコントローラが2つの電磁比例弁の駆動信号を出力する処理のフローチャート。 本発明の第3実施形態において、ブレーキ油圧Pf,Prを発生するためにコントローラが2つの電磁比例弁の駆動信号を出力する処理のフローチャート。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
<第1実施形態>
(ダンプトラック401)
図4は本発明の実施形態に係る運搬車両の一例である鉱山用ダンプトラックの側面図である。図4のダンプトラック401は、車体フレーム402と、車体フレーム402上に支持軸407により回動可能に支持された荷台403と、車体フレーム402の前方に取り付けられたキャビン404と、車体フレーム402の前方に取り付けられた複数の前輪405と、車体フレーム402の後方に取り付けられた複数の後輪406とを備えている。
キャビン404はその内部に運転席(図示せず)を備える。当該運転席にはオペレータ(運転者)が着座してブレーキペダル110(図1参照)などの操作が行われる。荷台403には、油圧ショベルやホイールローダなどの積込機械(建設機械)によって積荷(運搬物)408である土砂が積載される。また、ダンプトラック401の運搬先(放土場)においては、荷台403後端の支持軸407を中心に荷台403を回動しながら荷台403の前端を上昇させて傾けることで、荷台403の上に積載した積荷408を荷台403の後端から排出することが可能となっている。
車体フレーム402にはさらに、後輪406を回転駆動する駆動系や、前輪405及び後輪406を上下動可能に支持するサスペンション(懸架装置)等の主要構成要素が搭載されており、前輪405及び後輪406によって車両が路面上を自由に走行可能な構成となっている。
(油圧ブレーキ装置409,410)
ダンプトラック401は、両端に1以上の前輪405が取り付けられた前車軸(図示せず)と、両端に1以上の後輪406が取り付けられた後車軸(図示せず)とを備えている。前車軸及び後車軸のそれぞれの端部には、ブレーキペダル110の操作によって動作して対象の車輪(前輪405または後輪406)を制動する油圧ブレーキが装着されている。ここでは前車軸の左右両端に装着された1組の油圧ブレーキを油圧ブレーキ装置409と称し、後車軸の左右両端に装着された1組の油圧ブレーキを油圧ブレーキ装置410と称する。例えば、ブレーキペダル110が運転者に踏み込まれた場合、油圧ブレーキ装置409,410は、車体フレーム402側に取り付けられたシュー(図示せず)を油圧(作動圧)が発生するピストン推力を利用して、各車輪405,406と一体で回転するロータ(図示せず)に押しつけることで摩擦力を発生し、各車輪405,406の回転を抑制する。この油圧ブレーキ装置409,410の働きにより、路面上を走行するダンプトラック401を速やかに停止することが出来る。
(従来の油圧ブレーキ装置の回路)
ここで、一般的な運搬車両における従来からの油圧ブレーキ装置409,410の油圧回路について説明する。図6は従来の運搬車両におけるブレーキ油圧回路の一例を示す構成図であり、図6の回路は油圧ブレーキ装置409,410に油圧(作動圧)を供給するためものである。
図6において、油圧ポンプ101は運搬車両に搭載された補機類等を動作させる作動油を供給するためのポンプである。油圧ポンプ101の圧油供給先には、図示したブレーキペダル装置210の他、操舵装置や、前述の荷台403の前端を上昇させて傾けて積荷408を排出するための油圧シリンダ(ホイストシリンダ)等を含んでも良い。また、油圧供給の安定化のため、油圧ブレーキ装置409,410に供給する油圧を蓄圧するアキュムレータを油圧ポンプ101と並列に設けても良い。油圧ポンプ101から吐出された油圧はブレーキペダル装置210に供給される。
(ブレーキペダル装置210)
ブレーキペダル装置210は、前輪側の油圧ブレーキ装置409に作用し得る作動圧と、後輪側の油圧ブレーキ装置410に作用し得る作動圧とをオペレータの操作量(踏み込み量)に応じてそれぞれ発生する。本実施形態では、油圧ポンプ101から吐出された油圧は、ブレーキペダル装置210内の、オペレータによるブレーキペダル110の操作に応じて弁開度を変更する圧力制御弁102へと供給される。圧力制御弁102はブレーキペダル110の踏込量(操作量)に応じた油圧を出力する機構となっている。例えばブレーキペダル110の踏込量を増加すると圧力制御弁102から出力される油圧(作動圧)も増加する。圧力制御弁102から出力された油圧は油圧ブレーキ装置409,410へと供給され、それにより前述したようなブレーキ装置409,410内のピストンの推力が発生して摩擦力が生じて車輪405,406が制動される。
なお、圧力制御弁102と油圧ブレーキ装置409,410の間に、圧力制御弁102の油圧をパイロット圧として作動する別の圧力制御弁を設け、当該圧力制御弁によって、油圧ポンプ101よりも大容量の油圧源の圧力を制御し、油圧ブレーキ装置409,410へと供給するタンデム油圧回路を備えても良い。これにより、より大型の油圧ブレーキ装置409,410を駆動することが可能となる。
いずれにしても従来技術ではブレーキペダル110の踏込量に応じた弁開度に制御される圧力制御弁102の出力を油圧ブレーキ装置409,410の作動油圧またはパイロット圧とし、これに応じた大きさのブレーキトルクを発生するシステムとなっている。
(本実施形態の車両制動システムの構成)
次に本発明の実施形態に係る運搬車両(ダンプトラック)における車両制動システムの構成を図1に示す。
図1に示した車両制動システムは、油圧ポンプ101と、ブレーキペダル装置210と、油圧ブレーキ装置409,410と、コントローラ103と、2つの電磁比例弁106,108と、2つのシャトル弁107,109と、重心位置計測センサ(重心位置計測装置)104と、勾配計測センサ105とを備えている。
これらの構成のうち、油圧ポンプ101と、ブレーキペダル装置210(ブレーキペダル110を備えた圧力制御弁102)と、油圧ブレーキ装置409,410とは図6と同じである。
(重心位置計測センサ104)
重心位置計測センサ(重心位置計測装置)104は、ダンプトラック401における重心の前後位置に係る重心位置を計測し、そのデータ(重心位置データ)をコントローラ103に出力している。重心位置計測センサ104としては、例えば、ダンプトラック401の車体フレームと前後左右の車輪の間に介在して各車輪を支持する前後に各2本ずつ搭載されたサスペンションシリンダ(図示せず)のシリンダ圧を検出する圧力センサ(シリンダ圧力センサ)が利用できる。当該圧力センサで検出されるシリンダ圧力により、積荷重量及び積荷重心位置の見積もり、積載量の監視、過積載の防止を行うことができる。
(勾配計測センサ105)
勾配計測センサ105は、ダンプトラック401が走行中の路面の勾配を計測し、そのデータ(勾配データ)をコントローラ103に出力している。勾配計測センサ105としては、例えば、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)が利用できる。
(コントローラ103)
コントローラ103は、外部と情報のやりとりを行うための入出力インターフェースと、各種プログラムを実行するための演算処理装置(例えば、CPU)と、当該プログラムをはじめ各種データを記憶するための記憶装置(例えば、ROM、RAM及びフラッシュメモリ等の半導体メモリや、ハードディスクドライブ等の磁気記憶装置)とを備える。コントローラ103は、ブレーキペダル装置210から出力されるブレーキペダル装置210の操作量を入力し、当該操作量に応じて第1電磁比例弁106及び第2電磁比例弁108の制御信号(第1制御信号及び第2制御信号)を演算し、演算した制御信号を対応する電磁比例弁106,108に出力する。ブレーキペダル装置210の操作量(踏み込み量)は、操作量センサ111を別途搭載し、当該操作量センサ111から入力しても良い。
(電磁比例弁106,108)
第1電磁比例弁106は、前輪側の第1油圧ブレーキ装置409に作用し得る作動圧であって、ブレーキペダル装置210によって発生される作動圧(第1動作圧)以上の作動圧(第3動作圧)を、コントローラ103から入力される制御信号に基づいて出力する。本実施形態の第1電磁比例弁106は、油圧ポンプ101と第1シャトル弁107を接続する油路上に設置されており、油圧ポンプ101から吐出された圧油(作動圧)を入力ポートに入力し、コントローラ103から入力される制御信号が規定する圧力(作動圧)に調整した後に出力ポートを介して第1シャトル弁107に圧油を出力する。第1電磁比例弁106の開度はブレーキペダル110の操作量(踏み込み量)が増加するにつれて大きくなるように設定されている。
第2電磁比例弁108は、後輪側の第2油圧ブレーキ装置410に作用し得る作動圧であって、ブレーキペダル装置210によって発生される作動圧(第2動作圧)以上の作動圧(第4動作圧)を、コントローラ103から入力される制御信号に基づいて出力する。本実施形態の第2電磁比例弁108は、油圧ポンプ101と第2シャトル弁109を接続する油路上に設置されており、油圧ポンプ101から吐出された圧油(作動圧)を入力ポートに入力し、コントローラ103から入力される制御信号が規定する圧力(作動圧)に調整した後に出力ポートを介して第2シャトル弁109に圧油を出力する。第2電磁比例弁108の開度はブレーキペダル110の操作量(踏み込み量)が増加するにつれて大きくなるように設定されている。
2つの電磁比例弁106,108の動作フローについて説明する。各電磁比例弁106,108は弁体をばねと電磁石で保持する構成になっており、コイルに電流を印加するとアーマチュアが動き、弁体を押し付ける力が弱まることで弁が開き、油が供給される。コイルに印加する電流が増加するとアーマチュアの動きも大きくなり、より弁が開きやすくなることで供給される油も増えるノーマルクローズタイプの電磁比例弁である。なお、コイルに印加する電流の調整は、パルス幅変調(PWM)と呼ばれる方法で行われるのが一般的である。パルス幅変調とは、十分な速さの周期のパルス波でコイルの電源をオン・オフし、そのパルス波のオン時間の長さを変化させることで電流を調整する方式である。
2つの電磁比例弁106,108が出力する作動圧の大小関係はコントローラ103から出力される制御信号により変更可能である。例えば、2つの電磁比例弁106,108のうち一方が出力する作動圧を他方に比して大きくすることで、2つの油圧ブレーキ装置409,410のうちの一方が発生するブレーキトルクを他方に比して大きくできる。また、2つの電磁比例弁106,108が出力する作動圧を同じにすることで、2つの油圧ブレーキ装置409,410が発生するブレーキトルクを等しくすることもできる。
(シャトル弁107,109)
第1シャトル弁107は、ブレーキペダル装置210によって発生される作動圧が入力される第1入力ポート107aと、電磁比例弁106によって制御される作動圧が入力される第2入力ポート107bと、2つの入力ポート107a,107bに入力される2つの作動圧のうち大きい方を第1油圧ブレーキ装置409に出力する第1出力ポート107cとを有する。第1シャトル弁107は、2つの入力ポート107a,107bに入力される圧力作用によって、相対的に圧力の高い入力ポートと第1出力ポート107cが自動的に接続される弁で、高圧選択弁とも称される。これにより第1シャトル弁107は、ブレーキペダル装置210から出力される第1作動圧と第1電磁比例弁106から出力される第3作動圧のうち大きい方の作動圧を油圧ブレーキ装置409に出力する。そして、その作動圧によって第1油圧ブレーキ装置409が駆動される。
第2シャトル弁109は、ブレーキペダル装置210によって発生される作動圧が入力される第3入力ポート109aと、電磁比例弁106によって制御される作動圧が入力される第4入力ポート109bと、2つの入力ポート109a,109bに入力される2つの作動圧のうち大きい方を第2油圧ブレーキ装置410に出力する第2出力ポート109cとを有する。これにより第2シャトル弁109は、ブレーキペダル装置210から出力される第2作動圧と電磁比例弁108から出力される第4作動圧のうち大きい方の作動圧を第2油圧ブレーキ装置410に出力する。そして、その作動圧によって第2油圧ブレーキ装置410が駆動される。
(油圧ブレーキ装置409,410によるブレーキトルクの前後配分比)
コントローラ103には、ブレーキペダル110の踏込量(操作量)が入力されている。例えば、ブレーキペダル110の踏込量(操作量)を計測するセンサ(操作量センサ)111を車両401に搭載すれば、ブレーキペダル110の踏込量をコントローラ103に入力できる。さらに、重心位置計測センサ104により取得される重心位置、勾配計測センサ105により取得される路面勾配、速度センサにより取得される車両速度、加速度センサにより取得される加速度、現場に存在する複数のダンプトラックを管理する管制センタに設置されたサーバから送信される地図データなど、車両内外から得られる各種走行情報に基づいて、コントローラ103は2つの油圧ブレーキ装置409,410のブレーキトルクの比であるブレーキトルクの前後配分比を決定できる。さらにコントローラ103は当該前後配分比に基づいて電磁比例弁106,108の制御信号(駆動信号)を生成・出力し、それぞれの弁106,108を動かすことで油圧ブレーキ装置409,410に油圧を供給する。なお、オペレータが要求するブレーキトルクの大きさはブレーキペダル110の踏込量で入力されるため、ブレーキペダル踏込量と前後配分比に基づき前後油圧ブレーキ装置409,410への供給油圧を算出し、コントローラ103は電磁比例弁106,108の駆動信号を出力すればよい。
本実施形態の油圧回路では、電磁比例弁106,108の出力はシャトル弁107,109を介して油圧ブレーキ装置409,410へと接続されている。そのため、電磁比例弁106,108によって所望のブレーキ油圧を油圧ブレーキ装置409,410へ供給するためには、シャトル弁107,109に対するもう一方の入力である圧力制御弁102よりも常に高い圧力を電磁比例弁106,108から供給する必要がある。そこで、ここでは、次に示す式によって、電磁比例弁106,108を介してブレーキ装置409,410に供給する作動油圧Pf,Prを算出する。
油圧ブレーキ装置409,410のブレーキトルク(ブレーキ油圧)の前後配分比をr:(r-1)とする。但し、r∈(0,1)、すなわち、0<r<1である。また、ブレーキペダル110の踏込量から算出される圧力制御弁102による圧力をPpとし、車両が供給可能な圧力の上限をPmaxとすれば、油圧ブレーキ装置409,410への電磁比例弁106,108からの供給油圧(作動油圧)Pf,Prは下記の式1,式2で表せる。但し、aは、a∈(0,0.5)を満たす係数である。
Pf=min{ r・(Pp/a),Pmax} (式1)
Pr=min{(1-r)・(Pp/a),Pmax} (式2)
この式1,式2を用いて算出する前後のブレーキ油圧Pf,Prは、r∈[a,1-a](すなわち、a≦r≦1-a)の条件では、常にPp以上の値になる。
図2及び図3を用いて、算出される前後のブレーキ油圧Pf,Prを説明する。図2は、r=0.5の場合、すなわちブレーキトルクの前後配分比が1:1である場合を示す。図2中の破線201は圧力制御弁102による圧力Ppであり、オペレータがペダルを踏込むことで指示したブレーキの強さになる。式1,式2にr=0.5を代入すると、下記式3となる。
Pf=Pr=min{Pp/(2a),Pmax} (式3)
前後のブレーキ油圧Pf,Prは同値で圧力制御弁102による圧力Ppに比例した値となる。また、a∈(0,0.5)という条件より下記式4が成立するから、Pf,Prは、図2中の一点破線202及び実線203が示すように、圧力制御弁102による圧力が最大値Pmaxに達するまでの区間では常にPpより大きくなる。
1/(2a)>1 (式4)
また、前後輪のブレーキ油圧Pf,Prの上限値はPmaxである。次にr=aの場合、すなわちブレーキトルクの前後配分比がa:(a-1)である場合を図3に示す。前述の式1,式2に、r=aを代入すると、下記式5,式6が成り立つ。
Pf=min{ Pp,Pmax} (式5)
Pr=min{(1/a-1)・Pp,Pmax} (式6)
これにより前輪のブレーキ油圧PfはPpと同値となり、Pf:Pr(前後配分比)は式5,式6のPpの係数比から、a:(a-1)となる。すなわち、式1,式2を用いて前後のブレーキ油圧を算出すれば、常にPp以上でかつPf:Pr=r:(r-1)となるようなブレーキ油圧Pf,Prを算出できる。つまり、Pf及びPrがPp以上である限りは、PfとPrの比率を任意に変化させることが可能である。
このような油圧が電磁比例弁106,108から供給されるように、コントローラ103から電磁比例弁106,108に対して制御信号(駆動信号)を出力すれば、シャトル弁107,109は常に電磁比例弁106,108側と接続した状態で油圧ブレーキ装置409,410へ油圧を供給する。
なお、図3の例では、ブレーキ油圧(ブレーキトルク)の前後配分比(Pf:Pr)を所望の値a:(a-1)とできるのは、2つの電磁比例弁106,108のうち実線203で示したブレーキ油圧を出力する一方の電磁比例弁が最大値Pmaxを出力するまでのペダル操作量の区間(前後配分比一定区間)に限られる。2つの電磁比例弁106,108のうち電磁比例弁106が出力する作動圧を相対的に大きくすれば前輪側の油圧ブレーキ装置409のブレーキトルクを相対的に大きくでき、電磁比例弁108が出力する作動圧を大きくすれば後輪側の油圧ブレーキ装置410のブレーキトルクを相対的に大きくできる。なお、上述のように、前後配分比(Pf:Pr)の値(a:(a-1))は所望の値に設定できる。
(効果)
ここでダンプトラック401の電気電子系システムを構成するコントローラ103などの電子装置や、電磁比例弁106,108及びその駆動電圧源等の電源装置のいずれかが失陥(故障)した場合には、コントローラ103から電磁比例弁106,108への制御信号(駆動信号)の出力は中断されるため、電磁比例弁106,108の開度はゼロに保持される。そのため、電磁比例弁106,108から油圧ブレーキ装置409,410に供給される作動油圧はゼロとなり、電動ブレーキ装置の場合には車両を停止させることが出来なくなってしまう虞がある。
しかしながら本実施形態のダンプトラックでは、オペレータによるブレーキペダル110の踏込みにより機械的に作動される圧力制御弁102から供給される油圧Ppは、失陥発生後もシャトル弁107,109を介して油圧ブレーキ装置409,410に変わらず供給される。すなわち、電気電子系システムが失陥した場合でも、電磁比例弁106,108によるブレーキ油圧の前後配分機能が失われるだけで、ブレーキペダル装置210の圧力制御弁102から出力される作動圧を油圧ブレーキ装置409,410に供給できる。以上説明したように、本実施形態によれば、電気電子系システムが失陥しても油圧ブレーキ装置409,410による制動が可能であり確実に車両を停止できるため車両制動システムの信頼性を確保でき、また、電気電子系システムが正常の場合には前後輪の制動力の配分比を任意の値に設定できる。
また、本実施形態では、特許文献1のように電動ブレーキ装置を各車輪に備える必要がないため、制動装置全体が複雑になることによるコスト上昇はなく、制動力を確保するために充分な電力を確保する必要もない。
なお、上記の例では、ブレーキペダル装置210の圧力制御弁102から2つのシャトル弁107,109に供給される作動圧の値はそれぞれ同じにしたが、両者は異ならせても良い。また、高圧選択弁として機能するものは、シャトル弁以外にもチェック弁(逆止弁)の組み合わせ等いくつかの構成が考えられるが、よりコンパクトに構成可能なシャトル弁が好ましい。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態の説明では、コントローラ103は所望のブレーキトルクの前後配分比に応じた油圧を油圧ブレーキ装置409,410へと供給できるとした。本実施形態では、ブレーキトルクの前後配分比の決定方法について説明する。
(ブレーキトルクの前後配分比が一定の場合に生じる課題)
前述したように、ダンプトラック401は鉱山内の未舗装路や不整地を走行することから、天候の変化などの影響により滑り易さなどの路面の状態は常に変化する。また、鉱山は鉱脈まで掘り進むためにほとんどの場合積込場所は低い位置にあり、勾配路を走行する機会が多く、車体の前後の傾きによって前輪及び後輪405,406の車軸(前車軸及び後車軸(以下、同様))に掛かる荷重も大きく変化する。さらに、積荷408は一般的に自重を超える重量を積載することが出来るため、その有無によって車両総重量はもとより、積荷408が後方寄りに位置するため重心位置も後方寄りに変化し、前輪及び後輪405,406の車軸に掛かる荷重も大きく変化する。
このように路面の滑り易さが変化し、かつ前輪及び後輪405,406の車軸に掛かる荷重も常に変化する状況においては、前輪及び後輪405,406が地面に伝達できる制動力の上限値も大きく変化する。路面の滑り易さを示す路面摩擦係数をμ、前輪405に掛かる車輪一つ当たりの荷重をWf、同じく後輪406に掛かる車輪一つ当たりの荷重をWrとすると、地面に伝達できる制動力の上限値Ff,Frは下記式7,式8で表される。
Ff=μ・Wf (式7)
Fr=μ・Wr (式8)
すなわち、地面に伝達できる制動力の上限値Ff,Frは車輪一つ当たりの荷重に比例する。これは前後の荷重変化のみを考慮するのであれば、式7,式8を2倍して前輪,後輪の車軸に掛かる荷重としても良い。また、各輪のブレーキトルクをT、タイヤ半径をRとすれば、制動力Fbは下記式9で表せる。
Fb=T/R (式9)
式7,8と式9から、制動力FbはFfやFrを超えることができないのであるから、前後輪の有効なブレーキトルクの上限値は前後輪の荷重に比例することが分かる。すなわち、前出の式1,2の前後輪のブレーキ油圧Pf,Prを下記式10,11のように表すことで(但しaはa∈(0,0.5)を満たす係数)、前輪または後輪のどちらかが先に制動力の上限値に達してしまうことを抑制できる。
Pf=min{Wf/(Wf+Wr)・(Pp/a),Pmax}(式10)
Pr=min{Wr/(Wf+Wr)・(Pp/a),Pmax}(式11)
一方、制動力FbがFfやFrを超えた場合には、地面に伝達できる制動力は増加せず、車輪がロックする。車輪がロックしてしまうと、摩擦係数が減少してしまい、地面に伝達できる制動力も減少してしまう。
図5はタイヤの摩擦係数とスリップ率の関係を示す図である。図中の曲線501はタイヤの摩擦特性を示す。図の横軸であるスリップ率とは車体速度と車輪速度の差を車体速度で除したものであり、地面の移動と車輪の回転が一致しているときが0であり、車輪の回転が止まっているとき、すなわちロックしているときが1である係数である。
車輪へのブレーキトルクが0の場合、地面に伝達する力がないので点502の状態となり、車輪のスリップ率は0である。ブレーキトルクを印加するとスリップ率が増加していきブレーキトルクの大きさに応じた摩擦係数とスリップ率の状態でバランスし、制動力上限値に達したときに点503の状態になる。このときの式7,8のμと縦軸のタイヤ摩擦係数は一致する。すなわち点503の状態にあるタイヤは最大限の力Ff,Frを発生している状態である。これを超えてブレーキトルクを増加させた場合、スリップ率が増加しても曲線501のように摩擦係数は下がってしまうのでバランスせず、点504、すなわちロック状態まで進んでしまう。点504は動摩擦係数、点503は静摩擦係数に相当しており一般的なタイヤの摩擦特性では点504の方が低い値となるため、車輪がロックしてしまうと地面に伝達できる制動力は少なくなってしまう。また車輪がロックしてしまうことで、タイヤの横方向の力は0になってしまい、車体の進行方向を維持することが困難になる。特に後輪のロックは車体のスピンを引き起こすため可能な限り避けるべきである。
これまで述べてきたように、前後輪のブレーキトルクの上限は前後輪に掛かる荷重に比例しており、また車輪のロックは制動力が少なくなってしまうのみならず車体の進行方向を維持できなくなる恐れがあることから、可能な限り避けるべきである。
しかしながら、ブレーキペダル操作によって発生する前輪及び後輪405,406に掛かるブレーキトルクの前後比はこれまで固定であったため、鉱山用ダンプトラックのように積荷状況や路面勾配などにより前輪及び後輪405,406の車軸に掛かる荷重が常に変化する車両である場合、車軸に掛かる荷重の前後比と一致せず、前後どちらかの車輪が先にブレーキトルク上限値を超えてしまい、ロックしてしまうという虞があった。もしくは、オペレータのペダル戻し操作により前記の車輪ロックが回避されたとしても、ブレーキトルク上限値に余裕のあった側の車輪まで同じ比率でブレーキトルクを減少されてしまい、結果として本来得られるべき減速度が得られなくなる虞があった。
そこで、本実施形態のダンプトラックでは、ブレーキトルクの前後配分比を車両が減速中の前輪及び後輪405,406の車軸に掛かる荷重比に一致させることで、前後どちらかの車輪が先にロックせず、効率的に減速度が得られる構成とした。
(油圧ブレーキ装置409,410によるブレーキトルクの前後配分比の演算)
ここで、運搬車両の前輪及び後輪405,406の車軸に掛かる荷重比の算出方法の一例を示す。
図7は、本実施形態の運搬車両の一例である鉱山用ダンプトラックの降坂中の側面図である。図中で符号701が付されたシンボルは車両の重心位置を示す。車両の重心位置701は積荷の積み方(形状)や重量によって変化する。特に鉱山用ダンプトラックは一般的に荷台が車両後方上部にあるため、重心位置は土砂の積載によってより後方かつ上方に移動する。車体重量による力は重心位置701から鉛直方向に働き、その大きさを矢印702として表す。同様に、加減速により重心位置701に働く慣性力は車両の前後方向に働き、矢印703のように表せる。この場合、車体重量による力702と加減速による慣性力703の合力は矢印704で示される。重心位置701から合力704が路面に降ろす足の位置でホイールベースLをLf及びLrの2つに分割し、LfとLrの割合に応じて前輪及び後輪405,406の車軸に掛かる荷重比を決定する。この幾何学的関係から分かるように、合力704が路面に降ろす足は、重心位置701の高さHの大きさに比例して勾配及び加減速の影響が大きくなる。前輪及び後輪405,406の車軸(前車軸及び後車軸)に掛かる荷重をそれぞれWf,Wrとすると、前記の幾何学的な手法によって求めたLf及びLrの比(但し、Lf+Lr=L)により、Wf及びWrの比は下記式12で表せる。
Wf:Wr=Lr:Lf (式12)
したがって、車両総重量をWとすれば、Wf及びWrは下記式13,14で表せる。
Wf=W・Lr/L (式13)
Wr=W・Lf/L (式14)
Lr及びLfは、ダンプトラック401における重心の前後位置に係る重心位置データ、ダンプトラック401が走行している路面の路面勾配データ、速度センサにより取得されるダンプトラック401の車両速度や制駆動トルクデータを用いて演算されるダンプトラック401の加減速度データ、地図情報などの車両内外から得られるダンプトラック401の各種走行情報などを総合的に考慮することで演算できる。
(ブレーキ油圧Pf,Prを発生する場合のコントローラ103の演算処理)
油圧ブレーキ装置409,410でブレーキ油圧Pf,Prを発生するためにコントローラ103が電磁比例弁106,108の駆動信号(制御信号)を演算・出力する処理の流れを図8に示す。コントローラ103は所定の周期で図8の処理を実行する。
S801では、コントローラ103は、ブレーキペダル装置210に取り付けられた操作量センサ111からブレーキペダル110の踏込量を入力し、当該踏込量に基づいて圧力制御弁102の出力油圧Ppを算出する。
S802では、コントローラ103は、重心位置計測センサ104により計測されたダンプトラック401における重心の前後位置に係る重心位置データと、勾配計測センサ105により計測されたダンプトラック401が走行している路面の路面勾配データ(図7の路面勾配θ)と、ダンプトラック401の車両速度や制駆動トルク情報などを用いて算出する加減速度データ、ダンプトラック401の内外から得られる地図データなどの各種走行情報などを総合的に考慮して、Lf,Lrを算出する。
S803では、コントローラ103は、S802で演算したLf,Lrと式13,式14を利用して、前輪及び後輪405,406の車軸に掛かる荷重(前車軸荷重及び後車軸荷重)Wf,Wrを算出する。
S804では、コントローラ103は、S803で演算した前後車軸荷重Wf,Wrと式10,式11を利用して、前後車軸荷重Wf,Wrに比例するブレーキ油圧Pf,Prを演算する。
S805では、コントローラ103は、S804で演算したブレーキ油圧Pf,Prが発生するような電磁比例弁106,108の駆動信号(制御信号)をそれぞれ演算(生成)し、演算した駆動信号を対応する電磁比例弁106,108に出力する。これにより前後の車軸荷重Wf,Wrの比率に一致するようなブレーキトルクを油圧ブレーキ装置409,410によって発生できるので、様々な条件においてもダンプトラック401の安定した制動が可能になる。
以上説明したように本発明によれば、前後車軸荷重Wf,Wrに比例する制動力を前後輪に作動させることにより、前後における一方側の車輪がロックする不安定な状況を可能な限り抑制でき、効率よく安定的な減速を運搬車両で実現できる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第2実施形態の説明では、コントローラ103は重心位置計測センサ104による重心位置データと、勾配計測センサ105による路面勾配データ、さらに車両の制駆動トルク情報などを用いて算出する加減速度データ、などを総合して前後車軸に掛かる荷重を算出するとした。
これに対して本実施形態では、前後車軸荷重を算出する別の手段について説明する。本実施形態では、前輪及び後輪のサスペンションにそれぞれ設けた複数の荷重センサ131,132を備え、コントローラ103により、当該荷重センサ131,132によって検出される荷重値に基づいて運搬車両の前後車軸荷重Wf,Wrを演算し、この2つの荷重Wf,Wrの比に一致するように油圧ブレーキ装置409,410のブレーキ油圧Pf,Prの比を制御する。
本実施形態に係る運搬車両の一例である大型の鉱山用ダンプトラックでは、前後の各車輪に掛かる荷重が非常に大きく、また積荷状態では空荷状態に比べて車重が2倍以上になり大きく変動するため、これを機械的なばねで支えることが難しい。そのため、オイルとガスを封入したシリンダ(流体シリンダ)によりこれを支え、圧縮による油空圧の弾力性を利用したサスペンションを搭載していることが一般的である。このようなダンプトラックにおける各流体シリンダの内圧(シリンダ内圧)は、サスペンションに支えられた各車輪に掛かる荷重に比例した値になるため、シリンダに設けた圧力センサ(油圧センサ)131(図1参照)により各車輪に掛かる荷重を直接計測できる。圧力センサにより得られるシリンダ内圧をPc、シリンダ内を変位するロッドの底面積をSとすれば、各シリンダに掛かる荷重Wcは、下記式15で表せる。
Wc=S・Pc (式15)
また、各車輪が機械的なばねで支えられている場合には、当該ばねの変位を変位センサ132(図1参照)で計測することで、上記と同様に各車輪に掛かる荷重を直接計測できる。ばね定数をk、ばねの変位をXcとすれば、各車輪に掛かる荷重Wcは、下記式16で表せる。
Wc=k・Xc (式16)
このような演算を前後輪それぞれについて行うことで、コントローラ103は前後の車軸に掛かる荷重Wf,Wrを直接的に演算できる。
なお、圧力センサ131と変位センサ132(荷重センサ)はいずれか1種類をダンプトラック401に搭載すれば良い。各センサは各サスペンションに設置しても良いし、前輪側と後輪側のサスペンションに1つずつ設置しても良い。また、第1実施形態及び第2実施形態に係るダンプトラック401に圧力センサ131と変位センサ132が不要であることは言うまでもない。
(ブレーキ油圧Pf,Prを発生する場合のコントローラ103の演算処理)
これを用いたコントローラ103における処理の流れを図9に示す。図8と同じ処理には同じ符号を付している。基本的な流れは図8による処理とおなじであるものの、前後の車軸に掛かる荷重Wf,Wrの算出方法(S902及びS903)が異なる。
S902において、コントローラ103は、圧力センサ131又は変位センサ132からサスペンションのシリンダ内圧やサスペンション変位といったサスペンション状態量を取得する。
次にS903では、コントローラ103は、S902で取得したサスペンション状態量と、前述の式15又は式16とを利用して、前後の車軸荷重Wf,Wrを演算する。その後の流れは図8の場合と同等である。
これにより、第2実施形態と同様に、前後の車軸荷重Wf,Wrの比率に一致するようなブレーキトルクを油圧ブレーキ装置409,410によって発生でき、様々な条件でもダンプトラック401の安定した制動が可能になる。
なお、サスペンション状態量を検出するセンサの種類としては、前記の圧力センサ131や変位センサ132に限定するものではなく、他のセンサを用いてもよい。また、センサデータから直接荷重を計算するばかりでなく、例えば、第2実施形態に述べた荷重推定方式と、本実施形態の荷重演算方式とを組み合わせ、運搬車両の状況に応じて演算精度が高い方式を適宜選択することで、いずれか一方の方式を利用する場合と比較して荷重推定精度を向上しても良い。
以上説明したように本実施形態によれば、前後輪に作用させる制動力の比率をサスペンションに設けたセンサ131,132のデータを用いて決定することにより、荷重演算精度の向上や演算プロセスの簡略化を図ることができ、効率よく安定な減速が可能な運搬車両を実現できる。
<その他>
なお、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した各実施形態は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
上記の実施形態では、油圧ブレーキ装置409,410の「作動圧」を制御する例について説明したが、油圧ブレーキ装置409,410の「パイロット圧」を制御することで油圧ブレーキ装置409,410のブレーキ油圧Pf,Pr(ブレーキトルク)を制御しても良い。
また、上記のコントローラ103に係る各構成や当該各構成の機能及び実行処理等は、それらの一部又は全部をハードウェア(例えば各機能を実行するロジックを集積回路で設計する等)で実現しても良い。また、上記のコントローラ103に係る構成は、演算処理装置(例えばCPU)によって読み出し・実行されることでコントローラ103の構成に係る各機能が実現されるプログラム(ソフトウェア)としてもよい。当該プログラムに係る情報は、例えば、半導体メモリ(フラッシュメモリ、SSD等)、磁気記憶装置(ハードディスクドライブ等)及び記録媒体(磁気ディスク、光ディスク等)等に記憶することができる。
また、上記の各実施の形態の説明では、制御線や情報線は、当該実施の形態の説明に必要であると解されるものを示したが、必ずしも製品に係る全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えて良い。
101…油圧ポンプ,102…圧力制御弁,103…コントローラ,104…重心位置計測センサ,105…勾配計測センサ,106…電磁弁(電磁比例弁),107…シャトル弁,108…電磁弁(電磁比例弁),109…シャトル弁,110…ブレーキペダル,111…操作量センサ,131…圧力センサ(荷重センサ),132…変位センサ(荷重センサ),210…ブレーキペダル装置,401…ダンプトラック(運搬車両),405…前輪,406…後輪,409…油圧ブレーキ装置,410…油圧ブレーキ装置

Claims (5)

  1. 前輪を制動する第1油圧ブレーキと、
    後輪を制動する第2油圧ブレーキと、
    前記第1油圧ブレーキを作動させるための第1作動圧と前記第2油圧ブレーキを作動させるための第2作動圧とを運転者の操作量に応じて発生するブレーキペダル装置とを備えた運搬車両において、
    前記ブレーキペダル装置の操作量に応じて前記第1油圧ブレーキの動作を制御する第1制御信号及び前記第2油圧ブレーキの動作を制御する第2制御信号を演算して出力するコントローラと、
    前記第1油圧ブレーキを作動させるための作動圧であって前記第1作動圧と異なる第3作動圧を、前記コントローラから入力される前記第1制御信号に基づいて発生する第1電磁比例弁と、
    前記第2油圧ブレーキを作動させるための作動圧であって前記第2作動圧と異なる第4作動圧を、前記コントローラから入力される前記第2制御信号に基づいて発生する第2電磁比例弁と、
    前記第1作動圧と前記第3作動圧のうち大きい方の作動圧を選択して第1油圧ブレーキ装置に出力する第1高圧選択弁と、
    前記第2作動圧と前記第4作動圧のうち大きい方の作動圧を選択して第2油圧ブレーキ装置に出力する第2高圧選択弁と、を備え、
    前記第1油圧ブレーキは、前記第1作動圧と前記第3作動圧のうち前記第1高圧選択弁によって出力された大きい方の作動圧によって駆動され、
    前記第2油圧ブレーキは、前記第2作動圧と前記第4作動圧のうち前記第2高圧選択弁によって出力された大きい方の作動圧によって駆動され、
    前記コントローラは、前記第3作動圧と前記第4作動圧との比が所定の値になるように前記第1制御信号及び前記第2制御信号を演算すること
    を特徴とする運搬車両。
  2. 請求項1の運搬車両において、
    前記ブレーキペダル装置の操作量を検出する操作量センサと、
    前記運搬車両の重心位置を計測する重心位置計測センサと、
    前記運搬車両が走行する路面の勾配を計測する勾配計測センサとをさらに備え、
    前記コントローラは、
    前記操作量センサによって検出される操作量、前記重心位置計測センサによって計測される重心位置、及び前記勾配計測センサによって計測される勾配に基づいて、前記運搬車両の前車軸及び後車軸に作用する前車軸荷重及び後車軸荷重を演算し、
    前記所定の比が、演算した前記前車軸荷重と前記後車軸荷重の比に一致するように前記第1制御信号及び前記第2制御信号を演算する
    ことを特徴とする運搬車両。
  3. 請求項1の運搬車両において、
    前記前輪及び前記後輪のサスペンションにそれぞれ設けた複数の荷重センサを備え、
    前記コントローラは、前記複数の荷重センサによって検出される荷重値に基づいて、前記運搬車両の前車軸及び後車軸に作用する前車軸荷重及び後車軸荷重を演算し、
    前記所定の比が、演算した前記前車軸荷重と前記後車軸荷重の比に一致するように前記第1制御信号及び前記第2制御信号を演算する
    ことを特徴とする運搬車両。
  4. 請求項1の運搬車両において、
    前記第1高圧選択弁は、前記ブレーキペダル装置によって制御される前記第1作動圧が入力される第1入力ポートと、前記第1電磁比例弁によって制御される前記第3作動圧が入力される第2入力ポートと、前記第1入力ポートと前記第2入力ポートに入力される前記第1作動圧及び前記第3作動圧のうち大きい方を前記第1油圧ブレーキに出力する第1出力ポートとを有する第1シャトル弁であり、
    前記第2高圧選択弁は、前記ブレーキペダル装置によって制御される前記第2作動圧が入力される第3入力ポートと、前記第2電磁比例弁によって制御される前記第4作動圧が入力される第4入力ポートと、前記第3入力ポートと前記第4入力ポートに入力される前記第作動圧及び前記第作動圧のうち大きい方を前記第2油圧ブレーキに出力する第2出力ポートとを有する第2シャトル弁である
    ことを特徴とする運搬車両。
  5. 請求項1の運搬車両において、
    前記第3作動圧は前記第1作動圧以上であり、
    前記第4作動圧は前記第2作動圧以上であり、
    前記第3作動圧と前記第4作動圧のうち一方の作動圧は他方の作動圧以上である
    ことを特徴とする運搬車両。
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