JP2023145161A - 作業車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】制動装置の健全性の確認テスト機能を備えた車両に関し、テスト対象が機能しないときの作業車両の制動性を向上できる作業車両を提供する。【解決手段】作業車両1は、駆動力を与える駆動源21、前輪3を摩擦力により制動する第1の制動装置16、後輪4を摩擦力により制動する第2の制動装置17に加え、作業車両を制動する第3の制動装置18、作業車両の走行状態を検出する検出器63,64、駆動源及び第1~3の制動装置を制御する制御装置70,80を備える。制御装置は、第1及び第2の制動装置の少なくとも一方をテスト対象としてその健全性の確認テストの実行操作が入力された場合、テスト対象の制動装置を作動させた状態で駆動源を駆動させ、検出器の検出結果に基づきテスト対象の制動装置が正常であるかを判定し、テスト対象の制動装置が正常でないと判定した場合に駆動源の出力を停止させると共に第3の制動装置を作動させる。【選択図】 図5

Description

本発明は、積載物を運搬する作業車両に係り、さらに詳しくは、機械的な制動装置によって走行装置を制動する作業車両に関する。
ダンプトラックやホイールローダ等の作業車両は、土砂や砕石物等を積載して走行するものであり、車両の走行を摩擦力の付与によって機械的に制動する制動装置を備えている。特に鉱山用のダンプトラックにおいては、それ自体の重量に積載物の重量が加わると、総重量が数百トンになる場合がある。そのため、制動装置が走行時に正常に作動することが求められる。そのため、作業車両においては、積載物を運搬する前に、制動装置の健全性を確認するテストを行う必要がある。
制動装置(ブレーキシステム)の機能性を検証する技術として、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載のブレーキシステムを検証するための制御システム(方法)においては、指定の摩擦ブレーキ力を1組の操舵輪(例えば、前輪)に加えるように操舵輪に関連付けられた第2の摩擦ブレーキユニットを制御すると同時に、指定のトルクを1組の駆動輪(例えば、後輪)に加えるように電気駆動システムを制御し、車両の結果的な移動を監視することで、第2の摩擦ブレーキユニットの機能性を判定している。
特表2017-510490号公報
特許文献1に記載の制御システム(方法)は、第2の摩擦ブレーキユニットの機能性の判定において、車両の移動が生じない場合には、第2の摩擦ブレーキユニットが機能する(動作可能である)と判定する。一方、車両の移動が結果として生じた場合には、第2の摩擦ブレーキユニットが機能しないと判定するか、又は、第2の摩擦ブレーキユニットの機能性の程度の判定を行う。第2の摩擦ブレーキユニットが機能しないと判定された場合には、例えば、車両の前進を防止するために点火装置を制御する。第2の摩擦ブレーキユニットが機能せずに移動が生じている作業車両を点火装置の制御のみで停止させようとする場合、作業車両に対する制動力が低いので、作業車両を迅速に停止させることができない懸念がある。
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、機械的な制動装置の健全性の確認テスト機能を備えた車両に関し、テスト対象の制動装置が機能しないときの作業車両の制動性を向上させることができる作業車両を提供することである。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、車体と、前記車体の前部側に設けられた前輪と、前記車体の後部側に設けられた後輪と、前記前輪及び前記後輪の少なくとも一方に駆動力を与える駆動源と、前記前輪の回転駆動を摩擦力の付与により制動する第1の制動装置と、前記後輪の回転駆動を摩擦力の付与により制動する第2の制動装置とを備えた作業車両であって、前記作業車両を制動する第3の制動装置と、前記作業車両の走行状態を検出する検出器と、前記駆動源、前記第1の制動装置、前記第2の制動装置、及び、前記第3の制動装置を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記第1の制動装置及び前記第2の制動装置の少なくとも一方をテスト対象としてその健全性を確認するテストを実行する操作が入力された場合において、テスト対象の制動装置を作動させた状態において前記駆動源を駆動させ、前記検出器によって検出された前記作業車両の走行状態に基づき、前記テスト対象の制動装置が正常に作動しているか否かを判定し、前記テスト対象の制動装置が正常に作動していないと判定した場合には、前記駆動源の出力を停止させると共に、前記第3の制動装置を作動させることを特徴とする。
本発明によれば、制動装置の健全性の確認テスト機能を備えた車両に関し、テスト対象の制動装置が機能せずに作業車両が走行状態になったとしても、駆動力を与える駆動装置の出力を停止させると共にテスト対象でない第3の制動装置を作動させることで、作業車両の制動性を向上させることができる。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の作業車両の第1の実施の形態としてのダンプトラックの外観を示す概略図である。 本発明の作業車両の第1の実施の形態における走行システムの主要機器の配置を示す概略図である。 本発明の作業車両の第1の実施の形態における走行システムの概略構成を示すブロック図である。 本発明の作業車両の第1の実施の形態における図3に示す制御装置(第1コントローラ及び第2コントローラ)のハード構成及び機能構成を示すブロック図である。 本発明の作業車両の第1の実施の形態における図3に示す第1コントローラ及び第2コントローラによる制動装置の作動テストの制御手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の作業車両の第2の実施の形態における制御装置(第1コントローラ及び第2コントローラ)のハード構成及び機能構成を示すブロック図である。 本発明の作業車両の第2の実施の形態における図6に示す制御装置(第1コントローラ及び第2コントローラ)による制動装置の作動テストの制御手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の作業車両の第3の実施の形態における制御装置(第1コントローラ及び第2コントローラ)のハード構成及び機能構成を示すブロック図である。 本発明の作業車両の第3の実施の形態における図8に示す制御装置(第1コントローラ及び第2コントローラ)による制動装置の作動テストの制御手順の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明の作業車両の実施の形態について図面を用いて説明する。本実施の形態においては、作業車両の一例として、ダンプトラックを例に挙げて説明する。なお、本明細書で述べる前後左右の方向は、作業車両に搭乗したオペレータから見た方向である。
[第1の実施の形態]
まず、本発明の作業車両の第1の実施の形態としてのダンプトラックの構成について図1を用いて説明する。図1は本発明の作業車両の第1の実施の形態としてのダンプトラックの外観を示す概略図である。図2は本発明の作業車両の第1の実施の形態における走行システムの主要機器の配置を示す概略図である。
図1及び図2において、作業車両としてのダンプトラック1は、鉱山などで採掘した砕石物や土砂等の積載物Wを運搬するものである。ダンプトラック1は、車体2と、車体2の前部側に回転可能に設けられた左右の前輪3および車体2の後部側に回転可能に設けられた左右の後輪4と、車体2上に起伏可能に搭載された荷台5とで大略構成されている。前輪3は、例えば、オペレータによって操舵される操舵輪である。後輪4は、例えば、駆動源21によって回転駆動される駆動輪である。駆動源21は、ダンプトラック1が走行するための駆動力を発生させるものであり、例えば、走行装置を構成し、電力の供給により回転駆動する電動モータ(以下、走行モータと称することがある)である。荷台5は、積載物Wが積み込まれる部品であり、例えば、大型の容器として形成されている。
車体2は、図1に示すように、前後方向(図1の左右方向)に延びる支持構造体である車体フレーム11と、車体フレーム11の前部に配置された建屋12と、建屋12の上側に設けたデッキ部13と、デッキ部13上に設置されたキャブ14とを備えている。車体フレーム11には、前輪3及び後輪4が図示しないサスペンションを介して取り付けられている共に、荷台5の後部が車体フレーム11に対し回動可能に連結されている。車体フレーム11と荷台5との間には、左右一対のホイストシリンダ7(一方のみを図示)が設けられている。ホイストシリンダ7は、例えば、伸縮する油圧シリンダである。ホイストシリンダ7の伸長により荷台5が車体フレーム11に対して起伏して荷台5上の積載物Wが放土される。
建屋12には、図2に示すように、エンジン22や発電機23、油圧ポンプ31等の各種装置が収容されている。発電機23は、エンジン22に機械的に接続され、エンジン22によって駆動されることで発電する。発電機23は、駆動源21としての電動モータや補機類(図示せず)などに発電電力を供給するものである。油圧ポンプ31は、エンジン22に機械的に接続され、エンジン22によって駆動されることで圧油を吐出する。油圧ポンプ31は、ホイストシリンダ7や後述の各ブレーキユニット16、17、18を駆動する圧油を供給する油圧源である。
図1に示すように、デッキ部13はオペレータが歩行可能な通路を形成する部分であり、キャブ14はオペレータが搭乗する運転室を形成するものである。キャブ14内には、後述のアクセルペダル装置51(後述の図3参照)、第1ブレーキペダル装置52及び第2ブレーキペダル装置53(後述の図3参照)、セレクタ操作装置54(後述の図3参照)、ブレーキテストスイッチ55(後述の図3参照)、前輪3を操舵するステアリングホイール(図示せず)、荷台5の傾転を操作する荷台操作装置(図示せず)等のオペレータが操作する各種の操作装置が配置されている。また、ダンプトラック1の各種情報を表示する表示装置(図示せず)が配置されている。表示装置は、例えば、タッチパネルを有し、入力装置やブレーキテストスイッチ55として機能するように構成することが可能である。
本実施の形態のダンプトラック1は、ダンプトラック1を摩擦力の付与により制動する機械的な制動装置を複数備えている。なお、詳細は後述するが、ダンプトラック1は、電動モータを発電機として機能させることで制動力を生じさせて電気的に制動する構成も含んでいる。
具体的には、図2に示すように、前輪3には、前輪3の回転駆動を制動する前輪ブレーキユニット16が第1の制動装置として設置されている。前輪ブレーキユニット16は、前輪3に対して摩擦力を付与することで制動する機械的なブレーキである。前輪ブレーキユニット16は、例えば、乾式のディスクブレーキであり、前輪3と共に回転するブレーキロータ16aと、ブレーキロータ16aに対面配置される摩擦パッド(図示せず)と、摩擦パッドをブレーキロータ16aに押圧するキャリパ16cとを有している。キャリパ16cは、例えば、油圧により変位するピストン(図示せず)を含んでいる。
後輪4には、後輪4の回転駆動を制動する後輪ブレーキユニット17が第2の制動装置として設置されている。後輪ブレーキユニット17は、後輪4に対して摩擦力を付与することで制動する機械的なブレーキである。後輪ブレーキユニット17は、例えば、湿式の多板ディスクブレーキであり、後輪4と共に回転する複数枚のブレーキロータ17aと、各ブレーキロータ17aに対向配置された複数枚の摩擦板17bと、摩擦板17bをブレーキロータ17aに押圧するブレーキピストン17cとを含んでいる。ブレーキピストン17cは、例えば、圧油の供給により駆動するものである。湿式の多板ブレーキである後輪ブレーキユニット17は、複数枚のブレーキロータ17aと複数枚の摩擦板17bとの摩擦により生じた熱を冷却する冷却用の潤滑油が供給されるように構成されている。
後輪4には、さらに、ダンプトラック1を駐車するときに用いられるパーキングブレーキユニット18がダンプトラック1を制動する第3の制動装置として設置されている。パーキングブレーキユニット18は、駆動輪としての後輪4に対して摩擦力を付与することでダンプトラック1を制動する機械的なブレーキである。パーキングブレーキユニット18は、例えば、乾式のディスクブレーキであり、駆動源21としての電動モータ(後輪4)と共に回転するブレーキロータ18aと、ブレーキロータ18aに対面配置される摩擦パッド(図示せず)と、摩擦パッドをブレーキロータ18aに押圧するキャリパ18cとを有している。キャリパ18cは、例えば、油圧により変位するピストン(図示せず)を含んでいる。
次に、本発明の作業車両の第1の実施の形態における走行システムの構成について図3を用いて説明する。図3は本発明の作業車両の第1の実施の形態における走行システムの概略構成を示すブロック図である。
ダンプトラック1の走行システムは、後輪4を回転駆動する駆動力を付与する駆動源21としての走行モータ(電動モータ)と、走行モータ21に電力を供給する発電機23と、発電機23から走行モータ21への電力供給を制御することで走行モータ21の駆動(回転数やトルク)を制御するインバータ24とを備えている。走行モータ21は、例えば、発電機能を有する電動モータであり、回転駆動する後輪4に対して発電動作により電気的に制動力(制動トルク)が生じることで電気的な制動装置としても機能するものである。インバータ24は、後述の制御装置(第2コントローラ80)からの制御指令(インバータ指令)に応じて走行モータ21の駆動(力行動作や発電動作など)を制御するものである。
走行システムは、さらに、走行モータ21と電気的に接続された抵抗器25(グリッドボックス)と、走行モータ21と抵抗器25との間に介在するチョッパ26とを備えている。抵抗器25は、走行モータ21が電気ブレーキ(発電ブレーキ)として機能しているときに生成した発電電力を熱エネルギに変換して消費するものである。チョッパ26は、各種のスイッチング素子(図示せず)を有しており、走行モータ21が電気ブレーキ(発電ブレーキ)として機能しているときに走行モータ21から抵抗器25へ供給される電力を後述の制御装置(第2コントローラ80)からの制御指令(チョッパ指令)に応じて調整するものである。
走行モータ21には、走行モータ21に供給されている電流を検出する電流計61が設けられている。電流計61は、後述の制御装置(第2コントローラ80)に電気的に接続されており、検出した走行モータ21の電流値に応じた検出信号を後述の制御装置(第2コントローラ80)へ出力する。
前輪3には、前輪3の回転速度を検出する前輪速度センサ63が設置されている。後輪4には、後輪4の回転速度を検出する後輪速度センサ64が設置されている。後輪速度センサ64は、後輪4の回転速度でなく、走行モータ21の回転速度を検出する構成も可能である。前輪速度センサ63および後輪速度センサ64は、後述の制御装置(第2コントローラ80)に電気的に接続されており、検出した前輪3の回転速度に応じた検出信号および検出した後輪4の回転速度に応じた検出信号を後述の制御装置(第2コントローラ80)へ出力する。
また、走行システムは、エンジン22により駆動される油圧ポンプ31と、油圧ポンプ31から吐出された圧油の供給により作動する油圧式の前輪ブレーキユニット16、後輪ブレーキユニット17、パーキングブレーキユニット18と、前輪ブレーキユニット16に対する圧油の給排を切り換える第1の制動弁33、後輪ブレーキユニット17に対する圧油の給排を切り換える第2の制動弁34、パーキングブレーキユニット18に対する圧油の給排を切り換える第3の制動弁35とを備えている。油圧ポンプ31は、例えば、ポンプ容量が可変の油圧ポンプである。第1~第3の制動弁33、34、35は、後述の制御装置(第1コントローラ70)からの制御指令によって開度が制御され、油圧ポンプ31からの圧油を開度に応じて減圧して各ブレーキユニット16、17、18に供給する。
第1の制動弁33及び第2の制動弁34は、パイロット圧の印加によっても駆動するように構成されている。第1の制動弁33及び第2の制動弁34に印加されるパイロット圧は、パイロットポンプ32によって吐出される圧油を元圧として後述の第2ブレーキペダル装置53を介して生成されるものである。パイロットポンプ32は、油圧ポンプ31と共にエンジン22によって駆動されるものである。第1の制動弁33及び第2の制動弁34は、印加されるパイロット圧の大きさに応じて開度が制御され、当該開度に応じて油圧ポンプ31からの圧油を減圧して各ブレーキユニット16、17、18に供給する。
ダンプトラック1の走行システムは、走行モータ21を制御すると共に各ブレーキユニット16、17、18を制御する制御装置を備えている。本実施の形態に係る制御装置は、後述のアクセルペダル装置51及びセレクタ操作装置54の操作に応じて走行モータ21の駆動(力行動作)を制御するための指令を生成すると共に、後述の第1ブレーキペダル装置52の操作に応じて走行モータ21を発電動作による電気ブレーキ(発電ブレーキ)として制御するための指令を生成する第1コントローラ70と、上位コントローラである第1コントローラ70からの指令に応じて走行モータ21及びチョッパ26を制御する第2コントローラ80とで構成されている。第1コントローラ70は、また、第2ブレーキペダル装置53又はセレクタ操作装置54の操作に応じて各ブレーキユニット16、17、18の作動を制御するものである。第1コントローラ70は、第2コントローラ80と相互に通信可能に構成されており、前輪速度センサ63及び後輪速度センサ64が検出した前輪3の回転速度及び後輪4の回転速度の他、電流計61が検出した電流値などの走行モータ21の駆動状態に関する各種情報を取得可能である。なお、第1コントローラ70及び第2コントローラ80の機能構成の詳細は後述する。
アクセルペダル装置51は、ダンプトラック1の走行速度を指示するものである。アクセルペダル装置51は、オペレータによって操作されるアクセルペダル51aと、アクセルペダル51aの操作量を検出するアクセルセンサ51bとを有している。アクセルセンサ51bは、第1コントローラ70に電気的に接続されており、検出したアクセルペダル51aの操作量に応じた検出信号を第1コントローラ70へ出力する。
第1ブレーキペダル装置52は、走行モータ21を電気ブレーキ(発電ブレーキ)として作動させることを指示するものである。第1ブレーキペダル装置52は、オペレータに操作される第1ブレーキペダル52aと、第1ブレーキペダル52aの操作量を検出する第1ブレーキセンサ52bとを有している。第1ブレーキセンサ52bは、第1コントローラ70に電気的に接続されており、第1ブレーキペダル52aの操作量に応じた検出信号を第1コントローラ70へ出力する。
第2ブレーキペダル装置53は、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17の作動を指示するものである。第2ブレーキペダル装置53は、オペレータに操作される第2ブレーキペダル53aと、第2ブレーキペダル53aの操作量を検出する第2ブレーキセンサ53bとを有している。第2ブレーキセンサ53bは、第1コントローラ70に電気的に接続されており、第2ブレーキペダル53aの操作量に応じた検出信号を第1コントローラ70へ出力する。また、第2ブレーキペダル装置53は、パイロットポンプ32と第1の制動弁33及び第2の制動弁34との間に介在する減圧弁53cを更に有している。減圧弁53cは、第2ブレーキペダル53aの操作量に応じてパイロットポンプ32からの油圧を減圧して第1の制動弁33及び第2の制動弁34にパイロット圧として供給するものである。
セレクタ操作装置54は、例えば、オペレータによって操作される操作レバー54aを有している。セレクタ操作装置54は、第1コントローラ70に電気的に接続されており、複数の操作位置のいずれか1つの操作位置に操作レバー54aを操作することで当該操作位置に応じた指示を第1コントローラ70へ出力するものである。具体的には、操作位置として、例えば、ダンプトラック1の前進を指示するF位置(図3中、右上位置)、ダンプトラック1の後進を指示するR位置(図3中、右下位置)、中立位置のN位置(図3中、右中央位置)、パーキングブレーキユニット18の作動を指示するP位置(図3中、左上位置)の4つがある。
また、本実施の形態に係る第1コントローラ70には、オペレータによって操作されるブレーキテストスイッチ55が電気的に接続されている。ブレーキテストスイッチ55は、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17の健全性を確認するブレーキテストの実行を指示するものである。ブレーキテストは、例えば、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17が正常に作動してダンプトラック1を制動することを始業前に点検確認するものである。ブレーキテストスイッチ55は、例えば、タッチパネルを有する表示装置(図示せず)をブレーキテストの実行指示を入力する入力装置として構成することが可能である。
次に、本発明の作業車両の第1の実施の形態の一部を構成する第1コントローラ及び第2コントローラのハード構成及び機能構成について図3及び図4を用いて説明する。図4は本発明の作業車両の第1の実施の形態における図3に示す第1コントローラ及び第2コントローラのハード構成及び機能構成を示すブロック図である。
第1コントローラ70は、図3に示すように、アクセルペダル装置51の操作及びセレクタ操作装置54のF位置、N位置、R位置(図3参照)のいずれかの操作に応じて走行モータ21の力行動作を制御するモータ駆動指令を生成すると共に、第1ブレーキペダル装置52の操作に応じて走行モータ21を発電動作による電気ブレーキ(発電ブレーキ)として制御する制動駆動指令を生成するように構成されている。生成されたモータ駆動指令又は制動駆動指令は、第2コントローラ80へ送信される。また、第1コントローラ70は、第2ブレーキペダル装置53の操作に応じて前輪ブレーキユニット16に対応する第1の制動弁33及び後輪ブレーキユニット17に対応する第2の制動弁34の駆動を制御すると共に、セレクタ操作装置54のP位置(図3参照)への操作に応じてパーキングブレーキユニット18に対応する第3の制動弁35の駆動を制御するように構成されている。
第2コントローラ80は、第1コントローラ70からのモータ駆動指令をインバータ指令に変換してインバータ24を制御することで、走行モータ21の力行動作(回転数やトルク)を制御するように構成されている。また、第1コントローラ70からの制動駆動指令をインバータ指令に変換してインバータ24を制御することで、走行モータ21を発電動作による電気ブレーキ(発電ブレーキ)として制御すると共に、第1コントローラ70からの制動駆動指令をチョッパ指令に変換してチョッパ26を制御することで、走行モータ21の発電電力の抵抗器25への供給を調整するように構成されている。また、第2コントローラ80は、前輪速度センサ63の検出値(前輪3の回転速度)及び後輪速度センサ64の検出値(後輪4の回転速度)と電流計61の検出値(走行モータ21の電流値)とを基に走行モータ21の駆動状態を監視し、走行モータ21の各種情報を第1コントローラ70に提供する。
このように、第1コントローラ70は、第2コントローラ80を介して走行モータ21を制御すると共に、第1~第3の制動弁33、34、35を介して各ブレーキユニット16、17、18を制御する。
本実施の形態に係るダンプトラック1の走行システムは、さらに、ブレーキテストスイッチ55が入力された場合に、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17の健全性を確認するブレーキテストを実行するように構成されている。ダンプトラック1は、それ自体の重量に積載物Wの重量が加わると、総重量が数百トンになる場合がある。そのため、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17がダンプトラック1の走行時に正常に作動することが求められる。そのため、積載物Wの運搬を開始する前などに、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17の健全性を確認するテストを予め行うものである。
第1コントローラ70は、ブレーキテストスイッチ55からの指示が入力されると、例えば、ブレーキテストの実行手順を表示装置(図示せず)に示す。具体的には、表示装置の表示画面上に、第2ブレーキペダル装置53の第2ブレーキペダル53aを踏み込んだ状態においてアクセルペダル装置51のアクセルペダル51aを踏み込むように促す。表示画面上のブレーキテストの実行手順に従ってオペレータの操作が入力された場合、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17の制動機能が正常に作動すれば、ダンプトラック1の制動状態が維持される。これにより、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17の健全性を確認することが可能である。
第1コントローラ70は、ハード構成として、例えば図4に示すように、RAMやROM等からなる記憶装置71と、CPUやMPU等からなる処理装置72とを備えている。記憶装置71には、走行モータ21や各ブレーキユニット16、17、18を制御するために必要なプログラム、ブレーキテストを実行するために必要なプログラム、及び各種情報が予め記憶されている。処理装置72は、記憶装置71から各種のプログラムや各種の情報を適宜読み込み、当該プログラムに従って処理を実行することで各種の機能を実現する。第1コントローラ70は、処理装置72により実行される走行モータ21や各ブレーキユニット16、17、18の駆動制御の機能として、例えば、走行モータ21に対する指令を生成する走行モータ指令生成部74と、前輪ブレーキユニット16を制御する前輪ブレーキ制御部75と、後輪ブレーキユニット17を制御する後輪ブレーキ制御部76と、パーキングブレーキユニット18を制御するパーキングブレーキ制御部77とを備えている。
走行モータ指令生成部74は、アクセルセンサ51bが検出したアクセルペダル51a(図3参照)の操作量及びセレクタ操作装置54のF位置、N位置、R位置(図3参照)のいずれかの操作位置に応じて走行モータ21の駆動(力行動作)を制御するモータ駆動指令を生成し、当該モータ駆動指令を第2コントローラ80へ出力するものである。また、第1ブレーキセンサ52bが検出した第1ブレーキペダル52a(図3参照)の操作量に応じて走行モータ21を発電動作による電気ブレーキ(発電ブレーキ)として制御する制動駆動指令を生成し、当該制動駆動指令を第2コントローラ80へ出力するものである。
前輪ブレーキ制御部75は、第2ブレーキセンサ53bが検出した第2ブレーキペダル53a(図3参照)の操作量に応じて、前輪ブレーキユニット16に対応する第1の制動弁33の駆動(開度)を制御するものである。これにより、前輪ブレーキユニット16が第1の制動弁33の開度に応じて駆動することで、前輪3の回転駆動を制動する。
後輪ブレーキ制御部76は、第2ブレーキセンサ53bが検出した第2ブレーキペダル53aの操作量に応じて、後輪ブレーキユニット17に対応する第2の制動弁34の駆動(開度)を制御するものである。これにより、後輪ブレーキユニット17が第2の制動弁34の開度に応じて駆動することで、後輪4の回転駆動を制動する。
パーキングブレーキ制御部77は、セレクタ操作装置54のP位置(図3参照)への操作に応じて、パーキングブレーキユニット18に対応する第3の制動弁35の駆動(開度)を制御するものである。これにより、パーキングブレーキユニット18が第3の制動弁35の開度に応じて駆動することで、後輪4の駆動を制動する。
本実施の形態の第1コントローラ70は、さらに、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17のブレーキテストを実行するための機能として、テスト判定部78を備えている。テスト判定部78は、ブレーキテストスイッチ55からの指示が入力されて第2ブレーキペダル装置53の第2ブレーキペダル53aが踏み込まれた状態においてアクセルペダル装置51のアクセルペダル51aが踏み込まれているときに、第2コントローラ80から入力される前輪3の回転速度又は後輪4の回転速度に基づいて、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17が正常に作動しているか否かを判定するものである。
具体的には、前輪速度センサ63により検出された前輪3の回転速度Vfdが速度閾値Vthよりも小さい場合または後輪速度センサ64により検出された後輪4の回転速度Vrdが速度閾値Vthよりも小さい場合には、前輪ブレーキユニット16または後輪ブレーキユニット17がダンプトラック1の走行装置を制動していると判定する。すなわち、前輪ブレーキユニット16または後輪ブレーキユニット17が正常に作動していると判定する。一方、前輪速度センサ63の検出値である前輪3の回転速度Vfdが速度閾値Vth以上である場合または後輪速度センサ64の検出値である後輪4の回転速度Vrdが速度閾値Vth以上である場合には、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17の制動力が不足していると判定する。すなわち、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17が正常に作動していない(異常である)と判定する。テスト判定部78は、異常判定を走行モータ指令生成部74及びパーキングブレーキ制御部77へ出力する。速度閾値Vthは、記憶装置71に予め記憶されており、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17の制動機能が正常であるか否かを判定することが可能な値として設定されるものである。速度閾値Vthは、例えば、ダンプトラック1が制動力の不足により走行状態であると見なせる速度として、1.0km/hに設定されている。
テスト判定部78からの異常判定の入力により、走行モータ指令生成部74は、アクセルペダル51aからの操作指令に替えて、走行モータ21の出力を停止する出力停止指令を生成し、当該出力停止指令を第2コントローラ80へ出力する。また、テスト判定部78からの異常判定の入力により、パーキングブレーキ制御部77は、セレクタ操作装置54のP位置への操作が無くとも、パーキングブレーキユニット18に対応する第3の制動弁35を自動的に駆動させる。これにより、テスト判定部78が前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17が正常に作動していないと判定をしたときに、テスト対象でないパーキングブレーキユニット18を作動させて車体を停止させる。
なお、走行モータ指令生成部74は、ブレーキテストスイッチ55からの指示が入力された場合には、アクセルペダル51aの操作量によっては走行モータ21の出力を所定の上限トルクまでに制限するモータ駆動指令を生成し、当該モータ駆動指令を第2コントローラ80へ出力する。所定の上限トルクは、前輪ブレーキユニット16の最大の制動力及び後輪ブレーキユニット17の最大の制動力に相当する値に設定されている。
第2コントローラ80は、ハード構成として例えば、RAMやROM等からなる記憶装置81と、CPUやMPU等からなる処理装置82とを備えている。記憶装置81には、インバータ24(走行モータ21)及びチョッパ26を制御するために必要なプラグラム及び各種情報が予め記憶されている。処理装置82は、記憶装置81からプログラムや各種情報を適宜読み込み、当該プログラムに従って処理を実行することで各種機能を実現する。
第2コントローラ80は、処理装置82により実行されるインバータ24(走行モータ21)及びチョッパ26の駆動制御の機能として、例えば、第1コントローラ70からのモータ駆動指令又は制動駆動指令をインバータ指令に変換するインバータ制御部84と、第1コントローラ70からの制動駆動指令に基づきチョッパ26の動作を制御するチョッパ制御部85とを備えている。インバータ制御部84は、前輪速度センサ63が検出した前輪3の回転速度Vfdおよび後輪速度センサ64が検出した後輪4の回転速度Vrdと電流計61が検出した走行モータ21の電流値Idとを基に、走行モータ21のトルクを演算するトルク演算部84aを含んでいる。インバータ制御部84は、トルク演算部84aの演算結果である走行モータ21のトルクを基に走行モータ21の出力を監視する。走行モータ21の出力を所定の上限トルクに制限したモータ駆動指令が第1コントローラ70(走行モータ指令生成部74)から入力された場合(すなわち、ブレーキテストが実行されている場合)には、インバータ制御部84は、トルク演算部84aの演算結果(走行モータ21のトルクの推定値)が上限トルクを超えないようにインバータ24を制御する。
次に、本発明の作業車両の第1の実施の形態の一部を構成する制御装置におけるブレーキテストの制御手順について図5を用いて説明する。図5は本発明の作業車両の第1の実施の形態における図3に示す第1コントローラ及び第2コントローラによる制動装置の作動テストの制御手順の一例を示すフローチャートである。
第1コントローラ70は、ブレーキテストスイッチ55が操作されてテスト実行の指示が入力されると、図5に示すフローチャートを開始する。先ず、表示装置(図示せず)の表示画面にブレーキテストの実行手順を表示する(図5に示すステップS10)。表示画面に表示されるブレーキテストの実行手順は、オペレータに対して、第2ブレーキペダル装置53の第2ブレーキペダル53a(図3参照)を踏み込んだ状態を維持したまま、アクセルペダル装置51のアクセルペダル51a(図3参照)を踏み込むように促すものである。
表示画面に表示されたブレーキテストの実行手順に従って、オペレータが第2ブレーキペダル53aを踏み込む操作を行った状態においてアクセルペダル51aを踏み込む操作を行うと、第1コントローラ70は、先ず、入力された第2ブレーキペダル53aの操作に応じて前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17を作動させる(図5に示すステップS20)。具体的には、前輪ブレーキユニット16に対応する第1の制動弁33を駆動させると共に、後輪ブレーキユニット17に対応する第2の制動弁34を駆動させる。これにより、油圧ポンプ31から吐出された圧油が第1の制動弁33及び第2の制動弁34を介して前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17に供給される。
さらに、制御装置としての第1コントローラ70及び第2コントローラ80は、アクセルペダル51aの操作に応じて走行モータ21を駆動させる(図5に示すステップS30)。具体的には、制御装置70、80は、インバータ24(図3参照)を制御することで走行モータ21の駆動(力行動作)を制御する。このとき、制御装置70、80は、前輪速度センサ63の検出値Vfd及び後輪速度センサ64の検出値Vrdと電流計61の検出値Id(図4参照)とを基に走行モータ21のトルクを演算して走行モータ21の出力を監視し、演算結果の走行モータ21のトルクが所定の上限トルクを超えないように走行モータ21の出力を制限する。これにより、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17に対して走行モータ21の駆動力(負荷)が作用する。
次に、第1コントローラ70は、第2コントローラ80から取得した前輪速度センサ63の検出値(前輪3の回転速度Vfd)及び後輪速度センサ64の検出値(後輪4の回転速度Vrd)を記憶装置71に予め記憶されている速度閾値Vthと比較することで、ブレーキテストが正常に行われたか否かを判定する(図5に示すステップS40)。
具体的には、前輪速度センサ63の検出値Vfd又は後輪速度センサ64の検出値Vrdが速度閾値Vthよりも小さい場合には、前輪ブレーキユニット16または後輪ブレーキユニット17が正常に作動していると第1コントローラ70は判定する。すなわち、作動状態の前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17に走行モータ21の駆動力(負荷)が作用しても、ダンプトラックが走行状態に移行せずに維持されているので、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17による要求通りの十分な制動機能が発揮されたと判定することができる。この場合、ブレーキテストを終了する。
一方、前輪速度センサ63の検出値Vfdまたは後輪速度センサ64の検出値Vrdが速度閾値Vth以上である場合には、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17が正常に作動していない(異常である)と判定する。この場合、ステップS50及びS60に進む。このとき、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17の制動力が不足することで、ダンプトラック1がわずかに動き出す走行状態になっている。
ステップS50において、制御装置70、80は、アクセルペダル51aからの操作指令に替えて、走行モータ21の出力を停止させる。次いでステップS60において、セレクタ操作装置54のP位置への操作が無くとも、テスト対象でないパーキングブレーキユニット18を作動させる。これにより、ダンプトラック1の走行駆動力が消失すると共に、パーキングブレーキユニット18の制動力が後輪に作用する。これにより、ダンプトラック1の走行装置が制動される。
このように、本実施の形態においては、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17の健全性の確認テストの実行中に前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17が正常に機能しない場合には、走行モータ21の出力を停止させると共に、テスト対象外の第3の制動装置であるパーキングブレーキユニット18を作動させる。これにより、ブレーキテストの実行時においてテスト対象のブレーキユニット16、17が機能しないときのダンプトラック1の制動性が向上する。
上述した本発明の第1の実施の形態に係るダンプトラック1(作業車両)は、車体2と、車体2の前部側に設けられた前輪3と、車体2の後部側に設けられた後輪4と、前輪3及び後輪4の少なくとも一方に駆動力を与える走行モータ21(駆動源)と、前輪3の回転駆動を摩擦力の付与により制動する前輪ブレーキユニット16(第1の制動装置)と、後輪4の回転駆動を摩擦力の付与により制動する後輪ブレーキユニット17(第2の制動装置)とを備えることに加えて、ダンプトラック1(作業車両)を制動する第3の制動装置としてのパーキングブレーキユニット18と、ダンプトラック1(作業車両)の走行状態を検出する前輪速度センサ63及び後輪速度センサ64(検出器)と、走行モータ21(駆動源)、前輪ブレーキユニット16(第1の制動装置)、後輪ブレーキユニット17(第2の制動装置)、及び、パーキングブレーキユニット18(第3の制動装置)を制御する制御装置としての第1コントローラ70及び第2コントローラ80とを備えている。第1コントローラ70及び第2コントローラ80(制御装置)は、前輪ブレーキユニット16(第1の制動装置)及び後輪ブレーキユニット17(第2の制動装置)の少なくとも一方をテスト対象としてその健全性を確認するテストを実行する操作が入力された場合において、テスト対象のブレーキユニット16、17(制動装置)を作動させた状態において走行モータ21(駆動源)を駆動させ、前輪速度センサ63又は後輪速度センサ64(検出器)によって検出されたダンプトラック1(作業車両)の走行状態に基づき、テスト対象のブレーキユニット16、17(制動装置)が正常に作動しているか否かを判定し、テスト対象のブレーキユニット16、17(制動装置)が正常に作動していないと判定した場合には、走行モータ21(駆動源)の出力を停止させると共に、パーキングブレーキユニット18(第3の制動装置)を作動させるように構成されている。
この構成によれば、ブレーキユニット16、17(制動装置)の健全性の確認テストにおいて、テスト対象のブレーキユニット16、17(制動装置)の制動が機能せずにダンプトラック1(作業車両)が走行状態になったとしても、駆動力を与える走行モータ21(駆動源)の出力を停止させると共にテスト対象でないパーキングブレーキユニット18(第3の制動装置)を作動させることで、ダンプトラック1(作業車両)の制動性を向上させることができる。
また、本実施の形態においては、第3の制動装置は、摩擦力の付与により制動するパーキングブレーキユニット18により構成される。
この構成によれば、テスト対象のブレーキユニット16、17(制動装置)が機能しないときにダンプトラック1(作業車両)の制動性を高める第3の制動装置として既設のパーキングブレーキユニット18を用いるので、パーキングブレーキユニット18以外の摩擦力を付与する新たなブレーキユニット(制動装置)を設置する構成よりも、構成の簡略化及びコストの低減を図ることができる。
また、本実施の形態における制御装置70、80は、ブレーキテストを実行する操作としてアクセルペダル51a及び第2ブレーキペダル53aの操作が入力された場合には、走行モータ21(駆動源)の出力を所定の上限トルク以下になるように制限する。
この構成によれば、走行モータ21(駆動源)の出力トルクの上限を制限することで、ブレーキテストの実行操作としてのオペレータによるアクセルペダル51aの操作量が過度に大きくなりすぎても、走行モータ21(駆動源)の出力がテスト対象のブレーキユニット16、17(制動装置)の制動力の上限を超えてしまうことを防止することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の作業車両の第2の実施の形態を図6及び図7を用いて説明する。図6は本発明の作業車両の第2の実施の形態における制御装置(第1コントローラ及び第2コントローラ)のハード構成及び機能構成を示すブロック図である。図7は本発明の作業車両の第2の実施の形態における図6に示す制御装置(第1コントローラ及び第2コントローラ)による制動装置の作動テストの制御手順の一例を示すフローチャートである。なお、図6及び図7において、図1~図5に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
本発明の作業車両の第2の実施の形態が第1の実施の形態と相違する点は、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17がブレーキテストにおいて正常に作動していない(異常である)と判定された場合に、制御装置(第1コントローラ70A、第2コントローラ80)が、テスト対象外の第3の制動装置として、パーキングブレーキユニット18を作動させる構成に替えて、走行モータ21を発電動作させて電気ブレーキ(発電ブレーキ)として作動させる構成にした点にある。第2の実施の形態のそれ以外の構成は、第1の実施の形態の構成と同様なものである。
具体的には、図6に示す第1コントローラ70Aのテスト判定部78Aは、第1の実施の形態のテスト判定部78(図4参照)と同様に、ブレーキテストスイッチ55(図3参照)からの指示が入力されて第2ブレーキペダル装置53の第2ブレーキペダル53a(図3参照)が踏み込まれた状態においてアクセルペダル装置51のアクセルペダル51a(図3参照)が踏み込まれているときに、第2コントローラ80から入力される前輪3の回転速度Vfd又は後輪4の回転速度Vrdに基づいて、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17が正常に作動しているか否かを判定する。判定結果がテスト対象のブレーキユニット16、17の異常判定の場合には、テスト判定部78Aは、第1の実施の形態のテスト判定部78とは異なり、当該異常判定をパーキングブレーキ制御部77へ出力することなく走行モータ指令生成部74Aのみに出力する。
走行モータ指令生成部74Aは、テスト判定部78Aの異常判定に対して、第1ブレーキペダル装置52の第1ブレーキペダル52a(図3参照)の操作が無くとも、走行モータ21を発電動作させて電気ブレーキ(発電ブレーキ)として制御する制動駆動指令を生成し、当該制動駆動指令を第2コントローラ80へ出力する。すなわち、走行モータ指令生成部74Aは、テスト判定部78の異常判定に対してアクセルペダル51aの操作を無視して走行モータ21の出力を停止する出力停止指令を生成する第1の実施の形態の走行モータ指令生成部74(図4参照)とは異なる。
なお、本実施の形態に係るパーキングブレーキ制御部77は、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17がブレーキテストにおいて正常に作動していない(異常である)と判定された場合であっても、テスト判定部78Aからの異常判定が入力されないので、パーキングブレーキユニット18を作動させることはない。
このような構成の第2の実施の形態に係る制御装置(第1コントローラ70A、第2コントローラ80)によるブレーキテストの制御手順は、第1の実施の形態に係る制御装置(第1コントローラ70、第2コントローラ80)によるブレーキテストの制御手順(図5参照)に対して、次の点で異なる。第2の実施の形態の第1コントローラ70Aは、図7に示すステップS40においてブレーキテストが正常ではない(NO)と判定した場合には、図5に示すステップS50の処理としての走行モータ21の出力停止を行うことなく、図5に示すステップS60の処理としてのパーキングブレーキユニット18の作動を行う代わりに、走行モータ21を発電動作させることで電気ブレーキ(発電ブレーキ)として作動させる(図7に示すステップS50A)。本実施の形態に係る制御装置70A、80によるブレーキテストのそれ以外の制御手順は、第1の実施の形態に係る制御装置70、80によるブレーキテストの制御手順と同様である。
上述した本発明の作業車両の第2の実施の形態においては、駆動源21が発電機能を有する電動モータであると共に発電動作によりダンプトラック1(作業車両)の走行を電気的に制動可能に構成されている。第1コントローラ70及び第2コントローラ80(制御装置)は、テスト対象の前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17(制動装置)が正常に作動していないと判定した場合には、駆動源21である電動モータを発電動作させることで第3の制動装置として作動させるように構成されている。
この構成によれば、ブレーキユニット16、17(制動装置)の健全性の確認テストにおいて、テスト対象のブレーキユニット16、17(制動装置)の制動が機能せずにダンプトラック1(作業車両)が走行状態になったとしても、走行モータ21(駆動源)を電気ブレーキ(テスト対象外の第3の制動装置)として作動させることで、ダンプトラック1(作業車両)の制動性を向上させることができる。
また、この構成によれば、テスト対象のブレーキユニット16、17(制動装置)が機能しないときにダンプトラック1(作業車両)の制動性を高める第3の制動装置として既設の駆動源21である電動モータを用いるので、第3の制動装置として新たなブレーキユニット(制動装置)を設置する構成に比べて、構成の簡略化及びコストの低減を図ることができる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の作業車両の第3の実施の形態を図8及び図9を用いて説明する。図8は本発明の作業車両の第3の実施の形態における制御装置(第1コントローラ及び第2コントローラ)のハード構成及び機能構成を示すブロック図である。図9は本発明の作業車両の第3の実施の形態における図8に示す制御装置(第1コントローラ及び第2コントローラ)による制動装置の作動テストの制御手順の一例を示すフローチャートである。なお、図8及び図9において、図1~図7に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
本発明の作業車両の第3の実施の形態が第1の実施の形態と相違する点は、制御装置(第1コントローラ70B、第2コントローラ80)が、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17がブレーキテストにおいて正常に作動していない(異常である)と判定された場合に、第1の実施の形態の場合と同様に、テスト対象外のパーキングブレーキユニット18を第3の制動装置として作動させることに加えて、走行モータ21を発電動作させることで電気ブレーキ(発電ブレーキ)として作動させる構成にした点にある。第3の実施の形態のそれ以外の構成は、第1の実施の形態の構成と同様なものである。
具体的には、図8に示す第1コントローラ70Bの走行モータ指令生成部74Bは、テスト判定部78の異常判定に対して、第1ブレーキペダル装置52の第1ブレーキペダル52a(図3参照)の操作が無くとも、走行モータ21を発電動作させて電気ブレーキ(発電ブレーキ)として制御する制動駆動指令を生成し、当該制動駆動指令を第2コントローラ80へ出力する。すなわち、走行モータ指令生成部74Bは、テスト判定部78の異常判定に対してアクセルペダル51aの操作を無視して走行モータ21の出力を停止する出力停止指令を生成する第1の実施の形態の走行モータ指令生成部74(図4参照)とは異なる。
このような構成の第3の実施の形態に係る制御装置(第1コントローラ70B、第2コントローラ80)によるブレーキテストの制御手順は、第1の実施の形態に係る制御装置(第1コントローラ70、第2コントローラ80)によるブレーキテストの制御手順(図5参照)に対して、次の点で異なる。第3の実施の形態の第1コントローラ70Bは、図9に示すステップS40においてブレーキテストが正常ではない(NO)と判定した場合には、図5に示すステップS50の処理としての走行モータ21の出力停止を行う代わりに、走行モータ21を発電動作させることで電気ブレーキ(発電ブレーキ)として作動させる(図9に示すステップS50B)。本実施の形態に係る制御装置70B、80によるブレーキテストのそれ以外の制御手順は、第1の実施の形態に係る制御装置70、80によるブレーキテストの制御手順と同様である。
上述した本発明の作業車両の第3の実施の形態においては、駆動源21が発電機能を有する電動モータであると共に、第3の制動装置が摩擦力の付与により制動するパーキングブレーキユニット18により構成される。第1コントローラ70及び第2コントローラ80(制御装置)は、テスト対象の前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17(制動装置)が正常に作動していないと判定した場合には、パーキングブレーキユニット18を作動させることに加えて、駆動源21である電動モータを発電動作させることで電気ブレーキ(発電ブレーキ)として作動させるように構成されている。
この構成によれば、ブレーキユニット16、17(制動装置)の健全性の確認テストにおいて、テスト対象のブレーキユニット16、17(制動装置)の制動が機能せずにダンプトラック1(作業車両)が走行状態になったとしても、第1の実施の形態と同様に、テスト対象でないパーキングブレーキユニット18(第3の制動装置)を作動させることで、ダンプトラック1(作業車両)の制動性を向上させることができる。
また、この構成によれば、テスト対象のブレーキユニット16、17(制動装置)の制動が機能せずにダンプトラック1(作業車両)が走行状態になったとしても、パーキングブレーキユニット18を作動させることに加えて、走行モータ21(駆動源)を電気ブレーキ(発電ブレーキ)として作動させるので、前述した第1の実施の形態の場合よりも、ダンプトラック1(作業車両)の制動性をより高めることができる。
[その他の実施の形態]
なお、本発明は上述した第1及び2の実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
例えば、上述した第1~3の実施の形態においては、本発明をダンプトラック1に適用した例を示した。しかし、本発明はホイールローダなどの前輪及び後輪と前輪及び後輪の回転駆動を制動する機械的な制動装置を備えた各種の作業車両に広く適用することができる。
また、上述した実施の形態においては、駆動源21としての電動モータが後輪4に駆動力を与える構成の例を示した。しかし、駆動源21が前輪3に駆動力を与える構成も可能である。また、駆動源21が前輪及び後輪の両方に駆動力を与える構成も可能である。
また、上述した実施の形態においては、前輪ブレーキユニット16を乾式のディスクブレーキ、後輪ブレーキユニット17を湿式の多板ディスクブレーキ、パーキングブレーキユニット18を乾式のディスクブレーキとする構成の例を示した。しかし、前輪ブレーキユニット、後輪ブレーキユニット、パーキングブレーキユニットは、いずれも、摩擦力に付与により作業車両を制動するものであればよく、乾式のディスクブレーキや湿式の多板ディスクブレーキの他に、ドラムブレーキなどで構成することも可能である。
また、上述した実施の形態においては、制御装置(第1コントローラ70及び第2コントローラ80)の各機能は、機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現する構成の例を示した。しかし、制御装置の機能の一部または全部を、例えば集積回路で設計することによりハードウェアで実現する構成も可能である。
また、上述した実施の形態においては、オペレータがブレーキテストスイッチ55を操作すること、及び、オペレータが第2ブレーキペダル装置53の第2ブレーキペダル53aを踏み込む操作を維持したままアクセルペダル装置51のアクセルペダル51aを踏み込む操作をすることで、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17のテストが実行されるように構成されている。しかし、オペレータがブレーキテストスイッチ55を操作することで、オペレータが第2ブレーキペダル53a及びアクセルペダル51aを操作することなく、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17の健全性の確認テストが自動的に実行されるように構成することも可能である。
また、上述した実施の形態においては、摩擦力に付与により制動する制動装置の健全性を確認するテストが、前輪ブレーキユニット16及び後輪ブレーキユニット17の両方を作動させた状態で実行されている。しかし、当該テストは、前輪ブレーキユニット16又は後輪ブレーキユニット17の一方のみを作動させた状態で実行するように構成することも可能である。すなわち、前輪ブレーキユニット16のみを作動させた状態で走行モータ21を駆動することで、前輪ブレーキユニット16の健全性を確認するテストを行うことが可能である。また、後輪ブレーキユニット17のみを作動させた状態で走行モータ21を駆動することで、後輪ブレーキユニット17の健全性を確認するテストを行うことが可能である。
また、上述した実施の形態においては、ダンプトラック1の走行状態を検出する検出器として、前輪速度センサ63及び後輪速度センサ64を用いた構成の例を示した。しかし、ダンプトラック1の走行状態を検出する検出器として、ダンプトラックの加速度を検出する加速度センサやダンプトラックの位置を測位可能なGNSS測位システムを用いる構成も可能である。
また、上述した実施の形態においては、速度閾値Vthをダンプトラック1が制動力の不足により走行状態であると見なせる速度として1.0km/hに設定する例を示した。速度閾値Vthをダンプトラック1の走行状態であると見なせる速度として0km/hよりも大きい任意の速度に設定する構成も可能である。
1…ダンプトラック(作業車両)、2…車体、 3…前輪、 4…後輪、 21…走行モータ(駆動源;第3の制動装置)、 16…前輪ブレーキユニット(第1の制動装置)、 17…後輪ブレーキユニット(第2の制動装置)、 18…パーキングブレーキユニット(第3の制動装置)、 63…前輪速度センサ(検出器)、 64…後輪速度センサ(検出器)、 70、70A、70B…第1コントローラ(制御装置)、 80…第2コントローラ(制御装置)

Claims (5)

  1. 車体と、
    前記車体の前部側に設けられた前輪と、
    前記車体の後部側に設けられた後輪と、
    前記前輪及び前記後輪の少なくとも一方に駆動力を与える駆動源と、
    前記前輪の回転駆動を摩擦力の付与により制動する第1の制動装置と、
    前記後輪の回転駆動を摩擦力の付与により制動する第2の制動装置とを備えた作業車両であって、
    前記作業車両を制動する第3の制動装置と、
    前記作業車両の走行状態を検出する検出器と、
    前記駆動源、前記第1の制動装置、前記第2の制動装置、及び、前記第3の制動装置を制御する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、
    前記第1の制動装置及び前記第2の制動装置の少なくとも一方をテスト対象としてその健全性を確認するテストを実行する操作が入力された場合において、
    テスト対象の制動装置を作動させた状態において前記駆動源を駆動させ、
    前記検出器によって検出された前記作業車両の走行状態に基づき、前記テスト対象の制動装置が正常に作動しているか否かを判定し、
    前記テスト対象の制動装置が正常に作動していないと判定した場合には、前記駆動源の出力を停止させると共に、前記第3の制動装置を作動させる
    ことを特徴とする作業車両。
  2. 請求項1に記載の作業車両において、
    前記第3の制動装置は、摩擦力の付与により制動するパーキングブレーキにより構成される
    ことを特徴とする作業車両。
  3. 請求項1に記載の作業車両において、
    前記駆動源は、発電機能を有する電動モータであって、
    前記電動モータは、発電動作により前記作業車両の走行を電気的に制動可能に構成され、
    前記制御装置は、前記テスト対象の制動装置が正常に作動していないと判定した場合には、前記電動モータを発電動作させることで前記第3の制動装置として作動させる
    ことを特徴とする作業車両。
  4. 請求項1に記載の作業車両において、
    前記駆動源は、発電機能を有する電動モータであって、
    前記第3の制動装置は、摩擦力の付与により制動するパーキングブレーキにより構成され、
    前記制御装置は、前記テスト対象の制動装置が正常に作動していないと判定した場合には、前記パーキングブレーキを作動させることに加えて、前記電動モータを発電動作させることで電気ブレーキとして作動させる
    ことを特徴とする作業車両。
  5. 請求項1に記載の作業車両において、
    前記制御装置は、前記テストを実行する操作が入力された場合には、前記駆動源の出力を所定の上限トルク以下になるように制限する
    ことを特徴とする作業車両。
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