最初に、図1及び図2を参照し、本発明の一実施形態に係る可動玩具101について説明する。図1は、可動玩具101の斜視図である。具体的には、図1(A)は、可動玩具101の全体の斜視図であり、図1(B)は、可動玩具101の分解斜視図である。図2は、前側筐体FHが取り外された状態の可動玩具101を示している。具体的には、図2(A)は、前側筐体FHが取り外された状態の可動玩具101の正面図である。図2(B)は、前側筐体FHが取り外された状態の可動玩具101の斜視図である。
図1及び図2のそれぞれにおけるX1は、三次元直交座標系を構成するX軸の一方向を表し、X2は、X軸の他方向を表す。また、Y1は、三次元直交座標系を構成するY軸の一方向を表し、Y2は、他方向を表す。同様に、Z1は、三次元直交座標系を構成するZ軸の一方向を表し、Z2は、Z軸の他方向を表す。本実施形態では、直立状態にある可動玩具101の上下軸線NAはZ軸に平行に延びる。そして、可動玩具101のX1側は、可動玩具101の前側(正面側)に相当し、可動玩具101のX2側は、可動玩具101の後側(背面側)に相当する。また、可動玩具101のY1側は、可動玩具101の左側に相当し、可動玩具101のY2側は、可動玩具101の右側に相当する。他の図においても同様である。
可動玩具101は、複数方向へ跳躍できるように構成された跳躍玩具である。可動玩具101は、主に、筐体HSと、筐体HS内に収容された制御装置CTR、センサGS、傾斜機構TM、及び跳躍機構JMとで構成されている。
筐体HSは、下方に向かって凸状に湾曲した接触面CSを有するように形成されている。筐体HSの接触面CSは、筐体HSの表面のうち平坦な地面と接触することが想定される面である。図1では、明瞭化のため、接触面CSにドットパターンが付されている。
図1(A)に示す例では、筐体HSは、球状の外形を有し、前後に分割されるように構成されている。具体的には、筐体HSは、前側筐体FH及び後側筐体BHを含み、前側筐体FHと後側筐体BHとはボルト等の締結部材によって締め付けられて一体化される。
本実施形態では、筐体HSは、可動玩具101の跳躍、揺動、又は傾動等の様々な動きによって変形しないよう、且つ、長時間にわたって放置された場合にも変形しないよう、所定の厚みを有する。
傾斜機構TMは、可動玩具101を傾かせるための機構である。本実施形態では、傾斜機構TMは、可動玩具101の上下軸線NAを鉛直軸線VAに対して傾斜させることができるように構成されている。
具体的には、傾斜機構TMは、筐体HS内で支持部材SM(第1支持部材SM1及び第2支持部材SM2)によって支持されている。より具体的には、傾斜機構TMは、前側筐体FHに設置された第1前側支持部材SM1F及び第2前側支持部材SM2Fと、後側筐体BHに設置された第1後側支持部材SM1B及び第2後側支持部材SM2Bとによって挟持されている。
跳躍機構JMは、可動玩具101を跳躍させるための機構である。本実施形態では、跳躍機構JMは、地面から可動玩具101を跳び上がらせることができるように構成されている。
具体的には、跳躍機構JMは、筐体HS内で支持部材SM(第3支持部材SM3及び第4支持部材SM4)によって支持されている。より具体的には、跳躍機構JMは、前側筐体FHに設置された第3前側支持部材SM3F及び第4前側支持部材SM4Fと、後側筐体BHに設置された第3後側支持部材SM3B及び第4後側支持部材SM4Bとによって挟持されている。
センサGSは、可動玩具101の状態を検出できるように構成されている。本実施形態では、センサGSは、可動玩具101の状態を検出できるように構成された慣性センサである。具体的には、センサGSは、例えば、可動玩具101の3軸回りの角速度を検出し、制御装置CTRが可動玩具101の姿勢を算出できるよう制御装置CTRに対して検出値を出力するように構成されている。なお、慣性センサは、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、及び角加速度センサ等の少なくとも一つである。
また、センサGSは、筐体HSに対する偏心錘体EW(図3参照。)の回動角度を検出する第1センサ、及び、筐体HSが向いている方角を検出する検出する第2センサの少なくとも一つを含んでいてもよい。筐体HSが向いている方角は、例えば、水平面上における基準線と可動玩具101の前後軸線との間の角度で表される。基準線は、任意に決定される仮想線であり、例えば、可動玩具101が位置している平坦な地面上に設定される仮想直線である。なお、筐体HSが向いている方角は、東西南北を含む16方位又は32方位等によって特定されてもよい。
第1センサは、例えば、ロータリエンコーダ等の電気式回転角度センサ、光学式回転角度センサ、又は磁気式回転角度センサ等である。第2センサは、例えば、磁気センサ又は地磁気センサ等である。
第2センサとしての磁気センサは、筐体HSの外部に設置された磁界発生手段が発生させる磁界の方向を検出するように構成されていてもよい。磁界発生手段は、例えば、永久磁石、電磁石、又はそれらの組み合わせ等である。この場合、制御装置CTRは、磁気センサの出力に基づいて筐体HSが向いている方角を特定しながら、筐体HSが所望の向きを向くように可動玩具101の動きを制御してもよい。
制御装置CTRは、可動玩具101の動きを制御できるように構成されている。本実施形態では、制御装置CTRは、集積回路で構成され、不図示の信号線を介して傾斜機構TM及び跳躍機構JMのそれぞれに接続されている。
センサGS及び制御装置CTRは、筐体HS内の空間の略中央部分に位置するように支持部材SM(第5支持部材SM5)によって支持されている。
次に、図3及び図4を参照し、傾斜機構TMの詳細について説明する。図3は、傾斜機構TMの詳細を示す図である。具体的には、図3(A)は、傾斜機構TMの斜視図である。図3(B)は、前側筐体FHが取り外された状態の可動玩具101の正面図であり、傾斜機構TMの動きを示している。図4は、図3(B)と同様に、前側筐体FHが取り外された状態の可動玩具101の正面図である。具体的には、図4(A)は、上下軸線NAが最もY1側(左側)に傾いたときの可動玩具101の正面図である。図4(B)は、上下軸線NAが最もY2側(右側)に傾いたときの可動玩具101の正面図である。
本実施形態では、傾斜機構TMは、主に、電動モータ10、取付用ブラケット11、アーム12、及び偏心錘体EWで構成されている。
電動モータ10は、偏心錘体EWを動かすための駆動装置の一例である。本実施形態では、電動モータ10は、筐体HS内で偏心錘体EWの位置を変化させることができるように構成されている。図3(B)に示す例では、電動モータ10は、可動玩具101の上下軸線NA回りに偏心錘体EWを回動させる。偏心錘体EWの中心点CPと上下軸線NAとの間の距離D1は、偏心錘体EWの位置とは無関係に一定である。また、図3(B)は、偏心錘体EWの軌道を表す矢印AR0により、偏心錘体EWが上下軸線NAの回りを上面視で時計回りに回動する様子を示しているが、電動モータ10は、偏心錘体EWが上下軸線NAの回りを上面視で反時計回りに回動できるように構成されていてもよく、偏心錘体EWの回動方向を切り換えることができるように構成されていてもよい。
具体的には、電動モータ10は、回転軸10Aを有する回転モータである。電動モータ10は、可動玩具101の上下軸線NAと回転軸10Aとが一致するように筐体HSによって支持されている。
制御装置CTRは、センサGSが検出した筐体HSに対する偏心錘体EWの回動角度に基づいて電動モータ10を制御してもよい。
制御手段CTRは、筐体HSに対する偏心錘体EWの回動角度を検出する第1センサの出力と、筐体HSが向いている方角を検出する第2センサの出力とに基づいて電動モータ10を制御してもよい。
取付用ブラケット11は、電動モータ10を支持部材SMに取り付けるための部材である。但し、取付用ブラケット11は、省略されてもよい。この場合、電動モータ10は、第1支持部材SM1及び第2支持部材SM2によって直接的に支持されてもよい。
アーム12は、電動モータ10の回転軸10Aと偏心錘体EWとを連結するための部材である。本実施形態では、取付用ブラケット11は、偏心錘体EWの中心点CPが可動玩具101の中心面上に位置するようにその形状が決定されている。可動玩具101の中心面は、略球体の可動玩具101の中心点RPを通り、上下軸線NAに垂直な仮想面である。図3(B)は、可動玩具101の中心面(上下軸線NAに垂直な仮想面)を垂直面VPとして一点鎖線で表している。
偏心錘体EWは、所定の重量を有する部材であり、その中心点CPが可動玩具101の上下軸線NAから離れた位置になるように位置付けられている。
電動モータ10は、例えば、制御装置CTRからの指令に応じて回転軸10Aを回転させる。回転軸10Aが回転すると、一端が回転軸10Aに連結されたアーム12が回動し、更に、アーム12の他端に連結された偏心錘体EWが上下軸線NA回りに回動する。
図3(B)における破線で表される図形EWAは、偏心錘体EWが最もY2側(右側)に移動したときの偏心錘体EWの位置を表している。なお、実線で表される偏心錘体EWは、偏心錘体EWが最もY1側(左側)に移動したときの位置を表している。
図4(A)は、偏心錘体EWが最もY1側(左側)に移動したときの可動玩具101の状態を示している。具体的には、図4(A)は、平坦な地面に置かれた可動玩具101の上下軸線NAがY1側(左側)に所定の角度αだけ傾いたときの可動玩具101の状態を示している。図4(B)は、偏心錘体EWが最もY2側(右側)に移動したときの可動玩具101の状態を示している。具体的には、図4(B)は、平坦な地面に置かれた可動玩具101の上下軸線NAがY2側(右側)に所定の角度βだけ傾いたときの可動玩具101の状態を示している。本実施形態では、角度αと角度βは同じである。但し、角度αと角度βとは異なっていてもよい。
また、可動玩具101は、偏心錘体EWが最もX1側(前側)に移動したときには、上下軸線NAがX1側(前側)に所定の角度γ(図示せず。)だけ傾き、偏心錘体EWが最もX2側(後側)に移動したときには、上下軸線NAがX2側(後側)に所定の角度δ(図示せず。)だけ傾くように構成されている。角度α、角度β、角度γ、及び角度δは、全て同じであってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
次に、図5を参照し、跳躍機構JMの詳細について説明する。図5は、跳躍機構JMの詳細を示す図である。具体的には、図5(A)は、跳躍機構JMの斜視図である。図5(B)は、跳躍機構JMの分解斜視図である。
跳躍機構JMは、主に、ガイド部材20、回転部材21、スライド部材22、電動モータ23、及びコイルばね24で構成されている。また、回転部材21、スライド部材22、及び電動モータ23は、往復動軸線RAに沿って往復動可能な質量体MBを構成している。本実施形態では、跳躍機構JMは、往復動軸線RAが可動玩具101の上下軸線NAと一致するように筐体HS内に配置されている。なお、往復動軸線RAは、跳躍軸とも称される。
ガイド部材20は、往復動軸線RAに沿った質量体MBの動きを案内する部材である。本実施形態では、ガイド部材20は、略円筒形状の部材であり、上側ガイド部材20U及び下側ガイド部材20Lを含む。
上側ガイド部材20Uと下側ガイド部材20Lとは、図5(A)に示すように、上側ガイド部材20Uと下側ガイド部材20Lとの間にガイド溝GRが形成されるように互いに間隔を空けて配置されている。具体的には、上側ガイド部材20U及び下側ガイド部材20Lは、図2(B)に示すように、それぞれが別々に支持部材SM(第3支持部材SM3及び第4支持部材SM4)に取り付けられている。
回転部材21は、ガイド部材20内で往復動軸線RA回りに回転できるようにガイド部材20内に収容される部材である。本実施形態では、回転部材21は、天面を備えた略円筒形状の部材であり、ガイド溝GRとかみ合うように円筒外周面から径方向外側に突出する突出部21Aを有する。具体的には、突出部21Aは、初期状態においてX1方向(前方)に突出する第1突出部21A1と、初期状態においてX2方向(後方)に突出する第2突出部21A2と、を有する。初期状態は、例えば、質量体MBが最もZ1側(上側)に位置するときの跳躍機構JMの状態を意味する。図5(A)は、跳躍機構JMの初期状態を示し、このときの質量体MBの位置は上側位置と称される。また、質量体MBが最もZ2側(下側)に位置するとき(図6(A5)及び図6(B5)参照。)の質量体MBの位置は下側位置と称される。そして、以下では、質量体MBが上側位置にあるとき、回転部材21、スライド部材22、及び電動モータ23は、それぞれの上側位置にあると表現される。同様に、質量体MBが下側位置にあるとき、回転部材21、スライド部材22、及び電動モータ23は、それぞれの下側位置にあると表現される。
図5(A)の矢印AR3で示す方向に回転部材21が回転すると、突出部21Aは、ガイド溝GRに沿って矢印AR3で示す方向に移動する。ガイド溝GRは、右下がりに湾曲するように形成された一対の第1溝部GR1と、往復動軸線RAに沿って真っ直ぐに延びるように形成された一対の第2溝部GR2と、を含む。そのため、回転部材21は、突出部21Aが第1溝部GR1を右方向に移動するにつれてZ2方向(下方)にも移動する。すなわち、第1溝部GR1により、回転部材21の回転運動は、回転部材21の下方への並進運動に変換される。
スライド部材22は、往復動軸線RAに沿ってスライドする部材である。本実施形態では、スライド部材22は、回転部材21を回転可能に支持するように構成されている。具体的には、回転部材21は、その円筒外周面をガイド部材20の円筒内周面上で摺動させ、且つ、その円筒内周面をスライド部材22の外周面上で摺動させながら回転するように構成されている。
また、スライド部材22は、回転しながらZ2方向(下方)に移動する回転部材21とともにZ2方向(下方)に移動するが、往復動軸線RA回りには回転しないように構成されている。
電動モータ23は、回転部材21を回転させるための駆動装置の一例である。本実施形態では、電動モータ23は、回転軸23Aを有する回転モータである。電動モータ23は、可動玩具101の上下軸線NA及び往復動軸線RAと回転軸23Aとが一致するようにスライド部材22内に収容され且つ保持されている。
また、電動モータ23は、スライド部材22の内側に収容され、回転部材21及びスライド部材22とともに往復動軸線RAに沿って移動できるように構成されている。
コイルばね24は、質量体MBを下側位置から上側位置に移動させる駆動手段の一例である。本実施形態では、コイルばね24は、質量体MBが上側位置にあるときに非圧縮状態となり、質量体MBが下側位置にあるときに質量体MB(厳密には電動モータ23のZ2側(下側)の端面)によって押し下げられて圧縮状態となるように構成されている。
回転部材21が回転するにつれて、質量体MBは、上側位置から下側位置に向かって移動する。質量体MBが下側位置に達すると、回転部材21の突出部21Aは第1溝部GR1を出て第2溝部GR2に入る。すなわち、第1溝部GR1の上縁(上側ガイド部材20Uの下端)と接触することにより往復動軸線RAに沿った上方への移動が制限されていた突出部21Aは、第1溝部GR1の上縁との接触から解放され、往復動軸線RAに沿って上方へ移動できるようになる。その結果、圧縮状態のコイルばね24によって上方に付勢されていた質量体MBは、上側位置に向かって急激に移動する。すなわち、コイルばね24は、その復元力によって質量体MBを往復動軸線RAに沿って上方に速動させる(押しやる)。
ここで、図6を参照し、質量体MBの動きについて説明する。図6は、往復動軸線RAとZ軸とが一致しているとき(可動玩具101が直立状態にあるとき)の跳躍機構JMの動きを示す図である。具体的には、図6(A1)~図6(A5)は、跳躍機構JMの正面図である。図6(B1)~図6(B5)は、質量体MBとコイルばね24の正面図である。図6(B1)は、図6(A1)におけるガイド部材20の図示が省略された図に相当する。図6(B2)~図6(B5)と図6(A2)~図6(A5)との関係についても同様である。
図6(A1)及び図6(B1)は、質量体MBが上側位置にあるときの状態を示している。図6(A2)及び図6(B2)は、上側位置にあった質量体MBの回転部材21が往復動軸線RAの回りで45度回転したときの状態を示している。図6(A3)及び図6(B3)は、上側位置にあった質量体MBの回転部材21が往復動軸線RAの回りで90度回転したときの状態を示している。図6(A4)及び図6(B4)は、上側位置にあった質量体MBの回転部材21が往復動軸線RAの回りで135度回転したときの状態を示している。図6(A5)及び図6(B5)は、上側位置にあった質量体MBの回転部材21が往復動軸線RAの回りで180度回転して質量体MBが下側位置に達したときの状態を示している。
図6に示すように、回転部材21が回転するにつれて、質量体MB(回転部材21、スライド部材22、及び電動モータ23)は、下側位置に向かって移動する。具体的には、質量体MBは、上側位置にあった回転部材21が往復動軸線RAの回りを180度回転するまでは、回転部材21の回転角度が大きいほど下側位置に近い位置に移動する。
そして、上側位置にあった回転部材21が180度回転すると、質量体MBは、往復動軸線RAに沿って距離D2だけ移動し、下側位置に達する。質量体MBが下側位置に達すると、回転部材21の突出部21Aは、図6(A5)に示すように、第1溝部GR1から出て第2溝部GR2に入る。
コイルばね24は、図6(B3)及び図6(B4)に示すように、質量体MBが下側位置に近づくほど、不図示の筐体HSの内底面と電動モータ23の底面との間で圧縮される。そして、上側位置にあった回転部材21が180度回転したときには、コイルばね24は、図6(B5)に示すように、最も圧縮された状態となる。
このとき、回転部材21の突出部21Aが第1溝部GR1から出て第2溝部GR2に入ると、上側位置に向かう突出部21Aの動きを阻止していた部材(第1溝部GR1を構成する上側ガイド部材20Uの下端部)が存在しなくなるため、質量体MBは、コイルばね24の復元力により、上側位置に向かって急激に押し上げられる。具体的には、質量体MBは、第2溝部GR2の上端を形成している上側ガイド部材20Uの縁部に回転部材21の突出部21Aが衝突するまでコイルばね24の復元力によって急激に押し上げられる。
そして、突出部21Aと上側ガイド部材20Uとの衝突は、上側ガイド部材20Uを跳ね上げる効果をもたらし、ひいては、第3支持部材SM3及び第4支持部材SM4を介して上側ガイド部材20Uに剛結されている筐体HSを跳ね上げる効果をもたらす。すなわち、突出部21Aと上側ガイド部材20Uとの衝突は、往復動軸線RAに沿って可動玩具101自体を跳躍させる効果をもたらす。
具体的には、図4(A)に示すように可動玩具101の上下軸線NAが角度αだけ左側に傾いている状態で、突出部21Aと上側ガイド部材20Uとが衝突すると、可動玩具101は、矢印AR1で示す方向に跳躍する。同様に、図4(B)に示すように可動玩具101の上下軸線NAが角度βだけ右側に傾いている状態で、突出部21Aと上側ガイド部材20Uとが衝突すると、可動玩具101は、矢印AR2で示す方向に跳躍する。なお、図4に示す例では、上下軸線NAと往復動軸線RAとは一致している。
上述のような構成により、可動玩具101は、任意の複数の方向に跳躍することができ、複雑な動きを実現できる。
次に、図7を参照し、可動玩具101の別の構成例である可動玩具101Aについて説明する。図7は、前側筐体FHが取り外された状態の可動玩具101Aの正面図である。具体的には、図7(A)は、非偏心状態(直立状態)にある可動玩具101Aの正面図を示す。可動玩具101Aが直立状態にあることは、上下軸線NAが鉛直軸線VAと一致していることを意味する。なお、制御装置CTRは、センサGSの出力に基づいて可動玩具101Aが直立状態であるか否かを判定できる。図7(B)は、上下軸線NAがY2側(右側)に角度βだけ傾いているときの可動玩具101Aの正面図を示す。すなわち、図7(B)は、偏心状態(傾倒状態)にある可動玩具101Aの正面図を示す。
可動玩具101Aは、主に、偏心錘体EWの別の一例であるカウンタウェイトCWを備える点で、可動玩具101と異なるが、その他の点で可動玩具101と同じである。そのため、以下では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
カウンタウェイトCWは、可動玩具101Aを直立状態にできるようにするための部材である。図7に示す例では、カウンタウェイトCWは、筐体HS内で支持部材SM(第6支持部材SM6)によって支持されている。具体的には、カウンタウェイトCWは、前側筐体FHに設置された第6前側支持部材SM6F(図示せず。)と、後側筐体BHに設置された第6後側支持部材SM6Bとによって挟持されている。
また、カウンタウェイトCWは、図7(A)に示すように偏心錘体EWが最もY1側(左側)に位置するときに、偏心錘体EWとカウンタウェイトCWとの重量バランスにより可動玩具101Aの直立状態が実現されるように、その重量及び位置等が決定されている。
図7(A)に示す位置にカウンタウェイトCWが配置される場合、可動玩具101Aは、偏心錘体EWが最もY2側(右側)に位置するときに、鉛直軸線VAに対する上下軸線NAの傾きが最も大きくなる。
なお、図7に示す例では、カウンタウェイトCWは、第6支持部材SM6によって固定的に支持されているが、筐体HS内で移動できるように構成されていてもよい。例えば、カウンタウェイトCWは、上下軸線NAに垂直な面上を上下軸線NA回りに移動できるように構成されていてもよい。
可動玩具101は、可動玩具101AにおけるようなカウンタウェイトCWを備えていなくとも直立状態を実現できるように構成されていてもよい。例えば、可動玩具101は、ジャイロ効果を利用して直立状態を実現できるように構成されていてもよい。
具体的には、可動玩具101は、図8に示すように偏心錘体EWを上下軸線NA回りに高速で回動させることにより、可動玩具101の直立状態を実現できるように構成されていてもよい。なお、制御装置CTRは、センサGSの出力に基づいて可動玩具101が直立状態になっているか否かを判定できる。
可動玩具101が直立状態にあるときに跳躍機構JM(コイルばね24)によって質量体MBが下側位置から上側位置に急激に動かされると、可動玩具101は、真上に跳び上がることができる。
なお、図8における破線で表される図形EWAは、偏心錘体EWが最もY2側(右側)に移動したときの偏心錘体EWの位置を表している。また、実線で表される偏心錘体EWは、偏心錘体EWが最もY1側(左側)に移動したときの位置を表している。そして、矢印AR6は、上下軸線NA回りに偏心錘体EWが高速で回動している様子を表している。
次に、図9を参照し、可動玩具101の別の構成例である可動玩具101Bについて説明する。図9は、上側筐体UHが取り外された状態の可動玩具101Bの斜視図である。なお、図9では、明瞭化のため、制御装置CTR及びセンサGSの図示が省略されている。
可動玩具101Bは、複数方向へ跳躍できるように構成された跳躍玩具であり、且つ、揺動できるように構成された揺動玩具でもある。可動玩具101Bは、主に、筐体HSと、筐体HS内に収容された傾斜機構TM及び跳躍機構JMとで構成されている。
筐体HSは、下方に向かって凸状に湾曲した接触面CSを有するように形成されている。筐体HSの接触面CSは、筐体HSの表面のうち平坦な地面と接触することが想定される面である。なお、図9では、明瞭化のため、接触面CSにドットパターンが付されている。
図9に示す例では、筐体HSは、球状の外形を有し、上下に分割されるように構成されている。具体的には、筐体HSは、上側筐体UH及び下側筐体LHを含み、上側筐体UHと下側筐体LHとはボルト等の締結部材によって締め付けられて一体化される。
傾斜機構TMは、可動玩具101Bを傾かせるための機構である。本実施形態では、傾斜機構TMは、可動玩具101Bの上下軸線NAを地面に対して傾斜させることができるように構成されている。
具体的には、傾斜機構TMは、筐体HS内で取付部材BR(第1取付部材BR1、第2取付部材BR2、第3取付部材BR3、及び第4取付部材BR4)によって支持されている。より具体的には、傾斜機構TMは、第1取付部材BR1、第2取付部材BR2、及び第3取付部材BR3により支持された跳躍機構JMと下側筐体LHとの間に挟持され且つ固定されている。図9に示す例では、第1取付部材BR1、第2取付部材BR2、及び第3取付部材BR3は、所定の厚みを有する板金で形成されたフレームである。
傾斜機構TMを構成する電動モータ30は、傾斜機構TMを構成する他の構成部材とは別に、第4取付部材BR4によって筐体HS内で支持されている。カウンタウェイトCWは、電動モータ30と第4取付部材BR4に対応する重量を有する部材であり、電動モータ30の重量と第4取付部材BR4の重量とが可動玩具101Bの左右の重量バランスに与える影響を相殺するために配置されている。具体的には、カウンタウェイトCWは、下側筐体LHに直接的に締結されている。
なお、図9では、明瞭化のため、第1取付部材BR1、第2取付部材BR2、及び第3取付部材BR3に粗いドットパターンが付され、第4取付部材BR4にクロスパターンが付され、カウンタウェイトCWに細かいドットパターンが付されている。
跳躍機構JMは、可動玩具101Bを跳躍させるための機構である。本実施形態では、跳躍機構JMは、地面から可動玩具101Bを跳び上がらせることができるように構成されている。
具体的には、跳躍機構JMは、筐体HS内で取付部材BR(第1取付部材BR1、第2取付部材BR2、及び第3取付部材BR3)によって支持されている。より具体的には、跳躍機構JMは、跳躍機構JMの下側に配置された傾斜機構TMと第1取付部材BR1、第2取付部材BR2、及び第3取付部材BR3とによって周囲を囲まれた状態で固定されている。
図9に示す例では、跳躍機構JMは、往復動軸線RAと、傾斜機構TMの中心軸線と、可動玩具101Bの上下軸線NAとが一致するように、筐体HS内に配置されている。
次に、図10を参照し、筐体HS内に配置された傾斜機構TMの詳細について説明する。図10は、跳躍機構JM及び傾斜機構TMの斜視図である。具体的には、図10(A)は、跳躍機構JMと傾斜機構TMとが組み合わされた状態を示し、図10(B)は、跳躍機構JMと傾斜機構TMとが分離された状態を示す。
図10に示す跳躍機構JMは、主に下側ガイド部材20Lが省略されている点で、図5に示す跳躍機構JMと異なるが、その他の点で図5に示す跳躍機構JMと同様である。そのため、以下では、跳躍機構JMの説明が省略され、傾斜機構TMが詳説される。なお、図10では、明瞭化のため、回転部材21に粗いドットパターンが付され、スライド部材22に細かいドットパターンが付されている。
図10に示す傾斜機構TMは、可動玩具101Bを傾かせるための機構である。具体的には、傾斜機構TMは、可動玩具101Bの上下軸線NAを鉛直軸線VAに対して傾斜させることができるように構成されている。
次に、図11を参照し、傾斜機構TMの詳細について説明する。図11は、傾斜機構TMの詳細を示す図である。具体的には、図11(A)は、傾斜機構TMの斜視図である。図11(B)は、傾斜機構TMの分解斜視図である。
傾斜機構TMは、主に、電動モータ30、筒状体31、従動リング部材32、軸受部材33、駆動リング部材34、及び固定錘体35で構成されている。
電動モータ30は、偏心錘体EWを動かすための駆動装置の一例である。図11に示す例では、電動モータ30は、駆動リング部材34に固定された第1偏心錘体EW1の位置を変化させることができるように構成されている。また、電動モータ30は、従動リング部材32に固定された第2偏心錘体EW2の位置を変化させることができるように構成されている。
電動モータ30は、ピニオンギア30Aを有する回転モータである。ピニオンギア30Aは、電動モータ30の回転軸の先端に取り付けられている。なお、図11は、明瞭化のため、ピニオンギア30Aを構成している各歯の図示を省略している。図10についても同様である。
筒状体31は、従動リング部材32及び駆動リング部材34を回転可能に支持し、且つ、固定錘体35を回転不能に支持する部材である。図11に示す例では、筒状体31は、フランジ部31F、下側円筒部31L、中央円筒部31M、及び上側円筒部31Uを有する。
具体的には、筒状体31は、上側円筒部31Uの外周面で軸受部材33を介して駆動リング部材34を支持するように構成されている。また、筒状体31は、フランジ部31Fの上面と、中央円筒部31Mの外周面とで従動リング部材32を支持するように構成されている。また、筒状体31は、下側円筒部31Lの下面及び外周面とフランジ部31Fの下面及び外周面とが固定錘体35によって支持されるように構成されている。
従動リング部材32は、駆動リング部材34の回転に伴い、駆動リング部材34とともに回転できるように構成されている。図11に示す例では、従動リング部材32は、リング体RG(第2リング体RG2)、ストッパ部材ST、及び偏心錘体EW(第2偏心錘体EW2)を有する。
第2リング体RG2は、円環状の板材で構成され、Z1側(上側)の面にストッパ部材ST及び第2偏心錘体EW2が固定されている。ストッパ部材STは、回動する第1偏心錘体EW1と接触し、第1偏心錘体EW1の回動力を第2リング体RG2に伝えるための部材であり、第1ストッパ部材ST1及び第2ストッパ部材ST2を含む。具体的には、第1ストッパ部材ST1は、往復動軸線RAの回りを上面視で反時計回りに回動する第1偏心錘体EW1と接触するように配置されている。また、第1ストッパ部材ST1は、往復動軸線RAの回りを上面視で時計回りに回動する第1偏心錘体EW1と接触するように配置されている。
軸受部材33は、筒状体31に対して駆動リング部材34を回転可能に支持できるようにする部材である。図11に示す例では、軸受部材33は、玉軸受であり、内側レースの内周面が筒状体31の上側円筒部31Uの外周面によって支持され、外側レースの外周面で駆動リング部材34の内周面を支持するように構成されている。
駆動リング部材34は、電動モータ30によって回転させられる部材である。図11に示す例では、駆動リング部材34は、リング体RG(第1リング体RG1)、偏心錘体EW(第1偏心錘体EW1)、及び歯車GBを有する。
第1リング体RG1は、円環状の板材で構成されている。そして、第1リング体RG1は、Z1側(上側)の面に歯車GBが固定され、Z2側(下側)の面に第1偏心錘体EW1が固定されるように構成されている。
歯車GBは、電動モータ30の回転軸に取り付けられたピニオンギア30Aとかみ合うように構成されている。なお、図11は、明瞭化のため、歯車GBを構成している各歯の図示を省略している。図10についても同様である。
固定錘体35は、可動玩具101Bの低重心を実現するための部材である。図11に示す例では、固定錘体35は、半円環状の第1固定錘体35A及び第2固定錘体35Bを含む。第1固定錘体35Aと第2固定錘体35Bとは同じ形状を有し、且つ、同じサイズとなるように形成されている。なお、可動玩具101Bの低重心化は、例えば、可動玩具101Bの姿勢の安定化をもたらす。
次に、図12を参照し、傾斜機構TMの動きについて説明する。図12は、傾斜機構TMの動きを示す図である。具体的には、図12(A1)~図12(A4)は、傾斜機構TMを構成している従動リング部材32、及び、駆動リング部材34の第1リング体RG1に固定された第1偏心錘体EW1の斜視図であり、従動リング部材32と第1偏心錘体EW1との位置関係を示している。図12(B1)~図12(B4)は、従動リング部材32及び第1偏心錘体EW1の上面図である。そして、図12(A1)は図12(B1)に対応し、図12(A2)は図12(B2)に対応し、図12(A3)は図12(B3)に対応し、図12(A4)は図12(B4)に対応している。なお、図12では、明瞭化のため、駆動リング部材34を構成する歯車GB及び第1リング体RG1の図示が省略されている。
より具体的には、図12(A1)及び図12(B1)は、第1偏心錘体EW1と第2偏心錘体EW2とが上下軸線NAを挟んで互いに反対側に位置しているときの状態を示す。
図12(A2)及び図12(B2)は、図12(A1)及び図12(B1)に示す状態から、図12(B1)の矢印AR11で示す方向に第1偏心錘体EW1が60度回動したときの状態を示す。
図12(A3)及び図12(B3)は、図12(A2)及び図12(B2)に示す状態から、図12(B2)の矢印AR12で示す方向に第1偏心錘体EW1が更に60度回動したときの状態を示す。
図12(A4)及び図12(B4)は、図12(A3)及び図12(B3)に示す状態から、図12(B3)の矢印AR13で示す方向に第1偏心錘体EW1が更に60度回動し、且つ、図12(B3)の矢印AR14で示す方向に第2偏心錘体EW2が第1偏心錘体EW1とともに60度回動したときの状態を示す。
具体的には、電動モータ30は、可動玩具101Bの上下軸線NA回りに駆動リング部材34を回転させることによって、図12(A1)及び図12(B1)に示すように、そして、図12(A2)及び図12(B2)に示すように、駆動リング部材34に固定された第1偏心錘体EW1を可動玩具101Bの上下軸線NA回りに回動させることができる。
また、電動モータ30は、可動玩具101Bの上下軸線NA回りに第1偏心錘体EW1を回動させることによって、図12(A3)及び図12(B3)に示すように、従動リング部材32に固定された第1ストッパ部材ST1に第1偏心錘体EW1を接触させることができる。
そして、電動モータ30は、第1偏心錘体EW1を第1ストッパ部材ST1に接触させた状態で第1偏心錘体EW1を更に回動させることによって従動リング部材32を回転させ、図12(A4)及び図12(B4)に示すように、従動リング部材32に固定された第2偏心錘体EW2を可動玩具101Bの上下軸線NA回りに回動させることができる。
なお、第1偏心錘体EW1と第2偏心錘体EW2とは同じ形状及び同じ重量を有する。そして、図12(B1)に示すように、第1偏心錘体EW1の中心点CP1と上下軸線NAとの間の距離D3は、第1偏心錘体EW1の回動位置とは無関係に一定である。同様に、第2偏心錘体EW2の中心点CP2と上下軸線NAとの間の距離D4は、第2偏心錘体EW2の回動位置とは無関係に一定である。また、図12に示す例では、距離D3と距離D4とは同じ大きさを有する。
次に、図13を参照し、可動玩具101Bの動きについて説明する。図13は、可動玩具101Bの右側面図である。なお、図13では、明瞭化のため、筐体HSが透明化され、跳躍機構JM及び傾斜機構TM以外の構成要素(例えば取付部材BR等)の図示が省略されている。具体的には、図13(A)は、直立状態にある可動玩具101Bの右側面図である。図13(B)は、最もX2側(後側)に傾いたときの可動玩具101の右側面図である。なお、図13では、明瞭化のため、偏心錘体EWに粗いドットパターンが付され、ストッパ部材STに細かいドットパターンが付されている。
図13(A)は、第1偏心錘体EW1が最もX1側(前側)に位置し且つ第2偏心錘体EW2が最もX2側(後側)に位置するときの可動玩具101Bの状態を示している。具体的には、図13(A)は、第1偏心錘体EW1と第2偏心錘体EW2とがリング体RGの周方向において180度離れるように配置され、可動玩具101Bの重心位置が鉛直軸線VA上に位置付けられた結果、可動玩具101Bの上下軸線NAと鉛直軸線VAとが一致しているときの可動玩具101Bの状態を示している。この状態における第1偏心錘体EW1及び第2偏心錘体EW2の配置は、図12(A1)及び図12(B1)に示す配置に対応している。なお、図13(A)に示すような可動玩具101Bの直立状態は、ジャイロ効果によっても、すなわち、第1偏心錘体EW1と第2偏心錘体EW2とを高速で回動させることによっても実現され得る。
この状態において、跳躍機構JMにより質量体MBが下側位置から上側位置に速動させられて回転部材21の突出部21Aが上側ガイド部材20Uに衝突すると、可動玩具101Bは、矢印AR21に示すように鉛直上方に跳躍する。
図13(B)は、第1偏心錘体EW1及び第2偏心錘体EW2の双方が最もX2側(後側)に位置するときの可動玩具101Bの状態を示している。具体的には、図13(B)は、第1偏心錘体EW1が第2偏心錘体EW2に接触するように或いはリング体RGの周方向において最も近接するように配置され、可動玩具101Bの重心位置が鉛直軸線VAから離れた結果、可動玩具101Bの上下軸線NAがX2側(後側)に所定の角度だけ傾いたときの可動玩具101Bの状態を示している。
この状態において、図12(B3)の矢印AR13で示すように第1偏心錘体EW1が上下軸線NA回りに回動すると、第2偏心錘体EW2は、図12(B3)の矢印AR14で示すように第1偏心錘体EW1に押されて第1偏心錘体EW1とともに回動する。そのため、可動玩具101Bの重心位置も、偏心錘体EW(第1偏心錘体EW1及び第2偏心錘体EW2)の回動とともに、上下軸線NA回りに回動する。
なお、可動玩具101Bの重心位置は、固定錘体35(図11(B)参照。)の存在により、可動玩具101Bの中心点RP1よりも低い位置にある。また、可動玩具101Bの重心位置は、可動玩具101Bが直立状態にある場合を除き、偏心錘体EW(第1偏心錘体EW1及び第2偏心錘体EW2)の存在により、上下軸線NAから離れた位置(偏心錘体EWに近い位置)にある。
そのため、可動玩具101Bは、偏心錘体EWの移動に応じて揺動する。具体的には、可動玩具101Bは、上下軸線NAから距離(半径)D5の位置にある接触面CS上の円軌道CLに沿って接触点PCが移動するように動く。接触点PCは、可動玩具101Bの接触面CSと水平な地面とが接触する点である。
また、この状態において、跳躍機構JMにより質量体MBが下側位置から上側位置に速動させられて回転部材21の突出部21Aが上側ガイド部材20Uに衝突すると、可動玩具101Bは、矢印AR22に示すように、上下軸線NAに沿った方向に跳躍する。
次に、図14を参照し、可動玩具101Bの揺動について説明する。図14は、可動玩具101Bの上面図である。具体的には、太い実線で示される円C0は、直立状態にある可動玩具101Bの筐体HSを表し、細い実線で示される円C1は、上下軸線NAがX2側(後側)に最も傾いたときの可動玩具101Bの筐体HSを表す。また、破線で示される円C2は、上下軸線NAがY1側(左側)に最も傾いたときの可動玩具101Bの筐体HSを表し、一点鎖線で示される円C3は、上下軸線NAがX1側(前側)に最も傾いたときの可動玩具101Bの筐体HSを表し、二点鎖線で示される円C4は、上下軸線NAがY2側(右側)に最も傾いたときの可動玩具101Bの筐体HSを表す。
可動玩具101Bの揺動は、典型的には、円C1で表される状態から、鉛直軸線VAに対する上下軸線NAの傾きを維持したまま、円C2で表される状態に至る動きを意味する。なお、可動玩具101Bの揺動は、円C1で表される状態から、上下軸線NAの傾きを変化させながら、円C2で表される状態に至る動きを含んでいてもよい。例えば、可動玩具101Bの揺動は、円C1で表される状態から、円C0で表される状態を経て、円C2で表される状態に至る動きを含んでいてもよい。
また、可動玩具101Bの揺動は、例えば、円C1で表される状態から、上下軸線NAの傾きを維持したまま、或いは、上下軸線NAの傾きを変化させながら、円C2で表される状態、円C3で表される状態、及び円C4で表される状態を経て、円C1で表される状態に戻る動きであってもよい。
また、円C0で表される状態から円C1で表される状態に至る動きは、可動玩具101Bの傾動と称されてもよい。円C0で表される状態から、円C2で表される状態、円C3で表される状態、又は、円C4で表される状態に至る動きについても同様である。
また、可動玩具101Bの傾動は、円C1で表される状態から円C0で表される状態に至る動きを含んでいてもよい。円C2で表される状態、円C3で表される状態、又は、円C4で表される状態から円C0で表される状態に至る動きについても同様である。
また、可動玩具101Bの揺動及び傾動は、図14に示すような動きを意味するが、可動玩具101及び可動玩具101Aのそれぞれの揺動及び傾動についても同様である。
上述のように、可動玩具101(可動玩具101A及び可動玩具101Bを含む。)は、傾斜機構TMを利用して揺動する或いは傾動することが可能であり、且つ、跳躍機構JMを利用して跳躍することが可能である。
そのため、跳躍し、揺動し、或いは傾動する可動玩具101は、あたかも可動玩具101が生き物であるかのような印象を観者に与えることができる。
上述のように、本発明の一実施形態に係る可動玩具101は、下方に向かって凸状に湾曲した接触面CSを有する筐体HSと、筐体HSによって支持されるとともに筐体HSの上下軸線NAに沿って往復動可能な質量体MBと、質量体MBを下側位置(例えば図6(A5)に示す位置)から上側位置(例えば図6(A1)に示す位置)に移動させる駆動手段(コイルばね24)と、筐体HSによって支持されるとともに上下軸線NAに垂直な垂直面VP(例えば図3(B)参照。)における位置が可変となるように構成されている偏心錘体EWと、を備えている。そして、可動玩具101は、偏心錘体EWが垂直面VPにおける第1位置(例えば図4(A)に示す位置)にあって上下軸線NAが一の方向に傾いた状態のときに質量体MBを下側位置から上側位置に移動させることによって第1方向(例えば矢印AR1で示す方向)に跳躍可能であるとともに、偏心錘体EWが垂直面VPにおける第2位置(例えば図4(B)に示す位置)にあって上下軸線NAが他の方向に傾いた状態のときに質量体MBを下側位置から上側位置に移動させることによって第2方向(例えば矢印AR2で示す方向)に跳躍可能であるように構成されている。
なお、「偏心錘体EWが垂直面VPにおける第1位置にあって上下軸線NAが一の方向に傾いた状態」は、例えば、図4(A)に示す状態である。この場合、「第1方向」は、図4(A)の矢印AR1で表される方向である。また、「偏心錘体EWが垂直面VPにおける第2位置にあって上下軸線NAが他の方向に傾いた状態」は、例えば、図4(B)に示す状態である。この場合、「第2方向」は、図4(B)の矢印AR2で表される方向である。
或いは、「偏心錘体EWが垂直面VPにおける第1位置にあって上下軸線NAが一の方向に傾いた状態」は、例えば、図13(A)に示す状態であってもよい。この場合、「第1方向」は、図13(A)の矢印AR21で表される方向である。また、「偏心錘体EWが垂直面VPにおける第2位置にあって上下軸線NAが他の方向に傾いた状態」は、例えば、図13(B)に示す状態であってもよい。この場合、「第2方向」は、図13(B)の矢印AR22で表される方向である。
図3に示す例では、可動玩具101の接触面CSは球面の一部であり、偏心錘体EWは、質量体MBの往復動軸線RAの周囲を囲む軌道(例えば図3(B)の矢印AR0で表される軌道)に沿って回動可能となるように筐体HSによって支持されている。図12に示す例においても、可動玩具101Bの接触面CSは球面の一部であり、偏心錘体EWは、質量体MBの往復動軸線RAの周囲を囲む軌道(例えば図12の矢印AR11~矢印AR14で表される軌道)に沿って回動可能となるように筐体HSによって支持されている。
この構成により、可動玩具101(可動玩具101A及び可動玩具101Bを含む。)は、任意の複数の方向に跳躍することができ、複雑な動きを実現できる。
偏心錘体EWは、垂直面VPにおける位置が可変となるように構成された第1偏心錘体と、垂直面VPにおける位置が可変となるように構成された第2偏心錘体と、を含んでいてもよい。なお、第2偏心錘体は、垂直面VPにおける位置が不変となるように構成されていてもよい。すなわち、第2偏心錘体は、垂直面VPにおける位置が変化しないように筐体HSに固定されていてもよい。
このような構成により、可動玩具101は、第1偏心錘体と第2偏心錘体とが近接して往復動軸線RAの鉛直軸線VAに対する傾きが大きい状態であっても、質量体MBを下側位置から上側位置に移動させることによって跳躍可能である。また、可動玩具101は、第1偏心錘体と第2偏心錘体とが離隔して往復動軸線RAの鉛直軸線VAに対する傾きが小さい状態であっても、質量体MBを下側位置から上側位置に移動させることによって跳躍可能である。なお、傾きが小さい状態は、傾きがない状態、すなわち、往復動軸線RAと鉛直軸線VAとが一致する状態を含んでいてもよい。
例えば図7に示す例では、偏心錘体EWは、垂直面VPにおける位置が可変となるように構成された偏心錘体EWと、垂直面VPにおける位置が不変となるように構成されたカウンタウェイトCWと、を含んでいる。
この場合、可動玩具101Aは、図7(A)に示すように、偏心錘体EWとカウンタウェイトCWとが離隔して往復動軸線RAの鉛直軸線VAに対する傾きが小さい状態であっても、質量体MBを下側位置から上側位置に移動させることによって矢印AR4で示す方向に跳躍可能である。また、可動玩具101Aは、図7(B)に示すように、偏心錘体EWとカウンタウェイトCWとが近接して往復動軸線RAの鉛直軸線VAに対する傾きが大きい状態であっても、質量体MBを下側位置から上側位置に移動させることによって矢印AR5で示す方向に跳躍可能である。
或いは図13に示す例では、偏心錘体EWは、垂直面VPにおける位置が可変となるように構成された第1偏心錘体EW1と、垂直面VPにおける位置が可変となるように構成された第2偏心錘体EW2と、を含んでいる。
この場合、可動玩具101Bは、図13(A)に示すように、第1偏心錘体EWと第2偏心錘体EW2とが離隔して往復動軸線RAの鉛直軸線VAに対する傾きが小さい状態であっても、質量体MBを下側位置から上側位置に移動させることによって矢印AR21で示す方向に跳躍可能である。また、可動玩具101Bは、図13(B)に示すように、第1偏心錘体EW1と第2偏心錘体EW2とが近接して往復動軸線RAの鉛直軸線VAに対する傾きが大きい状態であっても、質量体MBを下側位置から上側位置に移動させることによって矢印AR22で示す方向に跳躍可能である。
この構成により、可動玩具101(可動玩具101A及び可動玩具101Bを含む。)は、鉛直方向にも跳躍することができる。
なお、可動玩具101は、偏心錘体EWの回動中に質量体MBを下側位置から上側位置に移動させることができるように構成されていてもよい。例えば図8に示す例では、可動玩具101は、上下軸線NA回りに偏心錘体EWを高速で回動させることによって得られるジャイロ効果によって直立状態を維持しながら、跳躍機構JMによって質量体MBを下側位置から上側位置に移動させてもよい。この場合、可動玩具101は、真上に跳躍することができる。
この構成により、可動玩具101は、偏心錘体EWが1つであっても、鉛直方向に跳躍することができる。
また、可動玩具101は、筐体HSの上下軸線NAを中心(回動軸)として偏心錘体EWを回動させる駆動装置としての電動モータ10と、筐体HSに対する偏心錘体EWの回動角度を検出する第1センサと、回動角度に基づいて電動モータ10を制御する制御手段としての制御装置CTRと、を更に備えていてもよい。第1センサは、例えば、ロータリエンコーダ等の電気式回転角度センサ、光学式回転角度センサ、又は磁気式回転角度センサ等である。
この構成により、制御装置CTRは、筐体HSを基準として可動玩具101の跳躍方向を制御できる。例えば、図3に示す例では、制御装置CTRは、アーム12の中心線と筐体HSの前後軸線とが上面視で一致したとき(偏心錘体EWが最もX1側に移動したとき)の偏心錘体EWの回動角度が0度となり、アーム12の中心線と筐体HSの左右軸線とが上面視で一致したとき(偏心錘体EWが最もY1側に移動したとき)の偏心錘体EWの回動角度が90度となるという前提のもとで、所望の回動角度となるように偏心錘体EWを回動させることができる。そして、制御装置CTRは、例えば、偏心錘体EWの回動角度が所望の回動角度になったときに、すなわち、可動玩具101が所望の方向に傾いたときに跳躍機構JMを動作させて可動玩具101を跳躍させることができる。
或いは、図12に示す例では、制御装置CTRは、第1偏心錘体EW1の中心点CP1が筐体HSの前後軸線上に位置するとき(第1偏心錘体EW1が最もX1側に移動したとき)の第1偏心錘体EW1の回動角度が0度となり、第1偏心錘体EW1の中心点CP1が筐体HSの左右軸線上に位置するとき(第1偏心錘体EW1が最もY1側に移動したとき)の第1偏心錘体EW1の回動角度が90度となるという前提のもとで、所望の回動角度となるように第1偏心錘体EW1を回動させることができる。第2偏心錘体EW2についても同様である。
また、可動玩具101は、筐体HSが向いている方角を検出する第2センサを更に備えていてもよい。第2センサは、例えば、磁気センサ又は地磁気センサ等である。この場合、制御装置CTRは、筐体HSに対する偏心錘体EWの回動角度を検出する第1センサの出力と第2センサの出力とに基づいて電動モータ10を制御してもよい。
この構成により、制御装置CTRは、例えば、筐体HSが所望の方角を向いているときに跳躍機構JMを動作させて可動玩具101を跳躍させることができる。或いは、制御装置CTRは、筐体HSが所望の方角を向いているときで、且つ、筐体HSが所望の方向に傾いているときに、跳躍機構JMを動作させて可動玩具101を跳躍させることができる。
また、第2センサとしての磁気センサは、筐体HSの外部に設置された磁界発生手段が発生させる磁界の方向を検出するように構成されていてもよい。磁界発生手段は、例えば、永久磁石、電磁石、又はそれらの組み合わせ等である。この場合、制御装置CTRは、地磁気を検出する地磁気センサを第2センサとして利用する場合に比べ、筐体HSが向いている方角をより高い精度で検出できる。
また、可動玩具101Bは、例えば図9及び図11に示すように、下方に向かって凸状に湾曲した接触面CSを有する筐体HSと、筐体HSの上下軸線NAに沿った往復動軸線RAの回りに円弧動可能となるように筐体HSによって支持された偏心錘体EWと、を有する。
そして、偏心錘体EWは、図12に示すように、筐体HSの上下軸線NA回りに円弧動可能となるように筐体HSによって支持された第1偏心錘体EW1と、筐体HSの上下軸線NA回りに円弧動可能となるように筐体HSによって支持された第2偏心錘体EW2と、を含む。
そして、可動玩具101Bは、第1偏心錘体EW1と第2偏心錘体EW2とが近接して往復動軸線RAの鉛直軸線VAに対する傾きが大きい状態(図13(B)に示す状態)と、第1偏心錘体EW1と第2偏心錘体EW2とが離隔して往復動軸線RAの鉛直軸線VAに対する傾きが小さい状態(図13(A)に示す状態)と、を切換可能な機構としての傾斜機構TMを備えている。
また、可動玩具101Aは、例えば図7に示すように、下方に向かって凸状に湾曲した接触面CSを有する筐体HSと、偏心錘体EWと、を有する。そして、偏心錘体EWは、図7に示すように、筐体HSの上下軸線NA回りに円弧動可能となるように筐体HSによって支持された偏心錘体EW1と、筐体HSの上下軸線NA回りに円弧動可能となるように筐体HSによって支持された第2偏心錘体としてのカウンタウェイトCWと、を含む。
そして、可動玩具101Aは、偏心錘体EWとカウンタウェイトCWとが近接して往復動軸線RAの鉛直軸線VAに対する傾きが大きい状態(図7(B)に示す状態)と、偏心錘体EWとカウンタウェイトCWとが離隔して往復動軸線RAの鉛直軸線VAに対する傾きが小さい状態(図7(A)に示す状態)と、を切換可能な機構としての傾斜機構TMを備えている。
上述のような構成により、可動玩具101(可動玩具101A及び可動玩具101Bを含む。)は、例えば、偏心状態(傾倒状態)になることができ、非偏心状態(直立状態)になることもできる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
例えば、上述の実施形態では、可動玩具101の筐体HSは、球形状を有するが、卵形状又は涙滴形状等の他の形状を有していてもよい。また、筐体HSは、その表面のうち接触面CSを構成しない部分については、任意の形状を有していてもよい。
また、上述の実施形態では、可動玩具101は、跳躍、揺動、及び傾動が実現できるように構成されているが、跳躍のみができるように構成されていてもよく、揺動及び傾動のみができるように構成されていてもよい。例えば、可動玩具101は、傾斜機構TMを有するが、跳躍機構JMを有さないように構成されていてもよい。或いは、可動玩具101は、跳躍機構JMを有するが、傾斜機構TMを有さないように構成されていてもよい。