JP7465241B2 - レーザ溶接装置の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数個の金属の端部を相互に溶接するレーザ溶接装置の制御装置に関する。
従来、隣り合わせた2つの金属の側面同士を突き合せ、その突き合せ面の上端部の表面よりも内部側でフォーカスを結ばせ、突き合せ面の上端部をレーザビームで環状又は螺旋状のループ状に走査して溶融池を形成し、2つの金属を相互に溶接するレーザ溶接方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の方法では、突き合せ面に沿って、連続的に溶融池が形成されつつ、移動される。この間、レーザビームの集光点は突き合せ面の上端部の表面よりも内部側に位置され、集光点の深さ及び位置、出力は連続的に変化される。このため、突き合せ面の上端部の表面におけるレーザ照射スポット径がジャストフォーカスの場合に比較して大きくなるので、レーザの照射エネルギ密度が小さくなる。
また、レーザビームの集光点の深さ等を連続的に滑らかに変化させているので、レーザ照射面における局所的加熱が抑制される。また、レーザ照射スポット径が大きいので、ループ径を拡大することなく、そのループ径のままで突き合せ面に沿って溶融池を連続的に形成しながら移動させて溶接を行うことができるので、溶接時間が短縮される。
特開2020-55024号公報
しかしながら、特許文献1の方法によれば、レーザビームで走査する突き合せ面上端部の表面での軌跡が狭い範囲でループするものとなっており、軌跡の径が小さい。このため、突き合せ面上端部の表面の一部に熱が集中して溶融池の突沸(溶融池の内部での気泡成長)が発生し、スパッタが発生し易い。
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、複数個の金属端部をスパッタの発生を極力抑えて溶接できるレーザ溶接装置の制御装置を提供することにある。
本発明のレーザ溶接装置の制御装置は、
接合端面と該接合端面に接続する側面とをそれぞれ有する複数個の金属端部を、前記側面を接合対向面として相互に対向させ、各金属端部の前記接合端面を相互に隣接させた状態で、前記接合端面にレーザ光を照射して溶接するレーザ溶接装置の制御装置であって、
前記レーザ光の光軸の前記接合端面における軌跡が、前記接合対向面の前記接合端面側の端縁を横切る円形、楕円形又は長円形の軌跡となるように前記光軸を周回させる光軸周回部と、
前記レーザ光の出力開始からの時間に関する経過時間を計時する計時部と、
予め定められた第1所要時間及びこれより長い第2所要時間を記憶する記憶部と、
前記経過時間に応じて前記レーザ光の集光点を前記接合端面の法線方向に移動する集光点制御部と、
前記光軸周回部が前記光軸の周回を行っている間に、前記レーザ光の出力を開始させ、該出力の開始後、前記計時部が前記第2所要時間を計時したことに応じて前記レーザ光の出力を停止させる出力制御部と、を備え、
前記集光点制御部は、前記レーザ光の出力開始時には、前記集光点を前記接合端面から離間した第1位置に位置させ、前記計時部が前記第1所要時間を計時した時点で前記集光点を前記第1位置よりも前記金属側へと移動した第2位置に位置付けさせるものであり、
前記第1所要時間は、前記接合端面に前記軌跡に沿った溶融池が形成されるのに要する時間であり、
前記第2所要時間は、前記複数個の金属端部の溶融した外面が、溶融状態のまま変曲点のない曲面状に張出した曲面形状に形成されるに要する時間であることを特徴とする。
本発明によれば、制御装置の制御下でレーザ溶接装置のレーザ光の光軸が上述の円形等の環状の軌跡(周回軌跡)に沿って周回されているとき、レーザ光の出力が開始される。この間、レーザ光の集光点は、接合端面から法線方向に離間された第1位置に位置付けられるものであり、この間、周回軌跡に沿って接合対向面を跨ぐ環状の浅い溶融池が形成されてゆくので、溶融池からのスパッタの飛散が抑制される。
この後、第1所要時間が経過すると、集光点が第1位置よりも金属側へ近づく第2位置に移動されて周回軌跡の内側の焦点の方向にも熱が伝わり、これにより周回軌跡の内側も溶融池となってゆく。この溶融池の成長により、接合端面は溶融状態のまま変曲点のない曲面形状に張出した曲面形状に成形されてゆく。その後、第2所要時間が経過してレーザ光の出力が停止されると溶融池が冷却して固化し、積層痕等の無い表面が滑らかな接合部となり、複数の金属端部の溶接が完了する。
これによれば、レーザ光の照射軌跡が第1所要時間、第2所要時間を通じて溶融池の縁を通されることで金属表面に近い(浅い)部位に溶融が進行するので、溶融池からの金属蒸気の抜けが良好に行われる。すなわち、溶融池の内部に大きな気泡が成長する突沸が発生しないので、スパッタを減らすことができる。
また、第1所要時間経過後、第2所要時間が経過するまでに、溶融池の外面が、溶融状態のまま変曲点のない曲面形状に張出した曲面形状に形成されるので、積層痕等の無い表面が滑らかな接合部を形成することができる。
一方、レーザ溶接装置で溶接を行うに際しては、レーザ光の集光点(合焦位置)を中心としてパワー密度(W/平方cm)の高いビームスポットが形成される。このビームスポットを接合端面から離すと、エネルギが伝わり難くなるので金属が溶融し難くなる一方、ビームスポットを接合端面に近付けると、エネルギが伝わり易くなるので金属表面の一部が急加熱され、溶融池の突沸に伴うスパッタが発生し易くなる。このため、溶融した金属を突沸で吹き飛ばすことなく(スパッタレスで)溶接を行うためには、集光点の位置を、急加熱することなく溶融させることができる適切な位置に制御する必要がある。
ここで、溶接パワーは、照射時間とパワー密度の積で決まると考えられる。すなわち、同じ金属に毎回同じようにレーザを当てて溶接すれば同じエネルギで同じ溶接結果が得られる(再現性がある)と考えられる。したがって、予めテスト溶接により、レーザ照射時間に基づいて集光点の位置を調整する試行を行っておけば、その試行結果に基づいて、実際の溶接を行う際にプルーム(荷電粒子を含む気体)の発生や金属表面の膨出などを画像データなどから検出してフィードバックをしなくても、スパッタの無い最適な溶接結果が得られるように、第1所要時間を設定し、その間における集光点の位置を制御することができる(オープンループ制御)。
そこで、本発明では、レーザ光の出力を開始した後、前記試行において周回軌跡に沿う溶融池の形成が確かめられた第1所要時間が経過するまでは集光点の位置を接合端面から離れた第1位置とし、第1所要時間が経過した後では第1位置よりも接合端面側で金属を溶融させやすい第2位置に位置付けさせることとしている。このように、第1所要時間が経過するまでの集光点の位置として、予めテスト溶接によりスパッタの無い最適な溶接結果が得られた場合の時間及び位置を採用することにより、スパッタの無い最適な溶接を再現性良く実現することができる。
本発明において、前記記憶部は、前記第1所要時間以上のときの複数個の経過時間データと複数個の集光点位置データとを対応付けて示すデータマップを備え、前記集光点制御部は、前記計時部が前記第1所要時間を計時した以降に前記データマップを用いて前記経過時間に応じた前記集光点の設定値を取得するとともに、該集光点の設定値に応じて前記集光点の位置を漸進的に変更するものであってもよい。
これによれば、第1所要時間が計時された以降、溶融池が凸状に徐々に膨れて溶融池の表面と集光点との位置関係が変化していく状態に応じて、集光点の位置を適切に設定することができる。
本発明において、前記記憶部は、第3所要時間を記憶しており、前記光軸周回部は、前記計時部が、前記第3所要時間を計時した以降に前記軌跡を変更するものであってもよい。
これによれば、第3所要時間が計時された以降に、溶融池が凸状に膨れて溶融池の表面と集光点との位置関係が変化した場合、レーザ光の光軸の軌跡を修正することで集光点の位置を修正することができる。
本発明の一実施形態に係るレーザ溶接装置の制御装置による溶接を適用して製造可能なコイルを備えるステータの一部を示す斜視図である。 前記コイルを構成する平角導体の端部対を示す斜視図である。 前記レーザ溶接装置の制御装置の構成を示すブロック図である。 (a)~(c)は、それぞれ前記レーザ溶接装置が出力するレーザ光の円形、楕円形又は長円形の周回軌跡を例示する図である。 レーザ溶接装置の制御装置による溶接処理を示すフローチャートである。 (a)~(f)は、図5の溶接処理において溶接が行われる様子を時系列的に示す図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るレーザ溶接装置の制御装置による溶接を適用して製造可能なコイルを備えるステータの一部を示す。図1に示すように、このコイル1は、ステータ2のステータコア3の各スロット4に挿入された複数の平角導体5を備える。そして、コイル1では、相互に対応する平角導体5の金属端部6同士が端部対7を構成し、各端部対7の金属端部6同士がレーザ溶接で接合されている。
図2は、接合前の端部対7を示す。図2に示すように、端部対7を構成する2つの金属端部6は、接合端面8と、接合端面8に接続する側面9とをそれぞれ有する。2つの金属端部6は、それぞれの1つの側面9を接合対向面10として相互に隙間を置いて対向させ、各金属端部6の接合端面8を相互に隣接させた状態で、接合端面8にレーザ光をレーザ溶接装置で照射することにより溶接される。
接合対向面10間の隙間としては、例えば0.1~0.4mmが該当する。溶接に使用するレーザ溶接装置11としては、レーザ光軸を移動させることが可能なレーザ反射鏡(ガルバノミラー)を備えたガルバノスキャニング型のものを用いることができる。
図3は、レーザ溶接装置11の制御装置12の構成を示す。この制御装置12は、マイクロコンピュータやプログラムにより構成される。図3に示すように、この制御装置12は、レーザ溶接装置11のレーザ光軸を接合端面8上で移動又は周回させる機能や、その移動又は周回軌跡を変更する機能を有する光軸周回部13と、レーザ光の出力開始からの時間に関する経過時間を計時する計時部14と、各種データを記憶する記憶部15と、前記経過時間に応じてレーザ光の集光点を接合端面8の法線方向に移動する集光点制御部16と、レーザ光の光出力強度を制御する出力制御部17とを備える。
図4(a)~(c)は、この円形、楕円形又は長円形の周回軌跡18をそれぞれ例示する。図4(a)~(c)に示すように、レーザ光の光軸の接合端面8における各周回軌跡18は、接合対向面10の接合端面8側の端縁19を横切る。そして、図4(a)に示すように、周回軌跡18が円形の場合には、円の中心が、焦点20としてほぼ端縁19上に位置する。図4(b)に示すように、周回軌跡18が楕円形の場合には、楕円の2つの焦点20が、いずれもほぼ端縁19上に位置する。
また、本実施形態においては、長円形とは、長方形の両短辺を、長方形の長い方の中心軸上に中心を有する部分円又は半円でそれぞれ置き換えたような形を意味する。周回軌跡18がこの長円形の場合には、図4(c)に示すように、各部分円又は半円の中心を焦点20とみなし、該焦点20がいずれも端縁19上に位置する。
図3に戻り、記憶部15は、後述する溶接処理(図5)で用いられる待機時間t0、第1、第2、第3所要時間t1、t2、t3や、周回軌跡18を構成する第1軌跡tr1及び第2軌跡tr2などの走査座標データ、並びに、経過時間との対応関係を付けた複数個の集光点位置データ(データマップ)などを記憶する。
集光点制御部16は、計時部14が計時するレーザ光の出力開始からの時間に関する経過時間に応じてレーザ光の集光点を接合端面8の法線方向に移動する機能を有する。例えば、集光点制御部16は、レーザ光の出力開始時には、集光点を接合端面8から離間した第1位置に位置させ、計時部14が第1所要時間t1を計時した時点で集光点を第1位置よりも金属端部6側へと移動した第2位置に位置付ける機能を有する。
出力制御部17は、光軸周回部13がレーザ光の光軸の周回を行っている間に、レーザ光の出力を開始させ、該出力の開始後、計時部14が第2所要時間t2を計時したことに応じてレーザ光の出力を停止させる機能を有する。
図5は、金属端部対7の金属端部6同士をレーザ溶接装置11で溶接により接合する際に制御装置12が行う溶接処理を示す。図6(a)~(f)は、この溶接処理において溶接が行われる様子を例示する。この溶接処理は、各金属端部6を、接合対向面10を相互に対向させ、各金属端部6の接合端面8を相互に隣接させた状態で行われる。
制御装置12は、溶接処理を開始すると、まず、光軸周回部13により、レーザ光の光軸が、図4(a)~(c)に示すような各接合端面8の端縁19を横切る閉曲線、この実施の形態においては端縁19上に焦点20を有する円形又は楕円形、あるいは長円形状を呈する一定の周回軌跡18をレーザ光の光軸が描くように設定された第1軌跡tr1の走査座標データを記憶部15から読み出し、これを光軸周回部13に設定する。またほぼ同時に、計時部14の計時タイマを初期化して計時を開始する(ステップS1)。
次に、レーザ光を出力することなく、光軸周回部13に上記設定された第1軌跡tr1に従って、レーザ溶接装置11の光軸の周回(走査)を開始させる(ステップS2)。この際の走査速度としては、例えば4400mm毎秒以上の速度が該当する。
この後、計時部14が待機時間t0を計時すると(ステップS3)、これに応じて、出力制御部17がレーザ溶接装置11からレーザ光21の出力を開始させる(ステップS4)。この際、集光点制御部16は、レーザ光21の出力開始時には、レーザ光21の集光点を接合端面8から離間した第1位置に位置付けさせている(ステップS4)。
この後、第1所要時間t1が計時されるまでの間に、図6(a)~(c)に示すように、接合端面8に周回軌跡18に沿った溶融池23が形成される。計時部14が第1所要時間t1を計時すると(ステップS5)、これに応じて、集光点制御部16は、レーザ光21の集光点を第1位置よりも金属端部6側へと移動した第2位置に位置付けさせる(ステップS6)。この実施の形態においては、上記第2位置は、レーザ光21の出力開始からの経過時間が第1所要時間t1以上のときの複数個の経過時間データと複数個の集光点位置データとを対応付けて示すデータマップから設定されるものであり、集光点制御部16は、計時部14が第1所要時間t1を計時した以降に前記データマップを用いてその経過時間データに応じた集光点の設定値を第2位置として逐次設定する(ステップS6)。
この後、計時部14が第2所要時間t2を計時する前に、光軸周回部13は、軌跡変更処理(ステップS8)を実行する。この軌跡変更処理では、計時部14が第3所要時間t3を計時すると(ステップS8a)、これに応じて、光軸周回部13は、第2軌跡tr2の走査座標を記憶部15から読み出し、図6(f)に示すように、新たな周回軌跡18として設定する(ステップS8b)。その後、図5に示すように、計時部14が第2所要時間t2を計時するまでは、上記ステップS6及び上記ステップS8(S8a、S8b)を複数回実行する。
この後、計時部14が第2所要時間t2を計時すると(ステップS7)、出力制御部17により、レーザ光21の出力が停止され(ステップS9)、該出力の停止後に、レーザ溶接装置11の光軸の周回が停止され(ステップS10)、斯くして溶接処理が終了する。この第2所要時間t2が計時されるまでの間に、図6(d)~(f)に示すように、熱伝導によって溶融池23が周回軌跡18の焦点20の方向に成長し、さらに溶融池23が成長すると、2つの金属端部6の溶融した溶融金属24の外面25が、溶融状態のまま変曲点のない曲面状に張出した曲面形状に形成される。
また、この張出し曲面形状の形成と共に、各金属端部6の間には、接合端面8を窪ませるように接合端面8の下に溶融金属24が侵入した侵入部26が形成される。この侵入部26は、レーザ光21の照射時には周回軌跡18の焦点が位置する接合対向面10の部分が最も熱せられるので、接合対向面10に沿った部位において最も接合端面8の下の深くまで達する。ただし、接合対向面10の侵入部26の部分は、その大部分が接合端面8側から接合対向面10間に流入した溶融金属24からなる比較的薄い層を成す。
図5の溶接処理が終了した後、張出し曲面形状に形成された溶融金属24の露出した外面25は、その概形を保ちつつ侵入部26とともに冷却固化され、これにより、端部対7の接合端面8に溶融金属24が固化した溶融固化部分27が形成される。
以上のように、本実施形態によれば、制御装置12の制御下でレーザ溶接装置11のレーザ光21の光軸が上述の第1軌跡tr1に従う所謂円形等の環状の周回軌跡18に沿って周回されているとき、レーザ光21の出力が開始される。この間、レーザ光21の集光点22は、接合端面8から法線方向に離間された第1位置に位置付けられ、金属端部6の金属表面に近い(浅い)部位に溶融が進行するように、周回軌跡18に沿って接合対向面10を跨ぐ環状の浅い溶融池23が形成されてゆくので、溶融池23からの金属蒸気の抜けが良好に行われる。すなわち、溶融池23の内部に大きな気泡が成長する突沸が発生しないので、スパッタを減らし飛散を抑制することができる。
また、第1所要時間t1が経過すると、レーザ光21の集光点が第1位置よりも金属端部6側へ近づく第2位置に移動されて周回軌跡18の内側の焦点20の方向にも熱が伝わり、これにより周回軌跡18の内側も溶融池23となってゆく。この際、レーザ光21の周回軌跡18が第1、第2所要時間t1、t2を通じて溶融池23の縁を通され続けることで金属端部6の金属表面に近い(浅い)部位に溶融が進行するので、溶融池23からの金属蒸気の抜けが良好に行われる。すなわち、周回軌跡18の内側でも、スパッタの飛散や溶接欠陥の原因となる溶融池23の内部気泡は成長しない。斯くして第2所要時間t2が計時されるまでの間に、この溶融池23の成長とともに接合端面8は溶融状態のまま変曲点のない曲面形状に張出した曲面形状に成形されてゆく
その後、第2所要時間t2が経過してレーザ光21の出力が停止されると溶融池23が冷却して固化するので、積層痕等の無い表面が滑らかな接合部としての溶融固化部分27を形成することができる。
ところで、レーザ溶接装置11で溶接を行うに際しては、レーザ光21の集光点(合焦位置)を中心としてパワー密度(W/平方cm)の高いビームスポットが形成される。このビームスポットを接合端面8から離すと、エネルギが伝わり難くなるので金属端部6の金属が溶融し難くなる一方、ビームスポットを接合端面8に近付けると、エネルギが伝わり易くなるので金属端部6の表面の一部が急加熱され、スパッタが発生し易くなる。このため、溶融した金属を吹き飛ばすことなく(スパッタレスで)溶接を行うためには、集光点の位置を、急加熱することなく溶融させることができる適切な位置に制御する必要がある。
ここで、溶接パワーは、レーザ光21の照射時間とパワー密度の積で決まると考えられる。すなわち、同じ金属端部6に毎回同じようにレーザ光21を当てて溶接すれば同じエネルギで同じ溶接結果が得られる(再現性がある)と考えられる。したがって、予めテスト溶接により、レーザ21の照射時間に基づいて集光点の位置を調整する試行を行っておけば、その試行結果に基づいて、実際の溶接を行う際にプルーム(荷電粒子を含む気体)の発生や金属端部6の表面の膨出などを画像データなどから検出してフィードバックをしなくても、スパッタの無い最適な溶接結果が得られるように、記憶部15の待機時間t0、第1所要時間t1、第2所要時間t2、第3所要時間t3、第1軌跡tr1、第2軌跡tr2、及び第1、第2位置等の複数個の集光点位置データを各設定収録し、これにより、溶接処理の間における集光点と接合端面8との位置関係を適切に制御することができる(オープンループ制御)。
そこで、本実施形態では、レーザ光21の出力を開始した後、前記試行において第1軌跡tr1に沿う溶融池23の形成が確かめられた第1所要時間t1が経過するまでは集光点の位置を接合端面8から離れた第1位置とし、第1所要時間t1が経過した後では第1位置よりも接合端面8側で金属端部6を溶融させやすい第2位置に位置付けさせることとしている。このように、第1所要時間t1及びこれが経過するまでの集光点の位置として、予めテスト溶接によりスパッタの無い最適な溶接結果が得られた場合の時間及び位置を採用することにより、スパッタの無い最適な溶接を再現性良く実現することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、記憶部15は、レーザ光21の出力開始からの経過時間が第1所要時間t1以上のときの複数個の経過時間データと複数個の集光点位置データとを対応付けて示すデータマップを記憶するものであってもよい。この場合、集光点制御部16は、計時部14が第1所要時間t1を計時した以降に前記データマップを用いてその経過時間データに応じた集光点の設定値を逐次取得するとともに、集光点の設定値に応じて集光点の位置を接合端面8の法線方向に沿って漸進的に変更することができる。
これによれば、第1所要時間t1が計時された以降、溶融池23が凸状に徐々に膨れて溶融池23の表面と集光点との位置関係が変化していく状態に応じて、集光点の位置を適切に設定することができる。
また、記憶部15は、第3所要時間t3を記憶しており、光軸周回部13は、計時部14が、第3所要時間t3を計時した以降に周回軌跡18を変更するものであってもよい。
これによれば、第3所要時間t3が計時された以降に、溶融池23が凸状に膨れて溶融池23の表面と集光点との位置関係が変化した場合、レーザ光21の光軸の周回軌跡18を修正することで集光点の位置を修正することができる。また、この周回軌跡18の修正は、上記の接合端面8の法線方向での集光点位置変更と同時に実施することができる。これにより、集光点の位置を適切な位置へと容易に設定することができる。
また、レーザ溶接装置11は、ガルバノスキャニング型のものに限らず、端部対7の接合端面8をレーザ光21により上述の周回軌跡18に沿って走査できるものであれば、他の形式のものを用いてもよく、たとえば、端部対7をレーザ光21に対向するように保持するための保持具を公知のアクチュエーター等で移動させてレーザ光21の光軸と端部対7との位置関係を変更することも可能である。
また、本発明は、コイル1の平角導体5の接合に限らず、接合端面8と接合端面8に接続する側面9とを有する金属端部6であれば、そのような複数個の金属端部6についても、側面9同士を相互に対向させ、各金属端部6の接合端面8を相互に隣接させた状態で、接合端面8にレーザ光21を照射して溶接することができる。
1…コイル、2…ステータ、3…ステータコア、4…スロット、5…平角導体、6…金属端部、7…端部対、8…接合端面、9…側面、10…接合対向面、11…レーザ溶接装置、12…制御装置、13…光軸周回部、14…計時部、15…記憶部、16…集光点制御部、17…出力制御部、18…周回軌跡、19…端縁、20…焦点、21…レーザ光、23…溶融池、24…溶融金属、25…外面、26…侵入部、27…溶融固化部分、tr1…第1軌跡、tr2…第2軌跡。

Claims (3)

  1. 接合端面と該接合端面に接続する側面とをそれぞれ有する複数個の金属端部を、前記側面を接合対向面として相互に対向させ、各金属端部の前記接合端面を相互に隣接させた状態で、前記接合端面にレーザ光を照射して溶接するレーザ溶接装置の制御装置であって、
    前記レーザ光の光軸の前記接合端面における軌跡が、前記接合対向面の前記接合端面側の端縁を横切る円形、楕円形又は長円形の軌跡となるように前記光軸を周回させる光軸周回部と、
    前記レーザ光の出力開始からの時間に関する経過時間を計時する計時部と、
    予め定められた第1所要時間及びこれより長い第2所要時間を記憶する記憶部と、
    前記経過時間に応じて前記レーザ光の集光点を前記接合端面の法線方向に移動する集光点制御部と、
    前記光軸周回部が前記光軸の周回を行っている間に、前記レーザ光の出力を開始させ、該出力の開始後、前記計時部が前記第2所要時間を計時したことに応じて前記レーザ光の出力を停止させる出力制御部と、を備え、
    前記集光点制御部は、前記レーザ光の出力開始時には、前記集光点を前記接合端面から離間した第1位置に位置させ、前記計時部が前記第1所要時間を計時した時点で前記集光点を前記第1位置よりも前記金属端部側へと移動した第2位置に位置付けさせるものであり、
    前記第1所要時間は、前記接合端面に前記軌跡に沿った溶融池が形成されるのに要する時間であり、
    前記第2所要時間は、前記複数個の金属端部の溶融した外面が、溶融状態のまま変曲点のない曲面状に張出した曲面形状に形成されるに要する時間であることを特徴とするレーザ溶接装置の制御装置。
  2. 前記記憶部は、前記第1所要時間以上のときの複数個の経過時間データと複数個の集光点位置データとを対応付けて示すデータマップを備え、
    前記集光点制御部は、前記計時部が前記第1所要時間を計時した以降に前記データマップを用いて前記経過時間データに応じた前記集光点位置データを取得するとともに、該集光点位置データに応じて前記集光点の位置を漸進的に変更するものであることを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接装置の制御装置。
  3. 前記記憶部は、第3所要時間を記憶しており、前記光軸周回部は、前記計時部が、前記第3所要時間を計時した以降に前記軌跡を変更するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ溶接装置の制御装置。
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