JP2013237053A - 亜鉛めっき鋼板の溶接方法 - Google Patents

亜鉛めっき鋼板の溶接方法 Download PDF

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茂樹 齋藤
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Abstract

【課題】
余計な手間やコストを掛けずに、亜鉛めっき鋼板同士の重ね合わせた領域に所定の隙間を正確且つ簡易に形成することによって、溶接時に発生する亜鉛蒸気を確実に除去し、レーザービームや電子ビームを照射してもその照射部位にブローホールやスパッタ等の溶接欠陥が生じない亜鉛めっき鋼板の溶接方法を提供する。
【解決手段】
第一鋼板10と第二鋼板20とを重ね合わせた状態で載置しつつ、第一鋼板10の突起部18を第二鋼板20の窪み部28内に挿入嵌合させる。このとき、第一鋼板10の突起部18の高さ“h”は、第二鋼板20の窪み部28の深さ“d”よりも僅かに高いため、その差分だけ第一鋼板10と第二鋼板20との間に隙間30が形成される。レーザービームLを照射したときに発生する亜鉛蒸気Sは、その隙間30から外部に逃がして除去することができるため、ブローホールやスパッタ等の溶接欠陥の無い高精度な溶接が可能である。
【選択図】図2

Description

本発明は、鉄等の鋼板母材の表面に亜鉛の薄膜を被覆して表面処理加工を施した亜鉛めっき鋼板を、レーザー溶接や電子ビーム溶接等の非接触溶接により溶接する溶接方法に関するものである。
防錆等の目的で、鉄等の鋼板母材の表面に亜鉛の薄膜を被覆して表面処理加工を施してある亜鉛めっき鋼板は、自動車車体の構造部材や建築物の資材等として、従来から幅広い分野で利用されている。このような亜鉛めっき鋼板の溶接に際しては、レーザー溶接や電子ビーム溶接等の非接触溶接による溶接方法が頻繁に利用されている。
例えば、レーザービームを熱源として利用するレーザー溶接(レーザー重ね溶接)では、複数(例えば二枚)の亜鉛めっき鋼板を任意の位置で重ね合わせ、その重ね合わせた領域の一部を溶接部位としてレーザービームを照射する。レーザービームを照射することにより、その照射部位は、鉄等の鋼板母材と表面の亜鉛薄膜とが加熱溶融した後、再び冷却凝固する。これにより、その重ね合わせた領域の一部(照射部位)にて亜鉛めっき鋼板同士が溶接される。このレーザー溶接では、レーザービーム(レーザーを集光したエネルギー密度の高い光束)を集中熱源として重ね合わせた領域の一部又は全部に局所的に照射するため、非常に深い溶け込みが得られるうえ、亜鉛めっき鋼板全体(照射部位以外の部分)に与える熱影響は極めて少なく、殆ど変形を生じさせないという利点がある。
しかしながら、亜鉛めっき鋼板の表面に被覆されている亜鉛の沸点(約900度)が鉄等の鋼板母材の沸点(約1500度)よりも低いため、鋼板母材の溶融直前或いは溶融中に亜鉛めっき鋼板表面の亜鉛が気化して亜鉛蒸気が発生する。特に、重ね合わせて密着した状態の亜鉛めっき鋼板間においては、この亜鉛蒸気が溶融した鋼板母材内部に残留することによりブローホールを形成したり、鋼板母材の一部をその亜鉛蒸気の圧力で吹き飛ばしてスパッタを発生させたりする等の不都合を生じることが多々ある。これらのブローホールやスパッタは、溶接強度不足や外観不良等の溶接欠陥の原因となる。
上記のような亜鉛めっき鋼板の溶接欠陥に対しては、従来から以下のような技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、二枚の亜鉛めっき鋼板の間に可燃性多孔質材からなる薄いシートを介在させた状態で亜鉛めっき鋼板の被溶着部位にレーザー溶接を行う技術が開示されている。また、特許文献2では、重ね合わせた亜鉛めっき鋼板間に少なくとも銅を含むインサート層を挟んでレーザー溶接を行う技術が開示されている。このように特許文献1や特許文献2では、薄いシートやインサート層等の所謂スペーサーを、亜鉛めっき鋼板と亜鉛めっき鋼板の間(重ね合わせた領域)に挟み込み所定の隙間を設けることによって、その隙間から溶接時に発生する亜鉛蒸気を逃がして除去するようにしている。
また、特許文献3では、亜鉛めっき鋼板の重ね合わせた領域における経路に沿って、まず、エネルギー密度が高く狭い照射領域を有した第一レーザー光を移動させながら照射し、その第一レーザー光の照射後に、同じ経路に沿って第一レーザー光よりもエネルギー密度が低く、且つ、第一レーザー光よりも広い照射領域を有した第二レーザー光を移動させながら照射して溶接接合させる技術が開示されている。この特許文献3では、まず、第一レーザー光を照射することにより、狭い照射領域の鋼板部分を溶融させると共に狭い照射領域を含んだその周辺の重ね面の縁を蒸発及び脱気させ、次に、第二レーザー光を照射することにより、広い照射領域の鋼板部分を溶融して溶接するというように、二段階に分けて二種類のレーザー光を照射して溶接することにより、亜鉛蒸気を除去するようにしている。
特開平04−288986号公報 特開2008−105037号公報 特開2009−262186号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に示す技術のように、スペーサーを挟んで隙間を形成する方法では、スペーサーとなる特別な部品や素材が別途必要となり、手間やコスト面からも好ましくないうえ、鉄等の鋼板母材である溶融金属中にスペーサーの材料(異物)が混入して溶接強度に影響を及ぼす可能性が生じるという問題がある。また、このようにスペーサーを挟んで亜鉛めっき鋼板間に隙間を形成する方法では、亜鉛めっき鋼板の押さえ方や亜鉛めっき鋼板若しくはスペーサーの変形により亜鉛めっき鋼板同士の密着性が不安定になり、溶接時に常に一定の隙間を確保することは非常に困難である。このため、隙間が非常に狭くなる場合には、亜鉛蒸気の除去が不十分になりブローホールやスパッタ等の溶接欠陥が相変わらず発生する一方、逆に隙間が非常に広くなる場合には、溶接時に溶融部分が分離したりして溶接強度不足や溶接不良が生じる等の問題がある。
また、特許文献3に示す技術のように、二段階に分けて二種類のレーザー光を照射する場合では、エネルギー密度や照射領域の異なる二種類のレーザー光を使い分け、しかも、別々の工程で夫々のレーザー光を照射する必要があるので、コスト面は勿論、作業工程が増え手間がかかり作業性が劣化するという問題がある。
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑みて為されたものであり、余計な手間やコストを掛けずに、溶接箇所となる亜鉛めっき鋼板同士の重ね合わせた領域に所定の隙間を正確且つ簡易に形成することによって、溶接時に発生する亜鉛蒸気を確実に除去し、レーザービームや電子ビームを照射してもその照射部位にブローホールやスパッタ等の溶接欠陥が生じない亜鉛めっき鋼板の溶接方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明に係る亜鉛めっき鋼板の溶接方法は、少なくとも一方が亜鉛めっき鋼板である二枚の鋼板を重ね合わせて溶接する非接触溶接による溶接方法であって、第一鋼板の一方の面から外側に突出するものであって立上り部と天面部とから成る突起部を形成し、第二鋼板における前記第一鋼板と重ね合わせる領域に前記第一鋼板に対向する面から反対側に向けて陥没するものであって立下り部と底面部とから成る窪み部を形成し、前記突起部の前記天面部と前記一方の面との間の垂直方向の長さを前記窪み部の前記底面部と前記第一鋼板に対向する面との間の垂直方向の長さよりも長くし、前記突起部を前記窪み部に挿入嵌合して前記天面部と前記底面部とを接触させたときに前記第一鋼板と前記第二鋼板とが重なり合う領域であって前記突起部と前記窪み部との嵌合部分以外における前記第一鋼板と前記第二鋼板との対向する面に隙間を発生させ、前記隙間が発生している領域の一部又は全部にレーザービーム又は電子ビームを照射して前記第一鋼板と前記第二鋼板とを互いに溶接することを特徴とするものである。
また、請求項2記載の発明に係る亜鉛めっき鋼板の溶接方法は、前記突起部の垂直方向の長さと前記窪み部の垂直方向の長さとの差が0.05mm〜0.25mmであることを特徴とするものである。
また、請求項3記載の発明に係る亜鉛めっき鋼板の溶接方法は、前記レーザービーム又は前記電子ビームを連続的に照射する場合において、照射開始端点と照射終了端点とを別の箇所とすることを特徴とするものである。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の溶接方法によれば、第一鋼板に形成した突起部の高さ(天面部と一方の面との間の垂直方向の長さ)が第二鋼板に形成した窪み部の深さ(底面部と第一鋼板に対向する面との間の垂直方向の長さ)よりも若干長いため、突起部を窪み部に挿入嵌合し、突起部の天面部と窪み部の底面部とを接触させて第一鋼板と第二鋼板とを重ね合わせて固定したときに、その重ね合わせた領域において第一鋼板と第二鋼板との間(嵌合部分以外の位置)に突起部の高さと窪み部の深さの差分だけ隙間が形成される。そのため、その嵌合部分の周囲(突起部の立上り部又は窪み部の立下り部の外側面より外側であって隙間のある位置)にレーザービーム又は電子ビームを照射して第一鋼板と第二鋼板とを溶接すれば、発生した亜鉛蒸気をその隙間を介して鋼板間から外部に逃がして除去することができ、ブローホールやスパッタ等の溶接欠陥の無い高精度な溶接が可能である。また、このとき、窪み部に突起部を嵌合して第一鋼板と第二鋼板とをしっかり固定しているので、治具等で押さえたときでも両鋼板の安定性が増し、溶接時に常に一定の幅の隙間を容易に確保することができる。また、鋼板の製造においても、鋼板に突起部や窪み部をプレス加工等で簡単に形成するだけで事足りるので、製造が簡単であるうえ、別途スペーサー等を用意する必要も無いので、手間やコストの面から見ても、作業の効率化やコストダウン等が図れ、実用的である。
また、突起部の高さと窪み部の深さの差、即ち、第一鋼板と第二鋼板とを重ね合わせたときに発生する隙間の幅を、0.05mm〜0.25mmの適正な値とすれば、隙間が広過ぎて溶接時に溶融部分が分離したりして溶接強度不足や溶接不良が生じることもないうえ、隙間が狭過ぎて亜鉛蒸気の除去が不十分となりブローホールやスッパタ等の溶接欠陥が生じることもない。
また、レーザービーム等を連続的に照射する場合に照射開始端点と照射終了端点とを別の箇所にすることによって、その照射開始端点と照射終了端点との間から、照射部位より内側(突起部と窪み部の嵌合部分側)に発生した微量の亜鉛蒸気さえも好適に外部に逃がして除去することができる。例えば、環状ではなくて弧状(C字状)にレーザービーム又は電子ビームを照射した場合がこれに該当する。
溶接前における第一鋼板及び第二鋼板を示す断面図である。 第一鋼板と第二鋼板とを重ね合わせて溶接した状態を示す断面図である。 本実施例に係る非接触溶接による溶接方法を示す略概念図である。 (a)(b)溶接跡の拡大平面図である。
以下、図面に基づき、本発明に係る亜鉛めっき鋼板の溶接方法の一実施形態について説明する。
図1は、溶接前における第一鋼板及び第二鋼板を示す断面図である。図2は、第一鋼板と第二鋼板とを重ね合わせて溶接した状態を示す断面図である。図3は、本実施例に係る非接触溶接による溶接方法を示す略概念図である。図4は、溶接跡の拡大平面図である。
本実施例における亜鉛めっき鋼板の溶接方法は、第一鋼板10と第二鋼板20との二枚の鋼板10,20を重ね合わせて、その重ね合わせた領域にレーザービームLを照射して溶接加工するものである。特に、本発明においては、第一鋼板10及び第二鋼板20に事前加工を施してある点に特徴がある。
第一鋼板10は、所謂亜鉛めっき鋼板であり、鉄等から成る鋼板母材12の表面に亜鉛(又は亜鉛を主体とする合金)から成る薄膜14を被覆したものである。
第一鋼板10の一部には、一方の面(第二鋼板20と重ね合わせる際に第二鋼板20側になる面)方向に突出した突起部18が形成されている。突起部18は、円形の天面部16とその天面部16の周囲を囲むように支える立上り部17とから形成されている。この突起部18は、例えば、凸型金具等でプレス加工することにより第一鋼板10の一部に簡単に形成することができる。
第二鋼板20も、所謂亜鉛めっき鋼板であり、鉄等から成る鋼板母材22の表面に亜鉛(又は亜鉛を主体とする合金)から成る薄膜24を被覆したものである。
第二鋼板20の一部には、一方の面(第一鋼板10と重ね合わせる際に第一鋼板10側とは反対側になる面)方向に陥没した窪み部28が形成されている。窪み部28は、円形の底面部26とその底面部26の周囲を囲むように支える立下り部27とから形成されている。この窪み部28は、第一鋼板10の突起部18を挿入して嵌合することが可能な形状及び大きさである。この窪み部28も、例えば、凸型金具等でプレス加工することにより第二鋼板20の一部に簡単に形成することができる。
突起部18は窪み部28に嵌合可能であるので、当然ながら、突起部18の天面部16の直径は、窪み部28の底面部26の直径よりも相対的に小さく設定されている。即ち、突起部18の外径は、窪み部28の内径よりも僅かに小さい。可能であれば、突起部18の天面部16と窪み部28の底面部26とが当接したときに、突起部18の立上り部17の外側面17aと窪み部28の立下り部27の内側面27bとが隙間無く接合するように、それぞれの寸法や形状を設定することが好ましい。
また、本実施例では突起部18及び窪み部28は断面円形の円筒状であるが、互いに嵌合可能な形状であれば、形状はこれに限定されず、四角形等の形状でも構わない。但し、その際も、突起部18と窪み部28とは断面形状を同一にしておき、突起部18の外周や外幅は窪み部28の内周や内幅よりも僅かに小さくしておくことが好ましい。また、突起部18の立上り部17の外側面17aや窪み部28の立下り部27の内側面17bにテーパや溝等を形成しても構わない。テーパや溝等を形成しておけば、嵌合して両鋼板10,20を固定したときにより安定性が増すというメリットがある。
突起部18の高さ“h”(第一鋼板10及び天面部16に対して垂直方向の長さ)は、窪み部28の深さ“d”(第二鋼板20及び底面部26に対して垂直方向の長さ)よりも僅かに高く設定されている。突起部18の高さ“h”と窪み部28の深さ“d”の差は、後述する通り、第一鋼板10と第二鋼板20とを重ね合わせたときにできる鋼板間の隙間30の幅になる。
上記構成の第一鋼板10と第二鋼板20とを溶接する際には、第一鋼板10と第二鋼板20とを重ね合わせた状態で載置しつつ、第一鋼板10の突起部18を第二鋼板20の窪み部28内に挿入嵌合させる。第一鋼板10の突起部18の天面部16が第二鋼板20の窪み部28の底面部26と接触し、その接触によって突起部18の窪み部28への挿入移動が停止すると挿入嵌合が完了となる。
このとき、第一鋼板10の突起部18の高さ“h”は、第二鋼板20の窪み部28の深さ“d”よりも僅かに高いため、その差分だけ第一鋼板10と第二鋼板20との間(突起部18及び窪み部28との嵌合部分38以外の両鋼板10,20が重なり合う領域)に隙間30が形成される。この隙間30の幅は、上述した通り、第一鋼板10の突起部18の高さ“h”と第二鋼板20の窪み部28の深さ“d”との差分に等しく、その差分は、例えば、0.05mm〜0.25mmであることが好ましい。0.05mm未満では隙間30が狭過ぎて亜鉛蒸気Sの除去が不十分となりブローホールやスッパタ等の溶接欠陥が相変わらず生じるおそれがある一方、0.25mm以上では隙間30が広過ぎて溶接時に溶融部分が分離したりして溶接強度不足や溶接不良が生じるおそれがあるからである。
また、この隙間30の幅を厳密に設定し、常にその幅を保持することがここでは非常に重要であるが、本実施例においては、突起部18を窪み部28にきっちりと嵌合して固定しているので、治具で簡単に抑えるだけでも両鋼板10,20は非常に安定し、常に任意の隙間30を保持することができる。
第一鋼板10と第二鋼板20とを重ね合わせて固定したら、第二鋼板20側から重なり合う領域の一部であって、突起部18と窪み部28とが嵌合している部分(嵌合部分38)の近傍に、レーザービームLを照射する。なお、ここでは、第二鋼板20側からレーザービームLを照射することとしているが、反対側の第一鋼板10側から照射しても構わない。
このとき、窪み部28には、そのレーザービームLを照射する側の面(第一鋼板10と重ね合わせる際に第一鋼板10側とは反対側になる面)に、溶接位置を示す円形や十字型の刻印(図示略)をしておくことが好ましい。例えば、十字型の刻印の場合には、その十字線の交点が窪み部28の中心を示すようにしてもよい。その円形や十字型の刻印は、溶接作業の際に、溶接の位置や形状を示す目印となる。このように溶接する位置を示す刻印を付けておけば、位置決めが容易となり、より正確に溶接することが可能となる。また、刻印を付けておけば、作業者が目視で溶接する場合のほか、このような一定のマークにより画像認識を用いて自動溶接も可能となる。
ここで、図3にレーザービームLを照射する際の具体例を略概念図として示す。溶接対象である第一鋼板10と第二鋼板20は突起部18と窪み部28とによって嵌合された状態において、その嵌合部分38近傍を、リモート溶接光学装置50の集光レンズ群52によって捉えられ、その映像は各種ミラー54及びガルバノ・ミラー56を経てカメラ58によって画像として認識される(一点鎖線)。画像として認識された情報は、画像認識処理用PC60に送られ、溶接形状認識処理及び位置補正算出処理等を施される。上記処理を施された情報は、適切な加工プログラム及び位置補正データとして画像認識処理用PC60からレーザー発振器(制御系)62に送られる。レーザー発振器(制御系)62では、それらのプログラム及びデータに従って、レーザー発振器64からレーザービームLを発振する。レーザー発振器64により発振されたレーザービームLは、各種ミラー54及びガルバノ・ミラー56を経て集光レンズ群52を介して溶接対象である第一金属板10と第二金属板20との嵌合位置(溶接指標線30)に照射される。このとき、ガルバノ・ミラー56は、スキャナー装置(制御系)66によって、レーザー発振器(制御系)60から送信される位置補正データ等に従って制御され角度を変える。このようにガルバノ・ミラー56の角度を変えることにより、照射位置の調整を行い、嵌合部分38に沿って正確にレーザービームLを照射することができる。
レーザービームLを嵌合部分38の近傍に照射することにより、その照射部位に相当する第一鋼板10と第二鋼板20とが溶融され、第一鋼板10側の溶融箇所と第二鋼板20側の溶融箇所とが一体となり、その後、その溶融箇所が自然冷却等により凝固することで溶接部が形成され、第一鋼板10と第二鋼板20とが溶接固定される。
このとき、溶融するのは、第一鋼板10及び第二鋼板20の鋼板母材12,22だけではなく、その表面に被覆されている亜鉛(又は亜鉛を主体とする合金)から成る薄膜14,24も、レーザービームLの照射熱によって溶融する。しかし、薄膜14,24を形成する亜鉛の沸点(約900度)が、鋼板母材12,22である鉄等の融点(約1500度)よりも低いため、溶融した亜鉛は、鋼板母材12,22のように溶融後に再び凝固することなく、すぐに気化して亜鉛蒸気Sが発生する。
従来では、この亜鉛蒸気Sが溶融した鋼板母材12,22内部に残留することによりブローホールを形成したり、鋼板母材12,22の一部をその亜鉛蒸気Sの圧力で吹き飛ばしてスパッタを発生させる等の溶接欠陥を引き起こしていた。しかし、本実施例においては、発生した亜鉛蒸気Sは第一鋼板10と第二鋼板20との隙間30から外部に逃がして除去することができるため、ブローホールやスパッタ等の溶接欠陥の無い高精度な溶接が可能である。
レーザービームLは、重ね合わせた領域のうち、任意に設定した起点から同じく任意に設定した終点までの経路に沿って、鋼板10,20に移動させながら連続的に照射する。そして、レーザービームLを起点から終点まで照射し終わると、レーザー溶接は終了する。なお、レーザービームLを照射する際には、第一鋼板10と第二鋼板20を固定状態としてレーザービームLを移動させても良いし、逆に、レーザービームLを固定状態として第一鋼板10と第二鋼板20の方を移動させても良い。
本実施例では、突起部18及び窪み部28の断面形状が円形であるので、例えば、図4に示すように、その嵌合部分38の周囲に沿って弧を描くようにレーザービームLを連続的且つ曲線状に照射している。このとき、レーザービームLを照射する際の起点となる照射開始端点32aと終点となる照射終了端点32bとを同じ位置にすれば、例えば、図4(a)に示すような一周した環状の溶接跡32になる。また、レーザービームLを照射する際の起点となる照射開始端点34aと終点となる照射終了端点34bとを離隔させれば、例えば、図4(b)に示すような開口部36を有する弧状(C字型)の溶接跡34になる。
環状の溶接跡32(図4(a))であれば、広範囲に亘り溶接できるので、溶接強度が向上するというメリットがある。また、そもそも溶接跡32より内側(嵌合部分38側)に発生する亜鉛蒸気(図示略)は無視できる程に微量ではあるが、開口部36を有する弧状の溶接跡34(図4(b))であれば、溶接跡34より内側に発生した亜鉛蒸気(図示略)さえもその開口部36から外部に逃がして除去することができるので、より高精度な溶接が可能になるというメリットがある。
なお、溶接跡の形状は、図3に示すような環状や弧状に限らず、直線、曲線、楕円でも構わない。即ち、溶接跡の形状が如何なる場合であっても、形成された隙間30によち高品質な溶接ができれば、その溶接跡の形状は問わない。
本実施例では、第一鋼板10及び第二鋼板20共に亜鉛めっき鋼板としているが、少なくとも一方が亜鉛めっき鋼板であれば本発明は適用することができ、必ずしも両方共が亜鉛めっき鋼板である必要は無く、一方は表面処理加工が施されていない鋼板や他の金属板等であってもよい。
また、本実施例では、第一鋼板10及び第二鋼板20共に鋼板母材12,22の両面に亜鉛の薄膜14,24を被覆しているが、亜鉛を被覆するのはどちらかの鋼板の片面だけであってもよく、少なくともどちらかの鋼板の重ね合わせ面側に亜鉛の薄膜が存在するものであれば、本発明を好適に適用できる。
また、当然ながら、重ね合わせる鋼板の数は二枚に限定されるものではなく、三枚以上の鋼板を重ね合わせてレーザー溶接をする際にも、本発明は好適に適用できる。
本実施例において、レーザーの種類及びレーザー加工機の構造等については説明を省略してあるが、レーザーは、気体レーザー(炭酸ガスレーザー等)、固体レーザー(YAGレーザー等)、半導体レーザー、液体レーザー等の従来から周知或いは実用化されている各種レーザーが用途に応じて利用できる。また、レーザー加工機は、レーザー照射部(発振器)又は被溶接部材側が任意の速度で垂直方向及び平行方向に適宜移動できるようになっている。
また、上記実施例においては、レーザービームについて説明したが、真空中でフィラメントを加熱させて放出された電子を加速収束することにより、電子ビームとして被溶接部材に当てて溶接を行う電子ビーム溶接においても、本発明の技術は適用可能である。
なお、本発明は、亜鉛めっき鋼板のように、鋼板表面に鋼板母材の融点と同じか若しくはそれよりも低い沸点を有する金属等を被覆した場合の他の表面処理加工板にも援用できる。また、鋼板の鋼板母材の材料も鉄に限定されず、例えば、各種合金等でも良く、鋼板の組成・組織・強度・延性等は問わない。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の溶接方法であれば、溶接時に発生する亜鉛蒸気を好適に除去してブローホールやスパッタ等の溶接欠陥の無い高精度な溶接が可能であるので、例えば、自動車車体の構造部材や建築物の資材等に利用される亜鉛めっき鋼板等の表面処理鋼板の溶接に幅広く適用することができる。
10 第一鋼板
12 鋼板母材
14 薄膜
16 天面部
17 立上り部
18 突起部
20 第二鋼板
22 鋼板母材
24 薄膜
26 底面部
27 立下り部
28 窪み部
30 隙間
32 溶接跡
32a 照射開始端点
32b 照射終了端点
34 溶接跡
34a 照射開始端点
34b 照射終了端点
38 嵌合部分

Claims (3)

  1. 少なくとも一方が亜鉛めっき鋼板である二枚の鋼板を重ね合わせて溶接する非接触溶接による溶接方法であって、
    第一鋼板に一方の面から外側に突出するものであって立上り部と天面部とから成る突起部を形成し、
    第二鋼板における前記第一鋼板と重ね合わせる領域に前記第一鋼板に対向する面から反対側に向けて陥没するものであって立下り部と底面部とから成る窪み部を形成し、
    前記突起部の前記天面部と前記一方の面との間の垂直方向の長さを前記窪み部の前記底面部と前記第一鋼板に対向する面との間の垂直方向の長さよりも長くし、
    前記突起部を前記窪み部に挿入嵌合して前記天面部と前記底面部とを接触させたときに前記第一鋼板と前記第二鋼板とが重なり合う領域であって前記突起部と前記窪み部との嵌合部分以外における前記第一鋼板と前記第二鋼板との対向する面に隙間を発生させ、
    前記隙間が発生している領域の一部又は全部にレーザービーム又は電子ビームを照射して前記第一鋼板と前記第二鋼板とを互いに溶接することを特徴とする亜鉛めっき鋼板の溶接方法。
  2. 前記突起部の垂直方向の長さと前記窪み部の垂直方向の長さとの差が0.05mm〜0.25mmであることを特徴とする請求項1記載の亜鉛めっき鋼板の溶接方法。
  3. 前記レーザービーム又は前記電子ビームを連続的に照射する場合において、照射開始端点と照射終了端点とを別の箇所とすることを特徴とする請求項1又は2記載の亜鉛めっき鋼板の溶接方法。
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