次に、添付図面に基づいて、本発明に係る紙葉類搬送装置の実施形態につき説明する。なお、搬送対象である紙葉類とは、紙幣や書面といった保形性のある紙類(ティッシュペーパーのように、搬送流に対して保形性を有しないものを除く)、樹脂製のフィルム(プラスティック紙幣を含む)や薄いカード類などが適用できる。本実施形態の紙葉類搬送装置においては、紙製の紙幣(一対の長辺と一対の短辺からなる矩形状の紙幣)を搬送対象とした紙幣搬送装置として説明する。また、搬送用流体としては、気体に限らず液体を用いることも可能であるが、本実施形態の紙幣搬送装置においては、空気(エア)を搬送用流体として用いた。また、本実施形態では、紙幣を重力方向に立てた状態で搬送するので、便宜上、紙幣の紙面(対向する二面)が臨む方向を左右または側方、これに直交する重力方向を上下という。
図1に示す紙幣搬送装置1は、例えば遊技店に設置され、遊技媒体貸出装置やカード販売装置等へ投入された紙幣PMを、直線搬送管2や合流管3等の内部に形成された搬送路内を通過させて一箇所へ集めるような使い方が可能である。本実施形態の紙幣搬送装置1では、紙幣PMの紙面が鉛直方向となるように搬送するものとしたので、図1(A)は紙幣搬送装置1を上方(紙幣PMの紙面が見えない向き)から見た概略構成を示し、図1(B)は紙幣搬送装置1を側方(紙幣PMの紙面が見える向き)から見た概略構成を示す。
例えば、直線搬送管2により形成された略直線状の第1搬送路21と、この第1搬送路21とは異なる流路として直線搬送管2により形成された略直線状の第2搬送路22とを平行に配置し、それぞれ合流管3の第1搬送誘導部3a1、第2搬送誘導部3a2と接続する。合流管3において、第1搬送誘導部3a1と第2搬送誘導部3a2は合流部3bにて合流し、合流部3bの下流に連なる合流誘導部3cの最下流端は合流接続部3dである。第1,第2搬送路21,22の下流端よりも下流の流路として直線搬送管2により形成された略直線状の統合搬送路23の上流端を、合流管3の合流接続部3dと接続することで、2本の流路が1本の流路に統合される紙幣搬送路を構成できる。
第1,第2搬送路21,22の上流端には搬送流発生装置4が接続され、この搬送流発生装置4が搬送用流体としての搬送用エアを吹き出して各流路内へ送ると共に、統合搬送路23の最下流側にて搬送用エアを吸引することで、搬送流TFが生じる。この搬送流TFによって紙幣PMを上流から下流に向けて搬送して行くことができる。なお、搬送流発生装置4は、第1搬送路21への送風機能と第2搬送路22への送風機能を別々に備えるものでもよいし、1つの送風機能で第1,第2搬送路21,22の搬送流TFを同時に発生させるものでもよい。
統合搬送路23の下流端には紙幣回収装置5が接続され、搬送流TFにより搬送されてきた紙幣PMを紙幣回収装置5により回収し、例えば紙幣スタッカに貯めておく。なお、紙幣回収装置5には、統合搬送路23より搬送用エアを吸引する吸引装置等を設けても良いし、全体がU字状に湾曲する紙幣搬送路とすることで搬送流発生装置4と紙幣回収装置5とを隣接させ、搬送流発生装置4の吸引部によって統合搬送路23内の搬送用エアを吸引するエア循環構造としても良い。
紙幣搬送装置1により搬送される搬送対象の紙幣PMは、適所に設けた紙幣送り込み装置6から長辺方向が搬送方向となるように直線搬送管2内へ送り込まれる。なお、紙幣送り込み装置6を直線搬送管2等と接続するために、上流側搬送管連結構造と下流側搬送管連結構造を紙幣送り込み装置6に設けてもよいし、紙幣送り込み装置連結構造を直線搬送管2等に設けてもよい。また、紙幣送り込み装置6によって第1,第2搬送路21,22内へ送り込まれる紙幣PMは、遊技媒体貸出装置等が備える紙幣識別装置7にて真贋判定された適切な紙幣PMである。直線搬送管2内における紙幣PMは、前述したように紙面が搬送方向と平行になる縦向きで、例えば、搬送方向と平行な第1搬送平行辺PM1aが上辺、搬送方向と平行な第2搬送平行辺PM1bが下辺、搬送方向と直交する第1搬送直交辺PM2aが前辺、搬送方向と直交する第2搬送直交辺PM2bが後辺となる(図1(B)を参照)。
ここで、第1構成例の合流管3について説明する。図2及び図3に示すように、合流管3は、第1搬送路21を形成する直線搬送管2の下流端と接続される第1搬送誘導部3a1と、第2搬送路22を形成する直線搬送管2の下流端と接続される第2搬送誘導部3a2とを備える。これら第1,第2搬送誘導部3a1,3a2は、適宜離れて平行に配置されている第1搬送路21と第2搬送路22に連なる流路を互いに近づけるよう、下流に向かって徐々に近づく流路である。これら第1,第2搬送誘導部3a1,3a2の下流には合流部3bが連なり、2つの流路を一つの流路に収束させる。この合流部3bの下流に連なる合流誘導部3cの流路方向は、統合搬送路23と同じ向きであり、この合流誘導部3cの下流端である合流接続部3dが、統合搬送路23を形成する直線搬送管2の上流端と接続される。
上記のような各流路が内部に形成される合流管3は、第1外側壁部31aと第1内側壁部31bと第2外側壁部32aと第2内側壁部32bと第1端側壁部33と第2端側壁部34とで囲まれた外観形状である。第1外側壁部31aは、紙幣PMの一方の面が臨み、第1搬送誘導部3a1の上流端から合流部3bを経て合流誘導部3cの下流端へ至る壁体である。第1内側壁部31bは、紙幣PMの他方の面が臨むように第1外側壁部31aと対向状に設けられ、第1搬送誘導部3a1の上流端から下流端へ至る壁体である。第2外側壁部32aは、紙幣PMの一方の面が臨み、第2搬送誘導部3a2の上流端から合流部3bを経て合流誘導部3cの下流端へ至る壁体である。第2内側壁部32bは、紙幣PMの他方の面が臨むように第2外側壁部32aと対向状に設けられ、第2搬送誘導部3a2の上流端から下流端へ至る壁体である。第1端側壁部33は、紙幣PMの第1搬送平行辺PM1aが臨む上側(第1端側)を閉塞する上蓋体である。第2端側壁部34は、紙幣PMの第2搬送平行辺PM1bが臨む下側(第2端側)を閉塞する下蓋体である。
第1外側壁部31aと第1内側壁部31bは、等距離を隔てて対向するので、等幅の流路として第1搬送誘導部3a1が形成され、第1搬送路21からの第1搬送流TF1が流入する。同様に、第2外側壁部32aと第2内側壁部32bも、等距離を隔てて対向するので、等幅の流路として第2搬送誘導部3a2が形成され、第2搬送路22からの第2搬送流TF2が流入する。合流管3の下流側においても、第1外側壁部31aと第1内側壁部31bは、等距離を隔てて対向するので、等幅の流路として合流誘導部3cが形成され、統合搬送路23へ統合搬送流TF3を供給する。なお、本構成例の合流管3では、並設された第1搬送誘導部3a1と第2搬送誘導部3a2との横方向中間位置に合流誘導部3cが形成されるものとしたが、この構造に限定されるものではない。後述する合流部3bの構造に応じて、合流誘導部3cを第1搬送誘導部3a1側に寄せた配置、あるいは第2搬送誘導部3a2側に寄せた配置とすることもできる。
第1,第2搬送誘導部3a1,3a2の下流から合流誘導部3cの上流に至る合流部3bは、第1外側壁部31aと第2外側壁部32aとの間に形成される流路で、概ね第1内側壁部31bと第2内側壁部32bとが接合される合流基部35を越えた下流側の流路である。なお、第1内側壁部31bは合流基部35にて途絶しているが、図3に二点鎖線で示すように、第1内側壁部31bが第1外側壁部31aと等距離を隔てて延設された場合の第1内側壁仮想延長線31b-ELは、滑らかに第2外側壁部32aに接することとなる。同様に、第2内側壁部32bも合流基部35にて途絶しているが、図3に二点鎖線で示すように、第2内側壁部32bが第2外側壁部32aと等距離を隔てて延設された場合の第2内側壁仮想延長線32b-ELは、滑らかに第1外側壁部31aに接することとなる。これら第1,第2内側壁仮想延長線31b-EL,32b-ELが、第1,第2外側壁部31a,32aと交接して、第1,第2搬送誘導部3a1,3a2と同じ幅の流路に収束した部位が、合流部3bの下流端となる。
なお、本構成例の合流管3においては、合流部3bの更に下流側に設けた合流誘導部3cを介して統合搬送路23と接続し、第1搬送流TF1と第2搬送流TF2を合流させた統合搬送流TF3の風向等を安定さて統合搬送路23へ供給するものとした。しかしながら、統合搬送路23の上流端と接続するための合流接続部3dは、必ずしも合流誘導部3cの下流端に設ける必要はない。例えは、合流誘導部3cを設けずに、合流部3bの下流端が合流管3の下流端部となるようにし、この下流端部を合流接続部3dとして、統合搬送路23を形成する直線搬送管2等の最上流端と接続するようにしても構わない。ただし、合流部3bの下流端となる合流接続部3dにおける第1,第2外側壁部31a,32aの接線方向が統合搬送路23における搬送方向と同じになるよう調整し、統合搬送流TF3が滑らかに流れるようにすることが望ましい。
さらに、合流管3には、第1搬送誘導部3a1および第2搬送誘導部3a2が合流する合流部3bにおいて、紙幣PMの搬送方向を制御するための搬送用エア(搬送用流体)の流れである搬送制御流CFを発生させる搬送制御手段を設けてある。これは、第1搬送誘導部3a1から合流部3bへ第1搬送流TF1が流入したとき、あるいは第2搬送誘導部3a2から合流部3bへ第2搬送流TF2が流入したとき、第1,第2搬送流TF1,TF2の一部が紙幣PMの安定搬送を妨げる不具合(巻き込み現象)を回避するためである。このような不具合は、搬送流発生装置4による吹き出し流が、紙幣回収装置5側に設けた吸引装置による吸引流よりも大きい場合に生ずるので、仮に吐出力と吸引力が同程度であれば、合流管3を搬送流発生装置4に近づけて配置した紙幣搬送装置1において問題となる。なお、紙幣回収装置5側に設けた吸引装置による吸引流が、搬送流発生装置4による吹き出し流よりも大きくなる部位に合流管3を配置した場合、紙幣PMは統合搬送路23に向かって強く引き込まれて行くので、このような不具合は生じない。以下、搬送制御手段の一例を図4及び図5に基づいて説明する。
第1内側壁部31bの下流端と第2内側壁部32bの下流端とが接合される合流基部35には、第1端側壁部33方向に寄せて第1噴射口361を、第2端側壁部34方向に寄せて第2噴射口362をそれぞれ設けてある。第1,第2噴射口361,362は、第1内側壁部31bの外面31b1から内面31b2、および第2内側壁部32bの外面32b1から内面32b2を貫通する通孔であり、搬送平行中心面PSに対して対称に設けられている。搬送平行中心面PSは、合流誘導部3cにおいて第1,第2外側壁部31a,32aの壁間中心を通って紙幣PMの搬送方向と平行な仮想面である。
また、第1噴射口361と第2噴射口362は、搬送直交中心面VSに対しても対称に設けられる。搬送直交中心面VSは、合流誘導部3cにおいて第1,第2外側壁部31a,32aそれぞれの中間位置を通って紙幣PMの搬送方向に直交する仮想面である。よって、搬送直交中心面VSに対し、第1噴射口361における第2端側壁部34側の開口端縁である第2開口端縁部361bまでの距離と、第2噴射口362における第1端側壁部33側の開口端縁である第1開口端縁部362aまでの距離とは等しい。同じく、搬送直交中心面VSに対し、第1噴射口361における第1端側壁部33側の開口端縁である第1開口端縁部361aまでの距離と、第2噴射口362における第2端側壁部34側の開口端縁である第2開口端縁部362bまでの距離は等しい。
そして、第1,第2内側壁部31b,32bの外面31b1,32b1側には、図5(B)に示すように、送風装置371により発生させたエアの流れである補助流SFを、第1,第2噴射口361,362へ導く流体誘導部としての補助流誘導路372を設ける。すなわち、合流基部35に開設した第1,第2噴射口361,362と、補助流SFを導く補助流誘導路372を備える合流管3においては、送風装置371からの補助流SFが第1,第2噴射口361,362を通過することで、合流部3b内に搬送制御流CFが発生する。
上記のように、合流基部35に開設した第1,第2噴射口361,362と、補助流SFを発生させる送風装置371と、補助流SFを導く補助流誘導路372とで搬送制御手段を構成した合流管3Aにおける搬送用流体の流れについて、図6を参照して説明する。なお、この合流管3Aは、紙幣搬送装置1において「紙幣回収装置5側の吸引流<搬送流発生装置4側の吹き出し流」となる部位に配置されている。
図6(A)に示すように、第1搬送路21から第1搬送流TF1が第1搬送誘導部3a1に供給され、第2搬送路22からは第2搬送流TF2が供給されていないとき、第1搬送流TF1のみが合流部3bを通過して合流誘導部3cへ至る。このとき、第1搬送流TF1のほとんどは合流誘導部3cへ流れて行くものの、第1搬送流TF1の一部が第1分岐流TF1-dとなって、第2搬送誘導部3a2側へ流れ込んでしまう。よって、合流部3bから合流誘導部3cには、第1搬送流TF1から第1分岐流TF1-dが失われた第1搬送流TF1′となる。このような搬送用流体の流れとなっている合流管3Aの第1搬送誘導部3a1に紙幣PMが搬送されてきた場合、合流部3bにおいて第1分岐流TF1-dに紙幣PMが巻き込まれて下流へ安定して流れなくなる巻き込み現象が発生してしまう危険性がある。
図6(B)に示すように、第2搬送路22から第2搬送流TF2が第2搬送誘導部3a2に供給され、第1搬送路21からは第1搬送流TF1が供給されていないとき、第2搬送流TF2のみが合流部3bを通過して合流誘導部3cへ至る。このときも、第2搬送流TF2のほとんどが合流誘導部3cへ流れて行くものの、第2搬送流TF2の一部が第2分岐流TF2-dとなって、第1搬送誘導部3a1側へ流れ込んでしまう。よって、合流部3bから合流誘導部3cには、第2搬送流TF2から第2分岐流TF2-dが失われた第2搬送流TF2′となる。このような搬送用流体の流れとなっている合流管3Aの第2搬送誘導部3a2に紙幣PMが搬送されてきた場合、合流部3bにおいて第2分岐流TF2-dに紙幣PMが巻き込まれて下流へ安定して流れなくなる巻き込み現象が発生してしまう危険性がある。
図6(C)に示すように、第1搬送路21から第1搬送流TF1が第1搬送誘導部3a1に供給され、第2搬送路22から第2搬送流TF2が第2搬送誘導部3a2に供給されているとき、第1搬送流TF1と第2搬送流TF2が共に合流部3bを通過して合流誘導部3cへ至る。このとき、第1搬送流TF1および第2搬送流TF2のほとんどは合流誘導部3cへ流れて行くものの、一部は分岐流となって他方の誘導部へ流れ込もうとするため、合流基部35の近傍には渦流VFが発生してしまう。このような搬送用流体の流れとなっている合流管3Aの第1搬送誘導部3a1または第2搬送誘導部3a2に紙幣PMが搬送されてきた場合、合流部3bにおいて渦流VFに紙幣PMが巻き込まれ、減速や停滞が生じ、紙幣搬送の障害となる。なお、合流部3bから合流誘導部3cには、第1搬送流TF1および第2搬送流TF2の合算風量から渦流VFとなって失われた風量を減じた統合搬送流TF3′が流れることとなる。
図6(D)に示すように、第1搬送路21から第1搬送流TF1が第1搬送誘導部3a1に供給され、第2搬送路22から第2搬送流TF2が第2搬送誘導部3a2に供給されているときに、搬送制御手段により搬送制御流CFを発生させる。すると、合流部3bにおいて第1搬送流TF1の一部が第1分岐流TF1-dとなることを搬送制御流CFによって防ぎ、第1搬送流TF1は円滑に合流誘導部3cへ流れて行く。同様に、合流部3bにおいて第2搬送流TF2の一部が第2分岐流TF2-dとなることを搬送制御流CFによって防ぎ、第2搬送流TF2は円滑に合流誘導部3cへ流れて行く。すなわち、合流基部35の第1,第2噴射口361,362から生じさせた搬送制御流CFが、紙幣PMの巻き込み現象を抑制し、紙幣PMの安定搬送を可能にする。また、搬送制御流CFは、第1,第2搬送誘導部3a1,3a2から合流部3bへ向かう紙幣PMの紙面に対して、下流向き斜めに押し当たることとなるので、搬送制御流CFから紙幣PMに下流向きの搬送力が与えられることとなる。
なお、合流部3bにて合流した第1搬送流TF1および第2搬送流TF2に加えて、搬送制御流CFが合流誘導部3cへ至るので、これらの合算風量が統合搬送流TF3となる。このとき、第1,第2搬送誘導部3a1,3a2の各流路断面と合流誘導部3cの流路断面とが同一形状であるため、第1搬送流TF1と第2搬送流TF2が同時に合流管3に供給されると、合流誘導部3cの内圧が相当に高くなる。この圧力差が紙幣PMの搬送に障害とならないように、合流誘導部3c内を適正圧力に自動調整する調圧手段(後に詳述)を設けておくことが望ましい。
また、搬送制御流CFは、第1,第2噴射口361,362の開口位置や開口形状、補助流SFの流圧や第1,第2噴射口361,362への流入方向などのファクターを変えれば、多様な流速や噴出方向にコントロールできる。例えば、搬送制御流CFからの風量を高める場合、第1,第2噴射口361,362の高さ方向の開口量を増やすことで対応できる。ただし、第1,第2噴射口361,362の開口位置は、搬送直交中心面VSを含む所要範囲を避けるようにしておく。これは、直線搬送管2等の搬送路内を流れる搬送用流体の流れが、高さ方向の中央付近よりも上下部(第1端側壁部33や第2端側壁部34に近い部位)で強くなる傾向があるためである。合流基部35の中央付近(搬送直交中心面VSを含む所要範囲)では、紙幣搬送の障害となるほどの第1,第2分岐流TF1-d,TF2-dが発生していないので、この付近にて搬送制御流CFを発生させてしまうと、搬送制御流CF自体が乱流の発生要因となってしまう危険性がある。よって、合流基部35における高さ方向(紙幣PMの搬送方向に直交する向き)の中央付近を避けて、第1端側壁部33側に第1噴射口361を、第2端側壁部34側に第2噴射口362を、それぞれ設けた構造は理にかなっている。なお、搬送制御手段における噴射口は、上下に1箇所ずつ設ける場合に限らず、上側と下側にそれぞれ複数設けるようにしてもよい。
上述した合流管3Aは、合流基部35に開設した第1,第2噴射口361,362と、補助流SFを発生させる送風装置371と、補助流SFを導く補助流誘導路372とで搬送制御手段を構成したが、送風装置371を別途必要とすることは、装置構造を複雑化するし、コスト増にもなる。そこで、補助流SFを得るための外部装置を必要としない搬送制御手段について、図7及び図8に基づき説明する。
図7は、第1,第2内側壁部31b,32bを上方(第1端側壁部33側)から俯瞰した状態を示す。第1内側壁部31bの外面31b1側には、流体誘導路としての第1搬送流誘導路373を設け、第2内側壁部32bの外面32b1側には、流体誘導路としての第2搬送流誘導路374を設けてある。図7では、合流基部35の第1噴射口361に対応する第1,第2搬送流誘導路373,374のみを示したが、第2噴射口362に対応する第1,第2搬送流誘導路373,374も上下対称の構造で設けることができる。
第1搬送流誘導路373を形成するため、第1噴射口361の第2開口端縁部361bとほぼ面一な位置で第1内側壁部31bの外面31b1側に突出する第1補助区画部373aと、第1内側壁部31bの外面31b1からほぼ一定距離を隔てて配された壁体である第1補助側壁部373bを設ける。第1内側壁部31bと第1補助側壁部373bの上端側を、図示を省略した第1端側壁部33で閉塞すると、搬送用流体の誘導路である第1搬送流誘導路373が形成される。なお、第1補助側壁部373bの外面373b1の表面形状は任意で構わないが、第1補助側壁部373bの内面373b2は、第1内側壁部31bの外面31b1と同様に、搬送用流体の流れを妨げない滑らかな曲面としておくことが望ましい。
第2搬送流誘導路374を形成するため、第1噴射口361の第2開口端縁部361bとほぼ面一な位置で第2内側壁部32bの外面32b1側に突出する第2補助区画部374aと、第2内側壁部32bの外面32b1からほぼ一定距離を隔てて配された壁体である第2補助側壁部374bを設ける。第1内側壁部31bと第1補助側壁部373bの上端側を、図示を省略した第1端側壁部33で閉塞すると、搬送用流体の誘導路である第2搬送流誘導路374が形成される。なお、第2補助側壁部374bの外面374b1の表面形状は任意で構わないが、第2補助側壁部374bの内面374b2は、第2内側壁部32bの外面32b1と同様に、搬送用流体の流れを妨げない滑らかな曲面としておくことが望ましい。
上記のように構成した第1,第2搬送流誘導路373,374に搬送用流体を流し込む構造は、特に限定されない。例えば、搬送流発生手段としての搬送流発生装置4の動作により第1,第2搬送誘導部3a1,3a2内に発生した搬送流を第1,第2搬送流誘導路373,374へ誘導する流路構造を、第1,第2内側壁部31b,32bの上部と第1端側壁部33との間に設けてもよい。また、搬送流発生手段としての搬送流発生装置4の動作により第1,第2搬送誘導部3a1,3a2内に発生した搬送流を第1,第2内側壁部31b,32bの壁面から第1,第2搬送流誘導路373,374に誘導する流路構造を設けてもよい。あるいは、合流管3よりも上流に設けた直線搬送管2等に、管内を流れる搬送用流体を第1,第2搬送流誘導路373,374まで導いて供給する搬送用流体供給構造を設けてもよい。何れにしても、紙幣PMの搬送に用いる搬送用流体を第1,第2搬送流誘導路373,374に流し込んで、補助流SFとして用いれば、送風装置371を別途必要としないので、実用的である。しかも、搬送流発生装置4により発生させた搬送流を補助流SFとして用いる場合には、搬送流発生装置4により搬送流を制御することにより、第1,第2噴射口361,362より噴射される搬送制御流CFを変化させることもできる。
上記のように、合流基部35に開設した第1,第2噴射口361,362と、搬送路内を流れる搬送用流体を第1,第2噴射口361,362へ導く第1,第2搬送流誘導路373,374とで搬送制御手段を構成した合流管3Bにおける搬送用流体の流れについて、図8を参照して説明する。なお、この合流管3Bも、紙幣搬送装置1において「紙幣回収装置5側の吸引流<搬送流発生装置4側の吹き出し流」となる部位に配置されている。
図8(A)に示すように、第1搬送路21から第1搬送流TF1が第1搬送誘導部3a1に供給され、第2搬送路22からは第2搬送流TF2が供給されていないとき、第1搬送流TF1のみが合流部3bを通過して合流誘導部3cへ至る。このとき、第1搬送流TF1を流用した第1補助流SF1も第1搬送流誘導路373から第1,第2噴射口361,362へ誘導されるので、合流部3b内に搬送制御流CFが発生する。よって、合流基部35の第1,第2噴射口361,362から生じさせた搬送制御流CFが、紙幣PMの巻き込み現象を抑制し、紙幣PMの安定搬送を可能にする。また、搬送制御流CFは、紙幣PMの側面に搬送力を与えるので、スムースな紙幣搬送に寄与できる。
図8(B)に示すように、第2搬送路22から第2搬送流TF2が第2搬送誘導部3a2に供給され、第1搬送路21からは第1搬送流TF1が供給されていないとき、第2搬送流TF2のみが合流部3bを通過して合流誘導部3cへ至る。このとき、第2搬送流TF2を流用した第2補助流SF2も第2搬送流誘導路374から第1,第2噴射口361,362へ誘導されるので、合流部3b内に搬送制御流CFが発生する。よって、合流基部35の第1,第2噴射口361,362から生じさせた搬送制御流CFが、紙幣PMの巻き込み現象を抑制し、紙幣PMの安定搬送を可能にする。また、搬送制御流CFは、紙幣PMの側面に搬送力を与えるので、スムースな紙幣搬送に寄与できる。
図8(C)に示すように、第1搬送路21から第1搬送流TF1が第1搬送誘導部3a1に供給され、第2搬送路22から第2搬送流TF2が第2搬送誘導部3a2に供給されているとき、第1,第2搬送流TF1,TF2が共に合流部3bを通過して合流誘導部3cへ至る。このとき、第1搬送流TF1を流用した第1補助流SF1が第1搬送流誘導路373から、第2搬送流TF2を流用した第2補助流SF2が第2搬送流誘導路374から、それぞれ第1,第2噴射口361,362へ誘導されるので、合流部3b内に搬送制御流CFが発生する。よって、合流基部35の第1,第2噴射口361,362から生じさせた搬送制御流CFが、紙幣PMの巻き込み現象を抑制し、紙幣PMの安定搬送を可能にする。また、搬送制御流CFは、紙幣PMの側面に搬送力を与えるので、スムースな紙幣搬送に寄与できる。
上述した第1,第2噴射口361,362と第1,第2搬送流誘導路373,374とで搬送制御手段を構成した合流管3Bにおいては、第1,第2搬送路21,22の一方のみに搬送流を流す場合でも、第1,第2搬送路21,22の両方に搬送流を流す場合でも、搬送制御流CFを自動的に発生させることができ、利便性が高いものとなる。
また、搬送制御手段を備えた合流管3においては、紙幣PMの巻き込み現象を抑制できるので、紙幣PMが合流管3の内壁等に張り付いて滞留する危険性は低いものの、より安全を期すため、図9に示すように、ガイドリブ38を設けてもよい。ガイドリブ38は、第1内側壁部31bの内面31b2と第2内側壁部32bの内面32b2において搬送方向に連続して突出する突状体であり、その断面形状は略三角とした。
よって、合流管3の第1,第2搬送誘導部3a1,3a2内を通過中の紙幣PMが第1,第2内側壁部31b,32bの内面31b2,32b2に近接したとしても、紙幣PMはガイドリブ38と線接触する程度であり、流路内に滞留するほどの摩擦は生じない。
しかも、第1内側壁部31b側に設けたガイドリブ38と、第2内側壁部32b側に設けたガイドリブ38とが合流基部35において一体に繋がる接合端部38aは、鋭角的に下流へ突出した形状となる(図9(B)を参照)。すなわち、ガイドリブ38の接合端部38aは、合流基部35の下流端よりも距離Lだけ下流側に位置するので、渦流VF等が発生している領域より下流まで紙幣PMを誘導することができ、紙幣PMの巻き込み現象の緩和に寄与できる。また、第1,第2搬送路21,22から紙幣PMがほぼ同時に搬送されてしまい、合流管3の合流部3bに2枚の紙幣PMがほぼ同時に到達した場合でも、ガイドリブ38によって接合端部38aまで紙幣PMが誘導されることとなり、紙幣PMの衝突による衝撃を緩和させるという効果もある。
ガイドリブ38の形成位置は、特に限定されるものではないが、第1,第2噴射口361,362それぞれの縦方向中間位置に設けておくことが望ましい。例えば、第1噴射口361の縦幅をWとしたとき、第1噴射口361の第1開口端縁部361aから接合端部38aまでの距離および第2開口端縁部361bから接合端部38aまでの距離が概ねW/2となる。同様に、第2噴射口362の縦幅がWのとき、第2噴射口362の第1開口端縁部362aから接合端部38aまでの距離および第2開口端縁部362bから接合端部38aまでの距離が概ねW/2となる。第1,第2噴射口361,362を通過する搬送用流体の流れは、縦方向の中央付近よりも上下部(第1端側壁部33や第2端側壁部34に近い部位)で強くなる傾向があるため、ガイドリブ38を縦方向中間位置に設けておけば、搬送制御流CFに与える影響を軽減できるのである。
また、前述した合流管3は、搬送方向がほぼ平行な第1,第2搬送路21,22を合流させるものであったが、第1搬送路21と第2搬送路22の搬送方向が異なるものを合流させることも可能である。図10および図11に示す第2構成例の合流管3′は、統合搬送路23と同一直線状にある第1搬送路21と、統合搬送路23と直交する第2搬送路22とを合流させる構造である。
合流管3′は、第1搬送路21を形成する直線搬送管2の下流端と接続される第1搬送誘導部3a1′と、第2搬送路22を形成する直線搬送管2の下流端と接続される第2搬送誘導部3a2′とを備え、第1,第2搬送路21,22から第1,第2搬送流TF1,TF2が流入する。これら第1,第2搬送誘導部3a1′,3a2′の下流には合流部3b′が連なり、2つの流路を一つの流路に収束させる。なお、この合流部3b′の下流端を合流接続部3d′とし、統合搬送路23を形成する直線搬送管2の上流端と接続するものとしたが、合流部3b′の下流に連なる合流誘導部3c′を設けてもよい。
上記のような各流路が内部に形成される合流管3′は、第1外側壁部31a′と第1内側壁部31b′と第2外側壁部32a′と第2内側壁部32b′と第1端側壁部33′と第2端側壁部34′とで囲まれた外観形状である。第1外側壁部31a′は、紙幣PMの一方の面が臨み、第1搬送誘導部3a1′の上流端から合流部3b′の下流端まで真っ直ぐな平板状の壁体である。第1内側壁部31b′は、紙幣PMの他方の面が臨むように第1外側壁部31a′と対向状に設けられ、第1搬送誘導部3a1′の上流端から下流端まで真っ直ぐな平板状の壁体である。第2外側壁部32a′は、紙幣PMの一方の面が臨み、第2搬送誘導部3a2′の上流端から合流部3b′下流端へ至る円弧状の湾曲壁体である。第2内側壁部32b′は、紙幣PMの他方の面が臨むように第2外側壁部32a′と対向状に設けられ、第2搬送誘導部3a2′の上流端から下流端へ至る円弧状の湾曲壁体である。第1端側壁部33′は、紙幣PMの第1搬送平行辺PM1aが臨む上側(第1端側)を閉塞する上蓋体である。第2端側壁部34′は、紙幣PMの第2搬送平行辺PM1bが臨む下側(第2端側)を閉塞する下蓋体である。
第1外側壁部31a′と第1内側壁部31b′は、等距離を隔てて対向するので、等幅の流路として第1搬送誘導部3a1′が形成され、第1搬送路21からの第1搬送流TF1が流入する。同様に、第2外側壁部32a′と第2内側壁部32b′も、等距離を隔てて対向する円弧状なので、等幅の流路として第2搬送誘導部3a2′が形成され、第2搬送路22からの第2搬送流TF2が流入する。合流管3′の下流側においても、第1外側壁部31a′と第1内側壁部31b′は、等距離を隔てて対向するので、合流部3b′の下流端である合流接続部3d′に統合搬送路23を形成する直線搬送管2を接続でき、統合搬送路23へ統合搬送流TF3を供給する。
第1,第2搬送誘導部3a1′,3a2′の下流から合流接続部3d′に至る合流部3b′は、第1外側壁部31a′と第2外側壁部32a′との間に形成される流路で、概ね第1内側壁部31b′と第2内側壁部32b′とが接合される合流基部35′を越えた下流側の流路である。なお、第1内側壁部31b′は合流基部35′にて途絶しているが、図11に二点鎖線で示すように、第1内側壁部31b′が第1外側壁部31a′と等距離を隔てて延設された場合の第1内側壁仮想延長線31b′-ELは、直線状のまま第2外側壁部32a′の下流端に接することとなる。同様に、第2内側壁部32b′も合流基部35′にて途絶しているが、図11に二点鎖線で示すように、第2内側壁部32b′が第2外側壁部32a′と等距離を隔てて延設された場合の第2内側壁仮想延長線32b′-ELは、滑らかに第1外側壁部31a′の下流端に接することとなる。
さらに、合流管3′においても、第1搬送誘導部3a1′および第2搬送誘導部3a2′が合流する合流部3b′において、紙幣PMの搬送方向を制御するための搬送用エア(搬送用流体)の流れである搬送制御流CFを発生させる搬送制御手段を設ける。搬送制御手段としては、前述した送風装置371や補助流誘導路372を用いて補助流SFを第1,第2噴射口361′,362′へ誘導する構成でもよいし、第1,第2搬送流誘導路373,374を用いて補助流SFを第1,第2噴射口361′,362′へ誘導する構成でもよい。
なお、紙幣PMの安定搬送が可能にする向きに搬送制御流CFを噴出できれば、第1,第2噴射口361′,362′の開設方向は特に限定されないが、合流管3′においては、合流基部35′から合流接続部3d′の路幅中間位置(端部中心CP)に向かわせるものとした。例えば、第1外側壁部31a′と、第1内側壁部31b′および第1内側壁仮想延長線31b′-ELとが側壁となる直線状流路を仮想したとき、直線状流路の幅方向中心線となる第1中心線CL1は、合流接続部3d′において端部中心CPに至る。また、第2外側壁部32a′と、第2内側壁部32b′および第2内側壁仮想延長線32b′-ELとが側壁となる円弧状流路を仮想したとき、円弧状流路の幅方向中心線となる第2中心線CL2は、合流接続部3d′において端部中心CPに至る。よって、合流基部35′から端部中心CPへ向かうように第1,第2噴射口361′,362′を開設しておけば、適切な搬送制御流CFを得やすいのである。
参考までに、日本の紙幣PM(76〔mm〕×160〔mm〕)を搬送対象とする場合、第1,第2搬送誘導部3a1′,3a2′および合流接続部3d′の路幅を18〔mm〕に、中心Oから第2中心線CL2までの半径を150〔mm〕にすれば、実用的な合流管3′を構成できる。なお、第1端側壁部33′と第2端側壁部34′との間の距離は、80〔mm〕程度とする。
上述した第1,第2構成例の合流管3,3′では、第1搬送路21と第2搬送路22から同時に第1,第2搬送流TF1,TF2が供給された場合、統合搬送路23へ供給する統合搬送流TF3の内圧が高くなることは、前述したとおりである。そこで、図12及び図13に示す第3構成例の合流管3″には、統合搬送路23へ供給する搬送用エアの圧力を調整する調圧手段39を設けた。なお、第3構成例の合流管3″は、前述した第2構成例の合流管3′と同様に、直交する第1搬送路21と第2搬送路22からの第1搬送流TF1と第2搬送流TF2を合流させて、第1搬送路21と直線状に配置された統合搬送路23へ統合搬送流TF3を供給する構造である。よって、第2構成例の合流管3′と同一の構造には、同一符号を付して説明を省略する。
合流管3″は、合流部3b′の下流に連なる合流誘導部3c″を設けてあり、合流誘導部3c″の下流端である合流接合部3d″を介して、統合搬送路23を形成する直線搬送管2と接続する構造である。そして、合流誘導部3c″における第1端側壁部33′および第2端側壁部34′に、それぞれ調圧手段39を設けてある。すなわち、合流部3b′の下流側に設けた合流誘導部3c″に調圧手段39を設ければ、第1搬送流TF1と第2搬送流TF2とが完全に合流して内圧が最も高まった状態で圧力調整を行うことができる。なお、調圧手段39は合流部3b′の下流端よりも下流側に設けることが望ましいが、合流部3b′の下流部位(第1搬送流TF1と第2搬送流TF2が十分に合流したと看做せる部位)に設けてもよい。
調圧手段39は、第1端側壁部33′(あるいは第2端側壁部34′)から突出する略立方体形状の壁体である調圧室構成体391の側壁適所に、搬送用流体である搬送用エアを抜き出すためのスリット391aを開設し、突出端壁に調整ネジ体392を螺着した外観である。なお、スリット391aの形状や開設数は特に限定されるものではないが、合流管3″内から抜き出した搬送用エアを通過させるのに十分な開口面積を確保できれば良い。むしろ、スリット391aを過剰に設けると、調圧室構成体391の物理的強度が損なわれるので、本構成例では、紙幣PMの紙面と略平行な2側壁のみにスリット391aを設けるものとした。
調圧室構成体391の内部には調圧室39aが形成され、第1端側壁部33′(あるいは第2端側壁部34′)に形成した減圧孔39bを介して合流誘導部3c″の管内と連通している。この減圧孔39bの調圧室39a側の開口は、減圧バルブ393の弁393aによって閉止可能である。すなわち、図13(A)に示すように、弁393aが減圧孔39bを塞いでいる調圧非動作状態では、合流管3″内から調圧室39aに搬送用エアが漏れないので、合流誘導部3c″の内圧は変化しない。一方、図13(B)に示すように、弁393aが減圧孔39bを塞いでいない調圧動作状態では、合流管3″内から調圧室39aに搬送用エアが漏れ出てしまうので、合流誘導部3c″の内圧は低下する。また、調圧動作状態において、減圧孔39bの調圧室39a側の開口と、減圧バルブ393の弁393aとの離隔距離が大きくなると、それだけ合流管3″内から調圧室39aに漏れ出る搬送用エアの量が多くなり、合流誘導部3c″の内圧が低下する度合も大きくなる。よって、合流誘導部3c″の内圧に応じて、減圧バルブ393の弁393aを調節すれば、合流管3″における合流誘導部3c″の内圧を下げて一定に保持することが可能である。
合流管3″における合流誘導部3c″の内圧調整を自動で行うために、調整ネジ体392とコイルばね394を用いる。調整ネジ体392は略円筒体で、突出端側の摘まみ部392aに続くネジ部392bを外周に備え、内側の貫通孔であるガイド空部392cには、減圧バルブ393の弁393aに突設したスライドバー393bが内挿される。よって、減圧バルブ393のスライドバー393bが調整ネジ体392のガイド空部392cにガイドされつつ変位すると、弁393aの位置が変わるので、減圧孔39bとの離隔距離を変化させることができる。なお、調整ネジ体392のネジ部392bは、調圧室構成体391に設けたネジ溝391bに螺合させて取り付けるので、減圧バルブ393のスライドバー393bの外面がガイド空部392cの内面に擦れて動いても、調整ネジ体392は定位置に保持される。
調整ネジ体392の内挿端側(摘まみ部392aが形成されていない側)には、コイルばね394からの押圧力を受ける受圧部392dが形成される。減圧バルブ393のスライドバー393bに遊嵌したコイルばね394は圧縮されて、その一端が減圧バルブ393の弁393aに当たり、他端が調整ネジ体392の受圧部392dに当たる。すなわち、定位置に保持される調整ネジ体392の受圧部392dは実質的に変位しないので、コイルばね394の圧縮荷重と、減圧バルブ393の弁393aに作用する合流誘導部3c″の内圧との関係により、弁393aの位置が変わるのである。
搬送路を形成する搬送管内の圧力は、搬送用流体である搬送用エアの流量や流速によって変化する。合流管3″の合流誘導部3c″では、第1搬送路21からの第1搬送流TF1と第2搬送路22からの第2搬送流TF2が合流して搬送用エアの流量が約2倍に増えることが主因となって内圧が高くなる。例えば、第1搬送路21から第1搬送流TF1のみが供給されているときの合流誘導部3c″の内圧、もしくは第2搬送路22から第2搬送流TF2のみが供給されているときの合流誘導部3c″の内圧を基準圧力とする。よって、「コイルばね394の圧縮荷重≧基準圧力」に設定しておけば、合流誘導部3c″の内圧が基準圧力を越えない限り、減圧バルブ393の弁393aが減圧孔39bを塞いだ調圧非動作状態が保持され、合流誘導部3c″が調圧手段39により減圧されることはない(図13(A)を参照)。
一方、合流誘導部3c″の内圧がコイルばね394の圧縮荷重を越えると、コイルばね394の圧縮荷重に抗して減圧バルブ393の弁393aを調圧室39a内へ押し込む調圧動作状態となり、搬送用エアの一部が減圧孔39bを抜けてスリット391aから外部へ流れ出し、合流誘導部3c″が減圧される(図13(B)を参照)。しかも、合流誘導部3c″の内圧と基準圧力との差が大きければ、それだけ減圧バルブ393の弁393aを押し込む量が大きくなって、減圧孔39bと弁393aとの離隔距離が広がり、減圧孔39bを抜けてスリット391aから外部へ流れ出す搬送用エアの量が増え、減圧の度合が大きくなる。
例えば、合流誘導部3c″の内圧と基準圧力との差に等しいだけ、減圧孔39bから調圧室39aへ搬送用エアを抜き出すように圧縮荷重が変化する弾性係数のコイルばね394を用いれば、合流誘導部3c″の内圧を自動で基準圧力に保つ調圧手段39を実現できる。しかしながら、圧力変化の全範囲で圧縮荷重変化との比例関係が成立するコイルばね394を選定することは、現実的には難しい。また、合流誘導部3c″の内圧を基準圧力まで下げてしまうより、その後の圧力低下を見込んで、基準圧力よりも若干高めの内圧となるように調整しておくことが望ましい。
例えば、合流誘導部3c″の内圧を基準圧力の1.3倍程度に調整するには、以下の第1~第3条件を満たすように、コイルばね394の圧縮荷重を調整すれば良い。合流誘導部3c″の内圧が基準圧力と等しいときには「コイルばね394の圧縮荷重>合流誘導部3c″の内圧」となる第1条件を満たす。合流誘導部3c″の内圧が基準圧力の1.3倍のときには「コイルばね394の圧縮荷重=合流誘導部3c″の内圧」となる第2条件を満たす。合流誘導部3c″の内圧が基準圧力の1.5倍のときには「コイルばね394の圧縮荷重<合流誘導部3c″の内圧」となる第3条件を満たす。適切な自由長と弾性係数を備えたコイルばね394を用いれば、第2条件を満たすように圧縮荷重を調整したときに、第1,第3条件も満たす筈である。
なお、コイルばね394における圧縮荷重の調整は、調整ネジ体392によって簡便に行うことができる。摘まみ部392aを指先で摘まむなどして、ネジ部392bを締める(時計回りに回す)と、受圧部392dが減圧バルブ393の弁393aへ近づき、コイルばね394を圧縮するため、圧縮荷重を高めることができる。逆に、ネジ部392bを緩める(反時計回りに回す)と、受圧部392dが減圧バルブ393の弁393aから遠ざかり、コイルばね394が緩むため、圧縮荷重を弱めることができる。また、減圧バルブ393の弁393aを減圧孔39bに押し付ける力は、コイルばね394の圧縮荷重に限定されるものではなく、磁石の同極反発力など、公知既存の加圧手法を適宜採用して構わない。
上述したように、調圧手段39を設けた合流管3″においては、第1搬送路21と第2搬送路22から同時に第1,第2搬送流TF1,TF2が供給された場合でも、適宜に減圧された統合搬送流TF3として統合搬送路23へ供給できるので、紙幣PMの安定搬送に大きな障害が生じることはない。しかも、紙幣PMの第1搬送平行辺PM1aが臨む第1端側壁部33′と、紙幣PMの第2搬送平行辺PM1bが臨む第2端側壁部34′とに、それぞれ調圧手段39を設けたので、減圧動作による搬送用エアの流れが紙幣PMの安定搬送を阻害することも防げる。また、第1構成例の合流管3における合流誘導部3cや第2構成例の合流管3′における合流部3bの下流部に調圧手段39を設ければ、同様の効果を奏する。
以上、本発明に係る紙葉類搬送装置を実施形態に基づき説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りにおいて実現可能な全ての紙葉類搬送装置を権利範囲として包摂するものである。