JP7461220B2 - フォトマスクの修正方法 - Google Patents

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Description

本発明は、位相シフトパターンを備えたフォトマスクの欠陥を修正するフォトマスクの修正方法に関する。
従来より、フラットパネルディスプレイ装置等の製造過程のリソグラフィー工程においては、透過性基板上に半透過性の位相シフト膜からなるパターンが形成された位相シフトマスクが用いられることがある。フォトマスクの製造工程において、偶発的に発生した欠陥等を修正する工程が設けられる。
特開2019-32520号公報 特開2018-124466号公報
特許文献1には、位相シフト膜に生じた欠陥を修正するためには、位相シフト膜と同一の光学特性をもつ修正膜を用いることが望ましいものの、透過率と位相シフト特性とを両立する修正膜を提供することは困難であるため、フォトマスクの位相シフトパターン側に制約を課し、特定の条件を満足するパターンにのみ適用が可能な修正方法が開示されている。
特許文献2は、位相シフト膜の白欠陥を遮光膜により修正することを可能にする技術が開示されているものの、適用可能なパターンに制限がある。
このように、フォトマスクの位相シフト膜と修正膜との光学特性に違いがあるため、白欠陥を修正することは容易ではない。その一方で、位相シフトフォトマスクは様々な製品の製造に使用されおり、また精細なパターンを有する位相シフトフォトマスクに対して、ますます欠陥修正技術に対する要望が厳しくなってきている。
本発明は、フォトマスクの位相シフト膜の白欠陥を良好に修正する方法を提供することを課題とする。
本発明に係るフォトマスクの修正方法は、
位相シフト膜からなる位相シフトパターンを備えたフォトマスクの修正方法であって、
修正膜の透過率及び位相シフト量の膜厚依存性を取得するステップS1と、
前記修正膜からなるパターンにより転写されるフォトレジストの形状を前記位相シフトパターンにより転写されるフォトレジストの形状に一致させるため、前記修正膜からなるパターンの修正量の前記修正膜の膜厚依存性を求めるステップS2と、
前記フォトマスクの欠陥検査を実行し、前記位相シフトパターンに白欠陥が検出された場合、検出された前記各白欠陥の位置を特定するステップS3と、
前記白欠陥毎に前記修正膜の膜厚及び前記修正膜からなるパターンの前記修正量を確定するステップS4と、
前記各白欠陥を含む領域に修正膜を形成するステップS5とを
含むことを特徴とする。
また、本発明に係るフォトマスクの修正方法は、
前記修正膜の透過率及び位相シフト量が前記位相シフト膜の透過率及び位相シフト量と略同一であることを特徴とする。
このようなフォトマスクの修正方法とすることで、様々な位相シフト膜のパターンに対しても修正を可能とするフォトマスクの修正方法を提供することができる。ここで、「光学特性が略同一」とは、白欠陥が修正された状態のフォトマスクで正しく露光できる程度に光学特性(特に、透過率及び位相シフト量)が周囲の位相シフトパターンと近似していることを意味する。
また、本発明に係るフォトマスクの修正方法は、
前記ステップS5において、FIB装置により、金属イオンを用いて、修正膜を形成することを特徴とする。
このようなフォトマスクの修正方法とすることにより、欠陥が発生した箇所に適した修正が可能となる。
また、本発明に係るフォトマスクの修正方法は、
前記修正膜がダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする。
また、本発明に係るフォトマスクの修正方法は、
前記位相シフト膜が酸化クロムからなることを特徴とする。
このようなフォトマスクの修正方法とすることにより、例えばフラットパネルディスプレイ装置の製造等において、一般的に使用されている位相シフト膜に適した光学特性を有する修正膜を用いることができる。
本発明によれば、フォトマスクの位相シフト膜の白欠陥を良好に修正する方法を提供することができる。
(a)フォトマスク100の平面図(b)A-A’断面図(c)B-B’断面図。 (a)白欠陥3を修正したフォトマスク100の平面図(b)A-A’断面図(c)B-B’断面図。 修正膜6の、露光光に対する透過率及び位相シフト量の膜厚依存性を示す図。 修正膜6を用いて転写したフォトレジスト膜の寸法シフト量と修正膜6のパターンの線幅との関係を示す図。 フォトマスク100のエッチング処理工程を示す平面図。 フォトマスク100の修正ステップを示すフロー図。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は、いずれも本発明の要旨の認定において限定的な解釈を与えるものではない。また、同一又は同種の部材については同じ参照符号を付して、説明を省略することがある。
図1は、フォトマスク100上のラインアンドスペース(L/S)パターンに白欠陥(欠落欠陥)が発生した状況を模式的に示す。図1(a)はフォトマスク100の平面図、図1(b)はA-A’断面、(c)はB-B’断面である。
図1に示すように、フォトマスク100は、合成石英ガラス等の透過性基板1上に、位相シフト膜2からなるパターンが直接形成されている。
ここで、透過性基板1は、フォトマスク100を用いたリソグラフィー工程において使用される露光光に含まれる代表波長に対して90~100%(90%≦透過率≦100%)の透過率を有する。
なお、露光光として、例えばi線、h線、g線やこれらの混合が使用されるが、さらにi線より短波長の露光光も使用可能である。
位相シフト膜2は、露光光の位相を反転する半透過膜が使用される。一般的には、(例えばフラットパネルディスプレイ装置の製造等において)位相シフト膜2の透過率は略5%(3%≦透過率≦9%)、露光光に対する位相シフト量は略180度(140度≦位相シフト≦240度)が使用されている。
位相シフト膜2の材料は、例えばCr等の金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物が使用され、典型的には酸化クロムが使用されている。
図1(a)に示すように、位相シフト膜2の一部において白欠陥3が発生している。例えば、図1(c)に示すように、白欠陥3においては位相シフト膜2の一部が欠落し、消失している。なお、正常な位相シフト膜2の膜厚より薄い膜厚の位相シフト膜が残存している場合や、部分的に位相シフト膜2が残存している場合も、白欠陥に分類される。
図2(a)は、白欠陥3を修正したフォトマスク100の平面図である。図2(b)はA-A’断面、(c)はB-B’断面である。ここで、図2(c)は、フォトマスク100の位相シフト膜2のパターン(以下、位相シフトパターンと称することがある。)における白欠陥3の修正工程を示している。
図2(a)~図2(c)に示すように、FIB装置を用い、Gaイオン等の金属イオン4を材料ガス5の雰囲気中でフォトマスク100の白欠陥3が発生した領域に照射し、修正膜6を局所的に形成する。イオンビームを走査することで、所望の形状の領域に修正膜6を形成することができる。
例えば、材料ガス5としてアセチレン、フェナントレン、ベンゼンなど炭化水素ガスをフォトマスク100上に供給し、金属イオンから供給されるエネルギーを用い化学反応により、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる修正膜6を形成することができる。
図3は、露光光に対する修正膜6の透過率及び位相シフト量の膜厚依存性を示す。FIB(収束イオンビーム)装置を用いて、修正膜6としてDLCを形成した。
図3において、点線は酸化クロム膜からなる位相シフト膜2の透過率及び位相シフト量を示し、位相シフト量は180度であり透過率は5%である。
図3から明らかなように、DLCの膜厚が増加するに従い位相シフト量は増大するが、透過率は減少する。しかし、位相シフト量が180度、透過率が5%の条件を満たすDLC膜の膜厚条件は存在しない。例えば、DLC膜の膜厚が100~200[nm]場合、DLC膜の位相シフト量は、位相シフト膜2の位相シフト量とほぼ同じであるが、その透過率は、位相シフト膜2の透過率より小さい。
光学特性が位相シフト膜2と完全に一致する修正膜6は得られない。しかし、後述するように、位相シフト膜2の光学特性に近い、略同一の光学特性(特に、位相シフト量および透過率)を有する修正膜6を白欠陥の修正に使用することができる。具体的には、例えば、位相シフト量が140度から240度(略180度)、透過率が3%から9%(略5%)の範囲の光学特性を有する修正膜6を好適に使用できる。
なお、金属酸化物等の金属化合物で修正膜6を構成することも可能であるが、金属と酸素等の原材料ガスの分圧制御等による組成制御が必要となる。しかし、組成制御の点においてDLCの方が単純であり膜形成が容易なため、より好適であると言える。DLC膜は、単一の材料ガスを用いた成膜が可能であり、材料ガス起因の水素を含有するものの、主元素は炭素であり、成膜制御が容易であり、光学特性の制御が容易である。さらに、図3に示すように、一般的に使用される位相シフト膜2の光学特性に合わせて、その光学特性と略同一の光学特性を有する修正膜6を得ることができる。
図4(a)は、修正膜6からなるパターン(以下、修正パターンと称することがある。)を転写したフォトレジスト膜のパターンの寸法と位相シフト膜2からなるパターン(位相シフトパターン)を転写したフォトレジスト膜のパターンの寸法との差である寸法シフト量(寸法変化量)と、修正膜6のパターンの寸法との関係を示すグラフであり、図4(b)はフォトマスク100の平面図、図4(c)は、フォトマスク100と、製品の基板等の対象物Tに形成されたフォトレジスト7の断面を示す。
図4(a)は、位相シフト膜2のパターンのライン幅が2.0[μm]である例を示し、位相シフト膜2は酸化クロム膜を用い、修正膜6はDLC膜を用いている。白欠陥3が発生した箇所の位相シフトパターン(白欠陥を含む位相シフトパターン)と、その白欠陥3を修正する修正パターンにより転写されたフォトレジストの寸法(線幅)は、光学シミュレーションにより算出している。
図4(a)は、約100nm~300nmの間で膜厚の異なる3種類(膜厚小(110~140[nm])、膜厚中(140~180[nm])、膜厚大(200~300[nm]))の修正膜6について、線幅と寸法シフト量との関係を例示する。図4(a)におけるL/S(ラインアンドスペース)の幅は、L/S=2.0μm/2.0μmである。
図4(a)の横軸は、フォトマスク100の透過性基板1上に形成された修正膜6のラインパターンの線幅(L6)と、基準である位相シフト膜2のラインパターンの線幅(L2)との差分(α=L6-L2)である(図4(b)、(c)参照)。
例えば、差分が0である場合、位相シフト膜2のラインパターンの線幅と修正膜6のラインパターンの線幅とが同じであることを示す。差分(L6-L2)は、位相シフト膜2のパターンに対する修正膜6のパターンの「修正量」(修正幅)に相当する。
図4(a)の縦軸は、対象物T上に塗布されたフォトレジスト膜7に対して、フォトマスク100を用いて転写されたフォトレジストのパターンの寸法シフト量であり、修正膜6のパターンにより転写されたフォトレジストパターン76の線幅(L76)と位相シフト膜2のパターンにより転写されたフォトレジストパターン72(L72)の線幅との差分(L76-L72)により定義される。
図4に示すように、修正量が0の場合、いずれの膜厚の修正膜6の寸法シフト量は0ではない。即ち、フォトマスク100上での位相シフト膜2のパターンの幅(L2)と修正膜6のパターンの幅(L6)が同じでも、位相シフト膜2のパターンにより転写されたフォトレジスト膜のパターン72の幅(L72)と、修正膜6のパターンにより転写されたフォトレジスト膜のパターン76の幅(L76)は、必ずしも一致しない。これは、位相シフト膜2の光学特性と修正膜6の光学特性が完全に一致しないためである。
図4(a)に示す修正量と寸法シフト量との関係を用いて、パターン72の幅とパターン76の幅との差分を0にするよう、修正膜6のパターンの修正量を求めることができる。
すなわち、フォトマスク100上において位相シフト膜2の形状(線幅)と修正膜6の形状(線幅)を一致させるのではなく、対象物Tで位相シフト膜2のパターンで露光(転写)したフォトレジストの形状(線幅)と修正膜6のパターンで露光(転写)したフォトレジストの形状(線幅)を一致させるように、修正膜6の修正量を決定する。
例えば、図4(a)に示すように、修正量が0に対する寸法シフト量が0に近い修正膜6の膜厚は、膜厚小と膜厚中であることが分かる。
光学シミュレーションの結果から、フォトマスク100により転写されたパターンの寸法シフト量を0にすることができる修正量は、膜厚小の修正膜6の場合+60[nm]であり、膜厚中の修正膜6の場合-25[nm]である。修正量の絶対値が小さい、膜厚中の修正膜6の方が、より好適であることが分かる。
修正量の絶対値が小さい修正膜6の膜厚を選択することが好適である。
また、転写されたフォトレジストの側壁の形状を確認すると、膜厚中の修正膜6の場合には、急峻な側壁形状が得られるのに対し、他の膜厚では側壁がテーパー形状となることが確認されている。
また、膜厚中の修正膜6の場合、修正量に対して単調に寸法シフト量が増加し、ほぼ直線的に変化することが分かる。膜厚中の修正膜6の場合、修正量に対する寸法シフト量の変化が単調であるため、単調に変化する範囲での修正膜6の線幅の調整が容易になることが理解でき、フォトマスク100の製造上の安定性からも、膜厚中の修正膜6が好適である。
このように位相シフト膜2の光学特性に合わせて、それと近似の光学特性の修正膜6を用い、フォトレジストの形状の寸法シフトを抑制することを可能にする修正量を、光学シミュレーションにより得ることができる。得られた修正量に基づいて決定された修正膜6のパターンを、フォトマスク100の白欠陥3を有する位相シフトパターン部分に適用することで、転写されたフォトレジスト膜のパターン72の幅とパターン76の幅とを一致させることができ、良好な転写性能を実現できる。
なお、ラインパターンだけでなく、ホールパターンについても適用可能であり、ピンホール欠陥についても適用が可能である。
修正膜6の膜厚に依存した光学特性の情報を基に、各パターンの形状を反映した光学シミュレーションを行い、転写されたフォトレジストパターンの形状を求め、最適な修正膜6の膜厚を決定すればよい。
例えば、ピンホール欠陥に対して、最適なDLC膜の膜厚は、光学シミュレーションにより110~140[nm]であることが確認され、位相シフト膜2のパターンに依存して、修正膜6の膜厚が異なることが確認された。
いずれの場合も、光学シミュレーションにより、位相シフトパターンに合わせて修正膜6の光学特性、すなわち修正膜6の膜厚及び修正量を決定すればよい。例えば、位相シフト膜2のラインパターンの線幅に依存して、修正膜6の修正量を算出することができる。
FIB装置を用いるため、同一のフォトマスク100上において、パターンに合わせて異なる修正量の修正膜6を形成することが可能であり、さらに異なる膜厚の修正膜6を形成することも可能である。従って、白欠陥が発生した位相シフト膜2からなるパターンの形状に応じて、修正膜6の修正量が異なる場合でも、各白欠陥に対応して、最適な条件で白欠陥の修正が可能となる。
なお、例えば修正膜6のラインパターンの修正量が、位相シフト膜2のラインパターンの線幅に依存しない場合、又はフォトレジスト膜の寸法シフト量が許容範囲内に収まるならば、修正量を一律な値又は特定のパターンの範囲で修正量を一律な値とすることも可能である。
このように、透過率と位相シフト量について、修正膜6と位相シフト膜2とを同じ値に設定することが困難であるが、修正量と寸法シフト量との関係を取得しておくことで、様々な位相シフトパターンに応じて、修正膜6のパターンにより転写されたフォトレジスト膜のパターン幅を位相シフト膜2のパターンにより転写されたフォトレジスト膜のパターン幅に合わせるための修正膜6のパターン幅を決定することができる。
なお、白欠陥部分に対して、位相シフト膜2の一部が不完全に残存している場合もある。
この場合、エッチング、又はザッピング処理により、位相シフト膜2の一部を除去した後に、修正膜6を形成してもよい。例えば、FIB装置において、イオンにより残存する位相シフト膜2を除去すればよい。また、白欠陥を含む矩形状の領域をイオンビームによりエッチングし、位相シフト膜2を除去してもよい。修正膜6を形成する領域を確定し、シミュレーション結果を正確に反映することが可能となる。
なお、イオンビームによるエッチング処理は、、FIB装置により真空中でイオンビームを残存する位相シフト膜2に照射することで、物理的にスパッタリング効果により除去する処理である。
図5は、エッチング処理の工程を示すフォトマスク100の平面図である。
図5(a)はエッチング処理前のフォトマスク100の白欠陥3の発生状況を示す。
中央の位相シフト膜2のパターンLmに白欠陥3が発生しており、パターンLmの一部が欠けているが、完全には断線していない。
図5(b)は、エッチング処理後のフォトマスク100の平面図であり、白欠陥3を含む矩形状の領域(修正領域8)の位相シフト膜2を除去している。この修正領域8は、シミュレーション結果を反映した修正膜6の形成を容易にするために設けられた領域である。
なお、FIBによるエッチング処理により黒欠陥(不要な膜、異物等の残留物)を除去してもよいことは言うまでもない。
なお、修正膜6の形成方法として、Gaイオンを用いたFIB法により形成することで、透過率の調整も可能となる。
Gaイオンにより修正膜6を形成することにより、Gaを修正膜6中に含有させることができる。Gaの含有により、透過率を低減することができる。また、修正膜6を形成する前に、透過性基板1の表面の白欠陥3の領域にGaを注入することで、透過性基板1の透過率を低減する処理を施してもよい。
このように、修正膜6自体の透過率、及び透過性基板1の透過率の一方又は両方の調整が可能である。
以下、フォトマスク100の白欠陥修正手順について説明する。
ステップ0
フォトマスク100の製造過程は、フォトマスク100上の位相シフト膜2のパターンを描画する工程を有するため、位相シフト膜2のパターンについての情報(パターン配置、ライン幅やホール径等のパターンサイズ)のデータ(以下、マスク仕様データと称する。)が存在する。そのマスク仕様データを記憶装置に保存しておく。
さらに、マスク仕様データは、例えばデータの冒頭部分に、フォトマスク100で使用される位相シフト膜2の光学特性(透過率、位相シフト量)を含ませる。
ステップ1
修正膜6の光学特性の膜厚依存性を取得し、修正膜6の情報をデータ(以下、光学特性データと称する。)として記憶装置に保存する。
すなわち、上記のように修正膜6に対して、フォトマスク100を用いてパターンを転写するために使用する露光光に対する透過率と位相シフト量について、修正膜6の膜厚依存性(図3参照)を取得する。
光学特性データは、修正膜6の膜厚と光学特性との相関関係を含み、光学特性として、位相シフト量及び透過率を含む。なお、光学特性として、屈折率を含んでもよい。屈折率から位相シフト量を算出することができる。
記憶装置に保存された光学特性データを参照し、修正膜6の膜厚を指定することで、その修正膜6の位相シフト量及び透過率を得ることができる。
光学特性データは、表1に示すようにテーブル形式で記憶装置に保存してもよいし、位相シフト量又は透過率を修正膜6の膜厚の関数(近似式)として記憶装置に保存してもよい。
表1
Figure 0007461220000001
ステップ2
光学特性データを基に修正膜6の膜厚毎に、修正膜6のパターンにより転写されたフォトレジストのパターンの形状、及び位相シフト膜2のパターンにより転写されたフォトレジストのパターンの形状をシミュレーションする。シミュレーション結果に基づいて、得られた両レジスト形状を対比し、フォトマスク100における位相シフト膜2のパターンに対する修正膜6のパターンの差分と、フォトレジストに転写されたパターンの寸法シフト量との関係について、修正膜6の膜厚依存性を取得する。そして、フォトレジストに転写されたパターンの寸法シフトを0にするための修正膜6のパターンの修正量を算出する。なお、「0にする」とは、必ずしも完全に0にする場合だけでなく、製品仕様で指定される寸法ばらつきの許容範囲内に寸法シフトが収まる場合を含んでも良い。
具体的には、位相シフト膜2のパターンにより転写されたフォトレジストのパターンの形状に最も近い形状(例えばライン幅の寸法シフト量が最小)を再現する組み合わせを抽出し、最適な修正膜6のパターン(又は位相シフト膜2のパターンに対する修正量)及び膜厚を決定する。
そして、位相シフト膜2のパターン(例えばライン幅)毎に、最適な修正膜6のパターン(修正量)及び膜厚の情報をデータ(以下、修正データと称す。)として記憶装置に保存する。
修正データは、表2に示すようにテーブル形式で記憶装置に保存してもよいし、位相シフト膜2のパターン毎に修正量を修正膜6の膜厚の関数(近似式)として記憶装置に保存してもよい。

表2
Figure 0007461220000002
なお、ステップ1、2で求めた光学特性データ及び修正データは汎用性があるため、予め記憶装置に保存しておくことが可能である。
光学特性データ及び修正データは、様々な個別のフォトマスク100に利用することができる。
図6は、フォトマスク100の修正ステップを示すフロー図である。
図6に示すように、光学特性データを基に求められた修正データを利用し、以下に説明するステップ3、4、5に従いフォトマスク100の位相シフトパターンの白欠陥3の修正を行う。
ステップ3
位相シフト膜2等のパターン形成が完了したフォトマスク100を欠陥検査装置にロードし、欠陥検査を実行する。フォトマスク100の欠陥が検知された場合、欠陥検査装置は、各欠陥の種類(形状、白欠陥、黒欠陥)、サイズ、位置等を特定し、各欠陥についての情報をデータ(以下、欠陥情報データと称する。)として記憶装置に保存する。欠陥情報データは、少なくとも白欠陥についての情報を含む。
欠陥情報データは、特定された位相シフト膜2のパターンの各白欠陥3に対して、その白欠陥3の位置(位置座標)、サイズを関連付けて保有する。例えば、白欠陥3毎に識別番号を割り当て、識別番号と白欠陥の位置等とのデータが関連付けられている。
なお、白欠陥3の位置の情報に、白欠陥3のサイズを含ませてもよい。白欠陥3が占有する領域を位置座標で指定することで、白欠陥3のサイズを指定できる。
ステップ4
欠陥情報データの白欠陥3の位置と、マスク仕様データとを照合し、白欠陥3を含む位相シフト膜2のパターンの情報(形状、サイズ)を取得する。
取得した位相シフト膜2のパターンの情報と修正データから、白欠陥3を含む位相シフト膜2のパターン毎に最適な修正膜6の膜厚とパターン(又は修正量)を決定する。すなわち、白欠陥3毎に修正膜6の膜厚とパターンを決定する。
なお、フォトマスク100に使用される位相シフト膜2の光学特性は、マスク仕様データに保存されている。
欠陥情報データの各白欠陥に対して、その白欠陥に関連付けて修正膜6の膜厚とパターンについての情報をデータ(以下、修正パターンデータと称す。)として記憶装置に保存する。
ステップ5
フォトマスク100をFIB装置にロードし、白欠陥3の修正を行う。
修正パターンデータに保存された各白欠陥3の位置と修正膜6の膜厚及びパターン(修正量)の情報に従い、FIB装置は、成膜材料ガスの雰囲気中でイオンビームを照射する位置及び照射量を制御する。フォトマスク100の白欠陥毎に、適切な修正膜6が形成され、白欠陥3を修正することができる。
なお、修正膜6を形成する前に、修正膜6を形成する領域(以下、修正領域と称す。)に対してイオンビームによるエッチング処理を行い、修正領域内の位相シフト膜2を整えてもよい。修正領域8(図5(b)参照)は、白欠陥3を含む領域であり、フォトレジスト形状のシミュレーション結果を正確に反映するため、例えば矩形状に整形することができるが、これに限定するものではない。修正領域8は、位相シフト膜2のパターン形状を反映して適宜設定可能である。
なお、各ステップの記憶装置は同じ1つの装置であってもよく、異なる複数の記憶装置から構成されていてもよい。
記憶装置に保存された各データを相互に参照するためのコンピュータ等の演算装置は、FIB装置に備えてもよく、また別途に独立して準備してもよい。
本発明は、位相シフトのパターンを有する位相シフトフォトマスクの修正に適用でき、位相シフトマスクを用いて製造する様々な製品の製造工程に幅広く適用が可能であり、産業上の利用可能性は大きい。
白欠陥が補修されたフォトマスクは、新たにフォトマスクの製造を不要とするものであり、製造コストの低減、納期の短縮に寄与する。
100 フォトマスク
1 透過性基板
2 位相シフト膜
3 白欠陥
4 収束イオン
5 材料ガス
6 修正膜
7 フォトレジスト膜
8 修正領域

Claims (11)

  1. 位相シフト膜からなる位相シフトパターンを備えたフォトマスクの修正方法であって、
    修正膜の透過率及び位相シフト量の膜厚依存性を取得するステップS1と、
    前記修正膜からなるパターンにより転写されるフォトレジストの形状を前記位相シフトパターンにより転写されるフォトレジストの形状に一致させるため、前記修正膜からなるパターンの修正量の前記修正膜の膜厚依存性を求めるステップS2と、
    前記フォトマスクの欠陥検査を実行し、前記位相シフトパターンに白欠陥が検出された場合、検出された前記各白欠陥の位置を特定するステップS3と、
    前記白欠陥毎に前記修正膜の膜厚及び前記修正膜からなるパターンの前記修正量を確定するステップS4と、
    前記各白欠陥を含む領域に修正膜を形成するステップS5とを
    含むことを特徴とするフォトマスクの修正方法。
  2. 前記修正膜の透過率及び位相シフト量が前記位相シフト膜の透過率及び位相シフト量と略同一であることを特徴とする請求項1記載のフォトマスクの修正方法。
  3. 前記ステップS5において、FIB装置により、金属イオンを用いて、前記修正膜を形成することを特徴とする請求項1又は2記載のフォトマスクの修正方法。
  4. 前記修正膜がダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のフォトマスクの修正方法。
  5. 前記位相シフト膜が酸化クロムからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のフォトマスクの修正方法。
  6. 位相シフト膜からなる位相シフトパターンを備え白欠陥が補修されたフォトマスクであって、
    修正膜の透過率及び位相シフト量の膜厚依存性を取得するステップS1と、
    前記修正膜からなるパターンにより転写されるフォトレジストの形状を前記位相シフトパターンにより転写されるフォトレジストの形状に一致させるため、前記修正膜からなるパターンの修正量の前記修正膜の膜厚依存性を求めるステップS2と、
    前記フォトマスクの欠陥検査を実行し、前記位相シフトパターンに白欠陥が検出された場合、検出された前記各白欠陥の位置を特定するステップS3と、
    前記各白欠陥毎に前記修正膜の膜厚及び前記修正膜からなるパターンの前記修正量を確定するステップS4と、
    前記各白欠陥を含む領域に前記修正膜の膜厚依存性に基づいて算出された修正量の修正膜を形成するステップS5と、を
    実行することにより得られたフォトマスク。
  7. 前記修正膜の透過率及び位相シフト量が前記位相シフト膜の透過率及び位相シフト量と略同一であることを特徴とする請求項6記載のフォトマスク。
  8. 前記ステップS5において、FIB装置により、金属イオンを用いて、修正膜を形成することを特徴とする請求項6又は7記載のフォトマスク。
  9. 前記修正膜がダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする請求項6又は7記載のフォトマスク。
  10. 前記位相シフト膜が酸化クロムからなることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項記載のフォトマスク。
  11. 前記修正膜は、位相シフト量が140度から240度、透過率が3%から9%の範囲である請求項6乃至10のいずれか1項記載のフォトマスク。
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