JP7460682B2 - 熱ガスセンサの評価装置、方法およびコンピュータプログラム - Google Patents

熱ガスセンサの評価装置、方法およびコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本願発明にかかる実施形態は、熱ガスセンサのための評価装置、方法およびコンピュータプログラムに関連する。
現在、ガスはその特性に関して、さまざまなセンサを使用して分析することができる。今日、市場には患者の換気のためのさまざまなシステムがある。これらのシステムは、臨床分野と在宅ケア分野での使用用途によって区別されている(Heinen + Lowenstein社のシステム、Drager社のシステム、Stephan Medizintechnik社のシステム等)。これらのプロバイダのシステムで、圧力、呼気/吸気流量、呼吸ガス分析に必要なすべての測定手段が含まれているのは、バリエーションのうちの最高峰のものでしかない。このため、患者から離れて測定することが圧倒的に多いいくつかの装置を組み合わせる必要がある。
上記に鑑み、ガス測定装置の設置スペースの削減とシステムの質量の縮小とを両立させることができ、正確な流量測定と迅速なガス分析が可能な概念が求められている。
この目的は、独立した特許請求の範囲によって解決される。
発明の概要
ある実施形態は、少なくとも1つのヒータ(例えば、発熱体)と少なくとも1つの検出器(例えば、「サーモパイル構造」、温度可変抵抗器またはサーミスタ)とを有する熱ガスセンサの評価装置に関係する。評価装置は、第1の検出器の検出器信号の振幅に関する情報(例えばD1.Uss)、およびヒータ信号と第1の検出器の検出器信号との間の第1の位相差に関する情報(例えば(D1-Hz).phi)を取得するように構成される。さらに、評価装置は、検出器信号の振幅に関する情報(例えばD1.Ussおよび/またはD2.Uss)に依存して、かつ第1の位相差に関する情報に依存して、振幅情報と位相情報とを組み合わせた合成信号を中間量として形成するように構成されている。さらに、評価装置は、例えば、ガス濃度に関する情報または流体(例えば、ガスまたはガス混合物)の熱拡散率に関する情報を、合成信号に基づいて(例えば、計算の後のプロセスにおいて、合成信号に組み込まれた個々の情報を個別に考慮することなく)決定するように構成される。
ある実施形態によれば、発生する可能性のある(同期化)エラーを最小化するために、ヒータと少なくとも1つの検出器とが周期的に入れ替わってもよい。言い換えれば、第1の時点では、検出器がヒータとしての役割、ヒータは検出器としての役割を果たすことがあり、第2の時点では、検出器は検出器として使用し、ヒータはヒータとして使用することができる。
ある実施形態によれば、評価装置は2つの検出器を含み、これら2つの検出器はヒータまでの距離が同じである。この場合、例えば、2つの検出器からの2つの検出器信号の振幅に関する情報(例えばD1.UssおよびD2.Uss)の和、および2つの検出器の2つの位相差に関する情報((D1-Hz).phiおよび(D2-Hz).phi)の和が合成信号に組み込まれることがある。
ある実施形態は、少なくとも1つのヒータ(例えば、発熱体)と、ヒータまでの距離が異なって配置された2つの検出器(例えば、第1の感熱素子構造および第2の感熱素子構造、または温度可変抵抗器、またはサーミスタ)とを有する熱ガスセンサのための評価装置に関連し、ここで、評価装置は、第1の検出器の検出器信号の振幅に関する情報(例えば、D1.Uss)、第2の検出器の検出器信号の振幅に関する情報(例えば、D2.Uss)、ヒータ信号と第1の検出器の検出器信号との間の第1の位相差に関する情報(例えば(D1-Hz.phi))、およびヒータ信号と第2の検出器の検出器信号との間の第2の位相差に関する情報(例えば(D2-Hz.phi)を取得するように構成されている。評価装置は、検出器信号の振幅に関する情報(例えば、第1の検出器のD1.Ussおよび第2の検出器のD2.Uss)に依存し、第1の位相差に関する情報に依存し、且つ第2の位相差に関する情報に依存して、振幅情報と位相情報とを組み合わせた合成信号を中間量として形成するように構成されることがある。さらに、評価装置は、合成信号に基づいて(例えば、計算の後のプロセスにおいて、合成信号に組み込まれた個々の情報を個別に考慮することなく)、ガス濃度に関する情報または流体(例えば、ガスまたはガス混合物)の熱拡散率に関する情報を決定するように構成される。
ある実施形態によれば、ガスは、少なくとも1つのヒータと、ヒータにからの距離が異なってまたは同じ(例えば対称)に配置された検出器との間の熱ガスセンサ内に配置されることがあり、ここで、該ガスは、熱ガスセンサと組み合わされた評価装置を用いて分析することができる。このためには、例えば、熱は、少なくとも1つのヒータから第1の検出器および第2の検出器へ、それらの間に配置されたガスおよび/またはガス混合物を介して運ばれる。この場合、第1の検出器が検出した検出器信号および/または第2の検出器が検出した検出器信号は、ヒータからそれぞれの検出器に運ばれた熱を示すことがある。少なくとも1つのヒータの加熱信号の振幅(例えば、ヒータの振幅)が変動する(例えば、ヒータの周期的な励起)場合、2つの検出器は、ヒータに対応する変動振幅を検出することがある。第1の検出器および/または第2の検出器の検出器信号は、評価装置に送信されることがある。このように、評価装置は、第1の検出器の検出器信号および第2の検出器の検出器信号から、各々の振幅に関する情報、およびヒータ信号と第1の検出器の検出器信号との間の第1の位相差に関する情報、ならびにヒータ信号と第2の検出器の検出器信号との間の第2の位相差に関する情報を取得することができる。このためには、例えば、評価装置は、第1の検出器および/または第2の検出器の検出器信号に加えて、ヒータ信号を熱ガスセンサから取得してもよい。あるいは、例えば、評価装置は、第1の検出器の検出器信号の振幅に関する情報、第2の検出器の検出器信号の振幅に関する情報、第1の位相差に関する情報、および第2の位相差に関する情報を熱ガスセンサから直接取得してもよい。
評価装置のこの実施形態は、検出器信号の振幅に関する情報に基づき、且つ第1の位相差に関する情報および第2の位相差に関する情報に依存する合成信号は、例えばガス濃度または流体の熱拡散率に関する情報を決定するために、評価装置が非常に迅速に処理し得る非常に安定した信号を成すという知見に基づいている。このように、評価装置は迅速なガス分析を可能にする。
ある実施形態によれば、評価装置はヒータ振幅に関する情報を取得するように構成されることがある。さらに、評価装置は、合成信号(sigX)を決定するために、ヒータ振幅に関する情報、検出器信号の振幅に関する情報、第1の位相差に関する情報、および第2の位相差に関する情報の線形結合を形成するように構成されることがある。例えば、ヒータ振幅に関する情報は加熱電力に関する情報であってもよい。ここで、ヒータ振幅に関する情報は、Hz.Ussと呼ばれることもある。例えば、評価装置は、ヒータ振幅に関する情報を熱ガスセンサから直接取得してもよいし、例えば、熱ガスセンサから評価装置に伝送されたヒータ信号から取得してもよい。例えば、線形結合は、ヒータ振幅に関する情報と検出器信号の振幅に関する情報との第1の線形結合を有する第1の項と、第1の位相差に関する情報と第2の位相差に関する情報との第2の線形結合を有する第2の項を含むことがある。この場合、例えば、合成信号を決定するために、第1の項および第2の項は線形結合において異なる定数で重み付けされることがある。評価装置が合成信号を決定する際にヒータ振幅を考慮しているため、ヒータ信号(例えば、ヒータが放出する周期的な温度波信号)は、第1の検出器および/または第2の検出器の検出器信号(受信した周期的な温度波信号)と比較されることがあり、その結果、ヒータから2つの検出器への分析されるべきガスを介しての熱伝達を極めて正確に決定することができる。このことにより、評価装置を用いた非常に正確で迅速なガス分析が可能となる。
ある実施形態によれば、評価装置は、
sigX=sigUss*Ka+sigPhi*Kp
によって合成信号sigXを得るように構成されることがある。
ここで、sigUssは第1の検出器の検出器信号の振幅に関する情報と第2の検出器の検出器信号の振幅に関する情報とに依存することがある、振幅情報または振幅信号であることがある。また、項sigPhiは、第1の位相差に関する情報と第2の位相差に関する情報とに依存することがある、位相情報または加算された位相信号であることがあり、係数KaおよびKpは定数であることがある。この場合、定数KaおよびKpは振幅情報と位相情報とを別々に重み付けして、評価装置が合成信号sigXを得るようにすることができる。振幅情報sigUssは、第1の検出器の検出器信号の振幅に関する情報と第2の検出器の検出器信号の振幅に関する情報とを線形に結合したものであることがある。位相情報sigPhiは、第1の位相差に関する情報と第2の位相差に関する情報とについての線形情報であることがある。例えば、定数KaおよびKpは変換係数であってもよい。ある実施形態によれば、KaおよびKpは最適化された合成信号のための重み付け係数であり、ここで係数KaおよびKpは無名数であってもよい(例えば、これは、本明細書で使用されるような組み込みシステムには必要ではなく、例えば、CO2濃度を提供する)。ある実施形態によれば、例えば、組み込みシステムは振幅のためのADデジット(AD digits、AD量子化単位)を提供し、位相情報は、例えばコンパレータが傾くまでの時間を測定する、例えば組み込みシステムのタイミングユニットから決定される。このように、例えば振幅および時間/角度への変換は、評価装置の回路と組み込みシステム(マイコン)の技術データによって規定される。例えば係数は、両方の信号成分(振幅と位相)がCO2較正の測定範囲にわたってほぼ同じ割合で合成信号sigXに導入されて、例えばsigXにおいて最大の測定分解能が得られるように選択される。例えば、係数KaおよびKpは、例えばsigXに最適な信号を得るために、経験的に決定される。例えば、定数KaおよびKpは、分析されるべきガスの濃度、温度、または圧力に依存してもよい。このように、振幅情報sigUssは位相情報SigPhiと一致することがある。評価装置は、合成信号とともに振幅情報および位相情報をさらに処理することがあり、例えばその結果、評価装置はガスセンサが検出されたガスを非常に迅速に、効率的に、且つ非常に正確に分析することができる。
ある実施形態によれば、評価装置は、sigUss=2*Hz.Uss-(D1.Uss+D2.Uss)によって振幅情報sigUssを得るように構成される。ここで、項Hz.Ussはヒータの振幅に関する情報であることがあり、項D1.Ussは第1の検出器の検出器信号の振幅に関する情報であることがあり、項D2.Ussは第2の検出器の検出器信号の振幅に関する情報であることがある。このように、振幅情報sigUssは相対振幅信号を構成してもよい。換言すれば、振幅情報は、ヒータ振幅の2倍と、第1の検出器の検出器信号の振幅に関する情報および第2の検出器の検出器信号の振幅に関する情報の和との差であってもよい。振幅情報sigUssのこの特定の計算の結果、振幅情報sigUssは本質的に流体による熱伝達に依存し、例えば少なくとも1つのヒータから分析されるべきガスへの熱伝達や分析されるべきガスから第1および/または第2の検出器への熱伝達等の未知の熱伝達を考慮しない、またはわずかにしか考慮されないようにすることができる。したがって、振幅情報sigUssに依存することがある合成信号sigXは未知の熱伝達の影響を受けない、またはわずかにしか受けず、その結果、評価装置は、ガス濃度に関する情報または流体の熱拡散率に関する情報等、分析されるべきガスの特性を非常に正確に決定することができる。
ある実施形態によれば、評価装置は、ガス濃度に関する情報または流体の熱拡散率に関する情報を得るために、合成信号の多項式(例えば、A.y(sigX)等の1次の多項式)を計算するように構成されていることがある。評価装置による合成信号の多項式形成を介して、合成信号のドリフト補正が行われることがある。このように多項式形成によって、例えば濃度ドリフト、圧力ドリフトおよび温度ドリフトが補正されることがある。このように、例えば評価装置は合成信号の3つの多項式を算出することがあり、ここで、第1の多項式はガス濃度と合成信号との関係を表すことがあり、第2の多項式は圧力と信号シフト(合成信号の圧力ドリフト)との関係を表すことがあり、第3の多項式は温度と圧力ドリフトとの関係を表すことがある。このように、この特徴により、起こり得る不正確さを修正することができ、したがって、起こり得る誤差を低減して流体を非常に正確に分析するように評価装置を構成することができる。
ある実施形態によれば、評価装置は、ガス濃度に関する情報または熱拡散率に関する情報を得るために、合成信号の多項式に補正項を乗算するように構成されていることがある。補正項は、合成信号、圧力(p)に関する情報、および温度(T)に関する情報に依存することがある。したがって、例えば、補正項は、合成信号の圧力/温度依存性を補正することがある。こうして、例えば、ガス濃度と合成信号との関係を表す多項式は、圧力と温度のドリフトに関して補正項で補正されることがある。このように、補正項を合成信号の多項式で乗算することにより、評価装置が可能な誤差の影響を低減し、その結果、評価装置は、ガス濃度に関する情報または熱拡散率に関する情報を非常に正確に取得するように構成することができる。例えば、これによって、例えばガスセンサの第1の検出器および/または第2の検出器による検出器信号の検出において生じる圧力依存誤差および温度依存誤差を最小化することができる。
Figure 0007460682000001
Figure 0007460682000002
ある実施形態によれば、評価装置は、ガス濃度に関する情報を決定する際に、熱ガスセンサの周辺領域の圧力および/または温度を考慮するように構成されることがある。このために、例えば評価装置はガスセンサの周辺領域の圧力および/または温度に関する情報を取得することがある。例えば、熱ガスセンサの周辺領域内の圧力は圧力センサによって決定され、熱ガスセンサの周辺領域内の温度は温度センサによって決定されて、例えば、評価装置に伝送される。圧力センサおよび/または温度センサは、熱ガスセンサの周辺領域に配置されることがある。このように、評価装置は圧力および/または温度に依存して補正を実行することができ、ひいては流体を非常に精密に分析することができ、したがって、例えばガス濃度および/または流体の熱伝導率に関する情報を非常に精密に取得することができる。
ある実施形態によれば、評価装置は、ガス濃度に関する情報を決定する際に、合成信号、熱ガスセンサの周辺領域の温度に関する情報、および熱ガスセンサの周辺領域の圧力に関する情報をドリフト補正の入力量として使用して、ドリフト補正の結果としてガス濃度に関する情報を取得するように構成されることがある。前記3つの入力変数以外には、例えば、ドリフト補正は更なる変数を取得せず、例えば、以前に-例えば較正の文脈で(例えば、追加的に)取得された定数のみを使用する。このように、評価装置は、ドリフトによって引き起こされる、ガス濃度の計算における可能なエラーを計算し、それゆえにドリフト補正を実行するように構成されていることがある。ドリフトは、様々な温度および圧力で生じる可能性があり、したがって、誤ってガス濃度を決定する可能性があるが、この特徴によって回避または抑制され得る。したがって、評価装置を用いてガス濃度に関する情報を非常に正確に決定することが可能である。
ある実施形態によれば、評価装置は、少なくとも第1の検出器の検出器信号の振幅に関する情報に依存し、かつ任意に第2の検出器の検出器信号の振幅に関する情報にも依存する振幅情報と、第1の位相差に関する情報に依存し、かつ任意に第2の位相差に関する情報にも依存する位相情報との間の商に基づいて、合成信号、またはさらなる合成信号を得るように構成されている。さらに、評価装置は、合成信号に依存して、ガスの濃度、例えばガス混合物の第3のガスに関する情報を決定するように構成されてもよい。言い換えれば、商は振幅に関する情報と位相情報との間の比である。ある実施形態によれば、第3のガスはこの比をシフトさせ、その結果、評価装置はこの比に基づいて第3のガス成分の濃度を推論するように構成されることがある。
ある実施形態によれば、評価装置は、
sigV=sigUss*Kav/(sigPhi*Kpv)
によって合成信号sigVを取得するように構成されている。
式中、sigUssは、第1の検出器の検出器信号の振幅に関する情報および任意に第2の検出器の検出器信号の振幅に関する情報に依存する、振幅情報であってもよい。また、sigPhiは、第1の位相差に関する情報および任意に第2の位相差に関する情報に依存する位相情報であってもよい。また、KavおよびKpvは定数を表す。例えば、合成信号sigVは、振幅に関する情報と位相情報との比を表す。換言すれば、評価装置は、分析されるべきガス混合物中の既知の第3のガスの未知の濃度を例えば相関関係によって評価装置で推論するために使用され得るさらなる物理ガスパラメータを、比sigVによって振幅信号および位相信号から決定するように構成されている。KavおよびKpvは、振幅および位相の比の変化を増幅する新しい重み付け係数である。
ある実施形態によれば、評価装置は、加熱期間中にどの程度の熱がヒータによって散逸されるかについての情報を取得し、加熱期間中にどの程度のエネルギーがヒータによって散逸されるかについての情報に依存して、ガスの濃度、例えばガス混合物の第3のガスについての情報を決定するように構成される。加熱期間は、加熱電圧の最初のゼロ交差から加熱電圧の2番目のゼロ交差までの期間であると理解されてもよい。あるいは、加熱期間は、加熱電圧がゼロボルトからゼロボルト超またはゼロボルト未満に変化する第1の時点から、加熱電圧がゼロボルト超またはゼロボルト未満からゼロボルトに変化する第2の時点までの期間であると理解されてもよい。例えば、加熱信号は正弦波信号、余弦波信号、方形波信号、三角波信号、ノコギリ波信号であってもよい。加熱期間中は、熱はヒータを取り囲むガス混合物に放散される。ヒータによって周囲のガスに放散される熱の量は、例えば、周囲のガスの熱伝導率、または周囲のガスのガス成分の熱伝導率に依存する。したがって、評価装置は、ヒータが放散する熱によって、未知のガスまたはガス混合物の熱伝導率を決定するように構成されることがある。
ある実施形態によれば、評価装置は、特定の加熱電圧においてヒータを通る電流フローの大きさに基づいて、加熱期間中にどれだけの熱がヒータによって放散されるかという情報を得るように構成される。すなわち、加熱期間中にヒータに印加される加熱電圧は特定され、ガスまたはガス混合物にどれだけの熱が放散されるかに応じて電流の流れが変化する。放散される熱量が大きいほど、ヒータの温度上昇、ひいては正のTCR(抵抗温度係数)を想定した場合はヒータ抵抗の値が小さくなり、結果として電流流量の減少が少なくなる。このように、評価装置によってヒータを通る電流流量を決定することによって、分析されるべきガス混合物の組成が推論することができる、または、評価装置は電流流量を追加情報として使用して、ガス分析の精度をさらに向上させることができる。
ある実施形態によれば、評価装置は、特定の加熱電圧をオンにした直後、および特定の加熱電圧をオフにする直前に電流流量を取得するように構成される。評価装置は、両電流流量データ片の差から、加熱期間中の電流流量の変化を決定することができる。差分が大きいほど、分析されるガスまたはガス混合物の熱伝導率が低くなる。このように、評価装置は、ガスまたはガス混合物の熱伝導率を、例えば、ガスまたはガス混合物の分析における追加パラメータとして使用するように構成される。換言すれば、評価装置が、例えば加熱電圧をオンにした直後と加熱電圧をオフにする直前との間の開始最大値におけるヒータ電流の差を(期間ごとに)評価するように構成されることにより、評価装置は熱伝導率の測定値を未知のガス混合物のさらなる物理パラメータとして使用するように構成されてもよい。加熱電圧をオンにした直後とは、10μsから1ms、100μsから800μs、または300μsから500μsの時間スパン、ならびにスイッチオン後400μs等の時点を意味する場合がある。
ある実施形態では、少なくとも1つのヒータと少なくとも1つの検出器とを有する熱ガスセンサの信号を評価するための方法が提供される。熱は分析されるべきガスを介してヒータから検出器に伝達される。方法は、第1の検出器の検出器信号の振幅に関する情報(例えば、D1.Uss)、およびヒータ信号と第1の検出器の検出器信号との間の第1の位相差に関する情報(例えば、(D1-Hz).phi)を取得するステップを含む。検出器信号の振幅に関する情報に依存し、かつ第1の位相差に関する情報に依存して、合成信号が中間量として形成される。例えば、合成信号は振幅情報と位相情報とを結合する。合成信号に基づいて、ガス濃度に関する情報または流体(例えば、ガスまたはガス混合物)の熱拡散率に関する情報が決定される。例えば、この決定は、計算の以後の過程において、合成信号に組み込まれた個々の情報を個別に考慮することなく行うことができる。
ある実施形態では、少なくとも1つのヒータと、ヒータに対して異なる距離または同じ距離に配置された2つの検出器とを有する熱ガスセンサの信号を評価するための方法が提供される。例えば、熱は、ヒータから分析されるべきガスを介して2つの検出器に伝送され得る。方法は、第1の検出器の検出器信号の振幅に関する情報(例えばD1.Uss)、第2の検出器の検出器信号の振幅に関する情報(例えばD2.Uss)、ヒータ信号と第1の検出器の検出器信号との間の第1の位相差に関する情報(例えば(D1-Hz).phi)、およびヒータ信号と第2の検出器の検出器信号との間の第2の位相差に関する情報(例えば(D2-Hz).phi)を取得するステップを含むことがある。検出器信号の振幅に関する情報に依存し、且つ第1の位相差に関する情報に依存し、且つ第2の位相差に関する情報に依存して、合成信号が中間量として形成されることがある。例えば、合成信号は振幅情報と位相情報とを組み合わせたものであってもよい。ガス濃度に関する情報または流体(例えば、ガスまたはガス混合物)の熱拡散率に関する情報が、合成信号に基づいて決定されることがある。例えば、この決定は、計算の以後の過程において、合成信号に組み込まれた個々の情報を個別に考慮することなく行うことができる。
ある実施形態は、少なくとも1つのヒータと少なくとも1つの検出器とを伴う熱ガスセンサの評価装置に関連する。例えば、必然ではないものの、2つの検出器は、ヒータからの距離が異なって配置されていることがある。評価装置は、検出器のうちの少なくとも1つからの少なくとも1つのセンサ信号に依存して、少なくとも1つのセンサ信号を既定の値の範囲に収めるためにヒータに印加される加熱電力を制御するように構成されることがある。さらに、評価装置は、センサ信号からガス濃度に関する情報を導出する際に、加熱電力に関する情報(例えば、Hz.USS)を考慮するように構成されることがある。
評価装置のこの実施形態は、異なるガスまたはガス混合物について少なくとも1つのセンサ信号を既定の値の範囲に維持するために、評価装置が加熱電力を変化させてもよいという知見に基づいている。少なくとも1つのセンサ信号が既定の値の範囲内に維持されることにより、多大な情報損失を受け入れる必要なしに、理想的な方法で分析することができる。例えば、センサ信号の振幅が既定の値の範囲よりも低いという事実に関する情報を評価装置が得た場合、評価装置はヒータに加熱電力を印加して、ヒータの加熱電力を増大させ、ひいてはセンサ信号の振幅を既定の値の範囲に持ち上げるようにすることができる。しかし、センサ信号の振幅が既定の値の範囲よりも大きいという情報を評価装置が取得した場合、評価装置はヒータに加熱電力を印加して、ヒータの加熱電力を減少させ、ひいてはセンサ信号の振幅を既定の値の範囲内に引き下げることができる。このように、例えば、評価装置が少なくとも1つのセンサ信号に依存してヒータに加熱電力を適印加する、または再調整することにより、評価装置は少なくとも1つのセンサ信号を常に既定の値の範囲内に維持することができる。このように、評価装置は加熱電力に関する情報とセンサ信号に関する情報との組み合わせを用いて、ガスのガス濃度および/または熱拡散率に関する情報を導出することができる。さらに、評価装置は、したがって正確な流量測定および迅速なガス分析を行うことができる。
ある実施形態によれば、評価装置は、周期信号をヒータに適用するように構成されることがある。例えば、周期信号は、方形波信号、または定義されたパワーを有するインパルス、または正弦波信号を定義する。任意に、評価装置は、周期信号を生成することができるプロセッサを含む。ここで、プロセッサにおいて評価可能なタイマ構造のために、プロセッサがデジタル/アナログ(DA)ポートで出力することになる合成正弦波信号よりも時間的にはるかに正確に、方形波信号を生成することができることが指摘される。周期信号をヒータに適用することにより、2つの検出器はそれぞれ同じく周期的なセンサ信号も検出する。しかしながら、このようにして達成された周期的なセンサ信号はまた、ヒータの周期的な信号に対して、振幅、オフセット、および位相位置が異なっていることがある。評価装置によって達成された情報から、評価装置は熱伝導率、熱拡散率、およびガス(熱ガスセンサによって分析されるべきガス)の密度が既知である場合には特定の熱容量を決定することができる。したがって、例えば、ガス濃度および/または熱伝導率/熱拡散率に関する情報は、加熱電力に関する情報を表しうる加熱電力の変動から導出することができる。現在のところ、熱ガスセンサのヒータが含む熱質量が低い場合、熱が迅速に供給されて放散される可能性があるので、ヒータに印加される周期信号は、周波数が最大300Hzの評価装置によって変調することができる。このように、周期信号は正確で迅速かつ効率的なガス分析を可能にする。
例えば、周期信号が定義されたパワーを有するインパルスである場合、検出器に対するヒータ信号の急峻なエッジの電気的クロストークは、時間的に後に発生する熱波と明確に区別できるはずである。デューティサイクルが50%の場合、センサ信号が同時に熱波を得て、少なくとも1つの検出器が測定を実行する場合、ヒータにおけるスイッチオフエッジがセンサ信号に電気的にクロストークする可能性がある。電子システム(RC部品)を構成することにより、ヒータのエッジはわずかに丸められ、検出器信号をクロストーク干渉の外側に押し出すことができる。強力な組み込みプラットフォームでは、電気的干渉と信号が時間的に明確に区別することができるため、より短いデューティサイクルでのヒータ操作がより重要になる可能性がある。明らかに、少なくとも1つの検出器が測定を実行することができるように、ヒータが十分な電力/熱を散逸できるようにパルスは十分な幅であるべきであり、これは、デューティサイクルの下限5%であってもよい。
ある実施形態によれば、評価装置は、ヒータに印加される加熱電力を2つの値の間で切り替えるように構成されることがある。したがって、例えば、周期的な方形波信号の形での加熱電力がヒータに印加されることがある。例えば、DA変換器は、2つの値を(例えば、ヒータ電圧の形で)指定してもよい。2つの電圧のうちの1つの値は、アナログスイッチを有するヒータ増幅器に交互に印加されてもよい。この特徴により、ヒータに存在する加熱電力および位相位置がそれぞれの時間上の点で正確に決定することができ、その結果、少なくとも1つのセンサ信号は非常に厳密な意味でヒータ信号と言ってもよく、評価手段は、したがって非常に正確なガス分析を行うことができる。
ある実施形態によれば、評価装置は、少なくとも1つのセンサ信号の最小値および少なくとも1つのセンサ信号の最大値が既定の値の範囲内にあるように、加熱電力の振幅を調整するように構成されることがある。例えば、これにより、少なくとも1つのセンサ信号の振幅が、少なくとも1つのセンサ信号全体(例えば、熱ガスセンサが2つの検出器のうち少なくとも1つの検出器を介して少なくとも1つのセンサ信号を検出している時間の全体)において、既定の値の範囲内にあることが保証される。例えば、最小値は少なくとも1つのセンサ信号の最小振幅を表すことがあり、最大値は最大振幅を表してもよい。このように、例えば少なくとも1つのセンサ信号の最小値が既定の値の範囲内にあるか否かを検証するとき、および少なくとも1つのセンサ信号の最大値が既定の値の範囲内にあるか否かを検証するときの少なくとも2回、加熱電力の振幅が制御されることがある。この特徴によれば、少なくとも1つのセンサ信号の少なくとも2つの値(最小値と最大値)を決定し、それに基づいて加熱電力の振幅を調整することができるので、評価装置の精度を向上させることができる。したがって、非常に精密なガス分析を行うように評価装置を構成することができる。
任意で、既定の値の範囲は最小値範囲と最大値範囲を含んでいてもよい。この場合、例えば、評価装置は加熱電力の振幅を制御して、少なくとも1つのセンサ信号の最小値が既定の値の範囲の最小値範囲にあり、少なくとも1つのセンサ信号の最大値が既定の値の範囲の最大値範囲にあるように構成されていてもよい。このように、例えば少なくとも1つのセンサ信号がほぼ全ての値の範囲をカバーし、失われる情報がほとんどまたは全くないということもあり得る。
ある実施形態によれば、少なくとも1つのセンサ信号の最小値および/または最大値は、少なくとも1つのセンサ信号の位相位置またはオフセットを定義することができる。
例えば、既定の値の範囲は、アナログ-デジタル変換器の動作範囲をなすことがある。少なくとも1つのセンサ信号の最小値および/または少なくとも1つのセンサ信号の最大値が既定の値の範囲外にある場合、アナログ-デジタル変換器は少なくとも1つのセンサ信号を正しく変換しない可能性があり、その結果、評価装置は所定の状況下でガス濃度または熱拡散率についての誤った情報を導き出すことになる。本明細書に記載された特徴によってこれを防止または低減することができる。
ある実施形態によれば、評価装置は加熱電力の振幅を設定または調整して、少なくとも1つのセンサ信号の振幅が特定の振幅範囲にあるように構成されることがある。例えば、(例えば、既定の値の範囲によって決定/定義することができる)特定の振幅範囲は、アナログ-デジタル変換器の動作範囲を構成することがある。少なくとも1つのセンサ信号の振幅は特定振幅範囲の少なくとも50%、または少なくとも65%、または少なくとも75%を利用して、評価装置が少なくとも1つのセンサ信号の有意の分析を実行することができるようにするものとする。任意で、特定の振幅範囲は、少なくとも1つのセンサ信号の振幅がアナログ-デジタル変換器の値の範囲の少なくとも50%、少なくとも65%、または少なくとも75%を利用すると定義してもよい。少なくとも1つのセンサ信号の振幅が特定の振幅範囲外にあると、情報が失われ、例えば、センサ信号からのガス濃度または熱拡散率に関する情報の誤った導出が得られる可能性がある。
同様に、少なくとも1つのセンサ信号の振幅が特定の振幅範囲のうちの非常に小さな範囲のみしか利用していない場合、問題が生じ得る。例えば、この場合にはアナログ-デジタル変換器が十分に利用されない可能性があり、評価装置による分析の質が低下するからである。記載の特徴によって、評価装置による少なくとも1つのセンサ信号の分析における非常に高い精度を確保することができる。このように、アナログ-デジタル変換器が最適化された状態で動作することができ、評価装置による非常に正確なガス分析を確保することができる。
ある実施形態によれば、評価装置は、センサ信号がサンプリングされるサンプリング時間を設定または調整するように構成されることがある。例えば、センサ信号は、前処理された、および/またはDCオフセットが適用されるセンサ信号であってもよい。これにより、例えば評価装置は、センサ信号が既定の値の範囲内にあることを評価装置が期待するサンプリング時間を設定することができる。センサ信号が既定の値の範囲内にない場合、評価装置は、サンプリング時間にセンサ信号を既定の値の範囲内に持ってくるために、ヒータに加熱電力を印加することができる。このように、評価装置は、熱ガスセンサが検出したガスの非常に迅速かつ正確なガス分析を評価装置が実行することができる最適化されたサンプリング時間を設定または調整するように構成されている。
ある実施形態によれば、評価装置はサンプリング時間を設定して、センサ信号が最大値に達する時間上の点(例えば、第1のサンプリング時間)でサンプリングが行われ、センサ信号が最小値に達する時間上の点(例えば、第2のサンプリング時間)でサンプリングが行われるようにするように構成される。例えば、サンプリングは、最大±0.5%、±1%、±2%、または±5%の位相差で行われることがある。ある実施形態によれば、サンプリングは、偏差が±15μs、±100μs、±2.1ms、±4.2ms、±6.3ms、または±10msである時間上の点で実施されることがある。評価手段がこのような精度でサンプリング時間を設定することができるため、評価手段は、このようにして捕捉された最小値および/または最大値が既定の値の範囲内にあるか/ないかを検証することができる。さらに、センサ信号の最大値および最小値は、他のガス種のセンサ信号の最大値および最小値とそれぞれ非常に正確に比較することができ、その結果、評価手段はこのようにして設定されたサンプリング時間を通して非常に正確で効率的なガス分析を行うように構成されている。
ある実施形態によれば、評価手段は、アナログ-デジタル変換器の入力信号を得るために、検出器のうちの少なくとも1つからのセンサ信号と、デジタル-アナログ変換器によって生成されたオフセット信号とを結合するように構成されることがある。さらに、評価手段は、アナログ-デジタル変換器の入力信号をセンサ信号の全周期中に特定の範囲(例えば、既定の値の範囲)内に留まらせるために、オフセット信号を調整するように構成されることがある。例えば、オフセット信号は、アナログ-デジタル変換器の入力値が特定の上限閾値(例えば、アナログ-デジタル変換器の最大処理可能入力値の95%、90%、または85%)を超えたことを識別したことへの反応として、またはアナログ-デジタル変換器の入力値が特定の下限閾値(例えば、アナログ-デジタル変換器の最大処理可能入力値の5%、10%、または15%)を下回ったことを識別したことへの反応として、調整することができる。
このように、例えば、オフセット信号はセンサ信号のオフセットを変更して、センサ信号を特定の範囲に収めることができる。例えば、評価手段は、オフセットシフトされたセンサ信号を構成し得る入力信号を生成するためにオフセット信号を使用することができることが指摘される。このように、評価装置は、少なくとも1つのセンサ信号とオフセット信号との組み合わせによって、センサ信号を全周期中特定の範囲にシフトさせることができる。例えば、入力信号が依然として特定の範囲を超えている場合、評価手段は加熱電力をヒータに印加して、少なくとも1つのセンサ信号を全周期中特定の範囲内に収めるようにすることができる。例えば、特定の範囲は、アナログ-デジタル変換器の動作範囲であってもよい。このように、本明細書に記載の特徴により、アナログ-デジタル変換器を含み得る評価手段により、ガス濃度および/または熱拡散率に関する非常に正確な情報を少なくとも1つのセンサ信号から導出することができる。
ある実施形態によれば、評価手段は、サンプリング時間が定常状態に設定または調整され、かつオフセット信号が定常状態に調整された場合にのみ、加熱電力を制御するように構成されることがある。例えば、定常状態とは、評価装置が可能な公差内でサンプリング時間を決定したこと、およびサンプリング時間をそれ以上設定または調整する必要がないことを意味すると理解される。例えば、定常状態では、サンプリング時間は、少なくとも1つのセンサ信号の最大値(公差内)および最小値(公差内)がサンプリングされるように調整される。さらに、定常状態によって、評価手段が調整したオフセット信号は、少なくとも1つのセンサ信号との組み合わせによって、センサ信号の全周期中特定の範囲内に留まる入力信号を生成すると規定することができる。このように、定常状態は、少なくとも1つのセンサ信号を非常に正確に分析し、ガス濃度および/または熱拡散率に関する情報を導出するために、評価手段が必要なすべての出力パラメータ(例えば、サンプリング時間(およびそこから得られるセンサ信号の最大値および最小値等)またはオフセット信号)を正確に決定したことを意味することがある。評価手段んは、評価手段が調整した加熱電力に関する情報および評価手段少なくとも1つのセンサ信号から導出された情報から、ガスセンサが検出したガスのガス濃度および/または熱拡散率に関する情報を非常に精密に決定することができる。
ある実施形態によれば、評価手段は、サンプリング時間が設定または調整されている間、および/またはオフセット信号が調整されている間、加熱電力の制御を停止するように構成されることがある。この特徴により、サンプリング時間を設定または調整しているとき、および/またはオフセット信号を調整しているときの誤差が低減され、非常に迅速かつ効率的な調整が可能となり、その結果、評価手段は、ガス濃度および熱拡散率に関する情報を非常に迅速かつ非常に正確に決定するように構成することができる。
ある実施形態によれば、評価装置は、平均加熱電力または最大加熱電力および加熱電力の振幅を制御するように構成されることがある。例えば、周期的な励起信号がヒータに適用されることがあるので、平均加熱電力は、例えば、励起信号がヒータに適用されている時間にわたって平均化された電力であることがある。周期的に励起されたヒータでは、加熱電力の振幅が変化することがある。したがって、例えば、最大加熱電力は、ある時間スパン内のヒータの加熱電力の最大振幅に相当してもよい。あるいは、加熱電力の振幅はほぼ一定であってもよい。したがって、例えば、加熱電力の振幅は時間の経過とともに変化するように制御されてもよい。
ある実施形態では、少なくとも1つのヒータと、少なくとも1つの検出器またはヒータにまでの距離が異なって配置された2つの検出器またはヒータに対して同じ距離に配置された2つの検出器とを伴う熱ガスセンサの評価装置を動作させるための方法が提供される。方法は、少なくとも1つのセンサ信号を所定の値の範囲に持っていくために、検出器のうちの少なくとも1つの検出器からの少なくとも1つのセンサ信号に依存して、ヒータに印加される加熱電力を制御するステップを含んでいることがある。さらに、方法には、センサ信号からガス濃度に関する情報を導出する際に、加熱電力に関する情報(例えば、Hz.Uss)を考慮するステップを含んでいることがある。
ある実施形態は、プログラムがコンピュータ上で実行されるときに方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムに関連する。
ある実施形態は、少なくとも1つのヒータと、少なくとも1つの検出器またはヒータまでの距離が異なって配置された2つの検出器またはヒータに対して同じ距離に配置された2つの検出器とを伴う熱ガスセンサのための評価装置に関連する。評価装置は、指定の周期継続時間を有する周期信号をヒータに適用するように構成されていることがある。さらに評価装置は、検出器のうちの1つから少なくとも1つのセンサ信号を3回のサンプリング時間にサンプリングするように構成されることがあり、ここで第2のサンプリング時間は第1のサンプリング時間と比較して、周期継続時間に関して90°時間シフトされ、第3のサンプリング時間は、第1のサンプリング時間と比較して、周期継続時間に関して180°時間シフトされている。さらに、評価装置は、第1のサンプリング時間、第2のサンプリング時間、および第3のサンプリング時間におけるセンサ信号のサンプリングに基づく3つのサンプル値に基づいて、第1のサンプル値または第3のサンプル値がセンサ信号の最大値および最小値を構成するかどうかを識別するように構成されることがある。サンプリング時間(例えば、第1のサンプリング時間、第2のサンプリング時間、および/または第3のサンプリング時間)は、評価装置が指定したサンプリング時間から±0.5°、±1°、±2°、または±5°の偏差を含んでいてもよい。したがって、例えば、第2のサンプリング時間は第1のサンプリング時間と比べて周期継続期間1/4分、周期継続期間5/4分、または周期継続期間9/4分時間シフトされていてもよく、第3のサンプリング時間は第1のサンプリング時間と比べて周期継続期間1/2分、周期継続期間3/2分、または周期継続期間5/2分、時間シフトされていてもよい。
評価装置のこの実施形態は、少なくとも1つのセンサ信号のアナログ-デジタル変換が適切な時点で行われれば、ヒータにまでの距離が異なって配置された、熱ガスセンサの少なくとも2つの検出器のうちの1つによって検出された少なくとも1つのセンサ信号の振幅が非常に正確に測定され得るという知見に基づいている。例えば、少なくとも1つのセンサ信号が最大値または最小値を含んでいる時間上の点である。評価装置は、少なくとも1つのセンサ信号の「ゼロクロス」が予想される第2のサンプリング時間に評価装置が少なくとも1つのセンサ信号をサンプリングすることによって、第1のサンプリング時間および第3のサンプリング時間が誤って選択されていることを識別するように構成されてもよい。第1のサンプリング時間、第2のサンプリング時間、および第3のサンプリング時間が正しい場合、評価装置は、第1のサンプル値および第3のサンプル値がセンサ信号の最大値および最小値を構成するかどうかを識別することができる。このように、第2のサンプリング時間は、評価装置のためのこの検証を確実に行うことができる。
さらに、センサ信号の値の範囲(例えば、最小値から最大値まで)を決定し、これがアナログ-デジタル変換器の動作範囲内にあって、センサ信号が最適化された方法で分析され、且つ情報の損失がほとんどないか、または全くないかを検証することが可能である。評価手段が、決定された最小値および最大値が値の範囲内にないとする場合、評価装置は、検出器によって検出されたセンサ信号を値の範囲内に持ってくるために、ヒータに印加される周期信号を適応させるように構成されることがある。
さらに、サンプリング時間は最小値および/または最大値の形で、センサ信号の非常に正確に定義された位置を構成し、その結果、ヒータの周期信号と検出器の少なくとも1つからの少なくとも1つのセンサ信号との間の位相差および/または振幅差は、評価手段によって非常に正確に、容易に、かつ効率的に決定することができる。例えば、評価手段は、このようにして決定された位相差および振幅差から、非常に精密なガス分析を行うことができる。
このように、評価装置は、例えば第1のサンプリング時間、第2のサンプリング時間、および第3のサンプリング時間の正確な決定によって、センサ信号(2つの検出器のうちの少なくとも1つによって検出された、ガスを介してヒータから転送された信号)の振幅(例えば、最小値、最大値)を非常に正確に決定することができるという事実に起因して、熱ガスセンサが検出したガスの非常に正確で迅速かつ効率的なガス分析を実行することができることが指摘される。
ある実施形態によれば、評価装置は、第1のサンプル値および第3のサンプル値がセンサ信号の最大値および最小値を構成するかどうかを識別することに依存して、サンプリング時間を変更するように構成されることがある。このため、評価装置は、サンプリング時間が誤って選択されているかどうかを識別することができる。この場合、第1のサンプル値および第3のサンプル値がセンサ信号の最大値または最小値を構成し、サンプリング時間の偏差が例えば±0.5°、±0.7°、または±1°未満の場合、および/または±10μs、±15μs、または±20μs未満の場合、評価装置はサンプル値の変更を行わないと判断する。このように、サンプリング時間を修正し、評価装置が非常に正確で迅速かつ効率的な分析を十分に行うことができるように評価装置によって正確に設定することが可能となる。
ある実施形態によれば、評価装置は、第1のサンプル値がセンサ信号の極値、例えば最大値または最小値を構成し、第3のサンプル値がセンサ信号の第2の極値、例えば最小値または最大値を構成するように、サンプリング時間を設定または調整するように構成されることがある。例えば、第2のサンプル値は、センサ信号の平均値またはDC成分(例えば、センサ信号のゼロクロス)を構成してもよい。このように、評価装置は少なくとも1つのセンサ信号をサンプリングして、第1のサンプル値がセンサ信号の第1の極値を構成し第3のサンプル値がセンサ信号の第2の極値を構成するまで、第1のサンプル値および第3のサンプル値がセンサ信号の最大値または最小値を構成するかどうかを検証するように構成されることがある。こうして、評価装置をセンサ信号の振幅を非常に正確に決定することができるように調整されることを補償することができる。このように、例えば、評価装置は、熱ガスセンサが検出したガスの非常に精密なガス分析を実行する。
ある実施形態によれば、評価装置は、サンプリング時間を設定または調整する際に、指定された閾値を通ってセンサ信号が交差する時間上の点に関する情報を考慮するように構成されることがある。例えば、指定された閾値はセンサ信号のDC成分または平均値に相当することがある。例えば、指定された閾値を通ってセンサ信号が交差する時間は、第2のサンプリング時間に相当することがある。例えば、指定された閾値はセンサ信号の「ゼロクロス」を定義することがあり、ここで、「ゼロクロス」はオフセットとともに提供されることがある。例えば、評価装置が指定された閾値を通ってセンサ信号が交差する時間上の点に関する情報を残りの2つのサンプリング時間(例えば、第1のサンプリング時間および第3のサンプリング時間)と組み合わせた場合、評価装置は、第1のサンプル値および第3のサンプル値がセンサ信号の最大値および最小値に相当するかどうかを迅速かつ容易に検証または識別することができる。このように、サンプリング時間は評価装置によって非常に正確に決定することができ、その結果、評価装置による非常に精密なガス分析が可能となる。
ある実施形態によれば、評価装置は、第2のサンプリング時間における第2のサンプル値が、第1のサンプリング時間における第1のサンプル値および第3のサンプリング時間における第3のサンプル値の平均値と等しいかどうかを検証し、検証に依存して、第1のサンプル値および第3のサンプル値がサンプル信号の最大値および/または最小値を構成するかどうかを識別するように構成されることがある。ある実施形態によれば、第2のサンプル値は、第1のサンプル値と第3のサンプル値との差の平均値から最大交差±0.5%、±1%、または±5%で逸脱してもよい。この特徴により評価装置は、第2のサンプル時間の助けを得て、第1のサンプル値と第3のサンプル値がセンサ信号の最大値または最小値に相当するかどうかを識別することができる。このように、第1のサンプル値、第2のサンプル値、および第3のサンプル値を決定する際に、評価装置が起こし得るエラーが低減され、非常に精密なガス分析を実行することができる。
ある実施形態によれば、評価装置は、好ましくは50%のデューティサイクルを有する周期的な方形波信号または定義されたパワーを有するインパルスをヒータに印加するように構成されることがある。あるいは、デューティサイクルは5~50%の範囲であってもよい。ここで、例えば、デューティサイクルの公差は±1%、±2%、または±5%のデューティサイクルであっても良い。ある実施形態によれば、評価装置は、ヒータの加熱電力を適応させるために、ヒータの固定動作電圧におけるデューティサイクルを変更するように構成されてもよい。これにより、評価装置は、デューティサイクルを介して非常に精密なヒータ信号を決定することができ、ヒータ信号に相当するする少なくとも1つのセンサ信号のサンプリング時間を決定することによってガスを非常に精密に測定することができる(ひいては、例えば、ヒータ信号はガスを介して検出器に搬送され、センサ信号として検出器によって検出される)。
ある実施形態によれば、評価装置は、アナログ-デジタル変換器の入力信号を得るために、検出器の少なくとも1つからのセンサ信号をデジタル-アナログ変換器が生成したオフセット信号と結合し、アナログ-デジタル変換器の入力信号をセンサ信号の全周期中に指定された範囲(値の範囲等)内に留まらせるために、オフセット信号を調整するように構成されることがある。さらに、評価装置は、オフセット信号を調整した後にサンプリング時間を調整して、サンプリング時間の設定の変更によって得られたサンプル値がサンプリング時間の変更後もまだ指定された範囲内にあるかどうかの検証を再び実行するように構成されてもよい。例えば、アナログ・デジタル変換器はサンプリング時間に存在する信号値をデジタル化し、ひいてはセンサ信号をサンプリングする。例えば、アナログ-デジタル変換器の入力値がアナログ-デジタル変換器の最大処理可能な入力値の指定された上限閾値(95%、90%、または85%等)を超えていることを検出したことへの反応として、またはアナログ-デジタル変換器の入力値が指定された下限閾値(アナログ-デジタル変換器の最大処理可能な入力値の5%、10%、または15%等)を下回っていることを検出したことへの反応として、オフセット信号を調整することができる。例えば、オフセット信号を調整した後のサンプリング時間を追跡する文脈で、サンプリング時間を調整してもよい。例えば、オフセット信号を使用することにより、センサ信号とオフセット信号とを組み合わせた入力信号が指定された範囲内に留まるようになることもあり、ここで例えば、指定された範囲とは、アナログ-デジタル変換器がキャプチャすることのできる限界(例えば、アナログ-デジタル変換器の動作範囲)として定義することもできる。例えば、オフセット信号はセンサ信号を増幅または減少させ、ひいてはアナログ-デジタル変換器の最適な動作範囲または(例えば、指定された範囲内の)動作ウィンドウで継続的に同じままであり続ける(例えば、全周期継続時間中)ことができる。
アナログ-デジタル変換器の入力信号がセンサ信号の全周期継続時間中に留まり続けるべき指定された範囲は、センサ信号の振幅とセンサ信号のオフセットのための指定された範囲を定義することがある。したがって、例えば、オフセット信号は、センサ信号のオフセットをアナログ-デジタル変換器の指定された範囲にもたらすだけでなく、入力信号が振幅に関して指定された範囲の大部分を採用する振幅を含むように、センサ信号の振幅を制御することができる。評価装置がサンプリング時間を変更した場合、サンプリング時間は、得られたサンプル値(またはアナログ/デジタル変換器の入力値)で再度検証される。例えば、得られたサンプル値が位置すべき指定された範囲は、指定された下限閾値と指定された上限閾値との間であってもよい。任意で、評価装置は、必要に応じて、得られたサンプル値を再度検証した後に、オフセット信号および/またはヒータの加熱電力を再調整するように構成されていてもよい。このように、評価装置によって、アナログ-デジタル変換器がセンサ信号を非常に正確に分析することができるようになる。センサ信号はオフセット信号により、例えばアナログ-デジタル変換器の最適動作範囲(指定された範囲)を採ることができる入力信号に変換されるからである。これにより、評価装置を用いて非常に精密なガス分析を行うことが可能となる。
ある実施形態によれば、評価装置は、少なくとも1つの検出器からの少なくとも1つのセンサ信号を既定の値の範囲に持ってくるために、少なくとも1つのセンサ信号に依存してヒータに印加される加熱電力を制御するように構成されていることがある。さらに、評価装置は、センサ信号からガス濃度に関する情報を導出する際に、加熱電力に関する情報(例えば、Hz.Uss)を考慮するように構成されていることがある。例えば、評価装置は加熱電力を制御して、センサ信号の振幅が既定の値の範囲になるように構成されていてもよい。ここで、振幅は、センサ信号の最小値および/または最大値、または最大値と最小値との差であってもよい。例えば、センサ信号の振幅が非常に低い場合、評価装置はヒータに加熱電力を印加して、検出器が検出したセンサ信号の振幅が少なくとも既定の値の範囲全体をほぼカバーするようにすることができる。例えば、既定の値の範囲は、評価装置がセンサ信号を処理するのに使用するアナログ-デジタル変換器の動作範囲であってもよい。従って、例えば、評価装置はヒータに加熱電力を印加して、少なくとも1つのセンサ信号がアナログ-デジタル変換器の動作範囲の少なくとも70%、75%、または80%を採用するようにすることができる。評価装置は、加熱電力に関する情報に依存して、且つセンサ信号に関する情報に依存して、ガス濃度に関する情報および/またはセンサ信号の熱拡散率に関する情報を決定するように構成されてもよい。例えば、加熱電力に関する情報は加熱電力の振幅、加熱電力の位相、および/または加熱電力のオフセットを定義することがある。例えば、センサ信号に関する情報はセンサ信号の振幅、センサ信号の位相、および/またはセンサ信号のオフセットを定義することがある。こうして、ガスは評価装置を用いて非常に精密に分析することができる。
ある実施形態では、少なくとも1つのヒータと、ヒータまでの距離が異なって配置される2つの検出器とを伴う熱ガスセンサを動作させるための方法が提供される。この方法は、指定された周期継続時間の周期信号をヒータに印加するステップを含むことがある。検出器のうちの1つによって少なくとも1つのセンサ信号が3つの時間上の点でサンプリングされることがあり、ここで第2のサンプリング時間は第1のサンプリング時間と比較して、周期継続時間に関して90°(例えば±2%または±2°)時間シフトされていることがあり(すなわち周期継続時間の1/4、周期継続時間の5/4、または周期継続時間の9/4)、第3のサンプリング時間は、第1のサンプリング時間と比較して、周期継続時間に関して180°(例えば、±2%または±2°)時間シフトされていることがある(すなわち、周期継続時間の1/2、周期継続時間の3/2、または周期継続時間の5/2)。第1のサンプリング時間、第2のサンプリング時間、および第3のサンプリング時間にセンサ信号をサンプリングすることに基づく3つのサンプル値に基づいて、(例えば、評価装置によって)第1のサンプル値および第3のサンプル値がセンサ信号の最大値または最小値を構成するかどうかを(例えば、DCオフセットを除いて)特定することができる。センサ信号の最大値および最小値を構成する第1のサンプル値および第3のサンプル値は、例えば、第1のサンプル値が最大値を構成し、第3のサンプル値が最小値を構成することを意味してもよく、または、第1のサンプル値が最小値を構成し、第3のサンプル値が最大値を構成することを意味してもよい(これは、本明細書に記載されているすべての実施形態に適用される)。
ある実施形態は、プログラムがコンピュータ上で実行されるときに方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムに関連する。
以下、本願発明にかかる実施形態を、添付の図面を参照してより詳細に記載する。図示された概略図面に関して、図示された機能ブロックは本願発明の装置の要素または特徴、および本願発明の方法の対応する方法ステップであると理解され、本願発明の方法の対応する方法ステップがそこから導き出されることがあることに留意されたい。
図1Aは、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサの概略図である。 図1Bは、本願発明の一実施形態にかかる熱ガスセンサの評価装置の概略図である。 図1Cは、本願発明の一実施形態にかかる、加熱電力の制御を伴う熱ガスセンサのための評価装置の概略図である。 図1Dは、本願発明の一実施形態にかかる、3つの時点におけるセンサ信号のサンプリングを伴う熱ガスセンサの評価装置の概略図である。 図2Aは、本願発明の一実施形態にかかる、光学顕微鏡内のガスセンサの概略図である。 図2Bは、本願発明の一実施形態にかかる、走査電子顕微鏡内のガスセンサの概略図である。 図3は、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサのためのマイクロブリッジの走査電子顕微鏡像の断面の概略説明図である。 図4は、本願発明の一実施形態にかかる、ヒータに垂直に拡がる第2の断絶とは異なる、ヒータに垂直に拡がる第1の断絶を伴うガスセンサの概略説明図である。 図5は、本願発明の一実施形態にかかる、それぞれが複数の断絶領域を有する第1の断絶領域および第2の断絶領域を伴うガスセンサの概略図である。 図6Aは、本願発明の一実施形態にかかる、同数の断絶を有する第1の断絶領域および第2の断絶領域を伴うガスセンサの概略図である。 図6Bは、本願発明の一実施形態にかかる、多数の断絶を有する第1の断絶領域と、断絶が1つだけの第2の断絶領域とを伴うガスセンサの概略図である。 図6Cは、本願発明の一実施形態にかかる、第1の断絶領域における多数の断絶が、第2の断絶領域における多数の断絶とは異なる、ヒータに対して垂直な拡がりを含む、ガスセンサの概略図である。 図7は、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサの原理の概略図である。 図8は、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサにおける熱輸送の概略説明図である。 図9は、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサのヒータ信号、第1のセンサ信号、および第2のセンサ信号の概略説明図である。 図10は、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサのヒータの駆動の概略説明図である。 図11は、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサのセンサ信号を評価するための回路の概略説明図である。 図12は、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサの制御の概略図である。 図13Aは、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサのセンサ信号を分析する方法のブロック図である。 図13Bは、本願発明の一実施形態にかかる、トラッキングサンプリング時間を伴うガスセンサのセンサ信号を評価するための方法のブロック図である。 図14は、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサのヒータ信号と2つのセンサ信号との間の位相シフトを示す図である。 図15は、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサの少なくとも1つのセンサ信号の振幅を示す図である。 図16は、圧力の関数としての、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサの第1のセンサ信号と第2のセンサ信号との間の位相シフトを示す図である。 図17Aは、周波数の関数としての、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサのセンサ信号の位相シフトを示す図である。 図17Bは、周波数の関数としての、本願発明の実施形態にかかるガスセンサのセンサ信号の振幅を示す図である。 図18は、窒素濃度の関数としての、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサの第1のセンサ信号、第2のセンサ信号、およびヒータ信号の位相シフトを示す図である。 図19は、窒素濃度の関数としての、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサの第1のセンサ信号および第2のセンサ信号の振幅を示す図である。 図20は、さまざまなガス混合物についての、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサの合成信号を示す図である。 図21は、CO2濃度の関数としての、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサの合成信号を示す図である。 図22は、圧力の関数としての、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサの合成信号を示す図である。 図23は、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサのガス圧力とガス温度の関係を示す図である。 図24は、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサの合成信号を生成する方法のブロック図である。 図25は、本願発明の一実施形態にかかるセンサの合成信号の関数としての熱拡散率を示す図である。 図26は、本願発明の一実施形態にかかる、第1のガス混合物の加熱期間中のヒータ内の電流フローの図である。 図27は、本願発明の一実施形態にかかる、第2のガス混合物の加熱期間中のヒータ内の電流フローの図である。 図28は、本願発明の一実施形態にかかる、第3のガス混合物の加熱期間中のヒータ内の電流フローの図である。 図29は、本願発明の一実施形態にかかる、異なるガス混合物のための異なる位相情報の図である。 図30は、本願発明の一実施形態にかかる、異なるガス混合物のための異なる振幅情報の図である。 図31は、本願発明の一実施形態にかかる、異なるガス混合物の合成信号の説明図である。
図面による実施形態の詳細な説明
下記に本願発明の実施形態を図面に基づいてさらに詳細に説明するが、その前に、同一、機能的に同一または同じ効果を有する要素、物体、および/または構造が、異なる図面において同一または類似の参照番号で提供されていて、異なる実施形態で図示されたこれらの要素の説明が相互に交換可能または適用可能であることに留意されたい。
図1は、本願発明の一実施形態にかかるガスセンサ100の概略図である。ガスセンサ100は、膜110(例えば、薄層膜)と、発熱体120と、第1の感熱素子構造130と、第2の感熱素子構造140とから構成されてもよい。任意で、ガスセンサは、第1の感熱素子構造130または第2の感熱素子構造140のみを含んでいてもよい。膜110は、フレーム150によって拡開され、第1の断絶領域160および第2の断絶領域170を含むことがある。膜110の第1の断絶領域160は、少なくとも1つの断絶162を含むことがあり、膜110の第2の断絶領域170は、同じく少なくとも1つの断絶172を含んでいてもよい。例えば、発熱体120は、膜110の第1の断絶領域160と第2の断絶領域170との間に、膜110上に自立ブリッジ構造として配置されていてもよい。第1の感熱素子構造130は、ホットエンド132とコールドエンド134を含んでいることがある。第1の感熱素子構造130のホットエンド132は、第1の断絶領域160の、発熱体120に対向する側の膜110上に配置されていてもよい。第2の感熱素子構造140も同じくホットエンド142およびコールドエンド144を含んでいることがある。ホットエンド142は、第2の断絶領域170の発熱体120に対向する側で膜110上に配置されてもよい。
膜110は、厚さが200nm~4000nm、300nm~3000nm、400nm~2000nm、または1μm~10μmの薄層膜であってもよい。ある実施形態によれば、膜全体の厚さは約2μmである(例えば、複数の膜層、センサ層、およびパッシベーション層からなる)。例えば、膜層はSi酸化物および/またはSi窒化物を含むことがある。例えば、シート面への、すなわち発熱体120、第1の感熱素子構造130および第2の感熱素子構造140が配置されている、膜110の面に対して垂直な膜110の拡がりを厚さと定義してもよい。膜110は、導電性材料、絶縁性材料または半導体材料を含むことがあり、ここで、材料の熱伝導率は、例えば、5W/(m*K)未満、100mW/(m*K)未満、または50mW/(m*K)未満と非常に低いことがある。例えば、適応された基本的なドーピングを有する半導体は、単純な5マスクMEMSプロセスで膜110を製造するためのコスト効率の高い基板となり得る。
ある実施形態によれば、発熱体120(以下、発熱体120をヒータと呼ぶこともある)は自立ブリッジ構造を形成することがあり、および/またはワイヤを含んでもよい。ある実施形態によれば、発熱体120はフレーム150の一方の側からフレーム150の反対側に広がっていてもよい。例えば、電圧が発熱体120に印加されることがあり、その結果、発熱体120は、例えば第1の断絶領域162および/または第2の断絶領域172内に位置する、分析されるべきガスに加熱電力を送信することができる。例えば、発熱体120に印加される電圧は、正弦波信号または周期的な方形波信号のような周期的な電圧信号であってもよい。このように、例えば、発熱体120は周期的なヒータ信号(例えば加熱電力)を供給することができる。例えば、ヒータ信号は、例えば膜110を介して、および/または第1の断絶162または第2の断絶172に配置されたガスを介して、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140に伝達することができる。
例えば、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140は蛇行状に構成されており、ひいては感熱素子が直列に接続されて例えばサーモパイルを形成することになる。このように、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140は検出器として機能することがあり、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140は、例えばヒータ信号を検出することができる。
ある実施形態によれば、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140は、全体的に膜110上に配置されることがある、または少なくとも部分的に膜110上に配置され、かつ少なくとも部分的にフレーム150上に配置されることがある。したがって、例えば、フレーム150の温度を比較温度としてもよく(例えば、第1の感熱素子構造130のコールドエンド134がここに配置されてもよく、および/または第2の感熱素子構造140のコールドエンド144がここに配置されてもよい)、膜110上に配置された感熱素子構造の部分(例えば、ホットエンド132,142)が測定温度(例えば、ヒータ信号)を検出してもよい。例えば、ホットエンド132,142とコールドエンド134,144とは、導体を介して接続されている。したがって、例えば、第1の材料を含む導体は第1のコールドエンドを第1のホットエンドに接続することがあり、第2の材料を含む第2の導体は第1のホットエンドを第2のコールドエンドに接続することがある。こうした第1の導体と第2の導体との接続は、例えば、直列に接続されてサーモパイルを形成することがあり、ひいては、例えば第1の感熱素子構造130または第2の感熱素子構造140を構成することがある発熱体を構成することがある。したがって、例えば、これらの導体に沿って温度差(例えば、比較温度と測定温度との間の温度差)が生じることがあり、その結果、例えば、金属導体の端部(例えば、ホットエンドおよび/またはコールドエンド)に電圧が誘導されることがある。したがって、例えば、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140は、熱を電気エネルギーに変換するように構成されることがある。ある実施形態によれば、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140は、ワイヤまたは自立ブリッジ構造であってもよい。
ある実施形態によれば、膜110は、膜材料の温度膨張係数および/または熱伝導率がキャリア材料の熱膨張係数および/または熱伝導率から逸脱するように実施されるキャリア材料からなるフレーム150によって拡開されていてもよい。フレーム150は、例えば、膜110が担持されることがあるキャリア材料または基板材料を含んでいてもよい。したがって、例えば、フレーム150に比較温度を設定することができる。ある実施形態によれば、フレーム150および膜110はまた、同じ熱膨張係数を有していてもよい。
ある実施形態によれば、膜110は、フレーム150よりも低い熱伝導率を有していてもよい。この場合、例えば、膜110はとりわけ、非常に低い熱伝導性を有し、ヒータ信号が発熱体120から第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140に、膜110を介してではなく、主に(例えば、第1の断絶162および/または第2の断絶172に配置されている)分析されるべきガスを介して伝送されるものとする。このように、例えば、膜110を介した熱輸送は抑制、低減、または減速することができる。
このように、膜110は、発熱体120から第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140への寄生熱伝導を抑制するように構成することができる。したがって、例えば、膜110の熱伝導率は、発熱体120から膜110を介して第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140に熱がほとんどから全く伝導されず、熱の大部分または全ての熱が分析されるべきガスを介して伝導されるように選択されることがある。
一方、膜110を保持するフレーム150のキャリア材料の熱伝導率は、非常に高くてもよい。したがって、例えば、熱伝導率が150W/(m*K)のシリコンをキャリア材料として用いられることがある。このように、キャリア材料は、ヒートシンクとして使用されることがある。このように、例えば、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140は、部分的に、例えばホットエンド132、142が膜上に配置され、少なくとも部分的に、例えばコールドエンド134、144がキャリア材料上に配置され、その結果、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140内に温度差が生じることがあり、それによって発熱体120からそれぞれの感熱素子構造130、140への熱輸送が検出されることがある。
このように、ある実施形態によれば、第1の感熱素子構造130のコールドエンドおよび第2の感熱素子構造140のコールドエンドは、フレーム150のキャリア材料上に配置されることがある。例えば、膜110がキャリア材料によって担持される場所に配置される。
ある実施形態によれば、膜110の第1の断絶領域160は、その長手方向の拡がり164が第1の感熱素子構造130と発熱体120との間の領域を完全に覆うのに十分な大きさを有する連続的断絶162を含んでいることがある。膜110の第2の断絶領域170は、その長手方向の拡がり174が第2の感熱素子構造140と発熱体120との間の領域を完全に覆うのに十分に大きい連続的断絶172を含んでいることがある。したがって、例えば、長手方向の拡がり164,174は、発熱体120の全長と同じくらいの大きさ、および/または少なくとも第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140の全長と同じくらいの大きさである。このようにして、発熱体120から膜110を介して第1の感熱素子構造130または第2の感熱素子構造140に可能な限り少ない熱を伝送することが可能になるが、大部分は第1の断絶領域160内の第1の断絶162および/または第2の断絶領域170内の第2の断絶172の中のガスを介して伝送される。
ある実施形態によれば、第1の断絶領域160の少なくとも1つの断絶162の横方向の拡がり166は、第2の断絶領域170の少なくとも1つの断絶172の横方向の拡がり176とは異なっていることがある。例えば、第1の断絶162および第2の断絶172のそれぞれの横方向の拡がり166,176は、発熱体120の最大拡がりの方向に垂直な方向に、または発熱体120からそれぞれの感熱素子構造(例えば、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140)に向かう方向に向けられてもよい。例えば、図1Aによれば、第1の断絶162および第2の断絶172は、同じ横方向の拡がり166,176を含んでいる。
ある実施形態によれば、第1の断絶162は縦方向の拡がり164および横方向の拡がり166を含み、第1の断絶162が第1の断絶領域160の拡張に対応するようになっていることがある。同様に、例えば、第2の断絶172は縦方向の拡がり174および横方向の拡がり176を含み、第2の断絶172が第2の断絶領域170の拡がりに対応するようになっている。このように、例えば、第1の断絶領域160の全体が第1の断絶162を構成し、第2の断絶領域170の全体が第2の断絶172を構成することがある。
任意で、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140のコールドエンド134、144の側では、膜110は第3および/または第4の断絶領域を含むことがある。したがって、例えば、第1の感熱素子構造130は、第1の断絶領域160と第3の断絶領域との間に、ワイヤの形態で、または自立ブリッジ形状で構成されることがあり、および/または、第2の感熱素子構造140は、例えば、第2の断絶領域170と第4の断絶領域との間に、ワイヤの形態で、または自立ブリッジの形状で構成されてもよい。このように、例えば、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140は、分析されるべきガスによって2面から囲まれていてもよい。
ある実施形態によれば、第1の感熱素子構造130は発熱体120までの距離が、第2の感熱素子構造140とは異なっている場合がある。例えば、図1Aでは、第1の感熱素子構造130は、発熱体120までの距離が第2の感熱素子構造140と同じである。発熱体120から第1の断絶162を介して第1の感熱素子構造130へ、および/または発熱体120から第2の断絶172を介して第2の感熱素子構造140へヒータ信号を伝送する際に、発熱体から第1の断絶162および/または第2の断絶172に配置された分析されるべきガスへ、およびガスから第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140への未知の熱移動が発生する可能性がある。例えば、第1の感熱素子構造130が検出した発熱体120からのヒータ信号を第1のセンサ信号と称してもよく、第2の感熱素子構造140が検出した発熱体120からのヒータ信号を第2のセンサ信号と称してもよく、例えば、第2の感熱素子構造140によって検出される発熱体120からの発熱信号を第2のセンサ信号と称してもよい。
例えば、第1のセンサ信号および/または第2のセンサ信号は、2つの未知の熱遷移(例えば、発熱体→ガス、ガス→感熱素子構造)と、分析されるべきガスを介した熱伝達を含んでいることがある。第1の感熱素子構造130と発熱体120との間隔が第2の感熱素子構造140とは異なっている場合、例えば、ガスセンサは第1のセンサ信号および第2のセンサ信号から、例えば未知の熱遷移(第1のセンサ信号および第2のセンサ信号は同じ熱遷移を含み得る)が差し引かれた差信号を作りだすことができ、したがって、差信号は、発熱体120から分析されるべきガスを介してそれぞれ感熱素子構造130、140への熱伝達のみを含むか、または大部分が前記熱伝達となるが、未知の熱伝達を一切、または非常にわずかにしか含まない。
ある実施形態によれば、第1の断絶領域160および第2の断絶領域170は、(例えば、残りの膜材料110によって)(例えば、第1の断絶領域160または第2の断絶領域170において)グリッド構造が形成されるように配置できる、複数の断絶(例えば、断絶162および断絶1621、または断絶172および断絶1721)を含むことがある。グリッド構造において断絶は発熱体120に平行に並べられ、列は互いにオフセットするように配置される。この場合、断絶領域160,170内の断絶は、縦方向の拡がり164,174および横方向の拡がり166,176に関して互いに異なっていることがある。例えば、図1Aによれば、第1の断絶領域160の断絶1621の長手方向の拡がりは、断絶162の長手方向の拡がり164よりも短い。同様に、第2の断絶領域170の断絶1721の長手方向の拡がりは、断絶172の長手方向の拡がり174よりも短くてもよい。
ある実施形態によれば、第1の断絶領域160および第2の断絶領域170は、グリッド構造が形成されるように配置される複数の断絶を含むことがある。グリッド構造において、膜110による熱伝導の経路は直接経路122a,122bよりも長い。例えば、直接経路122a,122bは、発熱体120から感熱素子構造130,140に至る、発熱体120に垂直な直線経路であってもよい。この場合、直接経路122a,122bは、断絶162,1621および断絶172,1721をそれぞれ通過してもよく、その結果、分析されるべきガスによる熱伝導が第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140によって感知することができる。直接経路122a,122bが膜110を経由するだけで、分析されるべきガスを経由しない場合、ガスセンサ100は、ガスの意味のある分析を確実に行うことができない可能性がある。
ある実施形態によれば、少なくとも1つの断絶162,172は、第1の断絶領域160および第2の断絶領域170において、任意に丸みを帯びた角を有する長方形の切り欠きを形成してもよい。この場合、例えば長手方向の穴である。また、例えば楕円形の穴であってもよい。図1Aでは、第1の断絶領域160の断絶162および第2の断絶領域170の断絶172を長方形の断絶(穴)として図示しているが、断絶は、どのような形状(例えば、三角形、円形、正方形、多角形等)を含んでいてもよい。断絶162、172の形状は、発熱体から膜110を介して第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140に至る熱経路が可能な限り長く、分析されるべきガスを介した経路が非常に長い経路を構成するように適合することができる。これにより、膜110を介さずに分析されるべきガスを介して可能な限り多くの熱を輸送することが可能となり、その結果、ガスセンサ100はガスを非常に正確に分析することができる。
ある実施形態によれば、少なくとも1つの断絶162,172は、幅方向の長さの少なくとも3倍の長さを有していることがある。したがって、例えば、断絶162の長手方向の拡がり164は横方向の拡がり166よりも3倍長くてもよく、または、断絶172の長手方向の拡がり174は横方向の拡がり176よりも3倍長くてもよい。このように、例えば、長さが長手方向の拡がり164,174を構成し、幅が横方向の拡がり166,176を構成する。例えば、長さは発熱体120に平行な方向(または発熱体120の最大拡がり方向)として定義することができ、幅は発熱体120に垂直な方向(または発熱体120の最大拡がり方向)として定義することができる。
ある実施形態によれば、第1の断絶領域160内の複数の断絶162,1621間の距離168と、第2の断絶領域170内の複数の断絶172,1721間の距離178は、機械的に耐久性のあるグリッド構造をもたらす最小の実現可能な構造幅に対応していることがある。距離168,178は、2つの断絶の間のリッジの幅を規定することがあり、膜110の膜材料からなる。距離168,178が小さいほど、発熱体120から第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140に膜110を介して伝達される熱が少なくなり、分析されるべきガスを介して伝達される熱が多くなる。
ある実施形態によれば、第1の感熱素子構造130および第2の感熱素子構造140は、保護層で不動態化されていることがある。保護層は、分析されるべきガスによる損傷から第1の感熱素子構造130および第2の感熱素子構造140を保護することができ、ひいては第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140の損傷に起因する、ガス分析におけるガスセンサの可能な不正確さを回避することができる。
ある実施形態によれば、第1の感熱素子構造のホットエンド132は膜110の第1の断絶領域160の端部まで達することがあり、第2の感熱素子構造140のホットエンド142は膜110の第2の断絶領域170の端部まで達してもよい。例えば、ホットエンド132と第1の断絶領域160との間の距離、またはホットエンド142と第2の断絶領域170との間の距離は0.5mm、100nm、または10μmよりも大きくないものとする。例えば、断絶162または断絶142がこの端部まで達している場合、膜110はそれぞれのホットエンドとそれぞれの断絶との間の距離が非常に小さい。これにより、膜110の膜材料は、第1の感熱素子構造130または第2の感熱素子構造140によるヒータ信号の検出を妨げないか、またはわずかにしか妨げないことが可能となり、その結果、ガスセンサ100はガスを非常に正確に分析することができる。
図1Bは、少なくとも1つのヒータ120と、ヒータ120に対して異なる距離1801および1802で配置された2つの検出器(第1の検出器130および第2の検出器140)とを有する熱ガスセンサ100の、本願発明では評価手段とも称される評価装置200の概略図である。第1の検出器130は、距離1801でヒータ120から離れて配置されてもよく、第2の検出器140は、距離1802でヒータ120から離れて配置されてもよい。評価装置200は、第1の検出器130の検出器信号の振幅についての情報210、第2の検出器140の検出器信号の振幅についての情報220、ヒータ信号と第1の検出器130の検出器信号との間の第1の位相差についての情報210、およびヒータ信号と第2の検出器140の検出器信号との間の第2の位相差についての情報220を取得するように実施されることがある。
ある実施形態によれば、情報210は、第1の検出器130の検出器信号の振幅、ならびにヒータ信号と第1の検出器130の検出器信号との間の第1の位相差を含むことがあり、情報220は、第2の検出器140の検出器信号の振幅、ならびにヒータ信号と第2の検出器140の検出器信号との間の第2の位相差を含むことがある。しかしながら、それぞれの検出器(第1の検出器130および/または第2の検出器140)の検出器信号の振幅を、第1の位相差および第2の位相差とは別個に、熱ガスセンサから評価装置に送信することもあり得る。ある実施形態によれば、情報210および情報220は、評価装置200に別個の回線を介して送信されるのではなく、例えば相互回線または無線を介して送信することも可能である。
ある実施形態によれば、評価装置200は、検出器信号の振幅についての情報210、220に依存し、第1の位相差および第2の位相差についての情報210、220に依存する中間量としての合成信号230を形成するように実施されてもよい。合成信号230は、第1の検出器130の検出器信号及び第2の検出器140の検出器信号の振幅情報と位相情報とを組み合わせてもよい。評価装置200は、合成信号230に基づいて、ガスの濃度、あるいはガスまたはガス混合物としての流体の熱拡散率に関する情報240を決定するように実装されることがある。例えば、評価装置200は、計算の以後のプロセスにおいて、合成信号230に組み込まれた個々の情報210,220を個別に再検討することなく、この決定を実行することができる。
例えば、それぞれの検出器130,140は検出器信号の振幅を情報210,220として直接提供することができる。ヒータ信号122と各検出器130,140の検出器信号との間の第1の位相差および第2の位相差に関する情報210,220は、熱ガスセンサ100によって決定され、例えば評価装置200に送信されてもよい。
あるいは、第1の検出器130の検出器信号および第2の検出器140の検出器信号は、それぞれ情報210および情報220を介して評価装置200に送信することができ、ヒータ信号122はさらに、評価装置200に直接送信することができる。この場合、評価装置は、第1の検出器130の検出器信号および第2の検出器140の検出器信号からそれぞれの振幅を決定し、このようにして決定された情報に依存する合成信号230を形成するために第1の位相差と第2の位相差とを決定するように構成されてもよい。
評価装置200が合成信号230を形成することにより、評価装置200が、第1の検出器130の検出器信号の振幅および第1の位相差に関する情報210と、第2の検出器140の検出器信号の振幅および第2の位相差に関する情報220とを別々に修正する場合と同様に、熱ガスセンサ100の可能なエラーを容易に、かつ、はるかに迅速に修正してガス濃度および熱拡散率に関する情報240を得ることができる。このように、合成信号230は、分析されるべきガスの濃度や熱拡散率に関する情報240の決定を容易にすることができ、熱ガスセンサ100で発生する誤差を抑制または低減することが可能となる。
ある実施形態によれば、評価装置200はヒータ信号122からヒータ振幅に関する情報、例えば加熱電力に関する情報を取得し、ヒータ振幅に関する情報、情報210および情報220の線形結合を形成して合成信号230を得るように構成されることがある。
あるいは、評価装置200は、ヒータ信号122からヒータ振幅に関する情報を取得するだけでなく、上述したように、例えば、情報210が第1の検出器130の検出器信号を含み、情報220が第2の検出器140の検出器信号を含む場合、第1の位相差および第2の位相差に関する情報を計算してもよい。
このように、第1の位相差および第2の位相差の形で合成信号230に組み込まれるのは、ヒータ信号の位相だけではなくヒータの振幅もあり、これにより評価装置200は、2つの検出器のヒータ120からの第1の距離1801および第2の距離1802に依存して、分析されるべきガスの濃度および熱拡散率に関する情報240を決定することが可能になる。したがって、例えば、第2の検出器140のヒータ120までの距離1802が、第1の検出器130のヒータ120までの距離1801よりも大きいので、第1の検出器130の検出器信号は第2の検出器140の検出器信号よりも大きな振幅を含む。ヒータ120までの距離が増加すると、それぞれの検出器130,140によって検出されるヒータの振幅が減少する可能性がある。ヒータの振幅に関する情報の追加によって、評価装置200は、したがってガス濃度および熱拡散率に関する情報240をさらに正確に決定することができる。ヒータ信号122のヒータ振幅を基準とみなすことができ、よって合成信号230は相対振幅信号を含むことができるためである。例えば、相対振幅信号は絶対振幅信号よりも誤差が発生しにくい。
ある実施形態によれば、評価装置200は、sigX=sigUss*Ka+sigPhi*Kpによって合成信号sigX230を得るように実施されることがある。項sigUssは、第1の検出器130の検出器信号の振幅に関する情報210および第2の検出器140の検出器信号の振幅に関する情報220に依存する振幅情報または振幅信号であってもよい。例えば、sigUssは、第1の検出器130の検出器信号の振幅に関する情報210と、第2の検出器140の検出器信号の振幅に関する情報220との線形結合であってもよく、sigPhiは、第1の位相差に関する情報210と、第2の位相差に関する情報220とに依存することがある位相情報または加算された位相信号であってもよい。したがって、例えば、sigPhi第1の位相差に関する情報210と第2の位相差に関する情報220とを加算したものであってもよい。また、KaおよびKpは、定数であってもよい。このようにして決定された合成信号230は、振幅情報sigUssと位相情報sigPhiとを含むことがあり、その結果、合成信号において4つの情報(例えば第1の検出器130の検出器信号の振幅に関する情報210、第2の検出器140の検出器信号の振幅に関する情報220、ヒータ信号と第1の検出器130の検出器信号との間の第1の位相差に関する情報210、およびヒータ信号と第2の検出器140の検出器信号との間の第2の位相差に関する情報220)が結合されることがあり、その結果、評価配置200は、より少ない電力を使用して情報210、220を処理することができる。このように、評価装置200は、ガス濃度および熱拡散率に関する情報240を非常に効率的に、迅速かつ正確に決定するように構成することができる。
ある実施形態によれば、評価装置200は、sigUss=2*Hz.Uss-(D1.Uss+D2.Uss)によって振幅情報sigUssを取得するように構成されることがある。Hz.Ussはヒータ信号122から得られるヒータ振幅の情報であってもよい。また、D1.Ussは、第1の検出器130の検出器信号の振幅に関する情報210であってもよく、D2.Ussは、第2検出器140の検出器信号の振幅に関する情報220であってもよい。このように、振幅情報sigUssは相対的な振幅信号であることがある。第1の検出器130の検出器信号の振幅に関する情報210と、第2の検出器140の検出器信号の振幅に関する情報220と、ヒータ振幅Hz.Ussとが相互に計算されて、第1の検出器130の検出器信号の振幅に関する情報210と、第2の検出器140の検出器信号の振幅に関する情報220とがヒータ振幅に関連して考慮されるようになっているからである。振幅を相対的に考慮しているために、絶対振幅値の可能な誤差を回避することができ、その結果、評価装置200は、ガス濃度および熱拡散率に関する情報240を非常に正確に決定することができる。
ある実施形態によれば、評価装置200は、ガス濃度または熱拡散率に関する情報240を得るために、合成信号230の例えば1次の多項式を計算するように実装されることがある。例えば、多項式(例えば多項式y)は、y=A0+A1*sigX+A2*sigX2によって求めることができる。評価装置200が合成信号230の多項式を形成するため、合成信号230は可能な圧力ドリフト誤差または温度ドリフト誤差に関して非常に簡単にかつ効率的に補正することができる。
ある実施形態によれば、評価装置200は、ガス濃度および/または熱拡散率に関する情報240を得るために、合成信号230の多項式に補正項を乗算するように実装されてもよい。合成信号230の補正項は、圧力に関する情報および温度に関する情報に依存することがあり、例えば、圧力依存性および温度依存性を補償することがある。換言すれば、補正項は、合成信号230からの圧力ドリフトおよび/または温度ドリフトを補償してもよい。したがって、評価装置200が熱ガスセンサ100によって検出された信号を不正確に解釈する可能性を低減することができる。
Figure 0007460682000003
Figure 0007460682000004
ある実施形態によれば、評価装置200は、ガス濃度および/または熱拡散率に関する情報240を決定する際に、熱ガスセンサ100の周辺領域の圧力および/または温度を考慮するように実装されることがある。このためには、例えば、熱ガスセンサ100は、周辺領域の圧力および/または温度を検出し、評価装置200に送信することができる、圧力センサおよび温度センサを備えていることがある。したがって、例えば、評価装置200は、熱ガスセンサ100の周辺領域における異なる圧力条件および/または温度条件に起因するガス濃度および/または熱拡散率に関する情報240の計算が不正確になる可能性を考慮し、修正することができる。このように、評価装置200は、熱ガスセンサ100の周辺領域の圧力および/または温度に反応して、それに応じてガス濃度および/または熱拡散率に関する情報240を非常に正確に決定することができる。
本願発明のある実施形態によれば、ガス濃度および/または熱拡散率に関する情報240を決定する際に、評価装置200は、ドリフト補正の結果としてのガス濃度および/または熱拡散率に関する情報を得るために、合成信号230、熱ガスセンサ100の周辺領域の温度に関する情報、および熱ガスセンサ100の周辺領域の圧力に関する情報をドリフト補正の入力量として使用するように実装されることがある。このように、例えば、ガス濃度及び/又は熱拡散率に関する情報240を得るために、温度及び圧力に関する情報に依存して合成信号に対してドリフト補正を行うことができる。例えば、上記の3つの入力変数(合成信号、温度に関する情報、および圧力に関する情報)以外には、ドリフト補正はそれ以上の変数を取得せずに、以前に取得した定数、例えば較正の文脈において決定された定数のみを使用してもよい。この場合、定数は使用される熱ガスセンサ100に固有のものであってもよい。このように、評価装置200は、ガス濃度および/または熱拡散率に関する情報240を計算する際に、非常に正確な結果(情報240)を得るために、熱ガスセンサ100間の小さな違いを考慮するように実装されることがある。例えば、ドリフト補正は、温度ドリフトおよび/または圧力ドリフトを補正してもよい。
図1Cは、少なくとも1つのヒータ120と2つの検出器(第1の検出器130および第2の検出器140)とを伴う熱ガスセンサ100の評価装置200の概略図である。第1の検出器130は、ヒータ120までの第1の距離1801を有することがあり、第2の検出器140は、ヒータ120までの第2の距離1802を有することがある。図1Cによれば、第1の検出器130および第2の検出器140は、ヒータ120までの距離1801,1802が同じであるように構成されている。しかしながら、第1の距離1801が第2の距離1802と異なることもあり得る。したがって、例えば、第1の検出器130は、ヒータ120までの距離が第2の検出器140とは異なって配置されてもよい。評価装置200は、少なくとも1つのセンサ信号210,220を既定の値の範囲に収めるために、検出器のうちの少なくとも1つ(例えば、第1の検出器130および/または第2の検出器140)からの少なくとも1つのセンサ信号(例えば、第1のセンサ信号210および/または第2のセンサ信号220)に依存して、ヒータ120に印加され得る加熱電力を制御する(例えば、加熱電力を制御するための制御ユニット250を使用する)ように構成されていてもよい。
例えば、評価装置によって少なくとも1つのセンサ信号210,220を分析および/またはさらに進行させるためには、評価装置200が少なくとも1つのセンサ信号210,220を既定の値の範囲に収めていれば有利である。例えば、加熱電力が増加すれば、少なくとも1つのセンサ信号210,220の振幅または周波数もまた例えば増加してもよい。例えば、これは、少なくとも1つのセンサ信号210,220が小さすぎて既定の値の範囲が大きすぎる場合に、評価装置200が実行することができる。このように、新しいセンサ信号210,220は、制御装置250による加熱電力の制御の後に、既定の値の範囲を埋めてもよいし、既定の値の範囲内に位置してもよい。例えば、既定の値の範囲は、使用される評価装置200の構成要素、例えばアナログ-デジタル変換器(ADC)に依存してもよい。したがって、例えば、少なくとも1つのセンサ信号210,220がADCに適合された既定の値の範囲(例えば、ADC動作範囲)に適合されている場合、ADCは、少なくとも1つのセンサ信号210,220を非常に効率的にさらに処理することが可能である。
評価装置200は、ヒータ120の加熱電力が低減されるようにヒータ120の加熱電力を制御ユニット250で制御するように実装されることがある。これにより、少なくとも1つのセンサ信号210,220も同じく低減することができる。例えば、少なくとも1つのセンサ信号210,220が既定の値の範囲を超える場合、すなわち大きすぎる場合にこれは有利になる可能性がある。評価装置200が制御ユニット250によってヒータ120の加熱電力を制御するように実装されていることによって、評価装置200の例示的な構成要素、例えばADCによって少なくとも1つのセンサ信号210,220をさらに処理するときに、少なくとも1つのセンサ信号210,220の情報が失われない、または少ししか失われないことがあり得る。
ある実施形態によれば、評価装置200の制御ユニット250は、ヒータ120の加熱電力を制御するための制御信号252をヒータ120に送信することがある。さらに、制御ユニット250は、ヒータ120の制御された加熱電力についての情報122を評価装置200に提供することがある。
評価装置200は、少なくとも1つのセンサ信号210,220からガス濃度および/または熱拡散率に関する情報240を導出する際に、加熱力に関する情報122を考慮するように構成されることがある。このように、少なくとも1つのセンサ信号210,220が加熱電力に依存するので、制御装置250がセンサ信号210,220を既定の値の範囲に収め、分析において加熱電力に関する情報122を追加的に考慮することができる。さらに、この評価装置200によって、1つのセンサ信号、例えば第1のセンサ信号210または第2のセンサ信号220だけで、ガス濃度および/またはガスまたは(例えばガスまたはガス混合物の)流体の熱拡散率に関する情報240を一定の精度で導出することができる。第1のセンサ信号210および第2のセンサ信号220、ならびに加熱電力122が情報240を導出するために使用される場合、情報240の決定は過剰に決定され、その結果、情報240は評価装置200によって非常に正確に決定することができる。例えば、第1の検出器130のヒータ120までの第1の距離1801が第2の検出器140の第2の距離1802と異なる場合、ガス濃度および/またはガスの熱拡散率に関する情報240は、ヒータ120の加熱電力に関する情報122を使用せずに、第1のセンサ信号210および第2のセンサ信号220だけから導出することができる。
ある実施形態によれば、評価装置200は加熱電力に関する情報122を、制御ユニット250からではなく熱ガスセンサ100から取得することもできる。
ある実施形態によれば、評価装置200は、周期信号(例えば、制御信号252)をヒータ120に適用するように実装されることがある。例えば、周期信号は、周期的な方形波信号または正弦波信号であってもよい。制御信号252、ひいてはヒータ120が分析されるべきガスに放散した熱が周期信号である場合、第1の検出器130によって検出される第1のセンサ信号210および第2の検出器140によって検出される第2のセンサ信号220もまた、周期信号であることがある。しかしながら、第1の距離1801および第2の距離1802により、第1のセンサ信号210および/または第2のセンサ信号220は、ヒータ120の周期信号に対して位相が異なっていてもよく、ヒータ120の周期信号に対して振幅が異なっていてもよい。例えば、評価装置200は、ガス濃度および/または熱拡散率に関する情報240を非常に正確に決定するために、これらの相違を使用することがある。
ある実施形態によれば、評価装置200は、(例えば、制御信号252によって)ヒータ120に印加される加熱電力を2つの値の間で切り替えるように構成されることがある。このように、例えば、周期的な方形波信号がヒータ120に適用されてもよい。よって、例えば、ヒータ120は、第1の加熱電力と第2の加熱電力とを交互に分析されるべきガスに伝送することがある。
ある実施形態によれば、評価装置200は、少なくとも1つのセンサ信号210,220の最小値および少なくとも1つのセンサ信号210,220の最大値が既定の値の範囲内にあるように、加熱電力の振幅を(例えば、制御ユニット250で)制御するように実装されることがある。例えば、制御信号252によってヒータ120の加熱電力の振幅が増加した場合、例えば、少なくとも1つのセンサ信号210,220の最小値が減少し、少なくとも1つのセンサ信号210,220の最大値が増加するようにしてもよい。例えば、制御信号252によって加熱電力の振幅が減少した場合、少なくとも1つのセンサ信号210,220の最小値が増加し、少なくとも1つのセンサ信号210,220の最大値が減少するようにしてもよい。
ある実施形態によれば、既定の値の範囲は、ADCなどの評価装置200の構成要素の値の範囲に依存することがある。したがって、例えば、既定の値の範囲は、構成要素の値の範囲(例えば、評価装置200の構成要素の値の範囲)に依存して決定することができる。したがって、例えば、既定の値の範囲によって、少なくとも1つのセンサ信号210,220の最小値が、例えば、構成要素の値の範囲の0%~30%、1%~25%、または2%~20%の範囲にあり、少なくとも1つのセンサ信号210,220の最大値が、構成要素の値の範囲の70%~100%、75%~99%、または80%~98%の範囲にあると規定することができる。このように、例えば、既定の値の範囲は、最小値が位置することになる低い値の範囲と、最大値が位置することになる高い値の範囲とを含むことがある。
ある実施形態によれば、評価装置200は加熱電力の振幅を、少なくとも1つのセンサ信号210,220の振幅が特定の振幅範囲内にあるように設定または(例えば、制御装置250で)調整するように実装されることがある。例えば、少なくとも1つのセンサ信号210,220が周期的な正弦波信号を含む場合、その振幅は、センサ信号の各時点で特定の振幅範囲内にあるものとする。ここで、少なくとも1つのセンサ信号の振幅は、特定の振幅範囲を全面的に利用するものとする。例えば、特定の振幅範囲は、上側の振幅範囲、中央の振幅範囲、および下側の振幅範囲を含むまたは分割されていることがある。少なくとも1つのセンサ信号の振幅が利用する特定の振幅範囲について、例えば、少なくとも1つのセンサ信号の最大振幅は上側の範囲にあり、最小振幅は下側の範囲にあるものとする。例えば、特定の振幅範囲は構成要素の範囲に依存してもよい。このように、例えば、特定の振幅範囲は、少なくとも1つのセンサ信号の振幅が、例えば、アナログ-デジタル変換器の構成要素の値の範囲の少なくとも50%、または少なくとも65%、または少なくとも75%を利用するように決定してもよい。
ある実施形態によれば、評価装置200は、センサ信号210,220がサンプリングされるサンプリング時間を設定または調整するように構成されることがある。例えば、センサ信号210,220は、任意で、評価装置200または熱ガスセンサ100によって前処理されてもよく、および/またはDCオフセットを適用されてもよい。ある実施形態によれば、センサ信号210,220が、最大振幅の時点および最小振幅の時点でサンプリングされると有利であり得る。例えば、サンプリング時間が誤って選択されていると評価装置200が判断した場合に、評価装置200はこれら2つのサンプリング時間を設定または再調整することができる。サンプリング時間を正確に設定することによって、例えば、評価装置は、第1のセンサ信号210と(例えば、ヒータ120によって発出され、制御信号252によって制御される)ヒータ信号との間、または第2のセンサ220とヒータ信号との間の位相差または振幅差を非常に簡単に決定することが可能になり得る。非常に正確な位相差および/または振幅差によって、評価装置200は、分析されるべきガスのガス濃度および/または熱拡散率に関する情報240を非常に正確に決定または導出することができる。
ある実施形態によれば、評価装置200は、例えばセンサ信号210,220が最大値に達する時点で±2°以下の位相差でサンプリングが行われ、例えばセンサ信号210,220が最小値に達する時点で±2°以下の位相差でサンプリングが行われるように、サンプリング時間を設定するように実装されることがある。例えば、上記の通り、最大値はセンサ信号210,220の最大振幅を定義し、最小値はセンサ信号210,220の最小振幅を定義することがある。
ある実施形態によれば、評価手段200は、アナログ-デジタル変換器の入力信号を得るために、検出器130,140の少なくとも1つからのセンサ信号210,220を、デジタル-アナログ変換器が生成したオフセット信号と結合するように実装されることがる。評価手段200は、アナログ・デジタル変換器の入力信号をセンサ信号210,220の全期間中特定の範囲内に留まらせるために、オフセット信号を調整するように実装されてもよい。したがって、例えば、オフセット信号は、アナログ・デジタル変換器の構成要素の値の範囲内にある入力信号が生成されるように、センサ信号210,220を適合させるように実装されてもよい。このように、例えば、オフセット信号は、分析されるべき異なるガスからの異なるセンサ信号210,220に反応できるように調整/適応されてもよい。したがって、例えば、オフセット信号は、結果として得られる入力信号が特定の範囲内にあるように、大きすぎるセンサ信号210,220を小さくするように構成されることがある。さらに、センサ信号210,220が小さすぎる場合、オフセット信号はセンサ信号210,220を大きくして、特定の範囲内にある入力信号が生成されるように構成されることもある。
このように、一方では、評価装置200は、加熱電力を制御することによってセンサ信号210,220の振幅を既定の値の範囲に収まるようにして、センサ信号210,220とオフセット信号とを結合することによってセンサ信号210,220のオフセットをセンサ信号210,220が所定の値の範囲内にあるように変更するように実装されることがある。これにより、センサ信号210,220を非常に正確に分析することが可能になり、ひいては、分析されるべきガスのガス濃度および/または熱拡散率に関する非常に正確な情報240を、評価装置200によって決定することができる。
ある実施形態によれば、評価手段200は、サンプリング時間の設定または調整が定常状態にあるとき、および、オフセット信号の調整が定常状態にあるときにのみ加熱電力を制御するように実装されることがある。定常状態とは、評価手段200がサンプリング時間を、センサ信号210,220を予め定義されたイベント(例えば、最大振幅(最大値)、ゼロクロス、または最小振幅(最小値)など)でサンプリングすることができるように、決定していると理解することができる。同様に、定常状態とは、オフセット信号をセンサ信号210,220と結合した際に、センサ信号210,220が特定の範囲内にある入力信号を生成し、ひいては評価装置によってセンサ信号210,220を非常に正確に、情報の損失なしまたは情報の損失がほとんどなく分析することができるように、オフセット信号が調整されたことを意味することがある。したがって、例えば、評価手段200は事前設定(定常状態におけるサンプリング時間、または定常状態におけるオフセット信号など)を、制御装置250によって加熱電力を制御するときに、新しいセンサ信号210,220を事前設定で非常に正確に分析し、所定の状況下で、センサ信号210,220からガス濃度および/または熱拡散率に関する情報240を導出するためにサンプリング時間またはオフセット信号の新たな制御がそれ以上必要とならないように、決定することができる。
ある実施形態によれば、評価装置200は、サンプリング時間が設定または調整されている間、および/またはオフセット信号が調整されている間、(例えば、制御装置250による)加熱電力の制御を停止するように実装されることがある。このように、例えば、サンプリング時間およびオフセット信号がまだ定常状態にない間は、確実にセンサ信号210,220に変更が加えられないようにすることができる。こうして、センサ信号210,220の非常に正確な分析が保証することができる。エラーの可能性が極めてわずか、または全くなしでサンプリング時間およびオフセット信号を非常に正確に決定することができるからである。
ある実施形態によれば、評価装置200は、平均加熱電力または最大加熱電力、さらに加熱電力の振幅を制御するように実装されることがある。したがって、例えば、制御装置250は制御信号252として、ヒータ120のための新しいヒータ信号を熱ガスセンサ100に送信することがあり、ここで制御信号は例えば、変更された平均加熱電力、最大加熱電力、または加熱電力の振幅を含む。しかしながら、制御信号152が、平均加熱電力、最大加熱電力、または加熱電力の振幅がヒータ120用の熱ガスセンサによってどのように変更されるかを示す情報を含んでいることもある。
図1Dは、少なくとも1つのヒータ120と、ヒータ120に対して異なる距離(例えば、第1の距離1801および第2の距離1802)で配置された2つの検出器(例えば、第1の検出器130および第2の検出器140)とを伴う熱ガスセンサ100の評価装置200の概略図である。例えば、第1の検出器130は、ヒータ120までの第1の距離1801を有することがあり、第2の検出器140は、ヒータ120までの第2の距離1802を有することがある。評価装置200は、ヒータ120に特定の周期継続時間を有する周期信号260を適用するように実装されてもよい。この場合、例えば、周期信号は、方形波信号、既知のパワーを有するインパルス信号、または正弦波信号であってもよい。任意で、高調波を有する正弦波信号であってもよいし、三角信号であってもよい。周期信号はまたヒータ信号と呼ばれることがあり、ヒータ120から分析されるべきガスを介して第1の検出器130および/または第2の検出器140に熱の形で伝達されてもよい。伝達された熱は、第1の検出器130によって第1のセンサ信号210として、第2の検出器140によって第2のセンサ信号220として検出することができる。第1のセンサ信号210および第2のセンサ信号220はそれぞれ、各々が特定の周期継続期間を含む第1の周期信号および第2の周期信号を含んでいることがある。これにより、分析されるべきガスを、そのガス濃度および/または熱拡散率に関して、熱ガスセンサ100、または評価装置200が非常に正確に分析することができる。評価装置200は検出器130,140のうちの1つから、少なくとも1つのセンサ信号(例えば、第1のセンサ信号210および/または第2のセンサ信号220)を3つの時点で(例えば、サンプリング手段270によって)サンプリングするように実装されてもよい。例えば、第2のサンプリング時間は周期継続時間に関して、第1のサンプリング時間と比較して90°(例えば、±2°で)の分、時間シフトされることがある。したがって、例えば、第2のサンプリング時間は第1のサンプリング時間と比較して、周期継続時間の1/4、周期継続時間の5/4、または周期継続時間の9/4の分、時間シフトされることがある。第3のサンプリング時間は周期継続時間に関して、第1のサンプリング時間と比較して180°の分、または第2のサンプリング時間と比較して90°の分、時間シフトされることがある。第1のサンプリング時間、第2のサンプリング時間、および第3のサンプリング時間は、±2%の公差を含むことができる。つまり、例えば、第3のサンプリング時間は第1のサンプリング時間と比較して、周期継続時間の1/2、周期継続時間の3/2、または周期継続時間の5/2の分、時間シフトされてもよい。このように、センサ信号210,220は、正確に定義された位置でサンプリングすることができ、ガス濃度および/または熱拡散率に関する情報240をセンサ信号210,220から非常に正確に決定することが可能になる。評価装置200は、(例えばサンプリング装置270によって行われる)第1のサンプリング時間、第2のサンプリング時間、および第3のサンプリング時間におけるセンサ信号のサンプリングに基づく3つのサンプリング値に基づいて、第1のサンプリング値および第3のサンプリング値がセンサ信号210,220の最大値および最小値を構成するかどうかを検出するように実施されてもよい。例えば、これは、検査装置280によって実行されてもよい。例えば、検査装置280は、DCオフセットを無視してもよく、したがって、DCオフセットとは別に、例えば、第1のサンプリング値がセンサ信号210,220の最大値を構成し、第3のサンプリング値がセンサ信号210,220の最小値を構成するかどうかを検査することがある。したがって、例えば、第2のサンプリング時間はセンサ信号210,220の「ゼロクロス」である場合があり、また、検査手段280によって考慮されることがある。
第1のサンプリング時間、第2のサンプリング時間、および/または第3のサンプリング時間、ならびに第1のセンサ信号210および第2のセンサ信号220は、熱ガスセンサ100によって検出されたガスのガス濃度および/または熱拡散率に関する情報240を決定するために使用されることがある。任意で、ヒータ信号122が情報240の決定に追加的に使用されることがある。したがって、例えば、第1のセンサ信号210と第2のセンサ信号220との間の位相差ならびに第1のセンサ信号210と第2のセンサ信号220との間の振幅差が、サンプリング時間/サンプル値に基づいて決定されることがある。任意で、第1のセンサ信号210とヒータ信号122との間、および/または第2のセンサ信号220とヒータ信号122との間の位相差および/または振幅差が決定されることがある。このようにして決定された位相差および振幅差から、ガス濃度および/または熱拡散率に関する情報240が決定することができる。
ある実施形態によれば、評価装置200は、第1のサンプル値および第3のサンプル値がセンサ信号210,220の最大値および/または最小値を構成するかどうかの識別に依存してサンプリング時間を変更するように実装されてもよい。例えば、これはサンプリング制御手段290によって行うことができる。このように、例えば、第1のサンプル値および第3のサンプル値がセンサ信号210,220の最大値および/または最小値に相当しない場合、新たなサンプリング時間が決定されることがある。サンプリング時間を制御することにより、サンプル値を確実に既定の値に対応させることができる。例えば、検査手段280が、許容範囲(例えば、±2°)外の偏差があると判定した場合、サンプリング制御手段290はサンプリング時間を変更/再調整することができる。
ある実施形態によれば、評価装置200は、第1のサンプル値がセンサ信号210,220の第1の極値、例えば最大値または最小値を構成し、第3のサンプル値が第2の極値、例えばセンサ信号210,220の最小値または最大値を構成するように、サンプリング時間を設定または調整するように実装することができる。例えば、第2のサンプル値は、センサ信号210,220の平均値またはDC成分、例えば「ゼロクロス」を構成してもよい。
ある実施形態によれば、評価装置200は、サンプリング時間を設定または調整する際に、センサ信号210,220が特定の閾値を通過する時間上の点の情報を考慮するように構成されることがある。例えば、この時間上の点は、例えば、センサ信号210,220の直流成分または平均値を構成する第2の時間上の点であってもよい。したがって、例えば、検査手段280は、第1のサンプリング時間および/または第2のサンプリング時間を検査するために、第2のサンプリング時間を使用してもよい。このように、検査手段280が、第2のサンプリング時間に基づいて、第1のサンプリング値がセンサ信号210,220の最大値または最小値に相当せず、第3のサンプリング値がセンサ信号210,220の最小値または最大値に相当していないと判定した場合、サンプリング制御装置290は、サンプリング時間を新たに設定または再調整することができる。例えば、特定の閾値は、(例えば、DCオフセットとは別に)「ゼロクロス」を定義することができる。
ある実施形態によれば、評価装置200は、第2のサンプリング時間における第2のサンプル値が、第1のサンプリング時間におけるサンプル値の平均値、および第3のサンプリング時間における第3のサンプル値と同一であるかどうかを検査し、検査に依存して、第1のサンプル値および第3のサンプル値がセンサ信号の最大値および最小値を表すかどうかを検出するように実装されることがある。例えば、第2のサンプル値は最大±1%の公差で、第1のサンプル値と第3のサンプル値との間の差、またはサンプル値の平均値と第2のサンプル値との間の差と同一であるものとされる。そうでない場合、検査装置280は、サンプリング時間が誤って選択されたことを検出することができる。第1のサンプル値はセンサ信号210,220の第1の極値を構成し、周期継続時間に関して180°時間シフトされた第3のサンプル値は、センサ信号210,220の第2の極値を構成するので、第2のサンプル値は、第1のサンプリング時間と第2のサンプリング時間との間のちょうど半分の時間に位置していてもよい。したがって、第2のサンプリング値は、他の2つのサンプリング値の平均値に相当することがある。このように、検査装置280の助けを借りてサンプル値を検査するための効率的かつ正確な方法になり得る。
ある実施形態によれば、評価装置200は、好ましくは50%のデューティファクタを有する周期的な方形波信号260をヒータ120に適用するように実装されることがある。しかしながら、周期的な方形波信号が、5%~50%、8%~48%、または10%~45%の範囲のデューティ比を含んでいることもあり得る。ヒータ120に適用される周期的な方形波信号260は、±2%の公差を含むことができる。ある実施形態によれば、デューティ比は、インパルスの周期的なシーケンスについて、周期継続時間に対するインパルスの持続時間の割合を示す。
ある実施形態によれば、評価装置200は、アナログ-デジタル変換器への入力信号を得るために、センサ信号210,220をデジタル-アナログ変換器によって生成されたオフセット信号と結合するように実装されることがある。例えば、アナログ-デジタル変換器は、サンプリング時間に存在する信号値(例えば、第1のサンプル値、第2のサンプル値、および/または第3のサンプル値)をデジタル化し、これをセンサ信号210、220をサンプリングするために使用することができる。例えば、サンプリング装置270は、アナログ・デジタル変換器を含んでいてもよい。
ある実施形態によれば、評価装置200は、センサ信号210,220の全周期中にアナログ-デジタル変換器の入力信号が特定の範囲内に収まることを達成するために、オフセット信号を調整するように構成されることがある。したがって、例えば、オフセット信号は、アナログ-デジタル変換器の動作範囲(例えば、特定の範囲)内の入力信号が生成されて、デジタル化においてセンサ信号210,220の情報が失われないように、または情報損失が低減されるように、センサ信号210,220のオフセットを変更してもよい。したがって、例えば、サンプリング装置270は、アナログ-デジタル変換器の入力値が例えば特定の範囲の特定の上限閾値を超えるか、または例えば特定の範囲の特定の下限閾値を下回るかを調べることがある。したがって、サンプリング装置270はセンサ信号210,220と結合されることがあるオフセット信号を生成して、入力信号の値等の入力値が特定の範囲内に収まるようにすることがある。評価装置200は、オフセット信号を調整した後にサンプリング時間を調整し、サンプリング時間の変更後に、サンプリング時間の設定を変更したことで得られたサンプル値が依然として特定の範囲内にあるかどうかの検査を再び実行するように実装されてもよい。このように、例えば、まずオフセット信号が評価装置200によってセンサ信号210,220に対して生成され、その後、サンプリング装置270によってサンプリング時間を決定、検査、場合によっては再調整することができる(例えば、これは、サンプリング時間のトラッキングを構成し得る)。このトラッキングの後、評価装置200によるオフセット信号の繰り返し調整を伴う可能性のある新しいサンプル値を作り出すことができる。このように、例えば、オフセット信号とサンプリング時間は、例えばアナログ-デジタル変換器がセンサ信号210、220を処理できるようになるまで、交互に調整または追跡されることがある。このように、この時間上の点で、オフセット信号およびサンプリング時間は定常状態であることがある。
例えば、サンプリング制御手段290によって変更されたサンプリング時間の設定により、アナログ-デジタル変換器の入力値とみなされ得る新たなサンプル値が生成される。アナログ-デジタル変換器の入力信号が特定の範囲内に留まるためには、オフセット信号とヒータ120の加熱電力が再調整されることがある。例えば、オフセット信号はセンサ信号210,220のオフセットを適応させてもよく、加熱電力の変更はセンサ信号210,220の振幅を適応させて、特定の範囲にある入力信号が生成されるようにしてもよい。
ある実施形態によれば、評価装置200は、少なくとも1つのセンサ信号210,220を既定の値の範囲に持ってくるために、検出器130,140のうちの少なくとも1つからの少なくとも1つのセンサ信号210,220に依存して、ヒータ120に印加される加熱電力を制御するように実装されることがある。評価装置200は、センサ信号210,220からガス濃度および/または熱拡散率に関する情報240を導出する際に、加熱電力に関する情報(例えば、ヒータ信号122)を考慮するように実装されることがある。したがって、例えば、ヒータ120の加熱電力が増加すると、センサ信号210,220は、センサ信号210,220の振幅の増加を受けることがあり、または、加熱電力が減少すると、少なくとも1つのセンサ信号210,220は、センサ信号210,220の振幅の減少を受けることがある。このように、例えば、ヒータ120の加熱電力を制御することによって、センサ信号210,220を既定の値の範囲に収めることができる。
以下、熱ガスセンサおよび評価装置の実施形態を、以降の図面に基づいて説明する。
1.1 熱ガスセンサの技術的バリエーション
図2Aおよび図2Bはそれぞれ、物理的なガス特性を測定するためのガスセンサ100の概略図である。熱ガスセンサ100は薄層膜110と、例えば、膜110上の膜110の第1の断絶領域160と膜110の第2の断絶領域170との間に自立ブリッジ構造として配置されていることがある、発熱体120を備えることがある。ワイヤセンサ(温度センサ構造130、140の例;図2および図3参照)の場合、薄層膜110(例えば、複数のベース層、センサ層、およびパッシベーション層からなる)の厚さは、例えば、1~10μmの間であることがある。発熱体120はヒータと呼ばれることもある。図2Aおよび図2Bによれば、第1の断絶領域160の全体が膜110の断絶162を含むことがあり、第2の断絶領域170の全体が膜の断絶172を含むことがある。このように、発熱体120は、第1の断絶162と第2の断絶172との間に自立して配置されてもよい。第1の断絶162は、感熱素子120と自立ブリッジ構造の形をした第1の温度センサ構造130とによって限定されてもよい。第2の断絶172は、感熱素子120と、例えば自立ブリッジ構造の形をした第2の温度センサ構造140によって限定されてもよい。第1の温度センサ構造130および/または第2の温度センサ構造は、ワイヤセンサ、サーモパイル、温度可変抵抗器またはサーミスタであってもよい。
任意で、ガスセンサ100は第1の外側断絶192と第2の外側断絶194とを含むことがある。したがって、例えば、第1の感熱素子構造130は、第1の断絶160と第2の外側断絶194との間の自立ブリッジ構造であり、第2の感熱素子構造140は、第2の断絶172と第1の外側断絶192との間の自立ブリッジ構造であることがある。第1の感熱素子構造130は第1の検出器または第1のセンサと呼ばれることがあり、第2の感熱素子構造140は第2のセンサまたは第2の検出器と呼ばれることがる。
ガスセンサ100の断面は図2Aの上側部分で見ることができる。例えば、ガスセンサ100は、キャリア材料からなるフレーム150を含む。例えば、キャリア材料で作られたフレーム150は、膜110を広げることがある。ある実施形態によれば、膜110は、1μm~50μm、2μm~25μm、または3μm~10μmの範囲、例えば8μmの厚さ111(例えば、第1の感熱素子構造130、第2の感熱素子構造140、および発熱体120が配置されている膜110の表面に垂直な拡がり)を含むことがある。ある実施形態によれば、膜110は、フレーム150からの凹部190によって実現されてもよい。このように、例えば、凹部190は、膜110を所望の厚さ111で実現することができるように選択することができる。
図2Aおよび図2Bの実施形態によれば、例えば、凹部190は、発熱体120、第1の感熱素子構造130、および第2の感熱素子構造140のみがフレーム150の間に広がったままであるように実施されてもよい。ある実施形態によれば、第1の感熱素子構造130、第2の感熱素子構造140、および発熱体120が配置される膜110の表面は、200×200μm2~5×5mm2、500×500μm2~2000×2000μm2、または800×800μm2~1200×1200μm2の範囲の拡がりを含んでいることがあり、ここで拡がりは正方形または長方形の拡がりであり得る。ガスセンサ100は、500nm~5mm、1μm~1mm、または200μm~600μmの範囲、例えば400μmの、(例えば、膜110の厚さ111と平行な)厚さ101を含みうる。発熱体120が配置された膜110の表面に平行なガスセンサ100の拡がりは、1×1mm2~1×1cm2、1.5×1.5mm2~9×9mm2、または2×2mm2~8×8mm2の範囲、例えば6.5×2.5mm2であり得る。
ある実施形態によれば、第1の感熱素子構造130、第2の感熱素子構造140、および/または発熱体120は、膜110の一部であってもよい。
ガスの種類および/またはガス混合物に依存する熱輸送を測定するために、フレームの間に自立的に広がり、分析されるべきガスによってマイクロワイヤとして囲まれることがある、3つの微細なブリッジ構造(例えば、発熱体120、第1の感熱素子構造130、および第2の感熱素子構造140)を有するマイクロチップ(熱ガスセンサ100の一例)が使用されることがある。例えば、分析されるべきガスは、第1の断絶162、第2の断絶172、第1の外側断絶192、および/または第2の外側断絶194に配置されてもよい。中央ブリッジ構造をヒータ120として実装することができ、ヒータ120に対して異なる距離で両側に配置された2つの検出器構造(例えば、第1の感熱素子構造130および第2の感熱素子構造140)を、ガス混合物からの伝達応答を測定するための温度センサとして使用することができる。
例えば、周期的な熱信号が中心線(発熱体120)に印加され、その結果、例えば、発熱体によって熱が放射される。熱伝導は、ヒータ120から分析されるべきガスへ、およびガスからセンサワイヤ(例えば、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140)への未知の熱遷移を介して行われることがある。第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140がこのようにして検出した熱伝達は、伝達応答として、またはセンサ信号(例えば、第1の感熱素子構造130によって検出される第1のセンサ信号および第2の感熱素子構造140によって検出される第2のセンサ信号)として理解することができる。ヒータ120までの距離が異なる2つの同一のセンサ(例えば、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140)によって温度応答(例えば、伝達応答)を測定することによって、例えば、測定装置における未知の熱遷移を除去することができる。2つのセンサ信号の位相および振幅は主にガスによる熱伝達に依存することができる。
1.1.1 実施例
MEMSワイヤセンサとしてのガスセンサ100(検出器抵抗(例えば、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140の抵抗)におけるTCR(抵抗の温度係数)の評価)(任意で、セクション1.2に記載の信号生成および評価、およびセクション1.3に記載の評価アルゴリズムと組み合わせて使用可能な、代替的な実施形態)
温度ガスセンサ100の第1の変形例は、シリコンオンインシュレータ(SOI)ウェハ基板に基づいて構築されることがある。例えば、分析すべきガス空間内に広がるシリコンマイクロワイヤ(例えば、第1の温度センサ構造130および第2の温度センサ構造140)からなる自立式微細ブリッジ構造を有するマイクロチップで構成される。センターワイヤがヒータ120として実装されることがあり、2本の検出器ワイヤ(例えば、第1の温度センサ構造130および第2の温度センサ構造140)を、ヒータからの距離が異なるヒータの両側の温度センサとして使用することができる(図2A、図2B参照)。
例えば、図2Aは、MEMSワイヤセンサチップ(ガスセンサ100)を光学顕微鏡で観察した画像(左側)、図2Bは、走査型電子顕微鏡で観察した構造のクローズアップを示す(右側)。
図3は、例えばガスセンサの発熱体、第1の感熱素子構造、および/または第2の感熱素子構造に使用され得るシリコンブリッジ120/130/140の概略図である。換言すれば、図3は、熱MEMSワイヤセンサ(ガスセンサ等)の微細ブリッジ(SEM、走査型電子顕微鏡)の詳細を示している。例えば、図示されたシリコンブリッジ120/130/140は、SOI技術で製造されてもよい。したがって、例えば、フレーム150の基板またはキャリア材料は、酸化物材料152、シリコン材料154、およびアルミニウム材料156を含んでいることがある。例えば、シリコンブリッジを実現するために、シリコン材料154は、フレーム150のキャリア材料に切り欠き158(トレンチ等)を実現し、ひいてはシリコンブリッジ120/130/140を実現するために、部分的に除去されてもよい。シリコンブリッジ120/130/140は、(例えば、酸化物材料152からなる)膜110上に配置されてもよい。
例えば、膜110は、第1の断絶領域160/162および第2の断絶領域170/172を含むことがある。第1の断絶領域160/162および第2の断絶領域170/172は、例えば空洞であってもよい断絶を含む。このように、膜110は、分析されるべきガスが配置されることがあり、シリコンブリッジが発熱体120を構成する場合にはシリコンブリッジ120/130/140から熱が伝達される、またはシリコンブリッジ120/130/140が第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140を構成する場合にはシリコンブリッジ120/130/140に熱を伝達することがある第1の断絶領域162および第2の断絶領域172を含むことがある。シリコンブリッジ120/130/140はアルミニウム材料156と接触してもよく、その結果、アルミニウム材料156は、例えばボンドパッドとして使用されてもよい。例えば、ボンドパッドによって、発熱体120に励起性ヒータ信号が印加されてもよいし、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140が読み出されてもよい(第1のセンサ信号または第2のセンサ信号等)。
SOI技術のメリット
・ 結晶抵抗パス、(例えば、第1の感熱素子構造130および第2の感熱素子構造140の)検出器の抵抗の温度係数(TCR)は、もっぱら(活性層内)ウェハ材料のベースドーピングに依存していてもよい。
・温度検出器(例えば、第1の感熱素子構造130および第2の感熱素子構造140)の抵抗器の高いベース抵抗における白金と同様の大きさのTCRによって、ブリッジ構造120、130、140の抵抗経路(例えば、フレーム150のフレーム側からフレーム150の対向するフレーム側へ)が短い(1mmよりも短い)ため、センサの寸法(例えば、第1の感熱素子構造130および第2の感熱素子構造140の寸法)を小型化することが可能になり、また、抵抗温度検出器(RTD)の領域(例えば、第1の感熱素子構造130および第2の感熱素子構造140)については、例えば、測定動作中に必要な電量入力が360μW未満の可能性がある8kOhmよりも大きいベース抵抗値を使用することができるため、自己発熱による温度測定誤差を比較的小さくすることができる。
・ (例えばヒータ120の)ヒータ抵抗は、移植により低動作電圧(好ましくは3.3V)に適用可能である。
・ オーミックセンサ抵抗、例えば第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140の抵抗が、非常に狭い処理フィールドにおいてウェハ(例えばフレーム150)上に非常に均質に分布され、とりわけ、検出器抵抗(例えばセンサ抵抗)の公差は、例えば活性層(活性層、ベースドーピング、および材料厚さ)におけるSOI材料の公差、ならびに深堀エッチング(深堀RIE)の横方向構造精度によって決定される。
SOI技術のデメリット
・ ウェハを購入する際に、SOI基板材料が比較的高価である。
・ 希望する仕様(ウェハ径、ハンドルと活性層の材料厚、活性層のドーピング)で入手できないことが多い。
・ 現在、構造のパッシベーションは行われていないが、特定の状況下では、パッシベーションが熱入力時の層の異なる材料の拡がり、TCRの特性曲線の変化に起因するバイメタル効果につながる。
1.1.2 実施例
薄層膜上のMEMSサーモパイルセンサとしてのガスセンサ100(任意で、セクション1.2に記載の信号生成および評価、ならびにセクション1.3に記載の評価アルゴリズムの結合において使用可能な、形態1にかかる実施形態)
図4は、左側にガスセンサ100の概略説明図、右側にガスセンサ100の詳細図を示している。
ある実施形態によれば、ガスセンサ100は、膜110と、膜110の第1の断絶領域160と膜110の第2の断絶領域170との間の膜110上に配置されてもよい発熱体120とを含むことがある。第1の断絶領域160は断絶162を含んでもよく、第2の断絶領域170は断絶172を含んでもよい。
第1の断絶162および/または第2の断絶172は縦方向に、(例えばヒータと呼ばれることもある)発熱体120の最大拡がり方向に平行に拡がることがあり、例え発熱体120の最大拡がり方向に垂直な方に、横方向に拡がることがある。図4によれば、第1の断絶162は第2の断絶172よりも横方向の拡がりが大きいことがある。さらに、図4によれば、第1の断絶162および第2の断絶172は縦方向の拡がりが同じであることもある。例えば、第1の断絶162および第2の断絶172の縦方向の拡がりは、第1の断絶16および第2の断絶172がそれぞれ第1の感熱素子構造130と第2の感熱素子構造140の間の領域および発熱体120を完全に覆うほど大きい。このように、例えば、第1の断絶162および第2の断絶172の縦方向の拡がりは、発熱体120の全長に沿って延びる。これにより、発熱体120が放射した熱の大部分が膜110を介して輸送されることが回避される。したがって、熱の大部分を、第1の断絶162および第2の断絶172に配置されたガスを介してそれぞれの感熱素子構造130,140に伝達することが達成され得る。
例えば、第1の感熱素子構造130は、発熱体120までの距離が第2の感熱素子構造140とは異なることがある。したがって、例えば、図4によれば、第1の感熱素子構造130は、発熱体120まで距離が第2の感熱素子構造140よりも長い。例えば、第1の感熱素子構造130は、発熱体120から第1の断絶162内のガスへの、およびガスから第1の感熱素子構造130への第1の熱伝達210を検出し、これを第1のセンサ信号として感知することができる。例えば、第2の感熱素子構造140は、発熱体120から第2の断絶172内のガスへの、およびガスから第2の感熱素子構造140への第2の熱伝達220を検出し、これを第2のセンサ信号として提供することができる。発熱体120までの距離が第1の感熱素子構造130と第2の感熱素子構造140とで異なるため、第1のセンサ信号および第2のセンサ信号から差信号が形成されることがあり、その結果、未知の遷移(例えば、発熱体からガスへの遷移および/またはガスからそれぞれの感熱素子構造への遷移)を計算することができ、ひいてはガスセンサ100は、第1の断絶162または第2の断絶172におけるガスを介した熱伝達を主に、またはそれだけを考慮することになる。
ある実施形態によれば、熱センサ100は、膜110を広げるフレーム150をさらに含むことがある。第1の感熱素子構造130および第2の感熱素子構造140は、少なくとも部分的に膜110上に、また少なくとも部分的にフレーム150上に配置されてもよい。この場合、第1の感熱素子構造130および第2の感熱素子構造140は、発熱体120に対向するように配置されたホットエンド132,142を含んでいてもよい。さらに、第1の感熱素子構造130および第2の感熱素子構造140は、それぞれ感熱素子構造130および第2の感熱素子構造140の、ホットエンド132、142がある側とは反対側に配置され、ひいては発熱体120とは違う方向を向くように配置されてもよいコールドエンド134、144を含むことがある。したがって、例えば、ホットエンド132、142は膜110上に配置されてもよく、コールドエンド134、144はフレーム150上に配置されてもよい。この場合、例えば、フレーム150は膜110とは異なる材料を含んでいることがある。これにより、例えば、ホットエンド130、142によって測定され、発熱体120から伝達された温度に関して、フレーム150のフレーム材料によって、コールドエンド134、144に基準温度を適用することができる。
換言すれば、左側のガスセンサ100の図はレイアウトを構成するものであってもよく、図4の右側は、例えば、ガスの種類に依存する熱輸送を測定するためのガスセンサ100(例えば、MEMS膜センサ)を描写し得る(形態1にかかる実施形態)。例えば、図4は、膜110の一定の断絶(例えば、第1の断絶162および第2の断絶172)を伴うガスセンサ100の変形例を示している。例えば、一定の断絶162,172によって、ヒータ120と検出器(例えば、第1の感熱素子構造130および第2の感熱素子構造140)との間の熱輸送の主要部分が、2つの要素の間に囲まれた測定ガス体積を介して、例えば第1の断絶162および第2の断絶172に配置された測定ガスを介して、強制的に発生することにする。
例えば、ガスセンサ100の技術的製作における工程工数を削減し、ガスの種類に依存する熱輸送210、220の測定中に感度を高めるために、ヒータ構造120およびサーモパイル構造130、140(検出器)を有する薄層膜110に基づいてマイクロチップが実現されることがあり、ここで、薄層膜110は、ヒータ120と検出器130、140との間の横方向の領域でエッチングされてもよい。
(例えばセクション1.1.1に記載の)ワイヤセンサと比較すると、膜センサ(例えば、ガスセンサ100)は、二元混合物のガス濃度に対して同一の感度の熱エネルギーの1/3しか必要としない。ワイヤセンサと同様に、ヒータ構造体(例えば発熱体120)は、例えば検出されるべきガスの測定空間内の中央に広がった自立式微細ブリッジ構造体として配置されている。両側に(例えば)ヒータ120までの距離が異なって配置された2つの検出器ワイヤは、例えば、(膜110の)横方向に広がった膜表面上に配置され、トレンチエッジ(例えば、第1の断絶162または第2の断絶172のエッジ)まで達することがある、(例えば、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140の)「サーモパイル」構造に置き換えることもできる。
例えば、サーモパイル130,140のコールドエンド134,144は、熱伝導率が高い(例えば、約150W/(*K))ことがあり、ヒートシンク(室温付近の冷却体)として機能し得る(例えばフレーム150の)キャリア材料(例えば、シリコン)に直接接触することが好ましい。例えば、サーモパイルのコールドエンド134,144とシリコンとの間には、シリコンからの接触を電気的に絶縁するベース膜材料(膜110の材料)が配置されている。しかしながら、この層は非常に薄いので、サーモパイルからの熱を効果的にシリコンに伝えることができる。このようにして、(例えば、ホットエンド132,142によって測定される)過温度が、(例えばコールドエンド134,144によって測定される)室温との直接差として測定することができる。例えば、温度補償のための測定場所は、シリコンチップ(例えば、フレーム150)上またはシリコンチップに直接機械的に接続されている。
膜110の膜材料における熱伝導に起因する、ヒータ120と検出器構造130,140との間の熱輸送210,220の寄生効果を低減するために、膜110は、結果的に、ヒータ120から検出器130,140への熱輸送210,220が、主に最短の横方向距離を介して行われ、したがって、例えば、間に位置する(例えば、第1の断絶162および第2の断絶172内に配置された)測定ガスの体積を横切る経路を通過するように中断されてもよい。その結果、ヒータ120の周期的な熱パルスに対するセンサ130/140のガスタイプに依存した伝達応答(例えば、第1のセンサ信号および第2のセンサ信号)が大幅に増加してもよい。
ある実施形態に関して、図5は、左側にガスセンサ100の概略図、右側にガスセンサ100の拡大詳細図を示している。図5のガスセンサ100は、図4のガスセンサ100と同じ特徴および機能を備えていることがあるが、ここで、図5のガスセンサ100は、第1の断絶領域160および/または第2の断絶領域170の設計において、図4のガスセンサ100とは異なっていることがある。したがって、例えば、図5のガスセンサ100の第1の断絶領域160は、多数の断絶162iを含んでいることがあり、第2の断絶領域170もまた、多数の断絶172iを含んでいることがある。このように、例えば、図5の実施形態によれば第1の断絶領域160は23個の断絶を含んでいてもよいので、ガスセンサ100の第1の断絶領域160の断絶162iの指数iは、1から23に達してもよい。例えば、図5の実施形態によれば第2の断絶領域170は14の断絶を含んでいてもよいので、ガスセンサ100の第2の断絶領域170の断絶172iの指数iは、1から14まで達してもよい。任意で、断絶162iおよび断絶172iのインデックスiは、例えば自然数を定義してもよく、ここでインデックスiは、断絶領域160,170内に断絶162i,172iが何個存在するかを示す。
断絶162i,172iはそれぞれ第1の断絶領域160および第2の断絶領域170に、発熱体120の最大拡がり方向と平行な方向に列をなして配置されてもよく、列はさらに互いにオフセットして配置されていてもよい。例えば、つまり連続して列をなす、膜材料によって形成された(例えば、発熱体120から各感熱素子構造130,140まで発熱体120の最大拡がり方向に垂直な方向に延びる)横方向のリッジ112が、互いにオフセットして配置されるという意味である。例えば、これにより、膜110の寄生熱伝導114a,114bは、できるだけ長い経路を通過するようになる。
例えば、断絶162i,172iは、膜110内にグリッド構造が形成されるように配置され、ここで、膜110を通る寄生熱伝導114a,114bの経路は、直接経路210,220よりも長い。例えば、直接経路210,220は、発熱体120からそれぞれの感熱素子構造130,140に至る、発熱体120に垂直な直線経路であってもよく、ここで、直接経路210,220は、断絶162i,172i内に配置された分析されるべきガスを通過してもよい。例えば、寄生熱伝導114a,114bの経路は、膜110を通って直線状に延びるのではなく、図5に図示されているように、巻線状の経路を形成するものとされる。例えば、膜110を横切る直接的な熱経路はあってはならない。こうして、第1の感熱素子構造130および第2の感熱素子構造140が、直接経路210および/または220を介して発熱体120からの熱伝達を検出し、検出において寄生熱伝導114a,114bの影響が最小化され、その結果、ガスを非常に正確に分析することができる。
例えば、断絶162i,172iは、±20°の公差で、熱伝導の主方向(例えば、発熱体120から感熱素子構造130,140への直接経路210,220)に対して垂直であってもよい縦方向の断絶であることがある。
ある実施形態によれば、断絶162i,172iは角が丸みを帯びた長方形の切り欠きであってもよい。例えば、これらは縦方向の穴と呼ばれることもあり、また、例えば楕円形の穴であってもよい。この場合、断絶162i,172iの長さは幅の少なくとも3倍となることがある。例えば、長さとは発熱体120の最大拡がりに平行な方向として定義することができ、幅とは発熱体120の最大拡がりに垂直な方向として定義することができる。この特徴により、寄生熱伝導114a,114bの経路を非常に長く実現することができ、その結果、ガスセンサ100によるガス分析の品質を向上させることができる。
ある実施形態によれば、第1の断絶領域160および第2の断絶領域170における断絶162i,172iはそれぞれ、断絶162i,172i間の距離116a,116bが、機械的に耐久性のあるグリッド構造をもたらす最小の実現可能な構造幅に相当するように配置されることがある。例えば、距離116a,116bは、膜110上に膜材料で作られたリッジの幅である。距離116a,116bが短く実現されるほど、寄生熱伝導114a,114bも小さくなり、その結果、ガスセンサ100によるガス分析の品質を向上させることができる。この場合、距離116a,116bは、ガスセンサ100によるガス分析の高い品質を保証するために、断絶162i,172iによって形成されるグリッド構造膜110が機械的に耐久性を有するように選択されるものとされる。
換言すれば、図5は例えば、(直接経路210、220を介した)ガスの種類に依存する熱輸送を測定するためのMEMS膜センサ(ガスセンサ100等)のレイアウト(形態1にかかる実施形態)を図示している可能性もある。このように、図5のガスセンサ100は、ガスセンサ100の機械的安定性を高めるために、膜110の膜材料からなるグリッド構造を有する変形例を図示している可能性もある。グリッドの幾何学的形状は、寄生熱伝導114a,114bが膜材料の中で可能な限り長い経路を通過しなければならないように選択することができる。
図5は、長期の動作におけるガスセンサ100の機械的安定性を向上させるための、ヒータ素子120と(例えば、第1の感熱素子構造130および第2の感熱素子構造140)検出素子との間のグリッド構造を示す、ガスセンサ100のさらなる実施形態を示している。このような構成は、熱ガスセンサ100のガスの種類に依存した感度を低下させる可能性がある。熱伝導が膜材料のグリッド状リッジを介して寄生的な形態114a,114bでも起こる可能性があるからである。したがって、ヒータ120に周期的に入力される熱エネルギーの一部は、最短横方向距離210,220を介して測定ガスを通って輸送される熱エネルギーの一部よりも早く検出器構造(例えば、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140)に輸送されてもよい。ローパスフィルタとして周期的な励起に応答することがある検出器(例えば、第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140)の熱質量のために、例えば、2つの熱波ランタイム(例えば、直接経路210を介した熱伝達を伴う寄生熱伝導114aおよび/または直接経路220を介した熱伝達を伴う寄生熱伝導114b)はまとめてループされて、単一の正弦波検出器信号(例えば、第1のセンサ信号または第2のセンサ信号)となる。
例えば、グリッドの幾何学的形状は、寄生熱伝導114a,114bが膜材料の中で可能な限り長い経路を通過しなければならないように選択される。例えば、楕円形の穴(断絶162i、172i等)は、熱伝導の主方向に対して横方向に配置される。例えば、楕円形の穴のアスペクト比は、長さが幅の少なくとも3倍であり、リッジ幅(距離116a、116b等)は、例えば、最小の実現可能な構造幅に対応し、利用可能な層技術での機械的に耐久性のあるグリッド構造をもたらす。
図6A、図6B、図6Cは、ガスセンサ100のさらなる実施形態の概略図である。この場合、図6A、図6B、および図6Cのガスセンサ100は、図4および/または図5のガスセンサ100と同じ特徴および機能を備えていてもよい。ガスセンサ100の違いは、ガスセンサ100の第1の断絶領域160と第2の断絶領域170との間にある可能性がある。
したがって、例えば、図6Aのガスセンサ100は第1の断絶領域160内に8つの断絶162iと第2の断絶領域170内に8つの断絶172iとを含むことがある。この場合、例えば、断絶162iは断絶172iよりも横方向の拡がりが大きい。さらに、断絶162i,172iはそれぞれ、断絶領域160,170内で縦方向の拡がりが異なる可能性がある。
例えば、図6bのガスセンサ100は8つの断絶162iを伴う第1の断絶領域160と、連続する断絶172を伴う第2の断絶領域170とを含む。したがって、例えば、図6bの変形例では、図6aの変形例および/または図5と図4の変形例が、断絶領域160,170において互いに結合されている。
例えば、図6cのガスセンサ100は、複数の断絶162i,172iを伴う第1の断絶領域160と第2の断絶領域170を含み、例えば第1の断絶領域160は23個の断絶162iを含み、第2の断絶領域170は14個の断絶172iを含んでいることがある。この場合、例えば、断絶領域160および断絶領域170のそれぞれの断絶162i,172iは、横方向への拡がりが同じおよび/または縦方向への拡がりが同じであってもよい。任意で、断絶162i,172iが列内でのみ縦方向の拡がりおよび/または横方向の拡がりが同じである場合もある。
このように、別の言い方をすれば、図6A、図6B、および図6Cは、膜の穿孔(断絶162i、172i等)の数およびサイズが異なるMEMS膜センサ(ガスセンサ100等)のレイアウトのさらなる変形例(形態1にかかる実施形態)を図示する場合がある。
膜技術におけるサーモパイル構造(第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140等)の利点(例)。
・ ウェハ材料の特性は、例えば厚さ、表面品質、およびトレンチを構造化するためには、適応されたベースドーピングに関してのみ指定されるものであるので、コスト効率の高い基板上で処理された単純な5マスクMEMSが可能である。
・ (例えば、膜110のための)トレンチのSOI構造化におけるガスセンサとは対照的に、適応されたベースドーピングに関して規定する必要がある。
・ 例えば、構造体(発熱体120、膜110、第1の感熱素子構造130、第2の感熱素子構造140等)は、保護層でパッシベートされており、測定ガス中に位置する可能性があり、活性センサ構造(第1の感熱素子構造130および/または第2の感熱素子構造140等)をエッチングし、ひいては機械的に減衰させるか、または熱的に変化させる、フリーラジカルに対するより良い抵抗をもたらす。
・ 例えば、基板と比較して、薄層膜110上のガスセンサ100は、同じガス感度を達成するために3分の1の加熱電力しか必要とせず、入力電力はSOI技術における36mWとは対照的に約12mWである。
・ 温度可変抵抗構造(RTD)の代わりに、測定空間内の熱分布場の検出器としてサーモパイル130,140が実現されてもよい。例えば、サーモパイル130,140の電子信号評価は0.6μWで、つまりほとんど無電力であるのに対し、SOI技術の抵抗構造に基づく検出器(図2A、図2B、または図3の第1の感熱素子構造130、第2の感熱素子構造140等)は、安定した信号生成のために電流の流れを必要とし、その結果、約140μWと低い加熱電力が検出器に印加されるが、サーモパイル技術と比較すると200倍も大きく、RTD検出器の自己加熱に寄与し、ひいては寄生的にガス選択性を低下させる可能性がある。
膜技術のデメリット
・ 微細な穿孔膜110は、製造工程および長期の運転において破断する可能性があり、最適化された設計(例えば、図4、図5、図6A、図6B、または図6C)が好ましい。
1.1.3 センサ原理(詳細は任意)
図7は、熱センサ100(ここでは、ガスセンサを熱センサと呼ぶこともある)の基本原理を示す。明らかに見て取れるのは、分析されるべきガス混合物による熱結合、およびセンサ構造130,140による測定を伴うヒータ120とセンサ構造130,140(ここでは、第1の温度センサ構造および第2の温度センサ構造は、センサ構造、検出器構造、センサ、温度センサまたは検出器とも称されることがある)との間の空間的な分離、である。この場合、センサ構造130,140は、ヒータ120までの距離が異なって配置されてもよいし、同じ距離に配置されてもよい。
すなわち、図1は、ヒータ120と検出器130,140との間の被測定ガスを介した熱輸送の経路122a,122bについてのセンサの基本原理を模式的に示した説明図である。
・ ヒータ120とセンサ130,140とは、媒体によって分離されている。
ヒータ120とセンサ130,140とは媒体中に別々に配置され、分析されるべきガスによって囲まれている。例えば、ヒータ120から温度センサ130,140への熱流122a,122bは、ガス自体を介してのみ行われる。
・ 複数の距離での測定
例えば、熱輸送122a,122bは、ヒータ120から分析されるべきガスへの未知の熱遷移122a1,122b1を介して、また、ガスからセンサ構造130,140への未知の熱遷移122a2,122b2を介して行われる。2つの距離1801、1802で測定すると、熱遷移122a1、122b1、122a2、122b2はほぼ同じである。両センサ信号の差は主に媒体自体による熱伝達に依存する。
・ 同一距離での測定
いくつかの距離での測定と同様に、この場合にも同じく未知の熱遷移122a1,122b1,122a2,122b2が存在する。2つのセンサ信号の和を評価することによって非常に精密なガス分析も同じく実行することができ、所定の状況下では、未知の熱遷移122a1,122b1,122a2,122b2もまた分析において考慮されることがある。
いくつかの距離で測定する場合には、和信号が代替として評価される場合があることが指摘される。
さらに、差信号の信号雑音距離が和信号よりも小さいため、差信号を評価するよりも和信号を評価することが好ましいことも指摘される。
任意で、(一般的に標準化されている)差信号と和信号の商を評価に用いてもよい。例えば、和信号のみ、または差信号のみを評価する場合と同様に、測定効果がより強く強調されることになる。
・ 電気的アナロジー
熱流を識別して推定するために、電気的なアナロジーが作成されている(例えば、図8を参照)。熱損失を最適化することは、例えば発熱体120を介して大きすぎる加熱電力を投入することなく、センサ130,140の感度を向上させるために不可欠な要素である。
ある実施形態によれば、図8は、図7のガスセンサ100の特徴および機能を備える。換言すれば、図8は、ガスセンサ100における熱輸送の概略図である。ヒータ120(温度TH)からセンサ130,140(温度TS)への熱輸送は主に、被測定ガスを介して行われる。
1.2 動作中のガスセンサの実施形態:組込システムでの信号生成と信号評価
1.2.1 機能原理(詳細は任意)
正弦波加熱電力122では、センサ構造を取り囲むガスの熱特性に強く依存するセンサ信号210,220(例えば、図9)の正弦波数列が存在する。ヒータ120に対して異なる距離1801,1802にある2つの同一のセンサ130,140を用いてヒータ120の温度を測定することにより、測定装置における未知の熱遷移を排除または低減することができる。
評価においては、放出された周期的な温度波と受信された周期的な温度波とが比較される(図9参照)。例えば、ガスセンサ等を用いての、ヒータとセンサとの間の位相シフト212、222を介した信号210,220の較正を、0.2vol%である空気中のCO2含有量を解決するために使用することができる。ガスは圧縮し、圧力および温度を介して濃度を変化させることができるので、対応するドリフトは補償されることになる。
図2は、CO2とN2とを比較した場合の、正弦波加熱電力122での励起時の信号210,220を示している。同じ加熱電力122では、受信するセンサ信号210,220は、振幅、オフセット、および位相位置が異なる。ある実施形態によれば、信号210、220は、ガスセンサの第1の感熱素子構造の信号と第2の感熱素子構造の信号との差信号である。
センサが提供する測定量をさらに評価することで、熱伝導率、熱拡散率、およびガス濃度がわかっている場合は比熱容量を決定することができ、これも未知のガス混合物を分析するための可能なアプローチである。
薄層膜と比較しての自立式ブリッジ構造の構造的な違いにより、ヒータと検出素子間の寄生熱デカップリングがほとんど達成され、信号品質が大幅に向上する。ヒータの熱質量が小さいため、300ヘルツまでの周波数でのヒータの変調が可能である。熱を素早く供給して放熱することができるからである。
1.2.2 熱拡散率決定のための理論的考察(詳細は任意)
正弦波加熱電力122における熱拡散率を決定するために、伝搬する温度場を記述するために、[Baehr 2008]によるモデルを使用することができる。
以下の式は、一端に正弦波状の温度が印加されたロッドの縦方向軸xに沿った時間に依存した(時間t)温度伝播(平均値Tm、振幅TA、角周波数ω)を記述している。
Figure 0007460682000005
ヒータから気体媒質中に入ると、温度場は位相シフトε0と減衰η0を受ける。
Figure 0007460682000006
Figure 0007460682000007
Figure 0007460682000008
固体と気体の間での熱伝達の影響を考慮するための係数は、係数k1、熱伝達係数α、熱伝導率λから得られる。
Figure 0007460682000009
上記のモデルに従って熱拡散率を決定するためには、位相シフトの評価を行えばよい。式(1)における位相シフトの総和は、次のようになる。
Figure 0007460682000010
2つの異なる距離での2つの温度測定値を比較する場合、一定の熱遷移効果は互いに打ち消し合う。
Figure 0007460682000011
Figure 0007460682000012
Figure 0007460682000013
Figure 0007460682000014
Figure 0007460682000015
Figure 0007460682000016
温度波は、励起と同じ角周波数で調和的に振動し、媒質中への浸透深さの増加に伴って急速に強く減衰するが、位相シフトは増加する。振動時間および媒質の熱拡散率の増加に伴って媒質への浸透深さと波長が増加する。位相角が2πずつ異なる2つの測定点x1,x2間の距離から生じる温度振動の波長Λを考慮すると、媒質中への進入点x=0での値のn番目まで温度振幅が低下した、温度波の浸透深さを導出することができる。以下のようになる。
Figure 0007460682000017
このように、振幅の減衰は媒質の熱拡散率を表す指標でもある。
1.2.3 熱伝導率を決定するための理論的考察(詳細は任意)
媒質の熱伝導率λは測定空間内の平均温度分布で表される。平均ヒータ温度と測定空間の容量内のガスの種類および/または混合物の濃度に依存して、平均温度が温度検出器で生じ、該平均温度は、ヒータから検出器を介して筐体の壁まで気体媒質を通って流れる熱流に比例している。熱伝導率を決定するためにはヒータの温度と検出器の温度は既知で、例えば、適切な較正を行っていなければならず、必要な平均加熱エネルギーが熱伝導率の指標として決定される場合には、検出器(好ましくは、ヒータに近い検出器)を一定の(過)温度に制御するだけで十分である。
[Simon 2002]および[Baar 2001]によると、気体の熱伝導率を測定するための基本的な原理は、気体中に自立した発熱体(ホットワイヤや「ホットプレート」等)によって、流れのない測定空間中に周囲温度を超える過温度は発生されるということである。この過温度ΔTを維持するために必要な加熱電力は、熱伝導率λの直接の指標であり、以下の関係で記述することができる。
Figure 0007460682000018
ここで、Gは装置の幾何学的定数を表す。対流熱流は測定誤差をもたらすので、正しい測定のための条件は、測定空間内、例えばデッドボリューム内や拡散障壁の背後に静止したガスがあることである[Baar 2001]。これらの測定誤差は文献で議論されており、対流熱流の存在下で熱伝導率を測定することができる方法も提案されている[IST AG 2011, 2013, 2015]。さらに、ヒータの周期的な励起を伴う方法も既知であり、フーリエ分析によって二元ガス混合物だけでなく複数の成分の混合物の濃度を決定することができる[Grien 2012]。
1.2.4 本願発明のガスセンサの組み込みマイコン、電子システムおよびソフトウェア(詳細は任意)
本願発明の電子システムおよび信号評価の目的は、例えば、できるだけ安価な小型化されたシステムで、ガス濃度に直接依存する信頼性の高い測定結果を生成することである。さらに、本願発明のガスセンサは、空気混合物中の炭素濃度が非常に動的に変化する可能性がある呼吸ガスモニタにおいて使用可能であるものとする。したがって、本願発明のガスセンサは、最大で1分間に60ストロークの速度での吸気および呼気の呼吸サイクルにおけるガス組成の変化を分解することができなければならない。したがって、センサ信号の高速な評価が望ましい。
1.2.4.1 ハードウェア
1.2.4.1.1 実施例
本願発明のガスセンサのヒータ制御(形態3による実施形態、詳細は任意)
図10は、本願発明の一実施形態にかかる熱ガスセンサのヒータ制御の電気回路図である。例えば、CPUはヒータ電圧の下限値と上限値を指定し、この2つの値の間でタイマを制御的に往復させて切り替える。CPUは、加熱電力を算出するために、所定の時間上の点での現在の加熱電流を測定してもよい。すなわち、図10は、電圧指定と電流測定を行うヒータ供給装置を図示したものである。
正弦波ヒータ励起の例を用いた熱輸送現象への減衰振動のための原理の伝達における上記の理論的に考慮された類推とは対照的に、(例えば)方形波信号が開発されたマイクロコントローラ電子システム上に生成される。プロセッサ内のタイマ構造により、信号は、プロセッサがデジタル/アナログ(DA)ポート上に出力する合成正弦波信号よりもはるかに正確に生成されることができる。
例えば、2個のヒータ電圧がDAコンバータを介して指定される。これは、DAコンバータがSPIを介して制御されること、そして新しいDA値が採用される時間上の点が選択されたプロセッサコンポーネント(CPU)では正確に決定されない可能性があることに起因する。しかしながら、これは、センサ応答の位相位置を決定することができるようにするための前提条件である。したがって、例えば、2つの電圧のうちの1つがアナログスイッチを介して交互にヒータアンプに印加される。急峻なスイッチングエッジのシステム内での伝播をより少なくするためには、例えば、ダウンストリームのローパスフィルタによって平滑化される。オペアンプ(OP)回路は、ヒータが必要とする電圧レベルまで電圧を上昇させる。例えば、別のOPで電流測定抵抗器での電圧降下を補償する。電流が測定され、ヒータ電圧が分かっているので、ヒータ電力を計算することができる。ヒータ抵抗は温度によって変化することがあるので、これが重要である。
例えば、デューティサイクルが50%のヒータが使用されてもよい(ここでは、例えば、デューティサイクルが50%±2%の例えば周期的な方形波信号がヒータに印加される)。
あるいは、例えば、5~50%の範囲のより短いデューティサイクルが使用されてもよい。
(Upp/2でオフセットされ、半波は両方とも正の範囲にある)正弦波と方形波との間で同じ電力を得るためには、「等しい」方形波信号または同じ電力の方形波信号のためには、42%のデューティサイクルが必要である。
いくつかの実施形態では、デューティサイクルを制御することによってヒータ電力を適応させることは実現されていない。これはMSP430ではより困難であるが、より強力なマイクロコントローラを使用する場合には興味深い。固定の動作電圧を使用することができ、デューティサイクルは変更されることがある(PWM制御の一種)。
すなわち、デューティサイクルを変更することにより、(平均)ヒータ電力を設定することが任意に可能になる。あるいは、(ヒータに印加される電圧の)電圧レベル、または(ヒータまたは発熱体に流れる電流の)電流レベルを変化させることにより、ヒータ電力を設定することができる。これら2つのオプションは組み合わせることもできる。
1.2.4.1.2 実施例
ガスセンサの検出器信号の評価(詳細は任意)
図11は、本願発明の一実施形態にかかる熱ガスセンサの検出器信号の評価の電気回路図である。この場合、ガスセンサの第1の感熱素子構造および第2の感熱素子構造は、(例えば、第1の感熱素子構造または第2の感熱素子構造によって検出され、ここではセンサ信号と呼ぶこともある)それぞれの検出器信号において、ガスセンサの発熱体から分析されるべきガスを介して第1の感熱素子構造および第2の感熱素子構造に伝達された熱を評価するために、図11に図示された検出器信号評価を含むことがある。ある実施形態によれば、図11は、センサ1(第1の感熱素子構造)の検出器信号評価を説明する図である。この場合、例えば検出器信号評価は、CPU(拡大鏡機能)からDAC信号CO2_S1_Win等の第1の入力信号および検出器信号CO2_Sensor1等の第2の入力信号を受信し、増幅された検出器信号CO2_S1_an等の第1の出力信号および位相評価のためのコンパレータ信号CO2_S1_dig等の第2の出力信号を提供するように構成されている。
ある実施形態によれば、CPUは、センサ信号の振幅がADC範囲内に留まるようにヒータを制御する。例えば、センサ信号は、拡大鏡機能を介してADC境界内に保持される。例えば、位相評価は、MSP430のタイマ構造(時間構造)を使用してコンパレータを介して行われる。
(例えば、感熱素子構造の)センサワイヤの抵抗変化は非常に小さい。このため、増幅率が高い増幅器が好ましいか、または必要とされる。(例えばセンサ信号の)入力電圧の絶対値は多くの要因に依存するため、この値を補償することが推奨される。
一つの可能性としては、交流(AC)アンプを使用することが考えられる。欠点は、未知の位相シフトが発生することである。
したがって、例えば、位相シフトのない直流(DC)アンプが使用されている。信号の直流成分を補償するために、ある実施形態では、オペアンプ(OP)の差動入力において、負の入力端子が検出器信号の平均値まで引き上げられ、ソフトウェアコントローラによって能動的に追跡され、プロセッサのデジタル-アナログ変換器(DAC)がこの電圧を直接出力する。OPにおける差動入力の差動動作により、入力電圧のDC成分は互いに減算され、信号のAC成分のみが増幅される。このために、ある形態では、アナログからデジタルに変換された(ADC)信号が測定され、ADCが検出することのできる合理的な境界内にあるかどうかの検査が行われる。信号がOPの上限または下限電圧限界に該当する場合、DAC値はそれに応じて適応される。これにより、増幅された信号が最適な動作範囲または動作窓に連続的に保持されるアンプが得られ、ここでOPでの増幅率は、「拡大鏡機能」の一種であるDC成分を除去することによって増大させることができる。補償のために必要なDAC値は、絶対平均温度を決定することができる、評価のためのさらなるパラメータとして使用することができ、ガス混合物の熱伝導率は式(5)からの関係を介して決定することができる。
センサ信号の位相位置を決定するために、例えばシュミットトリガを使用した。これは、センサ信号のゼロクロスのすぐ上または下で切り替わるように設定されている。ここでは、信号が最も急峻であるため、発生する位相ノイズは最小である。例えば、DC成分はコンデンサを介して除去される。これにより、センサ応答の位相決定が可能になる。
プロセッサ(MSP430、テキサス・インスツルメンツ)の内部タイマ構造を利用することで、0.009°の理論的な位相分解能が可能となる。しかしながら、これは回路のノイズのために達成されない。
1.2.4.2 実施例
ガスセンサのためのソフトウェア(詳細は任意、形態3と4の機能は一緒に記載されているが、別々に使用することがきる)
例えば、ソフトウェアには異なるタスクがある。
Figure 0007460682000019
1.2.4.3 実施例
ガスセンサ用ソフトウェアコントローラ(詳細は任意)
図12は、本願発明の実施形態にかかる熱ガスセンサ用ソフトウェアのインターリーブされたコントローラの概略説明図である。
ソフトウェアでは複数のインターリーブされたコントローラが動作している。一番内側のものはDC動作点コントローラである。例えば、定常状態にある(DCオフセットを適応させる必要はなかった)場合にのみ、サンプリング時間のトラッキングが行われる。振幅制御ループでは、例えば、S1の振幅は一定に保たれるが、例えば、DCオフセットおよびサンプリング時間を適応させる必要がなかった場合のみである。外側の制御ループでは、S1の振幅を調整するために必要な加熱エネルギーは、熱システムが所定のガス混合物の大きな帯域幅に動的に適応するように(任意に)調整することができる。
振幅を決定するためには、例えば、センサワイヤ1本あたり下側のピークで最小、ゼロクロス、上側のピークで最大の3個のA/Dサンプルが必要である。例えば、プロセスは以下の通りである。
・ 例えば、全てのAD値が現在の設定で初期測定される。
・ ここで、例えば、S1およびS2の最小/最大A/D値が有効範囲内にあるかどうかの検査が行われる。もしそうでない場合は、アンプの DC動作点が(DACを介して)再調整され、それ以降の全てのコントローラは一時的にオフにされる。両方のセンサーチャンネルが許容動作範囲内(A/Dmax <3900、またはA/Dmin>200、すなわち4096桁のA/Dレンジの5~95%の範囲)にある場合にのみ、それ以降のコントローラが再びアクティブになる。
・ 確実に振幅の正確な測定を行うために、A/D変換は正しい時間(上/下のピーク、検証のためのゼロクロス)で行われなければならない。現在、例えば、これを行うには2つの方法がある。
〇 A/D変換自体を介して:ゼロクロスの時間は、A/D値の最小ピークと最大ピークの2つの測定時間の間の半分の時間と予想され,すなわち,(min+max)/2がゼロクロスでのA/D値に対応しているはずである。これがずれている場合、次の測定のためのサンプリング時間が適応される。例えば、約0.625°(度)または14.47μsの偏差が許容される。
〇 コンパレータ信号を介して:コンパレータはセンサ信号のゼロクロス時に切り替わるので、例えば、A/D測定を実施する時間を決定することができる。正エッジの切り替わり時間の測定値に、90°(または上側のピークは2.0833ms)、180°(負エッジのゼロクロスは4.1666ms)、270°(下側のピークは6.2499ms)が加算される。ここでは、0.625°の偏差も許容される。
・ 例えば、両方のコントローラ(DC動作点と位相)が制御値の変更を必要とせず、したがって定常状態にあった場合にのみ、振幅コントローラが効果を発揮して、S1の所望の振幅が達成されるようにヒータの値を再調整する。
図3Aは、本願発明のある実施形態にかかる2つの検出器アンプのDC動作点の制御およびトラッキングを説明するブロック図である。
図4は、検出器信号とS1の振幅コントローラの振幅測定のためのサンプリング時間のトラッキングを説明するブロック図である。例えば全てのコントローラがチューニングされている場合、ガス混合物は、検出器の振幅および位相の測定値を用いて評価される。
ある実施形態によれば、図13Aおよび図13Bは1つのブロック図であって、図13Bが「サンプリング時間を追跡」というブロックを介して図13Aに接続されているとみなすことができる。
1.2.4.4 実施例
ガスセンサのタイミング表(詳細は任意)
例えば、マイクロコントローラのアナログ-デジタル変換器がヒータの電流消費と検出器電圧(センサ信号の例)を測定するADC測定時間は、2つのヒータパルス周期にまたがって延びるソフトウェアのタイミングテーブルで定義される。ある実施形態によれば、例えば可変ADC制御に使用されるプロセッサ上では1つのタイマしか利用できないので、これらの2つの周期が必要とされる。ヒータが120Hzで運転される場合、ガス混合物の評価に関連するすべての測定値は2周期後、すなわち60Hzの周波数で得られる。ヒータのパルス形状は周期にわたって安定しているので、入力ヒータ電流は固定時間に、ピーク値の場合は45°、低熱電流値(一般的にはゼロ)の場合は170°で測定することができる。検出器あたりの3つのADC測定値(上側と下側のピーク、およびゼロクロス)はそれぞれ、タイミングテーブルで定義された時間窓内の可変測定値として期待される。
・ ADC_SENSOR1
〇 CO2-S1-min:33.6°~123.6°(778μs~2861μs)
〇 CO2-S1-Null:123.6°~213.6°(286μs~4944μs)
〇 CO2-S1-max:213.6°~303.6°(4944μs~7028μs)

・ ADC_SENSOR2
〇 CO2-S2-min:68.6°~141.4°(1588μs~3273μs)
〇 CO2-S2-Null:158.6°~231.4°(3671μs~5356μs)
〇 CO2-S2-max:248.6°~321.4°(5755μs~7440μs)
1.3 実施例
(例えば、形態2にかかる、詳細は任意の)ガスセンサのガス圧力およびガス温度のドリフト補正を伴うガス混合物に関する較正のための評価アルゴリズム
1.3.1 ガス混合物における測定
1.3.1.1 二元混合物
図14は例示的に、一定温度、一定圧力での位相信号におけるセンサのCO2依存性を示している。ここでは、例えば、距離が200μmのヒータと検出器1との間の位相差D1-Hz.dPhi(赤)、距離が300μmのヒータと検出器2との間の位相差D2-Hz.dPhi(青)、および検出器2と検出器1との間の位相差D2-D1.dPhi(緑、右y軸)の3つの位相シフトが図示されている。ある実施形態によれば、図14は、気圧p=1010mbar、温度Tamp=24℃、周波数f=120Hzでの加熱電力P=(15±12.5)mWの空気中のCO2(0~5)vol%についてのヒータ-検出器間の位相シフトを示す。
図15はセンサのCO2依存性について、検出器D1およびD2において例示的に測定された振幅およびヒータ振幅に対して相対的に形成された振幅の和信号を図示している。ここでは、例えば、検出器1における振幅D1.Uss(赤)および検出器2における振幅D2.Uss(青)が図示されている。例えば、CO2濃度が上昇すると、すなわち混合ガス中の熱拡散率が上昇すると、2つの振幅信号は下落する。ヒータ振幅と検出器振幅の和との差を形成することにより、相対振幅信号sigUss=2*Hz.Uss-(D1.Uss+D2.Uss)(緑、右y軸)は、例えば、ガス混合物中のCO2濃度の増加に伴って増大する。ある実施形態によれば、図15は、気圧p=1010mbar、温度Tamp=24℃、周波数f=120Hzでの加熱電力P=(15±12.5)mWの空気中のCO2(0~5)vol%についての検出器の振幅を示す。
1.3.1.2 圧力依存性
センサ信号は圧力と温度に強く依存することがある。従って、ガス特性を正しく決定するためには、交差効果が既知であり、且つアルゴリズムによって補正する必要がある。例えば、図16は、絶対圧力および異なる温度に対する空気中のセンサ信号の交差感度を例示している。例示的に図示されるのは、周波数f=120Hzの加熱電力P=(15±12,5)mWの空気中の気圧p=(910~1110)mbarで、異なる温度Tamp=(18~28)℃にわたる空気についての検出器D2-D1間(例えば、第1の感熱素子構造D1と第2の感熱素子構造D2との間)の位相シフトD2-D1の交差感度である。
理論的に計算すると、圧力の影響は一次的な関係を示し、温度の影響は平方関係を示す。いずれの交差感度もおおよそガス濃度の信号の大きさである。
1.3.1.3 加熱電力と周波数依存性
図17Aは、CO2の測定における周波数を横切る位相についてのセンサ信号の説明図である。換言すれば、図17Aは、周波数の関数としての、CO2100%における位相シフトを示す図である。位相は飽和状態に入る。
図17Bは、CO2の測定における周波数を横切る振幅についてのセンサ信号の説明図である。換言すれば、図17Bは、周波数の関数としての、CO2100%における振幅をしめす図である。振幅はゼロに向かって減少する。
空気と比較すると、加熱電力は燃料ガスの測定では、システムがA/Dレンジを超えないように低減する必要がある。加熱電力の変動は、可能な限り最大のセンサ振幅でシステムを動作させ、より安定した信号を得ることが、サンプルガスが熱的影響を受けにくいが信号対雑音距離も減少する加熱電力を最小に設定する場合と比較して、実際には理にかなっていることを示す。センサに周期的に導入される加熱エネルギーは、例えば、この周期内にサンプル体積から離れて、サンプル体積が加熱され続けないようにすることができなければならない。例えば、3つの測定システムにおいて、120Hzで約26mWのピーク加熱電力が規定されている。
センサの動向は1次の理想的なローパスフィルタを構成し、センサ信号にはオーバートーンのスペクトル成分は存在しない。この理由から、周波数スペクトルを積極的に掃引しても付加的な情報は得られない。このため、センサを固定周波数で動作させることにしたところ、システムのための電子機器に関する労力を削減することができ、裏付けがある値が得られるまでに必要な測定時間を大幅に短縮することができる(すべて任意)。
センサ自体の熱質量が固体と気体との間の伝達速度を制限するので、ヒータでの励起周波数が高いほど、ヒータと検出器との間でガスを介して伝達されるエネルギーが少なくなる可能性がある。振幅は、周波数の増加とともに、消失信号までゼロに向かって減少し(図17B参照)、位相シフトは最大に飽和していく(図17A参照)。
異なるガス混合物について位相分解能、位相差、および振幅を最適化することで、例えば、マイクロセンサワイヤでは26mWの加熱電力では120Hz、薄層膜上のMEMSサーモパイルセンサでは約8mWでは160Hzの周波数で裁量の位相応答を得ることができた(詳細は任意)。
1.3.1.4 燃料ガス混合物
測定ステーションで様々なガス組成を調べた。図18は、窒素添加量を増加していった時のメタン用センサの位相信号の変化をほぼ直線的な挙動として示したものである。例えば、図示されているのはメタン中の窒素濃度の関数としての位相信号であって、距離が200μmのヒータと検出器1との間の位相差D1-Hz.dPhi(赤)、距離が300μmのヒータと検出器2との間の位相差D2-Hz.dPhi(青)、および検出器2と検出器1との間の位相差D2+D1-dPhi(緑、右y軸)として示されている。ここで、ある実施形態によれば、図18において、気圧p=990mbar、温度Tamp=21℃、周波数f=120Hzでの加熱電力P=(13±12.5)mWのメタン中のN2(0~30)vol%について、ヒータ-検出器間の位相シフトが図示されている。
図19は、第1の検出器によって検出された振幅D1.Uss(赤)と、第2の検出器によって検出された振幅D2.Uss(青)の図である。ここで、ある実施形態によれば、図19において、気圧p=990mbar、温度Tamp=21℃、周波数f=120Hzでの加熱電力P=(13±12.5)mWのメタン中のN2(0~30)vol%について、検出器の振幅が図示されている。振幅信号D1.Uss、D2.Ussはいずれも、例えばメタン中のN2濃度の増加に伴って、すなわち、ガス混合物中の熱拡散率の低下に伴って減衰する。ヒータ振幅と検出器振幅の和との差を形成することにより、相対振幅信号sigUss =2*Hz.Uss-(D1.Uss+D2.Uss)(緑、右Y軸)は、例えばN2濃度の増加に伴って増大する。
図20は、異なる燃料ガス混合物について、位相と振幅から算出されたセンサ信号sigX(ガスセンサの合成信号の一例)を示す図である。このように、図20は、メタン、エタン、プロパン、およびその混合物であるメタン95-エタン05、メタン93-エタン05-CO202、メタン91-エタン05-CO204、メタン91-エタン05-CO202-プロパン02、メタン90-エタン10、および天然ガス-L(2桁の数字は、ガス成分の体積%での割合を示す)等異なる燃料ガスおよびその混合物のセンサ信号(ガスセンサの合成信号の一例)を示している。メタン、エタンおよびプロパンは互いに大きく異なるが、メタン混合物もまた、2vol%~10vol%の異なるガスを成分とすることで互いに異なる。ある実施形態によれば、図20は、気圧p=1001mbar、温度Tamp=26℃、周波数f=120Hzでの加熱電力P=(13±12.5)mWの様々な燃料ガスについてのセンサ信号を図示している。
1.3.1.5 ガス混合物の測定から得られた知見
センサ信号は、気圧および温度への強い依存性を示す。標準条件へのトレーサビリティと表からの比較を伴って、既知の混合物のガス特性を正しく決定するためには、ひいては例えば交差影響が既知であり、補正されていなければならない。気圧の影響は一次関係を示し、温度の影響は平方関係を示す。両方の交差感度は、おおよそガス濃度の信号の大きさである。
1.3.2 実施例
(例えば、形態2にかかる、詳細は任意の)ガスセンサのガス圧力とガス温度に対するドリフト補正を伴うガス混合物の較正方法。
1.3.2.1 位相と振幅の和信号(例)
位相/振幅測定の結合は、特に安定したセンサ信号(合成信号)であることが示されている。例えば、いずれの信号も別々の定数により重み付けされ、加算され、ひいては例えば以下の通り結合されて、単一のセンサ信号を形成する。
Figure 0007460682000020
ここで、sigXは計算された和信号を表し、sigUssは相対振幅信号を表し、sigPhiは両検出器の加算された位相信号を表す。係数KaおよびKpは、両部分信号が乗算される定数である。例えば、振幅信号をmVに換算するとKa=1/3500となり、位相信号を度数に換算すると、例えば、CO2が30vol%までのCO2空気混合物ではKp=1/276となる。
例えば、加算位相信号sigPhiは、ヒータインパルスの増加エッジと検出器における増加エッジとの間のランタイムの2つの位相差の和から形成される。例えば、以下のようになる。
Figure 0007460682000021
ここで、 (D1-Hz).phiおよび (D2-Hz).phiは、ヒータと検出器との間の位相差を構成するためのものである。
図14に示すように、CO2濃度が高くなるほど、すなわち熱拡散率が高くなるほど、ヒータと検出器の位相差は大きくなるが、検出器における2つの振幅は熱拡散率が高くなるほど小さくなる(図15)。
例えば、ヒータの振幅と検出器の振幅の和との差が形成されることにより、ガス混合物中のCO2含有量が増加すると、相対振幅信号が増加する。
Figure 0007460682000022
例えば、位相と振幅から計算される信号sigXは、例えばCO2(0~6)vol%に対して(1.7~2.0)の間の範囲内にある。装置(例えばガスセンサ)は、温度範囲(16~28)℃、気圧場(900~1200)mbarの間で測定された。
1.3.2.2 多項式補正によるドリフト補正(詳細は任意)
既知のガス混合物にセンサを較正する場合、測定値からガス濃度を推測できるように、センサ信号の圧力と温度への強い依存性を補償する必要がある。
例えば、これはガス濃度(CO2[vol%])、センサ信号sigX(位相と振幅の和信号)、圧力ドリフト、温度ドリフトからなる4次元のベクトル場(行列)となる。図21の図表内の、それぞれ一定の周囲圧力または一定の温度を表すガス濃度と温度信号の依存性を示す個々のグラフは、互いに平行にシフトされていることが指摘される。平行にシフトされたすべての特性曲線から平均グラフを形成すると、平均温度と平均圧力についての信号の正規化された関係が得られる(図21の赤線230a参照)。
図21は、圧力範囲(900~1200)mbar、温度範囲(16~28)℃における窒素中のCO2(0~5)vol%のガス濃度を変化させた場合の測定データのマトリクスを示す。圧力依存性多項式関数を用いて、較正曲線の緑線230bは、現在の動作圧力に向かってシフトさせることができる。赤線230aは、青線2301~23016すべての平均に相当し、平均温度と平均圧力に正規化されたガス濃度についてのセンサ信号の特性曲線である。
測定された変形例からのセンサ信号sigXの特性曲線を、各温度および圧力を横断する平均ガス濃度(図22参照)にプロットすると、同様に互いに平行にシフトした直線の曲線集合が得られる。圧力が高く、ガスが冷たければ、すなわちガス分子が互いに接近している場合にはセンサ信号は高くなり、圧力が低く、ガスが温かければセンサ信号sigXは低くなる。
このように、図22は、平均固定ガス濃度に対するセンサ信号sigXの圧力依存性を、異なる温度の曲線集合で示している。最も低い線2301は、変形例の中で最も高い温度28℃での関係を記述し、最も高い線2307は、16℃での信号の圧力依存性を示す。
固定平均センサ信号に対して、図22の平行な線の集合の中に水平線を、当該水平線が曲線集合の全ての線と交差するように配置すると、図23のガス圧とガス温度との関係が得られる。
図23は、ガス圧力とガス温度の関係(平均ガス濃度と平均センサ信号sigXの場合)を示している
1.3.2.3 回帰定数の決定(詳細は任意)
ガスセンサを特定のガス混合物に較正する場合、上記関係性を引き継いで変形例マトリクスから回帰が形成される。回帰レベルAは、較正基準のガス濃度とセンサ信号sigXとの関係を記述する。圧力および温度ごとの個々の曲線は、式y = A.c0 + A.c1*sigX + A.c2*sigX^2に従ってそれぞれ二乗回帰で近似される。すべての曲線の増加はほぼ一定であり、二乗係数c2はゼロに向かって行くので、係数A.c0、A.c1およびA.c2についてのすべての値から平均値が形成され、図21に赤で図示された中央特性曲線230aが測定値の変形例2301~23016の全体にわたって得られる。これは、圧力のドリフト影響に応じてx軸上でシフトされなければならない。圧力に依存するsigX0=f(p)のために、関連するオフセットA.c0が求められ、回帰平面Aの式に挿入される。
回帰平面Bはセンサ信号sigXの圧力ドリフトを記述している。オフセットA.c0が圧力ドリフトの関数として、A.c0 = sigX.y0 B.c1*pressure.x0 B.c2*pressure.x0^2として再び計算される。sigX.y0 = 0の場合、式は単純化されて、A.c0 = (B.c1*pressure.x0 + B.c2*pressure.x0^2)となる。(現在の)圧力依存多項式係数A.c0=f(p)は回帰方程式において、例えば平面A(代入)に置き換えられる。
例えば、回帰平面Aの多項式の決定された圧力依存性オフセット値は、オフセットと増加との角度関係の余弦関係から、A.c1 = A.c0/sigX0; sigX0 = f(p)およびA.c0 = (-1)* sigX * A.c1で計算される。高次の多項式では、曲線の1次微分が形成され、そこから基準点の傾きが計算される。
Figure 0007460682000023
1.3.2.4 信号のCO2値への変換(実施例、詳細は任意)
例えば、回帰面Aの多項式から算出したガス濃度の値は圧力と温度のドリフトで補正される。
Figure 0007460682000024
ここで、A.y(sigX)、B.y(p)、およびC.y(T)は、測定信号、ガス圧、およびガス温度のそれぞれの全多項式に相当する。
この式に変動範囲の幾何学的中心をなす固定参照を挿入し、それに応じて多項式を分解すると、次のような式が得られる。B.ref = B.y( c.ref)とすると、次のようになる。
Figure 0007460682000025
C.ref=1050mbarを挿入した場合、以下のようになる。
Figure 0007460682000026
図24は、形成されたセンサ信号sigXから圧力と温度の影響を考慮してガス濃度を決定する処理の概要のブロック図である。すなわち、図24は、振幅および位相からセンサ信号sigXを形成するとともに、圧力および温度の影響を考慮してsigXからガス濃度を決定するための処理(一例)を模式的に示す説明図である。
既知のガス混合物の濃度に対するセンサ信号の較正以外にも、ガス混合物の熱拡散率aを直接決定することも可能である。図25では、理論的に計算された熱拡散率がセンサ信号sigXに対してプロットされている。すなわち、図25は、窒素N2中への二酸化炭素CO2の混合ガス中における、一定圧力且つ一定温度でのセンサ信号sigXに関する熱拡散率を示している。熱拡散率2401(赤線)は、CO2濃度2402(緑線)の増加に伴って低下する。
このように、物理ガス特性を測定するための熱ガスセンサの設計および評価が本明細書に記載されている。本願発明では、以下のことが提案されている(形態は互いに独立しており、組み合わせて使用することができる)。
・ SOI基板上のMEMSワイヤセンサおよび薄層膜上のサーモパイルセンサの2つの技術バリエーションに基づくセンサ設計
・ ガスセンサの動作:組み込みシステムでの信号生成および信号評価
・ ガス圧力とガス温度に対するドリフト補正を伴うガス混合物の較正のための評価アルゴリズム
1.4 市場-可能な応用分野(任意)
呼吸のための医療技術
天然ガスの分析-熱量の決定
今日の市場には、患者の換気のための様々なシステムがある。これらは臨床および在宅ケア部門での使用方法によって区別される(Heinen+Lowenstein社、Drager社、Stephan Medizintechnik社のシステム等)。これらのサプライヤーのシステムでは、圧力、呼吸流量、呼吸ガス分析を決定するために必要なすべての測定装置は最上位バージョンにしか含まれていない。このためには、主に患者から離れて測定する複数の装置を組み合わせる必要がある。このことから、患者の近くでの呼吸流量とCO2含有量のコスト効率の良い測定はまだ実施されておらず、ハイブリッドフィルタを備えたマルチセンサシステムの開発によってプロジェクトの革新的な内容が保証されることがわかる。
新しいMEMSベースのガス測定システムの開発に成功したことは、センサ技術と呼吸器ケアにとって大きな進歩であると考えている。1つのセンサシステムに両センサ(CO2および流量)を統合することは、(挿管患者のための必須基準である)設置スペースとシステムの重量を大幅に削減することにつながる。測定ポイントを患者に近く、可能な限り気道に近いマスクやチューブ上に直接設置することによってのみ、チューブや動き、干渉源からの影響を避けた、十分に正確な測定が可能になる。さらに、熱測定原理により、より正確な流量測定と迅速なガス分析が可能になると期待されている。
図26、図27および図28は、ガスセンサのヒータに印加される加熱電圧300、加熱期間302の間の電流フロー310、本願発明の評価装置の任意のADC(アナログ-デジタル変換器)の測定時間320、および検出器(例えば、第1の検出器または第2の検出器)のコンパレータ信号を例示する図である。例えば、本願発明の評価装置は、加熱期間302の間にヒータがどれだけの熱を放散すかという情報を、指定の加熱電圧300においてヒータを通る電流フロー310の測定に基づいて取得するように構成されている。ある実施形態によれば、評価装置は、指定の加熱電圧300に切り替えた直後と、指定された加熱電圧をオフにした直後に、電流フロー310を取得するように構成されている。例えば、これは、評価装置が加熱電流310の開始ピーク312および電流フロー310の加熱電流終了値314を処理することができることを意味する。
ある実施形態によれば、開始ピーク312は、同じガスセンサに対して常に同じ値を有する(1%未満、0.5%未満、または0.1%未満の些少な変動がある可能性はある)。図26~図28に示された実施形態によれば、開始ピーク312はスイッチオン後、常に2.93Vであり、約400μsである。開始ピーク312のこの値は、図26~図2
8のガスセンサについて例示されている。別のガスセンサについては、開始ピーク312の値は、図26~図28に例示した値から逸脱していてもよい。ここで、開始ピーク312の値は、異なるガスセンサ間だけでなく、構造が同一のガスセンサ間でも逸脱してもよいことに留意されたい。
ヒータは加熱期間302の間に加熱され、その結果、ヒータ抵抗が正のTCR(温度係数)に従って増加し、スイッチオフの瞬間にヒータが終了温度に達する(Izz=U/RHz→Izz≒1/RHz)。加熱電流終了値314が小さいほどヒータが高温になり、ヒータを取り囲む分析されるべきガスへの放熱量が小さくなり、ガスまたはガス混合物の熱伝導率が小さくなる。
図26~図28にかかる実施形態では、ガスまたはガス混合物は、本願発明のガスセンサおよび/または本願発明の評価装置によって分析される。ここでは、CO210%とN2(窒素)90%のガス混合物が図26の実施形態に従って分析され、ガス窒素(100%N2)が図27の実施形態に従って分析され、ガス酸素(100%O2)が図28の実施形態に従って分析される。例えば、これらの成分は、例えば、酸素の熱伝導率λは0.0263W/(m*K)、窒素の熱伝導率λは0.0260W/(m*K)、およびCO2の熱伝導率λは0.0168W/(m*K)等、熱伝導率が異なる。
図26の実施形態によれば、加熱電流端値314は2.7Vに達し、その結果、スイッ
チオン電流(開始ピーク312)とスイッチオフ電流(加熱電流終了値314)との間の差が220mVに達する(deltaU=220mV)。図27の実施形態によれば、加熱電流終了値314は2.71Vに達し、その結果、スイッチオン電流(開始ピーク312)とスイッチオフ電流(加熱電流終了値314)との差が214mVに達する(deltaU=220mV)。図28の実施形態によれば、加熱電流終了値314は2.72Vに達し、その結果、スイッ
チオン電流(開始ピーク312)とスイッチオフ電流(加熱電流終了値314)との差が210mVに達する(deltaU=220mV)。すなわち、評価装置は、スイッチオンの瞬間とスイッチオフの瞬間、すなわち、コールドヒータとホットヒータとの加熱電流(電流フロー310)の差を処理(検査)する。
図27および図28の実施形態に比べると、図26のCO2混合物のヒータ温度は最も高く、その結果ここで最低加熱電流(例えば、最低加熱電流終了値314)に達する。CO2の熱伝導性はN2やO2に比べると半分しかないからである。これに比して、100%N2の場合、図27にかかるヒータは、図26のCO210%-N290%の混合物のときのように、最終温度(例えば、加熱電流終了値314)に達することはない。同様に、100vol%O2のときには、図28にかかるヒータは図26のCO210%-N290%の混合物のときのように、最終温度(例えば、加熱電流終了値314)に達することはない。図28では、210mVで、スイッチオン電流とスイッチオフ電流との差は最も低く、したがってここで分析されるガスの熱伝導率は、CO210%-N290%の混合物(図)26参照およびN2100Vol%(図27参照)に比べて、最も高くなる。
ある実施形態によれば、本願発明のヒータは、例えば3Vで加熱できるように高ドープされているので、測定効果は最小である。また、ヒータのTCR(温度係数)が低い(例えば、6×10-3 1/K以下、4.1×10-3 1/K以下、3.9×10-3 1/K以下)場合がある。
このように、本願発明のガスセンサおよび/または本願発明の評価装置では、第3のガスの濃度を識別することができるようにするために、例えばセンサ信号(電流フロー310等)が用いられる。緊急換気では、より高い酸素濃度が用いられる。N2にO250vol%を混合したものを使用するのが一般的である。較正の際に新鮮ガスに対して高い酸素濃度でセンサ信号を補正しないと、ガスセンサ(例えば、本願発明のガスセンサ等宇のCO2センサ)は、例えばN2-O2ガス混合物中のO250vol%でCO2濃度-5%を示す。すなわち、混合物中の第3のガス成分の変化、酸素濃度の変化は、所定の状況下では、CO2センサ内での誤差信号につながる。同様に、酸素約56%およびCO2約5%の濃度の窒素N2混合物は、センサでは、例えば、CO2濃度を0vol%を示し、これはO221vol%およびN2約78vol%の新鮮ガス較正の場合と同じである。
吸入ガスの酸素濃度をセンサに表示して、本願発明のガスセンサの濃度表示をそれに応じて修正できるようにする技術的可能性がない場合、センサは、例えば、誤った値を表示することになる。
図26~図28に見て取れるように、熱伝導率に関する情報は、ヒータがスイッチオフまで到達する終了温度に位置している。加熱開始時の現在の電流312とスイッチオフ直前の終了値314との間の温度差(ΔU)を比較すると、ガス混合物中の異なる熱伝導率が異なるΔUで導出され得る。
ある実施形態によれば、ヒータは定電圧(図26~図28によれば、D/A出力で3000桁の値に対応するが、これは例示に過ぎず、自由に選択することができる)で動作する。例えば、シャント抵抗と電流シャントモニタ、例えば図10の場合と同様にINA199A、コンポーネントU402を介した電流測定では、例えば、加熱電流に比例して作用する電圧信号が得られる。図26~図28は、オシロスコープで記録された信号のスクリーンショットを示していて、加熱電流の経路(電流フロー310)が大きく拡大されている(測定ラインを遮蔽することでノイズを低減することができる)。例えば、加熱電圧300と測定された加熱電流310との積により、加熱電力に関する記述が可能となるヒータが加熱され、抵抗の温度勾配(TCR)により内部抵抗が増加するため、加熱電流310は時間の経過とともに減少する。内部抵抗の方がより高いため、同じ加熱電圧(LHz≒1/RHz)では、流れる電流がより少ない可能性がある。
ヒータが周囲のガスに放散することができるエネルギーの量は、とりわけ、ガスの熱伝導率に依存する。例えば、CO210%のN2では、CO2の熱伝導率はλ=0.0168W/(m*K)なので、ヒータは大量の熱を放散することができず、したがって、ヒータは100%N2のガスとは対照的に、スイッチオフ前により高い終了温度に達する。測定では、ΔU=220mVの差が出ている。窒素N2の熱伝導率はλ=0.0260W/(m*K)なので、100%CO2のガスに比べて2倍の熱量を放熱することができる。ある測定では、214mVのΔUが出ている。窒素と酸素O2の熱伝導率の差はさほど大きくない。しかし、本明細書に記載のガスセンサおよび/または評価装置ではΔU=210mVが出ることがあり、これはN2の測定においてよりもわずかに小さい。
図29は、ある実施形態にかかる評価装置のための位相情報sigPhiを表し得る4つの異なる位相信号を示す。図示されているのは、第1の位相差に関する情報210、第2の位相差に関する情報220、位相和400(情報210+情報220)、および位相差410(情報220-情報210)である。ある実施形態によれば、位相情報210、情報220、400、410の測定において、温度T=24℃、気圧p=1013mbarである。しかしながら、これは例示に過ぎず、位相情報210、220、400、410は、様々な周囲パラメータ設定(異なる温度、異なる圧力)で捕捉することができる。
図29に示される実施形態によれば、第1の部分(例えば測定点4520~4620)は、CO210vol%のN2ガス混合物中について各位相情報210、220、400および410を構成し、第2の部分(例えば測定点4670~4780)は、N2100vol%のガスについて各位相情報210、220、400および410を構成し、第3の部分(例えば測定点4960~5070)は、O2100vol%のガスについて各位相情報210、220、400および410を構成する。例えば、個々の部分の間の期間は、それぞれの混合物がセットされるまでの待機時間である。
例えば、位相和400は、位相位置の安定した和信号D1+D2(D1は検出器1に対応し、D2は検出器2に対応する)を構成する。例えば、O2100vol%とN2100vol%との区別は、全ての位相情報について得られる。本実施形態によれば、CO210vol%のN2とCO20vol%のN2との間で最大の信号差が生じる。位相差信号410は現在非常にノイズが多いため、位相情報としては位相和400の方が好ましい。
図30は、第1の検出器の検出器信号の振幅に関する情報210と、第2の検出器の検出器信号の振幅に関する情報220とを示す図である。ある実施形態によれば、振幅情報210、220を測定する際には、温度T=24℃、気圧p=1013mbarである。しかし、これは例示に過ぎず、振幅情報210、220は、様々な周囲パラメータ設定(異なる温度、異なる圧力)で捕捉することができる。
図30に示される実施形態によれば、第1の部分(例えば測定点4520~4650)はCO210vol%のN2ガス混合物について各振幅情報210、220を構成し、第2の部分(例えば測定点4670~4810)はN2100vol%のガスについて各振幅情報210、220を構成し、第3の部分(例えば測定点4960~5120)は、O2100vol%のガスについて各振幅情報210、220を構成する。個々の部分の間の期間は、例えば、それぞれの混合物がセットされるまでの待機時間である。
第1の検出器の検出器信号の振幅に関する情報210と第2の検出器の検出器信号の振幅に関する情報220とは例えば安定した振幅信号を成し、ここでD2(第2の検出器)の振幅がD1(第1の検出器)の振幅よりも小さいため、本実施形態では、D2のノイズの方が大ききくなる(空気中で1.8mVに対し約5mV)。2つの振幅情報210、220において、位相信号(図29の210、220、400および410参照)と比べると、O2100vol%とN2100vol%とはより明確に区別することができる。このように、評価装置によって第3のガスO2の濃度を推測するためには、位相と振幅との比の比較は意味をなすことがある(例えば、システムが新鮮な空気の較正からあまりにもかけ離れたドリフトを行った場合等)。
図31は、合成信号sigX230(右y軸)とCO2基準信号500(左y軸)を示す。ある実施形態によれば、合成信号sigX230の測定時には、温度T=24℃、気圧p=1013mbarである。しかし、これは例示に過ぎず、合成信号sigX230は様々な周囲パラメータ設定(異なる温度、異なる圧力)でも捕捉することができる。
図31に示される実施形態によれば、第1の部分(例えば測定点4610~4650)は、CO210vol%のN2ガス混合物についての合成信号sigX230を構成し、第2の部分(例えば測定点4700~4810)は、N2100vol%のガスについての合成信号sigX230を構成し、そして第3の部分(例えば測定点4960~5100)は、O2100vol%のガスについての合成信号sigX230を構成する。個々の部分の間の期間は、例えば、それぞれの混合物がセットされるまで待機時間である。例えば、NDIR参照検出器(基準信号500参照のこと)はCO2濃度を検出するだけで、N2とO2を区別できない。
3つのガスの混合物はすべて、合成信号230で明確に区別される。このように、第3のガスO2の濃度を推論するために、位相と振幅との間の比を比較することが提案されている。
2100%とO2100%との差が位相信号に与える影響はわずかだが(図29)、CO210%-N290%の混合物とN2100%の混合物との間の振幅信号の差の大きさは、N2100%とO2100%との間の差とほぼ同じである(図30)。合成信号sigX(図31)は、この挙動をわずかにぶれさせている。
以下、本願発明のガスセンサの特徴および機能性を他の言葉で説明するさらなる実施形態を例示する。これらの実施形態は、上述の実施形態と組み合わすこともでき、また代替案を表すこともある。
ある実施形態によれば、ガスセンサは膜センサである。より高いガス感度の信号を得るために膜およびサーモパイル技術に基づく穿孔膜を有する熱ガスセンサを実施して、膜または構造物の支持を介した寄生熱輸送を最小化することもできる。
ある実施形態によれば、本願発明のガスセンサは電子システムを備えることがあり、ここで電子システムは、以下の形態のうちの1つ以上を個別にまたは組み合わせて含んでいることがある。電子システムは、ソフトウェアを介して追跡される動作点を有するDCセンサアンプを備えることもある。さらに、電子システムは、マイクロコントローラ(MSP430)の内部タイマ構造を介して位相位置の測定を実行するように実装されることもあり、ここで、例えば、アナログスイッチおよびマイクロコントローラ(MSP430)の内部タイマ構造を介したヒータ励起信号の正確な生成が、本明細書では使用される。さらに、電子システムは、信号が最も急峻であり、したがって位相ノイズが最小化されるので、ゼロ点交差におけるDCオフセットなしのセンサ信号を測定するシュミットトリガを介してセンサ信号の位相位置の測定を実行するように実装されてもよい。任意で、電子システムは、S1振幅コントローラを介した加熱電力の制御、および/またはサンプリングのタイミングの制御を含む。
ある実施形態によれば、ガスセンサは較正を有することがある。較正は、位相と振幅からなる疑似信号を形成するように構成されていてもよく、ここで、疑似信号に対し信号の形成および数式が強調されていてもよい。
特許請求の範囲に記載の実施形態は、(矛盾をもたらさなければ、)本明細書に記載されたすべての特徴、機能性、および詳細を補足してもよいことに留意されたい。
特許請求の範囲の特徴、機能性、および詳細は、追加の実施形態を得るために、本明細書に記載された実施形態と組み合わせてもよい。
個々の実施形態またはいくつかの実施形態に示された特徴および機能は、これに反する重大な技術的理由がない場合には、他の実施形態においても採用され得ることが指摘される。
さらに、本明細書に記載された実施形態の機能性の一部が、これに反する重要な技術的理由がない場合に採用されてもよいことに留意されたい。
いくつかの形態が装置の文脈の中で記述されていたとしても、該形態は対応する方法の説明でもあることがあり、装置のブロックまたは構造部品は対応する方法工程または方法工程の特徴としても理解することができる。同様に、方法工程の文脈の中で、または方法工程として記述されてきた形態もまた、対応する装置の対応するブロックまたは詳細または特徴の記述を表す。方法工程の一部または全部は、マイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータ、または電子回路などのハードウェア装置を使用しながら(またはハードウェア装置を使用して)実行することができる。いくつかの実施形態では、最も重要な方法工程の一部またはいくつかが、そのような装置によって実行されることがある。
特定の実施要件に応じて、本願発明の実施形態はハードウェアまたはソフトウェアで実施することができる。実施は、プログラム可能なコンピュータシステムと協働することができる、または協働してそれぞれの方法が実行されるようにする電子的に読み取り可能な制御信号を格納するフロッピーディスク(フロッピーは登録商標)、DVD、ブルーレイディスク、CD、ROM、PROM、EPROM、EEEPROMまたはFLASH(登録商標)メモリ、ハードディスク、または他の任意の磁気または光学メモリ等、デジタル記憶媒体を使用している間に実施されてもよい。このため、デジタル記憶媒体は、コンピュータ可読であってもよい。
したがって、本願発明にかかるいくつかの実施形態は、プログラム可能なコンピュータシステムと協働して本明細書に記載された方法のいずれかが実行されるようにすることができる、電子的に読み取り可能な制御信号を含むデータ担体を備える。
一般に、本願発明の実施形態は、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品として実施されてもよく、プログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときにいずれかの方法を実行するのに有効である。
また、プログラムコードは、例えば機械可読担体に格納されていてもよい。
他の実施形態には、本明細書に記載された方法のいずれかを実行するためのコンピュータプログラムを含み、前記コンピュータプログラムは機械可読な担体に格納されている。
換言すれば、本願発明の方法のある実施形態はこのように、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行される場合に本明細書に記載された方法のいずれかを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
したがって、本願発明の方法のさらなる実施形態は、本明細書に記載された方法のいずれかを実行するためのコンピュータプログラムが記録されたデータ担体(またはデジタル記憶媒体またはコンピュータ可読媒体)である。データ担体、デジタル記憶媒体、または記録済み媒体は、典型的には有形または不揮発性である。
したがって、本願発明の方法のさらなる実施形態は、本明細書に記載された方法のいずれかを実行するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号のシーケンスである。データストリームまたは信号のシーケンスは、例えば、インターネット等のデータ通信リンクを介して送信されるように構成されていてもよい。
さらなる実施形態には、本明細書に記載された方法のいずれかを実行するように構成または適合された、例えばコンピュータまたはプログラマブル論理装置等の処理ユニットが含まれる。
さらなる実施形態には、本明細書に記載の方法のいずれかを実行するためのコンピュータプログラムがインストールされたコンピュータが含まれる。
本願発明によるさらなる実施形態には、本明細書に記載された方法の少なくとも1つを実行するためのコンピュータプログラムを受信機に送信するように構成された装置またはシステムが含まれる。送信は、例えば電子的または光学的であってもよい。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイル装置、メモリ装置、または類似の装置であってもよい。装置またはシステムには、例えば、コンピュータプログラムを受信機に送信するためのファイルサーバが含まれることがある。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法の機能の一部または全部を実行するために、プログラム可能な論理装置(例えば、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、FPGA)が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイはマイクロプロセッサと協働して本明細書に記載された方法のいずれかを実行することがある。一般に、いくつかの実施形態では、方法は任意のハードウェアデバイスによって実行される。前記ハードウェアデバイスは、コンピュータプロセッサ(CPU)のような任意の普遍的に適用可能なハードウェアであってもよく、またはASICのような方法に特有のハードウェアであってもよい。
例えば、本明細書に記載された装置はハードウェア装置を用いて、またはコンピュータを用いて、またはハードウェア装置とコンピュータとの組み合わせを用いて実施してもよい。
本明細書に記載された装置、または本明細書に記載された装置の任意の構成要素は、少なくとも部分的に、ハードウェアおよび/またはソフトウェア(コンピュータプログラム)で実施されてもよい。
例えば、本明細書に記載された方法は、ハードウェア装置を使用して、またはコンピュータを使用して、またはハードウェア装置とコンピュータとの組み合わせを使用して実施することができる。
本明細書に記載された方法、または本明細書に記載された方法の任意の構成要素は、少なくとも部分的に実施および/またはソフトウェア(コンピュータプログラム)によって実施されてもよい。
上述の実施形態は、単に本願発明の原理を表しているに過ぎない。他の当業者は、本明細書に記載された構成および詳細の修正および変形を理解するであろうことと理解される。このため、本願発明は、実施形態の説明および考察によって本明細書に提示された特定の詳細によってではなく、以下の請求の範囲によってのみ限定されることが意図される。
Figure 0007460682000027
Figure 0007460682000028

Claims (15)

  1. 少なくとも1つのヒータ(120)と少なくとも2つの検出器(130、140)とを有する熱ガスセンサ(100)のための評価装置(200)であって、
    前記評価装置(200)は、前記少なくとも2つの検出器(130、140)のうちの少なくとも一方からの少なくとも1つのセンサ信号を既定の値の範囲に収めるために、前記ヒータ(120)に印加される加熱電力を前記少なくとも1つのセンサ信号に依存して制御する(250、252)ように構成され、
    前記評価装置(200)は、前記少なくとも2つの検出器からの前記センサ信号からガス濃度に関する情報(240)を導出する際に、前記ガス濃度に関する情報(240)を導出するために、前記ヒータ(120)の信号と前記少なくとも2つの検出器のうちの1 つの検出器のセンサ信号との間の振幅差、および前記ヒータ(120)の信号と前記少な くとも2つの検出器のうちのもう一方の検出器のセンサ信号との間の振幅差を用いることによって、前記加熱電力に関する情報(122)を考慮するように構成される、
    評価装置(200)。
  2. 前記評価装置(200)は、前記ヒータ(120)に周期信号(260)を適用するように構成される、請求項1に記載の評価装置(200)。
  3. 前記評価装置(200)は、前記ヒータ(120)に印加される加熱電力を2つの値の間で切り替えるように構成される、請求項1または2に記載の評価装置(200)。
  4. 前記評価装置(200)は、前記少なくとも1つのセンサ信号の最小値および前記少なくとも1つのセンサ信号の最大値が前記既定の値の範囲内にあるように、前記ヒータの信号の振幅を制御する(250、252)ように構成される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の評価装置(200)。
  5. 前記評価装置(200)は、前記少なくとも1つのセンサ信号の振幅が特定の振幅範囲内にあるように、加熱電力の振幅を設定または調整する(250、252)ように構成される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の評価装置(200)。
  6. 前記評価装置(200)は、前記センサ信号がサンプリングされるサンプリング時間を設定または調整する(270、280、290)ように構成される、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の評価装置(200)。
  7. 前記評価装置(200)は、前記センサ信号が最大値に達する時点にサンプリングが行われ、かつ前記センサ信号が最小値に達する時点に前記サンプリングが行われるように、前記サンプリング時間を設定する(270、280、290)ように構成される、請求項6に記載の評価装置(200)。
  8. 前記評価装置(200)は、アナログ-デジタル変換器の入力信号を得るために、少なくとも1つの検出器(130、140)からのセンサ信号と前記アナログ-デジタル変換器によって生成されたオフセット信号とを結合するように構成され、
    前記評価装置(200)は、前記アナログ-デジタル変換器の前記入力信号が前記センサ信号の全周期中に既定の値の範囲内に留まることを達成するために、前記オフセット信号を調整するように構成される、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の評価装置(200)。
  9. 前記評価装置(200)は、前記センサ信号がサンプリングされるサンプリング時間が定常状態に設定または調整された(270、280、290)場合、および前記オフセット信号が定常状態に調整された場合にのみ、前記加熱電力を制御する(250、252)ように構成される、請求項8に記載の評価装置(200)。
  10. 前記評価装置(200)は、前記センサ信号がサンプリングされるサンプリング時間が設定または調整されている(270、280、290)間、および/または前記オフセット信号が調整されている間は、前記加熱電力の制御(250、252)を停止するように構成される、請求項8または請求項9に記載の評価装置(200)。
  11. 前記評価装置(200)は、平均加熱電力または最大加熱電力、ならびに前記加熱電力の振幅(250、252)を調整するように構成される、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の評価装置(200)。
  12. 前記加熱電力に関する前記情報は、前記ヒータ(120)の信号の前記振幅に関する情報を含む、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の評価装置(200)。
  13. 前記加熱電力に関する前記情報はヒータ振幅に関する情報であり、
    前記評価装置は、前記ガス濃度に関する前記情報(240)を導出する際に、
    前記ヒータ振幅に関する前記情報と、
    前記少なくとも1つのセンサ信号の振幅に関する情報と、
    前記ヒータの信号と前記少なくとも1つのセンサ信号との間の位相差に関する情報との線形結合を形成するように構成される、
    請求項1ないし12のいずれか1項に記載の評価装置(200)。
  14. 少なくとも1つのヒータと少なくとも2つの検出器とを有する熱ガスセンサのための評価装置を動作させるための方法であって、
    前記方法は、センサ信号を既定の値の範囲に収めるために、前記ヒータに印加される加熱電力を前記少なくとも2つの検出器のうちの少なくとも一方からの少なくとも1つのセンサ信号に依存して制御するステップを含み、
    前記方法は、前記少なくとも2つの検出器の前記センサ信号からガス濃度に関する情報を導出する際に、前記ガス濃度に関する情報(240)を導出するために、前記ヒータ(120)の信号と前記少なくとも2つの検出器のうちの1つの検出器のセンサ信号との間の振幅差、および前記ヒータ(120)の信号と前記少なくとも2つの検出器のうちのも う一方の検出器のセンサ信号との間の振幅差を使用することによって、前記加熱電力に関する情報を考慮するステップを含む、
    方法。
  15. コンピュータ上で動作するときに、請求項14に記載の方法を実行するためのコンピュータプログラム。
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