JP7460576B2 - 吸音構造体 - Google Patents

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本発明は、吸音構造体に関する。
特許文献1には、吸音構造板が開示されている。
特許文献1の吸音構造板は、芯材と、芯材の両面に貼り合わされた非通気性シートとを備えている。
芯材は、複数の中空凸部を備える2枚の熱可塑性樹脂シート(以下、樹脂シート)を有している。芯材は、2枚の樹脂シートの中空凸部同士を互いに付き合わせた状態で溶着することにより構成されている。
吸音構造板の少なくとも一方の面には、中空凸部同士の間に開口する小孔が設けられている。
こうした吸音構造板によれば、小孔を通じて開口する吸音構造板の中空部(空気層)の共鳴吸音効果を得ることができる。
国際公開第2003/080326号
上記吸音構造板においては、中空部の容積、小孔の断面積、及び小孔の長さに応じて共鳴周波数が決まる。
ところで、非通気性シートが芯材に向けて押圧されることがある。この場合、非通気性シート及び芯材が変形するとともに中空部の容積が変化する。その結果、共鳴周波数が変化することで、狙いの周波数での共鳴吸音効果を得ることができなくなる。
上記課題を解決するための吸音構造体は、第1部材と、前記第1部材と対向して配置される第2部材との間に設けられる。吸音構造体は、第1シートと、前記第2部材と前記第1シートとの間に設けられるとともに前記第1部材と前記第2部材との対向方向において前記第1シートと重ね合わされる第2シートと、を備えており、前記第1シートは、前記第1部材に向かって突出するとともに前記第2シートに向かって開口する複数の有底の第1凹部と、支持突部と、を有しており、前記第2シートは、前記第2部材に向かって突出するとともに前記第1シートに向かって開口する複数の有底の第2凹部を有しており、前記第1凹部と前記第2凹部とによりヘルムホルツ共鳴室が構成されており、前記支持突部は、前記第1凹部よりも前記第1部材に近い位置まで突出している。
吸音構造体の第1実施形態の断面図。 第1実施形態のカバーパネル、吸音構造体、及びダッシュパネルの分解斜視図。 第1実施形態の第1シートの正面図。 第1実施形態の貫通孔を有する第1凹部と、第2凹部とを離間して示す斜視断面図。 第1実施形態の支持突部と収容凹部とを離間して示す斜視断面図。 第1実施形態の第1凹部と貫通孔を有する第2凹部とを離間して示す斜視断面図。 第1実施形態の作用を説明する断面図。 第2実施形態の第1シートの正面図。 第2実施形態の吸音構造体の断面図。 第2実施形態の支持突部を有する第1凹部と、第2凹部とを離間して示す斜視断面図。 第2実施形態の作用を説明する断面図。
(第1の実施形態)
以下、図1~図7を参照して、第1実施形態について説明する。
図2に示すように、車両10の前部には、ダッシュパネル12と、ダッシュパネル12を車両前後方向の後方から覆うカバーパネル11とが設けられている。カバーパネル11が本発明に係る第1部材に相当する。ダッシュパネル12が本発明に係る第2部材に相当する。
カバーパネル11は、ダッシュパネル12と車両前後方向において対向して配置されている。カバーパネル11は、運転席及び助手席の車両前後方向の前方に位置するとともに車室を区画する。なお、以降において、カバーパネル11とダッシュパネル12との対向方向を単に対向方向と称する。
カバーパネル11は、硬質の合成樹脂材料により構成されている。ダッシュパネル12は、金属材料によって構成されている。
カバーパネル11とダッシュパネル12との間には、吸音構造体20が設けられる。
以下、吸音構造体20の構造について詳しく説明する。
図1及び図2に示すように、吸音構造体20は、第1シート30と、ダッシュパネル12と第1シート30との間に設けられるとともにカバーパネル11とダッシュパネル12との対向方向において第1シート30と重ね合わされる第2シート40とを備えている。
<第1シート30>
図1~図4及び図6に示すように、第1シート30は、板状の第1ベース部31と、第1ベース部31からカバーパネル11に向かって突出するとともに第2シート40に向かって開口する複数の有底の第1凹部32とを有している。
第1凹部32は、第1凹部32の開口32aを取り囲む周壁33と、開口32aに対向する底壁34とを有している。
図6に示すように、開口32aは、正六角形状である。
図3及び図4に示すように、底壁34は、開口32aよりも小さい正六角形状である。
図1、図3及び図4に示すように、周壁33は、底壁34に近づくほど先細の形状である。底壁34には、貫通孔34aが設けられている。貫通孔34aは、底壁34の中心において底壁34を貫通している。なお、図3に示すように、複数の第1凹部32には、貫通孔34aを有していないものも含まれている。
図3に示すように、1つの第1凹部32の周囲において第1凹部32の6つの角に対する位置には、6つの第1凹部32がそれぞれ配置されている。
第1シート30の一部には、第1凹部32が設けられていない部位(以下、非設置部38)が設けられている。非設置部38には、支持突部35が設けられている。支持突部35は、互いに隣り合う第1凹部32同士の間に設けられている。
図1に示すように、支持突部35は、底壁34よりもカバーパネル11に近い位置まで突出している。本実施形態では、支持突部35の先端がカバーパネル11に当接している。第1凹部32の底壁34とカバーパネル11との間には、隙間S1が設けられている。
図1、図3及び図5に示すように、支持突部35は、筒状である。より詳しくは、支持突部35は正面視正六角形状である。支持突部35の先端は、開放されている。
支持突部35の基端と第1ベース部31との間には、正六角形環状の蛇腹部36が設けられている。蛇腹部36は、第1ベース部31よりもダッシュパネル12に向かって突出している。
互いに隣り合う第1凹部32の周壁33同士は、連結部37によって連結されている。連結部37は、第1凹部32の6つの角に対する位置に設けられている。連結部37は、第1ベース部31にも連結されている。
第1シート30は、弾性部材により構成されている。弾性部材としては、例えば軟質のエラストマーが好ましい。
<第2シート40>
図1、図4及び図6に示すように、第2シート40は、板状の第2ベース部41と、第2ベース部41からダッシュパネル12に向かって突出するとともに第1シート30に向かって開口する複数の有底の第2凹部42とを有している。
第2凹部42は、第1凹部32に対応する位置に設けられている。
第2凹部42は、第2凹部42の開口42aを取り囲む周壁43と、開口42aに対向する底壁44とを有している。
開口42aは、第1凹部32の開口32aと同一の大きさの正六角形状である。底壁44は、開口42aよりも小さい正六角形状である。本実施形態では、底壁44は、第1凹部32の底壁34と同一の大きさである。周壁43は、底壁44に近づくほど先細な形状である。本実施形態では、底壁44が、ダッシュパネル12に当接している。
図1及び図6に示すように、貫通孔34aを有していない底壁34に対向する底壁44の中央部44Aは、周縁部44Bよりも第1シート30に向かって突出している。中央部44Aとダッシュパネル12との間には隙間S2が形成されている。中央部44Aには、貫通孔44aが設けられている。貫通孔44aは、底壁44の中心において底壁44を貫通している。
図1及び図5に示すように、第2シート40において支持突部35及び蛇腹部36に対向する位置には、正六角形状の収容凹部46が設けられている。収容凹部46は、第2ベース部41よりもダッシュパネル12に向かって突出している。収容凹部46の内部には、蛇腹部36が収容されている。したがって、支持突部35の基端は、収容凹部46によって閉塞されている。
互いに隣り合う第2凹部42の周壁43同士は、連結部47によって連結されている。連結部47は、第2凹部42の6つの角に対する位置に設けられている。連結部47は、第2ベース部41にも連結されている。
第2シート40は、硬質の合成樹脂材料により構成されている。こうした合成樹脂材料としては、例えばポリプロピレンが好ましい。
図1に示すように、第1シート30の第1ベース部31と第2シート40の第2ベース部41とが重ね合わされている状態において、第1凹部32と第2凹部42とにより、ヘルムホルツ共鳴室21が構成されている。なお、各ヘルムホルツ共鳴室21の容積は、互いに同一である。
次に、本実施形態の作用について説明する。
吸音構造体20においては、ヘルムホルツ共鳴室21の容積、貫通孔34a(44a)の断面積、及び貫通孔34a(44a)の長さに応じて決まる共鳴周波数の騒音が共鳴吸音される。
運転手などの乗員の足が当たることによってカバーパネル11が第1シート30に向けて押圧されることがある。この際、図7に示すように、カバーパネル11が第1シート30を押圧する荷重が第1シート30の支持突部35に作用すると、同荷重によって蛇腹部36が弾性変形することで支持突部35が収容凹部46内に向けて移動する。ただし、カバーパネル11と第1凹部32との間には、隙間S1が設けられている。このため、上記荷重が第1凹部32には作用しにくくなる。
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)支持突部35は、第1凹部32の底壁34よりもカバーパネル11に近い位置まで突出している。
こうした構成によれば、上記作用を奏することにより、第1凹部32の変形が抑制されることで、第1凹部32と第2凹部42とにより構成されるヘルムホルツ共鳴室21の容積が変化することを抑制できる。したがって、吸音性能の低下を抑制できる。
(2)第1シート30が弾性部材により構成されている。このため、カバーパネル11と第1シート30との接触に起因した異音の発生を抑制できる。
(3)支持突部35は、互いに隣り合う第1凹部32同士の間に設けられている。
こうした構成によれば、カバーパネル11が第1シート30に向けて押圧された際に、その荷重が第1凹部32には一層作用しにくくなる。これにより、第1凹部32の変形及びヘルムホルツ共鳴室21の容積変化を一層抑制できる。したがって、吸音性能の低下を効果的に抑制できる。
(4)支持突部35は、筒状である。支持突部35の先端は、開放されている。支持突部35の基端は、閉塞されている。
こうした構成によれば、支持突部35によって気柱型共鳴器22が構成される。これにより、支持突部35の長さに応じた共鳴周波数の音を吸音することができる。
(第2実施形態)
次に、図8~図11を参照して、第2実施形態について説明する。
なお、第2実施形態では、第1凹部32の外面に支持突部135を設けている点が第1実施形態とは相違している。
以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図8~図10に示すように、底壁34の外面には、3つの支持突部135が設けられている。より詳しくは、底壁34の6つの辺のうち1つ置きの3つの辺に3つの支持突部135がそれぞれ設けられている。
支持突部135は、第1凹部32の周壁33及び底壁34の厚さよりも小さい厚さを有する板状である。支持突部135は、底壁34の辺に沿って延びている。
支持突部135が設けられている底壁34には、貫通孔34aが設けられていない。
支持突部135が設けられている第1凹部32と隣り合う第1凹部32には、支持突部135が設けられていない。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図11に示すように、カバーパネル11が第1シート30に向けて押圧された際に、その荷重が第1シート30の支持突部35に作用すると、支持突部135が弾性変形しながら底壁34に向かって折れ曲がる。このため、上記荷重が第1凹部32には作用しにくくなる。
本実施形態によれば、第1実施形態の効果(1)、(2)に加えて、新たに以下に説明する効果(5)を奏することができる。
(5)支持突部135は、底壁34の外面に設けられている。
こうした構成によれば、支持突部135の体格を小さくできる。したがって、第1シート30に必要な材料の使用量を低減できるとともに、支持突部135を設けることによる重量増加を抑制できる。
また、非設置部38に代えて第1凹部32を設けることで、第1凹部32の数を増やすことができる。これにより、吸音性能を向上できる。
<変更例>
上記実施形態は、例えば以下のように変更して実施することもできる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・各ヘルムホルツ共鳴室21の容積を、互いに異ならせることもできる。
・第2実施形態において、支持突部135は3つに限定されない。例えば、底壁34の6つの辺のうち1つの辺にのみ支持突部135を設けるようにしてもよいし、2つの辺に支持突部135を設けるようにしてもよい。
・第2実施形態において、支持突部135を棒状などの他の形状にすることもできる。
・第2実施形態において、支持突部135を周壁33の外面に設けるようにしてもよい。
・第1実施形態及び第2実施形態において、第1凹部32における貫通孔34aの配設位置は、底壁34の中心にすることに限らず、同底壁34の中心からずれた位置にするなど、任意に変更することができる。また、第2凹部42における貫通孔44aの配設位置は、底壁44の中心にすることに限らず、同底壁44の中心からずれた位置にするなど、任意に変更することができる。
・第1実施形態及び第2実施形態において、第1凹部32及び第2凹部42を同一の形状、且つ同一の大きさにすることの他、第1凹部32及び第2凹部42を異なる形状にしたり異なる大きさにしたりすることができる。例えば、第1凹部32の底壁34と第2凹部42の底壁44とを異なる形状にしたり異なる大きさにしたりしてもよい。また、第1凹部32の開口32aと第2凹部42の開口42aとを異なる形状にしたり異なる大きさにしたりすることができる。
・第1実施形態及び第2実施形態において、第1凹部32の底壁34の形状を正三角形、正方形、あるいは正五角形などの他の正多角形状にすることもできる。また、第1凹部32の底壁34の形状を、正多角形以外の多角形状や円形状にすることもできる。この場合、底壁34の形状に応じて開口32aの形状を適宜変更するとともに、第2凹部42の形状を適宜変更することができる。
・第1実施形態において、支持突部35を正面視正三角形、正方形、正五角形などの他の正多角形状にすることもできる。また、支持突部35の正面視形状を、正多角形以外の多角形状や円形状にすることもできる。この場合、支持突部35の正面視形状に応じて蛇腹部36の形状を適宜変更することができる。
・第1実施形態において、蛇腹部36の形状は任意に変更することができる。要は、蛇腹部36が弾性変形することで、支持突部35を収容凹部46内に向けて移動させることができればよい。
・第1実施形態において、蛇腹部36を省略することができる。
・第1実施形態において、支持突部35は筒状に限定されず、中身の詰まった柱状にすることもできる。
・第1シート30を構成する材料は、軟質のエラストマーに限定されず、第2シート40と同様な硬質の合成樹脂材料によって構成することもできる。
・第2シート40を構成する材料は、硬質の合成樹脂材料に限定されず、第1シート30と同様な軟質のエラストマーなどの弾性部材によって構成することもできる。
・吸音構造体20は、ダッシュパネル12とカバーパネル11との間に設けられるものに限定されず、車両におけるダッシュパネル12以外の他の構造体と同構造体を覆うカバーパネルとの間に設けられるものとして具体化することもできる。
10…車両
11…カバーパネル(第1部材)
12…ダッシュパネル(第2部材)
20…吸音構造体
21…ヘルムホルツ共鳴室
22…気柱型共鳴器
30…第1シート
31…第1ベース部
32…第1凹部
32a…開口
33…周壁
34…底壁
34a…貫通孔
35,135…支持突部
36…蛇腹部
37…連結部
38…非設置部
40…第2シート
41…第2ベース部
42…第2凹部
42a…開口
43…周壁
44…底壁
44A…中央部
44B…周縁部
44a…貫通孔
46…収容凹部
47…連結部

Claims (5)

  1. 第1部材と、前記第1部材と対向して配置される第2部材との間に設けられる吸音構造体において、
    第1シートと、
    前記第2部材と前記第1シートとの間に設けられるとともに前記第1部材と前記第2部材との対向方向において前記第1シートと重ね合わされる第2シートと、を備えており、
    前記第1シートは、前記第1部材に向かって突出するとともに前記第2シートに向かって開口する複数の有底の第1凹部と、前記第1部材に向かって突出するとともに前記第1部材を支持する支持突部と、を有しており、
    前記第2シートは、前記第2部材に向かって突出するとともに前記第1シートに向かって開口する複数の有底の第2凹部を有しており、
    前記第1凹部と前記第2凹部とによりヘルムホルツ共鳴室が構成されており、
    前記支持突部は、前記第1凹部よりも前記第1部材に近い位置まで突出している、
    吸音構造体。
  2. 前記第1シートは、弾性部材により構成されている、
    請求項1に記載の吸音構造体。
  3. 前記支持突部は、互いに隣り合う前記第1凹部同士の間に設けられている、
    請求項1または請求項2に記載の吸音構造体。
  4. 前記支持突部は、筒状であり、
    前記支持突部の先端は、開放されており、
    前記支持突部の基端は、閉塞されている、
    請求項3に記載の吸音構造体。
  5. 前記支持突部は、前記第1凹部の外面に設けられている、
    請求項1または請求項2に記載の吸音構造体。
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