最初に、図1を参照しながら、本発明の一実施形態に係る掘削機としてのショベル100について説明する。図1は、ショベル100の側面図である。
ショベル100の下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3は、旋回モータ17によって旋回させられる。旋回モータ17は、電動モータであってもよく、油圧モータであってもよい。
上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例である掘削アタッチメントを構成している。ブーム4はブームシリンダ7により駆動され、アーム5はアームシリンダ8により駆動され、バケット6はバケットシリンダ9により駆動される。
ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケットリンクにはバケット角度センサS3が取り付けられている。上部旋回体3には、旋回角速度センサS4が取り付けられている。
ブーム角度センサS1は、姿勢検出センサの1つであり、ブーム4の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、ブーム角度センサS1は、ブームシリンダ7のストローク量を検出するストロークセンサであり、ブームシリンダ7のストローク量に基づいて上部旋回体3とブーム4とを連結するブームフートピン回りのブーム4の回動角度を導き出す。
アーム角度センサS2は、姿勢検出センサの1つであり、アーム5の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、アーム角度センサS2は、アームシリンダ8のストローク量を検出するストロークセンサであり、アームシリンダ8のストローク量に基づいてブーム4とアーム5とを連結する連結ピン回りのアーム5の回動角度を導き出す。
バケット角度センサS3は、姿勢検出センサの1つであり、バケット6の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、バケット角度センサS3は、バケットシリンダ9のストローク量を検出するストロークセンサであり、バケットシリンダ9のストローク量に基づいてアーム5とバケット6とを連結する連結ピン回りのバケット6の回動角度を導き出す。
なお、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3のそれぞれは、ロータリエンコーダ、加速度センサ、ポテンショメータ(可変抵抗器)、傾斜センサ、又は、慣性計測装置等であってもよい。慣性計測装置は、例えば、加速度センサとジャイロセンサとの組み合わせで構成されていてもよい。
旋回角速度センサS4は、上部旋回体3の旋回角速度を検出するように構成されている。本実施形態では、旋回角速度センサS4は、ジャイロセンサである。旋回角速度センサS4は、旋回角速度に基づいて旋回角度を算出するように構成されていてもよい。旋回角速度センサS4は、ロータリエンコーダ等の他のセンサで構成されていてもよい。
上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10、及び、エンジン室を構成するハウスフレーム等が搭載されている。ハウスフレームを覆うハウスカバー3c内には、エンジン11等が設置され、ハウスカバー3cの外側には、測位装置18、撮像装置C1、及び通信装置T1等が搭載されている。なお、ハウスカバー3cは、エンジンフード及び側面カバー等を含む。また、キャビン10内には、コントローラ30が搭載されている。また、キャビン10内には、運転席及び操作装置等が設置されている。但し、ショベル100は、キャビン10が省略された無人ショベルであってもよい。
エンジン11は、ショベル100の駆動源である。本実施形態では、エンジン11は、ディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸は、油圧ポンプ14の入力軸に連結されている。
測位装置18は、ショベル100の位置を測定するように構成されている。本実施形態では、測位装置18は、GNSSコンパスであり、上部旋回体3の位置及び向きを測定できるように構成されている。
撮像装置C1は、ショベル100の周囲を撮像するように構成されている。本実施形態では、撮像装置C1は、上部旋回体3の上面後端に取り付けられた後カメラC1B、キャビン10の上面前端に取り付けられた前カメラC1F、上部旋回体3の上面左端に取り付けられた左カメラC1L、及び、上部旋回体3の上面右端に取り付けられた右カメラC1Rを含む。
通信装置T1は、ショベル100の外部にある機器との通信を制御するように構成されている。本実施形態では、通信装置T1は、無線通信網を介し、通信装置T1とショベル100の外部にある機器との間の無線通信を制御するように構成されている。
コントローラ30は、各種演算を実行する演算装置である。本実施形態では、コントローラ30は、CPU及びメモリを含むマイクロコンピュータで構成されている。そして、コントローラ30の各種機能は、CPUがメモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
次に、図2を参照し、ショベル100の上部旋回体3におけるワイヤハーネスの配索例について説明する。図2は、上部旋回体3の上面図である。図2では、ハウスカバー3cの内部に配索されているワイヤハーネスの一部であるワイヤハーネスWHの位置が見えるように、ハウスカバー3cの図示が省略されている。キャビン10についても同様である。
図2に示すように、上部旋回体3の後側(-X側)の中央部にはエンジン11が配置され、エンジン11の右側(-Y側)には油圧ポンプ14が配置されている。また、エンジン11の前側(+X側)には旋回モータ17が配置されている。また、キャビン10内にはコントローラ30が配置されている。なお、図2では、明瞭化のため、エンジン11、油圧ポンプ14、旋回モータ17、コントローラ30、及びワイヤハーネスWH以外の部材の図示は省略されている。
コントローラ30と、エンジン11、油圧ポンプ14、及び旋回モータ17のそれぞれにおける制御ユニットとはワイヤハーネスWHを介して接続されている。
ワイヤハーネスWHは、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線を束にしたものである。本実施形態では、ワイヤハーネスWHは、所定の間隔毎に配置される複数の結束バンドによって束ねられている。そして、複数の結束バンドのそれぞれは、配線固定具の一例である結束バンド固定具WF(図4参照。)に取り付けられ且つ保持されている。
結束バンド固定具WFは、例えば、旋回フレームに溶接されたナットに形成されているネジ穴に嵌め込まれている。
また、ワイヤハーネスWHは、コネクタCNを介して延長されてもよい。本実施形態では、コネクタCNは、結束バンド固定具WF及びナットを介して旋回フレームに固定されている。すなわち、結束バンド固定具WFは、コネクタCNを固定できるように構成されている。
また、ワイヤハーネスWHは、2つ以上に分岐するように構成されていてもよい。この場合、ワイヤハーネスWHが分岐する部分は、分岐部保護部材BMによって覆われる。
分岐部保護部材BMは、例えば、合成樹脂で形成された部材である。分岐部保護部材BMは、Y分岐に適合するように形成されていてもよく、T分岐に適合するように形成されていてもよい。本実施形態では、分岐部保護部材BMは、結束バンド固定具WF及びナットを介して旋回フレームに固定されている。すなわち、結束バンド固定具WFは、分岐部保護部材BMを固定できるように構成されている。
次に、図3を参照し、ワイヤハーネスWHの固定構造について説明する。図3は、ワイヤハーネスWHの固定構造を示す図である。具体的には、図3(A)は、図2における破線で囲まれた領域R1の拡大図であり、コネクタCNの一例であるコネクタCN1及びその周辺を図示している。図3(B)は、図2における破線で囲まれた領域R2の拡大図であり、分岐部保護部材BM及びその周辺を図示している。図3(C)は、図2における破線で囲まれた領域R3の拡大図であり、コネクタCNの別の一例であるコネクタCN2及びその周辺を図示している。
図3(A)を参照すると、ワイヤハーネスWHは、3つの結束バンド固定具WF(結束バンド固定具WF1~結束バンド固定具WF3)によって旋回フレームに固定されている。また、ワイヤハーネスWHの一部であるワイヤハーネスWH1と、ワイヤハーネスWHの別の一部であるワイヤハーネスWH2とは、コネクタCN1によって接続されている。
具体的には、コネクタCN1は、ワイヤハーネスWH1の一端に取り付けられたオス型コネクタMCN、及び、ワイヤハーネスWH2の一端に取り付けられたメス型コネクタFCNを含む。
ワイヤハーネスWH1は、結束バンドTB(結束バンドTB1)によって束ねられ、且つ、結束バンド固定具WF(結束バンド固定具WF1)と、ナットNT(ナットNT1)とを介して旋回フレームに固定されている。
メス型コネクタFCNは、結束バンド固定具WF(結束バンド固定具WF2)と、ナットNT(ナットNT2)とを介して旋回フレームに固定されている。本実施形態では、オス型コネクタMCNは、メス型コネクタFCNを介して旋回フレームに固定されるため、結束バンド固定具WF2には取り付けられていない。
ワイヤハーネスWH2は、結束バンドTB(結束バンドTB2)によって束ねられ、且つ、結束バンド固定具WF(結束バンド固定具WF3)と、ナットNT(ナットNT3)とを介して旋回フレームに固定されている。
図3(B)を参照すると、ワイヤハーネスWHは、結束バンド固定具WF(結束バンド固定具WF4)によって旋回フレームに固定されている。
具体的には、ワイヤハーネスWHは、分岐部保護部材BMのところで分岐している。また、ワイヤハーネスWHは、分岐部保護部材BMと結束バンド固定具WF4とを介して旋回フレームに固定されている。
より具体的には、ワイヤハーネスWHの一部であるワイヤハーネスWH0は、分岐部保護部材BMのところで、ワイヤハーネスWHの別の一部であるワイヤハーネスWH1とワイヤハーネスWH3とに分岐している。分岐部保護部材BMは、結束バンド固定具WF4と、ナットNT(ナットNT4)とを介して旋回フレームに固定されている。
なお、図3(B)に示す例では、結束バンド固定具WF4は、その一部(突起部)が、分岐部保護部材BMにおける中央部CTの-Z側の端面の中央に形成された略円形の貫通孔(図示せず。)に嵌め込まれることにより、分岐部保護部材BMに着脱可能に結合されている。しかしながら、結束バンド固定具WF4と分岐部保護部材BMとは、任意の結合方法によって互いに着脱可能に結合されていてもよい。例えば、結束バンド固定具WF4及び分岐部保護部材BMのそれぞれは、結束バンド固定具WF4の突起部に形成された凹部(又は凸部)と、分岐部保護部材BMの端面に形成された凸部(又は凹部)とが嵌合するように構成されていてもよい。
また、図3(B)に示す例では、結束バンド固定具WF4は、略直方体形状を有する中央部CTの-Z側の端面に取り付けられているが、中央部CTの+Y側の端面に取り付けられてもよく、中央部CTの-Y側の端面に取り付けられてもよい。
このような分岐部保護部材BMを用いることにより、作業者は、例えば、ワイヤハーネスWHの分岐部において、結束バンド固定具WF4を介してワイヤハーネスWHを旋回フレーム等に固定できる。そのため、この構成は、ワイヤハーネスWHの配索に関する設計自由度を高めることができる。
図3(C)を参照すると、ワイヤハーネスWHは、結束バンド固定具WF(結束バンド固定具WF5)によって旋回フレームに固定されている。
具体的には、ワイヤハーネスWHの一部であるワイヤハーネスWH4は、コネクタCN2の直ぐ近くで折り返され、折り返し部FDを形成している。そして、ワイヤハーネスWH4は、折り返し部FDから+X方向に延びる部分がコネクタCN2の上面と接触した状態で、結束バンドTB(結束バンドTB3)によってコネクタCN2の一部と共に束ねられる。ワイヤハーネスWH4とコネクタCN2とが接続されている部分(ワイヤハーネスWH4の付け根部分RT)でワイヤハーネスWH4が揺動してしまいワイヤハーネスWH4の付け根部分RTが損傷してしまうのを防止するためである。この場合、結束バンドTB3は、コネクタCN2から延びるワイヤハーネスWH4に関する第1クランプ(コネクタCN2に最も近い位置にあるクランプ)としての機能を兼ねることもできる。
図3(C)に示す例では、コネクタCN2は、エンジン11の制御ユニットにおける端子コネクタ(図示せず。)に接続されている。そして、コネクタCN2は、アダプタADと、結束バンド固定具WF5と、ナットNT(ナットNT5)とを介して旋回フレームに固定されている。
アダプタADは、コネクタCN2を結束バンド固定具WF5に取り付けるための部材である。本実施形態では、アダプタADは、結束バンド固定具WF5に対して取り外し可能に固定されるように、且つ、コネクタCN2に対して取り外し可能に固定されるように構成されている。但し、アダプタADは、コネクタCN2に統合されていてもよい。すなわち、アダプタADは、コネクタCN2の一部としてコネクタCN2と一体的に成形されていてもよい。この場合、アダプタADが一体化されたコネクタCN2は、結束バンド固定具WF5に対して取り外し可能に固定されるように構成される。
次に、図4を参照し、結束バンド固定具WFの構成例について説明する。図4は、結束バンド固定具WFの構成例を示す図である。具体的には、図4(A)は、結束バンド固定具WFの一例である結束バンド固定具WFaの正面図である。図4(B)は、結束バンド固定具WFaの斜視図である。図4(C)は、結束バンド固定具WFaに取り付けられるアダプタADの一例であるスライドレール式のアダプタADaの斜視図である。結束バンド固定具WFaは、図3における結束バンド固定具WF1~結束バンド固定具WF5として使用され得る。アダプタADaは、図3(C)におけるアダプタADとして使用され得る。
結束バンド固定具WFaは、結束バンドTB(図3(A)参照。)をショベル100の構造部材に固定するために用いられる。ショベル100の構造部材は、例えば、旋回フレーム又はハウスフレーム等である。結束バンドTBは、複数の長尺部材を束ねることができるように構成されている。但し、結束バンドTBは、1つの長尺部材を固定するために利用されてもよい。結束バンドTBは、一度結束すると取り外しができない構成(再結束ができない構成)であってもよく、再結束ができる構成であってもよい。長尺部材は、例えば、ワイヤハーネスWH、電気ケーブル、尿素水ホース、冷却水ホース、燃料ホース、又は作動油ホース等である。長尺部材は、可撓性を有していてもよく、可撓性を有していなくてもよい。ハウスフレームは、旋回フレームの上に配置される建屋を構成する部材である。
結束バンド固定具WFaは、望ましくは、耐候性を有する材料で形成されている。耐候性を有する材料は、例えば、金属、合成樹脂、又はゴム等である。本実施形態では、結束バンド固定具WFは、合成樹脂で形成されている。典型的には、結束バンド固定具WFaは、射出成形によって形成される。
結束バンドTBは、望ましくは、耐候性を有する材料で形成されている。本実施形態では、結束バンドTBは、合成樹脂で形成されている。典型的には、結束バンドTBは、射出成形によって形成される。結束バンドTBは、結束バンド固定具WFaに統合されていてもよい。すなわち、結束バンド固定具WFaと結束バンドTBとは射出成形等によって一体的に形成されていてもよい。
結束バンド固定具WFaは、図4(A)及び図4(B)に示すように、主に、抜け止め部RP、基部BP、及び連結部CPで構成されている。
抜け止め部RPは、結束バンド固定具WFaの一部であり、ナットNTのネジ穴に取り付けられるように構成されている。本実施形態では、合成樹脂で形成された抜け止め部RPは、ナットNTのネジ穴に差し込まれる。抜け止め部RPは、ナットNTのネジ穴にねじ込まれてもよい。
具体的には、抜け止め部RPは、ネジ穴に挿入されたときにネジ穴と嵌合する嵌合構造を有する。また、抜け止め部RPは、ネジ穴に挿入された抜け止め部RPがネジ穴から抜けてしまうのを防止する構造である1又は複数の凸部PRを含む。凸部PRは、例えば、錐台形状を有し、外周端がネジ穴の内壁と接触して変形するように構成されている。本実施形態では、抜け止め部RPは、5つの凸部PRである第1逆円錐台部PR1~第5逆円錐台部PR5を含む。「逆円錐台」は、基部BPに近い側の上底の半径が、基部BPから遠い側の下底の半径より大きい形状を意味する。ネジ穴は、その直径が第1逆円錐台部PR1部~第5逆円錐台部PR5のそれぞれの直径より僅かに小さくなるように形成されている。
基部BPは、抜け止め部RPと連結部CPとの間に形成される部分である。本実施形態では、基部BPは、抜け止め部RPがネジ穴に過度に差し込まれてしまうのを防止するストッパとしての機能を果たす。また、基部BPは、外部からネジ穴の内部に水等の異物が侵入してしまうのを防止する栓としての機能を果たす。そのため、基部BPは、抜け止め部RPの直径よりも大きい直径を有する。
連結部CPは、各種部材が連結される部分である。各種部材は、例えば、アダプタAD、コネクタCN、分岐部保護部材BM、又は結束バンドTB等である。本実施形態では、連結部CPは、挿通部IP及び嵌合部JPを含む。
挿通部IPは、結束バンドTBを保持できるように構成されている。本実施形態では、挿通部IPは、図4(A)及び図4(B)に示すように、結束バンドTBを挿し通すことができる開口OPを備えている。開口OPは、図4(A)に示すように、第1開口OP1及び第2開口OP2を含む。挿通部IPの開口OPの端面(開口端面)の形状は、横長の長方形であるが、縦長の長方形であってもよく、正方形であってもよい。或いは、挿通部IPの開口端面の形状は、円形、楕円形、又は多角形等の他の形状であってもよい。図4(B)に示すように、挿通部IPの開口端面の形状が横長の長方形である場合、挿通部IPの開口OPは、挿通部IP内に略直方体形状の空間を形成している。すなわち、挿通部IPの内壁は、平坦面となるように構成されている。この構成は、結束バンドTBの断面が矩形状をなす場合、挿通部IPの内壁が曲面である場合(例えば、挿通部IP内に略円柱状の空間が形成されている場合)に比べ、その空間内での結束バンドTBのズレ及び回転をより効果的に抑制できる。挿通部IPの内壁と結束バンドTBとの間に形成される隙間を小さくできるためである。開口OPの縁は、長尺部材又は結束バンドTB等が損傷しないようにR加工等が施された曲面で形成されていてもよい。
嵌合部JPは、アダプタADが取り付け可能なように構成されている。嵌合部JPは、基部BPに関し、抜け止め部RPが位置する側とは異なる側に位置するように形成される。本実施形態では、嵌合部JPは基部BPの+Z側に配置され、抜け止め部RPは基部BPの-Z側に配置されている。具体的には、嵌合部JPは、挿通部IPに一体化され、挿通部IPの+Z側の部分に形成されている。
本実施形態では、嵌合部JPは、溝部GRを有するように構成されている。溝部GRは、アダプタADaに形成された突出部PT(図4(C)参照。)とかみ合うように構成されている。
具体的には、溝部GRは、第1溝部GR1及び第2溝部GR2を含み、突出部PTは、第1突出部PT1及び第2突出部PT2を含む。嵌合部JPは、第1溝部GR1が第1突出部PT1及び第2突出部PT2の一方とかみ合い、且つ、第2溝部GR2が第1突出部PT1及び第2突出部PT2の他方とかみ合うように構成されている。
連結部CPは、略直方体形状を有する。そして、連結部CPは、嵌合部JPにおける溝部GRと挿通部IPにおける開口OPとが同じ側に位置するように構成されている。具体的には、第1溝部GR1及び第1開口OP1は、連結部CPの+Y側の側面に形成され、第2溝部GR2及び第2開口OP2は、連結部CPの-Y側の側面に形成されている。但し、連結部CPは、嵌合部JPにおける溝部GRと挿通部IPにおける開口OPとが互いに異なる側に位置するように構成されていてもよい。例えば、第1溝部GR1は、連結部CPの+X側の側面に形成され、第2溝部GR2は、連結部CPの-X側の側面に形成されていてもよい。この場合、溝部GRは、開口OPと同じ高さの位置(Z軸方向における同じ位置)に形成されていてもよく、開口OPよりも低い位置(開口OPよりも-Z側にある位置)に形成されていてもよい。或いは、溝部GRは、連結部CPの4つの側面のうちの3つ以上の側面に形成されていてもよく、連結部CPの4つの側面のうちの1つのみに形成されていてもよい。
図4(A)及び図4(B)に示す例では、連結部CPの上面TSの4つの縁は、角張るように構成されているが、縁が湾曲するようにR加工等が施されていてもよい。この湾曲部を備えた構成は、上面TSに接するように配置される1又は複数の長尺部材が上面TSの角部と接触して損傷してしまうのを防止できる。或いは、上面TSには、上面TSを覆う閉塞部材(図示せず。)が取り外し可能に取り付けられていてもよい。閉塞部材の上面は、平坦面でもよく、中央部が最も高くなるように+Z方向に突出するように構成されていてもよい。この場合、閉塞部材は、連結部CPの材質より柔らかい材質で構成されていてもよい。更に、閉塞部材の中央部のみが、閉塞部材の他の部分よりも柔らかい材質で構成されていてもよい。この場合、閉塞部材は、アダプタADの一つとして連結部CPと係合するように構成されていてもよい。
アダプタADaは、図4(C)に示すように、突出部PT、保持部HK、及び爪部RCを有する。突出部PTは、嵌合部JPに形成された溝部GRとかみ合うように構成されている。
保持部HKは、アダプタADaに連結される部材を保持できるように構成されている。アダプタADaに連結される部材は、例えば、コネクタCN又は分岐部保護部材BM等である。本実施形態では、保持部HKは、コネクタCNを保持できるように構成されている。具体的には、保持部HKは、第1保持部HK1及び第2保持部HK2を含む。この場合、コネクタCNは、保持部HKに対応する構造を有する。具体的には、コネクタCNには、逆台形断面の角柱形状を有する突出ガイド部(図示せず。)が形成されている。
また、図4(C)に示す例では、第2保持部HK2は、進入防止部STを含むように構成されている。進入防止部STは、コネクタCNの突出ガイド部が、-X側から保持部HK内に進入するのを防止する機能を有する。すなわち、図4(C)に示す例では、作業者は、+X側からコネクタCNの突出ガイド部を保持部HKに嵌め込むことができるが、-X側からは突出ガイド部を保持部HKに嵌め込むことができない。このように、進入防止部STは、コネクタCNの進入方向を一方向に制限できる。
なお、図4(C)に示す例では、進入防止部STは、第2保持部HK2の-X側の端部に配置されているが、第2保持部HK2の+X側の端部に配置されていてもよく、或いは、第1保持部HK1の-X側若しくは+X側の端部に配置されていてもよい。また、進入防止部STは、第1保持部HK1及び第2保持部HK2のそれぞれの-X側の端部に対をなすように配置されていてもよく、或いは、第1保持部HK1及び第2保持部HK2のそれぞれの+X側の端部に対をなすように配置されていてもよい。図5に示すアダプタADb及び図6に示すアダプタADcのそれぞれにおける進入防止部STについても同様である。
爪部RCは、アダプタADaに連結される部材の抜け落ちを防止できるように構成されている。本実施形態では、爪部RCは、上面UFの+X側の縁部に設けられた第1爪部RC1と、上面UFの-X側の縁部に設けられた第2爪部RC2とを含む。そして、爪部RCは、コネクタCNにおける突出ガイド部の端面にある直方体形状の隆起部(図示せず。)とかみ合うように構成されている。なお、爪部RCは、上面UFの+X側の縁部に間隔を空けて設けられた2つ以上の第1爪部RC1と、上面UFの-X側の縁部に間隔を空けて設けられた2つ以上の第2爪部RC2とを含んでいてもよい。また、上面UFの+X側の縁部に設けられた第1爪部RC1の数と、上面UFの-X側の縁部に設けられた第2爪部RC2の数とは、異なっていてもよい。アダプタADaにおける爪部RCとコネクタCNにおける隆起部とは、アダプタADaからコネクタCNが抜け落ちるのを防止する抜け落ち防止構造を構成している。また、作業者が爪部RCを-Z方向へ押し下げることでコネクタCNを容易に外すことができるように、第1爪部RC1及び第2爪部RC2の何れか一方のY軸方向における両側には切り欠きが形成されていてもよい。なお、抜け落ち防止構造は、コネクタCNに形成された爪部と、アダプタADaに形成された隆起部とで構成されていてもよい。また、このような抜け落ち防止構造は、結束バンド固定具WFaの連結部CPとアダプタADaとの間に形成されていてもよい。また、抜け落ち防止構造として、爪部RCの代わりに、上面UFに凹部が形成されていてもよい。
次に、図5を参照し、結束バンド固定具WFの別の構成例について説明する。図5は、結束バンド固定具WFの別の構成例である結束バンド固定具WFbを示す。図5では、結束バンド固定具WFbにはアダプタADの別の一例であるアダプタADbが取り付けられている。具体的には、図5(A)は、アダプタADbが取り付けられた結束バンド固定具WFbの正面図である。図5(B)は、アダプタADbが取り付けられた結束バンド固定具WFbの斜視図である。図5(C)は、アダプタADbが結束バンド固定具WFaから取り外されたときの、アダプタADb及び結束バンド固定具WFaの斜視図である。結束バンド固定具WFbは、図3における結束バンド固定具WF1~結束バンド固定具WF5として使用され得る。アダプタADbは、図3(C)におけるアダプタADとして使用され得る。
結束バンド固定具WFbは、主に、連結部CPの上面(+Z側の面)に嵌合部JPが形成されている点で、図4に示す結束バンド固定具WFaと異なる。なお、結束バンド固定具WFaでは、連結部CPの側面(+Y側の面及び-Y側の面)に嵌合部JPの溝部GRが形成されている。
また、結束バンド固定具WFbに取り付けられるアダプタADbは、主に、スナップフィット部SFを有する点で、図4(C)に示すアダプタADaと異なる。なお、アダプタADaは、突出部PTを介して結束バンド固定具WFaに取り付けられる。
具体的には、結束バンド固定具WFbの嵌合部JPは、図5(C)に示すように、連結部CP(挿通部IP)の上面に形成された開口TAを有する。アダプタADbのスナップフィット部SFは、開口TAとかみ合うように構成されている。より具体的には、スナップフィット部SFは、第1スナップフィット部SF1及び第2スナップフィット部SF2を含む。第1スナップフィット部SF1及び第2スナップフィット部SF2のそれぞれは、弾性変形可能に形成されており、アダプタADbが連結部CP(挿通部IP)の上面に押し付けられたときに弾性変形して開口TA内に嵌め込まれる。
アダプタADbは、図5(B)に示すように、スナップフィット部SFの爪が挿通部IPの開口OP側を向くように、結束バンド固定具WFbに取り付けられている。すなわち、アダプタADbは、第1スナップフィット部SF1の爪が第1開口OP1側(+Y側)を向き、且つ、第2スナップフィット部SF2の爪が第2開口OP2側(-Y側)を向くように結束バンド固定具WFbに取り付けられている。但し、アダプタADbは、スナップフィット部SFの爪がX軸方向を向くように結束バンド固定具WFbに取り付けられてもよい。
次に、図6を参照し、アダプタADの更に別の構成例について説明する。図6は、アダプタADの更に別の構成例であるアダプタADcを示す。アダプタADcは、結束バンド固定具WFbに取り付けられている。図6に示す結束バンド固定具WFbは、図5に示す結束バンド固定具WFbと同じである。
具体的には、図6(A)は、アダプタADcが取り付けられた結束バンド固定具WFbの正面図である。図6(B)は、アダプタADcが取り付けられた結束バンド固定具WFbの斜視図である。図5(C)は、アダプタADcが結束バンド固定具WFbから取り外されたときの、アダプタADc及び結束バンド固定具WFbの斜視図である。アダプタADcは、図3(C)におけるアダプタADとして使用され得る。
図6に示すアダプタADcは、やじり型のスナップフィット部SFcを有する点で、片持ち梁型のスナップフィット部SFを有する図5に示すアダプタADbと異なる。
具体的には、アダプタADcのスナップフィット部SFcは、嵌合部JPの開口TAとかみ合うように構成されている。より具体的には、スナップフィット部SFcは、第1スナップフィット部SFc1及び第2スナップフィット部SFc2を含む。第1スナップフィット部SFc1及び第2スナップフィット部SFc2のそれぞれは、弾性変形可能に形成されており、アダプタADcが連結部CP(挿通部IP)の上面に押し付けられたときに弾性変形して開口TA内に嵌め込まれる。
そして、アダプタADcは、図6(B)に示すように、スナップフィット部SFcの爪が挿通部IPの開口OP側を向くように、結束バンド固定具WFbに取り付けられている。すなわち、アダプタADcは、第1スナップフィット部SFc1の一方の爪と、第2スナップフィット部SFc2の一方の爪とが第1開口OP1側(+Y側)を向き、且つ、第1スナップフィット部SFc1の他方の爪と、第2スナップフィット部SFc2の他方の爪とが第2開口OP2側(-Y側)を向くように結束バンド固定具WFbに取り付けられている。但し、アダプタADcは、スナップフィット部SFcの爪がX軸方向を向くように結束バンド固定具WFbに取り付けられてもよい。
次に、図7を参照し、結束バンド固定具WFの更に別の構成例について説明する。図7は、結束バンド固定具WFの更に別の構成例である結束バンド固定具WFcを示す。
図7に示す結束バンド固定具WFcは、連結部CPの4つの側面のうち、挿通部IPの開口OPが形成されている側面以外の側面に、嵌合部JPの溝部GRが形成されている点で、図4に示す結束バンド固定具WFaと異なる。なお、図4に示す結束バンド固定具WFaでは、連結部CPの4つの側面のうち、挿通部IPの開口OPが形成されている側面と同じ側面に、嵌合部JPの溝部GRが形成されている。
また、図7に示す結束バンド固定具WFcでは、開口OPが形成されている側面以外の側面に溝部GRが形成されているため、連結部CPの高さH1が、図4に示す結束バンド固定具WFaにおける連結部CPの高さより小さくなっている。
また、図7に示す結束バンド固定具WFcでは、連結部CPは、結束バンドTBで束ねられた複数の長尺部材が接する面である上面TSが平坦面となるように構成されている。この構成は、長尺部材と上面TSとの間の摩擦によって長尺部材の表面が損傷してしまうのを防止できる。この構成は、上面TSに貫通孔、凸部、又は凹部等が形成されている場合等、上面TSが平坦面でない場合に比べ、長尺部材と上面TSとの間の接触面積を大きくして接触面圧を小さくすることができるためである。
なお、図7に示す例では、上面TSの4つの縁は、角張るように構成されているが、縁が湾曲するようにR加工等が施されていてもよい。この湾曲部を備えた構成は、上面TSに接するように配置される1又は複数の長尺部材が上面TSの角部と接触して損傷してしまうのを防止できる。
また、図7に示す例では、上面TS、連結部CP、及び抜け止め部RPが一体的に形成されているが、上面TSは、別の部品(閉塞部材)として構成されていてもよい。この場合、結束バンド固定具WFの上面は、図4に示すアダプタADaによって形成されてもよい。
また、連結部CPの上面TSは、連結部CPの他の部分を構成している材料(例えば66ナイロン)よりも軟らかい材料で形成されてもよく、或いは、長尺部材(例えばコルゲートチューブ)の表面を構成している材料(例えばPP(ポリプロピレン)材)と同じ材料で形成されてもよく、或いは、長尺部材の表面を構成している材料よりも軟らかい材料(POM(ポリアセタール)材)で形成されてもよい。例えば、上面TSを構成する材料はエラストマーであってもよい。エラストマーが用いられる場合、結束バンド固定具WFcは、二色成形によって作製されてもよい。また、連結部CPは、上面TSだけではなく、その全体がエラストマーで作製されていてもよく、開口OPよりも上側(+Z側)の部分がエラストマーで作製されていてもよい。この場合においても、基部BP及び抜け止め部RPは、66ナイロン等のより硬い材料で作製される。但し、基部BPは、エラストマーで作製されてもよい。
次に、図8を参照し、結束バンド固定具WFの更に別の構成例について説明する。図8は、結束バンド固定具WFの更に別の構成例である結束バンド固定具WFdを示す。
図8に示す結束バンド固定具WFdは、基部BPの下面(-Z側の面)にシール部SLを有する点で、図7に示す結束バンド固定具WFcと異なる。
シール部SLは、結束バンド固定具WFdが差し込まれるナットNTのネジ穴の内部に外部から水等の液体が侵入してしまうのを防止する栓としての機能するように構成されている。図8に示す例では、結束バンド固定具WFdは、シール部SLがエラストマーで作製され、シール部SL以外の部分が66ナイロンで作製されている。具体的には、結束バンド固定具WFdは、二色成形によって作製されている。
図8に示す例では、シール部SLは、円板部DP及び環状縁部AEを有する。環状縁部AEの径は、ナットNTのネジ穴の径よりも大きく、且つ、ナットNTの径よりも小さくなるように構成されている。環状縁部AEは、-Z方向に向かって円板部DPよりも高く突出するように構成されている。なお、円板部DPは省略されてもよい。すなわち、シール部SLは、環状縁部AEのみで構成されていてもよい。
結束バンド固定具WFdがナットNTのネジ穴に差し込まれると、環状縁部AEは、ナットNTの端面と接触して潰れ、基部BPの下面とナットNTの端面との間を密封する。
この構成により、シール部SLは、基部BPの下面とナットNTの端面との間の隙間を通ってナットNTのネジ穴の内部に水が侵入してしまうのを防止できる。そのため、シール部SLは、ナットNTの端面及びネジ穴の内部が塗装されていない場合であっても、ナットNTの端面及びネジ穴の内部における錆の発生を防止できる。
また、二色成形によって一体的に作製された結束バンド固定具WFdは、複数の部品を人手で組み付けることによって作製される場合に比べ、製造コストを低減させることができる。また、二色成形によって一体的に作製された結束バンド固定具WFdは、シール部SLが基部BPから脱落してしまうのをより確実に防止できるため、結束バンド固定具WFdの品質を向上させることができる。
上述のように、本発明の実施形態に係る配線固定具としての結束バンド固定具WFは、抜け止め部RPと抜け止め部RPの端部に接続された基部BPと、アダプタADが取り付け可能なように形成された嵌合部JPとを有する。そして、嵌合部JPは、基部BPに関し、抜け止め部RPが位置する側とは異なる側に位置している。
この構成により、結束バンド固定具WFには、例えば図3に示されるように、アダプタADを介して、コネクタCN又は分岐部保護部材BM等の様々な固定対象物が取り付けられるようになる。そのため、作業者は、結束バンド固定具WFを嵌め込むことが可能なナットNTが配置されているところで、コネクタCN又は分岐部保護部材BM等の様々な固定対象物を固定できる。また、作業者は、コネクタCN専用の固定具、又は、分岐部保護部材BM専用の固定具を用意する必要がない。すなわち、この構成は、結束バンド固定具WFを、様々な固定対象物の取り付けに用いられる共通の部品とすることができる。その結果、この構成は、長尺部材の配索に関する部品の点数の削減、長尺部材の配索に関する部品の製造コストの低下、長尺部材の配索に関する設計自由度の拡大、又は、長尺部材の配索に関するスペースの省スペース化の実現といった様々な効果をもたらす。
また、アダプタADは、コネクタCN又は分岐部保護部材BM等に一体化されていてもよい。この場合、アダプタADが一体化されたコネクタCN又は分岐部保護部材BM等は、結束バンド固定具WFに直接取り付けられる。図3(B)に示す分岐部保護部材BMは、アダプタADが一体化された分岐部保護部材BMの一例である。
また、アダプタADは、結束バンド固定具WFがナットNTのネジ穴に嵌め込まれた状態で、結束バンド固定具WFから分離可能なように構成されている。そのため、作業者は、ナットNTから結束バンド固定具WFを抜き取ることなく、アダプタADを結束バンド固定具WFから容易に取り外すことができる。
嵌合部JPは、例えば図4~図8に示すように、連結部CPに形成されていてもよい。そして、連結部CPは、結束バンドTBが挿通される挿通部IPを有していてもよい。
この構成により、作業者は、例えば図3(C)に示すように、結束バンド固定具WFの嵌合部JPにコネクタCNを取り付けると共に、挿通部IPに結束バンドTBを挿通することで、コネクタCNから延びるワイヤハーネスWHを折り返して束ねることができる。
嵌合部JPは、例えば図4、図7、及び図8に示すように、連結部CPの側面に形成されていてもよい。
或いは、嵌合部JPは、図5及び図6に示すように、連結部CPの上面(+Z側の面)に形成されていてもよい。具体的には、アダプタADには、一対の突起としての一対のスナップフィット部SF(図5(C)参照。)又は一対のスナップフィット部SFc(図6(C)参照。)が形成されていてもよい。また、嵌合部JPには、図5(C)及び図6(C)に示すように、開口TAが形成されていてもよい。そして、開口TAと一対のスナップフィット部SF又は一対のスナップフィット部SFcとは、互いに係合するように構成されていてもよい。なお、図4~図6のそれぞれに示す例では、アダプタADは、保持部HKを有するように構成されているが、別の固定対象物に対応できるよう、別の形状を有していてもよい。この場合、作業者は、アダプタADを取り換えるだけで、別の固定対象物を結束バンド固定具WFに取り付けることができる。
また、連結部CPの上面TSは、図7に示すように、平面であってもよい。この構成は、例えば、長尺部材が上面TSと接触するように配置され、且つ、挿通部IPに挿通された結束バンドTBによって長尺部材が結束される場合に、長尺部材と上面TSとの間の摩擦によって長尺部材の表面が損傷してしまうのを防止できる。この構成は、上面TSに貫通孔、凸部、又は凹部等が形成されている場合等、上面TSが平坦面でない場合に比べ、長尺部材と上面TSとの間の接触面積を大きくして接触面圧を小さくすることができるためである。
連結部CPは、抜け止め部RPを構成する材料よりも軟らかい材料で形成されていてもよい。例えば図7に示す例では、連結部CPの上面TSを構成する部分は、連結部CPの他の部分を構成する材料(例えば66ナイロン)よりも軟らかい材料(例えばエラストマー)で形成されていてもよい。この構成は、上面TSと接触する長尺部材の表面の損傷をより確実に防止できるという効果をもたらす。
基部BPの所定の部分は、基部BPの他の部分よりも軟らかい材料で形成されていてもよい。例えば図8に示すように、基部BPの下面にあるシール部SLは、基部BPの他の部分を構成する材料(例えば66ナイロン)よりも軟らかい材料(例えばエラストマー)で形成されていてもよい。この構成では、シール部SLは、基部BPの下面とナットNTの端面との間を密封できるという効果をもたらす。
以上、本発明の好ましい実施形態が説明された。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に限定されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
例えば、上述の実施形態では、結束バンド固定具WFは、旋回フレーム上にあるハウスフレーム内で複数の長尺部材を束ねる結束バンドTBを旋回フレーム等の構造部材に固定する際に利用されている。しかしながら、結束バンド固定具WFは、例えば、ブーム4、アーム5、及びバケット6で構成される掘削アタッチメントの表面上で、作動油ホース、グリスホース、及び電気ケーブル等の複数の長尺部材を束ねる結束バンドTBをブーム4、アーム5、及びバケット6等の構造部材に固定する際に利用されてもよい。
また、上述の実施形態では、挿通部IPは、連結部CPの一部を構成しているが、省略されてもよい。すなわち、連結部CPは、嵌合部JPのみを有するように構成されていてもよい。
また、図5(C)に示すアダプタADbは、片持ち梁型のスナップフィット部SFを有しているが、環状型、ねじり型、又は圧縮型等の他のタイプのスナップフィット部を有していてもよく、スナップフィット部以外の他の嵌合構造を有していてもよい。
また、図4~図6のそれぞれに示す例では、アダプタADの保持部HKは進入防止部STを含むが、進入防止部STは、省略されてもよい。図9は、アダプタADの更に別の構成例であるアダプタADdを示す。アダプタADdは、進入防止部STが省略されている点で、図4(C)に示すアダプタADaと異なるが、その他の点でアダプタADaと同じである。図9に示す例では、作業者は、+X側からコネクタCNの突出ガイド部を保持部HKに嵌め込むことができ、且つ、-X側からコネクタCNの突出ガイド部を保持部HKに嵌め込むことができる。
また、図4に示す例では、アダプタADaは、上面UFの+X側の縁部に設けられた第1爪部RC1と、上面UFの-X側の縁部に設けられた第2爪部RC2とを含む爪部RCを有する。そして、爪部RCは、コネクタCNにおける隆起部と協働して、アダプタADaからコネクタCNが抜け落ちるのを防止する抜け落ち防止構造を構成している。
しかしながら、抜け落ち防止構造は、図10に示すように、アダプタADに形成された爪部RC(爪部RCa)とコネクタCNに形成されたコネクタ側爪部(図示せず。)との組み合わせで構成されていてもよい。具体的には、抜け落ち防止構造は、図10に示すように、アダプタADeの上面UFの中央部に設けられた爪部RCaと、コネクタCNにおける逆台形断面の角柱形状を有する突出ガイド部(図示せず。)の下面の中央部に設けられたコネクタ側爪部との組み合わせで構成されていてもよい。
具体的には、爪部RCaは、-X側の高さ(上面UFからの隆起の高さ)が+X側の高さよりも高くなるように、すなわち、-X方向に徐々に高くなる略楔形となるように形成されている。一方で、コネクタ側爪部は、-X側の高さ(下面からの隆起の高さ)が+X側の高さよりも低くなるように、すなわち、-X方向に徐々に低くなる略楔形となるように形成されている。作業者は、コネクタCNの突出ガイド部とアダプタADeの保持部HKとをかみ合わせ、且つ、爪部RCaとコネクタ側爪部とを突き合わせることにより、コネクタCNとアダプタADeとを互いに固定することができる。
また、爪部RCaとコネクタ側爪部との組み合わせは、進入防止部としても機能することができる。進入防止部は、コネクタCNの突出ガイド部が、-X側から保持部HK内に進入するのを防止する機能を有する。すなわち、図10に示す例では、作業者は、+X側からコネクタCNの突出ガイド部を保持部HKに嵌め込むことができるが、-X側からは突出ガイド部を保持部HKに嵌め込むことができない。このように、進入防止部は、コネクタCNの進入方向を一方向に制限できる。